第046回国会 法務委員会 第18号
昭和三十九年三月二十六日(木曜日)
   午前十一時開議
 出席委員
   委員長 濱野 清吾君
   理事 鍛冶 良作君 理事 唐澤 俊樹君
   理事 小金 義照君 理事 三田村武夫君
   理事 神近 市子君 理事 坂本 泰良君
   理事 細迫 兼光君
      大竹 太郎君    亀山 孝一君
      木村 剛輔君    木村武千代君
      河本 敏夫君    坂村 吉正君
      四宮 久吉君    田村 良平君
      千葉 三郎君    中垣 國男君
      中川 一郎君    渡辺美智雄君
      井伊 誠一君    松井 政吉君
      横山 利秋君    竹谷源太郎君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 賀屋 興宣君
 出席政府委員
        警  視  監
        (警察庁刑事局
        長)      日原 正雄君
        法務政務次官  天埜 良吉君
        検     事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
 委員外の出席者
        検     事
        (刑事局刑事課
        長)      羽山 忠弘君
        専  門  員 桜井 芳一君
    ―――――――――――――
三月二十五日
 委員森清君辞任につき、その補欠として早川崇
 君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
 委員亀山孝一君、中村梅吉君及び馬場元治君辞
 任につき、その補欠として木村武千代君、渡辺
 美智雄君及び木村剛輔君が議長の指名で委員に
 選任された。
同日
 委員木村剛輔君、木村武千代君及び渡辺美智雄
 君辞任につき、その補欠として馬場元治君、亀
 山孝一君及び中村梅吉君が議長の指名で委員に
 選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 刑法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二
 八号)
 暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第九号)
     ――――◇―――――
○濱野委員長 これより会議を開きます。
 刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際おはかりいたします。本案に対する質疑はこれにて終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし「定足数不足」「委員会は成立してない」と呼び、その他発言する者、離席する者あり〕
○濱野委員長 重ねて申し上げます。
 刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際おはかりいたします。本案に対する質疑はこれにて終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○濱野委員長 多数。質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○濱野委員長 これより討論に入ります。
  〔「退場だ」と呼び、その他発言する者多く、退場する者あり〕
○濱野委員長 討論の通告がありますのでこれを許します。竹谷源太郎君。
○竹谷委員 ただいま議題となりました刑法の一部を改正する法律案について、討論を試みるものであります。
 現在の身のしろ金目的の誘拐の続発の情勢にかんがみまして、またこの種犯罪の将来における発生のおそれの多いという傾向から見まして、この種犯罪に対する法律の整備の必要を痛感するものではございますが、しかし、この種犯罪の予防、制圧のためには、法定刑の引き上げ、あるいは厳罰主義ということによってその目的を達成しようということは、きわめて安易であり、簡単な、そろばん割れの手段と言わざるを得ません。この種犯罪の予防、制圧のためには、社会風教の刷新について、政府は特段の力を用いなければならない。と同時に、この種犯罪の発生に対処しましては、迅速的確たる捜査によりまして、たちどころにこれを検挙するということが行なわれますならば、犯罪の予防上非常に効果があがる次第でございます。
 これら社会風教の刷新や、あるいは迅速的確なる捜査、そして早期の検挙ということに関する諸方策について、本委員会において、私も、また他の委員からも質問がありましたけれども、適切なる政府の答弁がないのは、はなはだ遺憾でございます。つきましては、この法律の制定のみならず、社会風教の刷新や、また早期検挙につきまして適切なる方策を講じて、この法律の目的とするこの種犯罪の予防のために万全を尽くされんことを政府に警告をいたしまして、本法案に賛成の意を表するものであります。(拍手)
○濱野委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 刑法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○濱野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 おはかりいたします。ただいま可決せられました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
○濱野委員長 暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより資疑に入ります。鍛冶良作君。
  〔「ぼくの質問の続きじゃないか、あまりにもひどいじゃないか」と呼び、その他発言するもの多し〕
○濱野委員長 鍛冶君、質疑を願います。
  〔「そんなばかなことはないよ」「妨害しておって、そんなことを言う資格があるか」と呼び、その他発言する者多し〕
○濱野委員長 鍛冶君、質疑を願います。
○鍛冶委員 暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案に対して質疑を行ないます。
 近く……(「大臣が来ないのに質問をやるのか」「議事進行」と呼び、その他発言する者多く、聴取不能)できるのかどうか、その点をひとつ詳しく御説明を願いたいと思います。
○竹内(壽)政府委員 現行法によりましても、ある程度の暴力事犯に対処する……(「ぼくの質問が残っておるじゃないか」「もう採決は済んでしまったのだ」と呼び、その他発言する者多く、聴取不能)数において減少の傾向が見られないばかりでなく、特にその暴力的不良団体の暴力犯罪が増加の傾向を示しております。すなわち、いわゆる暴力団の構成員等が暴行、傷害等の暴力犯罪を繰り返し、またその犯行の手段として、しばしば拳銃、日本刀のようなきわめて危険な凶器を用いていることは顕著な実例でございます。この暴力犯罪の実情にかんがみまして、より一そう適切な対策を講ずる必要があると存じまして、現行法のもとにおきましてまかない得ない最小限度の改正案として、この法律案を提案いたしたわけでございます。
○鍛冶委員 最近の社会現象を見ますと、これらの処罰の対象になる犯罪については、特段の取り締まりを要するものとは考えますが、一面社会風潮ということもよほど考えなければならぬ問題であります。特に近ごろは、何がゆえに、いまわしいかような凶悪な犯罪を犯すか合点のいかぬことがしばしば起こる現状でございます。この点から、この対象になるものの取り締まりは必要であるかもしらぬが、さらに私は、社会情勢というものに対して、よほど注意をしなければ、この現状を押えることができないのじゃないかと考えるのですが、この法律のみによって、今日のいまわしい現象がおさまるとお考えでしょうか。しからざれば、もしおさまらないということであるならば、どのようなことと相まってこの現象を鎮圧することができると考えておられるか、ひとつ大臣からお答え願いたいと思います。
○賀屋国務大臣 ただいまの憂うべき社会風潮に対しまして、暴力の根底的排除というようなことにつきまして、ただいま御審議を願っております法律のみによってこれに対処することができないであろう、いろいろ広く考えるべき問題ではないか、これだけで一体やれると思っているのかどうかという意味の御質問だと拝聴いたしますが、政府側におきましても、決してこれだけによって暴力排除その他の目的を達し得ると考えておる次第ではございません。結局、社会全体の風潮、特に若年の青少年と申しますか、ここにもまた問題がある次第でございますから、そういう意味におきまして、これは全体の学校教育、家庭教育、社会教育あるいは映画、テレビ、いわゆるマス・コミなどの社会に与える影響、また一面社会全体の規律、政治の姿勢を全般的に改善をはかっていかなければ目的は根底的には達しがたいと思うのでございます。しかしながら、それかと申しまして、法務関係の問題を等閑に付していいということには決してなりませんので、法務関係におきましても、立法の問題、また法の執行、行政面におきまして、この暴力排除の重要な一環として最善を尽くすということがきわめて大切だと思います。その重要なる一環としまして、本法律案の御審議をお願い申し上げるという次第でございます。
○鍛冶委員 これらの問題については、ひとり法務省だけではない、政府並びに国民全体も協力しなければならぬ大問題であろうと考えます。とくと御研究の上、深いところから御執行をお願い申し上げなければならぬと思います。
 次いで承りたいのは、第一条にいう「団体若ハ多衆ノ威カヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威カヲ示シ」、これは俗にいう暴力団ということであろうと思うのでありますが、この第一条のこれらの団体その他と第一条ノ三の常習としてこれをなすというものの団体に区別があるのかどうか。これらのものは、私はたいてい常習者であろうかと思うのだが、常習者にあらざる団体をも考えておられるのか。そうすると、どういうものを対象に考えておられるのか、まず第一条ノ三と対比してお答弁願います。
○竹内(壽)政府委員 現行法の第一条の第一項でございますが、これはいまお読みになられましたとおり、団体を背景とした暴力行為を規定しております。そしてここに書いてあります団体は、そのような暴力行為をする団体というふうに一応考えられます。したがいまして、暴力団と申すのは、そこにいう団体を多くはさすのであろうと思いますが、構成要件の点から見ますと、暴力団であろうと何であろうと、団体を仮装して、そうして団体を背景としてこの種の暴力行為に出る場合には、すべてこれに当たる、こういうふうに第一条はなると思います。ところで第一条ノ三の常習暴力ということになりますと、これは必ずしも団体を背景といたさないのでございます。個人個人が暴力行為を繰り返す習癖を持っている、かように認められた者についての規制でございまして、この団体を背景とした暴力行為、それからその暴力行為をする常習者、それから以下そういうものの特に行なうであろうという第一条ノ二の条文等がこの暴力行為等処罰に関する法律の対象になっている類型の暴力犯罪でございます。
○鍛冶委員 次いで承りたいのは、第一条ノ二「銃砲又ハ刀剣類ヲ用ヒテ人ヲ傷害シタル者」、この銃砲または刀剣類を用いてやるということは、最も悪質なる犯罪でありますがゆえに、特にこれを設けてこれらの行為を取り締まろうとしておられるものであろうと思うが、かように考えてきますると、今日は科学がいろいろ進んでまいりましたので、銃砲または刀剣以外にもっとあぶないものがあるのじゃないか。毒薬を用いるとか、はなはだしきに至っては原子力を用いるなどというようなことを考えますると、銃砲または刀剣よりもあぶない。しかるに、銃砲だけをここへ入れられて、もしそれよりあぶないものが出たら、どこでそれをお取り締まりになるお考えか、承っておきたいと思います。
○竹内(壽)政府委員 仰せのように、使用されます凶器は銃砲刀剣類に限らないのでございまして、破防法の中にも爆薬、毒物というようなものを入れておりますし、外国の立法例の中にもさようなものを入れておるのがあるわけでございます。しかし、暴力行為等処罰に関する法律で、しかも今回のねらいといたしますところは、暴力団――という概念も実ははっきりしないのでございますけれども、いわゆる暴力団と世間で言われておりますようなものの動き方、実態のあり方をよく検討してみますと、文明が非常に進んできて、いろいろな種類の凶器があるにかかわらず、この種の人たちはやはりドスとかあいくちとか、最近は外国銃とかいうようなものも持ち出しておりますが、こういうものがこれらの人たちの最も重宝がっております凶器でございます。そういうところに着眼をいたしてみますと、私どもの実態調査の結果によりますと、殺人なるものもたくさんございましょうが、結局裁判の結果、こういうような凶器をもっての傷害と見られるような件数というものは千件を下らないほどあるのであります。そういたしますと、やはり暴力団対策としてこの立法をいたします以上は、暴力団が最ももてあそぶこの種の凶器を対象としていくということが最小限度の手当てとしましては当を得たものである、かように考えております。
 それから爆発物その他につきましては、御承知のように爆発物取締罰則という非常に重い刑を規定したものがございますし、原子力とかそういうようなものにつきましても、準備草案においてはある種の規定を置いておるのでございます。今回の改正はそういったような危険なもの一切をやるというのじゃなくて、対象が暴力団であるというところに目標を置きましての改正でございますので、自然使われます凶器の範囲もこのようなものに限定されてくる、かように考えておるのでございます。
○鍛冶委員 だんだんこまかくなりますが、たとえばこの前乱用された火炎びんのごときもので乱暴したとすれば、これはこの中へ入るのですか入らぬのですか。入らぬとすれば何によって取り締まるのですか。
○竹内(壽)政府委員 先般、昭和二十七年ごろにしきりに行なわれました火炎びんは、この「銃砲又ハ刀剣類」という定義の中には入ってこないわけでございます。あの火炎びんは爆発物になるかならぬかということにつきましては、たしか判例は消極になっておったと思うのでございます。この種の犯罪は将来起こってこないとは限りませんが、暴力団が火炎びんを使って暴力行為に出たという例は、実例としましてはほとんど聞いてないのでございまして、やはり暴力団が暴力団らしい行動ということになりますと、あいくち、ピストル、日本刀、この種のものになろうかと思うのでございます。
○鍛冶委員 現在までのはそういうことであろうけれども、私の言うのは、だんだん彼らも頭が進んでくるだろう、彼らも科学的になってくるだろう、そのときにまたあらためて法律をつくりかえるということはていさいの悪いことでございますから、さようなことが予想できたらいまのうちに入れておくべきものじゃないのか、この点をひとつ立法者としてのお考えを聞いてみたい、こう思うのです。
○竹内(壽)政府委員 仰せのような見解も私どもの中では十分検討いたしたわけであります。しかしながら、そういうものを広くずっと取り上げてまいりますと、率直に申しまして、刑法の全面改正になってしまうわけでございまして、全面改正の作業は現に進行しております。ここに書いてあります暴力行為等処罰の法律に規定しております行為は、決して臨時的な法律ではございませんで、本来刑法に規定すべきものであると思います。現に準備草案では、この中の規定を刑法の中に取り入れておるところもあるのでございまして、いま仰せのような危険なる器具による犯罪全体についての問題は、準備草案の全面審議の過程において検討をしていただく。したがいまして、今回の改正は刑法の全面改正のできるまでのつなぎ的の意味を持つというふうに思うのでございます。改正ができますと、これらの法律は新し刑法の中に溶け込んでいく性質のものである、かように考えておるのでございます。
○鍛冶委員 そこらまで考えてみますると、ひとつ別の角度からお伺いしたいのは、前回のこの法律の提案のときも議論の焦点であったし、この間本会議においても議論の焦点になっておりました、これを労働運動の弾圧に使うのではないか、さような下心があって本法の改正案を出したのではないかという議論でございます。われわれはさようなことは決してないとは確信いたしまするが、ここでひとつ、あなた方はそれをどう区別していき、どのように考えて立法されたのであるか、これが明白になるようにできるだけ詳細に御説明を願いたいと思うのであります。
○竹内(壽)政府委員 この点は前に本案が提案されましたときもるる申し上げたところでございますが、項目的に申し上げますと、まず私どもは立法技術的に労働運動あるいは大衆運動等に現実にその暴力行為等処罰に関する法律のどの部分が適用されておるのかという点を実態的に検討いたしましたところ、これは現行法の第一条第一項でございます。この第一条第一項には全然手を触れていないということが、まずこの法律がそのようなものを対象とした立法でないということをこの条文の上で明らかにしておるというふうに考える。この第一条第一項と、第一条の二項に当たります今回の新しい第一条ノ三でありますが、これはパラレルの関係に現行法はなっております。したがいまして一条ノ三で罰則を強化しますときには、当然これは立法技術的に見まして、一条一項をも刑を上げるというのがあるいは立法技術上の常識かと思うのでありますが、その辺のアンバランスがある程度あることを承知の上で、第一条第一項にはあえて手を触れないで、一条の二項に当たる一条ノ三を設けまして刑を上げたにとどめております。これは労働運動あるいは大衆運動に際して起こってくる越軌行為、私の承知しておる限りでは傷害事件が一番重いと思うのでございますが、それにはほとんど適用の余地がないということを確信をいたしておるのでございます。
 それから一条ノ二の、銃砲刀剣類を用いての傷害でございますが、これはだれがやりましても容易ならざる犯罪でございまして、労働組合の活動から越軌行為としてこのようなふるまいに出るとはとうてい考えられない。もし出るとすれば、これは容易ならざる労働運動であると申さなければならぬと思うのでございます。実績といたしましても、そのような実績はいままでの過去の検挙の中には一件もございません。そういうことが一条ノ二を設けましても、直接労働運動に影響のある規定ではないということを考えるのでございます。
 第三点といたしまして常習暴力でございますが、これはいまも一条二項にある規定でございますが、この一条二項というのは一回も労働運動に適用を見た実績がないわけです。その実績のない一条二項の暴力というのはどういう人がやっているかと申しますと、いわゆる暴力団の構成員たちがやっておるわけです。資料にもごらんに入れておりますように、私どもは前科を全部洗ってみましたところが、多いのは前科十八犯というのがある。前科十犯以上というのは数え切れないほどあるのでございまして、このような実態を見ますと、暴力団の構成員こそ暴力行為を常習的にやっておるものでございます。それで、この常習的にやっておる暴力団の構成員を対象として刑を引き上げていこう。ただ、ここで新たに加えましたのは、傷害をこの暴力行為の中に加えまして、これは御承知のとおり現行法のもとにおきましては、暴行の結果犯として傷害というものは理解されておりますので、この暴行を繰り返す習癖がある、たまたま傷になれば傷害になるのでございますから、この暴行と傷害とは同じ規定に入れましても立法技術的にだれも異論をはさむ者はないのでございますし、また、暴力団の中には、暴行だけでなくて、結果において傷害になるものも多数あるのでございます。したがいまして、これを傷害を加えることによってこの整備をし、かつ科刑を重くする、こういうことをもって暴力団対策の実をあげる。こういうことでございまして、なるほど暴力団そのものを、暴力団という定義を加えて、そしてそれを対象にしてあの規定を書けばきわめて明白でございますが、暴力団そのものの概念が実は必ずしも法律概念としてとらえようとする場合に明確を欠くのでございます。現にアメリカでもニュージャージー州の刑法で暴力団ということを書いて、これは憲法違反だというので、十年後に違憲の判決を受けた例も聞いております。そういうことから団体を処罰の対象にしないで、団体の構成員の行なう行為そのものに着眼いたしまして構成要件をきめる、こういう態度をとったわけでございます。
 以上、るる申し上げましたところで御理解いただけると思いますが、形式的にも実質的にも労働運動その他大衆運動の越軌行為から発生するような事件がこの中に含まれてくるということは常識上考えられませんし、また健全なる労働運動ということの立場から考えまして、労働運動に従事しておる方々がこれを心配すること自身が非常に私どもには不可解に存ずるわけでございます。
○鍛冶委員 大体わかったのですが、もう少し私は詳しく承りたいと思います。第一番に言われた第一条ノ三の常習ですね、これは労働運動者に常習というものがないということは、だれが見ても常識上考えられる。その意味からいってもこれは入らない。こう考えますが、そうかといって、これは団体でなくても入らないほうがむしろ多いでしょう。かりに労働運動に名をかりてさようなものがその中に入ってやったとすれば、幾ら労働運動でやったとしても、その者を捨てておくわけにはいかないであろうと思う。これは判然区別はできますけれども、団体として常習とは認めないけれども、常習の個人が入ってやったとすれば、やはり第一条ノ三の取り締まり対象になるべきものだと思うのですが、これはいかがですか。
○竹内(壽)政府委員 それは法律解釈として当然なことを仰せになったのでございまして、もちろん活動家でありましても、暴力行為をする習癖があるというふうに認定ができる場合がありますれば、これに該当することは当然であります。ただ、私が先ほど来申し上げておりますのは、暴力の常習者が活動家だということが一体労働運動で考えられるだろうかということに私は疑問を持っておるわけです。
○鍛冶委員 その次は、第一条でありますが、団体もしくは多衆を仮装して威力を示し、そうして二百八条、二百二十二条または二百六十一条の罪を犯した者、こういうことになっておりますが、これはもちろんあなた方としては、いわゆる暴力団を対象としてやられるものでございましょうが、何運動であろうとも、多衆の威力を示してこのような行為を行なった、こうすればこれは入るのは当然だろうと思うのです。あなた方は労働運動を入れないのは、入れない原則としてこの法律をおつくりになるのであろうが、情けないかな、労働運動の名をかりてかようなことをやれば、これは取り締まらないわけにはいくまいと思うのですが、この点をもう一ぺん明瞭にしていただきたいと思います。
○竹内(壽)政府委員 仰せのとおり第一条の構成要件に該当する行為をいたしました者でありますれば、それが労働運動の活動家でありましても、一般の人でありましても、暴力団の構成員でありましても、ひとしくこの第一条の適用を免れないということは当然のことでありまして、現に第一条の違反は労働運動の越軌行為にも適用されております。これは御承知のように、成立当時農民運動等には適用する考えはないと政府が言ったにかかわらず、適用をそのすぐ直後見たではないかという御議論があるわけですが、ねらいは暴力団であったと思うのでありますが、結果においてこれに該当する行為がありますれば、だれでも適用を見るということはやむを得ないことでございます。第一条は、そういう意味で現在もその越軌行為の暴行行為に適用を見ておるのであります。それ以外の現行法の第一条の二項以下は、実績としまして適用を見た例がないのであります。そこで第一条一項には手を触れないで、二項以下を直しまして、その趣旨を労働運動にねらいがいかないように、どう考えましても法律家としてこの条文を見た場合に、そういうものをねらっておるものでないということは一見おわかりがいただけるという趣旨を特に明らかにしたがったので、そういうふうにいたしたのであります。
○賀屋国務大臣 鍛冶委員の御質問に私もちょっとつけ加えて、いまの刑事局長の答弁を補足いたしたいと思います。よく労働運動に適用があるとか、小作運動に適用があるということを言われましたが、簡単に申すとそういうことですが、たいへんそこは意味が違うと思うのです。労働運動あるいは小作争議の際に起こった違法の行為には適用はございますが、労働運動、小作争議そのものに対して決して適用があるわけではない。そういう際に起こりましたどんな暴力的な行為も現行の刑法の適用があるのであって、暴力行為等処罰法も除外されるわけではないのであります。労働運動をやりました際に違法なる行為があった、小作争議の運動に際してあったということであって、決して労働運動とか小作争議に適用はない。そこのところがどうも誤解される場合があると思いますが、それは厳密に区分しなければならないと思います。今回の立法は、集団の威力とかなんとかいうことに関係なく規定するというのがいまの暴力の現状から見まして適当であるわけであります。それですから、第一条の集団的云々、こういうことばは一切排除いたしております。そういうような要件を必要としない。集団の威力をかりましても、常習暴力、銃砲刀剣類を持ってやりました場合には処罰規定を厳格にする。その必要のためにこれをつくったのであります。
○鍛冶委員 おっしゃるとおりです。労働運動を弾圧する気持ちは一つもないけれども、その運動の中に刑法に触れる、もしくは本法に触れる行為があるとすれば、これはやらざるを得ぬ、こういうことであろうと思うのです。
 そこで私は、あなた方のほうでわからぬなら、警察からお見えになっておりますから承りたいと思いますが、いままで労働運動に本法を適用せられた事例はどれくらいでございましょうか。また、できたら、その事例としてどんな犯罪に対してであったかもこの際承りたいと思います。
○羽山説明員 件数を申し上げることでよろしゅうございますか。――最近五年間の件数を申し上げますと、この件数と申しますのは、結局適用を受けた人員の数でございます。
 そこで暴力行為処罰法の、三十三年から申しますと、三十三年は、全人員が七千九百五十七人でございます。そのうちで公安労働という関係の人間が三百十九人でございます。三十四年は、全人員が七千八百三人でございまして、そのうちで公安労働運動関係が三百八十人でございます。それから三十五年が八千八百九人でございまして、そのうちで公安労働が千二百七十一名でございます。この年がばかに多くなっておりますのは、例の安保デモがございまして、警察官が約六百名傷害、この関係で告発されたようなことがございますので、実際の数はあまりふえていないわけでございますが、数字上は千二百七十一名。それから三十六年は、全体が九千二百八十九名でございまして、そのうち公安労働関係が四百二十九名。それから昭和三十七年は、全体が九千七百九十六名でございまして、そのうち公安労働関係が二百七十二名でございます。パーセンテージにいたしますと、この五年間、大体全体の三%くらいが適用されておるということになろうかと思います。
○鍛冶委員 ちょっとわかりにくかったが、それはできたらあとで資料としてちょうだいしたいのです。いまおっしゃるのは、いわゆる労働運動でないのですね、公安に関することなんでしょう。たいていデモですね。
 そこで私が聞きたいのは、デモがあったときに何べんあったか、件数で私は聞きたい。それからストライキがあったときに何べんあったか。もしくはこれに類するものでどうであったか、これを聞きたい。
○羽山説明員 ケースは非常に大小ございまして、有名な事件を拾いましても二、三十になるわけでございますが、これももし御必要でございますならば、あとで資料をおつくりいたしますけれども、この際申し上げますと、いままでの、たとえば三井三池争議というような事件があったわけでございますが、一番多く労働運動等で適用になっておりますのは、実は刑法でございまして、傷害、脅迫というような罪名が一番多く適用になっておりまして、むしろ暴力行為等処罰に関する法律はあまり――全然適用がないわけではございませんが、いわばのべつこれが適用になっているわけではないのでございます。
○鍛冶委員 暴行、傷害、監禁その他のことがあれば、何であろうとこれはやるのがあたりまえ、第一番に刑法が適用になるものであろうと思うわけです。したがって、そういうものがありますれば、労働運動なるがゆえにそれを取り締まらぬということになったら、これは世の中はめちゃくちゃになってしまいます。
 それから刑法で取り締まられるのは当然だと思うが、いま私の言うのは、これはあなた方が先ほどから聞いておるとおりに、労働運動を取り締まろうと思ってつくった考えは毛頭ないのだが、労働運動を弾圧しようとせなんでも、労働運動の際に本法に違反する者があれば、これは捨てておけないだろう、こう思います。それで刑法上でやったのがおもで、これがあるのかないのか、あるとすれば大体どのくらあったか、本法に関するものをまず聞きたいと思うのです。
○竹内(壽)政府委員 御趣旨はよくわかましたので、できるだけ統計をつくりまして、資料として差し出したいと思います。
 ただ、一般的に申しまして、労働組合の運動に関連して発生いたします暴力行為につきましては、これは刑法の免責がないということは、労働組合法の第一条第二項にはっきりと書いてあるのでございまして、御承知のように同法の第一条二項には、「いかなる場合においても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為と解釈されてはならない。」こうございます。したがいまして、正当化されないわけでございますから、もし暴力行為をふるった場合に、その暴力行為が、あるいは脅迫になる、あるいは器物損壊になる、あるいは公務執行妨害になる、逮捕になる、こういうことがございますれば、それぞれ刑法の規定の適用を受けますことは当然でございまして、現にそういうふうに処理されているわけでございます。だが、正当なものと解せられないことの結果といたしまして、暴力行為等処罰に関する法律の一条でございますが、多衆の威力を示すとか背景にするとかいったことの構成要件にもしも該当する場合には、この条文が適用されることがある。こういうことでございます。
○鍛冶委員 いまのお答えのとおりであろうと思うが、資料をちょうだいいたしまして、はたして労働運動弾圧のきらいがあったかどうか、この点は本委員会として特に詳細に調べておく必要があるものと心得ますので、納得のいくように資料を出していただくことをお願いいたしておきましょう。
 先ほどから聞きましたように、第一条は、これは多衆の暴力ですね。それから第一条ノ三は、衆寡にかかわらず常習としてやった者を罰する、こう解釈すべきであろうと思いますが、ところが第一条ノ三を見ると、むしろ多衆よりも個人的なほうが多いのではないかと思う。もし多衆をもって、多衆に暴力ということはおかしいというかもしれぬが、私は暴力団というものは多衆の常習者と見るべきものがあるのではないかと思いますが、それによって第一条ノ三を犯した場合には、これは個人も多衆も同じですから、それは一人一人を罰するのか、どういうことですか。
○竹内(壽)政府委員 これは多衆を背景といたしまして犯した暴力行為、たとえば暴行を働いたというときには、第一条の犯罪が成立することは当然でございますが、今度は暴行をしたその人の習癖として、繰り返す習癖をもってその暴行が行なわれた、つまり常習として行なったというふうに認められます場合には、第一条ノ三の適用を受けるわけでございます。そして第一条と第一条ノ三と両方が成立するわけでございますが、これは想像上の競合ということになりまして、重い第一条ノ三の罪として処罰される、かように私ども考えておるのでございます。
○鍛冶委員 なるほど団体等処罰令じゃないのだから、常習的団体が本法を犯しても、これはやはり一人一人の罪としてやるよりほかない、破防法とはだいぶ違うから、そういうことですね。その点に対しては、もっと破防法的なことを考える必要はないものだろうか、これが私のいま聞かんとするところです。
○竹内(壽)政府委員 当初私どもも、研究過程において、団体を対象として処罰規定を設けることの可否を研究いたしました。そしてフランスにおける例、西ドイツにおける法律、アメリカにおける法律等を逐次検討してまいりましたところが、団体を対象とした法律としてフランスにございますもの、西ドイツにございますものも、今日におきましては、ほとんど活用されていないことが明らかになりました。それからまた、アメリカにおきます先ほど申したニュージャージー州の暴力団弾圧法と言いますか、この法律には暴力団に加盟したこと等を罰する規定があるのでございますが、この暴力団という意味が、法律概念としてはきわめて不明確なものであって、そのことのゆえに、制定後十年たってアメリカの最高裁判所で違憲の判決を受けておる。その後、やはり個人の犯罪という形で実質的に取り上げるというのが各国の立法の形式でございます。そういうところに思い至りまして、結局、団体を対象とした団体行動、団体としての活動を処罰の対象にするということは、やはり刑罰の面から見まして適当でない。これはもちろん団体規制とかなんとかいうことになりますと別でございますが、処罰ということになりますと、非常にむずかしいということが結論として出てまいりましたので、その考えはとらなかった次第でございます。
○鍛冶委員 少しこまかいことになりまするが、現行法の第一条では「刑法第二百八条第一項」となっておったものを、今度は「第一項」を削ったことになりますが、読んでみますると二項というものはないんですね。これはもっと前に改正すべきものを忘れておったのですか。
○竹内(壽)政府委員 そのとおりでございまして、この二百八条の二項が削除されました際に、この暴力行為等処罰に関する法律の一条も当然手直しをすべきであったと思うのでございますが、それがそのままに放任されておりましたので、今回の改正の機会に整理をさせていただく、かようにしたわけでございまして、実体は何ら変わりはないものでございます。
○鍛冶委員 ところで、第一条ノ三を読んでみますと、「常習トシテ刑法第二百四条、」これは傷害ですね。「第二百八条、」これは暴力だけですな、傷害のないものですね。「第二百二十二条」これは脅迫、「又ハ第二百六十一条」これは器物損壊ですか、「ノ罪ヲ犯シタル者人ヲ傷害シタルモノナルトキハ」とあるのですが、二百八条の罪を犯して傷害したるものというのは両立せないように思うのですが、これはどういう場合を想定しておられますか。
○竹内(壽)政府委員 第一条ノ三の規定のしかたが、読んでいただいてちょっとわかりにくいのでございますが、この意味は、常習犯として傷害、暴行、脅迫、器物損壊というグループをきめておるわけでございます。したがって、どの一つ一つの罪についても常習犯ということは成立いたしますし、一つの罪についてすでに幾たびか犯罪がある。今度は違った罪についてまた――前に暴行の前科などがたくさんある。しかるに、今度は器物損壊という場合に、すぐその暴行の前科が器物損壊の常習性を認める資料になるかどうかという問題が一つございますので、そのときに、それがやはり暴行の習癖を認める資料になりますならば、そういう場合でも常習の器物損壊罪というものは成立する、こういうのが判例の態度であります。そこでそういう判例の態度を踏まえましての規定でございますが、もしその中に傷害が一つでも入っておりますと、その傷害が常習と認められる場合には、一年以上十年以下、こういうことでございます。「其ノ他ノ場合」というのは、傷害が入っていない場合で常習と認められる場合、こういう意味でございまして、四つの罪のうちで、一つでも傷害が入っておれば、「傷害シタルモノナルトキハ」というのはそういう意味でございまして、一つでも傷害の行為があればという意味でございます。
○鍛冶委員 二百四条は傷害ですね。常習として傷害を犯した場合、こうなるでしょう。常習として刑法二百四条の罪を犯した場合、傷害をしてしまったのだ、二百四条を犯した、それがさらに「人ヲ傷害シタルモノ」というように二重にかかることがわからぬ。
 その次に二百八条、これは常習として単なる暴行をやった、こういうことです。しかるに、人を傷害した場合、傷害すれば二百四条でやってしまうのですから両立せないように思うのですが、私は頭が悪いからその点明瞭にしてもらいたい。
○竹内(壽)政府委員 私の受け取り方にあるいは誤解があったかと思いますが、二百四条の罪を犯して、それが常習として認められる場合には、これは一年以上十年以下、それから二百四条と器物損壊と二つの罪を犯して、その中に傷害という罪が常習として認められるということになりますならば、やはり一年以上十年以下のこれは一つの罪になる、包括一罪、こういう意味も含まれておるのでございます。おわかりいただけましたでしょうか。
○鍛冶委員 そこで、私がこういうことをなぜ言うかというと、この間本会議における質問を読んでみますと、権利保釈をこの法律でなくしておるじゃないか、私はこの点だろうと思うのです。傷害罪であれば、刑訴法八十九条の三号にはまらぬはずですね。しかるに傷害罪といいながら、ここにおいて人を傷害したときは重く罰する。そこで刑訴法八十九条から除外されることになる。そうすると、保釈の権利を失うのだ、わざととういうふうに二軍に書いて、これは重く罰するということよりか、権利保釈をなくすることが、目的でかような規定を設けたのではないか、こういう質問のように私はとったのです。これは重大なことだからひとつ明瞭にしておいていただかなくてはならない。
○竹内(壽)政府委員 本会議で大臣から答弁されましたように、これは結果としてそうなる、そうなったのだ、こういうふうに仰せになりました。私も、立案者の立場としましては、まさにそのとおりでございますので、いまここで違った解釈をするわけではございません。しかし、この常習犯というのは、刑を重くしようとしまいと、常習ということを証明し得るならば、現行法のもとでも、この刑が一年以上でなくても権利保釈からは除外されるという刑事訴訟法の規定があるわけでございます。したがって、この常習犯につきましては、一年に引き上げたから権利保釈から除外されるというのではなくて、常習犯だということで権利保釈から現に除外されておるわけでございます。ただ、その常習犯であってもなくても、一年以上の刑に当たりますものについては、これは権利保釈からはずれる。これは重い罪だからということでございます。大体この常習犯というのは、犯人の性質が常習性を帯びておるという習癖を持っておるというところからくるのでございまして、このような習癖を持っておる犯人の処遇というものは、短期の自由刑のようなものは効果がないということは、これはもうきわめて明白なことでございまして、そのことから考えましても、権利保釈でどんどん出ていくというようなことは、およそ刑事政策的に見ましても当を得ないことは申すまでもないことでございます。したがいまして、現行の刑事訴訟法のもとにおきましても、短期が幾らでありましょうとも、いやしくも、常習犯と認められるものにつきましては、権利保釈から除外しておる。したがって、この点を特に言うことはないのでございますけれども、そういうねらいでやったのだろう、こういうことでございますから、そういうねらいではない、結果においてこうなっておるだけだというふうに申したわけでございます。
○鍛冶委員 もう一ぺんひとつ聞きますが、二百八条の「罪ヲ犯シタル者人ヲ傷害シタルモノナルトキハ」とありますね。二百八条の罪を犯して傷害に及んだとすれば二百四条へいくのではないですか。それを二百四条と二百八条とを区別して書かなければならぬその理由がまだはっきりせない。
○羽山説明員 この読み方が、はなはだ失礼でございますが、ちょっと違っていらっしゃるようでございます。これは大体書き方がまずいからこういうことになるのだろうと思いますが、文語体でございますからこういうことになったと思うのでございますが、こういうふうに読んでいただきたいのでございます。「常習トシテ刑法第二百四条、第二百八条、第二百二十二条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者」と、そこで一つ大きく切っていただきたいと思います。そうして、「人ヲ傷害シタルモノナルトキハ一年以上十年以下ノ懲役ニ処シ」と、そこで一つまた切っていただく。そこの切り方をちょっとこまかく切っていただきたいのであります。それから、「其ノ他ノ場合ニ在リテハ三月以上五年以下ノ懲役二処ス」。そこで、たとえばいま私が常習で器物損壊と暴行と脅迫と三つだけやったということになりますと、傷害しておりませんから、「其ノ他ノ場合」のほうへ参りまして三月以上、こういうふうに読んでいただきたい。
○鍛冶委員 わかりました。これはどうもそう言われて初めてわかるのは、これはどうもややこしいですな。こういうふうなものだから、単純暴行をもこの中へ入れて、そして権利保釈をなくしようとしたのだ、こういう議論が出るのだと思うのです。私はおそらくそうだと思う。私自身も、なるほどそう言われれば、これはそういうふうに一つ一つ切るならば、そういうふうになりはせぬかと思う。これはもっと考えたらいいと思う。私の頭が悪いばかりではなさそうです。
 その次は第二条の二項、「常習トシテ故ナク面会ヲ強請シ又ハ強談威迫ノ行為ヲ為シタル者ノ罰亦前項ニ同シ」この常習は何の常習ですか。面会強要の常習ですか。それから「故ナク」ということがおかしいのだ。第一項にいう「財産上不正ノ利益ヲ得又ハ得シムル目的」でたいていやるものだろうと思う、常習は。その以外の常習とはどういう常習かわからないのだが……。
○竹内(壽)政府委員 第二条の二項につきましての「常習」とは何の常習かという点は、面会を強請し強談ということの常習性を持っておる者をいうのであります。
 ここになぜ「故ナク」という字をつけてあるかと申しますと、面会するとか話の際に、脅迫に至らない程度の威圧的な態度に出るようなことは日常そんなに取り上げなくてもいいようなこともあるわけです。したがって、この「故ナク」ということばがございませんと、むやみやたらに、ちょっと大きな声になりますと、もう強談威迫になってくるというふうになってはこれは広がり過ぎますので、そういう場合には、故なく不法にそういうことをやった場合だけだということを明らかにするために、この「故ナク」を特につけてある。これは通常、たとえば住居侵入のような場合でも、人の家を訪問するということは日常生活においてあり得ることでありますので、故なく不法に入ってくる場合だけが住居侵入になるのだということだけを明らかにするために住居侵入の場合にも「故ナク」ということばがついておったと思うのでございますが、要するに日常あり得ることの中で特にそうしたものだけが罰せられるのだという意味で故なくとか不法ということばが使ってあると思うのでございます。これは大正十五年当時立案したものでございますが、その解釈としては、私どもはさように解釈しております。
○鍛冶委員 どうも、面会強請または強談威迫が常習ということはわかりますが、「故ナク」とは、何の目的もないということ湾ろうと思う。法律上適法なる理由がなくですから、財産上の利益を得んがためにやれば、これは第一項に入ります。入りますが、おそらく財産上の不法な、理由なくして人のうちに行って大きな声でどなる者があるかしらんと思う。その点、どうも……。
○竹内(壽)政府委員 私の理解を先ほど申し上げましたが、これは大塚仁という人が書いた法律学全集四十二巻の特別刑法の中にこの点の解釈がございますのでちょっと申し上げますが「故なく」とは、正当な理由がなく、すなわち社会生活上の通念に照らし妥当性が認められないのにという意味である。」これは判例もございまして、大体この故なくの意味はそういうふうに解せられておるのでございますが、すべての犯罪は故なくであり不法である。それで特にそういうものをこの規定につけるというのは、先ほど私の理解として申し上げましたように、一応社会生活において面会するということはあり得るわけなので、その面会の際に大きな声をしたからといったって、正当に面会している場合には別にどうということはないのじゃないかということで、その面会が正当な理由のない面会で、大きな声をして強談威迫に及ぶ、これは許されないという趣旨を明らかにしたものだ、かように解釈しております。
○鍛冶委員 私は、時間ですから、きょうはこれでやめます。
○濱野委員長 三田村君。
○三田村委員 暴力対策の基本問題について少し掘り下げて御意見を伺いたいと思ったのですが、これは次の機会に譲りまして、きょうは法務省、警察庁両当局に資料を要求しておきたいと思います。すでにいろいろな資料をいただいておりますが、暴力事犯対策として必要な資料、ちょっと思いつきですけれども、お願いいたします。
 第一に、最近の暴力事犯の傾向、これは団体事犯としての傾向、これはもちろん団体構成員をいうのですが、それから個人事犯の傾向、団体に所属しないものの暴力事犯の傾向、これが一です。
 第二に、最近五カ年間の統計、これも法務省の刑事局ですか、警察庁、両方でつくっていただきたい。警察庁のほうは未送検のものを含む、家裁にも検察庁にも送らないもの、警察の手だけで処理したもの、これをぜひ加えてもらいたい。この内容としては、団体の場合、個人の場合と別にしていただきたい。もう一つ、暴力行為等処罰の、いま審議しておる法案の中に、いろいろの種類が出ておりますから、そういう種類別につくっていただきたい。
 次は年齢別、これは必ずしも暴力事犯は青少年ばかりではございません。相当親分クラスの暴力事犯もありますから、年齢別につくっていただきたい。法務省からいただいた資料の中に再犯とかいろいろなものがあります。これはありますが、年齢別につくっていただきたい。
 それからもう一つ、特に少年暴力の事犯、いわゆるチンピラ暴力、これは少年、二十歳未満ですが、特に低年齢層の暴力事犯、近ごろの暴力事犯は皆さん御承知のとおり、まことに目をおおい、耳をふさぎたくなるような事犯が毎日のように新聞に出てまいります。そういったものをどうするかということは、暴力対策の基本問題じゃないかと思いますから、こういったものの資料をこの際十分整えて、この暴力行為等処罰に関する法律案の改正だけでなくして、国の行なう政治、行政の面における暴力対策というものをどうするか。これは人間の社会の基本問題ですから、こういった問題について少し掘り下げて検討してみたいと思いますので、たいへんごめんどうですが、それだけひとつできるだけ早く御提出願いたいと思います。提出していただいた上で、いろいろ具体的にお伺いしたいと思います。
 それから委員長に申し上げておきますが、私の質問するときには法務大臣、刑事局長、それから国家公安委員長たる国務大臣、警察庁長官、これだけはぜひ出ていただきたい。
 きょうはそれだけの資料要求でとどめます。
○濱野委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。
 次会は明二十七日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十四分散会