第040回国会 社会労働委員会 第33号
昭和三十七年四月二十五日(水曜日)
   午前十時二十六分開議
 出席委員
   委員長 中野 四郎君
   理事 小沢 辰男君 理事 齋藤 邦吉君
   理事 藤本 捨助君 理事 柳谷清三郎君
   理事 小林  進君 理事 五島 虎雄君
   理事 八木 一男君
      安藤  覺君    伊藤宗一郎君
      浦野 幸男君    大石 武一君
      大橋 武夫君    加藤鐐五郎君
      藏内 修治君    中山 マサ君
      永山 忠則君    早川  崇君
      松山千惠子君    淺沼 享子君
      河野  正君    島本 虎三君
      田邊  誠君    滝井 義高君
      吉村 吉雄君    本島百合子君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君
 出席政府委員
        法制局長官   林  修三君
        厚生政務次官  森田重次郎君
        厚生事務官
        (大臣官房長) 山本 正淑君
        厚生事務官
        (保険局長)  高田 浩運君
 委員外の出席者
        厚生事務官
        (保険局次長) 熊崎 正夫君
        参  考  人
        (早稲田大学教
        授)      末高  信君
        参  考  人
        (日本医師会
        長)      武見 太郎君
        参  考  人
        (健康保険組合
        連合会長)   安田彦四郎君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
四月二十五日
 委員堂森芳夫君辞任につき、その補欠として中
 村英男君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 臨時医療報酬調査会設置法案(内閣提出第一〇
 一号)
     ――――◇―――――
○中野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の臨時医療報酬調査会設置法案を議題とし、審査を進めます。
 去る十九日、本案審査のための参考人出頭要求に関する件につきまして、委員長に御一任願いましたが、本日、日本医師会長武見太郎君、健康保険組合連合会長安田彦四郎君及び早稲田大学教授末高信君の三名の方々に、参考人として当委員会に御出席をいただいております。
 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、御多忙のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。本案につきましては、各方面に広く関心が持たれておりますが、当委員会におきましても、この機会に本案に深い御関係をお持ちになられますあなた方から、忌憚のない御意見を伺い、審査の参考といたしたいと存じます。
 なお、議事規則の定めるところによりまして、参考人の方が発言なさいます際には、委員長の許可を得ていただくことになっております。また、参考人は、委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、以上あらかじめお含みおきを願いたいと存じます。
 なお、議事の整理上、御意見をお述べ願う時間はお一人大体十五分程度とし、御意見の開陳のあとで委員の質疑にお答え願いたいと存じまするから、よろしくお願いをいたします。
 まず、参考人武見太郎君よりお願いをいたします。
○武見参考人 今度の臨時医療報酬調査会法案の問題に入ります前に、私は、診療報酬についてルールを作ろうとした歴史について一べつしなければならないと思います。
 昭和二十六年に臨時診療報酬調査会というものが作られております。このうちに、その後におきまして医療費原価計算打合会というものができました。このようにいたしまして、昭和二十六年以来診療報酬のルールに関する点を何とかきめていこうとすることは、厚生省も日本医師会も支払者側も、一堂に参加していろいろと打ち合わせをいたしたわけであります。原価計算打合会に関しましては、その原価計算要綱なるものを当時厚生省が作成いたしましたが、これは航空機の製造についての陸軍がかつて用いました原価計算要綱と同じでございまして、学問的にも実際的にも使い得ない原価計算であり、ことに医療費の算定には、飛行機と違いまして全然適さないものであるということによりまして、この原価計算方式は打ち切られたわけであります。打ち切られましたけれども、その基本的な考え方がその辺にあるということは、その前後の事情からいなめない事実でございます。このような具体的な考え方が、社会保険の国民の福祉を非常に障害していることは、今日ますます私は大きくなっていると考えます。
 最後に問題になりましたのは昭和三十三年でございますが、私どもは臨時医療保険審議会、俗にマメタンと称しておりましたが、これから委員を引き揚げました。臨時医療保険審議会は東畑精一教授、高橋誠一郎教授、稲垣与一教授、山田勇教授等の当代の第一流の経済学者を網羅して出発したのでありますが、この先生方が、あまり論議が低調であり、厚生省の要求するところが学問と離れているということで自然これから足が遠くなりまして、おしまいには支払者側の委員あるいは厚生省に直結した中立委員と称する人だけで少数意見がまとめられようといたしたのであります。この臨時医療保険審議会が非常に問題でございましたことは、医業においては拡大再生産を認めないということを、その意見として打ち出す基本構想がまとまりつつあったわけであります。私どもは、日進月歩の学問を背景とし、そうして経済成長の中におきまして、医業だけに拡大再生産を認めないというような結論が出ますならば、とうていその会合に出席するわけには参りませんし、その結論に対しましてまっ向から反対せざるを得ないのでやめたのであります。この臨時医療保険審議会がその当時の一流の学者を網羅しながら、何らの結論も出さずに崩壊していったという事実について、厚生省も支払者側も、私は相当な考慮が払われなければならないし、反省がなければならなかったと思うのであります。後に起きました非常に不幸な病院ストというふうなものは、この拡大再生産を認めないという考え方が基本になりまして、この不幸な結論を導き出したということは、これは争えない事実でございます。
 このように臨時診療報酬調査会から原価計算委員会あるいは臨時医療保険審議会等の看板は変わりましたが、たとえて申しますと、保険者官僚独裁でいこうというふうな――機関車は一つも動いていないのであります。駅長さんに相当する大臣はそのたびにかわっておりますし、駅の名前はいろいろと取りかえられておりますが、機関車は一つも動いていないで、その推進力をもっぱら保険者官僚の独裁の形に持っていこうということであることは、事実でございます。これは病院ストというものがそれらの考え方の破綻の一部でありますが、目に見えていない破綻がいかに大きいかということを私はお考えを願いたいのであります。それは制限診療強化の問題でございます。学問の進歩に対応し、また患者の個性というものを非常に強くわれわれが把握しなければならない臨床医学の面におきまして、患者の個性の把握というものが、社会保険の診療ではきわめて強く否定をされております。また、医師の良心というものが患者の生命とまっ正面から取り組む熱意を障害していることも、これらの考え方の結論として生まれ出た非常に見えない害悪であります。病院ストは非常に大事件のように考えておりますが、これは一部の現象で表へ出たことでありますが、海の下にある氷山のごとく表へ出ないこれらの害が、いかに大きいものであるかということを、国政の当局に当たっていらっしゃる方々は慎重にお考えを願いたいのであります。私は、日本の国民がほんとうに現実の学問の進歩を知ったならば、今日の社会保障、ことに医療保険の面に関して非常にみじめな状態であり、そのような状態に自分の技術をみずから低下して奉仕しなければならない医師の良心というものが、次第に滅却されていくような形が強要されているということであります。これは目に見えない面の、ある特殊な団体の圧力というものが政治を左右した場合に、国民のこうむる惨害として一番大きなものだということを、私は強く指摘をしたいのであります。このように機関車は動きません。駅の名前は変えられます。駅長さんはかわります。そのときそのときの大臣は、御自分の案だといって御主張になりますけれども、官僚路線を動いておることだけは事実であります。このようなことを申し上げまして、今度の問題に入ってみたいと思います。
 私は、今度の問題は、それらの考え方のいよいよ終点にきたという感じを持つものであります。従いまして、この害ははかり知れない大きなものがあるということを、戦慄をもって身に感ずるのは診療担当者だけであるということを、はっきりと断言しなければならないと思います。私は、昨年の社会保障制度審議会がお出しになりました三十六年三月一日の古井厚生大臣に対する答申の中で、この調査会のような診療報酬のルールを認める勧告をしておられますが、社会保障制度審議会といえども、その前提条件を冒頭にうたっているということであります。「基本的には、医療制度を近代化し、健康保険、共済組合、国民健康保険等各種医療保険制度の抜本的な改正がなされなければならない。」ということをうたっています。これをうたいましたあげくに、医療報酬の問題をうたっているのでありまして、これは私は適切であると思います。しかし、順序を間違えまして、あとの問題を先に出したところに私は問題があると思います。
 もう一つは、この勧告が、ほんとうに社会保障制度審議会が今まで勧告しておりました線といささかの矛盾もない、あるいは大臣の諮問であるからやや受け身の形ではなかったかという点については、私は委員でないからわかりません。しかしながら、この勧告に対しまして、全会一致であると言っておられますけれども、日本医師会、日本歯科医師会の委員は反対の立場を最後まで堅持いたしましたので、絶対に全員一致でないことは確実でございます。
 また私は、この次に、昨年の七月三十一日に、党の三役と厚生大臣と私ども医師会、歯科医師会との間に取りかわしました約束がございます。この約束は、一つが、医療保険制度の抜本的改正、一、医学研究と教育の向上と国民福祉の結合、一、医師と患者の人間関係に基づく自由の確保、一、自由経済社会における診療報酬制度の確立、この四カ条でございます。この四カ条は、今後の医療保障の発展の上から考えますならば、当然医療保障発展の平和憲法たるべきものと私どもは考えているのでございます。また、自由主義、民主主義の国家におきましてこの条件が満たされないようならば、これは自由主義の名前にも、民主主義の名前にも値しないということか言えると思うのであります。私は、ことに自民党の立党の精神ともこの問題は適合していると思うのであります。しかるに、今度出ました臨時医療報酬調査会の問題は、この第四項とは全く私は抵触するものだと考えます。診療報酬のルールをきめると申しますけれども、今日の近代経済学の専門家の意見によりますと、一つのルールをきめるような経済学はないそうであります。また、サービス産業の中でことにむずかしい医療技術を評価するというふうな法則も、ないということであります。ですから、一つのルールだけではきめられないのであります。
 ここで思い起こしていただきたいことは、昭和三十二年に、私どもは平均費用曲線という新しい経済学を使いまして、十八円四十六銭が六〇%の医療機関に適正であるという算出方法を提案をいたしました。これは日本の医療報酬決定上画期的なものでございまして、一つのルールとしてこのような方式を出したのでございますが、これに対して保険者官僚は一顧も与えず、これを無視してしまったのであります。この事実は、今度法律権力によってルールを確立しようということに対して、大きな反発の拠点となるものであります。もしもあの際に、保険者官僚側が同じような学問上のルールに従って、日本医師会が出しました平均費用曲線に対抗するようなものでほんとうに君子の争いをいたしましたならば、日本の医療報酬の問題は、今日のようなデッド・ロックにならなかったろうと思うのであります。権力にたより、財力にたより、独裁的な地位にありました団体や官僚が、全く学問を無視して、これをほうり投げてしまったというところに問題があります。今日に至りまして、自分たちが作るルールだけがルールであって、民間団体が作るものはルールとして認めないからこそ、今度のような法律権力による調査会を必要としたわけでありまして、この点は、いかに強弁いたしましょうとも、私はほんとうの民主主義の考え方ではないだろうと思うのであります。
 このルールの算定の問題でありますが、私どもは総費用曲線を使わないで、平均費用曲線を使って、六〇%の保険医療機関が採算に乗る点が十八円四十六銭という値を当時出しましたときに、米価審議会は総費用曲線だけを使っておったのでございますが、昭和三十四年から、米価審議会も平均費用曲線を採用いたしておるように見ております。このようにいたしまして、日本で最初に平均費用曲線をこの面に採択いたしましたのが日本医師会でありまして、ルールらしいルールを提案した団体は一つもないのであります。官製の調査会のみが権威あるルールを作れるということは、学問をモノポライズしない限りできないことでありまして、そのようなことは、共産国家でなければ私は不可能だろうと思います。学問をモノポライズし、学者をモノポライズしてきめたルールを押しつけるということは許せないと思います。ことに売手であるところの医師は、社会的にも高い地位を持たなければ国民の福祉と結ばないはずであります。その医師に対してあてがい扶持の報酬制度を確立しようという考え方であることは、歴史的に明らかな事実であります。
 私どもがこの案にまっこうから反対いたしましたのは、以上申し上げたような理由によるわけでありますが、さらに私は、物を買う場合に、買手がどれくらいの値で買うかということを考えるのは当然であると思います。売手がこれくらいの値で売るべきであると考えるのも当然であります。この場合に、売手と買手との間に違いがあるならば、当然民主的な仲裁裁定機関を設置するのが民主主義の原則であると考えます。ところが、社会保障制度審議会の勧告を見ますと、また、二月十五日の自民党における社会保障制度審議会事務局長の説明によりますと、社会保障制度審議会は一つの函数方程式を出して、中央医療協議会はその中に数字を入れればよいというふうな説明でございました。一つの函数方程式を出すということになりますと、このルールは一つしかないということになります。そして、それを売手である診療担当者に押しつけるということであります。このようなことが許されますならば、私は、自由主義も民主主義もなくなってしまうと考えます。
 もう一つの問題は、医療のうちでも医薬品等新しい研究を進めて参りまして、新しいものができる場合は非常に多くできなければなりません。私は、医療技術の開発という点から、今後この面は大いに努力されなければならないと思うのでございますが、この場合に、もしも医薬品あるいは医療機械等、このようなルールを国家権力によって取りきめられますならば、医療技術の開発が不可能になるだろうと思います。これは見えない面のおそろしさでありまして、この面について重大な考慮が払われなければならないと思います。医師に支払う診療報酬だけルールを作られまして、そうして、もしこのようなルールが将来拡大されましたときには、日本では医療技術の開発ということは不可能になります。私は、日本の医学文化と国民の福祉を犠牲にするようなこの案に対して、根本的に考え直していただきたいという立場をとって、絶対反対をいたしております。
○中野委員長 次に、安田彦四郎君。
○安田参考人 ただいま御紹介を得ました健保連の安田彦四郎でございます。このたびの臨時医療報酬調査会設置法案につきまして意見を述べろというお話でございますが、私ども、かような法案が一日も早くできますことを念願いたして、実はお願いしたい気持でおるわけでございます。
 この経緯を申し上げませんと私たちの気持もおわかりにならないと思うのでありますが、過去医療費を決定いたしますごとに非常にこんとんとした状況が起こりまして、ことに診療担当者であります私どもがお願いしております諸先生が、ストライキであるとかあるいは診療拒否であるとか、私どもの方から申しますならば、患者、国民が非常に困る――昨年の医療費の問題のときも、保険ということで、今まで診療費を決定いたしますのには、私どもと先生方と話し合いをしてきめて参ったのでありますが、診療担当者には二年間も中央医療協議会に出てきていただけない。従って、診療報酬の話し合いをすることができない、かような状況が続きましたことは、諸先生も御存じの通りでございます。そこで、昨年の二月に古井厚生大臣は、適正な診療報酬を決定するルールについてとるべき方途という諮問を社会保障制度審議会にされたのであります。当時、社会保障制度審議会はかような問題を取り扱いますことは避けたい、委員全体はさような空気であったのでありますが、政府の勝手な意向で、このこんとんとした状態をぜひ解決したい、また、診療担当者の方々にもぜひ参画して医療費が決定できるという方途を見出して、その結論がどうあろうとも政府は必ず従う、かようなお話がありましたので、私も委員の末席を汚したのであります。一カ月にわたりまして鋭意この審議をいたしました結果、第一の問題は、診療報酬を決定いたします一つのルールというものを確立したならば、今後さような諸問題で混乱することが少なくなるだろう、少なくともさようなことをなくさなければならぬ、かような方途でただいま問題になっております臨時医療報酬調査会の設置法案の勧告を第一に取り上げだのであります。それに付帯いたしまして、診療担当者が出ていただくのには――今までの中央医療協議会の方に、いろいろの憶測があって出てきていただけない。それで、第二段といたしまして、四者構成を三者構成にする、しかも保険者である政府は出てこないようにする、かようなことが、第二のこれに付帯した条件として、つまり診療報酬の臨時調査会を設けることを前提条件として中央医療協議会を改組する、かような提案をされたのであります。従いまして、時の政府は、直ちにこの二法案を通常議会に提出されたのでありますが、不幸にしてこれは審議されないで廃案になった。その後、私どもといたしましては、この医療費を決定いたします中央医療協議会がどうも動かない。ちょうど、その後、灘尾厚生大臣が御就任になりまして、医療懇談会というものができ、ぜひ医療費を決定する一つの方途について、何とか診療担当者の方々、私ども、ことに被保険者、さような方々と話し合いをしてスムーズにきめたい――これが医療懇談会でありまして、そのときに、時の政府、灘尾厚生大臣は、七月一日にはすでに医療費の改定があったのでありますが、十二月一日以来二・三%診療費を上げることによって、今後は診療担当者と私どもとが全部スムーズにうまくいくのだ――当時私どもの見解を申し上げますならば、先生方も出ておいでにならない、いわゆる腰だめ的な医療費の値上げということはおかしいではないか、ぜひ医療経営の実態調査に基づいてやっていただきたい、過去、三十二年のときにおきましても、中央医療協議会において、医師会の諸先生方とともどもに、今後は医療経営の実態調査に基づいてやろうではないか、さようなお話し会いがあったのでありますが、これができぬままに、昭和二十七年の古いデータをもってこれを引き延ばして、七月一日の医療費の値上げをした、かような不都合な事実があるのです。それにもかかわらず、また九月十七日に厚生省、政府から提案されました医療費の値上げによって将来うまくいくのだ、またぜひ自分はやってみせるという大臣のお話がありましたので、私どもには七月一日以来の実態もわからないのに、年二回も医療費を上げるということについては――上げるべき必要があれば私どもは従っていくのでありますが、もう少し実態を見ていくべきではないかという主張をいたしたのでありますが、それも今後諸先生とお話し合いをしてうまくやっていけるのだ、またやってみせるという厚生大臣のお話がありまして、忍ぶべからざるを忍んで十二月一日の値上げにも従って参った。従って私どもは、その後には必ず将来うまく動きますところの中央医療協議会と、これに付帯しておりますところの臨時医療報酬調査会というものがぜひ設立される、そうすれば、今後は争いもなく逐次医療費の改定ができていくものだと信じておりましたところ、一方の臨時医療報酬調査会法案というものは出ませんで、中央の医療協議会の改組だけが出た、しかもそれは社会保障制度審議会で全会一致答申した案よりも相当変わったものが出た、かようなことに相なっておるのでありまして、私は、とかく世間でいろいろ御論議がありますように、決して医師会の諸先生とけんかをいたしているのではありません。政府が私どもに約束をしていただいたことが実現いたしませんので、ぜひさような方向でやっていただきたい。その後、この当時、中央の医療協議会の改組法案はもちろんのこと、地方の医療協議会までも改組されまして、この大切な、将来医療費をきめるのはトラブルが起こらないようにするというこの法案を取り上げられなかったということにつきましては、私は、厚生大臣、厚生省の態度に非常に不満を持って、再三陳情もいたし、お話もいたしたのでありますが、その後了とされたのでありましょうか、今回この臨時医療報酬調査会法案を議会に提出されまして法律を作りたい、こういう政府の御意図でございますので、私といたしましては、この臨時医療報酬調査会法案ができますならば、将来の医療費の争いというもの、たとえば諸先生の御主張になる医療費というもの――私どもは、医療費というものは、医療の経営の実態というものもございましょうし、医療水準というものもございましょうし、保険経済でやる、保険の仕組みでやるのでございますので、これはやはり国民経済であるとか、あるいは時の政府の財政であるとか諸種の問題、あるいは医療保障制度に関する諸種の問題、あらゆる材料が検討された上で、しかもただいま申し上げました医療経営の実態が明らかになって、それでいわゆる診療担当者の方々も、また保険料を負担する被保険者の方、また保険という制度で運営されておりますので、その責任者であります保険者も、納得の上でかような医療費をスムーズにきめられる、少なくとも一つの方向が出ますならば、争う幅というものが非常に少なくなりますので、早くかような法律ができまして、医師会の方、歯科医師会の方、薬剤師会の方――保険制度でございますので、私は以前にありました四者構成が正しいと思っておりますが、今回変わりました三者構成の中央医療協議会におきましても、かような臨時医療報酬調査会法案というものができますならば、その争う幅が二倍も三倍も違うということはあり得ない。そこで、さような一つの法則といいますか、一つの方向が出ますならば、それを諮問していただきますならば、中央医療協議会で当然お話し合いができていくものである、また妥協すべきものは当然妥協していける、これが将来の皆保険を運営するのに最も大切な一つの方向であろう、かような意味におきまして、政府にぜひかような法案をお取り上げ願って、議会の御承認を得て早くこの方向をきめていただきたい。今回かような法案をお取り上げになっておりますので、ぜひさような方向で、将来ともに、皆保険下の保険で日本の医療保障をやっていくという現行でございますので、ぜひこの法案が直ちにできまして、スムーズに将来の医療費の問題を、お互いに診療担当者も私どもも、ともどもに取り上げていけるようにしていただきたい、これが私どもの念願で、これに賛成いたしておるわけでございます。
○中野委員長 次に、末高信君。
○末高参考人 この問題について一言申し上げます。きょう私がお呼び出しをいただきましたのは、早稲田大学教授、一人の教員としてお呼び出しをいただいておるのでございます。私は、各種の審議会、社会保障、社会保険の団体に属している者でございますが、それらの意見を何ら反映するものではない、全く私個人の意見である、従って、私の発言がそれらの審議会、調査会あるいは団体等に御迷惑がかからないように、前もってお断わりを申し上げておきたいと思います。
 医師の職分というものはきわめて重要でございます。医師のお仕事は、外国語で申しますとプロフェッション、単なるジョブであるとかコーリングであるとか、世間そこいらにある単なるお金をもうけるための職業ではないので、プロフェッションである。プロフェッションというのは、高い教養と知的な経験を持ちまして、国民の指導者として国民の憂いを憂いとして考えて、職務に従事するという者がプロフェッションでございます。私ども大学の教授にいたしましても、しゃべることによりましてどれだけの報酬が得られるとか、知識を彼に与えることによってどれだけの反対給付があるとかいうようなことで、私ども教員は話をし、仕事をしているのではないのであります。従いまして、それと同じような立場にある医師の皆さんも、患者の脈をとる、診察をする、投薬をするという場合は、相手方の身のうちになりまして、自分一身の利害から離れて治療に専念しなければならないというのが、医師の職分であると思うのであります。
 そういうような職分に対しましては、もちろん社会はそれ相当の処遇をしなければならない。安心してその職務に従事できるような報酬を差し上げなければならない。その報酬が、今日のような点数単価というような出来高払い方式でもって行なわれているというところに、非常に大きな悩みがある。従いまして、今日医師会と支払い団体並びに政府との間にございまするところの各種の紛争は、医師と社会との結びつきが今日のような関係を持続する限り、すなわち、個別的にこの診療をやれば、どれだけの点数と単価によりまして計算されたものが、自分のふところに入るという計算方式をとる限り、これは争いが全然絶えない。すなわち、いかなるものにいたしましても、技術にいたしましても、サービスにいたしましても、もらう方はやはりいつまでたっても満足ではない低いものをもらっておると思うでありましょうし、支払う側から申しますれば、それは合理的なものを支払いたいが、できればなるべく安いものを支払っておきたいというのが、経済の根本原則でございます。お医者さんのお仕事はもちろん経済そのものではないのですが、しかし経済行為でもあるわけです。医療行為は同時に経済行為であります。何となれば、相手方からお金をもらいまして自分の生活の資源としているという意味において、医療行為を離れてお医者さんの金銭的、経済的の生活は成り立たないという意味において、医療行為はすなわち経済行為であります。すなわち、芸術家といわれるところの音楽を演奏する方でも、あるいは美術の制作をなさる方におきましても、美術を制作し、音楽を演奏するその瞬間におきましては、高い芸術的環境のもとに行なわれるに違いないでありましょうが、同時に、それから得られるところの収入がその人たちの生活の資源となるという意味においては、芸術の活動はすなわち経済の活動であるというわけでございまするからして、経済の面からこれを私ども考えてみなければならないと思います。
 そういたしますると、今日のような出来高払い方式でもって医師の方々にお支払いをするという、この方式はどうであろうかということが、私ども命を守り、健康を保持するために医療行為を必要といたしますが、その医療行為は、医学者の説明するところによりましても、予防と臨床的な医療行為と後医療と三本になる。こまかく分かちますれば、七つにも八つにも医師のやりまするところの専門行為は分かつことができるかと思うのでございますが、大体におきまして予防と臨床療法と後医療、この三つでございます。ところが、予防であるとか後医療ということになりますると、今日の社会的な状態におきましては金にならないのです。現実に痛みを持ち、弱みを訴えるところの者に注射をし、投薬をし、治療をするということによってのみ、医師の諸君はお金になる。従いまして、全般の医療行為の中で、お金になる部分だけに数万の医師はほとんど全部集中しておる。予防とか後医療に仕事をお持ちになっておる医師の諸君というものは、数の上から非常に少ない。もちろん現在病気であり、痛みを感じておる、いわゆる患者という方々が社会には非常に多いから、依然臨床医療に従事される方が数の上において多いということはわかるのでございますが、しかし、とにかく現在の多くの医師の諸君は、出来高払い方式によってその収入を得ておるために、従って収入にならないところには医療が行なわれないというようなみじめな状態にあるわけでございます。
 そこで今日それを是正するにはいろいろな方式がございますが、今現にふところに金がなければ医療を受けられないという状態は、すみやかに解消しなければならないというので、保険医療というものが成立してきたわけでございます。この保険医療につきましては、やはりどうしても出来高払い方式をとらなければ、保険医療というものは行ない得ないか、これを継続することができないかと申しますと、保険とか国営とか、あるいは私ども個別的の医療を受ける場合に、個人が金を出すかというような金の出どころの問題なんです。国営という場合は、主として国の税金によってその医療の全額をまかなう。それから保険医療という場合は、国民がそれぞれの分に応じて、一応の計算の方式によりまして取り上げられたところの保険料という、共同の準備した財産と申しますか、資金をプールいたしまして、それからお金を払っていく。それから個別的の私どもが治療を受けるという場合、私費でもって治療を受ける場合は、私ども個人の収入から治療費を払うわけでありますが、出どころは、国民の総所得のうち、医療費に充てられる部分が、あるいは税金の形、あるいは保険料の形、あるいは個人の所得の形で準備されたものから払われるということでございます。その資金の調達方法はいろいろございましょう。たとえば国営であるとか保険方式であるとか個別的であるといたしましても、お医者さんの処遇に関しましては、また出来高払い方式と別に考えてよろしい。出来高払い方式でない、たとえばイギリスにおけるような登録人頭式であるとか、あるいはソ連におけるような、純然たる俸給式によってほとんど全部の医療がまかなわれるというような方式は、国営にならなければそういう方式は行ない得ないかというと、そうではないのです。保険方式でも、国営方式でも、医師の諸君に対するところの支払い方式としては、やはりただいま申し上げたような登録人頭式あるいは俸給式という方法もとることができるのではなかろうか。それで医師の生活を、先ほど申しましたように、プロフェッションというような特殊の職業、高い社会的地位に応ずるところの収入をまず確保する、それから先のいろいろつけ加えの部分につきましては、あるいは出来高払い方式でも、点数単価の方式でも、差額徴収の方式でもよろしいのではなかろうかと私は考えております。そういうような医師の諸君と社会との結びつきにつきまして抜本的な改善の道を講ずるのではない、あくまでも出来高払いの方式――点数単価方式というのはあくまでも出来高払い方式でありますが、その出来高払い方式を堅持する限りにおいては、医師の諸君と、保険を管理しておるところの厚生省、あるいはその資金をまかなう総合的な準備資金としてこれを調達し、準備しておるところの保険者との間の争いはとうてい絶えない、百年河清を待つようなものではなかろうかと私は考えているわけでございます。
 それでは現在の瞬間においていかにしたらばいいかということを申し上げますと、現在の瞬間におきましては、やはり一応のルールがなければならない。もちろんこのルールを作ることにつきまして、各団体、医師会をも含めて各団体がそれぞれのルール、基準をそれぞれの学者に委嘱してお作りになるということはけっこうでございましょうが、それらのものと各団体あるいは政府の機関において作られるものが、社会的に公開せられ、論議せられていいものが採用せられるということが必ずや行なわれるのではなかろうか。私は、もしも今度の臨時医療調査会によって出てくるところのルールが、唯一絶対のものであるとして、社会全体の、特に医師あたりの、医師会あたりの承認なくして強行せられるということはとうてい考えられない。必ずや良識を持って、社会の批判に耐えたりっぱなものが行なわれるようになるであろうと考えるわけでございます。そこでこの値段のきめ方ですね。医療費のきめ方につきましては、医師会の方は自分たちの納得するものでなければだめだ、それから支払い側団体は、われわれの支払い能力の限度内でなければだめだ、それじゃそこで歩み寄りまして何らかの結論が出たらば、国民は常にそれをのんでしまわなければならないかというと、私はそうは思わないのであります。それはやはり国民全体としてりっぱな治療が受けられるような制度ができて、初めてこれを納得し、承認する、その承認の上に国の政治というものは行なわれなければならない、そういうような条件を付しまして、私は少なくとも、官制のものは全然いかぬといえばそれは別でございますが、とにかく政府自体が作るところの調査会によりまして、臨時医療調査会によりまして一つのルールができてそれを社会に示す、批判を受けるという段取りができるという意味におきまして、すみやかにこの調査会法案が通ることを希望するものでございます。
 以上をもちまして私の意見の陳述を終わります。
    ―――――――――――――
○中野委員長 質疑の申し出がありますので、まず最初に武見参考人に対しての質疑を許します。河野正君。
 河野君にちょっと申し上げますが、質疑者が相当多数に上っておりますから、きわめて簡潔にお願いをいたします。
○河野(正)委員 今日経済成長という社会経済の過程の中でございますから、従って今日の医療費というものを、そういう過程に適応した適正な、合理的な医療費として算定していくということは、私は基本的には正しいのでなかろうかというふうに考えます。ただ問題は、しからばそれをどういう方法によって、どういうルールによって達成をしていくか、こういう点を私はきわめて重要だと考えております。しかし、今日いろいろ巷間伝うるところによりますと、支払い側と療養担当者でございます医師会側との間に意見の食い違いもあるようでございますが、そういう意見の食い違いというものも、今申し上げましたように、どういうルールによってやっていくかという点についての意見の食い違いであろう。先ほどから三人の方々に意見をお伺いいたしたわけでございますが、主として武見会長あるいは安田会長は、今日までの経緯についての御意見の御開陳がございました。末高教授の場合は、若干方法論についても論及されましたけれども、主として利害相対立いたします御両者については、経緯の開陳が主であったようでございます。今日までこの医療報酬調査会設置法に関します論議は、主として与党委員を中心として行なわれたわけでございますが、その際、私どもが静かに承っておりまして非常に不可解に感じました点は、それは与党委員といえども、この法案の審議にあたって、審議すればするほどこの法案の趣旨というものがだんだんと不明確になっていく。本来から申し上げますと、審議する過程の中でもろもろの疑惑というものが解消される、これが主として今日までの審議の過程におきます状態でございましたけれども、今度の場合は、審議を重ねれば重ねるだけ、今申し上げますようにこの法案の目的なり趣旨というものがぼやけていく、これが私は一つの特色ではなかっただろうかというふうに考えるわけでございます。
 そこで、まず第一に武見会長にお伺いを申し上げてみたいと思います点は、この調査会設置法が提案をされました目的なり趣旨というものが一体那辺にあったか。それは新聞あるいは巷間伝うるところによりますと、一方では医師会の強い反対がある。片や支払い団体側からは突き上げが行なわれる。そこで、そういう状況、向背に敵を受けたというような状態に困惑した自民党が、そういう問題を調整するために、公的医療機関の設立規定を内容とした医療法の一部改正を提案した。これと引きかえに調査会法を成立させたい、こういうことも実は新聞、巷間では伝えられておる、こういう状態でございます。そこで私は、国民医療のためにも、あるいはまた、国民医療保障を達成していくためにも、適正なる医療費の算定というものは必要でございますけれども、今申し上げますような政略的な意味でこの法案が提案されるということにつきましては納得できませんし、しかも、私は冒頭に申し上げましたように、審議を重ねれば重ねるだけどうも目的というものが不明確になっていく、そういう印象も強く持っておりますので、この際、この法案の提案されましたその趣旨というもの、目的というものが一体那辺にあったかというような点についてどのようにお考えになっておりますか、まず一つ所信を伺っておきたいと思います。
○武見参考人 ただいまの御質疑の目的、趣旨の点でございますが、これは他の法案と取り引きされるべき性質のものではございません。私どもはこの点について明確に割り切っております。それから、この趣旨が、審議すればするほどわからなくなるとおっしゃいますことは、私はこの趣旨につきまして、最初から灘尾厚生大臣と個人的に話し合いをいたしました。最初、御就任直後いろいろ話し合いをいたしましたときには、医療協議会で話し合えば済むことだから、屋上屋だと自分も思うというふうな御意見でありました。これは個人的な話し合いの場であります。従いまして、中央医療協議会が先に提案されたというのは、そのような事情であったと思います。従いまして、私は灘尾厚生大臣も当初はこれに重点を置いておらなかったということを確信いたすものでございます。ところが、国会におきまして、与野党の共同修正によって私は非常にいい結論が出たと思っております。これは初めて大正期の健康保険法の中で、わずかに民主主義の原則が貫かれました部分が中央医療協議会法だと思うのであります。ここでお互いに自分たちのルールを持ち寄りまして、そして国会承認の中立委員があっせん統一するということが、私は民主主義の原則だろうと思います。そういうふうに中央医療協議会を了解しておったわけであります。しかるに、あとから支払い団体、日経連等が、調査会がないならば委員を出さないということを言っております。それによって今日まで法案通過後六カ月間、この法案が執行されないでおりまして、それによって私はこの法案が今度押し出されてきたというふうな感じを受けているものであります。私は国会の権威のために、非常にこの点を惜しんでおります。一団体の横車によって、与野党共同で修正された案を、大臣が執行できないというくらい恥ずかしいことはないと私は思います。国民の一人として非常に残念に思っております。私はこの案の内容につきまして大臣といろいろお話し合いいたしましたが、自分も案の内容はまだ考えていないし、これから考えるのだということでありまして、その内容、趣旨については十分わかっていないのであります。
 ところが、私がここで非常に問題といたしますところは、先ほど来安田参考人からいろいろ御親切な話が出まして、これがほんとうならば診療担当者との争いは最初からなかったわけであります。鉄道職員の給与が倍になりました昭和二十六年から三十二年まで六年の間に、これは医師会の委員も医療協議会に出ておりましたが、単価診療報酬は一文も上がっていないのであります。お上げにならなかったのであります。三十二年に私が就任直後一点単価三円の増額をいたしましたときに、まっ先に反対をいたしましたのは健保連の専務理事であります。このような形から問題が出てきたのでありまして、もう一つ私は重大な点を指摘しておかなければならないと思います。灘尾厚生大臣が、話し合いに入りましたときに、懇談会の席上におきまして、お手元に差し上げてございます資料におきましてこういうふうなことを言っております。「適正な診療報酬は、特に経済成長のテンポが速い時期においては、社会経済の推移に即したものでなければならないので、関係者の協議により医業経営の実態、国民の負担及び保険財政などに関する調査を実施し、その結果に基いて、適正な診療報酬の実現を期する。」ということでありまして、これは当然中央医療協議会でなさるべき性質のものであります。中央医療協議会に上部機関がなければこれができないということは考えられないのでありまして、当面の問題から処理するといって、健保連も日経連も、関係団体を全部お集めになって、灘尾厚生大臣みずから筆をとりました了解事項に、明らかに関係者間の協議によるということがいわれているのであります。この事項の中には、調査会を作るということは一つも言っていらっしゃいません。その他の約束事項を全部踏みにじっておいて、この調査会をまっ先にお出しになったことにつきましては、全く私は了解に苦しんでおります。
○河野(正)委員 ただいま武見会長から医療懇談会の了解事項の一部を取り上げて、この調査会法が提案されました不当性についての御指摘があったわけでございますが、実は私もいろいろな資料を集めまして、検討をいたして参ったわけでございます。その中で、私もやはり今武見会長が指摘されました懇談会の了解事項の中で、「関係者の協議により医業経営の実態、国民の負担及び保険財政などに関する調査を実施し、その結果に基いて、適正な診療報酬の実現を期する。」こういう関係者協議によるという了解事項がありましたので、どうもこのこと自身は、今後の診療報酬については医療協議会の中で決定をしていくという意味ではなかろうかというふうに、実は私も赤鉛筆でしるしをつけまして、この点をはっきりしていただこうということで考えておったわけでございます。ところが、今私からも申し上げましたように、武見会長から前もって御指摘がございましたので、私どもそういう点については何か割り切れぬものがあるような気がいたします。
 しかしその点はお触れになりましたから、私はそのことを若干中心にしてもう一点お尋ねを申し上げておきたいと思いますが、それは先般成立をいたしましたいわゆる中央医療協議会、この法案によりまして、この中立委員というものが国会の修正によりまして国会承認人事になった。このことは、この中央医療協議会の審議にあたってきわめて民主的に運営し得るという一つの条件を備えただろうと思いますし、また、国会の良識もそういう方向に運んで参ったように私は考えます。そこで、先ほど安田会長からも、あるいはまた、末高教授からも、いろいろと買手と売手の問題についての御指摘がございました。そういう心配があることは、私も否定はいたしません。しかしながら、そういう支払者側と療養担当者側とのいろいろな意見が相違した場合に調整を行なう、あるいはあっせんを行なう、そういう場合に、私は、先般成立をいたしました中央医療協議会の中の中立委員というものが国会での承認人事でございまするし、中正な立場をとるだろうというふうに予想されるわけでございますので、従って、そういう中立委員を中心として、この支払者側と療養担当者側とのいろいろな意見の食い違いというものは、調整できるのではなかろうかというふうに考えるわけです。にもかかわりませず、この中央医療協議会の開催の条件として、この調査会法をなぜ持ち出したか。反対とか賛成とかいうことは別として、そういう条件のもとになぜ調査会法を持ち出したかという合理的な根拠というものが、私は必要であろうというふうに考えるわけです。そういう点についてどういうふうにお考えになりますのか、先ほどの発言とも関連をいたしますので、あらためてお伺いを申し上げたいと思います。
○武見参考人 この合理的な根拠と申しますものは、私は学問的にはあり得ないと思います。これは権力的には官僚保険者の権力的に行使しようという目的だけで、私はこのようなものができたと思います。中央医療協議会が独立して機能を発揮するようにできているものに対して、その上部機構がなければその機能ができないということはないはずであります。また、厚生大臣や厚生省が、みずから学識経験者をたずねて、意見をまとめてルールをお出しになることも一向差しつかえないことでありますし、中立委員が国会承認であるという異例の処置をとられました根源も、そこにあると思います。それらを乗り越えて、法律権力によってルールを作らなければならないというところに、私は自由主義と民主主義を捨てて、官僚の徹底的な権化であるという灘尾厚生大臣の根本思想が表に出ていると思います。
○河野(正)委員 まずそういう点についても、若干与党委員の質問に対して、厚生大臣からるると釈明をされた事情もございました。ところが、私どもも厚生大臣のいろいろな見解を静かに承りまして考えたのでございますが、御承知のように、今回の調査会の委員というものは、総理大臣が任命をいたします委員でございます。そこで、事と次第によっては、たとえば与党委員の質問によって、厚生大臣からもいろいろと所見の開陳はございますけれども、これは厚生省を離れて総理大臣が直轄する調査機関でございますことは、法律の趣旨が明示する通りでございます。そこで私は、厚生大臣がいろいろとこの委員会の席上において解明をされておりますけれども、はたしてその方向にいくものであろうかどうか、私は一まつの不安を持たざるを得ないのでございます。そこで、私どもが非常に気になりますことは、この調査会が、なるほど法文の示すところによりますと、診療報酬算定の基準、ルールというものを確立するということでございますけれども、そのことが、事と次第によりましては、この診療報酬のみならず、支払い方式についても大幅な変更ということを考慮していくのではなかろうか。実は厚生大臣の意図と違って、総理大臣が直接任命するわけでございますから、この委員の構成、委員の考え方次第によっては、そういう方向にも発展する危険性があるのではなかろうか。そうしますると、私どもはこの委員会でいろいろと厚生大臣の御見解を承って参りましたけれども、厚生大臣の御見解をそのままのみ込むわけには参らぬというような事情もございます。そこで、そういう危惧というものに対して日医の方ではどういうふうにお考えになっておりますのか、この際私どももこの法案の行く先につきましては非常に関心を持っておりますので、この際そういう点につきましても御所見を承っておきたい。
○武見参考人 この調査会法がもし活動を始めるということが予測されますならば、全国の診療担当者――医師、歯科医師、薬剤師は全くのあてがい扶持の体制になるだろうと思います。これは少なくとも、先ほど末高教授がおっしゃいましたように、プロフェッションとしての地位を認めない形になると私は思うのであります。いやしくもプロフェッショナルな団体と申しますものは、みずからの技能をみずから評価して、これを世に問うことが正しい姿であると考えます。あてがい扶持にするということになりますと、全国の診療担当者は、一日も安んじてその職にあって仕事をすることができなくなるだろうと思います。
○河野(正)委員 そこで、ただいま私が指摘申し上げた点に関連をするわけですが、そういうわけでもう一点お尋ねをしておきたいと思います。今も申し上げましたように、今度の調査会が設置されますると、今までの中央医療協議会とは違って、委員は総理大臣の任命であり、総理府に直属する機関となるわけでございます。そこでいろいろと今後の基準またルールを確立していくためにも、地方公共団体あるいは行政機関等に資料の提出を求め、あるいは協力を求めることになろうかと考えます。そういたしますると、これはちょっと武見会長もお触れになったようでありまするが、この調査会の運営というものが、官僚統制的な色彩を強める危険性がありはしないか、こういうところを私は心配をいたすわけであります。そういう点についてどういうふうにお考え願っておりますか。この際そういう点につきましても明快なお考えを承っておきたいと思います。
○武見参考人 ただいま御指摘のございました通り、私どもは、厚生省の官僚的なとりでと総理府のとりでと、二重にこさえようという意図だと考えております。
○河野(正)委員 この医療費の問題は、今日まで長い間の懸案事項でございますので、こういう問題をうまく円満に解決していくためには、私はやはり話し合いと申しますか、民主的な方法によって解決していくということがきわめて望ましいというふうに考えます。にもかかわりませず、今私が指摘申し上げましたように、官僚統制的な色彩が非常に濃厚になっていくということは、少なくとも私どもの願いに逆行する点でございますので、こういう点に対しまして、私どもは十二分に関心を持っていかなければならぬのではなかろうかというふうに考えます。これは問題の基本でございますので、今後の医療の進んでいく方向についても若干検討を加えておく必要があろうと考えます。そこで一、二御所見を御開陳願いたいと思いますが、先ほどちょっと会長がお触れになりましたけれども、社会保障制度審議会が、過去三カ年間、社会保障の総合調整という問題について検討を進めて参った経緯がございます。そして七月の答申を前に、そのたたき台ともいうべき方向を一応取りまとめたようであります。しかもその中に、冒頭に、国民のすべてに対して公平に医療を保障するには、医療の国家管理を行なわなければその目的を十分達成することができない、こういう大きな前提を打ち出しております。さればといって、今後十年間に、医業の自由開業制度を大幅に改めることはきわめてむずかしい問題である。そこで考えられるのは、医療保険を中心として医療保障を行なうことである。ここで非常に重要な点は、将来の医療保障の中心というものは医療保険だ、こういう指摘の仕方を行なっておるわけです。私は、こういう基本問題というものは、医療費を検討する場合にはきわめて重要な要素を持ってくると思いますので、これは社会保障制度の総まとめでございませんけれども、一応の取りまとめでございますけれども、そういう方向を示しつつあるという現況、こういう現況の中でわれわれは医療費問題というものを考えていかなければならぬわけでございますから、そういう現況に対して、武見会長はどういうふうにお考えになっておりますのか、一つこの際御所見を承っておきたいと思います。
○武見参考人 今後の日本の医療をどうすべきかという非常に広範な問題から入りまして、社会保障制度審議会の総合調整の問題点の御質問に入ったわけでありますが、私は、あの問題点くらい、全く世界の医学の動向を無視した、しろうとの暴論はないと思っております。世界の医学の方向は、病人を出さない方向に向かっていくと同時に、ポジティブ・ヘルスという問題を大きく取り上げております。これに関連いたしまして、環境の醸成という問題が、非常に大きな問題としてクローズ・アップされております。私は、日本の医療の将来の問題は、保険中心でいけなくなる時期が、もう十年くらいでくるだろうと考えております。保険中心というものはなぜやれなくなるかと申しますと、これは、国民の寿命が長引きまして、老齢者の非常にふえてくるという実態がございます。すでにスエーデンにおきましても、平均余命は延長しておりますけれども、六十才、七十才の人たちのほんとうにどれだけ延びたかというと、一年ないし三年しか延びてないわけであります。つまり老人が非常にふえたわけでありまして、日本においても、その事実には違いがないのであります。そうして老齢慢性病をしょいました国民健康保険の姿では、もうやれなくなるという時代が参ります。これは昭和四十六年を日本のピークといたしまして、はっきりと打ち出されると思うのであります。従いまして、保険が中心で日本の医療保障が行なわれるという考え方に対しては、私はにわかに賛成いたしません。また、世界の医学的な立場に立ちましても、医学の立場と申しますものは、環境の醸成とポジティブ・ヘルスの問題に重点が移っておりまして、これがコンプリヘンシブネスという形でアメリカでは呼ばれております。またヨーロッパでグレーダー・メディシンという形でも言われておるものでございます。ここにおきまして、医学の思想的革新という問題が、人類生態学の立場から、はっきりと変った形が出てきました。そういうことでございますので、社会保障制度審議会の問題点の総合調整というものは、全く世界の医学から遊離いたしまして、日本の国民大衆にとって、今後の十年後の医療は保障できないという見解に私は立つものであります。
○河野(正)委員 今、社会保障制度審議会のたたき台とも称すべき一応の取りまとめに対します医療保障の中身の問題についての御見解を承ったわけでございますが、と同時に、やはりその中で私どもが問題とし、さらに若干御所見を承っておきたいと思います点は、医療保障が保険の形をとって参ります場合に、医療費保険としての性格を持っていくということは、今私が御指摘を申し上げた通りでございますが、そういうことに関連して、直接医療を保障することにより医療費保険としての性格を持つとしても特に非難すべきではない、こういうように言っておるわけです。すなわち、医療費保険の意味というものが医療費給付の方向をさしておるといたしますならば、それは療養費払いの道を開いていくということに通ずるのではなかろうかと考えるわけですが、そういう点に対してどういうふうにお考えになっておりますか、この際御所見を承っておきたいと思います。
○武見参考人 私は、あの勧告は英国式の国営医療とフランス式の方式を混淆していると思います。その点で論理的には支離滅裂でございます。それからまた、療養費払いの問題に関しましては、私は、現段階におきましては零細所得階層にしわ寄せされるという考え方に立ちまして、ヒューマニズムの立場から絶対に賛成いたしません。必要な場合にどのような専門家にでも見てもらえるという形が、私は一番いいと思います。
○河野(正)委員 今私は、主として今後社会保障制度審議会が示しております方向について、医療担当者としてどういうふうにお考えになっておるか、このことが医療費問題を検討する場合にきわめて重要でございますので、そういう意味で若干御意見を承ったわけでございます。
 そこで、時間もございませんから、具体的な点について、一、二点この際承っておきたいと思いますが、今日の現実は、これは会長が御指摘のように、自由経済社会でやっていく。そこで武見会長からも若干申し述べられた点でございますが、買手と売手の間では、末高教授からも安田会長からも、いろいろ意見の食い違いが出てくる。それでそういう処理をどうするかという点については、参考人の三人の方からもそれぞれ御意見の開陳がございましたから、それは問題でございませんが、自由経済社会の現実というものは、これは無視できない。しかも一方においては国民皆保険というふうに、現実の中で一つの異なった体制というものが押しつけられておる。そこで私はいろんな混乱状態が起こってくるというふうに考えるわけです。そういう混乱は、当然起こるべくして起こってくる一つの混乱でございますから、それはやはりどこかで調整しなければならぬというふうに考えるわけです。しからば一体、そういう調整はどういう形でやったが最も適切であろうか、そういうふうにこれは建設的に考えるわけでございますが、そういう点についてはいかがでございましょうか。
○武見参考人 先ほど売手、買手の問題がございましたが、末高教授の御発言は、あの社会保障制度審議会のたたき台になりました問題点とほとんど同じでありまして、将来の国家管理という点の内容を御説明になったのでありますが、私が伺って感じました点から申しますと、医者は月給をやって食わしておけば、それで一文句が出ないだろうというふうな考え方でございます。プロフェッションというものは、末高教授も御指摘になっておりますが、プロフェッショナルなスピリットもございますし、プロフェッショナルな自由もございます。金の問題だけでいかないことを逆の面から私ははっきりとしておきたいと思いますが、国家管理によって月給制度にいたしましたイギリスにおきましてすらも、末高教授が最もあこがれておられるイギリスの方式にいたしましても、トラブルがほとんど年じゅうございます。しかもイギリスにおきましては、医師は国家公務員であるけれども、専門職業であるから、不平不満に対しては仲裁裁定機関がなければならないということでありまして、イギリスにおいては仲裁裁定機関を作っているくらいであります。ですから、国家管理をやったから問題がなくなるということは、社会保障制度審議会が非常に即断していると私は考えます。
 それから将来の形でございますが、これは私は、三時間くらい時間をいただきましたら、十分にお話し申し上げたいと思っております。
○中野委員長 河野君に申し上げますが、時間の関係がありますから、結論にお入り下さい。
○河野(正)委員 そこで時間がございますれば、三時間かかって御高説を拝聴いたしたいのでありますけれども、委員長の御指摘もございますから、これは簡単でけっこうですから、どういう形が一番望ましいか、これは私ども十分意見を聞いて、国会ではこれをどうするかという検討を加えなければなりませんので、一つ端的にお述べを願って、私の質問を終わりたいと思います。
○武見参考人 現段階におきまして、結論だけを申しますと、私は健康保険の被扶養者を国民健康保険に入れることだと考えております。これによりまして国民健康保険の財政安定策と、国民健康保険を根幹といたしました、ほんとうに国民と密着した保険制度を一応作ることが必要だと私は考えます。もしも今のような特殊な、企業を中心とした保険制度が支配的な発言権を持っております現状におきましては、過半数の国民健康保険の被保険者の運命は、非常にみじめなものになると思います。私はこの点から考えましても、国民健康保険を根幹とした保険制度に再編成する、ことに組合管掌健康保険は本人だけで、労務管理の一部に移行するのが私はいいと思っております。
○中野委員長 田邊誠君。
○田邊(誠)委員 私は特に医療担当者の経験もございません。しろうとの立場から、簡単に一、二点だけ御質問をいたします。
 医療費の決定にあたって、医療担当者の意見が尊重され、その立場が十分考慮されなければならぬことは、われわれも十分承知をするところであります。ただ現在の社会において、武見さんも言われたように、売手と買手の関係がございますから、これを何らか調整をはかって、最終的な結論に到達しなければならぬという現実の姿も、否定できないことだと思います。そういった場合に、私どもは医療担当者であるところのお医者さんの立場なり、あるいは診療に当たられるところの困難性の克服ということについては、十分考慮しなければならぬと同時に、やはり国民経済なり国民生活というものも、これを無視することはでき得ないのが現状だろうと思います。御意見を拝聴しておりますると、特に先ほどの御意見では、売手であるところの医師は高い位置を持たなければ国民の福祉と合致をしないと言われました。私はある意味ではこの言葉は当たると思いますけれども、しかし、それを医療担当者の側である武見さんの口から聞くことは、私はいささか疑念なしとしないのであります。そして自由経済社会におけるところの医師等のごとき独立した専門職種は、みずからの技能をみずから評価して世に問うべきであると医師会がいわれておる、そこまではいいと思うのですが、相手方は自己の財政力と交換して、そちらから歩み寄ってという意味でしょうが、話し合いによって適正に決定すべきものであると言っておられましたけれども、これはいわばあまりにも売手である医療担当者の立場だけを重要視して、買手であるところの国民の経済なり生活というものをいささか重要視しない、軽視をするというような工合に世論はいっておるのであります。私どもはこの点の誤解を解かないことには、非常に重要な職種でありますところの医療担当者の意見というものが、正当に伝わらないだろうというように考えておるのでありますけれども、この医師会の意見というのは、一体私が言いましたような真意であるかどうか、御意見を拝聴したいと思います。
○武見参考人 国民の立場に立って私どもは終始議論しております。独占資本あるいは中間搾取団体の立場に立って議論した経験は、私は一切ございません。国民健康保険の問題を終始念頭に置きまして、その給付の格差がいかに大きいか、三百の給付をやっております健康保険組合、五十四の給付しか受けていない国民健康保険の被保険者、この大きなアンバランスをどうするかという問題について、私は世論を喚起しているわけであります。
○田邊(誠)委員 今度の調査会の持つ意味合いは、見方によっていろいろと違いましょうけれども、この調査会の是非を論ずる前に一致しておることは、診療報酬の決定をする前の、いわば重要な一つの決定権を持つものは中央医療協であることは、だれしも認めておるところであります。そういった立場からいいまするならば、いわゆる医療担当者の御意向は、この中央医療協でもって十分反映をさるべき立場であるし、そうしてまた、そのような御意見が各方面から理解をされ、政府もその点は認められて、中央医療協の改組に踏み切ったと思うのであります。しかも、いわゆる学識経験者委員四名は、国会の承認によって任命をされるという立場をとられる。そういたしまするならば、先ほどのいわゆる売手と買手の意見の食い違いというものは、この中央医療協でもって十分戦わされ、そうして中立委員といわれる人々の意見も加味をされて、その結論が出されると思うのであります。そういたしまするならば、今回の臨時調査会という時限立法により、今まで混乱をし、一つの概念すらも規定できなかったところの診療報酬に対して、一つの案としての根拠を与えて、これを基礎として中央医療協に諮問をするといった筋道が絶対にいけないという立場は、先ほどの御意見を承ってわかったのでありますが、中央医療協のいわゆる上部機関としてこの調査会が作られる必要はないではないかという御発言がありましたけれども、この点は違うと私は思うわけであります。ただ、調査会の持つ性格とその権能の範囲についてはいろいろと意見がありましょうけれども、これはあくまでも一つの概念を作る、あるいは概念から出発するところの一つのものさしを作ると厚生大臣は言っておるのでありますけれども、あくまでも一つの基礎資料だと私は思います。決定権を持つものは、やはり中央医療協だと思うのであります。そういたしまするならば、この調査会が設置されないことを考えてみた場合には、厚生大臣が一つの素案を作り、参考意見を付して中央医療協に諮問をするという形になろうかと思いますけれども、このことの方が、いわゆる官僚統制なり官僚のやり方を許すという説も成り立つだろうと思うのでありまして、要は調査会の権能をどの辺にとどめておくか、権限をどの程度までに縮小させておき、中央医療協の持つ役割とその活動というものを、制約しないという形に置くことが必要ではないかという意見もあろうと思うのでありますけれども、そういった考え方に立つならば、あなたの先ほどの屋上屋を架せられるという、これは形の上では、もちろん別の組織を作るわけですからそういう形にも見えますけれども、あくまでもその前提の基礎的なものであるという考え方と、幾らか私は違うだろうと思うのであります。その点は、あなたの方でいささか誤解をされておるのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○武見参考人 私は社会的に見て正解しておると思います。中央医療協議会は、政府案も、われわれ診療担当者の案も、保険者の案も、平等に取り扱われるべきところだと思います。その間にいささかの軽重の区別があってはならないと思うのであります。厚生大臣が御自分で案をお作りになって、お出しになったものを軽く見るという性格はございません。総理府でなぜ作らなければならないか。総理府で作ってもらわなければ診療報酬のルールを持てないような方が厚生大臣であり、厚生省がそのような役所であるということは、国民にとって非常な悲観であると思っております。
○田邊(誠)委員 厚生省に対していろいろ御意見があるのは大へんけっこうでございまするけれども、しからば、中央医療協でもって売手の側であるところの医療担当者と、いわゆる支払者側、被保険者といわれる買手の立場の者と意見が合わなかった場合には、仲裁的な機関を設けるべきだというあなた方の意見でありまするけれども、私は、これもいわば一つの逃げじゃないかと思うのであります。あくまでもやはり諮問機関としての最終的な権能を持つ中央医療協は、十分話をされて、その中の一致点を見出されるという立場こそが、最も尊重さるべきであろうと私は思うのであります。その立場さえはっきりと確立されておれば、その前提となるべき資料の提出なり素案の提出というものがいかようなものであっても、いわゆる医療担当者の意向というものは十分中央医療協で反映をされるし、またそうさせなければならない、私は、立場が医療担当者の立場であろうと、こういうふうに思うのでございまするけれども、仲裁機関を設けるという御意見は、私は今のあなたの御意見といささか違った弱気の意見だろうと判断をいたすのでありまするけれども、いかがでございましょう。
○武見参考人 仲裁機関と申しますものは、三公社五現業等におきましても仲裁機関ができております。会社等におきましても中労委ができております。私は決して弱気ではございません。民主主義に徹した意見のつもりでおります。
○田邊(誠)委員 ちょっと、答弁はございませんが、そういたしまするならば、これはまあ厚生大臣が素案を作るか、その厚生大臣の素案を作る一つの資料を作成するというこういったものが、暫定的に調査会として設けられていることも、それほどあなた方が気にされ、重大視されて、徹底的な反対を持つという形にはならぬじゃないかと私は判断をいたすのですが、どうでしょうか。
○武見参考人 これは非常に私は重要な点だと思いまするから、はっきり申し上げます。日本の国民におきましては、お上でおこしらえになったものというのは非常な権力を持つのが、これは日本の習慣でございます。厚生省においてこれが作れなくて、総理府において作らなければならないという根拠を、私はまだ伺っていないのであります。
○田邊(誠)委員 別に討論をするわけではありませんから、それに対して反論を加えるわけではございませんけれども、総理府で作るこの調査会というものの仕組み、あるいは厚生大臣が医療担当者といろいろと懇談会等を通じてお話し合いになったところの経緯、こういったものをよく承知をする上でもって、やはり調査会というものの是非を判定するものは、何といっても中央医療協の権能は、これは精神的にしても現実的にしても侵されるではないかという、こういうことから出発されていると私は思うのであります。医師会の御意見を聞いておりまして、官僚統制であり、官僚ファッショだと言っておるのでありまするけれども、そのいわゆる役所である厚生省が素案を作ることについてはあまり反対をされないようだけれども、その基礎条件を作るところのものを、いわゆる学識経験者の人たちによって、現実的に、まずこの懇談で根拠がなかなか見出し得ない現状の中で求めようではないかという、こういう考え方というものがよりファッショ的であり、より官僚統制だという、こういう立場というものは、どうも私はあまりにも、ちょっとものの見方が一方的ではないかと判断いたすのでありまして、中央医療協が、この調査会設置によって、どういうふうにいわゆるその権能が侵されんとするのか、その点だけ一つ最後にお伺いしたいと思います。
○中野委員長 ちょっと武見参考人に申し上げますが、委員長の許可を得て発言を願います。武見参考人。
○武見参考人 これがなかったらどうなるという場合と、あったらどうなるという場合を比較すれば、最も私は明確になると思います。
○田邊(誠)委員 こちらはしろうとなんだから、その内容を言って下さい。
○武見参考人 もしもない場合でございますならば、厚生省が一番資料を持っているはずでありますから、それらの資料によりまして、いろいろな人の意見もお聞きになってお出しになるだろうと思います。それと各民間団体とのいろいろな意見がそこで出まして、国会承認の人たちによって最後はまとめられていくということに従うのが、私は民主主義の原則だと思うのであります。その上になければこれが運営されないというふうな考え方は、私は了解ができないのであります。
○田邊(誠)委員 大体意見はわかりましたが、しからば、この調査会というものがあってじゃまだという意見ではないのでありまして、なくてもいいのではないかという御意見のようで、だいぶん当初の御意見よりは弱気のようでありまして大へんけっこうでありますが、問題は、あくまでも皆さん方の御意向が十分尊重されるという立場のものがほしいと思っているのであります。そういった点から言いますならば、これはやり方によりますけれども、調査会設置ということによって侵される場合もあるでしょう、決定的な要素を持つ場合もあると思います。しかも、厚生大臣は白紙でもって調査会にルールの作成を委任するのですから、まことにこれは不見識なことであります。しかし、そのルールというものの考え方の中に、今厚生省が持っており、民間で持っており、医師会がさっきお示しになったようないろいろな資料を参酌をしなければ、学識経験者が診療報酬に対する――調査会は医療報酬と言っていますけれども、われわれは診療報酬だろうと思いますが、その基礎的な要件、一つの概念、こういったものを参考意見として諮問をするということであれば、大して医師会の御意見に沿わないということにはならぬと考えるわけですけれども、一言でけっこうです。
○武見参考人 先ほど私の意見が弱くなったとおっしゃいましたのは、非常な間違いであります。私はいよいよ要らないという確信を先ほど来の御質問によって確かめたのございまして、決して私は弱くなっておらないのでありますから、この点一つはっきりと申し上げておきます。
 それから先ほど来私が御答弁申し上げましたことによりまして、もうすでに言うことは尽きていると思います。
○中野委員長 島本虎三君。
○島本委員 武見会長に御質問申し上げますが、先ほどの報告の中で、一点私がぜひ聞いておきたいことがございます。三十六年の三月一日に社会保障制度審議会からの答申があった。その答申に基づいて、いろいろと今回のこのような事件とは申しませんが、いろいろなトラブル発生の原動力があったようですけれども、その前半はただいまは賛成しておられる。基本的に医療制度を近代化する必要があると認められた、こういうような点はその通りであると思う。ただそのあとで大事であると思いましたのは、会長が党の三役と厚生大臣並びに医師会、歯科医師会、薬剤師会と取りかわした約束がほごになった。しかしながら、これは医療保障の建前からこの四つの約束は憲法にひとしいものである、こういうような発言がなされたわけであります。なるほどこういうような重大な、憲法にもひとしいようなものである場合、約束を無視された場合は当然どのような行動に出る、そういうような意気込みも、皆さんの状態も十分わかります。しかし、その約束自身がはたして明確になって、その問題をほごにされないような状態にしての約束であったのか、またそういうような約束ではなしに、ただ単に口約束程度のものであって、おざなり一ぺんのものである場合には、ただいまの報告とはちょっと別な観点が生ずるわけでございます。一つはあくまでも重大な約束であり、そのものに対してはっきり調印をしてあるものをそうやるならば――現に厚生大臣は、そういうような破廉恥な行為はできないわけです。それと同時に、公党としての自民党としても、こういうような問題に対しては、ここに出席できないほど責任を感ずべきだと思うのです。この点はどのようなことになりますか、その点、判然とお願いしたいと思います。
○武見参考人 とのときの約束は文書にいたしまして、大臣と党と日本医師会、日本歯科医師会とがお互いに署名をして、交換をいたしたものでございます。
○島本委員 そういうような重大なものである場合は、これはやはり全党の責任においても解決する義務が党の中には当然あるのだと思います。ここに出席した人は、そういうようなことは当然知っておられるだろうと思う。しかしながら、そういうものをはっきり文書にまでして現に大臣が約束をしていながら、憲法にひとしいようなものをじゅうりんされるような行動があったということは、これはもうとんでもない違反行為、こういうようなものを訴訟までして黒白を争うのも一つの手じゃないか、こういうような重大な決意はありますか。
○武見参考人 非常に御懇篤な御指導、感謝するわけであります。
○島本委員 御懇篤なと言えば、そういう意思はどこにあるかということですけれども、私ははっきり私の意思を申し上げますと、宙ぶらりんにしてはいけないというわけなんです。御懇篤な意思の程度で承られては宙ぶらりんのおそれがありますから、われわれの協力態勢もそれによって異なるかもしれませんが、このような点も、これは御懇篤なという程度の忠言ではないということで、肝に銘じておいていただきたいと思います。
 それともう一つ、これは先ほどの説明の中で、昭和三十三年に平均費用曲線というものを明確にお出しになって、これは聞き漏らしましたが、一八%の値上げでしょうか、これをやると六〇%の採算に乗るものであって、それが十八円何がしとか、そういうようなことの説明があったわけです。そういたしますと、こういうようなりっぱなデータを出して、これに匹敵するものが出てこないのに、りっぱなものを無視するような民主主義は私はちょっと考えられないのですが、その場合これを公開によって知らしめるような方法で、こういうようなりっぱなデータをお出しになって、それを拒否したものであるかどうか、この辺の事情も明確にしておいていただきたいと思います。
○武見参考人 これは一橋大学の中山伊知郎教授の御指導によりまして、平均費用曲線を求めまして、六〇%の保険医療機関が採算に乗るとすれば、単価は当時で十八円四十六銭でなければならないというデータが出たわけでございます。これは実態調査に基づくものでございます。これを中央医療協議会に出しましたところが一顧の批判もなし、自分の方で代案を出すこともなくこれを葬ってしまったのであります。しかも、このようなルールが日本で初めて出まして、私どもは、世界医師会あるいは世界各国の医師団体、学識経験者等にこの問題を提案いたしましたところが、これが世界的に反響を呼んだのであります。日本では保険者官僚独裁の制度のもとにおきまして葬られたのは事実でございます。
○島本委員 これは私自身診療関係並びに医者ではございませんし、よくその内容は存じませんので、幾分内容の説明にわたるかもしれませんが、先ほどの言葉の中で、保険中心では今後十年もたったらいけないようになるのじゃなかろうか、こういうような説明があったように伺いました。保険中心ではだめだというと、どのような制度でどのようにしてやらなければならないのだという、明確な一つの見通しというものがおありだと思いますが、この際それをお聞かせ願いたい。
○武見参考人 私は、今のような保険中心ではいけないということでございます。時点を現段階に置いた議論でございます。現在の保険のようなものでございますと、零細なる農村や中小企業と大企業との格差がどんどん大きくなって参ります。現に給付が三百と五十四というふうに大幅に離れてしまっております。しかも、零細企業の人たちは皆保険の恩典に浴すことがなかなか困難でございまして、半額負担も困難なような状態になっております。従って、現在の形では、国が大幅に援助いたしましても、それにかかれるのは相当な階層であって、ほんとうの必要とする階層にいかないような組織になっております。このように大企業と中小企業や農村との格差をますます大きくしていくような保険制度は、私は十年と持たないだろうということでございます。
○島本委員 それでは私はこれで終わります。なお、この際に私は、先ほどの説明があった中で一つだけまっ先に申し上げましたように、文書にまでしてある約束がほごにされたということで、それで弱腰や中腰程度では、これはわれわれ自身としては困るのでございます。そういうような場合は、断固たる態度でやってもらわなければ、医師会の品位にも関するということを申し上げまして、これで私は終わります。
○中野委員長 小林進君。
○小林(進)委員 限られた時間でございますから、結論だけごく簡単にお尋ねいたしたいと思うのであります。私どもは、医師会の関係でも支払者団体の関係でもございません。厳正な中立の立場で、この混迷せる事態を何とか一つ収拾できないかという願いを込めてお尋ねをするのであります。
 せっかく昨年度三十九国会で成立をいたしました三者構成の中央医療協議会も、先生がおっしゃいましたように、支払者側がいわゆる委員を送らないということで、まだ発足の見通しもつかないという、せっかくの法律が活用せられていないのであります。しかるにまた、この臨時医療報酬調査会の問題を含みまして、もしこれがかりに成立をいたしますれば、今度は支払者側の方で代表者を送るでございましょうけれども、医師会の方では、今度は代表者をお引き揚げになって、政府に協力をしないという態勢が生まれてくる。今日の状態では、どこまでいって解決をするのか、まことに泥沼的闘争を繰り返している状態でございまして、一体どこに解決のめどを見出していいのか、私どももそれに非常に心を痛めているわけでございます。医師会に含まれるお医者さんは、先ほど末高先生がおっしゃったように、これはプロフェッショナル、国における最も良識のある、人格の高い方でございます。他の職務代表と違いまして、セクト的な争いの面や、自己の利益だけを追求する団体ではなくて、やはり大きく国家、国民の立場で要求し、戦いをしておられるものと推定するわけであります。その立場において、医師会長とせられまして、先生は今日の事態を収拾するためにはどうしたら一番よろしいか、いわゆる先生だけの、医師会だけの立場じゃない、支払者団体並びに国民の立場もあわせてお考えいただきまして、どこまでいけば今日の泥沼闘争に終止符を打つことができるとお考えになっておるかを、一つお聞かせを願いたいと思うのであります。
○武見参考人 これは医師会だけで収拾できる問題でございません。はっきり申し上げますならば、議会の権威を厚生大臣がほんとうに責任を持って守ることができるならば、問題は解決すると思います。
○小林(進)委員 それでは、議会の権威を大臣が守れということは、医療協議会を発足せしめよ、こういうお言葉だと思います。それはその通りお聞きすることにいたしまして、次に、この問題に対する医師会の基本的な考え方といたしましては、やはり売手と買手の思想に立ちまして、われわれは売手なんだから、売手が売手の立場で値段をきめるのが当然ではないかと思う。買手はまた買手の立場で値段を要求すればよろしいのであって、そこで話がつかなければ、第三君の仲裁機関で両者のあっせんをして、そこで最終的な価格を決定すればよろしいという、こういう先生のお話でございまして、その考え方で、昨年の七月の自民党の三役との話し合いでこれができ上がった四つの項目の中の第四番目の「自由経済社会における診療報酬制度の確立」ということで、これは了承を得たと思うのです。しかるに、その公約を守らないがために今日の混迷を来たしたのであるというふうに御説明があったやに私は了承しておるのでございますが、この第四項の「自由経済社会における診療報酬制度の確立」ということの中で、明確に診療報酬、治療報酬は売手の医師がきめるのであるということを、ほんとうに三役は了解されてこの四項目を承認されたのかどうか、いま一回私はお尋ねをしておきたいのであります。
○武見参考人 これは自由経済社会としての原則を承認すれば、今の御質問のことは当然出てくるはずであります。これは一々そのことを個条書きにしたりする話ではなくて、プリンシプルを決定したわけでございますから、これはプリンシプルとして私はその通りであると思います。それからまた、先ほど来、国民負担を考えるか考えないかというふうなお話がございましたが、私どもは、国民健康保険の非常に劣悪な条件については常に心を痛めております。そして国民健康保険をいかにして強化して国民の福祉を増大するかという点について、あらゆるじゃまものを排除していきたいという熱願に燃えているわけであります。それで、お手元に差し上げました資料のようなものを――その前の古井厚生大臣当時、u谷幹事長時代に、党三役との話し合いのときに、社会保険の統合の順序というものをこちらから提案いたしておるわけであります。このような形にして統合していって総合調整をやらなければ、国民健康保険は救えないという立場に立っているわけでありまして、私どもはプロフェッショナルな団体として、利己的な要求はいささかもしていないつもりでおります。
○小林(進)委員 医師会が医療保障の二重性を解消するために御努力を願っているということは、しばしば言われております。資料で承知をいたしております。その考え方には私は賛成でございまして、この点は何も申し上げることはないのであります。特に扶養者を国保にくらがえをするというような考え方も、賛否は別といたしましても、一つの画期的な考え方であるということで、私どもも十分研究さしていただきたいと思います。この点はまことに異論を申し上げる余地はないのでありますが、ただ、さしあたって当面の問題を解決する糸口をどこへ見出すかということで、私どもは非常に悩んでいるわけでございます。その意味において、先ほども島本君が言いましたように、党の三役まで加わって、医師会長、歯科医師会長と一緒に、診療報酬の話し合いを、こうして四項目の個条書きまでしてやられておいて、こういう事態を出されているということは、いかにも私どもは納得ができない。今お話しによりますと、何も具体的に価格の問題まで入ったわけではないけれども、この第四項のプリンシプル、原則を了承すれば、そういう個条書きも当然出てくるのではないかとおっしゃった。なるほど、私も当時うっかり見ておりましたが、「自由経済社会における診療報酬の確立」といえば、売手がこれを自由にきめるという当然の具体策が出てくるとおっしゃることは、言われてみればその通りだと思う。その通りだと思うことを今日この通り惑わかしているのは、いかにも当然のことを理解できなかった自民党の三役が、頭が悪いのか、理解力が足りないのか、それが今日この事態を巻き起こした、こういう結論になるのではないかと思います。でありますから、これは突き詰めていくと、三役の諸君にいま少し医療制度のあり方を研究していただくか、勉強していただくか、あるいはその間違いを国民の前に反省をしていただく何らかの方策を持ち出してこなければ、問題の解決にならない。その意味において、願わくは医師会長の名前ででも、この第四項を再確認する意味において、何か告訴か告発をして、法廷でこの是非の理論を明らかにするという手段をとっていただけないものかどうか、お聞かせを願いたいと思うのであります。
○武見参考人 私は、この問題につきましては、政党政治の時代でございますから、どうぞ政党同士の話し合いで、お互いに信義を尊重し合うという建前に立って、この問題を国民の前に模範的に解決をしていただきたいと思います。
○小林(進)委員 この問題を三役と両医師会長でおきめになる前にも、この問題については、両会長にもこの委員会に御出席をいただきまして参考意見を拝聴したこともあったのでございますから、せめてあのときにわれわれを立会人にでもしていただきますれば、責任を感じて公約を追及するのでありますが、せっかく途中まではお話を受けたのでありますけれども、最後の三役でおきめになるときには、われわれはつんぼさじきにあげられてしまったのでございまして、これはいかにも残念でございますが、その問題はこれくらいにしておきまして、時間もございませんから、最後になお一言問題解決の対策としてお尋ねしておきたいと思いますのは、これは一つ医師の良識にお訴え申し上げるのでございますが、この臨時医療調査会が専門委員を五人任命をいたしまして、そして厚生大臣が医療費をきめるルールを答申するということになっておるのでございますが、もしここにいる五人の専門委員を利益団体にはあまり深い関係はございませんが、医師とか医学者に限定するという条件がつきましたら、あるいは医師会においてこれを了承できるかどうか、この一点でございます。
○武見参考人 私はいかなる条件でもこれは反対でございます。
○小林(進)委員 これで終わります。
○中野委員長 本島百合子君。
○本島委員 先ほどからいろいろ御質問が出ておりますので、重復する点を避けまして、二点ばかりお尊ねをいたしたいと思います。
 先ほど武見会長が言われておりました自民党の公約違反ということは、当然自民党に対しての攻撃を加えていただいて、適正なる措置をとっていただきたいと思うわけであります。
 それから国保と健保との問題については、これはこの委員会におきましても必ず問題にされており、なおかつ国保の低劣な給付率という問題についても努力が重ねられておりますので、近い将来に解決する、これは私どもの努力いかんだと考えておりますが、こういうことを国会内でいたしながらも、いつもの医療の問題については、イタチごっこのような争いが政府並びに医師会あるいは支払者団体、こういう格好で続いて参っております。その結果といたしまして、武見会長等は、調査が十分でいらっしゃるから御存じであろうと思いますけれども、中央医療協の発足がおくれておるか、あるいは参加がないということで空白になり、今日新規の指定を申請されておるものが九百件、あるいは指定の継続を申請されておるものが八百件で、大体千七百件ばかりたなざらしになって、これが全然どうにも手がつかない、こういう状況すら出ておるわけなんです。従いまして、私どもとしては、一日も早くこうした問題の解決を心から願っておるわけでありますが、今回の問題にまた端を発して、支払者団体側と医師三団体の方々のまっ向の対決というような状況が、どうしても見受けられるわけであります。先ほど田邊委員が言われましたことは、国民の素朴な考え方で御質問されたと思うわけですが、調査会法がどうしても医師会としてはのめない、こういうことになりますならば、その打開策ということで昨日大会をおやりになって、私どもも陳情を受けたわけであります。そのときに、どうしてものめないと言われても、これは通る場合においてはどのようなお考えをお持ちになっていますか、またどうすればよろしいのか、こう御質問いたしましたところが、仲裁裁定機関を設けられるならばまだ考えられる、こういうことを言われたわけでありますので、もしこの事態に立ち至って強硬に御反対をされたといたしましても、通るという見通しに立った場合、その場合に仲裁裁定機関を設けさせなければいけないのだという強い要望のもとに納得されるのかどうか、この一点を聞かしていただきたいと思います。
○武見参考人 先ほどのお話の中で、保険医の指定と保険医療機関の問題は、すでに地方医療協議会が発足いたしておりまして、これは解決済みになっているわけでございまして、これにつきまして最初、健保連合会は委員を送ってならないという指令を出しておりましたけれども、末端の医療の混乱を見ましてやむを得ず送られるようになって、一部の県では出ておりませんが、大部分の県では出まして、進んできたわけであります。この問題は幸いにして解消いたしました。
 それから仲裁裁定機関を作るということは、このような約束をじゅうりんいたしました形で、それに対して弥縫的な方策として、私どもは仲裁裁定機関がせめてもなければならないということでございます。しかし、公約をじゅうりんしたという点は、仲裁裁定機関を作ったことによっていささかも解消はしていないわけでございます。
○本島委員 ただいま武見会長のお話を聞きまして、私も実は聞いておりましたが、末端においては、患者の立場に立てば国民皆保険の中で話し合いもついてくる、そして三カ月空白であったものが徐々に解決していっておる、こういうことを中央と地方の状態を比較いたしまして、この話し合いの場というものができて参った場合には、そうした難事件であろうと思われたことも解決する。ところが、中央機関においてはこれが全く閉ざされてしまって、両方の団体が両方で突っぱね合いっこしておるというような印象を、国民は非常に受けておるわけなんです。そこで先ほどから武見会長のお話を聞いて、これは自民党との公約であって、私ども野党側は少しも参画さしていただいておりませんので、どんなに言われても、そのときに証人になるすべもなし、ですから、それをたてにとられましても、国民の場合は、病気をするのを待ってくれというわけに参りません。ですから、私は何とかしてこの機会に、政党との公約無視ということは明らかに――ここに自民党の議員の方々もいられるわけですから、その方々が一丸となって、武見会長、三医師会の方々との話し合いを取りつけていただくというようなことを、これは委員会が終わりましたら自民党の方々にも申し出をいたし、そしてこの調査会法の審議ということになって参ると思いますが、この際に私の考え方を述べさしていただきますならば、支払者団体側にもあとで質問する予定でおりますけれども、どちらもこれは、何がいけないのかということになると明確でないのです。つまらないことにこだわっているとしか、われわれの印象には受けられない。医師会の方々の医師の技術、あるいは医師の方々の教養、こういう点の問題を見ていないということは、これは私どももわかっておる。従って点数問題、こういうようなことについても各委員が努力をされておるわけでありますから、これは漸次解決を――医師会の要望される方向へいくということは、これは社会の趨勢だと思うわけです。そうすると支払者団体側のがんこな意見がどこかにある、こういうことになるわけでありますが、そういう努力をわれわれ議員はいたしますので、その仲裁裁定機関というものを設けていくならば、政党の公約無視ということについては別途の処置をとっても、この点についての調査会法はある程度のむ、こういうことであるのかどうか。昨日の代表者はそう言われましたが、会長が非常に強硬に出られます場合においては、この考え方も、大会決定だと言いながらも多少狂ってくるのではないか、こういう心配があるので承り、なおかつ、そのことによって委員会等におきましてのいわゆる法案審議にあたっても私ども考えてみたい、このように考えておりますので、再度御質問申し上げる次第です。
○武見参考人 仲裁裁定機関の問題に重点が移されておりますが、私は、まだ仲裁裁定機関の内容も明らかになっておりませんので、仲裁裁定機関という名前だけで結論を申し上げるわけに参りません。どのような仲裁裁定機関かということでなければ、私どもは結論を申し上げるわけにいかないのであります。
○本島委員 最後に、日本の国は、御承知の通り社会保障制度の中で医療あるいは年金、こういう点を柱としてようやく出発した段階でございます。そういう点で矛盾もかなりあると思うわけでありますが、何といっても、皆様方の協力なくしては皆保険の立場はとれない、こういうことになるわけでございますので、われわれ、自民党だけでなく、社会党、民社党ともどもお話し合い下さって、そうして保守党のいわゆる公約無視というような点について、今回のようなことが起こらない前に一つ御連絡をちょうだいして、そうして円満な解決を見、そうして国民の気持の上にも安定させ、なおかつ医療が日新月歩進んで参り、予防医学の点についても、あるいは制限診療の撤廃等についても、われわれも努力を重ねて参るわけでありますので、今後そういう方向を希望いたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。
○中野委員長 これにて武見参考人に対する質疑は終了いたしました。
 武見参考人には、いろいろ長時間にわたって有意義な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。お引き取りを願ってもけっこうでございまするし、御自由にしていただいておってもけっこうでございまするから……。
 次に、参考人の時間の都合上、末高参考人に対する質疑を続行いたしたいと存じます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。大石武一君。
○大石委員 末高教授に対しまして、先ほどの御発言について二、三の質疑を申し上げたいと思います。
 先ほど、診療費の制定につきましては、医師会の要求とそれから支払い側の経済的な立場との妥協によって決定されておるというお話でございましたが、この考え方は妥当でございましょうか、どうでしょうか。
○末高参考人 必ずしも今までそうであったと申したわけではありませんで、私はこの九千万国民全体の人命にかかわる医療費の決定につきましては、かりに支払い側が応諾し、医師会側が請求したものをそのまま決定いたしましても、国民全体の世論と申しますか、意向を無視した決定であってはならない、こういう意味で申し上げたのであります。
○大石委員 その国民の世論とか意見とかいうのはどういうことでございましょうか。
○末高参考人 一般的に申しますると、先ほどから取引であるとか、売手、買手という言葉が使われております。かりに医療というものが非常に高度なサービスであるといたしましても、私が先ほどの意見陳述の際に申し上げましたように、これはまた裏返してみれば経済行為である。何となれば、それによって支払いが行なわれ、その支払いによって医師の諸君の生活が行なわれるという根拠になっているという意味で、全く経済の問題でもあるわけでございます。そういう経済の問題のときに、なるほど生産者あるいは医療行為を行なう者が一応値段をきめるというのは、いかなるものの価格につきましてもそうでございますが、この場合チェックがあるのです。そのチェックというのは、普通の商品、普通のサービスでありますると、国民大衆が納得しなければ買わない、その価格では買い得ないという自由があるわけです。ところが、医療につきましては、もうすでに病気であるという立場に立ちますると、買わないという自由がない特殊のサービスであり、特殊の値段であるということをわれわれは考えなければならない。そこで世論というものがおのずから決定する。その世論のまた根拠は何かというと、国民の生産力であるとかあるいは総所得に対しての医療費負担の感じ方というものが、結局国民の世論を形成するものであるというふうに考えております。これは何とか方程式というようなことで、方程式に乗ってくるかどうかわかませんが、しかし物の価格がすべて方程式に乗らなければ決定できないというような考え方は――そういう経済学者もおありであると思いますけれども、私ども他の立場に立ちますると、先ほど申しますように、たとえば芸術であるとかあるいは他のサービスの部門がたくさんあると思うのでございますが、それらのあるものが結局どういうふうにその価格を決定するかということは、社会がその階層に対してどういう処遇を与えるか、その処遇に対しまして、究極においていかなる支払いが行なわれなければならないかということによりまして、個々の価格が決定する。結局価格を握るところのものは国民大衆の購買力であり、生産力であるという立場に私ども立つのでありまして、経済学派のいろいろな立場において、ものの考え方に多少の相違がございます。今経済学で、世の中に流行的の経済学の学派がたくさんございますが、そのうちの近代経済学というのは一つの経済学の立場でございます。またそうでない、たとえば社会党の方々がその基礎理論として持っておられるところのものは、社会主義経済学であろうと思うのでございます。そこで結局において、医療の価格と申しまするか、支払いというものは、国民が納得し得る医療の生活というものが――これは総額でもってワクをはめて、公務員のように低賃金でもってきゅうきゅう働かせるというような考えは、私自身はごうもございません。それはプロフェッショナルな仕事に適応して相当高い程度、その相当高い程度というのは、国民の生活力その他によって、結局において決定するものであると思いますけれども、そういうものによっておのずから決定してくるところのものがあるという工合に考えております。
○大石委員 ただいま御意見を拝聴したのでございますが、私は、社会保障制度審議会とは申しませんが、ただいまの日本の社会保険なりあるいは医療問題についての学者の方々の御意見の一端を伺ったような気がしたのでございます。私の申し上げておるのは、ただ医学を、少なくとも医療という問題を純粋な経済問題で扱っていいかどうかという問題であります。医療の一番の目的は、患者を早くよくなおしてあげる、現在予防が一番でありますけれども、もし今の保険の問題で申せば、できるだけ早く、できるだけ金がかからないようにして、よくなおしてあげるということが、医療の一番の目的ではないかと私は思うのです。それに経済問題が付随する問題であって、経済問題が主ではないと思う。ところが、現在の学者の方々、あるいはあちこちで出ておるものの考え方は、経済を中心として議論されてくるところに大きな間違いがあるのではなかろうかと思います。たとい医師会がどのような単価を要求しようとも、おそらく医師会は最高の技術をふるいたいのは当然です。最高の医療を施して、さらに高い医療費を要求すると思いますから、その点は間違いないと思いますが、何ぼ医師会が高い医療費を要求いたしましても、また支払い側がそれをどのように判定いたしましても、根本はいい完全な医療をできるだけ早く国民に与えてあげるということが基本でなければならないと思うのであります。そういうことを没却して、単に国民が納得するしない、経済問題であるというようなお考えは、非常に不満を感ずるわけでありますが、時間がありませんからその問題はあとにいたします。
 次に、先ほど末高教授は、個人の意見を申し上げる、従って団体に拘束されないというお話がありましたが、あなたは社会保障制度審議会の委員であり、また、ただいま問題になっております臨時医療報酬調査会法案の立案者のお一人でもございますので、それについてお聞きしたいと思いますが、一体あなたは、この臨時医療報酬調査会法案をお作りになって、厚生大臣にそれをすすめた場合に、どのようなルールを作るのだということで案をお作りになりましたか。そのルールの内容について、概略だけでけっこうでありますから、お聞きいたしたいと思います。
○末高参考人 これから作る臨時医療報酬調査会がかりに発足いたしまして、それから作るルールにつきまして、私個人といたしましては別段何らの構想がないのであります。先ほど伺いますと、武見会長は、かつて自分のところでもって学者を集めて、初めての試みであるいろいろの実態調査の結果、十八円四十六銭という単価をきめたが、公の席上においてはこれについて一顧も顧みる者がなかったということで、御不満を漏らしておられました。私は、いろいろな調査会が各民間団体あるいは利益団体の中で持たれてけっこうだと思うのでありますが、そういうようなルールといっても、ちょうど学問にいろいろな学問がありますように、その学問の立場によりましても、いろいろルールは変わってくるだろうと思います。そのルールをいろいろ見比べまして、どういうルールが適切であるかということを作るのが、むしろこの臨時医療報酬調査会の任務ではなかろうか。ある団体がお作りになったものは、終局的に検討するとそれは非常にりっぱなルールであったかもしれない。しかし、他の階層の人は必ずしもそれに満足しておらなかった。その満足の結果は理論闘争にまで持ち込むことができた。事実上実力がなくてできなかったのか、あるいは何らか他の事情でおやりにならなかったのか、これは私に推測することはできませんけれども、今度は政府の中にそういう臨時医療報酬調査会ができますれば、かつてお作りになりました医師会の案を、そのまま現在でも持ち込むことができるとお考えになるならばお持ち込み下さって――他の団体もいろいろ案をお持ち込みになるだろうと思います。その団体のデータのとり方、資料の扱い方、評価の仕方は一々違うのです。学者は無私公平な原理によっているとお考えになる向きもあろうかと思いますが、しかし、どの学者でも多少その重点の置き方が違ってくるに従いまして、案の内容、ルールも違ってくるのじゃないか。そういうものが比較検討せられて、真に国民的に納得できるルールができる場所であれかしと考えまして、私はこの臨時医療報酬調査会の発足は当然ではなかろうかということを先ほど申し上げたわけであります。
○大石委員 ただいまの御答弁、まことに失礼でございますが、何かわけのわからない御答弁でございます。われわれは、別に医師会の単価を聞いているわけでも何でもございません。われわれが何のためにきょう参考人をお呼びして議論したかと申しますと、あなた方がお作りになったところの診療報酬調査会というものが今問題になっている。それを中心に議論しているのでありますから、どのような根拠であなたはこの法案を立案なすったかということをお聞きしているのであります。医師会の十八円四十六銭なんというものは、ルールではございませんので、一つの単価であります。数字でございます。決してルールではございません。われわれはそんなことを議論しておるのではありません。どのようなルールをお考えになり、どのようなものを作りたい、どのような基準を作りたいという見当がなくて、当てずっぽうにただ調査会法案を作って、そうしてあとの五人の委員にまかせたというお考えですか、それともまた、このような方向でなければ当然診療報酬の算定はできないというルールをお考えになり、それを作りたいというお気持でございますか、そこのところをお聞きしたいのであります。
○末高参考人 頭が悪い私でございますから、大へん話が前後いたしまして、大石委員のような方におわかりにならなかったということ、大へん残念に考えております。その点どうぞお許しを願いたいと思います。
 さてそのルールというのは、この診療報酬の額を、今のように出来高払いと申しますか、単価、点数の方式でやるというときに、一々根本的に洗って検討するということも、それは毎月、毎年ということはなかなかむずかしいのではなかろうか。そこで、どういうようなものがその医療費算定の基礎になるかということにつきまして、一応のルールをきめる。そこで物価指数が変わってくるとか、あるいは公務員のベースが変わってくるというようなことは、自動的にそのファクターを取り入れて、その次の段階において、医師の皆さんに上がった単価を差し上げることができるというお約束をすることができるというようなルールを発見できたらばと、こういうことが私どもの考えであったと思うのです。これは私はあくまでも個人の考えでありまして、他の四十人からなっております審議会全員の意見を、その答申にあたりまして一々の意見が、私によって代弁せられたかどうかということは疑問でございます。しかし、私がその審議にあたりまして賛成をいたしましたときの気持は、そういう気持でございました。
  〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕
○大石委員 だいぶ今の御意見、よくわかりました。そうすると、ただいまのお話をお聞きしておりますと、一つの方程式のようなものがありまして、その方程式をみんなで考え出す。その方程式を作る土台は、国民の経済情勢とか、医業実態調査とか、いろんなものを土台としてある一つの方程式を作って、そこの中に経済の変動のあった場合それを当てはめていけば、おのずから自動的に一つの、今の問題で言えば単価ですか、単価が出てくるというような形のものをお考えになったようにお聞きしましたが、そのようなものでしょうか。
○末高参考人 私自身の立場は、あらゆる物価が、方程式によって自動的に算出できるとは考えておりません。しかし、いろいろなファクターがあって、このファクターは重要度がこのくらいであって、これに対してはどのくらいの評価をして、物価の方に反映させなければならないかというような、いろいろなエレメントと申しますか、ファクターについては十分評価しておく。そのことによりまして、経済事情が一変するような変動でもありますれば、その考え方はまた変えていかなければなりませんが、ある短期の間、三年とか二年というような短期間は、たとえば公務員ベース、これはほんの一例でございますが、あるいは物価指数というようなものであるとか、あるいはかりに病院経営についての看護の基準が変わってきて、人員の配置が変わってきたというようなときは、単なる公務員ベースその他によりまして補正することができない、人員そのものが変わって参りますからして。そういうような、およそ普通の状態、現在の経済の状態が続いていくならば変動を与えるがごときエレメントにつきましては、相当詳しく突っ込んだ資料を持ち、検討しておく、こういうことができるのではなかろうかというのが、私があの案に賛成いたしました私個人の考え方でございますので、御了承願います。
○大石委員 御承知のように、この法案は臨時医療報酬調査会法案で、臨時でありまして、おそらく二年以内になくなると思うのでございます。そうすると、あなたの今の御発言では、二年か三年の間には、そのような変動があった場合にはこれを使うというのでありますが、その三年、四年、五年とたった場合に、また臨時医療報酬調査会を作るわけでございますか。どういう方法でございますか、そこのところのお考えは。
○末高参考人 その点、私が必ずしも審議会の意向を代弁していない特別な点であると思うのでありますが、私はその一つの方式と申しますか、ルールが間に合わなくなったと関係者あるいは社会が考えるような段階におきましては、再びこのような調査会を設置する必要があると、私自身は考えております。今のところとりあえず二カ年、こういうことで私も賛成をいたしたわけでございまして、二カ年の時限立法であるから、二カ年たったらそれは一応やめますね、やめて未来永劫作らぬというものではない。また必要があれば、当然設置せらるべきものと私自身は考えます。
○大石委員 ここに重大な問題があると思うのです。今二年の時限立法で、二年働いたらやめるというのでございますが、その二年働いた間に一つのルールを作る。そのルールが二年間しか通用しないものか、今後五年でも十年でも二十年でも通用するものを作るか、ここに重大な問題があるわけなのです。と申しますのは、その働きによって地方医療協議会との関連の問題が出て参りまするから、そこのところはっきりして、二年の――委員会の働きは二年間である、それはわかります。二年間で委員会はなくなりますが、なくなったらそのルールはあとは通用しないのかするのか。そのルールが一つの公式みたいなもので、今後五年も十年も、経済事情その他に適応して数字に当てはめて通用するものかどうか、それが重大な問題だと思いますが、それはどういうお考えでいらっしゃいますか。
○末高参考人 今政府では、経済全体の問題につきまして長期十カ年計画なんとかいうようなものを作りまして、十カ年の夢を描いております。しかし、現在の内閣がそれを取り上げ始めてから、もうすでに昨年の九月以後、経済の非常に大きな変動を来たしておることは事実でございまして、そういうようなことを考えてみますと、大石委員が言われた年代ですね、十年先なんというようなことを縛るということは、とうてい今日できるものではありません。五年もむずかしいと私は考えております。そこで二年の時限立法でありますが、これはやはり必要があれば継続をしたり、あるいはなくなったらば二年なり三年なり中止いたしまして、さらにまたこれをやらなければならないものと私は考えておりまして、審議会の他の委員の諸君がどうお考えになったか知りませんが、今の一つの激しい成長の立場、しかも谷間があり、山があるというような激しい経済の変動に際しまして、十年間あるいはそれ以上の医療費の算定方式を決定するなんというようなルールはあり得ない。しかし、そのうちの三つか四つの重要なファクターについては、その後にかりにこのような調査会が作られるとすれば、重要な資料となり、参考となって残っていくだろう、こういう工合に私個人は考えております。
○大石委員 十年間に経済がどのように変動するかわかりません、おっしゃる通りです。わからないからこそ一つの方式、方程式を作って、それに変動した、そのときの経済事情の数字を当てはめていけば、おのずから妥当な医療報酬が出るという形のものならわれわれ賛成するのです。それがなくて、ただ二年間だけの当面の問題で、あまり均衡しないような、経済変動しないような時期において何のために調査会を作って、わざわざ単価をきめるのですか。単価をきめるならば、別に中央医療協議会は要らない。どっちか要らないでしょう。おかしいじゃないか。すべて公務員の月給でも何でも、ストライキしてベース・アップしますけれども、みんなスライドするんです。スライドという問題があるんですよ。たとえば米の値段をきめる場合にも一つの方式がある、前はパリティ計算という方式があった、現在は生産費所得補償方式という計算方法があるように、そのときどきの経済の変動によって変動した経済の数字を当てはめていけば、おのずから一つの数字が出るような方式になっております。麦の価格をきめる場合でもその通り、このような方式をおきめになると私は考えておったのです。それがその方式を作らないで、たとえば今度の場合にも、国民の医療実態がどうだ、保険団体の医療経済がどうだ、そういうエレメントだけでもってそれをあげて、そして今後医療報酬の基準をきめるのだというなら、そんなことは厚生省でやったらいいですよ、わざわざこんな調査会を作る必要はないですよ。二年間しか役に立たないものを作るならこんな必要はないと思うのです。厚生大臣ははっきりこう言っておるのです。中央医療協議会において医療費をきめたいと思います、その場合には厚生大臣が提案いたします、提案する場合には医師会側からも国民からも、それから保険者の支払い団体からもこれが妥当なものであるという一つの考え方で方式をきめて、そしてそのものを出したい、こう言っておる。あなたよりは厚生大臣の方が進んでおりますよ。今の、二年間の仕事しかできないというのは、社会保障制度審議会としてはちょっと大きな顔はできないと思いますが、どうですか。
○末高参考人 今私がここに引っぱり出されたのは、私をつるし上げるためであるか、あるいは意見を聞いて何か審議の御参考にするのかどうかわかりませんけれども、とにかく大石先生の御質問に対しまして一言お答えをしたいと思います。
 灘尾先生は確かに私より偉い、常日ごろ尊敬をいたしておりますが、灘尾大臣がどうおっしゃったか私は知りません。しかしルールというものが、今大石先生がおあげになりましたように、米価算定方式にいたしましても、たとえばパリティ計算にいたしましても、あるいは所得補償方式にいたしましても、五年も十年も続いておらぬですね。あれはやはりそのときの事態に応じまして、これではいけないというので、また別の様式が生まれてくる。そういうようなことを考えてみますと、それは五年というのは背伸びした精一ぱいのところじゃないでしょうか。二年ぐらいたって審議会から臨時医療調査会でルールをきめて、あと三年も持てば大できなりっぱなことであって、学者の意見よりも、あるいは研究よりも実際に経済の方が先に進んでくるのですから、それをわれわれは追いかけて、それじゃ五年先、十年先のルールを作れとおっしゃっても、今度は臨時医療調査会にどんなりっぱな方が委員になられるか存じませんけれども、私はかりにそういうような張り切った気持でこれをお取り上げになれば、学問の立場から言うとおかしいと思うのです。こういうことで、答弁になるかどうかわかりませんが、一つごかんべんを願いたいと思います。
○大石委員 きょうははなはだ末高教授に失礼なことを申し上げたかもしれませんが、これは別につるし上げるというのではなしに、いろいろこの法案審議の土台にしたいという意味でお聞きしたのでありますから、少し言葉が過ぎたかもしれませんが、その点はお許し願いたいと思います。
 私の申し上げますのは、たとえば米の値段をきめる生産費所得補償方式にいたしましても、どのような要素を選んで労賃を何ぼに見るとか、生活費をどう見るとか、物価をどう見るとかいう、いろいろのファクターを取り上げまして、それを全部突き合わせて、その中から積み上げて米価を作り上げているのですね。多少政治的なものはあとで入りますけれども、そういう方式になっている。私はこの調査会ができる場合には、どのようなファクターを選ぶのか、どのような組み合わせをするのか、そういうことがきまってくれば、要素の一つである労賃が上がれば高い単価になりましょうし、そういうものをきめるのではないかと思ったのでありますが、そういうことをお考えになったものでしょうかどうですかということをお聞きしたいのです。
○末高参考人 今、大石委員が、考えの中に入ってくるものはどういうものかとおっしゃったが、あなたが今おあげになったものは全部入ってくると思うのです。大体どういうものが入ってくるかというようなことは、私、具体的に案を持って臨時医療調査会の法案について意見を述べたわけではございませんで、それはおのずから学者がいろいろ議論しておきめ下さるだろう。ことに今度の臨時医療調査会法案によりますると、専門委員というものを相当置くことができる。その専門委員の中には医師会の御推薦になるところの学者の方も、そうでない方もお入りになって、かなり公平にものが運ばれなければならない、運ばれるべきもの、これは私は希望ではなくて、頭の中ではそういう条件を付して賛成しているのであります。ただ、御用学者なんというきたない言葉を私使いたくないのでありますが、学者で節操を売ってある権力団体にぺこぺこするなんということは、およそ私ども困ると考えておりまして、かりに御用学者と裏返して申しますれば、たまたまそれは学者としての断固たる意見を持っている、たとえば社会主義の立場に立つ断固たる意見を持っている学者はたくさんございます。そうでない立場に立つところの断固たる意見を持っておる方もたくさんあるわけでございます。それを適当にまんべんなく見ていくというところに大きな政治という問題があるのではなかろうかと考えまして、従いまして、あらゆる階層、あらゆる立場の学者の御意見、実際家の御意見が必ずこの臨時医療調査会の中に反映せられるということを、希望するのではなくて、私の頭の中では強い条件としてこれは賛成に踏み切っている、こういうのでありまして、もしもそうでないような調査会を政府が、きたない言葉でありますが、御用団体のような形で厚生省の官僚の方々、厚生大臣のもとにある事務局の方々がお作りになるよりも、かえって片寄ったようなものができるといたしますならば、これはもう天下が許さないと思うのです。私は必ずやそんなものではない。なるほど厚生省の事務局の中にもりっぱな方々はたくさんおられることを知っておりますが、それはやはり一部の階層、ことに行政を現に担当しておられるという一つの立場があるために見方が片寄っている。それで、そうでない立場の人をも入れまして公平にこのルールをきめていきたい、こういうことであろうと思います。
○大石委員 大体意向はわかって参りました。実はなぜ私がこの社会保障制度審議会との関係をくどく言うかという理由を一言申し上げますと、厚生大臣は、これは社会保障制度審議会の勧告であって、尊重しなければならぬからこれを出すのだという一点張りなんです。そこで、それほど社会保障制度審議会の意見を尊重しなければならぬのならば、その内容はどういうことかお聞きしたいためにお聞きしたのでありますが、よくわかりました。
 最後に、もう二点ございますが、一つは、この主管大臣は総理大臣でございます。総理大臣と厚生大臣との関連はどういうことになりましょうか。
○末高参考人 お答えいたします。
 それは私は内閣一体の立場をとっております。先ほどその問題に触れられた方があったようでございますけれども、厚生大臣は内閣総理大度の指示のもとに行政の一部を担当している。もちろん、与えられた権限の内部におきましては独自の仕事がたくさんありましょうが、それは内閣総理大臣のもとにあるところの厚生大臣でありますからして、厚生大臣のもとに置かれたところの中央医療協というものと、総理大臣のもとに置かれたところのものが食い違いを来たす、あるいは食い違った場合にどう処理するかということについて、もしも総理大臣の意思に反するようなことがあれば、それは当然厚生大臣は罷免せらるべきものというのが、私の今の内閣に対する考え方であります。もしも事実上、内部における党派なり、あるいは派閥なりの関係でそれができないということになれば、それは内閣の弱体をさらけ出したことでございまして、私ども、何も言うことはない、こういうことでございます。
○大石委員 内閣の立場はよくわかりますが、実際の話、現実になりますと、総理大臣というのが、今言ったようにすべての大臣に対して責任がございます。そういたしますと、十何ぼのいろいろなむずかしい行政に対しまして総理大臣が実際面で全責任を持つとか、すべての抱負とか、あるいはこまかい具体的なことまで認識を持つということは、とうていできないことなんです。当然、最終の責任は総理大臣にあっても、厚生行政につきましては、やはり当面の責任者であり、当面の知識を持って努力すべきものは厚生大臣であります。だから、当然これは厚生大臣の意見を聞いてきめるべきことなんです。委員を任命するにしても何にしても、できることであります。では何のために総理大臣を持ってくるか。いろいろないきさつがあるようでありますから、くどいことは申し上げませんが、私は厚生大臣の権限でよかったのではなかろうかということを一言申し上げます。
 最後にお聞きしたいことは、ただいまの問題と直接関連はございませんが、昨年の秋の臨時国会において、中央医療協議会が成立いたしました。ところが、現在に至るまで何らの委員の任命もありませんし、機能を発揮しておりません。これにつきましてはどのようなお考えをお持ちでございましょうか。
○末高参考人 これにつきましては、ある団体が委員の推薦を拒否しておる。それがために発足がおくれておる。私は実情は知りません。私のこの問題についての知識はすべて新聞知識でございまして、それ以上何も申し上げることはございませんが、しかし、けしからぬといってこれを責める団体がある。半年もたなざらしになっている、医療行政が非常に停滞しているじゃないかと責める団体がございますが、私はどちらの団体の肩を持つわけではございませんが、しかし、みずから罪なき者は打てという言葉がございますように、同じようなことがすでに幾回か繰り返されて、国民としては苦々しく感じているのです。今度も発足ができないという事態そのものについては、非常に残念に思っておりますということを申し上げます。
○大石委員 これで質問を終わります。
○柳谷委員長代理 滝井義高君。
○滝井委員 ちょっと一、二点末高先生にお尋ねしたいのですが、さいぜんの参考意見の中に、医師の生活が非常に高い地位である、従って、その収入というものが確保されなければならぬが、当面、今までいろいろもめておるので、この際一応緊急にルールを作る必要がある。そしていろいろその作り方について、最終的には国民全体が納得、了承するものでなければならぬという結論をおつけになったわけであります。その場合に、現在の点数単価による出来高払い方式は争いが絶えないという注目すべき御意見があったわけです。従って、抜本的な改革が必要であろう。としますと、この臨時医療報酬調査会というものは、現在の点数単価方式、いわゆる出来高払い方式というものを抜本的に改めて、新しい支払い方式を作るためのものであるという理解をしていいのかどうか、先生の個人の御見解になると思いますが、これもこの調査会の運営をする上に一番重要な点だと思うのです。
○柳谷委員長代理 ちょっと質問者にお願い申し上げますが、末高参考人は一時から大学の授業があるそうでありますから、なるべく質問は簡潔にお願いいたしたいと思います。
○滝井委員 承知しました。
○末高参考人 私、ここに御列席の武見参考人と私と非常によく似ている点が一つあるのです。私が個人として、学者として常に発表する意見は、十年先、二十年先を目途としております。従いまして、私が考えますところの現在の出来高払い方式を相当大幅に改善しなければならないということの実現を、おそらく年次を張るわけには参りませんが、ここで例として申し上げますれば十年ではなかなかむずかしい、十年以上かかるのではないか、従って、政府が現に決意せられて提出せられているこの法案、それによって選ばれる委員の諸君、おのずから――もちろん私が入ることは絶対にあり得ないと考えておりまして、従いまして出来高払い方式、点数単価の方式のうちにおいてワクをお作りになると私は感じております。
○滝井委員 そうすると、現状の支払い方式の中でおそらくワクを作るだろう、こういうことでありますね。
○末高参考人 はあ。
○滝井委員 わかりました。私も、この法案が時限立法であるという点から考えたら、おそらくそういう結論になるのじゃないかと思うのです。
 そうしますと、現在の日本の医療制度はすでに行き詰まりつつある、それに今度は適用している保険制度等についても根本的な検討を加えないと、プロフェッショナルとしての地位の確立というものが、現状では争いが絶えない、お互いに不満があるわけですから、できないわけであります。そうすると、今の日本でやられている保険の制度というものを見ると、私的医療機関を中心に考えてみると、まず保険医の身分保障がないわけですね。それからその保険医は、自分のお金で医者になりますね。それから自分のお金で病院を建てますね。それから単一の単価、統制単価ですね。今の環境衛生のパーマネントや理容料金というものは、同じサービスだけれども、最低料金だけきめて、上は青天井なんですよ。これは規制命令を不況条件なり衛生条件で出そう、こういうのができているわけで、単一料金です。そういうものよりかちょっと問題がある。これはさいぜん先生が言われたように、命を預けるところは病気になったら待ったなしというところですから、単一料金できちっと拘束される、そうしてその料金の支払いは二カ月の掛払いですね。これは二カ月後でなければ払ってくれないという形になっておるわけです。そういう形は、今度は公的医療機関も私的医療機関も一応そういう形になっておるわけです。しかし、そうすると、今度はその内容を見ますと、たとえば公的医療機関を建てるときお金を借りる、私的医療機関を建てるときお金を借りる、その場合、医療金融公庫なり、今度できた年金福祉事業団から金を借りるときには、これは差別が出てきた。すなわち公的医療機関がお金を借りるならば六分五厘でお貸しいたしましょう、しかし私的医療機関は八分ですよ、公的医療機関は税金は要りません、私的医療機関は税金は要りますよ、しかし両者の対象は同じ被保険者ですよ、対象は同じになってしまった、そしてそのお金を貸す期限も、公的医療機関は据置が五年あって、二十五年でよろしいです、私的医療機関は二十年ですよと、こう差別が出てくるわけです。では、一体公的医療機関と私的医療機関とはどこが根本的に違うかというと、その利潤が公のものに帰するか私に帰するかの違いだけです。あとは全部、やっていることは同じです。そこで、私のものに帰するか公のものに帰するかの違いをどこで調整するか。税金をとるだけで調節をして、あとは競争でやらしたらいいのじゃないか。ところがそうなっていないですね。そうすると、こういう制度は、ちょっと世界を見るとないですよ。これくらい安上がりの医療政策はないと思うのです。そこで、そういうものに今度診療報酬をどうするかということを当てはめていくと、高い医療費を作りますとどういう結果が出るかというと、国民健康保険の一人当たりの負担は今七百二、三十円です。これを七割給付にしたら、今の三割の国庫負担――調整交付金五分入れて、三割の国庫負担をそのまま据え置いてやりますと、大体三千円の掛金にしないと七割給付ができないのですよ。すなわち七千何ぼが三千円になるわけですから。だからその四倍から五倍の掛金を掛けなければならない。ところが、そんな、中小企業と農民が掛ける情勢にないわけです。だから医療費を上げれば、保険料を上げるか国庫負担を上げるか以外に道がない。こういう状態の中でこの法案を今度やろうとするのですから、結局これはもう何か、できるだけ今の状態をくずすまいとする方法を作る以外にないという感じがする。しかもそれは、池田内閣という保守的な反動的な政権、物価を上げることは知っておるけれども、道義はいつも低下させるという内閣がやるわけです。その内閣がやるわけですから、みんなが信用しないですね。だからやはり国に信がないということが一番問題じゃないか。物よりかまず人間を大事にする、人間がお互いに信頼を持つという、こういう態勢を作ることが私は非常に先じゃないかという感じがするのです。そこで結局、今の支払い方式はおそらく点数単価のワクの中だろうという点については、そういう意味で私はもうこれがむしろコンクリートされて、動かぬ形になるんじゃないかという杞憂を――私が何か言うと、滝井義高、意見議員とかっこに入れて書きますが、そうではなくて、ほんとうに私は一個の国会議員としてそういう心配をするのです。私も国会議員になったのは、先生と同じように、社会保障を何らかの形で前進させなければならぬということで、医者をやめて出てきたのです。そういう意味で、国民的立場から考えた場合、何かかやを十重二十重にされるという感じがするのです。こういう根本論とこの法案との関連について、一つ先生の御意見を述べていただきたいと思います。
○末高参考人 医師と支払い団体、あるいは医師と政府と申しますかの関係は常に争いの連続であったということは、健康保険制度の発足は昭和二年でございますが、三十六年の歴史がこれを証明しておりますので、今さら私は何も申し上げる必要はないのです。それでこういうような方式でもってやれば、これは先ほども、言葉は過ぎるかもしれませんが、私の表現で申しますれば、百年河清を待つべきものだと考えております。この辺でそろそろ別様の様式を考える必要があるのじゃなかろうかと考えておりますが、その別様の様式を一体いかなる程度で、どういうものであろうかということにつきましては、先ほど武見参考人が、御自分の御意見を十分述べるためには三時間も要すると申しましたが、私も三時間は必要でございますので、これは別の機会にお願いしたいと思います。
  〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕
 きょうは十年以上先の医療のあり方につきまして、医療制度ですね、医療制度というのは、医療というものと国民との結びつき、はっきり申しますれば、医者に対して私ども国民はいかなる立場をとるか、処遇をするか、医療というものを通じて医療団体という階層と私ども一般国民とがぶつかり合うときに、それを今のように一々支払いをしていくという方式で、将来ともに私ども国民の健康を守ることができるかどうか、十分な治療が受けられるかどうかということについては、私は非常に懸念を持っているのです。自由主義経済のもとにおきましても、ある特殊の、必要なある部面につきましては、特別の考え方を持たなければならないというのが私の持論でございまして、その特別の考え方というのは一体何かということにつきましては、大へん恐縮でございますが、三時間の時間を与える余裕がございましたらば、いつでもお呼び出しに応じまして申し上げてみたいと思います。きょうはお許し願いたいと思います。
○滝井委員 これでやめますが、私、大体先生の結論、はっきりしてきました。そうしますと、この臨時医療報酬調査会というのは、おそらく現在の点数単価の支払い方式のワクの中の問題で話をするだろう、そんなものはおそらく根本的な解決にならない、争いは絶えないということになると、存在の意義というものは大してなくなる。それならば、医療協議会でおやりになっても、そのくらいのことはできることになるわけです。それならば私は、先生なり武見先生が三時間を必要とするという、いわゆる大調査会に医療調査会をおかえになった方がいい。そうしてこの期間を、二年じゃなくて、三年とか五年にして、そうしてここで一つ本格的なものはやる。当面のものは、あの三者構成の方でもう一ぺんやる。お互いに三人出ておって、先生は学識経験者ですから、あの中に学識経験者が四人おるということになる。そこで当面のものは仲よくやってもらおうじゃないか。これの方が――何もまた争いの種を、争いが起こるという確実な見通しのあるものをお作りにならなくて、それは医療協議会でおやりになる、それを今度、お互いに三時間のうんちくを傾けなければならないようなものに、むしろこの際改正した方がいいという感じを私としては受けたのですが……。
○中野委員長 八木一男君。
○八木(一)委員 末高さんに一点だけ、大きな方向についてお伺いをしたいと思います。
 診療報酬問題でいろいろと論議がなされ、問題があるわけですけれども、そのときに、たとえば医療をサービスされる方の方がどれだけ受け取らなければいけない、また支払う方はどれだけしか払えないというような問題だけで論議されておるのが、一般的には、しろうとの場合には多いと思いますけれども、ほんとうの医療保障の立場はそれではいけないと私は思う。私の意見をちょっと簡単に申し上げまして、先生の御意見を伺いたいと思います。
 国民の医療という立場では、病気になった者が、あるいはその家族が、一番いい医療で早く完全になおしてもらいたいという要望というものが、値段の問題よりも先になければならないと思います。そういう意味で、診療を担当される方が十分に研究をされて、十分に施設を整えて、それから十分に補助者を使って、それでやれるという立場でないと、国民の、患者及びその家族の立場の、りっぱな医療が行なわれない。それが費用の問題だけで論議されている向きが一般的には多いのは、非常に遺憾だと思います。これは経済行為であると同時に、先ほど先生のおっしゃったように、医療を受ける行為でもあるのですから、医療を受ける立場としては、早く、ぴたりと完全になおる一番いい方法をとってもらいたいわけです。ですから、端的に申し上げますならば、その個人の立場であって、自分が金を持っておれば、幾ら金がかかっても一番いいものをしてもらいたいということになる。ところが、国民の経済はそれを許されないので、それで医療保障制度というものがあって、その人間に金がなくても、りっぱな医療が確保されるという道が進められなければならないし、部分的に進められているわけです。そうなれば、そういう方向で医療費という問題は社会的に非常に適当なものが支払われて、それによって十分な医療が完全に――診療担当者が研究を尽くし、そうして疲労をしないで、そうしてりっぱな十分な補助者を使って、そしてほんとうに良心的な医療ができるという立場をとらなければならない。ところが、診療費の問題が、往々にして、たとえば医療費の負担能力という問題でいわれておりますのは、ほんとうの保険の患者あるいはその家族の立場に立たないで、間で金を取り扱われる人の、赤字を出してはいけないとか、負担がふえてはいけないとかいう問題で制約をされていると思うのです。それは間違いであって、ほんとうの問題は、経済行為であると同時に国民の健康を守る制度でなければならないから、健康を守るために一番いい立場が先行して、その次に経済の問題になる。その経済の問題で、個人負担ができないから医療保障という問題が進められているのであって、そのために医療保障が、たとえば国費の非常な投入であるとか、あるいはいろいろな制度の間における、両方の制度をプールすることによって、そういう問題がよくなるというような方向がとられなければならないのに、ただ一点、今の制度での支払いという問題でいろいろなものが膠着して医療保障が伸びない。ほんとうに健康で文化的な医療が進まないということではならないと思うわけでございますが、末高先生も多分同じような御意見であろうと思いますけれども、この際一つ伺っておきたいと思います。
○末高参考人 今、八木先生の最後のお言葉で、多分末高の意見は八木先生と同意見であろうという御期待を持たれたようでありますが、残念ながら違います。それは私は、武見参考人と同じように、かなり遠いところを見ている。しかし、私の見得る範囲はやはり十年ぐらいなんです。八木先生の御意見は、人間としてほんとうにりっぱな意見だと思うのであります。人道的な立場に立てばそうならなければならないと思うのです。しかし、それはおそらく五十年先、場合によれば百年先じゃなかろうか。もちろんそういう遠い夢を見るということは、私ども必要だと思うのです。しかし常に医療担当者の方――今、八木先生は、まず医療そのものが先行して、経済の力はぐずぐず言うな、あとからついてこいというお話でございますが、これは人間生活をそう割り切ることはできないのです。私どもは、すべてがそれぞれの行為であると同時に、経済の行為でもあるわけです。私がここでしゃべっているのも、大学に行って講義をいたしますのも、学生を指導いたしますのも、これは何かの収入になるとか生活に対してプラスになるとかいう、金の面が必ずつきまとっております。私ここに来て話をするときに、きょうのお手当が幾らであるから、私はこれだけのことしかしゃべらぬとかいうようなことの制限はいたしません。お手当がゼロであろうとも、私は私の信念をここで吐露いたします。それがプロフェッサーというものであり、あるいはプロフェッショナルな仕事というものは、そこになければならないと思うのです。しかし同時に、その事柄は全部経済に関係している。それですべて、の生産力と申しますか、国民経済が今後二十年、三十年このような調子でもって伸びていったというときに、はたして自由主義経済というものがこのままの姿でいくかどうか、私には疑問でございますが、かりにそうなった場合におきまして、国民の一般的な生産力が豊かになり、国民所得がふえて、自由に使っても使っても使い切れないようなお金があれば、それは八木委員のお考えの通りになると思うのです。すべて医療そのものの必要性が先行する。しかし今日、残念ながら、私ども農村へ行きますれば、はだしで歩いている子供がまだいるのです。その人にまずげたをはかせるとか、くつをはかせる、こういうことも一つの先決問題になる。鉛筆がないというような子供もいるわけです。これはもちろん生活保護の立場から、教育費については特別の扶助が与えられておりますけれども、事実、いろいろ本を見たいけれども本もない。じゃ医療さえ完璧ならば、鉛筆がなくても、はだしでもいいのかというと、これはやはり、総合的に人間生活を高めていくということになりますと、医療につきましてもある程度のごしんぼうを願わなければならぬだろう。従って私どもは、経済の許す限度におきましては、最大限度のものを医療費に投入していこうという覚悟は持っております。また希望は持っておりますけれども、しかし今、八木委員が言われたようた姿は、おそらく日本におきましては二十年先、三十年先にならなければ達成できない姿であろうと考えております。今のところは、何とかやっさもっさいたしまして、この医療保障と申しますか、医療保険を、あっちに穴がある、こっちにほころびがあるというのを縫い合わせながら、何とか御満足を願うという程度以上にはわれわれの力は出てこない、かように考えております。
○八木(一)委員 非常に基本的な方向について、私どもと同じ御意見で、非常にその点力強くなりました。具体的な問題については、非常に上品な先生でおられますので、御遠慮がち過ぎると思うのです。世の中にはたくさんゴルフ場がある、高級車が走っているときに、そのような国民のほんとうの生命を守る、健康を守るということが、そのようなぜいたくがされているときにおろそかにされているということは、今の具体的な方向としても断じて間違っていると思いまして、どうぞ学識経験者の先生方も、政府などにはそう御遠慮なされずに、もっとしかりつけて、医療の方が前進するようにお願いを申し上げておきます。
○中野委員長 小林進君。
○小林(進)委員 どうも先生の御多忙のところまことに失礼ですが、一言簡単にお聞かせ願いたいと思うのであります。
 それは、先ほどから先生がおっしゃいましたのは、医療費を決定するルールが必要であるということですが、この御所見は私どもごもっともだと思うわけです。もっとも将来は別といたしまして、現時点においては必要ではないかとおっしゃるその御所見は、私ごもっともだと思います。ただ、そのきめる場所が中央医療協でなくて、臨時医療報酬調査会でなければならないというその点が若干のみ込めないものでありますから、この点だけお聞かせ願いたいと思うのでありますが、私ども勘ぐったものの言い方になるかもしれませんけれども、四者構成の医療協に対しては医師会が排撃をしまして、ついに代表者を送らなかった。そこで古井大臣の答申に基づいてそれを三者構成に改められた。三者構成になりましたことは、いわば医師会にとりましては、四者構成のときよりも発言権が強められたわけでありますから、医師会としては御満足になられたわけであります。満足ではありませんが、やや了承せられた。引きかえて支払者側では、従来よりちょっとウエートが医療協議会では弱まって参りましたので、そとで反対の勢力が強くなって、またその調整役として、その調整をとる意味において、臨時医療報酬調査会というものが医療協の改組に付随してでき上がったのではないかというふうにも考えられるわけであります。そういうふうな考えで、私は盲腸的存在として、妥協案としてできたのではないかというふうに考えるのでございまして、もしそうでないとしますならば、やはり先生のおっしゃったような学者的良心に基づいて、現在の中央医療協議会の中では正確な医療費をきめるルールは作りがたい、やはり臨時医療報酬調査会でなければならないという、そういろ学者的な信念に基づいて現時点において必要だとおっしゃるならば、その点、いま一度どうしても中央医療協議会では正確なルールはでき上がらぬのであるという理由と、臨時調査会ならば中央医療協議会よりももっと正しい一つのルールができ上がるのであるというその這般の理由を、私ども頭の悪い者が納得できるようなお話をお聞かせ願いたいと思います。
○末高参考人 なぜ臨時医療調査会をやらなければならないか、多分に政治的な色彩があるのじゃなかろうかというお話でございましたが、中央医療協でありますと、三者構成になりましたけれども、おそらく学識経験者と申しますか、中立委員と申しますか、国会の承認を受けるというくらいな重い地位になっておりますけれども、しかし発言をする、論議をするということになりますと、各利益団体の方と全く平等の立場でございます。平等の立場、一対一なんです。かりに投票でもってきめるというようなことになりますれば、それらの持っておる票は、やはり医療団体なりあるいは被保険者団体なり――被保険者と申しません、支払い団体なりから出てくる委員の方と、全く同じ票しか持たないわけです。そういうところで公正なルールはなかなか発見しにくい。そこで、そういうような利益団体から、一応形の上だけでも離れている公益というものの集まりによって、ルールはきめた方がよろしいのじゃないか、私自身は、私どもの審議会の答申を、内閣あるいは政府が御利用になる、御採用になったその意図が、どういうふうに政治的の意図かどうか存じません。だけれども、私どもは――私どもと言うよりも私自身は、そういう政治的意図でなくて、純粋理論的に、この場合は、ルールの決定は純然たる中立委員、公益委員の四人の方におまかせした方がいいのだろう、こういうふうに考えておるものであります。
 補足いたしておきますと、もしも中央医療協議会の四人の中立委員だけが別個に退いて、このルールは別に作るというならば――私は今思いついたのでありまして、はっきりした見解かどうかということは別問題でございますが、四人の公益委員をかりに八人なり六人なりにいたしまして、別室に退いて、お前たちだけでもって――お前たちと言うのは失礼でございますが、公益の委員だけでもってルールをお作りになるという方式が考えられるならば、それもいいのじゃなかろうか。しかしあそこに出てこられる者は、国会の承認を得られた方であるといたしましても、他の利益団体の方と同じように一対一の表決権しか持たない、権威しか持たないというところでありますと、その中に特別に、そういうような重いと申しますか、別個の任務を負わせるところの公益委員というのは少し筋違いではないかというので、別にこれを設けた方がいい、こういうような見解を持っておるものであります。
○小林(進)委員 ありがとうございました。これで終わります。
○中野委員長 これにて末高参考人に対する質疑は終了いたしました。
 末高参考人には、長い時間にわたりまして大へん有意義なる御意見をお述べをいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 次に、安田参考人に対しての質疑を続行いたしますが、安田参考人には、大へん長い間お待ちを願って恐縮に存じますが、でき得るだけ簡便に答弁をしていただきますようにお願いしておきます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。
 田邊君に申し上げますが、御承知のように、どうか一つたるべく簡単に……。
○田邊(誠)委員 一言だけお伺いいたしますが、いろいろ先ほど来の質疑応答で私ども承知いたしておりますように、医療の問題は国民全体に非常に影響を及ぼす問題でありますだけに、国民の経済生活を無視してはきめられないことであろうかと思いますが、しかしやはり一面、何といっても医療担当者の立場、現在の困難な条件というものを改善するという方向でなければ、これまたりっぱな医療制度というのは確立しないと私は思うのです。
  〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕
そういった点から、社会保障制度審議会の答申に基づきまして、政府がさきの国会でもって、中央医療協の改組を提案いたしまして、われわれはこれを了承いたしました。そこで安田さんにお伺いしたいのは、今までいわゆる四者構成でありましたけれども、私どもは勢力均衡というような考え方でなくて、今申し上げた医療担当者の意向なり立場を最大限われわれは容認し、認めなければならぬ、こういう立場でいいますならば、今回の中央医療協の改組こそが本来の意味における姿になったのではないか、こういうふうに思うのでありますけれども、保険者側といたしまして、前の医療協に比べて今回の中央医療協改組による構成の方が、はたしてりっぱであるかというようにお考えであるかどうか、お伺いしたいと思います。
○安田参考人 私は前回も申し上げましたように、中央医療協の構成は四者構成が正しいと思っておるのでございます。と申しますのは、現在行なっております社会保険、保険という制度でございますので、少なくとも責任を持ってやります保険者というものは、きまった医療費は診療担当者に御迷惑をかけないようにお支払いをする、これは義務があるわけでございます。従いまして、その保険料は被保険者と事業主という負担する方がありますので、診療担当者と保険者とがいわゆる保険制度の中でお話し合いをする。それには保険料を持つところの事業主、被保険者が参画しまして、中立的な学識経験者とともにこのお話し合いをして、いわゆる厚生大臣の諮問に答える、この制度が正しいと私は今でも考えております。従って、前の制度の方がいいと考えておりますが、一たんきまりましたことでございますので、ただいま申し上げましたようにこの三者構成、それには大して議論が起きないようにできるという設置法案というものがあるということでございますから、その二つをぜひ通していただいて私どもは参画して参りたい、かような気持でおるわけであります。
○田邊(誠)委員 もちろん支払者側の意向というものは十分反映しなければなりませんけれども、これは社会保険でありますし、最終的には国の責任におけるところの社会保障制度の一環としても考えるべき立場からいいますならば、いわゆる支払いの能力の問題はもちろん重要に考えなければなりませんけれども、その能力の限界線と国がこれに対しててこ入れをするという、この二つの考え方を併用して考えなければ、問題の解決にならぬと思う。そういった観点から見まして、今回の改組された中央医療協こそが、いわゆる勢力均衡などという考え方を抜きにしても、医療担当者の意向も十分反映するという考え方から、しかも中立委員は国会の承認を求める、こういうことでございますから、あるべき姿としてはより前進ではないか、こういうようにわれわれは考えて、国会の議決を承認した立場であります。そういった立場でありますから、今の安田さんの御意見というのは、あくまでも保険者の財政能力なり保険者団体の意向がより最大限に発揮されなければ困る、こういう御意向に受け取るのでありますが、私どもとしてはその点はいささか見解を異にいたしております。
 まあいろいろの御意見がありましょうとも、いろいろと経緯を経まして、さきの国会でもってこれが改組の決定を見ました。従って、今回の臨時医療調査会の発足のいかんにかかわらず――ということは、すなわち中央医療協に対する諮問の仕方が、その原案を厚生大臣が作る、あるいはそのための参考資料が調査会で作られようが、あるいは厚生省で作られようが、いずれにしても中央医療協がそれに対する重大な一つの決定の権力を持っておるわけでありますから、能力を持っておるわけでありますから、従って、中央医療協がそういった重要な場であるという御認識に立ちますならば、今のお話にもありましたように、すでにこれは国会の議決を経た改組でありますので、これに対してはきん然として参加されることこそが、法を守られ、医療制度をより前進させるという立場からいいますならば、保険者側といたしましても当然とらるべき考え方ではないかと私は考えるのであります。その点からいいますならば、この調査会が設置されることが望ましいという御意向はわかりますけれども、しかしこの調査会がなくとも、いずれにしても原案は出て参るのであります。あなた方は中央医療協の中に参画されて、これに対するところの意見を開陳されて諮問案を出されるはずでありますから、そういうことにあまり重大なこだわりを見せることなくして、中央医療協に参画をされるという立場が望ましいではないかと考えまするけれども、参画をされる率直な御意思があるかどうか、もう一度お伺いをしたいと思います。
○安田参考人 過去の中央医療協議会の運営の歴史を見て参りますと、診療担当者の御主張と私どもの主張というものが非常に開き過ぎておるわけでございます。従いまして、四者構成が三者構成になりましても、前のような運営の仕方、厚生省案を出すとか、また一方的に出すとか、たとえばただいま医師会長先生からお話がありましたように、十八円何がしというような数字は、いわゆる国民の医療費を八割幾ら上げるという数字でございますので、これは経済だけに立脚して申し上げてはなはだ失礼でございまするが、国民の医療費が四千億あるいは四千五百億というような数字が、八割直ちに上げるのが正しいのだというお話がありましても、直ちに三千二百億というものは、これは私どもは国民経済の立場、あるいは保険者の運営、あるいは保険料を徴収するという面から納得できない。従って、また私どもが出します線は、そのときにはせいぜい一〇%程度のもの、これは私どももデータを持っております。さような非常な開きを持って終始論争を続けて参ります。従って、今までの医療費のきめ方は、それならば何によって根拠づけてきめられたか。これは力と力との取り合いであって、そこにはあるいは政治的に解決していただかなければならぬ、あるいは政治力の介入という言葉が使われるわけでございます。私どもは将来さような混乱を避けることこそ、これは国民のためにはもちろんでございまするが、診療担当者の方にも必要ではないか。私は四者構成が三者構成になったということにつきましても、保険の運営という面につきましては、保険者の勢力云々ではございません。これはいろいろ議論がございまするが、それにいたしましても、これが力と力との運営でもって医療費が決定する、あるいは圧力別体の力の闘争である、あるいはこれによって世間様が承知しなければならぬというようなことが、少なくとも、完全でなくとも、この調査会法案の設置によって一つの方向が出まするならば、お互いの主張というものはそんなかけ隔てた議論ではない。従って、中央の医療協議会において審議をされる論拠というものは幅が非常に狭まりまして、そこにおのずからスムーズに将来、今まであったような醜い形でなく、また国民に御迷惑をかける形でなくできる。従って、私どもはただいまの設置法案というようなそういう方向がなくて、ただ四者構成を三者構成にしても混乱を繰り返すだけではないか、こういうところで、私どもはぜひこの設置法案とあわせて改正されました中央医療協議会の運営というものを期待しておるわけであります。
○田邊(誠)委員 私は調査会の持つ権能について、少しく安田さんは過大評価をされておるのじゃないかと思うのであります。私の認識では、この調査会がたとい発足をいたしましても、これはあくまでも一つの現在の診療報酬に対する概念を総理大臣に答申をする、それに基づいて厚生大臣が素案を作って、中央医療協に再びいろいろな意見の開陳を求める、そういう格好になるのでありますから、その素案を作るものがこれは調査会である。あるいは厚生省である。あなた方が中央医療協に参画をされて、十分な意見の開陳をされるという自由な立場というものを保障されなければ、私はかえってあなた方の意向も通らない場合があると思うのであります。何かあなたまかせであって、学者が一つの案を作られ、一つのルールを作られれば、それに寄りかかって自分たちの意見を述べない。こういうような現象こそがこういう国民の全体の関心の的であるところの医療の行く先をきめるにとっては、逆説的にいえば障害になる場合もあるじゃないか、われわれはこういうように考えるのでありまして、そういう立場から見まするならば、今安田さんの御意見を拝聴いたしましても、私は、中央医療協の権能というものこそが最後の土俵として重大である。もしあなた方の意見と医療担当者の意見が非常な食い違いがありとしますならば、その間にこそ四人の学識経験者があり、専門部門があり、いろいろと調査検討されるという場が残されておるのでありますから、そういう中でもって自由な討議がせられてこそ、民主主義の原則に基づいて最終の結論が出る正しい筋道ではないか、こういうふうに考えるのでありまして、調査会に何か全部寄りかかって、それによって安きを求めるような結果というものが、今の御意向の中にあることを私は察知するのであります。従って、そういった面からいいまして、調査会設置ということについてのいろいろな御希望はわかりますけれども、しかしあくまでも改組されましたところの中央医療協に、あなた方の立場とその具体的な御意見というものを開陳されるというこの場というものは、最大限に活用さるべきであると私は考えるのでありまして、そういった点からいいますならば、今回の法案に対する御希望意見は御希望意見といたしまして、われわれは改組された中央医療協に保険者団体も率先してこれに参加をして、最大限の意見の開陳をするという場を作り上げるべきではないか、少なくともそのスタート・ラインにつくべきではないか、こういうふうに考えるのですけれども、いかがでございましょうか。
○安田参考人 私は設置法案によってできますその委員会が医療費を全部決定する、あるいは中央医療協議会を拘束上るものだとは考えておりません。しかし少なくとも一つの尺度とか一つの方向が出ますならば、あまりかけ離れた議論というものは将来ともなくなるという一つの方向を私は念願しておるのでありまして、従いまして、たとえば国会が指名されますところの学識経験者におかれましても、これを学識経験者にまかしていいという御議論が、簡単に議論だけは出ますが、そこに尺度か何かというものがなければ判断の材料がない。これが今までの論争を繰り返してきた非常な混迷の原因でございますので、たとえば末高博士のお話のように、その中でどれとどれとどれというようなデータを一応見ておけば方向が出る。上げるべき時期であるかどうか、上げないでいい時期かどうかという一つの方法もありましょうし、私はさような意味において一つの方向が出ますならば、かけ離れた中央医療協議会における議論というものが縮小される。あくまでも中央医療協議会において、この法律の規定によりましてわれわれが審議するという形においては、当然何ら拘束するものでないと考えておりますので、ぜひこの二つを発足してこそ、将来よりいい医療制度の審議ができると考えておるものであります。
○田邊(誠)委員 どうも御意見を承っておりますと、あなた方は素材がなくて中央医療協でもっていろいろ意見を吐きますと、だいぶかけ離れた意見が出るということを前提にしてものを考えていらっしゃる。そこに問題の解決がない。いかなるものを作り、今度調査会を作っても、それがどのような重要な要素になろうとも、中央医療協の中でもって保険者側あるいは医療担当者側が大へんかけ離れた意見を差し示せば、決してこれはいい結論が出ようはずがないのでありまして、問題は医療制度の確固たる、特にこの社会保険の普及されんとする現状の中でもっていかに診療報酬を決定すべきか、こういうことを相手の側に立っても考えられて意見を吐かれるならば、私は当然まとまるべき結論にいくではないか、こういうふうに考えるのでありまして、調査会ができますならば、何か今度は自分たちの意見は放棄してその意見に寄りかかる、こういう形で問題を解決せんとするというように受け取れるのでありまして、問題は、調査会ができようができまいが、中央医療協という権威あるところの諮問機関があるのでありますから、そこでもって自分たちの意向、相手方の意向、国民全体の立場、これを十分くんだ意見をあなた方が吐かれれば、当然私は結論に到達するのではないか、こういうふうに考えるのでありまして、今の御意向は、どうもその点では何かしら昔からの立場を固執するあまり、他によって解決の道を求めんとするような、他力本願的な御意向に承るのでありますけれども、私の意見が間違っておりましたならば、一つ最後にもう一度お聞かせをいただきたいと思います。
○安田参考人 間違っているとかいうようなことで私は発言するものではございません。今日の医療費のきめ方は、たとえば薬価とか、あるいは人件費であるとか、あるいはいろいろなものが混然として入っておるわけでございます。従って今までの医療費のきめ方は、技術料というものも見てございませんし、また有償診療所、無償診療所というものもこれは経営の実態が違いますので、これを一本に規定していいかどうかというような問題も、今日たとえば病院ストの問題においてもそういうものに非常に関連をしてくると思うのであります。従いましてそのデータのとり方によっては、いろいろ違った――自分の信念から出しましてもおのおの違った、非常にかけ離れたデータが出てくるわけでございます。従いまして私どもが念願いたしますのは、そこに中立的な、設置法によるところの委員が、かようかようなデータによって一つ医療費というものの方向をきめるべきであるという方向が出ますならば、お互いがそれによって、自分たちが独自の研さんをいたしまして、またそれにとらわれるわけではありませんが、それを私どもはもう少し整理していただきたい。今日の医療費の決定の仕方は、ベッドを持っておる病院の方々の計算というものが入っていないのじゃないか。また医師の技術料というものもどの程度に見てあるかどうか。あるいはそのほかに薬価の推移とかいろいろなものが混然として入っておって、それをただ腰だめ的に、たとえばこの前の論争にいたしましても、医師会、診療担当者の御主張は三割であるという御主張でございますが、私どもが私どものデータで主張いたしますと、一〇%以内でいいのではないか。かようなことは、データのとり方とかいろいろなもので違ってくるのではないか。従いまして私は何も設置法案のそれにたよるわけではありませんが、それによって、日本の将来の保険を運営する医療費というものの方向を、少なくともデータのとり方なり医療費の推移というものは、こういう方向で考えるのだということだけを見出していただくだけでも、一つの進歩ではないかという意味合いで私は念願いたしておりますので、それがなくても中央の医療協議会はもう直ちにやっていけるのだといっても、私は中央の医療協議会だけでは力と力との論争だけで混乱を起こす、かように考えているのでございます。
○柳谷委員長代理 島本虎三君。
○島本委員 安田参考人に一つ私の立場で明確にしてもらいたいことがございますので、その点一つ的確にお願いしたいと思います。
 先ほど武見参考人からの陳述の最初の方に述べられました中で、これはわれわれとしてもまた同じような立場を持つ者として、ぜひこの問題だけははっきりさせておきたいという問題の一つに、臨時医療報酬調査会の設置の問題につきまして、現在のような状態で、これは東西一流の学者並びに厚生省の役人等で設置したけれども、このやり方の点からして、必ずしもこういうような構成メンバーだけでこういうような結果にはなるおそれがない。従ってこの中で、言葉として私はまことに大事だと思ったのは、医療での拡大再生産が認められないからである。ここで出す結果においては、医療の拡大再生産が認められないということになりますれば、これはやはり大へんなことではないかと思う。労働者でも一日もらう賃金によって明日の生活を営む。そういうことの積み重ねによっていろいろと将来の青写真もできるように、再生産は十分考えられなければならないし、若干でもそれを考えて現在いろいろ賃金の設定なども行なわれている。しかしながらこの臨時医療報酬調査会、こういうようなところで行なう結論には、医療の面では拡大再生産を認められないのだという。この面について、はたしてこういうようなことであるとすれば、これは大事なことであり、こうでなければこうでないように、はっきりその所信を明らかにしてもらいたい。私は両方から聞きたかったところですが、個々別々なので、これはあくまで究明できませんが、大事なことだと思いますので、あらためて安田参考人のこれに対する明確な御所見を承りたいと思うのです。
○安田参考人 ただいま先生のお尋ねの医療の拡大再生産ができる、できない。私はその意味がよくわかりませんが、少なくとも私どもはそういう主張はいたしておりません。また設置法案によりまして適正な診療費の方向が出ますならば、日進月歩の医療あるいは物価の推移、あるいは国民所得の推移によって、私は当然医療費というものがあまりトラブルがなく、スムーズに一つの方向がきまるだろうと予想いたしておりますので、従ってその御意図にある拡大再生産というものも、その計算の中に当然入ってくるものだと私はかように考えているものでありまして、一たんきめたものは、それで動かないということではなくて、将来医療費が動くであろうということを予想して、どういう方向でどういうデータで動くのか、その一つの方向を見出すことが――これは今まで終戦後医療費ごとに非常な騒動をいたしましたことがなくなるということだけを念願いたしておりますので、さような問題も当然この仕組みによっては、武見先生の危惧なさるような問題はないと私はかように考えております。
○島本委員 そうしてその言葉の中に、病院ストの問題にも触れて、これはやはり拡大再生産が認められないことに問題もあるのではないかという発言もあったわけです。そうすると、あなたの場合はそういうことはない。担当者側はそういうことが問題であると言う。こういうような考えの違い、こういうようなことがそもそもトラブルが発生するもとになるのではないかというような気が私はする。そのうちの一つとして、前にも武見参考人の方で、三十三年にはっきり平均費用曲線というようなものを出して、それで十八円四十六銭というような線も出した。その点で今安田参考人の方も若干の論駁がございました。これではほんとうにやっていけない、これでは高過ぎるのだというならば、相手がはっきりしたデータによって、こういうりっぱなデータなんだと言って持ってきたならば、それが高い、受け入れられない、これではあまりにも過当であるというようなことを理論づける正確なデータがなぜないのか。その結果は、やはり何かの権力にたよるということがこのトラブルのもとになるのではないか。おそらくは国家機関だって厚生省初めどこだって、もう調査の部門では十分やれるだけの準備があるのではないか。どうしてもこういうような臨時医療報酬調査会というところにゆだねなければやっていけない、今のものはそういうものではないのではなかろうか。従って三十三年のこういったりっぱなデータが出たとすれば、なぜこれに対して納得し得るような理論的な根拠とその資料をあなたの方からはっきり出して、堂々とおやりにならなかったのか。またやっても認められないとすれば、そのおもな点がどのようなところで、どのような方法だったから認められなかったのか。この点、三十三年度のことですけれども、一、二皆さん方の方で申し述べたいことがございましたら、この際明確にしておいてもらいたいと思います。
○安田参考人 先生のお話のように、私どもは私どものデータを持っております。たとえて申し上げますると、ただいま私は詳しい数字はございませんが、後ほど御要求がありますればお出しいたしまするが、医師会の御主張のように十八円何がしというときには、私どもは国民所得というものは――昭和二十六年から初めて医療協議会というものが発足いたしましたので、この七、八年間に一七%幾らしか上がっていなかったのではないか。また私どもが保険者として支払うものは、ある時点を一としますと二・八になっておるとか、物価の推移がどうであるとかというようなデータを持ちまして、私どもの値上げというものはかくかくである。それで十八円幾らというものは、どうしても今の国民経済なりあるいは国民所得から、これは私どもは承服できないのだということは、私ども非常に広報、宣伝と申しますか、先生に今おしかりを受けたように、なぜやらないかというおしかりを受けていることは、私どもの会員に非常に申しわけないと思って今さら私は悔悟いたしておるのでありますが、一応のデータを持ちまして申し上げたつもりであります。今詳しい数字は持っておりませんが、これを医師会なりあるいは一般が御承服になったかどうかは別といたしまして、私どもは私どもなりの国民所得なり、物価の水準なり、総医療費の支払いなり、そういうふうなもののデータをとりまして、一応世間に発表したことはあるのでございます。従いましてそこに非常なかけ隔てが出たという数字が過去において数回あるのでございます。これがお手元に届いていないのは、これは私どもの会員の怠慢でありまして、これはまた後ほど古いデータをもちましてお届けいたしたいと思っております。ただしそれが世間にいれられたかどうかという点につきましては、私はなぜいれられなかったかということにつきましては、今お答えができないのでございます。
○島本委員 私も自分の立場でなんですけれども、医者には関係がないのです。しかし私どもがからだを悪くしても何にしても、医者にかかる場合には、まことに緻密な科学的な方法によって診療を受けるわけです。おそらくそういうような点を見ますと、出てくるデータもその積算であり、科学的であるとするならば、今度はもうあなたの方でもそれに対してはやはりそれを納得させるだけの緻密な科学的なデータを整えて、納得してもらう努力はそれの上に重ねてやるべきじゃないか。何か一つのものにたよっていくということは、往々にしてそういうような科学的な処理をなさる人に対しては、権力を持ってそれを押しつけるというようなことにとらわれがちではなかろうか、こういうようなことはやはり私としてもその努力は十分し尽くさなければならないという前提の上に立って、今度の場合は三十九国会で、前の田邊委員が申しましたように、中央医療協ができて、問題はこれの充実ということが大事だったのだ。従ってこの中に入って漸進的でもこの中で問題の解決をはかり、この中でいろいろな話し合いの場を作り、理論の格差を縮める、こういうようなことまでやる努力は当然必要だったのじゃなかろうか、また今後これもしなければならないのじゃなかろうか、こういうふうに思うのですが、どうしても調査会にすべてを求めて、これでなければならないのだということは、やはり私が今危惧するように、権力にたよって、具体的なデータによるところの相手方の説得をまた怠るのではないかということを、国民は危惧するのではないかと思うのです。こういうようなことであったならば、私はこの調査会の本来の目的に沿わない。どうしてこの中央医療協の充実とともに、この中で堂々と論陣を張って相手方を説得するようにして、この中で解決をはかるようにできないものであるか。この点、重複になるかもしれませんが、私の考え方としては今のような考え方ですから、この点を一つはっきりお考えを伺いたいと思うわけであります。
○安田参考人 私どもといたしましても、この医療費の決定の問題にいたしましては、当然決定されたものにつきましては、診療担当者に御迷惑をかけないで全額払って参りたい。私は終戦後の過去の歴史を見ましても、この保険の安い高いといういろいろな御議論はございましたが、かつて診療担当者に、いかなる経済変動がありましてもこの保険者というものが責任を持ちまして、不払いという事実はなかった。これは私はやはり診療担当者に、保険の非常な長所であった。従いまして私どもは今後も決定される診療費というものは、当然支払う者と支払われる者とが話し合いの上で、何回か会っているうちには何かそこに妥協点が見出されるというのが――私はいわゆる政治はわかりませんが、政治とかさようなものには妥協ということがあるそうですが、さようなことが見出されてこそ私は出てくると思うのでありますが、今まで医療協議会にはよく妥協するといって私どもはしかられたのでありますが、さような点がどうも見出されなかったのであります。従って私は、私どもこそ権力におたよりするというようなことが全然ないのでありまして、やはり一つの制度としてかような方向というものが、この学識経験者なりあるいは議会の御承認を経た機関によってできるならば、これは私は権力とかなんとかいうものでなくて、この争いの場がとにかく一つの方向がきまってくる。私は何回も同じことを繰り返して申し上げますが、それによってぜひ中央医療協議会に対して協力して参りたい、また医師会の諸先生のお話も十二分に承って参り、また私らは診療担当者がなければ、私どもの被保険者に十分な給付をしていくことができないのでございますので、それは何とか私どもはこれができることを念願しておりますので、決して権力云々とか、さようなことで戦うとか、そういう気持はございませんので、私はやはり制度調査会というものができて、初めて中央の医療協議会が動くと確信しておりますので、ぜひさような方法で協力していきたい、かように考えております。
○島本委員 どうして今の点を言うかというと、私はこれは直接武見参考人に伺わなかったのですが、新聞によりますと、今度はやはり三つばかり明確な意見として、今度の臨時医療報酬調査会設置法案は、これはできるだけ廃案に追い込みたいということが一つ、それは武見会長談話として出ているのです。それともう一つは、現在支払い側が反対して空白を続けている中央医療協議会は、医療と公益団体だけでこれを発足させる。そしてもう一つは、厚生大臣から中央医療協にまず地域差撤廃を諮問するようにする、こういうようにして懸案の解決の糸口にしたいということが新聞に載っておった。私はそれを見てきた。もしそうだとすると、またこういうふうにやることによってみぞが深まり、どうしてもこれは解決の糸口にはならないというふうに私どもは判断する。従って今いろいろなあれがありましたから、安田参考人もこの際その置かれている立場の重要な点を十分お考えの上で、そうなればそれは場所はどこだということになると、やはり中央医療協じゃないか。この中にどうして入れない。中へ入って堂々とやればいいじゃないか。そうなってあなたの力の不足なところは、われわれも応援しましょう、こういうようなことに相なるわけではなかろうか、こういうふうに思うわけですが、これに入らないということに対しての一つの糸口を見出せないところの問題点があるのではないかと思うのです。この点はどういうものでしょう。
○安田参考人 あるいは同じお答えになるかもしれませんが、過去におきまして中央医療協議会が動かなくなった例は多々あるのでございます。従いまして、ことに前回の中央医療協議会が動かなかったのは、診療担当者の方が二年間も出ておいでにならないで開けなかった……
○島本委員 今度は出るというのですよ。
○安田参考人 従って私どもはさようなことは繰り返したくない。しかしそれには診療担当者は診療担当者としてのいろいろな御不足がある、解決されなければならぬ問題が――私ども反対ではありましたが、三者構成とかというような言葉でこれを社会保障制度審議会がお取り上げになって、私は最後まで反対いたしましたが、とにかくさようなことで医師会と保険者というものがうまくいくべきはずだ、私らはがまんすべきことはがまんする。従ってただいま申し上げる診療報酬調査会というものは、これは広義に見て、どなたがごらんになっても当然必要なものだ、かようなことで、お前たちはお前たちで、出る条件としてはかような方向がきまれば、お医者さんに、そんなにしかられることもないじゃないか。お前たちもまたりっぱなデータが作れるのではないかというようなお言葉がありますので、この二つが一組になって新しい中央医療協議会ができると確信しておりますので、決して出るとか出ないということでございませんで、ただいまぜひこの委員会で御審議をわずらわし、この法律ができて早く参加さしていただきたい、かような私は希望を持っておるのでございます。これはやはり中央医療協議会の前提条件としてこれがある、でなければ動かないだろうという一つの判断で、また私どもは過去の診療担当者が出ないで、この医療協議会が動かなかった、あるいはいろいろ患者が迷惑したということのないようにしたいという努力は私いたしたいと思っております。どうか諸先生におかれましてもさような方向で、ぜひ私どもも入れます設置法案、これによって一つぜひ新しい医療協議会を発足させていただきたい、かように思っております。
○柳谷委員長代理 滝井義高君。
○滝井委員 安田さんにちょっと一、二点だけお尋ねしておきたいのです。さいぜん末高先生も言われておりましたが、私も直接皆さんからお聞きになったわけではないのでつまびらかでないのですが、中央社会保険医療協議会に保険者側がお入りにならない理由というのを教えていただきたいです。
○安田参考人 入らないということはありません。私は過去において、今も先生にお答えしたのですが、診療担当者がお出にならないで非常に困ったという事実を知っておりますので、さようなことのないように、それには医師会のいろいろ御要望になっております改組という問題、改組するのにはまた保険者も被険保者も出られるような一つの方法において改組をしてやろうという一つの今の設置法案等新しい案が出ておりますが、これが御審議をわずらわしてできますならば、私どもはきん然として参加しまして、この中央医療協議会の運営に参加したい。参加しないということではございません。厚生大臣はまたぜひかような方向が将来の医療保険を最もスムーズに扱う道だから、ぜひ扱うから、さような方向でついてこい。実は地方医療協議会におきましても、私どもは参加しなかったのでありますが、厚生大臣の御覚悟といいますか、確固たる御信念を伺いまして、地方の医療協議会には参加しまして、現に保険医の指定その他には参加いたしております。従ってただいま御審議になっておるこの法律ができますならば、私どももきん然として参加して参りたい。今一生懸命に参加するべく先生方にもお願いして、ぜひかような方向を見出していただきたい、かように思っておるのでございます。
○滝井委員 御存じの通り法治国家ですから、去年の十一月に法律ができて、そうしてそれが動かない。かつて療養担当者の団体が何回も入らなかったじゃないか、だからわれわれも今度は目には目、歯には歯というわけにはいかぬと思うのです。というのは、どうして私これをお聞きするかというと、厚生大臣は、必ずこの法律が通ったら中央社会保険医療協議会というものは動かしますということを、昨年の十一月、あの法律を通すときにわれわれに約束したのですよ。そうしてお通しになって、そのとき厚生省は臨時医療報酬調査会法をお出しにならなかったのですからね。同じ三十九臨時国会にお出しにならなかったのですよ。そうしてこれが通れば必ず保険者すべても入ってうまくいこう、こう言った。僕らもそうだろうと思った。こういう状態だったらあれを通すのではなかったのです。一緒にした方がよかったのです。ところがそうおっしゃるものだから、まあカップルで古井さんのときに出した法案が客観情勢の変化で、もうあれ一つでいいのだがという考え方になったのです。しかしながらそれは皆さん方の立場もあるので、念には念を入れて私たちはあの法案を通すときに詰めてみたのです。古井さんが、私の政治責任を持って必ず入るようにいたします、こういう言明があったからあれを通したのです。ところが通ってみたら、どうも皆さんの方で工合が悪いとおっしゃる。努力中なんだけれども、どうもまことに申しわけございません、こういうことなんですよ。それで、国会というのは御存じの通り、もうそのできた法律からやっていくわけですから、あとの法律が通らなければわれわれはそれはやらないのだというなら、これは法治国家ではないですね。無政府です。まさか保険者団体は無政府主義じゃないと思うのです。れっきとした資本主義社会における健康保険組合、あるいは保険者だ。こうなると、お入りになっていただかなければならぬと思うのですが、そうすると、今度これからは私の推定だけれども、皆さん方、今度医療報酬調査会ができなければ入らぬのだというのだったら、今度医療協議会ができたときに、あれがなければ入らぬのだということになると、昨年の十一月以前の状態が続くことになるわけです。三十四年六月の参議院選挙が終わった以降の、坂田大臣以降の状態がまた続くということになる。これではやはり問題があるのではないか。だからこれはお入りになることはちっとも差しつかえないじゃないか。お入りになったって権限を侵されることはないのですからね。だからお入りになっておって、今度調査会ということが出てくるのではないか。どうもそこらの関係がちょっと私納得いかないのです。ですからこれは午後いずれ池田総理なり古井さんの責任を追及するつもりですけれども、どうもそこらがちょっと納得がいきかねるのです。
○安田参考人 私は厚生大臣が、先生とどういういきさつがあったか知りませんが、厚生大臣は私には、臨時国会であれをやったけれども、これは社会保障制度審議会の勧告もあるし、これは同時にやるべきものだから待て、従ってこれはぜひ国会の御承認を得て、将来かような調査会法案ができれば君たちも参加してもらう。ぜひさようなことで参加してくれということでございました。何か今先生は、これができないのじゃないか、できなかったらという仮定で御質問のようでありますが、私はぜひやっていただけるものということで、新しい中央医療協議会には御協力したいと考えておるのでございます。ただこれがもしもできなかったらということは、厚生大臣と私どものお約束ではそういうことを考えていないものでございますから、直ちに私どもが云々ということは申し上げませんが、社会保障制度審議会は勧告いたしまして、厚生大臣が一つだけお取り上げになって、しかもその勧告の内容が非常に変わっておるではないかという、政府に対していまだかつてない、十二年来初めてであるというような線を出しておられるのでありますが、私はこれは一つの国民的の世論が社会保障制度審議会に反映して、これは議会の先生も、今武見先生もおいでになりますが、医師会の先生も、歯科医師会の先生も御一緒に満場一致決定した。私どもは四者構成というものをおりてやったものでございますから、ぜひかようなことが、厚生大臣の言明からいっても、厚生大臣のお力で皆様方の御承認を得て法律化される、かように思っておるものでございますから、さようなことで、私どもは将来の中央医療協議会というものも今までのようなことでなく動いていく、かように考えております。
○滝井委員 そうすると、安田さんの方の前提は、中央社会保険医療協議会が動くためには、どうして臨時医療報酬調査会というものがなければ、私たちはそれは約束不履行だ、だからこれには参加するわけにはいかぬ、こういう結論になるわけですね。
○安田参考人 ただいま参加するとかしないということは私は申し上げません。厚生大臣からいろいろ私どもにお話があって、社会保障制度審議会の答申を責任を持ってやるということでございますので、私はそれについていきたいということだけを今考えております。その後の状況が、これから先生方の御審議をわずらわすのでどういうことになるか、この議会も短い期間でございますが、私どもはかような法律案が通りまして、無事に発足できるものだということだけしか考えていないものでございますから、ただいますぐ乗らないとかどうとか、私は会というものもございますので、直ちにここで申し上げることはできないと思います。
○滝井委員 わかりました。そうしますと、健保連としては、対でなくちゃいかぬ、医療協議会と制度調査会というものは一体でやる、こういう約束が厚生大臣と行なわれておったのだ、自分はそう理解している。それから先、この法案が通る通らぬで入る入らぬということは言えないけれども、一応対という約束だった。そうしますと、一つ今度問題が出てくるのです。というのは、古井さんが社会保障制度審議会の大内兵衛さんに、社会保険等の適正な診療報酬を定めるためとるべき方途についてという諮問をしたときに、去年の七月一日に社会保険の診療報酬の改定をやるということを、自由民主党はすでに党議決定をしておったわけです。七月一日に診療報酬の改定をやるということは医師会その他と約束をして、われわれの方にも七月一日からやりますという予算を昨年度予算で出したわけです。そこで古井さんは、具体的に七月一日から単価引き上げの予算を実施するためには、医療協議会に諮問案を発しなければならぬわけです。ところが、その前にごたごたしておるものですから、二月八日に期限を付して二月末日までに臨時医療報酬調査会みたいなものと社会保険医療協議会の改組案を作ってしまった。そしてその臨時医療報酬調査会は七月の単価改定のものもひっくるめてやるのですよと、こういう諮問をしているのですよ。従って当時古井さんが国会に出した法案は、今灘尾さんが出した法案と違う。どこが違うかというと、古井さんのお出しになった法案は期限が一年です。灘尾さんは二年の法案を出している。そのことで古井さんが何を意図したかというと、一年ということは、結局七月の医療費改定を調査会でやってもらうということが主たる目的だったわけです。そしてさらにこれが必要ならば、そのときは長期のものにしてもいいという二段がまえの考えで、まず当面は昨年の七月の医療費改定をねらって調査会法を出した。ところが、その調査会法が政防法でもたついて国会を通らない間に七月に医療費改定が――皆さんはお認めになったのだと思うけれども、できてしまった。そして十二月も皆さんお認めになってできてしまったから、一年の期限の調査会は要らなくなった。だからあなたのおっしゃる調査会というものは――もう医療費の改定が終わってしまったわけですね。今度は客観的な情勢の変化で、政府はまたおやりになると思うのです。というのは、七月と十二月の医療費の改定というものは、現実に日本にある統計資料で最高のものでございます。これは神様がやれば別だが、少なくとも政府機関を動員してやった資料としてはこれが最高のものであるという断定のもとにおやりになった。われわれとの質疑応答の中でそういう言明をした。従ってこれは必要ないわけです。古井さんは諮問をした。本年七月一日から社会保険診療報酬の改定を予定しているが、今回の診療報酬改定の円滑なる処理をはかることをも含めてやって下さいとなっている。その一番当面の目標である七月のものは、昨年じゅうに終わってしまった。将来のことはいつなんだというと、将来のことはいつかわからないわけです。そうすると、医療協議会でおやりになってもよいわけです。御存じの通り医療協議会は専門員がおりますし、四人の公益委員がいるので、内閣にできるものは五人ですから、大して変わりがない。ですから、皆さん方のいよいよ七月一日からやる当面のものは終わってしまったということになる。だから、いつやるかわからない。不日のものをやるのだということなんです。だから、これはだいぶ違ってきたわけです。従って当時の臨時国会で調査会法は必要がなくなってしまった。だから出さなかった。こういう答申案その他を客観的に分析してみると、そういう結論になるわけです。
○安田参考人 古井大臣は、医療費が三円値上げになるとかなんとかいうことでこんとんとしておりますから、早くこれができればということで諮問されたかもしれませんが、答申の結果はなかなか――値上げを、どういうふうにか知りませんが、世論は急いでおいでになった、私どもはかつて三十二年に、かようなデータの不足のままでやらないように、医療経済の実態調査によって今後やりましょうということで、医師会の先生とも御一緒に結論を出しているわけです。ところが、その後厚生省が医療経済の実態調査をやろうとしても、診療担当者はこれに応じられなかった。従って二十七年の古いデータを引き伸ばして、一年前から医師会の御主張は三円値上げというのでございますが、四月に予算を組んでおかなければ七月までに間に合いませんから、きまるかきまらぬかわからないけれども、まず一割程度という予算を古井厚生大臣は組んでおったと思います。旧中央医療協議会で十二円五十銭というものが決定されたわけであります。しかし私どもは、それが決定されたからとれが要らないということではない。その後灘尾厚生大臣は、私どもあるいは診療担当者とも医療懇談会というものを作りまして、将来スムーズにやりたい。それについては、医師会の希望もあるのでもう二・三%、つまり単価を十円にしますと、今まで一二・五でありますから、一四・八にすれば医師会が反対されているところの、またお前たちが反対しているところの三者構成とか、いろいろなものが渾然一体となってやっていけるのだから、ぜひ一つのめ、こういう要請が厚生大臣からあった。そうして九月十九日の医療協議会になって、私どもはそのときに――今さようなことを伺うと私は厚生大臣の不信をここで申し上げたいのですが、厚生大臣は私たちをだましたということになると思うのであります。従いましてそのとき私どもは、一年に二回も医療費の値上げをするということは、どなたの御主張か知らぬけれども、十二円五十銭の値上げについてもまだ実績がわかっていない。と申しますのは、先生が今おっしゃったように、古いデータで、これは実態調査ができておりませんから、これが最高のものですという表現は、そうではないので、これしか使えないのだ。これは医師会にも不足があったと思いますが、それを引き伸ばして十二円五十銭にして、将来はさようなことのないように、この二・三%をのんでくれ、そうすれば医師会も御了承になって二法案が通る、将来はこれによってお互いうまく話し合いができるのだ、こういうことで、私どもは保険経済において百億円から違うのであるが、これを忍んで参りました。ところが、今先生からお話があったように、どういうわけかぽかっと中央医療協議会の改組の案だけ出た。医師会の先生とけんかをしているのではございません。厚生大臣に対して、これは非常に不信行為ではないか、厚生省は非常に不都合であると申し上げましたところが、そうであった、従って今度の議会にそれを出してぜひスムーズにいくようにするからついてこい。さようでございますか、こういうことで参っておるので、私どもは、将来起こる診療報酬の問題は、これによって――過去においてはそういうトラブルがあって、これは両方納得しないままにきまった医療費です、一四・八というものは。それがこの後にはそういうことによっていくであろう、こういう期待を持って今言っておるので、要らなくなったとは考えておりません。これから作っていただいて……。
○滝井委員 これで終わりますが、実は厚生大臣が安田さんをおだましになったように、私たちもだまされているわけです。実はあの法案を通すときには、皆さん方がお入りになるから滝井さん一つ通してくれ、そうでございますか、それならばということで私どもは−速記録がある。言質をもらって通したわけです。ところが皆さんが入らぬものだから、われわれはこのごろからやかましく言っておるわけです。それから今の古井さんのときは一年だったわけです。一年の時限立法です。今度は二年にされている。そしてあの調査会法が一年だったら、もうこの法案は当時通っておっても、七月と十二月におやりになったのですから、七月のものをひっくるめて調査会にやってもらうという諮問を求めたのです。これはちゃんと古井さんが説明に行って演説していますよ。それができなかったので、七月のものは調査会もなかったし、やれずに皆さんこうなっていったものですから、善意に解釈すれば、灘尾さんにすれば必要なくなったということで、医療協議会だけお出しになっておる。必要ならば当然出さなければならぬ。ところが七月と十二月にもう改正が行なわれるという見通しがついたものですから、必要がなくなった、こういうふうに善意に解釈せざるを得ない。そうすると今度は安田さんたちから、うそを言った、おかしいじゃないかというのでこれを出したので、つじつまが合わなくなっておるのです。七月のものをひっくるめてやるのだ、だからこれは期限を付して答申をしてくれということまでも、社会保障制度審議会の大内先生の方につけておる。期限を付して早急に一つ発足をさせておやりなさい。七月というのも、この答申をしたときは、これは三月一日ですから、三月、四月、五月、六月と四カ月あったならば、当面の医療費の改定は間に合うだろうということを大内先生は頭に置いた。古井さんも頭に置いたわけです。だから全くこれは暫定的な臨時的なものとして一年あればよろしい、こういうことだったのです。それで必要ならば恒久的なものに切りかえてもよろしい、これは答申にぴしゃっとうたっておるのです。だからここらに、これは医師会の方もそういう意味だと思っておったら、これが今度何かルールまで作って、暫定方式の全般をやるのだ、こういうことになると、それはサービス料金を五人で一体やれるだろうか、まかしていいだろうか、しかもそれが専門的な、科学的な、技術的なことをやるのだということを答申に書いておるのですから、これは当然あなたが疑うようにみんなが疑い始めた。われわれも疑い始めた。これはなかなか誤解がありますから、誤解を解いてもらって――きょうの皆さんの御意見を聞いてみると、末高先生なんかも今の支払い方式のワクの中でちょっとやるのでしょう、こういう御意見だし、長期のものはあなたもやらなければならぬ、あなたはこれは長期のものだ、こうお考えになっておるけれども、末高先生はそうじゃなかったのです。この法案に対しては、いろいろ群盲象をなでるという形です。それではいかぬと思うのです。だから、やはり象はこういうものだということをみんなが目を開く必要がある。そうすると、これはもう一ぺん何なら法案を通す前に医療懇談会でもお開きになって、そして意思の疎通をはかってこの法案の取り扱いをきめてもらった方が、私たち国会議員としてはいいような感じがするのです。医療懇談会をもう一回開いて、共通の広場でけんけんがくがくの議論をして後、一つこれはそういう性格のものとしてやろう。しろうとの総理大臣にまかしてしまう。専門の厚生大臣のところではないのですから、そういう点、この際どうお考えになりますか、あわてて通すよりも、臨時国会もすぐありますから、そのときにこれをやるならやる。そのときにはもう一ぺんきちっとしたもので意思統一したものでやろうじゃないか、これの方がかえって急がば回れで早道じゃないかという感じがしますが、その点どうお考えになりますか。
○安田参考人 私はそれがどちらが早いかどうか、そういうことは存じませんが、少なくとも私は社会保障制度審議会という四十人以上の、しかも社会党の先生も、自民党の先生も、学者も、また医師会の先生も、いわばこれは国民的な代表の機関で、かようなものが望ましいということが出ておりますので、私どももこれが将来何かお話し合いする、妥結するあれだというので、四者構成、三者構成という議論はありますが、それが出た。ところが今先生と灘尾先生の取引、私は厚生省が非常に不都合だと思いますが、いろいろな取引がおありになった。私どもはそういうことではないから、それはそうであったというので、今度あらためて出しておられるということは、ぜひ必要なんだということを所管大臣が認めてやっておいでになることで、私はさようなお覚悟で大臣が出され、また社会保障制度審議会においてもまた保険審議会においても、この意見を述べられておりますところから考えますと、いろいろ御議論がありましょうが、大方の世論というものはこれを法律化して、将来改正された中央医療協議会の運営に資すべきだ、これが私は正しい結論だと思いまして、ぜひ通していただきたいというのが私の意見であります。
○柳谷委員長代理 小林進君。
○小林(進)委員 時間もありませんし、先生どうもお気の毒でありますが、ほんの一言でございますから……。なかなか先生も御奮闘いただいて、承っておるのでございますけれども、現在の医療の保障制度がこの国会でも非常に論ぜられておるのであります。二重制じゃないか。組合管掌がありましたり、あるいは政府の共済がありましたり、政府管掌保険あるいは国民健康保険というふうに、その間にずいぶんばらばらに給付も保険料もあるわけであります。でありますから、こういう医療制度をむしろ根本的に改めることが、当面一番重大な問題ではないか。これが私ども委員会を通じてのわれわれの耳にキャッチする一つの世論なんです。今おっしゃいます中央医療協やら臨時医療調査会の問題も、そういう一つの基本的な立場に立って、医療制度全般を一つこの際基本的に改める、そういう構想の中からこの問題が生み出てきたのでございますと、また私どもも変わった形で御協力申し上げる面もさらに出てくるのじゃないかと思いますけれども、ただ今日までの医療制度、このばらばらのままで格差をそのままにしておいて、そして臨時医療調査会だけお出しになった。言葉に衣を着せて言わなければ、各種の保険の中ではむしろ一番上位にいらっしゃって、われわれのいう言葉でいえば、一番隠し財源もお持ちになっておるかに聞いておる。これは言葉でありますから、首を傾けないで、私の野人の言葉でありますから、決して悪い言葉ではございませんけれども、そういうふうに案外恵まれているようなお立場にある保険団体から、医療費の問題を持ち出されておいでになるというところに、国民にアピールしない一面の面があるのではないか。この際むしろ打ち出すならば、医療費全般を基本的に改める、そういうお考えがおありにならないかどうか。
 いま一つは、何といっても、私ども先ほどのお話を承っておりましても、中央医療協議会が法律で発足しておる。その中で、従来もそうだが、医師会が一つの圧力団体といいますか、発言力が強いのでありますから、どうしてもけんかの相手としては、今ある相撲の土俵ではかなわない。かなわないから、一つ臨時医療調査会なる国家の庇護を受ける権力団体でも作って、そっちの力を背景にしてわれわれの言いたいことを言わしてもらおうかというような御答弁のような感じを受ける。私どもに言わせれば、なに五対五だ、学者を別にして八対八、五分五分じゃないか、正当な理論があるならば、この土俵の上で、なに医師会なんて吹けば飛ぶのですから、こんなものと一つがっちり組んでおやりになって、そしてその正当な理論を国民にアピールする、そういう態度の方がむしろフランクでいいのじゃないかという感じを受けるのでございますが、この二点をお聞かせ願っておきたいと思います。
○安田参考人 二点というのは、もう一点は何ですか。
○小林(進)委員 第一点は、この際医療制度全般を基本的に改めるという、その構想の中の一環としてこういう問題を打ち出された方がよろしいのではないかということであります。
○安田参考人 先生の御質問は、医療制度全般というようなあまりに大きな問題で、また私は御非難を受けている組合の代表者でございますので、私の答弁が必ずしも先生の御満足がいくかどうかわかりません。ただ社会保険が今日まで発展して参りましたのは、医師会なり諸先生の御非難がどうありましょうとも、健康保険制度が今日ここまで持ってきたと思うのであります。また健康保険制度があればこそ、診療担当者も、これにぜひ協力してやろう、これなくしては将来の医療保障というか、医療制度はあり得ないというお考えに今日お立ちだと思うのであります。従って、この医療制度をどうするかという問題につきましては、ただいま内閣の社会保障制度審議会に、諸種の社会保障制度の統合を十年後――これは百年、五十年という計はできませんが、十年後はどうあるべきかということを諮問されておるようでありますが、その結論に私どもは待ちたいと思います。全部がらがらにして、官僚統制的に、武見先生がよくお話のように、お医者さんは月給取り、国民も強制的にやっていくというようなことは望ましくない。これは病院形態というものが非常に重んじられまして、健康保険三十五年の歴史がありますが、そのときの医療制度は、多少だんだん組織医療というものに移行しておりますけれども、やはり、私ども大部分の国民は開業医の諸先生におかかりしておるということは事実でございますから、これを病院組織とか、公的医療機関という一つの組織医療と申しましょうか、それと開業医の先生とマッチした一つの何かいい制度を編み出していただきたいというのが、十年後の今御審議になっておる問題だと思います。従って私はこれについて、たとえば先生の御意図は、これはがらがら計算にしたらいいじゃないかとかなんとかという御意見が多々あると思いますが、今日九千万の国民の中でまだ二千万人以上の人間がこの制度に入っていないわけであります。あるいはまた、私はよく存じませんが、よく社会党の方で御審議になっておるような日本の賃金格差という問題も統一もない。さような今日の非常な所得格差というものが、ただ保険という問題だけでこれをすぐ統一することができるかどうかということにつきましては、私どもはまだ危惧の念を持っている。ただ非常に給付に格差がある。その格差は、先生方はおそらく、組合はぜいたくではないかというお話でございますが、組合はぜいたくだと言われるのは、家族の全額給付をやっていることで、それも組合のわずか三割程度のものだと思うのですが、私はこれが初めて国民皆保険の実を身をもって示しておると思うのでありまして、すべての国民が診療というものに対しては全額給付を受けるというような制度にレベル・アップすべきだ。しかる後に、たとえばがらがら計算とか、いろいろな問題がございましょうが、それにはやはり保険という制度をもって医療制度の確立を期していただきたい。全部一本にして英国式の税金でやるということは、私は望んでおりません。
 それからいま一つは……。
○小林(進)委員 さっきのお話を聞いておりますと、医師会の発言が強過ぎるから、それで別な機関によって……。
○安田参考人 それは医師会の広報宣伝力といいますか、ただいまお話のありましたように、お前の方は調査を出さないじゃないかということですが、私の方は医師会ほど金がないから、なかなか皆さんにお配りするという資力がないので、先生におしかりを受けたわけです。これは私どもはとうてい医師会に、こういう議会とか、世間にアピールする手だてではかなうと思っておりません。しかし私どもの主張は、それでは非常に間違って、どなたに聞かれてもお前の議論はおかしいじゃないかというような議論はしてないつもりであります。従いまして私はどこへ出ましても、医師会の先生に負けたとか勝ったとかいうことは考えたことはございません。出ますれば、武見先生によくしかられるのですが、堂々と述べて、ときどきこつんとやられておるという現況でありますので、今のような、組織を使って私どもがそれにたよって、医師会と相撲を取るということは決してございません。ただ御注意いただきましたように、お前たちはもっとお前たちの考えておることがあるなら、堂々と理論的な材料をもってやれ、こういうことでありますが、私はそれは企図しております。ぜひ調査会法案によってやらしていただきたいと思います。
○柳谷委員長代理 本島百合子君。
○本島委員 私は質問の時間が与えられておりませんので、要望だけをいたしておきたいと思います。
 本日のこの参考人をお呼びいたしましたことは、社会党、民社党ともどもに主張いたしたわけであります。と申しますのは、武見先生のときから御質問をしておりますが、この医療問題については全く国民の関心事であります。そうして開設された医療協に対しましては、支払者側の方が参加できない。調査会ができれば、お医者さんの方が反対だということになれば、私ども国民、特に国保に関連しておりますする私たちにとっては、割り切れないものが出てくるわけです。そうすれば、今おっしゃるように、国民すべてが平等に診療も受らられる、給付率も同じだ、こういうふうになってくるならば、話し合いの場をどこかで求めなければならないわけです。この法案が通過することを先ほどから要望されておりますけれども、国民の側からすれば、何となく割り切れないのです。お医者さんたちはなぜ反対なさるのかというような点、この点はどちらかといえば、医師会の今日の行動に理解を持ちやすいわけです。そういう点を勘案いたしまして、私どもはこの参考人をお呼びいたしましたことは、両者の立場、あるいは関係のない早稲田大学の先生等がおいでになり、正当に論議され、これが幸い一つの話し合いの場のきっかけを作っていただいて、円満にこうした問題の解決ができればいい、こういうことに大きな期待をかけて、本日やられたわけだと思っております。そういう意味合いからいたしまして、医療協の方に対しては、自分たちは参加しないのだという考え方は、先ほどからの御質問に対して答えられておられたようですが、かつてきめたことに、死んだ子の年を数えるような感じ方を与えておるわけです。ですから現段階に立って、その問題の解決ということで、どうか一つ安田さんの方もお考え下すって、そうして医療懇談会でも、どういう場所におきましてでもよろしゅうございますが、話し合いの場を早急に作っていただいて、こうした問題の解決のめどをつけていただく、こういうことを要望いたします。
  〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕
 なお、医師会長さんの武見先生がおいでになりますので、これをきっかけとして、どうか一つ話し合いの場を作って下さる、それで医療の進歩もはかっていかれる、またわれわれ患者の立場、国保に加盟しておる者たちも納得がいくというような形を生み出して下さることを要望いたしまして、私の発言を終わります。
○中野委員長 これにて三参考人に対する質疑は終了いたしました。
 安田参考人には長時間にわたって有意義な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
 この際、午時三時十五分まで休憩をいたします。
   午後二時五十九分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時四十一分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 臨時医療報酬調査会設置法案を議題とし、質疑を行ないます。
 発言の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。
○滝井委員 総理がお急ぎのようでございますから、重点的に御質問申し上げます。
 臨時医療報酬調査会に関連をしてまず第一にお尋ねをいたしたいことは、昨年の十一月十六日に法律二百二十七号をもって、社会保険審議会及び社会保険医療協議会法という法律が告示をされました。この法律で中央社会保険医療協議会の委員が八、八、四と、二十名任命されることになっております。ところがどういう理由か知らないけれども、法治国家において、国権の最高の機関である国会が作って、そして内閣の方で告示をした法律が動いていない、これは一体どういうことでございましょうか。
○池田国務大臣 中央医療協議会は、お話の通り先般国会を通過いたしまして施行になったのでございまするが、お話の八名、八名、四名の委員の選考に手間取りまして、まだ発足いたしていない状態でございます。いろいろ委員の任命につきまして時間をとりましたことは、まことに遺憾でございます。厚生大臣の方で今後とも一そうの努力を払っていただきまして、早く発足させたいと考えておる次第でございます。
○滝井委員 実は先日当委員会で灘尾厚生大臣には御質問申し上げておるわけです。しかるに灘尾さんの御答弁は納得がいかないわけです。どうして納得がいかないかというと、昨年、社会保険審議会及び社会保険医療協議会法を通すにあたって、この法律が通るならば、今まで歯車が回っていない中央社会保険医療協議会は必ず歯車が回ることになります、これは私が政治責任を持ってやりますから、一つこの法案を通して下さい、こういうことだったのです。しからばあなたがそうまでおっしゃるならばこれは通しましょう、こういうことで法律が通ったわけです。そのときに同時に、現在の中央社会保険医療協議会は長い間歯車が回らない、この上六カ月、一年と歯車が回らぬようなことがあったら大へんだ、だからこれが通りさえすればすぐにやります、こういうことだったのです。ところが自来すでに六カ月の歳月が流れたが、作らないときと同じ状態です。従って、当然法治国家においては、内閣は国会の作った法律を執行する責任があるわけですから、その執行の責任がある担当閣僚がそれを動かすことができないとするならば、一つ総理大臣に来てもらって、これを動かしてもらう以外にない、こういうことになったわけです。政治責任を持って必ず動かしますと言っておったものが、動かないわけです。きょう保険者団体をお呼びしました。保険者団体は何と言っておるか。灘尾さんにだまされました、こう言っておるわけです。それから療養担当者の団体は何と言っておるか。池田内閣は公約をじゅうりんしたのだ、だからこれを糾弾する大会を開かなければならぬ、こう言っておる。社会党の国会議員である私にも、必ずこれは通ったらやりますからと、うそを言っておる。全部四方八方にうそばかりを言って政治をやっておられるというのが、今の姿なんです。あなたは、私はうそを申しませんと、こうおっしゃったけれども、うそをおっしゃった。灘尾さんがうそをおっしゃったということは、結局池田内閣がうそをおっしゃったということになる。そこでこれは一体どうするつもりなのか。今のような御答弁では納得がいかないのですが、いつ二十名の委員を任命されますか。
○池田国務大臣 お話の通りに、あのときこれがすぐ動きますかという御質問をなさったことそれ自体が、法律が通っても支障が起こるかもわからぬということを、滝井さんは専門家だから予想して、そういう質問をなさったと思います。それだけこれはむずかしい問題でございます。灘尾君はうそを言ったのではございません。日夜この任命につきまして、民主的に、しかも円滑にいくよう努力中であるのでございまして、これをやめた、そういうことはしないのだということならうそでございますが、むずかしい問題を、日夜苦労して、申し上げた通りの実現をしようと努力しておるのでございますから、うそとおっしゃらぬようにしていただきたいと思います。そうして御協力を願いたい。灘尾君のみならず、私自身といたしましても、これを早く任命するように、やはり任命しても受けなければしようがないので、気持よく受けていただくように、協力していきたいと考えております。
○滝井委員 委員の任命が非常に円滑にいかない。一体それではどこがいかないのでしょうか。おれはこの委員会に入らないと言っている人はいないのです。健保連の安田さんもここに参りましたけれども、私はこの委員会に入りますとおっしゃっておる。入らぬと言ってない、こうおっしゃっておるのです。そうしますと、委員の任命はどこが支障を来たしておりますか。療養担当者の団体も入るとおっしゃっている。きょうの参考人の御意見を聞いてみると、だれも入らないとおっしゃっていないのです。一体どこに委員の任命に支障を来たすところがありますか。
○池田国務大臣 私は厚生大臣からの報告を受けておるのでございまして、実際衝に当たられておる所管大臣からお答えすることにいたします。
○灘尾国務大臣 中央医療協の発足のできない事情につきましては、前にもお答え申し上げたと思うのでございますが、私としましては、御指摘を待つまでもなく、国会を通過しました法律の施行ということについては、責任を持って当たらなければならない立場におるわけでございまして、今日まで努力して参っておる次第でございます。今回改組の法律ができました。この法律の実施にあたりまして滝井さんもよく御承知のように、なぜ医療報酬調査会法案を同時に出さなかったか、なぜ修正したか、こういうような点についていろいろ関係の向きに御不満があったわけでございます。しかし私はあの程度の修正でもって、三者構成の基本的な性格を変えたものとは思わない。この程度の修正ならば御納得がいただけるであろうというつもりで、前回の協議会に関する改組法案を出したわけでございますが、不幸にして非常な御不満を招いた。同時にまた臨時医療報酬調査会は、本来医療協議会と密接な関係のあるものとして工夫せられたものでありますが、その法案を出さないのもけしからぬ、こういうことの御不満がある。そういう御不満が今もって残っておりまして、おそらくきょうの参考人の中にもそういう御発言があったかと想像するのでありますけれども、支払者側におきましては臨時医療調査会の成立を熱望しておられるというのが現在の事態でございます。私はそのほかにもまだ支払者側において、医療協議会の改組にあたって望んでおられる点はあると考えるのでございますが、さような点につきまして今後さらに努力を続けることにいたしまして、一つ一つその障害を除去して、皆さんが御納得の上でこれに参加できるようにいたしたい。そうして中央医療協議会が正常な状態において運営せられるようにいたしたい。かような目的を持って現に努力いたしておる次第でございます。今回の医療報酬調査会法案そのものは、支払者側におかれましては非常に熱望しておるところでございます。私は支払者側に対しまして、医療協議会に参加する条件なんとかいう性質のものとは思いません。すでに国会を通過いたしておる法律でございますので、これにはこれとしてぜひ協力をいただきたいと存じておりますけれども、私といたしましては、今後の道を切り開いていくためには、この法案成立も一つのいい条件を整えることになるだろう、かように存じておる次第でございます。今申し上げましたような事情で、まだ御納得をいただくところまでいっておりませんが、さらに努力を続けたいと思います。
○滝井委員 そうしますと、反対の勢力があれば納得がいくまでは、これからは法律は動かさぬということなんですか。私は総理にお尋ねしたい。総理、一国の運命にかかわる憲法調査会をごらんになっていただきたいと思う。社会党は反対をいたしました。委員の推薦をしてくれと言われましたが、社会党は反対だから出しておりません。しかし一国の運命にかかわる調査会をあなたの内閣は動かしているじゃありませんか。法治国家だから法律が通ったら当然やるのだと言って、あけたままでおやりになっておるのですよ。そうすると保険者といったって、支払者側といったって、何も一人じゃないのです。たくさんおるのです。政府自身も保険者なんです。経営と管理が分離したら、政府も医療協議会には入ってもいいのです。そういう条件です。衆議院を通れば入ってもいいことになる。八・八・四ですから、何も保険者は、健保連だけじゃないわけです。保険者はたくさんおります。そうしますとまず委員を御任命になったらいいのです。そうしてどうしても入らぬところはどこかということを、われわれにも教えていただかなければいけない。そこだけあけておいたらいいのです。まず第一段階にこの努力をされることです。そしてどこどこが一番不満で入らないのかということをおやりになるのが当然です。八・八・四のどこも任命しないというなら、どこが反対して入らないのか、国民もわからないのです。われわれもわからない。今のような御答弁でも、支払い側といったって八が支払い側だ、こういう常識で世の中は持っている。従って一体支払い側の八のうちのどこが入らぬというのですか。ここで一つそれだけはっきりしておいて下さい。
○灘尾国務大臣 中央医療協議会の性格から申しまして、私はやはり各関係の向きが正常な姿で御審議を願えるような場にしなければならぬと思う。従来ややもすればその状態がこわれて、そのために診療報酬をめぐっての紛争がスムーズに解決せられないような状態を呈しておりましたために、改組法案という問題も起こるし、また今度の臨時医療報酬調査会という考え方も出てきたわけであります。何にいたしましても、国民皆保険の今日、ことにこれからこれをよくしていこう、改善していこう、充実していこうということを考えます場合に、関係の深い諸団体の間に確執があり、あるいは反目があり、闘争が行なわれるという姿では思うように参りません。従いまして厚生省といたしましては何とかその間に、もちろん意見の対立もございましょう、利害の対立もありましょうが、国民皆保険の本来の趣旨を達成いたしますために、あるいはその内容を改善向上いたしますためには、関係の団体がしっくりと話し合いができるような姿に持って参りたい、これが主眼でございます。その意味におきまして、今滝井さんのおっしゃったように、聞かない者は聞かないでほうっておいたらいいではないかというふうに、簡単に私には割り切れない。なおさらに努力を続けまして、関係の向きの御協力を得たい、この努力をせっかく継続いたしておるところであります。決してこのために二年も三年も五年もこのままの状態でいくものとも思いません。私は厚生省としてさらに努力する余地あり、かように考えまして今日なお努力を継続いたしておるところであります。
○滝井委員 だれが反対か、われわれ国民にはよくわからないのです。だから賛成の人だけ入れてみて、反対の人が残るところを国会もあなた方も全力をあげて協力してやったらいいじゃないですか。そのくらいの雅量が必要です。あなた方だけでものをやろうとするから、間違いが起こってきているのだから。まず入れる人だけ入ったらいい。どこが入らぬのか、入らない人をみんなで説得をし、お願いして、入ってもらうという形を作ることも一つの方法なのです。
 では一つ池田総理にお尋ねをしますが、今のような灘尾さんの御答弁だと、これはいつ説得できるかわからぬです。そうしますと、御存じのようにこの国会は五月七日で終わりです。そうすると八・八・四の四名の公益委員は、国会の同意を要する人事になっております。これは一体どうするつもりです。次の臨時国会まで待つのですか。それともこの法律にいう、国会の閉会または解散のために同意を得ることができなかった場合には、任命後の初の国会で両院の承認を得なければならぬことになるが、そういう方法をとるのか。そうなるとわれわれは納得できない。そうなるとこの人は同意がなかったら罷免されるのだから、ここにまた問題が一つ出てくるのです。一体五月七日までにおやりになるつもりなのですか。これは総理にお尋ねします。
○池田国務大臣 先ほど申しましたように、できるだけ早い機会に任命したいと努力を重ねておるのでございます。ただ見通しといたしましては、五月七日までにということは困難かとも思いますが、この点については厚生大臣からお答えします。
○灘尾国務大臣 今国会の会期中にということは、私も見通しとして困難だと思っております。なるべく早く改組いたしたいという目標に向かって努力するわけでございます。従いまして公益委員の任命につきましては、法律で許されたる方法によって、時期が来ればやって参りたい。国会中でありますれば国会でやりますし、国会が閉会中でありますれば許された方法によってやっていこう。ただ公益委員の任命を先にいたしますよりも、支払者側あるいは療養担当者側の納得を得た姿ができました上で、公益委員は任命した方が適当であろうかと考えておる次第であります。
○滝井委員 はっきり申しておきますが、自分たちの都合のいいのはやるが、そうでないときにはやらぬ。今度閉会中に任命されたら、われわれは了承いたしません。これは前もって申しておきます。われわれはあまりにも多くだまされ続けてきましたから、これははっきり申しておきます。
 そこで次にお尋ねいたしますが、今度調査会法案が国会を通った場合に――昨日台東公民館で公約違反糾弾の大会を開きました。そして今や政党の中の道義が落ちてしまった、従ってもう信頼ができないと言っているのです。この法律が通って医療協議会に、今度は八の側の療養担当者を入れる自信があるのかどうかをお尋ねしておきます。
○灘尾国務大臣 私は先ほど申しましたように、政府として適当であるという法案は、国会に提出いたします。国会の皆様方の御審議を得て、これが通過、可決せられるということになりますれば、一応御協力をいただけるものと期待をいたしておる次第であります。もしそうでなければ、おかしな話だというふうにすら私は思うのであります。そのために支障があれば、これまた努力を必要とする問題でございますけれども、国会の審議を通じて、そして可決せられるものにつきましては、個々人の考えはいかようにもあれ、公の性格を持っておりますような諸団体においては、ぜひ御協力をいただきたいものと私は思っている次第でございます。
○滝井委員 この前の医療協議会法をお通しになるときも、今と同じ答弁をいたしました。こうなったら確率は五分五分ですよ。そうしますと、これはさいぜん池田総理がいみじくも御指摘になったように、当時滝井さんはもめるかもしれないということを予測して質問をしたろう、その通りなんです。だから私は念を押した。今度は去年の十一月よりもっとはっきりしてきた。全国から来て三師会が大会を開いたのですから。それで公約違反と言っている、糾弾するのだと言っている。今まで日本にこういうことはないのですよ。ないことをやったのですから、もとよりはもっと具体的にはっきりしてきた。これは入らぬ可能性の方が強いということです。そうすれば作る意義がないです。
 もう一ぺん池田総理にお尋ねするわけですが、この際あわててこの法案を通すことでなくて、医療懇談会というものをお作りになっておったのだから、医療懇談会をもう一回、池田総理が今度は灘尾大臣に対して勧告をしてお開きになって、そうして担当者なり保険者なりあるいは公益的な人もお集めになって、そこで討議をして、一体どういう形の法案にしたら日本の医療保障の前進になるのかということをやって、それで次の臨時国会にお出しになってもおそくない。急がば回れということわざが昔からありますが、それの方が賢明ですよ。あなた方だって、多数の力でお通しになっても、先の見通しは暗いです。ここではっきり占っておきます。そこでこの法案はここで継続審議にしておいて、これをどういう工合に直したら、みんながうまく一堂に会することができるかということを討議をして、そして国会にお出しになった方がいい。何か私が聞くところによると、あなたはイノシシの年だ。おれはイノシシの年だから、やったことは猪突猛進するぞという演説をされているのを読んだ。しかしそれはイノシシはイノシシでも、この際忍びがたきを忍び、耐えがたきを耐え、寛容と忍耐の池田内閣の精神をここで発揮をしてやることの方がいいですよ。これを若造の私が、大先輩の池田さんなり灘尾さんに言うのです。負うた子にときには教えられることもある。それをやった方が池田さんのためにもなる、灘尾さんの今後の厚生行政のためにもなると思う。私は心から言うわけです。そのくらいの雅量さをここで発揮すると、保険者だって、担当者だって、みんな入って討議することになる。それでこの法案を修正してお出しになる方が、私は軌道に乗るのが早いと思う。池田総理、どうですか。
○灘尾国務大臣 先ほど来公約違反ということをしばしば言われておるわけでありますが、そのいきさつについては、私はすでにこの委員会でも申し上げたわけであります。私は公約違反をいたした覚えはございません。
 それから医療懇談会の問題でございますが、実は昨年医療懇談会を開きましたが、それがその後の経過においてこわれたのです。これをもとに戻そうと思っていろいろ努力しているのが、今日の私の心境でございます。そのように御了承願います。
○滝井委員 灘尾さんはこの法案の所管大臣ではないですから、この法案の所管大臣である総理大臣からお答え願いたい。
○池田国務大臣 お話の点も、私は全然だめだとは申し上げません。しかし先般来から医療協議会あるいはこの医療報酬調査会、こういう二本立ではございませんけれども、順序を追うて調査会が基本ルールをきめてやるという方法がいいと考えて、今進んでおるのであります。負うた子に教えられるということですが、教えられてずっとそれをやって、また違うことで迷ってはいけませんから、一応この方向で私は法案を通過して、新たな気持で一つ努力をしてみたい、こう考えます。
○滝井委員 そうしますと、前に古井さんが法案をお出しになったときは、この法案の寿命というものは一年だったのです。今度大臣がかわって灘尾さんになったら、倍になって二年になった。(「所得倍増だよ」と呼ぶ者あり)所得倍増という声がありますけれども……。それから古井さんのお出しになったときは事務局がなくて、官房でおやりになるということであった。今度は二年にしたから事務局を置いたのかもしれないけれども、健保連その他がもとの案の通り出して下さいよとおっしゃっておるのに、勝手にお変えになっておるのです。これはうそを言われたということになる。一体一年でよかったものが、何で二年にならなければならなかったのかということです。これは御任命になるのですから、池田総理の所管です。厚生省がこの案にタッチすると、厚生省が勝手なことをやるから、中立的な機関にして、総理のところに置くのだ、総理ならば、これは間違いがなかろうということで、この法律は総理のところへ置いておるわけです。それを灘尾さんの方がやれば、何も総理のところへ置く必要はない、灘尾さんのところへ置いたらいいのです。どうしてですか。
○池田国務大臣 これは一年でいいか二年でいいかということは問題がございましょうが、やはり基本のルール調査でございますので、二年ぐらいが適当だ、こう考えて出しておるのであります。
○滝井委員 実は同じ内閣の古井さんのときは一年が適当だ、これでいいのだ、こうおっしゃった。今度は大臣がかわったら二年が適当だ、そういうふうにくりくり変わるから疑われるのですよ。これははっきりしませんね。
 それから一体今の診療報酬の支払いは、池田さんの御親戚にはお医者さんが多いから、池田さんはお聞きになっておると思いますが、点数と単価をかけ算をした出来高払い制ですよ。この点数、単価の方式の出来高払い制を根本的にこの調査会というものは変えていくのですか。どうですか。
○池田国務大臣 これは医療報酬の基準を調査するのでございます。出来高払い制とかどうかということについては、直接タッチはしないと心得ております。
○滝井委員 今出来高払い制なんですよ。だから診療報酬のルールをきめるといったって、内閣の方で今の日本の経済状態その他を勘案をして、大体こういう方向に持っていこうという腹づもりがないと、これを白紙で一任するということになると、なかなか大へんなことになる。出来高払い制を根本的に変えるということになれば、今の保険の仕組みを根本的に変えることを意味しますから、そういう大きな変革までやるような白紙委任をするものなのか。それとも今の出来高払い制のワクの中で、診療報酬の支払いのルールというものをおきめになるのか。ここが大事なところです。これは御諮問になるときに、そんなことを、何でもいいから根本的に変えてくれということなのか。一定のワクを与えておやりになるのか。ここらあたりは諮問者がはっきりしておかぬと、白紙委任だということになると、これはなかなか簡単にはいかぬですよ。灘尾さんは、前に白紙委任しますと言っておる。それならば、出来高払い制を根本的に変えるということも含まれるかどうか。ここらあたりは内閣の意思を統一してやってもらっておかぬと大へんなことになる。これによって期限がきまってくるのですよ。
○池田国務大臣 御質問の後段の方でございますが、出来高払い制を根本的に変えるという考えは持っておりません。この一条に書いてありますように「適正な診療報酬の決定に資する」、こういうことでございます。支払い方法、計算方法その他については、われわれは諮問する考えを持っておりません。
○滝井委員 そうすると保険局長の答弁と違ってくる。保険局長は、何年に一回変えるか、それから支払いの方法まで言いましたよ。だからこういうところが一番大事なところなんです。みんなに疑われるのは、装いは総理府に出しているけれども、実質的な主導権はみんな厚生省が握っておるじゃないか。こうなると中立機関としてこれを作った意義がないのです。それならば、池田さんは何も知らずに全部灘尾さんにまかせるというならば、中央医療協議会でおやりになったらいい。あそこには公益委員が四人おって作られているのだから、何も本質的に違うことはない。今池田総理も言っているように、社会保険の診療報酬の決定に資するためというならば、社会保険の診療報酬の適正額をきめるのは医療審議会ですから、額をきめるためにはいろいろな資料を集めなければならぬから、本質的に違わない。しかも根本的に支払方式を変える意思はない、こうおっしゃっているでしょう。そうするとワクはきまったでしょう。この言明は大体はっきりしている。今までの支払い方式を変える方法はないということになれば、これは点数単価方式ですから、実態調査さえやれば出るのですよ。何もむずかしいルールや何かをやる必要はない。そうすると高田さんの答弁と違ってくる。私は池田さんが正しいと思う。きょうの末高さんもあなたと同じ答弁でした。私もあなたと同じ意見です。こんなものを内閣に臨時にお作りになって、根本的に支払い方式を変えるということになれば、これは一年や二年ではできるしろものではない。なぜならば日本における医療経済なんというものは、交通経済とか農業経済のようにできていないのですから。サービス業を一体どういう工合にその技術料を評価するか、無形の技術を評価する方法は今世界にないのですよ。その経済学が確立されていない、まだ幼児期なんですね。だから池田さんのは、私は、しろうとでも、やはり経済学をやっているので大したものだと思う。それを専門にやっている役人の方が間違えて、ああでもない、こうでもないといってうそを言っているということはいけないことですよ。だからこれは灘尾さん、今の池田さんの答弁で、内閣としては意思統一できますね。
○灘尾国務大臣 総理のお考えになっている通りだと私は思います。先般もこの委員会で御質問がありましたときに、臨時医療報酬調査会は、現在御承知のように厚生大臣が診療報酬をきめるのであります。具体的に、いつ、どういう診療報酬を払うかというようなことは、中央医療協議会で相談をしてこれに諮問をしてきめる、こういうことになっておるわけであります。この現行制度にのっとって、そうしてこの医療報酬調査会を考えているというような趣旨のことを私は申し上げたつもりであります。出来高払いがいいか、そのほかの方法がいいか、これは重要な問題でございます。これはまた臨時医療報酬調査会の直接の目的とするところではございません。これはまた別の問題としていろいろ検討を要するかもしれませんけれども、今私どもの考えておりますのは、現在の診療報酬の支払いについていろいろ問題がございます。中央医療協議会の審議というものをスムーズにやっていく、より合理的にやっていく、そのためには内閣にかようなルールを作るような調査会を設けていただいて、そうしてそのルールを尊重しながら、厚生大臣がそのときそのときの診療報酬を具体的にきめていく、この方式の方が今の状況を改善することになるのではないかということでやっておるわけであります。根本的に支払い方法を変えるというふうな考えはいたしておりません。
○滝井委員 今までそれがはっきりしなかったのです。今ようやくはっきりした。けさの末高さんの答弁と総理の答弁が一致し、私もそうだと考えておったのですが、今初めてはっきりなさった。そうしますと、このやる範囲というものは非常に狭くなってくる。そこでそう狭くなってくるという観点に立って今度考えていきますと、最近における日本の実態というものは、サービス料金というものは池田さんの言われる通り、非常に上がることはやむを得ぬという見解だったわけです。そうすると広義のサービス料金に入る医療費というものは、当然経済成長につれて引き上げられてしかるべきものですね。これはもう経済の専門家だから、私より池田さんの方がよくおわかりのはずです。
○池田国務大臣 それはその通りございます。過去の例を見ましても、昭和二十八年でしたか、やった例を見ましても、当然サービス料の上がると同様に、これは上げていかなければならぬ問題でございます。
○滝井委員 そうしますと医療費を物価上昇、国民所得の増加等につれて当然上げなければならない、こうなりますと、実はどういうところに大きな問題が出てくるかというと、今の日本の医療費の負担というものは非常にアンバランスです。たとえてみるならば、三万四千くらいのベースのところは、千分の四くらいしか保険料を払わないわけです。あと全部事業主が持ってくれるわけです。ところが二万八千とか一万二、三千円のところは、千分の三十とか三十四の保険料を出すわけです。従って今度は所得が上がり、物価が上がるとどういうことになるかというと、医療費は上がるのですから、給料の安いところほどよけいに保険料を出さなければならぬ、こういうのが日本の実態です。そうすると医療費を上げれば、貧しいところはどんどん保険料を上げられる形ができるので、逆になる。所得の再分配がいかぬことになるわけです。これは一体池田さんとしてはどう解決していくかということが議論としてきちっと出てこなければならぬことになるわけです。今の日本の実態はそうです。今の日本の実態はそういう形になっている。これはもう大きな大会社、銀行等の給料の高いところは、保険料の負担は非常に安いです。しかし政府管掌の健康保険のような、給与の一万五、六千円というような低いところは、保険料の負担が大きくなってきている。そうするとこれは医療費を上げれば、その格差というものはますますついてくることになるわけです。この矛盾を解決しないと、診療報酬の問題だけを解決するわけにいかないです。これを一体どう打開していくかということです。
○池田国務大臣 サービス料が上がるから、当然それに伴ってスライドで上げるという意味ではございません。傾向としてそういう傾向がございます。
 それから今のお話は、今始まったことではないので、もう前からいろいろ問題があり、健康保険におきましてはその構成員の給料がおおむね高い。国民健康保険の方が給料が低い。従って病気の率はどうかというと、受診率は健康保険の方が多くて、国民健康保険の方が負担する関係上少ない。三、四年前は倍半分くらいだったと思います。そうしてこの経済高度成長によりますと、最近ではちょっと下の方も相当上がってきておりますが、何といっても総評その他の関係しておるところの労働者の給料が、上がり方は去年くらいまでは非常に多かった。こういう傾向から、同じ国民でありましても、健険保険の方の加入者の状況と国民健康保険、あるいは被保険者の方はよほど違ってきている。この点は重大問題でございますので、社会保障審議会の方にも検討を願っておるのでございます。これをどう改めるかということは、社会保険の発生の経過から申しまして、一がいにこれをぴしゃっとやるということは非常な困難なことでございまして、摩擦の多い問題でございます。だから十分検討していかなければならぬとわれわれは考えています。
○滝井委員 十分検討をするということで、なかなか具体的に出てこないのですが、そこでそういう形がございますので、皆保険政策をとる場合にはどういうことが出てくるかというと、保険の価格と医療の価格とが違ってくるわけです。医業価格というのは別な言葉で言えば、いわばゾーレンです。いわゆるここに言う第二条の医療報酬です。ところが第一条の社会保険の適正な診療報酬と適正な医療報酬とは違うのです。これは明らかに違う。医療報酬ということはいわば医業価格です。社会保険の診療報酬というときは、これは保険価格になるわけです。それで国民の負担力その他に非常にアンバランスがあるので、医業価格をそのまま当てはめるわけにはいかぬわけです。そこでここに価格格差補給金というものが出てくるわけです。医業価格マイナス保険価格、保険価格の方が安いのですから、ここに価格差補給金が出てくるわけですが、価格差補給金的なものを一体何にしておるかというと、国庫負担なり病院を建てるときの長期低利の金なり、補助金でやっているわけです。そこでこの一条と二条との関係は、まずあるべき医療報酬の算定の基準を作るわけです。そしてその基準が今後は社会保険の診療報酬に資することになるわけです。これは答申もそう書いてある。社会保険の診療報酬を作りなさいとは言ってはいない、医療報酬一般を広く作って下さい、こういうことになっている。これはそういう理解をして差しつかえないでしょうね。これは専門的なことになるのですが、明らかに違うのですよ。
○高田政府委員 確かに第一条と第二条は使い分けております。ただ目的が「適正な診療報酬の決定に資するため、」という制約がございますので、保険経済というものを全く無視した考え方にいくことは適当でないと思っております。
○滝井委員 その通りですね。
○中野委員長 滝井君にちょっと申し上げますが、時間の制約がありますから結論にお入り下さい。
○滝井委員 ここが非常に大事な点です。まず医療報酬というものと保険の診療報酬とは違うのです。だから一応あるべき、当然なければならない医療報酬が出てきます。そうすると日本の経済の実態なり、日本の保険者の支払い能力なり、被保険者の保険料の負担能力を考えて、初診は医療報酬としては百円で出てきた。しかしそれは日本の現実は支払えないのだから、保険の適正な診療報酬というものは七十円だ、こういうことになるわけでしょう。当然これはそうなるのです。この条文からいけば。社会保険の適正な診療報酬に資するためにこれを二条でお作りになった、そう理解して差しつかえないでしょうね。これは今言ったように、違うという御答弁があったのですが、そう理解して差しつかえないでしょうね。この調査会でおやりになることは、社会保険そのもののルールでなくして、日本の適正な技術料、日本の適正な薬価、こういう総合的な広い概念で作って、そしてそれを現在の日本の経済の状態その他に当てはめて、適正な診療報酬を作る参考資料として厚生省はお使いになる、こういう考え方ですよ。これは一条と二条は明らかに違うわけだから。そうでしょう。
○高田政府委員 この調査会では具体的な価格を云々するということは目的としないと了解いたしておりますので、今の価格についてのお話は必ずしも当てはまらないと思います。ただ考え方としましては、今申し上げましたように直接の保険経済、現実の政府管掌のたとえば健康保険のことしの経済とにらみ合わせて、これはきめるという筋ではないのでございますけれども、しかしそういった保険の現在ある経済の姿というものを、全然無視をした考え方というものをとることは適切でないと思います。
○滝井委員 これで終わります。こまかいことはいずれ時をあらためて、最後に総理にお尋ねいたします。臨時医療報酬調査会が通りましたならば、今度は内閣の責任において中央社会保険医療協議会は必ず動く、こう理解して差しつかえありませんか。(「責任じゃない」と呼ぶ者あり)責任と言っては困るというけれども、責任にしてもらわなければ困る。政党政治ですから、責任政治ですから。
○池田国務大臣 そういう方向で極力努力したいと思っております。
○中野委員長 本日はこの程度にとどめ、散会後に理事会を開くこととし、次会は明二十六日午前十時より委員会を開会することとして、これにて散会いたします。
   午後四時二十五分散会