第046回国会 商工委員会 第57号
昭和三十九年六月十二日(金曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 二階堂 進君
   理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
 理事 始関 伊平君 理事 早稻田柳右エ門君
   理事 板川 正吾君 理事 久保田 豊君
   理事 中村 重光君
      内田 常雄君    浦野 幸男君
      遠藤 三郎君    小笠 公韶君
      小沢 辰男君    大石 八治君
      岡崎 英城君    神田  博君
     小宮山重四郎君    田中 六助君
      中村 幸八君    野呂 恭一君
      長谷川四郎君    三原 朝雄君
      村上  勇君    大村 邦夫君
      沢田 政治君    島口重次郎君
      楯 兼次郎君    藤田 高敏君
      森  義視君    麻生 良方君
      門司  亮君    加藤  進君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  福田  一君
 出席政府委員
        警  視  監
        (警察庁保安局
        長)      大津 英男君
        通商産業政務次
        官       田中 榮一君
        通商産業政務次
        官       竹下  登君
        通商産業事務官
        (大臣官房長) 川出 千速君
        通商産業事務官
        (大臣官房参事
        官)      宮澤 鉄藏君
        通商産業事務官
        (企業局長)  島田 喜仁君
        通商産業事務官
        (重工業局長) 森崎 久壽君
        通商産業事務官
        (軽工業局長) 倉八  正君
        通商産業事務官
        (繊維局長)  磯野 太郎君
        通商産業事務官
        (鉱山局長)  加藤 悌次君
        労働基準監督官
        (労働基準局
        長)      村上 茂利君
 委員外の出席者
        自治事務官
        (消防庁予防課
        長)      伊規須徳博君
        専  門  員 渡邊 一俊君
    ―――――――――――――
六月十二日
 委員佐々木良作君辞任につき、その補欠として
 門司亮君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員門司亮君辞任につき、その補欠として伊藤
 卯四郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 特定産業振興臨時措置法案(内閣提出第三九
 号)
 市場支配的事業者の経済力濫用の防止に関する
 法律案(板川正吾君外十二名提出、衆法第一二
 号)
 工業に関する件(昭和電工株式会社川崎工場の
 爆発事故に関する問題)
     ――――◇―――――
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
 工業に関する件について調査を進めます。
 昭和電工株式会社川崎工場の爆発事故に関する問題について質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。森義視君。
○森(義)委員 わが国の化学工業界において第三位にランクされる昭和電工の、しかも重要工場である川崎工場が、御承知のように昨日三時十分に大爆発を起こしまして、死者十二名、負傷者百十名という未曽有の大事故を起こしたわけでございますが、私は、この事故によって死亡あるいは負傷された皆さん方に心から哀悼の意を表しますとともに、これが監督機関である通産大臣に対して、この問題について以下御質問を申し上げたいと思うわけでございます。
 このようなわが国の新鋭工場といわれる石油化学工場において未曽有な大爆発事故を起こした、その原因あるいはそのような実態に陥った今日の状態というものについて、大臣はいま現在の時点においてどのように現状を把握し、掌握し、その監督上の責任を感じておられるかについて、まず最初にお尋ねをいたしたいと思います。
○福田(一)国務大臣 昨日の午後三時七分に川崎市所在の昭和電工株式会社川崎工場内のプロピレン・オキサイド製造設備の一部が爆発をいたしました。その結果、ただいまのところ十二名の死者を出し、また入院しておりますところの負傷者は大体五十名、うち重傷者が約十数名あるということが明らかになっておるところであります。
 この原因につきましては、いま調査をいたしておる段階でありますが、詳しい報告は一応事務のほうからいたさせたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、今後日本が重化学工業化を実現していかなければならないという段階におきまして、しかもこういう最新鋭工場においてこういう事故が起きたということは、まことに遺憾であります。これによって死んだりあるいは負傷されたのは、ちょうど増設中の工事場で働いておられた千代田化工の下請の内海建設その他の人たちが多いのでありまして、昭和電工自体は大体二名ぐらいの負傷といわれておるのであります。これは御案内のように、この種の施設はリモートコントロールによりまして遠隔操作をやっておるからでありますが、原因につきましては、爆発するのでありますから、そこに火があったということであります。おそらくは、このプロピレン・オキサイドの一部が漏れておるところへ、これはまあ想像でございますが、この内海建設等がやっておりました増築工事場のいわゆるスパークがついたのではないか、あるいはその他の原因でその漏れたオキサイドに火がついたのではないか、こう想定されるのでありますが、これは明瞭でございません。いずれにしましても、漏れたガスに引火をいたしまして、それが今度はタンクを加熱いたしまして爆発を起こした。そして製造いたしましたプロピレンを貯蔵しておくタンクが二つ倒れたのでありますが、そのうちの一つが増築工事場のほうに向かって倒れまして、それが爆発をして大きな死傷を起こしたように一応いま調査がされておるところであります。
 詳しいことは局長から御答弁をさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、これはわれわれとしては非常に重大なことでございまして、きょうも閣議でこの点を報告し、総理からも、この種のことが重ねて起きることがあってはたいへんだから、すみやかに原因を調査して各都道府県その他に再度――実はきのうのうちにすでに、この種の工場に対し、あるいは団体に対し、あるいは所在の府県に対しましては厳重に注意するような指令は出しておいたのでありますが、原因がわかり次第、再度指令を出して、この種のことのないようにしなければいけないという発言があり、科学技術庁長官からも、通産省と協力して、この種の問題が今後起きないように協力をしてみたい、こういうような発言等もございまして、政府といたしましては、今後これについては万全の措置をとり、もちろん被災者に対する救済といいますか、この救護あるいは善後措置につきましては、われわれまた会社に対して、きのうから十分にこれを申しつけておりますが、労働省からも、この災害に対する保険給付金等はすみやかに給付するようにいたしたいと思う、なお原因探査をして、とるべき措置があれば労働省としても十分やらなければならないということで、閣議においても了承されておるという実情であります。
○森(義)委員 大臣がすぐ参議院に出られるようですので、もう一つだけ大臣に聞いておきたい。
 この昭和電工の川崎工場の爆発の事故を大臣がお聞きになったのは何時ごろであったか。それから、その事故を聞いてから大臣がどのような措置をされたのか。いま一つは、監督上の最高責任者である通産大臣が、先ほど事故が起きたことは遺憾であったという遺憾の意の表明がございましたが、監督上の責任についてどのようにお考えになっておるか。この三点についてお答え願いたい。
○福田(一)国務大臣 きのう事故の報告を聞きましたのが四時半前後でございます。それから直ちに軽工業局の担当官から報告を聞いて、そのときには軽工業局の課長以下が現場に急行いたしておりまして、そこで係の者を呼んで、いわゆる救護について万全を期することと、それからもう一つは、昭和電工に対してはこの原因の調査を十分にすることをしなければいけない、同時にまた各都道府県知事、化学の各団体に対して通牒を発して、この種の事故が起きないように厳重に調査するようにということを言うてあります。そこで、この問題は実を言いますとプロピレン・オキサイドというのは、御案内のように法律ではこれは低圧のほうに入っております、可燃性のガスではありますが。このこと自体からは、直接の法の適用の面から見て、通産大臣としては問題はないのでありますが、工場の経営とか昭和電工というものに対する意味から言っては、われわれはやはり責任があるわけであります。なお、施設の一部には高圧の部分もあるやに聞いておりますが、これは非常に小さい部分のようであります。高圧ガスの法律を適用する部分は非常に小さいようでありますが、いずれにいたしましても原因調査を十分にすることが必要である。しかもこの高圧ガス取締法というものの適用はどこでやるかというと、通産省は監督はするのでありますが、現場は各都道府県の商工部がやっておるわけであります。そういう事情になっておりますので、私としては、いわゆる都道府県、関係府県に対しては十分な注意を一応喚起しておきましたが、先ほど申し上げたように、高圧法の適用の問題もあります。私としては、まず原因の調査に特に力を入れなければいかぬと思い、ゆうべの十一時にまた現場におりますところの昭和電工の社長に電話をかけましてその後の事情を聞くと同時に、十分羅災者の救護をやってもらいたいということと、それから原因の調査が特に大事である、これはひとつ十分君のほうでも考えてもらいたいということを特に申し伝えておいたような次第であります。
○森(義)委員 それでは大臣が時間がないようでございますので、大臣に対する質問を留保いたしまして、直接担当局長である軽工業局長に、先ほどから大臣の概略の説明がございましたが、現地へ直行されてきょうまでいろいろな御調査をされたと思うので、その調査の概要を御報告いただきたいと思います。
○倉八政府委員 きのう爆発しまして、さっそく課長以下専門の担当官を六名派遣しまして、ゆうべ徹夜でその調査に当たらせまして、さっき、ここに来ております課長が帰ってきたばかりでございます。その原因につきましては、はっきり申し上げますと、いまのところはこれがという原因はわかっておりません。ただわれわれのところの専門家の意見によりますと、こういう原因が有力であるということでございます。それは、さっきも大臣も触れましたごとく、プロピレン・オキサイドという、このものを十本のタンクに入れておるわけであります。これは高圧ガスではございませんが、非常に引火性の強い、沸点三十五度という引火性の強いものでございまして、その中の一つがどこに飛んだかわからないという爆発をしております。それからあとの二つが近くに飛んだ、それからあとの二つが倒れた、結局十本のうちに三つが飛んで、二つが倒れて、残りの五つは無傷であるというのが現状でございますが、この原因としまして、科学的に言いますと二つあるだろうと思います。その一つは、プロピレン・オキサイドという中の過酸物というのが化合したのではなかろうかという説と、もう一つは、この隣に千代田加工及び内海建設が第三施設の増設をやっておりまして、そのいわゆる溶接の火花が散ったのではないか、散ってそのタンクの中から出てきましたPOが、これは空気に触れますと気体になるのでございまして、それに引火してそれが爆発したのではなかろうかという二つのケースが考えられるわけでございますが、最初のほうは、これは現に爆発する三十分前にリモートコントロールの計器室で、そういう異常は絶対ないというふうに認められておりますし、そのグラフもそういうことを示しておりますから、結局はあとのほうではなかろうかとわれわれは推測しておりまして、これは非常に専門的な知識を要しますから、きょうも専門家を派遣しましていま調査中でございます。以上がこの原因でございまして、ただ本来の施設のプロピレン・オキサイドをつくっております施設が二つございますが、いま爆破した隣の一つのほうは全く無傷でございます。それからもう一つのほうが爆風によってゆがめられて、これが生産回復には、これもはっきりわかりませんが、まず三カ月ないし五カ月かかるというのが現状でございますし、それから尊い人命の損害につきましては、いま大臣がお答えしたとおりでございます。
○森(義)委員 いまの局長の御答弁では、原因がまだ明確でない、ただし重要な原因として二つ考えられる、その中においても、特に増設工事に携わっておった千代田建設の下請業者が現場で電気溶接機を使っておった、それがプロピレン・オキサイドのガスタンクから漏れるところに引火をしたのじゃないか、こういうことが主要な原因だろうと推察されるという御答弁だと思うわけです。そこで、引火性の非常に強いプロピレン・オキサイドのガスがタンクから漏れておったのじゃないだろうかというふうな推測、そういう仮説というものが出てくる根拠はどこにあったのか。いまガスが漏れておってそれに引火したのではないかという、そのような可燃性の強いガスが漏れておるというふうな管理状態についてどのようにお考になっておるか、そういう漏れておるという推測はどこから出てきたのかお尋ねしたいと思います。
○倉八政府委員 それは非常に判定がむずかしいということでございまして、われわれとしましては、そういう原因を突きとめる前に一応の観念的な仮定を置いて調べざるを得ないと思います。と申しますのは、そこでやっておりました人がほとんど死にましたし、それからいま重傷で病床に呻吟されているというときに、はたして私が言いました後者の、第二の原因がそのままであるかどうかということは、私も確定的に言えないのでございます。ただいろいろ原因を観念的に、理論的に踏査していきますと、そういうことになる可能性が多いだろうということを申し上げておるわけでございまして、なるほど先生御指摘のようにプロピレン・オキサイドというのは、これが漏れますと非常な悪臭を放つのでございます。悪臭を放つのに工場の人が気づかなかったかどうかという点、これも重傷者がもっと回復に向かわれたり、あるいはもっと科学的な調査をしてからの結果だろうと思いますが、そういう悪臭の問題もありまして、その間の事情というのはもっと掘り下げて研究いたしませんと、私がさっき申しました第二の原因というのも決して断定的には論ぜられないというのがただいまの現状でございます。
○森(義)委員 プロピレン・オキサイドのタンクからガスが漏れておったというふうに、簡単にそういう判断をされておるのはたいへんなことです。御承知のようにあの川崎地区は、石油コンビナートという重要工場の密集している地帯です。そういう地帯に、可燃性の強いガスが漏れておるという状態に置かれておったということはどういうことなのか、もしそれがほんとうに各種の工場においてそのようなガスの漏れておる状態があるとするならば、これはたいへんなことだと思うのです。あの隣の昭和石油にもし引火をしたならば、川崎一帯は火の海となっておっただろうと思います。そういう判断を下されることについては、少なくとも軽工業局として担当の地位にある者が、そういう引火性のあるものが漏れておったのではないかと言うについては、何か根拠がなくてはならぬと思う。ところが、いまのところは相心定してそうしか考えられないという御答弁でございますけれども、こういうことが日本の化学工業の中に今日平然として放置されておるということならば、監督官庁である通産省としては重大な責任だと思うわけです。その点について再度、そういう根拠を裏づけるような何らかの証拠があるならば御答弁を願いたいと思うわけです。
○倉八政府委員 御指摘の前段の問題につきましては、石油化学があれだけ発展しておりますし、その技術は日進月歩でありますし、このプロピレン・オキサイドというのもたまたま四年前に世界的に出た商品でございまして、こういうものが今後ますますふえることも事実でございましょうが、これについては、われわれといたしましては、さらに厳重なる保安の指導に当たりたいと思います。後段の先生のお尋ねのこの原因につきましては、さっき申し上げましたようにP・Oの中の過酸物の原因によるものか、あるいは第二の原因である引火によるものか、それも観念的な問題でございまして、ここで一である、あるいは二であるというような確定的なことは、もうしばらく調査の結果をお待ち願いたい、こう考えております。
○森(義)委員 先ほど、リモート・コントロールの計器室で、その直前において何らの異常を認めなかった、こういうことでございますけれども、ガス漏れの状態というのは、そのリモート・コントロールの計器室にあらわれるのかどうか。
○倉八政府委員 これはリモート・コントロールにあらわれますが、ただその場合に一つのアローアンスというのがございまして、いま問題の第三タンクかと思いますが、この場合には十二立方メートル入る容量のタンクでございます。それが爆発する約一時間前に八立方メートルが入っておりまして、これは異常の場合には原則として警報、つまりアラームが鳴るわけであります。このガス漏れにつきまして、どの程度のもがあったら赤ランプがついてアラームが鳴るか、その辺につきましてもいま担当官が行って、きょうはこれを専門に調査するということで行かしておりますから、これは後刻わかるかと思いますので、そのときまたはっきりお答えしたいと思います。
○森(義)委員 そういう御答弁ですと、先ほどのガス漏れと想定される考え方と、その前のリモート・コントロールの計器室にあらわれたあれと、考え方の根拠が違うと思います。当然そのガス漏れがあらわれる、しかしあらわれ方がどういう形であらわれるかについてはまだこれから調査するのだ、こういう話でございますけれども、ガスは非常な悪臭を放つが、このことについて悪臭を事前に察知し、あるいは事前にだれかがそれをかいでそういう危険性を訴えた、あるいは連絡した、こういうことはございませんか。
○倉八政府委員 その点についてはいま報告がまいっておりませんから、したがって私はまだ聞いておりません。
○森(義)委員 きわめて引火性の強いプロピレン・オキサイドのタンク周辺における保安体制について、どういう体制を川崎工場は平素持っておったのか、そういうことについて調査の段階でわかっておることがあればお聞かせ願いたいと思います。先ほどの報告の中で、昭和電工の負傷者が非常に少なかったということは、その付近におけるこのタンクに対する昭和電工の危険物の保安体制がとられておらなかったのではないか、こういうふうに想定されるわけですが、どういうような保安体制がとられておったのか、調査の結果をお知らせ願いたい。
○倉八政府委員 タンク自体の問題に入りますと、それは常温、低圧でございまして、高圧ガスではございません。したがいましてこの取り締まる法規対象というのは消防法の対象でございますが、消防法の対象は結局それをつくるときの認可、それから据えつけたときの完成検査、その後は随時検査、こういう体制になっております。したがいまして、きのうの事故の最中に工事人が例の鉄板をその問に張りまして工事しておったというのも、その引火のおそれがあるという注意からいたしておったとわれわれは察します。
 それから先生の御質問の本論の、どういう体制をとっておったかといいますと、PO、プロピレン・オキサイドをつくるまでの過程は高圧ガスでございます。プロピレン、これも高圧ガス、塩素、これも高圧ガス、これを合成しまして、P・Oになるわけですが、それをつくる合成過程は高圧ガスでございますから、これにつきましては高圧ガス取締法にのっとりまして、保安責任者もちゃんとおりますし、それから昨年の八月には正式な定期検査も県から受けておりますし、それから自主検査も四月に順次終わっておりまして、P・Oの製造過程即高圧部門については、法規に対する違反はなかったものというふうに思われるのではないかと私は思います。
○二階堂委員長 あと二人まだ通知がございますので……。
○森(義)委員 P・O自身は高圧ガス取締法の対象ではない、P・Oをつくる過程において高圧ガス取締法の対象になるところがある、したがって、その過程における高圧ガス取締法の適用される部面についての保安は全体としてりっぱにできておっただろうと思う、こういうことなんですが、一工場の中において高圧ガスの部面だけがいかに保安体制が整えられておりましても、片方においてそういう可燃性の強いガスが、いわば保安体制が整えられておらない中に放置されておるならば、たいへんな危険性があるので、そういうことになれば、高圧ガス関係だけが取り締まりの対象になるという法規には若干欠陥があるのじゃないか。もしP・Oは高圧ガス取締法の適用を受けないから、保安体制がそのまま放任されておるならば、一工場の中におけるそういう引火性の強いもの連続爆発というものはきわめて危険な状態に放置されておると思うのですが、それは法的欠陥なのではないかという点が一つ。
 それから、他に質問者があるようですから、私のほうで重要な点だけをお尋ねしたいわけですけれども、千代田建設の下請会社があの時点において工事をしておった。P・Oはきわめて可燃性が強いから、その付近における火気はきわめて厳重に厳禁されておった。そこでアセチレンガスを使って溶接を行なっておるということに対する監督の責任は、請負った千代田建設にあるのか、その工事を依頼した昭和電工の川崎工場にあるのか、どちら側にあるとお考えになるか。
○倉八政府委員 第一の問題の、いわゆる取り締まり対象に法的な欠陥があるのではないかということでありますが、これは確かにそういう問題が今後研究課題として大きく出てくることは事実だろうと私は思います。と申しますのは、毎年毎年こういう可燃性の新しい物質が次々に出ておりまして、それの取り締まり対象というのは高圧ガスでもないし、従来いわれておる引火性のあるものではない、しかもそれが工場の一部にあるということで、こういうものについて今後保安面からどういう法体制をとるかということは、大きい問題として今後検討しなくてはならないと思いますし、今後検討を続けていきたいと思います。
 それから第二の、下請関係と発注者である昭電のどちらに責任があるかということでございますが、これは私は、法的な責任がどちらにあるかということはここではちょっと即答しかねますが、少なくとも発注者である昭電は、ここにはP・Oというのが入っておる、これは引火性の強いものであるということは表示することになっておりまして、火気厳禁だ、あるいは火を持った者は近寄るべからずというふうになっております。それをさらに下請に確認があったかどうかというのが昭電側の一つの責任ではなかろうかと思いますし、それから下請につきましては、重大なる過失があったかどうかという問題で、これは今後いろいろの関係の者と――結局的には裁判所の問題ではなかろうかと思います、そういうことで、私としましては、どっちにどういう法的責任があるということは、ここではちょっと即時にお答えできかねますが、御了承願いたいと思います。
○二階堂委員長 あと一問ぐらいにして、始関君もございますし、それから門司君もございますので、ひとつそういうことで進めていただきたいと思います。
○森(義)委員 法的な問題については、引き続いて当委員会においても検討し、いわゆる現在の高圧ガス取締法の欠陥については早急にその欠陥を補うような立法的な措置をお考えを願いたい。当委員会においても十分検討したいと思うわけでありますが、下請の千代田建設の工事担当者と、それから発注者の昭和電工との責任の問題については、これはいずれ法的には明らかになるだろうと思いますけれども、現在の建設事業場は、御承知のように、たとえば千代田建設が引き受けをいたしましても、その下請下請と順々と回していくわけです。現に私は昨日昭和電工の現地に行ったわけでありますが、千代田建設の負傷者は名前もわからない、どこから来た人かもわからない。どういう人かもわからない、こういう形なんです。このようにどこから来たかわからないような、籍も明らかにならないような人々を使っている建設業の末端の下請組です。こういう組が実際はそういう危険なところに行って作業している。こういう状態になりますと、当然その施設を持っている昭和電工の川崎工場が、危険なものに対するところの警戒の責任があると思うわけであります。そうでなければ、建設工場の下請下請がそういう現状を知るはずがないわけであります。しかし、それについては何らの措置が講ぜられておらなかったような印象を受けるわけです。あの地区における、いわゆる火気厳禁地区における保安体制というものが、絶えずあの地区を立哨するとか、あるいはそこに人が立って警戒に当たっておるとかいう体制がとられておらなかったようであります。その点につきましては、どちら側に法的責任があるかは別といたしまして、いずれ明らかになることだろうと思いますけれども、今後このような状態が単に川崎工場だけではなくて、各地の化学工場の中における――どんどんと池田さんの高度経済成長政策によって工場施設が拡大されていっておる、その現場におけるそういう危険物に対する監督は、おそらくこの川崎工場と同じような形が随所に見られるのではないかと思います。たまたまそれがこういう事故を起こさなかっただけであって、いわば薄氷を踏むような状態がこの事政を起こしたと痛切に感じるわけであります。
 通産大臣がお見えになりましたのでお聞きしますけれども、こういう新しい化学工場の増設現場は、直轄工場にやらすなり、あるいはそれの専門工場にやらせるということを考えないと、いまのような下請下請に回されていって、そういう科学的な知識の全然ない人々によって随時に行なわれているということになるならば、発注した工場が責任体制を明らかにするか何かしないと、今度のような事故がまたまた続発すると思うわけです。その点については、建設を発注した工場がそういうものについて責任体制並びに保安体制をとるのがまず第一である、と同時に、可能なれば下請下請という形をとらずして、そういう専門の請負業者が責任を持ってやるという体制を確立する、そのいずれかをとらなければならないと思うのですが、大臣はその点についてどのようにお考えですか。
○福田(一)国務大臣 私は、この種の事件が再発することを防ぐためには、ただいま御指摘のあったようないわゆるガスの取り締まりに関する法的な問題、また請負に関する問題等も十分研究をいたしまして、善処いたしたいと思っておりますが、ただ、請負関係につきましては御指摘の点は十分考慮いたさなければなりませんが、あまりまたそれを徹底していくと、いわゆる中小企業関係の請負は仕事ができなくなるというようなおそれもなしとしません。そこで、そういう場合に十分に危険度その他についての注意を与えておったかどうか、これがAからB、BからCにずっと続いて行なわれておったかどうか、その断続のところにおいて責任問題が生じるのだというような形をはっきりさしておくということは、御指摘のとおり非常に必要ではなかろうか、かように考えておりますので、そういう意味において善処をいたしてまいりたいと思います。
○二階堂委員長 残余の質問は後刻お願いいたします。
 始関伊平君。
○始関委員 昨日の午後、昭和電工の川崎工場における燃料タンクの爆発事故と、それから三井鉱山砂川炭鉱における落盤事故、これが相次いで報道せられまして、われわれの耳目を聳動せしめたのでありますが、このような大きな産業災害が、しかも日を同じゅうしまして二つも起こるということにつきましては、われわれもまことに遺憾とせざるを得ないと思います。ここに、この事故のために犠牲となられました方々に対しまして敬弔の意を表しますとともに、負傷をせられました方々、その他罹災せられました方々に対しまして心からお見舞いを申し上げたいと思うのでございます。
 このような化学工場におきましては、いわゆるオートメーション化が進んでおりまして、災害の防止ということも、オートメーションの力によって防止できるようになっておると思うのであります。したがいまして、この種類の工場における災害の発生ということは、むしろ件数としては今日まで少なかったというのが実情であると思うのでありまして、それだけに今回の災害の発生につきましては、はなはだ重大でございまして、私といたしましては、当局の監督についての責任体制の整備、それから会社自体における保安機構の整備、こういったような点につきまして十分な対策が講ぜられるべきだと思うのであります。昭和電工におきましても、会社の生産を急ぐのあまり、保安体制の整備につきまして必ずしも十分でない点があったのではないか、また保安というものをないがしろにしておったような傾向があるのではないかと推測されるのでありますが、これらの点につきまして、今日まで役所で判明しておるところをお聞かせをいただきたいと思うのであります。
○福田(一)国務大臣 ただいまの点につきましては、技術的な面もございますので、局長から答弁させます。
○倉八政府委員 昭電の川崎工場というのは、これは代表的な大きい工場でございますが、この中でいわゆる高圧ガスを使っている部面が、今度の事故と関連がございますP・Oそれから硫安でございまして、ほかのほうは高圧ガスというのはございませんが、この問題につきましては、われわれの監督官庁としましては、高圧ガス取締法に基づきます管理者の設置だとか、あるいは講習会をやりまして、その保安教育を徹底する、あるいは会社としても事故検査を毎年やる。現に四月もやったわけでございまして、そういうことで私は特に昭和電工が保安体制に対してネグレクトしておったとは考えておりませんが、ただ、先生の御指摘のように、今後ますますこういう高圧ガスというよりも可燃性物質がふえていく、そのふえていく度合いに応じて保安体制がそれにマッチしているかどうかというところに問題があろうかと思います。したがいまして、これも原因の究明と合わせまして、いま、もしも昭和電工がそういう欠点がありましたら、われわれとしましては昭和電工に指示しましてその保安体制をさらに強化させたい、こういうふうに考えております。
○始関委員 鉱山災害などに比べますと、高圧ガス関係については事故の数というものはむしろ少ないのではなかろうかと思いますが、しかし、たまに起こったからといいまして、こういう大きな災害が、しかも突如として起こるということは非常に困ることであるのでありまして、原因の究明それから当面の対策、さらに恒久的な意味の対策、これを当局とされましても今後進めてまいらなければならない。私どももこの種問題を当委員会において取り上げる機会もあろうかと思うのでありますが、私は大臣に対しまして、本件のような事故が今後起こっては絶対に困る、これは絶対に防止しなければならないという立場におきまして、どのような点に着眼してどんな方向の対策を考えておらるのかという点の大筋をこの際伺っておきたいと思います。
○福田(一)国務大臣 すでに御案内のように、ガスの問題につきましては、都市ガスには都市ガス取り締まりの法があり、高圧ガスにつきましてはこれまた法がございます。ところが、いわゆる低圧のガスにつきましては、可燃性ではあるけれども、実はまだ取り締まり法規がないような状況でございますが、この種のものは相当ふえておるということから考えてみまして、これが取り締まりについて法制的に何らかの措置を必要とするかどうか、早急にまず検討いたしたいと思っております。
 それから今度の事件を見まして考えられますことは、この種の化学工場は御指摘のとおり、いわゆるリモート・コントロールによって行なわれておりますけれども、しかし、ガスの漏れるというようなことは、なかなか一日ついていてこれを点検するというわけにもいかぬかもしれぬ。したがって、事故が起きたときには、そこには人がいないという意味では、それほど大きい事故は起きないかもしれませんが、今度のようにそのそばで増築工事をしておる、増設工事をしておって、多数の人がそこにおるというようなときに、ガス漏れがあるかどうかというようなことを点検したり、あるいはそれに引火するおそれがないかどうかというようなことを注意するということは、これは厳重にやっていかなければいけない、そうしてそういう場合における責任問題等も十分考えておかなければならないと考えておるのでありまして、そういう増設が行なわれるという場合は、いわばレアケースと言わなければなりません。私たちとしてまず心配なことは、重化学工業化されて、ある程度の広いところで重化学工業設備ができて、それがリモート・コントロールでやっておられるにもせよ、それが爆発することによって近隣に及ぼす影響というようなことも、われわれは十分考えなければいけないと思っておるのでありまして、さしあたりの問題としては、いま申し上げたような二点について特に監督を厳重にいたしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○始関委員 これは通産省、建設省にまたがる問題でございますが、会社の建築、増設工事が行なわれておる。そこに建築業者が入り、さらに下請が入るといったような場合に、保安の確保についての責任関係を明白にするという着意からの何かの施策が必要になると思うのでありますが、こういったような点についても何らかお考えになるのかどうかという点をこの際伺っておきたいと思います。
○福田(一)国務大臣 そういう建設工事等の場合においていかなる措置をとるがいいかということについては、原因もすぐに明らかになってまいると思いますので、建設省とも十分打ち合わせの上で措置を考えてみたいと思っております。
○始関委員 この際、局長から簡単に伺っておきますが、今回のこの不幸な災害によりまして当該製品の需給関係にはどんな影響を及ぼすのか。それから昭電自体として被害を受けた工場の復旧にはどのくらいの期間が要るのかというような点につきまして、おわかりでしたらこの際伺っておきたいと思います。
○倉八政府委員 ここの第二施設というのが損害を受けたわけでございますが、これの復旧は三カ月ないし五カ月要します。それで第二施設下、つくっておりましたプロピレン・オキサイドというのが、いま昭電が自分の施設では大体五百トン前後の生産目標でありますが、日本の生産能力が月に四千トン程度、その三カ月ないし五カ月の生産停止によって、日本の需要に対してこれは影響はないとここで断言できるかと思います。
○二階堂委員長 あと一問程度にしてひとつ……。
○始関委員 では時間がございませんので、あと一つだけ質問を終わらしていただきますが、この昭和電工の災害と日を同じういたしまして、三井砂川におきまして落盤事故が起った。これも三井鉱山に対して、たいへん気の毒な事故であり、犠牲となられました方々、罹災された方に対しましては深甚な同情の意を表する次第でありますが、原因の究明等もさることながら、さしあたり生き埋めと申しますか、落盤の中に閉じ込められております方々がまだ五名程度おられるということでありますが、この救出作業の進捗状況、また今後の見通しなどについておわかりの点を簡単に伺いまして、私の質問を終わらしていただきます。
○福田(一)国務大臣 実は御指摘のとおり、三井の砂川におきまして昨日また落盤事故が起きまして十三名が生き埋めとなったのでございますが今朝六時までの調査報告によりますと、そのうちの八名はこれを坑外へ運び出すことができました。うち五名が生存いたしておりまして、二名は重傷であります。残る一名は死亡をいたしております。五名がいままだ穴の中に閉じ込められておりますが、そのうち一名は生存を確認いたしておるのであります。目下その救出作業を督領をいたしておるのでございますが、ちょうど傾斜が五十度くらいの斜坑でございまして、救出作業が非常に困難でございますけれども、われわれとしてはすみやかにその救出作業を進めるように目下努力をいたしておるところでございます。
○二階堂委員長 門司亮君。
○門司委員 昨日の昭和電のきわめて不幸な事件がわれわれがきょう御質問申し上げますのは、再度こういう不幸な事件が起こらないようにすることが、なくなった方への最大の手向けであり、また負傷された方におきましても大きな慰安になろうかと思っております。そういう意味で御質問申し上げますので、ひとつ当局も率直に御答弁を願いたいと思います。
 第一に聞いておきたいと思いますことは、先ほどからいろいろの角度から御質問がございましたが、これに対する当局の御答弁の中にも、われわれのふに落ちないところがたくさんある。また、われわれが昨日現場を見てまいりまし考えたこととあわせて、きょうは二、三の点についてのみ質問申し上げておきたいと思います。その一つは、化学産業が非常に発達をいたしております。この化学産業の著しい発展に伴う予防処置が完全にとれておるかどうかというところに一つの問題がありはしないかと考えられる。いわゆる高圧ガスでないから、これは比較的危険性の少ないものとして現行法というようなものにあまりにたより過ぎておる関係がありはしないか。したがって当局としてはこういう著しい化学の進歩の際に、それらの問題を一体どういうふうに関連をもって処置されておるのか。いわゆる科学技術庁あるいは通産省あるいは建設省あるいは労働省といったようなところの総合的の施策が立てられておるのかどうなのか、その辺をまずお伺いをしておきたいと思うのでございます。
○倉八政府委員 予防措置が十分とられておるかという御質問でございますが、これは現在の化学、特に装置産業につきましては、保安と生産というのがもう一体と言ってもよかろうと思います。というのは化学工業のごとき、パイプと槽ということになっております。そこに一つ欠陥がありますと、全部に影響するということで、この予防措置というのは、生産自体が一つの予防になってくる傾向が非常に強くなってきたということ。それと、施設をやります場合には必ずリモート・コントロールでやる。そのリモート・コントロールでも、ちょっと事故があるとすぐ自動的に制御装置ができておるというようなこと。それからパイプとかあるいは槽自体が最近材質が非常に変わりまして、割れにくいとか、あるいはガス漏れしにくい、そういうふうなことでございまして、装置をするときにこういう予防面を十分織り込んでしておるという、いわゆる本質的な問題が根本的にあるわけでございます。それから次の問題としまして、そういう根本的な予防的な措置がとられておるという以外に、法律の体系としまして高圧ガスの取り締まり法あり、あるいは消防法ありということで、態様に応じましてそれを取り締まっておるわけであります。ただ、さっき御質問のありましたように、そこで取り締まりの厳正さと申しますか、それの態度は幾分違うかと思いますが、各種の法を運用しまして、その品質に応じて取り締まっておるということで、予防措置としては、われわれとしましては十分とっておりますし、それから第三の問題としましては、各会社というのがこの予防問題にいま非常に力を入れておりまして、そのために補助金の申請もありますし、あるいはそのためのノーハウの申請もあったり、あるいは講習会あるいは研究会ということで、この面については企業体としても相当力を入れ、またその成果を得つつある、私はこういうふうに考える次第でございます。
○門司委員 私はそんなことを聞いているのではないのであります。そんなことはあたりまえのことであって、当然やらるべき処置である。ただ私の聞いておりますことは、すでに事故が起こっておる。あなたのいまの御答弁のようなことなら事故は起こらぬはずですよ。事故が起こっておるのである。したがってこの事故を将来起こさないようにするということがきょうの問題でありまして、それにはさっき言いましたように、そういう関係各省が十分の処置をとるように連絡あるいは協調あるいは協議をするような機関があるか、ないかということを聞いておるのであって、もしなければ、そういう機関をやはり設けてもらいたいというようなことが私の質問の趣旨でありまして、この質問の趣旨を間違えないようにひとつ聞いておいていただきたい。
 大臣にこの際次の問題として、時間がございませんので掘り下げて答弁をいただく時間もございませんが、はしょって申し上げます。
 先ほど大臣は御答弁の中で、増改築に対します問題について触れられたのでありますが、私は、もし当局側がいっておりますようにガス漏れがあったということが一応考えられて、それに何らかの火花が散って引火した、あるいは引火しなくてもガスの発生状態によっては、あるいは空気の中に入ってきて、窓素等の関係から自然爆発をする危険性がないとは言えない、そういう形でいろいろな問題があろうかと思う。しかし、少なくとも大臣のさっきの答弁のようなことでなくして、増改築を行なうような場所、同時に火花が散るであろうと考えられるような場所等には確然とした予防措置ができるはずである。火花がいかないような予防措置が当然できるはずである。したがって、危険区域における増改築に対する予防の措置というものが、これは通産省だけでは私は困難だと思いますが、工場関係を取り締まっておる建設省やあるいは労働省との間に、そういう面において協議ができて、絶対に火花というものが危険個所には入らないような措置をまずとらせるという考え方はございませんか。こういうこと以外には、私はこの種の問題は防御することは困難だと考えているのです。
○福田(一)国務大臣 御指摘の問題は、直ちにこれは実行いたさなければなるまいかと思います。ただ建設省とかあるいは労働省と協議をする必要があるかどうか、これは問題で、県と協議をいたしまして、そういう化学会社が増改築をやります場合には、設計を出させて、そして増築をやる場合に、さい然と区分をして、たとえガスもれがない場合でも、そういうおそれがないかどうかということを十分研究する、したがって敷地の広さあるいはまた境目の施設、こういう点については今後は厳重な監督をいたしたいと思っております。
○門司委員 それだけはひとつぜひ実行してもらいたいと思います。今回の場合も、先ほどから言っておりますように、また当局が言っておりますように、ほかからの引火があったということが一応考えられるならば、私は、確然とした隔壁があったならそういうことは防げたと思うのです。そういうものがなかったからそういうところに火花が行ったと考えられるのですから、ぜひそういうことはやっていただきたいと思います。
 それから、その次に聞いておきたいと思いますことは、ややともしますと学問的にいろいろな問題が出てきて、それの決着がつくまで原因が不明だというようなことで、しまいには一体何のことだかわからぬようなことになる危険性がこの種の問題にはたくさんあるのであります。したがって今回の問題は――御承知のように非常に石油コンビナートの造成は多いのであります。同時に将来の産業というものが石油化学産業を中心として、おそらく一つの大きな産業の発達を見ることは火を見るよりも明らかであります。これらのことを考えてまいりますと、この際ぜひこの問題は最後まで、うやむやにならないように、その原因の調査をしていただきたい。そうしておきませんと、各都市に石油コンビナートができて、かかる石油産業が発展する過程における住民の不安であるとかあるいは従業員の不安であるとかいうことが絶えませんので、ぜひこのことはここでひとつ約束しておいていただきたいと思います。
○福田(一)国務大臣 原因の調査につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり徹底的に、また可及的すみやかにいたしますが、御指摘のとおり、原因が明らかにならないまま終わるおそれがないとは言いません。しかし、私は推定され得る原因というものは出てくると思う。その推定され得る原因に対して予防措置を徹底的にやるということだけは、少なくとも今回のことを契機としてやらしていただきたいと思っております。
○門司委員 それからその次に、ごく概括的なものの一つとして聞いておきたいと思いますことは、この事件について最も私が気の毒に考えられるのは、ここで働いておった労働者諸君の今後の問題でございます。同時に現在の雇用関係のあり方でございます。先ほどからお話のありますように昭電の工事であって千代田加工が請負をして、その下に内海建設があって、あるいはその下に辻というまた小さな請負があるということになっておるかと思います。したがって雇用されておる人間がまちまちである、自分はここから来てるのだ、自分はここから来ておるのだ、自分はここから派遣されておるのだということで、現場における労務管理というものはきわめてあいまいであって不徹底であることが、やはりこういう予測せざる災害を起こす一つの大きな原因だとも考えられる。したがって通産省としての関係では、そうむずかしいことはないかもしれません。しかし少なくとも通産省の所管としてこういう産業の範疇にある限りにおいては、私はそれは労働省の問題だ、あるいは監督局の問題だといって逃げられるわけにはまいらぬかと思うのです。したがってそれらの労務者に対します、いま申し上げましたようなことは悪いことにきまっておるのである、だからそれらの問題に対して通産省としてどうお考えになるのか、この際ひとつ明らかにしておいていただきたい。
○福田(一)国務大臣 罹災者に対する救護の面におきましては、きょうの閣議におきましても労働大臣からすみやかに保険金の支出を行ないたい、また労働省としてできることは全部すぐやりたい、こういうような発言がございましたが、私は御指摘のあったとおり、今後の問題といたしましては、工事をする場合に、先ほどもありましたが、だんだん下に持っていって、何か三段も四段も下げていくようなやり方がいいのかどうか、これは私は工事をやらせるときに十分またそういう面も注意をいたしたいと考えております。そうして下へおろした場合には、責任体制を明らかにしておくことが必要ではなかろうか、こう考えるのでございます。なおこの問題の罹災者の救援の問題につきましては、私は昭和電工がどの程度の責任があり、あるいは千代田化工がどの程度の責任があるかというような問題は別といたしまして、できるだけ手厚い保護をこれら関係者がするように指導をいたしたい、かように考えております。
○門司委員 もう大体約束の時間になりそうでありますが、最後に聞いておきたいと思いますことは、先ほどの答弁にもありましたように、低圧ガスについての取り締まりあるいは監督というようなことが、消防に一部まかされておることは事実であります。ところが川崎の消防署長の話を聞いてみますと、万全の処置をとったという話はございます。しかし火災が起こって現場に行って、それからの処置に一つの問題が私はあろうかと思います。この火災の起こりましたのは、消防署長の話では、三時十五分に受けたと言っております。それからすぐ出動したと言っております。ところがこの種の火災でありますから、結局化学薬品を使って消火に当たることができるものと一応考えられるが、現場に行ってみたらそれが使えなかったと言っております。それはなるほど場所が非常に広いのであって、そうして化学薬品だけでどうも鎮火ができるとは考えられない、同時に延焼と再爆発を押えるためには、どうしても水以外になかったと考えられて処置をとったという話を聞いております。私はこれらの点につきましても、やはり当然の調査あるいは監督あるいは日常の取り締まり等に任ぜられております消防との間に、もう少し綿密な連絡が必要ではなかったかということである。この点につきましても、もし当局にお考えがあるならば、ひとつこの際話しておいていただきたいと思います。
○倉八政府委員 いわゆる火災が起こった場合の消防措置をどれだけ適当に、しかも早くやるかということだろうと思います。で、私はこれを契機としまして、火災予防措置あるいは火災が起きた場合の緊急措置が早くできるようにしろということをみんなに達して、各工場の猛省を促したいと考えます。
○門司委員 もうこれで終わりますが、全体の問題として私はいま基本的の問題は一応お聞きをしたのでありますが、特にこの際最後にお尋ねをしておきたいと思いますことは、今後のこういう工場の施設のあり方でございます。増改築をやらなければならないというような工場の施設自身にも私は実は現場に行って疑問を持ったのであります。一つの産業、一つの製品をこしらえる経過あるいは過程というものは、おのずからきまっておるのである。その過程ができて、そうして許可をされてやっておる、それをさらに拡張したいという場合の処置としての問題が一つですが、私は現場に行って考えさせられた。どうしてこういうものをここに増築をしなければならなかったのかということ、これは新しい一つの工場として、これに接属した増築関係のようなことでなくして、御承知のように化学産業でありますから、これを伸ばしていくことのためにパイプその他をつなぐということは、これは幾ら拡張されてもたいした問題ではないかと思う。しかし、あの際はそうではないのでありまして、あそこに鉄骨の新しい建物を実は建てているわけであります。これの作業の火花か何かでなかったかとしか考えられない。そう考えてまいりますと、この種の産業に対しまして災害の危険を防止しようとするならば、先ほどは部分的のものであり、ごく消極的のものとして大臣にお話を申し上げて、増改築をやる場合にははっきり隔壁か何かで危険性のないようにしてもらいたいと申し上げました。もう一つの基本的なものとしては、増改築を許す場合に、そういうことがその産業にどうしてもなければならないものかどうか、えてして今日の貸本主義の社会では、何といってもそうすることがより利潤があると考えられれば、人の命というようなものはどうしてもあとになりがちである。ここに今日のような危険性が伴っているんじゃないかということが考えられるのであります。したがって、絶対に人命を尊重するというたてまえから申し上げますと、多少なりとも危険があろうと考えられるような施設その他については、これは何とかひとつ工場側に考え直してもらって、新しい施設なら新しい施設として別にそういう処置をとっていくようなことが考えられないかということであります。
 それからもう一つついでに申し上げておきますが、同時に工場側の敷地の中における事務所その他、人のたくさんおる場所との関係でございます。先ほどからの答弁の中にも、もしあれが通常の事態であってああいう爆発があったならば、あれほどの大きな犠牲者が出なかっただろうと言われております。なるほどそこに作業をしておる人がたくさんおったからであるに違いない。同時に、その作業をしておった人がどこにおったかといえば、わずか五メートルほど離れた通路を境にして、一方に大きな事務所があって、そこにたくさんの人がいたからたくさんの人がけがをした。私は、そういう危険物のあるまわりに人のたくさんいるような施設等については、注意をすれば避けられたのではないかという気が実は現場に行ってしたのであります。爆発した場所とこの一番たくさん犠牲者を出した場所との関連で、ここにたくさんの人がおったからたくさんの人がけがをした、こういうことを聞いておる。だから、先ほどの答弁を聞いておりまして、私は妙なおざなりの答弁をされるものだなと考えておりました。従って、かりにこういう仕事を行なうといたしましても、人間のいる場所というものとの関係は、できるだけ被害を避けるというたてまえをとってもらいたい。これは工事をやっておる人から考えれば、できるだけ接近したところにおったほうがよろしいかもしれない。しかし、こういう事件が現実に起こっているのでありますから、その辺の配慮等も、これは消極的な問題でありますが、積極的にどうするかということと消極的にどうするかということとの二つの面を、この際もう一度明らかにしておいていただきたいと思います。
○福田(一)国務大臣 今後増設その他をいたします場合には、いま御指摘のような問題も十分考えた上で措置をいたしたいと思います。また、多数の人たちがおるような場所が危険な個所に隣接をしておるというような地域は、今後十分注意をいたしたいと思います。
○二階堂委員長 森義視君。――森さんにちょっとお願いしておきます。大体十二時ごろまでに終わるようにひとつお願いいたします。
○森(義)委員 最初に労働災害の監督機関である労働省の基準局長にお伺いしたいと思うわけですが、最近の労働災害ですね。これは三池や鶴見に象徴されるような、一事件で大きな労働災害は別として、全体的な産業界におけるおける労働災害の件数の一番多いのは建設事業の工事現場だと思うわけです。そこで、今度の労働災害の問題についても、先ほどからの調査の御答弁を聞いておりますと、どうも千代田建設の工事現場にその責任があるような御答弁があったわけです。そこで、こういう建設事業の現場における労働災害が件数においても一番多いという状態の中において、建設事業に対する工事現場の労働災害の防止の監督についてどのような特別の配慮をしておられるのか。特に、危険地域におけるこういう工事現場におけるところの監督官の労災防止についての特別な配慮があれば、まずそれをお聞かせ願いたいと思うわけです。
○村上(茂)政府委員 各種産業の中で建設事業が災害が多く、その傾向なり災害防止対策についてはどういうような考えを持っているかという御質問でございますが、最近の建設事業における災害の発生状況は、昭和三十七年の一−十二月が十三万五千五百八十四でございます。これは死亡及び休業八日以上の災害でございます。それが昭和三十八年の一−十二月におきましては十二万三千百三十四というように、約一万二千四百五十ほど減少をいたしております。しかしながら、最近のオリンピック工事あるいは高架道路、地下鉄工事、その他大規模ないしは高所における建設作業が非常に多くなってまいりましたので、そういった状況にかんがみまして、建設業は、労働基準行政におきます安全行政の中でも一番重点を置くべきものというふうに考えまして指導いたしておる次第でございます。同じ建設工事と申しましても、一般の道路とかビルディングというものと、今回大災害を惹起いたしましたような危険地域における作業とはおのずからそこに若干の差があると存じますが、この点につきましては、行政指導といたしましては、たとえば今回災害のございました川崎地区におきましては、危険地域内における災害、爆発防止保安基準というものを設定いたしまして、関係事業場が相寄りまして、監督署が中心になりまして、この基準の実施につきまして指導いたしておったような次第でございます。今回もはなはだ後手になりましてまことに恐縮に存じておるような次第でございますが、神奈川地区におきましては、すでに、昨年の三月でございましたか、特殊工場保安対策協議会を設置いたしまして、労働基準局と県の商工部が中心になり、消防、警察関係が集まりまして協議会を結成し、そうして三十八年は火薬を中心に特別指導を行ない、本年は化学関係の指導を行なうということで、六月二日には日石、六月四日には東燃といったように計画的に指導を実施しております。近々昭和電工に対しても指導を行なうといったような手順になっておりましたやさきにこのような爆発を惹起したわけでございまして、非常に遺憾に思っている次第でございます。その保安対策を中心に指導を行ないますにつきましても、そういう爆発の可能性のある施設の周辺におきまして工事をする場合においては、一定の基準によりまして指導するように保安基準に定めてございまして、下請業者にのみまかせることなく、当該事業場の工事担当課が直接指導に当たるように基準に示しておるところでございます。御承知のように、建設業者が必ずしも科学的な知識に富んでいるわけじゃございません。当該会社の工事担当課がその増築工事なり改築工事なりの建築工事の際においても、十分責任をとるようにというような考え方のもとに指導を行ないつつあったところでございます。このように、いわゆるコンビナートとか、爆発の可能性のある物質を製造いたしております工場、特定されておりますそういった地域内における工事実施につきましても、一定の基準を定めまして指導を行ないつつあったというのが現状でございます。しかしながら今回のような大災害を惹起いたしまして、まことに遺憾にたえない次第でございます。
○森(義)委員 おそらく局長はそういう答弁をされるだろうと予期いたしておりました。一定の基準を定めて指導しておる、特に建設事業については労働災害が激増しておる中で、重点を置いておる、こういう答弁をされると実は思っておったわけでございますが、具体的な現地における指導を――私はいまの労働基準行政の中で一番欠けておるのは、まず陣容が足らないことだと思う。したがって形式的なそういう基準をつくって指導するという程度で、いわば上っつらをなでた程度に終わっているということは、基準行政全体を通じて言えることじゃないか。単に労災行政に限らず、たとえば監督行政一つにしましても、あるいは賃金行政一つにしましても、一番欠けておるのは人が足らないために形式だけに終わっておる。基準行政とかあるいは賃金行政については、それでも何とかごまかせるけれども、労災行政についてはそれはごまかせません。はっきりとこういう事故となってあらわれてくるわけであります。そのことについて、いわゆる人員確保の問題について、基準局長は、現在の陣容で十分に労働災害を防止する監督行政が具体的に実際的に行なわれるとお考えになっておるのかどうか。私は、紙一片の労働災害に対する基準をつくってそれを指導した、そのことで足れりという考え方では、とうていこれからどんどんと日本の産業が発達していく中で労働災害を防止することはできないと思うわけです。その点について、基準局長は現在の陣容で十分にやれる、そういうふうにお考えなのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○村上(茂)政府委員 御指摘のように経済の高度成長に伴いまして、適用事業が非常に急激にふえてきております。また生産活動の内容も非常に多種多様にわたっておるわけでございます。そのような客観情勢のもとにおきまして、ほとんど増員のない監督機構で、はたして監督ができるかどうかという点については、私どもは監督官の質の向上あるいは機動力の増強というような手段を講じまして、できるだけの努力はしてまいりましたけれども、限界に達しておるということは、率直に認めざるを得ないと思います。こういった問題につきましては、ひとり労働省みずからが反省を加えるのみならず、こういった問題点につきましての広い御認識をいただかなければ、いずれにいたしましても、私どもだけの力ではなかなか実現困難であるというふうに反省をいたしまして、過過般中央労働基準審議会に対しまして、災害対策上の問題点と対策をどう考えたらよいかという点につきまして御諮問をいたしたのでありますが、五月二十日に対策の大綱答申をされたわけでございます。その中におきましても、明らかに増員の問題、それから職員の質の問題としましては、安全専門家を置くようにというようないろいろな御指摘を受けておるわけでございます、このような一般的な御認識の支持のもとに、今後何とかいたしまして監督官の数と質の飛躍的な向上をはからなければならないということを痛感しておる次第でございます。
○森(義)委員 いま増員の問題、あるいは監督官の質の問題について、たいへん御努力されておるような答弁でございましたが、この点については、私は基準行政全体を通じて非常に人員が少ない、そこへ向かって新しく最賃法ができて、基準局のある重要な陣容がそこに充当される、ところがそれについては一人も人がふやされておらない、こういう形でいわゆる基準行政というものが、全く労働者の保護体制から形式的なものに変わりつつある、こういう全体的な認識の上に立って、当面労働災害を防止するための増員と質的な向上、さらに全体的な問題について、基準局長としては増員の要請をぜひしていただきたい、こういうふうに実は特にお願いいたしておきたいわけであります。
 実際問題として、今度の場合、昭和電工の川崎工場がこの増築工事を始めるについて、その計画が出されてきたと思うわけです。そこでその計画について、特にああいう危険地域のことでございますので、監督官が現場を視察し、特に昭和電工川崎工場の工事担当者と細部にわたる打ち合わせをされたと思うわけです。そこで監督官が現場で工事担当者と打ち合わせをし、保安協定をつくられた。ところがそれを千代田建設の下請の下請に、どのような周知方について措置をとられたのか。私は監督官のいまの陣容では、おそらく工事の発注者の建設責任者と、受注者の千代田建設の責任者との間にそういう文書の取りかわしが行なわれ、それだけであとはもう終わってしまっているのじゃないかと思う。したがって現場で働いておる末端の一人一人の労働者がそういう問題についてどれほど認識しておったかということについては、たいへん疑問を感じておるわけですが、そういう末端に対する危険物地域における工事については、特別な配慮がその際払われたのかどうか、こういうことについてぜひお尋ねをしたいわけです。人間の生命重視のこの問題について、さらにその答弁によって再度質問をしたい、こういうふうに思います。
○村上(茂)政府委員 今回の工事の開始にあたりましては、御承知のように労働基準監督署には、こういう特殊な建設施設を要しますので、建設物の届け出と同時に労災保険加入の手続をいたしておるわけでございます。したがいましてこの工事が実施されるということを監督署のほうで承知いたしておりますので、必要な指導を加えておったわけでございます。ただ率直に申しまして、先ほど来御指摘がございましたように、一つの請負業者に数個の下請が参加しておるという体制、そういう仕組みの問題がここに根本的にあると思うわけであります、同じ建築技術と申しましても、専門化、分化されまして、ある程度の下請もやむを得ないと思いますけれども、あまりにも細分化されまして、その責任の所在が明確でない。一応基準法上は、それぞれ一個の事業者とみなされておるわけでございますが、しかしながら、数個の事業者が同一の場所に集まりまして、協業と分業との関係において作業を営む場合に、だれに安全管理責任を負わすべきか、こういう問題もあるわけでございます。この点につきましては、率直に申しまして、法律上の安全管理責任を明確にすることができなかった。これはひっきょうするに、労働基準法では、個々の事業者ないしは個々の使用者が個別的に責任を負うという形をとっておりますので、個別企業をこえる数個の事業が同一場所で協業的に事業を行なう場合に、どういうふうにこれを規律するかという場合の法的手段が欠けておったのであります。実は昨日衆議院を通過いたしました労働災害防止法案の中におきまして(「名前が変わったぞ」と呼ぶ者あり)同一場所において数個の下請なり協業的な関係において作業を営む場合、統一安全管理者を設けるようにという規定を置いたわけでございます。昨日の法案におきましても、法律案の題名に修正をいただきまして、労働災害防止団体等に関する法律と名称が変わっておりますが、その五十七条におきまして、実は規定を設けたといったようなやさきでございます。これははなはだおそきに失しまして心から遺憾に思っておる次第でございます。そういった法的手段が確保されましたならば、入り乱れた下請関係における安全管理体制を明確にしまして、それを中心にしてさらに安全指導を行ないたい、かように考えておる次第でございます。
○森(義)委員 労働災害の問題は、ずいぶんと本会議におきましてもあるいは社労の委員会におきましても問題になっておるところでございます。先ほど局長から、労働災害をほんとうになくするために、基準局としてその監督行政が十分に行なわれるような人的な質的なあれをしたいということでございましたが、早期にする意味において、その見通しですね、大体どのくらいの陣容を持てば、激増していく日本の産業の発展に対応できる労働災害防止の職責を果たし得るとお考えになっておられるのか、しかもそれがいつごろまでにその人員がふえる可能性がある、増員できるというふうにお考えになっておるのか。このことが完全に行なわれない限り、日本の産業の発達は全く人命尊重と逆行して発展していくというように思うわけです。産業の発展と並行して人命重視の監督行政の充実が行なわれなければならない。いまのところは非常に格差があると思うのです。いまごろになってからようやく人員と質的な向上というようなことを言っておられるのは、局長としてたいへんおそいと私は思うわけですが、おそきに失したとはいえ、そのことについて配慮をされておることについては敬意を表します。そこで、いつごろになればどのくらいの陣容を確保できるか、そしてこれからの産業の発達の度合いに並行した監督行政、特に労働災害防止の行政を完全にやっていけるとお考えなのか、この点の見通しについて局長の率直な意見をお聞きしたい。
○村上(茂)政府委員 労働基準監督機構の問題につきましては、監督署という監督組織網の構成の問題と、それから監督官そのものの増員及び質的な向上という二つの問題があろうかと思うのでございます。監督行政組織網の整備につきましては、ただいまおしかりはちょうだいしましたが、三十九年度で初めて労働基準行政始まって以来労働基準監督署を二カ所増設したのであります。今度災害のありました川崎市に一カ所増設したのと、名古屋市に一カ所増設した、微々たるものでございますが、二カ所監督署を新設したというのは労働基準行政始まって以来のことでございます。監督官の定数におきましても、職員全体で百二十九名の増員、監督官は五十名の増員といった形の努力をいたしてきたわけであります。まことに微々たる結果でございますので、たとえ新しいできごとであったと申しましても、これをもって十分だとはさらさら考えておらないのでございますが、今後におきましては、新産業都市の建設その他産業立地条件の推移というふうな経済的客観情勢の動きを見つつ、監督行政の組織網を整備し、同時に監督官の増員をはかってまいりたいと考えておるわけでございます。その監督組織網の整備と相関連しておりますので、何百人、何千人ふやしたならばいいのかということをただいま申し上げるのはいかがかと存じますが、いずれにいたしましても、私どもは数カ年計画という計画的見通しのもとに増員をはかってまいりたい、そして御承知のように、監督官につきましては研修制度その他国際的な一つの基準なり制度がございますので、監督宮の採用、研修、任命等につきましては普通の公務員と違いますので、所定の手続を満たしつつ監督官を増員して
 いくという考えのもとに、相当大幅に増員をお願いしたいと考えております。
○二階堂委員長 森君にお願いいたします。あと一問くらいでやめていただきます。
○森(義)委員 基準局長、いまの陣容で適用事業場を年一回回ると何年かかると思いますか。いまの基準局の監督官の陣容で適用事業場を年一回監督するだけで十年かかるのですよ。そういう状態の中で監督行政が守られるか。私が先ほど聞いたのは、どれほどの陣容があればほんとうに監督行政が完全に守られるかということをお聞きしたわけです。ところがなかなかわからない。わからないようなことでは、根拠がなければ、増員の要求をしたところで大蔵省は承認しませんよ。監督官が適用事業場を最も機動的に回って、少なくともこれだけの人員が必要だという具体的な数字を出さない限りだめです。だから、先ほどからあなたは増員と質的向上を考えておられるとおっしゃいますけれども、それはほんとうに根拠のない答弁じゃないかと思うわけです。もっと具体的な案を提示しなければ、少なくとも金のかかることですから、大蔵省が承知しないと思うのです。しかもその上に、今日どこの府県へ参りましても、基準法研究会という後援団体がございます。警察の後援団体と同じです。いわゆる業者による基準法研究会という後援団体があって、それが厳格な監督行政を、いわばお手やわらかにという形の道具に使われておる。その基準法研究会が毎年基準監督官の夏期、年末手当を出しておる。そういうように、数が少ない上に、質的に、いわば取り締まられる対象の相手方がつくっている後援団体に資金的な援助を仰いでおるという監督行政全体の中に私は問題があると思うのです。したがって、この際基準局長としては、こういう根本的な問題を解決するための具体的な方針を出さなければ、労働災害の激増の中で、絶えずあなたはそのつど呼ばれて責任を追及されるという形になろうかと思います。だから具体的な数字を持って、増員並びに質的向上について格段の配慮を願いたいことをさらに重ねてお願いしておきますとともに、一問しかできないようでございますので、消防庁に……。
 川崎の今度のこういう事故の中で、ガス爆発による直接の死亡者以外に、大多数が火災で死んでいる、焼け死にです。私は現場に行って見てまいりましたが、特にあの地域は石油コンビナート地域で、可燃性物質が軒並みに並んでおる、火災予防上からいえば最重点地域なんですが、ああいう地域における火災予防について、消防庁としてはどういうふうな特別な配慮をしておられるのかということをお伺いしたいと思います。
 それから、あの途中で消防士が連続爆発の中で二、三名負傷いたしております。こういう危険地域における消防について消防庁としてはどういう配慮をしておられるのかということについても、消防士の人命尊重という立場から、あわせてお伺いをしたいと思います。
○伊規須説明員 消防庁の予防課長でありますが、ただいまの第一点の、川崎のような特に危険物を多量に扱っておると申しますか、危険物の施設のたくさんあるところの火災予防というような観点については、消防署の立場で各般の対策をとらしておるわけでございますが、御承知のように、消防法に大別いたしますと約十一種類ほどの予防の制度を設けておりますので、それらを厳重にやらせるわけでございます。たとえば特にそういう危険物を扱っておりますところの経営体と申しますか、その工場などにおきましていわゆる防火管理者というようなものを設けさせまして、それを消防機関によって強く指導することにより、あるいは具体的には危険物取り扱い主任者というものを設けさせまして、それによってそういう危険物の貯蔵や取り扱いにつきまして特別に基準を設けまして、それに基づいた慎重なる取り扱いをさせるというようなことについて指導監督を行なっているわけでございます。
 それから、そういう火災危険の多い消防署の職員と申しますか、消防機関の危険の配慮、あるいは危険に対する特別なる管理監督というものにつきましても、これは特に装備関係を充実をさせる。たとえばガスに対する危険に対しましては、そうした防護用の道具を備えるとか、そういうことによりまして特別な措置をとらせておるような状況にございます。
○森(義)委員 今度の川崎工場の火災情報をキャッチされたのは三時十分と、現場で消防の責任者にお聞きしたわけですが、消防車が十八台出動いたしまして、救急車が七台で、大体一時間とちょっとで消火をしておられるわけですが、ああいう可燃性物質を持っておる工場の密集地帯における消火体制としては、いまの消防車の配置で十分と考えておるかどうか、これが一点。それから特にああいう工場密集地帯における可燃性物質を取り扱っておる工場自体の火災予防についてどういう指導をしておられるのか、この点が第二点。それから消防署の緊急措置について、特に救急車が七台出されておりますが、そういう負傷者の取り扱いと処置について、今度の場合についてはあれで万全であったとお考えですか、この点。この三点についてお伺いしたい。
○伊規須説明員 簡単に申し上げます。
 消防車の台数の問題点につきましては、現在の装備という点で必ずしも十分であるとは考えておりません。特にこういうような特殊な地帯に対しましては、最近いわゆる化学車というようなもの、あるいは高層のはしご車というようなもの、そういうものをより充実をさせる必要があるというように考えております。
 第二点の、こういう工場自体の火災対策と申しますか、そういうものにつきましては、先ほど申し上げましたような防火管理者を通じまして自衛消防組織というようなものを強力に組織させ、つくらせるというような指導を行なうことによって、民官の両方からの防火対策というものを考えておるわけでございます。
 なお第三点の救急関係の措置につきましては、御承知のように昨年の法改正によりまして救急業務が消防の仕事として行なうようにいたされまして、現実にはことしからやっておる次第でございます。したがいまして、それに伴うところの装備あるいはその他の体制というものが現在まで緒についたばかりでございますので、これまた具体的な事故なりその地域の状況によっては十分でないところも多々あると思います。今後この点はさらに充実をさせたいと考えておる次第でございます。
○森(義)委員 私は今度の現場を見まして、あのすぐ左に昭和石油がある。ずっとあのぐるりが全部そういう危険な石油コンビナートの地域で、可燃性物質を多分にかかえておる工場なんですが、ああいう地域において、隣の工場のいまおっしゃった自衛消防組織ですか、そういう組織が全然何もしてない。私は、少なくともあの問題はあそこでおさまったからいいけれども、あれがさらに拡大するということになったらたいへんなことになると思う。そういう観点から、隣はもう全く何も考えてない、こういう状態を発見したわけです。そこで考えるのですが、ああいう工場密集地帯における総合訓練ですね、それぞれ工場が持っておる自衛消防組織と消防庁との総合訓練が行なわれる必要があるのじゃないか、隣で火事があれば、こちら側の工場の自衛組織が待機をする、あるいはそれを応援する、こういう総合訓練を必要とするのではないかということを私は感じたわけですが、その点について消防庁の予防課長としてどういうふうにお考えか、あるいは今日そういうことをやられた経験があるかどうか、今度の場合においては川崎工場自体の消火班の人たちは活動されたそうですが、その付近の工場の火災予防組織はほとんど何もしてない、こういうふうに聞いたわけですが、ひとつその点について、実情を調査された予防課長のほうからお答え願いたい。
○伊規須説明員 御指摘のように、自衛消防組織相互の総合的な体制と申しますか、それに伴う総合訓練というものは確かに必要だと考えるわけでございますが、現在までのところ、大規模なそういうものによる総合訓練というものは必ずしもひんぱんに行なわれておるわけではございません。ただ、こういう地域におきます自衛消防組織相互間、隣同士とか近くの相互間におきましては、相互に応援の協定みたいなものをつくりましてやっておるようなところもございます。しかしながら、総合的な訓練自体は今後大いに研究してやっていかなければならぬと考えておる次第でございます。
○森(義)委員 ぜひそういうことを消防庁は、特にこれからああいう化学工業の工場の密集しておる地域における火災の問題については実行していただきたい、こういうふうに要望いたしておきます。
     ――――◇―――――
○二階堂委員長 内閣提出の特定産業振興臨時措置法案及び板川正吾君外十二名提出の市場支配的事業者の経済力濫用の防止に関する法律案を議題とし、審査を進めます。
○板川委員 議事進行についてちょっと発言したいのですが、特振法の質問に入る前に、この審議の日程について理事会の打ち合わせが不十分なので、休憩の動議を出しますから、休憩をして、理事会を再開していただきたいと思います。
○二階堂委員長 午後二時より再開することにし、暫時休憩いたします。
  午後零時十九分休憩
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  午後二時四十四分開議
○二階堂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次会は、来たる六月十六日火曜日午前十時より委員会を開会することにし、本日はこれをもって散会いたします。
   午後二時四十五分散会