第041回国会 外務委員会 第6号
昭和三十七年九月十九日(水曜日)
    午前十一時開議
 出席委員
   委員長 野田 武夫君
   理事 安藤  覺君 理事 福田 篤泰君
   理事 松本 俊一君 理事 岡田 春夫君
   理事 戸叶 里子君 理事 森島 守人君
      宇都宮徳馬君    高橋  等君
      森下 國雄君    飛鳥田一雄君
      稻村 隆一君    勝間田清一君
      黒田 寿男君    帆足  計君
      穗積 七郎君    細迫 兼光君
      井堀 繁男君    川上 貫一君
 委員外の出席者
        防衛庁参事官
        (防衛局長)  海原  治君
        外務事務官
        (アメリカ局
        長)      安藤 吉光君
        外務事務官
        (アメリカ局安
        全保障課長)  高橋正太郎君
        専  門  員 豊田  薫君
    ―――――――――――――
九月十九日
 委員古川丈吉君、勝間田清一君及び西尾末廣君
 辞任につき、その補欠として高橋等君、飛鳥田
 一雄君及び井堀繁男君が議長の指名で委員に選
 任された。
同日
 委員高橋等君、飛鳥田一雄君及び井堀繁男君辞
 任につき、その補欠として古川丈吉君、勝間田
 清一君及び西尾末廣君が議長の指名で委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
九月二日
 一、国際情勢に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際情勢に関する件(U2機問題)
     ――――◇―――――
○野田委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。飛鳥田一雄君。
○飛鳥田委員 最近U2型機が再び世界に姿を現わしました。二年前は東西頂上会談をぶちこわしてしまいましたし、ことしもまた全面軍縮への道を非常にけわしくしそうだ、こういう点でかなり重要な問題だと考えるわけです。しかも、そのU2型機は樺太のユジノサハリンスクの東方に姿を現わし、さらには中国の巽東地区に姿を現わしたのです。非常に日本の身近に現わした。この前のときとは違うわけです。しかも、ソビエトはこれについて抗議をいたしまして、その抗議文の中には、はっきりと、日本、トルコ、ドイツ連邦共和国の米軍基地に配置されている、こう書かれているわけです。ソビエトといえども、そう簡単に、何の根拠もなしに、日本、こういう言葉をあげるわけじゃなかろう、こう思っているわけです。これに対して、外務省は、曽野局長が、日本にはいない、こうおっしゃつただけでありますが、一体、外務省は、どの程度に調査をなさって、どのような根拠に基づいて日本に来ていないとおっしゃったのか、それから伺いたいと思います。
○安藤説明員 御承知の通り、昭和三十五年の七月かと思います。U2機が厚木に来たという事件がございました。そのとき、七月十一日に日本を撤収いたしまして、そのときの藤山外務大臣もはっきり申しておられる通り、U2機は全部いないということを言っておられますが、それ以来日本にU2機は来たことはございません。そして、もちろん、私どもは常時米側とはいろんな意味において連絡いたしておりますが、U2機はいないということを十分承知しておりますし、当時国防省で発表いたしましたことも、日本から出たのではないということをはっきり申しておる次第でございます。
○飛鳥田委員 U2機の航続距離はどのくらいですか。
○安藤説明員 正確なことははっきり承知しておりませんでしたので、資料を今いただきました。二千二百五十ノーチカル・マイルでございます。
○飛鳥田委員 二千二百五十ノーチカル・マイル、これをキロに直しますと約三千五百四十キロぐらいになると思いますが、これがU2機の行動範囲を示すものだと考えてよろしいでしょうか。
○安藤説明員 大体さように承知しております。
○飛鳥田委員 そういたしますと、大体、ユジノサハリンスク東方五十六キロに現われたのですから、往復を考えますと半分、こう考えてよろしいわけでしょう。そこで、ユジノサハリンスクのあたりに点を置いて約千七百ないしは千八百キロの円をかいてごらんなさい。その中にどことどこが入りますか。
○安藤説明員 私の承知しておりますところでは、二千二百五十ノーチカル・マイルというのは約四千二百キロメートルでございます。それで、私も軍事知識は十分ございませんが、これはエンジンをとめてグライダーでずっと飛ぶということもやっておるということも聞いております。円をかくということはいたしてみたいと思います。
○飛鳥田委員 エンジンをとめて滑空をするということは、現に偵察に従事する段階に入って行なうのです。それは少なくともジェーンの航空年鑑なり何なりをごらんになれば明らかに出ていることです。それは作業中です。従って、その滑空の時間あるいは滑空の距離などというものはそう大きなものとは言えないわけです。そう考えて参りますと、ユジノサハリンスクに、すなわち旧豊原にU2機が現われ得る行動範囲というものは、おのずからきまらなければならぬはずです。そのくらいのことをあなたの方で御検討にならないで、ただ日本にいないということだけを信じているというのでは、あまり子供っぽ過ぎはしないでしょうか。私は、試みに、最大限度の意味で、半径二千キロで豊原に点を置いて円をかいてみました。すると、その中に入るのは日本だけです。アリューシャン群島のキスカ島すら入らない。コマンドル島は入りますが、キスカ島すら入らない。そう考えてくれば、別に軍事的な知識のあるなしにかかわらず、ソビエトが、日本、トルコ、西ドイツ、こういうふうに指定することについて必ずしも無根拠と言えないのではないでしょうか。
 それで、もう一つ伺いますが、このU2型機は航空母艦から発進できますか。
○安藤説明員 ただいまの点でございますが、先ほど二千二百五十ノーチカル・マイルと申し上げましたのは行動半径でございます。行動半径四千二百キロメートル、これはジェーン年鑑等によったものでございます。
 私、軍事的知識は乏しいかもしれませんが、航空母艦から出るということについてはよく承知しておりません。調べてみます。
○飛鳥田委員 そういたしますと、あなたのおっしゃるその範囲で円をかいてみて、どことどこが入りますか。
○安藤説明員 私現実に円をかいたことはございません。しかし、当時アメリカの発表では、強風によってサガレンの方に流されておるかもしれないということを言っておることが一つ。と同時に、ある新聞の情報では、どうやらアラスカ方面からのものらしいということがございました。しかし、再三申し上げますように、日本に、U2機は、基地もございませんし、昭和三十五年以来来たこともございません。それで、現在日本にないこともまた事実でございます。
○飛鳥田委員 強風に流されたとおっしゃるのですが、強風に流されて何千キロも流されるということはないのです。それは百キロやあるいは五十キロ流されるということは、高々度でありますから当然あり得ると思いますし、また、滑空ということもあり得ると思いますが、そうとんでもないところからユジノサハリンスクの付近まで流されていったということはないことは、これも常識だと思うわけです。一体、あなたは、日本国内にないとおっしゃるのですが、どうやって確かめてみましたか。
○安藤説明員 これはいささか私的にわたることでもございますが、私は、いろいろな問題がございますので、合同委員会が隔週に開かれますその席、あるいは種々会う機会がございますので、向こうの方にはできるだけいろいろなことを知らしてほしいということは常時要望し、また、向こうもしておるわけであります。そして、U2機が日本にいないということは絶えずこれを向こうに確かめておるわけでございます。従いまして、アメリカの国務省もはっきりU2機は日本から出発したものじゃないということを声明しておるのと、やはり一致するわけでございます。
○飛鳥田委員 二年前を考えてみていただければ明らかだと思いますが、アメリカの政府の声明というものが何べんも何べんもひっくり返ったのを御記憶だろうと思います。そして、日本にもいないとそのときは言ったはずです。ところが、現実にはいたわけです。別に私は特定の国に対して悪意をもって想定するということはいたしませんが、しかし、ともかく今までそういうふうに何べんも声明がうそであったという実績があるわけですから、ただその政府の声明を信じているというだけで問題が片づくのかどうか。むしろあなたの方で今僕が申し上げたようなごく初歩的な疑問さえ発してみようとしないところに問題がある。ユジノサハリンスク地区に現われるとすれば、どうも日本以外に根拠地はないのではないか、こういう疑問すら発してみないということ自身が、国民に対して信頼感を与えるかどうか。アメリカ政府が今まで黒いジェット機について声明したことがどんなにうそであったか、こういうことについて、安保審議のときのいろいろな事情を見てみましょうか。まず、岸さんや赤城さんは、これが気象観測にしか従事していなかったということを盛んに述べておられる。しかし、それからわずかの後にスパイ飛行だということがはっきりしてきたではありませんか。そういう点を考えていただければ、アメリカの声明というものがそれだけでうのみにしていいものかどうか、もう一歩責任あるあなたとして踏み込んでいろいろな質問をしてみる必要があるのではありませんか。
○安藤説明員 おっしゃいます通り、私どもは、当時、こういつたことが新聞に、夜中ですか、入ったということを聞きまして、米国大使館はもちろんのこと、米軍にも直ちにこれを問い合わせたわけでございます。それから、米軍でも直ちにいろいろ検討したわけですが、もちろん日本におるはずはない。われわれは、当時いないということは承知しておりましたが、念を入れるために、米軍及び国務省側、大使館にはもちろん問い合わせました。従いまして、私たちとしては、なし得る限りのことはしたわけでございます。向こうがそう申しておるし、そして、事実、われわれとしても絶えず今までもこういう問題については関心を持っておりました。常時連絡をとって、日本にいないということをわれわれとしても承知しておりました。
○飛鳥田委員 日本にいないということは、日本にU2機が配置をされていないという意味ですか、それとも、日本に立ち寄るとか、ちょっとした燃料の補充にやってくるとかいうことがないという意味ですか、それを両方はっきりして下さい。
○安藤説明員 U2機の基地はもちろんございません。U2機は常備されておりません。それから、私の承知しておりますところでは、U2機が立ち寄ったこともあの事件以来はございません。
○飛鳥田委員 そういたしますと、ずいぶん矛盾があると思うのです。あなたの今おっしゃった行動半径でユジノサハリンスク地区に現われた、これは事実だと思います。もしあなたのおっしゃるようにアリューシャンの方から来たとしても、まさかユジノサハリンスクの沖にちょっと来て、まるでマラソン競走のように、そこにさわって折り返していったということはないでしょう。ある程度の偵察飛行をやったでしょう。だとするならば、帰っていくことはできないはずです。従って、日本に立ち寄って油を補給するとか、あるいは日本で一休みをして戻っていくというような、航続距離にプラスする何かをしなければ帰っていけない。沖繩についても同様のはずですが、その点どうでしょうか。
○安藤説明員 四千二百キロメートルというのは相当長距離でございまして、私の承知していますところでは、樺太から北方の米国の基地に帰るということは不可能ではないというふうに承知しております。
○飛鳥田委員 半径四千二百キロメートルとあなたはおっしゃるのですが、半径ではなく、これは航続距離ではないのでしょうか。半径だということだとするならば、その航続距離は、往復でありますから、少なくとも八千四百キロメートルということになるわけです。私は少なくとも今までの常識から考えて八千四百キロメートル飛べる飛行機というのはちょっと聞いたことがないのですが、これはロッキードに問い合わせてみてもけっこうです。
○安藤説明員 二千二百五十ノーチカル、すなわち四千二百五十キロメートルは行動半径ということになっておるようであります。この資料のもととなりましたのは、エアロプレインという年鑑あるいはジェーン年鑑、その六〇年、六一年、そういったものにそういうふうに出ております。
○飛鳥田委員 それじゃ、その点は私の方も一ぺん調べてみます。私は少なくとも航続距離が四千百八十五キロメートルだと考えておったわけですが、それが半径だという説については、私の方でももう一度調べてみましょう。
○安藤説明員 ちょっと訂正させていただきます。私、勘違いしておりました。ここに年鑑の写しがございます。二千二百五十ノーチカル・マイル、これは航続距離であります。ただいま申し上げました四千二百五十キロメートルは行動半径でございます。
○海原説明員 私の方から提供しました資料に基づいてアメリカ局長がお答えになりました。申しわけありませんが、実は、資料に、航続距離、行動半径と両方書いてございます。そこで、今お読みになりました二千二百五十ノーチカル、これをキロに直しますと四千二百キロ、一ノーチカル・マイルは一・八五倍していただくわけです。この場合におきましては、これは航続距離を表わしたものです。この資料のつくり方が、飛行機によりましては距離を出す場合と行動半径を出す場合と両方ございますので、誤ってそういうふうに申し述べられたもので、これはむしろ私の方が資料のつくり方が不手ぎわでありました。私の承知したところでは、航続距離は四千二百キロ前後のように考えます。ただし、この場合、先ほどからお話を承っておりますが、かりにアリューシャンのシェミアから飛んだといたしますと、一応の行動範囲にはございます。
○飛鳥田委員 やはり、失礼しましたでは済まないのですよ。だって、国民は、黒いジェット機、U2機が日本にいるかいないかということをひどく心配しているのです。僕もその一人なんですが、それに対してお答えになるのに、ただアメリカの返事をそのままオウム返しに伝えるというだけでは、国民の信頼は得られない。だから、せめて、あなただって、御自分のできる限りの範囲内においていろいろな疑問を発してみ、その疑問をアメリカに突きつけるなりあるいは人に尋ねてみるなりして、御自分の調査能力で調査なさってみる必要があるわけです。そうしてこそ初めて国民が信用するわけでしょう。ところが、U2型機の航続距離についてさえ御存じなくて、確かに日本にいないはずですと言っても、国民は信用するでしょうか。このくらいの航続距離だからこの範囲の中にしかいないはずだ、このくらいのことは、しろうとだって、小学生だってわかるはずでしょう。ところが、事もあろうに、専門家の防衛庁の人さえ行動半径と航続距離が区別できないに至っては、その資料はだれがつくったのですか、専門家がつくったのでしょう。ジェーンの航空年鑑を見ましても、ちゃんと書いてありますよ。行動半径などとは書いてないはずです。さっき行動半径とおっしゃったから、権威のある政府の方がそうおっしゃるのだからと思って僕ももう一度考え直してみたわけですが、どうも納得がいかないので、おそるおそる伺ったのです。そうしたら、あまりに無知を暴露せられたのでびっくりしたのです。この場合に、今防衛局長がおっしゃったのですが、普通で参りますと二千二百マイルです。そうして、増槽、エクスターナル・タンクをつけて初めて二千六百マイルになるわけです。そうして、それのメートル計算は四千百八十五キロメートルと書いてありますよ。何か少し数字が違いますね。しかし、いずれでもけっこうです。
 そういたしますと、キスカ島は入らずに、キスカのもう少し西の島が一つ入るだけです。しかも、それは、直線で豊原のそばへ行って、そのまま直線ですっと戻ってきたときにようやく入るのですから、少なくとも、偵察をして、うろうろと言うのもおかしいですが、している限り、アリューシャン島から発進することは不可能だということにならざるを得ないわけですよ。一応は入りますと今防衛局長はおっしゃいましたが、ちゃんとそのことを防衛局長は知っておるからです。ですから、私たちは、今アリューシャン群島から発進したのではないと一応想定せざるを得ないというわけです。この点について何か無理がありますか。
○海原説明員 このU2機の飛び方でございますが、これは、先ほど先生もおっしゃいましたように、むしろ私どもよりはいろいろ細部の点を御存じだと思いますが、ある高度まで上がりましてからグライダー滑空航法もあります。そういうようなことを入れて参りますと、一応この航続距離というものはそのときの気象状況によって相当延伸されると考えます。従いまして、当時におきまして、かりにあの飛行機がU2であったといたしましても、それがどのような飛び方をしたかということにつきましては、アメリカの方からも何ら発表がございませんし、私どもも、私どもの立場でこの飛行機の性能のほんとうに詳しいことはわかりません。飛び方もわかりません。かりに五万キロであれば、速力がどの程度出るか、六万になればどうなる、三万に下がればどうなるということは、その飛行機の特性に応じまして詳細なるデータがあるわけであります。ここに出ておりますのは一応の基準であります。この航続距離は大体二千二百五十ノーチカル・マイル前後、場合によっては以上という表示もございます。それから、キロに換算しまする場合も、たとえば、ミサイルロケットあたりに出ております数字にいたしましても、ある場合にノーチカル・マイルと普通のマイルとが混用して使われております。ジェーン年鑑あたりでも、もうこの数字がはっきりいたしております。従いまして、私どもは、一応、二千二百五十ノーチカル・マイルとありますのをとりまして、それで計算いたしますと四千二百、これに増槽をつけますとさらに約四百ノーチカル・マイルふえるわけであります。さらにそれの一・八五倍のキロを掛けるということになります。先ほど一応と申し上げましたのは、くどくなりますがどういう気象状況においてどういう飛び方をしたかということに関連をいたします。そういうことから考えますと、あの辺まで飛ぶことは行動半径内であるというふうに考えるのが常識的ではないか、このように考えるわけでありますが、しかし、問題の飛行機がU2であるかどうかということにつきましても、私どもは実は承知いたしておりません。従いまして、それ以上あれが一体行動半径内のものと思うかどうかということにつきまして、政府という立場でお答えをすることはいかがかと存ずるわけでございまして、今でも申し上げておりますことは、一応私どもがこういう資料によりまして判断いたしますと飛び得る範囲内であるというふうに考える、ということに一つ御理解願いたいと思います。
○飛鳥田委員 また違うのですよ。あなたはジェーン年鑑をごらんになったと思うのですが、これはかなり正確な有名なものだと思うのです。これには、内部燃料、いわゆる機体に積み込んだ燃料だけで走る場合には二千二百マイル、そうして、エクスターナル・タンク、増槽をつけた場合には二千六百マイルと、はっきり区別して書いてある。ところが、あなたは増槽をつけて飛んだ場合のキロにさらにまた増槽をつけた形にして今無理にお伸ばしになっておるわけですね。ですから、そういう点でもっとよく調べていただきたい。私は別にここでU2機の性能について議論をしようとしておるのではないのです。私たちのようなしろうとでさえこういう疑問が発せられるのだから、その点についてアメリカ軍なり何なりに対してきちっと質問をし、そうして国民の納得のできるようなきちっとした質疑応答の後に、日本にいないということを確認したのかどうか、そういうことを伺っておるわけです。ところが、今までの質問の中で、アメリカ局長の方では、当然発すべき疑問を発せずして、ただ信じておる、こういうことだとしか思えないので、私はそこを伺っておるわけです。
 それじゃ、もうこの点は水かけ論ですからやめますが、私はこう思っています。結論だけを申し上げれば、行動半径その他から考えてみて、もしアリューシャンから発進したとしても、そのまままっすぐには帰れません。必ず日本のどこかの基地に寄って燃料を積み込み、そこからアリューシャンに戻っていく、こういうコースをとらざるを得ないだろう。また、かりに沖繩から発進したとしても、樺太の付近を偵察した後には、必ず日本のどこかの基地に寄って油を補給した後でなければ帰っていけないだろう。従って、日本に配置として来てはいないけれども、しかし、少なくとも間々寄っては用を足していく、こういうふうにしか考えられない。これが少なくとも常識だと思うのですが、そういうことまであなたの方で否定なさる。
 それじゃ伺いますが、ソビエトの声明は、明らかに、日本、こういうふうに名乗っておるのですから、ソビエトに対しで、ソビエトはどのような根拠で日本にU2機があるとお考えになっておるのか、非難するだけのものではありますまい、具体的な事実をお示し願いたい、こう言ってあなたの方からお問い合わせになったことがありますか。
○安藤説明員 この問題につきましては、日本から飛んだものではない、日本にはU2機はいないということを外務省の情報局でちゃんと発表しておるわけであります。同じく、ソビエトのこの前の発表で言及されております国々、西独とかあるいはトルコ、これらの国も、自分の国の米軍基地から飛んだものではないということを言明しております。
○飛鳥田委員 少なくとも僕はこう伺っておるのです。ソビエトと日本は、少なくとも国交があるのですから友好国家のはずです。そうして、お互いに仲よくしていきたいとあなた方も願っておるでしょうし、ソビエトの方でも願っておられるはずです。だとすれば、お互いの間にわだかまりがあるということはまずいのではないでしょうか。従って、なぜあなたの方でそうおっしゃるのですかと問い合わせてみても、何ら非礼なことでもないでしょう。そうして、向こうで、これこれこういう理由でおれたちはこう考えたのだと言えば、その点に向かって、きちっと、そうではないという証明なり証拠をあなたの方でお出しになる。これがほんとうのわだかまりのない日ソの国交を持続させるゆえんだと私は思うのです。ところが、そういうことを全然おやりにならない。それじゃ、ソビエトに向かって、なぜ日本という言葉をお入れになったのかということを、あなたの方では聞いてみる意思はないわけですか。これは聞いてみていいと私は思いますが。
○安藤説明員 今回のサガレン上空にU2機と思われるようなものが行ったということに関係いたしまして、ソビエト政府は米国政府に抗議をいたしております。米国政府は、それに対しまして、哨戒任務に当たっておる米軍のU2機の一機が強風によってサガレン南方の領空を飛んだかもしれない、しかし故意ではない、という趣旨の回答をいたしております。日本から飛んだとか、トルコとか英国とかいろいろな国を言っておりますが、これは向こうの国の言明でありまして、日本に直接言ってきたわけではない。われわれとしても、情報局談で、そういうことは絶対にないということを申したわけであります。
○飛鳥田委員 それでは国民に対してずいぶん不親切ではないでしょうか。ソ連政府はこう言っていますよ。かつてソ連政府は真剣に抗議したことがある、またこの種の挑発が繰り返されるなら、ソ連政府としては、ソ連敵対に使用されておる軍事基地の無害化を含むしかるべき報復措置をとらざるを得ないということを警告した、この警告が今でも完全に生きていることはあらためて述べるまでもない、こう言っておるわけです。あなたのお説によると、アメリカに向かって抗議した、日本に向かって抗議してきたのではない、われわれはいないということを言ったのだから、それでいいじゃないかとおっしゃるのですが、それでは納得しない。ソ連は依然として日本にU2機が駐留すると信じている。そうして、この無害化を含むしかるべき報復措置をとらざるを得なくなると彼らが考えた場合、どうなりますか。従って、そういう疑問をソビエトが持っている以上、これを言い説いて、日本にいませんということをあなたの側から明確にソビエトを説得していくということは、日本国民に対して重要なことじゃないでしょうか。日本国民は警告を受けっぱなしでいるのですか。従って、ソビエトに向かって、なぜそうおっしゃるのかということを聞いてみるぐらいの措置はあっていいんじゃないでしょうか。今後そういうことをおやりになる意思はないのですか。
○安藤説明員 先ほど申しました通り、ソビエトがそういう言明をして、それに対して、日本政府としては、情報局から、はっきりと、そういう事実はないということを申しているわけでございまして、これは明白な事実でございます。
○飛鳥田委員 そこで、やはり問題は安保条約に戻らざるを得ないと思うのです。はっきりとおらない、こうあなたがおっしゃってみたところで、現実にいろいろなものが日本の軍事基地の中に日本政府の目に触れずしてある。こういうことは事実です。一体、日本の安保条約なり新地位協定によって、日本はどの程度に米軍の基地内を調査する権利を持っているのですか。調査という言葉があなた方のお気にさわるのならば、その中にどんなものがあるかを調べていく権限を持っているのですか。
○安藤説明員 米軍と協議の上で行くことは、これはできると思います。私も時間の余裕があればあちこち回って見たいとかねがね考えておる次第であります。もちろん、ほかの関係官庁の方も同様だろうと思います。
○飛鳥田委員 あなたが友人として事実上人って見るというのと、日本政府が基地内を査察する、あるいは調べるという権利があるかどうかということとは、別なはずなんです。それをごまかして、さもあなたがときどき入って見ているということなら、僕だって、おととい三沢の軍事基地に行きまして、基地司令官にお目にかかって、三沢の基地の中を自動車で見せていただきました。社会党は米軍基地を査察する権利がある、こういうことになってしまうじゃありませんか。同じことになってしまうでしょう。そうじゃなくて、問題は、日本政府が軍事基地内を査察する、調査する権利があるのかないのか。権利があって、その権利を行使した上で日本にU2機はいません、こう言うのならば、ソビエトといえども日本政府のそうした行為をきちっと聞くでしょう。ところが、調べる権利もない。調べたこともない。ただ米軍の発表あるいは米軍と話し合った結果をオウム返しにあなたが述べているのならば、言葉通りのアメリカ局長になってしまいますよ。だから、そういう意味で、基地を日本の政府は安保条約ないしは新地位協定によって調査する権利があるのですかないのですかと伺っているわけです。
○安藤説明員 権利と申しましょうか、向こうに行って見るということは決してできないことではない、こういうふうに申し上げております。権利とかなんとかいうことは明記してございません。しかしながら、向こうの基地に行って見るということは、これはできることだと考えております。
○飛鳥田委員 向こうが拒絶した場合はどうですか。
○安藤説明員 従来いろいろ私も経験がございまするが、向こう側とは、要するに、この安保条約というものは、日本の防衛を彼らが分担するために基地を提供しておる、そういったいわゆる紐帯関係にあるわけでございます。拒絶とかなんとかいう問題ではなくして、事実問題としてそういったことをわれわれとしては連絡し、見ることができるということを申し上げているわけであります。
○飛鳥田委員 事実問題として見ることができるかどうかということと、条約上の権利の有無という問題とは別ですよ。そしてまた、ソビエトなり中国なり、その他の政府が重要なものとして考えるのは、日本の政府がそうした権利を持っていて、その権利行使の上で、ないと断定するのかどうかというところに重点があるわけです。ドイツのボン協定などを見ますと、基地査察権が不完全ではありますが規定されているように思うのですが、日本のものにはないのですか、どうなんですか。
○安藤説明員 日本の安保条約ないしは地位協定にはそういう明文はございません。私の承知しておりますところでは、他の国と米国との問題についても同様かと承知いたしております。
○飛鳥田委員 ボン協定にはあるように思うのですが、どうですか。
○安藤説明員 ただいまちょっと手元に持ち合わせておりませんので、はっきり申し上げかねます。一般論としては、そういったようなことが明記してあるとは承知いたしておりません。
○飛鳥田委員 ボン協定にあれば一般論としてもあるんじゃないでしょうか。少なくともこの国の基地を向こうに提供しているのですからその基地がどう使われているかということについてその主権国が査察することができるというのが一般論じゃないでしょうか。それを少なくとも抜いてしまって、放棄してしまって、完全な治外法権ができているような条約関係の上に立って、U2機は日本におりません、こうおっしゃってみたところで、人はそれを信じないのではないでしょうか。それはかつて事前協議などという問題でこの外務委員会の皆さん方がいろいろな論点から論ぜられたところでありますが、今またこのU2機の問題について毛相当問題が出てきているわけです。この際一つ、あなた方は、事実上できるとおっしゃるのならば、日本にアメリカの飛行場というものはそう数多くあるわけではありません、三沢、横田、ジョンソン、板付、そうして厚木の飛行場、岩国の飛行場、そういう幾つかのものを査察なされば、大体わかるわけですから、そういうものについて一カ月ぐらい査察官を派遣して調査をしてごらんになったらどうでしょう。そうして、その上でU2機がいないと、こうおっしゃるのならばまだわかりますが、そういうことをおやりになる意思はありますか。
○安藤説明員 先ほども申し上げましたように、条約の問題といたしましては、これもはっきり私ここに資料を持っておりませんが、ボン協定を含めて一般に同様な条約にはそういう規定はございません。それから、実際問題といたしまして、いわゆる安保条約に基づく紐帯関係からして、今度のU2機のあるかないかという問題に対しては、単に軍当局に確認したのみならず、外交チャンネルを通じて米大使館にも言っておるわけでございます。そうして、正式にそういうものはないということを言っておると同時に、アメリカの国務省もそれをはっきり裏書きした言明をしておりまして、そういった問題については国と国との間の信義の問題であろうと存じます。
○飛鳥田委員 信義の問題とおっしゃっても、前科があるわけです。前科という言葉が語弊があれば取り消しますが、この前、二年前に私が藤沢の飛行場にいた黒いジェットの話を本会議で申し上げたら、藤山さんは、あれは気象観測機です。伊勢湾台風の観測をいたしておりますと、こうおっしゃつた。それでは、その観測した写真が日本へ回ってきておりますかと言って、調べてみたら、回ってきていないわけですね。そういうことをさんざんやったあと、五月一日にソビエトの上空で撃ち落とされ、それがスパイ機であったということが明らかになっているわけです。しかも、この飛行機は観測に従事するだけでスパイ行為などはやっておりませんと、再々岸さんも藤山さんも繰り返しておった。なぜそうおっしゃるのですかと聞いたら、アメリカがそう言っているから、国際信義上云々と、今あなたのおっしゃった通りのことをおっしゃいました。国際信義上相手の言葉を信じなければおかしい、われわれはただ信ずるのみというところまではおっしゃいませんでしたが、やはりそれに近いお話をなすったわけです。ところが、それから少したった六月の二十五日のアメリカの上院の外交委員会U2型機調査委員会の記録を見ますと、これは明らかにソビエトの奇襲能力を判定するために役立ったものだ、こう言っているわけです。そうして、ニクソン副大統領は、数十万枚のソビエトの写真をとってしまっているぞと、こう言っていばっているわけです。こんなにうそを、こんなに反対のことを言われて、日本政府は腹が立たないのですか。そう私は思うのですが、それほどの前科があるわけです。前歴があるわけです。ところが、またあなたは、信じている、信じなければ国際外交が成り立たぬ、こうおっしゃるのですが、それで国民が納得するかどうか。あなたと僕がここで問答しているというだけじゃないのです。国民が信ずるかどうか、国民が信頼するかどうかというところに重点がありますし、また、重大な報復措置をとらざるを得なくなると主張しているソビエトにも事態を正確に知ってもらうという必要もあるわけです。そういう必要を満たすためにあなたと僕がここで問答しているのですから、ただ信ずるだけでは済まないのです。そういう点で、もう一度ソビエトに対して、あなたのおっしゃる根拠は何かと問いただして、そしてまた、その根拠に基づいてアメリカに対して質問をしてみる。そして、あなたの方は、各基地に対して基地調査権を発動して、――これはないとおっしゃるのですが、求めれば私はとれると思うのです。とって基地調査をしてみて、その上で、ございませんというのならば、話はわかると思うのです。そういうことをおやりになる意思はありませんか。
○安藤説明員 U2機に限らず、私はかねがね米軍の連中としょっちゅう会いますが、その際に、何でもいいからできる限りの情報をわれわれに提供してもらいたいと絶えず緊密な連絡をとるように要求し、また、そうしてくれております。今度のU2機につきましても、かねがねそういう問題が日本にとっては非常に重要な問題であるということは米軍当局もよく知っており、今度サハリンの事件がございましたときにも、直ちに連絡をとってみましたところが、やはりあれ以来来ていないということをはっきり申しております。くどいようでございますが、外交チャンネルを通して聞いてみても同様でございます。ソ連のことにつきましては、向こうの言明に対してはこちらも同様な形の言明をやった、事態をわれわれは確信を持って明らかにしたということで、一応私は日本の立場は明らかになったということを申し上げたわけであります。
○飛鳥田委員 もうこれ以上は水かけ論でしょうから私はいたしません。しかし、少なくともあなたの方でそういう万全の措置を講ぜらるべき義務が私はあると思うのです。そのことは一つあなたとしてもお考えをいただきたいと思います。それでなければ国民は安心しないのです。
 そこで、もう一歩踏み込んでみて、私は、このU2型機の操作について、実は、日本政府が、基地を提供しておったかどうかは別にして、協力しているのじゃないか、こういう疑いを持っているわけです。先ほど来アメリカ局長も防衛局長も、アリューシャンから出たのだろうとおっしゃっていられるわけですが、それでは、一つ、防衛局長からでもアメリカ局長からでもけっこうですが、アリューシャンから発進したU2型機がソ連領を侵すことなくしてどうやって豊原へ行けますか、樺太の付近へ行けますか、それを伺いたいと思うのです。カムチャッカ半島を横断することなくして、千島列島を横断することなくして豊原の付近へ姿を現わすことができますか。(「回り道をして行ったか」と呼ぶ者あり)――回り道といったって、道がない。
○海原説明員 何分にもこれは外国のことでございますし、どこから出たかということにつきましても、アリューシャンから出たということも思われるという報道もある。先ほどのお話は、そこから一体行動半径はどうなっているかという御質問でありましたので、そういうようにお答え申し上げた。私どもは現にあの飛行機がアリューシャンから出たというふうに確実に認識しているわけではございません。これにつきましては、別に日本政府といたしまして、少なくとも私どもは、どこから出たものである、どういう航路を通って行ったものであるということについては何ら情報はございません。かつ、先生のおっしゃいましたように、豊原付近に現われたということについては、私どもはそういうことは承知いたしておりません。従って、どこの基地から飛んでどういうナヴィゲーション、航法によって豊原へ来たかということにつきましては、まことに申しわけありませんが、お答えする何らの資料を持ち合わせておりませんことを申し上げます。
○飛鳥田委員 ソビエトの政府もユジノサハリンスクの東方に現われたと言い、アメリカの政府も確かに行ったと言っているのですから、そのことについて疑いの余地は私はなかろうと思うのですが、どうでしょうか。
○海原説明員 どうも、私どもが具体的に知っております事実につきましてのことでございませんので、外国政府の声明が正しいとか正しくないとかいうことを申すことも、それ自体いかがかと思います。そのように政府が言っている以上は、そうであったと、かように思います。
○飛鳥田委員 わかりました。アメリカ局長、どうでしょうか。政府の一部である防衛局長も、外国政府の声明が正しいかどうかと言うととはいかがかと思います。私たちが実際確かめてみたことではございませんからと言っているわけです。あなたがU2機が日本にいないと言うのは、アメリカ政府の発表によるのでしょう。確かめてみたわけじゃないでしょう。別に私は言葉のあげ足をとるわけじゃありませんが、都合が悪くなると信じなくなる、都合がよくなると信ずるというのでは、僕らまじめな話ができないんじゃないでしょうか。あなたも確かめてみない以上信ぜられないということですか。
○安藤説明員 九月四日のソ連政府のアメリカに対する抗議には、御指摘の通り、ユジノサハリンスク市、昔の豊・原の東方のソ連領空侵犯に関し云々、抗議するということが言われております。それに対して米国政府筋は、U2機一機が強風によって、サハリン南方のソ連領空を飛んだかもしれない、――確認はしていないわけです。飛んだかもしれない、しかし本件は故意ではないということを言って、調査している段階にあるように承知しております。
○飛鳥田委員 故意ではないとおっしゃっている以上、それが事実だと言わざるを得ないじゃないでしょうか。今までの習慣から言えば、もしうそならすぐ否定するでしょう。ですから、豊原の付近に一体どうやって現われたのかということですよ。カムチャッカの上を飛び越えて行ったか、千島列島の上を飛び越えて行ったか、もしそういうものを飛び越えて行けば、一九六一年、たしか六月であったと思いますが、モスクワ放送は、U2機がシベリア方面からソ連領をねらっているという放送をしています。そういうふうにすぐソ連のモスクワ放送なり何なりに現われてくるはずなんです。ところが、今度はそれがないわけです。だとすれば、ソビエト領を越えて行ったとはちょっと思えないわけですが、どこをどうやりて行ったのでしょう。幽霊のように現われたのでしょうか。もう時間が惜しいですから率直に申し上げますが、カムチャッカ半島を越えずクリル列島を越えずもし豊原の付近に現われることができるとすれば、北海道上空を通過したとしか考えられないわけです。あるいは日本海を通った。日本海を通るにはやはりどこかの地点で日本を横断しない限り道がないわけですよ。だとすれば、日本政府は知らない間にあるいは意識して日本の上空をU2機が通過していることを認めていると言わざるを得ないんじゃないでしょうか。
○安藤説明員 先ほども申し上げましたように、米側のソ連政府に対する回答の中にも、行ったかもしれないということを言っておることは事実であります。おそらく現在においてもその段階でいろいろ調査しているのじゃないかと思います。私どもといたしましては、実際どういうふうにどう飛んだかということを今にわかに判断したり推定したりすることはちょっとできないということでございます。
○飛鳥田委員 しかし、何らかの形で判断をなさらなわけにいかないでしょう。事日本領土がその付近に関係しているからです。わからないわからいで済んでしまうものではない。北海道上空をおそらく通って行ったんだろうと私たちは常識をもってすれば考えられるわけでしょう。
 それでは防衛局長に伺いますが、稚内にある日本の自衛隊のレーダーの有効距離はどのくらいでしょうか。
○海原説明員 レーダーの有効距離は、正確には申し上げられませんが、大体二百ノーチカル・マイル前後、こういうふうに申し上げておきます。
○飛鳥田委員 大体一年間に豊原の付近で稚内のレーダー基地がとらえたソ連機数はどのくらいですか。
○海原説明員 ただいま資料を持ち合わせておりませんので、正確な数字をお答えできませんことをお許しいただきます。
○飛鳥田委員 たしか、私も見せていただいたのですが、昭和三十五年四月から昭和三十六年三月まで一年間に豊原の付近で捕捉したソ連機数は二千三百二十機、大泊、コルサコフですか、大泊の付近で捕捉した機数が九百三十機、沿海州その他も、みんなソ連機の飛んでいるのを稚内のレーダー基地は捕捉しているわけです。そうだとすれば、この黒いジェット機の飛んでいるところは、稚内のレーダー基地の有効距離内にあるわけでしょう。どうでしょうか。
○海原説明員 ただいま先生がおあげになりました数字は、たしか、当時国会から稚内方面に御視察に行かれたときに、おそらく現地におけるチャートによって得られた資料だと思います。実は、私、あのチャートを見ましたけれども、今おっしゃいました豊原付近とか大泊付近あるいは沿海州付近というようなところにまるが打ってありまして、そこに数字が出ておりますが、これは正しい位置ではございません。といいますことは、レーダーの到達距離外であります。ただ、視察に来られた方の御便宜のために、大体その付近でその程度の機数を発見したということを示したもので、正しい位置とは違っておりますので、それを申し上げておきます。従いまして、それに従いました御質問でございますので、その二百ノーチカル・マイルと申しますのは、やはり御存じのように高度に影響があります。高度五万であれば幾ら、高度三万であれば幾らというふうに、いろいろとつかまえます位置で違って参ります。特にまた対象が小型の飛行機であるとかあるいは大型の飛行機であるということによって違って参りますので、一がいには申し上げられません。
○飛鳥田委員 少なくとも、私たちは稚内へ行きまして、当時これは個人で行ったのではなく、内閣委員会として伺って、そうしてそこで御説明をいただいたものです。そして、有効距離が違うとおっしゃるのですが、現実に現場でスクリーンを見せてもらったわけです。そうしますと、御存じのように、スクリーンが変わっていきますと、土地の状況が現われてきます。豊原よりもずっと北の方向に飛んでいる機影が現われているところを私はちょうど見てきたわけです。ですから、豊原が有効距離内にないなんておっしゃったって、それは私たち納得できませんし、それじゃ、僕らが行ったときにうその地図を見せたのか、うその図を見せたのかと言わざるを得ないわけです。そして、あなた、おっしゃるのですが、稚内にレーダー基地を置いて、豊原が有効距離に入らないようなレーダーなんてナンセンスじゃないでしょうか。そんなものはおもちゃよりももっと悪いですよ。少なくとも、稚内にレーダー基地を置く限り、樺太の全体、あるいは少なくとも南から見て三分の二くらいは入っている、そしてまた沿海州も入らなければナンセンスなのですよ。そうでしょう。それからまた、網走のレーダー基地も見ましたが、やはり相当有効距離はありますよ。ですから、豊原、ユジノサハリンスクの付近が日本の稚内のレーダー基地の有効距離内にないなどとおっしゃったって、それは人が信用しません。むしろ豊原こそ一番よく見えるところなのです。これは僕は確かめてきたのですから間違いありませんよ。そして、高度に関係があるとおっしゃるのですが、これまた、少なくとも相当なところまで高度がきかなければ役に立たないのです。
 それでは、ミグ17の最高上昇限度はどのくらいですか。あなた資料を持っていらっしゃるでしょう。
○海原説明員 ただいまの御質問にお答えします前に、ちょっと一言補足説明をさせていただきたいと思いますのは、先ほど私は豊原は見えないということを申し上げたのではございません。豊原とか大泊とか沿海州とかというところで、その地点をきめまして、そこに何件という数字が出ておりますが、それはその方面に現われた機影をわかりやすくするために概括して申し上げているのです。従って、そこに全部そういうものが来たということではないということを申し上げただけでございまして、豊原が決して二百ノーチカル・マイルの範囲外であるということではございませんので、この点は一つ御了解願いたいと思います。
 次は、ミグ戦闘機でございますが、ミグにもいろいろと種類がございます。ミグ21、これは一番新しいものといわれておりますが、これの上昇限度は、これもやはりエアロプレインの年鑑によりますと一応六万フィートであります。約一万八千メートルということになっております。それから、ミグ19につきましては、同じくエアロプレインの資料でございますが、上昇限度が五万八千フィート、約一万七千五百メートル、こういうのがミグ機の新しい機種でございます。
○飛鳥田委員 そのミグ19についてはちょっと私疑問がありますが、ミグ17ですら実用上昇限度が一万七千六百メートルだといわれているように私は聞いていますが、しかし、その点、議論は必要ありません。いずれにもせよ、そうした戦闘機ですら一万七、八千メートルのところを飛ぶのですから、それ以上の有効限度をレーダーが持っていないとすれば、そのレーダーは役に立たないわけです。従って、稚内のレーダーといえども二万メートルぐらいの限度というものは当然あるわけです。もちろん、そのレーダーのきく範囲というのはまる形になるそうでして、きかない場合もあるでしょう。五百メートルのごく超低空を飛んでいるなどという場合には、なかなかむずかしい。しかし、大体ユジノサハリンスクあたりは一番レーダーの見よい部分に当たるわけですね。有効距離のふくらんでいくところにある。従って、これが映らないはずはないわけです。レーダーに映ったものが、フライト・プランが来ていない。これはフレンドシップか敵機か、当然そういう疑問をレーダー基地が持ち、それを、三沢にある北部警戒団と言うのですか、あそこへ問い合わせてくるのは当然ではないでしょうか。しかも、先ほど来お話が再々ありますように、滑空していたというんですよ。普通、飛行機というのは、軍用機は滑空しません。従って、軍用機を見つけているレーダーの観測員は、滑空しているような、特殊の飛び方をしている飛行機なら、これに気がつかないなどということはあり得ない。もし気がつかないとすれば、その人は首にしなければいけませんよ、能力がないから。特殊な飛び方をしているのですから、当然気がつくわけです。だとすれば、皆さん方は、U2機は日本におりません、そしてまたときどき立ち寄りもいたしません、こう言っておきながら、実は、北海道上空通過を許し、しかもこれがサハリンスク付近を飛んでいるのをレーダーでもってちゃんと見守っておったということになるのじゃないでしょうか。すなわち、日本政府は、U2機はいないかもしれませんけれども、その展開なりその作戦行動には協力をしておった、こう言わざるを得ないのではないかという気がするのですが、どうでしょうか。そういう報告は稚内から来ていませんか。
○海原説明員 第一線のレーダー・サイトにおきまして、そのレーダー・スコープの上に映る映像につきましての報告ということは、実はこれは一々ございません。ただ、今お話を承っておりまして疑問に思いますのは、かりにレーダー・スコープの上へ点が現われましても、それがソ連機であるとか米国機であるとかということはわからないわけでございます。それで、第一線のレーダー勤務の立場といたしますと、わが領空侵犯のおそれがある場合は直ちに連絡いたします。しかし、御存じのように、領空を離れました遠いところで飛んでおる飛行機につきましては、それがレーダー・スコープの上に現われましても、直ちにこういうものが現われたということを通報する義務を与えられておりません。先ほどおっしゃいましたように、稚内のレーダースコープには相当多くの飛行機の航跡が現われて参ります。その一々のたびごとにいわゆる航空団に連絡をするということはいたしておりませんので、かりにこの問題の飛行機がそのレーダー・スコープの上に現われたといたしましても、それは、今滑空しているとおっしゃいましたけれども、その点までの判断がおそらくつかないのじゃないか、このように私は了解いたしております。
○飛鳥田委員 念のためにつけ加えておきますが、第一線の人はあなた方が考えているよりもよほど有能ですよ。というのは、この前網走のレーダー・サイトへ行って若い兵隊さんたちと話をしたのですが、すると、国後島には大体ミグ17が三十九機いる、こういう話でした。この三十九機の飛び方をみんな知っているのですよ、操縦士のくせを。だから、一人々々名前はわからないのですが、ああこれは太郎ですよ、とか、これは花子ですよとか言っているのです。太郎というのはくせが悪くて領空の境目のすぐそばまで来てすっと戻るとか、花子というのはあまりそばまで来ないでちゃんと帰っていくとか、そういうふうに飛行士の飛行のくせまで知っている。最前線でにらみ合っていればお互いそういう親しみを感ずるのはあたりまえでしょうけれども、そういうくらいにみなこまかく観察しているのですよ。だから、U2型機のような特殊な型の飛行機が特殊な飛び方をしておって、日本の有能な兵隊さんたちの目を免れることはほとんど不可能なんです。そのくらいあなた方は知っていらっしゃるはずなんです。だとすれば、日本のレーダーは彼らの飛んでいるのを見守っていたという言い方をするよりしようがないんじゃないでしょうか。こういうところに、ソ連が日本という言葉を入れる理由もあるのじゃないだろうか、こう私は思うわけです。そういう報告が来ないとおっしゃるのですが、それは間違いないですね。
○海原説明員 私の手元には参っておりませんということでございますので、問題のことにつきましては、当然航空幕僚監部の運用課のところに毎日のいわゆる日報が参ります。その中にはあるいはあがっておるかもしれません。しかし、この点は、私現在承知いたしておりませんので、調査させていただきます。
○飛鳥田委員 黒いジェットの最後の問題として、ジェーンの航空年鑑を見ますと、この黒いジェットは、地上からの電波によって、レディオ・モニターとか、レーダー・トランスミッションとか、いろいろな機械を操作している、こういうことになっているわけです。だといたしますと、黒いジェットは孤立して飛んでいるわけじゃない。飛ぶU2型機に対していろいろな支援組織があるわけです。そういう支援組織が日本国内にない、こういうことについてアメリカ局長はお調べになったことがありますか。
○安藤説明員 私、申しわけございませんが、U2機がそういったようなしかけになっているということは十分承知しておりませんでした。
○飛鳥田委員 稚内に日本のレーダー基地がありますのと並んで、隣り合わせてアメリカの通信隊が八百人駐もしております。八百名の通信隊というのは、これは非常に大きな通信隊です。そして、しかも非常に何か鋭利な機械を持っておられると考えるより仕方がありません。こんなことを言うとしかられるかもしれませんが、一昨年の暮れのころからでありますが、調達庁の人たちに聞きますと、間組とか島松組とかいう土建業者が基地内に入って何か大きな工事をやっておったようだ、こういうことです。ところが、現実に行ってみますと、別にビルディングがそびえているわけでも何でもない。従って、そういう設備はみんな地下に入ったものと考えるより仕方がない。これは、常識から言っても、このごろはそういう通信施設あるいは電気兵器などというものは地下に入れるというのは常識だそうですが、とにかく、八百名からなる基地が稚内にあるわけです。こういうものが黒いジェット、U2型機を支援しておった、指揮しておったと言えないかどうか。また、三沢の基地には、たしか浜三沢と言ったかと思いますが、あるいは地名が違うかもしれませんが、日本人を絶対に入れない、その中に入っていく日本人労働者は、五人か六人固めて、銃剣をうしろから突きつけて、終始一貫銃剣つきでもって仕事をさせられる、その中の一人の人がおしっこに行きたいなんていうようなことになりますと、一人だけやるわけにいかないから、六人一緒に便所に行けというので、銃剣つきで便所へ行き、終わればすぐ出されてしまう、こういうような絶対秘密の通信基地があります。人は、うわさで、これはワシントン直通だと言っておりますが、ここへ入った日本の官僚はただ一人丸山前長官だけです。だれも入ったことはない。丸山さんだって、聞いてみれば、入ったことは入ったのですが、中へ入ってコーヒーをごちそうになって帰ってきただけだと言っておりました。こういう基地が東北の三沢にあってU2型機を支援していないかどうか。ここまでお調べにならずに、U2機は日本におりませんと言ってみたところで、ナンセンスですよ。まだ調べておりませんとおっしゃるですが、怠慢じゃないでしょうか。面と向かって怠慢という言葉を申し上げるのはちょっと無礼かもしれませんが、僕みたいなしろうとでさえそういうことを考えるのです。あなたも法科大学の卒業生でしょう。僕だって法科を出た。お互いにしろうとといえばしろうとですが、そのしろうとが発し得る疑問をすら政府の責任の地位にあるあなたが発しないというのはちょっとおかしいじゃないか、調べてみないのか、こう私の方では言いたくなっちゃうわけなんです。基地調査権の問題をくどくどさっき申し上げたのはそういう点にもあるわけです。一体、U2型機を支援している幾つかの支援網が日本の基地の上に存在しないという断定をあなたはできますか。アジアに飛んでいるU2型機です。特にユジノサハリンスク東方六十五キロのところに現われた今回のU2型機に限定してもけっこうです。まだお調べになっていないのですか。
○安藤説明員 先ほども申し上げましたように、御指摘の通り法科を出まして科学に弱い頭でございますが、下の方からあやつるというようなことは実は存じておりません。ただ、しかし、くどいようでございまするが、私は米側にもくどいようにしょっちゅうこういった問題について話し合い、また正式に向こうにもただしたところが、ないということは、私はこれは一つの材料だと思います。そうして、アメリカのソ連に対する回答にも言っているように、意識的に行ったのではない、これはいろいろ御批判もあるかもしれませんが、故意ではない、強風によって流れたのかもしれないということをはっきり言っているわけでありまして、私は、日本の基地からU2機をわざわざソ連に飛ばすためにそういったしかけを使っているということは考えておりません。
○飛鳥田委員 これからでもお調べになっていただけるでしょうか。
○安藤説明員 関係の専門家ともよく話して、考えてみたいと思います。
○野田委員長 岡田君から関連質問の要求がございます。これを許します。
○岡田(春)委員 今のU2機の問題でもう少しはっきりしておきたい点が一、二ありますからお聞きいたしますが、先ほどから安藤さんの答弁を聞いておりますと、一つは、何かアメリカ側から非公式に、私的なものでございますが、こういうお話だったのだが、非公式な形で、日本に来ておらないという意味で返事があったから、それでそう言っているのだというように受け取れる答弁があった。そこで、その点は非常に重要なので、公式の文書で日本に来ておらないということがはっきりしているのか、あるいはそうでないのか、どういう形であったのか、そこをはっきりしていただきたい。
○安藤説明員 今回のサハレン上空に行ったといわれるU2機に関連して、日本にU2機がいるかいないかということについては、米国大使館及び在日米軍に正式に問い合わせて、正式に否定的な回答を得ております。私が先ほど私的にもと申し上げましたのは、従来から二週間に一回ずつ合同委員会がありますが、その席で公式に議事以外のいろいろな話をその前後にいたしますし、またよく私的にも会っていろいろな話をしている、そして絶えず向こうのいろいろな話をこちらが承知するように努めておるということをちょっとついでに申し上げただけでございまして、今回の場合は正式に聞いております。
○岡田(春)委員 ですから、U2機が日本にないということを明確にあなたは言われるわけですね。それの論拠というのは、アメリカ側がそう言っている、こういうわけでしょう。アメリカ側が言っているのならば、これは公式の回答としてあったということでなければ、ないということをはっきり確認するわけには少なくともあなた方としてもできないはずだ。そこで、その点については公文書でそういう回答があったのか、あるいは大使館あるいは米軍の関係として公式の公文書以外の方法をとったのか、この点は、あなた法学部の卒業生だから、法学部の関係の問題だからね。文書ではっきりあったのか、公式にどういう回答があったのか、しかも、その回答は公式のものならいつあったのか、だれからあったのか、どういうようにあったのか、そこをはっきりしていただきたいわけです。
○安藤説明員 具体的に申し上げますと、文書による報告ではございません。アメリカ局から、いわゆる外務省から正式に口頭で向こうに問い合わせて、口頭で返事がございました。しかし、一国の外務省から大使館に正式に聞いたわけでございます。形は文書ではございませんで口頭でございます。時期は、あの新聞のニュースがたしか夜中に入ったかと思いますが、その後直ちに念のためにそういったような措置をとりました。
○岡田(春)委員 あなた、公式の回答に基づいて言わなくちゃならないわけだ。だから、何月の何日に大使館なら大使館からどういうようにありました、これはやはり記録に残しておかなければならない重要な点ですから、そこをはっきりして下さい。
○安藤説明員 具体的に申しますと、九月五日の午前、かなり早い時間でございますが、その時間に米国大使館あるいは米軍に確かめた次第でございます。
  〔委員長退席、安藤委員長代理着席〕
○岡田(春)委員 確かめたのはあなたが確かめたのだけれども、回答を聞いているのです。早い時間でも何時でもいい、午前一時でもいいですよ、何時にどういう回答が公式にあったと言ってもらいたい。
○安藤説明員 回答があったのは午前九時五十分でございます。
○岡田(春)委員 だれから。関連質問ですから、答弁をもっと簡潔に、わかりやすくして下さい。関連なんだから幾つも聞けませんから。
○安藤委員長代理 答弁を簡潔にわかりやすくお願いいたします。
○安藤説明員 九月五日の午前九時五十分にアメリカ大使館のこういった面を担当しておりますリッチー書記官から私の方の安全保障課長に公式に回答がございました。
○岡田(春)委員 それでは、もう一つ承っておきます。関連だからあまりやれないわけですが、もう一つは、あなたは日本にはおりませんということを言っておるが、日本という中には沖繩が入っているのか入っていないのか。
○安藤説明員 安保条約の関係で日本という言葉をしょっちゅう使うわけでございますが、日本と私が申しましたのは、日本の本土のことを申しております。なお、沖繩に関しましては、沖繩の米軍当局は、昨年九月以降は沖繩にはいないという言明をしておるように承知しております。
○岡田(春)委員 あなたの言うのは、あなたが先ほどから言っておったのは、日本というのは沖繩は入ってない、こういうことでしょう。
○安藤説明員 その通りでございます。
○岡田(春)委員 もう一つ伺っておきますが、沖繩が入っていないということならば、沖繩についてはどうかという問題がもう一つあるのだが、これは関連ですから私はきょうは聞きません。しかし、華東地区に侵入したU2機の場合には沖繩から発進していることははっきり出ている。中国の声明の中にこれは日付まで入っておる。たしか、一九六一年の何月の場合はどうであったとはっきり書いてある。沖繩に入っていないという点も、あなたは在沖繩の米軍がそう言ったことがあるという新聞を見たことがあるという程度でここで答弁されたのでは困る。この点をはっきりしておいてもらわなくては困るのだが、この点、何か情報を御存じですか。
○安藤説明員 現在沖繩が米軍の施政下にあることは御承知の通りでございます。ただいまちょっと申し上げましたのは、在沖繩米空軍当局がU2機は昨年九月以降は沖繩にいないということを言明したということを承知しているということを言っておるのであります。
○岡田(春)委員 新聞で見たのはわれわれだって見ているので、公式であるかどうかということとは別問題ですよ。あなた、政府の機関ですからね。そういう点、公式の言明があったかどうかの問題なんです。私はそれを聞いているのです。その点は関連ですからよしますが、もう一つ伺います。
 さっきからあなたはU2機が入ってないということに対して懸命に努力されておりますが、U2機というのは日本政府の見解としてはスパイ機なのですか何ですか、これをはっきりして下さい。
○安藤説明員 私、先ほど申しましたように、軍事あるいは技術にはうとい方でございますが、U2機の使途として私が承知しておりますところは、高空の空気のサンプリングということもやっていることも聞いております。それから、パワーズの事件のときにはソ連領に行ってスパイをした。同じものでもその使途によってはいろいろなことが行なわれるわけでございます。手ぬぐいが凶器であるかどうかということの問題もあるいはあるかと思います。
○岡田(春)委員 法学部の学生らしい法理論を出したわけでしょうが、しかし、その中でも手ぬぐいは凶器である場合もあるということを認めておるわけですね。ですから、U2機もスパイであることも認めるわけでしょう。この点をはっきりしておいて下さい。U2機をスパイに使っているのだという点で、あなたは日本に入っていないということを先ほどから言っているので、そういうようにわれわれも解釈していいわけでしょう。それをはっきりして下さい。
○安藤説明員 U2機は日本にいないということの理由は、先ほどからるる御説明申し上げましたような次第でございます。U2機はスパイであるかどうかという点につきまして、私さっきも申しましたように、ソ連領に入ったパワーズでございましたか、あれは、確かに、当時問題になった通り、偵察というかスパイに行ったということは、これはその通りだと思います。
○岡田(春)委員 私、これでやめます。U2機はスパイの機能を持っておることは間違いないでしょう。パワーズの例ではっきりしているのだから、そういう事実があるということの上に立って答えたらよい。あなた、単なる気象観測であるというなら、何も、あなた、必死になって、日本にはいないと思いますとか、豊原に入ったかどうか私は知りませんとか、そんなことを弁解する必要はないじゃありませんか。あなたは、手ぬぐいは凶器になると言うが、その事実を認めているから言っているのでしょう。スパイになることもあるというパワーズのはっきりした証拠によっては、それはあなたははっきり認めなくてはいけませんよ。それははっきりしておいて下さい。
○安藤説明員 私は理屈を申し上げる意味はございませんけれども、U2機の性能といたしましては、私が承知していますところによりますと、高空の空気のちりあるいは放射能、そういったもののサンプリングをすることもあるやに聞いております。ただ、これがそういった目的のほかの、たとえばスパイ目的に使われる場合もあったことは事実でございます。私が先ほどからU2機がいるかいないかという御質問に対してるる御説明しましたような事実を申しておるわけでございます。
○安藤委員長代理 帆足君に関連質問を許します。
○帆足委員 飛鳥田さんから重要な質問が継続されますから、関連して伺います。
 第一は、U2機に連関いたしまして、他国の領空をのぞくということは、犯罪者としては出歯亀の部類で、国際犯罪上最劣等なものである、これは英国の新聞に出ておるのです。そこで、国際法上これをどうお考えになるか。また、それを許容するとか、または不注意によって許容したと同じ結果になることについて、私は日本政府は非常に厳粛にこれを自重自戒せねばならぬと思うけれども、それについて政府はどのようにお考えになるか。第三に、七月に藤山さんはU2機を日本から撤去さした。しかるに九月まで沖繩にいた。三カ月間沖繩で何をまごまごしていたか。日本を追い出されても沖繩に出歯亀がまごまごすることは自由であるかどうか。それから、第四に、今度のことがあったときに、しぶしぶながら、気流で流されたと、不思議なことを言っておる。答弁にならぬ答弁のようにわれわれには思えますが、しかし、友邦の領空を絶えず飛ぶことは自由であり、今後も続けるであろうという声明が出ておる。この声明はどういうふうになされたことであって、日本政府はこれに対してどのようにお考えになっているか。この四つをお伺いしたいと思います。
○安藤説明員 順序はちょっと逆になるかと思いますが、他国の領空侵犯、この問題は確かに違反でございます。領空とか領海というものの権限はその国にあるわけでございます。緊急避難とかあるいは特に許可を得たという場合は例外でございます。
 第二の点は、……(帆足委員「それに協力したような結果になっていることについて」と呼ぶ)私は、先ほど来申し上げましたように、日本がこれに協力したということは承知いたしておりません。協力したかしないかの事実の問題につきましては、先ほど来私なり防衛局長からのお話し申し上げた通りでございます。それに協力することがいいのか悪いのか、決していいことではないということははっきりしております。
 それから、第三の、沖繩にまごまごしておったという問題につきましては、これは、法理的に申しますと、沖繩というのは現在は米軍の施政権下にございます。これは日本政府が現在これに対して措置し得ない問題だと思います。
 それから、先ほど、気流で流されたとか、弁解がましいというお話がございましたが、これは私が言っておるのではございませんので、アメリカ政府がソ連に対する回答としてそういうことを言っておるということを申し上げた次第でございます。
○帆足委員 それから、友邦の空を今後とも飛ぶのは自由である、こういうことが新聞で伝えられておるわけです。そういう声明が国防軍から出ておるということ、それはどうですか。
○安藤説明員 友邦と申しまして、その国との了解がある場合に飛ぶということは、これは差しつかえないことだと思います。
○帆足委員 それはどういうことですか。友邦という場合は、日本の領空を自分らは安保条約もあるし飛ぶものである、こういうふうに私どもだれしも読んで理解するわけですが、そういう了解を与えておるのですか。または今後とも与えないという腹ですか。
○安藤説明員 一般論といたしまして、現在日本は米軍に空軍基地を提供いたしております。そこに幾ばくかの飛行機があるわけでございます。それらの飛行機が基地間を飛んだりあるいはその上空を飛んだりするということは、これは基地提供から来る当然のことだと思います。
○帆足委員 一般論を聞いておるのではありませんで、スパイに最も使われる世界に有名なU2機に対して、非常に高い空を飛ぶ自由を認めておるかどうか、U2機はスパイ戦として非常に著名であるからこれはお断わりする腹であるかどうか、それを伺っておるわけです。
○安藤説明員 事実問題といたしまして、日本にU2機もおりませんし、U2機の基地もございません。従いまして、そのような問題は起こらない、このように思います。
○帆足委員 そのことを伺っておるのではなくて、たとえば、沖繩からでも、台湾からでも、その他の場所からでも、日本の領空をU2機が飛ぶのは友邦であるから自由である、こういう発言をしておるけれども、それに対して、日本政府は、それは困るとお断わりするという腹なのか、それともそういうことは認めるという腹なのか、それを今伺っておるわけです。
○安藤説明員 法律的に、条約上から見まして、米軍機が日本の領空あるいは日本にとどまるということは、これは地位協定で許されたことでございます。もっとも、このU2機の問題は、日本ないしは世界の焦点になっておるということは米側は十分承知しておるはずでございます。従いまして、そういった場合は、米側は事前に日本にいろいろ相談してくるであろうと考えますし、いまだかつてそういうこともありませんでした。
○帆足委員 それでは、U2機が日本の領空を迂回するというときは、地上基地でなくて上空を通過して飛ぶというときには、事前協議なしに飛ぶということは違法行為としてあり得ないのですか。
○安藤説明員 先ほども申しましたように、正確に法律的な解釈からいたしますれば、米軍の飛行機が日本の上空を飛ぶということは地位協定で許されたことでございます。しかしながら、実際問題といたしまして、先ほども申しましたように、このU2機というものが日本の中でも問題にされており、世界で注目されておることは米軍当局もよく承知しておりますので、そういった場合にはわれわれにいろいろ話があるということは当然予見されるわけでありますし、また、今までそういったことを向こうから相談したりあるいは許してくれと言ってきたことはございません。
○帆足委員 ただいまの御発言は、私はまだ十分に心服しがたいと思いますけれども、速記録に残っておることですから、それは一つ厳守していただきたいと思います。
○飛鳥田委員 まだU2型機についていろいろ伺いたいのですが、もう時間がありませんから、一つ装備局長にナイキの問題を伺いたいと思います。
 ナイキ・アジャックスの弾頭が九十二発日本に入って参りました。あとの発射台とかレーダーとかコンピューターとかそういった付属品はいつごろ入ってくるのですか。いつまでに入ってくるのですか。
○海原説明員 私その方の主管ではございませんが、承知いたしておりますところによりますと、これはアメリカから一般のいわゆる対日援助物資として参ります。従いまして、一個大隊分の装備でございますので、逐次アメリカの西海岸から船積みされまして日本に到着する。大体ことしの末から来年の二月ころまでには全装備が到着するものと、こういうふうに承知いたします。具体的な個々の品物の到着の予定等については承知いたしておりません。
○飛鳥田委員 来年の二月までには全部入る、わかりました。
 そこで、このナイキ・アジャックスの国産化という問題をあなたの方ではお考えになっていらっしゃいますか。
○海原説明員 防衛局長として知る限りにおきましては、考えておりません。
○飛鳥田委員 ナイキ・アジャックスはアメリカでは生産を中止してしまっているということは、これは隠れもない事実です。そういたしますと、生産を中止してしまっているものを日本に導入して、もし日本で国産化ということを考えなければ、一年か一年半後には行き詰まっちゃうんじゃないですか。撃とうと思ってもたまがなくなっちゃうかもしれません。大事にとっておくとおっしゃるならそれっきりですけれども、国産化はしない、向こうは製造を中止してしまっている、どうなさるのですか。あんまり定見のある輸入の仕方とは思えないのですが。
○海原説明員 ただいまおっしゃいましたナイキのアジャックス型につきまして生産を中止したというのは、私の承知しておりますところでは、必ずしも正確な表現でございません。と申しますことは、これは内閣委員会等におきまして御説明申し上げたことでございますが、ナイキにつきましては二個大隊を四十一年度までに持とうとする。今度一部が参りましたのが第一大隊目であります。第二大隊目のものは昭和四十年度に建設を予定しております。この四十年度の第二大隊もまたアジャックスでございます。これにつきましての生産は現在アメリカ国内において行なっております。現在、アメリカ国内におきましても、数は減ってきておりますけれども、ナイキのアジャックスというものは、依然国内における防空体系の中で現に活用されております。従いまして、生産が中止されたということではございません。以上が私どもの承知しておるところであります。
○飛鳥田委員 外国援助用のために細々と生産を続けていく、また、続けようと思えば続けられるわけですから、それはお説の通りかもしれませんが、しかし、そういう先細りのものを導入し、その国産化を考えないというのは、どうも私は納得できないわけですが、今後も国産化は考えませんね。
○海原説明員 将来のことにつきましては、私の一存でどうこうということを申し上げることはできないと思いますが、少なくとも、二次計画の方、四十一年度までの間におきましては、ナイキの国産ということはおそらくはあり得ないだろうと考えます。しかし、防衛庁といたしましては、この地対空の誘導弾、ナイキがその例でございますが、ホークもございます。こういうものにつきまして、ナイキ二個大隊、ホーク二個大体だけでとどまっていいものかどうか、いわゆるSAMと申しておりますが、地対空のミサイルの装備計画ということにつきましては今後研究を重ねていくものでございまして、現在の時点におきましては、ナイキ二個大隊、ホーク二個大隊、この四個大隊しか四十一年度までは考えておりません。
○飛鳥田委員 防衛局長として責任を持ってお答えになれるのは所管事項についてでしょうが、今のところ国産化は考えていない、しかし将来のことは神のみぞ知る、こういうことだそうですし、それで、将来アジャックス一個大隊以外に何かいろいろなことを考えていかなければならぬ、こういうことだそうです。けっこうです。
 そこで、もう一つ、問題をかえて伺いますが、ナイキ・アジャックスはMDAPで入ってきているわけでしょう。そういたしますと、有償援助負担部分というのは一体どういうわけですか。
○海原説明員 詳細な資料を用意しておりませんが、実は、ナイキの第一大隊分につきましては、その大部分が無償援助でございます。しかし、第二大隊分の装備、それから第一大隊の一部の装備、それからホーク二個大隊、これは、いわゆる経費分担方式と申しておりますが、お互いに金を持ち合ってやろうということで、アメリカとの間におきましては、この全部を一括してお互いに経費をある程度の割合で持って建設しよう、こういう話し合いが現に進んでおります。これは、私防衛局長でございまして、具体的な所管は装備局長でございます。私、一応防衛庁の参事官として知っておりますところによると、現在、そういう経費分担の割合をどういうことにするかということにつきましては、各装備品の経費の見積もり等もございますので、日米間、すなわち顧問団とわれわれとの間で検討しておる次第でございます。
○飛鳥田委員 そうすると、ナイキ・アジャックスだけでなく、ホークも入れるということですね。
○海原説明員 ホーク二個大隊分をつくります。
○飛鳥田委員 そこで、さらに伺うのですが、ナイキ・アジャックスの部隊を神奈川県の横須賀の武山、それから埼玉県の狭山、茨城県の土浦、千葉県の習志野に置く、これはもうほぼ確実な配置なんですか。
○海原説明員 その通りでございます。
○飛鳥田委員 大体ナイキ・アジャックスというものの到達距離は何キロですか。
○海原説明員 ナイキ・アジャックスの性能についての御質問でございますが、これにつきましても実はいろいろ少しずつ違った数字がございます。私どもが統一的に現在考えておりますのは、ナイキ・アジャックスの射程は四十六キロ、射高は一万八千三百メートル、大体この程度のものでございます。
○飛鳥田委員 ナイキ・アジャックスのスピードはどうですか。
○海原説明員 速度は二・五マッハ程度でございます。
○飛鳥田委員 そこで、そういうお話だと非常に疑問が出てくるのですが、四十六キロというのは、スラント・レインジというのですか、撃つ斜面の長さを言うわけでしょう。水平の到達距離じゃないでしょう。どうなんですか。
○海原説明員 非常に専門的な御質問でございまして、私もそのこまかなことにつきましての的確にお答えをする資料は持ち合わせておりませんが、一応水平に四十六引っぱりまして、それから逐次弧を描いていきます。今おっしゃっておりますことがどの角度をつかまえての御質問かは存じませんが、一応は水平に引っぱりまして、四十六キロからこういうふうに上がっていくわけでございます。細部につきましてもし御必要ございましたら、資料として提出いたしたいと思います。
○飛鳥田委員 ジェーンの航空年鑑だとかいろいろなものを私調べてみたのですが、みんな、飛んでくる飛行機をドンと撃つ、――ドンと撃つかどうかしらぬが、スラント・レインジが四十六キロあるいは四十キロ、こういうふうに出ているわけですが、確かに、四十六キロといい、四十キロといい、いろいろ変化があることは事実です。ですが、かりにあなたのおっしゃるように四十六キロとして直角三角形の長い斜面を四十六キロ、高さの斜面を十八キロ、こうしてみますと、水平の届く範囲というのは四十二キロぐらいじゃないか、こう思われるので、今図面をお配りしたように、四つの地点を中心に四十キロないしは四十二キロの円を描いてみますと、参照図Cになるわけです。ごらん下さい。この円がナイキ・アジャックスの到達の距離になるわけですね。その円内に入ってきたときに初めて敵機を撃てるわけです。これは間違いないでしょう。どうですか。
○海原説明員 詳細な専門的知識を持ち合わせておりませんことをあらかじめお断わりしまして、この円内に入ってきたときに初めて撃てるという先生の御表現でございますが、ちょっとその点が私には了解いたしかねます。といいますことは、目標のスピードであるとか、高度であるとか、その進入方向であるとか、――進入方向が関係いたしますのは、ナイキのレーダーを使いますが、そのレーダーの操作の範囲が影響して参りますので、それぞれの目標の到達の仕方によりましては非常に変わって参ります。従いまして、ここに書いてございますような真円ですね、ほんとうの円の範囲だけということにはならない。実際の問題としては非常にでこぼこが出て参りますので、その意味では、先生の表現では適当でない、このように考えております。
○飛鳥田委員 それは、この円の中にでこぼこに引っ込むでしょう。しかし、この円の中に入ってきたものにしか当たらないということは言えるでしょう。届かないのですから。
○海原説明員 先ほど申しましたように、射高と射程との組み合わせと、目標に対してどの程度の猶予時間でもって発射するかによりまして若干変わると私は思いますが、一般的に申し上げまして、概念的には、大体この範囲内のことであろう、このように私どもは考えます。
○飛鳥田委員 いや、失礼しました。今参照図Cと申し上げたが、これはジェーンの航空年鑑で四十キロというんで水平距離を勘定してみたら三十六キロでした。あなたのおっしゃる四十六キロで計算すると参照図のAになります。これは訂正させて下さい。少なくともあなたもお認めのように、この円内に入ってきたものにしか当たらない。こういうことになりますと、武山を中心とした円と習志野を中心として円の重なり合ったところですね、千葉県で申しますと久留里と申しますか、房総半島のどまん中、それをはるかに過ぎて木更津の付近に来なければ到達できないということになりますね、このナイキ・アジャックスの射程距離では。一体、こんなことで、東京防衛とおっしゃるのですが、守れるでしょうか。
 それと、もう一つ、私計算してみたのですが、このごろは飛行機から大体ハウンド・ドッグのような形でミサイルで撃ちます。ミサイル自身が独自の航行能力を持っていますから、九十九里浜のずっと沖合いで、すでにハウンド・ドッグのようなものを撃ち放てるわけですね。そういたしますと、この円内に敵機が入ってきたときには、もうすべての攻撃用の爆弾やミサイルを放ってしまったあとのから身の飛行機しか撃てないのじゃないでしょうか。アジアではそんなハウンド・ドッグのようなすばらしいミサイルは使わない、弾倉をあけてぽとんと落とすような、フリーフォール・ボンブというのですか、そういう爆弾の落とし方だとおっしゃるといけないと思って、これも一生懸命軌跡を書いて計算してみたのですが、高度一万八千のようやく届く距離で落とすということになると、東京の四十一・四八キロメートル手前で落とさないと届かないのです。そうすると、やはり、ほとんどこの円内に入ってくるか、入ってきた直後に落とさないと、東京を通り越してよそへ入ってくるわけです。そういうわけで、普通ぽとんと落とす爆弾でも、ナイキ・アジャックスではもうほとんどから身に近い敵機しか撃てない、こういうことになるのですが、ずいぶんむだなことをなさるように思って、これは一ぺん伺ってみたいと思っていたわけです。ちょうど、昔、B29が来るのに、竹やりで立ち向かうような感じがしてしょうがないわけです。ナイキ・アジャックスをこういう周辺の四カ所に配置して、一体、から身でない飛行機を撃てるのですか。
 それから、この円内に入ってきた飛行機はマッハ二で飛んでくるとすれば、――今四十一・四八キロ手前で落とさなければいけないというのは、マッハ二のスピードで飛行機が落とす爆弾で、しかも一トン爆弾という想定で計算してみました。実際は一トン爆弾じゃないでしょう。もっとでかいのを落とす。そうすると、もっと手前で落とさなければいけないのですが、これじゃ、から身の飛行機しか撃てないですよ。それで、入ってきたものを撃つとすると、円内に入ってきてから東京の上空まで現われるのに、二マッハとすれば、一分何秒しかかりませんよ。そういう状態で、この四つの個所にナイキ・アジャックスを配置するということは、どう考えても健全な常識を持っている限り納得できないのですが、どうなんでしょう。どういう形でこれが有効に使えるのか、一つ説明して下さい。
○海原説明員 ただいまの御質問が、ナイキ一個大隊の能力のみをつかまえて御質問になっておられるわけでありますけれども、私どもといたしましては、ナイキ部隊というのは、先生も十分御存じのように、一応要地防空的なものとして考えております。従いまして、日本の防衛のためには迎撃機の戦闘機もございます。そのあとでさらに要地防空的にはナイキがある、さらに低空に来たものはホークがあり、一般的な高射砲もあるという工合に、いわゆる防空作戦、防衛作戦的なものの考え方をいたします場合には、いろいろな兵器体系の積み重ねが必要であります。従って、この兵器体系の積み重ねの一部分だけをおとりになりまして、それの能力以外のものと比較されますと、非常にものがむずかしくなるのではないかと考えます。
 さらに、私どもは、第二次計画をつくりますときに、国防の基本方針に基づきました第二次計画の整備方針といたしましては、在来型兵器の使用による局地戦以下の侵略に対処する、そのための防衛力を整備するのだということを明瞭にうたっております。従いまして、当然に、私どもが四十一年までに装備しようといたしておりますところのいろいろな兵器体系は、それなりの前提のもとに考えられておりますので、当然限定的な力しかございません。従いまして、今お話しのようなマッハ二以上の爆撃機が来る、あるいは空対地の非常に進んだミサイルというものを前提に考えた場合に、このナイキ・アジャックスは無力になります。しかし、それにつきましては、私どもは大きくは日米安全保障体制を背景にして日本の防衛を考えておりますので、私どもといたしましては、わが日本の防衛のためには、大きくはアメリカとの間の日米安全保障体制を考え、従って、具体的には今度は陸海空の間の任務分担、さらに、航空自衛隊におきましては、戦闘機なり地対空のミサイルの組み合わせ、こういうものを考えておりますので、一つそうした総合的な面から物事を御批判を願いたい、このように感ずる次第でございます。
○飛鳥田委員 もちろん、僕はこれだけで議論をしておるつもりはありません。とにかく、迎撃機が飛び立って、九十九里浜の方から洋上を飛んでくる飛行機を撃ち落とすための努力をなさるのでしょう。しかし、それに撃ちこぼれがあって、何機かが侵入してくるということを前提にすればこそ、こういう局地防衛というものが必要になってくるわけです。そういう局地防衛の場合ですら、何機か撃ち漏らされて入ってくる飛行機でさえ、から身になってしか撃てないではないかということを僕は言っておるのです。そうだとすればナンセンスではないですか、こう私は思うわけです。(「廃品処理委員会だ」と呼ぶ者あり)――今帆足先生が言われたように、廃品処理委員会になるのか。
 実は、私、時間が惜しいからごく露骨に申し上げますが、この四つの地点を定めたというところに、私は非常に意味深長なものがあると思うのです。四つの地点は、アジャックスでなく、ハーキュリーズだと考えれば意味が出てくるのです。一枚めくって参照図のBを見て下さい。四つの地点を八一キュリーズの射程百六十キロメートル、それで計算してみますと、水平距離は大体百五十五キロくらいになると思います。この四つの地点から百五十五でやってみますと、完全に局地防衛が可能になるわけです。八一キュリーズにあてはめて見ると。この図面のように完全に関東地方全域が入るわけです。従って、東京を攻めてこようとするかりに敵機ありとすれば、洋上において撃ち漏らした敵機もまたこのハーキュリーズの基地網によって撃ち落とせる。こういうことになって初めて価値が出てくる。こういうふうに私は思えるのでして、しかも、先ほど、アジャックスは製造中止、少なくとも外国植民地軍のために製造を続けてくれるとしても、細々と続けられるということなんですから、この点から考えて見て、ナイキ・アジャックスが核弾頭はつきませんという名前のもとに、帝都防衛とか、東京防衛という耳ざわりのいい名前のもとに持ち込まれて、一つのせきが破れ、いつの間にかそれはハーキュリーズに置きかえられて、あなた方の本心から考えておる防衛体制ができ上がるのじゃないか、こう考えないわけにはいかないわけです。これもしろうと論法かもしれませんが、しかし、そういう疑問は、やはり何人かの若い人たちは感ずるに違いない。あなた方は、このアジャックスをハーキュリーズにかえるということは絶対にありませんか。
○海原説明員 先ほども申し上げましたように、第二次防衛力整備計画の期間におきましては、ナイキ二個大隊というものをアジャックスでもって装備するということは再々申し上げております。ただいまの先生の御提示になりましたこの図面は、私どもにとりまして非常に参考になりますので、十分勉強させていただきたい、このように考えております。
○飛鳥田委員 実は内心をずばりと言われてしまったということではないかと僕は思うのですが、この間もある将軍と話をいたしました。この話をいたしますと、苦笑いをして、返事をなさらないわけです。やはり本心ではないか、こう私は思っておるわけですが、この点について、やはり核弾頭を日本にハーキュリーズの名のもとに実は持ち込んでしまうのではないかということについて、国民は非常に疑問を感じないわけにはいかないと思うのです。先ほどあなたは、局地戦以下のものとおっしゃったのですが、局地戦といえども、日本という地点を中心にもし局地戦が起こるとすれば、それは局地戦にとどまり得ないということも、あなた方も明らかでしょうし、かりに議論のために局地戦にとどまったとしましても、後進諸国家における局地戦とは違うでしょう。こういう日本のような非常に工業の発達したアジアの枢軸になる地点ですから、そういう場合の局地戦というものは、やはりマッハ二以上の爆撃機をもってする場合を想定しないわけにはいかないのではないですか。依然としてT6のような飛行機が飛ぶと思っていらっしゃるのですか、あなた方が局地戦以下とおっしゃる場合の局地戦は。どうなんですか。
○海原説明員 その点につきましても、昨年の内閣委員会等におきまして相当真剣に議論されたことを私は承知いたしておりますが、私どもは、あくまで局地戦ということで、一応私どもの持ちますところの防衛力というものの対象を考えているわけです。現実に起こった場合にどういうものが来るのかということの御質問がございましても、これはいろいろな場合がございますから、そういう場合もあるいはあり得るかもしれない。しかし、そういう場合を前提にしているものじゃないということを、この際お断わり申し上げておきます。
○飛鳥田委員 それじゃ、一体何を前提にしているのですか。
○海原説明員 これは、逆の議論になるかもしれませんが、私どもが四十一年度までに持とうとしておりますところの陸海空の防衛力というものは、先生も御存じのようなものでございます。これで十分対処し得るようなものを局地戦と考えておるということでございます。
○飛鳥田委員 何を言っているのかちっともわからないのですよ。何かなぞなぞのようなお話で、先生も十分御存じのようなこういうものを前提として対処いたしておりますじゃ、僕だって何もわからないですよ。もっと具体的にずばずば言って下さい。
○海原説明員 局地戦というものの定義と申しますのは、具体的な実態をあげて説明することにつきましては、それは困難であると同時にきわめて危険なことであるということは、従来政府もしばしば申し上げてきているところでございます。それで、どういうものが来るのかという御質問でございますが、これは現実に世界の各地におきましていわゆる武力紛争的なことが起こっております。その場合には、現にいろいろなものが使用されております。くどくなりますが、私どもは、やはり、第二次計画におきましては、陸海空の自衛隊につきまして、どういうものをどういう形でつくり上げていくかということは、御説明してございますから、そういうもので十分対処できるものを前提にして考えております。従って、お前らが考えておる局地戦は何かということにつきましては、そういうものであるということをお答えせざるを得ないわけです。
○飛鳥田委員 僕の方から局地戦という言葉を言ったのじゃないですよ。あなたの方で、局地戦以下のものを想定してとおっしゃるから、それじゃ局地戦というのはどういうものかと伺うと、今度は、あなたはでんぐり返って、局地戦という言葉をみだりに使うことははなはだ危険だとおっしゃる。そうじゃないですか。僕が局地戦という言葉を先に言い出しましたか。あなたが言い出したのです。だから、局地戦というものはどんなものかと聞けば、いやそんなことを言うとあぶなっかしい、こうおっしゃるのでしょう。これじゃ質疑にならぬわけです。そしてまた、あなた方がアジャックスをもって守るとおっしゃる範囲もわからない。僕がさっき申し上げたように、アジャックスで守れるなんということはあり得ない。もう投弾してしまった、からの飛行機しか撃てないじゃないかということを僕は言っている。だから、どうしたってハーキュリーズにかえなければ防衛という概念は成立しないじゃないか、あなた方の立場に立ってみても成立しないじむ、ないかと僕は言っているわけです。そうしたら、絶対そういうことはない、第二次防衛計画の範囲内ではない、こうおっしゃるわけです。そこで、それじゃ、もう一度振り返って、局地戦以下のとあなたがおっしゃる、それはどの程度のものを想定しているのですかと言えば、危険だと言う。これじゃぐるぐる回りになるばかりです。私たちが一番心配しているのは、ナイキ・アジャックスというものは、かりに普通の局地戦を考えてみても、ほとんどナンセンスじゃないだろうか、役に立たぬじゃないだろうか、もしあなた方が役に立てようとすれば、
 ハーキュリーズにかえざるを得ないじゃないか、ハーキュリーズというのは核弾頭がつき、そこから日本の核武装化というものがスタートするのじゃないか、こういう心配を持っているわけです。その点に対してもう少しずばりとした答えを出していただきたいと思います。
○海原説明員 先生のお話が核武装化に触れられておりますが、これにつきましては、従来いろいろな機会に総理大臣、関係大臣から明瞭にお答えしている通りでございまして、私どもは、役人といたしまして、その政府の方針のもとに仕事をしているわけでございますから、私どもは、政府の方針がはっきりと言われております上に、一役人がここでどうこうと言うことは、これはいささか自分の範囲を越えるものと、このように考えております。
○飛鳥田委員 もうばかばかしいからやめましょう。ですが、もう一つ二つ事実を伺っておきますが、このナイキ・アジャックス警戒網といいますか、こういうものはバッジ・システムと結びつかずして成立するのですか。
○海原説明員 バッジ・システムとしてどのようなシステムをお考えか明瞭でございませんが、現在防衛庁で考えておりますような、いわゆる半自動化の警戒管制組織というものを前提といたしますと、これと一緒にその組織の中に入って動くことはもちろん可能でございますし、それと別個に、ということは、バッジ・システムを前提にしないで動くことも可能でございます。
○飛鳥田委員 私たちはこう思うのです。バッジ・システム、いわゆる半自動化の警戒網と結びついて初めてこういつた地対空のミサイルというものは役に立っていくのですから、従って、半自動化の警戒網ができてから、それと並行してお考えになっておそくないじゃないか。何で急いでアジャックスだけを持ち込もうとなさるのか。ここにもすぐハーキュリーズに至る道を想定しないわけにいかないのですが、なぜこれだけ早くお始めになったのですか。
○海原説明員 先生の御質問がバッジ・システムを前提にしてのお考えでございますが、たとえば沖繩においてもナイキがございますが、これは今考えられておりますようなバッジ・システムは全然いたしておりません。ヨーロッパにおきましても、ナイキは各国にございますけれども、これもやはりバッジ・システム的なものを前提にいたしておりません。従いまして、ナイキというものを特に急いでというような考え方で防衛庁としてはこの導入を考えておりません。従来持っておりました高射砲というものを、より近代的な装備に改めたいということで、第一次計画以来考えておりましたものが、ナイキとしてその姿を現わした、こういうことでございます。
○飛鳥田委員 これはかなり前のことであったと思いますが、内閣委員会へ源田さんが来られたことがあります。そのときに、源田さんは、日本列島というこの地勢から考えてみると、地対空のミサイルというものは不経済だ、広く展開しようとすれば海にぶつかってしまうのだから、むしろ空対空のミサイルが早急に必要だ、飛行機は今後はむしろミサイルの発射台としての役割をになうべきだというようなお話があったわけです。と考えて参りますと、このナイキ・アジャックスという、地上に固定した、地上から撃つ地対空のミサイルは、あなた方のお立場に立って考えても、――僕は賛成しているわけじゃありませんから、その点誤解のないように願いますが、あなた方のお立場に立っても、飛行機から撃つ空対空のミサイルの方が早急に取り入れるべき情勢にあるのじゃないか、こう思うのですが、その点はネグレクトしておいて、アジャックスにだけ熱を入れていかれるというのはどういうわけですか。
○海原説明員 防衛庁といたしましては、いろいろな面についての新式な装備の研究開発を続けて、切りかえていきたいと考えております。今お話のございました空対空のミサイル、たとえばサイド・ワインダー等も、米国の供与を受けて現在持っております。いろいろな方面につきましても今後とも研究は重ねていきたい、このように考えております。
○飛鳥田委員 私たちが一番心配しておりますのは、これが日本の核ミサイル化につながっていくという流れを非常に心配しているわけです。もちろん、自衛隊が強化されていくということについても反対ですが。その点について、あなた方の今後の見通しとして、核ミサイル化というものを考えていない、これは上司がそう言っているのだからというお話は、その通り受け取りますが、しかし、ハーキュリーズにこれを置きかえていくという話は必ず起こってくるだろう、こう私は思うわけです。そのときに、あなたは一つそういうものに対して抵抗していただけますか。
○海原説明員 先どお答えいたしましたように、私は防衛庁の一局長でございます。そのときの上司の御指導によりまして事務をとり行なっていきたい、このように考えております。
○飛鳥田委員 日本の憲法を守るという立場から、あなたのお立場がもう一つあるはずですが、そういう点について、私の方から抵抗していただくようにお願いをしておきます。
 以上です。
○安藤委員長代理 帆足君。
○帆足委員 夏目漱石という文豪が、人は腹の減る動物である、こう言いましたが、もう時間も過ぎましたので、実は問いただしたいことはたくさんあるのですけれども、十五分か二十分くらいできようはやめておきたいと思います。
 私たち国会議員としまして、国民の気持を代表して政府に問いただすのは、政府が何を考えておられるか、そして、国の羅針盤を握っておられる当局として、その羅針盤に少なくとも大きな狂いがないかどうか、狂っているとすれば、その理性がどの程度狂っているか、それを確かめて、災いを未然に防ぐ、これが私は外務委員会の任務であろうと思います。
 外交と経済と軍事とは、最近は一体として審議すべき性質のものでありまして、私は、今防衛局長の話を聞いておりますと、全く現代の矛盾と苦悩をそのまま反映されておられる答弁であると思って伺いました。いわば、セコハン、古物回収業の会長さんから話を聞いたような思いすらいたします。というのは、現在は、原子力、ロケット、人工衛星の時代でありまして、防衛という定義そのものがもう変わりつつある時代でございます。従いまして、防衛庁の諸君の苦悩のほども、ばかな役人でない限りは、賢い良心的な役人である限りは、その苦悩のほども察せられる次第でございます。顧みましても、十七年前はB29の全盛期で、太平洋を往復してなお数時間の余裕があるという空の要塞が大量生産される見込みがあり、そしてアメリカがただ一つの原爆所有者であったころは、マッカーサー元帥は、その距離の勝利に安心して、ソ連、中国に近いところに基地を置こうなどとは思わずに、日本よ、アジアのスイッツルたれ、日本は、ソ連についてもアメリカについても、火中のクリを拾わされるならば防衛という概念自身がもはや成立しない、日本国民が誠実に余に問うならば、日本よ、中立を守れ、アジアのスイッツルたれ、これは有名な言葉で、リーダース・ダイジェストの当時の五月号に載せられた文章そのものです。今にして思うと、その文章だけ見ますると、これは河上丈太郎先生の演説ではなかろうかと錯覚を起こすほどでありますけれども、そのB29は、時移り星変わって、音より早いジェット機にかわりました。ジェット機の時代になりますと、もうやむを得ません、距離の勝利の時代は過ぎて、速力の勝利の時代に移りましたから、敵に近いところに相互に爆撃基地、防衛基地、出撃基地を設けるということで、基地闘争に明け暮れした数年が続いたことも御承知の通りです。しかし、やがてミサイルの時代が来ました。それで今過渡期にあるわけです。兵器の技術と立地条件に思いをいたすことなくして防衛ということを論ずることはナンセンスです。従って、防衛局長のせっかくの御勉強も、私ども、良識ある、しかも平凡で着実なわれわれ議員が承りますと、古物回収業の同業組合委員長さんの話を聞くような思いがする。まさに、大東亜戦争が起こりました今から二十年前のことを思っても、あのときに、日本の鉄は六百万トン、アメリカの鉄は六千八百万トンでした。しかし、大量のくず鉄をアメリカから輸入しておりましたから、おおむねの自給能力は三百五十万トン。昭和十九年八月、日本の鉄は二百万トンを切れようとし、アメリカの鉄は九千八百万トン、一億トンです。一億トンの鉄と二百万トンの鉄の争い、サンフランシスコから東京までの距離五千キロを考慮に入れましても、もはや問題の所在は明らかでありました。軍事の問題でなくして、問題は政治と外交と人間の理性の問題であった。それは明らかであったわけです。十二月八日に起こった事件は、これはあとは歴史の事後処理のような問題でありまして、むだな事後処理によって、私どもは貴重な多くの命を失いました。今日の事態はまさに原爆とロケットの時代で、原爆も御承知のように水爆に移りつつありますし、それから、ソ連の原爆は、御承知のごとく、射程距離一万四千キロです。そして、これには核弾頭、場合によっては水爆核弾頭も乗せられ、最近弾頭が七トンないし十トンに達するといわれておる。その射程距離の正確なことは、十キロ離れて青バエの目を射抜く、こういう工合にいわれておるわけです。こういう時代に国のほんとうの安全ということを考えるとすれば、これは総合的に考えねばなりません。従って、防衛庁という一つの職業的性格を持っておる団体というものが、時勢の推移から激しくおくれて、それに苦しまねばならぬということは、私はよく了察し得る問題でございます。時間がありませんから、一つ二つだけきょう聞きまして、あとはいずれまた機会を得て伺うことにいたします。
 外交と軍事を切り離して考えるということは、私はできないと思うのです。何しろ、外交はやはり軍事と経済の上に乗っております。従って、先ほどアメリカ局長のお話を伺いましたが、U2機の性能とか、ロケット、ミサイルの性能、原爆、水爆の性能など、その初歩的知識のない者が外務委員になる資格もなければ、外務省の幹部職員になる資格もないものである。私どもも、大いに、資料をいただいて、この夢のような技術の進歩、それが人類に及ぼす影響、それをはっきり把握する必要があると思うのです。こいねがわくは、自衛隊の諸君は、この激しい人類の夜明け前ともいうべき時代にまだ鞭声粛々のような伝統を持っておる職業に従事しておられるわけでありますから、自分たちの職業的限界がどういうものであるかということを謙虚にお考えになり、一職業より日本民族の運命というものがどれほど重大であるかということをお考え願いたいと思います。
 私は、先日ある一青年が自衛隊の方針についてまことにかわいらしい論文を書いたものを週刊誌で読みました。通読いたしましたところが、近代青年らしい愛らしい一文でありましたが、その青年はそのために懲戒処分になったように伝えられております。一体、自衛隊の根本の精神を、私は、国民の福祉に奉仕する公僕の一環である、こう考えておりますが、国民の公僕として自衛隊は国民の福祉に奉仕するようなお考えで貫かれておりましょうか。それともまだ多少天皇の軍隊というような過去の錯覚をお持ちでありましょうか。あるいはまた、新憲法に対して役人は憲法を守らねばならない義務がある、こういうふうになっておりますが、そういうような精神の一端でも自衛隊の諸君に教育しておりますかどうですか。実は、国会議員というものは、役所の首脳の人たちをときどきテストして、機械が狂っていないかどうか。はなはだしく狂っているとすれば取りかえねばなりませんし、また、機械が狂っている、狂い始めたということを国民にぼつぼつ知らさねばならない。先ほどナイキ・アジャックス等の論議がありましたが、ちょうど今から四十年前に、日露戦争の戦勝のあとに、三八式機関銃のやり場に困りまして、これをシャムにたくさん売りつけたことがございます。グラマン、ロッキードがその後の運命がどうなったか知りませんけれども、最近のアメリカが日本に小型ミサイルを売りつけようとする姿を見ましても、ちょうど三八式機関銃をシャムに売りつけたときの物語を思い出して、まことにさながらのことを感ずる次第でございます。従いまして、防衛庁といたしましては、やはり、民主憲法、平和憲法下における防衛庁のあり方について、まず国民福祉に奉仕する公僕としての精神に徹せられておるか、これが一つ。すなわち、天皇の自衛隊でなしに、国民の福祉に従う自衛隊であるかどうかということ。第二には、日本の新憲法を守る自衛隊であるかということ。それから、社会党は今第二党でありますから、時が来れば政権を握ると思います。野党が政権を握ろうと、革新政党が政権を握ろうと、これが憲法と法律の条章に従って投票の多数を得て内閣を握りましたときは、すなおにその方針に従うべきものである、そういう精神で貫いておられるかどうか。この三点についてお尋ねしたい。
 と申しますのは、一部自由主義者の方々の中からも、自衛隊というものが時代におくれてくると、やがてファッショ化することはあるまいか。職業軍人の心理というものはまことに微妙でありまして、今日原爆とミサイルの性能を知っておる者がオイチニ、オイチニの軍隊に対して懐疑の念を持ち、特に賢い青年たちがほとんど軍隊というものを信じない。これは無理からぬことである。この困難と苦悩の中を歩んでおる自衛隊のよき青年たちに対して、私は一抹の理解と同情の念をすら禁ぜざるを得ない。防衛局長さんもさぞかし苦しい御職業であるが、これも人類進化の一こまであろうかなどと考えておる次第であります。これは非常にむずかしい課題だと思う。その課題の中に公務員として処して参りますのには、第一に、今の、国民の福祉に奉仕する自衛隊、第二には、同時に憲法に奉仕する、第三には、いかなる政権ができようと、その政権が合法的にできたものであるならば、その命令に絶対に従うということ。淡々として国民の意思に従っていく自衛隊というならば、私はむしろ過渡期の自衛隊の性格や心境や苦しみも多少はやわらぎ得ようと思うのであります。これは長官にお尋ねすべき問題ですけれども、しかし、局長さんは、やはり直接第一線の指導の任に当たっているわけですから、現在どういうふうになっておりますか、一言だけでも伺いたい。
○海原説明員 ただいま先生の御心配になっております点は非常に重大な点でございまして、防衛庁といたしましては、およそ自衛隊に入りまして制服を着た者はどういう気持をもって任務につかねばならぬかということにつきましては、今先生がおっしゃいましたような、民主主義のもとにおきまして憲法を順守して国民のために奉仕するということを全部取り入れました「自衛官の心がまえ」というものをすでに出してございます。かつ、各部隊長もそういう態度で部下を指導しておりますので、いろいろな機会に、たとえば災害派遣等におきましても、幸いにしまして一般の国民の方には非常に感謝されておるというふうに私どもは承知いたしております。非常に重大なことでございますが、今後ともそのような方針で、私どもは、自衛隊を国民の中の自衛隊として、法律に定められました任務が十分達せられるような方向に建設していきたい、このように考えております。
○帆足委員 それでは、同時に、二大政党の世の中ですから、社会党が政権を取りましたときも、その社会党の方針に対してすなおに従うことはもとより言うまでもなく当然のことであるという認識に徹しておられるかどうか、これを承りたい。
○海原説明員 当然のことと考えます。
○帆足委員 まことに明快な御答弁を伺いまして、これは速記録にとどめて、そして自衛隊の諸君一同の規範にすべき御答弁であろうと思います。そういうような心がまえでいてこそ初めて民主政治のルールというものが成り立つわけであります。
 しかし、今は私はそのルールに賛成しただけでありまして、自衛隊の内容につきましては、飛鳥田君が専門的な御質問をいたしましたが、私ども、外務委員といたしましても、もう少し軍事のことを勉強せねばならぬ、また、内閣委員会と外務委員会とは始終一緒に勉強せねばならぬということを痛感いたします。また、外務委員といたしまして、今後機会あらば自衛隊の現状についていろいろ見学する機会、それから勉強する機会も持ちたい、こう思います。その節はまた何かとよろしくお願いいたします。
 お尋ねしたいことは非常にたくさんあります。というのは、一時代の戦略、それは兵器と立地条件によってきまります。同時に経済問題がそれに伴います。従いまして、外務委員会においては少なくとも一カ月に一回ぐらいは戦略論議をして、与党、野党十分に意見を練っておき、情報を交換しておくことが私は必要であると思います。
 しかし、きょうはもうわずか数分の時間しかありませんから、一つだけお尋ねいたしますと、最近のアメリカのロケット、ミサイルの性能は、ニューヨーク・タイムスなどの伝えるところによりますと、中距離弾道弾は大量生産に入った、しかし、射程距離は二千五百キロ以内、最終弾頭は大型核兵器を載せるには小さ過ぎる、こういうふうに聞いておるのです。ソビエト側のロケットは、これはもう公表されておりますし、世界に誇示しておりますからよくわかるのですが、アメリカの最近の弾道弾の性能はどうなんでしょうか。世間ではミサイル・ギャップということが言われまして、私どもの承知しておる範囲では、サンフランシスコから発射いたしますと、大体太平洋のまん中にどぶんと落ちて鯨が十匹ばかり戦死する、これではどうにもならないので、沖繩とか日本とか、御迷惑ではあろうけれども、ソ連、中国に近いところに中継ぎロケット基地を持っておる、これが現在の基地のジェット時代から中距離ミサイル時代に移行する段階における必然悪である、こういうふうに戦略家が論じておることを大体了承いたしておりますが、私は、それを思うにつけましても、先日ケネディ大統領が、ソビエトがキューバに軍事基地を置くようになったら、もうとうていがまんできないと言っている。私はまさにそうであろうと思います。軍事的にキューバが中立を守ってくれなければ、フロリダからわずか十数分で着くキューバでありますから、アメリカはノイローゼになるでしょう。また、メキシコは今幸いに中立を守っておりますからいいですが、メキシコは植民地の苦しみをなめた国だから、中国に軍事基地を貸してもいいなどと言えば、アメリカは精神錯乱状況を起こす、これはまことにもっともな話だと思います。それならば、同時に、台湾、朝鮮、沖繩等にアメリカの軍事基地、ミサイル基地、またはときとしては原爆基地ができるというようなことになれば、ソ連、中国はこれを非常に心痛することは当然です。おのれの欲せざるところ他人に施すことなかれという格言のごときは、多少考えた方がいいことわざではあるまいか。国連の諸君は考慮すべきことわざではあるまいか。というのは、今、ソ連、アメリカの国力は相匹儔しておる状況でありまして、あと十年たてばソ連の国力はアメリカを多少凌駕する、大部分の経済学者はそう申しております。どちらが凌駕しようとしまいと、それはわれわれにとって直接の問題ではありません。しかし、両方の国がロケットと原爆をすでに持っておる段階でありますから、物事の筋道を立てて冷静に考える必要があろうなどと思っております。
 それにつきまして、防衛庁の方も、いやしくも防衛を担当する以上は、アメリカの最近のミサイル、ロンドン・タイムスやハンソン・ボールドウィン軍事評論家などの伝えるミサイル・ギャップのことしの現状は大体どういうところになっておるか、これが外交、軍事論議の根本でありますから、その一端でもお示し願いたい。もちろん、きょうは時間がありませんから、その一端だけを伺いまして、他日、理事会にお願いいたしまして、もう少しこの外交と軍事について詳細に検討をいたしたい。これは与党にも役に立つことです。そして野党にも役に立つことです。国の命運に関する問題ですから、あまり党派意識にとらわれずに、まず現実の実情を知る必要がある。先日も、友人諸兄の集まりで、ロケットの性能、ミサイルの性能、原爆の性能等の問題が出ましたが、人によって非常に見解が違うのです。全然本を読んでいない人がいる。わずか一年前に、私がワシントンに参りましたときに、その名前は申し上げませんが、外務省の、しかも最高の高官の一人の方が、ソビエトに人工衛星があることを信じてなかった。これはブラジルの勝ち組の物語のようなものですけれども、そういう勝ち組はどこから出たかと申しますと、ワシントンの上院議員の中に相当数おるのですね。私は、このブラジルの勝ち組みというのは、ブラジルの後進的特殊現象かと思っておりましたら、そういう人がおるのです。われわれの中においても、まだ原爆、ロケットについての認識というものは普遍化しておりません。事実についての認識は、保守党であろうと革新党であろうと、事実は事実です。ただ一つですから、これが一番超党派です。事実こそ超党派です。従いまして、事実をよく認識して、しかる後対策を立てるとすると、この意見の相違もよほど縮まってくるのではあるまいか。また、防衛庁の苦しみもやわらぎ、古物回収業委員会などというような印象を与えないでも済むのではあるまいか。従いまして、外務委員会においてもっと論議せねばならぬ問題である。きょうは速記録にとどめておくだけにしておきますが、ミサイル・ギャップの現状につきまして、時々刻々移り変わっていく姿について、今後は二カ月に一度くらいずつ防衛局長の御高説を承りたい。また、私どもより正確なる資料をお持ちですから、この資料について外務委員として心得置くべき実情について偏見のない意見も承って参考にしていきたい、こう思ってお尋ねするわけです。
○海原説明員 ミサイル・ギャップにつきましては、いろいろと当時やかましく言われましたとき以来、いろいろな観測がございますが、現在わかっておりますことは、当時からミサイル・ギャップは存在しなかった、もちろん、その戦力におきましては、アメリカを含む自由陣営側の方が優位であったということになっております。
 今お話がございました長距離の弾道弾ICBMにつきましては、大体アメリカには現在アトラスとタイタンとございます。これらを合わせまして約六十ぐらいであろう。ソ連におきましても同じようなICBMが五十個ないし六十個相当ございます。簡単にというお話でございますが、このICBMにつきましては、大体射程は六千マイルから八千マイル程度と思うのでございます。
 弾道誤差につきましてはいろいろと説がございます。一万二千キロ、大体八千マイルを飛びまして目標の一マイル以内である、あるいは〇・五マイル以内であるというような報道がございますが、これにつきましては詳細なデータは公表されておりません。
 次に、中距離弾道弾につきましては、これは自由陣営全般でございますが、大体西側が持っておりますのは約百八十六個、共産側が二百ということになっております。
 いわゆる核戦力といたしましては、一切の弾道核爆弾、各種兵器に装備いたしますものを全部ひっくるめまして、これはある雑誌の伝えるところによりますと、米国は四万以上のものを持っておる、これに対してソ連は二万以上を持っておる、こういう報道がございます。
 簡単に現在の両陣営の戦力を申し上げますと以上のようになります。
○帆足委員 ただいまのように、ただ量的に発数が多いということでなく、原爆は過剰生産でありまして、そうして地球をこわすのには多過ぎるのですから、そうでなくて、私は質の問題だと思う。誤差と弾頭をお尋ねしたい。
○海原説明員 誤差ということにつきましては、ただいま手元に資料を持ち合わせておりません。
 弾頭につきましては、一般的な趨勢といたしましては、アメリカの持っておりますものは比較的軽量で、いわゆる放射能の少ない、クリーンな弾頭ができております。ソ連の方は、これに比較いたしまして、いわゆるダーティと申しますか、割にフォールアウトの害が多いものであります。一例を申しますと、大体、アトラスとかタイタン等につけます弾頭は、重さ約二トンでございます。これがTNTに換算して五メガトンの爆発力を持っております。水爆はB52に積載するものでございますが、重さ約五トンでございます。TNTで二十メガトン、こういうことになっておると私どもは承知いたしております。
○帆足委員 最後に、この問題は、アメリカのPRの問題でもなければ、ソ連のPRの問題でもありません。また、ソ連が優秀であろうと、アメリカ多少立ちおくれていようと、おそらく一時的現象でありまして、兄たりがたく弟たりがたしで、一進一退するものであろうとも思います。どちらが優位を誇ってみたところで、しょせんは、原爆、そうしてミサイルでございますから、これは容易ならぬことであって、どちらが今日優位であるかということをそれぞれひいき筋によって誇示しても、私はつまらぬことであると思う。しかし、事実の数字は冷静にかつ冷酷に知っておく必要があるので、私は、ただいま防衛局長の発表されました数字については、もう少し詳細を、そうして正確なことを知りたいと思いますから、次の機会にお尋ねいたします。資料がありましたら私の方にお届け願うように、委員長にお願いしたいと思います。
 きょうは、委員長も先ほどからそわそわされておりますから、このくらいにいたしまして、この次にいたします。
○安藤委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十六分散会