第040回国会 本会議 第10号
昭和三十七年二月九日(金曜日)
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 議事日程 第九号
  昭和三十七年二月九日
   午後二時開議
 第一 離島振興法の一部を改正す
  る法律案(綱島正興君外七名提
  出)
 第二 炭鉱離職者臨時措置法等の
  一部を改正する法律案(内閣提
  出)
    …………………………………
 一 国務大臣の演説
 二 国務大臣の演説に対する質疑
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○本日の会議に付した案件
 畜産物価格審議会委員任命につき
  国会法第三十九条但書の規定に
  より議決を求めるの件
 日程第一 離島振興法の一部を改
  正する法律案(綱島正興君外七
  名提出)
 日程第二 炭鉱離職者臨時措置法
  等の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 河野農林大臣の農業基本法に基づ
  く昭和三十六年度年次報告及び
  昭和三十七年度農業施策につい
  ての演説
 国務大臣の演説に対する質疑
   午後二時十七分開議
○副議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
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 畜産物価格審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
○副議長(原健三郎君) お諮りいたします。
 内閣から、畜産物価格審議会委員に本院議員芳賀貢君、同本名武君、参議院議員谷口慶吉君を任命するため、国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 離島振興法の一部を改正する法律案(綱島正興君外七名提出)
○副議長(原健三郎君) 日程第一、離島振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    本案施行に要する経費
  本案施行に要する経費としては、
 平年度約六十億円の見込みである。
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○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。商工委員長早稻田柳右エ門君。
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  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔早稻田柳右エ門君登壇〕
○早稻田柳右エ門君 ただいま議題となりました離島振興法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 離島振興法は、本土より隔絶せる離島の特殊事情からくる後進性を除去し、離島の経済力の培養、島民の生活の安定及び福祉の向上をはかる目的をもって、昭和二十八年に期間十年の限時法として制定せられたのであります。自来離島振興計画を作成実施して、きわめて大きな貢献をなしたのでありますが、本土との格差は、いまだかなりの開きがありますので、本法の有効期間を十カ年間延長して、長期的な振興計画を策定し、振興開発をさらに推進する必要があるというので本案が提出されたのであります。
 本案は、一月二十五日当委員会に付託せられ、提出者である綱島正興君より提案理由の説明を聴取し、質疑を行ない、二月六日採決に付しましたところ、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告の通り決するに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 炭鉱離職者臨時措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○副議長(原健三郎君) 日程第二、炭鉱離職者臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。石炭対策特別委員長有田喜一君。
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  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔有田喜一君登壇〕
○有田喜一君 ただいま議題となりました炭鉱離職者臨時措置法等の一部を改正する法律案につきまして、石炭対策特別委員会における審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 御承知の通り、石炭鉱業の合理化は着々として進められておるのでありまするが、合理化計画の進捗に従って多数の炭鉱労務者が離職し、産炭地域等においては、中高年令層を中心とする離職者が滞留し、深刻なる社会不安を醸成しつつある現状であります。かかる実情にかんがみ、炭鉱離職者等の再就職を強力に推進することにより、合理化計画の円滑な推進と、社会不安の除去のため、本案が提出されたのであります。
 本案の内容は、
 第一に、雇用奨励金制度の新設であります。これは炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正して、雇用促進事業団の行なう援護業務に、公共職業安定所の紹介により、中高年令層の炭鉱離職者を常用して雇用する事業主に対し雇用奨励金等を支給する業務を追加したことであります。
 第二に、雇用調整融資制度の創設であります。これは雇用促進事業団法の一部を改正して、雇用促進事業団の業務に、新たに移転就職者五人以上を雇い入れる事業主等に、雇用する労働者のための住宅その他福祉施設等を設置するに必要な資金の貸付業務を追加したこと等であります。
 なお、雇用奨励金等の支給については、本年一月一日にさかのぼって適用することとし、融資については、本年四月一日より施行することになっております。
 また、炭鉱離職者の多数滞留する北九州地域に、北九州職業安定事務所を設置すること等が定められております。
 本案は、去る一月二十二日当委員会に付託され、同月二十六日福永労働大臣より提案理由の説明を聴取し、自来数次にわたり、熱心な質疑を重ね、昨二月八日、社会労働委員会と連合審査会を開き、審査の万全を期したのであります。
 同日質疑を終了し、引き続き採決いたしましたところ、全会一致をもって可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告の通り決するに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説
○副議長(原健三郎君) 河野農林大臣から、農業基本法に基づく昭和三十六年度年次報告及び昭和三十七年度農業施策について発言を求められております。これを許します。農林大臣河野一郎君。
  〔国務大臣河野一郎君登壇〕
○国務大臣(河野一郎君) 先般国会に提出いたしました昭和三十六年度農業の動向に関する年次報告及び昭和三十七年度において講じようとする農業施策について、その概要を御説明いたします。
 申すまでもなく、これらの文書は、それぞれ農業基本法第六条及び第七条に基づいて政府が毎年国会に提出するものの第一回としての三十六年度分であります。
 まず、昭和三十六年度農業の動向に関する年次報告について御説明をいたします。
 この年次報告は、第一部、農業の動向と、第二部、農業に関して講じた施策に分かれておりますが、第一部、農業の動向においては、農業基本法の目的にかんがみ、農業の生産性及び生活水準の動向を中心課題として、それに関連する農業の動向を分析するという考えのもとに、一、経済の高度成長のもとで農業経済はどのように発展したか、二、その間農業と他産業との生産性及び農業従事者と他産業従事者との生活水準の動向がどのようになっているか、三、その動向の背景は何か、四、またその中で農業経営はどう変化しているか、の四点について記述いたしております。
 この報告は、現状において可能な信憑愚性のある統計資料に基づいてできるだけ客観的に実態を把握し、これについての政府の所見を明らかにするという方針のもとに、検討分析の対象は三十五年度を中心とし、統計的に可能なものについては一部三十六年度にも及んでおります。
 その概要を申し述べますと、昭和三十五年度には農業の生産は引き続き堅実な伸長を示し、生産性もかなりの向上を来たし、また、農業経営をめぐる価格関係が農業に有利に推移したこととも相待って、農業所得はかなりの増加を見ました。一方また、農業外所得も著しく増加しましたので、農家所得の伸びは目ざましく、その結果、農業従事者の生活水準も相当な上昇を見たのであります。それにもかかわらず、同年度には、農業と他産業との生産性の開差は拡大し、農業従事者と他産業従事者との生活水準の開きもなお縮小するに至らなかったのであります。
 これは一言で申せば、他産業の成長が予想以上に急速であったため、農業がこれに歩調を合わせられなかったことによるものでありますが、生産性の開差拡大の背景には、農業の資本装備の相対的低下、農業と他産業間の労働力移動の不円滑、農産物需要の高度化に対する農業生産の適応体制のおくれという諸現象が見られたのであります。すなわち、農業におきましても設備投資が増加したのでありますが、他産業のそれに比べはるかに及ばなかったばかりではなく、農業の資本効率は概して低く、農業と他産業との資本装備率の開差は拡大しております。このことの根底には、農業経営の規模の零細性の問題があると考えられ、従って農業の資本装備の増大のためには、資本の集約化による生産性の高い経営技術の確立と並んで、零細農耕の構造の改善が強く要請されるのであります。
 労働力の移動につきましては、三十五年度には、農業の適応体制が十分整わないうちに、農家人口の急速な移動を見ましたため、農業就業構造の質的低下、農繁期の労働力の不足等、種々の摩擦現象を生じたのでありますが、これは構造改善のおくれと機械化技術体系の未確立を反映するものでありまして、一般労働市場の諸条件を改善することはもちろんのこと、農業内部でも構造改善の推進と生産技術の革新が特に重要であります。
 需要と生産の関係につきましては、経済の急速な成長に伴い、三十五年度には、畜産物、果実等の成長農産物を中心として食糧需要が急増し、それらの価格の高騰を招きましたが、これは食糧需要の高度化に対する農業生産の適応体制の整備がおくれていることによる面もあると考えられます。また、これらの成長農産物につきましては、投資の生産効果が現われるまでにやや長期を要するだけに、需要と価格の大幅な変動が、それらの生産の安定的発展を乱す要因として作用しがちであることも無視できません。従いまして、農業生産のなお一そうの選択的拡大を推進するための諸条件を整備するとともに、そのための構造改善や価格安定をはかることが必要であります。
 以上申し述べましたことは、個々の農業経営の動向からも言い得るところでありまして、近年発展的な専業農家の増加や協業の増加等、一部には経営の規模の拡大と高度化という動きが見られますが、これはまだ全般的現象とは言えません。この動きを一般化するためには、経営の発展を困難ならしめている資本の不足、経営耕地の零細性、機械化技術体系の未確立等の制約条件を克服することが必要であります。
 以上が第一部の概要であります。
 次に、第二部、農業に関して講じた施策について申し上げますと、これは第一部と同様、昭和三十五年度を中心として三十六年度に至るまでの農業に関して政府が講じた諸施策を、できるだけ客観的に記述したものであります。申すまでもなく、この間の農業施策は農業基本法の制定以前のものが大部分でありますが、農業基本法に掲げる施策の事項に従って整理いたしております。
 次に、昭和三十七年度において講じようとする農業施策について申し述べます。
 この文書は、ただいま御説明いたしました年次報告にかかる農業の動向を考慮して、昭和三十七年度において政府が講じようとする農業施策を明らかにしたものであります。農業基本法は第二条において、単に農林省所管の事項にとどまらず、政府の政策全般にわたり総合的に講じなければならない国の施策として八つの項目を掲げておりますので、この文書においてもおおむねこの八項目の柱に即して、法律、財政及び行政措置による政府全般にわたる農業に関する施策を記述いたしております。その概要を申し述べます。
 政府は、昭和三十七年度の農業施策を講ずるにあたっては、国際収支の均衡の達成を第一義的目標として、国内経済施策は引き締め基調を堅持するとともに、当面の経済の不均衡の是正をはかりつつ、長期にわたってわが国経済が均衡ある発展をするための基盤の整備に努めるという三十七年度における経済運営の基本的態度に基づき、かつ、前述の年次報告において明らかにした農業の動向を考慮して、農業施策の基本目標を、わが国経済の成長発展及び社会生活の進歩向上に即応して、農業の生産性及び農業従事者の生活水準を向上し、国民経済の成長の一環として均衡のとれた農業の発展を確保することに置き、生産、価格、流通及び所得、構造並びに福祉に関する諸施策を充実強化して、これを総合的に実施することとしておりますが、その重点は次の通りであります。
 第一には、成長農産物を重点として、生産の選択的拡大を一そう促進することであります。まず畜産について、家畜資源の改良増殖と畜産経営の確立向上を重点とし、草地造成改良事業の拡充による飼料自給基盤の確立、多頭飼育経営の育成及び畜産主産地の形成を推進することにしております。次に、果樹について、適地における主産地の形成を目途として、果樹園の集団化、経営の合理化、優良種苗の確保等の措置を充実することといたしております。
 第二に、農業の生産性の向上を促進するため、生産性の向上の基礎条件として、畜産、園芸、機械化等を重点として、試験研究の拡充強化をはかるとともに、農業生産基盤整備事業を推進することとしております。
 第三に、米麦、重要農産物等の価格安定措置は引き続き現行制度を堅持するとともに、畜産物及び青果物の流通の合理化及び価格の安定等の対策を重点的に整備強化することであります。このため、畜産物については、畜産振興事業団に追加出資を行ない、同事業団の価格安定のための業務を強化し、また青果物については、新たに青果物生産安定資金を設置することとしております。
 第四に、農業構造の改善をはかることを昭和三十七年度の最重点施策として推進することといたしております。このため、農地法、農業協同組合法等の制度の改正、大区画圃場の形成、農用地の集団化、農業機械化の促進等の施策と相待って、おおむね十カ年にわたり、総合的な農業構造改善事業促進対策を強力に推進することとしております。
 以上の重点施策を初め、農業基本法を具体化する諸施策の適確な推進をはかるため、農林省機構の抜本的改革を行なうこととし、農業行政の専門分化の要請に即応するとともに、農業行政の総合調整の機能を一そう円滑ならしめるため、農政局、園芸局の新設等、本省の機構を再編成するとともに、地域の特性に適合した農業行政を強力に推進するため、新たに総合的な地方機構を設置することといたしております。
 また、農業関係予算の充実並びに農業近代化資金を初め、各種制度金融の拡充をはかるとともに、必要な法制上の措置として、農業機械化促進法の一部を改正する法律案、畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案等を提案することといたしております。
 以上、年次報告及び三十七年度農業施策についての概要を御説明いたした次第であります。(拍手)
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 国務大臣の演説に対する質疑
○副議長(原健三郎君) ただいまの発言に対して、質疑の通告があります。順次これを許します。藤田義光君。
  〔藤田義光君登壇〕
○藤田義光君 ただいまの、農業基本法第六条並びに第七条に基づく河野農林大臣の報告に対しまして、私は、自由民主党を代表して、数点御質問申し上げたいと存じます。
 まず第一にお伺いしたい点は、ただいまの報告は三十六年度報告であり、施策は三十七年度であると河野農林大臣は言明されましたが、この報告書の内容によれば、昭和三十五年四月から三十六年三月までの報告であります。施策は三十七年四月から三十八年三月までの施策であります。しかりとすれば、この報告と施策の間に一年のギャップを生ずるのであります。私は、最も正確にして妥当なる報告をするためには、すべからく、少なくとも昭和三十六年上半期までを含めた報告をすべきであると思うのでありまするが、この点に関しまして農林大臣の所見を伺いたい。
 第二点は、報告によれば、農業従事者とほかの産業従事者の所得、生産性の格差はますます拡大しておるのであります。たとえば、三十五年度におきまして農業従事者の生産性は四・一%ふえておりまするが、製造業者の生産性は実に二一%ふえておるのであります。また、農業従事者の製造業者に対する比較生産性を見れば、昭和三十四年度は二七%であったのに対しまして、いわゆる報告書による昭和三十五年度の生産性は二四%と減少しておるのであります。製造業者の生産性が上がる反面、農業の生産性も多少上がってはおりまするが、その差はますます拡大しつつある。農業基本法の第一条は、生産性と所得の格差に関しまして、農業従事者とほかの産業従事者の格差を縮めるということが中心施策の目標になっておるのに対しまして、この現象を農林大臣はいかに見られるか、また、この点に関しまして本質的なる解決策を持っておられるかどうか、この際率直に伺いたいと思うのであります。
 この問題に関連して、追加して申し上げたい点は、現在、国内の六百万農家のうち、大体専業農家二百万、第一種兼業農家二百万、第二種兼業農家二百万と、大体において三等分されておるのであります。しかも、この二百万の専業農家に対しまして、二百万の第二種、土曜、日曜の農業をやるにすぎない兼業農家の方が所得が高いということは、一体これはどういうわけであるか。私は、農業を専業とする者が、少なくとも兼業農家よりも所得は高くあるべきである、これが農業基本法の目標でなくてはならぬと思うのでありまするが、農林大臣の御所見を伺っておきたいと思うのであります。
 日本農業当面の最大の問題は、経営の零細化であります。この問題に関しましては、基本法第十五条は、いわゆる自立経営農家の育成をうたい、第十七条におきましては、協業の助長によって、零細農家の集約した力によって、ほかの産業従事者に対抗できるような強力な所得を上げるための措置をとっておるのであります。自立経営農家と協業の助長という二本の柱によって日本農業の最大の欠陥である零細経営を打開しようといたしておるのであります。この線に従いまして、今回の三十七年度予算の中では、四十二億九千万円の構造改善事業費を計上されておる。私は、このようなささたる予算によっては、絶対に、日本の零細経営を打開するという道は前途遼遠であると思うのでありまするが、(拍手)このほかにさらに、農林大臣は何か具体的な方策をお持ちであるかどうか、この機会に簡明率直にお答え願いたいと思うのであります。
 次にお伺い申し上げたいことは、農村当面の一番大きな問題は、農産物の価格政策であり、あるいはまた農村金融の問題であろうと思います。この点に関しましても基本法は規定はされておりまするが、現実に本年度昭和三十七年度予算に計上されたその数字から見れば、まことに貧弱な対策にすぎない。私は、少なくとも農産物に対しましては、全面的に価格安定法律を立案実施すべきである。金融政策に関しましては、近代化資金、あるいは農林中金、農林漁業金融公庫のワクの思い切った増加という、この際英断のある措置が必要であると思うのでありまするが、いささか明年度予算において増加はいたしておりまするが、この程度では論外である。将来の河野農林大臣のこの点に対する抱負を伺っておきたいと思うのであります。
 次にお伺い申し上げたいことは、東南アジア経済協力の問題であります。先般池田総理は東南アジアを歴訪されたのでございます。来月中旬東京におきまして、国連のアジア極東委員会が開会されます。このアジア極東委員会において、十中八、九までアジア経済協力機構が設立されることは確定的である。そうなれば、日本を中心としたアジア経済協力機構の中にあって、東南アジアのいわゆる低廉なる農産物が日本に逆流する危険があるのであります。この点に関しまして、農林省当局は何か対策をお持ちであるかどうか、お伺いしたい。
 私は、最近の報道によれば、ヨーロッパ共同体の最大の難関といわれた農業問題に対して、EEC六カ国の意見が一致し、去る一月十四日以来全くヨーロッパ合衆国の体制に力強く踏み出しておる今日において、日本を中心とした東南アジアの、いわゆるソ連、アメリカ、ヨーロッパ共同市場に続く第四番目の経済圏を作ることは、当面の急務であると信じまするが、この第四経済圏に関連しては、まず農産物の価格、輸入問題等が関連してきて、非常な混乱を予想されるのでございまするが、河野農林大臣の対策を伺っておきたいと思うのであります。
 去る七日社会党は、あらためて農業基本法案と農業近代化促進法案と農業生産組合法案を提出いたしております。私たちは、昨年いろいろな紆余曲折はありましたが、当時の政府が提出いたしました今日の農業基本法を必ずしも理想的なものとは思っておりません。しかし、この法律が実施されたことによって、全国人口の四割近くを占める農村の、新しい時代に力強い一歩を踏み出したことだけは、社会党の諸君も認めざるを得ないと思うのであります。最近社会党から出されました農業基本法案並びに関連の二法案によれば、いずれも農業に対する計画経済を予定いたしております。農業基本計画を中心にして、新しい農政を運営せんといたしておるのであります。今日すでに、昨年六月農業基本法が成立した当時よりも、農村をめぐる諸般の情勢は非常に進展しておる。にもかかわりませず、社会党が昨年春と同じような基本法案を用意し、計画経済に基づく農業基本法案を提出いたしましたことは、農村の現実と相当隔たった暴挙であると私は考えておるのであります。(拍手)この点に関する河野農林大臣の所見を十分に伺い、この三つの法律案に対しまして、農林大臣はいかなる対策を持っておられるか、お伺い申し上げたいと思うのであります。
 いろいろ質問したいことはございますが、時間がありませんので、以上数点を申し述べまして、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)
  〔国務大臣河野一郎君登壇〕
○国務大臣(河野一郎君) お答えをいたします。
 第一問は、統計に関することでございます。一年のブランクがあるではないかとおっしゃいますが、今の日本の行政におきましては、これを穴埋めをするという最大の努力はいたしております。いたしておりますが、事情は御承知の通り、いかんともならないのが現実でございます。御承知をいただきたいと思います。
 第二は、所得差に関することをお尋ねでございます。これも農業基本法を実施いたしましたのは昨年の後半でございます。従いまして、これを予算化し、施策化いたしますのは、明年度からでありますことは御承知の通りであります。政府といたしましては、本法の有無にかかわらず、格差の縮小に努力はいたしております。努力はいたしておりますが、遺憾ながら、他産業が御承知の通り、異常なる伸長をいたしたことでございまするから、これに追随することは農業においてはとうてい不可能でございます。私は農業のようなものは、堅実に伸長して参ることこそ適当であって、むやみに伸びたり縮んだりすることは適当でない、かように思います。
 次に、専業農家の問題についてお尋ねでございます。専業農家と一部零細農家と申しまするか、他に職を持って、農業外所得を持っておる者との所得の差が、専業農家が少なくて、農業外所得から所得を求めておる者の方が多いじゃないかというお尋ねでございましたが、この点は、今お話のありました通り、農業外所得が農業所得より多いのでございますから、そこに差があるのでございますから、農業外に職場を持っておる者がたくさんの所得を持って農家に帰ってくることはやむを得ない事実でございます。
 そこで、今後の農政におきまして、こうした農業外所得を持っておる者を農業の上にどう取り入れていくか、専業農家だけにして、こういう農家はどういうふうに扱うか、これは私は一つの問題だと思います。私は、将来の日本の課題といたしまして、零細化いたしておりまする農業、一面において工場労働と、一面において田園に親しむところの農業として一部家庭の中にある一つの形態が、わが国においては将来研究さるべき課題ではなかろうかと思うのでございまして、わが国の零細化しておる農業をぜひ整理して、専業農家、他はやめるというようなことにしなければならぬ理屈は何もなかろう。これは新しい形態として今後研究さるべき課題だと私は考えております。
 次に、農産物に対する価格対策でございます。これは農業基本法に基づきまして、農業所得を拡大いたして参ります上におきまして、または農業経営の安定を期する上におきまして、価格を重視いたしまして、これが安定化をはからなければならぬことは当然であります。ところが、御承知の通り、生鮮食料品を多数生産の対象にいたしておりまする日本農業におきましては、これらのあらゆる品種にわたってその価格の安定策を講ずることは非常に困難でございます。しかし、政府におきましては、なるべくこれらのものを可能な範囲において支持価格制をとり、もしくはこれらの貯蔵、流通の面についてこまかい施策を講じて、できる限り価格の安定を期して参りたい所存でございます。
 次に、農村金融に関する問題についてお尋ねでございました。御承知の通り、現にわが農村の金融は、協同組合信用部を通じて上り下りがあるわけでございます。農家預金とさらに農家貸付金との金利の差、これらを十分根底から検討いたしまして、今日の農村の実情に合うように農村金融を考える必要があると私は考えます。しかし、なかなか問題は複雑でございまして、重大でございます。にわかにこれが解決をいたしますることも困難性がございますので、さしあたって政府といたしましては、農村の預金でございまするおおむね五分何厘、六分等、その程度まで近づけた六分五厘程度をまずまず農村金融の金利として、この辺で農村にお許しを願わなければならぬのじゃなかろうか。いずれ政府といたしましては、抜本的に世界各国の農業金融形態もしくは農村金利等と相関連して日本におきましても考慮いたさなければ、最後にお尋ねになりました世界経済の共同化というようなものに対処をいたさなければならないときがもしきましたならば、わが国の高い金利をもってするところの農業がいかに不合理であるか、不利であるかというようなこと等も考えなければなりませんから、なるべく早く、農村金融につきましては抜本的な施策を講ずる必要があると考えております。
 アジアの共同体と日本農業についてお尋ねでございましたが、この点につきましては、政府は閣議において、今後いかようにするかということを目下検討中でございます。従って、本日ここにお答えをする資格をまだ持っておりません。御了承をいただきたいと思います。
 最後に、社会党のお出しになっておる案についていろいろ御意見でございましたが、まだ拝見いたしておりませんから、いずれ拝見いたしまして意見を申し上げることにいたしたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 足鹿覺君。
  〔足鹿覺君登壇〕
○足鹿覺君 私は、日本社会党を代表して、ただいま農林大臣から説明のありました、農業基本法第六条に基づく農業の動向に関する年次報告(以下報告といいます)及び同法第七条に基づく昭和三十七年度において講じようとする施策(以下施策といいます)いわゆるグリーン・レポート、グリーン・プランを中心に、農政のあり方とその具体策について、総理大臣並びに関係閣僚に、若干の質問を行なわんとするものであります。
 まず第一に、農業と他産業の所得均衡問題についてお尋ねいたしたいのであります。
 報告は、第一部において、農業と他産業との生産性の開差はかえって拡大し、農業従事者と他産業従事者との生活水準の開きもなお縮小するに至っていない、と述べているのであります。このことは、農業と他産業との所得の均衡を最大の目標とする農基法の実施第一年において、その目標と現実が全くかけ離れていることを、みずから告白しているといわねばなりません。この大きな矛盾を、総理はいかなる見通しと計画に基づいて、その開差を縮小し、進んで所得の均衡をはかる御所存であるか。この点は農民の最も知りたいところでありますので、責任ある明快な答弁を願いたいのであります。
 このことと関連して、報告は、開差拡大の原因を一言でいえば、他産業の成長があまりにも急速であったため、農業がそれに歩調を合わせられなかったことによるとし、農業部門の立場からも、均衡のとれた安定的経済成長が望まれるといっております。この報告の、安定的経済成長を望むという言葉は、総理のいわゆる高度成長政策に対する困惑の現われと考えられるのでありますが、この点についても、総理の所見を承りたいのであります。
 第二に、農業の構造改善について、次の数点をお尋ねいたしたいのであります。
 農業の構造改善という言葉は、生まれてその日も浅く、各人各様の理解がなされておるようであります。私は、農業の構造改善の中心は、宿命ともいうべきわが国農業の零細経営を打開し、経営規模を拡大するために、耕地、草地の造成拡大、改良、農地の集団化、水利条件、農道の整備等の施策を重点的に実施すべきことこそ大切であろうと思うのであります。これなくして農業の構造改善は考えられないのであります。
 しかるに政府は、新規開拓を打ち切り、農地造成を放棄し、現在着工中の土地改良事業も、今後、国営で四年半、県営で七年、団体営で驚くなかれ十六年もかからなければ完成しないという実情であります。にもかかわらず、政府は、これとの関連もなしに、構造改善の推進と称して、三百に近い市町村に総花的に補助金を支出せんとしているのであります。これでは、農業基盤の整備などは望むべくもなく、政府のいう構造改善事業は、単なる適地適産の主産地形成に変質し、かつての河野農政の新農村建設事業の焼き直しにすぎないというべきでありましょう。(拍手)河野農相は、構造改善事業をいかようにとらまえているのであるか、所信のほどを伺いたいのであります。私が、かく申し上げるのは、かつて農業白書が日本農業の体質改善を力説したのでありますが、今度は構造改善といういかめしい看板を掲げて、農民を煙に巻こうという魂胆ではないかと疑わざるを得ないからであります。
 第二点は、積極的農地流動化の構想と農業の共同化対策について伺いたいのでございます。
 報告は、三十五年度の離村就職三十六万四千人、このうち経営主あるいは跡取り六万人が他産業に流出し、階層分化の傾向がかなり明瞭に見られるようになったと指摘し、また専業農家が三・三%も減少し、逆に兼業農家が一七・四%と大幅に増加したことを明らかにしておるのであります。このことは、政府の自立経営農家育成の意図と現実とが全く相反する皮肉な様相を深刻に現わしているのであります。
 池田総理は、十年後に、二町五反の自立農家百万戸を育成するといっております。そのためには、二百五十万戸の離農、脱農をはかり、土地の移動を行なわなければならないのであります。最近の農地価格は、僻地においても反当二十万円を下りません。とするならば、農地流動化資金は、十年間に三兆円、年間三千億円の膨大な金額に上るのであります。このことは、通貨の膨張を来たし、経済に悪影響をもたらすことは必至といわなければなりません。のみならず、農家にしてみれば、金利三分五厘としても、反当り七千円、元金償還二十年賦として年一万円、合計反当一万七千円余の元利償還を必要とするのであります。私が、特に総理に申し上げたいことは、反当四石の収穫としても、四万円からこれを差し引けば、残りはわずか二万三千円の農家手取りとなるにすぎません。このようなことでは、農業経営自体成り立たず、農民は、農業によって生きていくことすらできないことに相なるのであります。総理は、それでよいとお考えになるのでありましょうか、あえてお聞きしたいのであります。
 政府はまた、農地、農協法を改正して、農地信託制度を新設し、末端農協にわずか一万円の補助金を交付して、農地の流動を円滑にするといいますが、そのようなこそくな手段をもってして農地移動が適正に進むものでは決してないのであります。この際、積極的農地流動化の構想があれば、総理並びに農相に伺っておきたいのであります。
 私は、総理は今なお自立農家育成という小農維持政策を固執されているように思うのでありますが、今日、大企業はマンモス化し、コンビナート方式によって巨大な企業群に発展しつつある現在、日本農業も安易な現行農地法の小農維持主義から脱皮すべきときであると確信するものであります。
 昨年暮れ、政府が発表した「協業の実態」にも明らかなごとく、農民の自発的創意による共同化は、三十五年以降急速に進み、現在二万六千戸をこえつつある実情に即し、経営の共同化を促進する積極的な施策を打ち出し、農民の盛り上がる熱意にこたえ、政策の転換をはかるべきときだと断じてはばからないのであります。(拍手)
 第三点は、農業近代化の中心ともいうべき農業機械化の問題についてお尋ねいたします。
 農業の機械化は、近年急速に進んできておるのであります。すなわち、小型トラクターのごときは三十六年末に百万台を突破し、農家のこれが資金投入額は一千億円をこえているのであります。しかし、現状の機械化は、個々の農家によって無計画に進められており、その使用効率はきわめて低く、農民は重い負担にあえぎ、機械化貧乏の様相を呈しておるのであります。かかる無計画な機械化に対し、政府は今日まで拱手傍観、技術の裏づけによる計画的な機械化対策を怠っているのでありますが、政府は今後、大型機械の改良及び利用を促進し、耕耘から収穫に至る一貫した機械化技術体系を早急に確立するため、思い切った施策を講じ、誤った機械化ブームを正常化し、もって農業近代化を促進すべきだと思うが、農林大臣の御所信のほどを承りたいのであります。
 第四点として、農業近代化資金について伺いたいのであります。
 政府は三十六年度から近代化資金制度を設けたものの、これは農協資金によって総ワク三百億円に一分の金利補給を行なうもので、政府の負担はわずかに三億円にすぎないのであります。また、新年度施策においても、近代化資金制度の拡充強化をうたいながら、八十三億円の積み立て運用益わずか五億円によって、資金ワク五百億円に対し一分五厘の利子補給を行なうにすぎません。このようなことで、激増する資金需要と長期低利の資金を求める農民の期待にこたえ、経営の近代化が進むとお考えになっておられるのでありましょうか。政府の誠意を疑わざるを得ないのであります。私は、少なくとも二十年以上、年三分以下の、農業近代化のための資金制度を、国の責任において創設することが必要と思いますが、政府にその意思があるかどうか、大蔵、農林両大臣にお伺いしたいのであります。
 次に第三として、農産物の価格、流通並びに農業資材対策について、二、三尋ねたいのであります。
 施策は、価格、流通対策について、成長農産物の生産の拡大のために、需給関係の調整、取引の近代化と価格の安定をはかる、と述べているのであります。このような政府の方針に即応して、畜産農民は、先年来積極的に肉豚の飼育に努めてきたのであります。しかるに昨秋以来その価格は低落し、生産費を大幅に下回り、特に最近急速な値下がりを示し、養豚農民は不安動揺、その経済は破綻に瀕しているにもかかわらず、消費者価格は値下がりしないままに放任されておるのであります。かかる現状に対し、政府はようやく畜産物価格安定法による審議会を開いた程度で、何ら具体的な措置を講ぜず、いわゆる選択的拡大は、その出発当初から破綻しつつあるというべきでありましょう。(拍手)このことは、政府の怠慢にあると断ぜざるを得ません。私は、先年の養蚕農家の悲劇の再現をおそるるものであります。政府は、すみやかに、法律に基づき、畜産物の再生産を確保する安定基準価格を定め、事業団をしてすみやかに業務を開始せしめるとともに、応急策として、生産者団体に買い入れ、調整、保管を代行せしめる等、緊急事態に処する具体策の用意ありやいなやを伺うと同時に、最近の飼料の不足と値上がりを緩和するために、政府保有麦二十万トンをすみやかに放出し、農家に直結して売り渡す意思があるかどうか、農林大臣の御決意を伺いたいのであります。
 第二点として、食管制度と米価について伺いたいのであります。
 河野農相は、就任と同時に自由米構想を発表し、食管制度変革の方途を進め、世論の強い反撃にあって、政府に食管制度懇談会を設置して一時を糊塗せんとしつつあるが、報告はこの点に全然触れていないのであります。
 政府は、三十七年度予算米価を前年据え置きとしておるが、値上がりを続ける一般物価と均衡を得るよう、農業と他産業の所得均衡政策の一環としても、食管制度を将来にわたって堅持し、生産費・所得補償方式によって、生産者米価の引き上げ、消費者米価据え置きを行なうかどうか、この点は特に総理大臣より御答弁が願いたいのであります。
 さらに第三点として、農業政策としての肥料対策について伺いたいのであります。
 政府は、現行肥料二法を廃止して、肥料工業振興法を制定する構想をまとめたと伝えられておるのでありますが、これは二法を廃止して輸出赤字を国内に転嫁し、消費者に高い肥料を押しつけ、農民の犠牲によって肥料企業家の擁護をはからんとするものであり、また団体交渉によって価格決定を行なうことは、企業のカルテル行為を公認することにほかならず、まさに独禁法違反といわざるを得ないのであります。もともと農基法は資材対策を全く軽視しており、今回の構想も、農業政策としての肥料対策の放棄を意味するものであります。特にこれが農林大臣の発想によるものと伝えられておるのでありますが、農林大臣の真意のほどを疑わざるを得ないのであります。新法構想を白紙に戻し、消費者農民の不安を取り除くべきだと考えますが、農林、通産両大臣のこれに対する所見を伺いたいのであります。
 最後に、第四として伺いたいのは、農基法に基づく施策を実現するための裏づけとなる予算についてであります。
 農基法第四条は、政府は必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならないと規定しているのでありますが、三十七年度予算を見るに、農林関係予算は他省所管分を含めて二千四百五十九億円で、総予算の一〇・一%、前年九・六%に比べ、わずかに〇・五%の増加にすぎないのであります。しかも道路、港湾等の公共事業費は総予算の五〇・五%と、近年急激に増加しておるのに対し、農業基盤整備のための公共投資は、前年の一三・五%から一二・八%に減り、また農林予算の三〇%は食管会計の赤字補てんであり、農基法実施第二年目の予算とは、お義理にも言えぬお粗末なものといわなければならないのであります。(拍手)従って、このようなありさまでは、十年後に農民所得を倍増する政策の裏づけとは断じて受け取るわけには参らないのであります。
 イタリアの緑の計画は、五カ年間に約三千二百億円を、フランスは農業投資に関する計画法によって三カ年間に一千六百億円の国費支出を定め、さらにまた、西ドイツも農基法が実施されるや、農林予算は倍増しているのであります。これらの諸国と対比するとき、わが国の農基法が財政的裏づけに欠けた空疎な宣言法にすきないことが証明されると同時に、政府みずからが法律を空文化して省みず、農基法を単なる飾りものとして宣伝の具に供せんとしているというも過言でなく、六百万農家に対する重大な背信行為と断ぜざるを得ないのであります。
 要するに「昭和三十六年度農業の動向に関する年次報告」及び「昭和三十七年度において講じようとする農業施策」には、何らの新味、重点なく、政府の熱意も見えず、従来の予算説明を都合よく農基法の条項に合わせて解説した作文にすぎず、きわめて便宜的、形式的なものといわざるを得ないのであります。(拍手)政府は、今後かかる形式的おざなりな報告を改めるとともに、農基法に基づく権威ある施策を確立し、十分なる予算を確保すべきであります。私は、これは最も重大な問題であると思うのであります。
 今、全国の農民は、この私の質問に対する総理並びに大蔵大臣の誠実味あふるる答弁を待っていると思います。明確な御答弁をお願いいたしたいのであります。
 今や農業に希望と魅力を失った農村青少年は、相次いで村を捨て、農業労働力は老齢化し、他産業との格差は拡大し、農業の近代化はおろか、農村は荒廃の一途をたどらんとしつつあるときにあたり、政府の反省を促して、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
○副議長(原健三郎君) 総理大臣の答弁は、適当な機会に願うことといたします。
  〔国務大臣河野一郎君登壇〕
○国務大臣(河野一郎君) お答えをいたします。
 第一は、農業と他産業との所得差の問題についていろいろお尋ねでございましたが、大体先ほどお答えいたしました通りでございまして、御了承いただきたいと思います。
 次は、構造改善に関する問題でございます。構造改善に関する問題につきましては、非常に足鹿さんからお小言をちょうだいいたしましたが、しかし、今や、全国農村の方々は、この構造改善に非常に御期待を持っていただきまして、全面的に非常な熱意で農村構造の改善が推進いたしておる事実は御了承いただけると思うのであります。ただ……(「中身を言え」と呼ぶ者あり)中身は、これまでもしぱしば申し上げましたし、農村の方でも理解しております。
 具体的に申し上げます。第一は、これまでの農業を、成長農業を取り入れ、もしくは零細化いたしておりまする土地に対して依存度の強い農業を、これに資本、施策を加えた農業に切りかえる、近代化した農業に切りかえる、これを共同化した農村構造に切りかえる、これらに対する施策をやって参ろうというのが、農村構造の近代化の問題でございます。構造改善の問題でございます。これらについては深く農村方面の御理解をいただいておるものと私は思うのでございます。今御指摘のように、足鹿さんとは党派は違いますが、農村のことについては、私は常に意見を同じくいたしておるものでございます。足鹿さんからこういう席であまりぼろくそにおっしゃられますと、農村の受け取り方も私はお考えをいただきたい。まじめな農村が、足鹿さんがあんなにぼろくそに言うたからということで、せっかく白熱いたしております農村構造に対する意欲がそがれる危険がありはせぬかということを心配いたすものでございます。
 第三に、農業の機械化の問題についてでございます。これもだんだんの御主張でございましたが、足鹿さんの、農村が機械化貧乏して、みなめちゃめちゃじゃないかとおっしゃるような事実は、一部にないとは否定はいたしません。しかし、わが国農村が機械化し、近代化しておる事実も肯定していただきたいと思うのであります。私はこの農村の現実にかんがみまして、政府は、特に明年度よりこれらの機械の研究、検定等に重点を置きました機械化研究所の設置について議会にお願いを申し上げておることは御承知の通りであります。これをを中心にいたしまして、国、県等、だんだん大中小の農村の機械化に向かってそれぞれのセンターを作って参ることについても、今施策をいたしておるところでございます。従って、御指摘になりました通りに、農村の機械化については、政府は実施をいたす段階になっておりますから、この点は御協力をいただきたいと思うのであります。
 第四番目に、物価に関する問題でございます。農産物価につきましては、先ほどお答えを申し上げましたから御了承いただきたいと思います。
 次に、飼料及びその他の関連したものについてのことでございますが、これは足鹿さんからただいま御指摘になりました通りに、現に実施の段階に入っておりますから、この点もさよう御承知をいただきたい。
 豚のことについて御意見でございましたから、一言申し上げます。
 豚につきましては、新聞紙上ですでに御承知の通り、政府は今明日中にも価格の決定をいたしまして、直ちに実施の段階に入る所存であります。すでに品川の屠場におきましては、われわれがおおむね意図いたしておりました通りに豚の値段は上がってきております。下がっておりましたのは一週間前のことでございまして、昨日から本日にかけては、二百四十円がらみまで回復いたしておりますから、その点は御了承をいただきたい。
 次に、米価について申し上げます。
 米価につきましては、今さら申し上げるまでもなく、われわれは食管法の精神に基づいて今後の生産者米価を決定いたしますることは、あらためて申し上げるまでもないことであります。このことは、食管法はともかくといたしましても、農業基本法の精神によりましても、再生産を保障すべき農産物価を維持するということが基本でございます。従って、その中心たる米価についてこれを維持いたしますることは当然でございます。あらためて御心配をかけるまでもないことと思うのでございます。
 最後に、肥料についてだんだんお話でございましたが、私は農林大臣として、肥料に関する施策は、農家の必要なる量を必要なときに農村が入手できるかできぬか、これをできるようにすることが第一点。第二は、農家が意図するところの適正な肥料価格で入手することができるかどうか、これが第二であると思います。この数量と価格の保障さえ農林大臣として責任が持てるならば、他はおおむね通産大臣が輸出振興の立場において行政なさることが適当であろう、こう考えます。肥料については、現に皆さん御承知の通り、四割以上が輸出でございます。それだけ国内は商品過剰でございます。余っております。従って、数量についての心配は私はまずまずない。値段はどうだと申しますると、これもすでに御承知の通りに、現に肥料審議会その他において、さらにまた、通産省があらゆる場合において御説明になっておりまするように、合理化五カ年計画によって、今後のわがア系肥料の価格の進むべき方向はすでに示されております。将来に向かってわれわれはこれを期待し、推進する。特に振興法を通産大臣はお出しになって、これまでとは違って、一そう積極的にこれら肥料の振興をはかるということでございますから、私といたしましては、これに多くの期待を持ちまして、価格、数量については、責任の持てるという意味において、私は通産大臣の肥料行政に全面的に賛成をいたしておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
○国務大臣(水田三喜男君) 農業金融についての御質問でございましたが、農業資金は、他産業に比べて特に低利でなければならないという足鹿さんの御意見には、全く同感でございます。ところが、先ほど河野農林大臣が、抜本的な措置を考えたいというお話でございましたが、農林金融には抜本的な措置を考えるべき問題が非常に今多いと思います。たとえば、末端の農業協同組合に農家が蓄積した金は、まず利子が六分でございます。そこから県信連へ行くまでに、各郡に県信連の支所があり、支所を通過して県信連にその金が上がっていく、県信連から、さらに各県にある農林中金の支社を通って、そこを経由して農林中金に上がる。五段階上がっていくうちには、この金はコストが非常に高くなって、再び農業資金に還元する方法がございません。従って、私どもは、昨年よりこの金を農業近代化資金に動員できるようにということで、利子補給をやったり、保証機構を整備して三百億円動員する、ことしは五百億円の動員を考えましたが、これには限度がございまして、やはり農家の蓄積資金が農業に安く還元する道をあわせて考えなければ、全部を全部国の資金によって利子を補給するという方法は、これは限度があり、むずかしいことだろうと思います。従って、私どもは、農業資金を安くするために、国の金利補給という方法もやりますが、農民固有の蓄積資金の貸し出しをもっと低利にする方法について、根本的に考える必要があるだろうと、今、農林省にもこの研究をお願いしておるところでございます。(拍手)
  〔国務大臣佐藤榮作君登壇〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 肥料二法の取り扱いの問題につきましては、基本的には、先ほど農林大臣からお答えになった通りの考え方で、意見は一致いたしております。問題は、肥料が数量的にも、また、価格の面におきましても、需要者である農民に、円滑に、しかも不便を与えないように、また、不都合を来たさないようにする、これが私どもの目標でございます。(「安く、安く」と呼ぶ者あり)これは、ただいま安くというお話がございますが、今日の肥料工業の実情は、肥料二法を作ったときと実情がすっかり変わっておりまして、先ほど申されるように、輸出が四割になっておる。この輸出は、国際価格の非常な変動と申しますか、低い国際価格である。そういうところでこれと競争して参りますためには、どうしても、いわゆる輸出産業としてこれを強化育成していく必要があるわけであります。これが育成強化されましたならば、さらに進んでの生産費のコストの引き下げも可能でありまするし、また、数量的にも不都合を来たさないことになるのだと思います。こういう観点に立ちまして、今後の価格のあり方等も、在来の価格の取りきめ方でなしに、新しい方式を採用することが望ましい、かように考えておるわけであります。いずれ肥料振興法案を提出いたしましたら、その審議の過程におきまして、さらに詳細の御意見も伺いたい、また、私どもも主張を十分明らかにしたい、かように考えております。(拍手)
○副議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時三十四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        農 林 大 臣 河野 一郎君
        通商産業大臣  佐藤 榮作君
        労 働 大 臣 福永 健司君
        国 務 大 臣 藤山愛一郎君
     ――――◇―――――