第040回国会 本会議 第43号
昭和三十七年四月二十八日(土曜日)
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 議事日程 第四十号
  昭和三十七年四月二十八日
   午後二時開議
 第一 商店街における事業者等の組織に関する
  法律案(首藤新八君外四十四名提出)
 第二 農業災害補償法の一部を改正する法律案
  (第三十九回国会、内閣提出)
 第三 公職選挙法等の一部を改正する法律案(
  内閣提出)
 第四 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関
  する法律の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
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○本日の会議に付した案件
 自治大臣安井謙君不信任決議案(山本幸一君外
  四名提出)
 肥料審議会委員任命につき国会法第三十九条但
  書の規定により議決を求めるの件
 旧軍港市国有財産処理審議会委員任命につき同
  意を求めるの件
 日程第一 商店街における事業者等の組織に関
  する法律案(首藤新八君外四十四名提出)
 日程第二 農業災害補償法の一部を改正する法
  律案(第三十九回国会、内閣提出)
 日程第三 公職選挙法等の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 日程第四 国会議員の選挙等の執行経費の基準に
  関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
 郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
   午後二時二十七分開議
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 自治大臣安井謙君不信任決議案
  (山本幸一君外四名提出)
     (委員会審査省略要求案件)
○田邉國男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、山本幸一君外四名提出、自治大臣安井謙君不信任決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 自治大臣安井謙君不信任決議案を議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 提出者の趣旨弁明を許します。淡谷悠藏君。
  〔淡谷悠藏君登壇〕
○淡谷悠藏君 私は、日本社会党を代表いたしまして、自治大臣安井謙君の不信任決議案を提出し、その趣旨を説明いたします。(拍手)
 まず、その主文を朗読いたします。
  衆議院は、自治大臣安井謙君を信
 任せず。
  〔拍手〕
 不信任の理由の第一は、安井自治大臣が公職選挙法の改正にあたって、審議会の答申を尊重するという法の規定をみずからじゅうりんし、連座制の規定等、その最も重要な部分を骨抜きにし、再びざる法を作って国民の目を欺こうとしていることであります。(拍手)
 政治の腐敗をなくするためには、選挙の粛正以外に道はありません。選挙にあたって莫大な金をばらまき、買収、供応をほしいままにし、取り締まりに当たる警察当局が、またそれを見て見ぬふりをする醜状は、国民のひとしく目をそむけているところであります。たまたまその違反が摘発されても、その罪を妻や子供にかぶせて、みずからはてん然として恥ずるところもなく、しゃあしゃあと政府の要路に立っている人のあることは、安井自治大臣、あなたは知らぬとは言われないでしょう。この事実は明らかに今までの選挙法に抜け穴があったからであります。選挙法を改正すべしというのは、かかる醜状に憤った国民多数の声であります。しかも、これら恥を知らない醜類どもが買収選挙によって多数を占め、その多数の上にあぐらをかいて国会の審議を撹乱し、専横、増長、わがまま勝手至らざるなきかかる国会に、その改正をまかすべからずという国民の切なる願いによってできたのが、選挙制度審議会であったのであります。(拍手)
 自治大臣として選挙を粛正し、議会政治に信をつなぐために守るべき最低限度は、少なくもその審議会の答申案にあったはずであります。複雑な政治の現実の中に辛うじて求め得た選挙法改正の最大公約数がその答申案であったはずであります。あなたにはきぜんとしてその一線を守る政治的責任があったはずでありますが、その責任を果たすどころか、あなたみずからが先に立って答申案を無視し、選挙腐敗の温床を残さんとするがごとき、一体何ごとですか。あきれ返って審議会委員を辞任した人があったのに、平然とそのいすにすわっているなどとは、安井自治大臣の心中すでに一片の良心さえないといわざるを得ないのであります。(拍手)あなたは直ちにその職を去って国民に謝すべきであります。
 不信任の第二の理由は、安井自治大臣がさらに池田総理としめし合わせ、自民党と共謀して、連座、後援会寄付の緩和、運動員報酬等の点で、政府原案をさえ大幅に後退させる修正案を提出させ、買収選挙を公然化させようとしている点であります。
 これは、公明選挙を求める国民の期待を裏切るばかりでなく、民主政治の基本である選挙法を党利党略の具に供し、保守永久政権への道を準備しようとするものであります。選挙法の改正は、国民の要望にこたえて、あくまでも前向きになさるべきものであります。前向きに改正するには、今日わが国の政治を最も毒している買収を厳重に処断し得るの法律にすべきが当然であります。後援会の寄付とは一体何でございましょうか。運動員報酬とは一体何でございましょうか。今までおっかなびっくりやっておった買収を大っぴらにやろうとすること以外の一体何だと言えるでしょうか。(拍手)幾ら上を向いて歩こうといったって、こんなことにまで上を向いて歩かれてはたまったものではありません。選挙を買収によって勝とうなどという、さもしくもあさましい考えを持つのは、堂々国民に信を問う政治的信念の喪失を意味しております。国民の要請にこたえる政策が全くないことを意味しております。手っとり早く金で片をつけようとする金持ち根性の現われであります。選挙に金がかかるから政治の上でも金もうけをやる、汚職、涜職、疑獄の帳の絶えな、理由であります。しゃにむに政権にしがみつく妄執晴れざるゆえんであります。今になっては、政府並びに与党が選挙制度審議会に期待したのは、決して選挙の宿弊を絶つにあったのではなく、審議会答申案さえ受け入れなかったほど、その腐敗に光を当てられることがおそろしく、政府案にさえついには安心ができなくて、すねに傷持つ仲間の自民党の修正案を支持する不見識をあえてしているといわれてもいたし方がございますまい。(拍手)
 安井自治大臣、あなた自身、かつて選挙違反の容疑者であったでしょう。(拍手)自治省の政務次官大上司君が昭和三十三年五月の総選挙において買収違反で起訴され、昨年十一月二十七日神戸地方裁判所姫路支部で懲役四カ月、公民権停止の求刑を受けている事実があるでしょう。こうしたスタッフで公明選挙推進のため選挙法改正をやるなどというのは、蜂須賀小六が質屋の土蔵の番人を志願したようなものであります。(拍手)
 安井自治大臣、しかし、私はこれまであなたにはひそかに敬意を払っておりました。あなたは、河野農林大臣のように、この議場の大臣席で居眠りをすることはありません。答弁に立っても、にこりともせず、まじめな、少なくとも見たところまじめくさった、もっともらしい調子でやります。ところが今回の選挙制度改正の審議に入ってからは、遺憾ながら私の抱いてきたあなたに対するひそかな敬意と期待を裏切られ、失望せざるを得なかった。昨日行なわれましたあの選挙制度特別委員会における審議のごとき、あなたは一体何と見られたのか。自由民主党の修正案に対する質疑の答弁のため、あなたと席を並べていた高橋英吉君は、選挙制度審議会委員の諸君を曲学阿世の徒と言っております。選挙制度審議会委員は、学識経験者の中から政府自身が選ばれた人々であります。選挙における個人々々の利害得失を離れ、党利党略を離れて、公平に選挙法の欠陥を是正するために選ばれた人々であります。その答申案が、買収、供応の非を指摘して、後援会の寄付や、運動員報酬の看板に隠れての悪質違反を野放しにすることを制肘し、罪を家族になすりつける卑劣、冷酷むざんな行為を押える連座制の規定がきびしいからといって、曲学阿世の徒とは、一体何事でしょうか。(拍手)痛いところをつかれて、みえも外聞もなく、たけり立った買収選挙常習者の醜態を、はしなくも暴露した言葉であり、その後における委員会の運営は全く正常を欠き、福永一臣君のごとき、みずからの発言をみずから打ち切るの愚をあえてなしてまで、買収選挙援護の狂態を演じ出したのであります。(拍手)
 自治大臣安井謙君、あなたは始終あの席におり、あの暴言を聞き、あの狂態を見ておられた。あなたのまじめさ、あなたの良識、さらに一点良心の残るものがあるならば、あなたはあの状態を見ているに耐えなかったはずであります。審議会の長谷部忠君は、苦心の答申案が政府にくず紙のように捨て去られる恥辱に耐え得ずして、委員を辞任したではありませんか。政府案でさえ、今日の選挙の醜態を粛正する力なしとして、地位を去ったではありませんか。あなたは国務大臣です。自治大臣です。政府が推薦した委員が任を辞し、おのれの提案したものが改悪され、しかも、国会正常化の唱えられておる今日、あなたの目の前で、党利党略、私利私欲のために、国会審議のルールが完全に踏みにじられているありさまを見て、あなたは、なぜ今日の弾劾を待つまでもなく、その職を退かなかったのでしょう。自由民主党の党員としてあえてなしあたわない事情があるというならば、あなたは、公明選挙推進のために、自由民主党を脱しても、あなたの良心に従うべきではなかったでしょうか。(拍手)あなたは、自治大臣として、選挙制度審議会委員長谷部忠君の良心のかけらさえなかった、長谷部君だけの勇気もなかった。しかも、日本の選挙制度は今や汚濁の泥沼に沈み、日本の民主政治は危殆に瀕している。日本社会党は、公明選挙を推進し、民主政治を守るために、今や良心を失い、勇気を失った自治大臣安井謙君の在任をこれ以上許すことはできない。
 この決議案も、与党多数のために葬り去られるだろうと、あなたはわずかに気を休めているかもしれない。しかし、この弾劾は、この議場を通じて国民全体に対しての訴えであります。多数はいつまでも多数ではありません。現にあなたが監督の責任を持っておる全国の消防団は、消防会館にまつわる醜聞に憤って、先般の大会で自由民主党攻撃の火の手をあげていることは、あなたも御承知のところだと思う。やがて迎えられる参議院選挙にあたりまして、公明選挙を口にする政府・与党の諸君が、いかにこのたびの改正論議をめぐって、買収地盤擁護のために醜い動きをし、きたない取引をしたかが明らかにされ、あなたに対する指弾の火の手の猛烈に燃え上がることをあなたは覚悟せねばならない。(拍手)消防団員もおそらくその火は消さないでしょう。
 聞くところによれば、与党の中にもこの選挙法の修正のまずさに不満を持っておる人々もおるという。安井謙君、いたずらにハトが豆鉄砲を食ったようにおどおどするばかりが能じゃありません。鳥の死せんとするや、その声よし、今、内外の指弾の中に立って、命脈すでに幾ばくもない君が、この決議の成ると成らざるとに関せず、最後の勇気をふるって、日本社会党の不信任の前に、自決せられんことをあわせ望んで、私の趣旨説明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 本案につき、討論の通告がありますから、順次これを許します。竹山祐太郎君。
  〔竹山祐太郎君登壇〕
○竹山祐太郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました安井自治大臣不信任決議案に対し、反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 安井自治大臣は、一昨年十二月、自治大臣就任以来、地方自治及び選挙制度運営の衝に当たってきたのでありまして、特に、選挙制度の運営については、日夜肝胆を砕き、公明選挙運動という困難なる活動を推進するかたわら、わが党がつとに標榜する公正にして明朗なる選挙の実現のため、選挙制度の改正に日夜腐心して参ったのであります。
 選挙法は、選挙民の立場からも、議員の立場からも、最も議論が多く、その取り扱いは、国会において最も困難なものであることは、お互いに理解できるところであります。この間、安井自治大臣は、異常な苦心と努力を払って、この画期的な改正案をまとめられたのであります。その立法及び審議の過程を通じて、国民の強く要望する選挙法の改正に尽くしてきたその真摯な努力は高く評価せらるべきであります。(拍手)
 私は、社会党の諸君のいろいろあげられた事柄に一々反発する必要も感じません。社会党が選挙法の改正に反対をされることは御自由であります。しかし、自治大臣不信任の理由は承服するわけにはいきません。よって、ここに、党利党略に基づく本不信任案に対し、断固反対するものであります。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 岡本隆一君。
  〔岡本隆一君登壇〕
○岡本隆一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました安井自治大臣に対する不信任決議案に賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 まず第一に、私が安井自治大臣を信任せずとする理由の最大のものは、公職選挙法の国会提案に際する彼のだらしない態度であります。
 公職選挙法の改正は決して新しい課題ではありません。公明選挙こそは長い日本の民主政治の中の宿題であるといわなければなりません。残念ながら今日の日本の政治は汚濁と欺瞞に満ちております。かつて私はある知識人に、政治家というものはどこからかしらわけのわからない金が入ってきて、まるで金のなる木でも持っているように思っている人が多いが、あんたはどう思いますか、こういうふうに尋ねましたところが、いや実は私もそう思っている。こういうふうに答えられて私はがっかりしたことがございました。しかし、悲しいことにはそれが日本の今日の現実であります。そういうことが国民の常識となりつつあるところにおそろしさがあると私は思うのであります。どうしてそういうことになったのか。今の選挙にあまりにも金がかかるということであります。そのために日本の政治がどれだけ毒されているかは、すでに万人の知るところでありまして、戦後の日本の政治史の一面は汚職の歴史であるといっても過言ではありません。古くは昭電疑獄から海運疑獄に陸運汚職、さらには肥料をめぐる農林汚職から中古エンジンを中心にした通産汚職、はてはグラマン、ロッキードと汚職は空まで舞い上がる始末でありまして、日本の政府当局はまさに汚職のオンパレード、繚乱たる汚職の花は毒々しい色彩をもって霞ケ関を埋めているともいうべきであります。(拍手)それに驚いた国民の良識は、今のうちに何とかしなくてはならない、これを放置するときは、国民の政治への失望がやがては日本に再び独裁政治やクーデターを招くであろうということを心配いたしまして、それが公職選挙法の改正を強く要望する声となって参りました。公職選挙法の改正の問題は、単なるあこがれ的存在ではありません。長い汚濁に満ちた日本の政治の泥沼の中から、これではならないと咲き出ようとする白蓮にも似たものというべきであります。
 かくて、政府は国民の要望にこたえて選挙制度審議会を設置し、同審議会は昨年末、せめてこの線だけは守られたいという最低の線を答申として打ち出して参りました。この答申案はわれわれの目から見ますときは、決して満足すべき程度のものではありません。ところがこの最低の線の改正ですら、自民党では非常な不満が爆発をいたしました。法案化の過程におきまして、安井さんが党内各派の親分衆に内意を伺いますと、貴様はどこの党の大臣かとどなられたということでありますが、まことに不見識きわまれりというべきであります。(拍手)そして、それにおそれをなしたのか、党内の修正によりまして、ずたずたにされた修正案を国会に提案して参りました。
 由来、選挙法は、議員みずからの選出のルールをきめるものでありますから、その制度の改正にあたっても、選挙する側の国民の意思を十分に尊重しなければなりません。けだし、選挙制度審議会設置法にも、第三条に、政府は答申を尊重しなければならないと規定されているのも当然であります。しかるに、安井自治相はこれを尊重せず、ただ党内のあらしにゆらぐうらなりビョウタンのように、ぶらりぶらりと与党の言いなりほうだいになっているということは、全くその無定見、無節操ぶりを暴露したものでありまして、その姿の情けなさは、いとあわれというほかありません。(拍手)その結果といたしまして、連座制の強化は廃止されて、買収、供応はやりほうだい、政治資金規正の強化も大幅に後退いたしまして、汚職、疑獄も大歓迎、高級公務員の立候補制限も有名無実となりまして、役人は権力と税金を使って事前運動勝手次第、これでは何のための選挙法改正かと、国民の怒りを買うのも当然といわなければなりません。(拍手)
 先ごろ大平官房長官は審議会の答申を評して、評論家のような偉い人ならいざ知らず、われわれふぜいでは、答申のような選挙法では、とても国会に出てこられないと言われた由でありますが、もしこの報道にして真実であるとするなれば、まさに語るに落ちたというべきであります。自民党の代議士諸君は、ほとんど買収によって当選してきたものであるということを、池田内閣の大番頭が裏書きしたものでありまして、(発言する者多し)また、私の敬愛する伴睦大人は、しろうとに作らせるから、あんなことになるのだと言われたそうであります。これも、けだし語り得て妙というべきであります。俗にどろなわという言葉がございます。これは、どろぼうを見てなわをなうということでありますが、これを俳人伴睦流に言うなれば、どろぼうになわをなわせろということになるのでありまして、これでは、とうてい満足な選挙法はできっこありません。(拍手)
 このようにして、安井自治大臣が答申案を無視して国民の期待を裏切り、与党の言いなりほうだいになって、完全な骨抜きにされた選挙法の改正案を今国会に提案して参りましたことは、国民を愚弄するもはなはだしく、無節操のきわみというべきでありまして、ただこの一事をもってしても不信任の理由としては余りあるものと私は思うのであります。(拍手)
 次に、安井自治大臣を不信任とする理由の第二は、選挙法改正案提出後、さらに自民党と共謀して、これを大幅に改悪、後退せしめた、その節度をわきまえざるふがいない態度にあります。
 いやしくも党内の意見を一応調整して、それを政府原案として提出した限り、さらにそれを党内圧力によって改悪されるなどということは、政党内閣にあって考えらるべきことではありません。しかるに、政府原案は、与党議員によってさらに修正改悪され、後援会寄付は緩和されて、第三者名義にすれば金は使いほうだいにされ、運動員に報酬を出せることにいたしまして、買収を公認するなど、まさに買収、供応の常習犯はこれで天下ごめんになったと欣喜雀躍しているありさまであります。(拍手)昨夜本案を採決いたしました委員会で、一昨年の選挙で大がかりな違反を行なった議員が賛成と大声で叫んで立ち上がる姿は、まさにこれを物語るものでありました。(拍手)一たん骨抜きにしたものをさらに小骨までなますに刻んで、あげくの果ては豚のえさ同然、もし安井自治大臣に一片の骨ありとするなれば、このような理不尽に対しては、当然職を賭して党内のわかろずやと戦うべきであります。公正なるべき選挙法を歪曲し、これを骨抜きにせんとするがごときやからは、まさにみずから買収、供応によって選挙を汚し、収賄、汚職によって政治を毒さんとする手合いでありますから、そのような無頼にもまごうべき集団の圧力に屈するとは、安井さんには政治的信念のかけらも持ち合わせないものと断ぜざるを得ません。(拍手)今回の選挙法の大がかりな埋め立てを許したものと思うのでありますが、これでは民主政治の根幹をなす選挙制度の行政責任者の地位にあるととは断じて許すことができません。これが安井自治大臣不信任の第二の理由であります。
 さらに安井自治大臣は、同時に国家公安委員長であります。国の行政権のうち最も強くじかに国民のはだに触れるものは警察権であります。それだけに、これを預かる者は、最も公正にして責任感の厚い人材でなければなりません。
 さきにわが党の浅沼委員長が右翼テロに倒れました際には、時の公安委員長の山崎さんは、事の重大なるを知って、職を辞してその責任を明らかにされました。(拍手)その際、山崎さんという人は、私はさすがに気骨ある内務官僚だと感心させられたものでございました。次いで間もなく嶋中事件が起こり、たび重なる右翼の言論封殺行動に対し、国民は、再び日本を戦前のような黒い霧で取り巻こうとするものではないかと大きな怒りを発しました。その声に応じて、安井さんは山崎さんを見習って職を辞して責任を明らかにするのかと思いましたが、さにあらず、今日なお恋々として、そのいすにしがみついております。しかも、間もなく自民党からは、テロも悪いがデモも悪いなどという奇想天外な理屈をつけまして、政防法なる治安立法を国会に持ち出して参りました。国会は再び安保騒動と同じような混乱に陥りました。およそ一国の治安は政府がその責任を負わなくてはなりません。治安を維持するために立法措置が必要であるなれば、政府がみずからその責任において立法措置を講ずべきであります。ところが政府は、これに対して全く無策であるのみか、与党のはね上がった連中に突き上げられて、政防法の国会提案を押えることができず、国会のたび重なる混乱の原因を作ったのであります。これは全く自治大臣の無為無策が原因となったものでありまして、この際にも安井さんが当然進退を決すべき機会があったわけであります。(拍手)これ自治大臣を不信任とする第三の理由であります。
 およそ人間は、おのれを知るとともに、その出処進退はいさぎよくなければなりません。恥多くして長く生きんよりは、散るべきときを知る桜こそ日本の花とされております。私は、安井自治大臣がこの機会にいさぎよく辞意を表明して、その責任を明らかにされることをこいねがうとともに、自民党の議員諸君にも恥知らずな公職選挙法の改悪を思いとどまり、諸君の同僚である自治大臣の無能なるをよく認識して、本不信任決議案に賛成されんことを切望いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) ただいまの岡本君の発言中に、もし不穏当または議題外の言辞がありますれば、速記録を取り調べの上、適当な処置をとることといたします。
 これをもって討論は終局いたしました。
 よって、採決に入ります。
 この採決は記名投票をもって行ないます。本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
○議長(清瀬一郎君) 氏名点呼を命じます。
  〔参事氏名を点呼〕
  〔各員投票〕
○議長(清瀬一郎君) 投票漏れはありませんか。
  〔「あります」と呼ぶ者あり〕
  〔投票継続〕
○議長(清瀬一郎君) ほかに投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
  〔議場開鎖〕
○議長(清瀬一郎君) 投票を計算いたさせます。
  〔参事投票を計算〕
○議長(清瀬一郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔事務総長報告〕
 投票総数 二百七十九
  可とする者(白票)   九十九
  〔拍手〕
  否とする者(青票)   百八十
  〔拍手〕
○議長(清瀬一郎君) 右の結果、自治大臣安井謙君不信任決議案は否決せられました。(拍手)
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 山本幸一君外四名提出自治大臣安井謙君不信任決議案を可とする議員の氏名
      安宅 常彦君    足鹿  覺君
      有馬 輝武君    淡谷 悠藏君
      井手 以誠君    石川 次夫君
      石田 宥全君    石橋 政嗣君
      石村 英雄君    石山 權作君
      板川 正吾君    稻村 隆一君
      太田 一夫君    岡  良一君
      岡田 利春君    岡田 春夫君
      岡本 隆一君    加藤 勘十君
      加藤 清二君    片島  港君
      勝澤 芳雄君    勝間田清一君
      角屋堅次郎君    川俣 清音君
      川村 継義君    河上丈太郎君
      河野  正君    木原津與志君
      北山 愛郎君    久保 三郎君
      久保田 豊君    栗原 俊夫君
      栗林 三郎君    黒田 寿男君
      小松  幹君    兒玉 末男君
      佐々木更三君    佐藤觀次郎君
      阪上安太郎君    實川 清之君
      島上善五郎君    下平 正一君
      東海林 稔君    杉山元治郎君
      田口 誠治君    田邊  誠君
      田原 春次君    多賀谷真稔君
      高津 正道君    滝井 義高君
      楯 兼次郎君    辻原 弘市君
      堂森 芳夫君    中澤 茂一君
      中島  巖君    中嶋 英夫君
      中村 英男君    楢崎弥之助君
      二宮 武夫君    西宮  弘君
      西村 力弥君    野口 忠夫君
      野原  覺君    畑   和君
      原   彪君    日野 吉夫君
      平岡忠次郎君    広瀬 秀吉君
      藤原豊次郎君    帆足  計君
      穗積 七郎君    堀  昌雄君
      前田榮之助君    松平 忠久君
      松原喜之次君    松前 重義君
      松本 七郎君    三宅 正一君
      森島 守人君    八木 一男君
      矢尾喜三郎君    山内  広君
      山口シヅエ君    山口 鶴男君
      山中 吾郎君    山花 秀雄君
      湯山  勇君    吉村 吉雄君
      渡辺 惣蔵君    受田 新吉君
      内海  清君    片山  哲君
      佐々木良作君    田中幾三郎君
      玉置 一徳君    西村 榮一君
      門司  亮君    本島百合子君
      谷口善太郎君
 否とする議員の氏名
      相川 勝六君    逢澤  寛君
      愛知 揆一君    赤城 宗徳君
      秋山 利恭君    足立 篤郎君
      天野 公義君    綾部健太郎君
      荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君
      有馬 英治君    井原 岸高君
      井村 重雄君    伊藤 五郎君
      伊能繁次郎君    飯塚 定輔君
      生田 宏一君    池田 清志君
      池田 勇人君    池田正之輔君
      宇田 國榮君    上村千一郎君
      植木庚子郎君    臼井 莊一君
      内田 常雄君    内海 安吉君
      小笠 公韶君    小川 半次君
      小川 平二君    小澤佐重喜君
      小澤 太郎君    尾関 義一君
      大上  司君    大竹 作摩君
      大橋 武夫君    大村 清一君
      大森 玉木君    岡崎 英城君
      岡田 修一君    岡本  茂君
      加藤 高藏君    加藤常太郎君
      加藤鐐五郎君    賀屋 興宣君
      金子 一平君    上林山榮吉君
      亀岡 高夫君    鴨田 宗一君
      唐澤 俊樹君    川野 芳滿君
      菅  太郎君    簡牛 凡夫君
      木村 公平君    岸本 義廣君
      北澤 直吉君    久野 忠治君
      草野一郎平君    小泉 純也君
      小枝 一雄君    小金 義照君
      小坂善太郎君    小平 久雄君
      纐纈 彌三君    佐々木秀世君
      佐々木義武君    佐藤 榮作君
      佐藤虎次郎君    佐藤洋之助君
      佐伯 宗義君    齋藤 憲三君
      坂田 英一君    坂田 道太君
      櫻内 義雄君    薩摩 雄次君
      始関 伊平君    椎熊 三郎君
      重政 誠之君    篠田 弘作君
      首藤 新八君    正示啓次郎君
      白浜 仁吉君    壽原 正一君
      鈴木 正吾君    鈴木 仙八君
      鈴木 善幸君    砂原  格君
      瀬戸山三男君    園田  直君
      田口長治郎君    田澤 吉郎君
      田中伊三次君    田中 角榮君
      田中 正巳君    田邉 國男君
      高田 富與君    高橋  等君
      高見 三郎君    竹内 俊吉君
      竹下  登君    竹山祐太郎君
      舘林三喜男君    谷垣 專一君
      中馬 辰猪君    津雲 國利君
      塚原 俊郎君    綱島 正興君
      渡海元三郎君    徳安 實藏君
      床次 徳二君    内藤  隆君
      中垣 國男君    中島 茂喜君
      中野 四郎君    中村三之丞君
      中山 榮一君    中山 マサ君
      永田 亮一君    永山 忠則君
      灘尾 弘吉君    南條 徳男君
      二階堂 進君    丹羽喬四郎君
      西村 英一君    西村 直己君
      野田 武夫君    野原 正勝君
      馬場 元治君    服部 安司君
      花村 四郎君    濱田 幸雄君
      濱地 文平君    濱野 清吾君
      早川  崇君    原 健三郎君
      原田  憲君    福家 俊一君
      福田 赳夫君    福田  一君
      福永 一臣君    藤井 勝志君
      藤枝 泉介君    藤原 節夫君
      藤本 捨助君    藤山愛一郎君
      古川 丈吉君    保科善四郎君
      星島 二郎君    細田 義安君
      細田 吉藏君    本名  武君
      前尾繁三郎君    前田 義雄君
      牧野 寛索君    益谷 秀次君
      増田甲子七君    松浦 東介君
      松澤 雄藏君    松永  東君
      松野 頼三君    松村 謙三君
      松本 俊一君    松山千惠子君
      三木 武夫君    水田三喜男君
      南好  雄君    村上  勇君
      毛利 松平君    森   清君
      森下 國雄君    森田重次郎君
      森山 欽司君    柳谷清三郎君
      山口 好一君    山崎  巖君
      山手 滿男君    山中 貞則君
      山村新治郎君    米山 恒治君
      早稻田柳右エ門君    渡邊 良夫君
     ――――◇―――――
 肥料審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
○議長(清瀬一郎君) お諮りいたすことがあります。
 内閣から、肥料審議会委員に本院議員足鹿覺君、同重政誠之君、同首藤新八君、参議院議員北村暢君、同堀末治君を任命するため、国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。
     ――――◇―――――
 旧軍港市国有財産処理審議会委員任命につき同意を求めるの件
○議長(清瀬一郎君) 次に、旧軍港市国有財産処理審議会委員に荒井誠一郎君、田中治彦君、千金良宗三郎君、中村建城君、渡辺武次郎君を任命したいので、旧軍港市転換法第六条第四項の規定により本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出の通り同意を与えるに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 商店街における事業者等の組織に関する法律案(首藤新八君外四十四名提出)
○議長(清瀬一郎君) 日程第一、商店街における事業者等の組織に関する法律案を議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。商工委員長早稻田柳右エ門君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔早稻田柳右エ門君登壇〕
○早稻田柳右エ門君 ただいま議題となりました商店街における事業者等の組織に関する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 本案は、商店街において共同経済事業及び環境整備事業を行なう組織として商店街振興組合の制度を創設し、これを活動主体として商店街の振興と繁栄をはかろうとするものでありまして、そのおもなる内容は次の通りであります。
 第一点は、商店街振興組合は、その地区内において商業またはサービス業を営む者三十人以上をもって組織し、組合の地区は商店街が形成されている市または特別区の区域とし、既存の商工会の地区には設立できないこととしたことであります。
 第二点は、組合の事業は、組合員の共同施設、商品券の発行、事業資金の貸付、福利厚生施設等の共同経済事業並びに街路灯、アーケード、駐車場等の施設、休日、開閉店時刻、土地の合理的利用に関する計画の設定とその実施、建築協定に関する指導あっせん等の環境整備事業とすることであります。
 第三点は、組合に対し、政府が補助金を交付することができることであります。
 本案は、四月十三日当委員会に付託せられ、十九日提案理由の説明を聴取し、二十七日に至り、質疑を終局し、引き続き、委員全員より、法律の題名を商店街振興組合法に改めること、その他を内容とする修正案が提出されましたので、直ちに採決に付しましたところ、全会一致をもって修正案の通り修正すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、委員会全員の提出にかかる附帯決議が付されましたが、その内容等については会議録を御参照願いたいと存じます。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
 日程第二 農業災害補償法の一部
  を改正する法律案(第三十九回
  国会、内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) 日程第二、農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員長野原正勝君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔野原正勝君登壇〕
○野原正勝君 ただいま議題となりました農業災害補償法の一部を改正する法律案について、農林水産委員会における審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 現行農業災害補償制度は、その実施以来数次の改正を加えつつすでに十数年を経過したのでありますが、その間、本制度が災害対策として農業経営の安定に多大の寄与をして参りましたことは、あらためて申し上げるまでもないところであります。しかしながら、最近におきましては、農業技術の進歩と生産基盤の整備等によって、農業災害の発生の態様も変化して参りました関係などから、本制度が農村の実情に必ずしも即応しない面も現われ、各方面からその改正が強く要望されてきたのでありますそこで、政府としても、その要望にこたえ、関係者や学識経験者等の意見を聴取し、慎重に検討をいたしました結果、本制度の適正かつ円滑な運営、特に市町村段階における共済責任の強化と自主性の尊重及び農家負担の軽減をはかることを主眼とし、農作物共済を中心に農業災害補償法に一部改正を加えようとして、本案が提出せられたのであります。
 以下、本案のおもな内容を申し上げますと、まず第一に、現在農作物共済について当然加入の基準としている農業者の耕作規模等を地方の実情によって引き上げ、任意加入資格者の範囲を広げるとともに、事業量が少ない組合等は、農作物、蚕繭等については共済目的別に事業を廃止することができること、第二に、現行の一筆収量建引き受け方式を原則的に農家単位収量建引き受け方式に改めるとともに、補てん内容を充実すること、第三に、通常災害に対応する共済責任については、組合等がその全部を持つが、組合等は、必要に応じ、手持ち責任の一部を農業共済組合連合会の保険に付することができること、第四に、農業保険事業団は、農作物共済についての保険事業並びに蚕繭、家畜共済について再保険事業を行なうこと、第五に、水稲について病虫害防除態勢の備わっている地域の農業共済組合等では、病虫害を共済事故から除外することができること、第六に、共済掛金率は、現行制度では都道府県ごとに標準率が定められ、これを都道府県内の危険階級別に割り振って基準率を定めることとなっておりますが、これを改め、農業共済組合等ごとにその過去における被害率を基礎として基準率を算定し、これを必要な場合には、その区域内においても幾つかの地域に分けて定めることができる仕組みにすること、第七に、共済掛金の国庫負担割合は、現在都道府県別に一率となっているものを農業共済組合等別に共済掛金基準率の高低に比例して定めることとし、その個別化をはかること、第八に、新制度は昭和三十八年産水陸稲、昭和三十九年産麦から実施すること等がそのおもな内容であります。
 以上、本案の骨子について申し上げましたが、本案は、第三十八回国会において、農業災害補償制度改正関係法律案として農業保険事業団法案とともに内閣から提出され、審議未了となった同じ題名の法律案と同一内容のものでありまして、昨年九月二十七日、第三十九回国会に再提出され、十月四日政府から提案理由の説明を聴取したのみで今国会に継続審議となり、去る二月二十二日、本案について、施行期日を一年延期して昭和三十八年二月とし、新制度は、昭和三十八年産水陸稲から実施すること等について政府修正が加えられたのであります。
 今国会において、農林水産委員会は、一月三十日政府から補足説明を聞き、次いで、四月二十五日から二十七日までの間、三回にわたり質疑を行ない、その間、審査に慎重を期するため、元農業災害補償制度協議会議長清井正君及び千葉大学講師山内豊二君から参考意見を聞くなどして、四月二十七日質疑を終わったのであります。しこうして、自由民主党及び民主社会党の両党共同により、通常災害の責任はその大部分を共済組合などに保有せしめ、その一部分を連合会の保険に付することとし、この部分の責任は連合会に保有させることとすること、通常災害を越えるものについては、共済組合等はこれを連合会の保険に付し、連合会は都道府県ごとにこれを取りまとめ国の再保険に付することとすること、農作物共済の引き受け方式は現行通り一筆収量建方式とすること、農業保険事業団の設立は取りやめることとすること、掛金の農家負担軽減のための暫定措置を講ずること等について修正を加え、本修正に対する内閣の意見を聴取した後、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案とともに内閣から提出されました農業保険事業団法案は、本案を修正議決すべきものと議決したことに伴い、議決を要しないものと議決いたしましたことをこの際特に申し添えておきます。以上をもって御報告を終わります。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 本案については、討論の通告がありますから、これを許します。栗林三郎君。
  〔栗林三郎君登壇〕
○栗林三郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました農業災害補償法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行なわんとするものでございます。(拍手)
 昭和二十二年制定されて以来今日まで、不慮の災害から農民を守り、農業経営の安定に多くの寄与をして参りました現行農業災害補償法も、最近における技術の進歩、生産基盤の整備等によって農業災害の発生の態様も著しく変化して参りました関係等から、この制度が、実情に即応しない多くの面が現われて参ったのでございます。すなわち、この制度に不満を持つ多くの農民諸君は、あるいは解散決議をあげ、あるいは事業停止の運動など、各地に激発する情勢になって参ったのでございます。
 かくて、各方面から現行制度の抜本改正が強く要望されて参ったのでございます。その結果、政府は昭和三十五年四月、農林省に農業災害補償制度改正協議会を設置して、各政党代表、各界代表を含めて四十四人の委員によってこの協議会が発足したのでございます。わが党は、足鹿、中澤の両氏をこの協議会に送って、その審議に参画せしめたのでございます。同協議会は熱心に抜本改正に取り組み、三十五年十月に答申がなされたのでございます。わが党は必ずしもこの答申に満足ではなかったが、現段階における制度改革の一歩前進であると見て、答申の線で改正されることを要望し、かつ期待しておったものでございます。
 しかるに第三十八国会に提出された政府の改正案は、協議会の答申はもとより、現行法よりもはるかに後退したものでありまして、政府・自民党はみずから代表の委員を出しておきながら、まとまった答申案に対して一方的にこれを無視したことは、公党として信義に反する行為でありまして、断じて許すことができないと思うのでございます。(拍手)こうした不信行為は、世論の憤激を巻き起こしたことは当然でございます。わが党もまた反対をいたしまして、ついにこの法案は不成立のまま今日まで継続審議として持ち越されたものでございます。
 私は、これよりわが党の主張する抜本改正の重要点を明らかにしながら、政府原案がいかに協議会の答申を無視したものであるか、抜本改正に値する何ものもない、単なる手直し程度にすぎないものであるかを明らかに暴露したいと思うものでございます。
 まず、答申案の中で最も重要な抜本的改正ともいうべき二、三の点について申し上げてみたいと思います。
 その第一は、機構の簡素化についてであります。これは中央にある農業共済再保険特別会計を中心にして、これに農業共済基金を加え、さらに全国農業共済協会の機能をも吸収して、中央機構の一本化をはかり、農業共済保険事業団を新設することになっておるのでございます。地方にありましては、都道府県の共済連合会を廃止して、事業団が連合会の行なっておる共済保険事業に関する一切の業務を承継するととになっておるものでございます。かくのごとく、機構の簡素化によりまして、事務能率の向上、農民負担の軽減に資することまことに大なるものがあるのでありまして、これこそ抜本改正に値する改正の一つでございましょう。しかるに政府原案は、地方府県の共済連合会には何ら手を触れず、中央にのみ事業団を設置するというのであります。しかも農業共済基金には何ら手をつけようともせず、ただ農林省内にある再保険特別会計のみを、あたかもじゃま者扱いをするかのごとく、これを外へほうり出して、これに保険事業団という名前をつけたにすぎないのでございます。かくのごとく、中央にのみ事業団を設置することは、無く無意義といわなければなりません。このようなわが党の主張によりまして、政府、自民党もその無意義を悟りしものか、修正案を見ますと、この事業団が完全に削除されておるのでございます。
 第二に申し上げたいことは、市町村共済組合の共済責任の拡大でございます。すなわち、現行法では、共済責任のうち一割を組合に保留し、残り九割は全部連合会の保険に付することになっておるものでございます。これを通常標準被害率以下のいわゆる通常部分の責任は全部町村に保留し、これを越える部分は事業団の保険に付することとし、現行法の三段階の保険設計を二段階に改めたものでございます。通常部分を町村に保留することによって、幸い被害等がなかった場合には、これらの手持ち資金を財源として、無事戻し制の完全実施等も可能になるわけでございます。ところが、政府原案によれば、この通常責任部分の一部を県連合会の保険に付することができると改められておるのでございます。従いまして、せっかく町村組合の共済責任を拡大し、二段階の保険設計になるように、機構改革もこれに合わせて答申しているにもかかわらず、これまた改悪されて、二段階半の保険設計になった次第でございます。
 第三の重要点は、組合は共済目的ごとに組合員三分の二以上の同意によってその共済事業を中止することができる、また、その共済事業を廃止した場合においても、二分の一以上の同意を得ればその共済目的の事業を再び実施することができると規定したことでございます。このことはきわめて重大な事柄でありまして、御承知の通り、現行制度は強制加入方式で成立しておるのでございます。農家の保険需要が少ないこと、逆選択が行なわれる等の事情から考察いたしますならば、わが国の農業保険制度の成立は任意制をもっては不可能と見られておるのでありまして、わが党も、現時点における共済保険制度成立のためには強制加入制もやむなしと考えておるものでございます。しかしながら、農民の自主性や農民の不平不満等をすべて権力によって強制し、何でも押しつけるということでありますならば、これは明らかに弾圧であり、圧制といわなければなりません。いかに強制加入の方式といえども、農民の自主性の尊重と民主主義の精神がどこかに生かされなくてはならないものと信ずるものでございます。現行法第四十六条の解散権の規定は、この精神から規定されているものと存ずる次第でございます。われわれはこの意味において、農民の自主的解散の完全実施を強く主張して戦って参ったものでございます。しかして、答申案にはこの解散とは別に、先ほど申し上げました通り、共済目的ごとに三分の二以上の同意ある場合には、その目的事業のみを中止することができるようにいたしたのでございます。しかるに、政府原案によりますと、これにきびしい制限を加えてあるのでございます。すなわち「事業量が僅少であること」という制限をつけ加えたのでありまして、これでは事業上共済目的ごとの事業中止は認められなくなるわけでございます。
 以上申し述べて参りましたごとく、答申案の重要なる部分は何ら尊重されていないことは明らかでありまして、わが党が反対する第一の理由はここにあるわけでございます。
 私は、答申案を中心にして政府原案を批判して参りましたが、今度は農民の負担軽減の問題に関して、さらには政府原案の欺瞞性と巧妙なごまかしを追及してみたいと存ずるものでございます。
 政府は、改正案の提案理由の中にこう言っております。農家負担の軽減をはかることを主眼として改正を加えることにした、と言っておるのであります。はたして改正案によった場合、農民の負担が軽減されるかどうか、まことに重大な問題でございます。すなわち、農民の掛金に関する問題でありますが、今回の改正によりますと、農作物共済の料率の設定方法と、共済掛金の国庫負担方式が変更になるわけでございます。これを簡単に申し上げますと、掛金率は今まで都道府県別に設定されていたのでありますが、今回は町村組合ごとに料率を設定することになるのでございます。ところが、このような制度改正によって逆に掛金が高くなる組合が、全国組合総数四千組合のうち千二百六十に及ぶことが明るみに引き出されたのでございます。料率の合理化はわかりますけれども、そのために農民の掛金が安くなるどころか反対に高くなるのでは、何のための改正ぞやといわざるを得ないではありませんか。(拍手)一方、掛金の国庫負担方式の変更によって、これまた農家負担の増高する事態が、北海道を初め、続続現われて参っておるのでございます。
 かくのごとく、政府・自民党は、農家負担の軽減を主眼として改正するのだといっておきながら、それとは反対に農民負担が高くなるというのが政府原案の実体でありまして、これこそ農民欺瞞でなくて何でありましょう。しかして、政府・自民党は、これら改悪、欺瞞性の暴露を極度におそれたもののごとく、昨日農林水産委員会においては、この改正法案に対して、わが党はたった一人の質問すら完了しておらないのでございます。
○議長(清瀬一郎君) 栗林君、申し合わせの時間が過ぎておりますから、なるべく簡単に願います。
○栗林三郎君(続) 一人のわが党の西宮氏の質問すら終了しないうちに、強引に質疑打ち切りの暴挙を強行したのでございます。
 かくして、与党自民党は、さすがに政府原案をまるのみにするわけにもいかず、わが党の正しき主張に耳をおおうわけにも参らないと見えまして、ここに修正案を提出するに至ったもののようでございます。
 修正案の骨子を見ますと、一、農産物共済引き受け方式は現行通り一筆収量建とすること、一、保険事業団の設立を取りやめること、一、掛金の農家負担軽減のため、附則第七条を改正し、国庫負担方式の変更によって生ずる農民負担の増高を調整する等々でありまして、との程度の修正では、現行法への逆戻りであり、何ら抜本的改正、抜本的修正とは、おせじにも言うことはできないのでございます。また附則七条の改正だけでは、一方、制度改正の料率改正に伴う掛金の増高の問題は何ら解決されるものではないのでございます。
 私の今までの討論の中で明らかなごとく、一、答申案が完全に無視されているということ、一、抜本改正に値する何ものもないということ、一、現行法に逆戻りの後退案であるということ、一、農民負担の軽減が何らなされず、かえって負担が高くなるということ、以上の四つの理由をもって、本法案には断固反対の意思を表明し、私の反対討論を終わる次第でございます。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) これをもって討論は終局いたしました。
 これより採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
 日程第三 公職選挙法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) 日程第三、公職選挙法等の一部を改正する法律案、日程第四、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。公職選挙法改正に関する調査特別委員長加藤常太郎君。
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
  〔加藤常太郎君登壇〕
○加藤常太郎君 ただいま議題となりました公職選挙法等の一部を改正する法律案及び国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
 最初に、公職選挙法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 御承知のごとく、本案は、昨年十二月の選挙制度審議会の答申の趣旨に基づいて、従来現行選挙制度のもとにおいて各方面で論議されておりましたほとんどすべての問題にわたり、所要の改正を加えようとするものであり、憲法上の問題、あるいは立法技術上の困難のある二、三の点を除いては、答申をほぼそのまま立法化したものであります。
 本案につきましては、去る三月一日の本会議において、安井自治大臣より詳細にわたり趣旨の説明がなされておりますので、おもな改正事項について申し上げるにとどめたいと存じます。
 本案は、公職選挙法及びこれと関連する政治資金規正法等の改正でありまして、そのおもな内容は次の通りであります。
 まず第一は、選挙運動の制限をでき得る限り緩和いたしております。
 第二は、現在の個人本位の選挙運動を、政党本位の方向に進めるようにいたしております。
 第三は、選挙公営の拡充強化と選挙運動費用の合理化をはかっております。
 第四は、選挙違反についての制裁を強化し、また罪の短期時効を廃止いたしております。
 第五は、公務員の地位利用による選挙運動に対する規制を強化いたしております。
 第六は、選挙に関する寄付等の規制を厳正にいたしております。
 第七は、政党その他の政治団体に対する寄付に制限を加えたこと等であります。
 本案は、去る三月三日に安井自治大臣より提案理由の説明を聴取して以来、十数回にわたり委員会を開き、池田内閣総理大臣、安井自治大臣及び植木法務大臣等との間にきわめて熱心な質疑応答が行なわれ、また、四月九日及び十日の両日にわたり、特に公聴会を開き、十五名に及ぶ多数の公述人より意見を聴取する等、きわめて慎重に審議を重ねて参りました。
 この間、三月二十二日には、島上善五郎君外二名より、高級公務員の立候補制限、連座制の強化、政治資金規正の強化の三点につき、審議会の答申とおおむね同様の修正案が提出され、数回にわたり質疑が行なわれ、また公聴会におきましても、政府案との関連において公述人より意見を聴取いたしました。
 次に、質疑のおもな点について申し上げます。
 まず、公務員等の地位利用による選挙運動の禁止についてでありますが、これについて、「政府案は何ゆえ高級公務員等の立候補を制限するという答申を変更したのか」という質疑に対し、「単に高級公務員であるからといって立候補を制限することは、憲法上にも疑義があり、また合理的根拠に基づいて、職名を限って制限すればその疑いはなくなるが、立法技術上きわめて困難であり、不可能に近い」旨の答弁がありました。
 次に、連座制の強化に関してでありますが、これについては、「今回の改正案が新たに親族をも連座の対象としたことは、個人尊重の民主主義の時代精神に逆行するものではないか。また、当選無効訴訟について、これを答申のように当然失格となすべきではないか」との質疑に対しては、「連座制は例外中の例外であり、候補者を失格させるのが目的でなく、選挙の公明化を期するためのものであるから、この際この程度の改正はやむを得ない。また、当然失格の問題については、候補者に何の抗弁の機会をも与えずして直ちに失格させることは、憲法上にも疑義があるので、検察官の訴訟提起ということにした」旨の答弁がありました。
 次に、政治資金規正の強化についてでありますが、「政党その他の政治団体に対する寄付の制限について、政府案は何ゆえ当該選挙に関してのみ規制を加えたのか」との質疑に対しては、「政党活動には非常に金がかかるもので、現状においては、とりあえず選挙に関してのみ規制いたし、今後、政治資金規正法の根本的な検討、あるいは政党法等の制定の際に十分考慮していきたい」旨の答弁がありました。
 その他公明選挙運動の推進については、学校教育、社会教育充実の実際指導面について、また、事前運動の問題、労務賃と運動員の報酬の問題、後援会の寄付の問題等についても活発な議論が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 次いで、去る二十五日、自由民主党高橋英吉君外四名より修正案が提出されました。その要旨を簡単に申し上げますと、
 第一は、事前運動の規定を削り、これを現行法通りにいたしております。
 第二は、あらかじめ選挙管理委員会に届け出た一定人数に限り、選挙運動のために使用される事務員に一定の報酬を支給できることといたしております。
 第三は、後援団体に関する寄付の禁止事項中、「当該選挙に関し」の意義が期間的に明確を欠く点がありますので、これを明確に法定いたしております。
 第四は、連座の対象となるいわゆる地域主宰者については、三個以内に分けられた選挙区のうち、一または二の地域において選挙運動を主宰した者に限ることといたしております。
 本修正案に関しましては、二十六日に、特に参考人を招致し意見を聴取し、また提出者及び内閣総理大臣に質疑を行なう等、慎重な審議を行ないました。
 かくして、昨二十七日、本案並びに両修正案に対する質疑を終了し、一括して討論を行ない、採決に入り、まず、島上善五郎君外二名提出の修正案は少数をもって否決され、次に、高橋英吉君外四名提出の修正案を多数をもって可決し、次いで、修正部分を除く原案も多数をもって可決、本案は高橋英吉君外四名提出の修正案のごとく修正議決いたしました。
 なお、本案に対しましては、井堀繁男君外一名より、公明選挙の実現等に関する附帯決議が提出され、全会一致をもって可決いたしました。
 次に、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、ただいま御報告いたしました公職選挙法等の一部改正と、最近における公務員の給与改定、賃金の変動等により、現行の選挙に関する執行経費の基準が実情に即しないものとなって参りましたので、今回これに所要の改定を加え、実情に即した執行経費の基準を定め、選挙の執行に遺憾なきを期するための改正を行なおうとするものであります。
 本案につきましては、公職選挙法等の一部を改正する法律案と一括議題として審議を重ねて参りましたが、去る二十五日、自由民主党高橋英吉君外四名より、公職選挙法等の一部を改正する法律案の修正に伴う個人演説会、立法費に関する規定を現行法通りに改める修正案が提出されました。
 本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により政府の意見を聴取いたしましたところ、政府としては異議はありませんとの発言がありました。
 かくして、昨二十七日、本案並びに修正案に対する質疑を終了し、一括して討論を行ない、採決の結果、本案は高橋英吉君外四名提出の修正案のごとく修正議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) ただいま議題となっております両案のうち、日程第三に対しましては、島上善五郎君外七名から、成規により修正案が提出されております。
○議長(清瀬一郎君) この際、修正案の趣旨弁明を許します。堀昌雄君。
  〔堀昌雄君登壇〕
○堀昌雄君 私は、日本社会党を代表して、公職選挙法等の一部を改正する法律案に対する社会党提出修正案の提案の趣旨説明を行ないます。(拍手)
 七月一日に予定されておる参議院選挙を前に、今国民が最も大きな関心を持って見詰めておりますのは・この公職選挙法改正の行方であります。一昨年行なわれた第二十九回総選挙は、解散前の臨時国会で、公明選挙実現のための決議を行なったにもかかわらず、選挙犯罪は、件数において七割、人員において六割も激増を示し、検挙された者は、三万二千七百六十八人に達しまさに未曾有の汚れた選挙となったのでございます。このような汚れた選挙が行なわれたことに対しては、国民各層は強い憤りを覚え、言論界はあげて選挙法の改正によって、この根本的な誤りを正すべきを主張いたしました。私どもが、今、この立場において課せられておる任務は、まことに重大なのであります。
 そこで振り返って、選挙制度の問題に立ち返りますと、昭和二十四年、選挙制度調査会が設けられまして、七回にわたる答申が昭和三十四年十二月までに行なわれておりますけれども、ほとんどこれらが十分に取り上げられた例はございません。特に、昭和三十四年十二月には、選挙制度の改正に関する件、さしあたって必要とする措置というものを、総理大臣はこの調査会に諮問いたしました。十一月五日に諮問をして、十二月二十六日に答申を求めるという非常に困難な審議を求めながら、この内容については、一点たりとも政府は提案をしなかった過去における歴史があるのであります。これらの実情にかんがみて、国民世論の前に、ついに政府は、昨年選挙制度審議会を設置して、過去の自分たちの誤りを反省するかのごとく、答申を尊重する項を第三条に設けて、国民の前に選挙制度を改正することを約したのでございます。ところが、この選挙制度審議会において、昨年六月以来約半年にわたって、各界の有識者が非常な努力をもって検討されました答申案が、昨年の十二月二十六日答申されまして以来国会に提案されるまで、約三カ月、この間、自由民主党と政府当局は、あるいは憲法に抵触するところがあると称し、あるいは立法技術上の困難があると称して、選挙制度審議会の真意を曲げることにきゅうきゅうとし、ようやくこの三月この国会ここの法案が提出されることとなったのであります。
 そこで、この問題の中で最も重要な一点は、この政府及び自民党によって修正されました政府原案が、はたして選挙制度審議会設置法にいうところの、審議会の意見を尊重したものであるかどうかという点であります。私どもだけに限らず、日本の新聞報道機関のすべては、この問題について、政府・自民党の反省を促し、一日も早く審議会の答申がそのまま政府案として提出されることを望んでおりますけれども、事実は、ただいま加藤委員が述べたように、いろいろな術策の結果として、あのような提案となったのでございます。
 われわれは、この事態にかんがみ、答申の線を尊重するべく、高級公務員の立候補制限、連座制の強化、政治資金の取り扱いの強化について、三点の修正案を提案いたすのであります。
 そこで、私どもの提案は、今委員長も述べましたように、答申の線をまともに受けておるものでありまして、との考え方と、政府原案及び去る二十五日に提出されました自民党修正案のいずれが、国民の期待する選挙法の改正の方向であったかを考えてみなければなりません。
 この問題は、一昨日の委員会におきまして、早稲田大学の吉村正教授が、いみじくも指摘されておりますけれども、この選挙制度審議会の委員であり、わが国における選挙問題の権威である吉村教授は、意見がもし対立をして――自分は社会党修正案が審議会の意見をすべて尊重しておるものと考えるが、与党の皆さんはそうお考えにならない、意見が対立をしておるならば、そのいずれが審議会の意見を尊重したものであるかは、まず、内閣が設置された審議会に尋ねられるのが至当であろうと答えられておるのであります。さらに、もしこれに尋ねることができないのであるならば、このいずれが尊重しておるかを判断するのは国民でありますから、すべからく国会を解散して、この問題について、いずれが国民世論を代表するかを正しく選挙に問うべきであると答えられておるのでありまして、まことにわれわれの考えと一致したところでございます。(拍手)
 次に、この問題について、高級公務員の立候補制限をわれわれが主張しなければならない具体的な事実に触れておきたいと思います。
 第一回の昭和二十二年に行なわれた参議院選挙以来、昭和三十四年の第五回の参議院選挙に至るまで五回の参議院の選挙において、驚くべきことは、林野庁長官の職にあった者が毎回必ず立候補して、五回当選をしている事実でございます。さらに、建設次官は、この五回の選挙中三回立候補して当選をし、国鉄総裁あるいは専売公社、電電公社等の幹部役員も、いずれもほぼ三回ないし四回当選をしているという事実でございます。一番多くこれらの高級公務員が当選をしたのは、まさに十二人に達しておるのでありまして、いかに自由民主党の参議院の勢力の減少をおそれるがゆえの答申の否定になったかは、この事実から見てもきわめて明らかでございます。(拍手)
 われわれは、単にこの過去の事実にとどまらず、さらにおそるべき事実は、今回、航空自衛隊の幕僚長であった源田空将が、その職を辞して、自由民主党公認として、参議院全国区に出るとの問題でございます。この問題は、私は、単に高級公務員の立候補制限の問題を越えて、わが国における自衛隊のあり方にきわめて重大なる問題を及ぼすものでありまして、道義上はもとより、政治的にも、多数党である与党がかくのごとき取り計らいをすることは、今後に重大なる危険をはらむものと申し上げておかなければなりません。(拍手)
 次に、政治資金の関係でございますが、先ほど同僚の岡本議員の発言中、与党の騒然たる問題がございましたけれども、私は、ここに二、三の具体的な事実を申し上げて、国民の前に、この問題のおそるべき危険を指摘しておきたいと思うのであります。
 昭和三十五年における自由民主党の政治資金は、自治省の官報による告示によりますれば、十八億九千万円でございます。その中で、公認料として一人約五十万円、合計一億六千二百万円が計上されております。その次に、貸付金として、二億七千六百万円が貸付をされております。これを当時の立候補者三百二十人で割ってみますと、一人当たり百三十七万円が、正規に自由民主党からこれらの候補者に渡っておるものと考えられます。ところが、その他の政治資金を調べてみますと、たとえば宏池会には、これは池田さんの後援会のようでございますが、三億九千六百万円で、自民党系後援会の最高でございます。次は佐藤さんの周山会本部が三億二千九百万円、岸さんの十日会が二億一千四百万円、このような形で一千万円以上の寄付の集まったものの総計は、実に十九億八千九百万円に達しておるのでございます。現在の法定選挙費用はおおむね百万円から、最高で二百万円にしかなっておりません。自由民主党は、正式に一人当たり百三十七万円の金を渡して、そのあとで各派閥及びこれに連なる後援会が集めた金が十九億八千九百万円、一人当たり約六百万円の金が昭和三十五年の後半に費消されておるという事実は、これはいかがなものでありましょうか。(拍手)この金が選挙に使われていないのならば、皆さん方は貯金をして大金持ちになっておられるはずでございます。もし皆さんが金持ちでないならば、これは明らかに選挙に使われたのに相違ございません。昭和三十五年の六月から十二月までの間に、都合一人当たり七百三十七万円の金が使われておるというこの現実は、この間の公聴会で、政治資金と選挙資金の区別がつくかと私が各党推薦の公述人に伺ったところが、すべての公述人は区別ができませんとの話でございました。われわれは、との昭和三十五年六月一日から十二月三十一日までの間に、皆さん方が平均すれば七百三十七万円の金を一体何のために使われたのかということを、皆さん自身がここで答えていただかない限り、われわれにわかるはずはありませんけれども、おおむねのことは先ほどの岡本議員の発言にあったごとくではないかと思われるのでございます。(拍手)われわれは、このような事実をもとにして考えるならば、どうしても政治資金というものが規正をされなければならない。単に選挙に関することだけでは規正ができないという事実を明らかに知るかゆえに、今頃の改正案において政府原案に反対をして、審議会の答申通り、政治資金を含めて規正することを提案をしているわけでございます。
 最後の連座制強化の問題でございますけれども、時間がございませんから、あまり多くを触れたいとは思いません。ただ、このことは私は皆さん方が非常な恐怖症にかかっておられるのではないかということが痛切に感じられるわけでございます。なぜならば、私どもが修正案で提案をしておりますように、連座がきまりまして、重要な総括主宰者その他の関係者の有罪がきまって、即時に問題が解決をされるというのであるならば、皆さん方の中にも非常な危険にさらされることがあるかもわかりません。しかし、今回のようなやり方で、現実には選挙が終わったあとで検事が公訴するなどということになりますならば、五年も、六年も、七年も、これは判決が確定するためにはかかるのでありますから、過去の例においても一人も連座で失格になった例はないのであります。連座で失格になった例がないにもかかわらず、いろいろなしぼりをかけるということは、一体これは何でありましょうか。皆さん方の単なる気休めであるとしか言えないと思うのであります。われわれは、このようなことであってはならないと思いまして、先ほど申し上げました腐敗した選挙を正すためには、なるほど望ましい方法ではありませんけれども、やむを得ず修正案によって、これらの多額の資金の行方が正しく守られるような方向に考えていかなければならないと思うのであります。私とものこれらの修正案に対して、自由民主党の方は――われわれは審議会、国民の声の方向に、自由民主党はこれに逆行する方向に修正案の提出をされたのであります。
 リンカーンはかつて、「少数の人々を永久に欺くことはできる。すべての人を一時だけ欺くこともまた可能である。しかし、すべての人を永久に欺くことはできない」と申しておりますが、私は、たといいっときなりとも、このような皆さんの取り扱いが国民をだませるものだとは考えておりません。われわれの前に控えておりますところの参議院選挙の中で、この問題についての黒白は、国民の手によって明らかにされると私どもは信じておるのであります。
 どうか皆さん、この国民の公正な選挙に対する声に従って、わが党修正案が万場一致可決をされ、日本の民主主義がますます発展するように、皆さんの御協力を得たいと思うのであります。
 以上をもって提案の趣旨の説明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 討論の通告がありますから、順次これを許します。中垣國男君。
  〔中垣國男君登壇〕
○中垣國男君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました公職選挙法等の一部を改正する法律案に対する日本社会党修正案に反対し、高橋英吉君外四名により提出されました自由民主党の修正案及びこれによる修正部分を除く政府原案に賛成するところに、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案に対する自由民主党の修正案及びこれによる修正部分を除く政府原案に賛成の討論をいたすものであります。(拍手)
 民主政治の進展のためには、選挙の公明化をはかり、民意を正しく政治に反映して参ることが欠くべからざる要件であります。選挙制度は、かかる観点から、戦後においても数度の改革を経て現在に至っているのでありますが、最近において、さらにその改善と合理化をはかり、公明選挙の実をあげる必要が痛感され、世論もまた強くこれを要望しているものと思われるのであります。
 今回の政府提出になる改正案は、かかる必要にこたえて、選挙の公明化の諸方策を問うべく設置した選挙制度審議会の答申に基づき、広く各方面で論議されてきた事項のほとんどすべてにわたって、公職選挙法等の改正を行なおうとするものであります。
 しかるに、社会党は、この政府案をもって答申を骨抜きにしたものであると称しておるのでありまして、主として三点にわたる修正を主張しているのであります。
 第一は、いわゆる高級公務員等の立候補の制限であります。いわゆる政府の高級官吏が、その公的地位に伴う影響力を利用して、莫大な票を集めて当選することは、世論の強く非難するところであります。かかるおそれのある職にあった者の立候補を禁止すべきであるという考えは、一面、まことにもっともなことと考えられるのであります。しかし、しからば、どの職がこれに該当するかを決定することはきわめて困難であり、むしろ、不可能であると思われるのであります。すなわち、立候補の制限ということは、国政に参加するという国民の重要な権利を制限するものでありますから、客観的かつ明白な合理的根拠なくして、単なる憶測や主観的判断をもってすることは、法のもとの平等を規定した憲法第十四条、国会議員の資格についての差別を禁止しておる憲法第四十四条、職業選択の自由を規定しておる憲法第二十二条などに違反するおそれがあるのであります。(拍手)審議会においても、合理的基準について検討した結果、その具体案を見出すことができず、法律で定める職にあった公務員という表現を用いて答申せざるを得なかったものであります。これに対して、社会党案においては、全国的に地方支分部局を置く省庁のうち、このような地方支分部局の事務を所掌する局の長以上を指定しているのでありますが、これはこのような職にある者が、その支配に属する全国的組織を利用して選挙運動をすることを否定しようとするものであると考えられます。しかし、本来、いわゆる高級公務員の立候補の制限は、公の地位にある者がその地位を乱用して選挙運動を行なうことにより、選挙に好ましからざる影響を与えることを防止しようとするものでありまして、単に全国的組織による選挙運動を禁ずべきであるならば、これよりさらに大きな全国的組織を有する労働組合の幹部についても同様に禁じられなければならないのであります。(拍手)すなわち、問題の焦点は、組織の利用ではなく、むしろ、公務員としての地位利用、公権力の乱用にあるのでありまして、社会党案は単なる形式的基準を立てるにとらわれ、事の本質を見失っているといわざるを得ないのであります。(拍手)さらに、具体的職名を列記しているところを見ましても、全く判断に苦しむ点が多いのであります。しかも、社会党案の指定する職は、過去において参議院全国区の選挙に当選した実績のある公務員の職二十五のうち十四しか含んでいないのでありまして、かかる案がはたして答申のいう趣旨を実現することができるものであるかは、きわめて疑わしいのであります。賢明なる社会党の諸君の力をもってしましても、この程度のものしかできなかったということは、客観的、合理的な基準に立って職を指定することが不可能に近いことをみずから立証するものでありまして、政府案が公務員の地位利用による選挙運動及び類似行為を禁止し、この禁止に違反した場合の当選を無効とすることにより、答申の趣旨を実現しようとしたことは、適切なものと考える次第てあります。(拍手)
 第二に、連座制の問題でありますが、社会党修正案によりますと、連座の対象となる親族については、単に候補者等と意思を通じて選挙運動をしたことをもって足りるとし、かつ、連座制一般については当選無効の訴訟の提起を必要とせず、候補者以外の者にかかる刑事判決の確定により直ちに当選を失うものとしているのであります。けだし、連座制は、この法案により多数の国民の意思の表現としての投票の結果を無効とするものでありますから、その範囲を定めることは慎重を期すべきものでありまして、選挙運動において重要な地位を占める者が買収等の犯罪を犯し、その選挙運動が、全体として不法性を帯びている場合においてのみ認めらるべきものであります。従いまして、単に親族であるということでは足らず、候補者と同居し、これと意思を通じて選挙運動を行なった親族が、悪質と認められる程度の罪を犯した場合において当選人は当選を失うこととした政府案は、妥当なものと言えるのであります。
 次に、連座による当選人の失格の手続についてでありますが、言うまでもなく、連座の制度は、国民多数の意思の表現を無効とするものでありますから、その手続は当然慎重を期すべきものがあると考えられるのであります。しかも、当選人にとっても、これにより、国民の代表として国政に参加する権利を失なわしめるものであり、刑事判決の確定により当然失格するものとするようなことは、憲法第三十一条の精神に反するとともに、裁判を受ける権利を保障する憲法第三十二条に違反する疑いが存するものであります。従いまして、政府案のごとく、検察官が訴訟を提起することにより、当選人と訴訟提起者との間の不明朗な取引を避けるとともに、訴訟によって連座に該当するかどうかを的確に判断させるべきものでありまして、社会党案にはとうてい賛成しかねる次第であります。
 第三は、政治資金に関するものでありまして、町または地方公共団体と特別の利益関係にある会社その他の法人が政党等に対してする寄付は、選挙に関するといなとを問わず、すべてこれを禁止しようとするものであります。政党政治の健全な発展のためには、健全な政党の成長が必要であり、そのためには、政党の財政的基礎が確立しなければならないことは言うまでもないところであります。この場合において、政党がその資金源をどこに求めるべきかは議論の存するところでありますが、政党がみずから固有の資金源を十分に持たない現段階において、その政策に賛同する者に政治資金を仰ぐことはやむを得ないことであると考えられるのであります。従って、選挙に関する寄付を規制することは必要でありましょうが、選挙に関係のない政治活動に関する寄付まで直ちに禁止することには、なお検討すべき問題点が少なくないと思います。この政治資金一般の規正の問題は、政党制度の確立の問題とあわせて、慎重かつ具体的に検討さるべきものであると考える次第であります。
 以上述べました理由によりまして、私は社会党の修正案に反対するものであります。
 次に、高橋英吉君外四名提出の自民党の修正案についてでありますが、本案は、政府案において規定内容が明確を欠き、あるいは実情に即しないと考えられる二、三の点について、その不備を補おうとするものであります。
 すなわち、第一点は、立候補届出前の演説会に関する事項であります。政府案のように、言論、文書による選挙運動をできるだけ自由にするため、立候補届出前においても選挙運動としての演説会を開けることにしようという考え方は一理あるところではございますが、現状において、直ちに、いわゆる事前運動が認められることになると、年じゅう常に選挙運動が行なわれることになり、このための選挙運動費用が莫大となり、選挙の実情に即するとは言えないのであり、現段階においては採用すべきものではないと考えるのであります。
 その第二点は、選挙運動のために使用する事務員に対する報酬の支給に関する事項であります。政府案によりますと、その事務が機械的事務である場合に限られることになりますが、機械的事務を少しでも越えた場合に、これに報酬が支払われたからといって直ちに買収であるとすることは、社会常識からいっても行き過ぎであると考えられますし、また、選挙の実際といたしまして、同一人の一連の行為としてなされることが通常であります。このような面から、選挙運動のために使用される事務員についての規定を明確にするとともに、一定範囲内で報酬を支給することといたしましたのは、時宜に適していると考えられるのであります。(拍手)
 その第三点は、後援団体に関する規制についてでありますが、政府案は「当該選挙に関し」とされており、これでは期間的に明確を欠くものであり、本条のような性質の規制は、禁止期間を明確に規定することが当然の措置であると考えられるのであります。
 最後に、第四点として、連座の対象となる地域主宰者についてでありますが、選挙制度審議会の答申は、「相当広範囲にわたって選挙運動を主宰した者」となっており、これに対して政府案は、数個に分けられた地域の選挙運動主宰者としております。しかし、数個ということになると、捜査当局の判断によって左右されたり、最終的には裁判例によらなければ定められないことになり、選挙の実情に沿わないと考えられるのであります。さらに、これが候補者の当選の失格にも通ずる重要事項でありますので、ぜひとも明確にすることが必要であります。
 このように、わが党の修正案は、政府案の規定内容を明確化し、政府案を、実態に根をおろしたより適切なものにしようとするものであります。
 また、自由民主党の修正案による部分以外の政府原案につきましては、選挙運動の制限を緩和するとともに、現在の個人本位の選挙を政党本位の選挙運動に進め、また、選挙公営の拡充強化、選挙運動費用の適正化、選挙管理事務の合理化等をはかるものでありまして、選挙の公明化のため、まことに時宜に適した改正と考えられる次第であります。
 なお、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案に対する自民党の修正案及びこれによる修正部分を除く政府原案は、公職選挙法等の一部を改正する法律案に対する自民党の修正案及びこれによる修正部分を除く政府原案に伴う選挙の執行経費の基準を規定するとともに、最近における公務員の給与の改定、賃金の変動等を勘案して、選挙の執行経費の基準に所要の改正を加えたものであり、選挙の執行経費を確保するため必要なものと考えるものであります。
 以上をもちまして、公職選挙法等の一部を改正する法律案に対する社会党の修正案に反対をし、高橋英吉君外四名提案の自民党の修正案及びこの修正案による習性部分を除く政府案に賛成するとともに、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案に対する高橋英吉君外四名提案の自民党の修正案及びこの修正案による修正部分を除く政府原案に対する賛成の討論を終わります。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 島上善五郎君。
  〔島上善五郎君登壇〕
○島上善五郎君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました公職選挙法等の一部を改正する法律案並びにこれに対する自民党提出の修正案に反対し、先ほど同僚堀昌雄君が趣旨弁明をいたしました日本社会党提出の修正案に賛成する討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 なぜ私たちが政府提出の原案に反対し、自民党の修正案に反対するか。これを要約して申しますならば、この法案は、第一に、選挙制度審議会の答申中の最も重要な三項目、すなわち、連座制強化、政治資金規正及び高級公務員の立候補制限の三点を骨抜きにし、その内容を何ら実効の上がらない有名無実なものにすりかえ、答申を尊重しなければならないという選挙制度審議会設置法の第三条を政府みずから踏みにじったものであること、第二には、その上、自民党の四項目にわたる修正を加え、さらに答申よりも著しく後退させ、相も変わらず買収、供応の悪質腐敗選挙を行ない得る道を残したということ、そして公明選挙を求める国民の期待を全く裏切り、議会政治に対する国民の信頼を失墜せしめ、ひいては民主主義そのものの基盤を危うくするおそれすらあるからであります。(拍手)
 思うに、選挙は、主権者たる国民がその主権を行使する最も重要な機会でありまして、この主権行使が、権力や金銭によって曲げられることなく公明、公正に行なわれなければならないことは、今さら申し上げるまでもございません。しかるに、わが国現在の選挙の実情は、はなはだ遺憾なことであり、恥ずかしいことではありまするが、いわゆる物量選挙が横行し、しかも、年とともに腐敗、堕落がはなはだしくなり、その醜状は、まさに言語に絶するといわなければなりません。特に選挙の公明を公約した池田内閣のもとに行なわれた初めての選挙、すなわち、昭和三十五年十一月の衆議院総選挙が最もはなはだしい腐敗選挙であったこと、その大部分が保守党側にあったということは、総理自身も与党も深く銘記し、反省しなければならないところであろうと思います。(拍手)私は、実はこういうことは申し上げたくないのですが、との神聖なるべき議場における議員の中にも、自分の選挙に関して、総括主宰者、出納責任者が悪質違反に問われて起訴され、やがては連座失格するのではないかと疑われておる者がおるということは、国会の権威のためにはなはだ残念でならないのであります。(拍手)これら違反の取り調べに当たった某検事が、悲憤の語調を強めて私に語っていわく。「島上さん、あなた方が想像するようななまやさしいものではありませんよ、徹底的な買収選挙、組織的の買収選挙であって、今調べているのはほんの氷山の一角にすぎません」。何というおそるべきことではございませんか。(拍手)このような選挙界のとうとうたる腐敗の現状は、国を憂え、民主主義を守ろうとする者にとっては、一日たりとも放置するわけには参らぬと思います。(拍手)
 では、一体このような腐敗をどうして粛正し改革するか。もとより、私は法律改正だけで目的が達せられるとは思いません。しかし、現状においては、まず、ざる法といわれる公職選挙法を改正し、買収、供応等の悪質違反に対する取り締まりと処罰を峻厳にし、特に候補者の当選に影響する連座制を強化することが必要であり、また、莫大な金権選挙のもとになる選挙資金、政治資金についても、適当なる規正を加えることが必要であり、さらに、高級公務員が権力機構を悪用する弊害を粛正する措置等が必要と信ずるものであります。このことは、私どもの主観ではなくて、国民一致の念願であり、強い世論であります。この世論を正しく取り上げました選挙制度審議会の答申に対して、言論報道機関が筆をそろえ、口をきわめて支持した事実は、何よりも有力な生きた証拠といわなければなりません。しかるに、政府は、この答申を口先だけでは尊重すると称し、与党自民党との調整に名をかり、さきに述べましたように、骨抜きにしてしまいました。いかに骨抜きにしたか、その内容に若干触れることにいたしましょう。
 連座制につきましては、なるほど連座の対象者を地域主宰者と法定費用の二分の一以上を支出した出納責任者並びに親族にまで広げた点は、答申尊重のごとく見せかけてはおりますが、親族につきましては、同居し、意思を通じ、祭司以上の刊を受け、執行猶予にならなかった者と、四つのいわゆるしぼりをかけて、実効のない空文と化して、地域主宰者につきましては、自民党修正によって三分の一以上の地域を主宰した者とし、もし四分の一以上あるいは五分の一地域を主宰した者がどんなに大がかりな買収をいたしましても、連座の対象にならないようにしてしまったのであります。その上、答申にあるいわゆる当然失格の項が削られ、検事の公訴提起にすりかえたことによって、これまた任期中には連座による失格の実効が上がらないものに後退させてしまったのであります。これで一体どこが連座の強化と言えるでしょうか。日本社会党は、この点に関して答申通りの修正案を出しておりますが、この社会党の修正案こそ、連座の実効を上げ、悪質違反を防止する最も適切な案であります。
 次に、政治資金規正の点はどうかと申しますと、答申案は、現行の規正のほかに、国から財政投融資、補助金、交付金、利子補給等の恩恵を受けている会社、法人からの政治献金を禁止しているのでありますが、政府案は、これを当該選挙に関してのみに限定してしまったのであります。このことは、逆に言えば、国と請負その他直接の利益を伴う契約の当事者でも、国から財政投融資、補助金、交付金、利子補給等を受けている会社、法人でも、当該選挙に関してでさえなければ、どんなに献金してもよろしいという寄付の野放しであるということであります。国民の税金や預貯金などをもって一方で特別の恩恵を与え、そのものからの献金を野放しにすることそれ自体政治道義の上から断じて許されないことであり、われわれの絶対に承服できないところであります。(拍手)一体、政治資金と選挙資金の区別ができますか。先般の公聴会において、自民党推薦の公述人を含めまして、全員ことごとくその区別はできませんと答えております。
 私は、その生きた最近の実例を皆さんに示しましょう。三月二十五日に行なわれた長崎県知事選挙のときのことでございますが、県と関係の深い土建協会、交通協会等から二千五百万円ないしは五千万円といわれる莫大な政治献金が自民党県連に対して行なわれました。それを知事選挙の買収費等に使いまして、自民党県連の事務局長を初め、多数の幹部が逮捕されておるのであります。(拍手)
 これはたまたま買収費に使ったから問題となったのでありまして、それさえなければ法律上何の規制もできないのであります。こういうようなことが一長崎県だけではなく、国全体において行なわれて、当然のこととして放任してよろしいでありましょうか。私は、政府案提案者に一片の政治的道義心もないことを嘆かざるを得ません。(拍手)この点に関しても、社会党は答申通りの修正案を提出し、不正不当なる政治資金、選挙資金を規正しようとしておることはきわめて妥当であります。
 第三に、高級公務員の立候補制限の問題であります。これは理論的には、参議院全国区のみに限らず、地方区にも、衆議院にも、さらには、地方議員の場合にも、ある種の制限を加うべきものと考えられますが、答申においては、今回は最も弊害のはなはだしい全国区の場合のみに限っておりますので、今後引き続き検討を深めようという考えのようであります。高級公務員がその職務上の地位を利用し、権力機構を悪用して、いかに選挙の公正を乱してきたかは諸君のよく知るところでありましょう。この弊害を防ぐには、特殊の地位の者に限り、特定の期間立候補を制限する法的措置が必要と思われるのであります。答申の趣旨も、またここにあるのであります。しかるに、政府案は、全然内容をすりかえ、一般公務員にまで範囲を広げ、立候補を自由に認め、地位利用の運動に規制を加え、連座規定を設けたのであります。これでは答申の趣旨は全く没却されたばかりでなく、一般公務員が現在でも不当と思われる制限を受けているのに、その上、がんじがらめにひとしい制限を加えることは不当であり、不必要であるばかりでなく、憲法違反の疑いさえあるといわなければなりません。(拍手)この点に関しても、社会党の修正案は、答申を生かしつつ憲法論をも十分考慮し、特定の地位、特定の選挙、特定の期間に限って立候補を制限しようとするには、まことに適正妥当と申すべきでありましょう。
 最後に、私は、以上において触れなかった自民党の修正案について言及しなければなりません。
 その第一は、選挙運動従事者に対する報酬の支給の点であります。政府原案におきましても、労務者並びに事務従事者に報酬支給が認められておるのに、なぜわざわざこの修正を加えたのか。質疑の過程で明らかにされたのでありますが、令まで買収として禁止されていたものを解除しようとするというのであるから、いわば一日三十人、通算して六百人までは公然買収の道が開かれたにひとしく、これは現行法よりもさらに重大な後退であり、制度の根本に触れる大問題といわなければなりません。(拍手)
 その第二は、後援会の寄付禁止の問題であります。最近の選挙界において買収、供応、それに類似する行為が最も露骨、大胆に行なわれ、莫大の経費が投ぜられておるのは、後援会の名においてする行事であります。バスを連ねて温泉その他観光地に連れて行き供応、接待をすることが、さながら当然のことのごとく日常茶飯事となって、地方議員とその立候補予定者の間においても盛んに行なわれております。本来、後援会は議員及び立候補予定者に対して支持者が純粋な動機で後援すべきものであるのに、実際は、その大部分が候補者において多額の経費を負担し、後援会の看板に隠れた選挙運動と化しておるのであります。答申案は、この弊風の粛正に着眼し、後援会が選挙民に対してする寄付や供応と、後援会に対して候補者が行なう寄付を禁止しようというもので、きわめて当然の措置であります。しかるに、政府案は、これに対して、またしても「当該選挙に関して」なる八文字を挿入して抜け道を作ったが、自民党修正案は、これに対して、さらに期間を三カ月、解散の場合は解散の翌日からとし、実質的には何の役にも立たないものにしたばかりではなく、かえって、解散の当日まで、もしくは三カ月以前までの寄付や供応を大いに奨励し、これまた形を変えた買収、供応を盛んにする結果となったのであります。
 その第三は、事前運動の全的禁止の修正であります。告示後の個人演説会と同様の形のものを事前に百回許すことについては、いささか問題なしとしませんが、さればとて、何の弊害もない事前の言論による運動まで一切禁止してしまったのは、答申中のわずかに残された小骨まで抜き取ったものにひとしく、現職議員本位の改悪修正であると批判されるのも当然でありましょう。(拍手)
 以上、私は、問題点にのみ言及したのでありますが、要するに、政府案及びこれに修正を加えた自民党案は、買収、供応の道を大きく残し、依然として物と金による腐敗選挙を行なわんとする意図が明白であり、社会党修正案は、この腐敗選挙の道をかたく閉ざし、金のかからない、金や物によって国民の良心を濁らせることのない公明選挙を実現せんとするものであることが、きわめて対照的に明確にされたわけであります。(拍手)しかも、政府案及び自民党案が十分なる審議を尽くさず、例によって、昨夜強引なる委員会採決を行ない、会期余すところ一週間、実質審議四日足らずの参議院において強行通過をはからんとするにおいては、私たちばかりではなく、多数の国民はこれを断じて容認しないでありましょう。(拍手)
 私は、最後に、今からでもおそくはない、良識ある自民党の議員諸君が国民の声に耳を傾け、再考せられんことを促して、討論を終わる次第であります。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 井堀繁男君。
  〔井堀繁男君登壇〕
○井堀繁男君 私は、民主社会党を代表して、ただいま議題に供されております公職選挙法等の一部を改正する法律案、及び自由民主党の高橋英吉君外四名の提案にかかる同法案に対する修正案に反対をし、また、日本社会党の島上善五郎君外七名より提案になりまする同法案に対する修正案に賛成をいたし、あわせてわが党の主張を明らかにせんとするものであります。(拍手)
 まず、政府原案に対する反対の理由でありますが、これをごく簡単に申し上げますならば、選挙制度審議会の答申中、最も重要な部分と思われる点を骨抜きにし、かつ、党利党略に屈したところのきわめて拙劣な内容になっておるという点を指摘いたしたいと思うのであります。
 それは、去る一昨々年十一月の衆議院総選挙に出発するのでありますが、この総選挙は、きわめて醜悪な、金権で汚された、そして公明であるべき選挙を腐敗堕落せしめた最も典型的な選挙であったのであります。これに対する国民の世論というものは、金のかかる選挙をやめさせよう、また、悪質選挙違反者を政界から追放せよとの声が次第に広がりまして、政府並びに政党に対する強い反省が要請されたのであります。その際、この世論にこたえて、あるいは世論に押されて、政府は、選挙制度審議会設置法制定に踏み切ったのであります。しかも、この法第三条には、わざわざ答申を尊重しなければならぬ旨の一項を規定いたしたのであります。かくいたしまして、選挙制度審議会の審議委員各位の御努力によりまして、中間報告ではありますけれども、第一次答申が行なわれたのであります。なお、この審議会の第二次答申こそは、木選挙制度の抜本的な改正にわたる重要部分が残されておる点に留意しなければならないと思うのであります。
 しかるに、政府原案の内容を拝見いたしますと、最も審議会が重視しておりました、選挙の公明化を期するための基本的な一つであります国民の自覚及び政治常識の向上の点については、全く考慮が払われていないのであります。また、社会党の修正案にもあげておりますが、高級公務員などの立候補の制限、連座制の強化、政治資金の規正などは、全く骨抜きとなってしまっておるのであります。かかる政府の態度は、一方においては、みずから提案して法律を作りましたその法律に違反するような行為をあえてしておる点であります。このことは、順法精神にみずから傷を入れることとなり、他方におきましては、この審議会の制度は、民主政治におけるきわめて重要なルールを示すものでありますが、これに対する軽視、もしくはこれに反するものでありまして、極端に申しますならば、私は、反民主的な思想の現われではないかとおそれるのであります。かかる政府の態度こそは、国民に糾弾されてしかるべきであり、われわれの断じて許すことの、できない点であります。内容につきましては、時間の制約がありますから省きます。
 第二に、自由民主党の修正案の内容について簡単に述べたいと思います。
 これを一言にして申しますならば、政府原案に対しまして、鼻持ちならない党利党略、もしくは功利的な打算を、きわめて巧妙に内容の中に盛り込んだ陰険な修正案であると断じたいのであります。もちろん、修正案の四項目にわたる中には、たとえば、立候補届出以前における演説会または文書などによる運動に関する事項については、答申案についてわれわれもいろいろ考慮すべき点を認めないではありません。しかし、この際は、先ほども申し上げましたように、民主政治のルールを通そうとする立場から、答申案尊重の精神に従いまして、この際は修正を思いとどまるべきであると思うのであります。内容は以下省略いたします。
 次に、社会党の修正案について申し上げたいと思います。
 内容を述べる時間がありませんから、一口にこれを申しますと、多くの足らざる点あるいは不合理な点を残しておるのであります。こういう点を補いまするためには、審議期間があまりに短いという点であります。いま一つは、政府原案よりは、はるかに答申案に近いという点で、この際、これに賛成するものであります。しかし、最も近い機会に、わが党の意見を加えた改正案が国会に提出されることを期待しておるのであります。
 最後に申し上げたいことは、最も近い機会に、選挙の公明化を実現するための基本的な措置として、わが党の提案にかかります附帯決議の趣旨に従いまして、政府は、選挙制度審議会の答申の中にもありますように、選挙区制及び政党制度などの根本的な問題を含めて、本案に対する改正案が次期国会に提出されることを強く要請をいたしまして、はなはだ簡単でありますけれども、私の討論を終わる次第であります。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) これをもって討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、日程第三に対する島上善五郎君外七名提出の修正案、いわゆる社会党案につき採決いたします。
 島上善五郎君外七名の提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立少数。よって、修正案は否決されました。
 次に、日程第三につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
 次に、日程第四につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○田邉國男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案、郵政省設置法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長中島茂喜君。
  〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔中島茂喜君登壇〕
○中島茂喜君 ただいま議題となりました二法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 最初に、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案の要旨は、
 まず、防衛庁設置法の一部改正でありますが、
 第一は、海上自衛官、航空自衛官及び非自衛官、計二千七百六十八人を増員することであります。
 第二は、自衛隊及び駐留軍の施設に関する事務を一元的に処理するため、防衛庁内局の参事官を一人増員するとともに、防衛庁の建設本部と調達庁とを統合して、新たに防衛施設庁を設置することとし、その定員は、昭和三十九年度末までに二百人を計画的に減員し、昭和四十年四月一日以降は三千三百八十七人とするほか、労務部に勤務する職員等、直接自衛隊の任務遂行に関連を持たない者を除き、すべて隊員として特別職とすること等であります。
 次に、自衛隊法の一部改正でありますが、
 第一は、防衛施設庁の設置に伴い、隊員の定義を改め、施設庁の職員中、隊員である者の任免等は施設庁長官が行なうこととするとともに、隊員の人事管理に関する基準については、防衛庁長官が定める旨を明定することであります。
 第二は、航空自衛隊の術科教育を行なう学校を管理するため、新たに術科教育本部を設置することであります。
 第三は、予備自衛官を二千人増員することであります。
 第四は、自衛隊が試験研究のためにも水面を使用する必要がある場合には、漁船の操業の制限または禁止を行なうことができるとすること等であります。
 本案は、去る二月十二日本委員会に付託され、翌十三日政府より提案理由の説明を聴取した後、池田首相、藤枝防衛庁長官その他関係政府委員に対し、各委員より諸般の角度から熱心な質疑がなされたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知を願います。
 かくて、本日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して藤原委員より賛成の意見が述べられ、日本社会党を代表して田口委員より、また、民主社会党を代表して受田委員より、それぞれ反対の意見が述べられ、次いで、採決いたしましたところ、多数をもって原案の通り可決いたしました。
 次に、郵政省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案の要旨は、第一に、大臣官房人事部を人事局に昇格すること、第二は、電波監理局の次長二人を廃止して、同局に放送部、無線通信部及び監視部の三部を置くこと、第三は、本省の付属機関として、存続期間二年、委員十五人以内よりなる臨時放送関係法制調査会を設置すること、第四は、定員を百一人増員することであります。
 本案は、去る一月三十一日本委員会に付託され、二月一日政府より提案理由の説明を聴取し、本日、質疑を終了いたしましたところ、自由民主党提案にかかる、施行期日を公布の日に改め、定員に関する改正規定は四月一日適用とする旨の修正案が提出され、草野委員より趣旨説明がなされ、次いで、討論に入り、日本社会党を代表して山内委員より反対の意見が述べられた後、採決の結果、多数をもって修正案の通り修正議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(原健三郎君) 両案中、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案につき、討論の通告があります。順次これを許します。田口誠治君。
  〔田口誠治君登壇〕
○田口誠治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に反対の討論をするものであります。(拍手)
 本案の改正は、従来防衛庁の外局として設置されてありました調達庁と本庁にある建設本部とを統合する防衛施設庁の新設を含めて十一項目にわたっておりますが、その目的とするものは、駐留軍関係を含めて防衛庁の一元的行政の運営を行なおうとするものであり、第二次防衛力整備計画強化の推進策であることは論を待たないのであります。
 日本社会党が本案に反対をする第一の理由は、昨年の七月十八日、国防会議で正式に決定を見た第二次防衛力整備計画が、世界に誇る戦争放棄と民主主義の確立、基本的人権の尊重を基調として制定されている名誉ある日本憲法の違反をますます明確にするからであります。
 顧みれば、昭和二十五年の六月、朝鮮動乱の勃発に次いで、同年七月八日、マッカーサー書簡により警察予備隊七万五千名の創設、これによって憲法第九条の精神が大きくゆがめられ、実質上の破壊だと、国民のきびしい批判の中にもかかわらず、昭和二十七年の十月には警察予備隊を保安隊に、昭和二十九年六月には保安隊を自衛隊と改称改編され、憲法の非武装条項を惜しげなく空文にひとしいものといたしておるのであります。問題の第二次防衛力整備計画は、昭和三十七年度から四十一年度にわたる五カ年計画であって、その目標は、陸上自衛隊については五つの方面隊と十三個師団の編成がえ、自衛官八千五百名増員の十八万名、予備自衛官一万三千名増の三万人に、海上自衛隊は、艦艇十二万八千三百三十六トンを十四万余トンに、航空自衛隊は、航空機一千機、その他地対空誘導弾部隊四隊の創設などでありまして、主要なる地点にはナイキ、ホーク等のミサイルが配置されることになっており、早くも本年十三個師団の編成を終わり、この秋にはミサイル、ナイキ訓練のために渡米中の三百三十九名の隊員が帰国をし、それぞれ主要部隊に配属され、実質的には極東におけるところのすばらしい軍隊を持つこととなるのであります。
 政府は、これに要する予算の年間増額分を、平均二百五億円程度と見込んでおり、五カ年の総額が約一兆一千六百億円となるのでございます。今や、日本の国民は、池田内閣の経済成長十カ年計画のもたらした諸物価の上昇によるしわ寄せを受けまして、苦しい生活に追い込まれております。本案の審議過程における質疑で明らかになりましたごとく、本年度より始まる五カ年計画は、早くも初年度において著しい物価上昇により防衛費の手直し計画を余儀なくせられておる羽目に陥っているということが実態であります。国民の切なる要望である社会保障、社会福祉、教育関係などの予算は、今後一そう膨張するであろう防衛予算の犠牲になるのであります。
 第二の反対の理由は、第三十八回国会で成立をした防衛二法の改正により、統合幕僚会議議長の権限が強化され、従来の政治優先、文民優位の原則がゆがめられまして、あらゆる面で制服に対する統制力が弱化して参っておるのでございます。これらのことを考えまするに、日本の今日の政治の動向あるいは今後変わるであろうところの政治の動向によっては、かつての五・一五事件、二・二六事件のごとく、また韓国やラオスのごとく、クーデターの起こる危険性なしとはだれしも保証できないのであります。この現況のままで防備の拡充強化をはかることはきわめて危険性が伴い、反対をしなければならないのであります。
 第三の反対理由は、この秋、米国よりナイキ訓練を終えて帰国する三百三十九名のミサイル部隊が配属されますけれども、今日のごとき核兵器の進歩しておる時代に、おくれたミサイル兵器を多額の予算をつぎ込んで国内に配置いたしたとて、一たん有事の場合には、完全な国の防衛とはならないのであります。論より証拠、米国ではナイキ・アジャックスは幾つかの欠点が出て研究が重ねられ、一九六二年以降には、アジャックスは防空用としては適しないという結論が出され、ハーキュリーズに切りかえられつつあるのであります。日本がこれから装備しようとするナイキの性能は、一・五マッハから一・八マッハでありますが、ソビエトにおける最新爆撃機は二・五マッハの速度で飛んでおるということであります。この事実からしましても、ナイキを装備し、防空用に役立たせるということになりますと、まことにこれはおかしいことでありまして、このことを私どもは知らなければならないと思うのでございます。それにもかかわらず、いかに米国の要請とはいえ、幾多の欠陥を持ち、むだにも見えるミサイルの装備に国民の血税を使わんとしている愚かさをわれわれは指摘せざるを得ないのであります。
 今、防衛庁では、地方自治体等の協力を求めて、自衛官の募集に笛や太鼓で宣伝これ努めており、除隊した者にまで呼びかけております。こういうような努力ぶりを示しておりますけれども、今日の若人たちは一向に振り向こうといたしておりません。今日約三万人に近い自衛官の定員不足を来たしておるのであります。それに、経済成長に伴い、青年層の人的不足は、ますます自衛官の定員不足を満たすことを困難ならしめております。現行の志願制度のもとでは、いかんとしても定員充足は望みがなく、そのために、ついには自民党の田中政調会長の発言のごとく、米国の干渉によってでも憲法第九条を改正し、徴兵制度を実施し、核兵器を装備するという、一部保守党陣営にある構想も、単なるうわさとしてはわれわれは見過ごすことができないのであります。今日のごとく植民地にもひとしい扱いをされておる日米間の力関係、米国に追随する日本の政治のあり方では、安保条約による日米共同防衛の名のもとに、日本の国土に核兵器の持ち込みを強要される憂いなしとはだれしも言い切れないのであります。もしそうだとすれば、自衛のための局地戦とはいえ、日本の本土とその沿岸で核兵器が使用されることを前提と考えなければならないのであります。日本の沿岸で核兵器を使う方式は、日本の国民の生命財産にとってはほとんど百パーセントの致命的全面戦争を意味するものと覚悟しなければなりません。ミサイル兵器を持つことによって相手方を抑制する恐怖的均衡論には反対であります。政府は、口を開けば、日本の自衛のためだというように簡単に片づけようとしておりますけれども、自主性のない自衛は、真の意味で国民のための自衛にはならないのであります。はっきり申し上げますならば、安保条約によって、日米共同防衛という表現を鬼に金棒のごとくに考えて使いますが、その実態は、日本側の自主判断によっての行動は不可能でありまして、アメリカ側の利害によってきめられていくのであります。
 私が知ってほしいのは、一昨年の九月六日、米国のハーバード大学の教授が、防衛研究所で自衛隊幹部の講習を行ない、そのときに、相手を完全に打破できる場合は、原子兵器による先制攻撃が最も有効であると指摘をいたしました。言いかえれば、日本の自衛隊の核ミサイル化は、原子兵器を使用する攻撃部隊として育成をしなければならないという意味のことであったのでございます。従って、自衛隊を持つこと自体が、ミサイル化すること自体が、全く危険なものであることを知らなければならないのであります。私は、あくまでも日本は平和憲法を守り、どこの国とも仲よく、積極中立を堅持すべきであると考え、自衛隊の国土建設隊への編成がえを強く要望するものでございます。
 最後に申し上げたいことは、防衛庁建設本部と調達庁を統合する防衛施設庁の新設の件であります。これによって、現調達庁の職員は、有無を言わさず、ほとんどが特別職に切りかえられるのであります。そして、今日組織されておる唯一の団結体である職員組合は解散させられ、憲法二十八条に保障する団結権が剥奪され、それのみか、二百名に近い職員が、三年間の計画で首切りの宣告を受けなければならないのでありまして、私は、このことは断じて許すことはできません。
 わが党は、日本の完全平和と民主主義を守り、働く者の完全雇用を確保するために、これに逆行する本案に対し、反対の意見を申し述べ、討論を終わる次第でございます。(拍手)
○副議長(原健三郎君) 藤原節夫君。
  〔藤原節夫君登壇〕
○藤原節夫君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に対し、簡単に賛成の意を表明せんとするものであります。(拍手)
 現下の国際情勢は、軍縮問題、核実験の問題等、重要問題が山積し、ことに極東方面におきましても、幾多の紛争誘発の要素を内包し、世界の平和は遺憾ながら力のバランスによって維持されているという状態でございます。かような国際情勢の現実を見ますとき、われわれは、わが国の独立と安全を守るための努力は、瞬時たりともこれをおろそかにできないのであります。およそ、独立国家として必要最小限度の自衛措置を講ずることは、国家固有の権能として何ら憲法に抵触するところでもなく、また、今日単独防衛が実際上不可能な現状にありましては、利害を同じくする友邦と結んで集団安全保障体制をとることもまた当然のことであります。この努力こそが、とりもなおさず、戦争の発生を未然に防止し、ひいては世界の平和に寄与するゆえんであると確信する次第であります。(拍手)
 また、防衛予算につきましても、最近の予算の内容を見ますと、公共事業費、社会保障費等の増大のテンポが防衛費のそれをはるかに上回っておる。このことは、国の経済の成長が福祉国家建設と防衛のための諸施策とよく調和して、両者相待って国の安全と繁栄をもたらしておる事実を如実に物語っておると考えるのであります。
 また、防衛力維持のためには、基地の確保と管理がきわめて重要でありますが、他面、基地から生ずるいろいろな問題を、一部の関係住民の上にのみしわ寄せをするということは、できるだけ避けなければならないことでありまして、基地周辺の環境整備等につきましては、積極的かつ総合的な施策を講ずることが必要であると思うのであります。従来、基地問題は、ややもすると地元住民の利害を越えて、イデオロギーの問題として取り扱われやすい傾向があったことは、まことに遺憾に思うものであります。
 今回、政府が提案しました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案は、かかる見地に立って、防衛庁の建設本部と調達庁とを統合して防衛施設庁を新設する措置をとっておりますが、これは現在及び将来の基地問題を有効適切に処理する考えから、きわめて時宜を得た措置というべきであります。
 要するに、この法律案は、わが国土と国民の安全を守るために、ひいては世界平和に寄与せんがために、自衛隊の充実と効率的な運用を意図するものでありまして、現下内外の諸情勢に対処する適切な措置と深く確信いたしまして、ここに賛成の意を表する次第であります。(拍手)
○副議長(原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に、郵政省設置法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○副議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時二十七分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        通商産業大臣  佐藤 榮作君
        郵 政 大 臣 迫水 久常君
        自 治 大 臣 安井  謙君
        国 務 大 臣 藤枝 泉介君
        国 務 大 臣 藤山愛一郎君
 出席政府委員
        農林政務次官  中馬 辰猪君
        郵政大臣官房長 金澤 平藏君