第043回国会 本会議 第8号
昭和三十八年二月十九日(火曜日)
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 議事日程 第八号
  昭和三十八年二月十九日
   午後二時開議
 第一 九州地方開発審議会委員の選挙
 第二 警察法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
    …………………………………
 一 中小企業基本法案(内閣提出)並びに中小
  企業基本法案(永井勝次郎君外三十一名提
  出)、中小企業組織法案(永井勝次郎君外
  三十一名提出)及び中小企業省設置法案(永
  井勝次郎君外三十一名提出)の趣旨説明
 二 海運業の再建整備に関する臨時措置法案(
  内閣提出)及び外航船舶建造融資利子補給及
  び損失補償法及び日本開発銀行に関する外航
  船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 九州地方開発審議会委員の選挙
 売春対策審議会委員任命につき国会法第三十九
  条但書の規定により議決を求めるの件
 日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求め
  るの件
 第十回オリンピック冬季競技大会札幌招致に関
  する決議案(島村一郎君外四十五名提出)
 日程第二 警察法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 中小企業基本法案(内閣提出)並びに中小企業
  基本法案(永井勝次郎君外三十一名提出)、
  中小企業組織法案(永井勝次郎君外三十一名
  提出)及び中小企業省設置法案(永井勝次郎
  君外三十一名提出)の趣旨説明及び質疑
 海運業の再建整備に関する臨時措置法案(内閣
  提出)及び外航船舶建造融資利子補給及び損
  失補償法及び日本開発銀行に関する外航船舶
  建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
   午後二時八分開議
○議長(清瀬一郎君) これより会議を
開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 九州地方開発審議会委員の選挙
○議長(清瀬一郎君) 日程第一、九州地方開発審議会委員の選挙を行ないます。
○草野一郎平君 九州地方開発審議会委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
○議長(清瀬一郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。
 議長は、九州地方開発審議会委員に有馬英治君を指名いたします。
     ――――◇―――――
 売春対策審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
○議長(清瀬一郎君) お諮りいたします。
 内閣から、売春対策審議会委員に本院議員小林進君、同中野四郎君、同中山榮一君、同中山マサ君、同本島百合子君、同山口シヅエ君、参議院議員柏原ヤス君、同高野一夫君、同藤原道子君、同山本杉君を任命するため、国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出がございます。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。
     ――――◇―――――
 日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求めるの件
○議長(清瀬一郎君) 日本銀行政策委員会委員に山添利作君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出の通り同意を与えるに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 第十回オリンピック冬季競技大会札幌招致に関する決議案(島村一郎君外四十五名提出)
     (委員会審査省略要求案件)
○草野一郎平君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、島村一郎君外四十五名提出、第十回オリンピック冬季競技大会札幌招致に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(清瀬一郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 第十回オリンピック冬季競技大会札幌招致に関する決議案を議題といたします。
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  第十回オリンピック冬季競技大会札幌招致に関する決議案
 右の議案を提出する。
  昭和三十八年二月十八日
   提出者
    島村 一郎外四十五名
   賛成者
    安倍晋太郎外三百六十六名
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  第十回オリンピック冬季競技大会札幌招致に関する決議
  衆議院は、来る千九百六十八年の第十回オリンピック冬季競技大会を札幌市に招致するため、その招致運動を強力に推進するとともに、その準備態勢を整備すべきものと認める。
  右決議する。
○議長(清瀬一郎君) 提出者の趣旨弁明を許します。島村一郎君。
  〔島村一郎君登壇〕
○島村一郎君 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表いたしまして、ただいま上程いたされました第十回オリンピック冬季競技大会札幌招致に関する決議案の趣旨弁明をいたしたいと思います。(拍手)
 まず、決議の案文を朗読いたします。
  衆議院は、来る千九百六十八年の第十回オリンピック冬季競技大会を札幌市に招致するため、その招致運動を強力に推進するとともに、その準備態勢を整備すべきものと認める。
  右決議する。
以上であります。
 御承知の通り、国民待望のオリンピック聖火は、明年十月、アジアの、この東京の空にあかあかと燃え上がることとなるのでありまして、現在、その組織運営の衝に当たるオリンピック東京大会組織委員会を中心に、政府、東京都及び関係各県、さらには日本体育協会、東京オリンピック資金財団等が一丸となって、それぞれの責任分野においてこれが準備態勢を強力に推進しているところであります。私は、この機会に、これら各機関、各団体の御努力に対し、深く敬意を表する次第でありますが、参加国百カ国、八千人に及ぶでありましょう役員、選手を迎えて行なわれ、まさにわが国にとり、千載一遇のこの国際的祭典を成功裏に終始せしめるために、なお一そう物心両面にわたる対策の完遂を希望するものであります。今般、札幌市は、去る二月七日、ローザンヌの国際オリンピック委員会に対し、正式に第十回オリンピック冬季競技大会の招請状を提出したのであります。オリンピック冬季競技大会は、一九二四年の第一回大会から回を重ねて、明年二月、オーストリア・インスブルグ大会で九回目を迎える次第ですが、わが国は、第一回大会と第五回大会に不参加のほかは全部の大会に参加し、あるいは氷上に、あるいは雪の上に、諸外国の優秀選手と常々と伍して、若人の気力とわざを競い、国際親善に、また、わが国冬季スポーツの向上に役立って参りました。しかも、一九三八年の国際オリンピック委員会のカイロ総会で、一九四〇年オリンピック冬季大会の札幌開催が正式に決定したのでありますが、当時のわが国内外の諸情勢からして返上のやむなきに至ったいきさつもあり、自来、本大会の開催は、地元北海道民を初め、スポーツ愛好国民にとって長年にわたる念願であったのであります。あたかも、一九六八年は、北海道開道百年及び札幌市開府百年の記念すべき年に当たるのでありまして、その最大の記念行事として本大会を札幌市に招請するため、札幌市長は日本オリンピック委員会並びに政府の承認を得、ここに国際オリンピック委員会に正式に招請状を提出したのであります。
 かくして、明年度の東京大会に次いで、さらにその四年後の第十回冬季大会をわが国で開催することになりますならば、わが国のスポーツの振興に寄与するとともに、国際理解と親善をさらに深め、わが国将来の発展と世界平和のためまことに意義深いものがあると存ずる次第であります。
 現在すでに本大会招致の立候補をしておりますものは、わが国のほか、フランス、スイスがあり、また立候補の意思を表明している有力なものとしては、カナダ、ノルウェー、フィンランドがあげられ、開催地の最終的決定は、本年十月ナイロビにおいて開かれる国際オリンピック委員会の総会でなされるのであります。第九回のインスブルグ大会を含めて欧州で七回、アメリカ大陸で二回すでに行なわれることとなり、アジアでは従来一回も開かれていない事情、また第五回大会の札幌返上のいきさつ、さらには札幌市の国際競技大会の開催能力についてはすでに国際的に評価済みであることなどからして、今後の努力次第によっては本大会の札幌招致は有望と考えられるのでありまして、まさに国民的盛り上がりをもって本大会の招致運動を強力に推進するとともに、その準備態勢を整備すべきであると思うのであります。
 以上が提案の趣旨でありますが、おりもおり、軽井沢におけるスピード・スケート世界選手権大会の開会を明日に控え、本決議案が上程されましたことは、まことに意義あることというべきでありまして、何とぞ全会一致の御賛成をお願いいたす次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。これを許します。小林信一君。
  〔小林信一君登壇〕
○小林信一君 一九六八年、第十回オリンピック冬季競技大会を札幌に招致する決議案に対しまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表いたしまして、賛成の意見を申し上げます。〔拍手〕
 かつて、国際オリンピック委員会のカイロ総会におきまして、オリンピック東京大会とともに、一九四〇年オリンピック冬季大会の札幌開催が正式に決定されたのでありますが、当時の内外諸情勢から、実施不可能のやむなきに至りましたことは、御承知の通りであります。自来二十有余年の間、スポーツを愛好する六十余万札幌市民は、オリンピック冬季大会がぜひとも札幌市において開催されるよう熱望し、期待して今日に及んでおるのであります。
 幸いにも、一九六八年オリンピック冬季大会の立候補にあたり、昭和三十六年三月十七日札幌市議会において、さらに同年十月二十日には北海道議会におきまして、それぞれ満場一致をもって札幌招致を決議いたしております。また、全日本スキー連盟並びに日本スケート連盟は、日本オリンピック委員会の了解のもとに、一九六八年のオリンピック冬季大会を日本に招致する目的で招致委員会をつくり、国内八候補地を書類審査いたすとともに、現地調査もいたしました結果、去る五月十一日に札幌市が最適地であることを決定いたしております。
 申すまでもなく、オリンピック冬季大会開催地を決定いたします際には、何としても気象条件が最大の要件となります。その点、札幌市における二月の気象は、平均摂氏氷点下四・四度、日中は二度以下で、国際的なウインター・スポーツ都市として知られておりますスイスのダボス、フィンランドのヘルシンキ、カナダのトロント等等に比較して遜色のない条件を持っておるのであります。そのほか、札幌市は会場の位置、施設、交通、通信など、各方面にわたって、大会実施に必要なすべての好適な立地条件を備えており、この点では、さきに札幌市が招請いたしました外国の専門家もひとしく推賞いたしておるところであります。加えて、冬季競技については、去る一九五四年の男子スピード・スケート世界選手権大会を初め、過去幾多の国内大会、国際競技会も札幌市で実施されまして、多大な功績を上げております。以上のような好条件を有し、さらに世界各国選手を迎えまして、十分にその技能を発揮せしめ、かつ、国際親善の場たらしめる施設、設備を、札幌の面目にかけて完備する計画が進められておるのであります。
 申し上げるまでもなく、爽快な冬季スポーツは青少年の最も好むところでありまして、その士気を高揚する点で、青少年育成に資するところ大であります。かつ、かかる機会を多くすることによって、若い人々の国際親善の道を開き、世界平和に寄与する好機ともなるわけであります。ことに、こうした機会に一度も恵まれなかったアジア地域から申しますならば、是が非でも今回は実現させなければならない機会と存ずる次第であります。従って、単に札幌市民の悲願ということでなく、日本国民全体の問題であり、同時に広くアジア全住民の要望として本決議案は可決され、本院は招致運動を強力に推進するとともに、その準備の完全を期することに最大の努力をいたすべきであると信じまして、本決議案に賛成をするものでございます。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は全会一致可決いたしました。(拍手)
 この際、川島国務大臣から発言を求められております。すなわち、これを許します。国務大臣川島正次郎君。
  〔国務大臣川島正次郎君登壇〕
○国務大臣(川島正次郎君) 第十回オリンピック冬季競技大会を札幌に招致しますことにつきましては、政府におきまして、これに賛成いたしまして、すでに閣議において決定をいたしておるところでございます。その実現並びに準備態勢の整備につきましては、主催者並びに関係各団体に協力いたしましてこれを推進いたしたい所存でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第二 警察法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) 日程第二、警察法の一部を改正する法律案を議題といたします。
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    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員長永田亮一君。
  〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔永田亮一君登壇〕
○永田亮一君 ただいま議題となりました警察法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、警察事務の能率的な運営をはかるため、第一に、警察庁の所掌となっている全国的な幹線道路における交通の規制に関する事務を、各地方の特殊事情に通じた管区警察局に分掌させること、第二に、警察庁における麻薬関係の事務の増加に対処して、新たに警察官十人を増員すること、第三に、道路運送法上の自動車道が二以上の都道府県の区域にわたる場合における警察官の職権行使に関する規定を整備して、効果的な交通警察活動ができるようにしようとするものであります。
 本案は、一月三十一日当委員会に付託され、二月一日篠田国務大臣より提案理由の説明を聞き、自来、慎重に審査を重ねて参りましたが、その詳細は会議録によって御承知いただきたいと存じます。
 二月十四日、質疑を終了し、討論の通告もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 中小企業基本法案(内閣提出)並びに中小企業基本法案(永井勝次郎君外三十一名提出)、中小企業組織法案(永井勝次郎君外三十一名提出)及び中小企業省設置法案(永井勝次郎君外三十一名提出)の趣旨説明
○副議長(原健三郎君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出、中小企業基本法案、並びに、永井勝次郎君外三十一名提出、中小企業基本法案、中小企業組織法案、及び、中小企業省設置法案の趣旨の説明を順次求めます。通商産業大臣福田一君。
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) 中小企業基本法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 わが国の中小企業が、鉱工業生産の拡大、商品流通の円滑化、海外市場の開拓、雇用機会の増大等、国民経済のあらゆる領域にわたって、その発展に寄与するとともに、国民生活の安定に貢献して参りましたことは、すでに国民の一人片々が高くこれを評価しているところであります。
 しかるに、最近に至りまして、生産性等の著しい企業間格差は、中小企業の経営の安定とその従事者の生活水準の向上にとって大きな制約要因となりつつあります上に、技術革新の進展、生活様式の変化等による需給構造の変化と労働力の供給の不足とは、中小企業の存立基盤を大きく変化させようといたしているのであります。わが国の中小企業をこのような状態に放置いたしますときは、その事業経営の安定をそこない、ひいては国民経済の健全な成長発展をも達成し程なくなるものと深く憂慮いたしている次第であります。
 このような事態に対処して、特に小規模企業の従事者に対し適切な配慮を加えつつ、中小企業の成長発展をはかるため、その経済的、社会的制約による不利を補正し、中小企業者の自主的努力を助長して生産性を向上し、取引条件を改善するよう格段の努力をいたさねばならないと考える次第であります。このことは、中小企業の経済的、社会的使命にこたえるゆえんのものであるとともに、わが国経済の均衡ある成長を達成しようとする国民のすべてに課された責務でもあるとかたく信ずるものであります。
 このような考えのもとに、ここに中小企業の進むべき新たな道を明らかにし、中小企業に関する政策の目標を示すため、本法案を提出いたした次第であります。
 次に、本法案の内容につきましてその概要を御説明いたします。
 まず、前文におきましては、以上に申し述べましたような趣旨を明らかにいたし、次いで第一章総則におきまして、第一に、中小企業に関する国の政策の目標は、国民経済の成長発展に即応し、中小企業の経済的、社会的制約による不利を補正するとともに、中小企業者の自立的な努力を助長して中小企業の成長発展をはかり、あわせてその従事者の地位の向上に資することと規定しております。これは、中小企業の成長発展を国民経済と遊離して考えることは非現実的であり、国民経済もまた均衡成長を果たすことなく高度成長を達成することはできないとの観点に立って、国民経済の成長発展の方向に即しつつ、生産性等の企業間格差が是正されるように、中小企業の生産性と取引条件が向上することを目途として、中小企業の成長発展をはかって参ることが必要と考えたがためであります。
 第二に、本法案の対象とする中小企業者の範囲を、製造業等にあってはおおむね資本金五千万円以下または従業員数三百人以下、商業、サービス業にあっては同じく一千万円以下または五十人以下とし、具体的には諸般の施策が最も効率的に運用されるよう、施策ごとに弾力的に定めるべきであるといたしております。
 第三に、第一に述べました目標を達成するため、国は、ひとり産業政策の分野のみならず、その政策全般にわたり必要な施策を総合的に講じなければならないこととしておりますが、その際重点的に取り上ぐべき方向づけとして設備の近代化以下八項目を明らかにいたすとともに、地方公共団体もこれに準じて施策を講ずるように、また、中小企業者以外の者もこれらの施策の実施について協力するよう要請しております。これは、中小企業の成長発展をはかることが全国民経済的課題であることにかんがみ、国は、その産業経済、財政金融、科学技術、社会労働等諸般の政策を通じ、また国民は、一致協力して問題の解決に当たるべきであると考えたがためであります。
 第四に、政府に対しまして、施策の実施に必要な法制上、財政上の措置をとるべきこと、中小企業の実態を明らかにするための調査を実施すべきこと並びに中小企業の動向及び施策に関し国会に年次報告を提出すべきことを義務づけております。
 以上が第一章のおもなる内容でありますが、第二章から第六章までにおきましては、第一章で方向づけられました必要な施策につきまして、その方針をそれぞれ明らかにいたすこととしてあります。
 第二章におきましては、主として中小企業の体質改善に関する施策につきまして、その方針を明らかにすることといたしております。
 第一に、中小企業の設備の近代化、技術の向上、経営管理の合理化のため、積極的に施策を推進することといたしております。
 第二に、中小企業の諸問題は、根本的には企業規模が過小であることから生じていることにかんがみ、これを抜本的に改善いたし、生産性と取引条件が最も向上するように基盤を整備するため、中小企業構造の高度化の方策として、企業規模の適正化、事業の共同化、事業転換の円滑化及び小売商業における経営形態の近代化のための施策の方針を宣明いたしております。
 すなわちその一といたしまして、企業規模の適正化をはかるため、事業経営の規模の拡大、企業の合併、共同出資会社の設立等を円滑化するよう必要な施策を講ずるとともに、政府に対しこれに関する指標を作成すべきことを義務づけ、その二として、事業共同化のための組織の整備、工場、店舗等の集団化、その他の助成を行ない、中小企業者が体質改善するにあたり協同してこれを効率的に推進できるように必要な施策を講ずべきことといたしております。このほか、特に流通機構の合理化の趨勢に中小商業者が対処し得るように必要な配慮をなすべきこと、及び中小小売商の経常形態の近代化のため必要な施策を講ずべきことといたしております。なお、需給構造の変化等に即応して、中小企業者が自己の発意により他の業種に転換しようとする場合には、これを助成するため必要な施策を講ずべきことといたしております。
 第三に、中小企業における労働関係の適正化、従業員の福祉の向上をはかるため必要な施策を講ずるとともに、最近における求人難に対処すべく、職業訓練、職業紹介の事業の充実等により、労働力確保のために必要な施策を講ずべきことを規定いたしております。
 第三章、事業活動の不利の補正におきましては、中小企業の事業活動面における環境の整備をはかって、その不利を補正し、もって体質改善の推進に資するという趣旨に出、そのための施策の方針を明らかにいたしております。
 第一に、中小企業の過度の競争を防止するとともに、下請取引を適正化するため、下請代金の支払い遅延の防止等及び下請関係の近代化の施策を講ずることといたしております。
 第二に、中小企業者の利益の不当な侵害を防止し、中小企業の事業活動の機会を適正に確保するため必要な施策を講ずるよう規定いたしております。これは、最近における需給構造等の変化に伴う大企業等の進出に対し、これに起因する社会的、経済的摩擦を回避し、中小企業の経営の安定が阻害されることのないよう措置することが必要であると考えたがためであります。また、これと関連いたしまして、中小企業製品と競合する物品の輸入により、中小企業に重大な影響を与えるおそれがある場合には、緊急に輸入調整等の措置も講じ得るよう規定いたしております。
 第三に、中小企業製品の輸出の振興、国等からの受注機会の確保、その他需要の増進をはかるため必要な施策を講ずべきことといたしておるのであります。
 第四章におきましては、小規模企業者について、特にその経常の改善発達とその従事者の生活の安定につき必要な考慮を払うよう規定いたしております。これは数多くの小規模企業者に対しては、一般の中小企業政策に加えて諸般の施策が円滑に実施されるように特に手厚い施策を講ずる必要があるからであります。
 第五章におきましては、中小企業の体質を改善し、経営の安定をはかるため、中小企業に対し資金の融通を適正、円滑化し、企業資本の充実を促進することがきわめて重要な政策手段であることにかんがみ、このための必要な施策を講ずるよう規定いたしております。
 次に、第六章におきましては、行政機関の整備と行政運営の改善に努めるよう規定いたすとともに、中小企業者が事業の共同化、事業活動の自主的調整等によりその成長発展と地位の向上をはかるため組織化を推進することが特に必要であることにかんがみ、中小企業者の組織化の推進その他中小企業に関する団体の整備につき必要な施策を講ずることといたしております。
 最後に、第七章におきましては、中小企業政策に関する重要事項を調査、審議せしめるため、総理府に中小企業政策審議会を設置することといたし、その組織等について必要な規定を定めております。
 中小企業基本法案の概要は以上の通りでありますが、ここに示された施策の方向に従い、今後にわたって施策の拡充に努め、これを積極的に推進して参る所存であります。なお、三十八年度につきましては、予算案に本法案の趣旨をすでに取り入れてありますが、また関係法律案につきましては、当面措置すべきものについてすみやかに提案いたすことといたしております。
 以上をもちまして、中小企業基本法案の趣旨説明といたす次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 次に、提出者田中武夫君。
  〔田中武夫君登壇〕
○田中武夫君 社会党提出の中小企業基本法案外二案について、提出者を代表し、わが党案と先ほど福田通産大臣が提案説明せられました政府案とを対比しながら、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げたいと思います。(拍手)
 今さら申し上げるまでもなく、今日、中小企業はわが国経済の中で圧倒的多数を占めており、生産、流通等の面においてもきわめて重要な役割を果たしているのであります。にもかかわらず、中小企業と大企業との間に大きな格差が存在し、中小企業の経営は常に不安定な困窮した状態にございます。このような現状の中で政府は依然として大企業本位の財政金融政策を推進し、また、せっかくの独禁法も有名無実のものとし、不当な独占支配を容認いたしておるのであります。さらに、最近は貿易の自由化を理由に大企業の合併吸収、合理化並びに縦の系列支配を促進し、その目的に沿わない中小企業は政策のらち外に放置し、弱肉強食の冷酷な競争の中で、その整理、淘汰を考えており、政府の中小企業政策は農業基本法と同様、零細企業首切り政策と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 今回政府が提出した中小企業基本法案もこの意図に沿ったもので、中小企業のためのものではなく、大企業のための中小企業基本法案といわねばなりません。(拍手)このため中小企業者はあすの経営に、将来の生活設計に大きな不安を抱き、全く希望を失っているのであります。
 そこで、中小企業を今日の窮状から救い出し、大企業との間の格差を是正し、安定した、将来に希望の持てる近代的な経営に引き上げるためには、どうしてもこの際抜本的な基本政策を打ち立てる必要があるのであります。そうして一元化された強力な行政機関のもとで、かかる基本政策を推進されることが今日ほど緊急を要することはないのであります。これが本法律案の提出の理由でございます。
 次に、そのおもなる内容を御説明申し上げます。
 まず初めに、本案は中小企業政策の基本となるべき目標として、いわゆる国民経済の二軍構造の解消と経済の民主化、自主的な協同化、個々の中小企業者に対する積極的な助成、中小企業労働者の所得増大、さらには中小企業者、労働者、農民相互間の調和の五つの柱を明確に提示し、以下具体的な政策、機構に及んでいるのであります。この点、産業構造の高度化、産業の国際競争力の強化を強調するだけで、肝心の大企業の不当独占の排除、経済の民主化を忘れた政府の基本法案と根本的に異なるものがあります。(拍手)
 次に、具体的内容について申し上げますと、第一には、本案に規定される抜本的な総合政策を実施するには、大企業の代弁機関と化しつつある通産省の一部局としての中小企業庁ではとうてい不可能でございます。そこで新たに中小企業省を設置し、通産省と対等の立場において、強力に中小企業者の利益を擁護せんとするものであります。政府案がこの当然の問題を故意に回避していることはきわめて遺憾でございます。
 第二は、中小企業者の範囲でありますが、上は従業員三百人、資本金三千万円に押え、下は特に従業員十人、百万円を勤労事業者として分離し、政策の恩恵が中小企業の中でも比較的大きなもののみに偏せず、小企業、零細企業にも十分に浸透するよう考慮しているのであります。
 第三は、中小企業の組織についてであります。中小企業の経営を近代化し、発展させて大企業と対等の地位に引き上げるには協同化が必要であります。本案は、特に一章を設けて、従来の多種多様な組織を協同組合に統一し、強制や統制を排し、あくまで自主的協同を組織原則としているのであります。そしてその設立を簡易にし、これに国が積極的な助成措置を講ずることによって、協同組合に入った方が中小企業にとって有利になるような条件をつくり上げ、もって組織化を促進していくべきだとしているのであります。政府案がこの組織の問題に一言も触れていないのは、まことに奇異の感を抱かせるものでございます。
 第四は、大企業との関係についてであります。今日の中小企業の困窮は、大企業の不当な進出、これに伴う圧迫によるところが大きいのであります。そこで本案は、中小企業に適切な事業分野に大企業がむやみに進出することを規制し、官公需の発注についても、大企業のひとり占めを排除して、中小企業に一定割合を確保することにいたしておるのであります。また、下請企業に対する大企業の不公正な取引行為を厳に取り締まり、さらに中小企業の協同組織による団体交渉権を確立し、大企業と対等の地位を確保するよう努めているのであります。さらに、中小企業者の地位を補強するため、特に中小企業調整委員会を設立し、大企業との間の一切の紛争を中小企業者に有利に処理し、一方的な泣き寝入りの現状を是正することにいたしております。政府案が、対大企業との関係是正について配慮をしていないのは、今日の中小企業問題がいずこにあるかということを、根本的に忘れた論議だと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 第五は、零細な勤労事業者に対する政策についてであります。本案は、特にこれを別ワクのものとし、組織、税制、金融、労働福祉、社会保障の全般にわたり、社会政策的な立場をあわせ考慮しつつ、特別の優遇、保護助成策を提起しているのであります。政府案が、最終段階になって中小企業者の強い反対にあい、やっと小規模事業者の定義を付加しただけで、具体的な政策、なかんずく税制、社会保障についてさえ触れるところがないのは、零細業者無視もはなはだしいといわざるを得ません。ここに政府案の、零細企業切り捨ての意図が如実に示されているのであります。
 第六は、商業政策についてであります。従来、政府の施策は工業に偏し、商業政策はきわめて欠除しているのであります。このため流通秩序は混乱し、百貨店、スーパーマーケットの不当進出、メーカー、問屋の乱売、小売市場の乱立など、それでなくとも相互の過当競争に悩む一般小売商業者が、より一そう苦境に追い込まれているのであります。そこで、本案は、特に商業政策の確立を強調し、商品の流通秩序の維持のため、メーカー、卸売業者による直接小売行為の制限、百貨店、スーパーマーケットの不当進出の規制をはからんとするものであります。同時に、地方では、消費者に対するサービスとしての商業本来の立場から、一般小売商業者みずからの経営改善、近代化を促進助成することによって、大資本商業と十分に対抗し得るまでに、その地位の安定向上を期しているのであります。政府案が、商業についてきわめておざなりの一項だけを設けているのは、依然として従来の工業政策偏重のそしりを免れ得ないでありましょう。
 最後に、実態に即し適切な中小企業政策を実施するために、政府に対し総合的な調査を行なわしめ、さらに中小企業政策に関する基本計画や実施計画並びにその実施状況について、国会に年次報告をする義務を課し、また、総理府に中小企業審議会を設け、本法運用に万遺憾なきを期しているのであります。
 私は、今、中小企業基本法案を中心に申し述べましたが、すでに御説明いたしました観点より、中小企業の組織の設立、運営等具体的に定めるため、中小企業組織法案、さらに中小企業省設置法案を同時に提出をいたしておるのであります。
 以上、三法律案提出の理由並びにその内容の概要でございます。何とぞ、御審議の上、政府案にかわりわが党案をすみやかに成立させるため御賛同あらんことをお願いいたしまして、提案説明を終わります。(拍手)
     ――――◇―――――
 中小企業基本法案(内閣提出)並びに中小企業基本法案(永井勝次郎君外三十一名提出)、中小企業組織法案(永井勝次郎君外三十一名提出)及び中小企業省設置法案(永井勝次郎君外三十一名提出)の趣旨説明に対する質疑
○副議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して、質疑の通告がありますので、順次これを許します。中村三之丞君。
  〔中村三之丞君登壇〕
○中村三之丞君 私は、自由民主党を代表し、ただいま趣旨説明のありました二つの中小企業基本法案に対し、質問いたしたいと存じます。
 まず、政府案に関連して、総理大臣にお尋ねいたします。
 中小企業は自由企業制度の所産であり、その自由を維持するものであります。中小企業はそれ相当の経済的基盤を有し、創意工夫と発展的自由競争のにない手であって、産業的民主主義の源泉であります。また、中小企業者は民主社会における中堅階層として進んでおるのであります。大企業と中小企業との間に構造的断層があるのではなく、地続きでありまして、大企業との協力によって、中小企業は進歩するものであると考えるのであります。従って、中小企業の地位を近代自由経済の中において確立しなければなりません。
 もとより、今日の自由経済は、放任経済ではなく、公共の福祉を増進し、経済秩序を維持し、社会的分業を確立するため、国家調整政策をとることが必要であります。労働法規、農業基本法、中小企業基本法は三本立となって運用され、経済の繁栄と国民生活の安定をはからなければなりません。かくして、権力経済を排撃し、自由、自治、所有を基本とする民主政治を、正当なる利潤と所得とを確保する国民経済の成長発展に努めることであります。
 現在の中小企業庁では、範囲の広い、しかも、強力なる中小企業成長政策の実現は不可能に近いといわなければなりません。ことに、中小企業は特殊の経営形態に進歩し、中小企業経営学は、学問として存立するに至っておるのであります。さらに、中小企業者と従業員の数は、農家、勤労者とともに、国民の大多数を占めております。そこで、現在の通産省から独立した中小企業省に発展せしめるべきでありまして、かつての農商務省が農林省と商工省、それから通産省へと進化したと同様であると考えるのであります。政府は、中小企業基本法案と並んで、すみやかに中小企業省設置法案を国会に提出なさるべきものであると信じまするが、いかがでありますか。
 次に、通産大臣にお尋ねいたします。
 中小企業基本法案には、前文と、政策の目標という第一条において、中小企業政策の理想と現実とが掲げられておりまするが、わが国の中小企業に対しては、現在の時点において、その前途に存在する障害を取り除き、強化することが政策の眼目でなければなりません。
 第一は、貿易自由化の中小企業に及ぼす影響とその対策であります。第二は、中小企業は、景気、不景気の変動に抵抗力が弱いのであります。これをいかにして補強せられようとするのであるか。第三は、わが国の資本市場は狭く、特に、中小企業は常に資金の不足に苦しめられておるのであります。第四は、中小企業には、経営の不健全による損害や失敗が多く、企業の継続性も十分ではありません。これらは、中小企業者の自主的努力によって克服されなければなりませんが、政府の指導方針もまた重要であると信ずるのであります。第五は、中小企業は過重な税金負担と割高な金利に苦しめられているのであります。
 中小企業の特色は、普通には、経営者はまた所有者であること、営業地域は主として地方的であること、資本は個人や少数の人々によって供給され、所有されておるということでありますが、時代とともに近代化されなければなりません。政府案は、鉱工業その他の事業において、資本の額または出資の総額五千万円以下、商業、サービス業において千万円以下となっておりますが、この基準はどうしてはじき出されたのでありますか。中小企業に対する金融機関の融資額の最高などを参考とされたのでありますか。また、従業員数は、限界をこえた場合に、変動の幅を認められるのでありますか。
 法案には、企業規模の適正化ということがたびたびうたわれておるのであります。一体、適正規模とはどういうことであるか。希望された生産の成績が最もよく得られる経営の大きさをいうのであるか、最も適当な操業度を保証するということであるのか、現存の条件のもとで、生産単位当たり平均費用が最小であるというのであるか、通産大臣は、これを明らかにせられなければならないのであります。全体として、政府は適正規模を設定し、中小企業の合併を強制されようとするのでありますか。
 中小商業について、流通機構の合理化ということが条文にあります。このことは、製造、卸売、仲買、小売、消費者の過程を、生産者から最終消費者への直結をはかり、中間機関を排除していくということであるのか。しかしながら、これらの中間機関は、金融的機能、格づけ機能、需給調節機能を持っているのでありまして、わが国の資本主義経済機構の程度においては、中間機関こそ中小企業であるということであります。かかる機関を排除することは、中小企業者を没落の道に追いやるものであるといわなければなりません。
 わが国の独立小売店は、百貨店、スーパーマーケット、協同組合や消費組合経営店舗、大会社や公共事業経営店舗などと激烈な競合状態にあります。これをいかにして調整せられるか、具体的にお示し願いたいのであります。
 小規模企業対策でありますが、これについては、その育成に重点を置くことであります。そうして共同事業、施設、融資、指導などが行なわれなければならないのであります。さらに、小規模企業に対する融資は、個人融資であるべく、無担保、無保証の原則が実施されなければならないと思うのであります。いわゆるなりわい、生業は小規模企業の範囲に入るのでありますか、それとも社会厚生政策の対象として考えておられるのでありますか。
 次に、中小企業に対する税金問題と金融問題について大蔵大臣にお伺いいたします。
 法案には、租税の適正化ということがうたわれておりますが、このことは中小企業に対する税金負担の軽減や調整を意味するのでありますか。いわゆる政策減税は、産業基盤の強化を目的とし、その経済政策的意図は了解されますが、中小企業に対する租税特別措置は不徹底であるということであります。いかなる理由であるか、大蔵大臣は明らかにせらるべきであります。
 中小企業に対する税務行政は、時には行き過ぎがあるという中小企業者の訴えのあることは、深くわれわれの遺憾とするところであります。およそ税金問題は金銭の問題ではありますが、同時に国民思想の問題であることを忘れてはなりません。税務行政の民主化が必要であると信ずるのであります。
 中小企業の金融問題につきましては、第二十四条の規定は大体において了承いたすものでありますが、民間金融機関からの中小企業に対する適正な融資の指導ということは、優先的融資の指導でたければならぬと思います。また、両建、歩積みの悪習慣をいかにして是正されようとするのでありますか。市中銀行、地方銀行の中小企業融資は、中期、長期貸出制度、不動産金融の方向、また消費者金融などにつきましては、これを盛んにすべきであると思うのであります。
 次に労働大臣にお尋ねいたします。
 中小企業の労使関係については、経営者と従業員とが同じ立場、同じ権利をもって相互の問題を交渉しようとすることは、法律的にも、また実際的にもさように進んでいると思いますが、共産主義的な絶対的労使関係や、階級闘争的労使関係は、生産性の向上と正常な社会秩序を乱すものであると信ずるものであります。(拍手)
 中小企業の人手不足は、まことに深刻なるものがあります。中小企業の労働力確保のため、いかなる手段を講ぜられておりますか。中小企業の従業員の労働条件の改善、労働の質的向上、中小企業のためにする技能者養成、福利厚生施設の充実などについて、いかなる対策を講ぜられておりますか。
 要するに、池田内閣は、中小企業の進むべき新たな道を明らかにし、中小企業の成長、わが国の中堅階級である中小企業の向上のため、全力を注がるべきであります。
 次に、日本社会党提出にかかりまする中小企業基本法案につき、提出者に質問いたします。五項目を示して、ここに提出者の御答弁をわずらわしたいのであります。
 第一は、日本社会党の大きな目的は、重要産業を国営とし、配給組合や消費組合をもって商業に取ってかわらしめ、社会主義計画経済を実現しようとするものであることは明らかであります。日本社会党案を、これをあぶり出しまするならば、以上のことがまぼろしとなって現われるべきものであると思うのであります。
 第二は、日本社会党案の中に、「国民経済の二重構造を解消して」とあります。二重構造とは何であるか。結局するところ、賃金格差のことであり、二重構造の解消とは、賃金格差の解消であると解釈してよろしかろうと思います。そこで、経済の高度成長が賃金格差の拡大をもたらすか、縮小を来たすかということは、高度成長の速度と、そのときどきの労働市場の需給関係によって異なるものであって、一がいには言い切れませんが、池田内閣の成長経済政策は、二重構造の改善に貢献しつつあると私は信ずるのであります。
 第三は、日本社会党案には、中小企業者の組織に重点が置かれ、広範な協同組合組織が規定されております。これは組織の一本化を目標とするものと見るべく、一つの拘束経済ではありますまいか。
 第四は、日本社会党案には、金融機関の融資総額の一定割合以上が中小企業者に対して貸し付けられること、金融機関の集中融資の排除などが規定されております。これらは強度の金融統制や、場合によっては金融機関の国家管理を意図されておるのではあるまいかと思われるのであります。
 第五は、日本社会党案はあまりにも具体的に行き過ぎて、基本法としての性格にそぐわないのであります。施策の弾力的運用を妨げることになるのではないかと思うのであります。
 要するに、政府案は、自由経済の中にあって中小企業を成長せしめようとし、日本社会党案は、社会主義計画経済の中にあって中小企業を変革しようとするものでありまして、両者は相合せざる平行線上にありといわなければなりません。
 以上に対し、政府並びに日本社会党案提出者の明快なる答弁を求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 中小企業の地位に対しまする中村さんのお考えは、われわれと全く同様でございます。すなわち、中小企業は自由民主主義社会の中堅階層であり、産業民主主義の源泉である、これは非常にりっぱな言葉だと思って、私は、あえて中村さんの言葉をここに再度申し上げまして、お考えが一致していることに敬意を払いたいと思います。すなわち、中小企業は、わが国におきましては各国よりも特に産業の中核でございまして、この中小企業の発展こそ国家の隆盛の最大の要因である。従いまして、われわれとしては極力中小企業の振興に努力を続けていきたいと考えております。
 なお、中小企業省の設置についての御意見でございますが、従来いろいろの意見があるのでございます。私は、中小企業というのは特定産業の業種をいうのではございませんから、一般の産業行政の一体的運用によってやるべきであると、ただいまのところ考えております。従いまして、今後におきましては、行政機構の整備とか、あるいは行政運営の改善に極力努力いたしまして、そうして今の制度のままでやっていきたいと考えております。しかし、御意見もありますことでございますから、今後検討はいたしたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 中小企業に関する考え方につきましては、すでに総理から御答弁がございましたのでありますが、私も一言申し上げてみたいと思いますことは、日本における中小企業というものは、日本の国土が非常に狭隘でありたということと、そこに非常にたくさんの人口があったということが、欧米諸国と違った意味における日本の中小企業の姿を、今日導き出してきておるものであると考えておるのであります。そうして、この観点から考えてみまして、中村さんが仰せになりました通り、中小企業と大企業、あるいはまた零細企業というような言葉で物を表現することはできますけれども、われわれは、今、日本の経済の発展の過程にありますから、日本経済が発展するに従って、中小企業の範囲というものも順次変わっていかなければならないものである、また、変わっていくことによって、初めて大企業とともに国民経済を十分に発展さしていくことになるものであると、私は信じておるものであります。こういう観点に立って日本の中小企業問題を、中小企業をどういうふうにして育成していったらいいかということを考えていくべきだと思うのでございまして、私は、その観点に立ってこの施策を充実して参らなければならないと思うのでございます。
 そこで、貿易自由化の問題についての御質問でございますが、私たちは、昨年の十月に貿易の自由化を八八%いたしましたが、その後の推移を見ておりましても、いわゆる中小企業に、あるいは大企業に、それほど大きな変動を与えたとは思っておりません。私たちは、こういう産業に力がついたものから自由化をしたのでありますから、当然とは考えておりますが、しかし、もし日本の中小企業に大きな影響を与えるようないわゆる輸入等が行なわれた場合には、当然、これに対して緊急調整等の措置も講ずるようにいたしております。今後も一つ、中小企業にそういう悪影響のないように措置をいたして参りたいと存じます。
 次に、景気、不景気になった場合に対する中小企業――この景気に対する中小企業の問題をどう考えるかという御質問でございますが、何といっても中小企業の問題は、その体質改善、すなわち中小企業自体に力をつけることだと思うのでございますが、しかし、政府の政策において景気の調整措置等をとります場合においては、十分中小企業を意識して、そうしてそれに悪影響のないように施策を進めて参りたいと存ずるものであります。
 次に、中小企業に対しますところのいわゆる税金、金利等の問題でございますが、これにつきましては、中小企業それぞれ特有な面がございますが、これはむしろ大蔵大臣から御答弁を願ってはどうかと考えております。
 それから、中小企業のいわゆる基準を何に求めたかということでございますが、現在の中小企業というものは、資本金一千万円、または従業員三百人ということにいたしておるのでありますが、経済の発展に伴いまして、三百人の従業員を持っておるような中小企業は、ほとんど全部五千万円前後の資本金と相なっておりますので、これを是正する意味において、資本金五千万円または従業員三百人と変更をいたしたわけであります。しかしながら、これは先ほども中村さんが仰せになった通り、いわゆる大企業と中小企業は地続きなのでありますから、それをどこで切るかということは、その場合に応じて適当に考えなければなりません。しゃくし定木にこの点を運用するつもりはないわけでございます。
 次に、適正規模ということについて、いわゆる規模の適正化とは何かという御質問でございますが、これは中小企業というものが、そのやっております仕事の需要の度合いと、そしてまたその需要を満たすための生産規模との関係を十分考慮していかなければならないというところから、この文字を使っておるのでございまして、中小企業におきましては、どうしても需要が少ないのに過当競争になりがちでございます。そういうようなことを考えまして、そういう過当競争にならないで合併とか協業化等の措置をとっていくということが必要であるという意味合いにおきまして、規模の適正化ということを申し述べておるのでございます。また、合併を強制することになりはしないかというお話でありますが、私たちは、自由主義経済をとっておりますので、そういうような意図は持っておりません。
 次に、いわゆる流通機構において、中間機構をどう考えるかというお話でありますが、もとより流通機構において、いわゆる中間機構というものは大事な存在であります。これをよりよく育成強化していくためには、われわれは最大の注意を払っていかなければならないと考えておるわけでございます。
 また、スーパーマーケット等の問題につきましては、しばしば申し上げておるところでございますが、政府といたしまして、百貨店法、あるいは小売商業調整等の法案を通じまして、善処いたして参るつもりでありまして、詳しいことは委員会において申し述べさしていただきたいと思うのであります。
 また、小規模企業対策について、なりわい、生業というものは、小規模事業と見るのか、社会厚生政策の対象とするのかというお話でありますが、これは両面から考えて見るべき問題と存じておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。
 第一の問題は、租税負担の適正化とは軽減及び調整を意味するのかという御質問でございますが、中小企業を育成強化するためでありますので、租税特別措置等を意味するものであります。
 それから、第二点としましては、政策減税、なかんずく中小企業に対する租税特別措置の内容についてということでございますが、また租税特別措置については、中小企業対策は不十分のような御発言でございましたが、産業の助成、企業の体質改善、技術振興、それから設備の近代化、及び経済上の必要性から、各種の措置がとられておることは御承知の通りでございます。特に今回の改正におきましても、特定中小企業者の機械設備等について、五カ年間、三分の一割増し償却制度の創設、それから中小企業近代化促進法に規定する中小企業の合併の際における清算所得課税及びその登記の登録税等についての負担の軽減、それから同族会社の留保金課税の軽減等、中小企業に対する特別措置は、以上申し上げたように、積極的に行ない、かつ、将来も行なう方針をとっておることを御理解賜わりたいと存じます。
 それから次は、中小企業に対する税務行政について、行き過ぎはないか、また、税務行政の民主化の必要性についての御発言でございますが、御趣旨の通り尊重して参りたいと存じます。税務行政は適正な調査によって事実関係を明らかにし、税法を正しく適用することによって初めて法の期待する負担の公平がはかられるのでございますが、権力的になったり、行き過ぎになるようなことは、当然戒むべきであります。このようなことのないように、従来十分配意をいたしておるのでありますが、せっかくの御注意でありますので、今後ともこのような批判の起こらないように、十分注意して参りたいと存じます。
 それから次は、市中銀行、地方銀行等の中小企業金融についての御発言でございますが、特に二十四条の融資の指導という面についての御質問、両建、歩積の排除、それから中期、長期の安定的金融、それから消費者金融の問題、不動産金融の問題、中小企業については無担保信用貸しを前提とすべきであるというようなお説でございますが、特にこのような問題につきましては、予算委員会を通じても申し上げております通り、格別な処置を在来もとっておりますし、本法制定の後においても、できるだけお説のような方向に向って、金融の確保に資して参りたいと考えます。
 なお最後に、いわゆるターム・ローンの方向について指導すべきであるというお話でございましたが、地方銀行等については、このような運用をいたしておることは御承知の通りでございます。なお、地方開発等新しい要請もありますので、地方金融機関等がこの種の長期安定的な、また割賦返済方式による長期金融の道を開いていくととについては、政府も賛成をいたすとともに、これが方向について指導をいたしていく予定でございます。
 なお金利の問題につきましては、中小企業の金利負担がいかに中小企業の育成強化に障害になっておるかということに対しては、政府も十分承知をいたしておりまして、これが適正な金利の確保について、金利の引き下げについて種々考究し、適切な処置をとって参りたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) 第一に中小企業の労使関係についてでございますが、およそ労使関係のあり方は、労使相互の信頼の上に立ちまして相協力し、話し合いによって諸問題を処理することによって円滑に運営されるのでありまして、ことに経営基盤の脆弱な中小企業にありましては、このことが強く要請されることはもちろんであります。従って、労働組合が、階級闘争主義に立って、政治的イデオロギーのみにとらわれ、力によるいたずらな闘争を強調するとか、あるいは逆に使用者が、労働組合をいたずらに厄介者扱いしたりするというようなことがありますると、労使共倒れの結果を招くおそれがございます。従って、使用者は、労務管理の改善に意を注ぐ必要がある反面、労働組合においても、企業の実情をよく認識し、話し合いによって問題の解決をはかり、労使相携えて生産性の向上と労働条件の向上に努力することが労使双方の繁栄をもたらすゆえんであると考える次第でございます。
 第二に中小企業の労働力の確保の点でありまするが、中小企業においては、大企業に比べて求人難の現象が目立っております。政府としましては、このような事態にかんがみまして、新規学校卒業者に対しては、その需給が地域的に片寄らないよう、その調整に努力しながら、特に中小企業には、集団求人方式によりまして求人条件の向上をはかり、また労務管理の改善、福利厚生施設の拡充等、受け入れ態勢の整備に関する指導、及び雇用促進事業団による施設の設置または整備に要する資金の貸付等を行なっております。このほか、中小企業の若年労働者を対象とする求人のうち、中高年令層に適した職種につきましては、中庸年令層求職者を採用するよう求人者に勧奨をいたしておるところであります。なお、中小企業においては、就職した者の離職率が高いので、新規採用者の定着を促進するため、中小企業に就職した君に対して重点的に就職後の指導をも行なうようにいたしておるのであります。特に技能労働者の不足に対しましては、事業内職業訓練の実施促進について共同職業訓練方式の普及に努力をいたし、これに要する運営費または施設費について補助金を交付することにいたしております。
 今後、政府といたしましては、中小企業の労働力不足に対して従来やって参りました措置をさらに拡充強化いたしまするとともに、今後、第一には、労働者の採用及び配置に関する指導、情報及び資料の提供等、事業主に対する援助を強化いたして参りたい。第二には、定着性向上のため、就職前後における労働者に対する指導を強化いたしたい。第三には、集団求人方式を今後とも推進、拡充したいと思っております。第四には、事業内共同職業訓練の助成、振興。第五には、必要なる労働力の充足のための労働者住宅、福祉施設、事業内職業訓練施設の整備等に要する資金につきまして、融資制度の利用をいたし、積極的に推進して参りたいと思っております。
 第三に、その他の労務の問題でございまするが、中小企業が国民経済において果たす役割の重要性にもかかわらず、中小企業は賃金その他の労働条件、技能水準、福利厚生施設等の諸点において、大企業と比較してなおかなりの格差が見受けられます。労働省としては、かかる現状にかんがみ、かねてから中小企業の労働条件、格差等を縮小し、中小企業労働者の福祉の向上をはかりますため、諸般の対策を講じて参っております。今後ともこれらの施策を進めて参りまするとともに、特に技能者の養成、確保につきまして努力をし、さらに福利厚生の面につきましても一そうの力をいたして参りたいと思っております。
 以上、簡単でございますがお答えいたします。(拍手)
  〔田中武夫君登壇〕
○田中武夫君 中村さんの私に対する質問は五点であったと思います。御要望の通り明確に御答弁申し上げます。
 その第一点は、社会党は重要産業を国営化し、そうして商業をなくするのではないか、こういう点であったと思いますが、わが党は、重要基幹産業、たとえば電気、石炭、原子力等の公党化政策はすでに発表いたしました。しかしながら、商業をなくするとか、小売を制限するとかいったような考え方は、いまだかつて一度も発表したことはございません。もし、中村さんがわが党基本法案をお持ちでございましたら、第四章第二節の「商業に関する施策」の点を見ていただきたいと思います。そこには五条にわたって、商業に関する施策の目標、商品の流通秩序の維持、大規模事業者の進出に対する抑制措置等々を規定いたしております。このように事こまかに商業、ことに小売商に対して規定をいたしておりますのがわが党提出の中小企業基本法案でございます。それに対し、政府案はたった一条しか入れておりません。社会党こそ常に商業、ことに小売商のことを一番真剣に考えておることを御了解願いたいと存じます。せっかくあぶり出していただいたのですが、何にも出なくて大へん気の毒に思います。
 その第二点は、国民経済の二重構造についてだったと思います。中村さんは、経済の二重構造は、結局は賃金格差の問題ではないか、こういうように理解しておられるようでございますが、国民経済の二重構造というようなことは、そんな単純なものではございません。これを初めてわが党は法律用語として取り入れたのであります。その定義は、先進国の産業経済の状態と後進国の産業経済の状態が、日本の産業経済の中に同居しておる、そのために国民の各階層の中に大きな断層ができておる、このことを解消する、こういうようにいっておるのであります。従いまして、中小企業政策の基本的な問題は、根本的なものは、この大企業、中小企業の間にある規模、設備、生産性、このような格差はなくしていって、そうして今申しましたような先進国の経済状態のような大企業と、後進国の産業状態のような中小企業を一緒にしていく、ここを解消していくことがその根本でなくてはならないと思います。
 また中村さんは、池田内閣の高度経済成長計画がとの格差是正に貢献しておるのではないか、こういうことをいわれましたが、とんでもないことであります。自画自賛もいいところです。池田政策で大きくなったものは大企業であり、独占であります。親企業であります。中小企業、下請は常にそのしわ寄せを食って、ますますその格差が広がっておることは国民がよく知っております。さらに政府は、先ほど申しましたように、貿易の自由化を口実にして国際競争力強化法というようなものを考えて、ますますその格差を広げようとしておるじゃありませんか。そのことは国民が一番よく知っております。
 第三点は、中小企業の組織についてであります。われわれは、先ほど申しましたように、中小企業の組織を協同組合方式に一元化していこうという考え方は、すでに説明を申しました通りであります。わが党は、中小企業が喜んで入ることができるような協同組合をつくっていく、そうして、その協同組合は、自主性、民主性を持ってやっていく、こういう考えでおりますので、わが党案十条二号には、その加盟脱退を自由にしておりまするが、自民党の諸君は、中小企業団体に対して強制加盟を考えておられます。このことこそが、むしろ権力的拘束経済ではないかと思うのであります。
 第四点は、わが党案の第四十九条及び五十条の規定が金融統制ではないか、こういうことでありますが、現在御承知のように、大銀行は大企業にのみ融資をいたしております。系列融資を強化いたしております。そうして中小企業には金を貸そうとはしてないのであります。先ほど来申し上げておりますように、国民経済の重要な役割を果たしておる中小企業に対して、まず第一に行政措置で中小企業の金融のワクをつくっていく、それができなければ立法もやむを得ないであろうというような考え方でありまして、決してこれは金融統制でもなく、また憲法二十九条に反するものでもありません。
 次に第五点でございますが、社会党案は具体的過ぎるではないか、こういうことですが、そうではなくて、政府案があまりにも抽象的かつ宣言的であります。いかに基本法とは申せ、その行なわんとする基本的な態度を明確に示して、それから具体的なことを付属法に持っていくのがならわしでございましょう。従って、わが党の基本法こそ、ちょうどいいころであって、上々のものであると確信をいたしております。
 最後に、中村さんに申し上げますが、孫子の兵法ではございませんが、相手をよく知るという意味において、わが党の綱領を一度ごらんいただきたいと思います。その綱領には、日本社会党は、労働者、農民、中小企業者、自由業者の結合が大事であると宣言をいたしておるのであります。従って、中小企業をなくするとか、中小企業をどうするとかいうようなことは、この綱領を読んでいただくならば、中村さんの御疑問の大半は氷解するであろうと考えます。
 以上をもちまして、御答弁を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 中村重光君。
  〔中村重光君登壇〕
○中村重光君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました政府提案の中小企業基本法案に対して、若干の質問を試みたいと存じます。
 具体的な内容の質問に入ります前に、池田総理に一言お伺いをいたしたいと存じますのは、第四十回国会におきまして、自由民主党から同様の基本法案が提案されました。その際、私は、なぜに政府提案にしなかったかということをお尋ねいたしましたところ、池田総理並びに当時の佐藤通産大臣は、関連法案の整備ができなかった、従って関連の法案を整備してりっぱな法案として提案をする、こういうお答えであったのであります。なるほど、政府から基本法の提案は行なわれました。しかし、中小企業政策の基本的、きわめて重要な関連法案である組織法案が提案されていないということであります。御承知の通り、現在の組織諸法は複雑多岐にわたりまして、地域におきましては、いわゆる事業目的が重なり合っておりますために、ともすると組合運営上の阻害要因となっているのであります。そのように大切な組織法案を同時提案をしなかったということは、全く不可解であり、了解できないのであります。私は、この点に対しましては、池田内閣の中小企業政策に対する熱意が欠除していると断定しても差しつかえないと思うのであります。(拍手)この点に対する池田総理並びに福田通産大臣の責任ある明確な答弁を求めたいと存ずるのであります。
 次に、本法案の内容について御質問申し上げます。具体的な税制の問題、金融上の問題は、委員会におきまして詳細お尋ねをいたしたいと存じます。
 まず最初に、わが国の中小企業問題を基本的にどう認識しておられるのか、政府の考え方をお尋ねしたいのであります。わが国の特殊な中小企業問題の中でも特に大きな問題の一つは、大企業からの圧迫、大企業の不当独占並びに政府の大企業偏重の政策にあるのであります。従って、これを是正し、中小企業に大企業と対等の地位を確保するための基本政策を明らかにすることが、中小企業基本法案の重要な課題であるにもかかわらず、この点について政府案はいたずらに産業構造の高度化、産業の国際的競争力の強化を強調するのみで、大企業の不当な独占を排除する明確な方針を示していないのはまことに遺憾であります。そればかりではありません。中小企業者の努力を法文にわざわざうたって、相互の過当競争防止にその焦点をそらしているのであります。今日、中小企業は生きるか死ぬかの努力をいたしているのであります。その努力が報いられていないのは、中小企業者の罪ではありません。ゆがめられた政府の施策にこそ根本の原因があるのであります。この点について政府の所信を承りたいと存じます。
 次に、本法案全体にわたる問題として指摘したいことは、基本法の名に値しないきわめて抽象的宣言規定にすぎないということでございます。従って、具体的な施策の説明がなければ、一体この基本法が現実にどう中小企業者のためになるのか、全く不明であります。この観点から、以下数点について具体的な施策を承りたいと存じます。
 その第一は、私は、第四十回国会に提案された自由民主党案に対しましても、基本法案にふさわしくない、内容の乏しい、全く参議院選挙対策法案なることを指摘しました。このたびの政府案は、条項こそ自民党案より加条されているとは申しながら、その内容に目を向けてみますと、重要な点が削除されておりまして、むしろ後退しているのであります。ことに見のがすことのできないのは、資本力が弱く、自己の努力によって立ち上がることが困難なる零細企業の切り捨てが用意されているということであります。従って、中小企業諸団体が、これは中小企業者のための振興法ではない、中小企業の整理法であり、首切り法案であると非難いたしておりますのは、けだし当然であると申し上げなければなりません。具体的に指摘いたしますと、日本経済の中にある慢性的病根を政府みずからの責任によって根治させようという取り組みがなく、先ほども指摘しましたように、中小企業者に対し、みずからの努力を訓示し、過度の競争は、単に中小企業の組織を整備することによって防止するというがごとき、全く政府の責任を回避しようとする態度であります。ことに、大企業偏前政策の陰に苦しみ続けている中小企業者が、基本法制定に対して大きな期待を持っておりましたのは、中小企業省の設置、中小企業調整委員会の組織による中小企業者と大規模事業者あるいはその他の諸団体の商行為との間に生ずる紛争の調整を早急に確立することにあったのであります。政府案にこうした政策が取り入れられなかったことは、中小企業者の期待を裏切るだけでなく、中小企業政策上の重要問題よりの逃避であります。これらの点に対し、この際総理の考え方を明らかにしていただきたいのであります。なお、同時に社会党案の考え方も伺っておきたいと存じます。
 第二にお尋ねしたいのは、中小企業の範囲拡大に対する考え方についてであります。
 本法律案は、中小企業の範囲を一挙に五千万円に拡大されましたが、これはどのような見解によるものでありましょうか。また、社会党案は、常時使用する従業員の数が三百人以下のものであり、かつ、会社にあっては、資本の額または出資の総額が三千万円以下と定義いたしまして、資本金と従業員の数と二つのしぼりがかかっているのであります。政府案は、常時使用する従業員が三百人以下であれば、資本金は五千万円以上、一億円であっても、中小企業者の範疇に入るのか、この点についての見解をお聞かせ願いたいと存じます。
 従来、政府の中小企業政策は、上位の中小企業に施策の重点が置かれ、小規模企業、なかんずく零細企業には恩恵がほとんど及んでいないため、きわめて困窮した生活状態にあるのであります。政府案は、小規模企業に対して触れてはおりますけれども、どのようにして自立させようとするのか、その道筋を明らかにいたしておりません。きわめてあいまいな表現をもって粉飾いたしておるにすぎないのであります。一方、中規模企業に対しましては、小規模企業対策と全く対照的に、企業資本の充実をはかるために、中小企業投資機関の整備、租税負担の適正化など、必要な施策を講ずることを明記し、具体的には、政府出資による投資育成会社を設置して、これら中企業が株式第二市場に上場し得る資本金一億円以上の会社になるまでめんどうを見てやる、さらに租税特別措置法の適用による特別償却減税による資本の充実など、全く至れり尽くせりの施策を講ぜんとしているのであります。大多数の小規模企業の育成にこそ重点を置くべきにもかかわらず、少数の中規模企業の強化にのみ資するという、不均衡にして不合理な本法案は、国民ひとしく了解し得ないところであろうと存じます。総理並びに通産大臣の答弁、さらに、社会党案の勤労事業に対しましては、先ほど御説明がありましたが、いま少しく見解を承っておきたいと思います。
 第三に、企業規模の適正化について伺います。
 企業の合併、共同出資などを奨励し、これについて金融、税制面で優遇措置を講ずる、特に特定業種については、政府が適正規模を定めこれを公表することとしているようでありますが、これは相当に強制的色彩が濃いようであります。極端に言えば、官僚統制色を濃厚に打ち出したものと見られるようであります。問題は、政府の方針に乗り得るものだけが優遇され、乗り得ないものは取り残されることになる。このことを端的に指摘しますならば、大企業の利益を守るために、企業規模の適正化の名のもとに、中堅企業を育て上げ、大企業の利潤だけを確保する、それとともにそれら少数の中堅企業だけの自立をはかってやる、しかし、足手まといとして零細企業の大多数を切り捨て、労働市場に投入して低賃金のとりでにしようという意図が露骨に感じられるのでありますが、この点いかがでありましょう、明瞭にお答え願いたいのであります。農業基本法で構想された百万戸の自立経営農家の育成、六割農民切り捨ての思想と全く同じであると思うのであります。日ごろ日の当たらない不遇な条件のもとに、国民経済の発展と国民生活の安定に貢献してこられたこれら企業の従事者に報いるには、それが資本主義の持つ矛盾とは申しながら、あまりにも冷酷な措置であると申さざるを得ないのであります。排除する企業に対していかなる具体策を講じようとしておられるのか、総理大臣より責任ある答弁を求めたいのであります。また、深刻な雇用問題が予想されるが、労働大臣の見解をも承っておきたいと存じます。
 第四に、産業構造上の中小企業の確立についてお伺いいたします。
 わが国経済において中小企業の占める地位は、就業人口、生産額、流通機構のうちにあって、その大部分にわたり産業構造上重要な役割を果たしているのであります。特に第二次加工産業におけろ中小企業のウエートはきわめて高いのでありますが、近年これらの分野にも大企業の進出がきわめて著しいのであります。このため、中小企業にあってはおのずと過度の競争が発生しているのであります。かてて加えて、大企業への集中融資、中小企業には系列融資、選別融資の強化、貸出金利の引き上げ、歩積み、再建などの拘束預金の増大など、中小企業の自主独立の健全なる経営を困難たらしめているととは、ここに私があらためて指摘するまでもありません。とのような立場に置かれている中小企業の経営の安定をはかるためには、資本の充実、労働力の確保、取引市場の秩序ある中小企業の事業分野を確保し、大企業の進出を規制すること以外には私は断じてないと思うのであります。第四十回国会に提出された自民党案には、これについて抽象的ではあるが一応触れていたのでありますが、今回の政府案では、それがさらに大きく後退し、このような中小企業に関する基本問題さえも回避するに至ったのは、大企業の利益擁護を施策の中心とする政府・自民党の本質とは申しながら、中小企業の期待を裏切ることまことにはなはだしいといわなければなりません。(拍手)先進諸国にも中小企業はあります。しかし、そこでは中小企業問題は存在しないといわれているように、中小企業は、大企業のそれに劣らない、高い賃金と生産性を実現し得る、合理的な活動分野が確保されているのであります。との際、総理は、中小企業の事業分野を確保する問題について明確にお答え願いたいのであります。
 最後にお尋ねしたいことは、商業政策についてであります。
 従来の中小企業政策は、むしろ中小工業政策ともいうべきものでありまして、とかく工業に偏し、商業政策は欠除していたのであります。このため、今日流通秩序は混乱し、百貨店、スーパーマーケットなど大資本の不当進出、メーカー、卸業者の小売部門への進出などによって、一般小売商業者はその生存まで脅かされて、今や社会問題化しつつあるのであります。しかるに政府の基本法案は、この重要な流通秩序を適正に確立する問題について明確に示していないのであります。現行百貨店法、小売商業調整法が、今日のスーパーマーケットなど大資本の進出に対し、全く無力である現状を直視し、基本法の中で商業政策に関し明確な基本方針を示すべきであると私は思うのであります。この際、政府の商業政策についての基本的な考え方を示していただきたいのであります。
 私は、以上、限られた時間のうちに、不十分でありましたが、政府提出案の問題点を指摘して参りました。中小企業の問題は古くて新しい問題であるともいわれます。また、中小企業に対しては、その場その場の対策はあるけれども政策はないという痛烈な指摘をも、池田総理並びに政府閣僚、自民党は耳にいたしておると存ずるのであります。しかし、このたび提出されております中小企業基本法案をもちましては、断じて中小企業の発展、大企業と中小企業との生活水準を同じくするということは、とうてい期待できないのであります。(拍手)
 以上、私が指摘いたしました数点に対し、池田総理並びに福田通産大臣、あるいは労働大臣、さらに社会党代表の誠意ある答弁を要求いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 第四十回国会に提案しなかったのは、まだ政府が中小企業基本法自体、並びに関係法令につきましての結論が出なかったからでございます。しこうして今回は中小企業基本法案、並びに協同組合あるいは商工組合その他の関係法案の改正をいたしまして、万全の措置をとり得ることになりましたので提案いたしたのであります。そして、どうもお話を聞いてみますと、中小企業と大企業とは相反目し、敵対のような関係にある先入主を持っておられるのじゃございますまいか。日本の経済というのは、大企業も中小企業もお互いに協力し合ってこそ、各界のあれがあるのであります。私は労働問題における、いわゆる階級闘争、こういう関係で大企業と中小企業をお考えになったならば、中小企業は大へん迷惑すると思います。経済は一体となっていくことを前提にお考えいただいたならば、御質問のその他の点もほとんど解決つくと思うのであります。われわれは、上位の中小企業を助けるということもさることながら、それ以上に小規模業者に対しまして、こまかな注意をいたしておるのであります。具体的の問題につきましては各省大臣よりお答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 この法案の中になぜ組織法を入れなかったかということでございますが、これは商工組合とか、協同組合等の諸種の法案がございます。そしてその法案においてそれぞれ今後なすべきことをいたして参る、改正すべきものは改正するというような措置をとれば、それでよいと考えましたので、特にこれは入れておりません、しかし、決して組織の問題を軽視しておるわけではないのであります。
 次に、二重構造の解消の問題に関連いたしまして、内閣の政策によってこういうような中小企業が非常に悪影響を受けておるようなお話でございますが、私たちは、日本経済が急速に発展をしていく段階においてどうしてもひずみができる問題もある、そのひずみを是正していくことが中小企業問題の一つの大きな解決点である、こういう観点からこの問題を見ておるのであります。
 次にまた、中小企業の切り捨てということをよく仰せになりますが、われわれは、国民全体に対して政策をやっていくという考え方に基づいて政治をやっておるのでございまして、断じて、中小企業を切り捨てるとか、あるいはまた、零細企業だからほうっておくというような考え方はございません。法案の趣旨にもこれは明らかに示されておるところでございます。
 また、中小企業の範囲については、私が先ほども申し上げました通り、五千万円または三百人としておりますから、社会党の案とは相違しておりますが、経済の規模が拡大するに従って、だんだんと中小企業というものの定義も変わっていくのだと私は思うのでございます。こういう意味合いにおいて、現段階においては、私たちは、われわれが提案しておりますところの規模が最も適当であると考えておるものでございます。
 次に、小企業につき、また零細企業について何ら考慮が払われてないということを仰せになりますが、今回の法案は七章をもって編成されておりますけれども、その第四章におきまして、その一章をさいて「小規模企業」いわゆる零細企業に対する条文をちゃんと入れておるわけでございまして、私たちは、決してこれを軽視するような法案を提出はいたしておりません。(「一章と言ったって一条しかない」と呼ぶ者あり)一カ条でもけっこうであります。明瞭に書いてあればいいのでございまして、一カ条だからいけないとか、二カ条書いてあればいいとかというものではないだろうと私は思うのであります。
 さらにまた、規模の適正化の問題でございますが、規模の適正化ということにつきまして、これを公表するということにすると、どういうものはこれくらいがいいんだということにするというと、それは切り捨てになるではないかということを御心配のようでございますが、しかし、中小企業に対して、その事業に対してどれだけの需要があるか、そしてその需要を満たすにはどれくらいの生産をしたらいいか、また、それに従事しておるところの人たちはどれだけおるかというようなことを明らかにすることによって、中小企業者が自発的に自分の企業をどうしていったらいいかということを考えつくわけであり、それによって中小企業が今後大いに発展し得る余地があるのでありますから、そういうものを発表したらいかぬというのは、これはどういう御趣旨で御質問があったか、いささか解しかねることでございます。
 次に、中小企業の分野の確保でございますが、御承知のように、中小企業と大企業との関係は、すでに総理からもお答えがございましたが、私をしてもう一つ補完させていただきますならば、中小企業のうちには、大企業と全然関係のないものもございます。一部分が競合しておるものもございます。そして全部が競合する関係にあるものと、この三つに分けて考えてみたらいいと思うのであります。しからば、その前の、関係のないものについては、それ相応の適当なる措置をとればよろしい、一部関係についてはこれに応じて考えるのでありますが、御質問の趣旨は、全面関係にあるものにおいて大いにしわ寄せが下請にきやしないかというお考えかと思うのでございますけれども、私たちは、そういう問題につきましても、例の下請企業に関する問題等々を通じて、今後大いにそういう関係も調整するような意味において、この法案が制定されておるということを御理解願いたいと思うのであります。
 欧米の例を引いてお話がございましたが、すべて経済はその国その国特有の実情があるのでございまして、自然的環境が相違しておることを無視して政策を論ずるわけにはいかないかと存ずるのでございます。
 なお、商業政策に関しましては、すでに私たちは非常に重視しておりまして、第十四条において特に商業政策の問題を取り上げておりますので、この点は委員会等において十分、一つ御説明をさしていただきたいと存ずるのであります。(拍手)
  〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) ただいまの御質問は、この法案の実施によって零細企業の切り捨てが行なわれて離職者が出るのではないかという御質問でございましたが、ただいま通産大臣からお答えを申し上げましたごとく、内閣提出の中小企業基本法案というものは、さような切り捨てをねらったものではございません。政府といたしましては、この法案の実施に際しましては、第十六条に「中小企業における労働関係の適正化及び従業員の福祉の向上を図るため必要な施策を講ずるとともに、中小企業に必要な労働力の確保を図るため、職業訓練及び職業紹介の事業の充実等必要な施策を講ずるものとする。」、かように規定いたしてあるのでございまして、この趣旨に従いまして労働政策の充実を期したいと思っております。(拍手)
  〔田中武夫君登壇〕
○田中武夫君 中村君の私に対する御質問は二点だったと思います。
 その第一点は、中小企業者と大規模事業君との間における紛争の調整についてどのように規定しておるか、こういう点であったと思います。この点が実は政府案と大いに遭う一つであります。政府はただいま中小企業基本法を提出いたしておりまするが、先ほど中村君御指摘のように、中小企業の組織をどうするか、そういうことには全然触れていない。従って、現在の中小企業の各組織法の上に立っていると思うのです。そうするならば、組合に交渉権を与えておりまするが、その交渉が成立しなくて紛争になったときどうするのか、何ら規定がありません。従って、これはしり切れトンボの規定でございます。
 そこでわれわれは、特に第八章に、「中小企業者と大規模事業者等との間の紛争の調整」という項を設けまして、そこに詳しくあげておりますが、一ロに申し上げますならば、労働争議に労働委員会があるように、中小企業と大企業、あるいは中小企業間等において紛争があるときに、これをあっせん、調停、裁定するために、ちょうど労働争議における労働委員会と同じような独立した行政委員会である中小企業調整委員会を設けまして、そこで、先ほど申しましたように、あっせん、調停そして裁定までやる、どういうようにいたしまして、中小企業団体の交渉権をほんとうに実のあるものとして守っていくことを考えておるのであります。
 この際、一言誤解を解くために申し上げておきますが、わが党案六十三条の第四号には、「一般消費者に対する販売事業に関し」云々と規定いたしております。これはいつも問題になりますところの生協、農協等の員外活動、それらがそれぞれの法律によって定められた活動を規制するということを考えていない、これが一般消費という言葉で表わしていることを御了解願いたいと思います。
 次に、零細企業についてでありますが、わが党案の九条第二項を見ていただきますとわかりますように、中小企業の中でも比較的大きないわゆる企業性の強いところと、その店主あるいは経営者が若干の従業員とともにまっ黒になって前かけをかけ、手に汗をして働いておる企業、これを区別いたしまして、製造業にありましてはおおむね十人を常時使用するもの、かつ、資本の額が百万円、商業、サービス業にありましては、従業員の数はおおむね三人、こういうように区別いたしまして、さらに中小企業、すなわち、わが党でいうところの勤労事業者のために一章を設けて、特別な規定をいたしており、きめこまかな策を立てております。先ほど総理並びに通産大臣が、特に政府案でも、小規模事業について配意をいたしておるような御答弁がございましたが、御承知のように、二十三条にただ一条だけ、中小企業すなわちそのうちの小規模事業について定義を下しておるだけであります。従って、この零細企業、わが党いうところの勤労事業に対して、わが党がこまかに規定をし、たとえば金融の面におきしましても比較的大きなところに持っていかれないように、勤労事業のための別ワクを、税制を立てたい、そういった考え方でおることを御了解願いたいと思います。
 以上をもって、御答弁を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 次に、井堀繁男君一
  〔井堀繁男君登壇〕
○井堀繁男君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました中小企業基本法について、政府案並びに社会党案、両案に対しまして質問をいたさんとするものであります。
 わが民主社会党は、昨年の六月にわが国初めての中小企業基本法の起草をいたしまして公表をいたしましたところ、その後社会党案、自民党案、そして今日政府案が、相次いで提出されるに至ったのであります。まことに御同慶にたえない次第でございます。(拍手)
 わが党案はすでに参議院を通じまして提案済みでありますが、私は、との立場から総理並びに関係閣僚、社会党に御質問を申し上げたいと存じます。
 まず総理に、政府案の基本理念について二、三お尋ねをいたしたいと思います。
 政府案の前文に、企業間に生産性などの著しい格差が存在することを認めまして、続いて、これが中小企業の経営の安定と従業員の生活水準の向上に大きな制約となりつつあると、きわめて率直に中小企業の窮状を確認いたしておるのであります。この点では、わが党も全く同じ認識を持つのであります。そこで、この中小企業の存在条件をこのように不利に陥れておりまする原因それ自身が問題であるのでありまして、その原因は言うまでもなく、歴代内閣がとり来たりました大企業本位の経済政策が、企業間の格差を著しく増大しつつあるとともに、中小企業の安定的発展を阻害しているのでありまして、そのもとに従業しておりまする従業員の多くは、生活向上に非常な圧迫をこうむることとなっておるのであります。特に、池田内閣が所得倍増政策を推進するようになりましてから、大企業の設備投資競争が激しくなり、それがこの格差をますます増大する結果になっておるのでありまして、この決定的な原因について、私どもは断固として究明をしなければならぬと思うのであります。この点に対する総理大臣の所見をまず伺っておきたいと思います。
 第二の問題は、政府は本案を通じまして、中小企業助成を唱えておるのでありまするけれども、他方では、すでに新聞紙上でも喧伝されておりまするように、国際競争力強化法をこの際提案なされようとしておるようでありますが、もし、このような特定業者のための大幅な国家の助成を施策とする法案が提案されるといたしまするならば、中小企業の保護をいたしまする一つの防壁になっておりまする独占禁止法に対する問題が発生するのであります。すなわち、独占禁止法の適用を除外してこれらの特殊業者を保護いたしますことは、結果において中小企業に対する圧迫となってくることは必然であります。私は、この機会に独占禁止法の厳守を希望するものでありまするが、総理大臣はこの点に対していかなる見解を持っておいでになるか。また、いわゆる国際競争力強化法について、御提案をなされる御意思がおありになるかどうかを伺っておきたいと思います。
 第三は、わが国の中小企業者のうちで約九〇%を占めまする者が、いわゆる小規模企業者であります。従いまして、この基本法は、小規模企業者の保護に重点が置かれなければならないのでありまして、こういう立場から、政府提案をされておりまする本案はもちろん、これに関係をいたしまする法案を検討いたしますると、中小企業基本法の中で、小規模企業に対する配慮というものは全くないと言っていい状態であるのであります。私は、政府案の前文で、特に小規模企業に対し適切な配慮を加えると述べて、第四章第二十三条におきまして、これら小規模企業に対し、法の規定する国の施策を講ずるにあたっては、特に必要な考慮を払うと規定しているのでありますが、本法の関連法規を拝見いたしますると、その五法案のいずれも、中規模以上の企業に対象が置かれまして、小規模企業に対する政策は一つだに見ることができないのであります。であるといたしますと、世にいう羊頭を掲げて狗肉を売る、その結果をわれわれはおそれるのであります。政府は何ゆえに小規模企業のための法案を用意いたさなかったのであるかについて伺ってみたいと思うのであります。
 わが党の調査で申し上げますると、関連法案並びに関係いたしまする行政措置は、少なくとも六十四項目程度を必要とすると考えております。政府は、本法案の実施にあたりまして、必要なる関係法案並びに関連施策について、この機会に全貌を明らかにする義務があると思うのでありますが、その用意があるかどうかを伺っておきたいと思うのであります。
 第五は、政府案はその前文の中において、業者の自主的努力を助長するとあるのでありまするが、肝心の中小企業の組織について、何らの規定も設けられていないのであります。この点は、わが党案と比べましていかにも納得しがたい点でありまして、少なくとも中小企業者の協業のための基本組織というものは、一業種ごとに全国単一の同業組合を結集することが最も望ましいと思うのでありますが、この点に対する政府の見解を伺っておきたいと思います。
 第六は、生産及び取引面における中小企業者と大企業者との調整措置であります。それから中小企業者に対する優先融資の問題、そして中小企業の産業分野を確保する、この三つの点について政府案は全く触れていないのでありまして、これは申し上げるまでもなく、中小企業政策の三本の親柱であるというべきであります。こういう点について私は特にこの機会にお尋ねをいたしたいのは、かつて自民党案として提案をされました中には、本日閣僚の地位にありまする田中、福田、両氏もそれに記名をいたしておりますことは申すまでもありません。しかるに、この自民党案の第三条と第十二条三項で、前述の二項目の問題に言及をいたしておるのであります。これを政府案では全く削りとっておるのであります。私は、この辺のいきさつは不可思議にたえないのでありまして、この点に対する経過を伺っておきたいと思います。
 第七は、小規模企業に対する対策でありまするが、これは特に問題でありまする健康保険、失業保険あるいは労災、厚生年金などの社会保険の完全適用が喫緊な問題になっておると思うのでありますが、そのために、政府は、保険会計に特別の補助措置を講ずるなどによりまして、これが実施に入るべきではないかと思うのでありますが、この点に対する政府の御用意を伺っておきたいと思います。同じく小規模企業者の税負担も不合理でありますが、この不合理を是正してその負担の軽減をはかりますためには、どうしても所得税並びに事業税による圧迫を排除しなければならぬと思うのでありますが、そのために小規模企業税法といったようなものをこの機会に確立なされる用意がないか、伺っておきたいと思います。
 次は、中小企業政策の中で今日最も重要な地位を占めつつありますものに、労働対策を取り上げなければならぬと思うのであります。政府案によりますと、労働力の供給の不足は、中小企業の経済的社会的存立の基盤を大きく変化させようとしていると規定しておるのでありますが、こういう規定がなされておるにもかかわらず、具体的には何一つ見ることができません。わが党は、特にこの点を重視いたしまして、労働力の確保をいたしまするための積極措置はもちろん、労働諸条件の改善向上につきまして特段の意を払い、十分の施策を講ずることといたしておるのであります。
 そこで、政府に具体的な点をお伺いいたしまするが、本法実施にあたりまして、次の諸点について具体的方針をお尋ねいたしておきたいと思います。
 その一つは、業者間協定を主軸といたしまする現行最低賃金法は、すでに行き詰まっておるのでありまして、これを改正いたしまして、最低賃金審議会による最低賃金の決定を促進すべきではないかと思うのでありまするが、この点に対する所見を伺っておきたいと思います。
 二は、中小企業の共同の福祉施設を国が積極的に特別の助成措置を講じてその強化をはかるべき時期にあると思いまするが、政府の考えはいかがでありましょうか。
 三は、国は、中小企業従業員の技術の修得とその素質の向上をはかりますための特別の教育訓練について措置を講ずる必要に迫られると思うのでありますが、この点に対する御用意はいかがでありましょう。
 四は、この問題ときわめて深い関連を持ちまするものに、家内労働者の問題が取り上げられなければなりません。家内労働に対する特別の保護立法というものが当然用意されなければならぬと思うのでありまするが、この点に対する政府の見解を伺っておきたいと思います。
 最後に、中小企業の安定と振興を確保いたしまするためには、以上のように国内法の充実をはかりまするとともに、国際経済に対する十分の措置がなされなければならぬと思うのであります。申し上げるまでもなく、国際経済の現状というものは、大きく日本の経済に圧力を加えることは当然であります。そこでわが党は、単に国内的な対策を立てるのみではなく、万全を期そうとするならば、この国際的な情勢にこたえる対策が必要であると思うのであります。特に、眼前に展開されておりまするアメリカ巨大資本が日本のスーパーマーケットに対する大きな資本の導入を意図しておる点であります。非常な脅威を中小商工業者に及ぼしておりますことは申すまでもありません。
 さらに、最近の米政府の綿製品輸入規制問題については、どうしても一言言及し、お伺いをしなければならぬ問題であります。昨日米国大使が、綿製品輸入規制に関して行ないました申し入れば、わが国綿製品が米国市場を撹乱したとの理由に基づくものであって、米国のかかる判定はきわめてわれわれは不当なものであると思うのでありますが、もし、これが実施されるようになりまするならば、従来の中小企業の対米輸出実績に対しまして大打撃を与えることは火を見るよりも明らかであります。われわれは、この事実を断じて容認することはできません。のみならず、これに対する政府の適切な対策をぜひ要求いたしたいと思うのであります。われわれは、かかる米国側の態度は、日米関係に重大な影響をもたらしますことを深く憂慮いたしますとともに、この際、政府は、中小企業保護の立場から、米政府に対して、かかる規制を撤回するよう申し入れを行なうべきであると思うのでありますが、この点に対して特に総理大臣の決意を伺っておきたいと存ずる次第であります。
 最後に、社会党案について一言お伺いをいたしたいと思います。社会党案は、申し上げるまでもなく、故人となりました水谷長三郎先生の主宰して立案いたしました政策を骨子として起草されたものであると存じまするが、この点ではわが党案に多くの類似点を持っておりまするので、多くお尋ねする要はないかと思いますが、ただ一点だけお伺いをしてみたいと思いまするのは、社会党案の中での組織の問題であります。
 社会党案は、第二章に、組織規定を明らかにし、関連法規として中小企業組織法案を通じて、協同組合を基本組織とする組織を提起いたしておるのであります。これは協同組合を中心にして調整事業を行なわせよとしておるのでありますが、言うまでもなく、この協同組合法の持つ本質は、脱退、加盟自由の原則を貫いておるのでありまするから、アウトサイダーなとに対する調整というものは、全く無力なものであるのであります。私どもは、このような協同組合を基本とする組織では、今日の中小企業の保護組織とはなり得ない、中小企業の協業的な力を育成することにはなり得ないと思うのでありまするが、この点に対する社会党の見解を伺っておきたいと思います。
 私は質問を終わりまするにあたりまして、本法案が真に中小企業のための基本的な保護法案となりまするよう、また、日本のガンになっておりまする経済の二重構造が解消されまして、日本経済の発展に寄与できまするようなりっぱな法案として成長することをこいねがいながら、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 私に対する御質問の点は三つあったと思います。まず第一は、所得格差と生産性の格差の問題でございます。私は、所得倍増計画によりまして所得格差が拡大したというお説には賛成できません。所得格差の一つの現われとして大企業と中小企業、ことに小企業の従事者、労働者の貸金格差は非常に縮小してきておるのであります。だから私は、所得格差が所得倍増によって広がったということは統計をしいるものでありまして、数字を誤るものだと思います。(拍手)
 なお、生産性の格差ということになりますると、私は今の産業形態から申しまして、中小企業は経済的、社会的制約があります。すなわち、規模が過小のために生産性が上がらない、こういうことがあるのであります。従いまして、生産性の向上のためには、われわれは中小企業基本法を設けてその生産性の向上をはかる。すなわち、それには、体質の改善と事業活動の環境の整備、こういうことを主題として中小企業の発展を企図いたしておるのであります。
 御質問の第二点は、最近新聞に出ておりまする国際競争力強化についての御質問でございます。御承知の通り、貿易の自由化、関税の一括引き下げは世界の大勢になっておるのであります。今、日本の独占禁止法は、民主的経済秩序のあり方を規定する基本法でございますが、われわれはこれをあくまでも尊重はいたします。しかし、敗戦後に起きた、しかも鎖国経済の日本において、国内での独占禁止法だけにたよっておったのでは、世界の市場で活躍しようとする日本の経済は、これは手かせ、足かせをつけられたと同じようになってくるでしょう。あくまでわれわれは、民主主義の秩序を保ち、経済機構を保っていかなければなりませんが、日本が世界の市場に雄飛するためには、その時代に沿った独禁法の解釈をつけなければだめであるのであります。(拍手)私は、こういう意味におきまして、従来の封鎖的な経済のあり方を世界的経済に持っていくために、独禁法を改める必要がありやいなや、また改めなくても、こういう経済環境が違ったのだから、今の独禁法の解釈でできるかどうか、これを検討しておるのでございます。あくまで私は、日本の経済が発展し、国民全体がよくなることを主題に入れて考えなければなりません。われわれは、日本の経済の高度成長、りっぱな国民生活が行政の目的でございまして、独禁法を守る、守らぬというのはその手段の一つにすぎないということをはっきり申し上げておきます。
 なお、綿製品に対しまする米国との関係につきましては、ただいま米国の主張、われわれの主張を検討中でございまして、十分米国政府の考え方を知った上に、われわれは信ずるところによって進んで参りたいと思います。いたずらに米国の通報がこうあったからというので驚いて、そうして向こうの考え方を十分納得せずに、研究せずにじたばたすることはやめたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 国際競争の強化法案については、今総理からお答えがございました。
 小規模企業については、先ほど社会党の御質問に対しましてお答えいたしたつもりでございます。なお、組織について規定してないということについても、先ほど申し上げましたので御了承を願いたいと存じます。
 今後出す法案の内容について御質問でございますが、これはここで明らかにさしていただきます。中小企業近代化促進法、中小企業高度化資金融通特別会計法、中小企業振興資金等助成法、中小企業指導法、中小企業信用保険法、中小企業信用保険公庫法の改正、中小企業投資育成株式会社法並びに中小企業庁設置法の改正でございます。
 次に、経営の改善、技術の指導、職業の訓練、共同福利厚生施設等について注意しなければならないという御質問でございますが、これは基本法の中にいずれもうたってございますので、御了承を願いたいと思います。
 なお、国際経済に関連いたしまして、スーパーマーケットのお話が出ましたが、米国からの大企業の進出があっては、それが非常な影響をこうむるであろうというお話でございます。確かにそういうような徴候もございましたので、通産省といたしましては大阪に人を派して、二社五綿等のいわゆる大商社を中心にいたしまして調査をいたしました結果、今日ではただ一つだけそういうような話がありますが、しかし、これも日本の小売業者に金を貸して、そうしてその小売業者がスーパーマーケットを営んだ場合に、その小売業者に品物を買ってもらう、こういうような組織の程度のものであるようであります。従いまして、今のところそれほど大きなことにはなっておりませんが、しかしながら、スーパーマーケットの問題は、これは十分研究をいたしておかなければなりません。また、その場合々々に応じた政治あるいは行政指導をいたさねばなりませんので、これらについては慎重に対策を講じて参るつもりであります。(拍手)
  〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) 失業保険、労災保険につきましては、五入未満の事業所につきましてもできるだけ加入を促進し、将来強制適用を行ない得る基盤を醸成するようにいたします。
 次に、最低賃金制につきましては、現在普及拡大計画を進めておりますが、法施行上の問題点を拾い上げ、漸次改善していきたいと思います。また、御指摘の最低賃金決定方式の問題でございますが、この問題をも含めまして、今後の運用の基本方針を検討するため、目下中央最低賃金審議会で審議をお願いいたしております。
 中小企業の福祉施設につきましては、資金の融通について現に実施中でございますが、そのほかの方途をも含めまして今後広く検討いたしたいと思います。
 また、中小企業における職業訓練につきましては、政府としても事業内職業訓練について、中小企業者が共同訓練団体を組織して職業訓練を行なう場合に補助を行なっております。また、職業訓練施設設置に対する補助をも行なっておりますし、今後雇用促進融資の一環として、職業訓練施設融資制度を設けることにいたしております。このように政府としても、できる限り特別の助成措置を講じてきたのでありますが、この上とも努力を続けたいと思います。
 最後に、家内労働の問題でございますが、家内労働法の制定の問題をも含めまして、真に実効ある総合対策を樹立したいと思いまして、目下これらの学識経験のある方々に御検討をお願いしておるところでございます。
 また、最低賃金に基づく最低工賃の問題が家内労働にあるわけでございますが、これにつきましては、中央最低賃金審議会の結論を待ちたいと存じます。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 井堀さんの政府に対する質問中、私がお答えすべきことは、小規模企業対策として小規模企業税法の確立が必要ではないかという一点であったと存じます。
 所得の種類、所得の大きさの異なるごとに、特別の税法を設けて課税を行なう必要はなく、また適当でもないという考えを持っております。また、政策的に小規模企業優遇の措置を講ずる趣旨から、特別税法を設けようというようなお考えでございましたら、現行租税特別措置におきましても、中小企業、小規模事業等に対して適切な配慮が行なえるのでございますから、特別措置をとる必要もなく、現行法の運用等において実効を上げ得ると考えております。(拍手)
  〔田中武夫君登壇〕
○田中武夫君 井堀さんの私に対する御質問は組織についてでございます。井堀さんは、組合の調整行為、ことにアウトサイダーの規制については、協同組合よりか同業組合がいいじゃないか、こういうことでございますが、協同組合でなく同業組合で一本化しようというあなたの考え方からは当然であろうと思います。しかし、われわれも検討いたしましたが、中小企業がお互いに助け合ってともに発展していくためには、相互扶助を精神とする協同組合方式がいいのではないかと考えて、先ほど来申し上げておりますように、組織を協同組合方式一本に考えております。
 それでは調整行為についてどうか、こういうことでございますが、井堀さんもすでに御承知と思いますが、ともに出しております中小企業組織法の第二章第七節、事業活動の規制に関する命令、ここで調整行為、アウトサイダーその他について規定をいたしております。
 なお、下請企業等につきましては、ちょうど労働組合法に第十八条で、労働協約の地域的一般的拘束力という規定があります。これと同じような考えを持ってきまして、下請企業の四分の三以上が入ってつくった協同組合が、親企業との間に団体協約を結んだ場合には、入っていない四分の一にもその効力を及ぼす、こういった考え方のアウトサイダーの規制の方式、そういうことも考えておりますので、御了解をいただきたいと思います。
 なお、同業組合も協同組合という観念でおつくりになったらどうかと思うのですが、いかがなものでございましょうか。
 以上をもって、答弁を終わりたいと思います。(拍手)
○副議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 海運業の再建整備に関する臨時措置法案(内閣提出)及び外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法及び日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○副議長(原健三郎君) 次に、内閣提出、海運業の再建整備に関する臨時措置法案、及び、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法及び日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。運輸大臣綾部健太郎君。
  〔国務大臣綾部健太郎君登壇〕
○国務大臣(綾部健太郎君) 海運業の再建整備に関する臨時措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 海運業は、基幹産業として、わが国経済の発展にとってきわめて重要な役割をになうものでありますが、諸般の事情により多額の借入金及び償却不足を有し、その企業内容は極度に悪化しております。また、海運企業間には過当競争の傾向が見られ、現状のままでは、発展途上にある国民経済の要請に応じて外航船舶の増強をはかることは、きわめて困難な事情にあります。従って、この際、政府としては、海運業が将来にわたり国民経済におけるその使命を遂行し得るようその再建整備をはかることがぜひとも必要でありますので、これが対策につきまして、昨年の海運造船合理化審議会その他各界の意見をしんしゃくいたしまして、この法案を提出いたした次第であります。
 この法案の内容は、海運企業が一定の集約を行ない、五カ年以内に減価償却の不足を解消することが確実と認められ、かつ、市中金融機関の協力が得られるものに対し、日本開発銀行の利子を、五カ年間猶予することを骨子とするものでありまして、海運業界に対しては、徹底した合理化努力を要請するものであり、政府、金融機関、海運企業が三者一体となって、海運業の再建整備を促進することを考えているものであります。
 以上が、本法案の趣旨でございます。
 続いて、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法及び日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 わが国の経済及び貿易の拡大に即応して、今後とも外航船舶の増強をはかることが必要でありますが、海運企業の現状から、船舶の建造資金の大部分は日本開発銀行及び市中金融機関からの融資によらざるを得ないのであります。しかるにこれらの借入金の利率は、国際的に見て割高でありまして、わが国海運が国際競争力に劣る大きな要因となっておるのであります。
 このような事情にかんがみ、この際政府といたしましては、海運造船合理化審議会その他各界の意見をしんしゃくして、新船建造のための借入金に対する海運企業の利子負担を日本開発銀行からの融資については年四分、市中金融機関からの融資については年六分となるように利子補給率を引き上げるとともに、利子補給期間を日本開発銀行については十年、市中金融機関については七年に延長することにいたしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 海運業の再建整備に関する臨時措置法案(内閣提出)及び外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法及び日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○副議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して、質疑の通告があります。順次これを許します。岡田修一君。
  〔岡田修一君登壇〕
○岡田修一君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました海運業の再建整備に関する臨時措置法案、並びに、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法及び日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案に関し、若干の質問を行なわんとするものであります。(拍手)
 海運は、日本の国民性に最も適合した民族産業ともいうべきものであります。戦前におきましては、わが国は英国に次ぐ大海運国として、日本船舶は七洋に雄飛し、その得た外貨は、よく一般貿易の慢性的赤字をカバーして、真に日本経済の一大支柱をなしていたのであります。しかるに、敗戦によりまして保有船腹のほとんどすべてを失い、加えて、日本海運が再び立ち上がる唯一のよすがともいうべき喪失船舶に対する補償金が、当時の金額にして約二十五億円、現在の金にいたしまするならば六千億円以上のものが、日本海運の復活をおそれる連合国側の占領政策によりまして、その一切を打ち切られるという悲運にあったのであります。
 幸い、その後における官民必死の努力により、その船腹童は七百五十万総トンに達し、戦前保有量をはるかに凌駕するに至っております。しかし、海運企業の内容におきましては、現在まさに私企業として考え得る最悪の事態にまで立ち至っておるのであります。前述の補償打ち切りによりまして、膨大な海運再建資金のほとんどすべては、これを借入金にたよらざるを得なかった上に、その金利は、外国のそれに比しきわめて割高という、二軍の重い不利を背負わされて参りました。また、海運には、他の国内産業のように国内市場という温室で庇護される部面が一つもありません。自主経営を許された当初から、ほんとうのまる裸のままで熾烈な国際競争に突入してきたのであります。これを援護すべき政府の助成策も、また、かえって欧米諸国のそれがわが国に幾倍する手厚いという状況であります。
 かかる不利な条件のもとにあって、日本経済の伸長に応じ急速な船腹拡充を行なってきた日本海運が、現在のごとく体質悪化を来たしましたことは、必然のことといわざるを得ません。わが国海運企業のほとんどすべてが、戦後いまだ一回だに配当を行なうことなく今日に至り、現在金融機関への返済滞り金約八百億円、造船所への支払い滞り金約四百億円、普通償却未済額約八百億円というみじめな姿を示しておりまするのが日本海運の現実であります。
 海上輸送は、船型の大型化、船舶自動化の急速な進展によって、今やまさに革命的変革を遂げつつあり、国際海運競争はいよいよ熾烈化の一途をたどりつつあります。他面、日本経済の高度成長に伴い、船腹拡充の要請はますます強くなっております。瀕死の状態にある日本海運に対し、国際競争力の強化と船腹拡充のための起死回生的施策は一刻も猶予すべからざるところであります。(拍手)
 このときにあたり、政府がこの法案を提出し、日本海運再建のための抜本的方途を講ぜんとすることは、まことに時のよろしきを得た措置でありまして、ことに、この方策が、単に在来業者の救済に堕することなく、海運企業の合併集約、企業提携の強化による新しい経営体制の確立と、減資、財産処分等による徹底した経営合理化を前提として助成せんとしておることはきわめて意義深く、当を得たところであり、深く政府当局の明に対し敬意を表するものであります。(拍手)
 私は、本法案が一日もすみやかに成立に至ることを望むものでありますが、しかし、審議に先だち、次の諸点につき、政府の見解を明らかにしておきたいと考えるものであります。
 まず第一に、この海運再建整備法案のねらいとするところは、五十万重量トン以上の船腹を保有する船舶運航業者、いわゆるオペレーターを中核として、百万重量トン以上の船腹を運航するグループを結成せしめることにより、日本海運の秩序ある経営体制を確立せんとするものと考えるのであります。私は、その考え方に深く賛意を表するものであります。しかしながら、ただ漫然と形、姿を整えることだけでは、企業経営の中でも最もむずかしいといわれる海運業の根本的建て直しが期せられるとはとうてい考えられないのであります。漫然たる企業の合併集約は、ときとして日本海運全体の健全化に何ら貢献することなきのみならず、かえって各個の企業経営の非能率化、内容の低下等のマイナス面だけを招来するおそれなきにしもあらずと考えるのであります。今回の施策は、日本海運にとり明治維新にたとうべき一大革新であり、日本海運の根本的編成がえを行なわんとするものであります。従って、政府は、日本海運を急速に建て直すとともに、長き将来にわたりこれを健全に伸ばしていくためには、海運全体をいかなる形に整え、かつまた、各企業の合併集約の内容をいかなるものにすることが最も望ましいものであるかという政府自体の構想が打ち立てられねばならぬと思うのであります。もとより官僚独善、官僚的統制は避くべきでありますが、同時に、業者だけの考えのおもむくまま、金融機関の指示するままに放置して拱手傍観することもまた許されないと思うのであります。運輸大臣は、みずからの構想に基づき、業者、金融機関等の企業的立場、考え方と調和をとりつつ、日本海運にとり最も望ましい姿、内容の再編成を実現する重大なる責任を負っておられるのでありますが、この点に関する運輸大臣の所信のほどをお伺いいたしたいのであります。
 なお、私は、海運業者がこの法律の助成対象より漏れることは、その企業の死を意味するがために、無理な合併集約に追い込まれ、かえって企業内容が悪化するに至るものが生ずることをおそれるのであります。たとえば、現在のままにして推移するも、三年後には自立態勢に達し得ると考えられる企業が他企業と合併した結果、たとい手厚くなった国家助成を受けるに至っても、なお五年、六年と自立の時期がおくれるに至るものが生じないとは言えないのであります。政府は、合併集約にあたり、かかる不条理の生じないよう、法律の実施に十分な配慮を加うべきであると考えるのでありまするが、この点に関する運輸大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
 次に、海運企業の中には、本法案に規定する基準に適合せず、助成の対象となり得ないものが多数出てくるのであります。特に、オペレーターに対し自己保有の船舶を用船として提供している、いわゆるオーナーと称せられる船主は、その大部分が適用外になると考えられるのであります。もとより、本法は個々の業者の救済を策するものでないことは言うまでもありません。けれども、それらオーナーの保有する船舶のほとんどすべては、オペレーターの債務保証のもとに建造せられたものでありますので、万一オーナーが本法の適用外となり、ために破産に立ち至りまするときは、オペレーターは保証債務の履行により、それらオーナーの債務を引きかぶらざるを得なくなるのであります。しかも、その保証債務の総額は六百五十億円もの巨額に達しておりまして、もし、オペレーターがこれをひっかぶらざるを得ざるに至りまするときは、せっかくの今回の利子猶予の恩典も何ら残るものなき状態に立ち至るのであります。従いまして、本法律案の適用基準の解釈、運用については、できる限り弾力的に行ない、せっかくの本法案の効果をそとなわないようにすべきであると考えまするが、この点に関する運輸、大蔵両大臣の御所見を伺いたいのであります。
 次に、今回の海運再建方策におきましては、金利負担以外の日本海運の一大病根ともいうべき不経済船並びに高船価対策を欠除いたしておるのであります。近時、船舶の急速な大型化、専用船化によりまして、これまで経済船として建造せられてきた船舶が大量に不経済船化しつつあるのであります。これらの船舶は、朝鮮動乱時あるいはスエズ・ブーム時の造船船価のきわめて商い時期に建造せられた船舶とともに、日本海運のガン的存在となっておるのであります。従って、これら船舶に対する適切な措置を欠いては、真の日本海運の健全化は期しがたいのでありまするが、運輸大臣はこれに対しいかなる対策をお考えになっているか、お伺いいたしたいのであります。
 なお、政府部内において、これら船舶に対し、日本輸出入銀行を活用して延べ払い制度による海外売却を促進することが検討されておる由でありますが、まことに機宜の措置であります。東南アジア、中南米、その他世界の海運後進国にあっては、まだまだわが国が不用とみなしている船舶を必要とするところが多いと考えるのであります。しかしながら、それら地域はおおむね著しく外貨事情の悪い国々でありまするので、日本の中古船の大量売却を促進いたしますためには、思い切った延べ払い条件の供与、たとえば頭金一割、十年延べ払い等の条件を与えるか、あるいは後進国開発援助のためのクレジット設定、経済協力基金等による船舶売却を考慮すべきであると考えますが、この点に関する大蔵大臣初め関係大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
 次に、政府は、今回の施策により、その対象となる海運企業を、五年後にはすべて配当可能の状態にまで内容を改善しようとの意図であると思うのでありまするが、最近、日本の海運経常に幾つかの暗い影を投ずる事象が現われてきているのであります。その最も大なるものは、日本海運にとってドル箱航路ともいうべきニューヨーク航路を初めとするアメリカ関係の定期航路における盟外船の割り込みであります。それら航路は、いずれも日本海運業者が中心になって航路同盟を結成し、極力経営の安定に努めてきておるのでありまするが、近時、外国海運会社が盟外船として不当の低運賃をもって競争をいどんでおり、その勢いは急速に増しつつあるのであります。今これに対する適切な対策を講ずるにあらざれば、日本海運の経常改善はとうてい期し得ないのでありまするが、運輸大臣はこれに対しいかなる対策をお持ちになっておるか。また、この盟外船の割り込み現象は、米政府が、世界の海運慣習に反して、海運同盟の活動を不当に抑圧しておることに起因するところが大でありますので、政府は、この際、他の海運国と連携をとり、強力な外交的手段によって米政府の考え方を改めさせるべきであると考えまするが、運輸大臣、外務大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
 海運は、申すまでもなく、日本経済の最も重要な基幹産業でありまして、その消長隆替は、日本経済の伸長発展に至大の影響を及ぼすものであります。従いまして、現在のごとく疲弊こんぱいの極にある日本海運の建て直しのためには、海運業者の懸命の努力、政府の庇護のみならず、広くわが国経済界のすべてが、より強く積極的に協力支援をなすべきであると考えるのであります。わが国においても、米国のとっているシップ・アメリカンの政策ほど行き過ぎないにいたしましても、わが国経済界のすべての層が、「日本の貨物はまず日本船で」との考え方を、もっともっと強く持つような方策がとらるべきではないかと思うのであります。少なくとも、政府の買い付ける物資、あるいは政府の補助を受け、財政資金を使い、その他政府の特別の恩恵を受けておる企業には、日本船を優先的に利用せしむるよう、政府において特別の考慮あってしかるべしと考えまするが、これらの点に関し、池田総理のお考えをお伺いいたしたいと思うのであります。
 なおこの際、私は、池田総理に、日本海運育成について、いかなる基本的なお考えをお持ちになっておるか、あわせてお伺いいたしたいと思うのであります。
 最後に、私は、本法案のすみやかな成立と、さらに、目下本院で審議中の船舶職員法及び電波法の一部改正案の成立による海上労働の合理的配置の急速実現、並びに外国海運に比し重い負担となっておる船舶の固定資産税、登録税についての政府の思い切った軽減措置の実施等により、日本海運が真に民族産業たるにふさわしい、たくましい力を備えて、国際海運場裏に馳駆する日の近からんことを祈念いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 海運業に対しまする岡田君の御質問中、海運助成策につきましてのお考えは全く同感でございまして、日本のごとく四面海に囲まれ、しかも、バルキーの原材料を多数に輸入しなければならない国におきましては、輸送の安定と、貿易外国際収支の改善の上から、ぜひとも必要な助成策を講じなければならないのであります。日本経済の明治から大正、昭和にかけての発展は、お話のように、いわゆる海運業が民族産業である、経済の発展の基本であるという観念によって日本の経済が発展し、海運業が発展したのであります。戦後、御承知の通り、戦時補償打ち切り等の関係上、海運業の不振ということが日本の経済の一つの大きい欠陥であったのであります。われわれは、これを是正すべく多年にわたって努力したのでございまするが、今回ようやく業界の協力を得まして、五十万トンの所有、百万トンの用船という基準によって建て直しをしようとすることは、まことに時宜を得たものと私は考えておるのであります。従いまして、今後の日本の海運業発展のために、私は民間のこの上ともの協力を得まして、所期の目的を達していきたいと考えております。
 なお、邦船の積み取り、いわゆる日本の船を利用するということにつきましては、国際海運自由の原則がございますが、アメリカは御承知の通り、いろいろな法令でシップ・アメリカンをいっております。その事情はわかりますが、われわれとしては、あくまで国際海運自由の原則でアメリカにも要望しておる関係上、日本だけはやはりシップ・ジャパンというわけにもいきますまいが、しかし、そこはやはり政府の品物等につきましては、できるだけ邦船を利用するよう努力を今後も続けていきたいと考えて、おります。
 他の点につきましては、関係大臣より御答弁いたします。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 岡田さんにお答えいたします。
 第一問は、海運企業の再建整備について関係法律の運用にあたって思い切った弾力性を持たせないと、弱小オーナーを救えないという事実に対しての御質問でございましたが、オーナーの中には、御指摘の通りに現在のままでは経理内容の非常に悪い会社が相当にありますことは事実でありますが、これらの会社も、今回の措置によりまして、助成の前提となる体制を整備すれば、助成を受けることができるのでありますから、弱小オーナーだからといって助成の対象外になるというようなことにはならないわけであります。しかし、この助成措置は、あくまでも総花的にやるというのではなく、日本海運の将来のために海運業の抜本的な再建をはかろうというのでございますから、業者自体も政府の意のあるところを十分了解をしていただいて、これが再建に協力をしていただくということをお願いをしたいと考えるわけであります。
 それから、中古船を海外へ処分する際、輸銀を通じての延べ払い制度をやってはどうかということでありますが、中古船の延べ払いにつきましては、船価の相当額がすでに償却済みであるという事実もありますので、新規設備の延べ払い輸出とは異なっておりますが、お説のように、延べ払いが必要であるということは十分政府も了解いたします。御質問の通り、ケース・バイ・ケースで検討の上、適当と認められるものについては、延べ払い輸出を認めることにいたします。
 それから、この延べ払い輸出に対しては、頭金一〇%、十カ年というようなお話がございましたが、先ほど申し上げましたように、一〇%、十カ年延べ払いというようなことは少し緩和過ぎるような気もいたしますが、こういう問題につきましては、多少新規造船よりも頭金は多く、延べ払い期間は幾らか短くはいたさなければならないと思いますが、いずれにしても、お説のような処置をとりたいと考えます。
 それから、中古船の輸出に伴いまして、必要とされる資金につきましては、輸銀の融資の対象といたすように考慮をいたしたいと存じます。
  〔国務大臣綾部健太郎君登壇〕
○国務大臣(綾部健太郎君) お答え申し上げます。
 運輸省の海運の企業を集約化するのにはどの程度がいいか、また別に海運業者、金融業者にまかさずに、運輸省の方針を立てたらどうかという御質問のようであったのでありますが、私どもといたしましては、ややもすれば官僚統制その他いろいろな非難がありますので、私の考えといたしましては、海運業者が再建するために最もいい方法をとるように自主的にやらしてみたいと思っております。その案を権威者を持った少数の委員であるところの海運企業整備計画審議会に諮りまして、その計画でいいというものを重点的にやっていきまして、なるべく海運業それ自体の人の創意と工夫によりまして、また多年の経験によりまして、これが再建できるようなふうに指導していって、そしてそれに対してこの法案の趣旨に従って助成していきたいと考えております。
 それから弾力的に使用するという点その他につきましては、高船価につきましては、大蔵大臣が答弁されましたから、私もそれを大蔵大臣に強く要望いたすつもりでございます。
 それから盟外船の跳梁に対してどういう何があるかと言いますが、これは海運自体を強化していくことによって盟外船に対抗することができますからして、その方を一つ先にやっていきたい、かように考えております。
 またシップ・アメリカン、バイ・アメリカンにつきましては、一昨々年総理が外遊の際にも、米国当局に話をするし、またその後ホッジ国務長官が来たときにも外務省を通じ交渉いたし、また、昨年十月の経済会議でも強く要望し、それから十二月の第二回の日米経済会議でも外務大臣を通じて強く要望いたしました結果、アメリカには相当その思想がありますが、今日におきましてはだいぶんその思想が緩和されまして、順次好転しつつあるということを私は確信いたしております。
 以上、私に関するお答えを申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、アメリカの海上は、世界的に慣行化いたしておりまする海運同盟の盟外船に対する対抗手段の使用を制限または禁止いたしております。これはもとより国際慣行に違反しますので、国務省を通じまして、かかる立法の再検討方を再三交渉して参りました。一昨年の十月に成立いたしましたボナー法では、御承知のように、二重運賃制が認められましたが、しかし、依然としてかなりの制限がございまするし、国際的な海上運賃に対する米国政府の干渉を可能にする規定もあります。従いまして、御指摘のように、欧州各国と協力いたしまして、こういう事態の改善方に最善の努力をいたしたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 久保三郎君。
  〔久保三郎君登壇〕
○久保三郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案説明がありました海運関係二法案に関し、総理並びに関係大臣にお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 わが国海運が、戦後壊滅にひとしい中から戦前をしのぐ船腹を保有するに至り、今や世界第五位の海運国にまで伸長しながらも、業績不振ははなはだしく、多額の償却不足と約定延滞額をかかえ、先行きさらに悪化の傾向にあることは事実であります。もし、わが国海運をして、貿易依存度の高いわが国経済の中で、輸出入物資、特に大量の原材料物質の円滑、安定的な供給と国際収支改善の一翼をになわせようとするなら、当然新たな施策を講ずべき時期にあることは言うまでもありません。しかし、その施策は、これまでの海運政策と海運業の実態に対し、正しい検討と反省の上に立つ全般的なものでなければなりません。すなわち、海運企業基盤悪化の原因は、大きく変貌した世界海運とその中におけるわが国海運の特有の構造変化に対し、これまで海運政策と海運企業が適応し得なかったところにあるのでありまして、この観点に立っての検討と反省が必要であります。
 さらに、海運再建途上に大きな汚点を残した造船疑獄による国民的不信と経済外交の未熟さ、特に対米従属外交が海運に対する正しい認識と対策をはばんでおり、かつ、所得倍増計画と貿易自由化が一そう海運企業を圧迫しようとしている事実を見のがしての対策はあり得ないと思うのであります(拍手)しかるに、半ば定説化した資本構成の劣悪と高金利にその原因を求め、あるいは企業の自主性を認めない金融機関中心の企業集約にのみ活路を見出さんとすることは、方向を誤るものであり、一五年後にはさらに大きな混乱さえ予想されるのでありますが、総理の御所信を伺いたいのであります。(拍手)
 次に、運輸大臣にお尋ねいたしますが、戦後の計画造船を中心とした船腹増強政策は、急速にその目的は達成できました。しかし反面、企業経営を悪化させた要因もこれにあるのであります。すなわち、戦前わが国海運の独占市場であった中国及び旧植民地地域における市場は、わが国海運の国際海運復帰を待たずして他国の支配するところとなり、あるいはシップ・アメリカン、バイ・アメリカン政策は、台頭しつつある新興国の自国貨自国船主義とともに、わが国海運の進出をはばむ障壁となり、極度に狭められた活動分野の中で、計画造船は航路計画に対する無計画と機会均等、総花主義によって進められましたために、過当競争、非経済船の増加、オーナー、オペレーターの系列強化による用船市場の硬直化等、企業悪化の原因を生み出すに至ったのであります。
 そこで、まず第一に伺いたいのは、過当競争の排除についてでありますが、今回提案された再建整備法案によれば、オペレーター中心の集約化を行ない、六つのグループ程度にすることを企図されており、なるほど過当競争を排除できる一面もありましょう。しかしながら、この集約形態が、先ほどの答弁とは事違い、金融機関中心に進められようとしております。かくては、当然のごとく債権の保全が優先し、金融系列産業の拡大に力点が置かれることは火を見るより明らかであり、その帰結として、中核体であるオペレーターへのしわ寄せは免れ得ないものがあります。よって、グループ間の競争はさらに激化し、収拾すべからざるものを予想されるのでありますが、いかなる対策を持っておられるか伺いたい。
 次に伺いたいのは、過当競争の抑圧については、かかる集約化が万能薬ではもちろんないのでありまして、むしろ考えねばならぬのは、今までの海運界の実態からしても、この競争船抑圧は、航路調整にまで踏み切らなければならないかと考えるが、御所信のほどをあわせて伺いたいのであります。
 次に、集約化に関し、第一に不定期船、専用船タンカー等は、一隻単位の経営が主であることからして、機械的な集約は経営の改善にはならぬと思うが、いかなる方針で臨まれるのかお聞かせをいただきたい。
 第二に、集約の方法は、経営単位に関係なく、合併を必要条件としているが、弱小企業の吸収は中核体をも弱化させるし、反面、弱小企業をそのまま放置すれば、業界全体の強化にならぬことを予想されますが、いかなる御方針であるのか、これまた伺いたい。
 次に第三としては、オーナーの処置についてでありますが、戦後のオーナーは、計画造船政策の所産としてオペレーターの系列下にあり、その用船関係はすでに硬直化しているが、この処置によって一そう硬直の度を強めて、法案の企図するところと相反する結果を招くものと予想される。よって、むしろオーナーはオペレーター中心の集約からはずし、オーナー自体を集約し、オーナー本来の機能を発揮できるよう対策を講ずべきであると考えるが、見解をお示し願いたい。
 次に、船質改善については、先ほど御答弁がありましたが、急速な船腹増強と産業構造の変化は、わが国海運業をして多くの非経済船を保有させるに至りました。その数は百二十万総トンにも及び、企業経営弱体の大きな要因になっていることを忘れてはならないのでありまして、すなわち戦標船、在来船、輸入買船等の質的非経済船、産業構造の変化に伴う船型的非経済船、採算的非経済船等の処理であって、戦標船についてはある程度の対策があるというものの、その他の非経済船については明確な対策が今日示されてないことは残念であり、またこの対策を欠いては、いわゆる企業財務の改善という消極的対策であるただいまの二つの提案だけでは、積極的な将来の発展を約束できる収益性の向上は望み得ないと思うのでありますが、はっきりした御答弁をいただきたい。
 次に、利子補給法案に関してのお尋ねでありますが、国際競争力強化ということでの金利引き下げの効果が、依然として船腹需要者たる他産業に流れ、海運業に歩どまりを与えぬ長期用船契約、積荷保証であっては、助成政策は、さらに助成を呼び、ひいては私企業としての存在の意義をも喪失すると思うが、いかなる対策を持っておられるか、お聞かせをいただきたい。
 次に、所得倍増計画による船腹増強計画は、わが国海運のパターンを自国貨物型と考えながらも、国際収支面における役割を重視し、さらに三国間輸送に期待をかけ、その結果として積み取り比率六三%、所要船腹千三百三十五万総トンと策定しているが、世界的船腹過剰の慢性化、海運業の実態、三国間輸送の衰退、そして今回の集約による再建を考えるとき、この計画は縮小、修正せざるを得ないと思うが、いかように考えられておるか。さらに一方、集約は必然的に中小造船業を受注から締め出す方向にあるとき、非経済船の処理あるいは対共産圏向け輸出船に対する差別撤廃等を進め、造船業界の安定をもあわせ考慮すべきと思うが、いかなる方策をお持ちであるか。
 次に、海運業とインダストリアル・キャリアの問題についてでありますが、この問題は、運輸、通産両大臣よりお答えをいただきたい。
 産業の発展に伴い、原材料の大量安定輸送の確保は不可欠のものでありますが、最近インダストリアル・キャリアの増加は著しく、石油会社のタンカー所有、鉄鋼会社傘下の企業のオア・キャリアの保有等の増加は、必然的に海運業のシェアを侵しつつあるが、インダストリアル・キャリアの建造保有方式について何らかの規制を加える必要があると思うが、所信のほどを伺いたいのであります。
 次に、運輸、大蔵、通産の三大臣にお伺いしますのは、八条国移行後の外国用船、外国船利用についてであります。八条国移行後は現在の為替管理のもとにおけるこれらの規制がはずされるものと思うが、提案された二法案が満足なものとしても、直ちに便宜置籍船等、身軽な外国船に対抗できないものがあり、何らかの規制を残さざるを得ないと思うが、いかに考えられるか伺いたい。
 次は、シップ・アメリカン、新興国の自由貨自国船主義等に関連する経済外交について、外務、運輸両大臣にお尋ねしたい。
 前に申し述べた通り、戦後わが国海運は急速に航権を回復することができました。しかし、それぞれ航路同盟における実情に至っては、残念ながら積み取りシェアを極度に押えられております。経済外交の弱さからの責任もあろうかと思うのであります。もちろん、政府が同盟に直接介入することは別にし、少なくとも政府が経済外交を積極的に推し進め、民間活動をバック・アップする体制を強化する必要があり、また、出先外交機関の陣容もこれに即応したものに改めねばならぬと思うが、御所信のほどを伺いたいのであります。
 次いで、これも両大臣にお尋ねするのでありますが、先ほどお答えがあった対米海運問題についてであります。シップ・アメリカンに見るボナー法、バイ・アメリカンに見るウェーバー条項等は、ドル防衛のためとはいいながら、極端な運賃同盟に対する干渉、露骨な自国貨自国船主義をあえて行ないつつありますが、わが国海運の発展を外部から圧迫する最大のものとなっていることは御承知の通りであります。日米通商航海条約の互恵平等は単なる条約の文言にとどまるにすぎないありさまであるが、たび重なる形式的外交交渉ではわが国海運の権益を守ることは不可能であり、よろしく防衛的対策として、海上運送法の改正をすべきものと考えるが、いかなるお考えであるかお尋ねをいたしたい。(拍手)政府は、当初そのための海上運送法の改正を今国会に提案する予定でありながら、OECD加盟問題等を口実に提案を見合わせたというが、まさに対米従属外交のそしりを免れないし、大国意識と古典的な海洋の自由、海運の自由だけでは日本海運の自由は守れないと思うが、真意を伺いたいのであります。
 次に、新興国等における自国貨自国船主義については、賠償、経済協力等の問題が海運と何らの関係もなく処理されている傾向があるが、これらと十分関連し、二国間条約等によって安定せしめる必要があると思うが、いかに考えられているか、これまた外務、運輸両大臣にお答えを願いたい。
 また、航権拡張には、対米依存度の強い貿易構造を改め、対共産圏貿易の伸長をはかることだと思うが、これを前進させる考えがあるかどうか、通産大臣からお答えをいただきたい。
 次に、この措置が妥当なものとしても、集約に伴い、船員、随員の要員調整が問題になると思うが、海運業の将来の発展拡充を目的とする集約整備であってみれば、機械的な近視眼的人員整理は避けるべきで、むしろ海運業における労働力の需給の状態を見るときなおさらであり、調整過程においては、現有要員を確保し、かつ、この要員をして海運業の発展的役割をになわせることが肝要であり、最近海運業界と海員組合との間に妥結を見た協定は、これを整備計画の中でも認められるものと思うし、さらに陸員については、集約のメリットとして人員整理に直結して考える向きもあるが、全員を整理したとしても、陸員費の営業費に対する比率が四%足らずであってみれば、むしろ海運業の拡大生産を培養する調査研究機関の強化、集荷機能の拡充等の方向で、海運業界全体の立場から消化すべきものと考えるが、いかに考えておられるか、所見をお述べいただきたい。
 最後に、この新たなる措置に関連して、内航海運対策については何ら顧みられないが、外航海運は集約のもとに助成を与えられ、内航をも兼営していけるとするならば、さなきだに経営基盤が弱い、しかも内航内部における過当競争に加えて、陸運との競争にあえぐ内航船業者は、ますます外航兼営の大企業の圧迫を受けること必然であって、何らかの措置を講ぜざる限り、はなはだしき混乱を予想されるが、対策はありやなしや、お述べをいただきたい。
 以上をもって私の質問を終わりますが、重ねて申し上げますが、海運再建対策は、全般的な視野から取り上げずして、いわゆる高金利、資本構成の劣悪という後向きの観点からのみでは、残念ながら対策に十全を期することはできないことを付言して、質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 日本の海運業の再編成につきましては、多年の懸案であり、また、ぜひともこの際実行いたしたいと、御審議を願うことにいたしたのでございます。しこうして、日本の海運業の欠陥はどこにあるか、私は三点にしぼられると思います。それは戦時補償特別税によりまして、保険金を打ち切ったことによる資本構成の非常な貧弱さであります。そうしてもう一つは、金利の負担が非常にに高く、採算がとれないこと、第三点は、やはり資本構成にもよりますが、経営規模が非常に不合理、そして運営の適正化が期せられぬ、これにあるのであります。従いまして、経営規模並びに運営の適正合理化、そして資本構成の改善、金利の低下、これが再建の三つの要素だと考えるのであります。あなたはこれを後向きとおっしゃいますが、後向きといって、こんなことをほっといておったならば前進はいたさないのであります。まず欠陥を直してこそ前進があると思います。(拍手)
  〔国務大臣綾部健太郎君登壇〕
○国務大臣(綾部健太郎君) お答えいたします。
 まずさっき私が申し上げましたように、どうしてもこの海運の基盤を強化することによって、私は大体の海運再建のめどはつくものと信じております。ゆえにそれに向かってまず全力を傾けたいと思います。しからば、それが金融業者あるいは今までの船主等の言いなりほうだいになるのか、こう申しますと、さにあらずであります。私はそういう意見も聞きますが、最後は、整備計画審議会に聞いて、そうして私が判断をして、適当であるというものを再建整備のグループにするのでございますから、久保さんの御心配のようなことは私はないと思います。
 それからいろいろな点がございましたが、要点はそれでございまして、小さいそのほかの問題としては委員会等でとくと申し上げたい。
 ただ、シップ・アメリカン、それからバイ・アメリカンのことにつきましては、先ほど外務大臣も言われましたように、われわれとしては非常に努力いたして、幾分の効果を上げておるのです。外交交渉は御承知のように、すぐできものの皮をはぐようなわけにはなかなかいきません。そこで順次その方向に向かっていきたいと思います。
 それから、海運の調整法を出せというお話でございますが、それはやっぱりそれは出すことによっていろいろな各国の反感その他ありますので、これは適当な時期にもし必要があれば出すつもりでございます。
 以上、お答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) ただいまシップ・アメリカン政策の是正につきましては、運輸大臣からお話がございました。私どもは、世界の貿易機関通貨といたしましてドルの価値の安定を望むものでございまして、世界主要貿易国たる日本といたしましては、基本的にはこれに協力する立場にございます。しかし、その運用にあたりましては、先ほども申し上げました通り、国際海運は本来自由でなければならぬという立場に立ちまして、諸外国と協力いたしまして米国政府の善処をこの上とも求めて参りたいと思います。
 なお、経済外交につきまして、その活動、その陣容等につきまして御注意がございました。私どもも、できるだけ努力しまして、今予算には陣容並びに活動費につきまして相当のことを考えたわけでございますが、今なお十分ではございません。この上とも努力いたしたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 一般産業の自己船舶保有が海運に影響しはしないかというお話でございます。たとえば鉄とかあるいは油、石炭等に専用船がございます。鉄の場合におきましては、これはもう問題はございません。油の方も、いろいろ調査をいたしておりますが、今のところそれほど影響を与えておると思いません。石炭の輸送は、御承知のように石炭専用船が流通合理化に必要であるということからやっておるのでありまして、これも一般の船の運賃に影響するようなことをしないように措置をいたしたいと存じます。
 八条国移行に伴いますところの措置でございますが、西独あたりは八条国に移行いたしました後にも用船契約や運送契約に規制をいたしておりますので、日本としてもそういう問題を十分考慮してやって参りたいと思います。
 シップ・ジャパンの問題でございますが、低開発国その他の地域に経済援助をするような場合においては、お説の通り、十分一つ考えてやらせていただきたいと思います。(拍手)
○副議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。
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○副議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時四十五分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
        通商産業大臣  福田  一君
        運 輸 大 臣 綾部健太郎君
        郵 政 大 臣 小沢久太郎君
        労 働 大 臣 大橋 武夫君
        自 治 大 臣 篠田 弘作君
        国 務 大 臣 川島正次郎君
        国 務 大 臣 宮澤 喜一君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 林  修三君
        総理府総務庁長
        官       徳安 實藏君
        経済企画庁
        調整局長    山本 重信君
        中小企業庁長官 樋詰 誠明君
        運輸省海運局長 辻  章男君
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