第041回国会 逓信委員会 第3号
昭和三十七年八月二十三日(木曜日)
    午前十時五十三分開議
 出席委員
   委員長 本名  武君
   理事 大高  康君 理事 岡田 修一君
   理事 佐藤虎次郎君 理事 佐藤洋之助君
   理事 羽田武嗣郎君 理事 栗原 俊夫君
   理事 森本  靖君
      大上  司君    上林山榮吉君
      椎熊 三郎君    中山 榮一君
     橋本登美三郎君    佐々木更三君
      畑   和君    八百板 正君
      安平 鹿一君    受田 新吉君
      谷口善太郎君
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 手島  栄君
 出席政府委員
        運輸事務官
        (海運局長)  辻  章男君
        運輸事務官
        (船員局長)  若狹 得治君
        郵政政務次官  保岡 武久君
        郵政事務官
        (郵務局長)  佐方 信博君
        郵政事務官
        (電波監理局
        長)      西崎 太郎君
 委員外の出席者
        気象庁長官   和達 清夫君
        郵政事務次官  西村 尚治君
        専  門  員 吉田 弘苗君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 電波法の一部を改正する法律案(第三十九回国
 会内閣提出第五六号、第四十回国会参議院送
 付)
 郵政事業に関する件
 郵政監察に関する件
 電気通信に関する件
 電波監理及び放送に関する件
     ――――◇―――――
○本名委員長 これより会議を開きます。
 郵政事業に関する件、郵政監察に関する件、電気通信に関する件、並びに電波監理及び放送に関する件について、調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。栗原俊夫君。
○栗原委員 先般、大臣が所管事項について所信をお述べになりましたことについて数点お尋ねをいたしたいと思いますが、そのお尋ねに入る前に、一つお聞きしておきたいことがございますので、率直なお答えをいただきたいと存じます。
 まず、昨日当委員会において、参議院に提出されました議員提案の予備審査のために、公衆電気通信法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、この提案の理由の説明が当委員会で行なわれたことを御存じでございましょうか。
○手島国務大臣 承知しております。
○栗原委員 昨日の提案の事実を御存じなんですが、それではいま一つお尋ねいたしますが、この法案が参議院へ提出されたわけでありますが、参議院へ提出されたということを御承知になったのはいつでございますか。
○手島国務大臣 私が報告を受けましたのは、火曜日、閣議のあとだと思います。
○栗原委員 大臣が、所管に関する法律案が国会に提出された、こういう事実をお耳に入れる手続はどういう工合になっておりますか。これを具体的に御説明願いたいと思います。
○手島国務大臣 別段手続ということはありませんが、各般にわたっておりますので、主管の者から知らせるのが普通の形であります。この問題については、真実のところ、閣議決定をやりますまでは、そういう話があるという話は聞いておりましたが、社会党から出るのではないかという話は聞いておりましたが、実際に法律案が出されたということは、事実上、私うかつにも知らなかったのであります。
○栗原委員 一般の国民は、法律等の公布は、官報に掲載してこれを配布することによって、知っておろうとおるまいと、知っておるのだ、こういう建前をとられておるわけですが、大臣は、国会における法案の提出が公報に載ったということをもって知っておる、こういう建前を私たちはとりたいと思っておるのですが、これに対する所見を一つ述べていただきたいと思います。
○手島国務大臣 今申し上げましたのは、事実上私が知らなかったということでありまして、法律の解釈から見ますれば、当然知っておるべきだと思っております。
○栗原委員 あなたの部下の中で、それでは事実上知っておったかどうかということについて、このことについてお尋ねになったことはございませんか。
○手島国務大臣 その問題につきましては、事務次官等ときのうも話し合いましたが、その中でだれがいつごろ知ったかということは、事務次官をして答弁いたさせます。
○西村説明員 この問題につきましては、二十日過ぎに社会党から提案されるらしいということは聞いておりましたが、十八日付の国会公報に載りましたということを私どもが知りましたのは、月曜日ですから、二十日の午後でございます。本来ならそれを大臣に申し上げるべきであったと思いますけれども、いろいろ取り込んでおりまして、大臣に御報告を漏らした点は、私どもの行き届かぬところだと思います。
○栗原委員 それでは大臣にお尋ねしますけれども、ただいまの問題と関連してでありますが、この公衆電気通信法の中には、一部政令にゆだねられておるところがあります。その政令にゆだねられておる部分は、この法律の施行は政令にその期日がゆだねられておって、その期日は昭和三十七年の九月一日から十一月三十日の間にこれを設定する、こういう工合にきめてあるわけでございますが、すでにこのことについて閣議決定というものを見たのでありますか。見ましたら、その内容等を一つお示し願いたい、このように思います。
○西村説明員 私からかわって申し上げますが、それは九月三十日にこの改正案を施行するという内容のものでございます。
○栗原委員 九月三十日に施行するという政令が決定されたあと、公布を待ってこれが具体的に効力を発生するわけでございましょうが、たまたまその施行する時期について一年延期しようというのが、実は昨日提案理由を述べられた一部改正の法律案であります。こういう関係は、もちろん一方で法律ができており、しひも政令にゆだねられておる。これを事務的に進めたんだといえば、それで事は済むという場面もございましょうが、これに関して、法律案としてこれを一年延期する。これが成規の手続を経て、しかも法律案として議会に上程されておる。これを政治的に大臣はどのようにお考えでございましょうか。
○手島国務大臣 私の方としましては、法律に基づいて政令を出すということになっておりますので、実際問題を見まして、いつごろが一番都合がいいかというようなことを検討した上で、前から大体その期日を予定しておったのでありますから、その通り進んで参ったということでございます。
○栗原委員 先ほどの大臣のお話であると、閣議のときまでには法律案が出たということを事実上知らなかった、こういう前提に立って閣議の議を進めた、こう私は善意に解釈しているのですが、今のお話を聞くと、かりに事実上こうした法律案が出ておることを知っておっても、すでにきまった法律の中で、閣議に委任された部分があるから、事務的にこれを進めるんだ、そういう立場で臨んでおられるのですか。もし知っておったならば、別な態度をとられたかもしれないという立場なんですか。この点、非常にわれわれとしては重大なところなんで、明確にしておいていただきたい、このように思うのです。知っておっても、すでに法律にきまったことであり、その内容が進んでおる。従って、時期がいいから、たといそういう法律案が出ておっても、事務的に閣議決定を進めたんだという立場なのか。たまたま知らなかったから閣議が進んでいったんで、知っておれば、その法律案と閣議の関係でな、いま少し変わってきたかもしれない、こういう立場なのか。どちらなのか。この辺を明らかにしてもらいたい。このように思います。
○手島国務大臣 知っておれば、もう少し政治的な問題として相談をしたかもしれませんが、それがために、この政令をおくらかすんだというようなことまでは考えていなかったと思います。
○栗原委員 この法律案は、法案としてわれわれ提出しておるわけです。従って、決定を見るまでは、これが成立するかしないかはわかりません。これは成立しないこともあるし、成立し得ることもあるわけです。そうでしょう。成立することもある。成立しても、閣議決定はそのまま進行していっていいんだ、こういうお立場ですか。この辺はどうです。
○手島国務大臣 おそらく延期の法律案が可決されますときには、政令の方が無効だと解釈します。
○栗原委員 そうしますると、この法律案が現在議会で審議されておる過程において、一たん閣議決定はしたけれども、公布については何らかのお考えをあらためて持つ、こういう御心境に今あるのですか。それとも、決定した以上は、事務的にこれを進行する、こういうお考えなんですか。この点はいかがなんでございましょう。
○手島国務大臣 この問題につきましては、昨日国会対策の方その他の関係の方に話しまして、大体どうするかということについては、そういう人の意見を総合しましてきまることになる。大体私としましては、一ぺんきめたもんでありますから、そのままやりたい気持でおりましたが、今申し上げましたようないろいろな意見があるようでありますので、その方の決定を待っております。
○森本委員 一応きめたものだからやりたいと、こういうことでありますが、今の栗原さんの質問にもあなたが答えられましたように、大臣としては知らなかった、こういうことであります。そこで、もし大臣がこれを知っておるとするならば、やはり参議院議員、あるいは政治家の一人として、政治道義、政治道徳上からいくとするならば、これはそれを押し切ってやるということは、私はやはり考えものであるというふうに考えるわけであります。そういう点から考えていくとするならば、大臣としては、事務的にやったんだからやりたい。しかし一方、政治家の一人としては、もしそれが出ておったということを知っておった場合には、やはり政治道徳上、政治道義上、あるいは国会の今までの慣例という観点から見ても、やはり考えなければならぬ点が私はあると思う。そういう点を総合して、今あなたがおっしゃったように、両党の国会対策委員長会談にその処置がまかされる。だから、その処置が両党の国会対策委員長会談においてきまれば、その方向に大臣としては従う、こういう形であるとするならば、私の方としては、せっかく社会党あるいは自民党の両党の国会対策委員長会談においてこの内容を処理しよう、こういう形になっておるわけでありますから、その方向に大臣としても従う、こういうことであれば、一応この問題についてはここでの終止符は打てるわけであります。その点についてはっきりしていただきたい、こう思うわけであります。
○手島国務大臣 この問題は、内閣の方にも話してありまして、それから議会としては対策委員の方にも話してありますので、いろんな人が意見を持っておられますから、大体その線できまたっところで進むというふうに考えております。
○栗原委員 以上の問題は、ただいま同僚の森本君の質疑で終止符を打つことにいたしまして、それでは所信表明の中の一、二について御質問をいたしたいと存じます。
 大臣は、所管の万般についていろいろと所信を述べられておるわけでございますが、時間の制約もあるわけでございましょう、きわめて簡単に所信を述べられておりますので、少しく掘り下げてお尋ねしたいと思います。
 まず、労働時間についてでございますけれども、「郵政事業は、人力に依存する度合いが大きいのでありまして、業務を円滑に運行するためには、労使関係の安定をはかることが最も大切であると考えます。今後はより一そう正常な労使関係の確立に努める所存でありますので、」云々と、このように述べておるわけでございます。まことにこのままではお説の通りでございますが、さて具体的な内容になりますと、いろいろ問題があろうかと思うのですが、まずいつも大きく問題になるのは、郵便物の遅配の問題です。遅配関係を解決するためには、もっと人員が必要だという労働組合側の要求、これに対して、昨年の年末は一部増員が認められたわけでありますが、内容的に、当局の方では、年末の時期的な郵便物の増高というような形の中から、季節的な解決をはかる人事関係というようなものが、かなり取り入れられておる。そのように見受けるわけでありますが、この郵便物の遅配の問題と、それから定員の問題、こういう問題について、いま少しく掘り下げて御説明をいただきたい、このように思います。
○手島国務大臣 遅配の問題の原因は、私の考えでは、相当たくさんあると思います。一つのことがもとになって遅配を来たしたというような簡単な問題ではないと思いますが、その中で、毎々問題になります定員の問題、これにつきまして私が一番心配しておりますのは、郵便物の増加と定員の増加が比例してうまく予算がとれておるかという問題であります。私も長い間郵便をやっておりましたから申し上げますが、郵便物というものは、人力以外には救う道が非常に少ないので、なるべく郵便物の増加と正比例して定員がとれるような予算の仕組みにしたいというふうに考えております。現在の定員と郵便物の数とが非常に正確にマッチしておるかどうかということは、私まだ調査しておりませんが、大体におきまして、郵便物が増していきますと、それに正比例して定員を増すことに努力したいと考えております。
○栗原委員 郵便物も、いろいろな条件の向上によって漸次ふえてくる。それと同時に、また季節的にも山あり谷ありという場面も出る、こういうところを大臣としてはどういうふうに増強していくか。定員の増加、このことが私は一番基本的な問題だと思うのですが、現在の郵便物の内容等も、いろいろと郵便物とは考えられないようなものもずい分ふえてきている。具体的にいえば、第五種のいわゆる宣伝的な郵便物、こういうものがふえてくる。こういう中で人員をふやすことを、どちらかといえば非常にはばかって、そして季節的な解決に力を入れる、こういうような姿の中から、特に年末あたりの臨時的な雇用というようなことが出ておるようでありますが、実際現地へ行ってみますと、そうしたこともなかなか至難である。特に賃金等の関係も、具体的にこういう予算の配分であるならば、これで人を雇ってくれということを、地方の局の局長みずからが言っておるわけです。また一方、労働組合の諸君は、こういうことではならぬ、労働の過重になる、ほんとうに郵便物の実態をながめて、われわれがほんとうに働ける、要求する定員をよこせ、こういう主張をしておるわけですけれども、これらに関して、大臣は特にその畑の出身で一番よく知っておる、こういう立場に立って、今後どんな方向でやっていこうとするか、こういう点を一つ明らかにしていただきたいと考えます。
○手島国務大臣 定員の問題は、先にお話しいたしましたように、一年を通じて基本的な人手の要るものは定員、それから季節的に郵便物が増加する、たとえば年末始のごとき、これはやはり定員ばかりではまかない切れないのであります。従来からのように、常在員、現におる人にある程度よけいに働いてもらわなければならぬ。それから、絶対に不足のものは、臨時を雇うということでやっていかなければならぬと思っております。
○森本委員 その定員の問題でありますが、今大臣もちょっと言葉の端に言われておりますように、郵便物の増加に比例をして定員が正確にふえていっていないというふうにわれわれはとっておるわけでありますが、その度合いがどの程度であるかということについては、大臣と私たちの方の意見が違うと思います。
 そこで、この際特に私が聞いておきたいと思いますことは、労働組合がやったから何でもかんでも反対だということでない考え方をもって郵政事業の将来を考えてもらいたいと思うわけであります。それは全逓の労働組合が、大会において、日曜の郵便物の配達を中止してもらいたいということを決議しておるわけです。この問題については、全逓が今さら事新しく言うまでもなく、当委員会において、私が五、六年ほど前からちょいちょい質問をしておった問題であります。ところが、今大臣の答弁を聞いておりますと、そういう定員と物の問題については、規在検討中であるし、調査をしておる、こういう回答でありますけれども、この間の大臣の新聞記者会見の談話によりますと、これは新聞に大きく載っておりますが、日曜配達の中止についてはできないだろう、なぜかならば、月曜日に物がたまって同じ結果になるから無理であろう、こういうことを大臣が談話として発表しておるわけであります。これは逓信省の次官を長いことやった郵政省の先輩らしからぬ発言である。郵政事業をもっと詳しく知っておれば、そういう発言はできないと私は思うわけです。日曜配達を中止した場合は、なるほど日曜の分が月曜日に継ぎ越しをされて、そして月曜日に配達されるものが多くなるということは、これは当然であります。しかし、都会といなかの場合を考えてみますと、いなかでは二回行くところを一回で済むということが相当出てくるわけであります。それからまた都会地にすれば、日曜日にせっかく配達をしても、その会社が全部休んでおる、こういう状況が、今日相当あるわけであります。そういう点を考えてみると、今日定員はふやさなければならぬけれども、予算上あるいは大蔵省との折衝の関係からなかなかふえない、こういうことになってきた場合においては、国民へのサービスを低下するという問題からいきますと、これはちょっとなにがありますけれども、しかし、現実には、各企業、会社あるいは営業所、そういうものは、ほとんど日曜日は休み、こういう状態になっておりますから、日曜の配達を中止いたしましても、それ以外に速達を配達すれば、そう国民の生活に大きな影響を及ぼすというふうには考えられぬわけであります。そういうところから、ヨーロッパ――これは昨年私見て参りましたが、各国は、ほとんど日曜の配達については停止をしておる。これは日本と同じように、フランスにおいても、ドイツにおいても、郵便物の増加に比例をして定員がなかなかふえない。それで、料金問題についても非常に苦慮しておるということを、向こうの郵政長官も座談の端々に言っておったわけであります。そういうところを見てみますと、日曜はほとんど配達を中止しておる、ただ速達その他についてはやっておる、こういう現状になっておるわけでありますが、この日曜配達廃止の問題について、労働組合が言ったからあれはてんで問題にならぬというふうな態度を持たずに、現実に郵政事業がプラスになる方向になると考えるならば、私は、もう少し具体的に検討して、そしてよい方向であるとするならば、私はやるにやぶさかでない、こういうような大臣の態度の表明を願いたい、こう思うわけでありますが、この間の談話が出ておりましたから、これに関連をして、大臣の所見を聞いておきたい、こう思うわけであります。
○手島国務大臣 この間新聞に出ましたのは、多少私の言いましたこととニュアンスが違っておるのじゃないかと思いますが、私が申し上げましたのは、自分としては、第一、その国の習慣といいますか、実情というものを考えなければならぬ。外国が大部分日曜を廃止したからといって、日本の国情がそこまでいっておるかどうかということが一つの問題であります。
 それから内部的な事務としましては、日曜の配達をやめれば、それだけ月曜に回っていく。それをどういうふうにやっていくかということが、毎日その臨時みたいなものが要るような格好にもなりますし、急にはきめられないのじゃないかということを申したので、日曜配達廃止に反対だというようなことは、毛頭言った覚えはないのでございます。
○森本委員 そういたしますと、今申しましたように、その外国の習慣と日本の習慣と考えた場合に、そう軽々にいかぬということでございますけれども、もうすでにあなたも御承知の通り、日本の官公庁あるいは各会社、相当重要なところについては、ほとんど日曜日は休みであるという形になっておるわけであります。どうしても日曜日に郵便物がこなければ困るというふうな企業、会社というものはあまりない。今日非常に重要な、急ぐというものは、速達制度が、戦前あなたが次官をやっておった時分とは、比べものにならぬほど発達しておるわけでありますから、緊急の手紙については、その速達で十分に間に合う、こういう状態になっておるわけであります。そういうことを考えた場合には、私は、日本の国情に合わぬとは現在考えられない。それから日曜日のを残した場合に、月曜日にその物のはけ方をどうするかという問題になると思います。これは先ほど私が言いましたように、東京、大阪、名古屋というふうな大都市と、また県庁所在地の中都市と、さらにまた農漁村におけるやり方というものは、おのずから違ってくると思います。そこで大都市の場合については、比較的定員の問題については、そう豊かにならないというふうには考えられますけれども、少なくとも全部で七千局くらいある中の約五千くらいありますところの特定郵便局、集配局というものは、相当定員面における労働力が違ってくるということは、明らかであります。そういう考え方からいきますと、あとへ下がろうという形でなくして、前へ前進をしていこうという形の検討の仕方を、私は、大臣にぜひお願いを申し上げておきたい。もうこれは頭からだめだという考え方でなしに、やれば郵政省としてはかなりプラスになる面がある。ただ、国民が現在のサービスが低下をするわけでありますから、これをいかようにして納得をさすかということが、やはり政治家としての一番大きな問題であろう。これについては、私たち社会党の国会議員としても、やはりその点についてはちゅうちょせざるを得ない、迷わざるを得ないということは考えられるけれども、現実に郵政事業の今の実態というものから考えていくと、若干片一方では日曜の配達のサービスが落ちますけれども、その他の面におけるサービスが拡充せられる、こういうことになった場合には、ずっと国民生活にもいいのじゃないか、こういう形の検討の仕方を、前向きの姿勢において大臣に御検討願いたい、こういう意味でありますから、一つ否定的な方向をとらずに、肯定的に前進をしていくような形をぜひ大臣がおとりを願いたい、こういうわけでありますから、重ねて大臣の所見を聞いておきたい、こう思うわけであります。
○手島国務大臣 私の考えも今の森本委員のお考えと大体同じでございまして、絶対に否定はしておりません。実施をするまでにはいろんな面からもう少し検討しなければならない。そのネックがこの辺じゃないかということを申しただけであります。
○栗原委員 同じく労働問題に関係していま一つ。少しくこれはスケールが小さいような形になるかしれませんが、大臣の所見を聞いておきたいと思うのであります。
 物の増加に比例して定員もふやしていくのだという方向はよくわかりましたが、一つの例として、鉄道で郵送する駅の郵便物の扱いの労務の問題です。もちろん、だんだん物も多くなってくるばかりでなく、最近の鉄道の方式が、駅における停車時間の短縮、こういう形になって現われてきておるわけです。このことは、時間が長ければゆっくりおろせますが、停車時間が短い間に一定のものを処理しなければならないということは、逆の意味から見れば、物がふえなくても、ふえたという形になって荷がかかる。これに対して、現地へ行って見ませんとなかなか御理解がいただけないのですが、労力の方が非常に過重労働になってきておる。これらについてどのようにお考えになるか、この点を一つ。
○手島国務大臣 お話の通り、鉄道が速度を早めて参りますと、郵便物を積まない便が相当多くなってきます。従いまして、この問題は、郵便の逓送としては非常な一大改革をしなくてはならない。第一番に考えられますことは、自動車便を多くするということが主体になると思います。鉄道の高速度化と逓送のやり方を変えていくということが、今の緊急の問題でありまして、検討をしております。
○栗原委員 今の大臣のお答えは、その面でけっこうなんですが、私のお聞きしておるのは、具体的に駅で働く郵政省の労働者、その人たちが具体的な労働過重になる。荷が多くなる。停車時間が短くなる。これに対拠して、やはりその労働問題を解決するためには、今いったような方法で大きくものを考える場面が当然あってしかるべきだと思いますが、労働過重のところは過重にならないような労務配置をするというような方向でいっていただきたいという意味で質問しておるわけなんですけれども、所見を伺いたい、このように思います。
○手島国務大臣 こまかいことになりますから、郵務局長から……。
○佐方政府委員 基本的なやり方としましては、ただいま大臣からおっしゃったような方向で非常に大きな問題が起こって参っております。しかし、そのほかにも物が非常に多くなっておりますものにつきましては、何とか車中での仕事の量を減らすということを考えなくちゃならない。一々車中で区分しないで、あるいはある県の入口の大きな局へおろして、軽減することを考えなくちゃならない。それから非常に多くなって参りますと、自動車に切りかえていくということもしなければならない。それから増員の問題等につきましては、御承知のように、今でも狭い車中で一ぱいでありますので、人をふやすだけでは大へんなことでございますので、ただいまの方向としましては、輸送経路を変えるとともに、車中での負担をできるだけ減らして、静止局で仕事をするようなことも考えなければならないと考えておるわけであります。
○栗原委員 次に、事故犯罪についてでありますが、これは最近新聞にしばしば報道されて、国民の中でも、信頼しておる郵政省の仕事が、どうも信頼ならないというような不信感を持たせる危険が多分にあるだろうと思いますが、ここでも、大臣は、そういうことがあってはならないから、大いに綱紀を厳重にして、そうして間違いのないようにする。まことにその通りであると思うのです。しかし、やはり事件が発生するには発生するような原因もそれぞれあり、ただ取り締まりということでなくて、原因を除去していく、こういうことが一番大事な問題であろうと思うのですが、その原因について、いろいろあろうと思いますけれども、大臣は、その大きな原因が那辺にあるか、こういう原因追及が行なわれなければ、これに対処する対策も具体的に出てこないわけでありまして、病源を知って治療をし、予防する、こういうことになろうかと思うのですが、その病源はどのようなところにあるとお考えになっておりますか、御所見を承りたいと思います。
○手島国務大臣 事故犯罪の発生につきましては、まことに申しわけないと思っております。元来、郵政省の仕事は、口数が非常に多く、現金を扱っておりますので、戦前でも、事故の問題につきましては、議会でだいぶやかましくいわれておりました。戦前と戦後がどういうふうに変わってきておるかということは、まだ詳しい調査をしておりません。私の考えでは、全般的に人間の気持が変わっておることが一番大きな問題じゃないか。それから事故の中で最近私が心配しておりますのは、行嚢、郵袋といいますか、手紙を入れた袋をあのままで盗まれるというような事故が割合に多くなっております。それから、郵便物をあけて中を抜き出してしまうという犯罪は、昔はあまりなかったのですけれども、これの件数が非常に多いというようなことを見まして、いろんな方面からこれは検討しなければならぬと思いますが、新しい事故の種類がふえてきております。為替事故は昔からありますが、郵便の事故が割合多くなってきておるということにつきまして、もう少し調査をして、お話のような根源を断つという方向に進まなきゃならぬと思っております。
○栗原委員 出てきた問題には、今言うように、逓送中の行嚢の中からの犯罪事故、それからまた一番最近国民をびっくりさせたのは、都内品川の近辺に起こった川端一家の事件、こういうことが国民を非常にびっくりさせたことでございますが、もちろん人間個々の考え方で事故が発生し、大臣も指摘されたように、人間の考え方に弛緩があるのではないか、こうおっしゃいますけれども、条件としては、国民的に考えて、一族一家がやっておるというような状況は、何といっても犯罪を起こし得る条件であり、起こり得る温床になる可能性がある、こういうように考えるわけなんですが、そういうことを申しますと、特定局というような関係がそういうことに当たるんだという言い方になってくるかもしれませんけれども、やはり特定のところに局員がくぎづけになっているのでなくて、いつでも人事交流ができ、そしていつも空気が一新されるという一つの人事行政といいますか、そういう状況に持っていくことが、やはり基本的に重大なポイントではないか、このように考えるのですが、特に大臣は特定局の関係の会長さんか何かやっているので、特定局にいろいろ批判を加えることはなかなかむずかしい立場かもしれませんけれども、大臣という立場で、こういうままでいいのかどうなのか。漸次人事交流が自由に行なわれていくような、そしてよどみの起こらないような人事行政のできるようなシステムにしていくことがいいのではないかと私は思うのですが、これらについての所見を一つ伺いたい、このように思います。
○手島国務大臣 今は昔と違いまして、特定局は家族でやるという制度ではないのであります。たまたま局長が親戚の者を使うということになっておる局もあると思いますが、そういう制度にはなっていないのであります。しかし、たくさんの中には、そんな局もだいぶあると思います。これはよくいっておるところは非常によくいっておると思います。そのかわり、今のように一家そろって何か悪いたくらみをやる場合には、容易にわからないという欠点も起こってくると思いますから、お話のような点もありますので、今後は十分注意をしてこの問題にも処したいと思っております。
○栗原委員 次に、大臣就任されましてから、放送関係について、FM放送については白紙であるというような談話をなさっておられますが、実は前大臣のときからFM放送の問題はいろいろと論議もされておりますが、白紙といっても、白紙だということだけではまことにどうも行く先がわからないので、この際ある程度行く先のわかるような御所見を承っておきたいと思います。
○手島国務大臣 FMの問題は、きわめて世間でも注目をしておる問題でありますから、郵政省でも調査会を設けましたり、あるいは海外に人を派遣しましたり、今いろいろ調べておる最中でありますので、そういうものを総合しました上で結論を出さなければならぬと思っております。今どういうふうなものに割当をやるかというお話になりますと、非常に言いにくい話であります。それから時期の問題も、私は急がない。この問題はいい仕事を残すことが大事なので、急ぐことをあまりやらないでいこうという考えでおりますので、多少結論に近いような話を申し上げることは、いましばらくお許しを願いたいと思います。
○栗原委員 どの方向でお許しになるとかいうことは、もちろんこれはなかなか大臣から申しにくいと思いますが、FMは経営体がずいぶん申請をしておるようでありますが、大体FMというものは、競ってやるほど経営的にうまくいく経済的な基盤があるようにお考えなのですか。大臣いかがです。
○手島国務大臣 私も、まだどの程度まで経営ができるかというような点はよく存じておりませんから、監理局長から……。
○西崎政府委員 FM放送の経営というものの見通しはどうかという御質問だと思いますが、これは先生もあちらをごらんになってよく御存じだろうと思うのですが、ある意味でFM放送は世界的に見まして一つの転機に来ておると思いますが、しかし、少なくとも現状におきましては、単独経営と申しますか、FM放送自体の経営というものは、採算面からいうと、先々は別にしまして、当面は相当苦しいんじゃないか、こういうことが日本についても言えるんじゃないか、こういうふうに考えておりますが、なお詳細につきましては、先ほど大臣が言われましたFM放送調査会の方で、なおいろいろ研究いたしております。
○栗原委員 FM放送の問題については、一時は今年の六月一日の一般免許の切りかえと時を同じゅうしてなどというような、ずいぶん切迫した事態もあったようでございますが、ありていに申しまして、実は私も前委員長の佐藤さんと毛海外を視察さしてもらっていろいろ見て参りましたけれども、これはあわててはならぬ、こういうことをつくづく感じてきまして、特にまた免許を受けて経営に当たる経営主体も、やはり聴取設備がかなり拡充してからでないと、これは容易でないというようなことも考えられますので、さらに十分これらを配慮して間違いのない方向をとっていただきたい、こういうことを一つ希望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
     ――――◇―――――
○本名委員長 次に、電波法の一部を改正する法律案を議題として、審査に入ります。

    ―――――――――――――
○本名委員長 本案は、前国会におきましてすでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、これを許します。岡田修一君。
○岡田(修)委員 電波法の一部改正に関する法律案につきまして、運輸省関係の政府委員の出席を求めておるのでございまするが、まだ出席がないようでございますので、ただいま出席の電波監理局長に対して一つ質問いたしたいと思います。
 この電波法の一部を改正して、現在船に乗り組んでおりまする無線定員を国際水準並みに引き下げる。すなわち、日本船では五千五百トン以上の国際航海に従事する船には、三人の無線定員が乗り組んでおる。それ以下の船については二名。これに対して外国船はいずれも一名でやっておる。これが今日の日本海運に対して非常に大きなガンになっておる。御承知の通り、海運というのは、国際競争の非常に激しい産業でございます。これに対して、日本の海運は、戦争中にほとんどの船が沈められ、それの代船建造はすべて借入金でまかなっておる。この借入金の利子負担が非常に重いということ。もう一点は、船の乗組員が非常に外国船に比べて多いということ、この二点が、日本の海運が今日非常に不利な立場に立っておる大きな原因であります。ところが、最近この船につきまして非常に経営の合理化が進みまして、定員の減少につきましても、終戦当時六十人近く乗っておりましたものが、現在四十数名、最近できる船では、五万トンあるいは七万トンのタンカーが四十名以下になっておる、こういうふうに非常な減少を来たしておるのでありまするが、その中で、どうしても減らせないのがこの無線乗組員であります。これが電波法並びに船舶職員法の規定によって先ほど申しました員数の乗船が強制をされておるものですから、どうしてもこれが減らせない。これが海運経営の合理化の非常に大きなガンになっておる。これは政府当局も十分御承知のことと思います。これがために、電波法を一部改正し、これの裏づけになる船舶職員法を改正するということは、十数年来の懸案でございます。ようやく政府内の話がまとまって、昨年これが国会に提出されました。このこと自体は非常に私はけっこうだと思うのですが、まず何がゆえに、だれが見ても自明のこの問題が長い間国会提出まで時間を要したか、この理由につきまして、電波監理局長から御説明を願いたい。
○西崎政府委員 船舶の無線電信局の機能、これは御承知のように、この無線機能を通しての安全の確保ということと、通信の疎通という二つの面があるわけでございます。そういう意味におきまして、今お話の通信士三人というものを国際水準並みにするためには、そういった機能に支障を及ぼさないという点の考慮が、研究が必要でございまして、その研究が手間取っておったということでおそくなったような次第でございます。
○岡田(修)委員 ただいまの御答弁では、通信機能を通じての航海安全の確保と、さらに通信の疎通、この二点についての検討に手間取った、こういうことです。今回政府がこれを提案されたことにつきましては、その面についての確信が十分についた、こういうことでお出しになったと考えてようございますか。この点についてお答え願います。
○西崎政府委員 さようでございます。
○岡田(修)委員 そこで、私は、だれが見ても当然これは改正すべきものであるという電波法の改正が、今日までじんぜん日を過ごしてきたということは、先ほど電波監理局長から御答弁がありましたが、それ以外のいろいろの理由があるのだろうと思います。しかし、表面は今おっしゃった点が一つの理由であると思いますが、そこで、一番これの改正についていろいろ論議されまする問題点は、先ほどお話のありました通信の疎通の点、今まで二十四時間勤務をしておったのが八時間勤務になる。暫定期間の三年間は十六時間勤務、そうすると、どうしてもその短縮された勤務時間内に通信が輻湊して、それがさばき切れない、これが一つの問題です。もう一つは、定員減少に伴って備えつけなければならないオート・アラームの性能について、はたして信頼ができるのかどうか。さらにもう一つ論議されるのは、船舶による気象通報、これが船舶からの気象通報がなくなることによって、日本の気象業務がはたして完全に行なわれるか、この三点であります。気象庁長官がまだお見えになりませんから、その問題になる二つの点について電波監理局長にお尋ねしたいのですが、このオート・アラームの性能でございますが、この電波法改正の法律案の提案理由にも「最近における無線機器の性能の向上にかんがみ、」――これはオート・アラームのことを言っておられるのであろうと考えるのであります。つきましては、このオート・アラームの最近の発達の状況、どういうふうに進んでおるかということを、私ども詳しくございませんので、よくわかるようにお願いしたいと思います。
○西崎政府委員 もう申し上げる必要もないかと思いますが、オート・アラームと申しますのは、ちょうど船の電波を利用した目ざまし時計といったようなものでありまして、一分間に十二の長線、こういった信号を五百KCで送りますと、そのオート・アラームという目ざまし時計が作動しまして、それによって寝ておる通信士を起こす。それによってどこかで遭難が起こっている、もしくは遭難に近い状態が起こっておるということを知らせる。そういう装置でございます。従いまして、通信士が執務しておらなくても、どこかで遭難がありますと、その目ざまし時計が鳴りますので、それで目をさまして執務態勢に入れる。こういったしかけのものでございます。このオート・アラームは、国際的にも非常に歴史が長いわけであります。すでに今から四十年くらい前、一九二七年に、国際電気通信条約におきまして、この技術基準というものが制定されておるわけであります。現在のオート・アラームの国際的な基準と申しますのは、千九百四十八年の海上における人命の安全のための国際条約、これに規定されておるわけであります。一々こまかい内容には入りませんが、要するにそのオート・アラームの持っておるべき性能の基準をきめておるわけであります。たとえば、感度であるとか、選択度であるとか、あるいはまた自動利得調整装置、われわれAGCと言っておりますが、こういったものであるとか、いろいろそういったような技術基準を規定しておるわけであります。それで、この条約によりますと、そのあとの方に、新しい型式の自動警急機を承認する前に、当該主管庁は、実際上得られる運用状態にひとしい運用状態のもとで行なわれる実用試験によって、この機器がこの規則に適合することを認めることを要する、こういう一条があるわけであります。すなわち、これによって、各主管庁は、新しい種類のオート・アラームの型式ができた場合には、それに対して国として型式検定をすることが必要だ、こういうことを規定しておるわけであります。この規定によりまして、日本といたしましても、郵政省におきまして、そのオート・アラームの型式検定をやっております。これは昭和二十七年からやっておりまして、現在すでに七つの機種が認定されておる、こういう状況でございます。それによりまして、日本で製作されるオート・アラームの機器が、国際的な基準を満たしておるかどうかということをここで検定いたしておるわけであります。大体そういったプロセスを踏んでおるわけでございますが、実は日本といたしましては、先ほどもお話のように、大半の貨物船はすでにもう三人の通信士を乗せておる関係で、その通信士を使えば二十四時間ウォッチできる、通信だけじゃなくて、安全のためのウォッチもできるという態勢になっておるので、国内船についてのオート・アラームに対する需要は、非常に少なかったわけでございます。一方日本は、船舶の輸出ということを相当やっております。そういう関係で、輸出船の方につきましては、過去におきまして相当の実績を持っておるわけでありますが、その輸出の結果によりましても、ほとんどコンプレーンはない、こういう状態であります。もっとも、最近におきまして、国内船に対する需要もだんだんと出て参りました。現在百七十二はいの船にオート・アラームを装備しておる、こういう状況でありまして、だんだんと性能はよくなってきておる。しかも、当然郵政省で従来検定いたしておりますが、新しいものほどその性能がますますよくなってきている、こういう状況でありまして、少なくとも国際水準まではきておる、こういうふうにわれわれの方では判断いたしております。
○岡田(修)委員 ただいまの御説明で非常に安心したのですが、この無線定員を減少する場合の一番の反対のポイントが、このオート・アラームの信頼性ということです。ただいまの御説明によりますと、輸出船については、ほとんど今まで何らのコンプレインがない。また、国内船につきましても、百七十二隻の装備船があるのですが、それについても何らの弊害を聞いていない、こういうことです。私どもが船主その他から聞く場合でも同様、国内船に取りつけておるオート・アラームについては十分信頼し得る、こういうことでございます。しかし、なお一部には空電その他によって、あるいは誤報、あるいはオート・アラームが動かなくなる、こういう状態がしばしばある、こういうことを聞くのですが、その点について重ねて御説明を願いたい。
○西崎政府委員 ただいま先生のお話の中で、国内船についても全然コンプレインがないというお話ですが、国内船につきましては、多少コンプレインはございます。しかし、そういったものがだんだんと改善されてきておるということでございます。
 それからオート・アラームの空電による影響という点についての御質問でございますが、これは実はオート・アラームにつきまして本質的な問題でございます。絶対に空電による誤作動とかあるいは不動作というものが絶無である、そういうことは、今日の技術をもってしては、これは日本だけでなくて、世界的にも至難である、こういうふうに聞いております。問題は、その程度問題でございます。そういう意味で、先ほど引用いたしました国際的な規定におきましても、その点は差しつかえないということになっておるわけであります。要するに、空電のないときにどういう感度を持っていなければならぬという規定で、それから実行可能なときに、そのAGC――自動利得調整装置によってできるだけそういった誤作動が起こらないようにしなければいけないということで、定量的な規定はないわけであります。
○岡田(修)委員 とにかく、人命の安全に関しては、一体に日本人は割合に考え方が軽く、外国は非常にその点がやかましい。従って、もしオート・アラームに信頼が置けないならば、私は、外国船の方においてこそ、通信士をもっとたくさん乗せ、実際の聴覚による安全を確保する、こういうことがとらるべきと思います。ところが、この点に関しては、日本と外国は反対でありまして、外国は早くから無線通信士は一人で、これを補うのにオート・アラームをもっていたしておる。戦前は日本もそうでありました。ところが、戦後になって、いかなる理由か、無線通信士が三名乗っておる。オート・アラームを利用しようとすると、そのオート・アラームは信頼ができない、こういうことで今日まできたわけでありますが、現在無線通信士三名乗り組みの慣習は、戦争中の対潜警戒、その他船舶の安全保持のために通信士を多数乗り組ました、それが今日そのまま引き続いてきておるのではないか、かように考えるのですが、なぜさように多くの無線通信士を乗り組まして今日に至っておるか、その理由を御説明願いたいと思います。
○西崎政府委員 途中で多少の改正はあったわけでございますが、大体において先生が今御指摘のように、戦時中における、いわゆる戦時特例の惰性というと多少語弊がありますが、その関係だ、こういうように思っております。
○岡田(修)委員 私は大へん変な憶測をするのですが、占領当時、私が占領軍、連合軍総司令部とたびたび船のことについて折衝した。その占領軍の意向は、当初は、日本の海運は潜在軍事力ということでこれを全面的に認めないということであった。しばらくしてだんだん日本の実情がわかってきて、海運を復興させなければいけない、こういうことになったわけであります。そのときに、占領軍総司令部の中に多数の外国の海運関係の者が入っておった。こういう人たちは、とにかく日本の海運が復興すると、アメリカ、英国その他主要海運国が非常な影響を受ける。何とか占領政策の名のもとに一つ芽をつみ取りたい、こういう意向が非常にあったように見受ける。従って、外航を復活した場合でも、当初は五千五百総トン以上の船はいけない、速力十五ノット以上の船はいけない、非常な制約を受けたわけであります。それが平和条約によって完全な自主性を回復したのですが、電波法その他占領政策中に作られた――そこまでの意図があるかどうかはわかりませんが、それともう一つは、労働攻勢が非常に強かった、こういう時勢であったために、暗々ながら、占領軍の中の何とか日本海運の競争力を減殺しよう、こういう意図とがからみ合って、われわれ常識的に考えて非常に不当と思われるこういう法律の制定に至ったのではないか。これは一つの憶測ですが、その点について、いかなる考えを持っておられるか。これは運輸省の船員局長の方でもけっこうです。一つお答えを願いたいと思います。
○若狹政府委員 ただいまの占領政策との関係につきましては、われわれ詳細にはいたしておりませんけれども、戦争中、昭和十六年に、海軍省の省令によりまして、商船の乗組員の必要な指示を海軍大臣が行なうという省令ができましたので、それによりまして、戦争中、船団航行の必要等によりまして、二十四時間の勤務態勢、運用態勢というものができ上がりまして、昭和十九年に船舶職員法を改正いたしまして、その態勢を船舶職員法の中に取り入れたわけでございます。
 終戦後におきましては、非常に社会情勢の混乱いたしておりました当時でございますし、また、船舶運営会によって一元的に船員が雇用されておったわけでございますので、そういう情勢のまま推移いたしまして、そうして無線の三直制、二十四時間運用というものが、日本の商船に取り入れられておったわけでございます。ところが、当時におきまして、その改正について異論があったわけでございますけれども、当時の社会情勢からいたしまして、早急な改正は困難であるということで今日に至っておるわけでございます。その間の、電波法関係の昭和二十五年に改正になりました当時の情勢につきましては、われわれ詳細には存じておりません。
○西崎政府委員 ちょっと補足させていただきますが、電波法に関する限りは、先ほど御指摘の占領政策あるいは労働攻勢という影響はなかったもの、こういうふうに私は考えております。
○岡田(修)委員 ただいまの質問は憶測でございます。あまり気にとめないでけっこうでございます。
 参考のためにお伺いするのですが、今日本でオート・アラームをつくっておられる会社はどこですか。同時に、そのオート・アラームが、外国の製品に比べて見劣りするのかどうか、こういう点について、お答えいただきたい。
○西崎政府委員 現在型式承認を受けておりますオート・アラームの国内メーカーは、日本無線、安立電気、東芝、協立電波、この四社でございます。それから外国製品と比べてその性能はどうかということでございますが、外国製品にもいろいろな格差と申しますかございます。われわれの方で測定しましたところでは、これもそう件数は多くありませんので、この結果をもって必ずしもどうこうということは申せないかもしれませんが、アメリカではRCA、マッケーといったところが、代表的な製品だと存じます。こういったところの製品に比べると、日本の製品はとんとん、あるいは多少いいんじゃないか、こういうふうに自負いたしております。ただ、相当歴史の長い英国のマルコニー会社の製品は、まだ多少日本製品よりはいいんじゃないかというふうに考えております。
 要するに、われわれとしましては、先ほど申し上げましたように、国際的な技術基準というものが国際条約できまっておりまして、その線には合格しておる、こういうことを申し上げていいと思います。従いまして、外国製品と大体とんとんのところまではいっておるんじゃないか、こういうふうに考えております。
○岡田(修)委員 先ほどの御説明の中に、新しい型式のオート・アラームができた場合には、主管庁が実地試験をやって、そうしてはたして基準に適合するかどうか検定する、こういうことが条約の方で規定されておる。ついては、この国産のオート・アラームについて、郵政省の方で実地試験をおやりになったことがありますか。いつごろおやりになったか、あるいはその結果どういうことであったか、御説明願いたい。
○西崎政府委員 実用試験ということでございますが、先ほど引用いたしました条約の規定であります。「実際上得られる運用状態に等しい運用状態の下で行われる実用試験」という点につきましては、この型式検定を担当しております郵政省の電波研究所におきまして、実際に近い状況をつくりまして、そのもとにおいて行なっておるわけであります。具体的に実際に船に乗せてやっておるというわけではございません。ただ、これはずいぶん前のことでございますが、昭和二十八年に、三回にわたりまして、実際の船舶に国産品を乗せて実地試験を行なったことがございます。当時はまだ必ずしも国産品の技術が改善をされていなかった関係もありますが、それでも総合的な結論としてはおおむね良好、ただ注意書がついておりまして、「空電による妨害が起こらないように、そのときの空電の強度に応じて警急自動受信機の動作基点を調定すること。この場合の動作基点は不動作妨害が起こらない程度で最大にすることを原則とし、不必要なほど余分に下げることは適当でない。」こういう、要するに、先ほど申し上げました自動利得調整という点においてまだ多少問題があるということで、まあ結論的にはおおむね良好、こういう報告がなされております。
○岡田(修)委員 ただいまの実用試験というのは、昭和二十八年でございますね。そうすると、今から約十年近く前です。その後、私は、非常に機器の進歩、改善というものが行なわれておると思います。そういたしますと、そのとき報告になった非常に心配な点、こういう点も非常な改善をされているんじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
○西崎政府委員 先ほど申し上げましたように、郵政省としましては、型式検定のときに、いろいろとそのときにおける技術の改善状況というものがチェックできるわけであります。そういう試験の結果によりますと、非常な勢いで改善されつつある、こういうことが言えると思います。
○岡田(修)委員 オート・アラームにつきましては、いろいろ御説明を聞きまして、少し心配をしておった点があったのでございますが、非常に安心をいたしました。
 次には、通信の疎通の点。私は、この通信の疎通について、今まで二十四時間勤務をしておったのが、八時間勤務、その間に通信が集中して、そうしてうまく通信がさばけないかもしれない。従って、無線通信士は三人乗せておかなければならぬ。勤務時間を二十四時間にしなければならない。これは何というか、商売人がお得意に使用人の使用を強制しているようなものじゃないかと思うのです。今までがそういう形でこれが延引をしておったとなると、とんでもない。郵政省あるいは電電公社かもしれませんが、いわゆるサービス精神に反した措置だ、こういうように私は考えるのですが、幸いにしてその点今回皆さん方の方で考えが一致してこういう改正案が提案されたわけですが、そこで三年間の暫定期間を置かれた。この三年間の暫定期間は、先ほど私が言ったような気持があるにしましても、それはうまく通信をさばいてもらうに越したことはない。通信の疎通を三年間に円滑にやるようにしたい、こういう理由で暫定期間が設けられたと思うのですが、その辺の事情を御説明願いたいと思います。
○西崎政府委員 御承知のように、外航船の通信時間というものは、国際電気通信条約の付属の無線通信規則によりまして、世界の海域別に時間割というものがきまっております。日本の場合には、その地理的な地位からいいまして、これは専門的で恐縮でありますが、C海域、D海域というところに日本船舶が集中するわけでございます。従いまして、従来三人乗って二十四時間執務しておるという場合には、日本の海岸局との通信というものが、ならして利用できるわけであります。言いかえれば、海岸局は非常に能率のいい運用ができる、こういう状態になっておるわけであります。それを今回のように、経過期間の問題はございますが、八時間ということにいたしますと、どうしても特定の八時間に日本の海岸局あての通信が殺到して、そこにピークを生じるわけでございます。従いまして、今回の改正による最大の問題は、一体どうやってそういう事態を緩和するかということでございまして、そのためにはいろいろな方法を考えなければならぬ。その一つといたしまして、これは電電公社の方でございますが、海岸局のこれの対応施設というものも、やはり従来よりは整備してもらう。しかし、これはなかなかそうすぐというわけにはいきません。新しい短波の獲得の問題もございます。それからその結果の物的な設備の整備という問題もございます。そういう意味で三年間の経過期間が必要である、こういうことになっておるわけでございます。
○岡田(修)委員 外国船の無線器具は、私詳しくありませんが、割合簡単な無線機械設備であります。ところが、日本船は非常にりっぱな無線機である。これはその無線機械によって、たといいかなる遠方の地域におっても、直接国内通信ができる、こういう観点と、もう一つ、乗組員がたくさんおられるから、できるだけりっぱな無線機械を備えつけたいというふうな意欲と、これが二つ重なってのことだと思うのですが、一体外国の船舶に備えつけている無線機と日本の無線器具でなぜそう違うのか、その辺の事情を一つ御説明願いたい。
○西崎政府委員 これも一がいには申せませんが、大体において日本船舶の無線機というのは、大電力主義をとっております。大体一キロワット程度の送信機を装備しております。それに比較いたしまして、英国とか米国、こういったところの船舶の無線機は、大体二、三百ワット程度の小電力の無線機を装備している、こういう状況でございます。この理由はどうかというわけでございますが、私の所見といたしましては、世界じゅうどこにおっても本国の海岸局と連絡がとれるということを原則にしておるために、そういう差を生じておるのではないか。これはある意味では、外国海岸局経由で電報を送りますと、直接本国に送るよりも相当高額の料金をとられる。大体において二十倍程度よけいの電報料を払う。しかも、これは外貨の問題もあるといったようなことが、一つの大きな原因になっておるのじゃないか、こういうふうに存じます。
○岡田(修)委員 そこで海運局長にちょっとお尋ねしたいのですが、無線乗組員の定員を減少すると、自然外国の海岸局を経由して内地に通信をする、こういうことが出てくる。そういう場合の経費増と、今回の無線定員を減少することによる経費の節減、これの比較をされたことがございますか。
○辻政府委員 比較を検討いたしております。その結果によりますと、全体の無線通信士を一名に国際水準並みにしました場合には、約十七億円の経費の節減が可能である。しかし、今御指摘がございましたように、外国の通信所を経由して通信するための費用が必要だと考えられますので、これが大体二億程度、差引いたしまして十五億円程度が節減可能である。今提案されております三カ年間の暫定の場合におきましても、約十億程度は節約になる、かように考えております。
○岡田(修)委員 気象庁の長官がお見えになっておりますから、気象関係について御説明していただきたい。この無線定員減員による影響、それが一番やかましく論ぜられておりますのは、気象庁関係の業務に非常に大きな影響があるのじゃないか。それでなくても日本は災害が非常に多い。かつまた、船においても海難が多い。これがあなたの方の気象観測に穴があくということは、大へんなことだと思う。従って、今まで通りの船舶による気象観測通報というものを存置する必要がある。これがこの電波法改正についての非常に大きな論点であるわけです。そこで私は、船舶による気象観測通報がどういうものか、どういうふうにして行なわれておるか、これの御説明を承りたい。
○和達説明員 わが国は、広い海を控えておりまして、海上の気象の観測資料の大切なことは言うまでもございませんが、海上の船舶から一日四回、気象の観測の通報を受けております。この観測をする船舶が、今回その大部分が従来三名配置されておったものが一名となるのでございますが、直ちに三名のものが一名になるわけではございませんから、経過期間中は、近年船舶も増加しておるときでございますし、気象業務上はまず支障はないものと考えます。経過期間後におきましては、特に夜間の気象観測資料が入って参りませんので、そのために特別の措置をいたさなければならないと存じます。
○岡田(修)委員 ただいまの御説明では、夜間の気象観測通報が入ってこない。これは何時ごろの通報でございますか。また、それについて特別の措置をとらなければならないということでございましたが、いかなる特別な措置をおとりになるのか。
○和達説明員 ただいま行なっておるもののうちで、午前三時の観測通報はほとんど入らなくなります。また、ある期間におきまして、午後九時の観測も、電波法が改正されますと、入手が非常に困難になるわけであります。これに対しまして、私どもといたしましては、心要な海域におきまして、特に夜間の気象通報を円滑に入手できるように、関係方面の協力を得まして、船舶を特定し、そしてこれらと契約を締結するというような措置を講ずることに努力したいと思っております。なお、船舶が気象通報を行なうということは、船舶自身の安全な運航を確保するために必要でありますけれども、そればかりでなく、国の気象観測網の一環として行なわれるものでありますから、これにつきましては、現行の気象業務法第十二条の精神に基づいて、国が必要な限りにおいてはその費用を負担するというようなことにいたしたいと思います。
○岡田(修)委員 ただいまの必要海域における夜間通報を船舶と契約する。この必要海域というのはどういう海域ですか。それから船舶と契約すると言われるのですが、どういうふうな契約をお結びになるのか。大体のお考えを承りたい。
○和達説明員 ただいま気象観測通報を行なっている区域は、日本周辺の海域でありますが、それに種類がございまして、東経百十五度から東経百六十度までの海域、次に東経百六十度から百七十度までの海域、その次に東経百度から西経百六十度までの海域、これらはその重要性に応じて、今まで観測通報していた回数、時刻等がそれぞれあります。いずれにいたしましても、相当広い海域ではございますが、この海域を通過している間、できるだけ私どもの――これだけは必要であるという数が、およそ計画されております。それだけの数を確保するように、特定の船舶と契約をする等の措置を講じて行ないたい、こういうことであります。なお、この契約は今後の問題でございますけれども、外国におきましても、たとえば米国のごときは、このような契約によりまして、東太平洋の地域でやっております。これらは今後の契約でございまして、詳しいことはそのときにきめたいと思っております。
○岡田(修)委員 気象庁の方で、気象業務整備五カ年計画とか何とか、そういうものをお持ちでございますか。その場合に、こういう電波法改正による定員減少による気象観測通報の穴をどういうようにして埋めるか、そういうこともそこに織り込んでいらっしゃるかどうか。
○和達説明員 気象庁は五カ年計画を立てまして、それによって業務を推進いたしておりますが、この問題は、近ごろ特に出た問題でございますので、まだその五カ年計画に具体的に入っておらない次第であります。三年間の経過期間の間に何とか計画を立てまして、気象観測に穴があき、防災上あるいは国際の気象業務上困難のないように、極力努力いたしたいと思っております。
○岡田(修)委員 私は、海上気象の通報その他は、もっと定点観測船等を整備されておやりになるべきでないかと思うのですが、現在の定点観測船の整備状況、今後の計画、これを承りたいと思います。
○和達説明員 ただいま仰せのありました定点観測船は、その問題に対しては最も有力な手段であると思います。ただし、定点観測船をつけましても、広い海域でありますので、相当の個所が必要で、御承知のように、これには相当の経費が要するわけでございます。なお、現在におきましては、世界の気象機間におきまして、ワールド・ウォッチ、世界の気象を観測するという態勢を確立するということになっております。これは気象衛星の発達と相待って、気象衛星から来る観測資料を極度に利用するためには、地球上の表面の観測が完全に行なわれておらなければならぬということはもちろん、海上が一番大事なものだ、そういう点におきまして、現在世界的にもワールド・ウォッチの態勢に進んでおるときでございますので、定点観測もちろん一番大事なものでありますけれども、必ずしもそれだけがこの問題に対する回答であるかとか、またはわが国だけが世界と協力して行なうべきものであるかとか、そういうような問題は残っておる。しかし、それにしましても、将来はとにかく、私どもは、この三年間にその科学の進歩が具体的にそれにかわるということは、今のところはちょっと見込みはないと思います。
○岡田(修)委員 あまり時間がありませんので、結論的に気象庁長官にお伺いしたいのですが、船舶による気象観測通報に、今度の電波法の改正によって一部穴があく。しかし、その穴は三年間の暫定期間中にいろいろの措置によって何とか埋め合わせができて、気象庁の業務遂行に差しさわりがない、かように長官は御判断になっていると考えるのですが、その点いかがですか。
○和達説明員 先ほども申し上げましたように、国が気象観測を行なうという建前に根本的に立って、国がこれに対して必要なる経費その他について配慮されるならば、私は差しつかえないと思います。
○岡田(修)委員 今度のこの電波法の改正並びにこれを裏づける船舶職員法の改正、これは運輸委員会にただいま提案されておる法律案でございますが、この法律案が提案されるに至ったその理由といたしまして、一つは、先ほど申しましたように、船舶機器の非常な発達であります。もう一つは、私がちょっと冒頭に触れましたが、現在の日本の海運界の現状からして――これは提案理由にあることでありますが、この現在の日本海運の現状、これを一つ簡潔に、なぜ電波法改正をこの際急ぐことを必要とするか、その必要とするに至った日本海運の現状を、せっかく海運局長見えておるのですから、御説明願いたい。
○辻政府委員 現在の日本の海運界の現状を簡単に申し上げます。
 御承知の通り、現在船腹量は七百数十万トンを擁しまして、戦前の規模を上回っておるのでございます。戦争によりまして、戦時補償の打ち切りの措置を受けまして、ほとんど自己資本というものを喪失しました海運界は、この膨大な船腹をすべて借入金によってまかなってきたわけでございます。日本の海運の一番の弱点といわれますのは、自己資本が不足し、非常に借入金が多くて、その金利の負担に悩んでいるという点でございます。それからまた、日本をめぐりまする国際海運の現状も、戦前のようないわゆる植民地との独占的な航路というものはなくなりました。まる裸で世界の海運と競争をしなければならぬ。しかも、最近、海運界の市況は低迷しておりまして、そういう企業基盤の弱いところに対して収益の増もさほど望まれないということで、償却を考えますと、長年赤字的な経営を続けてきておるという現状でございます。膨大な未償却あるいは借入金の延滞をかかえているというふうな状況でございます。
 もちろん、私どもとしましては、海運企業の合理化につきましては、常々心がけております。経費の節減その他につきましては、ほぼ徹底した状況に相なっておる。今後の問題としましては、どうしてもできるだけ人の生産性を向上していかなければならぬ。そういう面が大きく浮かび上がってくるのであります。この無線通信士の問題につきましては、国際的な水準を越えた人員をかかえまして、先ほど申し上げたような、経費としては非常に多額の支出をしいられているという点でございます。そういう意味から、この電波法及び船舶職員法の改正によりまして、海運企業の合理化になお進むことをぜひお願いしたい、かように考えるのでございます。
○岡田(修)委員 この無線乗組員を減員する今度の改正に対する一つの批判は、何も乗組員の減少に従って、乗組員の労働強化で海運の競争力培養ということを考える必要はない。海運界の基盤強化にはもっとなすべきことがたくさんある。それをやらないで、まずこういうことに手をつけるとは何事か、こういう批判がある。これに対して海運局の方は、現在の日本海運に対してどういうふうに考えているか。
○辻政府委員 運輸省といたしましては、海運に対しましては、ただいま申し上げたような海運企業の現状、それからまた各国の自国海運に対する助成あるいは保護的な措置等を検討いたしまして、従来からもある程度の財政資金の供与でございますとか、あるいは利子補給の制度の実施等によりまして、助成的な措置をやってきたわけでございます。それではなお足りませず、先ほど申し上げたように、海運界の基盤が非常に脆弱でございまして、この際私どもとしましては、海運企業の根本的な体質を改善するような措置を考えたい。その無線通信士の削減等による合理化措置と相待ちまして、海運企業の立て直しをはかっていきたい、かように考えている次第であります。
○岡田(修)委員 先般海員組合が、船内八時間労働制を主張してストライキをやった。しかし、このストライキは、結局、海員組合の主張通りになった。これによって船主側は、オーバー・タイムその他によって相当の出費をする。これをカバーするために、いわゆる生産性の向上といいますか、労働能率の向上によってできるだけこれをカバーしよう、こういう海員組合と船主協会との間の話し合いがあるやに聞いておる。これは結局、定員の切り詰められるところは切り詰めて、経費の節減をはかる、まあこういうことと推測するのですが、その辺の事情を一つ船員局長からお聞きしたい。
○若狹政府委員 海上の労働問題につきましては、今御質問にありましたように、実は昨年の四月に――従来一船別、その型別に定員を組合と船主団体との間で協定いたしておりました。それによって船員の配乗を行なっておったわけでございますけれども、昨年の四月から、定員に関する中央協定を廃止いたしまして、そうして各船主の手元におきまして定員の合理化が行なわれたわけでございます。その結果、船主団体所属の船員の船員数は、三万五、六千名である――今私手元に資料がございませんけれども、三万四、五千名というふうに記憶いたしておりますけれども、今日まで約二千名の定員減少が行なわれたわけでございます。そうしてその後においてストライキが起こりまして、先ほど申されましたように、そのストライキによる出費増を、新しい就労体制を労使間において協議することによりまして、そうして定員減少をいたしまして、この出費増をまかなっていこうという話し合いができておるわけでございます。しかし、その定員減少の一番問題になりますのは、この無線通信士の問題がございまして、現在の勤務の状況から見ましても、一日の公衆通信の量は、一船当たり約四通程度でございます。従いまして、これを処理する時間というものは非常に短いわけでございますが、ただ、現在の無線通信士は、それ以外に、あるいは機器の整備であるとか、あるいは外国放送の受信をして船内に新聞を出すとかいうような、文化的な活動もいたしておるわけでございます。また、レーダーの修理というような面にも使われておるというような点もございますので、船内の体制というものをこの際あらためて考え直すべきである。そうして、それによって定員の合理化ということを考えていただくということをわれわれとしては考えておるわけでございまして、その前提といたしましても、法律的にも明確に現在の法律の制度というものを変えて、そうして国際水準に直していただくということが前提の条件でありまして、それを基礎にして第二次の定員の合理化というものは実施されるであろうというふうに、われわれは考えます。
○岡田(修)委員 私は、冒頭に、運輸省の人たちが見える前にちょっと触れたのですが、これからの世界海運の競争は、いわゆる船舶の運航経費を節減する。その運航経費の中で一番大きい要素は人件費だ。今日、日本でも、七万トン、十万トンの非常に大きなタンカーがある。ごく四、五年前までは、計画造船で非常に適当な船として奨励した二万トンのタンカーが、現在ではいかにうまく運用しても採算がとれない。直接運航経費すらまかなえないという状況にある。なぜその大きい船とそういうスタンダード・タンカー、二万トンのタンカーの採算が違うかというと、結局トン当たりの人件費の差だ。八万トン、十万トンの船で四人しか乗っていない。ことに、最近できる船はもっと少ない。従来のスタンダード・タンカーは、やはり四十四、五人、これじゃどうしても採算がとれない。最近では、米国のマリナーですか、非常に高速優秀な船がほとんどオートメ化して、十七名ぐらいな定員でこれを動かそうとしている。こういう場合に、この無線通信士が依然として非常にコンパクトせられた定員の中で三人乗っておられるということが、単なる船の競争力、こういうこと以外に、私は、船内の乗組員の融和というのですか、意思の疎通といいますか、こういう面にどういうふうな変化を来たさせ、影響を及ぼしてくるだろうか、こういう点を非常に心配するわけです。その点はいかがでございますか。
○若狹政府委員 船内の融和の点からいきますと、船内は御承知のように、甲板部、機関部、無線部、事務部というふうにセクションが分かれておりまして、それぞれのセクションにおいて担当の者が責任を持って処理しているという体制がございますけれども、無線部につきましては、先ほどから申しておりますように、仕事の繁閑におきまして、甲板部あるいは機関部というものと非常な相違があるわけでございます。それから港湾の中へ入りますと、電波法によりまして、無線局は運用してはいけないということになっておりますので、甲板部、機関部、事務部等の船員は、入港と同時に非常に多忙になるというような状況であるにもかかわらず、無線部の船員は、入港すると同時に上陸してしまうということでございます。従いまして、長い航海を終えて港へ帰って参りまして、一日も早く家族の顔を見たいという甲板部、機関部の人たちが、感情的に非常に無線部のそういう執務体制に対して反感を持っているというのが実情でございますので、今後の考え方といたしましては、甲板部あるいは無線部なり機関部、事務部というようなそういう従来の伝統を打ち破って、一つの船が一丸となって仕事を処理するというような体制を築いていかなければならぬというように考えているわけでございます。そのためには、どうしても最小限度の人員でもって各部の仕事を処理するという体制を、その前提としてとっていく必要があるんじゃないかというふうに考えておるのであります。
○岡田(修)委員 さらに、今回の措置をぜひとも必要だとした理由の一つに、最近における無線通信士の逼迫状況といいますか、無線通信士を法定数だけ乗せようとしても、なかなかその無線通信士が得られない、乗船してもらえない、こういう状況がこの法律の成立を非常に急いでおる理由と聞いておるのですが、その無線通信士の需給状況ですね、逼迫状況、これを御説明願いたい。
○若狹政府委員 現在海運会社におります無線通信士の数は、約四千二、三百名程度であるというふうに考えております。現在提案いたしております法律案によりますと、前の改正前の現在の定員数は、二千七百名でございますが、暫定措置の期間には、それが千八百名になるわけでございます。それから三年後になりますと、それが千三百名になるという状況でございますけれども、その二千七百名の定員に対しまして、予備員が約二五%ないし三〇%程度陸上に待機いたしておるわけでございます。それ以外に無線の義務のない船、つまり国際航海に従事しない千六百トン以下の船舶、あるいは国際航海に従事する場合であっても、五百トン以下の場合は無線局の義務はないわけでございますので、そういうものもございます。そういうものを含めまして、約四千二、三百名程度の無線通信士が海運界に活躍いたしておるわけでございます。この減耗補充――あるいは病気なり、あるいは老齢のために退職せられ、あるいは他に転職せられるというような方々が、最近非常にふえておりますけれども、過去三年間の実績からとりまして、毎年約三百名程度の減耗補充が必要であるというふうにわれわれ考えておるわけでございます。
 さらに、最近の船舶の拡充の関係から、もし現行法通りで今日の船舶拡充に必要な通信士を乗せようといたしますと、三百名の新規需要が必要になってくるわけでございます。今度改正をしていただきまして、外航船については二名、五千五百トン以下の船舶については一名ということになりましても、約百五十名の新規需要が必要になってくるわけでございます。それに対しまして、供給源でありますところの電波高等学校及び電気通信大学の卒業生の海運会社への就職の状況は、年々減少いたしておりまして、昨年は約六十数名、本年度は五十数名というように逐年減少しておるような状況でございます。従いまして、もし法律を改正していただきましても、この四百五十名の需要に対して、約五十数名の新規供給しか得られないというような状況でございますので、海運界におきましては、あるいは老齢の退職者からもう一ぺん再就職者を探すなり、あるいは自衛隊なり、いろんな手を講じて、運航を確保するための通信士の獲得に努めておるわけでございますけれども、現状のままでは非常にその供給を確保することは困難な状況でございますので、すでに今日までに資格を変更いたしまして、たとえば近海区域から沿海区域に船舶の資格を変更することによって無線局を閉鎖してしまうというような船舶も、相当出ておる状態でございます。また通信士が得られないために、船舶をとめてしまう。これは通信士は法定上の要員でございますので、一名欠けましても船舶は出航できないわけでございますので、船をとめてしまうというような状況も出ておるような状況でございます。従いまして、需給関係から申しましても、この法律改正を一刻も早くやっていただく。と同時に、この改正ができましても、新規需要、あるいは減耗補充というような関係から、決して失業というような状態にはならないという状況でございますし、さらにそういうような原因ができましても、なおかつ、新規卒業者をあらゆる努力をして獲得をしなければならないというような状況でございます。
○岡田(修)委員 ただいま、たとい減員になっても失業者が出ない、こういう説明がありましたが、先ほどのあなたの説明のように、九百名というものが剰員になる。これは相当の数です。これについて、おそらく乗り組みの人も、少し期間を置けばなるほど職が得られるかもしれぬが、直ちに下船をせられる場合には、ある期間は失業状態に陥るのじゃないか、こういう不安を抱いておる者が相当あるのじゃないか。ことに二級通信士、これの職場がなくなるのじゃないかという不安を相当持っておるのじゃないかと思います。これらについて、あなた方の見通し、考えというものをお教え願いたい。
○若狹政府委員 失業の不安につきましては、先ほども申しましたように、一年間約四百五十名の新規需要がどうしても必要になってくる、補充が必要になってくるわけでございますので、三年間に約九百名の定員減少でございますので、これを逐次入れるということにすれば、当然失業の問題は起きないわけでございます。従いまして、直ちにこの法律が改正になりまして、その翌日から先ほど申しました二千七百名が千八百名になるというふうな状態が出現するということは考えられませんので、各船の状況によりまして、配置転換等が行なわれるというふうに考えますので、そういうような問題は絶対に起きないというふうにわれわれは考えております。また、運輸省といたしましても、そういう事態が出現しないようにできるだけの努力をして参りたいと考えておるわけでございます。
○岡田(修)委員 最後に、だいぶ時間もたちましたので、もう一言質問しておきます。
 この無線通信士が、現在三人なり、二人なりおりますが、戦前はこれが一人である。大ぜいの中でただ一人異種の仕事に従事する。しかも、国を離れて遠く外国へ行く。これが非常にその船舶無線通信士の心理的な圧迫になる。これは私もかって船舶行政に従事し、昭和九年ごろにこの無線通信士と非常に接触があった。あるちょっとした問題で無線通信士のストライキが起こったことがありますが、そういうことからして、無線通信士の気持なりというものは、多少知っているつもりです。今まで三人乗っておって、お互いの仲間が非常に心強い。ところが、今後これが一人になる。これが非常に無線通信士の心理に影響を及ぼすのじゃないか。従って、こういうふうにして無線通信士の減員を行ないますと同時に、その無線通信士の心配すること、あるいは非常に苦しい気持に追い込まれておることを補うべき措置を、運輸省並びに船主団体と申しますか、あるいは海員組合自体において、十分考えてやらなければならないと思います。そうでないと、今日のように陸上における無線通信士の需要が非常に激しいときは、たとい減員はしたといっても、その減員された定員すら補充できないというふうな事態になるのではないか。私は、無線通信士に関する減員後の処遇について、どういうふうにお考えになっておるか、これをお伺いしたい。
○若狹政府委員 先ほど船内の勤務体制を根本的に考え直していただかなければならぬということを申し上げましたけれども、現に漁船に乗船しています無線通信士は、網を引いておるわけであります。従いまして、そういうような一体となって仕事をするという体制を築いていただくということが、先決問題ではないかと私は考えております。通信の仕事は、先ほど申しましたように、現在でも他の部門の仕事も受け持ってやってもらっておるわけでございますけれども、さらに今後は、そういう面について、船主としても配慮してもらうように、われわれとしてはできるだけの努力をしたいと考えております。
○本名委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十二分散会