第046回国会 農林水産委員会 第14号
昭和三十九年三月三日(火曜日)
   午前十一時一分開議
 出席委員
   委員長 高見 三郎君
   理事 小山 長規君 理事 長谷川四郎君
   理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君
   理事 足鹿  覺君 理事 芳賀  貢君
      伊東 隆治君    池田 清志君
      宇野 宗佑君    大坪 保雄君
      加藤 精三君    仮谷 忠男君
      小枝 一雄君    舘林三喜男君
      寺島隆太郎君    八田 貞義君
      藤田 義光君    松田 鐵藏君
      亘  四郎君    角屋堅次郎君
      東海林 稔君    中澤 茂一君
      西村 関一君    松浦 定義君
      湯山  勇君    稲富 稜人君
      中村 時雄君    林  百郎君
 出席政府委員
        農林政務次官  丹羽 兵助君
        農林事務官
        (農林経済局
        長)      松岡  亮君
        農林事務官
        (農政局長)  昌谷  孝君
 委員外の出席者
       専  門  員 松任谷健太郎君
    ―――――――――――――
二月二十九日
 委員湯山勇君辞任につき、その補欠として淡谷
 悠藏君が議長の指名で委員に選任された。
三月二日
 委員淡谷悠藏君辞任につき、その補欠として湯
 山勇君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 農業改良資金助成法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第八三号)
 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第八六号)
     ――――◇―――――
○高見委員長 これより会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 いずれも内閣提出、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案審査の参考に資するため、特に農林金融制度の根本問題を中心として、参考人の出頭を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高見委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
 なお、参考人の人選及び意見を聴取する日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高見委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○高見委員長 次に、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を一括して補足説明を聴取いたします。昌谷農政局長。
○昌谷政府委員 ただいま議題となりました農業改良資金助成法の一部を改正する法律案の提案の理由と主要な内容を補足して御説明申し上げます。
 農業改良資金制度は、昭和三十一年、当時の零細な各種生産奨励補助金を整理統合して、新技術の導入に必要な資金を都道府県の特別会計から無利子で貸し付ける制度として発足したものでありますが、自来、三十八年度までに、国費十九億三千万円、都道府県費九億六千万円を投じ、造成資金額は二十八億九千万円に達し、貸し付け額は延べ百五億円に達するのでありまして、これを事業費に換算すれば、百五十億円に相当する新技術の導入が行なわれたこととなります。
 この技術導入資金により導入され、普及された新技術は広範にわたるのでありますが、その成果につきましても、たとえば、水稲の健苗育成技術の導入は、稲作の安定を助長し、野菜の不時栽培技術の導入は、周年にわたる野菜の生産を促進し、養蚕における屋外条桑育技術等の導入は、養蚕の近代化を推進している等、いずれも農業経営の改善と農業生産力の増強をはかる上に重要な役割を果たしてきたのであります。
 このような農業改良資金制度の実績と成果を基礎とし、最近の農業をめぐる諸般の情勢にかんがみ、今回、新たに、本資金制度の貸し付け対象に、農家生活改善資金と農業後継者育成資金を加えることとしたのでありますが、次に、これら両資金の創設の背景、理由について御説明致します。
 生活改善普及事業の浸透の結果、農家生活の改善も徐々に進んできていますが、残念ながら、生活面の近代化、合理化にはなお立ちおくれが見られ、これが、最近における農村青少年の流出や農村における配偶者難の一因ともなっており、また、労力不足等とも関連して、主婦等の労働過重という問題が生ずる原因ともなっております。
 農業生産の近代化のためには、従来から、技術導入資金の貸し付けのほか、各種の金融制度もあり、農業者の自主的改善意欲の助成に大きな役割りを果たしてきておりますが、農家の生活改善については、住宅金融公庫による住宅の新築または改修の資金の貸し付け等若干の制度を除きますと、格別の資金的裏づけのないままに今日に至っているのでありまして、生活改善関係についての資金制度の創設については、かねてから強い要望があったのであります。
 また、近年農村青少年の流出は著しく、新規学卒者の農業従事者数は、ここ二、三年は年九万人に満たない状態でありまして、このような現象は、長期的には農業就業構造の改善に寄与するものと考えられますが、反面短期的には農業労働力の劣弱化を招来するおそれもあり、農村社会における重大な問題となりつつあるのであります。
 このような現象の原因としては、農業と他産業との生産性の格差、農村生活環境の劣悪さ等があげられますが、同時に、農業に従事する農村青少年が、通常、経営主が経営上の実権を全面的に握っている家族農業経営の中において、経営主の単なる補助者たる地位に置かれ、その意欲と能力を伸ばす機会に恵まれないのみならず、自分自身の固有の収入もない場合が多く、ひいては、農業経営に対する希望と自信を喪失するに至るという傾向も軽視できないところであります。
 このような情勢にかんがみまして、農業後継者たる農村青少年が、経営主のもとで農業労働に従事するだけでなく、みずからの創意と責任で特定部門の経営を行なう等により、近代的な農業経営の担当者として必要な技術や経営方法を身につけつつ、或る程度の収入もみずからのものとして得られるようにすることが、次代の農業経営者を育成確保する上できわめて必要かつ適切なことと考えられるのであります。
 以上が、農業改良資金制度を大幅に改正し、無利子の貸し付け金として、農家生活改善資金及び農業後継者育成資金を加えることとした理由でありますが、これら両資金の具体的内容は、それぞれ政令をもって定めることとしております。
 政令においては、農家生活改善資金としては、家族関係の近代化や家事労働の能率化をはかる目的で行なう住居の利用改善に要する資金、太陽熱利用温水装置家事労働の能率化に役立つ生活設備の導入に要する資金及び共同炊事施設等家事共同化に必要な施設の造成、取得に必要な資金を予定しておりますし、また農業後継者育成資金としては、農業後継者たる農村青年がみずから特定の農業部門の経営を開始するのに要する資金と、農業後継者たる農村青少年が共同して能率的な農業技術を習得するのに要する資金を予定しております。
 また、償還期間については、五年の範囲内において政令で定めることとし、貸し付け限度額については、農林省令で定めることとしていますので、具体的には、それぞれの資金の種類ごとに、その性格に応じて、政省令をもって定めることとしております。
 なお、農業改良資金制度に関する明年度の予算上の措置といたしましては、今回の農業改良資金制度の大幅な拡充に伴いまして、明年度の貸し付け額は、総額で四十五億五千万円を予定し、そのうち技術導入資金として三十九億五千万円、農家生活改善資金として一億五千万円、農業後継者育成資金として四億五千万円をそれぞれ予定しておりますので、これに必要な都道府県の農業改良資金特別会計の新規造成所要額が二十九億円で、このうち三分の二が国庫補助でありますから、このための補助金を約十九億円計上いたしております。
 以上がこの法律案の主要な内容であります。
○高見委員長 松岡農林経済局長。
○松岡(亮)政府委員 先般提案理由の説明のありました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明いたしたいと存じます。
 まず第一に、公庫に対する政府の追加出資及び公庫の資本金の増加についての規定の整備を行なうための第四条の改正でございます。昭和三十九年度における公庫の貸し付け計画額は総額千七十億円で、前年度に比べて二百億円の増加となり、対前年度の伸び率は一二三%で昨年度を上回る増額となっております。この貸し付け金の原資といたしましては、まず政府からの出資金でございますが、一般会計からの出資十五億円、産業投資特別会計からの出資二百九十億円、合計三百五億円がございますほか、借り入れ金といたしまして、資金運用部特別会計から四百四十五億円、簡易生命保険及び郵便年金特別会計から二十億円、合計四百六十五億円、貸し付け回収金等が二百二十億円でございます。以上のとおり、一般会計及び産業投資特別会計からの追加出資が三百五億円ございますし、今後とも政府の追加出資による公庫の資本金の増加が予想されますので、この際、他の公庫等とも歩調を合わせまして、政府の追加出資及びその出資額による公庫の資本金の増加の規定を整備するため、第四条に新しい第二項及び第三項を追加しようとするものであります。これが改正の第一点でございます。
 次に、公庫の監事の権限についての規定の整備を行なうための第九条の改正でございます。すなわち、監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁または総裁を通じて主務大臣に意見を提出することができることといたしております。これは、今後の公庫の業務の運営にあたり、その監査機能の充実をはかることが必要と考えられますので、他の政府関係機関と軌を一にしまして監事の権限についての規定の整備をすることとしたものでございます。このため、第九条に第五項を新設いたすことといたしております。
 第三に、公庫の貸し付け金にかかる貸し付け条件の改善簡素化を行なうための改正でございます。これは、今回の改正の主眼目でありまして、先般政務次官から概要御説明のありました公庫融資制度の画期的改善措置を実施するためのものでございますので、この画期的改善措置の補足説明かたがた、これと関連させて御説明申し上げたいと存じます。
 まず、金利の引き下げと金利体系の簡素化でございます。現行の公庫資金の金利は、三分五厘から七分五厘まで五厘刻みの九段階に分かれ、しかも同種の資金と目されるものでも金利が区々で、複雑多岐にわたっておりますので、この金利を資金の性格に即して統一する方向で改善簡素化し、原則として三分五厘、五分、六分五厘、七分五厘の四段階とすることといたしました。これにより、農地等取得、森林取得、小造林、公有林拡大造林の各資金が三分五厘に引き下げられ、この結果、三分五厘の資金量は四百四十五億円、前年度の約二・四倍と画期的に増加することとなったのでございます。また、土地改良、林道、大造林、漁港、電気導入等基盤整備関係資金につきましては、非補助事業及び災害復旧事業にかかるものを五分に、補助事業にかかるものを六分五厘に統一するほか、自作農維持、林業経営維持、伐採調整、沿岸漁業経営安定の経営維持安定関係資金につきましても五分とする等金利の改善整理を行なうこととしております。なお、果樹園経営改善、畜産経営拡大、沿岸漁船整備促進、沿岸漁業協業化促進の経営拡大改善関係四資金につきましては、これらの資金の貸し付け対象が個別経営施設的なものであることにかんがみ、主務大臣指定施設資金等と合わせて六分五厘に統一いたしましたが、農業生産の選択的拡大、経営規模の拡大及び経営の改善を急速かつ強力に推進するという政策的要請から、当分の間、五分五厘に引き下げる措置を講ずることといたしております。なお、共同利用施設、漁船、新規用途事業等の資金につきましては、従来どおり七分五厘に据え置くことといたしております。
 以上の金利体系の改善簡素化を実施するため、農地等の取得に必要な資金の金利を三分五厘に改める等別表第一及び第二に所要の改正をいたしております。
 次に、償還期限及び据え置き期間についての改善簡素化でございます。まず、現行の十三段階に分かれ、個別的に細分化されている償還期限につきまして、従来外数であった据え置き期間をこれに合算してその内数として含ましめることとするとともに、原則として三十年、二十五年、二十年、十五年及び十年と五年刻みに五段階に改善整理し、土地改良、林道、漁港、電気導入、伐採調整、漁船等の資金につき償還期限の延長を行なうことといたしております。据え置き期間を償還期限の内数とすることは、据え置き期間を短縮する場合に全体として償還期限を延長し得る便宜をはかったものでございます。同時に、据え置き期間につきましては、原則として三以年内に統一し、従来二年以内であった林道、沿岸漁業構造改善等の資金について延長をはかっております。ただし、土地改良資金については現行の七年以内のものを十年以内に延長する等のほか、塩業、果樹植栽育成、造林、森林取得、育林、伐採調整及び林業経営維持の冬資金につきましては、従来どおり特別の据え置き期間といたしております。これらの償還期限及び据え置き期間についての改善簡素化を実施するため、第十八条第二項を改正して据え置き期間を償還期限の内数とするとともに、附則第二十三項の規定並びに別表第一及び第二の償還期限及び据え置き期間の欄にそれぞれ所要の改正を加えることといたしております。以上が改正の第三点でございます。
 なお、以上により改善簡素化された貸し付け条件は、昭和三十九年度の新規貸し付けから適用し、遡及しないこととしております。これが附則第一項及び第二項に規定しているところでございます。また、附則第三項の規定は、先ほど申し上げました果樹園経営改善、畜産経営拡大等の四資金の金利を、当分の間、五分五厘とするためのものでございます。
 以上の金利体系並びに償還期限及び据え置き期間の改善簡素化にあわせまして、融資ワクの統合簡素化、貸し付け事務体制の改善簡素化をはかることといたしております。
 融資ワクにつきましては、これまでの実行上五十に及ぶ融資ワクを、経営構造改善、基盤整備、一般施設、経営維持安定、災害及び予備の六つのワクに統合し、統合されたワクの中において実情に即し資金の弾力的運用をはかりたいと存じます。
 最後に、貸し付け事務の改善簡素化であります。この点につきましては、貸し付けの促進をはかるため従来から事務の簡素化につとめてまいったところでありますが、なお、今後とも借り入れ申し込み書等の書類の簡略化等を行なうとともに、単に公庫の貸し付け事務面のみに限らず、行政庁における計画の審査、認定等につきましても極力事務の簡素化、迅速化につとめたいと存じます。
 以上、簡単でございますが、本法律案及びこれに関連する主要な問題についての補足説明を終わります。
○寺島委員 ただいま両局長の金融制度に触れた提案理由の補足説明があったのでありますけれども、特に頭の切れると言われる私の親友でありますが、昌谷さんにお尋ねいたしたいのでありますが、この農業改良資金助成法の一部改正の補足説明の中に、「家族関係の近代化や家事労働の能率化」ということばが突如として出てまいってきておりますけれども、一体これは、イメージとしても、さらにまた具体的な事象としても、どういう点を考えておられるのでありますか。たとえば、アジアにおける農業は非常に流動的に動いている。一九五〇年の五月に毛澤東の行なった中国の婚姻法のうらはらをなしている土地制度、こういうようなもの、さらにはまた、これをもう少しぼかした形における、同じような立場における陳誠の三、七、五の土地改革、いずれもこれは金融が付帯いたしておるのでありますけれども、わが大昌谷農政の志向するところのものは、具体的に「家族関係の近代化」というのは、家族関係、家族制度を現行民法の中においてどのくらい肯定しつつこの作業を進めていくものでありますか。これは法律事項でありますので、その点に触れてひとつ次会までに資料を提出願いたい、さように存じます。
○丹羽(兵)政府委員 ただいま寺島委員から資料の要求がございましたが、どういう点だかよくわかりませんので、私があとでもう一ぺんあなたに会って聞きまして、そうして要求の資料を出させていただきたいと思います。
○寺島委員 丹羽同僚政務次官に御註文申し上げておるのではなくて、いやしくも人間単位の一番最小の形態は夫婦である、夫婦というものが一番最小の形態で、その中に子供ができていく、そういうことであると思うのでありますが、しからば、最小の単位である夫婦というものに限局して、たとえば先ほど引例をいたしました、中共の毛澤東も劉少奇も盛んに土地制度改革をやっておるのでありますけれども、わが昌谷君の言う――ぼくは言いたくはないのだけれども、こういう文字を突如として使ってきておるから、この趣旨は一体どこにあるのか。こういうものでは困るのだ、家族制度の近代化――そうすると、いままでのものは近代化でないのだ、これからおれがやるのが近代化だ、近代化のイメージ、近代化の実体はこれなんだ、こういうものをどんぴしゃりと説明してもらえばそれでいいのです。明確である。その「家族関係の近代化や家事労働の能率化」というような問題は付帯的なものである。テーマである「家族関係の近代化」――近代化でないから、近代化という文字を使われたんであろうと思う。これはわが農政の流動的に流れておる、アジア全体の農政の一つのシンボルである。あなたははしなくもここに書いてあるから、たまたまきょうはゆうべの疲れもさることながら、ここは明瞭に、ひとつあなたのスタッフを動員して資料を御提出願いたい。
○高見委員長 次会は明四日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十五分散会