第043回国会 農林水産委員会 第38号
昭和三十八年六月六日(木曜日)
   午前十時二十分開議
 出席委員
   委員長 長谷川四郎君
   理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君
   理事 田口長治郎君 理事 山中 貞則君
   理事 足鹿  覺君 理事 片島  港君
   理事 東海林 稔君
      安部晋太郎君    大野 市郎君
      金子 岩三君    亀岡 高夫君
      仮谷 忠男君    川村善八郎君
      草野一郎平君    倉成  正君
      小枝 一雄君    坂田 英一君
      田邉 國男君    谷垣 專一君
      寺島隆太郎君    中山 榮一君
      野原 正勝君    松浦周太郎君
      松浦 東介君    米山 恒治君
      稻村 隆一君    角屋堅次郎君
      栗林 三郎君    中澤 茂一君
      楢崎弥之助君    野口 忠夫君
      松井  誠君    安井 吉典君
      山田 長司君    湯山  勇君
      玉置 一徳君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 重政 誠之君
 出席政府委員
        大蔵事務官
        (関税局長)  佐々木庸一君
        農林政務次官  津島 文治君
        農林事務官
        (園芸局長)  酒折 武弘君
        食糧庁長官   大澤  融君
        水産庁長官   庄野五一郎君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主計局次長) 澄田  智君
        参  考  人
        (元農林漁業基
        本問題調査会委
        員)      浅野 長光君
        参  考  人
        (漁村文化協会
        常任相談役)  宮城雄太郎君
        参  考  人
        (北海道指導漁
        業協同組合連合
        会専務理事)  高橋 秀雄君
        参  考  人
        (日本鰹鮪漁業
        協同組合連合会
        副会長)    増田 正一君
        参  考  人
        (全国漁業協同
        組合連合会会
        長)      片柳 真吉君
        参  考  人
        (庵治漁業協同
        組合長)    小磯 治芳君
        参  考  人
        (平館漁業協同
        組合長)    鈴木惣之助君
    ―――――――――――――
六月六日
 委員松本一郎君及び稻村隆一君辞任につき、そ
 の補欠として内藤隆君、松井誠君が議長の指名
 で委員に選任された。
同日
 委員松井誠君辞任につき、その補欠として稻村
 隆一君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 沿岸漁業等振興法案(内閣提出第三七号)
 漁業基本法案(角屋堅次郎君外三十名提出、衆
 法第六号)
 沿岸漁業振興法案(角屋堅次郎君外三十名提出、
 衆法第七号)
 甘味資源特別措置法案(内閣提出第一五〇号)
 甘味資源の生産の振興及び砂糖類の管理に関す
 る法律案(芳賀貢君外二十六名提出、衆法第二
 四号)
     ――――◇―――――
○長谷川委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出沿岸漁業等振興法案及び角屋堅次郎君外三十名提出漁業基本法案、沿岸漁業振興法案、以上三案を一括して議題とし、参考人から御意見を承ることにいたします。
 御出席の参考人を御紹介申し上げます。元農林漁業基本問題調査会委員浅野長光君、漁村文化協会常任相談役宮城雄太郎君、北海道指導漁業協同組合連合会専務理事高橋秀雄君、全国漁業協同組合連合会会長片柳真吉君、日本鰹鮪漁業協同組合連合会副会長増田正一君、庵治漁業協同組合長小磯治芳君、平館漁業協同組合長鈴木惣之助君、以上の方々でございます。
 参考人各位には、御多用中のところ、当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。それぞれのお立場から率直な御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。なお、まことに勝手でございますが、時間の関係もございますので、御意見開陳の時間はおおむねお一人十五分程度にお願いいたしたいと存じます。
 それでは最初に浅野参考人からお願いをいたします。
○浅野参考人 まず漁業の基本問題と沿振法との関係というような問題に関連いたしまして、率直に概括的な考え方を申し述べたいと存じます。
 貿易自由化を基調といたします国際関係の変化、高度経済成長政策に基づくところの国内産業構造の変化、近年における一連のそうした経済の動きにつれまして、漁業を取り巻く経済環境も、非常な急速な変貌を続けておるところでございます。曲がりかどにきた農業ということばがよく言われておりましたけれども、一つの曲がりかどに立っているという点では、漁業もまた全く同じ立場と存じます。戦前戦後を通じまして、漁業の経済発展はかなり急速であったということが暑中えると思います。第二次産業の中の成長産業にはもちろん及んでおりませんけれども、第一次産業の中では、きわだって高い経済成長を実現しているのでございます。そして、そうした高い経済成長を遂げるために、漁業内部にもある発達のための材料は非常にどん欲に利用しながら、今日のわが国の漁業は築かれてきたということが言えると思います。いわば、漁業産業内部で処理できることは、政府の諸施策を通じまして、ないしは業者自身の手によりまして、問題を片づけながら意欲的に発展を遂げてきたということでございます。しかしもちろん問題がないわけではございません。
 まず第一に、産業内部で片づけることのできる問題の範囲には、おのずから限界があります。国民経済総体の動きの中でしか解決できない問題が幾つか残っているわけでございます。需要の頭打ちの問題とか、過剰人口の問題がそれであろうと存じます。需要の問題は、つい近年まで過剰生産から魚価の下落という懸念を業者に抱かせてまいりました。後者の問題につきましては、過剰操業の問題と結びつきまして、生物学的ないしは経済的乱獲の問題を引き起こしまして、漁業におきますところの慢性的疾患の一つであるということを言っておるようなわけでございます。
 問題の第二は、先に述べたような急速な発展の結果といたしまして、漁業全体の姿が極度に膨張的になりまして、安定度を失っておることでございます。つまり伸びるものは伸びる一方であり、停滞するものはそのまま沿岸漁業に停滞して、均衡を欠いた漁業構造になってしまっております。しかも沖合いから遠洋へと発展していくことが、経営の安定度を増しまして、収益性を無条件に高めるかと申しますと、決してそうもいかないわけでございます。これまでの沿岸から沖合い、遠洋へ、小規模な家族経営から大規模な資本家的経営へというふうな系統的な発展経路を原理に置きました漁業構造のこのような考え方の展開方式では何ともやりくりがつかなくなってまいりまして、それにかわる新しい漁業構造のビジョンが必要となってきたわけでございます。これが第二の、そしてきわめて重要な問題になってきたということが言えると存じます。
 近年の経済環境の変化は、一方で水産物需要の新たな伸長をもたらしますと同時に、二次、三次産業の人口吸収が非常に盛んになってまいりまして、漁村での人手不足という現象を引き起こしてまいったのでございます。漁村におきまするところのこのような全般的な人手不足の現象は、戦時下の特殊な場合を除きますれば、初めての経験といっていいのではなかろうかと存じます。
 一方におきまして市場の拡大と、他方における過剰人口状態のある程度の緩和、この二つの条件の到来を切り札といたしまして、漁業構造のゆがみを立て直し、新たな発展の方向づけをすること、またせざるを得ないこと、これが最初に述べましたところの曲がりかどに立つ漁業ということの意味であると私は考えます。
 右のような観点に立ちまして、沿岸漁業等振興法を見ますときに、一まつの物足りなさを感ずる者は、おそらく私一人ではないと思います。
 沿岸漁業等ということで、中小漁業の一部をも対象とし得るように、法的措置がとられておりますけれども、漁業という産業を全体としてとらえて、国際漁業も含めて、その発展方向に指針を与えるというところまでいってはいないのでございます。せっかく構造改善といったうたい文句が用意されておるのでございますから、沿岸漁業構造といった遠慮した、ないしは中途はんぱな出し方ではなくて、総漁業構造を方向づける法律にしていただきたかったというのが私の本音でございます。確かに現在の漁業問題の中で、最も根の深い問題は沿岸漁業にあると存じます。ことに政策的なてこ入れを必要とする漁業部門は、沿岸にあるといってもいいだろうと存じます。しかし漁業全体のビジョンを踏んまえまして、沿岸漁業の将来を位置づけるということが、必要であろうと存ずるのでございます。沿岸漁業等振興法でなくして、漁業基本法というものを制定すべきではなかろうかというのが、私の偽らざる意見であるわけでございます。
 ただ、現在御審議中の振興法案は、基本法というよりも、沿岸漁業振興を中心としたところの、いわば事業法的なものであるというふうに私は思います。ただ農業基本法の法条記載形式をそのまま使っておる、あるいはそのように非常によく似ておるということでございます。かつ、沿岸漁業こそ漁業構造改善の中核であり、その従事者が、よくいわれておる零細漁業者であるということから、沖合い、遠洋で活躍するところの、ことに海外の海に雄飛するところの資本漁業は、水産行政のきめのこまかい助成的な対象の外であると一般に考えられがちでございますので、この振興法が漁業の基本法と誤解される危険があるわけでございます。もし基本法であるならば、社会党の御提出のような考え方もありましょう。しかしそれならば私はむしろ教育基本法のような宣言的な条文、法二、三条でよいのではなかろうかというふうに考えます。しかも私といたしましては、もしそうであるならば、海外漁業に関するところの日本の大義名分をはっきり出していただくというふうなことを望みたいのでございます。
 以上述べましたことのほかに、漁業を全体として問題とするという姿勢をこの法案におきましては放棄しているわけでございますので、そのために現下の漁業の基本問題でありながら、正当な位置づけをこの法案の中にしていない問題が少なくとも二つあると思います。
 一つは、貿易自由化対策の問題でございます。沿振法及び構造改善事業が特に期待をかけられる戦略業種は、御承知のように浅海増養殖業でございます。それらの業種は確かに目ざましい発展を遂げておりますが、その生産物の多くが自由化にきわめて弱い商品であるということをわれわれは見落とすことができないのであります。ノリの輸入の問題が毎年問題になっております。また最近ではタイなどの養魚対象魚種の輸入が深刻な問題を引き起こしつつあるというふうなことを聞いております。国全体の自由化基調を前提にしまして沿岸振興対策を組むという姿勢が必要であろうし、またそうした姿勢を前提に置きまして漁業としての体制整備に必要な自由化のテンポを要求すべきでありましょう。いずれにいたしましても、漁業産業の国際競争力について何の断わりもないというのでは、現実の漁業を問題にした法律とは言えないのではなかろうかという感がいたします。
 もう一つの問題は、他産業との関係の問題でございます。現在の工業用地の埋め立てがしばしば産業政策の節度をこえまして、事実上もうけずくで漁場を消失させていくというふうな問題がわれわれ漁業者の側から見ると見られるのでございます。これに漁業政策はどう対処しようとしているのか。漁業内部の発展をスムーズにするため、漁業権は物権的性格をこの間の改正でかなり稀薄化したような法的措置がとられてきており、また歴史的にもそうであるような感じがいたします。これは問題を漁業内部の生産力の発展、漁業の発達に限った場合、全く妥当な措置であろうと存じます。しかしこの措置が漁業対他産業という関係におきましては、漁業の産業的な基本権利を弱め、漁場を他産業に対して無防備にしているということは見のがせない事実ではなかろうかと存じます。産業的権利を守る何らかの考慮が必要でございましょう。それなくしては沿岸漁業構造改善政策も絵にかいたもちになるおそれがあるだろうと存じます。それこそ、事業法ではございますが、基本法的な姿勢でこの中に取り組んでほしいという問題であろうと存じます。
 さて、以上のような難点があるにはありますけれども、だからといって沿振法の意義を否定しようという考えは毛頭ございません。それどころか政策の立脚点を漁業の内部に押し込めずに、広く国民経済の立場から方向づけをしようという点をねらわれたところのこの法律の画期的な意義を私はだれよりも高く評価いたしたいのであります。先に曲がり角に立つ漁業ということばで表現いたしました現在の漁業問題は、その性格から見まして、全産業的視野を抜きにいたしましては解決されない問題であるからでございます。ただ右の評価を前提にしておいた上で二、三の意見をつけ加えさせていただきたいと存じます。
 まず他産業との均衡の問題でございます。法文では「あわせて、沿岸漁業等の従事者が他産業従事者と均衡する生活を営むことを期することができることを目途として、その地位の向上を図る」としております。いかにも均衡への政策的意欲があるようでございますが、非常に弱い感じがいたします。一体この均衡という意味、また何と均衡するのかという意味がすこぶる読みかねる点がございます。漁民がこれを読みました場合にどういうことであるかはっきりわかるかどうか非常に疑問に存じます。確かに漁業者といいましても、いろいろの業態、就業条件の差がございます。なかなか困難な表現を要することと存じます。しかしこの困難さをあいまいさと責任回避に利用してはいけないと存じます。しかも端的に言いまして、当局が漁民の就業、生活条件を十分把握しているかどうかということは問題だろうと存じます。今後の調査と研究を大いに期待したいと存じます。
 生産対策と対応いたしまして、流通対策にかなりの強い関心を示しておるという点は、私は大賛成でございます。ある生産業種の振興をはかろうとします場合に、その生産業種に幾ら直接投資をしても、投資効果をもたらさないか、あってもきわめて効果が少ないという場合が少なくないと存じます。というのは生産過程のほうに問題があるからではなくて、つくっても売れない、ないしは原価以下の価格でしかものにならないから、生産が行なわれないだけでございますといったことが多いからであるのでございます。こういった場合には流通投資こそが問題解決のかぎになるであろうと存じます。また幾ら製品を増加しようといたしましても、それに見合う需要の増加には一般に限界がございます。一般に所得の増加に応じた需要増加のテンポがあるわけであり、そのテンポを研究して生産増強施策が立案されなければならないのでございます。需要の増加を無視して生産過程投資の結果、いわゆる大漁貧乏という現象が起こり、漁業者所得の低下あるいは経営の不安定ということが起こるのではなかろうかと存じますが、これではお話にならないのでございます。大いに注意してほしいところであろうと存じます。
 沿岸漁業振興の中心業種に浅海増養殖業が選ばれまして、その発展を助長されていることは、経済的にも技術的にも大いに妥当性を持ち、けっこうであろうと存じます。この沿岸振興即増養殖という固定的な風潮が出てまいりますと、これは問題だろうと存じます。増養殖業は確かに生産力的に大きなポテンシャリティーを持っていると思いますけれども、現在の時点ではやはり漁船漁業が沿岸漁業におきましても生産力の中心をなしているということを忘れてはいけないと存じます。漁船漁業対策の貧困は、できるだけ早い機会に克服しなければならないと存じます。この漁船漁業対策の貧困の背後には、漁業制度の改善に対するところの取り組み方の消極さが隠されているような感がいたします。つまり基本問題調査会の答申の中でも、漁業構造とは、漁業の存立と発展を規制する基本的な漁業制度と経営構造とを意味する、こういっておられますけれども、その場合の漁業制度というものについての構造改善と結びつけての制度的な考え方、発展の展開の考え方というふうなことについて幾らかそれておるような感がいたしております。制度問題が起こらないところの増養殖業にただスポットを当てておるということでは問題があろうというふうな気がいたすわけでございます。特に近年急速な発展を遂げております魚類養殖業におきまして、この産業をささえているものはやはりえさ魚を供給する漁業であることを知る必要がございましょう。魚類養殖業が発展するためには、それよりも何倍ものウエートを持つ安い価格のえさの魚を生産する漁業が前提になるわけでございます。この意味で物的生産性の高い漁業の育成が高級魚生産漁業のかげに見すごされていることのないよう特に注意を促しておきたいと存じます。
 また沿振法の中で、調査及び試験研究の充実が掲げられておりますのは非常にけっこうでございます。しかし、はたしてその予算的措置が十分であるかどうかということは、多分に疑問があると思います。また各試験研究所等の振興もあるいは国際漁業等におけるところの調査研究の必要性のために、国内の沿岸漁業を中心にしますところの調査研究のほうにどの程度向けられておるかという点には、かなり疑問があるように見られます。曲がりかどに立つ漁業の尖兵的役割を国の研究所は受け持つ次第でございますから、特にこの点の慎重な検討が必要だろうと存じます。
 また、私は長らく財団法人水産研究会で水産漁業経済の研究に微力を尽くしてまいりましたけれども、それから感じますと、国や府県におきますところの漁業経済分析研究のスタッフはほとんどないに近いものでございます。しかし、農業を見ますれば、農業総研がございますし、国民経済的の立場から全農業的な立場に立った分析を行ない、各地方の農業試験場におきましても経営部がありまして、かなりスタッフが農業の経済的発展の進路を策定するために研究を行なっているのに対しまして、漁業は、本庁、水産研究所、県水試を見ましても、それに携わる人はごくわずかでございます。いわばゼロにひとしいのでございます。やっと本年度から漁政部の企画課で経済班ができまして、何人かがこれに携わっておるという現状でございます。自然科学研究との均衡という点でも非常に過小であり、両者の接触がないために、自然科学研究そのものも産業的視野を喪失するという欠陥が生ずるのでございます。この面の研究助成についてはつとめて大にしていただくような努力が払われることを特に強調いたしたいと存ずるわけでございます。
 このことに関連いたしまして、法案の中で、第七条に年次報告のことがございますけれども、この年次報告に私は農業と同じようにやはり沿岸漁業の動向を加えるということを前々から主張しておるのでございます。しかし、これは現在の水産庁の機構その他から見ますれば、このような動向を――農業の場合にはできるかもしれませんけれども、漁業の場合には現在の機構ではなかなか困難だということから、あるいは条文からはずされておるというのかもしれません。もしそうであるならば、これは逆のことでございまして、農業総研にまで及びませんでも、水産庁の企画課の経済研究班の機構をどっしりしたものにいたしまして、この種の動向を作成し得るような人的配置並びに運用が可能になるような措置をとっていただくことを強調したいのでございます。そして、このような沿岸漁業の動向を国会に報告し得るということによりまして初めて、沿岸漁業の改善に尽くす沿岸振興に役立つところの諸施策の樹立が可能になってくるのではなかろうかと存ずるわけでございます。
 最後に、構造改善対策におきますところの主体の問題でございますが、これは私は漁民自身の運動としてこの構造改善事業、沿岸振興事業が進められるような必要があろうというふうに考えるわけでございます。その意味におきまして、何かその組織も漁民運動として発展するようなことが考えられるように運用の上において配慮をされることを希望いたすのでございます。そして、このことを考えまする場合に、末端におきますところの漁業者組織の中心は何と申しましても漁業協同組合の職員であろうと存じます。したがいまして、それらを組織の中心者として働かせるためには、その身分につきまして何らかの措置が必要ではないかと思うのでございます。組合職員の問題を申し上げますのは、非常にこまかい問題であるかも存じません。しかし、ほんとうに構造改善の実現を考えますならば、その中心体として漁協職員を抜きにすることはできないと存じます。やや極端な表現を申しますれば、そうした人々が思い切って各自の漁村の経済発展施策をみずから考え、立案し、その推進者になれるような社会的条件を備えてやるということが、なまじっか単なる補助金を漁村に流すよりもずっと効果が大きいのだろうと存じます。
 また、この構造改善事業の主体は何といっても漁協組でございます。したがいまして、その強化拡充が必要でございます。したがって、この漁協ということを中心にしましての協同組合の本質的のあり方という問題を検討していただく必要があろうと存じます。先般の水協法の改正は漁業法改正に伴う改正でございましたので、本質的の問題はまだ今後の問題であろうと存じますので、この点をこの機会にお願いをしたいと存じます。ことに私は、沿岸振興並びに漁業構造改善ということに関連いたしまして、漁村の半農半漁のところ等におきましては、農業面からも漁業面からも忘れられるというふうなところがなければけっこうなんでございますけれども、そういう見捨てられるところがないように、この構造改善、村づくりのことを考えるように、沿岸漁業振興法の運用の上で考えていただきたいという感がいたします。
 さて、以上いろいろなことを申し述べたわけでございますけれども、沿振法制定の意義を十分認めた上での私の考えでございまして、農業のように、あるいは酪農振興法あるいは養鶏振興法とか養蜂振興法とかあるいは農業機械化促進法とか、いろいろの事業法的の特別立法がたくさんございます。しかし、漁業には非常に少ないのでございます。したがいまして、本法案のような事業法的でありまた基本法的であるものを成立させることがまず非常に望ましいことでございます。この点は誤解のないように願いたいと存じます。
 それから現在になりましていろいろ注文があるようでございます。しかし、この法案が廃案になるということは、非常に漁民のために嘆かなければならない問題であろうと存じます。いろいろな注文の点は運用なりあるいはこの基本法の成立後におきまして、それぞれの独立立法でもって法制化されることが望ましいというふうに考えるわけでございます。この沿振法に盛られましたところのいろいろの施策がその表現どおりに実現するならば、わが国の沿岸漁業並びに中小漁業をりっぱ過ぎるほどりっぱにすることができるであろうと存じます。沿振法は、私が述べてきましたような不十分さがあるとは思うのでございますけれども、漁民にとにかく夢を与えるには十分なことばに満ちております。しかし問題は、注文によって与えられた夢が、現実の施策で踏みにじられることはないかということであります。夢が破られた場合の社会的効果というものは、そうした法律がつくられなかった場合よりもむしろ悪い影響を社会に与えることと思います。そういうことが万が一にも起こらないことを期待いたしまして、またそういう確信を持ちながら、この沿振法に対する意見を申し述べた次第でございます。御清聴を感謝いたします。(拍手)
○長谷川委員長 次に宮城雄太郎君。
○宮城参考人 長年問題であります沿岸漁業ないしは漁村生活の問題を中心にいたしました法律案が一日も早くでき上がることを要望したいのであります。しかし、内閣御提出の沿岸漁業等振興法案をつぶさに拝見いたしますと、表現は悪うございますけれども、ちょうど入社試験の答案のような、すべてそつなく網羅はされておるが、どこにほんとうの筋が通っておるのか、こういう若干の疑問を感じる法案のような気がいたします。これは先ほども浅野参考人が申しましたが、今日の漁業の問題は、漁業内部で片づく問題というものはきわめて少ない。と同時にまた、国内の施策だけで貫徹し得るというふうな問題でもないのです。今日の日本漁業の漁場範囲は、国際的な規模を非常に拡大しておる。したがって、日本漁業の将来を長期にわたって計画化しようとするならば、沿岸漁業だけを問題にしていて日本の漁業というものは確立するかどうかということが第一の疑点となってあらわれてこなければならないはずなんです。そのような意味におきましては、漁業全体をどう律するかという基本的なものの考え方があって、それに付随してと申しますか、それに基づいてすべての諸施策が法律の行為となってあらわれてくるというふうな形が最も好ましいのではないかとわれわれは考えるのであります。
 御承知のように、今日漁村へ参りますと、若い者が非常に減っております。ある村では、中学を卒業した人間が漁業に従事したのは二人であるとか三人であるとかいうふうな声を聞くのであります。このことは、沿岸漁業自体がもはや不振の極にあるからということでもあろうが、もう一つ、言うなれば、漁業が他の産業と非常な格差を今日生じているがゆえに、漁業に対して絶望をしているということなんです。沿岸から沖合いの漁船へ乗るならば、それで生活が安定するというものではなくて、漁業から他の産業へ転移したいというのがいまや漁村人の希望と相なっている。ここのところを考えなければならぬのではないかと思うのであります。
 いまの漁業は、漁業内部で、大資本漁業と中小漁業及び沿岸漁業との間の格差が年々開いております。非常な勢いでもってこの所得格差は開いているのでありますが、この所得格差が開くということは一体どういうことなのか。御承知のように、漁業の産業活動は、かきねのないグラウンドでもって大小さまざまの形において競争しているのであります。当然そこには優勝劣敗の原則がきびしく作用いたします。優秀なる生産手段を持ち、潤沢な資金を持っているものは、常に漁場独占への傾向を強めている、このことは、実は漁業の内部において両極的な分界を示すような形で格差が開いているのであります。したがって、沿岸漁業を問題にするなれば、力がなくて及ばないものにいかような政策的なバックアップをいたしましても、これは伸びないのであります。はっきり申しますなれば、格差の開く要因にチェックする、漁場の独占的支配の進行にある程度の歯どめをするということなしには沿岸漁業の振興推進ということはあり得ないのであります。沿岸漁民が一足飛びに大西洋のカナリヤ群島の方面に出かけていくということは可能性のないことなんであります。そこにはすでに独占資本の旺盛なる進出が見られている。そこへ沿岸漁民が何らかの形でもって出ていくということは考えられない。とすれば、日本の近海において、国内的な政策の範囲の中で沿岸漁業及び中小漁業に競争に太刀打ちできるだけの力を付与するというその前に、独占進行をしつつあるものに対する歯どめの政策をまずとる。このことは、沿岸漁業等振興法においては少しもうたってないし、また可能なことでもないのであります。この法律だけではできない。どうしても漁業全体をつかまえた法体系をつくり上げて、その中でどうするかということで部分部分の事柄を処理する。私は、このような意味におきまして、前の参考人と同じように、漁業の基本を長期にわたった計画としてやろうとするなれば、まず基本法をつくりなさい、またそのような考え方で内閣御提出の沿岸漁業等振興法案を御審議相なることをば期待したいのであります。
 私も農林漁業基本問題調査会に関係いたしましたが、あの調査会で、十年後、すなわち四十五年の水産業の伸び率をば推算したことがございます。総生産における伸び率は年率二・七%伸びまして、十年後には一四一%の生産増加になる。これでもって十年後の水産物の国民的需要にこたえるという推算をしたわけであります。ところがこのような伸び率を推算する場合に、種々雑多ある漁業の中で、どの漁業がこのような健康な伸び率を示すであろうかというのが問題なんです。ここで一応何らかの形の統計をつくらざるを得ないので、いろいろと専門委員のほうで統計をひねくった結果を申しますと、沿岸漁業におきましては、養殖業あるいは漁場造成による増殖、その他等々の能率的な漁法をいろいろな積極的な政策の裏づけでやると見て、十年後には二・二%の年率の伸びでありまして、十年後には約三割の生産増加になるだろうという推定をいたしました。これに対して沖合い及び遠洋漁業のほうの伸び率は、年率で三二%、生産量の増大は一四九%、約五割の増産になる。こういう形なんです。しからば、このような沖合い・遠洋漁業の伸び率をどの漁場に求めて推算したかが問題なんです。この場合には、御承知のように、いまや問題になっておりますいろいろな国際的漁場において、日本漁船がどんどん優秀な生産手段を持って、巧みな技術を持って進出するという前提をば置いて初めてこのような形になる。したがいまして、この統計及び伸び率の推算が示しますように、日本近海の中で今日のような自由競争をそのままほうっておいては、沿岸漁業の伸び率というものは非常に期待が薄い、こういうことが言えるのではないかと思うのであります。でありますから、今後の漁業を考えます場合に、沿岸漁業を一足飛びによそに出すということはできない。そういう意味においては、どうしても日本近海における漁業の資本による漁場支配をある程度抑制し、ここへ中小漁民が新しい経営組織と技術を持って適用していく、こういうふうな方式をとることが必要だろうかと思います。もちろん各自の産業活動をばチェックするということは、なかなか現在むずかしいことだろうと思いますが、漁業の場合には、ただその資本活動を抑止する場合、直接的な資本の活動を抑止するのではなくて、漁業という資本活動の始まる前の前提、いわゆる漁場利用は、漁業法におきましては、漁業権なりあるいは漁業許可なりという形において調整をしているのでありますから、したがいまして資本による沿岸漁業の圧迫をある程度緩和しようとするならば、漁業許可の点において配慮をするならば、内海、近海漁場においては若干沿岸漁民のための漁場的ゆとりを生ずることもできましょうし、あるいはまたその体質に応じたような形での漁場を確保する可能性も生じるのであります。そのような形で考えてみますと、漁業の許可にあたりましても、今日の実績主義的な、いわゆる戦後資本の調整だけに焦点を合わせてやってまいりました漁業政策を、ある程度新しい角度で勘案をし直しまして、ちょうど定置漁業権における適格性ないしは優先順位と同じような形で、漁業許可の切りかえごとに沿岸漁民に再配分をし直す、こういうふうな形でおやりになるなれば、沿岸漁民のための漁場確保もある程度いくだろうと思います。そのように考えてみますと、どうしても沿岸漁業等振興法とかあるいは現行の漁業法の規定だけでもっていいというわけにはいかないので、再び申しますが、どうしても基本的なものの考え方という点をばはっきりさしておかなければならないだろう、こういうふうに考えております。
 もし今日のいろいろな事情から内閣御提出の沿振法をこのままの形で刻下の急務としてどうしても通そうとするなれば、私はあえてこういう形をお願いしたいのであります。
 社会党御提出の中の漁業基本法案第一条から第七条までの条文を沿岸漁業等振興法の中にいかなる形においてか盛り込んで、その基本法的精神を生かすような御検討が望ましいのであります。さらにまた法案成立後の法律の運用につきましては、すべて網羅主義的な、何々しなければならない、何々しなければならないというふうな形において表現されておりますが、するということは少々することでもするのである、基本的に、抜本的にすることもするのである。そのような意味から申しますと、従来の水産政策の歴史を考えてみてとかくおざなりになりがちだという心配が先立ってまいります。したがいまして、先ほど申しましたように、社会党御提出の基本法案のあの精神を運用面に生かすような形において法律の表現としていただくならばという希望を持っております。
 もう少し基本的なことを申し上げたいのでありますが、時間の制約がございますのでそれらのことをばすべて省きまして、細部のことについて二、三意見を申し上げたいと思います。
 政府の御提出の沿振法の第三条の中に、「漁港の整備、漁場の整備及び開発」という点がございますが、この点は従来どおりの形でまいりますと、漁協が負担いたしまする漁港整備に対する経費が非常に重過ぎて、これが負担になって漁業協同組合の不振の原因になっているというふうな場合もかなりございます。さらにまた漁場の整備というふうな形で投石なりあるいはつきいそなりというふうなものが行なわれておりますが、これもなかなか経費のかかることゆえに、補助金の範囲内でお茶を濁すというふうな事例もなきにしもあらずの状態でございます。そういう点を考えてみますと、「漁港の整備、漁場の整備及び開発」という点につきましては、公共事業的な性質のものなのだからできるだけ国費を大幅に投下するのだというふうな意味合いで、たとえば大型魚礁あるいは第三種、第四種漁港に見られますように国の負担部分を第一種の漁港にまで及ぼしていく、あるいは小型の魚礁にまで及ぼしていくというくらいの気持ちで補助率を法律の中に明記することが必要かと思うのであります。
 さらに第三条第一項の一号から四号までの事業でありますが、この点は漁業協同組合その他の、いろいろな流通から加工その他のものをば問題にしているところでございますが、これをどのような形で補助し助成していくか。あるいは指導すると申しましても、現実には受けて立つのはほとんどは漁業協同組合で、今日の漁業協同組合の規模では何ほどのことも実はできないのでございます。やろうとしてもできないといったほうが正しいのではないかと思います。したがって法律の上において漁業協同組合の組織の拡大及び内容の整備を明文化していく、要するに経済体としての姿をつくり上げていかなければならないという、これは単に運用にまかすのではなしに法律の上にはっきり書いてほしいと思います。そうでない限りは、過去のいろいろないきさつから漁業権管理団体がすぐにかなりな規模において経済事業を営むような姿にまでなっていくということは、これはもうむしろ単なる期待にすぎなくなってしまう危険がございます。現実の姿から考えてみまして、この点がはっきりとこの法律の条文に出てくるというふうな、そういう考え方をしたいのであります。
 それからその次は、沿岸漁業等の構造改善の問題なのでございますが、これも先の参考人が言ってしまいましたので多く申しませんが、構造改善事業の中心になっておりますのは養殖事業あるいは増殖事業というような点であって、肝心の漁業の中心である漁船漁業にほとんど手がついてないような気がいたします。というよりも手がつきにくいというのが実態であろうかと思います。でありますから、漁船漁業の近代化を個々に伸ばしていくというような方式でなしに、新しく共同経営なりあるいは協業組織なり集団経営なりという形でやっていくような、そういう点に対して大幅な国費補助によるいわゆる健全なる経営の育成、こういう形がとられるような予算措置、法律的な措置が望ましい。何かその点につきましても内閣御提出の分については隔靴掻痒の感じをまぬがれないのであります。
 それから流通の問題についても、これは一言で申し上げますが、一番大事な問題は、流通の問題。要するにたくさんとれば必ず値段が下がるという、このことにつきましてはわれわれ漁業に関係しておりますものがいつでも一番くやしく思う点で、農業にあれだけ手厚い価格支持政策があるのに、どうして漁民の生産物に対する価格政策がないのかという点なのであります。農民の生産の中心が米麦であるとしまするならば、漁民の生活の資は、多く魚介類によって求めているのであります。それによって食うということあるいは国民の需要にこたえるということ、その点につきましては、米麦と魚とは若干の価値なり量的な差はあるといたしましても、性質は同じであります。といたしまするならば、これに対する価格支持政策のようなものはもっともっと手厚く行なわれていいのではないか、それをただに市場の機構をどうするとか、やれ何々をどうするかというような小手直しだけでこの問題は片づくものではない。その点におきましても流通問題は価格補償まで考えてやるのだという態度をもって法律案の御審議の前提としていただきたいと思うのであります。
 さらに内閣御提出の法案の中の第十二条の規定は、いろいろな総合政策を中央漁業調整審議会でもっておやりになることになっておりますけれども、極端に申しますると、ああいう顔ぶれだけそろえた調整審議会で抜本的な政策の審議だとか調査とかいうものは実はできるはずはないのであります。顔だけそろえるようなそういうものでやるのではなくて、少なくとも長期計画に基づいた漁業の計画、漁業の体質を基本的に変えていく具体策をつくり出すなれば、あるいは審議をする機関であるならば、これは別途の機関をおつくりになる、まあどのような名前でもよろしゅうございますが、少なくとも中央漁整審議会とかいうふうな形の今日の漁業調整を主にした審議会とは別途の組織としてお考えいただくほうが妥当ではないか。いずれにいたしましても、これからの漁業というものはだんだんとむずかしくなってまいります。と同時に、このむずかしい中において漁業を確立して、そのことが国民需要に追いつき輸出の増進の一翼をになう将来の漁業の創出という点を考えまするならば、非常にむずかしい問題でございますが、まず基本を忘れないで、基本を大切にして、その基本の中から部分部分の新しい構想をつくり出す、そのような態度で御審議をしていただくことを望みまして、私の意見の開陳を終わりたいと存じます。(拍手)
○長谷川委員長 次は高橋秀雄君。
○高橋参考人 ただいま紹介されました高橋でございます。
 本日この席で、沿岸並びに中小漁民が久しく待望しておりますところの沿岸漁業等振興法案が審議されますことは、われわれ沿岸漁民といたしましてまことに喜びにたえません。また、その席で業者代表といたしまして意見の一端を述べる機会を得ましたことは、まことに感謝にたえない次第でございます。いささか貴重な時間を拝借いたしまして、意のあるところを述べさせていただきたいと思います。
 第四十国会におきまして政府より提案された沿岸漁業振興法案、及びその対案として日本社会党より提案されました漁業基本法案並びに沿岸漁業振興法案がようやく国会において審議されますことは、まことにわれわれといたしまして喜びにたえないところでございます。これら関係法案の国会審議を通じまして、政府はじめ与野党が十分沿岸漁業の基本問題を審議され、それぞれの見解を国民の前に明らかにするとともに、沿岸漁業並びに中小漁業の真の基本法となり得る法律の制定、完成につとめられますことを切に要望する次第でございます。
 さて、現在国会に提案されておりますところの関係法案の内容を概観いたしますと、政府より提案された沿岸漁業等振興法案と、日本社会党より提案されました漁業基本法並びにその事業法であるところの沿岸漁業振興法案は、それぞれ異質的なものであって、同一の立場に立って対比検討することはきわめて困難でございます。
 すなわち日本社会党が提案しておりますところの法案は、沿岸漁業から遠洋漁業まで漁業全般にわたってその基本問題に触れ、社会主義的見地よりこれを解決せんとするものであって、一つの理想と言い得ると考えます。しかしながら、御承知のとおり、沿岸漁業並びに中小漁業には一億以上の投資を行ない、年間水揚げ約七千万円程度の遠洋漁業、底びき、あるいはカツオ・マグロ漁業があるかと思えば、六万円前後の投資による無動力ないしは二、三トンによる年間十万円から二十万円程度の収入しかないところの零細漁民に至るまで千差万別の漁業形態があり、非常に内容が複雑でございます。したがって、沿岸漁業、中小漁業の恒久的な安定対策を樹立するには、内閣の中に沿岸漁業に関しまするところの審議会等を設けまして、その中で各種漁業の実態を十分研究討議した結果を待たねばならないと考えるわけでございます。したがいまして、日本社会党が提起されましたところの諸施策は、これら審議を通じて十分解明されることが必要であり、今日の段階におきましては、直ちに社会党案を実施することは困難と存ずるわけでございます。
 一方、政府が提案されました法案は、沿岸漁業並びに中小漁業の基本的振興対策という面について触れることを避けている点が見受けられます。その内容は、農業、中小商工業関係法案に比べきわめて不公平であると言わねばなりません。したがって、社会党が示されました基本法的考え方の一部を具体的に政府案に織り込みまして、政府案を修正し、その成立をはかることが今日の段階においては最も妥当であると考えるわけでございます。関係地方公共団体並びに各県漁業協同組合連合会もこれを希望しておりますので、かかる取り扱いを心から期待する次第でございます。
 次に、それらの観点から政府案を修正すべき点につきましてわれわれの期待する意見を開陳申し上げたいと思います。
 まず第一には、貿易の自由化の態勢に対応し、輸入にかかるところの水産物の調整並びに国際競争力の強化に対する処置を講ずるように規定していただきたい。水産物の貿易自由化の傾向は、今日の国際経済情勢下にあっては必然的なものであるが、貿易自由化に伴うところの沿岸漁業並びに中小漁業への影響については十分検討を加えなければ、これら漁業の経営は根本から崩壊する危険が強いのでございます。たとえばニシン、ミンタイ、あるいはサケ、マス、ミール、ノリ等が対策のないまま自由に輸入された場合、一部取り扱い商社ないしは取り扱い大水産会社のみが利益を受けまして、沿岸漁業者、中小漁業者並びにこれに関連する産業は大きな不利益を余儀なくされると信ずるものでございます。したがいまして、貿易自由化に伴うところの輸入機関の調整をはじめ、輸入数量の制限、輸入されることによってはなはだしく損失をこうむるものの補償、救済施策等具体的に政府の対策として取り上げられねばならないことと考えます。この点、農畜産業について見ますと、乳製品、砂糖等には国がそれぞれ必要な施策を講じながら、ひとり農業のみを放置することは片手落ちといわざるを得ません。このため、この条項はぜひとも追加していただきたいのでございます。
 第二点といたしましては、水質汚濁並びに漁場喪失に対するところの対策でございます。現在水産資源保護法、水質汚濁防止法の二法案がありますが、これらはその内容においてほとんどその実効を欠いている現状にあります。このため、水質汚濁に対する対策を早急に樹立しなければなりませんが、特に最近問題となっておりますところのふん尿の処理、工業用水の流入あるいは農薬によるところの魚類に対する悪影響などの多くの問題がございます。これら個々について完全な対策を樹立されて、これを実行せねばならない逼迫した現況に現在はございます。また新産業都市計画等の指定に関連いたしまして、特定な臨海においては沿岸漁業の転換も余儀なく断行せねばならないと考えられるのでございます。これらの問題に対するところの国の基本方針を示す条文を法文に明定され、現段階におけるところの沿岸漁民の苦悩を解決するのでなければ本法を制定する意義は全く失われるものと考えます。
 第三点といたしましては、沿岸漁業構造改善対策事業は国の責任を明らかにして実施するように明記されたいのでございます。
  〔委員長退席、田口(長)委員長代理着席〕
農業基本法においては特に一章を設け、零細な経営規模の拡大化、農用地の集団化、営農の機械化等、農地保有の合理化と農業経営の近代化をはかる旨を明記し、これを国の責任において実施するとしているが、沿岸漁業の基本法となる沿岸漁業等振興法案においては、この事業をすべて都道府県にまかせ、国は都道府県が実施する場合にのみこの事業に対して助成するというきわめて消極的な態度をとっており、このことは農業に比べ漁業を不平等の立場に置くものであって、漁民といたしましては絶対納得し得ない問題でございます。
 第四点は、水産物の流通改善並びに価格対策を強化する旨をぜひ明記していただきたいと思うのでございます。欧米諸国におきましては最低価格補償制度を確立する等の施策を取り上げていますが、わが国の価格政策はきわめておくれている現況であります。農業においては米麦、雑穀、乳製品、砂糖等に対する価格政策もとられておりますが、漁業においてはきわめて立ちおくれた現況にありまして、わずかに一昨年制定されました漁業生産調整組合法並びに魚価安定基金法がありますが、これも現在のところサンマに限定され、多くを期待するまでには至っておらないのでございます。この価格対策並びに流通改善対策を国で積極的に推進していかない限り、沿岸漁業並びに中小漁業の経営安定は期待することができません。このことは単に生産者擁護ということばかりでなく、ひいては消費者保護といろ見地から見ても、当然実施せねばならぬところの大きな問題でございます。この条文を必要とするゆえんもまたここにあるのでございます。
 第五点といたしましては、内閣の付属機関として沿岸漁業等振興審議会を設置していただきたい。農業基本法においては農業政策審議会を設置しているが、漁業においては審議会を設置しないものとしております。このことは政府の漁業軽視のあらわれであると強く考えているものでございます。特に今日の沿岸漁業の一部の経営内容は、日雇い労務者よりも困窮した生活を余儀なくされている者が多く、すでに社会問題にまで発展しておるのでありまして、また水質汚濁による産業転換の問題、価格政策、乗り組み員の各種社会保険制度の問題等、緊急に解決を迫られているところの重要問題についてのみ申しますと、そのすべてが関係各省の行政ときわめて関係が深いのでございまして、これらの重要問題を審議するためには内閣内に審議機関が設置されない限りその解決は望むべくもないと考えます。しかるに、政府案ではこれを中央漁業調整審議会により解決せんとしておりますが、中央漁業調整審議会は漁業制度に関する重大問題を取り扱っており、異質な沿岸漁業の振興問題を取り扱うことは実際上困難であり、まことに無理であると考える次第でございます。政府が真に沿岸漁業の振興を意図するならば、当然この審議会を設け、権威ある答申を待ってその実現を期すべきものであると確信してやみません。
 次に第六点といたしましては、水産物の生産並びに需要についての長期見通しの項目を設置していただきたい。沿岸漁業は近時浅海増養殖事業に重点が置かれまして、計画生産が可能となりつつございます。また中型、大型漁船漁業についても、その科学化の進歩に伴い、計画性は当然樹立し得るところの段階にございます。この生産と需要の長期見通しは、貿易自由化が促進されつつある今日、当然樹立されなければならない問題でございます。無放任な需要供給の時代から早急に脱皮をはかりまして、長期の需給計画を立てることは価格の安定対策にも直接結びつきまして、中小漁業の経営安定の基盤でもございます。政府は当然これを樹立するところの責任があるものと考えられます。
 以上をもちまして参考意見の供述を終わりますが、意のあるところをおくみ取りくださいまして、よろしく御審議をお願いする次第でございます。貴重な時間を拝借いたしまして、まことにありがとうございました。(拍手)
○田口(長)委員長代理 日本鰹鮪漁業協同組合連合会副会長増田正一君。
○増田参考人 本日、当委員会から、内閣提出にかかります沿岸漁業等振興法案と、角屋先生外諸先生方の提出にかかります漁業基本法案、沿岸漁業振興法案につきまして意見を求められましたので、学識、経験ともに乏しい者でございますが、しばらく時間を拝借いたしまして私の意見を申し述べたいと存じます。
 この沿岸漁業等振興法案は、政府におきまして立案の当初の構想といたしましては、文字どおり沿岸漁業自体の振興法案として取り運ばれてきたようでございます。その後の立案の過程におきまして、どうした理由によるものか存じませんが、いわゆる中小漁業をも包含して規定するようになったようであります。そのために、この法案の内容は、あくまで沿岸漁業の振興にその重点をしぼっておりながらも、法体系におきましては沿岸漁業と中小漁業とを包括して対象としているところに問題があるように存じます。いわば中小漁業はさしみのつまのように片すみに小さく盛りつけられたかっこうで陪席していると言っても過言ではありません。すなわち、沿岸漁業と中小漁業につきましては、第三条の国の施策、第四条の地方公共団体の施策におきまして、それぞれ基本法的な内容を整えてはおりますが、さらにまた、沿岸漁業につきましては、第八条の沿岸漁業の構造改善事業におきまして、沿岸漁業の事業法案としての性格をも打ち出しまして、その具体的施策を明文化しております。これに対しまして中小漁業については、第九条の中小漁業の振興において、きわめて形式的に抽象的な事項を羅列いたしまして糊塗しているにすぎません。このような法案の内容では、現在中小漁業が直面いたしております諸種の問題点を解決し、また中小漁業が現在かかえております各種の不安定要因を取り除いて、この法案の目的としております中小漁業の安定発展を期することはとうていできないと存じます。
 いまここで私の関係いたしておりますカツオ・マグロ漁業に例をとりながら、法案の中にぜひとも盛り込んでいただきたいと思います具体的な施策について触れてみたいと存じます。もちろん、これから申し述べます施策の項目は、第三条の国の施策と第九条の中小漁業の振興に共通する事項もあろうかと存じます。また第九条だけに適合する具体的な重点施策もあろうと存じます。
 まず、第一は、輸出の振興についてであります。カツオ・マグロ漁業におきましては、その漁獲の対象であります主要魚種であるマグロ類は、その生産の過半数が冷凍マグロあるいはマグロかん詰めといたしまして米国あるいは欧州に輸出され、年額九千五百万ドル、約一億ドルになんなんとする外貨を獲得いたしまして、わが国の国際収支改善に寄与いたしておるのであります。マグロ類そのものがいまや国際商品でありまして、マグロ類の輸出の消長は、直ちにカツオ・マグロ漁業の経営安定とその発展を左右するわけであります。
 第二は、過当競争の防止と中小漁業の事業活動の機会の確保についてであります。カツオ・マグロ漁業は、その従事する漁船の船型が数十トン級の小型漁船から一万トン級の母船式マグロ漁業までありますと同時に、その経営構造におきましても、小漁業者の階層から大漁業資本までございます。最近におけるカツオ・マグロ漁業の漁況は憂慮すべき悪化の一途をたどっておりますが、関係の漁業者といたしましては、生産性の向上をはかるために、中小型漁船は基地操業や母船式付属漁船として従事するものが非常に増加してまいりました。従来は船型によりまして漁場の利用区分が画然といたしておったのでありますが、最近では漁況の比較的よい漁場へは船型の大小を問わず、また距離の遠近を問わず集中殺到いたしまして操業が混乱し、あたら漁場を荒廃させている事例も非常に多くなってまいりました。また中小漁業は一般的にいって、漁獲本位の立場から、生産コストの引き下げ、漁獲物の販売、流通の合理化等により多くの努力を払い、漁業経営全体の立場から経営の安定をはかるべき時期に直面してきたと存じます。このような避くことのできない施策を完全に遂行するためには、どうしても中小漁業者間の過当競争を防止いたしまして、また中小漁業者の事業活動の機会の確保をはかるための機能が強く要請されるときであると存じます。
 第三には、漁業労働関係の適正化及び労働力の確保についてでございます。従来の漁業労働関係は非常に低調でありましたが、最近に至りまして、にわかに労働問題が台頭し、漁業労働の各分野において急速に進展の様相を示しておりますが、漁業の生産性向上の視野から、労使両面から見た労働関係の適正化がいま強く要望されております。同時に、最近におきまする経済の高度成長の影響を受けまして、漁業労働の面では逆に質的な低下、労働力の不足が目立ってまいりました。漁業労働について各般の施策が特に重要なゆえんでございます。
 第四には、価格の安定であります。漁況の悪化と生産コストの増高に対処いたしまして、経営の安定をはかる道は魚価の安定であります。最近における漁況の低下にもかかわらず、漁業経営をささえてきたものは何といっても魚価でありました。そのたもに今後一段と水産加工の振興、流通の合理化、需給の調整、価格支持等に強力な施策を必要とすることは多言を要しないと存じます。
  〔田口(長)委員長代理退席、委員長着席)
 第五には、中小漁業者の組織化の促進と中小漁業団体の整備強化であります。中小漁業者の今後直面いたします困難な事態に対処して、中小漁業を維持発展させるためには、その経営を協業化しあるいは適度規模に移行いたしまして、その合理化と弾力性を備えることがぜひとも必要と存じます。同時にまた、中小漁業でありましてなお団体の未組織な分野におきましては、強力な組織化を促進する必要があると存じます。さらにまた既存の組織でありましても、有名無実なものもあるいはまたすでに実情に合わなくなったものにつきましては、この際整備強化することがきわめて必要かと存じます。
 第六には、中小漁業に対する金融及び投資の円滑化並びに租税負担の適正化でございます。中小漁業はいわゆる金融ベースで維持すべき漁業であります。したがいまして金融措置が適正に行なわれるべきであることは必然であります。最近におきまするカツオ・マグロ漁業の自己資本比率は一〇%ないし一五%といわれておりますが、他人資本に依存する割合が他の一般中小企業に比較しましてきわめて高くなっております。そのための経営圧迫は、非常に大きな問題になっておるわけであります。しがたって、自己資本の造成、投資の円滑化、租税負担の適正化は最も必要な施策でございます。
 以上、数項目につきましてその概要の説明を試みましたが、これらの数項目につきましてはぜひとも法案に付加して修正していただきますよう諸先生方の特段の御配慮をお願いする次第でございます。
 次に、法律案の名称が沿岸漁業等振興法案となっておりますが、いままで申し述べましたような理由によりまして、沿岸漁業並びに中小漁業振興法案として名実備わった法律案とすべきだと存じます。また、中小漁業者の定義、中小漁業の適用範囲はこの法律案ではきわめてあいまい、不明確でありますが、中小漁業の実態に即するよう、中小漁業者というのは常時使用する従事者の数が三百人以下の法人及び個人と法律上にぜひとも明文化すべきであると存じます。さらにまた、この法律の施行に関します重要事項につきましては中央漁業調整審議会に諮問することになっておりますが、漁業法とは法律の性格が全然違っておりますので、当然独立した別個の審議機関を設けるべきであると存じます。中途はんぱな内容の乏しい中小漁業振興法案というものにつきましては、私ども中小漁業者は決して望んでおりません。また中小漁業の置かれております現況と将来は決してなまやさしいものではないと存じます。諸先生の英邁な決断によりましてぜひとも以上述べました各施策が法案の上に盛り込まれますよう期待する次第でございます。
 以上が私の修正要望の意見でありますが、この法律案の審議の事情によりましては、もしこれらの修正が困難であるといたしますならば、この際はむしろ中小漁業の適用は除いていただきまして、沿岸漁業のみの振興法案に限定していただき、すみやかに成立さしていただきたいと思います。同時にまた、中小漁業についてはあらためて引き続きまして関係の各業界の意見を十二分にまとめた上で、この法律案を改正するなりあるいは別途中小漁業のみの振興法案を作成することを特に望みたいと存じます。
 次に、角屋先生外語先生方の提案にかかります漁業基本法案について一言触れてみたいと存じます。
 漁業基本法案の重点的な内容は長期漁業基本計画の樹立にあるようでございます。従来漁業の特異性のために長期計画の立案がはなはだしく困難とされまして、そのためにこの種の長期計画はいつもかけ声だけに終わっております。わずかに長期生産計画の立案がなされておりますけれども、それも単に需要計画との対比におきまして論ぜられている程度でありまして、関連する各般の事項との総合計画については何らできておりません。現在の沿岸漁業、沖合い漁業、遠洋漁業、ともにそれぞれの立場におきまして非常にむずかしい問題に直面すると同時に数多くの複雑な問題をかかえております。沿岸漁業はより強力な保護と助成を、また遠洋漁業、沖合い漁業は自力伸長を阻害いたしております各種の要因を除去していただくことを望んでおります。日本の漁業全体につきまして各種の問題を解明するための総合的な長期漁業計画というものがぜひともこの際必要だと存じます。
 以上をもちまして私の意見を終わらしていただきます。(拍手)
○長谷川委員長 次に片柳君。
○片柳参考人 本日は私どもをお呼びいただきまして意見の開陳をお求めくださいまして、まことにありがとうございます。関税率審議会がございまして遅参いたしましたことにつきましておわび申し上げます。
 本日御意見を申し上げる点は、すでに他の参考人からもいろいろ述べられておりますので、できるだけ重複を避けまして意見を申し上げたいと存じます。
 まず、政府から提案されております沿岸漁業等振興法案につきまして申し上げますと、これは御案内のように足かけ三年の実は法案でございまして、あとから出てまいりました中小漁業基本法のほうがあるいは先へいってしまうというような懸念もございまして、ひとつこの国会では適当なる補完修正をしていただきまして、ぜひともこの国会では成立をまず強くお願いをいたしたいと存じます。
 私は立場上やはり全漁連の会長という立場におきまして、協同組合の理念をもちろん忘れるわけではございませんが、あくまで漁業の現状の中において沿岸漁業振興の実績をあげる現実的な立場に立ちまして、意見を申し上げる次第であります。
 この法律案の制定の一つの端緒でございました農林漁業基本問題調査会にも私も参画をした一員でございますし、また系統機関の項点といたしまして、全国の系統の意思を体しまして、今日まで政府なり国会にも沿岸漁業の振興の基本法を強く実は要望してまいったわけでございまして、今日までいろいろな機会に政府当局に対しましては意見を具申するなり、あるいは率直に申しますればいろいろ文句なり注文をつけてきたような経緯がございました。さようないままでの経緯から見てまいりまして、後ほど申し上げますようなできるだけ補完的な修正の上で、政府原案をぜひひとつ通していただきたいということを率直にお願いをいたす次第であります。
 この法案ができまする経過につきましては、すでに賢明なる議員の皆さん方は御承知のことでございますが、若干それを振り返ってみますと、当初われわれに示されました政府の案というものはきわめて低調なものであったわけでございまして、ノリ、カキ等の浅海養殖業あるいは魚類の養殖業等に必要な漁場の造成を大体骨子とする実はきわめて限局された事業法的な法案であったのでありまして、これにはまことに失望いたしまして、系統の意見を強く練り直しまして今日までいろいろ政府にも御意見を具申してまいったのであります。沿岸の近間に適当な漁場を造成することももちろん大賛成でございまするが、しかし、やはり漁村によっては沖合いに出て活路を求める以外に道のない漁村も相当あるわけでございますから、沿岸を基盤として沖合い漁場に進出をするというこの方向をやはり強く打ち出していただきたい、こういう点が私どもが要望いたしました第一点であります。
 さらに、もう説明するまでもございませんが、農業と比較して、生産の部面についてはある程度今日まで手を打たれておるかとも存じますが、流通問題、価格問題、あるいは労働問題、金融問題については、農業基本法が今日までいろいろやっておりまする各般の施策をさらに再検討して集大成をするということとは違いまして、ほとんど漁村については、流通あるいは価格、労働問題、金融問題等については、今日までたいした具体的な措置もなかったわけでありまして、農業と違って、いままでの食管法なり農産物価格安定法その他を曲がりかどに来たからこれを見直すというような、そういう曲がりかどにも実は立っておらぬ。新しくこれからほとんどスタートをするというわけでありまして、そういう意味で、生産はもちろんでございますが、流通、価格、労働、財政、金融、ほぼ農業基本法に準じた総合的な施策を強力に立案をしてほしいということを今日まで要望してまいったわけであります。政府当局におかれても、いろいろわれわれの意見を御聴取はいただいて今日の法案が提案をされたのでありまするが、率直に申しまして、私どもからもなるべく早くひとつ法案を提案をしていただきたいという要請と、政府内部における各省との折衝との関係がございまして、私の判断ではある程度各省との調整がなかなか困難なる状況下においてこの法案がやはり早期に提出された、こういう事情に私どもは承知をしておるのでございまして、したがいまして、最高の機関でありまする国会におきましては、それらの事情を勘案されまして、これの補完をぜひしていただきたいと念願をいたす次第であります。
 修正点につきましてはすでに高橋参考人からもいろいろ御意見がございました。実は私の方でも各漁連の地方の意見等を現在ほぼ取りまとめまして、すでに与党並びに社会党の両党、あるいは民社党の方にも、大体われわれの系統機関としてのこれだけはぜひひとつ修正をしていただきたいということを別途お願いを申し上げておるわけでございまして、また高橋参考人からも大体同じことを述べられておりまするが、この機会に私からも若干説明を加えましてお願いをいたしたいのであります。
 貿易自由化が非常な急ピッチで、もう遺憾ながらといいますか、漁業についても迫られてきておるという情勢は、これは私から説明するまでもないのでありまして、私も別途の機会に申し上げましたように、すでに施行段階に入っておりますところの農業基本法についてもややそれに対する感覚が私は低調ではなかったかというふうに感じております。これは当時の情勢上やむを得なかったと存じまするが、私どもの漁業の面から見てまいりますると、やはり先ほど北海道の高橋さんからも申し述べられたような、あるいはミールの問題、あるいは韓国ノリの問題、あるいはかんてんの原料のテングサ、オゴの海外からの流入等がございまして、さらに日韓関係が正常化した場合においては鮮魚そのものが大量に流入するというような危険も非常に強いようであります。そうなってきますると、沿岸で構造改善をやるといっても、そういうものが無統制に入ってまいりましては、沿岸の構造改善も足元からくずれるわけでございまして、そういう意味で、どうも日本の漁業は世界第一だということで、非常に国際競争力も強いというような一般的な錯覚もあるようでありまするが、それは大きな資本家漁業についてはあるいは言えるといたしましても、零細漁民については、これはよほど強力なる生産性の向上なり合理化というものが推進されぬ限りはきわめて弱い面があるのではないかと思うのでありまして、したがいまして、自由化に対処する意識をいま少しくこの法律案に強調していただきたいと存ずるのであります。これは漁協系統から見てまいりますれば、いま言ったような自由化という問題は、やはり高関税を否定する方向にも通ずるようでございまして、いたずらに自由化するが、高率関税を課するとか、あるいはほとんど名前だけの自由化である関税割り当て制度をいつまでもとるというようなことも困難な状況でございますので、むしろ国内の生産物と海外からどうしても入ってくる同種の水産物とを、できれば国においてプールすることが適当だと思いまするが、それができませんければ、やはりわれわれ生産者団体が国内の物と輸入物とをプールをするというような構想はどうしても必要ではないかというふうに考えるのでありまして、これは、もちろんまだ基本法の肉づけのかっこうの法案になる問題かとも思いまするけれども、この貿易自由化に対する一つの態勢というものを今度の国会におきましては十分御審議をいただきまして、これらの態勢をいま少しくこの法案に強く盛り込んでいただきたいと存ずるのであります。
 それから水質汚濁、漁場喪失に対する対策。これはある程度どこかの規定をさがせばさがし得ると思いまするけれども、現在水質汚濁の問題は非常に顕著に実はあらわれておるわけでございます。しかも新聞等で書かれるのは、魚類の被害というよりも他の被害を契機としてこの問題が取り上げられておることは実は遺憾でありまするが、そういう点は別といたしまして、水質汚濁なり漁場喪失、これは先般決定されました漁業の補償の適正化にも通ずる問題でございまして、こういうような他産業との侵犯を大きな見地から調整をするという意識のもとにこの対策を法案に明記していただきたいと存ずるのであります。
 それから、これも触れられておりましたが、沿岸漁業構造改善対策事業、これが予算にも一部実現化されておるわけでありまするが、先ほども他の参考人から言われましたように、県が立てた場合には国が受けて助成をする、こういうことではやや国の政策という目標がはっきりしておらないのではないか。農業基本法ではやはり国の責任ある事業としてこれを書いてあるわけでございまして、その意味では社会党の基本法なり沿岸漁業振興法案には、国が基本計画を立ててそれをもととして各府県の計画が樹立、実行される。また大規模なものなり数府県にまたがるものについては、場合によっては国が直営するというような思想も入っておるようでありまして、この点は私はまことにけっこうだと思うのでありますが、ともかく受け身で、県が出てきたら国がめんどうを見てやるということでは、順序が逆ではないかと思うのでございます。やはり国の事業、責任において沿岸漁業構造改善対策事業をやる。その実施体としては府県なりわれわれ漁協系統が受けてやるということに、これはひとつはっきり書いていただきたいのであります。
 それから第四点は、水産物の流通改善並びに価格対策の強化の規定をはっきり書いていただきたい。これも詳しくは申し上げません。農業と比較して、大衆魚の価格対策としてわずか一億六千万円の基金のもとに、この低金利の時代においてその運用利益で大衆魚の価格対策をやるということでは、まことに心さびしい感じでありますことを率直に御承知を願いたいと思うのであります。
 かような基本的な法律ができまして、今後いろいろな肉づけ、裏づけをしていかなければならぬのでありまして、しかも自由化なりいろんな情勢が変化する中において沿岸振興の実をあげていくわけでありますし、また漁村の文化、教育あるいは保健衛生の問題、私はこれらが実は非常に大きな社会問題と見てよろしいと思うのでありまして、そういう点からしても、先ほども増田さんなり高橋さんからも触れられ、あるいは宮城さんも言われたように、中央漁業調整審議会の中に置くなんということはまことに筋も違っておる。各省を統合した上で総合的にやる以上、総合的な内閣に設置することが理屈として当然ではないか。あるいは、私も多少予算のことも知っておりますが、ことしの予算でできないとすれば、ことしはむずかしいとしても、来年度の予算においては適当な予算の改変をされて、当然内閣に置いて総合的に推進していただかなければ筋もおかしい。私は妥協案として、政府の方針として審議会が新しくできるのが困難であれば、農業基本法の農政審議会の中に漁業部会を置いてもいいくらいの、最後の妥協といいますか、実はそういうくらいの考えを持っておるわけでございまして、これはひとつ筋を通して総合的な成果をあげる向きに御配慮をいただきたいと存ずるのであります。
 それから水産物の生産におけるところの長期見通し、これも他の参考人の言われたとおりであります。ただ先ほど増田さんの触れられていた点、私も立場上よくわかるわけでありますが、私どもは中小漁業というものを沿岸漁業と観念的にも実態的にも全然別だという考え方は私自身はいたしておらないのでございまして、やはり沿岸を基盤として、先ほど言ったような、沖合いに出て、沿岸漁業が沖合い漁業の利益にも享受均てんするという考え方で私は見ております。したがって観念的に沿岸と中小漁業が別だという考え方は私はとっておらないのでありまして、大きな資本家漁業は別として、沿岸漁業、中小漁業は広い意味でこれが一体となってやって初めて漁村全体の振興があり得るということであります。特に漁業協同組合の自営なり生産組合のそういうような機能を活用してまいりますれば、やはり沿岸を基盤として沖合いに出ていってその利益を地元に戻すということでありまして、沿岸振興を、十トン未満とか漁業権漁業でやっておるところの、現在の日本からいって一番低い生活水準にあるところの沿岸振興を、これを基盤としてそれと関連的に中小漁業を包括的に見るという考え方のほうがよくはないだろうかということであります。これは反論ではございませんが、そういう見解を申し上げておきたいと思いますし、中小漁業はそういう意味においては、さしみのつまではないのだ、これは沿岸漁業に利益を戻すという意味において当然沖合いに進出するということを冒頭にも申し上げておるわけでありまして、この辺はむしろ一体としてお考えを願いたいというふうに私どもは存じておるわけであります。しかし中小漁業の振興について書き方が低調であるとすれば、これを格調を上げることについては何ら異議はございません。
 大体そういうことでございまして、時間もございませんから簡単に申し上げます。
 それから社会党の、非常に御勉強になられた二つの法案につきまして若干意見を申し上げます。私どもは基本法と沿岸漁業振興法について相当意欲的な明快な規定がされております点にはほんとうに敬意を表明する次第であります。これは釈迦に説法でありましておしかりを受けるかもしれませんが、ただ私どもは漁業の実態を見てまいりますと、漁業の種類なりあるいは地方的な事情あるいは経営規模等から見ても非常に多種多様でございます。ですから大きな漁業だから必ずすべて優位にあるというような観念的な判定はちょっと実情に反するのではないかという意味であります。その意味で冒頭に現実的な立場においての意見ということを申し上げたわけでありますが、加えまして、貿易自由化の影響でありますとかあるいは国際市価の変動、油の価格が上がったり下がったりするとかあるいは国際漁場の外部からの制約等がございまして、一般的なものとしてはいいと思うのですが、大きな資本家的漁業が常に絶対的に優位にあるというような、そういう観念的な考え方ではかえって実態に反するのではないかということであります。そうかといって漁業権漁業でやっておる沿岸のほんとうの零細漁民あるいは十トン未満でやっておるようないわゆる零細漁船漁業者の生活水準なり生産性が低いということは御指摘のとおりでありまして、これを何とかひとつやってもらいたいということであります。私どもは日本全体の漁業の生産性を発展するあるいは生産性を向上するということと、私どもの沿岸漁業者の利益を向上する、これをひとつ適当にコンビしてやっていただきたいということであります。その意味で社会党の構想にも非常に私は賛意を表する部分が多いのでありますが、要するに沿岸漁業が構造改善なり振興のためにやるようなことについては、大きな漁業者は席を譲ったらよろしいのではないかと私は思うのであります。ですからさっき言ったような構造改善で、どうしても沖合いに出ていく以外は振興の道がないというものについては、行政当局はこれを優先的に認めるということであります。そうかといって私どもはいかに力んでもおのずから出張り得るところには限度がございましょうから、それ以外の沿岸とほとんどノータッチの海域においては十分資本家的漁業者が大きな活躍をしてやっていただきたい。要するに社会党のお考えもそのようだと拝察をいたしまするが、要するに日本漁業が、大中小がおのずから秩序を保って、そのところを得ながら全体的に生産力なり生産性をあげる、そういう具体的な考え方です。ですから、私どもは、実際仕事をやってまいりますと、大きな漁業者がわれわれが当然出るべき海域に入ってくることについては、これは絶対反対をいたすわけでございますけれども、しかし場合によっては、われわれが沿岸等なりあるいは今回の沿岸振興で与えられましたマグロ漁業等について危機に瀕するという場合等においては、これはあるいは遺憾なことかもしれませんが、自主性は保ちながら、同じ基地にすでに出ておるところの大手筋の会社の協力を得るということは、遺憾ながら現実問題としてやむを得ないのではないかと思っております。ただ、北方の独航船のように隷属化しては困りますけれども、もちろん自主性は保ちながら、どうしても今度できました中央漁業公社でできない仕事については、一部はすでにやっておる経験者に下請的に援助を願う。自主性を保つ以上は、やはりそのくらいの具体的の考え方を持たぬといけないのではないか。あるいは理想がないというおしかりがあるかもしれませんが、そういう考え方です。あるいは、まだきまっておりませんが、今回の、ことしの秋のサンマかす等の問題にいたしましても、これはもちろんまだ研究段階でございまするけれども、漁業者に、サンマが目の前にあって、とるなといってもなかなかむずかしい問題もございますので、むしろ沖合いでそのサンマを間引いたらどうかという問題を、いませっかく政府当局からも御指示があって考究中でございますが、そうなってきますると、北洋に出ておった母船を一時私の方で協力を得て海上で間引いて公社に送るというようなことも一つの問題として実は考えておるようなわけでありまして、要するにお互いに侵犯してはいけませんが、秩序ある操業をするという行き方でいくべきではないかと思うのであります。
 また、いろいろの漁業権は原則として漁協に免許しようとか、あるいは権利の不当な集中を排除する、これは私どもがかねてから言っておる点でありまして、法律的にはよくわかりませんが、もちろん基本法で大きな方針を宣明することもけっこうでありまするけれども、それはすでに漁業法それ自身の免許の適格性の問題なり、優先性の問題なり、あるいは権利の不当な集中という条項は、実は現在の現行法にもあるわけで、同種の漁業について許可が不当に集中する場合には起業の免許を与えないということでありまして、ただこれがはたして励行されておるかどうかについては多少の疑問なしといたしませんが、むしろこれは政策的な基本法でなくして一つの漁業の憲法である漁業法等について真正面からさような問題をいくことのほうが、私は法律的な処置としてはそのほうが正しいのではないかと思っておるようなわけです。そういう意味で私どもは、社会党の両案につきましては、まことに共感する点も率直に申し上げまして非常に多いわけです。ただ、先ほど言ったような、現在の漁業の実態の中において、具体的な成果をあげるという現実的の立場に立ってまいりますと、いま言った基本法というものをこの際一挙に原則を打ち立てて割り切ってしまうということには多少の問題があるのではないか。やはりそのお考えはともかく適当な補完修正をしていただきまして、それを基本として具体的な肉づけをする場合に、この構想をできるだけひとつ国会においても取り入れて、有効な肉づけをされていただきたいというふうに私どもは考えておるわけであります。したがいまして、こういう法案は概して文章の表現等が非常にむずかしいと私は思っておりまするが、政府案について表現の強弱なりあるいはニュアンスの違いはあろうかと思いまするけれども、ともかく私どもが政党政派を超脱して系統機関の総意として先般申し上げました数点について、ひとつ率直に御聴取をいただきまして、かような基本法的なものでございますから、あとで適当に直せばいいということでなくして、この際できるだけの補完修正をお願をいたす次第であります。
 時間もございませんからこれで私の公述を終わりまするが、最後に、私は、特にこの法案のお通しを懇請する次第でありますが、どうも基本法がだんだんたくさん出てくると、たとえば農業でもいろいろな特別立法がたくさん出てくると、ほとんど特別法が一般法になってしまって、非常に視野、焦点がぼけるという感じをかつてから持っておるわけであります。しかし、ほかの中小企業その他ももちろんいろいろな困難な事情はあろうかと思いますけれども、ともかくどの面から見てまいりましても、沿岸漁業ほどひどいところはないと思います。漁村の不振等にしても話をするわけでありますが、文部省の学力調査を見てまいりましても、全国を十五区域に分けて調べた結果、漁村が小学校、中学校とも大体十四番、十五番のビリか、ビリの一番というのが一番多いのであります。しかも高学年にいくほど成績は低下をしておるという実態だけを見ましても、いろいろな点でいかに漁村が低いかということは、もう私から説明するまでもないのであります。でありますから、お通しを願いたいことと、通った以上は、ひとつなるべく早く具体的な肉づけをされて――あまり基本法ができてくると、どうも焦点がぼけるということを実は心配しておるわけであります。階層としては最も低位にあります沿岸漁業の実態をひとつ直視をしていただきまして、基本法ができて――もちろん具体的な予算なり法制の裏づけがなければ何ら具体的な利益は出てこないわけでありますが、その辺をひとつさらにお考えいただきますことをお願い申し上げまして、私の公述を終わります。(拍手)
○長谷川委員長 次に香川県の小磯治芳さん。
○小磯参考人 瀬戸内海の一府十一県の沿岸漁業の関係で、私も一漁村の漁業協同組合長として、本日のこの沿岸漁業振興法の参考人として意見を述べる機会を与えてくださいましたことをありがたく御礼申し上げます。
 最近の日本の国際的経済発展に伴います各種の施策が行なわれまして、私たち直接関係いたしておりますいわゆる原始産業といわれます第一次産業の中でも、農業、水産、農林等に関係しまして、国、地方自治体、また関係団体等のその事業に対する施策を考えてみますときに、私たち沿岸漁業に従事しておる者から考えてみますと、何だか、漁業と申しましても特に零細な沿岸漁業が忘れられておるやの感を非常に深くするものでございます。私自身の関係しておる漁業協同組合の例をもって申し上げましても、瀬戸内海においては、今度の沿岸漁業等振興法の国の施策の第一にうたわれますように、資源の維持確保という面から申しまして、瀬戸内海が御承知のように一つの資源の培養地と申しますか、自然的な漁業資源の海域である関係上、特別な法律によりまして稚魚を採捕することが禁止されております。したがって瀬戸内海における漁業に従事します生産手段自身も、ほかの漁業とは違って非常に制約を受けております。たとえば小型の底びき漁業は十馬力以下でなくちゃいけない。ある特別の、燧灘では十三トンでもいい、紀伊水道に行けば二十トン以上でもいいのだが、瀬戸内海では十馬力でなくちゃいけないという一つの制約を受けております。近時非常に産業が発達してまいりまして、技術の面においても非常に発達してまいりますのですが、私たち瀬戸内海に関する限りで申し上げますと、全く矛盾した二つのものを持っております。一つは、生産を向上させるために新しい漁法、特に新しい漁具をもっていこうとする意欲と、一方では資源を確保しなければならないために、そういう漁具及び漁法を使っちゃいけないという制約の矛盾に立っているのが、一府十一県の瀬戸内海の漁業者の負わされておる一つの宿命だと私は考えております。したがってそういうことになりますと、どこに私たちいわゆる零細な沿岸漁業者が活路を求めてまいるかということになりますと、いわゆる沿岸漁業構造改善というもの以外に私たちは求めてまいることはできないと思います。先ほど来いろいろお話の出ております沿岸漁業等振興法という「等」に、中小企業が入っているという問題につきましても、増田さんからも、あるいは片柳先生からもいろいろ御意見がありましたが、私たちはむしろこの法律が、漁業の基本法的なものをひとつ考えるという社会党の案がいいか悪いかの問題は別としまして、立法的な考え方から申しますと、あるいはここに基本法的なものが一つあって、事業法的なものが中小企業あるいはほんとうにいう沿岸漁業にするための漁業の事業法的なものがあってほしい。そういう意味から申しまして、私はこの中小企業はむしろ別の法的措置を講じていただきたい、と申しますのが、これは瀬戸内海に限らず、日本沿岸の沿岸漁業者の統計でも、諸先生方御承知のように、収入におきましても、またその漁法等におきましても、御承知のような状態でございます。そういうことになってきますと、一体どうしたらいいのか、私は瀬戸内海の例をとって申し上げておりますが、そうすると、構造改善の中に何を重点に置いていただくかということになると、やはり浅海増殖というものに依存せざるを得ない一つの運命をしょっているのじゃないかと思っております。ここ十年間ばかり、私たち香川県におきましては漁獲高が大体四十億ないし四十五億でございまして、従来は漁船による漁業及び近海に出てまいります漁業のパーセンテージが約八〇%を占めておりまして、ノリとかカキとかいうもの、また真珠母貝等によりますものが約二〇%でございましたが、ここ昭和四十年までに私たちはこれを五〇%ずつに持っていくという計画で現在やっておりまして、三十八年度においては浅海増殖によるものを約三五%程度に伸ばしていく県としての計画をもって、私たち漁業組合もそれに協力いたしておるわけでございます。
 ここで私は、この沿岸漁業等振興法でいろいろ国が行なう施策の中に掲げられております中で、特に構造改善事業について諸先生方にお願いを申し上げたいと思いますのは、先ほど来申し上げておるような一つの宿命をしょっている瀬戸内海、これはほかの沿岸漁業にも同じことが言えるんじゃないかと私は思っておりますけれども、小さい魚をとっちゃいけないのだが、とらなければ漁業者は食っていけないという、この非常に矛盾した問題は、ほんとうの零細漁業者にはつきまとって離れないものじゃないかと思います。ところが、実際において構造改善――これは構造改善事業は別に県が指定されておりますが、私たち香川県はまだ調査県でありまして、実際には実施されておりませんが、ここ数年来浅海増殖と現実に取っ組んで何が一番私たちが困っておるかという問題になってまいりますと、漁業者自身がそういういわゆる沿岸漁業としての収入をふやすことも、漁具または技術を制約を受けておるから、新しくやることができないので、どうしても浅海増殖によってやろうというときに、問題にぶつかりますのは、資金の問題でございます。現実に零細な、年間十万円ないし二十万円、あるいは悪いところでは十五、六万の収入しかないものが、浅海増殖の仕事をやろう、いわゆる構造改善事業をやっていこうというときに困るのは、資金であります。それなら、それは系統機関から漁業組合を通じ、信連を通じ、全国的な組織を通じて、そういう資金の供給を仰いだらいいじゃないかということになりますが、これは口では簡単ですが、現実にはその資金は流れてまいりません。制度上は流れてまいりますが、実際には流れてまいりません。と申しますのは、漁業組合自身が、漁業法の改正によりまして、二十名以上であればいいんだという非常に民主的であるかに見えた漁業法の改正により、漁業組合が各地にできておる。その漁業組合自身の経済的な内容、実力と申しますか、これはもう問題になりません。これは沿岸、特に小さい沿岸の漁業組合の実態はそうだろうと思います。香川県で申しますと――香川県の例ばかり申し上げて恐縮ですが、これは一府十一県にも通ずるものがあると思います。私の漁業組合の例を申し上げますと、信用事業を開始してわずかに七千万の貯金しか持っていない私たちの組合が、香川県で第一であり、農林大臣の表彰を受け、大蔵大臣の表彰を受けるというような状態でございます。水揚げも約一億五千万くらいが私の香川県で一番大きい漁業組合だというのでございまして、他は推して知るべし、県下に七十幾つ組合がございますが、信用事業もやれない。それはそういうことをやっていこうといっても実際には金が流れてこないということなのでございます。この中で、特に構造改善事業関係で浅海増殖に転換しなければならないときに、資金的な措置といたしまして、第五条に規定がありまして、国は財政的な措置及び資金の円滑化をはからなければならないという規定がございますが、その前に、片柳先生も御指摘になり、宮城先生も御指摘になっておりますように、まず地方自治体がある事業を計画してそれに国が裏づけをしようということにこの案によりますとなっておるようでございますが、これは実際問題として、先ほど来申し上げたような実態に即することにはならないのでありまして、国が非常に強力な施策、財政的な措置をはっきり明文化して講じてくれなければ、農業基本法による農業構造改善と同じようなある予算的措置をはっきり講じてくれなければ、私はほんとうに沿岸漁業の構造改善ができないのではないかというように感じておるわけでございます。それから同時にもう一つ、この国が行なう施策の中の第五のところに、災害等による損失の補てんという項目があげられておりますが、この災害ということでございますが、私たちは現実に浅海増殖をやり、構造改善をやってまいりまして痛切に感じますことは、いわゆる漁獲物及び漁具の共済制度なんであります。これは他の方面は別としまして、私は零細漁業者の漁獲物及び漁具の共済制度というのは実態に沿っていないと率直に申し上げたいと思うのでございます。特にこの共済制度を整備拡充をお願いいたしますとともに、これを広くいま問題になっておりますとる漁業からつくる漁業に――私自身では自分で魚田ということばを使っておるのでございます。陸に田があるんだから海にも田があってもいいんじゃないか、地方によってはそんな田をつくれないところもあるでしょうから、それは畑にしてもいいでしょう、何にしてもいいでしょうが、いずれにしても魚の田ということを考えております。それでいわゆるとる漁業からつくる漁業といたしましたならば、たとえばハマチの養殖をやりますと、自然的な条件以外のいろいろな条件のためにそれが大量斃死する場合があるというようなことが考えられます。昨年も私の県では実際にそういう問題がありまして、数十万のハマチが一夜のうちに斃死した。ところが数千万の資金をかけてやっております設備でございますが、そういう斃死したものに対しては全然共済制度がございません。現在農業には御承知のような非常に整備した共済制度がありまして、それがまた今度よりよく整備拡充されていくように承っておりますが、漁業においてはそういういわゆる共済制度というのがほとんどないに近いのではないかと思います。せっかく諸先生方並びに政府から御提案になっておりますこの沿岸漁業の振興法におきまして、そういう制度がもう少し具体化されることを希望するものでございます。
 なお、この法案と先ほど片柳先生からお話のありました社会党提案の基本法及び沿岸漁業振興法との関連でございますが、私たち沿岸漁業者は一日も早くこの沿岸漁業の振興法が発効することを期待しております。期待しておりますということは、もうこういう状態では現在の沿岸漁業というのはどうにも動きがとれない状態にきて、はなはだことばが過ぎるかもしれませんが、むしろ私たち業者のほうが法律ができる前に構造改善と真剣に取っ組んでおるというのが私は各地の実情じゃないかと思います。しかし取っ組んでみましても、先ほど来申し上げましたような資金、技術、その他いろいろな面にぶつかっておるというのが、私が各府県の浅海増殖を視察し勉強させていただいた限りにおいては痛切に感ずる点なんでございます。これは逆に申しますと、各地方自治体並びに水産庁等で持っておられます内海区なり南海区、東海区の水産研究所、また各府県が持っておる水産試験場等の技術と実際に浅海増殖をやっておりますものとの間に非常なアンバランスがあるのじゃないかと思っております。今度の法案にいわゆる漁業者の技術の指導等がうたわれておりますが、それも私は非常に大切だと思いますけれども、国及び府県におきます技術的指導の面の整備拡充を私はぜひお願いいたしたいと思います。そういうことはほかの農業、工業等の関係から申しまして、国全体また地方自治体から申しましても、私は非常におくれておるのではないかと思います。
 一例を申し上げてはなはだ恐縮でございますが、昨年実際に私自身が体験いたしましたことは、私の漁業組合では春とれますフグを蓄養いたしまして秋及び冬季にかけましてこれを阪神及び東京方面に出荷して販売いたしておるのでございます。これは福井県等の先進県からならってまいってやっておりますが、ところが夏温度が上がってまいりますとフグ自体が非常に大量に斃死するのでございます。たとえば一万匹のフグを蓄養しまして大体四割ないし五割程度のフグが残るとこれは採算がとれる、フグは蓄養の池の中に入れると、夏温度が上がってくると死ぬものなりという、私たち俗に言う漁師の一つのあきらめを持ってやっておるわけでございます。実際私たちがやってみますと、ある条件のもとでは覧死率が少ないところがございますし、またある条件のところでは非常に斃死率が多いということが、六カ所ばかりでやった経験から出てまいりました。ところが水産試験場、またある技術者のところでどういう原因でこれがなっておるのか調査してくれということになりますと、これを調査するには一年がかりか二年がかりでなければわからない、現実に私たちがいまこのフグが死ぬか死なないかということをやっておるのは、投資した資本に対して回収がどうなるかということなんでございますが、漁師でございますから悲しいかなそういう技術はございません。ございませんから相談に参りますと、たとえば非常に寄生虫がついておる、寄生虫で斃死しておるのか、水の温度が高いために死んでおるのか、あるいは与えておるえさが非常に油を持っておるためにフグ自身の肝臓に肝硬変を起こしていわゆる黄死病になっておるのかということの調査を依頼しましても、なかなかこれがその時期に間に合わないというのが現状でございます。これはあえて私はそういう水産の増養殖の技術または研究したものがおくれておるというわけではございませんが、当初申し上げましたように、私たちは浅海増殖に取っ組まなければならない、漁船漁業では瀬戸内海ではやっていけないということからやむを得ず浅海増殖に取っ組んでおるんだ、ところが一方技術指導してくれるべき試験場その他の実情は、何でフグにいわゆるそういう寄生虫がつくのかわからないというのが私はある意味における現状でないかと思っております。前の水産庁の技術長をなさっておりました藤永先生が私のところに来て、クルマエビの増殖をいま盛んにふ化してやっておりますし、私たちもその先生のふ化されたエビをもらってクルマエビの増殖を盛んにやっております。また最近は御承知の瀬戸内海の栽培センターが私たちの高松市にもできまして本年度から発足いたしました。新しく高級魚等がふ化されて、ある程度大きく成長したものが放流されて、資源維持等が講ぜられておりますことについては私たち沿岸漁業者は非常に喜んでおりますし、大きい期待もいたしておるわけでございます。私たちの沿岸漁業に対する具体的な施策につきまして、政府並びに議員の皆さまが格別の御配慮をいただいておることに対しては私たちは全く感謝し、ありがたく感じておるわけでございますが、せっかくおつくりくださいます沿岸漁業の振興法でございますので、先ほど来参考人が申し上げておりました私たち協同組合としての、また各県としての要望につきましては、第一項から第六項までの項目をそれぞれ印刷いたしまして諸先生方のお手元に出ておると存じております。したがってその一々につきましては高橋さん並びに片柳先生等からお話がございましたので私は申し上げませんが、ただ一つ、先ほど来申し上げましたように、これから構造改善をやっていこうということについての資金の流れ方につきましては、せっかくおきめいただきますので、これが最も零細な漁業者、漁業協同組合等に、ほんとうに活用されるように、流通できるようにお願い申し上げたいのと、それから共済制度につきまして格別の御配慮をいただきまして、浅海増殖等も含みました共済制度を至急に整備拡充していただきたいと存ずる次第でございます。
 なお、最後にお願い申し上げておきたいと思いますことは、沿岸漁業と申しましても、先ほど来片柳先生がおっしゃった、沿岸漁業が沖合いへ出て行くのも一つの沿岸漁業だという考え方もあると思いますが、それは一つの漁業の経営方法でございまして、沿岸漁業という範疇には、やはりほんとうの意味の小さい十トン程度のもの、社会党さんが規定されておるようなものが、本質的には沿岸漁業というものでないかと私は思っております。今度のこの法案の各条を見ましても、先ほど御指摘になったように、中小漁業は一条しかございませんで、その他はそういういわゆる構造改善を中心とした資源の維持拡充、生産の近代化、流通面の整備拡充等がうたわれておることでございます。
 あれやこれや申しましたが、どうかひとつ、私たち系統の団体が要望し、また各府県が要望しております第一項から第六項までの修正案をぜひ御勘案いただきまして、すみやかにこの法案が通過いたしますようにお願いいたしまして、参考人としての公述を終わらしていただきます。(拍手)
○長谷川委員長 次は千葉県の鈴木惣之助君。
○鈴木参考人 私は、千葉県の房州平館の漁業協同組合長鈴木でございます。
 もう時間もだいぶ経過しておりますので、ざっくばらんに申し上げさしていただきたいと存じます。
 沿岸漁業の不振による漁家の逼迫についてはるる申し上げるまでもございませんが、沿岸漁業を取り巻く諸問題があまりにも多く、われわれはこの問題の打開に努力を続けておりますが、抜本的な、しかも国の強力なる施策が早急に具現されるよう、あらゆる機会をとらえて政府に要望してまいりましたが、われわれの沿岸漁民の悲願は、いまもって具現されていないことはまことに残念に存じます。
 不振を続けておる千葉県の沿岸漁業の直面しております問題は山積しておるのでございますが、これは日本全国同じことだろうと存じます。私、千葉県の例を追っていきますが、いろいろ時間の制限もございますので、問題を四点に要約して申し上げさしていただきます。
 一つは、構造改善事業を進めておる実施県でございますが、その点でも、し尿の海上投棄及び京葉工業地帯の造成に伴う海水の汚濁について申し上げます。御高承のごとく、千葉県の産業基盤は農漁業の第一次産業でございましたが、近代産業県に脱皮するための施策として、千葉県浅海増殖の場でございました東京内湾の漁場が逐年埋め立てられまして、近代工場が誘致建設されておりまするが、この埋め立て工事によって、隣接漁場へ浮泥が流入して、ノリ、貝類養殖に甚大なる被害を与えております。さらには、この埋め立て地の造成による地形の変化に伴う潮流の異変、浮泥の流出、堆積等によって、内湾魚族の産卵、生息場所を喪失して、これに加えて工場よりの汚水流出等が重なりまして、本県内湾漁民が人為的条件の悪化によりまして苦しみ続けておる現状でございます。また、内房から外房にわたっては、大都市のし尿処理が海上投棄という安易なる処理方法を規制ライン内への不法投棄のため、いそ根漁場の荒廃はもちろん、投棄されたし尿のため海水が汚濁して採取が不能となっておるところもございます。また、し尿の海上投棄によって汚物が沈澱し、たとえば房総半島の南端の布良沖のキンメダイの好漁場が壊滅した実例もございます。あるいは操業中汚物が漂流し、えつきがとまり、漁獲皆無の事例もあるのでございます。また、海の中に最近非常にハエが出てまいりまして、あまがもぐって出てきましても、髪の手ぬぐいをかぶっている上のほうにウジ虫がたかるようになってきております。このように、し尿を海上投棄することによって魚族資源の減少、操業の制限をこうむっておるのでございますが、汚物の海上投棄によって病原菌が発生し、また、フィリピンとか東南アジア等でコレラ等の話を聞きましても、魚介類がその原因の対象となった場合のことを予想すると、身の毛のよだつ悪寒を覚えるのでございます。われわれはこのためし尿の海上投棄の反対を叫び続けて十年になろうとしているのでありますが、いまもって漁民の被害に対する救済はもちろん、海上投棄に対する対策は講ぜられておらないのが現況でございます。構造改善事業が、一方は投石なり、国の施策によって相当資本を投下していき、また一方におきましては、漁場がくそだらけになっている、こういうようなことも出ておるのでございます。また、埋め立て工事あるいは工場よりの汚廃水、船舶等よりの油の流出による災害等につきましても、漁民は無防備のまま逼迫した漁家経済の中から無理に着業資金を調達して生産を続けているのが現状でございまして、優秀漁場の低下あるいは喪失の防止または人為的災害の防止と災害による損失の合理的補てん等の国の強力なる施策をやはり強くお願いいたしたいのでございます。
 二つ目に、特異海況、いわゆる冷水帯による災害救済対策の問題でございます。昨年末から本年四月にかけて出現した本千葉県沖合いにおける水温の異常低下による災害でございますが、本県の水産試験場の試験船の調査及び当業船の報告によりましても、三月中旬の水温は、勝浦沖合いで摂氏八度、銚子沖二十海里で摂氏二度という特異な冷水帯が出現し、カワハギ、ハタ、カンダイ等が浮上斃死するという現象が生じたのであります。このため、昨年のサンマ漁業の不振によって打撃を受けた本県沿岸漁業者とその従事者は、一月以降の銚子沖サバ漁業に期待し、県の援助を受け着業資金の調達をはかり、サバ漁業の操業を開始いたしたのでありますが、異常海況のため銚子沖サバ漁業は不振をきわめ、乗り組み員の生活はもちろんのこと、調達資金の返済も延期せざるを得ないのでございます。このような冷水帯の出現によって、サバ漁業のみならず、本県の沿岸漁業全体が被害をこうむっておるのでございますが、その被害状況を千葉県漁連等におきまして関係漁業協同組合より取りまとめました結果、サバはね釣り漁業、いそ根漁業、定置漁業、まき網漁業、小釣り漁業等の被害額は約八億六千三百万円に達しておるのでありまして、関係者は千葉県に対してその救済対策をお願いしておるのでございますが、一地方自治体のみの力では対策の樹立も困難であるのでございまして、このような特異現象による大きい災害の救済対策についても、国の具体的施策の樹立をお願いいたしたいのでございます。
 三つ目に、漁船乗り組み員の確保対策についてでございますが、やはり経営の安定というものは、資源があり、資本があり、あるいはまた優秀な技術屋がある、この三つの歯車があって初めて成り立つわけでございますが、この乗り組み員の減少というものは、沿岸漁業の小漁船の経営安定にも打撃を与えておるわけでございます。漁船乗り組み員の確保については、われわれ漁業者がみずから反省もいたさなければなりませんし、また労働条件の改善、給与の改定等に意欲を燃やしておるのでありますが、陸上他産業の労働と異なりまして、漁業者のみの力ではいかんともしがたい問題を包蔵いたしておるのでございます。いまだに組織労働者としての組織もございませんし、その上また、すなわち乗り組み員に対する社会保障制度の確立とその適用でございますが、船員保険、労災保険等の制度は中小漁業の経営を基盤として確立されたものではございません。船員保険は、商船あるいは資本漁業等の安定した企業の上に打ち立てられたものでありまするし、労災保険制度にいたしましても、陸上の産業を基盤として生まれた制度であるため、保険料算定基準でありまする標準報酬決定方法、さらには保険料率は中小劣弱なる沿岸漁業者に即応しないのであります。このため、この制度の適用については、漁業者は無理な条件下にあって無理な適用を余儀なくされておるのでありまして、経営規模の劣弱なる沿岸漁業の実態に即応した保険制度の確立によって、乗り組み員の優遇がはかられるとともに、沿岸漁業者の経営が安定でき得られますよう、漁船保険と同様、国の援助による施策の実現をお願いいたしたいのでございます。
 最後、四つ目でございますが、流通対策について意見を開陳させていただきます。漁業経営の安定は、漁船の近代化、漁労技術の高度化によりまして生産性の向上をはかることが要因でございますが、それにも増して漁獲物の流通改善をはかることが、漁業経営の安定を期するための基本的な事項であろうかと思うのであります。すなわち漁業者は、大漁になりますと魚価は暴落し、ために経営の採算はとれず、一方不漁になりますと経営は逼迫し、常に不安定な生活を続けておるのであります。ことに多獲性大衆魚と呼ばれておりますところのサバ、サンマ、アジ、イワシあるいはイカなどを漁獲の対象としております漁業ほど、この傾向は著しいものがあります。少し豊漁が続きますと、その漁獲物は産地市場に野積みにされたり、あるいは餌料、肥料あるいは魚油等の原料に振り向けられ、価格は俗にいうキャラメル相場、つまり四キロ詰め一箱二十円ならまだいいのですが、サンマ等におきましては十円以下に下落いたしておるのでございます。このようなときでさえ、十キロぐらい離れた農山村あるいはまた町場の人々の食ぜんにはなかなか供されませんし、また供されましても産地価格の五倍、十倍という高い値段で供されることがしばしばございます。このような現況を少しでも是正しようといたしまして、われわれ全国のサンマ漁業者は一致団結して、一昨年、政府並びに国会の諸先生方の御援助のもとに、生産調整組合と魚価安定基金を設立いたしまして、いわゆる生産調整活動を開始した次第でございます。すなわち需要に見合う生産をという考えで、消費の動向を見ながら休漁日の設定とか一斉休漁とかあるいは水揚げの一時停止を行ないながら、生産を自主的に抑止して価格の維持をはかろうというものでございますが、過去二カ年間見るべき成果をあげ得ていないのが現状でございます。現在のように労働力の不足あるいは労働環境の改善なりを考えて、漁労設備の機械化なり漁船の近代化なりをはかってまいりますと、確かに物的生産性の向上にはたいへん役立つわけでございますが、昨年度のサンマ漁業の決算を例に申し上げますと、数量の面では昭和三十六年度に比べて一隻当たりの漁獲は大幅な伸びを示しておりまするが、金額の面では逆に三三%も減少しております。つまり価値的生産性は魚価安のために著しい低下を示したのでございます。いろいろ原因があるにいたしましても、サンマ漁業等の多獲性大衆魚の価格安定をはかるための事業をさらに促進することは、沿岸漁業経営の安定のため特に重要であろうかと思うのであります。政府におかれましてもこれら大衆魚の流通改善に意欲的に対処されて、産地冷蔵庫あるいは消費地冷蔵庫、各種運搬施設等の増強をはかっておりまするが、これのみでは十分でございません。さらに魚価安定基金の大幅増資による拡充強化、あわせて運輸体制、消費マーケット対策、加工技術の改良促進等の施策につきまして、特段の御高配をお願い申し上げたいのでございます。
 以上、四点について現況を申し上げたのでございますが、今次国会にわれわれ待望いたしておりました沿岸漁業等振興法案が政府提案によって、また社会党提案の漁業基本法、それから沿岸漁業振興法等、諸先生方の御審議がなされておるやに聞き及んでおりますが、私どもの拝見いたしました法案では、われわれ沿岸漁業の振興の基本になる法案としては、内閣提案の沿岸漁業等振興法案にいたしましても、まことにもの足りない点が多々あるのでございまするし、農業基本法と比較いたしますと、非常に格調の低い感がいたしてならないのでございます。すなわち農基法では農業に関する政策の目標を強く掲げておりまするが、内閣提案の沿振法では目的として掲げておるのみで、非常に弱く、国の施策にいたしましても、水質汚濁並びに漁場喪失に対する対策、輸入水産物及び資材等に対する対策、水産物の流通改善並びに価格対策、漁業共済、社会保障対策、さらには沿岸漁業に対する長期計画樹立及び施策樹立に対する審議機関の弱体等欠陥事項は多々ございますが、しかし私どもは、第四十国会ですか、もう足かけ三年前になりますが、いろいろ今日まできておりますが、これら欠陥事項の是正については諸先生方の特段の御配慮をお願いして、国会において所要の補完的修正を加えられ、ともあれ早急に沿振法の制定をお願い申し上げたいのでございます。
 社会党さんの漁業基本法それから沿岸漁業振興法等につきましては、先ほど私の前に宮城参考人等意見を申されておりまして、それから全漁連の片柳会長もそれぞれ御意見を申されておりましたが、私、社会党提案の法案につきましては非常に関心と期待を寄せております。中央漁業公社の問題等につきまして片柳会長妥協的な言葉を現実の問題として申されておりましたが、私それはそれなりに片柳さんの発言に賛成はいたすものではありますけれども、やはり角屋先生以下の提出されておりまする法案につきまして、われわれ沿岸漁民、最前線の漁民というものはもっともっと期待をより大きく持っておるということを特につけ加えまして、以上申し上げましたとおり不振にあえぐ沿岸漁業者の苦脳をおくみ取りくださいまして、ひとつよろしく強力、抜本的な施策の樹立をお願いいたしまして、参考人としての意見にかえます。(拍手)
○長谷川委員長 これにて参考人各位の御意見陳述は終わりました。
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○長谷川委員長 参考人の御意見に対し質疑の通告があります。これを許します。角屋堅次郎君。
○角屋委員 きょうは午前来、政府から出されました沿岸漁業等振興法案並びに私どもの党から私の提出責任で議員立法として出しております漁業基本法案、沿岸漁業振興法案、この三案についてそれぞれ学識経験者の立場から浅野さん、宮城さん、業界代表の立場から高橋さん、片柳さん、増田さん、さらに第一線で沿岸漁業に主として指導的な役割りを果たしておられます小磯さん、鈴大さんからそれぞれ貴重な御意見を承ったわけでございます。参考人各位には、昼を過ぎてたいへん恐縮でございますが、これは国会審議の関係で、午後砂糖関係の法案をやるというふうな段取りもございまして、たいへん重要なこの種法案について、一たん休憩をして私どももこの内容については、相当その筋での権威の皆さんから今後の法案のいろいろな話し合いその他について参考になる話をさらに掘り下げて聞きたいという気持ちも強いのでございますが、委員長からの要請もありまして、ごく簡単にそれぞれ数人の委員から質問して終わらしていただく、この点、まことに恐縮でございますが、ひとつ御了解を賜わりたいと思うのであります。
 参考人の七人の方々の意見を私ども拝聴して痛感をいたしますことは、政府から出されております沿岸漁業等振興法案についてはこのままでよろしいという意見を述べられた方は一人もないのでありまして、それぞれ専門の立場から積極的な御意見を拝聴して、まことに参考になったわけですが、特にその過程で浅野さんと宮城さんは、漁業政策全般の立場から、まずやはり漁業基本法というものをはっきり打ち立てて、その中で、事業法的に沿岸漁業の振興あるいは中小漁業の振興、こういった法の立て方について、ほぼ私どもが考えております考え方に同意をされたように判断をいたしたわけであります。さらに業界関係では、そうは申しましてもやはり現実に沿岸漁業等の振興の立法制定を望んでおるという立場から、それぞれ政府案を中心にしながら、補完修正の意見を前提としていろいろ述べられたように拝聴いたしたわけでございます。私どももこの漁業基本法案的なこの種法案については、実は今次国会で本格的な議論をします場合に、十分委員会でも議論をし、さらにまた農業基本法で実際に関係方面の意見を求めたごとく、北海道あるいは東北、関東、近畿、東海、四国、九州、こういうふうな各方面の重点的なところにおいて地方公聴会も開く、あるいはさらにその上に立って中央公聴会も開く、こういうような形をとりながら十分関係方面の意見をいれてりっぱな法制定をいたしたい、こういう実は積極的な気持ちを持っておったのでありますが、国会の委員会関係における法案の審議の関係で、中央における皆さま方参考人の意見にとどめざるを得ないことは、私自身としても非常に残念なことだと思うのであります。しかしそういう制約された条件の中にありましても、私どもとしては皆さま参考人の貴重な意見というものを、あとの、これから小委員会を設置され、さらにまた本委員会における審議も行なわれる過程で十分生かした法体系をつくってまいりたい、こういう努力をいたしたいと考えるのであります。
 そこで先ほどの御陳述の中で、浅野さん、宮城さんからは、法体系の問題として基本法的なものをつくって、その中でやはり漁業政策の位置づけをやり、その中で各沿岸、沖合い、遠洋を含めた政策を立てるべきだということですが、高橋さんの御意見の言葉の中で、社会党案の評価の問題について政府原案と異質的な内容を含んでおるというお話が、言葉の中にあったわけですけれども、率直に申して、社会党で出しております漁業基本法案あるいは沿岸漁業振興法案というのは、政府・自民党の今日の体制の中でできないところはどこの条項にあるか、こういうことを考えてくると、私はその政府・自民党がこれを受け入れるという気持ちになればどこにも支障のあることは起こらないであろう、こういうふうに率直に思うわけです。これは多獲性大衆魚の価格安定のわが党の法案を出したときにも、当時参考人で呼ばれた方々は、理想案としては社会党案がよろしい、現実にすべり出す関係から政府原案を補完をして出発をしてもらいたい、こういうことで、現実に政府原案を中心にした価格安定の法案が成立をいたしましたが、先ほども千葉の参考人から言われましたように、これはたいした役割りを現実に果たしておらぬという結果が出てまいっておる。私はこの北海道の高橋さんのほうには特に敬意を表したいのは、今度の全漁連の修正意見の中心的な役割りを北海道が果たされまして、そして各地域の集会を持ち、全体的な集会を持ち、ややもすればこの種の法案に対して無関心になりがちな全国の第一線の沿岸漁業者に、政府の沿岸漁業等振興法案の不十分な点、それを啓蒙する点において非常に大きな役割りを果たされたと思いますし、またわれわれが今後の法修正を考える場合に沿岸漁業の部面で非常に参考になる意見を承ったわけでありますが、ちょっと言葉にひっかかって恐縮でありましたけれども、私どもが出しておる漁業基本法あるいは沿岸漁業振興法について、いまの情勢下においてできないという点があれば、ひとつこの際簡単に御意見として承っておきたいと思います。
○高橋参考人 お答えします。
 ことばの問題でございますけれども、われわれといたしましても、社会党が非常に苦心されて、しかも理想的な姿で基本法と事業法というふうに分離されて出されましたことは、深く敬意を表しているところでございます。ことばの中で異質というようなことばをちょっと使ったようでございますが、あれは別に深い意味はないのでございまして、現在政府が提案され、本国会でも審議されておりますところの沿岸漁業等振興法案が、いわゆる中小漁民の振興法案でございますので、それに対して基本的な基本法を中心にした事業法として出されたものですから、ことば上ちょっと異質ということばを使いましたが、そういう意味でございますので、その点御了承をいただきたいと思います。
 それから基本的にはやはり基本法が出されて、先ほどちょっと先生方かもお話がありましたが、いわゆる基本法というものはきわめて簡明に、しかも条章が多岐にわたるものではないと考えておりますが、基本法を出されて基本法に基づいて事業法が出されるということは一番好ましいのでございますが、われわれのように長い間水産方面に携わっておりますと、その水産の中の複雑さといいますか、階層のはなはだしく隔たりがあるという中で、いま直ちにそういったものを総括してやられるということは非常に困難じゃないか。やはり政府当局におきましても、やられる前に十分各般の資料の上に立ってやられたほうが、きわめて適切なものができるのじゃないかというようなことも、ばく然と考えたものですから、ああいう御意見を申し上げたわけでございます。ただしかし、社会党の組織立った法案の系列体制というものに対しては、非常に尊敬しているわけであります。
○角屋委員 片柳さんにお伺いしたいのですが、片柳さんは、社会党の法案には幾多共感する点は多いのでありますが、とこういうことで先ほど来申しております。北海道が非常に中心的な役割りを果たされた六項目の修正を重点として、ひとつ政府原案の成立をという現実的な意見を述べられたわけであります。ただ私どもたとえば、詳しい点は触れませんけれども、政府が国会に対して年次報告を出す、あるいは施策に対して講じたものを出す、さらに六項目の要請の中でも、重要水産物についての生産、需給の長期見通しを立てる、こういうふうなことが出ている。それは沿岸漁業とかあるいは中小漁業に限定をして、年次報告や施策あるいは重要水産物の長期見通しというようなわけにはまいらない。これはやはり日本漁業の総括的な姿というものを明らかにし、その中において特に施策を要する沿岸漁業あるいは中小漁業の性格、内容というものを浮きぼりにする。こういうことでなければ、やはり十分な施策は講じられないという感じがするわけですね。そうなってくると、沿岸漁業等という中で、沿岸とか中小漁業とかいうものの中に基本法的なものを含んでくるという点には、実際に実施過程で非常にやりにくい問題が出てくる。この基本法をどういう内容まで今日の政府・自民党の考え方の中でまとめ得るかという点については、これは当然疑問がありますけれども、そういう浅野先生や宮城先生が言われたような全体的な法体系の中で、やはり沿岸漁業に重点を置いた振興という方向にいかないと、この政府原案は、若干補強する、あるいは皆さんの要請をそのまま受け入れて補強するという場合でも、全体的な視野、国際的な視野という問題になかなか欠ける点ができはしないかということを心配をしておるわけです。これはもちろんそういうものの起こらぬように、修正をやる場合には十分な配慮をしなければならぬと思いますけれども、そういった点が、こういう限定された漁業に対しての振興法案という中で、しかも基本法的な年次報告や、施策や、あるいは重要水産物に対する長期見通し、あるいはそれだけに限定されない貿易自由化に対する対策、それだけに限定されない価格支持制度というような問題を考えてくると、これはやはり漁業全体の中で考えられなければならぬ出発点の問題が多いわけですが、これらの問題について御意見を承りたいと思います。
○片柳参考人 ただいまの御質問の点でありますが、年次報告とか、全体の需給計画とか、これは私は当然、大、中、小を含めて、全体の生産なり需要の計画を出していただいて、その中で特に政策面で取り上げて、各般の施策を講ずべきものは、これは沿岸漁業等あるいは沿岸漁業及び中小漁業という面でございます。ですから、やはり全体として、漁場の問題もわれわれが先ほど言ったような構造改善の線に沿うて、沖合いに出る面については、これは優先性を与えてほしい。やはり全体の中の一環として政策面で、私は沿岸漁業等について特に政府の政策を必要とする。それ以外の大きな漁業については、別途国際的な制約を排除するという問題もありましょうけれども、これは国内的な政策として、特にこれを法律で援護するという必要性は概してないのではないか。しかし御指摘のように、需給計画なり、あるいは漁業の免許、許可の場合においては、いま言ったような全体の資源の中で、たとえば沿岸振興の線に沿うてはどの程度の免許、許可を与えるべきかという点は、当然これは全体の計画の中で勘案決定すべきである。ですから、御指摘のように、全体を見なければ、これは非常に偏するわけでございます。ですから、年次報告なり、あるいは内閣に設置を要望しておりまする審議会においては、やはり日本漁業全体を俯瞰して、その中で中小漁業なり沿岸漁業の施策にてこ入れをしていただくということでございます。御意見、大体同じようなふうに考えております。
○角屋委員 増田さんにお伺いいたしたいのですが、先ほど中小漁業の立場から御意見を申されまして、政府の沿岸漁業等振興法案の中における中小漁業面の積極的な施策というものはきわめて不十分だというふうに申された点は、私も同感でございますが、ただ前に言われております増田さんのほうの団体からの要望の中で、中小漁業振興事業というふうな形で、事業として要望の数項目をまとめられて出されたように私承知をしておるわけですが、沿岸漁業構造改善事業という場合の事業と、中小漁業の場合の振興対策というものを、事業としてとらえることができるかどうかという点は、これはまあ相当検討してみなければならぬのではないかという感じが、この前御要望の点についていろいろ説明を聞きながらも、私意見を申し上げたのですが、そう思うわけであります。今度政府が出しておる原案の第九条の中小漁業の振興の点では、これは沿岸漁業等という形であらわしたごとく、いわば景品的につけた感じが私も率直に言ってするわけですけれども、しかし中小漁業の振興対策として沿岸漁業構造改善事業というような組織的、計画的、系統的な事業というものは、中小漁業の場合には、これは事実上困難ではないのか、中小漁業振興対策というふうな形で、やはり重点的なものを総合的にやるという形になるのではないか、こういう感じがするのですが、その辺のところを御意見を承りたいと思います。
○増田参考人 ただいまの角屋先生の御質問にお答えいたしたいと思います。
 確かに私ども業界から陳情をいたしました陳情書の内容におきましては、いま御指摘になりましたように、第九条の中小漁業の振興という項目が非常に抽象的かつ形式的だ。それに対しまして、沿岸漁業につきましては、第八条において構造改善事業と、非常に具体的な事業をうたっているわけであります。私どもとしては、いま第九条に掲げておりますような抽象論では、現在私どもが直面しております中小漁業の振興にはほとんど裨益する点がない。あるいはその内容では何をうたわんとしているのか、私どもわからぬということであります。いま御指摘のように、中小漁業の振興事業という表現がたしか私どもの陳情書の中にあります。これがはたして事業として妥当かどうかというのは、性格問題としては御指摘のように私もちょっと問題だと思います。あるいは中小漁業の振興対策、あるいは具体的な振興の施策だというようにおとりくださってもけっこうであります。ただ第八条の沿岸漁業については構造改善事業、それに対して第九条の中小漁業の振興というのがあまりに抽象的であるために、一つの振興事業として具体的な施策を打ち出してほしいという意味で、振興事業といったのでありまして、これは具体的には対策あるいは施策であるかもしれません。
○角屋委員 学識経験者の浅野さん、宮城さんは長らくこの方面の権威者ですからずいぶん聞きたい点が多いのですけれども、時間の関係がございましてお聞きすることができないのはまことに残念です。したがって、実は浅野さんからはわが党の漁業基本法案の内容にまで総括的に触れて御意見がいただければたいへんけっこうだったかと思うのですが、それは時間の関係上やむを得ません。ただ宮城先生のほうからは、わが党提案の漁業基本法案の第一条から第七条までを織り込んだ内容にすれば漁業全体の内部の構造改革というものに相当大きな貢献をするだろうという御意見が出たわけですが、まず浅野さんからお伺いしたいのは、個別的な問題に入ってたいへん恐縮ですが、私どものほうから第九条で母船式漁業についての公社構想というものを出しておるわけです。それから海外基地漁業等について、御承知のとおり海外漁業振興会という構想を出しておるわけです。これはこちらから前置きとして説明をして御意見を伺うのが筋合いでございますが、第九条の点は説明を要しないと思います。第三十三条の海外漁業振興会の問題については、これは最近の基地漁業の発展とか、あるいは国際漁業の方面における今後の円滑な漁場の推進のためというふうな点で、特にこれは中小漁業あるいは沿岸漁業等からの転換という問題が、大きな資本の制約、圧迫というものでなくてスムーズにいき得る窓口という意味も兼ねて、海外漁業振興会というものを考えたわけですけれども、この二点だけにしぼって御質問申し上げるというのはたいへん恐縮なんですが、基本的な問題を別にいたしまして恐縮でありますが、ひとつこの点についての御意見を承りたいと思います。
○浅野参考人 いま角屋先生からの御質問の点でありますけれども、私、この個別の問題にお答えする前に、社会党から出ております案の問題は、あの基本法ということ自身が基本法であり、内容的に見ますと事業法でもあるようでございます。その意味でいま御質問になりました公海漁業についての公社案、それからまた海外基地漁業につきましての海外漁業振興会という問題もそこに出ておりますので、私、この二つとも、ともに事業法的に考えるべきものであって、基本法の中で問題にすべき問題ではない、こういうふうに考えたいのでございます。でございますけれども、個々の点につきましてお答え申し上げますれば、まだ海外漁業と公海漁業というものを公社というふうな団体ですぐやることがいいかどうかという問題は、片柳さんがさっきお話しになりました点とも関連いたしまして、現実の問題としてそこまでにいちずに走ることにつきましては、もっと検討すべき点が多くあるのではなかろうかという感がいたしております。
 それからいまの振興会ということにつきましても、海外に日本漁業が出てまいりますなり、あるいは沿岸のものが遠洋のほうに出てまいります場合の窓口という意味におきましても、こういうふうな団体におきます窓口でもってやることが、はたして国外へ日本の漁業が出てまいります事業をやる場合に妥当であるかどうかということも、非常に検討を要する問題があると存じます。それよりも、もっと広く大きくと申しますか、海外で漁業をする場合の日本の政府の考え方と申しますか、そういうものの大きな基本方針を固めることが先であって、それのもとにこういうふうな具体的の問題をいかにするかということを考えるのがまず先であろう、こういうふうに考えますもので、具体的にはこれにすぐ飛び込むのは早過ぎるという感じを持っておりますので、こまかい点につきましての意見を差し控えさせていただきたいと存じます。
○角屋委員 いま浅野さんからお話がありましたが、これはやはり社会党の漁業基本法の考え方というものを明らかにしなければ、これだけ出して事業法的なものだというわけには必ずしもいかぬと思う。というのは、やはり目的のところでもいっておりますように、日本漁業の構造改革を通じてというこの構造改革の中での母船式漁業のあり方という問題について基本的なかまえをどうするのか、こういうことでくると、もちろん事業法的な性格を持っておりますけれども、これはやはり基本法の中での構想というふうにとらまえて私どもとしてはやったつもりなのです。また同時に基本計画あるいは年度計画、総合的なそういう長期あるいは年度の実施計画の中においての、特に国際漁業関係、基地漁業関係について、政府の指導のもとにどういう機関で構造改革の重要な推進の役割りを窓口として果たすものをつくるか、こういう意味で御指摘のものを考えたということでありまして、これだけを出して御質問申し上げると、何か事業法で基本法からはずれるかのごとくとられますけれども、社会党の案全体を通じているのは、申し上げるまでもなく沿岸、沖合い、遠洋を通じての日本漁業の構造改革というものを総合的な視野からどうするのかという点が基本にありますので、基本法の中に入れるという気持ちであります。これは議論するつもりはもちろんございません。
 宮城さんにお伺いをしたいのですが、先ほど第一条から第七条までというのを特にポイント的に取り上げたわけですけれども、巷間ややもすればこの社会党がいっておる漁業の基本計画あるいは漁業の年度計画、こういう形で、漁業のように国際的にも国内的にも相当に変動的な要素を持っておるものをあらわすことは困難ではないか、こういう言い方をしてこの問題を批判される向きが一部にあるのですけれども、しかし私は、今日までの日本の水産政策というものが総合的、計画的な、しかもそれぞれの沿岸、沖合い、遠洋を含めての円滑な位置づけの中でなされてきてなかったというところに、今日の漁業内部における階層間の格差を非常に拡大した要因があるだろうというふうに思うわけでありまして、政府の掲げておる漁業従事者と他産業従事者の生活水準の均衡というふうな、そういう政策的意欲を実際に実現していく方向から見ても、やはり総合的、計画的な計画の中においてそれぞれ沿岸、沖合い、遠洋の円滑な発展というものを考えていく、こういうことがぜひ必要な段階にきておるし、そういう計画推進の中において他産業との競合関係の調整、あるいは漁業本来の発展のための必要な政府資金、財政投融資資金、あるいは国、県、第一線の漁業団体等の緊密な連携というものが生まれるだろうし、そういう中での貿易自由化対策、あるいは国内におけるところの価格対策、流通改善、こういう総合的なものが全国的にも地域的にも推進されるのではないか、こういうふうに思うわけで、たいへんむずかしい問題であり、これらの問題については国、県、第一線を通じての統計整備というものも関連して当然出てくるわけですけれども、それらの点について再度われわれの意図についてどういうふうにお考えか、これは賛成の立場でありまして、もう一度聞くのは恐縮でありますが……。
○宮城参考人 お答えいたします。
 政府御提出の振興法案の第三条から第五条までが主として基本法的な性格を持つやに見える条文に相なっております。しかしそれはあくまで見えるやのものなのであって、これが現下の漁業の実態から見て漁業問題の基本をなすすべてを網羅しているとは思わないのであります。むしろその前提になるものが、先ほど意見を申し上げましたときに申しました漁業基本法として社会党でお出しになっております法案の一条から七条まで、及び十一条の条項、この基本的なものの考え方が、実は政府提出の法案の中には根本的に抜けているということになります。これは考え方の問題なのであって、観念の問題というふうに軽くとられては困るのであります。実はさきに角屋先生などが御検討になり、この条文をおつくりになりましたこの考え方で政府提案の条文をつくりますと、ずいぶん変わった形になってまいります。
 それから、お互いの参考人同士の話をここで申しまして恐縮でございますけれども、何か漁業法でもって若干できるような意見の開陳の参考人もあったのでありますが、実は総合的な施策というふうなものは漁業法では貫徹し得ない性質を持っているわけです。漁業法の基本的な性格は何かと申しますると、漁業生産をやるについての漁業のいたし方、漁業をいたすものの性格、その方法等を制度できめているのであって、それをば忠実に守るならば漁業政策というものは前進するという性質とは、私はイコール同じだというふうには理解できない。そのような漁業法の不足、あるいは漁業法が性格的に持っている欠陥を制度的にカバーするためには基本を明らかにする法律が要る、その法律に基づいてそれぞれの部門部門が事業法的なタイプでもって実施される、こういう法体系が望ましいということを私申し上げているわけであります。でありますから、これは角屋先生の御質問とちょっとはずれて恐縮でございますけれども、漁業権にかかわる漁業の免許、母船式漁業、国際漁業の利用関係というふうな形のものも、実は基本法としては少し細微に入り過ぎている。むしろこの部分は第七条の「国は、漁業生産力の発展と水産資源の保護とを図るとともに公正な漁業生産の秩序を確保するため、」の漁場の利用関係の一部分をなすものというふうに私は理解しておるのであります。基本法を考える態度、それから事業法的にことごとくのこまかな形のものを考えていく態度と、私はそのように理解して、前の意見を開陳したのであります。
○角屋委員 時間の関係もありますので、参考人に質問すべき点はたくさんありますが、この程度にとどめます。
○長谷川委員長 安井吉典君。
○安井委員 時間がだいぶ過ぎておりますし、あとの予定もあるそうでありますので、お尋ねしたいことはたくさんあるわけでございますが、一つだけ私の考え方を申し上げて後意見をお伺いしたいのであります。
 たいへん貴重な後意見をお聞かせいただきまして、これからの審議の上にも非常に役に立つと思うのでございますが、角屋君も言いましたように、全体的にとにかく政府原案を修正するような形で早く国会を通してくれ、そういうようなところに結論が落ちついているように思うのでございます。ただ私は、これから修正をするのかしないのか、これはあすから開かれます小委員会の中でいろいろ話し合いが行なわれると思うのでございますが、そういうような動きにもしなるという仮定の上に立ってものを考えましても、そういうような修正というもののあり方そのものがきょうの御意見の中ではっきり二つに分かれております。漁業基本法をつくったほうがいいという考え方と、まだ先でいいじゃないかという考え方、私はこの二つの考え方がこれから論議の中で、その論議の結論を出す上に非常に影響を持ってくるのではないか、そう思うわけです。つまり水産業という中は、億をこえる大きな資本を持ち、漁場を独占しております資本漁業もございますし、一年間に十万くらいしか収入のないような零細漁民もある。非常に格差が大きくて、そういうようなものが非常に混在をいたしております。その点農業と非常に違う姿にあるわけで、それだけに漁業政策の立て方というものは非常にむずかしい。そういうふうな中で、先ほど片柳参考人もおっしゃったのですが、社会党の考え方の中で大企業だから有利だとはいえないとか、観念的だとか、そういうふうな御批判もございましたけれども、漁場の中における全体的な位置づけというものがなければ、私は沿岸漁業を守る姿はできないというふうに考えます。その点秩序を得せしめるというふうな表現もさっきされたわけです。だからいまの日本の水産行政の中にその秩序を得せしめなければならない。しかしながら大企業というのは近代的で能率的で非常にいい成果をあげているのだから、そちらのほうもしっかりやっていかなければいけない、こういうような考え方が農林漁業基本問題調査会の中にもあって、所得格差を縮めるというところに重点を置くのか、それとも漁業の近代化を進めていくのか、この二つの中で結局最後的にその所得格差をなくするような方向に重点を置きながら、しかし能率的な産業に対してあまりチェックしないようにしていこう、こういうような妥協的な結論が出ているわけです。これが私は日本の漁政の姿ではないかと思うのでありますが、だからいつまでたっても、漁業制度の中ではすっきりした沿岸漁業を守るのだという姿が出てこないわけです。このような混迷が農林省の今日までのやり方の中にあって、それが結局沿岸漁業というふうな小さた問題だけには何とかかんとか問題をまとめ上げたけれども、漁業基本法という全体的な漁業を位置づけていくという、そういうような法制を妨げた一つの大きな原因になっておると思うのです。だから私は、この漁業基本法というふうな形で大中小全体の位置づけをするということはいまできないというあいまいな考え方がある限り、たとえ修正をしろとおっしゃっても、抜本的なほんとうに沿岸漁民がぜひともこれはやってもらいたいというふうな修正はできない。それを阻止するような動きが話し合いの中に出てくるような気が私はするわけです。それは毒にも薬にもならないようなものは、簡単に農林省のほうも応ずるかもしれません。しかしながら根本的に沿岸漁民を守るんだというような重要な点になると、私はそういう話し合いをはばむものが出てくるのではないかと思うのです。これは修正するかしないかということは仮定の問題でございますけれども、その点大体対照的なのは宮城参考人の御意見と片柳参考人の御意見だと思うのでありますが、ひとつそういうふうな実態をどういうふうにとらまえていらっしゃるか、その点ひとつお二人から伺いたいと思います。
○宮城参考人 私は初めの意見のときに申し上げておきましたが、かきねのないグラウンドでともかくお互いが競争し合っているんだ。その場合には資本の原則が常に働く。まことに冷酷に経済的な法則どおりに動いていく。それは漁場が離れているからとか、あるいはどうとかいうことではないのであります。資本は利潤が追求されるならば最大の利潤を得る場において、いつでも、どのような形でも出てくるということであります。そういうもののほうが、実は所得格差なり文化的な水準をば開きつつあるのでありますから、それを歯どめをするという条件については、政策的にはある程度冷酷でなければ実は伸ばすべきものが伸びないんじゃないか。そういうのをはっきり審議の前提としていただきたいということをば申し上げたつもりであります。でありますからほっとけば、このままの状態でいけば実績主義がものを言うであろう。実績主義がものを言う間にはおそらく成長は常に頭打ちをするであろう、これはもう間違いのない私は法則だと思うのであります。そう思っております。
○片柳参考人 私は先刻もあくまで全漁連という具体的な事業を鞅掌している立場で意見を申し上げたのでありまして、やや理想論からは遠いかもしれませんけれども、しかしその中で沿岸漁業を守る以上にひとつ振興していきたいという熱意は常に持っているつもりであります。ただ私はやはり先ほど言ったように、観念的に中小漁業と大漁業との分野をはっきりするということもいいと思いますけれども、沿岸振興のためには、私は先ほどの他の参考人の御意見と多少違うのですが、近海の増殖とかいうだけでは、外洋に直面した漁村は絶対沖合いに出ない限り生きる道はない、実はこういう沖合い進出を構造改善の大きな支柱として政府にもお願いしておるわけであります。したがって沿津を基盤として沿岸振興なり構造改善で準備ができて、出得る海面についてはこれは絶対優位性を与えてほしい、こういうことでありまして、初めからまだ力もないのに線をはっきりきめていくといっても、これはややペーパープランに堕するおそれがありますので、要するに沿岸を基盤としてとにかく政府なりいろいろ皆さん方の御指導で出得るものについては絶対優位性を保持していきたい、こういうことであります。どうも上から観念的に大資本、中小漁業というものを分けるといったって、これはなかなか分けようもないわけであります。ですからそこの優位性を保持することによっていくということであります。
 それから政府提案の振興法はあるいは格調は低いというようなことはあるかもしれませんが、とにかく他産業従事者と均衡する生活を営むことを期することを目的としてやる、それで近代化、合理化、第三条では「経営規模の拡大、生産行程についての協業化、生産性の高い漁業への転換」、こういうことを忠実に漁業法の許可行政とかね合わせてやっていきますれば、政府その他の十分なるバックアップがあれば相当沖合いに出てその利益に均てんできることであって、現実にそういうことで実力を持って自分の漁場を逐次培養していくということ、どうも上からきめてやるというよりも、むしろそういうところでやっていきたいということでありまして、先ほど宮城さんからも漁業法だけではできぬということかもしれませんけれども、さきに御審議くださって通過いたしました漁業法も、最近のたとえば承継許可の問題にしても、単なる表面的な譲渡はいかぬということになっておって、やはりある程度漁業の転換なり漁業従業者が経営者になりたいという一つの積極的な意図を持った場合に初めて承継を認めるというようなことでありまして、また権利の許可の不当な集中もいかぬということもありますし、とにかく漁業法の現行の許可行政とこの第一条、第三条等に書いてある趣旨を政府が忠実にこれを体してやっていきますれば、相当の実効が期待できるのではないか、私はこういうふうに考えております。
○安井委員 ちょっといまの点で、いまの片柳参考人の御意見のうちに、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へという、これからの水産行政の法則といいますか、そういうような点についてお話があったわけでありますが、これは私どもはいいと思うのです。ですから、それは漁業法の中の問題かもしれません。しかしそれだけの、現実的な問題解決策として出ている問題がある以上、漁業法をはじめ――漁業法というのは、これは農業における農地法だと思うのですが、そういうようないろいろな法制がたくさんありますけれども、その上にかぶさるものとして、基本法としての考え方を私たちは期待するとすれば、この沿岸漁業等振興法案の中に、先ほどおっしゃったことばの中にあった漁場の秩序を確立していく、零細な沿岸漁民には、いわゆる底びき禁止区域の拡大だというようなことで、荒らされている漁場を守ってやる、それらの中小漁業にほさらに遠洋の漁場を与えてやる、そういうようなかまえを、つまり漁場秩序を持たせるというかまえを、私はこの沿岸漁業等振興法案の中に一項目はっきり加えたらいいんじゃないかと思うのです。これについて御意見はいかがですか。
○片柳参考人 私も、考え方はそう実は違わないと思っております。ですから漁業法の許可というものが、資源の保護なりあるいは漁業調整という趣旨からこれは許可をやればいいのでありまして、これを今回の政府提案の一条から三条くらいは一つの基本法的な性格を持っておると思いますが、この趣旨とをコンビしてやっていきますれば漁業秩序というものはそこに当然出てくる。本来沿岸が出ていくべきところにほかの漁業者が入ってきておるような場合においては、これに席を譲ってもらって私どもの沿岸の振興のために沖合い進出の機会を得しめていただくということであって、ですから漁業法の許可行政というものも、私は先刻言ったように、多少いままでのような目的のない許可からある程度政策的な配慮も若干入ってきておると思います。それに加えて沿岸振興のためという趣旨を忠実にやっていきますれば、水産はほとんど許可ないしは免許になっておりますので、その辺を忠実にやっていけば、おのずから秩序というものは結果として出てくるのではないか、私はこういうふうに思っております。
○長谷川委員長 松井誠君。
○松井(誠)委員 時間がございませんので、一まとめにしてお伺いをいたしたいと思いますが、浅野参考人と宮城参考人にお尋ねをいたします。
 お二人ともこの政府の法律案が漁船漁業について軽視をしておるのではないかという危惧を表明されたと思うのです。私も同じ危惧を持っておりますので、その点だけお伺いをいたしたいと思います。
 この零細な漁船漁業がこれからどうしていくかということについて、一つはやはり漁業制度の問題がございます。この点については、宮城参考人は独占的な資本制漁業の規制というものをはっきり申されましたけれども、浅野参考人は漁業制度というものとも関連があるんだという微妙な言い回しだけで、必ずしもはっきりしなかったと思うのです。したがいまして、その漁業制度との関連で、あるいはまたこの漁船漁業の将来の経営構造がどうなるのかということについて、この政府の法律案では必ずしもはっきりしておりません。健全な漁家経営を中心にするのか、あるいは協業を中心にするのか、どうもこの法律案でもはっきりしておりませんし、政府にお伺いを立てましても実は必ずしもはっきりした答弁がないわけです。そこで、そういう漁業制度なりあるいは経営構造の目標なりというものとからめて、この困難な沿岸の漁船漁業をどうしていくかという、そういうビジョンをお二人からひとつお教えをいただきたいと思うのです。
 なお浅野参考人に対しましては、やはり何といってもいまの構造改善事業の実際のにない手は漁協なんだということで、漁協に対する配慮を申されましたので、この法律と直接関係はございませんけれども、やはり非常に重要な前提になると思いますので、その漁協をどうするかという点について御意見をお伺いいたしたい。
 それから宮城参考人に対しましては、なお半農半漁というそういう環境の中におる人たちについての配慮を申されたわけですが、この半農半漁の人たちは農業基本法のワク外に出され、沿岸漁業等振興法でも半農半漁の人はまた漁業のワク外に出されるということになりますと、この半農半漁のほんとうに政治の谷間におる人たちをどうするかという、非常に困難で重要な問題が残ってくるわけです。へたをすれば、この沿岸漁業等振興法はまた半農半漁の人たちの前を素通りしていくという危険性もなきにしもあらずだと思うのです。ですから、あるいは農協や漁協をどうするかという問題ともからまるかもしれませんけれども、この半農半漁の非常に暗い将来しか持っていない人たちに対するこの法律とのつながりをどのようにお考えになっているかということをお伺いいたしたいと思います。
○浅野参考人 お答えいたします。
 漁船漁業の問題につきましては、私は制度との関連におきましてのことを申しました。沿岸振興法はもちろん内容は構造改善事業というものが中核であろうと存じます。この構造改善事業の中でも、現にすでにやっていらっしゃるところでも漁船漁業に対する構造改善というものが遅々として進んでいないということは皆さま御承知のとおりでございましょう。これはなかなか困難な問題が多いと存じます。と申しますのは、先ほど片柳参考人からも申し上げましたように、この沿岸振興法それからその基本になりますところの漁業法、それが許可なりあるいは免許なりの行政措置と申しますか、そういうものとの関連が非常に強いのでございます。したがいまして、この沿岸振興法の中にございます第三条の第三号にその方針が出ているとこういうふうに考えられます。御質問のおことばにもございましたように、漁船の協業活動と申しますかあるいは集団操業と申しますか、そういうふうな方法によりますところの漁船漁業による構造改善ということがまず考えられる問題だろうと思います。それから漁船漁業の機械化と申しますか、労働力不足の現状から申しましても、漁船漁業に対するところの技術の革新によって、少ない労働力でフル操業が可能になるようなことを考える問題とからめて漁船漁業については考えられるのじゃなかろうかと思います。それからもう一つ、漁船漁業で得ました水産物の販路というものにつきましてはより多く考えてやらなければならない問題だろう、そういうものとあわせまして考えることが漁船漁業に対しましては私は特に必要ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
 それから漁協の育成の問題につきまして御質問がございましたが、私は先ほども申し上げましたように、この沿振法のにない手になりますところのものはあくまでも漁業協同組合であるというふうに考えております。また制度調査会の答申におきましても、沿岸漁業構造改善のにない手は漁業協同組合であるということがいわれております。この意味で、何分にも現在の漁業協同組合の人的の組織と申しますか能力と申しますか、そういう点は御努力はございますけれども、まだ十分とは言えないと私は思います。したがいましてその方面を物的にも質的にも向上していただくということがまず必要だろうと思います。そういうふうな現在の漁業協同組合の質的物的の向上をはかるということがまず第一考えられますし、それと同時に、漁業協同組合それ自体の強化拡大と申しますか、そういう方法を考えなければならないと思います。これは合併の問題もございましょう。それと同時にまた半農半漁のところにおきます農協との合併というふうな問題もときには起こるのではなかろうかと思います。それから業種別組合との調整というふうな問題もございましょう。そういうふうな問題を協同組合それ自身について、ただ単なる協同組合理念に基づいた協同組合とかあるいは地域団体である協同組合ということではなしに、もう少し漁村における協同組合、しかも構造改善というものをになう協同組合としていかにあるべきかという本質論を検討していただく、御研究いただく、そうしてこの沿振法にうたっておりますところのこの実態をになって事業を進めていくにふさわしい漁業協同組合になるような努力が官民において行なわれなければならないだろう、こういう考えを私持っておる次第でございます。
○宮城参考人 幾つか問題があるのでありますが、浅野さんと大体同じような条項について申し上げたいのでありますが、まず半農漁村の問題のほうから先に申し上げたいと思うのです。これを申し上げますときにどうしてもやはり構造改善の問題が出てくると思うのであります。私どもは構造改善というものをどう理解しているかという点を申し上げたいのでありますが、漁業制度調査会のときにも私申し上げておるのですが、構造改善というのは部落ないしは今日の行政区の漁業の構造を改善するのが目的なのではない、構造改善とはその地域の特性に応じた、かなり広域な漁業経済圏を確立する構造をつくる、したがいまして具体的に申しますと、鹿児島湾なら鹿児島湾一帯に関係する地区が構造改善地域であり、ある意味においては、瀬戸内海でありますれば、もう少し拡大して瀬戸内海を豊後水道側と鳴戸海峡側とを二分した、共通したその地帯における特性を生かす構造改善対策というものがあっていいのじゃないか。それをもっと大きく言うなれば、瀬戸内海一帯でいいと思います。若狹湾などにいたしましても、昨年から京都府の構造改善に指定されております。あの場合には若狹湾を一体としてとらえていくという構造改善の対策の中における京都府の部分、福井県の部分というふうに考える。そういうふうな形で、その地域における労働配分なりあるいは漁業の種類なり、地域的な立地条件なり、そうしたものに対する自治体及び国等の関与のしかたをまずきめて、それから構造改善をやるべきなのであって、いまのような府県を中心にしてというような考え方をやっておりますれば、その構造改善というものはこま切れにならざるを得ないのじゃないか、それではほんとうの構造改善の対策にはならない。そういう角度で構造改善の地域についての理解をいたしておるのであります。
 しからばその中で漁船漁業と半農漁村という形であります。私どもは漁船漁業を問題にします限りは、片柳さんもお話しのように、これからの漁船漁業は沿岸の小型の漁船漁業というものを想定するのではなくて、かなり沖合いに出ていく、ある意味では遠洋に出ていくような形の漁船漁業を考えたいと、こう私は思っております。したがいまして、独占資本に対するチェック論というものが出てくるのでありますが、そういう形の漁船漁業は手段と資本と漁場、さらに労働の問題、これらが一体になった総合施策の中で、国が大きく予算的な裏づけをした、保育政策とでもいいますか、そういうものでやらない限り、漁船漁業を促進するのだ、共同経営を、あるいは協業をといったってなかなか進むものではありません。要するに、足らざるものを補ってやるということがあって初めて振興対策たり得るのだ。ところが半農漁村になりますと、労働の実態から考えてみて、そういうような遠洋とか沖合いに出ていくようなことは不可能ではないかと思う。と同時に、今日日本の漁村の約四割が何らかの意味における半農漁村でございますが、この場合漁業にタッチするのは、主として沿岸の根つぎの漁業ないしは増養殖業の関係だと思うのです。したがいまして、半農漁村の場合には増養殖についていかにあるべきか、いかなる形においてこれらの半農漁村の漁業的な生産を拡大さしてやるかという考え方に立つべきだと思うのであります。したがいまして、この半農漁村における増養殖の関係、専業的漁村における漁船漁業の関係が、その構造改善の広域的な条件の中で生かされるように考えるという点が、少なくとも私の考えております構造改善対策、したがって今度は、そのものの主たるにない手になる、国が保育する対象となるべき漁民集団ということになれば、やはり漁業協同組合だと思います。
 ところが、先ほど申しましたように、かなり広い範囲における構造改善というものを考える限りにおいては、今日の漁業権管理団体的な、あるいは部落的な、行政地区的な漁業協同組合が、いまや高度成長しつつある、変貌しつつある日本経済に適応するような経済組織だとはわれわれは考えられない。ですから、飛躍したものの言い方をいたしますなれば、漁業協同組合とは、純粋な経済事業団体と割り切り、しかもその地区の範囲は、府県の範囲において一単位組合をつくるというぐらいの考え方を持つべきだと思います。すぐに飛躍したようなという批判が出るかと思いますが、これは飛躍ではなくて、そのような心がまえを持って、経済を漁民のものたらしむるための組織的構成がかくあるべきだと私は思うからであります。
 これは決して夢ではないのであります。農業の分野におきましては、神奈川県におきましては津久井郡全体が一つの農業協同組合になり、特殊農協から何から一切を含めてその地域の発展を考えるなれば、静岡県のような県単位の農業協同組合というふうなものを考えるというようなアイデアも出てくるわけであります。私は、そういうふうな形において、漁業協同組合を現実に力あるものとしない限り、構造改善というものは進まない、そういうふうに思っております。そういうふうな力あらしめるなれば、今度はその内容としての半農的な対策、純粋な漁村的な対策というものが、その村の成り立ち、習慣、生産の方向、人的な要素等を組み合わせて、可能になってくるような気がいたします。ビジョンとおっしゃいますから、ビジョンを申し上げればそういうことであります。
 さらに一言許していただきますならば、そのような形においてとらえます漁村の場合には、単なるとる漁村あるいは育てる漁村ではございません。市場と対応する漁村でなければ漁村の意味がないのであります。この市場とは、国内市場だけを意味いたしません。国際的な条件下における水産物の市場と直結し得る経済単位、組織、これが漁業協同組合でなければならないと思うのであります。そういうふうな形で考えてみますと、いまの漁業協同組合はすぐに零細漁民の団体であるというふうにいわれておりますが、私はこれははなはだしい偏見だと思うのであります。そうではないのであります。片柳さんがおっしゃった、あるいは増田さんがおっしゃったような、中小企業、実はそれをも含めた経済団体が漁業協同組合であります。
 これを少し分析的に申し上げますなれば、地区漁業協同組合の構成員とは、自県の漁港を利用して、数日ないしは日帰り的に漁業に従事する階層が地区漁業協同組合の会員であってしかるべきであります。ところがカツオ・マグロ漁業であるとか、その他全国の港を移動しつつ行なう漁業者の階層は、言うまでもなく業種的協同組合でなければ救われません。したがって、これからの漁業協同組合が構造改善を現実のものとして、赤道のほうまで出かけていって漁業をするような形態をつくり出すといたしましても、これは業種組合ではなくて、体質の改善された地区漁業協同組合の組合員の経営組織なんです。そうして、少なくとも今日一千万あるいは二千万ないしは数億の金を持って全国を移動し、あるいは国際的漁場で活躍する漁業者等は、市場の関係から申しましても、組織の規模からいいましても、これらはさい然と区別して、資本漁業的業種協同組合をつくるべきであります。そして、その資本漁業的な限界は何かと申しますなれば、これは漁業協同組合が、すでに会員の規定において、その総トン数なり人員等をきめております。その限界でもけっこうだと思うのであります。要するに、アンチ独占、常に独占資本の弊害を受けざるを得ないような資本家もあり得るわけであります。そういうものがこぞって組織するものが業種別協同組合でありますから、私は地区漁業協同組合をば、沿岸の小魚をとっている漁業者とは限定して考えないわけです。いまやこの法律案の中で、「沿岸漁業等」といわれておるその「等」は、ひとしく地区漁業協同組合の構成員であるべき姿であり、そのような組織を考え、そのような構成員をして、法律の条文どおり申しますと、より文化的生活のできるような状態にしてやることが振興法のねらいであり、それを実現するためには、基本的なものの考え方を前提としなければいけません、こう言っております。
○長谷川委員長 参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見を承りまして、まことにありがとうございました。
 この際、午後二時三十分まで休憩をいたします。
   午後二時十分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時四十六分開議
○長谷川委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 内閣提出にかかる甘味資源特別措置法案及び芳賀貢君外二十六名提出にかかる甘味資源の生産の振興及び砂糖類の管理に関する法律案を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。松浦周太郎君。
○松浦(周)委員 私は古参株といたしまして、こういう場合にあまり質問なんかしないのでありますが、甘味資源の関係は北海道のウエートが重いのみならず、ビートの関係が相当の部面を占めておりますので、北海道の農民並びに道庁側及び北海道支部からぜひ出てやれということを再々言われて、やらなければならぬことになったのであります。したがって、理事諸君に申しわけないのは、一応質問の順序やその他時間割りがきまった中に割り込んでまいりまして、皆さまに非常に御迷惑をかけました。この点は非常に恐縮に存じております。また、重政農林大臣とは二十六年以前、青年時代から顔を合わすたびに質問の相手になりまして、またいまもなお二人で質疑応答をしなければならぬということになったのでありますが、あの当時よりもだいぶ成長いたしましたし、ああいうかんかんがくがくのことは言わぬつもりでありますけれども、やはりあの悲痛な農民の顔を見ると、むらむらとなってまいりますので、あるいは失礼なことを言うかもしれませんが、これは農政を愛するという意味において御了承を願いたいと思います。
 まず第一点は、最近国際糖価が非常に上がったということで、新聞の紙面を相当にぎわしております。そのたびに私は切り抜いて持っておりますが、いろいろな見出しで十六回くらい新聞に出ておる。その中で特にわれわれの神経を引きますものは、十五円の関税を上げるということと、フルシチョフがキューバの大統領と話し合って、国際価格を緩和するために百万トン放出する、この二つがわれわれの神経をちょっといら立たせるわけであります。そこでこの間の六月一日の夜のテレビの見出しですが、大臣にそんなことを言っても何にもなりませんけれども、しかしテレビの見出しというものはなかなかうがっておるのです。こういう見出しなんです。新聞も鋭い見出しを出しておりますが、新聞よりもテレビの見出しのほうが鋭い。わずかの生産者の保護をするために、砂糖の関税を高くしておくことはいけない、これを下げて消費者にこたえることが政府の責任であると言って、それから砂糖の関税を下げるテレビが出る。私もこの消費者多数のものに安い砂糖を供給することは賛成なんです。それからこの間予算委員会が二日開かれまして、物価問題の場合にこの砂糖関税の問題で大臣ともあるいはその他大蔵大臣ともやりとりがありました。関税を引き下げて糖価を安くするという取引はあったが、しかし日本の砂糖の自給政策について、一言の発言もないのです。テレビも新聞も相当出ておりますけれども、これはただ砂糖を安くするということだけであって、外国の砂糖が高くなれば、すぐ日本の市場に影響する、それは貿易の国でありますから当然でありますが、国内の自給対策ということについて、この場合に一言も問題にならない。私が申し上げたい点は、ちょうど長谷川さんのように私が委員長をやっているときに三十四年三浦君が大臣で、そのときに十年計画で国内の半分の砂糖の自給をしようという、そのときのわれわれの考えは、小委員会でずいぶん検討いたしましたが、大体百五十万トンで七十五万トンだけを国内でつくろうというのが当時の考えでありました。しかしその後の日本の経済の伸びと国民生活の内容の向上というものから見ると、二百万トンあるいは二百四十万トン十年後に要るかも知れない。しかし三十四年を起点とする後の十年には二百万トンになるであろう、こうなると半分を自給するとするならば、当時七十五万トンというものをさらにこの計画を変更して上げなければならないことになっているのですよ。ところが政府のいまやっている考え方から見るならば、三十四年を起点とする後の十年には、七十五万トンに達しない、軽視しているのではないかということが私は考えられるが、大臣の御意見はいかがでございましょうか。
○重政国務大臣 国内の甘味資源の開発と申しますか、そういうものを決して軽視はいたしておりません。これは冒頭にひとつ御理解を願っておかなければならないと思うのであります。ただしからば非常に無理をして、何でもこれは自給をするところまで持っていかなければならぬというふうにも考えておらないのであります。これは主要食糧などとそこは違う点でございます。冒頭にも御指摘になりましたように、従来国内甘味資源の開発のためにあるいは端的に申しますれば、カンショ、バレイショ、でん粉、あるいは西南諸島の甘蔗あるいはビート、こういうような砂糖類の原料を国内でつくる。その原料のために消費者がある程度高い砂糖をなめざるを得ないというのが、今日の日本の状況であります。もちろん生産のコストダウンというようなことも、技術の改良、品種の改良においてやらなければならぬ。前からやっておるのでありますが、現時点においてはそういうことが言われるのであります。そこで、そういう生産のコストが割高である国内の甘味資源原料を自給するというために、さらにこれをつくっていって、消費者に高い砂糖をなめさすということはこれは問題である、こういうふうに私は考えまして、砂糖の国内甘味資源の開発は、やはりその適地においてこれをやり、これでだんだんに自給度を増していくという方向が一番よろしいのではないか、こういうふうに考えております。消費者の方面からいえば、そのために高い砂糖をなめさせられる、だから外国の原糖は安く入るのであるから、それらを入れて、そうして砂糖を安くして国民が消費することができるようにすべきであるという議論も一応ごもっともであります。ごもっともでありますけれども、ビートにいたしましてもカンショにいたしましても、甘蔗にいたしましても、これはわが国農業経営のやはり地方的に申しますと、その根幹をなしておるとさえ言っても差しつかえないような地方もあるわけであります。農業を存続せしめ、これを発展せしめる意味から申しますれば、ただ原料が高いということによってこれをなおざりにする、これらをほうっておくということは断じて許すことはできない。農業政策上、農村政策上許すことはできないのであります。そこである程度のことは消費者にがまんをしてもらわなければならぬ。が、しかし、適地でないところに単に自給をするというために、さらに砂糖の値段を高くして消費者に高いものを消費せしめるというととは、これまた考えるべきものではないか、こういうふうに私は存じておるわけであります。
○松浦(周)委員 その点ちょっと議論しなければならぬところですが、もう少しいってから、いまの議論を申し上げます。やはりこれも新聞で見たことですが、自由化を控えて中小企業者などで十二万トンの割り当てということで、これは真偽のほどはわかりません。しかし中小メーカーの合理化促進のための六万トン、その他六万トンで十二万トンであります。内容はこれはもう申し上げなくたって御承知だと思いますから、時間がかかりますから申し上げません。しかし私はこの政策は悪くないと思うのです。財政援助なり財政投融資のみに依存せず、こういうことによってその業界が盛んになるということであるならば、これは私はとるべき道であると思う。だから政府のとっている道は私は賛成なんです。と同時にいまできるだけ国内の適地には増産をしたいというのはあなたのお気持ちなのです。そうであるならば私どもは――政府の財政投資あるいは財政援助だけに依存したものは、従来もわれわれの計画どおりいかないのです。いかないことは、あとからそれぞれちゃんと指摘して申し上げます。だから私どもは今年の一月、去年からですが、特に力を入れましたのは、今年の一月、二月からです。これは大臣も、大蔵大臣も、賀屋さんも多少食指が動いておったから、われわれもそれをくみ取ってやったのです。それは、消費税の中で五円くらいのものを積み立てて、それを基金にして、七十五億なり百億くらいの基金をつくっておいて、そこで安くなったときの買い上げの問題もあるいは土地改良の問題も、ビート生産振興に対するあらゆる問題を処理しようじゃないか。そのほうが大蔵省にそのたびに財政的に迫るよりもいいではないかということをやったけれども、途中でこれがおかしくなってしまった。それで今度の予算には予算の範囲内において云々とこの法律文にあります。これは法律文を示さなくても、そう書いてありますから御存じでありますが、この十二万トン割り当てられた財政援助によらずにその業界を振興させようという考え方も、われわれの考えたこの基礎的な考え方も財政援助によらずにいくのですから、これは思想は同じなのですよ。そうであるならば、この十二万トンの割当てをおやりになる以上、われわれの五円の基金制度でもって特別に積み立てておいて、それで振興をやることも同じではないか。だから前者をとるならば、後者もなぜとらないかということです。これを一ぺん聞きたい。ちっとも矛盾じゃない。
○重政国務大臣 一定の資金を積み立てて、財政的援助によらずしてそれによってまかなう、こういう方法はどうかという御意見があったわけでありますが、結局これはいろいろ検討をいたしますと、やはり目的税のようなことになりますので、日本の財政の理論並びに実際から申しまして賛成を得ることができなかったというのが実情であるわけであります。要するに私の考えでは、必要なものは財政的な支出を大蔵当局と十分に打ち合わせてやっていこう、こういう考えで三十八年度におきましても約二十億の生産増強の予算を計上いたしておるわけであります。私は実行上十分に効果があるようにこの予算を施行をしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○松浦(周)委員 さっきの、その前の御答弁について申し上げたいのでありますが、引き合わぬものは自給し得るといえどもやりたくない――それは安いものを買ったほうがいいでしょう。しかし砂糖も、いまの国民生活から見るならばそれは必需品でないとは言い切れない。米とは違うかもしれないが、米に近い必需品ですよ。それが一たび海上不安が起こり、外国に異変が起これば、キューバのようなちっぽけなところに異変が起こったために、今度の寒波がヨーロッパ、アメリカを襲ったために種ビートがとれなくなったというようなことで、三年間というものは不作が続くだろうというようなニュースもあります。とにかくそういうものが重なって、今日ニューヨーク相場は、この間ちょっと十一セントの日もあった。いまは十セント二十五くらいです。イギリスロンドンが一トン九十五ポンドくらいというようなことなんですね。そうすると関税を引き下げたって、もとが高いのですから、関税をただにしたって、政府が援助金でも出さなければ安いものは食わせられません。だからある程度やはり基本的な立てた政策くらいのものはやっていかなければいかぬじゃないか。その基本的なものはどうかといえば、いままで立てた政策は十年間に半分の自給をやろうということなんです。それはやらなければいかぬじゃないか。そのときは半分は七十五万トンであったけれども、いまの砂糖の消費量から見るならば百万トン以上でなければならないことになった。それは一体どうなのか。だから軽視しているのじゃないかと言っているのです。それはどうなんですか。
○重政国務大臣 あの当時農林省でつくりました計画の需要量のほうは、あの当時十年後の需要量を見込んだものが、今日はすでにそれに近い需要量になっておる。これは予想外に消費が伸びておる。ところが生産のほうがあの計画どおりにいっておらないことは御承知のとおりなのです。そこで、非常にそこに差ができておるのであります。おそらく現状では国内の自給率は二〇%ないし三〇%、二五%前後のものではないかと思うのであります。これは私はまだまだ伸びると考えておるのであります。また伸ばさなければならぬと考えておるのでありますが、常に半分の五〇%という比率をもってそこまでいかねばならぬということになりますと、私は相当な無理ができてくるのではないかというふうに現在では考えておるわけであります。しかし、これは情勢の変化によりましてはそう一がいにも言えないことはあるかもしれませんが、外糖が非常に高値であるということになりますれば、自然に国内産の原料はふえていく。したがって国内産糖はふえていくということになろうと思うのであります。しかしいままでの統計を見てみましても、何か事変があるときは、あるいはシナ事変でありますとか、朝鮮事変でありますとか、あるいは前のスエズ運河の事変であるとかいうようなときやはり高い。それで、今回のキューバの事件が起こりまして、これはことに世界で有数な産糖の国でありますから、よけいにその影響を及ぼして高いことになっておるわけでありますが、先ほどもお話がありましたとおりに、現在は下がっております。先物は一キロ七セント以下にきのうあたりは下がっておるようでありまして、これは相場のことでありますからいろいろの思惑的の相場等もありまして、何ともそう断定はできないのでありますが、十一セントとか十二セントとかいうようなことには、そういう相場が続くとは私は考えておりませんが、昨年の暮れになりまして三セントを割った、昨年の秋の三セントを割った値段というものは、これはちょっと来年の春ごろまでは望むべくもないのではないか。大体三セントを割るのが安過ぎた相場ではないかというふうにも考えておるわけであります。
○松浦(周)委員 国民の砂糖消費量が非常にふえてきたという場合、半分は自給できないが、いままで立てた計画は実行する考えはありますか。
○重政国務大臣 これはやりたいと考えておりますが、北海道のビートについて、最も松浦さん御関心が深いと思うのですが、あの計画をいま再検討いたしております。計画を立ててそれによって製糖工場をつくっていくというような行き方は、もっとしっかり生産計画というものは実行できるといいますか、背伸びをしていけば実行可能であるということをもう少し検討をいたして、その限度でまずやる、そうしてそれが計画どおりいけばさらに工場をふやすならふやす、こういう行き方にいたしたいというのでいま再検討いたしております。近く北海道庁ともさらに相談をいたすことになっております。
○松浦(周)委員 それは私はこう思うのですよ。手つかずに計画どおりやろうとするからむずかしいのです。これは先年、いまから満三年前に北海道知事と河野農林大臣が新しく四工場をふやすことを認可されました。当時私どもも、合わせて十三工場、そして三十五万トン計画に賛成しました。しかしそれは、ただ漫然として農村のやるだけに放任しておいたのではできないことはあたりまえなんです。それについては北海道知事からはそれより一年前に、ビート計画三十五万トンなら三十五万トンに対しての計画書が出ている。その計画書については、八年計画で二百七十億の国費を投じてくれれば、五年輪作で三十五万トンのものを引き受ける、これは知事だけで出したものではありません。道議会を通すことは言うまでもなく、各生産団体並びにその他の諸団体の決議を全部経ております。わが自由民主党においても、北海道の特別委員会を通し、また政府の北海道開発審議会もこれを通過させました。政調会もこれを通して、政府に進言をいたしております。そうして要求しているが、遺憾なことにはこの八カ年に二百七十億の予算を要求しているにもかかわらず、満三年たって、いま仰せになりましたものは今年三十八年度に初めて支出された。それは総額十九億七千五百万円です。そのうちの十億八千四百万円が土地改良費、それからてん菜振興会費というものが二億九千万円、これだけが北海道のもので、その他甘蔗、カンショその他バレイショまでのものが入っておりますから、バレイショの品種改良まで全部北海道の分に入れますと、これが全部で十五億です。この十五億のものが三年後の今日初めて入れられた。それは要求に対して十八分の一です。ビートの生産地の土地改良なんというものはおよそ速効性のものじゃない。ビートというものは酸性に非常に弱い作物なんです。それで、耕作土壌の改良、地力の培養ということには非常に力を入れなければならぬが、速効的なものではなくて、三年、四年かからなければできない遅効性のものなんです。それを、要求してから三年目になって十八分の一のものしか入れない、入れないでおいて、また計画を変更しなければいかぬなんという考え方では、何べん計画を立てたってだめなんです。ここのところをさらに考える必要があるのではないか。農林省のほうでもう少し考えてもらいたいことは、農林省が要求しなかったから大蔵省が予算をつけなかったのか、農林省が要求しても大蔵省が予算をつけなかったのか私は知りませんけれども、いずれにしてもこれは政府の関係ですよ。そういうことですから、今日農林省の事務の中で、いまあなたのおっしゃったよりももっとひどいことを言っている。四工場なんか新しいものは問題にならない、さらに二工場休まして九工場を七工場にして、フル運転させたらいいではないか、その二工場に金利の負担をしてやったらいいじゃないか、そのほうが安上がりじゃないかということを、私はあなたのところの人々に聞くのです。これは実にけしからぬと思う。自分が計画を立てておいてそういうことを言うのは無責任きわまる話です。それで私はあなたの大先輩であり、北海道知事は私どもの同僚の同志なんです。この連中が立てたものは悪くない。立てたものは悪くないが、その計画どおりに資金を入れないから、こうなった。資金を入れても三年、四年後でなければ効果がない。入れた年には効果はあらわれない。それを入れもしないでできないできないというのは、一体何事かということなんです。それも連作のできるものならいい。少なくとも四年、ゆっくり見ると五年、六年です。これは輪作しかできないということですから、私は重政農林大臣に申し上げたい点は、そんなに気早いことを言わずに、先輩のきめた四工場じっくり考えて、要求の二百七十億を入れてごらんなさい。必ずできるから……。それをやらずにおいて、四年目に十五億入れて、できぬからもう計画し直す。さらに九工場も多過ぎるから二工場体ませる、何ということか。しかしまた業者も悪いのです。あんなに運動してやっておきながら、おれのところはことしは五万トンしかやれなかったから、休んだほうがいいからひとつ何とかしてくれないかという陳情をしている。この業者も悪い。悪いけれども、激励して努力させるべきじゃないか。そういうじっくりした落ちついた計画に従って行なうところに、私はほんとうのものがあると思うのです。私どもは町村知事に失敗させたくない。そんなことをやったら町村知事は行政できませんよ。あなたも大先輩のやったことをそう急に変えられない。それにはちゃんと計数がある。それを大蔵省が金を入れないだけの話なんです。
 私はこれについて一つの例を申し上げます。ちゃんとこの目で見てきたんだから……。西ドイツは負けた直後東ドイツの穀倉を失った。そして残った土地はスイスから流れてくるラインの西側だけです。しかも山岳地帯です。赤粘土、重粘土の地帯で、二割五分の食糧の自給しかできない。ドイツはどれだけ金を入れたか。当時ビートはほとんど零であった。その土壌を改良して、今日ドイツのビート生産は二百二十五万トンから三十万トンできている。よい年は十万トンないし二十万トンの輸出をしている。戦争に負けたときは零です。そして重粘土の鉱物質の山地ですよ。北海道でも東北でも、青森でも秋田でも土壌は西ドイツよりもはるかにいい。ただ政府が積極的に土地改良をやらないだけの話なんです。そういうふうにやっているのに、計画だけ立てて金を入れないものですから、それでビートもできないからできている工場を休ませるなんというのは少々気が早過ぎやしないかということです。重政さんほんとうにゆっくり考えて、どっしり考えないと、この辺で変なことになりますよ。これはいま考え直させてもう一ぺんやり直すということをやったら、その方面から袋だたきにあいますから、その点はひとつじっくり考えてもらいたい。
 それで自由経済下におけるビート耕作の問題については、あなたは唯一の指導力を持っておるのです。なぜなら、安くて引き合わぬときには買ってやるというのだもの。そこで私が言いたいことは、ドイツがそこまでいっているのは、どこに特徴があるかというと、日本と大きなハンディキャップがあるのは、畜産と完全に結びついていることだ。それはドイツではほとんど畜産と有機的に結びついているんですよ。ビートを工場に売らないのです。トラックで持ってきて、パーセントをすぐ調べて、砂糖だけ売るのですよ。それでなまパルプを持ってかえるのです。その時分ちょうど牧草の四番刈りですよ。それからビートの葉っぱや茎あるいはトウキビの茎それをサイロに入れてそれで冬の牛の食べものにするのです。だからドイツではアメリカみたいなデントコーンを植えません。それはデントコーン以上の価値がある。そこに堆肥もできてくるのです。北海道のビート工場はどうかというと、このパルプを完全にドライヤーで、機械で乾燥するのです。そして内地や四国や九州に送るのです。そこの家畜の飼料にしているのです。日本の牛乳が高くなるのは無理がありませんよ。その土地のものにこのビートのパルプを全然利用してない。この行き方をやめて、土地と有機的につながってやれという命令をあなた出しなさい。命令というよりも勧告を出しなさい。それは農林大臣はできるのです。このビート工場をやめるということを指図することができるようにこの三十七条にちゃんと書いてある。それだけの権能を持っておる。それだけのことをおやりになる腹にならぬと、いままでみたいに投げっぱなしにしておいて、できなかったら工場を減らすの、できなかったら、あれだけの事業をやろうと思ったが、安い外国のものを買ったらいいということになってしまいますから、その点はよくお考えにならないと困ると思うのです。この点がまず一点であります。これに対する御決意を聞きたい。
 もう一つ、時間がないですから続けて伺いますが、あなたの権限をふるってもらいたいことは、国際価格がこういうふうに暴騰してまいりますと、こういう年にはなまビートもときには農村の顔のしわを伸ばしてやるために少しは高く買ってやるがいい。それでビート会社はもうかるのです。損したときに買ってやるというのだから、もうかったときには一割二分なり一割五分の限度以上に配当するなということを言ってもらいたい。それ以上の配当は土に配当しろ。土に還元しろ。私はここに変なことを例に出すようですが、哲理ですから申し上げます。バイブルの中に、宝を天に積めと書いてある。不朽ですから、宝を天に積め。その宝を土に積め。これはビート工場の生命を永遠につなぐことなんです。そうして農村の収入が永遠に増すことなんです。国策が遂行できるのです。三億ですよ。この命令を出してやりなさい。命令はできないかもしれないが、勧告することはできる。これらのいま申し上げました点をもう少しじっくり考えて、いままで出した工場を減らすとか計画を変えるとかいうのじゃなしに、もう少し大蔵省のほうに財政的に金を出させても、これは土壌の関係が悪い、自然条件が悪くて北海道なり東北はビートの適地じゃない、それはだめだという終止符がほんとうに打たれるかどうか検討すべきだ。それを検討しないうちに、しかも金も入れないで――十八分の一を初めて入れて、その金はいままだ入っていませんよ、これから配付されるんだから。それでできぬから変えるなんということは早計ではないか。畜産と有機的につなげということを、あなたが生産増強のために、振興のために勧告することはできる。それから配当について、たくさんの配当をすれば会社に土地は吸い取られちゃうのです。搾取農業になってしまうのです。もうけるならもうけてもいいから、もうけたものは土に還元しろ、この三点についてお考えをお聞きしたい。
○重政国務大臣 いろいろ御高説を承ったわけでありますが、この機会にさらに私の考えを簡単に申し上げまして御了解を得ておきたいと思います。
 第一点の、二百七十億を事業費として必要であるというのはなるほどそのとおりであります。しかしその当時は御承知のとおり、二百七十億を財政資金でまかなうということにはなっておらなかったのでありまして、明確ではございませんが五、六割は政府が負担しなければならぬということになっておったようであります。そこで御指摘のとおりに今日まではこの方面に投入をいたします政府資金も十分ではございません。計画どおりではございません。のみならずせっかく投入いたしました土地改良費などというものも、これがビート栽培地の土地改良に使われたのかどうかということが明らかじゃない。また御指摘のとおりに重粘土の地域におきましては、土地改良をやっただけではなかなかビートはつくれない。酸性土壌でありますから、同時に石灰なり何なり中和剤を一緒にまかなければならぬ、それと同時に土を砕かなければならぬ、そういう作業が集中して行なわれなければならないのでありますが、これが別々に行なわれておったというところに非常に遺憾な点があることを私も承知をいたしたのであります。そこで今回はそれらのものを集中してやるということにいたしました。そうしてまた土地改良も、水田の土地改良に使われたかどうかというようなことがないように、ビート地帯の土地改良にはっきりとこれを使われるような措置を講ずることにいたしたわけであります。まずおおむねこの計画の五、六〇%というものは財政資金で措置をすることに本年度からいたしたわけであります。これでもなお足りません。将来はさらにさらに財政資金をこの方面に投入をする考えでおるのであります。決して政府のやるべきことをやらずにおきまして計画の変更などということは考えておりません。計画も相なるべくは、変更などということは私は実は考えておらないのであります。工場建設の計画も、いまその計画をどうするということは予言はできません。とにかくビートの亀産を計画どおりにし上げる、そして十五万トンなら十五万トンを一工場に提供することができるように、さらにそれより生産が上がるという場合に、原料と見合ってこの計画の工場を建設していくのが実際的である、こういうふうに私は考えて、その方針でやってまいっておるわけであります。
 それから第二の点の、これは畜産の経営とうらはらの関係にならなければならぬということは、まことに御説ごもっともであります。私も、ビート・パルプなどといって、北海道から内地のほうに飼料としてこれが販売をせられておるということは実に苦々しいことであると考えまして、先般も、これは酪農経営と一体をなしていかなければならぬというので、強くそういうことを道庁方面、試験場の方面にも指導するように懇請をいたしたような次第であります。
 なお、第三の御質問であります配当制限の問題でありますが、これもまことにごもっともであります。一割二分がいいか、一割五分がいいか、それはわかりませんが、ある一定以上の利益配当というものはやめて、その利益が出た場合にはこれをやはり土に積む、生産の増強に使うということは、農家の利益でもあり、同時に企業家の利益でもあるわけでありますから、そういう場合におきましてはお示しのとおりの方向でやりたい、こう考えております。
○松浦(周)委員 大臣の御理解非常に感謝しますが、そこでこういう考えが起こるのです。それは大澤さんや中西さんが悪いと言うのじゃないですよ。私は役人の方々全体のことを言っているのですから。あなた方に当たるかもしれぬが、あなた方のことを言っているのじゃない。そこで、それならば政府のほうで一応一割なり一割五分を吸い上げてやらぬと、あれらはネコババきめちまいやしないかという考えが起こるらしいのですよ。そのことは、自由主義の時代ですから、本人にやらしたほうがいい。今年この法律が通ったら、また皆さんとひとついがみ合って――いがみ合うわけではないが、話し合って、そしてビートの値段をきめなければならぬ。そこでこれはプラスアルファの問題になるわけです。そのプラスアルファの問題は、一反歩当たり三トンできるところ、五トンできるところ、一トン半しかできないところがあるのですね。それは、会社を経営する人、または耕作する人はみんな知っているのです。ところがお役人さんがおやりになるというと、おおむね一律一体になってしまうのですね。五トンできるところには、私はプラスアルファの必要がないと思うのです。しかし、その地力を落とさないように本人が経営してくれればいいのであって、一トン半しかできないところを三トンに引き上げるためのプラスアルファをうんとしてやらなければならぬと思うのです。あなた方の、ことし十億ばかりお出しになる金もそれに行く。それから会社のほうもそれに行くというので、それが急によくなっていくということでなければならないと思うのです。だからそれは会社にまかしたらいい。そこで問題になるのは、将来四カ工場できるということになると、自分がせっかく広い土地で増産をすると、あとでそのうちとられてしまうという感じがあるのです。最初から四カ工場やるかどうかということが問題になるのはそこなんです。四カ工場をやるならやるできめて、年度は先に延びてもしかたがないですが、その年度を延ばして、その年度を延ばす年数によって重なるところだけを科学的に負担のパーセントをきめる。重ならぬところは、永久に自分のものだから、自分にまかしておけばいい。これを三分の一やって、こっちに三分の二やらせるか、これをもっとうんと低くして、こっちのほうに五分の四させるか、その仲裁には道庁なり農林省が入ったらいい。そうしてそれは、やはり自由経済のときですから、彼らが土地を肥やすということは自分の会社の原料だから。ぼくは材木を経営しているのですが、補助金をどこからも一銭もくれませんよ。あれらは政府の補助金をもらって、原料をつくってもらって、安くなれば買い上げてもらって、こんな楽な仕事はありませんよ。だから北海道なり東北なり九州なりの農業生産向上のために協力しなければならぬ。ほんとうにそれを大臣にがんばってもらいたい。金はあっせんしてやる、そうして安くなれば買ってやる。まるで温床の中にいるのだから、つまりそのぐらいのことはさしてやるがいい。しかし一ぺん吸い上げて役所でやってやるという行き方は、そう言っちゃ悪いけれども、――あなた方じゃないのですよ。――どうも役人式な一律一体になって、適地適作というか、適地適方法の土地改良が行なわれないから私はだめだと言うのです。そこのところをひとつ御理解願いたいと思います。その点御理解願えるかどうか、重要なことですからお答えいただきたい。
○重政国務大臣 ただいまの御意見、私は重要な御意見だと思うのですが、ただ原料栽培の耕地整理をやることはなかなか困難が伴うことは御承知のとおりであります。現在それをやっているわけであります。そこで先ほど来もちょっと御指摘になりましたように、何も工場の整理をするというのではないのでありますが、もう少し合理化をなし、そうして相互に要らない競争をしてしかも各工場がみんな赤字になっているというようなことはつまらぬことではないかというような議論が起こってまいるわけであります。これをいかに合理化するかということは将来の問題でありますが、なかなかこれも簡単でございません。しかしできることなら、そういうふうに経営主体をもう少し合理化する必要はないかという意見も出てまいるわけであります。それらの点はひとつ十分に検討いたしたいと思うのであります。ビートでもカンショでもブドウ糖でも、国内の甘味関係の資源開発は先ほど申しましたとおりでありますが、その企業に対しましては、いろいろ結果においてある程度の、それらの企業が維持せられるような方法は講じなければならぬと思いますが、何と申しましても第一義はその原料を栽培をしているものが農家であり、その原料栽培というものが地方によって農業経営の重点をなしているものでありますから、これを保護するということが第一義の重点的な私の考え方であるわけであります。したがってそれを保護していくために企業をある程度政府が維持していかなければならぬ、こういう考え方に立っているわけであります。
○松浦(周)委員 だんだん時間がありませんから簡潔に申します。いろいろ言いたいのですけれども、おおむね大臣の答弁賛成ですが、いま申しました点についてはさらに行政の実態に対しましてまたいろいろ御相談に参上します。ここでは与えられた時間がないものですから……。
 あとこまかい点ですが、第三条に規定してあるところの「需要及び生産の長期見通しをたて、これを公表しなければならない。」これは今後のことを言っているのでしょうけれども、長期計画と見通し、それに対する財政上の裏づけがあったならば、この際発表してもらいたい。これは何となればビートはいま急に起こったものではなくて、前からやっておることですから、それが何か関係がありましたら発表を願いたい。
 それから私の質問中の一番大きな問題に触れます。これは第二十二条であります。これは最低生産者価格という題であります。「最低生産者価格は、政令で定めるところにより、農業パリティ指数に基づき算出される価格を基準とし、物価その他の経済事情を参酌して定めるものとする。」こうある。さっきの長期見通しを御答弁願った上にこれを答弁してもらいたい。それは私どもの言いたいことは、また北海道の生産者が目の色を変えて私どもに訴えることは、一体農産物の価格をきめる基準というものを一定してもらいたいというのです。米は生産費所得方式を採用し、大豆は大豆で大豆の方式をとり、でん粉はでん粉の方式をとり、またビートに至ってはいま申し上げたような方式をとるというに至っては、どうもそういう経済的な学問もしていない、一生懸命働いている農民は何のことやらわからなくなってしまう。農産物の価格が生産費所得方式一本でいってもらいたいんだ、これが希望だというのです。それでこの間、私はここへ速記録を持ってきておるのですが、参議院の北海道の購買販売組合の組合長の小林という人が質問したときに、大臣のこれに対する答弁は、これは商品だから云々と言われておる。これも読めばちゃんとあなたの答弁があるけれども、時間がないから私は読まない、御記憶だろうから。しかし商品だろうが、あるまいが、農民、生産者は同じなのですよ。米だって商品ですよ。それから、さっき言ったように米だって主要食糧だし、いまでは砂糖も主要食糧ですよ。ということになると百尺竿頭一歩を進めて、こうしてもらいたいけれどもせっかくこういうふうな条文を書いたなら、その次に、「ただし再生産を確保するに足る価格を下らざる」くらいは入れたらどうだ。これは再生産を下らないということがその次にちゃんとあるのだもの。この再生産を下らないということを確言してもらいたい。同時にこれは入れたらどうだと私は思います。
○重政国務大臣 長期見通しにつきましては審議会にはかってそれをきめる、こういうことに法律上なっておりますので、いま現在長期見通しをこうであるということは申し上げかねるのでありますが、私の心持ちは北海道のビートにつきましてはやはり七万二千町歩でありましたか、ああいうものを一つの目標としていきたい、そうして年度計画を立ててまいりたい、こういう考えでおるわけであります。
 それから第二の最低価格でありますが、これは再生産云々ということを書いたらどうか、こういう御意見でございますが、これは再生産ができないような最低価格というものは私はきめられるべきものでない、こういうふうに考えておるのでありまして、そこの趣旨はやはりそういう趣旨であると私は思っておるのであります。
 ただ農産物の価格のきめ方につきましては、御承知のように食糧管理法によって米麦二通りのきめ方をやっておる。さらに農安法によってきめておる行き方がある。あるいは畜産の振興法によって肉の価格をきめるというふうに、その価格のきめ方が一つになっておらぬというのはもう御承知のとおりでありますが、ただ非常に問題であると私は考えておりますことは、米はもちろんこれは売買をせられれば商品であります。でありますが、何と申しましてもこれは農産物の大宗である主たる農産物でありますから、これは需給によって決することのないように特別の生産者価格をきめるような方式がとられておるのであります。これをすべての農産物にこういうふうな行き方でいったらどうかというような御意見がしばしば出るのでありますが、私はこれはそうはまいらぬと思う。そういうことになりますと、まるで日本の農業というものは鎖国農業になってしまって、値段は、生産者価格というものと実際の流通価格というものが別になってしまう。そういう農業というものは、一つの温室に入った農業になってしまって、とうていそういうことが長いことやり切れるものじゃないと私は考えておる。そういう意味におきまして、商品でありますということ、多分に商品的性質を持っております。そういうものはやはり国際的な水準にまでこれがいって、国際競争力をつけるということが理想でなければならぬ、こう考えておるわけであります。
○松浦(周)委員 重政さんのお考えは、自由経済下においてそういう考えになるのは当然であります。それでわれわれのいう生産費所得方式を一本にするという考え方が出てきておるのはなぜかというと、それはあまりに生産が低いからです。生産性が低いからこういうことになるのです。生産性を高めればおっしゃるとおりになるのです。そのために私は二百七十億というものを事業費として出せと言っておる。そうすればおっしゃるとおりになるのです。これは生産性が低いためにこういうことを言わざるを得ないのです。生産性さえ高くすればおっしゃるとおりになる。だから私は大蔵大臣出てくれと言ったら、どうしても出られない、それでは原田次官出てくれと言ったら、これも出られない、主計局長も出られない、さっき澄田というのが出てきていたけれども、大臣に呼ばれていま帰りましたという、こういうことだから大蔵省なんぞビートなんか問題にしておらぬですよ。これをほんとうは問題にさせなければだめなんだ。
 それで今度買うほうの話を少しします。一方いまの国内のビート価格ですね。六月四日現在は、いろいろなことを勘案しまして百四十二円から三円であります。ビート糖も、これも現在のままで続くならば、現在の換算で一ぱい一ぱいになるといっております。しかしさっき七セント五十とおっしゃったのですが、これを調べた時分は十セント十五だったのです。これは四日前です。しかしきのうはだいぶ下がりました。これは四日前は七十ポンドだったのです。これを調べたときには、九十五ポンドだったのが七十ポンドです。きのうの朝のニュースは六十ポンドに下がっておる。そうすると、七十ポンドで計算すると百六十五円です。六十ポンドで勘定すれば、日本円に換算すれば百五十五円です。十五円値を下げれば百四十円になるのです。そうするとこれまた会社の方が値が安いから、農業連中がわれわれのところに持ってきている陳情は七千六十円に買ってくれと言っているんだ。そのうちいろいろ内輪話はあとで変わったけれども、一応表面は七千六十円に買ってくれと言っておるものを会社はこれは七千六十円に買えぬと言いますよ。ということでありますから十五円という関税を下げることがいいか、あるいは関税を直すためには、また国際的な関係も起こりますから、それよりも消費税でやったほうがいいんじゃないか、そのほうがあとでまた値の変わった時分には直しやすいじゃないかということが、これは砂糖をつくるほうの意見なんですが、これについてはどういうお考えですか。
○重政国務大臣 関税でやるか消費税でやるかということは、私はいろいろ議論のあるところであろうと思うのであります。ただいまのところでは関税をある程度引き下げる、こういうことになっておるのでありますが、しかしこれは将来やはり消費税の問題も検討をしなければならぬ、こういうふうに考えております。
○松浦(周)委員 それじゃ関税をどのくらいにいま考えているんですか。
○大澤(融)政府委員 関税をどういうふうに引き下げたらいいかという制度の検討をいたしておりますけれども、幾ら引き下げるというようなことは結論を得ておりません。ただその場合に考えますことは、国内の糖価が国際の糖価が非常に上がったということで上がった。しかし関税を引き下げて国内産糖に悪影響を及ぼすというようなことがあっては困りますので、国内産糖のコストというようなものとも見合って関税の引き下げ幅ということは検討しなければならないんじゃないか、そういうふうに思っております。
○松浦(周)委員 この関税、消費税の問題、関税の下げる率の問題等については、慎重に検討の上に影響の少ない方法をとっていただきたいと思います。
 それからその次には審議会のことです。審議会をおつくりになる。学識経験者二十五人としてありますが、その中に生産者代表つまり農民代表ですね。ビートの原料を買うんですから、それをお入れになる考えがあるかどうかということを一点。
 それからもう一つ、このビートをつくるために都道府県の知事の下にいろいろな団体がたくさんあるんです。さっきのように北海道の工場の位置が悪かったために、まだこれからつくる工場四つの分を位置を変えるような問題も起こってくるかもしれないんですよ。そういうような相談は農林省が直接行ってやるわけにいかぬから知事がやる、知事はそういうものに相談しない、そういうことで、そういう都道府県のたくさん甘味資源をつくるところに、これはカンショのところにもそれから甘蔗糖のところにもあると思うんです。そういうところにできれば同様な審議会をつくってもらいたいが、そう幾つも法律的には審議会はできないでしょう。そうなると地方の都道府県の知事の下にこの審議会と同じような部会のようなものというか、審議会の支店、出張所というのか何というのか、同じようなことを相談することのできる機関をつくる考えがあるかどうか、この点一点聞いておきます。
○大澤(融)政府委員 審議会のメンバーですが、生産者代表というようなことじゃなくて、生産関係についての学識経験の深い方、これは当然入って御審議をいただかなければならぬと思っています。
 それから県とか道、これは事実そういうことをおやりになることは当然やられると思いますけれども、中央に設けます審議会というような形はとる必要はないんじゃないか、こう思っております。
○松浦(周)委員 それはやってくれますか。
○大澤(融)政府委員 制度的に考える必要はないと思っております。
○松浦(周)委員 それは何とか制度的にやって、この審議会に持ち込んでくるということはできないか。それはひとつ行政的に便法を考えていただきたい。
 それからもう一つ、これはある一会社の問題です。しかし私は委員長のときに中に入ったのです。渡部伍良さんが長官で私が委員長で宮本という日甜の社長、それは臨時てん菜糖製造業者納付金法という法律、これは日甜の納付金の制度です。これは一つは、製造原価が高騰したことが第一点。第二点は操業度の低下、そのときといまと割り当て制度になってまるで違うのです。第三点は、日甜の優位性を失っちゃったんです。それをいまもなおとるというのはおかしいじゃないかというのは、あのおじいさんが今社長をやめて会長になったんですよ。それで私のところ始終来るんですよ、ぼくは困っちゃうんです。それで伍良さんのところに電話をかけると、伍良さんは、あれは君、いまごろはおかしいよとこう言われるけれども、いまは役人じゃない、これはどうしますか。
○大澤(融)政府委員 いろいろのいきさつからできた法律ですけれども、事情もあって昨年は減免の政令を出したわけです。約六千万円の納付金ということだったのでありますが、三十九年度までの法律、もし必要があればまたその政令の減免の条項に適合するというようなことになれば、納付金を減額するあるいは免除するというような措置をとることができるようになっておりますので、差しつかえないんじゃないかと思っております。
○松浦(周)委員 これでやめます。第一条に、これはあとの条文をいろいろ見ると、そうまでしなくてもいいように思うが、しかし農業基本法やなんかから見ると、やはりそう書いた方がいいと思うのですが、第一条の末尾に「農業経営の改善と農家所得の安定」としてある、そこに向上と入れたらどうだ。農業というものは安定だけでは、もうほかと同じように伸びていくということは――農民に安心させるように向上という文字を入れたらどうかということが一点。それから「甘味資源に係る国際競争力の強化に資することを目的とする。」としてありますが、その甘味資源にかかる需給力を高めるという字を入れたらどうか。その二点について、これは事務的ですから大澤さんから。それで終わります。
○大澤(融)政府委員 農業経営の安定という中には、農業経営を改善する、それから農業経営を安定するということは、趨勢的に所得は増加していくんだということは当然入っていると思いますので、ことさら入れる必要はないんじゃないかと思います。それから需給力の問題は、これは先ほど大臣が答弁したようなことで、生産性を上げながら結果として需給力を大いに増していくという意味で、そういうことはあの法文の中にも意味としては入っているんじゃないか、こう思いますが、なお検討さしていただきます。
○長谷川委員長 安井吉典君。
○安井委員 甘味資源特別措置法案の審議、さらにまた社会党提出法案も同時に審査にいま付されておるわけでありますが、政府の法案に対しましては、ただいまの松浦委員の御質問もお聞きいたしておりますと、与党の中にもだいぶ反対の御意見もあって、このままでは通せないというふうな御意向のあることを私も知ったわけであります。それだけに、社会党も提案いたしておりますだけに、この両法案をめぐりまして私どもが真剣に論議をかわさなくてはならないという感じを受けるわけであります。ところがきょうは時間がもうすっかり過ぎてしまいまして、足鹿委員は都合がありましてどうしてもこのあとでということになっておりますので、結局私の質問はきょうは前提的な問題を若干お尋ねして、この次また大臣にぜひおいでをいただきましてお尋ねをするということで、あと全部保留することにいたしたいと思うのであります。
 まず初めに私お尋ねたいしたいわけでありますが、この法律案が政府において提出が非常におくれてまいりまして、そのために以前のてん菜糖の臨時措置法は三月三十一日に期限が切れましてから今日まで空白の状態を呈しているわけであります。その臨時措置法というのは、実は去年切れたわけです。その前の段階におきまして政府部内でとうとう意見がまとまらずに、ただ単に一年間延長するというぶざまな姿を呈していたわけです。しかもその一年間余裕期間を置いたにもかかわらず、一体何をしていたのかわかりませんが、三月の末になって地方選挙で国会が実質休会という形になざるを得ないということがはっきりいたしましてから、三月末ぎりぎりになってやっと提出されました。年度内に提出したのだからそれでいいのだろうということになるかもしれませんけれども、私はそれでは許せないと思うのです。したがいまして北海道のビート生産者においては、作付の前にその年の価格がきまるのが当然であるにもかかわらず、もうすでにまいてしまった、そのまいた種がこの間大きな風が吹いて、根こそぎさらわれてしまいました。そういう事態も間に含めて、いまだにこの法律ができないで大きなブランクを生じていることを、私は政府において非常に大きな責任を感じてもらわなくてはならないと思うのです。特にこの段階におきまして砂糖の猛烈な値上がりが起きたり、国内の甘味資源の問題が大あらしになって吹き荒れているわけでありますが、いまだにこの法律案は国会を通らない。
  〔委員長退席、秋山委員長代理着席〕
地方選挙が問にあったのでありますから、国会のほうが審議をしないのだという逃げ口上では困ると思うのです。どうでしょう、それについて農林大臣はいかようにお考えになっておりますか。――これは大臣でないとだめですよ。
○重政国務大臣 三月下旬に提案をいたして四月に地方選挙がありましたことはただいまお述べになりましたとおりでありますが、しかし私どもの勘ではすでに昨年のビートの値段以上にはどうしてもきめられることになるでありましょうということはしばしば私が申し上げておるのでありますから、おそらく北海道のビート栽培諸君もそういうふうな感触で種まきをせられたことと思うのであります。どうしてもこの法律を提案をいたします以上は、この法律の定むるところによってビートの価格もきめなければならぬということになりますので、ただいまお話しになりましたような従来からの臨時的措置をやめなければならぬということになったような次第でありまして、このビートの価格を確定いたすことはできませんが、大体昨年の値段よりは安くはならぬ、それ以上である、こういうことは私がしばしば言明いたしておりますので、それによって作付がせられておると思うのであります。
○安井委員 私は、そういうことを含んで作付をしたであろうと思いますといったような、いいかげんな御答弁では済まされない問題だと思うのです。現に、政府の告示価格も何もないものですから、いまだに会社側と生産者との間に話がまとまっておりませんよ。それはそうであろうと思いますと大臣はお考えになったかもわかりませんが、現実に作付や何かはちっとも伸びていやしないじゃありませんか。工場はどんどんできておりますけれども、ビートの全体的な作付は全然伸びてないわけです。それは私はこの法律ができないからだとそれだけに問題をかこつける気持ちはありません。しかしながら政府において全体的にこういうふうに対処するのだというかまえがなくて、何で農民がついてきますか。そういうような意味において私は、これはもういまだかつてないような政府としての失態ではないかと思うのです。事務当局としていろいろ話はあるかもしれませんけれども、私はこれは政府としてはっきり責任をとってもらわなくてはならない問題だと思うのです。
 そこで、この甘味資源特別措置法案の内容の問題に入る前に、やはり何といっても甘味資源の問題は、最近の砂糖価格の驚くべき値上がりの問題だと思います。政府はその原因をどういうふうに把握をし、どういうふうに対処してきたか、さらにまた今後この国民生活に甚大な影響のある値上がりの問題にどういうふうに対処しようとしているか、その点をひとつ伺います。
○重政国務大臣 これは申すまでもなく国際糖価が非常に値上がりをしたことに原因をするものであります。国際糖価が値上がりをした原因はやはり供給が足りない、需給のバランスを失したということになるのであろうと思うのでありますが、それは先ほどから松浦さんのおことばにもありましたとおり、ヨーロッパにおけるヒートの減収があったこと、あるいはキューバにおける減収もあり、加えてアメリカがキューバから買い付けておった砂糖をアメリカが買わないで、それをソ連が、伝えられるところによりますれば三百万トン買った。ところがそのままであればまだいいのでありますが、アメリカは、私の聞いておるところによりますれば、それはソ連がいずれ市場に出すものであろう、こう考えて買いを控えておったのでありますが、それをついに待ち切れずに買い出動に出て、あるいは四十万トンあるいは三十万トンというものを市場で買うということになった。そこで急騰に急騰をいたしたといわれておりますが、昨今は新聞の伝えるところによりましてもソ連が百万トンの原糖を市場で売るということが発表になりまして非常に下がってまいったのであります。一時一キロ十一・二セントもしたものが昨日は七セント以下に下落をしてきたというのが私は今日までの状態であろうと思うのであります。ただそれだからといって国内糖がその国際原料糖を算定の基礎にして、市場で砂糖を高く売る、つまり砂糖の値段を上げるということは、私はそれは了承できない。これは精糖会社によっていろいろでありましょうが、あるものは七月までの手当てをし、あるものは年末までの原糖の買い付けをしておるというものがあるわけであります。それらはいずれも十セントとか十一セントとか高値で買っておるとは思われない。最近の通関実績を見ましても、そんな高いものではない。でありますから、国際糖価が非常に暴騰いたしておるから直ちに国内の糖価が暴騰してもやむを得ないんだというわけにはまいらない。それで私どもは、普通の輸入数量に十万トンを加えて緊急輸入をする、こういうことを決定いたしまして、それぞれ外貨の割り当てをいたしておる次第であります。
○安井委員 国際価格の値上がりの問題は、これは一応別といたしまして、いま大臣が後段にお触れになりました国内業者のいわば便乗値上げとでもいったような問題は、これは私は重大な問題だと思うわけです。いま値上がりをいたしておりますその国際価格の粗糖でつくった砂糖じゃなしに、安い値段のときに買い込んだ砂糖をやはり同じ価格で国際価格に便乗して上げているというふうな事態でありますが、これに対しまして、いま農林大臣の御答弁では、十万トンの緊急輸入をやるんだ、それだけですか、手を打たれましたのは。最近の外糖の気違い相場とからんで精糖メーカーが市場の安売りをする場合にはメーカーが買い戻す、これぐらいの方針を示して出荷調節をしていたというふうな話を聞くわけでありますが、いかがですか。
○重政国務大臣 そういうことは私、承知いたしておりません。おりませんが、ただ先ほど申しましたのにつけ加えて申し上げて御理解をいただいておきたいと思いますことは、国際糖価が暴騰した、しかし現在の精糖原料というものはそんな高いものじゃない。あるいは六セントか七セントのものである。であるから国際糖価に見合った精糖価格というものは不当である、こういうことを申し上げたわけであります。決して、一キロ十一セント、十セントに見合った現在の糖価ではございません。それよりずっと安い糖価ではありますが、しかし通関の実績から見ますと若干これは高くなっておる、こういうふうに思うのであります。そこで十万トン緊急輸入をいたしまして、そうして洋糖を奨励していく。洋糖を奨励していけば自然に糖価は下がるわけでありますから、その方針を明らかにして実施に移してまいっておるわけでありますが、ただ私どもも一がいにそういうことだけでなしに考えなければならないことは、異常な暴騰をいたしますと、必ずその次には暴落いたしてくる。九セント、十セントというような値段がいつまでも続くものとは思わないのであります。先ほども申しましたとおり、いまや七セント前後に、昨日は定期はなっておるというような状況であります。それでは各精糖業者がみな安い原料を買っておるかといえば必ずしもそうではない。高値のものを最近つかんだものもあるやに聞いておるのであります。そういうものは糖価が下がって平常に復すると非常な損失をこうむることになるのであります。そういうものに対して政府がどうするということは、これはとうていできるものではない。でありますからこういうふうに糖価が異常な変動を来たします場合は、ある程度は含みを持ってこれは考えてやらなければならぬ、こういうふうな心持ちも私はいたしておるのであります。でありますから先ほど申しましたとおり、緊急輸入十万トンによりまして洋糖をふやして、自然にその糖価を平常なものにする、下落をせしめる、こういう方法をとっておる次第であります。
○安井委員 いま十万トンの輸入の問題をまた重ねて言われたわけでありますが、農林省が上期の粗糖輸入計画六十六万七千トンですか、これに重ねて別ワクで十万トンを輸入させるという問題については、日本精糖工業会では現在反対をしておるというふうなことを聞くわけであります。買い入れ先がむずかしいとか、いま非常に微妙な段階だからかえって国際価格を引き上げるのではないかとか、すでに年内は手当て済みだからいまそういう興味はないとか、こういうようなことで拒否をしているというふうな話を聞くわけでありますが、その点いかがですか。
○重政国務大臣 精糖工業会の方面でこれに反対の意見を述べておられるということは承知いたしております。私は直接にその陳情は聞きませんが、承知いたしておりますが、しかし先ほど申しましたとおり、年内の手当てのできておらないところもあるわけであります。そうして十二月ないしは一月ごろまで手当てのできておる会社もある。それはいろいろございます。いろいろございますが、ここで十万トンの緊急輸入を実施する、外貨の割り当てをするということになりますと、私はすでに年末まで手当てがあるようなものは、これは洋糖を促進するに違いない。こういうふうなところが私のねらいでもありますし、そうしてまたいまのように外糖の価格が暴落するというようなことになりますと、ますますこれはそういう輸入の数量がふえ、洋糖がふえていく、こういうふうに私は考えます。
○安井委員 そのほか日本精糖工業会とは粗糖の特別割り当ての問題をめぐって、これまた農林省と何かけんかをしておるというふうな話も聞くわけでありますが、そういう問題だけに触れておりますと時間がなくなりますから、次の段階でさらにお話を聞くことにいたしまして、ただここではあくまでいま国民の生活に非常に重大な影響のある問題が起きているわけです。それだけに政府とそのキャスチングボートを握っております精糖業者との間がしっくりいかないというふうな事態で、この国民生活に重大な問題がいいかげんになってしまうということでは困ると私は思うのです。お互いに何か疑惑の目をもって問題をながめたり、そういう話も聞くわけでありますが、そういうようなことでは私どもはいけないと思う。あくまでもこういうピンチを切り抜けるという真剣な態度をぜひ政府は持っていただきたい。このことだけ一つ申し上げて、次に今度砂糖についての関税の問題について、政府は関税率審議会の審議を経て砂糖関税の問題についていま大きな変更を加えようとされておるようであります。きょうも審議会があったということを聞くわけでありますが、農林大臣はこの砂糖価格の値上がりという新しい事態、それから砂糖の貿易自由化対策としての国内砂糖産業を保護していくという問題、こういう当面のもろもろの要請にこたえるものとして砂糖関税を引き下げるということでいくことが最善の策だというふうにお考えですか。
○重政国務大臣 松浦委員の御質問にもお答えをいたしましたとおりに、国内の甘味資源、国内の糖業関係の原料を生産いたします農業経営を保護していかなければならぬというのが私の根本の考え方であります。ただいま御審議をわずらわしておりますこの法案も、国内の生産の体制を整えるということがその主眼になっておる次第であります。それがためには、これに関係する国内の企業というものもある程度の維持をしてまいらなければならぬ、こう考えておるのであります。その限度におきまして、あるいは関税、あるいは消費税、税制も考慮をいたしまして、ある限度の糖価というものは維持をいたしていかなければ、国内の甘味資源の開発を維持していく上において悪影響がある、こう考えておるものであります。でありますから、それ以上の課税というものは必要ない、こう抽象的には申すことができるのでありますが、たまたま今回のような国際糖価が暴騰いたしまして、これに原因をいたしまして国内の糖価がだんだんと高くなっていくというふうな情勢でありますので、この際はあるいは関税、あるいは消費税、そういう税制について考慮を払って、ただいま申し上げますように、国内の甘味資源の開発に支障のない限度において関税の引き下げをする、あるいは消費税について考える、こういうことが私は必要である、こう考えておる次第であります。
○安井委員 この砂糖関税の問題は、ちょっと前の段階におきましては、砂糖の貿易自由化を進めていく、そのためには関税を高くしなければいけない、こういうふうな考え方で問題が出てきたと思うのです。ところが最近になりましてからは、国際糖価が上がったというふうなことにもからんで、今度は消費者保護という面がどんどん出てきて、一たん逆な方向で出てきた問題がもとどおりになったのではなしに、さらに反対な方向へいって、十円下げなければいけない、引き下げ額を十五円、いや二十円にしなければいけない、そういうような話に現在なってきて、私どもはいま国内甘味資源を保護しなければいけないというこの立法の審議に取りかかっているわけですから、何か非常に奇妙な印象を受けるわけです。先ほども論議があったのであろうと思うのですが、国内消費価格の高いということは、これは自慢じゃありませんが世界の文明国では一番高い。そのことは結局、従来から高かったわけです。その従来から高かったのは、関税が四十一円五十銭に消費税が二十一円あって、六十二円五十銭で高かったわけだから、私はとの段階においても、消費税の問題をそっちのけにして、関税だけで問題を処理しようという考え方には誤りがあるのではないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
○重政国務大臣 この前に国内の甘味資源を開発する、こういう意味で税の問題に触れましたのは、消費税を関税に振りかえたいということが私どもの要望であったわけでありまして、決して関税を高くする、つまり関税プラス消費税の総計が高くなるということではなかったのであります。両方を加えて六十二円五十銭、ただ関税の四十一円何がしというものをふやして、消費税はそれだけ減らす、こういう行き方がいいのではないかということを言ったわけであります。そこの点は誤解をいただかないように願いたいと思うのであります。そこで先ほど申し上げましたようなことから、その関税を下げて砂糖の値を安くする、こういう考え方にいまなってきておるわけであります。
○安井委員 私が言っているのは、関税だけで問題を処理するというふうなかまえじゃなしに、関税は四十一円五十銭です。しかし消費税の二十一円があるのですから六十二円五十銭。この六十二円五十銭をどうするかという問題で考える場合に、私は六十二円五十銭のうちの四十一円五十銭の関税だけで処理しようというかまえに問題があるのじゃないかということを申し上げているわけです。それは国際価格の値上がりだから関税で処理するのだ、そういうふうなお考え方をあるいは言われるかもしれませんが、(「へ理屈だ」と呼ぶ者あり)これは確かにへ理屈です。関税が下がることによって、精糖会社というものを通し、小売業者を通して消費者のほうに行くのですから、間で消えてしまうかもしれない。あるいはまた、いま国際価格が上がったからもちろん高くなってはいるわけでありますが、しかしながらもともと高かったのです。高い上に高くなった。安かった上に高くなったのじゃなしに、高い上に高くなったのですから、その基礎になる面がもともと高かった。その面を処理していく、六十二円五十銭の一部を減らしていく、これを考えなければならぬと思うのですが、その際にはやはり国内産業に対する影響から考えていくということからすれば、これはやはり消費税の処理でいくのがたてまえではないか。どんどんまだまだ上がるというふうな事態がくれば関税の問題の処理ももちろん大事ですよ。しかし消費税がファーストで関税はセカンドというかまえでなければ、私は日本の農林大臣はつとまらぬと思うのですが、いかがですか。
○重政国務大臣 これは関税、消費税一括して考えるべき問題であると私は考えております。
○安井委員 これはやはり大蔵大臣に来てもらってこの問題はどうしても解明しなければいけないと思うのでありますが、関税局長、いまの問題についてお聞きになったと思うのですが、それについてのお考え方、さらにまた、きょう審議会があったというように伺うわけでありますが、それに関する結論についてお伺いいたします。
○佐々木政府委員 お答え申し上げます。
 はなはだ恐縮ですが、関税局の面から扱っているものでございますから、消費税と関税とのいずれをとるべきかという問題につきましては、私ども関税局の側からしか申し上げることができないように思いますが、これは先ほどお話がありましたように、国際相場が高くなりました影響等で国内の価格が上がってきた問題でございますから、これは関税で処理するのが普通ではないかと考えておる次第でございます。
 そこで、このような考え方から関税率審議会でも本日、今まで議論されましたことを結論的に答申としていただきました。その中心となる点を申し上げますとこういうことでございます。
 粗糖の関税について減免制度を設けて、すみやかに実施することというのが第一であります。答申のうちの第二の重点は、粗糖について関税割り当て制度を採用することとしまして、一次税率を現行の四十一円五十銭、二次税率を五十円にするという案でございます。三番目は、減免税の実施にあたりましては一次、二次両税率も対象とするようにということでございます。両方とも減免しますときには下げるように、そしてまた両方の税率の幅を漸次縮小することを考えよということでございます。四番目に、これはこまかくなりますが、減免税及び関税割り当て制度を実施する期間は、それぞれについて政令で定める日から昭和四十一年三月三十一日までとするようにということでございます。それから五番目は、低い第一次税率で入ってきますワク内数量を定める期間は、原則として六カ月の期間を見てやりなさいということでございますが、当初はこれよりも短期間としてもよろしいということでございます。そして数量は従前よりも余裕をもって定め、実施状況を見ながら漸増をはかるようにということでございます。
 なお前文には、いろいろ御議論が多かった点を集約いたしまして、現行の砂糖関税は外国に比べても高いし、国内の関税体系中でも飛び離れて高いということを指摘されまして、そのような現在の関税につきましては消費者保護、物価安定の見地、さらには輸出振興という観点からの検討も加えなさいという御意見が付されております。そうして甘味資源政策の基本を生産性の向上に置いて、一段と国産原料による砂糖のコストの引き下げに努力して、将来国際糖価が下がってまいりました際にも関税引き下げを行ない得るような素地をつくれという御要望が、最初に意見として出ております。
 それから当面の措置といたしましては、具体的内容は先ほど申し上げました五つの点にあるわけでございますが、この外貨割り当て制度の廃止が遠からず行なわれる状況になっておるのだから、それにかかる関税割り当て制度を行なえるという御趣旨のことと、最近の国際糖価の異常な高騰によりまして国内の糖価が急上昇をしておる。外国においては砂糖輸入税等の減免を行なっておる例を引き、それらを考慮し、また消費者保護、物価安定の必要といった事情を考えて、すみやかに減免税及び関税割り当ての措置をとることが適当と考えるという御意見が付されております。そしてまた減免税については、国民の期待にこたえて一日も早く実施すべきものであり、また減免税の実施にあたっては、その効果が確実に消費者価格に反映するような措置をあわせてとるようにという御意見でございます。
 全部申し上げるのもあれでございますが、御趣旨だけを申し上げさせていただきました。
○安井委員 いまの御説明は関税定率法の改正の、いわゆるタリフ・クォータのきめ方という形で出ていると思うのですが、定率法の暫定措置法というような形で減税といったような問題は出ておるのではないですか。それともう一つは二次関税の五十円というようなお話でありますが、それよりもむしろ一次関税の四十一円五十銭の、割り当て量ですか、数量の問題についてはどういうふうな論議がありましたか。その二点。
○佐々木政府委員 これは先生御指摘のとおり、関税暫定措置法の改正になるわけで、この答申をいただきましたので、法案を準備している最中であります。
 それから一次割り当ての量につきましては、いままでの溶糖実績を考慮しつつたっぷり目にという意見が強かったのであります。
○安井委員 関税の問題については、これだけでもずいぶん時間をとりますので、また別の機会にあらためたいと思いますが、いま私がここで問題にしている暫定措置法のほうの減税について、政府はどういうような方針をお出しになるかということであります。それは審議会の議を経なくてもよろしいわけですか。
○佐々木政府委員 減免税制度自体をつくることにつきましては、重要事項でございますから必ず審議会の議を経なければならないものと考えます。個別の品物につきまして減免税をします場合も審議会を経べきであるかどうかという問題につきましては、具体的には経ないで扱っているものがございます。しかしこの場合は、砂糖は非常に国内でも、この国会でも重要な問題としてお扱いになっている状況でございますから、砂糖につきましては審議会にかけてきめるべきものだと考える次第であります。
○安井委員 それはいつごろですか。
○佐々木政府委員 法案が通りましたら早急に開きたいと思います。
○安井委員 これは大蔵大臣でなければ話はわからないのですが、事務当局がおいでですから話がこまかくなってしまいましたけれども、最後のお話の中の、法案が通ったらきめるのだという、そういうがまえはこれは私は問題だと思う。私どもがこの法案を審議する場合において、国内の資源をどうして保護していくか、特に甘味資源が全体的に枯渇している、これは日本だけでなしに世界的にそういうふうな情勢の中にいまあるわけです。そういう全体的なかまえの中に、日本の甘味資源をどうやって伸ばしていくか、どうやって保護していくか、この際において関税の問題がきまらないというふうな形の中では、これは私は問題があると思う。貿易の自由化というふうな問題は、これは一つには国内の作物並びに国内の工業を強くしていくというかまえと、それからもう一つは自由化によって寒い風のあらしにあう、それに対して保護していく関税がどうなるか。国内の資源対策なり生産対策と関税対策、この二つが自由化の前提として一番重大な問題になると思う。その第一の問題については、きょう二次関税がつくられる、タリフ・クオータで二次関税という形で保護するのだという、将来に向けてのかまえはこれはわかります。しかしながらいま目先において、これは一次関税ががったり下がるというふうな印象を私どもは受けざるを得ないわけですが、つまり生産対策はいま法律で出ている。しかし関税の問題がはっきりした結論の出ないような段階では、私どもはこの法案の審議を十分に進めることができないと思うのです。特にいまの御説明の中では、これは関税局長の御説明ですから、関税で処理せざるを得ないというふうなお話でありますけれども、しかし消費税で処理してなぜ悪いのですか。この御答弁も私どもは伺わなければいけないと思うのです。これらの問題につきまして、これはどうでしょう、大蔵大臣はいないし、農林大臣からひとつ、大蔵大臣はいずれおいでいただいてお聞きしなければいかぬと思うのですが、農林大臣のお考えをとりあえずお聞きいたしたいと思います。
○重政国務大臣 私自身は消費税を下げるということが悪いとは考えておらないのでありますが、先ほど関税局長の答弁がありましたように、国際糖価が原因をして国内の糖価が高くなったのであるから、これは関税によって処理をするのが至当である。しかも世界各国のうちで日本のような高い関税はないのであるから、そういう場合においては、まず関税を下げて国内糖価を下げるのが至当である、こういうたてまえで大蔵省が考えておられることと私は思うのであります。
○安井委員 これはやはり大蔵省の考え方を、これは関税局長では関税の問題だけのお話は伺えますが、なぜ消費税と関税との、これはどっちがどうだというふうなお話になりますと、もっと上の段階で御説明をいただかなければいけないように思うので、これは委員長、あらためて大蔵大臣においでをいただいて、もう少し納得のいく御説明を伺わなければならないと思うのですが、その点ひとつお願いをしておきます。
 時間がもうまいりましたので、きょうのところは私は終わりますが、ただ一点伺っておきたいことは、この前の国内産糖についての糖価水準をきめる段階において関税あるいは消費税の置き方についての考慮があって、それから逆算されて百二十二円というふうな価格が出たと記憶しております。今回のこの関税の扱いにおいて糖価水準の問題はどう処理されていますか。
○大澤(融)政府委員 先般考えましたことは、いまほどに国際糖価が上がっていない、三セント五十くらいの程度で推移することを前提にいたしまして国内の糖価を考えておったわけですが、今日のように上がってまいりますと、当時考えましたようには、関税と消費税を振りかえなきゃ国内産糖のコストがその中にはまらぬというようなことではなくなりました。むしろ関税、消費税の振りかえというようなことは考える必要はないんじゃないか。ただ糖価水準をどこに考えるかということになりますと、やはり国内産糖のコスト、いろいろの計算がありますが、たとえば百三十円くらいということになれば、その辺が国内の糖価水準のめどになるということになります。
○安井委員 これは大臣、いま食糧庁長官から御説明がありましたが、従来は関税、消費税の扱いから逆にといいますか、それに関連して糖価水準がきめられてきたわけです。しかしいまは貿易自由化ということで従来とは違うんですよ。いままでは貿易の自由化でも何でもなかった。しかしいまは違うという段階において糖価水準の問題が全く無関係にいま関税の論議がされているということ、何かちょっとおかしいと思うのですが、いかがですか。
○大澤(融)政府委員 したがいまして、たとえばコストが消費税を含めて百三十円だというようなことになれば、それをさらに引き下げようというようなときには、消費税をどうするかというようなことを考えなければいけないと思います。
○安井委員 この問題はさらに次の段階でもう少し掘り下げてお話を伺わなければ、私はどうも納得できないような気がするわけです。
 最後に、あと足鹿さんの時間がありますのできょうのところはこれで終わりたいと思いますが、自由化の見通しであります。七月からでも自由化せよというような話があったりするわけでありますが、大臣は、一体いつ、どういうふうにお考えか。もう一つは、自由化のメリットがあるとすれば、消費者価格の引き下げだ、こういうふうなことでありますけれども、どうでしょうか、いまの段階においておやりになろうとする自由化が消費者価格の引き下げというところにストレートにつながっていくでしょうか。時期の問題と見通しについて伺いたいと思います。
○重政国務大臣 自由化は、いまの国際情勢から申しますと、できるだけ早いほうがいいことは間違いないと思うのでありますが、しかし自由化を手放しでするわけにはまいりません。やはり国内甘味資源の保護、そしてまた国際競争にたえ得るような体制を整えなければならぬ。そのためにはどうしてもこの法案に御協賛を願ってこれを実施し、それを整備して、それから自由化ということにならなければならぬと思うのであります。したがってただいま申されたように、七月一日などということは、これはとうてい物理的に不能なことじゃないかと思うのであります。
 それから第二の、この体制で自由化をこの法案の示すようなタリフ・クォータ・システムを実施してやった場合に、消費者の利益になるだろうかという御質問でありますが、これはなると思うのであります。この関税割り当て制度を実行いたしますれば、第二次関税さえ払えば幾ら輸入してもいいということになりますから、これは現行の制度より私は消費者のためになる、こういうふうに考えております。
○安井委員 といたしますと、この甘味資源法が通れば関税のほうも暫定措置法も出るということでありますが、これはおそらく暫定措置法の改正ということになりますと、今度の国会中でなければいかぬと思うのですが、一応今度の国会で関税は二つの法案になるし、この甘味資源法が通ればすぐ自由化をする、あるいは通っても相当の準備期間を置いてそういう方向に踏み切る、こういう二つの考え方があるわけですが、いかがですか。
○重政国務大臣 これはやはり相当の準備期間を必要といたします。
○安井委員 きょうは本論に入らないで終わりますが、これは次の機会に農林大臣においでいただいて、法案そのものについての審議にまだ入っておりませんので、その際にあとの問題は譲りたいと思います。
 資料をお願いしたいのですが、最近の砂糖相場の推移について、この問いただいた資料は二月ころまでしか入っておりませんので、その後の動きをできるだけこまかくお願いをしたいと思います。それから砂糖会社における原糖のストック状況あるいは手当ての状況、おわかりになりましたら、それもお願いをしたいと思います。
○秋山委員長代理 足鹿君。
○足鹿委員 私は、昭和三十四年策定されました甘味資源自給力強化総合対策以降における国内産糖の育成対策及び国内糖業の育成対策、なかんずく府県ビート、糖業の育成対策につきまして、政府の責任をこの際ただしておきたいと思うのであります。と申しますのは、この総合対策が樹立いたされるまでもまた樹立後におきましても、当委員会は北海道に渡って数次の調査を行ない、また府県ビートの育成対策の現地につきましてつぶさに二回以上にわたって現地調査をいたしております。また政府においても三十六年には二回にわたってイタリアにおける砂糖政策、またビート生産対策等の各般にわたって大規模な調査団を派遣され、今日に至っておるのであります。にもかかわりませず、ビート栽培が北海道におきましても大きく計画を実績が下回り、また府県においても畑地並びに水田における経営改善に寄与する役割りを大きく期待して、企業家も農家も政府の方針に応じて努力を重ねてきたにもかかわらず、北東北を除いては伸び悩みの状態でありまして、まことに困った事態に立ち至っておると思うのであります。これは政府のその後の方針というものが明確性を欠いており、またねばり強くこのような新しい作物を導入していくことに対して積極的な措置を欠いたことが大きな原因と考えられるのでありまして、この点について政府の見解なり責任を追及いたしたいと思うのであります。したがいまして、本法案そのものの内容の重点については後段で触れますが、そういう趣旨からこの法案の裏づけとなるべきものは一体何か、三十四年二月に制定をされました甘味資源自給力強化総合対策をもってこの法案の裏づけとして政府は今後も対処していくつもりなのか、あるいはこの総合対策は破棄していくのか、大幅に改定をして進むのか、どのような具体的な対策を過去の失敗のあとにかんがみて講じようとしておるのか、この点の農林大臣の明確な御答弁をまずお願いいたしたいと思います。
○重政国務大臣 三十四年の総合対策というものの実施状態は御承知のとおりであります。それで昨年は法律上一年延期をいたしたのでございますが、今年はこの法律によってさらにやっていこう、こういうつもりになっておるわけであります。その後の実施の状況あるいはイタリアに派遣をして調査をいたしましたような、さらにまた研究所において研究をいたしておりますそういう事実にかんがみまして、現在の時点におきましてはやはり各府県全部について同じ歩調でビートの栽培をやっていくということは非常に至難である、十分研究所の研究なりあるいは品種の改良なり、そういうものに待たなければならないということ、それからまた非常に労力を要しますから、現在の労力事情からいきますと、必ずしも全国にわたってこれが有利な農作物であるとも言い切れない点もございますので、そこでわれわれといたしましては、その法律には府県知事が指定地域というものを申請してまいりますと、それを農林大臣が承認してそこをきめて、奨励地域で大いにやらす、こういうふうになっておりますが、大体のところは、北海道はもとよりであります、あるいは青森県でありますとか岩手県の一部でありますとか、あるいは九州の鹿児島あるいは宮崎というようなところは、これは現時点において考えても有望であろう、こういうふうに考えて、それらの地点においては、もちろんこれは道府県知事がそのつもりになって大いに力を入れて生産の奨励をやる、府県知事がこういうつもりになってやっていただくというならばわれわれも大いに生産奨励をやっていこう、こういう考えになっておるのであります。その他の府県におきましてはなお検討を要する、こういう段階でございます。
○足鹿委員 昨年の秋大分県に工場が新設されました。すなわち新光甜菜糖株式会社ですが、原料不足のために工場閉鎖のやむなきに至った。その善後措置として岡山の横浜精糖工場に九州の原料を送って処理をさせ、かろうじて農家に不測の損害を与えることなくようやく切り抜けた、こういう状態と聞いております。農林省の奨励策に従って各県で栽培されてきた暖地ビートはいまや全く風前のともしび状態である。北海道においても長い歴史を持っておるにもかかわらずうまくいかない。一体このような事態を迎えて、今後政府はこの法案を通すことによって当初もくろんだ三十四年策定の総合対策の実現を期し得られると考えておられるのでありますか。要するに法律そのものをもってしては私は目的達成は困難だと思う。問題はその運営なりまた裏づけの対策というものが当然出てくる、でありますから私が聞いておるのは、三十四年策定の甘味資源自給力強化総合対策というものは、この法案とは別に、これは消してしまう、新しく一つの対策というものを策定していく、こういう考え方であるのかどうか。つまり、三十四年に策定した政府の総合対策はうまくいかなかった。だから、一応これは御破算だ。この施策の転換をこの法案に求めておる、こういうふうに理解するのでありますが、三十四年に策定された対策に基づいてあなた方は糖業家にも栽培農家にもいろいろと奨励をしてこられた。昨年度においては一億円近い府県ビートに対するところの奨励対策費も計上して本格的におやりになった。ですから、けじめをつけてもらいたいと思うのです。いままでやったことはこういう点に失敗があった、しかし、これは今後こう改めるならば目的を達成することができる、こういう反省の上にこの対策を講じていくという考えであるのか。イタリアまで二回も行って、そして本格的に取り組んだものをしり切れトンボのままにこの法案に乗りかわっていく、これはわかったことですよ。去年われわれが寒地の二字を削って、そして国内ビート糖業を北海道を中心に暖地にまでもこれを適用していくという国会の意思がきまり、それに基づいてあなた方お出しになったことは一応わかりますが、しかし北海道といい、府県ビートといい成果はあがっておらないのです。どこに原因があるとお考えになっておるのでありますか。
  〔秋山委員長代理退席、委員長着席〕
その反省なしにこのような法案をお出しになりましても、いささか的はずれではないか。一体その三十四年策定の総合対策というものはどうなさるおつもりでありますか。それによって受けた糖業及び農家、特にあとで触れますが、府県の方針と国の方針でギャップしておる事実が随所に出てきておる。この責任をどういうふうに処理されようとしておるのか、それを聞いておるのですよ。
○重政国務大臣 三十四年の総合対策というのは御破算にしておるのではございません。その後の事情がいろいろ変化をいたしております。そのその後の事情の変化に即応いたしまして、三十四年の総合対策を基盤としまして、この法律によってさらに検討をいたしまして、長期見通しも立て、また年々の計画も立てていこう、こういう考えを持っておるわけであります。いままでのやり方については、反省すべきところは反省をいたしております。これは先ほどビートについて松浦委員から詳細お述べになりましたが、私も同感するところが非常に多い。そうして、現に私が申し述べたようなふうにいまはやっていっておるわけであります。それから暖地ビートにつきましても、この法案によりまして各府県知事にも責任を持ってもらいまして、農林省だけでなしに、農林省と県とが一体となってビートの生産を増強していこう、こういう考えを持っておるのであります。ただし、現在の時点におきましては、青森、岩手、あるいは秋田の一部でありますとか、あるいは鹿児島、宮崎というようなところを除きましては研究の余地がある。それらの地方と同様に他の地方においてもすすめるわけにはまいりません。これは研究所もあることであり、試験場もあることであり、品種の改良も進めていかなければならない。いろいろそういう技術的な問題がございますので、それらの点は従来にも増して研究をしてまいる、こういうことにいたしておる次第であります。
○足鹿委員 なぜ暖地ビート栽培がうまくいかなかったかということについては反省もしておる、北海道の問題についてもいろいろと考えておる、こういうことであります。一方で原料確保の強い要請があるにもかかわりませず、栽培をしておる農民の側から見ますと、初めての作物でありますし、天候必ずしも順調でない場合もありましょうし、栽培技術の未熟という問題もある。ただいま大臣の御指摘になりましたように、労働力の減少という悪条件が累積をして、一般的な栽培意欲というものは確かに低下しておると思う。つまり、これは資本を投下して設備さえすれば生産が機械的に増大する近代工業と、原始生産の域を出ない農業に原料を求めておる者の悲しい宿命といいますか、お互いに苦しい立場に立っておる、いわゆる先駆者の悩みを遺憾なく味わっておると思うのです。現在北海道のような先進地においても耕作面積が減少して計画分よりもはるかに下回る。ましてや府県におきましては、ビート栽培農家は去就に迷っておるのが現状であります。伝え聞くところによりますと、岡山の横浜精糖工場すらも一カ月分ぐらいしか原料がなくて工場は閉鎖説も出ておる、どこか九州のほうに持っていくのではないかというような話もちらちら出ておる。不安動揺の一語に尽きると思うのであります。これは暖地の府県ビート糖業の現状について何ら重点施策を講ぜずに、いま言いましたように北海道はもちろんのこと北東北と南九州の一部に限定する、あとは研究をするというようなことでは済まされないはずじゃありませんか。ドイツにしてみましてもナポレオン戦争以来この問題と取り組んでおる。イタリアにいたしましても、昨日資料を要求いたしまして、まだ重要な報告書はいただいておりませんが、南イタリア開発の一環としてあらゆる施策を国が講じ、そして成功し、現在自給してなお余りあるところにまできておる。しかるに三十四年に出発していまわずかな年月しか経ておりませんが、これを研究するのだということでは、いささか無責任のそしりを免れないのじゃないかと思います。たとえば南九州等は導入の可能性が大だといいますが、これは秋まきビートの方針をおとりになるようでありますけれども、政令規定事項にも載っておりますが、麦、なたね等の競合農作物との関係がありまして、そういうあぶないものに手を出すよりもやりきたったものを守っていたほうが安全だという気持がある。いわんやこの政令規定事項を見ますというと、価格の決定方式にしてみましても、「法第二十一条第一項の最低生産者価格は、農業パリティ指数に基づき一定の算式により算出される額を基準とし、当該甘味資源作物の生産費及び農林大臣の定める競合農作物の準位当り粗収益を参酌して定める」旨を予定しておられるようでありますが、いわゆる競合作物よりも有利である、こういう一つの価格の裏づけというものがあって農民にも初めて栽培意欲というものが出てくる、私はそう見ておるのであります。一定の算式とは一体何ですか、競合農作物とは一体何でありますか。いま私が述べましたようないわゆる麦やなたねというような現在貿易自由化に直面をし、大豆はすでに自由化され、油脂原料も国内のほうではだんだん困った状態になってきておる。そういうものを単位当たりの粗収益を参酌してきめる、そういうことでは、これは実際問題としてあなた方は国内産糖の総合育成対策というものを事実上放棄しておるのではないか、こういうふうに推定せざるを得ぬのであります。ところが南九州の地域以外におきましても、たとえば岡山の山村地帯、昨年も同僚委員とともにわれわれは奥地まで入りましたが、酪農地帯等におきましては農民と企業家のたゆまざる研さんと犠牲と努力によって、ビート栽培というものは、局部的ではありますが、定着しつつある地域もあるのであります。現に二月に行なわれた三十七年産ビートの増産共進会の表彰実績を見ましても部落平均二トン半以上の実績をあげた部落が二十五を数える。特賞をとった岡山県新見市の中野呂部落の場合などは総戸数十六戸のうち、三十七年度十四戸が栽培いたしまして、栽培面積も一・七四ヘクタール、販売数量五万二千三百二十九キロという実績をあげております。こういうふうに、この好成績をあげた原因というものは農家がいい土地を選んだ、あるいは施肥、播種、管理等を統一して共同防除を実施した、いわゆる集団化栽培ですね、このようなやり方をもってすれば成果をあげておる。現に栽培を続けたい希望農家もあるわけです。こういう状態の中に北海道と北東北と南九州だけはやるが、基本方針としてはその他のところはこれから研究するというようなのんきなことを言って済まされますか。北海道は現に減反しつつあるのですよ。一体買い上げ方針というものはどういう方針でやるのですか。一定の算式、これは一体どういうことですか。競合農作物の単位当たり粗収益を参酌する、その競合農作物というものは一番下の下じゃないですか、麦やなたねというようなものと対比いたしますと。そういう考え方で、法案そのものを見ても別にその内容的なものはわかりません、政令規定案等を見たりいたしますと、あなた方が国内自給体制というものを強化推進していくという熱意を失っておるのではないかと私は言わざるを得ないのです。一体この法二十一条一項の最低生産者価格の算定方式と競合農作物の単位当たり粗収益というものは何をどの程度の粗収益と見て参酌しようとしておるのでありますか。それではまともな価格は出ません。そんなことで北海道にしろ暖地ビートにしろビートの増産を期待することがそれ自体無理ではありませんか。与党の議員ですら生産費所得方式で踏み切れという御質問をなさっておる。ところが事実は、与党が何ぼこの議場で力んでみても、あなた方が考えておるこの算定方式というものは抽象的であってわかりません、さっぱり要領を得ないが、しかも競合作物の麦やなたねや山間地における大豆やアズキやそういうものの粗収益をしんしゃくしてきめられるということになれば、これは問題になりませんよ。一体そういう方針で国内糖業を育成し、ビート栽培を、北海道はじめ府県ビートを一段とこの法律によって振興していくなんということは不可能ではありませんか。その点は私は明らかにしていただきたいと思うのです。従来幾たびもこの問題についてこの委員会で数知れない論議をしておるけれども、あなたたちの今度のいわゆる新立法によって、このような政令規定の考え方をもってして、国内産糖の育成ということは、私は事実上において衰えることはあっても振興することは不可能だと思う。これは大臣、あなたが御在任中に少なくともこの問題についてはもう少し真剣に考えられなければ、私どもはこういう政令基準は、内容を聞いてみた上でないと判断を下せませんが、少なくとも競合農作物の粗収入をしんしゃくしてきめるというような考え方ではこれは振興できない。常識をもってして御判断になって、もっとしっかりした骨子をきめて、やるならやるようにお考えになってしかるべきだと思いますが、いかがでありますか。
○重政国務大臣 国内甘味資源の生産向上開発に不熱心であるとかなんとかいうような御批判は私としては非常に不満足であります。私は大いにビートの生産増強に意を用いておるつもりであるわけであります。これはこの法律だけで決していけるものでありません。何といいましても生産の増強が第一である、私はこう考えて、それがためには財政的な措置も年々増加してまいりたい、こう考えておるのであります。ただ、いろいろ暖地ビートについての御意見がございましたが、御承知のようにビートの原料というものは、ある一定の、相当広範囲の面績でビートの生産が行なわれませんと、工場の原料とするのには経済的に非常に不利であるということが前提にあるわけであります。そこで、あっちこっちで少しずつつくられても実際上は経済的にはもう問題にならないわけであります。しかし私どもは、先ほど来申し上げておりますのは、その地方に工場を建設いたしましてもやっていけるというふうな大体見通しをもって、東北とかあるいは南九州というようなところはやれるという見通しをもって、知事とともにその生産に努力をしよう、こういうふうに考えておるわけであります。その他についてたとえばお話が出ました岡山県等においてやっておりますが、私は試作の域を出ないと思うのです。その試作は、積極的に県のほうあるいは農家のほうでやられれば、これは決して不利益にならないようには考慮してまいりたい、こういうふうに考えておるのであります。
 それから値段の問題についていろいろ御意見がございましたが、これはいわばビートの最低価格であります。その値段以上でビートを原料として企業が買い入れない場合においては、その製造工場で生産したビート糖は買いませんということを言っておるのであります。ビート糖の最低価格でありますから、その点をひとつ十分御理解を願いたいと思うのであります。
 それから競合作物を考慮するということはどういうものだ、こういう御質問もありましたけれども、これは地方地方によって競合作物がみな違うわけであります。たとえば北海道について申しますれば、ある地方においては大豆が競合作物になっておる。ところが現実の問題とすれば、大豆の粗収入を考慮してやるということになれば、北海道のビートを栽培しておる農民諸君は喜ぶだろうと私は思うのです。これは各地方によっていろいろ品目も違いますし、また粗収入も違っておるのでありますから、一がいにおっしゃるとおりにそういうものを参酌すればビートが安くなるのだときめ込まれることは、非常に実際と合わない場合が出てくるのではないかと私は思うのでありまして、これが最低の価格を間接的に政府が補償する、ビートを政府が買い上げることができませんからその製品を買い上げてビートの値段を維持する、こういう方法に出ておるわけであります。どうぞ御理解を賜わりたいと考えます。
○足鹿委員 大臣の言われることもわからぬではありませんよ。競合作物というのはそれは多種多様です。しかし大体見当はつくのですよ。それでは南九州においては何がありますか、北東北においては何がありますか。また定着しつつあるといわれる岡山その他の暖地関係の現地について私があげた以外に何がありますか。麦、なたね、これは裏作関係、畑地栽培の場合は、大豆、なたね、麦、アズキ、そういったようなものであります。現にわれわれが現地を見た場合にも、そういうところに重点を置いて奨励をしたところの県においては、淘汰はされましたが、やはり酪農と結んで定着しつつあるのです。多種多様と言われるけれども何百種類もあるわけではないでしょう。私があげた以外に何がありますか。だから一定の方式といわゆる競合農作物とは何か。法律論議は結局その裏づけとなる価格問題に現在の段階にあってはしぼられてきておると思う。北海道が長い歴史を持っておるにもかかわらず計画に達しないような事実が出ておる。暖地においては工場は閉鎖あるいは閉鎖寸前といわれておる。こういう状態でありますから、この価格問題というものをどうはじき出すか。最低価格だから心配はないと言われますが、いままでの法律運用の実績から見ますと、最低価格即標準価格になってしまう。これは大臣も率直にお認めになってよろしかろうと思う。これに若干の、たとえば北海道の場合は砂引きですかの考え方とか、あるいは内地の場合は運賃補助、いわゆる企業家のほうがいろいろとそこに補って、最低価格線というものを若干上回るような対策が講ぜられているというのが実情ですよ。あなたより私どものほうが現地をずっと見ておるのですからね。ですからこの一定の算式と競合作物のいわゆるしんしゃく度合いなり、競合作物の粗収益のはじき出し方なりそれを明らかにしていただいて、一体最低価格はどの水準に持っていこうとしておられるのか、その内容が明らかにならない限り、私どもは法律の本法に価格の算定方式を明文化して、そうしていわゆる国内ビートあるいはその他の砂糖関係の生産者が安心をして栽培にいそしむようにすることができなかったならば、この法律は一片の空文と化してしまうおそれがなしとしないのであります。
 大澤さんに聞きましょう。大臣にかわって御答弁願いたい。一体こういう大事な問題を、反省した反省したと言われるが、反省のあとはないじゃありませんか。こういうことで法律を制定してみても、中身の裏づけのない限り法律の成果は私はあがらないと思う。だから結局それをよいことにして輸入に依存せざるを得ない。しかし国際的な情勢は、最近の糖価の問題はなかなかむずかしい状態にきておるということは先ほどの応答で明らかになっていると思う。だから結局国が法律を制定して乗り出す以上は相当腹をきめて、そして従来の価格の問題についても反省を加えて、そしてこの栽培農民に安心を与えてやらなければこれは成功しないと私は思うのです。立法の目的は、何も法律態様を大げさに書かなくても、私はまずこの問題を具体的に解決することだと思うのです。あなたは大産地でなければならぬ、政令規定にある十五万トンの生産のあるところに工場を建てると言われますが、北海道はどうですか。どんどん会社をつくって、一工場当たりの集荷量というものがだんだん減り、いわゆる集荷区域の争奪が起きるという状態であります。ですから実際の法律運用では、二十一条の最低生産者の価格の算定方式、これに関連する「農林大臣の定める競合農作物の反当り粗収益を参酌して定める」というのが私は一番中心になると思うのです。どういたしますか、大澤さん、大臣にかわって具体的に御答弁願いたい。
○大澤(融)政府委員 具体的な数字まではちょっと申し上げかねると思いますけれども、基準年次の価格にパリティをかける、それを基準にいたしまして、たとえば北海道でありますれば競合作物としてはバレイショでありますとか、あるいは先ほど足鹿先生があげられた豆類があるわけです。また暖地では、鹿児島、宮崎というようなところを考えれば、なたねでありますとか麦でありますとか、あるいはまたある意味でオーバーラップするイモの関係も考えられるというようなことできめていきたいと思います。ただおっしゃるように、生産を伸ばす、しかも合理的な生産を伸ばす、合理的な価格の生産で生産を伸ばしていくということでございますから、価格だけをつり上げて高ければつくるというようなことで、必ずしも生産が伸びていくというものではなかろう、別に生産対策なりあるいは構造対策なりというものと相まってやっていこうというのが、この法律の全体の趣旨でございます。
○重政国務大臣 特にひとつよく御理解をいただきたいことは、最低生産者価格というのは、先ほどもちょっと申し上げましたように、糖価が非常に下落をいたしまして、そうした場合に政府がビート糖を買い上げるということ、これは現在のところでは、どんなに下落しましても、ビートを政府が買い上げるということになっておらないのです。それを今回はこの法案で著しく糖価が下落した際、それに従ってビート糖が下落した際には、政府が買います、こういうのでありますから、現在よりは非常なしっかりしたことになっておるのであります。ただ買い上げるについては、ビート糖の製造企業というものを保護するのではありません。あくまでも原料を栽培するところの生産者を保護するのだというたてまえから、ただいま問題にしておられるそのビートの最低の値段以上で買い上げて、そして製造をしたビートでなければ、政府は買わない、こういうふうにいたしておるのでありますから、現状から見ますと、私はこのビートの栽培農家に対しては、これは非常な保護の規定である。政府も腹を据えております。そういう場合には何百億でも買おう、こういう腹を据えて、これは法案にこの条文を入れておる次第であります。そこらの辺をひとつよく御理解を賜わりたいと思います。
○足鹿委員 だから先ほど大澤さんに御答弁願いたいと申し上げたのですよ。はっきりしていただきたいのです。一定の算式とは何でありますか。競合農作物の単位当たり粗収入を参酌するとどの程度の最低保障になるのでありますか。それを聞いておるのです。どういうふうになるのですか。なぜこれを政令に依存したのですか。下がったときにはなるほどありがたがるかもしれぬ。いまのような情勢、また他の有利作物が次々とあらわれ、あらわれたかと思うと暴落して、また消える、こういう状態を繰り返しておるのではありませんか。ですから、この審議を通じて一番中心は私はここにあると思うのであります。明らかにしていただきたいのです。何も遠慮なさることはないでしょう。確信があって何百億でも出すという重大な御言明がありましたから、どの程度の負担をなさるかという御決意はわかりました。わかりましたが、問題は政令によって一定の算式を定める、都合が悪くなればまたその算式を変える、こういうことじゃ困るのです。こういう一番基本になる問題については、本条に明文化すべきです。政令依存では、私は解決がつかぬと思うのです。まあいい悪いは別として、畜産物価格安定法の場合におきましても、これはちゃんと最高、最低を一応うたうことになっておる。その方式、考え方というものを示さずして、いわゆる国内産糖の育成ということは、これは私はなかなか期し得られないと思うから申し上げておるのであります。どうするのですか。
○大澤(融)政府委員 価格のきめ方の基本は法律にも書いてございます。それの算式等についていま読まれた政令に規定するわけでありますが、あくまでも基準年次の価格をパリティで引き伸ばしたものを基準にして、競合作物その他の事項を参酌してきめるわけでございます。何ぶんにも最低生産者価格と申しますのは、大臣が言われますように、糖価が下落したとき糖業者から砂糖を買い入れる。そのときにこれ以下の価格で買ったてん菜でつくった砂糖は買い入れない、それ以上で買ったてん菜でつくった砂糖を買い入れるということでございまして、ぎりぎり一ぱいのところで指示をする。これ以上の価格になれば農家の合理的な再生産は確保できないというようなぎりぎりのところをきめるものでございますから、たとえば需給均衡と申しますか、それと飛び離れたような指示をするというような意味ではございません。
○足鹿委員 私が聞いておることに答えられないですか。反省をして今後決意を新たにして、この法案を成立せしめて、そして国内産糖の自給力というものを高めたい、こういうねらいはけっこうであります。われわれは別な法案を出しておりますが、けっこうであります。ただやり方を聞いておるのです。現在の六千五百円水準のものですか。
○大澤(融)政府委員 基準年次のとり方にもよりますが、私どものただいまのところの考え方は前年を基準にしようということを考えておりますので、いまきめております最低支持価格より相当に離れて高いも、のになるということにはならないと思います。
 それからいま足鹿先生が申された自給力の強化ということでございますが、自給力を強化するために甘味資源をたくさんつくっていく、てん菜生産をやっていくということではなくて、農業経営という立場からてん菜を入れなければならぬ、あるいはサトウキビを入れなければならない、しかもそういうものを入れて集団的につくって、工場も動かし得るというような地域を指定して、てん菜なり甘蔗をつくってもらうということでございますから、その結果として自給力が上がってくるということは望ましいわけですが、これこれまでの自給力にするのだというようなことで、この法律全体を運営していこうというのではございません。
○足鹿委員 冗談言っちゃ困るですよ。何を言っておるのですか。だから私は最初に昭和三十四年二月五日策定の甘味資源自給力強化総合対策を放棄するのか、改定するのか、現状でいくのかということを聞いておるじゃないですか。自給力の増強は考えない。何たることですか。大臣の答弁と全く違うじゃないですか。そういう無責任なことを大澤さん、あなたは考えておるのですか。大臣、どうですか。いまの御答弁をお聞きになっておかしいじゃないですか。
○重政国務大臣 食糧庁長官の答弁は、私が申しましたのと全然一致しておるのです。極端なことを申し上げるとはっきりすると思うのでありますが、経済的に全然問題にならないようなところでもただ砂糖をよけいに製造をすればいいとは考えないということなんです。でありますから、適地において、しかもそれは集団的でなければ工場の建設はできないのでありますから、適地でそうして集団的にこれを奨励をしてやっていけばいけるというめどのついたところをまずやるのであります。それからその他の地方につきましては、いろいろ品種の改良とか、いろいろな技術的な問題もありますから、これはいま研究いたしております。それらの研究によりまして、大体めどがつけば、そういうところもひとつ知事と相談の上でやっていこう、こういうのでありまして、少し長目に見ていただかなければならぬ。ビートの栽培というのはなかなか恒久の作物の栽培でありまして、よく御承知のとおりであります。でありますから少し長目に見ていただいて、そして私どもはやはりステップ・バイ・ステップで足を地につけた行き方でやってまいりたい、こういう考えを持っておるのでありまして、ただいま食糧庁長官が御答弁申し上げたのも自給力の増強ということを全然考慮しないのではないのであります。自給力の向上ということをあまりに考え過ぎて、そのために経済的に問題にならないようなところで栽培をする、それを奨励するということになると、農家諸君にも迷惑が及ぶということになりますから、ひとつ長目で技術の改善、品種の改良というようなことと相まって地に足をつけてやってまいりたいという趣旨でございます。
○足鹿委員 私は納得できません。そういう大臣の御答弁と、いまの大澤長官の御答弁とは一致しておりません。少なくともそれでは昭和三十四年の自給力強化総合対策ということは、もうこれはそのままたな上げをしておいて、そして新しいこの法律によって、とにかくできるところを自然の成り行きを中心に若干の施策を講じていくんだ、こういうことで価格の問題についても、基準年次は前年度をとる、こういうことですが、競合作物はその参酌度はどうなるのですか。現在のものよりも飛び離れて高くならないということでありますが、そうするとある程度はじき出しておられると思うのですが、それをはっきりしていただきたい。
○大澤(融)政府委員 具体的な計算はしておりませんが、先ほど申し上げたようなことでございます。それからほかの作物とのバランスをとるという考え方は、これは一定の算式であらわすというようなことはなかなかむずかしいので、通俗なことばでいえば、にらんできめるというようなことの材料にもなろうかと思います。
○足鹿委員 法案の審議をわれわれはしておるのに中身が聞けないというようなことでは困りますよ。大体法案そのものは相当大きな法案でありますから、各委員からそれぞれ重点的に御質問があろうと思うのですけれども、集約してくると問題はここになるのですよ。現に北海道が計画に達しない、だんだん減反の方向をたどっておるということは、何かといえば、引き合わぬからですよ。特に最近の労力不足が、このビート栽培との関係においては大きな原因でありましょう。ですから、これに見合うやはり価格算定方式というものができて、そしてある程度不満であるけれども、この法律であるならば、新しい品種の育成あるいは肥培管理の改善、いろいろな点でまあまあというところにいく見当を示さずして、この法案に、われわれに協力せいと言われても困りますよ。ですから大体において一番の焦点である現在の国内産ビートの買い入れ価格というものを中心にどの程度までこの最低価格というものは引き上げるのか引き上げないのか、大体の幅はどういう幅になるのですか。これは私の質問したことに答えてください。競合作物の粗収益というものは、それじゃどういうふうに見ておるのですか。資料として出してください。それを参酌度は一体どうするのですか。
○重政国務大臣 これは先ほども申しましたように、米価の政府の買い入れ価格――麦価も同様であります。あるいはその他の農安法によりますところのいろいろな支持価格というようなものとは、これは違うわけであります。これは先ほども申しましたとおりに、糖価が非常に下落いたしましてビート糖を政府が買う。その買う場合に、原料たるビートの最低価格以上のもので工場がビートを買って製造したビート糖でなければ政府は買いません。間接にこれによってビートの最低価格を維持しよう、こういうのがねらいであるわけです。
 それからその最低価格のきめ方の内容についていろいろこまかい御質問があるわけでありますが、これは法律では、食管法におきましても、あるいは農安法におきましても、大体どういうふうにしてこの価格を定めるかということを規定いたしておることは御承知のとおりであります。そうしていろいろの算式とかなんとかいうようなものは、これは政令に譲ってやっておるのが例となっておりますので、そういうふうな法律案になっておるのであります。競合作物についてそれがどういうふうに粗収入を見ておるか、これも年によって違うことになるのは当然であると思うのでありますが、これは一般のいろいろなものを参酌いたします場合にはただその尺度まで初めからきめてどうするかというようなことは、実際問題としては行なわれておらないことは御承知のとおりだろうと思うのであります。
 なお、参考資料はできるだけ御提出いたしますように努力をいたします。
○足鹿委員 大臣の御都合もあるようでありますが、私はこの点では納得ができません。資料をいただいてからさらにまた法案の内容の審議をする各個質問の場合にお尋ねをいたしますが、農業基本法第八条には「政府は、重要な農産物につき、需要及び生産の長期見通しをたて、これを公表しなければならない。」以下規定をしておるのでありますが、今年もこの規定の裏づけの法案のように政府はうたっております。ビートを導入した場合、あるいは導入を企図した場合の構造改善事業とビートとの関係は一体どうなっておりますか。先ほど集団栽培というようなことも言われ、技術の向上というようなことも言われておりますが、要するにビートは選択的拡大作物の一つとして重視してこれを伸ばしていく御所存でありますか。畜産、果樹にいたしましても自由化のあらしにおののいておる。また常に価格が安定せずしておる。そしてせっかく酪農を入れても、乳牛の屠殺率は、去年の同期に比べますと、一割三分もふえて牛を殺しておる、こういう状態であります。どこに基因するかと言えば、価格に対するところの政府の責任が明確でない、やっても引き合わない、こういうことでありますよ。これはもう厳然たる事実ではないですか。あなた方も牛乳の問題で、当委員会でさんざん手こずっておられるでしょう。大臣も苦労をしておられるでしょう。言うまでもないことではありませんか。伺いますが、資料として大澤さん、一定の算式の内容、競合作物の単位当たり粗収益とさんしゃく度、それに基づく想定最低ビート買い入れ価格はどの水準のものであるかということをお示しを願いたい。この問題が具体的にはっきりしなければ、私どもはこの法案の審議に魅力を感じません。必ず問題が起きてくる。このことで指摘しておきますが、とにかく資料として大臣も出すということでありますから、早急に出していただけますね。
○大澤(融)政府委員 競合作物の粗収入ですが、これは私のところへ手持ちでありますのは三十四年、三十五年、三十六年でございますが、数字でお出ししましょうか。
○足鹿委員 あとで資料で出して下さい。
 構造改善の問題はどうするか、選択的拡大の問題です。
○重政国務大臣 先ほども種々申し上げましたとおりに、構造改善の事業としてさしあたり中に組み込んでいただいて実施に移していって問題のないところは、やはり先ほども申しましたような、北海道であるとか青森、岩手、あるいは秋田の一部、南九州というふうなことになろうかと思うのでありまして、その他の地方におきましてはこれは十分検討をいたさなければならぬ、こう考えております。
○足鹿委員 それでは時間もありませんから、最後にお尋ねをいたしますが、地方公共団体のビート政策といいますか、と、国の政策とが食い違った観が随所にあらわれておる。つまりビート奨励と都道府県の方針、これに対する国の裏づけ施策との関係でありますが、これを明らかにしていただきたいのであります。大分県の事例によりますと、大分県議会は知事の提案したビート奨励予算を大幅に削減修正した事実がある。県会自民党は最後の手段として、去る三月十一日の予算委員会で、新年度のビート栽培対策費七百八十五万二千円を大幅削減する動議を出し、ビート栽培は過去四年間の実績を見て失敗だったことは明らかだ。農民自身も県の押しつけ的な奨励に不満こそあれ、決して喜んでいない。したがってこれ以上むだな県費はつぎ込むべきでない。新年度からは農民の自主的な判断にまかせるべきだと主張し、社会党は知事選にからむ党利党略だと反論を示しまして、栽培農家三十六名は予算委員会農林水産分科会に陳情を行なっている。われわれは栽培のコツをようやく覚えた、畜産との結びつきにも見通しがついたいまとなって、県の奨励対策を打ち切られるのは非常に困ると陳情した。しかし結局絶対多数の自民党が農民の切実な声をも無視して七百八十五万円の予算のうち、昨年十月以降にまきつけをし、四月に出荷されるビート根の処理費五十九万七千円を残しただけで、新年度の対策費を全部切り捨てた。この結果、五年目の奨励は完全にお手上げだと新聞は伝えております。知事は、ビートをあきらめるのはまだ早い、行き詰まった麦作を打開することと、畜産との結びつきを重視しておるからで、麦のかわりに何を栽培するがよいかで県も非常に困っておる、こういうことであります。あなた方はいままで奨励をして去年も一億円からの金を出しておる。少ない額ではありますが一億円を出しておる。これに従ってやった。ところが都道府県知事の施策はずたずたに切られてしまう、こういうことで国策が遂行できますか。現在の企業家は政府で強力な対策を講じない限り、北海道を除く各県で始められた暖地ビート栽培は終わりにして、工場の赤字を全部国や県の責任にするという考えでは毛頭ないが、ほんとうに国内で甘味資源の自給力の強化を考えるならば、暖地ビート保護政策を考えるべきだと切言をしておる。私はもっともな意見だと思うのです。どの立場に立つわけではありませんが、もっともな意見だと思う。要するに熊本県においても大縮小を始めておる。こういうことでは国の施策というものが末端に浸透いたしません。随所で食い違ってしまう、こういうことであります。砂糖の自由化は必至だといわれておる。国は世界にない精製糖の差益金を原資にしてビートの生産基盤を強化してほしいと言っております。でありますから、私がここで大臣の構想を聞いておきたいことは、原料ビートが操業に必要なだけ充足するまでは、工場を政府が一応管理するとかあるいは政府、会社、府県の三者による公社的なものをつくっていくとか、何か新しい構想というものをこの法案の裏づけとして打ち出すべきではないか。あなた方はこの政策によって、基本施策によって熊本にはビート・センターをつくり、そして現にそこでは――あとで参考人としてわれわれは招致をしようと思っておりますが、嵐博士は南九州における分布図を克明に検討しておる、その公述もやがてはこの委員会に記録となってあらわれるでありましょうが、技術者としては苦心惨たんをし、そしていまようやくめどをつけようというときに、あなたがただいま言われたような自給力を強めるという直接の目的でこの法案はつくったものではないのだ、また北東北や南九州は構造改善の対象にするけれども、その他のものについては検討を要するというような方針を軽率に明らかにされるということになりますならば、これは国内産糖の自給力を高めていくということに重大な支障になる御発言ではないか。北海道においても、長い歴史を持っておりながら現に不振の状態をきわめておる。とするならば、この甘味資源特別措置法を出した精神というものは、昭和三十四年の自給力強化総合対策の精神に反した、いわゆる従来やったてん菜生産振興臨時措置法のただ単なる手直し延長にすぎないと考えてよろしいのでありますか。私はどう考えてみましても、この法律を読んで、また補足説明を聞き、政令規定事項を拝見いたしまして、納得がまいりません。掲げた看板と違うのですよ。明確な御所信をこの際明らかにしておいていただきたい。
○重政国務大臣 決して看板に偽りはないのです。先ほども申しましたとおりに、現在におきましては糖価が幾ら下落いたしましても、ビートを全面的に政府が買うことになっておりません。でありますから企業家もそうであり、ビートをつくる者もこれは不安定なのであります。今回の法案によりますというと、政府は糖価が著しく下落いたしました場合には買い上げるということになっておるわけであります。しかも買い上げるのは企業を保護するということが第一義ではないのであって、ビートをつくる者を保護し、そこで最低生産価格というものをきめることにしておるのであります。こういっておるのでありますから、私はこれによって農家は安心してビートの栽培ができることと思うのであります。ただビートの生産性の向上ということが何としても裏づけであり、これが非常に大切なことであることは言うまでもないことなんです。その生産性の向上をいたしますためには、企業家が買い入れますビートの価格もさることながら、同時にこれが畜産とビートの栽培が結びつき、あるいは土地改良というものが適切に行なわれる、そうして反当の生産力というものが増加していく、こういう面にほんとうに力を入れてやらなければ、幾ら値段を高くしてみたところでビートの生産というものは思うようにはふえない、こういうふうに私は考えておる。でありますから、畜産とのかね合いあるいは土地改良あるいは省力栽培の技術、それから最低価格、こういうものがみんなかね合っていかなければ私は生産力の向上はないと思うのです。生産力が向上をしなければ、ビートの栽培というものが増進、増加をしていき、したがって砂糖の自給力がふえていくということにはならないのじゃないか、こういうふうに考えて、そういう意味におきまして、一面においては行政指導、財政支出をいたし、他面におきましては、法律を要するような事項につきましては、この法案によってそういう権限を政府に付与していただくように提案をしておるような次第であります。決して足鹿さんの言われるようないいかげんなつもりでこれはやっておるのではないのであります。どうかそれらの点はよく御了承を願いたいと思います。
○足鹿委員 この一言だけを申し上げて、私は残余の質疑は他日に譲りますが、現在の日本農業の情勢は未曾有の変動期ともいうべき時期であります。これは政府の施策の結果こういう状態を促進しておるのでありますが、こういう時期に新農作物の導入ということはきわめて困難である。立地条件、対抗作物、労力関係、技術関係、これらを総合して、これと見合った奨励施策を新たに打ち出して、そうして長期にわたって粘り強く国内ビート糖業というものの育成をはかる決意なくして、ただ単に糖価が下がったときの最低価格をカバーするのだという消極的なものでは、自給力総合強化の構想とは著しく逸脱した案だとわれわれは言わざるを得ない。
  〔委員長退席、秋山委員長代理着席〕
総合的な新しい構想を示すべき段階に達しておると私は申し上げたい。いまのヘビのなま殺しのような政府の態度は、はなはだもって遺憾である。この法案の審議にあたって、内容に入る前に私はこのことを真剣に政府が反省をされて、総合的な施策の裏づけを、しかも価格の問題について私が先ほどるる繰り返し申しましたような、いわゆる適正なしかも奨励するならば奨励するにふさわしい価格の裏づけを伴わない本立法をもってしては、自給力の強化増強ということにはなかなかならないということを私は申し上げて、質問は一応きょうは打ち切っておきますが、残余の質疑は他日に譲ります。本日の農林大臣及び食糧庁長官の御答弁は、はなはだ不満足であります。
 なお、この際申し上げておきますが、昨日要求いたしました残余の資料を早急に御提示を願いますと同時に、先ほど申し上げました法二十一条に基づく最低価格の算定方式等、これに関連する一連の資料を早急に御提示あらんことをお願い申し上げまして、時間の都合もあるようでございますからきょうはこれでよします。
○秋山委員長代理 次会は来たる十一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時六分散会