第043回国会 運輸委員会 第14号
昭和三十八年三月十三日(水曜日)
  午前十時二十九分開議
 出席委員
   委員長 木村 俊夫君
   理事 佐々木義武君 理事 鈴木 仙八君
   理事 高橋清一郎君 理事 細田 吉藏君
   理事 山田 彌一君 理事 井手 以誠君
   理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君
      有田 喜一君    加藤常太郎君
      砂原  格君    關谷 勝利君
      勝澤 芳雄君    矢尾喜三郎君
      内海  清君
 出席政府委員
        内閣法制局参事
        官
        (第四部長)  關  道雄君
        運輸政務次官  大石 武一君
        運輸事務官
        (大臣官房長) 広瀬 真一君
        運輸事務官
        (鉄道監督局
        長)      岡本  悟君
 委員外の出席者
        議     員 久保 三郎君
        会計検査院事務
        官
        (第五局長)  白木 康進君
        日本国有鉄道総
        裁       十河 信二君
        日本国有鉄道常
        務理事     大石 重成君
        日本国有鉄道常
        務理事     遠藤 鉄二君
        日本国有鉄道参
        与
        (新幹線総局総
        務局長)    中畑 三郎君
        専  門  員 小西 真一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 踏切道の改良促進及び踏切保安員の配置等に関
 する法律案(久保三郎君外九名提出、衆法第一
 五号)
 日本国有鉄道の経営に関する件(東海道新幹線
 等に関する問題)
     ――――◇―――――
○高橋(清)委員長代理 これより会議を開きます。
 木村委員長は交通事情のためおくれますとのことで、指名により私が委員長の職務を行ないます。
 日本国有鉄道の経営に関する件について調査を行ないます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
○久保委員 先般資料提出を要求いたしまして、本日出て参りましたが、この中で、二、三お尋ねをしたいのです。用地補償の方針並びに基準については後刻お尋ねしますが、具体的な問題として近江鉄道に対する補償の算定基準の中で、一つは業務員の待遇改善というのが、額は少ないのでありますが、出ております。これは運転手、車掌に対するということでありますが、こういうのはいかなる観点からこれは補償の対象になるのか。さらにもう一つは、まくら木の腐食が増加するということで、これまた出ておる。それから踏切設備の保守でありますが、これはいわゆる一方的な補償であって、この施設をやるかどうかはどういうふうになっておるか。言うなれば、こういう踏切設備の保守のごときは、人件費は別として、国鉄においてその設備をして近江鉄道に与えるべきではなかろうかと思うのです。そういう点についてまずさしあたり御答弁をいただきたい、かように思います。
○大石説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。
 この踏切警報機また踏切の幅を広める、その他そういうような工事を仰せのように現物をこちらでつくりまして補償する場合と、これを算定いたしまして相手方の基準で相手方にやっていただきます場合と二つの方法がございますが、私たちといたしましては、実はこちらでやりますと、設備の大きなよりよきものを要求されるというようなことと、またそれができましたあとに、もしそれが故障を起こしました場合に、工事と申しますか、設備の責任といいますか、それをこちらに転嫁されてくるようなケースもございますので、打ち切り補償的に金で補償いたしまして、相手方の責任においてやっていただくということの方が、国鉄の施設に直接影響がございますものはさようなことは申しておりませんが、そういうようなものでないものは、できるだけ相手方にやっていただくということの方があとくされがないと申しますか、そういうようなことを考えまして金で補償をしたのでございます。
 それから乗務員の待遇改善費というようなものにつきましては、これは相当問題がありまして、私たちといたしましても折衝をしたのでありますけれども、ここの十三ページに図面がございますように、近江鉄道と新幹線の構造並びに位置は、この十三ページの図面のような格好に相なりまして、今までは踏切が平面で遠くから乗務口の踏切に対します注意また停止もできたのでございますけれども、こういうふうに片方が高架になりますと、穴の中から踏切に飛び出してくるというようなケースもございますので、相当な労働過量になるということで、これに対しまして乗務手当と申しますか、そういったものも多少改善をしなければならぬというような要求がございまして、かような算定をしたのでございます。
 それからまくら木につきましては、やはりこの図のように風通しも悪くなりますし、また排水その他につきましても、前よりもまくら木に対しましては条件が悪くなるということで、かようなまくら木に対します処置を考慮したのでございます。
○久保委員 ただいまのお話で、まず第一に踏切でございますが、総体としてこの対象になった踏切は何カ所ありますか。この資料の七ページで全部尽くしておりますか。
○大石説明員 踏切につきましては、自動遮断機をつけましたり、あるいは警報機をつけたり、また踏切の幅を広げるというような踏切の改良をいたすことも含めまして、この補償の対象になりました踏切は五十三カ所ございます。
○久保委員 五十三カ所だと、全部補償というか設備改善の対象にしたわけだと思います。そこでたとえば七ページの踏切補償及び防護設備のところでありますが、自動遮断機三千九百万円、これは何カ所でありますか。
○大石説明員 自動遮断機の対象になりましたのが十五カ所でありまして、単価が一カ所二百六十万円、合計三千九百万円、こういうことに相なっております。
○久保委員 たとえば一カ所二百六十万円という単価は、現実的に国鉄でやる場合は大体どのくらいですか。
○大石説明員 この一カ所二百六十万円というものは、国鉄でやりますものを基準にいたしまして算定をした結果でございます。
○久保委員 それから乗務員の手当の問題でありますが、これは見通しが悪くなるというのだが、それ相当に踏切は全部五十三カ所に防護措置をとったわけであります。今までは何らの防護措置がないのがほとんどだと思いますが、こういう観点から言って、これはいかなる算定基準をもっておやりになったのか。科学的根拠は何もないように思うのでありますが、これはどうなんですか。
○中畑説明員 御説明いたします。乗務員と出しますのは、運転手と車掌の二つの職種に対してでございます。問題になっております並行区間七・五キロの運転時分を計算いたしまして、それに運転手と車掌の平均賃金を単位当たり出したもので計算いたしたわけであります。運転手が一割、車掌が一割程度疲労度が増大するということで単価計算をいたしまして、その総額が二百三十万円になったわけであります。
○久保委員 疲労度の計算で一割とか二割とかの割掛をしたようでありますが、それは別段に根拠がおありですか。
○中畑説明員 これは会社の方の従業員からの非常に強い要望があるというので、一割、二割という目安できめたようなわけであります。
○久保委員 別に根拠がなくて要求に従ったということでございますが、百歩譲って疲労度が増すということになりますれば、運転手にはあるいは理由がつくかもしれない、百歩譲っても・・。しかしこの疲労度に関しては、車掌はこの鉄道では前方注視も全部しょっちゅうやっているんでしょう、いかがでしょう。
○中畑説明員 さいぜん説明申し上げましたように、七・五キロの並行区間にはたくさん踏切を設けざるを得なくなりましたので、運転手並びに車掌にいたしますと、従来の業務に比べて非常に骨が折れるということでございまして、従業員からの要求があるからというので、強い要望がございましたので、きめましたようなわけでございます。
○久保委員 そうしますと、とにかく理由はいずれにしても、要求があるから補償した、こういうことでありますね。
 そこで、この問題でありますが、額は少々でありますが、要求があるから出したということではどうも筋が通らぬように思うのです。こういう点についていかように考えておりますか。
○中畑説明員 もちろん会社が要求いたしましたから、それをそのまま認めたというわけではございませんで、七・五キロの並行区間を私ども判断いたしまして、疲労度がそれだけ加わるんじゃないかということを認めましたから、その要求を認めることにしたわけでございます。
○久保委員 それは結局妥協というものであって、別に理論的な根拠があるわけでもないということであります。これは、要求があって、いうならばいい待遇でありましょうが、これより過大の要求があったのだが、これに値切ったのだということになるわけですか。しかし、それはそれでいいのかどうかという問題が一つありますが、これはあとで申し上げます。
 それからもう一つ、まくら木の腐食増ということ、これも額は小さいのでありますが、二百七万ほど、これは積算基礎になっておるようでありますが、「枕木耐用年数を平均八年とする。年間所要額に対し幹線の影響により一ケ年短縮するものとし」八分の一、イコール一二五%を補償した、こうなっておりますね。これはどうなんです。人間の問題じゃなくて、まくら木の腐食度が増加するということは科学的に出るわけです。先ほどもお話がありましたが、ここにも現場の写真がたくさんございますから、局長はごらんになったかもしれませんが、総務局長はごらんになっているかどうか知りませんが、こういうのがいわゆる理由だろうと思う。こういう写真がある。幹線ののり下と近江鉄道の間に適当な排水溝をとればこれは問題がないはずです。これは聞くところによればたんぼの中だそうであります。たんぼの中にあるものがどうして八分の一補償しなければならぬのか、科学的の根拠が出ているのかどうか。国鉄には鉄道研究所というものもございまして、こういうものに影響を与えるのはどの程度与えるものか、こういうものでも研究して補償されましたか。
○中畑説明員 今回新幹線を建設いたしました七・五キロの並行区間は、水路の非常に低いところでございますので、雨が降り、雪が降りますと、在来におきましても線路がやられて、その保守に骨が折れるところであるということは、現在の東海道線につきましても同じような傾向がございますので、そのような土地の状態を勘案いたしまして、査定をいたしたようなわけでございます。
○久保委員 中畑局長、どうも答弁がはっきりしない。人間の問題でなくて物の問題でありますから、もう少し科学的な御説明があろうかと思うのでありますが、東海道新幹線にしても、この写真を見ますと、こののり面に排水溝が相当あります。穴があいております。これは当然であります。この水が落ちた場合、当然排水しなければのり下の方がくずれるという心配も出てきはしないかと思うのであります。国鉄の防護のためにも排水溝が必要である、そういうことになるのでありまして、まくら木の問題ではなくて排水溝の問題ではありませんか。近江鉄道自体従来もこういう地盤のところにあったので、東海道のお話が出ましたが、必要ならば当然排水溝を設備すべきであって、新幹線ができたからまくら木の腐食度が増すということは、ちょっと理由にならぬかと思うのであります。これはいかがですか。これも仕方ない、要求が過大であったが、ここまで値切って落着したという数字でありますか。
○中畑説明員 まくら木の耐用年数を通常八年と見ておるのでございますが、約一年間程度腐食率が高いという判断をいたしましたのは、先ほど申し上げましたようなことからでございます。
 建設いたしました現場の地形から考えますと、ちょうど琵琶湖の湖水と反対側に、新幹線の路盤でございますが、高い築堤を工事いたしておりますので、水はけも悪くなりますので、腐食率が高い、こういうふうに判断をいたしました。
○久保委員 中畑局長、今のお話は逆でしょう。近江鉄道の琵琶湖の方から見れば外側に新幹線ができておるのです。だから、本来ならば、琵琶湖に向かって水は流れるわけです。それを防ぎとめる役目を新幹線がするわけですよ。そういう理論から言うならば、まくら木の腐食度はさらに軽減されるということになる。逆に向こうから補償をもらわなければいかぬ。そういうことになればそうでしょう。近江鉄道の琵琶湖側から見て中側に新幹線ができるならば、なるほどあなたのおっしゃる通りです。これは外側ですよ。しかも一年短縮すると言うが、一年の根拠がないのではないか。どういう要求があったのですか。具体的に一つだけ聞きましょう。近江鉄道からまくら木腐食度についてはどういう要求がなされたのですか。
○中畑説明員 ただいまお話のございました初めの点でございますが、路盤ができますと、それで水をとめるように考えやすいのでございますけれども、そこは判断でございますが、水をとめてかえって新幹線の路盤のすぐ横にある近江鉄道の線路に浸水の可能性が生ずる、こういうように私ども判断したわけでございます。
 それから一年間という見方でございますが、いろいろ見方もあろうかと思いますけれども、私どもの東海道現在線での事情などから考えまして、この程度でないか、こういうように査定をいたしたわけでございます。
  〔高橋(清)委員長代理退席、委員長着席〕
○久保委員 幹線工事は全部技術屋が主としてやっておられるので、専門であるから、ただその程度であろうということではどうも納得できない。
 それからもう一つは、この前の質問でもお話がございました七・五キロの並行線と新幹線ののり下と近江鉄道の路盤とかそういうものが一致するというお話でしたが、ここに私どもは現地の写真を何枚かとってあります。一番密着したところがこういう形です。ここにもございますが、相当の間隔があるわけです。お出しになった図面は、ここにあるのかもしれませんが、ちょっと迷うように私は思う。いかがですか。この写真をごらんになりますか。これは密着していますか。ここに間隔がございますね。一番狭いところらしいですが、片方は築堤になっている場所ですが、いかがですか。
○中畑説明員 さいぜんあの図面でごらんいただきましたように密着いたしておりまして、私も工事中現地を見て参りましたが、場所によりまして多少離れておるところも、七・五キロの区間でございますから、あるかもしれないと思いますけれども、工事中の現場を見ましたところは大体密着して並行しているように私見て参りました。
○久保委員 局長、この写真、これは築堤でなくて暗渠です。
   〔久保委員、中畑説明員に写真を示す〕
それが密着していますか。そういうものまで補償の対象ですか。――局長、写真をごらんになったようですが、こればかりでなく、もっとたくさんありますよ。二、三十枚あるのですが、みんなごらん下さい。これは地元の要求その他があって、築堤にやるべきところを全部こういう形にしたのです。築堤の場所が何カ所かあります。築堤の場所はかなりこの間隔がとってあります。これで影響があるというならすべて影響があるようになりますよ。それでこれはまくら木の腐蝕度が増すなんて、これはまくら木の腐蝕度は増しません。全然関係ありません。あなたが今お話しした琵琶湖の方に注ぐ水がどうのこうのという問題じゃありませんよ、築堤じゃありませんから。これはわれわれしろうとはそう思うのですよ。結局問題は、要求があって泣く子と地頭には勝てないから、値切れるだけこれも値切ったんだという結果がこれじゃないかと思うのですが、そうでしょうね。
○大石説明員 ただいま私は実は現地を図面でしか存じておりませんが、高架の部分もございますが、全部が高架ではございません。全部が築堤でもございません。高架の部分もありますが、築堤の部分もたくさんございますので、その点につきましては私たちは今先生の写真全部がそういうことじゃないということを言わしていただきたいということと、もう一つ補償について妥協したのかという面につきまして、全体的なお話を申し上げたいと思いますが、実は近江鉄道と並行いたしますところにつきましては、種々路線につきまして検討いたしました結果、ただいまのように近江鉄道に並行して路線をつくることが地元に対しましても一番被害が少ないというような観点からいたしまして、路線をきめたのであります。そのときにいろいろな補償の中で、その線路が大阪−京都間におきます京阪神と並行した部分がございます。これは図面の十六ページにちょっと概略書いておきましたが、このところでは約二キロ余り並行しております。ここは地元の方々またその他の要求からいたしまして、踏切が非常に不安全になるので、新幹線と同じレベルにその私鉄を上げてくれ、こういうことで結局上げるということに相なりまして、三キロ余りで一億六千五百万円ほどの分担をこちらがやったのでございます。これと同じような考え方で近江鉄道は要求されて参ったのでありますが、その場合の金が約四億あまりになります。そういうことで私たちといたしましては、近江鉄道にはまことに申しわけないのでありますけれども、近江鉄道のあの程度の鉄道で京阪神のように上げてしまうようなことをする必要はなかろうということを強く会社側にも申し上げまして、その四億円余りというものは困るということで、できるだけそうでないことで安全を増していただきたいというような交渉をいたしたのであります。そういたしまして、今ここにお手元に資料を差し上げましたような項目につきまして、近江鉄道からしからば高架にすることはやめるが、これこれの項目について補償をしていただきたいということを申し出て参ったのでございます。その項目がこの前申し上げましたように、最初は五億余り、次に七億数千万円というような数字になって出て参ったのでございます。高架にしてしまって四億余りで工事ができますものに対しまして、五億ないし六億の補償をするというようなことはとうてい考えられませんので、私たちといたしましては、その項目について逐一折衝と申しますか、こちら側の考え方を当てはめまして折衝をして参りまして、お手元に差し上げましたような一応の内訳を、相手方と折衝をしながら相手に了承をさせて、その総額を二億五千万円としたのでございます。そういうことでございますので、私たちといたしましても、この補償の項目を、相手が申し出てきた項目について一つ一つ説得をいたしまして、額を書きましたので、この点は今お話しのようにまことに不手ぎわなことになったのでございますが、むしろこれは逆に全然別な観点から私たちがはじき出すというやり方もあったのでありますけれども、相手がなかなかその折衝に乗ってこない。自分の方で出した項目についてこれは幾らにする、これは幾らにするというふうにしてくれ、それでなければ話に乗らぬということでございまして、私たちとしてはあくまで立体交差で全部を上げてしまって四億も金を出すということはこれはむだであるということで、極力その中を押さえまして、この前申し上げましたように最初にとにかく一億五千万円で押さえて、工事だけはやらしてくれ、あとの一億円についてはもう少し待とうということで引き延ばしをやったのでございますけれども、ついにそれ以上の説得が私たちの努力が足りなかった結果できませんので、二億五千万円という総額になり、しかもその内訳を相手の出して参りました要求書の項目について算定をしたのでございますので、いろいろな点において私たちの説明の不備な点、また御了解を得られますのに対しましてなかなか困難な点も多々ございますと思いますけれども、今申し上げましたように、高架にすれば四億かかる、これを私たちはどうしても近江鉄道程度の交通量であり、あの路線では高架にする必要はないということで、それをもっと内輪にしていこうということで折衝の結果、相手方の交渉にわれわれが押されたということを言われるかも存じませんけれども、今申し上げましたように項目別に、相手が出して参りました項目について話し合いをしてもらわなければ困るということを強く要求されましたので、相手方の言われたものについてかような算定をいたしました。個々につきましていろいろ御不満な点があり、また私たちといたしましても説明の不十分な点がございますと思いますけれども、そういう事情でございますので、御了承をいただければしあわせと、かように存じております。
○久保委員 どうも御了承いただければと言うが、気持はわからぬわけではありませんが、たとえばこの踏切設備保守の中の人件費の中の間接割掛というのは何ですか。これは大へん多いですね。俸給が二千百七十五万円、諸給与が五百十万円で、そのほかに間接割掛一千八十七万五千円、これはどういうことなんですか。
○中畑説明員 御説明いたします。この近江鉄道の人件世の立て方から計算いたしましたので、間接割掛の額が少し多いのでございますけれども、これは会社の経理の立て方によったものでございまして、今非常にこまかい会社の出しました会社の要求の基礎であるその資料を手元に持ってきておりませんので、数字によって御説明申し上げることができないのですが、人件費の立て方が非常に違ったやり方をしております。
○久保委員 どうも中畑局長、これは何の意味かわからぬですな。もう少しはっきりした意味を言って下さい。何の意味ですか、間接割掛というのは。積算の基礎は別として、どういう費用なんです。間接割掛というのは。
○中畑説明員 これは踏切警手の人件費につきまして、踏切警手の福利的な施設でありますとか、そういった直接の人件費でない間接的な人件費を含めたものをここで間接割掛、こういうふうに呼んでおります。
○久保委員 間接割掛なんというのは、今の話だというと、もう雲をつかむような話でありまして、しかも額は人件費の中で相当なものです。こういうのを大体向こうの出してきた要求に対して討議して結論を得たと言うが、どうもわれわれにはこれは納得いかぬものが多いですね、実際いって。これは各所においてこういう形がとられておりますか。これは大石常務に聞いた方がいいですかな。名所においてやはりこういうものを対象にして補償しておられるのですか、ほかの私鉄に対して。
○大石説明員 ほかの私鉄は、先ほど申し上げました京阪神の場合とこの場合と、二カ所しかこういう場合はございません。先ほど申し上げましたように、京阪神につきましては、立体交差にしてくれということで、工事を全部線路を上に上げてしまうということにいたしまして解決をいたしましたので、かような補償の内容はございません。また近江鉄道につきましては、先ほど申し上げましたように、総額四億のような立体交差化というようなことは、私たちといたしましては、少しあの鉄道、あの地区におきましては過大である、もったいないというようなことからいたしまして、繰り返して申し上げますが、その範囲以下において折衝をするというような交渉をいたして参りまして、どういうものがかかるかということを相手方と折衝をいたしましたところ、今中畑総務局長から話がありましたように、相手方からこういう項目について補償を要求するのだということで持って参りましたのが五億余りのものに相なったのでありまして、その項目々々につきまして私たちはあくまで四億以下にこれを査定しなければならぬということで査定をして参りましたので、一つ一つにつきましては多少精度が落ちるという点もあろうかと存じますけれども、相手方の帳簿なり相手方ののみ込みやすいように、相手方の出して参りました方式によって、これを二億五千万円に押えて参りました。個々につきましては説明のつきかねる点もあるかと存じますけれども、総額において四億を、私たちとしては、あるいは立体交差にしなければならぬかというふうに考えておりますものを極力押えて、ここまで持って参ったような次第であります。
○久保委員 私が聞きたいのは、京阪神の場合はいわゆる並行線でありまして、近江鉄道と大体似通っている。近江鉄道は東海道新幹線と同じように高くすれば四億かかる。それをそういう必要はないというのでこの二億五千万円で実は解決したのだ、こういうお話は一応わかりますが、しかし私の聞いているのは、他の私鉄等についても立体交差の部面は相当あるだろう、そうしますれば踏切の問題が出てくるのだが、この踏切の問題については、たとえば今の間接割掛というか、そういうものを含めて交渉の対象になって、そうして補償しておられるのかどうか、あるいはその防護措置についても同様なものをやっておられるのかということなんです。
○大石説明員 そうした立体交差の場合には、あとから参った者と申しますか、原因者が全額を負担するという原則ができておりまして、新幹線の場合ですと全部あとから新幹線が現在の私鉄をまたいでいくというような関係でございますので、全部こちらで負担をしております。また道路につきましても同じように、あとから行く者がやるということでございますので、全額こちらで負担をし、また交差をするような場合でございますと、直接国鉄に関係がございますので、工事も国鉄でやっておるというようなことでございますので、金を補償するというようなケースはあまり例がございません。
○久保委員 そうしますと、立体交差の場合はまあそれでいい。それじゃ踏切が所在する付近の並行区間というのは全然ほかにはない、ほかの私鉄に関してはない、こういうことですか。
○大石説明員 こういうふうに並行いたしまして相手の踏切を直す、またこちらの工事がほかの沿線の私鉄に影響を及ぼしまして、そこに補償を払うというようなケースはほかにございません。
○久保委員 この防護補強工事の算定基準というか補償基準というか、これは今まで申し上げたような問題どれ一つとっても、やはりどうも割り切れぬものがたくさん残るわけであります。こういうことはこの鉄道と同様のものばかりではないと思うのでありますが、たとえば形を変えていろいろな補償の問題があります。これは前に掲げてある補償基準によってそれぞれやっていると思うのでありますが、そうですね。この「用地補償の方針と基準について」というこの基準についてやる場合に、たとえばこういう人件費の中の間接割掛とか、あるいはまくら木の腐食増とか、あるいは乗務員の手当とか、そういうものに類するものも一般的に補償しておられるのかどうか、それはどうなんですか。
○大石説明員 一般的に、あるいは例が悪いかもしれませんが、この四ページに書いてございますように、工事をやりますために商売をされておられます方が移転をされる、その間にお仕事を休まなければならぬというような場合、またその間にそこに働いておられます職員の方の給料、またもし廃業してしまう場合には、職員の方に対するいろいろなお手当、こういうようなものにつきましては、私たちはここに書いてございますように、こちらの工事に基因いたしましてそういうふうに影響いたしますものにつきましては、それぞれ算定をいたしまして、補償をいたしておるのでございます。あるいはそれが今のお答えに適切かどうかわかりませんが、そういったような無形の補償というものも他の場合にやっておるのでございます。
○久保委員 たとえばこの東海道新幹線が取得した用地に近接して家庭があるとします。その場合に、たとえば築堤のために雪の吹きだまりになる、そういう場合には除雪費がよけいにかかる、たとえばですよ、あるいは排水が悪いので土台が腐るか垣根が腐るかは別にして、そういうものの要求も入れて補償されておるわけですか。
○大石説明員 今の場合で、新幹線ができまして、あるいは排水が悪くなる、通路がなくなってしまうというような場合には、もちろんこれは排水路をつくったりあるいは通路をつけたりというようなことは、沿線の方と協議をいたしてやっております。ただ日陰ができるとかいうようなものにつきましては、いろいろ今まで問題がたくさんございましたけれども、ここにも書いてございますように、訴訟問題まで――これは国鉄の場合にもございますし、その他の例もございますが、そういうような問題まで持って参りましても、こういうものについてはあまり払わないというような判例ができておりますので、日陰とかいう問題については補償をいたしておりませんが、お話しのように、排水が悪くなるとか通路がなくなるというような問題につきましては補償をしておる次第でございます。
○久保委員 あとからまたお尋ねがあるそうでありますから、最後に伺いたいのはこの減収補償費、これは妥当なものですか。方法的にも妥当なものですか。内容的にも妥当なものですか、――内容的には妥当だという御返事だったのですが、方法的にこれは妥当であるか。
○大石説明員 これは事務的に考えましても妥当と申しますか、正当な手続を経てやっておりますので、違法なものではありません。
○久保委員 鉄監局長、あなたの方ではそういう補償について承知しておるわけですか。
○岡本政府委員 私の方は全然承知いたしておりません。私の方でもし関係がありとするならば、地方鉄道軌道整備法に基づく減益補償ということに相なりますと、最終的には運輸大臣に申請がございまして金額を決定するということになりますので、当方も承知する関係に相なりますけれども、この場合は全然そういう申請もございませんで、国鉄独自の判断でやったものでございます。
○久保委員 これは地方鉄道軌道整備法に基づくものの減収補償ではないですかな。
○大石説明員 この減収補償のものとは性質が違ったものでございます。
○久保委員 違った点を説明して下さい。
○大石説明員 整備法の補償の対象になっておりますのは、同じ地区において同じような営業をいたしましたためにその鉄道に営業上の被害を加えたというときが対象になるのでございまして、今回の場合はこの間に新幹線の駅もございませんし、全然別個のものができ上がったのでございますので、この法律の精神と違っておるというふうに解釈をしたのでございます。
○久保委員 それじゃ関係がないでしょう。もちろん性格が違うのですから全然関係ありませんよ。これはそうでしょう。通るところは同じかもしれぬが、大体営業の範囲が違う。乗る人が違うのですから、影響を与えないですよ。影響を与えなければ補償の関係はないでしょう。ところがあなたが今おっしゃったように観光の客が減るというが、減るかどうかわからないですよ。減ったときにこれは補償すべきであって、減るかどうかわからないのに先に持っていって減るという算定はどうなんです。おかしいでしょう。
○中畑説明員 私からお答えいたします。ただいま先生からお尋ねがございました点でございますが、今回補償いたしましたのは国鉄と近江鉄道の線路が並行いたしまして、近江鉄道が営業上受ける損失というのが、端的な例を申し上げますと近江鉄道のお客さんが国鉄のお客さんになるからそれだけ損失がある、こういう意味のものではございません。国鉄が幹線工事をいたしましたために、その工事によって近江鉄道のお客さんが少なくなる、それによって損失を受ける、こういう考え方で補償いたしたものでございます。
○木村委員長 井手以誠君。
○井手委員 ただいまの減益補償についてお伺いをいたします。
 法制局お見えになっておりますか。
○木村委員長 来ております。
○井手委員 会計検査院はお見えに
 なっておりますか。
○木村委員長 まだです。
○井手委員 それではまとめてお伺いいたしますが、近江鉄道に対する減益補償は幾らでございますか。
○中畑説明員 お手元へお配りいたしました資料にございますように、一億円支払っております。
○井手委員 今から簡単でけっこうですから御答弁願いたい。いつお払いになりましたか。
○中畑説明員 昨年の六月だったと記憶いたしております。
○井手委員 法制局にお伺いいたしますが、減益補償というのは、これはいわゆるその後に収益がなかった、減ったという実績に対して補償するのが建前ではございませんか。簡単に御説明願いたい。
○關(道)政府委員 仰せの通りだと思います。
○井手委員 久保委員からお尋ねになっておりました減益補償については、法的根拠がなくてはならぬはずであります。いやしくも日本国有鉄道の建設でございますから、法的根拠がなくては補償はできないはずでございますが、その根拠をお伺いいたします。
○中畑説明員 通常の民事上の損害賠償をいたします場合のケースであるということで考えております。
○井手委員 大石政務次官にお伺いいたします。今近江鉄道に対する減益の補償は、通常の民事上の問題だとおっしゃいますが、国会にきょう出されました資料には、その基準はないようです。そういうことができますか。法的根拠がなくて民事上の補償ができますか。簡単にお答え願います。
○大石(武)政府委員 法律上のむずかしい問題でございますので、私よりもっと正確な答弁のできます鉄監局長にお答えいたさせたいと思います。
○岡本政府委員 できると考えております。
○井手委員 それではどういう場合にどの根拠でできますか。
○岡本政府委員 先ほど大石常務理事が申し上げましたように、一般的な民事上の補償であると考えております。
○井手委員 民事上の補償の場合は、法に基づいて補償の基準があるはずです。その民事上の補償を行なう基礎になる法律はどこにございますか。
○岡本政府委員 民法によるものと考えております。
○井手委員 考えてごらんなさい。そんな答弁でいいですか。
 では別な面からお伺いいたします。地方鉄道に迷惑のかかった場合の補償の法律は別にあるはずであります。いわゆる減益補償を含んだものは、法律があるはずです。それにはどう書いてありますか。
○岡本政府委員 地方鉄道軌道整備法第二十四条でございまして、補償の規定がございます。読み上げてみますと、「日本国有鉄道が地方鉄道に接近し、又は並行して鉄道線路を敷設して運輸を開始したため、地方鉄道業者がこれと線路が接近し、又は並行する区間の営業を継続することができなくなってこれを廃止したとき、又は当該地方鉄道業の収益を著しく減少することとなったときは、日本国有鉄道は、その廃止又は収益の減少による損失を補償するものとする。」こうございます。
○井手委員 地方鉄道に迷惑を及ぼしたときには、それによって補償すべきではございませんか。
○岡本政府委員 これも先ほど国鉄の方からお答え申し上げましたように、この地方鉄道軌道整備法二十四条の場合は、新しく国有鉄道が線路を敷設したために既存の地方鉄道がこれによって営業上の影響を受けまして、つまり今まで地方鉄道で運んでおった旅客が全部、新しく敷設された国有鉄道の線路に移る、あるいはそのために営業が成り立ち得なくなった、こういう場合とか、あるいはお客が減ってきて現実に収益が減ってきたというふうな場合でございまして、この近江鉄道と東海道新幹線の関係は、営業上の競合は全然ないわけでございます。つまり近江鉄道の言い分は、自分の線路で運んでおった観光客が、東海道新幹線の築堤によって観光価値が減少するために、その観光旅客が減るという主張をいたしまして、その補償を要求いたしたのでございますので、この第二十四条によるべきものではないというふうに考えております。
○井手委員 鉄監局長、この問題はこの近江鉄道だけを言いのがれすればいいという問題ではございません。これは今後に大きく影響する重大な問題でございますから、慎重にお答えを願いたいと思うのですよ。この地方鉄道軌道整備法というものは、目的は何でございますか。国有鉄道が「地方鉄道業に対する特別の助成及び補償に関する措置を講じて地方鉄道の整備を図ることにより、廃業の発達及び民生の安定に寄与することを目的とする。」とあるのです。こういうための法律ではございませんか。補償の基準、国鉄の敷設によって地方軌道に影響を与えた場合の補償の基準となるものを定めたものではございませんか。そうであるなら、この際に、国鉄に対する思いやりもあるでしょうけれども、はっきりした態度を示してもらわなくてはならぬのです。
 それでは国鉄側にお伺いをいたします。あなたの方から出されましたこの補償基準には、どこに景色が悪くなったことによる収益の減少に対する補償を行なうという文字がございますか。お伺いをいたします。
○中畑説明員 お手元にお配りいたしました資料の四ページ、この条項がそれに該当するかと思います。
○井手委員 どこですか。
○中畑説明員 四ページの「その他通常受ける損失に対する補償」というケースだと考えて処理いたしました。
○井手委員 そのどこに当たるのか、明確にして下さいよ。今お読みになった「その他通常受ける損失に対する補償」というのは、これは(2)の「営業損失補償及び工事に基因する損失補償に対する方針。」の内訳でございます。そのイの「店舗等の敷地が国鉄用地に該当したため、休業又はその他損失を蒙ると認められる場合の補償額は次によることにしている。」こうなっております。そして(イ)は「休業補償」、(ロ)は「得意喪失補償」、(ハ)は「休業手当の補償」、(ニ)は「固定経費の補償」、(ホ)が、今お話しになった「その他通常受ける損失に対する補償」は、この前提になるものは何か、それはカッコじゃない、(2)のイに該当する「店舗等の敷地が国鉄用地に該当したため、休業又はその他損失を蒙ると認められる場合の補償額は次による」ということになっております。わかりましたね。そういたしますと、店舗等の敷地に該当しないで、近くを走っておる近江鉄道、これは入れませんよ。よく見ておって下さい。これには該当いたしませんよ。そうしますと、次に第五ページです。五ページの中ほどを見て下さい。(イ)「国鉄の工事施行中又は工事施行後における日蔭、臭気、騒音等により生じた損害等については補償しない。」ということが明確にあなたの方で書いてある。それじゃどこにあなたの景色が悪くなったから補償いたしますという項目が、原則の補償基準にございますか。
○中畑説明員 ただいまの点でございますが、近江鉄道の場合は、四ページの(ホ)に該当すると申しますのは、国鉄が新幹線を建設いたしますために、近江鉄道の用地を必要といたしました場合でございますので、四ページの(ホ)に該当すると考えましたわけでございます。
○井手委員 うそをおっしゃいよ。何が該当します。店舗等の敷地が国鉄用地に該当するという、そういうための補償ですよ。鉄道用地、国鉄用地にはなっていないのじゃございませんか。建前は、近江鉄道の用地が国鉄の用地に該当したために受ける損失に対して、あなたの方は損失を補償しようというのですよ。これは当然なことなんです。そして日蔭になったとか、あるいは臭気がするとか、あるいは音がやかましくて困るという、どんどん音がして寝られぬような場合でも補償はいたしませんと書いてあるのですよ。だから店舗等の敷地が国鉄用地に該当しておりますか。近江鉄道の敷地がここに該当しておりますか、そこをはっきりして下さいよ。ここに該当しておりますというだけではだめですよ。
○中畑説明員 四ページの(ホ)に書いてございますように、これは例示したものでございますが「営業者の土地の一部が国鉄の工事上必要となり、或は建物の一部が工事上直接支障することになったため、」となったような例示いたしますようなこういう場合に該当すると考えましたわけでございます。
○井手委員 あなたがおっしゃるのは、この場合の「その他通常受ける損失に対する補償」とある。「営業者の土地の一部が国鉄の工事上必要となり、或いは建物の一部が工事上直接支障することになったため、従来の財産価値が減少しもしくは、新たに経費の支出を要することになった場合で、相当因果関係があるときに限り補償する。」と書いてある。その場合には、営業者の土地の一部が国鉄の工事上必要になった場合ですよ。わかりますか。国鉄が幹線の工事に必要になった場合、あるいは建物の一部が工事上直接支障を受けることになったためですよ。近江鉄道は、どこに国鉄工事上必要な敷地になりましたか。いつ近江鉄道の建物が工事上直接支障になるようなことになったのですか。そのときに限って補償するとなっているのですよ。「また、将来の期待利益については、これを喪失することが確実であると認められる場合に限り補償する。」となっておる。これはその工事上必要になり、あるいは建物の一部が直接影響を受けた場合に限るわけですよ。景色が悪くなった場合には、これは該当いたしません。これはあなたの方の文章にはっきりしておるじゃございませんか。そんなでたらめなことはないはずだと思って、特に基準の提出を願ったわけです。案の定はっきりしておるじゃございませんか。これくらい明々白々な事実はございません。
○大石説明員 お言葉を返して失礼でございますけれども、近江鉄道の用地も、新幹線の工事をいたしますための用地を私たちの方では約三千平米といっておりますが、会社では約七千平米と言っておりますが、これは境界がはっきりしないような点がございますので、お手元の資料にも書いてございますが、そういうことで駅構内とか沿線におきます近江鉄道の用地というものを、合計私の方のあれでは三千平米、会社の方では七千平米と言っておりますが、その程度近江鉄道の用地を使用しております。
○井手委員 それは用地を買収したその分については、別に補償があるはずですよ。私が聞いておるのは、あなたの方が説明をなさり、私がお伺いしておるのは、景色が悪くなったからお客さんが減る。それに対して補償いたしましたというのが問題の中心ですよ。その景色が悪くなってお客さんが減るための補償の基準は何ですかと聞いているんですよ。近江鉄道の用地を買収した場合には、買収費にあがっておるでしょう。使用する場合には借上料が入っておるでしょう。それを聞いておるのではございません。
 それではかためてお伺いします。収益が減った場合には、これは今法制局がおっしゃったように、たとえば地方鉄道軌道整備法によっても、これはこうなっておるのですよ。これは一つの基準なんですよ。これは法律ですからね。今鉄監局長も読み上げましたが、「日本国有鉄道が地方鉄道に接近し、又は並行して鉄道線路を敷設して運輸を開始したため、」云々となっております。法制局でも、これは減益の実績が明らかになってから補償しますということをお話しになりました。しかも減益の補償というのは、これは五カ年に規定をされております。あなたの方は十何カ年間補償されておりますよ。法制局、これは正しいことですか。すでに昨年の六月に十数カ年分お払いになっておるそうですか、これは正しいことですか。まだどのくらいお客さんが減るかわかりもしない。東海道新幹線はまだでき上がっておりません。景色が悪くなったためにどのくらい観光客が減るかわからない今日に、十三カ年にわたってすでに――運転開始じゃありません、営業開始ではございません。まだ建設中の今日、すでに昨年の六月一億円も払っておられることは、その内容の妥当性は別です。支払いについてこれはけしからぬことだと思うのです。これは政務次官と法制局からお伺いいたします。
○關(道)政府委員 事実関係を私は今初めて伺うので、本件について具体的に申し上げることができないのでありますが、かりにこの補償が、地方鉄道軌道整備法に基づいて行なわれたものといたしますれば、その法律の二十六条にも明確に補償金額の算出の仕方が書いてございますので、それによったものと考えております。
○大石(武)政府委員 どうもはなはだむずかしい御質問をいただきまして恐縮でございますが、これの法律的な詳しいことは専門家に答弁をまかしたいと思います。先ほど大石常務理事から申し上げましたように、この鉄道を早くつくらなければならぬ、これは国民のためにも、すべての点から急いでつくらなければならぬというところに一番の問題点があったわけでございます。そういうわけで工事を非常に急いだために、多少そう言っちゃ失礼でありますが、足元につけ込まれた傾向があるんじゃなかろうかと私は感じておるわけでございます。そこで私は先ほど申し上げましたように、四億円の立体交差にするための費用であるとか、そうでなかったならば七億円の補償を要求されたということで、できるだけこれを少なくしようとする努力の結果、このような結果になったんではなかろうかと私は考えるわけでございます。そういうわけで、この補償の問題につきましては、総体的にこれを見てやらなければ、やはり国鉄として立場がかわいそうではなかろうか、その努力を一応見てやるべきだと思いますので、実際理屈から言いまして、今の損失の補償の考え方が妥当であるかどうかということにつきましては多少無理があるかと思います。たとえば今の井手委員の質問された点について、解決の仕方に国鉄の側に少し無理があるんではなかろうかと思いますが、総体的な面から考えてやるということに観点を置いてやっていただけば、議論の方法が変わってくるんじゃないかと考えております。
○井手委員 かねがねの大石さんの信念にも似合わないお言葉葉でございます。受け取りかねます。東海道新幹線が急がれておることは私もよく知っております。しかし、急がねばならぬからといって、補償をやみくもに、でたらめにしていいというわけには参らぬのであります。いやしくも日本国有鉄道の東海道幹線でございますから、これはやはり国民の血税で建設されるんですから、あるいは旅客収入で建設されるんですから、これはきびしい態度をもって臨まなくてはなりません。ところが景色が悪くなったためにお客さんが減るための補償というのは、どこにも基準がございません。減益補償というのは、五年間運転を開始してから、実績があがってから支払うのが正しいということは、すでに法制局からお話がございました。これがすでに支出されたことは違法である、この点は明らかになりました。そこで私は続いてお伺いをいたします。
 今の基準です。日陰になったとか、臭気がするとか、騒音があるからというものは、補償しないということははっきり書いてあるんです。景色が悪くなるからというので補償されたためしは聞いたことはございません。
 それじゃ順次にお伺いいたします。近江鉄道というのは、日本でも有数な観光の路線でございますか。
○中畑説明員 私の方で調査いたしましたところでは、お手元の資料の十ページに書いてございますが、観光によるお客さんの乗る収入が二割五分程度くらい占めておるという実績を持った会社であると承知いたしております。
○井手委員 この資料は会社から出されたものであると思いますが、二割五分くらいの観光客というものは、地方鉄道としては普通に達しない程度じゃございませんか。それほど景色を見なくてはならぬような、なるほど近江の国は景色がいいかもしれませんけれども、その汽車の窓に映る景色でお客さんがたくさん乗られるとは私は承っておりません。ここにも矢尾さんがいらっしゃいます。一番詳しいお方です。国鉄の審議会の委員もなさったお方です。その人のお話でも、それほどの観光路線であるとはおっしゃっておらないのであります。今まであなたの方で景色が悪くなったために補償されたためしがございますか。一つずっとあげていただきたい。
○中畑説明員 ほかに例があるかというお話でございますが、ほかに今回の場合のような営業収入の損失を理由といたしましたケースはございません。
○井手委員 景色が悪くなったため補償した例は今までなかった、近江鉄道が初めてでございます。そこで突っ込んで聞かなければなりません。初めてだそうで、しかも金は払ってあるそうですよ。私は運輸委員ですから、あまりここで内輪のことをあれこれ言いたくございませんが、とにかくあなたはこの辺でお考えになるところじゃございませんか。総裁も隣にはいらっしゃる。私はここであまり傷つけたくないんですよ。いかに逃げられても、私はいつまでもこの問題は追及しますよ。でたらめです。なお、あなたの方で至急調査してお答えなさるならば、私は待ってもよろしいと思います。きょうはみな私の方の精鋭をそろえてここに来ております。今までの論議で明らかでございませんか。法律に違反して一億円の金を払っておる。今までに例のない補償をしている。これだけでも明らかじゃございませんか。基準はここにはありませんよ。どうですか、至急に調査して国会に御相談になるようなお考えはございませんか。
○大石(武)政府委員 井手委員のいろいろな御質問の内容あるいは御不審の点はよくわかります。私自身も、常識的な考え方からすれば、多少・・(「多少じゃない」と呼ぶ者あり)多少かどうか知りませんが、とにかくいろいろな意見はあると思います。ただ問題は、結論はあとで申し上げますが、私の考え方を先に申し上げますと、御承知のように、日本の国はまだ残念ながらわれわれが考えている理論通り、筋書き通り運ぶ国ではありません。ごね得という考え方が非常に根を張っております。国鉄だけではない、すべての補償問題につきまして難航しているのは、ごね得精神、一つは役所の方、あるいは工事を実施しようという方の無理解、あるいは官僚的な考え方もございましょうけれども、一面にはごね得という思想が強く日本人の間に支配しているというところに大きな原因があるように私は考えております。そういう意味で、今回の問題もその例に漏れなかったと思うのであります。御承知のように、相手がああいう名だたる強力な会社でございますから、私はこれで国鉄は非常に苦労したと思います。こういうことで、何とかして新幹線を早く通さなければならぬという努力があったために、このような多少と申しますか、いろいろな議論がある。だれが考えても多少議論のあるような解決の仕方ではなかったかと思いますが、その間に私は別にさしたる悪意はなかったように考えているわけでございます。
 しかし、いずれにしても、このような事実問題にもなりましたし、やはりこのような不審の点が相当残るとすれば、われわれ運輸省としましても十分にこれを調査して、監督する義務がございます。補償をどうするかということにつきましては、われわれ一々口を出す権限はございません。一つのりっぱな存在でございますから、口を出す権限はございませんが、問題が起こりました場合には、監督所としての立場から十分に監督しなければなりませんから、お説のようにはたして不正があるかどうかということを十分に調査して、その結果によりましてしかるべき措置をとりたいと考える次第でございます。
○井手委員 総裁にお伺いをいたします。
 今までの質疑応答で大体問題の所在は御理解になったと思います。総裁は信頼する大石常務理事にすべて一任をしておるとおっしゃいました。従って大石常務理事のおやりになったこと、またその発言は全部あなたが御承認なさると考えるわけであります。ところが先刻お聞きの通り、景色による減益補償は今まで一回もありません。近江鉄道が初めてだそうであります。ところが近江鉄道の沿線はそれほど景色がいいかといえば、ここに写真を持って参った人の写真を見ましたけれども、なるほど遠くには山が見えます。たんぼも見えます。しかし近所に東海道新幹線が通ったためにそれほどお客さんが減るとは私どもにはどうしても理解できないのであります。しかもあなたの方からお出しになった補償基準には、どこにもそういうものの補償をするとは書いてございません。日陰になったとか、臭気がするとか、あるいはやかましい音がするとかいうものについては一切補償しないということが書いてあります。景色が悪くなったために補償をしたためしはございません。これについて十河総裁はいかにお考えでございますか。私はなお法律的にもずっとお聞きいたしますけれども、ここで一つ総裁のお考えを承っておきたいと思います。
○十河説明員 運輸省及び国鉄の大石理事や中畑局長からたびたびお答え申し上げましたように、この近江鉄道の場合とよく似た例をたずねてみますと、京阪神鉄道がこれに当たるのじゃないかと思います。京阪神鉄道は、先ほども御説明申し上げましたように、レベルの線路を高く上げることにいたしまして、その上げる費用を国鉄が分担したのであります。近江鉄道もこの例にならって線路を上げてくれ、こういう強い要求があったことは先ほど御説明のあった通りであります。そういうふうにいたしますと、四億とか五億とか金がかかる、国鉄はそういう金を負担しなければならぬということに相なりますから、国鉄といたしましては、でき得る限り東海道新幹線の建設費を安くしたいという考えから、いろいろ折衝をいたしました結果、二億五千万円ですかに落ち着いたわけであります。そこを落ち着けるためには向こうさんでこれこれだといったその申し出を、多少問題のあるところも、これを取り入れることによって妥協ができることになったということでありますから、そういう点を考えていただければ、私も今お話のありましたような点で、いろいろ理論上問題はあろうかと思いますけれども、総合的に考えまして、国鉄の経営、国民の負担をできるだけ軽減しようと努力してやった結果が、四億とか五億とかかかるところを二億五千万円で落ちつけるようにしたということは、先ほど大石政務次官からもお話のありましたように、新幹線総局の努力の結果だと思って、これはやむを得ないことじゃないかと考えております。
○井手委員 総裁がただいま国鉄当局の努力の結果ではないかとお話になった点は、私は総裁の言葉としては受け取りかねるのであります。もう少し謙虚な気持を私はほしかった。私がお伺いしているのは、総合的な問題を政治的なふうに聞いておるわけじゃございません。もし無理なものまとめようとするならば、まとめる方法は別にあるはずです。補償基準にない景色の減益補償までしなくてはならぬはずはどこにもございません。総裁はただいま国民の負担を軽くしたいためのことだとおっしゃいましたが、この景色補償の減益補償は何でございますか。本来ならばびた一文も要らないものを、一億円も払っておるじゃございませんか。国民の負担をそれだけよけいかけておるじゃございませんか。これでどうして国民の負担を軽くするという言葉が言えますか。答弁をすり変えてはいけませんよ。私がお伺いしているのは、景色が悪くなったためにその減益補償をやっておることはけしからぬじゃないか、それは違法行為だ、しかもすでに金を払っておることも違法行違だと私は申し上げておるのである。だからそれに対してお答えを願いたい。近江鉄道が初めてですよ。それを一億円も払っておる。一銭も払わぬでいいものを、あなたが言うならば、なぜ用地買収の補償費で解決しませんか。例のないようなものを、後日ほかの方に非常に波及するような景色補償でやるようなことは絶対いけませんよ。景色補償をしたことは、なぜそういうことをやりましたか、聞いているのです。一億円もの金を、かつてないものを、近江鉄道に限ってなぜ払ったか、これをどうお考えになりますかということを総裁に承っておきます。その点のお答えをいただきたい。
○十河説明員 先ほど申し上げましたように、また同じことを繰り返すようでありますが、四億円、五億円と要求されたものを二億五千万円に切り詰める、圧縮して妥協をするためにそういういろいろな名義を使った。景色の補償とか何とかいう名目にはいろいろ問題があろうかと思いますけれども、やったことはできるだけ補償を少なく圧縮しようというためにやったことであると私は申し上げた次第であります。その名目にはいろいろの問題がありましょうけれども、それよりかできるだけ補償額を少なくしたいということに私は重きを置いているのですから、そういうことの努力を相当やったんじゃないか、そう認めておるということを申し上げた次第であります。名義については、お話の通りいろいろ問題があるかと思います。そういう次第でありますから、これはやむを得なかったのではないか、こう思っておるところであります。
○井手委員 それでは総裁は名義の点についてはいろいろ問題はあるけれども、まとめるためにはいたし方なかった、こういうことですね。それじゃ近江鉄道が二十億も三十億もふっかけた場合はどうなりますか。半分くらいに、あるいは六割くらいに妥協したんだからいいじゃないかというお話です。しかし出すべきものと出してはならぬものは峻固としてあらねばならぬと私は思うのです。景色の補償はしてはならぬはずですよ。そういうものが例になったらどうしますか。今後の鉄道建設に、景色の補償をやるようになったらどうなりますか。相手が実力者だからといって、そういうものをどんどんやったらどういう結果になりますか。そういうやり方は、絶対慎まなくてはならぬのですよ。名義は悪いけれども、しようがなかったということでは、これは済まされません。済ますものではございません。これは後日に大きな尾を引く問題でございますから、この際に明確にしておきたいと思いますが、この近江鉄道に対する支払いは、私はやり直してもらわなくてはならぬと思う。もし土地買収に対して国鉄に誤りがあるならば、それは是正してよろしい。けれども景色の補償をしてはなりませんよ。しかもまだ幾ら減益になるかわからないものに、すでに金を払っておることは、これは断じて許されません。これは近江鉄道から取り戻してもらわねばなりません。それはそうでしょう。景色の補償はしてならぬのに補償しておる、金を払っておる、これは近江鉄道に対する補償はやり直してもらいたい。その御用意があるかどうか。総括的にまとめようという問題ならば、それはほかにやる方法があるはずです。それくらいのことができないような鉄道幹部ではないはずです。そのくらいの政治力がないとは私は思っておりません。やり直しなさい。そういう例のないような、後日に悪例を残すような景色補償はやめてもらいたい。そして別途の方法で考えてもらいたい。違法な金は取り戻してもらいたい。それに対する総裁のお考えを承っておきたいと思います。
○十河説明員 先ほど申し上げましたように、類似の例をとりますと、京阪神鉄道のように、線路を高くしなければならぬのでそういう要求をされた、それと同じようなことをすると大へんな金がかかるからということで、二億五千万円の補償をしたのであります。その補償の内訳に景色の云々という名目を使ったことには、これはお話の通りいろいろ問題があると思いますが、総休の補償額を切り詰めたということについては、非常な努力をした結果ではないか、そう思っております。今のところは私どもこれをあらためてどうこうしようというところまでは考えておりません。
○井手委員 大石政務次官にお伺いいたしますが、十河総裁のお話では、先刻も申し上げたように、名目としては思わしくなかったけれども、まとめるためにこういうことにしたのだ、こういうふうにおっしゃる。しかし景色の補償をするということは、これは大へんな悪例になりますよ。その地方鉄道に及ぼす補償の根拠というものは、地方鉄道軌道整備法によらなくてはならぬはずです。もし今後各方面から景色に対する補償を要求されたらどうしますか。かりに総額において二億五千万円が正しかったとしても、そのやり方は、これはいけませんよ。内容が悪うございますよ。悪いならばこれを直させる必要があると私は考えます。また将来のために運輸省はここにはっきりした態度を示さなくてはならぬと考えておりますが、大石政務次官はこれに対する用意があるかどうか。鉄道に対して、これを直させる御用意があるかどうか。もう国鉄の態度はわかりました。景色に対する名目、これは悪かった、しかし総額において妥当だからがまんしてもらいたいという話です。しかし、そういうことでは今後に悪い影響がございますから、許すわけには参りません。これを直させる御用意がありますか。
○大石(武)政府委員 ただいままでの井手委員の御発言は、十分に考慮の価値があると私は考えます。なるほどその気持においては、あるいは金額においては、必ずしも私は不当であるとは思いませんけれども、その内容に関しましては、あるいは批判につきましては、十分にこれは考えなければならぬと思います。従いまして、十分にその内容を検討いたしまして、なるほどその支払いあるいは補償の項目が不当であるならば、当然これは返還を命ずるとか、あるいはしかるべき措置を講ずるのが妥当であろう、私もそう思います。そのような方法に出て参りたいと考えます。
○井手委員 支払いの内容が不当であるということになりますと、どういうことになりますか。今返還させるとおっしゃいましたね。そうすると景色の補償は返還させるということになりますね。そうでしょう。
○大石(武)政府委員 その内容は、もう少し十分に検討さしていただきます。はたして景色の補償ということでありますかどうか十分に検討しなければなりませんが、もしいろいろな不当な項目がありましたら、これはお説のように返還を命ずることも必要でありましょうし、いろいろな処置をとることも必要であろうと思います。
○井手委員 先般の委員会で、大石常務理事が、あれは景色に対する減益補償であるとはっきりおっしゃいました。速記録にも載っております。もし必要ならば取り寄せましょう。あなたも御記憶がありましょう。それならば返還を命ずべきではございませんか。調査の必要はないと思います。
○大石(武)政府委員 私は、景色に対する補償で払っているのではないと思います。景色が悪くなることによって乗客が減るということの予想に対する補償であろうと思いますが、その考え方が妥当であるかどうか、私今個人で判断できません。従って、しかるべき方法によりましてこれを十分に横付して、妥当であるかないかを検討することが先決だ。その検討した結果によってしかるべく処置を私は命じたいと考えております。
○井手委員 妥当であるかどうかわからぬとおっしゃいますが、それじゃここでもう一つやってみましょうか。
○久保委員 今まで井手委員からお話がありました減収補償のもう一点でありますが、総額一億六百二十万二千円と計算してあります。そのうち普通券の一般収入減価補償額というのが十三年間にわたって補償をするようになっておる。これは観光客が減るということについては今までお話がありましたから、これは除いて、それじゃこの普通券一般収人減についての補償は妥当なりやどうなのか、普通の場合。これは法制局の見解をお伺いしたい。
○關(道)政府委員 具体的な事実は私全然承知しておらないものですから、ちょっとお答えしかねるのでございます。
○久保委員 主たる理由が、その景色が悪くなるから観光客が減るのだ、だから減収だ、それに対する十三年間の補償だ、こういうことを今まで論議されたわけでありますが、普通の収入減というのは、これはちょっとまた話が違うと思うのです。むしろこれは地方鉄道軌道整備法に基づくところの減額補償というか、減益補償というか、そういうことだと思うのです。これで約一億の半額払っているわけですよ。これは鉄監局長、どう思いますか。
○岡本政府委員 たびたび申し上げておりますように、この補償は、地方鉄道軌道整備法第二十四条に基づく補償ではないのでございます。もちろんそういう手続もいたしておりませんし、いわゆる一般の民法による損害賠償に対する補償である、かように考えております。
 そこでこの普通券の場合はどうだというふうなお話でございますけれども、まあいろいろ考え方はあろうと思いますが、観光客がどの程度減るかという一つの推定でございますので、これにつきましては見方によっていろいろあると思うのでございますが、一応国鉄の方でこの程度が妥当であろうというふうに判断したものと思います。私の方でこの判断がはたして妥当であるかどうか、まだ十分検討いたしておりませんが、要するに将来の推定でございますので、なかなかその適否につきまして云々することはきわめて困難な性質のものじゃないか、かように考えております。
○久保委員 私はこれは減額補償の対象にはならぬと思う。たとえば、国鉄の言うことで観光の問題を百歩譲っても、普通券の減益補償というのはあり得ない。なぜなら国有鉄道と東海道新幹線は全然無縁のものですよ。何がゆえに減るのか。しかも補償基準には前段に問題があるが、この後段言いたかったのだろうと思うけれども、さっき中畑局長が言うところの「将来の期待利益については、これを喪失することが確実であると認められる場合に限り補償する。」そうでしょう。これを言いたかったのでしょう。何をもって確実というのです。あなたの方の言うところの観光客が減るということは、なるほどあなたの論法からいえば減るかもしれない。しかしこれは事実に反する。しかし普通券はなぜ減るか。普通の旅客がなぜ減るか。どうして東海道新幹線がわきにできたら減るか。全然無縁のものじゃないか。しかもなぜ確実なんです。確実という証拠は何ですか。ちっともないじゃないですか。十三年間の補償というのは、これは確実だという見込みがどこに立っているのか。こういうところにも問題があるのです。どうもこれは理由にも何にも合いませんけれども、これはどうなんですか。大石常務理事からお答えいただいた方がいいのですか、中畑さんですか、どちらでもけっこうです。
○中畑説明員 旅客収入の減収の影響があります中で、観光旅客の減が一番大きな要素であると考えましたので、その観光旅客収入減について主として今までお答え申し上げたわけでございますが、ただいまお話がございました普通旅客の場合につきましては、近江鉄道の線に並行いたしまして新幹線の大きな路盤ができますので、お官さんがその会社線を利用する機会が減るのじゃないか、その推定に基づいて一般旅客収入減も見込んだようなわけでございます。
○久保委員 作文としてもちっともどうも理由にならぬ。大体こういう問題が今まで表へ出なかったこと自体に私は問題があると思うのです。この前お話ししたときに、十河総裁は知らなかった、大石常務理事以下に全部まかせるという。なるほど特殊な事業でありますから、それもけっこうでありますが、こういうこじつけで金を出すというようなことじゃ断じてまかりならぬ。しかも、鉄監局長もおりますが、鉄監局長はこれはもう地方鉄道軌道整備法とは別のものだという、これでなるほど答弁はいいかもしれませんが、少なくともこれは国鉄にまかしておけぬじゃないかと私は思うのです。大石政務次官は政治的な立場から苦しい答弁をされています。これは単に一つの問題ではなくて、幾つもあるわけです。先般お尋ねした熱海の用地の問題にしても、聞けば聞くほど奇怪しごく。この問題はきょうはやりませんけれども、あとでやります。しかも、私は国鉄総裁と政務次官に聞いておきたいのだが、先般ある報道機関によれば、国鉄は昭和四十一年からかもしれませんが、第二次五カ年計画で東海道から先の山陽線中心の新幹線を中心にしての五カ年計画をやるというのだが、今修正五カ年計画が参議院の予算委員会にかかってまだ可決しない、しかも東海道新幹線で幾多の問題が出てきておる。その中で言っておることは、言うならば山陽の新幹線をつくろうというのが主であって、あとはつけ足しだ。そういうものを今日発表するところに政治的な陰謀がある。これは謙虚に反省してもらいたい。疑わざるを得ない。いまだ五カ年計画が国民の期待にも沿い得なくているのに、ことしの予算は東海道新線に比重を置いて目一ぱいの増額をして、三十九年秋までには開通させよう。そのために既設線区は今日ないがしろになっている。これはどうするのかと言ったら、四十年度までにやるという。ところがそのめども今日ついていない。ついていないのにその先をさらにやろうとする政治的陰謀だ。こういうものでごまかされてはいかぬ。政務次官はそのことを知っていますか。
○大石(武)政府委員 現在の五カ年計画を今実行中でございまして、ワクの先の新しい、昭和四十一年からですか何かの五カ年計画ということは、全然われわれは相談にもあずかっておりませんし、そういうことは何も考えておりません。これは単なるうわさではなかろうかと私は思います。
○久保委員 きょうは東海道新幹線の問題でありますからそれにあまり触れませんが、これは私はうわさではないと思う。こういう世間を甘く見た、国民をばかにした、愚弄したような形はとるべきでない。謙虚に、今やらなければならぬ事業について国鉄の幹部は精励すべきだし、運輸省も大臣以下十分な指導をすべきだと思う。私はこれ以上申し上げませんが、少なくともこういう問題は不愉快しごく。
○矢尾委員 今までの質問で大体補償の問題等につきましては、最後に運輸省の方で十分調査して検討するということでありますから、私は一つ踏切の問題についてお伺いしておきまして、そのことにつきましても運輸省として調査を進めていただきたいと思います。
 その前に一つ申し上げておきたいと思いますのは、先ほど総裁が京阪電車の補償問題について申されましたが、京阪神方面のような交通事情のところと、近江鉄道は大体一時間に一本くらい通っている、そういう五分に一本とか三分に一本通っているところとそれを同じような立場で高架にやれというのは笑いものです。一時間に一本しか通っていないいなかの線路を高架にせよというようなことは、これはしろうとだましにはよろしいけれども、実際問題として笑われます。こんなことになぜ金を使うかと笑われます。そうするとこの前の委員会におきまして大石理事が、近江鉄道は観光を阻害されたということを言われました。しかしながら近江鉄道の延長は相当長い、そのうちの七キロです。七キロの間は、ごらんになるとわかりますが、大体田んぼです。そして遠くに山が見える。そうするとあの幹線ができたことによって回りの景色が見えぬようなこともあります。そうして国鉄の工事の現場の担当者にも私はちょっと聞きましたが、近江鉄道からいろいろ要求があって、いわゆる築堤でいいやつを高架でやっていったのがずっと長いのです。現地に行きますと踏切のあるところ、見通しのきかぬところは全部これは高架になっております。そして築堤になっているところは、これは大体田んぼです。そして町になったところはちゃんと高架になっています。ずっとなっています。それで見通しがきくとかきかぬとか、踏切ということになりますけれども、私は踏切は行って見てきました。しかしながら一番大きな町、愛知川町ですが、その町の踏切も踏切番はおりません。踏切注意という札というか、こんな看板が横になっています。一番大きな踏切において踏切番がおりません。そうすると、これは沿線に五十三カ所の踏切をこしらえるということでございますが、ちょっとお聞きしたいのは、こういう七キロの間に現在幾つ踏切があるかということです。現在ある踏切は幾つあるか。国鉄と並行しているのです。ずっと米原から彦根にいく間においては国鉄の踏切がありますけれども、大体において近江鉄道としての踏切が幾つあるか。そうすると、今度七キロの間に五十三カ所も踏切をこしらえるということは、納得することはできないのです。そうしますと、今まで踏切番がおらなかった踏切に踏切番を置く、また多少交通のひんぱんでないようなところには警鐘機を置かれるいうようなことで、いわゆる踏切というものを完備されるのか、現在ない踏切を完備されるのか。現在幾つあるかということを、そうして今度こしらえる五十三カ所という踏切がどういうような配置になっておるか。わからなければ、運輸省の方においても調査されるということでございますから、そういう点においても調査していただきたい。そういう築堤の下をくぐれるように、将来を考えて、工事の方で三つか四つあけています。しかし道路はないのです。両方は田んぼになっている。田んぼの中に将来道ができたら――あぜ道ができるか何ができるか、できないかわかりませんが、人があっちに行ったりこっちに行ったりしますために、幹線の方に穴はあけておりますけれども、そういうところにも踏切番を置いてやられるのであるかどうか。その踏切に対する構想ということについても、八千五百万円からの補償を出しておられるのでありますから、詳細に私は報告もあり調査をされておると考えるのでありますが、この内容につきまして、一応お答え願いたいと思います。
○中畑説明員 在来どれだけの踏切があったかというお尋ねでございますが、手元にはっきりした数字を書きました資料を持っておりませんので、お答えいたしかねるのでございますが、先刻私の方の大石常務から御説明いたしました、踏切の数五十三と申し上げましたのは、その中に現在の踏切を改良いたしますものが入っておりますので、五十三全部新設をするというわけではございません。踏切の中で、将来の交通量を考えまして、自動の遮断機にいたしますものとか、あるいは警報機を置きますものとか、あるいは踏切の幅を広げますものとか、いろいろございますので、それをひっくるめて全部で五十三と申し上げております。
○矢尾委員 資料を置いてきたということでございますから、今すぐというわけではありませんが、八千五百万円からの補償をせられるのであるから、詳細にその報告なり調査をせられたと思いますが、それにつきまして、次会までに一つ御報告を願いたいと思います。
 先ほどの話にまた戻りますけれども、片一方の築堤のまくら木が腐るとかなんとかということを言っておりますけれども、それも実際まくら木が、築堤のやつは――線路の上を流れるならまくら木も腐るかわからないけれども、相当間隔があるのですから、そこに小さな溝があれば水が流れるということもあり得るから、そしてそういうことも考えますならば、私は補償のことにつきましても、運輸省の方としても、十分――現地にいってもらう、そして調べてもらったらよくわかると思いますので、一つ踏切の問題につきまして、次の機会に資料を提出してもらいたいと思います。
○井手委員 関連がございまして中断いたしましたが、ただいま矢尾さんから、怪談みたいな近江鉄道五十三次のお話がございましたが、私はこの機会に会計検査院にお伺いをいたしたいと思います。
 大体お聞きになっただろうと思いますが、この近江鉄道に対する防護補強工事費補償、それから減益補償について、会計検査院でも相当関心を持っておられるということを承っておるのでありますが、調査をなさいましたか、その結果は大体いかがでございましたか、お伺いをいたしたいと思います。
○白木会計検査院説明員 お答え申し上げます。
 近江鉄道に対します補償につきましては、御承知の通り三十六年の末に一億五千万の概算払いが行なわれておりまして、これにつきましては、昨年の三月に国鉄から関係書類等全部いただいております。従いまして私の方でも昨年来内容を検討し、国鉄当局からも御説明を聴取しておりますが、これは担当の方の話では、本年度内には一応精算ということになるようでございますけれども、概算払いでございますので、内容を検討しておりますけれども、まだ結論を下しておりません。
 それから、昨年の六月に出されました減益補償の分、この分につきましては、三十七年度の他の国鉄の経費と同様、私どもの方の業務の建前上、現在及びこれから検討する事態でございまして、いずれも、ただいま結論的なことを申し述べることを差し控えさしていただきたいと思います。
○井手委員 昨年六月であれば三十七年度でございますから、ただいま検査中であることはわかりましたけれども、大体印象としてはわかるはずであります。これは好ましくないというので、内容を重大と見て深刻に御調査をなさっておりますかどうですか、その点だけでけっこうです。
○白木会計検査院説明員 近江鉄道に限らず、新幹線関係の工事は、ただいま国鉄においても特に重点的に施行されておりますので、私どもでも全般的に特に重点を置いて検査しております。近江鉄道に対する補償の分も、もちろん検討いたしております。ただ結論的なことにつきましては、先ほど来申し上げますように、私どもの業務の建前上ここで申し上げかねるわけでございます。
○井手委員 鉄監局長にお伺いをいたしますが、ただいま会計検査院のお話では、昨年の三月にはかなり詳細に国鉄から説明を聞いたということでございますが、鉄監局長は、大体そういうようなものはもう御承知でございましたね。今の減益補償をやったとかなんとかというものについては、御承知でございましょうね。あるいは今の一億円については昨年の六月――昨年の三月の説明にはなかったと思うのですけれども、国鉄がどういうことをやっておるかについては、あなたはかねがねよく御存じであったろうと思いますが、その点はいかがでございますか。
○岡本政府委員 遺憾ながら全然知らなかったのでございます。もちろん監督上、法律に定められた手続をいたしますような事柄につきましては、私としても当然承知すべきでございましょうし、また承知もいたしておるつもりでございますが、個々の補償につきましては、全然報告も受けておりません。従いまして某新聞に出るまで全然知らなかったような次第でございます。
○井手委員 この近江鉄道に関する補償問題やその他の問題、いろいろ私どもは国会として審議しなくてはならぬ問題が多々あると思います。承れば承るほど奇々怪々なものばかりでございます。先刻せっかく総裁からお話がございましたけれども、それでわれわれは承知するわけには参らないのであります。十分検討いたしたいと思っております。しかしただいま鉄監局長からもお話があったように、残念ながら報告を聞いていないということでございますし、大石政務次官も内容については詳しくまだ承知しない部分がおありだろうと思います。またこの席でこの重大な問題に対する結論的なお話を言明なさるわけには政務次官として参らぬだろうと思う。当然ここには運輸大臣の出席を願わなくてはなりません。そういう意味で、私はこの近江鉄道の補償に対しては、きょうのところはこれ以上追求はいたしませんが、今まで論議いたしましたところでは、明らかに不法行為であります。不当じゃございません。違法行為であります。出してはならないものを出しておる、莫大な補償を払っておることに対して、運輸当局はすみやかに調査をしなくてはならぬと考えます。これは野党ばかりの意見ではございません。与党の方々もこれは大へんだというお顔をなさっておる。私に私語もなさいました。そこで運輸当局においては、この内容をすみやかに調査をして、不法なもの、また一部不当なものに対しては、直ちに訂正を求め、是正を行なう適当な処置をとることが私はきわめて必要であると考えますし、おそらく運輸当局はそうなさるであろうと私どもは考えておりますので、この次まで私はこの問題の追及を控えておきたい、運輸当局は、すみやかに内容を調査して、そしていかにこれを阻止したか、是正したかという報告をここに行なわれる御用意がおありになるかどうか、この点を承っておきたいと思う。
○大石(武)政府委員 先ほど申し上げましたように、ただいまの御意見に賛成でございます。私どももこれをうやむやにするわけには参りませんし、これを鮮明にして、しかるべき処置をとりたいと思います。そういう意味におきまして、十分に調査いたしまして、その調査の結果によって適宜な処置をとることをはっきり申し上げます。ただしそれを明確にするには多少時間がかかると思います。従いまして、この次というわけには参りませんかもしれませんが、できるだけ敏速に取り上げますから、その間多少のお時間を拝借いたしたいと思います。
○木村委員長 勝澤芳雄君。
○勝澤委員 私は十日、十一日と国鉄の飯山線の改善対策特別委員会の茅野忠夫という会長の要請で飯田線の特に北部地区を見てきたのであります。特に飯田におきましては、地元の市町村長によってつくられております伊那谷開発同盟会の飯田市長の松井副会長、あるいは理事の清水助役、あるいは今村事務局長さんたちといろいろ懇談をいたしました。その際国鉄に対する数点の、要望がありました。特に飯田線は、前に豊川、鳳来寺、三信、伊那と戦争中に買収した民間鉄道でありまして、昔、雨が降ると不通になったり、あるいは土砂崩壊や落石の事故などが絶えなかったわけでありますが、最近は特に国鉄の思い切った投資によりまして改善されました。また合理化につきましても、当局を初め従業員一体となりまして努力の結果、営業成績も相当よくなったようでございます。しかし最近の輸送事情をみますと、この際やはり輸送力の増強が必要になってきているようであります。具体的な問題につきましては、地元の管理局長に要望いたすことにいたしまして、特にこの際本社のこの増強に対する計画概要についてまず最初にお尋ねいたしたいと存じます。
○遠藤説明員 飯田線はお話のように戦争中に国鉄線に編入されまして、その後国鉄は、防災設備を強化いたしますとか、あるいは車両の増備をいたしますとか、逐次輸送サービスの改善をはかって参りました。特に防災関係につきましては、国鉄になりましてから相当思い切った投資をやったわけでございます。三十六年も五千五百万円、三十七年も五千八百万円というふうな大きな投資をいたしまして、安全を期しておるのでございます。サービス改善につきましては、これも逐次増強をいたしておるのでございます。地元の御要望もございまして、名古屋方面あるいは新宿に直通する準急の増発等も行ないまして、逐次増強をやっておる次第でございますが、まだまだ地元の御要求が相当に強いのでございます。準急の問題につきましては、ただいま確定的なことは申し上げる段階になっておりませんけれども、国鉄資金の関係上、卒業債を相当程度持っていただきまして、優等列車を増発したらどうかという計画もございまして、これも逐次進捗をいたすのではないかと思っております。
○勝澤委員 特にこの赤石山系を中心とした森林資源というものは相当膨大なものであるようでありますし、また豊密な地下資源、特に石灰石の優秀なものがたくさんあるようでありますが、最近森林開発公団によって林道の開発が行なわれているようでありまして、赤石林道が三十九年に完成をいたしますと相当な材木が出てくる。しかし今のような輸送状態ですと、とうていこの輸送を完遂することは困難だというようなことで、着々これについても検討をされ、具体的な要請もなされているようでありますが、これらに対処する受け入れといいますか、計画はいかがでしょうか。
○遠藤説明員 ただいまお尋ねのございました石灰石の件は、私どももかねてから伺っておるわけでございます。埋蔵量といたしますれば非常に膨大なものがある、かような話は伺っておりますが、まだ具体的に採掘の計画が進んでおらないように承っております。もちろん採掘の計画が進捗いたしますれば、われわれの方もそれに伴いまして輸送力の増強をいたすつもりでございます。
 それから森林資源の開発につきましては私どもも今まで伺ったことがないのでありますが、もちろん資源とすれば非常にたくさんあることは承知しております。林道の問題等は今初めて伺いましたが、さっそく調べまして、もし輸送力増強が必要ならば検討いたすつもりでございます。
○勝澤委員 特に地域的な問題ですから、本社の把握がされていない点もあろうかと思いますが、現地の様子を聞きますと、約一億石だ、日本内地の中で一番大きな森林資源だといわれておるようであります。三十九年には大林道が完成するという話が出ておりまして、本年度六億五千万円で森林公団が計画をされておるようでありますが、ぜひ御検討願いたいと存じます。
 それから次に、特に当地では踏切の統合の問題あるいは改廃の問題について、この伊那谷開発同盟会自体が各市町村に具体的に検討をさせて、そうして推進をしているようでありまして、これは市町村が計画をして国鉄と一緒になってやっておるということで、私も大へん驚いたわけでありますが、特に踏切の統合や改廃に伴って、迂回道路用の鉄道用地の払い下げについて、国鉄の立場としては、市価で払い下げたいという気持を持っているようでありますが、こま切れの土地で、地元の市町村としては個人に払い下げるのではなくて、地方自治体で、しかも国鉄の要請、社会の必要によって協力してやっているのであるから、やはりこういう場合には、何か市価というよりも、特別な価格の払い下げができないものだろうかというような要請がありますし、また特に統合や改廃の場合の工事費の地元負担を軽減してもらいたい。道路として使われておるものを、今度は舗装すると、地元でやってくれなければ舗装させない。二十年も三十年もそれが道路に使われている。国鉄にはいろいろ法規上問題はあろうかと存じますけれども、やはりこういうような場合においては、ある程度特別な考慮が払われていいのではないだろうか、こういうように思うのですが、それらの点についていかがでしょうか。
○遠藤説明員 ただいまのお話は、踏切の改廃によりまして、結局道路のつけかえというような場合かと思います。国鉄の用地を道路に使うといいますか、転用する場合の措置は、私もよく承知しておりませんけれども、大体地方自治体との交換的な場合が多いのではないかと思いますけれども、これも国鉄は何もそういう踏切といいますか、道路の敷地になるような土地を高く売ろうという考えはないわけでございまして、なるべく地元の御希望に応じますように善処したいと思うのでございます。
○勝澤委員 それから今の問題は常務の担当でもございませんので、いろいろと意見があろうと思いますけれども、ぜひ検討していただきたいと思います。
 次に、貨物駅の集約についてであります。特に地元の市町村長あるいは農協の関係者と緊密な連絡を持って、いろいろと北管理所とも一緒になって計画をやられているようでありますが、たとえば山吹駅の貨物の取り扱い廃止のことで、地元の高森町の本島議長あるいは山吹農協の高野組合長さんなどからいろいろお伺いしたのでありますが、現在山吹という駅は貨物線が短くて、しかも配車がないということで、一部の地域では近所の市田の駅とかあるいは飯田の駅に持っていって発送しておるのであります。もし全面的に廃止をされると、この付近の地域は道路が完備されていないので、輸送費の負担が大へんなものになる。従って今道路が計画されているので、道路ができるまで待ってくれというような話をしているようであります。これはいずれ具体的な問題については、また地元の局長に御検討願うことにいたしますが、やはりこういうような場合、一律に国鉄として一つの基準できめずに、地元の要請、付近の状態というようなものを考えてやるべきだ、こういうように思うのであります。これらの点についてのお考えはいかがでしょうか。
○遠藤説明員 貨物駅の集約につきましては、たとえば降雪地帯で冬季非常に駅が遠いと困るとか、あるいはただいま道路を工事中であって、それができるまでは困るというような、地方におきましていろいろ御事情があるのでございまして、これは私ども本社でも全部を把握してもおりませんけれども、地方々々でよく地元の実情も承りまして、実情に即したような処理をさすように努力いたしたいと思います。
○勝澤委員 それから次に、駅のホームの問題でちょっと聞いたのですが、たとえばそこに上片桐という駅があるのです。この駅は四両飯田線が走っているのですけれども、ホームが短いので二両しかつかない、はしごをかけて乗りおりしておる。この間も時間がなくて、あわてておりたので、けがした人があるということであります。しかもここには私立高校があって、約六割の人が電車を利用している。一日の乗降が二千五百人くらいだということでありますが、全国でもいろいろとこういう個所があると思うのです。飯田線は、特にまたこれは社線から引き継いだものでございますから、こういう点があると思うのですが、これらの問題についてもできるだけやはりお考えを願いたい、こういうように思うのです。
○遠藤説明員 ただいまお尋ねの点につきましては、具体的にその駅について私は存じておりませんが、現地に連絡をいたしまして、よく検討したいと思います。
○勝澤委員 現地の局の方でも飯田線の特別対策委員会を、局長が中心になられて、地元の伊那谷開発を民間団体の人たち相談をしながらやられておるようでありますが、一つできるだけ本社の方でも十分――これは旧社線から引き継いだいろいろと古い設備でありますから、隘路があろうと思うのですが、しかしこれらの地域開発からいって大へん重要視しなければならぬ地域でありまして、おくれておる地域でありますので、十分御検討を願いたいと存じます。また具体的な問題につきましては、地元の局長に要請をいたしまして善処していただきたいと思いますので、この程度で終わります。
 最後に鉄監局長にお尋ねしたいのですが、この地域で飯田−下呂線の建設計画がおありになるようでありまして、特に伊那谷の開発ということは、飯田線の輸送力を増強する、あるいは道路網を整備することは、当面緊急な必要なことでありますけれども、しかし将来といたしまして、この飯田−下呂線というものが完成いたしますと、現在飯田から名古屋に五時間四十分かかるのが三時間に短縮されるというようになるのでありまして、輸送力が倍加されると同時に、赤石、中央アルプスあるいは木曽山系等の未開発資源の開発に多大の貢献をするものでありまして、今新線建設公団というような計画もあるようでありますけれども、これはやはり私たちとしては、こういうものができてもそう促進されるとは思いませんけれども、一つ鉄監としてのこういうものについてのお考えを伺いたい。これは何か予定線ですか、着工線ですか、入っておるようでありますけれども、その辺の見通しをお尋ねしたい。
○岡本政府委員 仰せのように、飯田−下呂間の新線につきましては、予定線ではございますが、すでに鉄道建設審議会で、予算の都合を考えて、着工すべきものと思うというふうな建議をいただいておりまして、予算の都合のつき次第具体的に着工をしなければならぬ、こういうことになっております。確かに沿線には相当資源もございますし、われわれの気持といたしましては、相なるべくなら早くこれを着工したい、かように考えております。ただ経過地が御承知のように非常に急峻な山岳地帯でございますので、相当工事は難航するとは思いますけれども、その必要性は十分ございますので、できるだけ早く着工したい、かように考えております。
○大石(武)政府委員 ちょっと一言補足させていただきます。
 飯田−下呂間の新線につきまして、これは着工線でございますから、要するにいつでも予算さえつけば着工できる格好になるわけでございます。ただ御承知のように、現在までは国鉄が毎年約七十五億の金を出しまして新線建設に着工しておるわけでございますが、これは非常にわずかな金でございまして、なかなか皆さんの希望するような方向まで進んでおりません。そこでわれわれは、何とかしてこういう未着工の着工線を早く促進したいという念願のもとに、今回当委員会に日本鉄道建設公団法案提案をいたしまして、皆様の御要望に早く沿えるように促進いたしたいと願っておるわけでございます。この公団法が成立いたしますれば、国鉄だけの予算の責任がさらに国全体あるいは公団の責任でありまして、その何倍かの予算をつくり得る可能性がございますので、そういう意味において早く着工いたします方針でございますので、何とぞこの法案の促進もお願いいたしたいと存じます。
○勝澤委員 政務次官、建設公団ができればすぐ線路ができるようなお話なんですけれども、今まで長い間やってきてできないものを、公団ができればつくれるというようなうまい話には私はいかないと思うのです。この公団のつくり方につきまして、私たちも意見を持っております。またこの法案が出ましたときに十分意見を申し上げて、一つ従来の隘路、そして公団がいいか、あるいはどういうやり方がいいか、建設的な意見を出しますので、ぜひ一つ取り入れていただいてやっていただきたいと存じます。
 もう時間もおそくなりまして、時間もないようでありますから、私はこれで質問を終わります。
○木村委員長 肥田次郎君。
○肥田委員 私が質問いたしたいと思いますのは、御承知のようにきのう大館の付近でディーゼル車の火災事件がありました。これについて概要でよろしいから御報告いただきたい。
○遠藤説明員 昨三月十二日の午前七時五十五分でございます。奥羽本線の白沢−大館間で、ディーゼル急行の「あけぼの」という列車でございますが、列車番号七〇二、四両編成でございますが、その最後部のディーゼル・カーから火が出ました。乗客から知らせがありまして、車掌が自分の持っている消火器ともう一つの消火器を使いまして直ちに消火を行なったのでありますが、火は消えなかった。列車は運転されておりまして、車掌が消火にかかりましてから二分たちまして大館の駅へ入ったわけでございます。乗客は大体七割程度乗車しておったのでございますが、火が出ましたのが四両編成の最後の車で、その前の車に乗客は全部移りまして、乗客には何ら被害はございませんでした。それから、大館に着きましてもやはり火が燃えておりましたので、地元の消防の援助も得まして消火をいたしまして、発生が七時五十五分でございましたが、八時十九分、全く鎮火をいたしております。その車は大館で解放して列車は出発したわけでございます。この原因でございますが、ディーゼル・カーは特急「はつかり」ができましたころよく火が出たという事故がございまして、国鉄技術陣をあげて調査研究をいたしました。その結果、かつて特急「はつかり」の運転開始のころ火が出ましたということは、下の機械の過熱によりまして煙が出たわけでございます。その問題は現存全く解消されておるのでございまして、今回のこの火災の原因はまだはっきりいたしませんけれども、機械の部分には、現在点検されている状態におきましては全然異状がないわけでございます。そこで焼けましたのは最後の車の約半分の座席と側――座席の横の化粧板と申しまするか、座席と化粧板なのでございます。天井は焦げておりますが、床面は全然異常がない。従いまして機械の異常ではないのではないか。おそらく座席の、おすわりになっているここに灰ざらがございますが、その付近から出たように思われますので、多分そうなんじゃないか、目下のところこういう推定なのでございます。これはもっとよく調べなければ何とも申し上げることができないわけでございまして、今日ただいま下の機械の部分を広げましてそれぞれの機器を点検、解体いたしているわけでございます。それが終わりますと、はっきり機械の部分でなかった、あるいはどこであろうというようなことがわかるのではないか、かように思っております。現在まだ、確認しましてはっきりこうだというふうに申し上げられる段階にはなっていないわけでございます。
○肥田委員 簡単に答えてもらって、けっこうなんですが、私が聞きたいのは、故障の原因がどこにあるかというような問題じゃなしに、一番疑問に思ったのは、消火に努めたということです。それからこれは、消火に努めたけれども停車はしなかったのでしょう。いわゆる運転を続行しておった。この関係を私は聞きたいわけなんです。新聞で見ると、二キロ走った、こういうのですね。そうして結局駅に入るまで燃えている車をそのまま引っぱっていって、そして停止をした、こういう形でしょう。これが理解できないのです。要するに、乗客は全部安全な車へ移動させた、だから停車する必要がないということで、火を吹いている車をそのまま運転しながら行ったのか、あるいはこの程度の火災なら大丈夫だというのでそのまま運転を続行したのか、この関係を聞きたいのです。
○遠藤説明員 先ほど申し上げましたように、乗客からの連絡がございまして、車掌が本務運転士にそれを告げたわけでございます。ところが本務運転士は後部を見たわけでございます。後部オーライということでやっております。後部を見ましたのですが、全然煙が出ている形跡がなかったということでございまして、自分は運転を継続し、そして補助の運転士が最後部の車に急いで行ったわけでございます。その補助の運転士が最後部の車に行きましたときには、列車は大館に到着していた時間だった、そういう経過になっております。
○肥田委員 ディーゼル車、急行車にしても、二キロ走ろうと思えば少なくとも三分はかかりますね。入構直前のスピードですから常識的に二分ないし三分だろうと思うのです。それで車掌が乗客から知らせを受けて、そして消火に努めた、そして車掌が本務運転士に連絡をした、本務運転士はかわりの人をうしろへ派遣をした、そうして運転を続行した。この関係、何か手抜かりがありはしないかと思うのです。問題はそこです。私の言っているのはそこです。運転士がうしろを見たけれどもという、四両ですからそれは見えますね。見えるけれども、大して異状なしと認めて運転をしたということと、それから車掌が消火をしながら運転士に連絡をしたということとのこの相互の理解というものが、何かこうとんちんかんだと思うのですよ。幸い乗客を避難させたからいいようなものの、私はやはり常識としては、火災車から乗客を避難させたら、その火災車を切り離す処置がとられなければならぬ。もしとめたらすぐ火が燃えて――というようなことになるとするなら、火災車とその前車との間を遮蔽をして前車に燃え移ることを防ぐ方法だってとれるだろうし、燃えている車をそのまま引っぱっていったということは、たとい二分間、三分間であったにしても、この処置がいいか悪いか、この点を私は聞いているのです。
○遠藤説明員 車掌が火災が起きたという知らせを受けましたときにおりました位置は、四両編成の三両目の前のところなんです。結局四両編成の長さでいくとまん中にいたわけです。後部の車から火が出ていることを乗客から聞きまして、運転室へ知らせに行った、そして自分は最後部に消火に行った、そういうようなことになっておるわけであります。
○肥田委員 よくわからないのですが、車掌はお客から知らせを受けて運転士に知らせて、またあと返りして消火に努めた、こういうことですか、どうなんですか。そうすると客の誘導はだれがやったのですか。乗客が任意で燃えてない車に移動したのですか。
○遠藤説明員 私がただいまもらっております報得では、乗車中の公安官と客貸車区の職員が乗客の誘導をし、消火に協力をしたという報告を受けておりますが、こまかい平時はこれ以上まだよくわからないのでございます。
○肥田委員 これはよく調査してもらいたいと思います。幸いこれは火災で人が焼け死んだとかいうことじゃなかったので、それでいいと思いますが、ただ、燃えている車をそのまま二キロも運転したという処置というものが適当であるかということについては、慎重に検討してもらいたいと思います。これは検討すべき性質のものだと思います。私は一がいに停車するのが妥当であるとは言いませんが、しかし少なくとも、車両が火災を起こしたら、乗客が安全車に向かって移動を終了したら、その車を切り離すという処置がとられる、あるいは停車して何らかの処置をとるのが常識なんです。ところがそれをそのまま駅まで走り込んでしまったというのは、運転士が安全だと見込んだから走り込んだのだというなら、これはあやまちだと思うのです。燃えている車を引っぱってそのまま駅へ飛び込んだ。消化設備がないから非常処置としてそういうことをやったというなら、理由がはっきりしなければ、指導上の問題としてこれは取り上げるべき性質のものだと思う。燃えている車をそのまま引っぱっていったという、ただそのことだけでは不安心でかなわぬという気がしたので質問したわけです。
○遠藤説明員 車両が火災になりました場合は、当然停車いたします。しかしこの場合は車掌がいましたときに、タバコの火が――多分そうだろうと思いますけれども、ぶすぶすけぶっておった状態ではないかと思うのでございまして、それが進行している場合に前の方まで座席が焦げていったということではないかと思うのでございますが、よく調査いたしまして……。
     ――――◇―――――
○木村委員長 次に、踏切道の改良促進及び踏切保安員の配置等に関する法律案を議題として審査を行ないます。質疑の通告がありますのでこれを許します。肥田次郎君。
○肥田委員 これは鉄監局長の方にお伺いをしたいと思います。
 先日に引き続きまして、原因者という解釈をもう少しはっきりしておきませんと、この第十八条で、「第十二条から前条までに規定する費用の算定方法その他その費用に関し必要な事項は、政令で定める。」こういうふうになっているわけです。ですから、経費の分担区分というものに対する協議事項というこの内容は、それぞれの算定をする場合、補助額の算定あるいは当事者同士協定してその分担額をきめる際のものの考え方というものがもう少しはっきりしていないと、多分にいろいろな支障が出てくるのではないかと考えるわけです。私がこの前に申し上げましたように、原因者というものの考え方の起点はある程度整理しておかなければならないと考える。ですから私はこの前、いわゆる原因者というものの解釈はこういう考え方でよろしいのかという質問をしたわけです。これはしまいの方では若干しっぱなしになっておりましたから、あらためて私の方でお聞きいたしたいのは、原因者という解釈はただ単に踏切を現在持ち、どうしようということから始まる原因者ではなしに、ずっとその前から引き続いてきたところの原因者的な要素というものがあるのじゃないか。そうすると、私が言うのは、前から引き続いた条件というものが原因者の条件の中に含まれるべきなんだ、それが起点になって分担額というものがきめられるべきだろう、こういう考え方を持っておるわけです。鉄監局長の方でそういうものを直接指導される際に、この原因者というものの解釈がわれわれと違っておったのではまた困ると思いまして、お聞きしておるわけです。
○岡本政府委員 原因打というものの中には、仰せのように確かに時間的な要素が入る場合がございます。と申しますのは、ある私鉄と道路とが交差しておりまして、それを交通量の点から見ても当然立体交差にすべきであるというような場合に、普通の考え方からいたしますと、両者がそれぞれ受益の範囲内においてその立体交差にする経費を分担し合うのでございますけれども、よく分析してみますと、実はその道路は既存の鉄道に新しく交差してきたものであって、その際の設計協議で原因者である道路側が全部立体交差に要する経費を負担するということになっておるにもかかわらず、財源その他の関係から道路管理者側がそのままにこれを放擲しておりまして、なかなか立体交差ができないというケースも相当ございますので、やはり個々の踏切につきまして過去のいろいろな事情を究明してみませんと、はたしてだれが原因者であるかということははっきりいたさないのでございまして、一般的に言い得ますことは、その交差につきまして交差を必要とした工事を起こした者が原因者であるということだと考えます。
○肥田委員 十三条の関係であればこれは論議の余地はない、実にはっきりしておるのですね。鉄道が交差しようと思えば、それが原因者だから全額負担、それから道路が新たに立体交差しようと思えば、これも原因者だから全額負担、それぞれ原因者が全額を持ちなさい、これははっきりしておるわけです。ただ相互負担ということになって協議をしなければならぬということになると、やはり原因者というものが経費分担の比重を大きく変えるわけですから、国が立体交差を指示するような場合には、やはり国が原因者という立場に置かれておる、こういう論理を私は言っておるわけなのです。これが間違っておれば間違っておると言ってもらえればいいと思うんです。若干意見の交換もその点についてしてみたいと思います。私が言っておるのは、最初から既設鉄道がある、そこにあとから細い道路がだんだん太くなって、そしていわゆる府県道になる。府県道以上にこれが昇格するということは、まず特殊な例を除いてほかにはないと思いますけれども、そういう際に、いわゆるだんだん拡幅された道路、そういう時間的な条件がある場合に、これを立体交差しなければならぬという条件が起きたときに、これはえてしていわゆる相互負担という割前を当てられる。地方においては特にそういうことになりがちだと思うのです。だからそういう際に、お前の方も半分持ちなさい、こういう場合が起きてくるわけです。そこで問題が起きるのは、鉄道側については、これは最初はこんな広い道路じゃなかった、だんだん広げてこういう道路になった、だから絶えずそれは必要に応じて府なり県なりがこのような条件にしてきたのだから、これを立体交差しなければならぬという条件が起きてきた場合には、これは府なら府、県なら県が全額打つべきがあたりまえなんだ、こういう意見が出てくるわけです。ですからそこでは、やはり協議してという項目ではなしに、原因者という解釈をとろうとする鉄道側と、それからいわゆる協議という解釈を当てはめようとする道路管理者側と、こういう場合が生じてくると思います。そのときに、私はやはりはっきりした解釈が必要ではないか、こう思っているわけです。
○岡本政府委員 そういうふうな考え方も確かにあろうかと存じますが、平面交差のものを立体交差にしなければならない原因はどこにあるかと申しますと、道路交通量が経済の発達によりまして非常にふえてきた、あるいは鉄道自体におきまして、列車回数がふえたとか、あるいはスピード・アップしなければならぬとか、やはり双方にある。もっと根本的にいいますと、社会経済の発展発達によってそういう必要が起こってくるのだというふうなことでございまして、この場合の経費の負担をどうするかということにつきましては、現在では両君が協議してきめるということになっておりまして、仰せのような原因老がだれであるかということを探求いたしましてきめるという考え方は採用いたしておりません。しかし考え方としては、社会経済の発展による交通量の増加、あるいは運転回数の増加ということは、要するに具体的な原因者はつかめないが、こういった場合には、国家が、その具体的につかめない原因者の肩がわりをするのだという考え方は確かに成り立つとは思いますけれども、現在は両者で負担する、こういう建前でございます。
○肥田委員 それぐらいにしておきたいと思いますが、要するに立体交差を指定するという指示を国がするとなれば、やはりそういうあいまいな場合には、国がその主役を買わなければならぬだろうと思うのですね。いわゆる国が原因者の立場に立たなければならぬだろう、こういうことを言っておるわけです。もちろん相互に公共的な責任を分担しなければならぬという面は、これはあります。これは否定するわけじゃないのです。けれども、これに要する経費が問題なんで、莫大な経費を要するがゆえに、それの負担額を双方がなすり合う、こういう結果が起きてくるわけですから、そこらを問題にしておるわけです。
 そこで、この十八条のいわゆる政令で定める費用の算定方法というのは、ここでは、要するに負担額についてのみというふうに解釈をされますか。それともそうではなしに、協議をする範囲までもっと明細にこの政令というものの中に入ってくるというふうに理解をしておったらいいですか。これはどちらでしょうか。
○岡本政府委員 この法案は、申し上げるまでもなく、政府提案ではございませんので、そういう解釈の問題につきましては、提案者の方から御説明になるのが筋だと存じます。もちろん政府といたしましては、国会法五十七条に基づきまして、予算関係を伴う法案でございますので、内閣として意見を申し上げることはできる筋になっておりますので、その意見につきましては、目下政府部内で調整中でございますので、この点また申し上げる機会もあるかと存じますが、ただいま先生のお尋ねは、提案者とかそういうことでなしに、政府の行政当局としてどういうふうにこれは解釈したらいいか、お前の解釈についての考え方を聞きたい、こういうお尋ねであろうかと存じます。もちろんこの十八条は、「費用に関し必要な事項は、政令で定める。」とございますので、普通の解釈でございますれば、一切がっさいこの政令できめるということに相なるかと思います。先生のおっしゃる通りであると存じます。
○肥田委員 それから、ずっと進みまして、今度は二十二条の資金の確保という項なんですが、これは現行のいわゆる促進法、この中でも資金対策としてはうたわれておるのですが、いわゆる現行の促進法で、踏切の改良指定、警報機あるいは遮断機をつける、この改良指定をされた件数、それから、これは第一次から第何次までいっておりますか、ちょっと今こちらで資料を持っておらぬので、そちらでわかっておったらお知らせを願いたいと思います。
○岡本政府委員 保安設備の改良の指定の状況から申し上げますと、第一次分といたしまして、昭和三十七年の二月二十三日付で、国鉄一千百四十五カ所、私鉄七百九十三カ所、合計一千九百三十八カ所を指定いたしました。それから、同年の四月三十日付をもちまして、さらに国鉄六十八カ所、私鉄四十九カ所、合計百十七カ所の追加指定を行なったのでございます。
 それから立体交差化の指定の状況でございますが、これは三十七年の二月二十六日付をもちまして、第一次分として、国鉄百二十四カ所、私鉄二十一カ所、合計言四十五カ所を指定いたしております。さらに、三十七年の九月四日付をもちまして、第二次分として、国鉄百十八カ所、私鉄十四カ所、百三十二カ所を指定いたしております。
 なお昨年十月に、私の方、それから国鉄におきまして、全国の踏切道の交通量調査を実施いたしましたが、その調査結果も参考にいたしまして、第三次指定を実施するように準備いたしております。
 それから構造改良の指定の状況でございますが、これは多少ひまどりまして、建設省といろいろ具体的個所について協議を進めまして、三十七年の十一月二十八日付をもちまして国鉄二十八カ所、私鉄三十四カ所、合計六十二カ所を指定いたしました。これにつきましてもなお今後調査を進めまして、必要個所を追加指定いたしたいと考えております。
 今後の指定の計画は、国鉄につきましては昭和三十九年度、私鉄は昭和四十年度までに整備したいという保安設備の個所数は、国鉄が一千百カ所、私鉄が千二百カ所、合計四千三百カ所でございます。
 それから先般来当委員会でも御報告申し上げましたように、南武線の事故にかんがみまして、複線電化区間にあります踏切道の保安設備の整備も取り上げたいというので、これを昭和三十八年度から指定に加えることに相なっております。従いまして省令による指定基準を改正いたしまして、複線電化区間の踏切道の保安設備の整備を取り上げる予定でございますが、その個所数は国鉄が三千二百カ所、私鉄が三千カ所、計六千二百カ所程度と目下のところ考えております。これらの踏切道を国鉄は昭和四十年度までに、私鉄は昭和四十二年度までに整備したい、こういうことでございます。
 そのほか、第四種の無人踏切で二メートルをこえるものにつきましては、踏切道改良促進法を改正しまして、すべて保安設備を整備させたい、こういう予定でございますが、その個所数は国鉄が一万三千六百カ所、私鉄が七千六百カ所、合計二万一千二百カ所に上るものと考えております。これらの踏切道は国鉄は昭和四一九年度までに、私鉄は昭和四十九年度までに整備させたい、かように考えております。
 それから第三種の踏切道でございまして、つまり今警報機が置いてある踏切道ではあるが、交通量がさらに多くなって参りますので、これを第一種つまり遮断機を置く、あるいは踏切警手を置くというふうな必要のあるものにつきましても、指定基準に従いまして指定いたしておりますのが国鉄三十三カ所、私鉄六十九カ所、計百二カ所でございます。今後国鉄一千カ所、私鉄四百カ所、合計千四百カ所程度を追加指定したい、こういうふうに考えております。
○肥田委員 ちょっと余談になりますが聞きたいのは、この整備の指定で、第二次指定というのですか、そのころに実はこういうことがありました。例の構造改良ということで、会社の名前言いませんけれども、率先的にやろうというので、二メートル以下の踏切に対してトラ標をつけて五十万円くらいかけたようです。やったところがそれがだめになって、せっかく率先して入れた経費がふいになってしまった。あらためてまた指定通りにやり直さなければならぬ、こういうふうな事件があったということを聞いたのですが、そういう手違いはどこで起きたのでしょうか。たとえば今言ったように、そのときは構造改良で踏切の幅の基準を政令で変えられたのですか。
○岡本政府委員 踏切道の構造の改良に関する省令がございまして、これで初めて構造改良すべき個所の指定の基準ができたわけでございます。これが三十七年一月十二日運輸建設省令第一号でございますが、お話のケースにおきましては、そのときまでにおそらく事業者が自発的にトラ柵といったようなものを設けまして、積極的に事故防止に努めようということで、そういう設備をしたものと思われますが、この省令を公布いたしました以後におきまして、この省令の内容を変えたというようなことはございません。従いまして、仰せのような場合には、この省令公布前に横柄的、自発的に事業者が取り上げて、この省令が出ましたので、今度はその省令に基づいての推定が行なわれて、あるいはせっかく行ないました施設も一応撤去してやるという、手戻りになったものであるかとも考えられますが、詳細は調べてみませんとよくわかりません。
○肥田委員 よくわかりました。そこでこの問題の二十二条の関係なんですが、実は先般予算委員会の分科会でもちょっと申し上げたように、この踏切道改良だけを見ても、実は私鉄関係では今約八百カ所ほどの改良に要する経費が、これも約十三億ぐらいだろう、こういう報告をしています。立体の分は別なんですが、そういう多額の経費が、この法案が通ったあとにおいてはさらにかかるわけなんで、現行の指定の中でも、最終的にやられる計画ということになると、これがために莫大な経費を要する、こういうことになるわけです。いわゆるこの資金を確保する現在の政府の態度といいますか、対策というものが、相手方もあるということでなかなか思うようにいかない、こういう事実は認めるわけです。しかし、現実にこうした改良のための経費というものが莫大にかかる、そうして高い金利を払わなければならぬ、こういう問題について、これは現行法と新しくここに提案をしている法との双方に関係することですから、こちらで申し上げたいことは、要するに資金確保という面で、低利融資という面で、現行よりもっと積極的な方法が約束されないものだろうか。そうしないと、たとえば今鉄監局長のお答えの中にもありましたように、国鉄の場合には四十五年度、私鉄の場合は最終的には四十九年度、こういうふうに最初二年ぐらい開いておったものが最終的には四年も開いて、そこで最終目的を達成させよう、こういうふうに、明らかに私鉄の資金繰りがむずかしいという、格差を認めておられるわけです。ですから、こういう施設改良ということについては、積極的な低利融資という対策が考えられないと、現行法でも、それからこうして新しく提案をしておる恒久法においても、どちらにしても不可能だという形になるわけです。この点について、一つはっきりした約束ができるような内容についてお考え方を承っておきたいと思います。
○岡本政府委員 立体交差につきましては、開発銀行の方がこれを融資の対象にするということをはっきりきめておりまして、昭和三十七年度の実績は、阪神電鉄関係でございますが、七千万円の融資をいたしております。今後大電鉄におきまして、比較的立体交差のケースが多くなると思いますが、開発銀行も積極的な好意を持っておりますので、この方面の融資は割合スムーズにいくと考えております。脚越は保安設備の関係でございまして、たとえば大きな私鉄になりますと、相当の経費を要します。保安設備は一件あたりは比較的少額で済みますけれども、多数に上りますと、やはり相当の経費を要するということになりますが、これにつきましては、やはり開発銀行を通じまして、主として地域開発の観点からの融資を折衝いたしております。従いまして、開発銀行の本店でなくて、支店を通じて折衝するように陸運局長を指導いたしておりますので、この面の融資も多少道が開けてくるというように期待いたしております。が、なお全般的には仰せのように確かに足りませんので、今後も積極的に努力して参りたいと考えております。
○肥田委員 保安設備の改良あるいは新設についても、これを全額開銀融資という方向に持っていってもらわなければ、私はこれはなかなか難問題だと思うんです。たとえばこういう改良設備を要するところは、もうほとんどと言っていいくらい都市周辺なんですから、これの指定から漏れるようなところについてはおのずから都市から離れるわけなんです。いわゆる地方鉄道といえば、大であろうと小であろうと同じ条件に置かれておる。大は大なりに個所が多くなりますし、それぞれ経費の負担に莫大なものを要しておる。ですからみんなこの金利に悩んでおるのです。金利に悩むから、自然、工事に取りかかるのがおそくなる、こういうことを訴えております。ですから、これは市銀を通じての融資ということではなしに、この樹については少なくとも開銀の融資というものが約束をされる、こういうところまでなっていかないと、私はなかなかこの実現がむずかしいだろうと思うんです。相手方のあることですから、とにかくむずかしいこととは思うんですけれども、今日まで私らが耳にしますところでは、地方鉄道がいうところの営利企業であるというような概念がやはりあります。確かにそういう面もあると思います。けれども、地方鉄道が営利企業であるという形態は、今後はだんだんなくなっていくだろう。結局、鉄道で損をする血を何らかの他の企業で穴埋めをしておる。この穴埋めをする他の企業、傍系企業というものは一体どういう性質のものかといいますと、これはいろいろといかがわしいものがあります。たとえば、不必要な娯楽施設で乗客を集める方法をとってみたり、土地を買い占めておいて、買い占めた土地を売ることによって、そのさやでいろいろとやりくりをしておる。ですから結局、乗客を沿線に誘致する方法も、すなおに見ると、なかなか事業的な改築のように見えるのですけれども、実際はそうじゃない。来客を誘致するというこの考え方は是認するとしても、安い二束三文の土地を買い占めておいて、別ないわゆる不動産会社というものをつくって、そこで高い土地につくり変えて、そしてそこに人を住まわせる。結局、なるほど公定料金で運賃は押えられておるけれども、片一方ではいわゆる土代、家代、そういうようなもので不当な金を払っておるのですね。そういうからくりといいますか、やりくりをやっておるわけです。ですから決して健全なやり方ではない。限度がありまするから、一時そういう状態でしのいでおる態勢です。いわゆる企業意欲の旺盛な鉄道といえども、早晩都市の周辺の交通輸送という問題については行き詰まってくるだろう、こういうふうに考えられるわけです。ですから健全な指導をするということは、これらに対してそういう無理をやらせないという指導上の対策も必要でありましょうし、それから同時に、この資金対策というものを政府が積極的に講じてやる、こういうことが必要だろうと思うのです。私企業が営利と結びつくという考え方は、これは一にかかって経営者の経営方法というものが悪いのですから、これを特にかばおうという気はありません。けれども、現実に非常に莫大な経費を公共的な名によって求めねばならぬという事態がやってきたのですから、いわゆる指導方法においても、根本的にそういう考え方をもって指事されるということが必要だろうと思うわけです。ですから、ただ単にそれぞれの財力にまかして、企業能力にまかして融資をさせるという態度ではなしに、いわゆる低利融資というものを積極的に政府の方であっせんをしてやる、こういうことを特に考慮していただかなければならぬと思います。そういうことで、特にこの二十二条の資金の確保という点については、現行の法律であろうと、それから今ここに提案された法案であろうと、これが実現しなければ、なかなか指定通りの実績は上がってこない、こう思いますので、特にこの点を要望しておきたいと思います。
 私の質問は一応これで終わります。
○木村委員長 次会は明後十五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三十八分散会