第046回国会 決算委員会 第25号
昭和三十九年六月二日(火曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 白浜 仁吉君
   理事 押谷 富三君 理事 鈴木 善幸君
   理事 竹山祐太郎君 理事 片島  港君
   理事 勝澤 芳雄君 理事 山田 長司君
      菊池 義郎君    田川 誠一君
      根本龍太郎君    原 健三郎君
      森本  靖君    吉田 賢一君
 出席政府委員
        宮内庁次長   瓜生 順良君
        総理府事務官
        (宮内庁皇室経
        済主管)    小畑  忠君
 委員外の出席者
        会計検査院事務
        官
        (第一局長)  保川  遜君
        専  門  員 茨木 純一君
    ―――――――――――――
五月二十七日
 委員栗原俊夫君及び森本靖君辞任につき、その
 補欠として山崎始男君及び井谷正吉君が議長の
 指名で委員に選任された。
同日
 委員井谷正吉君及び山崎始男君辞任につき、そ
 の補欠として森本靖君及び栗原俊夫君が議長の
 指名で委員に選任された。
同月二十九日
 委員森本靖君辞任につき、その補欠として山崎
 始男君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員山崎始男君辞任につき、その補欠として森
 本靖君が議長の指名で委員に選任された。
六月一日
 委員田中織之進君及び森本靖君辞任につき、そ
 の補欠として横路節雄君及び岡田春夫君が議長
 の指名で委員に選任された。
同月二日
 委員岡田春夫君及び横路節雄君辞任につき、そ
 の補欠として森本靖君及び田中織之進君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十七年度一般会計歳入歳出決算
 昭和三十七年度特別会計歳入歳出決算
 昭和三十七年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和三十七年度政府関係機関決算書
 昭和三十七年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和三十七年度国有財産無償貸付状況総計算書
 昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書
 皇室費、総理府所管(宮内庁関係)
     ――――◇―――――
○白浜委員長 これより会議を開きます。
 昭和三十七年度決算外三件を一括して議題といたします。
 本日は皇室費及び総理府所管中、宮内庁関係決算について審査を行ないます。
 まず皇室費についてその概要説明を求めます。瓜生宮内庁次長。
○瓜生政府委員 昭和三十七年度皇室費歳出決算についてその概要を御説明いたします。
 本年度皇室費歳出予算現額は五億五千一百四万六千円でありまして、支出済み歳出額は五億四千五百三十五万二千三十二円であります。この支出済み歳出額を歳出予算現額に比べますと、五百六十九万三千九百六十八円の差額を生じますが、これは宮廷費において不用となった額であります。
 次に、支出済み歳出額について事項別に申し述べますと、内廷費は、皇室経済法施行法第七条の規定による額五千八百万円でありまして、歳出予算現額と同額となっております。宮廷費のおもなものは、庁費、各所修繕及び皇居付属庭園施設整備費の各日に属する経費でありまして、不用となりました額五百六十九万三千九百六十八円は、オランダ国皇嗣ベアトリックス内親王殿下の公式御来訪取りやめに伴い接伴のための報償費、庁費等をほとんど要しなかったこと及び光熱水料を要することが少なかったこと等によるものであります。
 次に、皇族費一千八百九十万円は、皇室経済法施行法第八条の規定による秩父、高松、三笠の三宮家の年額でありまして、歳出予算額と同額となっております。
 なお、歳出予算現額と歳出予算額五億一千七百五十九万二千円と比較いたしますと、三千三百四十五万四千円の増額となっておりますが、これは宮廷費におきまして、秩父宮妃殿下の英国及びスウェーデン国御訪問に必要な経費一千二百二十二万五千円、メキシコ国大統領同夫人の御来訪に伴う接伴に必要な経費三百二十七万三千円、皇太子同妃両殿下のフィリピン国御訪問に必要な経費一千四百八十八万一千円、及びオランダ国皇嗣ベアトリックス内親王殿下の御来訪に伴う接伴に必要な経費三百七万五千円について、それぞれ予備費を使用いたしたことによるものであります。
 以上をもちまして、皇室費歳出決算の説明を終わります。
 よろしく御審議あらんことをお願いいたします。
○白浜委員長 次に、会計検査院当局より検査の概要について説明を求めます。保川会計検査院第一局長。
○保川会計検査院説明員 昭和三十七年の皇室費の決算につきまして、書面及び実地に検査いたしました結果、特に申し上げることはございません。
○白浜委員長 これにて説明聴取は終わります。
    ―――――――――――――
○白浜委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。山田君。
○山田(長)委員 事が皇室になりますと、日本国民は皇室につきましてはなかなか発言をしないのでありますが、憲法の改正されております今日におきましては、主権者が国民になっておりまする以上、一応皇室の問額について伺いたいと思います。
 なくなられました、道路公団の総裁をやられておった岸道三さんは、天皇の健康を考えられて、皇居をもっと健康地に移すべきではないかということを言われたと記憶いたしております。一日何十万台の自動車が宮城を中心といたしましてぐるぐる回っている、排気ガスのために天皇の健康にいろいろ支障があるという説を岸さんは唱えたと記憶いたしておりますが、最近におきましては、交通上から考えてみましても、宮城のまわりを何十万台という車が毎日回るということは、国民経済上から考えてみても、ずいぶん損失だと思うのです。これについて宮内庁では、天皇の健康上、さらに国民の経済上から考えてみて、これが皇居の移転については考えられたことがあるのかないのか、おそらく私は、道路公団の総裁という人が言ったくらいでありますから、当局でもこれについてはかなり議論をされておるのではないかと思われますが、宮内庁当局では全然これについては何らのお考えもないものですか。
○瓜生政府委員 皇居の空気の汚染の関係で、陛下がお住みになるのは健康上どうだろうかというような問題、こうした問題につきましては、ちょうど昭和三十四年に皇居造営審議会というのが国会並びに各界の代表の方二十五名でつくられまして、いろいろ審議をされました。その際にもこの問題を検討されました。いまお話の岸さんもその委員の一人でありましたのですけれども、いろいろこの空気の汚染状況を調べますと、やはり皇居の周辺に近いところは相当空気はよごれております。しかし、だんだん内側へ入ってまいりますると、木立ちがあり、いろいろします関係で、それほどよごれていない。陛下のお住みになる予定地として考えられておりました吹上御所の地域、そこは、調査によりますと、大体東京の郊外の石神井あたりと同じくらいの汚染度である。青梅あたりに比較いたしますと、青梅よりよごれております。しかし、石神井あたりと似ているからこれは生活されるのには支障がないというような結論で、皇居造営審議会でいろいろ審議されて、このお住まいをつくる場所は、この吹上御苑で、いままで吹上御所ができておりますが、そこがよかろうというような結論になられたわけであります。
 それから交通の問題でありますが、これも皇居造営審議会の際に相当いろいろ検討をされまして、その際に、皇居の周辺に相当交通がふくそうしておる、これを考えると何か方法がないか、あるいは皇居の一部を地下道で通すというような問題も考えられぬかというようなこともあったのですが、結局、皇居の周辺のふくそうしておる点は、あそこを通すだけではこれは緩和されない、結局その出たところは同じようにやはりまた一緒になってしまうのですから込んでしまうわけです。そういう関係で、その点は金をかけても効果がない。いま盛んにやっておられます環状線の道路工事、それを早く実現することがよろしいということで、いま盛んにやっておられます。
 それからなお、その際に特にいろいろ議論になりましたのは、この皇居の美しい景観というのは東京における一つの捨てがたい非常に大切な部面であって、日本人のみならず外国からのお客でも日本に来て、皇居周辺のあの景観は非常によろしいという意味でいろいろ詩をつくったりしておられる方もあるわけであります。この景観はやはり国民の中心としての皇居として保存され、その景観を維持していくことがよろしい、なお衛生上の見地で、中央部にああした樹木の比較的込んでおる地域があるのは、大東京都の衛生上もいいわけだから、この部分についてはここをやはり皇居として維持したほうがよろしいというような結論に至られまして、その答申があり、それに基づいて閣議の決定があり、それによってわれわれ事務当局の者がその実施をいまやっておるということで、いまおっしゃいましたように、そういう問題を全然考えなかったわけではございませんが、いろいろ検討した結果そうした答申となり、それに基づく閣議決定となって、いま仕事を進めておるわけであります。
○山田(長)委員 ただいまのようなことから皇居の営造計画というものが進められたものと思われるのですが、この皇居の営造計画についての経過を概略御説明願いたいと思います。
○瓜生政府委員 いま申しましょうに、三十四年に皇居造営審議会がいろいろ審議をされ、その答申が出ましたのが三十四年の十月、それを受けて閣議の決定は三十五年の一月にありました。三十五年度に入って、その閣議決定に基づいて造営の準備を始め、最初は建築方面、庭園の方面の専門の方の意見を十分に聞くことが必要だ、これは皇居造営審議会の答申の中にもうたわれておりまして、一応の案としてこう考えられるが、さらに専門の人の意見を十分に聞いて万全を期するようにとありましたので、建築関係で専門家としての特に一流の方というので十名の方にいろいろ意見を聞きました。その意見によりまして、ここにだれか中心になる設計の担当者をきめて進めることがよろしいということで、設計の担当者として吉村順三氏――その当時は芸術大学の助教授でしたが、その後教授になっておられる。そういう中堅の人がよろしいということで、その人が担当に当たられてこの設計を進めてまいられ、顧問として学士院会員で東大の名誉教授なんかしておられる建築界の大先輩の内田祥三氏、東大教授の関野氏、それから建設省の建築研究所長の竹山氏、そういう人々を顧問にして仕事を進めてきました。なお、皇居の東側の地区約十万坪については、これは皇居付属の庭園として整備をして、皇室でお使いにならない場合は一般に公開するようにという造営審議会の答申もございました。その庭園をどうするかというようなこともやはり専門の人にいろいろ相談しながら計画を進めてまいりました。そして中心になる宮殿の関係については最初三十五、六の二年くらいで設計をして、それからあと五年くらいで工事をして工事完了というような一応の考えでございましたが、先ほど申しましたこの十名の専門家の方がいろいろ研究された御意見の結果は、やはり設計にはもっと十分に時間をかけたほうがいい、工事のほうは五年はかからぬだろう、いろいろ機械的な設備その他が進んでおるから、これはもっと短縮できるからということで、設計の点は十分時間をかけるということで、設計ができましたのが結局去年の暮れ、四年で倍かかっております。本年度から実施にかかる、三十九、四十、四十一年三年度で建築を実施しようということで、この宮殿の関係についてはことしの七月くらいから実際の工事にかかります。ことしの予算としては一応十五億くらいになっておりますが、来年度、再来年度はさらに大きくなると思います。総金額としては八十億ないし九十億というくらいになると思います。一応付帯施設など全部入れて九十億くらいになるんじゃないかと思いますが、これは物価の変動等でまた動くことがあるかもしれません。四十一年度一ぱいで完了という見込みでおりますが、しかし実際は、四十一年度一ぱいといいましても、四十一年度の終わるのは四十二年三月ですが、三月一ぱいでは実際問題としては無理じゃないかということで、四十二年の秋くらいにはでき上がることになるんじゃないかと思います。
 なおちょっと落としましたが、一方、皇居造営審議会の答申によりまして、陛下のお住まいのほうを、これは吹上御苑に早くやらなければいけないという御意見がありまして、このほうは三十五年度と三十六年度にわたりまして工事をいたしまして、すでにでき上がっております。
 それから関連の、先ほどちょっと触れました東側地区のほうの皇居付属の庭園の整備、このほうも現在やっておりますが、これは宮殿のできますより先に完成する見込みで、四十年度くらいに完成するつもりで進めております。
○山田(長)委員 こういう機会でないと宮内庁の方々に伺うことはできませんので伺うわけでありますが、聞くところによると、今度の営造計画の中にかなり大きな防空壕がつくられているという話を伺っているのです。これはほんとうかうそか私は知りません。実はきょう決算委員会として宮内庁及び皇居周辺を見せていただくことになっておったのでありましたが、いろいろな都合で本日見せていただくことはできないので、そういうことを確かめることができなかったのでありますが、平和を標榜する日本国家といたしまして、それは、いつ何どきどういうことが起こるかわからないから、防空壕を掘るのも差しつかえはないと思いますけれども、こういうことが国民に知れたときに、何かまた戦争でもやるんじゃないかというような印象を国民の間で持たざるを得ないと思います。そういうことを持たないためにも――私は、そういうことが計画されておるということにつきましては、何かしら不安感を国民の一人として持つわけです。こういうことは実際においてこの営造計画の中に取り入れられておるものなのかおらないものなのか、計画があるとするならば、どういうためにそういう防空壕の必要があるものであるか、この際参考に伺っておきます。
○瓜生政府委員 防空壕の計画というのは全然ございませんので、何かの間違いじゃないかと思います。あるいは地下駐車場をつくる、宮殿の前のところに地下を掘りまして地下駐車場、百二十台くらい自動車がそこに入れるようにというような計画がございます。そのことがあるいは間違ってそういうふうに伝わったのじゃないかと思いますが、防空壕という考えは全然ございません。
○山田(長)委員 明らかになってこれは幸いだと私は思います。
 先ほどのお答えの中に、十万坪のこれを国民に使わせるという場所ができるというお話でございますが、一般国民に使わせるための十万坪の庭園なのか、それとも特殊な人だけの十万坪なのか、この庭園の十万坪の使途について明白にしていただきたいと思います。
○瓜生政府委員 これは現在東側地区といっております馬場がありましたり宮内庁病院だとかあるいはもとの本丸のあとなどというような地域でありますが、この地域につきましては、皇居付属の庭園として、たとえば園遊会なんかを開かれるというような場合に使われたりなどすることで、それ以外の場合は一般に公開する。したがって、一年のうち大部分は一般に公開される。ですから、どなたでも門から入って中を散策しながらレクリエーションをされることができる。その時間としては、普通の、朝から夕方くらいまで、夜間まで開きますと場合によっては弊害がございますから、日中だけという考えではございますが、これは特定の人ではないのでございます。
○山田(長)委員 そうしますと、修学旅行とかあるいは地方の東京見学者に対してもその便宜ははかられるわけですね。
○瓜生政府委員 ちょうど開いておるときにおいでになれば、自由にお入りになることができるわけでございます。
○山田(長)委員 非常にほがらかな話になりますが、自由に入れるというのはどこの門からどういうふうに入って、どう出るのですか。
○瓜生政府委員 この東側地区に入ります門は、大手門という門が大手町のところにある、あの門、それから内桜田門、桔梗門ともいいますが、これが坂下門の右側のところにあります。その門、あるいは平河門といっているところがございます。この門、そういうような門から自由に入る。いままでですと一々皇宮護衛官が、どこへ行って、だれに会われるというので聞きまして、門鑑のようなものを渡していますが、その一般に公開するときにおいては、そういうことなく自由にお入りになれるという考えでございます。
○山田(長)委員 それはたいへん関心を持っておる国民としてほがらかなニュースだと思いますが、そういう見物の方途を、やはり国民の間に知られていないと思うのです。私も実は寡聞にして本日初めて伺うくらいですから。これは新宿御苑が長い間入れなかったのが、一般国民も自由に料金を払って入れるようになってきたのですから、皇居の一部が、これは料金を払わずに入れる場所が一応できたわけです。これは非常に国民としても関心を持つことでありますが、何らかの方途で全国民に知らせる必要があると私は思うのです。その点については宮内庁はどうお考えですか。
○瓜生政府委員 いままでこの地区の整備のことについていろいろ報道関係に発表する場合においては、そういうふうに一般に公開する点を一点つけ加えて発表しているつもりでありますが、しかし現在のところまだそれができ上がっていないわけですから、でき上がりまして、いよいよそういうふうに公開をする前においては、さらにもっと一般におわかりになるように努力をいたしたいと思います。
○山田(長)委員 いつごろからただいま次長が言われたような公開をされますか。
○瓜生政府委員 昭和四十年の秋ぐらいになると思います。つまり三十九年ですから、来年の秋ぐらいです。
○山田(長)委員 来年の秋でも、そういう開放されるということにつきましては、たいへんほがらかな話であります。できるだけ早いほうがいいと思いますが、できるだけ早く開くためには、どこに難関があるのですか、どういう点が開放できない理由になっておるのですか。
○瓜生政府委員 現在いろいろ進めてはおりますのですが、最後に残ります部分は馬場の施設であります。うまやですとかそういう施設の点が、実はオリンピックが済むまではそれはそのまま残してほしいということが、パレス乗馬クラブ並びにオリンピックの馬のほうの関係の方から話がありました。この馬の施設というのは、現在東京都内にはあまり多くないわけです。馬事公苑ではオリンピックの競技が行なわれますけれども、そういう施設がやはりほしい、そのためにそこはこわさないでおいてほしいというような話がありまして、その部分がオリンピックが済むまではこわさないで残すことになります。いよいよオリンピックが済んでからそのあたりをこわし、それからあるいはこの付近に芝を張ったり木を植えたりいろいろきれいにするということで、結局来年の秋ぐらいじゃないか、もっと早くなるかもしれませんけれども、まあそれぐらいじゃないか、こう思っております。
○山田(長)委員 私も一度馬場を見せてもらったことがございますが、この馬場の面積の地形とそれ以外の地形とではかなり間隔があると思うのですが、オリンピックの競技のために馬場を占有する、国民全体が一体その中はどうなっておるだろうと知りたいところを、何人かの騎手のために開放せずにおくというのは、ずいぶんこれは騎手だけに特権を与えるという印象ですが、その部分だけを除いたならば開放してもいいのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
○瓜生政府委員 このオリンピックの関係のは国際的な関係で、日本人のみならず、外国から来る人も場合によってはちょっと練習するというような場合の施設にもなり得るわけで、そういう関係上、オリンピックについてはこれが円滑にいくように各方面で協力するというような方針がございます。そういうことがありますので、これはやはり協力すべきだということでそういうことになりました。
 なお、先ほど申し落としましたが、そのほかに、この東側地区の完成の幾らかおくれます点には、実はこの宮殿の工事をいよいよこの七月から始めます。そうしますと、いま誤解があった点を申し上げましたように地下駐車場をつくったり、いろいろな工事をする場合においても、地下を相当掘ります。その土が相当出ます。その土を現在の東側地区のもとの本丸のあとというところへ持っていって、そこらあたりをきれいにならそうということもございます。といいますのは、その本丸のあとは江戸時代から見ますと低くなっているのです。と申しますのは、そこの土を掘ってあの構内にあった堀を埋めたり何かした関係で低くなっているわけであります。その低くなっているところへその工事の掘った土を持っていってずっと盛ろう、その盛る工事の関係も、宮殿のほうの工事がある程度進んでいかないとできないわけで、そういうこともやはり幾らかおくれているということの一部でございす。
○山田(長)委員 宮内庁の庭園というものはどうも地図を見ても、これは昔の築城学上からわからないようにしてあるのでしょうけれども、今度来年の十月に開放されるといわれる場所は、大体どの地点からどの地点までが開放される地点と見られるのですか、あなた方は自分の城内みたいなものですから、詳しく知っているだろうと思うのですけれども……。
○瓜生政府委員 現地をごらんいただくと一番わかりやすいのでございますが、いわゆる乾門から坂下門のほうへ抜ける道路がそこにございます。その乾門から坂下門のほうへ抜ける道路からずっと東側一帯の地域であります。
○山田(長)委員 ちょっとだれか宮内庁の人、来て教えてください――わかりました。
 そうしますと、旧来の皇居の半分が開放されると見ていいのですね。
○瓜生政府委員 約三分の一でございます。
○山田(長)委員 これは初めて伺うことでありますけれども、三分の一の開放となりますと、いわばすばらしい新たな公園地区ができたように思いますが、そういう一般公園的な考え方で、この開放はなされるものですか。それともさっき言われた時間で限ってしまって、多少厳格さがあるのですか。
○瓜生政府委員 公園的なものでございますが、普通の公園よりは多少厳格さがございます。これは皇居付属の庭園として皇室で行事がある場合にもお使いになる場所ですから、そうあまり歩いても困りますし、それからまたその中で風紀上のことがあってもいけませんから、夜なんかは普通の公園のようには入らないというようにすべきだと思うのです。なお皇居造営審議会の審議過程におきましても話がありまして、普通の日比谷公園とか上野公園のようにしてしまうとどうも荒れてしまう。やはり皇居付属の庭園として維持されながら、年間の大部分は、昼間はそういうふうにして公開されるということのほうがきれいに維持する上においてよろしいというようなことを言われております。
○山田(長)委員 先ごろ私は大阪城を案内者をつけてこまかく見てまいりました。大阪城も、歴史をしのぶのにまことにふさわしい場所の一つですが、この江戸城もそういう点、本丸が開放されるということになりますと、太田道灌が築城以来、いわゆる明治に皇居が京都から移転されて以来初めての実はできごとにわれわれは感ずるわけですが、この点について、大阪城の管理は大阪府がやっておるようでありますが、これは宮内庁直属のものとして、宮内庁がこの特別公園の管理に当たることになるわけですか。それとも東京都に移管するものでありますか。
○瓜生政府委員 これはやはり皇居付属の庭園でございますから、宮内庁が管理をするので、東京都ではございません。
○山田(長)委員 今度は別な問題で伺います。
 二重橋の改築工事の概況は、どのくらいの経費であったのか一それとその他のこの際国民に知らせておくべき内容、これを明らかにしてもらいたいと思います。
○瓜生政府委員 二重橋、これはわれわれのほうでは正門鉄橋といっておりまして、一般には二重橋とも言われております。この二重橋については、一般には前のほうに石の橋があり、上のほうに鉄の橋があって、重なって下のほうから見えますからあわせて二重橋というふうに言っておる方もあります。江戸時代につくった際の二重橋というのは、上のほうの橋でありまして、その時代は木の橋ですから下のほうに一応橋をつくり、その上にまた重ねて橋をつくった。要するに堀が非常に深いものですから、一本の橋で上までいけないから一本橋をつくって、そのまた上に橋を重ねてつくった。それでそれから二重橋と言われるようになった。そのあとで鉄橋ができて、昔はそこが二重橋であったからそれを二重橋とも言うわけでありますが、新しい二重橋につきましては、三十八年度の予算でこれを実施いたしましたが、総工事費は一億二千百四万三千円で、先日これが一応竣工いたしました。一応と申し上げるのは、まだこの橋の表面の舗装、化粧を残しております。と申しますのは、この橋をまず急いでやった意義はどこにあるかといいますと、この宮殿の造営が始まりますと、たくさんの材料などを運んでくる必要がある。そうなりますと一応半蔵門から入って二重橋のところを渡って、広庭のところに持ち運ぶ、ところが昔の、前の二重橋ですと、これは明治二十年ごろにできましてもう七十年以上たっておって、橋の寿命としても寿命がきており、弱くなっておる。重い鉄材なんかを運ぶトラックがその上を通ることは危険でできないというような関係がございまして、そういうように老朽しているので、これを早くつくり直す必要があるというようなことがございまして、宮殿をつくるより先に建てかえるべきだというので、このかけかえを、いま申しましたように三十八年度にいたしまして、その結果、先日一応竣工しました。全体がきれいになるのは宮殿が完成してから、そういうトラックが通らなくてもよくなってから、舗装したり化粧をする、そうしてほんとうに完成するということになるわけでございまして、かけかえました橋も、前にありました二重橋とあまり変わらないような意匠でできておるわけでありますが、部分的にこまかい点ではいろいろ改善がされておりまして、材料などはもちろん以前のものよりじょうぶなものを使っております。意匠なんかも大体同じですが、以前のものを改善している点があります。たとえば橋の横側の化粧に竜の紋が入っておりますけれども、そういう竜の紋なども前のものとちょっと違います。と申しますのは、前の橋は設計者がドイツ人でありましてドイツ人が設計をする際に竜のかき方なんかについて、いわゆる東洋的な正式の竜のかき方を十分承知してなかったので違っている、そういうところを違わないように直したというようなことがございます。そういうような部分的な点では直った点がございますけれども、ちょっとごらんになりますと前の橋とはあまり変わらない、同じものができたというような感じになるようにつくられたわけでございます。
○山田(長)委員 三十八年の三月三十一日現在の皇室用財産の明細が本日の決算委員会に出ておるわけでありますが、皇室財産の現況と管理の状況、これはどんなふうに宮内庁としてやっておられますか、伺っておきたい。
○瓜生政府委員 皇室用財産はすでに表でお上げいたしましたようにおもなるものは皇居、そのほか御用邸とかあるいは牧場、猟場あるいは離宮、正倉院、陵墓、いろいろございますが、この管理につきましては、宮内庁の管理部というのがございまして、管理部がそのほうを担当することになっております。施設が各地に散らばっておりますから、したがって、関西方面につきましては宮内庁の京都事務所というのがございます。この京都事務所の仕事のほとんど大部分は、関西方面のこうした皇室用財産の維持、管理の仕事であります。なお陵墓につきましては、陵墓の職員というのが各地におりまして、この陵墓をきれいに維持するようにつとめていくというようにいたしておるわけであります。
 宮内庁関係の予算で皇室費の金額は先ほど決算の概要を説明いたしましたが、この五億四千万円の金額のうちの大部分は、こうした皇室用財産の維持管理費であります。皇室の公的御活動費というのは大体五、六千万円ぐらいで、そのほかに光熱、水道とかそういうものがございますけれども、そういうものを引いたものが維持管理費になりますから、大部分が維持管理費ということになります。
○山田(長)委員 五日に見せてもらうそうでありますから省略しまして、あと一点だけお伺いいたします。
 皇室財産の各地における管理状況も、概念はいまのお答えでわかりましたが、実はこういう場合には、宮内庁で旧来のものの考え方で処理されているから、処理のされ方もむずかしいと思うのですが、国民の健康上から多数の人たちがほんの五間か十間の宮内庁の土地が必要で、これに申請を出した場合、宮内庁はこの皇室財産、それが山の中で、地価は何と考えてみても坪おそらく二十円か三十円だと思うのです。そういう安い地価の場所で、五間か十間の場所を宮内庁に払い下げるか貸与してもらいたいという願いが出た場合に、これが国民の健康上非常に有意義であるという場合には、宮内庁の土地の貸与をどう処理しますか。やはり宮内庁の土地で、これは問題であるという結論が出るのですか。それとも境界線が明らかにならないような山の中のことであるから、五間か十間で、これは国民の健康上よいものであるという結論が出た場合には、これを貸し与えるか、これを参考に聞かしてもらいます。
○瓜生政府委員 これは皇室用財産も国有財産の一種でございまして、国有財産の管理のほうの規則は大蔵省のほうできめておられます。それによりますと、その財産の使用目的上支障がない場合において、場合によっては一部についてはそういうような一時的に貸すというようなこともできるようになっておるわけであります。これはあくまでもその財産維持の目的に何ら支障がないというようなことでないといけないと思います。
○山田(長)委員 いずれこれは、宮内庁の財産には何ら支障を来たさない地点で、国民がその地点を貸し与えてもらうことができますならば、国民の健康上非常によいことが起こる地点のことで、これが陳情を宮内庁に出すようにいたしますから、そのときには瓜生次長にひとつ目を通していただきたいことを要望して、私の質問を終わります。
○白浜委員長 吉田君。
○吉田(賢)委員 ちょっとこういう点をお尋ね申し上げたいと思うのです。
 戦後日本憲法が新たにできまして以来、一般にいわゆる民主化の風潮がだんだんと進行していくことを期待いたしまして、国民と皇室の関係が、昔は全く雲の上という感じが強うございましたのが、次第に人としての親しみを持ち得るという期待があったのが、近ごろまたそうでないふうになりつつあるのではないかという印象がどうも強いのであります。やはり最も尊敬すべき、もしくは最も親しむべき国民の皇室、こういう精神的なものを拡充していくということについて、何か積極的な考えがないものであるか、こういうふうに考えるのですが、これは私の観察が誤りであったら訂正いたしますが、どういうものでしょう。
○瓜生政府委員 憲法上は、天皇は国民の総意に基づいて象徴であられる。国民と象徴といつも緊密に一体化されていかれるということが必要なことで、いま先生のおっしゃるように、その間の親しみというものが大切な部面であると思うのでありまして、終戦前に比較いたしますれば、皇室と国民との間の親近感はずっと深まってきていると思います。われわれもそうあるべきであると思って、交渉する際には心がけておるわけであります。あるいは何か最近それが少しそこなわれているのじゃないかという御意見の点でありますが、そうしたところがあってはならないと思っておるのであります。ただ時によりますと、いわゆる警衛、警備の関係で、最近少し以前から見るときびしくなっている面もあるのじゃないかと思います。これは例のアメリカ大統領ケネディ氏の暗殺事件があったり、あるいは国内でもいろいろな暴力行為があったりする関係上、警察のほうでもやはり責任上、また日本の皇室に対してそういうことがあってもいけないというので、幾らか従来よりは気をよけい使っておられる。そういう点が、あるいは先生のおっしゃるようなその姿で見えるのじゃないかということを憂慮いたしますが、われわれといたしましては、そういう警察のほうの責任はございましょうが、この新しい民主国家の現状においては、皇室と国民との親近感というものは非常に大事なことなので、それがそこなわれないように、常にそうした警衛、警備については行き過ぎがないようにということは機会あるごとに申しておる次第であります。なおいろいろの会合にお出になったりいろいろの方にお会いになるというような範囲につきましても、陛下の御都合がつき、御健康が許される範囲においては、従来よりは広げられておるわけでありまして、これもいま申されたような精神を考えて心がけておる次第であります。
○吉田(賢)委員 やはり非常に大事な点を御説明になったと思うのですが、たとえば最近のケネディの暗殺事件などもかんがみて、警察の責任感が高まっていっている、これもけっこうですけれども、さりとて警察の警備の問題と、そして国民と皇室を隔離するという結果を招来するというようなことを思えば、これはやはり責任の問題で、そのようなことを解決すべきではなくして、やはりそれはそれとして最善を尽くして、そして国民との近親感を一そう深めていくという方途をすべての行政府が講じるのでないと、再び天皇を神に押し上げてしまう。行政のゆがみからそういうことになれば、これはとんでもないことだと思うのです。だから、自分の責任というような、責任感の旺盛なことはけっこうですけれども、さりとて、それなるがゆえに国民と皇室を離す結果になるということであれば、それは全く本末転倒した逆なことです。この点は深く、ほんとうに大きな反省をしていってもらわねばいかぬと思います。たとえばいまのような場合に、ケネディのような事件もあるから警戒を厳重にせねばならぬというなことは、これは重大な問題なんです。だからそういったときに、警戒はかりに厳重にするにしても、いろいろな方法があることでしょう。いかめしく国民を隔離するといったような方法もあろうし、あらゆる角度から検討して、そして行政の過誤なからしむるということが必要であろうと私どもは思うのですけれども、そこで、天皇陛下におかれては、お一つのからだですから、そう肉体的にも多くの場所を期待することはできないにいたしましても、たとえば秩父、高松、三笠の三つの宮家もあることですから、その辺のいろいろなしきたりもあろうかと思いますけれども、何らかの形におきまして、もっと積極的な体制で国民と接触する機会をたくさんにおつくりになるということが、いまのような時代においては特に必要ではないかというふうに思うのです。抽象的なことでなくして、具体的にそうありたいと思う。いまちょっとお話の一部にも経費の面がどうだろうというふうに受け取れるような節が聞こえるのでありますが、皇室費といたしまして、三宮家に、計算してみますると、三家合計で年額一千八百九十万円になっておりますが、これは一宮家で年間ざっと六百万円、月五十万円ということになっておりまするが、そういったところにもいまの諸般の経費の高くつくときに、外で活動でもなさるというようなときには、これは全く不足するものでないだろうか。よくわからぬからお聞きするんですけれども、足りなければ足りないで、やはり国の経費を出して、必要な経費を満たして、そして十分に国民の期待する活動もしていいただきたい、こういうことはいかがなものだろうか。皇室経済会議もあることですから、何かと御検討になっておるかと思いますれども、ちょっと決算の報告を見ましても、これではというふうな感じがいたします。その三倍も四倍もなければほんとうの活動はできないんじゃないか、三十万円、五十万円というようなんな金で国民を代表するような活動なんてできやしないというようなことも感じるんですが、これらの面、警備官庁の責任の関係の点、経費が、これは国民が知られざる不足の状態にあるんじゃないか、乏しい状態にあるんじゃないか、こういうふうなことも感ずるんですが、これらの点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
○瓜生政府委員 三宮家のほうの経費の関係、これはそうたっぷり経費が組まれておるとは思いませんが、これも皇室経済法に皇族の品位保持のために必要な資として、この皇族費を出されるようになっておりまして、いろいろな活動費全体を全部皇族費でカバーするというような趣旨になっていない点もございまして、そういう関係上十分でない点もあるんじゃないかと思います。
 なお皇族につきましては、宮廷費のほうにも交際費というのが組まれております。これもそう多い金額ではございません。三十九年度ですと一宮家で年間百万程度ですから、そう多いわけではございません。
 なお、たとえば特に外国へ旅行されるというような場合は、先ほども御説明しましたが、また予備費をお願いして、それを支出していただくというようになっているわけであります。これも要するに、質素を旨としながら、そのお立場の御活動をされる、必要のある場合にはその必要の範囲でいろいろ経費をまた考えるというようなたてまえになっておりまして、こうしたたてまえについては、もう少し根本的に考えをいろいろ改める必要があるのではないかという意見も一部にはあります。皇室経済会議の際に、議員のほうで、再検討を要するのじゃないかというようなことをおっしゃっていた方もございます。いろいろ検討しようということではございますが、現在のところはこれで十分とはあるいは申し上げられないかもしれないが、御質素におやりになればおやりになれる範囲ということで運んでいるわけであります。
○吉田(賢)委員 さっきの責任の関係をもう少しはっきりしておいてもらいたいと思うのです。これは大事な点であります。
 それからいまの宮廷費もおありであるから、いまのところの程度で十分というお話でありましたが、宮廷費も、御説明によりますと、一宮家で年間百万円月に八万円ということらしいですが、私ども根本的に考えたいことは一この間も私が皇居の前を通りましたときも、いなかのふうていをした婦人、いなかの男性も相当まじっておりましたが、ずいぶんたくさん、七、八十人ばかり歩いていた。何か掃除でもなさったあとかどうか、そんなことも見ましたが、こういったようなこともけっこうと思いますが、私の言いたいことは、やはり経済の会議をなさるような方々、あるいはまた宮内庁をお預かりになるような方々、つまり皇室の各般の事情を最も精密に御承知の方々において積極的に国民に手を差し伸べていくことのほうがこの場合は必要ではないか。たとえば九州において何かのスポーツの大会でもあるときに、さっと宮家が皇室を代表して行かれるというくらい、そのくらい平民的でないといかぬのじゃないか。そうしておられるかどうか知りませんけれども、とにかく、いまのこんな激しい移り変わりの時代において、青少年の心がどこへ飛んで行くかわからないような時代に、旧態依然というふうな印象を受けるあり方では、その辺が、終戦後当初われわれが期待したようになかなかいかぬのじゃないか。依然としてやはり昔のままに どこかわからぬが宮の奥深くお住まいになっておるのが皇室であろうというようなことになってしまうのではないだろうか、こういうこともあれこれ思うのであります。やはり積極的な体制を打ち出すために、世の中は動いているのだから、あらゆる面に一番平民的な姿を見るというふうにするために必要な経費を盛り上げていく、盛り込んでいく、そうしてまたいろいろな動きはそれぞれ取り次ぎしていくというふうになすべきではないかと私は思うのでありますが、いま伺っておりましても、お答えすることがどうもきわめてありきたりのような感じしか受けないのです。もっと積極的な態度でそのような問題を打開するということが実は私は望ましいのでそう言うので、何かないかと思って、手探りのような意味であなたを通じて伺っておるのでありますが、もっと積極的なお考えは拝聴できないものか。でなければ皇室経済会議なんかにもつと民衆の声を入れるというくらいにほんとうに民主的なことをやってもらいませんと、次第次第に口だけでから念仏の民主化に終わってしまう危険がありはしないかというふうに私は思いますので、この点は非常に憂慮いたしておりますので、重ねて伺います。
○瓜生政府委員 三宮家の皇族方は、相当地方に出ておられます。いまお話しの九州とかあるいは東北とか北海道でスポーツの大会がある。国体ですと、必ず両陛下がお出になりますけれども、そうでなくて高等学校のスポーツだとかあるいは中学校のスポーツだとか、また地方的な大会とか、そういうようなのに、これも場合によりますと、よく宮さまが出ておられます。こういうのはいわゆる皇族費のほうでそういう旅費なんかをお出しするというたてまえになっていなくて、主催者がその経費を負担する。もちろん、おいでになればそれに伴う雑費は御自身で支弁されますけれども、その旅行の経費は主催者が出す。あるいは妃殿下方ですと、赤十字の地方的大会がありますと、そういう場合にお出になる。そうすると、その費用は赤十字社が負担をする、そういうような形で出されておりまして、実情は皇族費が少ないために意義のある会にもお出になりかねているということではないわけであります。しかしその場合に、両陛下の場合でありますと、国体へおいでになるその経費は体育協会のほうで負担をさせるというようなことはないわけで――皇族についても同じように考えたらどうか、そうすれば、お招ねきしたいが経費の点でそれほど余裕がないというところでも、意義のある、いいものであればお出になることもできるというようなこともあるわけで、そうした問題につきましてはいま先生の御意見の次第もございましたので、将来さらに研究を進めさしていただきたいと思います。
○吉田(賢)委員 それならば、たとえば、いま宮方はかなり地方にもお出かけになっておるように伺うのですが、行政庁といたしまして、宮内庁でそういったことの地方の希望を広く受け入れて検討するという、そのような機関あるいは用意はあるのでございますか。
○瓜生政府委員 これは地方の県庁を通じましていろいろそうした希望を聞いておるわけでありまして、各県の県庁とはつとめて密接な連絡をとるようにいたしております。その窓口としては宮内庁の総務課というところで各県の県庁の関係、特に県ではここに東京事務所なんかありますから、そういうところと平素も常に連絡をとりながらその地方の要望、御意見等も聞くようにしておるわけであります。
○吉田(賢)委員 いま赤十字社の総会などもお引きになっておりましたが、赤十字社なんかになりますと、戦前の印象が深いものでございまして、戦後は公の団体というのは無数でございますから、赤十字社は必ずしも全国的な唯一最大のものでなかろうと思います。御婦人の場合におきましても幾多の婦人の団体一会もあることでございます。私は、そのような、別のことばで言いかえるならば、開放的に民衆とほんとうの近親感を持って、求められれば手を差し伸べていくというような態勢、用意あり、県庁を通じてくるならば、宮内庁においてそれを受けるということであるならば、これはやはり積極的に活用せられていいだろう、こう思うのです。山田委員が別の角度からいろいろと御質問になっておりましたが、私はこれはほんとうに必要なことと思いますので、例をあげてみますならば、戦争の未亡人あるいは母子家庭、そういったような集団会合なども随所にしょっちゅうあることでございます。そういった方面へ皇族の御婦人がねぎらいのためにでもお出になるというようなことがしばしばありましたならば、婦人の特異な一つの情感がそこにわいてくると思うのです。そういったようなことが皇室に対する無形の近親感あるいは尊敬を生んでくる一つのきっかけになるのではないだろうか、こういうことさえ思うのであります。これは一つの思いつきの例にすぎませんけれども、このように精神的な一つのつながりというものはなし得べき機会が随所に、随時に幾多あることを私は申し上げたいのであります。でありますから、狭い窓口と細いパイプでじっとしておるという行き方じゃなしに、開放的に、積極的に、そして意欲的に、建設的にといったような、その方面の旺盛な近親感をわかすように行政も持っていってもらいたい。あなたのほうでその受け入れの用意ありということならば、われわれもまた地方庁とも十分連絡いたしまして、そのような成果があがるような方途をどんどん講ずべきだということも言っていきたい、こう思うのです。だからその点は、国会の御答弁だけじゃなしに、ぜひ実行せられんことを強く御要望申し上げます。
 それからさっきの警備の一点ですが、昔のようにまた人民退けというような警戒になってしまいはしないかという点をこのごろ心配しております。過誤なからしめることも大事だけれども、何の警戒もなしに親しんでいくというところに、ほんとうの意味の警備があるだろうと思います。そこをやはり取り違えないようにしてもらわなければいかぬと思うので、これに対しては宮内庁は積極的な意見、方針、対策を持っておられなければなるまいと思うのです。警備当局よりも宮内庁にむしろ責任があるんだというくらいな気がまえを持ってこの問題は対処していってもらわねばなるまい、こう思うのですが、この二つにつきましてお伺いして、私の質問を終わります。
○瓜生政府委員 皇族方のいろいろお出かけの関係の点は、いま申したように、意義のある大会であれば、御都合がつけばお出かけになるという態勢でおられるわけであります。そういうような場合でありますれば、お話があればそういう点をまた申し上げて実現につとめたいと思います。しかし実際問題といたしまして、いま皇族さまのうち特に秩父妃殿下とか高松宮殿下あたりはしょっちゅうお出かけになっております。三笠宮殿下はお出かけはそれほど多くありませんが、一面都内で大学の講師なんかに行っておられる関係が別にございまして、そうおひまでなく、皆さん相当活動されておると思います。ただお願いになられる会合の中には、時によりますと、特に一部の方が何か変に御利用になるような弊害があるんじゃないかという危険のあるものもありますから、そういうものにつきましてはお断わりしておるのがございます。意義のある場合については、おひまがつけばお取り計らいするようにつとめたいと思います。
 なお警備の関係でございますが、これはいま申されましたように、宮内庁としては、警察との会合協議の際には、一般の国民との親近感を妨げないように、警備の行き過ぎのないようにということをつとめて話をしておるわけでありまして、時によりますと、ああいうのはおかしいじゃないかというような具体的に目についた場合に意見も言っておるわけであります。しかし、また警察のほうは警察のほうで、しかし警備のほうの責任上やはりこの程度は必要だというのでいろいろ強く主張せられるときがある、こちらもまた強く主張して、その調和点で行なわれておる。宮内庁としてはいつももっと緩和してほしいということを申し上げておるようなわけでありまして、今後につきましても、その警備のやり方については、新しい事態に即応したやり方で、行き過ぎのないように、もっと上手にやってもらうようにということを、いま先生の御意見もありましたので、決算委員会でこういう御意見もあったしということで、さらにその点を力説したいと思っております。
○勝澤委員 関連して一つだけ。警備のあり方というのはたいへんむずかしい限界だと思うのですが、しかし間々最近のいろいろの流れを聞いてみますと、昔より厳重になったというお話もよくお聞きします。都内はともかくとして、たとえば鉄道なんか利用しますと、鉄道の警備あるいはまた旅館にお泊まりになったときの旅館のあり方、いろいろ出ているようでありますが、こういう警備のあり方の基準といいますか、宮内庁としては、大体鉄道はこの程度あるいは旅館はこうだ、お休みになられるときはこうだ、こういうようなある程度の基準というものはお示しになって御相談されているのですか、その点いかがですか。
○瓜生政府委員 宮内庁側からその基準を示して相談するということはございませんので、この場合どういうふうにするのかという先方の案を拝見して、それについて、こういう点は考え直したほうがいいのじゃないかとかいうように話をするわけで、警備の関係になりますと宮内庁はその専門官庁ではないものでありますから、こちらで基準をつくるということはないわけであります。
○勝澤委員 宮内庁あるいは天皇家でお考えになっている意向というものが、必ずしも目的というか、要望に沿った線で行なわれていないのじゃないかという点も間々私たちは聞くわけでありますが、行き過ぎた警備といいますか行き過ぎた受け入れといいますか――ですからいまお話を聞きますと、それは宮内庁としてどうこうするわけにいかないというお話でございまして、いろいろむずかしい点もあろうかと思いますので、もう一度よく現状について方々から聞かせてもらいまして、それについては関係当局においてもお考えになってもらうと同時に、やはり宮内庁としてもいまの流れをもう少し明るい方向に積極的に努力をされたほうが、天皇家の意思に沿った、あるいは国民と密着した、まさに民主国家にふさわしいあり方になるのじゃないか、こう思うわけでありますので、そういう点については、先ほども検討されるという話がありましたが、私たちもまた宮内庁だけではなくて、警備当局なり関係方面にそういう問題について検討していただくことにいたしますから、ぜひ御研究をいただきたい。これは答弁は要りませんから、要望だけ申し上げておきます。
○白浜委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十三分散会