第040回国会 大蔵委員会 第24号
昭和三十七年三月二十日(火曜日)
   午前十時五十四分開議
 出席委員
  委員長 小川 平二君
   理事 鴨田 宗一君 理事 細田 義安君
   理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
   理事 有馬 輝武君 理事 平岡忠次郎君
   理事 堀  昌雄君
      足立 篤郎君    伊藤 五郎君
      宇都宮徳馬君    岡田 修一君
      金子 一平君    正示啓次郎君
      高見 三郎君    濱田 幸雄君
      藤井 勝志君    坊  秀男君
      吉田 重延君    久保田鶴松君
      佐藤觀次郎君    芳賀  貢君
      藤原豊次郎君    横山 利秋君
      春日 一幸君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 斎藤  昇君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  天野 公義君
        大蔵事務官
        (主税局長)  村山 達雄君
        大蔵事務官
        (管財局長)  山下 武利君
        国税庁長官   原  純夫君
        運輸事務官
        (海運局長)  辻  章男君
        運輸技官
        (船舶局長)  藤野  淳君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (大臣官房財務
        調査官)    佐竹  浩君
        大蔵事務官
        (銀行局特別金
        融課長)    橋口  收君
        大蔵事務官
        (国税庁間税部
        長)      上田 克郎君
        日本開発銀行総
        裁       太田利三郎君
        日本開発銀行理
        事       吉岡千代三君
        専  門  員 抜井 光三君
    ―――――――――――――
三月二十日
 委員田原春次君辞任につき、その補
 欠として帆足計君が議長の指名で委
 員に選任された。
同日
 委員帆足計君辞任につき、その補欠
 として田原春次君が議長の指名で委
 員に選任された。
    ―――――――――――――
三月十九日
 国有財産法第十三条第二項の規定に
 基づき、国会の議決を求めるの件(内
 閣提出、議決第一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国有財産法第十三条第二項の規定に
 基づき、国会の議決を求めるの件
 (内閣提出、議決第一号)
 酒税法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出第八二号)
 国税通則法案(内閣提出第一〇三号)
 国税通則法の施行等に伴う関係法令
 の整備等に関する法律案(内閣提出
 第一一四号)
 金融に関する件
     ――――◇―――――
○小川委員長 これより会議を開きます。
 金融に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。有馬輝武君。
○有馬(輝)委員 太田総裁、吉岡理事にはせっかくお越しいただきましたのに理事会が御承知のようなことで長時間にわたりましてお待たせいたしましたことを最初におわび申し上げる次第であります。
 本日は海運政策に関連いたしまして、開銀融資の問題について二、三お尋ねを申し上げたいと存じます。
 私、海運政策についてはまるきりのしろうとでございますので、あるいは唐突な質問なり、あるいは的をはずれた質問も多かろうと思いますが、そういった点につきましてはあしからずお教えをいただきたいと存じます。
 最初に吉岡さんにお伺いいたしますけれども、開銀法の十八条の第二項に言いますこの社債ですね。「(特別の法律により設立された法人で会社でないものの発行する債券を含む。以下同じ。)」云々とありますが、ここで言う社債にはどういうものがございますか、一つお教えをいただきたいと思います。
○吉岡説明員 開発銀行におきまして海運関係を担当しております吉岡でございます。ただいまお尋ねの開銀法第十八条に本行が開発資金調達のため発行される社債に応募することができるという規定がございますが、現在までこの規定を適用して社債の応募、引き受け等を応募した例はございません。従いまして、その辺につきまして詳細に研究をいたしておらないわけでございます。
○有馬(輝)委員 それから次に、外貨債券の発行についてでありますが、第三十七条の二で、外貨債券の発行が規定してございますが、三十六年度は、当初では約三千万ドルの発行を予定しておるというようなことでございましたけれども、この発行がどうなっておって、その消化状態はどうなっておるか、これについてお聞かせをいただきたいと思います。
○吉岡説明員 ただいま御指摘のように、本年度の本行の資金計画には外貨債、これは主として電力の開発資金に充てますために外貨債三千万ドルの発行を予定しておったわけでございますか御承知のように、アメリカの債券市場の情勢も必ずしも債券発行に非常にやりやすい状況でございません。もちろん条件によりましては、発行できないこともなかったのでございますが、何分日本の民間債といたしましては、戦後初めてのことでございますので、あまり不利な条件で前例になるということになりましてもいかがかという関係省の御意向等もございまして、ドル債で二千万ドルを発行いたしました。なお、残る一千万ドルにつきまして、いろいろスイス市場等におきまして準備をしておったわけでございますが、ただいま申しましたような情勢もございましたので、本年度はむしろ見送る力がいいであろうということに相なりまして、本年度の発行は二千万ドルにとどめたわけでございます。
○有馬(輝)委員 三千万ドルの予定を二千万ドルにとどめられたのは、今、困難な状態というお話でございましたけれども、利率の問題なのか、それとも消化の可能性の問題なのか、そこら辺についていま少し詳しくお話をいただきたいと存じます。
○太田説明員 私から御答弁申し上げます。今、吉岡理事が説明申しましたように、できれば三千万ドル出したい、こういうつもりで努力いたしましたのですが、なかなか一つの外国の債券を三千万ドルまとめて出すということは、アメリカ市場といえども非常に困難であるという実情でございます。アメリカの金融市場は昨年来非常に窮屈になっておりまして、金利もだんだん上がって参っております。それで今お話をいたしましたように、スイスにおきましても努力をいたして参りまして、それは現にまだ努力を続けておるのでございますが、何分世界各国はスイス、アメリカに借款の申し込みが多うございまして、外債の食い込む余地が非常に少なくなっております。つまり向こうのマーケットが今のところ債券を出すのに都合がよくないという事情がございますのが一つと、それから利率も、幾らでも高ければ出せるというものではございませんので、大体こういうものはこのくらいの利率という一つの目安がございますので、それを無視してやるということは、むしろ債券を引き受けて発行を扱ってくれる業者の方で断わる、受け付けないという事情がございます。その二点で、もう少し無理な、いいレートを出せば、あるいはもう少し消化できるかもしれませんけれども、これは日本としましてもむしろ不利であろう、こういうことで差し控えておるのでございます。
 先ほどなおどういうところで消化しておるかというお話がございましたが、それは大部分がやはりアメリカでございまして、半分足らず、四割くらいのものがヨーロッパで消化されておる、こういうふうに承知しております。
○有馬(輝)委員 次に総裁にお伺いいたしたいと思いますのは、業務方法書で毎年融資方針の眼目でありますか、銀行その他金融機関なりあるいは政府の産業、交通、金融に関する総合的な施策に留意しつつ毎事業年度にその眼目を立てられることになっておるようであります。私拝見いたしますと、三十五年度には長期経済計画に基づく重要基幹産業の設備計画の遂行、それから産業関連施設の整備、地域的経済の均衡ある発展、国際収支の改善、不況産業の再建という工合になっておりまして、さらに三十六年度は産業基盤の充実強化、後進地域の開発、産業構造の高度化、国際収支の改善というようなことがその眼目となっておるようでありますけれども、三十七年度の眼目といいますか、融資の基調というものをどのような点に置かれようとしておるのか、この点についてお聞かせいただきたいと存じます。
○太田説明員 それは毎年該当計画が国会におきまして承認を得ました後に、閣議におきまして政府金融機関の年度の融資方針というものが決定されるのでございます。従いまして、まだその閣議も開かれておりませんし、決定いたされておらない状態でございます。
○有馬(輝)委員 すでに年度末になっておるわけでありますけれども、例年の例と、本年度はいつごろに決定される見通しなのですか。
○吉岡説明員 本年度の政府資金の運用基本方針は、昨年の六月十六日に閉講決定を見ております。それから三十五年度は同じく三十近年六月三日に閣議決定を見ておりますので、例年の例によりますと、通常その時期に決定されるというふうに考えております。
○有馬(輝)委員 大体六月ごろにならなければ、例年の例から見て決定にならないという見通しのようでございますけれども、総裁にお尋ねいたしたいと存じます。それはすでに本年度の予算は決定されまして、例年の例を見ますと、やはり予算編成の基本方針に沿って、開銀融資についてもその眼目が設定されるという工合に受け取られるわけでございます。そういたしますと、昨年度の予算に対し、あるいは予算運営についてといいますか、政府の経済政策の基調に対しては、私どもとしてはいろいろな批判があるわけでございます。それと同時にやはり財界なり各界におきましても、ニュアンスの差はありましてもそれぞれの批判があって、特に設備投資その他につきましてはきびしい批判が、過剰の点について注がれております。そうしますと、当然これは最終決定を見なければ、なかなかきちっとしたものは総裁としてもお話しにくかろうと思いますけれども、すでに本年度の経済の基調というものは、政府としても国際収支の改善を目途として指導しておられる時期だけに、開銀としてもそれなりの方針というもの、自分はどこを走るのだという基調はすでに立てておられると思いますので、そういった意味合いから、その方針についてお聞かせをいただきたいと存じます。
○太田説明員 これは実は政府で御決定になるものでありますから、われわれの方と政府と協議してやるというような筋合いになっておりません。ただわれわれの経験からいたしまして、いろいろ政府に御参考までに申し上げることはございますけれども、御決定は政府でするものでございますので、私から三十七年度はこういうふうになるであろうということを申し上げることは、はなはだ不謹慎かと思いますけれども、ただ私の感じとしましては、やはり従来と同じ方向であろう、ただ、引き続き輸出産業、国際収支の改善に役立つ産業というものにはもっと重点が置かれるようになるのではなかろうかというふうに期待しておるわけであります。なお従来とも重点を置いておりました霊力でありますとか、海運、それから石炭というような、国の基幹産業になるようなものにはやはり重点を置いて、引き続き開銀でできるだけごめんどうを見ていくということになりはしないか。それからなお近年の傾向といたしまして、地方開発のために相当融資をいたしておりますけれども、その地方格差の是正のためには、なお引き続き開銀が受け持つ役割が相当多かろうと思いますので、これは本三十七年度も開銀としまして相当力を入れていきたいと私思っております。そのほか機械工業が日本としましてはかなり立ちおくれておりますので、貿易自由化に対処する意味からも、機械工業の合理化には相当の重点を置かなければならぬであろうか、大体私の私見としましてはそういうふうに感じておる次第でございます。
○有馬(輝)委員 今の点で特に輸出産業に重点を置かれ、さらに現在まで特に開銀として努力をしてこられました電力、海運あるいは石炭等についても、またここ二、三年来意を用いておられる地域開発等についても触れられたわけでありますけれども、先ほど私がお尋ねいたしました産業各分野における設備投資がどうなるかという点について、これは開銀の融資の占める影響というものは非常に大きかろうと思うのでありますが、そういった意味で昨年度と同程度に見ていかれようとしておるのか。ここら辺について一応その考え方の基本と申しますか、そういった点について総裁のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○太田説明員 御承知のように政府におかれましても、本年度金融引き締めによりまして設備投資の行き過ぎを阻止、是正しておる、こういう努力をなさっておられるのでありますが、開銀におきましても、本年度もすでにそういった趣旨で御協力申し上げております。ただ開発銀行その他におきましては、大体該当計画でその年度の貸付規模というものが決定されておりますので、しかも先ほどもちょっと申し上げましたが、開発銀行の融資は基幹産業に主力を注いでおります。電力とか、今申しました海運というものは、本年度に金融情勢のいかんによりまして融資を切り詰めましても、効果は二、三年先に現われるものでありますし、また電力など、非常に電力不足を来たすと雪になりましても、そのときはすでに手おくれになる、こういうことで開銀が融資しておるこういった基幹産業につきましては、あまり設備投資を切り詰めるべきではなかろうとわれわれは思っておりますので、当初の計画通りいたしておるわけでございます。ただその他のいろいろの事業につきましては、それはもっと業種なり対象を厳選いたしまして、三十七年度もほんとうに今後の国際収支に役立つようなものに重点を置きまして、もっとしぼっていく必要があるのじゃなかろうか、こういうふうに思っておりますので、三十七年度もそういった方針で運営していきたい、こういうふうに考えております。
○有馬(輝)委員 次に吉岡理事と海運局長にお伺いをいたしたいと思いますが、開銀の調査によります業種別の設備投資状況を拝見いたしましたところ、三十四年度の実績が、電力二千七百二十八億円、海運業四百四十五億、鉄鋼業一千五百三十四億、石炭鉱業二百三十二億、化学工業一千一百四十一億、機械工業一千二百二十四億、その他ありまして、三十五年度の実績見込みでは、電力三千四百四十三億、海運四面十四億、鉄鋼業二千二百八十三億、石炭鉱業二百六十二億、化学工業一千九百二十六億という工合になっております。海運業の場合には実績見込みが四百十四億となっておりますけれども、実績はどのようになっておりますか。
○吉岡説明員 ただいま御指摘になりましたのは、本行の調査部でやりましたアンケートの調査の結果の数字であろうと思います。それで御承知と思いますが、その調査は、各企業に対しまして毎年定期的にアンケート調査をいたしまして、そのなまの数字を掲げておるわけでございます。ただ海運企業の場合には、何と申しましても計画造船のウエートが非常に大きいわけでございますので、海運企業につきましては、計画造船の数字に、それ以外のいわゆる自己資金船と申しておりますが、その数字の推定を加えまして掲げておるわけでございまして、他の業種のように直接アンケート調査による数字そのものを採用しておらないわけでございます。従いまして、そういう性質のものでございまして、本来は各企業に対してとりましたアンケートのなまの数字であるということに御承知を願いたいのでございます。海運企業につきましては、そういうふうな方式をとっておりますので、ほかの企業の場合には、相当その数字と実績とが食い違いがあると思いますが、海運の場合には実績もそう大きな狂いはなかろうと存じております。ただいまちょっと数字を手元に持っておりませんが、トン数で申しますと、三十五年度は計画造船は約二十万トン足らずでございましたが、それ以外にいわゆる自己資金船と申しております計画造船以外のものが五十数万トンございまして、七十数万トンになっておったかと思います。それから三十六年度は、御承知のように計画造船が五十万トンの計画でございますが、本年度は自己資金船は、前年に比べますと、計画造船の数量がふえました関係もございまして、おそらくこれを総合いたしましたトン数におきましては、前年と大差ないのではなかろうか、あるいは多少ふえるというようなことになろうかと考えております。
○有馬(輝)委員 その開銀の調査によります各産業別の前年度比を見て参りますと、平均大体四四%ぐらい増加になっておるようであります。ところがその中で海運業だけが見込みで九三%ぐらいになっておるのでありますが、これはどういう影響によるものなのか、この点について海運局長と吉岡さんの方から――その他の産業が四四%伸びておるのに海運業だけが九三%にとどまる、これは実績は、今の吉岡さんのお答えでははっきりしませんでしたけれども、大体そういう傾向にある理由について、どこら辺にその原因があるのかお聞かせをいただきたいと思います。
○辻政府委員 私、今の数字を実はよく拝見していないので申しわけがないのでございますが、現在海運界は不況にございますので、いわゆる海運の企業力からいたしまして、他の業種に比べてそれほどの設備拡充の意欲がないのではないか、私どもはかように見ております。ただ、意欲だけの点から申しますと、海運業も持っておるのでございますが、遺憾ながら企業力がそれに及ばないから企業力に制約されて、他の業種に比べれば相対的に設備投資の意欲が制約されざるを得ないというふうな状態にある、かように考えております。
○吉岡説明員 ただいま海運局長からお述べになったのと大体同じようなことになるかと思いますが、海運企業につきましては、御承知のように現状は必ずしもそうよいとは申せない状況でございます。従いまして、財政資金の援助によるいわゆる計画造船以外に、民間の融資がなかなかつきにくい。また過去におきまして、好況時に、船価の高い時期に非常に大量の建造をいたしまして、その負担が現在までに及んでいるというような関係もございますので、一昨年来新しい船の建造につきましてはいろいろな制限と申しますか、関係省とお打ち合わせいたしまして、これ以上あまり借入金をふやさないというような点、それから本船の採草が十分とれるというものに限定いたしまして、建造を認めておるわけでございます。これは計画造船の場合にはもちろんでございますが、計画造船以外に市中からの借入金とか、いわゆる自己資金船と申しておりますが、そういう船を建造いたします場合にも、そういう点をチェックいたしまして、これで承認をしております。従いまして、そのような制約もございますし、また現実問題として、船会社にはなかなか金融もつきにくい、そういう関係で、そう大きく他の産業のように伸びないということになっておるのじゃないかと考えます。
○有馬(輝)委員 海運業の三十五年度の実績は、大体開銀の貸付が百四十三億ぐらいですか、そうですね。――まだ年度末を迎えておりませんけれども、大体の傾向として、三十六年度はこれがどの程度になる見通しであるか。もう三月末を目の前に控えておりますので、大体の今までのあれが集積されておると思いますけれども、その見通しをお聞かせいただきたいと思います。
○吉岡説明員 三十六年度、本年度の計画造船につきましては、当初約百四十億の予算をいただきまして、これを例年通り年度内に船価の四分の三を支払うという基礎のもとに、二十五万五千トンという計画で進めて参ったわけでございます。ところが、御承知のように最近におきまして、あるいは今後の見通しとして鉄鉱石、石油、原料炭と申しますような輸入が相当ふえる情勢になって参りました。これら原料物資につきましては、その輸入価格の中における運賃のウエートが非常に高いわけでございまして、国際収支の均衡の面からも、あるいは荷主として安定した専用船を持ちたいという要請が非常に強くなって参りました。政府におかれまして、昨年の九月に閣議の御決定によりまして、当初の二十五万五千トンの計画を五十万トンに改訂されたわけでございます。ところが、当初予定いたしました以外の約二十五万トンにつきましては、御承知のように、政府の利子補給の根拠になる国庫債務負担行為につきまして、国会の承認手続がとられておりませんでしたために、これを本国会におきまして補正予算として承認の手続をおとり願ったわけでございます。ただし、補正予算の性質上、どうしても荷主の関係あるいは造船所の関係から年度内に着工を必要とするものに限定されました関係上、この二十五万五千トンが五十万トンに増額されました結果、約八隻、これは主として鉱石車用船並びにタンカーでございますが、この八隻のうち五隻につきまして、政府においてその手続をおとり願ったわけでございます。工期の関係上、四月以降においても必ずしも間に合わないことはないというものにつきましては、本予算においてこの手続がとられております。従いまして、年産内には追加分八隻のうち五隻の融資を行なうということにいたしまして、残り三隻は本予算の施行できます時期に早々に、その融資を行なうということにいたしております。従いまして、本年度分のうち、金額におきまして約二十八億のものが四月以降において契約をすることに相なりました。ただし、ちょっと申し落としましたが、予算は当初百四十億いただきまして、トン数を約倍に増額いたしました。従って、これに対する財政資金が足りないという感じが出るかと思いますが、これは先ほど申し上げましたように、当初の計算の根拠は年度内に四分の三を支払うという計算に立っておりましたので、これを工期をできる限り工程に沿うように調整いたしました結果、年度内におきましては当初の百四十億、約一億ばかり端数がございますが、百四十一億を支出する、こういうことに相なるわけでございます。
○有馬(輝)委員 その貸付の時期については、私の承知いたしております範囲では、着工のときなり四段階ぐらいに分けて融資をしておられるようでありますけれども、今お話のありました年度内に五隻、それから本予算で三隻という工合になりますと、この事業年度はどういうことになるわけですか、三隻は三十七年度に入るのですか。
○吉岡説明員 ただいま申し上げましたトン数を増加いたしましたときに、これは第十七次船の追加ということになっておりまして、その際に、これは三十六年度のものか、一部三十七年度にわたるものかということは、あまり明確になっておりません。しかし資金的にはただいま申し上げましたように、本年度内の資金は年度内着工のものについて引き当てにいたしまして、残り三隻につきましては、来年度予算におきまして、その資金の一部として所要資金を見込んであるわけでございます。なお、その辺の経過等につきましては、海運局長からお述べ願えればさらに明瞭になるかと存じます。
○有馬(輝)委員 非常にあいまいもこといたしておりますので、海運局長から御答弁のある前に重ねてお伺いしておきますが、開銀法並びに業務方法書にいうところの単年度というのはどういう工合になっておりますか。今の点とあわせてこの点を明瞭にしておいていただきたいと存じます。
○吉岡説明員 御承知のように本行の予算と申しますか、経費関係の予算は、本来の意味の予算として国会の御承認を受けております。ただし貸付の計画につきましては財政投融資計画の一環といたしまして国会に資料をお出し願っておるわけでございますが、通常の意味における予算のように、年度ごとに繰り越しについて非常に厳密な制約があるという形にはなっておらないわけでございます。もう一度申し上げますと、先ほど申しましたように、本三十六年度の分といたしましては、当初の予定分と追加分のうち五隻分に当初予算を引き当てまして、それから繰越分は来年度海運関係の資金運用計画の一環といたしましてその資金を見込んでおる。これは他の業種におきましてもそういう扱いをしていることもあるわけでございまして、その辺、やや予算と申す形になっておりませんので、御了承いただきたいと思います。
○有馬(輝)委員 その第二十三条にいう事業年度、この事業年度の中で第二十四条によって予算を作成して、それから閣議決定を得るという工合になっておるわけですけれども、この第二十四条にいうところの承認を受けるその事業計画、それと今私がお尋ねした繰り越していく分について、承認を受けた範囲内で、これはたとえば当初百四十三億の貸付を予定しておったものも、自由にそのときの状況によって閣議の承認を得たあとにおいても変更し得るものなのかどうか、この点をいま一度お聞かせをいただきたいと存じます。
○吉岡説明員 先ほど申し上げました点がこの条項でございまして、第二十四条は経費の点を中心にして書いておるわけでございます。その資金計画と申しますか、運用計画自体は、この条項には含まれてないという形に考えております。
○有馬(輝)委員 その業務方法書は、閣議の承認を得なくてもいいのですか。それと、先ほど総裁からお話のありました毎年六月に決定になる方針、それに基づく予算というものとの関連はどういうことなんですか。
○吉岡説明員 この資金の運用計画につきましては、毎年閣議で御決定いただきました方針に基づきまして運用しておるわけでございます。それで直接予算の適用を受けます項目は、ここに書いてあるような項目でございまして、これには貸付計画とか資金運用計画というものは直接には含まれておらないというように御了解をいただきたいと思います。
○有馬(輝)委員 どうもはっきりしないのです。資金計画を立てられて閣議の承認を得られますね。それを、たとえば三十五年度の当初の海運に対する百四十三億の額を百億に減らしたり、あるいは百八十億にふやしたり、こういう形に推し進めていいのかどうかという点であります。
○橋口説明員 私からお答え申し上げますが、ただいま有馬先生から御質問かございましたのは、政府資金の運用に関する基本方針の問題でございます。これは先ほど来御説明がございましたように、大体第一・四半期中に政府の方針が決定になるわけでございます。その決定の内容は、開発銀行その他政府機関が資金を運用する場合の重点の置き方についての方針の決定でございます。従いまして、開発銀行は、その方針を受けまして実際の貸し出しを実行して参るわけであります。先ほど来御質問ございました事業年度ないし予算との関係でございますが、経費予算、つまり収入支出の予算につきましては、国会の御承認をちょうだいして、それによって執行いたしておるわけでございます。資金計画につきましては、いわば計画ベースと申しますか、貸し出しの実際の資金の支払い、交付は、若干ずれ込む場合がございます。海運に対して幾らの金額の貸し出しをするか、あるいは電力に対して幾らの貸し出しをするかということは、計画はございます。しかしながら、その計画金額のワク内におきまして多少のずれ込みあるいは前年度から後年度へのずれ込みということはあるわけでございます。
○有馬(輝)委員 多少のずれ込みということは、これは当然銀行業務として考えられるわけでありますけれども、今度のように、たとえば年度内に五隻、あとの三隻は来年度だという工合な、大幅な権限が開銀にあるのかどうか、その点を課長からもう一度。
○橋口説明員 三十六年度の海運融資につきましては、御指摘のように三隻がまるまる三十七年度にずれ込んでおるわけでございます。これは三十六年度の海運の資金計画を立てます場合に、当初計画は四分の三のベースで資金を計上しておったわけでございます。つまり、契約、起工、進水、竣工までの四回払いのうちの三回払いを資金の計算の基礎にしておったわけでございます。その後トン数の増加したことに関連いたしまして、資金の計上を、一定のものにつきましては四分の二、八隻の追加のうち五隻については四分の一、三隻についてはゼロという計画の仕方をしておるわけでございます。従いまして、政府から考えられました海運向けの資金のワク内において、ただいま申しましたような操作が可能となるわけでございます。
○有馬(輝)委員 それでは大臣におもな点だけをお伺いしたいと思いますが、まず第一に、今度の十七次追加分の決定が非常におくれておる理由を大臣の万からお聞かせをいただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 十七次分は、会社はもうすでに決定をいたしておるわけでございます。
○有馬(輝)委員 船主の決定は行なわれておって、融資が非常におくれておるのはどういうことなんですか。
○斎藤国務大臣 その点は、造船所の都合によりまして、船会社あるいはわれわれとしましてもなるべく早く契約、起工をいたさせたいのでありますが、船台の関係等からまだ起工ができないというものが三ばいほどおくれておるわけでございます。その関係で金融も急ぐことがないということで、船台に乗る時期と合わせて金融の方を考えてもらっておるわけであります。
○有馬(輝)委員 追加分については船台というふうなお話が出ましたけれども、もう準備はほとんど整って、ただ融資を待っておるというだけの状況ではないのですか。
○辻政府委員 お答え申し上げます。大体十七次の追加分で、年度内に着工の見込みを立てまして補正予算に要求いたしましたのは五はいございます。そのうちの三隻分につきましては、市中の金融関係の協調融資が得られまして、すでに手続を進めております。あと二はいにつきましては、現在おのおの市中の金融機関の方と、協調融資について会社が相談中でございまして、これができ次第所要の手続を進めたい、かように考えます。
○有馬(輝)委員 海運局長にお伺いしますが、今市中の協調融資の問題が出たわけですが、協調融資ということが前提でなければ絶対に認可にならないのかどうか。これは簡単でけっこうです。
○辻政府委員 これは開発銀行の方からお答えされるのが筋かと思いますけれども、開発銀行の融資は、海運に対しましては市中銀行の補完的な役割を果たすという建前を貫いておられますので、市中銀行の方の協調融資が整わない場合におきましては、開発銀行もお貸し出しにはならない、かように考えております。
○有馬(輝)委員 運輸大臣にお尋ねをいたしますが、先ほど総裁にお伺いをしたのでありますけれども、三十六年度においても、前年度に比べまして、他の産業が融資額の面におきましても三四%くらい伸びておるのに、海運に限りしまして逆に一〇%くらい減っておるわけです。この点についてその根本原因がどこにあって、そして三十七年度はどういう形で他の産業とのアンバランスを是正されようとしておるのか。その指導について運輸大臣としてどのように考えておられるのか。また一方では昨年度の設備投資の過剰に対していろいろの問題点があるわけでありますけれども、そういったものとの関連の小で、今申し上げました点をどのように運輸大臣としては考えておられるのか、これをお聞かせいただきたいと存じます。
○斎藤国務大臣 一般の設備投資がふえ、また日本の産業の伸長に伴って、やはり日本の海運も伸長させなければなりませんので、従って、昨年昭和三十六年度の十七次造船は、当初計画が約二十五万トンでありましたのを五十万トンに増したわけであります。ただ五十万トンに増すということは倍になるわけでありますが、先ほど申しましたように、船台その他の関係から若干これが昭和三十七年度に回るものもございます。本年度三十七年度といたしましては、新たに五十万トンというものを計画いたしておるわけでありまして、この資金を確保いたしておるわけでありますが、三十六年度五十万トン、三十七年度五十万トンと申しますると同額でございますが、三十六年度はそういうような状況で約八、九万トンは三十七年度にずれ込む分がございます。最近の貿易事情その他から考えまして、三十七年度の造船計画は、三十六年度からずれ込んでおるものを別にして、五十万トンでまあどうにか足るであろう。かように考えておるのであります。同時に今日の船会社は御承知のように基盤が非常に脆弱でございますから、この基盤の強化をはかりまして、そして今後日本の海運に要請されまする需要を満足させるようにいたして参りたい、かように考えます。
○有馬(輝)委員 運輸大臣に、今の問題と関連いたしましてお尋ねをいたしますが、市銀側から、海運金利のたな上げなり、あるいは計画造船に対する財政資金の支出割合あるいは利子神統率の引き上げ等について、再三再四にわたって、運輸大臣の力にも要望が出ているやに聞いておるのでありますけれども、金利のたな上げの問題なり、あるいは支出割合あるいは利子補給率の引き上げについて、運輸大臣としては、現在どのように考慮しておられるのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 ただいまの点は、昨年の秋に海運造船合理化審議会からも答申をいただいているわけであります。もちろん金融関係の方々の御意見も織り込まれて、またその他の産業分野の方々も入られましたいわゆる海運合理化審議会の答申の中に、さようになっております。私どもといたしましては、やはり今日、日本の海運の基盤を強化して国際競争力をつけるということが絶対に必要である、かように考えまして、ただいまの金利たな上げの点は、今、大蔵省と折衝中でございます。成案を得ましたら実行に移したい、かように考えております。そのための一つの審議会といたしまして、運輸省設置法を改正いたし、海運整備審議会というものを設けまして、そうして海運会社の合理化計画を、ただいま申しますたな上げその他の方法によって合理化を促進さす、その計画を審議するための委員会も、このたびの国会に、法案として出しているわけでございます。そこで、たな上げをいかなる方法によってやるかというような点は、ただいま大蔵省と折衝中でございまして、成案を得まするならば、この国会において御審議をいただきたい、かように考えております。
 利子補給率あるいは開銀の融資の比率という点につきましても、今日の条件では満足でない、これを、利子の補給率も上げ、また融資比率もよくするようにという答申をいただいております。これは、今後作る船か、今日の財政援助の条件ではたしてペイするかどうかという問題にかかるわけでございます。その点は、今後やはり大蔵省と折衝をいたしまして、このたびは、これを引き上げるための法律的な措置の提案はいたしておりませんけれども、海運基盤の強化策と=待ちまして、先行きの点も考慮いたしたい、かように考えております。
○有馬(輝)委員 財政資金の割合については、現在の五〇%を大体どの程度にしようとしておられるのか。大蔵省と折衝中だということでありましたが、年利、これについても、利子補給率をどの程度で大蔵省と話し合いをしておられるのか、よろしければ、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 この点は、先ほど申しました基盤の強化の方にただいま重点を置いておりますので、それが片づきましたら、その後に大蔵省と折衝いたしたい、かように考えております。従いまして、この点はある程度おくれるのではなかろうか、少なくとも来年度からいたしたい、かように考えております。
○有馬(輝)委員 総裁にお気の輝ですが、先ほどお聞きのように、運輸大臣の方は時間の都合があるようでございますから、運輸大臣の力にかいつまんでお尋ねいたしたいと思います。
 次に、十八次の計画造船について現在どのように考えておられるのか、それから船主の決定は大体いつごろに予定しておられるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 十八次船の船主の決定は、先ほど申しましたように、十七次船が少しずれてきておりますので、なるべく早くいたしたいと考えておりますが、諸般の情勢から八月以降くらいにならないと決定しがたいのではないかと思っております。
○有馬(輝)委員 次にお伺いしたいと思いますのは、船舶の輸出振興の見地から、受注についても毎年百万総トンくらいが受注できるように、延べ払い条件について、大体世界の現在の状況、それについての政府としての考え方、これについて海運局長の方からお聞かせいただきたいと思います。
○辻政府委員 輸出船の延べ払い条件の問題は、船舶局長が見えておりますので、船舶局長から申し上げた方が適当かと思います。
○藤野政府委員 輸出船の延べ払いの条件でございますが、日本の輸出造船の競争相手国の主たるものはドイツ、スエーデン、オランダのような国でございます。このような西欧諸国におきましては、延べ払いは最も長いものにつきましては十年というのがございます。しかし、一般に七年とか八年とかいったような延べ払いが一番多うございます。日本の輸出船につきましては、西欧の先進国あるいはアメリカの石油会社あるいはギリシャ船主等については七年という基準でございますが、特に国際競争の非常に激しい後進国に対する輸出につきましては、特別な条件を認める場合がございますが、延べ払いの期間は七年をこえているものはございません。
 以上でございます。
○有馬(輝)委員 局長にお伺いしますか、世界の情勢に近づけるような御努力をなさっておられるわけですか。
○藤野政府委員 輸出船の受注競争がますます激化して参りますので、輸出条件を日本の最も強い競争国としておりますドイツその他に近づける努力はいたしております。
○岡田(修)委員 今の有馬委員の質問に対して、ちょっと関連質問をいたします。
 今、延べ払い条件の質問がありましたが、延べ払い条件もありますが、一番の問題は本船担保のとり方ですね。昨年の暮れに、今まで本船担保五〇%だったのが六〇%まで緩和された。これは外国から注文をとります場合に、外国でもなかなか担保不足という場合が多いのです。これを国内船の計画造船の場合と同じように、本船担保を八〇%までにしたらどうかという要望が非常に強いと聞いております。この辺に関する運輸省としての交渉、これはきょうは輸銀がおられませんけれども、大蔵省はどういうふうに考えておられるか。
○藤野政府委員 ただいま御指摘のように、輸出船の受注競争におきまして、輸出条件をよくしなければならぬというので、われわれば努力はしておりますが、延べ払いが大部分の現在におきましては、本船の担保をどれくらいまで認めるかという問題は非常に重要な問題でございます。御指摘の通り、昨年まで五〇%でございましたのが、六〇%になったわけでございますが、ドイツ等におきましては、本船の担保は相手の船主の資産、信用力によりまして大幅に増減しているような状況でございまして、場合によりましては八〇%をこえている担保で契約されるという場合も少なくないというふうに聞いております。われわれの希望を申し上げますと、日本におきましても、輸出入銀行が受注契約の相手の船主の信用力によりまして、この点を弾力的に運営をしていただくということができますれば非常に好都合じゃないか、かように考えております。
○有馬(輝)委員 運輸大臣にお伺いしますが、海運市況が不況になった原因はいろいろあるだろうと思うのですが、アメリカのバイ・アメリカン、シップ・アメリカンの影響というものが相当大きくはなかろうかと思います。この点について、政府としては現在までどのような折衝をされ、またどのような見通しを持っておられるのか、これについてお聞かせいただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 シップ・アメリカンの問題はわが国の海運界にとって相当重要な問題だと考えているわけであります。最近はアメリカの政府物資でない民間物資につきましても、アメリカの融資による物資については五〇%以上アメリカ船に積ませるというような契約を強要されておるような実情も二、三あるわけでありますが、もし日本船に積むならばその運賃については融資をしない、いわゆる運賃込みの融資の場合には、アメリカ船を優位にアメリカは指導をしているわけであります。そこで荷主側の、これは日本でございまするから、運賃融資を断わって日本船に積ませるという事例もございまするが、しかしこれらにつきましても問題の起こりますたびに外交折衝を持ちまして、そうして日本の海運を苦しめないようなやり方をいたしておるわけであります。大体今日までの状況では、いわれるほどの損害といいますか、非常に大なる影響を受けておる状況ではございませんが、しかし外交折衝におきましても、またわれわれの方におきましても、機会あるたびに日本の船会社の実情等も考え、日米関係を考慮いたしまして、そうしてシップ・アメリカンの行き力を強化されないような努力をいたしておるわけであります。
○有馬(輝)委員 はっきりしないようでありますが、今の問題はそれといたしまして、次に運輸大臣と総裁にお伺いいたしたいと思いますのは、財政融資の比率が十二次以降ずっと見て参りましても、各次別に非常に異なっておる。十二次の場合には、定期が五五%、不定期か四〇・五%、輸送船が三一・五%、十二次の追加は、不定期三八%、輸送船二九・五%、十三次では定期は大体同じでありますが、十四次では九〇%になり、不定期か八三%、それから輸送船が五九%、それがまた十五次では八〇%、五〇%、五〇%、十七次では七〇%、五〇%、五〇%と、次別でこんなふうに上がり下がりしている理由ですね。これらの問題についてはまた政府としては閣議で当然見ていかなければならぬ問題だと思うのでありますが、そこらについて何ら介入されないで見ておられるのか、この点について運輸大臣から、またこの変わる理由について、総裁の方からお聞かせをいただきたいと思います。
 また期限につきましても、十六次以前では貨物船で、定期船、不定期船、専用船十五年、輸送船で十三年なのか、十七次では十三年と十一年になっておる。この点について、どういう理由でこういう工合になっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 融資比率、か年によりまして変わっておりまする点は、その当時のいろいろな経済の状況あるいは運賃の将来の見通し等を勘案いたしまして、新造船が一体どの程度で金融ベースに乗るかということから融資比率をきめておるわけであります。従いまして、海運界の状況あるいはその当時の船価の状況、将来の金融ベースにその船の採算がある程度とれるということを目途といたしまして、融資比率をきめておるというのが今までの実情でございます。
○太田説明員 今大臣から御答弁がございました通りでございますが、開銀の融資比率があるいは高くなったり低くなったりしておりますのは、一つは今申されたように、海運市況がいいときと悪いときということが一つの要素になっております。と申しますのは、開発銀行だけの資金で作るのではございませんで、市中の金融機関からも融資を仰がなければならぬのでございますが、海運市況の悪いときにはどうしても市中銀行としまして金を出しにくいという事情がございます。またもう一つ、金融機関の手元事情、金融の非常に窮屈なときはあまり多額の金を長期のこういった資金に出しにくいということで、市中金融機関の資金を出しやすいようにということで開銀の融資比率を上げるという場合があるのでありまして、近年割合に高くなっておりますのは主としてそういう事情でございます。
 それから年限の変わっておりまする点は運輸省の方から……。
○辻政府委員 年限が最近二年ほど開発銀行融資について短縮されておりますのは、これは実は利子補給を最近復活しました際に、それだけ利子補給が加わればその船の全体的な採算が向上するから、ある程度年限を短かくしても償還計画が立て得るのじゃないか。財政当局の考え方からしますれば、もちろん海運を伸ばすことは必要であるけれども、一方できるだけ財政的負担を少なくした形でできるならばやりたい、そういうふうな要請がございますので、運輸省といたしましては、話し合ってそういうところに落ちつけたというのが経緯でございます。
○有馬(輝)委員 そのときの金融市況なりあるいは採算の問題なりあるいは船価の問題なりいろいろあるでしょうけれども、十三次で五〇%のが十四次では定期船の場合九〇%になる。こんな大きな変動というもの、これは開銀には一つのものさしはないのですか。そのときの市況により金融により自由にあなたまかせでこの率についてはやっていかれるのですか。
○太田説明員 これは開銀が勝手にきめるのではございませんで、当初主として運輸省と銀行協会が大体話し合いまして、本年度はどのくらい出せるだろうか、あるいはこれ以上無理だ、こういうような折衝が積み重なりまして、大体このくらいなら市中銀行として出し得るという線が出てくるのであります。これは今おっしゃるように非常に多かったり少なかったりしておりますが、金融情勢で非常に差があるものでございますし、海運市況の好況、不況で非常に違うものでございますから、これはやむを得ないことだと私ども思っております。
○有馬(輝)委員 やむを得ないということではどうもぴんとこないのですが、海運局長、まるっきりあなたまかせなんですか。下卑た言葉になりそうで私はちゅうちょしておるのですけれども、海運の主体というものは全然ないし、政府の方でももう波の間に間に漂っておるという工合にしか受け取られないのですが、その点どうなんです。
○辻政府委員 ただいま海銀総裁からお話がございましたように、この融資比率をきめます際には、私ども開発銀行の御意見を伺い、また市中金融機関の御意見を伺い、それによりまして、われわれとしての一つのめどをつけまして、最終的に政府部内におきまして財務当局と話し合ってこれをきめていくというのがやり力でございますが、今お話もございましたように、この融資比率をきめます大きな要素といたしまして、一つはそのときの金融情勢で、日本の海運企業は遺憾ながら不況に非常に弱い体質しか持っておりませんので、市況が悪くなりますと、どうしても市中の金融機関としては消極的になる。従って、そういう面から財政融資の比率を多くして市中の負担を少なくするというふうな考え方が一つ。もう一つ、市況が悪くなりますと、その船を採算をとりまして考えた場合に、現在の市況ではすぐにベイアブル・ラインに乗ってこないということではなかなか金融機関としては金が貸しにくい。御承知のように、市中の金融機関の金利と開発銀行の金利は九分以上のものと六分五厘のものとございます。だいぶ金利差がございますことと、また融資の期間につきましても差がございますので、開発銀行の融資の方が多くなればなるほど船としては採算が向上する、そういう二つの要素からいたしまして、先ほどあげられましたような、年ごとに大きな変動があるのでございますから、私どもとしましてはある程度の変動はやむを得ませんにしましても、あまり大きな変動がないように今後の運営方針としては考えていきたい、かように考えております。
○有馬(輝)委員 吉岡さんにお尋ねしますが、こんなに利率の変動のあるものはほかに例がありますか。
○吉岡説明員 開発銀行の他の産業に対する融資は、個々の企業につきましてその資金調達力を考えまして、開発銀行の、市中融資の補完という立場から、できる限り最小の資金をもって最大の効果を上げるということにいたしております。従いまして、海運のごとく一難に財政比率何%というようなきめ力は実はいたしておらないわけでございます。ただ、海運企業の場合には、ただいまお話がございましたように、一般的に企業の体力も非常に弱く、やはり相当比率の財政資金をつける必要があるという関係から、船の種類別に毎年財政比率をきめられておる、こういう形で融資をいたしております。
○有馬(輝)委員 どうも今の御説明ではぴんとこないのですけれども、時間もだいぶたっておりますので、要点だけずっとお伺いして参りたいと思います。
 貸付の年度計画の中で、先ほど地方開発についても、総裁の方から力点をお話があったわけでありますが、古岡さん、地方開発の事業主体は国と地方自治体だけに限られておるのか、それともほかのものがあるのか、たとえば農林畜水産物資源の開発及び利用なんというものがあるのですけれども、これについてお聞かせいただきたいと思います。
○吉岡説明員 地方開発融資の対象事業についてのお話かとお聞きいたしましたが、これは一般の民間の企業でございます。それで現在のところ地方開発の促進法に制定せられております地域を中心にいたしまして、それぞれの地区におきまして地方資源の利用とか、あるいは工業化の促進ないしは交通運輸と産業関連施設の整備というような点を考慮いたしまして融資を行なっております。
○有馬(輝)委員 次に、借入金の残高についてお伺いをいたしたいと思うのですが、貸付残高で百億をこえるものが四社くらいあるようであります。この貸付限度額ですね、業務方法書によりましても、その契約の船価あるいは重量トン数に応じて限度額が明示してあるようでありまして、説明書を読みましても、その会社の資本金との関連なり何なりについては明瞭にしるされたものがないようであります。その貸付残高とのにらみ合いはどのようにしておられるのか、資本金との関連等についてはどのように考慮しておられるのか、この点を吉岡さんの方からお聞かせいただきたいと思います。
○吉岡説明員 ただいま御指摘のように、海運関係の貸付につきましては、船の種類別に融資比率がきめられております。それで資本金との関係でございますが、これは海運企業に限らず、各業種を通じまして、いろいろ負債率とかその他の財務比率等を勘案いたしまして、資本金が過小な場合には増資の慫慂をするというような形でやっておるわけでございますが、ただ御承知のように、海運企業につきましては現在のところ株価も払い込みを割っておるというようなのが多数でございまして、直ちに現状において増資を要請するということも困難な実情でございますので、先ほどちょっと触れましたように、借入金があまりふえないように、私どもの言葉で申しますと、過去の償却全利益を限度といたしまして、つまり過去の収益の蓄積を限度とするか、ないしは本船につきまして確定した運賃、積み荷等の保証がございまして、本船収益をもって債務の償還をなし得る、いずれにいたしましても現状以上に借入金の増額をいたさないというようないわば消極的な規制を加えまして融資をいたしておるというのが実情でございます。
○有馬(輝)委員 そういたしますと、昨年の十二月三十一日現在で千六百八十四億くらいの貸付残高があるわけですね。この中にいわゆる不良債権と目されるようなものはないのか、各年次別に全部契約通り入ってきておるのかどうか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
○吉岡説明員 不良債権という意味でございますが、厳密に申しますと、海運企業の現状におきましては、金融機関として非常に優良な取引先ということは申しにくいかと存じます。ただ貸し出しにつきましては、本船から出て参りまする収益、それから会社全体の、これは市中の融資も含めまして、総合した債務償還の年限等を検討いたしまして、全体として債務の償還に支障がない、それから本船収益によって会社の業績向上に寄与するということをめどに融資を行なっております。
 それで現状におきまして、ただいま御指摘になりました額を含めまして、計画造船全体として約千七百億円の融資残を持っておりますが、御承知のように計画造船は相当長期にわたって融資をいたしておりまするので、最終期限の来ておりますのは比較的少ないわけでございまして、全体として最終期限をこえて延滞になっておりますのは約二十三億円でございます。これは比率で申しますと一・四%くらいかと存じます。ただ各期限内の入金につきましては、現在のところ約三百億円内入れの期限を経過しているのがございます。
○有馬(輝)委員 それは、たとえば先ほど私は百億以上の貸付残高があるところを四社くらいあげたのでありますが、名前はけっこうです。その期限内で三百億円くらいの延びておるものについてこの四社なんかが入っておるのですか。百億以上の貸付残高があるところが入っておるのじゃないですか。
○吉岡説明員 その中にもそういうものは含まれております。
○有馬(輝)委員 それに対して開銀としてはどのような手当をしておられるわけですか。
○吉岡説明員 これは基本的には会社全体の収益の向上に持つことが基本でございますが、個別の会社の実情に応じまして、たとえば採算のとれない航路を廃止するとかあるいは採算のとれない船をスクラップいたしまして高収益の船に切りかえるとか、それぞれ個々の措置はそのつどお話し合いいたしまして、できる限り収支の改善をはかることに努めております。
○有馬(輝)委員 先ほどそのワクがふえないような点を一つのめどとしてというようなお話があったわけですけれども、そういった延びておるようなところについて、さらに新規契約、それに伴う融資というものはまさか考えられないのでしょうね。
○吉岡説明員 私ども開発銀行の立場は、市中銀行と異なります点は、一つは長期にわたった資金を提供する、従いまして、期限で申しましても、市中銀行の融資は竣工後五年というふうな期限にしております。比較的短期の採算を考えるわけでございますが、開発銀行といたしましては、この個々の貸し出しにつきましては長期間の見通しを立てまして、それによる返済能力とか、投資回収年数というものを基礎に融資をいたしております。従いまして、現状におきまして、約定通り償還ができていないから貸し出さないというわけにも参らない海運業界の実情でございますので、長期にわたって、会社の総合償還年数を短縮するということを主眼としてやっておるわけでございます。
○有馬(輝)委員 回りくどくお答えにならないで、私の質問に、そのものずばりで答えて下さい。
○吉岡説明員 従いまして、現実に約定通り返済ができていないから、それだけの理由をもって融資を拒否するということはやっておらないわけでございます。また、現状におきまして、海運企業についてそういう措置をとるということは実情に適さないのじゃないかというふうに考えております。
○有馬(輝)委員 海運の場合にはすべてが国の資金ですから、私はそういった角度からお尋ねいたしておるわけでありますが、なかなかお苦しいようですから、次の質問に移ります。
 十七次における各船別の船価、これは重量トン当たりどの程度見ておられますか。
○吉岡説明員 船価につきましては、個々の契約に基づく契約船価をもちろん基礎にいたしますが……。
○有馬(輝)委員 定期、不定期、油送船別に大体の……。
○吉岡説明員 財政資金の融資につきましては、運輸省と御協議いたしまして定めました船種別の基準船価というものをきめております。従って、契約船価がそれより高い場合には、基準船価に対して五〇%とか七〇%という比率で融資をいたしておるわけでございます。
 船種別の基準船価につきましては、大へんこまかくなりますが、速力等によってこまかく細分しておりますが……。
○有馬(輝)委員 定期、不定期、油送船別に重量トン当たりでけっこうです、大体の傾向で……。
○吉岡説明員 たとえば定期につきましては、速力によってそれぞれ区分をしておりますが、代表的なものを申し上げますと、十九ノット以上のものにつきましては重量トン数に対して八万二千二百円、十九ノット未満十八ノット以上につきましては七万円、その他速力に応じまして詳しく定められております。
 それから不定期船につきましては、重量トン数当たり三万二千四百円、それからバラ積み専用船、バルク・キャリアにつきましては、これはトン数によって細分しておりますが、二万八千総トン以上のものにつきましては重量トン当たり二万一千円、二万トン以上二万八千トン未満につきましては二万三千五百円。それからタンカーにつきましては、重量トン当たり二万一千円というように定められておりまして、これを基準船価にいたしております。
○有馬(輝)委員 今のは十七次の基準単価でしょう。
○吉岡説明員 さようでございます。
○有馬(輝)委員 そうだと思いますが、十六次では、定期の場合には十二万四千月、不定期で八万三千円、タンカーで六万八千円、こういう工合になっておったのではないですか。その大きな懸隔があるのはどうですか。
 それと、あわせて質問しますが、時間も相当経過しておりますので端的にお答えをいただきたいと思います。船価の、今これは基準単価ですけれども、大きな幅があるのではないかと思いますけれども、どの程度の幅があるのか、大体何万円という程度でけっこうですが、それもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
○辻政府委員 今御質問はデッド・ウエート当たりの単価という御質問でございますが、私ちょっと今デッド・ウエート当たりの、重量トン当たりの単価の表を持っていないのでございまして、まことに恐縮でございますが、総トン当たりの実績を申し上げます。
 いわゆる十七次船の平均しました単価を船穂別に申し上げますと、定期船につきましては、契約船価で平均総トン当たり十三万七百円でございます。
 それから不定期船の力で、不定期船の方を分けまして、専用船の問題とそれから一般の不定期船に分けておりますが、不定期船の中のまた一般の不定期船の方が十万八千五百円でございます。それから不定期船の中で専用船でございますが、これが七万四千二百円でございます。
 それから油送船の方は総トン当たり六万八千七百円でございます。
 これは総トン当たりでございます。
○有馬(輝)委員 次にお伺いいたしますが、この十七次に対する追加分に対する申し込みは、各種別に何社ぐらい、また何隻、何トンぐらいの申し込みがあったのですか。
○吉岡説明員 十七次船の公募は、追加分というふうなものを区分いたしませんで運輸省で公募せられまして、それに対しまして五十四万数千トンの申し込みがあったわけでございます。
 そのうち工期の関係その他を勘案いたしまして、利子補給契約の基礎となる財務負担行為のすでについておるものを選びまして、当初計画の予算の当初の利子補給の裏づけのありまするものを第一次として選定したわけでございます。
 それからそのほかに、主としてバラ積み専用船並びにタンカーにつきまして、追加分を決定したわけでございます。そのようなことになっております。
○有馬(輝)委員 そういたしますと、総トン数で決定分が二十六万八千二百七十トン、それから追加分が二十二万九千六百トンということになると、大体落とされたものはないということですね。
○吉岡説明員 五十四万数千トンの申し込みに対しまして、閣議で定められました建造量は五十万トンということでございましたので、その範囲内におきまして四十九万七千トンの建造を認めたわけでございます。
○有馬(輝)委員 次に、先ほども若干お尋ねをいたしましたが、償還期限並びにその方法についてであります。この点について、今度の十七次の追加分に対して、開銀としては市銀とお話し合いをされた結果、市中優先弁済方式をとっておられるのでありますけれども、このようにしなければ市中の協調融資が得られないのか。たとえば他の電力なり石炭なりあるいはいろいろな分野におきましても、こういった形の協調融資のためには相当の考慮が払われておるのかどうか。この点について吉岡さんからお答えをいただきますと同時に、確かに開銀法によりましては一応のめどが定めてあって、しかしそこにはある程度の幅を打たせるという工合になっておりまするけれども、こういう点についてそのときどきの情勢によって、さっきの融資率の問題ではありませんけれども、これほどまで柔軟な態度をとってよろしいのかどうか、これは佐竹財務調査官の方から大蔵省としての考え方もあわせお答えをいただきたいと思います。
○佐竹説明員 ただいまの御質問でございますが、いわゆる市中優先弁済という仕組みは、実は十五次船以降は認められておらないわけでございまして、定期船につきまして、いわゆる据え置き期間は、御承知のように三年あるわけでございます。そこで四年目、五年目に償還が始まる。その場合に、この償還の方式としまして、市中の協調融資との関係もございますので、償還額を四年目、五年目につきまして半額にする、以後その分は六年目以降において回収をいたす、かような方式がとられておるわけであります。厳密な意味における、市中優先弁済ということには当たらぬのじゃないかという感じがいたしますが、先生の御指摘は、おそらく、そういう多少とも開銀の取り分を落とすということは、いわば市中優先弁済になるのじゃないかというお説かと思いますが、その点は、今申し上げておりますように、開銀が本来取るべきものを全然取らないということじゃございませんで、つまり四年目、五年目について半分、三年間は、御承知のようにこれは据え置き期間でございますから当然でございます。そういうような状況でございまして、これは先ほどからるるお話がございますように、開銀の計画造船の融資が、市中との協調能勢ということでございますので、そこで、計画造船が所期の目的を円滑に達成されるようにということを、何よりもねらわなければならぬわけです。そういった意味で、海運の市況というものは、御承知のように、他の産業に比べて比較的変動の幅が大きいものでございます。そういうような実情を考えまして、このような措置を開銀としてとっておるというふうに思うわけでございまして、私どもとしましては、計画造船が所期の目的を円滑に達成するための必要な措置ということであれば、これは差しつかえない、かように考えております。
○吉岡説明員 この点につきまして、私どもの立場は、先生の御指摘の点と立場を同じくするわけでございまして、実は率直に申しまして、こういう措置はなるべくやりたくないわけでございます。しかし、ただいまお答えのございましたように、やはり市中の協調が得られなければ計画造船の建造ができないという関係がございますので、やむを得ず従来そのような措置をとってきているような例があったわけでございます。それで、これは海運市況の不況な場合、ないしは市中の金融の非常に詰まった際に、特に市中銀行から強く御要望があるわけでございまして、今回の十七次追加船につきましては、市中銀行としては、当初二十五万トンの予定でおったところが、それが大量にふやされた一方、金融事情は、御承知のように非常に逼迫をしているので、この際に協調するためには、何らかそういう措置をとってもらいたいという御要望がございました。それで、当初は御指摘のように、市中分を先取りする、いわゆる優先弁済という御要望があったわけでございますが、これは、ただいまお答えがございましたように、一昨年来原則としてやめております。ただ市中の償還期限が五年になっておりまして、本船から出る収益から申しましても、当初の時期におきましては、四年目、五年目は開発銀行の償還と重複するという関係もございますので、四年目、五年目の償還額を多少薄めまして、本行としても約定通り償還していただくという措置をとったわけでありまして、いわゆる先取りという意味での優先弁済は認めなかったわけでございます。しかし、その程度の措置をとることによりまして、ようやく市中の協調が得られる形になったというのが実情でございます。
○有馬(輝)委員 佐竹さんにまたお尋ねをしますけれども、今度の十七次追加分なんかについても、その協調融資が困難な場合に、日銀が特定の産業について指導しているやに見受けられる。こんなことはほかにもありますか。
○佐竹説明員 ちょっと今、御質問が聞き取れないで、おそれ入りますが……。
○有馬(輝)委員 協調融資が、今度の海運の場合には非常に困難だった。それについて日銀が、特定の産業に対して、これをバック・アップするような動きをいたしておることは御承知の通りであります。こういうことがほかにもありますか。
○佐竹説明員 日本銀行といたしましては、これは先生先刻御承知の通り、一般的な金融調節、通貨価値の安定ということがその任務でございますので、特定の産業についてどう、あるいは特定の業種についてどうということは、これは本来ないわけでございます。一般的な、全体としての金融の疎通、通貨価値の安定をはかっていく、こういうことだと思います。
○有馬(輝)委員 名前はあげませんけれども、山際さんのお次に偉くなるであろう人が、一生懸命になって特定の産業に対してやっている。それはどうなんです。
○佐竹説明員 どうもただいまのお話の内容は、実は私どういうことかよくわかりませんが、私どもとしては、日銀の機能は、ただいま申し上げた通りのことでございまして、現に私どもが見ておるところによれば、そういう態度で日銀は金融の調整を行なっておる、かように実は考えております。
○有馬(輝)委員 それは最終段階にきておりますので、これは日がたちましてから、今おっしゃったような点で、御本人に来てもらっていろいろお伺いしたいと思います。日銀のあり方として、そのワクを乗り越えているかいないか、そのとき明瞭にいたしたいと思います。
 なお最後に、借財局長にお伺いしたいと思いますが、海運業が不況なんで、旧海軍工廠等について払い下げをいたしたり、いたそうとしたりしておりますが、そのいたした分について、決定の時期なり、価格なり、そしてその価格の決定に至る経緯について、お聞かせをいただきたいと思います。
○山下政府委員 旧海軍工廠の施設で、現在造船施設に使っておりますおもなものは呉と佐世保と舞鶴、そのほかにも若干ございますが、一番大きいところはそういうことになっております。これは御承知のように旧軍港都市の転換法という法律かありまして、それの適用を受けて、できるだけ早くこの旧軍港都市を平和産業都市に転換すべく勢力して参ったところでございます。現在までに、私の記憶にございますところで、造船所に払い下げをいたしましたものは、これはもちろん終戦直後にすでに貸付をいたしまして、長年貸付のままで造船業を営んできておったわけでございます。その後に価格の交渉がまとまりまして売ったものでございます。三十五年度におきまして呉海軍工廠、これは全部ではございまんで、一部を呉造船という会社に使わしておったわけでございますが、これに売ったケースがございます。価格は、現在資料を手元に持っておりませんが、約十一億円見当であったと記憶します。それから昭和三十六年度におきまして、佐世保の海軍工廠、これは当時佐世保船舶、現在は佐世保重工業と称しておりますが、この会社に終戦後に貸付をいたしております。これの一部分を昨年処分をいたしました。価格は、今手元に資料がありませんが、約十四億余りであったと記憶いたしております。これはさらに引き続いて残りの地区を処分すべく現在交渉をいたしておるところでございます。それから舞鶴海軍工廠につきましては飯野重工業に対しまして貸付をいたしております。会社の方からもこれを払い下げてもらいたいというふうに申請もございまして、交渉をいたしておったわけであります。大体において、売り払い条件等につきまして一応の妥結点に到達いたしたわけでございますが、会社側からの申し出がありまして、少し契約を延ばしてくれということがございまして、現在はそのままになっております。価格の決定の方法でございますが、これは国有財産の払い下げにつきまして一般に普通財産売払基準というものを大蔵省できめてございます。大体の内容を申し上げますと、まず役所側としまして固定資産税課税標準価格並びに相続税の課税標準価格、それから近所の売買実例があれば売買実例、こういうふうなものを参考にいたしまして、さらに土地柄のいろいろな利用効率、操業効率等を勘案いたしまして、役所側としての一つの算定価格を出す。それからさらに公平を期する意味におきまして、適当と思われる民間精通者と印しておりますが、不動産研究所を初めといたしまして、各地の銀行、信託会社とかいったようなところの専門家に依頼をいたしまして、民間精通者の価格を出し、それと先ほどの役所側で算定いたしました価格との平均値をとるといったようなことでやっておるような現状でございます。
○有馬(輝)委員 私の質問はこれで終わりますが、いずれまた十八次の決定を見ました際、また先ほど冒頭でお尋ねしました三十七年度の開銀の融資の眼目といいますか、方針が御決定になった適当な機会をとらえまして、本日お伺いできなかった点等についてはお伺いをしたいと思います。総裁には長時間恐縮でございました。
○小川委員長 岡田修一君。
○岡田(修)委員 開銀と運輸省がおそろいですから、一、二点簡単に御質問をしたいと思います。
 その前に、先ほど有馬委員の御質問の中にありました十七次造船の追加建造ですか、私どもはこの追加は全部年度内に実行されるもの、かように考えておった。おそらく運輸省なり開銀の方で船主を決定された場合に、造船所の事情を考えて、船台がいつあくかというふうなことを考えて決定されたと思う。それが三隻は三十七年度にずらされた。これで造船所側に相当のアイドルができているのじゃないか、この点はいかがですか。それから、これはどういういきさつで三隻を三十七年度にずらされたか。開銀の資金事情によるのか、その辺の関係をお伺いしたいと思います。先ほどの、電力債三千万ドルは三十六年度内に出すということが、二千万ドルで一千万ドルずれた。これに対して最近大蔵省の方で、その資金不足のために三十何億か四十億の資金を開銀に運用部から融資された。もし最近の三隻の建造が開銀の資金事情で三十七年度にずらされたということなら、なぜ電力に追加融資をされたような措置をとられなかったか、その辺の事情を一つお伺いしたと思います。
○辻政府委員 お答え申し上げます。御承知のように八隻につきましては追加になったわけでありまして、私どもといたしましては、でき得れば全部年度内に契約、藩主の運びにいたしたいという考えを持っておったのでありますが、財政投融資全体の見地からしまして、開発銀行の海運向け融資については年度内は追加融資は困難であるという決定を関係者の間で受けましたので、私どもは一面今御指摘がありましたように造船所事情も考え、また荷主との輸送の契約の時期を考えまして、五はいを年度内、三ばいは来年度早々ということを前提としまして来年度というふうにいたした次第でございまして、それによりまして、延ばされた造船所について多少の支障があるいはあるかもしれないという考えを持っておりますが、さほど大きな支障なしにいけるのではないか、かように考えてそういう措置をした次第でございます。
○岡田(修)委員 造船は非常に大きな工事でございます。だから建造に着手する前に資材の発注とかいろいろな手当をしなければならぬ。これが一カ月ずれるということは造船所の資金操作に非常な支障を来たすわけです。ですから、そういう点十分運輸省の方で考えられて、もっと大蔵省なり開銀の方と――今お話しのように資金の事情によるならば、なぜ電力にやられたような方法をとらなかったか、私は遺憾に思うのですが、一体三十七年度早々というのは、いつごろ着工させる見込みなのか、この点一つ……。
○辻政府委員 三隻分の利子補給の予算措置は本予算に計上されておりますので、予算が通過いたしますればもうすぐに追っかけてそういう措置をいたしたい、かように考えております。
○岡田(修)委員 それから、今の海運界で一番頭の痛い問題は、最近船型が非常に大型一化してきた。従って、従来のスタンダード型の船は非常に非能率船になった。たとえばタンカーを例にとりますと、最近四、五年前までは二万トン型をスタンダードとして計画造船をしてどんどん作らせてきた。ところが最近になって六万五千トンあるいは十三万トンの船が出てきた。これで採算を見ますと、二万トン・タンカーのハイヤー・ベース・コストといいますか、これと六万五千トンを比べますと、六万五千トンは約半分です。十三万重量トンの船は三分の一くらいなコストである。運賃マーケットは、大型の船ができて安く運べれば、その安い運賃できまる。そうすると海運会社は幾ら努力しましても、スタンダード・タンカーをたくさん持っておる船会社というものはどうにもこうにもならない。これは経営者の責任とかなんとかいうよりは、いわゆる海上輸送に一つの革命がきた結果であると思う。そこで、スタンダード・タンカーをたくさんかかえている船会社というものは非常に苦しい。スタンダード・タンカーなり、あるいはオア・キャリアにしても、どんどん四万トン以上の大型ができてきておる。これについて運輸省、それから債権者としての開銀は今後どういうふうに対処されようとするのか。まあスクラップ・アンド・ビルドの方法もありましょうが、ところがまだこういう船会社に相当の借金が残っておるわけです。そう簡単に作るわけにいかない。外国へ売るにしましても、一つの限度があるのです。なかなかむずかしい問題ですから、今すぐに具体的な方策というものはお答えできないかと思いますけれども、大体の考えの方向をお聞かせ願いたい。
 それからこういう船を、たとえば日本が今一番必要としている木材専用船に改装するとか、いろいろな計画が出ています。結局これは開銀の方につながる問題ですが、こういう点についての運輸省、それから債権者としての開銀のお考えをちょっと伺いたいと思います。
○辻政府委員 今御指摘ございましたように、特にタンカー界がそういう傾向が強いのでございますが、現在の海運界におきます技術革新が船の大型化という形で非常にきわだって現われて参っておりまして、従来非常に通船と見られたものが形が小さくなり、それと同時に採算が悪くなっていくという傾向が顕著でございます。今御指摘ございましたように、特にタンカーのスタンダード・タンカーなんかの問題でございますが、これは現在数十隻、相当船齢が新しいものも含めましてあるのでございまして、これにつきましては、私どもはタンカーといたしましてはできるだけ大型のものにかえて参りまして、スタンダードのタンカーは、今お話がございましたような木材専用船でありますとか、あるいは豪州等の石炭の専用船、あるいは場合によりましては穀物の輸送等、いわゆる一般貨物の方に改装して使っていくような方向で物事を進めていきたい。これにつきましては、現在戦標船の処理で開発銀行の方にいろいろと融資を仰いでおるのでございますが、改装資金につきましても、将来の問題としまして開発銀行の財政資金も投入してやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
○太田説明員 今海運局長から申された通りでございます。われわれとしましても、それにはこういういい方法があるという好政策がございません。ただ現に今、捕鯨会社にスタンダード・タンカーを売らせるとか、そういう例はございますので、今後もそういうふうに需要がありますれば、多少安くても売って処分してもらう。それから今後、今の木材専用船その他にも改装する問題がございますので、これは別途研究してみたい、こういうふうに思っております。
○岡田(修)委員 もう一点だけお伺いいたします。
 最近船型が非常に大型化しまして、従って、日本の造船所も外国から注文をとるのが、大型の船が非常に多くなってきている。それに対する日本の造船所の大型船台というものが非常に足りない。欧州方面ではどんどん十万トンの船台とかなんとかを作りつつあるのですが、こういう大型船台の整備、外国から輸出船をうんと獲得するために必要な大型船台の整備がどういうようになっているか。それから、特に今後大型船ができていきますと、これを修理するドックが非常に不足しているのではないか。現在十三万トンのタンカーが作られつつありますが、こういう船は将来修理する場合に非常に困るわけです。この大型ドックの建造について、単に業者の独力でやらすと非常に困難な点がある。国としてはこれらに対する相当の財政融資等の検討もされなければならぬと思うのですが、これらの点について現在どういう状況になっているか、あるいは開銀融資に対する申し込みがどういうようになっているか、一つお伺いしたいと思います。
○藤野政府委員 大型船の建造がだんだんふえて参りまして、その建造船台の問題、それからできました大型船を修繕、入渠させる施設の問題、これをどうするかという御質問でございますが、大型船と申しましても、六万トンあるいは七万トン程度の大型船と、それから十万トンをこえる超大型船と申しますか、二つに分けて考えますと、六、七万トン程度の大型船の建造船台、あるいはそれを入渠させる入渠施設は、ただいまのところではさほど不足はないと考えますが、先ほど御指摘がありましたように、十数万トン船になりますと、運航コストが非常に下がって参りますので、今後も超大型船が続々と世界的に建造される機運にありますし、日本におきましてもそのような建造施設を新たに作りたいという計画なり要望なりが出て参ると思いますが、ただいまのところ埋め立て地に新たな造船施設を作り、そこに超大型の建造船台あるいは造船船渠、あるいは入渠施設を計画しているものが約三社ございます。この三社はいずれも民間資金で計画をいたしておりまして、財政資金を期待はしておりませんけれども、このような超大型船は、船台で作りますよりも船渠あるいは造船船渠で作ります方がはるかに能率よく、また低コストで建造されます関係上、建造と修繕入渠と両方の目的をもって作られる造船修繕施設がその三社の中にあるわけでございますが、さらに三社の新しい超大型施設で生まれます船の入渠にあたりまして、新造または修繕という施設が修繕の要求にいつでも応じられるかどうかという問題になりますと、非常に疑問があるわけでございます。と申しますのは、そのような超大型の施設は修繕だけでは採算がとれませんので、継続的に注文があります場合には、新造にもっぱら使うということが好ましいわけでありますので、御指摘の通りに続々と超大型船が建造されることになりますと、その入渠施設が問題になる、かように考えます。そのような場合には、修繕のための特別の専用施設に対して国が何らかの財政援助をする必要がありはしないかというふうに考えます。また現在国有の施設で入渠のために利用できる施設がございまして、ある事情のためにまだドックになってない施設がございますが、これを将来修繕施設として整備するということも考えられる次第でございます。将来の問題として早急に計画を立てたい、かように考えております。
○岡田(修)委員 大型船が出てきましたことによって、私は、海運界にも、それから造船業界にも非常な異変が起こってきておる。一つは、これは造船所の再編成の問題につながるものではないかと思うのですが、これらの点、私、きょうはもう時間がおそうございますから、運輸委員会の方に出向いて質問をしたいと思います。きょうはこれで終わります。
     ――――◇―――――
○小川委員長 次に国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件を議題といたします。
○小川委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。天野大蔵政務次官。
○天野政府委員 ただいま議題となりました国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず第一は、葉山御用邸附属邸の暖房設備の新設であります。現在、附属邸の一部には昭和初年に設備された電気ヒーターによる暖房設備がありますが、老朽化して暖房装置としては不十分でありますので、火災予防の点をも考慮して、この際蒸気暖房の設備にしようとするものであります。
 第二は、皇居内生物学御研究所の標本室の新築であります。現在の標本室は御研究所の一部百二十坪か充てられておりますが、年々増加する標本類の収納が困難となり、廊下に陳列されている状態でありますので、御研究所に隣接して鉄筋コンクリート作り二階建延べ八十坪の標本室を新築しようとするものであります。
 第三は、皇居附属庭園施設整備計画による建物の新築であります。皇居東側地区につきましては、昭和三十四年十月八日付皇居造営審議会の答申に基づき、昭和三十五年一月二十九日開催の閣議において皇居附属庭園として整備することに決定したものであります。この決定に基づきまして整備を進めているのでありますが、庭園の造成上撤去を必要とする厩務班事務所、馬市庫、馬糧倉庫、厩舎等を庭園予定敷地の外に新築しようとするものであります。
 以上御説明申し上げましたものは、いずれも昭和三十七年度一般会計予算案に計上してあり、皇室用財産として取得する必要があるわけでありますが、そのためには国有財産法第十三条第二項の規定に基づき国会の議決を経る必要がありますので、ここに本案を提案した次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成の議決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
○小川委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。
   午後一時十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時四十三分開議
○小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 国税通則法案及び国税通則法の施行等に伴う関係法令の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。質疑の通告があります。これを許します。細田義安君。
○細田(義)委員 国税通則法の改正につきましては、納税者あるいは一部の関心を持った方々に強い反響を呼び起こしまして今日に至ったわけであります。かような点から、私は若干の点につきまして概括的にお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 およそ法というのは、その国家、その社会の生活を規律するものでありますから、各時代におけるその民族、あるいはその国民に臨む法機関というものは、それぞれの国民、それぞれの国家の現状に適合するものでなければならぬ、こう思うのであります。従って、いたずらに理想を追いまして、現実の国民生活から遊離をいたしたものであってはならない。それ自体は理論的でありあるいは租税法学の理念に適合しておるといたしましても、国民に順守を求める法規律としては、はたして妥当するものであるかどうか、この点基本的な態度として政府の見解をただしておきたいと思うのであります。私はでき得れば大蔵大臣の出席を求めまして、この重大な基本的な態度につきましてただしたいのでありまするが、予算委員会等の関係でお見えにならないということで、かわって政府委員の御答弁を願いたいのでありまするが、さらに国税通則法は、租税に関する基本的な制度を打ち立てたいというのでありまするから、時間をかけて検討すべきではなかったか、また理論と実際との規律を求めるためにも、今にわかに制定する必要があるのかどうか、この点に対する御所見を承りたいのであります。
○村山政府委員 お話のように、本来税負担は公平という観念を中心に考えらるべきものでありまして、おっしゃるように、公平という観念は非常に現実的な観念でありまして、単なる抽象論ではきまってこない問題だと思います。そのときどきにおける所得分布の状況、あるいは消費税等につきましては消費の態様、あるいはまたそのときにおける歳出需要、こういうものを全般的にながめまして、その上に立っての公平観というものでなければならぬと思うのであります。その意味で、税ほど現実的な感覚を有するものは実はないのであるというふうに考えるわけであります。われわれが絶えず税法改正をいたす場合におきましても、この現実的な公平観、この基礎の上に立っていろいろ考えているわけでございます。同時にまた単なる負担の問題でなくて、執行の問題につきましても、これは国民の権利義務、言いかえますと、国民全体と個々の納税者の利害の調節の問題でございます。従いまして、それがやはり基本的には公平という観念になった妥当なところでその権利義務の調整がはかられなければならぬというふうに考えております。負担におきましても、執行についても、まさにおっしゃる通りであろうというふうに思うわけでございます。
 第二点の、国税通則法は非常に基本的な法律である、もう少し研究したらどうかというお話がいろいろあったのでございます。実はこの国税通則法の問題につきましては、われわれ部内ではずっと背から研究しておりまして、特にこの問題は、やがて今の租税体系を整備する一つの礎石になるものでありますので、われわれは三年前に各界の方々の御参集を得て、調査会でもってつぶさに検討したのでございます。その検討された事項のうちでも特に問題になりました、先ほど細田先生が申された、現実的の感覚からどんなものであろうかという疑点のあるものにつきましては、今回は提案を見合わしておるわけです。それ以外のものにつきましては、一つは税法を簡素化する問題、あるいは実体的に整備するという問題、あるいは国民の権利義務の観点からいたしまして、まさに利害の調整として納税者の側に若干有利になる方向で現実的な解決を求めるというような事柄、あるいは従来の各税法におきまして基本的な法律関係の不正確な点、こういう問題を取り上げまして今度やったわけでございます。その点が急がれたというのは、納税者に対する利益の問題は当然でございますが、それ以外に現在の税法が何としても複雑である。これを何とかして納税者にわかりやすいものにして、そのわかりやすい税法の中から国民の正しい批判を仰ぐ、その批判の上に立ってまた次の税法改正が行なわれていく体制がぜひとも必要であろうということでございまして、今回も物品税法において全文改正いたしました。なお来年考えておりますのは、所得税法あるいは法人税法の全文改正を考えておるわけであります。これらの問題につきましても、その土台としての国税通則法というものがございませんと、受け入れ側がないわけでございます。そういう意味でも、今回の国税通則法をこの国会で成立させる必要があると考えて提案した次第でございます。
○細田(義)委員 本法の成案を縛るまでにいろいろ経過があったわけでありますが、世間を驚かした、刺激したというような点は、税制調査会が答申をいたしましたものを、政府の責任において提案をするやに一時見られたわけでありますが、こういうような点から、この問題の提案の時期につきましては多少の時間を置きまして、余裕を持ちまして、新しい法案というものがさような納税者その他の危惧を払拭しておる、そう懸念さるべきではないというようなことが周知されまして、その後に提案を見るというようなことが私どもは望ましかったと思う。それは学者の先住その他豊かな経験を持った諸先輩の御労苦というものには敬意を表しますが、一般の納税者はそういう格調の高い知識なり経験を持っておらぬわけであります。これらの国民を対象といたしまして、税の面から国民を拘束し、あるいは協力してもらうというのでありまするから、こういう点につきましてはどうも時間が不足であったというふうな感じを私は持つわけでございます。私はこの点を遺憾に存じておる一人でございます。
 さらに、現行の国税に関する法体系は、所得税法、法人税法、酒税法、物品税法等の各税法と国税徴収法とから成り立っておるわけでございます。すなわち課税に関する実体とその手続につきましては、個別的に各税法がこれを規定し、国税の滞納処分を中心とした徴収手続につきましては、統一的に国税徴収法がこれを規定しておるのでありまするが、従って、各税法を一つずつ当たってみれば、各税の課税の物件とか、あるいは納税義務者、税率等、課税に関する実体だけでなく、納税の手続から課税処分等に対する不服申し立て制度等、漏れなく通覧することができるのであります。納税者にとって非常に理解しやすい仕組みになっておりまするが、今回通則法を制定して、各税法の中から各税法を通ずる共通事項等を抽出して別個の規定を設けようとすることは、納税者にとっては、各税法のほか通則法まで見なければ各税の理解ができなくなるわけで、屋上盤を架することとなり、税法をかえって複雑化するおそれがあるようにも思われるわけであります。通則法を制定する真の趣旨、これは一体どの辺にあるのか、納得のいくような説明をいただきたいと思います。
○村山政府委員 ただいま国税通則法を設けますと、いわば、従来は各税法の実体規定のほか、国税徴収法、今度それをやりますと三本建になり、その意味で複雑になるのではないかということ、並びにそれ以外に、今度の通則法の真のねらいは一体どこにあるのか、こういう御質問かと思いますが、実はわれわれからしました一つの最大の理由は、まさに今度の税法を形式的にも実体的にも簡素化したいというのがねらいでございまして、これによって複雑化することはなかろうと思うわけでございます。今概算をいたしてみますと、もし国税通則法を設けられなかったならば、今度全税法の条文はどれくらいになるかという計算をすると、これは概算でございますが、千五百二十条ぐらいになるであろうというふうに考えるわけでございます。今度国税通則法の、この関係整備法によって整備しました分は百九条ございます。それから国税通則法を予定して各税法の中から規定を落とした分、それが二面四十条ぐらいございます。また国税通則法を前提にいたしまして、各税法で従来の条文を削除したもの、これが二十三条くらいございます。しかし同時に、国税通則法で九十六条設けられております。ですから、今の整備で云いますと百九条、二百四十条、それから二十三条でございます。それで、今通則法が九十六条でございますので、まあ単純に引きますと、二百七十六条簡素化された。これは数で申した話でございますが、実はその数ではございませんで、われわれのねらっておりますのは、手続規定、その税が、納税義務者がだれで、課税物件が何で、それから課税標準がどうで、税率がどう、税額の算出までの問題、これは実体規定の中心になるわけであります。この問題は各税法プロパーの問題であろうと思います。しかし、確定した納税義務、その納税義務がいつ成立し、いつ確定し、確定したものがどういう段階で消滅していくか、納付によって消滅するか、その納付のときにはどういうやり方があるのか、自発的納付のやり方もありましょうし、国の力の請求によって納めることもございましょう。この関係、あるいは国は徴収を猶予するという制度がある、あるいは猶予に伴う担保の問題がある、あるいは猶予担保並びに保存担保を含めて、担保の日的とか処分とか、その効果とか、こういう通則的な問題があるわけであります。そのほかに、賦課あるいは徴収金、一般の私法とのつながり、除斥期間あるいは今の時効との関係、それと中断事由あるいは停止事由の関係、さらに全税法を通じまして不服がある場合にはいかにして救済するか、それと行政不服審査法あるいは訴訟の関係、これを各税法でことごとく響いたら非常にわかりにくいものになる。むしろこれは執行面における国民と国、政府との共通的な分野でございますので、その点を統一的に書いていった方が、少なくとも執行面に関する国と国民との権利義務がどの点で調節されているかという点がはっきりして参るであろう、そういうものとしての国税通則法にまとめていただければ、これを見まして、国民の側から執行面における今の法律構造というものに対して活発なる議論も展開されるであろう、こういうところをわれわれとしてはねらっておるわけでございます。おっしゃるように、なるほど従来は所得税法ならば所得税法だけ見ればよかったものを、今度は実体規定につきましては所得税法、それから手続規定につきましては国税通則法を見なければならないわけで、不便と申しますか、そういうことはあると思います。この点はわれわれは今後法規を編さんする場合に、法規編さんの過程でその点を十分アジャストしていった方がよくはないか、こういうふうに感ずるのでありますが、簡素化という問題は、実は体系的な整備を含んだ簡素化を考えているわけであります。
 それから、なぜ国税通則法を設けたのかということは、それに尽きませんで、先ほど申しました基本的な法律関係を明確にするという点がございます。ただいま言った賦課徴収金の徴収金と賦課金の性質の違い、それぞれの時効、除斥期間の問題、こういうことをはっきりさせる、あるいは、前の処分とあとの処分との法律関係が実ははっきりしておりません。それから現在の所轄税務署という観念は、申告から更正決定あるいは徴収の段階、あるいは再調査の請求、審査の請求というふうになって参りますが、その間住所地がどんどん移動するわけでありますが、そのときの窓口の関係がはっきりしない、こういう点、その他、基本的な法律関係で明確を欠く点が多々ございます。その点につきましてははっきり出して明確にいたしたい。
 それからもう一つは、納税者の利益のためにはかるべき事項が多々あると思うのでございます。その中心をなすべきものとして、今度提案をいたしておりまするのは附帯税に関する問題、加算税に関する問題、それから行政上の救済に関する規定が中心でございますが。それ以外におきましても、随所に不合理な点を改めまして、統一的にこの点を改善したつもりでございます。
○細田(義)委員 法律というものは、国民のすべてがそれに従わなければならぬという建前であり、そうでなければ法治国は治まらないわけであります。特に税法などというものは、国民には親しんでもらいたいけれども、新しみにくい、またはわかりにくい、こういうところが世間の相場であろうと思うわけです。そういうような点から、毎年のように租税法の一部が改正されてくるということで、国民にとっては迷惑しごくなことなんです。今度は一本にしぼってわかりよくするということでありますが、国民が新法になじみ、新しい法制を了知する、知悉するというまでには相当時間もかかるわけでございます。こういう点で、親切な御指導を仰がなければ、新法を知らぬからといっていいということであってはだめだと思うのです。さらに、およそ通則法と名のつきまする以上は、単に各税法を通ずる共通事項だけでなく、各税法を通ずる基本的な法律関係につきましても規定することとなると思うが、国税に関する基本的な制度を作るという限りは、単に学識経験者を中心として構成された国税通則法の小委員会、この意見が主として新しいこの法案を支配しておるわけでありますが、これだけでなく、もっと納税者の利益と立場を代表する意見をも反映させる必要があることは言うまでもないと思うのであります。しかるに、これを制定しようとする経過時におきまして、このような点における配慮は必ずしも十分と言いがたく、この通則法は政府の徴税強化をはかろうとするものではないというような不安の念を持つ向きが相当あるのであります。この点についての政府の見解はいかがですか。
○村山政府委員 おっしゃるように、この通則法のもとをなしました答申原案は、御案内のように税制調査会の中に設けられました小委員会で主として検討を進めたわけでございます。小委員会のメンバーは、事柄の性質上私法、公法に関する学者の方が相当入っております。一方、その実務官庁といたしまして、法務省あるいは刑事局の方面、それから国税庁の方も当然参加を願っておるわけです。さらに、この原案は、百回近く重ねたのではないかと思いますが、幾たびか練り直しました。でき上がりましたものは、税制調査会――この中には産業界の方、労働界の方、いろいろな方が入っておりますが、二、三回にわたりまして中間報告を入れて三回くらい答申をして、意見を求めたということでございます。そういう意味で、われわれとしてはできるだけの手は尽くしたつもりではございます。
 それからこれが徴税強化になるのじゃないかという点は、われわれも耳にしないわけではございませんが、おそらくその点は小委員会答申にかかるところの実質課税以下六つか七つばかり、これを実施するにつきましては、さらに検討を要する問題がありまして、その点は今回それぞれ検討の結果、将来に見送ることにいたしたわけでございます。それらのことがあるいは誤り伝えられて徴税強化というような疑いを残したのではなかろうか、われわれは提案しております限りにおきましては、この各案にありますように、徴税強化になるところはさらさらないというふうに考えておるわけでございます。
○細田(義)委員 いわゆる将来の検討に待つということで、今度見送っておりまする数項目の問題でありますが、むしろ私は、理論と実際のわれわれの経済生活、あるいは国民生活との間に誤差があるということを承認しなければ、これを切り離して見送るということは大して意味のないことであります。こういう点で、私は理論は尊重すべきであるし、私どもは理想を目がけて生活をするという、これは人数の基本的な生活の態度でありますが、少なくともこの租税法の関係におきましては、国民生活の現時点とマッチをするといいますか、あるいは少し前向きであるというくらいの点でなければ、国民がついていかないというようなこと、こういうものが、たとえば記帳の義務を負わせるというようなことが打ち出されておるわけです。われわれの租税に対する国税の関係もそこまで義務を負わすことが望ましいことでありますが、現在の時点で、魚屋のおじさんや八百屋のおじさんに、帳面をつけなかったからお前は罰金だということは、お互いの生活ではまだその時期がきておらないということになると思うのであります。こういう点で、私どもはいま少し実際の社会の姿というものを反映して、学者の諸君の理論構成もさることながら、考えてもらえれば、この答申案の打ち出しにもいま少しうまみを持って、変な刺激を与えないで済んだのじゃないかというふうな感じを強く持つわけであります。
 そこで通則法は、複雑難解な現行の国税に関する法体系を、納税者が理解しやすいよう、各税を通ずる基本的な法難関係を明らかにしつつ、これを簡易化し、あわせて各税における諸手続を、主として納税者の利史をはかる立場から改善合理化するために制定されるものでなければならぬと思うのであります。従って通則法の基本理念の中には、納税者の利益を尊重することが当然含まれていなければならないと思うのであります。この点につきましては、どのような考え方がとられておりますか伺いたい。
○村山政府委員 今度の通則法制定にあたりましては、現実的な感賞に立ちまして、つまり国民全体と個々の納税者の利益の調整をはかったつもりでありますが、その際に、特に個々の納税者の利益という力に重点を置いて改正した事項だけを申し上げますと、全部ではございません、随所にございますがおもなものを申し上げますと、一つは附帯税の制度でございます。これは御承知のように、現行は附帯税が利子税と延帯加算税に分かれております。法定の納期限の翌日から三銭の利子税がかかります。それから一方、督促状を発付いたしましてから十日たった、十二日目でございます。十二日目から延滞加算税といたしまして別に三銭かかります。合計六銭になる、こういうことであります。ただ延滞加算税の方は、本税額の五%でとどまるという規定にはなっておりますが、その日数を計算いたしますと、たしか百七、八十日になるかと思います。われわれ考えましたのは、あれはなぜ二本にする必要があるのかということと、それから少し重きに過ぎやせぬか。この二つの観点からしまして、今度は延滞税一本にいたしまして、原則として六銭ではなく四銭、従来と同じように督促状発付の日から十日間たつものは二銭にいたします。督促状にアクセント――効果を持たしたわけであります。二本建にする理由はどうもなさそうに思うということで、その点の改正を行ないましたのが第一点でございます。
 第二点といたしまして、加算税に関する規定を相当程度改正いたしました。一つはいわゆる無申告加算税の制度でございます。御案内のように現行法では無申告の事態が起こりますと、その申告すべかりし本税額に対しまして申告のおくれた期間に応じまして、一月までの間は一〇%、二月までは一五%、三月までは二〇%、三月をこえると二五%、こうありましたのを、一律に一〇%でとどめたわけでございます。これも期間の観念で、おくれたという観念は延滞税ではわかりますが、加算税としてはどんなものであろうか。これはやはり無申告ということが問われておるわけでございますから、その点は期間によらないのじゃなかろうか。実際問題としても高過ぎやせぬかということで、この点は、一〇から二五を一律一〇%に押えた。それからそのほかに、現在の源泉徴収加算税あるいは通行税等の特別徴収にかかる軽加算税についても同じことでございまして、一〇%から二五%とありましたのを、今度は、名前は全部統一いたしまして、無申告、不納付加算税といたしまして、すべて一〇%というふうに、これまた軽減したわけでございます。そのほかに重加算税というものがございまして、これは先生御承知のように、隠蔽仮装によって過少になった部分の本税の五〇%ということになってございますが、これはいろんな執行を通じて見ますと、この五〇%は重過ぎやしないかということでございまして、その点は三〇%にとどめたということでございます。
 それから第三の問題は、税務行政について不服がある場合の救済の問題でございます。これは、一方におきまして、行政不服審査法そのものが改正されておりますので、それを受けて緩和される部分が相当多うございます。と申しますのは、従来は、不服の対象になりましたのは、賦課徴収に関する事柄だけでござまして、しかもそれは行政処分、法律処分だけでございます。今度はそちらの方は、すべて概括主義になっております。ですから、賦課徴収以外のあらゆる処分について――処分の中には、事実行為に対しても文句が言えるということになって参りました。これは行政不服審査法の改正からくることでございます。それからなお不作為に対しても異議の申し立てができる、これも行政不服審査法をそのままこちらがとっております。それから処分をする場合には、必ず、救済手続があること並びにその道について教示をしなければならない、これも行政不服審査法の方の問題でございまして、こちらはそのまま受けておるわけでございます。
 こちらで特別手を打った点を申し上げますと、従来は、異議の申し立てをいたしましても滞納処分の続行を妨げないということでございまして、公売処分までいけたわけでございます。この点は、今言った現実的な行政面を考えてみますと、なるほどそれは心配があるにしても、せいぜい租税債権を保全すれば足りるのじゃないか、公売処分ということになりますと、これは取り返しのつかない損害を与える場合もございます。そういう意味で、今の公売処分は、原則的に全部禁止の規定を、不服の段階では新たに設けたわけでございます。のみならず、差し押え処分につきましても、本人から担保の提供があれば、滞納の差し押えも見合わす。それから徴収の手続の続行、差し押えを含んでの話ですが、それにつきまして、従来職権で停止することができましたが、新たに本人申立権を設ける、こういうことでございます。
 それから、これは不服だけの問題でございませんが、一般に期限の問題がございます。修正申告あるいは再調査の申告、審査の請求について、一月以内、こう言われておる場合に、従来所得税では、到達主義によっておった。法人税の方では発信主義によっておった。各税法で必ずしも明確でない。この点、全部発信主義で統一した。
 それからさらに申しますと、従来は訴願前置主義の考えを貫きまして、たとえば同一年分の課税事件につきまして、当初、たとえば申告税額三十万、その後更正決定で五十万になり、その後再更正で百万になった事例で申しますと、五十万のときは期間を徒過してしまった、五十万から百万に再更正されたときに、その百万に対しての異議申し立てばできますが、そのとき取り消し得る範囲というのは、法律上鶴来されておりまして、五十万までは下げられますけれども、再調査なり審査の決定で三十万までは下げられぬということになっておったのであります。そこは期間を徒過したわけであります。その場合、今度は、どうせ全部金額を争っているんだからそんなことを言う必要はないんだ、やはり申請の税額は幾らであるべきかということにいたしまして、そういう期間を徒過した場合におきましても、同一事件について救済手続に係属すれば、前のやつまでさかのぼって全部審理の対象にするということ。それから訴訟の問題についてよく問題があるわけでございますけれども、今と同じ例で申しますと、更正決定五十万円のところでずっと審査の請求までいきまして、なお不服かある、訴訟に係属した、百万になりました、従来でございますと、もう一ぺん五十万と百万の間をまた再調査から審査を経て、裁判所においで下さい、こういうことになっているわけでございますが、能率からいって、いかにも相互に不便である。そこまで訴願前置主義を言う必要もなければ理由もないということで、そういう場合には併合審理の道を開く、こういったことでございます。
 その他、除斥期間あるいは徴収権の時効の問題をはっきりいたしましたが、結果的に申しますと、今の除斥期間については、現行では、所得、法人相続、この三つにつきましては原則として法定申告期限後三年間――詐欺とかそういった無申告の場合は五年でございますけれども、ほかの税目につきましては更正決定の期間制限があるのかないのかわからぬわけでございまして、実際の取り扱いは、おそらく徴収法の時効の五年でもってやっておったと思うわけでございますが、今回はそれを賦課権というものは除斥期間である、各税目を通じまして原則として法定申告期限から三年たったら賦課権の行使は排除されるという点を明らかにしておるわけでございます。こういった点は、もちろん基本法を明らかにするという意味で発足したわけでありますが、同時に、納税者の利益あるいは税目間のバランスというものを考えつつ整理したわけでございます。
 ほかにもございますが、大体おもな事項だけを申し上げておきます。
○細田(義)委員 ただいま、うっかりするとありがたやになりそうないいお話を伺ったわけでありますが、通則法の制定に関する税制調査会の答申は広範囲にわたっておりまして、あれを読むだけでもなかなか大へんであります。そこで、あの答申は現行制度に対する根本的な改正を含んでおりまして、しかも主として理論的な立場からなされたために、世上、徴税を強化するというような不安を投げ与えたことは前に指摘した通りでありますが、政府は、この答申につきまして検討を行なった結果、まず第一番に、実質課税の原則、租税回避の禁止及び行為計算の否認に関する規定、二に一般的な記帳義務に関する規定、三には質問検査及び特定職業人の秘密を守る義務と質問検査権との関係に関する規定、四には資料提出義務違反についての過怠税の規定、五には無申告脱税犯に関する改正規定等の答申があったわけでありますが、これらは先ほど申し上げました通り、将来における慎重な検討にゆだねるということで見送ったのでありますが、これらの事項については将来どうするつもりか、将来においては、国民の社会生活なりあるいは公の生活が進んで参りますれば、当然に法制化してやって差しつかえないものであるというような点についてのお考え、お見通し、特にこの点は一般の納税者に多大の不安を与えておると見受けられますので、具体的に、かつ明確に御答弁を願いたいのであります。
○村山政府委員 税制調査会の答申の各事項のうち、ただいまお述べになりましたことで今度の提案からは除外してあるのはお説の通りでございますが、実は税制調査会の答申がありまして、その後われわれがいろいろ研究して、どうもまだ時期尚早であるという意味で、これを削除するにつきましては、税制調査会に諮っております。これこれしかじかの理由で、これはまだ時期尚早と思うということを実は断わっておるわけであります。その将来の見通しは、今度見送った理由からいたしまして、若干ニュアンスの違いはございます。一つの形は、まだ何分にも判例、学説その他があまりにも統一を欠いておる。従って、抽象的な規定あるいは一般的な宣言規定を設けたときに、その限界はどうか、その限界をめぐってかえって紛争を起こすという問題、そういう意味でもう少し、いつになるかわかりませんが、全体の判例、学説等が帰一してくるという時期まで待たねばならぬ、待った方がいいであろう、こう考えられる事項、あるいはたとえば記帳義務の問題等につきましては、国民の方の納税者一般の記帳慣習がそこまで慣熟しなければ無理である、こういう意味で待たざるを得ない問題、それから今の守秘義務であるとか、守秘義務と検査権との関係の問題等につきましては、これはもっと本質的に守秘義務の内容が何であるか、それからこれは刑法との関係もございます。そういった意味でもっと研究を進めなければならぬ問題、相当広範囲に詰めていかなければならぬ問題でございますので、これも早急にはなかなかむずかしい問題であろうかと思うわけでございます。
 まずその一つの例といたしまして、もう少し判例を待たなければならぬという意味は、実質課税の原則あるいは租税回避行為の一般規定がまさにそうであろうと思います。行為計算否認規定の方は、初めから予定は各税法に設けておきまして、ただ各税法の定めるところによってできるというような通則法の形だけを整える案でございましたので、これはあってもなくても実際的には変わらない、そういう意味で別でございます。今のたとえば実質課税の問題一つ考えてみましても、現在いわゆる実質課税の原則と言われておる規定といたしましては、たとえば所得税で、信託財産から生ずる所得は、受託者が法律上もちろん所有権を持っておるわけでございますが、その人には課税しないで、委託者が当該財産を有する者として課税いたします。こういうのがいわゆる実質課税の典型的な規定でございます。そのほかに国税徴収法で、納税者が譲渡担保に付したものがございます。これは担保の目的で譲渡したほんとうの譲渡じゃない。これには滞納処分でかかっていけるという規定があります。これもいわゆる実質課税の典型的な規定と言われております。また所得税法の三条の二で、法律上権利が帰属すると見られるものと実際の収益の享受者が違う場合には、実際の収益の享受者に課税いたします。そういう規定、これもそうだと言われております。そのほかに、たとえば同じように譲渡担保した場合に譲渡所得税をかけておりません。これは規定はありませんが、扱い上、当然実質課税上そうである。譲渡所得になるはずはない。こういうのをわれわれは実質課税の一般的原則の適用である、こういうふうに言っているわけであります。かりにこれらのものが実質課税の規定であり、取り扱いであるといたしますと、今度通則法に設けらるべき規定というものが、どんな形が考えられるかによるわけでございますが、もしそれを一般的の宣言規定として国税に、これは昔、やるとすればこんな案がると作文したものがございますが、「国税に関する法律の解釈及びその適用に係る要件たる事実の判断については、その法律の規定の趣旨に従い、その事実の経済的利益及び適用に即して国民の税負担の公平をはかるように行なわなければならない。」こういう宣言規定を入れたときに、はたして一体どこまでこの規定でいけるかという問題を新たに生むだろうと思います。もしこの規定なかりせば、現在いわゆる各税法で入れているところの実質課税の原則といわれる規定が読み切れるのか読み切れぬのか、ここに非常に問題があるわけでございます。そういう意味では、規定を入れても入れなくても非常な問題のある事項でございます。そういう意味では、まだ実質課税の原則がどこまでいくのかということにつきましては、個々のケースについて判例なり学説がおおむね帰一するまで待たないといたずらなる紛議を起こす、こういう判断で今度は延ばしておるわけでございまして、租税回避に関する一般規定でも同様でございます。現行法でもそれぞれ典型的な規定はございますが、もし国税通則法に考えられるような一般規定を入れれば、これらの個々の税法の実体規定なくして読めるかどうかということになりますと、非常に問題である。問題であるとすれば、入れたことによって新たなる紛議を生ずる、こういう意味で延ばしておるわけであります。
○細田(義)委員 税制調査会を組織したこと自体が、どうも政府だけで独善的に考えてはいけない、知識と経験豊かな見識を持っておる方々の御意見を拝聴しようということで御答申を求めたわけであります。そこでこの方々と、重大な五項目をこの時期においては見送ろうとか取り下げようということで、あの先生方のおかんむりもそう曲げずに御見識もそこなわずに配慮されていろいろ御懇談があったわけですが、その中において、今の時点においてわれわれが税務行政を扱っておったその感触においては無理である、それにはかくかくの点が無理であるということにおいて話し合いが行なわれたと思うのでありますが、いわゆる学者の諸君あるいは経験者の諸君、こういう人たちはどういうような感じを持たれたか。あなた方の説得力、あるいは説偉力よりは事実が厳然としてあるわけでありますから、これを認識をされて一時時期を見送るということは今の時限においてはやはり妥当性がある、こういうようなことになったのかどうか、この問題はあとに残されておりますから、将来とも漸次法文化が問題になるような点ではなかろうかというふうに推測できますので、さらにお伺いしておきたいと思います。
○村山政府委員 率直に申しまして、非常にむずかしい問題だと思います。事柄が事柄でございますので、判例なり学説の展開の速度もわれわれは見ておるわけでございますが、そういったものについては非常にむずかしかろう。それから守秘義務との関係、これは実を申しますと、現行法で不明確な点の一点であります。答申で申しましたのは、その不明確なものをはっきりさすべきではないかといって、ある原案らしきものは出ておるわけでございますが、それにいたしましても、実はわからない。守秘義務の内容が何であるか。もちろん刑法では守秘義務に違反いたしますと罰則がございます。そこにいうところの守秘義務というのが何であるか。打ち明けられた秘密であるのか、あるいは打ち明けられなくても知り得た秘密は全部なのか、それは自分の課税標準の調査に伴っても打ち明けられないのか、あるいはお客の課税標準の調査に伴っては言えなくて、自分についてはそこに守秘義務というのがないのか、その辺のところでございます。非常にむずかしい問題でございますので、こういう点についてはさらにまた研究を進めなければならぬと思います。こういう点われわれ勉強できる限りいろいろな学説を見たわけでございますがわれわれがこれを立法化しても何ら差しつかえないという自信がある説は見受けられないわけでございます。こういう分野については、また特殊研究も要ることであろうかと思います。また官公庁との協力義務の問題は、統計法による指定統計はもちろん開示はできませんが、それ以外の問題もございます。われわれとしては、税の立場で申しますと、もちろん協力という問題は必要であろうと思っておりますが、そういたしますと、一方におきましていろいろな問題がございます。全般的に官庁の協力義務を規定するような諸外国の法律、そこまで全体の法体系がいっていないときに、税法だけでやれればそれに越したことはありませんが、どんなものであろうか、こういう点もなお深く研究しなければならぬ。記帳義務の問題にいたしましても、実はこれは巷間誤り伝えられているのでありまして、案といたしましては、罰則のない記帳義務を設け、その反射的効果として推計規定をはずそうというところに案の趣旨があったわけでございますが、ただ巷間では記帳義務がかけられると罰金もかけられる、こう思って反対が出たと思います。これも考えてみますと、現在の青色申告は御案内のように二十五年からやっておりますが、個人の場合ですとまだ五〇%くらいしかやっていない。ですから、記帳慣習を進める制度といたしましては、そちらがあるのですから、もう少しそれを真剣にやっていって、そしてその方を推し進めて、記帳慣習全般からいって、その記帳義務をかけても差しつかえない事態が起これば、そのときにやるべきじゃなかろうか。それまでは今の制度を推し進めていった方が実際的でもあり、かつまた推定課税等の関係で、非常に税務行政上思わざる混乱も起きると思いまして、そういう意味ではやはり情勢が完熟していないという意味でこれまた見合わしたような次第でございます。ですから端的に申しまして、落としたことは一時の都合で落としたということよりも現実はそこまで熟していない。その熟し方は相当時間を要する問題ではなかろうか。それから研究の問題にいたしましても、非常にむずかしい研究を含んでおる問題、そういうものについてのいろいろな世論と申しますか、説と申しますか、学説でも世論の声でもいいのですが、そういうものが出てこないとなかなか急に税法だけでいくのもどんなものであろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
○細田(義)委員 また他に論旨を進めて参りますが、今のお話に関連して、一つこれはお願いでありますが、私は文部省なりあるいはその他の機関とも連絡いたしまして、中学あたりで一年に二時間や三時間特別の科目を置いて、簡単な申告書は書ける。何でもかでもめんどうだ、わからない、むずかしいのだということで、すぐ税理士の事務所、あるいは計理士の事務所に行って三千円とか、五千円取られるというのが実態なんです。ところが青い紙で、むずかしい仕事――いろいろな所得があれば別でございますが、百万円以下の所得であればそうむずかしいあれも要らぬわけです。こういう点は国民の重大な義務になっており、国家の諸般の政策を運営する基本的な収入源にもなっておるのでございますから、義務教育の中学の末期の三年あたりでは、こういうものを幾らか時間をとって教えてやるということは、何も押しつけるのではなしに、自分から税法上与えられた、たとえば保険のことにつきましても、その他のことにつきましても、知らないために時期を過ぎ、あるいは間違った申告をしたために利益を失うようなことも幾らもあるわけです。こんなばかなことはないといって、われわれのところにかけて来て何とか交渉してくれといっても時すでにおそいということでございますから、私はこの質問の中においてこれを求めることは今の時間で妥当でないかもしれませんが、忘れるとだめでありますから、一つ政府としてよく考えてもらいたいと思うのであります。これはほかのくだらないこととは申しませんが、いいかげんなことだって教科書に載っかっておりますから……。先生の社会科でも受け持つ諸君は、このごろは大学を出た諸君が多いのですから、これは教育庁その他で特別の講習会でも一時間か三時間やればわかってくれる事項。国民が税に親しむようなそういうもののしぐさをやる方途というものはあまり講じておらぬわけです。税法がきまった、税金を出せ、こういうことであります。税金は出すけれども、どうも記帳とか、申告書を書くのはめんどうくさい、できない、こういうところで脱税をしようとかなんとかいう考えがなくともおっくうになっておるという事実は、まだ日本の国民の生活の現在の段階ではあるわけです。これは案外つまらぬような話でありますけれども、重要な事柄ではなかろうかということで、政府においては関係方面と御連絡を願いまして、だめなのかいいのか、また別途法案等が仕上がった機会にお伺いしますから、一つ統一した見解を示してもらいたいと思う。これは国民も喜ぶですよ。わからないから一面においてはおそれておる。
 次には、いろいろ問題が論議されておりまするいわゆる人格のない社団等の規定の問題でありますが、現行の税法上も人格のない社団またば財団につきましては、次のような規定がございますね。すなわち、所得税法及び法人税法におきましては、それぞれそれを法人とみなして課税し、その違反行為に対する罰則も整備されております。また、相続税法におきましては、人格のない社団等に対する財産の贈与または移譲があった場合につきまして、これを個人とみなして課税しておりますが、罰則規定は設けられておりません。また、国税徴収法においては、これを法人とみなして同法を適用することといたしまして、罰則も整備されております。ところが間接税、商法におきましては、人格のない社団等に課税する明文の規定はありません。入場税法におきましては、免税興行の主催者の中に人格のない社団等に当たるものを掲記しておるのでありますが、人格のない社団等に対する課税を前提としていることがこの点からわかるのでありますが、間接税は物税である。人格のない社団等に対しては明文がなくても課税されるのが当然であると解されておるようであります。このような現行法の規定よりするときは、通則法に人格のない社団等についてことさら規定を設けないでも徴税上さしたる支障はないのではなかろうか。このような規定を設けるのは、人格のない社団等につきまして、巷間もっぱら、徴税を強化しようという魂胆からこのような規定を設けたのだ、こういうふうな認識を持った方もあるわけであります。この点はどうお考えですか。
○村山政府委員 人格なき社団に関する現行法の規定は、ただいま細田先生のお話しになった通りでございます。そこで、納税義務の問題につきましては、これは直接税は今おっしゃいましたように全部入っておるわけであります。間接税は物税でございますので、従いまして、その納税義務者が個人であろうが法人であろうが、納税義務があるものというふうにもちろんわれわれは解釈しておりますし、従来からその通り扱っております。本税に関する限りそういう問題はないわけであります。ただ罰則、納税義務者が違反したときには罰則の適用があることは当然でありまして、そういう意味で現在間接諸税においてはない。ないということのいきさつを考えてみますと、所得税その他の直接税におきましては、戦後法令の改正が行なわれまして、これが入ってきておる。人格なき社団法人は現在あえて税法に限りませんが、新しい立法をしました法律では、それぞれ権利主体として実際そういう存在に溝口いたしまして権利規定としてだんだん設けられておるわけであります。ひとり間接諸税で罰則を欠くということになりますと、規定の整理が十分でないということのほかに、いわば罰則に関する治外法権を設けておるということになるわけであります。そういう意味で、われわれは体系の整備という意味より形式の整備を行なう必要があるというふうに考えているにすぎないのでありまして、これを設けたからこの罰則をすぐどうしようとか、そういう問題ではございません。人格なき社団についてのみ罰則の規定を欠いているということは、一種の罰則上の治外法権を税法上作ることになる。それはおかしい。その理由はないじゃないかというだけの話にすぎないわけでございます。従いまして、これで徴税強化をはかろうとかなんとかいう意図とは全然無関係のことでございます。
○細田(義)委員 そういたしますと、人格のない社団等に対しまして、今回通則法におきまして、第十三条にこれに関する規定を設けておるのでありますが、その結果、これらに対する課税上の取り扱いは現行のそれと変わらない、かようなことでございますか。
○村山政府委員 納税義務に関する限り全然変わって参りません。それから、今の両罰規定の関係は、間接税についてのみ変わって参ります。従来はその規定を欠いておったわけでございますので、それが補充されるということになりまして、その分だけが、規定としては動いてくるという点だけが違いでございます。
○細田(義)委員 ただいまの御答弁によって、国税通則法に人格のない社団等に関する規定を入れることによって現行の課税上の扱いが変わらないということでありますと、この通則法の規定は、規定を共通的に整備をしたにとどまる、かように了解して差しつかえないわけですね。
 次に、通則法には、利子税及び各種加算税の軽減、合理化あるいは課税処分等に対する納税者の不服の申し立て制度の改善、間接税における申告納税制度の導入、所轄税務署の明確化、到達主義の緩和とか、租税債権の成立、確定等の法律関係の明確化、賦課権の除斥期間の合理化、各税における諸手続規定の統合等について規定を設けておりまするが、これらの規定によりまして、従来に比して納税者に不利なる点はないか。先ほど利益な点を申し述べられたのでありますが、納税者に不利に至る点、これは申し述べがなかったわけでありまするが、不利なる点は全然ないと言われるのかどうか、この点について伺いたいのであります。
○村山政府委員 全体的に申しまして不利になる点はないかと思います。ただ部分的に言いまして、従来利子税、延滞加算税とありまして、それぞれ三銭であったわけです。その延滞加算税部分が五%、これは百七、八十日になりますが、そこで頭打ちになるというところ、今度は四銭一本で頭打ちがない、それを二つに分けていないことからくる問題でございますが、それを二つに分解して、今度の新しい延滞税を二銭、二銭という観念で、その二銭部分について、その制度がない点はどうかという問題をもし制度として疑問にすれば、疑問になるかと思うのですが、実際の負担関係からいいますと、もちろんこれは利子税、加算税は相伴うものでございますから、それは不利になるとは申されない。また、これを一本にしましたのは、もちろんそれだけの理由があるわけでございまして、何も二本にしておく必要はないじゃないか、ここに書いてございますように、徴収猶予制度は今度は非常に手厚く設けられたわけであります。その上でなお本人の責めに帰すべき自由によって延滞している場合に、それは責めらるべき延滞税として観念していいのじゃないか。ただ、従来の利子税と合わせて六銭というところは無理だから四銭にした。だからその意味で、利子税と延滞加算税の二つに分ける考え方よりも、今度の力がわれわれとしてもわかりやすいのじゃないか。負担も結果的に軽くなる、こういうことでございます。
○細田(義)委員 ただいまの説明では、国税通則法におきまして、延滞税の割合を現行よりも引き下げて、納税者の負担を軽減しておるというのでありますが、その軽減はいつから行ないますか。また今までにすでに滞納になっておりまするものにつきましては、どのような取り扱い、どのような適用をなされるか、この点を伺いたいのであります。
○村山政府委員 これはちょうど四月一日からこの法律の施行を予定しておりますが、その四月一日を境にいたしまして、すでに滞納分のもの、それから今後更正決定等によって増差額が出てくる、それに伴う税もございます。三月三十一日までは旧法でいきます。従って、三銭の利子税と、延滞加算税、もちろんあとで決定した場合には延滞加算税というものはないわけでありますから、滞納分についてはそれでいきます。それから四月一日以降は、すでに滞納している分も、それから四月一日以降更正決定によった分も、全部そこは延滞税でいくということになります。ですから、期間計算はそこでぴっしゃりと切るわけです。ただこれだけの橋渡しはしてございます。従来から滞納になっておる税金にかかる附帯税のことでございますが、これは考えてみますと、その延滞加算税は五%でとまるという規定がありましたので、それの恩典はある程度それは継続させようという配慮だけ、施行前に滞納になっているものの従来の延滞加算税と今度の延滞税を通じて、その五%の頭打ちという点だけを調整してございます。そのやり方は、滞納になった税金の本税の五%で頭打ちになるわけでございます。従ってその五%相当知を出しまして、そして三十一日までは日歩三銭延滞加算税が計算されます。それを控除いたします。控除した残額が今度延滞税のうち二銭にかかる部分の最高限となることが、附則で定められています。延滞税のうち、残りの二銭部分はどこまでも走っていきます。こういうことで、ちょうど経過的のところでは、延滞加算税に相当する二銭部分と、利子税に相当する二銭部分というものを附則で書き分けまして、利子税に相当する二銭の延滞税部分はどこまでも走っていく。従来の延滞加算税に相当する二銭部分は、今言ったような計算方式で五%で頭打ち、こういう附則だけは設けてございます。
○細田(義)委員 この国税通則法案の第二条五号、ここでは源泉徴収義務者を納税義務者と定義しておるのでありますが、その趣旨は一体どういうことなんですか。
 それからこの問題はいわゆる違憲訴訟なるものがありまして、これを法制化することによって、一部いい意味においての助成をしておるというような向きに考えられている点もあるのでありますが、この点はどうなんですか。
○村山政府委員 この第二条の定義のところで、その五号、納税者の中に、その後段に、「源泉徴収等」これは特別徴収に、かかる通行税等、全部含んでいます。「源泉徴収等による国税を徴収して国に納付しなければならない者をいう。」本来の納税義務者のほかに源泉徴収義務者等もいうのだ、こう書いてございます。これは別段実体的な規定でございませんで、この通則法というのは、現実に国にだれが納付するのか、この義務の成立、確定をうたっているわけでございます。従いまして、これは現行法の規定で源泉徴収義務者になっておる、そのいわば納付義務があるわけでございます。それがいつ成立し、いつ確定し、それからそれがどういう段階で消滅していくかということをあとで規定しているわけでございますから、その点に関する限り、本来各税法でいう納税義務者がみずから納める税金であろうと、あるいは源泉徴収義務者が各税法でいう納税義務者から徴収して納める税金であろうと、その租税債権の成立、確定、消滅という段階では異ならないわけでございます。従いまして、これはあとの規定の便宜上、ここで一括してその者を納税者といっておるにすぎないわけでございまして、実体的の規定とは何ら関係ございません。
 問題は、今、後段に触れられました源泉徴収義務そのものが憲法違反ではないかといういろいろな疑問があり、また訴訟も提起されたわけでございますが、たしか二月二十七、八日でございますが、最高裁の判決で、これは憲法に違反することは全然ないので、当然憲法上の納税義務の中に含まれることであるということを、それぞれ詳細な理由を付して判決が下っておりますので、念のため、御参考までに申し上げておきます。
○細田(義)委員 次に、この委員会におきましても他の委員の方との間に相当の論議がかわされた税務職員の質問検査権についてであります。これがときに乱用にわたるというようなことから、その適正な行使を主眼としましての論議がいつも繰り返されて絶えないところでありますが、通則法の制定に際しまして、この点についてどう考えておるかといういうこと、この点についてお答え願います。
○村山政府委員 実はその質問検査権、これは主として申告納税でいいますと、まず原則的に納税者が申告されて納めるその課税標準あるいは税額が政府の調査と異なった場合には更正決定ができます。そういう意味で、主として申告納税でいいますと、更正決定に関連する手続規定の一部をなしているともいえるわけでございます。その意味で、税制調査会はそういう質問検査権のような手続規定は、統一的に規定する方向で考えてはどうか、研究しろという宿題があったわけでございます。そこで各税法をしさいに見てみますと、実は各税法ごとに質問できる相手方が全く違っているわけでございます。これは物税と人税の違いから、非常に広範に出て参るところでございます。それから検査権の内容を見ましても、これまた非常に違っているわけであります。そうしますと、統一的に規定しろといっても、そこはずらっと並べるだけになりまして、それだけの意味はない。そういう意味で、あえて並べることはやめた。それで乱用防止という問題がございます。しかし現在も必要あるときはとか習いてございまして、現在の規定でも乱用してはならぬということは当然だろうと思うのでございます。それを一々乱用してはならぬ、乱用してはならぬということになりますと、またその法規の形から申しましても、税法だけがなぜそういうことになるのかという問題もございます。そういった点で、とりあえず今度その点を規定しなかったことは以上のような理由でございますが、いずれにいたしましても、これをいじるというようなことになりますれば、さきに申しました見合わしたその他の事項と同じように根本的の検討の必要があろう。現在の規定は、物税あるいは人税の建前でそれぞれできている。たとえば酒税法等でいいますと、いろいろな見本徴収権とか運搬人に対してもできるとか、非常に強力な権限があるわけでございます。この点、人税とは全く違っておるわけでございます。そういう意味で、そう急にこれを並べてみても仕方がない、またそう急にこれを統一するということはどんなものであろうかということでございまして、その統一の必要があるにいたしましても、さらに他のものと同じように根本的な検討を必要とするであろうという意味で今度は見合わしたわけでございます。
○細田(義)委員 まあ何々をしてはならないというようなことを一々書けない、そういうことはできないというようなお話しでありまするが、私は一々あげる繁を省きまするが、他の法令でも職権の乱用あるいは訓示約な規定を設けておる法令はないということではございません。そういうような点から私は包括的と申しますか、総括的と申しますか、職権乱用に関する罰則というのではなく、訓示的な宣言規定を一条入れることはいいんじゃないか。税務職員が主税局長のように人格円満練達堪能の士でありますればまあまあでございまするが、なかなか出先へ行きますと、それは荒っぽいのがおるのですよ。そういうことで、私は訓示的な規定を挿入することはいんじゃないか、こういうふうに思うのですが、お考えはどうですか。
○村山政府委員 入れましても、おそらく宣言的あるいは訓示的規定になろうと思います。先ほど申しましたような、たとえば実質課税の原則の規定、これもまた宣言規定を考えておったわけでございます。そういうものがなくてももちろん読めるのでございまして、入れれば入れたで、それの解釈をめぐっていろいろな問題がある。特にこの規定が入っているのはどういう意味かとか、やはり各税法あるいは各法規との平仄もあろうかと思います。実際申しますと、とりあえずそれを入れるほどのことはないので、当然そう読めるということを入れることによって、なぜほかの法律と違って入れているかというような問題、ちょうど実質課税に関する宣言規定と同じ問題をめぐって非常な紛議を起こすであろう。いずれにしても、もしやるとすれば実体的な統一規定というものが問題になりましょう。これはまた相当研究しなくてはならぬ。そういう意味で両方とも見合わせたというのが実情でございます。
○細田(義)委員 これは俗な言葉を持ち出すのですが、現在十七才とダンプ・カーと何とかは一番おそろしいとなっているんですよ、この通則法は、そういうようなことで、少しは納税者の御都合がいいようなお話が相当多いわけでありますが、税務職員の行き過ぎについて何か一つは振り返って考えるような規定を――これは一つの宣言にすぎませんが、置くことも私はいいのではないかという気がするんですよ。これは一つ、みんなおれの部下は信頼するやつで、りっぱなやつばかりだということでなしに考えてもらいたいと思います。
 次に、通則法におきましては附帯税制度について根本的な改正を行なって、現行の利子税あるいは延滞加算税、こういうものを統合しまして一本の延滞税とするとともに、その負担を現行の日歩三銭及び六銭から日歩二銭及び四銭に引き下げることになったことは、先ほど村山さんの御説明の通りであります。ところが現行法では、法人税におきましては所得の計算上利子税は損金に算入することとされておりますのに対しましては、所得税におきましては、これを必要経費に算入しないという不統一があるということで、通則法では両者間の負担の公平をはかるため、こういうようなうたい文句で法人の損金算入はやめることにしております。従って、法人税においては実質的に負担増となると考えられるのでありますが、この点はどういうことになりましょうか。
○村山政府委員 お説の通り現行法では延滞加算税は両者とも損金には認められません。利子税につきましては、法人税法では損金に計上し、それから所得税法では損金に計上しない、こういう扱いになっております。そこでいう利子税は、今度新法でいう利子税――これは延納の場合のほかに滞納した場合の、さっき言った三銭部分の利子税、この二つを含んでいるわけです。今度やりましたのは、実はその滞納の場合の遅延利息に相当する利子税と、それから延滞加算税を統合して四銭にしたわけでございます。滞納のない人にとってみますと、これは大部分の法人は滞納しない方が多うございますが、これらの人が有利になることは当然でございます。ただ滞納したものについて損金に認められないのは従来より不利にならないか、こういう問題でございます。実はこれは通則法の問題ではなくて法人税法の問題であるわけでございまして、法人税法ではその点は、よく考えてみますと、今度一本にするということにいたしますと、いずれにしても、従来から私はそうだと思うのですが、分ける理由なし。それからどちらにしても本人に責めのある税金である。だから損益発生理論から言っても、当然その事業の負担として損金として引くべき筋合いの問題ではない。われわれ知っている限りにおきまして、従来なぜそれならば法人について利子税を引いておったか、このときにはこういう議論があったわけでございます。たとえば、なるほど損金に算入しないとしても、銀行から納税資金を借り入れてやれば、その分は肩がわりするわけですから、銀行の借金の利子に対しては結局損金に算入せざるを得ないじゃないか。だから、そういう意味で実効がないという考え方がございます。それから従来法人税の損金の問題につきましては、損益計算的の立場より主として資産増減的の立場に立った時代の法制であったわけでございます。その両方から利子については個人は認められないが、法人はそういたす、こう書いてあります。考えてみますといかにも理由のないことで、もしそれならば本来損金に認められない罰金であるとかあるいは所得から処分すべき法人税そのもの、これはもちろんその分は、損金に認められるわけでございますから、これを納めるために借金して納めたらその利子はやっぱり損害になるじゃないか、それだから法人税なり罰金を損金にするのかと言ったら、そうはならないというのと同じでございます。そういう理由からはならない。むしろ実体からいって、それが企業の負担として、企業の法人なら法人の損益計算上の損金であるのかどうかという実体の一語に尽きるのだろうと思います。よく考えてみますと、徴収猶予をこれだけ手厚くしてあるわけでございます。これで見ますと三年二カ月くらい最大延びる規定になっておるのでございます。その上延滞税は理由がある場合には免除しているわけでございます。その上での、理由なしとして免除しない場合の延滞税の話でございます。それがどうして一体企業の損益計算上個人と違って損金にしなければならぬのか、それは理由がないであろう。そういう意味でこれを機会に両方とも新しい延滞税につきましては損金に算入しない。そのかわりに新しい制度のもとにおける利子税、つまり相続税の延納の場合の利子税であるとかあるいは法人の半分は納期までに納めますが、あと三カ月間半分は分納できます。そのときの利子税、これはいずれも二銭になっております。それから個人の確定申告の利子税、予定納税額の一・二倍以上オーバーした場合に、一・二倍をこえる場合に、一・二倍まで納めればそのこえた部分については延納を認めます、九月木まで。その部分についても同じように二銭の利子税をつけておるわけでございます。こういう新しい制度のもとにおける利子税につきましては、法人、個人を通じてそれぞれ事業を営んでいるものについては必要経費としてあります。といいますと、結局法人と個人を同じ扱いにしたということでございます。新しい延滞税については損金に算入せず、それからそれ以外のものについては、利子税についてはいずれも損害金に算入する、そういう措置をとったわけでございます。全体から申しますと、法人は軽減になったと思いますが、滞納している人について言いますと、従来は三銭の利子税、延滞加算税三銭、それから利子税が三銭、これが半分でございますから、四銭五厘になるわけです。その問題になりますが、全体としては今度の方が有利になろう、こういうふうに考えております。
○細田(義)委員 その点よくわかりました。そうすると気がつくのがおそかったということなのか、出るのかおそかった、こういうふうにもとれるのです。これは議論しようと思っておるわけではありません。
 次は、行政事件の訴訟法が制定されますると、先ほどもちょっと説明がございましたが、一般的に訴願前置主義が廃止される、こういうことになるようでありますが、税務の争訟についてはどう考えておりまするか。もし税務争訟に訴願前置を強制するとすれば、納税者の権利、利益の救済に著しい制約が加えられるというようなことも浮かび上がって参るわけでありまするが、こういう点はどうお考えですか。
○村山政府委員 現在この国会に提案いたされております行政事件訴訟法、これではお説のように取り消しを求める物体については、原則として訴願前置の従来の方針を排除しております。ただし他の法令で特別の定めがある場合はこの限りでないということになっております。これは緊密に向こうの方の調査の方と連絡したわけでございますが、税務のように絶えず行政処分が定期的に行なわれる、しかも大雄なものである、しかもこの解決につきましてかなり技術的な、専門的知識を要する問題については、一々訴訟に持っていくということは、これは納税者の側にとっても国にとってもいたずらに無用なる手数を重ねることになるので、この点はやはり従来の訴願前置主義を貫いた方がよろしい、こういう結論でございまして、従来通りやっているわけでございます。ただひとり税法に限らず、農地法の関係あるいは食糧管理法の関係等につきましてもこれはまた同様になると思います。要するに、大量にその行政処分が出てくるもの、しかも専門的なもので、一々裁判に行きますと、訴訟費用がかさむ、時間も悪く申しますと空費する場合もあるわけでございます。ただその場合に、いつまでもぐずぐずしておったら訴訟にいけるとか、そういう道はもちろんそれそれの法律の中で設けられているわけでございます。そういう意味で、今度は税務争訟の特異性にかんがみまして、訴願前置主義をとることにしたわけでございます。
○細田(義)委員 今国民の立場から申すと大量である、また長引く、手数がたくさんかかるということだけでは割り切れないわけでございます。と申しますのは、そのこと自体を争っている御当人は一人であります。受ける方の役所はたくさんでございますが、利害関係を痛切に感じて訴えを起こそうという者は一人でありますから、十ぱ一からげのような考え方でやられては国民の側はたまらぬということになるわけです。そこでその点を私は追及をしようと思いませんが、問題として重要になって参りますやつは、この協議団の制度をいかように活用して参るか、これによってあたたかい愛情をもってさばいてやるということになりますれば、訴訟にいくというよりはこれは手っ取り早くてありがたいわけでございます。私はそういう観点から協議団の制度につきましては、協議団の第三者的な性格を一そう明らかにする必要がある、こういうことをやはりお述べになっておりますが、通則法におきましては、国税庁長官または国税局長は不服申し立てについて決定または裁決をする場合には、協議団の協議に基づいてこれをしなければならないとし、その他協議団の運営に関し必要な事項は政令で定めることといたしておりまするが、しかしながら、協議団制度をもっと公平な第三者的な性格のものにするためには、これにたとえば裁判所で調停の制度を採用しておるというような事例もあり、その他そういう意見を相当尊重しながら審決なり裁決をしていくということもないわけではありませんので、こういう面に明るい理解を持った人を、民間人を加えるということによりまして、一そう納税者に納得のいく、信義が求められる、こういう点については政府としてはどういうお考えをお持ちであるか、役所の協議団の諸君をどうこうというわけではございませんが、練達たんのうかもしれません、がさて国税局長に隷属するような立場、あるいはもうくたびれた諸君もおるわけです。そういうことでおれたちのあれが正しいと突っぱるようなことを求めても多少無理なようなところがあるわけです。そのときにあまり気のいいやつが飛び込んでも大へんでございましょうが、税務についても理解がある、事業の経験も持ったことがあるというような、また社会で尊敬されるような、いわゆる調停委員みたいなものを入れて、一段と納税者か信頼を持つ、あの人までが入って、そのような審決なり、裁決なりをしてくれたんだから、もうおれは何も言うことはないということで、往生のできますようなことが考えられてしかるべきではなかったか、こう思うのでありますが、いかがでございますか。
○村山政府委員 実はその点につきましても、税制調査会でもって非常な広範な角度から議論が行なわれておるのでございます。一つの観点は行政機関の救済の段階でも、できるだけ第三者的なものにしたらどうか、こういう角度でございます。それともう一つは、できるだけ能率のいいものにしよう、お互いに時間もない。また費用のある、費用を使っても差しつかえない納税者ばかりではございません。そういう意味でこの両方の要請をあわせ満足するには現実的にどういう方法があるか、こういうことについて議論されたわけであります。第三者的なものにするという意味で二つばかりございまして、一つはほんとうにやるのなら租税裁判所のようなものにしたらどうかという問題、それから今度は昔のようなものにしないで、あくまでも現在の行政機関としての救済手続によるのだが、一般の民間の人を加えたらどうか、こういう問題、これは両方あったわけでございます。これに対しましては第三者、納税者を加えるということは、これはシャウプのときにもずいぶん問題になったわけでございますが、何分にも税法というのはかなり技術的な問題、専門的な問題でございまして、気の毒だからどうだということに直ちにいかないで、その点は立法で解決しているのだ、こういうことでございます。その際いろいろ議論になりましたのは、戦前における例の調査会の現実の運営については相当弊害面も出てきておる、こういう点も増えられますし、民間の人を加えるという意味は、事柄の性質から言ってどうもなじまないのじゃなかろうか。それから租税裁判所の問題については、何といってもテンポがおそいのと費用かかかるということと、その改正は大へんなことであるということで見送りになっておるわけであります。それなら現実的な方法としてどんな方法があるかということになりますと、結局今の協議団の制度を、運営においてはもちろんでございますが、制度において第三者的な性格を一歩前進させるということ、並びに運営について若干の配慮が加えられないものか、こういうことであったわけでございます。調査会で議論になりましたのは、現在の法律では国税局長は協議団の議を経て決定しなければならないということは、経るというのはいかにも経ても違った決定をしても差しつかえないごとく見えるから、少なくともそれは尊重の趣旨を出すということは第三者的な性格を強くするということで、基づくくらいのところまで行かなくちゃいかぬのじゃないか。もとよりこれは行政官庁の一部でございますので、によりということにはなかなか参らぬわけでございます。そこで行政機関としての限界があるわけでありますが、基づいてくらいのところでやっていくことが現実ではなかろうか。さらに調査会で出ました問題といたしましては、場合よっては、とても国税局に全部設けるというわけにいかないだろうが、国税庁の方で御研究になって、たとえば、これは官制によるというわけじゃないけれども、あるいは運営によって良識ある人たちを入れて、ある典型的な例の御判断を得て、それからまた一つの審査なりこの救済手続を遂行する意味においてある種の実行上の手がかりを得るという道もあるのじゃないか。そういう道も、これは法律にはとても無理だろうけれども、運営上はまずどんなものだろう、こういうような議論がありまして、これはわれわれ国税庁の方にもそれぞれそういう方向、そういう意見があったということ、それからそういう問題について今後検討することはどんなものであろうかというようなことをよりより御相談しているわけでございますが、法律の改正といたしましては「議を経て」というところを「基づいて」というところに、それらの問題を検討したあげく、こういう少しでも第三者的性格を出したいというのでそこまで持っていったわけでございます。
○細田(義)委員 他の質問者もあるそうでありまするから、この辺で最後に一つお尋ねをしたい。と申しまするのは、私ども、野党の皆さん方の活発な御議論にお願いをしておりまして、ふだん傍聴ばかりしておって、なかなか申し述べる機会がありませんので申し上げたいことは、他の面におきましては同僚あるいは私も機会を得ましてお尋ねをしたいと思うのでありますが、この税法その他について言えることは、法は国民全体に平等でなければならぬわけでありますし、そうなっておると思うのでありますが、さて、国あるいは公共団体と個人、納税者、国民、こういう間におきましての法令というものは必然的に当事者が必ずしも対等だと言いがたいように、これは国家の運営なりいろいろの点から考えまして無理からぬ各国の法制に共通な点でありますが、どうしても権力規定というものは、その受ける方の国民が弱い立場に立たされる、これが通例であります。そこで、この法の運用特に財産の一部を国家に奉納してもらうということが税でありますから、これをかけるという、この税法を運用する、こういう人たちは非常な権限を持つわけであります。片方は、中には小さな会社なんかでは、率直に言いますが、もうおれは専務とか社長はやめたい、一年に一ぺん税務署に出されてやられるのはとてもかなわないから社長なんか要らない、こういうことを訴える諸君さえあるくらいであります。これはむずかしいことでありますが、国民に臨み、納税者に臨むという態度は、先ほど来申し上げたように、記帳せよといっても、恥をかいたりする方が簡単でいい、書く方はどうも得手じゃない、世上こういうことでございますから、よく申し述べて、よく納得をせしめまして、税務署に行けば話はわかる、おれはやはりもうけているのだから、向こうで言うのがほんとうだというようなところまでいかなければ、何かおそろしいような気持で行くようなことでは税務行政いまだしです。私ども多少その道で苦労した経験がありまして、わからないやつは全くわからないで困ることがありますが、しかし一般論といたしましては、この公法の関係においては対等に規定されていない。権限は国家機関がもう何割か上位に立っておるということで、お互いの仕事が進むわけでございますから、納税者の立場というもの、法制がどうあるにかかわらず、この取り扱いというものは、私は愛情を持ってやってもらいたい、こう思うのであります。
 なかなか質問の機会がございませんから、国税庁長官にもこういう点をお願いをしておくわけでございます。
 本日の私の質問はこれで終わります。
     ――――◇―――――
○小川委員長 酒税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の通告があります。これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 本日は酒税法の改正の問題の中で、特にみりんの関係の問題だけについて少しお伺いをいたしておきたいと思います。
 最初にお伺いをいたしたいのは、このたびの税制改正によりまして、みりん甲類というのは本みりんと直り、みりん乙類というのは本直しということに名称が変わっておるようでありますが、これはなぜこういう名称の変更が行なわれることになったのかお伺いいたしたいと思います。
○村山政府委員 これは従来でも甲類、乙類という税法上の分類にかかわらず、世上ではみんな本みりん、本直し、こう言っておったわけでございます。従来これは類別になってございます。酒類の種類それから品目、級別となっておるわけであります。それではその類別を置くだけの法律上の理由はあるか、こうなりますと、税法上の効果は何もないわけでございます。そこで類別は全部廃止してしまう、これは何も法律的に意味がないので、いたずらに頭を複雑にするだけでありまして、これを品目に落としまして、その際に同時に甲類、乙類と言ってみても、人が聞いてもわからないわけでございます。何が甲類、何が乙類か。そこで言葉ですぐわかるように本直し、本みりん、こういうことで類別を廃止して品目別に落とす、名称をわかりやすく通常の言葉に改めたわけでございます。
○堀委員 そこで私しろうとでよくわかりませんが、みりんというのなら、普通われわれみりんと言うておるのですが、ここに本みりんというのがあって、その次に本直しとありますが、これは一体どういうことでいう名前がついておるのか、ちょっと御説明していただきたい。
○村山政府委員 私もその言葉の由来はわかりませんが、みんな本みりん、本直しと呼んでおるようでございます。本直しの方は、また俗に柳蔭とも呼んでおるようでありますが、酒類団体等あるいは専門家の間では本みりん、本直しと呼んでおります。特にみりん直しということもなかろう、やはり通常の言葉に従ってやったということでございます。
○堀委員 語源のところがよくわからない名前が、ただ慣用上ここに法相として使用されるということについて、ちょっと私、一点伺っておきたいのですが、本みりんというのは何かわかりませんが、みりんという種類の名称でしょうから、これはいいとしまして、本直しというのについては、これは何か語源上の理由があろうかと私は思います。本みりんの方はいいです。本直しというのは、なぜ本直しというのか、そこをちょっと伺います。
○村山政府委員 私も今開いたところで、どうも確定説ではないらしいのですが、従来みりんが腐敗しそうになって、それでしょうちゅうを入れて飲んだ、つまり腐敗を直すという意味でしょうちゅうを入れたというところからこの本直しという言葉が発生したという説があるということでございます。
○堀委員 これは私がこれから論議をする中でちょっと重要な問題だと思うわけであります。それは本みりんと本直しと二つあって、本直しというものが出てきた経緯は、おそらくや今主税局長がお答えになったように、みりんが腐敗をしそうになる、そこでアルコール分を添加することによって腐敗を一つ除こう、まあ腐敗するのを防ごう、こういう考え方で、経過的には、本直しというものがそういう現象的な面とのつながりで出てきたのだというふうにやはり私も理解をするのが正しいのではないか、こういう感じがいたします。
 そこで、そこまで参りましたのでもう一点伺いたいのですが、これは国税庁の方にお伺いをいたしますが、昨年でございますか、名古屋国税局と名古屋県立工業試験所でございますか、何かそういうところからみりんのアルコールの度数は現状の十三度ぐらいのところではどうも少し安定でないといいますか、今の味が変わるといいますか、そういうおそれがあるというような、何か上申書というのですか、証明書というのか、そういうものが国税庁に出されておるやに聞いておりますが、その間の実情をちょっとお伺いいたしたいと思います。
○上田説明員 名古屋、国税局管内には、御承知のようにいわゆる旧式みりんの業者が多いのでありますが、その方たちの御要望として、現在われわれの方で指導いたしております十四度未満というような度数のみりんでは白濁を生じやすい、従って十四度をこえる、十四度二、三分のもので出さしてほしいという陳情書が参りまして、名古屋局ではどうしたものだろうかという上申書が参りました。
○堀委員 工業試験所の方でも何かそういうことに対して意見が出されておったように聞いておりますが、それは国税庁までは届いておりませんでしょうか。
○上田説明員 私の記憶いたしておりますところでは、試験所というような形での陳情とか上申は来ておりません。ただ、私たちの方では、名古屋局のそういう意見に対しまして、私たちの方の醸造試験所の先生方にその由を確かめたことはございます。答えは二、三分の違いで腐るというようなことはないという答えでございます。
○堀委員 酒類というものが、今、度数を非常にやかましく、いろいろお話が出ておるわけですが、本みりんというものはこういうやかましい税制か行なわれる前は、大体どのくらいの度数が慣行上作られておったとか、そこらはおわかりでしょうか。
○上田説明員 先ほど申し上げましたように、従来は税法でも十三度ないし十五度というものが一般市場に出るみりんと考えておったようであります。それで私たちが調べましたところでは、十三度台で出ているのが主であって、従って、行政指導としては十四度未満ということで行政指導をしてきたというふうに考えております。
○堀委員 そこで十三度より十五度の幅で過去には大体出てきておった、それを十四度未満に押えなければならなかった積極的な理由は何でしょうか。
○上田説明員 現行の税法によりますと、十五度をこえる場合には税金をよけい取るというふうに書いてあるわけであります。十三度と十五度の間に二度ほどのアローアンスを置いてあって、そのまん中あたりを中心にした方がいろいろな違反や何かの問題が起こらなくて済む、そういうような趣旨で十四度未満というところで行政指導したように私は承知しております。
○堀委員 今の御答弁で十三度から十五度まで区切られて、十五度をこえると一度ごとに一万二千九百三十円とかを取るというのが現在の税法でございますね。そうすると今の御答弁では、その中のちょうどまん中の十四度のところをとる方が――あまり上に出る幅があるから、その点で十四度をとったのだろう、こういうお話ですね。それで一応そういうことになりますと、行政指導としては十四度未満のものを出すような指導が過去になされておったわけですね。そうしますと、私今の御答弁がよくわからないのですが、十五度まではみりんの今の法律では十四万円になっておるわけですね。それをなぜ十四度までにしたかというと、十四度九分というようなものが出てくると、場合によっては十五度をこえて、そこらが非常に確認をしにくいから十四度のところで抑えて、上にアローアンスを一度持つ、こういうふうに理解してよろしいのですか。
○上田説明員 従来の指導はそれの懸念を考えて一度置いたようでございます。しかし先ほど申し上げましたように、名古屋からの陳情がございましたので、名古屋の事情をよく聞きますと、十四度二、三分で出したらもっと現在の生産方法に適合しているということでございましたので、法律上は十五度まで出せるものを行政指導で十四度で無理して抑える手はあるまいということで、十四度二、三分を認めました。
○堀委員 どうも私そこがよくわからないのですが、法律で十五度までになっているのをなぜ過去に十四度未満で押えたかという積極的理由は、実は非常に薄弱なんです。しかし私は、国税庁が長年の方針でおやりになったことでしょうから理由があると理解いたしております。長官よろしいでしょうか。名古屋からそういうものが出てきたけれども、出る前はともかくも、十五度のところでぴしっといくのはどうもうまくないから十四度でとめておけば一度のアローアンスがあるので、多少オーバーしてきても十五度をこえる点は非常にはっきりするので、そういう意味で十四度に行政指導してきた、これはごく最近までおやりになっておったからそういう基本方針は国税庁では長くあったのでありましょう。これはたまたま名古屋から出てきたから御変更になったが、一つの基本方針のように理解してよろしいですか。
○原政府委員 そう御理解いただいてけっこうだと思います。ただそういう場合に二度の幅というものがいいのかどうかというようなことについては部内では相当議論があったということを記憶いたしております。それから度数をチェックします場合に、機械の精度か〇コンマ何度と、〇・一度あるいはさらにそれより低いところを非常に精密に確認できるかどうかということも問題でありまして、私もテクニカルなことは必らずしも強くありませんが、どうも機械の精度は案外鈍いということを聞いております。何か〇・五度くらいの誤差ということは覚悟してやらなければいかぬ。常にそれだけ誤差があるわけではないでしょうけれども、間々そういうことがあるというような話も聞いておりますので、これは精度もあわせてお考えいただくということではなかろうかと思います。
○堀委員 主税局の方にお答えいただきますが、時間がありませんので現在の法律を全部、十分目を通しておりませんが、二度刻みになっておる部分は、現在の法律の中で、このみりん以外にありましょうか。
○村山政府委員 基準石数よりも基準度数をこえた場合には、原則として二割の加算税率を適用しておりますが、その加算税率を適用する場合のアローアンスとして認めておりますのは、みりん以外でも、酒もそうでございますし、合成もそうでございますし、すべて二度のアローアンスということでいっております。
○堀委員 そこで、今酒も合成もみりんも現状ではアローアンスが二度ということになっておるということを伺ったわけですが、一体アルコールの度数――私ちょっと調べてみたのですが、アルコールの度数と税制の関係は必ずしもぴしっと並んでいないのが現在の酒類の税制の実情ですが、そこで酔うための飲料としての酒類といいますか――しかし酔いというものはどこからくるかというと、これは医学的にアルコールの度数できます。だから、私は酔うための酒にはある基準として度数が相当にものを言うことはよくわかります。アンバランスはありながらよくわかるわけです。そこで一つお伺いをいたしたいのは、今度みりん甲類は現在十四万円の課税が本みりんになって六万七千七百円に、減税になるわけですね。これは減税率として約五十何%、ちょっとよく計算できませんが、お答えいただきたいのですが、一体これが今度の酒税の中の最高の減税のパーセンテージじゃないかと思うのです。これが最高で、その次にくるパーセンテージは一体幾らになるのか。
○村山政府委員 今のみりんは、おっしゃるように五一%の減税でございます。その次はしょうちゅうでございまして、甲乙とも減税率で嘉一%でございます。
○堀委員 その次は大体どのくらいでしょう。
○村山政府委員 きょうは通則法だけだと聞きまして、今資料を全部持ってきておりませんが、その次は合成だろうと思います。これが二八%。それから清酒の二級も二四・五%くらいだろうと思います。ビールが一四%くらいというところでございます。
○堀委員 そこで、実はこの減税の状態を見て非常に特徴的なのは、今度の減税の中ではみりんの減税と、このしょうちゅうの減税が他の部分に比べて大きく減税をされておる。そこで一体なぜみりんはこれほど大幅に減税されたのか、なぜしょうちゅうはこれほど大幅に減税されたのか、その理由をちょっとお伺いしたい。
○村山政府委員 これはむしろ各酒類ごとにどれを最も減税する必要があるかというところがら実はスタートしたわけでございます。そしてそれは小売価格で単位当たり容量で幾らくらい下げることを目標にするかというあたりから出発していったわけであります。それで、たしかしょうちゅうの場合は今ちょっと表を持っておりませんが、そういうふうに一升当たりの単位量でずっとやりまして、そしてその減税率がいわゆる大衆酒といわれるものが最も強くなるように、そしてその絶対額をある程度想定いたしてやっておるわけでございまして、それで結果的に出てきておるということでございます。今の本みりんのところは本画しの方の税率から、これはみりんとしょうちゅう二対一の割合で出しますものですから、しょうちゅうと本直しの方がきまりますと、これは算術計算上みりんが出てくる、こういう計算で機械的に計算しておるわけでございます。
○堀委員 そうすると、みりんの減税は、しょうちゅうの減税がまず先にきまり、その次に本直しの減税率をそれにバランスをとって直して、それから結果的にみりんの減税が出てきた、こういうわけでございますね。
○村山政府委員 まあ算出過程で申しますとそういうことでございますが、みりんそのものという性質も同時に考えて、その結果的にそれでいいかどうかという点も見ているわけでございます。
○堀委員 そのみりんの性質はどういうふうにお考えになっておるのでありましょうか。
○村山政府委員 調味料にも使われるが、本直しの材料にもなる、それでアルコール度数は今のところ十三度から十四度くらいのものである。それを飲めばやはり多少酔う……。
○堀委員 そこで、ちょっと伺いたいのは、私はここがよくわからないのですが、本直しという酒類は、これは本直しとして出ているのだろうと思うのですが、みりんはみりんとして出ておる、本直しは本直しとして出ておる。そうすると内分の家でみりんを買ってきて、しょうちゅうを買ってきて割って飲むというのは別ですけれども、本直しというものはみりんとしょうちゅうが入っているからどうということではなくて、それ自体一つの――本みりん、本直しとここに皆さん名前を違えてつけておることが、そこが私一つの酒類だと思いますが、そう解釈していいでしょうか。
○村山政府委員 みりんの中の一つの品目に、前は類別でございますが、みりんを分けまして本みりん、本直しという品目になります。
○堀委員 そうすると、本みりんと本直しとは品目としてみりんの中に二つあるわけです。だから、今ちょっとおっしゃった中で、本みりんにしょうちゅうを入れて飲むかどうかということは、これは別の問題であって、私はみりんはあくまでみりん、本みりんは本みりん。だから、今アルコールがあって飲めば酔う、これは十三度あたりから飲むとちょっと酔いますが、本みりんというものを、さっき私が言った酔うためのアルコール、酒として、一体日本人は慣行上飲むかどうか、その辺からちょっと伺っておきたいのです。
○村山政府委員 みりんだけを、酔うために飲むということはないだろうと思います。
○堀委員 私もそうだと思います。飲用として使う場合は、おとそに使うのが精一ばい、あとは加工材料としては使われるでしょうが、そのものは飲まない。そうすると、さっきおっしゃった、みりんの性格を配慮してということは、調味料としての性格を配慮したということがほとんど大部分になる。今のお話をずっと詰めていくと、そういうふうに受け取れることになってくるわけですが、どうでしょうか。
○村山政府委員 調味料としての性質もあるし、本面しの原料として用いられるという性質もある。この二つで、しかもアルコール度数は十四度くらいである、こういうことでございます。
○堀委員 ちょっとそこがどうもわからぬですね。本直しの原料として、こうおっしゃるでしょう。しかし本直しというのは、一つのみりんの中の品目としてあるのだから、本直しと同じようなものを作る意図を持って、みりんとしょうちゅうをまぜるときの原材料になる。こういうことであって、本直し自体は製品なんだから、われわれがみりんを買ってきて、本直しを作ることはしないと思うのです。本直しというのは、あなたがおっしゃったように品目ですからね。これは本直し用のものを作る場合と、こういうことになるのじゃないですか。
○村山政府委員 しょうちゅうはしょうちゅうという種類でございます。それから今言っているのは、本みりんの話をしているわけでございますが、これはみりんの方の品目でございます。この両方をまぜて、みりんの本直しという品目を作るわけでございます。
○堀委員 私が申し上げておるのは、それを作るところは、出荷する以前か以後かということなんです。ここはこういう税制になっておるのだから、本直しを作る前提の段階として、なるほど本みりんは使われるかもしれません。われわれがまぜ合わせるのじゃなくて、業者の中で原料として使われるかもしれないけれども、使われたものはみりんとして使ったとしても、あなた方の方は、さっきのお話でいくと、しょうちゅうの基準をきめておいて、本直しの基準をきめておいて、その基準をきめてからみりんがきたのでしょう。価格の形成の過程を言うと、こういうふうにきているのだから、そうするならば、考え方として言うと、本直しというのは一つの酒として作られる、価格形成される部分があって、みりんの方からスタートしていないということだけはわかっておるということになると、みりんは添加物としてはあるけれども、本直しの主体は、あくまで私はしょうちゅうだと思うのです。今のあなたの積算の過程を見ると、しょうちゅうの価格があって、それに見合う本直しの価格を見て、もちろん調味料その他の性質を加味したとおっしゃったが、積算の過程は、そういうことできたということは、土台がしょうちゅうで、そこでバランスを見て、そしてその次にみりんへと、こうきたのだということは、やはりあくまで本直しというのは、本みりんの中の品種ではあっても、この過程としての土台は私はしょうちゅうだ、それにみりんが添加をされておる、みりんの方へしょうちゅうを添加したものじゃない、今の価格形成の過程を聞きますと、こういうふうに私は理解するのです。
○村山政府委員 さっき申し上げましたように、本直しというのはみりんの中の一つの品目である。そうすると、本直しと全然種類を別にするところのみりんというものと、種類を別にするところのしょうちゅう、この混合物を、みりんの一つの品目として本直しと呼んでおるわけでございます。そこで、今の本直しとこういっているのは、もちろん想定しているのは、製造所を出る前にそれが混合されて、一つの本直しとして移出され、販売されることを考えているわけでございます。一方消費の直前で、消費者が交ぜて飲む、これが製造品かというと、これは製造からはずしております。カクテルを作る。お前は酒を製造したじゃないか、こうは申しません。御案内のように、今の本直しというものは比較的簡単なものでございまして、消費の直前に製造して、やはりそれを飲む人もあるわけでございます。昔のおばあさんが飲むそうでございますが、それは商品として出ているわけでございます。そこで、庫の中でもって作れば本直しとしての税金がかかる。そういう関係がございまして、消費の直前で本みりんとしょうちゅうとまぜても、やはり本直しはできるわけでございましょう。しかし、これはいわゆる酒類の製造とは見ないわけであります。従って、課税する段階として考えてみますと、その原料になる本みりんは、庫出しのときしかないわけです。そういう意味で、やはり本直しというものは、みりんとしょうちゅうをまぜたものに違いないけれども、税率の盛り方のときに、なぜそういう計算をしているかというのは、今言ったように、倉の中でもってまぜた場合、それから消費直前でまぜた場合、おそらくその負担のバランスを考えておるのだろうと思います。しかし一方みりんというものは、調味料にも使われておるという点を考えまして、度数の割合には比較的安い税率で、そして減税率なんかも一帯強い減税率――これは三十四年にも減税いたしましたが、そのときにも、たしか半分くらいにしたわけであります。
○堀委員 私がここを非常にこだわっておりますのは、本みりんというものは、今の酒類の全体の姿から見まして、ざっくばらんに言いますと、本来酔うための酒類ではないということを言いたいわけです。結局しょうちゅうというのは味がないから、それに非常に濃いエキス分を持っているみりんを少し加えることによって、比較的安価に酒に類似した、酔うための酒類を飲むということに、これは私は習慣上なってきておるということだと思うのです。そうすると、料理に使うにしても、あるいは酒の方の飲料に使うにしても、調味料的な役割が主体であって、本来それ自体では、酔うための酒類という性格は、きわめて乏しいということを確認したいということなんですが、どうでしょうか。
○村山政府委員 そこが非常にむずかしいわけでございまして、もちろんそれは酔わなければ話にならぬわけでございましょうが、うまく酔いたいというところに問題があるわけでございます。御案内のように、やはり好き好きでございますが、エキス分の高い酒類を好む人もございます。リキュールのようなものが一番好きだという人もございますが、それぞれ所要の税率を盛ってあるわけでございます。ですから、本直しの中のみりんは、それは味つけだから飲料とは関係がないということは言えないので、やはり今言ったようなブドウ酒にいたしましても、それから特にリキュールにしても、エキス分を高くした方が好きだという人もございますので、その味をつけてある。だから、やはり本直しというものは、そういうエキス分の高いものをまぜたような味の飲みものだということに、統一的に考えるよりしようがないじゃないかという感じがいたします。
○堀委員 私は、もちろんアルコールが十三度も十四度もある液体ですから、これは飲めば酔う、酔うためには飲めないけれども、飲めば酔う、こういうロジックが成り立つと思います。だから、その意味で酒税法の中で規制をしなければならぬということについては、私はそれでよろしいと思います。ただ、私がなぜそういうふうに非常にこだわっておるかというと、みりんというものは、その他の酒類に比べると、ちょっと趣を異にしている点があるということを、まず明らかにしておきたいという点が第一点であります。
 そこで、そこまで参りまして、いろいろとみりんを作っていらっしゃる方の内容を調べてみたのですが、ちょっとそこでお伺いをしたいのです。主税局でも国税庁でもけっこうですが、みりんの業者というのは、非常に大きいところと小さいところがあるようですが、ちょっときのうも私お伺いしてよくわからないのは、全体のシェアの中で六割を宝が持っておる。約一割三分くらいを野田が持っておる。その他は非常に小さいけれども、さらにその小さいのが二一%ほどあるのですが、この二一%というのは大体どのくらい平均作っているのか、一場当たりで大体どうなるか伺いたいと思うのです。
○上田説明員 この小さい二一%とおっしゃいました業者が現在多く集まっておりますのは木曾川の流域と知多半島の付近でございますが、半田近傍のみりん屋さんで二十石とか三十石とかいうきわめて小さい業者の方がおられるようでございます。
○堀委員 そこで最近のみりんのふえ方ですね。醸造量のふえ方は大体過去三年くらいの間はどの程度にふえておりますか。
○上田説明員 手元に三十五年からの計数がございます。三十四年もございますが、三十三年から申し上げます。三十三年が一万キロリッター、同じく三十四年も一万キロリッター、それから三十五年になりまして、一万一千五百、三十六年が一万一千五百になります。以上のような伸び方をいたしております。
○堀委員 これで見ますと、他の酒類が非常にふえておるのにかかわらず、みりんというものはほとんどふえない。三十五年、三十六年約一割くらいずつちょっとふえしましたが、ほとんどふえない。おそらくこの内部における、さっき私も触れましたが、シェアが三十三年から三十五年くらいの間には大きいところがますます大きくなって、小さいところはますます小さくなりつつあるのではないかと思いますが、そのシェアの動きはわかりますでしょうか。
○上田説明員 現在のところ残念ながら手元に持っておりません。
○堀委員 わからない部分はまた木曜日にもう一回伺いますから、そのときにお答えをいただきたいのですが、大体非常に零細な業者が多い。生産は伸びていかない。そうして片面では宝とか野田という非常に大きな総合的な企業がそこへ出てきておるということになりますと、やはり私はその今あるこれらの、そう言っては失礼ですが、零細なるみりん業者の今後の問題ということは、やはり国税庁としても真剣にお考えをいただかなければならないのではないか、かように思うわけです。
 そこで実はこれまでが二度刻みになっておったものが今度はいろいろな方針で全部が一度刻みになっている。低い方も幾らでも低いものもあり得るし、荷いものも幾らでも高いものがあるという税制の体系になっておるような感じがしますが、さっきのいろいろな論議をした結果、大体みりんというものは過去における例から見ても、現実に行なわれておる例から見ても、十三度から十五度の間のものしか大体出てないのじゃないかという感じがいたしますが、この点はもう一回ちょっと確認をしておきますが、過去の長い歴史の過程の中で、現在はもちろん制限されておりますからそういうものはないと思いますが、中ではそういうものはなかったと思いますが、どうですか。
○上田説明員 最近市場を調べましたところ、大体十三度五分くらいから十四度二、三分程度までの間に分布いたしておりまして、もちろんこれは従来の指導方針が十四度未満ということを検討してやっておりましたために出ているの、かそういうことになっているかもしれませんが、大体その間で出ておったように思います。
○堀委員 そこでさっき私が長官にお尋ねをしたのは、アローアンスが一度あるということは比重計で調べるのかどうかわかりませんが、アルコールの度数を調べるのに誤差が少しあるから一度くらいのアローアンスは望ましい、こういうふうにおっしゃったわけですが、今度一度刻みになってくると今おっしゃった話とつながらなくなってくると思うのです。要するに、十三度から十五度までの過去における法難でアローアンスがあったときに、それを十四度のところで抑えたのは一度上のアローアンスを見る必要があった、正確には〇・五くらいは動くこともあるわですから、そこらが非常に不正確だからそういうふうに下目に行政指導したのに、今度一度刻みになってきたら、これは十三度九分のものを作ろうと思ってやったら、実際は十四度二分になっておるけれども、比重計が逆に誤差が五分もあれば十三度七分に出てくる、逆に今度は十三度八分のものができているのにかかわらず、比重計の誤差が〇・五動くと今度一四・三度になるとか、これは一度刻みに税率として〇・五%のふれも起こり得る、そのはかり方になると、ちょっと私はこれまでの国税庁の行政指導の方針と、今の一度刻みにした問題とつながらない点が出てくるような気がするのですが、長官これはどうでしょうか。
○上田説明員 私も長官同様あまり価格に強くないのでございますが、五分とおっしゃいましたのは少し言い過ぎだろうと思います。メーターではわかりましても五分までは違わない、違っても一分の日盛りの読み方が違うということはあり得ると思います。しかし五分までは違わないというのが私たち実務をやっております者はそんな気持でおりますので、アローアンス一分でございますと、おっしゃいますように十三度九分と十四度の見方によってはこれは十四度あるじゃないかということが十三度九分という場合あり得るかもしれませんが、それでは十三度七分、八分、二分くらい逸った場合に、これは十四度だというふうなことはないように私は聞いております。
○堀委員 長官が五分とおっしゃったが、お詳しくないということで了承いたしますが、今のアルコールの度をはかるのに間税部長のおっしゃるように、〇・一度しか誤差がないということになると、では十三度から十五度まであった酒類の過去におけるみりんのアローアンスのときに、十四度で行政指導した意味がなくなると思う。〇・一なら一四・五度で行政指導しても〇・一しか違わないのですから、一度のアローアンスはなぜ違っておったか。
○上田説明員 これはみりんに限らず、加重税率をとっております場合に、従来の指導方法としては、なるべく十三度ないし十五度の場合はまん中をとって、それよりも上にいきそうなら、不当なる競争であるというふうな考え方があったように聞いております。でありますから、なるべくまん中に抑えてアルコール度数をサービスするというようなことがないようにというような考慮もあったやに私は開いております。
○堀委員 それはしかし国民に対して、行政担当者としてきわめて不遜な態度ではないかと私は思うのです。法律が、同じ一つの税率で十五度まで認めておるならば、同じ価格で少しでも酔えるものを与えようというのが、私は立法の趣旨ではないかと思う。ところが十四度をこえてアルコールをふやすことは過当競争だということは――十四度でも十五度でも同じ税率なんですからね。十五度に近いものこそ、これを作るのを認めて、少しでも少量の酒で酔えるようにする方が、この高い税率ですから、立法の趣旨だと思うのです。それを不当に十四度などというところで押えておったということは、これは重大なる税法に反する行政指導であったと思いますが、それはそういうふうに認められるかどうか、これは一つ長官のお答えを願いたい。技術的な問題ではございません。
○原政府委員 私、この二度の差については、実はこういうことを言うのもなにかもしれませんが、かなり沿革的なものがあって、そして酒類によっては、たしか一度の差で抑えておるというのもあると思います、今おっしゃったように、それをやっても結論としてそうなっている以上、ぎりぎり二度の幅の一番高いところでサービスさせるというお気持も一つの考え方ではあろうと思います。しかしながら、御案内の通り、一たんその二度の線を一度上に上がりますと、もとから二割増しの加重といいますか、高い税率をとられる、つまり二度分の高い二割増しの分をとられるということでありますので、はたして今おっしゃったような角度の考え方だけいくかどうかというあたりについては、いろいろ議論があろうと私は思います。御案内の通り、酒の生産販売は免許制度をとっております上に、生産数量から規制して、みんながお互いに――全体としてそれほどの伸びのない産業でありますが、しかもその中で中小の企業が非常に多いということから、一人だけ抜けがけしてぼんぼん市場を荒らすというようなことのないように、これも考えようによってはいろいろ御批判があるかと思いますけれども、お互いに仲良くやっていくというようなやり方で、ずっと指導してきておりますので、今間税部長から申しましたことも、それらを考え合わせていただければ、一つの態度ではなかろうかというふうに思うのであります。今の第一の、消費者本位に考えて、しかも今の幅をそういうふうにごらんになったという御議論もあるかと思いますけれども、私どもとしては、やはり今申したような業界全般の事情、また酒の伸びというものを考えて、全般のバランスをとりながらということがこういう扱いになってきたものというふうに考えておる次第でございます。
○堀委員 まあ今まだ現行法が生きておりますから、その中で、いやこれはうまくないと言うわけにもいかないかもしれませんが、しかし一部の、名古屋の方からそういう要請があったら十四度を取っぱずしたということになるのは、行政指導――十四度以上作ってもよろしいということが行なわれたということになると、私、きわめて根拠薄弱なような気がするのです。税制改正が行なわれてから取っぱずしたというなら話がわかりますが、そうじゃないときに、去年の十月か十一月かに通達を出して、十四度以上作ってもよろしいんだという行政指導が行なわれた。それではどうも私は行政指導に少し権威がないような気がしてなりませんし、取っぱずすのは当然であって、はずすのがおくれていたのじゃないかというような気がしてならない。しかしそれはお立場もありましょうから、これ以上追及はいたしませんが、どうも私はこの酒類の行政をながめてみると、ややそういう通達だとかいろいろなことによって過当競争を押えるという名のもとに――どうもしかし必ずしもそれだけでないような要素のあるものが非常に多い。私、今度みりんを調べてみてわかったのですが、あれを調べればぶち当たり、これを調べればぶち当たり、いろいろありますので、そんなに一々調べられませんが、一つ皆さんの方で消費者の立場に立って――過出競争という表現はいいか悪いかわかりませんが、しかし、私はこの前からここで主張しておりますように、今の自由経済の中では、ある程度競争があるのが建前で、競争させないように統制で押えること自体の中に、私はいろいろと問題が生じておるという感じがしますので、そういう点は十分お含みを願いたいと思います。
 そこで、こまかいことはわかっておりませんのであれですが、主税局長にお伺いをしたいのは、これまでは十三度から十五度までというのが、大体みりんの基本方針で、上へ出れば加算税、こういうことになっております。ところが今度は、上へ幾らでも――幾らでもということはないでしょうけれども、十三度以上十四度未満のもの、それから上は一度ごとにということになりますから、税金さえ払えば、上は今度は幾らでも作っていい建前に、この法律の趣旨は変わってくると思うのですが 現実には、十三度から十五度の中にはまっているという過去の歴史――おそらく今後はそういうものが出てくる。税率が変わったからといって出てくることはないと思うのですが、このきざみ方が、実は業界の方のいろいろな意見を聞いてみると、十三度から十四度というきめ方、十四度から十五度という一度きざみのきめ方は、どうも実情として非常にうまくいかない。何とかこれを、十三度五分から十四度五分の一度きざみ、十四度五分から十五度五分の一度きざみという、〇・五度ずらした格好の一度きざみにならないものだろうかという要望が、実は一つ出ておるわけです。それを私はいろいろと調べてみたのですが、私なりに感じたことは、そういう要求が出てきたもとは、今ちょっと、主税局長がおいでにならないときに触れたのですが、みりんの生産が他の酒類に比べてほとんど伸びてないということが一つ。その中で宝と野田という、非常に大きな競争力を持ち、宣伝力を持っておるものがいて、おそらくや――過去のシェアを次の委員会までにお出しをいただきますが、過去の五年くらいのシェアの変化を見れば、他の中小の業者の方がたくさん作っていたところを、宝と野田が二つで競争する。一つが中小相手に競争するときは、私はまだいいと思う。大きなものが一つあって、あと小さいものだけならまだいいのですが、大きいのが二つできて、この二つが、それこそ今長官のおっしゃった過当競争的なことをやれば、このあふりを食って、そのあとの小さいところは非常にシェアが縮小するであろうことは、現在の資本主義社会の状況からいって私は当然だというような感じがする。そこでこの人たちはどういう方向に活路を見出しておるかというと、この間、佐藤さんも、これは御出身地のことでお詳しいようでありますが、酒かすで何とか息をつないでおるということでありますし、間税部長のお答えも、完全にしぼり切らない酒かすを使うことによって、どうやらその人たちとしての生きていく道を考えておられるらしい。これは私は、今の中小企業のあり方として一つの方向だと思います。大手が本みりんだけで競争してくるときに、とうてい本みりんでは競争できない。そうすると酒かすで競争しょうということは、私はよくわかります。その立場はよくわかります。そこで酒かすをそういうふうにしてやっていくためには、先ほどの要望があって、皆さんの方は、十四度をこえるみりんを作ってもいいんだということを了承なすったのは、その必要と経過に対して、国税庁としても理解を示されたことと思うのですが、そこまで理解を示されたのならば、十三度、十四度という一度きざみのところが、十三度五分未満それからみりんというものを、できれば十三・五度から十四・五度というこれまでの二度幅のものが圧縮をされて、この一度幅におおむねみなが入るようにやってもらったらどうかという気持がするわけですが、そこらについて、これは税制の問題で減税という大幅なものがあるので、その十三・五度を十四・五度に動かしても、生産量もわずかでありますから、収入上大して問題はないのじゃないかと思いますが、その点に対する主税局側の見解を一つ。
○村山政府委員 おっしゃるように、従来基準度数が、みりんに限らず合成清酒、新清酒、これはそれぞれの級のあるものにつきましては級ごとに定められているわけでございます。先ほど申しましたように、ある基準慶数をこえる場合には、従来は二割増しの税率をとりますので、検定等の問題があってアローアンス二度という安全率を使っておりました。今度はそういうアルコール度数の強いものも、むやみやたらに均質にする必要はない。嗜好の問題でございます。蒸留酒の方はかなり強いやつが出ておるわけでございます。醸造酒が、そういうふうに特に禁止的な、あるいは加算税率を盛らなくても、それはおのずから需要供給が左右するであろうということで、そこはフリーにしたわけです。また最低アルコール度数はこれ以下にいくとどうも腐敗のおそれがあるというところは――それはしかし作っちゃいかぬとは言わぬ、だからそこは最低税率というところで、腐敗のおそれのあるようなものなどを最低度数をきめているわけでございます。その間は、すべて一度当たり当該酒類については同じ税率を盛ります。それで将来どういう消費の態様の変化を示すか、この点は予測できませんので、全体としてフリーにしようという考えで基本的にはそうやったわけでございます。
 それから基準度数をどうするかという問題がございましたが、これはなかなかわかりません。わかりませんので率直に申し上げますと、酒も合成酒もみりんも従来の度数をそのままとったということでございます。加算税率を適用する場合のやつが別の意味で二度のアローアンスをおいているわけであります。それをはずす場合にも、本来考えられておる基準度数をそのままとったということでございまして、これはおそらく度数を変えるということになりますと、おっしゃるように、酒はアルコールの性質、酒類の性質と度数、こういうものできまって参りますので、従来のものをとったということでございます。
○堀委員 私は、経緯はそういうふうにおとりになったことはわかるのですが、結局今ちょっと触れたように、みりんの業界というものが非常に大きな大手二社とその他の小さいところに分かれておる。これは主税局よりは国税庁の方のことでしょうけれども、やはりそういう中小企業を激しい競争の中でやはり立ち行く道も開いてやるということが、私は監督官庁としての親心ではないかと思うのです。そうすると、ただそういう親心を示すについても、酒税全体のバランスを著しくくずすようなことがあってはこれはよくないと思います。税収源が著しく減るようなことをとりはからうことも私はこれはどうかと思う。しかし現実の問題として片一方一度きざみにしたからということで、一度きざみというものを一つのルールとするならば、そうすると、その税率の区切り方のところが過去に、今、主税局長は十三度から十五度だったから十三度、十四度、十五度になすった、これはわかるわけです。これは現実の状況が先ほどからちょっと触れておるように十四・二度とか三度とか、ちょっと十四度を上回るものが今そういう中小業者として自分たちの生きる道を開拓する方法として出てきておるときに、この度数きざみになると、要するに中小が自分たちの道を行こうとすれば高い税率を払わなきゃならない。みりんだけでいけるものは安い税率でいける、こういう格好がここに生じてくる問題点があるわけなんです。そこでこの問題を、どういう形でもいいと思うのですが、十三・五度から十四・五度、十四・五度から十五・五度という一度きざみの問題の考え方もありましょうし、あるいは先ほど私が触れたように、これは主体は調味料的なもので、これは酒に使う方よりも料理に使う方が多いと思うのです。大体主税局はどのくらい見ておられますか。料理に使うみりんと飲用に使うみりんとの比率はどのくらいですか。
○村山政府委員 それは調味料に使う方の割合が非常に高いだろうと思っております。
○堀委員 ですから、酒類の中で非常に特異的な性格を持った酒類だということが一つございますから、そういう特異的な性格を持っておるということで、過去のような十三度、十五度の幅でものを考えるのも一つの方法としてあり得る。しかし、どうも二度幅は酒税をみな一度幅にしたから悪いということなら、きざみの点から十三・五度十四・五度、こういうふうになれば、今の中小の諸君が自分たちのスタイルで生きていこうという道も、本みりんだけで大手がやるものも一つのワクの中に入って、そこでならみりんとしての競争もでき、それからみりんかすにして売る方向としても、この零細なるみりん業者が今後伸びていく道も確保できるんじゃないか。それで税収源で見ると、必ずしもそこで〇・五度が動いたから減るのではなくて、現実にはその間へみな入ってくるということになるのではないかという気がしますが、その点はどういうふうにお考えですか。
○村山政府委員 減収の点は、詳しく計算はせられませんが、あるいはそういうようなことかとも思います。今、先生のおっしゃいますのは 本みりんの飲料という角度から見た特殊の性質、それから中小企業はみりんかすで生きておる。その場合にかなり高い度数を使う必要がある。そうしないとやわらかいみりんかすとして特徴を持ったものが出てこない。ここに着目されてのお話かと思うのであります。これはおっしゃるようなことであろうかと思うのであります。一方、同時に今度の減税幅でいいますと、なるほどもうちょっと上げればそういうことにはなりましょう。減税幅でいかなるみりんが一番下がっておるかという問題、それからほかの酒類についても実は機械的にやっておるわけでございます。従来の基準度数をそのままとっておるわけでございます。そういうバランス、それからおっしゃるよう点を詳細に検討しないと急には出てこないのではなかろうか。しかし、おっしゃる点は検討に値する問題ではないかと思います。
○堀委員 そこで、主税局長がそう言っていただいたので、今ここへ法案が出てきて、今すぐそれを修正をして下さいと言っても、ちょっとこういう部分的な小さい修正ですから私無理があろうかと思います。その点は実際的な経緯の中で私どもがもっと早くこういう事情を知っておって、税制のできる経過の中で御相談しておれば、あるいは御相談もできたかと思いますが、何分にも時期的に非常にタイミングを失しておりますから、その点は一つ来年度の通常国会等に、やはり零細なるみりん業者が切実なる要望として考えておることでもありますし、中小企業対策の一環として、それからこういうみりんの特殊的な用途の面から見ても、必ずしもほかの酒類と全部が同じでなきゃならぬということではないのではないかという点を十分検討いただいて、あとそれに付属して、実はこれは業種が小さいものですから、国税庁でも詳しいみりんの資料があまりございませんね。私もうちょっとたくさん、製造数量がどうで、過去のシニアがどうだというこまかいのを伺おうと思ったけれども、どうも資料があまりないようです。これはもうちょっと親心を持って零細なものであればあるほどよくお調べ願って、この人たちの実態をよく把握して、今度の税制改正のようなときには、業界の諸君に対しても、今度はこうなると君らこれでいいかということを聞いてやっていただくぐらいの親心を持っていただきたいと思うのです。これは、今非常に大きな宝や野田が競争するあふりを食って、ますますシェアが小さくなろうとしておる諸君の立場でございますので、その点も重ねて要望いたしまして、国税庁と主税局で一つ来年度に対する宿題として御検討をいただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○小川委員長 藤井勝志君。
○藤井委員 私は、先般特殊な条件に置かれた中小企業問題として、たまたま酒税法の一部改正の法案が出ており、その関連として質問を申し上げたわけでございますが、きょうはそういった点に関連をして、もう一つ見のがしてはいけない問題としておけ取引の問題について一つお尋ねをいたしたいと思うのでございます。制度の問題については主税局長の方からも御見解を承り、同時に、実際の行政面については国税庁の長官ないしは直接御担当になっております間税部長の方から御答弁を賜わらば幸いと思っておる次第でございます。御承知のように、おけ売りというのは、主として清酒の小さな製造メーカーがいわゆるびん詰にして直接市販に出さないで、大生産者に原酒のままで販売をするもので、こういった取引がずっと昔から行なわれておるわけでございます。このようなことが行なわれることによって清酒市場の需給の調整がはかられておって、小さなメーカーが乱立して過当競争をしてとも倒れというようなことも円滑に解決されておる、こういうふうな考え方を私は持っておるわけでございますけれども、そういったいわゆるおけ取引に対して、どうも税務関係当局の方では、まことに不正常な取引であるというふうな認識があるのではないかと思うのであります。私は岡山県の出身でございますが、岡山県の場合なんかは大体五〇・六%ぐらいはおけ取引をやっておるわけでございまして、そういった業者の人たちからいろいろ聞かされておるわけでございます。しかしながら、このおけ取引の問題も、先ほど申し上げましたような事情を考えますと、従来もそうでありますが、今後の税務行政の重要なウエートを占めておる。二千三百名の業者のうち大体三〇%、石数にして五十四万石というものがおけ取引において行なわれておる実情であることは御承知の通りであると思うのでありますが、特にこれが大きく問題になってきたのは、御承知のように大幅に酒類の制造をふやすというようなことから中小企業者が相当このおけ取引の制限を受けまして、あおりを食って非常に困っておるという問題がまた新しくわれわれの眼前に中小企業問題として出ており、これが対策をはからなければならぬというふうに思わざるを得ないのでございます。第一点の、このおけ取引は不正常な取引であるかどうか、こういったことについて主税局長の方から先に御意見を承りたいと思うのであります。
○村山政府委員 この点は国税庁の方から答えていただいた方が適当であろうと思います。
○藤井委員 制度的に全然関係ないですか。
○村山政府委員 制度の上では、これは通常酒類の原料として使うということでございまして、従来は承認価格にかかっておったわけでありますが、今度は承認によらないで申告納税制度をとっておりますので、申告により自動的に未納税移出がきくということに酒税法で規定しておるところでございます。そういう意味では今度はフリーになって、制度的には承認が要らないということになろうと思います。
○原政府委員 おけ取引が正常な取引形態であるかどうかというのは、かなり難論のあるところであります。これを一がいに正常であるとか正常でないというのは、お答えとしていかがかと思うのであります。一般の他の商品においてどうかというようなことから考えますと、酒のようなものを作っておけで売って、そうして買った方がまた自分のレッテルでブレンドなりなんなりして出すことが正常かというと、一〇〇%正常だとはちょっと言えないじゃないかと私は思います。しかしながら、清酒の業界においては、御存じの免許制度その他いろいろな因縁がございます。やはりそういう因縁と照応いたしましておけ取引が相当幅広く行なわれてきているということも事実でございます。そういう意味においてはかなり慣習的になった、いわば非常に基礎の深い取引形態だということが言えると思うのであります。答えをどっちつかずに申すようで申しわけありませんけれども、率直に申すとやはりそういうニュアンスを読んでこういう取引についてのわれわれの扱い方を考えるというのが大事ではないかというふうに考えております。また、ただいま申しましたことはニュアンスを申し上げる意味で申し足りない点がいろいろあると思いますが、大きく申しますとそういうようなことというふうに考えております。
○藤井委員 私の質問の起こし方がちょっとまずかったようでございます。今長官の方からの御答弁によりますと、とりようによっては私が心配しておったような取り扱い方をやはり考えておられるという、端的に申しますと底意と申しますか、それを感じて非常に心配をするわけでございます。これは従来の習慣、惰性という意味ではなくして、起こるべくして起こった取引習慣であるというふうに受け取るべきではないかと思うのでありまして、たとえが少しずれますけれども、織物関係が大きなメーカーの下請をやっております。ちょうど私の出身の岡山県の井原市あたりの小さな規模の機盤さんは、大メーカーとプロダクション・チーム、協力工場という名のもとに仕事をやっておりまして、できた製品は大きなメーカーのマークをつけまして市場に出ておる。こういったことが非常にスムーズに行なわれておって、製品もいろいろ銘柄がそのときどきに変わってくる。こういったものはやはり小さな規模の業者がおのおのの特徴を生かして作り上げる。それを大きなメーカーがまとめて市場に出す。こういったことで、やはり起こり得べくして起こるという事情になっておるわけでございます。この点は、そういったおけ売りは不正常な取引であるからこれをできるだけなくしようというような考えではなくして、これを正常な取引のルートに乗せるべく努力してもらう、こういう考え方に立っていただきいた。もちろんそういったお考え方を国税庁でもお持ちになっておる反面は私もよく承知をいたしております。すなわち、いわゆる大メーカーとの協力関係ということで、去年でありましたか始められた中央保有米の特配と申しましょうか、そういったことによって大メーカーと長期契約をやるという約束があれば、中央保有米の配分についてそれだけ有利な取り扱いをするという方法をおとりになっておったようでございますけれども、これが今度の増産計画で全くほごになってしまって、せっかくそういう線に沿うて、中小メーカーもみずてん売りというような格好ではよくないから、まとめた線に取引をする取引のルートを一つ作っていこう、こういった考えは一応了解したわけでございますけれども、結局大メーカーが自分で石数がふえたということで、長期契約といったものを全部白紙に返してしまうということになったことは、これは皆さん方すでによく御承知であると思うのでありまして、こういうことになってくる事実の上に立って行政指導をされなければ、解約を受けた中小企業者は、現在非常に困っております。この間帰りまして聞いた話でありますが、最近の様子では、結局運賃持ちで二十度換算一升当たり百三十五円、しかも三カ月手形という取引、これは全く原価を割るような状態であります。従ってこのような悲惨な状態に現在置かれておる地方の中小酒造業者、おけ取引を五〇%もやっておる地域、これは岡山県のみならず、愛媛県もそうでございます。山口県はやや少ないようでございますけれども、そういった状態があることに対して、どのような対策を講じられておりますか、またこれから講じられようとしておりますか、間税部長から一つ御答弁を承りたいと思うのであります。
○上田説明員 問題は二つあろうかと思います。まず第一のおけ取引を系列化、あるいは技術指導のもとに持っていけば、あるいは持っていくことを奨励したような方策をとりながら、実際はそうならなかったというような御指摘でございますが、実は御承知のように中央保有米の問題につきましては、メーカーの皆様のできるだけたくさん作りたいという御要望の一つの解決方法として、そういう形でのおけ取引につきましては他のおけ取引よりもよく見てあげたいというのがあのときの考え方であったのであります。しかしその際は、まだ新しい三十六酒造年度の生産計画というものも固まっておりませんでしたし、その後の情勢は、御承知のように米も潤沢でございますし、また生産数量につきましても相当数量伸びることにそれぞれの業界の御了解も得ましたので、新しい方法を採用いたしまして、自分の能力に応じた生産をしていただくということで、三十六年度の生歴計画ができたわけであります。従いまして、自分がどれだけ作ってどれだけ売れるかということは、おけ取引の方に限らず、各メーカーが自分でお考え願って、それによって生産していただくというのが本来の建前であろうと思いますので、生産数量がどのようにはけるかはけないかということと、おけ取引の問題は、直接には関係しないのじゃないかと考えております。ただ、おけ取引がいいとか悪いとかいうのじゃなくて、経済的な機能を果たす限りにおいておけ取引は十分是認せらるべきものだ、かように私は考えておりますので、そのような意味で、おけ取引をやることがよけいもうかるとか、あるいはびん売りをやる方がよけいもうかるとかということは、本来経済法則としてあるべきじゃないので、酒を作って売る場合に、その利潤はびん売りであろうとおけで売ろうとほとんど一致するという形が一応の経済の原則かと思っております。
 第二の問題に移るわけでありますが、従来は酒の生産数量が少なかったために、むしろそれぞれのメーカーが自分で作りたくても作れない、人のものを買って自分のマークで売らざるを得ないというような情勢があったわけであります。それがことしは大きな割合で解消いたしまして、大体自分の作りたい酒を自分で作って売るという形が強く出ておるのであります。従いまして、各メーカーといたしましては、従来は自分の実績をふやすことによって次の年度の酒をよけい人よりも作りたい、そういう実績をかせぎたいという意味で、おけ取引が相当買う人も多かったし、売る人も値段がびん売りよりもむしろ割がいいという意味で高く売れておったのが実情であります。それで高い場合には、先ほどのように二十度原酒で二百円とか百九十円とかいう高い値段がついたことがあるようであります。しかし現在は先ほど述べられましたように、百三十五円という線が出ておるようなことは私たちも聞いております。しかし百三十五円がはたして出血のものであるかどうか。この点は私たちの計算では若干疑問がありまして、昔の百八、九十円あるいは二百円しておったころに比べると、もうけはひどく少なくなったということは言えると思います。従って去年、一昨年のころと比べますと、おけ取引の方がえらく計算上のそごを来たされたということは私はよく承知しております。しかし、では百三十五円であれば絶対に出血であるかといいますと、私たちの見ておりますところの、おけ取引をしないでほんとうに自分でびん売りをしておられる方の利潤と比べますと、とんとんというのは言い過ぎかもしれません、もう少し高い方がいいかもしれませんが、それほどひどい出血であるというところまでいかないのではないかというのがわれわれの観測であります。
○藤井委員 現在おけ売り相場の下落した事情につきましては、むしろ私よりも専門家の間税部長の方のお手元でよくわかるわけだと思うのですが、酒類業界特に清酒業界については外郭団体があって、それがまとまって中央会という組織を作っておる。それと大蔵省の間税部とは絶えず密接なる連絡を保ちながら過去においてずっとやってこられ、今後もやっていかれるのだと思いますが そういったまとまった外郭団体とも称すべき清酒業組合中央会が、大体三十七年度の生産石数は全体の需要とにらみ合わせてこれくらいのところだという線を出しておった。ところが大蔵省の方では、まだまだそれよりも需要が伸びるといったようなことで、それが今度のおけ売り関係の相場が下落したということにも非常に影響があるというようなことを数字的にいろいろ私はその筋の人から聞かされたわけでございますので、これについて間税部長としては、そういったことが原因であったかどうか、あなたの御見解を承りたいと思う。
○上田説明員 先ほども申し上げましたように、従来は酒が不足ぎみに作られておった、従って、できるだけ自分のシェアを拡大したい、あるいは自分の販路を伸ばしたいという要望のために、自分で能力を持っておる人が自分を伸ばすためには、人の酒を買ってでも売りたいという現象があったことは御承知の通りであります。従いまして、おけ取引の方の数量が少なければ少ないほど、おけ取引が有利になるということが従来の例でございます。ところが、今回はおけ取引の方でも、自分はよけい作って人にはよけい作らせない、そういう形ができれば一番いいわけでございますが、今度は皆さんが、自分の能力に応じて、あるいは自分の希望に応じて、ある程度までは、たとえば平均いたしますと大体一割七、八分から二割くらいの増産ができるという形の生産方針をとりました。そのような場合に小業者であればあるほど、今度は伸び率は三割くらいまで希望すればできるというような形の生産方針を打ち出しました。これは従来あまりにも自分が作りたくても作れないという現象が強かったために、そういう現象をなるべく少なくしたい、自分の判断で自分の能力に応じた酒を作らしてあげたいということで、今度の生産方針をやったわけであります。それが集まりまして、全体で五百四十万石ないし五百五十万石という数字が今度出たわけです。去年の四百八十万石に比べますと一割五分くらいの伸びになりますが、その伸びたために、少なくとも去年などに比べますと、買いたいという需要の方はぐっと減って参りました。従いまして、当初考えられた、あるいは昨年度と比べると、おけ取引の値段はずっと下がってきたという現象かございますが、これは先ほど申し上げましたように、自分で酒を作って自分でびんに詰めて売るという形の酒屋さんのもうけと決してそう大差ない形の程度まで下がっているということがわれわれの観測でございます。それでまたおけ取引がなぜここまで去年と比べてあまりにも急激に下がったかという点につきましては、造石数がそうやって平均して一割五分も伸びましたために、たとえば自分が考えておったのよりも容器が足りない。今ほうろうタンクを使っておりますが、それが間に合わない。従って、昔ならばおけ買いの方が来て新酒をどんどん買っていくという現象が起こりましたのが、それも買っていくテンポが少なくともおそい。それからまた古酒にいたしましても、そう長く持たないでもどんどん売れた。それが売れないで残っておる。そうすると自分の作るそのものもふえた上に買手がない。そういう両方がダブって参ります。それで需要が少なくなって投げ売りをしたくなる。投げ売りという言葉はよくございませんけれども、売り急ぎになる。従って、どうしても相場が軟調になるという現象が起こっておると考えております。しかしそれも、先ほどの百三十五円という数字は、私たちは新酒の値段だと聞いております。古酒でございますと、現在では百五十円ないし百六十円しておるように聞いておりますので、この三月一ぱいで個々の作りが終わるわけであります。これが終わってしまえば一応おけの値段ももっと落ちつくのじゃなかろうか。百三十五円という値段よりも若干上回るのじゃなかろうかという観測をわれわれはいたしております。
○藤井委員 今の問題にもう一度触れて再度のお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、この前国会の方へ提出されました資料によると、今度酒の税金が下がる、その減税を見越して約六万キロリットルぐらい消費が伸びるであろうというふうな前提のもとに、今度の酒の製造石数をふやされたというふうな数字を私は見たわけでありますが、この見積もりがはたして実際と合うかどうか、これについて一つ間税部長の見通しを再度お尋ねいたしたいと思います。
○上田説明員 清酒の伸びは、大体大観いたしますと、従来は国民所得の伸びと同じように伸びて、奇妙な数字の相関を持っております。大体国民所得が七、八%伸びますときは、清酒も七、八%伸びるという結果を来たしております。そこで現在までの伸びを見ますと、大体一割ないしは一割五分足らずというのが清酒の伸びでございます。そういう一割程度――一割二、三分と申した方が正確かもしれませんが、そのような伸びを示しております。それで一応一割が普通通り伸びるということを考えまして、去年度の四百八十万石に対しましてまず一割ということであります。それからその先に減税分がどれくらいはね返るかということを考えたわけでございます。それの考え方といたしまして、たとえば二級にいたしますと、今回の改正案では約五十円下がることになっておりますが、それを大ざっぱに一升四百九十円の基準価格のものが五百円と仮定いたしますと、一割ちょっとの税金が下がる。その一割の税金が下がった場合に、はたしてそれが全部また酒の購入資金に向かうだろうかという問題につきましては、従来の減税の際の一〇〇%以上向かった場合と七〇%向かった場合と二つの例がございます。それでこれくらいの数量になりました場合に、はたして全額同じ酒に向かうか、それとも若干向かい方が少なくなるかということは、これは一つの見当にすぎませんけれども、五十円のうちの八割くらいのものがまた酒に向かうだろう。ちょうど五百円と五十円でございますから、平均しまして約八割ぐらいは向かうとしますと、八%くらいの伸びになろうかと思います。その伸びを考えまして、われわれとしましては、通常の形で一割伸びるほかにさらに一割ということを今度業者の判断にまかせたわけであります。というのは、われわれが税金のはね返りが幾らであろうということをマクロ的に考えまして、これは若干ダブって計算される部分もございましょうけれども、実際の業者の方が自分はどれくらい売れるかということを考えられて、その積み重ねが総生産量になるべきであるという考え方が一つあるわけであります。しかしそれは先ほど申し上げたおけ売りの方とおけ買いの方の思惑がダブったりしますので、あくまでもそこは各人で考えていただいて、総生産量は五百五十万ないし五百七十万くらいに皆さんが希望されればできます。しかし希望は各人の御自由でございますから、その点判断してお作り願いますということで、一〇%のアローアンスというものを置きまして希望加配をいたした。それによって実際できました結果を見ますと、一割のアローアンスを置きましたのが、その半分だけを皆さん希望いたしましたので、私たちが考えた五百八十万石足らずのものに対しまして、実際の生産量は五百五、六十万石という計算が出ましたが、これは歩どまりの関係で現在の予想では五百二十万石を割るのではなかろうかというのが現状でございます。
○藤井委員 今お話になりました希望加配の制度をことしとられたということから、おけ買いとおけ売りの対立するといいますか、取引する両者の利害が今度逆転してきておる。ともかくおけ売り相場が非常に下がってきておって、現在おけ売りを中心としておる中小メーカーが非常に苦境に立っておる。この事実もお認めだと思うのですが、かつておけ売り側が有利でおけ買い側が不利な場合は、おけ売りをせいぜい安くするような行政指導がなされておった。ところが今度は希望加配の制度によっておけ売りの方が非常に不利な立場になっておる。こういった場合は、かつては逆な行政指導がされておったが、現在困っておるおけ売り側に対して、価格の安定をはかり得るように、適正な価格の取引ができるように行政指導をされる当然の責任があり、こういった大蔵省と特殊な関係にある業界だけに、間税部長なり国税庁長官なりは一つ特別な配慮をされてしかるべきではないかというふうに思うのでありまして、この点について一つ御見解を承りたいと思います。
○上田説明員 おけ売りの方、あるいはびん売りの方にかかわりませず、清酒の業者は四千軒もございまして、どちらかといえば中小企業というよりも小企業の方が多いわけでございます。従いまして、こういう四千軒の方たちが将来どういうような形で酒作りをしていかれなければならないかという点につきましては、われわれも当然のことながら大きな関心を持っておりまして、中央会などにも始終相談して、どのような形で持っていったらいいかということを考えているわけでございます。従来私たちが打ち出しました線は企業合同といいますか、できるだけコストを安くして、また販売能力を増すためには、小業者が小業者のままでとどまってはだめだ、みんなが共同して一つの製造なりびん詰めなりをやるということに踏み切っていっていただかなければ、小さいながらのままで、昔ながらのままで、いわゆる経済的な生産が続けていけるかどうかという点は大いに疑問じゃなかろうかということで合同ということを相当慫慂して参ったのであります。しかし、これはわれわれが口では申しましても、実際には四千軒の業者の方は、それぞれ地方へ行きますと、昔ながらの旧家が多うございまして、なかなか自分のプライドも多いし、だれかと一緒になって、そして一つの企業をやっていく、あるいは自分のところは待機をして別に能率のいい庫を建てるというところまではなかなか踏み切れない。しかし、それはなぜかといいますと、やはり踏み切れないでもけっこうやっていけたという点に最も大きな原因があろうと思う。しかし、ことしのようなことになりますと、やはり皆さんが相当自分自身でお考えになる機会がきた。ですから、これからはもっとどうしたらいいか、どういう形で企業合同したらいいか、あるいは独立したままの形でやっていけるかというような点については、もっと十分真剣な検討がそれぞれの業者においてなされるだろう。私どもとしては、方向としては、できるだけ小さい業者が集まってある経済単位までの生産をやるということでいっていただかなければいけないのじゃないかというふうに考えております。
 なお、金融その他につきましても、小業者の方が――昔はまだ酒屋さんは相当銀行から優遇されておりまして、他のしょうちゅう屋さん、あるいは合成酒さんに比べますと、ずっと金融は楽だっだようでございます。ことしはいろいろな原因が重なりまして、金融が大へん詰まってきたということもございますので、いろいろな意味で、今後は前よりも一そうわれわれもよくめんどうを見ると言うと、大へん潜越な言い方でございますけれども、できるだけその窮状を聞きまして御協力申し上げたい、そういうように考えております。
○藤井委員 いろいろ御配慮をされるお話を聞きまして、まことにけっこうなことだと思うのでありますが、大体この酒の需給のバランスといいますか、これはおおむね、普通の年から推定いたしますと、秋ごろには大体酒が足らなくなるというようなことがよく起こるわけでございます。ことしは、まあしょっぱな、ともかく少し多過ぎるというような空気がずっと必要以上に酒造業界に蔓延しておるのではないか、従って、秋ごろにはむしろ酒は少し不足するというようなことすら業界では一部意見が出ておるようであります。しかしながら、現在の手持ちですが、持っておるおけ売り業者の方では置き場に困るということ、それにさしあたり金にかえなければ資金が枯渇しておる、こういったことで、運営上、非常に経営の面において困っておる。従って、原料米に対する融資は特別な配慮をされているようでございますが、最近特に制度のある程度の改変によって特殊な状況が起こって、滞貨金融の必要のある場合には特別な金融措置をすべきではないか、まさに今度のおけ売り側が困っている現在の状態は、もうちょっと持ちこたえればある程度値上がりが待てる。こういった状態も十分予想できるわけでございますし、また、片や設備の増設といったことによって自分のところで持っておる、こういったことも可能でありまするから、そういったものをひっくるめて特別な金融措置を考えていただく必要があるのではないかというふうに私は思っている一人でございます。これに対して一つ国税庁長官の御意見を承りたいと思います。
○原政府委員 滞貨金融ということは、特に経済調整期においてはよく出てくることで、酒の場合は必ずしもこの経済全般の調整期の問題とは一致しない面もありますけれども、おけ売りをしておられる向きの実情については、ただいま藤井委員からいろいろ温情のある態度での御心配を伺いましたので、十分調べた上で私処置したいと思います。
 冒頭に少しきつ過ぎるようなことを申し上げたというので、今まで私発言の機会がなかったわけですが、中小企業であるという意味において配慮をせねばならぬという気持は私は十分持っております。ただ、私率直に申しまして、今まで酒の全体がかなりコントロールされておった中で、おけ売りだけは、端的に言いますとかなりあばれたと言いますと言葉は悪いですけれども、二百円というような値段が出まして、これは本委員会でもそのつどずいぶん御指摘いただきまして、おとがめいただいたのでございます。そのときに私どもつくづく感じましたのは、おけ売りしている業者は非常にいいもうけだろう、しかしながら、買っている業者は赤が出るのはきまっている値で買っているのでありますから、将来これはなしくずさなければいかぬ。結局国民に対する酒の供給の元値がそれだけ高く、何年かにわたってくずさなければならぬ赤を生んだわけであります。こういうことは率直に言って非常に困ると私は思いました。そうしてやはり一つの何として、供給が全体として、どうも業界の御要望をそのまま聞きますと、いつも少な目少な目というよう御要望がここ数年ずっときて、私はこれはいかぬと思いましたので、今回はごらんになりようによってはあるいはきつ過ぎるかもしれませんけれども、やはり消費者のことも考え――今言った酒の業界にも、そういうおけ売り業者は非常にいい思いをするが、ほんとうに作っているところの業者と供給している酒屋さんは赤をかかえ込むというようなことが長く続いたのではいかぬと思いましたので、今回はこういうようなことを考えたわけです。もちろんこれが行き過ぎて中小の人が困ってしまうというようなことは真意でありませんので、十分お気持は体しまして、実情を調べて、必要があればできるだけの手を打つという気持でおりますので、どうか御了承をいただきたいと思います。
○藤井委員 長官の御答弁を聞きまして、私も以前のことは知りませんので、しみじみ有為転変は浮世の習いというような感じがするわけでございますが、最後に、今お話しのように、一つ公平な行政措置を特にお願いを申し上げたいと思うのであります。
 金融問題については前回の当委員会においても意見を述べ、お願いを申し上げましたが、これに関連いたしますので一つ再度お尋ねをいたしますが、中小企業振興資金助成法の対象として、酒類製造業者 わけても中小企業者である清酒業者、しょうちゅう業者というもの、これに対してその後関係方面との御相談によってどのような結果が得られているか、これを第一点として一つお尋ねいたしたい。
 それともう一つは、大蔵省の融資準則によりますと、酒類製造業者に対する融資順位というものが、原料米は別でありますけれども、ほかは全部丙という一番順位が悪い。これは現在の特に清酒業者が中小企業メーカーとして戦後は様子が一変しておる。しかも、国税庁長官は中小企業庁長官に対して、その事情はよく把握されて、この問題解決に努力されておるにかかわらず、いまだにはっきりした答えが出ておらないということをまことに遺憾に思うわけでございますので、当委員会において、前回も申し上げましたが、先ほどからの関連もございますので、再度国税庁長官にお伺いをして、御見解を承りたいと思うのであります。
○原政府委員 第一の中小企業振興資金助成法によります融資につきましては、先年来適用になるようにという申し入れをいたしておりましたが、たびたび御説明いたしましたように、資金が少ないこと、それからその他輸出産業等々と競争するとどうも乗らないということで、今まで乗ってきておりませんが、このままではよろしくないという気持で実は新しい年度が参りますのに備えて、先だってでありますが、今月の初めに私から中小企業庁長官に対して、重ねて新年度においてはぜひ頼むという文書を出しております。ただ、率直に申しまして、今言うような事情で、今まで断わられておりますので、これを転回して実現いたしますためには 相当努力も要り、また酒造業の重要性についての主張、それの基礎づけというようなものが要るだろうと考えて それをいたさなければならないと思っております。
 融資順位につきましても同様、やはり世の中の全体の経済の情勢が変わって参りまして、昔は乏しいお米をいただいて作るというところに非常に弱味があったのです。財政物資として財政に非常に貢献したという意味では、むしろ酒税は非常に大きな地位を占めていたわけで、大いにやっていたわけですが、お米をいただくという点に弱味がある。ところが、しあわせなことにお米の方の生産力もどんどん伸びてきて、だいぶその辺の需給関係もゆるんできた。また世間一般のもろもろの企業の緊急度と申しますか、かなり自由化々々々というような時代になって参りましたし、その辺の基礎的な各企業間の資金需要の優先、先後を判断する条件というものが動いてきておるかと思います。これらに照らして、なお御要望の数字も中に置きまして、十分検討して怠りのないようにできる限り努めるつもりでございます。
○藤井委員 これはこの前お話ししてからまだ時間がたっておりませんので、いたし方ないと思いますけれども、一つ国税庁長官におかれましては、今度は従来のようなことで一応いたし方ないというふうに後退されないで、絶対に今度は長年の懸案であるこの酒類業者に対する融資対策、わけても中小企業規模を持っておる業界に対しては、はっきりした線を出しますという情熱をもって解決にあたっていただくことを、再度のお願いでございますけれども、特に切望いたしておきます。
 最後に主税局長にお尋ねをいたします。お尋ね申し上げますよりは、確認をいたしまして、今後の運び方について御意見を承りたいと思うのでありますが、これまた大企業対中小企業の問題、時にまた特殊な条件のもとに置かれておる中小企業問題として、合成酒、日本酒等の問題でございます。この問題については、いろいろな角度から議論の余地があろうかと思うのでありますが、私は先般の当委員会におきまして、日本酒に使うブドウ糖並びにアルコールは法律でこれを定めるということになっており、片や合成酒に使う米の量は政令に委任されておる。これは片手落ちであるということをいろいろお話を申し上げましたところ、大蔵大臣も、まあ法理論として法律上それはそういうふうに十分考えられるということで、御承知のような結論を一応得た、私は確認いたしておるわけでございますが、できることならば、この際修正をするというこもと一つの考えであろうかと思うのでありますけれども、これもすでに法案が成立直前にあたっておって、まことにタイミングといいますか、期を失した感がありますので、この問題については今後どのような取り扱いの方針を持っておられますか、主税局長の方から念のため一応御見解を承っておきたいと思うのであります。
○村山政府委員 形式的な公平論で申しますと、それぞれの酒類の種類あるいは品目の何と申しますか原料について、ある酒類についてそれが法律ならば片方も法律、一方が政令なら一方も政令、こういう形式論は成り立つと考えます。現行の法律段階の中で規定しておること、あるいは政令段階で規定しておるところを見ますと、必ずしもそういうルールはないようでありまして、かなり沿革的なものがあるようでございます。合成清酒の今の米の原料従量が五%未満というものが、昭和二十八年に入ったということから、そのことはこっちに入っておるというような、かなり沿革的なものがございます。私の意見を率直に申し上げますと、よく調査しないとわかりませんが、一つは各酒類かなり似ておるものがございますから、相侵してはならぬという一つの要請があるわけでございます。その意味でいいますと、酒類の原料等につきましては、それは法律で規定するなら規定するということも考えられる。しかし同時にその酒類の混淆を来たさない範囲でいいますと、これはやはり人間の嗜好品でございます。日進月歩していくだろうと思うわけでございます。それを全部法律に一々盛るということがはたしていいか悪いか。国会閉会中にその問題が起きたときに、国会が開催できるまで、いや、日進月歩の技術には応ぜられぬという問題に直ちになるのかどうか、これは酒類の紛淆を来たす、あるいは非常に利害の関係のあるような重要事項でございますと別でございますが、そうでない限り、やはり酒類は種類ごとにあるいは品目ごとに消費者の需要を中心にして動いていくんだろうと思います。特に今日の醸造の段階の技術段階というものは、まだ発達の過程にあるんだろうと思うのでございます。何しろ醸造学でございますから生きものでございます。そういう意味で純粋にそういうものを理論的見地からいいますと、ある程度政令に置いた方がその面ではプラスである。それから問題を清酒と合成清酒、こういう現実の問題に照らしてどうするかということは別でございます。それはそれとして、それぞれ妥当な方法で結論を出した上で考える。一般にそれを法律にするか、政令にするかということを抽象論で申しますと、基本的な事項についてはあまり紛淆を来たさないような意味で、それは法律にした方があるいはよかろう、こまかい日進月歩という問題がございますので……。これは技術問題でございます。どういう可能性がそれぞれの酒類についてあり縛るかという点でございます。それで酒類に紛淆を来たさないということであるならば、何も法律でしばらなくてもいいんじゃないか。今申し上げておるのは抽象論でございます。具体的な問題はこれとは別個の問題であろう。それは妥当な解決ができましたら今言ったような線で考えて参りたい、かように思っております。
○藤井委員 ちょっと村山局長の私への答えとしては、少し見当が違ったような――その問題の議論をしていると、また相当時間がかかりますので、これは私は議論はこの間の委員会で済んだと思っております。ただこれはもう今の御答弁で、政令を法律にかえるかどうかの是非論、これはいろいろな角度から中身を検討した上での意見とか、いろいろありましょうけれども、こういった何は私はもう今あなたにお答えを求めようとは考えていない。すでに一応の結論の出た取り運び方、修正でこの際いくのが筋ではないかと私個人としては思っておるのです。しかし、ここまできたからやむを得ない。あなたが修正でもかまわないということならばすぐやります。それでは非常に困りますからというならば、それはやむを得ないということを聞きたかったのです。ほかの中身の横にそれた意見を求めようとは思っていなかった。それなら私はそれでいろいろ意見を述べる時間を保留して質問を終わりたいと思うのでありますけれども、そこまできょうは何した話はやめまして、一応最後に、これは修正でもかまわないか、その問題をちょっと述べていただきたいと思います。
○村山政府委員 率直に申し上げますと、この実際問題に処する問題として、今修正するということは適当でないと私は思っております。
○藤井委員 終わります。
○小川委員長 次会は来たる二十二日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十二分散会