第040回国会 本会議 第32号
昭和三十七年四月五日(木曜日)
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 議事日程 第二十九号
  昭和三十七年四月五日
   午後二時開議
 第一 日本国に対する戦後の経済
  援助の処理に関する日本国とア
  メリカ合衆国との間の協定の締
  結について承認を求めるの件
 第二 特別円問題の解決に関する
  日本国とタイとの間の協定のあ
  る規定に代わる協定の締結につ
  いて承認を求めるの件
 第三 質屋営業法及び古物営業法
  の一部を改正する法律案(内閣
  提出、参議院送付)
 第四 国有財産法第十三条第二項
  の規定に基づき、国会の議決を
  求めるの件
 第五 経済企画庁設置法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
 第六 科学技術庁設置法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
 第七 行政管理庁設置法等の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
 第八 児童扶養手当法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
 第九 国民年金法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
 第十 畜産物の価格安定等に関す
  る法律の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 外務大臣小坂善太郎君不信任決
  議案(山本幸一君外四名提出)
 外務委員長森下國雄君解任決議
  案(山本幸一君外四名提出)
 日本国に対する戦後の経済援助の
  処理に関する日本国とアメリカ
  合衆国との間の協定の締結につ
  いて承認を求めるの件を撤回し
  再交渉を求めるの動議(春日一
  幸君外四名提出)
 日程第一 日本国に対する戦後の
  経済援助の処理に関する日本国
  とアメリカ合衆国との間の協定
  の締結について承認を求めるの
  件
 日程第二 特別円問題の解決に関
  する日本国とタイとの間の協定
  のある規定に代わる協定の締結
  について承認を求めるの件
   午後七時十九分開議
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 外務大臣小坂喜太郎君不信任決議
  案(山本幸一君外四名提出)
     (委員会審査省略要求案件)
○田邉國男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、山本幸一君外四名提出、外務大臣小坂善太郎君不信任決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 外務大臣小坂善太郎君不信任決議案を議題といたします。
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    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 提出者の趣旨弁明を許します。細迫兼光君。
  〔細迫兼光君登壇〕
○細迫兼光君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程せられました小坂外務大臣不信任案の趣旨説明をいたそうとするものであります。(拍手)
 まず、案文の朗読をいたします。
    主 文
  本院は、外務大臣小坂善太郎君を信任せず。
  右決議する。
  〔拍手〕
 小坂善太郎君は、自民党の中における知性ある存在として、その将来を嘱目するところがあったのでありまするが、今日この不信任案を提出せざるを得ざるに至ったことは、私のまことに遺憾とするところであります。(拍手)
 小坂外務大臣は、第二次池田内閣において外務大臣として留任するや、いち早く韓国に飛びまして、日韓会談の推進に異常な熱意を示し、自来日韓会談の妥結をもって自分の終生の記念事業としようとしておると思われるような熱心さを示しております。これはわが日本のとるべき方針として全く方角違いの方針であります。今日、日本の方針としては、中華人民共和国とこそ、友好親善、経済的な取り組みをすることが最大な急務でなければなりません。これこそわが日本の安全、アジアの平和のかなめであり、わが国民生活の安定と繁栄の基礎であります。この方向を指向して心血を注いでこそ、日本の外務大臣と言い得るのであります。しかるに、全く方角を間違えまして、中華人民共和国を敵視し、韓国の国民の信頼のないクーデター政権を支持、援助し、滅共北進を呼号しておる朴政権と運命をともにしようとする、きわめて危険な道へ日本国民を導かんとしております。(拍手)しかも、日韓会談は、朝鮮国民の統一を阻害するのみならず、再び日本独占資本の朝鮮に対する帝国主義的進出でありまして、もう戦争はいやだ、他国の侵略はなすべきでないという日本国民の意思に反するものであります。
 国民の意思に反することをあえて強行しようとすることは、ただに日韓会談だけではありません。今問題になっておるガリオア・エロア支払い協定、タイ特別円処理に関する協定も、これまた国民の意思に反することはなはだしいものであります。ガリオア援助は、アメリカの陸軍が占領政策上一方的に行なったもので、その債務性は疑問であり、国民はただのものだと思っておりました。水田大蔵大臣もただだと思っておったと告白しております。しかもその金額に至っては、全くよりどころがありません。昭和二十四年三月以前の関係を知るべき何らの資料も存していないのであります。
 タイ特別円問題は、五十四億円の支払い、金の売り渡しによって、すでに一切解決済みの問題であります。昭和三十四年度の会計検査院の国会への報告において、支払いは一切終了したと報告しておる問題であります。(拍手)しかるに、これに関連して、新たに九十六億円を無償で贈与しようとしておるのであります。いかに政府が強弁しても、とうてい国民は納得いたしません。連日の外務委員会における質問応答によっても、疑問はますます深くなるばかりではありませんか。だから、外務委員会における質問によって、ますますその不合理の暴露せられることをおそれて、自民党の森下委員長は、岡田春夫君の質問続行中に、質疑打ち切りの暴挙をあえてやってのけたのであります。(拍手)国民の疑惑はますます深くなりました。われわれ、納税者、国民を代表する者としては、かかる深い疑惑に包まれた問題の金を支払うことに承認を与えることは、国会議員の責任として絶対できないことであると確信するのであります。(拍手)
 もちろん、問題の全責任は池田総理に存するのでありますが、直接これらの問題を管掌する小坂外務大臣が、第一次責任を問われなければなりません。
 池田・小坂外交は、アメリカの発する電波に乗って、手放しで計器飛行をやっている飛行機のように、どこにも自主性の見るべきものはありません。(拍手)アメリカ帝国主義の手先になって、中国包囲陣の強化に狂奔しておるのであります。しかも、その道は、わが日本を戦争に巻き込ませる危険な道であり、わが経済を破綻に導き、国民の生活の向上に絶望を与えるものであります。ガリオア・エロアの支払い、タイ特別円関係の二協定は、理由なくして国民の血税を浪費するものであります。(拍手)しかも、これら二協定審議において行なわれた独裁的な質疑打ち切りの暴挙も、小坂外相の強い要求によるものといわざるを得ない。ここに至りましては、民主的議会制度をじゅうりんするものとして、許すことができません。(拍手)これ、ここに、外務大臣小坂善太郎君不信任案を提出したゆえんであります。何とぞ諸君の御賛同をお願いいたします。(拍手)
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○議長(清瀬一郎君) 討論の通告がありますから、順次これを許します。安藤覺君。
  〔安藤覺君登壇〕
○安藤覺君 私は、ただいま議題となりました小坂外務大臣不信任決議案に対し、自由民主党を代表して、反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 ただいま、社会党代表細迫氏は、小坂外相不信任案提出の趣旨弁明を述べられたのでありますが、その理由があまりにも偏見と邪推とに出発いたしておることに驚かざるを得ないのであります。(拍手)すなわち、ただいまの小坂外相不信任の思想の根底にあるものは、世界は必然的に革命せらるべきものであり、中ソはその革命の先進国であり、わが国はこれに続くべき国としての立場に立ってすべて外交せらるべきものであるとの固定観念に立って論議しておられるものと存ぜられるのであります。(拍手)換言をしますれば、本年一月早々、社会党におかれては、訪中使節団が、米帝国主義は日中共同の敵なる声明を発表し、社会党は、大会においてこれを確認せられ、去る昭和三十五年十一月の総選挙において、国民に公約せられたる積極中立外交の旗を弊履のごとく放棄し去り、共産主義陣営に偏倚し、中ソ礼賛外交の立場に立って、わが外交を批判し、理論を展開しておられるものであって、これこそ、みずからは車道を歩みながら、他人の歩道を歩むをとがめるに似たものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)すなわち、その根底において小坂外相を不信任する資格を欠くものといわざるを得ないのであります。(拍手)
 小坂外相は、昭和三十五年七月外務大臣に就任以来、一年有九カ月営々として外交の衝に当たっておるのであります。ことにその就任当時においては、一部誤れる指導者の安保条約阻止運動を中心とせるアイゼンハワー前大統領の訪日阻止等々の左翼偏向運動によって招来いたしました諸外国のわが国へのある種の不安、疑惑を生ぜしめた直後であったこのような事態のもとにおいて、小坂外相はいかにしてわが国の国際信用を回復し、かつこれを向上せしむべきかに腐心し、最善の努力を払ってきたのであります。(拍手)しかも、この成果は着々上げられているのでありまして、今その一、二をあげますれば、今やわが国連における地位はいよいよその重きを加え、世界におけるその地位も、かつてむざんな敗戦によって失いました地位を回復し、平和愛好国として国際政治の上に確固たる基礎を築くに至ったことは何人も否定し得ざるところであります。(拍手)この間、二回にわたる小坂外相の国連総会への出席、活躍は高く評価されるところであります。ことに昨年六月訪米いたしまして、ケネディ大統領並びに米政府首脳との会談、縦横の活躍は、日米貿易経済合同委員会あるいは教育文化に関する両国合同委員会設置等となりまして、さらには最近における米国の沖縄に対する画期的な新政策となって現われたのであります。
 小坂外相の実績は、さらに挙揚せらるべきものが幾多あるのでありますが、しかるにもかかわらず、この努力と功績とを率直に評価、認めることなく、いな逆に弾劾せんとするがごときは、私が冒頭に喝破いたしました固定したイデオロギーの上に立った偏見、ドグマ、邪推、党利党略以外の何ものでもないと観ぜざるを得ないのであります。(拍手)今これを立証いたすべくんば、まことに容易なことであります。すなわち、社会党のこのたびのタイ・ガリオア両協定案に対する態度こそが、これを有力に立証いたしておるのであります。社会党は、この二案件が、いまだ全く審議の対象にならざるに先だって、早くもこれに反対の態度を決定し、河上委員長をして、二案件の成立を絶対に阻止するとの長野談話を発表せしめたのであります。従って、国会審議中の社会党議員諸君の質問は、党議決定の反対態度に会わせた反対理由発見のための質問、論議に終始し、しかも一切が邪推に出発し、なおかつ審議期間を一カ月余にわたって無為にして送り、審議を引き延ばし、もって廃案に陥れんといたしたのであります。(拍手)これをこそ、固定化したイデオロギーに出発した偏見、邪推、独断、党利党略に立った小坂外交の批判の証拠であるとするのであります。
 社会党の諸君は、口を開けば秘密外交、非民主主義外交と批判をいたします。しからば社会党の諸君にお尋ねいたそう。諸君が礼賛し、渇仰し、真の民主主義国家として敬慕するソビエトにおいて、中共において、はたしていかなる外交が行なわれているのであるか。(拍手)
 さらに重ねて問う。諸君が国民外交として自負して送った中共訪問使節団は、本年一月の北京における中共首脳との会談において、米帝国主義は日中共同の敵なる共同声明を決定、発表するに至るまでの間、諸君の言動に注視する一億国民の前に、いかなるガラス張りの会議を開いたのであるか、いかなる形において国民にその会談経過を知らしめつつあったのであるか、いかにして国民にその批判を求めていたのであるか、いな逆に驚くべき秘密保持にきゅうきゅうとして、その結果は、国民をして驚愕失望せしめた「米帝国主義は日中共同の敵」の声明ではなかったのか。(拍手)諸君は、あえてなおこれを国民外交、民主主義外交と言われるのであるか。
 小坂外相は、そのすぐれた手腕と明朗なる人格とをもって、わが自由民主党の、わが池田内閣の掲げる、高い人道主義に立つ国連を中心とした世界の恒久平和と人類の自由平等のもとに、わが日本民族の限りない繁栄と発展とを企図し実現する外交方針を忠実に堅持実践しておる人である。これを弾劾せんとするものは、これを信任せずとするものは、まずみずからの偏見を反省すべきであります。みずからのゆがめる姿を鏡に映し、そのゆがみと醜さを直すべきであります。(拍手)
 以上、簡単でありますが、小坂外相の不信任動議に対する反対論を述べ、願わくば諸君の共鳴、共感をいただきたいのであります。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 大原亨君。
  〔大原亨君登壇〕
○大原亨君 私は、日本社会党を代表いたしまして、わが党の細迫議員より提案されました外務大臣小坂善太郎君の不信任案に対する賛成の討論をいたさんとするものでございます。(拍手)
 皆さん、今の日本には外交はないといわれておるのであります。米、英、ソ、仏、伊、独などと並ぶ世界十大工業国の一つである日本のこの外交らしい外交がないという国際的な評価について、私はまず指摘いたしたいと思うのであります。
 色あせたケネディのニュー・フロンティアはしばらくおきまして、中国を承認し、ココムの制限をけ飛ばしている徹底したイギリスの現実外交、高邁な理想に貫かれた中立外交のインドのネール、アルジェリアの問題を国民の力を背景としながら解決をいたしましたドゴール、平和共存の旗を掲げるフルシチョフ、ユーゴのチトーの中立外交など、それぞれ思想、立場を異にしているけれども、それぞれの民族を結集するに足る自主独往の気魄を持っている点は、高く評価さるべきものであると思うのであります。(拍手)
 戦前、かつては鬼畜米英撃滅などと言っていた保守党の大多数の諸君は、今老大国アメリカのちり毛を払うことにきゅうきゅうとしているのであります。日本の外交府の長官である外務大臣小坂善太郎君の名前は、あたかも外交上におきましては無能の代名詞のごとく評価されている点を指摘いたしたいと思うのであります。(拍手)自主独往の気魄のない外交に、何で国民が信頼し、国民を結集させ、諸外国の畏敬を求めることができ得ましょう。
 小坂大臣は、さきの池田内閣の改造のまっただ中に、お手盛りでイギリスに特使として渡りました。イギリスから外電を動かしまして、日本国民は小坂を使節に送って二階のはしごをおろすようなことはすまいなどというニュースを送って、まんまと外務大臣に再びありついたのであります。(拍手)日本に外交なし、日本の外務省に外務大臣がいないという批判は、小坂外相が次官にも値しないという評価と同様の中身を持つものであって、日本の外交の確立、その場当たりの屈従外交の清算は、まず小坂外相を更迭するところから始めなければならぬと信ずるものであります。(拍手)
 つい最近まで、池田首相は経済は卒業して今や外交づいたなどという評価があったのであります。そういう自信があったのであります。その経済成長対策が一体だれのものであるかという正体がまず暴露され、外交もそのずさんな思いつきぶりが明らかにされるに至り、池田内閣の支持率は急速に下落しつつあることは、あらゆる世論調査の動向が示している通りであります。池田さんは、経済や外交はおれにまかせろというのでありますが、池田には何もまかせられないというのが、今日民衆の中の声なき声であると言うても過言ではありません。池田首相が外交づいたから、外務大臣は次官ぐらいの小使走りでよかろうというのが、外務大臣再任の理由ともいわれたのであります。いやしくも小坂外務大臣は、池田総理を助ける最高の外交責任者であります。
 話はちょっと変わりますが、今や国民の中にこういう声が起きておるのでありますが、小坂さんは御承知でありますか。もう池田総理を外遊させないでくれといううつぼつたる民衆の声であります。これはなぜか。理由は簡単である。池田首相は、日本国内では所得倍増という羊の肉を公約に掲げながら、貧乏と物価倍増という犬の肉を売りつけた。貧乏人は麦を食らえというほど、がめつい国内政治を強行される池田総理が、一たび単身タイに旅行をして栄誉礼のラッパに当てられると、にこにこと、へなへなになり、九十六億円をぽんとくれてやり、外務省や国会がそのしりぬぐいのためにてんやわんやの実態であるのであります。(拍手)うちでいばる亭主は、おおむね外に出ると卑屈ないくじなしであるという相場が多いのであります。弱きをくじき、強きにへつらう、つまり池田内閣は内剛外柔の典型といわなければなりません。何が彼をそうさせたか。それは、大半の責任が、節操という男子の急所を置き忘れた小坂外務大臣の無能にあるといわなければなりません。(拍手)池田さんを今後糸の切れた風船玉のように外国に出すような外務大臣は、もう要らないのであります。総理をリードするだけの気魄と見識のない者は、一切今後外務大臣になる資格はありません。小坂外相はみずから進んで辞職を申し出るべきであると思うのであります。(拍手)
 次に、皆さん、この話を御承知でありましょうか。昭和二十一年から二十二年にかけて、東京その他でアメリカ空軍がヘリコプターから救助物資――古い軍服や小麦粉の入った袋を投下した事実があるのであります。たとえば、警視庁やあるいは航空局前の路上に落ちたのを拾ったという証人がこの議員の中におるのであります。あとで調べてみると、駐留軍のおる都市にアメリカから空輸された援助物資を投下したというのが事実であります。この投下物が特定人に渡ったのではありません。力の強い第三国人にも渡っておるかもしれない。道路の上の土やちりの中に、破れた袋から小麦粉やトウモロコシが出たでありましょう。この援助物資はお堀の中の金魚やコイが食べたかもしれません。これらも一切ガリオア・エロアの援助物資の中に含まれて、債務と心得るというのが、政府の見解であります。しかも、このアメリカの援助物資の中には、在米日本人などが祖国の同胞にありったけのものを投げ出して集めた衣類や食糧もあり、ちょうど関東大震災その他の災害のときに各県や市町村や各団体が救援物資を送るのと同じようなものが、アメリカの農産物価格支持政策として農民から買い入れる小麦、トウモロコシなどと一緒に日本に援助物資として送られてきたのであります。小学生から国会まで感謝をして受けたこの贈りものを、池田内閣、小坂外務大臣は債務と心得て、国民一人二千円、五人世帯で一万円の、約二千億円を返すというのでありますから、国民の立場に立ってみて、割り切れないものも当然であるといわなければなりません。(拍手)おごってやると言うた友人が、あとで酔いがさめて、つけを回してきたときには、友情の色がさめるのも当然ではありませんか。
 小坂外務大臣、あなたは、一体、日米間の親善ということについて真剣にお考えになったことがあるのですか。卑屈な屈従外交がアメリカの外交の失敗の種になっているという現実を知っていますか、茶坊主ばかりアメリカはつかんで、ベトナムでも、ラオスでも、韓国でも、ラテン・アメリカでも、どこでも失敗をしている過去の実績を検討いたしたことがありますか。
 人道の立場より崇高な占領軍の国際法上の義務として受け取るべきであったのが、このガリオア・エロアの援助物資であります。ガリオア・エロア、タイ特別円の支払いに対して国民は今数限りない疑惑を持っていることは、重大なことといわなければなりません。たとえばポツダム宣言の、平和、民主化、正義のワクを越えて占領を長引かせたための五十億ドルに及ぶ駐留費との関係は、一体どうであるか、アメリカが急に返せと言い出したのはなぜか、一体何に使うのであるかという疑惑、支払うべきでないものを支払う一方、たとえばあとで述べる、原爆被害者などに放棄すべからざるものを放棄しているという問題に対する疑惑、これらの疑問、これらの疑惑に答えることのできないような、そういう外務大臣は、もはや日本の外務大臣ではございません。(拍手)
 特に私は、昨日の不当なる質問打ち切りでその機会を逸したのでありますが、平和を願う日本人として明らかにしておかなければならぬ重大な一つの問題があるのであります。それは、わが党が今日まで強く主張いたして参りました、広島、長崎に対する原爆投下は、戦時国際法に違反する犯罪行為であり、アメリカは当然これに対する損害を賠償すべきであるという主張についてであります。昨日田中代議士よりちょっと質問がありましたが、小坂外務大臣の答弁は全く不届きというほかありません。小坂外務大臣の答弁は、昭和三十四年の国会で私の質問に対してなした藤山外務大臣や高橋条約局長の答弁よりもあいまいであり、かつ、ごまかしであるのであります。言うまでもなく、国際法は、人道と戦争の必要との調和から生まれたものであって、この法規範は、戦勝国であるから適用されるなどというような問題ではないのである。戦敗国といえども、国際法によって保護される、被害国民は権利としてその償いを求めることができるのであります。一体、外務大臣は、広島、長崎の被害の実相を知っておられるのかどうか。知ろうとしていないのではないか。それとも、知っても知らぬふりをしているのではないか。広島、長崎に投下された原爆は、一千万度をこえる熱風と爆風、ガンマ線や中性子などの瞬間放射能及び残留放射能によって三十六万の非戦闘員が焼き殺された。家が焼かれたばかりではない。十六年後の今日まで約三十万の被爆者が苦しみ続けているのであります。放射能による病気は、アメリカのABCCの手によっては何も明らかにされてはいない。原爆症のうち、白血病という、骨髄の造血機能の障害、つまり血液のガンであるこの不治の病や、生殖機能に対する障害、ガンの発生などが続出して、遺伝の危険があるのであります。三十万人の障害者は、生きる不安におののいており、娘さんがケロイドと内科疾患のために結婚を断念する人も多いのであります。広島、長崎の原爆病院には、最近の傾向としてガンが増加しているが、治療の施設もないというのが原爆病院の実態であります。原爆による放射能は、一体、ハーグの陸戦法規など国際法規の禁止した毒や毒物ではないのか、毒ガス以上のものではないのか。小坂外務大臣の答弁によると、答弁の内容は、たとえば小刀は凶器でも、日本刀は凶器ではないという詭弁を弄しておるのであります。原爆の投下は国際法に違反、抵触するものではないという見解を表明いかしておるのであります。「不必要ノ苦痛ヲ与フヘキ兵器、投射物其ノ他ノ物質ヲ使用スルコト」を禁止している国際法に違反しないのかどうか。陸戦法規の二十二条にある「交戦者ハ、害敵手段ノ選択ニ付、無制限ノ権利ヲ有スルモノニ非ス」という規定に違反をするものではないか。小坂外務大臣はこれを否定しているけれども、藤山外務大臣は、かつて、これについては、違反するという見解を表明いたしておるのであります。ただ一つの被爆国の日本であるならば、正しいことを正しいと言うことを何ではばかるのであるか。このことを日本が明らかにすることによって、原水爆の禁止の国際協定が、初めて実験、貯蔵を含めて成功するのではないか。このことを明らかにしない小坂外務大臣は、日本の外務大臣としての資格はないと私は思うのであります。(拍手)
 池田内閣は、一方では、贈与であるガリオア・エロアを債務と心得ると称して、その道義性を主張しながら、原爆の莫大な損害に対しては、昭和二十七年の講和条約第十九条(a)項で一切の請求権を放棄しているから、アメリカに対して発言権なしというのであるが、大体、国際法違反の犯罪行為によって被害を受けた国民は、戦敗国であれば泣かねばならないという、そういう理由がどこにあるか。そのようなものは、人道の名にそむく国際法の解釈の仕方であります。国際法違反のアメリカの犯罪行為は厳に存するのであって、百歩を譲って、個人の請求権を国、政府の行為で侵犯した場合は、もちろん国が不法行為の責任を負うことは当然といわなければなりません。しかし、一方、池田内閣は、道義的債務と称して二千億円に近い血税を支払うというのであるが、原爆は、講和条約の規定があったといたしましても、道義的債権以上のものではないのであるか。戦後の残りかすを一掃するためにガリオア・エロアを清算するというのであるならば、なぜそれ以上の犯罪行為に対する請求を起こして清算を要求することができないのであるか。それではたして独立国の日本の外務大臣と言えるかどうか。それで平和を口にすることができるであろうかどうか。唯一の被爆国として原水爆禁止を訴える資格があるかどうか。来たるべき戦争は原水爆戦争である。われわれ社会党の見解は、われわれが唯一の被害国民として、加害者とは断じてならないという、そういう決意を表明したのが憲法第九条であると確信をいたしておるのであります。私は、かかる卑屈な外務大臣は即刻国民と人類の名において罷免することを池田総理に要求するものであります。(拍手)
 次に指摘いたします点は、小坂外務大臣は、今、日本が重大なる局面に立っておる貿易拡大のための経済外交の転換、この強い要求に対して、外務大臣といたしましては全く不適任であるという点についてであります。
 今、日本は、外交、軍事、経済上においてアメリカ一辺倒の従属外交を展開いたしておる。アメリカの資本主義経済は、今や、ドル危機、ドル防衛が示しておるように、六百万の失業者をかかえ、金の手持ちは百六十六億ドルに減少し、年間三十億ドルの対外援助を続けるために、五十億ドルの輸出超過をはからなければならない至上命令の上にあるのであります。五十億ドルの輸出超過を達するためには、日本その他に対する自由化の要求と、一見自由化と矛盾するような日本からの輸入制限を強化しなければなりません。そのため、ガリオア・エロアの返済要求と、SEATOの軍事拠点であるタイに対する特別円支払い、日韓政治会談を通じて、二千億円前後といわれる無償援助の韓国に対する提供、これらを通じて、アメリカにかわって、アメリカの肩がわりをいたしまして日本がアジアに進出をいたさんといたしておるのが、現実の日本の姿であります。この日本に対するアメリカの輸入制限と、アジアへの軍事的、経済的援助の肩がわり強化の要求は、今後ますます日本に対して強くなってくるでありましょう。また一方、全世界の三分の一に縮小された資本主義国のうちで、EECは急ピッチにその共同化による経済発展、対米自主性の回復をはかっており、さらに、三分の一を占めるアジア・アフリカやラテン・アメリカの植民地諸国の民族解放独立運動は、ますます強化されているのであります。残り三分の一の世界を占めるソビエト、中国などの社会主義国は植民地市場としては永遠に放棄しなければなりませんアメリカの立場であります。従って、日本がアメリカ依存を続ければ続けるほど、貿易の逆調は拡大していくという必然的な運命にあるのであります。日本の経済危機は深刻になるであろうということは、火を見るよりも明らかであります。
 今、日本の最もあぶない傾向は何か。新安保条約締結より、池田・ケネディ会談、箱根会談、池田・ラスク会談、東南アジアへの首相の外遊、池田・朴会談、日韓会談を通じて、日本の外交は、一路日本がアメリカにかわってSEATO、NATOへの結びつきを強化するための経済、軍事上の援助の大役をひっかついでおるのであります。この日本外交の行く道は、アジアの緊張激化による戦争への道であります。不安定な軍事政権である韓国の行動に巻き込まれる危険性を持つものであります。だからこそ、国連における中国の加盟たな上げの苦肉の策をとったり、沖縄に対するケイセン報告に見られるように、自治権拡大というレッテルのもとに、沖縄の永久占領をアメリカが企図いたしておるのも、この情勢の結果にほかならないのであります。緊張が緩和すれば沖縄を返すというが、真実は逆であって、アメリカの沖縄占領の事実と、アジアに対するクーデター政権援助のアメリカと日本の政策こそ、極東の平和を乱している元凶といわなければならぬのであります。(拍手)この戦争への道を平和への道に切りかえるためにも、まず、われわれ社会党は、自主性のない追従外交の象徴である小坂外務大臣の罷免を要求いたすものであります。
 先般、私は、党の決定に従いまして、外務委員会において、ILO条約に関連して、小坂外務大臣、福永労働大臣を招きましていろいろ質疑をいたしました。福永労働大臣は事態をよく理解していない、わかってはいないけれども、しかし、ある面においてはなかなか善意があるのであります。しかしながら、小坂外務大臣に至りましては、まるっきりわかってもいないのに、わかったような顔をして答弁をいたすのであります。ILOの加盟国総会で、十大工業国の一つとして常任理事国である日本が、ILO八十七号条約批准に対する約束を十一回も踏みにじった。低賃金と無権利ということはくっついておるということは、国際的な常識であります。ソーシャル・ダンピングを排して、公正競争の上に国際社会の平和共存をかちとろうとするのが、ILOの精神であります。全世界の批判を受けておる日本、この貿易拡大の最大の障害となっておるのが、ILOにおける日本のソーシャル・ダンピングに対する批判であるということが理解できないような外務大臣は、経済外交をやる資格はないのであります。小坂外務大臣のILOや経済外交に対する国際感覚というものは、全くの音痴である、不感症である、不見識である、ゼロであるといわなければなりません。(拍手)
 最後に、私は、わが国の憲法に基づく、原子力時代における平和、すなわち、非武装、非同盟の中立外交によるわが党の自主独立の外交こそが、日本の平和と繁栄をもたらすものとかたく信じて疑いません。今や、日韓会談を目前にして、わが国の外交はきわめて重かつ大なる段階にあるといわなければなりません。もしそれ、池田内閣が、ガリオア・エロア、タイ特別円を含めて、日韓会談で合計四千億円、国民一人四千円の借金を今後の外交においてしょい込むことになれば、わが党は、国民とともに池田内閣を乗り越えて前進をするであろうことを、私は最後に厳粛に警告をいたしたいと思うのであります。(拍手)
 何とぞ、細迫議員提案の外務大臣小坂善太郎君に対する不信任案に対する全会一致の賛成をまず踏み台といたしまして、わが国の自主独立外交を築くために、超党派的に一歩力強く前進されんことを希望いたしまして、私の賛成討論を終わる次第であります。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) これにて討論は終局いたしました。
 よって、採決に入ります。
 この採決は記名投票をもって行ないます。本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
○議長(清瀬一郎君) 氏名点呼を命じます。
  〔参事氏名を点呼〕
  〔各員投票〕
○議長(清瀬一郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
  〔議場開鎖〕
○議長(清瀬一郎君) 投票を計算いたさせます。
  〔参事投票を計算〕
○議長(清瀬一郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔事務総長報告〕
 投票総数 三百八十四
  可とする者(白票)  百四十八
  〔拍手〕
、 否とする者(青票)  二百三十六
  〔拍手〕
○議長(清瀬一郎君) 右の結果、外務大臣小坂善太郎君不信任決議案は否決されました。(拍手)
    ―――――――――――――
 山本幸一君外四名提出外務大臣小坂善太郎君不信任決議案を可とする議員の氏名
      安宅 常彦君    阿部 五郎君
      淺沼 享子君    足鹿  覺君
      飛鳥田一雄君    有馬 輝武君
      淡谷 悠藏君    井伊 誠一君
      井岡 大治君    井手 以誠君
      猪俣 浩三君    石川 次夫君
      石田 宥全君    石橋 政嗣君
      石村 英雄君    石山 權作君
      板川 正吾君    緒方 孝男君
      大柴 滋夫君    大原  亨君
      太田 一夫君    岡  良一君
      岡田 利春君    岡田 春夫君
      加藤 勘十君    加藤 清二君
      勝澤 芳雄君    勝間田清一君
      角屋堅次郎君    川俣 清音君
      川村 継義君    河上丈太郎君
      河野  正君    木原津與志君
      北山 愛郎君    久保 三郎君
      久保田鶴松君    久保田 豊君
      栗原 俊夫君    栗林 三郎君
      黒田 寿男君    小林 信一君
      小林  進君    小林 ちづ君
      小松  幹君    兒玉 末男君
      五島 虎雄君    河野  密君
      佐々木更三君    佐藤觀次郎君
      佐野 憲治君    坂本 泰良君
      阪上安太郎君    實川 清之君
      島上善五郎君    島本 虎三君
      下平 正一君    東海林 稔君
      杉山元治郎君    鈴木茂三郎君
      田口 誠治君    田中織之進君
      田中 武夫君    田邊  誠君
      田原 春次君    多賀谷真稔君
      高田 富之君    高津 正道君
      滝井 義高君    楯 兼次郎君
      辻原 弘市君    戸叶 里子君
      堂森 芳夫君    中澤 茂一君
      中島  巖君    中嶋 英夫君
      中村 重光君    中村 高一君
      中村 英男君    永井勝次郎君
      楢崎弥之助君    成田 知巳君
      二宮 武夫君    西宮  弘君
      西村 力弥君    野口 忠夫君
      野原  覺君    芳賀  貢君
      長谷川 保君    畑   和君
      原   茂君    原   彪君
      日野 吉夫君    肥田 次郎君
      平岡忠次郎君    広瀬 秀吉君
      藤原豊次郎君    帆足  計君
      細迫 兼光君    堀  昌雄君
      前田榮之助君    松井 政吉君
      松井  誠君    松平 忠久君
      松原喜之次君    松本 七郎君
      三木 喜夫君    三宅 正一君
      武藤 山治君    村山 喜一君
      森島 守人君    森本  靖君
      八木 一男君    矢尾喜三郎君
      安井 吉典君    安平 鹿一君
      山内  広君    山口シヅエ君
      山口丈太郎君    山口 鶴男君
      山崎 始男君    山田 長司君
      山中 吾郎君    山中日露史君
      山花 秀雄君    山本 幸一君
      湯山  勇君    横路 節雄君
      横山 利秋君    吉村 吉雄君
      和田 博雄君    井堀 繁男君
      伊藤卯四郎君    稲富 稜人君
      受田 新吉君    内海  清君
      春日 一幸君    佐々木良作君
      鈴木 義男君    田中幾三郎君
      玉置 一徳君    西尾 末廣君
      西村 榮一君    門司  亮君
      本島百合子君    川上 貫一君
      志賀 義雄君    谷口善太郎君
 否とする議員の氏名
      安倍晋太郎君    安藤  覺君
      相川 勝六君    逢澤  寛君
      愛知 揆一君    青木  正君
      赤城 宗徳君    赤澤 正道君
      秋田 大助君    秋山 利恭君
      足立 篤郎君    天野 公義君
      綾部健太郎君    荒舩清十郎君
      有田 喜一君    有馬 英治君
      井出一太郎君    井原 岸高君
      井村 重雄君    伊藤 五郎君
      伊藤 郷一君    伊藤宗一郎君
      伊藤  幟君    伊能繁次郎君
      飯塚 定輔君    池田 清志君
      池田 勇人君    石井光次郎君
      一萬田尚登君    今松 治郎君
      宇都宮徳馬君    宇野 宗佑君
      上村千一郎君    植木庚子郎君
      臼井 莊一君    内田 常雄君
      内海 安吉君    浦野 幸男君
      江崎 真澄君    遠藤 三郎君
      小笠 公韶君    小川 平二君
      小沢 辰男君    小澤佐重喜君
      小澤 太郎君    大上  司君
      大久保武雄君    大倉 三郎君
      大沢 雄一君    大高  康君
      大竹 作摩君    大野 市郎君
      大野 伴睦君    大平 正芳君
      大村 清一君    大森 玉木君
      岡崎 英城君    岡田 修一君
      岡本  茂君    加藤常太郎君
      加藤鐐五郎君    金子 一平君
      金子 岩三君    金丸  信君
      上林山榮吉君    神田  博君
      亀岡 高夫君    鴨田 宗一君
      唐澤 俊樹君    仮谷 忠男君
      川島正次郎君    川野 芳滿君
      川村善八郎君    菅  太郎君
      簡牛 凡夫君    木村 公平君
      木村 俊夫君    木村 守江君
      岸本 義廣君    北澤 直吉君
      久野 忠治君    久保田円次君
      久保田藤麿君    草野一郎平君
      倉成  正君    藏内 修治君
      黒金 泰美君    小枝 一雄君
      小金 義照君    小平 久雄君
      小山 長規君    河野 一郎君
      纐纈 彌三君    佐々木秀世君
      佐々木義武君    佐藤 榮作君
      佐藤虎次郎君    佐藤洋之助君
      佐伯 宗義君    齋藤 憲三君
      坂田 英一君    櫻内 義雄君
      薩摩 雄次君    始関 伊平君
      椎熊 三郎君    椎名悦三郎君
      重政 誠之君    澁谷 直藏君
      島村 一郎君    首藤 新八君
      正示啓次郎君    白浜 仁吉君
      周東 英雄君    鈴木 正吾君
      鈴木 善幸君    砂原  格君
      瀬戸山三男君    關谷 勝利君
      園田  直君    田川 誠一君
      田口長治郎君    田澤 吉郎君
      田中伊三次君    田中 榮一君
      田中 角榮君    田中 龍夫君
      田中 正巳君    田邉 國男君
      田村  元君    高田 富與君
      高橋 英吉君    高橋清一郎君
      高橋  等君    高見 三郎君
      竹内 俊吉君    竹山祐太郎君
      千葉 三郎君    中馬 辰猪君
      津雲 國利君    津島 文治君
      塚原 俊郎君    辻  寛一君
      堤 康次郎君    綱島 正興君
      寺島隆太郎君    渡海元三郎君
      徳安 實藏君    床次 徳二君
      富田 健治君    内藤  隆君
      中垣 國男君    中島 茂喜君
      中曽根康弘君    中野 四郎君
      中村 梅吉君    中村 幸八君
      中村庸一郎君    永田 亮一君
      永山 忠則君    灘尾 弘吉君
      丹羽喬四郎君    丹羽 兵助君
      西村 英一君    野田 卯一君
      野田 武夫君    野原 正勝君
      羽田武嗣郎君    馬場 元治君
      橋本登美三郎君    長谷川四郎君
      長谷川 峻君    服部 安司君
      濱田 幸雄君    濱田 正信君
      濱野 清吾君    早川  崇君
      林   博君    原 健三郎君
      廣瀬 正雄君    福田 赳夫君
      福田 篤泰君    福田  一君
      福永 一臣君    福永 健司君
      藤井 勝志君    藤田 義光君
      藤原 節夫君    藤本 捨助君
      藤山愛一郎君    古川 丈吉君
      保利  茂君    坊  秀男君
      星島 二郎君    細田 義安君
      細田 吉藏君    堀内 一雄君
      本名  武君    前尾繁三郎君
      前田 正男君    前田 義雄君
      牧野 寛索君    益谷 秀次君
      増田甲子七君    松浦周太郎君
      松浦 東介君    松澤 雄藏君
      松田 鐵藏君    松永  東君
      松野 頼三君    松山千惠子君
      三池  信君    三浦 一雄君
      三木 武夫君    水田三喜男君
      南好  雄君    宮澤 胤勇君
      村上  勇君    毛利 松平君
      森   清君    森下 國雄君
      森田重次郎君    森山 欽司君
      八木 徹雄君    保岡 武久君
      柳谷清三郎君    山口 好一君
      山崎  巖君    山田 彌一君
      山中 貞則君    山本 猛夫君
      吉田 重延君    米田 吉盛君
      米山 恒治君    早稻田柳右エ門君
      渡邊 良夫君    古賀  了君
     ――――◇―――――
 外務委員長森下国雄君解任決議案
  (山本幸一君外四名提出)
    (委員会審査省略要求案件)
○田邉國男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、山本幸一君外四名提出、外務委員長森下國雄君解任決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 外務委員長森下國雄君解任決議案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 提出者の趣旨弁明を許します。松本七郎君。
  〔松本七郎君登壇〕
○松本七郎君 私は、日本社会党を代表して、森下外務委員長の解任決議案に対する趣旨説明を行なわんとするものであります。(拍手)
 まず、案文を朗読いたします。
   外務委員長森下國雄君解任決議案
  本院は、外務委員長森下國雄君を解任する。
  右決議する。
  〔拍手〕
    理 由
 一 森下外務委員長は、公平であるべき委員長の地位を忘れ政府・与党の言いなりになり、ガリオア・エロア、タイ特別円両協定の審議にあたって、しばしば一方的な議事運営をはかり、委員会を無用の混乱におとし入れた。
 一 とくに森下委員長は、二度にわたる質疑打ち切りを強行し、そのうち一度は、参考人の意見聴取の最中にさらにもう一度は、野党委員の質問最中に質疑を打ち切るというたび重なる暴挙を敢えて行ない、国会正常化を根本から否定し、国会史上に重大な汚点を残した。
   かかる議事運営を行なう委員長をこれ以上みとめることはとうていできない。これが、本決議案を提出する理由である。
  〔拍手〕
 政府・自民党は、本日ここに衆議院本会議に、ガリオア・エロア対米債務、タイ特別円処理の両協定を提出して承認を求めようとしております。日本社会党は断じてこれを承認することはできません。問題は実に二千億円をこえようとする国民の血税の支出にかかわることであります。どれほど慎重に審議を尽くしましても、慎重過ぎることはありません。にもかかわらず、政府・自民党は、国民の目に寸分の疑いも残らぬように審議を尽くすということよりは、今国会の会期中に両協定を自然成立させる余裕を残して参議院に送り込む、ただそれだけを念頭に置いて、再三にわたる理不尽な行為を行なってきたのであります。(拍手)しかも、森下外務委員長は、終始その水先案内人を勤めてきたのです。森下君の責任はまことに重大であるといわねばなりません。以下、私は、森下君の外務委員会における不当な処置を逐次あげて、その行動を糾弾いたしたいと存じます。
 吉田元総理初め、当時の関係者を外務委員会に呼んで事情を明らかにすべきことを繰り返し私どもは要求いたしました。にもかかわらず、森下君及び自民党は、私どもの正当な要求を全くまじめに考えようとはしなかったのです。両協定の審議に必要である証人を数名外務委員会に招いたからといって、一体どれほどの時間がかかるのでしょうか。私たちの要求を黙殺した森下君の行為は、まことに遺憾しごくであります。(拍手)
 第二は、三月二十九日にとった森下委員長の行動であります。この日、自民党があえてした質疑打ち切りの強行は、国会史上全くその例を見ない暴挙であった。その実態は一体どういうものでしたでしょう。同日午後六時一分、自民党が推薦されました参考人である田村幸策先生が同党の北澤直吉君の質問に答えている途中で、自民党の正示啓次郎君が何か一言わめいたのです。それに応じて森下君が奇声を発した。田村幸策さんと申しますれば、有名な保守党びいきの学者と称せられる先生でございます。この方の説明に対して、推薦された自民党の北澤委員が第一問を終わり、第二問に入ろうとしておるやさきに、この打ち切り宣言がなされた。しかるに、これでもって質疑打ち切りの動議は可決、成立したと自民党の諸君は強弁したのであります。速記は、安保審議のときと同様に全く空白です。われわれがあとで調べてみますると、正示君の発言はヤギという一言。これに応じた森下君はウ。これはウサギのウです。冗談じゃないのです。国会は動物園ではありません。神聖な国権の最高機関たる国会は、いつから一体動物園になったのか。国会の権威をみずからの手で汚した森下君の行為は断じて許すことができない。(拍手)
 参考人の意見聴取に対しては、従来から国会ではきわめて丁重な礼節をもって迎える慣習になっております。常任委員会へ参考人の諸先生においでをいただき、国政の審議について貴重な示唆を与えてもらうことに対し、国会の伝統的な礼儀としては、参考人のお話が終わりましてからお帰りになる際に、当該委員会は委員長が代表して丁重な謝意を表明することになっております。これを欠かした委員長は今まで一人もおりませんでした。ところが、森下君はどうですか。このような最小限度の礼節に従うことよりも、みずからの引き起こした混乱のうちに一刻も早く質問を切り上げさせることを選んだのです。議場が混乱したときは、最後まで冷静な態度を保って審議を尽くさせるためにこそ、委員長は存在するのです。(拍手)その一事をもってしても、森下君は、外務委員長としての資格と地位をみずから放棄したものと認めるほかはない。それと同時に、この森下君の行動が、自民党執行部の指示によって起こされたことを考えれば、自民党の党利党略によって、国会がみずからの顔に泥を塗った結果になったのです。それゆえに、われわれは、森下君に対してばかりではなしに、自民党の諸君に対して、この点を猛省を促したいと思います。(拍手)
 三月の二十九日に、自民党が一方的にしかけたいわゆる真珠湾攻撃で、当然のことながら、国会には数日間の空白が続きました。あのような事態がなければ、私たちは、国民の疑惑を晴らすため、この両協定に対する審議が続けられたことを思いますならば、全く残念でなりません。(拍手)それはともかくといたしまして、外務委員会の混乱を収拾するために、四月の三日・自民党、社会党との間で、幹事長、書記長、国対委員長の四者会談が開かれました。その結果として、第一に、森下君は、三月二十九日の事態は遺憾であったと反省し、その上に立って、外務委員会の再開冒頭にこの旨を発言する、第二として、今後の外務委員会の運営は委員会にまかせるということがきまりました。これより以前に、三月九日に、実は森下委員長は、理事会の話し合いを無視いたしまして、一方的に委員会を開催して問題を起こしたのです。そのときに、われわれの抗議に対して、森下委員長は明確にその遺憾の意を表明いたしました。そして、これからは必ず委員会の運営については理事会を開き、理事会の話し合いと一致によって運営をしていくという、はっきりした約束をされたのであります。すなわち、森下君は、この点から考えますならば、外務委員長として前科一犯であることを自分で認めて、今後議会主義を否定するがごとき委員会の運営は絶対にしないことをすでに誓っておったのです。
 しかるところ、三月二十九日にかかる空前の暴挙を犯した上に、昨日の四月四日の外務委員会ではどうです。まだ多くの質問通告者が残っているにかかわらず、理事会にも諮らず、質疑打ち切りの独断専行を再び犯すに至ったのです。当日は、わが党岡田春夫君の質問が終わったあとには、なお大原亨君、穗積七郎君、田中織之進君、横路節雄君、松本七郎君、そのほか民社党の井堀繁男君も質疑の通告を委員長あてにしていたのであります。また、政府の無責任きわまる答弁のために質問を留保せざるを得なかった者は、わが党の戸叶里子君、辻原弘市君、共産党の川上貫一君などがありました。森下君及び自民党は、もし四者会談の申し合わせや、従来はっきりかわされた約束を守る誠意があるならば、当然それらの者に対する質問を許すはずでありました。ところが、森下君は四日の外務委員会における岡田君の質問の途中で、質問者が多数通告されておりますから質問はなるべく急いで下さい、こう発言して、あたかもこれに続く質問者の質疑を許すがごとく装いながら、その実、舌の根もかわかぬ五分後には、これにて質疑を終わりますと宣告いたしたのでございます。これらの事実から見ますならば、森下君は、四月七日という自然承認のタイム・リミットが近づいてあせりにあせった自民党執行部の圧力に屈したとはいいながら、質問者の質問半ばで一方的に質疑終了の宣告をしたということは、森下君が議会主義とは縁もゆかりもない権力主義の走狗に化したという責任の追及を免れることはできないのであります。(拍手)
 私は、かねてから森下委員長は、自民党の中では温厚篤実、まれに見る君子人であると存じまして、ひそかに敬意を払っておりました。しかも森下君は、かつて外務政務次官を勤められ、外交問題ではくろうとであるはずでございます。その森下君から見れば、四月四日の岡田君の質問が明らかにした通り、政府側の資料に重大な欠陥のあったことが委員会の審議に大きな影響を及ぼした事実、外務官僚が、いかにずさんな資料しか外務委員会に提出しなかったか、このくらいのことは十分認識できたはずと思います。森下君としては、いたずらに質疑打ち切りを急ぐのではなくて、外務委員長として委員会の権威を守るためにも、横着な外務官僚に対して、厳重な警告を発すべきであります。本来まじめな人であるはずの森下君が、何がゆえにあれほど取り乱して、委員会の幕をおろすことばかりに追われたのでしょう。理由は明白です。それは野党の質問に対する政府の答弁が、実にお粗末で、日がたつにつれて国民の両協定に対する疑惑を晴らすととが一そう困難となってきた、これ以上審議が続かんか、池田内閣のどんぶり勘定外交の醜態を天下にさらけ出さざるを得なくなったからであります。(拍手)
 事実を少し指摘しましょう。きのうの岡田春夫君の質問をめぐって、小坂外相はもちろんのこと、中川条約局長、小田部賠償部長及び大蔵省の宮川理財局長らは、タイ特別円の債務性の根拠と主張する数字についてさえ何一つ答弁できなかった。(拍手)先方の言いなりに金を払うだけならば、これは外交ではありません。それでは外務省は要らない。ただ出納役さえ置いておけば、それでいいはずであります。しかし、今度の場合は、帳簿もインチキきわまるものしか出せなかったのです。これでは出納役としてさえも、普通の会社なら雇わないでしょう。森下君は外務委員長として、国民の代表として、このようなインチキを監視することが本来の任務ではないでしょうか。にもかかわらず、かねての計画によって政府・自民党の用意した舞台に飛び上がって、政府・自民党の醜態を国民の目から隠すために下手な幕引きの役割を果たしたのであります。ガリ・タイ両協定の審議の全期間を通じて、森下君は委員長としての失格の証明を行なってきたのです。よって、私たちは、ここに森下君の委員長解任を要求せざるを得ない。(拍手)
 しかし、森下委員長が行なった暴挙も、これを突き詰めてみますならば、やみくもに血税を乱費して事足れりとする池田外交によってもたらされたものであります。森下君は、いわばその犠牲者とも言えましょう。その森下君ばかりを責めるのはいかにも酷でございまするから、この際、私は、何が彼をそうさせたかという池田外交の本性をここに明らかにしたい。(拍手)私の見るところでは、池田総理は、今日の地位につかれるまで大蔵大臣として、あるいは通産大臣として、事財政支出を要する問題に限り大へんきびしい態度をとってこられました。しかるところ、一たん総理大臣の地位につかれるや、その経済政策は放漫そのもの、経済外交に至っては、今回の両協定が示しますように、血税を湯水のように乱費してはばかるところがありません。まさに戸叶里子委員が指摘しましたように、支払い内閣と称すべき状態でございます。(拍手)
 私は、諸君にここで思い出していただきたいことがあります。それは、かつて吉田元総理が、ガリオア・エロアを支払う気持になったときに、池田総理は何と言ったか。あのときに池田さんは、これは払うわけにはいかないと考えたはずです。その証拠に、池田さんの書かれた「均衡財政」という本の中に、はっきりこのことが書かれてある。また、池田首相がかつてロバートソン元極東担当の国務次官補に向かって何と言われたか。あのときに池田さんは、ガリオア・エロアの返済は国民に納得させることができないから払えない、こう言われているのです。また、タイ特別円について見ましても、去る三十二年岸内閣のときに通産大臣であった池田さんは何と言われたか。タイ側から協定改定の申し込みがあった際に、それが不可能である理由を説明してタイ側に了解を求めているではありませんか。そのいきさつは外務省の発行した外交青書によっても明らかです。また、三十年協定ができましたときに、時の首相ピブンさんが日本に来た。そのときにピブンさんの言った言葉も覚えておられると思うのです、あのときにピブン首相は、これほど日本は気前がいいとは予想しなかった、こう言っておる。そうして、その後三十二年に岸さんがタイに行ったときに、今度はまた何と言ったか。そのときには、もしもこれが現金であったならば、もっと安くてもよかったと、こう言っておるのでございます。ガリオア・エロアにせよ、またタイ特別円にせよ、支払い不可能という池田首相の態度が、今回青天のへきれきさながら、支払い可能になったいきさつ、理由について、首相から納得のいく説明は、今まで全然聞かれませんでした。私は、国民を代表してこのことを強く訴えたいのです。
 池田内閣の外交が、支払い外交だけで済むならば、まだこれは救われる余地はあるでしょう。しかし、救いがたいことがあります。それは、池田内閣がアメリカの極東政策に進んで協力し、その軍事政策の手助けをしようとする外交であります。(拍手)ガリオア返済金の使い道については、東アジアの経済援助に使う、こういうことが述べられております。インド、パキスタン、これを除くアジア各国というのでは、これは悪名高い日米新安保条約にいう極東の範囲と全く同じではありませんか。こうなりますると、日米の軍事体制は、極東を対象とし、今度の場合は東南アジア全体を対象とした軍事体制の経済的ささえにしようということは明らかであります。(拍手)
 しかし、ここで私が注意を換起したいと思いますのは、ガリオア・エロア協定の付属文書におきまして、「東アジアに使用するのを期待する」と、こう書いてあり、必ずしもこの意味が明確でない点であります。これは今アメリカの議会に上程されております対外援助法案と関連があるのです。ガリオア・エロア返済交渉が妥結した後でさえ、アメリカではどういう意見が開陳されたか。ガリオア・エロアの協定が妥結をして後、バード米上院財政金融委員長は、こういうことを言っている。日本にガリオア・エロアの全額を支払わせろ、どういう談話を発表いたしております。またこれに続いて、共和党の有力な上院議員であるダークセンも、とのバードの主張を支持いたしまして、日本の国力を一度調査せよ、財布を全部洗ってみる必要がある、と主張しているのであります。
 私たちは、この両協定の支払い返済そのものに反対でありまするが、百歩譲りまして自民党の立場に立って考えてみましても、米国議会の対外援助法案の通過のめどがついてから慎重に審議すべきものではないでしょうか。(拍手)まして、自然承認の日数を当て込んで、強引に無理押ししようとする政府・自民党の態度は、国民とともに断じて許すことはできません。(拍手)これは全く参議院の軽視であり、国会を見下した態度であります。このような池田内閣の行為は、総理が常日ごろ強調されている民主主義及び議会主義の尊重、一体この尊重ということとどのように結びつくのですか。私は国民の代表の一人として、私はうそを申しませんという総理の言葉とあまりにも違う政府・自民党の行為に深い憤りを押えることができないのであります。(拍手)
 森下委員長は、そのような政府・自民党の対米追随外交、国会及び民主主義の軽視という祭壇に供されたいけにえであります。いけにえにむち打つことは、もとより欲するところではありません。しかし、いかに政府・自民党の強要したところではあったといたしましても、森下君は、やはりみずからの意思でガリオア・エロア及びタイ協定の質疑打ち切りを強行した責めを免れることはできません。(拍手)
 私は、ここにあらためて森下外務委員長の解任を強く要求し、諸君の賛同をお願いして、この解任決議案の趣旨説明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 討論の通告が出ておりますから、順次これを許します。古川丈吉君。
  〔古川丈吉君登壇〕
○古川丈吉君 私は、自由民主党を代表いたしまして、外務委員長森下國雄君解任決議案に対し、反対の討論をいたします。(拍手)
 外務委員会の経過の実情をよく知っておる者にとりましては、今回のこの委員長解任決議案くらい筋の通らない理不尽な解任決議案はございません。(拍手)
 御承知のように、ガリオア・エロア協定とタイ特別円の協定の二協定は、今国会におきましては、三十七年度予算案とともに最重要案件であります。この重要案件を審議する外務委員会の委員長が森下國雄氏であることは、最も適任者であると私たちは確信をいたすものであります。その経歴といい、その人柄といい、数多い議員の中でこれ以上の適格者はないと私は信ずるものでございます。(拍手)
 われわれは、との二案件が非常に重大であるだけに、国会において十分審議を尽くし、国会を通じて国民の十分の理解を得て、との案件を議決いたしたいと考えたのでございます。われわれは、できるだけ審議日数を増し、審議時間をかけて、皆さんの徹底的な理解のいくまで審議をいたしたいと考えたのであります。ところが、社会党の諸君は、条約審議の日数をふやすことを拒否し、なかなかこれには応じませんでした、また、理事会を開きましても、定刻にはなかなか出て参りません。委員長やわれわれ与党の議員がしんぼう強く待ったことは一再ではございませんでした。また、委員会の審議時間も、われわれは午前十時から夜おそくまでやりたかったのでありますけれども、この二カ月間を通じて、最後の二日だけが夜まで審議したのでありまして、その他の審議の日には夕方早早に切り上げたのでございます。この案件が非常に重大であるだけに、参考人を呼んで広く国民からの意見を聴取いたしたい、またそれもできるだけ早く参考人を呼びたい、私たちは三月の上旬に参考人を呼びたい、こういうことを主張いたしたのでございます。ところが、議事を引き延ばすために、社会党の諸君は、あるいは三月の下旬であるとか、あるいは四月の上旬であるとか、こういうことを言ってなかなか応じませんでした。また、総理大臣も外務大臣も国会には出席されております。しかしながら、総理大臣も一人であります。外務大臣も一人でございます。一人の総理大臣を、一人の外務大臣を、社会党の衆参両院で引っぱりっこをして、衆議院の外務委員会の審議を妨げたのが実情でございます。(拍手)
 この二案件は、二月五日に本院に提出され、九日に提案趣旨の説明があり、それ以来われわれはこの二案件が重要な案件でありまするがゆえに、社会党に再三審議を慫慂いたしたのでございます。けれども、一カ月余りというその長い間、この最も大事なる案件には一言の質疑も行なわず、この重要な二案件のほかの条約、あるいは国際情勢に名をかりて、この大事な二案件の審議に参加しなかったのでございます。こういうような議事の進行に協力しないのみか、いろいろと社会党の諸君は難題を持ちかけた。けれども、わが森下委員長は、政府委員の出席にいたしましても、また資料の提出にいたしましても、社会党の言うことを全部聞き入れておられたのでございます。また、先ほど松本君から、委員長が何か非常に独断的なことをおっしゃったような発言がありましたが、審議引き延ばしには応じなかったけれども、その他のことにつきましては、理事会を中心として社会党の納得のいくような運営をせられたのでございます。(拍手)ただいま松本君の発言中にもちょっと出ましたが、社会党の議員ですらこれはいい委員長だと賞賛をいたしたことは一再ではございません。(拍手)このように、委員長はわが党でありますけれども、超党派的に円満にこの委員会の審議を指導されたのでございます。運営されたのでございます。(拍手)
 ただいま社会党が委員長解任の直接の理由といたしておりまする二十九日の質疑打ち切り、昨夜の質問の終了の実情について申し上げてみますれば、これは社会党の諸君はみな知っておるはずです。われわれが全く予期しないときに、社会党の議員が委員室に一ぱい詰めかけて、委員長を取り巻いて、あらかじめ委員長不信任の書類を持ってきて、そしてこれを突きつけた。だれが見てもあの時期が質疑を打ち切る時期に来ておったのであります。(拍手)与党も野党も当然打ち切るべき時期だと予定をしてきめておったのであります。ただいま松本君が、委員長は正示君の動議で何らか言うたけれどもわからぬ、こういうことを言われました。われわれには十分聞こえたのでございます。社会党の諸君は、それを聞かないで、委員長を引きずりおろしに行ったんじゃないか。聞こえないのがあたりまえだ、今また、委員長は泰然として委員長席にとどまって議事を運営すべきであるということを言われましたが、委員長を引きずりおろしたのは一体だれでありますか。(拍手)社会党が委員長を引きずりおろしたのじゃないか。昨日の委員会におきましても、委員長のまわりに社会党の議員が全部詰めて、委員長が発言するや、直ちに委員長を引きずりおろしたのは社会党の議員じゃないか。(拍手)それでもって委員長解任決議案とは一体何ごとだ。本末を転倒しておるといわなければなりません。われわれは、社会党こそこの機会に大いに反省すべきであると思います。(拍手)慎重審議に名をかりて議事を引き延ばし、同じ質問を繰り返し、あげ足取りの質問ばかりをやって、そして議事の進行を妨げたのは、社会党の議員ではなかったか。このようにだだをこねる社会党を、あたかも慈父のごとく、あるいは孫をかわいがるおじいさんのごとく、なだめなだめて委員会を運営してきたのは、わが森下委員長であったわけであります。(拍手)このような委員長を解任とは一体何ごとか。そういうことを私は社会党に申し上げたい。私は委員長の解任の理由は一つもないと思います。全然ございません。むしろ私は、社会党に良心あらば、この解任決議案を撤回すべし、かように私は申し上げたいのであります。
 以上、簡単でありまするが、これをもって委員長解任決議案の反対討論といたします。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 小林進君。
  〔小林進君登壇〕
○小林進君 ただいま上程されました衆議院外務委員長森下國雄君の解任決議案に対し、日本社会党を代表し、賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 外務委員会において審議をしてきたガリオア・エロア返済の問題、タイ国特別円無償供与の問題等は、いずれも今次国会における重要な議題であり、その審議の結果は、国際的に大きな影響を及ぼすとともに、国内的には国民一人々のの生活に直結をする問題であることは、今さら申し上げるまでもございません。従って、これが審議にあたっては、特に委員会運営のルールにのっとって、最も民主的に、最も慎重に、国民が納得するまで審議を続けるという原則が貫かれなければならぬのであります。(拍手)しかるに、この重大なる議案が、しばしば原則を踏みはずし、混乱に陥ったのみならず、ついに昨夜のごとき無謀なる一方的行為によって、多くの疑点を残したまま審議を打ち切られたことは、まことに残念にたえないところでございます。
 そのよってきたる原因は、もちろん与党自民党の多数権力にものを言わせた不当なる圧力によるところでございまするが、その間与野党の中にあって、円滑なる議事の運営に当たるべき外務委員長の不公平と無能力に負うところもまた大きいのであります。(拍手)森下君は、先刻趣旨弁明にもありましたごとく、委員会運営の原則とルールを無視し、右顧左眄、全く無原則の会議運営に終始したのでございます。しかも、その心中企図するところは、これらの案件をいかにして衆議院を通過せしむるかに狂奔をし、そのため、一に野党の質問を封ずることのみに全能力を傾けていたのであります。国会の権威は、一にその審議権を高度に発揚することのみによって保持されるものであります。特に、委員会の委員長としては、多数の横暴を制し、行政府の逸脱せる行為を監視し、少数派の正当なる発言の自由を守るととろに、委員長本来の任務があるのであります。(拍手)しかるに、森下君は、反対に委員会の審議権津規制し、抑圧し、これを中断することのみにその能力の大半を傾けたという事実は、立法府固有の機能を喪失せしめたというべく、その罪断じて許し得ざるところであります。(拍手)これわが党が森下君の解任決議案に賛成をする第一の理由であります。
 森下君を弾劾する第二の理由は、森下君は、外務委員長として厳正中立なる態度を放棄し、もっぱら与党自民党の指令通りの不公平なる運営に終始したことであります。本来委員長たるものは、党籍のいかんを問わず、その職にある間は、超党派的な立場を堅持しながら、与党、野党間の調整に任ずべきであります。しかるに、彼はその本来の使命を投げ捨てて、もっぱら与党の意思のみによって動かされていたごとき、委員長としての初歩の資格をも欠くものと断ぜざるを得ぬのであります。(拍手)
 その最も極端なる例は、三月二十九日、外務委員会におきまして参考人を招致し、その意見を聴取しているさなかに、委員会の質疑を打ち切ってしまったごときがこれであり、また昨夜のあの無謀なる質疑終了の宣言等がそれであります。国会側、特に委員長の名前で招請をしたその参考人が、与党議員の質問に答えている最中に、質疑打ち切りの委員長発言をするがごとき、これが委員長の職権なりというならば、警官が警棒を振り回して、人を傷つけながら職権呼ばわりするのと同様であるといわなければならぬのであります。(拍手)その非常識、その非礼は、国会始まって以来ない初めてのケースであります。しかも、これは森下個人の珍事にとどまらず、国会議員全員の常識を疑わしめる大失態であると申し上げなければならぬのであります。彼に一片の良識があれば、そのときすでに職を辞して、その非礼を、一は参考人に、他は議員一同に陳謝すべきであったのでありますが、しかるに彼は、党の命ずるままにやったのであって、みずからの失敗にあらずと抗弁をし、自分がいかに自民党に忠実に行動したかを誇示しているのでありまして、それをもってしても彼が委員長としての中立公正なる態度をとらなかったことを、みずから証明しているものであるといわなければなりません。(拍手)また昨夜のごとき、彼がいかに誤った行動をあえてしたかは、衆目の知るところであります。わが党岡田春夫君が質問続行中、彼は、まず、総理をして委員会会場より退場をせしめ、次に、衛視を両方の入口から徐々に警備の態勢に入らしめ、一切の整備ができ上がるのを待って、午後十時五十一分、彼は、岡田君に対し、質問者はほかにまだ多数あるのでありまするから結論をお急ぎ下さいと注意を与えておるのであります。そうしておいて、岡田委員が結論を急ごうとするその質問の合間の瞬間をとらえ、突然、これで質疑は終わりましたという発言をして、席を立ったのであります。(拍手)
  〔議長退席、副議長着席〕
他の委員や傍聴者をしてひとしく、森下委員長は岡田委員の次の質問通告者にも、質問をさせる意向があるのだという暗示を与えておいて、そして油断をさせながら、突如これを打ち切るというがごとき、まことにサル知恵にも似た低劣無比のだまし討ちといわなければならぬのであります。(拍手)これは森下君の頭脳をもってしては、最高のできばえかもしれませんが、そのなすところは、他人の注意力をそらしておいて、ふところの財布をねらうすりのやり方と同じ行為であります。巷間、外務委員長森下君は、すりだ、すりだ、すりと同じやり方で国民の財布をねらっているという風評が、すでに伝わっておるのであります。国民の血税四億九千万ドルを米国に、九十六億円をタイ国に支払うために、国民はまた新たなる税負担に泣かなければならず、大衆の気持は、まきにすりに財布を取られたのと同様の苦痛にあることを調刺したものでございます。(拍手)われわれは、この国民の気持の上に立って、断じてこの森下委員長のだまし討ち的行為を是認することができぬのであります。国際間に履行される債権債務は、これに賛成すると反対するとを問わず、その決定はあくまで白日のもと堂々と行なわなければなりません。委員長のサル知恵で委員会の機能を停止し、同僚議員をだまし討ちにして承認したというがごときは、相手国に及ぼす影響はもとより、日本国民の名誉を失墜し、その独立をも疑わしめる屈辱的行為であるといわなければなりません。(拍手)これ森下君をしてその地位にとどめておくことのできぬ第二の理由であります。
 彼の解任を要求する第三の理由は、森下君は、三権分立の原則をじゅうりんし、立法府をして行政府に従属せしめるがごとき誤れる委員会の運営に終始をしたということであります。(拍手)申し上げるまでもなく、立法府の主たる任務の一つは、国民にかわって行政府の行政を正しく監視、監督するにあるのであります。しかるに森下君は、この至高なる任務を全く理解せず、行政府のもとに立法府を隷属せしめるがごとき行為に終始しておるのであります。すなわち、行政府の行なったガリ・タイの問題をしていかにこれを正当づけ、そうしてこれを国会をして承認せしむるかに心を砕いておるのであります。総理の発言を助けることに努力をし、外務大臣のピンぼけの説明にも注意を与えようとせず、終始行政府に追随をするあの茶坊主的委員長ぶりに、さすが与党議員さえ失笑を禁じ得ないと称しているがごとき、よき例であります。(拍手)特に松本議員も指摘したるがごとく、外務官僚にまで、委員長としての権威を保ち得ず、必要なる資料の提出を勝手にサボタージュされたり、また、資料の中の最も必要なる部分を故意に削除されたりする小細工をもってほんろうされているがごとき、その一、二の例をもってしても、彼は完全に行政府のかいらいに成り下がったものであるといわなければならぬのであります。(拍手)立法府の権威をそこね、野党の発言を封じてまで政府にこびを売り、間がよくば次の内閣改造に大臣のいすでも分けてもらいたいという、いやしい気持がちらついているとまで憶測したくなるような外務委員長のやり方こそ、われらの断じて黙過し得ざるところでございます。(拍手)即刻その地位より彼を去らしめ、もって立法府の独立と権威を保持しなければならぬというのが、彼をしてその職にとどめておくことのできぬ第三の理由であります。
 第四の理由は、これを言うにしのびないのでありまするが、あえて言うなれば、彼は委員長としてその運営があまりにも拙劣であるということであります。衆議院議長に国権の最高機関の長としての識見と人格と信念と、これを裏づける行動力を要するという理論が認められるなら、その議長の職に準ずる委員長にもまた同一の資格と条件を要するものといわなければなりません。特に今次国会における外務委員長は、その取り扱う問題の重要性と相待って、その手腕、識見は直ちに海外に及んでその軽重を問われる地位にあるのであります。しかるに、彼森下君にはたしてこの重責にたえ得る手腕がありや、識見ありや、特にこれを裏づけする物理的、体力的の能力ありやと関わるるならば、残念ながらいなと答えざるを得ないのであります。(拍手)各委員と政府との質疑応答をさばく彼の委員長としての発言は、時間とともにだんだん細く、たよりなく、しかも、その疲労の色はますます顔面に現われて、耐えなばたえぬふぜいに陥るがごとき、見る者をしてまさにもののあわれを感じさせるほど痛々しいのであります。体力の消耗と、これに基づく疲労こんぱいはもちろん森下君の責任に帰するところではございません。しかし、この疲労のために委員の発言も理解できぬとあっては、重要なる委員会の委員長としての資格を欠いていることもまた事実でございます。彼は疲労の余り質疑打ち切り動議の発言を忘れることをおそれ、自分の手のひらにこれで質疑は終わりました、暫時休憩いたしますという文句を書いて委員長席に着いたというのであります。そうして、ぶるぶるふるえる手をしっかりつかみながら、ようやくそれを読み上げたというのであります。これは与党の議員から直接聞いた話でございます。日本国民にこれから先八年、十年、十五年の理由なき債務を負担せしむる問題、しかも、その負担を国民が背負うことによって、ひいてはこれがアジアの平和を撹乱する武器ともなり、日本をして再び戦争の危機に巻き込ませる火口になるかもしれぬ重大な問題を審議する委員会の委員長が、自己の発言するわずかの言葉を覚えておられない、そのために手のひらに書いていって、しかも、ふるえながら半分しか読めなかったなどということは、後世史家の笑い話となりましょう。(拍手)しかも、気息えんえんたる委員長の記憶もうろうたる中の手のひらの文章によって、五億、六億の債務が承認されたなどというこの事実は、笑い話で済まされる問題ではないのであります。(拍手)わが党においては、委員会における質疑の通告をなしている者で、いまだ質問を終わらざる者五人であります。その内容も党の事前審査を受けて、必ず国民の前に明らかにしなければならぬ重要な質問を含んでおったにもかかわらず、これを中止、中断せしめたるがごとき、委員長としての責任まさに重大であるといわなければなりません。せんずるところ、これ委員長の決断力の欠除と体力的欠陥に基づく結果であるといわなければなりません。すべからくその職を去って、体力、気力の回復に努められたいというのが、解任決議案に賛成する第四の理由であります。(拍手)
 聞くところによれば、森下君は栃木県沼田市の出身であり、栃木県の生んだ至誠と情熱と信念の政治家田中正造先生につとに私淑し、その第二世たらんことを志していたということであります。彼田中正造翁は、足尾銅山の銅毒事件に関係し、終始民衆の側に立って、資本主義と国家権力の結合による不正を糾弾し続けられたことは諸君周知の通りであります。森下君にして真に田中正造先生の第二世たらんとするならば、今こそ国民の側に立って、このガリオア・エロアの返済金をもって米国のアジア侵略への片棒をかつがせられるおそれのある帝国主義的政策に対し、きぜんたる対決をもって臨むべきであります。(拍手)
 しかるに、今日、事志と違い、かようなぶざまな形で解任の決議案を受けるに至り、今日限り、田中正造先生に次ぐ機会を失わんとすることは、彼のために惜しみても余りあるといわなければなりません。(拍手)かつてシーザーを討ったブルータスが、「われシーザーを愛すること浅からず、しかしわれローマを愛することさらに深きがゆえに」と叫んだごとく、私もまた森下國雄君を敬愛すること何人にも劣るものではありません。しかし、私はさらに日本国民を思うがゆえに、あえて彼の解任を迫らざるを得ぬのであります。森下國雄君、当年とって六十三才、政治家としてはまさに春秋に富む青年政治家であります。すべからくその職を去って捲土重来、今日の不名誉を挽回されんことを願って、外務委員長森下國雄君解任決議案の賛成討論にかえておく次第であります。(拍手)
○副議長(原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
○副議長(原健三郎君) 氏名点呼を命じます。
  〔参事氏名を点呼〕
  〔各員投票〕
○副議長(原健三郎君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
  〔議場開鎖〕
○副議長(原健三郎君) 投票を計算いたさせます。
  〔参事投票を計算〕
○副議長(原健三郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔事務総長報告〕
 投票総数 三百八十九
  可とする者(白票)  百四十九
  〔拍手〕
  否とする者(青票)  二百四十
  〔拍手〕
○副議長(原健三郎君) 右の結果、外務委員長森下國雄君解任決議案は否決されました。 〔拍手〕
    ―――――――――――――
 山本幸一君外四名提出外務委員長森下國雄君解任決議を可とする議員の氏名
      安宅 常彦君    阿部 五郎君
      赤松  勇君    淺沼 享子君
      足鹿  覺君    飛鳥田一雄君
      有馬 輝武君    淡谷 悠藏君
      井伊 誠一君    井岡 大治君
      井手 以誠君    猪俣 浩三君
      石川 次夫君    石田 宥全君
      石橋 政嗣君    石村 英雄君
      石山 權作君    板川 正吾君
      稻村 隆一君    緒方 孝男君
      大柴 滋夫君    大原  亨君
      太田 一夫君    岡  良一君
      岡田 利春君    加藤 勘十君
      加藤 清二君    勝澤 芳雄君
      勝間田清一君    角屋堅次郎君
      川俣 清音君    川村 継義君
      河上丈太郎君    河野  正君
      木原津與志君    北山 愛郎君
      久保 三郎君    久保田鶴松君
      久保田 豊君    栗原 俊夫君
      栗林 三郎君    黒田 寿男君
      小林 信一君    小林  進君
      小林 ちづ君    小松  幹君
      兒玉 末男君    五島 虎雄君
      河野  密君    佐々木更三君
      佐藤觀次郎君    佐野 憲治君
      坂本 泰良君    阪上安太郎君
      實川 清之君    島上善五郎君
      島本 虎三君    下平 正一君
      東海林 稔君    杉山元治郎君
      鈴木茂三郎君    田口 誠治君
      田中織之進君    田中 武夫君
      田邊  誠君    田原 春次君
      多賀谷真稔君    高田 富之君
      高津 正道君    滝井 義高君
      楯 兼次郎君    辻原 弘市君
      戸叶 里子君    堂森 芳夫君
      中澤 茂一君    中島  巖君
      中嶋 英夫君    中村 重光君
      中村 高一君    中村 英男君
      永井勝次郎君    楢崎弥之助君
      成田 知巳君    二宮 武夫君
      西宮  弘君    西村 力弥君
      野口 忠夫君    野原  覺君
      芳賀  貢君    長谷川 保君
      畑   和君    原   茂君
      原   彪君    日野 吉夫君
      肥田 次郎君    平岡忠次郎君
      広瀬 秀吉君    藤原豊次郎君
      帆足  計君    細迫 兼光君
      堀  昌雄君    前田榮之助君
      松井 政吉君    松井  誠君
      松平 忠久君    松原喜之次君
      松本 七郎君    三木 喜夫君
      三宅 正一君    武藤 山治君
      村山 喜一君    森島 守人君
      森本  靖君    八百板 正君
      八木 一男君    矢尾喜三郎君
      安井 吉典君    安平 鹿一君
      山内  広君    山口シヅエ君
      山口丈太郎君    山口 鶴男君
      山崎 始男君    山田 長司君
      山中 吾郎君    山中日露史君
      山花 秀雄君    山本 幸一君
      湯山  勇君    横路 節雄君
      横山 利秋君    吉村 吉雄君
      井堀 繁男君    伊藤卯四郎君
      稲富 稜人君    受田 新吉君
      内海  清君    春日 一幸君
      佐々木良作君    鈴木 義男君
      田中幾三郎君    玉置 一徳君
      西尾 末廣君    西村 榮一君
      門司  亮君    本島百合子君
      川上 貫一君    志賀 義雄君
      谷口善太郎君
 否とする議員の氏名
      安倍晋太郎君    安藤  覺君
      相川 勝六君    逢澤  寛君
      愛知 揆一君    青木  正君
      赤城 宗徳君    赤澤 正道君
      秋田 大助君    秋山 利恭君
      足立 篤郎君    天野 公義君
      綾部健太郎君    荒舩清十郎君
      有田 喜一君    有馬 英治君
      井出一太郎君    井原 岸高君
      井村 重雄君    伊藤 五郎君
      伊藤 郷一君    伊藤宗一郎君
      伊藤  幟君    伊能繁次郎君
      飯塚 定輔君    生田 宏一君
      池田 清志君    池田 勇人君
      石井光次郎君    一萬田尚登君
      今松 治郎君    宇田 國榮君
      宇野 宗佑君    上村千一郎君
      植木庚子郎君    臼井 莊一君
      内田 常雄君    内海 安吉君
      浦野 幸男君    江崎 真澄君
      遠藤 三郎君    小笠 公韶君
      小川 平二君    小沢 辰男君
      小澤佐重喜君    小澤 太郎君
      尾関 義一君    大上  司君
      大久保武雄君    大倉 三郎君
      大沢 雄一君    大高  康君
      大竹 作摩君    大野 市郎君
      大橋 武夫君    大平 正芳君
      大村 清一君    大森 玉木君
      岡崎 英城君    岡田 修一君
      岡本  茂君    加藤 高藏君
      加藤鐐五郎君    賀屋 興宣君
      金子 一平君    金子 岩三君
      金丸  信君    上林山榮吉君
      神田  博君    亀岡 高夫君
      鴨田 宗一君    唐澤 俊樹君
      仮谷 忠男君    川島正次郎君
      川野 芳滿君    川村善八郎君
      菅  太郎君    簡牛 凡夫君
      木村 公平君    木村 俊夫君
      木村 守江君    岸本 義廣君
      北澤 直吉君    久野 忠治君
      久保田円次君    久保田藤麿君
      草野一郎平君    倉成  正君
      藏内 修治君    黒金 泰美君
      小枝 一雄君    小金 義照君
      小坂善太郎君    小平 久雄君
      小山 長規君    河野 一郎君
      纐纈 彌三君    佐々木秀世君
      佐々木義武君    佐藤 榮作君
      佐藤虎次郎君    佐藤洋之助君
      佐伯 宗義君    齋藤 邦吉君
      齋藤 憲三君    坂田 英一君
      櫻内 義雄君    薩摩 雄次君
      志賀健次郎君    始関 伊平君
      椎熊 三郎君    椎名悦三郎君
      重政 誠之君    島村 一郎君
      首藤 新八君    正示啓次郎君
      白浜 仁吉君    周東 英雄君
      壽原 正一君    鈴木 正吾君
      鈴木 仙八君    鈴木 善幸君
      砂原  格君    瀬戸山三男君
      關谷 勝利君    園田  直君
      田川 誠一君    田口長治郎君
      田澤 吉郎君    田中 榮一君
      田中 角榮君    田中 龍夫君
      田中 正巳君    田邉 國男君
      田村  元君    高田 富與君
      高橋 英吉君    高橋清一郎君
      高橋  等君    高見 三郎君
      竹山祐太郎君    舘林三喜男君
      千葉 三郎君    中馬 辰猪君
      津雲 國利君    津島 文治君
      塚原 俊郎君    辻  寛一君
      綱島 正興君    寺島隆太郎君
      渡海元三郎君    徳安 實藏君
      床次 徳二君    富田 健治君
      内藤  隆君    中垣 國男君
      中島 茂喜君    中曽根康弘君
      中野 四郎君    中村 梅吉君
      中村 幸八君    中村庸一郎君
      中山 榮一君    永田 亮一君
      永山 忠則君    灘尾 弘吉君
      南條 徳男君    丹羽喬四郎君
      丹羽 兵助君    西村 英一君
      野田 卯一君    野田 武夫君
      野原 正勝君    羽田武嗣郎君
      馬場 元治君    橋本登美三郎君
      長谷川四郎君    長谷川 峻君
      服部 安司君    濱田 幸雄君
      濱田 正信君    濱野 清吾君
      早川  崇君    林   博君
      廣瀬 正雄君    福家 俊一君
      福田 赳夫君    福田 篤泰君
      福田  一君    福永 一臣君
      福永 健司君    藤井 勝志君
      藤田 義光君    藤原 節夫君
      藤本 捨助君    藤山愛一郎君
      古井 喜實君    古川 丈吉君
      保利  茂君    坊  秀男君
      星島 二郎君    細田 義安君
      細田 吉藏君    堀内 一雄君
      本名  武君    前尾繁三郎君
      前田 正男君    前田 義雄君
      牧野 寛索君    益谷 秀次君
      増田甲子七君    松浦周太郎君
      松浦 東介君    松澤 雄藏君
      松田 鐵藏君    松永  東君
      松山千惠子君    三池  信君
      三浦 一雄君    水田三喜男君
      南好  雄君    宮澤 胤勇君
      毛利 松平君    森   清君
      森田重次郎君    森山 欽司君
      八木 徹雄君    保岡 武久君
      柳谷清三郎君    山口 好一君
      山崎  巖君    山田 彌一君
      山中 貞則君    山本 猛夫君
      吉田 重延君    米田 吉盛君
      米山 恒治君    早稻田柳右エ門君
      渡邊 良夫君    古賀  了君
     ――――◇―――――
 日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を撤回し再交渉を求めるの動議(春日一幸君外四名提出)
○副議長(原健三郎君) 春日一幸君外四名から、日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を撤回し再交渉を求めるの動議が提出せられております。本動議を議題といたします。
○副議長(原健三郎君) その趣旨弁明を許します。田中幾三郎君。
  〔田中幾三郎君登壇〕
○田中幾三郎君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました動議について、提案者としてその趣旨を説明いたしたいと存じます。
 まず、動議の案文を朗読いたします。
    主 文
  政府は、日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を撤回し、左の要綱によりアメリカ合衆国と再交渉すべきである。
 一 米国の戦後対日援助の処理に関 しては、日米間の債権債務の支払の形式をとりやめること。
 二 日本が本件について支出する金額については、さらにこれを減額すること。
 三 右、支出金の使途については、日米両国の合意する低開発国の経済援助にあてること。以上が本動議の内容であります。(拍手)
 以下、その理由を御説明いたしたいと存じます。
 まず第一の理由は、政府提案の本件に関する協定は、本件を債権債務という関係で処理する方針をとっており、それはきわめて不当であると考えるからであります。(拍手)戦後数年間にわたり、米国の対日援助によって、わが国は今までにかつてない飢餓と窮乏から救われ、経済の復興と再建を促進し得たことは事実であり、これは国民のひとしく感謝しているところであります。しかし、この感謝の気持と、米国の対日援助を債務とみなすこととは、全く別の問題であります。周知のごとく、国が外国に対して債務を負担することはきわめて重大なことでありますから、国際法上、条約上、または国内法上、確固たる根拠がなければ、これを認めることができないのであります。しかるに、今政府から提案されておりまする新協定は、この点について、何ら明確な根拠がないところに大きな問題が存在しておるのであります。
 まず、国際法上の観点からこれを見るときに、ヘーグ条約との関係が問題と相なります。ヘーグ条約第四十三条によれは、占領地域の秩序維持と占領民の疾病、飢餓等に対する保護は、占領国の責任と義務であることが明記されておることは御承知の通りであります。(拍手)これは崇高なる人道精神に根ざすところの国際法の基本原則を定めたものでありますが、翻って、かりオア・エロア資金の性格を見まするときに、その大部分が、まさに同条約にいうところの占領国の責任と義務において支出せられたことが明らかなのであります。従いまして、政治道義の上から、あるいは国際信義の上から見ることは別問題として、国際法的には、何らわが国の有効な責任債務ではないのであります。さらに、アメリカとの条約上から見ますると、ガリオア・エロアについては、今日まで日米両国の間において、これを債権債務として確認し得るところの何らの有権的な取りきめが行なわれたことがないのであります。このことに反論する一部の論拠といたしまして、サンフランシスコ条約における直接占領軍事費に同資金が含まれていないこと、あるいは同条約の第十四条(a)項に規定する「他の債務」といううちに、対日援助が含まれていることをその理由にあげる者がありますけれども、これははなはだナンセンスな議論と申さなければなりません。なぜなれば、前者について言えば、アメリカの商務省の刊行する著書の中に、旧敵国占領地への民生品の供給は、アメリカ軍隊を病気と民間の不安から守るためのみでも必要であったと指摘しておりまするように、対日援助が直接軍事費の性質のものであったことが明らかにされておるのであります。また、後者について言いまするならば、平和条約で日本の債務として明らかにされておりまするものは、連合国の財産の返還並びに補償、戦前の債務の二つだけであって、対日援助の債務性は、平和条約の上からは、何ら債務として確認される根拠がないのであります。
 また、阿波丸の請求権の処理に関する協定の了解事項といたしまして、米国からわが国が受けた借款と信用を日本の債務と確認したことが認められておるにもかかわらず、先般の外務委員会の審議を通じて、との債務は日本の債務の負担でないと否認しておるのでありますから、ガリオア・エロアのこの債務性は、その根拠いずれにありやといわざるを得ないのであります。(拍手)
 以上の諸点から見て、わが国には有権的な法律上のアメリカに対する債務が存在しないということは明らかであります。このように、条約上対日援助がわが国の明確なる法的債務であると断定できるものは何一つない事実を、われわれはこの際明確に確認する必要があると思うのであります。
 次に、国内法上の問題でありますが、国が債務を負担するには国会の議決を必要とすることは御承知の通りであります。憲法、財政法が厳としてこのことを規定いたしておるのであります。さきの吉田首相の約束の場合はもちろん、その他の場合を見ましても、アメリカの対日援助に関し国会の議決を求められたことは、かつて一度もなかったのであります。このような手続を経ていないものを国の債務と認めるということは、われわれの断じて容認し得ないところであります。従いまして、われわれは、アメリカの対日援助の処理について、日米間の債権債務の関係においてこれを処理するということには断じて賛成することができないのであります。(拍手)
 次に、決議案の要綱の第二の点について御説明申し上げまするならば、今まで述べたことで明らかなように、アメリカの対日援助の支払いは、国際法上、またアメリカとの条約上、またわが国の国内法上の、いわゆる法律的なものではなくして、それはあくまでも国際信義の上の道義的問題であるということであります。従いまして、今回政府が提出して参りました協定は、まずこの点について重大なる誤りを犯しておると申さなければなりません。(拍手)このことは前段で立証した通りでありますが、さらに問題となりまするのは、日本が今負担しようとしている額は、数字的にも、あるいは積算の上からも、何らの根拠を持たない不当なものであるということを、われわれは指摘しなければなりません。(拍手)政府は、その額の算定にあたって、西独方式を採用したといってのがれようといたしておりますけれども、このこと自体が根本的に誤っていると申さなければなりません。周知のごとく、西独の場合は、戦後の援助のみならず、戦前のものをも含んでいることは御承知の通りであります。しかも、それらの援助は、一九四五年のポツダム四国会議、一九四六年の米英西独占領地区統合協定で、それぞれ明確な債務であることが、まず事前において確認され、さらに、一九四八年のマーシャル援助のアメリカと西独経済協力協定でも、この趣旨が受け継がれて確認されておるのであります。このような性格を持っておるものと、日本の場合を同一に見るということ自体が誤りであると申さなければなりません。この議論は別といたしましても、西独の場合、その戦後の債務は三十億一千三百万ドルが十億ドルとなり、かつ戦前の債務についてすら二十六億ドルが十六億ドルと減額されております。このように、西独の場合は戦前債務までが減額されており、従って、単に三分の二を切り捨てただけの今回の四億九千万ドルという数字は、西独の場合よりはさらに日本は不利であると申さなければならぬのであります。従いまして、日本の場合はさらにこれを減額することが必要かつ妥当とわれわれは考えるのであります。総理は、機会あるごとに、対米債務を四分の三切り捨てて四分のに押えたということをしばしば自画自賛しておるのでありますが、私から見まするならば、このたびの協定は最も拙劣なる外交であり、日本の立場から主張し得ることをみずから放棄した卑屈な態度であったと思うのであります。(拍手)
 アメリカは、戦争末期において、広島、長崎の二カ所に原子爆弾を投下いたしました。この原子爆弾の使用は、先ほどの論者からも論ぜられました通り、毒または毒を施した兵器は使用を禁止されております。不必要な苦痛を与える兵器、投射物、一切その使用禁止がいわゆるヘーグ条約の二十三条によって規定されておるのでありまして、これらを投下したというアメリカの行為は、たといそれが戦闘行為であっても免責にはならないということであります。責任を免るべからざる不法行為であるということであります。これらの不法行為によって生じた国民の損害請求権というものは、国民の財産であって、個人の財産を侵すべからざることは、憲法の二十九条の規定するところであり、先般の私の質問に対しても、林法制局長官は、日本の国としては請求権を放棄したけれども、国民の請求権そのものはなお存在しておるであろうということを答弁されました。
 顧みますると、広島、長崎を通じて、これによるところの死者は約三十七万、その他の財産は別として、人命三十七万を失ったのでありますから、これに対する慰謝料だけでも、一人二百万円とすれば、七千四百億円であります。もしそれ、これを三百万に算定するならば、一兆一千億円をこえるものでありまして、アメリカの日本に対する債務よりは、日本のアメリカに対するこれらの不当行為による請求権の方が、優に凌駕しておるのでございますから、この点を何ゆえにこの交渉にあたってアメリカに向かって要求しなかったかということであります。私はこれを総理大臣に伺いましたところが、アメリカもこれは悪いことであるということを知っておりまするから、このことを計算のうちに入れて交渉をいたしたのであるということを明言されました。私は、これに対して、何ゆえに、この人道的な不当行為をやったことに対して主張をいたしまして、アメリカの不正をつくと同時に、今後は原水爆、核使用ということができないのであるということを知らしめる一方、日本の損害を堂々として請求し得なかったか。これをもし勘定に入れまするならば、私はこの計算の上においても、日本はほとんど支払う義務がなくなったのではないかということを遺憾に思って、総理大臣のアメリカに対する外交が卑屈であったと申しておるのであります。(拍手)いわんや、日本のこの法的な債務性のないものについては、減額を要求することは当然であります。
 かくのごとくでありますから、われわれは、このアメリカとの協定を撤回せしめて、アメリカから受けたところの恩恵と申しまするか、援助に対しては、感謝の気持を表わすことは、当国会においても感謝の決議をいたしておるのでありまするから、この感謝を表わす意思表示といたしまして、われわれは応分の謝意を表さなければならぬ。そのためにこそ、この協定を撤回いたしまして、あらためて再交渉をしなければならぬということを主張いたすのであります。
 最後に、動議の第三点についてでありますが、以上の意味合いで、十分でないわが国の財政のうちから支出する金でありますから、この金はきわめて有意義に使用していただきたいということであります。従いまして、その資金の使途については、政府原案のような、わが国の自主性を全く失った、単にアメリカの低開発国援助計画に追随するようなものではなく、わが国がすでに策定しておるところの低開発国の援助計画をも十分に加味し、両者を調整することによって、日米が合意する低開発国の援助資金に充てることが、最も望ましいと考えるのであります。低開発国援助の問題は、今や世界の平和と繁栄のために、欠くべからざる要件であることは御承知の通りであります。われわれは、現在政府が考えているような、単なる交換公文によってそのような方向づけを行なうということでは不十分であると考えまするから、アメリカの議会の立法措置を要するというような条件付ではなく、日本とアメリカとが対等の立場に立って、この支出の金を使うという条件を、双方の合意によってきめるべきであると考えるのであります。
 以上が、私どもの動議を提出する内容であります。わが民主党は、以上の見解に立って、この際、政府が、国会の多数をもって本件を既定の方針の通り決定することなく、本動議の趣旨に従いまして、アメリカ政府と再交渉すべきことを強く要請し、本動議の趣旨説明を終わりたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 討論の通告があります。これを許します。戸叶里子君。
  〔戸叶里子君登壇〕
○戸叶里子君 私は、ただいま議題となりました日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を撤回し再交渉を求めるの動議に対し、日本社会党を代表して、反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 今国会の重要案件であるガリオア・エロアに対する問題の焦点は、一言にして一言えば、これが日本に対して債務であるかないかをはっきりさせることであります。そこで、私たちは、政府に資料を要求したのでありますが、政府に都合のよい資料は出しても、私たちが望んでおる資料は十分に提出してくれません。そういう悪条件の中にあっても、国民の代表であるという強い責任感から資料を探し、私どもは政府を追及したのであります。(拍手)そして、その審議を通してはっきりしたことは、ガリオア・エロアは債務性が薄いということであり、政府が債務性を認めている最大の資料は、占領中アメリカが残したスキャッピンによるものであるということが判明したのであります。占領中のスキャッピンが占領後十六年もたった今日でも有効であるとの考え方に立つ政府に対して、私どもは相変わらずの自主性なき対米従属外交を国民として嘆かざるを得ませんが、さらに残念でたまらないのは、ただいま議題となっておりますように、民社党の方々までもその債務性を認められたかに見えるということであります。(拍手)もちろんその表現には、「日米間の債権債務の支払の形式をとりやめること。」と言われておりますが、同時に、「日本が本件について支出する金額については、さらにこれを減額すること。」と書いてありますから、ともかくお払いになることは事実であります。(拍手)
 そこで、私どもがある品物を手に入れたとき、それは贈りものとしてもらうか、あるいはこれに代金を払うかの二通りしかありません。だとすれば、代金を払うのは、その払い方がどういう形にせよ、債務性を認めたから払うのであるというのが常識であります。(拍手)あるいはまた、ものをもらったが、お金を払う必要がないと思っていた。しかし、まあ感謝の意味でお金をあげるというのであるとするならば、そのときは、先方は払ってほしいということは何ら言っていないはずであり、いわゆる心づけという形であげる場合も考えられます。しかし、今回は、アメリカもはっきり払ってもらおうということのようですから、この心づけの場合には当てはまらないようであります。だとすると、どうしても債務性を認めた上で、一定の金額を払うということになるのであります。ただいま民社党の田中議員が債務性はないと言われましたけれども、一方におきまして、日本が支出する金額については減額すると言われているのであって、債務でないものを支払うというのはどういう意味かわからないのであります。(拍手)従って、口には債務性がないとおっしゃいましても、やはり自民党と同じように、債務性ありと考えられたのでありましょうが、いつごろからこの考え方になられたのか、私どもはわかりません。(拍手)少なくとも池田内閣がこの協定に署名されたころには、社会党と同じく憤りを持たれたはずであります。しかも、その理由は、国の債務を国会にも諮らず、国会軽視という手続上の問題と、債務性のないものに対して払うべきでないという、二つの考え方であったと聞いております。それが、国会の審議を通して、ますます債務性の根拠が薄くなってきたときに、政府の払い方には疑問があるが、別の形でお払いしましょうというのでは、何を根拠にそう変えられたのか、了解に苦しむと同時に、債務性を認めた点に関しては、政府・自民党と全く同じであります。(拍手)
 しかし、外務委員会におきまして、民社党の田中幾三郎議員は、傾聴すべき、そしてまた、国民ひとしく同感であろうと考えられる質問をされたのであります。その内容は、広島、長崎に対する原爆投下に対して、アメリカはもっと反省を要することと、なくなった方々に一人三百万円補償するとすれば、一兆数千億円になる、これをアメリカになぜ支払う約束をするにあたって交渉しなかったかと訴えたのであります。ところが、政府からは、これに対して全く誠意ある答弁が聞かれなかったのはまことに残念であります。しかし、今日の保守党の内閣に人道的問題の解決を望もうとしても、これは困難でありますが、せめて民社党の方々は、この田中議員の発言を生かしていただきたいのであります。(拍手)だとすれば、当然これを基礎にして議論を進め、債務性のないものは払うことができない、政府が、ガリオア・エロアを債務として支払うというならば、むしろ広島、長崎の原爆投下に対してアメリカの反省を促し、その支払金をそっくりこれらの犠牲者に払うべきであるという主張をなし、政府にその交渉をさせるべきではありませんか。(拍手)そのことによってのみ、田中議員の貴重な質問の意思が生きるのであります。
 今回の動議の内容は、政府案を撤回し、新しく交渉し直すということであります。しかし、表題はそうであっても、その内容は減額して払うことになっていることは、これまで述べてきたところであります。これが新聞等に伝えられております出世払いといろのでありましょうが、その内容は一体何を意味するのでありましょうか。日本が現在出世しているとの立場に立っての御議論か、あるいはまた将来出世をしたときに払うと言われるのか、この点も国民の知りたいところでありますし、出世というのは、日本がどの程度の経済状態になったときを言われるのか、全く不明であります。(拍手)また、金額にしても、どれだけ支払うのか、支払いの条件もわかっていませんし、減額するにしても、いかなる基礎資料に基づいて決定するのかもわかりません。国民の納得のいく額というものがどうやってきめられるのか、この標準さえも私たちには見当がつかないのであります。(拍手)従って、私どもは、この動議に賛成できないわけでありますが、かりにこの動議が通ったといたしますならば、私どもは、再びここに再交渉すべき資料に基づいて国会の審議をしなくてはなりません。その場合の基礎資料として出されるものは、結局政府の提出した債務性ありやなきやという同じ資料に基づいて議論をすることになるのであって、債務性という問題から考えるならば、同じことを繰り返すという結果になり、何ら新味が出ません。しかし、内容から見れば、条約の修正あるいは新しい条約の提案とも考えられ、まことに複雑きわまりなきものとなるでございましょう。(拍手)その意味からいっても、今回提出されました動議に賛成することができないのであります。
 私は、資料を集めている過程において、政府が至上命令として従っているスキャッピンで、政府から提出されないものも多く読みました。その中には、腐ったトウモロコシの粉を送ったが、調査して食べられるものなら配給しなさいという指令とか、海水につかった小麦を送るからというスキャッピンを発見し、アメリカはこの点に関しては正直な国民であることを認識いたしました。しかし、こういうものがあっても、なお国会でアメリカの放出物資に対し感謝決議をしたのは、当時の食糧事情の最も悪かったときに、確かに役立つものも多かったからであります。ところが、それをも含めて、今日払いましょうという政府の卑屈さと弱さに、国民はあきれ果てるでありましょう。(拍手)そして最近国民が気づいてきたことは、問題の援助は、最初はだれでも無償だと思っていたが、最近のアメリカのドル防衛に協力するために、アメリカの政策転換の犠牲者として日本は払わせられるのである。従って、政府は、前から債務と心得るなどという、最初のころの速記と違うようなあいまいな言葉を使って、国会の乗り切りをはかろうとしているのであるということを国民は感じております。そして、もしそうであるとするならば、日本がアメリカに対して持ってもよいであろうと思われる債権、すなわち、沖縄に対して要求できるもの、原爆被害、長期占領によって日本が負うた莫大な費用、これらをなぜ交渉の対象にしないのであろうということに疑問を持っている人が多いのであります。(拍手)ことに吉田元首相が言われたごとく、ガリオア・エロアは法的な債務でないが、政治道徳的債務であるというのであるならば、以上述べたような三点は、日本の貸方勘定として先方も認めてよいのではないかという率直な国民感情にも、政府・与党は耳を傾けるべきであります。(拍手)この国民の声を背景にするならば、この動議は当然政府案を撤回すべしというものになり、そうすれば私どもも全面的に賛意を表するでありましまうし、政府・自民党にも、アメリカ政府にも、再考慮を促すよいきっかけになると思うのであります。(拍手)このことによって国民の疑いは解け、国会の信用も一段と高まるでありましょう。
 以上の理由で、私は提案されている動議に反対するものでありますが、この際考えていただきたいことは、民社党の方々が、自民、社会両党の間に入られ、議会運営の面などで努力されていることに対し、私は敬意を表するものであります。時には重大な意義を持つこともありましょう。しかし、今回の場合は、両党の政策を足して二で割る方式ではどうしても筋が通りません。(拍手)むしろガリオア・エロアが債務であるかないかに対する態度を示される方がすっきりし、国民が納得するということを知っていただきたいのであります。そして、そのことが民社党のためにもなり、失いかかった信用を幾分でも取り戻すことになることを申し上げ、以上をもって、この動議に対する反対の討論を終わりたいと思うのであります。(拍手)
○副議長(原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(原健三郎君) 起立少数。よって、春日一幸君外四名提出の動議は否決されました。
     ――――◇―――――
 日程第一 日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第二 特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定のある規定に代わる協定の締結について承認を求めるの件
○副議長(原健三郎君) 日程第一、日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第二、特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定のある規定に代わる協定の締結について承認を求めるの件、右二件を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。外務委員長森下國雄君。
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
  〔森下國雄君登壇〕
○森下國雄君 ただいま議題となりました日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件並びに特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定のある規定に代わる協定の締結について承認を求めるの件、その二つにつきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 右二件につきましては、去る二月六日、本院において小坂外務大臣の趣旨説明が行なわれ、二つの協定の署名に至るまでの経緯並びに内容を明らかにされましたので、本日は、ただこの二つの協定の内容の要旨だけを申し上げることにいたします。
 まず、第一の、戦後の経済援助の処理に関する日米協定は、一、わが国は、戦後の経済援助の提供から生ずるすべての懸案問題の最終処理として米国に四億九千万ドルの債務を負うこと、二、これが支払い方法として、わが国は、十五年間にわたって、元本及び年二分五厘の利子を半年ごとの賦払いにより、当初の十二年間は毎回二千百九十五万九千百二十五ドル、その後の二年間は毎回八百七十万一千六百九十ドルを支払うこと、三、この支払いは、原則としてドル貨で行なわれるが、米国は、総額二千五百万ドルを限度として、わが国に対し円貨払いを要請することができること等を定めております。
 次に、タイとの特別円協定は、一、昭和三十年七月に締結された特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定第二条に規定された九十六億円の経済協力の条項がタイ側の事情で実施不可能となったので、これを無償供与とすること、二、これが支払い方法として、わが国はこれを八年間の年賦払いとし、毎年十億円ずつ七年間、第八年目にさらに二十六億円を支払うこと、三、タイ国は、この金額をもって日本の生産物及び日本人の役務の調達に充てること等を定めております。
 この二件は、二月五日国会に提出され、翌六日本院において小坂外務大臣の趣旨説明が行なわれ、同日本委員会に付託されました。本委員会は、二月九日、まず小坂外務大臣から、右二件の提案理由の説明を聴取した後、各委員から池田総理大臣、小坂外務大臣、水田大蔵大臣並びに政府委員に対し質疑が行なわれ、また、三月二十八日及び二十九日の両日は、参考人として学識経験者十一人を招致し、その意見を聴取する等、きわめて慎重に審議が繰り返されました。
 右の質疑のうち、最も注目すべき諸点をあげますれば、まず、日米支払い協定におきましては、「いわゆるガリオア・エロア援助資金は債務ではなく贈与ではないか」との委員の質疑に対しましては、政府側としては、「従来より、これは確定債務ではないが、債務と心得てきたのであり、この協定の成立によって初めて債務が確定するものである。現に昭和二十一年七月、連合国総司令部覚書においても、援助物資の支払いについては後日これを決定する旨しるされており、また、贈与でないことは明らかである」との答弁がありました。また、「国民は代金を支払って物資をもらったが、今さら返済するのは二重払いになるのではないか」との委員の質疑に対して、政府側としては、「国民が払った代金は見返り資金特別会計に積み立てられ、現在産業投資特別会計に引き継がれ、約二千九百億円になっており、元本に手をつけずに、運用益だけでまかなえるので、二重払いとなることはない」との答弁がありました。また、返済金の使途についての委員の質疑に対しては、政府側としては、「米国は、わが方の要請をいれ、その大部分を低開発諸国に対するところの経済援助に使用する旨、並びに一部円貨払いを認め、三千五百万ドルの等価につきまして日米間の教育、文化の交換に使用する旨を約束している」との答弁がありました。
 次に、タイとの特別円協定につきましては、昭和三十年に締結された特別円協定第二条においては、明らかに九十六億円の投資及びクレジットの形式による資本財及び役務の供給となっているのを、一挙にこれを無償供与にした根拠についての質疑に対しては、政府側としては、「この経済協力の条項が、その後両国間の見解の相違もあって実施が不可能になった。タイ側としては、そもそも戦時中の日本の債務であった特別円問題を解決する協定を実施した結果、逆にタイ側が債務者となるようになった解決方法は国民感情として納得できないので、これを無償供与に変更するよう切なる要請がありましたので、政府としては、本件をいつまでも未解決のままに放置することは、両国多年の親善関係及び経済上の関係から見て妥当でないと考えられるので、大所高所の見地から、八年間の分割払いとしてこれを無償供与とすることに踏み切ったのである」との答弁がありました。これらの詳細は委員会議録により御了承願いたいと思います。
 かくて、三月二十九日、正示啓次郎君から右二件の質疑打ち切りの動議が提出され、これを採決に付しましたところ、右動議は起立多数をもりて可決されました。
 その後、四月三日及び四日の両日質問を行ないました。
 かくて、四月四日、この二件について、社会党及び共産党の出席を見ないまま討論採決が行なわれました。まず、第一の案件について討論を行ない、自由民主党古川丈吉君が賛成の意向を、また、民主社会党は、佐々木良作君から反対の意向が表明され、採決の結果、本件は多数をもって承認すべきものと議決いたしました。続いて、第二の案件について討論を行ない、自由民主党床次徳二君から賛成の意向が、また、民主社会党本島百合子君から反対の意向が表明され、採決の結果、本件は多数をもって承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 質疑の通告があります。順次これを許します。岡田春夫君。
  〔岡田春夫君登壇〕
○岡田春夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま行なわれました森下委員長の報告に関連いたしまして、二、三の質問をいたしたいと思います。
 まず第一点といたしまして、森下委員長は、ただいま委員会の経過について御報告があったのでありますけれども、この点について委員長に対してお伺いをいたしたいと思います。
 先ほど委員長は、委員会の経過について御報告がありました際に、中で最も重要な二、三の点についての御報告を落とされております。その点は、ほかでもない、あなた自身が最も御存じのはずである、あなた自身が委員会に対して釈明をされた事実の御報告がないではないか。(拍手)この委員会に対する釈明は、単に一回だけではありません。数回にわたって釈明が行なわれているのであります。この釈明に対する御報告が漏れておりますので、静かにあなたが過去の経過を顧みられて、釈明の内容を御報告願いたいと思います。
 第二の点であります。第二の点は、あなたは、先ほど、委員会では慎重に審議が行なわれたと言われております。ところが、慎重に審議が行なわれたならば、あなたの経過報告の中で――あなた自身が、参考人が意見を供述されたあとで、参考人に対するあいさつの一言さえ行なわない以前に、突如あなたは単独で質疑の打ち切りを行ないました。この質疑の打ち切りを行なったそのあとにおいて、御存じの通りに、四月の三日から質疑の再開が行なわれました。先ほどの委員会の報告の中で、この単独質疑打ち切り以前の経過については詳しい御報告があるが、四月三日、四日の質疑の経過については、一言も経過の御報告がないのであります。この経過については、われわれ野党がこの質疑を行なっておりますので、三日、四日の経過について詳細なる御報告を願いたいのであります。この点につきましては、委員長に特にお願いを申し上げますが、あなたは、その点については速記録をごらん下さいなどと言わないで、あなた御自身この演壇で詳細な経過の御報告を願いたいと思います。(拍手)
 第三の点であります。第三の点については、先ほど委員長が三回にわたって釈明を行なったということに対して、私はここにあなたが釈明をされました文言それ自体を持っております。これは、理事会の席上において、委員会の席上においてあなたの報告されましたものでございますが、私がなぜこれを要求するかといえば、本会議の速記録にこれを明確に残したいからであります。これによって、あなたがいささかでも良心の苛責を明らかにされることを望むからであります。(拍手)
 私は、委員長への質問に対しては以上の点を申し上げますると同時に、もう一つだけお伺いをしておきたいことは、外務省並びに政府の当局が外務委員会にとって参りました態度についての委員長の御意見、御所感を伺いたいのであります。これは先ほど戸叶委員からもお話のありましたように、外務省並びに政府機関が外務委員会にとりました態度は、これは国会を軽視すること明らかなるものがある。その点は、自民党の諸君も昨日現実に見られたように、池田総理、小坂外務大臣、中川条約局長、三人ががん首をそろえてわれわれの前に陳謝した事実をもっても明らかである。(拍手)このように国会を軽視したことについて、委員会の運営の責任者である委員長としては、このような政府当局者の態度に対して、今後とも厳重な態度をとることが、国会尊重の根本であり、民主主義の基礎であり、国会正常化の根源でなければならないと思う。(拍手)私たちは、過去の外務委員会においても、この中におられます自民党の理事諸君を含めて、外務省の今までとって参りました国会軽視、国会を尊重しないという態度について警告を発して参りましたことは、一回ならず数回にわたっているのであります。このような過去の経過に顧みて、外務委員長が国会を軽視している政府当局者に対して、今後いかなる態度をおとりになるのか、この点について委員長の御所見を伺いたいと思います。(拍手)
 第四の点は、委員長の報告に関連をして、先ほどの委員長報告では政府の御所見が必ずしも明らかではございませんので、この機会において、出席されておりまする池田総理並びに小坂外務大臣に対して、委員会の質疑経過に関連して、二、三の点を質問いたしたいと思います。(拍手)
 私の質問は、できるだけ時間を切り詰めて、要点だけお話を進めて参りたいと考えています。ガリオア、タイ特別円の問題については、先ほど戸叶さんあるいは松本七郎さんその他の諸君から要点を述べておられますので、私から詳細な点の御質問は省略いたしますけれども、ガリオア・エロア、タイ特別円ともに、われわれ社会党としては、今度の協定によって支払うべきものではないというものを、あえて政府が支払おうと考えている。われわれはこのような点において賛成ができない。ガリオア、タイ特別円、日韓会談に基づく韓国に対する請求権をもし支払うとするならば、これを合わせて四千億円以上に達する国の経費と血税をわれわれは払わなければならないのであります。私たちは、このような点について、もし国会の審議にして慎重審議を失うとするならば、国民に対して申しわけないのであります。われわれは、国民の血税を使う場合において、慎重でなければならない。(拍手)われわれは、その意味においても、政府並びに自民党の態度について、十分注意を必要とするものであります。私は、特にこれらの金が、アメリカ帝国主義の極東軍事支配のもとにおいて、そのアメリカの軍事支配のてこ入れとして、日本の軍国主義の復活を夢み、大東亜共栄圏の復活を夢みているとするならば、断固としてこれを許すことができません。(拍手)われわれはこの点においても、ガリオア、タイ特別円のこのような協定には賛成するわけにはいかないのであります。
 まず第一に、ガリオア・エロアの問題に対しましても、ガリオアという、名前は、これはアメリカの国内法の名前であります。ガリオアというのは、これは援助物資の名前ではないのであります。日本に入れられた援助物資の名前は、TOGイーブルというのであります。TOGイーブルというのは、ツー・アザー・ガヴァメント・イーブルというのです。これはイーブルというその名の通り、悪という名前です。この悪という名前は、パッドという、悪いという意味だけではない。道徳的悪という名前のツー・アザー・ガヴァメントの道徳的悪というのが対日援助の名前であったのであります。このガリオア援助というTOGイーブル、朝鮮向けはTOG・K、琉球向けはTOG・R、これらの援助物資を支払うべきものとして政府が援助物資の総額の計算をするとするならば、その総額の計算は正確でなければならない。ところが、この対日援助総額というものがきわめて不正確である。この点については、昭和二十九年における積算方式と今回における積算方式とが違うという点においても、いかにこの算出根拠というものが不明確であるかということは明らかであります。しかも、この積算根拠の台帳となりましたものは、ほかでもない、アメリカの台帳である。そのアメリカの台帳は幾らあったかというと、政府の答弁では、驚くなかれ十二万冊あったそうであります。十二万冊の積算の台帳をいかにしてこれを正確な数字で算出することができるか、これは神わざならずしては算出できないことであります。(拍手)私たちはこれらの点においても積算において政府の資料の正確性を疑っております。この点については明確なる政府の態度を明らかにしていただきたいと思います。またそれだけではなくて、昨日井手委員から質問をいたしまして、これに対する政府の答弁がなかったのでありますけれども、朝鮮戦争中にアメリカの軍隊が、日本の国内において飛行場その他の軍事基地の拡張を行なった。この軍事基地の拡張の経費というものは、当然対外援助の経費から差し引かれなければならない。この点は、かつて、現在農林大臣をやっております河野一郎氏と当時の吉田首相との論戦の中で、対朝鮮関係の日本の債権は援助額の中から差し引かなければならないということを、当時の吉田総理が答弁をいたしておりました点におきましても、朝鮮戦争における軍事基地その他の拡張の経費は、対日援助総額の中から差し引かなければなりません。この点について池田総理にお伺いをしたいのでありますが、朝鮮戦争における軍事基地の拡張の経費、これは一体どれだけになっておったのか、そして援助総額の中からこれを差し引いておったのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
 次は、タイ特別円の問題であります。この点については一昨日並びに昨日、私がいろいろ質問をいたして参りましたので、詳細の点は省略をいたしたいと思います。しかしながら、重要な点だけは質問をいたしておかなければなりません。タイの特別円協定は、御存じの通り、昭和三十年の協定を、その後池田首相がバンコックを訪問いたしまして、この協定をあらかじめリプレースするという前代未聞な形で協定が改められました。この協定については数多くの国民の疑惑があるのであります。過去の経過を顧みましても、日本側が昭和三十年にタイと交渉いたしましたときの経過については、この本会議の議場の中におられるその当時の一萬田大蔵大臣がよく御存じのはずである。当時の一萬田大蔵大臣は、タイの特別円の問題については、当時の重光外務大臣がタイの主張を全面的にいれて、これに妥協しようとしたのに対して、大蔵省の立場に立って、あくまでも抵抗されました。そうして一萬田大蔵大臣は四十七億円の線を守ってがんばり抜いたのです。しかしながら、四月八日の閣議の決定において、当時の鳩山総理が政治的な解決の結論として、四十七億を上回る線において妥結すべきであるというので、五十四億円の線が出たのであります。この五十四億円の線というのは、特別円に関する一切の債務の支払いを意味しているのでありまして、残余の九十六億円というものは、あくまでも三十年協定においては、これは貸与であります。貸すことであります。投資またはクレジットにおいて貸すことでありました。とれが日本政府の態度でありました。しかしながら、これに対して池田首相が、昨年サリット首相に会って、貸すことに決定をしておった九十六億円を突如、ただで与えるということに決定をしたのであります。ここに問題があるのです。五十四億円で債務のすべてが完済しているにもかかわらず、九十六億円は貸すというならば、これは問題は起こらないけれども、債務のない、根拠のないこの九十六億円を与えるとするならば、これは架空の債務に対する不当の支払いであるといわなければなりません。(拍手)私たちは、この点について、国民の疑惑を深めつつある現在、首相は重ねてこの点を明確にすべきであると思います。債務のないところに、九十六億円を貸しても問題は起こらない。一萬田大蔵大臣の言うように、貸すという形ならば問題は起こらない。しかし、池田首相の言うように、与えるというならば問題が起こる。これは架空の債務であるからである。私をもってするならば、五十四億で押えて問題を解決した一萬田大蔵大臣よりも、九十六億円を与えた池田首相の方が、政治的手腕は全くないといわざるを得ないのであります。(拍手)この点についての御見解を伺いたいと思います。
 次に、九十六億円をやるということになるならば、私の見解をもってするならば、これは二重払いになる。二重払いになるという点を明らかにして、私の質問を終わりたいと思います。
 戦後において日本がタイ国に引き渡しました金塊は、合わせて二十三トン――二十二・三トンであります。この二十二・三トンのうちで現実にタイに引き渡しましたものは、二十一・八トンであります。GHQがクレームをつけまして、これに対してタイ国に引き渡すことのできなかった分は〇・五トンであります。ところが不思議なことに、すでにタイに引き渡した二十一トンの価格は、政府の答弁によると、一億一千四百万円であります。ところが引き渡さなかった〇・五トンの価格は、二億三千四百万円であります。二十一トンの金塊が一億円であり、〇・五トンの金塊が二億円である、このようなばかげた話はないじゃありませんか。(拍手)私はこの点について、政府は何かこれを間違っているのではありませんか、この計算は二百七十五万円と間違っているのではありませんかと昨日質問をいたしました。ところがこれに対して、政府は、間違っておりません、〇・五トンは二億三千万円でございます、この二億三千万円が五十四億円の中に入っておりますと答えました。私は、これはますますわけのわからないことであると思いました。二十一トンが一億円であり、〇・五トンが二億円である。これはあなたの言われる国民の常識をもっても、このようなことはだれもわからない。二百七十五万円であるというのならば、われわれはわかるが、四十分の一の金塊が値段は倍になるということではわからない。もし〇・五トンが二億三千万円であるとするならば、二十一トンの金塊は幾らになるか、これを現在の価格で換算するならば八十九億円になる。この八十九億円に対して、四十七億円で支払いの完了したはずであるこの特別円の支払いを、五十四億円払っておりますから、五十四億から四十七億円を引くと、七億円の差額が出る、八十九億に七億円を加えると、ちょうど九十六億円になるのであります。三十年協定によって、明らかに九十六億円は実質上において払われているのであります。(拍手)事実において九十六億円は払われているとするならば、池田さん、九十六億円というのはまさに二重払いといわざるを得ない。(拍手)自民党の諸君、静かにしておるが、どう考えるか。そこにいる一萬田さん、当時の大蔵大臣の言うように、九十六億円を貸すのであるというならば、二重払いにはならない、貸すのならば二重払いにならない、与えるから二重払いになるのです。(拍手)池田さん、あなたは数字に明るいそうだが、もっとはっきりお答えなさい。これらの点について昨日森下委員長は、これらの重要な質問を途中で打ち切りました。従って、私は、あえてこの機会に、池田総理、小坂外務大臣に、この点についての明快なる御答弁を願いたいと思うわけです。私は、タイの特別円の九十六億円というものが、このような形でアメリカの東南アジア軍事支配の体制の根源であるSEATOの司令部に使われることによって、極東の軍事緊張の協力の役割を果たさせるようなことがあってはならないと考えます。(拍手)その意味においても総理は明快なる答弁をされんことを望みまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔森下國雄君登壇〕
○森下國雄君 ただいま委員長としての私のとりました態度に対していろいろな質問が出て参りました。私は、私が委員長の立場としてできるだけ審議の運営をすみやかに、しかも円満ならしめるために、理事会におきまして、できるだけの努力をいたして、了解を求めて参ったつもりでございます。(拍手)
 二月の九日条約案が提出されて以来、四月の四日までちょうど五十三時間の質疑の時間をとっておるのでございます。しかも御承知の通りに、三日、四日にかけましては、これは従来の質疑と違いまして、補充質問でございますので、この前の審議打ち切りの形でございますから、それをよく御承知願います。
 それから、政府の提出した資料について不備があったということは、私も認めるのでございます。総理、政府は、しかしながら、それについて釈明をいたして参りましたし、また遺憾の意を表して参ったので、これを了承いたしました。その他のことについていろいろ申し上げたいことがありまするけれども、その他は全部会議録によって皆様の御了承を願いたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 岡田君の御質問はおおむね御意見の発表のようでございましたが、御質問の点につきまして、第一は、対日援助の総額は、われわれの計算した十七億数千万ドルをもとにいたしております。
 第二の御質問の朝鮮への物資の供給代金は、今回の支払いのときに差っ引いております。
 なお、岡田君は、わが国の歩んできた過去の治績並びに現在わが国の置かれている世界の情勢につきまして、われわれと全く意見を異にされているのであります。私は、外務委員会のみならず、予算委員会におきましても、対日援助並びにタイ特別円につきましては極力御説明申し上げましたが、いかにせん、おわかりにならないのです。私は、私が説明してもおわかりにならなかったから、外務大臣より詳しくお答えさすことにいたします。(拍手)
  〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
○国務大臣(小坂善太郎君) 岡田君にお答えいたしまするが、まだ総理大臣も言われましたように、御質問の根底が、何かアメリカやタイに対しての特別円を返すというようなことが、いかにも外交的な見解が非常に岡田君とわれわれと異なっておる。こういう前提で、何か反米闘争でもやるようなお考えで御質問をされておるように思えるのであります。そうでなくて、われわれはこれは冷静にこの問題を考えて参りたいと思っておるのであります。
 私どもはまずガリオア・エロアの返金というものは、これは国民の血税ではないということを申し上げたいと思います。これはまず終戦後われわれ援助を受けておったものを、これを積み立てまして、それから生ずる利益でもって返しておるのでございまして、いわゆる国民の血税を払っていこうというのではないのであります。この点は明らかにしておいていただきたいと思います。
 なお、総額と申しましても、われわれは、なるほどお話のように、これを法律上の確定債務とは見ておらなかった、いわゆる債務と心得ておったのでありますが、今回、アメリカ側の言いまするものの四分の一を債務と確定いたしまして、そしてこれを十五カ年間に払っていこうというのであります。このくらいのものを払いますることは、あの終戦当時の、全体の困っておった時代に、今日のわが国の経済復興、また民生の安定を成功せしめた原動力であったこれらの援助を、四分の一くらい払っていく、それも十五カ年くらいに払っていくということは、これは国際信用の上から見ましても、誇りを持った日本民族といたしましても、当然のことであると考えておるのであります。(拍手)
 それから次に、技術的な点でお答え申し上げるのでありますが、朝鮮事変当時、わが国が司令部の指令によって作りましたいろいろの建造物等については、これは終戦処理費として支払っておりまして、これらに対する請求権は平和条約の十九条において放棄しておるのであります。しかしながら、今度のガリオアの返還に際して、資料の中でも明らかにいたしておりまするように、韓国、琉球向けの建設費、あるいは船舶運営会の援助物資、これらは朝鮮事変の前に支払ったものでございまするから、特に約八千百万ドルのものを差っ引いております。かようにいたしまして、当然終戦処理費で支払って、われわれ請求権のないものにつきましてもかように計算をいたしておるのであります。
 次に、タイの特別円の問題についてお答えいたしますが、何か特別のフェーヴァーを与えて金の価格をつり上げているようなお話がございましたけれども、今お話しの二十一トンというものは、これは戦争中に現送し、あるいは支払ったものでございまして、当時の価格金一ファイン・グラムが四円八十銭、あるいは五円七十八銭といたしますれば、それを総計いたしますれば一億一千四百万円になるのであります。ところが、戦後にございました〇・五トンは、昭和三十年当時、公定価格が一ファイン・グラムが四百五円なのであります。従って、これをかけ合わせれば二億三千万円になるのでありまして、計算する場合の時点をお間違いになられては困るのであります。
 なお、何か不当に金の価格をつり上げて、五十四億円と九十六億円を操作しておるから二重払いではなかったかというようなお話がございましたが、今申し上げたように、金の公定価格そのものが動いておるのでございまして、これを公定価格をかけますと、かような数字になるのでございますから、さような御懸念はないと思うのであります。(拍手)
○副議長(原健三郎君) 帆足計君。
  〔帆足計君登壇〕
○帆足計君 本日ここに上程されております二つの条約案は、日本国民の立場から慎重な審議を必要とする重要案件でありますことは言うを待たざるところでございます。
 ただいまの委員長報告にありました審議のいきさつから見ましても、また、岡田委員から述べられました質問の数々の中からうかがいましても、この二つの条約案は、審議すればするほど疑問続出いたしますがゆえに、国民大衆の福祉に忠実なるべき当国会におきましては、ここに、問題の所在を明確にいたし、国政の進路を正しくいたしますことの必要いよいよ深く痛感されますことは、党派を越えまして、良識ある諸兄の御了解下さることであろうと思うのでございます。(拍手)しかるがゆえに、私どもは、予算委員会におきまして、はたまた外務委員会におきましても、限られた日数内においてでありますけれども、全力をあげて熱心にこれが審議に当たったのでありますが、遺憾ながら、審議いまだ終わらざるうちに、森下外務委員長は、何事か水鳥の羽音に驚きまして、二度にわたって審議打ち切りの宣告をいたしましたことは、まことに心から残念に存ずる次第でございます。(拍手)いやしくも、かくのごとき重要なる法案の審議におきましては、微にわたり細をうがった慎重審議の必要なること言うを待たざるところでありますが、本日は、本会議におきまして、すでに時間にもおのずから制約のあることでございますから、私は、ここに外務委員の一員といたしまして、日本社会党を代表いたし、一般国民の常識から見まして、だれしも政府にただしたき重要疑点につきまして、条理を尽くしてお尋ねいたしたいと思う次第でございます。(拍手)
 もとより、保守、革新、日に日に新たなる歴史を担当するそれぞれの立場におきまして、立論の観点おのずから異なるところのありますことは当然のことでありますけれども、しょせん、この二案件に対する価値判断の基準は、もっぱら、日本国民大衆の福祉の上から見て是なりや非なりやということでありまして、しこうして、また最終の判断は、これを日本国民大衆の良識ある判断にゆだぬべきものと信じつつ、ここに質問をなさんとするものでございます。
 まず、ガリオア・エロア援助資金四億九千万ドル・千七百億円余の返済の件につきましては、率直に申しまして、日本国民のたれしも、漫然と、援助物資なるものは、戦後の非常事態下における占領軍の贈与の一種と考えていたということは周知のことでございます。しかしながら、私どもは、今ここに、過ぐる戦争の歴史的性格等について論議しようとするものではございません。われわれは今ここに、本案件を前にいたしまして、十数年前、戦い敗れ、国土の三分の一は廃墟と化し、広島、長崎には原爆が投下せられ、旧来の支配機構は崩壊し、日本軍国主義は一瞬にして蒸発し、生産はとまり、交通は麻痺し、国の運営は、あげて戦勝者たるアメリカ占領軍GHQの手にゆだねられていた当時のことを、ほうふつとして思い起こすのでございます。このときにあたりまして、占領軍の救済資金の一手段として放出物資は配給されたのでありますが、ガリオア・エロアの資金は、まさにこの範疇に属しておるものでございます。しかるがゆえに、当時としては、明らかにその援助の性格は、単なる、正常なる経済協力でもなく、または通常の概念における債権債務というべき関係のものでなかったことは明らかでございます。従いまして、援助物資の種類や数量、価格ともに、ことごとく占領軍の政策と一方的意思に基づいて日本国民に配給されていたことも、諸兄の周知のことでございます。
 日本の国民の側といたしましては、当時、ただ食糧の欠乏に悩み、食糧が必要であるという差し迫った要求のほかは一切を司令部の指図にゆだね、これに関与することは、当時は許されていなかったのでございます。従いまして、その当時におきましては、たとえ、のどにつかえるような家畜の飼料のようなものでありましても、だれ恨むことのない敗戦の戒めとして受け取り、あるいはまた、他面、占領軍の好意ある贈与としてこれを受け取りまして、あきらめの中にも感謝の念を込めてありがたく受け取って参ったというのがありのままの事実でございました。そうでありますゆえに、その後数年たちまして後に、この援助物資なるものが占領軍のギフト、すなわち、贈与ではなくして、きびしい債権の性格のものであることを知らされましたときには、日本の国民の胸には、何かだまされたような割り切れぬ思いがいたしましたことも、諸兄の知られる通りでございます。(拍手)
 新聞、雑誌も、あげてこの割り切れぬ気持を表明いたしまして、ここに論議の筋道とできる限りの資料、統計をもあわせて、事を合理的に処理するために、本件の慎重なる審議を要求しておりますことは、これまた各位の御了承の通りでございます。現に、慶応大学の池田潔教授は、次のごとく新聞に述べております。「われわれは、そう思って国民としても感謝しておった。しかるに今ごろになって、債務とは何事ぞや」。申すまでもなく、池田慶大教授はイギリス流の良識ある教養を持つ教授でありまして、その名著「自由と規律」は、かつて洛陽の紙価を高からしめたことも記憶に新たなところでございます。まさに、この池田教授の憤激の思いは、端的に申して、本件についての日本国民の率直な気持を表わした言葉と見ることもできるのでございます。(拍手)
 しかるがゆえに、私は政府にただしたいのでありますけれども、日本政府が本件を債務と心得ると自覚し、確認されたのはいつの日からのことであったかを、まず池田総理大臣にお尋ねいたしたいのでございます。聞くところによりますると、西ドイツでは、あまりひどい食糧につきましては、そのつどこれを断わり、あるいは抗議して、これを家畜の飼料に回したと聞いておりますが、私どもの側におきましては、ひたすらにこれをしんぼういたしまして感謝いたしておりましたのは、何といっても敗戦の非常事態であるという宿命観と占領軍の贈与であるという配慮でありまして、この思いあればこそ、一言半句の注文もつけずに、のどにつかえるような食糧もありがたくちょうだいしていたというのが偽りのない事の真相でございます。
 しからば、これに対して当時アメリカ政府側の見解はどうであったかということを調べてみましょう。
  〔副議長退席、議長着席〕
ガリオア・エロア関係の予算は、ひとしくこれはアメリカ国務省でなくして、アメリカ国防省に直属いたしておりました。特にガリオア予算におきましては、占領地の飢饉、疫病、社会不安に対処する目的を持つということが明記されておるのでございます。しかして、また同時に、同予算の運営は、ひたすらアメリカ国民並びに納税者の利益及びアメリカ産業の利益を第一義として運営されねばならぬとも付記されてありました。すなわち、ガリオア・エロア予算の本質は、明らかにアメリカの利益のための、アメリカ占領軍の占領目的完遂のための予算であったのでございます。従いまして、この予算の施行にあたりましては、当時わが国との関係におきましては、アメリカ政府と対等の資格において意見を差しはさむ余地は全然残されていなかったのでございます。すでに対等の資格において、対等の人格関係のなきところに、協議打ち合わせというものが存在する余地のないことは明白でございます。協議打ち合わせのなきところに正常なる意味における債権債務の発生する余地のないことも、これまた賢明なる諸君の御了承されるところでございます。(拍手)従いまして、かかる占領軍の占領目的遂行のための、いわば、言葉は多少まずいかもしれませんけれども、宣撫工作費にひとしきものが、当時主権を奪われていたわれわれにとって、何ら正常な意味における債務を構成するものでないことは、すでに国際法上より見ましても歴然たる事実なのでございます。(拍手)
 しかるがゆえに、アメリカ政府もまた、ガリオア予算法の審議におきまして、このことが国会で問題となりまして、アメリカ国会に上程いたしました際には、論議の末、このガリオア・エロア救済資金は、国防省に直属せしめ、占領軍のために使うのであって、将来これを占領民から取り立てるべきものとするという一句をわざわざ削除いたしたのでございます。(拍手)政府は、その際のアメリカ上院の論議の詳細にわたり、これをお調べになったことがおありでございましょうか。ありとすれば、その論議の詳細と、修正されたる法文のその部分の原文の正確な条章を、参考のために議員各位にお示し願いたいのでございます。(拍手)私は、このことを外務大臣に要求いたしたいと思うのでございます。
 さらに、エロア資金は、主として経済復興援助に関する資金でありましたけれども、ガリオア資金の方は、占領地においてみずから手を下した戦争破壊の跡始末ともいうべき難民救済費でございました。百歩譲って考えてみましても、少なくともガリオア救済資金に関する部分は、当然無償たるべき性質のものであったのでございます。このような占領軍の費用が、国際法を無視して広島、長崎に原爆を落とし、日本全土に焼夷弾の雨を降らせ、罪なき非戦闘員を殺戮したところの占領軍の当然の負担であり、特にガリオア資金に至っては、そのための放出ではなかったかという、極東委員会におけるインドその他アジア諸国の代表の発言は、まことに当然のことであったとわれわれは理解されるのでございます。(拍手)しかるがゆえに、私は、ガリオア・エロア資金のこの跡始末は、本来ならば、極東委員会の議を経、講和会議において、連合国の公正なる審議のもとに、その善後措置をきめるべき性質のものであったことを痛感いたすのでございます。(拍手)さらに、私は、ここにこのような論理から見まして、アメリカの援助物資中におけるガリオア資金、すなわち、本来無償たるべき救済資金と、エロア、すなわち、産業復興資金のそれぞれの金額の総計と、両者の比率につきまして、正確なる数字を、外務大臣に、この際お尋ねいたしておきたいのでございます。
 しかも、アメリカは、援助物資その他の占領費の代償として、日本から安い物資を大量に徴発し、拡大なる農地を軍事基地として徴収し、または、国連憲章を無視して、沖縄をおのれの手中におさめ、さらに戦勝の余波に乗じて、多くの婦女子の貞操を奪い、金銀財宝を手中におさめて管理し、さらに、これらは戦争の常でありましょうから、米軍を憎むよりも、戦争そのものを憎むべきでありましょうけれども、戦いに心すさんだ無知な兵士たちによる、強盗、殺戮、暴行、交通事故等、枚挙にいとまなく、数千、数万の無辜の犠牲者たちに思いを及ぼさなければならぬのであります。(拍手)しかも、占領軍の特権と治外法権のゆえをもって、これらの処罰も賠償も、厳密には一向になされていないのでございます。私は、これらの数字を、この際ただ機械的に、ぶしつけに、礼儀をわきまえずにアメリカに突きつけようというものではありませんけれども、それにいたしましても、日本政府は、かかるわが方の損害が、少なくとも戦争終結後の占領下において今日まで幾ばくに達しているかを計算してみたことがありましょうか。もしありとするならば、総理大臣からその概略の数字を伺いたく思うのでございます。(拍手)今日酒に酔い、戦勝におごった無知な兵士たちのために、ジープでひかれて負傷した同胞の数だけでも大へんな数でありますが、その数の一つでも池田首相は御記憶でございましょうか、御注意を促したいと思う次第でございます。
 私は、この条約の背後に、日本政府のアメリカ極東政策への阿諛追従の気持が一貫して流れておることを指摘せざるを得ないことを残念に思いますが、同時に、良識ある与党、野党議員各位の前に、借金帳消しの手段として、あるいは先ほど外務大臣が失言されたような、いわゆる反米闘争のために、ことさら申し上げるわけでもありませんし、また、ことさら占領非常時下における米軍の専横と非道をあげつらわんとするものでもないのでございます。ただ今日、案件として上程されているこの条約の背後の事情が、終戦直後のかかる異常なる状況下において行なわれたところの占領政策の一こまであり、その一環であったということに対して、党派を離れて諸兄の御考慮をお願いしたいのであります。(拍手)
 当時、かくのごとき事態に対して、日米両国民の間には、相互に対等なる、正常なる関係はなく、従いまして、正常なる関係のもとにおける債権債務のごとき関係のなかったことを指摘し、ガリオア・エロア資金返済の不法にして不当なることを明確にいたしまして、これに対し政府の反省と再考慮を求むべく質問いたしておる次第でございます。もしそれ、総理がしばしば口にされるところの出世払いというがごとき俗論に至りましては、もはや良識ある議員としては何をかいわんやでございます。敗戦の痛手は、まだ国民の心からも、からだからも消えず、住宅難、交通難、さらには、いたいけな子供たちが学校少なきために高校入学難、さらには、その月々の家計に追われている数限りない国民大衆を代表するわれわれといたしましては、出世払いというがごとき俗論をもってアメリカにこびんとするがごときことは、絶対に承服することができないのでございます。(拍手)与党の一部の方々の背景にある大資本家諸氏にとりましては、大衆の貧しき財布の中からかき集めた巨大なるガリオア資金を利用することもでき、各種の膨大なる財政資金によって援助も受け、租税特別措置法の保護も受け、インフレーションの進行によって借りた借金は少なくなり、資産は再評価され、さらにまた、賠償支払いですら商売の材料になるという資本主義営利機構の宿命のために、大いに出世もなされ、わが世の春を謳歌されておる向きもあるでありましょうけれども、一億日本国民大衆の半数以上は、物心両面にわたっていまだ戦争の傷はいえず、その生活は戦前の生活水準よりははるかに低いという状況でございます。政府の統計が何といいましょうとも、私は一人の統計学者として、国民の生活水準に関する限りは、この統計は再検討を必要とするものであることは、与党の清廉潔白なる議員諸氏も、またその生活体験を通じて御了解下さることであろうと思うのでございます。(拍手)戦争の傷はまだ深く、さらに二千万に及ぶ貧苦の同胞はボーダー・ラインなどと称せられ、その日その日暮らしの窮乏の中に民族頽廃、残酷物語の温床にならんとしつつあるこの事態を、総理はどのように認識されておりましょうか。総理の御認識のほども伺いたいのでございます。
 大手町通りを外国貿易商人が高級自動車を走らせ、空を摩するビルディングが櫛比し、冬は暖房装置、夏は冷房装置に恵まれていようと、東京都民の、いな、日本国民の少なからざる数の人たちはいまだに四畳半一部屋に親子数人が起居し、まるで二千年前の鵜葺草葺不合命時代と思われるようなあばらやの中に、惨たんたる生活に苦しんでおる多数の同胞がおることを諸君は忘れないでありましょう。(拍手)最近における老人の自殺の増加、子供たちの交通事故の激増、これらの痛ましい統計の示すところを諸君は何とお考えになって見ておられるでありましょう。与党といい、野党というけれども、国を思う心は同じでなくてはならないのではないでしょうか。(拍手)しかも、これらに対する抜本的対策めためには、まず必要なのは住宅政策の促進です。交通地獄の解消のために、交通、道路整備対策を急がねばならぬ、そのためには実に巨大なる財政の援助を必要とするのが祖国の置かれた今日の実情ではないでしょうか。このために、われわれは、この案件を慎重に審議し、断じて政府にむだな支払いを許すわけには参らぬと思うのでございます。(拍手)この内閣のことを、先ほども戸叶里子女史が申しましたが、庶民は謝して、池田支払い内閣などと呼んでおります。池田総理がそのポケットマネーの中から、アメリカの友人に、またタイの同好の士にささやかな贈りものをなされることは総理の自由な趣味でありましょうけれども、われわれ日本国民としては、われらの血税をそのように軽率に使ってもらいたくないのでございます。(拍手)所得倍増ならぬ物価の倍増におびえて、敗戦の痛手いまだいえぬ日本国民大衆の生活を前にして、出世払いなどという大ばんふるまいには、われらは断じて賛成いたすことができかねるのでございます。この点につきまして、重ねて池田総理の反省を求め、あわせて御見解のほどをもお尋ねいたしたいと思うのでございます。
 次に、第二の案件たるタイ特別円協定に関しましては、これは前の条約よりも一段と事理明白でございます。すなわち、タイ特別円の処理は、すでに昭和三十年の協定によりまして、条約の上において完全に解決いたしておるのでございます。すなわち、五十四億円の現金払いと百五十億円の経済協力ということで問題はすでに解決済みでありまして、しかも、昨日の岡田議員の外務委員会における質問に対する会計検査院長の答弁にも明らかでありますように、現在すでに五十四億円の債務は支払い済みでありまして、タイ国に対しては、すでに一文の債務も残っていない現状でございます。(拍手)ただ、百五十億円の限度内において経済協力の義務が残っておる、これが問題になったのでございますが、経済協力と贈与とは全く異なる性格のものでございます。経済協力は貸すことでありまして、贈与はやることでございます。貸すこととやることとを混同いたしますのは、小さな子供たちのメンコ遊びだけに見られる現象でありまして、それが外交の上で行なわれようとしておることは、まさに前代未聞のことでございます。(拍手)
 池田内閣は、タイ国との将来の友好の増進、貿易の増加のため、経済協力を贈与に切りかえようと提唱しておるのでございます。そして、昨年十一月にタイ国訪問の際に、サリット首相にこのことを約束したと伝えられておりますけれども、さりとはあまり軽率な口約といわなければなりません。(拍手)これが個人のポケット・マネーに関することならば、友情美談ともいうべきものでありましょうけれども、国と国との関係におきまして、しかも、百億円にも及ぶ巨額なる資金、国民の血税に対してかくも軽率なる口約を与えますことは、あまりにも見識なき便宜主義でありまして、国会の軽視、憲法の無視、これよりはなはだしきものなく、また、従来の国際条約上の慣習から申しましても、いまだかつてその例を見ざるところであると思うのでございます。(拍手)もしそれ、今後のタイ国との友好並びに貿易の増進のためというならば、これはまた別個の課題として、いたずらにアメリカの極東政策のみに追随するのではなく、タイ国の今日の政権の性格やその継続性、またはタイ国経済の見通し、国際緊張下における日本とタイ国との間の諸関係などを総合的に勘案して独自の方針を示し、もって国会に諮るべきものと思うのでございます。さらに、またもし外務大臣の言われるごとく、タイの国民大衆の心のうちに、かつての同盟国たりし日本に対して何だか割り切れないものがあるというならば、むしろこの国の労働団体や婦人団体、文化団体、学術団体から国民外交を展開し、親善使節を交換し、日本国民の平和への目ざめをタイの国民大衆に理解してもらうというがごとき、平和国民外交こそ必要であることを痛感いたすのであります。
 さらに、また、日本からの経済協力が、単にタイの軍閥や保守財閥を富ますためではないことを立証しようとするならば、たとえば、庶民住宅の大量建設とか、そのためのセメントの輸出とか、稲作の改善への協力とか、真にタイの庶民大衆の福祉に直接に響くような方法をもあわせて、官民党派を越えて、慎重に検討すべき課題であると思うのでございます。池田総理は、以上、私の申し上げましたことに対してどのような御所見でありましょうか。事ここに至って、先ほどの岡田君への総理の御答弁を伺っておりますると、国民的感覚というか、時代感覚の相違といいましょうか、あるいは子供のころの母親の教育のためといいましょうか、私たちの考えておりますことと池田総理の保守的御見解との間に、あまりにも開きが大きいことを私は残念に思う次第でございます。(拍手)しかし、これもまた歴史進歩の一こまでありましょうから、その歴史の参考資料として、現代日本における保守党総裁としての総理大臣池田勇人氏の御見解のほどを、ぜひとも伺っておきたいと思うのでございます。
 最後に、このように出世払いなどと軽率なことを申して、庶民大衆からは池田支払い内閣などとやゆされ、批評されるようなことにもなりますと、私は、かかる不当なる海外支払いが、賠償の問題等についていまだ釈然たらざる気持を持つ国々へ連鎖反応を及ぼすことなきやを憂慮いたす次第でございます。アジアにおいて伝統ある文化の国といわれる中国におきましては、さすがに毛沢東中国主席も、台湾に亡命の蒋介石地方政権――諸君におなじみの蒋介石地方政権も、ともに今さら日本に賠償を求めるようなやぼなことは申しておりませんけれども、昨年でありましたか、南ベトナムにおいて、いわゆる鶏三羽に二百億の賠償を取りきめまして以来は、フィリピン、インドネシアの国民感情の中にも、釈然たらざる空気が漂い、ついには、ビルマからは賠償再交渉の要求のためデッド・ロックに乗り上げておりますことは、諸君の憂慮せらるる通りです。(「憂慮しないよ」と呼ぶ者あり)憂慮しないのは、それは特別の方だけです。今や出世払いなどと軽率なることを口にして、アメリカに二千億円近くも支払い、これではまるで富士山の上に雪を積むような愚かなることでありましょうが、さらに、タイに九十六億円の贈りものをするということにもなれば、世に李承晩殿の直系卑属とも称される韓国朴政権なども黙っておられない心理になるであろうし、さらに、南の朴将軍が黙っておれなくなるならば、北の金日成将軍の方からも、また何事か苦情がこないとも限らぬというような連鎖反応を、諸君とともに憂慮いたすものでございます。われわれは、このような悪循環の連鎖反応を断ち切るためにも、この際外交の姿勢を正しくし、与党野党、審議すべきことは慎重に審議して、少しでも国民に害を与えることの少ないように、この案件の欠陥を諸君がよく理解して下さって、通るならば通る、できるならば通さないように、そして、善後の措置を正しくすることを諸君に要望し、右に関し外務大臣の御所見のほどを伺い、以上をもって日本社会党を代表する私の質問といたしたいのでございます。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 御質問の第一点は、いつごろから対日援助を債務と心得るようになったか、こういうお話でございます。私は大蔵省におりました関係上、昭和二十一年の七月のあの覚書を存じております。しかし、公の席上で債務と心得るということを言ったのは、十数年前の昭和二十四年七月、大蔵大臣としてお答えいたしております。
 第二の御質問の、タイに対しまする今回の措置は、タイと日本との過去の関係、そうして将来の親善増進、ひいて東南アジアの柱石となって、東南アジア開発のために、私は大所高所よりこの措置をとったのであります。私は相手方の善意を考え、ただかえってこれを非難することは、各国との平和を愛好するわれわれのとらざるところであります。私は、今回のこの両協定は、わが国民の道徳心に基づき、光栄ある責務を遂行しようという心がまえから出たのであります。(拍手)
  〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
○国務大臣(小坂善太郎君) ガリオア・エロア物資の性格でありますが、よくケア物資とかララ物資とか言われますものがあります。これはただであります。しかし、ガリオア・エロアについては、昭和二十二年九月あるいは十一月に、アメリカが降伏後の初期の対日方針を出しております。あるいはまた、連合国最高司令官に対する基本政策というものが出ております。また、昭和二十二年の六月には、極東委員会の決定で、降伏後の対日基本政策というものが出ております。これはいずれも援助物資というものは非軍事的な輸入である、従って、金を払わなければならぬ、しかも、その金は、日本の輸出代金で決済するということになっておるのであります。
 それからなお、総理が言われましたような昭和二十一年七月のスキャッピン一八四四−Aというものに代表せられるように、いずれも対日覚書が出て、日本政府は輸入食糧の放出を懇請しておる。これは社会党の片山内閣も含めて、そういうことを承知で懇請しておるわけでございます。それから昭和二十四年四月の阿波丸協定の了解事項には、戦後の米国よりの借款及び信用は有効な債務と了解するということで、この国会においてさようなことを了解をいたしておるのであります。
 しからば、なぜそのときに憲法八十五条による債務としなかったのか、手続をとらなかったのかという御議論がありますが、そういう手続をとれば、援助の総額を債務として支払わなければならない。それはわれわれが今回決定したような、四分の一で済むものを、総額向こうの言いなりに払うことになるのでありまして、こういう態度は私はとらぬ、われわれ政府はとらない、こういうことであります。
 それからその補正予算法、これは一九四七年、昭和二十二年に陸軍予算として出ております。これにヒルドリングという国務次官補が証言をしております。この証言は四月十一日に行なわれておるのでありまして、この全体委員会の予算報告書に出ておりますが、ガリオア・エロアというものを借金にするという原案に対して、そうすれば一銭一厘取り立てなければならない、従って、そういうことはやめよう、こう言ったということが出ております。
 それから、タイ特別円の問題でございますが、これはしばしば委員会で申し上げたように、要するに、百五十億円というもので最終的にタイがおりてきた、そのうち五十四億円を払って、さらに九十六億円というものについては、資本財及び役務を提供する義務を負う、こういうことにしたわけでございますが、やはり全体の十五億円という日銀の帳簿じりにあったタイの特別円の勘定じりをどう決済するかという客観的な基準において、日タイ両方が合意していなかったということになるのだと思います。従って、これを最終的に今回解決して、九十六億円を日本の生産物あるいは役務で支払うということにいたしたのでありまして、決してむだな支払いをしておるのではないのであります。今後この支払いというものは、日本の発展のために大きな原動力となり、呼び水となることを私は確信しておるのであります。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(清瀬一郎君) これより討論に入るはずでございまするが、時間がありませんから、明六日午前零時五分より本会議を開き、本日の議事を継続することといたします。
 本日は、これをもって延会いたします。
   午後十一時五十分延会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        外 務 大 臣 小坂善太郎君
 出席政府委員
        法制局長官   林  修三君
        法制局第一部長 山内 一夫君
        外務省アジア
        局賠償部長   小田部謙一君
        外務省アメ
        リカ局長    安藤 吉光君
        外務省条約局長 中川  融君
     ――――◇―――――