第040回国会 本会議 第37号
昭和三十七年四月十七日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三十四号
  昭和三十七年四月十七日
   午後二時開議
 第一 木船運送法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
 第二 航空業務に関する日本国と
  パキスタンとの間の協定の締結
  について承認を求めるの件(参
  議院送付)
 第三 航空業務に関する日本国と
  イタリアとの間の協定の締結に
  ついて承認を求めるの件(参議
  院送付)
 第四 財政法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
 第五 大蔵省設置法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 第六 農地開発機械公団法の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 中小企業基本法案(宮澤胤勇君外
  二百六十二名提出)並びに中小
  企業基本法案(松平忠久君外二
  十六名提出)、中小企業組織法
  案(松平忠久君外二十六名提出)
  及び中小企業省設置法案(松平
  忠久君外二十六名提出)の趣旨
  説明及び質疑
 日程第一 木船運送法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
 日程第二 航空業務に関する日本
  国とパキスタンとの間の協定の
  締結について承認を求めるの件
  (参議院送付)
 日程第三 航空業務に関する日本
  国とイタリアとの間の協定の締
  結について承認を求めるの件
  参議院送付)
 日程第四 財政法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
 日程第五 大蔵省設置法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 農地開発機械公団法の
  一部を改正する法律案(内閣提
  出)
   午後二時十五分開議
○副議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
○副議長(原健三郎君) お諮りいたします。
 議員高田富之君から、海外旅行のため、四月二十一日から五月七日まで十七日間請暇の申し出があります。これを許可するに御異議はございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 中小企業基本法案(宮澤胤勇君外二百六十二名提出)並びに中小企業基本法案(松平忠久君外二十六名提出)、中小企業組織案(松平忠久君外二十六名提出)及び中小企業省設置法案(松平忠久君外二十六名提出)の趣旨説明
○副議長(原健三郎君) 議院運営委員会の決定により、宮澤胤勇君外二百六十二名提出、中小企業基本法案、並びに、松平忠久君外二十六名提出、中小企業基本法案、中小企業組織法案、及び中小企業省設置法案の趣旨の説明を順次求めます。提出者宮澤胤勇君。
  〔宮澤胤男君登壇〕
○宮澤胤勇君 中小企業基本法案につきまして、その提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
 わが国の中小企業者か、鉱工業生産の拡大、商品流通の円滑化、海外市場の拡大等を通じ、国民経済の発展と国民生活の安定とに寄与してきた事情については、今ここにあらためて申し上げるまでもなく、すでに各位の十二分に御承知のことと存じます。
 私は、このような中小企業者が、今後も自由にして公正な競争原理を前提とする近代自由経済のうちにあって、変わることなくその重要性を維持し、かつ施策のよろしきを得るときは、旧に倍する成長を記録することも、さして難事ではないと確信しておるものであります。(拍手)
 しかるに、わが国の中小企業者の多くは、その成長過程において諸般の事情から資本蓄積は進まず、経営基盤は弱く、機械設備等の老朽化にもおおいがたいものがあるのであります。このような中小企業者をこのままに放置するときは、中小企業者と大規模事業者との間にある生産性と所得の格差が今日以上に拡大するばかりでなく、わが国経済の高度成長計画にも多大の支障を来たすものと深く憂慮いたしておる次第であります。いわゆる生産性格差の存在に代表される中小企業問題をこの際早急に解決することは、まさに公共の福祉を増進し、国民経済の健全な発展を招来するために、きわめて重要な課題であると信ずるゆえんであります。
 このため、第一には、中小企業者の一そうの自覚と創意工夫を期待するとともに、中小企業者の経済的存立条件の不利を是正し、その事業の体質を改善して、その経済活動を促進すること、第二には、自由にして公正な競争原理を確認するとともに、大規模事業者との間における経済活動を調整して、公正な経済秩序の確立に努め、中小企業者の事業の安定と発展を期すること、この二つの課題を国民経済的立場に立って解決するための基本的方策を示すものとして、ここに中小企業基本法案を提案した次第でございます。(拍手)
 次に、本基本法案の内容につきまして、その概略を申し上げます。
 第一は、本法案の対象となる中小企業者の範囲を、製造業等にあっては資本金五千万円以下または従業員数三百人以下、商業、サービス業等にあっては従業員数五十人以下としたことであります。これは、現行制度の多くが、中小企業の定義を、製造業については資本金一千万円以下、商業、サービス業については従業員数三十人以下としておる点を、今日の実態に合致するよう改め、諸般の施策が一そう浸透するよう意図したものであります。
 第二は、生産及び取引について、大規模事業者との間に事業分野の調整その他必要な調整措置を講ずるよう規定したことであります。これは、現行憲法の許容する範囲内において、事業分野等の調整を行ない、中小企業者の事業の安定と振興をはかる意図に基づいたものであります。
 第三は、中小企業者の事業経営の近代化を推進し、生産性向上のための施策を講ずるよう規定したことであります。これは、中小企業者にあっては、生産性の向上が格差是正の最捷径であり、このため、設備の更新、経営の改善、技術の向上等、積極的に事業の体質改善を促進することが必要であるという趣旨に基づいたものであります。
 第四は、中小企業者の組織の拡充に必要なる助成その他の措置を講ずるとともに、国の中小企業に関する施策も、組織に関する施策を妨げるものであってはならないと規定したことであります。これは、経済事業や調整事業における中小企業者による組織の重要性にかんがみ、その拡充をはかり、もって、中小企業者の事業の安定と発展を招来するよう意図したものであります。
 第五は、系列関係において中小企業者の自主性を失わしめず、下請関係においてその公正な利益を保護するため、必要な措置を講ずるよう規定したことであります。これは、中小企業者の事業の多くが、大規模事業者と系列ないしは下請関係に立って存在し、しかも、親事業者の経済的優位性のゆえに、不当に従属的な支配下に置かれており、このことが、中小企業者の健全な発展を著しく阻害しておる実情にかんがみまして、その適正な関係の確立をはかるということを意図したものであります。
 第六は、特に小売商業について、大規模事業者等との間に事業調整を講ずる道を開いたことであります。これは、わが国の中小企業者の中で、最も数が多く、かつ零細である小売商業者の正常な事業活動が、往々にして、大規模事業者または協同組合等の進出によって阻害されておる実情を匡正するための手段として特に規定したものであります。
 第七は、官公需の発注につき、その一定割合を中小企業者に確保するに必要な措置を講ずるよう規定したことであります。これは、米国等の先例に範をとり、中小企業者に対する需要を拡大して、その事業活動を促進するための手段として規定したものであります。
 第八は、金融の円滑化をはかるため、中小企業者のための専門の金融機関を育成強化すること、財政投融資の充実に努めること、中小企業者に対する貸付条件の適正化をはかること等の諸措置を講ずるよう規定したことであります。これは、中小企業者の設備の更新、健全な商業活動等に必要とされる資金を潤沢に、かつ適正な貸付条件で確保するための手段として規定したものであります。
 第九は、国税、地方税を通じて、中小企業者の税負担を適正にし、その税負担が大規模事業者等に比し不均衡となることのないよう、必要な施策を講ずるよう規定したことであります。これは、資本蓄積の弱い中小企業者に対し、極力税負担を軽減し、その事業経営の合理化と安定をはかるという趣旨に基づいたものであります。
 第十は、中小企業者に対し、資本調達の円滑化をはかるため、必要な施策を講ずるよう規定したことであります。これは、中小企業者の資本の増額、社債の発行を容易ならしめる措置を講じ、所要資金の確保に資するとともに、その資本構成を是正して、中小企業者の事業の安定と成長をはかることを意図したものであります。
 第十一は、小規模事業者に対しては、諸般の施策を講ずるにあたり、特別の考慮を払うよう規定したことであります。これは一製造業等にあっては、従業員数二十人以下、商業、サービス業にあっては、五人以下程度の事業者については、一般の中小企業者と異なり、特に手厚い施策を必要とするものが多いことから、かような規定を置くこととしたのであります。
 第十二は、経済事情の変化により存立の困難となりました中小企業者の事業について、他の事業または職業への転換を容易ならしむるため、必要な措置を講ずるよう規定したことであります。これは、経済事情の変化等から、他の業種または他の職業へ転換することを希望する中小企業者及びその従業員について、助成の措置を講じようという趣旨であります。
 以上のほか、政府に対しては、中小企業者の実態を常時、的確に把握するため、総合基本調査及び動態調査を実施し、また、中小企業施策の効率的実施を確保するため、国会に対し、中小企業者の動向、施策の概要等に関する年次報告を実施するよう義務づける規定を設けた次第であります。
 なお、中小企業に関する重要施策を審議し、かつ意見を具申するため、総理府に中小企業審議会を設置することといたしました。
 本案については、わが党は慎重に調査立案をいたしましたので、中小企業者の現下の実情にかんがみ、取り急ぎ御審議、御賛成下さいますようお願い申し上げます。(拍手)
○副議長(原健三郎君) 次に、提出者松平忠久君。
  〔松平忠久君登壇〕
○松平忠久君 私は、日本社会党を代表し、わが党提出の中小企業基本法案、中小企業組織法案並びに中小企業省設置法案、この三案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 実は、この法律案は去る三月十九日に提出したのでありますが、政府が提案を断念し、自民党の提案がおそくなったために、今日までこの本会議における趣旨説明ができなかったことは、まことに遺憾とするところであります。(拍手)
 今さら申し上げるまでもなく、今日、中小企業は、わが国経済の中で圧倒的多数を占め、かつ生産、流通等の面においてもきわめて重要な役割を果たしているのであります。にもかかわらず、中小企業と大企業との間の大きな格差がますます増大し、中小企業の経営は常に不安定かつ困窮した状態にあります。景気が悪くなればまっ先にその被害を受け、景気がよくなってもなかなか中小企業にその恩恵が届かない。これを言いかえますならば、大企業は中小企業を踏み台にして景気調整のクッション的な役割にこれを利用しているといっても過言ではないのであります。(拍手)この点が欧米の資本主義諸国と非常に趣を異にしているととろであります。欧米の資本主義諸国におきましては、わが国に見られるような大企業と中小企業との間の格差は、たとえば労働者の賃金あるいは付加価値等におきましてもほとんど存在しないのであります。従いまして、わが国におけるごとく、中小企業の問題が社会問題にまで発展しているような事例は、欧米には見当たりません。
 こうした現状の中で、政府は、依然として大企業に有利な財政金融政策等を推進し、また独禁法を有名無実なものとして、不当な独占支配を黙認しているのであります。さらに最近は、自由化を口実に、大企業による吸収合併並びに系列支配を容認し、中小企業を弱肉強食の冷酷な経済競争の中にほうり出したままであります。今までの政策は、全く場当たりの措置であって、一時を糊塗しているものとしか見られません。このため、中小企業は、今日、資金難、求人難等々、きわめて窮迫した経営に直面しているだけでなく、その将来に大きな不安を抱かざるを得ない状態に追い詰められているのであります。
 そこで、中小企業をかかる窮状から救い、大企業との間の格差を是正して、安定した、将来に希望を持たせるための近代的な経営に引き上げる、このためには、どうしても、この際、抜本的な基本政策を打ち立てる必要があるのであります。そして一元化された強力な行政機関のもとで、かかる基本政策を推進することが今日の緊急事であります。これが、本法律案を提出する理由であります。
 次に、その内容のおもなものについて御説明申し上げます。
 わが党案は、全文十一章、七十八カ条であります。従って、われわれは、基本法については、いたずらに宣言規定的なものではなくて、きめのこまかいものにして、そうしてこれを実行できる、そういう方向で今回のこの基本法を策定いたしておるのであります。本案は中小企業政策の基本となるべき方針について明確に提示しております。
 すなわち、基本方針として次の五つの目標をうたっております。その一は、いわゆる国民経済の二重構造を解消して、経済の民主化を実現すること、その二は、中小企業者の自主的な協同化を推進すること、その三は、個々の中小企業者についても、その発展のために直接必要な指導助成を行なうこと、その四は、中小企業とともにその労働者の所得の増大をはかり、あわせて近代的な労使関係の確立に努めること、最後に、中小企業者、労働者、農民相互間の調和を絶えず考慮しつつ、中小企業政策を推進すること、以上のような五つの基本方針に基づいて、以下、具体的な政策、機構の内容に及んでおるのであります。
 まず第一は、本案に規定される抜本的な総合政策を実現するためには、従来の中小企業庁ではとうてい不可能でありますので、新たに中小企業省を設置して、強力に中小企業者の利益を擁護し推進していく考えであります。この中小企業省の詳細な規定につきましては、後刻御説明を申し上げたいと存じます。
 第二は、中小企業者の定義についてでありますが、特に零細な勤労事業者を分離して、政策の恩恵が特に十分にこの勤労事業者に及ぶように考慮しているのであります。すなわち、前者については、常時使用する従業員の数が三百人以下であって、かつ資本の額または出資の総額が三千万円以下のもの、ただし、商業、サービス業では三十人以下のものとし、勤労事業者についてはおおむね十人以下かつ百万円以下、ただし、商業、サービス業ではおおむね三人以下としておるのであります。もっとも鉱山等特定業種については、別途法令でその範囲を定めることといたしております。
 第三は、中小企業の組織についてであります。中小企業の経営を近代化し、発展させ、大企業と対等の地位に引き上げるためには、協同化が必要であることは今さら言うまでもありません、本案は、この協同化にあたって自主的協同を原則とし、あくまで強制や統制等の考えを排除しているのであります。すなわち、加入、脱退は自由で、組合員の権利があくまで平等な協同組合を組織の基本といたしております。さらに、設立を簡易化し、かつ、国が積極的な援助を与えることによって、加入者が有利になるような条件を盛っておるのであります。なお、中小企業者が業種、業態に応じて何らかの組合に加入できるように、組織の種類として九つの種類をあげております。組合の行なう事業としては、経済事業のほか調整事業、また大企業との団体交渉をもあわせて行なうことができるようにいたしております。なお、従来の中小企業に関連する法律につきましては、この際、中小企業組織法案を出しておりますので、後刻御説明申し上げます。
 次に、第四は、具体的な中小企業政策の内容についてであります。まず、産業政策全般に及ぶものとしては、中小企業に適切な事業分野を確保していくことを考えております。最近、大企業が中小企業の事業分野に進出し、中小企業の存立を脅かしている現状を是正するため、中小企業に適切と認められる事業分野に大企業がむやみに進出することを規制しようとするものであります。また、国、地方公共団体、公共企業体などが外部に発注する場合にも、現在の大企業偏重を改めて、中小企業に一定割合以上を発注するよう義務づけることといたしております。次に、経営近代化の政策といたしましては、機械化の推進、経営の専門化、規模の適正化、設備の更新、共同施設の新増設、経営管理の改善、技能者訓練の徹底、試験研究機関の拡充などに努め、それらに必要な助成を積極的に行なう考えであります。経営近代化のためには、同時にまた直接中小企業の相談に応じたり、診断指導などの諸活動を積極的に行なうことが特に必要とされておりますので、そのための機関として中小企業センターを全国に配置する方針であります。また、中小企業貿易を振興するため、海外市場の調査、開拓の機関を整備し、かつ貿易金融の円滑化をはかり、さらに中小企業が海外において行なう技術協力その他経済協力活動に対しましても、指導と奨励の手を差し伸べて参る考えであります。
 具体的政策内容の第二といたしましては、産業別にきめのこまかい振興政策をとるべきことを提案いたしております。すなわち、工業にあっては、大企業への従属性を脱却して、公正、対等な関係を打ち立て、特に下請中小企業者に対する大企業からの不当な圧迫を排除すべきことを強調しております。鉱山業につきましては、地下資源開発の特殊性にかんがみ、特に探鉱、採鉱に対する助成の必要を認めているのであります。商業については、商品の流通秩序の維持、一般小売商の利益の擁護の立場から、大企業との間の取引条件の改善、メーカー、卸売商による直接小売行為の制限、百貨店業者の進出抑制をはかるとともに、他方、一般小売商業者みずからの経営改善、近代化を促進し、また、横のデパートとしての商店街の共同事業活動に積極的な援助を行なわんとするものであります。本案は、特に従来政府の中小企業政策が工業に偏していた傾向を是正し、商業部門についても明確な政策を打ち出しておるのであります。
 第三は、零細な勤労事業者に対する政策であります。零細な勤労事業者に対する政策は、従来中小企業政策一般の陰に隠れて、全く見過ごされて参りました。そこで、この際勤労事業者に対する施策は、中小企業政策一般から切り離して、別ワクのものとして、特に十分な政策的な配慮を払うべきであると考えておるのであります。すなわち、本来の経済政策に社会政策を加味していくべきであります。このために協同組織化への特別の援助、無担保融資の増大、勤労所得控除制並びに家族労働者の給与所得制の確立、改善、事業主負担分の軽減、それらの措置を伴うところの社会保険の強制適用、そのほか経理、技術の指導、助成などを行なって参る方針であります。かくて初めて勤労事業の体質改善が可能だと信ずるものであります。
 第四には、金融、税制政策であります。まず、金融政策につきましては、金融機関の融資総額の一定割合以上を常に中小企業者に確保することとし、また、金融機関が一企業に一定割合以上の集中融資を行なうことを禁止しておるのであります。さらに信用補完制・度を拡充強化するとともに、災害、景気変動等、不慮の事態から中小企業を守るために、中小企業緊急救済資金を設置することといたしております。
 次に、税制につきましては、協同組合に対する法人税の軽減税率の適用、設備近代化促進のための特別償却制度、積立金に対する税の特別措置などを実施する方針であります。なお、勤労事業者に対する減税措置はさきに述べた通りであります。
 第五は、労働福祉並びに社会保障制度についてであります。中小企業の前近代的なあり方は、労使関係に顕著に現われております。これを是正する一助としても、また最近の求人難を打開していくためにも、中小企業に働く労働者の福祉厚生を真剣に考慮しなければなりません。このため、特に労働者の福祉に関する諸施設の建設並びに事業活動に対しまして「国及び地方公共団体に積極的な指導、助成の義務を課しているのであります。なお、社会保障政策につきましては、勤労事業者に対する施策のところで述べた通りであります。
 次に、中小企業と大企業との間の紛争処理の問題についてであります。今日、中小企業は大企業による」方的な、不公正な取引に対し、全く泣き寝入りの状態であります。これを改めて、正常な経済秩序を確立し、中小企業に公正な機会、平等な立場を保障していくためには、どうしても中小企業と大企業との間の紛争を調整する機関の設置が必要であります。その意味におきまして、労働者に労働委員会があるがごとく、中小企業にも中小企業調整委員会を中央並びに地方に新たに設けることといたしております。調整委員は、中小企業者、大企業者、労働者、消費者等の代表をもってこれに充て、中小企業と大企業との間に生ずる紛争について、あっせん調停並びに裁定を行なうものであります。
 最後に、実態に即した適切な中小企業政策を実施するために、政府に対して総合的な実施調査を行なわしめ、さらに中小企業政策に関する基本計画や実施計画並びに実施状況について国会に年次報告をさせることといたしておるのであります。また総理府に中小企業審議会を設け、主としてこの法律の実施に関する重要事項を調査審議し、必要と認める事項については内閣総理大臣または関係各大臣に建議し得ることとし、本法運用に万遺憾なきを期しておるのであります。
 以上が本法案の提出の理由並びに内容の概要であります。
 次に、中小企業組織法案について若干御説明申し上げます。
 本法律案は、全文実に二百五カ条に及んでおる膨大な法案でありますが、この法案の骨子といたしますところは、今日あります現行の中小企業協同組合法、中小企業団体の組織に関する法律並びに環境衛生法、この三本を一本化いたしまして、簡潔にこれらの組合が設立できるようにいたしておるのであります。しこういたしまして、この中小企業基本法の精神にのっとりまして、おもな内容は次の通りに定めております。
 第一は、中小企業者の基本組織は、いわゆる協同組合形式にいたしておるのであります。この組合の主体といたしましては、事業協同組合、勤労事業協同組合、下請協同組合、商店街協同組合、環境衛生協同組合、共済協同組合、信用協同組合、企業協同組合及び協同組合連合会として、別に中央には、中央の組織といたしまして中央会並びに都道府県に中小企業団体中央会を設置する考え方であります。
 これらの組合は、経済事業を行なうことができるほかに、調整事業をもあわせて行なうことができることになっております。しかしながら、この調整事業を行なう場合には、一定の基準に基づいて行なうことになっておるのでありまして、そのほかに特に団体協約の締結をあわせて行なうことといたしております。今日の現行の中小企業等協同組合法並びに団体組織法におきましても団体交渉権はあるのであります。しかしながら、団体交渉が不調に終わった場合の救済の措置がございません。わが党案におきましては、これらの中小企業の団体が大企業その他と団体交渉いたしますときに、最後に調停が不調に終わった場合には、第三者でもって構成するところの、いわゆる中小企業紛争調整委員会に提訴いたしまして、その裁定が下った場合には、紛争当事者双方において、その裁定に従うということを規定いたしておりまして、完全に近いところの団体交渉権を中小企業団体に与えんとするものであります。
 次に、調整事業に関しましては、不況カルテルの場合は不況要件、合理化カルテルの場合は価格等に不当な影響を及ぼさないことを要することを規定いたしております。調整規程は、中小企業者のみが加入している場合は届出制、それ以外の場合は認可制といたしております。同時に物価協定は、公正取引委員会の同意を必要とすることとし、不況カルテルの場合におきましては、アウトサイダーの規制命令を発動ずることができることといたしております。
 なお、組合の共同施設、福利厚生施設並びに事務経費等におきまして、国が一部補助をすることとしておるほかに、税制上の特典を与えることにいたしておる点は、先ほど中小企業基本法の内容の説明のときに申し述べた通りであります。
 以上が中小企業組織法の概要でございます。
 次に、中小企業省設置法について若干御説明を申し上げます。
 本案は、中小企業者に対する施策を積極的に推進するために、国の行政機関として中小企業省を新たに設置せんとするものでありまして、次の通りな内容を持っておるのであります。
 すなわち、中小企業者の組織、経営の近代化、事業の助成、振興に関する行政事務を一体的に行なう機関でございます。また、この行政事務を遂行するために必要な権限規定をも定めておりますが、同省の機構といたしましては、内部の部局として、大臣官房のほかに振興局、組合局、経営指導局並びに商業局の四局を置くことといたしております。地方には、現在中小企業関係の仕事につきましては通産省の出先機関がございますが、これらの出先機関の所在地に中小企業局を全国において八局置くことといたしております。なおまた、外局といたしましては、先ほど申しました中央中小企業調整委員会を置くことといたしておるのであります。本省並びに外局、地方局の定員は七百五十名といたしております。
 この法律の施行に関しまして必要な事項、関係法律等の整理は別に法律をもってこれを定めることといたしております。
 なお、施行は公布の日から六カ月をこえない範囲内で政令で定めると規定いたしておるのであります。
 以上が中小企業省設置法案の概要でございます。
 何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げまして、私の提案理由の説明を終わります。(拍手)
     ――――◇―――――
 中小企業基本法案(宮澤胤勇君外
  二百六十二名提出)並びに中小
  企業基本法案(松平忠久君外二
  十六名提出)、中小企業組織法
  案(松平忠久君外二十六名提出)
  及び中小企業者設置法案(松平
  忠久君外二十六名提出)の趣旨
  説明に対する質疑
○副議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して、質疑の通告があります。順次これを許します。首藤新八君。
  〔首藤新八君登壇〕
○首藤新八君 私は、自由民主党を代表して、ただいま趣旨説明のありました松平忠久君外二十六名の提出による社会党の中小企業基本法案、組織法案、設置法案について幾多の疑義を持つものでありますが、そのうち中小企業基本法案に対して特に重要と考えられる二、三の点について、提出者に質問をいたしたいと思うのであります。
 まず第一に、中小企業の定義であります。従業員三百人はわが党提出の基本法と同様でありますが、資本金を三千万円に規定した根拠をお尋ねいたしたいと思うのであります。すなわち、今日までの定義である資本金一千万円は、十数年前のわが国経済のきわめて脆弱なときに決定したのでありまして、従って、商工中金その他特殊金融機関の融資限度も一千万円で十分であったのでありますが、その後における経済の目ざましい発展と、これに比例して中小企業の経営規模も著しく拡大し、資金の需要もまた年々増大いたして、融資限度も一千万円程度では過小にして、企業体の向上発展に大きな支障を来たしておりますので、この際融資限度を大幅に引き上げる必要がありますのと、あわせて中小企業の実態と経済の将来を予測し、これに中小企業各団体の意向をしんしゃくいたしまして五千万円に引き上げることが最も適切であるとの確信のもとに立法したものでありますが、それにもかかわらず社会党が三千万円に押えたことは、中小企業の金融面における隘路を今後も引き続き残すこととなり、せっかく立案しながら仏作って魂を入れずのそしりを免れないと思うのでありますから、この際、三千万円に決定した理由と根拠を明確にしていただきたいと思うのであります。
 第二は、中小企業者の組織する団体を基本法に列挙いたし、その組織、事業内容等に至るまで詳細に規定したことは、基本法そのものの性格から考えていかにも不合理であり、不可解とするところでありますが、その理由をお聞きしたいと思うのであります。すなわち、基本法はいわば中小企業の憲法でありまして、制定の暁にはみだりにこれを改正すべきでないという考え方は常識であります。それにもかかわらず、経済情勢の動向によってそのつど法の改正を伴う団体を基本法に列挙することは、いかにも適当と思われるからであります。
 第三は、事業分野の確保であります。中小企業存立の基盤を擁護するため、大企業がその資本力をバックに中小企業、特に小売業者の職域に進出し、これを圧迫しておることは何人も否定できないところでありまして、これを排除し規制することには無条件に賛意を表するものであります。しかしながら、それだからといって、国家権力を介入して業種を指定し大企業の進出を抑制するということが、はたして実行可能なりやいなやに大きな疑惑と不安を感ぜざるを得ないのであります。まず、現行憲法との関係でありまして、憲法第二十二条にまっこうから抵触するのであります。由来わが党は、現行憲法に幾多の欠陥がありますので、これが改正を痛感しておりますが、社会党は対照的に憲法改正に徹底的に反対し、しゃにむに現行憲法を擁護せんとするかたい方針をとりながら、現実にはかように憲法を無視するような立法をすることはまことに不可解千万でありまして、その真意那辺にありやをお尋ねいたしたいのであります。さらにまた、これがかりに実行されたとしますと、この指定された業種の中小企業者は、将来資本金において三千万円以上、従業員数において三百人以上に成長発展することは否定されることとなりまして、との点もまた社会党の中小企業に対する持論と矛盾し、理解しがたいところでありますから、詳細な御説明を承りたいと思うのであります。
 第四点は、金融関係であります。この案によりますと、中小企業に対する金融の円滑化を確保するため金融機関の融資総額の一定割合以上を貸し付けるよう義務づけるということでありまして、趣旨そのものには反対するものではありませんが、これも前に述べた業種の指定と同様、国家権力を介入し、官僚統制を是認することを条件とするものでありまして、はたしてそのようなことが実現性ありやいなやに大きな疑問を持たざるを得ないのであります。それと同時に、社会党案の第一条には、経済民主化の実現をはかるということを特に強調してありまするが、この経済民主化と国家権力による官僚統制は、一体どのような関係になりますか、これまた御説明をお願いしたいと思うのであります。(拍手)
 これを要するに、社会党案は、各条文を通じて一応耳ざわりのよい表現でありますが、その内容は、社会党本来のイデオロギーである国家権力をバックとした統制経済的色彩がきわめて濃厚でありまして、その実現性のないことは前に述べた通りであります。それ、と同時に、統制経済がその国の経済にいかなる悪影響を及ぼしたかは、今さらここで述べるまでもなく、事実があまりにも雄弁に立証しておるところであります。それにもかかわらず、社会党があえてかような立法をするゆえんのものは、社会党のお家芸である宣伝とはったりの効果をねらったものか、あるいは本法案を通じて、中共、ソ連の国有、国営の経済政策に迎合せんとする遠大な野望をひそめておるとしか考えられないのでありまして、断じて同調できないのであります。(拍手)
 これに反してわが党の立法は、先刻宮澤議員より提案理由を説明いたしましたように、国家権力あるいは官僚統制を根本的に排除いたし、あくまでも自由にして公正な競争原理を基調とした近代自由経済の中にあって、中小企業者が今後一そう自覚に徹し、情熱を燃やし、創意工夫によってその重要性を保持し、国家経済の発展向上と並行して繁栄するよう、そのために必要とする不利な条件を中小企業者と国が協同してこれを克服し、目的を達成しようとする内容でありまして、中小企業者の窮状が社会党の宣伝やはったりで回復するべくあまりにも深刻であることに目をおおうことなく、虚心たんかい、良識と勇気を持って、社会党提案の基本法を撤回いたし、わが党案に賛成されるよう切に希望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔松平忠久君登壇〕
○松平忠久君 首藤議員の御質問に対してお答えいたしたいと思います。
 首藤さんは、私と一緒に両党の中小企業の基本政策について各地の立会演説会に参りまして、すでに何回か御一緒になったのであります。従って、われわれ社会党の案がどういうところにあるかということは、実は十分御承知になっておるはずではなかろうか、こういうふうに思うのでありますが、ただいまの質問によりますと、まだいささか了解しておらない点がある、かように存じますので、詳細お答え申し上げたいと存じます。
 第一は定義でございますが、私どもの中小企業基本法を策定いたします段階におきまして、中小企業各界の団体の代表、専門家、学者の意見を数回にわたって徴したのでございます。そのときに、現行法の中小企業の定義の中の資本金一千万円というのは、いかにも現在の中小企業、その金融等の膨張、そういうところから不合理であることは認めました。そこで、これをどの程度にしたらいいかということについて、ずいぶん議論をいたしたのであります。そのときに、ある者は五千万円を主張した人もございます。あるいは二千万円を主張した人もございます、しかしながら、中小企業というものを、国の法律によりまして、これをもっと向上さしてやるという場合における中小企業の対象はどこにあるのかということを考えた場合におきまして、五千万円という大きな、高いところに定義を置きますと、どうしても中小企業の基本的な政策そのものが五千万円の方に引きずられていってしまう。そうして小さいところへはこない、こういうのが一般の多くの人の議論であります。従って、私たちはやはり三千万円程度にしておくことが、現在のこの経済の段階においてはよろしいというのが、われわれの結論になったのであります。(拍手)
 第二の組織の問題でございますが、組織につきましてのわれわれの考え方は、ただいま御説明申し上げましたように、組織を一本化していくということが、これが正しい行き方だろう、そういう判断に立っております。すなわち、言葉をかえて言うならば、現在のようないろいろな法律がありまして、それによっていろいろな組織ができておることは、きわめて混乱を起こすのであります。従いまして、組織を一木化して、しかも組織が簡単にできるようにしていくということにしなければならない。先ほど首藤さんは、社会党は官僚統制に陥っているではないかということを言われました。しかしながら、このことはよくわれわれの法律を見てもらえばわかります通りに、われわれの組織化、民主化というものは、自民党が考えているように強制加入とか、あるいは国の権力によりまして組織を作っていく、こういうことは考えておりません。従って、われわれのこの組織法こそ、ほんとうに民主化されたやり方でありまして、自民党提案の組織法の中の考え方は、これは強制加入、すなわち権力によるところの組織化ということを考えて走るのであって、この方がより官僚的な統制の色彩が強いのであります。われわれがこの組織を列挙いたしておりますのは、中小企業の各般の業種業態によりまして、現在あるいは将来におきまして組織化されたものとしてはこの程度のものがいいのではないか、こういうような考えで列挙いたしたのでありますが、しかしながら、詳細につきましては、先ほど説明申し上げました通りに、中小企業組織法を作っておりまして、この組織法の中に詳細な規定をいたしておるのであります。でありますがゆえに、基本法の中にはそのほんの大綱的なものだけを記載するにとどめておるのであります。
 第三の事業分野の確保でございます。この点に関しましては、これは憲法違反ではないかというお話でございました。私どもの基本法の中の言葉を注意していただきたいと思うのですが、われわれは産業の分野を確保するという考え方ではありません。中小企業の事業の分野を確保する、こういう考え方になっておるわけであります。すなわち、今日の中小企業のいろいろな現行法の中に、団体組織法、中小企業等協同組合法、あるいは環衛法、その他これに関連する金融等のもろもろの法律がございます。その中に、中小企業というものはおよそどういうものであるかという定義があるのであります。また同時に、その業種業態にいたしましても、たとえばかつての安定法におけるがごとく、中小企業の中ではこういうものが今困っておる、従って、安定法によってこれらの中小企業を救わなければならぬ、あるいはまた、団体法にいたしましてもそういう規定がありまして、中小企業の業種というものは政令によって定めることに今日は規定されておる法律が多いのであります。従いまして、この事業分野というものはわれわれは政令にゆだねておるのでありますが、政令にゆだねまして、あたかも安定法におけるがごとく、あるいは団体組織法におけるがごとく、その中で中小企業というものはこういうものであるから、そういう分野に大企業が進出してはならないという考え方に立っておるのであります。しかも、その考え方は、中小企業が圧倒的に国民経済の中で重要な役割を持っておりますので、これは憲法にいうところの公共の福祉でございます。この公共の福祉の立場に立ちましてこれを規定していく上において、何で一体憲法違反の疑いがあるか、こういうふうに考えておるのであります。また、このことは、われわれが法案を提出して参りました場合におきましては、所要の手続をとっておるのでありまして、衆議院の法制局と十分の相談をいたしておりまして、法制局における法律的な見解も通過いたしまして提案をいたしておるのであります。
 第四の金融でございますが、金融の一定割合について義務づけをすることについては御賛成を願っておりますので、これは私も大へんうれしく存ずるのであります。この一定割合の義務づけ、これはしかし国家権力の介入になりはしないか、こういうお疑いのようであります。しかしながら、今日、中小企業金融の中にも、たとえば中小企業金融公庫であるとか、あるいはそういう国家の金でないところの信用金庫であるとか、信用組合とかいうものは、法律すなわち国の権力によりまして、お前たちは中小企業の金融だということを義務づけておるのであります。都市銀行におきましても、その性格におきましては、民間の金融機関であるという点におきましては、信用金庫あるいは相互銀行と何ら変わるところはございません。しかるに、今日の都市銀行あるいは地方銀行におきまして、中小企業への融資はなかなかやってくれない、大企業の方にはどんどんやる、こういう状態でありますがゆえに、これは、たとえば、先ほど申しましたように、信用金庫とかあるいは相互銀行その他の中小企業の民間の金融機関に、法律をもって規制をいたしておりますと同様の意味におきまして、ある一定の割合はやはり中小企業の預金者にその金を還元するという考え方を持っていかなければならない、こういうふうに考えておるのであります。これは決して憲法違反でも何でもない、こういう考え方でございます。私どものこの基本法は、先ほども御説明申し上げましたように、これは単なる宣言規定で何々せねばならぬとか、すべきであるとかいうことだけではなくて、もう少しきめのこまかいものにしなければだめだ、そういう考え方で立法化されておりますので、これはどうぞ一つ御賛成あらんことをお願いすると同時に、撤回する意思のないことを、ここで重ねて申し上げておきます。(拍手)
○副議長(原健三郎君) 中村重光君。
  〔中村重光君登壇〕
○中村重光君 私は、ただいま趣旨説明のありました、自由民主党提出の中小企業基本法案に対し、日本社会党を代表して、質問をいたしたいと存じます。(拍手)
 内容の質問に入る前に、まず、今回基本法案を提案されるに至った経緯について、若干の質問を試みたいと存じます。
 もともと、中小企業基本法案については、池田総理を初め、政府関係者がつとにその制定を表明してこられたところであります。自民党の諸君もまた政府提案を唱え、その実現を各方面に公約して参られたことは、すでに周知のところであります。今日の政党政治にあって、政府・与党が国政の基本にかかわる重要な法律を制定し、その忠実な実施を期するためには、当然与党の意見を政府に反映せしめて、政府みずから国会に提案することが政党内閣の責任ある態度であると信じます。(拍手)もちろん、政府・与党のほんとうの腹は、基本法の制定を望んでいなかったのではないかと思います。それは、言うまでもなく、基本法を作ることによって、経済の仕組み、実態が明らかになり、自民党の中小企業政策に対する不信を招く結果となるごとをおそれたからであります。かつて、中小企業庁において進めていた基本法案の検討を中止した経緯からもうかがわれるのであります。ところが、社会党及び民社党の法案提出準備が進み、さらに中小企業諸団体の基本法草案が発表されるや、自民党も中小企業のことを真剣に考えているのだというポーズを示さねば参議院選挙に不利であるという判断から、しぶしぶながら出すことに踏み切り、政府・与党の話し合いは二転三転、結局自由民主党案として提出したのが、新聞報道の通り真相であろうと存じます。(拍手)政府が時期尚早なりときわめて消極的であるため、その与党たる自民党の諸君が政府提案をあきらめ、国会の会期もあと一カ月に足りない最終段階になって、あわてて法案をでっち上げ、国会に提案するがごときは、まことに無責任な態度といわなければなりません。(拍手)みずからの政府が本気で実施する気持がないのに、その与党たる自民党が議員提案を行なっても、一体、だれが責任を持って本法律案を実施するのであるか、政府はなぜに本法律案を政府提案として提出されなかったのであるか、また自民党は本心から今国会において本法律案の成立を期しておられるのであるか、この際、自民党の総裁である池田総理の明快な答弁を伺いたいのであります。(拍手)
 次に、本法律案の内容について、提出者並びに通産大臣に若干の質問を行ないたいと存じます。
 その第一は、本法律案全体にわたる問題として、これが全条二十二カ条の簡単な抽象的宣言規定にすぎないということであります。ここに書かれてあるような抽象的な言い方は、すでに政府関係者が中小企業政策についてしばしば言明してきたところと少しも変わりがないのであります。問題は、従来のこのような抽象的な政策表明ではなくて、一体、政府が具体的にどんな政策を行なわんとするのであるか、また政府にいかなる具体的な政策を義務づけるのであるかということであります。この点について、本法律案はきわめて具体的な規定に欠けておるのであります。自民党の諸君は、このような抽象的な宣言規定で、はたして抜本的な中小企業政策が実施され得ると考えておられるのであるか、お聞かせ願いたいのであります。
 第二は、中小企業が国民経済に占める重要な地位にかんがみ、わが国特有の現象である国民経済の二重構造を解消し、中小企業の安定と発展をはかることは、中小企業政策の基本であります。なるほど、本法律案においても、一応大企業との格差是正がうたわれてはおります。しかしその内容を見て見ますと、一体、どうして格差是正をはかるのか、一向に明確ではありません。たとえば、近年特に顕著となった、大企業が二次加工部門あるいは完成消費財生産部門など、中小企業分野へ進出することによって、一方では中小企業を排除するとともに、他方では系列化がかなり広く進行していることなど、今日大きな問題となっておるのであります。これに対し、社会党案では、中小企業に適切な業種を指定し、それを中小企業の事業分野として確保し、大企業の進出を規制するという明確な規定を設けておるのであります。しかるに、自民党案では、単に事業分野を調整するというだけで、具体的にどうするのか、さっぱり内容が示されておらないのであります。また今日の中小企業の資金難は、大企業への集中融資、系列、選別融資に基づくところが大きいのであります。この事実は、すでにだれの目にも明白になっているにもかかわらず、この最も重要な問題に対しても具体的には何も規定しておらないのであります。このように、自民党案が今日の中小企業に関する基本問題を回避しているのは、大企業の利益擁護を第一とする自民党の本質であるとは申しながら、中小企業者の期待を裏切ること、まことにはなはだしいといわなければなりません。(拍手)これに対する具体的な答弁を求めたいのであります。
 第三には、自民党案で中小企業、中小企業と唱えてはおりますけれども、一体中小企業の中身は何であるか。これを中小企業者の定義について見て参りますと、従業員数は一応据え置かれておりますが、資本金の額では、従来の一千万円から一挙に五千万円に引き上げられているという事実であります。この点でも社会党案と違い、自民党案は、従業員が三百人以下であれば、資本金はたとい一億円であっても中小企業の範疇に入れるということは、私どものまことに理解に苦しむところであります。従来、自民党政府の中小企業政策は、中小企業の中でも上位の中企業に重点が置かれ、たとえば融資の面におきましても、この層に資金が吸収され、小企業、零細企業に政策の恩恵がほとんど及んでいないのであります。このため社会党の基本法案では、特に勤労事業政策一般から、わざわざ分離しているほどであります。ところが、自民党案では、さらにその上限を引き上げて、大企業に背の届く線まで中小企業に包含したのでは、政策の重点が中小企業の上位に移って参ります。従いまして、大企業の系列企業は政策の恩恵に浴しますけれども、小零細企業は全く見捨てられる結果となるのであります。この点でも、自民党の中小企業政策は、中小企業政策なりと断ぜざるを得ません。自民党案は一応小規模事業者に対しても触れてはおりますが、これは単なる見せかけとしか受け取れません。自民党は、何ゆえ政策の重点を中小企業に置くのか、この点をもっと明確に示していただきたいのであります。
 それと関連しまして、第四に、膨大な数に上る零細企業を一体どうしようとするのか、お伺いしてみたいと思います。今日零細企業者は、加工賃あるいはマージンの一方的切り下げのために困窮した生活状態にあるのであります。また一方では、潜在的な失業者のたまり場ともなっております。従って、相互の過当競争もきわめて激烈であります。自民党の基本法案では、これらの零細企業の将来について触れられるところが全くありません。見て見ぬふりをする態度はまことに遺憾であります。かつて池田首相は農民六割切り捨て論を吐いて、農民の憤激を買ったことは、われわれの記憶になまなましいところであります。この基本法案もまた、大企業中心の所得倍増政策の一環としての零細企業切り捨て政策であるといわざるを得ません。(拍手)もしそうでないと言われるならば、この点について、基本法案であります限り、零細企業の将来のあるべき姿を、ここで明示していただきたいのであります。
 質問の第五点といたしましては、政策の実施機関についてであります。少なくとも中小企業に対する基本政策を実施するには、それ相応の強力な行政機構を必要とすることは、論を待たないところであります。現在、中小企業庁は貧弱な機構であります。かつまた大企業の利益代表機関と化している通産省に隷属いたしておるのであります。このような機構のもとで、大企業との格差を是正し、事業分野まで調整しようとする本法律案を、どうして効果的に実施することができるでありましょうか。すべて大企業に不利な政策は事前に葬り去られることは明白であります。中小企業省を設置して、中小企業大臣を置き、大企業の代弁機関たる通産省と対等の地位を確立してこそ初めて本法律案の目的が実現し得られるものと確信いたすのであります。(拍手)中小企業省の実現は、これまた全国の中小企業者が長年切実に待望してやまないところであります。自民党の諸君もこのことは百も承知しておられることと思います。しかるに、どうしてこのような最も肝心なところを中小企業の基本立法に明確にうたうことを避けられたのでございましょうか。納得のいく御説明を願いたいと存じます。
 以上をもって本法律案に対する私の質疑を終わる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 中小企業に関する基本政策を確立して、これを強力に推進して参りますことは、われわれ年来の主張でございます。従いまして、私は、基本法並びに関連法規を整備すべく、目下鋭意努力中でございます。今国会に間に合わなかったことはまことに遺憾でございまするが、わが自由民主党の提案しておりまする中小企業基本法案が通過いたしまするならば、これを基本として関連法案を整備し、そうしてりっぱな中小企業基本法体系を打ち立てる考えでおるのであります。(拍手)
  〔国務大臣佐藤榮作君登壇〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 中小企業基本法制定につきましては、ただいま総理からお答えがございました通り、通産省におきましては、中小企業庁に中小企業基本政策審議室を設置いたし、また、中小企業振興審議会の中に総合部会を設けております。また、産業構造調査会に中小企業部会を設けて、今日までいろいろ検討を続けて参っておるのでございます。従いまして、ただいまお話のありましたごとく、中小企業振興、この基本対策については真剣に今日まで取り組んでおるのであります。ただ、関係法規等を全部整備することが、まだでき上がっておりません。そういう関係から政府は今回の提案を見合わせたような次第でございます。その点はまことに残念に思っております。
 次に、中小企業の問題といたしまして、自由民主党提案の法律案は、規定が抽象的だ、これでは十分目的を達成しないのじゃないか、こういう御意見でございます。中小企業に関する基本的政策を方向づけるのが、今回提案されておる中小企業基本法だと考えます。従いまして、この中に書いてあります事柄は、いわゆる政策の基本的方向を示しておるのでありまして、この基本的方向に沿って、関連法規等が整備されて参りますると、さらに具体的な政策の内容が明確になるのでございます。今日の基本法としては、かような姿が私は本来の姿ではないか、かように考える次第でございます。
 次に、社会党案と比較されまして、自由民主党の案では、いわゆる二重構造の解消はできないのじゃないか、こういうことを御指摘でございます。これはいろいろの御意見があることだと思いますが、経済のいわゆる二重構造を形成しておるその根源的要因は一体何か。これは中小企業の生産性が、大企業のそれに比較しまして著しく低いという点にあるのであります。従いまして、中小企業にとり経済的に不利な条件を補正するために、あるいは事業分野の調整措置を講じたり、あるいは中小企業向け融資の円滑化をはかったりすることはもちろん必要でございまするが、これだけでは十分ではございません。何と申しましても、この二重構造を解消するためには、設備の近代化と企業体質の改善、これを強力に推進して初めて中小企業の生産性の向上を達することができるのであります。かような意味においての根本的施策でなければならない、かように私どもは考える次第でございます。
 次に、中小企業の範囲は、先ほど三千万円以下ということが社会党の案であり、自由民主党の案は五千万円以下になっておる、その結果、どうしても上位中小企業に対してのみ施策が集中されて、小企業者並びに零細企業には十分の施策が浸透しないのじゃないか、こういうような御意見だったように伺いました。しかし、今日までの中小企業の定義は、三百人以下、商業部門では三十人、そして資本金は一千万円ということになっておりますが、御承知のように、この中小企業に対しまして最近は設備の高度化が非常に推進されて参りました。この観点から見ますと、資本金も順次増大しております。現状におきましては、従業員三百人に見合う資本金額はおおむね五千万円というのが通商産業省の調査の結果であります。社会党はこの点について、十分各関係方面の意見を聞いて三千万円とした、かように仰せられますが、私どもの見るところでは、五千万円程度が大体事業設備三百人に該当する規模だ、かように実は考えておるわけでございます。この意味では、これは実情に合う中小企業の定義を下したものだ、かように私どもは考える次第であります。
 また、かようにすることによって政策が上位の業者にのみ集中されるというような御指摘であったと思いますが、今回の自由民主党の案によりましても、零細企業対策はその第十五条以下に詳細に規定されております。十分意が払われておるのでございまして、この点では社会党の非難は当たらない、かように私どもは考えております。(拍手)
 また、中小企業対策を中小企業庁でやるだけでは十分政策の遂行ができないだろう、むしろ中小企業省を作ることが必要だ、こういう御意見であったように伺いましたが、中小企業を振興する、育成するという場合におきまして最も大事なことは、いわゆる産業政策と隔離あるいは遊離するような方法では、中小企業の強化はできるとは思いません。いわゆる産業政策と一緒であることが必要だ、かように考えます。さように考えて参りますと、省になりまして、権能を持つことも一つの方法だと思いますが、産業政策と隔離する危険のあること、これは私ども賛成いたしかねる、かように思います。(拍手)
  〔宮澤胤勇君登壇〕
○宮澤胤勇君 ただいま社会党の中村君から五項目にわたる御質問がありました。その大部分は、私がお答えする前に佐藤通産大臣がお答えをしております。私はその余っておるところだけについてお答えをいたします。
 このたびの私どもの出した基本法はちっとも目新しくないじゃないか、世間で言っておるようなことばかり並べておるじゃないか。ごもっともであります。世間で言わないような、キツネを馬に乗せたようなことを言っても、実態論になりません。世間の要求しておるところをわれわれは盛って基本法として、今後の日本の中小企業基本政策の方向をはっきり示し、この方向に基づきまして、約四十にわたる関連の実体法をこれから数年かかって作って、そしてほんとうに中小企業者の立場を充実していこうというのでありまして、世間で言わないようなことをただ盛ったのでは、これは世間の要求に応じないと私は思っております。これで十分であると考えております。(拍手)
 それから第二に、一体大企業の進出に対して中小企業者の立場をどうするんだ、それが載っておらないじゃないか、こういうようなお話でありますが、私どもの中小企業基本法は大事業を助けようなどと書いてありません。中小企業者の今後の成長、育成をはかるように書いてあります。ただ、私は、今日日本の経済は皆さんがお話しのように断層があって、越ゆべからざるものであるとは考えておりません。大企業も中小企業も渾然一体となって育成されていくところに日本経済の発展があると思うのであります。今日まで中小企業に政府の手が及ばなかったことはありますから、これから十分手を及ぼしていかなければならぬ。敗戦の後、貿易によって立たなければならない日本が、もし政府資金をもって大企業を興さなかったら、どうして外国大企業と競争して日本経済の今日がありましょう。そこに初めて、中小企業者の立場も大企業と渾然一体となっていくところに日本経済の発展があると私どもは考えております。(拍手)
 それから、中小企業の範囲に関する五千万円と三千万円の問題は、佐藤通産大臣がお答えしたのと私は所見が同一であります。
 それから、零細企業に関する規定がないじゃないかと言いますが、一体零細企業に対しては、われわれ基本法は八条、九条においてこれからの方向を示す、そして実体法を作って、順次実情に適する方策を講じようというのです。ところが、社会党のあなた方の案に、どこに零細企業に対してどうするということが書いてありますか。ないじゃありませんか。(拍手)それはやはり、諸君といえどもこれからいよいよ実態に応ずるものを作っていかなければならない、こういうことです。
 中小企業省につきましては、われわれも賛成であります。けれども、基本法に書くべき問題ではないと思いますから、書いてないだけであります。
 これをもって終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 春日一幸君。
  〔春日一幸君登壇〕
○春日一幸君 私は、民主社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました自民、社会各党提出にかかる中小企業基本法各案について、それぞれの提案者並びに政府に対し、以降基本的な諸点について疑義をただしたいと存じます。
 まず、池田総理にお伺いをいたします。
 わが国経済の現状にかんがみ、中小企業の安定と振興をはかるためにこの種の法律を制定せよとの論議が、ここ数次の国会にまたがって繰り返し強調せられ、総理並びに所管通産大臣は、そのつどそれにこたえられて、政府は、この国会会期を目途としてその法案を提出するよう努力するとかたく言明せられて参りました。また、一昨年来の中小企業諸団体のあらゆる大会の中心スローガンは、すなわち、この中小企業基本法の制定を強く要望するものでありましたが、この大会に臨まれた政府・与党の代表は、政権担当者たるの責任において必ず今次国会においてこれを制定すると揚言せられ、そのたびごとに万雷の拍手をかちとられたのであります。
 しかるに、今次国会の会期まさに終わらんとするこのとき、池田内閣はその公約、言明について何らこれを語らず、これを変則異例の議員提出にゆだねられたことは、まさに本問題に関する内閣の責任をくらますものでありまして、むしろ陋劣なる態度と申さなければなりません。申すまでもなぐ、議院内閣制、政党政治のもとにおいては、与党と政府はその政策と政治方針において全く同一でなければなりません。ここに自民党は、中小企業基本法案について、現にこのように成案を得られたにもかかわらず、みずからの内閣をしてその法案を提出せしめ得ない理由は何であるか、また政府は、みずからの与党が決定したこの法案を、何がゆえに内閣提出の法案として取り上げ得ないのであるか、一つは、自民党総裁の立場において、他は、内閣総理大臣の責任において、これらの事情について、広く国民を納得せしめるよう、明確なる御説明を願いたいのであります。
 次は、通産大臣に伺います。
 仄聞するに、この自民党案は、さきに、一たびは政府提出の意図のもとに通産省の検討にゆだねられたが、通産省は、これを検討の後、自民党に返上され、その後、それが今回の自民党の提案となった由に承っております。そこで伺いたいことは、政府としては、いかなる点に問題ありとして、これを党に返上されたものであるか、しこうして、そのいわゆる問題点なるものは、今回の自民党案においては、それが解消されて提出されたものであるのか、もしそれ、その問題が解消されているとするならば、政府はそれを政府提案となすべきであろうし、また、解消されていないとするならば、その問題点について、政府は、今後いかなる方向においてそれを解決せんとするものであるか。このことは、この中小企業基本法が、今国会において成立し得るか、またはゼスチュア・ゲームの小道具として、ほどよくあしらわれるかの重大なるキー・ポイントであると考えますので、この際、通産大臣よりその経過の御説明を願い、あわせてこの自民党案に対する今後の政府の方針を明らかにいたされたいと存じます。
 次は、本法案が目的とする中小企業の安定と振興をはかるための内閣の基本政策について、藤山経企長官にお伺いをいたします。
 池田内閣の成立以来、わが国の経済は、その経済の高度成長と所得倍増政策にあおられて、一時は相当の好景気を描きはいたしましたが、幾ばくならずして反転して、その後、それが国際収支の逆調、物価の値上がり、全産業をおおう金融梗塞、株価の暴落などを招来して、わが国経済とその国民生活は、今や著しく困難を加うるに至りました。特に憂うべきことは、企業間、階層間において、その所得格差が増大しつつあることであります。現に大企業の発展は目ざましく、その工場やオフィスは冷暖房を完備して宮殿のごとく、これに反して、その底辺には無数の零細企業が何の変化も発展もなく、十年一日のごとく重労働と低所得の中をはい回っておるのであります。従って、関係労働者の賃金は、その企業所得をそのままに反映して、これを労働省の毎月勤労統計調査に見れば、昨三十六年度の企業規模別賃金対比率は、大企業のそれを一〇〇とすれば、三十人以下の中小企業労働者の賃金は、その半額に満たない四九・三にしかすぎないことを報告しておるのであります。同じ政府のもとに生きる同じ国民が、一方は、このように繁栄と幸福を満喫し、他のものは、かくも貧困と苦渋の中に金縛りされておることを池田内閣は何と見るか。ある経済学者は、わが国経済の現状を二重構造なりと指摘し、また、ある評論家は、これを不安定きわまる逆ピラミッド型と戒めておるのであります。実にわが国産業経済の生態は、大企業の側がいよいよ隆盛に、中小企業、零細企業の側が次第に衰退して、これは、いうならば、脳天肥大症、胴体萎縮症を併発したかたわ者と申さなければなりません。これは、まさしく長年にわたる大企業偏重の資本主義政策の強い矛盾の現われにほかなりません。今こそ、政府と国会は反省をきびしくして、すみやかにこのゆがみを是正するために、まずもって国民所得の均衡をはかるここを第一義とし、この経済構造の画期的な改革を断行せなければ相なりません。かかる要請にこたえんとするものが、実にこの中小企業基本法案であると思うのであります。
 しかる政府は、本院に三分の二の絶対多数を占める与党を有しながら、この重大時期において、この深刻なる大問題に対して積極的な施策を何ら講じようとしないのは、いかなる認識に基づくものであるか。ここに、社会党も、わが民社党も、しこうして、失礼ながら、与党たる自民党までもが、事態遷延を許さずとして、ここにわが国経済の改造に必要なる政策の基本を提示いたしておりますが、内閣がこれに対し冷ややかに緘黙して何ごとをも語ろうとしないのはどうしたことか。(拍手)藤山経済企画庁長官は、わが国産業経済のこのようなあり方についていかなる見解をお持ちであるか、しこうして、経済の高度成長と所得倍増をはかる長期計画において、企業間、階層間の所得の均衡を確保するためには、いかなる施策が必要であると考えられるか、池田内閣の経済政策の基本について、その責任をになう藤山経企長官より、その認識とこれが政策について、この際これを国民の前につまびらかにいたされたいと思います。
 次は、自民党案の基本理念について提案者にお伺いをいたします。
 自民党は、わが国経済において、企業間、階層間においてかような所得格差を発生せしめた原因と、しこうして、中小企業の存立条件をこのように著しく不利に陥れたる理由を何と理解されておるのであるか。この実情を的確に把握することなくしては、その対策は正鵠を期し得ないと思うのであります。われわれは、それは資本主義政策の長年にわたる大企業偏向の行財政が因果相からみ、重なり合って、ついにこの結果を招いたものと判断せざるを得ないのでありますが、自民党の御反省はいかがでありましょうか。
 また、自民党は、この法案の前文に、経済秩序の法則を、もっぱら自由にして公正なる競争の原則の中に求めておられますが、特に重視してお伺いいたしたいことは、ここに自民党は、その際、優勝劣敗と弱肉強食とをいかなる限界において区別せんとするものであるか。また、資本主義自由経済は、その発展の度合いに正比例して、大企業と中小企業との経済力の格差を造成する基本的性向を持つものと思うが、ここにその格差を解消しつつ、将来にわたってこの種の格差の発生を防止するための自民党の基本的対策はどのようなものでありましょうか。自民党案は、これらの重要なる基本的諸問題について、その態度が全くあいまいであるばかりでなく、わざとその病根に目をそむけ、ことさらにその治療を回避しているものでありまして、いうならば、この法案は、大企業に著しく気がねしながら中小企業に色目を使う、まさによろめき法案といっても過言ではないのであります。(拍手)自民党は、これらの基本問題についてさらに検討を加えられて、真に実効の期待できる政策の基本路線を設定し、もって議会第一党たるの責任を果たされるべきであると思うが、これらの諸問題・について、提案者の御所見をお述べ願いたいと存じます。
 次は、自民党案における中小企業の組織方針について伺います。
 ここに中小企業者の事業活動の基礎となるものは、自主的にして民主的な協同組織であると思われるのであります。自民党案は、これに関し、ただ漫然と中小企業者の組織を助成するというのみで、その事業活動を発展せしめ、その効率を高めるための協同組織の方向について何ら明示されるところがありません。現行の中小企業の協力組織は、団体組織法と環衛法が重複、錯綜しておるばかりでなく、それには欠陥や抜け道が少なからずあって、ために、いまだ完全なる機能を果たし得てはおりません。これに対して民社党は、この際これが根本的解決をはかるために、英断をもって団体組織法と環衛法を発展的に解消し、これにかわって、府県を一地区とする業種別同業組合を組織する同業組合法を制定し、これをもって中小企業の協同組織の根幹に据えるべきであると考えるが、これに対する自民党の御見解をお示し願いたいと存じます。
 次は、中小企業の事業分野の調整について伺います。
 昨今の中小企業問題の中心的非難事項の一つとして、大企業の中小企業産業分野への進出のことがはなはだ深刻に取り上げられるに至りました。たとえば子供が楽しんでおる土俵場に横綱、大関が飛び入ってこれに勝負をいどめば、その横綱、大関がことごとく勝利を独占することは当然でありますが、およそ、かかる勝敗を、競技の法則はこれを正当なものと認めるでありましょうか。ここに大紡績が縫裁加工に、電気メーカーがガス、石油器具に、私鉄会社が陸上小運送に、精糖会社が菓子ケーキ類と、これは生産と流通の各部門を扱って、まさにジェット戦闘機からエプロンまでといわれるほどに、大企業はその巨大なる資本力をかり立て、奔放無拘束に中小企業の事業分野に侵入し、思うがままにそれを席巻しておるのであります。もしそれ、かかる状態を、この先ともに、これを弱肉強食の推移にゆだねますならば、大企業の暴威はやがて産業の全体を包んで、中小企業はその中で悶絶するに至りましょう。今こそ公共の福祉のために、これに対して公正なる規制の措置が断行されなければなりません。自民党案は、この問題について若干調整の意図を瞥見せしめてはおりますけれども、その対策をいかに講ずべきか、法案のいずこにも何らその方向を明示するところがありません。
 民社党案は、これが対策として、中小企業による経営が経済的に、また社会的に適切であると認められる業種については、これを中小企業産業として法定し、もってわが国の経済活動のいずれかにすべての国民を能力に応じてその所を得せしめんとするものでありまして、われわれは、この種の法的措置を行なわずしては、今後の経済社会において公正なる経済秩序を確立することは不可能であると思うが、これに対し、自民党の提案者よりその御見解をお示し願いたいと存じます。
 次は、下請企業に対する諸問題について伺います。
 今や、下請代金支払いの遅延、下請単価の不当な切り下げ等、これら下請企業の経営をして、生かさず殺さずのせとぎわに浮動せしめ、常にそれを不安にさらしているのでありますが、自民党はこれらの大企業のする経済的悪徳行為に対し、この際、民社党案のごとく積極的にこれを規制するの御意思はないか、この点について、提案者よりその対策について述べられたいと存じます。
 次は、金融について伺います。
 自民党案は、その第十二条において、中小企業金融の拡充についてそれぞれ画期的な方針を打ち出されました。特に中小企業者に対する融資が優先的に確保されるよう、民間の金融機関を指導することと、中小企業者に対し行なわれる融資の貸付条件が大企業に対して不利とならないよう措置をとることの二項目は刮目に値するものでありまして、深く敬意を表します。ここに中小企業は、わが国総雇用の七二%、総生産の六〇%、総輸出の五二%を占めているのでありますから、これらの経済活動を行なうためには、当然にしてそれに比例した資金量を必要とすることは言うを待たないところであります。しかるに一わが国金融機関の貸出実績に徴するに、現にその総貸し出し十四兆円のうち、なかんずく、中小企業はわずかに六兆未満であって、これに比べ、大企業は、実に八兆円の多くを独占しているのであります。まことに順逆の転倒はなはだしく、あたかも中小企業が栄養不足のまま重労働をしいられておるようなものであっては、これでは、わが国経済がこのようにかたわになることは当然の帰結であります。今こそ、経済悪の根源とも目すべきかかる金融のあり方に対しては、国民経済の名において、最もすみやかに根本的な斧鉞を加えなければなりません。すなわち、中小企業金融を確保するためには、第一に、各金融機関の貸し出し資金について、それぞれ中小企業への特別ワクを法定すること、第二には、大企業に対する集中融資、系列融資を制限することが緊急にして不可欠の要件であると思うのであります。自民党案第十二条は、当然このような立法措置を意図されてのことであると思うが、念のため、この際、提案者よりその構想について、具体的に御説明を願いたいと存じます。
 次は、社会党案について質問をいたします。
 社会党案は、経済政策として相当に整備されたものではありますが、ただ、うらむらくは、将来の社会主義社会における中小企業の地位とその役割について論証されるところがなく、これでは中小企業の基本憲章として、その性格と使命が不明確かつ不安定であると思われるのであります。社会党は、将来の理想社会において、中小企業にいかなる地位を与え、いかなる役割を果たさしめんとするものでありましょうか。すなわち、社会党は、将来の社会主義社会における中小企業の経営は、それを協同化と社会化と国有化などの諸形態のうち、そのいずれの方式をとらしめんとするのであるか、はたまた、中小企業が私企業として存立することを容認するものであるのか。この点、社会党の綱領に基づいて、提案者より御説明を願いたいと思うのであります。
 わが党は、これについてわが党案の前文の中に、これを次のごとく明確に論証いたしました。すなわち、人は単一の経済人にあらずして、習俗、習慣、趣味、嗜好を相異にする多元的存在であり、それゆえに多元的社会を形成するものである。ゆえに、この多元的社会における中小企業は、社会化企業と相並んで経済活動の基礎をなすものであるとして、私企業としての中小企業の地位を永遠に保証し、かつ、それを重く使命づけておるのであります。これに対する社会党の御見解を、提案者よりあわせて御開陳願いたいのであります。
 次は、中小企業の産業分野の確保に関する条項について伺います。
 社会党案では、業種指定がなされた後における制限について、その後は新規の開業と拡張を禁止することにとどめ、大企業が従前よりするその営業を継続することについてこれを容認しておることは、論理が一貫せざるのみならず、これは従来のこの種の立法の経験に徴し、これでははなはだしく弊害を生ずるのおそれありと思うのであります。すなわち、百貨店法や繊維機械設備制限法制定の前後期には、法の規制に先んずるために、いわゆるかけ込み新増設が殺到し、ために、その設備制限法は、事もあろうに設備促進拡大法のごとき逆現象を現出したことは、提案者よく御承知の通りであります。
 わが民社党案は、そのことをも深くおもんばかり、すなわち、業種指定のあった後は、大企業はその指定業種に属する事業は全く営むことのできないことにして、この施策の効果を確保しつつ、あわせて脱法行為の発生を密閉いたしておるのでありますが、これに関する社会党の御見解をお示し願いたいと思います。
 最後に、社会党案にも、自民党案にも、その政策を実施するための財政上の措置が明示されていないことについて伺います。
 これらの中小企業政策を強力に推進するためには、当然のこととして、予算の裏づけが必要でありまして、それなくしては、いかにりっぱな政策といえども、口頭の禅にひとしきものになりましょう。民社党は、この予算の確保については、その基本法案第十七条において、必要にして十分なる予算を計上することを国の義務として明示し、地方公共団体またこれに準ぜしめることにいたしております。これに対する社会党の御見解はいかがでありましょうか。
 以上、私は、本法案にかかる重要とおぼしき諸点について質問をいたしました。
 私は、ことが政策討議の場所でありますだけに、いささか苦説を交えましたけれども、翻って考えますならば、待望久しかった本法案が、幾多の困難を経て、ここに三党打ちそろってその提案がなされたことについて、各提案者の熱意に対し、ここにあらためて深く敬意を表します。もとより、この三党の三案は、それぞれの党のよって立つところに従って、それにはおのずから一長一短の特色がありましょうが、要は、われら国会がこれらの政策を着実に実現することにありと思うのであります。
 願わくは、三党が今後の審議三通じ、これら三案の長所を総合されて、全国四百万の中小企業者と千七百万の関係労働者の願望にこたえ、誓って今会期中にこの中小企業基本法制定の大事を達成することのできますように、ここに提案者の一そうの御奮起を望み、あわせて議員各位の御協力をこいねがいまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 中小企業に関する基本政策を確立し、これを強力に推進して参りますことは、先ほども申し上げましたごとく、われわれ多年の主張であるのであります。従いまして、基本法及びこれが関連法規をあわせて検討し、中小企業基本法体系を整備すべく、目下われわれは鋭意努力を重ねておるのであります。何分にも、中小企業の種類、態様はきわめて複雑多岐にわたりますので、これが立案に時日を要することは、これまたやむを得ません。しかし、政府におきましては、今後一そう努力を続けまして国民の期待に沿う考えであります。(拍手)
  〔国務大臣佐藤榮作君登壇〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 自由民主党の中小企業基本法案、これについて通産省はどういうような検討をしたか、また、問題点があったなら、その点はどの点か、それは解消したか、こういうようなお尋ねでございました。
 私は、中小企業基本法制定の必要を痛感いたしておりますが、自由民主党の案を拝見いたしまして、いわゆる基本法といたしましては、方向として、しごくもっともな原案だと、かように考えたのでございます。ただ、政府といたしましては、この基本法を提案する際には、関連法規も整備いたしまして、いわゆる基本法体系として出すことが妥当ではないか、かように考えた次第でございます。その意味に立ちまして、いわゆる関係各省――御承知の通り中小企業は各省に関係するものでございますので、関係各省と種々調整をはかりて参りましたが、今日に至るまでその成案を得るに至らなかった次第でございます。そこで、やむを得ず、政府はその提案を見合わすことに相なったのであります。従いまして、いわゆる問題点があったと申しますよりも、政府が提案するとすれば、さらに関係法規を整備してつけ加えることが必要だ、かように私どもは考えておるのでございます。幸いにいたしまして、今日提案されました自由民主党の基本法が国会で成立することになりましたら、政府といたしましては、その方向について関係法規を整備するということに努めて参る、かような考えでございます。(拍手)
  〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕
○国務大臣(藤山愛一郎君) 産業が発達して参りますために、各般の施策が必要であることは申すまでもございませんが、産業の種類によりましては、大規模な形態を持たなければ運営できない産業もございますし、また、中小の形態をもちまして運営されることが適切な産業もございます。従いまして、政府といたしましては、大規模、中小あわせてそれぞれ十分その基礎が確立して参りますような助成方策を講じて参りますことが必要でございまして、従いまして、その方策が並行して進んで参るようにやって参りますために、中小企業の基本的な方策の一つの憲法が御提案になりましたことは、私ども喜びにたえないところでございます。従いまして、こういうような問題につきまして、十分な中小企業の発達ができて参りますことが、いわゆる格差の是正にも役立って参るのでございます。むろん、中小企業の今後の問題は多種多様な問題が含まれておるわけでございまして、設備の近代化、組織化、金融の問題もございますし、今日の段階では労務の問題もございます。これらの問題について適切な手を打ちまして、そうして、おくれているものは進めて参らなければなりませんし、並行して進歩の道を歩むように政府としてはやって参る、そうして格差の是正をはかって参ることが必要だと思います。
 ただ、中小企業と申しましても、その中に零細企業の問題がございますが、この問題は、単純な経済の問題だけでは解決できない場面があるのでございまして、これは中小企業基本法というようなこの法体系以外の社会政策的な、社会保障的な面の法案によって補てんして参らなければならぬ面が零細企業にはあろうかと思います。そういうことにつきましては、全体としての発展のために、われわれも日本経済の振興の過程において十分注意して参るつもりでございます。(拍手)
  〔宮澤胤勇君登壇〕
○宮澤胤勇君 春日君の御質問に対して、私に関する点についてお答えいたします。
 春日君は、さすがにこの道の大家でありまして、傾聴すべき御質問を受けたのでありまするが、やはり民主社会党としてのお立場から、観念的なお考えも加わっておるようでありますから、私は順次一つお答えをいたします。
 大企業の今日のありさまからして、中小企業との格差をどうして少なくしていくか、解消するか、その根本的な問題が載っておらぬじゃないか、ことに、弱肉強食のこの事態においてどうするのだというようなお話でありました。しかし、今日の自由主義経済といっても、昔の弱肉強食のまま捨ててあるところは世界じゅう私はなかろうと思うのです。何らかの手を打って匡正していかなければならない。今日、大企業と中小企業との格差の生じましたのは、従来、中小企業者の持っておった特有な立場が、だんだんと経済全体の成長によって、労銀という問題からして一つくずれてきておるのでありますから、その問題について、中小企業者は二つの方法――この中小企業者の勤労の問題を解決して、雇用の問題に対して、われわれがこの基本法にも、また今後手を打とうと思っておりますが、施策をすること、中小企業者が大企業には負けないという立場を作っていかなければならぬと思うのであります。わが国におきましても、大企業がどうしても手をつけることのできない中小企業というものはたくさんあります。また、御承知の通り、ドイツのごときは、中小企業者があって初めて大企業が成り立っておるという点もある。これらの点を勘案しまして、中小企業者の立場というものは、単に口先で言うような今日の事態でなく、順次関連法案において手を打っていけば、ただ自由主義経済のもとでは、大企業に中小企業は負けるのだというような観念的な議論でなくて、この問題は私は処理していけると思うのであります。(拍手)
 なお、同業組合をもって中小企業対策の基本としろ、これは私は傾聴すべきお考えだと思うのです。しかし、今すぐこれを端からやっていこうということはなかなかできません。順次その方向に向かって同業組合組織というものを強く取り入れる。ただ、今日の日本の中小企業者の教養の程度では、この同業組合という組織を完全に活用するまでに至っておらないことは、はなはだ残念であります。けれども、順次これはその方向に進めていくことがよかろうと思うのであります。
 また、下請関係の問題については、これはまあ非常にむずかしい問題で、お話の通りです。われわれもこの下請関係に何とか手を打たなければならぬと思いますけれども、まず、当面、行政措置をもっていくほか、順次一つ実情に応じた実体法を作っていくというのが、この基本法の七条に盛っておるわれわれの考え方であります。
 次に、金融の問題でありますが、金融の問題につきましては、われわれの方の考え方は、中小企業専門の金融機関を育成していくこと、また、市中銀行に対して、社会党の諸君は、一定割合を確保しろと言うが、これはなかなか困難な実情だと思う。やはり行政措置をもって、順次金融業者の理解のもとに、また、中小企業者も、その金融が受けられるように体質を改善することによってこの道を開いていく。
 なお、皆さんはお気づきになっておらぬかもしれませんが、十四条の裏には、中小企業の株式を引き受ける、社債を引き受けるような一つの投資金融機関を作っていったらどうかということをわれわれは考えて、この十四条というものを設置したのでありまして、これらは実体法においてこれから新しい構想を持って、一つ自民党の中小企業金融政策を具体化していこうと思っておるのであります。
 社会党の案も、なかなかこまかいところへ行き届いておられますし、また民社党の案も、春日君のような人がおられて、非常に理論的にできております。私どもの基本法は、二十二条ではなはだあっさりはしておりますが、あか抜けのしたものができておると思っておりますので、皆さんのぜひ御協力をお願いいたします。(拍手)
  〔松平忠久君登壇〕
○松平忠久君 春日議員の御質問に対して御答弁を申し上げます。
 第一点は、社会党提出の中小企業基本法の中におきまして、いわゆる社会主義社会における中小企業の役割とかその地位、これらの展望というものがこの案の中にはないではないか、こういう御質問のように承ったのであります。
 わが党案の第二条以下五項目にわたりまして、いわゆる中小企業政策の基本方針というものを掲げておるのであります。その基本方針の第一項は、いわゆる二重構造の解消を取り上げておりますが、これは今日中小企業の置かれておる日本独特の現象でございまして、先ほど宮澤議員は二重構造はないなどということを言われましたけれども、これはわれわれはなはだ受け取れぬのでありまして、多くの学者諸君は、経済の断層がある、これを二重構造ということを言っておるのでありまして、これは自民党の議員諸君も立会演説会等におきましては、私と一緒に、二重構造を解消するのだということを言明しておられるのであります。そういうことと、以下第三条、四条、五条、六条にございます。しかしながら、社会主義社会における中小企業のあり方というものにつきまして、これを浮き彫りにするということ、そのことがこの基本法の中の方針ではございませんので、私は、いささかそれについて社会党の考えていることをここで申し述べてみたいと存じます。
 御承知のように、わが党の綱領は、労働者、農民、中小企業者、自由職業者の結合体であるという、そういう立場をとっておることは春日君も御承知の通りであります。今日まで中小企業の果たしてきておる国民経済におけるところの重要なる貢献、また、将来果たすべき経済的、社会的な役割の重要性から、かかるわが党の綱領というものが規程に規定されておるわけでありまして、本法案もその考え方を実は前提として立案をいたしておるのであります。綱領は、いわゆる基幹産業の社会化を唱えております。しかして、中小企業はそのもとにおきまして適正規模において専門化の方向に進んでいく、商業、サービス業は、いわゆる流通、消費関係、こういうことを担当して、国民生活に寄与しなければならない。これらはともに国民生活の活動の分野におきまして重要なるにない手でありますので、その役割を果たすために活動の基盤の整備をはからなければならないことは申すまでもなく、そのために大企業からの圧迫、搾取を規制して、いわゆる二重構造を解消し、個個の事業の体質の改善と向上をはかることはもちろんでありますけれども、また、一面におきまして、いわゆる中小企業者の団結の力による、すなわち協同化ということを自発的に進めていく。このことは先ほども申しましたけれども、あくまで自主的な立場によるのでありまして、権力によってやるという考えはございませんが、そういった誘導をして、団結力によって内外のトラブルを解決して地力をつけていく、こういう考え方が必要でありますので、いわゆる協同化を助長する、こういうことを綱領はうたっておることは御承知の通りであります。従って、一部の者が、社会党の政権のもとでは中小企業はなくなるとか、あるいは衰微すそとかいうデマを申しておりますけれども、これはとんでもない人心を惑わすものでございます。(拍手)われわれはソビエトのような体制は全然考えておりません。従って、中小企業者は、もちろんその私有は認めます、社会の重要な一員として、創意と工夫と団結の力をもって十分国民生活の重要なにない手として、その役割を果たすことを期待しておるのであります。かかる期待のもとに、この期待を実現させるためにこの法案を提出したのでありますので、その点は御理解をいただきたいと存じます。
 次に、事業分野の確保に関することに関しての御質問でございます。事業分野の確保に関しまして、春日君の御質問は、社会党の案によりますと、中小企業のために事業分野を確保した、その中に大企業が入っておった場合においてどうするか、あるいは大企業がかけ込みの新増設をしていった場合にどうするか、こういう御質問でございます。
 私どもの案は、第九条の二項におきまして、新たに開業したり、あるいは新増設をするということを規制する、そういう考え方でございます。しこうして、民社党の中の案にあります第十二条三項の中に、いわゆる中小企業の事業として指定されたものに対して、大企業がその事業を営んでおる場合におきましては、それを廃止させる、廃止させる場合に、国が損失補償をするという規定がございます。この規定は社会党の案の中にはございません。実際問題といたしまして、大企業が、中小企業の営んでおるような、そういう事業をやっておるときに、これを廃止するという場合のことを考えてみますと、大体において中小企業者に肩がわりをするのではないか、そういう場合が実は多かろうと思うのであります。従いまして、国家がその事業の転換に対して損失補償をするという場合はきわめて少ないように思いますけれども、これは、私どもは基本法に付属しておるところの事業の分野を確保する法律案というものをただいま検討中でございますので、別途この法律案を出す、その際におきまして御意見を十分参考として検討したいと思っております。
 第三は資金の問題でございます。
 資金に関しましては、御質問の中にございましたように、予算的な措置と金融的な措置がございます。わが党の案におきましては、第六十四条、六十五条におきまして、政府は基本計画というものを立てることになっております。この基本計画のほかに、毎年国会に対しまして、実施計画というものを提出することになっておるのであります。実施計画であります以上は、当然これを実施するのでありますから、資金的な裏づけというものを伴わなければなりませんし、法律案も伴わなければなりません。あるいはまた必要なる政令その他の行政措置が伴わなければならぬわけであります。従いまして、実施計画を提出する以上は、当然資金計画というものがなければならぬことは、これは申すまでもないところでございまして、国会に対して実施計画を立てるというものの中には、資金計画もあわせて含まれておることを御了承願いたいと存ずるのであります。
 金融の問題につきましては、第六章以下に詳しく規定しておりますので、この点もまた御了承をお願いしたいと存じます。
 以上をもちまして、私の答弁を終わります。(拍手)
○副議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。
 日程第一 木船運送法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
○副議長(原健三郎君) 日程第一、木船運送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。運輸委員会理事高橋清一郎君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔高橋清一郎君登壇〕
○高橋清一郎君 ただいま議題となりました木船運送法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 最近における経済の発展に伴い、内航海運が、国民経済において占める機能の重要性は急激に増大しつつありますが、内航海運の小型船分野の大部分は零細企業であり、輸送秩序も確立されておらない現状でありますので、これらの事業の健全なる発展をはかるため、現行法に所要の改正を行なおうとするのが、本法案の趣旨であります。
 改正のおもなる点を申し上げますと、
 第一は、小型船海運業の登録資格要件として、事業を遂行する上に必要な能力及び資力信用に関する規定を加えようとするものであります。
 第二は、最近における内航船舶の鋼船化の傾向にかんがみまして、五百総トン未満の小型鋼船を、木船と同様に規制することといたそうとするものであります。
 第三は、二十総トン未満の船舶による小型船海運業等を届出制に改めるとともに、現行の営業保証金の供託制度は、現金供託のみでありますが、これを有価証券をもってかえることができるように改めようとするものであります。
 本案は、三月三十日本委員会に付託され、四月四日政府より提案理由の説明を聴取し、同十三日質疑を行ないましたが、内容は会議録において御承知願います。
 かくて、同日、討論を省略して採決の結果、本法案は全会一致をもって可決すべきものと決しました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 航空業務に関する日本
  国とパキスタンとの間の協定の
  締結について承認を求めるの件
  (参議院送付)
 日程第三 航空業務に関する日本
  国とイタリアとの間の協定の締
  結について承認を求めるの件
  (参議院送付)
○副議長(原健三郎君) 日程第二、航空業務に関する日本国とパキスタンとの間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第三、航空業務に関する日本国とイタリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。外務委員長森下國雄君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔森下國雄君登壇〕
○森下國雄君 ただいま議題となりました航空業務に関する二案件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 政府は、民間航空協定締結のため、パキスタン及びイタリアとの間に昨年来交渉を行なって参りましたが、意見の一致を見ましたので、昨年十月十七日にパキスタンと、本年一月三十一日にイタリアと、航空協定がそれぞれ署名されました。
 これらの協定は、さきに国会の承認を得て締結された米国、英国、タイ、インド、ベルギー等との航空協定と同
 一の目的及び意義を有し、内容的にもほとんど同一のものであります。すなわち、わが国と相手国領域間の民間航空業務を開設することを目的として、業務の開始及び運営についての手続及び条件を双務的基礎において規定するとともに、附属書または附表に一おいて、わが国と相手国の指定航空企業が業務を運営することのできる路線を定めております。
 この二つの航空協定は、二月十四日予備審査のため本委員会に付託、三月十四日参議院において承認され、同日本委員会に付託されましたので、会議を開き、政府の提案理由の説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。
 この二案件は、四月十三日、討論を省略して採決を行ない、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 両件を一括して採決いたします。
 両件は委員長報告の通り承認するに御異議はございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、両件は委員長報告の通り承認するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第四 財政法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
○副議長(原健三郎君) 日程第四、財政法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事鴨田宗一君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔鴨田宗一君登壇〕
○鴨田宗一君 ただいま議題となりました財政法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、国の財政の合理的な運営に資するため、財政法第二十九条の規定による追加予算及び予算の修正に関する制度を整備するとともに、財政制度審議会の構成について所要の改正を行なうことといたしております。すなわち、
 まず第一に、現行法では、内閣が追加予算を提出できる場合は、必要避けることのできない経費に不足を生じた場合と規定いたしておりますが、この際、規定を整備することとし、当該年度においては国庫内の移しかえにとどまる支出であっても、特に緊要なものにつきましては、これを追加補正の対象となり得る旨を法律上明確にすることといたしております。
 第二に、御承知の通り、現行法では、予算の補正は、追加予算と修正予算の二本建に区分いたされておりますが、実際の運営におきましては、両者が一体となって、いわゆる補正予算として編成されておりますので、法律上の名称もこれに合わせて補正予算に統一することとする等、規定を整備いたしております。
 第三に、三公社、公庫等、その予算について国会の議決を要求されている政府関係機関の補正予算制度につきましても、以上の改正に準じて、それぞれ関係法律をこの改正案の附則において改めることといたしております。
 第四に、大蔵省の付属機関である財政制度審議会の会長を、現在の大蔵事務次官から大蔵大臣に改めるとともに、新たに臨時委員を置くことができることといたしております。
 本案に対しましては、次のような修正案が提出せられました。すなわち、原案におきまして、昭和三十七年四月一日からと定められております本案の施行期日を、公布の日からに改めようとするものであります。
 本案につきましては、参考人の意見を聴取する等、慎重審議の結果、去る十三日、質疑を終了し、日本社会党を代表して堀委員より反対討論、民主社会党を代表して春日委員より賛成討論のあった後、直ちに採決を行ないましたところ、起立多数をもって修正議決となりました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(原健三郎君) 起立多数、よって、本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
 日程第五 大蔵省設置法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
○副議長(原健三郎君)日程第五、大蔵省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員会理事草野一郎平君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔草野一郎平君登壇〕
○草野一郎平君 ただいま議題となりました大蔵省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案の要旨は、第一に、理財局に証券部を設置すること、第二に、造幣局に作業管理部を設置すること、第三に、全国資産再評価調査会及び地方資産再評価調査会を廃止すること、第四に、定員を七百九十八人増員することであります。
 本案は、一月二十五日本委員会に付託され、二月一日政府より提案理由の説明を聴取し、四月十三日、質疑を終了いたしましたところ、自民、社会、民社三党共同提案にかかる施行期日を公布の日に改め、定員に関する改正規定は四月一日適用とする等の修正案が提出され、内田委員より趣旨説明がなされた後、討論もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって修正案の通り修正議決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議はございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
 日程第六 農地開発機械公団法の
  一部を改正する法律案(内閣提
  出)
○副議長(原健三郎君)日程第六、農地開発機械公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事秋山利恭君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔秋山利恭君登壇〕
○秋山利恭君 ただいま議題となりました内閣提出、農地開発機械公団法の一部を改正する法律案について、農林水産委員会における審査の経過及び結果について御報告いたします。
 農地開発機械公団は、国際復興開発銀行等から資金の融通を受けて、高能率の機械を保有し、これにより大規模な農地の造成改良等の事業を行なうことを目的として、昭和三十年に設立され、自来これらの事業を国等から委託を受けて実施し、また、これらの事業に機械を貸し付ける等の業務を行なって参ったのであります。
 しかして、農業基本法に基づく新農政の方向として、今後、農業構造改善のだめの農用地の開発事業等土地条件の整備が必須事業となり、その事業量の増大が予想されますので、この動向に対処するため、農地開発機械公団に政府が出資を行ない、その業務の範囲を拡大する等の措置を講じ、同公団の業務の運営の基礎を整備強化しようとして、本案が提出せられたのであります。
 以下、本案のおもな内容について申し上げますと、第一に、政府は同公団に対し、昭和三十七年度に一億五千万円を出資するとともに、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、公団に対し追加して出資することができること、第二に、政府は、当分の間、必要があると認めるときは、国が農地の造成及び改良の事業に供している土地、建物、船舶、物品等を公団に追加して出資することができること、第三に、公団はその保有にかかる機械の整備、または修理の業務の用に供する施設を効果的に運用するため、必要があるときは、その業務に支障がない限り、この施設により委託を受けて機械の整備または修理の事業を行なうことができること、第四に、公団は余裕金を信託銀行または信託会社への金銭信託の方法により運用することができること、その他公団の役員として、理事を一人増員して三人以内とすること等と相なっております。
 本案は、二月一日付託され、二月六日提案理由の説明を聴取し、三月二十九日から四月十三日までの間に四回にわたり質疑を行ない、その間、公団理事長松本烈君らを二回にわたって参考人として招き、これに対し質疑を行なうなど、慎重審査の上、四月十三日質疑を終わりました。
 同日、自由民主党の委員から、原案は、昭和三十七年四月一日から施行することとしているので、これを公布の日から施行することに修正するの動議が出され、次いで、修正案及び原案を一括して討論に付しましたところ、日本社会党及び民主社会党の委員から、それぞれ反対の討論を行ない、これを採決いたしましたところ、本案は多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
 以上、報告を終わります。(拍手)
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○副議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り決しました。
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○副議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時三十九分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        農 林 大 臣 河野 一郎君
        通商産業大臣  佐藤 榮作君
        運 輸 大 臣 斎藤  昇君
        国 務 大 臣 藤山愛一郎君
 出席政府委員
        法制局長官   林  修三君
        外務政務次官  川村善八郎君
        中小企業庁長官 大堀  弘君
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