第040回国会 社会労働委員会 第16号
昭和三十七年三月十三日(火曜日)
   午前十時五十六分開議
 出席委員
   委員長 中野 四郎君
   理事 小沢 辰男君 理事 齋藤 邦吉君
   理事 澁谷 直藏君 理事 小林  進君
   理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君
      井村 重雄君    伊藤宗一郎君
      浦野 幸男君    加藤鐐五郎君
      中山 マサ君    永山 忠則君
      楢橋  渡君    八田 貞義君
      松山千惠子君    米田 吉盛君
      渡邊 良夫君    安宅 常彦君
      大原  亨君    河野  正君
      五島 虎雄君    島本 虎三君
      田邊  誠君    中村 英男君
      吉村 吉雄君    井堀 繁男君
      本島百合子君
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 迫水 久常君
        労 働 大 臣 福永 健司君
 出席政府委員
        郵政事務官
        (監察局長)  田中 鎮雄君
        郵政事務官
        (郵務局長)  西村 尚治君
        労働事務官
        (労政局長)  堀  秀夫君
        労働基準監督官
        (労働基準局
        長)      大島  靖君
        労働事務官
        (職業安定局
        長)      三治 重信君
 委員外の出席者
        郵政事務官
        (大臣官房文書
        課長)     溝呂木 繁君
        郵政事務官
        (大臣官房人事
        部長)     長田 裕二君
        郵政事務官
        (簡易保険局次
        長)      竹下 一記君
        労働事務官
        (労政局労働法
        規課長)    青木勇之助君
        労働基準監督官
        (労働基準局監
        督課長)    小鴨 光男君
        労働事務官
        (職業安定局失
        業対策部長)  和田 勝美君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
三月十三日
 委員淺沼享子君辞任につき、その補欠として安
 宅常彦君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員安宅常彦君辞任につき、その補欠として淺
 沼享子君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 理事大石武一君及び永山忠則君同日理事辞任に
 つき、その補欠として小沢辰男君及び澁谷直藏
 君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任の件
 労働関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○中野委員長 これより会議を開きます。
 この際お諮りをいたします。
 理事大石武一君及び永山忠則君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認め、両君の理事辞任を許可することに決しました。
 つきましては、理事に二名欠員を生じましたので、その補欠選任を行ないたいと存じまするが、補欠選任につきましては委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認め、小沢辰男君及び澁谷直藏君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
○中野委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありまするので、これを許します。本島百合子君。
○本島委員 大臣の御出席がないようでございますから、大臣にもとくと御連絡いただきまして、次の機会にでも大臣の所見を聞かしていただくように前もってお願いいたしておきます。
 私は、職業病法の制定について、政府は今日どういう努力をされておるかということを前もってお尋ねいたします。
 過ぐる三十五年三月三十一日制定のじん肺法並びに労災法の一部改正案を審議しました際に、三党の附帯決議案として、将来職業病法の制定を行なうことが確認された。その附帯決議に基づきまして、今日までどのような努力を払っていられるかということが一点。
 職業病と断定または推定されるものとしては、どういう範囲を考えておられるかどうか。それから現在、例の施行されております法律の関係からいきましても、けい肺とか潜水病、それから昨年の三十八か九国会のときだったと思いますが、同僚の井堀委員からニトロ・グリコール中毒患者、こういうものが、数は非常に少ないけれどもその災害はおそるべきものがあるということが明確に言われたわけであります。こういうようなものが現在ある。それから最近新聞紙上に出ておりますところのたとえばキー・パンチャー、こういうものが、事務が機械化されて参りまして非常に多くなっている。この機械は外国から輸入されてきておりますので、その病状については日本ではあまり統計がない、こういうような話でありますが、婦人少年局あたりでも調査されておりますし、そういう点で、こういうようなものをも含めて拡大していくのかいかないのか。そういう附帯決議をどのように取り扱っておられるかということを前もってお尋ねします。
 大臣もお見えになったようですから、あわせて大臣からも職業病に対する将来の考え方というものをお聞かせ願いたいと思います。
○大島政府委員 本日職業病の問題を通じて労働衛生の問題についての御質疑をいただきましたこと、私ども今後労働衛生の面で大いに力を尽くして参らなければならないと思っております際、非常にありがたく存じております。この機会に、職業病対策と申しますか、全般的な問題とあわせて、ただいま御指摘になりましたニトロ・グリコールなり、あるいは、キー・パンチャーの問題なり、こういう特殊、具体的な問題を総体的に一応御報告申し上げておきたいと思います。
 私どもの方で全般的な労働者の健康診断をいたしておりますが、特殊健康診断という、有害業務に従事する者の健康診断をいたしております。その特殊健康診断の受診者の総数は、昭和三十五年度におきまして十九万七千名、約二十万名の受診者になっております。この中でいわゆる有所見者、症状のあります者、この有所見者の比率は、大体全受診者の一四%程度になっております。こういった形で何らかの症状があります者、これが全部職業病というわけではもちろんございませんが、その中でやはり職業病関係の者も相当多いわけであります。従って、職業病対策の推進ということは、労働衛生上非常に重要な問題に相なるわけであります。そこで私どもといたしましては、職業病の予防対策を充実いたしますために、職場における有害業務の把握を徹底的に行ないたいということ、それからさらに、個々の有害因子から当該労働者の健康を守るための予防対策を、早急、具体的に立てなくてはならない。このために、一般衛生基準を基準法で定めておりますが、特にこの有害因子に対応した具体的な対策基準というものをこしらえていかなくてはならないわけであります。そこで私どもといたしましては、特に問題になりますものといたしまして、粉塵による障害の予防、それから電離放射線による障害の予防、高気圧による障害の予防、たとえば潜函病、それから融溶剤による中毒の予防、こういった点につきまして具体的な予防基準というものを立てまして、現在職業病対策を進めておるわけであります。
 最初御指摘のありました職業病法と申しますか、こういう立法につきましては、かねがね検討もいたしておりますが、技術的に非常に複雑な点と、それから技術あるいはその持っております科学的素材が日進月歩でございますので、むしろただいまのところは、立法についても同時に検討いたしますが、この進歩に対応しますように、先ほど来申し上げますような具体的な予防基準というものを立てていきたい。それから一方、世界的にいろいろな技術の進歩、材料の使用によって新しい職業病的なものが出て参る可能性がありますので、昨年ジュネーブの世界安全予防情報センターというのへ日本からも加入いたしまして、そこで世界的に新しい薬を使った場合どうなるか、新しい機械の場合どうなるかというような、職業病の徴候についての情報をなるべく早くキャッチするような手段も講じております。そういうことで、ただいま慎重に検討しつつ、また現実に即応するような行政を進めて参りたいと考えております。
 それから御心配をいただいておりましたニトロ・グリコールにつきましては、先般来も御報告申し上げましたように、一昨年基準審議会においてこの対策について御審議を願いまして、その結果についての措置を関係の三会社に措置してもらっております。これは先生よく御承知の通り、ニトロ・グリコールの混入率と葉分の関係が非常にむずかしい問題で、一方において労働衛生の問題とともに、片方において爆発の危険性という、これの調和をどうするかという非常にむずかしい問題もございますが、私が一昨年来この関係の会社並びに労働組合に対して強く要望いたしましたことは、第一に、非常に高度な技術的な問題なので、技術的な専門者の意見に従ってもらいたいということが一つと、第二に、こういった労働衛生の問題については、各企業において労使がほんとうによく話し合ってもらい、いろいろな対策について、直接労働組合の代表者側がよく理解するような形で立ち合うという二点を要望いたしたのであります。ことに第二点は、直接被害を受けるのは労働者でございますので、そこにいろいろな不安がある。それはほんとうにもつともな不安もあるし、また過大な不安もある。そういうのを、直接タッチいたしておりますとその点がよくわかるわけであります。こういった点で専門的な意見に従うことと、労使の意思がほんとうに一致して対策を進める、こういう点の二点を強く要望いたしまして、現在のところ、ニトロ・グリコールの問題は大体順調に推移いたしておりますが、ただ私、これで安心することはできないのでありまして、やはりその後の労働者の、現われてくる症状について健康診断を励行いたしまして、それを種々ホローしていかないといけないと思います。
 それから最後にキー・パンチャーの問題は、これは新しい問題といたしまして私どもも非常に重大な関心を持っております。この点について、私どもの労働衛生研究所において、現在キー・パンチャーの各種の症状について調べさせております。こういった点につきまして今後とも十分研究を進めて参りたい、かように考えております。
○福永国務大臣 先刻来本局先生御指摘のように、職業病についてかつて経験しなかったような新しい事態が次々と出て参ります今日の情勢に対処いたしまして、立法的にも、また行政的にも、この新しい問題をとらえまして、おくれないように新しい配意を加えて参りたいと存ずる次第でございます。今幾つかの具体的な問題につきまして局長がお答えをいたしておりましたので、全般的にそういうような刻々と移り変わっていく情勢をよくとらえまして、新たなる事態に対する対策がおくれないようにせいぜい心がけて参りたいと存じます。
○本島委員 努力されて曲ることはわかりますが、基本的に職業病法という一貫したものを一括して作っていくのがいつごろになるのか、こういう点を私は聞きたかったのでございます。なぜそういうふうに申し上げますかというと、労働者にとってみますれば、この職場につけばこういうことになるのだということがわかっていながらも、その職場につかざるを得ない。そうした場合には、結局適切な健康管理あるいは予防措置というものがあれば安心して働けるわけですけれども、それがただいま労使に対して話し合いだとか、あるいはまた、理解をもってというふうに民間にまかせられておる。こういうような形でいきますと、現在の自由な資本主義経済のもとでは、なかなか役所で言われるような管理方法というものはとり得られないものだ、どうしても法律によってある程度の規制を加えていくということでなければ、労働者は安心して働けるだけの安心感というものは得られないということが、こういう点でもはっきりしてくるわけなんです。ですから、私どもは一日も早くこの職業病法を制定してほしいということで政府にも要望いたしておりますので、その観点に立って御質問を申し上げたわけです。たとえば、ただいま申されたキー・パンチャーのような問題については、非常に新しい病気であるからということで、十分な措置というものが講じられていないということが言えるのではないか。新聞の報道によりましても、これは大きな会社、証券会社あるいは保険会社というようなものが計算機を使っていく、いわゆる機械化、この機械化の犠牲だと思うのですが、ほとんどが婦人の職業と見ていいと思うのです。指先の仕事でありますし、非常にそのために、何といいましょうか、ノイローゼぎみになりがちだということがいわれておるのですが、そればかりじゃなくて、しばらくたたいております間には手は赤くはれ上がってくる、それから肩がこってくる、目がかすんでくる、こういうようなことがもうはっきり調査の上では出ているわけなんですね。こういうような問題等があっても、新しい職業という魅力――その労働の過重であるということについては、別に婦人の人たちも、何といいますか関心を払う前に、まず自分のいい職場を得たい。大会社がほとんどこういうものを使っておりますから、そういうような気持になりがちだ。だから今回のような、たとえば二月二十六日のできごとで、野村証券で働いておった二十二才の土井和子さんという人が飛びおり自殺をした。簡単に、これはノイローセぎみであったということで自殺したのだろうというふうに片づけられがちでありますが、専門家の意見によると、やはり職業病の一種の犠牲者である、こういうふうに見ておるわけなんです。そうすると、この職場について、たとえばどういう指導を労働省としてはなさったかということを聞きたいわけなんです。これはもうすでに、婦人少年局も調査を昨年の五月にしていられるわけなんです。それからまた、全国労働衛生協会の研究部長の久保田さんという方も、この職業についての問題についての意見を発表されております。それによると、とにかく一秒間に三タッチも速い速度でやると機関銃を撃つようなものである、これは一日に八万タッチも打たせられたのでは、人間の体力に非常な影響があるということが明確に言われておったわけです。ところが現実には、これに対して適当量は五時間程度だろうといわれておりながらも、五時間では上がってこないわけです。保険の加入とか書きかえとか、そういうようなときになれば、もう全く、音も機関銃のようだが、その打つ速さも機関銃のような速さで打ち込んでいかなければ間に合わない。そういうようなことで、この職場で四年なり五年の経験を持った人たちがどうしても調子が悪い、こういうことを言っているわけなんです。ですから、こういう研究発表もされておりますけれども、もちろんこれに対して、大会社であるということで、その指導ということが労働省としては適確にやられていないのではないかというような、世間体に言えばそういうことも言われているわけなんです。こういう点について、こればかりでなく、ほかにもいろいろこういう新しい機械の犠牲者というものがあるわけですから、そういう統計がどういう場所においてどのようになされ、どう報告されておるのか、そしてそれを労働省としてはどうまとめたか、こういうものをやはり職業病の中に含めて考えるとか考えないとか、そういうようなことはもうすでに立っているんじゃないか。昨年の調査でも出ているわけですから、そういう点を一つ聞かしてもらって、なおそういう健康管理というようなこと、あるいは職業病とみなした場合はどういう方法を加えていくかというような点、現在にないわけですから、どう考えているかということを聞かしていただきたいわけです。
○大島政府委員 ただいまキー・パンチャーについての御指摘でございますが、御指摘の先般の事件につきましては、私どもの方も警察の方も経緯についての調査をいたしたのでありますが、死因が何であるか、なかなか判断のむずかしい問題であると思います。ともあれキー・パンチャーの問題というのは非常に重要な問題で、私先ほど申し上げた通りでございますが、このキー・パンチャーのいろいろな症状が現われて参りますのは、背中、肩、腕、それから腕の中でも上と下、それから手、指、こういうふうにいろいろな症状が呪われてくる。症状にいたしましても、疲れの感じ、重い感じ、熱っぽい感じ、しびれたような感じ、はれてくる、こういった各種の症状が出ているわけです。私ども部分的に調査いたしまして、まだ十分ではございませんが、これが逆に、肩の症状の方が、指から遠いところの方の症状の方がむしろ多いというので、常識的に考えて逆の現象も出ております。それからタッチの回数、これがやはり常識的に考えて非常に影響が多かろうと思うのであります。私どもの方の調べたところによりますと、一時間当たりの平均タッチ数が最高で約二万回、最低で四千回、このくらいのものであります。まあ経験年数によって非常に違うわけでありますが、経験三カ月以内程度でございますと七、八千回、それから三年をこえるようなものになりますとかれこれ一万五千回、こういうふうな非常なタッチ数になります。このいろいろな症状が現われてくるのを見ますと、一日のタッチ数が十万以上になりますと急激に上昇いたして参ります。従って、ここらあたりに一つの問題点があろうかと思います。それから労働時間もやはり関係いたすと思うのでありますが、調べたところ、正味のタッチする時間というのは大体四時間半程度のものが多いようでありますが、これは各事業所によってかなりの開きがございます。それから休憩時間の配置とか、こういった問題もかなり影響があろうと思います。
 こういった形で全般的にこれを総合いたしてみますと、単にキー・パンチャーの症状についての訴えをただ聞いただけで判断いたしますと、ほんとうの生理的な症状と、それに加えて精神的な症状というものが非常にまじっておりますので、この点について相当専門的、医学的に調査をする必要があると思いますので、そういった点を労研の方でも相当調査を進めておられますが、私どもの方の労働衛生研究所においても専用的に医学的な調査を進めています。使います機械によってかなり差も出てくるのではないかと思うのでありますが、これについてはまだどうも断定的な結論は得がたい。そこで、ある製造会社においては、一日の適当なタッチ数というものをきめていこうという動きもあるわけであります。ただいまそういうふうな私どもの把握の状況でございます。こういった点で、今後さらに研究を進めまして適当な指導を加えて参りたい、かように考えております。
○本島委員 これは大きな会社ではほとんど現在使っておりますが、官庁あたりも、最近これに変わってきておるわけなんです。それでこれにつく婦人たちの数は、日増しに多くなるわけであります。しかも、機関銃のような音と機関銃のような速さの中で、長時間の労働とか、あるいは今言われた、ある程度の限度がありながらも、それを越えて働かざるを得ないという、もう悪いということがわかっていてもこういうことがやらせられているということは、ほんとうに人道的に見ましても考えざるを得ないと思うわけなんです。従いまして、至急に一つの基準をおきめになって、それを通達でも何でもしていただいて、そういう職業病的な症状から守ってやるということを考えてほしいと思います。
 そこで、私も民社ができない前社会党の時代に、これは三十五年の三月に、職業病に対する立法をしろということで政府に強く要望してあるわけなんです。ですから、その後に至りましても、民社といたしましては、火薬病ばかりでなく、やはり職業病を早く拡大して、そして労働者を守るべきだという案を出してあるわけなんです。そういう取り扱いについては、労働省としてはどうされておったのか、そして今ただ研究しているのだとか、こうこうでこの調査ではこうなっておるけれどもと言われても、その被害を受けてきておる現実を見ますときに、労働行政としては職場から労働者を守るということが大きな柱でなければならないのです。そういう意味合いからしても、これをいつごろ政府としては成案を得て国会へ提出される考えであるか、大臣から一つ聞かしてもらいたいのです。少しおざなりになっているのじゃないか。附帯決議というものは、いつでもつけっぱなしであって、それが現実にはなかなか履行されていないというのが、国会の通例のようであります。それじゃ附帯決議をつけても何にもならぬじゃないか、こういうことになるので、附帯決議を尊重する、そうしてそれに基づいて成果を上げていくように次々と手を打ってくるというのが、われわれ議員としての願いであるはずなんです。その点がおろそかにされておりますので、犠牲が出てから初めてあわを食って、どろぼうが来たからなわをなうという式のやり方が、今日までの日本の労働行政であったわけなんです。それでは犠牲を出してからの勝負ですからいけないということです。ですから、そういう意味でわざわざきょう社会党さんに譲ってもらって、私先に質問したわけですが、そういう点についての労働大臣の御見解を、そしてなおかつ、いつごろ出す考えであるかということを聞かしてもらいたい。
○福永国務大臣 御説の点、私も多分に同感のところが多いわけでございまして、方向といたしまして、今いろいろお述べになりましたようなことを頭に置いて、検討をさらに進めたいと存じます。
 ただ、申すまでもなく、相当技術的にも複雑な問題でございますので、立法ということになりますと、ややまだ時間もかかるのではないかと思いますが、先ほどからいろいろ御指摘のような点については、行政的に、今御注意をいただきましたような点はさっそく適切な方途をとるように、それぞれ責任の係に私からも指示をいたしまして、処置をいたしたいと考えます。
○中野委員長 関連質問を許します。滝井君。
○滝井委員 今のキー・パンチャーの点ですが、最近における事務の機械化によって、こういうキー・パンチャーのようなものが大企業に非常に使用され始めているわけです。特に日本の数字というものは、最近まる、ゼロが多いわけです。そうすると、キー・パンチャーで打つときに、ゼロはどの指で一番打つかというと第四指です。薬指です。ここから腱鞘炎というのですか、神経痛によく似たようなものが起こってくるわけです。そうしてそれが肩の神経痛にくる。従って、たくさんキー・パンチを打っているところの部属に入っていくと年寄りのにおいがするのです。年寄りのにおいというものは何かというと、トクホンとかサロンパス、これをみな張るわけです。従って、会社からもトクホンとかサロンパスを女性の従業員にやるわけです。そしてみながまんをしてやっているわけです。これは週刊誌にも出ておるのですが、休みになるとみなお互いに肩もみをやるわけです。こういう形態が起こってくるものは、近代的なものではキー・パンチャーですけれども、非常に原始的な形態で起こるのは石屋さんです。これは上腕の神経痛ですね、それから肩の神経痛、こういうものが起こってくる。とっちんかんとっちんかんと墓石を彫る石屋さんですね。かじ屡もそうです。それからもう一つは、きんぴらゴボーのてんぷらを作る、何と申しますか、まないたの上で小さくゴボーを刻むわけですが、これを毎日女の人が立ち仕事で水を使いながらやるわけです。そうしますと、同じように起こってくるわけです。これはきんぴらゴボウを刻んだり、石屋さんというものは、そんなに大衆性がないわけです。しかしキー・パンチャーの方は、これは近代的な企業の中ではどこもみな用いてき始めたわけです。それで、本島先生も言われたように、四、五年もやっていると神経衰弱みたいな状態になる人もおるし、とにかく何らかの形で年寄りくさいにおいを発しなければならぬことになるわけです。けい肺や何かと同じようにこれは法律で一挙に禁ずることはできないにしても、何かこの前のニトロ・グリセリンですか、あれでとったような処置をとって、そして一年か二年くらいでやはり職場をかわるか、あるいは一日にキー・パンチを打つ時間を規制するとかいうようにしないと、大きな企業に使われている娘さんは嫁にもらわぬと言い始めるですよ。――いやそうなんですよ。これは早いうちにやめればいいのですが、長くやっているとあとに残ってくるわけです。こういう研究というものは、やはり労災審議会あたりで、労働省はやはり金を出して速急にやる必要があると思うのです。特に若い娘さんに起こってくるわけですから、キー・パンチャーを扱っているところでは何か速急に――もう週刊誌も取り上げ始めている状態だし、普通だったら大してわからぬ、私肩のこりだというぐらいのことで片づけておくには、ちょっと問題が深刻になり過夢つつあると思うのです。
  〔委員長退席、齋藤(邦)委員長代理着席〕
何かこれは速急に労働省として対策を検討して、そして大企業に――これは交代時間を早くすればそれだけ経費がよけいにかかりますけれども、それは人間の方が大事なんですから、もう少し積極的な対策をやってもらう必要があると思うのですが、どうですか。
○大島政府委員 ただいま御指摘のキー・パンチャーの問題につきまして、御指摘の通り早急に医学的な、専門的な調査をする必要があると存じます。私どもの方でも、労働衛生研究所において現在医学的な調査と研究を行なわしめておりますが、さらに今後とも進めて参りたいと思います。
 それから、たとえばIBM社におきましては、パンチのタッチの回数というものを適当にするためにはどの程度がいいかというような研究も進んでおると聞いておりますので、私ども、近くIBMとも話し合ってみたいと思っております。
 そこで、ただ全般的に見ますと、先ほど申し上げましたように、生理的な症状と精神的な症状というものが非常に混在いたしておりますので、この辺の見分けをどういうふうに専門的につけていくか、これが一つの問題。それから今申しましたタッチの回数の問題がある。それから特に休憩時間の配置、置き方をどうするかという点などが非常に大きな問題。それから症状のあります者につきまして調べてみますと、お医者にかかっているのが大体七%、それから今先生御指摘のようなサロンパスとか、そういう自分で手当をいたしておりますのが大体二四%、その他は別に何もしていない。これが一体どういう意味を持つのか。すなわち、大したことがないと思っているから手当しないのが、あるいはほうっておいて後に残るのか、この辺の問題がある。それから症状のあります者について、どういうふうにしてもらったらいいかということを聞いてみますと、要望の一番多いのは休憩室をもっとよくしてもらいたい、これが一番多い。それから騒音でございますね、音が非常にやかましい。これが何とかならないか。これはちょっとむずかしい問題でありますが、そういう訴えが非常に多い。あれこれ総合いたしまして、ただいま先生御指摘のように、一方において医学的な、専用的な研究を進めますと同時に、とにかくそういう症状があることは事実でございますから、それをできるだけ軽くしていくためにどうしたらいいか、こういう行政措置について、私どもも早急に検討いたしまして進めて参りたいと思います。
○滝井委員 やはりこういうものは、なかなか一つの症状として、たとえば疼痛が出てくるというようなことはすぐには起こらないのですよ。こういうものはやはり一年なり一年半、せいぜい三年くらいになってくると、初めて固定した神経痛のような症状が出てくるということになると思うのです。初めのうちは肩がだるいとか、これは一晩寝れば、若いのですからなおってしまう。あるいはこういう職業に携わる女性はみな若いのに、マッサージやあんまなんかしてもらいますよ。普通若い人なんか、マッサージやあんまなんかは必要ないわけです。ところが、これはやはりそれをやってもらわなければならぬというのは、今先生おっしゃったように音も八十フォンくらいでしょう、相当フォンが高いのです。それから今言ったように同じ仕事に精神を打ち込んでいくということになると、ノイローゼになるおそれがある、ノルマがあるのでしょうから。指先の仕事に精神を集中すると、どうしても精神的な疲労が起こってくる。それから同じ動作を繰り返していくと、異常な神経を集中して指だけでやっていくということになると、これは人間の肉体に何らかの異常が起こらいな方が異常であって、起こる方がほんとうです。そうすると、次代の民族をはぐくみ育ててもらわなければならぬ若い女性ですから、嫁にもらい手がないようでは困ると思うので、早急に一つ、私は本島さんの質問に関連しましたけれども要望して終わります。
○本島委員 最後に、たとえばこういう民間団体の中では労働組合ができていないところが多いのです。それでこういう問題を労働組合として取り上げて、団体交渉の中にでも持ち込んでやるというような形のとれないところがかなりあるといわれておる。そこに問題があると思う。ですから、できるだけ役所としても、労働組合ができていないところには作らせて、労働組合というものはこわいものではないのだ、保険会社とか証券会社なんかは金がうんともうかっているのだから、こういう人たちを保護するためにもっと設備をよくする、保護政策をとるのだ、そうして労働組合も作らせなければいかぬ、それくらいの指導力を発揮していただかなければならぬのじゃないか。それが零細業でやっているのなら別ですが、大企業でやるのです。そういうところでなければ買えない機構ですから、そういう矛盾をこの事件を通して感じたものですから、特にそういう指導等も行なっていただきたいということを労働省に強く要望する次第です。
 労働大臣にお聞きしますが、そういう大会社なんかとお話し合いなさる機会があって、そういう労働組合ができていないところには作れというような御進言なり御勧告なり、なさったことがございましょうか。とにかくこういう大会社ほど組合を作りずらいのです。ほんとうは作れるだろうと思うが、逆なんです。保険会社、生命保険会社、銀行なんというのは非常に困っておる。ですから、そういう点を一つ適切な指導をして組合等も作らせ、なおかつ、労働者を守るための条件を整えさしていく、こういうようにしていただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。
○福永国務大臣 労働者をできるだけ組織化する、そしてまた、労使関係をできるだけ近代化するということは、私も望ましいことだと考えます。今御指摘のような新しい仕事に従事される人につきましては、一段とそういう関心を持って施策を進めたいと思います。
○齋藤(邦)委員長代理 小林進君。
○小林(進)委員 私は、どこでも予算委員会でも質問したことなんでございますけれども、どうしても納得ができないものでありますから、また一つこまかく掘り下げる関係になりますが、大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。それは主として数字に関することでございまして、基準局長関係でありますが、局長は今同僚が連れていきましたので、局長が来ますまで別の問題、失業対策に関する問題を、基準局長が来るまでの問、御質向いたしたいと思うわけです。
 今年度の失対賃金は四百二十五円というふうにおきめを願ったのでございますが、今与党の方も思わず声を発せられたように、この賃金は私は非常に安いと思う。実情に即していないと思うのでありますが、これも三十七年の四月一日から実施になられるのでございまして、現在は三百八十六円ですか、そのうち一円は石炭手当の方に回りますから、三百八十五円で実際に失対賃金が支払われておるわけでございます。これが事実そのおきめになった通りに支払われて、そして失対労働者が働いているかどうかを、実情に即して一つお聞かせを願いたいと思うのであります。
○三治政府委員 先生の御指摘の実情に即してというお話でございますが、われわれの方としては、大体全国のPWの各地域ごとの作業と見合いながら失対賃金をきめておりまして、必ずしもよく働いておるところには高く、ここは成績不良だから安くというふうな、そういう手かげん的なことはやっておらない。やはり各地の賃金の前年に対する上昇率、その地域々々の賃金の上昇率と見合って賃金の改定をやるというふうに考えております。
○小林(進)委員 ちょっとうしろの方がなんで、局長のお話がのみ込めなかったのでございますが……
○齋藤(邦)委員長代理 静粛に願います。
○小林(進)委員 私がお尋ねしたいのは、四百二十五円という三十七年度の失対賃金をどういう基準でおきめになったかということが一つ。これは同僚の五島君も質問したと思うのでありますが、この基準がどうも私にはのみ込めない。それからいま一つは、この四百二十五円は四月一日から実施になりますから、将来の問題はいいといたしまして、今日行なわれている三百八十六円が、おきめになった通りに実施をせられて、その金額の範囲内で日雇い労働者、失対労働者が働いているかどうか、この三つを私はお尋ねしているわけであります。
○三治政府委員 現在の賃金は、先生御承知と思いますが、われわれの方としては、各事業主体ごとに平均賃金をきめて予算として配付している。その各事業主体ごとに、大体各県によって、多い段階のところで三段階、少ないところで二段階、それが事業主体ごとに平均賃金が異なっている。これはPWの各地域別の甲、乙、丙の地域と大体見合って、そういうふうなことをきめている。その事業主体では、その国から定められた平均賃金の中で、応能制賃金として二段階ないし四段階に各個人別の賃金をきめてやっているということになる。その賃金段階表をきめる場合には本省と協議をしてきめる、従って、それは事業主体がきめてやっている。従って私の方としては、その地域心々に応じて賃金が適当にきめられていくというふうに考えている次第であります。
○小林(進)委員 しかし、四百二十五円というワクの中における三段階なり、二段階なり、四段階の賃金のきめ方でございましょう。でありますから、今の局長のお話によれば、その四百二十五円の範囲内において行なわれている、こういうふうな御答弁と承ってよろしゅうございますか。
○三治政府委員 前の三百八十三円の場合でも全国平均の予算単価でございまして、それを各事業主体に分配する場合には、その平均より大都会では高く、いなかにおいては平均よりか低く賃金がきめられております。
○小林(進)委員 それは私ども承知しています。私どもの新潟県なんかでは、東京よりもずいぶん下げていただいて、去年は、あなたのところではない、前の課長さんのところにずいぶん値上げ運動に行ったこともございますから、私も痛切に身にしみてそれは了承いたしておりまするが、しかし、その一番高い一級地からそういう農村県、市町村の安いところをプールにいたしまして、やはり全国平均の四百二十五円でございましょう。
○三治政府委員 そうです。
○小林(進)委員 その範囲でやりくりして、それで事実行なわれておりますか。
○三治政府委員 そういうふうに行なわれております。
○小林(進)委員 それでは私はお伺いいたしますけれども、今実は失対賃金で各事業主体、市の場合あるいは町村に参りましたときに、あるいは報奨金という名目、あるいは被服費という名目、あるいは生活補給金というふうな名目、いろいろの名目で労働省の承認を得て各段階の賃金をおきめになる。あなたの方で承認を与えられた賃金の上にずいぶん上積みが行なわれているじゃありませんか。これを御承知ありませんか。
○三治政府委員 各賃金につきましては、先ほど御答弁した通りですが、そのほか都市によって地下たびとか被服とか、盆暮れのもち代とか、線香代という部面で、地方独自で負担している部面も若干ございます。
○小林(進)委員 若干ですか。
○三治政府委員 若干ございます。それにつきましては、われわれの方としては、賃金の補給上積みというふうに認められない範囲、たとえば作業服とか地下たびとかいう場合には、その作業の実態、またその土地柄によって、若干の支給は認めております。それはわれわれの方としては、大体賃金に含まれないという範囲で認定をしている、こういうふうに考えております。
○小林(進)委員 局長は非常に苦しい答弁をしておられますよ。そういう被服費の名目で出したり、あるいは生活補給金の名前で出したり、あるいはもち代、それは貸金とは別個だという解釈をなさらなければ、おきめになった三百八十五円というのは根底からくずれるのですから、これはやはりくずれたんじゃないという言いわけのためには、どうしてもそういう苦しい答弁をされなければならないので、あなたの心情の切々たるものはよくわかります。わかりますが、実情は今私が言っているように、実はそれじゃ働けないし、食わしていけないのです。養なっていけないから、労働省におしかりを受けながらでも、市町村は、失対諸君の最低生活なり暮らしを立たせるために、これは全くやむを得ず、働いている失対の労働者と労働省のまん中に入って苦しみながら、しかも市町村の赤字財政のこれまたやりくりをしながら、こうやって上積みの金を出しているのです。あなたは若干とおっしゃいましたけれども、私どもの調査によりますると、百以上の事業所が、全部あなた方の承認された賃金以外のものを上積みして出しているというのが実情で、われわれの調査から見れば、全く今の失対賃金の三百八十五円や四百二十五円なんというものは、ほんの官僚的なおきめで、実情には全く即していない架空の数字になっているといわざるを得ないわけです。私の判断が間違っているかどうか、一つ労働大臣、御答弁を願いたいと思います。大臣の責任ですよ、こういうことは。
○福永国務大臣 私は率直に申しまして、小林さんほど詳しく事情は知らないのでございますが、先刻来局長が申しておりまするように私も報告を受けておりまするから、それを信じておるわけなんでございます。しかし、小林さんのおっしゃられるようなことが事実あるかないかというようなことについては、一段と私自身も認識を深めなければならない、こう思っております。
○小林(進)委員 大臣は、なるほど残念ながら労働行政はあまり詳しくない、まことにわれわれの遺憾とするところでありまするけれども。しかし大臣は、知性にかった人ですから、非常に良識がある。非常に良識が、かっていられる。その大臣の良識をもってして、今日、大の男を一日重労働に従事せしめて、それが三百八十五円や四百二十五円で一体使われるものか使われないものか。これはもう大臣の常識でおわかりになりましょう。(「使われるよ」と呼ぶ者あり)使われるよなんと言うのがいるから世の中が――これは言葉としては存在するだろうけれども、今ああやって庭掃きでも何でも雇うという場合、今は人間を七百円以下では使われませんよ。使われない実情なんだ。ちょっとうちの修理を願うといって大工さんを頼めば、まあ一千五百円から二千円、左官を頼むといえば、やはり一千五百円から二千円、どんな農村の僻地へ行ったところで、人を雇うには、もう六百円なり七百円という実情です。そういう実情の中で、一番労働者め実生活をおやりになっている労働省が、しかもその大の男を使うに三百八十五円で使おうの四百二十五円できめようという、こういうきめ方、しかしおきめになった。それはそれで労働省の方では、今私が局長とやりとりをしているように、もうおきめになって、それでいいと思っているだろうけれども、そういうきめられた賃金を押しつけられている末端の市町村が、それでは使っていけない、働かしていけないから、その赤字財政のやりくりの市町村財政から、いわゆる上積みといって百円なり二百円なりをよけいに出して、そして賃金に払っているというのが実情です。その実情が今日すでに百有余もある、こういう状態を私は今申し上げているのですから、決して高い賃金をお払い下さいとか、低い賃金をおきめ下さいということではないのでありまするけれども、やはり実情に即した金額というものを決定しておく必要があるのではないか、こういうことなんです。大臣御承知の通り、失対に働いている労働者の平均年令は四十七・八才、大体四十八才が平均です。ですから、こういう四十八才平均の男が働いて一日三百八十五円とは、一体これでやっていけますか。これも池田さんが所得倍増とかいうことを言わないでいてくれればまだよかったのだけれども、所得倍増などという旗を振られて、全部物価が上がってきたから――現実にここに金沢の元市長さんがおられますよ。こういう人なんかも、やっぱり失対の賃金のために非常に苦労された経験をお持ちになっていると思う。しなければ、この人はいわゆるなまけ者市長ですよ、実情に即しない市長行政をおやりになっているということになる。良識ある者は全部おやりになった、苦しんでいるのでごいざますから、この点を一つ大臣にお答えを願いたいと思います。
○福永国務大臣 私といたしましても、今のようなお言葉が出ないような賃金が出せれば、これはある考え方からいくといいとも言えるかと思うのでありますが、まあこの失対事業就労者の境涯のままでずっと置くことがいいか悪いかということにつきましては、なかなかこれは議論のあるところでございます。私といたしますと、できるだけすみやかにこういう人たちを安定した地任に置く、常用化するということの方が望ましい、こういうように考えます。そういうことであるから安くてもいいのだということには、それはなかなかならぬのでありまするけれども、そういうように前向きの施策を講じていくということ等にも重点を置きまして、すぐというわけには参りませんけれども、できるだけ早く、日本全体として完全雇用の姿に持っていきたいというのが本意でございまして、あれこれ考えて、どれもこれも十分というところへ現実はなかなかいってないことは非常に残念ではございますが、考え方といたしましては、そういうこと等も強く頭の中に置きまして施策を講じておるわけでございます。今度新予算を作るときにおきましても、この金額は――今も小林さんにおしかりを受けております。しかし、苦労をいたしましたという点では、実はここへ持ってくるのに大へんな苦労をいたしましたような次第なのでありまして、そこいらにめんどうないろいろな問題があること、よく御承知をいただいておる通りでございます。私といたしましては、今の姿がそれでいいのだということでなくて、今の姿をできるだけ早く、先ほどから申し上げておりまする、より望ましい姿の方向へと、これが本意でございます。
○小林(進)委員 労働大臣の政策をお聞きして非常に幸いなのでありまするが、これは重大な問題でありまするから、もう一回私は確認をしておきたいと思うのであります。現在あります失業対策のやり方は、やはり姿としては好ましくないから、これを一つ常用の安定した雇用の形に政策を持っていきたい、その安定した雇用の形に持っていくためには、今の失業対策というものを住みよい形にしておいたのではその転換ができない、なるべく低賃金の食えないような形に押さえつけておいて、そうしてこれをいびり出すと言っちゃ悪いのですけれども、そういう方向へ持っていく労働行政でいきたい、こういうふうな大臣の政策と私は今拝聴したのでございまするが、そのように了解してよろしいかどうか。これは重大問題ですから確認をしている。そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
○福永国務大臣 多分そういうお話があってはと思いまして、私気をつけてものを言ったつもり――気をつけてといっても、ことさら申したのではなくて、ほんとうのことを理解していただけるように言ったつもりで、速記録を見ていただけば、今小林さんがおっしゃったような意味でないことを御理解願えるかと思うのでありますが、先ほどから申し上げますように、より望ましい姿という方向への前進の施策をとりたいというので、事実十二分に知っていただいておりますように、新しい方法としての雇用奨励制度等も今年初めてとることにいたしたのでございます。これはこれとして、できるだけ雇う人たちに、こういう方法等によって、現在の失業対策事業就労者を常用の雇用関係に置いてくれるように理解を持ってもらうような施策を講じていくということであります。それはそれといたして、同時に、現在失業対策事業に就労いたしております人たちの賃金は賃金で上げたいというので、努力をいたしたのでございます。決して小林さんの言われるように低くしておいて、なるべく早くそこから出ていかせるように、こういう考えは毛頭ないのでございます。どうぞ一つ真意は御理解いただきたいと思います。
○小林(進)委員 それでは、私は雇用奨励制度についても幾多の疑問がありますので、引き続いて質問をいたしたいと思うのであります。そこに至る過程として今御質問をしているわけでありますが、大臣がそういう低賃金で住みづらくしていびり出すという考えではないのだ、賃金を値上げするについても非常に苦労をした、こうおっしゃるのでありますならば、なおこれに関連してお伺いをしたいのであります。
 労働基準局長は、PWで大体二〇%、二割の値上がりがしているということを発言されたというのであります。私が聞いたのではありませんから、そういう発言があったかどうか知りませんけれども、大体四月を基準にいたしましても二〇%くらいは値上がりをしていくだろう、そういわれたにもかかわらず、もしそれが事実であるとするならば、今度の失対賃金はまだ一割しか上がっていない。そうでありましょう。三百八十六円が四百二十五円でありますから、一割強しか上がっていない。PWを基準にして失対賃金をきめるというのは、これは画然としてきまっていることなんです。それならば、あなたの言われる通り、少なくも二割はこの予算では値上げをされていなければならぬはずなのに、その通り上がっていないというのは一体どうでありましょうか。あなたのPW二割以上上がっているという発言は、一体ほんとうかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
○大島政府委員 PWがどれだけ上がったかということについて、私、国会におきましてもあるいはその他におきましても、話したことは全然ございません。と申しますのは、御承知の通り来年度のPWはまだきまっておりませんので、比較しょうがない。もう一つは、そもそもPWの告示は、御承知の通り各職種、各県別に告示をいたしておりますので、この平均をとるということは、もともと意味がないことなのであります。従って、従来平均はどうというような表示をいたしたこともございませんし、計算いたしたことがないので、それはおそらくほかの数字か何かじゃないかと思いますが、私は発言いたしたことはございません。
○小林(進)委員 これはおっしゃる通り無作為の抽出で八月におきめになるというのでありますから、それが今きまっていないことは私も了承いたしておりますけれども、ただ私どものささやかな調査でも、去年からことしにかけて、土木なら七、八割程度上がっているのではないか。建築でも三、四割上がっているのではないか。こういうふうに数字もつかんでおります。でありますから、労働基準局長としてもっぱらその基準行政に携わっているあなたが、そういう賃金の値上げ、PW一般の値上げ等に対して、非常に繊細な科学的な調査の推定をおやりになっているということは、ほぼ想像がつくのであります。だから公式に発表しなくても、あなたの心の中に、去年から二割ぐらいは上がっているだろうなんというのは、最も慎重なものの言い方であって、中間で問われてみれば、それぐらいのことをあなたが発言されたといっても、決して私は失言ではないと思っている。そんなことはもちろん公式の場所でしゃべらないと言うなら仕方がないけれども、言われてもそれは失言ではありませんよ。事実上賃金は五割も六割も上がっているのですから、二割ぐらい上がったろうと言えば、非常に慎重だなとむしろほめてもいいぐらいの発言だと思う。その中で、しかも失対賃金がたった一割しか昨年度に比較して上がっていないということは、何といっても実情に即しない、実に予算だけにこだわった架空の数字を出し過ぎている、かように私は考えるのでありますが、安定局長は別にして、労働基準局長はどうですか、今年の四百二十五円の失対事業賃金をあなたは適当とお考えになりますか。
○大島政府委員 私ただいまもっぱら基準行政に専念いたしておりますので、ただいまの点については、いずれまた十分研究させていただきたいと思います。
○小林(進)委員 それでは今申し上げますけれども、あなた方が高い安いをどうしてもおっしゃらないなら言いますが、一体東京における生活扶助と比較対照した場合にどうなりますか。生活扶助は、三人の家族ならば、働いて失対賃金をもらっているのと働かないで生活扶助をもらっているのととんとんだ、五人家族ならば、失対で働けばむしろかえって損だ、だから働かないで生活扶助をもらっておった方が得だ、こういう数字ですよ。この計算、間違っていますか。
○三治政府委員 大体そういう計算です。しかし、実際の運用面の実態を見ますと、私も前に失対部長をやっているときに、老齢者やそういう方々は、ある程度の年限に達したならば、日の当たるところで苦労して働く失対よりか、生活保護に移行した方がいいのではないかということを一ぺん奨励したことがありますが、これはものすごい反対でした。それは何かというと、実際の生活部面になりますと、現在の生活保護法の施行上は、相当いろいろな所得制限で基準よりかもっと押えられているというところに問題がある。従って、確かに基準額と失対の今の稼働日数とをかけたものだけを単に比較するとそういう格好になるわけですけれども、実態は失対労務者の所得の方が相当現実には多い。また一方、失対労務者の方からいけば、われわれの方では所得制限をいたしませんし、ほかの家族の収入もあるということからいって、われわれの方の失対労務者の実際の世帯的な収入ということになりますと、東京におきましても、大体、毎年調査によりますと、標準世帯よりか一割三、四分は高いという実態であります。
○小林(進)委員 確かにそれは局長の言われるように、生活保護の方はいろいろの所得の制限がございますから、そういうものを厳格にやった所得と比較をされれば失対の方がいささかいいかもしれませんけれども、しかし、数字や理論の形の上において、四人以上の家族の者が、生活扶助の賃金よりもむしろ低下をしているなどというようなことは、実情はあなたがおっしゃった通りでしょうが、実に恥ずべきことだと思う。いよいよ日本の賃金が国際的に問題になるさなかのときには――私は賃金問題に一番労働政策の重点を置いているのでありますけれども、こういう失対賃金もあわせて外国へ報道されることになったときには、いかに労働大臣や外務大臣が、声を大にして日本の賃金の国際的適応性、水準をしゃべられても問題にならないと私は思う。これは非公式ですから私も確信を持って言えることではありませんが、何か非公式に、聞くところによれば、総評も近く岩井事務局長の名前で世界労連あるいは世界自由労連の両方へ招請を出して、一つ君たちが日本の賃金の実際を調査に来てくれ、日本では日経連やあるいは労働者側で賃金の適正、不適正で議論がかわかない、そのかわかない反面に、アメリカやあるいはガット加入の問題等に含めて日本の低賃金がいつでも非公式に問題になってくる、けれども、国会やこういう社労委員会なんかの公式の場になると、政府は自信満々で、賃金はちっとも国際的に恥ずべきところはない、こういうことを言われて水かけ論に終始しているから、少し第三者の立場で、ほんとうに賃金が適正であるか適正でないか調査に来てくれ、こういう招請を近く出すと聞いております。これはしかし公式のニュースではございませんので、あるいは間違っているかもしれませんが、そうなるとやはり日本国民の一人として、こういう世界的な調査の前に、失対賃金や、あるいはにせの業者間協定に基づく最低賃金の実態や、あるいは大企業における社外工、臨時工あるいは日雇い等の賃金も白日の前に如実にせられて、二度とものもしゃべれないような恥をかくようなことになったら困るのではないかと、実は私は労働大臣の立場に深く同情いたしますがゆえに、心配しながら今こういう質問を申し上げている次第でございまして、単なるこういう労働委員会におけるあなたと私との言葉のやりとりであなたが私を説得されて、それで事が済むという性格のものではないわけです。日本の政府のきめた労働賃金が、生活扶助の賃金にも及ばないような低賃金にくぎづけしてあるなどというようなことを、世界労連やジュネーブのILO等に持ち出されてあなたは弁明ができますか。加藤政務次官が行ったって、そんなときには間に合いませんよ。そういうことを私は心から憂えるがゆえに御質問しているわけでございますから、どうか政府もこういうことは一つ真剣に考えていただいて、やはり賃金や労働行政は、何といったって労働省が本腰になって、あの老骨の保守党の頑迷な人々を説得していただく以外に道はないのであります。そうして一つ皆様方に、やはり国際的な日本の地位を高めるように努力をしていただかなければならない。現に失対の扶養者は一二・六人平均ではありますけれども、その中で、現実に失対に働いて、なおかつ生活扶助を受けている者が三割近くいるじゃありませんか。こういうようなことは、私は実に恥ずべきことだと思うのでございます。でありまするから、先ほど私が言うように、政府は、こういう賃金が高まったり求人難の世の中、いわゆる初任給が商い商いといわれているさなかにこういう低賃金をおきめになるのだから、どうしてもこれは、失対というものをいびり出しをして、事実上これを撲滅する政策を強行しているのではないかというひがみも出てくるわけです。この点は、大臣も先ほど、ひがみではない、絶対的にそういうことは考えていないとおっしゃいましたから、これは大臣のお番葉を信頼いたしまして、私どもはそのことに対する追及はやめにいたしますので、どうか一つ十分お考えをいただきたいと思うのであります。
 次に、雇用奨励制度の問題です。やはり雇用の、安定のために、失対労務者を一つ雇用促進という制度で安定をはかろうということで、四百二十五円の半分を国と県が負担して、六千名くらいを新しい職場に送り込もうという案をお出しになっているのであります。そこでお伺いしますけれども、一体雇用奨励制度で送り込まれた労働者の新しい職場における身分はどうなのですか、これをお聞かせを願いたい。
○三治政府委員 常用的雇用というふうに考えております。
○小林(進)委員 常用臨時雇用でございますか。
○和田説明員 私どもといたしましては、日雇い労働者の雇用奨励制度を設けます考え方は、もっぱら民間の普通の雇用に復帰をしていく者ということが念頭にございますので、雇用奨励金を出します雇用形態は、常用雇用ということを念頭に置きまして、日雇い的な面があります場合には雇用奨励金を出す考えはございません。
○小林(進)委員 常用雇用と申しますが、常用名義の常用雇用か臨時月雇い名義の常用雇用かです。これを一回明確に聞かしてもらいたい。
○和田説明員 私どもの大体の考えとしましては、普通常用雇用といいますのは、期限の定めのない雇用でございます。それをまず第一原則にいたしております。それと、三カ月以内に常用雇用者が加入をする各種の社会保険に入るという条件を制度の上でつけて参りたいと思いますので、いわゆるごまかしの常用でないことを期待いたしております。
○小林(進)委員 これは私は非常に重大なポイントだと思うのです。せっかくあなた方が奨励金までつけて送り込まれたけれども、やはり臨時工だの社外工だの日雇いだのという名義ならば、これは何にもならないことだと思います。そこであなたのお言葉は、大体とか、概してとか、期待するとかいうふうに説明しましたが、期待とか大体とかいうことでそこに明確な一線がなければ、私どもこの制度は画竜点睛を欠くと思いますので、明確に一つ聞かしてもらいたいと思います。
○和田説明員 ただいま申し上げましたように、三カ月たちまして常用雇用者が加入する各種社会保険に入るという条件をつけます以上は、いわゆる普通にいう常用雇用になると私どもとしては考えております。
○小林(進)委員 そうすると、三カ月たてばいわゆる常雇いですか、常用雇用者になるという明白な何か約束がありますか。
○和田説明員 社会保険の加入につきましては、雇用されましてすぐいろいろの手続をとられることがありますが、事情によりましては多少おくれるわけでございます。ただ、私どもの考えております雇用奨励金の事業主に対する現金の給付は、三カ月ごとにやるというように考えておりますので、第一回の支払いをする前に、今申しましたような条件を満たしてもらうことが、金を現実に支給することでございます。それで三カ月以内ということを申し上げたわけでございます。
○小林(進)委員 私は、こうやって企業体に送り込まれても、あなたのおっしゃるような社会保険の加入だけが臨時工と常用工の区別ではないと思う。そのほか、常用工と臨時工にはいろいろの差別がある。退職金の問題もありましょう。あるいは厚生年金の問題もございましょう。そういう、常用工が受ける一切の資格を、三カ月なら三カ月にきちっと与えられるという何か明確な約束ごとなり、法律の根拠ができ上がっておりますか。あなたのお言葉では、単なる二分の一の支給額を三カ月、三カ月すつにやるから、その金をやることとやらないことだけで調整をしていこうというふうな御説明のように聞こえまするけれども、そんなことじゃこれはあいまいもことして、あぶなくてしょうがないのです。いかがでございますか。
○和田説明員 この雇用奨励制度につきましては、国といたしましては予算上の補助措置でございますが、都道府県がこれを実行いたします場合には、条例または規則によって支給基準を明確にしていただくことにいたしております。そういうものができません場合には私どもは当該都道府県には補助金を出さない、こういうのが条件でございます。その条例または規則の中におきまして、民間の常用雇用に行くという規定を設けてもらいたい、かように考えております。その常用雇用の実態につきましては、一つの一番わかりやすい例としまして社会保険に入ることを申し上げたわけでございますが、安定所の方におきましては、当然私が申し述べ、あるいは今先生お話しのような点を十分理解してくれていますので、その安定所の紹介を通じて行なった場合のみこの雇用奨励金が出ます関係上、安定所がその雇用の実態をよく把握をしてくれて、確かに常用であるという認定をした場合のみ行なうということになりますので、常用の保証はできるもの、かように考えております。
○小林(進)委員 そういたしますと、地方の市町村の条例ないしは規則によってこれを雇用せしめて、その身分の安定をはかる、その条例と規則は、雇い主を法的に縛り得る力のある条例と規則でありますか。縛られますか。違反者のある場合には何か罰則の規定がある、あるいは違反した場合にはどうこうするというふうな、そういう禁止規定を入れることができますか。
○和田説明員 先生御存じの通り、条例には一定の刑罰を課することができますが、私どもといたしましては、この考え方がいわゆる雇用奨励補助の考え方でございますので、刑罰法規によって臨むべきかどうかにつきましては、なお検討を要すると存じます。しかし、常用的なことでない限りは、雇用奨励金の返還を命ずるという条例または規則になるはずでございまして、そういう意味の経済的な制裁は当然に加えて参る、かように考えております。
○小林(進)委員 単なる契約違反の場合に、奨励金を返還するというだけでは問題の解決にならないと私は思うのです。何か労働省で法律なり、いま少し厳格な、省令というほどでもありませんが、法律か何かでこれをきちっと明確にきめる手はないのでありますか。ありませんか、局長。
○三治政府委員 今の議論は、結局炭鉱離職者の奨励金にも該当するわけですけれども、実際の経済界において、臨時工が非常に問題になりますのは大体特別の大企業でございます。しかし一般的な雇用の場合には、大企業みたいに本工、臨時工というふうにはっきり区別しているところは非常に少ない。しかし、こちらの方であまりこまかい規定をいたしますと、雇用者の方で、そういうような規定は何もうちでは作っていないとか、そういうことについて何も区別はないのだというふうに言われれば、それは形式だけをそういうふうに問い詰めていきますと、それがまた今度はこちらの方の非常に厄介な問題になるわけであります。従って、先ほどから幾たびか御説明しておりますように、それは今のところ、基準法におきましても、ほかの法律制度といたしましても、そういうふうな本工とか臨時工とか社外工といった問題についての規制のやり方というのは事実上むずかしい。また、そういうことを実際上行なっているのは一部大企業だけでございまして、実際の中小企業やそういう面については、雇用形態につきまして、そうはっきりした就業規則とかまたその他の規定を、その会社、事業主自身が持っていることも少ないわけです。われわれの方としても第一線がやりいいように、しかもそれは雇用者の実態を見て、常用雇用だというふうにお互いに理解できるならばそれでいいのじゃないか、それをあまりこまかくやると実態に合わなくなるというふうに考えております。
○小林(進)委員 それは雇い主側の立場に立って労働省がそういうお考えになることも、立場はわかりますけれども、私どもは、何といっても、今それは中高年層は就職難でありますけれども、全般的には求人難の、雇われる者には一番条件のいい時代ですから、こういうときにこそ一つ雇用関係を明確に、一歩でも二歩でも前進せしめるという考え方でこういう問題を扱っていただかなければならない、それが一つの考え方であります。いま一つは、今のこういう失対から初めて安定した労働雇用、被雇用者となって入っている方々のために、できればその地区における標準の賃金くらいは一つ確定して与えるように、めんどうを見てもらいたいと思うのです。
 第二番目は、一年間も働いた、あるいは不景気になってきた、あるいは会社の都合で一年たったときにぽかっと追い出されて、今度はもとのまた失対にも戻ることができなければ、会社は首になった、こういうような行く末安定しない状態のままに新しい企業体へ送り込んでもらってははなはだ困る、こういう考え方であります。国だって四分の一をお持ちになっている。県も四分の一を持っている。その金のある間だけは一年間もらっているけれども、期間が過ぎたら、お前は用事がないといって、ぽかっとおっぽり出されてしまう。一体この労働者はどこへ行きますか。そういうことをやはり明確に、行く末までも責任を持つという態勢をある程度雇い主に持たしてもらわなければ、画竜点睛を欠くのじゃないか、第二番目の私の心配する点なんであります。でありますから、雇われた本人自体に、自己の責任に基づく重大な過失あるいは故意の過失のあった場合のほかは、少なくとも雇い主の方で責任を持って、一年たとうと二年たとうと、自分の今まで使った会社の常用並みにこれを扱うという裏づけがなければ容易にこの政策に賛成できない、これが私どもの考えであります。御答弁を願いたいと思うのであります。
○和田説明員 確かに先生御心配のような点、十分考えられるわけでございますので、私どもといたしましては、雇用主に対しまして、本制度の趣旨を十分に一つ理解していたださますような啓蒙活動を徹底をいたしまして、その上に立ちまして、現実に日雇い労務者を雇ってくれる事業主に対しましてはさらに行政指導を十分加えて、安定した職場という印象を得た者に対して紹介をし、就職をしてもらうようにいたしたい、こういう考え方を、第一線の機関であります公共職業安定所に、私どもはあらゆる機会をつかまえて徹底をして参りたい、かように考えております。
 なお、一年以内の期間におきまして、会社側の都合だけで解雇されるというような事態が発生いたしますような場合におきまして、その労働者に特に不利益にならないような措置をば十分考えて参りたい、かように考えております。
○小林(進)委員 どうも私は、それだけでは信頼して賛成をするという気持にならないのですがね。また帰ったときにどうですか。どうも行ってみたけれども居心地が悪い、賃金も安い、もとの失対がどうもなつかしくなるからもとへ戻ろうというときに、無条件にこれを受け入れる態勢がありますか。
○和田説明員 せっかく国あるいは地方公共団体が努力をいたしまして雇用奨励金を給付するわけでございますから、私どもといたしましては、ぜひ安定した職場において就職を続けていただきたい、こういう考え方でございます。本人だけの都合によってそういう職場をやめるということにつきましては、労働者の方々にも十分啓蒙をいたして参りたいと思いますけれども、それがやめられてきた場合につきましては、さらに就職活動を私どもとしては強化して参りたい。ただ私どもとしては、どうしても就職ができなくて、日雇いに逆戻りしなければならぬというような事態は、元来が民間の雇用につこうという意思の方を選抜的にやって参りますので、私どもとしては、ほとんどなかろうと考えておりますが、そういう人につきましては、やむを得ない事情も十分考えた上で処置をして参りたいと考えております。
○小林(進)委員 日雇いで受け入れますか。
○和田説明員 生活の方途その他がございませんのと、あるいは失対適格者という条件が明確に備わっておるという方をば、どうしても排除しなければならぬということもなかろうかと存じます。
○小林(進)委員 なかなかあなたは上手に答弁されますけれども、聞いていると、結論的には、何か安定した雇用にいこうという意思があったのだから、帰ってきたときは無条件に受け入れるわけにはいかない、もとの古巣へ帰すわけにはいかぬ、こういうふうに私は受け取る以外にないと思うのです。そう受け取って間違いございませんか。
○和田説明員 先ほど申し上げましたように、一般雇用にいこうという意思をお持ちの方でございますので、いわゆる行きたくないという方よりも、相当程度熱意がある方が行くだろうと思います。そういう点から申しますと、失対に戻るなんということは、私どもほとんど想定をいたしておりませんような事情でございます。
○大原委員 関連質問。その工場においていろいろな人員整理があったり、工場が倒れたりする中小企業がたくさんあるわけです。だから、当然それに雇用の機会を与えることが、憲法二十一五条の精神です。働く能力のない人は、例外的だけれども公的扶助、能力のある人には、働く場所を与えるということも国の責任です。そういうことから失対事業が起っているのですか、そういう雇用の機会を、この場合に限って封ずるということはいけないでしょう、いかがですか。
○和田説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、事業主側の事情によりましてやむを得ずその会社を退職するという場合におきまして、不利益な扱いをする考えは私ども毛頭ございません。そういう場合におきましては、一時的にまた失対労務者として働いていただいておりまして、その間さらに安定した雇用につけるように、職業紹介を強化して参りたい。一年以内の場合に、会社側の破産その他の事情でやめられた方につきましては、不利益を生じないように、一年たちましたときに就職されましても、雇用奨励金をほかの会社に支給するというようなことでやって参りたいと考えております。
○小林(進)委員 私は、この問題だけで時間をとるわけにいきませんから、結論を急ぎますが、結論では、これでは今まで働いている労働者、安心して新しい職場に移っていくことは非常に困難ですよ。彼らは、今までも幾十年辛酸をなめてきて、人生の裏を見てきておるのですから、その人生の行き詰まりが、今失対日雇い労務者でも、ようやくささやかな安定の生活を求めているのです。それさえもあなた方の適格検査で追い出されるような、そういう不安定の中でも、これにしがみついていきたいというのが偽らざる心境です。だから、新しい職場に行くときは、彼らは非常に慎重だ。そこへ行ったときに、何らの保障がないじゃないか。賃金の保障がありますか。常用の保障がありますか。終生そこで働いていけるという保障がありますか。あなたはいろいろ答弁されましたけれども、結論においては何もない。ただ労働省は自分だけが損をしないように途中で首を切って追い出したら、今まで出していた奨励金を返せ。奨励金をとっても、あなた方のふところは痛くないでしょう。労働省は何も痛くないだろうけれども、追い出される労働者の立場から見れば、何も保障がない。今のお話の中で、それでもただ一つ守ってもらえるかと思うのは、今の条例と規則です。その規則や条例もどんなにかたいものかといったら、その規則や条例も、払った金を返せと、あなた方がその金をふんだくるだけの、そういう内容のものであって、いやしくも労働者を痛めつけたり、無責任に解雇したりする場合には、あるいは罰則を設けるとか、あるいはそういうことをある程度禁ずるとか、そういう強制力を持ったような内容は、残念ながらないわけです。これでは私どもは賛成できない。いま少し労働者の立場を守るような、いわゆる法的規制、これこそ国家権力を発動してもよろしいが、ぴしゃっとやるようなきめ手がない。そのきめ手を持っていただかない限りは、私は賛成するわけにはいかないわけですが、いかがですか。
○三治政府委員 その点非常にむずかしい問題でございまして、現在の労働法関係で、雇用の維持という問題について、事業主を義務づけるということについては、基準法でもほんの特例しかない。また、世界各国のものをわれわれの方もいろいろ調査しておりますけれども、それもほんとうに一カ月か二カ月くらいという程度のものでありまして、やはり雇用を義務づける、またはその雇用を本人が継続したいという希望を無視する事業主についての法的規制というものは、まだ労働体系の中において一つも見出し得ないわけであります。事実また職業安定機関やわれわれといたしましては、事業主に相当理解を持って雇ってもらうという立場からいけば、今の労働法の中に雇用規制というものが含まれていないのに、むしろ相当理解を持って雇用してもらう立場の事業主を、さらに一般以上に縛るということは、われわれとしてはどうしてもできないという考えであります。従って、そこにおいては、やはりどうしても血の通う信頼関係でやっていくより仕方がないのじゃないかというふうに考えるわけです。そのかわりとして、信頼関係だけではなかなかいかない、事実今までやっても常用の雇用促進がなかなかできないということで、やはり理解ある事業主の雇用奨励金という金銭的給付で補っていくという体系を持っておるわけでありまして、やはり法的雇用関係、雇い入れる雇い入れない、雇い入れた人をこういう場合には首切っていかぬという問題につきましては、やはり非常に制限された規定しかできないということでございます。もちろん、こういう方が雇用奨励金をもらって雇い入れるその事業主でも労働基準法の適用は全面的に受けるわけでありますから、何らそこに差別はないわけでございまして、そういうことでやるよりほかに道はないというふうに考えております。
○小林(進)委員 私はこの問題は非常に心配なんでありますけれども、本質的に反対すべきことでもない。しかし、今までの御説明では、積極的にこれに賛成するというわけには参りません。従いまして、他の諸君はどうこれを処置するか知りませんが、私個人といたしましてはしばらく賛否を留保いたしまして、今後の労働行政のあり方をじっと見せていただく。幸いにしてそれが成功いたしますれば、私も国民の立場から感謝いたしまするし、失敗をいたしますれば、一つここであげて労働行政を弾劾するということにいたしまして、私のこの問題に対する質問は終わります。
 次に、私は先ほどもも申しましたように、しばしば質問を繰り返したことでございまするけれども、どうも納得がいきませんからいま一回お尋ねしたいのでございます。それは臨時工の問題、臨時工というのは、先ほども言いましたように臨時雇用、日雇い名義の常用労働者というのだそうですが、これはあなたの方が専門でいらっしゃいますが、三十日をこえる期間を定めて雇用される臨時の労働者、これは私ばかりではありませんが、ほかの委員諸君も含めて、その実態調査、その数字統計をお聞きしたい、資料をほしいほしいと何回もこれは労働省にお願いしているのですが、今までまだ的確な資料をもらったことがない。これが第一不思議なんです。速記録を見たのですが、私が繰り返し見たのでも、ほかの人の質問が、衆参両院で相当数の者がこの問題を取り上げて数字の提出をお願いしているけれども、これはちょうだいできない。実際に労働省は数字をお持ちにならないのか。やはり常用工あたりの数字を公表するのに何か差しつかえがあるのか、私どもは真意を疑っておるのでございますが、いかがでございますか。
○大島政府委員 かねがね小林先生に御心配をわずらわしております臨時工も、ただいま御指摘になりましたように問題とせれらておりますのは、臨時工の中でも、ほんとうに季節的な作業の繁閑とか、あるいは作業が非常に軽易であるといったような関係で臨時工になっておりますものもありますし、また、常用工と同じような仕事をして引き続き働いておるけれども、それが雇用契約としては非常に短期間でこれを繰り返す、こういう形になっておる、いわゆるほんとうの意味の臨時工と常用名義の臨時工、この後者の方が小林先生の問題として御指摘になっておるところだろうと存じますが、この臨時工の全般の数字につきましては、労働力調査におきまして、農林業以外の非農林業におきましては、三十四年におきまして八十二万人、三十五年におきましては八十四万人という数字が出ておるのでありますが、その中で、いわゆる常用的な臨時工というものが一体どれだけあるかということについては、単に臨時工名義で、その実際上の雇用期間ないしはその繰り返しの期間だけで判定することは不可能でありまして、従って、常用的な臨時工というものが大体どのくらいあるかということについて正確な数字を出すことは、私は困難だろうと思っております。ただ、そういったものが相当多いわけであります。また、そういった労働者につきましていろいろな労働問題があるということは、私どもも非常な関心を持っておるわけなのでありますが、これは数学的に把握いたしますとか、あるいは統計的にこれを出しますことはおそらく困難だろう、かように考えております。
○小林(進)委員 これは古い統計なのですが三十四年度の総理府統計局の就業構造基本調査、この中には雇用者の総数と臨時の労働者、日雇い労働者、季節の不規則就業者という四つに分けて数字が出されているのでございますが、それによると、全労働者が二千十六万七千人、これはちょっと古いから今は二千二百万以上になっているわけでしょうけれども、その中で臨時労働者が九十六万三千人、日雇い労働者が百万人、季節不規則就業者が二十五万六千人、こういう数字が出ているのです。その中でまた細部に分けて、農林漁業、建設業、鉱業、製造業、商業金融、運輸公益、サービス業、公務とある。これは総理府の集計でございます。私は実際はこれくらい少ないとは思っていないのでありますが、これによりますと臨時労働者が四・八%などという数字なのですが、総理府の統計局でもこういう数字を出しているのですから、あなた方専門省である労働省にこれに匹敵する、これよりももっと詳しい統計数字があってしかるべきだと思う。それがないというのは私は不思議でたまらない。それを私はお尋ねしておるのであります。いかがでありますか。
○大島政府委員 御承知の通り、雇用就業についての全般的な調査については国勢調査がございます。それからさらに、ただいま御指摘の就業基本調査がございます。さらに毎年行ないますものとして労働力調査がございます。これらは単に雇用のみならず、その他全般の人的資源と申しますか、人口と申しますか、そういう観点もございまして、わが国におきましては総理府においてこれを所管いたしております。その結果、就業の面について、ことに雇用の面について私どもの方でもこれを利用して各種の検討を進めておるわけであります。従って、所管といたしましては総理府において実施いたしておるのですが、各省におきまして使います数字としてはこれを使っております。
 ただいま御指摘の通り、臨時労働者、日雇い労働者、それぞれ大体百万人見当というのが数字として出て参るわけであります。また、私どもが地域を限って調査をいたしましても、臨時日雇いの労働者の占める比率は大体六・七%から一〇%程度、こういった数字が出ております。ただ臨時労働者を使っております事業所の数で見ますと、これはある地域において私ども調べましたところでは、大体七五%の事業所は、この臨時工を何らかの形で、あるいは何らかの人数を臨時工として使っておる、こういった数字も出ておりますが、臨時工ないし日雇い労働者の総数といたしましては、大体そういった見当ではないかと考えております。
○小林(進)委員 そうすると、あなた方の方は、やはり総理府の方に統計をおまかせして、労働省の方は、総理府よりは統計は弱いわけですな。労働の実態行政については弱いと判断していいですな。
○大島政府委員 そういう意味ではございませんので、全般的な統計につきましての所管配分がただそういうふうになっておるというわけなんであります。従って、雇用の面につきましては、それだけでは十分でございませんので、労働省といたしましては毎月勤労統計でありますとか、あるいは労働者の異動調査、こういった調査を労働省独自ではまた行なっておるわけであります。総理府で行ないます全般的な調査と、こういう特殊の観点から、ことに労働の観点からいたします労働省の特殊調査とあわせて、実態の的確な把握に努めておるわけであります。たとえば労働者異動調査の結果によって、ただいま御指摘の臨時名義の常用工、これは期間によっていろいろ調べたものでありますが、こういうもののふえ方についても私ども検討を進めておるわけなんでありますが、たとえば三十三年から三十四年につきましては大体三八%程度増加いたしておる。三十四伊から三十五年にかけましては大体一三%程度の増加をいたしておる、こういう数字も出ております。最近において、こういった形の増勢は、三十三年から三十四年にかけてよりは減ってはおりますが、相変わらず増加いたしておる。こういう趨勢についての検討もいたしておるわけであります。
○小林(進)委員 私は前回も申し上げましたように、この臨時工、あなたのおっしゃるいわゆる臨時雇用の名における常用者、これが私は一番けしからぬと思っておる。これはまた日本における特殊な形態です。御存じの通りです。また、この日本における特殊の形態 これは中小企業にはあまりない。五日名以上から千名、二千名という大企業だけの特殊なやり方なんです。いわゆる大企業がこういう臨時の名における常用工を置いて、そして不当なる利潤を上げているというこの企業形態を、労働省がどうして見のがしていられるかというのが、私は何といっても了承できない。そして賃金の比較をするときになると、こういう大企業におけるいわゆる本工あるいは常用職員等の賃金だけを選び出して、アメリカの賃金よりも安くない、スイスの賃金よりも商い、フランスと同等だ、イギリスよりはそう安くない、こういう比較だけをせられて、その蔭に隠れている臨時工というものが、低賃金で牛馬のごとく働かせられているということをちっとも表面に出さない。こういうやり方は経営者としてもけしからぬし、労働省としてもけしからぬ。労働大臣としてもけしからぬ。これを私は申し上げているのでございまして、現にそれは大河内さんでも今井さんでもみんな言っている。日本の企業家はこの臨時工を景気不景気の調整役にして、不景気になってもこれがいれば本工やその他のものが首にならないで済むから、労働者も臨時工というものの存在はある程度認めている。もし労働者が認めているならば労働者もけしからぬ。自分たちの同僚を、自分と同じ仕事をさしておきながら、臨時工という形に身分を不安定なものにしておくのを、同じ労働者が認めておるということは労働者の良心に恥じる行為だと思う。しかし、経営者はなおさらそれを見のがしておいて、景気不景気の調整役にして、不景気になったらみんな首を切って追っ払っちゃう。景気のよいときには夜を日に継いで働かしておいて、何も身分関係を安定せしめないというやり方、これはけしからぬでしょう。そのけしからぬやり方を、あなた方はどうしても処置しょうとおやりにならないじゃないですか。労働基準局もある。職業安定局もある、労政局もあるが、何もこれを手入れしない。手入れしないばかりではない、だんだんこれがふえてきている。これがふえてきているのはけしからぬ。私の持っているささやかな数字だけでも、製造業常用労働者形態別構成――これは労働異動調査から抜粋したものでありますけれども、臨時月雇い名義の常用労働者は、三十一年には七・四%、三十三年には八%、三十四年には七・七%、三十五年は七・八%。臨時名義の常用労働者というものはふえているのです。だんだんふえてきている。常用名義の常用労働者はかえって減ってきている。これは三十一年には九二・六%、三十三年には九四%と上がっておりますが、三十四年は九二・三%、三十五年には九二・二%。本工の方は減ってきている。景気がだんだん上がってきて、利潤がだんだん高まっていくにもかかわらず、だんだん本工の方が減ってきて、臨時工の方の比率がだんだん上がってきている。こういう雇用の状態を労働省は黙って見ている手はないじゃないか。三十六年はどうか知りません。数字がありません。三十六年の臨時工と常用工の比率がもしあったらお示し願いたいし、こういう臨時工がふえてくる形を今までどうして見のがしておいでになったかということについて、労働省の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
○大島政府委員 ただいまの三十六年の数字は、まだ統計ができておりませんので、いましばらくお待ちを願いたいと思います。
 それから、臨時工の問題につきましては、ただいま小林先生御指摘のように、私どもも非常に大きな労働問題として、非常に重大な関心を持っております。ただ、この問題につきまして、基準法上の問題といたしまして、たとえば解雇の問題等、こういう点につきましては、私どもは単に雇用名義のいかんにかかわらず、雇用の実態によって判断をする。従って、常用的な臨時工につきましては、やはり常用工と同じような形の適用をする、こういう方針をもって臨んでおりまし、また、実際上問題になって出てくるのもそういうのが多いわけなんでありますが、そういう場合においては、ただいま申しましたような方針で臨んでおるわけであります。従って、基準法上の問題としては、一応そういう常用名義の臨時工というものは実態判断によってやっている。こういう形で法律上の問題は一応やっておるわけであります。ただ、これは法律上の問題のみではなく、実態的な問題として賃金が低いということ、ただこれも実際の問題といたしまして、平均賃金で比較いたしまして高い低いを申しましても、これはなかなか判定のむずかしい問題でありますが、総じて臨時工の賃金が安いということは事実であろうと思います。
 それから、たとえば福利施設の利用状況、これは本工と臨時工について比べてみますと、たとえば医療に関する福利施設とか購買関係の福利施設とか、こういったものについては、割合に本工と臨時工との差別は少ないのです。大体差別いたしておりますのが一割以下程度だろうと思います。ただ、たとえば住宅の問題あるいは金融的な福利施設、こういったものについては、本工と臨時工を差別するものが非常に多い。大体七割から八割程度は、臨時工はこれの恩典に浴さないというような数字も、私ども承知いたしておるわけです。
 それから、いつまでも臨時工でおる、本工になかなか昇進できないといった問題でございます。これはある限られた特定の地域でありますが、臨時工から本工に上がっていきますのが大体一割くらいの数字であります。しかも、それが大体二十五才以下の者に限られておるといった数字もございます。
 こういった点で各種の臨時工問題というのがあることは事実でございます。ただこれは、法律上の問題というよりも社会実態の問題、従って、私どもといたしましては、ほんとうに作業の季節的な繁閑、あるいは作業が非常に簡単なもの、こういった形で臨時工の雇用形態をとるというものについては、これは当然だろうと思うのでありますが、ただ、たとえば首が切りやすいとかあるいはコストを下げるためにいいから、こういった形でそういう形をとるというのはもちろんよろしくない。ただこれを法的にどうこうするわけにはいかないわけでありまして、従って、私どもといたしましては、何と申しますか、現在ちょうど求人難の状況のときでありますから、機会としては現今は非常にいい時期じゃないかと思うのでありますが、全体的な社会風潮、ことに、たとえば観工場と下請工場の関係において、下請の中小企業の労働条件の向上に観工場が積極的に援助し、協力していくといった社会的な風潮が今できつつありますが、そういった形と同じような社会的な風潮と申しますか、ムードと申しますか、こういうものと相マッチして行政的な指導も逐次進めて参りたい。ただ、雇用の理由の判別がなかなかむずかしいのでありまして、私も実は数日前ある工場に臨時工の問題について参ったときに、根本的に受注の関係が非常にこの問題に関連するという点をつくづく思い知ったのでありますが、そういった点もあわせ考えて、全般的な関連においてこういった対策を逐次進めて参りたい、かように考えております。
○小林(進)委員 もう約束の時間も参りましたから、そう御迷惑をかけないようにきょうのところは終わりたいと思いますけれども、今賃金の問題が出ましたから、一つ賃金でお聞きした
 福利施設ではそう差がないけれども、住宅や金融その他において非常に大きな本工と臨時工の差があるとおっしゃいましたが、それに先だって一番大切な賃金の問題について、あなたはそれを的確にとらえることはなかなか困難だというふうな御返答がありましたが、ここにも資料があります。これも就業構造基本調査の中からとってきた資料であります。占いのです。こういう古い資料でしかわれわれは質問できないのが非常に残念です。こういうものは労働省でちゃんと持っていなければいけないですよ。実に残念しごくであります。それによっても、これは三十四年度でありますが、全産業における賃金の中でも、常用は年間所得が平均二十二万円、それに対して臨時工は九万五千円、日雇いは八万二千円。非農林においては、常用が二十二万二千円、臨時が九万六千円、日雇いが八万五千円。常用を一〇〇とすれば、臨時工の場合は四三%、半分以下の賃金です。月雇いは三八%、三分の一強、こういう賃金の大きな差が出ている。これは内閣の統計ですが、こういう数字が出ております。私はこれが一番問題だと思っておる。こういうような格差をそのままに認めておくという制度――なるほどあなたのおっしゃるように、民間業者は法律でこれを規制するわけにいかぬ。けれども、そのためには、労働省がある限りは、あらゆる努力を傾けてこういう賃金の格差はなくしてもらわなければ、日本の雇用状態は軌道に乗らないと私は思う。先ほどおっしゃる通り求人難の時代ですから、今のうちに相当抜本的な指導をしていただかなければならないと私は考えております。この賃金の格差は間違っておりましょうか。
○大島政府委員 所得の常用と臨時の格差としては、大体そういうふうな数字だと私も存じます。ただ賃金の常用と臨時の格差につきましては、実は比較がはなはだ困難なんでありまして、作業自体が非常に違いますのと、常用工と臨時工の労務構成が非常に違っております。そういった関係で、総平均で比較いたしますと今のような数字が出るのでありますが、これで賃金の高低を論ずるのは、はなはだしく困難といわざるを得ないのであります。ただ、それにいたしましても、私どもも常用工と臨時工の賃金に相当な格差があると思うのであります。その点は私どもも十分認識いたしておりますので、今後とも、先ほど申し上げましたような全般的な雰囲気の中で、逐次しかるべき方向へ向けて進んで参りたいと考えております。
○小林(進)委員 これはどう議論いたしましても、ここで結論の出る問題ではございませんが、ただ労働省が、私どもの質問で問題の重要性をさらに認識していただいて――認識していただかぬでもいいです。どうも国会の中でうるさいからとお考えになってもよろしいです。ああうるさくやられては困るから、こういう問題を一つ提起でもしておこうというお考えでもけっこうですが、そういう問題について御努力なさるならば私は質問したかいがあるわけですから、そういう気持で私は質問しておるわけであります。まだここに古い資料がたくさんありますけれども、そう並べてみたところで時間の浪費ですから、私はこれでやめます。
 最後に、私は大臣にお尋ねをしておきたいのでありますけれども、ああやって日経連がやはり賃金白書を出しましていろいろなことを言っておりますが、何といっても日本の大企業は利益が多いです。世界的に見て、彼らは高利潤を上げております。私のささやかなる調査によっても、日本の経営者ほど高い利息で事業をやって、しかも高利潤を上げているものはない。これは、私は日本の産業の世界にない特異なる状態だと思うのでありまして、もし反省するところがあるとするならば、こういう高利潤、低賃金などという経営者側の欠点を、行政で私は修正していくべきであると思う。ところが、輸出の問題なんかで壁にぶつかって参りますと、そういう基本的な日本の経営の前近代的なやり方にメスを入れようとはしないで、すぐ賃金を押えようとする、すぐ低賃金でこれをカバーしようとする悪い考え方が日本の企業家にあるのであります。やはり労働大臣は、そういうことを一つ労働者の立場で、こういう人たちの利益を守っていただかなければ、日本の各省の中で、労働者の立場を守ってくれるものはどこにもありません。私は、中小企業や弱い零細業者に対して、労働省が今おやりになっております業者間協定というもの、あの最低賃金法については全く反対です。これが日本の低賃金を温存するいわば悪いものになっております。これまで育っておりますと時間が、長引きますからやめますけれども、零細業者の方は、まだ自分が食うか食われるか、ぶっ倒れるかという危険な線にありますから、顧みて気の毒なところもありますが、大企業には、考え方一つで、私はどうにもなる余地がまだたくさんあると思います。その意味において、労働行政としては、大企業の中における臨時工などというものをなくするという点に、私はまず労働行政を抜本的に進めてもらえないか、かように考えております。そして大臣が賃金問題を口にせられるときには、必ずお忘れなく、こういう大企業における臨時工や日雇い工の賃金もあわせて説明をされるようにしませんと、労働大臣の良心を世界的に疑われることになりますから、お間違いのないようにちゃんと説明をしていただきたいと思います。これに対する御所見を承っておきたい。答弁が気に入らなければ、私はまたやります。
○福永国務大臣 私は、今度の国会の初めにあたりましても、労働者の労働条件の向上ということをまず最も重大な問題といたしまして取り上げて、所信を申し上げているわけでございます。いろいろ労働省の仕事もございますが、労働条件の向上ということは、われわれが不断に努めていかなければならぬことであると重々考えている次第でございます。先刻来、大企業等に、臨時工という名において常用工とあまり変わりがないような労働者がいて、しかも労働条件に大きな差がある事情についてお話しがあったのであります。もとよりこういう姿は望ましくないと存じます。いろいろ事情が複雑でございますので、一気にというわけにも参りますまいが、極力私どもは、この望ましからざる姿を少なくし、なくする方向への努力を続けねばならない、こう考えておる次第であります。
○小林(進)委員 これで私の質問の午前の部は終わることにしますが、特に労働省にお願いをいたします。そういう臨時工、日雇い労務者、それから今度新しく出て参ります季節労働者、こういう者の数字だけは、どうかつかみづらいであろうけれども、何とか努力して、一つつかんでいただきたい。そして私どもが質問するときに、そういう的確な資料がちょうだいできるように御努力下さることを特にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○齋藤(邦)委員長代理 本会議散会まで休憩いたします。
   午後一時十五分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時十九分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。島本虎三君。
○島本委員 前に二回ほど逓信委員会で年末にかけてのいろいろな処分の問題についてそれぞれ質疑し、御答弁があったわけでございますが、中には重大な労政上の問題と思われる点が多いわけです。従いましてここで労働省と郵政省と立ち会いの上で明確な一つの基準をここに出してもらわないと、今後の組合運動の点におきましても若干危惧される点がある、こういうように思って本日ここに質問するものでございますから、その点両大臣とも十分お含みの上で、誠心誠意間違いのないところで、自信を持ってお答え願いたい、こういうように思うわけでございます。
 まず第一番に、昭和三十七年三月一日でございますけれども、いろいろ処分の追及が行なわれましたその中で、特に逓信委員長の佐藤虎次郎氏より、いろいろ調査してなおかつ本人に十分了解を求められるようにという発言がなされた経過がございます。私もこれについては強くは触れませんが、少なくとも委員会を代表して委員長からそういうようなことになった以上、これは結論をつけておかないといけないと思いますので、その後の経過がどういうふうになっておりますか、この御答弁を先にお願い申し上げたいと思います。
○長田説明員 その経過のことにつきましてお答え申し上げます。ただいまのお話は、あの際島本先生からお話のございました大原先生のことにつきまして広島郵政局長が、先生に対してではございませんが、別の席で申しましたことに関してかと思います。その問題につきましては、広島郵政局長と私と大原先生のところに参りましておわびを申し上げました。なお地元の方での情報につきましても、広島郵政局長から地元の者に対していろいろ気持を申し述べた、そういうような処置をとったわけでございます。
○島本委員 この問題で委員長の指図通り当局がやっておるとするとこれ以上、この問題の追及ば控えることにいたしておきたいと思いますが、今後こういうふうなことをやると、これはちょっと困る。一個人の問題ではないと思います。りっぱな労働慣行を打ち立てるためにも、今後こういうようなことがあってはならないと思います。大臣も特にそのような点に御見解がありましたならば御表明願いたい。なければ、よろしゅうございます。
○迫水国務大臣 そういう事態がありました、何といいますか、口にすべからざることを口にしたということについて、まことに私も遺憾だと思っております。
○島本委員 次に質問に入りたいと思います。
 これは労働省にお聞きしたいのですが、今度の労働省のいろいろな指導方針なり、また予算書を見ましても、中小企業や、その他の労務管理のいろいろな点で、こまかい配慮が加えられておったようです。この労働管理の対象は、もう労働者だけではなく、労使関係そのものである、こういうふうに考え、ある場合には、中小企業に対しては今後そういうような点に重点を置いて指導されるというような、はっきりした方針が労働省でとられているわけであります。そうなって参りますと、これは労働者だけを抑制するという行き方ではなくて、経営者をもともに牽制して、双方の歩み寄りを可能ならしめるような方式が、今後の正常化の中にも一つの指導理念として当然ではなかろうかと思っているわけです。労働省としてはこの労務管理の対象はどこに置いて考えられたのか、今後労務管理を実施する具体的な考えがあったならば、大臣、この際はっきり御表明願いたいと思います。
○福永国務大臣 御質問の焦点がどういうところにあるのか、まだぴんと参りませんが、労務管理というようなことを考えてみますと、これを適正に行政上いろいろ指導等をして参りますにつきましては、もとより労使双方についてこれを考えておる次第でございます。労使相互の信頼感を増すとか、あるいは労務管理を近代化するとかいうようなことにつきましては、おおむねただいまお話のように、労働者及び事業主両方を考えて対処していく、こういう建前であります。
○島本委員 労働大臣はほんとうに率直で、その通りでいいと思うのです。私どもの方でいろいろ調べました結果、やはりそういうような態度で進められるのが正しいという結論を私自身持っておるわけです。ただ「新しい管理者」という、郵政省の方の労務管理の指導方針というような本があるそうでありまして、その中にはこの態度を現実の面としては否定して、おそらくは現実問題としては、労働組合運動の現状において、この態度で臨んでいくことがいいかどうかについて一考を要する問題である、こういうように言っておる。そうすると、結局は労働者を一方的に規制する方法をとるべきである、こういう考えのように明確に受け取られるわけです。基本的な考えとして、労働省と郵政省の間で労務管理のいろいろな関係が異なるということは、おそらく大問題ではないかと思うのです。この点郵政省、いかがですか。
○長田説明員 郵政省の労使関係につきましては、ただいま労働大臣からお話しになりましたような点を私どもも基本として進んでいる次第でございます。ただ時といたしまして職場闘争が非常に激烈だとか、あるいはそういうことが原因になって、郵便の遅配というものがかなりあるとか、そういう特殊の事態につきましては、やはり一時的に、いろいろな特殊な対応策をこちらもとらなければならないことがございまして、「新しい管理者」というテキストも、去年の前半までの実態というものを背景にしまして作った次第でございます。
○島本委員 この際、では的確に聞いておきたいと思うのですが、そうするとあのような指導方針と申しますか、「新しい管理者」というものによって管理者を指導され、それは去年の前半の事例においてやったということになりますが、一つの労働管理政策を郵政省の管理者に植えつけた指針である、こういうように考えても差しつかえございませんか。
○長田説明員 「新しい管理者」というテキスト全体は、実は二万数千おります郵政省の第一線管理者に対しまして、労使関係というものはどういうもか、あるいは労務関係で心がけなければならない点はどこかという、啓蒙的と申しますか、そういう役割も相当持たせたつもりでございますし、同時に、先ほど申しましたように、郵便事業の当時の状態、あるいは職場闘争、それに引き続くいろいろな結果が起こっていることに対する問題、そういう面面の任務を持たせて作った次第でございます。島本先生先ほどのお話のように、一考を要するとか、あるいはその他若干、みな先生方がお取り上げになったような幾つかの問題などは、特殊な事態に対応するこちらの体制として表現され、中に二、三問題になった点があったというふうに考えますが、基本としましては、やはり正しい労使関係というものを管理者にしっかり把握させる、理解させる、そういうつもりであったわけでございます。
○島本委員 そういうようないろいろな「新しい管理者」というものについては、現在でもやはりその行き方でやるのが正しい、反省は別にすべきじゃない、この基本方針でいくのだという考えですか。
○迫水国務大臣 「新しい管理者」をお持ちでございましたら、(「それは資料として配付してない」と呼ぶ者あり)あとで資料があれば配付いたしますが、ちょっと読みます。四十三ページには、「組合は、危険なものであるとか、社会の困りものであるとか、有害無用のものであるとか、あるいは邪魔物である、という労働組合観をする人が過去においては見られたものであるが、こういう偏見と誤謬をもった見方をとる人は今日では殆んどないと思う。仮りに在ったとしても今日の組合運動ばその見方にどうこう左右されない位に力と組織を備えている。従って管理者としては、組合に接するには、1 これを邪魔物視して弾圧、抑圧の態度をとってはならない。2 好ましくないと言うことでこれを敬遠する態度はいけない。3 組合は危険なもの、恐ろしいものであるとして、これに恐怖心を持つ必要は全然無用だということである。特に管理者としては、組合を人格を有する紳士として扱い、誠意と信頼を持って接すべきである。相手の人格を尊重することによって管理者の人格も尊重され、その相互の信頼、依存関係があって初めて労使関係は円満に進められるものである。その点、「人格を認めることによって労使の協力関係が促進されるという見方は大いに甘いではないか、人格を認めることによって相手は増長し、かえって非協力態度に出るのが落ちではないか」という意見がなされるかと思う。組合の人格尊重と言うことは、管理者が単に下手に出て、組合に阿諛迎合する意味ではない。組合の出方に応じて毅然たる態度をとることも人格尊重の一方法であることを否定しているものではない。人格尊重ということの理想的一般論を提起しているのであるから、特殊なケースについてこれが常に当嵌まるものではないことは冒頭に触れた通りである。」等々、こういうところを見ますと、これは私は「新しい管理者」というものの全体が、島本さん御指摘のようなことばかりであるとは思わない。むしろ組合というものを管理者に正当に認識させるための資料としても、きわめて意義の深いものがあるように私は思います。たださっき、二、三日前も御指摘になりました、この委員会ではありませんですが、逓信委員会で御指摘になりました若干の点については私も申しましたように、改訂判を作る方がいい、それは本来の目的とするところを表現するのにははなはだ不適当な表現があるということを私ども申し上げまして、それについてはこれを将来このテキストを使う場合には、そういうものをリフォームしたものを作りますということを実は申し上げてある次第でございまして、「新しい管理者」の悪いところばかり拾い上げずに、いいところはこの通り組合の本質を解明している点もあることを御承知願いたいと思います。
○中野委員長 関連質問を許します。小林進君。
○小林(進)委員 ただいま大臣がお読みになりました「新しい管理者」ですかというようなテキストの、四十何ページかをお読みになったのでございますが、私どもは残念にいたしまして、その資料の配付を受けておりません。配付を受けていないこの委員会においでになって、そして都合のいいところだけをお読みになって、かくのごとく云々と言われたところで、われわれは信頼をおくわけにはいきませんし、また一方質問者からどういう質問が出るか知りませんが、あるいは当局側の都合の悪い点をテキストから出してお読みになるかもしれません。また質問されるかもしれません。しかし私どもそれだけをもって正鵠の判断をするわけに参りません。その意味において、このテキストはどうしてもわれわれに一冊ずつ手元に届くように、御配付を願わなければならぬ。先ほど承っておりますと、人事部長のお話によれば、二万数千名の管理者がいるのだそうだから、その人たちにも組合のあり方を指導するために云々というお言葉がありましたから、おそらく二万数千冊はお刷りになったのだろうと私は思う。二万数千冊はなくても、一応そういう管理者の手に入るだけの数量は印刷されたのでございましょうから、当然百部や五百部の予備はあるものと判断して間違いない。ないなんということは、われわれに対する常識を逸した行為でございますから、当然あると私は思いますから、早急に使いをお出しになって、われわれの調査権が正しく発動できるように御配付願いたい。
○島本委員 その資料は届けていただくことにして、大臣はなかなかいいところ読んで下さいました。その範囲においてはまことにりっぱだと思うのですが、今度は労働大臣、少なくともいろいろな管理政策なり、方式なり、こういうようなものは、労働省の考えておることと郵政省なりその他の省のそれぞれの立場で考えていることと、相矛盾するようなことがあってはいけないと思う。やはりそういうような労働関係についてのあらゆる基本的な考え方は、労働省でぴりっと持っていなければならないと思う。この「新しい管理者」は今郵政大臣の手にありますが、これは労働大臣の方でもこの労働政策を考えてこれ々指導されるか、連絡されるか、いろいろなことがあったのですか、その経過についてはっきり申し述べていただきたいと思う。
○福永国務大臣 私どもの事務当局で相談いたしましたかどうかは存じませんが、私自身はこのことにつきましては、特に郵政大臣と打ち合わせばいたしておりません。有能な郵政大臣がりっぱな労務管理もされるだろうし、指導もされるということを確信いたしております。何しろ事業場等も非常に多うございますので、今島本先生のおっしゃるようなことが多くできればさらにいいこととは思いますけれども、実際問題を正直に申し上げますと、一々そういうことはいたしておりません。
○島本委員 そこは私としては大事だと思ったのです。少なくとも労働省として考えなければならないのは、いつでもこの正常なる労使慣行の樹立または団体交渉や、いろいろのそういう立場にある人の互いの人格を深めて、その上に立ってすべて運営さるるという基本的な考え方の上に立った指導でなければならないと思う。信頼の上に立った一つ一つの具体的なりっぱな労使慣行を樹立させることでなければならないと思う。おそらくそういうようなことは基本的な考えだと思うのですが、こういうような「新しい管理者」なるものによって指導され、その理念として私どもが労働省としてこれははたして考えていいのか悪いのかわかりませんが、このような点に触れる場合には、私どもはどういうふうな考えでやっているのか理解に苦しむ点がある。それは現在行なっておる上級、中級、下部――上級、中級という中央本部、それから下部段階の支部、これらのものがあるわけですが、そういうようなところの団体交渉権はりっぱに認めてある。認めてあるにかかわらず、今度は下部で結んだ団体交渉の結果、また話し合いの結果、こういうような確認事項については、これはいろいろな名目によって、こういうようなものは確認事項を取りかわしてはいけない、話し合いは戦術的集団交渉に利用さるる形で行なわれるから、これはいけない。いろいろな理由を付して、りっぱに結ばれてあるものでも、全部廃棄処分にひとしいような、ほごにしてしまっている点がはっきりしているのです。こういうようなことがりっぱな労使慣行を樹立するためにいいと認めるのか、望ましくないと認めるのか、労働省の見解を承ります。
○福永国務大臣 私、具体的にどういう事情か、またどの点をさして御質問か、まだ十分把握できないのでございますが、先ほどから伺っておりますと、非常に多くの管理職にある人たちに対して、この種のものをお配りになったということでございますが、その多くの人たちの中で思い思いにいろいろなことをするとまちまちのことができるので、そういうことは避けたいというような意味からの今の表現であるとするならば、これは無理からぬことのように思うわけでございます。もう少し深く具体的の事実を承りましてから、見解を表明さしていただきたいと思います。
○島本委員 これは具体的な事実ということであるわけですが、これは言っても言わなくても、労働省としては十分知っておられると思うのです。中央にはもちろん団体交渉権もあり、話し合いの場もあるわけです。地区にも地方にも当然中級機関としてはこれはある。下部にも支部としての団体交渉ができるような組織になっておるわけです。それは協約によって明確にきまっていることなんです。郵政省は全逓の中央本部、それから郵政局は地方本部、郵便局並びに下部のこういうようなところはそれぞれの支部、こういうようなのがはっきり団体交渉する資格があるものとして、協約に明示されていることなんです。協約に明示されているようなことを、下部の方できめたものは廃棄処分にするというような指導方針がいいのか悪いのか。りっぱな労使慣行を打ち立てるためにも、こういうようなやり方が是なのか非なのか、これをはっきり答弁してもらいたいということなんです。はっきり協約で中央できまっている、署名捺印していることなんです。こういうな形で平気で「新しい管理者」の指導のもとに行なっている、実態が、いいのか悪いのかということなんです。ちゃんとおわかりだと思う。
○福永国務大臣 具体的な事情を私より、より詳細に承知いたしております局長から、お答えをさしていただきたいと思います。
○堀政府委員 団体交渉権の下部への配分の問題でありますが、建前といたしましては、団体交渉権の上下間の配分は、労使それぞれにおいて自主的に決定せられることが建前であろうと考えております。それを中央においてなすか、あるいは中間の段階においてするか、あるいは下部の段階においてするかということは、その事業場なり企業の実態等に応じまして、一がいにどれがいい、どれが悪いというようなことは言えないだろうと思いますが、要するに労使間において自主的に決定する問題であり、また労働協約等がありますれば、その労働協約の定むる線に従って、それぞれの交渉を行なうということが建前であろうと考えております。
○島本委員 それならば「新しい管理者」の指導のもとに、確認事項として、または了解事項として署名捺印して取りかわしているものを、官側が一方的に廃棄処分にしたということであれば、これは手落ちであり、こういうことは望ましくない、こういうことをはっきり言えるのじゃないかと思います。そういうようなことでいいでしょう。
○堀政府委員 「新しい管理者」につきましては、私まだ拝見しておりません。よく後刻拝見さしていただきたいと思っておるのでございますが、団体交渉をなす場合におきましては、一般論として申し上げますが、それぞれ権限のある事項につきまして労使が団体交渉を尽くす、その上に従って権限ある事項について労働協約を結ぶ、こういうことに相なろうかと思います。そのような正規の権限ある問題につきまして、労使間交渉を尽くされて決定されました労働協約につきましては、もとよりこれを一方的に廃棄するということは適当でないと思います。この労働協約の廃棄につきましては、労働組合法等に期限の定めなき労働協約等についてはそれぞれの規定がありますから、その条項に基づいて行なわるべきものであると考えます。ただその場合、権限のないような事項について結ばれたというような場合に、はたしてそれが労働協約として効力があるかどうかというような問題は別にあろうと考えますが、私どもそういう具体的な問題につきましては、この場で判断すべき限りではありません。ただ一般論としてただいまのようなことを考えておるわけでございます。
○島本委員 これはあくまでも権限のないものを仮定して私は言っているのではございません。これはもうはっきりと団体交渉の運営に関する協約が結ばれてそれで行なわれており、ある場合には交渉の中身の問題として団体交渉できめる話し合いの問題、いろいろなものを含めて、それをはっきりと覚書で結んでいるわけですから、それはそれでいいと思う。
 そこで郵政省の方に伺います。今労働省の方ではそういうような見解がはっきりしているわけです。地方の方では運営の協約が結ばれているのに、トラック部隊と称して、はたしてあれは権限があるかないかこれから聞きますが、こういうようなものを一方的に廃棄処分に付した事実があるかないか、これを明確にしておいてもらいたい。
○長田説明員 ただいまの調印等をしたものを一方的に破棄したということは、私どもの部内で実例がございます。実は昭和三十三年四月に全逓の幹部が解雇されたことによりまして、正常な団体交渉というものができなくなりました。三十四年の暮れから、藤林あっせん案によりまして、臨時代表を出して団交の道がまた開けたということになっておりますが、正式の団体交渉の途絶期間中に、全逓側といたしましては、団体交渉回復のための職場闘争を相当熾烈に行ないました。各第一線の管理者に対しまして、集団的な交渉とか、あるいは非常に長時間にわたる交渉とか、事実上の交渉とか、そういうようなことによりまして、幾つかの調印を獲得いたしました。三十四年暮れに交渉の道が開けましたあとでも、惰性とでも申しますか、あるいは非常に交渉の道が開けたということで気勢が上がりました関係ですか、当分の間、三十五年の夏ごろから暮ごろにかけましても、下部で調印をたくさんとるようにという指導があったかないかはっきりいたしませんが、現実の問題としては非常に多く第一線でそういうことが行なわれました。その行なわれました内容もいろいろございますが、電通合理化の問題が相当クローズ・アップされましてからは、特定局段階で、電通合理化は本部・本省間で全逓側の希望する協約を獲得するまでは、一切これを行なわないということを確認しろという形のが方々で行なわれたようでございます。一、二例もございますけれども、そういうようなことがありました。それからそれ以外の面につきましては、たとえば勤務時間についての本部・本省間の協約がございますが、それらと少し違った内容で協約する、あるいは人事権についてどういうことをやるというようなことの調印行為、それぞれいろいろな内容のものがございます。電通合理化の問題が切迫いたしまして、全逓でそういうのが幾つかあるらしゅうございました。そういうものは、もとよりある局を自動化して電話をふやしていくというような問題は、労働条件でも何でもございませんし、そういうものはやはり破棄させるのが適当だというようなことから、さような指導をしたわけでございます。なお、郵便の遅配の問題に関連いたしまして、省側としてはいろいろな措置をとったわけでございます。事実上の増員とか、あるいは施設の改善とかもやったわけでございますが、遅配の程度のはなはだしい少数の局を実態調査をやってみますと、過去におきまして勤務ぶりについて、あるいは勤務時間について、私どもが本省・本部間の協約に基づいた正規のものだと考えているのを相当逸脱した、ゆがんだ形のものが、極端な場合には調印という形で、確認書という形で、あった。大部分の場合はそういう調印の形までにはなっておりませんで、いわば労働慣行的に現場に幾つか存在しているということがはっきりいたしました。ほかの増員とか施設の改善とかという手も打って参りましたけれども、こういうことも遅配の原因にもなっている。また権限もない、あるいは勤務時間協約に違反する状態というものが現場にあるというようなことなどがありましたので、できるだけ組合側とは話し合いの上でこれを是正するという道をとったわけでございますけれども、それでは間に合わぬ面も幾つかございまして、そういうような面につきましては、やむを得ず第一線の管理者から破棄をさせる。破棄をさせて正しい姿で業務を実行させる。その実行させるについて管理者が少数でもあり、従来からの関係もございまして、非常に力も足りないというような場合に、ある程度その第一線の管理者を指導すると申しますか、忠告を与える。あるいはその業務の能率が正しい能率としました場合に、定員不足というものがどの程度あるかないか。あるいは正しい能率というものを出しているかどうか。そういうことを調査することなどもございまして、郵政局、監察局などから若干の人数を派遣したという例はあるわけでございます。
○島本委員 私の方でこれに深入りをする前に、大臣と「新しい管理者」の問題でやらなければなりませんが、それはあと回しにして、あなたがそこまで詳しく実態まで言ってしまった以上、私も具体的な事例によってこれをお伺いするよりしようがありませんから、その点御了承願って、では伺いましょう。
 全逓が藤林あっせん案をのんで正常化されて以後、当然皆さんの方で、労働省の方ではやはり正当な労使慣行、協約によってきめられたものは正しいという見解を今発表された。そういうようにして支部にも団交権がある。団交権がある中で、延岡の郵便局長と全逓の延岡郵便局支部長、当然この人には団交権はあるはずだと思うのですが、その人と結んだ確認書を破棄されておる。この中で「服務表、勤務指定表の作成、変更及びその他の労働条件に関することは一切組合と協議の上決定すること。」ということに、ちゃんと両方とも妥結して判を押しておる。だれが聞いてもこれは妥当なことで、労働条件の変更ならば、これは話し合いによるのはあたりまえのことです。ことに全逓の中には勤務の特殊性としてこの勤務応答協約があることは、皆さんももう十分知っているから、こんなことを言う必要はないのですが、これに基づいて服務表を今度作成する、明示する義務が当然管理者側にある。そうなりますと、これは省側の一方的な指導でできるものではございませんから、組合と省側とで結ばれた協約を基礎にして、四週間前にこれを表示することになって、これは話し合いできまって、それぞれ行なわれていたはずです。それを労働条件に値するようなこの重大なものを急に破棄処分にしたということ、こういうようなことに対しては、私は健全な労働慣行をこれによって樹立するのだということはどうしても考えられない。そのほか、組合の管理によるところの器具物品には管理者は手を触れないこと、こういうようなことがあるのですが、それも破棄してしまった。そうすると管理者側が新しい管理方式によって、組合の中に勝手に行って何でもやっていいという考えのもとに、こういうものを破棄したのじゃないかと考えられるのは、これまた出然でしょう。そのほかに、労務管理について庶務課長独断の疑いが強いので、局長ば責任をもってこの問題は善処すること。これに対しても、よろしゅうございますと言って判を押してあるでしょう。こういうようなことに対して全部やったことは、おそらくは官側で独断の疑いがあると局長が思っておることでも、新しく来た人がこういうことは支部段階で結ぶべきことではないからということで、全部廃棄処分にしてしまった。こういう権限はあるのかないのか、あとから聞きますが、おそらく管理者側として局長が当然これは義務がある、協約によって正当だと思われる、両方が署名捺印しておる、こういうようなことを外から来て廃棄処分にしておるということに対して、われわれはどう考えてもこれが健全な、善良な労働慣行の樹立だということは考えられない。この具体的な問題について、これはどういうようなことでやったのですか。
○長田説明員 ただいま御指摘になりました延岡郵便局の関係は、ちょうど訴訟になりまして裁判所で審理が係属されているところでございまして、ただいまおっしゃいましたように、これは去年の八月十二日に破棄通告をしたわけでございます。先生がただいまお読みになりました以外に、非常にたくさんございます。作業ぶりなどを書いたものだとか、相当ございますが、まとめましてそういう破棄通告をいたしたわけでございます。今の服務表、勤務指定表の作成、変更というような内容は、私ども全逓本部との間に勤務時間協約を締結いたしまして、こういうものについては所属長がやるというような取りきめを本部との間に締結したわけでございます。四週間前に示したりするというようなもの、こういう服務表、勤務指定表の作成、変更は、私どもは通常労働指揮権と申しますか、そういう言葉で呼ばれているものの内容で、業務の実態に応じて管理者がやらせられている内容だというふうに考えておりますし、本部・本省間の協約の解釈としても、そういうような解釈を従来とってきているわけでございます。従いまして、こういうものについて今度はまたすべて下部の方で協議の上、個々の担務変更とか、そういうことをやっていくということは、私どもの解釈としますと、中央の協約の趣旨から少し逸脱しているのではないか。また業務の実態から見まして、そういうことではなかなかうまくいかない。事実上延岡郵便局は、九州随一の郵便の遅配のはなはだしかった局でもございまして、そういうようなこともありますししてきたわけであります。
 なお第二項以下の、たとえば「組合管理の器具物品には一切手をふれないこと。」こういうようなことまで破棄したのはおかしいではないかというお話でございまして、この点につきましては、実は職場にいろいろな掲示がかけられた。そういう掲示を管理者側がはずしたことがきっかけになりまして、こういうことになったそうでございまして、これは庁舎の管理の問題、一般的な原則からも離れておりますし、もともとこれは労働協約ではない。器具にさわらないとか、あるいはたとえば庶務課長が独断の疑いが強いから今度は局長がもっと責任をもってやるとか、そういう事柄は協約という内容ではないのではないか。そういうようなことなどからいたしまして、破棄通告をしたわけでございます。
○島本委員 そうしたならば、もう一回そこを少し詳しく聞きます。これは団体交渉の権限事項ではないから、中央の事項であるからそれを破棄した、こういうことですか。そこを簡単でいいですから……。
○長田説明員 第一項の方は管理運営権に属することだと考えていたわけでございます。
○島本委員 それでは第二項は。
○長田説明員 協約事項ではないのではないかというふうに考えているわけでございます。
○島本委員 少なくとも組合の掲示板というような問題に対して、これは常識上見ても、組合が管理してそれぞれやっていることに対してはいいのだ、異議をはさむ何ものもないでしょう。そういうようなものまで破棄してきてしまうということは、労務管理として組合もあらゆる点で――おそらくはもう「新しい管理者」の影響かもしれません。郵政大臣の持っているそのりっぱな「新しい管理者」はまだ読んでいませんからわかりませんけれども、しかしながらこういうような組合が買って責任を持って管理しているものに対して、官側が勝手に何でもいいという考え方、どうでもできるというような考え方があるとしたら、これまたとんでもないことだと思うのです。
 それでそれは伏せておいて、一つだけ労働省へ聞いてみたい。今のようにして中央、地方それから末端の方へそれぞれ交渉権のあるなし、それによって破棄した、こういうように言っているわけですが、こういったような団体交渉による確認、話し合いによる確認、これによってりっぱに労働条件が維持されておるとするならば、これはそれで破棄する理由は一つもないじゃないか。ことに重大な過失を犯しているならば、そういうような問題に対しては破棄するのはやむを得ないにしても、今言ったような一、二、まだ何ぼでもありますよ。しかしながらこういうような問題についても、われわれとしても許すことができないような問題でも、これはやむを得ないからやったのだというならば、少なくとも団体交渉事項の制限をする、こういうようなことよりも、もし権限外の事項について話し合いがあり、こういうような要望があったり何かした場合には、これは権限ある上司にちゃんと伝達してやるのが、当然の管理者としての義務じゃないですか。おそらくは確認するのに何の疑義もないようなこと、何の違法性もないようなことでも、これはやむを得ないと言って――これはやむを得るのですが、こういうようなことはやむを得ないと言ってみな廃棄処分にしてしまっている。こういうようなことは善良な管理者として、ほんとうに業務に対して、また労働条件の変更等に対して熱心に当たる意思があるならば、自分の権限外であるならば、それを権限ある人に上達していって解決してやる。従って団交権であろうと、話し合いであろうと、協議したものに対しては処置するという、この処置の仕方によって、私はりっぱにそのものが解決されるのではないかと思っておる。そうでなければ、これを認めることば、団体交渉事項が下部の管理者にだんだんなくしていくようなことを増長するような結果になりはせぬかと思うのです。私の考え方は、正常になる労使慣行を樹立するために必要なる管理者側の考えではないかと思うのですが、この考えに間違いがあるならば、はっきり言っていただきたいと思います。
○堀政府委員 先ほど申し上げましたように、われわれといたしましては一般的な見解を申し述べさせていただきたいと思っておるわけでございますが、権限内の事項につきまして労働協約を締結した、この場合についても、もとより労働協約としての効力はあるわけでございます。ただその場合に、あるいは管理運営に関する事項、あるいは権限外の事項というようなものにつきまして、団体交渉を行ないまして、覚書を作ったというような場合に、それが労働協約であるかいなかということにつきましては、これは問題があろうと思います。ただ覚書につきましても、現場におきまして双方の責任者がお互いに話し合って確認したという事項につきましては、これが工合が悪いというようなものについてはもとよりお互いの間でよく話し合って、そうして了解を求めてこれに対処する、これが原則であろうと思います。ただそれを尽くした上で、やむを得ない事情があった場合にはまた問題があろうと思います。いずれにせよ、それらのあまりこまかな問題につきまして、私どもはこの席で見解を申し上げることは、私ども事実の把握が不十分でございますので、差し控えさしていただきたいと思います。
○島本委員 局長の権限内である問題でもやったのじゃないかと思われる点があるのです。というのはベン先一本、これは一週間に二回程度これを取りかえる。公衆からの申し出があれば貯金課長においてこれは処置する、こういうようなこと、ペン先二本を取りかえることさえも怠っておる。だから一週間に三回ペン先を取りかえてくれ、こういうことでも署名捺印している。このペン先二本だけ局長の権限外なんですか、どうですか。
  〔発言する者多し〕
○中野委員長 静粛に願います。
○長田説明員 今のペン先を取りかえる問題なんかについて調印すること自体も、調印すべき事柄かどうかということも一つの問題でございますが、仕事のやり方に直接関連する問題でございまして、はたして調印すべき事柄かどうかということは、私非常に疑問に思っているわけでございますが、実はただいま鳥本先生御指摘のように、何でも判こを押してあるものを片っ端から、普通考えて取り消さなくてもいいようなものまで取り消しているじゃないかという点につきましては、これは一つの背最があるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、三十四年ころから五年ごろにかけまして、すべて局長と話し合う、何でも話し合っていく。話し合うことは、それは団体交渉だ。団体交渉の結果、話がまとまって調印すれば、それが労働協約だ。そういうような流れが、私ども部内の第一線をかなり強く風塵――風塵というとちょっと強過ぎるかもしれませんが、そういう傾向が非常に強くございまして、たとえば議事録確認というような問題がございます。議事録を確認する。双方で話し合ったいきさつを判こを押しただけのものであります。特定郵便局長の任用はどういうふうにやったらいいだろうということについていろいろ要望があった。それから管理者側の方からそれぞれ意見の開陳があった。そういうような過程を議事録確認というようなことがございまして、しばらくたってからそれと少し違った、そのときの話のままでないような運用のいたし方をしましたところが、これは協約違反であるというようなことから、職場大会などもやるというようなことなどがございまして、結局こちらは軽い気持で言っても、判こを押せば全部協約だ、そういう協約なら協約としての拘束力を持たせる、そういうような傾向などがございまして、こちらはもとより協約なんというつもりではない。第一線の管理者が協約というものではないと考えて、また判を押すときには、協約ということでもないような形で持ってこられて、押したら最後、協約だというようなことで、そういうことで現場のトラブルが非常に多うございまして、これが事実上トラブルの原因にもなっているのじゃないかというようなことから、そういう疑問のあるものにつきましては、今後は判を押さないように、それからすでに押してあったもので権限外のこと、管理運営事項のこと、そういうことはこの際いろいろ疑惑もあるから破棄するように、そういう指導もしたわけであります。
○安宅委員 関連して伺いたいと思います。労働大臣に伺いますが、労働組合法第十五条による労働協約の一方的な破棄の問題ですが、今答弁を聞いておりますと、郵政省でやったのは、この精神にのっとった文書で通告した破棄ではなくて、これは労働組合と当局側が交渉してでき上がった協約、協定、こういうものを、これはとてもたえられないから一方的に破棄するということはできるのですが、不当なものだから、団体交渉でこれをきめるものでないからというので、団体交渉の相手方である局長とその支部が結んだものを、上局である郵政省が、一方的にこれを無効の通告ではなくして、破棄の宣言をするということは、法律上認められるものかどうか。この点について労働省の明確な見解をお聞きしたいと思うのであります。
 それからもう一つは、ただいまの答弁の中で重要なことは、団体交渉ではない、いわゆる話し合いあるいは議事録確認、こういう話ですが、団体交渉の範囲内であるか、範囲外であるかということを交渉するのも、これは団体交渉でなければ、これは労働組合と会社並びに当局側が対等にこれを交渉することができないと思うのです。団体交渉の範囲内であるか、範囲外であるかということを、いわゆる話し合うといいますか、交渉することが、団体交渉でないという見解を労働省はとっているのか、この二つを明確に答弁をしてもらいたいと思います。
○堀政府委員 労働協約の変更あるいは破棄というような問題につきましては、仰せのごとく労働組合法第十五条の定めるところに基づいて処理されるべきものであると考えます。それから労働協約でない場合の、たとえば覚書等についてはどういうことになるであろうかというような問題につきましては、これは法律論としてこれを有効、あるいはそれを一方的に破棄したならばその破棄が無効かどうかという点については、これは当事者間の意思、それから現場のいろいろな具体的な事情等に応じまして、その当時の意思解釈の問題であろう、このように考えております。具体的な問題につきましては、資料を持っておりませんので、私どもお答えは差し控えさしていただきたいと思います。
 なお第二点の団体交渉につきまして、これが交渉事項に属するか、あるいは属しないかという点につきまして交渉を行なうという問題につきましても、これはやはり団体交渉である場合もあり、それから事案上の交渉である場合もあろうと思います。
○安宅委員 これはおかしいですよ。めい答弁をされたわけだ。それで私は聞いておるのですが、これは島本さんの質問に関連するのですけれども、団体交渉の範囲外であるか。たとえば労働条件に関する問題で、当局は一方的な意思でもって、これは団体交渉事項でなくて管理運営事項だ。労働指揮権だとか、職場指揮権などといううまい言葉を郵政省はこのごろ発明して、きょうもそのような答弁をしているようでありますが、そういうことであるかどうかということをきめる。きめなければ、協約を結ぶ段階まで至らない。一番先にそこからけんかが始まるのですよ、率直にいって。そしてそれがだんだん煮詰まっていって団体交渉になり、しかも具体的な問題に入って団体交渉をやる、それが協約化していく、こういうふうになるのだと思うのでありますが、団体交渉外であるか内であるかということは団体交渉でやらなければ、それでは何でやるのですか。団体交渉である場合もあり、ない場合もあるという答弁はできないと思う。あなた、おかしな答弁をしないで下さいよ、あなたは本職なんだから。笑われるよ、とんでもないことを言うと。その通りであるかどうかを明確にもう一回答えてもらいたい。
 それからさきの問題は、労働組合法第十条によってやるのは当然である、こういうお話でありますが、私の質問は十五条でやる場合には、これは協約、協定であるという認識の上に立って、期間の定めのないもの、期間のない場合には、一方的にこれを文書で通告する、これによって労働協約は破棄される、こういうことになるのですが、郵政省の今の答弁では、そういうものではなくて、一たん団体交渉権を持っておる労働組合の支部と事業所の所長とが、局長とが協約、協定を結んだのだ、あるいは議事録確認も中に入っておるのですが、協定書として結んだものを、まっこうからこれは団体交渉外だということで、上の方の、なるほどこれも団体交渉権を持っておるところでありますが、そこから破棄ということではなくて、無効の宣言をすることが可能であるかということを聞いているのです。そこのところを答弁してもらいたい。そういう理由で、つまりもう一回説明しますと、これは協約として認めた場合のことしか十五条は書いてないのですよ。これは協約でないからというので、一方的にとんでもない上の方からツルの一声で、これをぼうんと無効宣言をすることができるかどうかということです。
○堀政府委員 先ほど申し上げましたのは、そのときの実情によりまして団体交渉によって先ほど御質問のような点を行なうこともできようし、あるいはそれ以外の場合において事実上話し合うということもあり得ようという意味で申し上げたのでございます。従いましてこれが団体交渉の内容に属するかどうかというようなことは、団体交渉に関する手続の問題でございます。これらにつきましてはもとより団体交渉の対象にすることはできる、こういう意味でございます。
 それから十五条の問題につきましては、これは労働協約として有効に成立しておりますものにつきましては、その効力等につきましては労働組合法の第十五条の定めるところによるわけでございまして、これが労働協約でないというような当事者間の一方の見解によって、これは無効であるというような取り扱いをするというような場合には、これは当事者間の問題になろうと思います。このような場合におきまして、特にただいま例としてあげられました延岡の郵便局の問題は、目下司法事件として裁判中でございます。審理中でございますので、それら公正なる機関によりまして結論が出ることであろう、このように考えております。
○安宅委員 もう一回、最後ですが、労働省のえらいお役人さんに聞きますが、法律上団体交渉でない何かの場というのは、何か法律に書いてありますか。話し合いとかなんとかというのは、法律上の専門用語でもなければ何でもないですよ。労働組合法にもないことなんです。それをやれなどという意味のことをあなたが答弁することは、法律上できないはずなんですね。団体交渉の場合もあるし、それ以外の場合もあるなどということは、法律上何もないことなんです。それだけははっきりして下さい。
○堀政府委員 申し上げましたのは、話し合いの場においてそういうことを話し合うことはできると申し上げたのでございまして、それはもとより法律に規定のないことでございまして、事実上の問題でございます。
○安宅委員 法律上はどうなっている。
○堀政府委員 私が先ほどから申し上げておりますように、団体交渉の手続に関する事項を団体交渉によって行なうことができることは、公労法にも明文がございます。
○島本委員 これは今のようにしてもそういうような問題は団体交渉で解決した方が円満にいくし、労使慣行を健全なものとして樹立するために必要なことなんです。そういうようなことであればいいというのが常識ですよ。今、いろいろな郵政省の立場を思ってか思わざるか知らぬけれども、何かいろいろ想をめぐらしているから、どうも歯切れの悪い答弁になる。郵政大臣、これは重大なことなんですが、まことにこれは常識的であって、われわれはこんなことが行なわれていいのか悪いのかということについてちょっと疑念があるので、これは聞いてみたいのですが、郵政省では各末端の郵便局あたりへ行くと、現金を扱うことが意外に多いわけです。従って、ともすれば犯罪あたりも起きるというようなことについて、われわれは常にその点に留意しなければならないし、善良な管理者はこういうような点を常に意識して、できる限りこれに対する対策を考えておかなければならない、これがわれわれあたりまえの健全な考え方じゃないかと思っているわけです。あたりまえのことでしょう。ところがやっているのかやっていないかわからぬけれども、この廃棄された中に現金を取り扱う人の机にかぎをつけて下さいということに対して、これは結論としてかぎをつけるという局長の回答をやったのを、それを廃棄処分にしているのですよ。これは一体常識から考えてみてもおかしくないですか。これはどういう考えでこういうようなことをやっているのか。これで犯罪を防止するなんというような、このような一つの見地から必要な社会常識を無視したようなやり方をしている、こう言われても差しつかえないでしょう、大臣。こういうようなことをやっているのに対して、大臣の御高見を拝聴したい。
○迫水国務大臣 現金を扱う机にかぎをかけるということは、一体協定をしなければだめなことなのかどうかということと、かぎをつけなくてもいいかどうかということは、別な問題だと思うのです。すなわち、現金を扱うところにか夢を、かけることはやった方がいいのにきまっておりまして、それは何もし組合と団体交渉の結果、協定書ができたからやる、協定書ができなければやらないというような種類の話じゃなくて、それこそ団体交渉事項の問題ではなくて、これは当然管理者として注意すべきことであり、組合の方から、あの机にはかぎがついておりませんが、つけてほしい、つけるべきでないか、それはそうだ、従って管理者がそれをそのまま実行すればいいので、紙に習いて判こを押したから実行する、紙に書いて判こを押さないから実行しない、そういうことではなくて、それは協定という格好をとるのがおかしいと私は思います。従ってこれは廃棄しても、やらないでいいということにはなりませんので、おそらく完全に管理者は、それをかぎをつけているのだろう、もう協定が廃棄になったのだからつけないでいいといってほうっている管理者というものがもしございましたら、その管理者はわれわれの方からむしろ注意をして、そういう管理者はだめなんだ、そういうことを注意するのが管理者なんだろうと私は思います。
○島本委員 きわめて常識的に考えて、現金を扱う人の机のかぎがついていて、その必要がなくなってしまえば、そういうようなものに対しては黙っていても、全部やっているのが常識的なもので、廃棄しなくても了解の上で組合がそうなっているのまでがんばるような、どうしてもなければならないといういうなことは、常識として考えられますかね。こういうような問題が大群なんです。
 それと、この場所は社会労働の委員会なんです。そこへ今労働問題について重大な問題があるから来ていただいたわけなんですが、この中に、大臣にもう一つ伺いたいのですが、これは局長の権限内であって、こういうような点に対してはどういうように考えているのですか、聞きたいと思うのですが、要注意者及び宿明者の超勤命令については、これは超勤命令は行ないませんということをちゃんとやってあるのですね。それを廃棄したということは、要注意者も超勤を全部やらせるのだ、こういうことが衛生管理者がいてやらせているのですか、やらせていないのですか。こういうようなところに衛生管理者はいないのですか。何のためにこういうようなことを破棄しているのですか。この必要性はどうなのです。社会問題ですよ。
○迫水国務大臣 要注意者には超過勤務をやらせるとかやらせないということは、やらせない方がいいと私も思います。しかしそれも協定しなければいけない問題なんでしょうか。協定をしなければ……
  〔「問題はそこなんだよ」と呼び、その他発言する者あり〕
○中野委員長 少し静粛に願います。
○迫水国務大臣 そういうようなことば管理者の何といいますか、職場管理権、職場管理の義務といいますか、権能といいますか、そういうものの内容であって、協定すべき性質のものであるかどうかわからない。ですからこれを見ていくと、何々は廃棄する。ただし第何項と第何項を除くと書いておけば、島本さんの意見にぴったりくるようなところもあるような感じもしますけれども、その条文というところだけを取り上げて、これはどうだ、これはどうだと言っても、おおむねしかしそう今の問題だって、私は協定をしなければならぬ協定事項であるかどうか、あるいは管理者が当然なすべき筋合いのものであって、協定があるからどう、協定がないからどうという問題ではない、こういうような点があるのではないかと思うのです。もし要注意者、からだの悪い人に対して、どんどん超過勤務を長く命ずるような管理者がおりましたら、それは管理者に対して戒師をいたします。
○中野委員長 関連質問を許します。大原君。
○大原委員 関連質問。今の問題にはたくさん問題があると思うのですが、本質的な問題はあとでゆっくり質問をいたしますが、つまり今日ではILOの問題の審議等を通じて、憲法の解釈についてもほとんど常識になっている。当時は憲法を逸脱をして団結権を否認していたから、それで国際的な問題にもなった。この問題は一つゆっくりやるけれども、結局そういう不正常な形になったということは、当時やはり使用者側においても問題があったわけです。そこで分会とか、支部とか、地区とか、それぞれ意思決定機関と執行機関を持って団結権を実際上行使している。そういう団体が憲法あるいは公労法に基づくところの団結権に基づいて団体的な交渉をして、ここに協定を結んでおる。そういう問題が前提としてあって、そして今の問題は、要注意者に対しても超過勤務を命じた実態があったから、そういう協定を協約として結んだのだ。憲法では労働者が一人々々の労働基本権、一人々々が交渉するということでなしに団結権――この団結権に基づいて、そうして生存権や基本人権を保障しよう、こういうのが団結権なんです。だからそういうものに基づいてそういう不正常な状態において、当然持っておる団結権は基本的人権であるから、不可侵のそういう人権を行使したのだ。一方においては先ほど申し上げたように、要注意者に対して超過勤務という業務上の一方的な都合による命令をなすという、そういう例外的な、そういう規定があるのにやっておる事実があったから、そういう協定を結んだのです。二つの問題がここにあると思うのです。そういうものに基づいて協定しているということは、明らかに現実の問題として、労働者側が人権を保持する――病身であるとか、病弱者という要注意者に対して、その人々の人権を保護する、こういう当然の建前から協定を結んでいるわけなんです。それを一方的に破棄するということは、労働基本権、人権の侵害ですよ。だからそういうことをやると労使関係というものが不正常になって、ますます悪循環をするわけです。それぞれ職場の事情によって、当時の実態に応じてなされたことについて、あなた方が破棄しようとする場合には、当然そういう労使間の慣行あるいは法令に基づいてやるわけなんです。それをやらないで、トラック部隊か何か知らないけれども、今話を聞けば、そういう不正常な形で一方的に破棄すれば、労使間の慣行が不正常な形になることは、どんなことがあっても、これははっきりしている問題です。だからそういう問題を一方的に破棄したことは誤っておる、こういう見解は言い得るはずです。大臣、いかがですか。
○長田説明員 ただいまのお話の中の、そういう者に超過勤務をさせないのが当然ではないかという点については、全く仰せの通りでございます。そういう者に超勤を命じないように、内部で健康管理規定ではっきり明示してあったかと私思っております。
 それから第三のそういうことをなぜ破棄するかという問題につきましては、当時の延岡局の実態、それから個々の職員についてのそういう超勤命令をするしないという問題を、それでなくても協約というふうにとられる疑いのある形で調印するということは、適当でないというようなことなどもありまして、ほかのことともあわせて、先ほど申し上げましたような措置をとった次第であります。
○大原委員 あなたの答弁をこういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。あなたは一方的に協定を破棄する際においては、そういう当然のことについては、管理者の立場におけるそういう規定を作ったのかどうか。あるいは就業規則とかそういう形において、そういう当然のことやあるいは協定に結んだ当然の既得権は保護する接置をとった上で破棄した、こういう措置をしている、こういうあなたの答弁ですか。
○長田説明員 一方ではそういう事実上の保護はなされていると考えております。それから同時に、破棄した理由は、一方で保護した措置がとられているから破棄したということでなくて、その事柄自身が、だれに超勤を命じ、だれに超勤を命じないという問題は、労働協約といわれる疑いのあるような形で調印すべき事柄ではないというふうに考えたわけでございます。
○大原委員 その当時はそこには三六協定はあったのですか。
○長田説明員 三六協定は、延岡局あたりは結ばない期間もずいぶんございまして、その時点でどうであったかということは、私今はっきりしておりませんけれども、しかし三六協定があり、あるいは超勤があり得るという前提のもとに、やはりそういうようなことはあったろうとは考えております。
○大原委員 超過勤務というのは、あとで労働大臣にもお尋ねしますが、四十八時間労働制というようなことは、今日四十時間労働制が問題になっているが、これは原則として禁止してあるのです。ましてや病弱者に対して、どういう形であれ、団体協約の形で保障するということは当然のことなんです。だからそういう点について、今までの事実に基づいて――そういう事実がなければ協約が生まれない。事実に基づいて協約を結んである。従って、それに対して正当なる保護措置もしないで、あなたは超過勤務は一方的に職権に基づいてやるのだと言うけれども、団体協約というものはどういうものを変更するのです。団体間の協約というものは、あなたの管理上の問題を変更するのです。それが団体協約なのです。これは当然三六協定の精神からといっても、三六協定があるなしにかかわらずです。超勤手当の問題について病弱者を否定して、三六協定があった上にさらに除外してあるかどうか別にいたしまして、そういうことは当然じゃないですか。そんなことは職務命令から一方的にできないですよ。協定があったならばそれはできないですよ。当然じゃないですか。労働基準法は労働者を保護する最低基準です。その原則で禁止しておる問題について、あなたの一方的にできないです。特に協定があった場合に一方的に破棄するということは、これは労働法の精神や憲法に違反している。あなた、答弁してごらんなさい。
○長田説明員 ただいまの事柄は、労働協約事項ではないのではないかというふうに感じております。それから特に延岡郵便局長が、個々の第一線の局長が、健康管理者について超勤をさせるとかさせないとか、そういうようなことを左右し得る立場に私ども置いておらなかったというふうに考えております。
○大原委員 この点は、あとでむだな時間をとってもいけないから申し上げておくのだが、三六協定は労働者の団体と使用者の側との協定です。これは団体協約の一種です。これは学説にしたって何にしたってそうです。労働者側が団体として意思表示するということは、労使対等の原則に立って意思表示をするということだ。団結権を保障したのはそういうことだ。これは基本的人権だ。そういうことで協定を結んだ場合に超過勤務ができるということは、団体として表示した意思の問題については、これはその意思に基づいて規制を受けるということなんだ。あなたは、私が長い間説明したって、一方的な理由も付さないような、憲法や法律上の根拠のないような問題について一方的に否定した答弁をしている。私の質問はその理由を言いなさいと言うのです。
○長田説明員 三六協定を結んでいる事業場につきまして、個々の人についてどういうふうにあれするかという問題も、本部・本省間に一つの協約がございます。それについての超勤をできないと考える人、あるいはしたくないと考える人が、それぞれそういう手続によってやるという形になっているわけでございます。今の要注意者の問題については、先ほど申し上げましたように、そういうことを現場の局長に禁止といいますか、させないような措置ももちろんとっておりますし、またそういうことにつきましては、そういう個々の人、だれについては超勤をさせ、だれについては超勤をさせないというような形の労働協約、そういうものはやはり私どもは結ばせる事柄ではないのじゃないかというふうに考えたわけでございます。
○中野委員長 大原君、関連事項をもう少し短くして下さい。
○大原委員 あとに問題を残しておくから、もう一回でいいですが、あなたの答弁はちぐはぐなんですよ。私は初めから言っているように、当時の労使関係は不正常な関係にあった。その理由についてはあとで論議しようと、こう言うのです。そのどちらが正しいかということについては、今日国際的な判断や批判の中において、あるいは憲法解釈において、おのずから規定しておる。だからそういう状況において労働者は団結権を憲法で保障されて、登録をしようがすまいが、当局が認めようが認めまいが、団体交渉をする権利があるのです。それは実際上の職場慣行の上からもあるわけです。そういうものに基づいて協定をしておるのに、協定した問題について一方的に破棄するということは、あなたの答弁を聞いていると全く支離滅裂だ。職権でできるがごとく、あるいはできないがごとく、当時の状況がこうであったから、あるいはそういうような要注意者に対しては超勤を命令しなかった、しないのが当然であるとか、そういう希望とかなんとかを、いろいろな問題をくっつけてあなたはいろいろ答弁をしておられますけれども、明らかにそういうことは人権に関する問題であるから、たといささいな問題であっても、病弱者に対して一方的に超勤をしなければならぬという圧迫感や拘束感を与えること自体が、自由なる雰囲気を阻害するのです。あなたの答弁については全然納得できない。これは私はあとへ問題を残しておきます。
○五島委員 関連して。島本君の質問の、労働協約の内容であるかどうか、これを一方的に破棄するのはけしからぬじゃないかというようなことに対して、郵政大臣は、ペン先やあるいは衛生の問題や、そういう問題が大体団体交渉の問題になるのかどうかということがおかしいというような答弁があったのですけれども、しからば逆に質問すれば、どういうことを団体交渉したらいいのですか。今大原委員から言われたように、ほんとうに実施されないからこそ、交渉という問題が出てきます。私は至って穏和に質問をするわけですけれども、答弁をはっきりしてもらわなければ困るのです。そこで「新しい管理者」の方針に基づいて、十項目にわたるところのいわゆる覚書とかあるいは協約とかいうものを、一束にして一方的に破棄された。その理由を読んでみると、大体どんなことですか。法令に違反する。法令に違反しちゃいけませんね。「法令、就業規則に違反し、管理運営事項権限外にわたる事項でありますので、上局の支持によりさきに口頭で破棄通告しておきましたが、本日ここにこれらの慣行を破棄することを通併します。」これがいわゆる一方的破棄ということになります。大体時の情勢というようなことは、労働組合の誹謗する言葉であると思うのです。労働組合のかつての行動が悪くて、悪いとき申し合わされた覚書であり、それに印をつかされたから、一方的に破棄するというようなことには、立証が要るだろうと思うのです。しかも就業規則の違反であるということで、労使間の申し合わせを破棄できますか。私はできないと思うのです。この点は、基準法の何条ですか、とにかく基準法で、就業規則を使用者は出さなければならぬ。その場合は労働者の過半数とあったら過半数の同意を得なければならない。しかしその場合、法律と労働協約の関係によれば、労働協約、すなわち使用者と労働組合の双方の集団交渉によって決定した事項は、就業規則によって変更はできないと私は法上の解釈をするわけです。そうすると、就業規則がもしも労働協約あるいは覚書等々にそごをした場合は、就業規則をこそ変更しなければならないと私は思うのです。その意見について郵政大臣あるいは長田さん、そして労働大臣の見解はいかがですか。こういう問題で一方的に破棄できますか。
○長田説明員 延岡郵便局におきまして去年の八月にああいう行動に出ました背景は、一つは郵便物の滞留が非常に激しいというような世論の非難も相当浴びておって、こちらとしては一刻も早く解消しなければならなかった。いろいろな施設もやって参りましたが、この中の破棄いたしました幾つかの内容も相当これに関連している、そういう背景でいたしたわけでございます。なおその破棄した内容が労働協約であるならば、就業規則よりも優先すべきであるというような点は、お説の通りでございますが、私ども、破棄いたしました内容が労働協約ではなかったのではないか、そういうふうに考えている次第でございます。
○島本委員 労働協約でなかったのじゃないか、こういうようにあなたはまた今繰り返して、前にいろいろ言ったことを忘れてしまっているが、私さっき言ったことを労働省で認めているのだ。団体交渉事項を制限することなんかよりも、これは権限外の事項の要求があったら、権限ある上司にそういうようなものは当然上達している義務が管理者にあるのだ。こういうようなことのために、お互いにそこに記名調印または署名捺印しているのです。そういうようなことを一方的にやるのはいけないと言っているのでしょう。それはいけないことに相違ないですよ。あなた幾ら言ったって、そういうことをやるのは当然の義務で、方法は何ぼでもある。あなたは自分の考えばかり正しいと思って、人の言うことを聞いていないと困ります。労働省ではそういうように言っているじゃないですか。どうなんです。
  〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕
○長田説明員 即日破棄という形が妥当かどうか、こちらが労働協約と考えていなかった場合にもそういう形が妥当かどうかという点については、いろいろな御批判は受けることになるかと思います。私ども当時の延岡郵便局の実態としまして、そうした方がよかったと考えていたしたわけでございますが、これについては、一般的に考えてそういう道が最善であったかどうかという点については、いろいろあったかと思ます。
○五島委員 私は延岡郵便局を例にとったけれども、全国の労働者の権利を守る上において、こういう措置がいいのかどうかということを私は問題にしているわけです。話し合うのです。そうして何月何日には話し合いましょう。たとえば洋服をかけるところのハンガーの問題とか、ペン先はどうも自分で買わなければならないのはおかしい。それが理屈に合うか合わぬかは別にして、ペン先は一週間に二本は要るだろう、あるいは一本は要るだろう、それを支給されないから自分で買わなければならぬ、こういうようなものを自分の月給からすり減らすことはおかしいじゃないかと、思うことがいいとか悪いとかいうことは別問題として、話し合いはできたろう。話し合いができて約束されたら、これは約束事項です。約束をしたのは労使協調の立場から、その職場の発展の上から、約束事項として守らなければならぬのだろうというのです。守らなければならないことを一方的に破棄するのはおかしいだろう、そういうことが労働協約であったりあるいは約束事であったら、これは団体交渉において行なうことであって、組合の委員長、支部長が一人行って約束してきて印つけと言って、印つくものじゃないと思う。そういう場合、そういうことがすなわち覚書になったり何かするのであって、一人で行って覚書といって局長が印つくのならば、よほどばかな局長じゃないかと思うのです。それも議事録を見てみると、局長以下管理者がたくさん出ていて、組合の支部長以下幹部が出ていて、そうして文書を取りかわしてそれに印をついた。これが団体交渉でないといって、どこが団体交渉じゃないのですか。団体交渉というのはあくまで取引です。取引を約束したら、その通りに誠心誠意をもって守り合うのが、団体協約あるいは契約の――基準法では契約と表現している。労組法では協約と書いてあります。しかしそれは取りきめであり、憲法であるのです。労使双方うまくいくようにこれを憲法として取りきめるのです。あるいはそれらの約束事はお互いに誠心誠意をもって守らなければならぬということは、第一号の冒頭に書いてあるわけです。そしてその通りに管理者も組合もお互いにやってきたと思うのです。申し合わせ、取りきめによって労使の秩序が立ってきたならば、これに越したことはないじゃないですか。そういうことを、こんなことは約束事だとか、覚書には必要でないですよと言うならば、一体労働組合は何をもって労働条件の維持をしたり、あるいは向上をしたらいいと郵政大臣は考えられるのか。これは労働省の行政とかなんとかに対して、日ごろ労働者の権利問題とかなんとか重点に考える社会労働委員会では、ちょっと法の理解に苦しむわけです。従って、労働基準法もありましょう。労働基準法に対するところのいずれが優先なりやということが問題です。破棄の理由には、就業規則に違反しているからということが、三つの柱の一本になっていることは重大問題で、こういうことが許されるならば、日本の労働者は労働協約によって安心して使用者と協調することができません。そこに労使間の問題が生ずる。問題が生じたら二万三千人も一万八千人も首切るでしょう。労働者は何をもって守られますか。労働大臣、どうですか。私の聞くことについて、一般の労働者に対してこういうことが妥当、普遍だというならば大へんなことだ。この点について労働大臣、あるいは局長でもいいです。
○堀政府委員 お答えいたします。労使間の問題は相互信頼、話し合いの精神の上に立って行なわれるものであることは、お説の通りでございます。従いまして法律上の問題はいろいろあると思います。そのきめましたことが労働協約なりやいなや、労働協約として有効なりやいなや、こういう点についていろいろ問題がございます。これらの点はやはりその場合のいろいろな歩実判断の上に立って、解釈されなければならない問題であろうと思います。いずれにしましても、そういう話し合いいたしましたものについては、なるべく話し合って、それから必要があれば変えていく、これは当然のことだろうと思います。話し合いをいたしまして、しかもどうしても話し合いがつかないという場合に、これを変更することがあるという場合もございましょうが、原則としては話し合っていくということはお説の通りでございます。(「就業規則はどうだ」と呼ぶ者あり)就業規則と労働協約は、これは労働基準法ではっきり書いてありまするように、労働協約が優先いたします。
○長田説明員 お答え申し上げます。ただいまのお話の中の労使の接触の点でございますが、お話の通り支部長とかあるいは役員とかそういう者と、第一線の郵便局の管理者とのごく少数の人たちの接触もございますし、あるいは正式の団体交渉というような場面もございますし、あるいはメンバーとしては団体交渉をやるときと全く同じようなことで、いろいろ意思の疎通をし合うというような点等、いろいろなやり方があるわけでございます。そういういろいろな形で意思の疎通をし合うということは、もとより非常に望ましいことでございまして、私どもの方も極力そういう形での意思疎通をはかるように指導しているわけでございますが、その場合に調印がなされまして、組合側の当時の意向、ことに延岡郵便局あたりにつきましては、調印をしたものはすべて労働協約だというような形で参る。それで一たん調印したものは労働協約としての拘束力を持つのだ、そういうような形が非常に前面に出て参りました。私どもの考え方からしますと、これは労働協約の内容になるのになじまないと思われるものについて、調印をいたしますことは……。
  〔発言する者あり〕
○澁谷委員長代理 静粛に願います。
○長田説明員 これが労働協約だと組合側は言う、こちらが労働協約でないと思っていましても、判をついたりいたしますと労働協約という形になる。そういうことが非常に紛争のもとになったりしてもおりますし、また延岡郵便局では郵便の遅配のもとになったりしている。そういうことからいたしまして、私どもの方で労働協約の内容ではないと考えられるものについて、先ほど申し上げましたような措置をとったわけでございます。一般的に申しまして、意思の疎通をはかり、また局長としてこういうことをやると言いましたことは、これはもう調印の有無にかかわらず、その通りに実現するようにして参らなければならないことは、もう当然かと考えております。
○島本委員 この問題については、まことに重大な要素を持っている。あなたが知らぬうちにそんなふうな答弁をしておりますが、だれも話し合いできまったもの、団体交渉の事項としてきまったものであるから、団体交渉なんだからやれとだれも言ってない。きまったものに対しては、それぞれ友愛と信義によって信じ合ってこれをやって、運行の円満を期したらどうだという根底に立って話し合っているのでしょう。どうしてそういう三百代言的なことを言って逃げるのでしょう。そういうことだからトラック部隊なんか出して、結果的にこういうような社労の委員まで出してきて、そうして今も郵政大臣にここでたばこを十本も吸わせるような格好になっている。それは全部あなた方の責任なんです。もう少し皆さん方の方は、今後は労働問題について、ここに優秀なる労働大臣もおるし、そこにもりっぱな労政局長もおることだから、トラック部隊を出す前に、運転手をどこからどうして雇っているか、労働省へ行って相談してごらんなさい。こういう暴走するようなトラックというか、ダンプカーというか、わからないような、こういうものを出すから問題が起きる。これも今後少し考えなさい。そうでないとだめです。大臣、遠慮なしにたばこを吸ってもいいのですよ。これは先ほど言ったあなたの答弁の中で、こういうようなことは常識であるからやらなくてもいい、かぎやペン先の問題であるからそれはやらなくてもいいのだ、こういうようなことなんです。それはだれしもわかる。おそらくはやらなかったからそれをやったのだ、こういうような考え方もあるだろうし、無理に、やることを先にやっておいて、今後どうにもできないようにやるためにそれをやったのだという考え方もあるでしょう。しかしこれは郵便局でしょう。郵便局は、現在の場合には自転車置場の設置ということは、これは重大な一つの義務でしょう。自動車置場の設置でさえもまだやってないから、早く自動車置場を設置してくれ、これを結論として文書で上申して督促したが、さらに局長が熊本へ出張の際にこれを具申しておいた。また近日庶務会計課長会議があるので、これを実現するように交渉いたしましょうということが議事録に載っておる。これをやってくれない。了解をしておるのです。なぜこれを廃棄する必要があるのですか。一体どういうことなんですか。おかしいでしょう。それを一つ一つやってもなんですから、時間の関係上、これ一つ覚えておいて下さい。これははっきり答弁して下さい。そのほかにまだある。もう一つおまけに言っておきましょう。これは郵袋の重量制限の問題も交渉しています。この郵袋の重量制限の問題は、あなた、どう思います。これに対して組合側も多少のはみ出しを認めてもういたいが、極力厳守することにしましょうというのです。これを認めることでも、組合側は重大な、これはもう何というのですか、譲歩ですよ。口を締めて歩くことになっておる。締めなくてもこうやってしょって歩いてもいいから認めましょう。それをも廃棄してしまって、一体どういうことをするつもりでやったのだ。この二つだけは具体的に言って下さい。
○迫水国務大臣 そういうことをお互に了解して、議事録に載っておるのですか。私はそれを見ておりませんけれども、議事録ですか。
○島本委員 これは議事録と、確認事項としてやっておる確認書もある。
○迫水国務大臣 それは労働協約じゃない。労働協約じゃなくて、そういうものはお互いに話し合いといいますか、そういうことでやるべきものであって、またそういうことは労使間の労働協約としてやるべき内容にはならないのだ。それを判こを押していると、労働協約だと何でも言われるから、そこで労働協約じゃないということをはっきりさせるために、廃棄したのではないかと思うのです。内容は、私はもし間違えたら取り消しますが、内容は私は別にそれを取り消したからやらなくなるということではないと思うのです。取り消したから、内容はやらなくなるということではないと思います。
○島本委員 これは、当然こういうものをやるべきことをやらないのは、管理者としてどこかにこの点の疎漏があるか、怠慢があるのです。野ざらしにして自転車やオートバイを置いてもいいという管理者がどこにおりますか。もしそうだとしたら、それは不適格な管理者です。従ってこれはうまくないからと言って、組合は協力し合ってこの問題については話し合いをしてやっていくのを認める。将来永久に全部自転車置場にしてしまうなんという非常識なことは考えません。一カ所あればいい。それもりっぱな設備があれば私はいいと思う。それをやることに話がついて、今すぐやるのじゃないが、実現するように交渉するということまで確認している。交渉することを確認している。それならいいでしょう。どこに廃棄する理由があるのですか。同時に、これははっきりと確認されてある。これはこういうようなことがないことによっておそらくは労働条件に相当影響もしてくるでしょう。こういうようなことを確認し合っているものを、なぜ勝手に廃棄処分してもいいということになるのかということが問題なんです。これははっきりしているのです。これは労働協約事項ですよ。
○迫水国務大臣 私は内容それ自身を否認しているのではないと思うのです。確認書という物件が存在する、判こを押した物件が存在する、その物件を廃棄する、こういうことではないかと思うのです。確認書という物件あるいは協定書という物件、その物件を廃棄する……。
○島本委員 むしろこれは大臣にばかり質問するのは気の毒ですから、わかっている人、言って下さい。これはほんとうに十分やってしまって必要のないことだから、一方的に廃棄してしまったのですか。
○長田説明員 私はその点は、調印ということが組合側からも強く要望されたという点は、お説のようにやっていないから、非常に強い要望になって迫られたということではなくて、むしろ当時いろいろな問題について管管理者を攻め立てると言うと、ちょっと言葉が適当ではございませんが、管理者に迫って判こを押させる、これでおれの局はもう一つとったという、いわば団交権回復闘争という過程でそういう動きが相当あった。延岡あたりで非常にたくさんそういうことがあった。そこで私どもの方としましては、団交事項だと考えられないようなことが、みんなそういう形で判こを押したら団交だということになるし、判こはなるべくつくなという形になる。あるいは判こをついたものの中で適当でないものは破棄しろという形になる。大臣が先ほどお答え申し上げましたように、内容の当否というよりも、そういう判こをとる闘争というものを熾烈にやる。それをなるべく防ごうといいますか、避けようとする、そういうことが実は延岡の局につきましてはかなり中心の問題になっていた、そういうふうに考えているわけであります。
○島本委員 判を押すことが、どうして郵政省の業務の品位を失墜するほど重大なる悪影響を与える事態なんですか。また判を押すことによって円満に業務が運行されることは、これはなおいいのじゃないかと思うのですが、判を押して、それによって決定的な面目失墜になるのですか。さほどまで目鯨立ててまでも廃棄しなければならないような重大な使命が、この判一つの中にあるのですか。問題は実施はどうなんだということも言ってあるのですが、先に実施してしまって、たった一つくらいの自転車の置き場、こういうようなものを完全にしてやって、管理者側としても、私どもはこれによってはっきり善良なる管理者としての責任を果たしました、組合さん、協力してもらってありがとうございました、こういうことになって、そこで円満な状態になるのです。にもかかわらず、判を押すのがいけないから、具体的にこれは判を押さないから、すぐやったのですか、やらないのですか。これはどうなんです。
○長田説明員 実は私その中の一つ一つの問題について、以前がどうであり、その後どうなったかということまでは詳しくお答えすることはできませんが、ただ延岡の郵便局につきましては、実はそれの郵便の業務も相当混乱したというようなことなどもありまして、聞くところによりますと、定員もほかの局よりも相当多くつぎ込んでいる。熊本郵政樹としましてはかなり重点的にいろいろな措置をとるけれども、どうしても郵便の遅配が直らない。そういうような状態で調べてみますと、幾つかこういうことがある。こういうようないろいろなことについて、すべて調印を要求するようなことは、業務を円滑にするということよりも――これは私どもの方の見方でございますからあれでございますけれども、いわば闘争的雰囲的が非常に盛り上がり、闘争の手段としてこれが使われ、その結果がこういうことに現われたと率直に申して見ざるを得ないような実態があるのではないか、そういうふうに考えております。従いましてこういう措置もとらざるを得なかったし、またそればかりが原因ではございませんけれども、現在におきましては、郵便の遅配も延岡の局では起こっているわけでございます。
○島本委員 郵袋の問題はどうですか。
○長田説明員 郵袋の問題について、非常に超過したものが多かったかどうかという点は、先ほど申し上げました幾つかの中で私詳しく存じておりません。ただ総体として先ほど定員につきましても、熊本郵政局は、ほかの局からかなり目立つぐらい重点的な配置その他をしたということは聞いておりますが、一つ一つのことばよく存じません。
○島本委員 どうも皆さんの方では、十分この点調べられておらないようです。調べられておらないのを、ここでわかったふりをして言っていても、また問題になってくるでしょう。しかし事実として残ったのは、一方的に廃棄した事実が残った。廃棄したのはどなたですか。
○長田説明員 延岡郵便局長が廃棄したことになっておりますが、これは熊本郵政局、さらには本省の方の意向などもありまして、そういう措置をとって参っております。
  〔澁谷委員長代理退席、委員長着席〕
○島本委員 そうすると、今まで全部調印しておるのは延岡郵便局長なんです。今度延岡郵便局でまた局長が廃棄してしまった。これは善良なる管理者として資格は十分なんでございますか。これはどうも私どもはわからない。今までそういうような必要のないものであるならば、それはもう調印をしないのが常識なんです。それをやっておいて、なおかつそれを自分が廃棄してしまった。これはどういうわけなんですか。
○長田説明員 調印しましたときの郵便局長と廃棄しましたときの郵便局長は、たしかかわっておったかと思っております。
○島本委員 こういうふうにして、局長は両方とも権限があるはずですが、この権限のある局長が一方では結び、一方では廃棄しておる、こういうようなことで問題を起こしておるわけです。しかしこれは当然一つの労働協約に準拠したところの団体交渉の確認事項であり、また話し合いの事項であり、またはいろいろな点で双方ともにこれを認め合った記名調印であるはずなんです。局長がただ黙って、来てそのまま廃棄してしまうなんということは、ちょっと許されないことなんです。同じ権限がある人が、きのうときょうとそうまで態度が変わるような状態は、われわれとして当然何かあったのじゃないかと思うのです。これは何もないのに、局長が勝手にそれをやったのですか。何かその前後に重大な事情の変化などがあったのですか。この点明確にしておいてもらいたい。
○長田説明員 これは直接のきっかけとしましては、延岡郵便局での業務の状態が直接のきっかけでございます。
○島本委員 しかしそういうような状態だとすると、それを延岡郵便局にどこかがやらしたのですか。それとも自発的に局長がやったのですか。
○長田説明員 熊本郵政局、熊本郵政監察局などが、郵便の遅配の実態を調査いたしました結果、幾つかの実例がある。そういうような事柄が直接の原因であると考えております。
○島本委員 そうすると、局長がかわるまでの状態は、熊本郵政局長は全然知らなかったのですか。知っておって局長をかえてやったのですか。その辺何か――同じ局長であるならば、権限のもとに指導や何かも一本化したものでできるのじゃないかと思うのですが、これは何か局長の権限によって一方では変わり、一方では何かそうでないような変な印象を受けますが、この点どういうふうなことなんですか。
○長田説明員 郵便の遅配の問題が一昨年あたりからかなり大きな問題となりまして、郵政省としてもこれは何とかしなければということで、相当力を入れてやっております。熊本郵政局、郵政監察局などにおきましても、そういう点に力を入れて、方々の実態調査をやって、その上でこういうことになったわけであります。
○中野委員長 ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
○中野委員長 速記を始めて下さい。
 島本君、継続を願います。
○島本委員 少し具体的な問題で、これは労働大臣に聞いても、おそらく労働大臣は事務的にわたったり、高邁なる見解を表明するために労政局長に言わせたりしていたものですから、少しこういう点、そういうような印象を受けたかもしれませんが、これは団体交渉から始めて重大な問題なんです。だから委員長においてもそういう点を十分お考えおきを願いたいと思います。
 それでは急ぎますが、労働大臣、これは現在の状態で私どもいろいろ基準法の関係条項等によっても、女子の生理休暇は請求があったならばやらなければならないということになっておると了解しておるのですが、これはいかがなものですか。
○福永国務大臣 基準法六十七条に「使用者は、生理日の就労が著しく困難な女子又は生理に有害な業務に従事する女子が生理休暇を請求したときは、その者を就業させてはならない。」こういう規定になっております。
○島本委員 はっきり今のような答弁があったわけです。しかし現在われわれがいろいろ知ったところによりますと、いわゆる治安対策本部なるもの、トラック部隊なるもの、こういうようものがきょうどこにいるかわからない、ただ単に連絡、調査機関であるという報告を受けましたが、こういうような機関が行って、ある場所においては当然生理日で休んでいる人に出勤を命令し、出てきてその事情を聞き、そのあとでいろいろな事態があって、また帰した例があるのです。これは完全に労働基準法違反ではないかと思うのですが、こういう事態があった場合には、労働大臣、これは完全に違反ですか。
○福永国務大臣 そういう具体的の事例について私はつまびらかにいたしておりませんが、呼んで聞くというのも、女の子はことさらに生理日であるということを強調することをちゅうちょする人もあって、私、実際工場経営等をいたした経験等からいたしまして、聞いてみなければよくわからぬというような人も中にはあるのでございます。従って今お話のありましたようなことにつきましも、無理解なるがゆえにそういうことがあったということではなくて、むしろそういうことに気をつけていてなにがあったということもないとは言えないと思うのであります。いずれにいたしましても、先刻申し上げました法律の精神に沿った措置が必要であると考えております。
○島本委員 沿った措置が必要だということは、これは具体的にはっきりしておるわけだし、六十七条にもはっきりうたっております。現に行って、その人がそれを訴えたら連れてきて出勤させたのです。出勤させたしで、その苦痛に耐えかねてもう一回言ったら、それなら帰ろうと言って帰したのです。これは明らかなんです。こういうようなことに対しても、大臣、わかりませんか。これは具体的な例で、これならはっきりわかるでしょう。こういうようなことをトラック部隊なるものがやっていたのです。そのトラック部隊なるものが、同じように時計を持っていって、一人々々のうしろについていて、便所へ行く時間をはかったり、作業時間をはかったり、どこへ行ったならばすぐそのあとへついて行ったりしているのです。これは明らかに強制労働じゃないかと思われるのですが、こういうようなやり方に対して、労働大臣、これは大いに賞賛すべきことですか、こういうようなことはあってはならないことですか。こういうことがあった事案に対して、労働省ではどのように対処するつもりですか。
○福永国務大臣 島本さんが言われるトラック部隊の実情については、私必ずしも十分に認識いたしておりませんが、その島本さんのおっしゃる御表現は、ある程度私にこういう方向へ答弁させようというようなつもりで言っていらっしゃるところもあろうかと思うのです。その高本さんの表現されるのをそのまま受けますと、やはり先ほど私が申しました原則的な考え方に沿った措置が行なわれることが望ましい、こういうように考えます。ただ具体的に問題になっておりまする事情があなたを信用しないというわけではございませんけれども、おっしゃるままであるかどうかというようなことについては、いろいろ微妙なところがあろうかと思います。従ってその具体的ななにが労働大臣と島本さんの質疑応答ではっきりしてしまったのであるというようなことになりますと、またあとで若干郵政大臣に御迷惑をかけるようなことにもなりましょうが、おっしゃる通りでございまするならばそういうことであります、こういうことで御了承いただきたいと思います。
○島本委員 それでは次に質問する人もたくさんいるようですから、これで皆さんにはっきり申し上げてやめたいと思うのです。この生理休暇の点なんか、いわゆるトラック部隊なるものは違反を犯して郵便の正常化をやらせようとして、一方的に労働者の方だけにしわ寄せをしておった事実は明白なんです。それはむしろ管理者側の方、また省自身もその対策を十分考えて、適切なる方法を樹立する必要があったにかかわらず、ここが悪いといってそこへ盛んにトラック部隊なるものを馳駆した。しかしながら物がふえているのは事実だ。それによっていろいろな条件が解決されていないのも事実なんです。そういう中で労働者を幾らいじめたって、結局は違反事項しか出てこない。それが現在の状態です。こういうようにして、あらゆる場合に、あるいは人権擁護委員会、あるいは関係のそういう機関に、こういうような点を提訴されているような実態なんです。こういうようなことはまことに望ましくない。私どもの方としてもこれはもう十分聞いて、労働省の意見も、私あなたを誘導するわけじゃないけれども、あたりまえのことしか言わないのだから、あなたもそれしか言えない。これは郵政官僚の皆さんも十分聞いておかなければなならい。この不当処分の問題でもわれわれはまだまだあるのですが、ほかの人が言われるならば関連で言わせてもらって、私は一応これで打ち切りますが、しかしやはり皆さんの方でもよく考えて――大臣たってこの席を早く出ていって、熊本でも鹿児島でも、飛びたいでしょうから、こういうような問題は早く解決して上げなさい。それがおそらく皆さんの立場です。これで一生懸命にやる場合には、もっともっと強化する場合には、今後は、おそらく社会労働委員会に、逓信委員会に、あらゆる点でくぎづけになるというおそれがあるから、皆さんも十分考えておいてもらいたい。そして、こういうような問題を再び起こさないようにし、トラック部隊なるものは再びやらないようにしなければならない。私はこれを心から要請して、私だけの質問は終わります。
○中野委員長 田邊誠君。
○田邊(誠)委員 いろいろな問題が具体的に出ておりますので、私は概括的に労使関係の正常化を期したいという立場から、労働大臣が一緒におられる状態の中で、法的立場というものを明らかにしていくということと、現状はそれに適合しておるかどうかということを中心として、ごく簡明に質問をいたしたいと思います。
 実は、先般来私は郵政大臣に対して、郵政事業の円滑な運営というのは、人的要素が多い。従業員の協力を求めることが必要だということを申し上げ、大臣も了解をされてきたわけであります。ところがそれが一たび労使関係ということになりますと、なかなかこれが円滑に行なわれてないということが、現在実は論議の中心となっておるのでありますけれども、過去の例はいずれにいたしましても、つい最近の、昨年の年末の、いわゆる増員問題を中心として折衝が行なわれ、そして郵便物の遅配解消ということが世論の大きな問題になったのでありますけれども、最終的には各方面からの協力もありまして、十二月十五日に妥結になりました。そこで大臣にお伺いします。増員の問題やら、あるいはその他の諸要求が組合から出ましたけれども、十二月十日過ぎになりましてだんだんまとまってきた。しかしどうしてもまとまらなかったものが一つあるのですね。これが一番最後に残ったのですが、これは何でしたか。
○迫水国務大臣 職場における一方的指揮権の排除というテーマだったと思います。
○田邊(誠)委員 今お話しになりました労働指揮権の問題が、他の要求が大体話し合い交渉によって結論を得たにもかかわらず、なかなか結論が出ないために、非常に長引いたということであります。しかし最終的にはこの問題も含めて交渉妥結をされたということでありますけれども、その際に、労働指揮権の問題については、三つばかりの条項を確認しておるようであります。簡単ですから、ちょっと人事部長読んで下さい。
○長田説明員 「一、双方はお互いの立場を尊重し、労使相互の信頼の上に立ち、労使関係を一そう正常化するために努力する。一、労使双方とも、従来の経緯を反省し、相互に行き過ぎないよう、十分の注意をする。一、労働協約の解釈についての紛争の処理に関しては、今後十分な継続話し合いを行なう。」そういうことであります。
○田邊(誠)委員 そこで、一項、二項と前段がありますけれども、いわば具体的には労働協約の問題について今後話し合いを行なうということですが、その後何回話し合いが行なわれておりますか。
○長田説明員 いろいろな賃金問題その他で相当団体交渉あるいはその他の話し合いをやっておりますが、この問題については、特にこの問題だけについて取り上げて話し合いをやったということはまだございません。しかしながら、こういう話し合いがなされたという雰囲気は、年が明けてからの労使関係では、私はいろいろな方面に現われているのではないかという感じは持っております。
○田邊(誠)委員 従って、具体的な話し合いはしておらないということでございますね。そこが問題ですよ。今まで島本君やその他の方々が問題にしておったのは、これは職場を初めとした郵政の全体的な専業の運営の中でもって、労使の円滑な慣行を作り上げる、労働協約の解釈のいろいろな違いがあることを統一しようというのであります。これを年末でもって実は妥結の最終の条件にした。にもかかわらず、三カ月になんなんとする今日において、たとい組合の方から具体的な問題が出ておらないにいたしましても、官は誠意を持って、この年末闘争の妥結の問題の最後の焦点だったところの、労働協約の解釈の問題をめぐる統一的な問題に対して、当然話し合いをすべきがあなた方の責任でしょう。なぜそれをしてないのですか。
○長田説明員 この三つの項目につきましては、それぞれ今後の労使双方の持つべき心がまえとか、あるいは労使関係についてのやり方というものを書いたというふうに私考えておりますので、特にその問題について、あれはどうこれはどうということよりも、年が明けてからのそれ以後の労使双方の行動をこういう気持でやるということが眼目になっているような感じがいたします。及ばずながらそういう心組みでいろいろな面についてはやっているつもりでございます。
○田邊(誠)委員 それではなぜあなた方は年末闘焼の最後のほかの問題を解決しても、それに固執をされて最終の妥結を長引かすという結果になったのですか。ですから私どもは、そういう雰囲気を作ることもよろしい。しかし具体的な問題として現場の協約締結の問題をめぐり、一方的破棄の問題をめぐり、いろいろと解釈の違いがある。これをどうやって解決点に持っていくかということが、残された非常に重大な問題だろうと私は思うのです。これを具体的にやってないということは、いかように強弁されても、これに対するあなた方の熱意がないということをみずから証明するものだろうと私は思うのですけれども、これは一つさっそくこの問題に対して具体的に組合と話し合う用意がありますか。
○長田説明員 一そうそういう心組みでやるつもりでおりますが、なお組合について、こういう年末の申し合わせ三点、これについては話し合いをすることについて組合側に意思表示しても、それはもちろんけっこうかと思っております。
○田邊(誠)委員 ですから、雰囲気じゃないですよ。労働協約の解釈をめぐる紛争処理に関してでしょう。そう書いてありましょう。具体的にやって下さい。それは一つあなたの方から意思表示をして、組合に案々提示するなり、あなた方の具体的な意見を述べるなり、そういう用意はけっこうですけれども、それをやることは私は当然の責任だと思いますけれども、その点よろしゅうございますな。
○長田説明員 心組みとして、先ほど申しました通りでございますし、具体的に言って、どういうやり方で組合側に呼びかけるか、一つよく検討いたします。
○田邊(誠)委員 大臣も、同じような趣旨であなたは了解されたわけですから、当局を鞭撻して、さっそく早急の機会にこれに対する具体的な対策を講じ、話し合いをする、こういうことについては御了解いただけますね。
○迫水国務大臣 けっこうです。
○田邊(誠)委員 労使関係が、うまくいっていない原因はいろいろあると思いますけれども、今、全逓との労使関係がうまくいってない有力な原因を、二つ三つあげて下さい。
○長田説明員 私、年末闘争以後の状態は、全逓との関係はそんなにうまくいってないという感じは持っておりません。割合うまくいきつつある、また今までに比べるとかなりいっているのじゃないかと思います。
○田邊(誠)委員 そういったうまくいっている中で具体的に処分が出、協約の一方的な破棄というものも――これはその前でありましょうけれども、行なわれ、なおかつ、今言ったような、具体的な案を出していない。こういう状態で、はたして正常な運行ができているというふうには、われわれはどうしても考えられないのです。大臣、あなたは責任者ですから、私の言うことでもってまだ不満足であればなお意思表示をしてもらいたいのですけれども、労使関係が正常にいっていない原因にはいろいろあろうと思いますが、たとえばその中には、労働条件が非常に劣悪であるという問題、あるいは向上してないと言ってもいいでしょう。その中には人員不足や施設の問題がある。あるいは管理者の労働組合に対する認識不足、あるいは信頼感の欠如ないしは敵視政策、管理権の拡大というようなことも、今問題にしたような具体的な事項の例としてあると思うのです。あるいは郵政事業の組織、機構そのものが非常にうまく流れていない、こういうことも私はあると思うのです。そればかりを言うと、私どもの立場ばかり強調するようですが、もちろん労働者、使用者含めての相互信頼感の欠如という問題もあるでしょう。大体こんな問題が労使間の関係がうまくいかないところの、一番有力な要因じゃないかと私は判断いたしますが、いかがでしょうか。
○迫水国務大臣 私は、現在労使の関係というものが非常にうまくいっていないとは、さっき長田部長が言いました通り、そうは思っておりません。私は労使関係というものは、国家から委託された郵政事業というものを協力してやるという心がまえに立っていることが一番大事なことだと思って、お互いに敵視するというようなことは絶対にいけないことだと思っております。さっき、管理者の方の組合に対する敵視政策と言われましたけれども、そういうものを一ぺんも私は考えたことがないし、この「新しい管理者」にも、先ほど言いましたように、信頼という言葉、人格の尊重という言葉をちゃんと言っているので、敵と言われるのは私の方が言われているので、私、向こうを敵と言ったことは一ぺんもないということだけ申し上げておきます。
○田邊(誠)委員 「新しい管理者」の問題は、さっきも出ましたし、私も幾らか別の委員会でお話をしました。大臣はそういうふうに害われますが、今配布を取けました「新しい管理者」の中には、そういう言葉もあるけれども、しかしいろいろと今まで論議をいたしましたような、きわめて不穏当な、組合から見ればそれこそ挑発するような言葉が使われていることも、これまた事実でしょう。社労委員の皆さんはあるいは御存じないから、どうしても大臣の方からそう言うなら、それじゃ私も繰り返すようだけれども、これだけは一ぺん読んでおきたいと思う。四十七ページの五、「反動という言葉は、管理者に対し組合側から発せられる常套語である。組合としては何等深い意図を以って言っているものではなく、反射的に言葉のはずみで言っていることが多い。これに辟易し、これに神経を使うようでは一人前の管理者とは言えない。反動と呼ばれるようになれば管理者は一人前であり、名管理者と謳われるくらいである。裏を解せば、信念のある人、勇気のある人、覚悟を決めている人ということである。管理者はよい意味で反動とよばれる位の気持で組合に接し、それを意に介しないようにして貰いたい。」(笑声)これは私は、もちろんこのよってきたるいろいろな原因について、今ここでもって究明しようというふうには思いません。しかしこれは、一項を今全部読んだのですから、意味は大体通じられたと思うのですが、いずれにしても、この要点は、反動と呼ばれるようになれば管理者は一人前だ、それまではまだいいとしても、名管理者とうたわれるくらいになるのだ、これはあなたが幾ら強弁されても、新しい管理者教育のテキストとして適切であるというふうにはお考えにならないだろうと思うのです。労働大臣、今私の読んだのを聞いておられたと思いますけれども、いかがでございましょうか、近代的な労務管理をやる官庁の管理者の立場でもって、こういうことがテキストとして使われ、こういう精神を植えつけられるということは適切でありますかどうか。
○福永国務大臣 一般論といたしましては、その文字の表現は、近代的なセンスからいって、率直に言いまして、あまりいいとは私は思いません。ただし……(「ただしは要らないよ」と呼び、その他発言する者あり)ただし、そういうことを書いておられるにつきましては、さぞかし、郵政省もいろいろと御苦心がおありの結果だろう、こういうように私は思っているのであります。こういう表現は、やはり一般論としては今申し上げた通りでありますが、あえてこういうことを書かれていることについては、われわれとしてやはりある程度思いをいたさなければならぬと思うのでありますが、郵政省がこういう表現を用いずに、一般的に、なるほどと思われるような表現を用いられるときがすみやかにくることを、私どもとして望んでおる次第であります。
○田邊(誠)委員 まさに労働大臣の言われたように、近代的な感覚でもって書かれた文章とは受け取れないのであります。そして、その点が御皆心の結果だと言われておるけれども、苦心の結果雷かれたことがこういうことであれば、その苦心が実りますか、水泡に帰しますか、どちらですか。いろいろな紛争、問題はあったでしょう。その結果書かれたものとして受け取ったにいたしましても、こういったことが相手方に対してどういう印象を与え、それに対してどういうような形でもってこれが反射的にくるか、これは労働大臣もおわかりになっていただけると思うのです。当然、この苦心の結果というものは、もう少し緻密に、近代的なセンスでもって、労使慣行をよくするという形でもっていくべきであろうと思いますけれども、労働大臣なり労働省、あなたの方でこれがよく読まれておるか読まれていないか知らぬけれども、一つ読まれまして――郵政大臣の言われたような言葉もありますが、しかし今私の言ったこともこの中にあることは事実ですから、労働大臣が言ったように、こういったことは一般的な労務管理の形としては好ましくないことですから、これは大臣でも労政局長でもけっこうですが、適切なるサゼスチョンを郵政省に対して与えることが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょう。
○福永国務大臣 さきに私どもちょうだいいたしましたので、よく拝見いたしたいと存じます。全部を拝見しないと、一部だけを拝聴いたしましただけでは判断を誤る場合もあり得るかと思うのでございます。今その文字を拝聴いたしただけの印象でございますと、相当大ぜい反動々々と言われているので、そういうことを書かれたのじゃないかというような印象を受けるわけでございます。その言われるということは、極端にそういう傾向があるから言われているのか、あるいはちょっと話が出るとすぐそういうことが出るのか、そこらのところもなかなか微妙なものがあろうかと思うのでございます。私どもはそういうことにつきましてよく実際の事情の認識を深めまして、だれが見ても耳ざわりのないような言葉がそろっていてうまくいくような事態になることを、強く念願いたすのでございます。そういうような考え方で郵政省の皆さんとも、これをよく拝見した上で意見の交換等をしていきたいと存じます。
○田邊(誠)委員 人事部長、項目を全部一緒に聞きますから……。今の「新しい管理者」というのは不適当な言葉があり、そういった言葉というものは一つの思想につながるわけです。従って来年度以降、管理者教育については、これらの問題については是正をするところの用意があるかどうか一点。
 それからちょっとこまかい点を聞きます。現場の管理者の数は、さつき二万何ぼと言われましたけれども、そんな単純なものじゃないですが、まあいい。今まで訓練をされた者は二千人というふうに表を出されておりますが、一体一回の訓練でどのくらいの人員数を訓練されましたか。これは各郵政局ごとですか、本省で直接行なった者がありますか。その結果具体的に管理者の、いわゆる労使関係の確立に寄与することがきわめて大であったというふうに書いてありますけれども、何かそういったような具体体的な事例がありますか。郵政局と現業の一体化が一そう緊密になったと書いてありますけれども、私は意見はあります。これは現業管理者の権限が縮小されたり自主性が失われた結果になったと思っておりますけれども、これは一体どういう工合になっておるのですか。
○長田説明員 お答えしますことが、もし項目が抜けておりましたらお教え願いたいと思います。
 人数でございますが、昭和三十六年度総数二千人でございます。大体普通郵便局長それから特定局長のごく一部、それから普通局の庶務課長並びに郵便局長など二千人のワク内でやっております。
 それから本省ばこの訓練に直接タッチはいたしませんで、各郵政研修所で、大体郵政局の人事部長あるいは管理課長、そういう者が主として講師になってやっております。
 それから効果の問題でございますが、どういうことでその効果を測定したかということは、あとの感想などから考えたわけでございます。
 それから郵政局と現業の一体化ということは逆ではないかというお話がございましたが、郵政局の幹部と第一線の局、課長が接触する機会はかなり多いようではあります。会議とか何かでの接触が割合に多うございまして、お互いにじっくり話し合うということはあまりございませんでしたが、六日間、半日ぐらいずつは話し合うわけでございますし、そういう意味で若干人間的なつき合いみたいなものもできてくる、それから気持もお互いによくわかり合う、そういうようなことから、つまり監督官庁というようなちょっと隔たった気持よりも、もう少し近いような感じを持ったというふうに私ども感想その他を通じて見ているわけでございます。
 なお、昭和三十七年度にどうやるかという問題につきましては、三十六年度通りにやるつもりは現在持っておりません。新しい年にはどういう訓練をやるか、ただいま研究中でございます。
 なお、先ほどお配り申し上げましたようなテキストをもし配るとしましたら、何回か問題になりましたような点は、私ども思想そのものとは考えておりませんけれども、表現が適当でなかった点が若干ございますし、そういう点は直して参りたい、そういうように考えております。
○田邊(誠)委員 時間を盛んに制約されるので、ぽつんぽつんというように質問をいたしますが、実はそれは質問の最後の締めくくりの際に相互関連があるので質問をいたすのでありますから、一つお許しをいただきまして、明確に御答弁をいただきたいと思うのです。
 大臣、昨年の九月二十八日に郵政審議会から郵便事業の改善策に関する答申書というのが出されています。一昨年の十一月二十九日付で、郵政大臣から諮問二十四号で郵政審議会に対してなされた郵便事業の改善策というのに対するところの答申でございますけれども、これは郵政大臣のところに出されたのですから、よく検討されておると思うのでありますが、その具体的な実施が逐次なされておりますか。
○迫水国務大臣 郵政審議会の答申は、数字等をあげた具体的な方策というものは書かれていなかったと思います。心がまえの問題、それから方針の問題というものについて主として書いてあると思っておりますが、心がまえの問題は、たとえば何年間か長い伝統の上にあぐらをかいてはいけないというようなことについては、もっぱらそういうことを省内では話し、それを体し、また各郵政局は郵政局なりにそれを体して、そういう心がまえでやっております。それから物的、人的施設の拡充の問題については、漸を追うてそれに進むべく、本年度の予算においてもそれの実現に大いに努力している、こういうことで、そこに書かれてあることのできるものをできるだけ多い範囲で実行しつつあると思っております。
○田邊(誠)委員 その中に「労使関係の安定をはかること。」、労使関係の不安定が郵便事業の不正常な状態があることの有力な原因であることは否定できない――さっきだいぶ年末までは不安定だったけれども、年末過ぎたら正常化したということを大臣や人事部長が言われたけれども、しかしその状態というものは変わっておらないというように客観的には見られたのですけれども、これは九月の答申ですからね。そこでそれを解決するために、省は進んで組合と話し合いの場を持ち、積極的に組合側の協力を求めていく態度が望ましいと書いてある。「早急に遅配問題を解決し、事業に対する国民の信頼を回復するため、双方の責任者による基本的な話し合いをおこなうよう要望する。」と書いてありますけれども、さっきの人事部長の御答弁と郵政審議会という権威あるあなた方が設置をしておるところの答申と、実際に合致してないでしょう。ですから私どもはやはりもう少し省は面子を捨て、郵政事業の円滑な運営をはかるためには、審議会からの答申を待つまでもなく、労働組合からいろいろな注文をつけられることもなく、あなた方の方から積極的に組合に対して協力を求めなければならぬというように言われておるのですから、そういう態度で臨むべきことは当然の話でありまして、そういった点が今不十分であるということをわれわれは指摘をし、あなた方もそれは認めざるを得ない、こういう状態になっておると私は思うのです。そういうことでしょうね。
○迫水国務大臣 実は、昨年の九月の郵政審議会の答申を拝見しまして、労使関係の正常化という問題について、もう少し具体的な、突つ込んだお考えを郵政審議会から承りたいと存じまして、その点について、特に郵政審議会に注文をいたしました。郵政審議会は特別委員会を改変しまして、現在労使関係正常化の問題についての第二の答申を出すべく、今研究していて下さるものと私は考えております。従って、その線に沿って、また答申が出ましたら、それを尊重して実施していくつもりでおりますけれども、その事前においても、労使の話し合いというものは進んでやるように、決してこちらから労使の話し合いを拒絶はしない。面子を捨ててというような言葉をちょっとおっしゃったのですけれども、どういうことを言われるのか、われわれちっとも面子にこだわっているところはないように、少なくとも私は思っているのですが、そういうような点で、私は人事部長が必要なる話し合いというものばしているものと思いますが、今話し合いで事態を解決しなければならぬ問題があるならば、話し合いを一そう進めていきたい、こう思います。
○田邊(誠)委員 しかし、事実はいわゆるさっきの延岡の問題もしかりですね。何もこだわってそれを破棄しなくても、確認書を作り、あるいは団交の確認事項を承認したらば、それをどんどん実施すればよろしいので、そういうことをわざわざ破棄するような、こういう態度というものが、これは何といっても正常化を妨げるところの有力な原因になることは争えない事実であります。郵政審議会の答申にはこういうふうになっています。「従来の要員事情は、少なくとも定員面では、不足あるいは遅れていたようにみうけられる。これが郵便遅配を招来した直接的原因の一つであることは争えないところである。」、定員不足は明らかだと言っているのです。その次に、これは労働省も聞いておいていただきたいのですが、「超過勤務あるいは臨時雇に依存する要のないよう定員配置の運用をおこない、繁忙時においても規定の送達便を完全に確保する体制をととのえられたい。」、その次に、「その欠務の補充を従来のように臨時雇などによることなく、予備定員による恒常的な要員の裏付けをおこなうこととし、郵便業務の正常な通行を欠く要因の除去につとめられたい。」、こういうことになっております。
 そこで、常在員が一年間に行なっているところの超過勤務は、一年を通じて一人平均いたしまして何ぼですか。それから年次有給休暇は、一人平均何ぼとっていますか。ついでに、さっきの話でも出ましたが、女子の場合生理休暇は何ぼとっておりますか。これは郵政省の人から聞きたいのですが、一番新しい資料は、あなたの方はいつになっているかわかりませんけれども、昨年の、たとえば十二月末なら十二月末で、これが発表できればなおいいですが、最近の統計でけっこうです。
○長田説明員 超過勤務の時間は、大体平均いたしまして、年末とか夏季の繁忙期を除きまして……。
○田邊(誠)委員 いや、全部入れて一年平均で……。
○長田説明員 普通の月ですと、大体四時間くらいで、今、年平均は、ちょっと手元に持ち合わせておりませんが、年末等を除きましたもので、四時間くらいというところまでしかわかっておりませんので、お許し願います。
 その次の、年次休暇の日数でございますが、これは一年に二十一与えることになっておりまして、実際にとる日数も、年々多くなっております。最近では、十九日くらい実際にとられる、あるいは三十日とられるのが、大部分というような状態になっております。
 生理休暇につきましても、調べたこともございましたが、今ちょっと手元に持ち合わせがございません。もしあれでしたら、後刻御連絡申し上げます。
○田邊(誠)委員 労働条件の問題で、特に問題になっているのは、定員の不足やら、超勤をよけいやってもらっては困るというような話や、それらがもとになって、いろいろな要求が出たり、さっきのようないろいろな問題が出てくるのですよ。その中で、郵政事業の特異性からいって、特に郵便関係は年末年始という問題がある。それが、一体労働強化になるのかどうかということが、労働者、働く側にとっては問題なんであります。年末年始がなぜやれないのですか。そんなことばわかるでしょう。専門家が、手元にございませんと言うが、わからないはずがない。
○西村政府委員 年末年始の超過勤務は、人事部長が申しましたのは、年一般のものと平均したものしか資料がないということがありまして、年末年始を別にいたしますと――年始といいましても、年始は大体平常になるので、年末最高繁忙期の二十日間の資料で申し上げますと、大体全国平均が一日二時間の超過勤務をしております。
○田邊(誠)委員 それは、今までの平均四時間という以外ですね。
○西村政府委員 そうでございます。
○田邊(誠)委員 これは、実は具体的な例を出して、少し論争しなければならぬ点でありますけれども、一番多い日は、たとえば循環服務で休日に出てきて、それでもって七時間二十分ですか勤務をして、その上に超勤を積み重ねる、休むべき一週間に一ぺんの休暇を休まないで出てくる、こういう格好の中で、最大やられているのは、一体どのくらいですか。
○西村政府委員 一日最高が四時間、こまかく統計をとっておりませんが、場所によりましては五時間のところもあるようでございますが、大体最高四時間であります。
○田邊(誠)委員 それは、休日を除いてですね。
○西村政府委員 そうでございます。
○田邊(誠)委員 従って、いわゆる休日をしないで出てきて、七時間二十分なり八時間なりの勤務をして、その上に四時間の超過労働をするというのが、今の御答弁の結論です。労働省はどうでしょうか、国家公務員関係なり公共企業体なり、いろいろ差はありますけれども、大体ひっくるめて――三公社五現業でよろしゅうございますが、一体年に一人でどのくらいの超過勤務をしているのが平均ですか。
○小鴨説明員 三公社五現業だけ、特別に調べた資料はございませんが、早速調べてお答えいたします。
○田邊(誠)委員 そういうことがあるかと思って、あらかじめ言っておいたのですよ。そうすると、あなたの方で持っている資料で、国家公務員なりでけっこうですが、一体どのくらいされていますか。
○小鴨説明員 三公社五現業だけの資料というものはございません。さっそく調べまして……。
○田邊(誠)委員 国家公務員は……。
○小鴨説明員 国家公務員につきましては、私の方の監督の対象になっておりません人事院でございます。
○田邊(誠)委員 あなたの方でもってそういう統計が出ていないはずはないと思うのですよ。少なくとも郵政事業の中で、局限された年末年始はもちろんですけれども、そればかりでなくて、超勤というものをなくせという今の郵政審議会の答申もありますように、非常に劣悪な労働条件の中で働いておる労働者だから、なるべく超過勤務はやらせない、欠員があった場合にも、臨時雇いでもってそれを補充することなく、常在員でこれをやるように、こういう答申があるのは、事業の特殊性からいい、非常に職場環境が悪いという、こういったことも加味されておるからです。そういうことに対してはまだ現状が改まっておらないということは、何といっても従業員の大きな痛手であり、不満であり、それからいろいろな要求というものが出てくるのですから、これがやはり一番の根本原因の一つであろうと思うのです。
 ちょっとついでですから、郵政審議会の、賃金が安いという話もありますが、一番最後に、国民への協力の問題が出ています。利用者の関心を深めて十分な協力を得るために、省としては公共団体、郵便協力会などの組織に対して積極的に働きかける要がある、こうなっておるのです。私が年末にある郵便局に行まましたところが、ちょうどその都市の市議会議員さんが郵便局長のところへおいででありまして、郵便遅配がだいぶ盛んである、それは人が少ないためだ、こういうような話を聞いたのだけれども、一体どうだ、ついては、市の議会でもってこの問題を取り上げて、一つ早く遅配を解消してもらいたい、早く人員をふやして正常な運行をしてもらいたい、こういう決議をしようという動きがあるんだけれども、その際に局長に出てもらっていろいろ説明してもらうよりも、いわゆる市の代表者というのは市長なり市会の議長であるから、そこに行って局長が現状を説明され、今こういう状態が起こっているということはまことに遺憾である、申しわけない、皆様方の御協力も得てそれを解決しなければならぬのだ、こういうふうにあなたの方から言ったらどうかという話を市会議員がされておりましたところが、局長が、そういったことは上局から差しとめられておりまして、私どもはそういった働きかけをすることは厳に戒めろというふうにいわれておりますので、それはできません、こういうふうに突っぱねておるのです。そういったことを指示したことはございますか。
○長田説明員 先ほどのお話の予備定員の問題は、実は昨年十月ころから郵便局の内勤非常勤について定数を配りまして、それが三十七年度予算の政府案の中に盛り込まれまして、近く実現の見通しかと思っております。
 それから国民への協力の問題につきましてのただいまのお話でございますが、実は、一般的に申せば、その土地のいろいろな方々の郵便局に対する御協力をすべてお願いし、また、できるだけ局情などもお話しする方がよろしいわけでございますが、年末闘争の際に、定員大幅増員を獲得するために、実は相当郵便をため、その圧力によって省を屈服させるというようなことをあれしまして、その手段としていろいろなことをうたいました中に、年末の繁忙期に各種の文化人その他の人たちを動員して局へ行って、局長その他の管理者にいろいろ話しかけさせるというような趣旨のことがうたってございましたので、平生のあれと反しまして、年末は現場の管理者が非常に忙しい際でもございますのと、そういう一つの戦術がうたわれておりましたので、警戒の意味で、そういうようなものに対しては、まことに心ならずもではございましたが、そういうような指示をしたことがございます。
○田邊(誠)委員 私が言っているのは、その局だけではない。具体的に言いましょうか。もう一つの近所の市でもって、見るに見かねて――これは皆さん方の党ですよ。市長と市会議長が局に行って、局長、一体これはどういう状況だ、これは何とかしなくちゃいかぬじゃないか、こういったことを言われておる。その市とあまり離れておらないところの、同じような規模のいわゆる市制施行市ですよ。そこでもそういう動きがあるんだから――市長や市会議長ですよ。これは言葉を慎まなくちゃいかぬけれども、いわば保守的なといわれておるんですな、政治的に見れば。そういった人が来ておるのです。言いましょうか、桐生の市ですよ。桐生の市長を一つあなた方調べていただけばわかる。それが言ってきた。もう一つは、名前は言わぬけれども、その市でもそういう動きがあるとすれば、――市長や市会議長が局長のところに来て、お前、一体何だと文句を言われる前に、市会議員さんが来てそう言っておる、市長や市会議長のところに行って事情を説明したらどうか、こういう親切な忠告をされておる。それは上局の命令でもってできませんという、こういう事実があるから、そういったことをあなた方は命令したのか、こう聞いておるのです、
○長田説明員 先ほど申しましたように、一つの組合の方の郵便をためる戦術に乗るのではないかという懸念から、そういう注意をしたことはございます。
○田邊(誠)委員 ですから、それは郵政審議会の答申の一番最後にあるような、国民への協力、そのために省としては公共団体――公共団体と、ちゃんと書いてあるでしょう。公共団体の長が来て、事態を憂慮されて何とか解決しよう、こういう動きがあることに対してあなた方が拒否するということは、これは少なくとも郵政審議会の答申を踏みにじり、省の一方的な敵視政策によってこれを強行しようというところから出てくるんじゃないですか。ところが、私がちょうどその途中に入っていった。市会議員さんが、田邊さん、こういうことを今局長が言っておるのだけれども、郵政省がそういった命令をしておるのですかと言うから、そんなことは常識的に考えられないだろう、どうだ、局長、今市会議員さんからそういう親切な話をしに来たのだから、一つそれに応じて、協力を求めに市長のところなり市会議長のところに行ったらどうか、そんなことは郵政当局なり郵政局は言ってないだろう、こういうふうに言いましたところが、私が言ったので、どういうわけか知らぬけれども、じゃ、そういうことにいたしましょうというふうに変わった。ところが、今度は市会議員さんが怒りました。(「それは圧力をかけたからだ」と呼ぶ者あり)冗談言うんじゃない。よけいなことを言ってはいけない、――それは局の名前を出さぬけれども、もしそんな事実があるとすれば――私が圧力をかけたと言うのなら、それは調べればわかりますよ。ですから、あなた方は、そういうことでは国民の協力を得られるという形にならぬじゃないか。PRをされると書いてあるけれども、やはりあなた方は、進んで国民に対する協力要請の手段を講ずべきである、こういうふうに私どもは考えておるし、その結果になりました。結果としてはなりましたけれども、やはり今の人事部長の話というのは、そういう警戒心からこれを利用して、そのために非常に国民の不信を買う、こういう結果になったのではないかと思うのでありまして、この点は、私は今、いわば郵政省の立場もかなり考えて、具体的な固有名詞を出していないのですよ。そういうことに対してもあなた方は十分考慮すべきである。これは人事部長、今の私の言ったことが事実であるという前提に立てば、お認めになりますな。
○長田説明員 一般的な態勢としまして、当然おっしゃるような面に留意していかなければならないと考えております。
○田邊(誠)委員 郵政の具体的な内容について、われわれここで言っておれば時間がたちますから、それは抜きにいたします。年末年始のときはいろいろな問題がございました。劣悪な施設の中でもって従業員が一生懸命働いておった、それに対するところの措置がしてない、こういうふうな管理者がございます。これに対して私どもは実は究明をしたいと考えておるわけですけれども、これは一つあとに譲りましょう。
 そこで、郵政省から「郵政省職員懲戒処分規程、懲戒処分標準について」という文書をちょうだいいたしまして、これを拝見いたしました。その六条に「郵政大臣は、委任した懲戒権者の処分が妥当でないと認めるときは、その処分の修正を命ずる。」4、「地方郵政局長は、管内所在の郵便局長の処分が妥当でないと認めるときは、その事案の再審査を指示することができる。」こう書いてありますけれども、昨年の三月以降において、この修正を命じ、再審査を指示したところの事実は何件ございましょうか。
○長田説明員 昨年の三月にありました処分で、処分の基礎になりました事実認定が誤っておったというようなものにつきまして、二十五人処分の取り消しないし修正をいたしました。
○田邊(誠)委員 私の聞いておるのは三項、四項についてですから、一つ具体的な数字を三と四について言って下さい。三月十八日の処分について云々でなくて、昨年の一年間において、この三項、四項に該当するようなことをやった事実は何ぼあるかということです。
○長田説明員 これに該当するものはほとんどございません。
○田邊(誠)委員 修正を命じたのはあるわけですな、二十五名。
○長田説明員 これは取り消しと修正と両方含んでおります。
○田邊(誠)委員 これは三項に該当する意味で出したのですね。
○長田説明員 実は三項は、郵政大臣が、たとえば郵政局長がやった処分が妥当でないと思ったものを変えさせる項でございまして、今の二十五人の問題は、大体が郵政局長発令の減給ないし戒告の処分につきまして、郵政局長自身が取り消しまたは軽減したのであります。
○田邊(誠)委員 従ってこれは四項にも該当するわけですね。
○長田説明員 これは三項、四項の問題ではございません。三項、四項は、監督権者が下部の処分を修正したりするあれでございますが、二十五人の問題は、処分者自身がこれは誤っていたということから、それを取り消したり修正したりするのでございますから、この六条による措置ではございません。
○田邊(誠)委員 処分はどういうふうな基準でやるかということがいろいろ載っておりますけれども、十条に「処分は、非違の内容、非違者の在職年数、勤務成績、責任の程度その他情状しゃく量すべき事由あるときは、軽減又は免除することができる。」というようなことがありますが、私は一般的に言って、この項目ばかりでなくて、当然この時点におけるところの労働条件や労働環境、職場環境、こういうものも含まれていろいろな処分の具体的なものが出てくる、こういうふうに私は認識しておるのですけれども、それは間違いでしょうか。
○長田説明員 ただいまお話しのような点も、その十条にございます「情状しゃく量すべき事由」というものに該当することは、十分あり得るわけでございます。
○田邊(誠)委員 そうしますると、昨年来いろいろ処分を出していますが、取り消しもされた。これも拝見をいたしましたところが、事実誤認、不当労働行為の請求によるもの、その他いろいろあります。ありますが、この処分の一番の焦点というのは、組合役員に対する処分がなされておる。組合機関の役員である、こういうことで処分されておる。こういうふうに考えているのですが、この間いろいろとお聞きをしますると、組合役員であって、当日その組合の運動に参加をしていなくても、これは組合機関の責任を追及するということができる、対象から免れるわけにはいかない、こういうことが一つ。それから、労政局長聞いておって下さい。当日、たとえば一時間の職場大会があった。その際職場大会に参加をしてなくても、そういったことは別として、その日たまたま欠勤しておった者、勤務を欠いておった者は、これは一応処分の対象にするのだということを郵政局は言っておるのですけれども、そういうことをやったですな。それと、労働省どうでしょう。そういう今二つ私が言ったことが、公労法の適用を受けておる労働組合運動の中でやった行為の、いわゆる違反行為として処分の対象にするということが適当かどうか、御両所から御答弁いただきたいと思います。
○長田説明員 支部で時間内職場大会を実施いたしました場合に、その参加者ばかりでなく、そういう職場大会実施の指令を受け、自分の支部で職場大会を実施させる決議なりあるいは計画なり、そういうものに参画していると湾えまして、職場大会に参加をしてなくても、支部の三役について処分をしたことは事実でございます。もっとも、その中で計画そのものにも参画しなかったということが非常にはっきりしておりました者については、先ほど申し上げましたように取り消しているわけでございます。
○堀政府委員 本人が争議行為をみずからいたさない場合におきましても、公労法十七条の規定に基づきまして、禁止された行為を共謀し、あるいはそそのかし、あおるというような事実がございますれば、処分の対象になると考えます。
○田邊(誠)委員 もう一つ私は聞いているでしょう。いわゆる組合の役員であるとかないとかいうことは別、それから職場大会に出たとか出ないとかいう事実認定――事実認定のことを、私は国家公務員法八十三条違反の問題でこれから質問したいのでありまするけれども、それは一応あとに譲りますが、いずれにしても、そういったことを抜きにして、当日たまたま欠勤しておった。組合の役員であるとか役員でないとかいうのは別ですよ。職場大会に参加している参加していないということは別にして、当日たまたま欠勤しておった者は一応処分の対象にする、そういうことを私に言った人がいるのだから、そういう郵政省の方針だとすれば、これは明らかに不当な考え方であり、法的に見ても、ここまで法を拡大解釈するということは断じて許すことはできない、こういうふうに私は考えるのですけれども、今私が言ったような点について御答弁がないようですが、その点どうでしょうか。
○堀政府委員 役員でもない、平の職員であって争議行為にも参加しなかったというような場合には、これは事実問題でございますので、私はこの場で具体的にはっきりしたことは申し上げられませんが、お話しのようなことにつきましては処分の対象にならないのではないかというふうに思いますが、しかし、これは事実認定の問題だと思います。
○田邊(誠)委員 いろいろ事実認定の問題が出て参りましたけれども、公務員法八十二条の問題、公労法十七条、十八条違反関係の問題、この事実をもって私は労働省の見解と郵政省の見解、いわゆる処分の基準の問題に対していろいろとただしたいのでありまするけれども、本日は時間がないそうでありますから、あらためてこの問題に対して具体的に、私はこの次の労働問題の調査の際にただしたいと思いますので、本日はこれをもって一応質問を保留いたします。
○中野委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十四日午前十時より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
   午後六時二十二分散会