第045回国会 本会議 第7号
昭和三十八年十二月十一日(水曜日)
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 議事日程 第七号
  昭和三十八年十二月十一日
   午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
                (前会の続)
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○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
                (前会の続)
 福田国務大臣の三池炭鉱災害についての発言
 綾部国務大臣の鶴見事故の報告についての発言
 国務大臣の発言に対する質疑
   午後二時四十二分開議
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
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 国務大臣の演説に対する質疑
                (前会の続)
○議長(船田中君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。赤路友藏君。
  〔赤路友藏君登壇〕
○赤路友藏君 私は、日本社会党を代表いたしまして、物価問題ほか数点について、池田総理大臣並びに関係各大臣に質問をいたしたいと思います。
 まず、第一点は、三十九年度予算編成方針に関してであります。
 政府・与党は、このたびの総選挙に際して、公約の中で、物価上昇の抑制、二千億減税、農業、中小企業等おくれた分野への重点施策を特に強調されたのであります。これらの公約は当然実施されなければなりませんが、私は、個々の点で具体的にお伺いをいたしたいと思います。
 まず、その一は、物価値上がりの抑制措置についてであります。
 物価抑制の総合対策としては、現在の国際収支の悪化ともからんで、財政金融の全体としての引き締めが必至となっておると思うのであります。政府においても、そのような方針であると思いますが、一般会計、財政投融資を含めて、三十九年度予算規模はどの程度に押えようとされるのか、その点をまず総理にお伺いいたしたいのであります。
 次に、首相は、前国会におきまして、物価安定については、管理価格の検討、大企業製品の独占価格の是正、大企業商品の値下げ要請等を強調されておられるのであります。これは当然のことでありますが、政府みずからが行なってまいりました勧告操短についてどうお考えになっておるのか。今日ある物価高の原因は、勧告操短と管理価格にあるといっても過言でないと思うのであります。この際、独占価格をささえるカルテルの規制をもっと厳重にすべきではないか、また、独禁法の適用除外立法を再整理し、公正取引委員会を充実して、法の運用を強化すべきではないか、これらの諸点に対する首相の御意見を承りたいと思います。
 また、基本対策とともに、当面個々の物価対策を有効に進めることが現下の急務でありますが、特に物価問題懇談会の意見書にもあるように、公共料金の一定期間引き上げを停止する等のきめのこまかい措置を講ずることが必要であると思います。この際、公共料金に限らず、重要物資等を含めて、たとえば公共料金重要物資価格規制法のようなものを定め、こうしたものを前提にして、生産財、消費財を需給バランスのとれるものにしていかなければならないと思いますが、これらの点に対する総理の御見解を承りたいのであります。
 いま一つ、物価安定の重要な要素に流通機構の改善があると思います。そのためには、できるだけ公営市場を増設することであるし、その運営にあたりましては、生産者に対しては再生産を確保する、消費者に対しては安価に供給する、中間商人には一定の利潤を守る、この相反発する三要素をどう調整するかということが一つの課題であろうと思います。こうしたことを円滑に進めるために購買販売事業団の設立が望ましいと考えるのでありますが、首相はどうお考えになるか、御意見を承りたいのであります。
 第二に、減税の問題についてお聞きいたしたいと思います。
 減税は、企業減税重点ではなく、大衆課税の減税のために所得税中心に行なうべきであると思います。最低生活費には課税しない、こういう原則を貫くため、標準五人世帯年収六十万円までは非課税にすべきであると思いますが、この点いかがでしょうか。
 次に、住民税でありますが、本文方式にすることによって、地方自治体の減収は約二百四十億余りだと思われます。自治体の現状から見てまいりますと、国民に対するサービスの低下が必然になろうと思うのでありますが、これでは与党の言われる二千億減税の意義は失われると考える。この補てんについて具体的な施策をお示し願いたいと思うのであります。
 もう一つ、固定資産税の評価がえによる増税でございますが、これは地代、家賃等の引き上げとなり、物価上昇への要因となるのであります。私は、これはやってはならぬと思う。総理は、再三にわたって、絶対ふやさないということを言っておられる。私は、やらないと理解する。しかし、税制調査会の答申原案には、総額三割増というようなことがいわれておる。総理は、この税制調査会の答申を無視しても、みずから発言されたことを守り、固定資産税は絶対に上げないという処置がおとりになれるかどうか。以上、減税の問題について、総理の明快なる御答弁をお願いしたいのであります。
 第三に、農業政策についてであります。
 首相は、さきの臨時国会で、おくれている農業の近代化のために強力な措置を講ずる、こういうことを言明されたのでありますが、その内容については遺憾ながら何ら具体的に示されておりません。また、昨日の所信表明演説でも、革新的な方策を講ずるため、財政金融の総力をあげて立ち向かう決意であると言われておるのであります。そこで私はお尋ねいたしますが、現在政府が進めている農業構造改善事業は、指定を受けた市町村のうちの六分の一くらいの地域でしか事業がやれません。また、農家の自己負担が非常に多く、農産物の価格が不安定の中で、農民はこの事業に大きな不安を抱いておる。これが実情でございます。
 首相は、所得倍増政策の結果、農業と他産業との格差が拡大したことを認め、革新的方策をもって農業近代化に力を入れると言われるならば、単なるから手形であってはなりません。具体的に農業構造改善事業については、事業の規模を大幅に拡大し、国の補助率を引き上げ、農家負担を軽減することをまず明示されるべきであると思いますが、どうでございましょうか。
 また、首相は、財政金融の総力をあげてと農業への政策金融を呼称されるが、昨年政府が大いに宣伝した年利三分五厘の農業構造改善事業推進資金も、ふたをあけてみると、本年度の融資ワクはたった三十六億にすぎなかった。首相の言われる革命的農業近代化は泣いていると私は思う。今度こそ本気にこの点お考え願えるとすると、どの程度のことをしていただけるのか、具体的にその内容を明確にお示しを願いたいと思います。
 さらに、政府が選択的拡大の中心的作物として奨励している果樹、畜産が最も価格不安定であります。農民に大きな不安を与えているのであります。四月に行なわれましたバナナの自由化の影響で、本年のリンゴが一割もしくは二割安の価格になり、干しブドウの輸入自由化は、ブドウ栽培農家に深刻な打撃を与えようとしております。また、畜産については、農林省が酪農振興を唱える一方で、文部省がアメリカの余剰脱脂粉乳を八万五千トンも輸入するという、きわめて統一を欠く政策のもとで、乳製品の在庫を増加させ、生産者乳価を圧迫しておるのでありまして、この結果、政府が伸ばそうとしておる畜産が、三十八年度の構造改善事業の基幹作目の中で、前年より逆に減少をしておるのであります。これらの実情をどう判断し、農業近代化を進めようとするのか、明確なるお考えをお示し願いたいと思います。(拍手)
 第四に、農林水産の災害対策についてであります。
 本年は、初頭から近年まれに見る豪雪に見舞われ、全国各地に大被害を出し、四月以降は長雨により麦類は壊滅的被害を受け、果樹、蔬菜、なたねなどの被害はまことに大きいのでありまして、現在までの被害額は、概観いたしまして二千億円をこえるといわれておるのであります。したがって、国会におきましても、いち早く天災融資法の特例、自創資金の追加配分、各種の助成措置を骨子とする対策について政府に申し入れたのであります。政府も誠意をもってこれに当たったと思います。しかし、いかなる適切な措置も、早急、円滑に実行されないようでは意味はございません。聞くところによりますと、六カ月以上も経た今日、なお被害者にこれらの資金が渡っていないものが多数あるという。まことに遺憾であると思います。事務の簡素化について抜本的対策を講じ、災害の実情に沿うようにすべきであると思いますが、現在のままでよいとお考えになるかどうか、農林大臣にお伺いをいたします。
 また、今年の米作は史上二番目の豊作といわれておるのであります。だが、実際には、局地的に著しい減収となっておる地域のあることを見落としてはならないと思います。特に農林省の作況予想で、九月十五日現在平年作と見られていた東北地方の岩手、秋田、宮城が、十月十五日の予想では平年作を下回るなど、実際の収量が予想以上に悪いのみならず、品質の低下が目立ち、実質手取り額が大幅に減少し、豊作の陰に泣いている農民の少なからず出ているのが本年の災害下の実情であります。(拍手)長雨による麦対策は一応立てられているが、このような農民が現在あることを忘れてはなりません。何らかの救済措置を考えておられるかどうか、農林大臣にお伺いをいたします。
 次に、本年初頭からの異常冷水による海流の変化、漁場並びに魚道の変化、長雨による一定期間の出漁の不能などによる漁獲の減収について、私は自然現象による異常災害であると考えております。農作物災害に対しては手を打たれた。漁業災害については何の措置もとられていない。漁民は日本国民ではなきがごときでありますが、農林大臣はこの現状に対していかなる所見をお持ちになっておるか、この点を明確に御答弁を願いたい。
 また、異常災害による不漁の場合といえども、現行天災融資法の適用は受けられないのでありますが、これを改正して漁民にも資金の貸し付けをなし得るようする意思があるかどうか、この点農林大臣に御答弁を願いたいと思います。
 さらに、陸上における農作物被害等については、農業災害補償制度が確立している。だが、漁業の場合はいまだこの制度は確立されておりません。去る十二月六日、全国の漁民は日比谷公会堂に集まり、漁業災害補償制度確立の要求を決議いたしました。その席において、与党を代表いたしまして三木政調会長が、漁業災害補償制度確立は党の公約でありますので、早急に立法措置を講ずるとともに、これに必要な予算措置を確保することを確約されているのであります。赤城農林大臣も同様な趣旨のことばがあったのでありますが、私は、この際あらためて念を押しておきたいと思います。選挙中、総理は、農林漁業に対し、革命的政策をもって次期政権を担当すると公約しておることもありますので、具体的に漁業災害補償制度の確立に対する方針を承りたいのであります。と申し上げますことは、すなわち、三十九年度から本格的実施を行なうために、次期通常国会に、この制度確立に必要な立法措置を講ずるとともに、予算の確保をする考えがあるかどうか。早急にとか、できるだけ早くとか、努力いたしますとか、善処するというようなことばでなく、イエスかノーか、端的にお答えをお願いしたいと思います。(拍手)
 第二点は、給与問題についてお尋ねをいたします。
 昭和三十七年度の総理府統計局の就業構造基本調査報告によりますと、雇用労働者二千四百万人の中で、年間十八万円未満の賃金労働者が八百八十六万人もおるということ、しかも、その中には、年末手当、残業手当、その他諸手当のすべてが含まれておる。したがって、月々の賃金収入は、一万二、三千円程度になるのであります。同年度の生活保護費は一万三千七百円となっておりますから、八百八十六万人の雇用労働者は、生活保護世帯並みか、それ以下の水準であるということになるのであります。これは総理の監督下にある総理府の最も新しい統計でありますから、疑問の余地はないと思いますが、この実態を前提として私は総理にお伺いをいたします。
 総理は、機会あるごとに、日本は大国である、日本の賃金水準はヨーロッパ並みであると誇示しておられるが、私がいまあげました賃金の実態を御存じであるのかどうか。総理が所得倍増政策を宣伝し、バラ色の幻想を国民に振りまいている陰で、膨大な低賃金労働者が温存され、再生産されているのであります。一生懸命に働きながら、生活保護世帯以下の賃金しか得られない労働者を、私はむしろ意識的におつくりになっているとしか考えられない。私は全くむごい現実の姿であると思いますが、総理は、この現実をもって、なおヨーロッパ並みの賃金水準だと言われるつもりかどうか、この御所見を承りたいと存じます。(拍手)
 次に、私は、この低賃金構造を前提として、国家公務員の給与について質問をいたしたいと思います。
 先般なされた人事院勧告は、民間賃金を基準として公務員給与をきめているのでありますが、さきに述べましたような低賃金構造の中で、低い民間賃金を基準にしますと、低い公務員給与しか算出されないのは当然であります。このように低く算出されている人事院勧告すら、いまだかつて政府は完全に実施したことがないのであります。人事院勧告の水準ですら低い給与であるのは、さらにそれを下回った実施となると、公務員の生活実態は苦しくなることは当然であります。こういう生活の実態の中に、国家公務員が一律五千円アップを要求する理由があると考えられるのでありまして、政府としては、この実態を正しく見詰め、国家公務員の給与決定については十分の配慮を必要とすると思うが、総理のこの点に対する御見解を承りたいと思います。(拍手)
 これに関連して、公務員の労働基本権を今後どう処理されるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
 ILOでは、日本政府が八十七号条約の批准をおくらしていることについて、数度にわたって非難をしているのであります。だが、政府の態度はいまだ明確ではございません。しかし、これ以上本問題を放置することは許されないと思うのであります。万一、さようなことがなお継続されるといたしますならば、日本の国際的信用は地に落ちるでありましょう。もはや逡巡する場合ではありません。どの対処するか、この際、明確にお答えを願いたいと思います。
 最後に、中小企業年末金融についてお尋ねをいたします。
 池田内閣による大企業偏重の高度成長政策が、中小企業を著しく圧迫していることは今日周知の事実であります。これを中小企業の倒産状況について見ますと、三十七年以降急激にこれが増加している。その後今日に至るまで高い水準を続けているのでありますが、この十一月には実に二百五件に達し、従来の最高記録である三十二年七月の二百三件を上回るに至ったのであります。この主たる原因が中小企業の資金難にあることは言うまでもありません。中小企業者にとって、特にこの年の瀬をどうして乗り切るか、まことに死活の問題であるのであります。この中小企業の苦しみをよそに、一般市中銀行は大企業向け融資に力を注ぎ、そのために中小企業向け融資比率は、昨年の三〇%から最近は二五・六%まで低下しているのであります。また、昨日日銀は預金準備率の引き上げを発表しておる。公定歩合の引き上げも時日の問題であろうかと思います。これらが中小企業の金融にどう影響するか、特に、中小企業者の年末融資に対する要求は、まことに切実なものがあるのであります。しかるに、この中小企業者の切望にこたえる政府の態度は納得がいきません。冷酷であるとすら思われる。財政投融資計画追加分三百億円、これでは年末から年初にかけて中小企業の倒産が一そう多くなることは明らかであります。この当面する中小企業の年末金融難を緩和するため、少なくとも財政投融資計画追加分を五百億円以上緊急融資すべきであると考えますが、通産大臣、大蔵大臣のこの点に対する所信のほどを承りたいと思います。
 以上をもって私の質問を終わらしていただきますが、抽象論でなく、具体的に御答弁くださいますようにお願いして終わることにいたします。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 まず第一の来年度の予算の規模でございますが、ただいませっかく検討中でございます。ただ、予算の性質としては、あくまで健全均衡予算であることを申しておきます。具体的な数字はいずれ御審議願うことになりましょう。
 次に、物価問題でございますが、わが国の卸売り物価が外国のそれに比べまして非常に安定的傾向を持っておるということは、わが国には欧米のごとく独占的価格がわりに少ない、自由競争の原則によっている結果でございます。したがいまして、私は、わが国におきましてもできるだけ独占禁止法を活用していきます。ただ、いわゆる生産性が非常に向上しておるにかかわらず、その生産物価格が硬直しておるような業種につきましては、今後あらゆる行政指導をいたしまして価格の引き下げに努めていきたいと考えております。また、勧告操短の問題は、すでに御承知のとおり相当やめまして、いまでは二、三種類だけにとどまっておることを御了承願いたいと思います。
 なお、公共料金につきましては、物価問題の審議会の答申もございますが、一年間全部ストップすることがいいか。あるいは原則としてはいままで以上に強くストップいたしまするが、全国各地で行なわれて値上げしたものが、特定の地域だけ行政的に待たしてもらう分まで、ほかとのふつり合いをがまんしながら一年間ストップするということは私はいかがなものかと思います。具体的な例を言えば、東京のタクシーでございます。私は、この問題は、大阪、神戸、川崎、横浜が全部最近上がっておるのに、東京だけがいまおくれておるからといってこれを一年間待てということは、行政の実態からいかがかと思って、いま検討しております。その他の面につきましては、いわゆる都のバスその他については、私は前以上に押えるつもりでおります。全部がオール・オア・ナッシングという政治はいかがなものか、ことに一年待ったら、一年たったらそれは自由にするのだというふうなことは、私はおいそれと賛成できないのでございます。
 なお、物価問題につきましての流通機構の拡充合理化、お話しのとおりどんどんやっております。市場の拡充あるいは新設、あるいは手数料の引き下げ、その他あらゆる方法を昨年からとっておることは、すでに御承知のとおりでございます。
 次に、減税の問題につきましては、企業減税か所得減税か、いろいろ議論がございますが、やはり国民各層に一番喜ばれる減税をやっていきたい、これが私の考えでございます。なお、所得税のいわゆる課税限度と申しますか、五人家族でどの程度のものを免税に持っていったがいいか、あるいは社会党、民社党の方々は、月五万円、年六十万円とおっしゃるのでございますが、私の調査では、いわゆる五人家族の基準生計費は大体四十七万五、六千円と承知いたしておりますので、月四万円ということにいたしたのであります。生活水準が上がって基準生計費が年六十万円というようになりますれば、私もそのときには考えていきたいと思います。やはり事実に沿った税制をやらなければならぬと考えておるのであります。(拍手)
 なお、住民税につきましては、私はいち早く減税を唱えた者でございます。ただし書き方式を本文方式に変えていきたいと思います。具体的数字が二百四十億と言っておられましたが、私の計算ではもっとかかると思います。三百億まではかかりませんが、二百八、九十億ではないかと思います。この補てん方法につきましては、ただいま自治省、大蔵省で検討し、また税制調査会におきましても検討を加えておるようでございまするが、私は、この補てん方法につきましてはいろいろな方法がございます。まず、減税を一年でやるか、二年でやるか、三年でやるか、それによっていろいろな方法があると思うのですが、いませっかく検討いたしております。
 また、固定資産の評価がえによりまする増税はいたしません。ことに農地につきましては負担の増加にならないよう、お約束どおりにいたします。税制調査会がいかに答申しようとも、これは内閣総理大臣の責任においてやりますから、どうぞ御安心願いたいと思います。(拍手)
 なお、農業関係の問題でございまするが、私は、もうすでに御承知のとおり、所得倍増計画をいたしますときから、農業の問題、中小企業の問題は大問題だ。だから、私が農民の方が三分の一あるいは四割減ると言ったら、びっくりせられたでしょうが、そういう事態がくることは私はよく初めから予想しておる。したがいまして、農業基本法を制定し、いわゆる農業改善事業をいま着手しておるのであります。全国で千二百の市町村を選びまして、三十七年度に百七十五カ市町村、今年度二百五十カ町村を着手いたしました。しこうして、その結果を見て、足らざるところはもっと強くやっていかなければなりません。また、いろいろな方法を――着手して、いろいろな事態にぶつかりますから、その事態を解決すべく、いわゆる金融財政の総力を向けていこうとしておるのでございます。私の三年前から予想しておったことでございまして、私の責任におきまして、とにかく農家が喜んで農業構造改善に向かい、農業がりっぱな企業として、日本産業の礎石、もとをなすような農業を育て上げることは、三年前から私の公約でございます。これを絶対にやっていくことをここではっきり申し上げておきます。(拍手)
 なお、価格の点につきまして、いろいろ、くだものの価格とか、あるいは乳製品の価格ということをおっしゃっておられますが、いまやかましいのは、農家のくだものあるいは乳製品の問題もありますが、消費者が高いくだものを食べておられるということも、大きい政治問題でございますよ。そこで、私は、農家にもよく、消費者にもいいような政治を、いわゆる物価安定策としてとろうとしておるのであります。(拍手)
 なお、農業災害につきましては農林大臣への御質問でございましたが、特に私に御質問になったことは、漁業の災害補償でございます。いわゆる漁民の収入減とそうして水産資源の変動です。この因果関係につきましては十分検討しなければなりません。漁業はいわゆる陸上農業とは違います。漁民の所得減というものがいかなる理由によるか、しかしてその所得減とどういう関係があるかということを十分調べていかなければなりません。したがって、率直にお答え申し上げますが、三十九年度の予算で漁業災害補償法の制定は困難でございます。しかし、私はこの問題につきましては今後十分検討していきたいと考えております。
 次に、低所得層でございますが、低所得層の数の問題を総理府統計局その他で言っておられました。私は具体的にお答え申し上げますが、池田内閣のできる前の三十四年と昨年とを比べますと、雇用労務者で月一万円以下の人は、三十四年には七百万をこえておりましたが、三十七年には三百七十四万人と、ほとんど半分減っております。物価は一割六分しか上がっておりませんが、人員は半分近くになっておるということを御承知おき願いたい。(拍手)
 なおまた、社会保障の生活保護費の一万二、三千円、東京における四人家族の分と一人の月給とを御比較になるのは、その基本がまるで違ってはおりますまいか。(拍手)私は、その点はひとつお考え直しを願いたいと思います。
 なお、国家公務員の給与につきましての御質問でございますが、人事院の勧告によって私は善処いたしておるのであります。公務員は公の奉仕者でございます。したがって、憲法二十八条にいう団体交渉権あるいはいろいろな労務者の基本的人権は、公の奉仕者である公務員につきましては直ちに適用にならぬことは、すでにたびたびお答えしておるとおりでございます。
 なお、日本の労働賃金がヨーロッパ並みになっているということにつきまして、御質問がございましたが、あなた方がいつもおっしゃいますILOの資料によりますると、一時間当たりの日本の労働賃金は三十八セント一でございます。イタリアは三十九セント七でございます。フランスは四十九セント六でございます。しこうして日本の賃金の上昇率は、フランスよりもうんと上であることは、ILOも認めておるところでございます。なおかつ、私は、この問題につきましては、いろいろ我田引水がございますから、ごく最近の、十一月二日発行のイギリスのエコノミストの記事によりますると、こう書いております。日本の鉄鋼業の従業員は四万円、中小企業も一万五千円、いまや日本は低賃金国にあらず、社会保障的な、会社で行なっておる福利厚生施設には、驚くべきものがあると書いております。また、イギリスのいままでの財界の人々も、こういう気持ちで私に接しております。(拍手)先般日本においでになりましたエアハルトも言っておるように、いまや日本の賃金は低賃金ではなく、だんだん上がってきたというのが、世界の人の認めておるところでございます。これを御参考に申し上げましてお答えといたします。
 最後に、中小企業に対しましての年末融資でございます。第三・四半期におきまして四百億円の政府関係機関への融資をきめております。また、二百五十億円の買いオペによる中小企業への融資を決定しております。これは大蔵大臣、通産大臣にかわって答えます。そういう状況でございまして、私は、中小企業の年末金融は、従来どおり円滑に越年できると考えております。
 なお、最近の中小企業の破産のことをお話しになりましたが、そのお話しになります数字のところには各会社の名前が出ておりまして、非常に思惑をやったのが原因だと付加してありましたことをつけ加えて、私の中小企業金融への対策のお答えとしたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
○国務大臣(赤城宗徳君) 私に対する質問は、災害に対する対策でございます。災害対策につきましては、一昨年法制的には一応整備されました。しかし、その手続等が非常におそくて、災害者に渡る天災融資法による経営資金とか、あるいは自作農資金、営農資金等が非常におそいではないか、十分早く渡すようにやっていますが、そういう声も私も聞いております。なお一そう手続を簡素化し、迅速に行き渡るように督励をいたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
 第二に、長雨等に対しましては、十分やってきましたが、その後、台風とか低温等により広範囲の地域に災害ができました。これにつきましても、天災融資法の発動を考えるほか、営農維持のための自作農維持資金を実行いたしております。また、農業共済金の仮渡し等につきましても、被害状況の把握を持って、すみやかに行なうつもりでおります。さらに、そのあとでまた出てきた冷害地がございます。これにつきましては、いま被害額が約百五十億をこえるということが判明してまいりましたので、天災融資法及び自作農維持資金の融通の道を開くこととして、事務当局に鋭意その道を開くべく督励をいたしておりますから、近くそういうことに相なると思います。
 第三に、非常に冷たい水、冷水等に対しての漁業の問題をどうするか。これにつきましては、ことしの一月から非常に冷水温で、魚類の回遊の変化とか、水産資源の変動等の現象と、漁業者の収入減との関係等を、数量及び金額で明確にすることは非常に困難で、これに天災融資法を適用するということはなかなかむずかしいと思いますが、しかし、政府といたしましては、系統金融機関農林漁業金融公庫等関係金融機関を通じまして、再生産に必要な資金の融通の円滑化、すでに貸し付けました金の融資条件の緩和等につきまして必要な措置を講じております。
 さらに、総理からお答えになりましたが、漁業災害補償法の問題でございます。これは、総理のおっしゃるように非常に困難でございますけれども、試験研究も続けてまいりましたので、試験研究はもう打ち切りまして、本格的にこちらへ入っていこう、こういうことで実は予算の折衝もいたしております。困難な面もありますが、立法の面等におきましても、できるだけすみやかに立法ができるような体制を整えつつありますので、その点御了承を願います。(拍手)
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○議長(船田中君) 佐々木良作君。
  〔佐々木良作君登壇〕
○佐々木良作君 私は、民社党を代表いたしまして、昨日の池田総理の所信表明に関連いたしまして若干の質問を行ないたいと存じます。
 その第一は、当面の経済問題に関するものでありまするし、第二は、今後の農業、中小企業対策の基調についてでありまするし、さらに第三は、政治の姿勢についてであります。
 さて、まず当面の経済問題、格別、国際収支の問題について伺いたいと存じます。
 総理は、去る十月十八日の解散国会の施政方針演説におきまして、国際収支について、「総合収支では年度間を通じてほぼ均衡を維持し得るものと確信いたしております」と言明されておりますが、いまなおこの確信は動いておらないのでありますか、まずもってお伺いいたしたいと存じます。
 御存じのように、すでに宮澤経済企画庁長官は、来年度の経済見通しに関連いたしまして、「来年度の国際収支は、改善につとめても、総合収支では二億ドル前後の赤字にはなろう」こう言っておられますし、日銀当局も、総合収支の赤字を、本年度一億ドル、来年度二、三億ドルは下るまいと見ておるようであります。そして、このような見通しに基づいて、日銀は本格的金融引き締め方針を決定いたし、その第一弾として昨十日、日銀預金準備率の引き上げを発表いたしたものと思われます。当然、政府とは十分な協議を遂げた措置と考えられるのでありますが、一カ月そこそこの間に、政府の見通しにはいかにも大きな変化が起こったことになるのでありますけれども、国民の不安を除去するために、この間の事情について明確にされんことをまず要求するものであります。
 さらに、今回の国際収支の悪化は、最近における卸売り物価の漸騰のきざしとともにその不安度を増し、いわゆる第四の外貨危機説をさえ流行せしめて、一そう深刻な表情を示しつつありますが、総理は金融の量的規制や金利引き上げなどの、いわゆる通常の金融引き締め政策をもって乗り切り得るものとお考えになっておるのでありましょうか。予想される外貨危機についての総理の御見解を承りたいと存じます。(拍手)
 解散国会における西尾委員長の質問に答えて、池田総理は、国際収支の問題につきまして、「どうぞ御心配ないように、外国人でも日本の経済は信用しておるのでありますから、日本の経済がどんどん伸びていくときには、外国からお金を借りることも適当でございます。商売がどんどん伸び、仕事がふえるときに、銀行から金を借りるということは当然のことではありますまいか。借りられるだけの信用があることを喜ばねばなりません。」こう言っておられるのでありますが、私は、この総理の自信と考え方の中にこそむしろ不安を禁じ得ないものがあるのであります。(拍手)この不安は決して私だけのものではないと考えるのでありまするから、あえて私は付言をいたしす。
 確かに、外貨危機と称されました昭和二十八年、三十二年、三十六年の三回の事態は、総理の強気のごとくに回避され、事なきを得ました。しかしながら、この三回の危機の乗り切りは日本経済の成長過程におきまして、健全ならざる要素を持ち込んだと思います。すなわち、それは借金による設備拡張政策の慢性化であり、この借金政策は麻薬治療の慢性化のごとくに日本経済の健全性をむしばんできたと存じます。そして、借金経営によってむしばまれた体質は、来たるべき第四の危機に対して、その対策の受け入れを一そう困難ならしめていると思われるからであります。また、経常収支の赤字を資本収支の黒字で埋めてきた従来のやり方は、国内と同一の借金政策を意味するものでありますが、今回の利子平衡税の創設などの事態は、そのような安易な政策の続行を許すものではありません。同時に、対外債務の累積は五十六億ドルにも達し、うち短期債務二十六億ドル、短期債権を差し引いた債務超過二十億ドルとか、これは外貨準備の総額に匹敵するものであります。さらに、このうち最も危険なユーロダラー及び自由円の合計額は七億ドルといわれ、これは何どき引き上げられるかわからぬ性質のものであると見るならば、わが国の外貨準備は極度の不安にさらされているとも見られ得るのであります。
 このような事態に対して、私はここに経済のオーソドックスに立ち返る考え方を主張いたしたいのであります。すなわち借金政策転換への心がまえであります。それをあらゆる政策の前提に置くことを主張いたしたいのであります。なぜならば、目下の事態は通常の金融引き締めによるには症状が進み過ぎているのではないかと考えられるからであります。もし金融引き締めで消費者物価の上昇を押え、物価と賃金のいわゆる悪循環を断ち切るところまで行こうとすれば、必ずやそれは多くの破産、倒産を引き起こし、はげしい不況を招くであろうから、とうてい取り入れられない方策となりまして、結局母体自身の体質改善という根本療法たるオーソドックスに戻らざるを得ないと考えられるからであります。
 物価問題も、外貨問題も、いまこのような観点に立って検討すべき時期に立ち至っていると考えられるのでありますが、総理の私のいまの考え方に対する御批判を明確に承りたいと存じます。私は、かつて金準備に関しまして、政府に対し強い要望を行なったことがあります。いまなおその考え方を持ち続けておるのでありますけれども、いまドル防衛のきびしい動きの中で、いわゆる開放経済体制に入らんとするにあたって、特に借金政策の転換を主張いたしたいのであります。
 さて、質問の第二点は、農業、中小企業の近代化の問題であります。
 池田内閣は、今度の総選挙にあたりまして、所得倍増計画のアフターケアを打ち出し、農業、中小企業のひずみ是正を公約いたしました。総理はまた、今回の、昨日の所信表明におきまして、画期的な対策のため、財政金融の総力をあげてこれに立ち向かう決意を明らかにいたされました。このような政策転換は、国民各階層間の所得格差解消のためにも、また、わが国経済の均衡ある発展のためにも、まことに必要不可欠の要件でありまして、わが党もまた深く歓迎するところであります。
 しかしながら、私は、ここに、基本的な疑問を禁じ得ないのであります。すなわち、私の見解によりますれば、農業、中小企業の立ちおくれは、大企業中心の所得倍増政策そのもののしわ寄せの結果であり、この意味において、所得倍増政策の停止または転換なくしては、このような新しい方針は打ち出し得ないのではないかと考えるのでありますが、総理のこの点に対するお考えはむしろ逆のようでありまして、所得倍増政策の一環として今度の新しい政策を取り上げられておるようであります。したがいまして、大蔵、農林、通産等関係当局におきましても、かくのごとき基本的考え方の混迷からでありましょうか、具体的政策の樹立をめぐって相当の混乱があるがごとくに見受けられるのであります。との辺につきましての総理の明確なる御所見を承りたいと存じます。
 次に、画期的と称せられる中小企業政策の大綱につきまして、その樹立者たるべき通産大臣の抱負をあわせて伺いたいと存じます。
 わが党は、中小企業の金融を緩和するために中小企業の物価確保に関する特別措置法を、また、その重き税負担を軽減するために中小企業者租税特例法を、さらに、その労働力を確保するために中高年齢労働者雇用促進法など、すでにわが党が立案提出いたしておりまする中小企業振興のための緊急立法はもちろんのこと、その他、中小企業基本法の各条章に基づき制定さるべき重要なる関連法は、これを来たる通常国会において成立せしめ、同時に、その予算化も並行的に行わねばならぬと考えるのでありますが、これに対する通産大臣の基本的なお考えを承りたいと存じます。
 さらに、同様な意味におきまして、農業のいわゆる画期的なる近代化重点政策の大綱について、農林大臣より承りたいと存じます。
 われわれの見解に従えば、基本法制定以来三年を経過しながら、具体的対策に何ら見るべきものはありません。言うまでもなく、基本法の柱は選択的拡大と構造改善事業の推進でありまするが、改善事業は、予算の裏づけを欠いておりまするがために、指定返上の事例さえ起こりつつあり、畜産、果樹、園芸を成長部門として奨励した選択的拡大も、生産物の価格対策を欠いておりまするがゆえに、農民の期待を大きく裏切りつつある現状であります。(拍手)われわれは、まず、農業生産の成長度に応じた農業資金の設定を要求いたします。それは、現在の近代化資金や金融公庫のワクと利率を幾分修正したというようなものでは断じてないのでありまして、ヨーロッパ諸国の、三十年から五十年という長期の、また一分とか二分という低利の、そういった種類のものでありまして、従来の考え方とは質的な大変化を伴うものでなければならぬと考えるものであります。さらに、この農業資金に次いで、私どもは、価格保障を要求いたさねばなりません。それは、原則的には生産費・所得補償方式による適正価格の保障要求であります。酪農を例にとって申しまするならば、まず適正な創業資金を設定し、業者のかってにならない飼料の安定法を制定し、なま牛乳を適正価格で畜産事業団に買い上げるための法の改正と予算措置を必要とするものであります。これらにつきまして、農林大臣は多分十分なる対策をすでに用意されておることと思うのでありますが、先ほど来お話のように、総理は財政金融の総力をあげて、農業の立ちおくれに対して立ち向かう決意を明らかにされておるのでありまするから、この決意に基づきまして、農林大臣はまさに画期的なる政策を樹立されたいと思うのでありまするが、大綱と抱負をお聞かせ願いたいと存じます。(拍手)
 さて、最後の質問は、政治の姿勢についての池田総理の御所見を承ることであります。
 去る十一月十日の国鉄鶴見及び三井三池の大事故はまことに痛ましい限りでありますが、この種の大事故の頻発及び詐欺、恐喝、傷害、殺人など悪質犯罪の激増傾向は、まさに心ある人々をして最も悲しませつつある、最近における特徴的な社会現象であります。これらについて、私は特別に池田総理だけを責めようとするものではありません。しかしながら、このような険悪な世相に対して、私は政治の責任を痛感せざるを得ないのであります。単に、鉱山保安対策とか、国鉄の操車技術とか、あるいはまた警察官の権限や犯罪捜査上の技術的な問題など、これらも確かに具体的には検討すべき多くのものを持っておるとは存じまするけれども、しかしながら、私は、これらの原因や対策を論ずる前に、少なくとも池田総理御自身、自民党・政府自身、あるいは各党をもって構成するこの議会自身、思いを新たにして考え直さなければならぬ何かがあるのではないかと感ずるものであります。(拍手)すなわち政治の姿勢であります。
 今回新たに本院議員として当選されました四百六十七名の議員各位に対しまして、私は心から御祝詞を申し上げる次第でありまするが、さて皆さん、それはそれとして、むしろ皆さんにではなくて、私自身の告白でありまするが、それはそれとして、何が何でも勝たねばならなかった総選挙戦の実際を顧みまして、お互いに政治に参画する場を獲得するという目的のために、必ずしも手段を選んでおるいとまがあったでありましょうか。むしろ逆に金の力、団体の圧力、利益誘導への強い要請など、正しからざる力にひっかき回され、きりきり舞いの目にあわされながら、心ならずも、相手が相手であり、選挙民が選挙民である実情にみずからを適応、みずからを迎合せしめねばならなかったのではありますまいか。手段を選べば目的が失われ、目的を追求すれば、そのための手段から崇高な目的自身がそこなわれる、この矛盾撞着とふんまんこそは、おそらく各位もいま実感をもって受け取っていただけることと存じます。
 さて、問題はその次であるわけでありまするが、このような議員心理といいますか、候補者心理といいますか、これと選挙実態の蓄積が、金に対して、役所権力に対して、町の暴力に対して、政治の位置を低下せしめ、いわゆる正しからざる力に対して頭の上がらぬ政治実態をつくり出しつつあるのではありますまいか。私は、この疑問と反省をますます大きくいたしておるのであります。われわれは、えりを正してこの基本的政治問題に対処せなければならぬのは、もちろんであります。しかしながら、もし時の内閣にして、このような世相に迎合するがごとき政治姿勢がとられるとするならば、これこそ断じて許さるべきではございません。(拍手)私は、岸内閣の権力的姿勢の中に、また、池田内閣の所得倍増という金力政治の姿の中に、そのような世相迎合の影を感ぜざるを得ないのでありまするが、これは私一人の思い過ごしであれば幸いだと存じます。
 さて、私は池田総理に対しまして、このような前提に立って、頻発する大事故、悪質犯罪、暴力ムードなどの険悪な世相に対して、個々の技術的な問題の解明や、責任回避や、責任追及に入る前に、はっきりと政治にその責任ありとの態度をとられ、政治の倫理性回復につき思いをいたしていただきたいと考えるのでありまするが、御所見を承りたいと存じます。(拍手)
 政治姿勢に関連をいたしまして、第二にお伺いいたします。
 いわゆる原爆裁判に関しまして、東京地方裁判所は七日の法廷において、原爆投下は国際法違反、ただし個人請求権なしという判決を下しました。私は、三権分立の精神に従いまして、この判決に対する内閣のお考えをただそうとするものではありません。私の伺いたいのは、その判決文の結びにおいて、この件に関するものとしては、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律というのがあるが、この程度のものでは、とうてい原爆被害者に対する救済、救援にならないことは明らかである、国家は、これに対して十分な救済策をとるべきことは当然であるが、終戦後十数年を経て、高度成長を遂げたわが国において、国家財政上これが不可能であるとはとうてい考えられない、われわれはこの訴訟を見るにつけ、政治の貧困を嘆かずにはおられないという意味のことを、判決文の結びに述べられて、明らかに国政の怠慢を批判し、原爆被害者に対する救済措置を要望いたしておるのでありまするが、これに対する池田総理の御所見を私は承りたい。あわせて、できまするならば原爆被害者に対する第三次池田内閣の対策をお伺いいしたいと存じます。
 最後に、この問題に関連いたしまして重ねて池田総理の所信をお伺いをいたしまして質問を終わりたいと存じます。
 すなわち、池田総理は、解散国会の最終日、西尾委員長の、福祉国家に対する質問にお答えになりまして、これが最後の発言になりましたから、わかったようなわからぬような福祉国家の定義を下された後に、「わが自由民主党は、この福祉国家建設の先頭に立つことを誓います」、こう結ばれたのでありまするが、また、昨日の所信表明におきましても、今度は、高度福祉国家の建設ということばを使われております。決してわが党が福祉国家の特許権を獲得いたしておるものではありませんから、自民党政府において幾らお使いになっても私は自由であると存じまするが、しかし、せめて、このことばにふさわしいポーズだけはとっていただきたい気がいたすのであります。
 第一に、いま読み上げました判決文にあるがごとくに、自国の裁判所から非難をまともに受けるような原爆被害者の措置をそのままにしておいて、高度福祉国家を目ざすものの政治と、皆さん言い得るでありましょうか。私は早急な対策をお願いいたしたいと考えるのでありまするが、総理のお考えを聞かしていただきたいと存じます。
 第二に、ILO第百二号、社会保障の最低基準に関する条約は、問題の八十七号条約とともに、わが国においてはまだ批准されておりません。これも決して高度福祉国家を目ざす内閣の姿勢ではないと存じます。聞くところによると、厚生年金保険の積み立て金などの管理運用という問題について、大蔵省当局に異議があるとかということで、批准がおくれておるのはこのためだということのように伝えられておりますが、高度福祉国家を口にしながら、社会保障の最低基準に関するILO条約の批准さえ、そうような事情のもとに遷延されておるとするならば、これも決して私は高度福祉国家を目ざす内閣のきれいな姿勢とは言い得ないと存じます。皮肉るわけではございませんが、池田総理の御所見をお伺いをいたしまして、質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 まず第一、国際収支の問題でございます。御承知のとおり、昭和三十八年度の日本の経済成長は、この前の国会で、あるいは今年の一月ごろお示しいたしましたように、名目の成長率が八・一先で、実質が六%と経済見通しを立てて進んでおったのでございます。この名目の八%というのは、今年の五月ごろには鉱工業生産は、大体前年に比べて五%ぐらいでございました。私は、秋を待たずして景気は上向くと申しておりましたが、これが八月になりますと二%になってまいりました。私は、この程度でと思っておったところ、十月になりますと、前年に比べて一六%を示しておる。こういう歩みを示してまいりますと、まだ結論は出ておりませんが、今年、三十八年度の総生産は、GNPは、全体で一五、六%いくのではないか、このままで持っていきますと一六、七%いくかもしれぬ。こういう状況になってきたことは、秋を待たずしてよくなると申しました私にも想像以上でございます。これが、いまあなたがおっしゃるように、総合収支が少し、当初の八千万ドル、九千万ドルの黒字が赤字になるかという心配をなさる原因でございます。これが最近の新聞にも載っております。そこで、私は、当初の名目八%、実質六%ということよりも、ある程度上向くのならやむを得ない、あまり進み過ぎるということにつきましては注意を大蔵大臣に喚起した次第でございます。まあ、それがどうなったのか、最近では、昨日のように預金準備金の引き上げということになってまいりましたが、いまの経済の実情はそうでございます。しかし、政府が特別の法律を設けて、設備投資をやめろとかなんとかいうことはできません。私がいかに考えても、日本銀行の総裁が承知しなければ、いまの公定歩合の措置もできないということでございます。そこで、いまの九月、十月ごろからの生産の状況は少し行き過ぎているということが一般に考えられるようになった。もちろん、輸出の増加は、皆さん御承知のとおり、予定以上に伸びております。ただ、問題は、そういう生産の増強が起こるために輸入の増加が相当多くなっている。この輸入の増加の原因は何かといえば、まず第一、日本が非常にたくさん輸入いたします砂糖が、普通の値段の三倍になったことでございます。これによりまして、一億ドル以上の輸入増になります。また、将来はちょっとわかりませんが、日本としては、船賃が上がることが非常に国際収支に影響いたします。どこの国よりも影響するのであります。この船賃が上がってまいっております。これが主たる原因でございますが、外国の品物も原材料もある程度上がっております。そういうところが輸入の増の原因で、これはずっと将来も続くわけのものではございません。したがって、十月の末が十九億二千万ドルですか、十一月末が十九億一千万ドル、昨年の十月末に比べますと、外貨は一億二千万ドルふえております。これが一−三月の輸入の時期等によりましてある程度減っておりまするが、十八億ドルかどうかという見積もりでおります。そういたしますると、当初の九千ドルの黒字が、逆にある程度の赤字になるのじゃないか。しかし、本年度はそう大した赤字ではないと思っております。アメリカなんかのように、ドル防衛とか、あるいはIMFにスタンドバイを申し込むほどの日本の状態でないことは申し上げられると思います。また、来年度の二億ドルの赤字という宮澤企画庁長官の発表も、これは内閣の発表じゃございません。私は、宮澤企画庁長官から一応の見通しは聞きましたが、まあそのくらいになるかもわからぬという気持ちは私も持っておりますが、確定数字ではありません。もう少し様子を見なければいかぬと思いますが、しかし二億ドルの赤字が来年度あったからといって、佐々木さんは非常にオーソドックスな考えでございますから御心配なさるかもわかりませんが、とにかく日本の設備投資がGNPの二〇%、四兆円前後の日本の設備投資をしていった場合において、ある程度の外資を借りるとか赤字ということは、将来伸びる準備でありますので、私は、あなたのような非常に超オーソドックス的な考えはいたしておりません。しかし、御承知のとおり私はインフレをきらい、健全財政を過去十数年やってきた男でございますから、オーソドックス的な気持ちも十分わかるのでありますが、日本の伸びていく経済を、国民の活力を十分伸ばして、生活水準を上げるということが政治の目標でございますので、あなたのお考えによるわけではございませんが、お考えは十分参考といたしまして誤りなきを期したいと考えておるのであります。
 また、倍増計画を中止しなければ農業、中小企業の発展はできない、あるいは倍増計画をやりながら農業、中小企業に抜本的、革新的措置をとるということは矛盾とおっしゃいますが、私はそうじゃない。倍増計画の中において農業、中小企業の近代化、合理化、拡充をはかるのでございます。ただ問題は、私の言う十年以内の倍というのが、御承知のとおり、過去三年間――昭和三十四年、三十五年、三十六年と、この順序で行ったら十年間倍じゃない、五年間倍になってくる。それで私は昨年来押えておるのであります。昭和三十七年度は、前年の名目二〇%、実質一五%に対しましてどうでございますか。名目一〇%程度、そして実質は、まだ発表はいたしておりませんが、五%半から五・九%くらい行くのじゃございませんか。そうすると、前年に比べて、名目は半分、実質は三分の一ちょっと余りということになっておるのですから、いわゆる倍増計画というものは三十七年でもう行き過ぎたやつを押えてきております。三十八年度も、先ほど申し上げましたように八%の名目で、実質六%行くということになりますと、二年前、三年前、四年前に比べて半分以下ではございませんか。こういうふうに、倍増計画というものが行き過ぎておるから、去年からことしにかけて普通の歩みに戻しておるわけです。だから、戻しておるそのときに、やはり片一方が行き過ぎたから農業、中小企業にひずみが急に加わった。農業自体の生産性が下がっておるのじゃない。農業自体の生産性は上がっている。十年計画に沿うように、あるいはそれ以上と思いますが、それだけ農業も進んでおるのですが、他のほうが非常に行ったために目立ってくるから、私が革新的措置をとるというのであります。この農業、中小企業の近代化、合理化、日本経済の基盤をよくするのは倍増計画の中においてできる。しかも、大産業や工業――第二次、第三次が非常に進み過ぎておるから、第一次あるいは中小企業へ持っていこうというので、倍増計画の当然の問題で、これは三年前から私の言っておることでありまして、私は予定どおりずっと進んでいると思います。
 なお、今回の炭鉱あるいは鉄道の事故、また、青少年の犯罪の増加等につきまして、また、選挙の最近の実態から、佐々木さんは、いわゆる政治の倫理性ということにつきまして非常にお考えのようでございます。私も全く同感で、昨日の所信表明にも、いままでの演説よりも違ったところは、この政治の倫理性、政治家の心がまえということを申し上げたことでも大体あなたと同じ考えであるということを御了承願いたいと思います。
 なお、高度の福祉国家の問題で、ILO百二号の問題、社会保障制度の点、私も十分研究はいたしておりますが、とにかく、日本の社会保障制度の発展が、外国のそれとは違ってきております。外国よりも非常に進んだところもあるし、また非常におくれたところもあります。したがって、それを是正しながら、百二号のいわゆる加盟につきまして、今後研究していきたいと思っておるのであります。
 最後に原子爆弾に対しまする東京地方裁判所の裁判官の発表に対しましては、私はここで批判を避けますが、原子爆弾に対する被爆者の医療につきましては、特別法を設けて万全を期しておるのであります。漸次これを拡充強化していっております。そうして被爆者、いわゆる直接の被害を受けた人にはやっておりまするが、関係者につきましては、まだそこまでいっておりません。これは戦争被害者に対しての全体的の問題で考えなければならぬ。直接被爆を受けていない人、いわゆる関係者に対しての措置は、戦争犠牲者全体の問題で考えなければならぬ問題であるのであります。被爆者自体につきましては、できるだけの措置を従来もとっておることをつけ加えて申し上げておきます。(拍手)
  〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
○国務大臣(赤城宗徳君) お答えいたします。
 農業を革新的に推進するのにどういう具体的方針かということでございます。農業を近代化するために、財源といいますか、金をどういうものから持ってくるか、すなわち、補助によるのか、あるいは融資によるのがいいのか、こういうことを考えますると、私はいま補助をやめようとは申しませんけれども、やはりみずから立つ、こういう気持ちを持つという意味におきましては、自分の金、自分の金がなければ融資を受けて、その金で近代化を進めていく、これが私は筋だと思います。そういう意味におきまして、この財源等につきましても、いまお話がありましたように、長期低利の融資をする、その後これによって近代化を進めていく。しからば近代化が進んでおらないのか。農業基本法ができてからちっともやっていないじゃないかと言いますけれども、私は相当進んでおると思います。近代化の内容といたしましては、やはり農業の機械化、あるいは畜産化、あるいは果樹化、こういうことでございますけれども、その方面には相当進んできております。しかしながら、こういうところに進めていくためには、そういうことが進みいいところの基盤が必要でございます。その基盤がまだ十分でございませんから、せっかく機械化をしようといたしましても、あるいは畜産化をしようといたしましても、あるいは果樹化しようといたしましても、思うようにいかないというのが実情でございます。よって、私は、その基盤を一そうつくり上げなければならない。したがって、土地改良とか、あるいは圃場の集団化とか、あるいは草地造成とか、こういう方面を非常に力を入れていかなければならぬ、こういう方向を一つ持っております。
 もう一つは、いまの農産物の価格対策でございますけれども、農産物の価格対策につきましては、一応の体系はできております。体系はできておりますけれども、私自身十分とは考えておりませんから、価格対策と流通対策とを関連いたしまして、これを非常に強化していかなければならぬ、これをやっていきたいと思います。しかし、何といたしましても、価格の保障ということだけではいきませんので、国際的な価格にもやはり近づけるというようなことを考えまするならば、生産性の向上ということにも十分力を入れていかなければならないことは当然でございます。その他いろいろたくさんありますけれども、そういうことの裏づけを、できるだけ融資の面を強化してやっていきたい。
 それから、せっかく革命的だとかなんとか言いますけれども、農業というものは一年がかりでできるものでございまして、あしたすぐ直るということではございません。さっきの金融にいたしましても、長期低利の金融を必要とするというような事態でございますから、革新的の的のほうに力を入れて十分促進してまいりたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 中小企業の問題についての御質問でございますが、私は、総理が毎々言われておりますように、中小企業の今日の問題というものは、日本のいわゆる産業のひずみを直すというたてまえから見て、非常な重要な問題になっておることは、佐々木先生と所見を同じゅうするものであります。しかしながら、そのひずみを直すといいますが、今日、この前の中小企業基本法をつくりましたときにも皆さま方に申し上げたところでありますが、中小企業というものは非常に種類が多くて、たとえば考えてみただけでも、いわゆる製造業と販売業があります。また、製造業と販売業のうちでも、大企業と直結したものと、それとは関係のないものがある。こういうような種類があります。また、それぞれいろいろの問題ごとに、その企業ごとについての適当な施策を考えなければならないのでありますが、しかし、全部を通じて言えることは何かといえば、いま税制の問題あるいは金融の問題、あるいは弱いものが一緒に集まって何か仕事をしようとするような場合にこれを助ける方策、これらは共通な、政策に相なるわけであります。そういうことをやる場合において、画期的という言葉で皆さんが私たちに御質問をなさっておられると思いますが、画期的という意味は、たとえば税制などにおいては、それは軽減をすれば非常にだんだんとよくなっていくが、金融などというものはむやみによけいやったらかえってインフレを起こして下剤になってしまう場合もある。そういうことから考えてみますというと、それぞれその方途について十分な、それぞれの企業について、こういうことが必要である、こういうことが大切であるということを十分きわめた上で政策を立てることが政治家としての正しい姿であると私は考えておるのであります。(拍手)
 こういう見地からまず考えまして、ただいま佐々木先生が言われたのは、われわれの民社党でもって出しておるところの中小企業租税特別法、中小企業資金確保に関する法、官公需の確保法などをやらなければならないと思うがどうか、それが画期的ではないかという御質問であると私は了解するのであります。
 しかしながら、中小企業租税特別法というような、中小企業にだけ関係を置いた租税体系をつくることが、租税というものでもって、いわゆる経済の運行をよくはかりながら、負担の公平を期していく全体的なものの考え方と、はたしてこれが調和するものであるかどうか、それにはわれわれはもう少し勉強をしてみる必要があります。
 次に、中小企業資金確保の問題は、中小企業についてはたとえば銀行では一定の歩合を、これだけは必ず貸さなければならない、こういうような意味のことを入れようというような法制と考えておるのでありますが、はたしてそういうことをすることが、日本のいまの自由主義経済における金融政策の面から見て妥当であるかどうか、これはいま少しく研究を要する問題であります。
 さらにまた、中小企業のために官公需の確保をはからなければならないとおっしゃいます。私は、中小企業のために官公需の一定の確保をはかるということは、これは必要であると思いますけれども、しかしながら、その場合におきましても、高くても買わなければならないのかどうか、こういう問題もいささか研究を要すると思うのでありまして、佐々木先生の言われる、いわゆる中小企業を画期的に強化推進していきたいというお考えには、私は非常に賛成をいたしておりますが、これらの点について十分に私たちとしては自信を持って政策を打ち出すよう、今後とも十分調査を進めてまいりたいと思うわけであります。(拍手)
○議長(船田中君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 福田国務大臣の三池炭鉱災害についての発言
○議長(船田中君) 福田国務大臣から、三池炭鉱災害について発言を求められております。これを許します。国務大臣福田一君。
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) 今回、三井鉱山三池炭鉱における爆発事故により多数の死傷者を出すに至りましたことは、鉱山保安行政をつかさどるものといたしましてまことに遺憾にたえないところでございまして、罹災者及びその遺家族の方々に対しまして心から哀悼の意を表する次第であります。
 この際、今回の災害の状況、政府として講じてまいりました措置等につきまして御報告さしていただきたいと存じます。
 十一月九日午後三時十分ごろ、三井鉱山株式会社三池炭鉱三川鉱において爆発事故が発生いたしまして四百五十有余名の死亡者を出すに至りました。今回の災害の規模がこのように大きくなりましたのは、事故発生時がたまたま一番方、二番方の交代時期に当たっており、しかも、爆発個所がたまたま入気坑道であったことによって多数の一酸化炭素中毒による死亡者を出したためと考えられます。
 災害発生の当日、私は午後九時過ぎに出張先から帰京いたしましたが、この情報に接しまして直ちに登庁いたしまして、鉱山保安局長以下担当官より事情を聴取し、深夜に至るまで罹災者の救援、救護を中心とする当面の緊急措置を協議し、その結果、さしあたりの措置といたしまして、まず詳細な実情を明らかにすると同時に、罹災者の救出、救護等に万全の措置を講ずるため、担当課長を現場に急派することを決定いたしました。翌十日及び十一日には、災害に関するその後の情報が相次いでもたらされ、その結果、予想以上に災害の規模が大きく、したがって、とるべき対策も広範囲にわたるものとなりましたため、十二日の閣議で次のような緊急対策が決定された次第であります。
 すなわち、まず臨時三池災害対策本部を設置し、被災者、遺家族等に対する援護措置等、現地において緊急に処理すべき問題を強力かつ迅速に行なわせる体制を整えますとともに、災害原因の究明のため九州大学名誉教授山田団長以下九名の専門家による技術調査団を現地に派遣し、技術的見地から徹底的な調査を行なわせることといたしました。さらに、三井鉱山株式会社に対して弔慰金、見舞金の早急な支給を指導いたしますとともに、石炭鉱業合理化事業団から整備資金十億円を繰り上げ融資することによって資金繰りの円滑化をはかるほか、労災保険金の早期給付を行なうことといたしました。なお、これと並行して石炭鉱業各社に対し、「石炭業界は石炭鉱業安定のため合理化計画の推進という多難な事態に直面しているが、労働者の生命の尊重は至上の要請であり、合理化の進捗に伴う保安対策の強化はかねて要望されていたところである。石炭鉱業各社においては、今回の災害を契機として今後一そうの保安の強化をはかり、災害の未然の防止のため全力を傾注するよう強く要請する」旨の厳重な警告を発するとともに、鉱山保安監督局部に対し、監督の一そうの強化を指示したのであります。
 以上、一応当面打つべき手を打ったのでありますが、十四日早朝現地におもむき、つぶさに視察の結果、さらにとるべき措置といたしまして、安心して就業することができるように、事故当時の入坑者全員の健康診断を実施し、三池炭鉱の生産再開にあたっては徹底した保安検査を行ない、坑内の安全を確認した上でなければこれを行なわせないこと、一酸化炭素中毒による被害を防止するため、石炭各社に今年度中に自己救命器の完全備えつけを実施させること、炭じんに関する技術基準を早急に制定すること及び今後監督検査を強化徹底することの四項目を指示いたしました。
 その後、災害対策本部の活動も軌道に乗り、一酸化炭素中毒による患者の救護のため、国立病院、労災病院等から医師等を派遣し、また、これらの病院に患者を収容して治療に当たらせるとともに、専門の医師からなる医療調査団を派遣する等、医療対策に遺憾なきを期し、また、遺家族の援護策といたしましては、労災保険のほか厚生年金、簡易保険の早期支払い、職業あっせん、職業訓練の体制の確立等の措置を講じてまいっております。
 災害の原因につきましては、現在までのところ、三川鉱第一ベルト斜坑において炭車が逸走し、同坑道中の炭じんを浮遊させ、この炭じんが何らかの着火原因によって引火爆発したものと思われますが、その詳細は目下検討中であります。
 三川鉱以外の宮浦鉱、四山鉱につきましては、現在現地の鉱務監督官をして厳重な保安検査に当たらせておりますが、さらに、保安の万全を期するため、このたび北海道大学名誉教授佐山団長以下十名の技術権威者からなる調査団を派遣し、保安状況の調査を行なわせることといたしました。
 なお、今回の災害に伴う減産に対しましては、当面、山元貯炭の払い出しによるほか、石炭各社及び大口需要業界の協力を得て対処することとしております。
 以上、災害の状況、災害後政府が講じてまいりました応急措置について御報告申し上げましたが、政府といたしましては、今後とも罹災者及びその遺家族に対する援護措置に万全を期するとともに、将来二度とこのような悲惨な災害の発生を見ることのないよう、人命尊重の基本理念に徹して、鉱山保安の確保に万遺憾のないよう努力を傾注してまいる所存であります。これがための具体的な方策といたしましては、巡回監督を中心とする監督の密度の増大、抜き打ち検査の弾力的実施、保安法規の厳正な運用の徹底化等、保安監督の強化をはかるほか、鉱山における保安管理組織の改善、監督強化のための技術基準を中心とする鉱山保安法令の整備、保安施設の整備を促進するための融資の拡充、炭じん災害防止をはじめとする保安技術の開発の促進等の措置を講じますとともに、石炭鉱業各社に対しましても、いやしくも石炭鉱業の近代化、合理化のために保安がおろそかにされることのないよう、保安意識の徹底を強力に指導していく所存であります。
 以上をもちまして、三池炭鉱災害に関する御報告を終わります。(拍手)
     ――――◇―――――
 綾部国務大臣の鶴見事故の報告についての発言
○議長(船田中君) 綾部国務大臣から、鶴見事故の報告について発言を求められております。これを許します。国務大臣綾部健太郎君。
  〔国務大臣綾部健太郎君登壇〕
○国務大臣(綾部健太郎君) 東海道本線鶴見列車事故について御報告を申し上げます。
 昭和三十八年十一月九日二十一時五十一分、東海道本線鶴見−横浜間におきまして、下り貨物列車の後部三両が脱線し、これにおりから進行してきた上り横須賀線電車が衝突脱線し、さらにこの電車が下り横須賀線電車に衝突する事故が発生し、百六十一名の死亡者と百十九名の負傷者を出すに至りました。
 かかる重大な列車事故が発生いたしましたことは、運輸大臣としてまことに遺憾にたえません。この事故による犠牲者の方々並びに御遺族の方々には心から哀悼の意を表しますとともに、負傷者の方々の御快癒を祈り、あわせて広く国民の皆さまに対し深くおわびを申し上げる次第でございます。
 さきの常磐線三河島駅構内における事故にかんがみ、運輸省並びに国鉄当局といたしましては、保安対策の強化をはかり、安全確保対策に最も力を注いでまいったにもかかわらず、このたびのような大事故を発生させましたことは、まことに残念しごくに存じます。
 国鉄におきましては、直ちに国鉄本社内に設けました事故対策本部におきまして、事故の善後措置に当たるとともに、鶴見事故技術調査委員会を設け、目下鋭意事故原因の究明に当たっておるのであります。
 運輸省といたしましては、今回の事故に関し、十一月十一日国鉄監査委員会に対して特別監査命令を発し、事故原因の究明に当たらせることにいたしましたが、さらに二十二日、交通機関の事故防止に関し大臣告示するとともに、国鉄総裁あてに事故防止についての警告を通達いたしました。また、私鉄に対しましても、事故防止についてさらに一段の努力をするよう要望書を交付いたしました。
 御遺族の方々及び負傷された方々に対しましては、早急にでき得る限りの償いをいたすよう国鉄に対し指示いたしましたところであり、現在国鉄はこれが実施に万全を期している次第であります。
 また、救護措置にあたり、警察、消防、自衛隊、その他地元各位の絶大なる御協力をいただきましたことを深く感謝いたします。
 私どもといたしましては、今後この種事故の絶無を期するため、安全確保に万全の措置を講じていく決意であります。
 以上、簡単でありますが、事故に対し、対策措置の概要を御報告申し上げ、国会を通じて重ねて国民の皆さまにおわびを申し上げる次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言に対する質疑
○議長(船田中君) ただいまの国務大臣の発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。多賀谷真稔君。
  〔多賀谷真稔君登壇〕
○多賀谷真稔君 私は、日本社会党を代表し、三池炭鉱の大災害に対し質問を試みんとするものであります。(拍手)
 質問に先立ち、なくなられた四百五十八名の方々に衷心より哀悼の意を表しますとともに、療養中の方々の全快を心からお祈り申し上げる次第であります。
 私は、十一月九日夜、三池炭鉱爆発の悲報に接したとき、わが国の炭鉱はついに明治、大正の昔に返ったかと非常なショックを受けた次第であります。明治の末から大正の初めにかけて、炭じん爆発は、六百七十八名の死者を出しました三菱方城炭鉱の災害を初めとして、幾百名の死者を出した大災害が続出したのであります。しかし、当時は坑内に浮遊する石炭の粉が爆発するということは全然判明せず、単にガス爆発として理解をされておったのであります。その後、炭じん爆発が起こるということがわかり、散水、岩粉散布等の予防措置が講ぜられるようになり、その結果大規模な炭じん爆発の災害はあとを断っておったのであります。五十年前すでに解決済みのはずの初歩の保安対策が、日本一のゴールドマインといわれた三川鉱において何ゆえ行なわれなかったのか、その原因は徹底的に究明されなければなりません。(拍手)
 災害発生現場である第一斜坑揚炭坑道は全長二千メートルで、一日一万トンの石炭を坑底からベルトコンベアであげておるのであって、直接の着火原因が何であれ、現在の保安技術をもってすれば完全に防止できるはずの炭じん爆発が発生したのでありますから、炭じんが爆発限界以上に堆積しておったことは明らかであります。しかも、本年四月二十八日、福岡鉱山保安監督局の巡視により、第一斜坑のベルト原動機付近の炭じん清掃が指摘せられ、火災防止の対策が注意せられ、その後通達まで出しておるのであります。炭じん防止のために散水をしなければならないのにもかかわらず、最近会社の機関誌は、品質を安定させるため水分がつかないようにしてもらいたいといっておるのであります。私は、この事実を簡単に看過するわけにはいきません。昭和三十六年以降、保安監督官が三池巡回において、実に二十一回にわたり炭じんの多いことを指摘し、清掃、散水を指示、勧告しておるのであります。しかも、三池大争議後における災害の発生は実に著しいものがあります。大変災前においても、その死亡者は争議前の六倍にのぼっております。稼働労働者当たり災害率、ことに重傷においては全国大手炭鉱の平均に比べて、三十六年八割増し、三十七年四割七分増しの増加を見ておるのであります。ゆえに今次大災害は、争議後の、三井鉱山が保安を無視して増産を強行するのあまり、みずから招いたものであって、その社会的責任は当然糾弾されなければならないと思うのであります。(拍手)
 次に私が指摘いたしたいことは、炭じん爆発で直接死亡した者は、四百五十八名の殉職者中二十名であります。他の四百三十八名の方は、あとガスたる一酸化炭素でなくなっておるのであります。一酸化炭素の自己救命器さえ携行しておるならば、当然助かっておったはずであります。西ドイツ、ソ連の労働者は、みずから携行して坑内に下がっております。わが国においても、昭和三十五年秋から昭和三十六年春にかけて続発いたしました重大災害の状況にかんがみまして、政府は石炭鉱山保安規則を改正し、一酸化炭素自己救命器の備えつけ義務を課しておるのであります。しかるに、何ゆえに大手炭鉱において備えつけていなかったのか、これに対する会社並びに政府の責任はきわめて重大であるといわなければなりません。(拍手)この救命器は、一個千五百円であります、たった千五百円のためにとうとい人命が失われたかと思えば、まことに遺憾のきわみであります。(拍手)
 また救護隊の入坑がおくれ、さらに退避指導が的確でなく、逆にあとガスの方向に導いた等の事実は、罹災者増大の原因ともなっておるのであります。これは、技術職員を含めて、労働者に対する保安訓練の欠除を露呈したものであります。これらに対する、まず通産大臣の御所見を承りたいと思います。
 いま会社は、宮浦、四山の生産再開を急いでおります。政府もこれに呼応するような動きを示しております。本来、生産再開が急がれることについて反対するものではありません。問題は、両鉱における保安の整備が、現時点のみでなくて、今後継続的に維持されるかどうかというのが問題である。(拍手)中央鉱山保安協議会の三池視察団の団長中野実教授も指摘しておりますように、その前提条件は、坑内における働く人間関係が信頼の関係になければ、真の保安は維持できないと思うのであります。旧労、新労の差別待遇は、労災補償金の金額に端的にあらわれております。旧労平均八十四万六千円に対し、新労平均百十九万八千円であります。退職金を合わせれば、その差実に六十万円になるのであります。かせぎ高の多い個所の仕事は新労へ、かせぎ高の少ないところへは旧労という差別は、今日の三池における労使関係の姿のあらわれであり、容認できないところであります。もちろん問題は簡単ではございません。しかし私は、四百五十八名の犠牲の前に、関係者はこうべをたれて、裸になって話し合い、人命の尊重を最重点に置いた保安の確立の上に立って会社の再建をはかるのでなければ、今後再び災害は勃発し、会社の基礎は崩壊すると思うのであります。眼前の利益に目を奪われて、長い将来をあやまつことのないよう慎重な配慮が必要であり、保安整備計画の策定は、全労働者の了解が必要であると思いますが、これに対する関係大臣の答弁をお願いいたしたいのであります。
 炭じん爆発のあとガスとして、一陣の風とともに吹き去った一酸化炭素の傷あとは、あまりにも残酷であります。蘇生器によってやっと心臓を動かしておる患者、のどを切り開き、気管から酸素を吸入して呼吸している患者、記憶が全然喪失して、親も妻もわからず、全くうつろな目をして食物だけをとっておる患者、瞬間的には記憶があっても、すぐ喪失する患者、人間の高等機能が失われて、全く生けるしかばねとなっておるこの状態は、座視するに忍びないものがございます。当初、一酸化炭素中毒に対する十分な治療対策もなく、一週間も命を長らえれば中毒症状がなおると判断したところに手おくれがあり、事件発生後二週間にして、ようやく治療専門委員会が開催されて、治療指針が出されたがごときは、労働衛生担当の労働省、医療全体の責任を持つ厚生省の怠慢といわなければならないのであります。(拍手)今後の治療に対する具体的方針を関係大臣より承りたいと思います。
 次に、後遺症のある者について、政府は政令を改正して、けい肺と同じ扱いをすると言っておりますが、これについて御所見を承りたい。
 私は、この際、あわせて給付額の増額も行なうべきではないかと思うのであります。私は、遺族補償、長期障害補償における平均賃金の算定の基礎に問題があると思います。労働基準法ができました昭和二十二年ごろは、定期的に支給される給料が大部分でありました。ところが今日は、退職金、期末手当等、あと払い賃金の占める率が漸次高くなっており、定期支払い給付のみを算定の基準とすることは低きに失すると思うのであります。外国のごときあと払い賃金のない場合と比較しては、なおさらであります。政府はこの際、補償給付金額の増額をすべきではないか、労働大臣の御所見を承りたいと思います。
 なお、未亡人、遺家族の就職対策にいかなる具体的対策を持っておるか、あわせてお尋ねいたしたい。
 さらに、保安管理者の当該会社における発言権の引き上げの問題、保安と生産行政の分離の問題、すなわち保安監督行政の労働省移管の問題について、総理より御所見を承りたいと思います。
 最後に、私は、石炭政策全体との関連において総理にお伺いいたしたいのであります。
 三池に限らず、現在進められておる合理化は、すべて災害の増大に通ずるといっても過言でないのであります。有沢調査団の膨大な答申書にも、保安問題は残念ながら一行も触れておりません。首切り、人減らしは、保安関係の人員を削減し、坑道の維持と各種の電気機器の補修をおろそかにしております。経費の節減は、保安に関係する支出をまっ先に削減いたします。払いはホーベルやドラムカッター等の新しい採炭機械が動いておるのに、肩風道は腰をかがめなければ歩けないほどの片ちんばな状態になっております。しかも、保安教育も訓練もできていない組夫が、続々として入坑しつつあります。明治、大正の時代に返ったのは災害だけでなくて、炭鉱全体の姿であります。
 会社より労働条件の切り下げが提案されると、大部分の組合は現在力がありません、でありますから、のみます。のまざるを得ない。のんだとたんに、それを契機に若い者、手に職を持った者が炭鉱に見切りをつけて出ていくのであります。これが悲しいかな現実の姿であります。どの炭鉱も労働者を集めるのに非常に苦労をしております。あれだけ炭住の中に離職者がいるのに、炭鉱労働者が不足をしておるという奇妙な現象があらわれておるのであります。支度金が公然の秘密として横行してきました。組夫のほうが本鉱員よりも多い炭鉱も出てまいりました。まさに大納屋制度の昔に復帰しつつあるのであります。有沢調査団の答申の人員の減少も、昭和四十二年度を待たずして、本年十一月、ついに十二万人台になりました。
 政府、経営者一体となって進めてきた急テンポの合理化政策は、しょせん労働者の心理を理解しない政策であったということができるのであります。(拍手)人の心を理解できない総理が、人つくりを唱える資格が一体あるでしょうか。青年や技術者にそっぽを向かれ、労働者の確保すらできない炭鉱の運命は、自滅の方向をたどる以外にはありません。
 池田総理は、炭労の代表に、私は、かつて通産大臣時代に行なった石炭政策が不十分であった、今後は心を新たにし政策を確立すると言われましたが、もう一度反省をして、若い者にも魅力ある、災害の起きない炭鉱にするために石炭政策の再転換を行なう考えはないか。過般開かれました国際石炭大会において、英国の経済顧問シューマッハーは、一九八〇年代の石炭の供給力は一九六〇年代の政策によって決定されると言っており、さらに一九八〇年代のエネルギーの不足を述べておるのであります。総理は将来への展望に立って、わが国の石炭の姿を再度検討する意思はないか、御所見を承りたいと思います。(拍手)
 以上、地下にある四百五十八名の霊も安らかに眠れるよう、的確な政府の答弁をお願いする次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 鉱山保安監督行政につきましては、こういう災害が起こりますと、常に論議される問題でございます。何ぶんにもやはり生産と保安というものは一体であるべきだというので、いままで通産省に置いておったのであります。この問題につきましては、今後も十分検討してみたいと考えております。
 なお、石炭の姿をどうするか、これは多賀谷さんも御存じのとおり、お話しの有沢調査団でいわゆる学識経験者に実地調査をしていただきまして、一応あの有沢調査団の答申は是なりとして、われわれはこれに従って案を立てたのでございます。今回のこの状態、また先ほどの世界全体のエネルギーの問題、そのうちの石炭の問題、この問題につきましては、私はいまは有沢調査団のあれでいっておりますが、今後の問題としてやはり検討していきたいと考えております。
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 今回の事故が、いわゆる斜坑における炭じん爆発であるというところまでは大体一致しておるのでありますが、その炭じんがどういう原因によって発火したかということは、ただいま調査の段階でございますが、仰せになりましたとおり、この炭じんがあったことは事実でありまして、四月のわれわれが検査をいたしましたときにも、この点を明らかにいたしまして、戒告をいたしております。そうしてその結果、六月の末に至りまして、会社側からこれに関してこういうふうな措置をとりますという書類が出ておるのであります。ところがその後七月、八月、九月と落盤による事故等がございましたので、十一月の二十一日には、こういうふうに事故が頻発するのでは、優良炭鉱である三池でこういう事故が起きるのでは大へんだというので、特に三池の三井鉱山に対しまして、実は社長に厳重な戒告といいますか、監視、特に注意するようにということをいたしまして、十一月の十一日にまた一斉検査を行なう予定にいたしておりましたところ、十一月の九日にこういうような事故が発生いたしたのでございまして、この点はわれわれとしてもまことに遺憾にたえないところであります。今後こういうことのないように、ひとつ十分処置をいたしてまいりたいと考えておるものであります。
 次に、ガスマスクの問題についての御質問でございます。確かに一酸化炭素による中毒で、たくさんの方がなくなりましたので、先ほども報告で申し上げましたように、実はガスマスクはつけることにはなっておりますが、優良炭鉱、大会社のほうは大丈夫であろうというので、その一定の時期を、順次つけるというので、中小のほうからつけてまいりまして、そうして三井あたりは優良炭鉱でありましたので、この時期をおくらせておったわけであります。そこで、こういうことではなりませんので、いますでに三万三千個、炭鉱ガスマスクを購入いたしておりますが、月々の生産が大体一カ月四千個くらいでございまして、なお二万七千個必要といたします。来年の三月までにこの二万七千個を調達することが困難でありますので、ただいま石炭協会をして七千個輸入する手続をとらせておる段階でございます。いずれにいたしましても、これは各人が持ち得るように今後措置をいたしてまいりたいと考えております。
 次に、保安訓練、保安教育の問題についてのお話でございまして、確かにああいうような災害にあたりましては、やはり保安訓練、教育等がありますと災害を少なくすることができることは事実でありますが、そういう点について遺憾な点があったのではないかということについて十分調査をいたしますとともに、今後責任も明らかにいたしてまいりたいと存じております。
 次に、働く人間の関係というものを考えて仕事の再開というか、石炭を出すことを考えなければいけないではないか、仰せごもっともでございます。私は、経営者と労務者が良識のある解決をされることを、心から希望をいたしておるものでございます。
 なお、保安管理者の任免の問題等につきましては、これは場合によっては法制を変えて改善をはかりたいと、ただいま調査をいたしておるところであります。
 さらに、いろいろ人手不足でいま石炭業界は非常に困っておるというお話でございますが、確かにそういう傾向に相なっておるのであります。ただ合理化、近代化によって減ったのではなくて、いま多賀谷さんが言われたように心理的な現象――石炭業界にいてもだめだというような、自発的にやめられる人が急に多くなりましたので、計画とは非常に差を生じてまいったことは事実でございます。しかし、こういうふうになってはおりますが、近代化、合理化につきましては、やはり石炭産業というものから見て今後もやっていかなければならないと思うのでありまして、その場合において今後ますます生産性の近代化をはかって、そうして高能率ではあるが同時に高賃金だというような観点から、人がそこに集まり得るような環境づくりに大いに努力をいたしたいと考えておるところでございます。
  〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) 私に対しまする御質問の第一点は、三井鉱山におきまする労使関係の問題でございまするが、御指摘のとおり、三池争議解決後も、特に旧労と会社との間におきましては、深い不信感が存在をいたし、労使関係がとかく円滑を欠いておったことは事実であるようでございます。しこうしてこの間に、第一組合並びに第二組合に対する差別待遇という問題も起こっておるのでございますが、これにつきましては、労使双方の主張は必ずしも一致いたしておりません。またこの種の問題につきましては、行政官庁が判断をすべき事柄ではなく、特にそのために設けられておりまする労働委員会ないし裁判所の公正な判断に待つべきであると考えまするので、これについて私の立場からこの際かれこれ申すことは避けたいと存じます。しかしながら、労使関係が、先ほど申し上げましたような状態にありますということは、労使双方にとりましてよいことではないのでございまして、双方が今後努力して、相互の不信感を取り除き、すみやかに話し合いによる正常な労使関係を樹立されることを希望いたしておる次第でございます。
 第二に、一酸化炭素中毒患者の後遺症についての対策でございまするが、なお療養中にありまするので、今後の予見をいたしますることは困難でありますが、しかし、三年以上治療を続けなければならぬというようなことがはっきりいたしてまいりましたなら、じん肺等と同様長期給付を行なう考えでございます。また労働不能の場合におきましては、年金または一時金である障害補償を行なう方針でございます。
 なお、平均賃金の算定につきましての御意見を承ったのでございまするが、制度並びに行政運用上極力実情に即するよう努力をいたし、現在の労災保険制度につきましては、今後も十分検討をいたしたいと考えております。
 第三に、未亡人及び遺族であります子弟の方々の職就の問題でございまするが、労働省は、すでに現地に職業相談所を設けまして、職業についての相談、指導に当たっておるのでございまするが、先般、会社側におきましては、今回の未亡人並びに子弟については、全員一人残らず職場を世話したいという趣旨で、新しい職場の増設をも含めました一つの計画を具しまして、労働省に相談にまいっておるのでございます。労働省といたしましては、その趣旨を了といたしまして、その計画がある程度具体化いたした段階におきましては、就職準備のために手当を支給しつつ、職業訓練を早期に実施する。そして、できるだけこれらの方々の生活の安定にも資し、また精神的な安定にも協力いたしたい、こういう考えを持っておるのでございます。
 なお、就職に際しましては、必要に応じまして、移転資金の支給、移転就職者用宿舎の提供、その他、できるだけ炭鉱離職者の就職に準じた取り扱いをいたしたいという考えを持ちまして、関係機関を督励いたしておるのでございますが、特にこれらの方策の実行にあたりましては、関係の組合等の御協力も十分に得たいと考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣小林武治君登壇〕
○国務大臣(小林武治君) 今回の遺憾なる事故発生にあたりましては、厚生当局といたしましては、その直後、関係県の衛生部及び九州地方医務局長に対しまして、医療救護に関し協力方を指示し、医療に関する措置につきましては遺憾なきを期しておりまして、事故発生後の応急措置及びその後の医療措置については、関係方面の協力により一応確保されておるのであります。
 なお、障害の性質等を考慮しまして、今回は、当時の入坑者全員につきまして健康診断を行ないまして、異常のある者につきまして、いままだ精密検査等を行なっておるのでございます。
 なお、入院中の患者は、おもに一酸化炭素中毒によるものといわれておりまして、これらの措置に万全を期するために、現地には医療保健委員会を設け、その医療対策の調整を行なっておるのでございます。
 なお、入院中の者は二百八十名ぐらいあるのでありますが、これらの患者につきましては、国立大学あるいは国立病院、労災病院等の医師、看護婦等の応援のもとに治療を行なっておるのでございます。しかして、精神障害の高度の者あるいは運動機能障害のある者等につきましては、大学病院、労災病院に収容しまして、より高度の診療を行なうことといたしておるのでございます。しかして、軽症者は相当回復の見込みでありますが、重症者中には、遺憾ながら後遺症を残す者がある程度予測されますので、今回また特にこの災害調査のために、東京大学の名誉教授の内村博士を団長としまする政府の医療調査団を組織しまして、三池に派遣し、現地におきまして調査の上、今後に対する方策をとりたいと、かように考えておりまして、この結果をもととしまして、根本的治療を行なう、同時に、今後もいろいろの推移を見まして各般の措置を講じたい。すなわち、場合により、この問題はある程度長期にわたる治療を要する問題かと存じますので、これらに対しましても、私どもは万全の措置を講じたい、かように考えておるものでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 野間千代三君。
  〔野間千代三君登壇〕
○野間千代三君 私は、去る十一月九日、東海道本線鶴見駅付近におきまして発生いたしました二重衝突事故に対しまして、日本社会党を代表して、総理大臣並びに関係大臣に若干の質問をいたしたいと存じます。(拍手)
 私は、質問に先立ち、なくなられた百六十一名の方々につつしんで哀悼の意を表し、遺族の方々に衷心よりお見舞いを申し上げたいと思います。(拍手)また、今日なお負傷のため病床にあって新しい年を迎えなければならない多くの方々に対しまして、一日も早く快癒され、社会に復帰されますことを心からお祈りいたします。
 私は、私の居住地の関係から、事故の発生の知らせを受けましていち早く現地にかけつけ、微力ながら救援に参加をいたしました。今日、現地には、転覆した貨車の積み荷から投げ出された麦が青い芽を出しておりますけれども、今日もなお私の脳裏からは当時のあの悲惨な姿が離れることがございません。政治のよき施策よりて避けられたに違いないと信じて断腸の思いをしながら救援に従ったあの当時のことを想起しつつ、以下御質問を申し上げます。
 まず、初めに、池田総理の御所見を承りたいと思うのでありますが、その第一は、鶴見事故の真の原因とその責任についてであります。
 技術的な原因について今日なお調査中と、先ほど運輸大臣から承りましたが、私は、真の原因は、実は池田内閣の大企業、大資本本位の高度経済成長政策の失敗による交通政策の貧困にあると思うのであります。(拍手)池田内閣の高度経済成長政策は、国民大衆には物価の高騰と生活の不安をもたらし、政治に対する不信を著しく増大させてきましたが、この経済政策は、生産量の激増と、野放し的な都市人口の集中化、すなわち、輸送の需要を著しく増加させたのであります。しかるに、これに即応する輸送力の増強は全く等閑視されてまいりました。事実、東京都周辺の国鉄を例にとってみましても、輸送人員は、昭和三十年に十七億一千二百万人であったものが、同三十七年には二十五億七千七百万人に、すなわち、五一%の増となっております。貨物輸送のトンキロ増加指数も三九%と激増しておるのでありまして、これに引きかえ、国鉄線路容量の増加は、ほとんど見るべきものがありません。ここに、通勤電車の一分五十秒間隔運転という、世界に類のない過密ダイヤを生み出す結果となっているのであります。
 このような輸送需要と輸送力の不均衡をもたらした池田内閣の高度経済成長政策の欠陥にこそ鶴見事故の真の原因があった、私はかく信ずるのでありますが、総理はその責任をどのようにとろうとしておられるのか、御所見を伺いたいと思います。(拍手)私は、再びこのような悲惨な事故を繰り返さないためにも、池田内閣の大資本本位の高度経済成長政策を改め、安全輸送を基本とした抜本的な交通政策の樹立をはかる必要があると思うのでありますが、この点についても総理の御所見を伺いたいと存じます。(拍手)
 第二に、昨年五月、常磐線三河島駅構内における大事故により多くの犠牲者を出しましたが、わが社会党は、直ちに本院の委員会及び本会議を通じ、今日、国鉄経営の基本的なあり方が、収益第一主義に置かれておって、安全無視の傾向にあることを強く指摘し、池田総理に対し、国鉄輸送の方針を、安全第一主義に立脚すべきことを繰り返し強調して、昨年暮れ、ついに政府をしてこれの確認をせしめたのでございます。これは首相の記憶になお新しいものと思うのでありますけれども、それらの施策が十分に行なわれないままに今回の悲惨な鶴見事故の発生を見たことは、きわめて遺憾といわなければならないと思います。いまや、国民の池田内閣の交通政策に対する不信は極度に高まっており、国鉄輸送の安全に対する不安もまたその極に達しているといわなければなりません。(拍手)
 私は、総理にお尋ねしたい。安全第一主義に基づく交通政策の樹立と、これの具体的な方策が進められておったならば、今回のとうとい人命の損失は必ず避け得られたのではなかったか。国有鉄道は、国家的な立場において国民の生命を安全に輸送する使命を持っておりますが、これに対する運転保安確保の施策をどのように行なおうとされておられるのか、総理大臣の御所見を承りたいと思います。
 次に、運輸大臣に御質問申し上げます。
 池田内閣の無計画な経済政策の結果として、今日、遺憾ながら、大企業の都市集中と、それに伴う産業労働人口は都市中心に異常な密集がもたらされております。産業の進展のみがあって、人命の尊重のない今日の経済政策、そして、これに対応するに収益追求の国鉄経営、ここにこそ多くの事故の隠された真の原因があると思うのであります。
 そこで、私は、第一にお尋ねしたいのは、昨年の三河島事故を契機にして、国鉄の安全輸送について幾つかの施策が立てられたはずであり、本日の報告でも運輸大臣よりこれに触れられておりますけれども、はたして、真にそれは今回の鶴見事故を未然に防止し得る抜本的な施策であったのかどうか。今日の国鉄における安全対策は、きわめて国民にとって重大な関心事でございます。この一年有余の間にとってまいられた政策の安全対策の内容と、鶴見事故を防止することのできなかったことに対する運輸大臣の責任の所在を含めた明確な御所見を伺いたいと存じます。(拍手)
 第二に、国鉄の企業性と公共性の関係についてでございます。
 国鉄は昭和二十四年より公共企業体として発足し、独立採算制をたてまえとして経営を進めてまいりました。このことは、国鉄経営の自主性を確立するという本来の目的があったにもかかわらず、営利主義だけが前面に出されてきたために、安全、迅速、正確という国鉄の至上命令ともいうべき公共性がなおざりにされてきたきらいが確かにございました。たとえば、昭和三十八年度の旅客収入の見込み割り当ては三千二百九十一億円、貨物収入の割り当ては二千百六十一億円ときめられ、そのために、国鉄は、現場の末端機関に至るまで、予定収入の実績をつくるために職員は異常な努力が要求され、直接職員の勤務成績に結びつけられ、そのために安全輸送への努力を傾けるいとまがないとすら聞いております。また、職員の定数は、ここ十年来、四十五万一千名ときめられ、輸送量の急激な増加、列車キロの大幅な伸びにもかかわらず、運転保安及び車両施設の保安要員等はほとんど増員を見ないと伺っております。一体、国鉄は営利を目的とするものであるか、安全輸送によって国民に奉仕すべきものであるのか、大臣の信ずるところを明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)
 第三に、都市周辺における国鉄の保安対策及び踏切の立体化等について、政府は本腰を入れて対処すべきであると考えます。
 今日の都市周辺の輸送状態が全く飽和状態にあるのは周知のとおりであります。たとえば、東京駅の一日の列車、電車の発着回数は実に二千四百本を数え、乗降客は八十万人に達しております。また、踏切問題につきましても、東海道本線蒲田−大森間の四線区間の踏切だけをとってみましても、踏切一日の自動車のエンスト回数は、昨十一月だけで実に十四回数えられているといわれています。これらの実情から見ましても、いつ突発的な事故が起きないとはだれが保証できるのでありましょう。運輸大臣は事故絶滅について国鉄に要望書を出したと報告されましたが、要望書によってそれが保証されるのでございましょうか。にもかかわらず、国民大衆は国鉄を絶え間なく利用しなければならないのでございます。私は、国鉄の安全輸送を確保するためにも、すみやかに運転保安上の諸施策、そして踏切の立体化対策を進める必要があることを痛感いたします。運輸大臣は、経営者に安全輸送確保を義務づける鉄道保安法ともいうべき法律を制定する意思がありますかどうか。また、踏切道改良促進法の改正をすみやかに実施すべきであると考えますけれども、これに対する大臣の御所見を伺いたいと存じます。
 第四に、以上を総合して、これが実施のために、利用者を含めた各界の代表と専門技術者を加えた高度な権限を有する、安全輸送を具体的に確立するための強力な機関を設け、国民の要望にこたえるべきであると確信をいたすのでありますが、大臣にその決意ありやいなや、御所見を伺いたいと存じます。
 次に、大蔵大臣に御質問いたします。
 国鉄事故の原因の大きな要素に、政府の財政的配慮の欠除を強く指摘しなければならないと思います。
 まず第一に、三河島事故以来の安全保安対策、これに対しまして政府はいかなる配慮をなされてまいったのでございましょう。第二に、全国主要路線の複線化等、全般的な輸送力の増強、都市通勤通学緩和対策、運転及び保安職員の増強等々の施策に対しまして、今後政府はどのように具体的措置をされる決意がございますかどうか。
 これらの資金は、今日の国鉄の予算規模においてはとうてい実現できないばかりか、政府が積極的な財政措置を怠るならば、安全輸送対策は完ぺきを期し得ないと断言せざるを得ないと思います。交通の安全確保は、今日の国民生活にとって真に焦眉の急務でございます。真に国民のための財政政策をとるべきことが政府の任務であると信じますが、大臣の御所見を承りたいと存じます。
 以上をもって、私の質問を終わることといたしますが、最後に、関係各当局に要請いたしたいことがございます。
 それは、今日なお鶴見事故における遺族の方々に対する援護の措置が十分にとられていないように見受けられます。また、負傷された方々並びにその家族の前途の生活に対して十分な援護の措置がとられておりますかどうか、これらの方々の前途の生活を考えますと、暗たんたるものがあるように考えられます。これらの方々に対する救援の万全を望むことは、全国民の痛切なる要望でございます。関係各位のこれに対する協力を切に求めたいと思います。
 終わりに、たび重なる国鉄の事故に対しまして国民の不信が高まっておりますおりから、国鉄当局並びに関係者は十分に自戒し、再び事故のなきよう努力されるべきことを強く要請いたしたいと思います。
 以上をもって質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 鶴見事故が経済の高度成長と直接つながるかどうかということにつきましては、私はいろいろ問題があると思います。この点は国民が御判断いただきます。しかし、それが直接つながるかつながらないかの問題を越えまして、総理大臣といたしましては、かかることが起きましたことを非常に遺憾に思い、今後こういうことがないように極力努力したい、こうお答え申し上げたいと思います。
 また、安全第一主義であったならば事故が起こらぬだろう、こういうお話でございますが、私は、国鉄当局は安全第一主義でやってくださっておると確信いたしております。もしそれでなかったら国民は承知いたしません。やはり安全第一主義で従来もやっていったし、今後も一そうそういうふうな方向でいってもらいたい。
 なお、遺族に対しまする援護措置につきましては、早急に万全の措置をとるよう指示いたしております。(拍手)
  〔国務大臣綾部健太郎君登壇〕
○国務大臣(綾部健太郎君) お答えいたします。
 鶴見事故に対しましては、先ほど御報告申しましたように、まことに遺憾千万でございます。昨年三河島事件が起こって以来、国鉄当局に対しまして、事故防止について強く要請いたしておったのでございますが、残念なことにこういうような事件が起こりましたことは、返す返すも遺憾であります。三河島事件以来、国鉄、運輸省とも一体となりまして、国鉄五カ年計画の修正をして、保安対策に関する経費を大幅に増額して、踏切施設の改善、車内警報機の整備等の諸施策を促進するとともに、事故防止の観念を徹底するよう、職員の指導訓練にも努力を傾けておる次第でございます。今後ともこの方針に基づきまして、さらに事故防止に万全を期したいと考えております。
 それから、国鉄の営利性と公共性につきましては、たびたび問題になるのでございますが、企業である以上、営利を考えるのは当然のことと私は思います。がしかし、人命を犠牲にしてまでやれということはいかがかと考えまして、人命尊重の観点から長期計画に合わせて安全確保のために委員会をつくっていろいろな施策を講じつつあります。私は、今後このことにつきまして、諸種国鉄内あるいは運輸省内に事故防止、人命尊重の趣旨に従う施策を着々講じつつある次第でございます。
 それから、都市集中その他につきましてはなかなか問題が重大でございますので、政府部内におきましても交通対策本部等を設けまして、交通施策について論議をして、きまったものから順次改善いたしていきたいと思っております。
 以上、大要をもって御説明といたします。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 輸送力激増に対応して、政府は積極的に財政援助をしなければならないという御説でありますが、国鉄は御承知のとおり戦後一個の企業体、公共企業体という新しい体制を整えたわけであります。しかし公共性の非常に強い企業体でありますし、通勤輸送、幹線輸送等の整備の事業がたくさんありますので、自己資金をもってこれをまかなうわけにはまいりませんので、政府もこれに重点的な投資を行なってまいったわけでありますが、しかし現在の政府の投資をもって足れりとも考えておるわけではありません。しかし、この国鉄に対しましては、公共企業体であり、独立採算制を要求せられており、しかも安全を確保しなければならないという、この戦後の新しい問題に対してお互いにもう一歩退いて新しく再検討する必要もあると考えておるのでありますが、私はこの事故を契機にして、国有鉄道の持たなければならない公共性というものをどの程度までということで、公共企業体というものの限度をお互いに検討しなければならないというふうに考えます。それから国鉄の輸送計画につきましては、長期の見通しを立てて、道路の輸送、鉄道の輸送、内国海運の輸送等、十分輸送計画のバランスを考えたいと思っておるわけであります。いずれにいたしましても、国有鉄道に対する財政投資に対しては、最も重点的に配慮をする考えであります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 吉川兼光君。
  〔吉川兼光君登壇〕
○吉川兼光君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました鶴見、三池の二大事故について、政府に対し幾つかの重要な問題点に関して質問したいと思うのであります。御答弁は、総理大臣、運輸大臣、通産大臣及び大蔵大臣にお願いをいたしたいと思うのであります。
 質問に入ります前に、まず、私は、鶴見、三池の二つの事故の犠牲になられました六百十九名の方々並びにその遺族に対しまして深く弔意を表するとともに、現在負傷加療中の方々に心からお見舞いを申し上げ、一日も早い御回復をお祈りいたすものであります。(拍手)
 十一月の九日、突如として発生いたしました鶴見、三池の両事故は、その規模の大きいこと、さらに凄惨、深刻な点におきましては、かつて前例を見ないものでありまして、このニュースを聞きました国民は、まさにがく然としたのであります。私どもは、この二つの大事故に直面した当時、これは単なる偶発事ではなく、その背後には事件の発生を必至ならしめた安全管理に対する日ごろの怠慢と基本的な欠陥があると直観したのでございます。(拍手)この私どもの直観は、その後の原因調査によってその正しさが日に日に事実として証明されるに至っておるのであります。私は、まず、このたびの二大事故の発生の根本原因は決して偶発的なものではなく、人命を軽視し、金と物本位の政策にきゅうきゅうとする政府及び自民党の高度成長政策そのものの結果であるということを、この際はっきりと指摘しておきたいと思うのであります。(拍手)
 そこで、まず鶴見事故から入ることにいたします。
 この事故は、犠牲となった死者が百六十二名、負傷者百十六名を出しており、いまなお入院中の者が五十三名もありまして、昨年五月の三河島事故を上回る、まさに世紀の大事故であります。
 この鶴見事故の原因は、レールのせり上がりによる貨車三両の脱線にあるとされております。しかし、どうしてレールがせり上がったかという原因については、実験をしてみたり、いろいろやっておるようでありまするが、まだ真相が把握されておらないようであります。そのときに使用しておりました貨車は新造車両でありまするし、また、スピードは正常の六十キロから出ておりません。レールは最も整備されている東海道の本線であります。その他、乗務員の応急の処置に至りましては少しも落ち度はなく、きわめて妥当であって、むしろ模範的なものであったといわれるのに、しかもこのような大事故が起こったということは、全く処置なしと私は考えておるのであります。私は、毎日百万からの通勤者を東京に送り出しておりまする千葉県に居住しておるものでございまするが、この千葉と東京をつなぐ二筋の鉄道のうち、一つは昨年の三河島事故を起こした常磐線であります。残りの一つは総武線というのでございますが、これがまたまた昨日の朝、鉄道事故を起こしたのであります。すわちす、小岩駅と新小岩駅の間で貨物列車に電車が側面衝突をいたしまして、六両が脱線転覆して負傷者を出しておるのであります。この衝突のケースは、鶴見事故によく似ておるのでありまして、危うく鶴見事故の二の舞いを演ずるところであったのであります。この線は、つい四日前にも、送電線と架線の故障で、御茶ノ水駅と小岩駅との間が長時間不通になったという事故が起きたばかりのところでございます。
 とのように東京周辺の鉄道は、いつどこで大事故が発生するかわからず、それこそ一触即発の状態にあるのでありまして、乗客はまさに戦々恐々、薄氷を踏む思いをして鉄道を利用いたしておるのであります。皆さん、いまや東京通勤者を持っております御家庭では、いつ何どき主人や娘が国鉄のギロチンにかけられるかしれないというので、毎朝食事のときに家族の間で水杯をかわし、主人は遺言状を書き、奥さまは殺人電車で往復する家族の一路の平安を祈り、玄関でおまじないの切り火を切って通勤者の無事を神に祈っておるといわれております。これは笑いごとではない、まことに深刻な情景であると申さねばなりません。(拍手)池田首相はこの話を聞いて笑って済ますのでありまするかどうか承りたい。
 国鉄の監査報告によりますると、鉄道事故の件数は戦後増大の一途をたどっています。戦前には年間五千五百仲程度でありましたものが、高度成長政策がとられるに至りました昭和三十六年ごろから急増いたしまして、翌三十七年には二万二千百七件にふくれ上がりまして、前年に比較いたしますと一〇・七%の増という、異常な増加を示しでおるのであります。踏切の事故だけについて見れば、その発生率は、イタリアの七倍、フランスの九倍、西ドイツの十一倍という、まさに近代国家の名に恥じる発生率を示しておるのでございます。何ゆえとのような事故が起こるのでありましょうか。この点について、事件発生後、石田国鉄総裁は、こういうことを語っております。事件の根本原因が国鉄の輸送力増強を第一義とする過密ダイヤそのものにあるというのであります。すなわち、総裁は、このことばの中で、人命の安全、人命の尊重を度外視した現在の国鉄の経営方針、国鉄の体質そのものが、事故の発生を必然ならしめた根本原因であると告白しているのであります。いまの国鉄の過密ダイヤは、まさにアクロバットとでもいうべきでありまして、現在の国鉄の状態から見ますれば、事故が起こらないほうがむしろふしぎと言えましょう。池田首相は、昨日この壇上から大声を張り上げて人命尊重論を述べておられましたが、あの声を聞いた事故関係者はもちろん、国民の耳に何とそらぞらしい響きを伝えたことでありましょうか。
 そこで、私は、政府にお尋ねいたしたいのでありまするが、今回の鶴見事故発生の根本原因を政府はどのように考えているのであるか。単なる偶発事故と思うのであるか、それとも、安全確保について国鉄当局に重大なるミスがあったと考えられるのであるか、あるいは現在の国鉄そのものが事故を発生させる必然性を内包しておるとお考えになるのであるか、さらにまた、高度成長政策の進展に伴い、交通、輸送事情はますます悪化し、前に述べましたように、事故発生率が異常に高まっている事実について、政府はどのような見解を持つものであるか、これらの点について明快なお答えを伺いたいのであります。
 私の判断によりまするならば、今回の事故発生の根本原因は、国鉄が企業体として、損益あるいは営業成績を重視するあまり、人命の安全確保が第二義的に考えられているところに基本的な問題があると思うのであります。たとえば、何らの保安設備もない無人踏切がいまなお八五%も占めておるという現状、東京の国電が、年々急激な人口増加にかかわらず、人口増加に見合うような新線の建設がここ三十年もの間全く行なわれておりません。まさに大正時代の国電網に依然として依存しております現状、通勤輸送における乗客率が、いわゆる危険率の三倍、四倍に達しておるという現状、国鉄職員の労働強化が極限に達しまして、運転士は三十秒ごとに一本の割合で信号を見なければならないという現状、しかも、国鉄ではこれからの保安対策に対する計画の樹立、変更、実施について全くその責任の分野が確立されていないという無責任な状態、そのほか、車両の安全度に対する科学的分析の欠除、老朽施設取りかえに対する標準の未決定、さらに、運転要員の養成は、規定では六カ月ときまっておりますのに、今日ではその半分の三カ月の教育で――これはただし書きで三カ月でも使えるように書いてある。そのただし書きによって現場にどんどん押し出しておるという事実、国鉄の安全確保対策はことごとく行き詰まっており、今回の事故は、まさにこのような国鉄の現状そのものから必然に発生したものと私は断ぜざるを得ないのであります。すなわち、国鉄当局の安全確保に対する怠慢と、これを監督する運輸省の指導、助成策の欠除が今回の事故の根本原因をなしておると思うのであります。その意味で、今回の大事故の最大の責任は国鉄当局並びに池田内閣そのものにあると断言するものでございます池田首相は、今回の鶴見事故の責任について、どのような形でその責任をとろうとするのか。たとえば国鉄総裁の責任はどうなるというのか。さらに、犠牲者、その遺族、負傷者の対策はどうなさるのか。それらの点について池田首相及び運輸大臣の具体的な方針を繰り返しお伺いいたしたいのであります。
 同時に、そうした国鉄の現状は、今日なお依然として解消されておりません。したがって、国民は、今後も従前同様の危険にさらされているわけでございまするが、この危険を除去するために、国鉄の体質改善について、ことばをかえて言いまするならば、国鉄の再建について、池田首相はいかなる対策をお持ちでございまするか、それをここで明らかにしていただきたいのであります。実は、このあたりで思い切った予算を国鉄に回して、根本的な再建を考えていい時期でないかと私は考えるのである。当然政府にも対策がなくてはならないのでありますから、その具体的な施策の全貌を、この際運輸大臣から明らかにしていただきたいのであります。しかして、具体的な施策には、当然相当額の予算の裏づけが必要でありまするが、ただいま大蔵大臣の説明を伺っておりますると、顧みて他を言うというきらいがなくもない。私は、そういうものでなく、前向きの姿勢で、今後の国鉄の再建に大蔵省はどうするか、総理大臣はどうするかということを、はっきりこの場所で答弁していただきたいと思うのでございます。(拍手)
 次は、三池三川鉱の炭じん爆発についてであります。これは多賀谷君からかなり詳しく御質問がありましたから、できるだけ重複しないようにしたいと思います。
 私は、先日実地調査のため実は三池まで行ってまいりましたが、その被害の凄惨苛烈なことは、とうてい筆舌に尽くされるものではありません。この大惨事も、ただいまの鶴見事故とその原因において相共通する要素を内包していると思うのであります。くしくも、日を同じくして起こりました三池、鶴見の二つの大事故が、いずれも政府の保安対策に対する慢性的な対策欠除と人命尊重を無視した能率本位の政策の累積に根本的な原因があったということは、この際きわめて重大視しなければならないと思うのであります。すなわち、政府がこれまで実施してきました高能率、高生産の石炭合理化政策には、保安対策と労働者保護対策の面で大きな欠陥があったことを今回暴露したわけでございます。
 三池炭鉱の場合でありまするが、法律上の保安責任者でありまする保安管理者が一技術部長でございまして、保安に対する投資や、あるいは人員配置に対する権限は持っておらない。鉱業所長、鉱長等は保安対策とは全く無関係で、ひたすら生産増強のことだけに重点を置いているということであります。さらにまた、石炭保安規則によれば、炭鉱を甲乙の二つに類別いたしまして、爆発の危険の大きい炭鉱を甲とし、危険度の小さい炭鉱を乙としておるのであります。三池炭鉱は、従来危険度の大きい甲にランクされていたのでありまするが、それが去る二十八年に通産省本省の保安局のはからいによりまして、乙種に指定がえをされておるのであります。しかも、当時、この指定がえについては、現地の保安監督機関は全然あずかり知らなかったという奇怪な事実があるのであります。
 事故の殉職者四百五十八名のうちで、一酸化炭素による窒息死はその約九割を占めておるのでありまするが、この点については多賀谷君が触れましたので、私は重複を避けるために飛ばしていきまするが、爆発いたしました三川鉱と坑内では続いておりますところの宮浦鉱――ほかにも四山鉱というのがございまするが、この宮浦鉱におきましては、二番方の入坑時の午後の三時半ごろに起こりました三川鉱の爆発を、二番方が坑内で八時間も働いて昇坑する時間でありまする十一時半まで、全然知らされずに坑内で働かされておるという事実があるのであります。これは十一月二十九日の連合審査会議録の四ページから六ページに記載されておるが、はたしてこれはほんとうのことかどうか。今日は、これは鉱業所幹部の事故に対する認識の甘さに驚くほかはないのでございますが、ガス爆発の際の退避と救援につきましては、ふだんからの教育とか対策というものが全然できていないことを暴露しておるものであると私は思うのであります。当局によります保安検査は、会社側への事前通告によりまして完全になれ合い化しまして、会社側は、その場限りの保安措置を行なうことによってこと足れりとしてきたのが、いままでの三池炭鉱の保安検査の実情でございます。したがって、今回の事件誘発の大きな原因がそこにあったと思われるのでございまするが、保安措置に対する会社側並びに当局に手落ちはなかったかどうかということを、通産大臣から答えてもらいたい。
 さらに、事故発生以来今日まで、三池鉱業所の三つの山は出炭を停止しておるのでございまするが、この停止の手続について問題があります。鉱山保安法第二十四条に基づくところの停止命令ではなく、通産大臣が高度の政治的判断に基づきまして行政指導を行ない、それによって会社が自発的に出炭を停止しておるというのが現状でございます。大正三年の方城炭鉱の大爆発以来五十年目の大事故でありますにもかかわりませず、法律による強力な停止命令を出さなかった通産大臣の真意を、ここではっきりとお答え願いたいのであります。何か特別な事情があるのであるか、そういう事情があるとは思いませんけれども、これほどの大事にあたって、わざわざ行政指導などという弱い方法をとって、法律を軽視されておりまするこの点について、大臣の所信を伺いたいのであります。
 終わりにお答え願いたいのは、爆発の真相究明の現段階についてであります。
 ただいま通産大臣の御報告を伺っておりましたが炭じんに引火した発火点については、大臣は、何らかの火がなどと言われて、きわめて簡単に扱っておりまするけれども、私は、それについては相当の調査が行なわれておるのでありまするから、このケースについてはこうである、このケースについてはこうであるというふうに、国民の前に明らかにしていただきたいと思うのであります。もちろん、犠牲者の補償、遺族の救護、罹災者の援護等につきましては、重ねて総理大臣なり通産大臣からお話を伺いたい。
 さらにまた、今後の緊急処置といたしまして、次の諸点が直ちに実施に移されるべきと思いまするけれども、通産大臣よりはっきりした御答弁を願いたいのであります。
 それは、甲種、乙種の別なく、すべての炭鉱について保安実態検査を直ちに実施すること。これまで行なわれてきましたずさんな、なれ合い的な保安検査を根本的に是正いたしまして、鉱山保安法並びにその規則に基づく厳格な保安検査を行ないたいということであります。さらにまた、鉱山保安法及びその規則の改正についても着手をしてもらわなければなりません。さらにまた、賃金、福利厚生施設、労働時間の短縮等につきましても、労働者保護を徹底させるために必要な改善措置を行なうようにしてもらいたい。最後に、もう一つ申し上げたいことは、現行賃金の六%が、実はカットされておるのであります。さらに、本年度から一方当たりの増賃金の五十五円がたな上げにされておるのでございます。これは来年の四月以降には善処するという労使の協定ができていると聞いているのでございますが、今回の事故を理由といたしまして、経営者のほうでこの協定違反をするおそれがなくもないのであります。この点こそ、ぜひ通産大臣の企業指導または行政指導を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 鶴見の事故発生原因につきましては、ただいませっかく調査中でございます。今後は事故発生防止につきまして、極力努力いたしたいと思います。
 なお、国鉄の再建につきましては、運輸大臣より国鉄に命じ、いろいろ検討をしておるようでございます。私はまだその分は聞いておりませんが、しかし、いずれにいたしましても、この事故発生にかんがみまして、今後の国鉄のあり方につきまして、十分検討しなければならぬと思います。
 なお、遺族に対します善後措置につきましては、関係当局より早急に適切な処置をするよう指示いたしておるのであります。(拍手)
  〔国務大臣綾部健太郎君登壇〕
○国務大臣(綾部健太郎君) お答え申します。
 鶴見の事故につきましては、再三申しましたように、予算の許す範囲内におきまして、しかも今回は予算を十分ひとつ取りまして、輸送の安全確保に努力いたしたいと考えております。
 遺族に対する弔慰、慰安、その他につきましては、三河島のとき等よりも早急にやるように国鉄に指示してありまして、順当にやっておると考えます。(拍手)
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) お答えいたします。
 先ほど多賀谷さんの御質問にもお答えをいたしておりますので、重複を避けて申し上げたいと思います。
 保安管理者の権限とその任命に関する問題につきましては、ただいま鉱山保安法を改正してでも、この間の問題を解決したいと考えておるところであります。
 なお、炭鉱を甲種、乙種に分けております意味は、監督だけではいけないので、山々が真剣に炭鉱の保安に注意しなければならない、その奨励の意味も兼ねてこういう制度をとっておるのでありますが、事実は乙種になったほうが被害が多いというような事情もございますので、これも十分今後研究をいたしたいと思います。
 宮浦と四山鉱で十一時間も災害後働いておった、ガス爆発等の場合における教育の徹底が足らないのではないかというようなお話でございますが、こういう点も、これは十分今後注意いたしたいと思います。
 また、なれ合い検査をしておるようなお話でございますが、これは、私たちはその後事情をよく調べてみましたが、いわゆる抜き打ち検査でない場合におきましても、十分検査はやっておるようであります。ただし、その場合において、旅費その他の面において、若干われわれとして措置をいたさなければならないことがございますので、これはただいま大蔵省に要請をいたしておるところでございます。
 なお、法律によらずして、この山を開かせないというようなことを言ったのはどうかということでございますが、目的はその場合場合において、法律によってやったほうがいい場合もあるし、まだ行政行為でやっても、効果があげられれば、私は、それでいいのではないかと考えておるのでございまして、今回の場合には、行政命令でその実効をあげておると存じておる次第であります。
 爆発の真相に応じた責任の態度を明らかにせよということでございますが、これは爆発の真相が明らかになってからお答えいたすほうが適当かと存じておる次第であります。(拍手)
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時四十六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        法 務 大 臣 賀屋 興宣君
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
        厚 生 大 臣 小林 武治君
        農 林 大 臣 赤城 宗徳君
        通商産業大臣  福田  一君
        運 輸 大 臣 綾部健太郎君
        郵 政 大 臣 古池 信三君
        労 働 大 臣 大橋 武夫君
        建 設 大 臣 河野 一郎君
        自 治 大 臣 早川  崇君
        国 務 大 臣 佐藤 榮作君
        国 務 大 臣 福田 篤泰君
        国 務 大 臣 宮澤 喜一君
        国 務 大 臣 山村新治郎君
 出席政府委員
        内閣官房長官  黒金 泰美君
        内閣法制局長官 林  修三君
        総理府総務長官 野田 武夫君
        通商産業省石炭
        局長      新井 眞一君
        通商産業省鉱山
        保安局長    田原 正邦君
        運輸省鉄道監督
        局長      廣瀬 眞一君
     ――――◇―――――