第046回国会 外務委員会 第18号
昭和三十九年四月十日(金曜日)
   午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 臼井 莊一君
   理事 安藤  覺君 理事 椎熊 三郎君
   理事 正示啓次郎君 理事 古川 丈吉君
   理事 穗積 七郎君 理事 松本 七郎君
      菊池 義郎君    鯨岡 兵輔君
      竹内 黎一君    福井  勇君
      三原 朝雄君    黒田 寿男君
      田原 春次君    帆足  計君
      山本 幸一君    永末 英一君
      川上 貫一君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 賀屋 興宣君
        外 務 大 臣 大平 正芳君
 出席政府委員
        法務事務官
        (入国管理局
        長)      小川清四郎君
        外務政務次官  毛利 松平君
        外務事務官
        (アジア局長) 後宮 虎郎君
        外務事務官
        (条約局長)  藤崎 萬里君
 委員外の出席者
        専  門  員 豊田  薫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○臼井委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。
 山本幸一君。
○山本(幸一)委員 先ほど委員長のお話によると、法務大臣の時間がないそうです。私のほうはこま切れ質問でははなはだどうかと思うのですが、武士は相見互いですから、あなたが時間があまりないとおっしゃるのを無理やり私は引きとめようとは思いませんので、できるだけ簡潔に申し上げます。どうかひとつあなたも簡潔に御答弁願いたいと思います。
 すでにお聞き及びだと思いますが、当委員会で、昨日から開かれておる大阪市の国際見本市、これに関して北鮮側から一名の貿易代表者の入国査証の問題が先般来取り上げられておるわけであります。この点につきましては、法務大臣かねて御承知のように、私どもとしては、こうした問題を頭から委員会で四角四面の議論をすることを避けまして、やはりなるべく政府の皆さんと話し合いで事を進めようというので、かなり私どもは手を尽くしてまいったつもりです。二カ月ほど前から、外務大臣、官房長官、それそれとの間でお話し合いをし、また、法務大臣は御不幸にもからだに障害がございましたので、あなたがおなおりになって国会に出席せられるのをお待ちして、しかる後お話し合いを願おうということで、先月の十六、七日ごろという記憶ですが、幸いに外務委員長、法務委員長両委員長のきも入りで、あなたとの間に両委員会の理事合同懇談会を持っていただきました。そういう経緯があります。そこで、私は率直に大臣にお尋ねするのですが、そのときに大臣もおっしゃいましたが、いわばこれらの問題は政治的な色彩はない、したがって、自分としてはできるだけ努力をしてみたい、きょう初めてこのような話を聞き、関係文書をもらったのであるから、これを検討して努力をしてみたい、こういうお話であったと思います。もちろん、これは非公式のことですから、私は証拠立てはいたしませんが、そういう御心境にはいま変わりはございませんか。
○賀屋国務大臣 いまお尋ねの問題に対しましては、私もいま手帳を見まして、日にちははっきりしませんが、外務委員長と法務委員長のごあっせんと申しますか、それによりまして、社会党に嘱する七、八名の議員の方と懇談をいたしました。正式の会合ではないが、いたしまして、その祭の主たる問題はほかの問題でございましたが、その話し合いが終わりましたあと、山本さんから三名の入国につきましてお話がございました。私は、それは初めて聞く事柄でございますから、これは私はいままで承知していない初めてのことですから、別にいま拒絶するとも承認するとも何ら頭の中にできていないものでありますから、十分に検討しましてお答え申し上げる、こういうことになりました。それから私のほうでも検討しました。率直に申しますと、いろいろ判断の重点は役所の中では外務省のほうによけいかかる問題じゃないかという気もいたしまして、外務省と法務省は、もちろん事務的に相談いたしました。私もまた外務大臣によくお話をいたしましたし、お話を伺いました。その結果、今回は入国を承認しがたいことであるということで、おそらく外務大臣からすでにその旨御答弁になったように承っておりますから、さような次第でございます。
○山本(幸一)委員 そうすると、私どもと懇談したことはそのとおりでありますし、当日御出席は、社会党の議員ばかりでなしに、外務委員長も法務委員長も御列席であったということも間違いないと思うのです。
 そこで、ひとつぜひお尋ねしたいのですが、当時私から文書を差し上げたとおり、日本と北鮮との貿易は、いろいろな制限が撤廃を受けてからすでに三年です。御承知のとおり、年々歳々かなりの量がふえております。しかも、最近はかなり大型機械等大口の引き合いがされておるわけですね。そこで、このような大口の取引または大型機械等の引き合いは、どうしてもやはり、技術的な点、それから機械の特徴等について、これらの専門的な知識の交流が必要だということになるわけです。せっかく貿易を続けているのですから、この貿易をさらに向上させ、スムーズに商談を進行させる上からは、これは理屈抜きに、やはり、技術的な打ち合わせだとか、機械の特徴等についての指導をするとか、そういうことが必要だと思いますが、この点は法務大臣もお認めいただきますね。
○賀屋国務大臣 国際間の問題といたしまして、貿易以外の観点を除いて貿易を考えますと、私は相互に貿易が伸展拡大することがよろしいと存じます。それには、相互に事情がよくわかるということ、関連してこれも必要だということ、それは承認をいたします。ただ、問題は、貿易だけを離して結論が出にくい問題もいろいろございますから、それはほかの問題の事情にもよって定めます。抽象的にただ国際間の貿易ということでは、これは御意見と私同じでございます。
○山本(幸一)委員 あなたは、いろいろ、国際間の諸問題、それから日本の外交方針から来るいろいろな方針、そういうことをからめていまお話しなすったのですが、私の申し上げておるのは、現に貿易が行なわれておるわけですね。それから、日本の商社も、困難ではあるけれども、やはり北京を通じて北鮮へも行っておる事情があるわけですね。そういう困難な中でも、できる限りの貿易がスムーズに進行するような努力をしておるわけです。ところが、向こうに行くにも容易なことじゃありませんし、いわんや、向こうからこちらへ来るには全く来れない、こういう状況なんです。私は、貿易が行なわれてなければ、あなたのおっしゃる国際間の諸問題、政治的な諸判断、それ等は政府独自の立場において、それはまあわれわれとは立場が違ってお説のような点もあると思うのですが、現に貿易が行なわれておるのだから、その貿易をできるだけ伸ばす必要があることは、あなたもお認めだと思うのですよ。そうだとするならば、いま私が申し上げたように、機械類等で技術的な打ち合わせのために向こうから来ることも、決してこれは、いま当面する政治的な問題とからませる必要もないし、また、かりにからましたところで、それほど事政府の方針に反するようなことじゃないと思うのですが、これはひとつそう御理解願いたいと思うのです。
 私どもは、あなたのおっしゃる気持ちはわかる。わかるが、現に貿易をやっておるのだ。しかも毎年その貿易が増大しておるのだ。そうなれば、おのずから貿易に関しての人の交流があったって、私はふしぎでないと思うのですがね。私は、あなたはそういう点は理解があると思うのですが、どうですかね。
○賀屋国務大臣 ごもっともですけれども、端的に申しますと、貿易を伸展するのはいい。しかし、船もどんどん直接双方の船を入れてもいい、一番近い港に入れてもいい、人もどんどん交流すればいいと言うが、そうはいかぬ。やはり、総合判断してきめるべき問題で、いま申しましたように、貿易自体という観点からは、どんどん進んでいくほうがいい。しかし、いろいろございまして、あらゆる角度から見て、総合しての観点からきまる問題でありますから、貿易関係なら何でもやっていいということではいかぬと思うのです。
○山本(幸一)委員 法務大臣、私もそういう何でもかんでも幅を広げるということを言っておるのじゃないですよ。いま現に商談を進めておる関係業者の一定のワクにおける入国をあなた方とお話しておるわけです。しかも、あなたに要請したときに提出した文君によっても、これは、当時あなたも、これは純経済的な問題だとお答え願ったと私どもは記憶しておりますが、いわば北朝鮮における国際貿易委員会の書記長、それから代表的な商社の副社長並びにその部長、こういう全くワクがきちんとした三人の方の入国なんですね。これはあなたが御心配なさることはないと思うのですが、それでもやっぱり心配なのでしょうか。
○賀屋国務大臣 率直に申しまして、あの三人について、どんな人だ、好ましくないからどうしよう、そんなことは考えてないのです。実際調べてないのです。しかし、一般論といたしましては、目的が限定されて来ても、いままでもほかのことをやる人もあるのです。だから、目的が限定されたからといって、簡単にいいというわけにはいかないと思います。しかし、今度の問題は、何も貿易の発展を阻害しようというようなことでなく、いまの時限、――時限というのは、そのときの時点に立ってみまして、日韓交渉等いろいろの点を考えまして、北鮮側のいろいろの行動を考えますと、ちょっといまぐあいが悪いのじゃないかという判断になったのじゃないか、そういうふうに私は聞きまして、これをそれでも入れたがいいと主張するほどのものは私には何もございません。それで今度はお断わりする。しかし、決して将来永久にお断わりするつもりはないのであります。
○山本(幸一)委員 だんだんわかってきましたが、私とあなたの意見の差がまだございます。北鮮側の行動云々と言われたが、これはあなた方の認定でおっしゃってみえるし、私どもは、そういうことと無関係に現に行なっておる貿易であるから、しかも、政府側が見て検討せられても決して無理でない人々が来られる、また、こちらで招待した、こういうきちんとした措置をとっておるのですから、あなたが言われるほど心配ごとはないと私は思っておりますが、その点をやりますと、時間がだんだんたって、せっかくの約束の時間が履行できませんから、ほかの問題に移ります。
 あなた、たしか、相当前だと思いますが、私どもの赤松勇議員の質問で、これは貿易だけじゃないのですが、文化交流、たとえば崔承喜あたりの入国問題とか、それから、いまあなたが好ましくないと思っていらっしゃる北朝鮮の人の往来の保障の問題だとか、そういう質問をしたときに、あなたは、ケース・バイ・ケースで扱う、速記録を読みますとこう答弁なさっておりますね。一体、このケース・バイ・ケースということは具体的にどういうことなんですか。
○賀屋国務大臣 いま、どういう際にケース・バイ・ケースでやりますとお答えしましたか、ちょっと私思い起こしません.速記録がどうなっているかわかりませんが、ケース・バイ・ケースで判断するのもずいぶんあると思います。いろんな入国にしましでも、その人の過去の行動とか、いろんなものを合わせましていくと、どこから来る人はみんな断わってしまうというようなことでないことのほうがむしろ多いのではないか。一般的にむずかしいことと楽なこともございますが、その中でも、いまのそのときの人あるいは事態、時により変化は抽象的に申したらあり得るのだろうと思うのでございます。
○山本(幸一)委員 賀屋さん、このケース・バイ・ケースの点は、北朝鮮からの入国または北鮮の人の自分の国への往来、これに関しての質問なんです。その他のことは関係ありません。それに関しての質問に限定せられた際に、私は一々速記は読みませんけれども、速記によれば、いわば、あなたは、そうした問題についてはケース・バイ・ケースで扱う、こうおっしゃってみえるわけです。
○賀屋国務大臣 現在及び近い将来というか、当分の間、北朝鮮等でございましたら、ケース・バイ・ケースでございます。私はこういうことで御答弁を申し上げておるのであります。北朝鮮から日本に入国するのは大体非常に困難と思います、こういうことを私は常に申し上げておるつもりでございます。ケース・バイ・ケースということは否定しませんが、気持ちとして、純然たるケース・バイ・ケースかというと、おおむね困難なる事態があるということを申し上げております。
○山本(幸一)委員 そういう気持ちで言われたかもしれませんが、ケース・バイ・ケースと言われた限りは、やはり一つぐらいはケースによっては承認があることもあるのですよ。ところが、いままでずっとお話を聞いていると、ケース・バイ・ケースとは言って、悪く言うならばその場限りの答弁をなすって、実際の取り扱いは全部これを拒否するという行き方は、これは、大臣、ケース・バイ・ケースにならぬですね。
○賀屋国務大臣 現に、オリンピックなんか、決して拒否していないのです。昨年も、これは私の時代ではないが、スケートの選手が入っておりまして、認めた場合があるのです。
○山本(幸一)委員 私どもが申し上げておるケース・バイ・ケースというのは、あなたに御質問をして以来の、それから扱われる問題を言っているわけで、あなたの時代であったかどうか知りませんが、スケートの選手が入ったことに対しては認めますよ。それから、今度のオリンピックの選手についても私どもは伺っておりますよ。しかし、そういう最も特殊な問題でなしに、一般的な問題として、あなた、ケース・バイ・ケースと言われておる。だったら、たまにはこの部分はひとつ認めてやろうというくらいの気持ちがあってもいいと思うのだが、全部お断わりになってみえるということになると、どうも、私の勘ぐりでは、これはあなたしゃくにさわるかしらないが、あなたから見れば私なんか年齢的に言えば子供だから、それはしゃくにさわるかしらないが、あなたのイデオロギー、思想が、どうもかちかちの反共主義で固まっておって、共産主義の共の字を聞く、社会主義の社の字を聞くともうしゃくにさわるというような気分があるのじゃないですか。どうですか。そんな気分があるとは私は思いませんがね。
○賀屋国務大臣 みんなといっても、あまり来ないのですよ。貿易だって、あなたのお話しの三人というのが初めてなんです。ないのです。だから、みんな断わるかと言われても、ほんとうに少ないのです。
○山本(幸一)委員 賀屋さん、私はきょうは文書を持っておりません。それらのことについて言おうと思っておりませんから持っておりませんが、私は文書を持っておりますから、あらためてまたお尋ねいたしますが、昨年の六月二日以降、十数名の人々が祖国への往来について申請をしております。その申請はあなた方の言われる法に基づいた手続が万全であるとは申しませんが、少なくとも窓口には行って、こういう事情で祖国との往来をしたいと言って手続をしますと、それは全部、上から指令が来てないので、したがって国交未回復の関係でわれわれは扱うわけにはいきません、こう言って断わっておるのですよ。だから、あなたのほうへは、あったかどうかということがはっきり判明しないと思うのです。したがって、あなたの、そういう手続がないとおっしゃることも、私はわかるのです。想像できますが、現実には窓口で全部断わっておる。次の機会にその文書を持ってきてあなたにひとつお示しするつもりですが、それらもありますし、今度の貿易もありましょう。また、今後もいろいろなケース別によって要請が出てくると思いますが、その際にあなたはケース・バイ・ケースという答弁をした考え方でおやりくださるならは、私は一番いいと思うのですがね。これはおやりくださるのでしょうね。
○賀屋国務大臣 いや、昨年の六月の十六人というのはおかしいのです。大体そういうお話はありましたけれども、調べてみたら、北鮮に行って帰りたいという申し入れば、昨年の六月に十六人の人が東京の入管に来て、しかも、来るやいなやぱちぱち写真をとって、きわめて宣伝臭のあるようなことでやった。その後本省に一人来られただけであります。これは懇談の際にも申しましたが、いわゆる昨年の五月から展開された自由往来運動というものが実に奇怪にたえない運動でございまして、これはあの際に申しましたが、いま詳しく申し上げませんが、実に一種の策謀的意思を持った不都合な運動と思っております。だから、一々反駁をしておるのです。反駁をしなければならぬ。先般も、それはお前の言うのはうそだとはおっしゃらないのです。そういうような運動の一環だというにおいも、率直に言って感じがいたすのです。それまではちっともないのですから、窓口で調べましたら。そういう状態でございます。それで、あのときにも申しましたが、あの自由往来運動に伴いましていろんな風評がございまして、これはどうも一般的にはできないから、いわゆる人道上のものだけに限定しよう、それが成功したら云々、こうもできる、ああもできる……。いろんなことが来ておるのでありまして、これはわれわれの行政上の判断ではよほど慎重にしなければならない問題だと考えております。そういうようにいろいろございますので、それはケース・バイ・ケースだけれども、共通の原因がありましてお断わりいたさなければならない場合もあると思いますし、何件来たらそのうちの一件や二件は通るだろうという場合もございましょう。私は、ですから、貿易の場合は将来全部お断わりするということは決して申しておりません。いまの自由往来の関係は、これはまた御質問がございましたらお答えいたしますが、これはいろんな関係を考えなければならないと思っております。
○山本(幸一)委員 いま申し上げたように、私はこれをここでやろうとは思いません。あらためて系統的にこの問題をあなたといろいろ相談しようと思っておりますが、そうすると、自由往来の問題は、自分の判断では、政治色彩がある、したがってこれは好ましくないと思う、こういうことですが、今度の貿易はそんなことはありませんね。貿易の入国についての三名は、これはきわめてそういう政治色がない鈍経済的なものであるということは、これはあなたもお認めでしょうね。
○賀屋国務大臣 あまり念を押されると困るのです。大体それはそうだと思いますが、あまり念を押されますと、そうだと申し上げても、いろんなことがございますからね。一応は私はあなたの言われるとおりに、――そういう了承の意図でなにしたのではない。一応は了承いたしております。
○山本(幸一)委員 了承してくれますね。そういうように純経済的なものだ、――諸般の情勢はあろうけれども、その後の事態は純経済的なものであろうというふうに御了承いただければ、それでけっこうです。その問題はそれ以上申しません。
 そこで、最終的にお尋ねするのですが、この四月七日に、ここに鎮座まします大平外務大臣、この人が、このお手元にある文書ですね、この文書に基づいて大平さんがいわゆる統一見解なるものを発言されたんです。いわゆる統一見解なるもの。すなわち、あなたと相談の上、――あなたは大先輩ですから、大平さんは常にあなたを尊重しているという意味です。相談の上、両者の意見が一致してこういう見解を発表された。このことはお読みになったでしょうから私から申しません。お手元にございますから内容は申しません。この点は確認ですね。この点は全部確認でございますね、統一見解だから。
○賀屋国務大臣 政府としまして今回入国を承認しない理由は、外務大臣のお答えになったとおりでございます。
○山本(幸一)委員 いや、お答えというより、これは間違いございませんね、お手元にある統一見解なるものは。お答えはいろいろありますからね。
○賀屋国務大臣 外務大臣のお答えのとおりでございます。この文書のとおりお答えになりましたなら、そのとおりでございます。
○山本(幸一)委員 法務大臣、この文書のとおりお答えになった。この文書がお答えになったことなんですよ。ですから、これはよろしゅうございます。
 そうすると、外務大臣からこの文書に基づいて、御発言があり、そして私から二、三御質問申し上げますと、こういう答弁をしているのです。「今度、あなたがいま言われた、北鮮との間に貿易があるじゃないか、私は、そのとおり貿易をやっておる以上、貿易関係者が入国できないなんということはきわめて不自然だと思うのでございます。」と、こう外務大臣は言ってみえる。私は全くそのとおりだと思いますが、その点いかがですか。そういう答弁は、その文書にはございませんよ。その文書に基づいて御質問申し上げたところが、外務大臣がこういう答弁をなすった。もう一ぺん読みます。「現に貿易をやっておる以上、貿易関係者が入国できないなどということはきわめて不自然だと思うのでございます。」と、こういう答弁がございましたが、この点はあなたも一緒でしょうな。
○賀屋国務大臣 それだから、外務大臣のお答えは政府のお答えで、全然同意でございます。ただ、ここのどこにあるのか……。
○山本(幸一)委員 外務大臣の答弁だから、そこにはありません。
 何かいま松本理事から、法務大臣はとても忙しいそうですからなるべく早くやれということです。一応私は二十分までということを聞いたものだから、それは私の聞き違いかもしれないけれども、それではこれでやめます。もっと具体的な問題があるのです。しかし、これはもう全部ひとつお認めいただく、外務大臣の答弁は政府の答弁、私も同じ意見だというふうに認めていただく、そうすればもうやりません。
 そこで、最後に一言だけ申し上げますが、昌頭に私が申し上げたように、私は、この種の問題を委員会で四角四面に議論することは避けたい、好ましくないと思って、いろいろ手段を尽くしてきたのです。その結果両委員長の肝いりであのような懇談会を持ってもらったのですが、そのときに、四月九日が見本市の開催日でございますということも念を押しておきました。その後、法務委員会で、あなたが質疑応答中でございましたので秘書官に、単なる文書の要請だけではいけないから、大阪の見本市の国際見本市委員会が先ほどから申し上げております三名の皆さんに対して招待状を出した、その招待状の写しなるものと、そのいわゆる証明と、それから招待状のカード、これをあなたの秘書官にお渡しして、もう四月九日はあと数日しかございません、したがって、早く結論をつけてもらわぬと、せっかく入国となった場合にも間に合わぬじゃないか、こう御注意申し上げて差し上げたわけです。これはあなたも秘書官から報告がございましたですな。
○賀屋国務大臣 事実のことでございましてこまかいことを申し上げるのもなんですが、あの懇談会は、いまお話しの件の入国で開いたんじゃないのです。前から外務委員長、法務委員長からお話しがありまして、朝鮮の方の自由往来問題で懇談をしたいということで、しかも、それは、理事会ということでございましたが、私の承っておるところでは、理事会ということはやめて、自民党の理事諸君がおいででなかったので、それで、両委員長が立ち会いで社会党の有志と申しますか議員の方とお話しする、こういう会合と承知しておりまして、今回の三名の問題は、あのときに話が済みましてから山本さんからお話が出たような次第でございます。
 それから、いまの早くしろというお話は承りました。私の記憶では、そのころ秘書官にも、なかなかむずかしいのでございますよと山本さんにも言っておいてもらいたいと伝え、それから、あなたにも、廊下でお目にかかりまして、山本さん、済まぬけれどもあの問題はなかなかむずかしいですよと、途中でも、情報と申しますか、大体の意向もお伝え申し上げたつもりでございます。
○山本(幸一)委員 あの、法務大臣ね、あなたの言われる経過は私は否認しませんよ。人事往来の問題で懇談会をやったのですから。事実は私から貿易の問題をそのケースとして出したのですから、それはあなたもお認めだから、これは一緒だと思うのですね。これは、お互いに子供じゃないんだから、そんなことをやりとりするのはやめましょうよ。問題は、私が秘書官に文書を出し、そういう証明書等を出す前に、あなたから、廊下ですれ違ったときに、なかなかむずかしいというお話は聞きました。しかし、それは返事じゃない。むずかしいからだめだとか、むずかしい中をさらにこうやっているということは聞きません。全然返事がない。その後いたずらに日にちがたっていくだけですよ。それで、私もいたたまれずに外務委員会に出席して、外務大臣に返事を迫り、政府側の答弁を迫った、こういう事情なんです。これは、あなたもみずから一かどの武士と思ってみえるのだし、少なくとも私も、幾らあなたの子供のような年齢だとしても、そういう経緯を通してしかも善意の意図でやったことで、これに対して、正式な回答を、やはり入国に間に合う時間をちゃんと考えて返事なさるのはあたりまえじゃないですか。なぜそうなさらぬのですか。そういうことになったら、公党間の約束だとか、公党間の話し合いはできないことになります。何でも四角四面に公式論でやらなければならぬことになる。あなたも国会の運営くらいは御承知だと思うのです。長い間の国会議員であり、しかも戦前は大蔵大臣もやられた人なんだから御承知だと思うのだが、こういうことは国会運営上に非常に重大な問題が起きるですよ。もう少し、信義、それから信頼のもとに、そういう話し合いをしていかなければならぬ、返事もしなければならぬ、回答もしなければならぬ。忙しいのはあなたばかりじゃない。私らも忙しいのだから、なぜそういうことをきちっとなさらないのです。そういうことはもっと人間的にやったらどうですか。
○賀屋国務大臣 私は決して私の言っていることが手続や発言等も遺漏がないとは申しませんで、いろいろ失礼をいたしておることも多いだろうと思いますが、大体事務当局が扱っております。事務当局にもあれはむずかしいということをいろいろ言っていまして、なるほど文書で御回答申し上げないのは悪かったかもしれませんが、大体もうその意向はすでにあなた方のほうに反映している、――私もお目にかかったときはいま申しておりますようなことでございました。それだから、私のやったことがいいとは別に申し上げませんが、今後も注意いたしますから、何とぞ御寛容に願いたいと思います。
○山本(幸一)委員 そう言われれば、お年寄りから言われるのだから、私はそれ以上言いませんけれども、これは注意してもらわぬと、こういうことは国会運営上全体に関係してきますよ。いまのあなたの答弁がなかったら、外務委員会は進めませんよ。今後一切何があったって。だから、それはあなたもきょうはよかったですよ。なかなかほめる価値がある。この問題はきょうは時間がございませんので、あらためて全体の往復問題について、いわゆる朝鮮人の祖国往来の問題についてあらためて御質問するときには、また再びいろいろの問題を私はお話しするつもりです。きょうはひとつ解放しましょう。
○臼井委員長 議事進行について発言がございますので、帆足計君。
○帆足委員 実は、外務委員としましては、いま二つの世界がありましていろんな困難な問題がある時代で、これを円滑にやりますためには、与党、野党との関係もよく話し合い、国連精神も尊重する必要があろうと思っております。賀屋法務大臣につきましても私個人はよく存じておりますけれども、世間では、非常にがんこなおじいさまだ、こう言うておりますが、こうして互いに話し合ってみると、やはりドイツのシャハトのような人でありまして、もののわかったお方であるという印象を受けました。しかし、国会においてはやはり論理を通さねばなりませんから、したがいまして、さらに、この重要な段階で、法務大臣と私は御懇談を続ける必要がある問題がまだ四、五残っておると思います。したがいまして、他の議員もきょう質問通告をしておりましたが、時間がありませんから、きょうはこれにいたしまして、また最短期間に親しく法務大臣のけいがいに接し、もっと意思の疎通をし得る機会をこの外務委員会につくっていただくことをお願いいたしまして、一言申し上げて御了解を得たいと思います。
○臼井委員長 ただいまの帆足計君の御要望については、理事会にはかりまして善処いたします。
 この際、本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。
   午前十一前十二分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕