第043回国会 本会議 第22号
昭和三十八年五月十四日(火曜日)
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 議事日程 第二十号
  昭和三十八年五月十四日
   午後二時開議
 第一 永年在職議員の表彰の件
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○本日の会議に付した案件
 日程第一 永年在職議員の表彰の件
 湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員の選
  挙
 地代家賃統制令の一部を改正する法律案(木村
  守江君外六名提出)の趣旨説明及び質疑
 生活環境施設整備緊急措置法案(予備審査のた
  め内閣から送付)及び清掃法の一部を改正す
  る法律案(藤田藤太郎君外四名提出、予備審
  査のため参議院から送付)の趣旨説明及び質
  疑
   午後二時七分開議
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
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 日程第一 永年在職議員の表彰の件
○議長(清瀬一郎君) 日程第一につきおはかりいたします。
 本院議員として在職二十五年に達せられました西尾末廣君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。表彰文は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 ここに議長の手元において起草いたしました文案がございます。これをいま朗読いたします。議員西尾末廣君は衆議院議員に当選すること十二回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
  〔拍手〕
 この贈呈方は議長において取り計らいます。
 この際、西尾末廣君から発言を求められております。これを許します。西尾末廣君。
  〔西尾末廣君登壇〕
○西尾末廣君 ただいまは、私の本院在職二十五年のゆえをもって、御丁重なる表彰の御決議を賜わり、まことに感謝、感激にたえません。ここにつつしんで謝意を表する次第であります。(拍手)
 顧みますれば、私は、昭和三年二月普選第一回の総選挙に、いわゆる無産政党の議員として初めて当選したのでありますが、その後三十五年の歳月は、日本にとっても、またわが国の議会政治にとっても、さらにまた私自身にとりましても、まことに激しい転変の時期でありました。
 昭和十二年日支事変が勃発して以来、その激動の中で、私が国家総動員法の審議に関連して議員除名の処分を受けましたことや、また、故斎藤隆夫氏の粛軍演説による議員除名に反対して所属政党から除名されたことや、さらにまた、戦後片山内閣、芦田内閣で初めて政権担当の苦労をなめたこと、その上に当時の複雑な占領政治の制約のもとで、不運にも昭電事件の渦中に引き込まれたことなど、その他数々の辛酸をなめましたが、いまではそれが過去の思い出として私の脳裏によみがえってくるとともに、これらの経験がかえって私の政治家としての、また人間としてのこよなき試練であったとさえ思われるのであります。(拍手)
 しかし、そうした思い出を通じ、私は、自分の政治に対する信念というものをいつも大切にして歩んできたつもりでありますが、反面、未熟のゆえに足らざるところが多かったことをも反省しております。
 申すまでもなく、近来の国際情勢、冷戦の前途は容易に楽観を許さぬものがあります。この世界の激動期に直面して、わが国の議会政治は一そう重要な段階に立ち至っていると信ずるものであります。
 このことを思うて、私は、同志とともに一党を結成いたしましたが、民主社会主義の道はなかなか苦難にしてイバラの道であることを痛感しております。しかし、今後一段と努力を払い、もって微力を日本の民主政治の確立を通じて世界の平和と日本の繁栄に尽くしたいと考えている次第であります。(拍手)
 思うに、私の議員生活二十五年は波乱に満ちたものでありましたが、それにもかかわらず、今日ここに、この得がたき光栄に浴し得ましたことは、全く国民各位の長期にわたる御支持と、特に議員諸君の御寛容と御鞭撻のたまものでありまして、ここにつつしんで深く感謝申し上げるとともに、今後とも変わらざる御支援を賜わりますようお願い申し上げる次第であります。
 まことにありがとうございました。(拍手)
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 湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員の選挙
○議長(清瀬一郎君) 湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員が一名欠員となっておりますので、この際、その選挙を行ないます。
○草野一郎平君 湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
○議長(清瀬一郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。
 議長は、湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員に野口忠夫君を指名いたします。
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 地代家賃統制令の一部を改正する法律案(木村守江君外六名提出)の趣旨説明
○議長(清瀬一郎君) 議院運営委員会の決定により、木村守江君外六名提出、地代家賃統制令の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。提出者木村守江君。
  〔議長退席、副議長着席〕
  〔木村守江君登壇〕
○木村守江君 私は、地代家賃統制令の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由並びにその概要について御説明申し上げます。
 この法律は、すべての地代家賃が統制令を撤廃されているにもかかわらず、昭和二十五年七月十日以前に建てられた三十坪以下のものだけにいまだに統制が行なわれている現状であり、かかる状態を放置することは社会、経済の実情に即さないと考えまするので、地代家賃統制令を昭和三十八年十二月三十一日限りで撤廃することを内容とするものであります。
 御承知のとおり、この地代家賃統制令の撤廃につきましては、第三十四回国会及び第三十八回国会において政府提出法案として、さらにまた昨年の第四十回国会には議員提案として提出されたのでありましたが、いずれも審議未了となったものであります。しかしながら、その実情を勘案するに、これをこのまま放置することは許さるべきではないと信じまするので、今回再び議員提出法案として提案した次第であります。
 申し上げるまでもなく、地代家賃統制令は、当初国家総動員法に基づく勅令として昭和十四年に公布施行され、戦争遂行のための物価安定策の一環として実施されてきたものであります。しかしながら、終戦後におきましても、異常な住宅難による地代家賃の急騰を防止するために継続されてきたものであります。
 本来、地代家賃の統制は、当初におきましては、一般物価の統制と関連してあらゆる地代及び家賃が統制されておったのでありましたが、昭和二十五年七月の改正で統制対象は著しく縮小されたのであります。すなわち、一時使用の土地建物及び昭和二十五年七月十一日以降新築の建物とその敷地並びに住宅以外の建物とその敷地が統制対象から除外されたのであります。したがって、現在では昭和二十五年七月十日以前に建築された延べ三十坪以下の住宅とその敷地についてのみ統制が行なわれているのであります。すなわち、昭和二十五年七月に、同日以降に新築された建物とその敷地が統制対象から除外されてから、以来十余年になりまするが、この間、年月の経過とともに新築戸数が増加してまいり、また家屋の滅失、あるいは借家が持ち家になる等のこともありまして、現在におきましては、全体の借地借家のうち統制対象になっておりまするものは非常に減少してまいっておるのであります。したがって、当初の目的でありました民生の安定のためという意義は、はなはだ薄らいでまいり、この統制令の存在理由も希薄となってまいったのであります。
 しこうして、これらの統制対象となる地代家賃の現状は、六大都市平均統制地代は坪当たりわずかに十三円、統制家賃は坪当たり約九十円という非常に低く抑えられ、したがって、これを積極的に守る者はきわめて少なく、法があっても実効を期し得ない実情であります。特に退職者が退職金によってわずかな土地を得て、それで生活のかてを得ておる人、または、未亡人でわずかな遺産の土地、家屋で生活しておる人等は、経済的に非常に困っておりまして、修繕もできずに、貴重な財産を荒廃にまかせておる実情でありまするので、すみやかに撤廃すべきものと考えるのであります。
 ところが、これに対しまして統制額を改訂せよとの議論も出ておりまするが、先ほど申し上げましたように、現在においては統制令そのものの本来の意義がきわめて薄弱になっており、これを撤廃しても、地代家賃に著しい影響を与えることは考えられないのでありまして、このような実態に合わない統制令は、むしろこれを撤廃することが至当と考えられるのであります。
 以上がこの法律案の概要であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げまして、私の提案理由の説明を終わります。(拍手)
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 地代家賃統制令の一部を改正する法律案(木村守江君外六名提出)の趣旨説明に対する質疑
○副議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。岡本隆一君。
  〔岡本隆一君登壇〕
○岡本隆一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました地代家賃統制令の撤廃に関する法律案に対し、提案者並びに政府に若干の質問を行ないたいと思います。
 まず第一に、物価安定政策と本法律案との関連について、政府にお尋ねをいたします。
 政府は、先年、総選挙を前にいたしまして、所得倍増計画の名のもとに長期経済政策を発表し、国民をバラ色の夢に包もうといたしました。ところが、皮肉なことに、所得倍増の声とともに、物価がこれに先ばしって高騰し、いまや物価問題が政府の泣きどころであるとさえいわれるようになっております。昨年三月、政府は、物価抑制総合対策を定め、物価抑制を政府の至上命令といたしました。それでも物価はじりじりと上昇して、昨年暮れには、私鉄運賃、消費者米価の値上げまで認めざるを得なくなり、池田内閣はいまや物価値上げ内閣の異名をさえとるに至っております。
 政府は、昨年の物価安定政策の中に、地価と家賃の値上がりの抑制ということを取り上げておられますが、いま与党から、こうして地代家賃の統制撤廃を打ち出してまいりましたのは、打ち続く物価の高騰にやけのやんぱちになり、もはや物価安定などということはあきらめたという意味なのか、政府並びに提案者の御見解を承りたいと思うのであります。(拍手)
 次に、住宅建設計画について、建設大臣にお尋ねをいたします。
 さきに、政府は所得倍増計画の中で、十カ年に一千万戸の住宅建設をうたい、その前半五カ年に四百万戸を建設して、一世帯一住宅をと国民を甘い夢に誘おうといたしております。しかし問題は、家が建ったからといって住宅難が解消するものでないというところにあります。今日の住宅難世帯は三百万といわれております。これは狭小過密住宅や窮屈な間借り生活をしている人たちでありまして、その四分の三は、月収二万以下の貧困階層によって占められております。これらの人々にとりましては、住宅の自力建設などということは夢の夢であり、さらに公団住宅にすら入居する資力を持っておりません。
 しかるに政府の住宅建設計画では、前期五カ年に四百万戸、その六割は民間の自力建設に依存し、政府施策住宅は四割の百六十万戸にすぎません。しかも、その中から中産階層向きの公庫、公団住宅を抜きますと、これらの貧しい住宅難世帯を受け入れる公営住宅は、わずかに一割の四十二万戸にすぎません。二百万の住宅難世帯に対しまして年八万戸の住宅供給では、まさに焼け石に水であります。これで、はたしていつの日に、貧しい人ほど深刻な住の悩みが解消されるといわれるのか、建設大臣の御見解を承りたいと存じます。(拍手)
 さらに問題としなければならないのは、政府の期待している民間自力建設住宅の質の問題であります。今日住宅を建設する人々の中には、非常にせっぱ詰まった人たちの自力建設が入っております。借金をして家を建てたけれども、五年、十年たちまして、ようやく借金のなせるころには家族がふえて、もう狭小過密住宅になっている。これでは住宅難世帯の再生産であります。
 それにもましておそろしいのは、近ごろ雨後のタケノコのように建っていく木造アパートであります。民間建設の三割が貸し家として建てられ、東京都ではその四割までが木造アパートであると聞いております。これらのアパートのほとんどは、六畳一間に台所という哀れさでありますが、こんなものが民間自力建設戸数の中に入っておるのであります。
 二、三カ月前、こうしたアパートに起こった母を待つ子の哀れな焼死事件が新聞紙に報ぜられておりました。交通禍をおそれた母親から、外へ出るなと言われておりました子供が、狭苦しい室内で遊んでいて石油ストーブを倒し、燃え盛る炎から連れ出そうとする兄を拒んで三つの子供が、母の名を呼んで泣き叫びつつ焼死していったという記事を、河野さんはどんな気持でお読みになりましたか。
 民間自力建設六百万、かけ声はまことにはなばなしゅうございますが、そのうちの貸し家向きの住宅はほとんどこうした危険家屋として建てられているという事実を、河野さんはよもや御存じないとは言われますまい。明らかに災厄が予想され、考えるとぞっとするような危険なアパートに、それでも住宅難にあえぐ国民は入居していかなければならないのが今日の住事情であります。
 たくましい経済成長を誇り、一世帯一住宅を実現するという十カ年計画の中には、このような危険住宅が百万以上も入っているといたしますと、池田内閣の高度経済成長政策はまさに羊頭狗肉、表は金ピカだが裏はぼろぼろといわなくてはなりません。所得倍増計画の中の住宅政策は、このようにおんぼろでありますが、建設大臣はこれでよいとお思いになっておられますか、はたまたこれをどう是正しようとお考えになりますか、御所見のほどを承りたいと存じます。(拍手)
 今回の地代家賃統制令撤廃の弁といたしまして、提案者並びに政府は、統制はすでに有名無実にひとしい、統制家賃を守っているのは全国の貸し家の一割にすぎず、国民生活には大した影響はないなどと放言をいたしております。日ごろ口癖のように、悪法でも法は法、法律は守ってもらわなければならないと、労働者に対して順法精神を強要しておられる政府・与党から、本問題に限ってこのような放言を聞くことは許しがたいことといわなければなりません。(拍手)労働者は法律を守らなければならない、しかし地主、家主は法律を守らなくてもよい、ということはどういう理由なのか、提案者並びに建設大臣から、わかりやすくお教えを願いたいと思うのであります。(拍手)
 しかも、全国の住宅千二百万戸のうち二割強が貸し家でありまして、その八割に当たる二百九十万戸が統制令の適用を受けております。なるほどその中には、やみ家賃をとっておるものもありましょう。しかし、統制あればこそ、それが低く押えられておるのであります。住宅需要の不均衡はきわめて著しく、しかも低所得層ほどそのしわ寄せをひどく受けて、きびしい住宅難に苦しんでいる現在、統制をはずしたら、家賃は売り手相場の上がりほうだいということになるのは理の当然であります。かくて、来年一月には全国一斉に家賃値上げの旋風が巻き起こることは必至であります。最近の調査によりますと、昭和三十三年以降に統制家屋に入居した人の実際家賃は、マル公の約七倍になっているということであります。そのことは、家賃の統制が撤廃されますと、これが借地借家法にいうところの比隣の価格ということになりまして、統制家賃はまず七倍にはね上がるであろうということであります。千円の家賃は七千円、千五百円の家賃は二万円を要求されまして、物価倍増どころか、一挙数倍増、前代未聞の家賃の暴騰に借家人はきもをつぶすことでありましょう。先般福知山の放言で、池田さんは、物価の値上がりは国民の責任である、野菜が高ければ食わなければいいと言われ、また池田さんの側近にも、大根が高ければ葉っぱを食えと言った人のあったのを思い出しますが、今度は、家賃の払えぬ貧乏人は野宿せよとでも言われるのか、まさに無責任時代の先端をいくものといわなければなりません。総理にかわって河野建設大臣から、統制撤廃後の家賃値上がりの見通しを承りたいと存じます。
 ことに、このような急激な家賃の値上がりには、それが激しく台所をゆさぶる問題であるだけに、借家人の方でもすなおに応じるものとは思われません。今日でも住宅問題についての紛争は非常に多く、裁判所でもこれには手を焼いておられるものと察しています。現在、裁判所の扱ういろいろの事件の中で、住宅問題を扱う件数がどの程度の比重を占めておるのか、これから激増する家賃問題の紛争を、はたして裁判所はさばき切れるのか、これについていかなる対策を用意しておられますかを法務大臣にお伺いいたします。
 さらに、これを調停によって解決していく場合、そこに調停にあたっての適正家賃の基準というものを持たなければなりませんが、それをどこに求めようとなさるのか、法務大臣からお答え願いたいと存じます。
 さらに、提案者並びに政府は、統制撤廃の理由として、統制家質が自由家賃に比してあまりにも低きに失し、不均衡、不公平であるといたしております。まさにそのとおりであります。しかしながら、この不均衡は、政府がことさらにつくり上げてきた不均衡であります。今日の統制価格は昭和二十八年に定められたものでありまして、その後の激しい物価の騰貴にも、また、その後幾たびかの公共料金の引き上げにもスライドせず、ひとり統制家賃のみは見捨てられて、家屋の補修費すらまかなえないままに放置されてきたのであります。これは明らかに政府の怠慢であります。政府はみずからの住対策の貧困をここに逃げていたのであります。したがって、そのために非常な犠牲をしいられてきた零細家主に対しては、当然何らかの保護政策がとられるべきでありました。租税特別措置法によって、電力、肥料等の大企業は、さまざまな名目をつけての保護を受け、その額は年間千数百億に達しています。指揮権発動であれだけ国民の指弾を受けた海運業者に対する利子補給でも、政府はこれをいつの間にか復活して、ことしは海運基盤強化に関する法律案を出してまいりまして、これに手厚い保護を加えようといたしております。大企業に対してはこのようなばく大な援助を行ないながら、政府の貧弱な住対策の犠牲になってきた小家主に対していままで何らの補償措置をとらなかったのは、いかなる理由に基づくものなのか、零細家主は海運会社のように政治献金をする力がなかったためなのか、それとも自民党政府の弱い老いじめに徹した冷酷な性格を物語るものなのか。政府から、無責任にも十カ年間統制家債の適正化を行なわず、しかもこれに何らの保護を与えなかった理由をお答え願いたいと存じます。(拍手)
 この際政府は、需給のはなはだしい不均衡のままで統制をはずし、物価の騰勢に拍車をかけるような愚策をとらないで、固定資産税、所得税の減免措置をもって家主の犠牲にこたえるとともに、長い間放置された統制価格の適正化を行ない、一方、政府の精力的な住宅建設によって住宅難が解消されるまで統制撤廃を見合わすべきであると思うのでありますが、建設大臣の御所見を承りたいと存じます。(拍手)
 最後に、私は、日本と西ドイツの住宅事情を比較して、政府並びに提案者の御所見を承りたいと存じます。
 日本と同じように敗戦のうき目にあい、日本と同じように全住宅の二割を戦災によって失った西ドイツは、一九六三年すなわち今年をもって住宅難が解消されるといわれておるのであります。敗戦後のドイツは、ソ連軍の砲撃と米軍のじゅうたん爆撃によって都市は壊滅的に破壊され、それに東独からの避難民も加わりまして、昭和二十五年には住宅難はその極に達し、住宅不足数は四百六十万戸といわれておりました。かくて政府は、昭和二十六年に第一次住宅建設法、昭和三十二年に第二次住宅建設法を施行いたしまして、民間の住宅建設に膨大な政府の財政援助を行ない、十二年間にわたる年々五十万戸の住宅建設の結果、昭和三十四年には不足数百五十万戸にこぎつけ、今年中には住宅不足数をゼロとする見込みであるといわれております。しかも、西独国民の住むところの政府施策住宅は、広さにおいて三十六坪、わが国のそれの十坪ないし十五坪とは比較になりません。そして西独政府の住宅建設に対して投入しております財政資金は、昭和二十五年から三十三年にかけて八カ年の年平均額は、円に換算いたしますと二千四百億円であります。わが国の当時における住宅建設への財政投入額が年平均四百億足らずであるのに比べますと、まさに雲泥の相違であります。この数字の、六倍にも達する大きな開きは、吉田、鳩山、池田という歴代の自民党内閣が国民の住生活に対しいかに冷淡であり、いかに無能であったかを如実に物語るものであります。(拍手)
 しかも西独は、そうした住宅難の解決の見通しの立つまでは家賃の統制を撤廃せず、昭和三十五年、住宅需給のバランスの安定を見通せるようになってから家賃の統制撤廃を持ち出しまして、これを段階的に五カ年計画で実施しようといたしております。この意欲的な西独の住宅対策を、提案者はいかがお考えになりますか。著しい住宅難の中で統制撤廃などということは、まさに住宅残酷物語ともいうべきであると思うのでありますが、提案者の御所見を承りたいと存じます。(拍手)
 昨年秋の訪欧以来、自民党の総裁はばかに自信づきまして、日本は大国だと言っておられます。なるほど、池田さん並びに自民党首脳部の方々の日常生活は、大国ムードに酔うにふさわしいかもしれません。しかし、多くの国民の住生活は、中小国どころか弱小国の水準を彷徨しています。いま日本の国民の一番求めているものは、物価高をあおるような経済の高度成長ではなく、住宅建設の高度成長であります。大国ムードを日本国民のはだに合うようにするためには、何よりもまず西ドイツに負けない住宅政策を立てることが必要であります。同じ敗戦民族でありながら、どうしてこうも大きな住生活の開きが生じたのか。池田さんであれば、これも国民の責任だと言うかもしれませんが、河野さんもやはり、これでもおれたちの政治は正しいのだと強弁されますか、この点について、特に建設大臣の誠意ある御答弁を期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣河野一郎君登壇〕
○国務大臣(河野一郎君) お答えを申し上げます。
 一般物価に対して低物価政策をとっておるときに、本法を提案するのはどういうわけか、この関係はどうかということに承りましたが、私は、一般物価につきましては、あくまでも現内閣のとっております方針に変わりはないのでございますが、何ぶん本法は成立いたしました当時の事情と、年代的に、また社会的にあまりにも変革がございますので、今日はこの改正法律案の成立することを期待いたしたい、またそれで差しつかえないのじゃないかと思うのでございます。
 次に、十年間に一千万戸の住宅政策は、その中に民間のものに非常に多く期待しているじゃないかというようなお話。だんだん私も承っておりましたが、お話しになりますことは、わが国の住宅の現状からいたしまして、私も決してそれに根本的に異論を申すものじゃございません。われわれも一生懸命、今後引き続き住宅問題に取っ組んでいかなければならぬことはそのとおりでございます。ただ、一方で、民間の住宅を建設する意欲、協力してくださる意欲を押えるというような法律をそのままにしておきつつ、住宅がなくていかぬじゃないかと、また両方から責め立てられては、ちょっとなかなかやりにくいというような気持もいたします。
 そこで、私といたしましても、われわれ政府におきましても、最善を尽くしまして住宅政策を完遂することに努力いたしますことは、もちろんでございます。しかしこの点は、かねがね私申し上げますように、住宅はある限界までは御自身の責任においてひとつ御解決願うようにするということが、いかがなものでございましょう。私が考えますことは、低所得者の諸君につきましては、あくまでも政府もしくは自治体において責任を持つべきでございます。ところが、現在のように、どこまでいっても住宅のないのは政府の責任であるということではどうかと思いまして、住宅問題につきましては、宅地の問題と住宅の問題と二つについて考えたいというふうに、第一段に割り切りますと同時に、第二段におきましては、従来のような比較的恵まれた住宅はこれを差し控えまして、ごく低額の所得の方に引き当たるような住宅に全力をあげるということに、今年から切りかえてやっておるわけであります。たとえて申し上げますと、いままでは社宅等につきましても、百億以上の資本金の会社が相当に借り入れをいたしまして、働く人のために社宅を建てております。これらのものは、それぞれの会社にお願いをいたしまして、少なくとも中小の会社に政府資金もしくは住宅公庫の資金等は貸し与えるようにしたい、また、その条件も緩和していきたいということに全面的に切りかえることをせっかく努力いたしておるわけであります。
 なお、岡本さんのお話の、十年間に一千万戸の中には、こういうもの、ああいうものも入っているじゃないかといって、例をおあげになりましたが、これについては、多少われわれとしては異論を差しはさまなければならぬ点がございます。これらは委員会において、ひとつよくお話し合いを申し上げたいと思います。
 最後に、ドイツのことについてだんだんお話しでございました。これはドイツ日本とはいささか事情が違うのじゃなかろうかと私は思います。(「政治の内容は同じだ」と呼ぶ者あり)政治の内容とおっしゃいますけれども、国力の程度も違います。住宅の不足しております程度も違います。御承知のように、全人口から考えましても、戦前と戦後の人口の増加率と住宅不足率等、根本が違います。こういう点を一がいに引き合いにお出しになって、ひどくおっしゃいますけれども、われわれとしても、こうあればけっこうだなとは思いますけれども、住宅だけでございません、ほかにもやらなければならぬ点がありますので、それらの点は御了承いただきたいと思います。
 なお、法律を守れ、守らぬ、守れないというようなことについていろいろお話しでございましたが、これも最初にお答え申し上げましたとおりに、法律は守るようにしていただかなければなりませんし、守らなければいけません。しかし、時代の変わった古い法律を、社会情勢の違ったときにつくった法律を、いつまでも置いて、これをくぎづけにしておかなければならぬということもどうかと考えますので、それらのところは、ひとつもう少し妥協していただいて、お手やわらかにお願い申し上げたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣中垣國男君登壇〕
○国務大臣(中垣國男君) お答えをいたします。
 私に対しましてのお尋ねは、地代家賃統制令撤廃後にこの種の紛争が増大して困難におちいるではないかということのお尋ねでありますが、これに対しましては、地代家賃統制令が撤廃になりましても、物価統制令によりまして不当な地代や家賃の取り締まりは依然としてできるわけであります。
 第二問は、調停能力並びに従来のこの種の問題の実績についてでございますが、昭和三十五年を基準にいたしますと、宅地、建物等につきましても、この種の事件を受理しましたものが二万二百四十三件ございます。このうち地代家賃の値上げに関する件数がどれだけあるか、裁判所の数字には区分けがしてございませんからはっきりしたことは申し上げられませんが、地代家賃統制令違反で裁判に付され、解決されたものは三件あるだけでありまして、その他はすべて調停によって解決されておるわけであります。
 第三問の、調停の際の基準等はどういうふうに考えるかというお尋ねでありましたが、従来のようなはっきりした数字的根拠がなくなるわけでありまして、調停は当事者の互譲の精神により、条理にかない、実情に即して解決をはかるという建前になっております。しかしながら、実際の基準は、やはり第一に近隣の地代及び家賃、それから建物の朽廃程度、固定資産税の額、同種同形の地代並びに家賃の額、これらのものを加味して調停されることになろうかと思います。
 次に調停能力の問題でありますが、現在の裁判所の調停事件は、調停委員の数も非常に充実をいたしておりまして、撤廃後にこの種の事件の増加は若干考えられますけれども、これを解決していくのに支障を来たすほどのことはなかろう、かように考えておる次第でございます。(拍手)
  〔木村守江君登壇〕
○木村守江君 私に対する質問を総括的にお答え申し上げたいと思います。
 大体において統制令は全般的に施行されることによってその目的を達成するものと考えています。地代家賃の統制令につきましても、地代家賃全般に対しまして統制令が施行されておるときにその本来の目的を達成するものと考えます。この地代家賃の統制は、昭和二十五年の七月十日以前に建てられました三十坪以下のものだけに限定されておりまして、そういうような法律を残しておくことは、本来の趣旨に反するものであり、また、時代の要請にこたえないものと考えまして、この撤廃を適当と認める次第であります。
 この地代家賃統制令の撤廃によりまして非常に地代家賃が暴騰して、あるいは数倍になるだろうというような御懸念の向きもありましたが、さようなことは絶対にないと申し上げても私は差しつかえないと思うのであります。何となれば、御承知のように、現在、借家、借地人は、いわゆる借家法、借地法によってその権利を擁護されておりまして、したがって、さような無謀な暴騰は考えられないと考えております。特に、現在この統制令施行されておる三十坪以下の建物は古い建物でありまして、この建物に対しましては、その修繕等も自己負担というような状態でありますことから考えまして、質問者のような御心配はないものと考える次第であります。
 なお、ドイツの例をあげられましてお尋ねでございましたが、私は、ドイツがなぜ一体そういうように住宅難が解消できるかという問題について考えなければならないと考えております。これは、何と申しましても、いわゆる住宅難に対処いたしまして、これを政府資金によってのみまかなうというような考え方があってはいけないのでありまして、どうしても、いわゆる民間の貸し家を建てるということが先決問題であります。そういう点から考えまして、民間の貸し家を建てる意欲を持たせるような方法を講じてまいらなければいけない。それには、現在この統制令があるような状態でありましては、どうしても、いわゆる民間に意欲を持たせないような状態になりまして、ただいまの質問とはちょっと違ったようなかっこうになるのではないかと考えておりますので、私は、この点も考えまして、撤廃が適当と考える次第であります。(拍手)
○副議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。
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 生活環境施設整備緊急措置法案(予備審査のため内閣から送付)及び清掃法の一部を改正する法律案(藤田藤太郎君外四名提出、予備審査のため参議院から送付)の趣旨説明
○副議長(原健三郎君) 次に、内閣から予備審査のため送付されました生活環境施設整備緊急措置法案、及び、参議院から予備審査のため送付されました藤田藤太郎君外四名提出、清掃法の一部を改正する法律案の趣旨の説明を順次求めます。厚生大臣西村英一君。
  〔国務大臣西村英一君登壇〕
○国務大臣(西村英一君) 生活環境施設整備緊急措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 申し上げるまでもなく、下水やし尿、ごみ等の汚物を衛生的かつ効率的に処理することは、国民が健康で文化的な生活を営むため不可欠な条件でありまして、政府は、かねてから、地方公共団体が下水道事業や清掃事業を支障なく遂行することができますよう下水道、し尿処理施設等の生活環境施設の整備について深く意を用い、その促進をはかってまいっているのであります。
 しかしながら、わが国においては、これら生活環境施設の整備が従来著しく立ちおくれていたばかりでなく、近年においては人口の都市集中あるいは国民の生活様式の変化等によって地方公共団体が処理すべき下水や汚物の量が激増しつつあるため、政府及び地方公共団体の努力にもかかわらず、遺憾ながら、必ずしもその処理の万全を期し得ない現状であります。
 このような事態にかんがみ、政府といたしましては、これら生活環境施設の整備について、新たな構想のもとに、昭和三十八年度を初年度とする五カ年計画を策定し、これを強力かつ計画的に推進することといたしまして、この法律案を提出するものであります。
 次に、この法律案の趣旨でありますが、この法律案では、生活環境施設の整備事業を、下水道整備事業、終末処理場整備事業、し尿処理施設整備事業及びごみ処理施設整備事業の四種に分けまして、それぞれについて五カ年計画を策定することとし、そのための手続として、建設大臣及び厚生大臣は、それぞれその主管にかかる事業につき、昭和三十八年度以降の五カ年間の実施目標と事業量とを定めた計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないことといたしております。なお、これら生活環境施設の整備五カ年計画の円滑な実施を確保するため、政府は必要な措置を講ずるものとし、また、地方公共団体も、この五カ年計画に即して生活環境施設の緊急かつ計画的な整備を行なうように努めなければならない旨を規定しております。
 以上をもって生活環境施設整備緊急措置法案の趣旨の説明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 次に、提出者参議院議員藤田藤太郎君。
  〔参議院議員藤田藤太郎君登壇〕
○参議院議員(藤田藤太郎君) 私は、日本社会党を代表して、清掃法の一部を改正する法律案の提案説明をいたしたいと思います。
 昭和三十一年以来の神武景気あるいは岩戸景気といったような時点を大きなきっかけといたしまして、経済が異常な発展を見せ、都市化が急速に進んだのであり、これに伴って急激に清掃問題をはじめ、水の問題、公害、公園、緑地の問題など、いわゆる生活環境はこれに伴わず、悪化し始めたのであります。
 言うまでもなく、東京、大阪などの大都市は、従来からも清掃の問題はあったのでありますが、このころから作業量、仕事上の困難が急増したのであります。また、同時に、地方の中小都市にもこの問題が表面立って出てきたのであります。
 こうして、最近、都市の清掃事業は、人口の都市集中、生活様式の変化、農村における肥料利用の変遷などにもかかわらず、これに対応して改善が行なわれていないために、ひどい手詰まりにおちいっているのであります。たとえば、人口その他の条件がほぼ類似しておりますニューヨークと東京の区部とを比較してみますと、一日当たりのごみ処理量は、東京が五千トン、ニューヨークは一万五千トンで、東京はわずかにニューヨークの三分の一にしかすぎません。人員の面におきましても、東京のごみ関係者は三千人であり、ニューヨークの一万三千五百人に比較して四分の一になっているのであります。全国的に見てみますと、たとえば、ごみやし尿の収集は全人口の三分の一しか対象とされておりませんが、その収集対象地域においても、作業人員、作業用器材、終末処理場が決定的に不足しており、収集が極度におくれ、そのために路傍やあき地には、捨てごみが山積され、河川にはし尿が流されて、住民の生活や健康に重大な悪影響を及ぼしているのが現状であります。
 このような事態の責任の第一は池田内閣であります。池田内閣は、公共投資を優先して社会資本を充実させるということを重点施策としてまいったのでありますが、その内容は、道路や港湾設備など、大企業のコストを直ちに引き下げるものに対する投資をいうもののようでありまして、住宅や上下水道などの国民の生活環境を改善するのに役立つ資金の投下はきわめてわずかなのであります。たとえば、厚生省で最初お立てになりました昭和三十八年度予算の概算要求におきましてすら、ごみ処理対策として国庫補助額が二十九億円、し尿処理対策として百三十億円必要だということになっておりますが、実際予算として計上されておりますのは、合計二十二億円にすぎないのであります。清掃事業をはじめ、生活環境の改善に政府がいかに冷淡であるかがはっきりするのであります。
 今回政府が提案になっておりますいわゆる緊急措置法も、いわばどうにもならなくなった状態を間に合わせ的に解決しようとしているのであって、根本的な清掃事業、生活環境改善にはほとんど手をつけていないのであります。こうした実情に対して、清掃事業の改善を求める声が国民の間からほうはいとして起こってきているのであります。
 生活環境の問題、とりわけ、清掃問題を解決するのは社会保障の根本的前提の一つにすらなっていることは、すでに識者の常識であります。社会保障制度審議会もまた昨年の勧告の中で、さきに触れましたような実態を指摘し、「物的な面の公衆衛生は諸外国に比べて著しく立ちおくれている。し尿処理については、わずかに約三〇%が衛生的な処分をされておるにすぎず、しかも市街地人口の増大に伴い処理されねばならぬし尿の総量は年々急増の傾向にある。じんかい処理についても総排出量が逐年増加するにかかわらず、その処理能力は著しく不足している。下水道に至っては寒心にたえない状況である。生活環境の衛生対策はいずれも著しく不十分な状態にある。この立ちおくれはすみやかに取り戻されなければならない。」と述べているのであります。このような状態を見るとき、また、政府の施策の立ちおくれを見るとき、国民の声を反映して、清掃事業を根本的に改善する処置を講ずるのは、国会の任務であります。この観点に立つとき、清掃法を抜本的に改善することは、当面の急務であるとの結論を得たのであります。
 わが党では、清掃改善案を検討してまいったのでありますが、わが党が提出いたしました清掃法の改正案は、大要次のようであります。
 第一に、すべての市町村の清掃に対する責任を一そう明確にすることであります。清掃事業は、市町村民の生活と健康を守るという点において、市町村の固有事務であります。この固有事務である以上、清掃事務は、原則としては、市町村のすべての区域に及ばなければならないのであります。ところが、現行清掃法においては、特別清掃地域及び季節的清掃地域以外では、清掃に対する法的規制がないのであります。本法案の一つの要点は、清掃が市町村の固有事務であり、市町村の清掃義務が、全地域に及ぶべきであるという観点に立って、特別清掃地域と季節的清掃地域の概念を廃止しようというところにあります。ただ、山林地帯など、清掃の実効のないところは除外するとともに、改正法案の経過措置規定で、現行清掃法において、特別清掃地域でない地域には、一年の猶予を置くことにしております。
 第二に、第一の市町村の固有事務であるという観点を貫くならば、当然、汚物の収集、運搬及び処分については、市町村がみずからこれを行なうということになります。それゆえ、本改正案においては、「市町村は、汚物の収集、運搬若しくは処分又は屎尿浄化槽の掃除に関する業務を他の者に委託して行なわせてはならない。」と規定したのであります。ただし、市町村の予算措置法の関連もあって、三年ないし五年の経過期間を設けております。
 第三に、本改正案では、「市町村は、手数料その他汚物の収集若しくは処分又は屎尿浄化槽の掃除に対するいかなる対価本徴収してはならない。」と規定いたしました。地方自治法二百二十二条一項には、「普通地方公共団体は、特定の個人のためにする事務につき、手数料を徴収することができる。」と規定しており、現行法に基づいて、地方自治体が、清掃手数料を取る場合の根拠として、この条文が援用されております。しかし、清掃事務は一個人の要求に基づきその者の利益のために行なうといった性質のものではないのであります。清掃事務は、公衆衛生を確保するために不可欠なものであって、住民を含めた地方公共団体の健全な発達を保証することを目的とした公益事務であります。住民は、そうした公益行政のために住民税を納めているわけであります。清掃について手数料を取ることは、住民にとってみれば税金のいわば二重払いになるわけであります。この観点から、生理的に排出されるふん尿と、日常生活で排出するごみについては、手数料を取らないことが地方自治法の趣旨からしても当然であります。ただし、営業その他のために排出される多量のごみについては、多少事情が異なりますので、この規定から除外しております。
 第四に、今後、汚物処理の機械化を促進しなければなりませんが、そうした容器収集を可能ならしめるために、市町村に容器の配置義務を規定いたしました。
 第五に、水洗便所化の促進の規定を置いております。
 第六に、今後、地方自治体が清掃事業を画期的に推進するために必要な国の補助義務を明確にいたしております。
 これらの内容は、国民にとって緊急かつ最も重要なものの一つであります。
 慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 生活環境施設整備緊急措置法案
  (予備審査のため内閣から送付)
  及び清掃法の一部を改正する法
  律案(藤田藤太郎君外四名提出、
  予備審査のため参議院から送
  付)の趣旨説明に対する質疑
○副議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。小沢辰男君。
  〔小沢辰男近登壇〕
○小沢辰男君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました政府提出にかかる生活環境施設整備緊急措置法案、並びに藤田藤太郎君外四名提出にかかる清掃法の一部を改正する法律案につきまして質問をいたしたいと存じます。
 申し上げるまでもなく、下水やし尿、ごみ等の汚物を衛生的かつ効率的に処理し、その生活環境を衛生的に整えることは、国民が健康で文化的な生活を営むために不可欠な条件であるのでありまして、池田内閣におきましては、所得倍増計画に合わせまして清掃施設十カ年計画を樹立いたしまして、中央、地方を通じ、強力にその実施を進めてまいったのであります。しかるに、最近の人口の都市集中、国民生活の様式の変化等によりまして、地方公共団体が処理すべき汚物の量はますます激増をいたしつつございます。そのため、計画の改定の必要性を痛感いたしまして、わが自由民主党は、ことしの予算編成にあたりましては、われわれ党の考え方として生活環境整備を最重点項目の一つとして取り上げたのでございます。そうして、党議をもちまして五カ年計画の樹立を決定し、政府にこの新構想による一そう計画的かつ強力的な推進をはかるように要請をいたしたのでございます。(拍手)この結果、政府は、ただいま趣旨説明のありました生活環境施設整備緊急措置法案を提案されたのでありまして、まことに時宜を得たものと御同慶にたえないところでございます。(拍手)
 この際、しかしながら、私は、ただ一点だけただしておきたいのでございます。すなわち、この五カ年計画の完遂には、何といっても非常に膨大な財源を必要といたします。したがいまして、大体私どもの計算では約四千五百億にのぼる事業費を必要とすると考えるのでございますが、政府は、中央、地方を通じ、絶対にこれが財源を確保してやるという決意を有しておられるかいなか、この際、私は、国民に明確に大蔵大臣から御答弁をしていただきたいと思うのでございます。(拍手)
 さて、藤田君外四名提出の清掃法の一部改正案についてでございますが、私は、当選してまだ二年半にしかなっておりません、はなはだ新米でございます。しかしながら、私は二年半の間にいろいろと福祉立法につきましての社会党の方々の提案を多数拝見いたしておりまして常に痛感をいたしますことは、どうもその案が理想に走り過ぎまして、現実を離れておる、また、国民生活の均衡ある改善、発展を考えないで、一つ一つがばらばらで財源の裏づけがない、有機的な関係がない、こういう、いわば分配論に走り過ぎまして、生産を無視しているような傾向が多いと思うのでございます。(拍手)その点で、はなはだ私遺憾と考えておるところでございます。私どもの自由民主党は、生産と分配の調和的発展という考え方の中にこそ、ほんとうに現実的な福祉国家への正しい近道がある、こういうように考えておるものでございます。(拍手)私のこの根本的な考え方について、提案者はまずどう考えられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
 その次に、私、この法案につきまして感ずるのでございますが、提案者から御答弁いただきたい点は、一体、全部でこの法案の施行に関しましてどれくらいの金が要るのか、中央、地方でどういうような財源を必要とするか、どれくらい必要なのか、その財源を一体どういうふうにして調達するのか、この点が特に私お尋ねをいたしたい点でございます。
 私は、先ほど言いましたように、いままでの福祉立法につきまして、非常にいい理想を掲げておられる点は、社会党の方々の提案について大いに敬意を表するところでございますけれども、間々財政計画全体について非常にずさんなところがございましたので、念のため、今回もこの点をまず承っておきたいと思うのでございます。(拍手)
 次に、第二点では、この法案のおもな改正点であります汚物取り扱い業の制度を廃止し、他のものに委託して行なわせることを禁止する、こういうふうになっておるのでございますが、現に、し尿の収集につきましては、約八〇%はこれらの業者で取り扱われております。ごみについては、二〇%の量が現実にこれらの業者によって取り扱われておるのでございます。したがいまして、この現実、この存在と現に果たしている重要な機能を全く否定してかかろうとする考え方は、私は、害があって益がない、こういうふうに考えざるを得ないのであります。
 また、手数料の廃止の問題についてこれを見ますと、これを廃止いたします場合には、当然他に財源を求めたければならぬと思います。その大部分は、おそらく、私は、一般住民税の引き上げによらざるを得ないと考えるのですが、この点を一体提案者はどう考えられるか。なお、私は、やはり市町村の固有事務でありましても、一部の特定な受益者が、その受益に応じまして一部負担をやるという考え方を否定すると、かえって、不公平になると思うのでございます。公平のようで不公平になると思いますが、この点についてもどうお考えでございましょう。また、生活環境をきれいにしようとする個々の住民の積極的な意欲、これが私は非常に大事だと思うのであります。この積極的な住民の意欲を、まさに何か抹殺してしまうような、非常に至れり尽くせりでいいような案ではありますけれども、生活環境を個々の家庭においても積極的にみなできれいにしていこうとするこれらの意欲がやはりなければ、私は、清掃事業というものは発展していかないと思うのであります。(拍手)この積極的な意欲がなくなってしまうのではないかという疑問を持つのでございます。
 さらに、提案者は、清掃関係の仕事は市町村の固有事務だと言われております。市町村の固有事務だと言われながら、国庫補助を他のものと比べて非常に高率に規定されておる。すなわち、市町村の固有事務について国の財政が関与する関与のしかたというものについての考え方が私は間違っていると思う。この点についての疑点がどうしても起こるのでございます。
 なお、この法案を見ますと、各家庭の戸口といいますか、そこに、容器まで全部で配置しよう、おそらく、これは数百億にのぼる財源を必要とすると思いますが、これらの物品まで国庫補助の対象として考えようというところに、私は鋭くつかなければならない点がまだあると思います。
 しかしながら、その詳細はいずれ委員会で質問をさせていただくことにしまして、以上、私どもの根本的な考え方、これらの諸点について提案者の明快なる御答弁を要求し、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 五カ年計画に要する財源を四千五百億と想定をして、これが確保についての政府の決意をただされたわけでありますが、御承知のとおり、生活環境施設整備緊急措置法の五カ年計画案の決定は、閣議決定によるということでございます。現在、総額につきましては、厚生、建設両省において検討中でありますので、数字を申し上げることができない段階ではございますが、これが五カ年計画の樹立、資金の確保につきましては、万全の処置を講じて御期待に沿いたいと考えております。
  〔参議院議員藤田藤太郎君登壇〕
○参議院議員(藤田藤太郎君) 私は、五つ質問されたように思うのでございます。
 まず第一は、社会党が出すいろいろの問題は、理想に走り過ぎて、ばらばらである、そうして、どうも財源の裏づけもないし、まるでまとまっていない、こういうぐあいに質問されたと思うわけであります。私たち社会党は、今度の予算編成にあたりましても、国民生活の福祉を中心に三十八年度の予算を立てるということを考えました。それは残念ながら多数で破れましたけれども、しかし、私は、政府・自民党の諸君に申し上げたいのでございます。池田さんをはじめといたしまして、日本は近代国家である、生産はだんだん増大した、こういうぐあいに宣伝されるのでありますけれども、生産設備が幾らできても、その生産に応じた消費というものをつくらなければならぬ。この消費に関連して、欧米諸国がやっておるような近代国家の社会保障をはじめといたしまして、環境衛生等のこういう処置をやらないというところにむしろ問題があるのではないか、私はそう思うのです。私たちは、欧米先進国と同じように日本の国をしていこう、国民生活をしていこう、それには社会保障をはじめ環境衛生の問題はこういうぐあいにして経費を捻出してやっていかなければ、そして具体的に実施していかなければどうにもならないということを一言っているのでありますけれども、これについて、今の質問者も申されたように、ばらばらだとおっしゃるのでありますから、私はどうもあなた方の言われていることが、国民を犠牲にして政治をやっていこうという観点と、国民を守って政治をやっていこうという観点との違いで、そういう表現が出たのではないか、私はそう思うのでございます。(拍手)
 第二番目の財源の問題をどうするかということでございます。これもいま申し上げましたように、私たちは計画をしてやったのでありますけれども、七千七十四億、五カ年でかかります。これは三十九年度から実際にやる分が多うございますから、今年度は三百何十億支出することになると思います。そこで私たちは、この財源を、いま予算がきまっておるのでありますから、ここで両院で法律になりますれば、この予算処置といたしましては、今日政府も予定されておりまする、たとえば自然増収その他の金をこれに充てて今年度やり、来年度から計画に基づいてやるなれば、このわれわれの提出いたしておりまする法案は、私は実行ができる、そういうぐあいに考えておるところでございます。(拍手)
 三番目の問題についてでございます。これは、し尿は八〇%業者で、ごみが二〇%、ごみはまるっきり反対である、これをどうするか、手数料を廃止する、そうすると住民税の引き上げにならないかということでございました。これはなんといったって、市町村、地方自治体の固有事務といたしまして、本来国が指導して市町村、地方自治体が固有事務としてやっていく。そこに今のように手数料の地域において、また業者と申しましょうか、ウナギ登りに上がっていったり、そして不公平が起きたり、こういうことがなくなるのでありまして、環境衛生の面からいって、市町村が固有事務としてみずからの手でやっていくというところに、日本のこれからの環境衛生、それからまた生活衛生の面からなくてはならない、国と地方自治体とが一体となってやっていくというところに、公益的なこのような問題の意義があるのではないか、そういうことでございます。そうかといって、営業しているものを直営にいたしますには、きょうから直ちにというわけにはこれはいきますまい、こう思うのでございます。ですから法律にちゃんと書いております。私も言いましたように、三年、五年というかっこうで、猶予期間をもって漸次移していくということにしたのでございます。
 それから四番目の質問は、こういうことになると、住民の美しくしようという意欲、清潔にしようという意欲が欠けていくのではないか、こういうお話でございました。私はどうもそこのところは理解ができないのでございまして、直営になったら、清潔とかまたは衛生的になることが緩慢になるとか、そういうことができないというような考え方こそ私は改めていただきたい、そう思うわけでございます。本来の住民主権の憲法のもとにおいて、その一番出先の地方自治体が主権者住民の生活福祉を守っていくという、この出先の重要な役割を持っておるのが地方自治体でございますから、私は決してあなたが心配されるようなことはなしに、ますますよくなっていく、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
 第五番目に、固有事務については援助が高いではないか、こういうぐあいにおっしゃったのでありますけれども、しかし、現実の問題を私は見ていただきたいと思うのであります。地方自治体がこのようなことをやりたいという熱意を持っていましても、相当大幅に国が援助をしなければ、このような事業はなかなかできないのであります。本来固有事務である地方自治体、市町村の業務でありながら、これをやろうとしてもなかなかできない。そこで、困っておりますから、国が五〇%の補助をして計画を立ててやっていくことが最善である、こういう形をわれわれはとったのでございまして、たとえば援助の方式は現在の清掃法の十八条にもちゃんと明確に書いているところでございます。それを拡大したということにすぎないのでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(原健三郎君) 島本虎三君。
  〔島本虎三君登壇〕
○島本虎三君 ただいま趣旨説明のございました生活環境施設整備緊急措置法案及び清掃法の一部を改正する法律案について、私は日本社会党を代表して、政府並びに提案者に対し、若干の質問をいたしたいと思う次第でございます。(拍手)
 さきに政府から発表されました三十七年度の厚生白書によりますと、最近における都市への急速な人口集中と国民生活の向上、生活様式の変化に伴い、都市におけるし尿やごみ等の汚物処理事業は行き詰まりを来たし、その解決が各都市の共通の悩みになっておるとして、都市清掃事業の実情を嘆いているのであります。それを裏書きするように、最近くみ取りやごみの処理が行き届かないために、その悪臭や害虫の発生、さらには伝染病の危険に悩み、どんなすみまでも税金は取りにくるくせに、きたないものはさっぱり取りにきてくれない、こういうような家庭の主婦たちの不平と怨嗟の声がちまたに満ちている状態でございます。いまおりませんが、清瀬議長でさえも、本問題解決のために陳情に参りました主婦に対して、ヨーロッパに比べて五十年もおくれておる、こう言って不満を述べております。このように日常生活環境では三等国以下であるようなのが現在の日本の状態でございます。わが国工業生産の成長率は西欧諸国の二倍半にも及び、飛躍的な人口の都市集中が行なわれているというのに、消費生活の変遷による汚物の排出量は、無計画のまま日に増し、激増の一途をたどり、まさにごみ高く裏道くさき非衛生国日本を現出している状態でございます。(拍手)
 申すまでもなく、現行の清掃法が制定されたのは昭和二十九年でありますが、この法律によってきめられているいわゆる市町村の特別清掃地域の人口は、総人口のほぼ半数にすぎない。しかも、市町村が責任を持って計画収集しているその地域の人口は、昭和三十五年度の実績におきまして、し尿の場合が総人口の三八%、ごみの場合でも四一%でありまして、実に日本国民の三分の二近くが、し尿とごみの中に放置されたままになっているといっても過言ではないのでございます。さらに加えて、その処理に至っては、し尿はくみ取りが七五%、しかもその大部分が農村還元、海洋投棄、マンホール投入等、非衛生的方法で行なわれ、し尿消化槽による処理はただの一一%にすぎないのであります。また、くみ取り以外の二五%についても、水洗便所や下水道による処理はその半数以下の一二%であって、残りの二%が自家処分で処理されている現状であります。全くごみの場合でもそのとおりで、焼却施設による処理は全体の三八%、残りの大部分は埋め立て処分その他現物放棄によって処理されているのであります。
 したがって、わが国の赤痢患者の発生数は、昭和三十六年には九万一千名にものぼり、諸外国に比べて群を抜いて多く、また、国民四人に一人は寄生虫の卵を持っているという、文化国家というにはまことに恥ずかしいありさまであります。
 それはまさに、総理自慢の高度成長政策そのものが、人口の都市集中と生活構造の変化をもたらしたにもかかわらず、政府の行なう公共投資は、港湾、産業、道路その他大企業の間接コスト引き下げとなる産業基盤整備を重点に行なって、上下水道や住宅、公害対策等、本来政府の中心であるべき生活基盤整備に対する投資はほんのわずかより行なわれていないということによるものであって、まことに遺憾にたえません。(拍手)中でも、国の清掃事業軽視と、必要な人員、器材、施設等の財源措置及び援助を怠っていたことこそが、今日の事態に追い込んだ最大の原因と思うのであります。
 さらにまた、清掃事業の内容を考えてみるに、わが党の藤田藤太郎議員がいま提案理由の説明の中で申し述べましたように、清掃事業なり、生活環境の改善というものは、住民の健康と生活を守るための公益事務であり、地方自治体の最も重要な仕事であるはすであります。しかるに現状は、ごみの収集、処理をその直営で行なっているものは約八割で、他の二割は民間業者に委託させている状態、これがまた、し尿に至っては言語道断とも言うべきで、自治体の直営がわずか一三%で、実にその八五%以上が民間業者に委託させられている実情であります。その結果は、当然、利潤追求のためには無計画作業、サバ読み、不正料金、非衛生処分が平気で行なわれ、さらには規定された投入個所に運搬もしないで、途中の河川や平地にまでも投棄して、いたずらに関係農漁民とトラブルを惹起した例は、北は北海道から南は九州まで枚挙にいとまがありません。まさに無責任時代の最たるものといえます。これは、明らかに地方自治体が本来の生活環境改善の責任を回避または軽視している結果であって、すべて国が財政措置を十分講じないことに基因するものと考えられるのであります。
 自治大臣及び厚生大臣にこの際お尋ねしたいことは、この政府施策の立ちおくれの実情に対し、どこが責任を持ってその改善に当たるかということであります。私は率直に言って、清掃事業の改善は自治体が責任を持って当たり、国はこれに必要な資金援助を十分に行なうという体制を確立すべきである、このように考えるのでありますが、清掃事業改善の構想とともに御答弁を賜わりたいと思う次第であります。
 次に、市町村が責任を持って清掃事業を改善するということは、施設の改善とともに清掃事業の対象を自治体全域に及ぼすこと、清掃事業をみずからの責任で行なうこと、住民の負担を軽減すること、こういうようなことが不可欠な要件と思います。地方自治法の精神によって、清掃事業が自治体固有の事務である以上、その運搬、収集及び処理についても、当然市町村みずからがその責任において行なうべきが至当であります。
 手数料にいたしましても、清掃事業は、元来が公衆衛生を確保するために国民の生活上不可欠なものであって、特定の人のためのものではないはずであります。したがって、もしすべての住民が受益者になる事業からも手数料を徴収しなければならないのであれば、まさに住民税の二重取りであり、全く不合理、不適当といわねばなりません。
 自治大臣及び厚生大臣にこの際お尋ねしておきたいことは、清掃事業における直営の原則、及び一般の汚物処理については手数料廃止の原則を打ち出す時期であると考えるのでありますが、これについて明確なる御所見を承りたいと存じます。
 また、藤田議員にこの際お伺いいたしますが、現状の清掃事業の行き詰まりに対して、社会党の法律案はどういう具体的な解決策を有しているのか、同時に、政府案に対してどう考えて清掃法の一部改正案を出したのか、この際お伺いいたしたいのであります。
 次に、生活環境改善のためには、特に施設の整備が差し迫った課題であること当然でありますが、政府がこの認識の上に立って緊急計画法案を提出したにしては、おざなりな実効薄い法律のように感ぜられるのであります。すなわち、この法律案の内容を見ますと、実によく各省間で協議して計画を立てなければならないということだけが書いてあるのであります。計画を立てるだけにどうしてこうした法律が要るのでしょうか。法律できめなければ閣内の統一がはかられないのでしょうか。国民の期待しているのは緊急措置計画法ではなくて、あくまでもその名のとおりに緊急措置法なのであります。すなわち、五カ年の間に総額幾らの予算を、どこに重点を置いて、国庫補助率をどれだけにしてやり、また下水道法や清掃法をどうするのかといった具体的内容と裏づけのある計画並びにその実行を法律で規制することであるわけであります。
 厚生省がお立てになった最初の原案は、そういう意味のものであったとも聞いておるのですが、その後どうなったのかわかりません。実際、計画のみであるならば、すでに所得倍増計画に見合った厚生省の十カ年計画もあったはずです。本年度の予算要求にあたって厚生省が策定した緊急五カ年計画もあり、省議できまった年次計画を大蔵省も認めたはずです。昭和三十八年は実施初年度にあたっており、その予算は四十億円になっておるはずであります。何のために屋上屋の計画を立てなければならないのか。巷間伝えられるところによりますと、経済企画庁が発表した国民生活白書では、日常の生活環境に関する限りまさに等外国並みだと指摘しながら、一方では、そのための計画予算に対しては、所得倍増計画を上回るから認められないといって横やりを押しているそうでありますが、不可解千万であります。事実であるかどうか、あわせて企画庁長官の本案に対する明確なる御所見をついでに承りたいのでございます。長官がおりませんので、これの代行でございます田中大蔵大臣にお願いいたします。
 また、厚生大臣にお伺いしたいのは、本案は従来の十カ年計画なり五カ年計画といかなる関係にあるのか、そして計画をつくることを目的としたこの法律案に対し、大臣はいかなる実効を期待しているのかということが第一点。第二点は、すでに五カ年計画の第一年目が始まり、予算も確定しておるのでありますから、したがって、全体計画も策定されているはずであります。その計画の構想、予算の概要、その重点、この三つを明確にお示し願いたいと思うわけでございます。それは、国民にいたずらにバラ色の幻想のみを与え、羊頭を掲げて狗肉を売る名目だけの法律であることは許されないからであります。
 最後に私は、生活環境整備は下水道や清掃問題の改善のみにとどまるものではなく、現在の生活環境をなお一そう悪化させつつある大気汚染、騒音、水質汚濁等の、いわゆる公害に対する総合的規制なくしては、その改善も公衆衛生の向上もあり得ないものであることをあらためて申し上げなければなりません。
 いまや、日本の大都市、工業地帯の大気や水は完全に汚染され、国民の生活環境の悪化は、先進国にも例を見ない状態にさらされているわけであります。したがって、騒音、ばい煙、水質汚濁は日本における新三悪であるとさえいわれるに至ったことは御承知のとおりであります。政府はこの公害の急速なる増大の原因についてお考えになっておられましょうか。これこそ総理が誇るわが国経済の無計画なる高度成長のもたらした産業のゆがみにほかならないと思うわけであります。まさに公害は社会的災害であり、その対策を放置してきた責任は重大であるといわなければなりません。したがって、国民生活を妨害し、その健康、財産、利益をそこなうばかりか、生命の安全さえも脅かす生活環境の悪化に対しても、根本的対策を樹立することがあわせて焦眉の急と考えるのでありますが、厚生大臣はいかに考えておるでしょうか。公害その他生活環境全般の改善に対する御意見を含めて御答弁を願いたいのであります。
 以上、申し上げましたように、生活環境施設の整備は、国民生活の必須な基本条件であり、東京オリンピックを明年に控えた文化国家日本としての体面にかけても、抜本的対策がいま必要であることを申し添え、質問を終わる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 生活環境整備計画につきまして、経済企画庁長官が反対をしておるというような御発言でございましたが、そのような事実はございません。ございませんのみならず、立ちおくれておりますこれらの問題を緊急に整備をしなければならないという熱意を持っておりますことは、社会党の皆さんと同じことでございます。
 それから国民所得の倍増計画におきまして、先ほども申し上げましたように、社会資本の充実をはかりながら、重要課題を次々と片づけてまいりたいというのが経済企画庁で考えておる考え方でございまして、先ほど私が大蔵省の考え方を申し上げましたが、五カ年計画につきましては閣議で決定をするということになっておりますので、関係各省間で十分に連絡をとりながら、これが目的達成に邁進をしたいということでございます。(拍手)
  〔国務大臣西村英一君登壇〕
○国務大臣(西村英一君) いろいろ御意見がございましたが、第一番に清掃事業を公共団体の直営にすべきではないか、こういうことでございました。現在の清掃法のたてまえも、原則としてそうなっておるのでございまするが、しかしその一方、許可の業者の制度も認めておるのでございます。しかも、許可業者と申す歴史は非常に古いのでございまして、私のほうの行政の指導も直営に向かうように指導はいたしております。しかし、これを一挙にいま切りかえるということは、相当にやはり慎重に考慮しなければならない、かように考えておるのでございます。
 手数料につきましても、問題のあるところは十分了知いたしておりまするが、やはり地方公共団体に対する財政上の負担その他もございまするので、これも将来に向かって慎重に研究検討をいたしたい、かように考えております。
 それから第三番に、今回の緊急措置法案を出したことでございまするが、実は島本さんからもいろいろ御意見がありましたとおり、清掃事業が非常に日本はおくれておる、それはもう私も同様に認めるわけでございます。したがって、それなればこそ、早くこういうことに対して緊急措置をとって、この整備をしたいというのが今回の最も重要なねらいでございます。しこうして、それも従来は厚生省といたしましても十カ年の目標をもった一つの計画はございました。三十六年度を起点として十カ年の計画はございましたが、客観情勢が非常にそれにふさわしくない、十カ年も待てない、もっと急速にやるべきだというような事情の変化のために、これを改定して五カ年でやろうとするのでございます。したがいまして、その目標は現在の清掃法で指定されておる区域の住民を対象にいたしまして、それで現在完成しておるものを除いて、他のものにつきまして一定の目標をもって計画を立てたい。しこうしてこの計画の達成されました後につきましては、し尿にいたしましても、ごみにいたしましても、すべて衛生的に処置ができるというふうな構想をもって進んでおるわけでございます。
 それから……(「予算は」と呼ぶ者あり)予算の点につきましては、さいぜん大蔵大臣がここで説明したとおりでございます。
 公害の点につきましては、これは大気の汚染あるいは水質汚濁等、相当に広範にわたっております。私の方で最近は大気汚染につきまして相当な予算をとって、大気汚染の防止に力をいたしております。したがいまして、先般制定になりましたばい煙防止法の地域指定もやるし、基準の指定もやって、大気汚染の防止につきまして力を入れたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣篠田弘作君登壇〕
○国務大臣(篠田弘作君) 第一は、責任の所在がどこにあるかという問題でありますが、地方自治団体の財源のめんどうをみるという立場におきまして、自治省にも責任は大いにあるわけであります。そこで、担当官庁である厚生省と十分相談をいたしまして善処したいと考えております。
 その次は、請負をやめて直営とし、その手数料を廃止してはどうかというお考えであります。これは私は方向として賛成でございます。しかしながら、現在の実情は、先ほどから関係大臣からも述べられましたように、直ちにこれをやるということは、地方の実情から困難でございます。徐々にこれを解決して、最後にはやはり直営とし、手数料を取らないという方向に進むべきであると考えております。(拍手)
  〔参議院議員藤田藤太郎君登壇〕
○参議院議員(藤田藤太郎君) お答えをいたします。
 島本議員の御質問の要旨は、政府提案の緊急措置法と清掃法改正案との関係及びこの法がいかなる具体的な対案を構想しておるかという点であると思います。
 政府提案は計画を立てることだけに力点を置いているのでありまして、清掃事業の根本的改善をはかるにはきわめて不十分であると思います。生活環境施設に正確かつ十分な予算処置を講ずることの前提といたしまして、事業における市町村の第一次的な責任及び国の援助原則の確認が必要であります。市町村の第一次的な責任、すなわち清掃対象範囲の拡大、直営の原則及び手数料廃止の原則の確立であります。これが清掃法及び清掃法改正原案の根本原則でありまして、また、改正案は、清掃施設の援助比率を二分の一と明確にしております。したがいまして、清掃法の改正は、緊急措置法の前提であると考えておるのであります。そしてこの実現によって、早急に環境衛生の完備した国家を、住民生活をつくり上げたいとわれわれは考えているところでございます。(拍手)
○副議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。
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○副議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時五十分散会
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 出席国務大臣
        法 務 大 臣 中垣 國男君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        厚 生 大 臣 西村 英一君
        建 設 大 臣 河野 一郎君
        自 治 大 臣 篠田 弘作君
 出席参議院議員
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