第046回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
昭和三十九年二月十三日(木曜日)
   午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 前田 正男君
   理事 菅野和太郎君 理事 佐々木義武君
   理事 中曽根康弘君 理事 西村 英一君
   理事 福井  勇君 理事 岡  良一君
   理事 原   茂君 理事 山内  広君
      内田 常雄君    木村 剛輔君
      寺島隆太郎君    細田 吉藏君
      渡辺美智雄君    久保 三郎君
      楯 兼次郎君    三木 喜夫君
      鈴木  一君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 佐藤 榮作君
        国 務 大 臣 福田 篤泰君
 出席政府委員
        防衛庁参事官  志賀 清二君
        防衛庁参事官
        (長官官房長) 三輪 良雄君
        防衛庁参事官
        (防衛局長)  海原  治君
        防衛施設庁長官 小野  裕君
        防衛庁事務官
        (防衛施設庁施
        設部長)    鈴木  昇君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   江上 龍彦君
        総理府技官
        (科学技術庁計
        画局長)    村田  浩君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   島村 武久君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       駒形 作次君
        原子力委員会委
        員       兼重寛九郎君
        原子力委員会委
        員       西村 熊雄君
    ―――――――――――――
二月十日
 日本科学技術情報センター法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第六九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(原子力行政に関
 する問題)
     ――――◇―――――
○前田委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 原子力行政に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
○久保委員 原子力研究所の原子炉の設置といいますか、そういう問題について若干お尋ねしたいのであります。今日まで四基ですか、それぞれ型の変わった原子炉ができているようです。一号炉から四号炉、あるいはJPDRですか、そういうものがつくられておるわけですが、この一つ一つの設置された方向が原子力研究所の目的と合っているのかどうかという問題でございます。
 われわれ単純にいままで知り得た範囲では、それぞれの炉は日本の国の原子力研究開発の方向に沿ったものだと承知しております。しかも、多額の金を要してつくるものでありますから、その試験研究の結果が次の段階に十分利用されていかねばならぬと思うのでありますが、どうもしろうと目でございますから間違いがあるかもしれませんが、その一つ一つは単独な形で設置され、運転されているようにも見受けられます。そういう点はいかがでありましょう。
○佐藤国務大臣 わが国の原子力はおくれてスタートした、そうしてそのおくれを取り返す、こういうことでいろいろ研究の炉をつくってまいったわけでございます。それは必ずしも、いま言われますように、一つの型ばかりでもない。したがって、一部で、これは一体どういうことなんだろう、こういう疑問を持たれるのも当然のことだと思います。ただいままでつくっております炉の型並びに性能あるいは研究目的、それらにつきましては事務当局から説明させます。
○島村政府委員 ただいま長官からお答え申し上げましたとおり、原子力研究所に炉を置きます場合の考え方といたしましては、世界各国に非常におくれて出発いたしました日本の原子力の水準を急速に世界的水準にまで高め、その上に日本的なものを発展させるという考え方のもとに、まず先進諸国において開発された成果を吸収するということに主眼があったわけでございます。したがいまして、日本が始めました当時先進国がとっておりましたような、ある一定の炉型を目標にいたしまして、たとえば臨界実験装置から実験炉あるいは原型炉、さらにまた実用炉というような方向に一つ一つ積み重ね式に考えませんで、まず研究の手段として何が必要かというところから原研に設置します原子炉の型を選んだわけでございます。
 具体的に申しますと、ただいまお尋ねのとおり、現在原子力研究所には一号炉、二号炉、三号炉、それに動力試験炉の四基の原子炉が設置されておりまして、さらに四号炉が目下建設中でございます。
 一号炉がウオーター・ボイラー型の五十キロワットのものでございますが、これは基礎研究及び関係技術者、研究者の訓練用として設置されたものでございます。
 また、二号炉につきましては、これはCP5型と称せられるものでございまして、一万キロワットの熱出力を持つものでございますが、これは高中性子束を必要とする物理実験、照射ループを使用しますところの燃料及び炉材料の照射実験、あるいは次に申します三号炉の稼動いたしますまでの間のアイソトープ生産というような多目的利用を目的として設置されたものでございます。
 三号炉は、天然ウラン重水型でございまして、同じく一万キロワットの熱出力を持つものでございますけれども、これは日本人の設計により、日本の手によってつくり上げるということとを目的といたしますと同時に、完成いたしました後にはアイソトープ生産炉として使いますために、そのような目的をもちまして、わが国技術陣の総力を結集して建設されたものでございます。
 目下建設中の四号炉は、いわゆるスイミング・プール型でございます。最高熱出力三千キロワットを予定いたしておりますけれども、これは主として放射線の遮蔽に関する基礎及び工学的研究を目的として建設いたしておるものでございます。
 JPDRと申します動力試験炉は、御承知のとおりBWR型でございまして、電気出力は一万二千五百キロワット。この炉は動力炉の建設、運転及び保守についての経験を得ること及び動力炉の特性を理解することなど、今後におきまするところの軽水型動力炉の国産化に役立てようという目的で設置せられたものでございます。
 以上、それぞれの炉についての建設設置目的を申し上げましたけれども、冒頭に申し上げましたように、これらの炉がいろいろな型であるということは、先進国が原子力開発にとってまいりました態度と若干違うところはございます。それはあくまで研究の手段としてどういう炉が一番適切であるかという考慮のもとに考えられた結果でございまして、御指摘のようにばらばらにそれぞれ孤立して無計画的につくられたというふうには考えないわけでございます。
○久保委員 孤立したばらばらな形でつくられたものではない、こういうことでありますが、それではばらばらでなくて計画的につくられているとするならば、それぞれの炉で研究されたものが、さらに開発の段階に入らねばならぬと思うのですが、そういうくふうはしておらないのではないだろうかと思うのです。たとえばこの四号炉にいたしましても、遮蔽実験というか、そういうものを目的にしたことはいまも御説明があったのですが、それは言うならば原子力船の問題でありましょう。ところが、最近の新聞を見ますと、原子力船の基本設計は終えたというか、そういう報道がなされていますが、その関係はどうなっていますか。
○島村政府委員 仰せのとおりJRR4、四号炉は、これは遮蔽の研究ということが大きな目的になっております。また、その遮蔽の研究と申しますものは、原子力船の遮蔽ということに非常に大きなウエートを持つものでございます。ただいま御指摘の原子力船事業団は、最近ようやく第一船の主要目を内定するという段階に到達いたしました。これから数カ月のうちに基本設計をまとめる予定にいたしております。JRR4は目下建設中でございまして、おそらくこのただいままでの主要目の決定及び基本設計の作成には間に合いかねる状況でございます。しかしながら、原子力船事業団といたしましては、基本計画を決定いたしました後も、それをチェックする意味におきまして、四号炉の建設完成を待ちまして、これを利用して研究をする予定をその計画の中に組み入れておるわけでございます。いわば基本設計を行ないまして詳細設計にどんどん進んでいく、その作業過程におきまして4による試験結果を十分取り入れていく考えでおります。したがいまして、四号炉が原子力船の建造と無関係であるというわけではございませんし、ましてや私どもの考え方によりますれば、何も第一船に役立てるだけでございませんで、将来引き続きそういったような方面の研究が重ねられていくことを期待いたしておるわけであります。
○久保委員 あなたの御答弁だというと、あとでも使いものになるから、研究していくのだからいいのだというような、大へん金があり余って、研究者もあり余っているようなお話でありますが、そういう状態でございましょうか、いかがですか。
○島村政府委員 四号炉というものは原子力船事業団側からもその早期の完成が期待されておりまするし、また第一船の建造にも役立たせたいという計画を持っておる。さらにまた引き続きその方面の研究に役立てていく考え方でおりますということを申し上げたわけでございまして、どういう意味でございますか、お金と申しますか、人、そういうものがあり余っておるということを申し上げておるわけではございません。そちらのほうはそちらのほうで、まだまだ不足いたしまして苦慮いたしておるくらいのことでございます。
○久保委員 原子力局長さんですか、初めてお会いするのでわかりませんが、高邁な議論を聞かされまして大へん感服いたしております。われわれの貧乏人の育ちからいきますれば、原研の炉は今後これを実用段階に研究開発するのが目的ではないかと私は思うのです。原子力船事業団のほうでおつくりになるのなら無意味ではないかもしれないが、建設のテンポから、早ければ無意味でしょう。あとから利用される、それはあるかもしれませんが、そういうむだはおやめになったらどうかということなんです。だから、個々ばらばらにつくられておるのではなかろうか、原子力行政に一貫性がないのではなかろうか、そういうことを私は聞いておる。別にあなたがおっしゃったのではない。金が余って、研究者が余っておるというのは私の解釈なんですが、そのとおりに受け取ってよいのではありませんか。私は別に非難するわけではありませんが、そういうところに原研の大きな問題があるということも十分考えないと、問題の本質的な解決には私はならぬと思うのです。
 それから二号炉ですが、二号炉もこれは材料試験炉でしょう、ところが、これは出力が半分しか出してないじゃないですか。そして今度、私の選挙区でありますが、大洗につくる、これはどういうわけなんですか。
○佐藤国務大臣 冒頭に申しましたように、わが国の原子力は他国におくれて始まった。ただいま久保さんが言われるように、それならばもうどこかはっきりきめて、その方向へ進めばいいじゃないか、こういうことですが、やはりわが国の唯一の原子力センターとでも申しますか、そういうところであらゆる型のものをひとつ、研究したい、そういう意味の考えも多分にあります。したがって、研究者の便利に原研が役立つような仕組みでございますので、ただいままでのところは、いかにもその間に一貫性がないのではないか、おくれているならなおさら一つのものにきめて、その方向に進んだら、そのほうがよほど早いのじゃないか、こういうことは当然のお尋ねでございます。私自身も、科学技術庁の長官になりましてそういう意味の質問もいたしたのでございますが、今日もうすでに八年たった、そういう意味でもう一度見直す、その時期にはきておると思いますが、今日まで各種の炉を用意したということ、これは大へん発達に寄与するものだ、こういうことで過去をあまり責めるわけにもいかない、むしろ研究に便した、そういう方向でその功績をとるべきでないだろうか、かように私も了解しております。
○久保委員 佐藤大臣のおっしゃることもわかります。それじゃ八年たった今日、いま長官がおっしゃられるように、四つなら四つの炉がある。その炉から出たいわゆる研究の成果というものをどうまとめ、どう発展させていくかという大方針がないと、原研自体の問題は私は解決できないと思うのですが、この大方針を早く確立することが、研究者にとっても、原研の全体にとっても、私は一番焦眉の急だと思うのです。そういうお考えで今日進まれておるのでしょうか、いかがでしょうか。
○佐藤国務大臣 御承知のように原子力発電も実用の段階に入りましてあるいはまた原子力観測船もそれぞれのものをきめていかなければならない、こういうことで具体化の方向にまいります。最近つくります材料試験炉なども、これは万能炉だ。もう万能炉はやめて単能炉にすべきじゃないか、こういうことも申しておりますが、わが国の原子力研究所として万能炉を持つことも、これは皆さん方から要望されておる。そういう意味で、これは必ず段立つだろう。
 しかしながら、ただいま申し上げるような平和利用への具体化の方向に一歩も二歩も踏み出しておるで今日でございますので、いままでの研究、また訓練用だとか、あるいは技術者を養成することもさることでございますが、それぞれの方向に向かって最も効率のいい型を採用していく、こういう方向にならざるを得ない、こう思っております。
○久保委員 この間も原研の管理体制というか、そういうもので長官の談話か御意見か知りませんが、新聞に出ておりました。われわれもやはり原研の中には大きな問題があると思う。問題の一番大きなものは、いままで私が質問した点に一つは尽きると思うのです。いわゆる運転要員の養成所であるのが研究所であるのか、それとも研究所の名前にふさわしい研究開発をするのが研究所かという迷いが、今日職場というか、研究所の中に相当濃厚にはびこっているのは私は事実だと思うのです。そういう問題の基本的なことを解決することが今日一番大きな問題だと思う。ところが新聞で拝見いたしますと、菊池理事長からの提案では、管理室をつくるとかなんとかいってそういう提案に終わっているようでありますが、この問題はいまどういうふうにお考えでしょうか。
○佐藤国務大臣 先ほど設備の問題についていろいろ申し上げました。しかし、運用の面から見ますると、原子力研究所がいわゆるセンターとしての機能を十分発揮しておらないのじゃないかという意味から、最近経営方針もこの際くふうしたらどうか、いままでのような仕組みで、ただ設置あるいは拡張、それに追われるようなことではいけないのじゃないか、もうそろそろこの付近で本格的な研究体制をとるべきではないだろうか。また、民間にもうんと利用してもらうのがいいことなんだから、そういう方向に進むべきだろう。そうして、その面から見ますと、これはなかなか問題があるわけです。本来の原子力研究所はどこまでも平和利用が目的だ。平和利用を進めるのでありますから、秘密はないはずであります。それにいたしましても、原研の一部の資料が外国に流れておる、こういうようなうわさをしばしば聞く。こういうことは平和利用だから差しつかえないようなものの、いかにもまずいことではないか。正式のルートを通って資料が出ていくならいいことでありますが、そのルートを間違えることも困る。あわせてそういう意味の管理体制も考えるべきじゃないだろうか、少なくとも在来の仕組みにさらに一歩を進めて本来の研究機関としての原子力研究所、その名前にふさわしいものにしよう、こういうことで菊池理事長ともいろいろ相談しているというのが現状でございます。
○久保委員 長官のお話の、外国へ正規のルートを通じないで研究の成果が流れていくというのを聞くのは初めてでございますが、私の聞いている範囲では、研究の討論というか、集約する場所などへ原研の研究者が出席して十分やれる体制にあるかないかというと、ないとも聞いております。そういうところにやはり大きな問題が、いまのお話と関連するかどうかわかりませんが、あると私は思うのです。こういうものに対する配慮が、実は長官が指摘されたように、建設というか開発というか、そういうところに重点があって、研究のほうがどうも圧縮されがちだ、こういうふうに思うのです。予算の面もあるでしょうが、そういう点を十分考慮していかないと、いまのような問題がほんとうかどうかわかりませんが、できると思うのです。
 これは、原研の方はおいでにならないようですから、原子力局長さんにお聞きしましょう。いま長官からお話があったような問題に関連して、原研の研究グループの活動というものが十分になされるような体制にいまなっているそうでありますが、それはほんとうですか。
○島村政府委員 私も御趣旨に対しては同感でございまして、原研の研究者が研究のための交流と申しますか、あるいは会議に出席いたしますとか、その他いろいろな意味で交流がなされるような措置がさらにもっと徹底してとられるようにはかってまいりたいと考えております。しかしながら、それでは現在においてその点が非常にまずいかということになりますと、ほかの研究機関等に比べましても、原研ではその点はかなり楽に行なわれておるし、また楽に行ない得る体制をもっておると考えております。これは政府機関でございますと、ほんとうに予算でぎっちり縛られるわけでございますけれども、原研の場合には特殊法人の形をとっておりまして、予算的にそのような面についての措置をいたしますことは、かなり弾力性をもって運用されておるわけでございます。たとえば海外に研究者が研究あるいは打ち合わせ等に出張いたします旅費にいたしましても、当初の予算に組みました額そのものが、もちろんこれは原子力という場合の特殊性からしてかなり多く組まれておりますが、実際の支出の状況を見てみますと、いわゆる実行予算あるいはその後の流用等を通じまして、当初よりもかなり上回っておる場合もございます。よそよりもかなりよくなっておりますけれども、ただいま御質問にありましたとおり、さらにそういう方面に今後気をつけてまいりたいと考えております。
○久保委員 それでは原子力局長、あとでそういう資料を出してもらいましょう。海外の問題だけ言及されたが、国内における行動の自由というのはあなたのおっしゃるようにそう自由――自由といっては語弊がありますが、楽にいっているとはわれわれは見ておらない。あるいは原研の内部においてもそうだと思う。これは要員の問題等もございます。そういう点は十分考えていかなければならない一つの問題だと私は思います。あなたはだいぶうまい答弁をされておりますが、あとでその資料を出してください。
 それからもう一つは、研究所の要員の問題であります。これは私からあえて質問する必要はないくらいで、佐藤長官の答弁で中身は大ざっぱにつかんでおられると思いますが、要員の問題は、たとえば炉の建設と要員の計画というものが必ずしも完全ではないというふうにわれわれ見ているわけです。たとえばJPDRの問題一つとりましても、その辺に大きな問題があると思うのです。
 そこで、原子力局長にお尋ねしたいのだが、いま東海の原研の炉は全部動いておりますか。
○島村政府委員 原研の炉、これは建設いたしましたのは、さっき申しましたように四つございますけれども、そのうち一号炉、二号炉、三号炉は計画に従って動かしております。もちろん休むときもございます。けれども、とにかく計画的に動かしております。
 動力試験炉につきましては、現在日本側に昨年末引き渡されました以後運転をいたしておりません。日本側に責任が移り、日本側の手で今後動かしていくことになりますので、さらにしさいな点検その他の準備をいたしております。現在のところ効いておりません。
○久保委員 点検しているのですか。点検しているんじゃなくて、故障があって動かぬという話じゃないですか。
○島村政府委員 故障があって動かないというふうには全然聞いておりません。
○久保委員 それでは、圧力機のふたなどは引き渡し後にそこから漏れができて、これはすり合わせが悪いのか何かわかりませんが、つくりかえたというか、修理し、いまコンデンサーの問題でも問題があるんじゃないですか、どうなんですか。
○島村政府委員 日本側に引き渡される以前GEの手によって行なわれておりました試験運転、その過程におきましていま御指摘のような問題が発見され、それぞれ手直しをいたしまして、そして日本側に引き渡しを受けたわけでございますけれども、その後におきましてはとにかく動かしておりませんし、そのような点をさらに十分に点検し、あるいは検査し、というようなことをいたしまして、日本人だけの手で日本の責任で完全に動かせるような準備を整えつつあるわけであります。
○久保委員 引き渡し前には完全に点検して引き渡し、あすから日本の手で運転できるというのが常識のように思うのですが、その辺はどういうことなんです。どうも常識的に考えても、引き渡しを受けてから故障があったり、点検しなければならぬというのは、どういうことですか。
○島村政府委員 私の申しましたのは、GE側から引き渡しを受けます際に、これは当然そこに働きます者の大部分はやはり原研の職員でございましたし、また試験運転の最中でございますからすり合わせが悪いというような問題も発見でき、そういうことをなくするようにするということは、試験運転の目的でもございます。したがいまして、引き渡しを受けましたその段階におきまして、これでいいということで引き渡しを受けたことは当然でございますけれども、私の申し上げますのは、それを今度は日本側の責任によって完全に動かすための、そういう角度からするところの点検、整備を行なっておるという意味でございます。
 なお、計画によりますと、現在すでに動いていていいはずでございますけれども、実は労働組合との間に争議協定が切れておるという関係も一面作用いたしまして、それで現在はそれの促進をはかりつつ炉をとめておるような状態でございます。
○久保委員 点検をしており、それであと何か労働組合との争議協定がないので運転をやめているというのは、どっちに比重がありますか。
○島村政府委員 当初はもちろん当然に引き渡し後すぐ動かす予定ではなくて、現在行なっておりますような仕事のための期間も見ておったのでございますけれども、今日に至りましては、両方の比重と申し上げたほうが正確であろうと思います。
○久保委員 両方の比重というと、片方の争議協定というのはどういうのかわかりませんが、そのものができてもだめなんですね。それはどうなんですか。
○島村政府委員 整備ができ次第、争議協定が結ばれ次第試験運転に入る予定でございます。
○久保委員 争議協定が結ばれればすぐ運転できますか。局長、いかがです。
○島村政府委員 争議協定ができたとたんにできるかどうかは別でございますけれども、たいした日数を経ずして運転できるというふうに聞いております。
○久保委員 それでは、もうあすにでも点検は終わるのですか。
○島村政府委員 もともとGEから引き渡しを受けましたときに、そう欠点のあるものを引き継いだわけでもございませんし、引き渡し以後すでに一カ月半くらい経過しておるわけでございますから、整備点検のほうも相当進捗しておるというふうに考えております。
○久保委員 何か聞いておると、原子力局長のところでは、どうも労使関係がうまくいかないので、JPDRの運転も意のごとくならぬ、こういうようなことに比重を置きたがっているようだが、われわれは別に労働組合の肩を持つわけではございません、やはり少なくとも国会の場所では公正に判断したいと思う。
 だから、いままでの責任を別に私は追及しませんけれども、引き渡しを受けたら、あしたからわがほうで運転できるのがあたりまえなんです。それがいまだに運転できないのは、いわゆる監督の任にある原子力局長そのものにも責任があるのではありませんか。そういうものについても責任をちっとも考えておらぬで、争議協定が結ばれればというようなことは、われわれとしてはどうもそのまますんなり聞くわけにはまいりません。
 それではお尋ねしますが、争議協定が結ばれれば要員の面はそのまま充足されて、それでいいのですか。聞くところによれば、外部からのいわゆる研究者というか、そういう者はもう引き揚げていった。そのためにJPDRの運転なりあるいは保安要員というか、そういう面で穴ができておるというじゃありませんか。そういう点は大丈夫ですか。
○島村政府委員 要員が非常にたっぷりあるというわけではございませんけれども、私聞いております範囲内におきましては、ただいま申し上げました点検のほうも進んでおりますし、争議協定ができれば日ならずして運転をすることができる。これはもちろん本格的な運転ではございませんで、電気事業法等に基づきますところの試験運転を行なう必要があるわけでございますから、そういうことには十分対処し得るように聞いております。
○久保委員 佐藤長官どこかへ行かれるそうでありますから、私はあと二、三で一応やめておきます。
 それで、次にお聞きしたいのは、原研の所内の防護体制は一応できておるようでありますが、部外の防護体制はどうなっておるのか。この点はどうですか。
○佐藤国務大臣 いまの所内の防護体制と部外とおっしゃる、部外というのはどういう意味でしょうか。
○久保委員 原子力研究所内部の、その施設の中の防護体制は原研で確立したようであります。ところが、一たん大きな事故があれば、所内だけの問題ではなくて、周辺の問題になる。この問題はいまだに何も防護がなくて、われわれ地元でございますから、万が一のことを考えると、これは心配で夜も眠られないというのが実情ではないかと思うのです。そこで、これはどうなっておるのかということをお聞きしたい。
○島村政府委員 御指摘のとおり、所内の体制は一応整えておりまして、そのための演習等もいたしておりますけれども、所外につきましては、ただいまのところ特別な措置を講じておりません。しかしながら、同じ地区にありますところの原子力発電会社の原子炉も明年には稼働を開始することでございます。私どもといたしましては絶対に安全であるというような確認を遂げつつやっておることではございますけれども、万々一のための緊急措置というようなことにつきましても、現在検討いたしておるわけでございます。
○久保委員 現在検討しているというだけですか、局長。万々一の場合……。
○島村政府委員 それぞれの原子炉につきましては、御承知のとおり、厳重な安全審査もいたしますし、建設の過程における検査も十分にいたしますし、また、動かすとき、動かした後におきましても、随時必要な検査、監督をいたしておるわけでございますけれども、さらに、原子炉の場合には、万々一の事故の発生というようなことも考えまして、その際に緊急措置としてどういうようなことを実施するかというような点についても、研究中である、ということを申し上げたわけでございます。
 なお、原子力研究所、あるいは発電会社――これは動き出せばのことでございますけれども、それらの連絡、通報組織等につきましても、現在その相互間においていろいろ取りきめを行なっておるわけでございます。
○久保委員 答弁が不徹底でありますが、時間の関係もありますから、先に進みます。原子力局長というのは、原研だけやっていればいいのじゃないでしょう。原子力全体の責任者でしょう、言うならば。最高責任者は佐藤長官ですが、原研だけとか、原電の関係だけじゃないでしょう。そういう意味で、この次お尋ねしますから、御用意ください。どうも不徹底でわかりません。
 それから、あなたがいま御発言になった、東海にできた原子力発電所、明年動きます。なるほど安全審査は全部終わっているわけです。これは運転まで終わった格好ですね。運転の場合も安全審査は要らぬというわけですね。そうでしょう。
○島村政府委員 安全審査自体はすでに済んでおりますので、いわゆる設置の許可に伴います安全審査は今後いたすことはございません。しかしながら、建設の過程におきましては、設計及び工事方法の認可とか、あるいは運転いたしますまでには完成検査、いろいろございます。安全のための検査がもうあとはないということでは決してございません。
○久保委員 お話のように、安全審査を受けたときと、工事過程においては幾多の設計変更があったと聞いております。だから、これは当然運転に際しては、あらためて安全審査をすべきではないかというのが私の主張なんですが、いかがでしょう。
○島村政府委員 安全審査をいたしまして、設置の許可をいたしました後に、詳細な設計に入る。それはそれぞれ設計及び工事方法の認可というような形で行なわれるわけでございますが、ただいま御指摘のとおり、若干の設計の変更はございましても、それが安全審査をもう一度やり直さなければならない程度の変更であるというふうには考えておりません。したがいまして、動かす段階になりまして、あらためて安全審査をやり直すというようなことにはなっておりません。
○久保委員 なってはおりませんではなくて、すべきではなかろうかというのです。やらないというのですか、結論としては。答弁は短くて簡単でよいのです。
○島村政府委員 法律的にそうなっておりませんし、私どもとしては、やるつもりはございません。
○久保委員 法律的な問題を言っているのではない。安全を確保するのがあなたの責任でしょう。これは、その必要があるのならばやるべきであるというのです。必要がないというのですか。
○島村政府委員 私どものほうといたしましては、現在の段階で安全審査をやり直すほどの設計上の変更があったというふうには考えておりません。
○久保委員 それでは、その資料を、しろうとにわかりやすく出してください。
 最後に、佐藤長官はよそへ行くそうでありますから、一つ要望を入れて申し上げたいのであります。原研の問題については、佐藤長官も重大な関心を持っておられることは新聞でも知っております。先ほど私が申し上げたように、なるほど労使の関系があまり芳しいものでないのは事実であります。先ほど来質問した大きな問題がが一つあるわけですね、これが一つ。それから、原研という特殊法人というか、そういう形からくる一つの不満がまだ研究者にとってはあります。でありますから、単に労使関係をなまのままで解決しようということでは、私は問題の解決にはならぬと思うのです。それから、もう一つは、言うならば、研究者がほんとうの研究に専念できるような体制が先につくられてなおかつ労使関係がうまくいかない場合には、これはなまのままで労使関係に入るのだと思いますが、いろいろ前提があるかもしれないが、八年間たって少なくともその前提がくずれておるのです。たとえば、研究者から言うならば、実は夢を描いて野原の中へ来た。八年たったが、今日その夢すらくずれ去りつつあるというような考えを持っている者も、まじめに考えてかなり多いのであります。でありますから、そういうことを考えないで、単に労使関係をどうのこうのというようなことをなまで取り上げては問題が解決できないと思う。八年間たった今日、新たな観点から見直してそういう不満を解消できるような体制にぜひ持っていってほしいと思うし、また、きょうは原研はおいでになっていないそうでありますが、特に局長さん、あなたに申し上げておきますが、やはり原子力研究所というのは役人がやっているのではないのであります。もちろん、あなたのお立場は、大蔵省というような問題も裏にはありましょう。苦しい立場で、板ばさみということもありましょうが、そこを切り抜けていくのがやはり原子力局長だと私は思うので、そういう硬直した姿で問題を扱うのがいわゆる特殊法人としての原子力研究所に対する態度でないと私は思う。そういう点を十分に考えて問題の処理に当たっていただきたい、こういうふうに要望しておきます。
 なお、防衛庁の関係はあとにいたします。
 佐藤長官は十分考えられると思うのですが、なまで扱わぬで、もう少し柔軟性をもってニュートラルにものごとは考えていくべきではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤国務大臣 私は労使の問題、これは、研究所においては実は技術以前の問題だ、かように思いますので、そういう立場で見ていきたい。ことに原子力研究所は特殊法人でございます。いろいろの御意見もあるようでございますが、現在の姿のままで労使双方が納得がいく、そういうものをつくりたい。そうして技術を進めて、今度は研究者に満足を与える、こういうようにあるべきではないだろうか。どうもただいまのところは、労使問題、それが研究陣に波及したり、あるいは運営の問題になったりしておりますが、問題の性質上、これは技術以前の問題だ。そういうように考えて、建設的な方向で、ただいまの機構のままでこれを解決していきたい。
 ただいまのお話のとおり、科学者が夢を持ち、若い人たちが出てきた。しかしながら、何らそうなっておらない。またそれが予算の面だとか、あるいは人員の面だとか、いろいろあるだろうと思いますが、誤解のないような姿をつくることがまず第一に望ましいことだ。経営者側に対しての偏見を持たれても困りますし、組合に対して私どもが偏見を持っても困る。双方とも偏見のない姿。ことに私どものやっております原子力はどこまでも平和利用でございますから、そういう意味では、これは共通にその目的ははっきりしている。その意味において、お互いに協力ができるはずですから、ただいま申し上げるような立場で、技術以前の問題として、偏見を持たずにこれを解決してまいりたい、かように考えております。
○前田委員長 次に、岡良一君。
○岡委員 いまの久保さんの御質問に対して、佐藤長官の御答弁の中で、原研における管理体制を強化するということは、原研における研究の内容あるいは成果が外国に漏れるということと何か関連性があるような御発言がありましたが、これは日本の原子力政策の基本的な問題として私は納得いたしがたいのですが、長官の真意をこの際承っておきたい。
○佐藤国務大臣 ことばがあるいは不十分で誤解を受けられたかと思います。ただいままでいろいろのうわさが立っております。しかし、私どもが調べたところではそういうことはございません。また、そういうことがよしあっても、事柄は平和的研究でございますから、別におそれることはございません。しかし、むしろ平和利用の立場からこういう技術の交流、そういうことが望ましいならば、それは本来の機構を通してやるべきじゃないだろうか。いずれにいたしましても、今日いろいろのうわさが立っておることだけは事実でございますが、そういう事柄は全然ないのだけれども、いかにもまずい。そしてそれが特別な偏見からそういうように言われること、これは私どももみずから反省しなきゃならぬだろう、かように思います。ただいままで私どもが調べたところでは、そういう事実はございません。はっきり申し上げておきます。
○岡委員 そうすれば、原子力基本法にもうたわれているように、とにかく平和目的でいくのだから、研究の内容、成果についてはあくまでも公開の原則は貫くべきである、これが長官の御信念である、こう了解していいのですか。
○佐藤国務大臣 さようでございます。
○岡委員 私は実は久保さんと大体同趣旨のお尋ねをいたしたかったのでございますが、いま問題になっておるのは、原研の組織と運営がこれでいいかという問題でございます。八年の間に五百億をこえる国家資金を投入しておるはずでございますし、また、原子力政策の中核として国民の大きな期待をつないでおる、原研が、現状でいいのか。あるいは原研の組織、運営の刷新、そのためには日本の原子力政策そのものがもう少しきちっとしなければいかぬ。いわば、原研にもし混乱がある、あるいは停滞があるとすれば、その大きなバック・グラウンドとしての責任は、むしろ原子力政策そのものにある、原子力委員会にある、こう申し上げたいのでございますが、この原研の停滞、混乱、紛争というものの真の原因というものを、われわれが前向きに解決しようとするならば、ここまで掘り下げて考えるべきではないか、こう思っておるわけです。この点、長官の御見解を承りたいと思います。
○佐藤国務大臣 どうもこれは事柄の性質上、どこか責任者を明らかにしたいというお気持ちがおありのようですが、私考えますのに、第一段は、特殊法人でございますから、特殊法人内部において解決すべき事柄のように思います。さらに、それが方針を決定する立場においては原子力委員会、あるいは原子力委員長である私自身がそういうことを考えるべきですが、そう理屈っぽくならないで、今日までのところまだ基本的な方針もはっきりなっておらない、これは事実でございますから、ただいま何があるのだと言われれば平和利用という、それだけははっきりしておるから、その方向でさらにこれを掘り下げていく。これは原子力委員会等においても問題だろうと思います。先ほど久保さんがお尋ねになりましたように、その設備自身もただいまのところは全部そろえるような仕組みでございますから、さらにこれから実際の利用の方向へ踏み出してくるとその点ははっきりするだろうと思います。
 そういう事柄と関連をいたしまして、私どもの立場は、管理者に対してのいろいろの要求はできる。しかしながら、組合側に対してどうこうという問題は、これは管理者の中できめることじゃないだろうか、かように実は思っておりますので、労使双方の紛争の渦中にはなるべく入らないように注意しておるつもりです。しかし、ただいま言われるように、労使双方の問題は、これは方針を決定しないところにもあるのじゃないか、こういうことになりますとだんだん理屈っぽくなってきますので、私はなるべくそういう点は触れないほうがいいのじゃないか。問題は、やはり私どもが方針として明示するもの、これは管理者に対してする。それから労使双方の問題は管理者内部の問題である。やはり区別して考えて、組合の内部の問題まで原子力委員会の責任にするというのは少しぼやっとしておりまして、範囲が広過ぎやしないだろうか。この辺に今日私どもが取り組んでおる一つの課題があるように思いますが、なるべく労使双方の紛争は労使双方できめていく、そういう形でありたいものだ、かように思っております。
○岡委員 私が申し上げたのは、別に労使間に紛争があるということだけを申し上げたのではない。問題は、原研を現在刷新しなければならないとすれば一体どこに原因があるかということを、労使の問題をも含めて、これはわれわれにも責任があるのだから、謙虚に反省して、この反省の成果に基づいてそこに初めてほんとうの刷新ができる。ただ人の入れかえや何か、そういうことでできるものでないので、本質を突き詰める必要がある。こういう本質を突き詰めることによって初めて前向きの解決ができるのだと、こう私は考えておるわけです。
 そこで、たとえば先ほど久保さんの御質疑にもお答えになられましたが、原研でいろいろな炉をたくさんつくられましたが、一体一貫性ある研究体系というか、研究体制というか、そういう計画性のある一貫した研究体制の上に炉がつくられておったのかどうか。この点では私は非常に疑問にも思っておるし、たびたび委員会でも申し上げておったわけです。たとえば具体的に申し上げまして、日本で動力炉をつくるというので、原研の若い研究者の諸君がどんな炉の形がいいのであろうかということをいろいろまじめに検討した。ところが、しゃにむにコールダーホール型が採用された。かと思うと、一方ではまた国産動力炉、これは原子力委員会のほうでは天然ウラン重水型。そうかと思うと日本原子力発電株式会社は第二号炉は軽水炉型、三号炉も四号炉も電力会社にまかせて、多分軽水炉型のものではないかなというように、全然一貫性がない。原子力研究は自主的にと基本法に書いてあるのだけれども、これでは全然一貫性というものが見られない。こういうところに、やはり原子力研究所に働く人たちの、初めは非常に開拓的な精神を持って入ってこられた諸君の、いわば意欲をそぐ、士気をそぐ大きな原因があるのではないか、私はそう思うのです。こういう点、長官は一体どうお考えでしょうか。
○佐藤国務大臣 問題は、金が、予算が思い切って多額に支出ができれば、おそらく重水型、軽水型、あらゆるものを一ぺんにそろえただろうと思うのです。しかしながら、予算の使用法としてはどうも思うように、科学者が望まれるようにはなかなか出てきませんから、別々につくっておる。本来ならば、同時に一ぺんにつくればそれが一番安心のいくことで、それならばただいま研究の事態だから、そういう意味でみんな納得する。しかし、ほしいものが予算的に分割されざるを得ない。そうして、しかも長年月を要する。そういうものでありますから、いかにもその間に矛盾があるのじゃないか、こういう疑問を持たれる。これはもっともなことですが、これはただいま申し上げるように、私は予算の使い方の問題だと思う。一ぺんにこれだけのものがほしいんだ、それだけのものを短期間にそろえることができたら、そういう疑問もなしにこの問題は理解していただけるのではなかろうか、かように思います。今日八年たって、ほぼ大体のものがそろってきた。そこらで今度はどうするか、こういうことをきめるべき段階になっているだろう、かように思うのでございます。
○岡委員 長官は予算と申されましたが、たとえば私どもは原研のプロジェクトとして半均質炉を取り上げられたときに、これがほんとうにものになってくれればという大きい期待を持っていた。予算についていえば、大体この半均質炉によく似たような炉のタイプが、たしか外国で開発されておるわけです。これはヨーロッパ共同体とどこかの国との共同作業で進められている。これは六年越しかかっているかと思いますが、やがて試験炉ができそうであって、その間約五百名ばかりの技術者、しかも日本のお金にして約三百億をこえる金が投資せられておる。ところが、原研の半均質炉は、おそらく人にすれば十人か十五人、お金は一億、それも冷却材か何かの問題に困難な条件があるということで打ち切ってしまった。
 こういうふうに、よそから入れるものにはずいぶん思い切ったお金を使っておられるが、せっかく芽をもたげようとした自主的な研究という芽を、予算の面で、人の面で、身動きがならないようにしてしまう。こういうところに、やはり原研でまじめに仕事をしようとする諸君の意欲をそぐ大きな要因があるのじゃないかと私は思う。こういう点もよく反省をしなければ、原研のほんとうの、国民の期待に沿い得るような改革ができないと私は思う。こういう点、どう思われますか。
○佐藤国務大臣 もちろん国産炉というものが、技術者によるわが国の純粋な国産炉、そういうものに非常に力を入れるべきだと思います。しかし、原子そのものが、先進国だといいましてもどんどん改良されつつある今日でございます。その基礎的なものだけを準備した、こういうのが現在の状況でございますから、いま言われること、将来力を入れること、これなどはまた変わってくるだろう。で、ただいま実用に原子力発電所をつくる、そうして大きいものをつくる。そうしなければこれは間に合わない。おくれている。そのおくれを取り返す。それにはどうしたらいいか。それは外国の例などを見て、そうして外国が成功しているものを日本でつくってみようじゃないか、こういう形になるのが、これは普通のことではございますまいか。そういう場合に、研究は研究として別の方向でやっておるが、実用化の方向では現在成功しているものをそのまま採用する、こういうことにならざるを得ない。おくれを取り返しておるその段階において、こういう状態はしばしば起こりがちなんです。かように私は理解しておるので、そういうようにひとつ考えていただきたいと思います。
○岡委員 まあ先に進んでおるから、それらの国々のいろいろ開発された炉を日本のほうでも導入をして、比較研究といいますか、いろいろ手がけてみることが日本の原子力政策を自立、民主の方向に進めるゆえんだというようなお説に、私は非常に矛盾があると思うのです。
 御存じのように、アメリカは濃縮ウラン軽水減速冷却、フランスへいけば天然ウランでガス・クールド重水減凍で、英国は黒鉛減速で天然ウランでガス・クールド、それぞれタイプを持っている。ところが、カナダへいけば天然ウラン重水一本である。しかも、そういう炉のタイプにいたしましても、長官お示しのように、やはり日進月歩にどんどん進んでおるわけです。だから、外国のものをまねようと思ってあとを追いかけていったら、これは切りがない。やはり日本の科学者の持っておられる水準、エネルギーというものは、私は決して低いものだとは思わないが、職員が真剣に取り組むような体制というものが原研にあるだろうかということが、私は一番の根本問題だと思う。
 そこで、先ほども指摘いたしましたが、何しろ原子力の研究というものは、これは新しい分野であって、基礎研究は基礎研究、さらに開発研究は開発研究、この基礎研究と開発研究というものがほんとうに有機的に結合しなければならぬ。そうしてその研究の成果の上にさらに成果を積み上げていくというこん然一体となった体制というものができてこなければいかぬと思う。ところが、人が足りないのに、外国からあれこれの炉を入れる。こういうことで、ただ完成された自動車と燃料を外国から買って運転手を養成する機関になっているというような姿に原子力研究所が、追い込まれたのでは、私は日本の原子力研究所が真に原子力政策の拠点として、中核として発展し得ないのではないか。こういうところにやはり原研の現在の停滞、混乱の一つの大きな要因があると思うのです。そういう点、どう思いますか。
○佐藤国務大臣 これはいろいろ行き方があるだろうと思うのであります。私は、おくれておるところにおいては思い切って実用化の段階のものをとってくる。それが外国のものでもどこでもいい。そういうものを一つ持ってくれば、そういうことによって国内における研究をもさらに刺激し、さらに開発の方向へも進むものだ、いわゆる新しい科学技術の算入で、原子力もその一つであるのだ、こういう形で取り上げたらどうだろうか。ただいままで、各方面でおくれておりますが、基礎的なものを研究しなくとも、その実用段階の機械を買うことだけで、またその機械を理解するだけで、りっぱに自分のものにこなしておる。全部が基礎的なものからみずからやるんだ、そういうものでもないのではないだろうか。だから、原子力のごときものも、すでに実用の段階になっておるのだ、そこに思いをいたせば、その研究の段階を場合によったら抜いてもいいのではないか、非常に極端な議論ですが、そうすら実は考えるべきものだ。だから、研究と開発と、そういうものがこん然一体となる、これは当然のことで、ことにおくれを取り返すというような部門においては、その点を特に強くやってしかるべきじゃないだろうか。わが国の産業は他の面におきましても、みんなそういうような方向でどんどん進んできている。あるいは電子工学にいたしましても、実用化されているものを採用して、それにくふうをし、自分たちがさらに改良を加えていく、こういうような方向でやっておりますが、これがおくれを取り返す最も手近な方法じゃないだろうか、かようにすら私は考えます。
○岡委員 こういう研究そのもののあり方を、長官の言われたように、まず外国の実用炉を日本に建設をして、そしてそれを刺激として原子力研究というものが成長するんだというような考え方に問題があるということを私は申し上げておるわけです。そういうことが正しいかどうかということについては、これは議論になるかもしれませんが、外国はそうしておらないと私は思う。現にカナダあたりは天然ウラン重水炉一本、どこの炉も入れておらない。いま原研で遮蔽の研究のためというスイミングプール型というのは、どこか研究所のすみっこにほこりをかぶっているような状態です。カナダでは小さな天然ウラン重水型からだんだん大きくして、それだけでいま三十万キロワットの実用炉までやっておる。またドイツで、これは長官も御存じのマックスプランク協会の教授に会って、私が、ドイツは原子力研究をどういう方法でやっておるのかと聞いた。ところが、原子力の取り扱いは非常に微妙な問題でもあるんだから、特にドイツにおいては微妙な問題があるので、われわれはいつでも独自な原子力の炉をつくること、まず基礎研究体制だけは十分整えておこうというので、手分けしてそれぞれの分野で勉強しておるんだということを、一昨々年ですか、ゲッチンゲンで担当の教授が言っておった。これは学問のあり方として正しい方向だと思う。ただよそからいろいろなものを入れておっても、それがまた次々に進歩してくれば、またそれに追いつかなければならぬ。いつも日本の原子力研究というものはいわば外国のものまねで終始しておるということでは、日本の原子力基本法の自主的な原子力政策というものはいつまでたっても達成することができない。なぜそういうことになったか。私はそこに原子力研究をゆがめる要因があると思う。先ほど申しましたように、なぜコールダーホールが入ってきたのか。その当時この委員会では何回も何回も問題になった。やはり、正しい研究を一本で進めようとする、その一本のレールを押し曲げようとする外部の力があった。それが原子力研究所が各国の炉の陳列会場であるといわれるような形にまで持ってきた一つの大きなあれじゃないか。こういうものにゆがめられたのでは、ほんとうの日本の原子力政策、一貫性のある正しい軌道に乗った発展というものは望み得ないと思う。こういうものを排除していくというくらいの大きな決意を持って、ほんとうに日本の若い科学者の意欲を満たし得るような原子力体制、研究体制というものをつくるということが、原研立て直しのまず一番のめどじゃないかと思うのです。こういう点、長官はどうお考えですか。
○佐藤国務大臣 ただいまのところは、過去についてのいろいろな御意見を拝聴いたしましたが、もうそろそろ八年もたったのだから、この辺で国産炉も本格的なものをつくる、そういう方向に研究の結果もまとめるべきだろう、これはお話のとおりたいへんけっこうなことだ、またそうあるべきだ、かように私も思います。いずれにいたしましても、ただいまこそ、そろそろ本格的なものの態度をきめるべきときではないだろうか、これは私もそう感じておるところでございます。
○岡委員 佐藤長官に他の委員会からぜひというお話でございますから、私結論だけ申し上げておきますが、とにかくこれは、下世話なことで恐縮だが、日本原子力研究所はおいらん道中をしておるという話が実はある。なぜかと聞いてみましたら、とにかく花かんざしからこうがいから高げたまで、よその借りもので、見た目は非常にあでやかだ、しかし中身は遊女だ。他人のきげんきづまばかりとっておるというのが心でしょう。こういうことは私どもはまことに不快な話でございます。
 この際、長官もおっしゃられたように、やはりそういうおいらん道中ではなくて、ほんとうに自分の足で歩けるように原子力研究所の立て直しをやってもらいたい。それにはまず、日本の原子力政策というものが他の力によってゆがめられないように、同時に、こういう新しい科学の分野の研究でありますから、もっと計画性、総合性、一貫性というものを十分に尊重していく。原子力研究所内部においてもっと指導体制というものを確立してもらいたい。もうその日限りというような、右顧左べんのような姿では困る。確立し得るように予算その他の面においてもやはりめんどうを見てもらいたい。
 もう一つやはり責任体制だ。CP5のごときは私はその顕著な例だと思う。あれも大体竣工が五年ほどおくれておる。しかも二〇%ではどうも出力が思わしくないというので、アメリカに泣きついて九〇%にした。それがいまになってもまだ当初計画の半分も出力がない。調べてみたら契約がずさんであったり、あるいは向こうのメーカーの選択が誤っておったり、いろいろ問題が出てくる。こういうようなことについて、やはり原研にはちゃんとした責任体制がない。ほおかむりでこういうことを済まそうということではいかぬ。要するに原子力政策というものの組織ある一貫性というものを確立した研究体制。いま一つは、外部の力によってゆがめられてはならない。原研内部においても指導性を十分に発揮し得るような、そういう顧慮を願いたいし、同時にまた、学問の分野においても責任をはっきりされる。こういうような方針において、ぜひひとつ原研の改組をお願いいたしたいということを最後に申し上げておきます。
○佐藤国務大臣 よく伺っておきます。
○岡委員 原子力政策の問題ではまだまだたくさん、ことに長官にお尋ねしたいことが用意してあったのですが、これは次の機会に譲りまして、きょう新聞を拝見いたしましたら、原子力船開発事業団から何か原子力船の炉型等について、原子力委員会が承認をされた云々という記事がありましたが、兼重委員からでも少しその内容をお聞かせを願いたい。
○兼重説明員 お答え申し上げます。
 原子力船開発事業団は、昨年の八月できましてから、これまで建造すべき第一船についていろいろ検討してまいったわけでございます。最近その炉の基本設計を進めるにあたりまして、初めに所管大臣から示しました炉の基本計画というものの中には軽水型ということだけ加えてありまして、今後炉の基本計画を進めるのにはそれをもう少ししぼりたいということから、いろいろ検討いたしました結果、炉型としてはそれにさらに間接型というもう少し狭めたものにするのが適当である。そのほか船その他について、たとえば乗り組みの人員がどうとかいうこともございましたけれども、特に私どもの関係としては炉型あるいは使用済みの燃料の処理の方針とか、そういうふうな面について考えたのであります。そこで、その軽水型の中で間接型ということにして、今後さらに検討を進め、基本計画を進める、こういう案を事業団できめられまして、これについて所管大臣の了承を求めるという手続がございまして、科学技術庁長官から原子力委員会に対して、これを了承することについての意見を求められましたので、私どもこれを了承されてけっこうでございます。そういうことをきめたわけでございます。
○岡委員 原子力船はたしか九年後に竣工するということだったですね。
○兼重説明員 七年でございます。
○岡委員 そうすれば、何もいまから軽水型、アメリカ型にきめてしまわなければならないでしょうか。スケジュールを拝見いたしますと、順序よくアレンジをされておりますけれども、もっと、それこそ先ほど来私どもが申し上げておったように、日本において自主的に原子力船の推進機関としての原子炉を探求していくという努力もあっていいんじゃないでしょうか。
○兼重説明員 そういう考え方も確かにございましたし、特に英国ではそういうような考えを強く出して、現在の中では経済的に成り立つ原子力船、特に商業用の船はできないから、そのための開発を急ごうというように方針をきめられておることは、私が申すまでもなく御承知のことと思います。そういう考え方を日本でもとるべきだという意見もございました。しかし、日本は造船工業が現在では世界の一流と自負し、人も認めておる状況であります。そこで、日本で今度炉の開発をするということになりますと、これは日本の現状とイギリスの現状を比べてみますと、まただいぶ違いがあることも、これは認めざるを得ないわけであります。
 そこで炉型を開発し、あるいはそれの検討をしてから原子力船の建造に着手するという方針をやめまして、軽水型というワクをはめまして、第一船の建造を開始するということが原子力船事業団の出発するときにきまった方針と、こう了解しておるわけであります。
 さて今度は、その軽水型の中で次の作業を進めるためには、もうちょっと幅を狭めないと計画が進められないということから、いまの七年で完成するその計画に合わせるために、この時点でそこまできめる必要があり、それを適当と認めた、こういう意味でございます。
○岡委員 原子力船事業団の法律では、私どもは何も軽水型なんということはきめておらない。その後おきめになったのかどうか知らないが、軽水型ということになればすぐサバンナ号を連想する。御存じのように、サバンナ号の炉にいたしましても相当な問題がある。それで、その改良型というようなものがまた最近取り上げられた。そうすればまた私どものほうに、先般の資料として六三〇Aというような、新しい船の推進機関に適当だというようなものもくる。こういうふうに、これは相手のほうにすれば売らんかな主義もありますから、いろいろそういうふうな宣伝がされることは、これは余儀ないことでもあり、私どもも十分に参考にしたいと思う。しかし、期間が七年あれば、なぜそんな軽水型と初めからきめてかかられるのでしょう。これは兼重委員も御存じのとおり、ノルウエーでは四年後に六万五千トン、昨年そう申しておったのだから、ことしからいえば三年後に六万五千トンのタンカーをつくる。これは天然ウラン沸騰型というものだということで、私も現場を見せてもらい、青写真も見せてもらった。これは独自で開発している。いわんや日本は造船技術が非常に発展しているのだから、そうすればなおさらこれに備えつける推進機関である原子炉については、そうある特定国のものに限定しないで、もっとそれこそ自主的にやっていく。この原子力基本法のとおり自主的にやっていく。
 それとも、あなた方は、日本の原子力研究にいそしんでおる若い研究者に信頼が持てないとおっしゃるのですか。
○兼重説明員 いまの研究者に信頼が持てないとか持てるとか、そういうことは全然関係がございません。私は信頼を持っておりますし、また今後も持ち続けたいと思っております。
 原子力船の第一船をああいう観測船という形で建造するという方針にあの事業団をつくるときに踏み切りましたことは、造船についての有力な国、たとえばイギリスは、炉のほうの開発を先にやって船をつくるのはあとにしようと言っておりましたけれども、原子力潜水艦の建造ということで、船の建造に対してはある程度経験なり技術を養う道を持っておる。日本はそういうことはできませんから、どうしても普通の軍用でない船を開発したい。そうなりますときに、タンカーのような大型のものをつくりますときには、どうしても採算を無視してはできませんので、そのほうをやれば仰せのようにもっと炉が進歩するのを待つよりしょうがない。それを待つか、たとえば観測船というような特殊の用途のものを考えまして、これは採算も合わないことは承知の上でやっていこうという方針になったわけであります。
 そこで、その場合に、軽水型ということ以外に炉についてはもっと広く考えるべきではなかったかという御意見の点は、私はその御意見は間違っておるとは申すことはできません。そういう考え方も確かにありました。けれども、いろいろ検討の結果、日本としてその炉についていまあまり重く考えないで、原子力船の設計、建造あるいはそれの運航についての経験を得、あわせて将来は重要になる原子力船の要員の訓練をしよう、そういう意味で原子力船の第一船の建造をしようという方針にいったのでございますから、現在では御指摘のような六三〇Aというものも説明を聞けば非常にいいようでありますし、また最近その説明を聞いた専門の人たちも、その説明は単なる商売で言っているのではなく、相当技術的な根拠もあるというふうに判断されるのだそうでありますが、そういうものも当時だれも知っておったわけではございません。その当時きめたことは、意見はいろいろあるにせよ、一つの見方、考え方であると思うのです。そこで、現在そういうものが出たから急に方針を変えるのがいいか、やはりあの線に沿っていくのがいいかということも検討を要する問題でありますが、いまの時点でその方針を変えて計画をしばらく見送るというようなことよりも、あの建造をきめたその当時の精神からいって、やはりそのままで進むのがいいということを今度の段階でとられたものでございます。
○岡委員 御多用な福田防衛庁長官も来られたので、原子力の問題は切り上げたいと思いますが、ただ一言だけ申し上げておきたいのは、いま佐藤原子力委員会委員長も申しておられたように、あちらこちらの国から原子炉を買っていろいろの例を参考にした結果、そろそろ一本立ちであるというような方針である。いま申し上げましたノルウェーの原子力研究所には、たしか原子炉は一つか二つしか見えなかったと思うのです。しかし、いまの天然ウラン重水沸騰型については相当集中的な体制で研究して、すでに青写真をつくるまでにこぎつけておる。そういうようなことなんだから、やはりここにも日本の原子力政策というもののてんやわんやの姿があると思う。これではなかなか救いがたいと思うので、この問題はいずれあらためてこの委員会で検討いたしたいと思います。
 福田長官にお伺いをいたしたいのです。実は東海村の原子力研究所につきましては、御存じのように、万一のことがありますると非常に危険なものです。ところが、御存じの那珂湊の射爆場の誤投下がたびたびありまして、それであれをぜひひとつ返還をしてもらいたいということをこの委員会で決議をしたこともございます。前田委員長ともども私どもはペンタゴンまで参りまして、向こうの担当官にも強く申し入れをしたこともあります。なかなか実は難色を示しておったのでありますが、最近新聞に伝えられるところによると、大体主として御蔵島を云々ということであったと思います。この間の経緯を率直にお伺いをいたしたいと思います。
○福田(篤)国務大臣 御指摘の東海村の射爆場の問題でありますが、実は私も就任以来いろいろ報告を受けているうちに、どうしてもこれは移転すべきものである。いま御指摘の原子力の発電所のいわば危険だけでなく、将来を見通しますと、アメリカでも英国でも、御案内のとおり原子力産業というものが大体セントラリゼーション、地域的に集中される。おそらく日本でも近く起こるであろう原子力産業も東海村に集約されるかもしれない可能性がある。いろいろな観点から移転を一日も早くしたほうが正しいのではないかという私自身の結論を得まして、的にもいろいろ内部調整をいたしまして、先般の閣議で、私の立場から、東海村の射爆場は移転すべきものであると報告いたしました。
 しからば米軍はどうするか、いろいろ折衝中でございますが、移転の代替地があればわれわれの要望に対し同意であるというような意向が確かめられました。問題は代替地のことでございますが、ただいま御蔵島という名をあげられたわけでありますが、実は内定いたしておりません。大体三つぐらい候補地があるのでありますが、その中で一番有力な候補地の一つというわけで、近く調査もいたしたいと考えているわけであります。一部では必要以上の刺激を島民に与えた向きもございます。現地で精細な調査をしなければまだ結論を出せませんが、かりに御蔵島に内定した場合を考えたときに、いまの調査段階では、場合によりましては島民を引き揚げしなくても済むのではないか。島内で場所を移転すれば、射爆あるいは演習に差しつかえない場合も考えられる。今後の緻密な調査の結果に待たねばなりませんが、いずれにいたしましても問題が問題でありますので、あくまで地元の島民の方の御納得をいただき、そして御理解と御協力がなければ実現がむずかしい。有力な候補地の一つとして実は考えているのが今日の段階でございます。
○岡委員 実は原子力センターと申しますか、総合的な原子力研究所を発展させていくという立場からは、那珂湊の射爆場はぜひ返してもらいたいという気持ちに私は変わりはないわけであります。
 一昨日でございましたか、新聞に御蔵島の村民が村民大会を開いて、非常な冒険をおかして東京へ出向いて防衛庁当局にいろいろ御意見を承って行った、その報告を中心に協議した結果、ほとんど圧倒的な多数で反対だというような決定になったというようなことを聞いておるのでございます。この点は、防衛庁のほうでどういうふうに今後お取り扱いになろうとしておりますか。
○福田(篤)国務大臣 先般助役さんとと郵便局長さんが来られまして、施設庁長官と面談されました。伝えられている話とはだいぶ違うわけで、ある面においては御安心を願った面も相当あったようでございます。ただいまお話しの大会の決議でございますが、いまのところ報告を受けている範囲では、小学校卒業以上の方が集まられておやりになった、中には条件によっては受けてもいいのではないかという御希望の方もあったようでございます。いずれにしましても、私どもとしては調査の上、そしてまた地元の島民の方の御意向を具体的にもう少し煮詰めませんと何とも言えない状態でございます。
○岡委員 原子炉を設置する場合でも、やはり敷地を持っておられる方々を中心とする地域住民の方々からいろいろ反対が出まして、これがある意味において日本の原子力政策を推進する上から時にはチェックされることもあった。ただ、この基地問題は特に特殊な問題でございますが、やはり土地の所有者にも十分な納得がいくように、しんぼう強い説得をされた上で協力を求めるというような態度で臨まれるべきだと思うのですが、長官のお考えはいかがですか。
○福田(篤)国務大臣 全く私も同感でございまして、射爆場あるいは演習場というものは日米安保体制の上から私どもは絶対に必要であると考えております。しかし、これを使用するという現実の問題になりますと、いろいろ問題が地元の方にも起こるわけであります。あくまで十分な御理解と御納得をいただいた上で円満にやっていくのが当然でございます。強行すべき性質のものではないと考えております。
○岡委員 関連してお尋ねをいたしたいのですが、実は昨日私のほうに入った報告でございますが、石川県の小松に航空自衛隊の基地がございます。今度滑走路を延長しようとしている。そこで、ここ数日前の事件かと思いますが、防衛庁から来られた測量員が、土地の所有者あるいは使用者の拒否を問題にしないで、全く強制的に立ち入り測量をされたということで、地元に紛争を巻き起こしているという報告があったそうです。そうすれば、これは土地の所有者あるいは使用者と十分な説得どころか、全く天下り的に、強制的にそういうことをやっている。全く言語道断であり、長官の御趣旨とも違うわけでございますが、一体この真相はどうなっておるのですか。
○福田(篤)国務大臣 小松の滑走路拡張――三百メートルと記憶しますが――につきましては、私の受けている報告では、市当局も同意をいただき、また旧地主約二十名の方も御賛成いただいて測量を開始した、国鉄労組と小松製作所の組合の方々が一部測量の付近にすわり込んでと申しますか、反対をせられておるという報告を受けておりますが、農林省との間で、少しまだ解決しない面があると聞いておりますので、施設庁長官から詳しく報告さしたいと思います。
○小野政府委員 ただいま大臣から申し上げたとおりでございますが、地元の各機関あるいは関係者から御承諾いただきまして、測量開始になったわけでございます。農林省の関係と申し上げましたのは、もともとこれは開拓地でございますので、これをどういうふうに、いつ手続を変えて防衛庁で旧地主の方からお買い取りするかというようなことにつきまして、まだ最終的なところまでいっていないわけでありますが、ただ原則的には御了解をいただいております。こういうことを申し上げたわけであります。
○岡委員 この問題は、原子炉とは直接関係がございませんので、私も、もうあと一、二問お許しを願いたいと思います。
 それでは、延長されるために必要とされる土地の使用者あるいは所得者の承諾を得て測量しておられる、こういうことでございますか。
○小野政府委員 まあ、そのように考えております。それは現在の土地が開拓財産でございますので、個々の所有者というものは現実のところにはないわけでございまして、それに関係のある方々の御了承をいただいておるわけでございます。
○岡委員 先ほど施設庁長官の話にありましたが、市の市長あるいは議会等の承認も得ておるというお話でございます。実は、私もこの問題については防衛庁にお伺いをいたしたこともある。というのは、実は四年前に、あそこに航空自衛隊の基地ができましたときに、あのまわりに小中学校が七つほどあった。とても子供たちが騒音のために落ちついて勉強ができないということから、三十六年度、三十七年度で、たしか四億近い防音施設をしていただきました。そこで三十八年度は、さらに三億余りの防音施設費というものを、名古屋の防衛庁の出先の方と協議の上で小松市議会に予算を計上した。市議会は通った。そこで市長が防衛庁にやってきたら、F104のために滑走路を延長しなければならぬ、それを承認しない限りは防音工事は途中で打ち切りだ、こういうことになった。こうなりますと、これは国会の議決した予算をさか手にどうかつ的な態度に出られる。これでは、地方住民の意思というふうなものは全くじゅりんされるという結果に相なる。こういう事実を長官は御存じですか。
○福田(篤)国務大臣 いま岡委員の御指摘の点は、実は初めて伺ったわけでございます。当然御質問の趣旨のとおり、そういうことを材料と申しますか、さか手と申しますか、使用すべきものでは断じてないと思いますので、あくまで騒音対策の一つとしての防音工事の問題としてやるべきであろうと考えております。
○岡委員 そういうようなことで、国会の議決した予算が、結局執行すべき防衛庁のほうの方々によって、F86ということでとにかく継続工事として三十六年、三十七年進められて、当然三十八年度においても予算をいただかなくては子供は勉強できない。ところが、あなた方の御都合でF86がF104になった。そこで、それをするのに滑走路も延長だ、でなければ工事を打ち切る、こういうどうかつ的な手段、態度に出られるということになると、私は問題にならないと思う。この点、長官も初めてお聞きだと言われますが、大体小松市と防衛庁との間には約束があった。これは、今後万一滑走路等の延長をするときには、必ず市と防衛庁が協議する。ところが、F104に変更する、そのために滑走路を三百メートル延長しなければならぬというようなことは、協議も何もない。前市長に聞いてみても、そういうことについては全然承諾した覚えがないということになると、一種のやみ討ち的などうかつです。こういうことで地方住民の意思というものが全く無視されるということになれば、これはもう地方自治法の精神からしても重大な問題だと思う。こういう点、長官は一体どう考えますか。
○福田(篤)国務大臣 もしそういう約束があれば、当然に約束を守るべきでありますが、ただ先ほどのどうかつ云々ということばでございますが、志賀参事官からその当時の模様をひとつ報告させたいと思います。
○志賀政府委員 小松の防音工事の継続分につきまして、ただいまお話がありました点については、実は最初にあそこの防音工事をやるときには、鉄筋でやる部分というのは、F86の現状におきましては比較的範囲が少なかったわけでありますが、将来F104を入れるということも考えられておりましたので、木造で最初にやりましてその次にまた鉄筋化するということは非常に不経済であるということで、前にも例がありまして、検査院からもそういう意見がいろいろ出ておりましたので、できることならば、私どもはそれを最初からやったほうがいいじゃないかということで、将来F104になった場合に鉄筋化でき得る範囲を考えまして、最初とっついたわけでございます。したがって、私どもは、そのころはF104をあそこに持っていくということは、必ずしもはっきり市当局に表明いたしたわけではございません。将来のことを考えまして、そういうふうな措置をとったわけでございます。ところが、昨年の春F104を持ってくることについての異議がはっきりいたしておりましたので、これを継続してやることにつきまして、そういうことであれば、もとに戻って、木造部分は木造でやるという以外にないのではないかというふうに、大蔵省との折衝上そういう議論に分かれたわけでございます。したがって、私どもは地元をどうかつしたということではございませんので、そういうことで非常に難航している最中の問題でございましたので、そのとき実情をお話しして、こういうわけでどうも非常に弱っている、何とか方法はないか、104持ち込み反対と言われるとどうしてもうまく継続部分の承認をとれないということで、重ねていろいろ折衝をいたしたわけでございます。ようやくそういう点についてもお話し合いをいただきまして、継続部分を一応出せるような体制にはなったわけでございますが、その当時の過程において、そういう議論をやっている最中の問題としてそういう応酬が行なわれたということでございます。
○岡委員 この委員会は、御存じのとおり科学技術委員会でもあるから、私ども別に104反対、そういうことを申し上げるつもりはないのでございますが、ただ御蔵島問題もありますので、やはり防衛庁としても真摯な態度をという立場から、私は関連をしてお尋ねをしておるわけです。まあ、どうかつ云々ということが非常に不本意だとおっしゃいましたが、当時の小松市長の声明がここにあるのです。「私が、市長に就任後直ちに工事施行方を防衛庁に要求したところ、この継続工事は、基地拡張と新機種配置を前提としたものであり、新規工事は何等防衛庁として関知せざるものであるとの返答に驚いたのである。」こういうことを市長が新聞に発表しておるのですよ。驚いておるのですよ、市長は。先ほど申しましたように、新機種が配置されれば滑走路は延長しなければならぬ。しかも、前市長との公約では、こういう事態があれば必ず市と協議するということがちゃんと書いてある。協議も何もしないでこう言われたのでは、市長とすれば驚くでしょうが、それをわれわれは全く客観的にどうかつと、こう申し上げた。こういう不当な形で、結局泣く泣く市長はおそらくのんだんでしょう。こういうような不当なやり方があり、そうしてまた、いまおっしゃいましたが、所有者、というよりも使用者との協議もなく、強制的に立ち入り調査をしておる。私はそういう報告を聞いたので、いまお聞きした。いずれ私も数日中には現地へ行って、よく事態を調査いたしました上で、あらためてまた福田長官に御意見を承りたい。
 ただ、この際特に防衛庁の方から御連絡を願いたいことは、私が基地司令に会いたいと申し入れましても、なかなか会ってくれない。したがって、十分責任のある調査ができない。だから、そういうことのないように、出向いて行ったら、ひとつすなおに会って真実を知らすように、という御連絡を願いたい。これで一応基地の問題はやめます。
 実は私が特に福田長官にお聞きしたかったのは、先般、三十一日でございましたか、予算委員会で中共の核爆発実験のことに触れられました。一、二年以内にあるだろうというようなことを申した。このことは、実は原子力政策に取っ組んでおるわれわれとしては、非常にやはりゆゆしき問題なんです。一体どういう根拠で一、二年以内にあるだろうと推察されたのか、その点をお聞きしておきたい。
○福田(篤)国務大臣 先般の答弁でも申し上げたわけでありますが、いろいろな憶測があるわけでございます。御承知のとおり、ラスク長官にしろ、あるいはマクナマラ長官、あるいは中国の周恩来氏、さらに陳毅外相、各般の、さまざまの地におけるいろいろな形式の発表ないし談話があるわけです。その他入手し得るいろいろな資料を、絶えず私ども、重大問題でありますので、分析し、また勉強しておるわけでございます。その結果、大体のいろいろな資料を推測したもの、また累計したデータを整備した後においては、いまのところ一、二年以内という表現が大体当たるのではないか、というわけで申し上げた次第であります。
○岡委員 平和利用を本義としている日本の原子力政策の立場から見ましても、この問題はいろいろと影響が考えられるわけで、私どももいろいろな情報はできるだけ目を通すようにしております。お説のとおり、まだはっきりしたことはわからないが、どうもこれはやるぞということだけは、大体可能性だけは確信できるような段階である。この問題について、あるいは防衛庁なり政府部内で何か御協議になったことがあるか、あるいはアメリカ側とでもこういう現実の中共の核実験に対しての対策等について御協議になったことがありますか。
○福田(篤)国務大臣 特に中共の核爆発に関して協議したことはございません。ただ、日米間にもいろいろなルートを通じての折衝なり、共同研究がございます。また、外務省その他のいろいろな連絡もございますが、そのつどそういう話し合いは出ますが、特にこの問題に限って協議ないし相談したことはございません。
○岡委員 そういう場合、中共が核爆発をいよいよやったという場合に、いろいろな影響があろうかと思いますが、一体どういう影響が極東の地域にあると推測されますか。
○福田(篤)国務大臣 非常にむずかしい御質問で、将来を想定した一つの前提がございますが、いまのところの段階では、共産独裁国家としてのいままでのやり方を見ておりまして、アジア地域におきまして、政治的にもまた軍事的にも相当の影響力があると私どもは考えているわけです。
○岡委員 この問題も、この委員会で取り上げるべき問題でないかもしれません。
 兼重委員にお尋ねいたします。専門家の検討によると、万一中共が核爆発をした場合、大体場所はゴビの砂漠か新疆省である。この場合に、日本列島に押し寄せてくる放射能というものが、米ソの核爆発以上のものであるということを専門家は具体的な資料を示して私どもに説明しておりました。原子力委員会は放射能の防護ということが大きな使命になっているのでございますが、こういう問題について原子力委員会として御協議になった、あるいは御研究になったことがありますか。
○兼重説明員 原子力委員会としてはまだ何も検討いたしておりません。ただ、フォールアウトのことは絶えず検討しておりますから、そういう新たな要素が加わった場合、それについては新たな対策を考えなければならぬと存じます。どういうことが起こるであろうかということの意味での検討はしておりません。
○岡委員 フランスが、御存じのように部分的核停反対ということで、そこで中共を承認するということになりますと、長官、先般予算委員会でおっしゃっておられたように、事実上の核装備化ということもそんなに十年、十五年かからないかもしれないということが考えられる。問題は、われわれはいかなる国の核実験にも反対をする、あるいは部分的核停を支持し、これを全面的な核兵器の撤廃に発展をせしめなければなるまいという考え方を持っている。日本の立場からこれを阻止するということができないものだろうか、核爆発を阻止できないかということが、やはり今日大きな一つの問題だと私は思うわけです。こういう点について、いまここで私は長官と論議をしようとは思いませんが、原子力委員会としても、これは原子力基本法にかかわる大きな問題でもある。また極東の、先ほどおっしゃったようにアジア地域における防衛、軍事核戦略、ひいてはまたいろいろな問題、国民の放射能禍の問題、政府はこういう問題については、いち早く総合的にこれらの影響を十分に検討するとともに、積極的に核爆発をしてもらわないように政策を生み出すべきじゃないかと思う。これは希望ですが、ぜひひとつ政府のほうとしてもそういう心がまえでこの問題を真剣に取り上げていただきたいということを私は希望して、きょうの質問はこれで終わります。
○前田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は二月二十日木曜日午前十時より理事会、同十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十一分散会