第043回国会 予算委員会 第19号
昭和三十八年六月三日(月曜日)
    午前十時十五分開議
 出席委員
   委員長 塚原 俊郎君
   理事 愛知 揆一君 理事 青木  正君
   理事 赤澤 正道君 理事 安藤  覺君
   理事 川俣 清音君 理事 楯 兼次郎君
   理事 辻原 弘市君
      相川 勝六君    井出一太郎君
      今松 治郎君    宇野 宗佑君
      尾関 義一君    仮谷 忠男君
      小坂善太郎君    櫻内 義雄君
      正示啓次郎君    周東 英雄君
      田澤 吉郎君    中村三之丞君
      西村 直己君    羽田武嗣郎君
      藤井 勝志君    船田  中君
      保科善四郎君    松浦周太郎君
      松野 頼三君    松本 俊一君
      山口 好一君    山本 猛夫君
      淡谷 悠藏君    石田 宥全君
      加藤 清二君    川村 継義君
      木原津與志君    島上善五郎君
      野原  覺君    山花 秀雄君
      山口丈太郎君    横路 節雄君
      渡辺 惣蔵君    受田 新吉君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        法 務 大 臣 中垣 國男君
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
        厚 生 大 臣 西村 英一君
        農 林 大 臣 重政 誠之君
        通商産業大臣  福田  一君
        運 輸 大 臣 綾部健太郎君
        郵 政 大 臣 小沢久太郎君
        労 働 大 臣 大橋 武夫君
        自 治 大 臣 篠田 弘作君
        国 務 大 臣 川島正次郎君
        国 務 大 臣 近藤 鶴代君
        国 務 大 臣 志賀健次郎君
        国 務 大 臣 宮澤 喜一君
 出席政府委員
        内閣官房長官  黒金 泰美君
        内閣法制局長官 林  修三君
        人事院総裁   佐藤 達夫君
        総理府総務長官 徳安 實藏君
        警察庁長官   江口 俊男君
        防衛庁参事官
        (防衛局長)  海原  治君
        大蔵事務官
        (主計局長)  佐藤 一郎君
        運輸事務官
        (鉄道監督局長
        事務取扱)   岡本  悟君
 委員外の出席者
        警  視  長
        (警視庁刑事部
        長)      本多 丕道君
        日本国有鉄道総
        裁       石田 礼助君
        日本国有鉄道副
        総裁      磯崎  叡君
        専  門  員 大沢  実君
     ―――――――――――――
三月五日
 委員久保田円次君辞任につき、その補欠として
 小坂善太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月六日
 委員宇野宗佑君、浦野幸男君、佐々木義武君、
 前田義雄君、加藤清二君及び野原覺君辞任につ
 き、その補欠として保科善四郎君、江崎真澄君、
 松野頼三君、今松治郎君、石村英雄君及び中村
 英男君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員石村英雄君及び中村英男君辞任につき、そ
 の補欠として加藤清二君及び野原覺君が議長の
 指名で委員に選任された。
同月七日
 委員石田宥全君及び川村継義君辞任につき、そ
 の補欠として稻村隆一君及び中嶋英夫君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員稻村隆一君辞任につき、その補欠として石
 田宥全君が議長の指名で委員に選任された。
同月八日
 委員松浦周太郎君辞任につき、その補欠として
 菅太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員菅太郎君辞任につき、その補欠として松浦
 周太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月十二日
 委員伊藤幟君、羽田武嗣郎君、藤井勝志君及び
 松浦周太郎君辞任につき、その補欠として山口
 好一君、南條徳男君、田中伊三次君、及び簡牛
 凡夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員簡牛凡夫君及び南條徳男君辞任につき、そ
 の補欠として松浦周太郎君及び羽田武嗣郎君が
 議長の指名で委員に選任された。
同月十三日
 委員羽田武嗣郎君及び加藤清二君辞任につき、
 その補欠として早川崇君及び久保田豊君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員早川崇君及び久保田豊君辞任につき、その
 補欠として羽田武嗣郎君及び加藤清二君が議長
 の指名で委員に選任された。
同月十五日
 委員田中伊三次君及び保科善四郎君辞任につき、
 その補欠として高碕達之助君及び中島茂喜君が
 議長の指名で委員に選任された。
同月十八日
 委員北澤直吉君辞任につき、その補欠として水
 田三喜男君が議長の指名で委員に選任された。
同月十九日
 委員中嶋英夫君辞任につき、その補欠として川
 村継義君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十日
 委員仮谷忠男君、羽田武嗣郎君及び佐々木良作
 君辞任につき、その補欠として南條徳男君、上
 林山榮吉君及び伊藤卯四郎君が議長の指名で委
 員に選任された。
同日
 委員上林山榮吉君、南條徳男君及び伊藤卯四郎
 君辞任につき、その補欠として羽田武嗣郎君、
 仮谷忠男君及び佐々木良作君が議長の指名で委
 員に選任された。
同月二十二日
 委員仮谷忠男君、羽田武嗣郎君及び松浦周太郎
 君辞任につき、その補欠として森下國雄君、池
 田正之輔君及び赤城宗徳君が議長の指名で委員
 に選任された。
同日
 委員赤城宗徳君、池田正之輔君及び森下國雄君
 辞任につき、その補欠として松浦周太郎君、羽
 田武嗣郎君及び仮谷忠男君が議長の指名で委員
 に選任された。
同月二十六日
 委員松本俊一君及び山口好一君辞任につき、そ
 の補欠として池田正之輔君及び赤城宗徳君が議
 長の指名で選任された。
同日
 委員赤城宗徳君及び池田正之輔君辞任につき、
 その補欠として山口好一君及び松本俊一君が議
 長の指名で委員に選任された。
同月二十八日
 委員石田宥全君辞任につき、その補欠として安
 井吉典君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員安井吉典君辞任につき、その補欠として石
 田宥全君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十九日
 委員船田中君、松浦周太郎君、松本俊一君及び
 山口好一君辞任につき、その補欠として藤本捨
 助君、松田鐵藏君、佐伯宗義君及ひ楢橋渡君が
 議長の指名で委員に選任された。同日
 委員佐伯宗義君、楢橋渡君、藤本捨助君及び松
 田鐵藏君辞任につき、その補欠として松本俊一
 君、山口好一君、船田中君及び松浦周太郎君が
 議長の指名で委員に選任された。
五月十七日
 委員川村継義君及び佐々木良作君辞任につき、
 その補欠として成田知巳君及び片山哲君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員片山哲君辞任につき、その補欠として佐々
 木良作君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十一日
 委員尾関義一君、倉成正君、正示啓次郎君、澤
 田吉郎君、羽田武嗣郎君、船田中君、松浦周太
 郎君、松本俊一君、山口好一君、山本猛夫君及
 び佐々木良作君辞任につき、その補欠として山
 口喜久一郎君、佐伯宗義君、菅野和太郎君、楢
 橋渡君、首藤新八君、齋藤憲三君、中山マサ君、
 松田鐵藏君、渡邊良夫君、加藤鐐五郎君及び伊
 藤卯四郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員伊藤卯四郎君辞任につき、その補欠として
 佐々木良作君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十八日
 委員高田富之君及び佐々木良作君辞任につき、
 その補欠として野口忠夫君及び伊藤卯四郎君が
 議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員野口忠夫君辞任につき、その補欠として高
 田富之君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十九日
 委員高田富之君辞任につき、その補欠として稻
 村隆一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員稲村隆一君辞任につき、その補欠として高
 田富之君が議長の指名で委員に選任された。
同月三十日
 委員石田宥全君辞任につき、その補欠として稻
 村隆一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員稻村隆一君辞任につき、その補欠として石
 田宥全君が議長の指名で委員に選任された。
同月三十一日
 委員堂森芳夫君、成田知巳君及び伊藤卯四郎君
 辞任につき、その補欠として島上善五郎君、川
 村継義君及び受田新吉君が議長の指名で委員に
 選任された。
六月一日
 委員加藤鐐五郎君、菅野和太郎君、佐伯宗義君、
 齋藤憲三君、首藤新八君、高碕達之助君、中島
 茂喜君、中山マサ君、栖橋渡君、松田鐵藏君、
 水田三喜男君、山口喜久一郎君及び渡邊良夫君
 辞任につき、その補欠として山本猛夫君、正示
 啓次郎君、倉石忠雄君、船田中君、羽田武嗣郎
 君、田中伊三次君、保科善四郎君、松浦周太郎
 君、田澤吉郎君、松本俊一君、北澤直吉君、尾
 関義一君及び山口好一君が議長の指名で委員に
 選任された。
同月三日
 委員植木庚子郎君及び北澤直吉君辞任につき、
 その補欠として藤井勝志君及び宇野宗佑君が議
 長の指名で委員に選任された。
同日
 委員宇野宗佑君及び藤井勝志君辞任につき、そ
 の補欠として北澤直吉君及び植木庚子郎君が議
 長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 予算の実施状況に関する件
     ――――◇―――――
○塚原委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求の件についておはかりいたします。
 先般の理事会の協議に基づき、予算の実施状況について調査を行なうことにいたしたいと存じます。つきましては、この際議長に対し国政調査の承認を求めたいと思いますが、その手続は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塚原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。直ちに委員長において所要の手続をとることにいたします。
     ――――◇―――――
○塚原委員長 それでは、これより予算の実施状況につきまして調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。島上善五郎君。
○島上委員 私は、社会党を代表いたしまして、主として総理大臣、その他関係大臣にもお伺いいたしますが、政治の姿勢と選挙に関してお伺いしたいと存じます。
 池田自民党総裁が総理大臣になりました直後に、自民党は新政策なるものを発表しております。その新政策には、民意を尊重した公明な議会政治を確立することがすべての政策の前提である、このように強調しております。私もその点においては全く同じように考えております。また総理は、先般の同僚議員の質問に対して、民主政治を確立するには公明な正しい選挙を行なうことがその根本である、このように言われております。その点も私はまさにそのとおりだと思います。しかるに総理大臣は、正しい選挙を行なうためにあらゆる努力をしてまいりました。こう言っておりますけれども、池田総理大臣が出現して以来、衆議院の選挙、参議院の選挙、そうして過ぐる地方選挙と、選挙はその会を重ねるごとに年々歳々悪くなっております。悪質化しております。特に過ぐる地方選挙のごときは、きわめて悪質な、組織的、知能犯的とも言わるべき違反が続出いたしました。私どもがこの問題を取り上げますのは、いま前段引き合いに出しました総理のおことばにもありますように、一党一派の問題ではない、単に自民党を非難し、総理大臣を責めることを目的としてこの問題を取り上げようとするのではないのです。あの地方選挙における目にあまる違反の事実に対して、国民は、地方選挙後再開された国会において、すみやかにこの問題を取り上げて国会の立場から事態を究明するであろうことを期待しております。そこで、私たちは衆参両院において緊急質問の手続をいたしましたし、関係委員会の開催、この委員会に総理その他の大臣の出席を求めてまいりましたが、どういうわけかなかなかこの開催及び緊急質問に応じないで、先般ようやく衆参両院の緊急質問を行なうというようなことになりました。私は、この点においてもはなはだ不満であります。また衆参両院における緊急質問に対する総理の答弁も、まるで人ごとを言っておるような態度で、きわめて責任回避のおざなり答弁といわざるを得ません。遺憾であるということをたった一言だけ言っておりまするけれども、「その間におきまして、いろいろな不祥な事件が起こることは、まことに遺憾なことでございます。」いろいろな不祥事件ということで、過ぐる地方選挙のあのひどい状態に対する反省とか、そういうものは片りんだにないと言ってもよろしいくらいです。私は、ここで事実を隠蔽してうやむやにすることではなくて、事実をはっきり国民の前に浮き彫りにして、明らかにすべき責任は明らかにし、国民に陳謝すべきは陳謝し、深刻な反省をする、厳粛な反省をする、その中から今後の法改正なりあるいは政党政府としてとるべき選挙違反防止の適切なる対策を見出す、こういうのでなければならないと思います。早ければことしの秋か、おそくとも来春には総選挙だと言われております。もし、この年々歳々悪質化してきておりまする選挙違反に対する反省と適切なる防止の手を打たなかったならば、次の総選挙はさらに輪をかけたような悪質なものになるのではないか。総理も言っておりまする民主政治の根本が救いがたい危機におちいってしまうのではないかということを心配せざるを得ません。これは一党一派の問題ではないのです。日本の政治の問題です。政治の姿勢の問題です。
 私は、こういうような見地から、以下時間の許される限り総理大臣並びに関係大臣にお伺いいたしますが、その前にちょっと御参考までに数字をあげておきますが、これは五月二十日現在の警察庁刑事局調べによるものでありますが、今回は買収、利害誘導といわれる悪質なる違反が五月二十日現在までに一万九千四百九十四件、これは違反件数の総数に比例いたしまして八四%、人員におきましては三万九千五百六十一人、これは総人員に比較いたしまして八九%、そうして前回の同じ地方選挙に比べまして、件数において約二倍、人員は丁二五倍となっております。そのほか今回の違反がいかに悪質であるかということは、総理ですでに新聞等をお読みになって御承知になっていると思いますが、今回はにせ証紙というような新しい手口があらわれてまいりました。選挙の大事な立ち会い演説会が全く暴力によって妨害されてしまった。選挙は、言うまで毛なく文書と言論戦が中心であるべきものです。この文書戦と言論戦が組織的計画的にめちゃめちゃにされてしまった。さらには今度の特徴としては、現金を速達で送ったり、商品切手を送ったりというような、こういう露骨な手口まであらわれております。
 そこで、私は総理にまず最初に伺いますが、どうして一体このように選挙が年々歳々回を重ねるごとに悪くなってくるのか。公明選挙のための費用をことしは自治大臣が大いに努力して増額したことも知っております。公明選挙都市宣言が至るところで行なわれたことも知っております。それにもかかわらず、こういうふうに選挙がどうして一体悪くなってくるのか、その原因について総理がどのようにお考えかをまず伺いたいと思います。
○池田国務大臣 お話しのとおり、選挙の公明を期することは民主政治確立の前提要件、最も重要な要件でございます。したがいまして、過去の選挙の状況を見ますと、衆議院、参議院の選挙の取り締まりは相当厳重にやられておりましたが、地方選挙におきましては、えてして衆議院選挙ほど取り締まりが厳重でなかったように私は感じておったのであります。いずれの選挙にいたしましても、公明という点からいくと同じでございますから、私は、従来とは違って、この統一地方選挙で十分取り締まりをやって、そうして選挙の徹底的公明を期せなければいかぬというので、前例のないいわゆる予備費の支出を企てて厳重取り締まると同時に、かたわら公明選挙運動を推進した次第でございます。しかるところ、お話のとおり遺憾ながら選挙違反が非常に出たということは、これはわれわれとして大いに反省し、今後そういうことのないようにしなければならぬことは当然でございます。
 御質問の、どういう理由で選挙違反がたくさん出るかということでございますが、私は、選挙に対しましてのいわゆる当事者と申しますか、候補者並びにその関係者の自粛が足りない、反省が少ないということも一つの原因でございましょうが、全般的にやっぱり国民におかれましても、選挙の公明についてのいわゆる決意がある程度欠けているんじゃないかと思う。もちろんその関係者の責任が大きいということは当然のことでございます。だから、この原因につきましては、私は、民主政治の根本が公明選挙にあるということを今後とも十分理解していただくように努力するよりほかにないと思います。
○島上委員 総理の答弁を伺っておりますと、まるで、いままでは地方選挙にはそれほど厳重な取り締まりをしなかったが、今度は厳重な取り締まりを命じたから、その結果違反の件数が多くなったと、こういうふうに受け取れます。私は、取り締まりが厳重になったから違反の件数が多く出たとは思いません。たとえば東京都におけるにせ証紙でも、これを発見したのは反対党の者です。もし社会党が十四日に、もう終盤戦ですが、発見しなかったら、おそらくこの問題はうやむやに葬り去られている、このような悪質な違反はなかったことになってまかり通っておったでしょう。これは、取り締まりが厳重だからこの事件が出たのじゃないです。こういうような違反がきわめて巧妙に、組織的に、東京ばかりではない、福岡でも千葉でも至るところに――何しろ地方選挙対策委員会と自民党の本部の選対の連絡係をしている中心がこの違反のにせ証紙の中心人物ですから、はっきり申しますれば、その悪知恵を方々の地方に提供しておったに違いない。私は、発見されないにせ証紙がまだ地方にあるのではないかと思っておる。これは候補者の自粛反省も足りないとも思うが国民の側にもと、責任を国民に転嫁するようなものの言い方をしております。私はこれは間違いだと思う。それは多少は国民の側にもあるでしょう。あるいはまた法律の不備欠陥という点もあるでしょう。しかし、私の考えるところによれば、この最大の原因は、あとで政治資金の問題も伺いますが、財界からばく大な献金を受けて、ばく大な金をかけて、勝つためには手段を選ばぬ、こういう考えのもとに、法を無視して選挙をやっておる政党及び候補者、特に保守党の側に最大の原因と責任があることはおおいがたい事実だと思うのです。今度の選挙違反の事実を見てごらんなさい、九九%までは保守党です。現金を贈ったり商品券を贈ったりしたのも保守党、にせ証紙をつくったのも全部自民党、しかも自民党の副総裁が選挙対策委員長となって、歌の文句じゃないけれども、何が何でも勝たねばならぬ、勝つためには、目的のためには手段は選ばぬ、こう公言しておる。そしてある場所では、金で済むことなら何でもやれ、わしが引き受ける、こうも言ったそうです。しかし私は、これを言った言わないということをここで問いただそうとしているのではありません。ありませんけれども、目的のためには手段を選ばぬという考えでばく大な金をかけてやっているところに、違反がこのように続発する原因がある。そして、東京都知事選挙はまさにこのような考えのもとに指導され実行されてきたことは、これは明白な事実です。泡沫候補――あるときには必ず阪本勝という候補者を立てますぞ、こうも言っておったそうです。阪本勝という候補者を立てようとすれば、いまの法律では立てられます。しかし、これだけはあまり露骨だと思って遠慮したかと思いますが、中山勝、橋本勝、死んだ人間、まさにこれは幽霊です。幽霊が東京都知事候補でございといって、白昼公然と歩いていた。もう一人は、いま取り調べ中ですが、本人の自供によれば朝鮮人だそうです。一体こういう候補者が、国民ですから立つ権利はどなたも持っておると思いますけれども、選挙の演説を聞いても公報を見ましても、総理は東京都民ですから公報をもちろんごらんになったと思いますが、この公報を見てごらんなさい。私はとうていこの議場でこれを披露することができない、きまりが悪くて。自分の当選のために立候補した人が何人ありますか。演説でも公報でも、私が都知事になったらこういうことをやるから私に投票してくださいと言っている人は、東、阪本以外にはほとんどいない、一人もいないとは申しませんけれども。裏で金を提供する者があるからこういうことになりますと、これは東京都の選管の事務局長がいみじくも言っておりました。まだその事実は、捜査が進んでおりまして一部分しか出ておりませんけれども、このような泡沫候補がたくさん出て、大事な立ち会い演説会をめちゃめちゃにしてしまう。裏で金が動いたことは、これはぼつぼつ上がってきております。こういうような悪質運動をして、しかも見つかった者は運が悪いという程度の意識しか持っていない。これではいつまでたっても選挙はよくなりません。百年河清を待つに等しいものです。ここで総理は、いま司直の手で厳正に調べているから、その結論を待ってなどとは言わずに、それはもう逃げ口上ですから、そう言わずに――自民党の相当の地位にある者が中心であるとともこれは事実なんです。いま捜査しておるから、まだはっきりわかりませんなどと言わずに、にせ証紙の中心人物であることも事実なんです。どれだけの金がどういうふうに動いて、その金がどこから来たということがまだ判明しないだけの話で、事実なんですから、法律上の問題は裁判所でするといたしましても、政治道義の上から言っても、ここで自民党総裁たる総理が、国民の前に率直に言うべきことばがあるはずだと思います。いろいろなことが起こりまして遺憾でございますなど、こういうことを言わずに、自民党総裁として、自民党本部の建物に特別の機関をつくって、謀略、機関をつくって、悪質違反の研究を年じゅうやっておって、地方に連絡して、その集中が東京都知事において行なわれた。この事実に対して、私は自民党総裁として特に言うべきことばがあるはずだと思います。それを伺いたい。
○池田国務大臣 先般本会議でお答え申し上げましたごとく、統一地方選挙におきましていろいろ違反事件が起こったことはまことに遺憾でございます。いまお話しのとおり、にせ証紙の事件とか、あるいは現金送付とか、あるいは泡沫候補の出現によって立ちい演説会が妨害されたというような、いろいろな事件が起こっておることはまことに遺憾でございますが、しかしこういう問題につきましては、ただいま検察当局でいろいろ調査しておられるときでございますから、やはり事案がはっきりしてからとるべき措置はとるべきであると考えます。結果がどうなろうとも、こういうふうなことで世間を騒がし、国民に疑惑を持たれたということはまことに遺憾でございます。私は、それ以上のことはただいまのところは申すべきではないと思います。
○島上委員 それでは、私は責任を感じておるとは思えませんし、反省しておるとは思えないと思います。もし私どもの党にそういうことがありましたら、われわれは率直に反省します。そして、そういう悪質なものは、党においてすみやかに当然処断いたします。ところがまだ松崎何がしなる者に対して、党にはそういう規定がないからといって何もしない。まだあとでだんだん伺いますが、まだまだありますよ。私のところに入っておる事実だけでも、まだまだ関連がたくさんありますが、それでは大野副総裁が、目的のためには手段を選ばぬ、こういう考えのもとに知事選挙を指導したというこの事実に対して、これでよろしいと思いますか、これでは、間違いだ、こうお考えですか。
○池田国務大臣 目的のために手段を選ばぬということをもし大野副総裁が言われたとすれば、それはもちろん法治国でございますから、法の範囲内において行なわれることは当然でございます。
  〔「もう少し反省せい」と呼び、その他発言する者多し〕
○塚原委員長 静粛に願います。
○島上委員 松崎長作を中心とする違反は、これは単にあの数名のグループだけのものではございません。ここにはばく大な金が流れております。一昨日、選挙事務局長あるいは実質上の出納責任者をやったと目される東京都の元副知事、岡安何がし(「はっきり名前を言え」と呼ぶ者あり)岡安彦三郎という人が逮捕されましたが、事件はいよいよこれで心臓部に迫ると思う。上のほうに波及すると思います。そこで伺いますが、先日法務大臣が参議院で、たまたま、これは指揮権を発動するであろうというやじが出たら、やじに答えた形で、指揮権発動は絶対しませんということで、これはたいへんけっこうな答弁で、私は司直の手がどんどんと身辺近くに迫ってまいりましても、もちろん指揮権を発動するようなことはなかろうと思いますが、念のためその点を伺っておきたいのと、それから陳情とか要請とかで、検察及び警察へ自民党方面から、適当にやってほしいと言わぬばかりの運動が行なわれていますが、この捜査は、国民注視の的になっておりますから、私どもは徹底的に捜査して疑惑を残さぬ。ばく大な金が一秘書官の手によって動かされるということはあり得べきことじゃありませんから、その金の出所まで徹底的に明白にされることを望んでおりますが、指揮権を発動しないということと、捜査を徹底的にすることを望まれるかという点、これは当然なことですけれども、念のため伺っておきます。
○中垣国務大臣 お答えいたします。
 選挙違反につきましては、悪質違反であろうがなかろうが、今回の捜査は徹底的にやるということが選挙以前から閣議においても申し合わせがされ、また総理をはじめ法務大臣、公安委員長等からはたびたび新聞等でも声明をいたし、また各関係庁の地方の長を呼びまして、その旨を徹底してまいっております。このたびの東京都知事に関する選挙違反につきまして、党から手心を加えよといったような陳情を受けたことは一ぺんもございません。また私は、参議院の本会議におきまして指揮権発動をしないと申し上げたのでありますが、これは当然のことであります。徹底的に厳正公平な立場で捜査をいたしまして、できるだけ早い機会に真相を明らかにしたいと考えておる次第でございます。
○島上委員 私は、総理大臣に先ほども申しましたが、裁判進行中だからといって逃げることではなくて、裁判所でやることは裁判所でやること、国会でやることは国会でやることですから、私は自民党の相当重要な地位にある者が関係しておるという事実や、これからだんだんと波及してまいりまして、自民党の議員に、あるいは場合によっては閣僚の身辺にまで及ばぬとも限らぬと思いますが、こういうような際には、なおそれでも、いろいろな事件がありまして遺憾でございますといったようなことで済ましておれないと思います。幸い七月には内閣改造や人事改選もあると聞いておりますが、こういう選挙違反の疑いの濃い者や、あるいは以前に選挙違反をやった者、現に私の聞いておるところでは、失格の判決を受けて控訴中の者も自民党にあります。出納責任者が買収で起訴されて有罪になっているのですから、近く失格を予想されておる者もあるようです。こういうような者に対して、自民党が真に今後選挙をきれいにやろうとする熱意があるならば、その反省があるならば、当然こういう際に考慮が払われてしかるべきではないかと思いますが、総理大臣、いかがでしょうか。
○池田国務大臣 閣僚人事につきましては、万般の事態を十分考慮してやることは当然でございます。
○島上委員 その点はまたあとで伺いますが、それでは、ここでひとつ篠田自治大臣にお伺いいたしますが、篠田自治大臣は、今回の地方選挙では大へん公明選挙を強調されて、そのための費用も前年に比べれば多額にとって、熱心にやられましたことを私も認めます。認めますが、今回のにせ証紙偽造及び行使の中心人物である三沢美照という印刷屋、昭文社の社長ですが、この人物は、今回だけではなくて、昭和三十四年にも、例の有名な鮎川金次郎の買収事件にも関連しておるし、そのときの検印偽造にも関係がある。去年の参議院選挙の際にも証紙偽造の容疑を持たれておる。いわばこの種の悪質違反の常習者と見られる人物です。そうしてまた彼は例の肥後亨とも密接な関係があって、三沢の事務所には肥後亨の事務所も置かれておる、こういう関係のある人物ですが、この人物を去年の六月九日以来篠田大臣の私設秘書として採用して、院内の通行証を交付しておると聞いておりますが、これはどういう関係でしょうか。公明選挙を大いに推進しておる大臣が、また全国の選管を指導監督する立場にあり、さらに国家公安委員長として警察行政についても重大な責任を持っておる大臣が、こういうような人物を、私設秘書にしましても秘書として置くことは、まるで、たとえていうならば警察署長がどろぼうを手下に使っておるようなものではないかとさえ私は疑われます。この事実を明らかにしていただきたいと思います。
○篠田国務大臣 私がちょうどいまから四代前の党の広報委員長をやりましたときに、その三沢という人が広報委員会に出入りをしておりまして、知り合いになりました。その後私の会館で実は人手が非常に不足しておりましたので、特に女の子が幾ら探してもありませんでしたので、広報委員会でだれか手伝いにくる女の子はないだろうかと言いましたところが、ちょうどその三沢君の妹さんが遊んでおりましたので、実は私の会館で秘書の手伝いをさせておりました。ところがこの人が病気でやめましてくにに帰りまして、その後――私うかつでありますが、三沢君という人がそういう選挙違反の常習者であるということは知らなかった。そこで手も足りないものですから――三沢という男はいまそういう悪いことをしておりまして、実はそういう者を使ったということは私いま非常に後悔もし、遺憾であるということは考えておりますが、また非常にくさってもおるのでありますけれども、実はそのときは知らなかった。そこで、その妹がやめるについて、手が足りないものですから、君、妹のかわりに少し手伝わないかと言って二、三カ月手伝わしたことがあります。たぶんそのときに、おそらく通行証を私の秘書等が世話をして、私の私設秘書になりましたからもらったものと考えておりますが、しかしやめると同時に、それはもうとっくに返しておるはずです。
○島上委員 通行証はまだ返しておりません。紛失したと称して返しておりません。それからあなたが知らずに採用したとおっしゃれば、まあそうかもしれませんけれども、いま私が指摘しましたように、すでに前々から同じような手口の選挙違反を犯し、その容疑で調べられておる人です。そういう人を、公明選挙のいわば総元締めともいうべき大臣が私設秘書として、たとえ二、三カ月にせよ手伝わしたということは、私は大臣としてはたいへん不明であったと思うし、不明であっただけではなく、それ以外に疑惑を持たれてもしかたがないのじゃないかと思います。これはしかし答弁は要りません。
 それから川島国務大臣がおいでのようですから、川島国務大臣に伺いますが、あなたの秘書官で、昭和三十六年七月十八日以来ずっとやっておりまする、ただ一人の本官でありますところの、そして政務担当の秘書官として非常にあなたの信任の厚い、ときには身がわり役もされておるそうでございますが、根本米太郎という秘書官が、肥後亨や松崎という人と非常に密接な関係がある、資金を提供したという疑いを持たれておりますが、この根本秘書官が最近某所において調べられた事実、そうして、私の聞き及んでおるところによりますと、三百万円程度の金を提供しておると自供しておると聞いておりますが、これは聞いておりまする程度ですから、どこまで事実かということははっきりは断言できませんけれども、そういう事実がありますことを御存じでしょうか。
○川島国務大臣 根本秘書官が先般検察庁で調べられた事実はございます。直ちに帰されました。私に対しまして、調べられたけれどもたいした事件ではありません、こういう報告があっただけでございます。金のことは全然聞いておりません。
○島上委員 たいした事件でないというふうに言われるが、本人は、三百万や五百万の金はわしはいつでも自由に動かしている、そういうことはたいしたことじゃない、こういう考えを持っていられるようです。ですから、そういう点からすればたいした事件じゃないかもしれませんけれども、もし松崎や肥後と金の取引関係、提供関係があるとしましたならば、これはたいへんな事件だと思うのです。
 総理に対して伺いますが、秘書官がこういうような濃厚な疑いを持たれておるという事実、疑いを持たれるような行動をしたという事実はどうお考えになるか、これに対してどう処理されるお考えであるか、これを伺います。
○池田国務大臣 私はいまの秘書官の点につきましては、初耳でございますが、やはりこういう問題も、どういう調べを受け、そしてその結果検察当局がどういう考えになったかということを見ないと、いま軽々しくこれに対しての批判をすることは私は早過ぎると思います。
○島上委員 総理はいつもそういう答弁で逃げますけれども、もしその筆法でいきますならば、調べられて起訴されても、裁判が確定しなければ処理ができないということになりかねないと思うのです。私は、事件に関係しておるというだけでも、かりに起訴猶予になっても、その渦中に入っておったというだけでも秘書官としては不適当だと思うのです。いかがでしょうか。
○池田国務大臣 いま聞きますと、一応呼んで取り調べられたというだけであります。もしそれだけでいま結論を出すということになったら、これは私は人の名誉に関することでありますから、結末を見ずにどうこう言うことはよくないと思うのです。したがって、取り調べてそれが起訴されるということになれば、これは別でございます。秘書官のごとき問題につきましては、何も無罪の判決を持つ必要はないと私は思います。しかし起訴されるかされないかわからぬ、単に調べられただけでこれは不適当だということは、少し島上先生、行き過ぎではございますまいか。やはり人の権利に関係するもの、身分に関係するものは、よほど慎重にしなければならぬと思います。
○島上委員 川島国務大臣にもう一点伺っておきたいのですが、肥後亨なる人物、これはもう立候補五十何回とか、立候補だけのたくさんの記録を持っており、はがき横流しでは千葉でも東京でもやっておる人物ですが、この肥後亨は、川島長官と非常に密接な関係があると称しておるそうです。たとえば、川島長官がたしか千葉工業大学の理事長をしていらっしゃるということですが、その際に理事をしておった。その他の仕事関係においても政治関係においても、非常に密接な関係があると本人は言っておるそうでございますが、どのような関係がおありでしょうか。
○川島国務大臣 私は政治団体の諸君とは比較的広く交際をいたしております。肥後亨もその一人でありまして、特に懇意であるというわけではございません。千葉工業大学の理事をしておったのを、私が理事長になって肥後をよさしたわけでございます。そういう関係でございます。
○島上委員 政治関係は広く交際しておる、その交際の一人であるということだそうですが、これは、私はいずれもっと事態がはっきりしてくるときが来ようと思いますので、そのときにまた伺う機会を得たいと思います。
 総理大臣に伺いますが、東京都知事の選挙につきましては、当選無効、選挙無効の訴えが現在出ております。これにつきましては、先般総理大臣の答弁によりますると、これは選管の裁決、裁判所の判決によって決定すべきで、行政機関がかれこれ言うべきことではない、こう言っております。こう言っておりますかと思うと、その反面、選挙は有効に行なわれたと思います、こういう矛盾した答弁をしております。私は、有効無効の議論をここでしょうとは思いませんが、それでは伺いますが。都知事選挙が公正かつ適正に行なわれたかどうか、公正に適正に行なわれたかどうかということを、法律問題ではなくて、政治道義の上からどのようにお考えか伺いたい。
○池田国務大臣 一部にいろいろ選挙法規に違反する点が起きた、あったというので、いま司直の手で調べておりますが、全体といたしましては、東京都民の民意があらわれて、そうして全体として公正に行なわれたと私は考えております。
○島上委員 全体として公正に行なわれた、私は、一部に公正なところもあったかもしれませんけれども、全体としてかつて前例ないほど悪質な選挙違反が横行して、きわめて不公正、不公明な、適切でない選挙であった、こういうふうに思います。あれが全体として適正に行なわれたということになりますると、私は総理大臣の良心を疑わざるを得ない。大事な言論が、阪本候補のその後の述懐を聞きますと、六十回のうち演説が満足にできたのはたった二回だというのです。一定の制服を着た、ある団体の団員と思われる者が車に乗って阪本のあとをつけ回って、そうして演壇に立つと徹底的にやじって、言論はほとんど封殺されてしまう。終わるとまた次の会場に行く、こういうようなことがつきまとった、大事な言論はほとんど封殺されてしまった。これはもう否定ができない。選管の関係者が制止しようとしても、いすを振り上げてなぐりかかってくる、制止もできない。警察官は、選管から要請がなかったということを理由にしておるようでありますけれども、この事態が毎日毎日同じように、同じ人間あるいは同じ団体によって繰り返されておるにもかかわらず全然放任しておいた。文書の大事なポスターが、にせ証紙が張られて、このルールがこわされておる。買収が次から次へといまあがってきておる。こういうような選挙が公正であるか、私は総理大臣の良心を疑わざるを得ない。一体オリンピックを迎えるための東京都知事、日本の首都の知事がこういうような選挙で選ばれたということは、私は自民党が勝ったとか社会党が勝ったとかいうことじゃなくて、日本の首都東京の知事がこういう選挙で選ばれたということは、ニューヨークやロンドンやパリの選挙にかんがみて、日本国民の恥ではないかと思う。東京都民の恥というよりも日本国民の恥だと思うのです。そうお思いになりませんか。
○池田国務大臣 選挙違反があることは、これは国民全体としての恥でございます。なくするように努力しようとわれわれはいたしておるのでございます。
○島上委員 全体の責任ということにして、自民党の責任を、総裁の責任を回避しようとしておりますが、この選挙は、その出発点からして自民党は大きな誤りを犯しています。総理に伺いますが、自民党は、選挙対策委員というものを何人ぐらいおつくりになりますか。私は、常識として選挙対策委員というものは十数名か、せいぜい二、三十名だと思う、そこで選挙の重要な事柄を協議するのですから。ところが自民党は、十万人以上の選挙対策委員をつくっているらしい。十万人以上の人に、貴下を自民党の選挙対策委員に委嘱するというりっぱな免状を送っている。しかもそれは、反対党の社会党の人間にまで、社会党の公認候補として立候補している人間にまで送っている。十万人以上の選挙対策委員会というものは常識上あり得ますか。選挙対策委員という委嘱状を出すことは、選挙対策委員にすることが目的ではなくて、選挙運動なんです。自民党の選挙の事前運動なんです。御承知でありますように、選挙に際しては、候補者も政党も文書活動に一定の規制があります。一選挙区に千枚のポスターを張るだけです。それをたくみに破って宣伝活動、文書活動をしたものと私ども解釈せざるを得差せん。なぜかというと、委嘱して、その後選挙対策委員会を開きますから来てくださいという通知は一ぺんも来ないのですから。そうでしょう。これをどう総理はお考えですか。総理大臣池田勇人というりっぱな自署の免状です。これは町内会の役員、各種団体の役員、社会党の党員、公認候補者に至るまで来ておりますから、私の推定だと十万を下らないと思います。そういう選挙対策委員会というものが一体常識上ありますか。お答えをいただきたい。
○池田国務大臣 自民党本部の選挙対策委員会はたびたび開いて、十名余りだったと思います。お話の点は、参議院でも前に質問を受けたと思いますが、自民党の東京都連で委嘱したものかと私は存じております。そのときに、都連でございますので、わが党のあれでございますから、総裁という名前を使われたと思います。これはやはり党勢拡張のつもりでおやりになったのではないかと思います。
○島上委員 党勢拡張と言いますけれども、選挙対策委員会というものは選挙対策のためにつくられるものです。選挙対策のためにつくられるもので、いま総理が答弁されましたように、十数名か、せいぜい二十名ぐらいでつくって、選挙に関する重要事項を協議するためのものです。それを、これは東京都連合会には違いありませんけれども、十万人以上も配ったということは、いま私が指摘しました、選挙になると文書活動に一定の規制がある、その規制を巧妙に破った文再活動であり、事前運動であり、宣伝活動です。いまの法律ではこの点はあいまいですから、私は法律に触れているとは申しません。申しませんが、こういうような法の盲点をたくみに悪用して、選挙に際しては規制されておる文書を大量的にこういうふうにやって反対党までやるということは、私は好ましくないことだと思うのです。好ましくないことだ、やめるべきことだと思うのです。こういうことからして政党が自粛しなければ、政党の自粛反省というものはあり得ません。私は好ましくないことだと思いますが、総理大臣は、これは好ましいことだと思いますか。
○池田国務大臣 何と申しましても、東京都は数百万の選挙者がおるわけでございます。非常に土地も広範でございますから、各区、各町内会等で選挙対策の協議をするつもりでやったのかと思います。詳しい事情をまだ聞いておりませんが、しかし、そういうことはいいか悪いかということは、やはりばく然と言うべきでなくて、政党として選挙対策委員を設けて、そうして党活動をするということは、私は悪いことではないと思います。
○島上委員 悪いことではないということは、反対によいことだということだと思う。反対党の党員まで選挙対策委員に委嘱するなんて、そんなこと一体ありますか。そうして委嘱のしっぱなしで、選挙対策委員会を一ぺんも通知されていないのですから、選挙対策委員に委嘱するのがねらいではなくて、ねらいはほかにあるわけです。ほかのねらいをもってこういうことをやることは、私はきわめて好ましくないことだと思うのです。これが悪くないことだ、あるいはよいことだと総理大臣が御答弁されますれば、それが総理大臣の政治的良心をはかる一つのバロメーターにもなると思いますが、私としては全く考えを異にしておりますから、この問題はそれ以上伺いません。
 次に伺いたいのは、にせ証紙が自民党の松崎長作という人を中心につくられ、行使されたことはもはや明白な事実です。ところがこのにせ証紙の発見は、先ほど私が申し上げましたように、十四日の午後三時に社会党が発見したのです。そうして警視庁へこれを申し出ましたところ――肉眼でもわかるのです。ここにもありますけれども、写真製版ですから、隠し字も逆になっているのですし、すぐわかるのです。すぐわかるものを、選挙も終盤戦なのに、十五日の午後十一時半、三十時間余りずるずるずるずる引っぱっておる。私はこれは警視庁の怠慢だと思うのです。警視庁の関係者の方いらっしゃると思いますが、あれだけポスターが――一万六千枚といいますけれども、偽造は一万六千枚ではありませんよ。私がざっと見たところでは、私どもの法定のポスターの三倍以上は張っておりました。それを私どもは忙しい中から、あまりにポスターが多いものですから、これは変だというので見つけたわけですけれども、警察は全然見つけようともしなかった。見つけて持っていっても、鑑識課へ持っていって科学的鑑定が必要だ、その上印刷会社へ問い合わせて、印刷会社の答弁があいまいだったからまだはっきりしないといって、三十時間以上も終盤戦の大事なときに引っぱっておる。私はこれは警視庁の怠慢だと思いますが、どうですか。
○篠田国務大臣 社会党からにせ証紙があるといって訴えられたのが十五日でありまして、それから、この前委員会においても申し上げましたように、にせ証紙であるかないか一目でわかるというようにおっしゃいましたけれども、事いやしくも選挙に関するものでありますから、肉眼で見ただけではにせ証紙であるかないかということを判断できないわけであります。そこで警視庁の鑑識課にそれをやりまして、一方またほんとうの証紙を刷りました印刷会社にそれを回して、その証紙は君のところで刷った証紙と同じものであるかにせであるかということを問い合わせました。ところが、警視庁の鑑識からは十六日の午後十一時に至りまして、これはにせであるという通知が参りました。印刷会社からは十七日に至りまして、これはにせであるかないかということはまだ疑問である。自分のところで刷った多くの証紙の中に、字がさかさまになっておるものがないとも限らないので、それを調べなければならないから、もう少し時期をかしてもらいたいという申し出が選挙投票日の十七日にあったわけであります。したがいまして、お訴えになりましたときから検査をいたしまして、警視庁は投票日の前の晩の十一時でございますから、これはもう物理的にも問に合いません。印刷会社は、十七日に至ってもまだ十分にこれがにせであるということを言い切れない、こういうことでありますから、何も故意にそれをおくらせたわけでも何で毛ないわけであります。
○島上委員 これは写真製版ですから、模様が反対に写るのですよ。拡大鏡で見ればしろうとでもわかりますよ。Sという字とTという字が逆に写っているのですから、ここににせものがありますけれども、しろうとでもわかりますよ。それを鑑識課で調べて印刷会社へ問い合わせた。私は、印刷会社はほんとうに良心があるならば、同じ判こでつくって逆に刷るなんということは、これはあり得べきことじゃないです。同じ判こですから。そんなばかなことがあるものじゃない。これはまさに意識的に選挙を終わるまで、要するににせ証紙のポスターがポスターとしての目的を達するまで引っぱった、私はこう判断するしかないと思う。しかも驚くべきことは、このにせ証紙問題が表へ出たとき赤城総務会長は、これは自民党の東京都選挙対策委員会の連絡本部長もしております。この人が、このにせ証紙は社会党があらかじめ用意した謀略である、こういうことを言っているのです。盗人たけだけしいとはまさにこのことではないかと思う。これは公党に対するはなはだしい侮辱であり、名誉棄損だと思うのです。総理大臣、あなたのもとにおける三役がこういう公党に対する侮辱と名誉棄損をして、後に自民党の松崎が中心であるということがわかった今日においても、これに対して取り消しをしたということは、陳謝をしたということばを聞いたこともございませんが、総理大臣は、これでよろしいとお考えでしょうか、どうでしょうか。
○池田国務大臣 私は、陳謝をしたということも聞いておりませんし、また赤城君がそういうことを言ったことも聞いておりません。よく事実を調べてみたいと思います。
○島上委員 言ったことを聞いておりませんとおっしゃいますが、これは新聞へ出ておりますから、もちろん新聞は言ったことのことば全部そのまま載せておるわけではありませんが、それが事実でありましたらどうなさいますか。私は、いかに反対党であるといえども、これほどの侮辱、名誉棄損をしたのですから、当然何らかの形においてこの名誉棄損を償う措置をとるべきものだ、こう考えますが、いかがでしょう。
○池田国務大臣 事実であったら、事実のときに私は措置を考えます。
○島上委員 総理大臣、私時間がありませんから少しはしょります。こういうふうに今度の選挙が非常に悪質な選挙で汚されましたが、よほど思い切った手を打たなければ、この次の衆議院選挙はさらに輪をかけたものになると思いますが、その点に対して何らかの措置をお考えでしょうか。
○池田国務大臣 いまのにせ証紙の問題も、たぶんあれは原因が、昨年の参議院選挙のときから改められて証紙になったかと思います。今度の選挙の実態にかんがみまして、私は先ほど申し上げておるごとく、候補者並びにその関係人が自粛自戒してもらわなければならぬことはまず第一の問題でございます。しこうして、これに対して国民の側におかれましても、お互いにそういうことのないように、ひとつ公明選挙にもっとこの上とも協力してもらいたい、こういう方向でいくよりほかにないと思います。しかし法律にあるいは制度で改むべきものがあるならば、私は改むるに何らやぶさかではございません。御承知のとおり、選挙制度調査会もいま開かれて審議しておるのでございます。十分その調査会におきましても検討されると思いますし、またいろいろな問題で与野党いろいろ話し合いをしていただいて、今後こういうことのないようにひとつつとめていただきたい、こう考えておりましたところ、そういう機運もありまして御相談願っておるかに聞いておるのでございます。何にいたしましても、とにかく選挙違反ということは民主政治に対する国民の信頼を汚すことに相なりますので、私はあらゆる方面においてあらゆる人が、ことに政党、候補者並びにその関係者は十分自戒していただくようつとめていきたいと思います。
○島上委員 私は、ほかの措置も必要でありましょうけれども、まず第一に政党、特に自民党さんに徹底的な自粛自戒をしてもらわなければならぬと思う。それが一番大事なごとだと思う。総理大臣は、この際、次の選挙には悪質違反をやった者を自民党としては公認しない、この程度の言明はできますか。
○池田国務大臣 悪質違反ということの定義でございますが、選挙候補者自体がいろいろの点があって、そうして起訴されておるとかなんとかいう問題につきましては、従来におきましても、起訴された係争中の者は公認しないということに原則としてきめております。したがいまして、単に感興の選挙違反をした者は公認しない、こう言われてもちょっと――趣旨はわかります。十分ぼくらもその方向で行こうと思いますが、いかなるものが悪質の選挙か、いわゆる候補者並びに選挙の直接関係の出納責任者等々ならまだ考える余地もございますが、一般のいわゆる選挙運動員が悪質なるがゆえに、今度選挙の公認をしないというところまでいくのはいかがかと思います。やはり事態に沿いまして善処いたしたいと思います。
○島上委員 悪質と私一口に申しましたが選挙法第何百何十条の何項に該当するもの、とこう言えば的確かもしれませんけれども、悪質というのは、一口に言えば買収、利害誘導、それから今度のにせ証紙などもそのうちに入ると思う。私がこう言うのは、そのくらいの決意を示さなければ、口先でどんなことを言っても国民は信用しないと思うのです。現にあなたの党には、出納責任者が買収で有罪の判決を受けて、議員の失格の判決を受けて控訴中の方がいるでしょう。それが党の相当な役職についていらっしゃるでしょう。どうですか。
○池田国務大臣 私は事態をまだ十分知っておりませんので、よく調べてから答弁したいと思います。
○島上委員 こう言えばおわかりでしょうから、私が名前を言うのは差し控えておきますけれども、一人おります。もう一人は、出納責任者を長い間、二年半も逃がしておいて、このごろ出てきて、これも起訴されておる。これは有罪となれば失格です。ただし、今度の任期中に失格の判決が出るかどうかわかりません。選挙違反というものは、裁判を百日裁判でやるというふうに法律ではなっておりますけれども、悪質であり、組織的であり、大規模であればあるほど時間がかかるのです。ですから、おそらく今度の任期中、来年の四、五月ごろ解散としましても、任期中に判決が出ないでしょう。そういう人もおる。少なくともそういう人を現に党の重要な役職につけておいて――私ともなら、もし反省の実を国民の前に示すというならば、謹慎させるとか、党から離党させるとか除名するとか、この次の選挙には私がいま指摘した買収、供応、利害誘導、多人数買収、こういうような悪質違反に関係してその渦中にある人々については公認しません、このくらいの言明をするくらいの勇気がなければ、反省しているとか、今後選挙粛正の熱意があるなどということは私ども信用できない。いかがでしょう。
○池田国務大臣 いつの選挙か存じませんが、本人が起訴されておる場合には、私は、わが党は公認しないという原則を打ち立てておったと思います。ただ選挙関係人につきましては、その原則はいままで実行しておりません。選挙違反対策としていろいろ今後考えなければならぬ問題があると思いますが、私は事態を究明いたしまして、選挙委員会において審議いたしたいと思います。
○島上委員 御承知と思いますが、その悪質違反では、本人が起訴されなくとも、総括主宰者、出納責任者が起訴されて有罪確定すれば失格するのです。この前の選挙制度審議会の答申では、そのような場合には、第一審で失格の判決があったら議員の資格を停止すべしという答申をしております。控訴し、最高裁まで持っていけば、任期中失格すべき議員が議員として審議に参加することになりますから、そういう際には、第一審の失格判決をもって議員の職務を停止してはどうか、こういう答申がございましたが、私どももこれにはきわめて賛成です。これに対してはいかがでしょうか。
○池田国務大臣 そういうことも聞いておりますし、また今度さきの選挙法改正で、出納責任者、総括責任者が有罪となれば無効になるということ、いろいろないわゆる責任論が議論されたことは私も存じております。今後わが党といたしまして、公認の場合にどういう措置をとるかということは、お話のような点等を考えまして結論を出したいと思います。
○島上委員 ことばではそうおっしゃいますけれども、この前答申を全く骨抜きにして、さらにまた国会に出してきたものを与党が骨抜きにしたことは記憶に新たなところですから、よく一つお考えを願いたいと思う。
 そこで、いま法律改正の問題も出ましたからちょっと伺っておきますが、法律改正は、私は技術的な改正も全然必要はないとは申しませんけれども、この次の衆議院選挙をきれいにやるためには、もっと根本的な改正が必要ではないかと思う。特に私ども社会党が、この前の改正にあたって強く主張しましたが、後援団体が解散の翌日まで有権者を呼んでごちそうしてもいいことになっている。あれを、いまの自民党の修正案によれば、その他の任期のきまっておりますところは三カ月、こうなっていますが、私どもはこれを一年前くらいには禁止しなければだめだ、こう言っております、任期の一年前くらいに禁止すれば効果がだいぶ薄れますから。そういうような問題、いまバスを連ねたりごちそうしたり、これは後援会活動が一番事前に金をかけている運動です。こういうことや連座制をもっと強化する、これはこの前の答申にかなりきびしいものがありましたが、これまた骨抜きにしてしまって、実効のないものにしました。こういうような大事な点を改正するということが必要ではないかと思う。総理は、次の総選挙前にこのような法改正の御意思があるかどうか。もし御意思があるとすれば、いま選挙制度審議会では、私どもが見ますと審議が非常にスローモーです。はたして次の国会までに答申が出るものかどうかも危ぶまれておる。改正する御意思があるならば、当然選挙制度審議会に今回の選挙にかんがみて改正すべき点を諮問する、そうして選挙制度審議会の審議を促進する、こういうふうになさるべきものと思いますが、いかがでしょうか。
○池田国務大臣 選挙制度審議会の各位の方々は非常に熱心でございまして、今回の統一地方選挙についてもいろいろ御検討なさっておられると思います。私は、特に私からそういうことを申し出なくとも十分御検討願っていると思います。また先ほど申し上げましたごとく、国会内におきましても与野党でお話し合いがついて、そしてより公明にできるような案があれば話し合ってもらいたい、また話し合っているということも聞いておるのでございます。どうぞ何かにつけてひとつ公明選挙が実行されるよう御努力願いたいと思います。
○島上委員 選挙制度審議会の人々は熱心であることは私どもも認めます。熱心でありますけれども、前回あれほど熱心にやって大幅な改正を答申しても、それが大事な点をほとんど尊重されなかった、骨抜きにされたということで、熱心でありながらも急いでやろうとする熱意が失われているのではないかと思う。それともう一つは、どうせ来春選挙だから、答申しても選挙を直前にしての改正はしないだろう、こういうふうに予想している者もあるのです。私は選挙を前にしているからこそ必要だと思う。答申がもしなければ、私ども議員として出したいということも考えておりますが、選挙があるからこそ改正が必要なんで、相当の改正を次の機会に、次の国会においてなさろうとするお考えがあるかどうか、もう一ぺん伺っておきます。
○池田国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、選挙制度審議会の答申がありますれば、そうしてそれが適当なものと考えれば、もちろん次の通常国会にお出しいたします。また与野党間で、こういう点は改めたらどうかというふうな話し合いで結論が出ますれば、私はそれに従っていって差しつかえないと考えております。
○島上委員 それではこの機会に、法改正にも関連いたしますが、政治資金のあり方についてひとつ承っておきたい。
 つい二、三日前に、政治資金の昨年度の発表がありました。総理もごらんになったと思いますが、金額が非常にふえているということが一つと、もう一つは、せっかく総理が苦心して国民協会というものをおつくりになりましたが、国民協会に集まったお金よりも各派閥に集まったお金のほうが計算してみると多いのです。各派閥は政治資金を擁し、私兵――私兵と言っちゃ失礼かもしれませんけれども、議員を擁し、一個の政党の体をなしているのではないかとさえ思われます。派閥が政党ならば、自民党は派閥連合という形ではないかと思う。さすがにあなたの党内でも、心ある人々はこれでは困るといって、派閥解消運動をやっております。政治資金のあり方について、こういうふうに各派閥のお金が党の献金よりも多いというような実態、こういうことでよろしいでしょうか。
○池田国務大臣 私は政党活動のより公明化を期するために、総裁就任以来国民協会の設立をはかり、そしてそれの拡大強化に努力を進めておるのであります。一昨年できまして以来、昨年は非常に伸びております。最近におきましても、三分の二余りの三十数県国民協会の支部ができました。早急に全都道府県に結成すべく努力をいたしております。これを中心にやっていきたい。しこうして、そういう問題を主題にして、今度のわが党の近代化というものはどうやったらいいかということを、いませっかく調査会を設けまして検討をいたしておるところでございます。やはり政治の公明化は、政治資金の適正ということにも大いにつながる点がありますので、その点につきましていま検討を加えておるわけでございます。
○島上委員 政治の公明化は政治資金を適正にするということであるとおっしゃいましたが、私たち社会党は、前回の国会にも出しましたが、政治資金の規正については、現在の規正ではまだはなはだしく不十分である、少なくとも最小限度としましても、国から財政投融資、補助金、交付金、利子補給等の恩恵を受けている対象からは政治献金を受けるべきでない、こういう考えのもとに政治資金規正法の改正並びに選挙法の改正案を出しましたが、これはついに日の目を見ることができませんでした。今度の予算でも、財政投融資はばく大な額にのぼっておる、一兆以上の額にのぼっておるはずです。国の財政投融資、補助金、交付金、利子補給を受けている対象からは献金を受けるべきではない、こう考えておりました。ところが、先般例の八幡製鉄の献金問題についての判決がございました。法人でも政党に献金することは適当ではない、こういう判決がおりましたが、私どもそこまで規制したい、いくのがほんとうではないか、こう考えておりますが、総理に伺いたいのは、財政投融資、補助金、交付金、利子補給等を受けている対象から受けるべきでないという考え、それから八幡判決、これに対するお考えを承りたい。
○池田国務大臣 現在の政治資金規正法におきましても、政府が出資しているとか、あるいは補助金を出しているとかいう会社からの受け入れば禁止していると思います。しかし財政投融資につきましての分は、現行法では禁止していないかと存じておりますが、財政投融資を受けているのは、補助金や何かを受けているのとはよほど性質が違うと私は思います。したがいまして、この問題をいまここで私がそれがいいとか悪いとか言うことは差し控えたいと思います。
 なお、八幡製鉄事件の政治献金につきまして、東京地方裁判所で判決があったやに聞いております。新聞も見ました。しかしこの判決につきまして、私は総理大臣としての批判はいま加えるべきでないと思います。新聞紙上各政党の意見もだいぶ出ておったようでございます。経済の実態からよほど慎重に考えなければならぬ。私はまだ結論を申し上げる段階に至っておりません。
○島上委員 総理大臣が選挙法のこまかいことをよく御存じにならないのはやむを得ないかもしれませんが、現在の法律はそうでありません。こういうことがたった一項あるだけです。「衆議院議員及び参議院議員の選挙に関しては国又は公共企業体と、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に関しては当該地方公共団体と、請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関し、寄付をしてはならない。」これだけのことです。請負その他特別の利益を伴う契約の当事者がその選挙に関して寄付してはならない。これだけの規定があるだけですよ。あとは全部野放しです。ですから請負その他契約の当事者で特別の利益を伴う契約の当事者でも、その選挙に関しなければ寄付してよろしいことになっているのです。こういうまるで野放し状態ですから、よくひとつお考えになって――私どもは、この野放し状態ではいけない、相当の思い切った改正をしなければ政治資金を公明にすることができないと思いますから、これはぜひ次の機会には思い切った改正のメスを加えなければならぬと私ども考えておりますので、総理にもひとつお考えおきを願いたいと思います。
 それからもう一つ伺いたいのは、これは必ずしも総理でなくともよろしいのですが、このごろ選挙に関しておさい銭と称するものがだいぶあげられております。宗教団体におさい銭をあげて選挙の支持を得るということは、私の解釈によれば、これは買収行為に該当すると思いますが、いかがでしょうか。
○池田国務大臣 先ほどの御質問に対しての答えで、たぶん昨年の改正で、政府が出資しておるとか補助金を出している会社は、やはり選挙に関して寄付はできないということを入れたと私は思います。その点は法制局長官からお答えさせます。
 それからいまのおさい銭ということは、私はよく存じませんが、選挙でおさい銭をあげるわけですか。
○島上委員 おさい銭をあげて、その団体の支持を……。
○池田国務大臣 事実をよく知りませんが、団体の支持を受けるためにおさい銭ということになりますと、それは宗教団体になっておる……。
○島上委員 そうです。
○池田国務大臣 それは、支持を受けたいために公認料か何かを出すという意味でやっているのかどうか、そんなふうな事実を私はよく知りませんので、取り調べましてお答えしてもいいと思います。
○島上委員 それでは事実を教えますが、東京都知事選挙で毛ずいぶんおさい銭をあげたという話がありますが、これは話ですから、私ははっきり申しません。しかし、おさい銭をあげて支持を受けたということはあり得ることです。ところが同じ東京ではっきりした事実もあるのです。これは立川です。自民党の小川良という候補者が百万円、万田勇助という人が五十万円、創価学会の立川支部長に神さまへのおさい銭としてあげております。ところが、調べたところが、このおさい銭が屋根裏から出てきたそうです。それで、これはおさい銭ではない、買収だろうということになって、いま調べられておりますが、もしおさい銭として神だなにあげておいたら、あるいは法の解釈によっては、これは買収じゃないという解釈を下すおそれもあります。私は、かりに神だなにおさい銭としてあげたにしましても、神さまは投票権があるわけじゃないのですから、投票する人はその団体の構成員ですから、おさい銭を神さまにあげてその団体の構成員の支持を得るという行為は買収だと考えますが、法制局長官はどういう解釈をなさいますか。
○林(修)政府委員 事実問題のいろいろの周囲の状況の判断による解釈になってくると思います。純粋にいえば、おさい銭であれば選挙に関係ないはずでございますから、これ自身どうということにはならないと思います。結局その行為をめぐる周囲の状況の総合的な判断によって認定すべきものだ、かように考えます。
○島上委員 百万円とか五十万円という、おさい銭にしては少し多過ぎやしませんか。この前の選挙では、これまた宗教団体の支持を得るためにもつと多額のおさい銭をあげたという人もあります。ところがいまあなたが答弁するようなあいまいもことした解釈ですから、これははっきりと買収だという解釈をしないものですから、うやむやになっておるのです。おさい銭であっても、その選挙の前に選挙の支持を得る目的をもってあげた場合には、私はこれは買収だと思うのです。これははっきりしませんと、今後おさい銭をもげる傾向がだんだん出てきますよ。
○林(修)政府委員 これは、結局当事者の意思の認定あるいは事実認定の問題になるわけでございまして、ほんとうにいわゆる宗教団体に対する寄付であれば、これはどうにもしようがないと思います。しかし宗教団体に対する寄付に名をかりて、それが事実は投票の依頼である、そういうことであればまた別問題になる。結局当事者の意思解釈あるいは事実問題の認定の問題になると思います。
○島上委員 そういうような解釈だから、おさい銭を上げる傾向がだんだん出てきます。もし現行法でそうしか解釈できないとすれば、これは法律を改正して、ぴしっとしないと、神さまをダシに使ったり、仏さまをダシに使ったりして、今度はあら手の悪質違反をやるということがどんどんできます。
 それから、総理にもう一つ伺っておきたいことがありますが、これはきょう投書が参りまして、茨城県の風見先生のなくなったあとの選挙地盤に、池田総理大臣の秘書の登坂重次郎という人だそうですが、こういう方が秘書としていらっしゃるかどうかわかりませんが、池田総理大臣秘書登坂重次郎の名前人のの茶器一式――きゅうす、湯のみを送り届けて、次の選挙にはよろしく、こういう手紙が添っているそうですが、これは明白に選挙の事前運動として違反になりまするが、総理大臣の秘書にこういう方がいらっしゃいますか。
○池田国務大臣 前、私の秘書をしておりました。しかし、いま、そういうものを配ったかどうかということは存じません。
○島上委員 これは投書ですから、私も、事実の信憑性については、どこまではっきり言っていいかよくわかりませんけれども、お調べになって、もしそういう事実がありましたならば――名入りの茶器を送って、この次選挙によろしくということを書きますれば、これは事前運動で違反ですから、総理大臣の秘書官がまたぞろ――またぞろと言っては悪いですが、この次の選挙で違反をやったということになっては、総理大臣の名誉にも関することですから、ひとつよく御注意を願いたいと思います。
 それから、総理に最後に一つ伺っておきたいことがありますが、福岡の選挙に際しまして、福岡へ参りまして、産炭地振興のために造幣局をつくるというような発言をされておりますが、私どもは、これは利害誘導の容疑が濃いと思いますが、紙一重のすれすれだと思いますが、そうではない、これは政府としての政策の発表である、こういうふうにしきりに強調しておりますから、ここでは利益誘導であるかないかの議論はしばらくおくとしまして、政府の政策発表であるならば、これは当然実行する義務があると思いますが、実行なさいますか。
○池田国務大臣 御承知のとおり、いま一昨年来、昨年、今年にかけて一番重要な問題の一つとしては産炭地の振興でございます。したがいまして、私が総理大臣あるいは自由民主党の総裁として、それが選挙であろうが選挙であるまいが、その土地の重要な問題につきまして新聞記者諸君から聞かれたときには、選挙ということを離れて、国の政策として私は言うことがほんとうだと思います。いま選挙中だから、利益誘導になってはいかぬからそんなことは答えぬと言うべきものではございません。ことに非常に困っておられるああいう窮状を見て、専売局とかあるいは造幣局とか、できるだけのものを持ってきます、あるいはまたいろいろ反対があるかもわかりませんが、やはりあの付近にある自衛隊の移動等々も考えまして、これはもう私が向こうへ行くまでにも何回となく閣議で出た問題でございます。しかし、なかなかそれが実行に至っておりません。専売局にするか、造幣局にするか、大蔵省には意見があるようでございますが、いずれにいたしましても、大蔵省としては何とか考えなければいかぬということは再三言っております。また自衛隊の移動につきましても、私は翌日別府へ参りましたが、状況も視察いたしまして、これはやはり産炭地のほうへ移したほうがいいのではないか、あの温泉地のまん中にあるよりも、やはり四千人の人でございますから、地方の開発からいっても、産炭地方へ持っていったほうがいいのではないかということは、以前から私のよく考えておるところであります。たまたま産炭地振興につきまして聞かれましたから、私はそういう政策を持っておる、これは、私は当然のことだと思います。それによって利益誘導とかなんとかいう問題じゃない。わが党の根本政策でございますから、選挙だからといって、全然言わぬということは、私はどうかと思います。だから、私は、今度の選挙につきましても、国の根本政策とこの道をこうするとか、どうこういう問題じゃございません。産炭地振興というものは、わが党の重要な政策でございますから総理として言うことは当然で、これを利益誘導と考えることは、かえっていかにもとらわれた議論ではございますまいか。私はそういう考えでおりますから、さきの本会議でも答えたわけでございます。それを利益誘導とかどうとかいうこと自体が、私は、もう政策というものについて色めがねで見られるのではないか、こういうのでございます。私はどこへ参りましても、政党の総裁として政策を言うことは何の差しつかえもない。ことに産炭地振興というのは重要問題である。できるだけ早い機会に実現するよう、それが造幣局になるか、専売公社の仕事になりますか、いずれにいたしましても実行したい。そうしてまた、自衛隊もできるだけ産炭地のほうへ移そうという方針で、いま検討を加えております。
○島上委員 当選を得さしめ、もしくは得しめない目的をもってやれば、これは利益誘導になりますが、しかし、政策の発表だ、選挙と全然関係なしにやったということで逃げられれば、そういう逃げ道もあります。しかし私は、政策の発表ならば、かなり具体的にあそこで総理が言っておるわけですから、その政策を実行しなければ、これは期待しておるそこの県民を欺瞞したことになると思いますが、具体的に発表した以上は、政策であれば、実行しようと思えば実行できる地位にあるわけですから、権力を握って、国会で多数を持っておりますから、実行できる地位にあるんですから、私は、当然あの言明のとおり実行する、それを実行しなければ県民を欺瞞したことになる、こういうふうに解釈しますが、いかがでしょう。
○池田国務大臣 実行いたします。いま造幣局のほうはなかなかむずかしいようでございますが、専売局のほうをかわりにやるつもりで検討しております。たぶん二カ所ぐらいになると思っております。フィルターの工場とほかの工場、そういう方向で大体結論を得るところまでいっております。具体的には大蔵大臣が答えます。
 また自衛隊の移転につきましても、経費その他の関係がございますが、方針としては、私は実行する考えで進めております。
○島上委員 これは最後です。私は、もう時間がきましたから、時間を厳守してこれでやめますけれども、総理大臣の答弁は、私ども満足することができません。そうして、あのような大規模な悪質違反に対する反省も、私はきわめて不十分だと思います。今後の選挙違反防止に対する熱意、積極性もきわめて不十分だ。私ども満足できません。今後違反の問題はどんどんと進展すると思いまするし、すでに逮捕され、起訴されておる人々の事実もだんだん明確になってまいると思いますから、私たちは、私が一番最初申しましたような見地に立って、選挙界を粛正し、公明な選挙にして、日本の民主政治の根本をしっかりと守る、こういうような見地に立って、今後国会の各委員会においても十分に問題を取り上げたいと思いまするし、その際に、総理大臣はじめ関係大臣の出席を要求いたしますから、ぜひこれには応じて、国会の審議も十分にできるように応じていただきたいということを希望して、私の質問を終わります。
○塚原委員長 辻原弘市君。
○辻原委員 私は、社会党を代表いたしまして、ただいまから物価対策を中心にいたしまして経済の若干の問題、それから防衛を中心にいたしましての若干の問題につきまして、総理大臣以下関係の閣僚に対して質問をいたしたいと思うのであります。
 最初に、物価の問題からお伺いをいたしたいと思います。
 最近、どんな理由をつけましょうとも、消費物価の値上がりというものは、まことに激しいものがあります。昭和三十六年に六・二%の値上がり、また翌三十七年には六・七%の上昇というのでありますから、これは現行の預貯金の利子をはるかに上回っているものでございます。言わば、貯蓄奨励の政府のかけ声によりまして、一生懸命に貯金をした善良なまじめな国民は、政府の経済政策の誤りによって、逆に損をさせられているという結果になっているのであります。
 まず、私は、この事実に対して、経済政策の責任者であり、国民生活を守らなければならぬ総理大臣としては、一体どういうふうにお考えになっておるのか、こういったことまで今日あらわれておる現象に対して、これを等閑に付しておられるのか、このことについて承りたいと思います。
○池田国務大臣 たびたび本会議あるいは委員会等においてお答え申し上げておるとおり、物価の安定ということは経済政策の根本でございます。すなわち、貨幣価値の安定がなければ経済政策は打ち立てられない。したがいまして、設備増加その他によりまして、国際競争力のもとをなしまする卸売り物価につきましては、おかげさまで大体安定の歩みをいたしております。また、とりょうによりましては、昭和三十年ころに比べまして七、八%の下落という数字も出ておるわけでございます。
 しかるに、片一方国民の生活に直結しておりまするところの消費者物価の上昇は、遺憾ながらなかなかこれを安定するということはいまのところ非常にむずかしい状態になっております。いろいろの原因はございます。しかし、いずれにいたしましても、総合対策を昨年の四月に講じまして、いろいろ施策をやっております。やっておりますが、まだ十分に効果があらわれておりません。したがいまして、最近におきましても、予算を作成する際におきましても、またいろいろ民間の指導におきましても、できるだけの努力をいたしておりまするが、まだ十分その効果をあらわしておりません。したがいまして、もちろん総合施策で当面の措置も必要でございますが、根本的に私は消費者物価の値上がりをできるだけとめなければならぬということにつきましていま検討いたしておりますが、何ぶんにもヨーロッパ諸国におきましても高度の経済成長をしておりますところは、卸売り物価も、あるいは特に消費者物価も値上がりの傾向が強いのであります。最近ヨーロッパで高度成長しているというフランスあるいはイタリアにおきましても、五%前後の上昇を見ておるという状況でございます。
 そこで、高度成長と消費者物価の問題ということにつきまして過去の状況をいま再検討して、どういうところに原因があり、どういうところをためていかなければならぬかということをいま検討いたしておるのでございます。賃金との関係の問題もありましょう。あるいは消費者の消費内容の問題もございましょう。あるいは人間の労働価値に対する再認識もございましょう。少なくとも、とにかく日本の経済が先進国型、いわゆる高度生活水準型になりますときにはある程度やむを得ない状態ということも言えるのでございますが、単にこれをやむを得ないということでほっておくわけにはいきません。政府といたしましては、この点にただいまもっとも力を注いで検討を加えておるところでございます。今後の見通しにつきましても、あらゆる施策を講じ、上がるにいたしましても、上がり方が少ない、また上がらないように努力をしていきたいと考えております。
○辻原委員 あらゆる施策を講じて対策を進めたいという総理の見解なり、関係閣僚のお話は、従来当委員会でもしばしば承ってきたところでありますが、一向に物価は下がらない。私は、その意味において、この物価対策というものは、ただいま総理の述べられたように、いまから根本の原因を調べたり、いまから対策というのでは、これは国民の消費生活にとっては、今後ますますインフレをけしかけられるというのにすぎないのであって、実際の生活安定というものは、一向に具体的にあらわれてこない。したがって、ただいまあらゆる施策の上で最も急を要する問題は、物価対策ではないかと思うのです。いま総理は国際的な比較をされましたが、イタリアあるいはフランスにしてみましても、五%以内である。日本のように年率六・二あるいは六・七という上昇率は、これは各国においてはございません。そういう意味から言っても、CPI六%以上をこすというのは、まさにこれは異常である。私は、あえて経済全体がインフレだとは言わぬが、しかしながら、消費生活の面から考えてみると、これはすでに明らかなインフレではありませんか。その点についての見解を総理から承りたい。
○池田国務大臣 これはいろいろな議論のあるところでございましょうけれども、いまインフレとは考えておりません。先般も、企画庁の調査によりまして、生活がよくなったという人が五五%、悪くなったという人が一八%でございましたか、ちょっとその点ははっきりした記憶はございませんが、しかし、こういう調査ではだめだ、もっと深く調べてみよう、こういうので、カードをまた繰り返しまして、毎年やっておる調査でございますが、その申告の内容をずっと調べてみました。そうすると、実際において所得のふえた人が当初は五五%でございましたが、七九%にまでなりました。だから、あの世論調査も大体の傾向はあらわすとは申しますが、やはりある程度よくなっても、よくなったとは言わぬ人が相当あります。それからまた、悪くなったにかかわらず悪くなったと言わぬ人もある。そういう点を克明に私は再度調べさせました。そしたら、初めの調査でよくなったという人が五五%、それが七九%によくなっております。そのよくなったとあとからわかった人でも、一〇%、一五%以上の人もあるわけです。悪くなった人は悪くなったとは書けないものだから、変わりないと書いておるようでございます。そこで、私は考えますのに、全体といたしましては、統計で示しますがごとく、所得は相当ふえていっております。それからまた個々の家庭を調べましても、八〇%近くまでは相当ふえておりますという状態のときに、一方消費者物価の上昇が、お話しのとおり五、六%あるいは六・七%、こうなっております。これはフランス、イタリアの状態よりも、日本の所得の上がりようは非常に多うございます。ほとんど両国の倍近くいままでは上がっておるわけでございます。だから、いわゆる高度成長の当面やむを得ざる現象とはいいますが、先ほど申し上げましたように、もっと究明していきたい、こう考えておるのであります。
 インフレということは、大体私は生産と消費とのアンバランスからくる貨幣価値の下落と思います。しかし、消費者物価の上がりによって、全体としては国民所得がそれ以上にふえておる。全体としてふえておるときには、これは生活水準の上昇であって、インフレと名づけるべきものではないと思います。ただ問題は、私が一昨年の暮れから申しておりますごとく、最近における賃金の上がり方が生産性の向上をこえております。一昨年の七月ごろからこえておる。それは、私は一昨年の暮れから昨年の一月ごろ、今国会で警告を発したと思います。過去十八、九カ月の間で、生産性よりも賃金の上昇が下であったことは二、三カ月だと思います。その点は、私は今後の経済政策の問題として考えなければならぬと思う。そこで、ただいまわが党におきましても、賃金と生産性の問題あるいは労働運動のあり方等々、根本的な問題につきまして検討を加えようといたしておるのでございます。私は賃金のストップとかなんとかいうことは考えません。しかし、賃金の上昇と同時に、生産性が上がってもらわなければいかぬ。しこうして、生産性の上昇が思わしくない面の労働者、あるいは農業とか、あるいは中小企業とか、あるいは自由職業等々につきましては、いかにして生産性を向上するか、あるいはまた生産性が向上できないときには消費者物価を上げないようにする、これが今後の問題であって、いま私は、日本の経済がインフレの状態であるとは考えません。しかし、ほうっておくならば生産性の向上よりも賃金の上昇がずっと上になっていくようになってくる、そうなってくると、これは国際貿易の上からいっても非常に憂慮すべき状態であって、国内のインフレ問題もそういうところから起こってくると思うのです。ある人いわく、ここ十八、九カ月の間だが、その前と比べるとそうでもないという議論もあるかもわかりませんが、こういうものは、過去五年とか七年とかいうものを統計していうべき問題でなく、最近の状況から考えますと、私は、生産性と賃金の関係につきまして、もっとそれがパラレルにうまくいくようにしたいというのが、インフレ防止の一つの大きい要因だと考えております。
○辻原委員 私は、総理のように経済の理論には強くありません。しかし、消費生活をする国民の立場に立って考えてみれば、いま総理がおっしゃった点については納得がいきません。まず、賃金が上がっているから、所得がふえているから、少々物価が上がっても差しつかえないのではないかといったような議論、これは今日国民の望んでいるところではない。所得がふえるが、しかし、やはり物価安定の中で所得を増加さしていってもらいたいというのが、私たち一般消費者の立場に立つ国民のこいねがうところである。どうも総理のおっしゃったなにから考えてみますと、ともかく池田内閣の所得倍増政策以来、所得が上がってきているから、少々の物価が上がっても、生活がよくなったと国民は言っておる、こういう論であるように承ったのでありますが、私どもの調べたところ、また私どもの経験するところ、われわれの聞くところによると、そうではない。特に一般国民の中の標準的な世帯、月収三万円程度を中心にした標準的な市民生活から見ますと、所得の上がり方よりも、物価、特に消費者物価の上がりによって受ける深刻な影響ということの方が、今日国民生活に甚大な影響を与えていると私は判断する。特に総理は決してインフレではないとおっしゃったが、私が冒頭にお尋ねした預貯金について、物価がそれを上回っているということは、明らかにこれは貨幣価値の下落ではありませんか。明らかにこれはインフレの中におってのみ起こる現象だと私は理解する。こういうことについては、これでも貨幣価値は維持している、これでも決してインフレ的要素はない、こう総理はおっしゃいますか、その点について、いま一度明確にお答え願いたいと思います。
○池田国務大臣 所得が上がって、卸売り物価が安定し、そして小売り物価、消費者物価が上がらないということは理想でございます。所得がふえて、収入がうんとふえたが消費者物価が上がらない、こういうことは理想でございます。これを目標としていくべきでございます。しかし、なかなかそうはいかないでしょう。そこで、その差を考えなければならぬ。消費者物価を下げるということは、非常な不景気にして、物が売れ残り、そして労働賃金が下がってくる、人間の値打ちが下がってくる。労働価値が下がってくるということになりますと、物価は下がってくると思います。しかし、ある
 一定のときに、預貯金の利子よりも消費者物価が上回って上がっているときが一、二年あったからといって、これがインフレであるというわけのものではない。ことに消費の内容を見てみますと、三万円前後とおっしゃいますが、三万円前後の方々の消費の内容等々を考えますと、いま日本がインフレであるとかなんとかいう結論は出すべきにあらずと思います。もちろん、消費者物価の上がりよりも預金の利子の高いことを望みますが、一時の現象として起こることは、これは押えなければなりません、改めなければなりませんが、そういう事情が起こったからすぐインフレだとは、私はそういう結論を出すことは誤りだと考えます。
○辻原委員 成長政策をとる過程において物価の安定を期することは理想であるけれども、非常にむずかしい問題だ、こうおっしゃった。諸外国に比較してみても、特に日本は成長率の伸びが高いから、物価を安定させるということについてはむずかしい問題である、こう言っておられるのだけれども、しかし、総理あるいは内閣全体が考えられている物価上昇の原因というものについて、突っ込んだお考えがない。また、われわれの見解と異にするのではないか。というのは、いまも総理が言われたのだが、最近の賃金の上昇は生産性を上回っている、言いかえてみると、物価騰貴の原因を直ちに賃金に求められている。また、その対比を生産性と賃金を比べられている。そこから一つの結論を出して、そうして、問題は賃金にあるのだから、長期安定の政策をとらなければならぬという、その点について、現在物価騰貴の原因が賃金にある、こういうふうに政府としては考えておられるのか、もう一度考え方を承りたいと思います。
○池田国務大臣 消費者物価騰貴の原因は、やはり所得の増加でございます。賃金だけに限定すべきではございません。事業所得者もそれによるのでございます。それがイタチごっこにならないようにというのがわれわれの努力でございます。もちろん、消費者物価につきましてはいろいろな問題がございましょう。たとえば、最近でお毛なる上がりの原因をなした生鮮食料品、こういうものは賃金と直ちに言うわけではございません。あるいは農家の所得、あるいは流通関係者の賃金の問題もございましょう。また、四月なんかの上昇の原因は、授業料の値上がりということが相当の原因になっております。これはやはりいまの学校の教員の所得とか、いろいろな点に関係しておりましょう。直ちに一般労働者の賃金が上がるということでなしに、所得の増加によりまする生活内容の変化等々と需要供給の関係に影響されます。また、一般労務者の賃金が上がった場合に、農家、中小企業、あるいはそれに使われておる労務者、あるいは自由職業者の賃金もほうっておくわけにはいかない。こういうことがだんだん重なり合ってくるのであります。中には、もちろん、値上げムードによって団体その他で決議する等のことも原因をなすと思いますが、これは全体としてやはり均衡作用をとってくるわけでございます。だから、問題の賃金にいたしましても、三年ぐらい前までは最低賃金八千円、こういうことがある労働団体の理想でございましたが、このごろ八千円という人は一人もおりません。いなかのほうでも、高等学校を出られた女子の人でも大体一万円取られる、こういうふうな状況になってくることが、消費者物価の値上がりの相当な原因をなしておると私は思うのであります。要は、所得の増加と消費者物価の上がり方、それが常に相当下であって、そして貯蓄その他の余裕のできるようなこと、これが私はとるべき経済政策だと思います。お話のように、所得は上がっても消費者物価は上がらぬようにしろ、こういうことは、合理化、あるいは大量生産するような耐久消費財のものなんかは非常に値が安くなっている、こういう例もありますが、一般的にしましては、卸売り物価は下がったり、あるいは横ばいでも、消費者物価というものは、生活内容の変化と需給の調整が必ずしも多量生産にいかぬ、合理化にいかぬ部面がございますので、えてして上がりやすいものだ、こういうことを私は言っておるのであります。
○辻原委員 それでは、賃金が物価騰貴の原因である、したがって、生産性を上回るような賃金については長期安定策をとらなければならぬということは、いまの総理の説明からすると私は出てこないように思う。しかし、それをあえて、物価騰貴の主たる原因が賃金であるかのような取り上げ方をしている。この点は特に宮澤さんにも私は承りたいのだが、新聞によれば、すでに長期安定賃金についての具体的な検討に入ったということが発表されておるが、いまの総理のお答えによれば、これは所得全体の問題の中から物価騰貴の原因を考えなければならぬ。同時に、需要と供給、あるいは労働力の問題等々の理由をいまあげられたわけで、あながち賃金が、すなわち、それぞれの賃金労働者が年々いわゆる賃金アップを要求して賃金を確保していく、こういったことだけが主たる物価騰貴の原因ではないと、みずから総理は言われておる。言われておるのに、貨金の面だけをクローズアップして、あえて物価騰貴の問題を賃金に置きかえよう、すりかえようとしている。その態度にわれわれ非常に不満のものがあるわけです。これは、総理、宮澤長官、同時に、労働賃金の問題でありますから、大橋労相にも見解を承りたい。
○池田国務大臣 国民のうちで最も多数を占めておられる毛のは労働者でございます。しこうして、労働者の賃金の上がりようは、御承知のとおり、昭和三十六年の春闘以来かなり上がってまいっております。ことに三十六年は上がりました。そのころから、五年から六年にかけて、そして七年にかけての物価の上がり方が非常に大きくなっているのであります。そこで、大多数を占めておられる労務者の賃金というものが生産性を上回るということになりますと、これはインフレの心配がある、あるいは経済活動鈍化の傾向を来たすということは、五、六年前イギリスにおきまして、あるいはアメリカにおきまして強く唱えられたことで、これは世界的にも経済学上の通念でございます。また、ドイツにおきましても、二年来生産性の向上が賃金の上昇よりも下回るということによって、ドイツの経済の伸びが非常に落ちたということは世界的の定評であるのであります。したがいまして、原則といたしましては、われわれが経済運営にあたって、生産性の向上より賃金が上回るということは、世界の人が一様に認めているごとく、健全な経済の発展からいって国際貿易に競争していく上から不利な立場にあるということは、これは企画庁長官なんかの言を待たなくても、私は世界の世論であると考えております。したがって、消費者物価の上昇の原因を言われますが、賃金の上昇もありますが、こういう定額賃金でない職業の事業所得のほうにもその影響が加わってくる。そうして事業所得内におけるいわゆる雇用者にも関係してくる、こういうことであるのであります。所得が増加すれば、消費内容がよくなることは当然で、消費内容がよくなれば流通関係があれいたします。たとえば、先ほど申し上げましたように、高等学校を出た女子の方々が一万円近くも取るということになると、それだけの消費がふえていく、そうして今度は他の農業その他にも影響することは、経済の循環からいって当然であります。だから私は、労働者の賃金が上がるからインフレになるとかどうこう言うわけではありません。上がることは当然理由があれば上がる。しかし、その理由は、やはり生産性の向上と見合わせていかなければならぬということは世界の通論であると私は考えております。
○辻原委員 先ほど私が預貯金の問題について例をあげたら、総理は、一、二年物価騰貴が預貯金を上回っても、それをにわかにインフレと言うことは即断であるという話がありました。いま私は同じことを総理に反論いたしたいと思うのは、三十六年にいわゆる生産性が労働賃金を若干上回っているという統計が出ていることは私も知っている。しかし、三十五年までに明らかに下回っている。三十六年以降は、池田内閣の経済政策のいわゆる失敗によっての引き締め期に入っている。調整期に入っている。したがって、おそらくその調整下においては賃金が不当に抑えられる場合があるでありましょう。また、収益、利益が不当に減少する場合があるでありましょう。そういった相関関係のもとに、私は、一つの特殊な傾向がここに現われているものだと思う。また総理は、諸外国における定説だと言うが、しかし私は、直ちに生産性と物価を比較して、それだけでもって、賃金が生産性を上回るから、これは経済全般に非常な悪影響を来たす、こういう結論を出すことは、これは象のしっぽをつかまえて象を論ずるたぐいであると私は考える。それよりも、ここにも統計がありますが、問題は、それぞれの原価の中に賃金なりその他のファクターがどう影響しているか、どう作用しているかを見るべきではないか、こういう説があるわけであります。私はしろうとでありますから、どの説が正しいということは言わないが、常識的に考えて、ここ数日来の各新聞の社説を見てもそうでしょう。決して日本のいまのコストの問題が賃金の圧力によるとは書いておらない。西欧的な型ではないとすら論じている。しかし、総理は、主たる原因はそこにあるかのごとき印象を国会の内外に流布している。政府はそういうことをあえて宣伝していると私は受け取る。問題は、少なくともかなり長期的に見れば、今日の物価と賃金の関係、生産性と賃金の関係というものは、必ずしもコストに対して悪影響を及ぼすほどには至っていないというのが、これが各方面の学者の説である。全然影響なしとは私も言わない。しかし、主たるものではない。こう思うのに、主たるもののような考え方でもってすでに検討を開始していると宮澤長官が発表していることは、私は重大だと思う。これは今日日本が置かれているいわゆる賃金労働者の生活事情、あるいは賃金の国際的比較を知らざる者の言だと私は思う。まだまだ欧米に比して非常に低い生活水準、賃金水準にある日本の状態の中で、総理は賃金ストップではないと言われたけれども、しかしながら、長期安定賃金というのはそれに類するもので、それを具体的に検討し、労働者に押しつけようということは、これは重大な問題であると思うので、労働大臣にもひとつこの際見解を承りたいし、あえて発表した企画庁長官にその見解をきちっと承っておきたい。
○宮澤国務大臣 このような御議論を国会でもしていただきたいと考えましたので、実はあえてああいうことを申したわけでございます。私の申しましたことは概して正確に報道されておりますけれども、多少誤解もございますので、簡単にお聞き取りをいただきたいと思います。
 昭和二十八年ごろからただいままでほぼ十年の間を考えてみますと、御指摘のように、昭和三十四年ころまでは、生産性の向上のほうが名目賃金の上がりより高かったわけでございます。それが三十五、六年を契機といたしまして、賃金の上がりのほうが生産性の向上をこえまして、線がクロスをいたしました。先ほど辻原委員から、三十七年はそうではなかろうという仰せがございましたが、三十年を一〇〇といたしました場合に、三十七年は名目賃金が一二三ぐらいであり、生産性は一一一でございますから、明らかにこの傾向はその後今日まで続いておるということが推定をされるわけでございます。それから欧米諸国との消費者物価の比較についてもお話がございましたが、三十年を一〇〇といたしました場合、ただいまわが国の消費者物価はイギリス、西ドイツ、イタリア、それらの国とほとんど同じ水準にございます。フランスはこれをかなり上回っておるというのが現状でございます。
 そこで、このような状況にあって、私ども昨年以来ここ数年消費者物価対策に、微力ではありますがいろいろやってきたつもりでございます。しかし、御存じのように、なかなかそれらがきちっとした効を奏してまいりません。六%以上の消費者物価の上がりというものは、明らかに金利等の関係から申しましても、国民生活に脅威を与える種類のものだと私どもは考えます。しかし、確かに賃金の上がりが物価の上がりをこえておるわけでありますから実質生活が平均的に見て貧困になったということは言えませんので、より豊かにはなっておりますが、それは平均的のことでありまして、いろいろな関係から申して六%以上消費者物価が上がってくるということは、これはきわめて遺憾なことであると申すよりほかはないと思います。一方において、したがって、あらゆる方法を講じてこれを防いでいかなければならないと思いますが、他方において、企業の生産性というものは累年上がってきた。その生産性の向上を国民経済全体においてどういうふうに適正に配分するかということが問題であると思うわけでございます。その一部は、むろん企業自身、内部留保なり配当なり、あるいは償却なりいろいろな形で企業がとるでありましょうが、一部はまた生産性向上に伴う価格の引き下げという形で消費者が均てんいたすべきであると思いますし、また一部は、賃金の向上という形で当然勤労者が取得すべきものであると考えるわけであります。
 そういう観点に立ちますならば、企業の側にも反省を求めるべき点が多いと思います。生産性あるいは利潤というものを考えずに、いわゆるシェア競争というようなことで過大の設備投資をやるということは、当然当面の生産性を下げる結果になりますから、企業の側にも反省をしていただきたい点が多々あると思います。各方面に、消費者については、物価の問題として政府の施策、あるいは消費者選択というものを考えていかなければならないと思いますが、同時に給与だけ、賃金だけはこれらの例外であって、これについては検討を加える必要がないということもまたなかろう。私どもは、決して問題をすりかえてそれだけを問題にするというつもりは毛頭ございませんので、ここまで参りますと、やはりその問題も問題の一つの要素として考えなければならないであろう。ことに西欧諸国の場合を考えますと、このような状況にあって、各国はわが国よりもはるかに雇用の流動性が大でございます。それは申し上げるまでもないことでございますが、いろいろな意味で雇用の流動性というものがあって、そうして、足りない雇用が最大限の効率をもって発揮されておる。わが国の場合には必ずしもそうではございません。これは職業訓練等の必要もございましょうが、現実にはそうではございません。また西欧各国の中には、移民によってとの状態に対処してまいっておる国もございますが、この点も、わが国においては必ずしも同じことができるとは申せないわけであります。しかも、ここ数年後には労働の需給関係に相当な変化がくるということは明白でございますから、そのようなことをも考えて、やはり過去において給与の格差が縮まってきたということ、及びわが国の賃金水準が国際水準に近づきつつあるということは、とりもなおさず成長政策の結果であって、好ましいことであると思いますけれども、ここ数年先を考えますと、やはり名目賃金よりは実質賃金をお互いに問題にしていかなければならないのではなかろうか、そういう意味で、問題をそういう角度をも含めて検討すべきではなかろうか、こう申したのが私の真意でございます。
○辻原委員 賃金の問題について考える場合に、実質賃金を考えることは当然であります。だからこそ、物価の騰貴ということが問題になるのであって、いま、いろいろ聞きましたけれども、私はどうも合点がいかない。ここに大蔵省の統計があるが、さっき私も申し上げたように、生産性と比較して賃金を見る、こういう考え方よりも、一体原価の中にどれほどのコスト・プッシュを賃金がしておるかということを冷静に考えてみることのほうが的確ではないか。大蔵省の資料によれば、三十六年上期から三十七年の上期までのそれぞれの分析を行なっているが、それによると、減価償却費の推移は、三十六年上期三・八に対して三十七年上期は四二二と上がっておる。それから利子その他のいわゆる負担については、三・四が三十六年の上期、それが三十七年の上期においては四・〇と上がっておる。人件費について見ると、三十六年の上期は一一・二、下期は一〇・九と下がり、三十七年の上期においては一一・五である。私はこの分析を見る限り、賃金のコスト・プッシュという問題について、きわめて平穏に推移しておるのではないかという見方をするわけです。しかし、それが生産性と対比した場合においては、これは調整期の影響を受けて、企業の付加価値が減り、さらに全体の売り上げ高が落ちておる、こういう関係から、そこに一つの現象が上回るという形になってあらわれておるものだと私は考える。したがって、そういう各方面のいろいろな資料、ファクターによって考えてみれば、いま賃金が物価の原因であり、賃金が企業に対して悪影響を及ぼしている最大のものだというふうな宣伝なり、そういう政府の施策の考え方の方向というものは誤りではないか。私は、すべて賃金は影響しないという議論をしておるのではない。主たるものであるかどうかということなんです。そうではない。成長政策の結果、収入が上がった。上がっておるでしょう。しかしながら、上がっていない部面もあれば、それが行き過ぎたために、物価騰貴の原因になっておるサービス業、あるいは農産物価その他の問題もある。だから、成長政策それ自体の行き過ぎが、やはり物価騰貴を来たしたとわれわれは結論づけるのはあたりまえのことだ。だから、行き過ぎておるから、その行き過ぎを是正をし、当面ともかく消費者物価の引き下げということについて全力をあげなければ、この物価騰貴はやまない。あなた方は、いま物価騰貴をとめる確信をお持ちですか。
 それともう一つ、私はこの機会に承りたいのは、本年の経済見通しによると、消費者物価は二・八と、こう出ておる。しかし、年度中、一体この消費者物価は、企画庁が出した二・八で推移いたしますか。時間がございませんので、いろいろな経済理論はまた別の機会に承ることにいたします。私がお尋ねをしたことだけ忠実に答えていただきたい。経企庁長官、ことしの物価の推移は、当初の二・八に対してどうなりますか、これをひとつ承りたい。
 それから労働大臣に、さっきの賃金の問題について答弁がありませんから、要求をいたします。宮澤長官のあとに、的確にお答え願いたいと思いましたが、宮澤長官と同じように、あなたも日本の賃金について、いま直ちに安定策が必要だとお考えになっておるかどうか、明らかにしていただきたいと思う。
○宮澤国務大臣 それでは簡単に申し上げます。
 ただいまの大蔵省の統計は存じませんけれども、おそらく私はそういうことがあるだろうと思います。企業のコストの中における賃金の比重が小さくなってきておるということは、とりもなおさず、そのような新しい設備投資がなされておるからでありまして、経済の高度成長の結果、産業の構造が高度化したことの結果にほかならないのでありまして、そのことは、それ自身としては私はけっこうなことだと考えております。
 消費者物価につきましては、四月、五月の動向から考えますと、もしこのまま横ばいに推移いたしましても、今年度の消費者物価は六%に近い値上がりになるはずであります。したがって、何とかしてこのことは食いとめなければならない、物価の下降を促すような諸措置をとらなければならないと考えております。
○大橋国務大臣 最近における賃金の上昇につきましてその内容を検討いたしてみますると、従来相対的に賃金の低かった中小企業であるとか、あるいはサービス業等における賃金が特に上昇いたしておるのでございまして、この点は、全体の賃金格差を縮小しつつあるのであり、基本的には望ましい方向に進んでおるように考えております。しかしながら、これに伴いまして中小企業分野なりあるいはサービス関係なりの価格、料金等がある程度上昇し、価格体系に若干の変動を生じつつあることも事実でありますが、これもある程度はやむを得ない次第ではないかと思っております。しかしながら、便乗的な値上げというようなものをできるだけ抑制し、流通機構の合理化であるとか、あるいは中小企業における積極的な経営の合理化であるとか、こういう措置を講じまして労働生産性の向上をはかっていくということは、当然必要なことであると思っております。特に労働省といたしましては、これらの賃金引き上げの原因が労務の需給関係にありますことを考えまして、職業訓練の拡充強化であるとか、あるいは労働の流動化の促進等によりまして、できる限り労働力の需給の緩和をいたしていく、こういう方面で賃金の引き上げが緩和されるような実際上の措置を構ずるところに力を入れておるような次第でございます。
 したがいまして、現在の段階におきましては、先ほど総理からも述べられましたるごとく、何らかの行政措置によって賃金を押えるというようなことを考えておるわけではございませず、賃金はあくまでも労使が自主的に決定すべきものであって、このたてまえで労働行政としては進んでいくべきものであると思っているのであります。ただ、賃金が国民経済全般の成長と見合って改善されてまいりますよう、労使の良識ある態度に期待いたしますとともに、賃金の引き上げがコストにはね返らないように、経営の合理化その他によりまして労働生産性を極力向上させていく、そして、その生産性向上の著しい分野においては、その利益の一部をある程度製品価格の引き下げに向けるような機運を醸成させていくということがこの際望ましいのではないかと思っておる次第でございます。
○辻原委員 労働大臣のお答えを集約すると、こう了解してよろしいか。私がお尋ねをしたのは、宮澤長官が、物価と賃金の関係において、企業と賃金の関係において、いま生産性を上回るから、長期安定賃金というものを具体的に検討する必要がある、こう新聞発表をされた。また、いまお尋ねをいたしましても、それと同じようなニュアンスを言われた。そこで、労働省としてはそういう必要をまず認めておるのか、同時に、長期安定賃金ということに対して具体的な対策を立てるのかと、こう私はお尋ねしたのに対して、賃金を引き上げる方法等についてるる述べられたわけだが、いわゆる雇用の安定、また、正当な賃金を上昇させ生活水準を引き上げるために、いわゆる雇用促進の方法をとっておるということで、直ちに行政措置その他でもっての従来の賃金支出と違った方式は考えない、こういうふうに述べられたと私は理解をするのでありますが、そういうふうに了解をしてよろしいですね。
○大橋国務大臣 総理も述べられましたるごとく、いわゆる賃金ストップというようなことを考えておるのではございません。しかしながら、賃金が上がりつつあることは事実であり、また、賃金の上昇と生産性の上昇のカーブにつきまして、数字で述べられた企画庁長官のお話も、これは事実の数字をお述べになった次第であります。労働省といたしましては、賃金の上昇に伴いまして絶えず生産性が上昇していくということが労働者の生活の基礎になる、賃金の上昇すなわち労働者の生活向上の土台になることであると考えまするので、生産性が絶えず上昇するようにしていただくことが望ましいと思っておるのであります。
 そこで、賃金につきましては、労使間の交渉によってきめる事柄ではございますが、その内容についても、近時労働生産性を向上いたしまする一手段といたしまして、従来の年功序列型賃金を職務給に切りかえるというような問題もあるようでございます。賃金の引き上げが生産性の向上という見地から考えられるということは、これは経営上けっこうなことであると存じまして、そういうことにつきまして、労働省といたしましても労使の御参考になりまするようないろいろな基礎的な調査をいたしまして、基礎的な資料等を公表するということはいたしたいと思っておりますが、それ以上に労使の賃金の決定に積極的に行政的に関与するという段階ではないと思っております。
○辻原委員 明確であります。基礎的なデータを労使の間に提供するという研究活動はあるが、安定賃金といったようなものを具体的に行政上の措置の問題として取り上げる意思はないということで、政府の態度、労働省の態度は明確であります。そこで宮澤さんが、いま二・八という当初見通しに対しての新たな消費者物価の見通しを述べられた。六%上がるであろうと言われたのでありますが、私は、場合によれば、最近、きのうでありましたか、五月の指数が出ておりましたが、その推移を見ると、東京においてはすでに六・五%であります。また、全都市においても五%を上回ろうとしておる。具体的に日々動いておる物価の状況から考えれば、六%をこえることはもはや必至です。考えてみれば、三十六年以降、毎年世界に例のない六%以上の物価高、CPIの値上がりというものが三カ年続いているというこの事実。まあ、私もそうであろうし、一般もそうであろうと思いますが、政府の経済見通しなんというものは、これは確率からいうと天気予報以下です。おそらく地震の予知ぐらいしか当たらぬと思っておりますけれども、しかし、それにしてもひど過ぎる。毎年毎年、その経済見通しが三分の一程度の確率しかない。こういうことで一体どうなるか。しかし、この問題は、議論をいたしますと時間を食いますので、議論はいたしません。しかし、事態ははっきりいたしましたが、本年も六%以上の消費者物価の値上がりを来たすということ、これは明らかである。ところが政府は、三十七年の春以降、いろいろな形で物価対策を宣伝しておるが、一体実効のあがったものに何がありますか。政府が公共料金を抑えよう、こういう発表をすると、逆に公共料金が上がっておる。かけ声をかけるたびに物価が上がるというような対策を幾らやってみても、これは国民のためにはならない。個々についての問題を聞く時間がございませんが、一体この間、物価対策に何をやって、どういう実効があがったか、私は責任ある答弁を聞きたいと思います。承ります。
○宮澤国務大臣 先ほど総理の答弁で触れておりましたように、昨年の三月、総合施策十三項目をきめまして、それから昨年の暮れから今年に入りまして、異常気象に対応するためのいわゆる生鮮食料品対策、最近はまた各省の連絡協議会などを開いていろいろやってはおりますが、御指摘のように、私どもの思ったとおりの成果があがっておりません。まことに残念なことであると思います。しかしながら、たとえば一月、二月顕著でありましたところの生鮮食料品について、ようやく四月ごろには、これは季節の影響も正直を申してあったと思いますが、かなりの下落をした。五月に、東京においては若干の反騰がある、こういうような傾向でございます。数字的に、政府の施策がどれだけ成功をおさめたかと申し上げることは、これは可能ではございません。ただ、公共料金などにつきましては、これは政府が直接に統制をし得る種類のものでございますから、今年に入っては、概してそういうものについては認めない基本方針をそのままやってきておるわけであります。とにかく最善の努力をいたしましてもなかなか成果があがらないということは、努力が足りないという御指摘もありましょうけれども、そこにまた、先刻申し上げましたような原因もあるのではないかということを考えまして、私はあのようなことを申したわけであります。
○辻原委員 実効があがらないということを率直に申し述べられたわけであるが、しかしながら、たとえば公共料金等は政府の認可その他による関係であるので、これは値上がりのムードが起きてから規制をいたしましたと言うが、ところが逆ですよ。私鉄バスの運賃だってごらんなさい。すでに地方バス等の運賃はどんどん上がっております。認可しておるじゃありませんか。ちょっとも規制されておらない。それから何か対策協議会において都市ガスの引き下げがあるとか、NHKの聴取料金の引き下げがあるとか言ったけれども、いつ実効があらわれますか。NHKについては、当局者が本年は値下げをしないと言っておる。都市ガスについても、一向引き下げるというような傾向が生まれてこない。公共料金だってそのとおりです。生鮮食料品の問題をあげられましたが、確かに四月は季節変動のために若干下がった。ところが、すでにまた五月から上がっているじゃありませんか。最も顕著な例は砂糖です。ここに私はある家計簿で砂糖の価格というものを克明に拾ってみた。これはもちろんある特定の店で買ったものを私はその家計簿によって拾い上げた。その店というのは、一般小売り店よりははるかに安い店なんです。ところが、その砂糖の日々の変動というのは驚くべきものがある。時間の関係で全部を申し上げるわけにいかぬが、たとえばこういう関係になっておる。三十五年の二月十六日に買った砂糖はキロ当たり百三十円、それからその間は抜いて、三十七年の八月三十一日に砂糖屋でこの人は四キロ買った。一キロ当たりについては百二十円、このときは若干下がった。ところが、三十七年の十一月四日百二十五円と上がり、十二月十日には百三十円と上がり、本年に入って二月九日には百三十五円、また五円上がって、おる。三月二日に買ったときには百四十円、三月十一日には百四十五円なんです。さらにそのときには、ざらめ一キロは百五十円しておる。三月十九日には百四十五円、ざらめ百五十円、これは同じ推移。四月六日に至っては百五十五円になっておる。五月十三日には百五十円、五月二十六日には一挙に百六十円と飛び上がっている。さらにその後もずっと続いておる。しかも一、これは一般の小売り店よりも大体五円ないし十円ぐらい安い。そういたしますと、今日の砂糖価格は百六十五円ないしすでに百七十円に近づいてきておる。しかも、これはいま読み上げましたように、相当長期にわたって、十日ないし二十日おきにどんどん砂糖価格というものは上がっておる。しかし、その間、一体政府は何をしたか、どういう対策をしたのか。私は砂糖の問題を聞くのが本旨ではありませんけれども、なぜ一体こういう問題を取り上げないのか、積極的な手を打たないのか。何をもたもたしておったのか。今後公共料金については値上げを認めないのか、認めるのか。これを一点はっきりしていただきたいと思います。
 それから砂糖については、大蔵省の関税審議会で、一日でありましか、審議をしたような案も私は見ました。しかし、その案で――これは所管はとなたか知りませんが、農林大臣おられますか、十円の関税率の引き下げは、消費者に対して、いま私が述べたような推移で動いておる砂糖価格を明確に最低十円引き下げられますか。自信がおありになりますか。この点を明らかにしていただきたい。公共料金と、砂糖については税金で十円下げるというんだから、消費者には必ず十円下げる、こういう約束ができますか、明らかにしていただきたい。
○宮澤国務大臣 公共料金につきましては、先ほど申し上げましたように、一般方針として、この引き上げを認めないという方針に変わりはございません。現にそのような方針に基づいてビールの価格引き上げ、あるいは六大都市のバスの運賃の引き上げ申請等は対処をいたしております。御指摘の点は、おそらくは最近に起こりました川崎市におけるバスの料金の引き上げに御言及になったかと存じますが、これは競争会社であるところの鶴見臨港なるものが経営が非常な危機に瀕しまして、崩壊の一歩手前にあるというところまできておりました。御承知のように、川崎というところは、工場が海岸にございまして、バスの利用がほとんど朝晩の一方交通であるというような特殊な事情がございまして、やむを得ないものと、私留守中でありましたが、考えまして、処置をいたしました。このことは、私は処置として正しいと考えております。
 なお、砂糖につきましては、理由は御承知のとおりのような原因でございますが、政府としては緊急放出をする、あるいはスリッページを減らすというようなことで対処をいたしてまいりました。なお関税の十円引き下げというようなことを関税審議会にはかっておることも、そのとおりであります。それがそのまま消費者価格に反映するであろうかどうかということは、国際相場が現在見られますようにやや反落に転じておるという傾向が持続いたしますならば、そうあってしかるべきものと考えますが、これはあまりにも外部的な扇情に影響される点が多いと考えますので、必ずそうだということを明確に申し上げられ得るかどうかは、私は疑問だと思います。しかし、少なくともその方向で政府が施策をしておるということは、そのとおりであります。
○辻原委員 砂糖の問題については、そういうあいまいなことでは私は困る。それはなぜかというと、いま百貨店その他においても、国際価格は多少変動はありますけれども、高騰しておる、そういう点から、消費者価格をさらに引き上げようという機運がある。ここで関税において十円を引き下げたところで、その値上げを消しとめる程度の役割しかしないというようなことでは、これは物価引き下げにはならぬと思うから、かつてビールの値下げの問題のときにもわわれれは論じたように、税金において引き下げた分は、少なくとも国民に還元をするという意味において、最低消費者価格はそこまで引き下げるべきだ。さらに、関税において自信がなければ、消費税を引き下げなさい。消費税を引き下げることです。キロ当たり二十一円でありましたか、消費税というもの、これはばか高いですよ。国際的にも考えてみて、世界で砂糖は日本が一番高いということはもちろんであるが、税金が何といっても一番高い。だから、この際、関税のみならず、消費税も引き下げるべきだ、私ほそう思う。これについてはどう考えますか。
○田中国務大臣 砂糖の問題につきましては、御承知のとおり、政府は自由化を早急に進めるという基本方針を決定いたしておるわけでございます。この砂糖の問題の自由化を進めていくためには、国内甘味資源対策に対して法律案をいま御審議願っておりますし、沖繩糖の政府買い入れに対してもいま処置を願う予定でございます。現在百四十五円もしておるという糖価に対しては、政府は真剣にいま研究をしておりまして、農林省との間にも、十円下げても、関税が下がっただけ消費者価格が下がらないということであっては困るので、一体いまの百四十円ないし百五十円の価格というのが正当なのかという問題を、各業者別にひとつ調べてもらいたいということを言っておるわけでございます。実際国際糖価は三セントから最高十二セントまで上がったというような状況はございますが、現在使っておりますものは、十二セントまで上がった粗糖を使っておるわけではないのであります。でありますから、実際の精糖会社が現在市場に出せるものが百三十円で出せるのか、百三十五円が適正なる値段なのか、将来の値上がりを見越して思惑的に上げているのか、これらの問題を十分検討する必要がありますのて、私たちが関税率を十円引き下げようというような処置を関税率審議会にお願いをする以上は、適正な糖価がどの程度の状況で推移をするのかという見通しをつけなければならないということで、現在農林省側にも協力を求めておるわけでございます。
 それから消費税の引き下げという問題に対しても、党内にも議論がありますし、私たちの中でもこの議論に対しては検討いたしておりますが、まず先になるものは、先ほど申し上げたとおり、現在の糖価が一体妥当なのか、高いものがどのような状況で入ってくるのか、政府は十万トンの緊急輸入さえもやっておりますので、これらのデータを十分検討いたして安定を期すつもりでございます。
○辻原委員 いたずらに精糖業界の鼻息をうかがって、消費者の利益を忘れるような従来の砂糖行政は、この際一てきすべきである。
 そこで、総理に伺いたいと思うのですが、砂糖の問題についてはいろいろむずかしい議論もあります。あるが、ざっくばらんに言って、世界一高い砂糖をなめさせられているという国民の立場に立てば、何かこれは根本的に改善を要する問題であることには間違いはない。その意味で、専売制を検討するお考えはないか、この点について総理のお考えをお尋ねいたしておきます。
○池田国務大臣 お話のとおり、最近イタリアにおきましての国内砂糖生産、甘味生産の成功を見ておるのであります。大体いま日本がイタリアと同じくらいの砂糖の値段、税金が高いのが原因でございます。私は、砂糖の問題につきましては、二、三年来早く自由化という説をとっておりましたが、いろいろの事情があったようでございます。しかし、自由化に向かって着々進めております。砂糖の値上がり等からあれしまして、外貨予算のときにも私特に発言して、十万トンの緊急輸入をするようにしたのでございます。その後におきましても糖価はどんどん上がった。あのときは、多分三セント程度のものが七セント半か八セントくらいだった。しかし十二セントになり、きのう、きょうの新聞では、ソ連が百万トンの滞貨を出すということで、ニューヨーク市場も非常に弱含みになっておるし、今後の推移を見なければなりません。一つには、キューバの砂糖をアメリカが買わずにソ連が買った。北欧の砂糖事情が悪くなった。また、今年におきましても、植えつけその他という問題がありますので、今後下がっていくかどうかということは疑問でございますが、とにかく砂糖の適正価ということにつきましては努力いたします。しかし、これを専売にしたからといって、そう安くなるという筋合いのものではございません。私は、それよりも、やはり自由競争によりまして精糖会社が競争して、できるだけ安い砂糖を大衆に出すということが先決問題だと思います。これは専売制度とすぐ飛びつきますが、たばこにおきましても、専売はよくないじゃないかという議論もあるような状態でございまして、私は、自由化してほんとうに低廉な砂糖を安定的に供給するというたてまえにおいては、専売制度につきましてはあまり賛成はしないのであります。それでなくても、食管に砂糖勘定を置きまして、いろいろ価格の安定ということは今後努力していきたいと考えております。
○辻原委員 年間六%の物価がなお本年も上がるということが明確にいわれておるのにかかわらず、具体的な特徴的な問題についての対策についても、まことに政府としては自信がない答弁であります。こういうことになりますると、日々生活をしておる消費者は、一体どうすればよいのかという大きな政治問題が発生すると私は思う。そこで、あらゆる消費物価が連鎖反応を起こして上がるという今日の傾向から消費者の日常生活を守るために、この際、消費者保護のための物価についての審議会、こういうものを設けて、学識経験者あるいは消費者、また経営者等も含めて、物価についての一つの規制的な機関と申しまするか、十分消費者の意見が反映するような機関、機構を考えてはどうかという考え方を私は持っておりますが、これは一つの提案でありまするが、総理のお考えを承っておきたいと思います。
○池田国務大臣 いま宮澤長官から、このままでいくと六%をこえるという答弁であったようでございます。私の計算したところによりますと、四月、五月は生鮮食料品がちょっと上がりました。五月、四月をずっと平均してこのまま横ばいでいくと五・九%になります。しかし、五月というのは特殊の野菜のみで、四月をとりますと、大体五%でいくと思います。少しの違いでございますが、六%をこえるという分は、四月の分を横ばいにすれば五%、五月を横ばいにすれば五・九%、こういうことになります。しかし、いずれにいたしましても、五%をこえるということ、これは重大なことでございますから、私は、御承知のとおり、昨年来一番の問題として、消費者物価についてどういう手を打つかということを考えてやっておるのでございます。いまのように予算にも相当計上いたしました。しかし、お説のように最も重大な問題でございますから、企画庁におきまして関係閣僚並びに関係事務当局の打ち合わせ会を開いております。これを拡大いたしまして、今後民間の人の意見も聞くようにしなければいかぬという気持ちを持って、いま検討いたしております。
 それから、消費者物価が上がるということについて対策を講ずると同時に、先ほど来申し上げましたように、実質賃金、実質の生活がどうなっておるかということも見ていかなければなりません。しこうしてまた、五%、六%、こう申しますが、ほんとうをいって、日本人の生活を、後進国は別でございますが、先進国と比べてどうなるかということをいろいろ私自身として調べてみました。たとえば各国の個別野菜の値段とか、あるいは住宅問題、医療品等々いろいろなことを調べてみましても、国際連合の統計あるいは各国に派遣しておる大公使の報告では、なかなか十分でございません。私は、最近において企画庁長官に、日本と外国と地について物価の調べをしたらどうかということをいま命じまして、その準備工作をいたしておるのでございます。
 消費者物価の問題につきましては、経済全体の運営と関連いたしまして、また国際的問題とも関連いたしまして、また自由化の問題の影響等から考えまして、もっと深く広く日本の消費者物価につきまして検討を加えていく、そういう意味におきまして、お話のとおり、民間の人を入れて審議することも私は一つの方法と考えております。
○辻原委員 物価の問題に関係をする点から、なお二つの問題についての政府の態度を承っておきたいと思います。
 その一つは、最近経団連その他の経営者団体、財界のほうから、再び公債発行についての論が台頭してきておるようであります。しばしば当委員会で公債を発行しないという言明を得ておるのであるが、いまの段階、さらに今後の状態から考えて、公債の発行について、やるのかやらないのか、そろそろ三十九年度の予算の編成期も近づいてきておるが、三十九年度において公債の発行はするのかしないのか、この態度を明らかにしていただきたい。
 それから弔う一つは、昨年の十月から今日まで、四次にわたる公定歩合の引き下げがあってきた。この公定歩合についての金利政策は、別の機会に私は伺いたいと思うのですが、ただ、この四次にわたる公定歩合の引き下げをやった現在の経済情勢、これは、大蔵大臣、あなたのほうの大蔵省がこの間発表しておりましたように、国際収支にもデリケートな傾向があらわれておる。私はここ数日来の新聞の発表を注目しておるのでありますが、若干の黒字幅が縮まってきておることは事実です。そういう状況の中で、第五次の引き下げをやるのかやらぬのか、端的に承りたい。
 同時に、もう一つ、いわゆる低金利政策に関連をして、これは政府与党の内部にも根強くあるようであるが、郵便貯金その他の定期性預貯金に対する金利の引き下げ、まずさしあたって郵便貯金の金利の引き下げは絶対におやりになるまいと思うがどうか。この三点を明確にお答え願いたいと思います。
○田中国務大臣 経済同友会等から内国債発行の問題に対して意見が出ておりますが、三十九年度の予算編成にあたりまして、私は、公債を発行したくない、こういう基本的な態度をとっております。
 それから、公定歩合の引き下げの問題でありますが、約半歳にわたって四回、四厘の引き下げを行なったわけでございますが、IMFの八条国移行、関税の一括引き下げ、それからOECDへの加盟等、貿易・為替の自由化を進めているのでありまして、国際金利にさや寄せするという政府の基本的政策は変わっておらないのでありますから、金融環境の整備が進めば引き続いて引き下げるという方向にあると思います。
 それから、第三の問題である郵便貯金の問題でありますが、御承知のように、郵便貯金の金利の問題は、戦前は大蔵大臣権限でできたわけでございますが、その後法定事項になっております。これから金融の正常化をはかってまいりますためには、弾力的金利の運用が必要でありますので、今度法律の改正案を提案して御審議を願うのでございますが、政令に委任をしていただくように改正案を提案をいたしておるわけでございます。しかし、現在の段階において、改正案を審議していただき、可決をしていただいても、直ちに金利を引き下げるというような考えは持っておりません。
○辻原委員 時間がございませんので、残念でありますが、次の問題に移りたいと思います。なお、私もつとめて努力をいたしますが、政府の答弁も私の尋ねたそのことにストレートにひとつお答えを願いたいと思います。
 防衛の問題つにいて総理大臣に承りたいと思います。
 六月一日の夕刊にこう出ておりました。米国政府は、三十一日、ポラリス潜水艦が太平洋に配置されるという台湾におけるフェルト太平洋統合司令官の発表を確認したと、報道せられております。私は、このことはまさにアメリカの極東における核戦略体制の強化が急ピッチであることを物語っておるものであると思います。原子力潜水艦寄港の問題、また、板付へのF105サンダーチーフ七十五機の配置、いずれもその一環であるということは、私はもはや論議の余地のないところであると思う。しかも、その目的とするところは、日米会談の際にあらわれましたケネディ発言、すなわち、中国封じ込めの政策、これ以外にはない、私はこういうふうに見解として持っておるが、総理はどうお考えになりますか、簡潔にお答えを願いたいと思います。
○池田国務大臣 ポラリス潜水艦が太平洋に新たに来るというふうなことは聞いておりません。今までも私は太平洋にはおるのじゃないかと思っております。
 なお、ポラリス潜水艦が太平洋に来るからといって、封じ込め政策が強化されたとかなんとかいうことは、私は考えておりません。日本政府の方針としては、従来国会で申し述べた通りで、何ら変わりはございません。
○辻原委員 防衛庁長官にお伺いをするが、いま総理はポラリス潜水艦がいままででも太平洋におったと言っているが、われわれがいままで承ったところによると、太平洋にはポラリスはいままでいなかった。防衛庁長官、どうです、その点は。
○池田国務大臣 私の答えが間違いで、太平洋にはいないそうであります。地中海その他にはおったようです。
○辻原委員 総理大臣がここで答弁されることは――私は重大な問題だから聞いておるのです。これを、いま、太平洋には前からおったからあらためて問題にする必要はないといって、私から注意を促せば、間違いました、おりませんでした、そんなふざけたことございますか。正式に取り消してください、こんな問題は。おかしいですよ。これは日本人にとっては重大な問題です。
○池田国務大臣 ポラリス潜水艦は大西洋、あるいはまた最近におきまして地中海に三隻ということを新聞で聞いております。そういうことで、太平洋、南太平洋のほうにおるのかと私は思ったら、いないということで、私の誤りでございました。
○辻原委員 次に、防衛庁長官にお伺いをいたします。安保条約六条によりますと、日本国において施設及び区域の使用を米軍が許される場合は、日本国の安全に寄与するかまたは極東の安全に寄与するかのいずれかの場合に限られておる。そこで、お伺いするのでありますが、F105が七十五機板付に配置されることは、この安保条約の趣旨から言って、日本の安全に寄与するものと政府はお考えになっておるのだろうと私は想像するのでありますが、そうですが。これを承りたい。
○志賀国務大臣 どこの国でも、兵器が古くなって(辻原委員「そんなことを聞いているのじゃない」と呼ぶ)老朽化すれば、新しい性能のすぐれた兵器に取りかえることは当然の道でございまして、現にわが国においてもF86からF104に切りかえつつあることは御案内のとおりであります。そこで、アメリカといたしましては、現在板付その他の基地に配備いたしておりますF100なりF102が老朽化しつつあるので、これを新たに105と取りかえたという機種変更でございまして、私はその条項に該当するものではないと信じております。
○辻原委員 そうすると、私がお尋ねしたF105については安保条約に該当しないというのですか。該当しなければこれは即刻帰ってもらわなければいけません。どうなんですか。
○志賀国務大臣 日本の安全に寄与するものと認めておるのでございます。
○辻原委員 日本の安全に寄与するからF105を配置したといういまの防衛庁長官の答弁。そうしますと、いまF105を七十五機板付に配属しなければならないような、すなわち、日本の安全を守るためなんだから、そういうような客観情勢がいまの日本を取り巻く極東国際情勢の中にあるのかないのか、この点について防衛庁長官の見解を聞いておきたい。
○志賀国務大臣 先ほど申し上げたとおり、古い飛行機を新しい飛行機に取りかえる、取りかえることが日本の安全に寄与する、かように考えておるわけであります。
○辻原委員 だから私は聞いておるのです。古いものを新しいものに取りかえる、より安全を強化する、あなたがいまおっしゃった、より安全を強化する、安全を強化しなければならぬ客観情勢、すなわち、日本の安全が脅かされておる、より強いそういう脅威というものがどこにあるのですかと聞いておるのです。それはどうなんです。これは、防衛庁長官ですから、私は政治的判断を尋ねておる。法律の解釈を尋ねておるのじゃない。
○志賀国務大臣 客観的に新しい情勢はございません。ございませんが、先ほど申し上げたように、兵器が老朽化すれば、新しい性能のすぐれたものに取りかえることは自然の流れでございまして、それを申し上げておるのであります。
○辻原委員 ところが、F105というものは、航続距離が三千二百キロ、これはジェーンの航空年鑑によって私は調べたのでありますが、きわめて長い足を持っておる。しかも水爆搭載機である。両方どっちでも搭載できますというあなた方の答弁が自来今日までありましたが、両方搭載できるということであるならば、水爆搭載ができるということなんです。水爆を持つということなんです。三千二百キロという長距離を攻撃し得る戦闘爆撃機は、南北朝鮮はおろか、中国の主要な都市ことごとくを含む。これは海原防衛局長がこの間内閣委員会でも答えている。北はハルビンからずっと入ってしまう。水爆を持っておる、しかも長距離を飛んで攻撃することのできる攻撃機である。この二つの事実を一体相手方がどう受け取るかということが重大な問題であると思う。ちょうど、キューバにおいてミサイル基地をつくったとき、アメリカの首根っこにミサイルがあるということは大へんなことだといって、アメリカの国民が恐怖のどん底におちいって騒いだ。そこで、ケネディは、報復戦争、全面戦争をも場合によっては決意をせざるを得まいという判断に基づいてあのような封鎖をやった。これがキューバ事件でしょう。もしかりに板付にこのような水爆を持ち長距離の足を持つ攻撃機を配置したということで、相手が対応して核装備をする、あるいは、日本を中心とした米軍基地あるいは米国の戦略体制あるいは日本国それ自体に対する新たなる戦略体制をしいたとなったならば、これは一体どういうことになりますか。その判断を私は防衛庁長官に承りたい。
○志賀国務大臣 ただいまキューバのミサイルを例に出されましたが、キューバのミサイルは、ミサイル現物が配備せられたのでございまして、今回の105は、先刻私のほうの海原防衛局長からもるる詳細に説明申し上げたとおり、これは万能戦闘機でございまして、あえて長距離爆撃機に使うのじゃないのでございます。もちろんその使用もございますが、これは低空飛行もやれば地上支援もやる多目的な戦闘機でございます。しかも、日本に配備しております以上は、核爆弾は搭載しないことになっておるし、また、絶対にこれを拒否することになっておりますから、相手はあえて神経をこまかくして脅威を感ずるようなことはないと私は考えておるのであります。
○辻原委員 万能戦闘機なるがゆえに私は申しておるのです。水爆は積めない、長距離は飛んで攻撃することができないという飛行機であるならば、こういう議論は必要ないでしょう。ところが、万能ということは、その中にそのことをも含むという論理なんです。含むから心配がある。これは三段論法です。あなたの言っているのは理屈にならぬですよ。政府がいままで言ってきたことは論理学では論理にならない。そういう可能性があるならば、その可能性を未然に防ぐということが対策として必要なことだ。そう考えた場合に、あなたはいつか科学技術委員会でも言われたが、中国の核爆発実験は近い、日本の原子力船はその意味において建造するんだ、これは取り消されましたけれども、しかし、思わずほんとうのことをあなたは言ったのです。しかし、あなたが言っているようなことがもしかりに極東の情勢の中にこういう新しい戦略体制をしくことによって生まれたとなるならば、わが国の安全については重大な問題、重大な事柄であると私は指摘している。ところが、あなた方は、それを兵器の更新だ、近代化だと片づけている。認識不足もはなはだしい。これだけ重要な事柄。しかも水爆を積む可能性がある。戦闘機、爆撃機両用兼ねておるからそういうような長距離を攻撃するようなことはいたしませんとあなたは言ったけれども、あなたがやるんじゃない。これは米軍がやる。その可能性があるわけです。とするならば、きわめて重大である。なぜこれだけの重大なものを事前協議をしないか。事前協議の解釈はいろいろ議論を重ねておりますからあらためて聞こうとは思わない。なぜ一体これだけの重大な問題を積極的に事前協議をしないかというところに、今日国民の大きな政治に対する不信、政府に対する不信と危惧があるわけなんです。
 そこで、承りますが、一体、事前協議というのは、アメリカが一方的にしてくるものですか。日本側からはできないものですか。これはどうなんですか、防衛庁長官。
○志賀国務大臣 これは、双方で、両国で協議することでございまするから、相談ができるのであります。
○辻原委員 そのとおりだ。協議という限り、双方だ。ところが、いままで、大平外務大臣の答弁によってみても、アメリカがしてこないからこれは対象にならないというようなものの言い方をしておる。私は事前協議についてのやり方というものを明確にしておく必要がある。私はいま防衛庁長官の言ったとおりだと思う。日本からもできるはずなんです。なぜそれをしないのか。少しでもそういう懸念があるならば、するのが当然じゃありませんか。しなかったために将来弱ったということがあって毛、して、念を入れ過ぎて弱ったということは私はないと思う。なぜ一体事前協議を積極的に日本側からしないのか、この点について承りたい。
○志賀国務大臣 先ほどから申し上げておるとおり、あえて協議する必要なしと認めて、事前協議の対象にしないのであります。
○辻原委員 だれが認めたのですか。弔う一つは、一体なぜ必要ないのか、そのなぜを聞きたい。
○志賀国務大臣 これも先ほど申し上げたとおり、単なる機種の変更と認めておるのでございます。
○辻原委員 そこで、私は少し伺うのだが、いままで政府の答弁をずっと私は克明にこの件に関する速記録を読んで調べた。そうすると、そのことを正しいと私は言うのではない、われわれはもちろん別の見解を持つが、政府の見解によると、事前協議という点については、重要な装備、重要な配備の変更についての基準が向こう側と打ち合わせてできておると、こう答弁をしておる。その重要な配備の変更というのは、海上においては一機動部隊、陸上においては一個師団、こう言っておる。ところが、私はずっと調べたのだが、空軍については何も言っておらない。ところが、その陸上及び海上の基準から私は推定をいたしますと、少なくとも板付に来るこの七十五機というのはいわゆる三スコードロンである。三つのいわゆる単位である。二十五機単位の三つ。少なくとも二十五機単位の三つということになりますると、私のかつて持っておりました戦術知識から言うなれば、これは明らかに戦術単位である。海軍における一機動部隊というのも戦術単位である。陸軍における師団というのは、これはいろいろの観念があると思うが、あるいは戦略単位という場合もあろうが、しかし、そういうことからこれを類推して考えてみると、七十五機というのは、これは明らかに戦術単位である。これだけの戦術単位が移動するということは、当然事前協議の対象にならなければならぬ。志賀長官、それはどうなんです。
○志賀国務大臣 空軍の場合におきましては、一個空軍師団の単位をわれわれは考えておるのでございまして、F105の七十五機は、これは一つの部隊と考えておるのでございます。
○辻原委員 われわれが考えておるというのは、それはだれが考えておるのですか。あなたが考えておるのか、そういう協定が成り立っておるのですか。
○志賀国務大臣 これは政府の見解でございます。
○辻原委員 海上における一機動部隊、陸上における一個師団というのはアメリカとの間に安保条約の六条交換公文を取りかわすときに成立しておると答弁しておる。これも成立をしておりますか。どうなんです。
○大平国務大臣 いま志賀長官が答えられたように、一空軍師団というものを目安に考えております。
○辻原委員 そうすると、一個師団というのは機数にしてどのくらいありますか。
○志賀国務大臣 政府委員に答弁させます。
○海原政府委員 米軍の航空師団の編成につきましては、師団の持っております飛行機の数によっていろいろと違います。たとえて申しますと、三沢におります第三十九師団というものは、いま先生もおっしゃいましたスコードロン、タクテイカル・ファイター・スコードロンというものが三つございます。そのほかにさらに偵察機のスコードロンが一つあります。さらにこれを支援する部隊がC46とかH16というものをもって編成されます。こういうものが三十九師団を構成しております。しかしまた、たとえば横田等の四十一師団につきましては、これは、スコードロンの数は、戦闘スコードロンが二つ、そのほかに爆撃、給油関係のウィングというものがさらにこれに三つ加わります。子、の上にさらに偵察関係のスコードロンが二つ、さらにはこれを支援する直轄部隊、こういうものが編成の中に加わっております。従来の日本の編成でございますと、一個師団というものはその単位が幾つということが明瞭にきまっておりますが、米軍の編成は、このように、その師団の持っております航空機、その師団の任務等によって相当自由な編成を行なっておりますので、どの程度の飛行機が来ればそれが師団かということにつきましての定義がございません。しかし、いまおっしゃいましたように、七十五機というものはウィング程度のものでございまして、師団の編成には至らない、こういうふうに私どもは判断いたしております。
○辻原委員 いまの説明を聞いても非常におかしいと思うのです。板付におる主たる戦闘部隊というものはこの105のスコードロン、その他は偵察、給油その他でしょう。だから、師団構成の主たる戦闘部隊はこの105なんです。その主たる部隊が移動しても、新たに配備をされても、事前協議の対象にはなりませんということで、形式的な航空一個師団というものを説明されたというところに問題がある。あなたがいまいみじくも言われたように、米軍の空軍における師団の編成というものは確固としたものではない。ある場合においてはこのF105が一師団的な役割を持って、いわゆる指揮命令系統さえ明確にすれば十分戦闘部隊たり得る要素を持っておる。これだけのものが移動するのに、これだけのものが配置をするのに、あえて形式的なことを言って事前協議をしないという態度が問題であると私は指摘する。時間がありませんので深く追及することはできませんが、重大な問題でありまするからさらに後日明らかにしたいと思います。いま防衛庁長官はこれは政府の見解であると言われ、外務大臣は何やかやとややこしいことを言いましたが、そういうことでさっぱりわかりませんから、これは後日明確にいたしたいと思う。
 そこで、念のために聞きますが、105の部隊が、そのときにはどういう師団編成になるかわからぬが、ともかくあなた方の観念にいう現在板付に配置されている師団、これが戦闘行動のために移動する場合、作戦行動のために動く場合は事前協議の対象になりますね。これはどうですか、防衛庁長官。
○志賀国務大臣 航空機の移動は事前協議の対象になりません。
○辻原委員 何をとぼけたことを言っている。作戦行動のためにあなた方の定義に基づく一個師団が動くのは事前協議の対象にならぬのですか。私は念を入れて聞いているのですよ。長官、ほんとにならぬのですか。事前協議の対象にならぬなら事前協議なんか必要ない。
○志賀国務大臣 おだやかに聞いてください。作戦行動のために日本の基地を使用する場合においては、御承知のとおり事前協議の対象になるのであります。
○辻原委員 それじゃ、防衛庁長官、おとなしく聞きますが、移動する場合にはどういうことになりますか。たとえば105を中心にしたこの板付の部隊が韓国に移動した、――韓国にも師団がありますね。十三でしたか師団があります。そこへ移動したという場合は対象になりますかなりませんか。あなた方がしますかしませんか。どうですか。
○志賀国務大臣 作戦行動によらずして、ただいま例を引かれたのでありますが、わが国から韓国あるいはその他に移動する場合においては、対象にならないのであります。あくまでも作戦のために移動する場合に限定せられておるのであります。
○辻原委員 私の問い方があるいは悪かったかもしれない。作戦行動のために韓国に移動する、しかし、作戦行動というのは秘匿を要しますから、これは明らかにされるかどうかはわからない、要するに板付から韓国の十三軍に対して配備がえがあった、移動した、こういう場合は対象にするかしないか、こうお尋ねした。
○志賀国務大臣 日本の基地を作戦行動の基地として使用する場合には、そして移動する場合には事前協議の対象になるのでありますが、それ以外は事前協議の対象にはならないと心得ておるのであります。
○辻原委員 この点は私は安保条約のときにかなり念を入れて聞いておる。再三再四政府の見解を私が承ったときには、たとえ作戦行動であろうとも移動の場合はそれは対象にならぬと言っておる。ところが、いま志賀長官は、作戦行動ということであるならばこれは移動の場合も明らかに事前協議の対象にいたします、――これは明確にいたしておきたいと思います。いいですね。
○塚原委員長 辻原君に申し上げますが、申し合わせの時間が経過いたしましたので、結論をお急ぎ願います。
○辻原委員 政府の答弁が簡単でないからね。
○志賀国務大臣 何度も申し上げておるとおり、単なる移動は事前協議の対象になりません。
○辻原委員 単なる移動を私は言っておるのじゃないですよ。作戦行動のために移動するということは戦闘行動においてはしばしばありがちなのです。だから、ありがちだから、その場合を言っておる。その場合にあなた方がまた逃げ答弁を張ってはいかぬから、そのことを念を押して聞いておる。普通の移動を言っておるのではないです。作戦行動の移動を言っているのです。
○志賀国務大臣 何回も申し上げるようで恐縮ですが、日本の基地を作戦のために使う場合には事前協議の対象になるのでございますが、単に移動する場合においては対象にならない、これは何回毛申し上げたとおりでございます。
○辻原委員 まあ、これはあとでもう一度正確に速記録を見て解明することにいたします。
 時間が来ておるようでありますが、どうも、私も簡潔に言っておるつもりでありますが、政府の答弁も私の意図に反してかなり長ったらしいのがおりますから、そこでどうも時間を食いましたので、委員長、はなはだ恐縮でありますが、少しの間お許し願いたいと思います。
 原子力潜水艦の寄港についても、あなた方は、核を持っておらぬから対象にしない、こう答えておる。これについての議論は時間がございませんが、しかし、常識で通らないことをあなた方が言っておるということだけは私は指摘をしておきます。現に核を持っておらないから対象にならないと言うが、しかし、それ自体は核を持つことができる可能性を十分持っておる。とするならば、その危険を封ずるために、当然事前協議の対象にすべきだ、私たちはそういう見解を持っておる。そこで、あなた方はあくまで、事前協議の要なし、こういう態度を今日まで変えられませんが、このことの是非については良識を持つ国民が正当に判断をするでありましょうし、また、後世歴史家がこれを見た場合にまことに奇妙きてれつなことを政府は言ったものだと言うに違いないと思いますのて、そのことは時間の関係で一応おいて、次にもう一つの問題について防衛長官に伺いたいと思うが、それは、安保条約四条にいう随時協議、こういう項目がある。F105にしても原子力潜水艦佐世保への寄港にしても、あなた方の解釈によれば、いずれも安保条約六条に基づくこれは基地提供区域なのだ。そこに配置をしそこに寄港するということであるならば、当然、条約の実施に関する問題でありますから、これは随時協議をしなければならぬと私は解釈する。どうです。
○大平国務大臣 安保協議委員会の話でございますので、私から御答弁申し上げます。
 F105の機種変更につきましては、去年の夏ごろからお話がございました。これは、アメリカ本土はもとより欧州各国のアメリカ軍の装備が老朽化したものを105に置きかえつつありますので、やがて在日米軍につきましてもそのような処置を講ずる心組みであるということは、先方からお話を承っております。それから、原子力潜水艦の問題につきましては、御案内のように、本年の一月九日アメリカ大使から私のほうにお話があったわけでございまして、随時こういう点につきましては周到な協議が行なわれております。
○辻原委員 その随時というのは、私がいまお尋ねをした条約四条に基づく随時協議をやっておるという意味ですか、いま外務大臣のお答えになったのは。
○大平国務大臣 日米間は、御案内のように広範な協力関係を持っておりますので、安保協議委員会にすべての議案を出しまして、そこで討議したもの以外の協議があり得ないということではないと思うのでございまして、随時協議をやっておりまするし、また、安保協議会の場におきましても、その以前に問題になりまする共通の問題はしょっちゅう周到な協議をとげておるわけでございます。
○辻原委員 どうも外務大臣の答弁はわけのわからぬことを言って……。私は、あなた方がいろいろ相談をいたしておりますというのは条約四条についての随時協議をやっておるのですかと聞いておる。
 もう一つ明らかにしていただきたいのは、あなたが安保協議会だけではありませんとかありますとかいま言っている安保協議会で、F105の配置がえ、それから潜水艦寄港、これは協議議題として検討されたことがありますかということです。その二つの点を明確に、結論だけきわめて簡単に言ってもらえばいいのですよ。
○大平国務大臣 随時協議と申しますのは、それは安保協議会の議題に化体したものでなければならぬという制約はないと心得ております。したがいまして、随時文字どおり協議をとげておるわけでございます。いま二つの案件につきまして安保協議会の正式の議題として出た記憶はございません。しかし、日米間は随時周到広範な協議関係を持っておるということは御了承いただきます。
○辻原委員 コンニャクと押し問答をしているようであります。随時協議をしておりますというのは、安保条約四条による協議であるのかどうか。法律にちゃんとうたっているのですから。あなた方は、条約の中にあることをなるべくやるまい、無理な解釈をしてで一もやるまい、こういう考え方に終始しているということを私は指摘している一のですよ。それだけひとつ記憶をしていただきたい。
 なお、安保条約に関連をして、けさの新聞の記事が私は非常に気になった。それは、五月二十二日において行なわれたネバダでのアメリカの地下の核爆発実験について政府は抗議をしないという態度をきめたとか、そういうことが報道されておる。しかも、外務省筋においては、安保条約のたてまえから抗議することは論理的におかしいと言っている。私はそのこと自体がおかしいと思うのだが、そういうことを抗議しないということをきめたのか、また、きめた理由はどこにあるのか、明らかにしていただきたい。
○大平国務大臣 辻原さんも御承知のように、わが国の国是といたしまして、核実験の停止ということにつきましては、国民的確信を背景にいたしまして、終始精力的に核保有国の実験措置に対しましてそのつど抗議を申してまいりましたことは御案内のとおりでございます。したがって、ネバダの実験というようなことが起こります場合に、私どもとして当然従来の方針で抗議する予定でございまして、外務省でいまお尋ねのような決定をしたというようなことは毛頭ございません。
○辻原委員 それでは、はっきり私は確認をしておきますが、抗議をしないというような決定はしておらないのですね。それならば、なぜ抗議をしないのですか。
○大平国務大臣 いま申し上げましたとおり、そういう実験が行なわれるということになりますと当然抗議すべきものと心得ておるわけでございまして、抗議しないということをきめた覚えはございません。
○辻原委員 抗議をするといま答弁をされたと理解をいたします。
 次に、総理にお伺いをいたしますが、五月十六日の科学技術委員会において、わが党の岡良一委員の質問に答えて総理はこう言っておられる。岡良一委員が、潜水艦の寄港の問題については寄港を前提として安全性の問題を検討しているのではないかと質問したのに対して、あなたがお答えになられましたのは、「安全性を確保しつつ寄港問題を検討していこうというのであります。」、「初めから入れることを前提とするわけではありません。」、こう答えられておる。どうです。御記憶がありますか。それから、もう一つ、三月二日に私が同様な質問をいたしております。そのときにはこう言っておる。「時勢がそれだけ変わってきておる、こう私は考えまして、今年初めに申し出があったことを受け入れる、こう結論を私は出した。」と言っているのですが、三月に私に答えられたのと科学技術委員会で岡委員に答えられたのとは明らかに態度が違います。一体政府の態度、真意というものは那辺にあるかということを明らかにしていただきたい。
○池田国務大臣 御質問の気持ちがみな違っておるような点があるときには、やっぱりそれに合ったように答弁するのが私は親切なあり方だと思います。もともと、いわゆる核兵器を持たない原子力潜水艦の寄港につきましては、安保条約上事前協議の対象にはならぬと心得ております。しかし、アメリカにおきましては、日本国民の悲願である原子力の兵器というものは持ち込まさない、また、原子力の爆発実験等につきましては非常にいやがっているということをアメリカ国民は知っておりますから、そこで、いわゆる事前協議という意味でなしに、こういうことをしたいということを言って来たのであります。したがって、法律的に申しますと、これは安保条約の問題外だ、だが、感情のところからこういうように相談が来ていると私は思っておるのであります。したがいまして、前提として研究するかとこう言われるから、そうじゃございません、やっぱり入ってくるときには危険性のないことを、私は相談を受けたときにできるだけ確かめてやるのだ、こういうのでございまして、何もそこに気持ちの違っている点はないのであります。
○辻原委員 ことばのあやは別といたしまして、安全性が確認されなければ――ここで私が安全性と言うのは、原子炉それ自体の問題もあります。それから運航上の安全性の問題もあります。これらの安全性が確認されなければ受け入れないという態度を明確にすることができますか。
○池田国務大臣 原子力船について安全性がないという場合には、私は入れることはやめてもらわなければならぬと思います。しかし、国民感情とし、また安保条約の点から申しまして、いまの時代に何でもかんでも安全性がないのだというふうなことはいかがなものかと私は考えて、安全性の確保を確認すべく努力いたしておるのであります。
○辻原委員 外務大臣に最後に承っておきますが、同じく科学技術委員会で外務大臣はこういうふうに言っておる。「私どもとしては最初考えました手順を克明に踏んでまいりまして、先方の回答が一応そろったところであらためて国会を通じまして御報告申し上げる用意をしておりまするし、またそうしなければならぬと心得ておるものでございます。」、あなたが言われたこの内容を私は分析してこう理解をしているがよろしいか。一つは、日米の往復文書を国会に提示をして公表するということ、いま一つは、米側に対して寄港に対する最終回答を行なう以前に国会に報告するものである、かように理解をしてよろしいか。それから、もう一つ、それも衆参の外務委員会でしばしば答えておるのでありますが、回答するまでには原子力委員会また日本の学者の意見を徴して回答したいと言っておるこの趣旨は、原子力委員会というのは法制的機関である、そこには安全審査委員会がある、また学者の意見といえば日本学術会議がある、しかもそれぞれの手続を経て政府の諮問に答えるそういう機関でもあるから、当然、あなたが言われたことは、一つは原子力委員会の安全審査委員会に対して諮問をすることであり、いま一つは日本学術会議に諮問することであると私は理解をするが、それはどうか。あなたの発言に関連をして二つの問題について承っておきたい。
○大平国務大臣 私どもといたしましては、原子力を推進力とする潜水艦というものは、原子力を推進力とすることによって航続距離を長くするというだけのことでございまして、その機能におきまして一般の潜水艦と変わったことがないという判断をいたしておるのでございます。しかし、原子力を推進力とすることに関連いたしまして安全性の問題が問われておるわけでございまして、たびたび国会でも言明いたしましたとおり、政府は、政府の科学的な頭脳を動員いたしまして、不審なところをアメリカ側に照会をいたしておるわけでございます。また、一方、国会ばかりでなく、国民の側におきまして、できるだけそういった点については政府は公明に国民にその回答の結果を報告する必要でありはしないかという御勧告も各方面からございます。また、外務委員会におきましてもそういう御要請が公式に行なわれましたので、私といたしましては、いま御指摘のように、原子力委員会の御専門の方々と協議いたしまして報告をつくりつつあるわけでございまして、今週中には国会に御提出申し上げたいと存じております。
 ただ、最後に、学術会議の諮問を経るかということでございますが、これは、政府部内の科学者の方々と私どもが十分打ち合わせをしてやることで十分と心得ておるわけでございまして、あらためてこの報告書を学術会議に諮問するというような考えは持っておりません。
○辻原委員 これで終わりたいと思いますが、最後に申し上げておきたいのは、いま、政府部内の学者でもって検討するので、学術会議にあらためて諮問をする必要はないと言われたことは、これは日本の学界を軽視するものである、問題を深刻に検討されることをあえて政府は避けるものであると私どもは考える。なぜかならば、私は時間があれば克明に当時のあれをやりたいと思ったのですが、総務長官は、何か、学術会議が声明を出したことについてけしからぬ、こういう新聞発表をされております。そのこと自体が私はけしからぬと思う。三月十一日か二日であったと思うのですが、学術会議では、これは当然諮問すべきである、またこうこうすることが正しいという勧告をしているのに、ほかっておいたのは政府だ。政府が何もやらぬから声明をやった。そういう経過を考えずに、かってに、政府の意図に反するようなことを発表するのはけしからぬ、こう言って、日本の科学者の良心を否定するというようなことは、これはもってのほかだと私は思う。
 時間がありませんからこの点については別の機会にやりますが、要は、原子力潜水艦の寄港の問題にいたしましても、たまたまスレッシャ一号の沈没個所が発見をせられて、アメリカの査問委員会において慎重に検討される段階である。少なくともそういうスレッシャ一号の沈没原因等について克明なデータが出て、しかる後にこれを日本の学界がこれまた慎重な態度でもって検討するというのが筋道であろうと思う。政府の頭もだんだんとそういうことになっているように、私はデリケートな答弁から受けるので、日本の国民が今日重大な関心を持っているこの潜水艦寄港の問題等については、どうかひとつ十分の上に十分な技術的検討を加えて、あらゆるデータを集めて慎重に検討して、最終的には、これら危険なものについては、せっかくのアメリカさんの意図ではあるけれども、これはわれわれはお入れするわけにはいかぬという結論を出していただきたいということを政府に要望いたしまして、時間がありませんでしたので、その他たくさんの問題について質問もできませんでしたが、本日は、申し合わせの時間もありますので、以上で終わりたいと思います。
○塚原委員長 午後二時二十分から再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後一時四十四分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時三十四分開議
○塚原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 予算の実施状況について質疑を続行いたします。
 受田新吉君。
○受田委員 総理大臣に主として重要な国策に関する問題をお尋ねを申し上げたいと思います。
 最初に、憲法調査会を内閣の機関として設けておられるのでございますが、すでに昭和三十二年以来満六年有余にわたってこの調査会の委員各位が真剣に討議せられ、その報告書もこの年末には完成するであろうという見通しが立っているようでございますが、あなたの直接の管轄であるこの憲法調査会の現に審議されている状態を、一応見通しとしては言明できると思いますのて、御答弁願います。
○池田国務大臣 お話しのとおり、昭和三十二年八月でしたか、憲法調査会が発足いたしまして、当初は憲法制定の経過並びに運用についての検討がなされ、その後において、憲法改正の要ありゃいなや、あるいは要ありとすればどういうふうにということについていろいろ議論がかわされて、最近におきましては、一応の調査が済んで答申の起草にかかっておられると聞いております。具体的に調査会でどういうふうにやっているというようなこまかいことは知りませんが、いま答申の起草中と私は聞いておるのであります。
○受田委員 答申の起草中であるというところまでは総理も心得ておられる。そこで、この憲法調査会というものが設置された当時の事情を総理は十分おくみ取りになっておられると思いますけれども、この調査会の答申というものはどういう考え方で取り扱うべきであるとお考えになっておられるのか、この答申が出た場合に、答申を尊重するという観念でお取り扱いをされるのか、単なる参考程度のものにするのか、その基本的なお考え方だけははっきりしておると思いますので、御答弁を願います。
○池田国務大臣 せっかく多年にわたり調査研究され、しかも外国まで行っていろんな資料をお集めになりました答申でございますから、われわれは十分敬意を持ってこれを検討いたしたいと思います。
○受田委員 敬意を持って取り扱いたい、――もちろん、この調査会の多年にわたる検討の結果でございますから、それが基本構想にしようと、重要問題にしようと、これは総理大臣として十分尊重して取り扱いたいというお気持ちであることを了承してよろしゅうございますか。どうですか。
○池田国務大臣 尊重してわれわれの態度をきめたいと思います。しかし、これはあくまで国民の燃え上がる気持ちによって考えなければならぬ。答申が出ましても、その答申を拝見すると同時に、それによる反響も十分私は考えてみたいと思います。
○受田委員 その答申を尊重するとともに、国民の声を、反映を、どうしているかを確かめたい、こういうことでございますが、もう答申が、総理がいま御答弁になったように、年内にはあるいはあなたのお手元に届くかもしれないというような作業にかかっている。こういう段階に来ております以上は、もういまこの機会において答申の取り扱いについてもある程度の具体性が必要だと思うのです。もう先の問題ではないのです。調査会ができた当時とははるかに事情が変わって、まさに最終案の答申の報告書作成の段階に来たっていると総理が言われるということになりますと、その答申を尊重するということの取り扱いについての構想はもうすでに用意されていなければ、総理としての貫禄はないのでありますから、そこで、ここで私お確かめ申し上げておきたいと思います。
 それは、この憲法調査会の答申がされた場合に国民の声を聞くということでございますが、その声の聞き方に、世論調査もありましょうし、国民投票の手続をする方法もありましょうし、また、衆議院を解散して民意を確かめる方法もあると思います。これら幾つかの方法があることを、総理大臣、心得ておられますか。
○池田国務大臣 そういうことも考えられますけれども、私が言っているのはそこまで言っておるのじゃございません。これは、三十二年から始まったものでございまして、いろいろ議論がありますが、答申が内閣と国会に出された場合に、それに対して内閣はどういうふうな調査機関を設けるか、あるいは既存のものであるか、あるいは特別の答申の調査機関を設ける、あるいは国会は国会として答申が出されたときどうするかということの御質問ならば、私は、ただいまのところ内閣におきましてもそれについてどういうふうに措置するとはきめてはおりません。十一月に出る予定でございますが、それまでに考えてみたいと思います。また、国会のほうでもその点につきまして今後検討してみなければならぬと思っておるのであります。それで、出たときにすぐ国民投票の手続をどうするかこうするかということはまだ先でございまして、国民の世論を聞くということは、いまの国民投票に訴えての世論を聞くという意味ではございません。その答申が出た場合につきましての受け入れ態勢等につきましても、答申の内容によって考えなければならぬ、こう思っておるのであります。
○受田委員 答申の内容がどう出るかは秋まで待たなければわからないということについては私も賛成します。しかし、答申の内容が改正すべしということであろうとの前提のもとにいまいろいろな場合をお述べになっておられると思うのでございますが、改正すべしという場合もあろうし、あるいは、改正すべきでない、こういう場合もあろう。しかし、その結果を尊重するということははっきり総理がいま言われておるわけでございますから、これが改正すべしという答えが出た場合には、いま述べられたような国民の反映ぶりを承るという方法をとらなければならぬ。そういう形は必ずおとりになるわけですね。
○池田国務大臣 御質問の点がわかりませんが、改正すべきと出るか、改正すべからざると出るか、改正すべきと出た場合に何条をどういうようにするか、また何条をどういうようにするかという問題につきましてもいろいろな点がございましょうし、尊重というものはそのとおりにやるというわけではございません。敬意を払って十分われわれの審議の対象にするということを言っておるのでございまして、あくまでこれは憲法に規定せられました重要な、いわゆる国民投票によるべき筋合いのものでございますから、国民投票に訴えるということに結論が出ましても、それまでにおいても相当考えなければならぬ問題があるということを言っておるのであります。
○受田委員 改正すべしという答申が出た場合には、国民投票という手続を踏まなければならないけれども、その前にはいろいろ打つべき手があるのだということでございます。そこを私はお聞きしておるわけです。そこで、答申の結果が改正をお答えになったという場合に、政府がその答申を尊重して民意に問う場合に、総選挙による方法も私はあると思うんです。これは一方法ですね。これはいかがですか。
○池田国務大臣 どうも話がちぐはぐになると思いますが、答申が出たときにそれを総選挙に問うということは、私はどうかと思います。憲法改正の場合につきましては特別の規定がございまして、両院で三分の二以上のあれをしなければならぬとか、いろいろな点がございますので、いまの総選挙に問うとかなんとかいう問題よりも、もっと先に考えなければならぬ重要な問題があるのではございますまいか。私はそう思っております。
○受田委員 私がお尋ねしているのは、国民の反映ぶりを確かめなければならないというお答えがあったわけです。その国民の声を聞くためには、やはり、手続上の問題よりも先に、政府自身が総選挙によって国民にこの答申が出たことの是か非かを問う、すなわち改正と出た場合を私はお聞きしておるのであって、これは当然手続上の前の一つの方法ではございませんか。
○池田国務大臣 どうも私はふに落ちぬ点がございます。憲法を改正すべきかすべからざるかというのは、議会の三分の二以上の発議でございます。そうして、最後は国民投票によるものであります。これは、改正するかせぬかということを、普通の内閣の政策のようにお考えになって総選挙と言っておられるのじゃございますまいか。そういうものじゃないと思うのです。内閣の政策よりももっと以前のものじゃありますまいか。解散というものは、内閣不信任とかあるいは政策について国民に問うという場合のことで、憲法の問題を、答申が出たらこの答申がいいか悪いかということをすぐ解散によって聞くなんということは、私の頭にはまだございません。
○受田委員 憲法改正の答申が出た場合に、その改正に対する国民の反映のしかたを見る方法としては、答申を尊重するという政府の意図に国民はどうこたえるかという手続として、解散による総選挙で新しい国民の声を確かめるという手は必ずあると思うのです。いまあなたが答申を尊重してとおっしゃったので、改正という答申が出た場合にどうするかをお尋ねしておるわけで、総選挙によって民意の反映を確かめることは、私がお尋ねしておることはあなたのおっしゃるような別の問題ではないと思うのです。直接の問題としてこれがつながってくると思うのです。いかがですか。
○池田国務大臣 だいぶタイミングの問題があるのではございますまいか。答申が出たら、この答申はよろしゅうございますかということを聞くために、十一月に出て十二月に解散する、そんなことは私はとるべきでないと思います。相当国民に検討を願って、そしてどうするかという問題でございます。それを、答申が十一月に出るから、答申が出たら民意を問うというので解散するかとかいう質問は、どうもタイミングが私とは少し違っておると思います。私は、憲法の問題というものはそんなふうに取り扱うべき問題でないと思います。
○受田委員 あなたの私の質問に対する答え方がちょっと違っておるので、私がお尋ねしておるのは、手続上の問題としてはあなたがおっしゃるとおり慎重な方法が要ります。しかし、答申の答えが改正という線が出た場合に、民意を確かめる方法の中にいろいろある。世論調査やいろいろな方法がある。しかしながら、解放によって新しい民意を確かめるという方法もあるわけでございますから、この点は一つの方法として、タイミングの問題としては正式の手続の前の問題として、そういう考え方で次の総選挙が考えられるのではないかということをお尋ねしておるのです。
○池田国務大臣 先ほど言ったように、内閣の政策その他とは違いますから、直ちに解散してどうこうということはいたしません。それが当然のことです。一年あるいは二年でもよろしゅうございますが、この問題について国民の関心が非常に高まり、どうするかということについていろいろ議論したあとにおいてこれは決すべき問題で、答申が出たら解散という問題ではない。
○受田委員 答申が出たらそれに対してどういうふうに民意を確かめるかということについては、直ちには解散の手続はとらない、こういう御答弁と了解をしましょう。
 そこで、問題は、この憲法の答申の取り扱いですが、あなたは答申が出たらそれを十分検討するということでございますが、検討のしかたとしてはどういう方法があるとお考えですか。いままだ考えてないということでは、秋には答申が出ようという非常に緊迫した時期が来ておるときに、答申の取り扱い方についての具的体な構想がないようなことでは総理大臣の値打ちはないわけです。
○池田国務大臣 値打ちのあるないの問題は御批判にまかせます。しかし、こういう問題につきましては、一部には、あるいは法制局で下審査をするとか、あるいは法制局だけではいかぬ、別の機関を設けるとか、いろいろな議論があります。しかし、私の考えでは、いまここで申し上げる段階でございません。
○受田委員 一部には法制局で下調べをするというようなこともあるということですが、一方におきましては、六年有余もかかって慎重に審査した結果を答申してくれたものを、法制局の一部局の机の上に放任するような形のものであってはならないと思うのです。やはり懸命に取っ組むためには、この取り扱いについて具体的な一応の構想を持っておらなければならぬ。いままだそれを考えていないというように軽くこれを一蹴するような立場のものであってはならないと思う。総理の値打ちがあるかないかの議論は、これは個人の感情になりますけれども、私はそういうことにも十分の用意をして答申を待たれるところに総理大臣としての堂々たる貫禄があることをはっきり認めるのですがね。
 そこで、いま私が申し上げている点で、法制局の一部局の取り扱いというのは一部の意見だとおっしゃった。しかし、あなたとしてはいろいろの方法を考えておられると思うのです。他にどういう方法があるかくらいのことは、ある程度の考え方というものができていなければならないと思うのです。それが、その方法をいまの段階では全然考えていない、答申案が出て考えるというのですか。はっきりお答え願います。
○池田国務大臣 これは、御承知のとおり、内閣並びに国会に答申があるわけでございます。国会の方はどうなさるつもりか、いろいろな点もありましょう。自分のところだけはこうやるのだと早くきめて言うのもいかがかと思います。やはりその点のころ合いを見ながら自分は結論を出したいと思います。
○受田委員 憲法第九十九条には、あなたを含めた公務員の高い立場にいる人々の憲法擁護の規定が書いてあります。このはっきりした憲法擁護の規定を、現政府はりっぱに実践をしていただかなければならない。五月三日の憲法記念日におきましても、憲法を順守する責任のある内閣において、あれほど私たちからこの憲法の精神を普及徹底すべしという要望をしたにもかかわらず、依然として何らの国民的行事の御計画はないわけです。当初、憲法制定の数年間は、政府みずからが陣頭に立って、憲法普及のための国民行事を繰り返し、国民に理解を深めさせてきたのに、最近においてもう何らの国民的行事を展開していないということは、憲法の普及をはかり、あるいは憲法の徹底を期する必要はないという立場に立っておられるのか、あるいは、政府が憲法を無視されて、憲法の調査会がいろいろと議論をしている段階でもあるから、あるいは改正の答申でも出た場合に現行憲法を擁護する国民的行事でもやったらまずいという含みでもあるのか。いずれにしても、この憲法を尊重する義務を持っておられる一番責任者である総理大臣として、その尊重の具体的な施策をなぜおとりにならないかの御答弁をお願いします。
○池田国務大臣 発布後だいぶん時間もたちましたし、国民も憲法を順守すべきことは十分存じておられると考えます。私は、しいてそういう記念事業をいまする必要はない、われわれが心から憲法を守っていけばいいのだ、こう考えております。
○受田委員 心から守ると言っても、あなたの属する党には、憲法調査会というものが党の機関として別にあって、そこでは改正の意図が大幅に出ておる。また、憲法調査会の委員の各位の中にも、改憲論が非常な数を占めておるというような段階で、私は問題が起こってくると思うのです。私があなたにここで特に要望申し上げたいことは、現在の憲法のもとの内閣総理大臣として、現行憲法を十分普及徹底させ、現行憲法の持つ重大な意義を国民に浸透させるその重責があなたにあると私は思っております。国民の世論を調べましても、最近あなたの部下がお調べになったところで毛、改憲論がぐんと減って、憲法擁護の答えのほうがぐんと出ておるというこの実情を、あなたは御承知ですか。そういうところも含めて、憲法擁護の熱意をこの壇上から国民にお示し願いたいと思うのです。
○池田国務大臣 私、たびたび申しておるのです。憲法は守らなければいかぬ、しかし、いまの憲法について検討するということは、守るということとは別問題だ、こう私は言っておるのでございます。しかも、私は、憲法調査会を憲法を改正するためにあるのだというふうにも思っておりません。改正するしないという検討をして、国民の世論に訴えてから結論を出したいと言っておるのでございます。
○受田委員 私がきょうもう一つ特に大事な問題として取り上げたいことは、ILO八十七号条約の批准に関する問題でございます。
 この問題は、すでにILOの理事会において、あなたの政府を含めて、六月一日が最後で都合十四回厳重な勧告を受けておる。しかも、六月一日の勧告は最後通牒的な意味を持った手きびしい勧告です。期限つきです。こういう勧告を受けておる現段階において、総理大臣は、この国際的な労働条約機構の理事会が示す要求に対して、どうお答えをされようとしているか、御答弁を願います。
○池田国務大臣 答弁はすでに一月の施政演説で言ってあります。本国会において通過をはかりたい、これがもう六月一日に出る前の私の所信でございます。
○受田委員 あなたが所信を述べられるだけでこの要望にこたえることができますか。所信を述べるのはだれでもやる。しかも、あなたの内閣において六月一日にはこのような手きびしい勧告を受けるというようなことは、国際信用の上からもたいへんなことです。日本がこうして労働問題に対して熱意のない国家である、その政府はこれだけの勧告をしてもこれをよう通さないようなだらしのない政府だということを国際的に示しているじゃないですか。この驚くべき日本に対する不信感というものを払拭するために、今国会で必ず成立させるというその心がまえは、具体的にどうしてこれを示そうとしておられるのか、お答え願います。
○池田国務大臣 民主政治のもとである話し合いによりまして、円満に通過させたいという気持ちで今日まで来ておるのであります。われわれは多数を持っておりますので、押し切るつもりならできますが、そういうことはあなた方もおきらいでしょう。だから、いろいろ国際的に問題がありますのを隠忍いたしまして、そして話し合いでやろうとしておるのであります。しかも、私は、国際信用がどうとかこうとか言いますが、この問題はあなた方国会でおきめ願いたい、そしてぜひ通してもらいたいと言っておるのですから、政府としてはこれ以上のことはできないのでございます。
○受田委員 今日このILO条約の批准がおくれておる原因は、政府がILO条約の案に対して関連する国内五法案をお出しになっておることが原因じゃないでしょうか。この点において、この双方を一括審議することを要求されておるわけです。政府がこのILOの条約の批准という大前提を切り離して、一括審議ということでなくてこれを分離して審議するという幅を持たれるならば、この条約の成立は決して不可能でなくて、私はきっと実を結ぶことを確信しておるわけですが、いかがですか。
○池田国務大臣 筋が違いませんか。私は、ILO八十七号条約の批准を求めると同時に、これに関係した法案の改正が必要なりとして国会に御審議願っておるのであります。これを一括審議とかどうとかいうことは国会の問題ではありませんか。内閣の問題ではございません。したがいまして、私は、自由民主党の総裁といたしまして、この問題につきまして十分野党並びにその野党の関係者とも話し合いをして円満にいったらどうかと言って一おるのでございまして、これは政府の手を離れた問題であると考えます。
○受田委員 あなたは一党の総裁でもあるわけですよ。あなたは内閣総理大臣として行政府の責任者であるだけのことをいま言っておられるわけですが、そうじゃないのです。あなたは自民党の総裁ではないですか。自民党の総裁として、この法案をどう通すかについては、双方の職務の遂行をされる責任があるわけです。全面的一括審議ということでなくて、ILO八十七号条約の批准は批准としてこれを片づける、また、他の国内関係法案は分離して審議するという、この基本線を自民党の方がおとりになるならば、問題の解決のかぎははっきり握れると思うのです。それをいまお尋ねしておるのです。
○池田国務大臣 それをただいま答えたじゃございませんか。政府としてはこういうようにいたしておる、その後の問題は国会でおやりになる、しかし、自由民主党の総裁としては、他党並びにその他党の関係団体ともいろいろ話し合いをして円満にいくように、こう言っておるのであります。ただ、お話は、自由民主党が一括審議だ、あなたはまた分離して審議だ、これがいままで円満に議題にのぼらなかった原因でございますから、それをいまやっておるのであって、何も無責任のことをしているわけじゃございません。
○受田委員 総理、あなたの答弁は問題がはずれているのです。大体、条約案をお出しになるときに、これに関連する国内法をお出しになるということは明らかにかこつけだ。便乗主義ですからね。その心得違いをまず直さなければ問題の解決はないのです。この国会への批准を求めるにあたって、かこつけ便乗主義の国内関係五法案、地公労法、公労法及び国家公務員法等のこの五つの案をあわせてお出しになったということが紛糾の原因であることをあなたは御承知ですか。その根っこをいまお忘れになられておる。ILO条約の批准と表面的には何ら関係のない関係五法案をお出しになっておる、そして国内を紛糾さしておるということが言えると思うのです。この際、この問題をはっきり分離して審議して、ILO条約の批准は批准として片づけるという大前提にお立ちになることが、ILO理事会の要望にこたえることにもなると思うのです。今国会での成立のためには、この分離審議にあなた自身が総裁としてまた総理として踏み切られることが一番賢明であると思うのでございますが、どうでしょう。
○池田国務大臣 ILO理事会が合併とか分離とかいうことについて意見を言ったことを私は聞いておりません。また、ILOはそういうことを言うべき筋合いのものではございますまい。しこうして、ILO八十七号条約批准に関係してそれの関係法案と一括して審議するか分離するかということは、与野党で意見の違うところであります。だから、あなた方の言うことを聞かぬから自民党が無理だとか、また、自民党はあなた方が分離を主張するのは無理だ、これは水かけ論でございます。それだから私は、今回、先ほど申し上げたように、党の総裁としても、十分話し合いをしてくれ、こう言っておるのであります。われわれとしては、一括審議のほうがベターである、便利がいい、こう考えて、それを主張しておるのであります。この問題につきましては、いませっかく話し合いを進めておるのでございますから、私がいまここでどうだこうだと言うことは、かえって話をむずかしくするゆえんじゃございますまいか。早く成立を願うお互いの立場としては、これはやはり話し合いでやったほうがいいと思います。
○受田委員 話し合いでやることはけっこうなんですよ。話し合いの基礎をいまあなたにお尋ねしておるわけです。私たちもこれをぜひ成立させたいです。この国辱的な勧告を早く抹殺できるように実を結びたいです。したがって、われわれのほうとしていま提唱申し上げたいことは、自民党はこれに便乗して国内法までお出しになってこれを一斉に成功させようとしておるし、また、社会党の側を見ましても、これはまた一方におきましてはある程度代案を出してこれに持っていくという形が取引的に使われるというところに、これはやり方に一つ問題があると思うのです。私はもっといい方法が私はあると思います。そういう点につきましては、この際、自民党の党首でありかつ総理であるあなた御自身が、ILO条約を今国会に必ず成立させたいと、いまここで熱願を訴えられたわけです。これを果たす方法としては、その前提となった便乗法案を分離して審議するということをここではっきりおきめいただくならば、与野党の間の解決のめどがはっきりつくと私は思うのです。社会党の側の皆さんにも十分考え直してもらえる道があると思うのですが、いかがでしょうか。
○池田国務大臣 内閣総理大臣と指名を受けまして答弁するときに、党の運営その他についていませっかく話し中のところをどうこう言うことは、聞く方もいかがかと思いますが、答えるほうもなかなか答えにくい。いま話し中でまとまりかけているときに、その根本の焦点に触れるようなことを、ここで内閣総理大臣でなしに総裁として言えと言われることも、かえってでき上がるものに水をさすようなことになりはしますまいか。それよりも、せっかく話し中でございますから、早く、お互いに便乗とかなんとか言わずに、寛容と忍耐でやっていくべきだと思います。
○受田委員 そうですね。話し合いという、話し合いの根底に問題があるのです。ここまで来ておるのでありますから、どうしても今国会で成立させなければならないのですよ。ならない段階で、せっかく話し合いをしているからという問題の前に、自民党の総裁として、また総理としてのあなたに申し上げたいことは、この分離審議ということ、そして、分離した部分については必ずしも今国会に成立させなくてもいいのだ、これは次の国会へ回ってもいいという雅量を示すことが、今国会成立のかぎを握ることになると思うのです。総理、これを分離して、そして、その審議が今国会で成立しなくて毛、国内関係法案は次の機会にあらためて審議するというような一応の雅量をお持ちかどうか。
○池田国務大臣 先ほど来お答えしたとおりでございまして、もうつけ加えることはございません。
○受田委員 もし今国会に成立をしなかったとしたならば、これはたいへん残念な結果が起こりますね。ここまで国際信用を失墜し、ここまで強引な政府であることを世界に認識されている段階で、この汚名をすすぐのには、この六月中にこれは片をつけなければなりません。次の理事会にりっぱな答えが出せるように、ともにともに手を携えて結論を出そうじゃありませんか。その根拠に、あなたに、便乗した印象を与えている法案を分割して審議する決意を繰り返し要望を申し上げておきます。
 時間の関係毛ありまするので、私は、この問題につきましては、関連法案をいまから審議することによってあなたの御説明を伺うことにします。
 今度出たILO八十七号条約に関する国内関連法案として、国家公務員法の改正案が出ております。さらに、それに伴う局の設置が考えられておるのでございまするが、人事局を政府がいま予定されておる。もうはっきり法案が出ておるわけですよ。人事院の権限を非常に薄くする法案をお出しになっておるのです。これはどういうお考えでお出しになられたのですか。特にこの機会に申し上げたいことは、臨時行政調査会というものをあなたが川島さんに御依頼されて、ここに政府のりっぱな機関としてできている臨時行政調査会は、来年の三月までに答申を出すことになっておる。行政の全般的な問題としてあらゆる面を研究して、大きな機構改革はその答申の後にやるというはっきりした御答弁をいただいておるのでございまするが、この人事局を設置したり人事院の機構を縮小したりするような根本的な機構改革を、この臨時行政調査会の答申を待つまでもなく、このILO八十七号条約の批准にかこつけた国内関連法案としてなぜお出しになったのか、御答弁願います。
○池田国務大臣 臨時行政調査会に行政機構全般の問題を御審議願っている間は行政機構に全然手を触れることは相ならぬという問題ではないと思います。私は、ILO八十七号条約批准に関係しまして、公務員の問題につきまして、いままでの人事院だけでは十分でない、やはりこの際、公務員に対しまして、人事院は人事院としての第三者の立場からこれを取り扱うと同時に、現実的な問題を人事院の取りきめました基準によりまして実際運用するものとして人事局を設けることが必要なりと考えて提案したのでございます。したがいまして、私は八十七号条約批准と関連してぜひ必要であるという考え方のもとに提案いたしておるのであります。
○受田委員 川島さん、あなたは、いま総理が答弁されましたけれども、人事局を設けたりあるいは人事院の権能を縮小したりすることは、これは行政全般の問題と切り離して部分的にやってもいいような軽い問題とお考えかどうか、御答弁願います。
○川島国務大臣 臨時行政調査会では、国政の根本的改革についていま構想を練っておるのでありまして、時勢の進運その他によりまして機構の改正を必要としますものは、臨時調査会の結論を待たずしてもこれはやる必要がある、こう考えております。
○受田委員 あなたは、人事局の設置、人事院の権限縮小という問題は、これは国の行政全般の問題として当然その中に入れる重要問題とお考えになりませんか。お考えにならないのですか。それなら、何のために臨時行政調査会の必要があるか。そして、わざわざこの機関を設けて、行政審議会を一時機能停止のような形に持っていっておる。しかも、あの臨時行政調査会の中間報告を見ますると、人事院は存置するということをはっきり明言しており、また、人事局の設置に反対の意見も出ておる。この中間報告に対する御見解も含めてお答え願います。
○川島国務大臣 臨時行政調査会から中間報告がまだ出ておりません。公務員法の改正は今度始まったのではありませんで、前から引き続いて提案をして審議未了になっておるのでありまして、ILOと関連性があるので政府が出しておるわけであります。
○受田委員 中間報告をまだ見ていないというととでございまするが、この臨時行政調査会の各部の意見というものが一応発表されておる。その発表された中にはっきりと出ていることを、あなたはいまお読みになっておらぬということです。これはあなたの手元に行っておりませんね。
○川島国務大臣 臨時行政調査会は七人委員会でありまして、七人委員会では、それはまだ決定しておりません。ただ、その下部機構でもってそういう意見があるということは承知しております。臨時行政調査会の意見ではございません。
○受田委員 下部機構の見解としていま各部の意見が出ておるわけですね。それをあなたはお認めになる。その中にこれははっきりうたってあるのです。こういう段階で、臨時行政調査会の答申はこれを尊重しなければならぬと第三条に書いてあるのです。にもかかわらず、その前に部分的にこういう重要な行政機構をいじくるような法案をお出しになるということは、これは臨時行政調査会を何のためにつくったかという根本問題に触れると私は思うのです。必要なものは適当にやっておればよいという、そんなよいかげんな考え方で国の行政の全般の問題を調査会におはかりされたという総理の心境を私は疑わざるを得ないのです。どうですか。
○川島国務大臣 委員会の下部機構として幾つかの部会がありまして、その一つの部会からそういう意見もあります。ありまするけれども、臨時行政調査会としてはあくまでも会の決定によることなんでありまして、そういう決定はまだいたしておりません。
○受田委員 川島さんも、臨時行政調査会法案をつくった責任者として、国の基本的な行政機構の改革はこの臨行のほうへ持っていくのだと御答弁になっておりながら、この重大な人事局設置、人事院の権限縮小という問題をいいかげんに途中で分離して出してもいいというような考えに閣議で御賛成されたということについては、あなたのお人柄にも似合わないだらしないやり方であると私は思うのです。これは重大な問題です。
 もう一つ、この臨時行政調査会の任務の一つであるところの公務員制度の問題もあわせ検討するということになっているわけでございますが、ここでひとつ総理にお聞きしますが、あなたがかつて大蔵大臣をやられたころに、公務員制度に重大な関連のある特殊法人を幾つか設置されておるのですね。おわかりですか。公社、公庫、公団等の特殊法人を幾つもつくられておる。その特殊法人に大蔵省その他の高級官僚の方が天下りして就任されておる。その人々の給与というものはばかに高くなって、現在三十三万円、これが総裁、理事長の職種にある者の給与です。あなたのもらわれる二十六万円よりははるかに高い給与です。七万円高いです。そういうものが公務の性格を持っているこれら政府関係機関や特殊法人の重要ポストを占めているわけです。これはどうしてこういう高禄を公務の性格を持つ人々に与えておるのか、大蔵大臣の権限で給与が決定しているのですね。特別職と別にそういう高禄をはむ特殊法人の総裁、理事長のあることをあなたは御存じですか。
○池田国務大臣 私が大蔵大臣時代から相当公庫あるいは公社、特殊銀行はできました。たぶん一番初めは国民金融公庫だったかと思います。それから、輸出入銀行とか開発銀行とか、また、石橋内閣のときにも特殊会社もできましたし、公営企業、公庫も、あれは三十二年だったかと思います。
 そこで、俸給の問題でございますが、いろいろ公社、銀行等によって差がございます。いまお話しの三十三万円というのは一番多いほうでございましょう。住宅金融公庫とか住宅公団なんかの人が先般公取の委員長になりましたが、副総裁から行っても七万円ばかり下がるわけでございます。住宅公団の副総裁は二十二、三万円でございましたか、大事な公取委員長の分は十五万か六万でございましょう。しかし、財界の人からそういうところに来てもらうというときに、あの人ならばという人はどのくらいいま月給を取っておるのでしょうか。お調べになりましたか。三十三万円という、いわゆる公営機関であり、片一方公的機関であると同時に一つの事業をやる、そういう大事な仕事の総裁が民間のれっきたる会社の社長その他と比べていかに薄給かということは、私はおわかりになると思います。総理大臣を比較になさるのは、これは問題にならぬのでございます。いまの実際から言って、たとえば開発銀行の総裁にしましても、あの総裁の月給が民間の他の金融機関の頭取その他の月給よりも非常に少ない。賞与がございませんから、実入りがどれだけ違うかということは、お調べになったらすぐおわかりと思います。
○受田委員 いまからあなたの御答弁によって次の賃金問題に関係する重大な発言をせざるを得なくなったわけです。あなたはいま、民間の企業の責任者たちはばかに給与をもらっている、だから総理大臣よりも高いものを与えてもいいという御意見でございますね。そういうことですね。そこで問題がある。(池田総理「それは誤解ですよ」と呼ぶ)お答えがあれば一緒に……。私がお尋ねしておるのは、特殊法人にしても、政府関係機関にしても、これは国民の税金でまかなわれておるのです。そこにおる職員はそれぞれ公務員と非常に接近した制約を受けております。したがって、国家機関として形は違えども公務性は非常に高い機関でございます。この点をお考えになられたときに、総理大臣よりもばかに高い給与をもらっても一向差しつかえないのだということですが、両院議長、総理、最高裁長官というこの三権の最高責任者に対する給与は一応公務性を持った機関の給与としては最高であるべきだと思うのです。民間給与が幾らもらっておったか知っておりますかというようなことで反論されましたけれども、民間給与は幾らもらったっていいですよ。そういう大事なポストにつくときには、公務性を持ったポストについたときには、薄給に甘んじて来るような熱意のある人間でなければ、ろくなことはしませんよ。汚職事件の根源もつくり、金によって支配されるような心得違いのことを総理がお考えになるということは、人づくりの責任者としてはまずい。これはもう少し真剣に考えなければならぬ。国家の公務を遂行するのに準じたこれらの機関の責任者には、国権の最高機関である国会やあるいは内閣、裁判所の最高責任者と給与を比べたときに、それより高いものを持つべきじゃないと私は思うのです。総理、いかがですか。
○池田国務大臣 総理大臣や国務大臣の俸給が安過ぎるのでございます。私は、民間に比べたら決して公社、公団、公庫の総裁の俸給が高過ぎるという結論は出ないと思います。私は、たとえば政府関係の出資の総裁なんかを選ぶのにかなり苦労するのです。民間の人から有能な人を持ってこようとすると、責任は多くて公務員と同じように特殊の刑法上の地位に置かれ、俸給は非常に安い。非常に民間の人をとるのに困っておる状況であります。総理大臣よりそれが高いからそれはよくないというふうなことは、これは言えないので、やはり経済原則というものに従わなければならない。われわれが外国の総理並みに相当高くもらっておればいいかもわかりませんが、そうもいきません。やっぱり昔からの関係がございます。で、私は、公団会社の分が現状から申して高過ぎるとは私は考えておりません。
○受田委員 そこで総理は、総理大臣の給与が低いのだということになるならば、これらの機関にバランスをとる意味からも、総理大臣を含めて特別職の給与を引き上げるという考え方が一応あるわけですね。
○池田国務大臣 そういう考え方は一応はありますが、いま申し上げたように昔からの慣例もございますし、一がいにそういう結論には達しておりません。
○受田委員 あなたの部下たちは、すでに特別職の給与の改定を計画することを発表しておる。したがって特別職の給与は、あなたを含めてこれらの特殊法人の機関とバランスをとるために引き上げなければならぬということは当然の要請になってくるのじゃないですか。これはあなたの部下たちがもうはっきり答弁されておるのです。
○池田国務大臣 常にそういうことは検討してしかるべきだと思います。検討の結果、世論がどういきますか、いや、いまの二十何万円でもいいという結論になりますか、やはりそういうことも世論を見なければなりません。低いからすぐ上げるというふうなことでものごとというものはきまるべき問題じゃございません、いままでのいろんなしきたりもあるのでございますから。
○受田委員 総理は少し考え違いをしておられる点があるのですね。民間の産業の責任者たちの給与が高いからということで民間のことを考えておられるが、国の指導性はやはり公務員の給与を一応基準として、いまからお尋ねしようとする実質賃金の体系でもつくろうとされるならば、一応国民の納得する線に国家機関の給与を抑えなければなりません。国民の税金でまかなわれる公庫、公団の給与が、三十三万円もらったって決しておかしくないという考え方は是正されなければなりませんよ。特別職全般としていま考えてもおる、声も聞いてやっていきたいという含みがあると思うのですが、そうなると、一般職の職員の給与というものは一体どうなるのですか。特別職は考えられるとなると、一般職とは別に特別職という体系があるのだから、一般職の給与は抜きにしてでも特別職を考えるということですか、いかがですか。
○池田国務大臣 一般職の俸給につきましては、先ほどお話しの人事院が民間のそれと均衡をとりながら、それの勧告によってこれを改定していっておるのでございます。一般職は民間と均衡をとっております。しこうして特別職と一般公務員との均衡の問題につきましては、これは総理大臣の責任と各省次官の責任とどうか、均衡がとれているかどうかというと、それは名の示すがごとく特別職でございますから、必ずしもそうはいかぬと思います。
○受田委員 特別職の職員と一般職の職員とがアンバランスではいけないわけです。やはりそれ相当のバランスがとれておらなければならない。この問題はあなたにひとつ御注意申し上げておきますが、特別職をばかに優遇することは、最近国立大学の総長の給与改善ということが法案として出されておるのです。それから認証官を新たに設置し、公取の委員長を十八万にするとか、ぽつりぽつりとそういう特別職のすばらしい給与体系が直されつつある。一般職はそのままにして特別職を優遇するという考え方は、一般職を放任してますます所得格差を広げ、経済の二重構造を高めるばかりじゃないですか。先般経企長官が総理の意図を体して発表せられたという物価抑制政策とあわせて実質賃金を重視し安定賃金制度を採用したいという御意見があることを承っております。これは間違いないですか。
○池田国務大臣 お話しの点でだいぶ違っておると思うのですが、大学の学長は特別職じゃございませんよ。一般職でございます。しこうして東大の総長茅さんの所得を言ってはなんでございますが、特に必要でございますから申し上げておきますが、東大の総長の俸給がいままで勤務地手当を入れて十四万円足らずではございますまいか。俸給が十一万何ぼで、いまの勤務地手当その他で十三万円か四万円でございます。これでいいのでございましょうか。私は戦前に返れというようなことはもちろん申しませんけれども、東大の総長、これが十四万円でおるということ、これを十六、七万円に引き上げると、それは一般職のうちで差等をつけ過ぎるということはいかがなものでございましょうか。そうして先ほど触れましたが、住宅公団の副総裁を、公取委員長は大事だというので持ってくる場合に、七万円毛月給が下がるのだということ、特に私は頼んで来てもらったのですが、あなたはそれでけっこうだとごらんになりますか。住宅公団の副総裁から公取委員長になって七万円下がるというのは当然だ、役人はそれでがまんしなさい、こうおっしゃるのでしょうか。あるいはもう少しは上げるのがほんとうじゃございますまいか。私は、やはり俸給なんかというものは実態に沿い、職務に関係して適当な措置を講ずることが必要であると考えるのであります。私は御審議願っておることは適当であると考えておるのでございます。
○受田委員 あなたは心得違いをしておられる。公取の委員長はいままで十四万円だったのですよ。それを今度四万円上げたのです。あなたのお考えではっきりしたけれども、副総裁であった前の給与の高い人を招くので、それでこの俸給を上げたのですか。人間によって給与を上げたのですか。これは重大問題です。公取委員長のこの間の法案改正は、その人を招くために上げたということになれば、これは人間によって特別職の給与は自由に変えられるというとんでもない結論が出る。それから大学の総長の場合は、もちろん一般職です。一般職であるけれども、特別職の十八万円という国務大臣に次ぐ給与を支給するのは特別職とのバランスできめたとはっきり言っておるじゃないですか。特別職の給与を基準にしてきめたと言っているのです。だから私は特別職の給与の事例に、一般職である総長がそういうことになっておることをいま指摘したわけです。総長だけを十八万円にしたために、あとの元の官立十一大学の学長はどうなるのか、他の国立の大学の学長はどうするのかという、そこにアンバランスができたじゃないですか。やるのなら一斉に系統立って給与をきめればいいじゃないですか。あなたの母校と東大の総長だけを十八万円にして、あとの国立大学は九万円から十万円前後にそのまま押えているじゃないですか。この不均衡で日本の人づくりができますか。えこひいきな待遇をやって、国立大学全体の信頼を失なうような、特別の寵愛をかたじけのうする人を一人、二人つくって、あとはそのままにしているというのが問題なんです。それから、あなたのいまの御発言の七万円は、前の副総裁のときの給与の都合で公取の法案を改正した、そういう基準で公取委員長の給与をきめたということになれば、これは重大な問題だと思うのです。薄給でもよろしい、その重要な責任を果たそうという熱意のある者は民間からでも安くても来るはずです。それを迎えるために上げたのですか。
○池田国務大臣 何も私はあなたが誤解されるようなことは言っておりません。いかにも公取委員長なんかの仕事に報いるにはあまりに安過ぎる、こう言ったのでございまして、人によって俸給をきめるべきじゃございません。地位によってきめる。したがって国会で、だれだれだから公取委員長を上げてくれとは言っておりません。この地位はもっと上げるべきものだと考えて審議しておるのであります。ただ民間と公共企業体と申しますか、あるいは公団、公庫の分と、そうしていまの公取委員長その他の分とはこういうように違うということを申し上げただけでございまして、この人を引っぱるために上げるのだということは毛頭考えておりません。そんなに私は自分で頭が狂っているとは思っていないのです。そうおとりになるほうがどうかと思います。私はそういう考えで言っておるのです。
 それから大学の総長は、私が京都大学出身だからこう言ってやる、そんなにおとりになってはたいへんでございます。閣議というものはそんなものじゃございません。どこの学校を卒業した人も、とにかく総合大学の立場からいって、そうしてまたその総合大学のうちでも職員、学生等の数その他のいろいろな点から総合的に考えて、東京と京都を十八万円、その他の総合大学を十六万円、また本会議でも言っておったと思いますが、重要なことでございますから学長の待遇改善につきましては今後も続けて考えていきたい、こう言っておるのであります。自分が出た学校の総長をどうこう、そういうふうにおとりになることは私はいかがなものかと思います。
○受田委員 これはもう議論はよしますが、あなたは現に副総裁である人を招くのに七万円安くなるということを例にとられて、これを招くのには給与を上げなければならぬ、こういう含みで、安くては来てもらえますかと、あなたは現実に発言されたのです。十四万円でも来るりっぱな人を迎えればいいじゃないですか、いままでもそうだったのですから。その人を迎えるために上げたという印象を、明らかにこれは国民に植えつけておるじゃないですか。そういう思いつきのことじゃなくして、給与というのは民間と公務員との場合のバランスを十分とって、特に公務性を持った場合には、国民全体の奉仕者という立場で非常に犠牲を払っている、その立場を十分考えて給与が決定さるべきだと思うのです。
 私、総理がおられる間にもう一つ低賃金層の問題に触れたいのですが、一部では三十三万円が高くないと言いながら、一万円以下の賃金所得の人が一体どのくらいおるか、政府は数字がございますか。雇用関係の一万円以下、人事院が勧告した十八才独身成年男子の標準生計費が一万と六百幾らになっておるのですが、それ以下の賃金をいただいておる人が幾らおるのか、御答弁願います。
○池田国務大臣 誤解があったらいけませんので、渡辺君は、現行の十四万円か何ぽかの俸給で喜んで参ります、こう本人は言っておるのであります。上げてくれということは絶対に言っておりません。安くてもよろしゅうございます、こう言っておるのでございます。だからそれでおわかりいただけると思います。ただ私は、いまの公取委員長の俸給を見まして、いかにも安いからというので、これは今後の問題として御審議願っておるのであります。上げてくれとか、上げてやるから、そういうことは全然私は考えてもいません。聞いてもおりませんし、本人も喜んで行きます、月給のことは考えません、こう言っておる。御参考のために言っておきます。
 なお、公務員の一万円の給与の問題につきましては、政府委員あるいは関係大臣から答弁をさせます。
○大橋国務大臣 ただいま規模十人以上の事業所における一月間の給与でありまして、賞与を含んでおらないものの調べでございますが、一万円未満の労働者は、三十七年四月で百四十八万六千人、その全体に対する割合は一二・六%となっております。これは、三十三年四月における一万円未満の労働者数が三百八万一千人、その割合が三四・一%であったのに比べますると、賃金水準の低い労働者はここ数年急激に減少をいたしておるわけであります。
○受田委員 減少しているということは、賃金が一般に上がってきつつある段階でそういうことが言えるわけで、いまなお一万円以下の雇用労働者が、そのお示しになった数ほどおるということが重大なんです。標準生計もできないような状態でこういう人々を放置しておるというところに、日本の賃金政策の非常に大きな矛盾がある。最低賃金制というものができておる、政府はつくっておる。しかしながら、その最低賃金制度というものは、これは業種別に政府がその話し合いで決定をさせるのであって、決して労使間の話し合いで給与がきまっておるのじゃないのです。こういうところに総理、日本の最低賃金制なるものは、政府の指導によって使用者が話し合いで賃金をきめる、こういう体制のもとに、こういう低賃金層が依然としてたくさんの数を数的に支配しておるという現象を、あなたは十分心得てもらわなければならぬ。したがって、これに対して最低賃金制の実態を労使間の話し合いによる賃金決定という方向へ持っていく必要がないか。特に政府の機関としてそういう意味の賃金の審議会がある。最低賃金審議会があるのですから、その審議会を通して賃金を決定するという形をとるべきで、業者間の協定で賃金がきまるという方式は、これをとらないような方向へ総理としては賃金政策を持っていく用意はないか、御答弁を願いたい。
○池田国務大臣 御承知のとおり、最低賃金制の問題がかまびすしくなりまして、四年前でございましたか、できまして、いまのところは業種別、地方別にやることになっておるのであります。しかし、非常な経済の伸長によりまして、その業種別、地方別によってきめる最低賃金も、以前は非常に施行がおくれたり、あるいは実際審議会によってきめられる人が少なかったのでございますが、最近におきましては、それによってきめられたものが二百万前後に相なったと記憶しておるのであります。しこうして日本の経済の実情、ことに中小企業のそれに対して、一般大工場のようなきめ方はなかなかむずかしい。角をためて牛を殺すというそしりを受けてはいけませんので、やはり経済の伸展に伴いまして最低賃金制の拡充と適正化、これには努力をしなければなりませんが、中小企業のところの最低賃金をみな労使間できめるというふうな原則は、まだちょっと早いのじゃございますまいか。実情を十分見ながら検討していかなければならぬ問題と思います。
○受田委員 それではまとめてあなたにお尋ねしておきます。
 あなたは、いま最低賃金制についてのお考えを示されたのですけれども、現実は中小企業などはそういうところにおらないのだ、労使間で賃金決定をするような段階ではないというお説でございました。農村、漁村、さらに中小企業、こういう層は著しく低賃金で、旧時代的な、いわば近代化政策の犠牲になった立場の、特別の日本の置かれている経済機構の犠牲になった人々ですね。総理及びいま申し上げたような特殊法人の責任者たちは、ばかに高禄をはんでもまだ足りないとおっしゃっておる。にもかかわらず、一万円以下、特に三百円以下でこの最低賃金がきめられておる中小企業労働者の数は、もうものすごい数に上っておるこの現状を見たときに、農漁村、中小商工業者のような零細な所得の人々に対する基本的な賃金体系をどういうふうに打ち立てようとされるのか。この人間らしい暮らしのできない、奥さんを日雇い労務で苦労させて、夫婦共かせぎで、あえぎあえぎ苦労する大衆を取り残して、そして安定賃金案、大企業中心主義のものを打ち立てても、また特別職の優遇を考えても、決して国全体としては平穏になりません。所得格差の開きと経済の二重構造を是正する大原則のもとに、いかなる農漁民、中小商工業者に対する賃金政策を考うべきかというあなたの構想、これを伺いたいと思います。
 そしていま一つ、あなたが帰られるので……。あなたは人づくりの親方でございますが、あなたの人づくり構想は、過ぐる施政演説で拝聴いたしました。しかしながら、その具体的な人づくり方策というものをまだ私不肖にしてつまびらかにしておらないわけです。きょうの午前中あの島上君の御質問にあったように、自民党を中心とする徹底せる選挙違反事件、おそらく東知事といえども腹の中では、真に都民の信頼で知事になったのではない、にせ証紙があったから、はがきの横流しがあったから当選したという部分が含まれておるということになると、おそらく東知事の内心はじくじたるものがあると思うのです。そういう形で日本の政治が行なわれておる。驚くべき選挙違反事件、そして汚職難件、青少年の犯罪がうんとふえている。一部の人は高禄で安定し、多数の人は低い層であえぎあえぎしておる。しかも権力によってこの違反事件が起こり、汚職事件が起こっておる。青少年は一体どこへいったらいいかという問題があるわけです。総理から、この人づくり構想の具体的な施策をこの機会にお示しを願って、低賃金層の安定と、人づくりの具体策というものをお示しをいただいて、たいへん失礼でございましたけれども、私のあなたに対する質問を終わりたいと思います。これをひとつはっきりとお答え願いたいのです。
○池田国務大臣 最低賃金の問題についてお答えいたしますが、経済高度成長以前大工場につとめられておる労働者の賃金と中小企業につとめられておる方々、三十人未満の方々の賃金の格差は、一〇〇対四五、六じゃございませんですか。それが経済の高度成長、最低賃金制その他お話しのようにやっぱり人権を尊重し、人の労働価値の上昇ということをはかりましたがために、いまの五百人以上の大工場に対しまして中小企業のものが五〇数%にのぼっておるじゃございませんか、のぼりつつあるじゃありませんか、すでに五六、七%になっておると思います。いなかのほうにおきましても、先ほど申し上げましたように、高等学校を出た女子が一万円取る人が相当多くなっておる。それからいなかの中小企業の状態を聞きましても、三、四年前に比べましてほとんど倍額近い俸給になっておるということを聞いておるのであります。私は、これは経済成長が賃金格差是正に非常に役立った、こう考えておるのであります。
 それから次に人つくりの問題は、これは政治の根本問題でございます。いままで社会保障制度等におきまして、病人その他レベル以下の者に対しての施策をどんどん進めていっておりましたが、私は、それももちろん必要でございます。それももちろん一番大事なことでございますが、それだけでは人つくりはできない。やはり先般も人つくり委員会と申しますか、私の諮問機関でいろいろ話しましたところ、人つくりのもとはやはり妊婦からだ。こういうような、生まれた子供がかたわであるという前に、やはりかたわの生まれないようにしなければならぬというのが全員の意見でございました。妊婦から始まり、そして家庭のしつけ等々、これはいままでのいわゆる人つくりの、貧しい困った人をどうこうということに力を入れると同時に、それに次ぐものとして、その他のほうにも力を入れていかなければならぬ。これが私は人つくりの根本だと思います。教育問題、社会問題、家庭の善導等につきましてはいろいろ具体的の問題もございますが、これは随時手を打っていこうと考えておるのであります。
○受田委員 総理はもうけっこうです。
 具体的な問題を各関係大臣にお尋ねしましょう。
 経済企画庁長官、いま総理の御答弁で私非常な不安をいだいたわけです。あなたは総理の意図を受けられたという安定賃金制なるものを考えたいということでございます。農民、漁民という問題は一体どうなっているのか。この農漁民の最低賃金というものはどういうふうにして考えられるのか、これは忘れられておる。抜けておる。経済企画庁の責任として、こういう農村漁村、あの旧時代的な近代化の犠牲になった人々の賃金の体系というものは、経済企画庁の構想の中にはどのように浮かび出ているかを御答弁願いたいのです。
○宮澤国務大臣 賃金安定政策云々ということばで御表現になる御質問でございましたが、私の考えておりますことは先ほど辻原委員にお答えを申し上げましたので、煩を避けますために繰り返して申すことは省略させていただきます。何も政治的にあるいは政策的に賃金をくぎづけようとかなんとかということを考えているわけではございませんので、その点は御了承をいただいておると思います。
 それから所得倍増計画では、農山漁村の所得というものはやはり二重構造の是正をはかるという形で、国民経済全体の構造の進化に従って進化する、基本的にはそういう考え方をいたしておるわけであります。また具体的には、それがあるいは米価の形になり、あるいは農山村物資の価格の適正化という形ではかられておるわけであると思います。
○受田委員 所得倍増計画の中に考えておる問題として、この農漁村の賃金を例に引かれたわけでございますが、農漁村の経済機構そのものが問題なんですね、日本の場合は。それだけでは成り立たないのです。一人の収入で一家の家計を償うに足るような形態になっておらないのです。それをどういうふうに是正しようとするのかを伺っておるわけです。
○宮澤国務大臣 まさしくそれが国民経済全体の二重構造の解消という形で問題の解決がはかられつつある、それがまた一番正道である、こういうふうに考えておるわけでございます。
○受田委員 農村漁村、それから家内工業的な零細企業、こういうものの体系というものはそういう形だけではとても成功しないと思うのです。それは安定賃金という制度を考えられる前に、生活が保障されるところの収入が当面どうして得られるかという問題をどうして解決するのですか。当面の生活をまかなうに足るところの収入をどういう形でやっていかれるわけですか。
○宮澤国務大臣 それは生活保護等万般の社会福祉施策についてのお尋ねではないと思いますが、そういうものが片方においてございますし、他方において長期的、根本的には農山漁村並びに零細企業のそういう階層の所得というものは、国民経済全体の構造の改善にしたがって上がってくる。また過去の実績について見ます限り、国民経済の五分位層の比較によってみても、この人々の比較は年とともに上がって格差が縮まってきておるというのは事実であります。
○受田委員 私は、そうした経済の二重構造を是正して、低所得層の引き上げについては、経済企画庁の経済の見通し、特に物価抑止政策と賃金安定施策とを十分マッチさせて、現実に救われない人々を現実の問題としても十分考え、案を用意しておかなければならぬ。生活保護などという形の近代的文明国家として恥ずかしい制度は早く解消する努力を十分してもらわなければいけないと思うのです。私、この問題につきまして、日本の置かれている特殊事情というものをそれぞれの担当国務大臣が、労働大臣も、また大蔵大臣も農林大臣も、総合的に検討してもらって、具体策を立ててもらいたい。
 私、時間の都合があるようでございますので、いま人つくり案についてお尋ねした具体的なお答えを、文部大臣お答え願いたいと思います。青少年の不良化及び特に幼小なる子供たちをどう救っていくかというような問題について、総理は何かの形、家庭を含めた施策を練りたいということでございましたけれども、文部省にそういう問題と取り組むための、青少年の育成のための青少年局とか、あるいは学校教育、社会教育、家庭教育を一貫した子供をしあわせにするところの総合的な施策とかいうようなものを何かの形でお持ちになっておると思うのですが、構想だけでまだ具体的に案がないのでございますか、お答えを願います。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。いまお話しのような家庭・学校・社会の諸教育を通じまして、ことさら機構を新たに設けるなどという構想はございません。一言にして申せば、文部省の仕事全部が人つくりの使命を帯びておると心得ておるのであります。したがいまして、さっきも話が出ましたように、子供が母の胎内にあるときから人つくりというものは始まるべきだという説があるわけでありますが、生まれてから学齢児童に達しますまでのからだのことは厚生省に所管してもらって、肉体的な人つくりに万全の措置を講じてもらう。文部省としましては、家庭教育の一環として母親学級あるいは母親に対する特別の子供の育成上の注意をさらに喚起していくという角度から社会教育の一面としてとらえておるわけであります。幼稚園教育、それ以上の学校教育を通じまして、昔から申しておのますように、知育・体育・徳育の三面にわたっての万全の措置を講ずることによって人つくりに資していきたい。このことにつきましては、ことあらためて特にいまお尋ねの点について申し上げることもございませんが、何を申しましても、学校教育の成果をあげ得るかいなかは、教える先生の資質にあることは当然であります。資質向上について考えますと同時に、教育内容それ自体につきましても、学習指導要領の再検討をいたしまして、小学校は一昨年、中学校が昨年、高等学校がことしから新教育課程を実施しておるような状態でありまして、繰り返し申し上げれば、知育・体育・徳育面を通じ、教師の努力にまつと同時に、教育環境条件の整備にも、文部省・教育委員会を通じて今後に向かって全努力を傾けていきたいと思っております。
○受田委員 そういうことをお考えになられる文部大臣として、一つの機構をお考えになってはいないか。それから人つくりをする大事な教師の集団である、組織である日教組の責任者と代表会見はしないというこの考え方は、やはり高い立場でお捨てになられて、すなおに話し合いをして、人つくりのために協力し合うというような、そういうあなたの従来のお考えを是正されていくことは非常に大事なことだと思うのです。行きがかり、感情を捨て、人つくりにどう取り組むかという熱意をお示しになるということを私提唱しておきます。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。文部省の機構としましては、いまのお尋ねに応じて特別なことを考える意思はいまのところございません。その必要はなさそうに思うのであります。現在の機構を活用いたしましてベストを尽くすことによっておこたえしたい。
 それからなお日教組のことにお触れになりましたが、教育内容それ自体、教育活動それ自体について日教組という団体と話し合わねばならないことはないし、話し合ったからどうなるという相手の性格ではない、かように思います。本筋は学校の教師そのものとしての立場からする意見、それは尊重さるべきものと思います。それは学校における教研活動を通じて結論が示されることによって、教育委員会といえども、文部省といえども啓蒙してもらいたい。その本筋は組織体としての学校・学校長を通じて意見が出てくるべきはずのものと思います。同時にまた、教育行政の末端の責任者である教育委員会と学校、そういうルートを通じての御意見というものはいままでも尊重しておりますし、今後ももっと尊重すべき事柄だと存じておるのであります。職員団体である日教組、これは法律にありますように、自分たちの勤務条件の維持改善について存在する集団でございますから、それのみに限定して行動してもらいたい。そのほかの政治結社まがいの行動あるいは教育そのことについての集団ではないから、いま申し上げるようなルートを通じて十分の御意見を拝聴したい。そういう態度から、小中学校、高等学校長会議あるいは教育委員長、教育長会議等につきましては、むろん例外なしに出かけまして、御意見を拝聴しておる。それが本筋の態度だと私は思っております。
○受田委員 私は、あなたのお考えは非常にかたくなであると思うのです。これはやはり幅を広げて、いろいろな人の意見を聞く。そして日教組の組織体の代表者としてあいさつするときには、すなおに聞くという態度に踏み切られないと、人つくりの大切なお仕事はできませんよ。偏見に基づいた形でいってはいけないと思うのです。これはやはり雅量をお示しになることを私は要望しておきます。
 これで質問を終わらせていただきますが、最後に防衛庁長官、この間のF104のあの部隊の責任者である小川二佐が辞表を出されておるというが、現在防衛庁の空幕付になっておられると聞いているが、この人はいま勤務しておられるかどうか、辞表を出しただけで勤務しておられるのか、おられないかをお答え願います。
○志賀国務大臣 小川二佐は北海道千歳第二〇一航空部隊の飛行隊長でございました。御承知のとおり、この飛行隊は104が配備せられまして初めてできたいわゆる新編部隊で、その初代の飛行隊長でありましたから、この部隊の運営あるいはまた訓練につきましては、たいへん心労の多かったことと想像いたしておるのであります。非常にりっぱな、代表的な名パイロットでございまして、それだけに、去る四月十日のF104の初事故、非常に大事な事故を起こしまして、西三佐が殉職いたしました。こうした点から想像以上の責任を感じたもののごとく、辞表を提出いたしてまいったのでございますが、私は正式にまだ受理しておりません。あくまでもこの大事なパイロットを慰留したいと考えておりますが、現在神奈川県でございましたかの自宅で静養を続けておるような次第でございます。
○受田委員 このF104Jの操縦士の中ではナンバー・ワンと承っております。また、この間なくなられた西三佐はナンバー・ツーと承っておる。そういうりっぱなパイロットがこういう悲痛な状況になって、一人はなくなられ、一人はそういう状況に追い込まれて精神的な苦痛を感じている原因は、F104Jの性能の上に欠陥があって事故が起こったか、あるいは操縦のまずさで事故が起こったかということになって、結局操縦のまずさで事故が起こったということに防衛庁当局の結論でなっておるのじゃないですか。これは操縦のまずさで事故が起こったということは、長官、今日はっきり言明できるのですか。
○志賀国務大臣 104の事故発生につきましては、最初の事故が起こりまして、直ちに衆議院の内閣委員会において、引き続き参議院の内閣委員会におきまして、私から、みずから進んで事故の経過なり結果、また対策について報告いたし、国会を通じて国民に遺憾の意を表したのでございますが、今日まで判明いたしましたところによりますと、四月十日の初事故はスロットルレバーが動かなくなったことに主因があるのでございますが、しかしながら、その操縦に遺憾ない措置をとりながら空中滑走すれば、西三佐も無事に着陸できたものと判断いたしておるのであります。さらに引き続き二回の104の事故が発生いたしましたが、これはすべて原因が完全に判明いたしておるのであります。強風の際に着陸いたしたのでありますが、その際操縦に慎重さを欠いた結果事故を起こしたのが二件でございまして、最初の事故は、ただいま申し上げたように、空中において事故があっても、空中滑走で無事着陸できたのでございますから、F104の性能あるいは構造上における致命的欠陥による事故ではないのでございます。
○受田委員 質問を終わらせていただきますが、最後に長官、これは私が予算委員会で、事故が起こる前に厳重にあなたに御注意申し上げた。このF104Jを決定する際には、あれだけ国論をわかして、国防会議の決定の変更まで見たしろものであるだけに慎重を期されたいとお願いしたわけなんですが、結果はすでに四回の事故を起こしておる。二百機を第二次防衛計画の最後の四十一年までに完成する際には、これはどれだけ事故が起こるかわからぬ危険が私あると思うのです。ナンバーワンの名。パイロットが操縦し、そして総指揮官であるという、この状態において事故を起こすということになれば、どこか性能の上に問題があると思うのですよ。防衛庁はこのF104J戦闘機の、ある期間でいいですから、ある期間内における消耗率、昭和四十一年――四十五年ごろに例をとって消耗率をどれだけに見ておるか。そうしていま新三菱重工を中心に関係メーカーが継続生産を盛んに要望しているが、継続生産は、もう時代の要請にこたえないこういう不安定なものは継続生産にはこたえないという打ち切りの断言を早くしておかぬと、もうけようとしておる人々がよだれを流すような言い分をしないで、すっぱりと継続生産打ち切りだという言明ができるかどうか、この二つをお答え願いたい。
○志賀国務大臣 F104の生産は、計画どおりにこれを続行する所存でございます。なお、104の生産を新たに継続するかどうかにつきましては、目下慎重に検討いたしておるところでございます。
 消耗率につきましては、専門的な事項でございまするから政府委員から答弁させます。
○海原政府委員 ただいまお尋ねになっておりますF104Jにつきましては、御存じのようにまだ使用を始めたばかりでございまして、これにつきましての統計はございませんが、米空軍におきまして同じ型のF104Cについての統計がございますが、これによりますと、大体一万飛行時間当たりについて四ないし六という数字になっております。すなわち、一万飛行時間飛びましたときには、その飛行機の約六%、これが最高の場合でございますが、ないし四%程度のものが消耗するという一応の数字はございます。これによりますと、二次計画で予定しておりますところの二百機というものは、五年の間に約五十機前後の消耗ということが一応数字の上では予定される次第でございます。二次計画は、本年度から二飛行隊を編成する予定でおりましたのが、おくれております。現在のテンポで参りますと、おそらく四十一年度末におきます消耗機数としましては、四十八機前後のものが数字的には出てまいる、このように判断いたします。
 四十五年ということになりますと、その後飛行機の練度が進むに従いまして、一万時間の消耗率が四・五、四・三、四・二というふうに減ってまいりますので、私の現在の記憶が正しければ、そのほかにさらに二、三十機の消耗が見込まれるのではないか、このように考えております。
○受田委員 これで質問を終わらせていただきます。
 とにかく政府は、この問題について、防衛庁長官、あなたにお伺いしておきたいのが、いまの消耗率からいうと四十五年には半分とちょっとしか残らなくなるのです。そういう飛行機であり、また操縦士に責任を負わすようなことをして、性能の欠陥を探究しないでおくと、自衛隊の士気に影響します。私は、空幕のこの責任者たちがいま悲痛な気持でうちへひっ込んでおる実情というものは、防衛庁の考え方の中に、操縦に責任を負わせて性能の問題をはずそうという考え違いがあるのではないか、すなおに性能に欠陥があるならば欠陥を指摘して、人命を尊重するほうを第一義に考える。おかしな飛行機であるならばこの際生産を中止する。第二次が終わったら次の継続生産は一切やらぬというはっきりしたものを早く結論を出してもらいたい。それを要望しておきます。いいですか。それでは楯さんあとひとつ……。
○塚原委員長 楯兼次郎君。
○楯委員 私は、主として新東海道線をめぐる幾多の疑惑につきまして、少し詳細にわたるかと思いますが、その疑問をただしていきたいと思います。
 まず第一に、二月の六日であったかと記憶をいたしておりますが、運輸大臣に当席上から、東海道新幹線は来年十月までに完成できるかどうか、こういう質問を冒頭行なったことがございます。そのときに、運輸大臣も国鉄総裁も、胸をたたいて、来年の十月一日開通は間違いない、こう言って、ここで大みえを切られたわけです。ところが、半月か一月たたないうちにこのような結果になってしまったわけでありますが、もう一回確認をいたします。昭和三十九年十月一日の開通の方針は、二月六日に言明なさったように絶対変わらないかどうか、これをまず冒頭に確認をしておきたいと思います。
○綾部国務大臣 二月某日に答弁いたしましたとおり、昭和三十九年十月一日までに完成いたす所存で、また完成することを信じております。
○楯委員 その後、国鉄の資料あるいは新聞紙の報道によりますると、金が足らなくなった、しかし足らない金は措置をする、そういう資料か出ておるのでありますが、この資料は、当初計画どおりやったならば当初の計画金額に対してこれだけ足らないのだ、こう国鉄当局なり運輸当局は発表すればいいのでありますが、新聞あるいは当局の資料に上りますと、頭の悪いわれわれではちょっと理解に苦しむような発表のしかたであります。たとえば十月一日の開業までに必要な最小限度のものは八百七十四億円要る。ところが、当初計画どおりの規模ではさらに百七十六億円が必要だ。ところが、また一つただし書きがついて、ただし貨物輸送はやらない、貨物輸送をやるためにはまだ追加が何がしか要る。こういう発表のしかたはどうも私はふに落ちないのであります。なぜ当初計画をしたとおりに運営をすれば幾ら足らないのだ、そうしてその金をこれから質問してまいりたいと思いますが、措置をしたならば、当初の計画どおりに旅客はこれだけ輸送いたします、貨物はこれだけ輸送いたします、こういう発表のしかたをすればいいじゃありませんか。十月一日には八百七十四億だ、それでいいかと思うと百七十六億円まだ足らぬ、それでいいかと思うと貨物輸送はできぬ、貨物輸送をやるためには、金額ははっきりいたしておりませんが、また何がしか要る。こういう発表のしかたというのはどういう意図があって発表されたのか、お伺いをいたしたいと思います。
○綾部国務大臣 たびたび所要資金が変わりますので、監督省といたしましては、これで間違いがないかということをたびたび念を押して、そうして最後に出てまいりましたものが、ただいま御指摘の八百七十四億とさらにプラス百七十六億の金額で足りるという国鉄当局の説明でございます。そこで私は、さらに念を入れる意味におきまして、監査委員に、その数字に間違いがないかということをただいま精査させておる最中でございます。
○楯委員 監査委員会が六月下旬に結論を出すということでありますが、これは監査委員会が結論を出せば、また千五十億円という金額は変わってくると思います。監査委員会が調査をした結果、いまの国鉄の理事会で決定をした不足分と同じ金額なら変わらぬでしょう。しかし、監査委員会が違った要素を発見すれば、また三転して不足額というものは変わってくる、そう私は思うのです。ただ、私が非常に不可解に感じますことは、貨物輸送はやらない。ところが、当初新幹線を計画するときには、正確な名前は忘れましたが、貨物をピギーバックとかいうので、トラックのまま貨車に積み込んで、名古屋、大阪に行ってそのトラックが貨車からおりて、そうして配達をする、これは画期的な世界一の企画である、こういう宣伝も入っておったのです。われわれはそういうことを想定をしておる。だから、私が言っておりますのは、なぜ当初計画どおり旅客も貨物も営業をして、そうして三分隔離のいまの東海道線を緩和するためにはどうしてもこれだけ必要だ、こういう金額をなぜ出さぬのかということを言っておるわけです。この間出ました国鉄の諮問委員会の答申書の内容をざっと読んでみますと、今日国鉄をこのようにあらしめたのは、政府の責任もあるでしょう、あるいは運輸省にも責任があるでしょう。しかし、その責任の一端として、国鉄の幹部があまりにも無気力であった。言いたいことを言えない。腹の中では思っておっても、国会へ来ましても、あるいは公式の機関では、はっきりこうしてもらいたい、ああしてもらいたいということが言えなかったのが一つの大きな原因であると書いてある。これは私が言うのじゃないですよ。諮問委員会の答申書の中に書いてあるのです。私は、あの答申書の指摘しております同じ事柄が、この不足金をめぐって三たびここにやられようとしておるのじゃないか、こう思うのです。そうでしょう。当初計画どおりにやったならば千二百億なら千二百億、千五百億なら千五百億足らぬと、なぜ言えぬのですか。八百七十四億だ、百七十六億だ、いや、それでも貨物輸送はできぬ、貨物輸送をするためにはまだ金が要る。運輸大臣はこういうことをお考えになりませんか。せっかく四千億円のばく大な投資をして新幹線が完成をいたします。そうすると、一日に旅客列車が何本通るか知りませんが、貨物をやらぬということなら、ばく大な投資をした新幹線があくびをしておるのに、いまの東海道は相変わらずきゅうきゅうじゃありませんか。ダイヤの三分隔離が五分隔離ぐらいになるだけじゃありませんか。これでは来年以後を想定した場合に、半年か一年は全く無用の投資であるということが考えられませんか。これは施設の遊休時間が長過ぎるということが考えられませんか。こういう点から、なぜこんな三段階に分けておるか、なぜ当初計画どおりにやれば幾ら要るとはっきりと――自分が金をもらうわけじゃないでしょう。なぜはっきり出さないのか、どうですか、こういう点。
○綾部国務大臣 新幹線ができますれば、いまの旧東海道線の比重をこちらのほうへ回しますから、それによって貨物の輸送その他に非常な能率を発揮することができると考えております。それでは一ぺんに金を出したらいいじゃないかと言いますが、私どもといたしましては、それは国鉄の当局を信頼して、必要に応じて出すように命じてあるのでございますが、私は、ただいままだ最終のすべてを完ぺきにするまでの見通しが立たないのではあるまいかと考えております。国鉄当局、新総裁、新副総裁が来ておりますから、国鉄当局よりその点について説明いたさせます。
○石田説明員 これに対する説明をすべく、私は新任早々でまだ勉強が足らぬのでありまして、はなはだ恐縮でありまするが、副総裁をして説明いたさせたいと思います。どうぞ御了承を願います。
○磯崎説明員 ただいま楯先生の御質問でございますが、私どもただいままでに積算いたしました数字が、先生御指摘の八百七十四億の数字でございます。そのほかにただいま御指摘のとおり、来年の十月一日に一応旅客営業が開始されたあとに、できました新幹線の、いわゆる私のほうのことばでたいへん恐縮でありますが、改良という意味の仕事がまだ相当に残っております。それが大体現在の段階で百七十六億くらいというふうに推定いたしております。その中に先ほどお話しの貨物関係の経費が二十五億入っているわけでございます。すなわち、全体から申しますと、昨年御審議いただきました二千九百二十六億に対しまして現在八百七十四億、合計いたしまして三千八百億でございまして、さらにそのほかに百七十六億足しますので、合計千五十億不足ということになるわけでありますが、とりあえず来年の十月一日に約三百六十両の電車をもちまして一日五十本の電車運行をいたします際に必要な最小限度の数字が八百七十四億でございます。その後、その線路を改良して、たとえばホームの屋根を少し長くするとか、あるいは停車場の設備を若干よくするとか、そういう経費が百七十六億でございまして、これは開業後でも一応差しつかえない、がまんできるのではないか、こういうふうな推定をいたしております。
 ただいまの御質問の中で、貨物輸送のお話がございまして、一昨年来新幹線の問題を御審議願う際に貨物輸送のこともいろいろ御説明申し上げました。昨年約九百五十四億の予算の増加をお願いいたしました際、一応貨物輸送につきましては、現東海道線と新東海道線とを合わせまして、少なくとも昭和三十九年の秋、私の方のことばで秋冬繁忙期と申しておりますが、秋の一番貨物のふくそうする時期までに、現在線と新東海道線の全体の輸送力が来年の秋の輸送量にマッチすることを最小限の目標といたしまして、昨年の予算改定の際に、一応貨物輸送は現在線の旅客輸送の穴のあいたところにやるということでもって、大体列車本数、輸送力その他を計算いたしまして、これでやっていけるという数字が出ましたので、昨年の予算の御審議の際に大体そういう御説明を申し上げまして、とりあえず旅客輸送の方のお願いをしたわけでございまして、全体といたしましては、先生の御指摘のとおり八百七十四億に、さらにできましたあとで若干の改良が百七十六億、こういう数字になっております。
○楯委員 先ほど、私の質問に運輸大臣は、千億くらい足らない、それから国鉄の監査委員会が監査をした結果また不足額は変動する、こうおっしゃいましたね。ところがふに落ちないのは、五月二十五日に運輸大臣は島根、鳥取の視察に行かれましたね。そのときの鳥取発の運輸大臣の記者会見の発言によりますと、本国会で三百五十億円の補正予算を組む、こういうことをあなたは記者会見で発表なさっておりますが、これはあなたのほんとうの真意ですか。
○綾部国務大臣 私はそういうことを言うておりません。向こうの新聞記者諸君に、保守の費用を流用して、どうしても新幹線を一日までにやりたい。そうすると、流用というのはどれくらいするのか。それはわからないと言ったら、それはおおよそ二百数十億かかるのじゃないですかと言うから、あるいはそうかもわからぬ、こう言っただけのことでございまして、私は(「質問を肯定すれば言うたのと同じじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)いやそれは非常に違う。新聞記者が質問をしたから、そうかもわからぬと言っただけであります。
  〔発言する者あり〕
○楯委員 それでは一時間半のうちでありますから……。たくさん聞くことがあります。
 一体補正予算は、八百七十四億円の不足額を――工事をストップするわけには私はいかぬと思う。ところが運輸大臣は誘導尋問にひっかかって根拠のないことを言った、こうおっしゃいますが、私は不見識だと思うけれども、これはまあ追及はいたしません。大蔵大臣は、この不足額を一体どうするつもりか、お聞かせ願いたい。
○田中国務大臣 まだ私の分野まで入ってまいりません。御承知のとおり不足額のあることは、閣議で運輸大臣から御報告がありましたが、予算要求という段階にはなっておりません。監査委員会にいま監査を命じておるのでありまして、この監査委員会の報告が運輸大臣の手元にいき、運輸大臣が決定をして初めて予算要求ということになるのでありまして、現在その段階でありません。
○楯委員 大蔵大臣は新聞等の報道によると、補正予算を組んで措置をしよう、こういうようなことを私どもは読んだのでありますが、まだ知らない、こういうことをおっしゃいますと、運輸大臣はいま工事を継続しておる、大蔵大臣は補正予算は知らぬ、こういうことになったら、一体工事の継続はどうされるのですか。
○綾部国務大臣 日本国有鉄道法の財政の規定により、流用でやっていかざるを得ぬと思っております。
○楯委員 そういたしますと、流用でやっていくということになりますと、秋になって補正予算を組む場合も想定されますね。しかし補正予算を組まなくて、三十九年度の予算で不足額が計上されるということも想像をされます。二通りあると思うのですが、その二通りとも改良費の流用によって、新幹線の工事を来年の十月一日開通のために使用をする、こういうことですか。
○綾部国務大臣 的確なる監査委員会の報告を待ちまして、幾らを補正予算に組むか、また幾らを来年度の予算に組むか。しこうして目的は十月一日完成ということにありますからして、その数字を見た上で大蔵大臣と折衝して善処いたしたいと考えております。
○楯委員 私の聞いておるのは、大蔵大臣は、今日の段階では、まだ補正云々は言明できないと言うが、もし補正予算が組まれない場合は、来年の三月、ほとんど約一年間改良費の流用によって仕事をやっていかざるを得ないでしょう、運輸大臣の答弁では。そういうことができるかどうかということです。だから大蔵大臣は、いま私の質問をしておるような場合もあり得る、こういうことを肯定なさいますか。
○田中国務大臣 私の発言のようにしてマスコミで報道せられましたのは、先ほど運輸大臣が御答弁になったような状況なんです。現在は、四角四面に申し上げると、まだ監査委員会の手にあるのでありますが、全部が全部流用でまかなえるものではないし、しかも十月一日開業ということのめどをずらすということでもしない以上は、何らか財政的措置を必要とするでしょう、当然そうなるわけであります。しかし、この問題は、マスコミでも報道せられておりますように、世間でも非常に注目をいたしておるのでありますから、不足のものは幾らでも出してやるんだ、こういうような態度で政府は出すべきではありません。監査委員会にいま監査命令を出しておるのでありますから、正規な機関で、国民が納得するような監査の結果が報告せられて、その結果、政府が財政措置を必要とするならば財政措置をすべきでありまして、現在監査権が発動せられておるときに、まあ常識的に考えれば、あなたの言うとおりでございますから、十月一日の運行開始も変更するわけにもいきませんでしょうから、いつか組まざるを得ませんなというような答弁をすべきではないという立場をとっているわけであります。
○楯委員 大蔵大臣の答弁、よくわからないのです。監査委員会の監査した結果は、いまの千五十億の金の多少の異動はあるであろう、監査委員会が監査した結果、いまの不足額がゼロになるというなら別です。しかし、常識的に見て、多少の異動はあるであろうけれども、足らないことは事実だ、こうわれわれは考えるわけです。あなたもそうでしょう。そうなれば、補正を幾ら組む組まぬということは別にして、来年の三月三十一日まで改良費の流用でこれはやっていくということは、おそらくできぬと思うのです。われわれは思う。そうすると、いま大蔵大臣の答弁を好意的に解釈すれば、十月一日の新幹線の開業ということは、おくれる場合もあり得る、こういうことになるわけですね。いろいろな疑惑を生んだというのは、十月一日、オリンピックまでに間に合わせろ、それやれというので、いろいろな疑惑を生んでおる、こういうように私どもは解釈をしておるわけです。ところが、いま大蔵大臣の答弁では、ことによっては十月一日の開業は、あるいはおくれるかもわからない、こういう結果もあり得るのですよ。こういう答弁をいまあなたはされているのと同じですよ、どうですか。
○田中国務大臣 非常に御自分のベースで判断をせられておるようでありますが、現在国民の前に明らかにしなければならぬのは、まず十月に開業するしないということよりも、工事を進めていくために一体幾ら要るのか、一体これを削減できないのかというような問題を正規な機関を通じて国民の前に明らかにして、しかもその上に、国鉄で流用できるものはこれだけでございますから、十月の一日を延ばさないとしたならば、財政当局として財源的に処置を要求せられるわけでありますから、補正予算を組むとか組まないという問題や、十月一日以降に延びるか延びないかということは、監査委員会の結果を待って言うべきでありまして、現在の段階において、まあ常識的に考えて、何らか補正せざるを得ないでしょうというような答弁をすべき段階にないということを明らかにいたしておるわけであります。
○楯委員 そうすると大蔵大臣は、いま補正を言明すべき時期ではない。――そうなりますると、補正が組まれる場合も組まれない場合もあり得ると私は思う。そうすると国鉄のほうは、これは運輸大臣なり国鉄当局にお答えを願いたいと思いますが、いま工事を現にやっておるわけですね。そうすると最悪の場合は、来年三月三十一日まで改良費でこれをまかなっていかなくてはならぬという結果もあり得ると思うのです。その場合俗に言う他の五カ年計画、特にわれわれが心配をいたしておりまするのは、保安関係あるいは踏切対策等の費用というようなものは、これに食われてしまうのではないか、また非常に危険な状態になるのではないか、こういうふうなことが想定されるのですが、こういう点はどうですか。
○磯崎説明員 お許しを得まして私から申し上げます。
 ただいまの八百七十四億のうち、来年の十月一日開通を目途といたしまして、どうしても年度内に所要する金が五百九十三億でございます。残りの二百十一億は三十九年度に、いままで御審議願いました二千九百二十六億円ベースの予算につけ加えていただきたいというふうにお願いするつもりでおりますが、ことし所要いたします五百九十三億のうち、先ほど先生の御指摘のとおり、一時二百五十億前後のものを一般改良費からとりあえずこの新幹線のほうに使わしていただくことにいたしまして、私どもといたしましては、いずれ年内に補正予算等のお願いを政府にいたしたい、こういうふうに思っております。ただ、先生の御指摘の中で、いままで非常に問題になっていろいろ御迷惑をおかけいたしました、たとえば踏切の問題、あるいは保安対策の問題等は、何が何でもこれは絶対にやらなければならない。昨年の苦い経験から考えまして、これはびた一文削ることをいたさないという強い覚悟でおりますし、また現在そういう方向でもって予算の配分をすでにいたしておるわけでございます。
 その次に、やはり何と申しましても、ことしの暮れあるいは来年の一般の輸送力の減殺にならないことを第一の目標といたしまして、保安対策の次には輸送力の確保ということを前提といたしまして、ただいま御心配のような、ほかの工事が非常におくれて、そして保安なり運転なりあるいは輸送なりに大きな支障を来たすということのないように、いま具体的に各工事につきまして検討中でございますが、いろいろなこういった方法によりまして、この秋までの数カ月間をしのいでまいりたい、こういうふうに思っております。
○楯委員 それじゃ、進みましょう。
 新幹線完成後は一般の国鉄路線と区別して経営されるのか、あるいは現在の国鉄と同じに経営をされていくのか、この点をひとつお聞きしたいと思います。
○磯崎説明員 私からお答えいたします。
 新幹線をつくります際にいろいろ議論がございましたが、新幹線は、やはり何と申しましても現在の東海道線の行き詰まりを打開すると申しますか、現在の東海道線の複々線という形でもって考えたのでございますので、先生の御指摘の、完成後の経営状態につきましては、もちろん国鉄におきまして一括して運営するつもりでございます。ただ、もちろんいろいろ経理上の問題等につきましては、部内においてさい然と分かれるようにいたす必要があると思うのでございますが、経営そのものにつきましては、もちろん国鉄と一本でやってまいりたい、こういうふうに考えております。
○楯委員 一本でやっていくということになりますれば、現行の運賃料金が適用されていく、これは常識的にそう考えられます。この点と、それからいま想定されますのが、約四千億円近い投資ですが、これの回収計画というのはありますか。
○磯崎説明員 ただいまの御質問でございますけれども、新東海道線の収支の見通しということが御質問の焦点であろうというふうに考えます。現在、私どものほうでいろいろ昭和三十九年度、四十年度以降の東海道線の輸送量の推定を旅客、貨物ともいたしております。しかもその推定される輸送量の中で、新幹線で先ほどちょっと申し上げましたような十二両編成でとりあえず三十本、将来昭和四十年度、いやもうしばらくあとで五十五本ということにいたしておりますが、これによりまして大体どの程度の収支の見通しがつくか、ただいま改定予算で八百七十四億をお願いいたしておりますが、それの償却並びに利子等を全部計算いたしまして、たいへんラフな数字で申しわけございませんが、とりあえず昭和四十年度におきましては、現在の東海道線と新幹線とを合計いたしまして、減価償却、利子等を全部差し引きまして約五百五億の利益が出るという計算に相なっております。これは十二両編成の列車を三十本動かしたということを前提といたしました場合でございますが、さらにその後利用者がふえまして、十二両編成が五十五本の列車ということに相なりますと、やはり現在線、新幹線合わせまして六百九十億程度の償却後の利益が出るということに相なります。現在東海道線におきましては、御承知かと思いますが、私どものほうの部内の減価償却計算によりますと、年間約四百九十億くらいの利益が上がっているわけでございます。したがいまして、現在の東海道線の利益を差し引きましても、約二百億程度の収益の増加という計算に相なっております。これらの計算の基礎は、先ほど先生の御質問の第一の点でございますが、一番問題になるのは、旅客の賃率でございますが、これは当委員会におきましても、昨年の御審議のときに御説明を申し上げましたが、現在の国有鉄道運賃法に基づく運賃によって計算いたしております。ただ現在線と新幹線と若干キロ程が違っております。現在線は五百四十五キロ、新幹線が五百十五キロで、多少の距離の相違がございますために、正確に計算いたしますと、両方運賃が違うという計算になりますが、これはいろいろ利用者の点から不便と存じますので、これらにつきましては、一本の運賃にいたしたいと思っております。
 ただ、特急料金その他につきましては、現在運輸大臣の認可事項でございますので、これらは現在の特急料金をしんしゃくいたし、さらに、現在どちらかと申しますと下がっている傾向にございます飛行機運賃などのことも考えました上で特急料金をきめてまいりたいというふうに考えておりますが、大体現在の特急料金の五割前後の増加という程度に押えなければならないということを前提といたしまして、先ほどの計算をしたわけでございます。
○楯委員 それでは次にお聞きしたいと思いますが、われわれが、あるいは国民が一番不可解に思うのは、二月の予算委員会で二千九百何がしでできるのだ、こう言って、運輸大臣も総裁も胸を張って答弁をされているのに、一夜明くれば倍額なければできない、こういうこと、これは運輸委員会で相当議論をいたしましたので、こまかくはお伺いしませんが、一体倍額にふくれ上がったその国鉄の機構上の、それを把握できなかった欠陥というものはどこにあったのか。これは運輸省の監督でありますから、運輸大臣にお聞きしたいと思います。
○綾部国務大臣 もちろんそれは機構の上にあると考えまして、今回の監査委員に対しましての監査事項の中に、ただ単に数字のみならず、機構その他についても極力監査するように命じておりますから、その結果を待たなければ正確には申し上げられませんが、工事を急ぐために、従来の経理監査の方式を簡素化、敏速化したところに禍根があるのではないかと私は考えております。いずれにせよ、その点につきましても、監査委員にひとつ正確に調査してくれということを命じてございますから、その結果を待ちたいと思います。
○楯委員 日本国有鉄道法の第九条第三項第三号に、資金計画、事業計画その他理事会においてこれを決定し、実施する、こういう項目があるので、総裁、副総裁、各理事がこうした内容を知らないということがふに落ちません。それからもう一つは、日本国有鉄道法の三十九条の十六を見ますと、四半期ごとに大蔵省と、目的は違うけれども資金計画について、これは当然事業計画というものが伴っていくと思いますが、協議をすることになっておる。こういう項目が国鉄法にきめられておりながら、つい一月前まで倍額になることがわからなかったということは――この法律というものは一体何のためにあるのですか。われわれが国鉄法を読んだ場合には、この第九条あるいは三十九条によって、大蔵省も国鉄の理事諸君もその内容を知らぬということは考えられぬ。これは看板ですか、有名無実の条文ですか。大蔵省と運輸大臣のこれに対する見解をお伺いしたいと思います。
○田中国務大臣 私も、この問題が起きましたときに、運輸省からはまだ連絡のないときに、土地も上がったし、いろいろな条件も違い、立体交差等の構造上の問題も変わってきたし、設計変更等いろいろな問題があったとしても、あまりにもどうも違い過ぎるので、大蔵省自身がどういう査定をしたのかということに対して検討をいたしてみたわけであります。片道五百キロでありますから、複線にして約千キロ、現在の鉄道の新線建設費用が単線でキロ当たり一億二千万円ぐらいから二億四、五千万円ということでありますから、広軌にして、新しい、しかも現在の東海道線に並行して町中を走って、単線に延ばすと、キロ当たり二億で二千億でありますから、これで、私が考えると一体できるのか。三億で三千億であります。四億にして四千億、こういうことになるわけでありまして、千九百億というものが過小評価であったのではないかというふうに考えてみて、大蔵省としてはどういう査定をしたのか、また四半期別の工事量の打ち合わせに対して、どういうことがあったのかということでありましたが、大蔵省も新線の問題に対して個々に当たっておるわけではありませんし、区間別の問題等に対しても当たっておりませんので、国有鉄道、運輸省との合議においては運輸省側の意見をのんでおるということでありまして、これからの問題に対しては十分機構上も、また単価やその他の積算の仕方に対しても、将来の問題としては検討すべきことがある、こういうふうに考えておるわけであります。
○綾部国務大臣 お答えいたします。
 私どもがここで御審議を願ったときには、三十八年度の予算について、これでいけるという確信のもとにお願いをいたして、そうして私もさように信じておったのでありますが、本年の初めごろになって、どうもこれが足りなさそうだという話を聞きまして、実は心配いたしておったような次第で、その結果が、ただいま大蔵大臣も申されましたように、設計協議による増額、土地の値上がりによる増額、労銀の高騰による増額等々が重なりまして、しこうして、来年の十月までにどうしてもやらなくてはならぬという目的のためにはこれだけかかるということを知って実は驚愕いたしておるのでございます。この知らなかったということにつきましては、私は十分不明の責任を感じておるのでございます。
○楯委員 運輸大臣は知らなかったと言って、最初から頭を下げておられるのですが、これは知らなかったとか、知っておったとかいう問題ではないですよ。たとえば「予算の執行体制について」という国鉄当局の資料を見ますと、用地費と工事費は流用をすることができないとあるわけです。しかし、ただし書きで、総裁か理事会に、幹線総局ですか、総局長がお伺いを立てた場合にはよろしいということになっておる。ところが、用地費と工事費は流用してはいけないなどというこんなものは、ただ文字だけを並べてあるだけであって、昭和三十七年の決算を見てごらんなさい。当初計画では用地費は百四十六億ですよ。百四十六億が当初計画の全額なんです。ところが三十七年のこの資料を見ますと、決算額が、用地費で四百七十三億円使っておるわけです。そうすると約四倍使っておるでしょう。ところが用地は上がったけれども、流用をした。工事費は削減をされた。ただし工事が安くなっているということは言えぬでしょう。やはり用地費と同じように工事費だって価格が上がってきている。この経過を見れば、倍になったということで、監督の不行き届きあるいは悪かったなどということは言えぬと思う。三十七年度決算では用地費で四倍使っているのです。どこで流用したかといいますと、工事費で流用している。総体としては当初予算の額をこえておらぬ。しかし用地費だけが上がって、工事費その他の費用は一昨年より価格が下がったということは常識として考えられぬでしょう。こうなれば、工事費もあるいはその他の費用も、土地ほどには上がらないにしても、当然これはついて上がるもんだ。当然倍額以上という建設資金の予算というものは事前に把握できたはずだと思う。知らなかっただけじゃ私は通らぬと思うのです。こういう点はどうですか。私のようなしろうとが、この資料を一べつをいたしましてもこんなことはわかるのです。それがわからぬということは、監督上どうしたって私は納得することができぬ。もう一回答弁してください。
○綾部国務大臣 お示しの通りの経過でございまして、それを知らなかったと申しますことは、ただいま申しましたように私の不明、不徳の至すところで、何とも国民諸君に対して申しわけなく思っております。今後こういうことのないように努力いたすということを申し上げるよりしかたがありません。
○楯委員 運輸大臣は、もう初めからあやまってばかりおられるのだから、議論にならぬですよ。私どもは、運輸大臣の申しわけなかったでなく、その原因がどこにあるかということを、予算委員会として究明しなければならぬ。これはあなたの、あるいは国鉄の足を引っぱるために言っているのではないのですよ。一体どこに原因があるのか。いや、申しわけなかった、今後気をつけるだけでは、私は納得できない。
 総延長は当初五百キロでしたが、先ほど答弁があったように十五キロ延長になっております。このこまかい点は要りませんが、主たる原因と、一キロ当たりの単価をひとつ聞かしていただきたい。
○磯崎説明員 当初約五百キロという御説明をいたしておりましたが、これは御承知の通り、図面の上で飛行機の測量あるいはその他によりまして、ごく概略の測量をいたしました結果、五百キロという数字が出たわけでございます。その後具体的に立ち入り測量その他をいたしました結果、非常に土地の地質が悪いところ、あるいは市街地その他でもってどうしても当初のルートがとれなかったというようなところでもって、全体といたしまして十五キロ延びたわけでございます。
○楯委員 国鉄当局は苦しい答弁をいたしておりますが、こんなことはわかっているのですよ。ただ私は、単価が一キロ当たりどのくらいかかるかということを知りたかったのでお聞きしたのですけれども、事務当局としてはなかなかこの席上で言えぬことだと思うのですが、これはこの十五キロ当初計画より延長になったということばかりではなくて、私は何か大きな圧力がかかって、国鉄当局は籍口令をしかれて、そうして苦しんでいるという内容が、外から見てもよくわかるんです。したがって、私は時間がございませんので、簡単にそういう事例をあげながら御質問をいたしたいと思います。
 今度の新幹線が倍額にふくれ上がった最大の原因というのは、私どもの観測では、オリンピックまでに何でもつくらなくちゃいかぬというので、綿密な計画もなくて、新幹線の研究も、金も、要員も、綿密な基礎調査もなくして工事にかかったとうところに、最大原因が私はあると思う。これは私が文書や、人に聞いて言っておるのではないのです。ここ二、三日、私は大阪、静岡をずっと見てまいりましたが、ひどいのは静岡の幹線工事局で、工事局長が何ヵ月間か一人で、手足も何にもありはしない。数カ月間、幹線工事局長を命ずという発令を受けて、自分一人でやったという実績があるわけです。だから、金も、要員も、基礎調査も何でもオリンピックまでにつくればいいというので、同時出発をしておる。だから、用地を買いながら金を計算する。そうして基礎調査がないからこうやったらどうだ、これじゃいかぬからこれを直さなくちゃいかぬ。そういうずさんな計画のもとにこの仕事はやられていっておる。こういう点がまず第一の原因であると思う。それから池田内閣の所得倍増計画が、所得より物価が倍増をした、上がったという一つの大きなあらわれだと思う。池田内閣の土地高騰に対する野放しの、無対策の一つの私はあらわれだと思う。こういうものは物価対策その他のときに議論をすればいいことであって、私が二、三日調査をした結果、これはいけないと思ったのは、合法的かはわかりませんが、補償という名で莫大な金が支払われておるということです。おそらくそのほかにも、事務当局では文句の言えない、箱口令をしいておるもっと大きな圧力の何かが、この倍額にふくれ上がった中にはある、私はこういうふうに想定をいたしておりますが、これは今後の問題としてわれわれが研究をし、調査をすることでありますので、いま私が知り得た、あるいは現地へ行ってこの目で見ました二、三点について質問をいたしますので、お答えをいただきたいと思います。
 疑惑の第一は、もうすでに昨年の暮れから大きく新聞、雑誌等に取り上げられて周知のことでありますが、新横浜駅の日本開発株式会社の中地真吾氏による買い占め事件がございます。これは新幹線の路線の決定が行なわれました際に幹線用地となる土地を、中地真吾氏なる人が八千坪の土地を三、四千円、最高でも八千円の金で買って、そうして三十六年に二万九千五百円の単価で八千坪国鉄にこれを売っておる。これも大きな疑惑の一つだと私は思う。この間運輸委員会の速記録を見ますると、しかし、その後三万円で買ったのは安いのだ、そのあとどんどん上がって高いのだ。――こんなことは私は理屈にならぬと思う。なぜ路線決定のときに国鉄が必要な土地を買わなかったのか、こういうブローカーをなぜ入れたのか、なぜ容認をしておいたのか、こういう疑惑が第一の私どもの調査した結果であります。この点について、長い答弁は要りません。簡単にひとつ答弁をしていただきたいと思います。
○磯崎説明員 私、まだあまり詳しいことまで存じておりませんが、一応私が着任いたしましてから取り調べました結果だけを申し上げさせていただきます。
 過般、運輸委員会におきましても御答弁申し上げましたように、新横浜駅付近におきましては、いわゆる中心測量というものが昭和三十五年二月に終了いたしまして、用地の数量をはかることもその年の十一月に完了いたしましたが、地元に対策委員会ができまして、その対策委員会では、市当局との設計協議が終わらなければ用地買収は受け付けない、こういうことであったわけでございます。そこで、昭和三十五年の十二月十九日から設計協議を開始いたしまして、昨年の三月に最終的に終わったわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、地元の委員会に加入しておりませんでした日本開発株式会社から、ちょうどその中間の昭和三十六年二月に、国鉄に単独で買収方を申し入れてまいったので、これを相手にいたしまして買収の交渉に入ったわけでございます。この日本開発株式会社が一応法律的に正式な地主の代理権を持っておりまして、そのために、これを相手にして買収をしたわけでございます。当時、その中地とかいう人が三千円で――私のほうではたしか九千円で買ったというふうに話を聞いておりますが、地主の方々から幾らで買ったということなどは、実は詳細に調べてなかったというふうに聞いております。
 いずれにいたしましても、その問題の人物がすでに日本におらないというようなことも聞いておりますが、それが一応法律的に正当な権限を持っておりますために、それと交渉したわけでございまして、そういった問題につきまして疑惑がいろいろ起きたということにつきましては、大へん遺憾なことというふうに考えております。
○楯委員 私どもが不可能に思いますのは、中地氏から国鉄が土地を買ったのは、三十六年です。ところが、中地真吾氏は路線決定と同時に三十四年かと予定地を買っておるわけです。ところが、国鉄の資料を見ますと、三十四年に九億、三十五年に百十五億円の金を繰り越しておるのです。だから単純に申し上げますと、中地氏が買える土地を、なぜ九億も百十三億も繰り越しておきながら、国鉄は買えなかったのか。買えないとすれば怠慢ですよ。そうでしょう。国鉄は金がなければ別です。三十四年九億、三十五年百十三億も金が余ったといって繰り越しながら、三十六年に、二年前から中地氏の買っておる土地を、その当時の三倍も四倍もかけて買っておる。ここに私は大きな疑惑が生まれてくると思うわけです。それから幹線総局の用地部長あるいは国鉄監察局の長井嘱託が、その前に中地氏とたびたび会っておるということは、警視庁はよく知っております。聞いてごらんなさい。よく知っておりますよ。
 もう一つの疑惑は、週刊雑誌や新聞で中地氏の身辺がやかましくなったときに、中地氏はアメリカ、メキシコへ旅行しましたね。外務省と大蔵省へ聞きましたら、十一月九日に、二十日間の旅行日程で、外貨の割り当ては五百七十ドル、名前も黒潮ガーデン渉外担当という名前でアメリカのほうに渡っておる。五百七十ドルですから、常識からいったら、二十日たってすぐ帰ってこなければならぬ。ところが、いまに至って本帰国しておらぬ。こういうことがあるから、私どもはこの新横浜駅の土地買収に対しては大きな疑惑がある、箱口令がしかれておる、こういうふうに思うのです。
 それからいま一つの疑惑は、これはきのう私、伊豆箱根鉄道と新幹線の立体交差の場所へ行って見てきたわけですが、こんなばかげたことがいまどき行なわれておっていいかどうか。現場へ行ってみると、新幹線がずっときておる。そこへ伊豆箱根鉄道が、廃止をした道床ですね、昭和六年に当時鉄道省だったと思いますが、二十万円の補償をとって三島−下土狩間の線路をまくって、これは鉄道省が補償をして廃止したわけですね。これはあなたが御存じのとおりだ。ところが昨年の四月、とにかく新幹線の通るまん前に、二百メートルにわたって築堤を、二メートルかさ上げをして、驚いたことにはその下、その二百メートルの間に道路が通っておるそこに橋台を鉄筋コンクリートにして、橋をかけますよ、こういってまっかな橋げたがその上に置いてあるのですね。つまり新幹線が通る二百メートルにわたって昨年の四月に工事をやって、そうして通せんぼをして、国鉄にとにかく補償要求をやろうとしておる。道路の予定地に小屋をつくって立ちのかぬ、金よこせということはよく聞くのですよ。ところが堂々たる会社が二百メートルにわたって急に昨年から工事をして、そうしておら、どかぬぞ、こういう事態が野放しにされておいていいかどうか。私は現地へきのう行ってみてびっくりしましたよ。国会の中じゃえらそうなことを言っておりますが、補償金をとるためのこんなじゃまが、堂々と白昼行なわれておる、こんなばかげたことはないと思うのです。二百メートルにわたって廃道を二メートルかさ上げをして、一体幾らくらいかかるだろうと技術者に聞いてみますと、まあ二千万円から千五百万円くらいかかると言うのです。そうすると千五百万から二千万の投資をして、国鉄のほうから幾ら金をとろうと思ったか知りませんけれども、前面に二メートルばんとしてある。ここで疑惑が起きますのは、昭和六年に丹那隧道が通った。三島−下土狩中側の鉄道を伊豆箱根鉄道はめくって、補償金は二十万円取った。その補償金は、きのうのきようでありますから私は調べる時間がございませんでしたが、一体時効にかかっておるのか、無効になっておるのかどうかという点と、それからいま一つは、昨年申請が出ておるそうですね。伊豆箱根鉄道がこの区間運転をさしてもらいたいという申請が出ておるそうでありますが、運輸省はこの事態に対してどういう措置をとったか。まだ免許がおりないのに、二百メートルだけ工事をしてしまったわけです。この二点をお伺いしたいと思います。
○綾部国務大臣 私よく存じませんから、後刻調べて御返事いたします。
○岡本政府委員 ただいまお話しの伊豆箱根鉄道の下土狩−三島間の申請は、目下名古屋陸運局に提出してございます。そこで、陸運局でいろいろ調査いたしておりまして、まだその調査書は本省に、われわれの手元に上がってきておらない状態でございます。いま御指摘の免許を得ないで――免許を得ましても、具体的に工事施行認可を受けましてはじめて工事ができるわけでございますが、そういった手続を踏まないで工事をしておったということがわかりましたので、現地の陸運局長から当該会社に注意をいたしまして、工事はその注意の結果中止いたしておるそうでございます。
○楯委員 その注意をした日は何月ですか。それから口頭で注意をしたのかどうか。前面二百メートルだけ工事しているのですよ。だから、よそは工事したっていいでしょう。新幹線の通る前面二百メートルだけ工事をしておるのですから、工事を中止したといったって何にも効果ありませんよ。何月、口頭かあるいは文書でその中止方を要請したのか、それを明らかにして下さい。
○岡本政府委員 たしか私の記憶では、文書で注意いたしたと存じております。その日付はいま記憶いたしておりませんので、後ほど資料として御提出申し上げたいと存じます。
○磯崎説明員 三島−下土狩間は、当時駿豆鉄道と申しておりましたが、昭和六年に御承知のとおり丹那隧道が開通いたしましたときに、同駿豆鉄道株式会社の三島−下土狩の間の営業を廃止いたしまして、それとほとんど直角に交わります現在の東海道線ができたわけであります。そのときにいろいろな協定書がございますが、これは一応こまかくなりますから省略いたしますが、それの全体的な問題といたしまして、当時鉄道省から昭和六年に金二十万円の補償を出しております。したがいまして今度の問題は、その路盤はまだ同社の所有になっておったわけでございます。その同社の所有の路盤とやはり直角に交わります新幹線の若干の土地の取得の問題だったわけでございますが、ここ二、三年来いろいろ協議いたしましたが、どうしても話が実はまとまりませんで、非常に工事もおくれ困惑しておったわけでございまして、現実はただいま楯先生のおっしゃったとおり、ちょうど新幹線の横切りますところ約百メートルか二百メートルのところに防波堤のような工事があったわけでございます。その後同社といろいろ折衝いたしまして、どうしても話がつきませんでしが、最近やっとそれを事務的にとにかくこちらに護るという話し合いに――まだまとまったという段階までは申し上げられませんが、そういう方向にやっと好転いたしてまいりまして、間もなく、そう遠くない機会に最も公正な値段でその土地を取得できるということになると思いますが、ただいままでたいへん長い間時間がかかりましたことを残念に、申しわけなく思っております。
○楯委員 補償を取るために、三十年前に二十万円といえばいまの三億円ぐらいだろうと思うのですが、一ぺん補償を取っておいて、そして今度新幹線で補償を取るために二千万円も投資をするような仕事が、現在の世の中に行なわれておるということは、全く不可解ですよ。運輸大臣はどうだか知りませんが、運輸省は建設の申請が出ているのですから十分それを承知をしながら、ああいうような答弁をしておるということは、全くわれわれをばかにしていますよ。新幹線をつくるということはわかっておるじゃありませんか。そこを横断をして鉄道営業をやりたいという申請が出てきたじゃありませんか。そして工事をやっておるじゃありませんか。それをいまだにほっておいて、そして警告をしたはずだが、その文書があったら出してもらいたい、どんな警告をしたか。こんなばかげたことが行なわれておっていいものですか。運輸省は申請を出して認可をしないのに建設をしたら罰則があるでしょう、罰則を適用しましたか。
○岡本政府委員 罰則の点につきましては、もちろんございますけれども、やはりこういう問題につきましては、行政指導と申しますか、その処分の前に一応警告を発しまして、それに従わないような場合には初めて罰則を適用するというのが大体のやり方でございますので、ひとまず警告を発したわけでございます。そこで、この警告に従って会社側としてはすぐ工事を中止したわけでございますが、なお、先ほど新副総裁から答弁がありましたように、大体事柄は円滑に解決する見込みでございますので、この点は御安心いただいてけっこうだと存じます。
○楯委員 私が一昨日行って話を聞きましたところによりますと、国鉄のほうは土地を四百坪、坪一万円から一万五千円で買いたい、こういう要請を伊豆箱根鉄道に出しておるそうです。われわれは注目しておりますよ。これが千五百万円か二千万円かけて、そしてこの四百坪の土地がどのぐらいの値上がりになって国鉄が買収するか、われわれは注目をしていますから、運輸大臣も、よくひとつ肝に銘じておいていただきたいと思います。
 それから、単にこの問題だけではない。次は、運輸委員会において過日論議をされました近江鉄道の問題がございます。いわゆる景色補償、あるいは踏切その他の補償で二億五千万円支払っておりますね。ところが運輸委員会において二日間にわたって議論をいたしましたところ、その補償に値しないと私どもは思います。社会党の議員は思います。それから、現地へ行ってこの近江鉄道の実態を見てきましたが、二億五千万円の補償には値いたしません。たとえば、もう時間がございませんから簡単に申し上げますが、一体、七キロ半の並行をするところに踏切を四十八つくるということを言っております。一説には五十三とも言いますが、一体、いま道というものがありますか。運輸大臣行かれたかどうか知りませんが、現地へ行った人はよく知っていると思うのです。七十メートルおきに大きなガードがある。これが百一あるわけです。その百一ある中で、四十八カ所とにかく踏切をつくらなくちゃならぬから、その他ひっくるめて二億五千万円よこせというわけです。ところが、まあ私は全部詳細にわたって歩いたわけではありませんが、ざあっと見て、たんぼで、たんぼのあぜはありますけれども、道という名のつくところは一カ所もありません。したがって、二十年か三十年あと、人家ができて、そして町道、村道、県道ができるということなら、これに対する補償なら別です。ところが、いまこの七キロ半にわたってほとんど道というものはないのです。たんぼのあぜ道だけです。人家もまばらです。なぜ、こんなところへ踏切補償その他といって、二億五千万円も支払うのか。あるいは乗務員手当というので、この補償額があがっております。これは議論をする余地はないと思う。今度新幹線ができますと、その五分の一か六分の一かは、いまの東海道と並行をいたします。国鉄は乗務員手当といって何がしかを払った。そんなら、来年十月以降新幹線が完成をされて、旧東海道と並行をしておる。乗務員が困る。乗務員に二割か三割の乗務員手当を払うつもりですか。これは国鉄に聞きたいのです。だから、いろいろありますが、あの補償というものは架空の補償であります。景色が悪くなるとか、あるいはお客をとられるとか言いますけれども、七キロ半は並行しておりますが、頭とけつは南北と東西に交差しておる鉄道のお客さんを――どうして新幹線が近江鉄道のお客さんをとるというような議論が生まれてくるのか。終点の彦根で新東海道線が停車をするということなら別ですよ。終着駅が大阪だ。乗りかえて行くということも言えます。ところが東西南北ですからね。これはお客の行き先が違うのです。お客をとるなんという根拠は全然生まれてこないわけです。これに二億五千万円支払っておる。そこで、この内容は、もう運輸委員会で相当議論をいたしておるので申し上げません。ただ、運輸省は調査をいたしまして、不当な支出があった場合にはこれを回収をいたします、適当な措置をとりますと、はっきり、速記録を見ますと言明をされておる。調査をされたのか。この二億五千万円をどうするのか。ひとつ明快な答弁をいただきたい。
○岡本政府委員 目下、その件につきましては調査をいたしておりますが、もともとこれは当事者同士の話し合いでございまして、会社側といたしましては、当初、自分のところの鉄道の並行区間の部分を高架にしてもらいたい、こういう要求を出したわけでございます。高架にいたしますと、約四億円を上回る計算に相なりますが、国鉄側としては、極力この経費を切り詰める意味から、いろいろ折衝いたしまして、結局のところ二億五千万円で妥結をいたしたわけでございます。もともと補償でございますので、ごく大まかなそういう話し合いになったかと存じますが、それをたまたま内容的にいろいろ分析してみますと、あるいは新幹線ができるために、現在の自分の鉄道線路の踏切の見通しが悪くなる、あるいは窓からのながめが非常に悪くなるということで観光客が減る。競合関係ではございません。つまりそういうようなことで二億五千万円というような金額におさめたのであろうかと存じますが、要するに総額四億数千万円の要求に対して、国鉄側がいろいろ努力して二億五千万円におさめた、こういういわゆる当事者同士の話し合いの結果による補償の問題であろうと考えておりまして、必ずしも違法ではないと存じておりますけれども、なお十分検討してみたいと考えております。
○楯委員 それでは、運輸省は、この委員会の言いわけかどうか知りませんが、まだ調査中だということを言っておりますので、私は保留をしておきたいと思いますが、まだたくさんありますよ。いま二、三申し上げただけでも、この新幹線設定と同時にいろいろな難題を吹っかけて、ぬれ手にアロの補償金をつかみとってやろう、こういう行動が東京−大阪間各所にわたって行なわれておる。その他、西熱海ホテルも私行ってきたのですが、三千坪の丹那隧道のズリ捨て場、うんと高くなっております。これも同じような人から、ひとつおれのところによこせ、こういう要請が国鉄にあるということを聞いておるわけですが、これがばらばらならわれわれはまだ議論のしょうがあると思うのです。ところが、新幹線の設定と同時に――いま申し上げました各企業は、日本でも相当有名な人の同一傘下の企業なんです。特に悪いことには、この人が十河総裁ときわめてじっこんであるというところに、私どもは大きな疑惑を抱くわけでありますが、こういう一連の動きについて、運輸大臣あるいは大蔵大臣はどう対処しようとするか。まだ解決しておりませんよ。所信の一端をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○田中国務大臣 私は、この問題を新聞で見ましたときに、この種の問題を将来根絶をしていくための問題としては、公共事業等の土地収用に関する特例法があるのでありますから、特にオリンピックというようなめどをつけて短い時間に突貫工事をやるというような問題に対しては、そういう法制上の処置を十分検討しながら方針をきめ、企画、設計をちゃんとしながら、しかもその用地に対しては収用法の適用を受けて進めるべきだったというふうに考えております。でありますから、将来の問題等につきましては、大蔵省としても十分の責任があるのでありますから、この工事は土地収用法の適用を受けるのですか、受けないのですかというような前提条件を十分ただした後積算をすべきであるということを厳重に申しつけておるわけであります。ただいまここで聞いておっても、違法ではないか、妥当性がないというような問題がたくさんおありになるということでありました。そのような状況が明らかにならないうちは、私のほうでは補正予算を組むなどということを申し上げられないと先ほど言いましたのは、監査委員会がいま監査権を発動しておるのでございますから、このような問題に国会で御納得がいき、国会を通じて国民が明らかに納得するような状態になって初めて財源問題その他を考究するのが政府の立場であるということを、先ほど申し上げておるわけでありまして、私のほうとしましては、そうでなくても財政多端のおりからでありますから、いやしくも国会で議論になるような問題に対しては出したくないという考えでございます。
○綾部国務大臣 ただいま御指摘のようなことは全く私も心外に思います。ただし近江鉄道についてはいま調査しておりますが、いまの伊豆箱根の鉄道……。(楯委員「大臣、見てきなさい」と呼ぶ)まだ見ておりませんが、実際不都合千万でございますから、私は法律の定むるところによって厳重なる処断をいたしたいと考えます。
○楯委員 時間を守りたいと思いますので、いろいろまだありますが、最後に二、三点お聞きしたいと思います。
 いま定期割引運賃の値上げをめぐっていろいろ議論をいたしておりますが、国鉄は私は赤字ではない、黒字だと思います。しかし国鉄が幾ら黒字であっても、四千億になんなんとする新規工事をやったのでは、これは金がないことは事実ですね。しかし、こういう問題をひっくるめまして、この間国鉄諮問委員会から答申が出ました。この答申を出した原さんの言葉を聞いてみますと、運賃を上げるならこれは五分で解決してしまう、運賃を上げないというのでこのような答申案ができたのだ、これは運賃値上げの伏線の答申書である、こういうことがいわれております。ところが石田新総裁は、運賃値上げはかえって減収を招くと言っておる。そうして定期割引の是正が必要だというので、きのう、きょうの新聞紙をにぎわしておるわけであります。
 時間がないから全部申し上げますが、私はずっと過去十年間の国鉄の営業収入を想定をいたしてみますと、旅客収入は大体黒字です。ところが、貨物収入は赤字ないしとんとんなんです。原さんの、運賃を上げるならばこんな答申書を出す必要がない。石田新総裁は、運賃を値上げをしてはかえって減収を招く。その、かえって減収を招くという根拠と、それから黒字である旅客運賃、定期割引といいますか、なぜ黒字である定期運賃の割引率の引き下げを考えておるのか。当然、常にとんとんか赤字である、送れば送るほど赤字の出る貨物運賃、貨物賃率というものをまず総裁は先に論議をされるべきが至当ではないか。石田新総裁は財界の代表ということで総裁になられました。その総裁が黒字である旅客運賃を云々して、赤字である貨物運賃に触れないということは、これは財界の利益を擁護しておる、こういうふうに勘ぐられてもやむを得ないではないか、こういう考えがするわけです。これに対する御所見をひとつ伺いたいと思います。
○石田説明員 お答えいたします。
 私は、諮問委員会の結論に関連いたしまして、あの答申によると国鉄の将来というものは実に暗たんたるものである。その数字につきましては、検討してみないとあのとおりかどうかということは確言はできませんが、大体の趨勢としては、私はああいうことじゃないかと思う。それに対する是正策として、私が運賃を上げれば減収になると申したことは、これはちょっと誤解されているのだと思います。私が運賃を上げれば減収になるということは、少なくとも貨物運賃においては、国鉄というものは独占性をだんだん失いつつある。トラックの競争というものはますます盛んになる。いわんや最近のように高速道路ができる場合においては、トラックの競争力というものはおそるべきものがある。その間において、貨物にもよりますが、ある種の、ことに高級の貨物の運賃を上げるということは、トラックにさい銭をあげるようなものである。それで減収になるということで、全部の貨物に関して運賃を上げれば減収になる、こういう意味じゃないのであります。この点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思う。
 それから旅客運賃でありまするが、国鉄の収入の主要な部分というものは旅客運賃だ。旅客運賃であるが、ところがその中の通勤定期、それから通学定期、御承知のとおり通勤においては八割二分の非常な高率の割引をやっておる。通学においては九割一分、九割二分というような非常な高率割引をやっておる。これはどう採算をしたところで非常にマイナスになるのであります。だから私としては、つまり国鉄の収支を合わせるという意味からいくと、この定期の問題をまず取り上げていかなければいかぬ。ただしこの定期のうちでも、学生の通学というものは九割二分というような非常に高い割引をやっておるが、しかし金額からいけば大したものじゃない。通勤、通学全部で三十七年度は六百三十億くらいの損になっております。六百三十億ということは、御参考に申し上げるが、鉄道法では五割までは割り引いて差しつかえない、こうなっておる。その五割以上の八割二分であれば三割二分、それから通学の場合においては四割一分、この三割二分、四割一分、これだけで合計六百三、四十億の損になっておる。しかもそのうちで一番大きいのは通勤なんだ。通勤に関しては、ひとつ是正する必要があるのじゃないか。何となれば、通勤者の大部分というものは各企業の従業員なんだ。各企業の従業員に対してこういう高い割引をしておるということは、国鉄が各企業に対して非常な奉仕をやっておるということだ。これは私は是正する必要があると思う。なるほど通勤者のうちには、各企業の従業員でない中小企業の従業員とか、あるいは小さな独立した人がおる。これに対しては何とか見てやりたいものだと思います。つまり定期の問題を考え、通勤者の割引を是正することを考えるときには、そこにいやな問題がある。しかし、これは採算から見てどうしてもやらなければならぬ、こういうことでございまして、大体あの諮問委員会の答申につきましては、まだわれわれとしては検討を始めたところなのでございますから、結論は申し上げられませんが、大体の私の見当としてはそういうことでございます。
○楯委員 時間でありませんので進みたいと思います。
 いま総裁は、国鉄の独立採算制を強調されたわけですが、いま黒字であっても、三十八年度六千七百九十二億の長期借り入れ金がある。それから新幹線が完成をしても、将来輸送需要をまかなうためには、年間三千億円の投資をしなければならぬ。こういう状態で、独立採算制を前提とした公共企業体の実現ということはできぬと思います。言うだけであってできない。したがって、これはだれが考えましても当面のやり方というものは、いま総裁のおっしゃいましたいろいろな割引については、その一部を政府が公共負担ということで補償をするか、あるいは長期借入金の利子の一部を政府が補償をする。そうして新線建設は政府が出資をしたもの以外にはやらない。政府がたくさんやりたければ、その建設費を毎年の予算で出せばいいのです。そうしておいて長期展望に立った計画を立てていかなければ、国鉄の再建というものはないと思うのです。これは総裁でも、われわれ社会党の議員で毛、おそらく大蔵大臣だって同じ考えだと思う。これをやるかやらぬかというところに、今日国鉄の問題点の根本があると思う。
 そこで、総理大臣がお見えになりませんから、大蔵大臣に一言聞いておきたいと思いますが、国鉄の諮問委員会の出しました答申、これはいろいろ私ども議論はあります。議論はありますが、一応この答申を新総裁の就任にあたってできるだけ実現をしようということを総理大臣は約束されておるのです。したがって、国鉄法の改正あるいは制度的改正の委員会をつくる、割引に対する政府補償のための委員会をつくる、こういう、長期計画は別として、当面国鉄の財源を措置するためには、一体大蔵大臣としてはいかなる方法をとったならば一番妥当であるか、この点はどうお考えになりますか。
○田中国務大臣 日本国有鉄道というものは非常にむずかしい問題であります。むずかしいといって、ただ独立採算制だけを推し進めていくということではいけないのでありまして、ここらで日本国有鉄道というものの公共性の限度というものもきめなければいかぬと思いますし、もう一つは、日本国有鉄道の独立採算制の限度というものも、公共性のウエートをどこに置くかということによっておのずからきまる問題でございますから、これらの問題は衆知を集めて決定をしていかなければ堂々めぐりの議論ばかりやってまいるわけでありますから、戦後もう十八年もたっておるので、新しい角度から国鉄の将来というものを、法制上必要であるならば法制上の措置をしなければならないと思います。
 まあ、そんな考え方の一環として、あなたがいま言われたように、鉄道建設公団というのを三十八年度に認めたわけでございます。いままでは、国鉄には公共負担を要求し、また一面独立採算制を要求し、国鉄が当然のこととして、国有鉄道としての仕事の一つ、新線建設という地方開発や、その他国が行なわなければならない部面も受け持っておるというような、相反するいろいろな問題がふくそうして今日の国鉄があるのでありまして、その中の一つをより高い立場で、政策的な面で新線建設を要求する面に対しては、鉄道建設公団法を今国会に提案をして御審議を願っておるわけであります。大蔵省としてもものわかりが悪いわけではないのであります。相当反対もあったわけでありますが、今日になってみれば、ああ、やはり赤字のほうは大蔵省が相当考えて、法律案を出したのだなということがよくおわかりになっていただけるのじゃないかと思うわけであります。こういう考え方から、国有鉄道の再建ということに対しては、ただ財務当局が金を出せばいいという考えでなく、政府全体としてこの問題を前向きに解決をしたいという考えでございます。
○楯委員 いま鉄道建設公団法ばかり大蔵大臣は強調されましたが、これは反対ですよ、大蔵大臣、あなたの意見は。六千八百億円の長期借入金がある。それから将来三千億円年間投資をしなければならぬ。それを独算制でやる。大幅な運賃の値上げをしなければ追っつかぬわけです。そうすれば経済を混乱させる。企画庁長官は午前中のわが党委員の質問に対して、公共料金は上げぬとおっしゃっておる。物価対策で上げないとはっきり言明しておられる。これは池田内閣の続く限りできぬですよ。またこれはやってもらっちゃ困ると思う。だから、その一部を利子補給するか、割引の公共負担の一部をやるか、あるいは新線建設は政府出資のみによって建設をする、多くやりたければたくさん出資をせよ、あなた、反対ですよ。国鉄の諮問委員会は建設公団法を再考せよと言っておる。政府はこの答申案がよく理解できたならば建設公団法は再考せよ。再考とは何か、これは修正じゃありませんよ。再考ということは取りやめなさいということなんです。反対ですよ。頭を横に振られるのだけれども、諮問委員会の答申案にはそう書いてある。再考しなさい、再考とは取りやめなさい、こういうことです。修正ではないのです。
 そこで、こんな議論をしておっても時間がたってしまいますので、それでは話のついでに公団法の二十三条、無償か有償か、これをずっと読んでみますと、「運輸大臣が後進地域その他特定の地域の開発等のため無償とする特別の必要があると認めて指定した鉄道施設は、無償で貸し付けることができる。」私は、こんなものは国鉄の財政を救済するなら全部無償で貸せばいいと思う。ところがつべこべとたくさん書いて、読んでみたって何のことかわからぬことが書いてある。特別の必要があると認めた場合に限って無償でやる、この特別の場合というのは何ですか、これは何を言っておるのですか。つまり建設をしたら赤字線であるか黒字線であるかということですか、簡単に言うと。はっきりしてください。
○田中国務大臣 これは政府も非常に積極的に国鉄の体質改善の一環として提案をしておるわけでありますが、この原案はだれがつくったかといいますと、法律に基づく鉄道建設審議会というのがございます。この全員の賛成に基づく建議がございました。この建議を政府はそのまま受け入れたのでありまして、新線建設というものには二つあります。一つは東京や大阪のように第二山手線をつくれとか、京浜線のバイパス線をつくれとか――桜木町線でありますが、こういうものと、現在問題になっておる新幹線のようなものであります。もう一つは、北海道のように明治から今日まで六十年、七十年赤字でございますが、北海道は鉄道をとったら開発ができないというような政策的な問題として、それから新産業都市の建設や低開発地の開発促進や産炭地の振興などという問題を考えますと、鉄道そのものの会計では赤字でございますが、これが国のより大きな立場から見た場合に、その地方の大きな発展をもたらすというような場合、これは当然赤字であって毛必要なわけでありますが、これを国有鉄道固有の財源でもってまかなうということの不合理性を是正するために建設公団をつくるということをこうしてお願いしておるわけでありまして、東京、大阪の新線建設、またいまの東京−大阪の新幹線のようなものを無償にして国鉄に貸し付ける必要はありません。その意味で国鉄が独立採算制をモットーとしておるものであるというたてまえから考えると、当然ペイするものは有償で貸し付け、より違う政策目的によって当然長い間赤字になるというような鉄道に対しては無償で貸し付けるというふうに理論を……。
○楯委員 特別の理由という特別は、黒字か赤字かという内容がわからぬ。
○田中国務大臣 特別の理由とは、先ほど申し上げておるように赤字が出る、こういうものであります。
○楯委員 この建設公団は、鉄道建設審議会の要請によってつくったとおっしゃいますが、ただ野方図につくれと言ったのじゃないと思うのです。建設審議会は、私の記憶では、毎回設建費は政府の出費、予算的措置をせよ、こういうことを言っておると思うのです。その急所が抜けておるのじゃないかと思うわけです。特別の意味はわかりました。
 それでは時間を守りまして、最後に一問だけお願いします。
 仲裁裁定ですが、国鉄に出ました仲裁裁定、全額で百六十二億を四月一日から実施をしなければならぬと思います。ところが閣議決定によりますと、予備費、改良費、資産充当からこれを流用せよとあります。先ほど来議論をしてまいりましたように、改良費は新幹線の工事費に一時流用であります。百六十二億の財源をこの中から捻出をするということは非常に私は困難だと思う。どこから捻出をされるのか、お伺いしたいと思います。
○綾部国務大臣 三十八年度仲裁裁定の所要の金額は、私どもの計算では百四十七億四千四百万円でございます。そのうち予備費及び既定経費を節約することによって五十億円をまかない、それから不要資産その他を売却することによって四十六億六千万円をまかない、資本勘定の改良費の中からこれまた流用いたしまして約五十億、結局百四十七億四千四百万円でいける確信を持っておりますものですから、私は補正予算を組まなくてもいいと考えております。
○楯委員 ほんとうに議論にならぬですよ。何かというと改良費、東海道線改良費、仲裁裁定改良費ですね。これはほんとうにあぶなくて、国民の安全運送の約束とだいぶ違う。これは私は政府の責任だと思う。
 それでは時間がございませんので、総裁に一言申し上げたいと思いますが、まあ十河さんもりっぱにいろいろ仕事をやっておられましたが、従業員の扱い方について私どもは気に入らない点があったわけです。今度のような仲裁裁定の問題が起こりましても、一番ばかを見るのは国鉄の労働者です。諮問委員会の資料を見てみますと、昭和三十一年から三十七年まで、収入は七五%ふえております。ところが従業員はわずかに〇・八%ですよ。ほとんど同一人が収入を倍ぐらいあげておる。だから、内容はいかに労働強化になっておるかということがわかると思う。ところが新幹線その他で金を取られてしまって、昇給は他の公社と同一には行なわれぬ。少ないです。期末手当も他の公社より少ないです。全く国鉄の労働者というものは、これは石川啄木の歌じゃありませんが、働けど働けどですよ。かさ屋の小僧で、骨を折ってしかられておるのです。こういう状態に幾らあなた方が弁解をなさっても置かれておるということは事実なんです。こういう点を十分ひとつ考えていただきまして、労働対策についてもあたたかい、他をよく見て比較をして、ひとつ対策を立てていただきたい。このことをお願いいたしまして、私の質問をやめます。
○石田説明員 ただいま国鉄従業員の給与の問題についてお話がありましたが、御承知のとおり、国鉄の収支の状況というものは、大体の傾向といたしましては収入より支出というものが年々多い。そうしてその傾向というものは、私は当分変わらぬと思う。しかもその支出の大部分といいまするのは人件費であります。国鉄は、やはりないそでは振られないということで、いかに従業員に対して給与をよくしたいと思ってもできないのです。そういうことで、私としてはできるだけ給与をよくしたいといういわゆる企業的精神で、普通の民間の精神でいきたいと思いますが、どうも国鉄の収支状況をもってし、財政状況をもってすると非常にむずかしいのである、こういうことで今後とも十分に四十五万の人間の福祉は考えますが、いまのところで非常に困難であるということをお含みおき願いたいと思います。
○塚原委員長 次会は明四日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十四分散会