第043回国会 大蔵委員会 第40号
昭和三十八年六月二十七日(木曜日)
    午前十一時十七分開議
 出席委員
   委員長 臼井 莊一君
   理事 足立 篤郎君 理事 鴨田 宗一君
   理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
   理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君
   理事 平岡忠次郎君 理事 堀  昌雄君
      安藤  覺君    伊藤 五郎君
      大久保武雄君    岡田 修一君
      金子 一平君    久保田藤麿君
      田澤 吉郎君    高見 三郎君
      濱田 幸雄君    藤井 勝志君
      藤枝 泉介君    坊  秀男君
      佐藤觀次郎君    坪野 米男君
      芳賀  貢君    広瀬 秀吉君
      武藤 山治君    横山 利秋君
      春日 一幸君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        農 林 大 臣 重政 誠之君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  原田  憲君
        大蔵事務官
        (主税局長)  泉 美之松君
        大蔵事務官
        (関税局長)  佐々木庸一君
        大蔵事務官
        (理財局長)  吉岡 英一君
        農林政務次官  津島 文治君
        食糧庁長官   大澤  融君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (食糧庁業務第
        二部長)    中西 一郎君
        専  門  員 抜井 光三君
    ―――――――――――――
六月二十五日
 委員芳賀貢君辞任につき、その補欠として野口
 忠夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員野口忠夫君辞任につき、その補欠として芳
 賀貢君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国とタイとの間の条約
 の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案
 (内閣提出第一四一号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国とマラヤ連邦との間
 の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する
 法律案(内閣提出第一八〇号)
 明治三十二年発行の英貨公債を償還する等のた
 め発行する外貨公債に関する特別措置法案(内
 閣提出第一八一号)
 関税暫定措置法及び砂糖消費税法の一部を改正
 する法律案(内閣提出第一八三号)
 砂糖消費税法を廃止する法律案(有馬輝武君外
 八名提出、衆法第四二号)
     ――――◇―――――
○臼井委員長 これより会議を開きます。
 明治三十二年発行の英貨公債を償還する等のため発行する外貨公債に関する特別措置法案を議題といたします。
 本案につきましては、去る二十五日質疑を終了いたしております。
 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 採決いたします。本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
○臼井委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とタイとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、及び所得に対する租税に関する二重課税の回遊及び脱税の防止のための日本国とマラヤ連邦との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 御質疑はありませんか。――御質疑がないようですから、これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ることといたします。
 採決いたします。両案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、両案はいずれも原案のとおり可決いたしました。
 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○臼井委員長 内閣提出の関税暫定措置法及び砂糖消費税法の一部を改正する法律案、及び有馬輝武君外八名提出の砂糖消費税法を廃止する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑に入ります。通告がありますので、これを許します。佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 最近の国際原糖価格の騰貴を考えてみましても、日本の砂糖の値上がりは非常にひど過ぎます。すなわち、キロ袋詰め百八十円にもなっておりますが、政府は一体物価の上昇の根本原因をどのように理解しておられるのか、砂糖の消費価格の値上がりの原因をどのように考えているのか、まず大臣から伺いたいと思います。
○田中国務大臣 今回の砂糖の値上がりは、御承知のとおり国際糖価が急激に上昇いたしましたので、輸入価格も当然高くなっておりますので、これが国内価格も相当上回っておるということが、大きな原因だと考えておるわけであります。
○佐藤(觀)委員 それから第二は、最近の原料糖の輸入価格の推移はどのようになっているのか、また現在の輸入量の推移、在庫状況はどのようになっておるのか、返事のほかにこの資料を出してもらいたいと思います。
○田中国務大臣 こまかい数字の推移は事務当局から答弁をせしめますが、御承知のとおり三セント程度のものが急激に、ここ四、五カ月のうちに四セントになり、五セントになり、六セントになり、最高は十一セントというようなところまで上がったようでございますが、その後少し下がりまして、現在は私の承知するところでは七セント、六セントというような状態まできているのではないかというふうに考えられます。
○佐藤(觀)委員 これまで自由市場での価格は大体ポンド当たり三セントから五セントを上下していましたが、かつて五セント以上になったのは朝鮮戦争のときの七・四一セント、次のスエズ動乱直後の五七年四月には六・四六セントと上がったのでありますが、こういうような値上がりは非常に珍しいことでありまして、最近のアメリカのキューバ貿易妨害の影響で六セントをはるかにこえて十二セントにまでなってきたといのでありますが、現状はどのようになっておりますか、その数字を御説明願いたいと思います。
○田中国務大臣 これからの国際糖価がどのように上がっていくか、下がるかということは、こまかにはなかなかむずかしい問題でありますが、今度急激に上がりました原因、想定できる原因を申し上げますと、国際的に非常に砂糖の消費量がふえておるということが第一点であります。第二点は、キューバ事件によりまして、キューバにおける砂糖の生産が急激に落ちたということと、それから同時に大量の砂糖がソ連によって買われ、これが世界の自由市場に放出をせられなかったという問題が数えられます。その次には時同じくヨーロッパ各地におけるてん菜糖の不作という問題も大きな原因だと考えられます。その次に考えられますのは、これはこまかい資料は持ちませんが、御承知のとおり砂糖の産地はヨーロッパ諸国等が相当長い間投資をしてこれが増産をはかってまいったわけでありますが、戦後産地の国々が新しく独立をして軍事的な問題とか民放的ないろいろな問題に重点が置かれまして、どうも世界の砂糖の消費量が伸びる方向にあるにもかかわらず、砂糖の生産はおおむね停滞状況にあるというような問題が、大きな値上がりの原因であろうというふうに想定せられるわけであります。また下がってきつつあるのはどういう原因かというと、ソ連が三百万トンのキューバ糖の放出を言明いたしましたり、その後いろいろな事情がございまして、十二セント、十一セント、十セント、九セントというような状態で下がっておりますが、現存の考えで二、三年将来を見通すときに、かつてのように三セントというような状態になるかということにつきましては、四セント近い値段にはなかなかならないのではないかというようなことが現在考えられるわけであります。
○佐藤(觀)委員 最近の砂糖値上がりのひどいことは大臣も御存じだと思いますが、日本の原料糖輸入の状況は、すでに三セント程度の安値で九月分ぐらいまでは在庫があるということを聞いております。なぜこのような値上がりをするのか。むしろ業者の国際価格に便乗した値上げが問題でないかということがいわれております。これに対して政府はどのような手を打っておられるのか。一部では輸入割り当てをめぐって巨額の政治献金がなされているといううわさもありますが、そういう点について御意見を大臣から伺いたいと思います。
○田中国務大臣 御承知のとおり昭和三十八年の砂糖割り当ては百三十万トンだと思いますが、それに加えまして上期削り当て五十数万トンにプラス十万トン、六十万トン余を上半期に割り当てておるわけであります。これは農林省がやっておることでございますが、こういうことによりまして輸入量も非常にすみやかにふえるということで、国内糖価もある程度落ちついてきておるのではないかというふうに考えられます。それから国際糖価が上がったけれども、うんと上がって十セント、十二セントになったときの砂糖はまだ入ってきていない。少なくとも溶糖はしてないのだから三セント、三セントちょっとの砂糖が入ってきておるにもかかわらず百四十四円まで上がったということはどういうことかということは、先回当委員会においても、また参議院においても御質問があったようでありますが、こういう問題につきましては、いやしくも便乗値上げをするというようなことに対してはたいへんな問題でありますので、食糧庁当局ではこれらの砂糖業者の内容等をしさいに検討いたしまして、いやしくも便乗値上げというようなことが絶対にないように行政指導をやっておるはずでございます。こまかいことは農林省当局からお答えすると思います。
○大澤(融)政府委員 大蔵大臣からお話し申し上げたので大体尽きていると思います。ひところのように百四十七、八円というような卸売り価格が出たことがございますが、手持ちの砂糖の放出をいたしますとか、いまお話しのありました十万トン追加割り当てということで溶糖量をふやすというような指導をいたしまして、現在は百三十五円か百三十七円というような程度の落ちつきを見せておる状態でございます。
○有馬(輝)委員 関連してお伺いいたしますが、いまの長官の指導の面につきまして、各社別に輸入の時期、その数量等を把握しておられるかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
○大澤(融)政府委員 おもなところは、どのくらいの価格で、どのくらいのものをつかんでおるかということはわかると思います。
○佐藤(觀)委員 田中さん御存じのように、砂糖はどこの国でも税金がかかっております。しかし、アメリカでは大体一〇%、イギリスは六%、西独が一五%、フランスが三二・七%、どうも日本の四五%というのは少し高過ぎはせぬか。もう一つの原因は、精糖会社の中間利潤と便乗値上げの問題にあるんじゃないかということがいわれております。かりにキロ百四十円としても、流通経費二十円と見ても五十円から六十円程度がコストということになるのでありますが、かりにポンド六セントの最高値で入れても、約四十八円、これまではせいぜいキロ三十円から四十円くらいだとすれば、その輸入割り当てを受けるだけでぼろもうけになるように考えられます。精糖会社の段階を含む中間機構がどういうようなことになっておるのか、また大臣はどのようにお考えになっておるか。この際私たち社会党が消費税を撤廃すべきでないかというような法案まで出しておるのは、そういう理由によりますが、大臣はその点でどういうように思っておられますか、お伺いしたいと思います。
○田中国務大臣 砂糖業者がどのようにして値段をきめるかは農林省の所管になりますから、技術的な問題に対しては、農林省からお答えいたすのでありますが、国際糖価は現在は、五・〇四セントということに統計上なっておりますので、これで計算しますと、百三十四円くらいになる、こういうことでありますので、いままでの百四十何円まで上がったということが、一体ぼろもうけがあったのか、またそういうような便乗値上げがあったのか、そうではなく、そのような値上げになるような要因があったのかというような問題に対しては、しかるべく農林省が行政指導をしておるはずであります。
○有馬(輝)委員 いまの佐藤さんの質問に関連しまして大臣にお伺いいたしますが、四月二十七日だったと思いますけれども、毎日新聞か何かで大臣の税制に関する長期の展望に立った十カ年計画というものが報じられておりまして、そこで、いままでの減税にしても、税制調査会の答申に従って、そのつどそのつどやってきた、こういった形は改めていかなければいかぬ、長期の展望に立った税制というもの、特に減税について検討していかなければいかぬということで、二、三点あげておられます。しかしそれは、たとえば高層建築に関する考え方とか、あるいは所得税のやり残し減税、こういったものにしぼられておったようでありまして、やはり総合的な物価体系の中でこの税制を考えるというような点については、新聞記事を通じては伺えなかったのであります。問題はやはり物価対策の中で、十カ年計画を立てられるならばそこら辺が柱にならなければいかぬと思うのでありますが、そういった点が伺えなかったのはどういうことなのか、またその十カ年計画の中で、大臣としてはどのような構想をこの点について持っておられるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
○田中国務大臣 当時何かの新聞に、私が減税問題に対する方向をしゃべったというような記事がありましたことは、私も承知をいたしております。しかしこれは将来の税制に対してどういうふうにいたしますかというような明確な質問があって、私がそれに対応して答えたのではないのであります。これは一時間か一時間半お互いに雑談をしたりという中に、減税は毎年々々というようなことで一体いいんですか、税制調査会との問題は一体どうなっておるのですかというような話がいろいろありましたときに、減税というものは十カ年一兆円くらいの目標を立てて、結局相当長期な見通しに立ってやらないと、つぎはぎだらけの減税政策をやっておってはなかなか実効が上がらないのではないか、私はそういう意味で、過去約十カ年に一兆一千億の減税をしてきたのだから、今度はその年その年というよりも、貿易為替の自由化、いや関税の一括引き下げ問題やOECDの加盟というような、そういう動かすことのできないような国際情勢に対応するのであるから、国民の前にも税法や税制そのものを基本的に再検討していくということを税制調査会にお願いもしておりますし、そういう趨勢から見まして、長期展望に立った税制でなければならぬと同時に、少なくともある目標を立てて、その目標にだんだんと近づけていくような減税こそ好ましいものである、こういうことを申したわけでありまして、現在まだどのように具体的にどういう方向で、おおむね額は幾らで、というようなことを想定しておるわけでもありませんし、考えておるわけでもありません。ただこんなにして土地をどんどんどんどんと造成をしていくということをやっておっても、土地が少ないから造成さえすればいいのだと言って、平面都市がだんだんと広がっていく場合には、政府が考えておるように、民間が考えておるような方向と逆なものがくるし、空閑地税というようなものをやるならば、一体どうなるかと言えば、バラックがうんと立つじゃないか。空閑地とは一体いかなるものか、空閑地と建築基準法で言う建蔽率とはどういうふうな調整をするのかというような問題を考えてみますと、どうも行き当たりばったりのものを考えてはならぬので、土地改造はどうあるべきか、宅地の造成はどうあるべきか、住宅改造に関しては原則的にどういう方向をとるべきか、物価対策等を考える場合に、おおむねめどをどうするかというような場合に、やはり政策目標を立てていくことがより合理的であろう、税制調査会の意見等も聞いてしかるべくやりたいですな、こういうような話が記事に載ったのでございまして、いま鋭意検討いたしておる段階でございます。
○佐藤(觀)委員 政府は、最初には関税を十円下げるということを発表しておりましたが、その後わが党から消費税の撤廃を言われると、今度のように関税を五円、消費税を五円というような、まことにあいまいな法案が出てまいりました。その根拠は一体どこにあるのか、またこの程度の値下げでは消費者は何ら恩恵を受けぬと思っておりますが、大臣はどんなふうに考えておられますか。
○田中国務大臣 先ほど申し上げましたように、関税の引き下げを政府が企図いたしましたのは、御承知のとおり国際糖価が非常に上がりましたので、これが消費価格を抑えるためにも関税率の引き下げということを企図いたしたわけでございます。佐藤さんも御承知でありましょうが、世界で一番高い関税であり、四十一円五十銭というのでございますが、新聞や雑誌にも、世界一高い砂糖をなめさせられている――どうもこれは大蔵省がそういうことをやっているように、絶えず非難も受けておりますし、特に国際糖価が上がっておりますので、その意味からいいますと、関税率を引き下げるということが原則的な方向であろうということで、当初関税率の引き下げということにウエートを置いたわけでございます。しかしその後皆さんからの御意見もございました。社会党さんも、消費税でも引き下げよ、こういうこともございましたし、またわが党の中にもそうあるべきだというお話もございましたので、その後いろいろな面から検討いたしました結果、関税で五円、消費税で五円ということにいたして御審議を願っておるわけでございます。消費税の五円というのは十円も下げられるじゃないかということでございますが、黒糖との問題、再製糖との問題、そういう零細な業者を不利にすることによって倒産をせしめるというようなことでは非常に因りますので、そういうものが第二の合理化に十分対応できるような状態が達成せられるまでは、現在の段階において消費税の引き下げは五円を限度とするというように考えまして、両方で合わせて十円の引き下げを行なうということにいたしたわけでございます。
○佐藤(觀)委員 関税と消費税の砂糖小売り価格への影響をどのように考えておられるのか、それが第一点。
 第二点は、今度の関税と消費税の引き下げが小売り価格に実際に反映するのか、小売り価格が下がるのかという一つの保証があるかどうか、これも伺いたいと思います。
○田中国務大臣 減税をいたしますのは、あえて年度内減税を行なって、減収を覚悟でやるのでありますから、国民の立場に立って安い砂糖を使っていただく、最終の消費価格は、政府が税率を下げましたものはそのとおり、より以上に下げていただくことを企図いたしておるわけでございますが、しかし実際の問題から見ますと、もうすでに現在百四十四円まで上がりましたものが百三十七、八円、先ほどの食糧庁長官の言によりますと、百三十七円というのでありますが、こういうところまで下がったということは、国際糖価が下がったということも、精神的に、また営業的見通しの上において影響のあることはもちろんでございますが、政府が少なくともどっちかにして十円下げるだろう、こういうようなことも織り込んで相当下がっておるということは看取されるわけであります。でありますが、現在の百三十七円という価格にどのくらい織り込んでおるのか、これはもう専門的にひとつ検討しながらより以上に下げなければならぬという考えでございます。特に先ほども申し上げましたとおり、いままでの輸入糖の原価が五・〇四セントであるということから逆算をしますと、百三十四、五円ということでありますから、もう少し、この法律が通って減税ができる場合には、そういうものが消費価格に必ず反映をするであろうということを期待いたしておるわけであります。
○佐藤(觀)委員 いま田中さんからいろいろ御意見がございましたが、お中元を前にして小売りの値段がさらに上がるのではないかということがいわれております。また一方においては、関税という障壁を高くしておりますけれども、日本の国は貿易の自由化ということを打ち出しておる、これは矛盾じゃないか。関税の障壁を高くして、いま言われたように世界で一番高い関税をとっているというのは、自由化との非常な矛盾があるように考えられますが、この点は大臣どのようにお考えになっておりますか。
○田中国務大臣 砂糖も自由化をしなければならない方向であるということは、政府も言明いたしておりますし、国民各位もそのように考えておられるわけであります。しかし、国内糖の保護ということもございますし、国際紛争その他によりまして、国際糖価が三セントのものが十二セントまで上がるというようなことではたいへんなので、国産糖は三セント四十五か四セントくらいにできるのでありますから、何年間のうちには少なくとも国民が消費をする五割近いものを国産糖で何とか間に合わせるような方向がいま打ち出されておりますし、この間も甘味資源特別措置法が委員会を通過したというような状態でございますので、どうもこれを無視しまして関税率を引きしけるというわけにはいかないわけであります。でありますから、今度は五円引き下げて、同時に政令委任をしていただきまして、国際糖価が非常に高くなったような場合に、消費者価格を抑えるために弾力的運用ができるようにいたしますとともに、御承知のように今度国際糖価がうんと下がってしまうと乱売、ダンピングというような政治的な配慮も考えられるおけでありますが、そのようなことで国産糖が非常にたたかれるというような場合を顧慮いたしまして、その場合には引き上げる、こういうことをいたしておるわけです。まだまだそういうことが大きくあってどうにもならない場合には、緊急関税をもってある程度引き上げなければならぬという場合もあるわけであります。でありますから、これは要すれば国産糖というものが安定をし、合理化をされ、だんだんと安くいいものが大量に確保できるということと相まって、この関税問題を片づけていかなければならぬ、このように考えておるわけであります。
○佐藤(觀)委員 大臣に質問する前に、大澤食糧庁長官にもう二、三点伺いたいと思います。あとで専門家の芳賀委員や有馬委員からも質問があると思いますが、国内のビートの問題がなかなか思うようにいかない、やはり国内産の保護のためにいろいろの税制上の措置をとらなければならぬようなことをわれわれ聞いておりますが、現状は一体どうなっておるのか、期待されておったビートはどういうことになっておりますか。概略でけっこうでございますから、ひとつ食糧庁長官からお願いいたします。
○大澤(融)政府委員 御承知のように、昭和三十四年に甘味資源総合対策というようなものをまとめまして、十年後に大体国内の消費量が百、五十万トンくらいになるだろう。それの半分くらいは北海道のビート、あるいは暖地のビート、奄美大島の甘蔗糖、こういうもので自給し得るのではないか、またそういうようにつとめようではないかということで、いろいろの施策を進めてまいったのですが、昨年あるいはことしを見ましても、生産のほうは当初予期しておったのに比べてそこまでいかないにもかかわらず、消費者のほうは十年後に百五十万トンくらいというようなことを考えておりましたのが、すでにもう百五十万トン台の消費になるというように、当時予想しておりましたのとは非常に事情が変わってきた。したがいまして、甘味資源全体の問題について再検討をしなければならぬという事態が起こっておりまして、甘味資源について北海道のてん菜の生産振興のための臨時の法律があったのですが、それが昨年の三月期限が切れるようなこともございましたが、もっと深く突っ込んで研究をして恒久的な立法をしようじゃないかということで、一年間かけまして御承知のように先般農林水産委員会できめていただいたような甘味資源特別措置法のような形で御審議を願ったのであります。そういうことと相関連いたしまして、私どもとしては適地でビートあるいは甘蔗糖の振興をはかって、できるだけ結果としては自給力を高めてまいりたいということで、生産対策あるいは価格対策あるいは合同対策というような各般の面でつとめている段階でございます。
○佐藤(觀)委員 同僚委員からいろいろな質問があるかと存じますので、あまり詳しいことは伺いませんけれども、私は五、六年前にユーゴスラビアに約十日ぐらいおりまして、てん菜糖の豊富なことまたてん菜大根のうまく栽培されておることに感心したのでありますが、日本の北海道は大体緯度からも温度からもユーゴスラビアと同じぐらいではないかと思われますが、ユーゴスラビアでは非常に成功しておるやに聞いております。ところが日本では、この間テレビでも見ましたけれども、ビートをつくるにも収支が償わなければつくれぬということで、費用なんかの関係もありまして、なかなか思うようにいかぬということを言っておりますが、いま日本の甘味対策の問題で長官から話がありましたが、しかし何らかの形で日本が自立自営の政策を行なう場合には、国内のてん菜糖の栽培の問題、農民が自分の生産費を割るようなそういう対策ではこういうことはできないと思います。そういう点の結果はどうなっているか、あとで芳賀さんから御質問があるかと思いますが、私たちは北海道はどうかわかりませんけれども、そういう傾向ではないかと考えておりますが、長官はどうお考えになっておりますか、お伺いをしておきたいと思います。
○大澤(融)政府委員 従来の北海道のてん菜取引価格は統計調査部で別に生産費調査をしておりますが、取引価格は生産費調査から出てまいります生産費よりは高い数字になっております。伸びないという原因はいろいろな考え方があるわけですが、私ども見ておりますのではやはり畜産と結びついて伸びなければいけないのに、並行的な伸びをなかなか示さない、あるいはまた御承知のように非常に労力のかかるものですが、労力がだんだん農村からなくなるというような問題もあり、それに並行して労力が減るのに機械化がそれほど進まないというような問題で、生産の伸びが当初予期しておったよりは鈍かったということだと思います。
○佐藤(觀)委員 時間がありませんから、もう二、三点大臣に伺いたいと思いますが、砂糖の最近の値上がりから、日本の砂糖業者は零細だからというような問題もあるし、それから過当競争というようなお話もあるそうでありますが、砂糖業者の合同とか、合併するというような会社の助成をするような考えが政府にあるのかどうか、いまのままで砂糖行政は円満にいくのかどうかということを大臣から伺いたいと思います。
○田中国務大臣 砂糖難者は非常にたくさんあるのであります。貿易、為替の自由化ということを考えていきますと、当然合理化もすると当時に、合併、統合等も不可避だと思います。不可避というよりもそういう方向で指導していくべきだろうと思います。こういう方針にのっとりまして、農林省当局としましてこれらの問題を具体的に進めておられると思いますが、内容につきましては食糧庁当局から答弁をいたします。
○大澤(融)政府委員 私の直接の所管でございませんけれども、ビートの生産を上げるために、先ほど申し上げたように、伸びが鈍るという点の原因を幾つかあげられるわけですが、そういうものに対処するような方法、たとえば労働力不可というようなものに対処するための機械化とか、あるいはペーパーポットというような新しい技術もございますが、そういうものを進めるとか、あるいは土壌そのものをビート生産に適するように改良していくとかいうような面に、予算あるいは融資措置を講じて力を入れておるような次第でございます。
○佐藤(觀)委員 もう一点、大臣に伺っておきたいと思うのですが、どうも何でも、自由化をやるという立場で、政府が非常に自由化々々々ということを盛んに言っておられますが、しかしヨーロッパの諸国でも、砂糖にはやはりそういうような自由化がむずかしいので、いろいろの規制を設けてやっております。大体、日本でも、自給度が非常に少ないので、砂糖行政は非常にむずかしいと思っておりますが、一体砂糖の民営国管方式のような考え方は政府にないものか、あるいは何とか所得補償方式というような方法が考えられないかどうかということを大臣に伺っておきたいと思います。
○田中国務大臣 その昔、砂糖を国管、国営式なものにして、外糖については食管で買え、買うほうがより合理的であるというような話を、社会党の皆さんからだと思いますが伺ったことがございます。しかし、現在、政府は、食管で砂糖を買い入れるというような考えは持っておりません。でございますから、国管、国営というようなことは、いまの時点においては考えておらぬということを明らかにいたしておきます。
 それから自由化に対しても、そうやみくもに自由化ができるというふうに考えておるわけではないのでありまして、御承知の甘味資源特別措置法等もいま審議せられておるのでありますから、国内産糖というものとのバランスを十分考えながら、しかも国産糖の将来の需給見通し、それに対する具体的な政策、それからなお、先ほどあなたが言われましたように、砂糖業者が非常にたくさんありますので、こういうものがどのように合理化をしていくかというような問題も広範に調整をとりながら、自由化の方向に進んでいくという方針が正しいというように考えておるわけであります。
○佐藤(觀)委員 最後に、大臣と長官に伺っておきますが、砂糖輸入の合理的な打開のために、貿易機構を是正するような必要があるのではないかと考えます。特に、アメリカのキューバの封鎖事件以来、原糖が非常に高くなりまして、いろいろな矛盾が国内に起きております。キューバと外国との問題のために、非常に日本の砂糖がこういうような問題になるというのは、何らかの形で打開する必要があるのではないかと思いますが、何かほかの方法で原糖を輸入する道はないのか、この点を、大臣及び大澤長官に伺いたいと思います。
○田中国務大臣 先ほど申し上げましたように、国際的な紛争その他日本に関係のない事象に基づきましてうんと高くなる――安くなることはけっこうだと思いますが、高くなる、こういうことであっては困るということで、今度の関税では政令輸入をしていただきまして、それに対応しまして国内産糖を保護しながら、できるだけ合理的な安いものを国民に使っていただく、こういう方向をお願いしているわけであります。
○大澤(融)政府委員 国内の製糖資本も、たとえばタイでありますとかあるいはインドネシアというところに出ていって砂糖をふやす、あるいはオーストラリアですとか、インドとかいうところからの安い砂糖の買い付けをふやすというようなことでいろいろ努力をしております。
○臼井委員長 芳賀貢君。
○芳賀委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、今回の関税暫定措置法の改正と砂糖消費税法の改正を通じて、これは国民に対して砂糖の消費価格を下げるということを目的にしていると思うのですが、どの程度の価格、国内糖価ですね、標準的な糖価というものを安定させるお考えであるか。
○田中国務大臣 国内糖価は、あなたのほうが専門でありまして、なかなか私からお答えすることはむずかしいと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、国内てん菜糖の影響というものを非常に強く考えておりますし、将来国内糖の自給という問題に対しては、一つの目標を立てておるわけであります。でありますから、これとのバランスを考えながら、合理的な値段を出したいということが目標でございます。例をあげていえば、国産糖は一体幾らでできるのかというと、三十四年は三セント四十五ということでありましたが、その後幾らか合理化をされている面もありますし、また値上がりをしておる面もあるということで、現在幾らぐらいが適正なのかという問題に対しては、いろいろ議論があると思います。お互いに計算すれば妥当な値段は出てくるわけであります。それに将来てん菜糖をどの程度自給自足を、するかという考え方で、その部分の投資その他をプラスすれば、妥当な生産価格というものは算出せられるわけであります。でありますから、外糖が非常に安くなってたたかれてしまって、国産糖育成ということが全然だめになっては困るので、その意味におきましては、下げた関税率を引き上げるということを考えておりますし、今度は御承知のとおり外糖が非常に上がる、ばか上がりをしたというような状態に対処しまして、消費者価格を下げたいということでありますので、できれば政府があわせて十円下げた分を国民の手元に入る糖価から引き下げられるようにぜひ期待をしたいというのが政府の考えであります。
○芳賀委員 その妥当な価格を聞いているのですよ。合理的なしかも妥当な価格をどこに考えておるのですか。
○田中国務大臣 農林省からお答えいたします。
○大澤(融)政府委員 北海道のビートでできる砂糖のコスト……。
○芳賀委員 長官はあとで。大蔵大臣から答えてください。
○田中国務大臣 御承知のとおり砂糖は農林省所管でございますから、砂糖の適正価格を大蔵大臣が、ということもどうかと思いまして、農林省側から、こう常識的に申し上げたわけでありますが、あえて御指名でございますから申し上げると、大蔵省で考えておりますのは、国産糖いわゆるてん菜糖につきましては、御承知の三十四年に計算をしましたのが、三セント四十五、百二十二円ということでございます。でありますから、それから相当合理化されておりますから、幾らか下がるという面もありますが、しかしその後いろいろな事情で物も上がっておりますし、また人件費等も上がっておりますので、そういう意味でそういうものを加減乗除いたしまして計算をすれば、三セント四十五をどの程度上回るのか、どの程度下回るのかという値段は、おのずから三セント四十五を中心にはじき出されるものと考えております。
○芳賀委員 大蔵大臣はお出しになった法案の内容は見ておるのですか。
○田中国務大臣 見ています。
○芳賀委員 わかっておるのですか。
○田中国務大臣 全部知っています。
○芳賀委員 それではお尋ねしますが、この暫定措置法の改正の中には、国内におけるいわゆる砂糖の標準的価格というものを第七条の八に書いてある、いいですか、それを私は聞いておるわけです。これは標準的価格というのは、いわゆる砂糖の卸売り価格が、「本邦で生産されるてん菜から製造される精製糖の適当と認められる卸売価格」、これですね。これをこえた場合とか、これを輸入糖が下回った場合ということに適用になるわけですから、この妥当な価格ですね、従来は標準糖価と称しておった。ところがいま言われたとおり、いわゆるニューヨークの糖価がポンド当たり三セント四十五、それに輸入関税とか消費税はもちろん加算して、製造経費あるいは適正利潤というものを加えたものを卸売価格にして百二十二円、これがいわゆる標準糖価であった。これを中心にして砂糖に対する行政が進められておったわけですが、現在は国際糖価も異常な状態になっておるので、これを直ちに採用するわけにいかない。ですから、現在のこの事態において、あるいは将来、たとえば国際糖価が大体安定期に入って、それが五セント台になるか七セント台になるかはまだはっきり予測はつかないが、そういう影響はあるいは関税の引き下げあるいは砂糖消費税の引き下げによって是正されるというのが法提案の意図であると思うわけです。ですから国内における精製糖の卸売り価格というものを標準的にどの程度にするということは提案者として当然ここで述べる必要があると思う。
○田中国務大臣 この適正価格につきましては農林、大蔵両大臣において協議をしてきめる、こういう考え方を政府は持っておるわけであります。適正価格というものは農林大臣と話を詰めておるが、話が詰まっておらぬにしても、現在の時点で大蔵大臣はどう考えておるか、こういう御質問がきっとあると思いますから、そういうことであれば、皆さんが御専門家で、昭和三十四年に御検討になられて適正価格であったという三セント四十五、すなわち百二十二円というものがおおむね適正価格だというふうに考えておりますが、しかし先ほど申し上げたとおり、いろいろな事情もありまして、合理化をしてコストダウンになっておるところもありますし、その後人件費その他等がふえたり新しい投資が行なわれたりしましてそういうわけにはいかない。農林省の一部では百三十円に近いものでなければいかぬというようなお話もあるようでありますので、この問題については大蔵、農林両当局で適正価格については話を詰める、こういうことを申し上げられると思います。
○芳賀委員 昭和三十四年以降のいわゆる甘味資源自給強化対策の十カ年計画の中における標準糖価はおよそ百二十二円、これは外国の砂糖価格を標準にしておるわけですね。
  〔委員長退席、毛利委員長代理着
  席〕
今度の法案の改正を見ると、外国の砂糖価格というものに標準を置かないで、国内におけるてん菜糖の生産を通じてその適当な価格というものを標準価格にとろうとしておる。したがって、これは必ずしも国際的な影響というものを直ちに受けなくても済むわけですね。それだけに、見通しというものは政府においても立て得ると思う。そうしたならば、このようなてん菜糖の適正な価格、標準的な価格を実現し得る、そういう見通しというものは当然あると思うわけですが、その点を聞いておるわけです。
○田中国務大臣 でありますから、先ほど申し上げましたとおり、私のほうでは、いま百二十二円ということがおおむね標準価格であろうと大蔵省は考えておるのでございますが、実際はてん菜糖に対しては所管も農林省でありますし、実際は農林省のほうが私たちよりもより専門的でありますから、百二十二円から合理化されたというのは大蔵省的なものの考え方であって、合理化以外に上がる要因もあるのだから、農林省の言う百三十円近い値段のほうがいいのだ、こういうふうに言われておりますれば、私のほうだけできめられる問題ではありませんので、大蔵大臣と農林大臣との間でもって話のきまったところを適正価格にしたいということで、いま鋭意作業を急いでおるわけでございます。ただ、この法律案との関係は、その適正価格というものが百二十二円にきまるか、百二十五円にきまるのか、百二十七円になるのかは別にしまして、仮定の問題でありますが、百三十円ということにも仮定しましても、これを破るような五円引き下げというような状態にありません。ちょうどいま甘味資源振興の法律も衆議院から参議院に送られようとしておるのでありますから、この法律案の御審議を願うと同時に、政府では適正な価格というものに対しては両省で早急に詰めたいという考えでおるわけであります。
○芳賀委員 関税関係の法案は所管は大蔵省であるからただ提案したまでであって、中身については農林省の所管であるから、大蔵大臣は関知しておらぬ、わからぬということであります。これは大事な点だけれども、あなたに聞いても、これはおわかりにならぬそうですから、この一番大事な標準的な糖価というものをどこに求めるかという点については、後刻農林大臣に尋ねることにいたします。
 次にお尋ねしたいのは、この際大蔵大臣として、この改正法案にも出ておりますけれども、今度いわゆる関税割当制、タリフ・クォータを採用しようとしておるわけですね。その場合はやはり前提として、当該年度における砂糖の国内の需要の見込み、国内の生産見込み、そういうものを的確に把握しなければ、通常の輸入数量というものを把握することは当然できないわけですね。したがって、この点からいっても砂糖あるいは砂糖類の生産と需要の長期見通し、社会党の立場からいえば、これは長期計画ということになるわけですが、長期見通しというものを現在政府において立てられておるかどうか。これは、たとえば国民所得倍増計画の線からいけば昭和三十六年から四十五年までの十カ年間、あるいは農業基本法からいえば基本法第八条一項に基づくところの長期見通し、これらの見通しというものは今日立っておるかどうか。それからこの法案を提案されるにあたって必要な当該年度、いわゆる昭和三十八年度における国内の生産の見通し、国内の需要見込み、したがって、これを差し引くと輸入見込みというものができるわけですが、この二点について大蔵大臣から説明を願いたいと思います。
○田中国務大臣 先ほどの御発言に対してちょっと申し上げておきますが、関税によりまして減税をするだけであって、適正価格に対してはさっぱり知らぬ、こういうのじゃございません。御承知で御発言になっておると思いますが、私はそう言っておりません。適正価格は大蔵、農林両省で協議をしてきめるというたてまえにいたしております。私のほうでは百二十二円ぐらいが適当であると考えておりますけれども、農林大臣のほうでは百三十円に近いものでなければいかぬ、こういうこともございますし、国内産糖の保護育成という面から考えましても重要な問題でありますので、早急に農林大臣の意向もしんしゃくしながらお互いの間で話をきめようというのでありまして、何ら関知せぬということではございませんので、ひとつ明らかにいたしておきたいと思います。
 それから国産糖の長期計画、長期見通し、それから国内の砂糖消費量の長期見通しというものにつきましては、現存長期計画というような新たなものはないようであります。しかし今度御審議を願っております甘味資源特別措置法でございますか、これによりまして、その年度々々の需給の状況を十分検討してということになっておりますので、当然これからは長期の見通しといいますか――いずれにしても長期見通しを立てながら、その需要増に対して国内てん菜糖をこの年度においてこのような増産をしていくのだというようなバランスをとるわけでありますので、当然これからは、今度新たにできる特別措置法によりまして、あなたがいま御発言になられたような事態を慎重に、しかも積極的に考えてまいるということだと考えられるわけであります。
 それから砂糖の輸入ワクをきめる場合には、もちろん計画を十分立てまして、国内の甘味資源の供給量を引きまして、それに対して輸入量をおおむね算定をしていくということであります。これが原則だと思います。ただ需給にぴったり合った数字だけしか輸入しないことによって特別にまたもうけるというようなことがあれば、この間十万トン入れましたように特別な輸入をするというようなこともあり得るとは思いますが、いずれにしても、いまあなたが御発言になられたような方向で配慮をしてまいることになろうと思います。
○芳賀委員 いま大臣の言われたのは、これは政府が国会に提案されて、農林水産委員会が修正をして通った甘味資源特別措置法を引用されたようでありますが、私の聞いておりますのは、関税暫定措置法の改正点の中に、いわゆる関税割当をする場合に、いわゆる第一次税率によって割当をする場合は、これは当該年度における砂糖の需要見込み、国内における生産見込み、これを明らかにして、そうして需要見込み数量から国内の生産見込み数量を引いた残りが結局輸入に依存しなければならぬということに、需給計画の上から見ればなるわけですね。したがって、必ず計画を立てなければならぬということになっておるわけです。甘味資源特別措置法には、措置法自身が長期見通しとか年度計画を立てるということはない。これはあなたはお気づきになっていないわけです。農業基本法の第二条第一項に基づいて基本法のほうでやるのですから、甘味資源特別措置法ではやる必要がないというのが政府の甘味資源特別措置法の内容です。ところが農業基本法の長期見通しというものは、何も明らかになっていないわけです。ですから、どうしてもこの関税暫定措置法を改正してこれを行なおうとすれば、やはり所管の大蔵省として年度計画はもちろんでありますが、その基本をなす長期的な見通しというものは農林省よりも確実なものをあなたのほうで策定をしないと、これは完全なる実施ができないということに当然なると思うのです。これも農林省でなければわからぬというのであれば、けっこうです。
○田中国務大臣 芳賀さん、何を意図されてそういう御発言をなさっておるかわかりませんが、大蔵省も農林省も全然別なものではないのであります。ともに池田内閣の一機関でございまして、連帯して責任を負っておるのでございますから、しかも政令に委任するにいたしましても、これは閣議で決定をするわけでございますので、農林省の意向も十分反映するわけでございますし、大蔵省の意向も十分反映をし、しかも結論的に意見のまとまったところで閣議で決定をするわけでございますので、どうも関税定率法や関税暫定措置法の所管が大蔵省であるからといって、農林省以上に大蔵省がいろいろなものを的確に把握しておらなければならないということにはならないというふうに思うのです。われわれのほうも一生懸命やりますが、そこはやはり専門家、もち屋はもち屋ということで、農林省はやはりその部局を担当しておるのでありますから、農林省のデータに基づきまして、お互い政府部内でしさいに検討して、遺憾なきを期するということであります。御理解賜わりたいと思います。――ちょっと退出させていただきます。
○芳賀委員 それでは大蔵大臣が戻ってくるまでの間、農林大臣にお尋ねしたいと思います。
 まずお尋ねしたい点は、農林省として砂糖類の生産と需要の長期見通しについては、今日どういうものを策定して持っておられるか、その点について明らかにしていただきたい。その根拠については、先ほど大蔵大臣に申し上げましたが、たとえば国民所得倍増計画による長期計画でもあるいはまた農業基本法に基づく砂糖類あるいは甘味資源の長期見通しでも、それはいずれでもよろしゅうございますが、長期見通しとあわせて昭和三十八年度の年度の生産並びに需要の計画の内容について明らかにしてもらいたい。できるだけ大臣から答弁を願いたいわけです。
○重政国務大臣 これは数字にわたりますから、食糧庁長官から御答弁をいたさせます。
○大澤(融)政府委員 御承知のように見通しとしては、コントロールによる計画生産をするというようなことではございませんので、基本法に基づきます長期見通しということで砂糖類の昭和四十六年の需要はどういうふうになるかという作業が一つあるわけですが、これは御承知のようにすでに公表してあります。私の記憶では大体四十六年には二百十万トンから二百三十万トンくらいの需要というふに考えております。これはすでに基本法に基づく主要な農産物の需要と生産の長期見通しということで公表してあるわけであります。したがいまして、これを道しるべにして諸般の政策も進めていく、こういうことでございます。
 それからもう一つは、そういうことで需要は見通しておりますが、生産のほうは、これは暖地あるいは甘庶糖というようなものについては、当時まだ見通しをなし得るというような条件がそろっていないということで北海道だけに生産の長期見通しをしております。それは四十六年に北海道で七万町歩くらいというような見通しだったかと思います。
 そこで三十八年度の生産の見通しですが、ただいまのところは国内の生産量といたしまして、北海道、府県を合わせまして約十八万トン、それから甘薦糖は沖繩を含めまして二十四万トン、このほかに御承知のようなイモからつくる澱粉を通じてのブドウ糖、これが砂糖に換算して約九万トン、締めまして、大体五十万トンになりますが、ことしの国内生産量の見通しは大体そんなところではなかろうかというふうに試算をしております。
○芳賀委員 それでは昭和三十四年に策定されました甘味資源自給力強化十カ年計画というものは、これはすでに廃棄されたと考えて差しつかえないわけですね。
○重政国務大臣 これは廃棄はいたしておりません。あの計画と現実との間にものによりましてギャップがあることは御承知のとおりでありますが、たとえば需要のほうがあの見込み以上に非常に伸びている、北海道のビートのようなものの生産が計画どおりいっておらぬというような違いはありますが、現在のところ、あの計画を廃棄するとか何とかいうような考えはございません。あの生産計画は実現をいたすべく最善の努力を尽くす、こういう方針でやっております。
○芳賀委員 私の聞いておるのは、生産面だけではないのですよ。自給力強化十カ年計画は当然生産も含まれておるが、需要に対する見通しというものも明らかになっておる。ただ問題は、たとえば需要の見通しにおいても、この十カ年計画によると昭和四十二年の最終年は百五十二万トンということになっておる。この百五十二万トンというのは、すでに昭和三十六年度の消費実績と大体同じわけですね。だから廃棄しないと言ったって、もう一昨年この十カ年計画の需要の線に到達しておるわけだから、これを実情に合致させるということになれば、この十カ年計画を根本的に改定して、実情に合致するようなものにするかあるいは廃棄するか、自然消滅といいますか、そういうことにこれを処分して、そしてたとえば農業基本法に基づく長期見通しというものを明らかにして、それを以前の十カ年計画に変えるということも可能であると思うのです。その点はどうなんですか。
○大澤(融)政府委員 おっしゃるとおり、当時考えておりました需要の見込みというようなものは、昭和四十二年で百五十万トンということを考えておりましたのが、三十六年にはすでにそこまできておる。したがいまして、あれの内容的な点はいろいろ再検討しなければならない段階になっていると思います。そういう意味で昨年甘味資源臨時措置法を一年延ばして、ことしは甘味資源特別措置法を御審議願っておるというようなことでございますので、いまの法律ができますれば、甘味資源審議会というものもございますので、今後の生産の見通しあるいは需要の見通しということもいろいろそこで検討もしていただき、あるいは農業基本法に基づきます長期見通しのほうも、先ほどお話ししましたように、国内の生産見通しについては北海道のビートしかやっておりませんが、その他の点についてもやるということで、今後の施策の進め方の内容を非常に固めていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○芳賀委員 この点は非常に大事な点なんですが、先ほど食糧庁長官は農業基本法に基づいて、長期見通しは需要の面においては昭和四十六年においてはおよそ二百十万トンないし二百三十万トンの線にくるということを言っておられる。あるいはまた昭和三十八年における国内の砂糖類の生産の見込みについても、これは農業基本法の長期見通しとの関連でいま説明をされたわけです。もう一つ、自給力強化十カ年計画というものは、昭和三十四年に策定されたわけですからして、これは言うまでもなく農業基本法制定以前にできた長期計画ですから、基本法ができた今日においては、先ほど長官の言われたような基本法に基づく長期見通し、あるいは年度計画というものは、やはり当然法の根拠の上においても確実性があるというふうにわれわれはみなしておるわけです。一つあればいいじゃないですか。基本法のものが一つあって、昔の十カ年計画を廃棄しないで大事に持っておりますと言ったってこれは意味がないじゃありませんか。この点は、農林大臣としてこの二様の長期計画をいつまでも後生大事に墓場まで持っていくつもりであるかどうか、この点はいかがですか。
○重政国務大臣 長期見通しは長期見通しで、現実の問題はなかなかそのとおりにはいかないことは御承知のとおりです。のみならず生産計画というようなことは、農業基本法に基づく長期見通しという中にはそうこまかに見込んでないのではないかと思うのですが、やはり現実の問題は、十カ年計画というものが生産の計画を立てていっておると私は承知をいたしております。何もそれを固執するわけではございません。固執するわけではございませんが、その十カ年計画そのものも現実の問題と少し――たとえば需要のごときものは相当狂っておるわけでありますから、農業基本法のほうも含めてひとつ再検討をする時期にいたさなければならないと考えておるのであります。甘味資源の法案が成立をいたしますれば審議会等も設けられますので、十分に検討の上、あるいは修正なり改正なりというようなことをいたしたいと考えております。
○芳賀委員 たとえば甘味資源の自給力強化十カ年計画にしても、需要の面についてはすでに昭和三十六年に百五十万トンの消費実績が出ておる。これは計画としては実情に沿わないことは明らかです。生産の面においてもそういうことは言えると思うのです。先ほど長官が説明しましたが、たとえば甘蔗糖については、十カ年計画は沖繩を含めて二十万トンの計画が本年度はすでに二十四万トンということになれば、これは達成して、それを越えておる、あるいはブドウ糖の点については十カ年計画で砂糖に換算して十五万トン、本年砂糖換算九万トンということになりますれば、この生産は大体順調にいっているということになるわけですね。ただ一番問題は、てん菜糖の面については計画当初から全然伸びを示しておらないということになると、生産の面においても十カ年計画というものは今日の時限においては全く実情に合致しておらないことになると思うわけです。そうしますと、生産の面においても需要の面においても昭和三十四年に立てた十カ年計画というものは、今日においては使いものにならないわけですね。そうであればむしろ農業基本法に基づいた長期見通し、それを基礎にした年度の計画を確実なものにして、これを基礎にして諸般の施策を進めることのほうが最もいいじゃないかというふうにわれわれは考えているわけです。何も古い十カ年計画に便々としておる必要はないのじゃないですか、この点がどうもわからないのです。
  〔毛利委員長代理退席、吉田(重)
  委員長代理着席〕
○大澤(融)政府委員 先ほどから申し上げますように、三十四年に考えておりました需要の見通しあるいは生産の見通しというようなものは、当時考えておったのとはだいぶん事情が変わって、農業基本法でやっておりますように、たとえば需要については四十六年二百十万トンから二百三十万トンぐらい、したがいまして、そういう点では変更を受けなければならないということを先ほどから大臣申し上げているのだと思います。さらに甘味資源特別措置法が通過いたしますならば、審議会があることですから、そういうところで農業基本法でやった、長期見通し、そういううものを道しるべにしながら、今後どういうふうに進めていくか、生産もどこまで持っていき得るかというようなことを検討して、改めるべき点があれば改めていくということだと思います。
○芳賀委員 それでは、甘味資源特別措置法案が幸いに今国会で成立した場合においては、その特別措置法によって、そうして確実な、長期見通しあるいは年度の計画というものを必ず立てる、こういう考え方の上に立っておられるわけですね。それは大臣からお答えをいただきたい。
○重政国務大臣 大体そういう方針で考えております。
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、法案に関係のある点ですが、先ほど大蔵大臣のほうからは関税暫定措置法の改正案に示された国内におけるてん菜糖の適正な価格を今後国内の標準的な糖価というものにして、そうして国民負担をなるたけ軽減するような方向に持っていきたい、こういう説明があったわけでありますが、この国内におけるてん菜糖の適当な価格、標準的な価格というものを、農林省としては具体的にどのように考えておられるか、これは法案審議の上で非常に大事な点ですから、具体的に示してもらいたいと思います。
○大澤(融)政府委員 先ほど来大蔵大臣から百二十二円というようなお話がございましたが、その後いろいろ北海道のてん菜の伸びというようなものもだいぶ変わってきて、一工場当たりの処理量も少ない、あるいはまたてん菜の価格が上がるというようなことで、国内産のてん菜のコストというようなものが、当時考えておりましたものよりは上がっております。たとえば試算としては、十五万トンくらいのものを工場で処理するというようなことになりますれば、百三十何円というような数字も出てまいますし、あるいはまたことしのように十二、三万トンというふうなものが平均的に処理されるというようなことになれば、もう少し高い百三十七、八円というような計算も出てきます。しかし一応こうした計算がめどになりますが、そういうようなことをさらに掘り下げていろいろ検討いたしまして、大蔵省と相談をして、最終的にはきめていきたいということでございます。
○芳賀委員 これは非常に大事な点なんですよ。法案の審議の上からいって一番基準になる国内のてん菜糖の適当な価格というものが幾らであるかということがおおよそわからぬと、その価格よりも輸入粗糖を原料にした精製糖の価格が上回る場合には、関税率を引き下げる、下回る場合には引き上げる、そういう弾力的な措置を講じようとするのが暫定措置法の一つの改正のねらいであるわけです。だから、その尺度というものは、基準となるものがわからないと、一体上がったのか下がったのか全然わからぬということになる。これが運用を誤ると、もちろん国内における糖価安定を宣伝だけしても、実際には消費者の負担がまた過重になるという弊害も出てくるわけですからして、これは特に農林省として想定されるてん菜糖の適正な価格というものをどのように定めるかということを、やりはここで明らかにしてもらいたいと思います。
○重政国務大臣 これはよく大蔵大臣と協議をいたしまして、無理のないようにきめたい、こう考えております。
○芳賀委員 これは大臣、政治的にきめられるのですか。標準的な適当な価格というものは、大蔵大臣と農林大臣で適当に話し合ってきめるというような、そういう性格のものではないのではないですか。これは当然大蔵、農林両当局において想定される価格というものをやはり一定の方式で算定しなければいけないと思うのです。そうではないですか。たとえばてん菜の糖価をまめる場合においても、まずその原料の価格というものを幾らにするかということから始まって、そうしてその工場の適正な操業度、操業の規模というものをどうするか、その場合には一工場についておおよそどの程度の原料を処理することが妥当であるかとか、あるいは製造経費については、標準的な経費というのはどの程度であるというような、そういう標準的な製造の経費、あるいは利潤の面については、適正な利潤というものはどの程度の幅であるか、こういうものをやはり科学的、計数的に積み上げて、そうしてこれでいった場合にはおおよそこのようなコストになる、標準的な糖価が生まれるということになると思うわけです。ただあなたと大蔵大臣が話して妥当にきめますとか、適当にきめますとか、そういう簡単にいくものではない。この点についてはやはり確信のある説明というものは、これは事務当局からでもいいですから、納得のいくような説明をしてもらいたい。
○大澤(融)政府委員 ただいま芳賀先生がおっしゃったような材料をいろいろ取りそろえて、大蔵省と事務的にも打ち合わせ、最終的には大臣同士でおきめを願う、こういうことでございます。
○芳賀委員 だからたとえばこの法案が成立して直ちにこれを実施するということになれば、当然てん菜糖の標準となるべき適当な価格というものを政令によって一応きめなければならぬでしょう。何も基準がなかったらやれぬではないですか。暫定措置法で今度は税率というものを政令でまかしてくれとあなたは言っているじゃないですか。いままではちゃんと法律に明記して、法律の定めるところに従って課税しておったわけでしょう。今度は一定の幅というものは政令にゆだねるということにして、これが通ればまかせるということになるのですよ。一定の幅の中における関税率の引き上げ、引き下げというものは役人の手だけでやれるではないですか。やった結果というものを国会に報告しけなればならぬということにはなっておりますわ。一体何を基準にして、何を尺度にして関税率の上げ下げをやるつもりなんです。そういうものをきめる必要がないとそこで言っているじゃないですか。きめる必要がないならないという根拠を明らかにして、きめなくても、この法律は改正案によりて運営できるということを立証したらいいではないですか。
○大澤(融)政府委員 もちろん国内糖の保護を税制を通じてもやろうというたてまえの法律だと思います。したがいまして、適正な基準はどこなんだということはきめなければならぬ。そのきめるのについては、芳賀先生おっしゃるようないろいろな材料を持ち寄って、大蔵、農林両省が相談をしてきめる、こういうことでございます。
○芳賀委員 だからその適正な価格というものをどういうふうにして算定するか、想定される当該年度、これは三十八年度における想定される国内のてん菜糖の精製糖の標準的な価格というものを、現実にどのくらいの価格が想定されるかということは何もわかぬじゃ済まぬではないですか。何もわからぬならば、こんな改正案というものを出す必要はない。これは引っ込めなさい。
○大澤(融)政府委員 最も妥当な適正基準は具体的にどこかということは、私どもまだ結論を得ておりませんが、原料の集荷量でありますとか原料の単価、あるいはロスがどうだとかあるいは歩どまりがどうだとかいうような要素を検討いたしましたり、製品のコスト、たとえば原料費あるいは製造費、管理費でありますとか、副産物の収入はどうかというような点、こういうことを検討いたしまして、国内てん菜のコストを見て、そういうものを基準にして、一体、関税の上げ下げをするのに標準となる適正な水準はどこかということをきめてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○芳賀委員 これは工場別のコストを聞いているのじゃないのですよ。国内の糖価安定のための標準的な価格、標準的な糖価ですね。現在までは標準糖価というものは卸売り価格がキロ百二十二円ということになっておる。これはあくまでも国際価格から持ち込んだ標準的な価格です。今度の場合には、この改正案によると、国内糖価というものをいわゆる国内の砂糖の標準的な価格にするということになっておるわけですから、これは考え方は非常にいいんですよ。いいけれども、それではどのくらいの価格が現在想定されるかということ、これは参考にでも明らかにしておかぬと審議できないじゃないですか。これは百四十円とか百五十円になることもあり得るでしょう。実現しない価格をここに持ち出すわけにいかないと思うのです。いいじゃないですか、高くても安くても一応この程度になるということを言ってみたらいいじゃないですか。
○大澤(融)政府委員 いま私申しましたように、一応国内の生産される砂糖のコストというようなものが目安になると思いますけれども、そういうものを一体、先ほど私が申し上げましたような要素についてどう見るのか、あるいはまたそれぞれのコストは、標準的なものはどういうふうにとらえたらいいのかというようなことは、ただいまあるいはこれから大蔵、農林両省の間でこまかく詰めて最終的に具体的な数字をきめたいということでございます。いまのところは、それが幾らになるのだということを言えといっても、ございませんので申し上げかねると思いますが、ただ先ほどちょっと申し上げましたように、十五万トンで六千百五十円の単価というようなことではじく場合には、百三十一円というような試算もできますし、あるいはまた十二、三万トンというものの処理量を持つというようなことで標準的なコストを考えれば、百三十七、八円というような試算もできます。しかしこれは試算でございまして、さらに事こまかく詰めて、先ほど大蔵大臣が言われたように百二十二円という計算もあることですから、そういうものといろいろ突き詰めて最終的な結論は得たいということでございます。
○芳賀委員 その標準価格がきまらぬと、この法律が通っても、粗糖関税の減免税の適用というのはできないじゃないですか。それが妥当であっても妥当でなくても、この減免を発動する場合は、「その卸売価格が、本邦で生産されるてん菜から製造される精製糖の適出と認められる卸売価格をこえ、かつ、そのこえる期間が相当継続すると認められるときは、そのこえる額を限度として、当分の間、輸入される粗糖につき、政令で定めるところにより、期間を指定して、その関税を軽減し、又は免除することができる。」この標準糖価から輸入糖の価格が下がった場合には、今度は関税をさらに上げるということはできるわけでしょう。だから、これがきまらなければ、やる気になってもできないじゃないですか。何を基準にして上がったとか下がったとかいうのです。上がったからどうする、下がったからどうするということに初めてなるのです。まかせてくれといったって、これはわれわれまかせようがないですよ。だから、標準糖価というものを算定できないということであれば、何もこれは急がないじゃないですか。標準糖価の算定ができるまで待って、大体こういうものができます、可能でありますというその時点に必要であれば、こういうような法案を出して国会で審議すればいいと思うわけです。それをやるのに何年ぐらいかかりますか。
○大澤(融)政府委員 先ほどからのお話でございますが、これは適正水準を政令で定めるおけではないわけです。先ほど私が申し上げたようなことで詰めてやるわけですが、現状から言えば、たとえば先ほど大蔵大臣のお話もございましたが、五セントくらいの砂糖のときは、現行の関税、消費税で、おそらくコストをかけて国内での糖価が百三十二円あるいはその程度のお話がありましたけれども、国内にいま入ってきます砂糖は、おそらく上期を通じまして平均的には七セント程度のものになろうかと思います。もし七セント程度の砂糖でありますならば、現行の関税、消費税というようなことで百五十円程度になると思います。したがいまして、関税を五円程度下げるというようなことをいたしましても、現状の国内産糖に悪影響を及ぼすというような価格にはなり得ないということで、五円程度はというようなお話があるわけでございますが、適正水準というようなものをどこに定めるかということは、今後、先ほど申し上げたようなことで、いろいろ深く検討してきめていきたい、こういうことでございます。
○芳賀委員 私の聞いておるのは、従来はこれは国際価格というものを基準にして国内の標準価格というものをきめておるわけですね。それは、国内の需要量の大体八〇%以上が輸入糖に依存しておるのだからして、その価格の動向というものも多分に国際価格の影響を受けておるという判断から、従来は国際価格というものがわが国の標準糖価の基本をなしておったわけです。今度それを改めて、国内のてん菜糖の適当な価格というものを設定して、それをこえた場合にはどうするとか、それより下回った場合にはどうするというのが今回の暫定措置法の改正の趣旨ではないですか。だから、こえましたとか下がりましたという場合の基準というものを、どうしてもてん菜糖の価格に求めなければならぬわけでしょう。そうじゃないですか。いま長官の言われたのは、ニューヨーク相場が七セントの場合、従来のような計算でいくと、大体国内の卸売り価格というものはキロ百五十円程度になる。それまではわかるのですよ。この百五十円というものが、一体国内のてん菜糖の標準的な価格と比べた場合、その価格をこえておるのか下回っておるのか、これはどういう判断ができるわけですか。国内のてん菜糖の標準価格というのはこれより高いというのですか、低いというのですか。それはどうなんですか。低い高いぐらいはおそらくわかると思う。
○大澤(融)政府委員 国際糖価が、たとえば先ほど私が申し上げましたのは、一応の試算をしてみれば、百三十円とか、百三十何円とか出ます。国際糖価が七セントで大体上期は入ってくる。国際糖価は、買い付けたものは大体七セントぐらいというようなことの見込みが一応できるわけですが、七セントぐらいのものが入ってくれば、コストをかけて精糖にして国内で販売される卸売り価格は、先ほど申し上げたように百五十円くらいということの見当がつくわけですから、それを多少、先ほど申し上げた関税を下げるというようなことをいたしましても、国内糖のコストに影響を及ぼすというようなことはあり得ないということを申し上げておるわけでございます。そこで七セントで入ってくるというのはここ三月ぐらいがそうであろうとか、あるいは半年ぐらいそのくらいの砂糖が入ってくるであろうというような見通しがつくわけでありまして、いままでいろいろ議論をしておる過程では、砂糖の関税を下げますのはそういう見込みを立てて、たとえば三月間は五円下げますというふうな下げ方をいたしますので、そういうことをいたしましても、国内糖に悪影響を及ぼすというようなことがないということを申し上げておるわけでございます。
○芳賀委員 国内の標準的な糖価というものは、たとえば国民消費の立場から見ればやはりこれは相当安定的なものでなければいけないと思うのですね。毎月々々それが変動するというようなものではいけないと思うのですよ。いま言ったような長官の構想でいくと、関税あるいは消費税を現行どおりでいけば、大体砂糖の卸売り価格は百五十円になるということに帰着するのじゃないですか。そうすると、現在の百二十二円の標準糖価から見ると十八円も今度は糖価が上がってもやむを得ぬという思想じゃないですか。もしもこの法案どおり百五十円から関税五円と消費税五円を引いてもなお百四十円という糖価になるわけですね。そういう税制改正までやっても従来よりも高値であるというような、そういう国内における標準糖価というものを維持するということは、これは行政の立場から見てもとるべきでないですよ。おかしいじゃないですか。
○重政国務大臣 私どもは関税あるいは消費税を減免いたしまして、そして国際糖価が、原料糖の値段が上がっても一般消費者にはできるだけ安い砂糖を供給したい、こういうことを考えておるわけであります。しかしながらそれがために国内産糖を生産する農民諸君に影響が非常にあるということであっては困る。これはある限度、そこをどの辺に筋を引くかということが問題になる、こういう考え方できておるのでありまして、いまお話のビート糖の値段が、下を基準にして、それより高ければ関税を下げる、あるいは国際糖価が、原料糖がそれより下回るようであっては関税を上げる、こういうことになっておるが、その基準をどうするかという御質問でありますが、これはいままで長官が申しましたとおりに、現在の段階におきましては、その適正な国内糖の基準価格を定めなければ関税が下げられぬという事態ではございませんということを言っておるのであります。でありますから、この法律を協賛をいただきまして、この法律が施行になりましてからできるだけ早い機会に、いまの標準の糖価というものを両省の間で相談をしてやっていきますれば十分間に合います、大体の状態並びに考え方は、ただいま私が申し上げたようなことでありまして、現在のような高い国際糖価でありますれば、関税を五円下げ、消費税を五円下げても国内糖価に直ちに影響を及ぼすというようなおそれは現在のところはございませんということを申し上げるわけであります。
○芳賀委員 それでは農林大臣としては、国内の糖価をどの程度の水準で維持されようとしておるわけでありますか。
○重政国務大臣 私は、国内の糖価はできるだけ安いほうがいい。ただ、それが内地の甘味資源の生産に悪影響を及ぼすということであっては因りますけれども、そうでない限りは安いほうがよい、こういうふうに私は考えております。
○芳賀委員 そういう子供のような答弁ではなくて、国民は百八十万トンも砂糖を使っておるわけですから、国民に対して一体どのくらいの砂糖を使ってもらうようにしたいというそのくらいの考えはあるでしょう。なければいいですよ。
○重政国務大臣 これは抽象的にどのくらいの砂糖というわけには参りませんで、やはり工場のコストもありましょうし、いろいろな動く因子が非常に多いのでありますから、そのときそのときといいますか、少なくとも最近の情勢でありますれば、数年間一定したものでいくというわけにも参らないと思うのであります。先ほど食糧庁長官が申しましたとおりに、輸入原糖の値段で五セントである場合どうだ、七セントになった場合にはどうだ、こういうことを申しましたが、国内糖をそれに見合って考えますると、ここで関税で五円引き下げ、消費税で五円引き下げるというくらいなことは十分行なわれるのではないかというふうに考えておるわけであります。
○芳賀委員 ですから、たとえば関税、消費税で五円ずつ下げた場合、一体卸売り価格がどのくらいになればいいか、何か目標がなかったら行政の進めようがないではないか。
○佐々木政府委員 正式決定ではございませんので、大臣のお考えになっているところを申し上げさせていただきたいと思いますが、大臣はこうお考えになっておるようでございます。消費税を下げましたところで百二十二円という数字をなるべく守っていきたいというお気持ちのようであります。五円消費税を下げますと、大澤食糧庁長官が申されました百三十円とか百三十何円とかいう数字に対して百二十七円くらいの数字になるはずだと思います。若干上がってもしようがないが、なるべく百二十二円というところを上がらないようにという気持ちで大臣はおられると思うのでございます。われわれは農林省のいろいろな数字を拝見いたしておるのでございますが、非常に込み入っておるわけでございます。ビート自体の値段にいたしましても、きめられた計画の上にいろいろな付加的と申しますか、追加的な支払いがいろいろな機関から行なわれたりしておりますし、工場の規模もまたいろいろ違いますし、工場の建設費が御承知のとおり違っております。一番最近のところは二十五億円程度の設備費がかかるということになっておりますが、それを全体そのまま償却費用のベースないしは必要な資金のベースに考えまして、これをもとにして借り入れ金の利子なり自己資本に対する利益なりを考えるのは大き過ぎると実は思っておるわけであります。そこのところを時間をかしていただきまして詰めたいというところでございます。
○芳賀委員 大蔵省のほうがはっきりしておるんじゃないですか。先ほど大蔵省はわからぬと言うから、つとめて農林省に質問しておるのですが、いまの関税局長ぐらいの答弁は農林省でできないのですか。大澤さん、なかなか関税局長明快じゃないですか。農林省としてはその程度のことも全然わからぬですか。大臣、長官、部長と三人も並んでいて、何ら中身のある答弁ができないじゃないですか。
○大澤(融)政府委員 お話の点は、たとえば百二十二円ぐらいに維持しましょうというようなお気持が大蔵大臣におありだというお話があったわけですけれども、私どもとしては、これはいろいろ研究しなければならない問題ですが、従来百二十二円の糖価水準で維持されてきたということは、あれを考えます場合に、一セント四十五の国際糖価ということがベースになっていたわけでございます。最近まではそのベースがくずれなかったということで百二十二円の糖価水準が維持されてきた。それに見合う国内糖価のコストというものも大体その辺だったということで、百二十二円が糖価水準としてはいいものであるというふうに考えられてきたわけでございますが、これとてもベースになる国際糖価が、三セント四十五が六セントになり、八セントになるということでありますならば、一セント上がるごとに国内糖価には八円くらいの響きがあるということで、たまたま百二十二円のベースの三セント四十五というところがそれ以下に安定をしていたということで維持されてきたわけですが、国際糖価が動けば国内糖価も動く。しかし、これはなるべく安いほうがいいということで消費税も下げ、あるいは関税も下げるということをするのだというようなことで農林大臣はお話があったと思います。
  〔古田(重)委員長代理退席、毛利
  委員長代理着席〕
したがいまして、今後国内の糖価の水準をどこに維持させなければいかぬかということは、なかなか、ここがいいのだ、安ければ安いほどいいのだ――しかしその安さは国内の産糖の生産に影響のないようにということでものごとは考えていかなければならぬと思いまして、むしろその百二十二円をずっと維持するのだというような考えで進めるわけにはいかないのじゃないか、こう思っております。
○芳賀委員 関税局長にお尋ねしますが、先ほどの百二十二円というのは、消費税五円下げた場合というととは言われたわけですが、現行でいけば百二十七円ということになるのですね。それは関税率は現行どおりということなんですか。
○佐々木政府委員 大津長官のほうからいろいろ御答弁があまりしたとおり、国際糖価の動き方によりましては、関税率の下げ幅を操作しなければこの価格まで達しない場合が多かろうと思います。なお、歳入とか、いろいろな考慮を加えますと、いま申し上げましたような価格が現実に実現するということを申し上げるのははなはだ申し上げ過ぎだと思います。しかしそれに近いところを大臣は考えておられるのだろうとそんたくしておるわけでございます。そういう価格を実現させるためには、関税率の下げ幅はかなり弾力的でなければならぬと思っている次第でございます。
○芳賀委員 それでは最近の事情からいうと、消費税五円と関税率五円程度引き下げれば、それによって卸売り価格をおおよそ百二十円程度に維持させることができるということですね。ですから、それは現行の消費税あるいは関税の規定でそのまま適用すれば百三十三円ということになるのですね。現行どおりで運用すれば従来の糖価は十円ぐらい上がることになるけれども、それを、全くみみっちい額だが、消費税五円、関税率五円ぐらいを操作すればおよそ百二十二円の糖価水準は維持できる、そういう見通しですね。
○佐々木政府委員 理屈だけから申し上げますと、そういう考え方にもなるわけでございますが、現実の問題として、国際糖価がぐっと上がってまいります場合に、関税の操作によって十分に下げることがむずかしい場合も多かろうと思います。したがって、その価格が目標的には大臣のお考えのうちにはあろうかと思いますけれども、それが現実の価格なりというのは若干留保できるのではないかと思う次第であります。
○芳賀委員 それはもちろん行政の努力目標としてその程度の価格を指向するのは当然ですけれども、あまり甘過ぎてはこれは何も国民のためにならない。そういうことであれば、たとえば国内糖は関税がかからぬですから百二十二円ですね。この百二十二円のうちには結局残りの十五円の消費税が入っているということになるわけですね。その消費税を差し引けば、結局百七円というのが国内におけるてん菜糖の大体可能な価格ということになるのですよ。百七円というのは実現可能な国内におけるところのてん菜糖の大体標準的な価格と、この改正案から見て考えて差しつかえないでしょう。国内のてん菜によって製造される適当な標準的な価格は大体百七円ないし百十円程度である、そうなるじゃないですか。
○佐々木政府委員 計算の問題としては先生のお話のとおりでございます。ただし、先ほどから食糧庁長官が申し上げておりますとおりに、処理量がどのくらいまでいくものであるかという非常につかみにくいファクターがございまして、そこらの点をこれから詰めなければならぬと考えているところでございます。
○芳賀委員 ただいまの関税局長の説明で、おおよそ推定される国内の標準的な価格は消費税を除いて百十円、いわゆる標準原価はキロ百十円程度と、こういう理解の上に立って法案の審議を進めていきたいと思うわけです。
 そこで食糧庁長官にお尋ねしますが、この消費税を賦課する以前の百十円あるいは百七円というてん菜糖の価格というものは、今年度においても実現可能なものであるとわれわれは考えておりますけれども、長官としてはどう考えておられるか。
○大澤(融)政府委員 先ほどから申し上げましたように、十五万トンぐらいの処理をすれば百三十一円ぐらいの試算がございますと申しましたが、もしそういう考え方をとれば、消費税を引いて、大体コストが先生おっしゃる百十円内外というようなことになるのであります。計算としてはそういうことでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、これは試算でありまして、なおもっといろいろなコストの点、要素の点を押し詰めていかないと、最終的にこうだという結論は申し上げられないと言っているのであります。ことしの処理量がたとえば一工場、いまの見通しで十二、三万トンになるというようなことでありますれば、十五万トンの処理量というふうな形で計算したものとはより大きなコストがかかるというふうなことにもなろうかと思います。
○芳賀委員 だからそういう適正を欠く原料の処理とか、操業の状態というものは、これは正常なものでないんです。標準にとれないんですよ。標準にとれない企業によって生じたその製品コストというものは、そのまま標準の価格ということにならぬわけですね。そういう点は、従来政府の行政の欠陥の中で、こういう姿が生まれてきておるんだからして、当然これは政府の責任において処理すべき問題なんですよ。そのために政府がお出しになっておる甘味資源特別措置法においても、政府が買い入れするという、そういう規定があるわけですね。食管特別会計におきましても、砂糖類勘定というものを設けて、砂糖の価格というものは一定の標準価格より非常にコストが高いというような場合には、政府の買い入れの発動を行なうということで、これは解決ができるわけですね。だからやはりこれは今回の関税特定措置法の改正にしても、当然これは国内の甘味対策の一環であるところの甘味資源特別措置法との関連でこれは考えていくことが妥当であると思うわけです。それで百十円の価格の可能性の問題ですが、これは食糧庁から配付になった計算の資料ですが、たとえば原料の処理を十三万五千トンとみなして、原料価格を昨年の販売価格である六千百五十円とした場合においては、キロ当たりの価格が百六円六十銭ということになるわけですね。政府の資料そのままを私は申し上げたんで、厳密にこれを検討すればまだコストは低減できると思うわけですけれども、とにかくそういう数字ができておるわけです。これを十五万トン処理にすればキロ当たりの価格は百一円三十銭ということになる。それからもう一つ、生産者の要望しておるトン当たりの原料価格を七千六十円とする場合は、十三万五千トン処理したときにはこれは製品の価格が百十三円三十六銭ということになる。それを十五万トン処理した場合には百八円七銭、十八万トン処理した場合は百円三十五銭、二十万トン処理した場合には九十六円四十九銭、こういう結果が出てくるわけです。ですから、政府の行政の指導よろしきを得、適切な運営をすれば、国内におけるてん菜糖についても当然これは相当コストを低減した価格で国民にこれが提供できるという、そういうことがこれは明らかになっておるわけです。だからこのいずれを採用して政府が行なうかということは、これはかかって政府当局の方針とか決意に基づくものだと思うわけです。一体どういう態度で今後臨むつもりですか。
○大澤(融)政府委員 おっしゃるとおりに一つの工場での処理量がふえるとかあるいは合理化が促進されるというようなことでコストは下がるということでございますので、私どもとしてはまず北海道の場合においても適地で増産をやっていく、一工場内の原料処理量をふやしていく、さらに工場での合理化も進める、あるいはまたてん菜生産自体についてもコストを切り下げていく、生産性の向上をしていくということで、全体として安い価格でも国内糖の提供ができるという方向で私ども努力をしていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
○芳賀委員 この点については、結局生産農民が生産意欲を高めて甘味資源の増産にいそしむ、そういう体制が前提にならなければ、操業度を上げるということにしてもなかなか、十一万トンから十五万トン、一八万トンになることはできないと思うのですね。したがって、どうしたならば農家に甘味資源の生産意欲を高めさせることができるかということになれば、いろいろ具体的な方法はあるとしても、やはり手っとり早い問題は、今年度の原料価格をどうするかということが一番大事な点になりますので、先般甘味資源特別措置法の審議の中においても、政府が示した原料価格の決定については、パリティ方式によってこれを定めるということになっておるのですが、あの法案がたとえば今国会で成立した場合には、もう直ちに政府は原料価格の告示をしなければならぬわけです。その際一体三十八年度の原料であるてん菜あるいは甘蔗の原料価格というものはトン当たりどのくらいを政府としては想定されておるか、この際率直に説明を願いたい。
○大澤(融)政府委員 特別措置法できめられております最低生産者価格は、パリティを基準にして、競合作物の粗収入というようなもの、その他経済事情を参酌してきめるということになっておりますので、その原則に従ってきめてまいりたい、こう思いますが、おっしゃるのは、この支持価格、最低生産者価格そのままが農民の手取り価格になるということではございません。これは昨年の例を見ていただいてもおわかりの点だと思いますが、そういうことで支持価格はいま言ったような原則できめますけれども、おそらくこれ以上のものが農家の手取り価格、実際の手に入る金額になるというふうに思います。その場合に、これは農家と工場とが交渉をしてきめるべきものでありますけれども、あの法律にもございますように、必要があれば政府も支持をするということで、望むらくは昨年の手取り水準を下回らぬ、あれを越える、あるいはあれと同等以上ということが望ましいと思いますが、最低生産者価格そのものが農民の手取り価格になるというふうにはならないのじゃないかと思います。
○芳賀委員 私は手取りがどうなると聞いてないのですよ。政府案によると、原料価格についてはパリティ方式でこれをきめるということになっておるでしょう。これは最後に再生産を確保することを旨とする修正が行なわれたが、その程度のものを加えても実際は何も効果はないのですよ。だから、最低生産者価格というものを政府の考えできめる場合、一体パリティ方式といったって何か根拠がなければならぬでしょう。パリティ、パリティといったって、指数だけで金額は出てこないのですからね。だから、たとえばパリティ方式でやる場合に、その決定すべき基準年を何年にするか、これは昭和二十八年からてん菜等の、価格は前の法律できめることになってずっと実行されてきておるわけですが、基準年次を昭和二十八年にするかあるいは二十九年にするか、それとも二十八年から三十年までの三カ年の平均年次にするか、いろいろやり方はあるけれども、そういうことについても当時農林委員会では何もあなたは説明していないわけです。いまのようにばく然としたことだけは繰り返して言うが、中身のある答弁というのは何にもしないのが大澤さんの特徴なんです。だから、その点についても何か用意があれば、基準年次は大体何年次あたりを採用したいとか、それにパリティ指数を乗じてさらに物価とか労賃の現在の実情というものを勘案してきめるならきめるとか、まだ何も考えなければそれでもいいが、もうすでに法律が通れば告示しなければならぬわけですからして、作業段階によってはここで説明できるところまできておるとすれば述べてもらいたい。
○大澤(融)政府委員 農林水産委員会ではというお話でございましたが、相当こまかい資料もお出しして話し申し上げたように記憶しておりますが、私どもとしてはいまお話のあった基準年をいつにとるかということは、最近の事情をなるべく次々と反映さしていきたいというようなことも考えまして、ただいまのとこでは前年をとるのがいいのではないかというふうに考えておりますが、なおまだ検討の余地はあると思っております。前年基準にしてパリティをかけて、さらにたとえば北海道でありますならばバレイショですとか豆でありますとかというような競合作物の反当粗収入というようなものも参酌するとか、あるいはまたてん菜の生産費調査というようなものはそう大きな戸数をとっておりませんので、米の生産費調査と同じような取り扱いはできませんけれども、ああいう調査でやった生産費というようなものを見たりということでやってまいりたい、こう思っております。
○芳賀委員 そういたしますと、前年ということになれば昭和三十七年産のてん菜の価格、その場合、手取りは六千百五十円ですから、それを基準にしてパリティ指数を乗じて、あるいは労賃、物価事情を勘案するということにするわけですか。
○大澤(融)政府委員 前年を基準にするということになれば、昨年の最低生産者価格をベースにしてパリティをかけるとか、その他の作業をしてきめる、こういうことでございます。
○芳賀委員 最低生産者価格といえば五千四百五十円でしょう。五千四百五十円を基準にして、ここ一年間のパリティの上昇でどのくらいの数字になるのですか。
○大澤(融)政府委員 昨年の基準価格、最低生産者価格が五千四百円だったと記憶しますが、それにパリティをかければおそらく五千五百円から五千六百円の間くらいじゃないか、こう思います。三%くらいの上がりじゃないか、こう思います。
○芳賀委員 五千六百円というと去年の手取りが六千百五十円でしょう。そうすると五百五十円のその差というものはどこから捻出するのですか。会社に指示してそれだけ出させるか、それだけ出しても、前年同様の手取りということになれば、これは農家は納得しないでしょう。少なくとも昨年の最低生産者価格を基準にしてパリティ指数を乗じた価格、それに千円以上はプラスしなければ、これは全然妥当な価格にならぬじゃないですか。一体トン当たり千円というものをどこから捻出して農民に支払うかという、そういう何か確信があるのですか。あれば示してもらいたい。
○大澤(融)政府委員 昨年も五千四百円の最低生産者価格で、その上にいろいろな上乗せをしているわけです。ことしも会社が、ことに現在のように糖価が高いというような見込みもございますので、負担の能力はあり得るのではないかというふうに考えております。
○芳賀委員 会社に負担能力あるというのは、これは暫定措置法の案にも出ておるとおり、国内におけるてん菜糖の標準的な価格というものが相当安定した見通しのある価格が決定できるということになるわけですね。相当余裕があるということになる。その点はどうなんですか。
○大澤(融)政府委員 国内糖が生産されます十一月、十二月、一月以降において国内の糖価水準が相当高いというような場合には、会社はおそらく農民から買うてん菜について相当の負担をし得るというふうに見込めると思います。
○芳賀委員 その場合、先ほど関税局長の言われた消費税抜きの大体百七円ないし百十円、この線を維持するという場合において、これはどういうことになりますか。原料価格と製品価格を対比して、そういう場合に相当出せるということになるのですか。
○大澤(融)政府委員 繰り返して申し上げるようですが、国際糖価が高ければ相当の負担能力があるということが言えると思います。
○芳賀委員 いや、そうじゃなくて、国内の生産された砂糖価格というものは今後わが国の標準糖価の基礎をなすわけです。外国の価格につられて国内価格が幾ら上がってもいいというわけにはいかぬですよ。てん菜糖の価格というものが国内の砂糖価格の標準的なものを形成するということになるわけですから、そうでたらめなことは言えぬでしょう。百十円というものは消費税を抜いてこれを堅持するのが政府の方針であるとすれば、もしも農民に原料価格の妥当な支払いをした場合に、百十円の生産原価をこえるというような場合は当然これは直ちに消費者負担ということではなくて、政府が買い入れを発動するということに、甘味資源特別措置法からいえば当然これはなるわけです。そうなると、糖価だけどんどん引き上げてそれは全部消費者負担ということではないでしょう。その点が農林省としてははっきりしないじゃないですか。はっきりしなければ、これは大蔵省から明快にまた答えてもらってもいいのです。
○中西説明員 先ほど来三セント四十五、百二十二円というお話もたびたび出ております。あれが国内糖価についての政府の安定させる価格水準であるというふうにごく最近とられてきておるのですけれども、三十四年の発足のときにさかのぼりますと、三セント四十五、百二十二円と言いましたのは、当時の国際糖価水準、さらにてん菜糖のコストの問題とを突き合わせてみて、三セント四十五と百二十二円が見合うと考えられた。国内糖価が百二十二円以下に下がるようなことは防ぎたいということに重点があったと理解いたしております。そこで三十四年以来去年の夏ごろまで国際糖価が低迷といいますか相当安くなる、あまり高くならなかった、こういうことで推移しまして、その間に百二十二円の水準というのは何と申しますか、政府はさほど手を加えないでも安定価格として、その辺へ横ばいさせ得るのだということで、いわば価格安定の水準であるかのような取り扱いになってきた。しかし三セント四十五というのはその間といえども、たとえば一セント上がっておれば、キロ当たりで八円の糖価水準が上がるという要素はあったと思います。たまたまそういうふうにしなかったということだと思います。そういう意味合いで申しますと、現状のように国際糖価が上がってきますと、やはり一セントあたりほぼ八円というものが国内糖価水準が上がるというのは、これはやむを得ないのだというふうに考えるよりしようがないと思っております。その際にあまり上がり過ぎるといかぬから、この場合に関税でどう処置をするかということを別途考えておる。したがって、百二十二円とか、また農林省の計算で、てん菜糖につきまして原価計算を百三十一円というようなことを申し上げておりますけれども、その価格はあくまで国内てん菜糖のコスト、価格の問題でありまして、それを基準にして国内の市場価格をその辺に安定させようという強い拘束力のある水準とまでは考えないというふうに理解をいたしております。
○芳賀委員 次に、法案の内容についてお尋ねしますが、今回従来の外貨割り当て制を関税割り当て制に変更する意思のようでありますが、第一次税率と第二次税率というものが示されておりますが、この第一次税率の適用というのは、これは改正案にも書いてあるとおり、当該年次の需要量というものをまず把握し、国内における生産見込み数量というものを把握する、そして需要量から国内生産見込み量を引いた残り、これは当然輸入に依存しなければならないわけですからして、この数字、正常な輸入見込み量というものを、これを第一次税率の対象にする。これが改正案の内容であると思いますが、この点について大蔵大臣が来るまで具体的な説明をお願いします。
○佐々木政府委員 考え方は先生のお話のとおりであります。数字で申し上げますと、先ほど長官もお話になったと思いますが、上期の割り当てをやりますとき考えました数量というのは、総需要量、精糖別で百七十四万トンくらいです。これに対しまして、国内生産のてん菜糖、甘蔗糖、この場合沖繩も含めておりますが、ブドウ糖の合計が五十万七千トンということになっております。差し引き輸入量は百二十三万二千トンという計算になっておりますが、これは精糖ベースでございます。粗糖ベースに直しますと、百三十一万八千トンという数字になるわけであります。これをベースにいたしまして、今後の関税割り当てを考えてまいるということになるわけであります。
○芳賀委員 そういたしますと、関税割り当ては第一次税率による割り当ては、いまいわれた需要見込みから生産見込みを差し引いた輸入見込みの約百三十二万トンというものが関税割り当ての場合には第一次割り当ての対象になるという数字ですか。
○佐々木政府委員 この数字をペースにいたしまして、関税割り当てを行なうことになろうと思います。
○芳賀委員 第二次割り当ては、この法案では「その他のもの」と書いてありますが、これはどういうような計算になるのですか。たとえばこれは全く自由に業者の意思によって入れても差しつかえないのですか。
○佐々木政府委員 先生の最後におっしゃったとおりであります。第二次は割り当てでございません。業者がこれで採算が立つと思うならば入れ得る数字でございます。そのかわりよけい関税を払わなければならないという仕組みになっております。
○芳賀委員 そこで関税割り当ての対象になる第一次、この割り当ての基準とか方法というものについては、これは非常に大事な問題だと思いますが、政府はどういうような方法でこの改正が実現した場合行なうつもりですか。
○佐々木政府委員 関税割り当てを実施することになりますと、大蔵省にあります関税率審議会のうちの割り当て部会にはかりまして、第一次輸入のワクをきめるわけでございます。そのワクを実際に実行されますのは農林省で行なわれます。
○芳賀委員 私が尋ねておるのは、現存まではこれはFA制ですからして、行政の面では農林省が需要者と商社あるいは特殊割り当て等をやってきたが、それは、従来あるいわゆる外貨割り当て制のもとにおいてそういうような割り当てが行なわれてきたわけですね。今度は関税割り当て方式をとるとすれば、必ずしも従来と同じ方法でなければならないということでもないし、今度の新しい制度の精神に沿った割り当てというものが当然適正になされる必要があると思われますが、その方法について現行の外貨刷り当て制によったこうした割り当ての方法と今度関税割り当て制でいく場合の方法についてどういうふうに相違するか、その点について詳しくひとつ……。
○大澤(融)政府委員 従来外貨割り当てでやっておりました割り当てのやり方を関税割り当て制度に移す場合に、急激に大きな変更を加えるというようなことは、いままでのベースの上で動いておったいろんな活動が大きな変更が加えられて、急激な打撃を受けるというようなことになるのもぐあいが悪いというような面も考えまして、現状をそう大きく変更しないで関税割り当て制度に移っていく。それをやりながら徐々にいままでの割り当て制度にもし欠陥があれば直していくというふうなことでやりたいと思っております。
○芳賀委員 それは端的にいうと、従来と同様の方法でこうするということになるのですか。これは大体三年間の時限でしょう、この割り当て制というものは。そうじゃないのですか。
○佐々木政府委員 この法律は「当分の間」と書いてございます。したがいまして三年というふうな明確な年限というものを定めておりません。
○芳賀委員 それは「当分」というのはどういうことですか。この法律がもし改正されれば、改正された姿でずっと将来これは運営されていくわけですわ。法律の中に「当分」ということばがある限りは、それは現存しておるということになるのですか。法律の中から「当分」なる字句が削除されるとか改正されない限り、これは十年たったってその法律の中には「当分」という字句は規定されておるわけでしょう。その時限においてもなお「当分」ということになれば、まだ「当分」というのは生きておるということになるわけですわ、厳密な解釈からいえば。
○佐々木政府委員 法律の廃止とか改正を行ないません限り続くことになるわけでございます。
○芳賀委員 そうすると、これは大蔵大臣が来てから尋ねますが、現存の政府の考えは、砂糖の輸入は自由化に移行させる、そういう考えの上に立っておるわけですね。そうこれは簡単にいくものじゃない。それでとりあえずタリフ・クォータ制をここで採用することにして、その次の時限で自由化に移行させるということだと思いますが、この割り当て制の制度というものは足踏み状態でずっと続くということになれば、何も現在の外貨割り当て制というものを急いで改正する必要はないということになるんですか。FA制からタリフ・クォータ制に移行しても、中身が変わらぬということであれば、しかも当分ということで、さらに法律が改正されない限りずっと続くということになれば、割り当ての内容というものはいささかも変更されない、中身が変わらないのであれば、別に大急ぎで各方面に不安を巻き起こしてこの自由化の機会を強める必要はないということになると思いますが、この点は大蔵、農林当局としては、事務当局の立場からどういう判断に立っておりますか。
○佐々木政府委員 まあ実体的にもし、変わりがないとすれば、FA制のままでもいいではないかという御議論と承りました。かなり御議論のような面が強いところも残ると思います。しかしながら、非常に技術的なことになるのでございますが、国際通貨基金の関係で八条国移行という問題を要請されておりまして、為替の自由化をやらなければならぬことになるわけでございますが、関税割り当ては為替の割り当てでございませんので、その点から申しますと、IMFの要請する自由化は実行されたことになるということが一つございます。あわせて国内の問題といたしましては、第二次税率で、合理化しました企業は、輸入して採算が成り立ち得るという余裕が出てくべきものと考えております。それは非常に多く入ってくるというわけではありませんけれども、そしてまた、非常に有利ではありませんけれども、とにかく自由に入れる部分が穴をあけられるということで自由化の意義があろうかと思うのでございます。法律が当分の間と書いてありますことによりまして、いつまでも続くというお話を申し上げましたけれども、これは法律の形の上の問題でございまして、この法律が関税割り当てを存続せしめております間に甘味資源のほうの十分な発展といいますか、育成が行なわれる、国内の精糖業界のかなり乱立した状況も逐次整理されまして、完全自由化に踏み切り得る措置を当分の間に順次進めてまいりまして、準備整ったところで完全な自由化に踏み切るべきではないかというのが事務当局の考えでございます。
○芳賀委員 ただいま局長の答弁によりますと、事務当局としては、砂糖の自由化は一朝一夕にして行なうべきでない、そういう判断の上に立っておられるわけですね。自由化を主張しているけれども、その体制が整わない限り政治的な判断で簡単にやるべきでない、こういうことですね。
○佐々木政府委員 非常にお答えしにくいのでございますけれども、われわれが単独に案をつくり上げておるわけではありませんでして、いま申し上げましたような内容の御指示を受けて、作業をしているわけでございます。
○芳賀委員 大蔵大臣がお見えになったのでお尋ねしますが、砂糖自由化の問題です。
 将来の見通しからいっても、内外に非常に影響のある問題ですが、関税暫定措置法の改正を通じて自由化をいつごろ実施したいというお考えに立っておられるか。その点はどうですか。
○田中国務大臣 国内甘味資源対策との兼ね合いからできるだけ早くと考えておるだけでございまして、先ほどから御発言がございますように、国内甘味資源の問題とのからみ合いもありまして、現在さだかにいつごろということは申し上げられない段階であります。
○芳賀委員 結局、自由化が簡単にいかぬということは、無理があるということじゃないんですか。これは池田総理は非常に熱心ですが、そう総理の考えだけでは簡単に踏み切れぬわけですね。踏み切れないということは、やはりどこかに大きな無理が伏在しているということに当然なると思います。いま関税局長から、IMFの場合あるいはガットの場合等から論及して、世界の大勢というものが自由化に移行しているというような説もありましたが、問題を砂糖に限定した場合は、世界各国においては、砂糖の輸入自由化を完全に行なっておる国はそれぞれの国家において理由はありますけれども、非常に少ないわけです。しかも日本の場合には、御承知のとおり、八〇%以上が輸入に依存しなければならぬ。したがって、国内の自給度は非常に微弱なものですが、この状態をいつまでも続けるべきでないと思うのです。一方において甘味資源特別措置法の審議も進んでおりますし、将来においては国内甘味の自給度を高めるというところにも相当意欲的な施策が当然講ぜられる必要があると思うのです。そうなると、国内における甘味資源の生産体制に対する国の強力な施策あるいは保護対策というものが当然必要になってくるわけですからして、それらの体制が安心できる段階にいかない限り、簡単に思いつきで自由化に踏み切るということはできないと思うのです。そういう点については大臣としてはどういう判断に立っておられるか。
○田中国務大臣 政府は、御承知のとおり自由化にできるだけ早く移行したいという基本的な考え方を持っておるわけでございますが、あなたがいま言われたとおり、国内甘味資源と対応する問題もございますし、特に将来の長期的見通しにつきまして、国内産糖でどの程度まかなうのかというような見通しも立てなければなりませんし、そういう問題がありますので、いま、いつ完全自由化に移行できるかというようなはっきりしためどは申し上げられない段階でございます。
○芳賀委員 今回提案になった暫定措置の改正法律ですが、暫定措置法はたいていその適用時限を一カ年間ということに限定して、さらに必要な場合には更新するということにしてあるですね。長くてもせいぜい三年ですね。今度の場合だけは当分の間とうたってあるわけです。だから私は、まあそのうちの長い三年程度かと思って局長にただしたわけですが、いや三年どころではないのだ、当分だからまだ先があるというような答弁です。したがって、そうなると、この暫定措置法の改正によって砂糖の関税割り当て制が採用されていく限り、自由化の実施ということはまだ実現に至らないということに当然なるわけですね、そうなると、池田内閣がかりにもう一期やるとしても、その時限でも自由化はできないということになると思うのです。そうなれば、いまの段階で軽々に砂糖は自由化しますというようなことは慎むべきであるし、そういう放言はこの際整理して取り消すなら取り消すというような片づけ方をされておいてはどうですか。
○田中国務大臣 取り消すことはよくないのであります。自由化の方針は依然として方針でこれを採用いたしておるわけでございます。
 なお、タリフ・クォータ・システムを採用いたしましたことにつきましては、IMFの八条国移行等の問題もございますが、IMFにおきましては、タリフ・クォータ・システムを採用しておりましても、その内容によって自由化と認めるという問題もあるようであります。これらの問題は国際的な問題でありますから、より十分に慎重に検討する必要があるわけであります。
 当分の間と規定いたしましたのは、御承知のとおり法律では一年間ずつで、その時点において延長しておるわけでございますから、一年ないし三年という時限を明らかに規定するほうがいいかと政府も当初考えたのでございますが、先ほどから申し上げておりますように、長期見通し、それから国内産糖でどの程度のまかないをするのか、国内産糖の保護育成という、いわゆる甘味資源の法律も出ておるのでございますし、またその上に業界の合理化、整理統合というような問題にも幾ばくかの時間は当然かかるわけでありますので、そういう意味で当分ということを申し上げたわけであります。しかし当分というものは五年、八年、十年というような考え方で認定をするよりも、お互いの前提条件となるべきものが具備せられていけば、そこで世界の大勢としてまた趨勢として、自由化の方向に移行していくということを意味しておるのであります。
○芳賀委員 タリフ・クォータの割り当ての内容の説明を受けたわけですが、いま農林省等の考えておる構想は、現在まで行なっておるいわゆるFA制、外貨割り当て制と同様の割り当てを行なう、こういうことが明らかになったわけです。割り当ての数量等についても、先ほども申しましたとおり、当該年次の需要見込み数量から国内の生産見込み数量を引いた残りの、いわゆる輸入必要量というものを第一次税率割り当て対象数量にするということになれば、名前は外貨割り当て制から関税割り当て制に移行したとしても、中身が全然変わらぬじゃないですか。そういう従来の容態をそのまま踏襲した形の中で、どうして合理化が進むわけですか。残された自由輸入の分については、平常必要とする数量以外の分については、たとえば政府案によると関税率が十円高い、そういう形の中で自由に入れてもかまわぬということにはなっておるが、こういう従来と内容が変わらない運営でいくとすれば、タリフ・クォータに移行しても内容においてはいささかの変わりばえもないということになる。そこには企業の正しい競争の余地も合理化の余地もあまり生じてこないじゃないですか。大企業の数社だけが従来の実績とか既得の権利だけを主張して行動するということになれば、これはせっかくタリフ・クォ−タ制に制度を移行させても、大きな成果はあがり得ないというふうにわれわれは判断するわけですが、大蔵大臣としてはこれを一体どう考えておりますか。
○田中国務大臣 御承知のとおり、IMFの八条国移行になるとはもう時期がおおむねめどがあるわけでございますが、すでに現在でも外貨予算制度というものはやめなければいかぬ状態にあることは御承知のとおりであります。でありますから、外貨割り当て制度をとれないわけであります。でありますので、関税割り当て制度、いわゆるタリフ・クォータ・システムの採用ということになったわけであります。しかしこの割り当てというものが、問題は既存の製糖業者の利益を擁護するということにウエートを置いて実績割り当てをするというのではなく、あくまでも国内産糖と外糖と日本の消費需要見込みというもののバランスをとって、この関税割り当て制度が運用せられていかなければならぬことは、言うをまたないと思います。ただ運用の問題として、いままで長くやってまいりました実績中心主義ということで割り当てを行なうということを農林省から答弁されたかもわかりませんが、いわゆる世論もございますし、完全自由化に対して一歩一歩近づいていくという努力をしなければならぬのでありますし、しかも企業の合理化とか統合とかいう合理的方向を打ち出すためには、より新しい角度から関税割り当て制度の運用をはかるべしということになれば、そのような新しい制度が採用せられることはもちろんであります。でありますから、現在の段階において農林省はどうお答えいたしたかわかりませんが、いずれにしても、いわゆる実績割り当てで現在の状態そのままであるというような考え方に立っておるわけではないわけであります。
○芳賀委員 農林省当局はそういう考えに立っておるということを明らかにしたから、私はその点を指摘したのであります。
 本会議の開会の時間が迫っていますから、最後にお尋ねしますが、今回の政府が提出された、たとえば消費税については五円の引き下げ、この程度の微少な砂糖消費税の引き下げをして、国内における砂糖価格の引き下げに対して実際の効果があるかどうかということを考えたことがありますか。社会党としては、この時限においてはむしろ砂糖消費税を全廃すべきである、消費税法廃止法案を出して審議中でありますが、これが実現すれば二十一円まるまる消費税が廃止になるわけですから、その分は直ちに国民消費の面においてそれだけ砂糖価格が安くなるわけです。しかしわずか五円くらい消費税を引き下げましたといっても、それはムードをある程度つくるかもしれぬが、消費者の手元まではこの五円というものは引き下げの実効はもたらさないと思う。どうしてこういう情けないやり方を考えたのですか。最悪の場合でも十円程度下げるというのであれば、一方において関税率五円引き下げということであれば、まあまあといって政府の態度も認める余地はあるが、スズメの涙ほどのたった五円引き下げますなんということを国民の前でいえないじゃないですか。度量の狭いやり方、しかも田中大蔵大臣のもとにこういう改正案を出したということは、まことに遺憾千万です。
 そこで一体世界の事情はどうなっておるか、世界の主要国において、国民に対して税負担――砂糖消費者に対して、あるいは国内の消費税あるいはまた輸入に依存しておる国においては関税を通じて税負担をさせておるわけですが、わが国は世界一なんです。砂糖の税金が世界一高いなんということはあまり自慢できない。そうして自給度は世界一低いのですから、こういうことは大蔵大臣として勉強されたことがあるのですか。世界主要国における消費税あるいは関税の動向がどうなっておるか、さらに大きくいえば世界の砂糖の生産の事情とか、あるいは資源の生産事情はどうなっておるか、あるいは主要国において国民一人当たりの砂粒の消費量というものはどの程度になっておるのか、その中で日本の水準というものはどの程度であるか、こういうことはもう前提条件として頭の中に入れておかなければこういう法案の改正なんかというものは出せないですよ。国会において政府を代表した答弁もなかなか適切にできないと思うのですが、私のいま申した諸点について、大蔵大臣として学のあるところをひとつ示してもらいたいと思います。
○田中国務大臣 その道の専門家である芳賀さんほどは勉強をしておりませんが、いずれにしても相当勉強いたしました。勉強いたしました結果このような改正案を出したわけでございます。これは芳賀さんはいまそういうふうに御発言になっておられますが、実情はよく御存じだと思いますので、釈迦に説法式な発言はしないように、こういうふうに考えておったわけでありますが、これは私たちも初めは御承知のとおり関税十円引き下げということで検討いたしたわけであります。ところが国内産糖、いまあなたがお述べになりましたように、現在ある国内産糖、いわゆるてん菜糖だけのこういう自給度の非常に低い状態ではだめなんだ、これは新しい意味でもって、何年かで何割は国産糖でもってまかなわなければいかぬのだ、こういうことを考えますと、そういうような前提を置いて国内糖というものがだんだんと進行していくような限度というものは守らなければいかぬ、こういうことになりますと、国際糖価がいまは非常に高いですが、それが下がってきますと、先ほどから申し上げておりますように、国内の標準価格といいますか、基準価格を下回るような場合は引き上げなければいかぬ、こういうような問題がありますので、関税でいま引き下げるような場合、十円というものは少し荒っぱいというような考え方が過程において出てきたわけであります。これは十円も引き下げてしまうということになると、四十一円五十銭が三十一円五十銭まで一体下げられるのか、それには現在の数字だけではなく、新しい要請に基づく国産糖価というものに対してもっと掘り下げてみないと、あまり大きな下げ方はできないという問題が一つございます。
 もう一つは消費税の問題でございますが、これは確かに関税、消費税とも世界でもって相当高いという状態であることは、もうあなたが申し述べられたとおりでございます。ございますが、高いから下げろということで、それでは消費税を十円も下げられるのか、いますぐ下げられるのかというと、ここにも障害があるのでありますが、御承知の黒糖とかそれから再製糖、再製糖に対しましては、御承知のとおり再製糖業者を守るために十四円の差を持っておるわけであります。そういう意味で十四円、再製糖業者が原糖に対しては、輸入糖に対しましては税金を払わないで、再製糖という面から七円の税を払っておるわけでありますので、これは一挙に十円も下げてしまうとその十四円の差額というものが確保できない、ぶっつぶしてもいいのか、こういうような議論も生まれるわけであります。でありますから、将来、未来永劫に黒糖や再製糖というものを守るために十円というものを絶対に置かなければいかぬというような固定した考えであるわけでございませんが、黒糖業者はどうするのか再製糖業者はどうするのかという点もやはり育成強化の道を考えて、そうしてやはりこの大きな仕事と取り組んでいくということになると、結局合理的な面は消費税五円、関税五円、こういうことで、衆知を集めまして、これは私たちだけでやったわけではないのであります。これは、御承知のとおり政党内閣でありますから、私たちの党も衆知を集めまして、現在前向きで考えますと、結局われわれが、関税五円と言いましたが、現在の段階においては、甘味資源の将来の問題も十分検討しながら、また合理化するものは合理化しながら、前向きで対処していくためには、関税五円、消費税五円ということをまずワンラウンドにして、前進態勢をとるべきである、こういう非常に誠意を持って、会期末でございますが、御審議を願っておるわけでございますので、その間の事情はひとつ十分御理解賜わりたい、このように考えるわけであります。
○芳賀委員 いま大臣の言ったのは、それは全く小手先の答弁ですよ。黒糖、再製糖とのバランスがくずれるから、五円以上下げられぬといいますが、再製糖と黒糖で一体どれだけ生産されているのですか。再製糖、黒糖合わせて六万トン程度じゃないですか。百八十万トンの需要の中で六万トンということになると、総需要の三十分の一でしょう。そういうわずかなウエートを占める再製糖、黒糖、しかも黒糖は一万六千トンぐらいしか生産されていないじゃないですか。そういうわずかなものを持ち出して、役人の小手先答弁みたいなことを、しかも田中大蔵大臣ともあろうものが大げさに述べて、だから五円しか下げることができませんというのは、あなたの権威に関するのですよ。もう少し正直に、五円以上下げれば税収が減るから、それで五円以上下げることはできませんというのであればまだ大蔵大臣らしい答弁として認められるのですが、そういう小手先答弁というのは、あなたは慎まれたほうがいいと思うのです。われわれは消費税法廃止法案を出しておるから、そういう末梢の議論をする考えはないわけですが、ただ政府あるいは与党の一部にも、五円消費税を下げた場合に、まだ十五円消費税が国民負担ということになるわけですね。将来の国内の砂糖類の自給度の向上等、国の政策を進める場合には、この十五円のある一定部分を目的として――目的税というわけではありませんけれども、その税収の一定部分というものを国内の甘味資源の生産体制強化のために、一つの目的を付与して用うべきである。そういう説も政府あるいは与党内部で議論されておるということも聞いておりますが、そういう何かの考え方が一部にあって、この際五円の小幅引き下げにとどめたということかどうか。これは老婆心ながら聞いておきたいと思う。
○田中国務大臣 小手先の議論を申し上げたわけではございません。しかもその零細であるといいながらも、やはりこれらの新しい政策をとる場合には、一万数千トンをやっておる人に対しても相当な処置をしなければ、これはもう一万何千トンぐらいなどという考えを政治の上では持つべきではないのでありまして、こういう意味では前提としてあらゆるものをやらないと、中小企業の一人や二人ということになりやすいので、そういう考えではございません。これはやはりまじめな考えで、昭和三十八年度の予算編成のときにやったというようなものでなく、国際糖価が非常に上がった、何とかして砂糖の価格を下げなければならぬというので、会期末になってこういうことをお願いしなければならないという特別な事情がありますので、その特別な事情は、一万五、六千トンの生産をしているものではしようがない、こういうふうに踏み切るわけにはちょっといかないのでありまして、これはやはりきめこまかく政治が配慮しておるということだけは、ひとつまじめに御理解賜わりたいと思います。
 もう一つは、これはどういうことかというと、ほかのものもたくさんあります。御承知の砂糖消費税と他の品目とのバランスの問題、これは当然三十九年に考えらるべき問題ですが、こういうものもありますので、これが非常にアンバランスになるということになりますと、確かにその結果は税収に響くということもございますでしょう。まあいろいろなこともございます。とにかく現在の段階、会期末ぎりぎり一ぱいで皆さんに御苦労をいただいて審議をわずらわすということは、政府もこの国際糖価の暴騰によりまして、国内消費価格が非常に高くなっているということに対しては誠意を持ってこたえなければいかぬということで、お互いが国内の甘味資源の問題に対しても了解し、いまの段階においてお互いが不満足ながら常識的に理解できるという態勢で、関税、消費税とも五円ということでございますので、全く事務当局の教えたとおりしゃべった、こういうような考え方ではございません。前向きであってこれが第一段であり、これから砂糖の問題に対しては政府自体もまた国民各位の意見も十分しんしゃくをしながら、一つずつ片づけていかなければならぬという考えに立って提案を申し上げておるということを御理解賜わりたいと思います。
○芳賀委員 自給度向上の財源確保の問題について……。
○田中国務大臣 それは国産糖でございますか。国産糖の問題につきましては先ほどから申し上げておりますように、甘味資源特別措置法も出ておるのでございますので、これが決定をせられるわけでありますので、これらとも広範な立場で、慎重にかつ勇気を持って前向きにやってまいりたい、このように考えております。
○毛利委員長代理 次会は明二十八日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十一分散会