第042回国会 本会議 第3号
昭和三十七年十二月十二日(水曜日)
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 議事日程 第三号
  昭和三十七年十二月十二日
   午後一時開議
 一 一般職の職員の給与に関する法律等の一部
  を改正する法律案(内閣提出)、特別職の職
  員の給与に関する法律の一部を改正する法律
  案(内閣提出)、防衛庁職員給与法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)、検察官の俸給
  等に関する法律の一部を改正する法律案(内
  閣提出)及び裁判官の報酬等に関する法律の
  一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説
  明
 二 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)、石炭鉱山保安臨時措
  置法の一部を改正する法律案(内閣提出)、
  産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)及び炭鉱離職者臨時措置法の
 一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
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○本日の会議に付した案件
 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改
  正する法律案(内閣提出)、特別職の職員の
  給与に関する法律の一部を改正する法律案(
  内閣提出)、防衛庁職員給与法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)、検察官の俸給等に
  関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
  出)及び裁判官の報酬等に関する法律の一部
  を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及
  び質疑
 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)、石炭鉱山保安臨時措置法
  の一部を改正する法律案(内閣提出)、産炭
  地域振興事業団法の一部を改正する法律案(
  内閣提出)及び炭鉱離職者臨時措置法の一部
  を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及
  び質疑
   午後二時八分開議
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
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○議長(清瀬一郎君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案及び裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。国務大臣大橋武夫君。
  〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及び裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案並びに検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、以上五法律案につきまして、その趣旨を便宜一括して御説明申し上げます。
 政府は、今回、人事院の国会及び内閣に対する本年八月十日付勧告及び昨年十二月十四日付勧告に基づきまして、本年十月一日以降、一般職の職員の給与を改定することといたしましたが、これに伴いまして、従来より一般職の職員との均衡を考慮して定められております特別職の職員等の給与につきましても、所要の改定を行なおうとするものであります。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案につきましては、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)の一部を改めまして、俸給表を金面的に改善するとともに、期末手当、勤勉手当及び宿日直手当を改正し、本年八月の給与改定に関する人事院勧告の実施をはかるとともに、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律(昭和三十二年法律第百五十四号)の附則の一部を改めまして、昨年十二月の暫定手当に関する人事院勧告の実施をはかることといたしました。
 次に、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及び裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案並びに検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、それぞれ右に述べました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案の例に準じまして、それぞれ俸給月額等の改定を行なうことといたしました。
 以上五法律案は、いずれも公布の日を施行日とし、本年十月一日から適用することといたしました。
 以上が一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案等五法律案の趣旨でございます。(拍手)
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○議長(清瀬一郎君) ただいまの各法案の趣旨説明に対しまして、質疑の通告がございます。これを許します。西村関一君。
  〔西村関一君登壇〕
○西村関一君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案外四件に関連して、総理並びに関係各大臣に質疑を行なおうとするものでございます。(拍手)
 まず第一に、政府は人事院が政府並びに国会に対して行なった一般職国家公務員の給与改定についての勧告を尊重しようとする御意思をお持ちになっておられるかどうかという点であります。
 その前に、まず人事院の性格についてお伺いいたします。
 そもそも人事院は、今さら私が申し上げるまでもなく、昭和二十三年七月、吉田内閣がマッカーサー書簡によって公布された政令第二百一号に基づき公務員法の改正を強行し、公務員労働者の団体交渉権の剥奪と団体行動権の制約を行ない、その代償として人事院を設置することになったものであります。この改正の趣旨は労働者の固有の権利を保障している憲法に反するものであり、公務員の賃金、労働条件については、政府と公務員の代表とが対等の立場において協議決定することが当然と考えられます。しかも、労働者の立場に立ってこれにかわるべき役目を持つ現行の人事院制度が発足して以来、政府はそのつど、その勧告を尊重すると言いながら、内容においても、実施時期においても、勧告を名実ともに尊重したことはほとんどないのであります。(拍手)ここ二、三年をさかのぼってみても、五月実施の勧告に対し、政府は十月実施ということで、常に勧告を値切り、公務員に不当な損害を与えているのであります。このことは、政府みずからが現行の制度の趣旨を踏みにじっているといわなければなりません。この問題に関連して、ILOの理事会は五十四次の報告の中でこれに言及し、人事院制度の場合は第三者機関としての性格を明らかにし、その構成において労働者側を含む構成とし、その勧告内容は政府を拘束するものでなければならないと言明しています。これは当然なことと思いますが、いかがでございましょうか。政府は、この際、ILO条約八十七号批准との関係からも、公務員の賃金決定の仕組みについて、現行の制度を変え、ILO理事会の報告のごとく、政府と公務員労働者の代表によって協議決定する仕組みに改めようとする御意思がおありでしょうか、総理並びに労働大臣の御見解を承りたいと思います。(拍手)
 次に、ただいま提案されております給与に関する改正案は、人事院の勧告に基づいてなされたことは言うまでもありません。しかし、今回の勧告も従来同様、多くの欺瞞と作為に満ちたものと考えられます。その問題の一つは、官民格差の問題であります。人事院は九・三%と報告していますが、労働省の毎月勤労統計によれば、官民格差は一三・三%と報告されています。これは昭和三十二年と今回とを除いては、従来は毎月勤労統計の格差の方が人事院民間調査より下回っているのであります。今回のように逆に毎月勤労統計二二・三%に対し人事院民間調査九・三%というのは、人事院が算出したこの官民格差の中に何らかの作為が行なわれ、公務員の給与の引き上げを押えようとしている意図があるものと考えざるを得ません。(拍手)
 要するに、今回の人事院勧告は、物価の上昇にも見合わない勧告であり、人事院がみずから出した九・三%の官民格差さえも解消しないものであるといわなければなりません。このような人事院勧告に対して、政府はいかなる検討の上に立って今国会に提案せらるるのでありますか、給与担当大臣並びに大蔵大臣の御答弁をお願いいたします。
 このたびの実施によって、直接影響を受ける多くの公務員の強い反対と、実情を訴えてくる陳情のはがきは、本議員のもとだけでも毎日何百通をこえ、なお続々と送られてくるのであります。これは、本会議場に御列席の大臣諸公、議員諸公も、みな同じであろうと思うのであります。総理は、よく、声なき民の声を聞くと申されます。あなたの部下である公務員のこの切実な声なき声を、何ゆえに聞こうとなさらないのでありますか。
 しかも、政府は、このような不完全な、作為的とも考えられる人事院勧告すら、十分に実施しようとしてはいないのであります。たとえば、実施時期を五月から十月に延ばすことによって、年度内の切りかえは完了せず、明年六月となります。このことは、五月実施でも民間に比し一年おくれの公務員の賃金が、二年ないし三年おくれとなることになります。そして、そのことが、明年以降の賃金確定にも大きな影響を残すことは必然でございます。また、今回の勧告の特別給、すなわち夏季手当の増額も、十月実施では、公務員の手元へ入らないことになります。それらのためにこうむる人事院勧告との差額分の損失は、公務員一人当たり平均一万三千円にも上るのであります。そこで、給与担当大臣にお伺いいたしますが、いかなる理由で、公務員の立場に立つべきあなたが、あえて十月実施に踏み切られたか、その間の経過なり事情なりを率直に披瀝していただきたいと思います。もしも財源がないと言われるならば、人事院の勧告の権威と、一切の支出に対して給与は最優先すべきであるという原則に対してどのようにお考えになりますか。もしそれ、三百万人に近い公務員関係労働者の給与が一斉に引き上げられることによって起こる経済界への影響を考慮に入れておられるとするならば、現在進められている景気調整策は、政府の高度成長政策の行き過ぎの結果であって、労働者に何らの責任もないことは明らかであります。(拍手)この点について大蔵大臣の御見解もあわせ伺いたいと思います。
 次に触れておきたいと思いますのは、定員外職員の給与等の問題であります。いわゆる臨時雇いと呼ばれる定員外職員は、現在はなはだ多数に上っているのであります。これらの労働者は、労働基本権はもちろん、賃金、労働条件、身分保障について、何らの考慮もなされていません。このたびの人事院勧告においても、これら定員外職員の給与の引き上げについては全然触れられていません。雇用の責任がある政府みずからが、これらの不安定雇用の状態を放置することは許されないと思うのであります。(拍手)これらについても、関係各大臣のお考えを承りたいと存じます。
 次に自治大臣並びに大蔵大臣にお伺いをいたします。
 地方公務員の給与の問題は、国家公務員の給与に準じて実施せられるものと承知していますが、地方自治体によってその財政状態は一様でありません。特に、財政の貧弱な末端町村段階の地方公務員の給与は、著しく劣悪であります。これに対して、当然のことながら、このたびの国家公務員の給与改定に関連して、政府はいかなる財政措置を講じようとしておられるのでありますか。
 次に、初任給の問題について一言触れます。
 公務員の初任給は、民間と比べて著しく低い。今回の給与改定では、高校卒で千二百円、短大、大学卒で千四百円の引き上げでしかない。ところが、人事院の職種別民間給与実態調査では、初任給は、三十六年度に比べ、三十七年度は二千三百九十五円も高くなっているにもかかわらず、千四百円しか引き上げていないのは、何のための民間調査なのか、わけがわからないと思うのであります。(拍手)一部職種では初任給調整手当を支給しているところがありますが、このため、かえって職場では混乱が起こっている状態であります。初任給を大幅に、全面的に引き上げるお考えはありませんか。そうしなければ、優秀な人材は、官庁に集まらないで民間に逃げていってしまうと思うが、いかがでしょうか。
 最後に、池田総理の所信を承りたいと存じます。
 総理は、最近、人づくり、国づくり、また科学技術の振興ということをたびたび仰せになります。私も、その中身は別として、お考えには賛成であります。しかし、このような人づくりとか国づくりとかいう大事業は、総理一人のお力ではどうにもなりません。国民全体がこれに共鳴し、協力しなければなりません。特に、実際にその仕事の衝に当たる奉仕者たるべき末端の公務員にその人を得ることが大切であることは、言うまでもありません。(拍手)
 一例でありますが、私は、かつて、アメリカの加州に遊んで、シェラネバダ山脈の山中で、松の苗木の試験栽培をやっている国立の施設を見たことがあります。そこの所長は、まるで哲人のように静かで、落ちつきがあって、職員全部が、生活のことや子女の教育のことなど、一切の心配を離れて、一本々々の苗木を自分の子供のように愛して、仕事に没頭している様子に接し、アメリカの持つ底力の一断面に触れたように感じたことがあります。わが国の試験研究に従事する技術者を含む全体の公務員の待遇は、地方の僻地に至るほど悪いのであります。来客を接待するお茶まで、乏しい自分の財布の中からまかなっている状態ではありませんか。これでは、落ちついて国づくりをやれと言う方が無理ではありませんか。ある政府機関の研究所では、一部門ぐるみ、ごっそり技術者を民間に引っこ抜かれたとこぼしていた所長がありました。これでは、国の科学技術の振興も望まれません。
 また、総理は、外遊からお帰りになったばかりですが、在外公館に勤務する公務員、特に中堅幹部の待遇は、諸外国に比べてはなはだ劣っているために、他の国の外交官と対等のつき合いができない。そういうことをお気づきになったでありましょうか。
 人づくり、国づくりを力説せられます総理に、私は、特に次のことをお願いいたしたいと存じます。昼夜を分かたず、少ない賃金と劣悪な条件のもとに、あるいは人里離れた山中に、はたまた絶海の孤島に、その職場を守り、黙々として国民に奉仕している多くのあなたの部下である公務員のあることを覚えて下さい。そしてその上に絶えず思いをはせられ、お忙しい中からでも、より一そう深い愛情と行き届いた配慮とをお寄せ下さるように。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 公務員は、憲法第十五条によって、全体の奉仕者として特別の勤務形態に立つことになっております。従いまして、政府としては人事院を設け、公務員の給与その他の勤務条件につきまして、十分保護する体制をとっておるのであります。しこうして、今回は人事院の勧告の内容を尊重いたしまして、諸般の緊急施策を考え、措置いたしたのでございます。
 次に、人づくりの問題につきまして、お話の通り、これは国民全体に与えられた仕事でございます。特に公務員につきましては、私は、そのりっぱな公務員たることを要求し、かつまた、それを念願いたしまして、今回の公務員の給与の引き上げもいたしたのであります。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 給与改定の予算化に際し人事院勧告をどのように考えたかという、第一問につきまして申し上げますと、勧告を尊重することを基本といたしたわけであります。初任給の引き上げ、俸給表の改定、それから期末勤勉手当の増額と支給の合理化というような問題に対して、必要な財源措置をいたしたわけであります。
 また、その第二の、実施時期を十月一日といたした理由につきましては、公務員給与改定問題は広く国民経済全般の情勢を考慮して決定をする必要があります。特に、国、地方を通じまして多額の財政支出を必要とすることでありますので、諸般の問題を検討して十月一日といたしたわけであります。十月一日という問題につきましては、これでもなお、ある府県市町村においては、一切の単独事業を廃止しなければ財源確保ができないというような事情もあることを、つけ加えて申し上げたいのであります。
 第二の問題といたしまして、地方公務員給与改定は国家公務員に準ずべしという御議論でありますが、この原則的な問題に対しては、私もその通り考えておるわけであります。国の公務員の問題については、予算措置は直接国が行なうのでありますが、地方公務員に対してのその建前は、御承知の通り、地方が財政全体の問題を勘案しつつ、独自の立場できめることになっておることは御承知の通りであります。地方公務員も国家公務員に準ずべしという基本に立ちまして考えますときに、地方税増収の状況、交付税増額の状況等考えますと、今般の分については、それらによって十分まかない得るものと考えておるわけであります。しかし、残余の問題その他については、自治大臣とも閣内において十分調整して、遺憾なきを期して参りたいという考えでございます。(拍手)
  〔国務大臣篠田弘作君登壇〕
○国務大臣(篠田弘作君) 地方公務員の給与改定所要額の財源措置の内容はどうであるかという御質問でありますが、今回の地方公務員の給与改定に伴う一般財源の所要額は三百六十八億円であります。うち、地方交付税を受ける団体分は二百七十一億円の見込みであります。今回の補正予算によりまして増額されました地方交付税の額は百五十七億円でありますから、地方交付税のみでは、給与改定の財源に不足を来たすことになります。しかし、退職年金制度の実施時期のズレによる不用額もあります。一方、地方税収入の多少の伸びもある、そういう地方団体もあります。また、今後地方交付税の増額の計画もありますので、これらによりまして給与改定の所要財源はまかない得るものと信じております。
 また、今回の給与改定に関連いたしまして、地方団体、市町村間の給与の格差についてどう考えるかという御質問でございますが、地方公務員の給与につきましては、これは先ほど大蔵大臣が申しましたように、国家公務員の給与に準ずることになっておりますが、その市町村間の格差につきましては、今後漸次これを是正するように指導したいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) 第一には、公務員の労働権の問題でございまするが、全体の奉仕者として公共の福祉に奉仕いたしまする公務員の特殊な性格にかんがみまして、政府としては、従来から、公務員の協約締結権、争議権を制限するとともに、公務員の給与、勤務条件その他の身分取り扱いにつきましては、特に法令によって保障する建前をとり、さらにこの保障の万全を期するという意味において、人事院に公務員の給与及び適正な人事行政の確保について勧告の権能を与えており、政府はこの勧告を尊重するという建前をとっておりまするので、公務員の権利擁護につきましては、現行制度において十分これを確保し得るものと考えておる次第でございます。
 第二に、毎勤統計と人事院調査との関係でございまするが、毎勤統計と人事院調査とは、両者その調査の対象や方法を異にいたしておるものであります。また毎勤統計の一三・三%というのは、過去一カ年間の民間給与の伸びを示しておる数字であるのに反しまして、人事院勧告の九・三%というのは、本年四月の官民給与の格差を示しておる数字であるわけでございます。この二つの数字は全く性質を異にいたしたものでございまして、今回の給与改善にあたりましては、本年四月の官民格差に着目して、これを改善することといたしたのでございまするから、九・三%という人事院の勧告を妥当なものと認めた次第でございます。
 第三に、定員外職員の給与に関する御質問でございまするが、定員外の職員につきましては、それが常勤の職員でありまするならば、当然一般職の給与表の適用があり、非常勤の場合には、常勤職員との均衡を考慮して、予算の範囲内で各庁の長が定めるということになっており、今回の場合も、常勤職員の例により、給与は当然改善されることに相なっております。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 五法案の趣旨の説明に対する質疑は以上をもって終了しました。
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○議長(清瀬一郎君) 次に、内閣提出、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案及び炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法祖案の趣旨の説明を求めます。国務大臣福田一君。
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) 石炭鉱業合理化措置法の一部を改正する法律案、石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案及び炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案、以上の石炭関係四法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 石炭鉱業の自立と安定をはかり、炭鉱労働者の雇用と生活の安定を確立するためには、需要の確保、近代化合理化、保安の確保、離職者対策、資金経理対策、産炭地域の振興、鉱害の処理等の諸施策を強力に推進していくことが必要であります。これらの諸施策についての政府の考え方は、去る十一月二十九日に閣議決定した石炭対策大綱において明らかにしたところでありますが、その中で特に早急に措置する必要のある事項につきまして、今回所要の法律改正を行なおうとするものであります。
 まず、生産体制の確立をはかるためには、近代化合理化を進めていくことが必要であり、また保安の確保をはかっていかなければならないのでありますが、このため非能率な、あるいは保安を確保することが困難な石炭鉱山の終閉山はやむを得ないところであります。政府といたしましても、従来から離職者の雇用及び生活の安定をはかりつつ、円滑に近代化合理化を促進することに特に配慮を払ってきたところでありますが、今回、その点に関する対策を一そう強化するため、整備資金の金利の引き下げ、離職金の増額等をはかるとともに、炭鉱離職者求職手帳制度を創設する等の措置を講ずることとしたいと考えております。
 次に、石炭鉱業の合理化の進展に伴い、従来石炭鉱業に大幅に依存してきた産炭地域経済は、疲弊の度を深めており、石炭関連企業の衰微、地元市町村の財政の窮迫は著しいものがあります。これら産炭地域の疲弊を防止し、地域経済の安定的発展をはかるため、産炭地域振興事業の推進機関として本年七月に発足した産炭地域振興事業団においては、工業用地の造成及び事業資金の貸付等の業務を行なうこととなっておりますが、今後その業務を拡充して、産炭地域における産業振興の基礎的条件となる社会環境を整備するという意見から、ボタ山の処理を行なわせ、あわせて工業用地の造成、鉱害の復旧等に資することとしたいのであります。
 次に、四法案のおもな点につきまして、その大略を御説明申し上げます。
 第一に、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案の第一点は、整備資金の融資ワクを拡大するとともに、整備資金金利の引き下げを行なうものとし、これに伴い、近代化資金のための出資金の運用利子を整備資金貸付業務の事務費等に充てることができるよう措置することとしたものであります。第二点は、退職金がないか、またはその額が少ない中小炭鉱の離職者に対する離職金については、現行の平均賃金の三十日分に相当する額のほかに、雇用期間に応じて最高十万円程度の額を加算して支給することとしたことであります。なお、この離職金の加算については、昭和三十七年四月一日以降解雇された炭鉱離職者について遡及して適用することといたしております。
 第二に、石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案は、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正と同様、離職金の加算支給を行なうためのものであります。
 第三に、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案は、産炭地域振興事業団に新たにボタ山の処理等の事業を行なわせることとし、その業務範囲の拡大に関して所要の規定を定めたものであります。
 第四に、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案の要旨は、石炭鉱業の合理化に伴い離職を余儀なくされた炭鉱離職者であって、一定の要件に該当する者に対して、炭鉱離職者求職手帳を発給し、離職後三年の間においてその者の再就職のために必要な特別の措置を講ずることといたしたことであります。すなわち、まず、公共職業安定所は、各人ごとにきめのこまかい特別の就職指導を行なうものとし、そのため、産炭地の公共職業安定所に就職促進指導官を配置することといたしました。このような就職指導により、これら手帳の発給を受けた者は早期に再就職できると確信いたしております。次に、このような措置を実施するにもかかわらず、手帳の発給を受けた者が、労働市場の情勢等により、失業保険金の受給を終了してもなお再就職の機会を得られない場合に備えて、これらの者に対しては、その生活の安定をはかり、求職活動を容易にさせるために就職促進手当を支給することといたしております。また、この措置は、本年四月一日以降の炭鉱離職者に対しても遡及して適用することといたしております。
 以上が石炭関係四法案の趣旨であります。(拍手)
  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)、
  石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)、
  産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び
  炭鉱離職者臨時措置法の一部圭改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(清瀬一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して、質疑の通告がございます。これを許します。岡田利春君。
  〔岡田利春君登壇〕
○岡田利春君 私は、ただいま提案理由の説明のありました石炭関係四法案について、日本社会党を代表して質問を行なわんとするものであります。
 本院は、昭和三十年八月に、石炭鉱業を整備し、石炭坑の近代化を促進し、坑口の開設を制限し、未開発炭田の急速かつ計画的開発を促進することによって、石炭鉱業の合理化をはかるために石炭鉱業合理化臨時措置法を制定いたしましたが、その後、政府は、石炭需要の拡大に伴い、石炭鉱業の整備と近代化を無原則におくらせ、坑口開設の制限は、逆に不安定な粗鉱炭鉱の乱造となり、未開発炭田の開発指定は今日まで完全に放置されて参ったのであります。また、昭和三十三年に策定されました合理化基本計画は、その生産規模を五千五百万トンに押え、昭和三十八年度までの五カ年間で千二百円の炭価の引き下げをはかるという二本の柱を打ち立てたのでありますが、その前提として、政府の施策による、流通部門における二百五十円の経費の節減と公共料金及び諸物価については横ばいと想定いたしたのであります。ところが、年を越えずして、公共料金、諸物価の値上がりが相続き、流通経費節減の施策は見送られ、逆にコスト高となって現われ、千二百円の炭価引き下げは、今日実に千八戸円の炭価の引き下げに相なっておるのであります。その結果、昭和三十四年度当初の稼行炭鉱数は七百三でありましたが、今日四百九十となり、二百十三の炭鉱がつぶされておるのであります。在籍労務者は、昭和三十四年度当初の二十九万三千八百三十人が、今日では十七万人台となり、十二万人の労働者がすでに山を追われて、産炭地は今日文字通り惨たんたる現状を呈しておるのであります。
 今国会は石炭国会といわれ、国民はひとしく石炭問題の抜本的解決を望み、炭鉱労働者とその家族及び産炭地住民は祈りに似たような眼をもってこの国会を注目をいたしておるのであります。私ども政治をあずかる者として、池田総理が言われました、石炭問題は心を入れかえて、という深い反省の上に立って、迅速、かつ、適切にその施策が打ち出されなければならないと信ずるものであります。私は、政府決定の石炭対策大綱は、石炭危機に対処する当面の確固たる具体的緊急対策がないところにその重大なる欠陥があると考えるのであります。(拍手)
 ただいま提案の法律案は、求職手帳制度による就職促進手当の新設、移転者用住宅の建設と職業訓練の拡充、ケース・ワーカー制度の設置及びボタ山処理事業並びに離職金支給に関する改正のみであって、これだけでは、山に働いている労働者の不安を解消することはできないのであります。
 私は、まず労働大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、四・六閣議決定に基づく労使休戦協定締結以来、今日まで二万人に及ぶ労働者がすでに山から追われ、産炭地周辺には五万人をこえる失業者が滞留し、このまま進めば三月末までにさらに一万二千人の炭鉱労働者が山から離れなければならないというとき、政府は当面確固たる具体的な雇用計画を一体お持ちなのかどうか、あるとするならば、その雇用計画をお示し願いたいと思うのであります。雇用計画がもしないとするならば、当然実効ある措置が伴わないのであります。労使休戦協定は存続させる義務があると思うが、その見解を伺いたいのであります。
 第二に、就職促進手当についてでありますが、その手当額の最高が日額四百五十円と定められております。今日、炭鉱労働者の平均年令は三十七才を数え、その扶養率は他産業よりも高く、三・八人となっておるのであります。一カ月当たり最高で一万三千五百円の手当では、まさしく生活保護基準以下であるといわなければなりません。政府は、食えない手当だから、労働者は苦しまぎれに仕事を求め、就職が促進されるだろうと思っておるのでありましょうか。私は、就職促進手当はこの際最低月額二万円を保障し、あわせてその扶養率に応じて家族手当の制度をつくるべきであると思うのであります。原案によりますと、きびしい支給条件が示されている以上、就職ができるまで手当を支給して、池田総理が炭鉱労働者に約束をいたしました雇用と生活を保障するという責任を果たすべきであると思うのであります。
 また、炭鉱災害の激増と労働条件の劣悪な結果、身体障害者、未亡人、公傷、私病療養者は、その在籍者が一万人をこえているのであります。山ぐるみの失業、あるいはこれらの人は直接合理化の対象にされやすいでありましょうが、その扱いについて、一体どのように措置されようとしておるのか、その見解を承りたいのであります。
 炭鉱労働者の雇用の安定に関して、政府は石炭閣僚会議を常置して、改組される石炭鉱業審議会に託しているのにかかわらず、その法の改正が今国会に提出されなかったことに強い不満を私は覚えるものであります。調査団の答申によれば、毎年度、地域別、炭田別に合理化実施計画を策定しまして、政府の責任においてそれに見合う雇用計画を作成し、前年の離職者中雇用されなかった人員については優先的に雇用実施計画に乗せ、雇用計画の立たない人員については合理化計画をスロー・ダウンしてその企業がかかえるとありますが、政府はこの方針を一体確認しておるのでありましょうか。さらに、法改正による審議会の改組までの期間、今年度並びに来年度計画はいかなる機関で、いつどのように措置をされようとするのか。また、審議会の構成とその運用についてはどのように考えられているのか、通産、労働両大臣の見解をお伺いいたしたいのであります。(拍手)
 現行の石炭鉱業合理化臨時措置法の第六十二条に、通産大臣の生産数量の制限に関する指示についての定めがありますが、合理化を進める過程においては、生産制限が逆にコスト高を招き、より一そう雇用を不安定に陥れるのであります。生産制限は、平常採炭標準労働時間を定め、特別休業日を設定し、国がその平均賃金を保障し、雇用の確保とコスト反転を防ぎ、需給の調整をはかり、計画的、かつ、弾力的に合理化を進めるべきであると思うが、この点についての通産大臣の見解を承りたいのであります。通産大臣は、わが党の勝間田氏の質問に答えて、時間短縮及び操業短縮の休業補償は、自由主義経済の建前として政府としてはとらないところであると答弁されましたが、西ドイツでは、石炭危機にあたり、一九五八年、その政策の一環として、他産業にさきがけて週五日、四十時間労働制を採用しました。一九五九年以降のスクラップ計画に対しては、一九五八年二月より一九五九年九月まで週二日間の操業短縮の休業日を設定し、七千五百マルク、すなわち七十億円に近い財政措置をして、賃金の七〇%を休業手当として政府が保障いたしておるのであります。
 次に、私は、鉱区の整理統合についてお伺いしたいのでありますが、新鉱、増強、維持炭鉱を問わず、また、その炭量の多い少ないにかかわらず、その坑口と基幹坑道の展開を中心にしてその経済的採掘可能区域を設定し、その間の鉱区をすみやかに整理、統合して、長期的、かつ経済的採掘条件をすみやかに整備すべきであると思うが、鉱区調整に関する基本的態度を承りたいのであります。
 なお、ボタ山処理事業は下請機関で行なわせるという構想のようにお聞きいたしますが、雇用の安定を保障するそのための職場であるとするなら、当然産炭地事業団の直轄事業として行なうべきであると思うが、この点について見解を承りたいのであります。
 政府は、すでに石炭鉱業緊急金融対策を閣議決定いたしました。これによると、今年度追加分として百二億五千万円をきめ、その資金の一部を早期に融資することになっております。しかしながら、一般金融ベースだけでは解決できないと見られる企業が、大手だけでも、大正炭鉱、貝島炭鉱、杵島炭鉱、三井鉱山と数社予想されるが、政府はこの際、炭鉱と雇用の維持のために、合理化事業団を通じ、政府の責任における特別金融制度を確立すべきであると考えるが、大蔵大臣の所見を承りたいのであります。
 さらに、答申にも示されている重油消費税の創設については、単なる石炭対策の財源を求めるだけでなく、外国にも見られるように、石炭産業の保護措置という立場からも検討されるべきであると思うのであります。また、答申にある石炭会社の既往債務の返済猶予、会社経理の規制及び監督についての臨時立法措置については閣議の決定がなされておりませんが、これはいつどのように措置をされるのか、この点あわせて御見解を承りたいのであります。
 わが国の石炭産業は、その産炭地が九州、北海道に偏在して、需要地が遠いために、ヨーロッパ諸国に比べて流通経費がかさみ、これが大きな弱点となっておるのであります。さきに政府は私鉄運賃の通算制をきめたが、運賃値上がりの延納措置については、この際運賃補給、もしくは特殊料金制として軽減すべきであると思うのであります。また、国鉄の電化、ディーゼル化計画に見合って、国鉄の自家用発電所を早急につくって、国策としての石炭需要の確保と石炭産業の安定に寄与すべきであると考えるが、運輸大臣の見解を承りたいのであります。
 今日、産炭地の振興対策は、合理化テンポに比べ極端なおくれを見せております。また、産炭地市町村財政は、失対事業、生活保護、要保護児童対策等々、特別な財政需要が増加している反面、市町村民税、鉱産税、固定資産税等の主要財源が減収となり、財政破綻の寸前に追い込まれ、悲痛な訴えが寄せられておるところであります。閣議決定は、さらに実情を調査して所要の対策を立てるとあるが、これは合理化計画の総合性の欠除を証明する以外の何ものでもないといわなければなりません。私は、石炭合理化計画は、その総合性を高め、産炭地振興対策と市町村財政措置が並行的かつ総合的に行なわれなければならないと思うが、産炭地出身の自治大臣の決意と所信を伺いたいのであります。
 池田総理は、わが党の勝間田氏の質問に答えて、政府の石炭対策は画期的なものであると言われましたが、私は、画期的なものは、わずか十年の間に十八万人の炭鉱労働者の首切りをするという、諸外国にも例のない鋭角的な合理化政策だけであると思うのであります。(拍手)ヨーロッパ諸国の長期的な総エネルギーの年率平均伸びは三%ないし四%と想定をされ、エネルギーの流体化、エネルギー源の自由選択の傾向を是認した想定でも、OHEC加益国総体として、一九七五年度において六二%以上の国内エネルギーの供給率を保つと見込まれ、イギリスにおいても、最近来日したイギリス中央電力庁総裁ヒントン卿の言によれば、石炭のみで総エネルギーの七〇%を、将来ともに優先確保する方針が明らかにされておるのであります。わが国の総エネルギーの年率平均伸びは七・八%と見込まれ、一方国内エネルギーの供給率は昭和三十四年の六六・四%から、昭和四十五年度には、四一・二%と急速に低下することが予想されておるのであります。過去十年間の年率伸びは八・七%であって、石炭は昭和二十五年度の三千九百三十三万トンから五千百六万トンと、一千百七十三万トンの、三割の伸びを示しておるのであります。さらに、調査団答申は、原料炭生産を昭和三十四年度を基準にして、一般炭にかわり、五百万トンの増産を見込み、なおかつ、百万トンの不足を指摘されておるのであります。私は、エネルギーの安全保障、国内資源の活用、国際収支、雇用の確保、エネルギーのバランス、あらゆる側面から考えても、総合エネルギーに占める石炭の位置は低いと断ぜざるを得ません。私は、重油ボイラー規制法の延長、重油消費税の創設、セメント産業の需要の確保、国鉄の自家発電、電発等による石炭火力発電所の建設等の措置をとれば、五千五百万トンの需要は当然拡大できると考えるが、総理の所信を承りたいのであります。(拍手)
 最後に、私は、政府は誠意を持って、本国会を通じて総合エネルギー政策の基本的方向を示すべきであるとともに、石炭諸対策についても具体的な方向を示して、無用の混乱を避け、炭鉱労働者と産炭地住民の不安を解消してその政治責任を果たされるよう強く要望いたしまして、質問を終わる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 今回の石炭対策は、私は画期的な施策と考えております。まず石炭鉱業の自立をはかって、その石炭鉱業に従事されておる労働者の職域の安定をはかろうとするのが第一でございます。しこうして、石炭鉱業の自立という観点から、過剰の労務者、離職される方に対しましては、いまだかつてないこれが対策を講じようとしておるのであります。また、石炭に直接関係しておらない中小企業あるいは農民の方々等、産炭地に対しましても特別の措置を講じようとするのでございます。これらは私は画期的の措置だと考えておるのであります。(拍手)
 いろいろ御質問の点につきまして、たとえば鉱区調整とか金融対策、あるいはボイラー規制、重油その他あらゆることにつきまして検討を重ねておるのであります。しこうして、こういう状態になったのは石炭というエネルギーの経済性が劣っておるのであります。エネルギー需要の構造変化に基づくやむを得ざる状態であるのであります。世界各国におきましても、国内資源の需給確保につきましては努力しておるのでありますが、フランスでもドイツでも、みな石炭は石油に追い込められておる状況でございます。今回の措置は五千五百万トンを目途としてこれを確保しようという、世界でもあまりやってないような努力をしようとしておるのであります。これは画期的の施策と言い得ると思います。これは世間の人、あるいは歴史がこれを評価するとお考え願いたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 御質問中、私に関する三点についてお答えを申し上げます。
 第一点は、一般金融ベースに乗らない炭鉱のために、石炭鉱業合理化事業団より直接融資をしたらどうかということでございますが、御承知の通り、政府は相当多額の財政資金の支出をいたしております。三十七年度融資の予定としては、設備資金として開発銀行から百二十五億円、合理化事業団より近代化資金として三十一億円、政府資金として百億円、中小企業金融公庫及び商中の二十億円、合計二百七十六億円の措置をいたしておりますし、特に市中金融とも相待ちまして、相当手広い万全の資金調達を考えておりますので、これ以上新しい制度を考える必要はないというふうに現在考えております。
 第二点の重油消費税の創設についででありますが、単に財源措置としてのみ考慮すべきではなく、石炭対策の面からも検討すべきであるというお説でございまして、まさにその通りであります。同税創設の可否につきまして現在検討中でありまして、明三十八年度予算決定に際して、当然本件もそれまでに可及的すみやかに結論を出す予定でございます。
 第三点目は、石炭調査団の答申の中に既往債務のたな上げということがありますし、特に経理の抑制、監督の問題は一体どうしたのかということでありますが、御承知の十一月二十九日の閣議決定石炭対策大綱という中に、既往債務の返済猶予と会社経理の規制及び監督ということをきめておるわけでございます。既往債務につきましては、経理状況が非常に悪い会社でありまして、その再建が特に必要である場合には、石炭鉱業審議会に諮問した上、やむを得ないと認めるときには、既往債務の返済条件の変更等につきまして、関係機関にあっせんを行なう等の処置を考えておるわけでございます。
 それから、第二点目の会社経理の規制及び監督についてでありますが、本件については、臨時立法措置をとりまして、財政資金を一定額以上借り入れておる企業に対して、利益金処分の制限、経理監査、利用計画及び資金計画に対する改善勧告等、所要の規制を行なうようにいたしておるわけであります。(拍手)
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) 政府は、御承知のように有澤調査団の報告を尊重いたしまして、石炭対策を処理いたすことにいたしておるのでありますが、さしあたり、今どうしても当面やらなければならないことについて関係法案をここに提出いたしておるものでございます。
 そこで、私に対する御質問の第一点は、三十七、八年のいわゆる合理化整備計画はどうしてやっていくのか、こういう御質問と思うのでありますが、これにつきましては、石炭鉱業審議会に、なるべく早くこの合理化の案と、またこれに見合うところの雇用対策をかけまして、これを実施いたしていきたい所存でございます。
 次に、また、山元におきましてできるだけ多くの石炭労務者の人たちを雇用しておくためには、有給休暇の制度とか時間短縮をする等の方法によって山元に置いた方がいいではないかというお話でございますが、これはきのうも申し上げたところでありますけれども、他産業に及ぼします影響等を考慮いたしますと、すこぶる困難と存じておる次第であります。
 次に、鉱区をなるべく早く統合して、そうしてこの合理化その他の面に資すべきであるというお説でございますが、これについてはわれわれは全面的賛成でございまして、未開発炭田に限りませず、一つ鉱区の統合をはかるように、この次の通常国会におきまして所要の法案を提出いたしたいと存じておる次第でございます。なお、ボタ山を処分いたしますことにつきまして、産炭地事業団の直轄事業にしてはどうかというお話でございますが、これは直轄事業とはいたしますけれども、直接に労務者を産炭地事業団がかかえ込んで仕事をやりますよりは、民間にこれを請負わせてやる方がよいのではないかという方針でこれを処理いたして参りたいと存じております。(拍手)
  〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) 昭和三十七年度及び三十八年度の雇用計画につきましては、法律の成立次第近く石炭鉱業審議会に合理化計画とあわせて付議いたしますことは、ただいま通産大臣から申し上げた通りでございますので、現在各省連絡してその原案を作成中でございます。なお、本年四月六日の閣議決定に基づきます労使の休戦は、十一月二十九日の閣議決定によりまして解除されたのでございますが、今後の合理化の推進と人員整理につきましては、労使双方の十分な協議によりまして、円満、円滑な進展を期待いたしておるのであります。もちろん新法による新しい施策につきましては、法律制定と同時に、政府といたしましては直ちに全面的に発動する用意がございます。
 就職促進手当の額につきましては、この制度が失業保険制度を補完する機能を有するものでありますので、失業保険の日額の例にならいつつ、なお、この制度が全額国庫負担による特別の給付制度であること、また、職業訓練手当や失業対策約諾事業の就労賃金の日額との均衡をはかる必要があることなどを考慮して決定いたしたのでありまして、妥当なものであると考えております。
 扶養加算制度につきましては、失業保険法改正の一環として現在検討いたしており、改正案につきましては通常国会において御審議を願う予定でございますが、その際手当につきましてもこれとの関連において検討いたしたいと考えております。
 第三に、就職促進手当を離職後三年間の長期にわたって支給することといたしたのでございますが、これらの諸対策によりましてもなお再就職できないという最悪の場合を考慮したからなのでございまして、従来の離職者の就職状況等を見ましても、ほとんどの者が離職後三年以内に再就職いたしているのでございますから、今後新しく積極的な離職者対策を実施いたしまするならば、離職者を離職後三年以内に必ず再就職させ得るものと確信いたしており、従って、支給期間を延長いたす必要はなかろうと存ずるのであります。
 最後に、雇用計画についてでございますが、石炭鉱業における合理化の進展が雇用諸対策の推進と十分合致するよう、合理化計画の策定にあたって、まずこれに見合う雇用計画の原案を、関係各省の石炭対策連絡会議が十分協議して作成し、この合理化計画とあわせて石炭鉱業審議会に付議するのであります。従って、石炭鉱業審議会の十分な審議を経た上で閣僚会議で決定するのでございますので、合理化の進展は、雇用対策の十分な裏づけ措置が講じられたものになるはずでございまして、この間そこを生ずることはないと存じております。(拍手)
  〔国務大臣綾部健太郎君登壇〕
○国務大臣(綾部健太郎君) ただいまの御質疑のうち、運輸省に関する問題は、石炭の鉄道の運賃を下げるかどうかということが一つと、それから、その石炭を利用して鉄道自身の電力を自家発電をやる意思はないかというように承ったのでございますが、鉄道の運賃はすでに十六億円ぐらいを三十八年度まで延納と通算制で認めておるのです。それ以上この割引をするとかどうとかということは、鉄道――国鉄の財政としてなかなか困難でございますということを申し上げておきます。
 それから、電力につきましては、過去数年間の使用量は年々一割ないし一割五分ふえております。昭和三十九年度にいきますと、新幹線ができますというと非常にアップしますが、今まではそういう、大体一割から一割五分、すなわち三十六年度におきましては三十五億三千七百万キロワット・アワーを使っておりますが、そのうち自家発電その他によることよりも買電の方がよりいいという結論になっております。と申しますのは、御承知のように産炭地は大体僻陬の地でございまして、電力を消費するおもな土地にはよほど距離があります。その結果、途中のロスその他を考えますというと、自家発電するよりも買電する方が利益だという計算が出て参るのでございますが、そういうことを超越いたしまして、国家的に石炭自家発電をすることが必要であるというならば、私はあえて拒むものではありません。(拍手)
  〔国務大臣篠田弘作君登壇〕
○国務大臣(篠田弘作君) 産炭地市町村の窮状を打開するために総合的な振興対策を講じなければならないということは御指摘の通りであります。政府といたしましても、これがためにさきに産炭地振興臨時措置法を制定したのでありますから、今後これに基づきまして適切なる具体的措置を進めて参りたいと考えております。
 また、産炭地振興の事業であって、市町村が行なう事業につきまして、それが適債事業と認めた場合におきましては、地方債の資金の確保をはかる方針であります。
 また、産炭地市町村の財政の負担の増高、あるいは減免税等による窮状につきましては、昭和三十七年度におきましては、まだ年度の中途でございますからはっきりした数字はありませんが、三十五年度におきましては、産炭地市町村百六十の中で十四が赤字市町村となっております。その額は四億七千万円でございます。三十六年度におきましては、百六十市町村のうち赤字市町村は十六でありまして、その総額は四億三千六百万円でございます。三十七年度は事情が違いますから、もっと非常に多くなると考えますが、それにいたしましても、地方交付税の増額、あるいはまた特別なる財政資金につきましては、特別交付税等の増額によりまして、十分にまかなえるものと確信いたしております。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 質疑並びに答弁とも全部終了いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(清瀬一郎君) これをもって本日は散会いたします。
   午後三時二十四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        法 務 大 臣 中垣 國男君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        厚 生 大 臣 西村 英一君
        通商産業大臣  福田  一君
        運 輸 大 臣 綾部健太郎君
        労 働 大 臣 大橋 武夫君
        建 設 大 臣 河野 一郎君
        自 治 大 臣 篠田 弘作君
        国 務 大 臣 志賀健次郎君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 林  修三君
          内閣法制局
           第一部長 山内 一夫君
        総理府総務長官 徳安 實藏君
     ――――◇―――――