第046回国会 社会労働委員会 第46号
昭和三十九年五月二十六日(火曜日)
   午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 田口長治郎君
   理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
   理事 亀山 孝一君 理事 澁谷 直藏君
   理事 田中 正巳君 理事 河野  正君
   理事 小林  進君 理事 長谷川 保君
      伊東 正義君    浦野 幸男君
      大坪 保雄君    熊谷 義雄君
     小宮山重四郎君    西岡 武夫君
      西村 英一君    橋本龍太郎君
      松浦周太郎君    松山千惠子君
      粟山  秀君    渡邊 良夫君
      亘  四郎君    伊藤よし子君
      大原  亨君    滝井 義高君
      八木 一男君    八木  昇君
      山口シヅエ君    本島百合子君
      吉川 兼光君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 小林 武治君
        労 働 大 臣 大橋 武夫君
 出席政府委員
        厚生政務次官  砂原  格君
        厚生事務官
        (大臣官房長) 梅本 純正君
        厚生事務官
        (保険局長)  小山進次郎君
        労働基準監督官
        (労働基準局
        長)      村上 茂利君
        労働基準監督官
        (労働基準局労
        災補償部長)  石黒 拓爾君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主税局税制第
        一課長)    山下 元利君
        厚生事務官
        (大臣官房審議
        官)      伊部 英男君
        専  門  員 安中 忠雄君
    ―――――――――――――
五月二十二日
 委員橋本龍太郎君辞任につき、その補欠として
 南條徳男君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員南條徳男君辞任につき、その補欠として橋
 本龍太郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 社会保障研究所法案(内閣提出第一〇七号)
 労働災害の防止に関する法律案(内閣提出第六
 号)
     ――――◇―――――
○田口委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の社会保障研究所法案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。長谷川保君。
○長谷川(保)委員 社会保障研究所というようなものがあって、おくれておりまする日本の社会保障――なるほど日本の社会保障制度は長い間の私ども社会党の奮闘、それに対しまする与党諸君のまた時代の進展に対する歩調を合わせていくというような御理解、そういうところから、なるほど社会保障の各種の種類の芽は一応できてきたのでありますけれども、その内容がきわめて貧弱であるということは、御承知のとおりであります。たとえば、私は五年前にアメリカの社会保障を研究に二カ月ばかりまいったのでありますけれども、そのときに私は、アメリカの社会保障というものはそんなに進んでおらぬと考えておったのが、実に意外だったのは、六十五歳以上の老人やあるいは身体障害者であれば、たとえば盲人の全部あるいは母子世帯、その他いかなる理由にもせよ、労働によって収入を得ることができない人々、いわゆる労働不能ということばで呼んでおりますけれども、この労働不能の人々にはことごとく一人について月百ドル、三万六千円を支給しているという制度を見てびっくりしたのであります。なるほど物価は日本よりもずっと高いのでありますけれども、住宅政策その他あらゆる政策がうしろにございまして、それに合わせてそういうような所得を補償する、生存費を補償するということが行なわれておりますために、親子心中しなければならぬというようなことはないのであります。それに対しまして日本の、たとえば福祉年金が千百円である、しかも七十歳以上であるというようなことでありますことは、いかにわが国の社会保障が実質的にまだまだほんとうの芽を出しただけであるかということを明らかにしているわけであります。したがいまして、世界の社会保障制度、欧米の社会保障制度をここで十分研究し、日本の社会保障制度をいかなる水準にまで持っていくべきであるかということを客観的に十分研究するという研究所ができますことは、私どものまことに待望しておったところであります。
 しかし、本法案を見ますと、私どもは初め、この社会保障研究所法案というものが提出されるということを知ったときに、ようやく社会保障制度審議会の勧告や答申が実を結んだなということで非常に喜んだのでありましたけれども、残念ながら、私が直ちに予算書を調べてみましたところ、予算書の中にその項目がないのであります。一体どこでするのかと思って本委員会で審議を聞いておりましたら、結局補助金でするというのであります。一体私がこの研究所をつくりますについて非常な期待をかけますものは、相当大きな機関を整備いたしまして、そして日本の社会保障制度、これは今日私は政治の中心であると思うのであります。私どもは、厚生省というような名前よりも、むしろ社会保障省というような大きな省をつくるべきであると考えておりますように、本来社会保障制度というものは民主社会におきまする政治の中心的な部門であると考えておるのでありますけれども、また、民主社会を推進いたしまするための最も大きなとりでであると考えておるのであります。ところが予算書を見ますと、わずかの金で補助金でやるということにいかい失望を禁ぜざるを得なかったのであります。ただ、まずここで芽を出していくということであれば、私どもが今日の各種の日本の社会保障制度というものに芽を出すということで、将来それが大きな木になるという期待をかけて今日まで賛成をし進めてまいりましたように、これにもまた賛成をするという考え方を持つのであります。しかし、いかにもその予算が少な過ぎる、いかにも規模が小さ過ぎる、政治の中心的な部門を果たすところのその推進力となる足場となるものでありますから、もっと予算的な大きな配慮をし、大きな構想を持ってこれを進めるべきであると思うのであります。このことについては、同僚諸君もすでにお聞きをいたしましたし、また同僚諸君の質問と私の質問せんといたしておりましたことは多くの点ですでに重複をいたします。会期末、延長国会とはいいながら、期間も短いのでありますから、私重複したような質問をいましようとは思いません。ただ二、三の点において私の懸念いたしまするところをさらに伺っておきたいのであります。
 まず第一は、厚生省の機関とせず、補助金によるところの機関、特殊法人といたしましたその理由は一体いずこにあったのであるか、伺いたいのであります。
○梅本政府委員 ただいまの御質問のこの研究所を厚生省の他の試験研究機関と同じように付属機関とするか、あるいは特殊法人とするかということにつきまして、この研究所の構想をまとめます段階におきまして、厚生省といたしましては相当研究いたしました。まず本研究所が従来あります研究所に比べまして、もっと基礎的な調査研究を行なう学問的な性格の強いものであるというふうに性格を考えまして、そういう学問的性格の強いという観点に着目いたしまして、やはり独立性の強いということと、できるだけ中立性を保つという点に重点を置いたのであります。そういう意味におきまして、付属機関といいますと御承知のように全部国家公務員ということで、試験研究機関である付属機関とはいいながら、やはり国家公務員的な上司、下僚という関係の指揮命令系統という形で運営されていきますので、そういう点からいきまして特殊法人のほうがいいのではないかという点、それからまた、特殊法人にしました場合には、給与その他の事業運用面でいわゆる付属機関よりも弾力的な活動を行ないやすいのではないかというふうな点、それからまた、今後国連その他国際機関からの援助がありました場合に、それを受け入れるということもわれわれは望んでおります。あるいは民間資金を受け入れて活動するというふうなことを考えました場合には、役所であってはむずかしいということで、こういう点からも特殊法人とすることが得策ではなかろうかというふうに考えたわけでございます。
 ついでに、先ほど申しました独立性、中立性という観点から申しました場合には、一つの議論として、民法の法人でいいじゃないかという議論も考えたわけでございますが、ただ完全に民間団体までにしてしまいますと、この研究所におきまして優秀な学者を得るという意味で、われわれは国立大学のいわゆる教育公務員である大学の教授連中との人事交流も必要ではなかろうかというふうに考えまして、国家公務員がそういう民間へ移ります場合に、例の恩給通算でありますとかそういうふうな関係がありまして、公務員の資格の継続をしておかないと、こういう人事交流がうまくいかない、すぐれた人物を得られないというふうな観点から、結局特殊法人が一番いいという考え方に到達して、特殊法人として研究所を発案した次第であります。
○長谷川(保)委員 私はいま官房長からお答えのありました独立性と中立性を持たしていくということについて全く賛成であります。大きな目的としてそれがなされなければならぬと思うのであります。また必要によって民間資金や国連の援助等も受けるとか、国連との関係をつけていくとかということもまことによい構想だと思います。それにつきましては全く賛成であります。ただ、従来もあったことでありますけれども、私ども野党側からきびしい目で見ておりますと、どうも日本の社会保障学者で相当有名な方でも、社会保障制度審議会等におきます発言等を見ておりまして、残念ながら必ずしも学者的良心によって権威を持って発言をしておると思えないような場合が時にはあるのであります。つまり御用学者という、学者といたしましてはきわめて恥ずかしい態度ではないかと疑われる発言がしばしば目につくのであります。学者にいろいろ御尽力いただきますことは、これはいわゆる御用学者になっていただくためのものではないのであります。あくまでも国民の真実の福祉のために、正しい十分な学問的な裏づけのあります御意見を承りたいということでありますし、その上で御奉仕をお願いいたしておるわけであります。しかし、従来どうも見ておりますと、厚生省のほうの研究費の補助というようなところと学者諸君が結びつきまして、ともすれば厚生省の言いわけをするような御用学者的な発言ではないかと疑われるようなことが時になきにしもあらずであったわけであります。私は、今回の機関におきましても、いま官房長のおっしゃいましたそのところを貫いてもらいたいと思う。それは政府側でいろいろ発案なさいましても、あるいはどこが発案なさいましても、われわれ野党側が国民の立場に立ってきびしい批判をいたしますときには、しばしばそれが間違っておると思われることもなきにしもあらずであります。したがいまして、この研究所ができますならば、この研究所を真に権威あるものとするために、独立性を持たせ、中立性を持たせるということはこれはきわめて必要なことであります。いずれにいたしましても、補助金というような形でまいりますと、今日の官僚機構というものの弊害がしばしばそういうところにあらわれて、どうも厚生省の役人の言うことを聞かない、逆に都合の悪いことを言うというようなことであれば、補助金を必ずしも出さぬ。政府の悪口を言うようなことになりますれば、大蔵省は金を出すことを上のほうでとめるというようなこともあるのではないかと思うのであります。これは先年の厚生白書で、日本の社会保障制度を批判いたしましたような記事が載りました。これに対しまして閣議で問題にしたということを私どもは耳にし、新聞で見たのであります。しかし、なるほど内閣というもの、政府というものは統一されておらなければなりませんから、そういう立場もわからぬではありませんけれども、しかしながら、やはりあるがまま、に客観的に事実をえぐっていくところにそれが満たされてまいる、言いかえれば、直ちにそれが国民の福祉となっていくということができるのでありまして、やはり政府官公機関でありましても、えぐるところはえぐるべきである。それに対してくさいものにふたをするような態度は政治家としてはなすべきではない。みずからのやった政治でも、悪いところは悪いでえぐってもらう、そしてみずからの欠陥をそこで補っていくという態度をとらなければならぬわけであります。したがいまして、私はこの法案を見ておりまして、第十二条で国会議員が役員に就任することを禁止しております。これは確かに一面においてはなるほどとうなずけるのである。同時に、一面におきましては、こういうことによって野党的な発言を封ずる、研究所の政府の政策に対しまして、野党的な厳粛な、きびしくその欠陥を批判し、えぐっていくことを封ずるというようなこともまた起こってくるのである。でありますから、この第十二条の国会議員の役員就任を禁止するということも、一面にはよくわかりますが、同時にまた、その半面の欠陥である御用学者の巣になるというおそれもないではないと思うのであります。そこらの点を一体どういうようにお考えになっているか、これはまず根本的な大方針の問題でありますから、大臣のお気持ちを伺いたいのであります。
○小林国務大臣 これはお話のとおりでございまして、さような趣旨で運営もしなければならぬと思うし、またただいまの御意見は今後の組織ある運営の面において十分反省の資料になる、かように考えております。
○長谷川(保)委員 もう一つ、私がこの法案を読んでまいりまして、奇異に感じまするものがあります。それは第三十一条の罰則であります。「研究所の役員又は職員が、その職務に関して、わいろを収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、三年以下の徴役に処する。」以下なかなかきびしいことが一項、二項三項と書いてございます。さらに三十二条、贈わいした者に対するきびしい刑罰、三十三条等々のものがございます。一体この研究所でわいろを取り、わいろを贈るというようなことがどういう場面で予想されるのであるか。普通のことであれば、刑法で済むではないか。それなのに特にこの研究所においてわいろを収受する、あるいは贈わいをすることについてこれほどきびしい規定をここに置かれたのはいかなる理由であるか、そういう危険性があるものを研究所で予想をしているのであるかどうか。普通の場合であれば、贈収わいの刑法の規定で済むのではないかというように思うのであります。どういうことであるか、私に理解できないので、御説明をいただきたいのであります。
○伊部説明員 お答え申し上げます。
 実際の適用といたしましては、ほとんど予想することができないと思いますが、かりにそういうケースを考えるといたしますと、国庫の補助金が少額といえども出ておるわけでございますので、その使用に際して、たとえば器具を買うという際に、リベートを取るというようなケースがあり得るわけでございます。そこで、たとえば特殊法人につきましては、法律で適用規定がない限り、刑法はそのまま適用にはならないのでありまして、そこで他の研究所においては刑法その他の罰則の適用については公務員と見なすという規定を設けておるわけでございます。これはいささか広い点もあるということで、この研究所では範囲を制限いたしまして、この三十一条の関係、金銭の使用につきましての不正の場合だけを公務員と同じように取り扱う、こういうことにしたわけであります。
○長谷川(保)委員 もしこの社会保障研究所というものを真に権威あるものとしていこうといたしますならば、やはり権威のある学者を所長なり理事なり研究員なりに置かなければならないと思います。その日本の権威ある学者をここにお招きいたしますのに、こういうようなわいろの罰則規定をここに置くことは、どうも私は不適当ではないか、権威ある学者の自尊心を傷つけはしないかということを思うのであります。もちろん国の財産を使うことでありますし、すべてにおいて綱紀はきわめて粛正されなければならないことは当然であります。しかし同時に権威ある学者の自尊心に対して、これほどのことを書いておる場合に悪い影響があるのではなかろうかというようにも思われるのであります。あくまでも綱紀を粛正した立場においてやっていただくことは当然であります。そのような考えがするので伺ったのでありますが、むしろ私個人の考え方を申しますれば、国会議員として考えますれば、こういうようなきびしいものは要らないのではないかというように思います。
 それでは時間もないことでありますし、滝井委員もおいでになっておりますので、私は先ほども申しましたように、同僚諸君とともに、このような予算ではだめだ、このような予算は芽としては承認するけれども、このような予算ではいけないのである。もっと大きな予算と大きな機構、そしていま官房長がお話しになりましたような、この研究所を日本の社会保障推進の最も堅固なる足場とするために、これを権威あるものとして今後発展さしていかれることを希望し、ことに所長の任命その他につきまして厚生大臣がこれをするようになっておりますから、厚生省が要らざる差し出がましきことをしないで、真に日本の権威ある学者の研究の成果が客観的にここにおいて出され、そして日本の社会保障制度が発展し、すみやかに欧米的な水準にまで達し、日本の全国民の福祉のために役立たんことを心から念願をして、私の質問を終わります。
○田口委員長 滝井君。
○滝井委員 先日小山さんの名答弁が行なわれている最中に、小沢君のアインワントが入ったために、頭の回転がどうもうまくいかなかったので、中断をいたしたわけですが、社会保障研究所の基礎的な研究課題と医療費基本問題研究員制度の関係について質問中だったわけです。同時にそのことは同じく三千三百九十万円の金を三十九年度に投じております厚生科学研究費との関連にも交錯を及ぼしてまいりますので、もう一回ごめんどうでしょうけれども、小山さんの意見を、少し重複するところが出てきてもやむを得ませんが、問題の質疑の進行をうまくやるために御説明願いたいと思うのです。
 まず医療費基本問題研究員というのは、われわれの聞いたところでは、当初七人任命されることになっておったわけです。ところが先日の御説明では、これが最後に任命をされた慶応大学の外山氏を加えて六人のようにあるわけです。これは昨年の夏に発足をしてからやがて夏も参ろうとしているので、一年になんなんとするわけですが、これはこのままもう六人でずっといくわけですか。
○小山政府委員 その点はまだ断定的に申し上げることのできない問題が若干残っておりますが、結論を申し上げれば、おそらくそうなるだろうと思います。
 いきさつを申し上げると、こういうことでございます。当初私ども七人を予定しておったわけでありますが、主として医学方面の知識を持って参加をしていただくという人の人選について、なかなか適当な結論に達せず、結果的には外山教授だけがとりあえず御参加を願った、こういうことになったのであります。そういうことで、発足をいたしましたときに研究員全員とお話をいたしました結果、こういうふうなことになったのであります。われわれが研究を続けていく上において、あるいはもう少し人をふやしてほしいということを言わなくてはならぬというような場合があるかもしれないけれども、それについては当局側としては応ずる用意があるかという話があったのであります。これについては、われわれは一応七人という予定でスタートをしておるけれども、もし研究を進めていく過程においてふやす必要があるということであれば、十分御要望を考えて努力をいたします、こういうお話し合いになっておったのであります。それで、その当時から研究員の方々は、必要があればさらにふやすのだ、こういう前提でいろいろと研究を進めていかれたわけであります。いろいろ研究を進めておりますうちに、どうもこういうふうにいろいろ研究に取りかかってみると、にわかにほかの人の参加ということもむずかしいかもしらぬ、こういうようなことになりまして、ことしの二月末ごろの六人の人々の一応のお話し合いとしては、スタートするときに考えておった増員の必要があるかもしらぬという考慮の中には、社会科学方面でふやす必要があるということになるかもしらぬというお考えと、医学方面についてふやす必要があるかもしらぬというお考えと、両方あったけれども、どうやら社会科学の方面においてはもうふやす必要はないと考えていいだろう、これは大体高橋教授を中心にした、ほかの五人の方も結論は大体そうついております。そこで問題は主として外山教授にまかされて、外山教授が、これからの研究をまとめていく上においてさらにふやす必要があるという判断をしたならば、それを申し出て、当局に考慮をさせるようにしよう、もし外山教授がいまのところはこれでよろしいというのであるならば、このままでいこうじゃないか、大体こういう事情になっております。
 長々と事情を申し上げましたが、どうやらいまのところ外山教授の気持ちも、できるだけこれは自分一人でやってみたい、こういうふうにお考えになっているようでございますので、先生のおっしゃったことについては、大体これでいくという結論になるだろうと思います。
○滝井委員 そうしますと、結局医療費基本問題研究員のほうは六人でいく、その中で医学の知識のある人は一人である、こういう結論になったわけです。そうしますと、この社会保障研究所の、常勤が十二人と非常勤十人、二十二人の研究員の色分けというのは一体どういうようになるのですか。
○梅本政府委員 今後の問題としまして、実際にどういう色分けにしますかにつきまして、またいろいろ御議論も出るかと思いますが、一応研究所を構想いたしますに際して、われわれのほうで考えました案といたしましては、経済学、財政学、社会学、統計学、法制といいますか、法律関係、この辺のところを大体二名くらい、あるいは場合によっては、いま申し上げたどれかを一名ふやすという形で、あとは政治、心理、経営、公衆衛生、精神衛生、社会福祉、教育、労働、農村、中小企業、そういうところに配分をしたいというふうに考えております。
○滝井委員 そうすると、技術者らしいのは公衆衛生くらいで、あとはないですね。いわゆる自然科学を専攻した人は入らぬわけですね。実はこういうものの考え方から日本の社会保障が非科学的になりいわゆる経済重点になるのです。これは、池田内閣の高度経済成長政策は明らかに人間の面で失敗しておるでしょう。だから、人つくりを言い出しておるのだから、その人つくりに応ずるために、これからやろうという社会保障研究所が社会科学の研究の人たちだけではぐあいが悪いのですよ。現在日本の厚生省の中で一つの大きな欠陥が出ておるのはどういうところかというと、技術者が厚生省の内部で虐待されておるということですよ。そこでは技術官が尊重されていないということですよ。そういう形が、厚生行政がいわば浮き上がって、大衆に根をおろさないところなんです。実力大臣ができないところになるのです。建設省を見てごらんなさい。建設省は河野さんという実力大臣が来るが、同時にそれをささえる役所というものは技術官と社会科学をやっておる人たちがこん然一体となってやっておるでしょう。厚生省はそれがないのです。そうして自然科学の人を必要とするところの局長に、たとえば薬務局長に、かつて戦争中は御存じのとおり薬剤師がなっておった、ところがいまは法科出がなっておる、こういう形になっておるでしょう。そうして医務局長なりあるいは公衆衛生局長が、どこか年金局長をやるかというと、絶対にやらせないでしょう。こういうところに問題があるのですね。この頭の入れかえを、洗脳をやらなければだめなんです。これをやらないと、ほんとうに大衆の中に根をおろした科学的な社会保障制度の確立というものはできないのですよ。こういうところに問題があるのです。医療費基本問題にそれがあらわれておる。そしてまた社会保障研究所にそれがあらわれてこようとしておるのです。だからこれは、私はいまから言質をもらいたいのです。少なくとも自然科学をやる人を三人くらいは入れなければいかぬでしょう。それは常勤十二人なら少なくともそのうち四人やそこらは自然科学をした人を入れなければならぬ。非常勤だって同じです。十人の中には二人や三人入れなければいかぬですよ。ところがいま言ったように、公衆衛生と、まあ幾分ニュアンスがあるとすれば心理学くらいで、あとはみんな経済、財政という、日本の社会保障をそういうふうに経済的にばかり見ていくから問題があるのです。経済企画庁をごらんなさい。優秀な人はみんな工科出なんです。前の経済企画庁の大來君あたりにしても、それから大來君の前の、何と言ったか、死んだ人がおりますが、優秀な人で、そういう点では、たとえば総評を見てごらんなさい。太田議長なんというのはこれは法科出ではないでしょう。やはりそういう人を何人か加えておくことは必要なんですよ。こういう配慮があなた方にはまったく欠けておるのです。だから、技術料の問題を論議するときに、有澤さんの出した答申を見ると、ちっとも技術のことは出さないで抽象的なことしか出さないでしょう。現実を知らないから抽象的なことしか出し切らぬのですよ、失礼な言い分だけれども。具体的な答申を出してくださいと頼んでおるのに、抽象的なものしか出さない。抽象的なものを出したときには、今度一体だれがやるかというと、あなたたちがかってなことをやってしまうのです。いわばこういうところから出てくる研究の成果なり答申というものは隠れみのなんです。こういうところに諮問をいたしましたということで、いわゆるビューロークラシーが支配しておる、政党政治というものが影もないという形になっておるじゃないですか。そういうところが問題なんです。だからきょうは私は、この十二人と十人の中に何人自然科学の人を入れるかということです。これをひとつはっきりしてもらいたい。
○梅本政府委員 自然科学と社会科学の系統の問題でございますが、現在の経済学におきましても、計量経済学その他近代経済学のようにほとんど数理計算によって検討していただくという経済学もございます。その意味におきまして、われわれのほうで考えておりますのは、こういう根本の問題につきまして御研究願う場合に、いろいろな問題を計量化するという問題につきまして、特別な方程式による技術も要りますので、たとえば経済学におきましても、近代経済学の専門家を予定するというふうな形で、心理学あるいは社会学、そういうふうなウエート、それから先ほどの公衆衛生、それから教育専門家、そういうふうなことで、できるだけ総合的な、いわゆる広い分野の学者の御参加を願って、総合的に検討していただきたいということでございますので、先生のおっしゃいました御趣旨も十分含めまして、今後検討してまいりたいと思います。
○滝井委員 二十二人の中に常勤が十二人と非常勤が十人おりますが、何人入れますかと言っておる。これは何人入れますと言ったからといって、そのとおりにやれというようなやぼなことを私は言うつもりはないのです。しかし、こういう研究所をつくるからには、初めからおおよその構成くらいはここで説明できぬようなことでは困るわけです。いま言ったように、七人置くといっておって、小山さんのところではたった一人公衆衛生学者を入れていて、医学の実践家を入れていないのです。医療費の基本問題を研究するのに、現実の医学の臨床家を入れずして、財政学者、経済学者、それでできるのですか。できないじゃないですか。できないからこそ、昭和三十三年以来もめ続けているでしょう。まだおさまらぬじゃないですか。だからおよそ何人入れますかと言っておるのです。それをひとつ御答弁願いたい。
○梅本政府委員 今後任命されます所長その他とのいろいろな御相談もあろうと思いますが、われわれの案としましては、三分一程度自然科学系統の学者がお入りになることと考えております。
○滝井委員 そういうふうにはっきり言ったらわかるわけです。そうすると、二十二人ですから、七人か八人程度入れることになるわけですね。
○梅本政府委員 ただいまの御質問が常勤十二者のうちというふうにおっしゃいましたので、常勤だけで御答弁申し上げたのですが……。
○滝井委員 そうすると、非常勤は入らぬということなんですか。
○梅本政府委員 非常勤関係につきましては、われわれのほうといたしましても、非常勤という制度を設けました趣旨からしまして、あまり固定的に考えておりません。やはりそのときのテーマによりまして、弾力的にそれぞれの学者に来ていただくということを予想しておりますので、いま恒久的に非常勤何名のうち何名、あるいは三分の一は必ず自然科学者というふうに固定するのはどうかと思います。その点御了承願いたいと思います。
○滝井委員 とにかく非常勤の中にも入るわけでしょう。一人も入らぬなんというばかなことはないわけでしょう。だからそういう点がもう少し――非常勤なんですから、二年くらいやってもらったら、また交代をしてもらってもいいわけなんですから、いつもここにも三分の一くらいおらなければ話にならないですよ。あなた方のそういう法科的なもの、法制的にものを見る考え方がだめなんです。だから日本人は法匪だと言われておるでしょう。だからもう少し太っ腹で、弾力的に人を使ったらいいですよ。近代経済学は数学が必要なんです。自然科学者だって勉強させたらできるのです。滝井義高があなた方と対等に質疑できるのと同じですよ。医学をやってもできるのです。勉強さえしてもらえばできるのです。医学を出たから、工科を出たから、あるいは文学部を出たからといって、そんなに役所で差別待遇をしてはいかぬ。研究所でも同じですよ。優秀な人で適当な人がいたら入ってもらったらいい。そのためには、やはり三分の一くらいはそういうものをとりますよということで――さがしてみていなかったら四分の一でも、五分の一でもけっこうです。しかしまずそのくらいの腹がまえでやらなければ、こういうところには入らぬということです。これは非常勤もそのくらいとれますね。
○梅本政府委員 先ほど申し上げましたように、この研究所は、われわれといたしまして、先ほど長谷川先生も申されましたように、今後予算を増額し、規模を大きくして、恒久的なものにしていきたいという意気込みでおりますので、やはり最初からテーマがきまっているわけではございません。テーマは大きな問題とはいいながら、年金の問題とかあるいは医療保障の問題というふうに大きく動いてくるだろうと思いますので、その辺弾力的に運営をしていくという趣旨から申しまして、おおむね三分の一程度ということで、やはりそのときのテーマに応じて、おっしゃるように弾力的に非常勤の制度その他を活用してまいりたいと考えております。
○滝井委員 非常勤も三分の一程度だというから、それでけっこうです。そうしますと、小山さんのほうにある医療費基本問題研究員というのは、大体この前の御説明では、非常に長期の医療の需要供給の関係の調整等をおやりになる。同時にいままで研究されていない医療費のマネーフロー、経済全体の循環の中における医療費、被保険者の負担が一体どういうふうに流れているかというような研究もやる。これは非常に基礎的な長期の研究です。そうしますと、先日小山さんの御答弁では、医療費基本問題研究員制度というのは、来年の三月ごろになったら、一応自分としては打ち切りたい、その後どうするかということは、将来の問題として考えるけれども、いまのところ長期的にやることは一応困難だろうという御答弁があったわけです。そうしますと、来年の三月までの間にあわててちゃちな結論を出してもらっても、かえって御迷惑になるわけです。そこであなたのほうにこれをいまから吸収して――本来西村さんのおつくりになったものは、臨時医療報酬の調査会の肩がわりとしてできたということが言われているわけです。そうすると、これは保険局の所管でなくて、本来は内閣の所管に置くべきものであった。それをとりあえずいま小山さんの所管にたぶんなっていると思いますが、そこでこれを吸収して、あなたのほうに持っていって、そうして御存じのとおり社会保障の基礎的な研究をやるのですが、しかも長期の観点でおやりになるのだから、来年は一億くらい予算を取ると、こう大臣も言ってくれているわけですから、そこでこれをやはり一本に吸収して、ゆっくりりっぱな成果を出すようにしてもらう、そしてできれば欠陥なきを期す、全きなものにしていくという趣旨で一本にすべきだと思う。同じようなことがあちらこちらで、厚生省内部で研究されるということでは、出た結論がいろいろまちまちだと、あなた方も困るし、われわれも幻惑され、迷わされて困るわけです。これをひとつ一本にして、研究はおやりになってけっこうですから、やるのですから、そこで小山さんのほうからあなたのほうに移してやっていただけるかどうか。これは小山さんでなくて、こちらのほうの意見を求めているのです。いわゆる悍馬みたいにばかに張り切っておりますけれども、こっちに聞く必要はないわけです。
○梅本政府委員 再三申し上げましたように、この研究所におきましては、基礎的な、総合的な学問的研究をやるということが中心でございまして、これが行政に生かされあるいは制度化されるということにつきましては、社会保障制度審議会もございますし、おのおの厚生省内の各局に持っております審議会もございます。審議会で御検討願って、そしてわれわれのほうでそれをどう予算化し法律化するかということにつきましては、また別の観点で検討するという手続で、この研究所を構想いたしております。そういう意味からいきまして、この基本問題研究員の設置との関係でございますけれども、一応理論的には、これは制度としあるいは行政として生かす場合の観点からいろいろ検討をなされるという制度でございますので、この研究所とは必ずしも業務はオーバーラップしないというふうに考えておりますが、ただ、この基本問題研究員は、先ほど保険局長も答えましたように、三月で大体めどがつきますので、それ以後はどうするかという問題につきましては、よく検討し、大臣の御指示も受けまして、はっきりいたしたいというふうに考えております。
○滝井委員 あなたは認識不足だ。基礎的な研究をやることは、医療費基本問題研究員制度と書いてあるように、基本問題を研究するのですよ。しかも基本問題研究員の出た結論は、何もこれはすぐ行政に直結するものではないのです。当然その結論は社会保障制度審議会なり、医療協議会なり、社会保険審議会なりに、これはかけなければならぬわけです。それがそのまま行政に直結するものではない。それは明らかに高橋長太郎さんもそういうことを言っているのです。それを間違えぬようにしておかぬと、これは出た歴史的な経過をわれわれは知っているのだから、それはそのまますぐにイコール保険局の行政なり医務局の行政になるものではない、基本問題を研究するのです。いま言ったように、まだ日本に研究のない医療費のマネーフローについて研究する。マネーフローというのは一体何だという人がおった。そういうわれわれの知らないようなことを研究するのですから、これは基本問題なんですよ。そういうことがいままでどこでも研究されていないのですから、あなたのところがじっくり研究してちっとも差しつかえない。いまわざわざ小山さんのところに置いておく必要はないわけです。あなたのところに移してけっこうなんです。だから、こういう制度ができるのですから、厚生省のもろもろのものを集めてこれを強化していくということは必要なんです。そうばらばらで、あっちこっちでちゃちな研究をやらせる必要はない。こういう特殊法人ができるのですから、ここでひとつやったらいいのです。
○梅本政府委員 先ほどお話の中に出ました医療費のマネーフローの問題につきまして、先日保険局長からお答え申し上げましたのは、われわれこの医療費基本問題研究員でいろいろ研究をお願いする際に、もう少しグルントの問題として医療費のマネーフローのようなものの研究があれば非常によかったのではないか、今後研究所というものができた場合には、医療費研究の立場からいえば、できるだけ早くこの研究所において基礎的な問題であるマネーフローの問題を研究していただけば非常に研究しやすいということを申し上げましたので、この研究員がマネーフローを研究するということではございませんで、そういう研究が欠けておるので、研究所ができれば第一に医療費の観点から取り上げてもらいたいのはマネーフロー、そういうグルントの問題がほしい、こういうことでございまして、そういう観点から、研究所では、そういう医療費の問題で御要望があれば、マネーフローという問題がおそらく第一のテーマになるだろうというふうに考えます。
○滝井委員 そのほしいマネーフローの問題を第一の研究のテーマにするのですから、したがってそれがわからなければ医療の需給の長期の調整というものはなかなかうまくいかないわけです。したがって、その需給の調整の研究をする人もあなたのところに持ってきて、マネーフローの研究と一緒にやれば、多々ますます弁ずで、一そういいわけです。それを何も遠くのほうに離しておく必要はない。しかも、そういう結論が出たときに、保険局では療養担当者の団体その他とけんかをやっているところから、なかなかぐあいの悪いところもある。それはあなた親の心子知らずだ。そこで、あなた方の官房というところは比較的中立のところです。そこでおやりになったほうがいいですよということを加味して、――そんなことを言わせなくても、また言いたくなかったのだけれども、それを考えて言っているわけです。それのほうがもっと研究の成果がうまくいきますよということを言っているわけです。どうして私はそういうことを言うかというと、小山さんにお尋ねしますが、医療費の基本問題研究連絡会議というのが厚生省にありますか。
○小山政府委員 事務次官を中心にしてそういうものをつくっております。
○滝井委員 それは何をするところですか。
○小山政府委員 医療費の基本問題について研究をしてもらいたいような事項としてどういうものがあるかというようなことについて、お互いの各局の意見を調整する仕組みとしてそういうものができております。
○滝井委員 そうしますと、六人の委員はそれぞれ研究するテーマをやって、話し合っていったわけでしょう。ところが事務次官を長とする医療費の基本問題研究連絡会議というものができてきたわけですね。そして、どういうものを研究してもらいたいかということになれば、これは独立して自由に研究するということはできない。あなた方に締めつけられる可能性ができるわけですね。
 もう一つ、医療費の基本問題研究班というのがありますね。これはどういうものですか。
○小山政府委員 前段の点については、私がたまたま研究員の人たちとの接触の窓口になっておるわけでありますが、しかし、私は持っている仕事が限られておりますけれども、誤りなく厚生省全体としての考えを伝えるということが非常に必要でありますので、そこで事務次官を中心として関係局長が全部入って、伝えられていく意見の内容、考え方というものに間違いのないようにする、こういう趣旨でやっているわけでございます。
 それから研究班というのは、この医療費基本問題研究員の人々がいろいろの研究を進めていく上にああいう資料を集めてほしいとか、こういうような資料はないかさがしてほしいとか、こういうような要望をいろいろされるわけでありますが、そういうようなものを受ける受け口として便宜つくっている仕組みでございます。
○滝井委員 そうすると、その班長はあなたですか。
○小山政府委員 さようでございます。
○滝井委員 いまお聞きのように、結局医療費の基本問題研究員をやるといっても、まず第一に大きながんじがらめはどういうものでしたかというと、医療費の基本研究連絡会議といって事務次官がその長になってやるわけですね。そうして、さらに今度は班をつくって小山保険局長というベテランが班長になるわけでしょう。そうすると、何ということはない。学者の諸先生方はどこかへいってしまうんですよ。一体どこで力を発揮しますか、そんなことになってしまったら。そこなんですよ。こういうふうに、役所というものは何かうまいことを言って、医療費の基本問題研究員というものをつくって医療費算定のルールを公平につくるのだと言っているけれども、その内輪を私はちっとも知らなかった。ここではこんな説明はちっともなかった。公正妥当なものをつくって個人個人に研究してもらうのだとうまいことを言っていたけれども、なに、これじゃ個人個人をみながんじがらめだ、これじゃだめなのです。だから私は、いまのこれをこっちに移すべきだ、こういうことを主張するのです。それも、これは説明を何も受けぬもので、雑誌を読んでおったらこんなものが出てきた。あらっと思って見るとそういうものなのですね。こういうことはいまの協議会でも同じ。小山さんが出ていって、そうして主導してしまう。資料はみな自分のところが提出する。そうすると、今度算定のルールをつくるというようなものも、やはり同じようにこれに手かせ足かせをはめてしまっているということでは、話にならぬわけですよ。率直に言って、そういうもので厚生省におけるビューロークラシーが行なわれる姿、しかも、効果的な事務的な経済的な観点で、あなたの好きな、よく言う人間疎外の行政ですよ、これは。こういう形になっているのですよ。私はこういう形を発見したので、あなたのほうに移しなさいというのはこのためなんです。どうですか、私はこれはきょうぜひ移してもらいたいと思う。政務次官どうですか。これはいまのように医療費の算定のルールをつくりますと、しろうとが聞いておったら、ぼくのほうが正しいと思うから見てごらんなさい。納得がいくはずですよ。
○小山政府委員 学問的な研究に私どもが制約を加えているというような事実は全然ございません。それは先生の独断でございます。
 それから私は、いまのような研究を将来ともいまのような仕組みでやっていきたいということを一度も申し上げておらぬのであります。現在研究をしている研究員の人々がとにかく来年の三月にケリをつける、こう言っておられるから、われわれもそれでケリをつけてください、それから先のことをどうするかというお話でございますと、それは私どもが特に続けてやらなければならぬとは考えておりませんということだけを申し上げたのであります。
○滝井委員 言いわけはどうでもいいのです。客観的な情勢はそうなっているのです。第一、事務次官を中心とする連絡会議なんという必要がありますか。連絡会議の本部長か何か知らぬけれども、その下にあなたが班長になる。そんなことなら――こういう大事なルールをつくるのですから、疑われたらいかぬわけですよ。昔からあるでしょう、アンズの木の下に行ったら冠を正しなさんな、キュウリの畑に入って靴のひもを締めたらどろぼうと疑われますよ。こういうことが昔からあるのだ。――アンズでもスモモでも桃でも同じですが、あるのだから、そういういままでの大事なところを、あなたのような優秀な役人が入っていくと、あなたに引きずられるおそれが出てくる。疑われることをやってはいかぬ。それを言っている。これがうまくいくためには疑われないようにしたほうがいいのですよ。こういうことなんです。したがって、あなたもここはあっさりひとつ七人委員会をこっちに移してやってみよう、移してやってみたって何もちっとも差しつかえないじゃないか。研究をやめろというのではない。しかも金のふんだんにあるところに行って長期の展望で、マネーフローの研究も同時にやれるところに行くのですから、もっと親密になっていいはずです。こういうふうにやっぱり国民の税金というものは合理的に使わなければいかぬわけですよ。あっちこっちで何が何やらわからないような研究、そんなものをあなた方がおやりになるのならつくらないほうがいい。疑われぬだけ得なんです。そしてみずからやったほうがいい。みずからできないとすれば学者先生におまかせをして新しくできた研究所に移しましょう、こういうあっさりした気持ちになるほうがいいのですよ。だから、見解の相違だということになれば、われわれは結局この法案をあなた方が言うまで通さぬということ以外にはない。われわれ野党というものは、いつも言うように、自分の主張を通そうとすれば、法案にひっかけるしか手がないのです。定足をやったり大臣の出席をやったり、質問で強硬な意見を吐いたりする以外に方法はない、あなた方はかってにやってしまうのだから。私はこういうものがあるということを不勉強で残念ながらいままで知らなかった。あなた方も一回もこういうものをここで説明しなかった。この前から言っているように、厚生科学研究費のほうでも類似の研究をやるわけです。そしてまた医療費基本問題でもやるということはむだですよ。一本に集約をして、厚生省の中でも中立的な立場にある官房でやる。そして出た成果をあなた方のほうがいただく。これだったら、あなたの立場も非常によくなるのですよ。だから私はちっとも無理を言っているとは思わぬ。研究をやめろとかなんとかいうなら無理でしょうけれども、そうじゃない。大いにやってください、やりやすいようにしてやってください、こういうことなんです。手かせ足かせはやめてください、こういうことなんです。
○砂原政府委員 滝井先生も御承知のように、医療費基本問題研究員の問題は明年の三月で期限が一応切れるわけです。それから社会保障研究所の法案は皆さんの御議決をいただきましたらこれは明年の一月から実施をいたすのでございます。したがってこの問題は滝井先生の御心配の点はもう解消すると思うのでございます。御理解をいただきたいと思います。
○滝井委員 私はいま言ったように、小山さんのところでやっているとわれわれが見てもなかなか疑わなければならぬようなことがあるわけです。それは、本部長か何か知らぬけれども、次官が頭におって、そうして班長に小山さんがなってやるということなら、自分のところでその学者の意見を聞きながらおやりになったらいい。ところが主体は学者に置くようなふりをしておって実質は自分のところでやっておるという形がいかぬわけです。そういう羊頭を掲げて狗肉を売るような行政をやることが疑いを持たれるのですよ、こういう忠告をしておるんだからすなおに聞いてもらいたいと思います。われわれもこれを知らなかった。これを見てあらっと思った、これはおかしい、こう思ったのです。
 次は、税金のことです。この前から残っておるところだけやるわけですが、今度のこの社会保障研究所で出版その他をやるわけです。そうしますと、すでにこれと同じような特殊法人が、たとえば、いま商工委員会にかかっているアジア経済研究所、それから日本労働協会、国民生活研究所というようなものがあるわけです。そしてこれらのものは、この法律を見ますと二十二条に「経営上利益を生じたとき」ということがあって、やはり収益事業をやるというニュアンスのある条文が出ておるわけです。厚生省のほうは、そういうことはありませんという意味の答弁をしておるわけです。ところが法人税法の一部改正や地方税法の一部改正で収益事業から生じた所得以外の所得に対しては課税をしないことになっておるわけです。そこでこの特殊法人で一体国税庁のほうで税金を取っている特殊法人がありとすればそれは一体いかなる収益行為に対して税金を取っておるのかということが一つです。
 それからこの社会保障研究所がもし課税をされるというような場合はどういう場合が一体課税されるのでしょうか、このことは第一点の特殊法人の課税の姿を見ればわかると思いますけれども、この二点について御説明願いたいと思います。
○山下説明員 ただいま御指摘の点につきましては、社会保障研究所はこのたびの法律改正によりまして法人税法の五条法人、ただいまお話がございましたようにその収益事業がありますればその収益事業については特別税として課税されることになっております。収益事業の範囲につきましては法人税法の施行規則に定めておりますが、予想されるところはその出版等がありました場合に、その出版物を一般に分けるというふうな場合に該当する場合があるか、ただ実際問題として、収益が出るか出ないかは別問題でございますが、たてまえといたしましてはそうした場合に収益事業と見られる面が出てくるのではないか、かように考えております。
○滝井委員 そうしますと、過去においてすでに先輩格の特殊法人があるんですね。日本原子力研究所とか日本労働協会、労働協会あたりはずいぶん出版物をたくさん出しておるわけです。だからそういうところが出版その他をやればこれは明らかに収益事業の形になるわけですが、それらのものは何らかの形で税金を取られておりますか、こういうことなんです。取っておればどういう行為に対して課税をしておるのか、それを御説明願いたい。
○山下説明員 ちょっと法人税法の点について申し上げますと、法人税法の特殊法人のうちには、いま申しました五条法人のように、収益事業を営むと、その収益事業については課税される法人と、もう一つ全然課税の対象にならない法人と、二つあるわけでございます。それが法人税法四条に定めておる法人でございます。この社会保障研究所は五条法人、つまり収益事業に課税される。先生ただいま御指摘の日本労働協会は四条法人と申しまして、非課税法人でございます。これは全然非課税になるというところで、そういう違いがございます。
○滝井委員 そうしますと、厚生省にお尋ねしますけれども、これは労働省のほうが知恵が多かったわけで、どうして労働省と同じような四条法人にしなかったのですか。
○山下説明員 その点は私のほうからお答え申し上げます。四条法人にするか五条法人にするかにつきましては、その法人の性格等をいろいろ勘案いたしまして定めております。四条法人は、国の機関であるとか、公庫、公団というふうなものでございます。日本労働協会は全額政府出資に相なっております。そのように、国の機関という性格の非常に濃いものは四条法人にしておる。ところが民法三十四条でいいますいわゆる公益法人、こういうようなものは五条法人にいたしておる、大体こういうような考えでございます。
○滝井委員 そうしますと、ますます問題がややこしくなってくるのです。御承知のとおり、社会保障制度審議会は基金をつくって労働協会と同じように国が出資をするような四条法人の適用のものにしなさい、こう言っておるわけです。ところがあなた方のほうは、そういう基金よりか直接国の補助金をもらったほうがいいのです。これのほうが上手だ、こういうことを説明しておった。ところが税法上から言うと、今度は四条のほうが上になる。全部非課税だ。労働協会も同じ社会労働で審議する。しかもあそこも労働問題の基礎的なものを研究して、同時に出版、情報の提供、資料の収集をやるわけです。同じことをやるわけでしょう。厚生省は、そういうところは大蔵省から税金のかかるような五条法人にする、そうしてわれわれの質問に対する説明は、基金よりか補助金のほうがいいのであります、これのほうが上手です、そういう説明をしている。いまのお話では、基金のほうがいいじゃないですか。社会保障制度審議会がわれわれに言ってくれたように、これは基金にしたほうがいい。いわゆる政府出資にしたほうが、四条法人になるということでいいじゃないですが。そうすると、いままでの説明はみんなうその説明をして、われわれをごまかしておった。税法上からいったら逆になるのです。こっちのほうがいいです、補助金のほうがいいですと言って説明をしておった。ところが税金はかからないから、税法上から見て出資のほうがいいことになった。
○山下説明員 ただいまの点、補足させていただきます。私は一つのメルクマールといたしまして、政府出資というようなことを申したわけでございますが、単にそれのみではございません。要件といたしましては、その解散時における帰属の問題、その法人自体の性格の問題を種々勘案いたしまして、国の機関、つまり国が全部出資している機関、あるいは解散の際には国に帰属するというふうなものにつきましては、これは四条法人にいたしております。五条法人は、それ以外に民法における三十四条の公益法人であるとかいうふうなものについていたしておるというふうな性格の違いがあるわけでございます。どの法人についてどうするかという点につきましては、一がいには申し上げられない点もございます。
○滝井委員 いまの説明では、それは納得がいかぬのです。それならば、解散時の財産の帰属といったって、こんなものを特殊法人で帰属すれば、国にみな入ってもらわなければ困ることになるわけです。したがってこれは、いまの点からいっても当然出資だけで四条、五条と分けるわけにはいかないだろうと思うのです。出資で利子で運営をするよりか、直接補助金をよけいにもらったほうが、制度としては明らかに即効的な効果があっていいわけです。私もそう思うのです。ただこれは、補助金がよけい出ないと困るのですがね。だからそれだけで大蔵省が四条、五条の法人を分けることはちょっと納得がいきかねるのですが、それならば、こういう特殊法人をつくったら、それについても労働協会と同じように四条の取り扱いにして非課税にしてもらったほうが研究は進展するのですよ。
○山下説明員 私の説明が不十分で申しわけございません。日本労働協会のお話が出たものでございますから、対比的に申し上げたのであります。もう一つ、先ほど御指摘のアジア経済研究所というのがございます。アジア経済研究所は五条法人でございます。労働協会とアジア経済研究所との性格の差異については、私この場においてはっきり申し上げられませんが、やはり研究を主とするような場合には、大体五条法人にいたしております。労働協会には、研究以外に、ある一つの労働問題の特殊な点に関連をしまして、国の機関として、代行として事業をやって
 おるという面があるのではないか、かように考えております。
○滝井委員 どうもここらあたりは、私もちょっと研究不足ですけれども、やはり官房長、あなたのほうの研究不足ですよ。労働協会が四条法人で非課税になっておるならば、同じ社会労働委員会で審議するのだから、お隣の労働省の研究をせずして、商工でやるアジア経済研究所――これは経済企画庁ですね、そういうところのまねをするのではなくて、労働省のことを先にまねしたほうがよかったのですよ。これは、渋谷君がおるけれども、労働省の役人のほうがあなたたちよりもちょっと上手だ。(「おい立ちが違う」と呼ぶ者あり)おい立ちが違うと言っているけれども、もうちょっと研究してやはり非課税にしてもらわなければ、こんな税金がかかるようなことでは、研究所の人たちも薄氷を踏む思いのところがあるのですよ。これはきょう修正するといったってぐあいが悪いですから、もうちょっと研究をしてもらって、どうせあなた方も今度は出資にしてもらうと言っているのだから、出資になったならば、これは四条法人にしてもらって、労働協会と同じように非課税の形をとる、そういうことでいいですね。
○梅本政府委員 税法のみからこの法人の性格を云々するということは出題があろうかと思いますが、先生の御趣旨は今後十分に検討いたしたいと思います。
○滝井委員 税金がかかるような団体よりかからないほうがいいのです。あなたはいろいろ言うけれども、いま私は大蔵省から教えてもらって、一つえらくなったと思う。きょうは一つ教えてもらって質問をしたかいがあった。これはあなた方、もうちょっと研究する必要があるのですよ。それからさいぜんの医療費基本問題研究員制度にしても、厚生科学の研究費にしても、それらのものと密接な連携をとって、できれば将来そういうものは一切がっさいあなたのところに吸収をして、あなたのところが強靱な社会保障の研究ができる体制を確立して、日本の社会保障の前進のために寄与してもらいたいと思う。サイエンスの側の、いわゆる自然科学のほうの人を十分活用して、経済的にばかりものを見る池田内閣の高度成長の失敗をこれからこれで直そう、こういうことなんですからね。人つくりをやろうということでしょう。だから人間中心にものを考えて、研究の自由が確立され、研究員が十分研究のできるような運営をしてもらうように同時にお願いして、ずいぶん悪たれをつきましたけれども、質問を終わります。
○田口委員長 他に質疑はございませんか。――なければ、これで本件に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○田口委員長 ただいま委員長の手元に、井村重雄君、小林進君及び本島百合子君より、社会保障研究所法案に対する修正案が提出されております。
    ―――――――――――――
   社会保障研究所法案に対する修正案
 社会保障研究法案の一部を次のように修正する。
 第九条第四項中「所長を通じて」を削る。
    ―――――――――――――
○田口委員長 修正案の趣旨の説明を聴取いたします。井村重雄君。
○井村委員 自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案にかかる社会保障研究所法案に対する修正案を提出いたします。
 修正案は、お手元に配付してあるとおりでありますが、その内容は、第九条第四項中「所長を通じて」とあるのを削ることであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○田口委員長 修正案について御発言はありませんか。
    ―――――――――――――
○田口委員長 御発言がなければ、これより修正案及び原案について討論を行なうのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 これより、内閣提出の社会保障研究所法案及びこれに対する修正案について、採決に入ります。
 まず、井村重雄君、小林進君及び本島百合子君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○田口委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○田口委員長 起立総員。よって、社会保障研究所法案は、井村重雄君外二名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○田口委員長 この際、西岡武夫君、八木一男君及び本島百合子君より社会保障研究所法案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。西岡武夫君。
○西岡委員 自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案にかかる社会保障研究所法案に対し、附帯決議を付するの動議を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   社会保障研究所法案に対する附帯決議
  社会保障研究所の機能の重要性に鑑み、政府は今後この機関の充実と研究の能率化のために更に行政的、財政的措置につき一段の努力を払うべきである。
以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○田口委員長 本動議について採決いたします。
 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○田口委員長 起立総員。よって、本案については、西岡武夫君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、砂原政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。砂原政務次官。
○砂原政府委員 ただいま御決議になりました問題につきましては、御趣旨に沿うよう努力をいたしたいと考えております。
    ―――――――――――――
○田口委員長 ただいま議決いたしました本案についての委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田口委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
  〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
○田口委員長 次に、内閣提出の労働災害の防止に関する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。
○滝井委員 労働災害の防止に関する法律案について、一時までぐらい質問さしていただきます。きょう一日で終らぬと思います。
 まず、春闘の非常なクライマックスに達した四月十七日のストを回避するために、池田・太田会談等が行なわれたわけです。その会談の中においても、労働災害を防止をするという重要な項目が取り上げられたことは、労働大臣御存じのとおりです。それは、昨年以来の三池や鶴見の事故を同時に背景に持っておりまして、さらに、最近、五月十一日には、首相官邸で、労働災害防止に関して総評に対し、さきに総評が申し入れておりました項目について、黒金官房長官からの回答等もあったわけです。したがって、これらの池田・太田会談なり黒金回答等当然総合をして、労働省として、頻発する日本の、最近は傾向としては減っておりますけれども、数においては依然としてなお相当の数に達しております労働災害防止に対する抜本的な対策、総合対策と申しますか、そういうようなものの基本的考え方、あわして、その基本的考え方に基づいた総合的な労働省としての労働災害防止対策、こういうものをぜひひとつこの機会に労働大臣から、国会を通じて国民に鮮明にしていただきたいと思うのです。それぞれ総評の代表に話したり、池田総理から太田総評議長に話したということだけでは、なかなかわれわれも理解しかねるところがあるので、担当大臣としての大橋労働大臣から、ひとつこの際詳細に、政府としての所見をお述べいただきたいと思うのです。
○大橋国務大臣 労働災害の防止につきましては、かねてから労働省といたしましては、労働行政の中でも最も重要なる施策として重点を置いてまいった次第なのでございます。
 御承知のとおり、これにつきましては、かつて、災害防止五カ年計画なるものを策定いたしまして、これに基づきまして、年々対策を講じ、相当な成果をおさめてまいったのでございまするが、災害の発生率はこの五カ年間に相当な減少を見たのにもかかわらず、労働者の急激なる増加がございまするため、絶対数においてはなお漸増の方向をたどりつつあったわけでございます。したがいまして、かような労働災害の漸増の傾向を抜本的に阻止いたしまして、先進国にならいまして減少の方向に向けていくということのために、さらに今後五カ年の計画を立てまして、それに基づいて昨年労働災害防止に関する法律案を提案をいたした次第なのでございます。しかしいろいろな事情のために、昨年はこの法案が不成立になりましたが、昨年の秋に至りまして、ただいま御指摘になりました三池並びに鶴見の当代の二大災害が発生をいたし、産業、安全の問題はにわかに国民の注目の的と相なったのでございました。かような情勢下におきましては、従来からの五カ年計画というワクの中においてのみ施策を考えていくということは、周囲の情勢上許されないことに相なったのでございます。一、面、産業界におきましては、労使双方ともこの事件に刺激されまして、産業災害の防止につきまして、この際抜本的、徹底的な対策を講ずべきであるという機運も醸成されてまいりましたので一政府といたしましては現在の災害防止に関する法律案の考え方の基礎になっておりまする五カ年計画というものを根本的に再検討をいたしたい、こういうふうに考えてまいった次第なのでございます。もちろん災害防止に関する施策につきましては、労使双方の理解と協力が必要なのでございますから、労働省といたしましては、労使双方の代表者に対しまして、政府としての所見を説明をいたし、これに対する労使双方の考え方を十分に聴取いたしたのでございます。幸いに、この際、労働災害については労使双方とも協力をして、労働省を中心にして基本的な対策を立てようという話に相なりまして、労働省は、労働災害防止に関しまする問題点並びに対策についての一応の考え方を取りまとめました上、中央労働基準審議会に対しまして諮問をいたしたのでございますが、この中央労働基準審議会におきましては、労働災害防止の問題点と対策というものにつきまして、労、使、公益三者の委員が相寄りまして、慎重に検討をされました結果、五月の二十日に全会一致をもって答申を行なわれた次第でございます。労働省といたしましては、この答申に基づきまして、今後の施策を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございますが、これらの答申の中におきましても、労働災害の防止に関する法律案というものは依然として存在の意義がある次第なのでございます。さきに提案いたしておりまする本法律案のすみやかなる成立を期待いたしておる次第なのでございます。
 なお、この五月二十日の答申に盛られております労働災害防止につきましての答申は、政府の考えております各般の施策を網羅いたしたものでございまして、いずれも重要な事項でございますから、これが実現にあたりましては、今後なおさらに基準審議会におきまして細目の検討を必要といたす部分もございますし、またそれが実施につきましては、将来予算措置、立法措置等を必要といたすものもございますが、これらは逐次検討の進むに従って実施をいたすように心がけてまいりたいと思っておるのでございます。つきましては、その内容に関しまして政府委員から詳細御説明いたしたいと存じます。
○村上(茂)政府委員 ただいま大臣から申し上げました労働災害防止に関する対策の内容は、きわめて広範多岐にわたっておるのでございますが、かいつまんで申し上げます。
 まず第一は、人命尊重観念の高揚という問題でございます。この点につきましては義務教育、職業教育課程における安全教育という点につきまして各般の配意をする必要がある。労働省といたしましても、産業安全、労働衛生両研究所等を通じまして教育すべき内容を具体化し、文部省、教育機関と連絡を密にいたしましてこれを具体化するという考え方が示されておるのでございます。また安全意識高揚のためには、現在すでに実施されておりますが、全国安全週間、全国労働衛生週間、国民安全の日といったような各種の行事につきましても、国民的立場からさらに効果的に実施されますように、また国民的な安全運動推進の機関といたしましては、全国安全会議がすでに設置されておるのでございますが、この運用につきましてもさらに一そう実効をあげるような配慮をする必要があると存じますが、この点につきましても、答申では的確なる御指摘がございましたので、今後労働省といたしましては、これらの国民運動の展開につきましても鋭意努力したいと考えておるのでございます。
 また安全意識の高揚のためには、労働者が就職する際における教育活動、特に集団就職などにおきます際における安全教育についても指摘を受けておりますし、さらに職業訓練所等におきます公共職業訓練、事業内職業訓練の実施におきましても、安全教育につきまして格段の配意をなすようにという指摘があるのでございます。
 以上申し上げました点が人命尊重観念の高揚という観点から示された内容でございますが、これらにつきましても今後鋭意努力したいと考えております。
 第二に、産業の体質及び労働市場の改善という問題が提起されております。すなわち、わが国産業構造の特殊性といたしまして、大企業と中小企業との関係、元請と下請との関係といったような二重構造に由来するところのいろいろの問題がございます。単に中小企業ないしは下請企業だけを正すのでは実効を期しがたいという問題が多多あるわけであります。これらの問題の本質的な改善は非常に困難ではありますが、しかし災害多発業種でございます港湾荷役事業とか交通運輸事業等につきましては、すでに関係審議会からの答申もあることでございますので、これらの産業の体質改善とにらみ合わせまして、労働面からも実効ある処置をなすべきである、こういう考えが示されておるのでありまして、こういった災害多発業種に対する措置、それから中小企業性業種の体質改善につきましても答申でその内容が示されておりますので、その具体化に鋭意努力したいと存じます。
 第三の問題点といたしましては、個別企業を越えまして、数企業にわたる阻害原因につきまして、これを排除するようにという御指摘があるのでございます。たとえば機械施設を使用いたします際に、機械施設の製造者がこれを販売するというような過程におきまして、初めからその販売される機械施設に十分な防護施設を備えつけるべきであるというような問題は個別企業の立場から解決し得ない問題であります。
 また別な問題でありますが、同一作業現場で数個の請負業者が関連作業を実施するというような場合におきましても、その請負業者のみを規制したのでは十分に効果を発揮し得ないのでございます。そういった個別企業の場をきめたところの問題点についても、労働基準審議会から問題の指摘がございまして、その対策を示されておるのでございますが、具体的には機械の防護に関する法律を整備すべきである。これにつきましては昨年の六月ILO総会におきまして、機械の防護に関する条約が採択されておるというような事情もございまして、国内法令をその基準に近づけまして、さらに整備をする必要がある。
 それから請負等における災害の防止、責任の明確化につきましては、現在御審議を願っております労働災害の防止に関する法律案にその規制条項がございますので、これは法律案の成立を待ちまして直ちに実施に移していきたいということでございます。そのような内容が数企業にわたる阻害原因排除という観点から示されておるのでございます。
 次に、第四といたしまして、個別企業の場におきますところのいろいろな問題がございます。その企業における労働災害防止活動の促進につきまして安全衛生管理体制の強化、安全衛生教育の徹底、生産設備等の改善、労務管理の適正化といったような個別企業の場におきましてもなお数々の問題がございまするので、これからの問題についての改善策を示されておるのでございます。非常に具体的な内容になっておりますが、省略させていただきたいと思います。
 それから第五の問題としては、災害防止行政体制の整備の問題がございます。これにつきましては労働省の災害防止に当たる行政体制の整備の問題がございます。機構の問題並びに監督官の増員、専門官の増加といったような問題もございますし、それから審議機関等の整備、これにつきましては総理府に設置されますところの産業災害防止対策審議会の活動を期待するというような内容も示されておるのでございます。さらには災害防止に関する研究機関、具体的に申し上げますと産業安全研究所、労働衛生研究所等の飛躍的な拡充の問題、あるいは災害発生原因を科学的に究明するための調査機関の設置といったような問題についても答申をいただいておるのでございます。
 以上何ぶんにも非常に広範多岐にわたる内容であり、かつこれを具体化いたしますためにも、かなりの長期的な年月を要するものと、直ちに実施し得るものといろいろな内容があるわけでございます。この点につきましては、先ほど大臣から御答弁がございましたように、個別的な事項につきましては労働基準審議会におきましてさらに細目的な検討をいただきまして、その結論を得次第法令の面におきまして、あるいは行政運用の面におきまして、あるいは予算措置の面におきまして具体化をはかりたいと考えておる次第でございます。
○滝井委員 いまの答申については私たちは労働災害防止上の問題点と対策の案はもらったのですが、答申をもらっておりませんので、答申をあとで資料としてぜひ出していただきたいと思うのです。
 さいぜん大臣の御答弁の中に、この段階になるといままでの労働災害防止の五カ年計画を再検討する必要がある、こういう御説明があったのですが、その五カ年計画の再検討というのはどういう方向で御検討なさるのか、それをひとつ御説明願いたい。
○村上(茂)政府委員 大臣から御答弁申し上げました産業災害防止五カ年計画は三十六年の実績を基礎にいたしまして、昭和三十八年から昭和四十二年にわたる五年間の災害減少についての計画を定めたものでございます。この計画は各産業別に災害減少率を定めまして、五カ年間に産業全体としての災害発生率をおおむね半減させるということを目標にしたものでございます。しかしながらこの五カ年計画は何ぶんにも各種産業を網羅し、かつ行政機関といたしましても労働省のみならず通産省、運輸省等各省にまたがる性質のものであるわけでございますが、この実施にあたりましては、たとえば第一年であります昭和三十八年の実績を見ましても、当初の災害減少目標の、三十八年におきましては死傷年千人率で九%の目標を設定いたしたのでございますが、実際にはそれを上回る九・四%の減少を見たのでございます。そのような実績をもとにいたしまして昭和三十九年の災害減少目標は九・五%というふうにいたしておるような次第でございまして、この五カ年計画の実施にあたりましても、そういった過去の実績から率そのものについても絶えず検討を加えていく必要があるでありましょうし、それから具体的な災害防止対策の内容につきましても、ただいま御審議願っております労働災害の防止に関する法律案が成立した後における諸事情、それから先ほど御説明申し上げました労働災害防止全体に対する諸対策が具体化されるにつれましてこの災害防止五カ年計画の具体化の手段につきましても検討を加える必要があるであろうというふうに考えておるわけでございます。そのような点から法案の成立を待ち、それから労働基準審議会におきまする細目的検討が進むに従いまして、早晩この五カ年計画についての具体的内容を検討するということに相なろうと存じておる次第でございます。
○滝井委員 そうしますと、三十八年度の実績では、年千人率九%の目標が九・四%になった、したがって今年は九・五にしておる。同時にこの法律なり、中央労働基準審議会に諮問をして出た答申案なり、さらに中央労働基準審議会が今後具体的なもろもろの問題を討議して、その成果を答申をしてくれる、そういうものを基礎にして五カ年計画の再検討をなおやっていく、こういう御答弁でございますが、それならば、現在この中央労働基準審議会で具体的な細目について検討していただいているわけです。そうしますと、同時にその過程で、いままでの五カ年計画というものを当然織り込んで再検討を私はしておるのではないかと思うのです。と申しますのは、今度のこの労働災害防止法の三条をごらんになっても、労働災害防止の基本計画というものを、当然この法律が通れば中央労働基準審議会の意見を聞いて作成することになっているのです。これは法律が成立しなくても、いまのような災害防止の問題がこれほど国民的な世論になってきていることになれば、当然細目の検討とともに、現在ある三十六年を基礎とした五カ年計画の根本的なやり直しというものを考えることになれば、この法律ができなくても、その基本的な計画は検討されておるのだと思うのですが、その点はどういうことになっていますか。
○村上(茂)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、災害防止五カ年計画は、総理府に設置されておりました産業災害防止対策審議会におきまして政府全体の計画を取りまとめたものでございます。それに従いまして、労働、通産、運輸各省はそれぞれの五カ年計画を策定しておるような次第でございますが、御承知のように、産業災害防止対策審議会は現在国会で審議されております総理府設置法の一部改正法律案におきまして、さらに存続が期待されておるところでございます。したがいまして、産業災害防止対策審議会といたしましても、政府全体の災害防止につきまして いろいろ今後も検討されると期待されておりますが、労働省といたしましては、災害防止につきましての具体的な内容を盛り込んだところの細目的な五カ年計画をさらに確立する必要があるわけでございます。先ほど申し上げましたように、当該年度の災害減少目標はそれぞれ示しておるのでございますが、すでにあります五カ年計画を基本的に変更するかどうかという点につきましては、ただいま申しました産業災害防止対策審議会の今後の動向とも関連をいたしますので、五カ年計画そのものにつきましては、まだ具体的な検討をいたしておりません。
○滝井委員 そうしますと、ちょっとわからぬようになるのですが、いま内閣委員会で審議中の総理府設置法の一部改正法律案の中にその存続を要請している産業災害防止対策審議会は災害防止行政機構全般についてやるのですか。中央労働基準審議会が審議をしようとする労働災害防止対策を総合的、計画的にやるというのが中央労働基準審議会の任務なんですね。そうすると、片一方は、総理府にあるほうは行政機構をやって、こちらは具体的な災害の防止対策を総合的、基本的にやる、こういうことなんですか。産業災害防止対策審議会でも総合的なものをやるのじゃないですか。そこはどういう違いがあるのです。
○村上(茂)政府委員 産業災害防止対策審議会におきましては、五カ年計画の作成自体は義務づけられておらないのでございます。ただ従来の経過から申しまして、五カ年計画を策定することが災害防止上非常に効果的であるという見地から事実上作成したものでございます。しかし現在御審議をわずらわしております労働災害防止に関する法律案の中におきます事項、具体的に申しますと、第三条におきましては、労働大臣に対しまして、五年ごとに災害防止に関し基本となるべき事項を定めた労働災害防止基本計画を作成することを義務づけておる。そうしてその作成にあたりましては、中央労働基準審議会の意見を聞くことを定めておるのでございます。法律的に五カ年計画の作成という制度を確立するということに非常に大きな意義があろうかと思うのであります。しかもこの計画は、第六条におきまして、「遅滞なく、これを公表しなければならない。」とされておりまして、これを広く一般に周知いたしまして、計画的に災害対策を進めるということに非常に大きな意味があろうかと存ずるのでございます。
○滝井委員 私の言おうとしておるのは、いまあなたの御答弁では、総理府の産業災害防止対策、審議会がほんとうは法律的には五カ年計画の作成を義務づけられていないのだけれども、まあ便宜的にここでつくりました、こういう御答弁があったわけです。ところが一方、法律的には中央労働基準審議会というのが今度の三条では基本計画をつくり、基本計画に基づいた実施計画をつくるわけなんです。これは何も労働省所管の産業でなくて、相当広く総合的、計画的に条文の上ではつくり得ることになっておるわけです。当然これは条文が通らなくても国民的な世論というものがこれほど人命尊重、労働災害防止という観点があるんだから、したがって中央労働基準審議会は、大臣の御答弁にもあったように、五カ年計画の再検討というものをやらなければならぬというのならば、おやりになっておるでしょうね、私はこう言っておるわけです。そうすると総理府のものと二つ五カ年計画ができることになるのだが、この関係は一体どうなるのですかというのが私の質問なんです。
○村上(茂)政府委員 産業災害防止対策審議会におきましても、今後五カ年計画につきまして検討を加えられることと存じます。しかしながらその内容につきましては、現在の五カ年計画を見ましても、かなり広範な内容を内容とし、かつしたがいましてその示すところの具体的な対策につきましてはやや抽象的にならざるを得ない、こういう傾向が認められると存じます。労働大臣が定めます五カ年計画は、政府全体としての産業災害防止対策審議会で今後もつくるでございましょう五カ年計画の中におきまして、より具体的かつ実効性ある内容を盛った計画として策定されることと考えております。
○滝井委員 そうしますと、これは実施計画になるのであって、三条でつくるのは実施計画ではないわけでしょう。実施計画をつくるとは書いていないわけで、三条では労働災害防止基本計画をつくる。そうしてその四条で実施計画になるわけです。したがって私の言いたいのは、いまの基準局長さんのような御答弁になると、内閣の労働災害防止対策審議会が非常に広範な基本的なものをつくり、その中から今度は労働省がさらにその中で労働省の所管の部面だけの下請の基本計画をつくり、そうしてさらにその下請の実施計画というものをつくっていく、こういうようないわば実施の段階になると、三段がまえになってしまう。この条文はそういうことじゃないと思うのですよ。むしろそれは総理府のほうが権限外のことをやっているのであって、向こうのほうがきわめて抽象的な大ざっぱなものを、大所高所から産業災害防止対策全体をつくるというのならば話はわかる。そうしないとこれは屋上屋になって意味がないことになる。それならば中央労働基準審議会はそういうことをやらなくてもいいのじゃないかということになるけれども、しかし基準法では労働災害の防止ということは非常に重要な点ですからね。だから何か災害が起こったからといって、あちらこちらに屋上屋を架するようなことをすれば、村上基準局長は東奔西走、ちっとも思考する時間がなくなって、かえっていい案ができぬことにもなりかねない。それならばこの際思い切って労働災害防止対策審議会というものを内閣に一本にしてしまって、その内閣でできたものをおたくのほうが実施官庁となって、それに基づいた実施計画というものを労働省が責任を持ってつくるという形にしたほうがいいような感じがするのですよ。何か屋上屋になってちょっとこれは機構的に理解ができない。やる任務その他も理解ができないところがある。
○村上(茂)政府委員 ごもっともな御指摘でございます。この点につきましては、むしろ労働省の作成します五カ年計画、これが中核になるわけでございまして、その計画作成及び実施にあたりまして、各省にまたがる事項が幾つか出てこようかと思うのであります。そういった各省にまたがる事項の調整という機能も果たしつつ、大局的見地から産業災害防止対策審議会で五カ年計画をつくるであろうことを期待申し上げているのでございます。これはあくまでも事実上の問題であるわけでございまして、その点が法律上の責任なり行政責任の度合いにおいてかなりの差があるというふうに私どもは感じているのでございます。なお基本的には産業災害防止対策審議会におきまして行なう事柄、機能の程度でございますが、やはり各省にまたがりますところの諸問題の調整、それから基本的には政府全体の立場からの基本的な構想の確立といったような問題があるわけでございますけれども、法律上の責任の裏づけのある計画の策定、実施計画の策定及び実施という点につきましては、労働省において責任を持って処理するということに相なるわけでございます。
○滝井委員 少しわかったような感じがするのです。そうしますと、産業災害防止対策審議会においては、論議する中心点というものは労働省の中央労働基準審議会に諮問をしてつくった産業災害防止の五カ年計画が中核になって議論される。ところが産業災害は通省産もあれば運輸省もある。したがってそれらの各省にまれがる部面を、必ずしも労働省がかゆいところに手の届くように十分意見を尽くしていないおそれもあるし、あるいは非常に出過ぎているところもあるかもしれない。そこで内閣の産業災害防止対策審議会でそれらの関係各省の意見の足らないところを補い、出ているところを調整して全き基本計画をつくる、それを今度はそれぞれの各省が持って帰り、労働省は労働省の実施計画をそれに基づいてつくるし、運輸省なり通産省はやはりそれぞれの部局で実施計画をつくって実行に移していく、こういう理解のしかたになるのですか。そういう理解のしかたになるとすれば、筋として私よくわかった。それならば産業災害防止対策審議会の存在の価値はあるし、それから労働省にあってもいいと思います。そうしますと、あなた方と同じ役割を演ずる通産省なり運輸省等の関係各省にも、あなた方と同じようなこういう樹想がなければならぬわけです。やはりそれぞれの各省の労働災害防止の五カ年計画というものを、少なくとも通産省なら通産省に関連する部面のあなた方の五カ年計画にマッチした五カ年計画を持ってさておいてもらわなければならぬわけです。そうしないと柱をささえる他の棒がないじゃ困るわけです。したがってたとえばガスですね。最近はガスの事故というのが非常に多いのですよ。石炭を使わなくなってプロパンガスその他ガスをよけい使うわけですね。これはこの前にこの法案を審議するときに言いましたけれども、ちょうどガスの協会もできているのです。私ガスのことをここでずっと前にこの法案をやるときに質問をしたことがあるのですが、そうすると、それらのものの五カ年計画も、やはりあなた方のほうに集めて調整をしてもらわなければならぬことになるわけです。中核体になるところですから、中核に合わぬようなことをしておいてもらっても困るので、そういうところとの連絡は当然十分に密にしておやりになっておるだろうと思うのですが、できればあなたのほうで、それらの各省のまとまった意見があれば述べていただきたいし、なければ次回にでも、運輸省とか通産省のガスの関係等で、あなた方の五カ年計画にマッチするのをお持ちになっておれば、国鉄なり通産のそれぞれの担当官を呼んでいただいて、ここでやはり意思統一をしておいてもらう必要があるのではないかという感じがするのですが、その点はどうなっておるのですか。
○村上(茂)政府委員 従来やってきましたことと、これから災害対策審議会でこのことを期待するという事柄が、ちょっと混同いたしますことをおそれるのでございますが、従来実施いたしておりましたのは現在の五カ年計画ですと、新産業災害防止五カ年計画を災害防止対策審議会で検討いたしましてこれをまとめたのでございますが、現行五カ年計画は昭和三十七年十月二十三日に、それをさらに閣議にはかりまして閣議了解を得ております。そしてその五カ年計画にのっとりまして、労働省は労働省の五カ年計画、通産、運輸の各省はそれぞれの立場において計画をつくっておるのでございます。したがいまして各省間に出入りがないように調整がされておるのでございます。そういう過去のやり方から見まして、今後産業災害防止対策審議会が存置されますならば、少なくとも従来のようなやり方が踏襲されるであろうということが期待されるわけでありまして、その際に通産省なり運輸省はどのようにして計画を立てるかという問題になろうかと思うのでございます。しかしそれにつきましては現在のところ格別法律上義務づけるという体制にはないわけでございますから、当面は少なくとも閣議了解という行政内部におきますところの一つの意思統一の方式を通じまして、それぞれの立場で計画を具体化していくということになろうかと思うのでございます。しかしながら労働省におきましては今回審議されております法案が成立いたしましたならば、少なくとも労働省のみは労働大臣が計画を作成して、実施計画も毎年検討する。しかもそれは公表するというような、明確な方針によりまして実施に移していきたい、こういう考えをとっておるわけでございます。
○滝井委員 実は私もこの労働災害防止法が初めてできたときには、新産業災害防止五カ年計画を勉強して質問したのです。この防止五カ年計画が閣議了解を得た後に、三池なり鶴見の事故が起こってきたわけです。したがって当時の情勢とは情勢ががらりと違ってきておるわけです。こういう一つの重大な歴史的な契機があるということを頭に置いて議論しなければならぬと思うし、それだけに大臣も御指摘になりましたけれども、やはり私たちが五カ年計画というものを再検討しなければならぬというのは、三十七年十月当時の閣議了解というものをもう少し前進をさせなければ、いまの国民世論にこたえることができないという客観情勢があるわけです。ここにやはり一つ問題があると思うのです。したがってそういう客観情勢があるので、労働省だけでは鶴見事故等もあって幅が狭い。だからこの際内閣にある労働災害防止対策審議会で新しい観点から、大所高所から産業災害防止の対策をひとつやろう、こういうことだと思うのです。そうしますと、さいぜんあなたが言ったような位置づけに――いわばあなたのほうが災働災害の基準その他を主管しておる官庁であるだけに専門家である。したがってあなたのほうから中核になる計画を出す。各省が持ってきてそれに加える。加えたものを内閣のこの審議会で討議して、そしてそれぞれの具体的な実施計画を各省が責任を持ってつくっていく。こういう体制になることになれば、機構としてはわれわれは頭の中では納得のいくことになる。ぜひひとつそういうルールをこの際きちっと確立をしてもらう必要があるわけです。産業災害防止対策審議会令というのをいまちょっと取り寄せて見てみたいのですが、これはやる内容が全然出ていないのです。きわめて抽象的で「産業災害防止対策審議会は、内閣総理大臣の諮問に応じて、産業災害防止対策に関する重要事項を調査審議する。」、それから「内閣総理大臣に意見を述べることができる。」ことになっていますが、三十人の委員で組織するというだけで――六条で「関係各行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。」というきわめて抽象的な大ざっぱなもので、資料の収集その他は、これを見ると各省に全く依存をしているわけですね。そうしますと、産業災害防止対策審議会というのは大局論を論議するところで、こまかいところまではいかないのです。さいぜんあなたの御説明になったように、ここはとても五カ年計画なんかをつくる状態にない。そうすると、労働省が主体的な下請機関にならざるを得ない。こういう形はしっかり確認をして、あなた方がふんどしを締めて災害の防止対策を積極的に推進してもらわないと――産業災害防止対策審議会が内閣にあるのだからここで何かいいことができると思うと、それは労働省が骨を折ってくれないといいものができないという結論になるわけです。ぜひひとつそうしてもらいたいと思うのです。そうして次回は通産省なり運輸省なりの関係各省に来てもらって、ここで労働省との間の今後の調整、こういう点を明らかにしておいてもらう必要があると私は思うのです。この前、私ここでガス協会のことを御質問申し上げましたけれども、あれにしても、どうもあなた方と通産省との間の意思統一、それから通産省内部におけるたとえば石炭のほうの保安とそういうガスの問題とは主管する局が違うわけです。そういう点についても何か他人ごとみたいな感じを実は受けたわけです。こういう問題は、ガスというものは、ガス、プロパンガスその他を直接生産をする労働者にも関係をするけれども、その取り扱いの面においてもガスの爆発その他があるわけですから消費者にも影響を与えることになる。だからそういう点については各省の意思統一をした――産業災害防止の対策を総合的に調整する幹事役というのは、労働省が演じていただいて、次回は通藤、運輸の意見もひとつぜひここで聞かしてもらいたいと思うのです。そこでいまの点のような確認で差しつかえないかどうか。
○村上(茂)政府委員 先ほど来御指摘の基本計画、実施計画を中心とする各省間の問題につきましては、基本計画及び実施計画の実施過程におきまして、事業主のみならず関係各省あるいは政府関係機関との間におきますところの問題が発生することも予想されるわけでございます。そのような観点から法案の第七条におきましては労働大臣に勧告することができるという制度を定めておるのでございます。すなわち「基本計画又は実施計画の的確かつ円滑な実施のため必要があると認めるときは、事業主その他の関係者に対し、」云々、こういう規定がございまして、この規定に基づきまして、政府関係機関及び政府機関をも含めまして勧告または要請することができる、こういう仕組みを考えておりますので、計画につきましては第七条の規定によりますところの手段によって調整をはかることが可能でございます。この点につきましては解釈に食い違いはございませんので、格別他の省に確認を求めることは要しないと思っております。
 その他の点につきましては、それぞれの省が法律上の権限を持っておりますことについてどう調整するかという点につきましてはいろいろ問題がございます。そのような問題につきましては労働基準審議会の答申にもございますように、災害防止行政全般の問題に関し、その相互間の調整、位置づけ等について産業災害防止対等審議会の検討に期待するという考え方が出ておるわけでございますので、近い将来、この審議会が存続されることになりましたならば、この審議会におきまして具体的な調整をはかっていきたいと考えておる次第でございます。
○滝井委員 いまの七条の関係ですが、労働大臣のいわゆる勧告あるいは要請をする権限ですね、これが「事業主その他の関係者に対し、」となっておるのだから、関係各省、こうおっしゃるけれども、これは各省とはちょっと読みにくいのではないか。たとえば鉱山保安法のときに私あなたに御質問申し上げたように、やはり主務大臣とする必要があると思うのです。いまのようにいうためには、どこもここも責任を負うのではなくて、どこかが中核となって労働災害に対して責任体制をとるというならば労働省以外にない。したがって労働省が鉱山保安について、あのときの質疑応答では労働条件というものが自分の主たるものである。坑内の保安というものは通産省が持っている。しかし労働条件というものは、坑内において働いておるそのことが同時に保安にも重大な関係があるのであるから、五十四条だったですか――五十四条で通産大臣なりに対して勧告権がある、こういうかっこうになっておったわけでしょう。だからこれも七条の勧告というところをいまのような解釈をしようとすれば、私はまたする必要があると思うが、どたんばになったときには基本計画なり実施計画に関してそれが的確であるかどうかということは、主務大臣並びに事業主に対して労働省が勧告できるという形にしておいたほうがいい。関係者ということになると私は大臣ということにはならぬという解釈です。いまのようなあなたの御解釈ならば、法文を主務大臣、事業主その他関係者に対して、こうしておいたほうがいいのではないか。はっきり労働省が労災問題については運輸省なり通産省についても勧告ができる、それは鉱山保安法の五十四条に明らかに前例があるのです。だから総括的なものにしておいたほうがいいような感じがするのですが、その点大臣の意見を聞かしてもらいたい。
○大橋国務大臣 先ほど来労働基準局長からいろいろ御答弁申し上げたのでありますが、安全問題につきましては労働省だけが幾ら力を入れましても各省の全面的な協力がなければとうていその成果を期することのできないことは申すまでもないのでございますし、また各省がそれぞれの立場、それぞれの気持ちだけで動きましても、五カ年計画全体の円滑なる推進をいたしますためには、その間の連絡調整が必要だと思うのでございます。現行制度におきましては、その間の連絡調整という問題は、これを総理府の活動に期待するという意味で、産業安全審議会も総理府に設置されてあると思うのでございまして、さしあたりこれまでの機構をこの際特に改めなければならぬというふうには考えておらないのございまするが、しかし、従来以上に今後は各省が密接に連絡調整をとり、有機的な連携を持ってこの問題を推進する体制を考えていく必要があるとは考えております。
○滝井委員 私の御質問申し上げておるのは、七条をごらんになると、「事業主その他の関係者に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請をすることができる。」こういう条項があるわけです。その「関係者」というのに各省も入っておりますからという御意見もあったわけです。そうしますと、これだけでは各省、たとえば主務大臣ということは読めないのじゃなかろうか。それで条文の上にやはり――鉱山保安法では明らかにあなたが通産大臣に勧告権がありますね。保安法ではできるのですから、この中にも運輸とか通産等の主務大臣に対して、勧告でなければ、要請でもいいのですが、それができるということにしておいたほうが、内閣にある産業災害防止対策審議会のいわば五カ年計画その他の案をつくる中核的な役割り、推進の役割りを労働省がやる以外にないと思うのです。そうなりますと、各省がサボったり、どうもうまくいかないというときには、大臣のほうからやんわり要請をするということを書いておいたほうが、あなた方の推進役としての役割りは法律的にはっきりしてくるのじゃないか、こういうことです。事業主だけでなくて、各省にもやったらどうですか、こういうことなんです。
○大橋国務大臣 通常の法令の用語といたしましては、「関係者」というのは主務大臣を含む場合はないと思います。というのは、主務大臣は、これは行政機関、関係機関でございまして、法人格そのもの、人格そのものを意味する「者」というふうな意味でこれを呼ぶことは、法令の用語としてはまれな例じゃないか、珍しいのではないか、こういうふうに思います。
○滝井委員 したがって、これはやはり主務大臣が入らぬわけなんです。「者」ではいまのようなことで………。
○大橋国務大臣 まず普通の解釈としては、入るのは無理だというふうにあなたはおっしゃいましたが、それが普通の常識じゃないかと存じます。
○滝井委員 そうしますと、やはり私は大橋さんが、内閣における災害防止の中核的な存在だと思うのですよ、一番労働者の保護に当たる官庁ですから。したがって、やはり主務大臣に対して労働災害防止の基本計画なり実施計画について、的確かつ円滑に実施するために、勧告権で強かったら要請権くらいはあってもいいのではないかと思うのです。そうすると、各省とあなたとの連絡がうまくいくのですね。私はそれを言っているのです。ですから、さいぜんのあなた方の御説明からたどってくると、七条を私言おうと思っておったら、あなたのほうで先手を打って七条を言った、各省はこの七条でできますとおっしゃっているから、それはちょっと無理じゃないですか、ということを言っておる。だから「主務大臣」と入れて、労働大臣が要請することができるというふうにしたらいいんじゃないか。「者」というのは、やはり大橋さんのおっしゃるように機関はちょっと無理なんですね。これは次回でけっこうですから、ちょっと検討して、できればこういうふうに「主務大臣」と入れたほうがいいのではないか。入れる必要がないといえばそれまでだけれども、やはり「主務大臣」を入れて、労働大臣の権限を確立しておいたほうがいいですよ。国民の意思で与党と話し合ってやれば、労働省それだけ権限がきちっと確立するわけでしょう。それを拒否する必要はない。いいですか。
○村上(茂)政府委員 「関係者」の読み方につきましていろいろお話があったわけであります。いわゆる主務大臣を含むかどうかという点につきましては、主務大臣そのものをとらえなくても、下の行政機関あるいは政府関係機関を含むというふうな考え方でおったのでございますが、しかし、そのような御要望もございますし、検討はしてみたいと思うのです。ただ、この七条の、労働大臣がつくる計画そのものにつきまして、それがいいのかどうか、いろいろ考え方もあろうと存じますが、その点につきまして慎重に検討させていただきたいと思います。
○滝井委員 きょうはちょうど区切りの一時になりましたからこれでやめておきます。われわれも法制局と少し検討してみます。そしてやはりこの際、労働省の勧告権と要請権ができれば一番いいし、それでやはり各省が、労働省ばかりがおれらに勧告するのは困ると言えば、要請権でもけっこうです。それはぜひしておく必要があるのです。そうしておかないと、やはりあなたがたの推進力が――各省に出しても、法律にあるならこれはやむを得ません、国会の意思でこうやられたんですから、こう言われれば責任はわれわれのほうにあるのですからね。この際やはりやっておく必要がありますよ。
 きょうは、これまでにいたしておきます。
○田口委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十七日、午前十時より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
   午後一時七分散会