第046回国会 国際労働条約第八十七号等特別委員会 第5号
昭和三十九年五月八日(金曜日)
   午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 安藤  覺君
   理事 愛知 揆一君 理事 澁谷 直藏君
   理事 田中 正巳君 理事 河野  密君
   理事 多賀谷真稔君 理事 野原  覺君
      秋田 大助君    稻葉  修君
      亀山 孝一君    小金 義照君
      佐々木秀世君    正示啓次郎君
      田澤 吉郎君    田中 龍夫君
      渡海元三郎君    永田 亮一君
      長谷川 峻君    濱田 幸雄君
      松浦周太郎君    有馬 輝武君
      大出  俊君    小林  進君
      田口 誠治君    安井 吉典君
      山田 耻目君    栗山 礼行君
      吉川 兼光君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
        労 働 大 臣 大橋 武夫君
        自 治 大 臣 赤澤 正道君
 出席政府委員
        内閣法制局参事
        官
        (第一部長)  吉國 一郎君
        人事院総裁   佐藤 達夫君
        人事院事務官
        (管理局長)  小林  巖君
        人事院事務官
        (職員局長)  大塚 基弘君
        総理府事務官
        (内閣総理大臣
        官房公務員制度
        調査室長)   岡田 勝二君
        行政管理政務次
        官       川上 為治君
        総理府事務官
        (行政管理庁行
        政管理局長)  石川 準吉君
        外務政務次官  毛利 松平君
        外務事務官
        (国際連合局
        長)      齋藤 鎭男君
        文部事務官
        (初等中等教育
        局長)     福田  繁君
        労働事務官
        (労政局長)  三治 重信君
        自治事務官
        (行政局長)  佐久間 彊君
    ―――――――――――――
五月七日
 ILO条約第八十七号の批准並びにこれに伴う
 国内関係法の早期改正に関する請願(吉川久衛
 君紹介)(第三七一四号)
 同(倉石忠雄君紹介)(第三七一五号)
 同(羽田武嗣郎君紹介)(第三七一六号)
 労働基本権の確立及びILO条約第八十七号の
 無条件即時批准等に関する請願(河野密君紹
 介)(第三七二九号)
 同(安井吉典君紹介)(第三七三〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第
 八十七号)の締結について承認を求めるの件(
 条約第二号)
 公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律
 案(内閣提出第一号)
 地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律
 案(内閣提出第二号)
 国家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第三号)
 地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第四号)
     ――――◇―――――
○安藤委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行ないますので、よろしくお願いいたします。
 結社の自由及び団結権の保護に関する条約第八十七号の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、国家公務員法の一部を改正する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案の各案件を一括議題とし審議を進めます。長谷川峻君。
○長谷川(峻)委員 きょうの新聞その他を見ますと、ILOの審議がいよいよ本格的に始まったということを報じている。私はやはり世界の前にこの大事な法案が審議されるときにあたって、世論の喚起、また世論の了解というものが必要だと思います。そこにおいて、ILOに日本が復帰して以来、いままで、ジュネーヴに行って演説をした政府代表者、齋藤邦吉君、あるいは倉石当時の労働大臣、総会に行って演説をした上に調印をしてきた倉石君、あるいは石田当時の労働大臣、松浦労働大臣、政務次官では加藤武徳君、田村元君、赤澤政務次官、こういう諸君がILOのひのき舞台に行って堂々と演説をしたと思うのです。そのときの資料をここに要求いたします。ということは、いまこの国会において審議されているのが、何か修正案らしきものを中心にやられている。たった二つの政党のうちの、しかもごく少数の者が話をきめたことにおいて、ここにおいてやるということ。ですから、私は一ぺん問題の本質に立ち返って、オープン戦に持っていくことが必要だと思うのです。ですからいま申し上げた諸君の演説、当時の資料をここに要求するとともに、委員長においてお取り計らいいただきまして、いつの日にかそういう諸君にここに御出席を願って、そのときの心境、そして現在の模様――しかもきょう私のあとにはILOに提訴した宝樹君と大出君、こういう諸君がいまや衆議院議員として質問される、こういう問題からいたしましても、私はぜひともこの私の提案について御採用の上に、早急にひとつ結論を出していただきたい、こう思う次第であります。
○安藤委員長代理 ただいまの長谷川君の御要求に対しましては、後刻理事会において御相談申し上げた上、お取り計らいいたします。
 前回に引き続き五案件について質疑を行ないます。大出俊君。
 大出君に申し上げますが、外務大臣は外務委員会にも出席を求められておりますので、外務大臣に対する質疑を初めにお願いいたします。
○大出委員 ただいま御発言がありましたように、ILOに提訴した当時の一人でありますが、それだけに実は国際的な事情というものについても、戦後七回ほど外国に行っております関係で多少知っているつもりでございます。そういう意味で実は昨日、稻葉さんからの御発言に、最初のところでありますけれども、どうも国際的ないろいろな事情があってどうやら差し迫られているようだけれども、そんなことは一口に言えばどうでもいい、日本の自主性に立って、それが一体日本という国にとってプラスかマイナスかなどということを考えて、自主的にきめるべきだというお話があったわけでありますが、ここで論議されておりますことも、いろいろな方面から議事録という形でILO事務局にそのまま入っていく性格でもありますので、私は、多少事実も明らかにしていただきながら、その間の事情をひとつ御認識を賜わりたいと考えるわけであります。
 そこで、お忙しいところをまことに恐縮でありますけれども、外務大臣の御出席をいただいたのでありますが、日本がILOを脱退いたしましてから、つまり一九五一年の第三十四回ILO総会におきまして、再加盟が実現したのであります。国際連合に入ることが即ILO加盟の条件になるという方法と、総会の決議を得るという二つの方法がありますが、当時入っていなかったために、もう一つの方法をとったわけでありますけれども、一九三八年の脱退以来十三年ぶりにILOに復帰したわけであります。このときにたくさんの国から相当手ひどい反論が出されているわけであります。当時の議事録に明らかでありますが、さらに当時ILOの長老といわれ、フランスの前総理大臣であった。ポール・ラマディエ氏等が仲に立ちましてこの反論を押えて、われわれはこの放蕩むすこの帰宅を迎えようではないか、そして全く違った経験を経てきた日本が、最もよき経験はその社会福祉をより高い段階に尊くことにあると将来認めるであろうことを希望する、こういう、ILOの歴史の中では歴史的な発言をされて、かくて各代表が納得をし、日本の再加盟が認められた、こういう経緯になっておるのであります。この間に、脱退以前に批准していたILO条約なりその後の条約等についての扱いが論議されておりますけれども、日本はそこでは大きな道義的責任を負って復帰をしたといういきさつになっておると存ずるわけであります。したがって国際事情がどうあろうとも、その前にまず、これは稻葉さんもおっしゃったとおり、日本の道義的責任、前向きで考える意味の自主性という点で、どこからどうお考えになろうとも、八十七号という基本的な条約は批准すべきものだと私は考えるわけでありますが、八十七号を担当する外務大臣の立場でまずどうお考えになっているか、明らかにしていただきたいと存じます。
○大平国務大臣 昨日の本委員会におきましても申し上げましたとおり、わが国はILOに復帰したばかりでなく、常任理事国でもございまするし、高度の工業国でもありまして、世界の屈指の貿易国でもあるわけでございますので、私どもといたしましては、日本の経済体制が民主化され、日本の労使関係が世界の常識の公準においてあるという状態について、世界の認識が確立されておる状況が日本にとりまして好ましい状態であると思います。すでに憲法その他の関係法律によりまして、わが国の労働者の地位、団結の自由その他はおおむね保障されておるわけでございますが、最も基本的ともいえる結社の自由の中で、代表者選出の自由等がまだ日本において完全に認められていないということ、この関門は何としても突破しなければならぬものであると私は思います。
○大出委員 たいへん明確な御答弁をいただいて幸いですけれども、あわせて御質問しておきます。これは一九六二年七月の調査でありますから、多少の変革はあろうと思いますが、国際連合加盟国が百四カ国、ILOに加盟している国が、同じときの調査によりまして百二カ国、この両方の中で、ILOにも国際連合にも加盟している国が九十八カ国あるわけでありますが、この中で八十七号条約をどのくらいの国が批准されておるかという点を、現時点における立場から御答弁を願いたいと思います。
○三治政府委員 本年の一月現在で、八十七号条約を批准した国は六十五カ国でございます。
○大出委員 いろいろな国がありますから、おのおのの国の事情があったりいたしますけれども、六十五カ国が批准をしているということになりますと、日本も、日本国憲法その他のたてまえからいたしまして、どうしても批准をしなければならぬ時期にきていると思うのでありますが、その意味で、総理がおりませんから外務大臣に御質問いたします。
 日本国憲法の前文に「日本國民は、恒久の平和を念願し、」「平和を愛する諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷從、壓迫と偏狹を地上から永遠に除去しようと努めている國際社會において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」こういうふうに明確に規定されているのでありますが、これは私は、日本という国の国際社会に対する態度を明らかにいたしておると存じます。そこで、国際労働機関憲章の前文によりますと、結社の自由の原則の承認と、いずれかの国がこの憲章の趣旨に沿わないということになると他の国の障害となるから、締約国は、正義及び人道の感情と世界の恒久平和を確保する希望とに促されて、この各条、つまり労働機関憲章に同意をする、こういうふうになっているわけです。してみると、今日までの経緯を考えますときに、新聞あるいはその他の報道機関を通じまして、このILO特別委員会が開かれたけれども、どうもまたむずかしいのではないかとか、あるいは水をかける、ブレーキをかける云々ということが一部に伝えられるのでありますが、この日本の憲法前文に規定しておる立場からいたしまして、かつまた、先ほどの復帰をしたときのいきさつからいたしまして、国際社会における名誉ある地位を占めたいと思うという、総理がいつも言われる日本の立場、これらから考えまして、どうあってもこの国会において批准を完了いたしません場合は、名誉ある地位を占めるどころではなくて、醜を国際社会にさらす結果になると私は考えるわけでありますが、この点についてもあわせて御答弁を賜わりたいと存じます。
○大平国務大臣 仰せのように、わが国の外交の基調は、国際社会におきましてわが国が名誉ある地歩を確立したいという念願で貫かれておるわけでございまして、その意味におきまして、この八十七号条約が、十分の御審議を尽くされて、今国会で批准に立ち至りますように、私は心から希求いたしております。
○大出委員 念のためにさらに二つばかり御質問を申し上げます。
 結社の自由並びに団結権の保護に関する条約、八十七号は、これはILOの基本をなす条約でありますし、この機会を失えば、先ほど申しましたように批准はできないだろうなどということが、前特別委員会の場合も今回も一部にいわれるのでありますけれども、そのような責任のない形では済まされないものだと私は考えているわけであります。ILO憲章の前文、さらに附属書、つまりフィラデルフィア宣言等におきまして、これは一九四四年五月十日でありますけれども「総会は、この機関の基礎となっている根本原則、特に次のことを再確認する。」こういう前提を置いて、八十七号条約の結社の自由ということを確認したのでありますが、その第一のa項に「労働は、商品ではない。」という規定をし、b項に「表現及び結社の自由は、不断の進歩のために欠くことができない。」こういうふうに明らかにいたしておるわけであります。あとc項、d項等いろいろありますけれども、非常に意味のある内容であって、つまり結社の自由はILO憲章の根本原則であるというたてまえが貫かれているのであります。この辺から考えますときに、八十七号条約それ自体はILOの根本原則である、こういう確認が行なわれるとするならば、先ほど申しました締約国の義務という点から、当然これは批准をしなければならない性格だ、このように確認をしておきたいわけでしありますが、その点についての御答弁をいただきたいと存じます。
○大平国務大臣 ILO関係の諸条約の中で、八十七号条約が最も基本的な条約の一つであるという認識におきましては、大出さんと全く見解を同じゅうするものでございます。したがいまして、わが国といたしましてこの八十七号条約を批准するということは、わが国の名誉にかけて非常に重要な問題だと政府は心得ております。
○大出委員 当初は、この結社の自由という根本原則につきましては、当然義務として締約国は順守すべきもの、またざるべきもの、こういう解釈をとっておったようであります。ところが、その後の歴史をながめてみますと、相次いで結社の自由、団結権保護というILOの基本原則を侵害する事件が起こったということから、これを条約にしようという動きが強まったのは御承知のとおりであります。そこで、当時全体主義的な風潮の台頭ということもありましてなかなか実現をしなかったのでありますけれども、第二次大戦の終わりに、先ほどのフィラデルフィア宣言が行なわれて、一九四八年六月十七日に、サンフランシスコにおきます国際労働機関総会で、第八十七号条約として結社の自由及び団結権の保護に関する条約が決定されたわけであります。この基本条約という点をさらに明らかにいたしておきたいという意味で申し上げるわけでありますが、その中の一つの大きなポイントは、国際労働機関憲章が前文で、結社の自由の原則の承認は労働条件を改善し、かつ、平和を確立する手段であるという宣言をしていることをまず考慮をする。次に、フィラデルフィア宣言が「表現及び結社の自由は、不断の進歩のために欠くことができない。」このことを再度確認する。さらに、国際労働総会がその第三十回会期において、国際的規制の基礎となる原則を全会一致で採択したことを考慮し、さらに国際連合総会が、その第二回会期において、この原則を是認し、これだけを全部あげて、以上のことを明らかにしてこの八十七号条約を決定するということになったわけであります。この点から考えましても、国際連合を基調とする外交をたてまえとされる外務大臣の立場から見て、さらに大きな批准の義務があると私は考えるわけでありますが、この点も確認をいたしたいのであります。
○大平国務大臣 仰せのとおりに心得ております。
○安藤委員長代理 大出君に申し上げますが、外務大臣は十一時までに参議院に出席要求がございますので、簡潔にお願いいたします。
○大出委員 ちょうど十一時ごろまでに終わります。
 次に、きのうの稻葉さんのお話では、結社の自由実情調査調停委員会が来るのだけれども、来たってよいじゃないか。簡単に言えばそういうお話なんであります。したがって、この点についても外務大臣に明らかにしていただきたいのでありますが、先般河野さんの質問に対しまして総理がお答えになっております。それは、結社の自由実情調査調停委員会が日本に来ることについて、応諾を与えた、そこでILOはこのことにたいへん好感を持たれたようである、これは不幸中の幸いであったと考える、こういう御答弁があります。私もある意味で総理の言われることはよくわかります。そこで結社の自由実情調査調停委員会なるものは、一九五〇年の一月に国際連合の社会経済理事会とILOの協議の結果設置されたものであるわけでありますが、この委員会の目的は、国際連合の社会経済理事会の付託する政府及び労使団体よりの苦情申し立てを公平な立場で審査し、その結果を理事会に報告することにある、こういう規定になっておるのであります。ところで、この委員会が設立されて以来十年をこえるわけでありますが、承諾を与えた加盟国はなく、付託を求める必要があるかないかを検討する予備審査が実際には実情調査調停委員会の実質的な役割りとなっておる。したがって承諾を与える云々というところがなくても済んでいっておるわけであります。この予備審査を行なわせるために理事会が設置した結社の自由委員会が、実情調査調停委員会の職務を実際に行なってきておるというのが今日のILOの実情であろうと私は考えます。したがって調べてみますと、その後ほとんどの国の問題につきましては、この結社の自由委員会がほとんど片づけてしまっておるというのが実情であります。そうなってまいりますと、好感を持たれたということは不幸中の幸いである、こういうことでありますが、十数回にわたる勧告が行なわれておるにもかかわらず、片づかずに実情調査調停委員会に付託をする、つまり結社の自由委員会の七十二次報告に明らかになっておりますごとく、第百五十八回の理事会の日本問題に関する事務総長特別報告なるものまでつくられまして、実情調査調停委員会を派遣する、これは私は国際慣例等からながめてみまして、たいへん異常なことだと存じます。この意味で、すでに労働問題ということでなくて、外国をお歩きの方がひとしく認めておられるように、単に労使のみならず、外国の政府の方々まで、一体いかなる理由で批准が行なわれないのか幾ら説明を聞いてもわからない、こういうことで評しておりますように、すでに労働問題の域は越えておる、こういうふうに考えてよいと思うわけでありますが、この問題に関します国際的な影響という点について、どういうふうに把握をされておられるか、この点を、まだ五分ばかりありますので御答弁を賜わりたいと存じます。
○大平国務大臣 御指摘のように、ILOにおきまして、日本問題が一番やっかいな時間のかかった問題でありましたことは、御承知のとおりでございまして、これは決して日本の名誉であるとは思いません。しかしながら、今日の段階におきまして、私ども過去をいろいろせんさくすることよりも、今日の時点において日本はどうすべきかということを正しく判断することだと思うのであります。実情調査委員会を日本に派遣するかしないかは、ILOがきめることでございまして、私どもの選択は、これを拒否するか受諾するか、二つに一つであったわけでございます。私どもとしてはきのうも申し上げましたとおり、これを拒否するということは穏やかでないと思うのでございます。結社の自由という基本的な課題に対しまして、日本の実情を客観的に見ていただくということ、これをわざわざ拒否するなどということは私は穏やかでないと思うのでございまして、そういうことに至らない前に批准が完成することをこいねがいますけれども、万一そういうことになりました場合におきましても、私どもは受諾する以外に判断の余地はなかったわけでございます。
○大出委員 最後に私はひとつ要望を申し上げておきたいのであります。
 先般ILOの副理事をしております原口氏からいろいろ伝えられております内容からいたしますと、ある国の方がILOの事務総長モース氏を通じて日本の農機具の買い付けに来た。この問題をめぐってILOの中における各国の労働側代表その他の方々から、八十七号条約がひっかかっていて難航しているこの時期に、そういうことをするとは何事だという大きな抗議が持ち上がったという話を聞いておりましたし、さらにまたオマール・ベクーという御存じのICFTUの書記長がおられるわけでありますが、この方は当時ITF、国際運輸労連の書紀長でありまして、あとから私は触れて申し上げますけれども、ICFTU、ITF共同調査団がILOの問題をめぐって日本に参りましたが、この提案をされた方でありますけれども、この方が本年日本に来られておって、三月二十七日に日本を離れるにあたって何と言っているかといいますと、忍耐にも限度があるという立場から、ILO八十七号条約の批准について、滞日中池田首相、大橋労相と会ったが、ともに今国会で批准を実現したいとの決意を持っていた。したがって、日本政府が今国会で批准を実現させることと確信している。この問題はすでに日本政府が何回も公約していることであり、われわれもこれまで忍耐してきたが、それにも限度があることを知ってもらいたい。われわれが全体主義国家としてのスペインのEEC加盟に反対をし、そのために同国の加盟がまだ実現していない事実を見てもわかるように、もし批准ができないと、日本政府がこれから国際組織に加盟する際、われわれは日本政府に労働者の基本権を認めさせるようその組織に要請するかもしれない。もちろんこれらの決定にあたっては日本の加盟組合も相談をする。相談を受けたのでありますけれども、これは国の問題でありますから、そういう点についての良識はおのおのわれわれも持っているわけでありますけれども、そういうことを言われておる。しかもILOができ上がったのは御存じのように一九二三年でありますけれども、この労働の項目をベルサイユ条約に入れたのは時の第二インターの決議であり、労働組合側であるわけでありますから、この点をお考えをいただいて、これ以上問題を遷延させるときに起こる国際的ないろいろな意味における日本という国の立場に対するマイナスの面をお考えいただいて、この国会、本特別委員会を通じまして、どうしても批准をするという立場にお立ちを賜わりたいと存じます。
○大橋国務大臣 外務大臣は参議院の委員会に急遽参りましたので、ただいまの大出委員のお話は、私から外務大臣に十分伝えておきますので、御了承いただきたいと思います。
○大出委員 そこで私は労働大臣に御質問を申し上げるのでありますが、ILOからは七十二次報告等までの間にたくさんのレポートが出ております。またILOに持ち込んだ案件もたくさんございます。ところでその中でストライキ権の問題、あるいは団体交渉権の問題等についても、何べんかレポートが出されております。しかしいろいろ御発言をなさる皆さんの中で、こういう点については全く触れようとはなさらない。そしてしきりにお話の中に出てくるのは、八十七号条約なり九十八号条約なりをめぐっての労使不介入、自主性、自主運営、こういう形が出てくるわけであります。いろいろなことがあげられておりますけれども、たとえば便宜供与というようなことになる在籍専従とかチェックオフ、私はそうならぬと思っておりますが、そういうことをあげられまして、何と言われるかといいますと、便宜供与を受けておるとどうも労働組合はひるむ、弱くなる。だからそういうことがないように、われわれの側は親切にそういうことをやめたらどうか、こう言ってあげているのだというお話なんでありますが、どうもこれは少し見当違いだと思うわけであります。つまり昨日しきりに倉石さんの修正案が出てまいりましたが、私も実はここにどういう風の吹き回しで入ってきたかわかりませんけれども、自民党の皆さんの中の各部門、治安対策委員会の意見であるとか、文教部会の御意見であるとか、内閣部会の御意見であるとかいうのが一覧表でございます。なかなか真をうがったものも中にはございますけれども、これを全部読ましていただきましたところが、どうも組合、特に日教組、国公というようなところが強過ぎる、いろいろな問題を持ち込んでやって困る。在籍専従というようなものをこれから認めていくと、処分するといっても処分しにくくなる。だからこの際、最後のほうにくっついておるのはILO条約の原則にも合うのだからやめてもらったらどうだ。原案賛成だ、こういうことになっているのでありますから、言われることはどうもよろいの下に衣、衣の下によろい、どっちかわかりませんが、組合を弱体化する、そういうことで今日関係国内法の改正案が出されている。これに間違いはないと私は存ずるのであります。
 そこで理屈の上ではいろいろなことが言えますけれども、昨日来言われている相互不介入、こういう問題に関しましても政府・与党の皆さん方の側の案文の中では、だいぶはっきり書かれておるのであります。そういう意味で、そういう表現で言われる組合を強くしてやろうという御心配があるとすれば、多少の便宜供与でひるむというようなけちな組合はないと思うのでありますけれども、なおはっきりさせていただくためには、一番いいのは団体交渉権とストライキ権を与えていただくこと、これをやはり表に出して言われないところに、今日の関係国内法が出てきた理由があろうと存じます。
 そこでILOのレポートに触れまして、ストライキ権の問題について労働大臣の所見をいただきたいのですが、まず前段に二、三点質問をいたしておきます。
 それは一九四八年の六月十七日に先ほどのILO八十七号条約がサンフランシスコ総会で採択をされたのでありますが、日本におきましては労働大臣が御存じのとおり、当時のGHQの占領政策が転換されまして、日本の再軍備への方向というふうなことが初めて爼上にのぼり、日本の資本の復活をしなければならぬという問題等が出てまいりました。これが朝鮮戦争につながっていくわけでありますけれども、こういう背景の中で日本の労働組合を抑える必要があるということで、一九四八年、いみじくも八十七号条約が採択をされたと同じ年の七月に、内閣総理大臣宛連合国最高司令官書簡に基く政令という、えらい長い名前の二百一号政令が出されたわけであります。そしてストライキ権がなくなり、その後公務員法の改正、公労法の制定等によりまして、現在の公務員あるいは公労協労働者の団結権や団交権の制限が行なわれたわけです。公務員にとりましてはストライキの全面禁止、こういうことになったのでありますが、以来十六年になるわけであります。池田総理が河野さんの質問に答えて、四・一七ストライキの問題をめぐって御答弁をされている中に、河野さんのほうから国際的な風潮、労働基本権の確立ということを考えたらどうかということに対して、そういうこともわかるけれども、逆流れになったり、船がこわれたり、急いではいかぬ、こういうことを言われたのでありますが、十六年になるのでありますから、その点を考えるとき、急ぐも急がぬも十六年、だいぶ答弁には私は食い違いがあると存じます。当時二百七十万の官業労働者がストライキ権を失ったわけでありますが、その代償機関として裁定が出されて、国鉄労働組合に対する第一回裁定というのは四十五億円の金を必要とする裁定でありましたが、十五億円分しか実施をしておらないわけであります。三十億円というのは損をした勘定になるわけであります。前後七回ほどの裁定の中で、約二百四十億円をこえる損失をし、はね返りを入れると五百億円にも達することになります。つまり代償機関の役割りを果たしていなかったということになるのであります。したがって、賃金、労働条件の面で、この十六年間に大きく日本の労働者は賃金が低下し、労働条件が悪くなったということが言えるし、当時官業賃金が民間賃金の基準になっておりましたから、その意味では全体的に日本の賃金が低下をしたということになります。ことしの春に、各大組織が大会を持ちましたが、総評も全労も中立も新産別も、ひとしくあげておりますのは、欧州並みの賃金をもらいたいということであります。こうなった根本的な原因は、やはり私は一九四八年の七月における政令二百一号にその端を発しているというふうに考えているわけであります。したがって、この十六年間における日本の労働組合は、失われた権利の回復のためにのみ中心を置いて運動が続けられている。この現実をやはりお考えをいただきまして、憲法二十八条にいうところの団体行動権を認めるという、この基本的な筋について十六年間を振り返っていただいて、ことしの四・一七をめぐる問題等もお考えをいただき、この時点でぼつぼつストライキ権についての検討をしていただく時期がきたのではないかと私は思うのでありますが、労働大臣の御所見を賜わりたいと存じます。
○大橋国務大臣 憲法二十八条の労働基本権が、公務員ないし公社職員につきまして、公益上の理由から制限をいたしてあることは、御承知のとおりでございます。この制限は御指摘のとおり、昭和二十三年に新たに定められたものでございまして、それ以前においてはなかったものでございますが、しかしながら、日本の公務員の性格並びに公社職員等の性格またその職務の特殊性、これらの点から考えまして、基本権の制限を国会が行なわれましたということは、これはやはり当時としては正しいことであったと私は確信をいたしておるのであります。もとより、世の中の情勢は常に進歩いたしておるのでございますから、この公務員のスト権の回復というような要望が最近出ております。これにつきましては、政府といたしましても、はたして今日この要望に対していかなる考えを持つべきであるか常に研究をいたしておるのでございますが、現在のところ、やはり現行制度を維持することが適当であるというふうに考えておる次第でございます。
○大出委員 このあたりで明らかにしておきたいのでありますけれども、欧州各国等における団結権あるいはストライキ権、特に公共部門あるいは公務員についてのストライキ権の問題、団交権の問題がどうなっているかという点であります。いろいろ現地に行って調べて記録をいたしておりますけれども、その内容からいたしますと、イギリスなんかでも、公務員をはじめとする公共部門の労働者にも争議権が明確にございます。団結権はもちろんのことであります。それから西ドイツあたりにおきましても、私も一昨年半月ばかり行っておりましたが、公共部門の労働者には争議権が明確になっております。公務員の場合には、向こうの基本法の三十三条をもちまして官吏の争議を禁止したのだという学説と、そうでないのだという者との争いがございますが、官吏の争議行為は、一般労働者の場合と同じように、一般の法秩序のワク内で法的評価を狩ることになる。つまり争議行為禁止の規定がない、こういう状態になっております。フランスにおきましても、公共部門、さらには公務員、これに争議権が存在をいたします。例のラニエル内閣が退陣をしたときの、フランスのゼネストの発端はボルドーの郵便局でありますから、その事例をお考えいただいても私は明確だと思うのであります。さらにイタリアにおきましても、公務員をはじめとする公共部門の労働者には争議権があるのであります。スエーデンの場合なんかは、禁止されているけれども、ボイコットやあるいは集団的に雇用契約の解約告示をして仕事をやめて、ストライキと同様の形をとっております。さらにデンマークなんかにおきましても、公務員をはじめとする公共部門の労働者にも争議権があるわけであります。さらにオーストリア等におきましても、同様に何らの制限立法はございません。オランダ等につきましても、さらに欧州の各国を洗った場合に特に言えることは、前回の特別委員会でも問題になっております消防なんかにつきましても、団結権があり、警察につきましても団結権がある、大多数であります。しかもフランスの消防などはストライキ権さえ持っておる、こういう事情にあるわけであります。しかも明確になっております。学説的な争いが一つある西ドイツなんかにおきましても、戦後の事情としては、戦前に世界で最高のストライキ件数を数えた西ドイツの場合に、ほとんどストライキ権、争議行為というものが、寸前で良識によって片づいている。つまりストライキ投票が行なわれて、それが一〇〇%に近づくと資本の側が譲歩をし、八〇%を割るなどということになると組合の側が譲歩をする。私的といいますか任意といいますか、調停制度もできていて珍重をされ、解決をしている、こういう事情等を考えるときに、四・一七をめぐって総理が前に出られての解決が、労働大臣以下の努力も含めて行なわれたわけでありますけれども、組合の内部事情等をながめておりますと問題はありますけれども、世上一般がこれについて認識をしている限り、一つの好感を持っているという見方がある意味ではできる。その意味で一つの意義があったと私は考えるわけでありますが、そういう時点に今日きているということを考えていただいて、今日まで政府なり資本の皆さんの側が、労働者側の権利というものを、常に対等ではなくて、一段も二段も低いところに置いておかなければ満足をしない、こういう立場をとってきておられるわけでありますが、そのことは結果的に何を意味するかといえば、失われた権利の回復を水平運動という形で行ない続けるという結果に通ずるわけでありますから、このあたりでストライキ権という問題を天下の学識を集めて論議して、国民の納得を求めて確立をし、憲法二十八条の趣旨に沿い、そしてその結果として与えるものは与えた上で、労使関係のあり方を真の意味における正常な段階に持っていく必要があるのではないか。そうしないことが今日混乱に混乱を重ねざるを得ない理由になっているのじゃないか、こういうふうに考えるわけでありますが、その点についてもこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
○大橋国務大臣 欧州におきまする公務員あるいは公共労働者のスト権につきまして、いろいろ実情をお話いただいたのでございますが、私は、スト権の問題は、単に労使だけの関係から結論を出すという性質のものではないと思うのでございまして、むしろ労使間の問題ということから申しますと、労使対等の立場に立ってそして話し合いを進めていくという意味では、スト権を否認する理由はないと思うのでありまして、スト権が現実に制限されなければならぬということは、やはり国内における社会公共の利益を守るためにやむを得ないということであると思うのでございます。わが国の国内におきまする実情等から申しまして、私は、まだこの公共労働者あるいは公務員等について一般的にストライキを認める段階にはなっておらない、かように存ずる次第ございます。
○大出委員 御親切な答弁をいただいたわけでありますが、さらに重ねていまの御答弁について御意見を賜わりたいのであります。
 四・一七というものをめぐって、青山に行くところにいまなお自民党東京都本部の違法スト対策本部という大きな看板がかけっぱなしになっております。あれをめぐってはたいへん皆さんの側もいろいろな意見があったようでありますが、結果的にまとまったということについては、ある意味ではやむを得ぬ結果だというふうにお考えの方も含めて好感をお持ちのようであります。そこが憲法二十八条にいうところの、すべての勤労者に対して団結する権利及び団交権その他の団体行動権を基本的権利として保障している、これは間違いない事実であります。これは当時スト権を中心とする労働基本権が完全に保障されることが、これは諸種の国際憲章にもありますが、貧困と隷属をなくし平和と生活を安全にすることができる、そういう意味における公共の福祉に合致をしていたのだというふうに学説的にはしるされております。ところが昭和二十四年の国公法改正や公労法制定時においては、政府は逆にこの公共の福祉ということばをスト禁止の法理として使うように変わってまいりました。そしてこれは、国鉄の弘前機関区事件の最高裁判決が二十八年四月八日でありますけれども、ここで述べられておる法理に使われているわけであります。それ以来有権解釈云々ということを含めて公共の福祉ということを皆さんが口にされる。ところが本来しからば歴史的に公共の福祉という観念が生まれてきたのはどこから出てきたか。人権相互の矛盾あるいは衝突、これを公平に調和させようとする趣旨、これによって、つまり人権相互に矛盾や衝突が生じたときにはこの大きな相互矛盾、衝突であるから、したがって具体的にこの人権を尊重する立場から検討をして、矛盾を起こし衝突をする人権について、その均衡をはからなければならないという筋道であるはずだと考えるわけであります。
 そこで政府は、さきの四・一七をめぐっていろいろなことを言われました。言われましたが、いま私が申し上げたような、基本的な権利の相互矛盾をどう調整をするか、こういう努力が根底として払われていくのが、私は公共の福祉という観念を誤りなくとらえていく筋道だろうと考えるのでありますけれども、そこをどうやらかってにと言うと言い過ぎかもしれませんけれども解釈をされて、公共の福祉のために必要であるということによって、何でもかんでも組合の権利を抑えていこうとされる。言い過ぎかもしれませんが、公益は私益に優先するのだという旗を振りかざすことは、かつてのファシズムに通ずると私は思いますし、権力者の一方的な恣意によって、この公共の福祉の名前のもとにあらゆる人権が失われていくということは、対等という立場に立って正常な秩序を維持しようとする労使関係の真のねらいとするものではないのではないかと私は考えるわけであります。そこで官公労働者のストライキが国民に対して重大な迷惑を及ぼし、それによって公共の福祉がそこなわれるというのであるならば、ストライキによってこうむる国民の迷惑、もちろんこれは御指摘のとおりでございます。しかしストライキをやらないことによってこうむる官公労働者とその家族の生活に対する苦労というもの、これは具体的に比較検討をしてその均衡をとるのに必要な限度においてストライキを制限する、こういうことは私は可能な筋だと考えるわけであります。こういうつまり相手に立つ側のものの考え方というものを御理解の上でやはり政治というものが行なわれ、労働行政というものが立てられなければならぬ筋道だという点で、先ほど来御検討を賜われぬかと言っているのでありますけれども、この点についても御見解を賜わりたいのであります。いまの御答弁に関連いたしますから。
○大橋国務大臣 立法論といたしましてスト権をいかに処理するかということについては、いろいろ人によって意見があると存ずるのであります。ただ労働行政の立場といたしましては、国会の制定にかかる法律を忠実に執行するというのでございまして、公共の福祉を守るために必要だということで公労法によってストライキが禁止されておる現在のもとにおいて、公労協がストライキを宣言されるということに対しましては、行政機関としては、そのストライキは法律に違反しておるという事実を率直に認識する以外に、これは違反しておるが大目に見るべきかどうかとか、あるいはこの場合は取り締まらねばならぬとかいうような裁量をする余地はない、こう思うのでございます。そこで労働省といたしましては、先般のストライキに際しましても、このストライキの宣言が行なわれておるが、ストライキが現実に発生したとすればそれは明らかに違法のストライキであるという見解を発表いたした次第であります。
○大出委員 いまの点とからみますのでもう一つ申し上げますが、また昨日の労働大臣の答弁にもあったのでありますが、よく全体の奉仕者ということをあげられるわけであります。スト権剥奪――剥奪という言葉はなるべく使わないようにしているのでありますが、まあスト権がなくなったということが憲法二十八条違反にならない論拠として政府はあげられておる中に、全体の奉仕者ということがある。これについて官公労働者は国民全体に奉仕をする義務を負っているのだ、その雇用主は国民全体であるのだ、こういう前提に立っているわけであります。その雇用主たる国民全体に反抗することになる、これは民主主義の原則にもとるのだ、こういう立論になってくるわけでありますが、官公労働者の争議権が問題とされますのは、ここが一番重要だと私は思うのでありますけれども、現実に指揮命令を受けて労働を行なうという労使関係、労働関係の場においてのみであるというように私は考えるわけであります。その公務員という意味における職務の地位に関連した場における論争ではないのであります。したがって、官公労働者の相手とされるのは、国民全体ではなくて、あくまでも労働に関して直接指揮命令をなしてくるところの使用者としての当局であり、政府であるということになります。もしこれを混同、混淆いたしますと、その結果、国民全体即政府ということになってしまいまして、今日国民全体が政府であるというふうに考えている人はないと私は思うのであります。したがいまして、憲法十五条にいう「すべて公務員は、全體の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」という規定は、天皇の官吏といわれた旧憲法から、そうではないのだという点を明確にする意味における国民の奉仕者という概念であるというふうに私は存じますので、その点についても明らかにした上で問題の処理に当たっていただきたいと存じます。御見解を賜わりたいと思います。
○大橋国務大臣 結局憲法十五条の解釈の問題だと思いますが、憲法十五条で、国民の奉仕者であって、一部の人のためにあるものではない、こう書いてある趣旨は、あなたの御解釈のとおりだと私も存じます。
○大出委員 ところで、この特別委員会の論議の中でもちょいちょいことばに出るのでありますけれども、四・一七の違法ストというわけでありますが、これについても、私は、あとでこれはILOレポートとからむので申し上げておるのでありますから、そういう意味でお聞き賜わりたいのであります。はっきり申し上げておきますけれども、憲法九十八条におきまして、国の最高法規たる憲法に違反する法律、命令は効力を有しないと宣言しているわけであります。最高法規の宣言があるわけであります。さらに憲法第八十一条で、最高裁判所の違憲立法審査権というものを明らかにいたしております。しかしこの審査手続その他を調べてみますと、違憲立法審査権というのは、一般的に、さらに抽象的になされるべきものではなくて、個々の係争事実としてのケースを通じてのみ審査し得るとされているわけであります。国民が違憲だと感ずる悪い法律につきましては、これに反する行動をもって違憲審査を求める以外に法律的に憲法改正をさしていくという法律的な手続はないのであります。この点はILOでも同様でありまして、慣行としては、国内に問題が起こらなくなれば、ILOの結社の自由委員会の働きも終わってしまいます。本来批准するべきものでありますけれども、しかし現実にはそういう面があります。だから日本の国内で労働組合はいろいろなことをやるのだが、いいかげんで腰くだけでやめてしまうのではないかということをILOの場における労働者側委員のたくさんの人から注文がつけられた上で、それならばわれわれも本腰を入れて審査に出たる、こういうことを言っているわけであります。同じようなことになろうと私は思うのでありますけれども、国内に係争事実がなくなれば、なかなかILOの結社の自由委員会の審議も進展をしない、こういうたてまえがあろうと思います。したがって、先ほど申しましたように、いつも労働者の権利を下に抑えておくという筋道は、逆に違憲審査の場をつくり出して国の憲法を、ないしは国の憲法的秩序、こういうものを正していくということに憲法解釈論上から運動が進んでいく、こういう結果に私はなりかねないのではないかと思うわけであります。したがって、そういう基本的な問題を俎上に乗せての今日の段階における、――ILOのレポートも、いろいろあとから申し上げますが、あるのでありますから、そういう時期のとらえ方が私は必要ではなかろうかというふうに思っておるのでありますが、御所見を賜わりたいわけであります。
○大橋国務大臣 私ども行政府といたしましては、国会の制定された法律に対しましては、違憲の審査権というものは持っておりません。したがって、法律を忠実に執行いたすべき立場にあるわけでございまして、現実に最高裁判所におきまして違憲の判決が出た場合においては、この裁判所の解釈を尊重いたすのでございますが、スト権の問題に関する限り、最高裁判所の判例は、現在の公労法その他のスト権の制限規定を合憲と判決しておるようでございます。
○大出委員 そうなると、いまの御答弁についてもう一言申し上げなければならぬことになったわけでありますが、実体法に即して、ないしは最高裁の判決に基づく有権解釈という立場での政府のたてまえは私はわかるわけであります。しかし三・一五判決のことをいま言われたのでありますが、三・一五判決は文字どおりこれは三・一五、昨年の三月十五日、公労協ストライキの日に出たわけでありまして、前日に、そこにおいでになる大橋労働大臣がたいへん御苦心をされ、私どもとの間でまとめて、幸いに事なきを得たのでありますが、三月十五日、予定いたしていた日に出されたという、どういう意味で一緒になったかわかりませんが、一つの歴史があるわけであります。この最高裁第二小法廷で出された判決の主たる内容は、調べてみますと、何と二行しかないのであります。世の中どうも封建時代の夫婦別れでも三くだり半ということがある中に、あれだけの大問題を結論づけるのに二行、こういうことになっているわけであります。内容は、国鉄檜山丸事件、全逓松江事件についての高裁判決についての最高裁の判決、こういうことになるわけであります。当時最高裁判所はどう言っているかといいますと、公労法十七条は罰則はない――罰則はないのであります。解雇するということだけであって、免職ではないのでありますから、罰則は公労法ではございません。それがかりに禁止されている公労協のストライキであっても、刑罰を科すべきものではない、労組法一条二項の刑事免責というものがあるのだということが高裁の結論であったわけであります。詳細な理論構成をして出されております。にもかかわらず、何らの反論もなく、口頭弁論さえ行なわれていないということで出されたのが例の三・一五の判決であり、しかも判決を出す通知が来たのは一週間前、これも異例のことでありまして、かつてない。だから結果的にはどうも政治的ではないかという問題が最高裁の決定にいなやを言うわけではありませんが、何となくそういう異論、政治的ではないかというものの考え方が一般にある。
 そこで私は当時の、三十八年三月十六日の朝日新聞をここに持っておるのでありますが、この中で、成城大学教授の三藤正さん、一橋大学教授の吾妻光俊さん、国際基督教大学教授の鮎沢厳さん、この三人の方々が朝日新聞にこの三・一五判決についての意見を申し述べております。この中で、三藤さんの言っておられるのは、出てしまった判決なのでいなやを言うわけではない。――法律関係者として当然でしょう。しかしこの中で言っておりますのは、労働問題に非常に心配を持っておるわれわれからすると、「一般論を言えば、労働問題では先輩格の欧米諸国でも、公共企業体労組の争議権を否定しているところはほとんどない」ということを断定をいたしております。「そのかわり、労使とも国民に対する大きな責任を身につけていて、ストが決行されるようなこともきわめて少ない」、こういうふうに理論づけております。したがって三・一五判決は判決として、ストライキの問題について、このあたりで労使双方が、戦後これだけたったのだから、ひとつおとなになって考えなければならぬ時期がきている、こういう意味のことを言っているわけであります。吾妻光俊さんの論評は、これは私の先生でありますけれども、この方が言っておりますのは、「ただ、この機会に、私が特に強調したいのは、憲法で保障された労働基本権、特に争議権が、公労法等の法律で制限禁止されていることの意味を、裁判所に対して、十分の労働法的感覚(つまり、労働法上の違法と民刑法等のいわゆる市民法上の違法との性格の違いに着眼するという物の見方)」、私は正しいと思うのでありますが、「をもって、検討してもらいたいという点である。」、こういう注文をつけております。そしてさらにその後に、「私は、一面において、争議行為のレッテルを張ればすべての責任から解放されるという安易な考え方を排斥すると同時に、争議行為という在来の法律の予定していない社会現象を在来の法律上のものさしをむやみに当てはめてはならないということを強く主張していきたい」、これが吾妻さんの論評であります。さらに国際基督教大学の鮎沢さんは、「しかし、国際的にも国内的にも、ますます重大になりつつある労働問題に留意しているものは、満足ばかりしておられない。」三・一五判決についてであります。そして「公労法に「公共企業体等」ということばによってカバーされた、もろもろの企業や事業が本質的に、みな一様に国家の安寧や社会福祉やに直接的に重大な関係を持つものであるかないか、そのすべてにおいて行なわれる争議行為が直ちに国家の安寧や秩序や公共の福祉に重大な結果をもたらすものであるかないか」の点が問題の中心である。ILOのレポート等もありますけれども、一律に何もかも、きのう稻葉先生がいみじくも、言われたように、日本の労働法体系、さらに公務員における法体系というものはまさに一律に何もかも一緒くたに規定してしまっている。これはつまり先ほど申しました一九四八年の政令二百一号の結果として公務員二百七十万の権利を押えたこの安易感、安心感というものがさらに合理的に、――今日民主主義の世の中ですから相手を説得し、納得せなければ大衆というものは政府の政治方針に従わないものであります。それを説得しようとなさらないところに、労働法体系あるいは公務員の労働関係の法体系に手をつけようとなさらないところに問題点がある。
 そこで労働関係法令審議会というものがございまして、私が官公労事務局長の時代に労働省から御相談がありました。こういうことをやりたいのだが出してもらえないだろうかということで、その当時にいま参議院におります野々山君だとか全逓の委員長である宝樹だとかいう諸君が入りまして、労働省の石黒国際労働、後の課長でありますが、当時法規課長等々、いろんな方が関係をれていろいろ審議をされた歴史が二回ございます。一回のときには公労法四条三項というものは国際的にないのだからどけておきたいという担当法規課長の御意見等もありましたが、時の労働大臣が入れてしまったといういきさつなどもありまして、そういう形の論議はむしろ労働省の側から積極的に組合に話があって行なわれたわけであります。われわれは言い分が一ぱいあったけれども好感をもって迎えて委員も出し、しかも意見が通りませんでしたが、かつては吾妻光俊さんが責任者でありましたから、その方々にお願いをして少数意見までつけていただいて、きわめて民主的に協力をしていった歴史もあります。したがって私はこの機会にいま申し上げた観点から考えまして、どうしてもこの辺でスト権問題をめぐるこの種のたくさんの論評があるのでありますから、何らかの機関を設け、天下の良識を集めて世の中が納得するように論議をする必要がある時期だと思うのでありますが、再度お答えをいただきたいと思います。
○大橋国務大臣 私は、国家の制度につきまして、いろいろの角度からいろいろの意見があることは、これは十分にわかるのでございます。そういう意味におきまして、そうした問題について常に政府といたしましてもあらゆる意見について研究を重ね、いろいろな制度が常に国民の要望並びに時勢におくれずに進むように心がけることは、これは行政府の責任として当然なことだと思います。
○大出委員 そこでもう一つ、なぜいまのようなこの段階で私が主張するかという理由を申し上げます。三・一五判決が出されましたが、それは出された判決にいなやは申しません。それはそのときにおけるわが国の政治的なあるいは社会的な情勢のもとに置かれている姿においての司法機関の一時点における限界であろうというふうに私は理解をいたします。したがって、その後においてもなおかつ公労法十七条というのは憲法二十八条違反であるという判決が地裁において出されておるわけであります。念のため例を申し上げておきますと、昨年五月六日に静岡地裁では安西事件と申しますが、ここで公労法十七条は憲法二十八条違反、さらに長野地裁におきまして本年の二月十七日に十七条は憲法二十八条違反の疑いがある、公労法四条三項はILO九十八号条約に違反するということがいわれている。それによれば憲法の最高法規、条約及び国際法規の順守を規定している憲法九十八条にも違反する、こういう趣旨のと申しますか、てにおはが一ぱいついておりますが、こういう判決が出ております。つまり三・一五の時点において理由もなしに二行ではあるけれども十七条は憲法に違反をしない、そこで労組法一条二項の刑事免責はないのだという判決が出されましたが、それ以前にもたくさん公労法十七条は二十八条違反であるという違憲判決が出ていたのでありますが、それを整理されたのでしょう。しかしその後もなおかつこのように出てきているという事実は、いま私が申し上げましたように三・一五の時点における司法機関における限界であろうと考えて、その後この種の違憲判決が地裁でさらに続いて出されるとすれば、再び最高裁にまでこれは持ち込まれる筋合いでありますから、さらにこれを押し上げていこうとする、失われた権利回復への日本の労働運動は続いていく、こういうことになると私は思いますから、再び四・一七のごときことがあっては困るわけでありますが、あるかもしれない予測が成り立ちますので、そういう点等を含めてぼつぼつ先ほど申し上げましたような何とかひとつ機関を設けて審議をはかる、これが必要ではないかということになろうと私は思うのであります。くどいようでありますけれども申し上げておきたいと思います。
○大橋国務大臣 私先ほども申し上げましたとおり、何事につきましても研究というものは大事であり、研究はいつしてもいいことでございますから、そういう意味で研究を絶えず続けることは必要だと思います。しかしながらこのスト権の回復の問題につきましては、政府といたしましては単にこれは労使間の問題だけでなく、先ほど来申し上げましたごとく、国民の立場すなわち公共の福祉という立場をも考えて結論を出さなければならぬ問題であると思っておるのでございます。したがいまして、研究にあたりましてもやはりそういう立場に目を向けることなく進めるというわけにはいかないと思います。いずれにいたしましても、政府としては絶えず大事な問題でございますから研究はいたしております。
○大出委員 十二時に休憩ということでありますので、多少スト権問題が午後に残ると思いますが、ILOのレポートに触れて御質問申し上げたいと思います。
 いまの労働大臣の御答弁によりますと、何となく一つのきっかけが足りていないのでああいう御発言になると思いますので、ILOの報告にあるわけでありますから、それらのことを一つの契機にしてさらに私は御検討いただきたいのであります。結社の自由委員会の報告の五十四次でございますけれども、案件は公労法及び地公労法の規制を受ける団体に関するストライキ権の否定及び調停仲裁制度の欠陥に関する申し立てというものをめぐってのILO五十四次報告ということになります。
 そこでまず第一点は、公労法の十七条の無差別スト禁止はいけない、こういう点があげられているわけであります。つまり三十六項に当たります。この中では先ほど申し上げました、ITF及びICFTUの訪日共同調査団、さらにPTTI、これは国際郵便電信電話労連という国際的な組合の組織であります。この調査団の両報告がILOで取り上げられております。そこでPTTIの調査団報告では、「ストライキ禁止規定は、多くの民主主義国原(イタリア、フランス、オーストリア、ドイツ、ベルギー、イギリス、アイルランド、デンマーク、ノールウエー、スエーデン、フィンランド等)で適用されていないことを理由として、」つまりストライキは許されておる、こういうことを理由といたしまして、日本の郵便労働者に公労法十七条適用をしてストライキを禁止していることはよろしくないという主張になっているわけであります。さらにいま申し上げました案件には、大阪なんかの場合に、地下鉄というものが民間の地下鉄とそうでない公営の地下鉄があって、同じように客を乗っけて走っていても、民間は争議権があるが公営には禁止されている、これは矛盾ではないか。さらには郵便なんかにつきましても、赤い自動車、あれは全逓ではないのでありまして民間の会社であります。郵便逓送運送株式会社という会社でありまして、赤い自動車の組合の全国三千ばかりの方々にはストライキ権が明確にあります。赤い自動車がストライキをやれば郵便はばったりとまって動きません。ところが、こっちにはストライキ権があって一般の郵便配達をする人にはストライキ権はない、そういうばかな話はないではないかというようなことがいろいろと論ぜられているのであります。そして三十九項では、ITFあるいはICFTU、PTTI、こういうところの調査団から仲裁委員会についていろいろ述べられております。つまり代償機関としての役を果たしているかいないかという問題であります。さらにより重要なことは四十七の項目であります。四十七項では、「政府は、一九五七年三月に今後は裁定を完全に実施する旨約束したが、政府の意向にそわない裁定が下されないようにするための措置を講じ、「公益」を代表する二名の委員として、」公労委の事務局長をやっておられた富樫さん、元国税庁の長官をやっておられた阪田さん、しかも富樫さんはその後労政局長になられ、労働省次官になられたわけでありますから、どうもこれは代償機関としての仲裁委員会の性格としてはおかしいのではないか、こういう提起が行なわれて――これはもちろんILO側からではありませんで国労その他からでありますが、提起が行なわれている。そして五十四項で、ストライキ権の禁止に関する申し立てをめぐっての委員会の立場が明らかにされております。これはILOの結社の自由委員会の立場でありますけれども、ストライキ権の問題が本委員会の権限の範囲外にあるものではないと考える。「本委員会は、ストライキ権の禁止に関する申立は、かかる禁止が労働組合権の行使に影響を及ぼす限度において、かつ、その限度においてのみ、本委員会の権限の範囲外にあるものではないと考えた。現在の事件における申立は、一般的なストライキ権の禁止に関するものではなく、必要不可欠な役務又はこれと同等とみなされる公共企業におけるストライキの禁止に関するものであって、政府の見解によれば、これらの役務又は企業における業務の中断は公益の重大な侵害となるであろうとのことである。過去の事件において、本委員会は満足すべき」云々というところから、つまり先ほど申しました必要不可欠なものをということでストライキを禁止しているのだけれども、何もかもひっくるめて禁止しているのはおかしいではないか。五十五項で最終的なILOの結社の自由委員会の結論が出ておりますけれども、「現行法はあらゆる公共企業体及び公有事業についてその性質の如何を問わずストライキを禁止している。これらの企業は、少からぬ重要性を有し、また、非常に多くの労働者を雇用している。これらの事情にかんがみ、」「ストライキ権の制限について、」云々というところから、必要不可欠な企業それからそうでないものを、「関係法律上区別することなく、同一の基盤において取り扱われていることは、適当であるとは思われないという事実に、日本政府の注意を喚起すること、」こういうことに結論づけられているのでありますけれども、この辺については一体どういう御検討をされたかという点を明確にしていただきたいと思います。
○大橋国務大臣 ILOの報告は私どもも承知をいたしております。日本のストライキに関する現行制度につきまして、諸点をあげて疑問を投げかけておられるのでございますが、私どもは、国会が制定されました現在の法制が、現行法として実在いたしておりまするので、われわれとしては、これを忠実に実施すべきである、こういう立場におるわけでございます。もちろんこれにつきましては、法律の将来にわたっての改正等の問題も当然考え得るわけでございますが、しかしそれにつきましては、やはり国内におけるこれに対応する情勢の変化というものが当然伴うべきではなかろうか、そういう意味におきまして、現在政府といたしましては、公労法第十七条につきまして具体的にこれを改正しようというような考えを持っておるわけではございません。ただこの問題については、世界の大勢並びに国内の情勢におくれざるように必要な時期には必要な改正を行なわなければならぬ、こういう点で研究は続けておるわけでございます。
○大出委員 大体午前中は十二時までということですからこれで終わることになると思いますけれども、いまの点とあわせまして、同じく五十四次報告の五十九項にございますが、十六条と三十五条の関係等を含めます、つまり「政府及び立法府が拘束力ある裁定の作成者として設置することに同意した強制仲裁機関の下した裁定の条項に干渉するために利用されるべきでないこと」つまり十六条にいうところの資金上予算上という規定は、政府みずからが拘束力ある強制仲裁、こういう形における今日の公労委を認めている、仲裁機関を認めている、その認めているにもかかわらず、十六条における予算上資金上のしり抜けをつくっている。これはよろしくないじゃないかということ。さらにもう一つは国会という場所がきめなければならぬ、否決をすれば実施ができない、これは立法府としておかしいのではないかという明確な指摘であります。このことは国際司法裁判所にまで持ち出されている事例が明確にあげられまして、その上で国際司法裁判所の結論も付して、日本政府に、ここのところをはっきりしたらどうか、こういうふうに言われているのでありますけれども、この点について、これは検討をしておらないということは私はないと思いますので、かつ、これは池田総理とも組合側が会ったときにも、あるいは私自身が官房長官その他の方とお目にかかったときにも、あるいは五人の大臣にお目にかかったときにも、その点は述べられていることでありますから、この点については一体どういうふうに処理をされるのか、明確にしていただきたいと思います。
○大橋国務大臣 仲裁裁定につきましては、政府といたしましては完全実施が本来あるべきたてまえでございまして、これに対する例外措置というようなものは考えるべきではない。かつまた、完全実施を避ける手段として国会の議決をたよりにするというような考えは毛頭ございません。常に仲裁裁定は完全に実施すべきであるという考えで進んでおる次第でございまして、このことはILOにおいても了としておられると存じます。
○大出委員 あと一、二分になりましたが、もう一ぺん聞きます。
 制度的に、各現業、公社当局の理事者側に当事者能力がないといわれるような状態になっておる。これらの問題を含めてこれは関係があるわけでありますが、資金上予算上というのはそれにからみます。したがって、それらのことを含めて、当時審議機関を設けて制度的に何とかいたしたいという言い方が出されておりましたが、これは一体どういうふうにお考えになっているわけですか。
○大橋国務大臣 先般のストライキを始末するための総理大臣と太田議長との会談におきまして、この問題が取り上げられたことは承知いたしております。政府といたしましては、予算上資金上の問題で公社の当事者が労働組合と交渉する自由を事実上拘束されておる。この状態は労使関係のあり方として適当でないという判断をいたしておるのであります。しこうして、かような判断のもとに、いかにこの現状を改善するか、それについては、近く審議会というようなものを設けるつもりでございまして、ただいまそれについての相談を各省の間でいたしておる状況でございます。
○大出委員 いまの点は、審議会を設けるといろお話があるのでありますが、ILOの五十四次報告の六十九項で、ストライキ禁止の問題の再検討という項があります。それから七十一のところにも多少それに触れた問題があります。それから五十八次報告の二百二十五に、同様にストライキ禁止問題を再検討する必要があるということが述べられております。さらに二百三十一に、チュニジアの四十号事件にからんでストライキ禁止の再検討の問題が出ております。そしてさらに六十四次報告のF項には、逮捕、監禁、あるいは懲戒等の措置をとってはいけない、ILO八十七号を批准しようとおっしゃるのだから。これはたしか六十八次だと思いましたが、そのあとで、一番最後のところだけを、政府側がどういうことを入れたかわかりませんけれども、根本原則は変わっておりませんが、具体的な文字は報告からとってもらっておるようでありますけれども、こういうふうに続くわけであります。これらのことからいたしまして、いま審議会の話が出たのでありますけれども、後ほど団交権問題についても申し上げたいのでありますが、もう一ぺん最終的に審議を願う場所をつくるという点についての諾否の点をお答えをいただきたいと思います。
○大橋国務大臣 政府部内において絶えず検討をしていることは、先ほど来たびたび申し上げたとおりでございます。この検討につきましては、各省にも非常に関係がございますし、また、労働組合の責任者にも関係のある事柄でございまして、将来これについて何らか研究を一そう前進させるということになりますと、お話のとおり、審議会等は当然考えられなければならぬ事柄だと思います。ただ、現在の段階におきましては、まだ具体的にさようなお答えをすべき段階まで進んでおらない次第であります。
○安藤委員長代理 午前はこの程度にいたし、午後一時三十分再開することとし、この際休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時四十七分開議
○安藤委員長代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑を続行いたします。大出俊君……。――大出さん、お始めください。
○大出委員 たくさんありまして、具体的な問題点に入りたいと思うのでありますが、団体交渉権問題での地方公務員関係が出ておりますが、自治大臣がおいでになりませんのであとに回させていただきまして、おいでにならないでいい部門だけ先に質問させていただきます。
 まず、冒頭に承りたいのですが、どなたから御答弁いただけるか。これまた総理の御出席をいただくように申し上げてあるのですが、お見えになりませんので、かわって御答弁を賜わりたいのです。
 臨時行政調査会ができておるのでありますけれども、これは一体担当はどなたであり、この臨時行政調査会に対して、今日中間答申その他も出ておるのでありますけれども、どういうお考えを持っておられるのか、人事局設置の問題等ともからみますので、御質問申し上げます。
○安藤委員長代理 大出さん、それは行政管理庁だそうです。
○大出委員 それらの問題がありますから、私のほうからは、責任者はやはり総理なんですから、総理府関係でもありますし、したがってその旨申し上げて出席要求を、もうだいぶ前になりますけれども、私の質問がきまった日に申し入れてあるのであります。したがって、おられないのは承知なんでありますけれども、どなたか代理で御答弁を願いたい、こういう意味で、議事の促進に協力しておるつもりなんです。それを承っておきませんと、人事局設置の問題に入るについて非常に困るわけなんです。
 もうちょっと内容をつまびらかにいたしますが、臨時行政調査会の中間答申が出されておりまして、それが大きくいえば二つに分かれております。第一専門部会第一班報告というのと、それから第三専門部会第四分科会中間報告書というのとございまして、この内容を調べてまいりますと、どうも今日人事局設置というものを提案をされておりますけれども、情勢がきわめて大きく変わっておるということになると思いますので、その件について責任の所在をまず明らかにいたしておきたい、こういうことです。
○安藤委員長代理 大出さんに申し上げます。ただいま連絡いたしまして、その回答を待ちますその間、それではお気の毒ですけれども、質問の方向を変えていただいて、お進め願いたいと思います。
○大出委員 実はいま人事局設置の問題、人事院の問題とからむ点についての質問に入ろうとしているのでありますけれども、これを保留をしてほかのほうにいってもいいのでありますか。筋からいいまして、人事局設置という問題は、昨日も触れておられませんし、きわめて重要な問題、言うならば、このILO特別委員会の審議にあたっての一つのポイントになる点だと私は存じます。そういう意味で、できればひとつあとから関係の方がお見えになったときにいまの問題に関しては御答弁をいただくことにして、多少審議に差しつかえがあろうとは思いますけれども、人事局設置をめぐる問題について質問をしたいと思います。
 そこで、まず第一に、今回この政府提案の中で人事局設置という問題を提案しております。提案理由について説明は受けましたが、つまびらかでありませんので、できるだけ重点的にもう一ぺん御説明を賜わっておきたい、こう思います。
○大橋国務大臣 政府といたしましては、ILO条約批准を機会に、職員団体と使用者たる政府との関係をできるだけ調整いたしたい、かように考えておるのでございます。そういう意味におきましても、この問題についての政府の責任体制を確立いたすという意味で、総理大臣のもとに新しく人事局を設けることが適当と考えておるわけでございます。
○大出委員 重ねて御質問いたしますが、責任体制とは一体何を意味するかについて明らかにしていただきたいと思います。
○大橋国務大臣 職員の勤務条件その他につきましては、御承知のとおり国家公務員法におきましても、協約締結は認めておりませんが、当局と交渉することを認めておるのでありまして、これにつきまして、従来の経験から申しますと、各省に話をいたしましても、なかなか政府として一元的にこれを管理する役所がないために、この種の交渉が十分に目的を達し得なかったというような点もございます。さような意味におきまして、各省のこの種の事務を統轄し、政府全体として職員に対する責任機関を新しく設けよう、こういう趣旨でございます。
○大出委員 私は人事局設置にあくまでも反対をする立場でございますけれども、その点で御質問をさらにいたします。
 責任体制ということで勤務条件云々ということをいまお答えになりました。各省のということでございますけれども、しからば、一体今日までやってまいりました人事主任官会議というふうなものは何をやっておったことになりますか。
○大橋国務大臣 人事主任官会議は、内閣から独立いたしました人事院に置かれまして、現在人事院としての所掌事項を各省に徹底させるために連絡機関として設けておられるものでございます。したがって、内閣には関係のない仕組みに相なっております。
○大出委員 つまり今日人事院が所管事項についてやっておる各省との連絡その他を誤りなく行なっていく意味で開かれておったのだと思いますが、それらのことがよろしくないから、しからば人事局を設置をする、こういうことになりますか。
○大橋国務大臣 人事院におきまして人事の全般についてただいまの体制として扱うことに相なっておりまするが、この中には政府が責任を持って取り扱うことが適当であると考えられる事項が相当ございます。したがって、これらの事務を所掌いたしまするとともに、あわせて政府として各省の人事を管理、連絡、調整していく、こういろ必要で設けようとするものであります。
○大出委員 つまりそのことがまことに一方的解釈、独断ということになると私は思うのであります。戦後行政調査部ができて、宮沢俊義さんが公務員制度課長をやられて、最初の人事官というものは浅井清さん以下名前を書いた案ができて、これはアメリカ流で困るから変えてくれといういきさつまであって人事院は発足したのですけれども、この人事院発足から今日までの長い歴史の中で果たしてきた役割りは私は非常に大きなものがあると考えておるわけであります。基本的な問題、つまりストライキ権がない、かつ団体交渉権がない、公務員全般の勤務条件あるいは勧告権、そういうふうなものをめぐり――公平権もそうでありますが、非常に大きな役割りを果たしてきた人事院に対しまして、一方的にどうも人事院は責任性という立場でよろしくない、これは内閣から見ればあたりまえのはずであります。中立的機関を設けて、独立性、そうして人事官の身分の保障等々を行なって、それなるがゆえに公務員は保護される、こういう代償機関的性格を明らかにしたのですからあたりまえのことであります。にもかかわらずいまのように、どうもよろしくない、責任性という面で内閣が責任を負わなければならぬ、いまそういうことを言われる理由は一体どこにあるのですか。
○大橋国務大臣 政府が行政事務を処理していくにつきまして、公務員諸君の協力を得なければならぬことは申すまでもないのでございまして、こういう意味におきまして、政府といたしましてやはり人事面にタッチするということは、その職責遂行上必要な事柄であると思うのでございます。しかるにこれにつきましては、従来内閣にはほとんど権限がなく、また、これを取り扱う機関もなかったのでございまして、このことが政府としての責任上遺憾とされておったわけであり、またその点は行政審議会等においてもしばしば現行制度について検討を要する点として指摘もされておりまするので、こうした点を考慮いたしまして今回改正案を提案いたした次第であります。
○大出委員 私は当時GHQがあります時代からキレン労働課長あるいはブレインフェーバー課長、エーミス労働課長等、常に私の交渉相手であったわけでありますが、そのつど繰り返されておりますアメリカシステムの日本の人事院機構、つまり一九四八年七月にストライキ権がなくなって、公務員法が考えられて、さらに改正をされてという経過の中で、人海院の独立性という点が特に強調されて、例の公務員制度ができたのでありますから、内閣に権限がないのはあたりまえなんです。それが今日の公務員制度であるわけなんです。
 それがいいということで、これだけ長い歴史があるのに、きのうどなたかおっしゃいましたけれども、八十七号条約に関係がないものを云々するから、たとえば団交権、こういうお話がありましたが、団交権は八十七号条約の審議をめぐるILOのレポートで何回も日本政府にものを言われておるわけですから関係がございます。私をもって言わしむるならば、関係国内法の改正という、言い方をされておるのですが、実はこれが関係のない国内法の改正だと私は理解をいたしております。その中の最たるものがこの人事局。してみると、いま申しました公務員制度の歴史からして、それを関係国内法という形でとたんに人事局設置というふうに持ち出した政府の意図が那辺にあるかという点を先ほどから質問をしておるのです。いま言われるように内閣に権限がなかったから人事局をつくる、そんなことは初めからあたりまえ。公務員制度の今日の制度が悪いからという理由がるる述べられなければ移すことにはならないはずだと思うのですが、そういう意味でどうも御答弁の筋が明らかでありませんので、再御答弁を願いたいと思います。
○大橋国務大臣 政府といたしましては、公務員行政につきましては、やはり行政事務全般を管理いたしまする責任上、少なくとも最小限度においてこれに関与する必要がある、こう考えておるわけなのでございますが、現行の制度においてはその最小限度の関与が許されていない。この点は行政事務全般を管理する政府の責任体制として不適当である、かように考えておる次第であります。
○大出委員 私は先ほどちょっと口にしましたように、行政調査部ができて宮沢さんや高橋直服さん等がいろいろおやりになった時代から調べておるのですけれども、あのいきさつ等からいたしますと、むしろ政府に権限がないのがあたりまえ、それがつまり正しい代償機関のあり方、なおそれでも足りない、こういうのが今日の事情なんであります。
 そうなりますと、たとえどれだけの――最小限度のといういまのおことばなんですが、一体最小限度の権限をなぜ必要とするか、この点がまず明らかでありません。したがって、もう一ぺんなぜ最小限度の権限が必要であるのかということと、あわせて今日提案されております内容が、はたして最小限度ということになるのかどうか、この点についても明らかにしていただきたいと思います。
○大橋国務大臣 最小限度の権限が内閣に必要だという理由は、内閣といたしまして内閣の使命とする行政事務の管理をやっていきます上からいって、そのことがどうしても必要だという理由に基づくわけでございます。かつまた今回提案いたしておりまする案の内容は、この最小限度の必要を満たすためのものでございます。
○大出委員 そこで、さらに御質問いたしますが、臨時行政調査会「第一専門部会第一班報告書(本文)」三十八年九月に出ておるのですから、ごらんになっていないはずはないと思うのですが、この中に
 「人事院の独立性は、尊重さるべきである。その権限の一部を割いて、総理府に人事局を設けるのは、必ずしも好ましくない。人事院の弱体化をまねくからである。公務員制度調査室の機能等人事局案による人事局の機能はむしろ人事院に移し、人事行政のうち管理者の権限に属する服務、能率、研修、特別職の給与など限られた特定の事項は人事院総裁の権限とし、この特定の事項については、人事院総裁が内閣の指揮監督を受けることにしたらどうか。」
 こういう中間報告が出されておるわけであります。全く逆の考え方、今日の公務員制度を貫いて、さらにこれを強めよう、団体交渉権のない公務員を守らなければならないという考え方が出ておると思うのです。先ほど御出席がなかったので残念ながらその点は御答弁がいただけないのでありますが、政府が少なくとも行政的な立場に立っての臨時行政調査会というものをつくられて、しかも人を委嘱をして進めておるところから膨大な中間報告――これだけの膨大な報告が出ておる。いま私が申し上げた結論の前には、たくさんな論議が尽されておる。
 こうなってまいりますと、私はさっき申し上げましたように、なっていない理由をるるお述べになっておりますけれども、まずその理由をつまびらかにする前に、事態が変わってきておるのが今日の事情、つまり臨時行政調査会が発足をして、九月あるいは多少延びるといわれる期間に答申が出る。そうだとすればその前のいまの時点で人事局設置というものを再度提案をしてきたという政府の立場というのは責任ある立場だとは思えない。なぜ一体この中間報告が出ていることについて、それならば何がしかの理由を求めてその辺まで明らかにした上で、かつ臨時行政調査会のほうとの関係もつけた上で、提案をされているその趣旨の説明があるならばまだわかりますけれども、全くもって筋違いという気がするのであります。その点はどうお考えになりますか。
○大橋国務大臣 政府といたしましてはすでに四、五年前からこの人事局設置の必要性を考えまして、引き続き毎年本案を提出いたしておるような次第でございます。この間におきまして、昨年臨時行政調査会の一機構であります部会において意見がまとめられた事実はあるのでございまするが、しかし政府といたしましては、臨時行政調査会の意見は総会の意見として固まった段階において考慮すべきものでございまして、中間において一々これを問題とし、そしてこれに拘束されるということはいかがなものであろうか。むしろ四、五年前から政府として必要性を痛感しておりまする人事局の問題については既定方針をもってこの際は進んでいくことが実際上適当だ、かように判断をいたした次第であります。
○大出委員 今回のこの国会に提案をされたのは私は新たなる提案だというふうに理解をいたします。そうなりますと、五年前に検討され立案をされていたものであったといたしましても、その後政府がその必要を認めて設置をされた臨時行政調査会であります。しかも、議事録によりますと内閣委員会でずいぶんたくさんの議論が行なわれて、代表たるべき者を旧来とは違った形で入れて、しかもこの委員会が発足をして中間答申をされている。こういう事情があるわけでありますから、当然なる事情の変更、こうなければならぬはずであります。この報告書は秘密に出されたものではないのでございまして、公になっておるのであります。そうだといたしますと、一方政府が委嘱した臨時行政調査会からは天下に人事院の存在の重要性というものを説いておられる。権威のある方々が委員として連なっておる。そういうところにまっこうから違う立場での人事局提案をされるというその認識の度合いが私はわからぬのでありまして、何を委嘱してもそんなことはかまわぬ、政府は政府でかってにやるのだというならば、臨時行政調査会などというものをつくったり、港湾労働等対策審議会などというものをつくったりする必要はないのであります。そういう点等において納得がいきませんので、納得し得る理由の説明がいただきたいと思います。
○大橋国務大臣 臨時行政調査会の中間報告と言われますけれども、臨時行政調査会の中間報告ではなく、臨時行政調査会の一下部機構であります部会の一応の結論、こういうことでございまして、これは臨時行政調査会におきまして再審議され、その段階で初めて最終的な結論が得られるのだと思うのでございます。したがいまして、先ほど来申し上げましたるごとく、下部機構のまだ研究中の一応の意見につきまして、もとより政府としては十分に検討は加えましたが、この段階におきましては政府の既定方針を進むということが適当だ、こう政府としては判断いたした次第であります。
○大出委員 私は冒頭に第一専門部会第一班報告書ということを申し上げておりますので、いま大臣が言われるように理解をしてものを言っているつもりであります。何べんも申し上げましたが、第一専門部会第一班報告書でありまして、中間報告であります。そこで、しからば第一専門部会の第一班報告書というのは何かといいますと、臨時行政調査会の専門部会なんでありますから、ここでこれだけの理由づけをされて出されたものは当然臨時行政調査会に持ち込まれる。おのおの専門部会なんでありまして、専門部会で出てきた結論というものが尊重されないようならば、通常の常識からいってこの種の調査会というものはなかなか成り立ちません。御存じの総評議長が入っております太田調査会などというものもありますが、出身の立場が違っても、彼の言ではありませんけれども、私の部門で結論が出れば正直に私はそのとおり答申をする、こういう責任ある立場でやっているのだということで、世の中の労働組合にとってはたいへん迷惑な調査会報告が出されておりますけれども、あえてやっているという責任ある状態に置かれているわけであります。まして私は第一専門部会でここまで論議をされたものはおそらくその筋を迫って出てくる筋合いのもの、よしんばそうでないにしても、これだけの臨時行政調査会なるものを考えられて法律できめてやっているのでありますから、政府の責任ある立場からするならば、その成り行きというものをつまびらかにした上で出してもおそくはないのであります。
 そういう点で、旧来の方針があるのだからということだけで出したのには、いま言われる理由以上に何がしかの理由がなければならぬと私は思うのでありますが、もう少し明快な答弁を賜わりたいと思います。
○大橋国務大臣 政府といたしましては、行政機構につきましては臨時行政調査会を設けて諮問をいたしておりまするので、もとよりその結論については十分尊重すべき立場にあるのであります。しかしながら人事院の問題、また人事局の問題につきましては、同委員会はまだ結論を出しておらないのでございまして、政府といたしましてはILO条約の批准に伴いまして人事局を設けるということは、行政事務の正常なる運営を確保いたしまするとともに、あわせて職員団体の立場を保護するという上からいいまして、これはILO条約の精神から見て必要欠くべからざるものである、こういう考えを持って進んでまいっておる次第なのでございます。これ以上は意見になるかと思うのでございます。政府の意見としてはただいまのような意見を引き続き持っておることを御承知いただきたいと存じます。
○大出委員 いまの御答弁ということになりますと、ILOというのを引き合いに出しておりますから、どうもこれは少なからずたいへんなことになったというふうに私は思うのでありますけれども、ILOのレポートからいたしますと、全くそれとは違ったことを言っているわけであります。例をあとからたくさんあげて、十何項目ありますから申し上げますが、いま一口で申し上げますと、今日の人事院の制度というのは単なる勧告機関である、仲裁機関でない。日本政府に質問をいろいろしております過程で、日本政府は仲裁機関は必要がないという答え方をいたしておりますが、それに対して、それはいけないということを繰り返し述べて、とにかく明確な仲裁機関をつくりなさい、そしてこれは国家公務員の人事院制度にも導入をしなさい、こういう趣旨の結論をつけて日本政府に示唆をいたしております。どこにも人事局設置の必要などということは触れられておりません。しかもそのILOの討議過程では、人事局設置という困った問題があるのでという当事者側の答申に対しまして、ILOはそのことも論議をした結果、代償機関の欠除であるから地方の人事委員会、公平委員会――公平委員会などは口をきわめてけなしておりますけれども、それを代償機関の欠除を補償する意味で仲裁機関にしろ、そしてそれを今日の国家公務員の側の人事院制度の中にも取り入れろ、こういうふうに言っているのでありますから、いまの答弁は全くもって根拠のない誤りの答弁であるというふうに思いますが、御所見を賜わりたいと思います。
○大橋国務大臣 いまの仲裁機関というような意味でなく、現在の人事院というものは国家の人事管理機構の一つになっておるのでございます。したがって、これは公務員と政府との間におけるいわゆる労働関係の仲裁という機関ではございません。ですからその仲裁機関の問題は別途に考えられるべき問題だろうと思うのであります。もっとも現行の制度におきましても、いわゆる苦情処理あるいは不服の申し立てというような点は、これは仲裁機関としてあるのでございますが、この点は新しい法案におきましても引き続きそのまま存続されることになっておるのであります。
 それ以外に国家の人事管理機構それ自体としての役割りを人事院に課しておりまするが、これにつきましては、政府の行政上の責任ということから考えましても、内閣にその権能を移すことが民主政治の意味において適当だ、これは責任政治、国会に対する行政府の責任といろ意味からいいましても適当だ、こういうのが政府の考え方でございます。
○大出委員 いまの二回にわたる御答弁なんでありますが、最初の御答弁は、ILO条約云々という関連で申しましたから御答弁をいたされておりますから、それなら一体ILOは何と言ったんだということが反論として出てくるわけでありまして、私もこれだけあるILOレポートを端からしまいまで全部読んでおりますけれども、人専用をつくれなどということはどこにも言っていない。明らかであります。人事局は困るという提訴がありまして、それを論議した結果が先ほどの仲裁云々の問題にレポートの面ではなってきている。ですから私は、その問題はあらためてあとから申し上げますがということを前提として、ILOの取り扱いの中では人事局には触れていないということを立証したのでありまして、仲裁機関云々の問題は初めから承知いたしております。
 したがって私の申し上げたいのは、ILOがと言われたことは誤りではないか、そういうことは言ってないはずだ、もし言っているとすればどこの報告のどこに人事局設置をせよというようなことを言っているかということを聞きたいわけなんであります。
○大橋国務大臣 日本政府といたしましては、ILO条約に伴いまして国内法を改正いたしまするのには、ILOの指図を受けるべき筋合いではございませんので、日本の実情に照らしまして、日本として条約批准に伴う義務を完全に履行いたしまするためにはこれらの措置が当然に必要だという自主的な判断に基づいてやっておることでございます。
○大出委員 明らかになったようでありますが、ILOということを口にされたので、人事局とは関係ないはずだと私は申し上げたのでありまして、この点ははっきりしていただきたいと思います。
 いま大臣が言われる趣旨であれば、それは労働問題懇談会がいろいろ検討ざれた中でいろいろ関係法律の労使正常化という意味における検討をしろということ等触れておりますから、そういうところから自主的にとおっしゃるなら、それは筋としてわかります。
 しかしなおわからないのは、先ほど来申し上げているように、臨時行政調査会というものを法律できめて設置をして、やがて答申が出ることを目の先にしている時期に、おそらく暮れから来春の国会あたりには出てきかねない事情にあるのであります。にもかかわらずここでこの問題を政府が提案をしてきているということがわからない。
 ところで、臨時行政調査会の側の担当される方、こちらから私は実は本来御答弁をいただく筋合いだと思っているわけでありますが、つまり人事局を提案されておる側の所管の責任者の方からの御答弁だと――とかくやはり、政府としては統一をしてあるとおっしゃるかもしらぬが、臨時行政調査会というものをとらえての論点からは多少ズレが出てくる、納得する御回答がいただけるんじゃないかと思いますので、お見えになっているのであれば、先ほど委員長からそういうお話がありましたので、御答弁を賜わりたいと思うのでありますが……。お見になっておりませんですか。
○安藤委員長代理 要求しまして、局長が出てくることになっていまして、まだ到着しませんから、到着しましたらお知らせいたします。
○大出委員 それではお呼びをいただきましたときにあらためて御答弁をいただいて、筋は筋でわからぬつもりはございませんけれども、そのあとでひとつ論議を進めてまいりたいと思うわけであります。
 ところで、この第一部会第一班報告その他につきましては、聞くところによりますと、そのつど人事院であるとかあるいは政府の関係部門、たとえば公務員制度調査室、こういうようなところへいろいろ意見を聞いておられるようであります。そういうふうなたてまえからいたしまして、人事局設置が一方には提案をされ、一方には第一専門部会の第一班の中間の報告書等が出され、こういう中で一体人事院の側として、これらについて意見を求められたことに対していかなる御回答になり、かつまた広くこの問題について今日の時点で――前回特別委員会の席上で佐藤総裁からのお話等は議事録を拝見をいたしておりますけれども、今日の段階、今日の時点でどのようにお考えになっておられるかを承っておきたい次第でございます。
○佐藤(達)政府委員 お答え申します。
 臨時行政調査会との関係におきましては、お話に出ましたように、非公式ではありますけれども、できるだけ接触を保っておりまして、こちらの意見も申し上げておるというのが実情でございます。しかし、われわれの申し述べておる意見の根本というものは、これはあくまでも現行公務員法というものは一応筋の通ったりっぱな制度だという信念のもとに立ちまして、それをさらに拡充してその理念のほうへ向けていくことをねらって常に申し上げておる次第であります。その結果、これは調査会としてどういう結論になりますかどうか、これはまた重大なる関心をもって見守っておるわけでございますけれども、その点、以上の程度のことを申し上げまして、あとにお尋ねになりました今回の国家公務員法に対するわれわれの根本的の考え方ということについて、できるだけ時間をかしていただいて申し上げさせていただきたいと思います。
 昨年の特別委員会において、いま御指摘のようにわりあいに時間をさかしていただいて、これはたいへんうれしく思っておりましたのですが、その申し上げた点と今日といささかも考えには変わりはございません。率直に申しますと、どうも疑いがますます深まっていくということが正直なところでございます。ただ今回は、これは新しい特別委員会でございますから、また最初の発言でもございますから、この機会に一応要領だけでもお聞き取りいただけたらと存ずるわけでございます。
 申すまでもなく、現在の国家公務員法におきましては、中立機関としての人事院を設けまして、それに相当大幅な権限を与えております。任命、罷免、給与、それから分限――身分関係です。服務、勤務条件、懲戒、さらには研修、職階制、まだほかにもございます。たとえば職員団体関係の登録その他というようなことについて基準の設定も人事院におまかせいただいておる。実施の調整についてはもとよりでございます。
 なぜそのような広い権限を現行制度が中立機関たる人事院にお与えいただいておるかということは、これはもう釈迦に説法で繰り返すまでもございませんけれども、公務の厳正中立、その公正、特に人事行政の公正、中立を確保するためには、どうしても中立機関というものに相当大幅な権限を預けておかないと安心ができない。それからもう一つ、これはたびたびお話に出ておりますように、現在の国家公務員法上公務員には団交権その他の労働権が認められておらない。それに対する代償として、人事院はやはり中立機関としていわば団交権の代償的機能をこれはやはり大幅にお与えいただいておる。その最も重要なものが給与の勧告権でございます。これは団交権の代償的機能と申しますのは何も勧告権だけではないのでありまして、現在の制度をごらんになりますとわかりますように、給与法がございます。公務員法もございますけれども、これも大幅に基準の設定を人事院規則にお与え、お預けをいただいておる。なぜ人事院規則にお与えいただいておるかというと、これはやはり中立機関としてそこをきめさせることがどうしても必要だ、団交権の代償的機能を使用者側に一方的にきめさせたのでは代償の意味をなしません。また政治的その他の中立の保障の面から申しましても、それはやはり中立機関にお与えくださるのが適当だ、そういうたてまえで現行制度ができておるわけであります。
 ところが、今回のこの公務員法の改正を拝見いたしますと、ほとんどそれらの権能が、いま申しました基準の設定をも含めて総理府のほうへ移されてしまう、人事局に移されてしまう。ただいま人事院規則にまかされておりますことは政令の形で政府がおきめになってしまう。仕事の幅の点から申しましても、人事院に残るものを申し上げたほうがこれは早いと思います。何もなわ張り根性で申し上げておるわけではございません。残るものを申し上げると、まず公務員の試験、それから不利益処分等に対する審査、それから措置要求、それからあとは給与の勧告、勧告だけであります。それから職員団体の登録事務だけ、これは残していただいておるわけです。その他全部人事局のほうへ移されてしまう。この形を、非常にえげつない表現でございますけれども、非常に卑近な例をとらえてみますと、私個人非常に長い間公務員生活をやっておりまして思い出すのは、大体明治憲法時代における公務員制度、その時代における形をほうふつたらしめる、これはたいへんな大改革だと私は思うのであります。
 明治憲法時代を考えてみますと、まず試験委員がございました。これはやはり中立機関として試験委員会というのがありました。それから身分保障のためにはいまよりも行き届いたといっていいかもしれませんが、分限委員会あるいは懲戒委員会、これの事前審査がなければ処分ができない、そういう独立機関が設けられておった。大体いま申しましたところでお考えいただければ、人事院に今度残される権能は、明治憲法時代のそれらの独立機関の権能を合わせたものが中心になる。もちろん給与の勧告というものは明治憲法時代にはありませんけれども、今度はございます。これは公務員の団交権その他についての前提が明治憲法時代においてはいまとは違っているわけで、形式的には団交権があったような形になっておりますから、それとこれとは比べものにならぬ。似ておるのは、明治憲法時代には御承知のように、大体公務員制度に関することは大幅に勅令できめられておった、今度は大幅に政令できめられるというような点が、どうもひがみかもしれませんけれども、私の頭にほうふつとしてこれが浮かんでくるのであります。この改正は、公務員制度の歴史を見た場合にたいへんな改革、ほんとうにあとで取り返しのつかないことになるのじゃないかという心配を私は実は非常に深く持っておるのでありまして、そういう点から疑義あり、疑義ありということを非常に御遠慮申し上げた形で発言はいたしておりますが、ほんとうはもういても立ってもおられないという心境でございます。
 なお、ついででございますけれども、現在御審議いただいております地方公務員法の改正が一緒に出ております。地方公務員法によりますと、地方公務員については府県に人事委員会というものが設けられております。この人事委員会は中央の人事院に相当するものであります。さて、中央の人事院については人事局ができ、いま申しましたような大幅の権限が人事局に移譲されておりますけれども、現在御提案の地方公務員法の人事委員会はいかなる手当てを受けておるかというと、これは現状維持、相当重く扱われておる。現在国家公務員は地方公務員よりも中立機関の保護が厚かったと私どもは思っておりましたけれども、今度の地方公務員法と並べた形でこれが成立いたしますと、国家公務員は中立機関の保護という面では府県の職員よりも下がった、薄い保障を受けざるを得ないのじゃないかというようなアンバランスを見るわけであります。これはよけいなことでありますけれども、その辺のところも私どもにはどうも理解ができないという点も申し添えておきます。
 要するに、今回の改正というものは、まかり間違うと取り返しのつかぬことになる、公務員の制度の歴史の上において、これは重大な転回期であると、私どもは多少思い詰めておるのじゃないかということをこの間も申しましたけれども、これは先生方の御批判に待つこと、国会の御判断に待つことでありまして、私どもの疑いとするところだけをここで申し述べさしていただきたいと思います。
○大出委員 たいへん御明快な、かつ公務員の事情について御心配の上でお話しになっておりますので、よくわかるわけであります。
 つきましては、実は私は総理大臣に御出席を賜わりたいということを前もって御連絡を申し上げたのでありますけれども、なかなか御多忙で、昨日も稻葉さんからその点の御不満が出ておりましたが、同じような不満を私も感ずるのであります。つまり、いま提案をされている人事局というものは、日本の、戦後今日までに及ぶ公務員の制度について、かつてない大転換をすることになるのでありますから、そういう意味では、ひいて地方公務員にも将来及んでいきかねない内容もありますから、たいへんな数の方々に――先ほど、四十八年当時の二百七十万公務員というふうに申し上げましたが、たいへんに大きな影響を持つ筋合いでありますので、総理大臣に明快な御答弁を一ぺん賜わっておかなければならない、こういう筋合いのものだというように私は考えますので、この点は出席要求はいたしておるのでありますから、総理大臣に対する質問をあらためて申し上げるという意味で留保さしていただきたい、こういうふうに存ずるわけであります。
 かつこの問題をつき詰めてまいりますと、臨時行政調査会の問題とも大きくからみますし、それから、関係はないのでありますけれども、ILOの各種のレポートとの関係も出てまいります。そういう意味できょうお見えになっておられる方々から見まして、どうもこれは質問を進めにくい状態にもあろうというように思うわけであります。私はILOとの関係と申しましたのは、代償機関の欠除という問題について、地方公務員制度にも国家公務員制度にも触れたILOの見解が出ておりますから、そうなりますと、それとの関係において、代償機関か権利か、つまり、団体交渉権等の権利を認めるか、それとも代償機関か、さらにはストライキ権か代償機関かということに発展するILOの見解でありますので、そうなりますと、その面からは、やはり人事局というものが出てくる限りは、権利というのは一体どう考えるのかという問題が付随しなければ筋が通りません。そういう点々等を考えます。
 なおもろ一点は、私も各種の資料を方々から集めて見ているわけでありますけれども、いま総裁が言われたことにほぼ尽きてはいると思いますものの、なおたくさんの、人事院の独立性の尊重というふうな面に触れての各方面からの見解がございます。これらについてもつまびらかにいたさなければならぬというふうに考えておりますので、そういう意味で最終的にひとつこの問題については、先ほど労働大臣からの御答弁がありましたが、いま私のほうで申し述べている趣旨について、御出席をいただいていない総理その他の関係の方々にも御相談をいただいて、次会にはひとつ明確な御答弁が賜われるように御配慮賜わりたいことを、本日御出席の労働大臣に御要望申し上げておきたいと思うのでありますが、よろしゅうございますか。
○大橋国務大臣 ただいまの御要望につきましては、官房長官とよく相談いたします。
○大出委員 いまの問題とも多少団交権などの問題を含んでは関連がありますけれども、五十四次のILOの報告がございます。この中で地方公務員法の三十七条のストライキ禁止の条項に触れまして、人事委員会の見解や意見は拘束力を持たないのだということについてのILO見解が出されておりますが、それについてまず御質問をいたします。
 ちょうど自治大臣がお見えになりましたから御質問をいたしますが、二時に御出席というお約束でありましたので、ぼつぼつ始めせていただきましたが、地方人事委員会におけるところの意見は拘束力を持たないという五十四次報告をめぐっての問題点がございます。これについては当初日教組がILOに問題提起をいたしましたし、後刻自治労からも申し立てがこれに加わりまして、きわめてまとまった結論になっているのでありますけれども、まず地方人事委員会の意見が拘束力を持たない、この点についての担当の、ではどうすればいいかという問題もあるのでありますが、正面から一ぺん御答弁を賜わっておきたい。
○赤澤国務大臣 いま参りましたので前からのつながりがわかりませんが、おそらく給与の勧告のことを御指摘じゃないかと思います。勧告でございますので当然拘束力はございません。
○大出委員 いまお見えになったということでございますから少しつけ加えておきますが、いま私が申し上げようと存じておりますのはILO報告五十四次にからむ問題でありまして、案件の中心がストライキ権の否定と代償的保障の欠除に関する問題であります。地方公務員法の適用を受ける団体に関するといろカッコ書きがついております。これは五十四次報告の八十二項、八十三項、八十五項、九十一項、九十二項関連、こういうことになろうと存じます。
 ところで、八十二項というのは、三十七条はストライキ権の禁止である。これによって地方公共団体の長が当該地方公共団体の議会の同意を得て選任する人事委員をもって組織する。これが人事委員会なんであります。これが給与、勤務時間その他の勤務条件について絶えず研究し、その成果を地方公共団体等に報告する権限とともに、代償機関という立場での給与の勧告権、意見等があるわけでありますけれども、それが完全な代償機関の役割りを果たしていない、こういう趣旨の提案でありまして岩手県当局等におきましては人事委員会の勧告に反しまして昇給延伸の条例を二回にわたって制定をしている。ところで、これを裁判所に持ち出しましたところが、岩手県教員組合は人事委員会は抱束力を持たないことを理由に原告敗訴をいたしておるのであります。これらの問題をめぐって一体代償機関の保障というものは完全であるかどうか、こういう論議に発展をしているわけであります。その点についてでございますので、そのようにお含みをいただきたいと思います。
 それから、九十一項では委員の権限その他の問題に触れて必要な措置をとるなどの裁定機能、これらの問題があげられておりまして、さらに九十二項のところにいきましては、委員会が日本政府に対してどうもこれは裁定機能を持っていないんじゃないか、日本の地方の人事委員会は。したがってILOの委員会として納得できるような日本政府の説明がほしいということになったのであります。この五十四次のこの問題が発展をして五十八次の報告になり、五十八次報告の二百四十四、二百四十五、二百四十六、二百四十七、二百四十八と、こういうふうに問題が提起をされております。そちらのほうの準備がうしろのほうでございますようですから、ゆっくり申し上げます。そこで、二百四十五からずっと目をお通しをいただければわかりますけれども、つまり日本の人事委員会、地方の人事委員会というのは代償措置にはなっていないようだ、仲裁機関ではないようだということになってまいりまして、三百四十八項では日本政府は結論としてこのほかに当局と職員との間の紛争処理のための仲裁機関は存在せず、また政府はそのような仲裁機関を設置する必要はないと考えている、つまり人事委員会というものは勧告機関であって仲裁機関ではないではないかということを結社の自由委員会があげたわけであります。これに対する日本政府の回答は仲裁機関は存在はしない、また仲裁機関は要らない、こういうことをお述べになっているのであります。
 この点についてまず承りたいのは、今日の地方人事委員会の各都市における事情をながめたときに、このままで一体地方公務員の方々は保障をされるのかどうか、これでいいとお考えかどうか、この点を承りたいわけであります。
○赤澤国務大臣 勤労者の当然の権利というものは憲法二十八条で保障されているわけでありますが、御案内のとおり十五条の関係で公務員という性質にかんがみまして若干の制限が加えられておるわけでございます。そこで、その代償といたしまして、たとえば自治団体との団体交渉で不満がありました場合には、人事委員会または公平委員会に提訴するという道が開かれておるのでございます。そこで、これは仲裁機関としての機能を果たしておらぬのじゃないかということを御指摘になっておりますが、御案内のとおり人事委員会、公平委員会の委員というものは、たびたびここで関係大臣が申したと思いますが、法律で人格高潔にして云々というので、公平な判断を下せる方々がそれぞれその衝に当たっておられるわけでございます。一番いいことは団体交渉の結果まとまりがつくべきはずのものである。それがどうしてもまとまりがつかなかった場合、というのはそうたびたびはないと思うのですが、しかしかりに提訴された場合にこういう公平な機関があって、正しい判定を下すということで、私は十分公務員の権利は守られておる、かように判断いたしております。
○大出委員 五十八次の報告の二百五十二のところに明記してありますけれども、先ほど申しました自治労からのあとの申し立ての件で結社の自由委員会が論議をする際に、人委員会の構成は公平でないという主張を論議しているのでありますが、ここに五十二の地方公共団体をカバーするということで四都道府県及び六大市の人事委員会委員百五十三名の内訳、弁護士であるとか判検事であるとか、あるいは高級公務員であるとか、これは三十五名おられますが、会社、銀行重役が二十七名であるとか、地方議員の方が何名、全部これはあげて指摘をいたしております。これはあとでその他の事例もあがっておりますけれども、どうも今日、地方の人事委員会の委員という方々は、いまおっしゃるように人格簡潔かもしれませんけれども、どうも一方づいた、片方の側ばかり持ちそうな顔ぶれであるということをILO側は指摘をいたしております。したがって、いま大臣が言われるように、人格が高潔だから必ずしも交渉をやってきた結果としてうまくいく筋合いのものではない、私はこう考えております。
 それにもましてなお二百六十七項等にまいりますと、ずいぶんはっきりした勧告が行なわれています。
 「このような事情にかんがみ、本委員会は、理事会に対し次のことを勧告する。」お持ちになっておらぬようでありますから読み上げますが、「ストライキが禁止される場合には、他の救済手段を設けるべきであるという原則に理事会は終始付してきた重要性を再確認すること、地方公務員に指定されていない地方公共団体の職員に関する事案について拘束力を有する裁定を、下す仲裁機構について規定するよう」これは地方公労法の問題でありますけれども、まず公労法について改正をしろ。で、この過程におきまして、日本政府は地公労法の改正をして、つまり拘束力ある仲裁機関という性格を明らかにするということを回答いたしております。ところが、あとになったところが、その回答がでたらめであったということになり、ILOは最後にはこの問題には拘束力を持つ仲裁機関をつくると政府が言ってきたんだけれども、その後これについては一ぺんも触れていないということで、そのことに注意を喚起しておいてくれということを言っておるわけでありますから、ずいぶんどうもこれはおかしな話であります。途中は長くなりますから省略をいたしますが、政府はILOに対して、まず一つは、地方公労法の関係者については仲裁機関というものを、拘束力を持たせるものを改正法においては明確にする、こういうふうに御回答されておるわけでありますが、それが一体どこにいってしまったのか。ここにも書いてあります。「事案について拘束力を有する裁定を下す仲裁機構について規定するよう地公労法を改正する意向であるとの日本政府の言明に留意すること、地方公務員をも同様な機構の枠内に入れる広く行なわれている慣行を採用することの可否を考慮するよう日本政府に示唆すること。」つまり地方公務員についても同様に仲裁機関を持たせる、こういうふうなことを日本政府は考慮してもらいたい、このことを日本政府に示唆しておく。これが二百六十七項の(1)であります。
 次に(2)につきましては「人事委員会の数的構成に各種の利害が公正に反映されること、及び人事委員会のすべての中立又は公益委員が一般の信頼を博するような公平さをもった人々であることを確保するために、いかなる措置をとることができるかを考慮するよう配慮することを日本政府に示唆すること。」三番目は、「関係当事者のそれぞれが人事委員会の委員の選任に平等の発言権を有するよう規定することの可否もまた考慮するよう配慮することを日本政府に示唆すること。」当局の責任者が任免をするということになっておりますので最後の項がついておるわけでありますが、この三点について、(1)、(2)、(3)の順でひとつ御答弁を賜わりたいわけであります。
○大橋国務大臣 だいぶ古い、こまかい点でございますから、最初に政府委員から一応答弁いたさせます。
○三治政府委員 地公労法の関係につきましてお答え申し上げます。地方公務員の中で地公労法の適用を受けます地方公営企業の関係の職員につきましては、仲裁機関として地方労働委員会のほうで調停、仲裁をやるように、今度の改正におきましても仲裁の出た場合にはそれを実施をするように当局に努力義務を加えてある、もちろん仲裁が出た場合には労使双方を拘束する、こういうことでございます。
○赤澤国務大臣 憲法を持ち出してたいへん恐縮でございますけれども、やっぱりこの公務員は十五条によりまして、これを採用したり罷免したりするのは国民固有の権利であるというふうになっておるわけでございます。これを引きまして、結局、じゃあ一体国民固有の権利というものはだれが代表をしておるのかといえば議会であるはずでございまするので、それぞれの長が議会の承認を得て任命したものの結果が保守的な者が多いか革新的な者が多いか存じませんけれども、しかしながらやっぱりこういう人格高潔な云々という先ほどの要件に基づきまして、そういう形でつくり上げました人事委員会、公平委員会の下す判断というものは、私は妥当なものであると考える次第でございます。
○大出委員 まあ三項についての御答弁がありませんが、あまりどうも無理を申し上げてもお手元にないようでありますから、その辺については省略をいたします。
 もう一つ、公平委員会、人事委員会の権能につきまして、まあ似たようなものであるということをILOに日本政府は文書を送っておりますけれども、この点については一体どういうふうにお考えになっておりますか。
○佐久間政府委員 人事委員会につきましては、都道府県と六大市が必置の機関となっております。そのほか人口士五万以上の市が任意設置になっております。人事委員会を設置いたしておりませんところにおきましては公平委員会を設置をするということになっております。したがいまして、公平委員会はただいままでは全国の市町村例外なく設置されております。小さな市町村におきましても、職員の利益の保護のために公平機能だけは中立的な第三者機関に持たせるべきだという考えで、ただいまのようなたてまえをとっておるわけでございます。
○大出委員 六十六次報告の二百十九項に、「日本政府は、一九六二年五月十六日付の通信において、公平委員会と人事委員会との相違は、人事委員会だけが職員の給与について勧告に行ない、その他若干の事項を処理する権限を有するという点にすぎず、両委員会とも職員の利益を保護する機関である」ということで、まあ同じようなことですという受け取り方の文章になっておるわけですね。ところがこれは御存じのとおり、法文に照らしてみて明らかに違うわけですね。公平委員会は、前に、積極的にという権能はないんですね。持ち込まれなければできないシステムになっております。そうなってくると今日、大体市町村の数がどのくらいあるかわかりませんが、三千五百十三だったのですが、北九州市ができましたからそれだけ引くと三千五百八かそこらになると思うのであります。このくらいある全国の市町村の中で、十五万名を基準にいろいろと基準を分けておられますね。そうなってくると、今日の全体の事情をながめたときに、公平委員会がやらなければならぬ役割りはうんとある。そうするとILOの側にすれば変に思う、代償機関として。ところが、公平委員会と人事委員会は同じようなものだという、こういう言い方をされた。これはひとつのごまかしだと思うんですね、明らかに。公平委員会は積極的な権能はないのですから、そうなってくるとやはりその違いは明らかにして、代償機関として足らざるものは補っていくのが私は為政者の責任だと思うんですね。そういう点で、一体自治大臣のお立場で考えられて、今日この辺の欠陥をどういうふうに補っていこうとお考えか。この点は後ほど申し上げてもいいのでありますけれども、ILOの結社自由の委員会が相当に論議をされて結論を出し報告をされておるのでありますから、そういうふうにお考えの上で御答弁を賜わりたいわけであります。
○佐久間政府委員 代償措置といたしましては、勤務条件に関する措置の要求と不利益処分に対する審査の請求が最も基本的なものと考えられるのでございます。それらにつきましては、人事委員会も公平委員会も同様に持っておるわけでございます。人事委員会につきましては大きな団体に設けられますので、職員の構成その他につきましてもいろいろ複雑になっておりますのが、そのほかにあわせまして人事行政上のいろいろな権能を付与しておるのでございますが、公平委員会につきましては、ただいま申しましたような代償措置として最も根幹的なものは持たせるということにいたしておるわけでございます。人事委員会を設けておりません地方公共団体におきまして、勤務条件に関する事項につきましては法令または条例で保障されておりますので、私どもといたしましては現行のたてまえで差しつかえないと考えておるわけであります。
○大出委員 では一つずつ質問をいたしますが、六十六次報告の結論になっております項目を申し上げたほうがいいと思いますが、二百二十三というのがございます。この二百二十三の(a)項には「ストライキが禁止される場合には、他の救済手段を設けるべきであるという原則に理事会が終始付してきた重要性を再確認すること。」というようになっており、(b)項はさっきちょっと触れられましたが、「地方公務員に指定されていない地方公共団体の職員に関する事案について拘束力を有する裁定を下す仲裁機構について規定するよう地公労法を改正する意向であるとの日本政府の以前の言明を想起して、」ここから問題で、さっきお答えになっていないのですが、「地方公務員をも同様な機構の枠内に入れるという広く行なわれている慣行を採用することの可否を考慮するよう再び日本政府に示唆すること。」こういう項目があるのですよ。ですから私は、やはりILOあたりの考えている国際慣行という点からいけば、人事委員会でもなお不足だ。なぜならば、これは勧告機関であって仲裁機関ではないからだということをいい、さらに突っ込んで、地方公務員法においてもこのような慣行を採用することということで日本政府に示唆しているわけです。だとすると、ましてや人事委員会、公平委員会というものがあって、公平委員会の権能というものを考えたときに、これはあまりにも筋が通らぬではないか。私は無理なことを皆さん方にいまやっていただくと言ってもそうはいかぬのですから、そういう意味でILOはその先までいってしまっておる、しかしその手前のところの人事委員会、公平委員会の関係は一体どうお考えかと聞いておるのです。どうも事務的に過ぎる御答弁のような気がするので、もう一ぺん大臣からでも御答弁願えないかと思うのです。
○赤澤国務大臣 ILO当局から一再ならずいろんな御注意は受けておりました。私どもは、それはつつしんで検討もいたしまして、そのILOの期待に沿うような努力もいたしまして、実情が許せばみなそれぞれ日本でもそれに応ずる措置をとってきておるわけでございます。しかしやはり日本には日本の実情があると思いますので、ILOが御注意になったことをまるのみにはできぬということを御了承いただかなければいかぬと思います。
 そこで、おっしゃる意味は、一体公平委員会なるものが仲裁機関としての機能を果たしておるのかどうか、これではその意味がないから、ILOが指摘しておるとおりに、もっとそういうふうなやり方に変えるべきではないかという御質問ではないかと思うわけですけれども、私は決して事務的に逃げをはっておるわけではありませんので、日本のやり方としては、本来団体交渉で円満妥結すべきものが妥結しないで不満が残りました場合に、先ほど申し上げました人事委員会に提訴をする、人事委員会の勧告にまだ服しがたい場合には、裁判所に持ち込むという手もありましょうし、それで地方公務員の立場というものは十分に守られると判断しておるわけであります。そのほかに別に、いまの日本のやり方を急に改めなければならぬ、つまりILOの目ざしておりますものに違反しておるとは考えないわけでございます。
○大出委員 ちょっと筋を明らかにしていただかないと困るのでありますが、日本は御存じのように脱退をいたしましたが、ILOに再加盟をいたしたのでありまして、そういう御議論が出ると思って午前中に筋は発言をしておいたのでありますが、加盟したのでありますから締約国なんでありまして、憲章あるいはその他の条約についての責任あるいは道義的責任を負う、こういう筋書きになっておるわけであります。初めからILOの言うことを守れないのならば入っておるということ自体がおかしいのでございまして、根本的には国際的な労働水準、国際的な労働慣行、これが実はILOの基本なのでありますから、その国際的な労働水準なり慣行なりに一歩一歩近づいていくということが、日本政府が自主的な立場でとられなければならない方向だと私は思うのであります。そういう意味で私は何も自主性を離れて申しておるのではなくて、ILOがここまで言っておるのならば、その手前のこの辺のことくらいは、この際ILO特別委員会と称する特別委員会をつくって与野党やっておりますから、してみると何かもう少し進んだ御見解をいただけないかということを申し上げておるわけでありますから、ここのところは誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
 それから、いま申し上げました筋道からいたしますと、地方公務員に対する代償機関というものはどうもあまり満足ではない。してみると、これらのこととからんで先ほど人事局なんというものが提案をされておるわけでありまして、これは保留をいたしておりますが、いろいろこの辺の事情を考えたときに、この辺でやはり日本の当局者側の皆さんは公務員の団体交渉権というものを一体どうお考えになるのか、ここのところを私は確かめておきたいというふうに考えるわけでありますが、これらについて昨日も、公務員制度全体にわたって、法体系全般にわたってむちゃくちゃだという御意見もあったわけでありまして、この辺を広く検討するという機関をつくる、こういうふうなことをお考えになっておられないかどうか明らかにしていただきたいと存じます。
○大橋国務大臣 公務員一般を対象として団体交渉権の全般的な再検討ということについての御質問でございますが、政府といたしましては、従来からわが国において公務員のためにとられております団体交渉権についての制度は、現在の日本の段階といたしましては適当な制度である、かように考えておるわけでございまして、さしあたってこの問題について特に審議機関等を通じて特別な検討をするという意図は、ただいまのところは持っておりません。
○大出委員 だめ詰めをする気はないのでありますが、ただいまのところは持っておらないというところにちょいとひっかかるのであります。まあ午前中からるる説明してまいりました筋道、討論してまいりました筋道からすると、私はこれでもかこれでもかという気がするのでありますが、このあたりまでくれば、かつて労働省の皆さんあたりから、組合の責任者である立場の諸君に働きかけが逆にあったようなことで、ぼつぼつこの辺で労働法令審議会みたいなものでもやったらどうか、こいいうふうな話があったのでありますが、最近におきましてもそういう意見が出たこともあります。そうなってまいりますと、筋を通して国際労働水準の方向に向かっていく日本の労働法なり公務員関係の労働組合に関する法体系というものをとらえたときに、その辺の新しい方向づけくらいなところは前に出してものを言ってよいというようなことにならないと、どうもあまりにもかけ離れ過ぎはしないかという気がするのでありますが、単に人事局であるとかいうようなうしろ向きの、先ほどの総裁の御発言ではないが、明治憲法というような話が出てくるようなにおいの出るような形だけでなしに、そのあたりのところはどうお考えになりますか。
○大橋国務大臣 従来からの実情を振り返ってみますると、現在公務員法において期待いたしておりまするいわゆる交渉、また公労法等において考えておりまする交渉すら、現在の実情からいいますと、残念ながら十分に行なわれているとは言いがたいのではないかと思うのでございまして、私どもといたしましては、少なくとも現在の法規が考えておる程度の交渉を、早く当局並びに組合の間において十分に行ない得るようにいたしてまいりたい。その余のことはその上で考えるべきことで、おのずから順序があるのじゃないか、こういう気がいたしておるのであります。
○大出委員 その余のことはということでありますが、いまこの段階でその余のことについてこれ以上承ることは、おのおの立場がおありでしょうから、提案しておる立場でもありましょうから、くどくは申しません。ただしかし考えなければならぬ時期にきているし、それが筋であろうということだけは私の意見として明確にしておいて次に移ります。
 次に、組合員の範囲という問題でありますが、これは実は公労法関係の段階と、それからもう一つ地方公務員等の関係の段階といろいろからんでまいりますから、その点についてもひとつ御答弁を賜わりたいのでありますが、これも実はILOを審議する場でありますから、ILOで申しておることもつけ加えて申しますけれども、郵政省なんかの例からいきますと、十人に一人が管理者である、非組合員である、こういうたいへんなことになっているのでありますが、そのように今日組合員の範囲、この問題をめぐって組合員になるかあるいは非組合員であるかという点は、長いやりとりが各団体、当局の間で、かつ公労法関係の場合には公労委との関係で行なわれてきているところであります。
 そこでこれについてもILO報告の中に出ておりまして、五十四次報告できわめて詳細に各国の例などを比較対照をして、日本の場合についての意見が出されているところであります。この九十五項、九十六項というふうなのがございますけれども、こういう中でどうも日本の組合員の範囲、つまり逆にいえば非組合員のほうの範囲になりますけれども、これはあまりにもどうも幅が広過ぎるじゃないか、こういうことを国際的な比較の面でILOは申し述べているのでありますが、まず公労法関係におきまして、非組合員の範囲が広過ぎるということについてどういうふうにお考えになっておるかを質問いたしたいと思います。
○三治政府委員 管理職その他機密の事務を取り扱う者として一般労働組合に入れない者の範囲が広過ぎるじゃないかということでございますが、これにつきましては、現在公労委に当局が管理職の範囲を申請して、それに労使双方が異存がなければ、そのまま決定される。異存がある場合には公労委の判定を得て、なおその基準あるいは細部につきましては、労使双方の確認を得て労働大臣が告示する、こういうかっこうになっておりまして、現在公共企業体等の関係につきましては、管理職の範囲につきましてそう争いなり、不当だ、また範囲が広過ぎるというふうなことはなくて、スムーズに行なわれているように考えております。
○大出委員 いまの件ですが、ひとつ念を押しておきたいのは、いまの三治さんの説明によりますと、労使双方が公労委という場所で意見の不一致がなければきめられる、こういうことになると思うのでありますが、公労委は、通常この問題を取り扱うにあたりましては、組のほうの側から組合員の範囲はこれこれにしてくれということを申し出ることはないのでありますから、これはあたりまえのことでありまして、当局側がこれこれの人たちを非組合員にしてくれといって公労委に持ち込む、ところで説明をする公労委の側は、組合側を呼んで、当局はこれこれの人たちを非組合員にしてもらいたいと言っているけれども、組合はどうか、こういうことになりますね。かくかくしかじかでそれは困る。通常困ることになります。やりとりがいろいろ行なわれる。そこできまれば、意見が一致すれば、それはそれでまとまってまいります。これはつまり話し合いの場所を公労委というところに求めている、こういうことになると思うのですが、これはあとほかのほうとの関連がありますから、そこのところをそういうことかということで聞いておきたいと思うのです。
○三治政府委員 ただ公労委という場所で管理職の範囲が話し合いできまるということではなくて、やはり法令上管理職あるいは非組合員の――いわゆる機密の事務を取り扱うというふうな非組合員の範囲が、一応法令上は抽象的にきまっているわけでございます。それについて先ほど申し上げましたように、当局がその非組合員の範囲について公労委に申請をする。その場合に、公労委がお話のように労働側を呼んで話したときに異存がなければすぐきまる。異存がある場合でも、そこにその言い分を聞いて、公労委のほうで法に照らして、客観的にきめて、そのきめたのが現行法では労働大臣が告示する、今度は改正案では公労委で告示をする、こういうふうに相なるわけでございまして、管理職、非組合員の範囲は、抽象的には一応公労法できまっている、こういうこと、ただ具体的にその適用をする場合にこういう第三者機関を利用して告示制度をとっている、こういうことでございます。
○大出委員 たとえば一つの職場の主事なら主事という立場の方々を非組合員にしたい、こういう申し出が一つの省からある、その場合にそれはかくかくの理由で非組合員にすることは不適当である、管理監督あるいは機密の事務を取り扱わない、こういうやりとりが行なわれる。その場合に公労委の側は、通常今日までの段階では、それはなるほどごもっともな理由である、それじゃ郵政省はこう言うけれども、これはやめておきましょうというふうなやりとりが現実に行なわれてきているわけですね。これはいま言われる法のたてまえというものも確かにありましょう。ありましょうけれども、事実そうでなければ大きな争いが起こるから、そういう運営が行なわれている。こういうわけです。ところで私はなぜこれを云々するかといいますと、昨日もいろいろ論議されておるのでありますけれども、管理職の範囲というものとからんでくるからであります。片方からいえば、非組合員の範囲と言いたいわけでありますが、片方からいえば管理職の範囲という形が出てくる、こういうわけでありますから、そこで申し上げているのでありますが、そこでひとつ承りたいのは、どうもその方々が組合に入っているということは、きのうのお話からいきますと、どうも悪いようなんでありますけれども、なぜ一体組合の側としては入れておいて差しつかえないという人たちが、逆に理事者の側からすると入っておられると困る、組合から抜けて非組合員の範囲に入ってくれ、言いかえれば管理監督的な立場に立ってくれ、こういうやりとりになっているわけでありますが、なぜ困るのかという点についてきのうの御答弁がどうもはっきりしませんので、その間明らかな理由を申し述べていただきたいと思うのであります。きのうは何か御用組合だとかやれ云々だとかいう話まで出たのでありますけれども。
○三治政府委員 労組法の関係が一番はっきりしているわけでございますが、そういう管理職が入っている組合は労組法上のいわゆる法令に基づく援護、利益の救済を受けられないように規定してあるわけでございます。法令上はそういう効果。それから実際問題といたしましては、使用者側について、労働関係のことについてやるべき立場の者が組合員としておるのは、組合の自主性、相互不介入という立場から見ましても、やはりその自主性をそこねる場合も出てくる可能性がある。こういうことで同じ管理職でも単に一般的な職制上の管理職ということばかりでなくて、労使関係ということの実質的な運営という部面で管理職の範囲が特に問題になっているのだと思いますが、そういう意味でなるべく労働関係につきまして使用者側の立場として職務を行なう者が非組合員の範囲として規定せられる。そのために実際の自主性の運営を確保するという意味において利益がある。
○大出委員 私はこんな言い方をしているのは、あまりきれいごとばかり聞いているものですから、それは困るので、ざっくばらんなところを言っていただきたいと思ってものを言っているのですが、理屈は確かにおっしゃられるように、自主性あるいは自主運営、相互不介入、こういうことを立てられる。だからその種の方々が組合に入っていると組合の利益を害する、自主性を失わせる、こういう結果になる。だから組合の自主運営、自主性ということを考えた場合に、それは組合に入ってはいけないのだ、こういうかっこうでの、何としてもこの人は管理監督の地位にいるんだということを強調しようとする。それは何を意味するかというと、組合を弱めようなどとか強めようだとか、いろいろな思惑がありますけれども、今日の日本の実情というものは、できるだけ職制と申しますか、管理監督的と申しますか、そういうところに近い線の方々を、実際には管理監督的立場ではないのだけれども、その方も管理監督者だといって抑えてしまって、それを組合から引き離してしまう。言うならば、逆に、その人を今度は組合を抑える立場、組合対策の責任者にしてしまう。こういうかっこうで、それが今日の組合員、非組合員の公労委を舞台とする争いになっている。主事であるべき人間をどんどん副課長という名目で引き上げてしまって、管理監督的地位じゃない、だけれども、そう称してそこに引き上げていって、それは四六時中何をやっているかというと労働組合対策である。相互不介入も自主性も自主運営も、そんなところに中心はない。そうではなしに、管理者の方々はいかにしてわが味方をふやし、組合を抑えるか、これで四六時中頭を悩まして運営してきたところに、今日十人に一人などというばかげた管理者の数になってしまった理由があって、それをILOあたりがあきれてしまって、ここに書いてありますけれども、「通常団結権が与えられているカテゴリーに属する数千名の人々をカバーする程広い意味で日本では適用されている」こういうふうにILOはいっているわけでしょう。その上、「若干の諸国においては、監督的職員の団結権に関する特別の規則が存在するけれども、」云々というところから今度は何をいっているかといいますと、公労協関係の日本の組合が御用組合になるなどというおそれは全くないんだということを、ILOの側が資料調査によった結果逆に明らかにしている。つまり、あまりにもどうも各国と比べてみて、管理監督ということで、ないしは機密の事務を取り扱うということで、管理職なりとして公労委その他に持ち込んで、組合側からひっぺがしていって逆に組合対策を立てさせるという形が多過ぎるから、こういう結果になっている。これが実は今日の実情で、相互不介入とか自主性とか自主運営とか、昨日も話に出ましたが、便宜供与とかを与えられていると鋭鋒が鈍るでしょう――鈍れば今日管理者の皆さんは喜んでいるわけでありまして、鈍らないから困ってそういうことをされるわけでありますから、話はまさに逆でありまして、この辺の認識を欠きますと、問題を正常にしていくという路線を間違うのではないか。だから、事実そう考えているものは考えているでいいのでありまして、ただそれが誤りであれば、しからばどう直すかということにならなければ労使関係は正常化しない、私はこういうふうにしんから思っておりますから、その点についての御質問を大臣に申し上げたいと思うわけであります。
○三治政府委員 そういう議論は確かに一般論としては十分出るわけでございますが、そのために、国営企業ことに高度の公共性を持つ公共企業体等におきましては、管理職の範囲を労使双方だけできめるということでなくして、第三者の公平な機関にその確認と申しますか、公平にきめてもらう、こういうふうにしているわけでございます。その点は諸外国と多い少ないという議論はあるかもしれませんけれども、国家の独占体として国民経済に非常に重大な影響を持っているというわが国の公共企業体その他現業の性格にかんがみて、そういうふうにしている。その点はまた公労委のほうで、管理職の範囲の広い狭いという問題が起これば、当然そこに第三者的に判断されますので、それにつきましては、現在のところ私たちは、そう矛盾があるというふうには考えていない、客観的に見ても、これは法の実施上きわめてスムーズにいっている問題だというふうに考えております。
○大出委員 一つもスムーズにいっていないのですけれども、スムーズにいっていると言わなければ、労働省の立場からすれば、年じゅうごたごたしていますじゃ通らぬと思いますから、その御答弁はそれなりにわかるのですけれども、ただ先ほど言われた、通常そういう考え方がいろいろ出てくる、ここの問題だと思うのです。郵政省側の公労委に対する言い分なり各理事者側からの言い分というのは、いずれも何とか管理職の名前をつけて非組合員にしてしまうという動きになる。これが現実です。ある人に言わせれば、本日この席をはずしておられますけれども、郵政省くらいばかな省はない、何ですかと聞いたら、山ほど管理者をふやしてしまって、そのたびに組合を強くしている、こういうことが通常いわれるわけでしょう。つまり管理監督の地位に近い方々、しかしこれは厳密にいって管理監督者でないと私どもは考える。この方々を強引に管理監督者にしてくれといって何千人と持ち込んで、そっちに持ってしまう。そうすると、そのことは経営者の側からすれば、良識を失う程度の段階の方々のほうはふえていくということになる。これは逆に組合を強くする。こういう皮肉な言い方もできるわけですね。これが今日の事情だと思うので、この考え方は根本的に誤りであるというふうに私は思っているのです。したがって私の申し上げたい中心点は、組合員の範囲なり監督者、管理者の範囲なりというものについては、やはり労使がフェアに話し合うという場所をこしらえて――前の特別委員会で多賀谷真稔さんが言われたことなんだけれども、昨日の論議の中では一番最後の地方公務員の場合に何かうやむやになった気が私はするのです。最初大橋さんは、そこのところを基準を何かつくるんだけれども話し合うんだ、だから多賀谷理論をわざわざ持ち出されて、どちらの側も自分の意見が通ったとお考えになってけっこうなんだという言い方をされたはずなんです。ところが最後のほうは何かしり切れトンボではっきりしない。せっかく論議したのですから、そこの結論を出しておきたいという意味で御質問するのですが、昨日の論点とからんでもう一ぺんこの問題についての解明をいただきたいのです。
○大橋国務大臣 一般の労働組合の結社の自由という原則から考えますると、労働組合に加入できる人の範囲は、労働組合が自主的に決定するというのが本来のたてまえであるかもしれません。しかしながら一方におきまして、労働組合の自主性というものを守り、労働組合がいわゆる御用組合に堕落するというようなことをなからしめる、もう一つ今度は管理者の側から考えますると、管理者というより高い使用者の立場から考えますると、使用者というものが国家であるというような場合、あるいは会社であるというような場合におきましては、その機構が大きくなれば大きくなるほど労務管理という事務がふえてまいりますので、これを処理いたしまするために、常に使用者と同じ側に立って労働組合に対していくという補助者を当然必要といたすわけでございます。そしてこれらの補助者が対労働の問題におきまして、労働組合の組織を通じて労働組合の指令によって動かされるというようなことに相なりますると、本来その人に期待しておりまする使用者側の事務の処理ということは不可能に相なるわけでございまして、これを解決いたしまする点から申しましても、使用者の利益としてやはり組合に加入せざる労働者があるということを認めざるを得ないと思うのでございます。そういう意味で、一般の労働組合に加入することのできない労働者の範囲というものを今回規定をいたしておるわけでございまするが、この規定につきまして、公務員法、公労法におきましては法律でもってこれを規定するという措置をとっておるわけでございます。ですからこのことは、労働組合の一般的な組織からいえば、明らかに例外的な考え方であるということは私も承知をいたしております。その例外的な考え方を実行いたしまする方法として、立法措置によったわけなのでございまして、その立法措置を実施いたしまする方法は、この制限をいたしました法律みずからがいかなる方法によってこれを実施するかということを選ぶことは当然だろうと思うのでございます。したがって、理想から申しますると、こまかいところまで法律に全部網羅して、労使双方の間に疑いなからしめるということが一番いいかもしれませんが、しかし立法技術等の面からいきまして、これも不可能でございまするので、一応原則を法律にうたって、その原則についてさらにこれをこまかく決定する方法を規定いたしておるわけでございます。そこで公務員法におきましては、その規定をする方法といたしまして、人事院または人事委員会で規則できめるという方法をとっておるわけでございます。しかしそれ以上進んで、またその人事委員会できめた事柄もやはりある程度抽象的なものでございまするから、これに従って個個のケースを判定いたしまするにあたっては、いろいろ労使間で疑義があろうと思います。その疑義につきましては根本のたてまえを変更せざる限りにおきまして、労使の話し合いで処理していって実際上は差しつかえないのであろう、しかしこれはあくまで運用の面でございまして、立法論といたしましては、法律でもって範囲を決定しておるというたてまえをとっておることに変わりはないと思います。
○大出委員 いまの点は心配がいろいろありますので、どうも少しずつ動いているような感じがいたしますが、これは時間の関係もありますので、また後ほどあらためて論議をいたしたいと思いますので、とりあえずいまのお話を承っておきます。
 そこで一つ質問がございます。これは自治大臣にお願いをしたいのですが、もっとも内容が多少事務的ですから、事務担当の方でもけっこうです。さっき私が申しました三千五百何がしかの市町村がある。そこでつまり人事委員会なり公平委員会なりというものが置かれるわけでありますが、内訳は一体今日実際にどうなっているか。基準は一応十五万名云々できまっておりますけれども、現実にどうなっているかという数をお知らせを賜わっておきたいわけであります。これは後ほどこのあとの登録問題等ともからみますので、承っておきたいと思います。
○赤澤国務大臣 たしか都道府県並びに六大市には人事委員会並びに公平委員会を置くことになっております。市町村では大体人事委員会を置いておりますのは仙台市だけだと思います。その他の市町村は全部公平委員会はあるはずでございます。
○大出委員 ところで登録問題に入りますが、登録、非登録の問題の論議がきのう稻葉さんから非常に学問的な点を含めてございましたが、冒頭に明らかにしておいていただきたいと思いますのは、ILO条約の九十八号の四条あるいは六条という点であります。これはいままで労働問題懇談会等でいろいろ論議をされておりました当時のいきさつからいたしまして、どうも公務員はこの条約からは除外をされておるというふうに論ぜられていた時代がございます。しかし実際にはそうではないのでありますけれども、しかもなおかつ今日御発言等の中には、あたかも公務員は除外をされているというふうなニュアンスの質疑が行なわれているのでありますが、実は除外をされていない。確かに六条に公務員という表現が、日本流に訳してございますけれども、しかし一例をあげますと、公労協、つまり公共企業体の労働者は身分的には公務員法に置かれているわけであります。そこで公労法四条三項の問題をめぐり、九十八号条約の二条に抵触をする云々ということで、専門家委員会等が結論を出しました。これは何を意味するかといいますと、峯村光郎さんだとか吾妻さんだとか、いろいろな方々が論評されておりますけれども、つまり九十八号条約は公務員を除外をしていないという結論になっているのであります。だからこそ、身分的公務員である公労協職員について、四条三項問題をとらえて、九十八号条約に抵触をしているという結論を出しているわけであります。この点をまず私は冒頭に明らかにしておいていただきたいと思います。
 それから第四条にいっておりますのは、その国のいろいろな事情がございますが、それに合わせて、交渉を促進をするというたてまえで別個に切り離して制度がつくられてもいいのだということになっているわけであります。ここのところをはき違えて論議をいたしていきますと、なかなかどうもむずかしい問題が出てくる、こういうふうに考えるわけであります。きのうのやりとりの中で、登録の問題でありますけれども、なかなかどうも、公務員というのは別な体系をこしらえられてもいいんだという御説から始まって、除外だ除外だというところからいって、登録の問題で法文に引き上げた交渉能力というものは、これは法的な応諾の義務を負うというところまでいかなければいけない、こういう立論に対して、その義務はない、こう言っているのでありますけれども、ここのところで、なぜ一体あれだけの論争をしておいて最後に応諾の義務はないのだと言わざるを得ないのか、そういう立法が行なわれて一体よいのかという点が最後に残ります。したがって、なぜというそこのところをひとつ冒頭にお答えおきをいただきたい。法制局解釈もありましたけれども、なぜ一体応諾義務があるということを言えないのかという点であります。
○大橋国務大臣 まず九十八号条約の公務員に関する適用の問題でございまするが、九十八号条約というものが労働協約によって雇用条件を規制する目的をもって行なう使用者または使用者団体と労働者団体との間の自主的交渉についての条約でございます。したがいまして、わが国の大多数の公務員のごとく労働条件が労働協約によってきめられるのではなく、法令によって保障されておりますものについては、当然この適用がない、適用から除外されるというのではなくて、適用されるケースとならない、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。
 次に、いわゆる交渉についての応諾義務があるかないかという問題でございまするが、私どもは、交渉についての政府案の規定は、これは交渉能力を持っておるという意味を規定いたしたものでございまするがゆえに、交渉能力というものに対しては具体的な義務とかあるいは具体的な権利というものは直ちに発生するものではございません。規定それ自体は相手方の義務を創設するというような意味で規定した趣旨ではない、こういうことを説明いたしておる次第でございます。
○大出委員 ILOから政府に質問がきまして、登録団体、非登録団体、この両方に交渉にあたっての何らの差別条件がなしに交渉に応ずるか、こういう質問がきていることを御存じだと思いますが、これに対してどういうふうにお答えになっておりますか。
○大橋国務大臣 交渉に応ずるにつきましては登録団体、非登録団体の区別はない。ただ登録団体は、たびたび申し上げましたるごとく、登録という交渉手続を通じましてその組織の目的、内容、構成等が明らかになっておるのでございまして、これは交渉の相手方となすにふさわしい性質を持っておるということがすでに明瞭でございまするから、これに対しては政府としては積極的に交渉の相手方とする。登録の手続の済んでいない団体ははたして交渉の相手方とするにふさわしいかどうか、これを一応当局としては調査する必要があります。この調査は当局の責任においてされる。調査の結果、適当であるということに相なりまするならば、非登録団体もまた登録団体と同様これを交渉の相手方とする、こういう趣旨の回答をいたしておるわけであります。
○大出委員 もう一ぺんひとつ承りたいのですが、交渉にあたりまして、登録団体と非登録団体の関係で交渉能力ということばを一貫して使っておられるように見受けるのでありますけれども、交渉能力というのはつまりあるのがあたりまえなのですから、だから交渉するということではない、こういう理解でいいですか。
○大橋国務大臣 交渉能力があるから必ず交渉しなければならぬというものではございません。交渉というものは、交渉能力のある人が交渉する事実上の必要があると認定された場合に、初めて当局としては交渉に応ずるということになるものだと思います。
○大出委員 そうすると、念のために明らかにしていただきたいのですが、五十八次報告の二百九十九項というのがあるのです。これはその一つ前の二百九十八項に、前の結社の自由の委員会のときに結社の自由の委員会が明らかにした内容なのでありますけれども、そのまん中以下のところに書いてあるとおり「当局が実際に非登録団体と交渉するか否か、もし交渉するとすれば、当局は登録団体と同一の条件で非登録団体と交渉するか否かについて報告を送付するよう要請することに決定した。」こういう要請を日本政府にしたわけですね。登録団体と同一の条件で非登録団体と交渉するかいなか、こういうことです。これに対する日本政府が一九六一年九月十六日付で通信を送っておられます。その内容によりますと、「改正法案の下においては、職員団体は、登録を受けていると否とにかかわらず、当局と交渉する能力を否定されるものではなく、また、当局が、職員団体と交渉することも何ら禁止されていない。改正法案は交渉の手続に関する規定は、登録されていると否とにかかわらず、職員団体が交渉を行なう場合に適用される、と言明している。日本政府は、改正法案は、職員団体の交渉能力についてはもちろんのこと、当局と、職員団体が実際に交渉を行なう場合の条件についても、登録を受けた職員団体と、登録を受けていない職員団体との間に何らの差別を設けていない、」こういうふうに明らかになっております。そうしますと、職員団体が実際に交渉を行なう場合の条件についても、登録を受けた職員団体と登録を受けていない職員団体との間に何らの差別を設けていない、こういうふうに答えられているのですから、この一番最後の結論からすれば、一口に言って、登録団体と非登録団体の交渉差別はないという結論になるのですが、そのとおり理解してよろしいですか。
○大橋国務大臣 そのとおりでございます。私が先ほどから申しておりまするのは、登録した職員団体と登録しない職員団体とは、その交渉の能力、また交渉の条件は同一である。ただし、登録した職員団体は職員団体であるということが初めからわかっておるから、これは当局としては積極的に直ちに交渉に応ずるであろう。しかし、登録しない職員団体と称するものは、まずもって職員団体であるかないかよく確かめた上で、職員団体であるということがわかったならば、登録の有無にかかわらず、登録団体と同じように交渉に応ずべきだ。こういう趣旨を申しておるのであります。
○大出委員 どうも長い論議をきのうもずいぶんされておるのですけれども、そこのところがなかなかどうも行き違っておって、私の一番大きな心配――正直に言うと、日本政府が出しておるのは十幾つあるのです。これが一貫して交渉能力としか書いていない、ということになると少しペンディングして、ここのところでひとつちょっとストップしてやろうと思ったらできる。能力があるんだけれども交渉に応じなくてもいいんだ。こうなってしまうというところが、実は非常に心配だったわけでありますが、いま言われる趣旨でいけば、これは登録、非登録団体――職員団体である限りは登録云々は要らないことになる。職員団体でなければこれは別なんだから、そうなると職員団体ということが明確であれば、登録しようとしなかろうと条件は一緒だ、こうなりますが、そういうことですか。
○大橋国務大臣 交渉につきましてはそのとおりでございます。
○大出委員 そうなると次に問題になるのは、地方公務員の場合ということになるのですが、これはずばり申し上げて、さてどういう御答弁をいただけるかわかりませんが、つまり登録の相手方機関ですね。これについて人事院だとか何だとかでなくて、別な機関をつくれ、こういうことをILOはいっている場所があるのでありますけれども、いまのお話のように、登録、非登録団体がいずれも職員団体であるということであれば差はないのでありますから、それが明確になれば問題ないわけであります。そうなれば今日どうも頭にあるのは、旧来の人事院登録が頭にあるわけでありますが、とにかくその種のことでなくても、職員団体であることが明確になればいい。こういう私は筋書きだというふうに思うわけでありますけれども、結論的に言ってそういうことになるのじゃないですか。いま大臣がおっしゃっているのは職員団体であるかどうかがわからない、こういうことですから……。
○大橋国務大臣 交渉につきましては、先ほど来申し上げておりますとおりでございます。ただ、御承知のとおり、登録は交渉だけのためにあるわけではございませんので、法人としての権利能力の付与、その他いろいろな他の法律関係がございますので、そこで登録という制度を設けておるわけでございます。
○大出委員 ところで団体の構成員の範囲の制限に関して承りたいのでありますが、これが五十八次報告の三百九十三項になります。つまり地方公務員の皆さんの場合には、非常に複雑な組織構成を考えなければ、単位職員団体ということになりません。したがってその問題について、ある意味では分断政策だという考え方も成り立つわけであります。この点で六十六次報告の三百四十五項で政府の分断政策ではないのだという考え方が明らかになっておるのでありますが、この三百四十五項における登録という問題は、一体これとからんでどうなるかということを聞きたいのであります。それだけでおわかり願えれば御答弁をいただきたいのですが。――三百四十五項というのはどういうことをいっているかといいますと、つまり政府の側に対して分断政策だということを組合の側から言っているのでありますけれども、それに対して改正法律その他を説明されて、今後はこういうことになるから、したがって分断政策ではないのだ、こういうふうに政府が回答しておられるわけでありますが、私はそのことをして申し上げているのであります。おわかりを願えればひとつそれで御答弁を願いたいと思います。
○三治政府委員 地方公務員の関係につきましては、先ほどもちょっと触れましたように、一般のいわゆる非現業の地方公務員と、それから地方公営企業に該当する現業の公務員と、それからさらに公労法の附則で、いわゆる単純労務者の労働組合がつくられるという暫定措置の規定があるわけであります。したがってそれぞれいまの現行法でいきますと、全部同じ地方公務員でも、一般公務員とそれから現業公務員、それから単純労務者の公務員というふうに分かれてそれぞれ組合ができるようになっております。また、あるいは先生のおっしゃるのは、各地方公務員の職員団体の登録につきましても、その当該市あるいは町村だけの範囲の職員だけしか登録できない。またその登録の相手方が各県市町村の機関に、公平委員会あるいは人事委員会に登録する。公平委員会のないところは、現行法では行政機関の長に登録することになっておる。その登録するものが、その当該市町村の地方公共団体の個々の当局だけだ、こういうふうなことになっておるわけでございまして、そういう意味でそういうふうなことを労働組合のほうから、職員団体のほうからILOに申請されたことと思いますけれども、それはやはり一般公務員につきましては、地方公務員も国家公務員と同様に法令によって給与がきまっている。そういう意味において、これは職員団体として別個でその範囲を限られてもよろしい。それから公営企業あるいは単純労務者のいわゆる労働組合をつくれるほうにおきましては、今度の改正におきまして一般の民間と一緒に組合をつくってもいい。また相互に組合をつくってもいい。それから今度は、従来そういう別々でなければいけなかったのが、小さな地方公営企業あるいはわずかな単純労務者しかいないという場合においては、その当該市町村の一般の非現業の職員と一緒に職員団体をつくってもいいというように改正しておるわけですから、そういう意味においてはわれわれは分断政策ではないということでございます。
○大出委員 三百四十五項に、これは日本政府の回答なんですが、「改正法案の下においては、一の地方公共団体の「一般行政職員」の組織する職員団体と、当該地方公共団体の「地方公営企業職員」「単純労働職員」の組織する労働組合とが交渉能力を有する同一の連合体に結合することができ、また、これらの職員は一の地方公共団体の単位をこえて、単一の組織に結合することができることは勿論、「一の都道府県の全体をカバーする」交渉能力を有する単一の組織に結合することができ、さらに、これらの職員の組織する団体は、一の都道府県の全体をカバーする交渉能力を有する同一の連合体に結合することができる。」とあります。そうしますと、これは交渉能力があって、こういう団体をつくっているのだから、それなりにわかりますけれども、しかしさてそうなると、さっきちょっと伺ったのですけれども、交渉能力という表現がこれについては一貫してとられておるのだが、登録という問題との関連はどうなるかという点を聞きたいわけです。分断政策ではないというのですから。
○佐久間政府委員 地方公務員関係の今回の法制の改正につきましては、先ほど労働省の政府委員から御答弁のあったとおりでございます。登録につきましては、従来、人事委員会を置きませんでした市町村におきましては市町村長にいたしますのを、公平委員会に改正をいたしたのでございます。
 なお、登録をいたします場合に、当該地方公共団体の職員だけで組織している団体でなければならないという規定は、そのまま存置をいたしておりますが、地方公共団体の職員の勤務条件につきましては、当該地方公共団体の条例で定められておりますので、その条例で定められております勤務条件を享受いたす職員は当該地方公共団体の職員でございますので、当局と交渉をいたします実益は当該地方公共団体の職員だけが持っておるということから考えまして、そのようなたてまえにいたしておるものでございます。
○大出委員 私もそう頭の回転が悪くないつもりなんですが、一つずつ聞きますからお答えいただきたいのですが、つまり、地方公共団体の「一般行政職員」の組織する職員団体と、当該地方公共団体の「地方公営企業職員」「単純労働職員」、「労働」と書いてあります、「単純労働職員」の組織する労働組合とが交渉能力を有する同一の連合体に結合ができる。一般行政職員と、それから公営企業職員と単純労働職員、この三つが一つの連合体に結合することができる。この場合に、交渉能力がある連合体、ここのところはどうなんですか。
○佐久間政府委員 一般職員は、地方公務員法に基づきまして職員団体を組織することができます。地方公営企業職員は、地方公営企業労働関係法に基づいてできるわけでございます。単純労務職員につきましては、地方公営企業労働関係法の規定によって組合をつくることができるわけでございますが、今回の改正案によりまして、一般職員の職員団体にも加入することができるということになったわけでございます。しこうして、改正案によります職員団体は、単位職員団体と、その単位職員団体が結成する連合体でございますから、一般職員で結成いたしております単位職員団体と、地方公営企業職員で結成いたしております単位職員団体とは、法律上の連合体をつくるということはできないということになるわけでございます。
○大出委員 そうすると、いまの一般行政職員、地方公営企業職員、単純労働職員のこの三つがつくった連合体は、登録はどうなるのですか。
○佐久間政府委員 登録はできません。
○大出委員 そこで問題をもとに戻すわけですね。そうなるとこれは分断政策であり、登録ができないと、これは三つ一緒にすることができるとあなたは言われても、そういう解釈だと言われても、三つ一緒になれぬのですよ。登録するしないが、身元保証云々ということにひっかかるからですよ。私はこれはあらためてILOにものを言って明らかにさしたいと思っているのだけれども、何なら行ってきてもいいくらいに思っているのだが、明らかにこれは事前認可ということになりかねない。団体の行動を規制するというのは事前認可なんですね。これは花見忠さんの解釈だって、佐藤進さんの解釈だって、みんな一緒だ。そうなってくると、これは同じ都道府県なんだから、おまけにすぐそばにいるのだから、一般行政職員と公営企業職員と単純労働職員が一緒になろうとするのはあたりまえです。一緒になったら、登録ができない。こうなると、これはやっぱり分断政策であり、そのために一緒になれないということになる。だから私は、事前認可は、行動規制、活動規制になるのだという解釈をするわけですよ。そうなると、あなたのほうでILOに答えている、分断政策とは大うそ、そんなことはない、こういうことの筋が通らなくなると私は考えるのだが、ここのところはどうですか。
○赤澤国務大臣 きのうILOからお帰りになったばかりの、非常に緻密な御議論でございます。しかしながら、職員団体の分断を策してこういうことをそれぞれきめるのじゃないかということを盛んにおっしゃいますけれども、そういうことを私たちは考えておるわけではございませんので、先ほどの管理職の問題でもそうでございますが、卑近なことを申し上げて恐縮ですけれども、戦時中には「翼賛会民一億に役がつき」というような時代もあったわけでございますが、しかし、役をもらうということは、人間のやはり弱点でもあると思う。役がかりにたくさんできましても、それが管理監督の立場にあって、そうして一般の平職員の諸君にまじる、そのことがかえって自由な発言を封ずることになるのではないかという、その何が管理職であるか監督職であるかということは、やはり客観的に見ましても判断のつくことでございますので、やはりいろいろな役がありましても、人事委員会、公平委員会で明確にきめられるべきことである。ただそういうふうに分断をするということを意図してやっているわけではございません。管理職だって、管理職のまた組合もできるわけでございます。これは組合の結成を禁じておるわけではございません。それから登録のことについても、こういうことはあまり議論がむずかしくなるので私はちょっと判断いたしかねますが、きのう申しましたように、登録ということは、私は一つの団体交渉のフリーパスの資格を得るというふうに考えてもいいのではないか、つまり、パスを持っておれば、無条件で、かえって使用者側のほうもむしろ進んでこういう方々とはやはり話し合いに応ずるべきである。権利義務ということになると、有権的な問題につきますと、やはりここでは法制局あたりの意見を聞かなければなりませんが、しかしながら、それにつきましても、それでは一体能力は何を意味するのか、みな能力能力という表現をしておるとおっしゃいますけれども、やはり私どもは会って話し合うということについては立場は同じだ。ただ、それではパスのない人はどうなのかということですが、それは切符を買ってもらわなければ、ただ乗りはごめんだ、切符は何かといえば、やはりこれは勤務条件の維持改善ということについて話し合ってくれという場合においては、やはり平たく会うべきであるという考え方に立つ。パスや切符にたとえて、当たっておらぬかもわかりませんけれども、あまり議論が私ら理解しにくいほどむずかしくなりますので、そういうたとえもできるのではないかというふうに考える次第でございます。
 公営企業と、それから一般の地方公務員との交通整理の問題でございますが、分断というのでなくて、やはり仕事の質も違えば、よって立つ法律も違うわけでございますから、やはり分けたほうが便宜じゃないかということでやっておるわけでございまして、故意に分断などということはゆめ毛頭考えておらぬということは、ひとつ御了承をお願いいたしたいと思います。
○大出委員 いまの前段のほうの大半のお話は、それなりにわかりますけれども、この問題とは関連がないので、それでもう一つ、いま大臣が言われたようなことになると、先ほどの管理職、組合員、非組合員の範囲等についてもう一ぺんやり直さなければならぬことになるので、それはそれなりに結論が出ておりますから、そういうことにしていただいて、いま言われた一番最後のところが、多少関連がこの問題とあるのでありまして、一般行政職との交通整理と言われましたから、その意味では関連がありますが、実は私も何も多くを望んでものを言っているわけではないので、現実に労働組合を組織する側が困るから申し上げているわけです。
  〔澁谷委員長代理退席、安藤委員長代理着席〕
これは大臣がどうお考えかわかりませんが、一般行政職の方々も、一つの都道府県の中にいて一緒に仕事をしている方もある。さてそこには公営企業の方もおり、単純労働の方もおる、こうなっているわけですから、そこで一つの組合をつくろうというのはあたりまえなことなんです。しかも同じところなんですから。にもかかわらず、使用者は同じなんですが、これは連合体をつくらなければならぬ。連合体をかりにつくると、これは登録が今度はできない。そうなると、こまかく分断をして分けていかなければ、組織はできないのですね。登録できないのですから。そうでしょう。そうなると、もっと大きな問題が実はあるのですよ。財産登記をしようと考えた場合に、これは職員団体が登録を求めなければ登記ができないのです。そうすると、財産登記をしたいためには、組織規制をみずからしなければならぬ。これはやはり大きな規制だと私は思っておりますが、その問題の判定は国際的に見てないので私は黙っているわけです。これもおそらく私は事前認可にひっかかってくると思う。そこで、いまのこの問題はそういう筋の問題なんですから、しかもここでは、交渉能力があると書き、かつ分断しているんじゃないといっているのだから、これはひとつ考え方を変えていただいて、こういうふうなところまでワクを広げて、一つの単位職員団体、こういうふうにしていただく、そういう考え方はないか、ずばりそういうふうに聞きたいわけです。つまり、一般行政職の方も、あるいは公営企業の方も、単純労働の方も一緒になって組織をつくった、これを一つの単位職員団体というふうに考えていただかぬと、小さい市町村にいっても、またこまかく分けていかなければ、それぞれが登録をしなければ、登録ができない、こういうことになったのでは、組合の運営というものはたまったものじゃないのです。組合の運営というのは数ですから、よけい集まれば組合費がよけい集まるから運営ができるのだけれども、こまかく分けられればそういうことになる。これは全体とからんでいく問題で、自治労という組織の問題ともからみ、あとから日教組という組織の問題ともからむので、そういう意味があるから聞いているのでありまして、御答弁願いたいと思うのです。
○赤澤国務大臣 私はよく具体的にはわかりかねますが、私が先ほど申し上げたことは、やはり法律も違うし仕事の質も違うわけでございます。そこで、国でも国家公務員と公共企業体の職員とはちゃんと交通整理してあるわけでして、先ほどから私のほうばかり向いて御質問になるわけでございまして、地方公務員と地方公営企業体の職員ということで私は承っておるわけでございますが、本筋、国自体がそういうことになっておるわけでございますので、その方面はまた労働省で十分緻密な御検討もあろうかと思いますので、そのほうから御答弁をお願いいたします。
○大出委員 そこで、地方公務員の登録の問題でひとつ承りたいのですが、独立した別の機関をつくれという示唆が出ておりますが、これについて御検討いただいておりますか。
○佐久間政府委員 登録を中立的な第三者機関でさせますことが、その示唆の趣旨であろうと思いますので、先刻申しましたように、従来市町村長に対していたしておりましたものを公平委員会に改めるということにいたしたのでございます。
○大出委員 そうすると、この趣旨は、人事委員会や公平委員会から独立したもの、こういう趣旨なんですが、これは御存じですね。それで地方団体の長、責任者というようなかっこうになっておるところだけ公平委員会に直す、こういう趣旨ですか。
○佐久間政府委員 さようでございます。
○大出委員 それからここでもう一つ確かめておきますが、これは澁谷さんがこの間質問をざれたのと若干からんでまいりますが、この選挙の、全員をもって云々という件について、比較多数ということで労働大臣がお答えになりまして、非常にうまい表現をあのときにされて、実際現実にはそういうことになっているから比較多数だということなんですけれども、家はILO側からのものの言い方は、たとえば構成員の過半数の投票を要す云々という問題についても、これは本来その団体が全員の多数決によって決定されるものの手続を定め云々というものがあるわけでありまして、これはその団体がきめるのだ、それが筋なんですよということがいわれているのですけれども、そこのところはどういうふうにお考えになりますか。
○三治政府委員 確かに、結社の自由という側から見ますと、その管理運営の都府について、自主運営で、その中の役員の選び方、規約の選び方というものについて、組合、すなわち結社をされたものの意思できめるというのが原則であるわけでございますが、しかし、それも民主的な原則が守られなければならないということになりますと、そういうことにつきましてILOがいっておりますのは、組合の基本的な存在に関する若干の事項、たとえば規約またはその目的の変更、解散、登録の申請というようなものについては組合の絶対過半数を要するというのが、多数の国々の法律及び慣行である。しかし、組合の通常の任務遂行に関する事項、たとえば役員の選挙、会計報告の採択というようなものは、過半数を要することは通常の慣行ではない、このような場合におきまして、資格あるすべての構成員が自由にその投票を行使することができるという条件で、組合役員の有効な選挙のためには、実際に行わたれた投票の単純過半数で足りるというのが、通常承認れた原則である、こういうふうなことをいっておりまして、そういうふうに民主的な管理運営についての多数の国の法令あるいは慣行というものが犯されない限りにおいて、その各国の法令でその民主的な運営を確保するためにある程度規定しておっても、こういう一般の国際的な民主的な管理運営というものの基本原則が守られている限りにおいては、結社の自由に反するものではないというふうに解釈しておるわけであります。
○大出委員 原則的には組合がきめるのだということだけ明らかにしておいていただきたい、こういうふうに考えているのです。
 それで、文部大臣がお見えになっておられますので申し上げたいわけでありますが、日教組の皆さんの中央におけるやりとりの場が必要であるという点について、もう一ぺんあらためて御答弁をいただいておいて、その上でこまかい質問をさしていただきたいと思います。
○灘尾国務大臣 日教組と文部大臣との間のやりとりの場というお話でございますが、日教組の諸君は、私と会って、そうしていろいろな問題について交渉することを望んでいらっしゃることは、よく承知いたしております。ただ、この問題につきましては、私は具体的にひとつお答え申し上げたほうがあるいは御理解がいただけるかと思うのでありますが、昨年の九月、日教組から私に対しまして、教員の賃金の問題でありますとか、予算の問題でありますとか、あるいはILO八十七号条約批准と国内法改正の問題であるとか、教科書法案の問題、こういう問題について話し合いをいたしたいということで申し入れがありました。これに対しまして、私はこのような趣旨の御返事をしたのであります。文部省が教育行政を遂行するにあたりまして、広く教職員や一般国民の建設的な意見や陳情を聞き、これを参考とすることは当然のことと心得ております。しかし、国の教育施策が日教組の代表者と文部大臣との話し合いによって決定せうるべきものと考えることは、これは行政の筋を乱るものではないか、現段階におきまして、日教組の代表者と文部大臣とが話し合いをすることは、教育行政の上に誤解を与えるおそれがありますから、お申し入れはお断わりいたしますという趣旨の御返事をいたしておるのであります。私は、文部大臣と日教組の幹部とが会うという事柄につきまして、絶対に会ってはならぬとか、会うべきものでないとか、あるいは会わなくてはならぬとか、そういうふうには考えておらないのでありまして、私が会うことが適当であり、必要であると判断いたしますれば、お目にかかってけっこうだ、このように思っておりますが、いまお答え申し上げましたような趣旨における私の回答が、現在における私の心境でございます。
○大出委員 昨日どうも、ごうもないというようなことが口の端に上りましたから、それで実はいまもの申し上げる前に御見解を再度賜わったわけでございます。私が申し上げたいと存じておりますのは、文部大臣は、日本の国の諸種の労働慣行の中で、たくさんの方々がおやりになってかわってはこられましたが、私の知る範囲でも、また私自身も組合をやっております時代に、何べんかお目にかかっている文部大臣もあるわけであります。たまたま荒木さんのときには多少感情的なものも入り過ぎたという気が当時いたしておりました。仲介を頼まれた時代も、齋藤さんたちがまだ労働省におられる時代であったわけであります。ところで、この問題がいろいろ法律的にも国際的な労働慣行の面からも争われてまいりまして、ILOがものをいっておりますのは――私は、なぜこれを言うかというと、大臣はいまお見えになりましたから申し上げるのですけれども、八十七号批准に関する一つの問題が論議をされておるのでありますので、その意味で、各種の権利問題等をめぐり、ILOの見解というものを、加盟しているというたてまえ、ないしは国際的な慣行基準というたてまえから、参考にする必要があろう、こういう意味で申し上げるわけでありますが、教育諸団体の意見を聞いて行なうことが通常であるかもしれないが、かかる団体と教育当局との間の団体交渉の対象となる事項でないことに同意し、つまり、いま大臣が言われる趣旨の団体交渉、こういうようなことになりますと、これはいろいろと問題があるところだろう、こういうことを前提にして、労働者はみずから選択する団体を設立し、これに加入し云々という、平たく言えば、この問題については、会う会わぬという意味での交渉に応ずる応じない、私はこういうふうに受け取るのでありますが、これは当局者の側、大臣なら大臣の側の一つの意思がそこで動く、しかし一方、いかなる組織をつくるかということについては労働者側の選択された自由である、こういうことを二つ両建てにして結論づけているのは御存じだと思うのでありますが、これを、その後に出ております自治労の皆さんをめぐる問題等とからみ合わせて考えてみますと、やはりここで冒頭に申し上げました何がしかのやりとりの場というものをつくれということ、つくっていいということについて、私はこの言わんとする趣旨の中からくみ取れるように思うわけであります。そういう意味で、私は、どういう表現が妥当であるかということは、これはいろいろむずかしいところだろうとは存じますけれども、今日のような形のままであっては、これらのILOのいっているところの趣旨等からいたしまして、筋が通らない、こういうふうに考えるわけです。たとえば、不満を表明しなければならぬ場所もありましょうし、場面もありましょうし、あるいは意見を申し出て話し合いをする、こういうことが必要な場面もあろうと私は思うのでありますが、その点について、いまのお話でくみ取れる面もありますけれども、もう少し御所見を賜わりたいものだ、こう考えるわけであります。
○灘尾国務大臣 日教組とか文部省とかいうことを離れまして、一般的なお話として伺います場合には、別に私はそれに対してかれこれ申し上げることはございません。ただ、現在の日教組の諸君は、常に交渉ということを言われるのであります。文部大臣と会うことがすなわち中央交渉だ、こういうことを言われるのであります。私は、しかし、文部行政は、日教組の諸君との交渉によって結論が得られるものではないと思うのであります。しかし、常にこれを交渉と言っておられる。そういうことはやはり行政上にいろいろな誤解を生ずる問題でございます。そういうふうなことが従来しばしばあることでございますので、私はさような誤解が行政の上にあるということは、中央といわず地方といわず、気をつけなければならぬことと思うのであります。
○大出委員 教育公務員特例法の面からいきますと、二十五条の五などに、「公立学校の教育公務員の給与の種類及びその額は、当分の間、国立学校の教育公務員の給与の種類及びその額を基準として定めるものとする。」などという一つの基準めいたものがあります。一方また、私は横浜出身でありますので、神奈川の例をとらざるを得ないわけでありますが、大学あるいは高校、中小学校、こうあるわけでありますが、給与の三本立て、かつてから争われた問題でありますが、これらをながめましても、同じ免許、つまり、同じ資格で一緒に入ってきて、学歴も一緒で、おのおのの場所につとめられた場合に、当初の何百円かの開きは、十年もたちますと一万円くらい開く。だから給与の三本立てというのは反対だという考え方が教員の皆さんの中にあります。この趣旨は、大学教育が大切か、中小か、あるいは高校かといった場合の問題もございましょう。いろいろ複雑な問題もありましょうが、かりにそういうことで一つの団体的意見がまとまったということで、県当局あるいは教育委員会に――県当局という意味は教育長――こういうようなことが行なわれるわけでありまして、教育長は文部大臣が承認を与えて任命をしておるのでありましょうけれども、この教育長の方がそれは賛成だという意見をお持ちになったとする、そうすると、県の段階では――神奈川というところは、特に勤評の神奈川方式などということでまとめて苦労されてさておる地域でありまして、比較的スムーズな話し合い、交渉が行なわれておると私は見ておりますが、こういうふうな場合に、話がとことんまでいって、さて中央の基準という問題にぶつかるのだがということになりますと、これはやはり文部大臣にお話をしなければならぬという必要が生じてまいります。この場合に、いま文部大臣が非常に慎重に御答弁を賜わっておりますから多くを申し上げませんが、そのような場合に、多数の教員の方々が考えておられることをやはり代表して意見を言い、あるいは不満とするところがあればそれを言うという、この必要だけは、いかにどういう角度からものを言われる方々にしてもお認めをいただけるのではないか、そのことが即いきなり政府の施策の基本方針がそこできまっていくなどということは、だれも考えていないと私は思うのであります。そういう意味でそのことを考慮を願って、その後の教育諸方針をおきめ願う中で一つのウエートをあるいは持っていくかもしれない、こういう場面が出てくると私は思うのであります。そういうたてまえ、考え方等からいたしまして、旧来から意見の交換が行なわれてきた場面があった、教育団体として非常に大きな日教組の立場と文部当局の立場というものが、今日ある事情のように置かれていることは、全体的な意味からいっても残念なことだというように思いますので、だめ詰めいたしませんけれども、先ほど御答弁をいただきました趣旨をぜひひとつ生かしていただいて事に当たっていただくようにお願いをいたしておきたい、こういうふうに思うわけであります。
 それから次に、政治活動の制限の問題が一つあるのであります。私はこれは提案の理由を承りましてもどうもよくわからないのでありまして、再度明らかに願いたいのですが、人事院規則を読みかえるというのでありますが、どう読みかえるのか、御説明を賜わりたいのであります。
○岡田政府委員 現在政治的行為の制限は人事院規則にこれをゆだねておるわけでございます。それで国家公務員法改正案におきましては、人事院規則に委任することをやめまして、制限そのものを法律で明定するたてまえになっております。ただ、これを法律で明定するにつきましては、非常にいろいろ検討も要しますので、経過的措置といたしまして、附則で、その法律ができるまでは現在の人事院規則十四−七がそのまま法律にかわる効力を持つ、こういうことになっておるわけでございます。
○大出委員 ところで、この人事院規則十四−七がというわけなのですが、法律は一体いつごろ考えておられますか。
○岡田政府委員 この政治的行為の制限といいます問題は、御承知のとおり、従来も、この規則は違憲ではないかというふうな御議論もあったわけでございます。それからまた、上級公務員から下級公務員まで一律に規制しておるではないかというふうな御議論もあるわけでございます。なお、これに罰則があるのが適当かどうかというふうな御議論もあったわけでございます。そこらの問題はきわめて重大な問題でございますので、これを法律化するにつきましては――なお、申し落としましたが、現在人事院規則で書いてあります政治目的なりあるいは政治的行為なり、これらも現在のままでいいのかどうかということも出てこようと思います。それらのいずれの問題にいたしましてもきわめて重大な問題でありますので、十分この点は慎重に検討いたしたいと思って――ただ、急ぐ必要はございますが、事の性質上慎重な検討を要しますので、具体的にいつというふうなことは、いま直ちにちょっと申し上げかねると思います。
○大出委員 その一番最後の、いま直ちにいつとは申し上げられないというところが、私に言わせると、実は問題なのですね。なぜならば、失礼な言い分ですが、これが与党の皆さんの中で持ち上がってここまでくる経過というものをいろんな方から聞いてみて、それが一致するので、おそらくそうだろうと私は類推解釈をしているのでありますが、ここまできたいきさつが、どうもいま言われるようなことにならざるを得ないのだと思うのです。というのは、ILO問題でどうもなかなかいろんな天下の意見をお持ちの方々が多数ある。さあこれはたいへんなことになったという時代が、岸内閣以来の長い時代にありまして、さてその中で、選挙というものを控えているお互い議員ですから、政治活動制限というものがより強化されるということについては、野党であるわれわれの側はあまり喜ばない筋合いでありますが、おそらく、そうでない側の方々は、よかろう、こういうことになりかねない政治的立場に立たれると推測をいたします。そこで、突如として、ある人が、政治活動制限を強化しようじゃないかと言ったところが、そうだということになる。それじゃひとつ委員会をつくって検討してくれぬかと言ったら、断わった人も出てきた。なぜ断わったかというと、基本的人権にからむ問題であり、憲法にからむ問題であるから、そう軽々にこれを法律化するなどということは、言うべくして行ない得ないのだということで、そういう反論をざれた方がある。こういう長い経過があるのでありまして、だから人事院規則の読みかえなどというおかしなことになってきた。したがって、これを法律的に考えていけば、どこからいっても筋が通らない。では、将来いついかなるときに法律を予測するかと言ったら、わからない。こんなばかな話はない。今日人事院規則であるものを、なぜ一体読みかえなければならぬかという問題が出てくる。
 それから、この点について私は人事院の所見も承りたいわけでありますけれども、今日人事局というふうなものも提案されておる時代に、政治活動制限というふうなもの、人事院規則十四−七がいまのようなぐあいになっていくことについて、今日までこれについての運用方針についてなどという解釈をお持ちの人事院側はどうお考えになるか、この両面について承りたいわけであります。
 言い直しますと、いま私が申しましたような経過があるのですから、率直に言って、おやめいただいたほうがよいのではないか。いまの人事院規則でおやりになっておる運用解釈がくっついてやっておるのだから、これを論議することになると、たいへんな論議になる。だから、おやめになったほうがよいのではないかというのが一つ。これは関係当局に聞きたい。
 それからもう一つは、人事院の側に先ほど申しました運用方針についてというのがあるのでありますから、そういう面からどうお考えになるかを承っておきたいと思うわけです。
○大橋国務大臣 政治活動の規制について現在の人事院規則でやっております事柄を、法律で直接定めようという点でございまするが、これは現在人事院のやっておられることがいいとか悪いとかいう問題でなく、政治活動の制限というものは、事、人権に関しまする非常に重大な問題でございまするから、行政措置によって定めるよりは、やはり国会の議決を経た法律によって誤りなきを期するということが、本来の性質上しかるべし、かような意味でこの規定ができておるのでございます。いっその法律ができるかということでございまするが、これにつきましては、先ほど政府委員から申し上げましたごとく、いろいろ検討すべき事項がございまするので、この法案と同時に提出することは間に合わなかったのでございますが、本法が成立し次第、取り急ぎ立案をいたして御審議をいただきたいと存じます。
○大出委員 心ならずも答弁をされるという場合もあり得るわけでありますから、それなりに承りますが、私はずいぶん詳しく、なぜこういうことになったかという事情を調べたり聞いたりいたしておりますし、また、きのう以来、倉石案というようなことが言われておりますが、これに対する与党の皆さんの中の各部会の意見等も全部読ましていただいておりますけれども、気持ちの上では、この際制限強化になるならばという気持ちはおありだろうとは思いますけれども、事、基本的人権に関する問題でありまして、これは出すべきものでないのが出てきた、こういう感じが私はするのであります。その証拠には、本来、いま労働大臣が答弁されたようなことならば、ずばり法律で出してきていいのでありますけれども、規則で出して、それを読みかえるということにされてから五年も六年もなるのにいまだに法案ができない、こんなばかなことはないのであります。人事局さえつくろうというのに、できないはずはないのであります。そうしてみると、御審議をいただきたいというお話だったのでありますが、人事院規則の読みかえというふうなものを審議してくれということに、どうも少し整わざるものがあり、かつ無理があるのじゃないかというふうに思いますので、そういう点でもう一ぺん御答弁をいただきたいのです。
 さらにつけ加えますけれども、では今日、運用についてということになって人事院が諸種の解釈をつけておりますものは、一体今後どうなっていくのかという点もあわせてお答えおきをいただきたいと思います。
○大橋国務大臣 御質問の御趣旨は、暫定措置といたしまして現在人事院規則で制定されておりまするものを、法律として取り扱っていく、それについて人事院が付しておる解釈はどういうことになるかという御趣意だと思いまするが、人事院の規則そのものを法律に読みかえたのでございまして、その解釈についていろいろ従来から有権的解釈としてできたものがあるわけでございます。したがって、これらを総合いたしましたものが法律と観念れるというふうに考えております。
○大出委員 そうすると、将来この運用にあたって、まだまだ有権的解釈をとられていない問題について解釈をしていかなければならぬことになると思うのでありますが、それらはどうなりますか。
○大橋国務大臣 それらにつきましては、通常の法律解釈と同様、運用者において運用者の責任で解釈をいたしてまいることになるわけでございます。
○大出委員 多少どうも愚問に近いのですが、運用者はどこになりますか。
○大橋国務大臣 運用者というのは、政治的行為の取り締りでございまするから、これは各庁における人事管理の当事者がおるわけでございます。一応この者が解釈をしまして運用をいたしてまいると存じます。ただし、法律の問題でございまするから、別にそれに対して、職員側におきまして、自己の不利益処分あるいは地位を擁護するための訴訟というような手続がございます。それぞれの段階においてはそれぞれの機関が解釈をいたすわけでございます。
○大出委員 それぞれの担当の人事当局などがやる、こういうわけでありますが、これらの人事院の十四−七、政治的行為の運用方針についてを読んでみますと――まあひっかからぬようにということで私はずいぶん考えた時代があるので、ずいぶんよく読んだものですけれども、あらためてこれを読んでみたのですが、なかなかうまく書いておるわけです。基本的人権をなどというところを、用心深く、読めば読むほど味があるように書いてある。これだけむずかしいものを、人事担当者というても、片一方は公務員であり、片一方は政府なんですから、今度は人事院という中立機関がやってきた解釈じゃないわけです。法律上当然そうなりますね。そうなりますと、この運用をひとつ誤ると、基本的人権と真正面から衝突をする、こういう項目が片っ端からある。私がしるしをつけただけでも三十幾つある。こういうむずかしいものを――これは時間がないから、私は端から御審議をいただかぬのですけれども、実は端から一つずつ私の二重まるをつけているのは意味を承りたいわけです。そうしていくと、おそらくそれは無理だということになると私は確信を持っているのだが、そういう性格のものを人事院からはずして、今日こういうことにしようということ自体に無理がある、私はこういうふうに思うわけです。だから「国民全体の奉仕者として政治的に中立的な立場を維持することが必要であると共に、それらの職員の地位は、」というところから始まって「政治の動向のいかんにかかわらず」ここまではこれはあたりまえなんです。ここから先は「政治的行為」という名がついてくると全部からんでくる。だからそういう意味で――いま五時までというお話ですから、こればかり論議しておると時間がなくなりますから、どうせ簡単に「うん」とはおっしゃらぬのでしょうから、よけいは申しませんが、まあこういうことは、あまり無理して審議をお願いいたしますと言われると、けがをすることになりはせぬかということを意見として申し上げておきます。
 あと十五分程度しかありませんから、ほかの問題について申し上げますが、昨日、チェックオフの問題が、途中でこれまたどうも非常に政治的な稻葉先生の御発言で終わりになっておりますので、そのままでは何とも困るわけでありまして、そこで申し上げるのでありますが、当初チェックオフ禁止などと言われた時代につけました皆さん方の理由づけは、これは何と言っているかといいますと、便宜供与みたいな言い方をされておるわけであります。自主運営云々ということをしきりに言われているわけであります。これは前ILO特別委員会でもそういう理由づけをされておりますが、今回は答弁が変わってまいりました。その変わったところを稻葉さんが追及されて、まだあるのではないかと言ったところが、好ましくないという表現になりました。これもどうも筋としては私は受け取りかねるのでありますが、この最初の時代には、やたら、外国はチェックオフなんというものは全部禁止して、ないのだという宣伝が、労働省その他から聞かれたわけであります。私も当初はそうかなと思ったのでありますけれども、一昨年アメリカに二カ月近く行っておりまして、くまなく調べてみますと、とんでもない話で、ウォルター・ルーサー、ロイ・ルーサー、ビクトル・ルーサー三兄弟に聞いてみても、彼らのうちでいろいろ話をいたしましても、とんでもない大間違いだというわけで、アメリカの場合なんかでも、チェックオフ・ストライキと名前のついたものがやたらある。チェックオフを禁止される、そういう出方を、民間であっても資本家がすれば、それこそ大ストライキに発展をする、絶対にこれは譲らない、こういうことであります。それほどのものを、簡単に、どうも便宜供与云々の面からのみ、好ましくない、こう言うことは、各国の事情等からいって少しおかしいのではないか、私はこういうふうに思うわけであります。したがって、言うならばモデル条例をということでありますから、その辺のところにしていただいて、好ましくない云々ということについては、前特別委員会であれだけ言われた理由を今回は表に出さずに過ぎてきているわけでありますから、私と稻葉さんのやりとりのまん中に置いておいていただきたいと思うのでありますが、お答えを賜わりたいわけであります。
○大橋国務大臣 まん中というのは、どういうお答えをしたらお気に召すかわかりませんが、私は、チェックオフにつきましては、チェックオフが使用者側の意図に基づいて恩恵的にやられる、ないし、内政干渉的な意図をもってやられるという場合においては、これは組合の自主独立を害しまするので、断じて排撃すべきことであろうと思うのであります。また、そうでない場合におきましても、ややもすると組合がチェックオフをやめるぞというようなことで脅かされるというようなことがありとすれば、これもやはり好ましくないと思うのでございます。そういう意味におきまして、チェックオフが弊害を伴うというようなおそれのある場合においては、これは好ましくない事柄である、こう思います。
○大出委員 そこで、在籍専従の問題について一書承りたいのでありますが、ILO機関憲章の十九条にからみまして、あそこで、批准云々に基づいて今日までの既得権というものを不当に押える、こういうふうなことを意味しないということが明らかになっておるのであります。それと、八十七号条約の九条に、憲章を受けて、憲章の条項のほうが明確でありますけれども、あるわけでありますが、それらの点とからみまして、もう一つ、政府の側といたしましては、公労法四条三項、地公労法五条三項というふうなものを、労働関係法令審議委員会等を通じて、改正するときに、抜いておけという意見があったのを、わざわざ入れたという経緯等があるのでありますから、やむを得ざる形であったにしても、長く存在をさしてきた。このことが八十七号条約に違反する筋合いでもない、こういうことになっている時点で、もうその必要はなくなるのだからやめるのだ、こういう理屈も、少し身がって過ぎはせぬか。三年で準備ができるはずだ、こう言われても、天下の大組合と称するところはよろしいと思います。しかし、群小あまたある――ある官庁なんかでは、その官庁の中に十も組合があるということになっておるわけですから、そうなってまいりますと、そう簡単に、それじゃやっていくというわけにはまいらぬのではないか。きのうどなたかが例にあげられて、こじき組合なんて言いましたが、そんな話の筋ではなくて、もっと大きな筋からいって、そう簡単に、今日まで長らく続けてきた休暇専従というものを、一挙にここで、三年なら三年、二年なら二年の準備期間を置くとしても、必要がなくなったから、こういう形のものもどうも考えものではないか。それが国際的にそうじゃないかとおっしゃるなら、私は聞き直ってものを言いたいのだが、けさからいままで私は、国際的な労働基準というものに近づける方向での御検討をいただきたいということを声をからして申し上げておるのでありますけれども、日本は日本的に、こういうことを皆さんが言われておって、これだけは国際的に、こういうことも私は筋が通らぬ、こう思います。時間がないから私は簡単に申し上げておるのですが、これもやはり検討の余地をお残しいただきたい、こういうふうに思うわけであります。御答弁を賜わりたいと思います。
○大橋国務大臣 在籍専従の廃止をいたしたいという理由は、先般来たびたび申し上げておりまするとおり、なるほど、これは労働組合の側から見れば一種の既得権とも言えるかもしれませんが、もともとこの在籍専従を認めるに至りました理由なるものが、職員以外の者が組合員あるいは組合の役員になれないという現行の制度からきておるわけなのでございます。いわば結社の自由に対する制限と引きかえにでき上がっておる制度でございますから、そのもとになっておりまする加入資格の制限が撤廃されたならば、これは公平の原則からいっても、既得権もやはりやめてもらうということをお願いせざるを得ないじゃなかろうか。つまり、既得権ではあるかもしれぬが、その既得権なるものは、加入資格の制限というものとの見合いでできておる既得権でありますから、したがって、その見合いとなっておる加入資格の制限が撤廃される以上は、一応もとに戻って御破算というのが条理上当然だ、こういうのが、簡単に言えばその趣旨であります。かつまた、その裏づけとなっておりまする点は、公務員本来の性質といたしまして、公務に専念する義務があるわけでありますから、この本来の立場に返るということがかたがた適当だろう、こういう考えでできたものでございます。
○大出委員 まあ意見の対立のままになりそうでありますけれども、与党の皆さんのほうの詳細に各部会ごとにまとめておられる御意見等の中には、今後在籍専従などというものを認めていくと、うっかり処分もできなくなるという意味のことがるる述べられまして、責任を追及し、処分を行なうことは従来以上に困難になるというようなことで、一ぱい載っておりますけれども、これはもちろん労働大臣の解釈ではないのでありますから、やむを得ないのですが、意図するところがどうも私は少しほかにあるんじゃないかという気がいたします。さっき申しました筋からいきまして、いまただちにそこまで持っていかぬでもいい筋合いのわけでありまして、この案ができ上がる過程におきましても、労働省の某々なる方々は、どうもそこまでいってしまいそうで困ったということで、何とかそこまでいかないようにという努力をされた方々もいる。それがつまり日本の置かれておる組合の実情だからということで、しかし、まあある方面が強くして、そこまで持っていかざるを得なくなったという話も出ておる。こういう経過があるのであります。だから私は、ここにある意見の中にも、当時廃止しろと言われていた意見と似たような意見がありますが、つまり、単にここで組合を弱めるという意味で――これは具体的な問題として言うのでありますが、筋論でなくて、そういうことがひっかかるということであるとすれば、私はこの際少しそのあたりまでは考えていただいて、先ほど申しました筋に乗せて在籍専従問題は処理していく、日本の置かれておる現実に即した処理をしていく、こういうふうにしていただきたいといち意見を申し述べておくわけであります。
 それからもう一つ意見を承っておきたいのは、これはあまり深い論議をここでする気は私はありませんが、争議行為指令の不拘束の問題であるとか、あるいは団体交渉手続であるとか、平穏かつ静粛になどというようなことを入れてるる提案をされておるのでありますけれども、いずれもあまりにも言わずもがなのことを言っておる、そのほうが安心だという気持ちがあろうとは思います。それから、稻葉先生のように、法的にということになれば、書いてあったのとないのとはこう違うということは言えると思います。思いますけれども、どうも戦後十数年たって、しかも四・一七ではないが、ああいう形の幕切れも出てくるような一つの意味を持つ時代もきておるわけでありますから、あまりにもどうもこの辺のところまでこだわらぬでもいいじゃないかというふうに考えておりますので、その辺についてもひとつ御意見をいただいておきたいというふうに思います。
○大橋国務大臣 私どもは、公務員の争議権の制限などにつきましても、これは憲法違反ではない、明瞭だというふうに申しております。また最高裁の判決にもはっきりいたしておる。この点はどなたも否定される方はないだろうと思うのでございますが、それにもかかわらず、やはりいろいろな議論がございますので、法文といたしましては念には念を入れておいて間違いはなかろう、かような意味合いで規定をいたしたわけであります。
○大出委員 陰のほうでお話がありましたように、時間を忠実に守りますので、簡単に御答弁を願いたいのでありますが、御出席をお願いいたしました、つまり総理に対する御質問は保留をいたしておきますが、臨時行政調査会なるものについての御見解だけは、先ほどお見えになったということですが、おられなければ別ですが、おられれば承っておきたいのであります。来ておられますか。――申し上げたい趣旨は、簡単に申しまして、この人事局設置問題は、提案をされて五年を数えるわけであります。しかし、今回は新たなる提案になっておるのであります。してみると、その間に臨時行政調査会が法律上明確になって設置をされたわけであります。その第一部会なるものの中間報告が出されておるわけであります。その中で人事院の権限強化をうたっておるわけであります。そうなってまいりますと、いまの時点で結論が出ることが目の先にあるのに、にもかかわらず人事局設置をどうしても通さなければならぬとすれば、政府は一体何をお考えなのかということを疑いたくなるのであります。したがって、その関連を明確にしておいていただきたい、こういうわけであります。
○川上政府委員 臨時行政調査会の第一部会におきましては、大体政府と同じような案を考えておるようであります。それから第三部会につきましては、人事院をそのままにしておいて、そしてそれに対してもっと政府のほうがこれに対する指導指揮を強化しよう、こういうような案に私どもは聞いておるわけであります。そこで従来から、いまお話がありましたように、この問題については、何べんも国会に、人事局を設置するという案で政府側は提案をいたしました。先ほど労働大臣からお話があったと思いますが、ILO条約の批准に伴いまして、職員団体の自主性並びに責任性というものが強化されると思いますから、やはり私どもは、この際臨時行政調査会の答申が遅れましても、前と同じように、政府の職員に対するいろんな管理について整備をする必要があると思いましたので、やはり内閣に人事局を設けることが至当だと考えまして、これに賛成をいたしたわけであります。
○大出委員 間違いがありますから、訂正をさしておいていただきたいのですが、御意見があればいただきます。いまおっしゃった、第一専門部会のほうは政府原案とおっしゃいましたが、逆でありまして、聞いておられるというわけですから、お読みになっておらないのでしょうからやむを得ませんが、実は第一専門部会のほうが人事院の強化でありまして、先ほど読み上げましたから繰り返しません。第三部会のほうは、人事管理に関する内閣機能の強化というふうに表現をいたされておりますので、逆でございますから、その点はお改めいただきたいと思います。
 それから次に問題になりますのは、いま御説がありましたけれども、どうも納得いたしかねます。しかし、この件はお約束の時間がまいりましたので、総理に対する質問として保留をお認めいただいておりますから、その他なお残っておる項目もございますので、本日はえらく長くなりまして恐縮でございましたが、質問を保留しておきます。
○安藤委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることといたし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三分散会