第043回国会 本会議 第31号
昭和三十八年六月七日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十八号
  昭和三十八年六月七日
   午後二時開議
 第一 金融緊急措置令を廃止する法律案(内閣
  提出)
 第二 失業保険法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)中修正の件
 長雨による農作物の被害に関する緊急質問(仮
  谷忠男君提出)
 長雨による麦等農作物の被害対策に関する緊急
  質問(湯山勇君提出)
 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
  の標準に関する法律及び市町村立学校職員給
  与負担法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)の趣旨説明及び質疑
 日程第一 金融緊急措置令を廃止する法律案(
  内閣提出)
 日程第二 失業保険法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
    午後二時十五分開議
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)中修正の件。
○議長(清瀬一郎君) おはかりいたします。
 内閣から、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、修正したいとの申し出があります。
 内閣通産第六〇号
  昭和三十八年六月七日
    内閣総理大臣 池田 勇人
   衆議院議長清瀬一郎殿
  昭和三十八年二月十四日提出した石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案中別紙のとおり修正いたしたいので、国会法第五十九条の規定によって貴院の承諾を求めます。
○議長(清瀬一郎君) 右案に対する修正を承諾するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、承諾するに決しました。
     ――――◇―――――
 長雨による農作物の被害に関する
  緊急質問(仮谷忠男君提出)
○草野一郎平君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 この際、仮谷忠男君提出、長雨による農作物の被害に関する緊急質問、及び湯山勇君提出、長雨による麦等農作物の被害対策に関する緊急質問を順次許可されんことを望みます。
○議長(清瀬一郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 すなわち、まず、長雨による農作物の被害に関する緊急質問を許可いたします。仮谷忠男君。
  〔仮谷忠男君登壇〕
○仮谷忠男君 私は、自由民主党を代表して、このたびの長雨による農作物の被害対策について、政府にその所信をたださんとするものであります。
 農業の経営にとって自然の現象は決定的な影響を与えるものでありますが、本年当初以来の異常寒波に続き、去る四月上旬よりの長雨は、関東以西の各地においては、気象庁創設以来の降雨日数となり、特に九州、四国、中国等、西日本全域にわたる農作物には甚大な被害をもたらしているのでありまして、なかんずく収穫前にある麦作をはじめ、蔬菜、なたね、果樹等に対しては、まさに壊滅的打撃を与えつつあると言っても過言でないと思うのであります。
 ことに今次災害の特徴ともいうべきものは、例年に見られる局地的、時間的ないわゆる台風型災害とは趣を異にし、被害地域がきわめて広範にわたっているとともに、しかも、過去二カ月にも及ぶ長期の異常天候の中で、湿害、病虫害等、あらゆる悪条件と戦ってきた農家が、ついにその物心両面における労苦も水泡に帰し、さらに本格的梅雨季に入って、なお前途に大きな不安を抱いておるということであります。ことばはあるいは適当でないかもしれませんが、端的に言って、今回の災害は従来のごときはでな災害ではなく、むしろ世間にもあまり目立たないままに、いつの間にか深刻な事態に迫い詰められてきたという、いわゆるジリ貧型災害ともいうべきものであり、そこに農民諸君の限りない不安と焦燥が察せられるのであります。(拍手)
 六月五日現在の被害額は、関係県の報告によるものでありますが、実に四百億を上回っておるのでありまして、今後の調査が進むにつれて、それはさらに増大の一途をたどるでありましょうことも想像にかたくないのであります。政府は、一昨年以来農業基本法に基づき、わが国農業の画期的な振興策を講じてまいったのでありますが、そのやさきにおいて、いまや農業経営は重大な危機に直面しているといわなければなりません。したがって、これに対処する政府の心がまえも、単なる型どおりの災害対策にあらずして、私はむしろ救農対策としてのより積極的な態度を強く期待いたしたいのであります。(拍手)
 そこで、まず池田内閣総理大臣にお伺い申し上げますが、端的に言って、農民はいま、政府は一体どの程度の認識と熱意をもってこの問題に対処されんとするか、不安と期待のもとに見守っているのであります。この際、総理の基本的な態度と方針を全農民の前に明らかにされたいと思うのであります。(拍手)
 次は、農林大臣並びに関係大臣に、以下数点についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず農林大臣に伺いたい第一点は、申し上げるまでもなく、適正な措置は的確なる実情の把握にありますが、政府は一体今次災害の実態をどの程度把握しているのであるか、被害県の現地調査はどういうふうに行なわれておるか、政府のきょうまでにとられた措置並びに被害の概要について承りたいのであります。
 第二点は、天災融資法の発動と経営資金及び自作農維持資金の貸し付けについてであります。との際、天災法の全面的な適用とともに、特に低金利資金の大幅な貸し付けを行ない、しかも、これらはすみやかに時期を失することのないよう格段の配慮をされたいこと、また、災害、自創資金二十七億円のワクは、すでに十六億が貸し付けられて、残額は十一億と承知しておりますが、もし貸し付けワクに不足を免ずる場合においても、需要額を押えることのないよう原資の確保には万遺憾なきを期せられたいと思うのでありますが、農林大臣の決意を承りたいのであります。
 第三点は、右申し述べました災害資金、自創資金等制度資金の貸し付け条件の緩和、手続の簡素化並びにすでに貸し付けを行なったものについての償還延期の措置についてでありますが、これはことさらに説明を待つまでもなく、せっかくの立法精神が逆に農民の立ち上がり意欲を阻害する結果とならないよう政府の親心と担当者の親切を望んでやまないものでありますが、御所見いかん。
 第四点は、被害地における等外麦の政府買い入れと価格決定にあたっての減収加算についてであれます。今回の長雨による被害の中心が麦類であることは申し上げるまでもありませんが、そのはなはだしきは八〇%以上の減収とまで伝えられております。たまたま収穫されたものも品質はきわめて悪く、その大部分は等外下の部類に落ちているのであります。この際、農民所得の減少を幾らかでも緩和するためにも、等外下麦についても極力食糧用として買い入れるとともに、価格算定にあたりましては、当然減収加算は考慮されているものとは存じますが、これらの点について大臣の明確な答弁を承りたいのであります。
 なお、麦の検査にあたりましては、検定規格の大幅な緩和についても十分なる配慮を望むものでありますが、あわせて所見を承っておきたいのであります。
 第五点は、種麦の確保と有畜農家に対する飼料対策でありますが、これもすでに万全を期しているとは考えますが、当面の緊急事項として政府の講じようとする具体案を発表していただきたいのであります。
 第六点は、農業共済金の早期支払いと蔬菜、果樹等に対する救済措置制度の確立についてであります。災害による減収の評価を早急に実施して、共済金の早期支払いを実行すること、また、救済制度のない蔬菜、果樹等については、特に政府の奨励する成長農産物の代表的作目として基本法の精神にも照らして積極的救済措置を期待するものであります。なお、制度の問題にしても、すでに数県において実施可能が実証されておる現在、これが制定に対する政、府の熱意と強い指導力を望むものでありますが、農林大臣の御答弁をいただきたいと思います。
 第七点は、病害防除用の農薬に対する補助であります。被害の主因は湿害と病害によるもので、特に病害防除のためには多量の農薬を必要としておりますが、この購入代金に対して特別の助成措置を講ずる御意思はないか、伺いたいのであります。
 次は、自治大臣、大蔵大臣にお伺いをいたします。
 申し上げるまでもなく、被害地の地方自治体は、好むと好まざるにかかわらず、ときには財政の限度を越えてまでも救済措置をとらざるを得ない事態が生じてまいるのであります。特に今回の場合は、地域はきわめて広範であり、被害はますます深刻の度を加えていくでありましょうし、将来大きな社会問題にまで発展する可能性すら多分にあるのであります。地方自治体の財政の窮乏はまことに想像にかたくないのでありますが、かくのごとき事態に対して政府は一体どう対処されんとするのであるか、また、特別交付税の増額、単独起債あるいはつなぎ融資の拡大等については積極的に応ずる用意があられるかどうか、さらにまた、被災者に対する所得税及び地方税等の減免措置は行なう意思があられるかどうか、あわせて明確なる御所見を承っておきたいと思うのであります。(拍手)
 さて、最後に、私はいま一点特に主管大臣である農林大臣に率直に御要望を申し上げ、より新たなる決意をもって今次対策に取り組んでいただくよう念願するものであります。
 冒頭にも申し述べましたとおり、このたびの災害が気象台創設以来の歴史的連続降雨によるものであり、しかも、今後の気象状況の推移によっては、被害の範囲、深度はさらに増大すること必至であります。すでに早場地帯における水稲被害のきざしは次第に拡大しつつあり、本年はまことに農家所得の根底をゆすぶる最悪の年たらんとしておるのであります。
 私は、前段申し上げたとおり、数点について大臣にその所信をただしたのでありますが、すでにしてその程度の対策をもってしても、はたして万全と言い得られるかどうか、遺憾ながら疑わざるを得ないのでありまして、ことほど現実は刻々と進み、農民からすでに働く意欲さえも失われていく実情であります。私はあえて重政農林大臣に申し上げます。あなたは農林大臣であるとともに、わが国農政の権威者として自他ともに認められた存在でもあります。農民はいま何を望み、何を訴えんとしておるのか、その心境は語らずともあなたはすでにみずからのはだに感じているはずであります。百万書の美辞よりも、形式的な対策よりも、たとえ乏しくとも血の通った施策を農民は望んでいるのであります。
 いまこそ、あなたは大臣の職にかけても、偉大なる救農の主となられますよう私はここに心より期待いたしまして、質問を終わりたいと思うのであります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 仮谷君の御質問に対してお答えいたします。
 四月以降関東以西におけるいまだかってほとんど例を見ない長雨、しかもまた、高目の気温のために麦類、蔬菜あるいはなたね等各種の農作に対しまして非常な被害があったことはお話しのとおりでございます。政府におきましては、目下その被害の全貌を調査し、判明次第適当な救援措置を講ずるつもりでございます。
 私は、昨年も関西地方、すなわち四国、中国、九州を回りましたが、昨年も雨による麦類の被害があったのであります。しかし、今年のそれは昨年に数倍するものでございます。私はこういうことを考えますと、被害農民並びに関係各位に心から同情を申し上げると同時に、この被害が今後のつゆによってなお増大しないよう、被害増大の防止をはかるとともに、私は、今後におきまして、この関西地方、ことに四国、中国の麦作等いわゆる耕種につきまして再検討をすべきときではないかとひそかに考えておるのであります。私は、関西農家のこれからの進むべき道に対しまして、この被害を機会に考えていきたいと思っておるのであります。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣重政誠之君登壇〕
○国務大臣(重政誠之君) 仮谷さんの御指摘になりましたとおりに、今回の長雨による被害は、史上まれに見る大被害であります。現在、二十数府県からの知事の報告によりましても、総額三百九十億をこえるという被害の状況でございます。農林省といたしましては、各地方の統計事務所を督励いたしましてその被害の状況の把握につとめておりますが、五月一日に調査をいたし、さらに五月十五日に調査をいたしましても、普通の場合と違いまして、どうもわかりません。そこで、六月一日現在におきましてその被害の調査をいたしております。六月の二十日ごろには、その全貌を把握することができると考えておるのであります。現在、私どもの勘によって考えましても、五百億をこえる被害になるのではないかと私どもは想像をいたしております。かような非常な大被害でございますので、私どもといたしましても、農林省には特に本日災害救済の対策本部を設けまして、組織的にその救済並びに善後措置に遺憾なきを期するようにいたしておるわけであります。
 御質問の第一点は、現地調査及び被害の概要はどうかという御質問でございますが、ただいま申し述べたようなことでございます。
 それから第二は、天災融資法の適用並びに自創資金の資金ワクの拡大をする意思があるか、こういう御質問でございますが、天災融資法の適用ということは、私は被害額が確定をいたさないでも、いまの程度から推測いたしまして、これは必至であると考えております。したがって、自作農資金のワクも、それに従って拡大をせられることとなるだろうと考えます。
 それから、第三の制度金融融資の手続の緩和、あるいは従来の貸し付け金についての償還の延期等の措置を講ずる必要はないかという御質問でございますが、私もそういうふうに考えまして、できるだけこの償還期限の来たものはこれを延期の措置を講じたい。それからまた、肥料代金等があるものにつきましても、これらを一時延期をしますとか、あるいは農協の貸し付け金の償還期限の緩和をいたすとか、適切な措置を講じたい、こう考えておるのであります。
 何と申しましても、この天災融資法の適用あるいは自創資金のワクの拡大というようなことも、早急に被害が確定すればいたすことになりますが、その前のつなぎ資金が一番大切なことでございますので、これはすでに農林中金と相談をいたしましてそれそれ手を打ちまして、天災融資法等の適用が実行せられますまでの間、もてないのでありますから、これは農林中金系統を動員いたしまして、つなぎ資金の供給をいたすことに手を打っております。
 それから被害麦の政府買い入れの件でございますが、これは等外麦の上は本年度から食管において買い入れることにいたしております。ところが今回の災害は非常に激甚でございますので、この等外麦の上に入らないものがあるだろうと思うのであります。等外麦の下につきましては、これは米穀事務所等に指令をいたしておりまして、そうしてえさに回るものを仕分けをいたしまして、飼料としてこれを売るようなあっせんをいたすことにいたしております。
 それから減収加算の問題でありますが、減収加算の問題は、これはいろいろ問題がございます。ことに、今回のように西日本の各府県ほとんど全部にわたって甚大な災害を受けておる、そういう場合に、政府の買い入れの麦の値段を減収加算というので上げてみたところで、その災害を受けた農家には何の足しにもこれはならないのではないかと思うのであります。これらの点はそういういろいろの問題がございますので、十分検討いたしたいと考えます。
 それから検査の規格を緩和する考えはないかということでありますが、原則的にはこの検査規格というものは年によってなるべく動かしたくないというのがわれわれの考えでございますが、しかし、これはその年々による収穫等の実情もあることでございますから、実情に即した検査規格を運用したい、こういうふうに考えております。
 それから種麦の確保でありますが、これは非常に必要なことでございますので、それそれすでに手を打っておりまして、各府県におきまして種麦の需要額をいままとめるようにいたしております。そうして地方農政局に指令をいたしまして、その地方農政局管内の各府県間の種麦は調整をいたすことにしております。それで足らない場合は、さらに本省におきまして種麦の確保をいたすことにいたしております。御承知のとおりに、大体西日本は裸麦が非常な被害にかかっており、東日本のほうは大麦が多いのでございますから、そこでなかなか種麦の確保ということも簡単ではございませんが、そういう方法によって確保をいたしたい。それでなお足らない場合は、政府が現に買い入れております麦を発芽試験をいたしまして、有効なものはそのほうに振り向け、あるいはまた、本年買い上げます麦につきまして、品種をはっきりと明記せしめるようにいたしております。
 それから飼料の問題でございますが、飼料は、政府が所有をいたしております飼料をこの方面に必要に応じて配給をいたすことにいたしておるのであります。
 それから共済金の仮払いの問題でありますが、共済金の仮払いは早急にいたしたい、こう考えて、被害が大体わかり次第、共済金の仮払いはいたす段取りをいたしております。
 それから、農薬等に対する補助金を出す考えはないかという御質問でございますが、御承知のとおりに、農薬、肥料等に対する補助金は、数年来これを融資にかえる方針をとって実行いたしておりますので、今回もそういうふうにやっていきたい、こう考えておる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 仮谷さんにお答えいたします。
 第一点は、地方公共団体の災害に対する救助費及び復旧費の財源確保に対して、政府はどうするかということでございますが、御承知のとおり、国庫補助、地方起債、特別交付税等によって常に配分をいたしておるわけでありますが、三十八年度の特別交付税の配分に対しても、万全の処置をいたしたいと存じます。
 第二の問題は、被災者に対する税法上の処置についてでございますが、御承知のとおり、所得税法による雑損控除、災害減免法の規定によりまして、軽減、減免等を行ないまして、負担軽減をはかってまいります。
 それから第三点目につきましては、災害のため納税資金繰りが非常に困っておるというものにつきましては、納税を猶予いたしまして、納税によって生活を圧迫しないように、十分留意をいたしたいと存じます。(拍手)
  〔国務大臣篠田弘作君登壇〕
○国務大臣(篠田弘作君) 仮谷君にお答えします。
 今回の西日本の長雨によって生じた農作物及び公共施設の被害等に対しまして、地方団体が行なう諸対策及び災害復旧に要する財政需要額の増高につきまして、ただいま大蔵大臣からも答弁がありましたが、国庫補助のほかに、適債事業につきましては地方債の発行を認め、また、被害状況によりましては、特別交付税の増配分を考慮してまいりたいと思います。あるいはまた、必要によりまして、地方交付税の概算払いもやってまいりたいと思います。
 それから、水害、冷害、凍害の災害に伴う地方税の減免措置、今回の場合もこれを適用するわけでありますが、従来通達で指導しておりまして、各地方団体におきましても、それぞれの状況に応じて、地方税法及び地方団体の条例の定めるところによりまして、税の減免、徴収猶予をいたしております。今回はその例によってこれをいたす考えでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
 長雨による麦等農作物の被害対策
  に関する緊急質問(湯山勇君提
  出)
○議長(清瀬一郎君) 長雨による麦等農作物の被害対策に関する緊急質問を許可いたします。湯山勇君。
  〔湯山勇君登壇〕
○湯山勇君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました、長雨による麦等の農作物の被害について、総理大臣以下、関係大臣に御質問を申し上げます。
 今回の被害の特徴は、先ほど総理から、昨年の数倍ということを申されましたけれども、それだけではなくて、長雨ということが大きな原因になっております。花が咲いてから、ほとんど雨続きでございまして、松山のような雨の少ないところでも、一日の日照時間は平均三時間弱、こういう状態でございます。したがって、同化作用が行なわれなくて、麦の中にでん粉ができない。つまり、やせ細った麦が、でん粉のない麦ができている。ここに今次の災害の大きな特徴があるわけでございます。そこで、せっかく農家の半年にわたる努力が全く水泡に帰してしまいまして、麦をつくった農家の中には、もう刈り入れる気力がなくなりました、火炎放射器で焼いてもらいたい、こういう陳情も出ております。実情を見るときに、この農家の人たちの心情、まことに察するに余りあるものがあると思うのでございます。(拍手)その他の作物につきましては、収穫期のなたね、ジャガイモ、タマネギ、そういうものは腐ってしまっておりますし、果樹、ことにかんきつ等は、花期から引き続いた雨のために、豆粒のような実が黄色くなって落ちております。先般のせっかくの雪害に対する樹勢回復の肥料も全く役に立たなくなっている、とれが今日の実情でございます。そこで、総理大臣にまずお伺いいたしたい点は、災害対策というのは、大体もとの状態に返していく、これが原則でなければならないと思います。今回の災害にあたりましても、被害を受ける前の状態になるように政府が施策をやっていく、これが原則でございまして、先進国ではそれが実施されておるのでございます。ところが、わが国におきましては、こういうことが行なわれていないために、災害対策が不完全であり、不十分であって、災害を受けた人が安心して国にたよれる、そういう状態になっていないのでございます。特に、今回の災害はいまだかつて経験のない異常な災害でございまして、現行の施策の及ばぬ点も多々あることが判明してまいりました。この際、わが国の災害対策の現状を顧みまして、さらにまた、今度の災害の異常な経験に立って、災害対策を完備するために新たな抜本的な対策をお立てになる御決意が総理におありになるか、まず伺いたいと存じます。(拍手)
 さらに、政府に対してこの際苦言を呈したい、かつまたお尋ねいたしたい点は、行政府の責任についてでございます。
 政府は対策を執行する責任がございます。にもかかわらず、常にその対策がおくれてまいりまして、あるいは時期を失し、あるいはまたそれが不適当となって、国民に不安を与えておることが甚大でございます。行政機構を通じていま調査中だとおっしゃいますけれども、すでに被害は四百億をこえておることは明らかにされております。こういうことがわかっていながら、あるいはまた政府はたくさん末端機関を持っておりながら、いまだにそれがはっきりしない。末端の役所へ参りましても、中央の方針がわからないからというので、地方では対策が明らかにならない。そこでやむを得ず四国、九州からはるばる、この忙しい中を東京まで来て陳情しなければならない、これが今日の実情でございます。しかもなお、昨日の委員会で農林大臣、大蔵大臣を並べてお尋ね申し上げましても、四百億をこえる災害があるということが政府によって明らかにされながら、まだ天災融資法を適用するかどうかがきまらない。さらにまた、先般のひょう害に対しましても、もう数十日たっておるにもかかわらず、農林大臣、大蔵大臣、昨日の委員会に並んで、それでいてまだ天災融資法を適用するかどうかがきまらない。これでははたして災害対策といえるかどうか、私はこの点確かに責任が政府にあると思います。(拍手)こういうことが迅速に運ばなければ、災害対策もあとの祭りになってしまう。こういう点について総理はどのようにお考えになっておるか、お伺いいたしたいと思うのでございます。
 次は、農林大臣にお尋ねを申し上げます。
 その一つは、天災融資の利息についてでございます。被害の状態によって三分五厘と六分五厘、二通りになっております。これは同じ程度、あるいはわずかな差によってこういう区別がつけられておるのでございまして、私どもこれを納得するわけにはまいりません。ことに、政府は、今日公定歩合の数次にわたる引き下げ、あるいは構造改善には三分五厘、四分、こういう低利の資金を出しております。政府自体低金利政策をとっている中で、災害農家になお六分五厘という、しかも天災融資資金というのは一体どういうわけでありましょう。私は、この際全部の天災融資については三分五厘を一律に適用する、これをぜひやってもらわなければならないと思いますが、もし万一それができない場合にも、六分五厘に対して大幅に利子補給をして、うんと低利の資金を出すべきだと思います。これについては、なお大蔵大臣の御所見も伺いたいと思います。
 自作農維持資金について、ただいま御質問がございましたが、自創ワクのほかに貸し付けワクがございまして、維持資金は三十万と限られております。先に維持資金の平常の分を借りた人は、今回の災害にあたって必要な資金の借り受けを受けようと思っても、このワクに縛られて十分な災害対策が行なわれません。それでは先に借りた平常資金の効果をもなくしてしまうものでございまして、との際三十万のワクを撤廃する御用意があるかどうか伺いたいと思うのでございます。
 なお、資金の償還期限の延長については、仮谷議員からお尋ねがありましたから省きます。
 共済金の仮払いを早期に行なうという御答弁でございましたが、もっと端的に農家が困っているのは、その資金について困っておるのでございますし、農家の一応の経済の区切りは盆になっております。もっと具体的に、盆までに農家へ渡るように仮払いができるかどうか、この点は農林大臣から明確にしていただきたいと思うのでございます。
 被害麦の買い上げにつきましては、いまお話がございましたが、問題は等外下でございます。その等外下についても、特別な災害、異例の災害でございますから、政府が買い上げる、こういうことをおきめになることができるかできないか。もしできないとすれば、それに匹敵する何らかの対策があるかどうか。
 さらにまた、減収加算については、農林大臣の御答弁は納得できないところでございます。当然これだけの減収があってそれの適用がないということは、私は了解できないところでございまして、やるべく努力をされるべきだと思います。重ねてお尋ねをいたします。(拍手)
 種子麦の確保についての御答弁は大体了解できますが、しかし、それについてなお輸送費やあるいは購入代金、こういうことについての助成の措置、これをどうお考えになっておるか、お伺いいたしたいと思います。
 さらにまた、山間部、島嶼部では、まだ麦を主食にしているところが多うございます。これは池田内閣の教えを守っておるわけではございませんけれども、この麦の払い下げについて、量、価格、そういうことに特別な配慮がなされるべきだと思いますが、それについての農林省の方針を伺いたいと存じます。
 酪農地帯のえさについても、御答弁でけっこうでございますけれども、ただ問題は量でございます。少量の払い下げをやって、これでやったんだというのでは、まず雪で麦を腐らし、残ったのが今回腐った、こういうところは助からないのでございまして、量を十分に払い下げる、どういうことについてどうお考えなのか、補足して御答弁を願いたいと存じます。
 次に、果樹の被害についてでございますが、ミカンその他果樹は永年作でございまして、麦とは別に、農家に対しては深刻なものがございます。これに対する融資はもちろんでございますけれども、同時に、かねがね懸案になっておって、大蔵省等からなかなか聞いてもらえなかった再生産資金について助成の道をこの際開くべきではないか、このように考えますが、これは大蔵大臣並びに農林大臣の御答弁を願いたいと存じます。
 青果物共済については、いまお尋ねがありましたが、早急に実現すべきでございまして、こういうことができないところに災害対策の問題があるわけでございますから、いつごろどうするか、それについて農林大臣の御答弁を伺いたいと存じます。
 次にお伺いいたしたいのは、農協の問題でございます。麦については、集荷手数料もあるいは保管料もまず希望が持てなくなりました。青果物等の災害で、そのほうからの減収もございまして、農協の経営は著しく困難になってまいると思います。いま政府は構造改善を進めて農協に非常に大きな負担をかけておりますが、そういう農協であればあるだけに、この際融資あるいは助成によって今回の災害に対する対策を農協に対して行なう必要があると思いますが、農林大臣のお考えを伺いたいと存じます。
 大蔵大臣にお尋ねいたしたい点は先ほど申し上げました。その他については、先にお尋ねがあり、御答弁がございましたので、省略をいたしたいと存じます。
 自治大臣に対するお尋ねは、ただいまの御答弁で大体了解できまずから、たいへん失礼でございますけれども省略をさせていただきます。
 最後に、総理大臣はじめ各大臣にお願い申し上げたい点、あるいは御希望申し上げたい点は、いま各大臣のお手元にたくさん陳情の手紙やあるいはまた電報がまいっておると思います。先般、総理大臣は、水上勉氏の「拝啓総理大臣殿」に答えて、身体不自由児の対策をお取り上げになりました。拝啓総理大臣で陳情書を出したい、拝啓農林大臣で陳情書を出したい、やってくれるなら幾らでも出す、こういうことをラジオでもある主婦が申しておりました。その人たちの期待にこたえるような御答弁をひとつ総理に御期待申し上げたいと思いますし、さらにまた、本日は本院からこの災害についての調査団が派遣されます。私もその末席に御指名をいただいております。今回視察にまいりまして、災害を受けた方々によいお見舞いになるような御答弁を総理以下に御期待申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 今回の長雨によりまする災害対策につきましては、被害を早急に調査いたしまして、そうして全貌がわかってから、できるだけ早い機会に対策を講じたいと存じます。
 なお、災害は外国ではもとの状態に返すというお話でございますが、これは河川その他の問題ならもとの状態でございますが、農作物に対しては、もとの状態に返すというわけにいきません。したがいまして、経済的の損失をできるだけ少ないようにするのが対策だと考えまして、今後いろんな方策をとりたいと思います。
 また、対策がおくれるとおっしゃいますが、私は先ほど申し上げましたごとく、まだまだつゆに関係しております。いまのところは、災害の増大防止をやることと、調査を早くして、対策を早く講ずることにあると考えておるのであります。政府はその方向に向かって全力を尽くしてまいりたいと考えます。(拍手)
  〔国務大臣重政誠之君登壇〕
○国務大臣(重政誠之君) お答えを申し上げます。天災融資法の適用については、先ほど仮谷さんの御質問に申し上げましたとおり、それは必至であろうと考えます。その利息は六分五厘と三分五厘とあるが、六分五厘が高いから低いほうにしたらどうかということでございます。御承知のとおりに、農業収入の五〇%以上災害によって減収を来たす場合に三分五厘ということに法律がなっております。これは私はその程度が適当であろうと考えます。
 それから第二の御質問の、自創資金の貸し付けワク三十万円を拡大する必要はないか、こういう御質問でございますが、現在のところは、大体この三十万円でやっていけるという考えを持っております。それから雪害によって損害を受け、さらにまた、今回の長雨によって損害を受けるというような場合にはどうなるか、今度借りたものはみんな雪害のときに借金したものに払わなければならぬことになる、こういう御質問であるやに伺いましたが、これは今回長雨による融資をいたします場合には、前の雪害によって貸し付けをいたしました分を払って、なお長雨による被害の救済のために使われるような額を融資することになっておりますから、つまり雪害と、すでに借りたものはこれを払い、そうして、さらにまた、今度の長雨による災害の救済に充てることができるような貸し付けをいたすことになっております。
 それから第三の、共済金の仮払い等が盆までにできるであろうか、こういう御質問でございますが、できるだけこれは七月の半ばまでには届くように努力をいたします。さらに、つけ加えて申し上げますと、米の予約した場合の二千円の前貸しを従前やっておりますが、これも何とかできる方法はないかということを、いま検討いたしておりまして、できればやはり盆が大切でございますから、それまでにその前貸し金ができる、つまり米の予約ができるような方法を講じてみたい、とう考えております。
 それから第四の等外下の問題でございますが、これは、食管法におきましては、食糧でないものは買うことが法律上できぬことになっております。したがいまして、等外下は食糧にはならないわけであります。でありますから、これを食管会計で買えといわれても、これは少し御無理ではございませんか。そこで私といたしましては、こういうものは米穀事務所をして仕分けをいたさせまして、できるだけ飼料に回すように、農協等と連絡をとってやっていこう、こう考えております。それで、この等外下、えさにもならぬというような麦につきましては、これは農業共済のほうで、それは損失をしたものと考えて共済金を交付する、こういう方法をとりたいと考えております。
 それから第五の減収加算の問題でございますが、これは先ほど仮谷さんに御答弁を申し上げましたとおり、いろいろ問題もございますので、これは検討いたしたいと考えます。
 それから第六の種麦につきまして、輸送費あるいは購入代金等について補助をしないかということでございますが、これらの点は現在のところ考えておりません。
 それから麦がとれないので主食に困るような場合には、政府の手持ちの麦を払い下げてはどうか、その量もたっぷりやり、値段も安くやってはどうか、こういう御意見でございますが、食用麦は現在精麦工場においてたっぷりと精麦をいたして市場に出回っております。でありますから、これは資金の手当ては先ほど来申しますようにいろいろやることにいたしておりますので、麦の現物がないのではないのでありますから、その方面でひとつ買っていただくことにして、特別にこの災害のために具体的の農家に対して政府所有の麦を払い下げることはどうもいたしたくない、こう考えております。
 それから農協の農業倉庫等に麦が入らない、そのために倉庫料その他の手数料が入らぬので、農協の経営がどうもうまくいかないことになりはしないかという御心配であります。これは具体的にまだわかっておりませんので、具体的のケースにしたがいまして、できるだけ考えてまいりたい、こう考えております。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 天災融資法による貸し付け金の金利の問題、種麦の問題等につきましては、農林大臣からいまお答えをいたしたとおりでございますが、これらの問題につきましては、十分事情を調査の上、適切な処置をいたしたいと存じます。
 なお、長雨による農産物の被害が非常に大きいので、先ほども御質問にありましたように、時期を失することなく、所要の措置を講じていくつもりでございます。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 緊急質問並びにこれに対する政府側の答弁は終了しました。
     ――――◇―――――
 公立義務教育諸学校の学級編制及
  び教職員定数の標準に関する法
  律及び市町村立学校職員給与負
  担法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明
○議長(清瀬一郎君) 議院運営委員会の決定によりまして、内閣提出、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。文部大臣荒木萬壽夫君。
  〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今回、政府から提出いたしました公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 現行の標準法は、昭和三十三年に制定され、同法のもとで、翌三十四年からの五カ年計画により、公立義務教育諸学校のいわゆるすし詰め学級の解消を進めてまいりましたが、昭和三十八年度においてこの五カ年計画は完了し、すし詰め学級は、一応の解消を見たのであります。今後は、その成果を基盤とし、教育効果のより一そうの向上を目ざして、義務教育の充実を進める必要があります。このためには、昭和三十九年度以降における学級編制の標準について新たな目標を示し、計画的に、その改善をはかりたいと考えるのであります。
 さらに先般、義務教育諸学校の教育課程について大幅な改訂を行ない、小学校については昭和三十六年から、中学校については昭和三十七年から、それぞれ全面的に実施いたしておりますが、その適切な運用を期するため、必要な教職員が確保できるよう教職員定数の標準につきまして改善を加える必要があります。
 なお、今後数年間にわたって、生徒数が急激に減少するという事態が生じてまいりますので、現行法に定める標準のまま推移いたしますと、教職員定数の大幅な減少が予想され、今後の人事行政に重大な支障を生ずるおそれがあり、この点も十分考慮に入れ、ここに学級編制と教職員定数の新たな標準を定めるため、との法律案を提出いたしたのであります。
 次に、法律案の内容について御説明いたします。
 まず第一は、学級編成に関する標準の改善であります。すなわち、現行法における一学級五十人の標準を四十五人にするとともに、複式学級、単級学級につきましても、それぞれ標準を改めることといたしたのであります。なお、この際、特殊教育の普及に伴って養護学校につきましても必要な規定を設けることといたしました。
 第二は、教員定数に関する算定標準の改善であります。すなわち、新教育課程の完全実施に伴って、新たに道徳及び技術・家庭科が新設され、さらに教育内容の充実のために授業時間数を増加いたしましたので、これに必要な教員数を確保できるよう、教員定数の算定標準を改めることといたしたのであります。
 第三に、以上のような改善と並行して、養護教員及び事務職員の増員をはかることとし、これら職員の定数の算定標準を改めることといたしました。
 第四は、経過措置についてであります。この法律案は昭和三十九年度から実施することといたしておりますが、まず学級編制の標準につきましては、児童生徒数の減少及び学校施設の状況を考慮しつつ、五年後には一学級四十五人の目標に到達できるよう、その間の必要な経過措置について政令で定めることといたしました。また、教職員定数の標準につきましても、同様に五年間に漸次改善をはかることといたしております。なお、この場合において問題となりますのは、児童生徒数の減少が必ずしも全国一率ではなく、その減少の傾向が特に著しい県があること、及び現に相当数の定数を上回る教職員を擁している府県があることであります。前者につきましては、一般の府県と同様の扱いをいたしますと、教職員定数の急減によって混乱を生ずることも予想されますので、事情に応じて昭和四十五年三月三十一日までに漸次定数を減少させることができるよう配慮することといたしました。また、後者につきましては、法律の施行と同時に定数を上回る教職員を認めないことにいたしますと、同じような混乱を免ずることになりますので、その程度に応じて昭和四十三年三月三十一日までに漸減できるよう特別の配慮をいたしております。
 最後に、事務職員の充実と関連して市町村立学校職員給与負担法の一部を改正いたしました。すなわち、現在吏員相当の者に限られている義務教育諸学校の県費負担事務職員の資格の制限を緩和し、その確保に遺憾なきを期することといたしたのであります。
 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 公立義務教育諸学校の学級編制及
  び教職員定数の標準に関する法
  律及び市町村立学校職員給与負
  担法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明に対する
  質疑
○議長(清瀬一郎君) ただいまの趣旨の説明に対しまして、質疑の通告が出ております。これを許します。小林信一君。
  〔小林信一君登壇〕
○小林信一君 私は、ただいま趣旨説明のありました公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案に対しまして、社会党を代表して、総理大臣並びに関係各大臣に質問をいたします。
 文部省は、さきに道徳教育の時間を設定し、道徳教科書をつくる意向を漏らし、さらに本年は全国に百九十二の道徳教育指定校をつくって道徳教育の徹底を期する体制を固めております。世相が悪化し、非行青少年がちまたにあふれ、その行為は自暴自棄にひとしく、将来が憂慮される今日、文部省のとられる処置もわれわれに理解できるのでありますが、社会事情そのものが過去の常識で考えられない複雑さを生じている現在、道徳教育という教育方法の考究より、教育行政には、教育の本質である教える心と教えられる心が強く接触することが可能な条件、つまり一学級の生徒数を少なくすることが強く要求されているのではないでしょうか。すし詰め教室を一日も早く解消してほしいと要望を続ける父兄や教師の声は、学力の向上ももちろんでありますが、想像できない将来の社会生活をたくましく生き抜くためには、教師がそれぞれの個性、能力を生かすきめのこまかい指導をすることが必要と感ずるからであります。したがって、本法案には政府の積極的な態度を求めてやまないもので、この観点に立ちまして質問を申し上げるつもりであります。
 諸外国はすでに三十人ないし四十人を限度として学級編制がなされ、教育の成果をあげながら、なお最近の科学技術の発展に伴いまして、その基礎教育である理科、数学を教える場合はさらに二つのクラスに分けて教えるほど、教育の効果と学級編制のことは重視されておるのであります。これに対しまして日本の教育は、教師にますます複雑化する学校事務、さまざまな雑務を負わせ、五十人から五十五人の過大学級を受け持たせ、教材研究も十分できない状態に追い込んで、勤務評定や学力テストという非常手段で教育効果をあげようとしておるのが現在であります。教育の近代化こそすべてに先がけて行なわれなければならない問題であると私は考えるのであります。
 ただいま趣旨説明がありました標準法は、昭和三十三年公布されたもので、第一次五カ年計画がいま終了し、今回第二次の計画として立案されたものでありますが、今後の五カ年間は児童生徒が実に三百万以上激減するという事態に直面しているのでありますから、少なくとも社会党が提案し、目下審議中であります五カ年間に四十人とする編制基準、そのための教職員の定員増加はきわめて妥当なものと私は思うのであります。(拍手)何ゆえこれに同調しないのか、政府の態度は理解に苦しむものであります。四十五人が理想の基準と考えるのか、四十人まで引き下げたいが財政が許さないのか、施設その他に問題があるのか、教育を受ける権利を保有する児童生徒にかわって要望する声が受け入れられない理由を文部大臣からまず御説明願いたいのであります。(拍手)新聞の論説にも、この法案は児童生徒の激減するのを機会に、一学級の生徒数を減らし、相対的に教員の定数をふやして、七万六千人の首切りを避けようとする、ごく消極的な一石二鳥をねらった法案であって、画期的対策であるとか、世界水準に達するなどと自負するほどのものではないと批判をしております。
 文部省は昨年秋に教育白書を出しまして、欧米各国では国民所得や行政費に対する文教費の比率が年々上昇しているのに対し、わが国における比率が停滞していることは、将来の経済成長の見地から憂慮される、こう経済成長政策に警告し、将来への投資を主張して国民の信頼を受けたのでありますが、その精神こそこの法案に生きなければならないはずであります。国民がこの法案を見て裏切られた感じを抱いておるではないかと私は考えます。総理大臣の人づくりもまた国民に高く評価されておりますが、この法案を出されるようでは、人づくり政策は国民の要求から遠く離れた一つの理論にすぎないといわざるを得ません。(拍手)総理大臣にお伺いいたしますが、総理の言う高度経済成長政策は、産業界の一部あるいは経済界の一部に施策されるものでなく、国民全体を対象とした企画であると私は信じます。しかもそれは、あなたの政権担当の期間という一時的なものでなく、将来にわたって成長を期する構想であると私は思います。したがって、大樹が風雪に耐えて成長するために、その根を地中にしっかり張らねばならぬと同様に、国民一人一人の技能をみがき、個々が高い教養を持つことが、政策遂行の要件でなければならないはずであります。総理が説く人づくりは、こうした思想の中から出発し、この法律もその精神を体して生まれた具体的な教育政策の一つとして考えられます。あなたの人づくり政策達成のためには、学校教育が最も重要な役割を果たすことは論をまたないところでありまして、義務教育における基礎学力の向上や、科学技術教育の充実、青少年の非行防止に万全を期すべきであります。そのためには、個々の児童生徒に教師の指導が徹底し得る学級編制が必要であり、特殊な技能を養成するための専科教員を配置し、現在のごとき教師が過重な負担を課せられて、教材研究も十分にできないような状態から解放するために、養護教員、事務職員、司書教諭、栄養士の定員を確保して、教育内容の充実、向上に努力すべきであります。遺憾ながら本法案には、この期待にこたえるような熱意は認められません。これがあなたの人づくり政策の一環のものであるとするならば、その人づくりは、まことに空虚なものといわなければなりません。(拍手)
 この際、総理の人づくりの具体的な方策を明らかにされるとともに、本法案は人づくりといかに結びつけられて検討されたかを御説明願いたいのであります。
 次に、大蔵大臣にお伺いいたします。
 大蔵大臣は、本年度予算に学校給食の無償給与費四十億を計上いたしまして、文部当局の意表をつき、教科書無償という画期的政策を引き受け、私学振興対策に二十億、まさかと思っておりました平城宮址のために七億と、予算総額から見れば大した額ではありませんが、かつて教育に対しかかる熱意を示した大蔵大臣は残念ながらなかったのであります。教育に関心を持つ国民はあなたに深く敬意と感謝をささげたのでありますが、しかしこの法案では、画龍点睛を欠いたうらみがあります。大蔵大臣の教育観、はたして那辺にありやと国民は理解に苦しんでおります。なぜならば、給食無償も教科書無償も、国民の悲願であったことは事実であります。しかしこの標準法は、教育一切の基盤をなすものであって、第一次の計画が児童生徒の増加する段階で組まれたのに対しまして、今回は三百万以上の減少を予想する中で計画され、教育充実の絶好の機会であったことを賢明な大蔵大臣が判断できなかったことは、遺憾というべきでありまして、大臣のこれに対する御見解をこの際説明していただきたいのであります。
 さらに、この標準法は、地方の実情、特殊性を認めて、実員実額の形が従来とられてきたのでありますが、大蔵省が定員定額を主張し、定員実額に妥協したと聞いておりますが、地方の自主性を教育に生かす点からも、まことに残念といわなければなりません。大臣の真意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、自治大臣にお伺いいたします。
 自治大臣の教育に対する責任は、教育費が地方財政を圧迫しないよう、しかも、地方自治体の教育に対する自主性を守ることが、あなたの責任だと考えております。国民の教育に対する関心の高まりは、施設設備の充実から、事務職員、養護婦、栄養士、司書、こういう人たちの要員を市町村費で充足する傾向が次第に強くなっております。そのためには、地方財政の中に占めるところの教育費は、ますます地方財政を圧迫してきておるのでありますが、本法案は、これらの問題を解決するに重大な使命を持つものでありまして、立案にあたって、大臣が地方の要望をどのように果たしたか、お伺いしたいのであります。
 最後に、文部大臣にお尋ねいたします。
 第一に、本法案では都会地、富裕府県の教育は恵まれるが、僻地や小規模学校を持つ貧弱県は恵まれません。ますます教育の格差が増大すると考えられます。学力テストを実施した文部省としては、その結果としての特別な措置がなさるべきであるが、そうした配慮がどのようになされたか、お示し願いたい。
 第二に、昭和二十二年制定の学校教育法施行規則にさえ、小学校には特定の教科を担任するため、必要な数の教員を置くことができると規定されております。今日、理科、音楽、体育等の専科教員の必置が強く要望されておるのに対し、どのように措置されたか、説明をお願いいたします。
 第三に、同じ学校教育法第二十八条には、事務職員、養護教諭は置かなければならないと定め、養成機関の不備等から当分の間置かなくともよろしいとして今日まで放置されまして、毎回の国会審議の中で問題となり、文部省は、最近の教育事情を考慮いたしまして必ず善処すると約束されておったのでありますが、いかが処置をされたか、御説明願いたいのであります。
 第四に、この法案では首を切られる者が少なくとも二万人以上に及ぶと私は考えられるのであります。この処置は一体どうするお考えであるか。また、今後も児童生徒の減少が予想されるのでありますが、教員志望はいよいよなくなり、教育界の沈滞が憂慮されますが、いかに対策されるか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
 第五に、池田総理は一作家の文章を読んで直ちに厚生大臣にその調査を指示し、その作家はもちろん国民全体を感激させたことは、まことに喜ばしいことであります。文部大臣としては、精薄児、肢体不自由児、盲、ろう、こういう子供たちの完全就学に一そう努力すべきだと考えますが、現在の就学率、将来に対する対策、そのための教職員の確保についてどのように考えられているか、御説明を願いたいのであります。
 さらに、学校給食、学校図書館、学校の警備の問題、こうした要員の確保、社会情勢の急激な変化に応ずるための教職員の再教育、そのための教職員の配置について、教育行政者として当然考慮されなければならない問題でありますが、どのようにかかる点に検討をされておるか、との際明らかにされることをお願いいたしまして、質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) りっぱな国をつくり、りっぱな人をつくりますために、文教の振興が必要であることは申すまでもないところでございます。また、わが国の経済の高度成長につきまして、われわれの先輩が教育に非常に力を入れた結果として、今日の経済の成長ができたことも世界各国の認むるところでございます。したがいまして、私は組閣以来文教の刷新は最も大きい三大政策の一つとしてやっておるのであります。今回の予算におきましてもその点は十分あらわれておると考えております。私は、どういう考え方のもとに、今後も一そう文教の振興をはかっていきたい。今回の法案の改正もこの線から出ておることを申し上げて、お答えといたします。(拍手)
  〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。
 第一は、今度の基準法については、教育的な立場からきめのこまかい教育に心がけるつもりであるかどうかというお尋ねであったと思います。もとより御指摘のとおり、単に首切りが出るから困るのでやるというのでなくして、いわば生徒数の減少が不幸中の幸いと申しますか、それを教育効果をあげるための機会が到来したものと受け取って、御指摘のとおり、きめのこまかい教育効果をあげる課題として受け取っておるわけであります。(拍手)
 第二番目に、生徒の一人一人の個性を伸ばすという見地から、一学級をもっと減らして、三十五人くらいにしたらどうだというふうな意味のお尋ねであったと思います。さしあたり三十五名あるいは四十名等のお説には賛同いたしかねます。この法案の目標は、先刻御説明申し上げましたように、最高四十五名とする定数の引き下げでございます。したがいまして、全国平均しますれば、四十人を割ることになろうかと思うのでございます。専門家の話によれば、多過ぎることは教育効果があがらないと同時に、あまり少な過ぎるとこれまた困る、こういうお話もあるわけでございます。(拍手)むろん今後にわたって検討すべき課題があることはわかりますけれども、さしあたり、この御提案申し上げております案が実行されることによって教育効果の向上を期待できるものと存じております。
 次に、僻地教育についてのお話がございましたが、むろんいままでやっております学力テストあるいはそれ以外の諸調査に基づきまして、僻地教育の振興さるべきことは文部省としても従来から注目し、努力を積み重ねてきている次第でございまして、今度の定数基準の改正にあたりましても、これまた先刻御説明申し上げましたとおり、僻地教育につきましても、実質的改善が行なわれまするように格別の配慮を行ないまして、小規模学校に対する考え方としましては、原則として三教科以上の教科を担任しなくてもよろしいように配慮いたしておるのでございます。
 そのほか事務職員、養護教員の増員ないしは専科教員の配置を考慮して、質の向上をはかるべきじゃないかという意味の御質問でございました。もとより御指摘のとおり、同感でございますと同時に、今度の基準改正にあたりましても、そのことを十分とは申し上げませんけれども、少なくとも今度の機会をいい機会と存じまして、御指摘のような方面にも具体的な施策を講ずることにいたしたいと存ずる次第でございます。(拍手)司書教諭についても同様でございます。
 その次に、教職員の定数減になるわけで、一万数千人が結局首を切られるのじゃないかという意味においての御質問であったかと思います。この改正がなければ、七万人以上が、一方において教育効果をあげねばならないという国家的要請があるにかかわらず、そのことができないと同庁に、首を切らねばならぬという羽目に相なります。首切り防止法案ではむろんございませんけれども、せっかくりっぱな先生がたくさんいまいてくれるならば、悪い先生は別ですけれども、いい先生はぜひとも定数減によって余儀なく教育の場から排除されるようなことは防止すべきである。そういう立場に立った要請にもこたえることは先刻も申し上げました。したがって、定数法として今度改正することによって、大部分は首切り防止的な意味においてもその要望にこたえ得るのでございますが、一万人ちょっとが計算上はオーバーするということになろうかと思います。しかしながら、それはいままで毎年々々の実情が、一万数千人の自然退職者がございます。その自然退職者がございますことは、毎年また免状をもらって新しい先生になりたい人がおりますので、新規採用この課題にたえるのに、その自然退職者をもって引き当てるということにいたしますと同時に、先刻もお答え申し上げました事務職員、養護教諭等、それらの増員を別途考えることになりますので、一応オーバーした数字の中からの大多数は、現実問題としては首切りなどということにならないように相なるわけでございます。
 次に、盲ろう、養護学校等の特殊教育の振興が必要である、だからその点についても格別の配慮が必要であるという御指摘でございましたが、これまた私どもも御同感でございます。小林さんと同じ考え方に立ちまして、さらに努力を重ねて御要望の趣旨にこたえる覚悟でございます。以上、お答え申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 小林さんにお答えいたします。
 非常に熱意を持ってやってきておるのだから、竿頭一歩を進めて実員で考慮すればよいではないかということでありますが、ただいまも文部大臣が申されたとおり、この標準法の提出によりましても、相当われわれが考えておった理想に近づきつつあるわけであります。しかも、教育の機会均等、公平の見地からいたしまして、一定の基準によりまして国が負担をするというのが正しいことだと思います。しかし、定数以上におる人たちを否定いたしておるのではないのであります。より十分なる施設を行ない、また、現在おられる定員の配置をそのまま続けたいという方々に、地方は自分で負担をすることが、公平の原則から言っても当然のことだと考えております。
 それから、現在少ないところと定数以上のものまで全部実員によって国が負担するということになりますと、府県、市町村間において非常に不均衡ができるわけでありまして、当然基準までを国庫負担の限度とするということが常識的であり、正しいと考えたわけであります。しかし、事務職員の問題、養護教諭の問題、司書教諭の問題とか、栄養士の問題とか、非常に前向きで処置をいたしておるのでありますから、事情御了解を賜わりたいと存じます。(拍手)
  〔国務大臣篠田弘作君登壇〕
○国務大臣(篠田弘作君) 教員の定数を定員定額にするか実員実額にするかという問題につきましては、ただいま大蔵大臣がお答えしたとおりでございます。
 次に、地方教育関係事務職員につきましては、従来、吏員相当職のみを国庫負担の対象としてまいりましたが、今回の改正では、吏員に準ずる者までその範囲を広げております。
 また、栄養士につきましては、昭和三十八年度より、さしあたり一定の規模以上の市に、小、中学校数に応じまして管理栄養士を置くこととし、これに要する財源は、地方財政計画におきまして見込むとともに、地方交付税の基準財政需要額に算入いたしております。将来さらに経済の発展等の事情も考えまして、定員の充実、その財源措置等のあり方につきましては、さらに検討していきたいと思います。その他の面におきましても、税外負担の解消のため地方交付税の基準財政需要額の増額を行なう等の市町村財政の充実を期しているところであります。今後もなお一そうの努力をしたいと考えております。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 以上で法案の趣旨説明に対する質疑並びにこれに対する答弁は終わりました。
     ――――◇―――――
 日程第一 金融緊急措置令を廃止
  する法律案(内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) これより日程に入ります。
 日程第一、金融緊急措置令を廃止する法律案を議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長臼井莊一君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔臼井莊一君登壇〕
    ―――――――――――――
○臼井莊一君 ただいま議題となりました金融緊急措置令を廃止する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 金融緊急措置令は、戦後わが国金融の緊急事態に対処するため、昭和二十一年に制定された緊急勅令でありまして、封鎖預金に関すること、金融機関に対する融資の制限及び禁止等について規定いたしております。
 しかして、封鎖預金に関する規定につきましては、すでにその実質的使命を終え、また、金融機関に対する融資の制限及び禁止に関する規定につきましては、これを存置することを適当としない情勢となったものと認めて、本法案はこの措置令を廃止しようとするものであります。
 この法案につきましては、当委員会において慎重審議の後、昨六日、質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決となりました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 失業保険法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) 日程第二、失業保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。社会労働委員長秋田大助君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔秋田大助君登壇〕
○秋田大助君 ただいま議題となりました失業保険法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 わが国の雇用失業情勢は、経済の高度成長に伴い、全般的に著しい改善を遂げておりますが、中高年齢の失業者等は、その再就職が依然として困難な事情にありますので、これら失業者の生活の安定をはかり、その再就職を促進する必要があります。また、社会保障制度につきましては、各方面からその充実、強化が要請されているところであります。
 本案は、このような事情にかんがみ、失業保険の収支状況をも勘案の上、失業保険制度の改善及び受給者に対する就職促進措置の充実を行なおうとするものであります。
 次に、そのおもなる内容について申し上げます。
 第一に、一般失業保険につきましては、失業保険金の最高日額を現行の七百円から八百六十円に引き上げ、新たに扶養加算を行なうこととし、失業中に疾病にかかった受給資格者に対して傷病給付金を支給するなど、給付の改善をはかっております。また、受給資格者に対する給付日数の延長措置を、法令の規定に基づく訓練、講習についても行なうとともに、新たに転職訓練期間中は、技能習律手当及び寄宿手当を支給することとし、その再就職促進に資することとしております。
 第二に、一般失業保険の保険料率の改訂方法につきましては、積み立て金の適正規模を定め、この規模を積み立て金が上回り、または下回るに至ったときには、一定の範囲内で保険料率を弾力的に上下させる措置をとり得るようにいたしました。
 第三に、日雇い失業保険につきましては、現行の原則四分の一の国庫負担率を原則三分の一に引き上げ、待期制度を改めて各週最初の不就労日については失業保険金を支給しないこととするなどの改善をはかっております。
 本案は、去る三月八日本委員会に付託となり、昨六日の委員会において質疑を終了したのでありますが、澁谷直藏委員より、施行期日を改めるとともに、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正して、就職促進手当の最高額は四百五十円とするも、扶養加算はそのワク外とする旨の修正案が提出され、採決の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
○議長(清瀬一郎君) 本日は、これをもって散会いたします。
   午後三時四十五分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
        農 林 大 臣 重政 誠之君
        通商産業大臣  福田  一君
        労 働 大 臣 大橋 武夫君
        自 治 大 臣 篠田 弘作君
 出席政府委員
        内閣法制局第一
        部長      山内 一夫君
     ――――◇―――――