第046回国会 決算委員会 第22号
昭和三十九年五月七日(木曜日)
   午前十時五十七分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 押谷 富三君
   理事 鈴木 善幸君 理事 竹山祐太郎君
   理事 福井  勇君 理事 勝澤 芳雄君
   理事 山田 長司君
      鍛冶 良作君    田川 誠一君
      原 健三郎君    栗原 俊夫君
      田中織之進君    田原 春次君
      森本  靖君    吉田 賢一君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 綾部健太郎君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       田中 榮一君
        通商産業事務官
        (公益事業局
        長)      宮本  惇君
 委員外の出席者
        運輸事務官
        (航空局監理部
        長)      堀  武夫君
        会計検査院事務
        官
        (第三局長)  小原  剛君
        会計検査院事務
        官
        (第五局長)  宇ノ沢智雄君
        参  考  人
        (電源開発株式
        会社総裁)   藤井 崇治君
        参  考  人
        (電源開発株式
        会社理事)   白石 正雄君
        参  考  人
        (電源開発株式
        会社理事)   高橋  貢君
        参  考  人
        (電源開発株式
        会社理事)   石井由太郎君
        専  門  員 茨木 純一君
    ―――――――――――――
四月二十七日
 委員森本靖君辞任につき、その補欠として千葉
 七郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員千葉七郎君辞任につき、その補欠として森
 本靖君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十八日
 委員河本敏夫君辞任につき、その補欠として鍛
 冶良作君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 昭和三十六年度一般会計歳入歳出決算
 昭和三十六年度特別会計歳入歳出決算
 昭和三十六年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和三十六年度政府関係機関決算書
 昭和三十六年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和三十六年度国有財産無償貸付状況総計算書
 昭和三十六年度物品増減及び現在額総計算書
 昭和三十七年度一般会計歳入歳出決算
 昭和三十七年度特別会計歳入歳出決算
 昭和三十七年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和三十七年度政府関係機関決算書
 昭和三十七年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和三十七年度国有財産無償貸付状況総計算書
 昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書
 (運輸省所管)
 国が資本金の二分の一以上を出資している法人
 の会計に関する件(電源開発株式会社)
     ――――◇―――――
○押谷委員長代理 これより会議を開きます。
 白浜委員長所用のため出席ができませんので、その指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。
 国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件につき調査を行ないます。
 この際おはかりをいたします。本件調査のため、電源開発株式会社より総裁藤井崇治君、理事白石正雄君、理事高橋貢君、理事石井由太郎君、以上四名の諸君を参考人として本日その意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○押谷委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 参考人からの意見聴取につきましては、質疑応答の形で行ないたいと存じますので御了承を願います。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますから、これを許します。勝澤芳雄君。
○勝澤委員 電源開発株式会社にまずお尋ねいたしますが、三月の十日に電源開発に対しまして、特に会計検査院より指摘をされた奈良県のダム建設に伴う補償について質問をいたしまして、その後資料が出てまいりましたので、その資料を中心に引き続き御質問いたしたいと存じます。
 そこで、この資料によりますと、第二十一回の電源開発調整審議会、ここで竜ノ谷、尾鷲関係の開発計画がきまったようでありますが、この審議会にかける前の作業といいますか、そういうのが相当積み重ねられて、そしてこの前どなたか少し誤解をして御答弁をされたようです。審議会は形式的なものだというように誤解をされておるようでありますけれども、この審議会へかける前の作業というものがそのときにもし変更されたなら、相当影響があるというような作業が行なわれているようでありますけれども、通例この電源開発調整審議会にかける前というのは、どういう作業を積み重ね、そしてそれは通産省なりに了解を求めながら進めているのですか。その点についてまずお尋ねしたいのですけれども。
○藤井参考人 ただいまのお尋ねでございますが、まず役所を中心にいたしまして、有力地点の水力調査というものがございます。それを資料にいたしまして、そうしてあるいは最近におきましては航空写真の技術等も発達してまいりましたが、図上調査等をいたしまして、大体これならいけるであろうというような地点をあらかじめお役所のほうにお打ち合わせいたしまして、そうしてそれが電源開発調整審議会のほうに回されるのでございまして、以前は調整審議会におきまして大体この地点を開発せよというふうな御決定が下されて、それに基づいてやっておったのでございまするが、それではやはり途中いろいろ立ち入り調査等をやっておりまする過程において、地点も変更しなければならない場合もありまするし、またいろいろ土木技術の進歩とか、その他いろいろ事情がございまして、設計を変更したほうがより以上効果的であるということがわかりました暁で、御承知のように開発につきましては相当巨額の資金が要るのでございます。その巨額の資金も御承知のごとく政府の出資金とか、あるいは政府の資金を拝借いたしまして建設するのでございますが、予算を伴いますので、予算確定を大体待ちまして、いよいよ最後の仕上げとして、もう一ぺん調整審議会にはかって、確定した議案となったもので計画を進めることにいたしております。それでもなおかつ、地質等の調査を正確にいたしております過程におきまして、多少の設計変更等もいたさなければならない場合に逢着いたしますので、そういう場合にはまた役所等にも十分御連絡申し上げまして、設計変更をいたす場合がございまするが、大体そういう過程になっておるのでございます。
 この尾鷲、池原の地点でございますが、これはいま申しました法令の改廃の途上に起こった問題でございまするが、ちょうど告示を受けました場合に例をとりますと、告示を受けた場合初めて調整審議会の効力を生じるのでございまするが、告示を受けましたときには−準備地点と俗に私どもは申しておるのでございますが、準備地点としてこれを取り扱うようにいたしております。準備地点となりましてから後に、詳しいいろいろの調査の結果、新しい計画に変更をしたほうがよろしいというので、変更の点を申し入れまして、それでいよいよ開発地点、着工地点ということに御指定願ったような次第でございます。
○勝澤委員 総裁はいつから前の総裁とおかわりになったんでございますか。
○藤井参考人 私は、たしか昭和三十三年の八月だったと思います。ちょうどこの八月で満六年になります。
○勝澤委員 総裁の就任前の話ですから、あまり無理に、実情についてわからない点は、その調査の実情がわかっている方がいらっしゃると思います。ですからその方に答弁をさしていただきたいと思います。そうしないと、たとえば総裁のことばじりをとらえて言うわけじゃないですけれども、無理にあなたはこういうふうに考えているのですよ。計画変更の当初に予定していなかった三億を支出した。しかし初めの計画よりもあとの計画のほうがよりよかったから三億出したって別に全体的には損はなかったんだ、こういうふうにあなたはお考えになっておる。いまもそういう考えを持っていらっしゃるならば徹底的に文句を言わなければならぬと思います。あなたが前の人のことを考えて言っているのだと思うから言いませんけれども、なぜかといいますと、そのときに約束がもししてなかったら三億も損はしなかったと私は思うからです。あなたはとにかく三億の約束をされたから、いい地点にしたから、全体的に三億ぐらい出してもこっちをつくるよりもこっちのほうがいいのだから、だから三億もしかたがないじゃないかという言い方になっています。これはおやめになった十河国鉄総裁が同じことを言っておるわけです。五億の要求があって二億、これなら五億より安いじゃないかと言っておるわけです。だけど二億五千万が妥当なものならば私は文句を言わない。全然ゼロのものを五億つけてから二億五千万に負けたからいいじゃないかといって世間をごまかそうというのがいけない。この点はあなたが御無理に弁明されておるようですから、あなたは無理に御答弁なさらぬでもけっこうだと思います。
 そこで次にお尋ねいたしますが、二十一回の審議会の前に竜の谷と尾鷲の発電所の水利使用申請を出して、その許可が出ておる。そうすると、地点が決定前に水利権の許可は出るのですか。もらっておるのですか。水利権の許可はだれがするのですか。
○石井参考人 河川法によります水利出願は、準備地点の指定の段階で電源の開発会社としては発電使用の認可を申請し得る扱いになっております。そこで二十七年の九月の調査河川に指定されましたので、熊野川水系につきましては、河川使用の許可願いを三十年の七月に出しておるのでございます。その認可になりましたのが三十一年の十一月一日でございます。ただいま先生のお尋ねは、正式の審議会の決定前における事務的な整理、折衝、こういった過程についてはいかように相なっておるかというような御質問に伺ったのでございますが……。
○勝澤委員 ちょっと答弁が違いますから。私のお話し申し上げておるのは、審議会で着工地点が決定をしたのが三十一年十二月十九日ですね。それ以前、三十年の七月十二日に水利権の許可申請を出して、そうしてこの三十一年十一月一日に水利権の使用許可が出ているわけですね。使用許可が出たあとでこの調整審議会にかけている、このことについてどうか。
○石井参考人 御指摘のとおりでございまして、大体基本計画にきめられました計画に沿いまして水利使用の認可を申請いたしたのでございますが、それが一応許可に相なったのでございます。そこで水利権の許可についての見通しも得たというところから正式な審議会の決定を仰いだ、このように考えております。
○勝澤委員 そうすると、今度次に三十二年の十二月から計画変更の検討をされているわけですね。そして三十四年の七月二十三日に着工地点の変更がある。じゃこのときまでになぜ水利権の許可というものをとらなかったのですか。前のときには水利権の許可をとって審議会にかけた、変更のときは水利権の許可をとらずに審議会にかけておる、これはどうですか。
○石井参考人 その点につきましての扱いは、実はこれも御指摘のとおり若干区々でございます。かつては水利権決定前に審議会に申請いたしますと、そのまま基本計画に沿うものであれば許可になったのが例でございますが、一方審議会で決定されましても、地方河川当局におきましていろいろ角度の違った見解を持っておりまして、許可にならないという事例も多々あるわけでございまして、同じ河川当局なら本件の場合はそういったことに相なっております。
○勝澤委員 前のときには水利権の使用許可をとって審議会にかけた、このあとのときには水利権の使用許可をとらずに審議会にかけておる、この相違を聞いているのです、どういう理由かという……。
○石井参考人 三十一年の十一月に許可になりましたのは、いわゆる着工準備地点という決定が二十九年の七月に行なわれておる地点についてでございます。今回それを変更いたしましたのは、まだそれまでの政府における決定意図の表明のない地点についてでございますので、御説のような水利権を取得してから着工地点の申請を求めることができなかったというふうに相なっております。
○勝澤委員 そうすると、この二十七年の九月二十七日に熊野川の調査地点が決定したわけですね、第三回で。それから二十九年に第十五回でおおよその方向がきまっておるわけですね。それに基づいてやっておるわけですね。ですから、この日取りから見れば二十九年の十二月、それから三十三年まで空間になって三十四年ですから、この間に二十一回調整審議会と同じような形で、やはり水利権の許可を得てから変更することも可能じゃないのですか。ですから、それを怠っている理由というのはどういうことですか。
○石井参考人 この変更計画の地点は、池原地点におけるダムの工事ということであったと思いますが、この変更は前に公にされております計画の重大な変更に相なりますので、この結着をつけますのには、水利権の許可を確定してからというところまでこぎつけなかったものでございます。
○勝澤委員 それじゃもっとさかのぼって聞きますけれども、この三十年二十一回の審議会ですね、前の最初の計画のときの水利権の使用許可というのは、これは奈良県知事ですか、それはどういう形で出されたのですか。
○石井参考人 竜の谷、尾鷲の両地点につきましての使用量を予定しての占用許可でございます。奈良県知事並びに三重県知事でございます。
○勝澤委員 このときはどういう条件でこの許可が出たのですか。
○高橋参考人 こまかい資料を持ってきておりませんが、水利使用許可についての一般の条件がついておりましただけで、特殊な条件はついていなかったのであります。いまここに資料を持っておりませんので、的確に申し上げることはできません。
○勝澤委員 この三十一年十一月一日に水利使用の許可が出ておるわけですね。それと、この工事用道路の回答を見てみますと、奈良県知事のほうが十月二十九日に工事用道路の新設計画についての照会を出して、二日置いて十一月一日付で工事用道路増設についての御希望に沿うようにいたしますという回答書が出ておる。そうして同じ日に、この水利の使用許可が出ておる。この辺はどうなっておりますか。ですから、この道路そのものがやはり条件になっておるんじゃないですか。これはどうなんですか。
○高橋参考人 奈良県知事の意図でございますからはっきり申し上げるわけにはまいりませんけれども、この地点を開発すればどういうことになるのか、工事用道路はどういうふうに持っていくのかということ、それから工事用道路に付随しての地方便益というようなものを勘案されて、どういう工事用道路をつくって、特にそこにはこういう希望があるんだということを文書で述べておられました。それに対しまして電源開発株式会社が御希望に沿いたいと思いますということを述べておるわけであります。それと水利使用許可との心理的関係というのは多少あるかもしれませんし、何とも的確に申し上げるわけにはまいらぬと思います。
○勝澤委員 これは終わったことですから、私は奥の奥まで聞くのはやめようと思っております。ここに奈良県知事を呼んで、前の総裁にも来ていただいて実は聞こうかと思ったのでありますが、いろいろ御都合もあるようですから呼んでいないわけであります。だけれども、こういうようなことが今後続いては困るということから、この際やはり真相だけははっきりしておきたいと思って私は聞いておるわけです。ですから、現実にあった事実については、ある程度のお話はしたほうがいいと思います。そうしないと、電源開発というのは要求さえすれば幾らでも金を出すものだということになってしまうじゃありませんか。あなたはいまいろいろむずかしい言いにくいような御答弁をしておりますけれども、十一月一日に水利権は許可になっておる。この十一月一日付でこの書面が奈良県知事に回答として出ておる。この十一月一日の書面が実際には十一月一日につくったのかどうかという疑問すらあるわけです。十一月一日以後にこの書面はつくられたらしいという証拠らしきものがあるわけです。そういう点もあるわけですから、水利権というものについてなかなか苦労したのだ、そこでこの道路というものを約束になって許可になったのだというのじゃないだろうかと私は推測しておるわけですけれども、その辺でこれはおいて、次に、三億円を補償した根拠というものを調べてみますと、どうしてもこの書類が往復した十月二十九日に奈良県知事から照会があって、十一月一日に回答があったこの書類が中心になって、実は三億支払わなければならないようになったのですね。この点はいかがですか。
○高橋参考人 お取りやめをいただいたので、これ以上申し上げることはないかもしれませんが、文書はなるほど日付は二十九日と一日になっておりますが、そういう話は多少の期間を前もって使っていろいろ交渉しているのだろうと思いますので、前に多少の話があったろうと推測いたしております。
 それから二番目の、この約束があったから三億円というものが生まれてきたという点でございますが、この点は先般総裁からもるる御説明いたしましたように、計画変更によるいろいろな交渉をいたしておりますときに、前の計画では取りかわした文書のような計画であって、地元民はこれができるのだということを予想して協力体制をとったものである、ところが計画変更によって予期しておる道路ができなくなると、地元は失望して新しい計画には反対する、したがって、この地方の開発ということについての地元のいわゆる期待というか、希望というものがむざんになってしまうから、これに対する処置、すなわち地方に対して十分な開発のできるような何ものかを考えてもらわないと、知事としてもなかなか地元を納得させることができない、こういうことでございまして、前の取りかわし文書が直ちに三億円というものを生んだとも思わないのでございますけれども、そこに期待権というようなものをある程度参酌いたしまして、開発のためにやむを得ずこの三億円という話が成り立ったものであると存じます。なお先生からお話のございましたように、こういうことはあまりいいことではないから前例とすべきではないという点につきましては、われわれもその後協議をいたしまして十分留意をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○藤井参考人 ちょっといまのお答えに対する補足をさせていただきます。
 実はこの問題は大局におきまして先生御指摘のような割り切れない問題があるということは、正直に申し上げて私どもは是認しなければならぬと思います。ただこういうことだけお含みを願いたいと思います。この問題を取り扱っておる当事者は、こういう大きい問題は主として理事以上が担当してやっておるのでございますが、不幸にして総裁もかわって、私がその後半、大部分は私の責任でございますが、副総裁も不幸にして当時の副総裁は前の内海総裁と同時に退任されまして、その後来られた斎藤副総裁は病気のために任期中途になくなりました。それからいま東北電力に行っておられる平井社長を副総裁に迎えまして、この人ならうまくやってもらえるというのでなかなか骨を折って来ていただいたのでございますが、これも電気事業全体のためにどうしても東北電力のあとを引き受けてもらいたいという電力事業全体の懇望もだしがたく私もそれに同意したのでございまして、いまの副総裁はやむを得ずいろいろさがしまして、この人なら前からのいろいろな事情も知っておられるし、電気事業にも明るいというので現副総裁を迎えたようなわけでございます。その間理事もしばしば更迭いたしておりますが、この問題を主として扱ったのは岡部理事、これは昨年退任されましたが、岡部理事がこれを扱っていろいろ折衝したのであります。実は何度奈良県へ参りましたか、とにかく行って何とかしてこの補償金をまけていただきたいというので、いろいろお願い申し上げたのですが、知事さんなりあるいは副知事さん、土木部長さんの立場といたしましては、一応前にきまった計画を変えるのだ、今度変更する計画そのものは、電源開発としてはそれ以上の利益があるのだしするから、地方開発のために一ぺん決心したものなんだから、ひとつそれはまげて賛成してくれないかというようなお話があったようでございまして、私どもも建たんはお約束――それは法律上の解釈はどうであろうとも、お約束申し上げたことは間違いないのですから、これはいいことだとは存じませんけれども、事情上やむを得ずそういうようなはからいをいたしたのでございまして、これは筋を通してのいろいろのお話になりますと――こういうものの処理の過程において実はやむを得なかったものがあるのだというところでひとつ御了承願えればたいへんしあわせだと思います。
○勝澤委員 総裁、私は実は電源開発の公共補償というものはどういうふうにやられてきたかということで、ずっと調べてみたわけです。そして一回許せば二回、二回許せば三回と、だんだんと高じてきたところがこれなんです。過去に補償した例があります。会計検査院もその検査の途中でいろいろ注意をしてきたことがあるわけです。そしてようやく出てきたのが御母衣ダムです。それからこれですよ。ここできっちりしないと、またこの次これと似たようなことが出てくることは明らかです。これは私が言うまでもなく、総裁のほうがよく御存じだと思うのです。それは総裁が防波堤になって防ぎ切れればいいわけです。しかし防ぎ切れないで押し切られたら、国民はたまったものではない。こっちの計画なら五十億だ、こっちに計画変更したら百億かかるけれども、こっちは十万キロだけれども、こっちは五十万キロだから得だ、こういうことでは困ると私は言うのです。それだったら、こっちの計画をしたときの技術屋の責任は何なんだ、これがいいのだ、どんどんやってみたらだめだった、 こっちへ移った、そのために一々こっちを補償してやっていたらたまらないのではないかという意味で私は申し上げているわけです。会計検査院がやかましいから、いや国会がやかましいから、補償金を支払えませんということではないですよ。電源開発株式会社として姿勢をきっちりとして、これ以上はだめですよ、こんなむちゃなことはできませんよ、それはだれが言ってきても同じことですよ。電源開発は自民党のこっちのほうだあっちのほうだといわれますけれども、やはり限度というものがきっちりしないとあとどうなってしまうかわからないと思うから言っておるわけです。
 そこで、この三億円がどういう経過でといえば、私もよく聞きました。総裁もいろいろむずかしい御答弁をされておるようでありますが、ですから、私も実はこの問題については、奈良県の知事なり関係者の方に来てもらって経過を調べたほうがいいと思ったのですけれども、いろいろあるようです。そこで私はもう一つ聞いておかなければならぬことは、この金がどこに使われたかということです。これは一般財源に収入されて、そしてこれらしきものに使われたというのが、あなたのほうの照会で奈良県知事から出てきております。これに必ず使いましたという根拠があるわけじゃないわけですから、一般財源に入っているわけですから、こういうものを見てみますと、これは明らかに電源開発はこの一枚の紙によって、それから水利権によっておどかされて三億払ったという実は推定をせざるを得ないわけです。そこで、水利権というものは、こういうことをしなければ許可にならないものなんですか、どうですか。法律的にどうですか。
○藤井参考人 いろいろ御指摘でございまして、まことに恐縮いたしておりますが、最後の水利権は、こういうものを条件にしなければ許可しないのかどうかというお話でございますが、これはケースバイケースでございますが、私どもは、できるだけ公共補償も少ないほうが電力経済といたしましても得でございますので、そういうことに全力をあげてやっておるつもりでございまして、あまり地方としても無理難題なことはおっしゃらないようにつとめてもいただいておりますし、私どももそれをお願いして、できるだけ安くするように努力いたしております。
 なお、先ほど来先生から御指摘になりましたような方針につきましては、これは当然われわれは厳守しなければならない問題でございますから、これは特に今後心してそういうことをやっていくつもりでございますが、公共補償の問題につきましては、時と場合によって多少いろいろ過去においては御指摘のような懸念があったような例もありますけれども、しかし、そう極端なものはまあないと思います。そしてこの場合におきましても、大体使途は、もうすでに御承知のことと思いますが、ほとんどあの付近の水没に伴います道路の改修とかあるいはトンネルの掘さくとか、そういうことに全額使われておるように私は存じておるのでございまして、この点は奈良県も非常に意を配っておられるものと存じます。
○勝澤委員 あの水利権の許可というのは、法律的にはどういうふうになっているのですか。
○高橋参考人 水利権の許可は、河川法によりまして現在は府県の知事が許可をすることになっております。許可に際しまして建設大臣の認可を経られるという手続になっております。水利権許可の根本は、やはり河川管理というたてまえからどうすべきかという点が中心として審議されるものであると存じております。
○勝澤委員 県知事が許可をしない場合にはどうなのですか。
○藤井参考人 いままでの例で県知事さんが許可をされなかった場合がないものでございますから、私、ちょっとそういうケースを考えたことがございませんが、大体私どもが水利権のお願いをします場合には、事前に地方庁はもちろんのこと、建設省の河川局御当局とも十分にお打ち合わせ申し上げまして、大体御許可いただけるものだという見当がついたものだけ水利権の許可申請をいたしておりますので、許可がなかった場合にはというような、そういうけんか腰でいままでやったことはございませんので、ちょっとお答え申し上げかねる次第でございます。
○勝澤委員 通産省のほうにお尋ねしたいのですが、水利権の許可というのは、知事が許可しない場合、何か許可しなければ絶対だめだということになるのですか。その辺は法律的にどういうことになっておりますか。
○宮本政府委員 実際には、ただいま総裁からお話もございましたように、許可はおりておりますが、実は、公益事業令の五十九条の第三項に、「通商産業大臣は、発電水力の開発を効率的に行うため必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、河川法の規定による処分に関し必要な勧告をすることができる。」こういう、要するに、実際問題といたしましてなかなか都道府県知事が許可をおろされないような場合には、必要とあれば勧告ができるという規定はございます。ただ、いままで一度も発動されたことはございませんが、法律的にはそういうことになっております。勧告でございますから、お聞きにならなければどうにもしようがないわけでありますが、そういう規定はございます。
○勝澤委員 そうしますと、総裁、水利権を許可しないからといって、不当の要求に屈して、やらなければならぬという根拠もないわけですね。国の公共的な事業として行なうわけでありますから、やはりそれは県のごもっともな要求であれば、地元のごもっともな要求であれば、当然これは聞かなければならぬ。しかし、それはやはりある限度を越すようなものについては、やはりそこで線を引いて別の角度で、そういう場合においては検討しなければならぬ場合がある、こういうように思うのです。この場合がそれに当てはまるかどうかは別問題にしましよう。これはあなたが行なったことでなくて、前の総裁が行なった書面が根拠になったと私は思っているからです。この書面がなかったならば、こういう結果にはならない。あなたも大体私と似たり寄ったりのお考えを持っておると思う。この取りかわした文書が、とにかく協力の約束をこれによってやめると、こうなっておるわけですから、協力の約束とは何かと言えば、往来の書面だということになりますから、これはしかたがありません。
 そこで、会計検査院から指摘された事項につきまして、回答書が寄せられておるわけです。その回答書は通産省の立場で寄せられておるわけです。通産省としては、と、こういう前書きでこの回答が出てきておるわけであります。電源開発としてはどういうような御意見を持っておりますか。この会計検査院から指摘された事項に対する電源開発株式会社としての御意見をまず聞かしていただきたい。
○藤井参考人 いま、資料を持ち合わせておりませんが、御指摘のとおりだと思います。これは通産省のお扱いに準じてやはり電源開発会社も措置していかなければならないと存じます。通産省と電源開発会社とが別な行き方をいたしましたときは、やはり行政の混乱にもなりますし、運営も円滑にまいりませんから、大体同じ歩調で進んでいかざるを得ないし、いくつもりでやっております。その他の問題につきましては、先生、いま、るる御指摘になった点は、しごくごもっともで、私どももその点は心してやっておるつもりでもございますし、今後ともできるだけそういうふうに――できるだけじゃなく、これはもう絶対にそういう方向で進んでいきたい、こう存じております。
○勝澤委員 この補償は妥当なものであるのか、事情やむを得ないけれども、これはやっぱり少し問題があるというふうにお考えになっているのか、この点を明確にしていただきたいと思います。そうしないとこれからも例が出てまいりますから、その点いかがですか、はっきりしていただきたいと思います。
○藤井参考人 これはもちろん先生のおっしゃったとおりに、妥当なものに話を落ちつけなければいけないと思っておりますし、私どもも鋭意そのように努力いたしておるつもりでございます。現在、これからかかろうとしておる事案につきましてもそういう点に重点を置きまして、なかなか補償等が円滑にいかない場合においては、もう工事も見送るといったような私どもの強い態度までとって、補償を妥当なものに持っていくということに努力いたしておるつもりでございますし、これはそうしなければならないと存じます。
○勝澤委員 この三億円は妥当なものであったかどうか、こう私はお聞きしているのですが、どうお考えになりますか。
○藤井参考人 この三億円の問題につきましては、妥当であるとかないとかいうことを私どもは実はこれをお約束するときには考えたわけではございません。ただ、前のいきさつに照らしましてこれはやむを得ないだろう、こういうふうな考え方から処理したのでございます。
○勝澤委員 それでは、御答弁しにくいから今度は逆にお聞きしましょう。この後公共補償の補償基準が閣議で決定されたと思うのです。その補償基準に基づいて電源開発は、いま補償基準はどういうふうになっていますか。
○宮本政府委員 この前の委員会で申し上げましたように、公共補償の基準につきましては、一般的には、御承知のように昭和三十七年六月に公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱ということで閣議の決定がなされたのでございますが、そのときに、公共施設については、基本的には私人の財産に対する損失補償と同一の原則により補償するものとし、財産的価値の補償をもってしてはその公共目的に照らし必要とされる機能の回復が困難と認められる場合には、公共施設としての機能を合理的な形で回復するため必要な費用を補償するものとする、こういう原則だけでございまして、この前も申し上げましたように、御承知のように最近この公共補償の問題が、全体として補償費の中で非常に割合が大きくなってきておりますので、本年四月以降建設省の公共用地審議会の中に公共補償に関する事項を追加していただきまして、これからある程度具体的にきめていこうということで、現在までのところ公共補償に関しましては、いま申し上げましたような抽象的な形しかまだきまっておらないということが実情でございます。
○勝澤委員 その段階で、これはこの閣議決定の補償基準に合うとお考えになりますか、どうでしょうか、総裁。
○藤井参考人 これは見解の相違ですが、奈良県で実際行なっておられるところを見ますと、あるいは水没地域の道路の改修とか、それにつながる支流の改修とか、それから道路のショート・カットなり――あれは非常に重要な国道線でございますそうですが、その機能を多少増すようにあの付近に限ってやっておられるというようなことで、私も昨年初秋通ってみましたが、そう無鉄砲なことをやっておられるようには存じませんで、まあ、まずまずそう不当なことをやっておられるようには考えておりません。
○田中(織)委員 関連して。いまの藤井総裁の答弁並びに宮本さんの前に答弁されたことを伺いますと、それでは今度の問題について会計検査院の指摘を受けたこととの関連であなたたち電発の当事者としてはどういうように考えておるのですか。総裁のいまの答弁と前の答弁とからみますと、会計検査院が今度、この三億円の支出の問題が一口に言えば納得ができない、こういう形のものは問題だということを指摘しておることにあなたたちは反駁するのですか。会計検査院はそういう経済的な関係その他の事情を考慮しないで、法規の上からだけの見解でこういうものをやったんだ、しかし実際は奈良県当局の水利に対する補償要求というものはもっともな要求なんで、それに基づいて自分たちが出したものを、会計検査院がこれは筋が通らぬと指摘したことが不都合だ、極端なことを言えば、あなたたちがそういう頭があるから、いまいうような答弁をしているのじゃないかというふうにとられるのです。その点は先ほど勝澤委員にあなたがお答えになったように、今後の問題については適正な妥当なものだということのために努力する。もしそういうことで水利権者のほうが納得しないというようなことになれば、工事の中止というようなことまで考えなければならぬと言われたことも、これはまるっきり根拠がなくなるんだ、そういうことは少なくとも今度のことについては、どうも奈良県当局の無理な要求を、いろいろないきさつがあって受け入れた、その点についてはやはり電発の当局の立場から見れば、もう少し補償を出すにしても金額を負けてもらうとかそういうようなことはやらなければならぬ、努力が足りなかったということの反省があなたたちにはなければならぬと思うのですが、総裁のいまの答弁では、まるっきり、会計検査院がよけいなことを言うなと言わんばかりの態度をとっているというか、そういう答弁に受け取れるという点は私は非常に遺憾だと思うのです。その点はいかがですか。
 それからまた、会計検査院が国会に向かって出した検査報告に対して、いまの藤井総裁の答弁では会計検査院の指摘した意味がなくなるような結果になると私は思うのですが、これらに対する会計検査院当局の答弁も、両方お願いしたい。
○藤井参考人 私の説明が不十分であり、至らないために非常な問題になったと存じますが、これは行きがかり上やむを得ない措置として、私どもはこれはもう会計検査院の御指摘もごもっともでございますが、ほかにうまい措置がなかったのでこういうことにいたしたのでございまして、私どもはできるだけこれを安くしてもらうためには相当努力いたしたのでございます。先ほどもちょっと触れましたが、いまはやめました岡部元理事はこのために何度か奈良県にまいり、私どもに対しても相当いろいろの相談をして現地にもまいって努力をしたのでございますが、奈良県といたしましても事態があそこまでいきましては、こうせざるを得なかったであろう、こう想像するだけで、まことに申しわけないことと存じます。会計検査院の御指摘をむげに退けておるわけではございません。どうぞその点はあしからず御了承を願いたいと存じます。
○宇ノ沢会計検査院説明員 ただいま総裁のほうから会計検査院の批難に対する電源開発の考え方というものの御説明がございましたけれども、私たちとしましては、従来電源開発がいろいろダムの建設その他で公共用地の補償に関していろいろ御苦心なさっておることは、十分わかるんでございますけれども、いままでの電源開発の公共補償について見ますと、こういうような例はいままでかってなかったものでございます。それで今後、先ほども勝澤先生からもお話がございましたけれども、今後こういうような補償をそちこちでおやりになるとは、私は申し上げませんけれども、これを一つのきっかけにしまして――考え方によっていろいろな見解がおありだろうと思いますけれども、不当な要求があった場合に、一々こういうものについて向こうの要求をそのままうのみにするようなかっこうで補償の支払いをなされては困るということで、こういうものについては将来注意してもらいたいという趣旨で検査報告に掲記したわけでございます。
○田中(織)委員 あとは勝澤萎員のほうから論旨を進めていただきますが、私はいまの会計検査院の答弁は、あなたたちが三十七年度の検査報告の中で批難事項として上げておるそのもののことを言われているので、今後の問題については、これを契機にして特段の留意が望ましい。こういう形で出てきておりますけれども、これ自体は、そういう点から見ますと、やはり妥当でない。しかも補償を全然出してはいかぬということではなくて、検査院の批難も「補償対象の具体的内容が明確でないまま補償費を支払うこととしたものがあるが、このような補償は同会社としても従来その例を見ないものであり、補償の限度については」問題があるということを言っておるのですから、電発の総裁としては、奈良の問題は過ぎ去った問題でありますけれども、少なくとも、補償の額にしても妥当でないものがあるということは、これは率直にお認めになった上で、今後このようなことを繰り返さない、こういう態度でなければ、国会として総裁の答弁を聞きのがすわけにはまいらないと私は思います。その点については勝澤君がなお別の角度から問われるわけでありますけれども、その点は総裁、どうなんですか。
○藤井参考人 御指摘ごもっともでございまするから、私どもといたしましては過ぎ去ったことに対してもちろん責任を負わなければなりませんが、今後こういう事例の起こらないように、われわれは万全の措置を講じたいと存じます。
○勝澤委員 総裁、締めくくりができたようですけれども、私の言っておるのは三億を出したことが妥当であるかないかということをあなたに一番最初に聞きました。妥当であるかないか言えないらしいですね。これは当時の事情としてやむを得ないものであったということも私は認めましょう、あなたの前任者の問題ですから。あなたに、とにかく当時の事情としてやむを得なかった、妥当であるかないかというのも言えないとするならば、それは過去の事実です。いまこれに基づいて、あるいはこれからほかのものに基づきます公共用地の補償の問題について閣議決定が、これが支払われたあと出てきたわけです。ですから時点が変わってきておるわけです。これからはこの公共補償でやるのですよということ。ですから公共補償でやるのですよ。この閣議の決定事項から見て、この三億を支払ったのが妥当であったかなかったかどうかは判断できると思う。これが判断できないということになると、私はこれと同じ例が続く可能性もあると言うのです。ですから、いままではこういうことがあったけれども、今度は閣議で決定されたこの補償基準には、これは当てはまらぬと思うということをはっきり言ってもらわぬと、それじゃ前のことが妥当であるかないかもう一回蒸し返ししなければならぬ。前にやったときには補償がなかったのです。ですから、その場合その場合に応じてケースバイケースでやってきたため、これではいかぬというので三十七年六月二十九日に補償基準要綱が閣議で決定された。この決定されたことについて三億円がどうだったこうだったということについては、通産省として公益事業局長がはっきり前回意見を述べておるわけです。ですから、あなたは電源開発株式会社総裁として、この閣議決定を見た場合、三億円が妥当であったかなかったかということは言えることなのです。ですから、そいつをしっかり答弁してください。
○藤井参考人 これは、新しい基準に照らしまして妥当であるかどうかということは、実は申しわけのない次第でございますが、それを検討しておりませんので、ちょっとこの席でお答えすることは困難だと思いますが、おそらくこれは新しい計画で進めていく場合におきましては、道路の改修とか道路のつけかえだとかやむを得ないものに限られただろうと思いますので、あるいはその金額よりも下がるかもしれない。この点は実は正確に計算しておりませんのではっきりしたことは――これはそれならどれくらいだったらよかったかということを言われても即答いたしかねますが、今後においては少なくとも新しい基準ができますれば、その基準にのっとってやらなければならないのでございまするし、やるつもりでおります。
○勝澤委員 その基準がいまあるでしょう。その基準に照らしてこの三億は妥当であったかどうかと言っておる、いま現在において。
○藤井参考人 この新しい基準は、直接これが原因になってきめられたのかどうか、それは私は存じません。存じませんが、さっきも申しましたように、新しい基準に照らしてこれが妥当であるかどうかという問題につきましては、多少かすに時日をもってしていただかなければできないと思いまするが、おそらく先生の御指摘のように、もう少し安くしてもらわなければならなかったのかもしれません。これはどうもいまよくわかりません。
○勝澤委員 私は三億が一億でよかったらいい、五千万でよかったらいいと言っているんじゃない。三億が全部不当だと言っておるのです。その三億の根拠は何かというと、これは検査院のことばでいえば期待補償だというのです。この計画でいけばここへ道路をつくって上げます。計画が変更になりましたから、私のはこっちをやります、しかし、この道路の約束をしましたからそれはこっちが計画変更しても払いましょう、ですからそれは明らかに不当なものだ、補償の対象がないにかかわらず補償したというんですよ。補償の対象がないのです。補償というものは、何かとにかくあって被害をこうむるから補償するんですよ。何も奈良県は被害をこうむらないじゃありませんか。こうむらないにかかわらず補償したんですよ。これはあなたの時代に取りかわしてある文書ですから、これは言えることですよ。原因は前の人がつくったかもしれませんよ。つくったかもしれませんけれども、あなたの時代に補償した。その原因を除去するために、補償すべからざる対象に対して補償したのです。ですから私は不当なものだと言うのです。だけれども、そのときは事情やむを得なかったかもしれないというんです。前の人の原因から発生してあなたがあと始末をしなければならぬから、事情やむを得なかったかもしれない。しかし、とにかくその後この補償基準ができたわけですから、この補償基準に照らしたらこの三億円が妥当なものであるかないかということは、これははっきりしているんです。もしはっきりしていないというなら、この三十七年六月二十九日、閣議決定以来の電源開発会社は何に基づいて補償しているのかと私は言わざるを得ない。それを聞いているんですよ。
○藤井参考人 御指摘の趣旨がようやくのみ込めましたが、これはことごとく私は不当だとも思いません。たとえて言えば、水没地域の道路のつけかえとか、あるいはその支流を措置しなければならないとかいったような金額がございますから、この限度においては新しい基準に従ってもちろんやらなければならないかもしれませんが、いまの新しい基準に従ってやる場合におきましては、原則論的に申せば先生のおっしゃるようにあるいは不当であるかもしれません。
○勝澤委員 私は了解できませんね。そういう立場で公共補償されたら、国民がたいへんなものですよ。それじゃもう一度もとに戻って、あなたは三億円が水没とかなんとか言っておりますが、もしおわかりにならなかったらほかの理事の方でけっこうですから、この三億円の補償というものはいかなる根拠に基づいたか、もう一度はっきりしたいと思う。三億円補償の対象がはっきりしてない、あなたは三億のうちには水没道路も何もあるんだと言っておるが、私は三億円の中には何もないと言っておる。道路の約束をしたからそれができなかった、その補償だけだと私は理解する。しかしこれについては、あなたのいままでの答弁の中で大体私と意見が一致しているはずです。じゃ、もう一回、三億円の補償対象というものは何が根拠か、ひとつ具体的に御説明願いたいと思います。総裁でおわかりにならなかったら、ほかの理事の方でけっこうです。
○藤井参考人 新基準に照らして不当であるかどうかという、こういう問題ですが、新基準そのものからいいますれば、あるいは不当であるかもしれません。しかし内容的に見れば、多少そのうちには考えなければならぬ点もあるだろうということを申し上げたのでございますから、その点は御了承願いまして、今後は新基準でやる、こういうことをお約束いたします。
○勝澤委員 新基準の内容について、電源開発株式会社の把握のしかたが違っているんですよ。はっきりしてないんですよ。ですから私は言っているんですよ。新基準に照らして「あるいは」とあなたは言っている。私は新基準に照らしたら、これは明らかに妥当なものでないとはっきりしているんです。あなたは妥当である部分があると言っている。ですから妥当である部分があるなら、三億円の中のどういう項目が妥当であるのか、明確にしていただきたい。
○藤井参考人 先ほども申しましたように、水没地域の道路のつけかえとか、あるいはその支流の処理といったようなものは、計画変更によりまして、これは新基準に照らしても補償しなければなるまいかと思いますが、そこまで中身をこまかくは検討しておりませんが、先生の御説のように、あるいは多くの金額は不当であるかもしれません。この点は同じことを繰り返すようでございますから重ねて申し上げませんが、新基準というものを私ども十分理解してもう一ぺん見てみますが、それは先生の御指摘のように大部分は不当な支出だということになるかもしれません。
○勝澤委員 新基準に照らしてこれは不当なものだと思う、こうはっきりなぜ御答弁できないのでしょうか。あなたが何か新基準の中でまだこれが不当でないと言うことは、よくわからないのです。私は新基準に照らして不当なものだと思います。それが不当でない部分は一体どういう部分があるのか、はっきりしてもらいたいと思います。それで奈良県から出された三億をどう使ったかということにあなたが固執されると間違いだと思います。三億をどう使ったかといっても、そう正式なものが出てくるわけではない。それはおわかりになるだろうと思います。一般財源に入れておりますから、一般財源に入れてどこに使ったか実はわからない。わからないけれども、どうだろうとこの資料をおとり願ったわけです。ですから、補償の対象がはっきりしていない。補償の対象がはっきりしていない段階で三億円というものは、この書面からいうならば開発協力費です。開発協力費という形の支出は新基準に照らして妥当でないとはっきりしておる。こういう意味で私は言っておる。いかがですか。
○藤井参考人 これは私のことばが足りなかったかもしれないと思いますが、もし他の財源に入れておるとすれば、それは明らかに不当だと思います。
○勝澤委員 ですからこれが他の財源に入れておるか入れてないかということは見解の相違です。三億円というものを百六十九号国道におもに使った、こう報告はなされておりますけれども、ひもつきでこの三億をあなたは払ったわけではない。名目は何かといえばはっきりしておるでしょう。名目は開発協力費だ。ここに開発協力費だと書いてある。正式に文書に出ておるのは開発協力費ですよ。ですから開発協力費というあいまいな名目によって三億円というものが払われたというのは、従来に例がないというのが検査院の指摘なんでしょう。ですからこういう開発協力費というような補償対象が明確でない形で補償したということについては、明らかに基準に違反をしておる、こう私は言っておるんです。その開発協力費が百六十九号国道路線に使われた、そういうものに使ったのだというように固定してしまうと、あなたの言うように少しは妥当なものがあるかもしれません。だけれども、この中には、はっきりしてないから、そう私は言っておる。一般財源に入れるということを了解しておるんじゃないですか。一般財源に入れると了解してどこに使ってもいい――ただ言うならば、ここにちょこちょこと北山川開発というのが入っておるから名目的にはついておりますが、これはいまのこの基準からいうならば私は妥当なものではないと思う。ですからまた「あるいは」とか、「原則的」とかいうことばを入れてもらうと、あなたがそこへ「あるいは」を入れたために、「原則的」を入れたために、二億や三億はまた国民の血税がどこかでむしり取られるから申し上げておるわけです。
○藤井参考人 よくわかりました。確かに協力費という形であることは不当でございます。私がはなはだ血のめぐりが悪いためにお手数をかけまして恐縮であります。これはつつしんでおわび申し上げます。
○勝澤委員 私の言ったとおりかどうか、ことばをもう少しはっきりしてくださいよ。
○藤井参考人 お説のとおりに、協力費であるということは基準に反しておると思います。
○勝澤委員 そこで会計検査院にいまの三億円の点、それからいまの公共補償の閣議基準が現在ありますね、この基準に照らして――これは通産省の見解、電発の見解がはっきりしました。会計検査院としても当然なことだ、こういう補償は好ましくないともう一度ひとつ……。
○宇ノ沢会計検査院説明員 本件三億円の補償は三十七年五月でしたかの公共用地の取得に関する基準の要綱から見ましても、要綱の中にはこういうような補償に対して支払っていいということは含まれておりませんので、そういう点から見ましても、本件は不当だといって差しつかえないと思います。
○勝澤委員 奥瀞ダムというのがこれは小森ダムに変わったのですか。この辺の補償の事情はどうなっておりますか。
○藤井参考人 これはまだ補償の段階に進んでおりません。奥瀞地点は御承知のように瀞八丁の景勝地に関連が非常に深いために、電源開発といたしましては計画が非常に不利になりますが、はるかに上流の小森地点に変更いたしまして、水没戸数をなるべく減らすような計画をいたしました。当初の計画は七万キロくらいを期待しておったのでございますが、小森地点に変えまして、現在では三万キロ程度に縮小いたしまして、大きいダムでなしにごく小さいダム、しかも下流の放流もできるだけ観光等に悪影響を及ぼさないようにするつもりでやっております。補償の問題は現在折衝中でございまして、公共補償等の問題についてもまだ申し上げる段階に言なっておりませんが、いまのところそう関係のないことで、補償の要求があるようには私は承知いたしておりません。
○勝澤委員 締めくくりに政務次官、御答弁を願いたいのですが、この奈良県の電源開発の補償をめぐりましての経過はよくおわかりになったと思うのです。そして当時は実情からいいましていろいろ問題があって、やむを得ない立場で御処置をなすったと思うのです。しかしこのことは電源開発株式会社の公共補償のあり方について一つの段階を画したことなんです。これは過去にも只見川なりあるいは御母衣ダムなりいろいろ補償がありまして、政治問題にもなりましたけれども、会計検査院からはそうきつい指摘はなかったわけであります。しかしそのことがやはり徐々に補償というものが広がってきた、これは要求するものと要求されるものとの違いです。あるいはその中には地元の県知事や議会の意見もあるでしょう、あるいはその中に政治家も介在するでありましょう。しかしながら、ある程度の基準というものは設けておかないとどうしてもいけないと思う。それがこの閣議決定の公共補償の要綱にきまったものと思います。しかしそれもまだあいまいです。明確にされておりませんから、先ほどからの電源開発と私との話でも、この基準から見て違法かどうかについていろいろ疑問が出ているでしょう。しかし通産省としての意見ははっきりしております。会計検査院としてもはっきりしております。電源開発としてもはっきりしております。それでいま私は奥瀞ダムの話をちょっといたしました。これから電源開発が開発をする場合においてもまだ相当いろいろな問題が出てくることははっきりいたしております。過去の例でありますけれども、国鉄の場合近江鉄道に景色補償をした。それから駿豆鉄道が許可のないところに鉄道を敷こうとして、国鉄に補償要求をいたしました。箱根の山に変電所をつくるということで、これもひっかかりました。西熱海のホテル、これはいま委員長をやられております押谷先生がここで質問いたしましたから、どこの財閥がどうやってやったかということはおわかりになっておると思います。電源開発もまたその外にはないと思うのです。ですからやはり公共補償というものについては、限度をきっちり守られて、監督を十分していただきたいと思う。電源開発だけで守り切れないような状態があるということを私はよく聞いております。理事の方々もいろいろ御苦労されておることもよく聞いております。しかし最後の守るべきものはきっちりしておかないと、これは五億円要求があって一億にまけたから、得したのだ、損したのだという理論だけはやめてもらいたい。そういう点で、ひとつ電源開発に対する、特に公共補償等については、監督官庁である通産省として厳重な監督をしていただきたい。そういう点で通産政務次官に最後に御意見を賜わりたいと思います。
○田中(榮)政府委員 今回の奈良県下の北山川の電源開発の行ないました発電工事に関します補償問題につきましては、いろいろと問題を残しまして、まことに恐縮に存じておる次第でございます。
 私も現場のことはよく存じませんが、国会審議を通じまして、前回の委員会の勝澤委員の御質問並びに電源開発株式会社総裁の答弁、その他関係者の答弁等を徴しまして、特にこの補償支出につきまして会計検査院から厳としてはっきりした注意事項が出ておるわけであります。したがいまして、会計検査院として注意事項を出した以上は、この補償というものが適当でないという立場において会計検査院が注意報告を出したものと考えております。当時の事情として、先ほどるる総裁から事情やむを得ざるものという御説明がございまして、われわれも当時の事情としては支出やむを得なかったかと思いますが、ただし、こうした会計検査院の注意報告がある以上は、これはやはり不適当であったものと私は考えざるを得ないと思います。したがいまして、今回この問題がたまたま当決算委員会におきまして相当論議せられたのを機会に、公共事業の施行に伴う補償は、あらゆる点につきましていろいろ問題になっておりますので、こうしたことを、ひとつよい機会でございますので、禍を転じて福となすということわざもございますが、もちろん電源開発株式会社の監督につきましては最善の注意をいたしまして、今後再びこうした事態の発生せざることを期するとともに、政府全体としてのこうした補償問題についてのいろいろな論議につきましては、今後こうしたことが絶対に起こらぬようにひとつ最善の努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○押谷委員長代理 山田長司君。
○山田(長)委員 この機会に当局に伺っておきますが、これは経済企画庁あるいは通産省公益事業局長、いずれが答弁される筋合いのものか私はわかりませんが、電源開発の長期計画というものがあるのではないかと私は思うのですけれども、この長期計画によって順次電源開発というものが進められていくものと思うのでありますから、この計画は何年に始まって何年に終わりを告げようとしておる内容を持っておるか、この機会に伺いたいと思います。
○宮本政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘のように、現在電源を開発いたします場合には、必ず電源開発調整審議会の議を経るということになっておりますが、ただいま御指摘のように、長期計画としては一応五カ年先の長期計画を持ちまして、それと同時に毎年、たとえばいまで申せば三十九年度に開発すべき具体的な開発計画を、毎年きめております。先のことは御承知のようにいろいろな経済事情その他がございますので、一応ときどき修正はいたしますが、五年先の目標というものはわりあいに大ざっぱなものでございまして、具体的には毎年毎年電源開発調整審議会を開きまして、その年に開発すべき水力、火力あわせて決定をいたしておる、こういうことになっております。
○山田(長)委員 いまの計画についての内容の答弁はわかりましたが、電源開発調整審議会の責任者は総理であって、それに各関係庁の人がお入りになっているようでありますが、その調整審議会で必ずしも私は全部指示を与えているのでないという印象を持つのです。それは便宜的に、場合によれば一定規格のダムの計画をされた場合に、水源がさらにその奥にもあるではないかということで、もちろんこれは審議会もやるかもしれぬが、場合によってはその水量を利用した形でどんどん工事が進められていくというようなことも見受けるのでありますが、こういうものはやはり審議会の議を経るのだろうと思うけれども、最初から水量というものはわかっておるはずだと思うのですけれども、こういう計画が進められる過程において、急に変更するのじゃなくて、何か最初から目安が調整審議会としては立てられておるものなのかどうなのか、この点について……。
○宮本政府委員 最初の御注意の点でございますが、特に水力の場合には調整審議会の決定がなく、かってにやるということは許されておりませんし、またそういうことはないと存じます。ただ御承知のように電源開発会社の場合には、準備地点と着工地点というこの二つの段階がございます。準備地点をやります前の段階として、全体の河川の総合開発ということから、この川は調査河川であるという決定もあるわけでございますが、第二段の御質問は、おそらくそれだけ念入りにやっておいて、あとでまたなぜ変わったかということじゃないかと思うのでございますが、何ぶんにも特にこの場合もそうでございますが、たとえばダムの技術の進歩ということ、あるいは特にこの場合の変更の理由としては、初めの計画でまいりますと尾鷲のほうの漁業補償の問題がますます大きくなってくるというようなことと、片っ方で池原に大規模なアーチダムをつくるということが技術的にも可能になってきたというようなことから計画が変わったということでございまして、やはり電力の開発というものは、またそのときどきのいろいろな経済情勢に伴う電力需要が変わってくるということもございまして、一応先まで見通してはやりますが、その後の経済情勢に伴う電力需要の形が変わるということによって、計画自体を変えるという場合も過去においてあったわけでございます。
○山田(長)委員 佐久間ダムのことはいま私が言おうとする一つの事例でありますが、設計や計画変更というものが、われわれが知っている範囲で、ダムの場合に非常に多いということです。これはかなりのばく大な経費を要するダム計画というものが、そう設計や計画変更がたびたび計画遂行上に起こり得るほどむずかしいものなのかどうなのか、この点です。私にはどうも理解できないのですが……。
○藤井参考人 これは私から御答弁申し上げます。
 佐久間ダムの場合は、日本で最初の大型の土木機械、日本では全然使ったことのないような機械を、その機械の操縦方法も知らないときに採用いたしまして、最初の場合でございましたために、念には念を入れよというので計画を進めてまいりました。それで計画、設計変更が行なわれたわけでありますが、御承知のようにあのダムは日本最初の、おそらく土木技術としては日本に革命をもたらしたともいわれておるくらいでございまして、設計変更いたしましたものの、地点がいいようなせいもございまして、現在ではめずらしく安くついた発電所になっておるのでございます。
 それで私ども計画を進めます場合に、やはり大きなダム等になりますと、特に下流の将来の危険を考えまして、できるだけ安全性を考え、あるいは入念にボーリング等はいたしますが、やっておるうちにやはり思わない断層にぶつかるとか、いろいろの事情がございまして、それは当初予期しなかったようなものが起きまして、そのために設計変更せざるを得ない場合が多いのでございますが、これは一がいにどの割合に設計変更があるのだということは、地点ごとに事情が違いますために申し上げるわけにまいりませんが、奥只見のようなところはわりあい設計変更せずに済んだのです。それでも岩をめくっておるうちに右岸の上のほうに非常に弱い岩盤を見つけまして、それに対しましては相当の補強をやっておかないと、将来そういうところが故障を起こしますととんでもない災害を起こします。最近におきましても、フランスの例でございますが、フランスにも一つの問題が起こったし、それからイタリアでも昨年大きな事故が起こったりした例も外国にもございますので、私どもは安全に安全を見てやらざるを得ないために、多少の設計変更をいたしておりますけれども、設計変更の大きな理由は、いま言ったような主として地質による予期せざるところの事態で設計変更するということになっておるのでございます。
○山田(長)委員 時間の関係で、運輸大臣がお見えになることになっておりますので、あと一点だけ伺っておきます。
 大体今日まで電源開発の補償の問題を伺っておりますと、補償基準というなかなかむずかしい問題に常にぶつかって苦労されていることはわかるのでありますが、やはりこれは補償の基準というものがどういう形でか打ち出されませんと、なかなかこれからも私は困難な事態にぶつかることが多いだろうと思うので、この点を第一番に考慮される必要があると思うのでございます。
 それから次にちょっと伺っておきたいことは、御母衣ダムで、ダムの隣の村に水が漏っているということを耳にしておりますが、これについての補償の問題はどんなふうに進んでおりますか。
○藤井参考人 これは多少誤解があるのではないかと思いますが、現在第二御母衣ダムというのをやっております。これは国有林で、白山の中腹につくっておるロックフィル・ダムでございますが、そこは火山地帯でございまして、予期せざるところから、御承知のように火山岩でございますから、いろいろな思わないところにポーラスな岩盤があったりいたしまして、多少当初考えたよりも水をよけいに漏水しておるのでございますが、それは全然家のないところで、その下になお関西電力の発電所があって、それからさらにずっと下のほうに部落があるのでございますが、そのほうに悪影響を及ぼすような事故を起こしておるわけではございませんので、これは何か隣の村へ水が漏っておるというふうに伝えられておるのは、多少誤解ではないかと存じております。
○山田(長)委員 火山地帯でやはり幾らロックフィル・ダムにいたしても、そのようなダムをおつくりになられたということについては、どうも私には理解ができないことがあるのですけれども、一体将来の見通し等についてこれで完ぺきなのですか。
○藤井参考人 これはもちろんロックフィル・ダムでございましても火山地帯は火山地帯のように安全を見た施設をいたしておりまして、いまの漏水の問題等につきましては、グラウトと申しましてセメントのミルクを大規模に注入いたして将来の危険のないような措置を講じつつ工事を進めておる次第でございます。もちろん私どもは人畜に対する被害というものが最もおそろしいのでございまして、これに対しましては万全の策を講じておるのでございます。幸いに今日までは少し安全を見過ぎるのじゃないかと言われるくらいにやっておるつもりでございまして、まず御心配になるようなことはないと思います。現に非常に地質が悪いということが予見されたようなところは、もう工事を初めから着工することをやめておる地点すらございまして、火山地帯だからといってどこでもやるわけではございませんで、やはり相当安全性を見て計画を進めております。
○押谷委員長代理 参考人各位には、委員会の調査に御協力をいただきまして、まことにありがとうございました。これで終わります。
     ――――◇―――――
○押谷委員長代理 次に、昭和三十六年度決算外三件及び三十七年度決算外三件を一括して議題といたします。
 本日は運輸省所管について審査を行ないます。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。山田長司君。
○山田(長)委員 大臣に伺いますが、不勉強で、どうも国際空港というところをあまり知らなかったのです。ところが国際空港と名のついておる国際飛行場の中に民有地があったり、それから政府当局と連絡のある、契約書も結ばれておりまするが、空港ビル会社があったり、これは全く私は最近まで不勉強で知らなかったのです。ところが、羽田空港の敷地の中にある民間会社が一部所有権の争いで当局とけんかをしていたようでありますが、このことについての結論はどうなりましたか。
○綾部国務大臣 具体的の問題はどういうことでございますか存じませんが、事務当局にその具体的な事実についてお答えさせます。事務当局でわからぬことを私がお答えします。
○堀説明員 おそらくいま訴訟になっております野本事件のことをお尋ねになっておるのではないかと思いますが、これは昭和五年に逓信省の当時に約二十万坪の土地を羽田空港の用地として買収をしたのであります。その後、進駐軍から返還された昭和二十八年だったと思うのですが、昭和二十八年に初めて、同じ場所に違った地番が二つできて登記されておったということが発見をされまして、それでいま訴訟中でございます。第一審の判決は国の勝訴ということになっております。
○山田(長)委員 そうしますと、この国際飛行場の中にありまする民有地と政府側とのけんかは、まだ解決がついておらない。裁判上からいって、これはいつころの目安になりますか。
○堀説明員 いま二審の最中でございまして、裁判のことでございますので、いつごろ解決がつくかということはわかりません。
○山田(長)委員 これはやはりだれも、国際飛行場と名がついて、日本の場所だと思って、国民の関心の的になって、最近はだいぶ見物人も多く行かれますが、しかも、争いの中心になっておるなんていうことがあったということを実は知らずにいて、いまの御答弁でまだ解決のつかぬということもわかりました。
 そこで、最近飛行機の発達に従いましてジェット機の往来もかなりひんぱんになってきているようでありますが、周囲の住民、これらの人から苦情が出るようになったようであります。これについてはどんな解決方法でこのジェット機の発達による騒音の結論をお出しになる御予定ですか。
○堀説明員 二、三年前から羽田空港にジェット機が離発着するようになりましてから、付近の住民から騒音問題についていろいろ苦情が出ておることは事実でございます。それで、これに対する対策といたしましていまやっておりますことは、まず第一に、夜の十一時以後のジェット機の離発着を禁止するという措置をいたしまして、付近の住民の安眠を妨げないようにということをまずやっております。なお、飛行機の操縦側から、あの民家密集地帯、いわゆる北のほうに向けて離陸する場合は、離陸してすぐ右旋回をいたしまして海のほうに早く抜けるという飛行方式をとるように指導をいたしております。南のほうに離陸する場合は、すぐ海でございますのでその騒音の問題の心配はございません。こういうような状況になっております。
○山田(長)委員 これらの結論につきましても、なかなかこれは困難なことだということはわかりますが、地元住民は、最近の苦情を聞くと、夜も寝られないというふうなひどい騒音のようです。この点どうぞ当局におかれましても、地元住民のためにただいまのようなことの実施をより一そうやっていただきますようにお願いいたしたいと思います。
 それから航空ビル会社の問題です。この航空ビル会社なるものを私はやはり不勉強にして知らなかった。ところがこの航空ビル会社の中には国の行政財産もあるようであります。そこで、さらに国有の賃貸契約等につきましても、書類を取り寄せて調べてみましたが、当初の面積からいいますとだいぶ面積がふえているやに見受けるのですが、どの部分がふえたのか。それから有料駐車場ができておるようです。この有料駐車場の料金等については、当局がむろんお許しになったことと思うのでありますけれども、どのくらいな面積が、有料駐車場に国有地の場所が貸し与えられておるか。同時に、この地図を見ますと、国有地以外の民有地も駐車場になっているようでありますけれども、この点についても御答弁願います。
○堀説明員 飛行場の経営につきましては各国いろいろの方式がございます。国際空港で一番多い方式は、空港全部を国営という形で経営する場合が非常に多いようでございます。それからその次には市営、その地元の市の経営、それから公共企業体のような形で経営する場合もあります。それで、日本の場合は飛行場の基本施設につきましては国が設置し、管理をいたしておりますが、ターミナル・ビル、それから給油施設その他付属施設につきましては民営を許しております。こういう例は外国にも若干ございます。現在羽田ではターミナル・ビルが空港ビル会社というもので経営されておりますが、設置した当初はわりと小さなビルであったわけであります。その後旅客がだんだんふえるに至りまして、それを拡張する必要が起こりましたので、最初国が考えておった土地の面積がだんだん広くなっていったという経過がございます。
 なお、有料駐車場の中に民有地があるではないかというお話でございますが、羽田の空港の面積はいま百十四万五千坪くらいございます。その中に民有地が三万六千九百二十五坪、まだ残っております。これは政府としては漸次買い上げていくという方針で従来から買い上げてきておりますが、値段の折衝その他いろいろな事情でうまく話がまとまらないものがまだ残っておるわけでございます。毎年、話のついたものから予算を要求いたしまして、漸次これを買収をいたしておるわけであります。たまたま駐車場を設置いたしました中に一部民有地がありましたが、その部分だけさくをして駐車場からはずすということもいかがか、いろいろ不便な点がございますので、これも含めて駐車場といたしておる次第でございます。
○山田(長)委員 私はこれも初めて耳にしたことなんでありますが、何々方面行きという放送がされておるし、それからまた車を預けた人の番号等を呼び出しをする、これらはみんな会社側で金を取っているそうですが、どうも公益性のあるものとして――われわれはそういう方向を呼び出したりあるいはお客さんで困っている人を呼び出したりするものまで、料金を取られている対象になっているということを全然知らなかった。一体そういう点、料金を取るというようなことでは私は親切味が欠けると思うのですよ。もっと、何とか当局において指導のしようがありそうな気がするのですけれども、どうして呼び出すことにまで料金を取らなければならないのか、どうもこの点が理解ができません。
○堀説明員 従来駐車場は無料ということであったわけでありますが、その後だんだん車の数がふえてまいりまして、おりてきた旅客が自分の車はと、探すのに非常に苦労する。それで客を待っている自動車の運転手から、休憩場所がない、あるいは便所がない、いろいろな苦情が出てきたのであります。それで運転手の休憩所、便所、それから自分の車の呼び出しも、たとえば雨の降った日にとことこ車のそばまで行かなければ自分の車を呼び出せないというようなことをなくするために、放送呼び出し施設をつくったほうがいいということになりまして、それらの施設をすること、並びにそれらに必要な要員の経費をまかなうためにこれを有料としてやったほうがお客さんのためになるのではないか。料金は四十円でございますが、それもコストをまかなう程度ということで、こういうふうにいたしておる次第でございます。
○山田(長)委員 国際空港でありますので、ほかの国の実情は知りませんけれども、呼び出しすることまで料金を取る、それから置き場所も、国有地である場所を自動車置き場にしておるのに、そこから金を取るというようなことでは、全く金取り主義の印象を持つと思います。私は国会の車で行った場合にそれが無料であって、今度別な車で行った場合に金を取られたので初めて気がついたんですけれども、おそらく議員の人たちなどは、国会の車で行くから気がつかずにしまっているのではないかと思うのです。これは相当な額が上がっておると思うのですけれども、この金はどこへ入れるのですか。
○堀説明員 このような駐車場施設は、外国の国際飛行場には数多く見られる例でございますが、羽田におきましては、この駐車場のこういう施設をされてこういうサービスを提供しておるのは、空港ビルがやっております。したがってこの施設をしたのは空港ビルでございまして、運転手の待ち合い施設、それから呼び出し施設、便所、それからその要員の提供も空港ビルがやっております。したがって空港ビルがそういうサービスするための経費としてそういう料金を取っておるわけでございます。なお全部が全部有料駐車場ではございませんで、半分くらいは無料のところが残してございます。
○山田(長)委員 この点の理解に私はどうも苦しみますが、それではその収入はどこへ入るのですか。
○堀説明員 ただいま申し上げましたように、それらの施設をしたのは、空港ビルであり、その要員を提供しておるのは空港ビルでありますので、それらの経費をまかなうために空港ビルの収入として空港ビルが取っております。
○山田(長)委員 日航に対する賃借料は、同会社に対して国が六〇%以上の出資をしているのだが、行政財産を使用する立場においては、少し高過ぎるのじゃないかという印象を持ちますけれども、この点はどうお考えになりますか。
○堀説明員 国の土地でありますので、空港ビル会社からは使用料を取っております。四百三円取っておりますが、これは毎年百円ずつ上がりまして、七百三円までいくことになっております。したがって空港ビルは、国に対して坪当たりその土地の使用料を国に払う、そして空港ビルがいま言ったような呼び出し施設それから休憩施設等をつくって、その料金を一台四十円ばかりでございますが、取ってその経費をまかなっておるわけであります。
○山田(長)委員 空港ビルの社長、重役陣がほとんど運輸省の人じゃないかと言われております。運輸省から一体どのくらいの人が入っておるのですか。
○堀説明員 社長の秋山さん、それから専務の山口さん、あと常務の星野、阿部という四人でございます。
○山田(長)委員 だいぶ大ぜいの方が入っておって、さらにこの中の家賃の体系を見ますと、この間まで借家争議のようにいろいろ議論があったようでありますが、改定された料金表を見ますと、あの中にある売店等の料金や事務室や倉庫、これらの料金がかなり改定されて上がったようであります。一体こういう状態をつくり出さなければ、この空港ビルはもうからないのですか。あの見送りなどに来る人たちの料金というものは、ばく大な料金が上がっているのじゃないかという声が出ております。これらの料金等も、修学旅行学生などがみんな来て見送り場所へ入ると金を取られてしまうので、大ぜい連れていくとよけい金がかかってしょうがないということを聞くのですけれども、一体どのくらいの収支状況になっておりますか。
○堀説明員 空港ビルは昨年大改築をやりまして面目を一新いたしたのであります。そこでこの大改築あるいは拡張に要したいろいろの資本経費をまかなうために、最近その料金の値上げをいたしたわけであります。この空港ビル会社の家賃はいままで八年の間据え置かれておったのであります。この増改築の機会に三〇%ないし四〇%の値上げをいたすことはやむを得ないということで認めている次第でございます。小学校の学生その他の見学者の料金も上げておりますが、これは見学者のためにいろいろ施設をいたしております。便所、それから暖房、休憩用のいすとか休憩室とかあるいは学生のための学習コーナーあるいは航空教室というような、見学のためのいろいろな施設もいたしておりますので、いわばサービスを非常に向上したということもございますので、見学料金の値上げもある程度やむを得ないというふうに考えております。
○山田(長)委員 空港における税関、それから出入り口の管理事務所、検疫等、現に国の機関の使用しておる場所もございますが、これの建築費の割合なんというものはどんなふうになっておったものですか。
○堀説明員 ターミナル・ビルは総坪数が一万百八十二坪、延べ坪数が二万六千百三十四坪でございますが、そのうちの官庁部分の延べ坪数は四千二百八十坪でございます。
○山田(長)委員 建築費の割合を聞きたい。
○堀説明員 建築費の二割が官庁部分の建設費でございます。
○山田(長)委員 最近航空事故が非常に頻発しておるようでありますけれども、これらの指導、監督は、当局はどんなふうに常にやられておるのですか。
○堀説明員 航空事故に日ごろ対処するために、航空については特にいろいろきびしいことをやっております。それは運航規程とか整備規程ということがありまして、二重、三重の安全装置を平生からしておるのであります。たまたま事故が起こったときは、必ず係官が行ってその原因を調べて、その原因がわかれば、再び同じ原因による事故は絶対起こさないようにということで、全業者に、今度の事故はこういうところに欠陥があったから、こういう点に以後十分注意をしろということを、必ず通牒でもって注意をいたすような措置をいたしております。なお、ごく最近、頻発をいたしましたので、臨時航空事故調査団というものを専門家のグループによって編成をいたしまして、各現場をくまなく調査をして、原因となるべきような点を事前に取り除くようにいたすことにいたしております。
○山田(長)委員 小倉の飛行場は航空局の監督下に入っておりますか、管理下にあるのですか。
○堀説明員 小倉の飛行場は、国が管理をいたしておる空港でございます。
○山田(長)委員 同飛行場は旧軍の曽根飛行場であって、その後塩田に使用する目的で、随意契約で小倉塩業株式会社へ坪当たり三十円でこれを払い下げたのだと思うのです。これがあとで転売されて、国がこれを拡充して飛行場にしたものでありますが、これはどんな経過で国のものになったのですか。
○堀説明員 小倉の飛行場用地は、昭和十九年二月に旧陸軍が、飛行場用地として、当時塩田であったものを買い上げております。それで、終戦後の昭和二十年十二月にその財産を大蔵省が引き継いで、それと同時に進駐軍が接収をいたしております。昭和二十八年の十二月に進駐軍の接収が解除になっておりまして、三十二年の六月に運輸省に所管がえになっております。
○山田(長)委員 大臣に伺いますが、御承知のように飛行機もジェットの時代になってきて、聞くところによるとスリー・マッハの旅客機さえできるように伺っております。こういう変化をしてくる飛行機に対して、現在の飛行場の設備というものがはたして十分であるのかどうかということについては、われわれ非常に疑問を持ちます。聞くところによると、日本の飛行場というものが、あるいはローカル線の飛行場になるのじゃないかといううわささえ出ておるようであります。一体スリー・マッハの飛行機に対処する飛行場の建設について、どういう構想をお持ちになっておりますか、ちょっとお尋ねします。
○綾部国務大臣 飛行機の発達は御趣旨のように日進月歩でございます。例の超音速機というのがいま実験時代で、実用時代までにはまだかかるやに聞いておるので、わが国といたしましては、その超音速機が離着陸できるような飛行場を、それが実用化する昭和四十六年までに建設いたしまして、そうして日本を極東の航空基地にしてまいりたい考えのもとに、目下研究をいたしております。しこうして、本年度の御審議を経ました一億円の調査費がございますので、どこが一番適当であるか、どの程度の坪数が適当であるかというような点について、何といたしましても年度内に――早ければ早いほどいいのですが、基本的な問題でございますから、まず場所の選定について調査をいたし、しかる後にその建設方式、すなわち国が直轄でやるがいいか、あるいは第二東京国際空港の財団のようなものをこしらえて建設するのがいいか、そういう点につきましても鋭意調査をいたしまして、そうしてきめたい、かように考えております。いずれにいたしましても、現在の空港では、いまですら非常に離着陸がふくそうしてまいっておりますから、この上今後の飛行機の発達に――東京はじめ大阪、福岡等の飛行場でも、いまの超音速機を入れることは非常に困難だと思いますので、ただいま申しましたように、大規模の第二空港と申しますかを調査いたしまして適当な処置を考えたい、かように考えております。
○山田(長)委員 その場合に――どうも羽田の飛行場を見た場合に、民間資本やあるいは民間の所有者が存在するというような事態はまことに不明朗と思うので、そういう基地をつくられるときの構想というものは、こういったビル会社などというものはつくらない方針で進めなければならぬと私は思いますが、これについて大臣の構想はどうですか。
○綾部国務大臣 大体面積は最低七百万坪必要とするように、航空審議会では答申が出ておりまして、それよりも大きければ大きいほどけっこうだということが一つ。それから現在の飛行場の管制上支障のない場所――と申しますのは、羽田を中心といたしまして、この関東付近では空の航路というものは非常に錯綜しておりますから、事故を起こさないために航空管制上の観点、この二つから考えまして、いま調査を進めております。そうして最低七百万坪、それより大きければ大きいほどいい、そういう方針でやっております。
○押谷委員長代理 吉田賢一君。
○吉田(賢)委員 大臣に伺いますが、超音速時代にすでに入ろうとしておる際でありますので、いわゆる新国際空港の問題はきわめて重大な課題であろうと考えます。あなたのほうで発表いたしました航空事情を書いた書物によりましても、英仏の超音速機開発の共同事業の状況といい、またパン・アメリカンがこれに対して大きな発注をした事情といい、あるいはアメリカ連邦航空局の諮問グループなどは、最終的にはマッハ・三・五のSSTをつくるべきであるというような、きめつけた勧告をしております。また、即刻マッハ・三、航続距離三千八百六十キロのものを開発せよ、こういったようなことの相当多額の予算を、ケネディ大統領におきましても国会の承認を求める申し出をしたというような事情も伝わっております。こういうことを思いますと、日本の立場というものが、とりわけ外国に行くのには陸路を行けないのであります。船を利用することは、これは旅客としては時代錯誤でありますので、航空第一になっているだろうと思うのであります。これが国民の常識的なただいまの観察なのであります。この常識的観察に立ちまして考えましたときに、一体運輸大臣として新国際空港をどうなさるのかということにつきまして、私はもっとはっきりとした態度、方針が明らかになっておらねばならぬと思います。あなたの手によって昨年の八月の二十日、航空審議会に向かって新東京国際空港の候補地及び規模の諮問をしておられます。精細な答申が出ましたことは、新聞紙その他によって国民広く知らされております。そこでこのような場合に、私は大臣の立場として、この答申を尊重するのかしないのかという態度は、もっと明確に国民に示してもらわなければならぬ。あなたはまことに老練な政界の先輩でありますから、政界のいろいろなことについて何もかもみな体験をしておられる方でありますが、あなたは行政の首長といたしましても、この重大問題の解決の段階に相当積極的な明確な態度をどうしても示してもらわなければいかぬと思うのですが、これはいまの山田委員の質問に対する御答弁では、私は満足できないのであります。この答申を尊重されるのかされないのか、そこからひとつあなたの腹をきめてもらいたい。御答弁願いたいのですが……。
○綾部国務大臣 お説のように、この問題は非常に重大な問題でございますから、まず航空審議会に意見を徴しまして、その答申を得まして、それにつきましてまたいろいろな意見が出てまいります。私といたしましては、この間あった答申のままを実行する意思を持っておりますが、さらに問題か大きなだけに万遺憾なからしめる意味で本年度予算を要求して、そうしてさらに専門的によりいい場所が日本にありはしないかということを調査研究いたしまして、最後の決定をいたしたいと思っております。
○吉田(賢)委員 この新国際空港の候補地を設定するという問題は、私はやはりこれは行政大臣の専権に属する事項じゃないかと思うのです。これはどうしても内閣に移して、そして内閣の意見として決定をしなければならぬ筋の案件じゃないと思うんです。これは内閣法によっても組織法によっても、また憲法の行政権の主体である趣旨によりましても、またあなたが運輸省の長として各種の行政業務を分掌されております、この運輸省設置法の法律の趣旨から考えましても、これはやはり運輸大臣の専権事項だろうと思うのです。あなたが必要だろうと思うときは、閣議にはかるということは、これはいいと思います。その場合に、十二月十一日に精細な理由のついた答申が行なわれて、そして紙上伝うるところによりますと、同十二月十七日の閣議にあなたが御報告になったらしい、そういう記事までも伝わっているのです。そして、閣議ではこれは反対なさる人があるんですか、一体その辺はどうなんです。これは国会でありますから、これはどうしても大事な問題でありますからお漏らし願いたい。
○綾部国務大臣 問題が重大なだけに航空審議会の答申を閣議へ報告いたしまして、また閣僚の意見を聞くことも大切なことであると思いまして、それを閣議に報告して各氏の意見を聞いたのでありますが、反対という者はありません。こうしたらどうか、このほうがベターではないかという意見もありましたが、反対という者はだれもありません。ただあなたが心配されるように、これは政府の施策としても非常に長期を要しまして、ばく大な国費を要する問題でございます。あるいは国費でなく民間の金でやるようになるかもしれませんが、そのやる組織についてもさらに検討をいたしたい、かように考えまして閣議へ報告して閣僚諸公の意見を聞いたのでありますが、その結果さらに調査することがよりいいと私は考えまして、今年度一億円の調査費を要求しまして、その点はさっき山田委員の質問に答えたように暦年度の今年末までの間にきめたい、かように考えてやっております。何人の制肘も受けません。御趣旨のとおりに、内閣法その他の行政官庁の組織法に従いまして、私の専決事項でありますから、意見は聞きますけれども、最後の決定は私の判断によってやる考えであります。
○吉田(賢)委員 閣議におきまして反対はないけれども、よりベターな場所ですか候補地ですか、そういう意見も出るというのは、一体区域とすればどの辺でありますか。
○綾部国務大臣 第三国際空港と申しましても、超音速機になれば二時間足らずでアメリカに行けるんですから、日本の第二国際空港に着いてから一時間も二時間もかかるようでは意味がありませんから、やはり東京近郊にすべきではないか。東京近郊にすればどこがいいか、東京に三十分か四十分以内で来るためにはどこがいいかということについて、いませっかく調査をいたしておるのでございます。その調査の結果、航空審議会であそこがよかろうという答申がありました。しかしそれよりさらにいいところがあるという人もありますから、なお調査に慎重を期しておるというのが現状でございます。
○吉田(賢)委員 われわれのところにも、富士のすそ野にしてはどうかとか、あるいは名古屋の付近にしてはどうかというような私信をよこしたり、国会への陳情的な文書がきたりいたしておりますが、もしこういった巷間の意見に耳をかすということであるならば、これは九千万の国民に一々聞いて回らなければなりませんから、それはおおよそナンセンスであります。そこでせっかくあなたが選考された委員諸氏が満場一致――この間、当委員会におきまして平山会長、政府側その他の関係の方々に出てもらって、委員会の多数意見はいかがかということも聞いてみたが、やはり満場一致です。どういう委員の顔ぶれかと見ますと、あなたに特に報告的に申し上げるわけではありませんけれども、われわれが見てみますと、これはこれ以上の人選はちょっとできないような顔ぶれです。これは国鉄の総裁も入っておれば新聞社の方も入っておるし、それからまたその他各方面の権威者、ことに専門委員に至りましては、およそわれわれが考えてみましても学者あり、実際家あり、あるいは技術屋さんがあり、あるいはまたその他農林省、建設省、首都圏整備委員会等あたりに至りますまで人材を網羅しておられます。あるいは検査等のたんのうな人までも入っておる。こういうような専門委員が二十一名ですか、できておるようであります。こういう人材もしくは経験者をえりすぐったその審議会におきまして、八月から十二月までの間に正式に委員会を開くこと五回だそうです。そしてまた各委員、専門委員の方は各方法で調査をなさったり、あるいは検討もされたらしい。そういう至れり尽くせりの審議会の経過をたどって調査され、調査費が一億円もけっこうですが、なお調査するというのは一体人をかえて調査するのか。詳しく調査するといったところで、場所の調査くらいならきわめて常識的にできるわけです。こういうような人々をたよらずに別の手で調査をするというのか、研究するというのか。もしこれがこの人たちだけによって不十分だというならば、全部解任してしまったらいいと思うのです。そして新たにそれは運輸大臣として責任を持って天下に人材を求めたら私はいいと思うのです。事さほどに重大でもあるし、切迫もしておるし、国民の関心は深刻、重大なんです。委員のうちの一人に全日空の社長がありますが、この方は、読売のことし二月十六日の記事によりますと、政府の無定見ぶりには驚くのほかはないといってきめつけております。フランスの中国承認などをきっかけにして中国の国連加盟も現実の問題となっておる。中国は遠からずSST時代に対応して、上海あたりに巨大な国際空港を建設するだろう。土地は要るだけ自由に求められる。労働はお得意の人海戦術で幾らでもやれるというようなこと、気象もまた全く問題がない。土地があり、手があり、気象も問題がないこのような好条件に恵まれておるならば二年もあるならば完成するだろう、こういうことを言っております。
 そこで、日本におきましては新空港のめどが立っていない、こういうことです。この権威者を網羅いたしましたものが議を練り手段を尽くして答申をした、閣議において反対はない、しかしよりベターな意見があった、あちらこちらいい場所がないかとさがし回っているというのでは、綾部さん、これは政治じゃないですよ。まことに失礼ですが、あなたにしたって百年大臣でおられるわけじゃあるまい。暦年、本年じゅうに場所を決定するとおっしゃっておりますけれども、問題は私はそうでないと思う。もっと何か有力な、腹は反対、ほんとうは賛成しないというような空気もあるのではないだろうか。もしそうであるならば、これはたいへんな一つの背景となるのではないだろうか。事さほどに、私は一切を賭して真剣にこの問題の解決をしておかねばいくまいと思う。もし未解決のうちにあなたが桂冠されてしまうのだったら、あとの大臣は一体どうしますか。そんなことさえ私は考えるのです。ですから、あなたが暦年、本年じゅうに場所を決定する、また規模その他を決定するという御意思であろうけれども、もしほんとうにこれをおやりになるのならば、私どもしろうとながら、いろいろな方の意見を聞いたり当委員会における質疑応答の経過にかんがみまして、これは現段階におきましては最善の答申ができている、こう思う。頭から批判が出ません。また出るだけの根拠もないでしょう。そして批判が国民の前に明らかにされないまま、政府はまた場所さがしをやります、そんな場所さがしというのでは、綾部さん一億円の調査費は泣きますよ。私はそう思うのです。ですから、これはほんとうに生きた政治です。この生きた政治にもし失敗いたしましたならば、東洋におけるSSTの空港は中国にいってしまいましょう。専門家が言うところによれば、ヨーロッパに一カ所、東洋に一カ所、北アメリカに一カ所と言っておりますが、ローマになるのかパリになるのか存じませんけれども、いずれにしてもあちらは条件は簡単です。日本は違います。われわれしろうとながら、もし上海付近にこの空港が新設されて、東京がローカル線の空港に脱落するということになったら一体どうしますか。その行政責任、政治責任は国民に対してどう弁解しますか。問題はそこにあると思う。だから、これは国鉄が駅を動かしたりする問題とは違います。超音速は世界制覇の時代に入るといわれるのですから、いわば永久に脱落の運命をたどると思うのです。私、あなたを弾劾する意味ではない。けれども、われわれしろうとながら、常軌を逸した怠慢だといわざるを得ない。だから叱吃激励したいのです。あなたに対してどんなに妨害があろうとも、批判があろうとも、反対がないというならば、あなたは主管大臣として、内閣の専権じゃないのですから、閣議で決定するというよりも、行政大臣の専権においてこれは強く主張せられて、そしてノーかイエスかはっきりせられて、これはあなたの職を賭して解決するというふうにせられなければいくまいと思う。この問題は未解決のまま終わりになったら国民は泣きますよ。取り返しがつかぬのです。そういうふうに私どもは考える。
 ですから、私は御意見をはっきりしておきたい点は、審議会のこういう委員、専門委員が議を練り手段を尽くして答申したものと思うが、場所もその他の候補地も全部批判が載っておりまして、最終的にはやはり千葉県の富里地域、こういうことに決定を見ております。木更津にしたところで地上管制上どうにもならぬ。浦安も私ども見に行きました。この間またほかの関係で江戸川の水系を上から見ましたが、ずいぶんとどろも海に入っておるようですが、これは特殊な海底で、そういう特殊な地質におきまして工事はどうだろうかと尋ねてみますと、相当ばく大な金がかかるらしい、おそらく三千億円もかかるのではないだろうかという人もあります。あまり高過ぎることや、いまの騒音問題もありますから、あれこれ考えますと、浦安は問題にならぬだろう。木更津も問題にならぬ。西のほうの厚木等については、行政協定がある限りはいまのところどうにもならぬ。霞浦、これも自衛隊もある。まさか富士山のすそ野であるとか名古屋のどこそこであるとかいうところは、どうもくろうとに聞きますと、それは大臣、問題になっておらぬのです。そういうことを思いますと、私はともかく七月までにこれをきめなければいくまいじゃないかと思う。七月は総裁の選挙とかいわれます。このまま皆さんがいかれるのかどうか知りませんが、ともかく七月までに――国会がもし延長するのなら、その間にきめてしまったらいいと思う。きめてしまわなければ重大な国策上の大失態を残す危険があると思うのです。いかがでございましょう。
○綾部国務大臣 大体私の考え方と同じでございまして、私はあなたと同じような考えのもとに何とか早くきめたいと考えておる次第でございますが、何ぶんにも御承知のように国鉄に次ぐ国家の大企業であろうと思いますので、慎重の上にも慎重ということで現在議を練っておる次第でございます。御趣旨のとおり、超音速時代がきましたならば、世界の航空基地はアメリカが一つ、ヨーロッパが一つ、極東では日本が一つ、こういう理想のもとに私は考えて善処いたしたいと思っております。
○吉田(賢)委員 私は前段は同じなんです。前段の認識理解は同様でございます。これはどなたに聞いても何の違いもありません。しかし、後段の具体的な結論、どうするかという具体策につきましては、あなたとは百八十度の違いができております。そこで私があなたの御意思をほんとうにきめてもらいたい点は、それはあちらこちらと場所を探し回りなさるのもけっこうですけれども、ともかく早急に、その意味は、できれば今月、来月あたりにも閣議に再び持ち出しなさって、反対意見がないということであるならば、あなたとしてはこれを答申案どおり決定するということを強く御主張になってはいかがかと思うのです。ぜひあなたの手によって実はわれわれもやってもらいたいと思うのです。この点をお聞き申し上げておるのです。
○綾部国務大臣 たびたび繰り返すようでございますが、あなたと御趣旨において大体同意見でございますが、私のとるべき態度について御趣旨のようにするかしないかは、私の自由にまかせていただきたいと思います。
○勝澤委員 関連して。航空審議会の決定について大臣も御賛成ですから、大臣も私も場所はきまったものと私は認識しているわけです。そこで、きまった前提で来年度からの予算の国際空港をつくる構想は、どういうふうにお考えになっておりますか。
○綾部国務大臣 それがさっき申しましたように、国の直営でやるかあるいは別個の経営団体をこしらえてやるか、そういうようなことについても調査しなければいけないのです。そこで私は一億円の調査費を使いまして、どうすることが一番いいか、それからどれくらいの規模にするのがいいか、予算はどれくらいにするのがいいかというようなことを年末までに決定いたしまして最終決定に持ち込みたい、かように考えております。
○勝澤委員 各界の優秀な人たちが集まって航空審議会で満場一致きまったことで、現大臣も全くその意見に同感だということは明確になっているわけでありますから、それが全然しろうとのわけのわからぬ大臣が、と言えばおこられるかもしれませんけれども、専門でない、閣議の中でそういう意見が出たということも新聞で伝えられております。ですから、もし大臣が七月以降留任するのが確実ですならいいですけれども、この位置がもし変わるようなことになったら、とにかく大きな政治問題になるということを、この際ひとつ明確に私は申し上げておきます。大臣も承知されておることでありますから、もしそんなことがあるようだったら、これは国会内外で大きな問題になるということをつけ加えて、大臣にひとつ勇気を持って早急におやりになるよう、いま言ったような意見をつけ加えて、要望いたしておきます。
○吉田(賢)委員 これでおしまいにいたしますけれども、そういたしますと、現在の羽田国際空港はそのまま存置するという、これは一つの前提になっているわけですね。そう了解してよろしゅうございますね。
○綾部国務大臣 国際空港の第二国際空港ができるならば、現在の羽田はやめたらいいじゃないかという議論を私のところに言ってくる人もあります。私はさような乱暴な意見には賛成しません。何となれば超音速機の時代になりましても、国内の航空というものはよりだんだん発達してくるのでございますから、それに備えて置いておかねばならぬということが一点と、すでに、国家的に考えまして数千億の金をいまの羽田には使っておるわけなのです。それをつぶしてしまえなどという議論は、私は日本の経済の実情からあり得ないと考えておりますから、さような点は私はここで絶対につぶすことはないということを明言いたしておきます。
○吉田(賢)委員 それからもう一つ、近ごろ千葉の県庁あたりでは、何か小川構想ということばがしきりに使われておりまして、どういうことなのかと私どもも議員の人々にいろいろ聞いてみたりしたのでありますが、やはり別な角度から羽田をつぶすべし、そして木更津あたりが一番最適の場所だというような勧告が、産業計画会議から三十九年の三月四日付で政府に出ているのですね、そういうメンバーの中の一人らしいのですが、そういうようなことも、これはいろいろな雑音の一つとして聞いておいてよいように思いますけれども、これがかなり大きな一つの抵抗といいますか、力になって動いてきているようであります。これはいまの東京湾の埋め立て工事だとか、いろいろ大げさな宣伝すらもされておるのでありますが、そういったことは国際空港の場所の選定という場合に、積極的な関連はないのでありましょう。そんなことは全然お考えになっておらぬでしょうね。これは県庁あたりで伝わってきたことでありますので、単に申し上げて御意見を聞くだけですけれども、とにかくそういうようなどこに何が伏在しておるか、風説とも事実ともわからぬようなことが重要な場所に伝わっておるのであります。これは新国際空港の場所選定には関連がないことでしょうね。
○綾部国務大臣 さようなことを私も聞いておりますが、さようなことを現在運輸省といたしまして考えることは絶対にないのでございます。
○押谷委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三十八分散会