第046回国会 法務委員会 第30号
昭和三十九年四月二十四日(金曜日)
   午前十時二十六分開議
 出席委員
   委員長 濱野 清吾君
   理事 鍛冶 良作君 理事 唐澤 俊樹君
   理事 小金 義照君 理事 小島 徹三君
   理事 三田村武夫君 理事 坂本 泰良君
   理事 細迫 兼光君 理事 横山 利秋君
      上村千一郎君    大竹 太郎君
      岡崎 英城君    亀山 孝一君
      坂村 吉正君    四宮 久吉君
      田村 良平君    竹内 黎一君
      塚田  徹君    中川 一郎君
      長谷川四郎君    服部 安司君
      古川 丈吉君    松澤 雄藏君
      森下 元晴君    井伊 誠一君
      神近 市子君    田中織之進君
      堂森 芳夫君    野原  覺君
      畑   和君    松井  誠君
      竹谷源太郎君    志賀 義雄君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        法 務 大 臣 賀屋 興宣君
        国 務 大 臣 赤澤 正道君
 出席政府委員
        総理府総務長官 野田 武夫君
        総理府事務官
        (中央青少年問
        題協議会事務局
        長)      西田  剛君
        警察庁長官   江口 俊男君
        警  視  監
        (警察庁刑事局
        長)      日原 正雄君
        法務政務次官  天埜 良吉君
        検     事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
        公安調査庁長官 齋藤 三郎君
 委員外の出席者
        警  視  長
        (警察庁警備局
        警備第二課長) 後藤 信義君
        検     事
        (刑事局刑事課
        長)      羽山 忠弘君
        最高裁判所事務
        総長      関根 小郷君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局総務局
        長)      寺田 治郎君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局刑事局
        長)      矢崎 憲正君
        専  門  員 高橋 勝好君
    ―――――――――――――
四月二十四日
 委員亀山孝一君、中川一郎君、井伊誠一君及び
 松井政吉君辞任につき、その補欠として竹内黎
 一君、塚田徹君、野原覺君及び堂森芳夫君が議
 長の指名で委員に選任された。
同日
 委員竹内黎一君、塚田徹君、堂森芳夫君及び野
 原覺君辞任につき、その補欠として亀山孝一君、
 中川一郎君、松井政吉君及び井伊誠一君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
四月二十三日
 暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正す
 る法律案反対に関する請願(松井誠君紹介)(
 第三〇五九号)
 同(島上善五郎君紹介)(第三三八一号)
 は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第九号)
     ――――◇―――――
○濱野委員長 これより会議を開きます。
 暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案及び本案に対する竹谷源太郎君提案の修正案を一括して議、題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。井伊誠一君。
○井伊委員 私はこの法案が出たときに、暴力団に対するところの対策、その基本的な方針について法務大臣にお伺いをしたいと思います。さきに三田村委員によってもその点質問されておるのでありますけれども、お答えがきわめてはっきりしません。私は重ねてその点を大臣にお伺いする次第であります。
○賀屋国務大臣 暴力団に対する対策としましては、結局暴力行為なからしめるという意味でございます。そのためには、国民の一般が非常に不安を想じまする悪質の暴力を広くふるうところの暴力団を事実においてなくなるようにするということが重要だと思います。
 その対策を申し上げれば、直接米力行為、特に悪質なものと申せば、いま提案して御審議を願っております銃砲刀剣類を用い殺傷その他の行為を行なう者、常習的にこういう行為を行なう者を厳罰に処しまして、その結果、暴力団の勢力を漸次そいでいく、暴力団に加入する者が減り、脱退する者がふえていく。こういうふうな方策をとるのが第一でございまして、その厳罰ということに伴いましては、事前に警察におきましてその予防と申しますか、暴力行為をふるうことを未然に防遏することにつきまして格段な努力を払うことが一つでございます。また暴力をふるいましたあとには十分これが検挙につとめ、さらに検察が動きましてこれを裁判に付する。こういう行為が最も重要な行為と存じます。御審議中の法律が通りまして刑罰が適用されますると、これは刑務所におきましても、一面から申せば収容の場所の変更、また所内における教化改善、さらに正業につくためのいろいろの職業訓練等、またこれが出所をいたしまして後の保護観察でありますとか、いろんな万両につきましてその改善をはかりまして、再犯、累犯を防ぐ、これはまた重要なる一環であると存じます。それから今回の法律が通りますれば、結果論としまして、いわゆるお礼参り等の弊害が非常に防がれますので、その結果、暴力犯の検挙等につきまして国民の協力をいま以上に得られるという点が多分にあると思うのでございます。いわゆる後難をおそれて届け出をしないというようなおそれがよほど除かれてまいるという結果も生ずると思うのでございます。かようなまあいわば直接的の方法は非常に重要でございますが、一般としましては、社会の全体の道義水準、社会秩序維持、法秩序の尊重という観念を高揚することが大事でございまして、これは法務行政としましても、法律上の涵養にいまも力を尽くしておりますが、一般的に力を尽くす必要があると思うのでございます。これ以上に力を入れる必要があると思うのでございます。また社会全体の風潮が、直接行動は民主主義の敵であるという考え方が十分に徹底するように社会全体が進んでいく必要があると思います。何度もお話が出ますように、動機がかりにいいとしましても、その手段方法が違法のものはこれはいけないんだ、絶対に排除する、適法なルートで社会の改善をはかる、革新をはかる、こういう思想を尊重すべく、すべてそういう必要がございます。そのためには社会教育、学校教育、こういう面につきまして、特に社会の秩序維持、法の尊重、法秩序の維持、日的の正しいということは決して手段の問違ったということの弁護にならない、こういう考え方が徹底することに力を尽くすべきだと思うのでございます。そのほか、前にも申し上げましたように、いろいろ社会の、精神病学的の観点からこういう暴力犯罪を防ぐという意味におきましても、科学的な調査、鑑別及びそれに対応するいろいろな施設、昨日もお話が出ましたが、精神病あるいは病者に至らぬ者につきましても、そういう者の治療とか、そういう者の行為についての看視、予防という面も力を尽くしてまいる。また、いま申し上げました道義の高揚、社会秩序維持のためには政治家が姿勢を正しまして、かようなおかしな人たち、その群れに対し、これをあるいは賞揚するとか、社会的にそれを認めるがごとき行為を避けまして、えりを正していく、こういう総合的な対策が必要と存ずるのでございます。そのほか、よくお話に出ますが、昭和三十六年の暴力対策の閣議決定等の各項目につきまして連絡を相互とりながら進めてまいる、かような考え方でございます。
○井伊委員 ただいまのお答えは、暴力犯罪の防止対策ということにつながる非常に広い範囲の対策を述べられておると思うのであります。しかし、私のお聞きしたいのは、いま問題になっております暴力団の規制のためにいまの暴力行為等処罰に関するところの法律を改正しようとしている、そうして説明も常に暴力団ということをもって説明をされておるのでありますが、その暴力団対策の根源が、基本方針がどうも私はここにはっきりしていないと思うから、その暴力団に対するところの対策をお聞きしておるのであります。いかがでしょうか。
○賀屋国務大臣 いま申し上げたことが結局暴力団対策になるのでございまして、たびたび申し上げますように、暴力団というものはたとえば雲のようなものでございまして、その場に行きますと表向きはこれが建設事業である。その建設事業が法人であるとしますと、その法人のメンバーが、いわゆる社会通念では暴力団ではない。そこに使用される人々、法人外でございますが、そういうものがある。それじゃその建設業をやっておる法人と使用される人とが一団となってどういう団体組織をしておるかというと、形の上ではそういうものはない。事実上のつながりはあるかもしれません。これは建設業に限らない、いろんなものにあります。いまは建設業も発達しまして、全く近代的な事業もございますが、古めかしいものもまだ一部残っておるのじゃないか、土建業などにそういうものがある。そういうふうに暴力団は、たびたび申し上げまするように、法制的に定義をしてはっきりつかめるようなものでもございません。一つの社会全体のひずみから出た現象でございますので、直接的には、今回の法律の中で厳罰主義で臨んでどんどん検挙しそれを処罰するということが一番効力があると思うのでございます。しかし、それじゃそれだけで暴力団対策かというと、これはいま申しましたように全面的にいろいろのものを施策していくということがぜひ必要で、処罰主義だけで暴力団が全滅するかといえば、これはやはりそれのみで全滅するということは困難と思うのであります。非常に有力な手段は、いま申し上げましたように、どんどん処罰主義でいけば相当に衆力団制圧ができる。その上に各般の対策を総合してまいりますれば――近代におきます病気が、だんだんにその局所療法をやるとともに全身療法をやりまして、健康体になればその病根がなくなるというのとやはり同様な現象であり、したがって同様な両面の方法が要るものだ、かように考えております。
○井伊委員 基本方針というもの、暴力団に対する基本方針も、一般の暴力犯罪を行なうようなそういう地帯に対しての対策も結局は同じことであって、直ちに暴力団そのものをどうするということは考えられない、考えないというお考えのようですが、一般的に刑を重くする、それも急にはそれが効果があるというものじゃないから、自然に周囲を、あるいは教化の面からいったり、あるいは社会の協力を得たりして、行政上の措置においても、あるいは法制上の措置においても、あるいは防止対策に対する懇談会を置くというようなことにおいて、自然にそういうものが改善されて、そういう事案がなくなってくるということを待つ、そういうお考えのようであります。こういうことになりますならば、これは一般の対策と何ら違いがないのでありまして、どの犯罪行為におきましても、刑罰だけを重くして他のほうをゆるがせにしてもいいというようなことのあるはずはない。この場合においても、ちっとも違いはないと私は思う。大臣のお考えといたしまして、特に暴力団に対するところの対策というものが別にないというふうに、お答えから受け取るのでありますが、それでよろしゅうございましょうか。
○賀屋国務大臣 率直に申し上げますと、私の申し上げることをぼやかしておいでになるのですね。面接の方法と間接の方法と申し上げているので、ものごとは両方要ると思うのでございます。直接の方法は、いま御審議を願っている法律を早く実行して、これを大いに有効強力に進めることが直接の方法であるということを申し上げておることは、たびたび繰り返すとおりでございます。しかし、それだけでいいかというと、それはそれだけでいいのではない。こういう方法をみな併用しなければならぬ。そういう複雑多岐なものがほかの対策にもございますけれども、決して同じじゃないので、たとえば近ごろやっと学校でも修身教育というようなことが言われるようになりましたが、暴力というものに対して、進んだ国民が、民主国民が、文化国民がいかに考えるか、ただ横つらを張り倒して愉快だというような、素朴な、封建時代のような観念ではいかぬということを植えつける。いろいろなもののうちでことに暴力ということを考えますれば、そういう対策がとれるわけであります。あるいは学校教育あるいは社会教育、それじゃほかのと同じじゃないか、それはその点は同じでございましょうが、その中に個々それぞれ対象とすべきものは対象としていくわけでございます。
 それで暴力団をどうするかといいますと、これはたびたび申し上げるように、暴力団というものは、われわれのいわゆる常識概念にはございますが、つかまえてみれば雲か霧のようなもので、遠くから見れば暴力団というものがある。しかし、そこに行って法制的につかまえようとすればつかまらぬじゃないか。一体団員がだれであるか、団員というものは明瞭に実証されているのか、登録されているのか、どこにあるのかといえば、これはどうもあそこの親分の子分に違いないというけれども、必ずしもそれが明確でない。半分子分であるか、一〇〇%子分であるか。また、ただそこに行って働いているだけで、明確でないものもずいぶんあるし、第一、組織というものがはっきりいたしません。そして、ほかの正常なものとかと一緒にある場合もあります。それで先ほども、私どももつかみにくいから説明も十分でありませんでしたが、正確につかめない。法律上それをつかめればつかんで、こういう場合には解散をさせるとか、そういうふうなそのものずばりの対策はない。そこで暴力団が事実において一番犯します、また国民から見て一番困るところの行為をつかまえまして、どんどんそれをやることが一番暴力団対策になるという面をつかまえましたので、では、それだけでおしまいかというと、前にもいろいろ申し上げましたように、すべきことはこれだけで全部じゃございません。一番直接的に有効なものであるという意味のことを申し上げておる次第でございます。
○井伊委員 御説明によりましても、やはり効果の直接間接、こういうものを考えておるのであって、その点からいえば、やはりこれは特に暴力団ということを明らかにしないで、そうして一般の法律として個々の人に適用するところのこの法律の改正である。そういうところからいたしますならば、特にこの提案の理由の中に強くうたわれておるところの暴力団に対するものであるという特別の説明のしかたというものは無理なのじゃないか、納得させるためには、暴力団といえばすぐこれはみなが常識によって大体の見当がつく、こんなようなところで強く打ち出しておられるというふうに私は思うのです。暴力団というものをそうでなく一般のものと同じに適用するというような、規定のしかたがそういうふうになっておるのでありますから、その暴力団を取り締まるというようなことを特に大きく掲げられるというのはどういうものかと思っておるのです。それでありますから、特に暴力団規制に対するところの根本的な考え方というものはないかということをお聞きしておるのであります。
○賀屋国務大臣 私は、町で被害を受けた人は、やはり暴力団は困ると思っていると思うのであります。あそこでは暴力団が何人かおって、強そうな悪そうな人間がいる。また、そういうのが銃砲刀剣類を持ち、ピストルあるいはあいくち、日本刀を持ちまして、実際そこで社会通念として暴力団というものをやはり考えて、それに属しておる者だというのでよけいこわがり、またそういうのがたちの悪いおそろしい脅迫とかあるいは殺傷をやっていることは事実でございます。これは暴力団でなければそれでは殺傷していいか、銃砲刀剣類で傷つけて、暴力団じゃないからといってほっておいていいか、それはそうではありません。実際いまの社会の考えとして、親分のようなもの、兄貴分のようなもの、そういうものが一緒になって、一人が何かすればあとがする、こういうものが社会通念にある。そういうものをのければ国民の日常生活が非常に安心になるということも私は普通の常識観念だと思うのでございます。そういうような暴力のうちで特に悪質で国民が日常不安を感ずるものをやる。そうすればそれは大体は暴力団にいきますから暴力団をなにするのである。こういうふうに申し上げておるので、それも何でもない、そのとおりだと思います。しかし、それではかりに暴力団でない者がそういうことをやったら、それはやはりほっておくわけにいかぬ、同じ程度ですから処罰されます。そういうものが暴力団につながったり、あるいははっきり暴力団に入らないでも、入りそうなあぶない不良少年であったりするようなわけですから、社会的通念から見まして、この法律は暴力団をねらっているのだと言っても少しも私は間違いじゃないと思う。事実のねらいがそこにいくのです。それは法制上暴力団ということを書いてないじゃないか、暴力団を解散するような規定もないじゃないかと仰せになれば、いま言ったように、どうもこれは法制的にはっきりつかめるものではないのだから、つかめればむろんやりますが、つかめない。研究しましてもつかめないのですから、その行為を罰する、各人の行為を罰する。こういうことになっているので、それだから暴力団でないとは決して言えないと思うのであります。法制的に暴力団及び暴力団員以外の者はやらぬ、そういう意味でもないのでございます。そこで、暴力団というものが社会で事実上存在するけれども、法的に間違いのない意味に定義をつけ、そうして法の規制の網に入れにくいからということを申し上げておる次第でございます。
○井伊委員 いまのお話の中にも出てきておりますし、前々からの説明の中にも、暴力団の法的概念を正確に把握することはできない、むずかしい、こういうようなことを言っておられる。それはそうだと思うのです。なかなかむずかしいだろうと思うのです。しかし、今度のこの法案が提出されますと、暴力団という名称を掲げたところの資料がたくさん出ております。単に暴力犯罪ではないのです。暴力団というものを表題にした「暴力団構成員の前科概要について」であるとか「暴力犯罪関係統計表」の中でも、その十一表以後のところで暴力団を掲げて、そうして分類し、統計を出しておる。一つの概念がつかめないのに、これを累計をし、分析をしていくというような、そういうことができるか、根本的に言えばそういうあれがあるのです。これは常識的なものの考え方で出ておる。この資料に出ておりますものは、まちまちな意見のものの収集でありましょうか。
○賀屋国務大臣 資料は常識的に認定でつくれるわけであります。法律問題で暴力団とは何ぞやというものが規定できない。暴力団員とはだれかということを法律的に裁判で立証する問題と、社会常識で暴力団員と認められるものとの区分は私は違うと思うのです。常識的にそれでいくと思います。大体その資料は御要求にもなりますし、実際がねらっておるからそれがたくさん出るのでありまして、実際やってみましたらまちまちで、いわゆる暴力団と認められるものがかりにないとしましたら、ほとんど私は重罪、悪性の暴行行為はないと思うのです。あとは変質者的の、むしろ病理学的に新たなる暴力対策の分野と申しますか、そこへまいりますもの以外は、銃砲刀剣類などを持ってやる者はほとんどなくなるのではないか、こう思いますし、おそらく社会もそう思っているのではないか。それだから、事実問題としては、暴力団というものを対象にしていろいろ表もつくるなり、なにもつくる。しかし、それではそこで杵築がかりに暴力団に入れたというもの、これを裁判にして、立証して、暴力団であるということにすると、これは私は非常に困難性があるのではないかと思います。
○井伊委員 少し入り過ぎたと思いますが、いまの審議をするにあたって出てきたもの、それと説明とあわせて、法的概念はなかなかつかみにくい、しばしばそういうふうに言っておられる。しかし、資料といたしまして出てくるところのものは、実はそういうものによらない常識に基づいてこれが集められたものであるという説明でありますと、統計から見ますというと、「暴力団構成員の前科概要について」というものの初めのところには、これは昭和三十六年の一月一日から三十七年の十月三十日までの間、法務省の刑事局に全国で二十二の地方検察庁から報告のあった事件報告中、暴力団構成員が関係しておるおもな事件の全被疑者の前科を前記二十二の地方検察庁に照会した結果、右各庁から報告された前科調書であることが明記されております。そうしますと、各二十二の地方検察庁が報告してきたものは、ただ事件報告書である。その事件報告書の中から特に一つのものを選んで、すなわち暴力団、したがって暴力団の構成員、こういうものに関係のあるものを照会された。こういうことになりますと、これは一つの意思だと思うのです。一つの見解であって、二十二の地方検察庁のまちまちのあれではない。その中から暴力団というものはかくかくのものだという一つの考えがなければ、私はそういう照会はできないと思う。照会しても、向こうのほうの照会の答えというものは結局おのおのの常識によってこの報告をしてきた、こう見ていいのでしょうか。私はむしろ法務省刑事局の出されたものですから、刑事局のほうでそういうふうな一つの見通しというものをやはり持っておって、この照会をされたものと見ざるを得ないのです。この点は、やはり暴力団が何であるかという考え方は相変わらずわからないのだ、あやふやなんだ、つかみにくいのだ、こういうことでいまも変わらずにおられるのでしょうか。これを伺います。
○竹内(壽)政府委員 先ほど大臣が申されましたように、暴力団というものを法律的に定義をしますことは困難であるということを申し上げておるのでございまして、これを社会通念あるいはもっと別の立場から、学問的に申しますならば、刑事学的にこれをつかむということは、それぞれの分野から一応の定義のようなものを考えることはできると思うのです。それで警察当局が暴力団と社会通念上見られるものを警察取り締まりの観点から想定いたしますことは、これも決して不当なことではないわけです。そのお手元でごらんになっております資料は、私のほうはそういう立場をすべて離れまして、いわゆる凶器準備集合罪というのが、先般昭和三十三年に刑法の一部改正でそういう犯罪ができましたが、その犯罪にひっかかってまいりました関係者、これは名前はどうあろうとも、凶器を持って集まって出入りをしようという、そういう実態に目をつけまして、そういうものに関与した者、そういう観点から照会をいたしまして資料としてつくったものでございます。この前、これも資料で差し上げたのでございますが、「暴力団について」という資料がございます。その第二項のところで、警察取り締まりの面ではどういうふうに暴力団を考えておるかということにつきまして、警察庁組織令の第十条の二の第二号に暴力団というものに対して一応定義のようなものをしております。そういうものを一応の根拠として警察では取り締まりの対象にしておられると思うのですが、いま申したのは、すべてこれは警察取り締まりの面から、あるいは社会通念の面から、あるいは刑事学的な面からとらえたものでありまして、それでは法律的には暴力団とは何かということを定義づけますことは、大臣も申しましたようにまことに困難な問題であります。
○井伊委員 一応警察取り締まりの面では定義を普通下しておるわけです。そうして、やはりそれに似たような考えで材料も集められておる。警察のほうから出ておるのもあると思うのですが、そういう考え方と、この資料でいただいておる「暴力団について」の、そのところのあれを考えてみると、確かにこれは立法に当たられるところの、原案をつくられる刑罰局のほうと警察のほうとの、実際の仕事の関係もありましょうけれども、とにかく一方のほうでは、もうすでに定義をしなければ輪郭がつかめないことから出ておるわけですけれども、一方のほうからいうと、今度ようやくこれが出てきますというと、これはどうも定義が下しにくい、こういうようなことになることが、この「暴力団について」と書いてあるものの中にも明瞭にそれが出ております。「暴力団を定義することはむずかしい。しかし、それは、現に多数存在している。そして、それらの中には、いわば公然と存在しているものもある。」、こういうふうに言っておられるので、ここを政府として一体をなしてこれを定義することがどうしてもできない。警察のほうは警察のほうでやる。今度は法務省のほうにおいては、また別に、定義することができないからと言っておられるわけです。私は、そこは立場ですからそれはいいと思うのですが、何ゆえにそれならばそういう定まらないものを、説明の場合においては、常識的な警察のほうで定めておるような範囲内でこの暴力団というものを扱っておるのか。そういうものをここの審議の際に提出されるかということです。それが暴力団を規制するんだということを強く言われるがゆえに、そういうふうな疑問が出てくるのです。暴力団自体の定義がわからないといっても、材料だけはよその常識的なものだけで集めたものをあれしておいて、数の上ではこのとおりであるとか、あるいはだんだん減っていくとか増してくるとか言ってみても、根本的にはそれはわからないことではないか。それを審議の材料として、これで御納得をいただきたいと、こういうことなんです。そういうところは、提案をされる政府の中に足並みのそろわないところがあると思う。私は、このことについてこれ以上、やはりこの資料でもって、そうして説明とあわせて、それで解義をしていいかどうかということを疑うのです。初めは、熱心にこの資料に基づいて、その事件がどういうふうに推移するかというようなのを調べたわけです。ところが、質問の間においてわかってきたことは、それは定義を下すことはできないということが出てきたわけです。そうするというと、初めからそれはわかっている話なんです。定義することはできないんだ、しかしこれは出すんだ。それで材料はといえば、自分の腹に納得がいったものじゃないのです。納得のいったものでないことは、ここの項にちゃんと弁いてあるわけです。その納得のいったものでない材料に対して、そうして委員にこれを納得せよ、これは無理じゃないかと思う。その点はどうお考えになるのですか。
○賀屋国務大臣 実は、私はおほめをいただいていいのではないかと思うのです。人権の尊重ということが非常に大事な問題になりまして、大ざっぱに、大づかみに刑罰の対象になるものをきめるなどということは、これは非常に責任を感じてやらなければならぬ。そういう立場に立って申し上げておるので、実はそういう点よく見てやったとおほめをいただきたいくらいに思うのであります。常識的に暴力団というものはわかっているから、かりに法律的にはどうも精密にいかぬけれども、これをきめてやるというふうなことにいたしますれば、それこそ人権の侵害をも顧みないような法律のあれになるのではないか。それでは困りますから、すべて正確に考える。私どもも、こういうことを申し上げて恐縮なんですが、世の中にはいろいろ悪いことがあっても、それが全部刑罰法令に載せられておるわけではないので、よくよくのことでなければ刑町法令には載せられない。また違法ときめられましても、刑罰の定めのないものもございまするし、それから道義的には非常に問題でも、別に法律では処罰に至らないという問題もあるのでございまして、犯罪の対象にするものにつきましては、よほどこれは厳格に考えなければならぬ。常識的には社会の問題としまして、こういうことをなくしたいと思っても、それを犯罪の対象にします場合には、そう通常概念だけではいかず、はっきりした概念にしなければならぬという点に皆心をいたしております。お話しのごとく、初めからそういう団体をつかまえてやることができればいいので、研究いたしましたが、どうもそれは無理である。外国の例を見ましても無理であるということで、遺憾ながら、早くつかまえてやりたいというほうからいえばやりたいのですが、それをむしろ自制をしておる。またこれが私はほんとうだと思います。それですから、ほんとうにこれを間違いなく定義ができる――今後研究しました上でむろんやるつもりでございます。ただ現状でこれを定義づけ、法律の対象にするのは、幾ら省内の者が研究しましても、とうていまだ自信が持てない状態であるのでございます。そういう意味におきまして、むしろ苦心の存するところであると御了解を願いたいと思うのでございます。
○井伊委員 言うまでもなく、刑罰法規を定めるということは、これは一般国民の権利を規制することなんですから、この暴力団に関するといなとにかかわらず、これは尊重しなければならない。この点についての立法者としての態度は、それは厳正でなければならぬと思う。私はその点において、暴力団だからすぐやってもいいというようなものは、第一の線では出てこないと思う。そう思わない。しかし、これはいまの社会の現象として、みんなの見るところ、これをどうしても規制しなければならないという段階にあることは、これは私も認めます。私も、それに対してはある程度においては賛成をするのでありますけれども、立法するときには、これを特定して、なるべく他のほうに及ぶことのないように万全の策を講じなければならないと思うと同時に、規制するものも規制されるものも、それが誤って広く解釈されて、結局罪のない者が罪のあるように指弾されることのないように、双方ともにこれに対する注意は払わなければならぬのであります。だから私は、これに対して反対をしているという、そういうあれではありませんけれども、国民全体の権利を規制制約するのでありますから、ほんとうに一つのものに急にこの対策を講ずるものとして立法をするというそのことの急なるがために、資料はこれでもいいというようなことでは、立法府の扱いとしては私はまかりならぬというふうに考えるのです。何かまだ定義を定めることに苦心が行き届かないのではないか、それよりも待っていられない、急ぐのだ、こういうようなお考えがあるのではないか。なぜそういうふうにして急がなければならぬのか。それはわかりませんけれども、立法府は、ことに刑罰の法規を定める場合においては、これはどこどこまでも国民の権利というものを尊重するというたてまえでいかなければならない。でありますから、これを審議するにあたって、何もいまこれができれば直ちにその目的のとおりの暴力団そのものが減るのでもない。おそらくはその中核となるところのものにはいささかも触れなくて、むしろその末々のところのものがひっかかるのではないか、そういうふうになりましょう。それですから、今日この統計を、私が幾分非難しながらこの材料を使うのもどうかと思いますけれども、いまのところ青少年の犯罪の団体というようなものは、これによればだんだんと減っていく傾向を示しております。青少年の不良団のほうは、これは下がりぎみはなっております。会社ごろや新聞ごろ、これもだんだん下向きになっております。売春暴力団、これは大した上がり方もしておりませんけれども、まず少し上がりぎみであります。港湾暴力団のごとき、あるいはその他というもの、これに入らないところのもの、これもいずれも下向きであります。あるところのもので上がっておるものは何であるかというと、はく徒、テキヤ、これだけはだんだん上がっておるのであります。こういうふうにして所属団体別に、この検挙した報告書の中にはそういうものが出ておるのであります。これをそのまま受け取ったとしますれば、暴力団といわれておるものもだんだん下火になってきておるところのものがほとんどであって、ばく徒、テキヤ、それから売春暴力団というものがいささかその尾を引いておるという、そういう状況であります。これは全般についてのものでありませんが、三十二年から三十六年までの統計です。そういうことでありますが、こうして見れば、大体暴力団を規制しようとするならば、目的はそんなに広いところの材料をあれする必要はもうない。おそらく求めているところのものはばく徒とかテキヤとかあるいは売春暴力団とかいうものでないか、こう思うのです。これはいままでやはり実際には警察側において、これに対してさまざまの機会においてこれを研究したり、あるいは裁判所においてこれを処罰したりしておるわけでありますから、その結果でもありましょう、いまのような趨勢をたどっておると見えるのです。そうすれば、これからやろうというのは、要するに減らないで、そうして上がりぎみになっておるというところです。私は、暴力団の対策というものをただ一般の暴力犯罪というように広くこれを扱って、そうして資料にもそのことが出ておるのでありますけれども、しさいに見ればそういう形をとっておるわけです。そうすると、対策もおのずから的がだんだん出てきておるのではないか、的がだんだん縮まってきておるのではないか。私はむしろ非常に心配しておりますことは、年々その数が減るとかふえるとかというものはあまりたいしたことではないが、中核になっている固定した数というものがあることであります。固定した数があるというところに私は問題があると思う。それは三十二年、三十三年、三十四年、三十五年、三十六年、こういうここに年次別の統計がありますが、それにおきましても、結局ばく徒といったようなものは三千九百あるいは四千、六千、こういうふうにこれはのぼるほうです。そのほかのところ、たとえば青少年の場合におきましては一万八千六百四十、それが二万六千百二十、さらに二万三千九百三十五、二万二千五百二十五、二万八百十三、これはこういうふうに下火になりつつある傾向を示しておりますが、それにしましても、この五年間を通じまして二万二、三千の固定しておる数があるわけです。それは同じ人のものが三十三年にも、三十四年にもあるのもありましょうけれども、年々に事件が起きておるところから見るならば、私は新しい層じゃないかと思う。年次が変わるに従って新しいのじゃないかと思う。この毎年青少年の場合において二万三千くらいの人たちが入れかわり立ちかわり新しいのが入ってきてくずれないという、そういう点に私は非常な問題があると思うのです。決して数が少しふえてきたとかいうようなこと、あるいは減ってきたというようなことよりは、固定している数が相当大きいということ、そういうことは注意しなければならぬことだと思うのです。それはどこから来ておるのか。これは言ってみれば、教化も足りないし、あるいは裁判の効果もないということになるのか、とにかく入れかわり立ちかわりくるけれども、いつも同じくらいのものがあるということは、これはほんとうに注目すべきことであると思う。
 こういうことを考えてみまして、やはり暴力団というのは定義はむずかしい、こういうことも私は一応わかるのでありますけれども、それがどうしてもできないか。定義は、これは具体的に何々団なんという名前はあげることのできないことは言うまでもありません。そういうものでなく、抽象的にでも、やはりここにある警察取り締まりの面での定義がございます。一応の定義があります。それが完全であるかどうかは別問題として、とにかくこれでやっておるのです。やっておるから、いままでこれで間違いなくやっておるわけです。そういうのに、今度法律のときにおいては、何か目標が暴力団に対するのだ、こういうふうに言われるならば、暴力団の取り締まり対策というものは特にはっきりしていなければなりませんし、資料もまたそれに基づいていかなければならぬ。そのもとはやはり概念の確定でありましょう。それはむずかしいというのならば、これはいつまでたってもむずかしいのか、あるいは研究をすれば発令なものにいかなくともそれが出せるのか、私はその点をお聞きしたいと思います。
○賀屋国務大臣 いま仰せのように暴力行為がだんだん下火になれば非常にうれしい次第でございます。世間も安心でございましょうが、大体犯舞の趨勢は皆さんも御承知いただいておりますように、戦後は二倍半にも増加いたしております。しかし、内容を大別すれば、その増加の一倍半は大体交通事犯に関するものでございまして、そのほかの刑法犯またはそれに類似するような別当法犯は大体横ばいになっております。横ばいになっておりますが、その内容を解剖すると、窃盗、詐欺、横領等の財物犯が三〇%も減っている。減ったものを埋めているのは何かというと、暴行、傷害で埋めておるわけであります。非常に大郷としてふえているということはいなめない次第でございます。暴力団と申しましても、お話しのようにばく徒、テキヤもあります。売春暴力団、麻薬暴力団、そのほか土建業の表看板で相当の暴力をふるうものもございましょう。内容はばく徒、テキヤに限らず非常にたくさんあるようでございますが、大体において世間が暴力行為に非常におびえて不安を感じているのは、その中においても銃砲刀剣類を用いるような者、もう札つきのこわいといういわゆる常習のくせのある者、それが一番不安のもとになっていま世間が不安を感じているということは私は事実だろうと思うのでございます。
 そこで仰せのようにその暴力団というものは悪い中心であるから、これを定義してやれということは、私はその意味においては全くごもっともな考え方ですが、これは毎々申し上げますように研究しても非常に困難であり、少し大げさな表現になりますが、世界の刑事法の大勢もそういうものはつかまえてやりにくいのだということですから、私は政治的に考えますと、もしも事務当局がその定義を一生懸命に研究して、その定義ができるまでは手をつかねているということじゃ困るのであります。それは学問的には大事でしょうが、何年も何年もかかって、できるかできぬかちょっと見込みのない研究をやって、それまでこういう社会不安を起こしている暴力事犯に対して刑罰法令を考えないと言われたら、それこそわれわれは政治的に困るので、そういう一年、三年あるいは三年、あてもないようなことを考えられては困るので、いまの刑法の改正につきましても、御承知のように数年後には全面的改正をしますが、それまでは待てないというのがいまの社会の情勢である次第であります。それで、暴力団の定義は法制上できませんが、銃砲刀剣類、そういうものをもってやります傷害等の暴行行為、またいわゆる札つきの常習犯、これをとらえてやれば大部分の目的は現実に達し得るわけですから、そういう方向からいくということが実際に適切ないき方ではないか。私は、定義も研究してもらうことがいいと思うが、そればかりやっていて、それができるまでは刑罰法令を何ともしないというのではむしろ困るので、今回の措置のほうが現状においては適切じゃないか、かように思う次第でございます。
○井伊委員 いまの暴力団の犯罪の中に銃砲刀剣類を用いるあれが多いということでありますが、この拳銃や銃砲、これに対する取り締まり、これはあるようですけれども、これがいつも、さっき申しますようにそういうものをもって暴行をするというそういう数を見ますと、銃砲類というものが数が減っておりません。こういうものはその押収したところの数が示されておるのでありますから、その分だけはなくなっておるはずなのに、相変わらずその次の場合においては、それと同数のものがまた出てきておるというようなことが見られるのであります。そういうことを見ますと、何か際限なくどこかから供給される道がある、こう考えるのです。そういうものをとめる実際上の方法、どういうふうになっておりましょうか、これをお聞きしたいと思います。
○竹内(壽)政府委員 実際にとめる方法は、これはなかなかむずかしいと思いますが、法規といたしましては、銃砲刀剣類等所持取締法で、この三条は、こういう銃砲刀剣類を所持することを禁じて罰をつけておるわけでございます。したがって、所持という段階で、まだ傷害や殺人というような実質の犯罪に至らない以前において取り締まる、こういうことができるような仕組みになっております。それからなお、外国からこういう武器が入ってくるということになりますと、関税法の規定とか、こういうものを取り締まりますのにはいろいろな分野でできるだけ早い時期に押えるということが大事なわけでございます。したがって、銃砲刀剣額等所持取締法のごときものは、犯罪に至る以前のその所持の段階で押えるという仕組みでございます。まず銃砲刀剣類を持っておるということで罰し、それを持っておるのがまだわれわれの目に触れないためにわからなかった。そしていよいよ犯罪を行なう、傷害を犯したり殺人を犯したりということになりますと、傷害罪あるいは殺人罪で罰する。こういうことで幾重にも段階を経て規制をしていく。そういう余さず漏らさずという体制になっておるわけでございますが、仰せのように押収して没収されるにもかかわらず、次々とこういうものがわれわれの目をくぐっていわゆる暴力団といわれる人たちの手に入ってきますことはまことに遺憾でございます。警察当局におかれましても、そういう点に着眼いたしまして、新聞等でも御承知のように、大量の武器が取引されておる段階で検挙いたしました事例は少なからずございます。そういうことで極力その以前の段階における取り締まりということに御留意を願っておることと思うのでございますが、なお、こまかい点は警察の御当局から御説明を伺うことにいたします。
○松井(誠)委員 関連をしてお尋ねをいたしたいと思います。
 先日私は銃砲刀剣類による傷害の刑について資料の提出をお願いした。けさ東京地裁管内だけの昭和三十八年中における資料が提出をされたわけであります。私が申し上げるまでもございませんけれども、銃砲刀剣類による傷害の刑を引き上げるというのが今度の改正案の一つのねらいで、その最大の理由というのは、銃砲刀剣類による傷害の刑が軽過ぎる、幾ら行政的な措置をやってもそれには限度がある。具体的に言えば、検事が求刑を引き上げても、引き上げること自体に常識的に限度がある。あるいはそれによって行なわれる判決の刑の引き上げにも限度がある。だから現行法の下限を上げなければならないというのが、おそらく唯一の改正の理由であったと思うのです。ところが、それでは具体的に銃砲刀剣による傷害の刑が現実にどうなっておるかという統計がなかったわけです。考えてみれば、非常に手抜かりな粗雑な資料であったと私は思う。この三国会にわたる十分な準備期間があったにかかわらず、その資料がなかった。きょうは提出をされましたけれども、それは東京地裁だけの資料なんです。しかし、それでも私はおよそのことがうかがわれると思うのです。このいただきました資料を見ますと、全体が二十四という数字です。この二十四件の中で一年以下の判決というのは三件しかない。つまり現在の刑によっても二十四件のうち二十一件は一年以上の刑が科せられておる。そうしますと、一体何のために一年以上という下限の引き上げをやらなければならないのか。これは改正理由というものが根本的にくずれてくるということになりはしないか、私はそう思うのですけれども、いかがですか。
○竹内(壽)政府委員 直接のお答えを申し上げます前に、この表につきまして御説明をちょっといたしておきたいと思うのでございます。
 傷害罪の犯行に際しまして銃砲刀剣類がどの程度用いられているかという件数につきましては、すでにお手元に差し上げてあります暴力犯罪関係統計表の第九表、十表と追録の六表によりましておわかりいただけると思うのでございますが、推計されますところは年間約手件でございまして、この種の事件が非常に多いというわけではございません。しかしながら、千件という数字は容易ならざる数字であることは御理解いただけると思うのでございます。そこでこの種の傷害罪に対する科刑についての統計の作製は毎々申し上げますようにきわめて困難でございます。それはどういうわけかと申しますと、この種の傷害事件はその性質から申しましてほとんどがいわゆる暴力団の構成員によって犯されておる事犯でございますが、暴力団の事犯の中には、大部分が出入りと世間でいわれております傷害ざたの際に発生するものが多いのでございまして、そういう場合には、ほとんど前後いたしまして殺人とか殺人未遂とか兇器準備集合等の事犯をも相伴っておるのでございます。そこで殺人までいかなくても、この種の事犯を犯します者は、毎々これも御説明申し上げておるのでございますが、非常に前歴を持っておる者が多いのでございまして、その他の軽微な犯罪を伴う場合もあって、したがって具体的な事件の量刑にあたりましては併合罪として処断される場合が多いのでございます。したがって、銃砲刀剣類を用いた傷害について実際にどういう刑を盛っておるだろうかということを見きわめますことは、具体的事例からなかなか拾い出すことができないのでございます。そういうわけで、この点は私どもとしては、この部分については刑が非常に軽いから刑を引き上げるというよりも、こういう犯罪が千件も年間にあるというところに着目いたしておるのでございます。松井委員からの御要望でございましたので、実を申しますと、一昨日から昨夜にかけまして私どものほうでは全力をあげて調査に当たったのでございますが、時間的な制約もございまして、全国的な調査はとうてい不可能でございますので、東京地裁のほうから昭和三十八年度一年間にわたる判決結果、これは膨大なものでございますが、これを全部取り寄せまして集計調査したのでございます。この中にはそのほかにもたくさん銃砲刀剣類を用いた傷害を含んでおるのでございますが、そういうものの中には殺人とか殺人未遂等も含まれておりまして、それでは銃砲刀剣類からどういう刑が盛られるかということをうかがうのに先ほど申したようにすこぶる困難であります。そこで軽い罪、銃砲刀剣類を用いた傷害よりも軽い罪を伴っておるものは、これは重いほうで処断されることになりますから、それを含めまして、それから銃砲刀剣類を用いた傷害だけと、軽い罪と併合になっておるもの、この部分だけをずっと拾い出してまいりますと、この二十四件が出てきたわけでございます。
 いま、三件しかないじゃないかとおっしゃいましたが、これは六件あるわけです。一、二、四、それから十一、十三、二十一、この六件が一年以下の刑が盛られております。それから一、四、十三、二十一につきましては、その上執行猶予がついている。こういうのが科刑の実情でございます。この刑が不当であるとかなんとかいうことは私は一がいには言えないと思うのでございまして、これは個々の具体的なケースでございますので、いかなる法定刑を盛ったといたしましても、その具体的な事件に即して最も適正な妥当な刑が盛られるということになるわけでございます。中には、この量刑では不当だとして検察官のほうから控訴を申し立てておるものもあるようでございますが、そういう実情でありまして、この種の犯罪の刑が軽いからというこの部分につきましては、そういう観点にむしろ重点があるのじゃなくて、このような事件が千件もあるというところに着目をいたしまして、傷害罪の中でもこの種の傷害につきましては重い法定刑を盛るのが相当だ、こういうのが立法趣旨になっておるのでございます。この刑を重くするということをねらいましたのは、重く処罰するということでございますけれども、さらにその効果としましては、毎々申し上げておりますように、やはり保護観察あるいは矯正教育、そういったようなリハビリテーションのことも考えましてこの刑を重くする、これは刑事政策上の要請に基づくものでございます。そういう点を考慮してのことでございまして、この具体的な量刑が足りない足りないと申し上げておりますのは、銃砲刀剣類というのは新しい罪でございまして、従来足りない足りないと申しておりますのは、その他の暴力行為についての科刑全般について言っておるのでございまして、暴力行為取り締まり法そのものだけじゃなくて、暴力団等の構成員が犯します犯罪は、ここの統計表にございますようにいろんな種類の犯罪がございますが、そういうものを総括的に見まして一般的に軽いということは、これは私が指摘するのではなくて、世論の指摘しておるところだと私は思うのでございます。
○松井(誠)委員 率直に言って、このいただきました資料と、少なくともいままでの立法理由の説明との間には食い違いがある。この食い違いを局長はなくするために、また立法理由の趣旨が私は少し変わってきたと思います。いまのような刑では、つまり刑を重くするために行政的な措置では限度があるということを何度も言っておられる。もう一つ、もちろん国民に対するPRという面も言っておられますけれども、しかし最大の理由は、これの下限を上げなければ現実に刑を重くできないんだということが、唯一の理由ではなかったかもしれませんけれども、最大の理由であった。ところが、今度はそれがこの資料によってくずれたとなると、刑を上げることが主たる目的ではなくて、何か国民に対するPRのほうを前面に出そうとされる。これは明らかに私は、いままでの立法趣旨についての説明とは大きなズレがあると思う。それからもう一つ、私がいま申し上げておるのは、銃砲刀剣類による傷害のことであって、常習暴力行為のことについていま申し上げておるのではありません。したがって、問題を銃砲刀剣類による傷害だけに限定をしてお答えをいただきたいと思うのです。
 そうしますと、少なくとも、この傷害よりも重い殺人なり殺人未遂というものの刑は、これはもう銃砲刀剣類による傷害という刑を上げる上げないにかかわらず、そちらのほうで重く罰せられることができるわけですから問題はない。問題は、やはりこの統計にあらわれておる、傷害と同時に、それよりも軽い刑が一緒に犯されたというときに、この銃砲刀剣類による傷害の刑を上げることが初めて意味を持つわけです。この初めて意味を持つ統計を見ると、実は改正理由というものは消えてしまいそうな資料だと思うのです。私は三つと申し上げましたけれども、あれは間違いで、なるほど六つでございますが、この六つの中にも、いわゆる銃砲刀剣類等所持取締法による銃砲刀剣であるかないか疑問のものもあるわけです。たとえば短刀と書いてある。これが銃砲刀剣類等所持取締法による刀剣になるかどうかは、これは必ずしもはっきりいたしません。あるいは銃剣というのがある。この銃剣というのも銃砲なのか――銃砲じゃないでしょう。刀剣に入るのか入らないのかもわからない。したがって、これが全部いわゆる新しい改正案による銃砲刀剣類による傷害かどうかということもはっきりしない。したがって、この軽い六つというのは銃砲刀剣類、今度の改正案によれば必ず一年以上になる刑であるかどうかさえもわからない。かりにそうであったところで、二十四という中の六つです。そしてこの六つというのは、おそらくいろいろな理由があってこういう刑が盛られたのだと思う。裁判官も非常識じゃありませんから、やはりほんとうに銃砲刀剣という危険な道具を用いての犯罪というものは現実に重く処罰している。この統計表をごらんのとおりに処罰しておられるわけです。一体なぜ一年以上という刑を盛らなければならないのか。私は関連ですからこれでもうやめますけれども、いまの局長の御答弁は、立法理由の説明について非常にいままでの御説明と食い違いがある。そしてこの資料そのものは、少なくともいまの立法理由の説明からいえば、その立法理由そのものをなくするような資料であるということ、そのことを申し上げたいと思います。
 御意見を伺いたいと思います。
○竹内(壽)政府委員 ただいまも申し上げましたように、暴力団等の構成員が犯す暴力犯罪全般について、この刑が下限のほうに集中しておるということを繰り返し申し上げております。この法律は、これも申し上げたのでございますが、一つのパイロットのようなものでございまして、この刑を引き上げることによりまして、その他一般の暴力犯罪に対しましても、法を執行します警察官、検察官、裁判官等におかれて、それぞれこの法の趣旨とするところをくんで、暴力犯罪全体について重い量刑がなされることを期待する、こういう意味もこの法律の改正にはあるわけでございます。そういう面の資料の説明等をいたしてまいりましたが、銃砲刀剣類を用いる傷害というのは、従来傷害罪の中で処理されてきたわけでございまして、こういうものを私どもは常識的に考えますと、ピストルを撃って殺意がないというような、私はむしろふしぎなくらいに思うのでございますが、現実にはやはり傷害罪であって、しかもピストル等を使ったという事例が先ほど申しますように年間約千件ある。この事実は軽視できないのでございまして、こういうものについて特別な構成要件を定めるといたしますれば、それはその刑が軽いとか重いとかということもさることでございますが、それ以上に、こういう構成要件を持っておる犯罪というものは刑が一年以上十年以下ということは当然な法定刑じゃないか。現に準備草案にも大体これと同じ考えを盛っておるのでございますが、そういうふうに見てまいりますと、この刑を引き上げておりますことは、そういう特別な重い構成要件のもとで考えられた法定刑でございますから当然でございます。
 それからなお、趣旨を変えた、変えたというふうにおっしゃいますけれども、趣旨は何も変わっていないわけで、変わったとおっしゃるのは、私にはちょっとわからないのでございますが、この暴力法改正をやりましても、ほかの暴力犯罪はそのままになっておるわけです。しかし、そのままになっておるものにつきましても、この改正の趣旨が理解されて適用されるということがこの法律の改正のねらいの一つでもあることを、これは繰り返し繰り返し私は申し上げているわけで、私はその趣旨が変わったというふうには申し上げるわけにはいかないし、また考えてもおらないことでございます。
○松井(誠)委員 そういう御答弁では、私はまた申し上げなければならないと思いますけれども、先般私が申し上げましたが、準備草案ではこういう形の加重類型がないわけです。つまり傷害の結果によって、生命に危険を及ぼすような傷害の場合には刑を重くする、そういう考え方がある。それなら私は常識的にわかる。そういう結果によって加重するというなら常識的にわかる。しかし、用いた道具によって加重するというのは、これは理論的にむずかしいということで、準備草案の中では、つまり、傷害の結果によって刑の重い軽いということを区別をしている。それならわかる。そういうことではなくて、わざわざ銃砲刀剣類という、そういう定義をすることからくるいろいろなあいまいさ、あるいはこの具体的な資料等の食い違い、そういうものからくる問題がある。問題は、やはり傷害の結果によって、重大であるか軽微であるかによって刑を盛るということならわかります。しかし、そうじゃないから問題がある。そうじゃないですか。
○竹内(壽)政府委員 松井委員のお考えも二つのお考えでございますが、傷害の結果の重大性に着目して刑を重くするという立法例もたくさんございます。日本の刑法準備草案もそういう考え方に立っておるのでございますが、目を諸外国の立法例に向けますと、やはり傷害の結果に重きを置いて刑を重くするという立法例ももちろんございますが、手段方法の悪性に着目して刑を重くするという立法例もたくさんあるわけでございます。その中には武器を用い、凶器を用いたというような言い方をする立法例もありますし、それに加えまして毒物、劇薬物、そういうものを手段とする傷害、これを重く罰するという立法例もございますわけで、おわかりにならなければ、そういう外国の立法例もごらんいただきまして御理解をいただきたいと思うのであります。
○井伊委員 本改正案の中に恐喝を加えないということについては、非常に大きな穴になっておると思うのです。他の委員からもその点を質問されておるのでありますが、何といっても暴力団のこれらの多くの犯罪というものは、その犯罪自体が本質なのではなくて、財産を得るということが中心、これが暴力団の本質だと思うのです。いわんや、だんだん暴力団には子分のようなものがたくさん集まってくる傾向があります。暴力団自体は、数はもうとまるだろうと私は思う。大体ふえないと思うけれども、地方においてごくわずかな犯罪を犯したチンピラが、だんだん社会から疎外をされて、そうして大きなところに集まってくるという傾向があります。こういうふうになってきても、暴力団はこれに対して十分な経済的な援助をするという力はだんだんなくなっておる。そうすれば、その下のほうのまかなわれないところにおいては、みずからの手でもってやるのが、これがあるいは脅迫になり、あるいは傷害にもなり、暴行にもなり、器物損壊にもなる。そのほかに恐喝も実は加わると思う。また上のほうのあれは、多くの者をまかなうといって、生業についているものももちろんあって、そこから収入も得ておるでありましょうけれども、その子分というか、配下の者を養っていくという意味においては、十人ないし三十人が大体とまりだということですが、そういう者をあれしていく上においては、その中心の人が他のほうからていさいのいい恐喝をやるというようなことは、これは見えることです。こういうことによってそのていさいのいい脅迫――何もチンピラどもがやるようなそういうのではなくて、結果は同じことになるけれども、堂々として威圧を加え、畏怖を与えて、そうして財物を得るという行き方というものは、これは上のほうにももちろんある。むしろそれが大きいだろうと思う。こういうふうでありますから、ほんとうに暴力団を壊滅させるまでの考え方を持っておられるかどうかわかりませんけれども、その下のほうの人たちのやる傷害、暴行、脅迫というようなものにすぐ当たるようなものだけをやりましても、収穫は何にも得られるものじゃないです。その点から言えば、恐喝というものはどうしてもこの中に入れなければならぬものであったかと思うのだが、入れなかった関係は、これは財産犯だというような分類のほうからくる学問的な考え方、それから今度の立法の上から言うと、非常に範囲が広くなってくるから、さまざまな改正を加えなければならないという立法、技術上の問題もある。そういうようなことをおっしゃったのでありますが、それではどうもほんとうの目的を達することは私はできないと思う。この点につきまして、入れなかった理由をもう少し御説明を願いたいと思うのです。
○竹内(壽)政府委員 仰せのように、暴力団はやはり資金源を得るために暴力犯罪を犯すのでございますが、その小で恐喝という、暴行、脅迫を加えて人から財物を取る、こういう財産犯と暴力犯との結合した恐喝罪というものを犯す。この数が非常に多いことは御指摘のとおりでございまして、暴力団対策を考えます場合に、恐喝罪について何らかの手を打っていきたいということは、私どもも研究の過程におきまして十分研究をいたしたのでございます。その点は仰せのとおりでございます。しかし、この恐喝罪を、たとえば常得という形で取り入れるということになりますと、これはいま申した財産犯でもありますので、そうしますと、また暴力団がしばしば行なっております強盗とか、窃盗とか、横領とかいうような問題との関連をやはり考えなければならぬ。
  〔委員長退席、三田村委員長代理着席〕
恐喝は重くするが、窃盗はそのままでよろしいか、強盗はそのままでよろしいかという問題もございます。それからなお暴力団は、そういう財産犯だけでなくて、建造物損壊とか強要とかいうようなこともやっております。この数も決して少なくないのでございますが、そういうものも刑を上げる必要があるのではないかというふうに、一つが二つ、三つと関連しまして刑を上げていかなければならぬ、こういうことになってまいるわけでございます。そうなりますと、刑法の全面にわたって再検討を要することになりまして、これこそ刑法の全面改正の際に検討をしていただかなければならぬ問題だと思うのでございます。それのみならず、準備草案等でも意見を明らかにしておりますが、いまの刑法は財産犯についてやや重く、人の生命、身体、名誉といったようなことについてやや軽きに失しておるではないか。このことは、現在の社会情勢に必ずしも適合しないじゃないかということに注目いたしまして、刑の是正がはかられておるのでございます。そういうふうに見てまいりますと、この財産犯につきましては、現行法がかなり重い刑を盛っておるということが言えるのでございまして、先般申しましたように、こういう暴力団の構成員等は、恐喝もやりますが、同時にいろいろな罪を犯しておるのでございまして、あるいは併合罪、あるいは一つの行為が数個の罪名に触れる場合に該当するあれになりまして、法律の適用という点から申しますならば、あわせて処断されるという例がございます。そうなりますと、法定刑として盛るべき刑の範囲というものが相当幅広く、重い刑も盛れるということもございまして、今回の改正では必要最小限度にとどめたいという希望もございまして割愛をいたしたのでございますが、将来の刑法の全面改正の際には、そういう点も整備いたしまして、体系としても筋の通った、バランスのとれたよい刑法に改正をいたしてまいりたいと思っておりますが、当面の改正といたしましては、こういうふうに最小限度にとどめたのでございます。そのために財産犯である恐喝につきましては、必要でありますけれども割愛せざるを得なかった、こういう事情になっておるのでございます。
○井伊委員 今回の改正は刑法の全面改正のできるまでのつなぎの意味を持っておる、改正のできた本法の規定は新しい刑法に盛り込んでいくべき性質のものである、こういうことであります。本質はそういうあれだと思うのですが、暴力犯罪取り締まりの根本は、大正十五年の制定の当時は、常習の規定が別にない。二百八条、二百二十二条、二百六十一条の泥を犯した者は三年以下の懲役、五百円以下の罰金、こういうふうになっておったのを、今度それが第一条の第二項のところを削除して、それと同時に一条ノ三というものを新設する。そこへいって泰行、脅迫、器物損壊、この三つのものをいままであったのよりもさらにそれを重くしまして、常習である場合においてはこれはこの三つのものについては五年以下三カ月以上、こういうことになります。そのほかこの機会に傷害が一つ入って、傷害が常習でやられた場合においては、一年以上十年以下という刑に改められて、いずれもこれは刑法の規定がこちらの特別法のほうに移されたときに、一つの基礎として罰則が重くなっておる。今度またそれが暴力行為等処罰法の中の改正として、刑法の中からさらに傷害を扱いてきて、それが常習であるときにおいては、これはまた曲と比較にならぬほどの重い一年以上十年以下というものに加えておる。ここにまた加重規定が二段になって進んでおるということが考えられるわけです。こういうふうになっておりますときに、これが二年なり三年なりの後に刑法の全面改正が行なわれるそのときに、その規定されたところの規定の中に、改正される際に、いまの暴力行為等処罰に関する法律は結局刑法の中にそのまま繰り入れられていくという性質のもの、大体刑法から出てきておるものですから、また刑法のほうに自然に入っていく、こういうふうに考えられるとき、これは自然に――これは推測ですけれども、審議もあるので必ずしもそうなるとは言い切れませんけれども、そのまますべっていくならば、この加重せられたる刑というものは、新しい刑法の科刑の基準になるというふうに考えるのであります。必ずやこれ以上、下げられるということはできないと思う。あるいはもとの形に直るということもできないと思う。そうすれば順繰りに他の科刑は重くなっていく、せざるを得ないことになると思うのです。そういうふうに考えると、これは容易ならぬことであるが、私は、これから後のことではありますけれども、大体その辺は予想がついておって、そうしてこういうふうな刑の加重規定を置かれるようになったのか、その全面改正のときにおいて大体予想しておられるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○竹内(壽)政府委員 それは全面改正の作業が現に進行中でございますので、その結果がどういう結論になりますかは、もちろん予測はできませんけれども、一応の参考資料としてできております準備草案でございますが、これの法定刑とか、犯罪類型とかというものは、ただいま私どもが立法いたします場合にも、これは参考にしておるわけでございまして、将来の新しい刑法がいまの立法のために非常に妨げられるというようなことのないように、私どもとしては配慮をいたしております。したがいまして、いまやったことがそっくりそのまま新しい刑法の中に入るんだというふうには考えておりませんけれども、いま準備草案などに示されております考え方というものを、新しい立法でひどくねじ曲げてしまうというようなことの起こりませんように、そういう配慮はいたしておるのでございまして、法定刑を考えます場合も、準備草案で盛っておるものを参考にいたしておるのでございます。一年以上十年以下というようなのは、準備草案にもある刑をそっくりそのまま持ってきておるのでございます。ただ、つなぎである刑を重くしていくということになりますと、特別の重い犯罪類型を考えて、その犯罪類型に値する法定刑ということになりますので、こういう新しい立法を重くするがためにやります場合に一番心配になりますのは、犯罪類型の個別化と申しますか、細分化と申しますか、そういうことが非常に広く行なわれました場合に、新しい刑法への影響が考えられますので、こういう改正は必要最小限度にしておくのがこの段階では相当だという考えで、実は恐喝もやったほうがいいとは思いますけれども、そういうことを避けたのは、そういう点も一つ考慮がありましてのことでございます。
○井伊委員 時間がありませんからこれでけっこうです。
○三田村委員長代理 志賀義雄君。
○志賀(義)委員 これまで委員長を通じてたびたび暴力行為等処罰法の一部を改正する法律案について、法制審議会の完全な記録を要求してありましたが、委員長はしかるべき手続をとられたものと思いますが、その結果はどうなりましたか。
○三田村委員長代理 その問題については、面会か前々会委員長からここで御報告申し上げたはずだと思っております。
○志賀(義)委員 いや、まだ正式に伺っておりません。あなたは臨時におかわりになったからおわかりにならないと思うのですよ。
○三田村委員長代理 それでは後刻委員長出席の上で御答弁いたします。
○志賀(義)委員 まずいときに委員長がいなくなった。(笑声)
○三田村委員長代理 委員長の職務を行なっておりますからどうぞ進めてください。
○志賀(義)委員 実は正式には本委員会において委員長から報告を受けておりません。しかし、委員長が私に耳打ちされたところでは、どうも出すのがまずいようで出さないのだ、こういうふうな報告を言われましたが、いまだに提出がありませんが、それはどういうことでしょうか。
○竹内(壽)政府委員 会議録は幹事の責任でつくることになっておりまして、その会議録を国会の御要望によりまして特に会長の許可を受けてお出しをいたしておるのでございます。本来会議録をつくるべきことは、法制審級会の規則としましては書いてないようでございますけれども、私どもとしては、資料でございますので、必ずつくることにいたしております。そのお活のことは、そのときに会議録をつくります方法として、速記をつけておったようだから速記そのものを出せ、こういうことでありましたが、これは会議録をつくります者の記憶、筆記漏れ等を補充するために速記をつけておるのでございまして、国会の速記というようなものとは全然性質の違ったものでございます。しかし、この会議録は幹事の立場でつくりますもので、責任を持って書いておるので、私もその場に出ておりましたが、会議録を通読いたしまして、中身は全然実情から離れたものは一つもないので、ただ違いますことは、この際発言したのがだれ某であるということは具体的には、私はよく目で見てわかっているわけですが、会議録には何某、何某ということは書いていないようでございますが、それは事の性質上、名前をあげて書きますことは適当でないと私は思いますので、それが出ていないだけであって、中身につきましては、全く会議の実情は会議録の中に詳細に出ておりまして、その間に少しもそごしているものはないというふうに見ております。
○志賀(義)委員 議事録として当委員会に出されたものは要旨であります。しかも、いまあなたが言われるように省略があります。ところで、そういうものは国会へ出すべき性質のものでないと言われるけれども、昭和三十三年、持兇器準備集合罪の審議のときには完全な会議録を出し、発言者の名前まで出ております。前にそういう例があるのに、今回再三要求したのに出されない、これはどういうことですか。先例もあることですよ。都合が悪いことがあるのですか。
○竹内(壽)政府委員 三十三年のときも強い御要望によって出したと思います。今回も強い御要望によりまして議事録を出したのでありますので、要旨と書いてあるかどうか知りませんが、これはもう三十三年のときと全く同じでございまして、中身はちっとも変わっていないわけであります。
○志賀(義)委員 そうではない、三十三年の持兇器準備集合罪の審議のときの議事録は、発言者の名前まであるのです。しかし、いまあなたは幹事として議事録を出して、責任を持って編集して、内容には相違はないと言われますけれども、表紙には議事録と書いてあるが、中は要旨です。前に出して、発言者の名前までも書いてあるのに、今回出せない理由を伺っているのです。
○竹内(壽)政府委員 特段の理由はございませんで、三十三年のときに名前まで入った議事録が出ておるということでございまして、それはまあ私はうかつでございましたが、私は、個々の発言者の名前は公開しないほうが――本来あれは秘密会の性質のものだと思いますので、その点ははばかって、名前だけは出ないほうがいいんじゃないかということは、私の意見としては持っておりますのですが、中身についてかれこれ意見を私は何も申しておりませんわけです。
○志賀(義)委員 出されないのは、刑事法部会の審議の過程で相当問題があったように見受けられるのです。これはあなたの、昨年の第四十三通常国会で畑委員が質問したときのお答えの中で、実は聞きのがすことのできない御発言がありました。どうも公表するとまずいことがあると見受けられます。
 では申し上げますが、あなたから相当きわどい発言もそのときにありました。たとえばこういう発言があった。何ぶん政党関係から改正をせかれておりますのでというような発言があるのですよ。御記憶はありませんか。
○竹内(壽)政府委員 全く記憶がございません。どういうことを言ったのかわかりません。
○志賀(義)委員 私は無責任な発言はいたしません。ただやわらげて発言しているのです。どうも都合の悪いことは忘れられる。忘れたことをここに出されればまずいから出し渋られるのでしょう。一つ証拠が出たじゃありませんか。昨年一月二十八日のある党の法務部会で、その党の議員が、刑事法部会で、反対したのはだれかとお聞きになって、あなたはだれだれが反対したということをお答えになっているようですね。これも忘れられましたか。
○竹内(壽)政府委員 私には全くわからない。そんなことはないはずでございます。そんなことは法制審議会で申し上げる筋合いのことじゃございません。
○志賀(義)委員 法制審議会とは申しておりません。ある党の法務部会の中において、ある議員から質問があったときに、その質問は、刑事法部会で反対したのはだれかと聞いたときに、あなたのほうからだれだれが反対した、こういうことを言われた覚えはないか、もしあったとすれば、そういうある党の法務部会で名前を出せるものが、当法務委員会に名前が出せないわけはないじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
○竹内(壽)政府委員 それは、別の機会にそういうことを言ったか言わぬかということでございますが、私はどうも記憶がございませんし、ここに同行しております刑事課長は必ず一緒に行っておりますので、もし刑事課長に記憶がありましたら刑事課長から答えていただきたいと思います。
○志賀(義)委員 その党の名前も、それから聞かれた議員の名前も、その質問のあった日もわかっております。ただ、いまは一月二十八日であったということだけを申し上げておきます。こういうふうにしますと、あなた方ここに出されるのはぐあいが悪いから出されない。そういう重要な資料を出さないで審議をやれと言われても、これでは客観的には審議を妨害する結果になるのじゃありませんか。その点いかがお考えでしょう。
○竹内(壽)政府委員 審議の御便宜を考えまして、秘密会でありますが、議事録を差し上げて、御審議の便宜をはかっておるので、決して妨害する考えなどはございません。
○志賀(義)委員 ちっとも便宜を与えてないじゃないですか。じゃ、その刑事法部会で今度の案の刑の下限を上げる問題ですね、いままでは量刑が安過ぎるから刑の下限を引き上げる、こういうふうになった。その原案が刑事法部会で修正された。しかもこれが総会ではまたひっくり返っている。こういうことがありましたね。三十八年一月二十四日、法制審議会第二十八回議事録の要旨によりましても、法務省当局は今回の改正の最も重要な部分は下限を定める点である、こう言っておられる。それに間違いありませんね。それで刑事法部会での修正案は、改正の趣旨の大半が没却されることになる。ぜひとも下限の設定をお願いしたい。つまり本案の最も決定的な重要な問題として、刑の下限を引き上げる、それに対して刑事法部会では専門家、実務家の多くの人が反対しております。ところが昨年六月十四日の当法務委員会において、社会党の畑委員の質問に答えて、専門家の反対意見に対して総会では常識が支配したということをあなたは言われております。これは御記憶でしょう。ここに議事録もちゃんとあります。それをちょっと読んでみます。「大体この総会というのは、常識的な考え方が出るような委員の選定になっておるように私は思うのでございます。それから部会のほうは専門家と言いますか、エキスパートの方でございまして、学者、裁判官、弁護士、検察官等もちろん入っておりますけれども、主として刑法の専門家でございます。」云々となっております。そしてなおこういう発言もあなたはされておる。「常識が支配して、常識どおりになったということは、政府原案そのものが常識的に国民の期待に沿うものであるという結果にほかならぬと思います。」さらにあなたはこう言われている。「しかし、その問題と」――その問題というのは常習性認定の資料の範囲がはっきりしないことと、「その下限を取っ払うということを結び合わせて、何かイージーゴーイングに押しつけようとしたところが専門家らしくないという意味で申し上げたわけでございますが、」あなたはこう言っておる。
  〔三田村委員長代理退席、委員長着席〕
 御記憶でしょうね。専門家らしくないイージーゴーイングな考え方と、あなたは法務大臣が責任を持って選んだ委員の発言に対して言われるのですか。そこのところを確かめておきたいと思います。
○竹内(壽)政府委員 実はその部分は申し上げました。申し上げましたが、私ちょっと言い過ぎたと思って実は後悔しております。
○志賀(義)委員 法務大臣、刑事局長はあっさりあやまられましたが、あなたの前任者で、あなたでなかったのですが、法務大臣のもとで刑事局長、近くは次官に栄転されようとする人が、法務大臣の選んだ委員に対して、何か専門家らしくないイージーゴーイングな考え方なんということをこの国会に来てまで言われる、これはいいことでしょうか。どうでしょう。
○賀屋国務大臣 刑事局長本人が言い過ぎだと言っておりますから、ちょっと言い過ぎだと思います。
○志賀(義)委員 実はこれを私が申し上げるのは、こういうところに今度の原案をどうしてもごり押ししようとする意図がある。それをおそれるから、私はわざわざあなたの発言を申し上げたのです。先ほどもあなたの発言を引用しましたが、刑の下限をつける問題は本案の中心問題、これがくずれたら案の意味がなくなる。そこでこの問題で刑事法部会で多くの人が反対したのです。そうして反対したのは、名前はあなたが伏せておられますけれども、裁判所側委員、それから学者側委員、弁護士側委員に反対の意見が多かったのでしょう。どうですか。
○竹内(壽)政府委員 そうだったと思いますが、正確には記憶いたしておりません。
○志賀(義)委員 それでそういう反対意見が多くあったにもかかわらず、そのときと同じ案をまた出してこられる。そしてあなたの発言の中に、政党関係から改正をせかれていると言う。そうなりますと、常識が勝ったということには、せかれているのでこういうふうに持ってきた、こういうことも含まれているのではありませんか。
○竹内(壽)政府委員 政党関係云々ということは、私記憶がないのでございますが、どういう根拠でおっしゃいますか。
○志賀(義)委員 つまり私の言おうとするのは、刑事法部会で反対が多数あった。そのときにまたあなたは畑委員に対して珍妙な発言をしておられる。反対したのは十人、賛成したのは九人、委員長を加えると十人、十人だからと言われる。こういうことは国会で言われるべきことじゃないのです。当委員会においても、反対十人、賛成九人のときには、これは委員長は自分を加えて十人だから半々だなんとは言いませんよ。委員長は必ず多数に従って決定するのです。あなたははっきり畑委員に対してそう言われている。「別段専門家の方々も、とにかく九、十という数字でございますので、」もし部会長が投票すれば、「これは十対十なので、部会長ははっきりと政府原案に賛成しておられましたので、そうすると、これは別に否決されなくて済む筋合いの数字であったわけです。」こんな珍妙な投票の原則がありますか。国会であなたは畑委員にそんなことを言っているのですよ。言った覚えあるでしょう。
○竹内(壽)政府委員 そのとおり申しましたし、昨日もたしかそういう御質問がございましたのでお答えをしたわけでございますが、それは会議録にもそのとおり出ておるのでありまして、実情を、そのときのいきさつを、御質問がございましたので正直にお答えを申し上げました。
○志賀(義)委員 正直がよくないのですよ。反対が十、賛成が九だ。だからここで否決されているのです。だから総会でもってあなたが、政党関係からせかれているので、つまり俗にいう根回しをして、総会の意見を運んだんじゃないかと、こう疑われてもしようがない、あなたの腹の中は。疑うに足る証拠が十分にあるわけだ。つまりこういうことがあるから、私はこれまで委員長を通じて早く出してくれと言ってあった。委員長がいない間に、三田村委員長はよく御存じなかった。それであなたからこの間耳打ちされたことをここで公表しました。あのとおりで、事実でございますね。どうも法務省が出すのがぐあいが悪いらしいということでございますね。
○濱野委員長 メモですから出すのはぐあいが悪い。メモまで出せ出せと言ったってしようがないでしょう。
○志賀(義)委員 では次の問題に移ります。
 刑の下限をつけた問題であります。刑の下限をつけたことが本案の中心問題であります。政府はその理由として、現行法の適用の実情を見て、量刑が下のほうに集中している。七、八〇%下のほうに集中している。つまり暴力団の犯罪に対して刑か軽過ぎる。だから下限をつけて量刑の基準を上げるのだ。こういうふうにここの委員会で繰り返し御答弁になっているのであります。どうしてこういうことになっているのですか。刑の量刑が軽過ぎるということになるのでしょう。その責任はどこにあるのでしょう。検察庁の求刑が軽いのか、裁判所の判決が軽いのか。これを伺いますのは、昨日戒能参考人から重大な発言がございました。どうも軽過ぎるのは、自分は監獄のことは知らないけれども、監獄に入れても矯正する目的が達せられない。俗に監獄は犯罪学校であるといわれるから、裁判官は気をきかして、そんなところでまた色あげされては困るから、それで刑の量定を軽くするのだ、こういうふうに推察されているようでありますが、そうなりますと、これは参考人の意見として私どもも非常に重要視しなければならないのでありますが、なお、先ほど申し上げました一月二十八日のある党の法務部会で、あなたはこういう発言をされたようです。今回の改正については、裁判所の量刑が実情に合わないところからこれを是正しようとしたもので、裁判所の量刑に対する不信が根底にあったわけである。こういう説明をされたようでございますが、そうではございませんか。
○竹内(壽)政府委員 私自身さように考えておりませんし、さようなことを発言するいわれはございません。
○志賀(義)委員 法制審議会でも、ある委員は、検事の求刑も軽いと思うと言っております。法務省当局も、三十七年十二月二十六日の第二十三回刑事法部会で、検察庁としては、裁判所が適正な量刑をするための資料を立証しなければならないのであるから、科刑が低いといわれることは、捜査の不十分に対するきびしい批判を含めていると理解している、こういうふうにお認めになっておるようです。そうしますと、これは裁判所側に責任があるのか、あるいは暴力団犯罪について、結局は刑の判断を下すべき立証資料を提出する検察庁さらには杵築の側に決定的原因があるのか、検察庁の起訴、求刑が十分な資料に基づいてやられていないのではないだろうか、こういうことを私ども疑わざるを得ないのです。現に先日も社会党の委員から、これは労働運動に拡大解釈をして適用されるおそれがあると言われたときに、法務大臣の御発言の中に、そうではない、これは暴力団のチンピラに適用する、これは勢い余って、あるいは法務大臣が行き過ぎた言われ方をしたのかもしれませんが、どうもそこに衣の下によろいが出ておるような気がするのでございますが、この問題についてどうでしょうか、刑の量刑が軽過ぎるということは、裁判所か、検察庁か、警察か、どこに責任があるのか。
○賀屋国務大臣 私は法律にあると思います。現行法にあると思います。裁判所の裁判に対しましても、各自批評は自由でありまして、いろいろ批評はできると思います。検察陣の求刑に対しましても同様でございます。しかし、裁判所が法に従って決定いたしましたものは、これはわれわれは尊重いたします。批判はいろいろございましょう。しかし、いまの法定刑の量刑、これは規定が軽いのですから、軽い中でできましたものは、われわれは違法とも何とも言えないと思います。客観的に悪質の犯罪に対しては、もっと科刑を上げるという国会での御意志がきまりましたら、裁判所もそれによってやれる。しかし、現在はいろいろ批判はございましょうが、現在法律は十年以下からゼロまで認めるとすれば、三カ月、二カ月、あるいは罰金刑なら罰金刑につきましても、それは不当とは言えないのであります。また、運用にもいろいろ批判はございましょう。それで法律の量刑の範囲を適正にすれば、その範囲で裁判官はいたします。私は現行法律が軽きに過ぎる。そこにむしろ欠陥と申しますか、適切でない面がある、かように申してよろしいと思います。
○志賀(義)委員 しかし先ほど申しましたように、第二十三回刑事法部会では、法務省当局は、検察庁としては、裁判所が適正な量刑をするための資料を立証しなければならないのであるから、科刑が低いといわれることは捜査の不十分に対するきびしい批判を含めていると理解している、こうまで言っておられる。法務大臣によると、法律が悪いのだ、こう言われるけれども、法務省当局のほうはこういう申せばきびしい批判というものを認めておられるのですが、どうですか。
○賀屋国務大臣 法務省が何と言おうと、私が言うのは、政府の意見であります。そういう意見もありましょうが、政府の意見は、私の言うとおりであります。
○志賀(義)委員 法務大臣がお立ちになると、AはAであるというお答えしか出てこないのですから、しばらくお控えください。
○竹内(壽)政府委員 大臣から非常に高い立場からお答えをいただきましたので、私は低いほうの立場からお答えを申し上げますが、そこでお述べになりましたように、私自身そう考えております。個々の裁判というものは、ケース・バイ・ケースで、いろいろな事情がございますが、一つの量刑をもって不当だとかいいとかいうことは言えないわけでございまして、一般論として申し上げるわけでございますが、手続としましては、裁判所は、犯罪事実を認定する資料はもちろんのこと、情状の資料、これも当事者の提供いたします資料に基づいて裁判所が判断するわけでございますので、私どもが運用の面で刑の引き上げの努力をいたしましたいきさつをそのときも申し述べまして、これに限度があるということを申したわけでございましたが、そのときに、やはり情状を立証するのは検察官でございますので、その検察官が十分な情状を立証できないために科刑が軽いという裁判結果になっている点につきましては、検察官としても反省していかなければならぬし、その点は、やはり世論が軽い軽いと言うときには、裁判所を非難しているのではなくて、捜査官である検察官に対してもきびしい批判があるのだということを申したわけで、私、いまもそういうふうに考えております。
○志賀(義)委員 政府提出の資料で見ますと、それぞれの犯罪について、それだけをとって見れば、必ずしも量刑が軽いとは私ども思えないのです。統計の上で量刑が下のほうに集中しているのは、どこに原因があるのか、これが一つ問題です。なぜかと申しますと、主としてこれは暴力団に向けているのだ。それで大臣のおことばによれば、今度の改正案の第一条ノ二以下は暴力団だ、こういうふうに言われる。ところが、法務省からお出になった文書によりますと、暴力団というものは定義がむずかしい。しかしそれは現に存在しているということです。そうしてその暴力犯罪のあらわれたものに対してやるというのなら、いつでも暴力団の上のほうは安泰だ。下っぱだけがやられる。法務大臣のことばによると、暴力団のチンピラだけを相手にしてやるから軽くならざるを得ない。なぜもっと上のほうに適用できないか。犯罪の実情に即した量刑は現行法でも運用できないものか、この点について最高裁判所の代表の方に伺いたいと思います。念のために質問に先立って申しておきますが、刑事法部会では、裁判所側の出席者は反対が多かった、これをあらかじめ申し上げておきますから、適切な御返答を願いたい。
○関根最高裁判所長官代理者 具体的な刑事事件につきましては、被告人の犯罪が認められましても、御承知のように被告人をめぐる環境を全部調べなければならぬ。でありますから、具体的に一つの暴力行為が出ましても、個個の事件ごとに科刑の問題になりますといろいろ違ってまいります。でありますから、抽象的に私はここでどういうわけで下限に近いのかということはわからない。むしろ志賀先生のほうが御承知かと思いますが、私の立場からではわからないのであります。
○志賀(義)委員 私は答弁する側ではないのです。質問をする側です。取り違えてはいけませんよ。裁判所側では、法廷でまさかわざと軽い量刑をするわけではございますまいね。その点を伺います。
○関根最高裁判所長官代理者 おっしゃるとおりてございます。
○志賀(義)委員 そうしますと、検察庁側どうです。量刑が軽きに失するから下限を上げるということになったのか、いままでのは軽過ぎますか。
○竹内(壽)政府委員 統計を見ますと、法定刑の下限のほうに判決結果が、これは統計でございますからなにでございますが、集中しておることはこの統計の示すところでございます。こういった統計の結果と、暴力団に対する科刑が軽いではないかという世論といいますか、要望とを比較してみますと、統計の結果から見ると、まさしくそういう要望のよってもってくるところが統計上うかがえるということは、私もそう考えるのでございます。それにはどうしたらいいかということは、先般来御説明申し上げております。運用の面で可能なことは、できるだけ運用でやってみたいということで実はやってみたわけです。しかしながら、それにはおのずから限度があるということで、検察庁からのその後やってみた結果の報告もしばしば聞いておりますが、むずかしいということがわかりまして、それでは、先ほど大臣がお述べになりましたように高いところから見て、やっぱり法定刑を引き上げるということが問題解決に役立つじゃないか、こういうことになったわけでございます。その責任がだれか、どうかということは別といたしまして、一つの現実のある姿から法定刑を引き上げるのが相当だというふうになってきたわけでございまして、私もそれはそうだというふうに思っております。
○志賀(義)委員 そうしますと、先ほどから繰り返して申しますが、科刑が低いといわれることは捜査の不十分に対するきびしい批判も含まれていると理解しているということと、あなたのいまの御答弁とは食い違うように思うのですが、どうですか。その点は捜査不十分ということを認めておられるようですが、ここではどうです。
○竹内(壽)政府委員 これは食い違っておるのではございませんで、たとえば暴行行為があったといたします。それが傷害に至らない程度の乱暴ということになりますと、これは見方によりましては非常に縫いものから非常に喰いものまであると思うのでございます。それじゃ暴力団の構成員のような人が暴行をやったとなりますと、社会的な一つの事実として見ますと、これは相当重く考えてもいいと思うのでございます。もしわれわれがその被告人の周囲、めぐっておる、所属しておる団体とか、そういったような者の地位とか、あるいは乱暴をやったという前歴とか、私どもで証明できるものは、かなり証明できると思いますけれども、そういうような点が結局同じ軽い、一見軽い暴行に対しましても相当重い刑を盛るかどうかということの焦点になるわけで、そういう立証の責任はすべて検察官側のほうにございますので、軽くなったということにつきましては、検察官側で十分そういう点の立証ができなかったのじゃないだろうかという意味において検察官側のきびしい批判というふうに私は理解しておるわけでございます。そういう点も、ただいまではいろいろ立証の方法にくふうをしてやってきておるわけでございます。やってきておりましても、なおかつやはりこれには限界があるということを先ほど来申し上げておるわけでございます。
○志賀(義)委員 実情はこうではないでしょうか。いままで多年暴力団に対する検察庁のとってきた捜査あるいは起訴、求刑、こういうようなものがずっと低いなにができておる、それはあなたも認めておる。捜査の不十分ということがございましょう。そういう慣習が検察庁にでき上がっているので、もうこの際法改正で一挙に基準を上げよう、こういうことになるのじゃございませんか。
○竹内(壽)政府委員 量刑の基準というようなものは、裁判例とにらみ合わせましてこれは自然にできてくるのでございますが、それを絶えず時代の要請に合うように基準を変えて、そして量刑の適正を期する、これが検察官の任務でもございます。したがって、一挙に変えるために法定刑を上げるとかいうようなことは、もちろん考えるべきではございませんが、絶えず量刑につきましては、実情に合うように検討して、それぞれ引き上げてきておるわけであります。法改正がございますれば、その法改正の趣旨に従っての新しい立場での求刑ということもまたできるわけで、この改正がそういう面から役立っていくだろうということは、この間から繰り返し御説明申し上げておるとおりでございます。
○志賀(義)委員 先ほど井伊委員の質問に対して御答弁があったのですが、量刑を引き上げることは、本人に対してだけでなく、予防的役割りがある。こういうふうに申されましたが、暴力団犯罪の実情、その犯罪の動機などから見て、こういう措置で一体どれほどの効果が認められるか。私はある政党の有力な党員の方から、志賀君、根本は暴力団と政党のボスとの結びつきがあるんだ、こういう適切な示唆を受けたのでありますが、これまででも財界から金が出ているとか、あるいは私が法務委員会で発表いたしました島根県警文書を見ても、やはり警察と暴力団との関係がある。こういうようなことで、実は保護育成されておるような状態、そこをつかないではたして効果が上がるか。その根本のところについては、法務大臣はどのようにお考えでございましょう。
○賀屋国務大臣 先ほどチンピラばかりやるのだというようなお話でございましたが、これはどうも少し違うと思う。私はそういう御答弁を申し上げていないと思う。(志賀(義)委員「速記録を調べてください」と呼ぶ)法を拡大解釈をし乱用するのはあれですが、答弁のほうも拡大解釈をせられたのでは少々ぐあいが悪いのです。チンピラばかりではありません。もちろんチンピラだろうが、大ものだろうがやるのだ。私はそういう頭でおるのでございまして、初めからそういう考えでチンピラばかりやるわけではない。それは親分がおりましても、何にも証拠があがらなければやりようがない。共犯ということが明確になれば、大ものであろうと何であろうとやるわけです。決してチンピラばかりやるわけではありません。答弁の拡大解釈はやめていただきたい。(志賀(義)委員「速記録を調べてみなさい」と呼ぶ)もしそうなら私は訂正しますが、私はそういう考えもないし、言った覚えもありません。チンピラとは言ったが、私がチンピラばかりをやって、大ものをやらぬということは、決してそういう考えではございません。いまのお尋ねは、たびたび申し上げたとおりであります。犯罪行為を罰することによって、漸次暴力団も解消するのだ。非行もいなくなるでありましょうし、また銃砲刀剣類を用いて殺傷するようなことがなくなれば、暴力団の威力もなくなるわけでございます。
 それから政界との結びつき、これはお話がありますが、それじゃ現実どういうものがあるかということは、どうもなかなかわれわれはつかめませんが、これは政治家として姿勢を正していくということに万全を尽くします。その間いやしくもおかしなことがありましたら、決して法の発動に何らちゅうちょいたさないということだけははっきり申し上げておきます。
○志賀(義)委員 政党のボスとの関係はつかめませんとおっしゃるが、つかむおつもりはございますか、どうですか。
○賀屋国務大臣 大いにあります。
○志賀(義)委員 しかと伺っておきます。
 次に銃砲刀剣類傷害の未遂、これについて質問いたします。一条ノ二の二項に傷害未遂罪という犯罪規定がありますが、これは刑事局長、既存刑法体系の中にありますか。
○竹内(壽)政府委員 たてまえとしましては、すべての犯罪は故意犯をたてまえとしております。未遂を罰する場合、過失を罰する場合は、各本条にその旨の規定がある場合に罰せられるわけでございます。
 そういうふうに以てまいりますると、障害についても、本来は故意犯である。傷害の意思を持って障害行為をした場合。ところが現行刑法は、二百八条の暴行罪の規定を見ますると、暴行をして傷害の結果が発生しなかった場合に暴行罪になるように書いてございます。その結果として、傷害罪というのは、傷害の故意のない場合でも、結果的に、暴行の意思で結果が傷害を発生したという場合をも含む、これが通説の認めるところでございまして、現行法のもとでは、二百八条の規定の解釈としまして、傷害の意思がなく、暴行の意思でやっても傷害の結果が発生した場合と、傷害の意思で傷害の結果の発生した場合と両方が含まれておる。こういうふうに理解されておるのでございます。
○志賀(義)委員 あなたはいま故意犯だから未遂罪を設けた、こういうふうに言われますが、今度の一条ノ二は、銃砲刀剣類を用いて傷害の未遂ということになっておりますが、この故意犯の故意という場合、これは銃砲刀剣類を用いるという特殊な方法にかかるものですか。傷害もしくはその未遂罪そのものが故意犯ということになるのですか。どちらでございましょう。今度の改正安の趣旨。
  〔委員長退席、三田村委員長代理
  着席〕
○竹内(壽)政府委員 銃砲刀剣類についての認識がないものは、もちろん本条の故意があったとは言えないわけでございますので、もちろんでございますが、たてまえとしましては、これは特別な形態の傷害でございますから、特別な形態の傷害を犯す意思ということになるわけでございます。
○志賀(義)委員 そうすると、銃砲刀剣類を用いるという特殊な方法、これを用いた場合の故意犯とおっしゃるわけでございますね。そうすると、これは新たにできたものでございますが、傷害もしくはその未遂罪、このほうを確定してかかりませんと、どうして故意犯ということになるのでございますか。
○竹内(壽)政府委員 銃砲刀剣類というような非常に危険な武器に類するものですね、こういうものを用いては、この前申し上げましたように、本来の用法に従って使うことでございます。したがって、ピストルの場合には射撃するわけです。刀の場合には突くとか切るとかいうことでございますが、そういうやり方で人に傷害を与えるのは、実は暴行の意思であったということはとうてい理解できないのでございまして、そういう重罪を犯すのは、傷害の意思を持ってやる場合だけにこれは解釈上当然なるというふうに私どもは解しておるわけでございます。
○志賀(義)委員 傷害未遂というものを新たに設けられるのか、そうしてその上で銃砲刀剣類を用いた傷害未遂罪、こういう二段にお考えになっているのですか。現行法では傷害未遂罪というものはありますか。
○竹内(壽)政府委員 刑法のもとにおきましては、傷害未遂は暴行になるわけでございます。それから今回の改正の銃砲刀剣類を用いる傷害の未遂は、もしこの傷害未遂の規定を置きませんと、刑法の泰行の規定か、あるいは一条一項の凶器を示してというのに当たる場合にはそれの罪に当たるだけでございます。そこで、それでは故意犯という立場をとります限り、既遂と未遂との間に非常な刑のアンバランスが起こるわけでございまして、不当でありますから、未遂罪も、刑法の総則の規定によりますと、未遂減軽はできますが、評価としましては既遂と同じ評価をするわけであります。そういう意味で未遂罪の規定を設けたわけであります。これは傷害に新たに未遂を設け、そしてこの罪についても二段がまえで傷害の未遂を設けるという趣旨ではございませんで、この一条ノ二の一項の罪につきまして、二項でその未遂を罰する、こういうことにいたしておるわけであります。
○志賀(義)委員 そうなりますと、現行法でいけば、すべて一条一項の凶器を示している暴行罪ということと、傷害の未遂ということと一緒になるわけでございますね。傷害に至らざる暴行というのでございますから。もう少し質問しますが、そうしますと、銃砲刀剣類による傷害の未遂罪が新たにできたので、現行法の一条一項の凶器を示して行なう暴行罪のうち、そのうち銃砲刀剣類によるものだけが一条ノ二に移されたと解釈してよろしゅうございますか。
○竹内(壽)政府委員 そうではございませんで、移されたというのではなくて、新たにこういう傷害罪の現行法の二百四条の特別法として、傷害の手段に着目をいたしまして、そういう銃砲刀剣類を用いての傷害を一条ノ二として新たに設けたわけで、現行法の一条一項の凶器を示しての暴行を移してきて、傷害の形に固めたというのではございません。かりにいまもお話がありましたように、未遂の場合、うしろのほうからでは示したことになりませんので、暴行か、もし未遂の規定を置きませんと、その場合には暴行罪になるだけになってしまうわけであります。そこで、未遂を設けることによって、暴行でもなければ、凶器を示しての泰行でもなく、この一条ノ二の一項の罪の未遂として罰することができる、こういうことになるわけでございます。
○志賀(義)委員 私も簡潔に質問しておりますから、御答弁もなるべく簡潔にしていただかないと、ここらあたりから時間だ時間だと言いだしますから……。
 そうなりますと、実態的には同じ態様の犯罪行為が、銃砲刀剣類と銃砲刀剣類以外の、凶器の違いによって違った量刑を科せられるということになります。そうしますと、同じような態様の犯罪行為でありながら、これは現在の法律の体系、法概念を極端に混乱させられて、実施上いろいろと不都合が起こってくるのではございませんか。その点はいかがでありますか。
○竹内(壽)政府委員 簡単にお答えいたしますが、さような不都合は起こらないと思います。
○志賀(義)委員 じゃ伺います。先日の法務委員会で、局長は、銃砲刀剣類と銃砲刀剣等という場合は違う、 等というのはその他になって拡大されるが、知というのはたぐいだと言われました。これはどういう意味だかはっきりわかりませんが、違うのだということを言われました。しかし、松井誠委員に対する御答弁を聞いてみると、一転、二転、三転したようでございまして、どうも銃砲刀剣類として必ずしもその範囲が確立していないように御答弁か受け取れましたが、その点は確立しているのでございますか。
○竹内(壽)政府委員 確立いたしておると考えております。
○志賀(義)委員 では、銃砲刀剣類等所持取締法というのがございますね。この中に銃砲または刀剣類、それに等という字がくっついておりますね。銃砲刀剣類所持取締法ではなくて、銃砲刀剣類等所持取締法とこの法律はなっております。この場合の類は刀剣類ということで、先般来いろいろ御説明がありますが、等というのは何をさすのでございましょうか。
○竹内(壽)政府委員 等というのは、あいくちは三条で銃砲刀剣類の中に入っておりますが、あいくち類似の刃物のようなものは、この刀剣類の中に入りませんので、それ以外のものを含めて取り締まりの対象にいたしておりますので、この法律では刀剣類のほかに等という字を入れまして、そういうものが規制の対象になっておるということを法律の本文で示しておる、こういうふうに解釈しております。
○志賀(義)委員 あなたのおっしゃるのは、第二十二条の規定でございますね。これには六センチ以上の刃渡りのもの、こういうふうになっております。そうしますと、暴力法の銃砲刀剣類では、この等は含まれないという意味に解釈すべきものですか。つまり二十二条にいう等という刃物は含まれない、こういうふうにおっしゃるのでございますね。
○竹内(壽)政府委員 そのとおりでございます。
○志賀(義)委員 法務省、法制審議会と、また今度の御答弁でも、たとえば十五センチ及び十五センチ以上ははっきりと入る。それから十四・五センチが入るかどうかということになると、将来判例で入れるということにもなるだろうという場合も予想されるというような御答弁もございましたが、この等ということばがあります。私がこれを聞きますのは、銃砲刀剣類という規定を今度新たに入れて、それを用いた場合に特に重くしていく。傷害罪、それから傷害未遂罪までもここに入れた。そうなりますと、第一条第一項には「兇器ヲ示シ」ということばがございます。その銃砲刀剣類等の等は、その凶器にお入れになるのですね。銃砲刀剣類等の等、刃渡り六センチ以上のものを用いたものは、これは明らかに凶器、こういうことになりますね。
○竹内(壽)政府委員 銃砲刀剣類等所持取締法の刀剣類等と、それから本法の一条の凶器というのは、一致するものもございますけれども、凶器は凶器としてすでに確立した概念があります。したがいまして、そういう場合に入る場合もありましょうし、抜ける場合もあろうかと思います。これは全然別の法律でございますので、等の解釈につきましては、直ちにその等をもって凶器の中に入るというふうに、はっきり申し上げることは困難であろうかと思います。
○志賀(義)委員 私は、凶器と銃砲刀剣類等の等とが同じじゃないかと質問しているのじゃないのですよ。凶器という場合には、いま参議院議員をやっておる木村篤太郎君は、サンフランシスコ条約のときに、マッチ一本でも共産党が持っていれば凶器になるという有名な人物がいるのです。だから、この凶器というのは非常に大きく広げられる。もっと範囲が広いものにも事実上なっておる。凶器という規定はありますが、その中に銃砲刀剣類等の等は含まれる、第一条第一項になるのか。あなたの言われたように、十五センチ以下でも入るということになると、類だけでなく、等のほうまでも入ってくる。どちらになりますかということを伺っておるのです。法の運用で非常に重要な問題になってくるから伺うのです。
○竹内(壽)政府委員 ちょっと御質問の意味がわかりませんですが……。
○志賀(義)委員 銃砲刀剣類等の等は、所持取締法の第二十二条にはっきり規定してあって、さらに第二十四条の二には「これを提示し」「提出させて一時保管する」ということまで精細な規定があります。それほど重大視されているわけです。刃渡り六センチ以上のものは凶器の中に入るのか、そうすると第一条第一項になるのか。あなたの言われるように、十五センチにちょっと足りなくてもということになってくると、銃砲刀剣類等の等が類に昇格してくる。そういう危険はないのかと伺っておるのです。
○竹内(壽)政府委員 そのお答えは私にはちょっとむずかしくてできにくいのでございますが、要するに一条一項の凶器と申しますのは、先ほど申しましたように、これは判例でも、通説と申しますか、学説でももうすでに確立した概念でございまして、私もたびたび御説明申し上げておるように、凶器には性質上の凶器と用法上の凶器があるといわれております。そういうものに、二十二条の類のものが性質上の凶器になりますか、用法上の凶器になりますかによって、なる場合もあると思いますし、ならない場合もあると思いますが、要するに凶器というのは、用法上の凶器、性質上の凶器、こういうふうに私どもは理解しております。
○志賀(義)委員 性質上の凶器、つまり銃砲刀剣類のように明らかに人を殺傷することが歴然としたもの、これは確かに性質上の凶器です。あなたのおっしゃったのは用法上の凶器ということですね。これは非常に広い概念になります。私がこれを問題にするのは、一条一項の凶器を示してする暴行、それから銃砲刀剣類による暴行は一条ノ二にはっきり規定されました。そうなりますと、今度の案では、一条一項と一条ノ二とでは量刑の差異が出てきますね。特に銃砲刀剣類を持っておるものを重くする。そうなりますと、銃砲刀剣類だけを別にしたために、凶器というものが非常に広い概念でありますから、用法上の凶器ということになっております。実際の法運用の局面で、法務大臣が言われるように、一条一項は労働団体でも暴行暴力をふるったような場合には適用するんだ、一条ノ二以下は適用の心配はないんだ、こういうふうに言われますけれども、一条ノ二を新たに設けたために、一条一項の凶器ということが非常に広く運用される、そういうおそれがあるということを私どもは言っておるのであります。社会党の委員も結局そういうことをおそれておられるのです。私はそのことを一条ノ二との関係で申し上げるのでありますが、この点については法務省はいかがお考えでございましょうか。
○竹内(壽)政府委員 その点は全く影響を受けない。一条一項は従来の判例、学説のとおりに、今後の解釈にも何ら今回の改正で影響されるところはない、かように私は確信しております。
○志賀(義)委員 それでは最後に実例をもって質問いたします。
 政府は、正当な労働組合の範囲を逸脱した暴力行為には当然適用するということは、本会議でも法務大臣が言われた。最初暴力行為等処罰法をつくるときには、江木司法大臣は、絶対に適用しないと言ったのが、今度の本会議でも、またここでの御答弁でも、いまのようにはっきり明言されるようになってきた。それが戦後の最高裁の判例でも、時間がたつに従ってその点がはっきりしてきたことは、昨日の内藤参考人の陳述でも明らかでありますが、たとえば日本赤十字の労働組合で、大きな声を出したのが鼓膜に響いたから、これでもって暴行だ、こういう例があります。国鉄の広島の労働組合では、ビラ張りが器物毀棄になっております。全農林の猪苗代分会では、団交を拒否して、署長が窓から逃げようとして、そこで人がみな見ているのです。あら、署長が窓から逃げる、こういう声が起こったので、団交に当たった労働組合のほうで、みっともないからよしなさいということで、おりるときに窓ぎわのうちに積んであったまきからころげ落ちてけがをした。その上ですわりなさいと言った。これが暴力行為等処罰法で傷害でひっかかっているのであります。しかも、その現場にいない組合の幹部までが、その共犯として通用を受けているのであります。あなたはたとえばスケジュール闘争で、これは常習ということにはならないと言ったが、現にいまの適用の例から見ましても、拡大されるおそれは十分あるわけであります。ことに最近のタクシー会社、ここでの闘争は、暴力団と警察と会社とがぐるになっているような例がたくさんあるのであります。たとえば司自動車労働組合では、新たに社長になった樽沢という人が、警察と暴力団と会社とはもう相談しているのだ、やれるならやってみよというのが就任のあいさつであります。警察はこういうことを御存じでしょう、いかがですか。
○後藤説明員 ただいまのお話は警視庁の管内にありました事件でございまして、私ども十分に承知をしております。ただし、社長が就任のあいさつで、ただいま先生のおっしゃったようなあいさつをしたということは聞いておりません。
○志賀(義)委員 事実の写真で質問いたします。
 三月二十九日のことであります。司自動車労働組合の支援の労働組合、これがその構外で決起集会を開いたとき、千住署の公安警察がやっておりました。
  〔写真を示す〕
このへいの上に出ておるのが防共青年隊という暴力団であります。ここに傘をいま持ち上げようとしているのが公安警備の署員ですね。これがこのように傘を上げたときに、どっと出てきてやっている。明らかに公安警察の人が合い図をして、中から出てきて、防共青年隊が暴行を働いておる。そしてさらにどういうことが行なわれたかというと、そのときに、その防共百年隊と、そこに待ちかまえておった公安警察が取っ組み合いを始めて、警察の連中が、組合員がやられているから助けてやれ、こう言っているのです。ところが組合の人は、ああ、あれは違う、こう言っている。つまり公安警察の一人と暴力団とがやり出した。私服の公安警察の人を、組合員がやられているから、こう言った。しかし、結局労働組合員が挑発にひっかからないために、その公安警察官がそこのぬかるみに暴力団のために倒された。私のところにはずぶぬれになって起き上がった写真まであります。こういうのを見ますというと、近ごろのタクシー会社の争議は、暴力団と警察と会社とが全く一緒になっているという事例が非常に多いのであります。こんなことをやられていては、これはもう事実上、中小企業の争議は正当な労働行為であっても、こういう挑発、ぐるになった行為でみんなつぶされることになるが、警察はそういうことを御存じですか。この写真を見てください。
○三田村委員長代理 志賀君、席に戻ってください。
○後藤説明員 いま先生お示しの厚真は、ただいま初めて拝見したわけですけれども、この写真で傘を広げようとしているのか、つぼめようとしているのかわかりませんが、これがはたして公安の警察官であるかどうか、私は確認をいたしておりません。私ども警視庁を通じて報告を受けておりますところでは、いま先生おっしゃいますような右翼と申しますか、暴力団と申しますか、そういう関係らしき者が介在しておるというような話は聞いております。これに対しましては、所轄は千住の警察署でありますけれども、署長初め関係の警察官に、十分にそういうような者の介入を防止するようにということはわれわれ強く申し入れております。ただ、私どもの承知しておりますところでは、このタクシー会社で社長がかわってから、ほかのほうから運転手を雇い入れておるわけであります。その雇い入れておる運転手が、いろいろと問題を起こしておるような状況でありますので、先生おっしゃいますように、外部から支援にやってきた右翼と申しますか暴力団、そういうものが乱暴しておる。そういうような状況は、何と申しますか、よそから応援と申しますか、支援と申しますか、状況を見に来るような状況はあったようでございますけれども、これらが直接手を下したというような案件ではないようでございます。社長がかわりましてから新しく雇い入れた者と、もとの者との間の紛争が主たるものであるというふうに承知しておるわけであります。
○志賀(義)委員 現に公安警察の人が暴力団のために打ち合わせたことで、組合員の側が挑発されなかったために、ぬかるみにひっくり返っている。その写真までもわれわれ持っておるのです。そういうことについてはていさいが悪いから、上司のほうには報告はないかもしれないが、こういう実例があるのであります。また、国家公務員の場合には、実刑を受ければ、公務員法第三十八条の欠格条項によってやめさせられる。今度この改悪法案がどんどん適用されるということになると、労働組合の基本権利までも奪われるようなことになる。それで私どもはこの法案に反対しておるのであります。
 昨日、いま委員長席におられる三田村さんは、参考人に対して、もう時代が変わったんだ、憲法から何からみんな変わってきたんだ、こういうふうに言われました。変わってきたればこそ、こういう戦前の遺物のような法律をこの際改悪するよりも、これをすっぱりやめて、現行の刑法体系で厳重に処分するのが当然であります。これを申し上げますのは、ことに最近の朝日ジャーナルに、野党の委員あるいは社会党や共産党、総評などは、戦前の労働運動あるいは社会運動の感覚をもってやっている、それでこういうズレが起こるのだというのです。ズレはこの法律自体にあるのです。私は現に戦争中十八年間監獄にぶち込まれました。私が出て、かわり合って賀屋法務大臣も十年ほどお入りになったことがございました。それで法務大臣自身も、こういう戦前の野蛮な法律の遺物、こういうものがあっては、幾らあなたが与党のあるいはある政党のボスなんかでも、暴力団に関係がある者はびしびしやると言われても、なかなかできがたいことです。むしろ、こんな戦前の法律の遺物はこの際一掃したがよろしい。これをいじって改悪するよりもやめたほうがよろしい。こういうように私は考えるのでございますが、監獄というところは人にいろいろなことを教えるところでございます。あなたが御経験になった結果、こういう戦前の遺物、これは何だかあなたが執念を持ってこれを通そうとするかのように言われる向きもありますが、そういう点はいかがでしょう。最後にその点を伺っておきたいと思います。
○賀屋国務大臣 今回の提案は全く日本の別状には必要でございます。戦的の遺物でも何でもございません。現代に必要な法律でございます。その通過とその実行によって暴力をひとつ絶滅するために大いに力を尽くしたいと思います。
○志賀(義)委員 それなら、今後ともこれは猛烈に反対しなければなりません。これだけ申し上げて私の質問は終わります。
○三田村委員長代理 午前の議事はこの程度にとどめます。
 本会議終了後再開することとし、暫時休憩します。
   午後一時二十一分休憩
     ――――◇―――――
   午後四時九分開議
○濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案及び本案に対する竹谷源太郎君提出の修正案について質疑を続行します。横山利秋君。
○横山委員 かねがね本委員会に重要法案でありますこの法案について総理の出席をお願いをいたしておりましたが、いま私どもは、この法案に対する私どもの質疑を通じつつ、かつはまた私どもの意見を申し述べて総理の所見をただしたいと思うのであります。その意味でまずお断わりをいたしておきますが、国民は最近激増いたしております暴力団に対しまして、その根絶を強く要求をいたし、私どももまたこれを支持しているわけでございます。ただしかし、この際明らかにしておきたいのは、国民が求めておりますものは、集団的にまたは常習的に暴力的不法行為を行なうところのいわゆる暴力団であります。昭和三十四年には四千百九十二団体、八万二千人、昭和三十八年一月にっては、政府資料を見ましても、五千百三十一団体、驚くなかれ十七万二千人という暴力団体がこの日本に存在をしておるのであります。われわれが政府に迫ってやまないゆえんのものは、どうしてこう暴力団がふえるのか、その暴力団のふえるのを防遏する根本的な対策を政府はどうしてとらないのであるかという点でありましたが、この点について政府の答弁は十分われわれを納得させておりません。われわれがこの原因と数えるものに三つあります。
 一つは日本に封建主義がまだ残存をしておるということであります。それは一つの例を申し上げますと、いわゆるばく徒という人たちであります。千十五団体、三万二千五百九十七人というのが政府資料で出ています。このばく徒の諸君というものが暴力の根源であるとわれわれは考える。第二番目の原因は、失礼な話でありますけれども、保守政党及び政治家の中で、右翼ないしは暴力団に関係を直接ないし間接にしておられる人がある。これは三十四年のあの安保のとき以来、一貫して事実をもってわれわれが証明してきたところでありますが、これが第二番目の原因である。第三番目の原因は、池田さんには耳が痛いかもしれませんけれども、経済政策というものが貧困と格差を増大さしておる。また根本的には資本主義というものがそういう温床にやはりどうしてもなると私どもは考える。
 これらの三つの要因が暴力団をかくも急激に――倍増どころではありません、かくも急激に増大をさせておると思うのでありますが、総理大臣は、暴力団がかくもふえておる根本的な要因についてどう認識をしていらっしゃるか、まず承りたいのであります。
○池田国務大臣 暴力団の根絶につきましては、国民ひとしく熱望しておるところでございます。いろいろ原因はございましょう。あるいは経済的格差の問題、あるいは教育の問題、あるいは旧来からの封建制度の問題、いろいろありましょうが、われわれは少なくともこういう暴力団の根絶のために、政府といたしましては昭和二十六年でございますか、こういう組織的暴力団の徹底的な取り締まりを閣議決定いたしまして、治安に当たる警察並びに法務関係をはじめといたしまして、あるいは文教、厚生、いろいろな点から根絶をはかるべくいろいろ努力しておるのであります。私が人づくりということを提唱しておるのも、こういう世相を改めて、りっぱな住みよい社会をつくろうという考え方から出ておるのであります。
○横山委員 総理がそうおっしゃっているにかかわりませず、あなたが総理大臣になられてからこの暴力団というものが急激にふえておるという事実をあなたはどうお考えでありましょうか。私はいま三つの要因をあげたのでありますが、その第一についてもう一つ突っ込んで所信をただしたいと思います。
 第一の要因である日本において千十五団体、三万二千人のばく徒というものが存在をして、それぞれ形の上では正業をしておりますけれども、実際問題としては、昔から、まさに徳川時代から続けておりますばく徒の一家というものが、現に何々組、何々組として存在をしておるのであります。これが封建的な残滓であり、暴力団の温床であることをあなたはお認めになりますか。
○池田国務大臣 昔からばく徒というものがあり、これが暴力団にある程度のつながりを持っておるということも聞いております。しかし、ばく徒であればすぐ暴力団というわけでもございません。また暴力団でばく徒でない方もあるのであります。しかし、一つの温床であることはいなめないのであります。したがいまして、ばく徒に対しましては、法律の命ずるところによって、これについての取り締まりをすることは当然でございます。それが暴力団として暴力行為をやるときには、これまた別の意味からこれを取り締まらなければならぬと思います。
○横山委員 ばく徒は違法であるから法律によって取り締まらなければいかぬ、ばく徒が暴力をすればこれは暴力団としてまた徹底的に取り締まらなければいかぬ、その趣旨においては私は了承をいたします。
 そこでさらに突っ込んで聞きたいのでありますが、もう天下周知の事実でありますから池山さんもよく御存じのとおりでありますが、一党の副総裁が全国から集まったこれらの団体のところに出席をして、任侠道としてこれらの団体をほめたたえたということは、全日本のすべての人のひんしゅくを興っておるところであります。この点について総理としてどういうお考えでございますか。また総裁としてお考えを明確にこの際承っておきたいと思うのであります。国民はすべてこの問題について解しかねる気持ちを持っております。私は、その人が政治家として長らく尽くされた功績を決して忘れるものではありません。しかしながら、非近代的な精神、封建的な要素、そして暴力の温床であるとあなたもお認めになるそれらのところに行って、これらの団体の組織をたたえ、そして任侠道として私はそれが好きだというものの考え方には、国民があげてこれに対して批判をいたしておるところでありますが、総裁の、また総理の率直な御意見を伺いたいのであります。
○池田国務大臣 私は、寡聞にしてばく徒の集まりに副総裁が出られてどうこう言われたという事実を知っておりませんので、これに対しての批判は差し控えます。
○横山委員 これは池田さん、少しひきょうではございませんか。私は、せっかくおいで願ったのでありますから、国民のこれらの疑惑、批判にこたえて率直な見解を披瀝をなさるのが当然だと思います。総裁として、また総理として、それはおれの知らぬことだ、見たことも聞いたこともないということはいかがなものかと思いますが、あらためて率直な見解を求めます。
○池田国務大臣 私は、そういう事実を、報告を受けたこともございませんし、知らないのであります。そしてまた、もちろんその場に立ち会ったことはないのであります。どういう相手で、どういうことを言われたかということは、やはり事実を知らなければ私は申し上げられないと思います。
○横山委員 それは納得できません。いまのあなたのお答えは、あるいはラジオ、テレビ、新聞を通じて国民の耳、目に入るでありましょう。その国民がどういう感じであなたの回答を受け取るか、あなたも胸に手を当ててよくお考えを願わなければなりません。私どもは、このばく徒の人たちというもの、その団体というものが違法であり、かつはまた暴力団の温床であることを強く指摘しておる。あなたもそれを認めておる。それにもかかわらず、言を左右にしてそのことにお触れになられようとしない、そういうあなたの気持ちに国民は疑惑を感じますよ。私は、先ほども申しましたように、その人が政治に尽くされた功績を忘れるものではない。けれども、こればかりは好ましいことではない。いかぬならいかぬとあなたも明確になさる必要があるので、国民にかわってあなたに求めておるわけです。
○池田国務大臣 私はそういう事実を知りません。したがいまして、これに対して批判をすることは、私としても力以外の、立場以外のことでございます。お話のとおりにばく徒、暴力団に対して仁侠の団体であるということをいつ、だれが、どういう場所で言ったのか知らないのでございますから、これを批判しろということは少し無理ではございますまいか。
○横山委員 法務大臣ないしは公安調査庁その他のところで、この問題について実相を知っておる方がありましたら御報告を願いたい。――政府側、答弁なしですか。それでは法務大臣にお伺いいたします。あなたは御存じありませんか。
○賀屋国務大臣 存じません。
○横山委員 公安調査庁に伺います。
○齋藤(三)政府委員 公安調査庁の右翼というものは政治的目的を持った団体でございまして、御指摘のような町のいわゆる暴力団というものは調査いたしておりませんので、責任を持って申し上げかねます。
○横山委員 警察庁の意見はどうですか。
○日原政府委員 刑事局として、別にそういう報告を受けておりません。
○横山委員 総理に重ねて、お答えにならなければ、私はお答えにならないということを国民がどう感ずるかということを最後にお伺いをいたしますが、もしもあなたが御存じないとしたならば、その意味でお答え願ってもいいのです。その人は神戸におきますばく徒の全国の会合に出席をして、そして仁侠道の精神をたたえ、祝辞を述べたのであります。それが事実としたならば――私は事実であるということは確証を握っておるのでありますが、あなたの立場で、事実としたらどうお考えになりますか。
○池田国務大臣 これは見たことのない、そしてあなたの一方的のお話でございますので、総理とし、総裁として批判はいたしかねます。
○横山委員 これはもう天下周知の事実であります。一斉に各社がそれを掲載をして、そして全国民が知っておって、全国民が批判をしておることであります。それについて政府部内は何ら承知をしていないとか、総理大臣は知らないとか、そういう態度の中にこそ暴力団に対する政府の心がまえというものを私どもは追及をせざるを得ないのであります。この点こそ、国民がこの法案に関連をして、政府に暴力団を徹底的に追及する意思があるのかないのか、実はそのねらいというものは別なところにあるのではないのか、こう言って国民が批判をいたしておるところであります。けれども、総理をはじめ政府の人がすべてこの問題について知らない。そして総裁たり、総理たるあなたは、この点について答えないということの中に私は国民諸君に批判を求めたいと思います。
 次にお伺いをいたしますが、右翼団体の中には、すでに御存じのように河上、淺沼、岸、野坂、河野等々、政府要人に対して直接行動をする右翼が現に存在をいたしておるわけであります。その右翼団体に自由民主党の中で名前を連ねている方々がたくさんございます。この点について総理はどういうふうにお考えでありますか。
○池田国務大臣 右翼団体と申しましてもいろいろあるのでございまして、私は、右翼団体なるがゆえに絶対に政治家は相手にしてはいけないというわけのものでもございますまい。左翼団体であるからそれにつながっていかぬということと同じであります。われわれは、暴力行為を集団的にやり、常習的にやり、銃砲刀剣類をもって暴力行為を行なうというような事態を特に取り締まる必要があるとして御審議を願っておるわけであります。右翼団体と話をしたとかなんとかいうことで、すぐそれをどうこうというわけのものではないと思います。ちょうど左翼団体と同じことであると思っております。
○横山委員 ところが、そうではないのであります。現に岸総理大臣をけがさせた荒牧何がしという者と名前を連ねた自由民主党の人々が十人ばかりおるわけであります。現にそういう暴力行為を直接行為としてやっておる人間と名前を連ねて牢人の会というものを組織をし、そうして場合によっては出席をしておる保守政治家がおるということであります。あなたは総裁としてこの点についてどうお考えでありますか。
○池田国務大臣 団体の一員が非行をしたからといって、その団体が全部が悪いという断定はできますまい。だから、その団体がどういう団体であるか、あるいは破防法の適用を受ける団体であるか、あるいは特に取り締まらなければならない団体であるかどうかを研究した上でないと、総裁としても町とも言えないのでございます。われわれは原則として、社会から指弾を受けるような団体にはなるべく加入しないのが適当ではないかと思います。しかし、その団体の性質によって、団体の一人が非行をしたからといって、その団体全部が悪いという定義もできないのではありますまいか。
○横山委員 しかし、あなたの御答弁は、淺沼さんが殺されたときの直後における国会の答弁からはだいぶ後退をしておるようであります。あのときのあなたの答弁を引用すれば、この種の団体、それは包括的な意味でおっしゃっておるわけですが、政治家がいささかなりとも関係することは好ましくないというふうにきっぱり言われておるのであります。いまあなたのおっしゃる話によれば、たとえば私は牢人の会を例にとっておるわけですが、それらについてその一員がやったことで、他の一員である保守政治家がそれについて責任を感じない。総理として、総裁として、あなたがそれに対してしかたがないじゃないか、他の関係のない一員だからというような言い方というものは、政治を清潔にし、今日日本に存在する直接行動する右翼やあるいは暴力団に対して政治家から絶縁をするという気持ちがずいぶん後退したものだと思いますけれども、いかがでございますか。
○池田国務大臣 淺沼さんを刺殺したあの団体は、これはわれわれもよく知っておる団体でございます。それといまのお話の抽象的の団体とは、私は、私の知っておるその団体に対する知識の差がございますから、答え方も違ってくると思うのであります。淺沼さんのときのあの団体は、これはもう定評のある団体でございますから、あのときにそう答えたのであります。
○横山委員 最近右翼団体はおととしの暮れですか、関東会なるものを組織をいたしまして、そうして自由民主党に申し入れをいたしております。右翼団体の最近の動きにつきましては、あとで公安調査庁からお伺いをするのでありますが、一般的にいって四十三年を昭和維新のときと考えておる共通的な目標があるようであります。同時に、今日当面といたしましては、近く迫ってまいります自由民主党総裁の三選、あなたの三選問題を中心にして動き出そうとする動きが見えるわけであります。先般の河野さんの家の焼き討ち事件も、あるいはそのほか河野さんに対するいろんな襲撃計画等につきましても、その意図がほのかに見えるようであります。私はむしろ率直にあなたにすすめたいのでありますが、他党であります自由民主党の総裁三選について私どもがとやこう言おうと思うわけではありません。しかし、この三選を機会にいたしまして右翼が蠢動しておるということは、あなたも何かの情報としてお気づきではなかろうか。もしもそれがうわさであれ、事実であれ、この総裁三選というものが近く迫っており、各方面の注目を呼んでおるときであれば、よけいに本暴力法に関連をして、右翼並びに暴力団に対しまして、政党としてきっぱりした態度をとられることが必要ではないかと、私はむしろおすすめをいたします。あなたの、三十五年当時の国会における右翼ないし暴力団に対するものの考え方と、今日あいまいにされております態度というものは、後退しているような気がしてならぬのであります。一般論ではありますけれども、あらためて右翼並びに暴力団に対します総理の御見解を表明していただきたいと思います。
○池田国務大臣 右翼といい、また暴力団といっても、これはやはりある程度、ことばが違うほど違っておる団体が数多くあると思います。
 そこで御質問の当初の昭和四十三年維新百年、あるいは四十五年の安保十年ということを目安に、ある程度動いておるといううわさは耳にしたことがございますが、現実にどういう動きをしているかということは知りません。動いているといううわさで、動き方については知りません。しかし、いずれにしても、そういう四十三年、四十五年を待つまでもなく、いわゆる暴力団の根絶は、先ほど申し上げましたように、特に閣議決定をし、そしてまた最近におきまして警察庁の活動なんかは、相当厳重に、しかも注意深くやっておると確信いたしておるのであります。決して三十五年のときより私が後退したということはない。前向きに、それ以上に取り締まりを厳重にやっておるということは、これは警察からお聞きくださいましてもおわかりいただけると思います。年とともに、政府の暴力団に対する態度は強くなってきておるということを申し上げておきます。
○横山委員 具体的に提案して総理の御返事を求めたいと思います。私は、政党として右翼及び暴力団に絶縁をする旨明確にしてもらいたい。それはすでに御存じかと思いますが、かつて安保のとき以来われわれが主張してまいりましたことは、政治資金規正法によってきわめて明瞭なことでありますが、たとえば護国団とか、治安確立同志会なり、あるいは天皇中心会なり、それらに自由民主党はお金を出しておられる。いまは解散をしたかもしれませんけれども、あなたの団体でありました宏池会もまた、大日本菊水会、頭山塾、護国団広島本部、大日本国民党、総合文化協会等の右翼ないしは暴力団に金を出しておられる。これは政治資金規正法の中から引用したものでありますから、私の憶測では断じてありませんよ。そういう点につきまして、あなたは総裁として、右翼及び暴力団に対して絶対に資金供給をしないと、この際約束をしていただきたいのであります。
○池田国務大臣 自民党のほうでどういうふうにやっておるか、私は幹事長にその旨は言っております。暴力団に金を出すべきでない。それからいま宏池会のお話がございましたが、これは解散いたしておりますが、私は宏池会のほうにもそういうことはすべきでないと言っております。私はそんなにたくさん出していること自体も知りません。知りませんが、届け出があるとすればどういう程度のお金でございましょう。もしなんだったら――これは解散したことでありますから、死んだ子の年を尋ねるようでありますが……。
○横山委員 問題は、金額の多寡の問題ではないと私は思うのであります。なぜならば、あとで財界の問題にも関連をいたしますが、財界は軒並みなんであります。軒並みにいくときに、自由民主党からも宏池会からももらっておりますということがうたい文句になっている模様なんです。ですから、金額が百万だからいかぬとか、あるいは一万だからいいとか、そういう問題ではないのであります。したがって、いまあなたが、おれとしては出すなと言ってある。こうおっしゃるけれども、それが自由民主党の会計責任者なり末端までほんとうに徹底しておるかどうかということを疑うのであります。もう一つは、政治資金規正法による届け出というものは、これは氷山の一角であります。これが常識であります。ですから、その裏から流れておる金というものは、失礼な話でありますが、東京都の知事選挙を考えましても、衆議院選挙の状況から考えましても、容易に国民が承知をしておることなのであります。だから私は、いまあなたが、おれとしてはということでなくして、以後、自由民主党としてはその種の団体に対しては絶対に金を出さないと明確に言ってほしいのであります。
○池田国務大臣 団体の性質その他によっていろいろ考えなければなりません。私は、党としてこういう暴力団体に出すということはよくございません。これはとめさします。しこうして、私自身のことを言って恐縮でございますが、組閣以来はっきりそういう方針を打ち立てまして、私自身はもちろん、党のほうにおきましても、そういういわゆる暴力団体につきまして、特にそれを助成するような資金供与ということは厳に慎むように言ってありまして、今後もその方針でいきたいと思います。
○横山委員 それではここで明確におっしゃったことについて、その実績を今後われわれとしては注視したいと思います。
 その次は財界であります。財界が右翼や暴力団に金を出していることは、これまた周知の事実であります。これは日本の右翼という本でありますが、驚いたことには、日立から東芝から八幡から国策パルプから富士製鉄から、日本のほとんどの大企業が残らずといっていいほど金を出しています。これはいろいろな場合があると思う。ほんとうに右翼に対して金をみついでやる場合と、もう一つは、一般的な企業として迷惑だから、めんどうだから、うるさいから出してやるという場合があると思います。ところが、右翼や暴力団にとりましては、その第二の理由もまた非常に歓迎している。うるさいことを言えば金を出してくれる、こういう立場によって右翼の資金源というものは絶対に断たれることがないのであります。したがいまして、私は第二の問題として総理に注文をいたしたいのでありますが、政府、与党はもちろんでありますが、財界におきましても、この種の、あなたの趣旨が徹底するような措置を講じてもらいたいと思いますが、御意見はいかがでございますか。
○池田国務大臣 先ほど来申し上げておりますごとく、右翼といったらこれは金を出してはいかぬ、こう限るべきものでない。社会通念によりまして、これが暴力団で社会に害悪を流すために使われる金だというようなことなら、これは厳に慎まなければなりません。だから、あなたも前提としておっしゃったように、いろいろな事情がございましょう。しかし、私がここで申し上げることは、社会に害毒を流す暴力団に対して、この行為を援助するような資金供与は、財界においても厳に慎むべきだと思います。
○横山委員 第一の私の言うた理由はそれでいいのです。けれども、第二の理由であるめんどうだから、うるさいから、あとがこわいからという気持ちが日本の政界、財界あるいは企業界、国民の中から払拭をされなければ暴力の根絶にはならぬ。その国民の心理、国民の雰囲気というものを、政府みずから国民に励まして、そういう気持ちにならないように、結果的に暴力団及び右翼をまた育成するような雰囲気にならせないように、国民の運動をしむけなければだめだと私は言っておる。その点はいかがですか。
○池田国務大臣 それは財界においておきめになることでございます。私は総理として、社会に害毒を流す暴力行為を助成するような資金供与は厳に慎むべきだ、こう申し上げておるのであります。自分はこういう気待ちでやったとか、各財界の心理状態まで立ち入ってとやこう言うことは私は行き過ぎじゃないかと思います。いままでの答えで私は十分じゃないかと思います。
○横山委員 くどく申しますけれども、暴力の根絶のためには、先ほどあなたがおあげになりました、二十六年というのは三十六年の閣議決定の誤りだと思いますが、閣議決定の内容を拝見をしましても、国民心理、国民が暴力団や右翼に対する抵抗の心理といいますか、こういう国民の気持ちというものがきわめて重大なものだと書いてある。それについて、あなたはそれは財界や国民のことだ、おれはおれのことだけだ。こういうことでは、これは私はきわめて不十分なものだと思います。私の言う意味がおわかりになりませんか。どうですか。
○池田国務大臣 社会に害毒を流す暴力団の、その悪い行為を助成するような資金援助は厳に慎むべきだ、これで私はいいと思います。
○横山委員 それでは三十六年の閣議決定について若干伺います。三十六年二月二十一日、もう数年前でありますが、暴力犯罪防止対策要綱なるものが政府部内で閣議決定をいたしました。ここに書いてあります点につきましては、私どもの必ずしも賛成ができない――たとえば今回の暴力法の形式のようなものについては賛成ができないのでありますけれども、他の自余の部分につきましては、われわれとしても、暴力団の根絶という意味においては賛成し得るところが多々あるわけであります。一体この対策要綱の実現はどうなっておるかということであります。端的に、結論的に申しますと、先ほど引用いたしましたようだ、この決定をいたしました三十六年には七万二千人の暴力団であった。ところが三十八年には十七万二千人になっておる。この閣議決定がされてから倍増どころではない、まさに三倍も近い数字に暴力団が伸びておる。それでは閣議決定によって暴力団の検挙人員はどのくらい伸びておるか。三十四年は五万五千、三十五年は五万六千、三十六年は五万八千、三十七年は五万二千、三十八年は数字は出ておりませんが、先般来の政府側の答弁でいきますれば同じような水準であります。私は問題は、もう結果として端的に議論をいたしたいのでありますが、暴力団がかくも伸びておるのに、実際の検挙人員は年々歳々五万人、しかも政府側の答弁によれば、新しい人員が五万じゃない、一ぺん引っぱられたやつをまた釈放して、またひっぱっているから、ラップする人間がだいぶある、こういうのであります。実績があがっていないではないかという点であります。これは一体この暴力犯罪、暴力対策要綱なるものが政府がほんとうに暴力団を退治する熱意と努力をされたかどうかということを、私は結果として逆に詰問をいたしたいのであります。一体この暴力対策要綱を行政として推進する責任者はどなたでございますか。
○池田国務大臣 責任者は私でございます。そうして暴力団のばっこ等は目にあまるものがございますので、閣議決定をいたしたのでございます。直接の取り締まりは、これは警察庁、法務省でございます。私は、警察庁におきましては、最近におきましては右翼に対しての取り締まり、いわゆる夜の町とか、いろいろなものについての、いわゆる暴力団のばっこするような場所のパトロールその他を相当やっておると思います。そうしてまた、これにもありますごとく、文部省関係、厚生省関係その他あらゆる手を尽くしてやっておりますが、どうしてもそういう具体的なことよりも、根本的にりっぱな人づくり、教育の問題、ことに学校教育、家庭教育、社会教育の場を通じて、りっぱな人づくりをしなければならぬという私の提唱も、この暴力団の絶滅を期するための一つの叫びでございます。私は、具体的に警察庁がどういうようにやったかということは、警察庁の関係者からお答えさしてもよろしゅうございますが、努力はいたしております。その根本は人づくりだ、こういうことでございます。しかもまた、暴力団の暴力行為が反復して行なわれる場合が多いということを考えまして、今回の法の改正も一つの一助になろう、こういうので御審議を願っておるのであります。
○横山委員 そこで、総理に考えてほしいことが一つあります。いまもお話をいたしましたように、毎年五万人くらい検挙しておる人は、新しい人ではない。何回も何回もという前科の人たちばかりであるということであります。今回法律をもって刑罰を強化するという法律案であります。刑罰を強化してやりたいという気持ちは、国民の心理としてはうなずけないことはないのであります。あんな悪いことをするやつだから何とかしてやりたいという純粋な国民の心理としてはわからないことではない。ところが、法律の効果というものは、国民を満足させるためにあるわけではない。暴力団をこらしめる、暴力団を根絶するために法律の効果というものを及ぼさなければならぬのであります。ところがこの種の十七万人の暴力団というものは、あなたも御想像がつくと思うのでありますけれども、暴力をやった者が英雄視されておる。暴力をやっても、私がかわりに自首をするという身がわりの自首がある。監獄から出てくれば英雄みたいなかっこうでみなが出迎える。数人がやったやつでも、おれが罪をかぶるといって単独犯を主張する。つまり暴力をやった人間はそれで肩書きがふえたといっていばる人々であります。きわめて庶民的な言い方で、私はこの刑法についてはしろうとでございますから庶民的な言い方をいたしますが、罰を受けることを誇りにしておる人々に、何がしかの刑罰を強化したところで何の暴力団対策ぞやと私は言いたいのであります。国民の心理としてはわからない点はないけれども、しかし、法律を制定することは国民の心理を満足させるためではない。暴力団を排除することに法律の効果が及ばなければならないのに、それでは何らの効果をもたらさないと考えられる。この点について総理としての御見解を伺います。
○池田国務大臣 今回の法律改正によりまして、私は暴力団の数を非常に減らし、社会の不安を相当除けると考える。かかるがゆえに国民もこういう法案を期待しておるのであります。事実問題から申しましても、刑罰を強くすることによりまして心理的に犯行の防止になることは刑事政策上当然のことであります。私はこういう現状におきまして、一日も早く国民の希望する、そうしてまた実際上におきましても暴力の起こる機会を少なくするこの法律は、私は早く日の目を見るべきであると考えておるのであります。
○横山委員 私の言うことにすなおにかみ合って御答弁をなさらないのであります。暴力団というものは、刑罰が多少ふえたところで、それによっておそれ入って、もうおれはこれで暴力をやらないという手合いの人間ではないと私は言っておる。ところがあとでお答えになったことは、むしろこの法律を強化することではなくして、ほかの方法で暴力団を退治をすることを説明しておるにすぎない。私の言う刑罰を強化したところで暴力団自身がおそれ入るという手合いの人間ではないということを、あなたはお認めになりますか。
○池田国務大臣 あなたのおっしゃるように、どんなに刑罰を重くしても、暴力団というものは何べんでもやるんだというお考えは私は賛成できません。であるから、世の中にはいろいろな人がございましょう。しかし少なくとも常習犯を罪を重くし、また銃砲刀剣類で傷害を与えるような人に重く罪をし、そうして保釈の関係なんかもこれを安易な方法にせずにやっていくことは、暴力団の根絶を期する上におきまして一歩前進であるということを私は確信しております。
○横山委員 そうではありません。私は最後に申し上げたいのでありますが、ほんとうに暴力団を退治しよう、暴力犯罪を防止しようとするならば、この閣議決定の中にも多くのなすべきことがあるはずだ。この閣議決定の実行責任者は総理であるとあなたはおっしゃっておる。私は、形式上はそうであるけれども、実質上どこでこの総合対策を日ごと夜ごと腐心をして推進しておる責任者があるかという意味で聞いたんです。それがどうも、この間の法務大臣に対する質問及び答弁をもっていたしましても、この閣議決定について日ごと夜ごと推進する総合的な事務責任者といいますか、それがないらしいのであります。ですから、閣議できめたことはきめたけれども、あとは、この問題は何省だ、この問題は何省だというて、そのままゆだねられておって、そのために暴力が自由なままに伸び、そのために検挙人員はちっとも伸びないというかっこうになっているではないか、こう言っておるのであります。私は、総理がおっしゃったような、逆に私の質問をとらえて、それならもっと罪を重くしたほうがいいかとか、あるいはどうだとおっしゃるような意味で質問をしているわけではないのであります。やろうとするならば、現行法の全き運用、行政の充実発揮、そしてこの対策要綱を総合的に推進する人を、セクションをきめてやるならば、現状のままで効果が上がるはずだ。この閣議決定の中の行政機構による実行については、なされていないと私は主張しているのです。それを何にもやらないで、刑罰を強化するだけで、何かしらムードをつくって政府の責任を免れようとしておるようなきらいがなしとしないと私は主張しているのです。いかがですか。
○池田国務大臣 それはあなたの曲解でございまして、閣議決定後における警察関係の、取り締まりは相当厳重にいっております。そしてまた学校教育におきましても、道徳教育の普及をはかっております。また、厚生省関係でも父母の会等をやっております。そうして今後の問題といたしまして、青少年の指導訓育のために青少年局を今度総理府に設けまして、善導並びに非行防止についての行政組織も三十九年度から行なわれるようにしておりまして、閣議決定の趣旨を実現するように着々努力しておるのであります。
○横山委員 私どもがこの法案に反対をいたします理由は二つあるのであります。
 一つは、政府がなすべきことをなさないで、そして刑罰強化によって暴力団が退治されるようなムードをつくって責任を免かれようとしておる。しかも刑罰強化だけでは参る手合いの問題ではない。問題は本末転倒しておるということが主張の第一であります。
 第二番目のわれわれの理由は、これが大衆運動に対して逆作用をもたらすということであります。この点につきましては、本委員会において、われわれの同僚委員からきわめて強く指摘せられ、政府側の答弁と水かけ論に終わっておるわけでありますが、私は、理論的なことを言うよりも、戦前の歴史、戦後の歴史からいって、現在年々歳歳この法律、現行法によって労働運動に対する圧迫が行なわれておるということについて、総理の注意を喚起したいのであります。
 政府側は繰り返し、労働運動に対しては影響ないと言っておりますものの、返すことばで、しかしそれによって起こった暴力事犯については追及するのが何が悪いかとか、それから法務大臣に至っては、組合役員なり活動家の中で常習の疑いある者については平素調査をしておくのが何が悪いか、こう言わんばかりであります。それをむしろ逆から裏返していくならば、もしも隠れたる意図があって、平素組合役員なり活動家を常につけねらって注意をし、調査をし、あすこで何かあった、ここで何かあったとかいう、人間日常茶飯事の問題をとらえてこれを常習とし、そうしてそれが暴力的な要素を持つ人間、性格だと言い、何か起こったらとたんに本法を適用するという意図があるならば、われわれが心配いたしますように、大衆運動に対するこれが弾圧として随時活用がされるとわれわれは主張しておるのであります。この点について総理大臣の率直な御意見を伺いたいのであります。
○池田国務大臣 暴力行為を取り締まる上におきましては、従来の法律を厳正にやっていくのみならず、根本であるいわゆる教育、人づくりの面にどんどん力を入れていくことは、先ほどお答えしたとおりでございます。しかし、現に暴力行為が起こって、それが反復せられ、またその暴力が銃砲刀剣類のようなものでやられる場合におきましては、危険が普通のものよりも大きいのでございますから、これを別に法律を設けて取り締まることは当然であると思います。何も新憲法下におきまして、基本的人権でありまする大衆運動、労働運動について、これをこの法律によって妨害しよう、弾圧しようというような、そんな気持ちは毛頭ございません。労働運動なんか、過正なものは当然のことであります。ただ私は、えてして――めった起こりませんが、それが非常に本法に抵触する、いわゆる労働運動、大衆運動の域を越えて、これが銃砲刀剣類を持ってやられるというふうなことは、いままではあまりございません。あったとすればやらなければいかぬ。私は、そういう考えでございまして、大衆運動、労働運動とこの問題がこんがらがるということは、これはいかがなものかと思うのであります。そういうことは毛頭われわれは考えていない。ただ、本法に規矩しておるのは、銃砲刀剣類によって傷害をするときは、これは予防的に罪を重くしなければならない。そうしてまた、それが常習的のものであれば、これは労働運動と別の角度から、私は防止することは当然の事柄であると思います。(「みんな無罪になった」と呼ぶ者あり)
○横山委員 この機会に総理に伺っておきたいのでありますが、私は、いまもこちらから話がありましたように、この種の問題で労働組合の役員ないし組合員が法に問われ、そうして無罪になった例は非常にたくさんあるのであります。また昨年、裁判史上歴史的な事件でありました松川事件につきましても、組合役員であったこと、ないしは政党員であったこと等について、もうすでに検察陣、警察陣は一つの色めがねをもってものの判断をいたしておる点が歴然たるものがあるのであります。それで、この機会にお伺いをいたしたいと思うのでありますが、松川事件について先般本委員会は、法務大臣及び刑事局長に二つのことを強くただしました。
 一つは、八月十五、六日をもって松川事件は時効にかかるのであります。その真犯人は杳としてわからなくて、そうして政府部内におきましては、この松川事件の真犯人を捜査する熱意を失っているやに考えられる節が多々ございます。一体その点について総理として、国民がすべて疑惑を持っております松川事件の真犯人について、これを徹底的に捜査をする必要があると考えるのか、私の質問の第一であります。
 第二番目は、高裁判決及び最高裁判決をもって見ましても、検察陣及び警察側におきまして、自白の強要とか証拠の隠滅とか、それらが強く判決内容においても指摘せられておるのであります。したがいまして、私どもは、これらはっきりと判決内容の中に指摘されておる問題について、警察側及び検察側としては責任をとるべきだと主張し、それについて責任をとることを了とせられ、そうしてただいま調査中と言っておられるのであります。これらの調査が一体いつ終わるのやら、ことばだけで、結局あいまいに終わるおそれがあることを私どもは心配をいたしておるわけであります。問題からちょっとはずれて恐縮ではございますけれども、この機会に組合役員、政党員に対して検察並びに警察側が色めがねをもっておる。それが暴力法にも関連をいたしますがゆえに、この際松川事件に対する総理の見解を伺いたい。
○池田国務大臣 松川事件に対しましての御質問の第一点は、この事件が全部無罪になった。そうしたら真犯人はどこにあるかというそれに対しての捜査をやるべきじゃないか、こういうことです。私は、検察当局として真犯人の捜査は、時効のいかんにかかわらず常に考うべきことであろうと思います。ただ事の成否が、十数年もたっておりますのでなかなか困難でございましょうけれども、たてまえとしては、時効の完成いかんにかかわらず十分の調査をすべきもの、だと思います。
 次にまた、松川事件に対しましての検察陣の自白強制その他いろいろな問題を言われましたが、このことにつきましては、検察当局におきましてもこういう事件を十分反省し、いかなる非違があったかどうか調査して、やはり結論を出すべきだと思います。
○横山委員 この点につきまして法務大臣、総理がああいうことをおっしゃったのですが、その後の経過を簡単に聞かしてください。
○賀屋国務大臣 真犯人の捜査につきましては、総理大臣より答弁がありましたとおりでございまして、検察当局の責任といたしましては、裁判の判決が無罪になって、検事の控訴に至らなかったという点から、直ちに責任があるとは断定するわけにまいりませんが、いろいろ指摘されましたような点につきまして、最高検察庁におきまして責任者を定めて事態を調査いたしまして、責任をとるべきものがありましたら十分責任をとらせる、正確に厳密に調査いたしておるところでございます。
○横山委員 法務大臣、それはいつごろ終わりますか。
○賀屋国務大臣 ただいまのところ、いつごろとは申しかねます。
○横山委員 結局、私どもはおそれるのでありますが、いまの総理なりあるいは法務大臣がおっしゃった、真犯人をつかまえたい、責任はとる、けれども調査中だということばがそのままうやむやになってしまって、そしてこの問題がどこかへいってしまうということを衷心私どもはおそれています。私どもばかりでなく、国民がすべてそれを疑惑の的としておるわけでありますから、また適当な機会にこの問題について十分法務大臣の所信をただしたいと思いますが、総理におかれては、いま言われたことが政府部内におきまして徹底するような措置をとっていただきたいことを念のために申し上げておきたいと思います。
 それから次の問題としては、最近におきまして右翼や暴力団が政治結社を名のり、あらゆる選挙に介入をしてきておるという事実であります。一番適当な例は千葉県の選挙、東京都知事の選挙であります。これは今後さらに増大するおそれがある。しかも、右翼なり暴力団だけの問題でなくて、検察陣の捜査あるいは裁判の進行によって明らかでありますように、自由民主党と何がしかの関係があるということでございます。結果はまだわかりませんから、断定したことを私は言うわけではありませんけれども、その経過において、直接か間接かわからないけれども、与党に関係のあることはもはや歴然たる事実であります。先般政府側から提出されました資料によりますと、暴力団の幹部クラスの中には地方議会の議員等がある。そして地方議会の議員の地位を占めておる暴力団の幹部も、現職中に殺人、傷害等の罪を犯し処罰を受けた事例がある。こういうことを政府側の資料で指摘をしています。のみならず、最近の暴力に関する新聞の論説ないしは記事を見ますと、暴力団が暴力団だけで存在をするということはなかなかむずかしいから、適当な政治結社をつくり、いかにも政治的団体のような立場をとり、そして政治家及び政党と接触をしておったほうが有利であり、ためになる。こういうような立場で、何でもとにかく政治結社を名のるというような状況がきわめて顕著であるといわれています。私どもはこういう意味において、先ほど総理が言われた、まあ右翼でも暴力団でも事と次第によるとおっしゃったことに非常に危険を感ずるわけであります。向こうがそういうような態度をしておりますときに、総理のようなああいう言い方をしておりましたのでは、つけ入られるすきを与えるようなものだと思います。この際ひとつ総裁としても、もしもかかる暴力団に直接間接関係のあるような者を公認したり、あるいはそういうようなものが勃発をいたしましたときにおいては、除名をする等、政府は清潔な処断をなすべきであると思いますが、それはいかがでございます。
○池田国務大臣 新憲法下におきまして、個人が、あるいはまた数人が政治結社をつくることをとめるというわけにはまいりません。そのこと自体が法に触れる場合は別でございます。これはよくないだろうからというのでこれをとめるというわけには、横山さん、いかぬのじゃございますまいか。そこがむずかしい問題で、やはり基本的人権というものを認めなければいかぬ。ただ非違があったとき、その非違はあくまで厳正に批判し、それに対しての措置をとらなければならないのであります。暴力団とかあるいは右翼だとかいうので、すぐそれらの結合を弾圧するとかやめさすというわけにはまいりません。やはり、具体的非違の事実があってはじめて法の適用があることと私は考えます。
○横山委員 少し話が逆戻りいたしますが、先ほどの神戸においてばく徒の会合に出席されたということについての総理の御答弁があいまいでありましたものですから、同僚各委員からも、ああいうあいまいのままにしておいてはいかぬからということで、資料をあわせて、これは当時の新聞でありますが、もう少し総理の答弁を明確にしろという要望がございましたので、あらためて具体的に事実をあげて申し上げておきたい。
 三十八年七月二十八日、大野副総裁が出席したのは神戸のやくざ団体本多会の二代目会長襲名披露祝賀会である。神戸の元自民党代議士中井一夫氏の懇請もだしがたく出席をし、このような席に出るのがほんとうの大衆政治家だと言い、仁侠道を礼賛した。これは読売の夕刊をはじめ各紙が全部一斉に書いておる事実であります。各紙が一斉に書いたことを、よもやおれは知らぬ、そんなことはうそだとはおっしゃるまいと思いますから、あらためて簡潔ではございますけれども、あなたの所見を伺っておきます。
○池田国務大臣 本多会なるものの性質を存じませんので、私は答えるわけにはいきません。
○横山委員 あなたが知らなくても、このような事実を各社が一斉に掲げたことなんだから、これはあなた、まさかうそだとおっしゃるわけではないと思うのです。あなたはすべて何でも見ているわけでもない、あとから聞くのがほんとうでしょう。聞いた事実がこうだというのに、あなたはそれに対して答弁をあくまで避けられるおつもりでありますか。
○池田国務大臣 本多会なるものがばく徒であり、暴力団であり、しかもそれが非違を犯しておるという、その非違に対しての批判をされたかどうか、それはわかりませんので、私は、本多会というものに出席した、それでもうこれは出席したことが政治家としてよくないという断定にはならないと思います。
○横山委員 ものの考え方がかくも変わるかと私は思うのでありますが、だからこそ私は最初に、暴力、右翼の温床となるものが三つあると言い、その意味においてはあなたもその三つを了承をされたはずであります。日本において封建的な残滓として残っておるばく徒、そして任侠の徒、そういうものが好ましい存在ではないということは冒頭あなたもお認めになったはずではありませんか。それらが直接暴力と結びついているとは必ずしも申しませんけれども、それらが暴力の温床になっておるということは天下周知の事実ではないか。ここへ近代的政党として自認をなさる大政党のしかも副総裁が出席をして、その団体をたたえ、そしてこれがほんとうの大衆政治家だと言うに及んでは、私は自由民主党の今日において失望をせざるを得ない。しかもよけいに池田総裁がその点について触れようとなさらないことは、副総裁に対する情意もさることながら、あなた自身もそれに対して何か疑惑を持たれるような気持ちすらすると言ったらあなたは何と言いますか。問題は私はそうじゃないと思うがゆえに、よけいにあなたにきっぱりとした態度をこの際出してほしい、こう言っておるわけであります。
○池田国務大臣 御批判はいかようにも言論の自由でございますが、私自身に関しましては先ほど来申し上げておるとおりでございます。しかも、ばく徒というものが暴力団につながりやすいということは、これはわれわれも認めます。しかし、本多会というものがばく徒で、しかも暴力団につながって非違をやるものだというあなたの断定には、私はにわかに賛成できないのであります。
○横山委員 逆に逆襲をされるような言いがかりをつけられるのでありますが、私も注意をしてものを言っているのですから、これが直接に暴力に結びついた団体だと言っているのではないのです。温床になりやすいということは政府の資料からもはっきりしておるわけなんです。そうでしょう。そういうところへお出かけになって、それをたたえるというものの考え方がいかがなものかと、こう言っている。政治を清潔にし、右翼や暴力から政治を守り、それと絶縁をするということが、また国民からそれらに対する抵抗心を呼び起こすことが最も基本的な問題ではないか。しゃくし定木なことを言わないで、そこから暴力の解決をするということに政治の基盤を置かなければならないではないかというのが私の立論であります。私の気持ちがわかっておるはずなのに、あえていろいろなことについて自分のと言いますか、与党ないしは政府の逃げ道をつくろうとなさるところに私は釈然とし得ないものがある。私の気持ちはおわかりで話をしていらっしゃるのでありますか。
○池田国務大臣 私はあなたの質問によりまして私の考え方をお答えしておるのであります。世の中にはいろいろな事例がございましょう。主として私は法律的に御返事申し上げております。したがいまして、この問題で本多会なるものがどういうものかということは私はつまびらかにしておりませんので、いままでのとおりのお答えをしておるわけでございます。
○横山委員 時間がなくなりましたので、こまかい点についてはあとで担当の方々からお伺いいたしますが、総理にちょっと具体的事例をあげてお伺いしたいのであります。
 閣議決定にも「犯罪の温床となる不良生活環境の改善をはかるほか、犯罪を誘発するおそれのある場所をなくするため必要な措置を講ずる。」とありますが、これらについての適切な手段は政府側としてほとんどとられていない。最近ようやく参議院で議決をされました深夜喫茶、あれとてもかご抜けであるから、社会党の修正案が出たけれども、政府のいれるところではなかった。こういう話を聞いております。総理にお伺いをいたしたいのは、こういう犯罪の温床となる不良生活環境、犯罪を誘発するおそれのある場所、それらについてもう少し勇断をふるうお気持ちはないか。たとえば積年の問題となっております競輪の廃止をはかる必要はないか、あるいは深夜の映画興行を東京では四十軒もやっておる。あるいはまたトルコぶろだとか、深夜のボーリングだとか、あるいはヌードスタジオだとか、政府が行政措置をもって犯罪の温床なり、あるいは法律的行為をもって犯罪の温床なりを退治しようとするならば、まだなすべきことが実に多い。それをやらないでおいて、この刑罰の強化だけが先行するからちっとも説得力がないとわれわれは言うのであります。こういうような閣議決定の犯罪の温床となるいろいろな問題、競輪にしても、ヌードスタジオにしても、トルコぶろにしても、深夜映画にしても、あるいは深夜のボーリングにしても、なすべきことが実に多いが、この点については総理の見解はいかがでございますか。
○池田国務大臣 先ほど来答えておるとおりでございまして、あの閣議決定以後、特に警察庁におきましては、そういう犯罪の行なわれやすい場所につきましての相当の取り締まりはやっております。これは具体的に関係当局から御返事させます。
○横山委員 時間がきたようでございますから、私は総理にもう一度私どもの主張を申し上げて、そして総理の見解を伺いたいと思います。
 先ほどからるる私が申しておりますように、この刑罰強化というものは、国民の一部感情的な気持ちは満足させるけれども、右翼団体なりあるいは暴力団には法律効果が乏しいぞ、これではだめだぞ、問題はもっと別なところにあるぞ、これが一つの私どもの理由であり、もう一つは、大衆運動に対して悪影響をもたらす、そしてあなたのほうは誤解だと言うけれども、事実今日までの歴史的経過からいってそういうことにはなっておらぬ。したがって、われわれは、この法律による暴力退治よりも、むしろ閣議決定を具体的に推進することのほうが先決だ、こう言っておるわけであります。
 その意味において、私どもは本朝の新聞で出しておりますけれども、十数項目の提案をいたしておるわけであります。
 第一は、政府与党の中で古典及び暴力団に対していささかでも関係があるという疑いのあるものに対しては絶縁をするというような峻拒する態度を国民の中に持ち込んで、そして国民にもその決意を持たしめることが必要である。
 第二番目には、財界をはじめあらゆる企業組織は、いかなる理由といえども資金供給をしないように誘導する、それによって当然一つの国民的雰囲気としてわき上がってくる。
 第三番目には、警察の中で、情報入手のために右翼あるいは暴力団に何か特殊関係を多少なりとも持つことがいろいろといわれておる。このような彼らを誤らせるような態度については絶対にしないようにすべきである。
 また、暴力排除について、政府各行政機構の一体化を行なって予算の活用をはかるべきだ。
 さらに、マスコミや不良青少年、売春、麻薬、精神異常、競輪、ボーリング等々なすべき幾多のことがあるけれども、これを先行するのが必要である。
 再犯防止のために鑑別川、少年院、保護司、保護委員会等の機能強化がもう法務委員会においては何回も言われておる。また、被害者の保護対策を強化し、被害通報を進んで行なわせるように措置すべきである。
 裁判官は、暴力事犯に対して、社会的要請にかんがみて、法の適切な運用をはかるべきではないかということは本委員会でいろいろと指摘をされたところである。
 暴力団に直接間接に接触する業界、事業場にあっては、従来の悪習慣を一てきして暴力排除に結集する態勢をつくることも必要である。
 暴力団対策の政府部内の委員会にはもっと民間人の参加を求めて民主的な運営を期し、かつ国民的な運動にすることが必要である。
 私は、これらの提案については政府としても異論のないところではないかと思う。ところが、それが現にあまり実行されずに、この法の刑罰強化だけが何かにしきの御旗のように行なわれており、そして検挙人員も年々ちっともふえぬではないか、なすべきことがなされていないではないかと私どもは主張するのであります。
 さらに、根本的な問題として三つを指摘いたしましたが、一番最後の経済政策の問題であります。これはここでそんなに時間をとることはできますまいから、あなたが認められたように、格差と貧困というものがこれらの温床になっておる、こういうふうに私どもは主張するにとどめます。
 要するに、重ねて申しますけれども、この法案の趣旨とするところは、これは効果をもたらさないではないか、現実にまだなすべきことがたくさんあるではないか、そして大衆運動に対して圧力を与え、弾圧を与えるようなやり方については、これは避くべきではないかと私どもは主張をしておるのでありますが、最後にこれらを包括して総理大臣の御意見を伺いたいのであります。
○池田国務大臣 暴力行為の根絶につきましては、あらゆる手を尽くさなければなりません。いまの刑罰強化では実効はあがらないとおっしゃいますが、私は必ずしも刑罰を応報刑主義でやろうとは思いません。教育も必要でございましょう。そしてあなたは裁判所の運用でいいじゃないかとおっしゃるけれども、やはり裁判所も法律の規定に準拠しなければなりません。したがいまして、その法律が十年以下ということだけでは、いまの実際におきましても、英雄気どりになる場合が多いし、また常習犯の場合もあります。いろいろな点がありますから、裁判官の法の適用が実社会に合うように法律を改正していくことがわれわれの任務ではないかと思います。いたずらに非常に広い範囲の法律よりも、実際に適合するように法律を改正することが、私はこの際ぜひ必要であると思うのであります。もちろん刑を強くしただけで事足りるとは思いません。やはりいろいろな犯罪の温床である場合と――それと同時にそういうことを起こさないように、あらゆる方面で教育とか人つくりについて十分な努力をしていかなければならぬことは、閣議決定にうたってあるとおりであります。
 第二の大衆運動に悪影響があるではないか、こういうお話でございます。これは事務当局からも言っておりましょうし、また関係大臣からも申しておりますとおり、この法律改正によりまして大衆運動を弾圧するということは毛頭考えていない。これはもう今度の改正案をごらんになってもおわかりになるように、また世論がそのとおりわれわれを支持しておることからいっても、われわれは大衆運動を弾圧しようという気持ちは毛頭ないのであります。
 なお、格差の是正、貧困の追放ということは、これは政治の目的でございますから、今後ともわれわれは十分努力していくことをここにあらためて申し上げてお答えといたします。
○横山委員 じゃ質問を留保して、与党の質問に譲ります。
○濱野委員長 鍛冶良作君。
○鍛冶委員 私も総理にいろいろとお聞きしたいと思って考えておりましたが、先ほど来の質問で大体触れておりまして、それからまた先日来の関係大臣及び政府委員の方々への質問で大体触れておりまするが、きょうせっかくおいでくださいまして、ことに暴力団の防止については全責任を持っておるというおことばもありましたから、大綱だけを二、三点伺って、お答えをいただきたいと思います。重複するかもしれませんが、大綱だけ伺います。
 まず、本法改正をしようという企てをなさいましたそのほんとうのねらい、真の目的はどこにあったか、その大綱をひとつお知らせを願いたいと思います。
○池田国務大臣 最近の世相を見ますと、暴力行為の犯罪がたびたび起こり、世間の人を不安におとしいれておるのであります。その暴力行為の態様を見ますると、やはりそれが銃砲刀剣類による傷害とか、あるいは常習犯の場合が多いから、これをまず重くして、そういう罪を犯さないように警告を与えるということが大事でございます。また、せっかく検挙いたしましても、権利保釈とかいろいろなものがございまして、その目的を十分達し得られないという状況を見まして、われわれは社会に警告を与え、こういうことのないように、起こらないように、また起こってもこれを少なくするように、二度と繰り返さない方法をとるために、本法案を提出した次第でございます。
○鍛冶委員 この法律は、刑法の特別法といってもさしつかえないと思うのです。そこで、刑法の改正については、目下法制審議会で審議中であるはずでございます。したがいまして、法制審議会で審議するときに、全体からながめて一緒にやってもいいのじゃなかろうかとも考えられますが、しかし、ぜひともこの際この特別法を早くつくらなければならない特別の事情があったのだろうと思いますが、その点を指摘をしていただきたい。
○池田国務大臣 刑法改正は、これは大法典でございまして、非常にたいへんな仕事でございます。私は、今後におきましても数年かかると想像しておるのでございますが、凶悪な暴力犯罪は、これは一日も待つことができない。暴力犯罪を防止することは緊急の必要性からきておるのであります。したがいまして、刑法の改正を待つまでもなく早急にやりたい。ことにわれわれは、この秋におきましてはオリンピックも開かれ、そして世界から一本においでになる人も多い。こういう場合において、日本においては暴力に対して万全の措置を講ずるということは、われわれとして政治的責任があると考えております。一日も早くこの法案の通過を期待しておる次第でございます。
○鍛冶委員 この法律を急いで出されまする理由は了承いたしましたが、先ほど来ずいぶん横山君からも何べんも聞いておられますが、この法律は大切でございましょう、なければならぬと思いまするが、この法律のみによってこのねらいを全部解決できるとは考えられません。これは横山君の言われたとおりだと思います。しかし、横山君が先ほどから言われましたように、横山君が指摘されるような理由によってのみこの犯罪が起こったものとも考えられない。また、三十六年の閣議決定も了承いたしておりまするが、その後の情勢から見ても、いろいろ政府においても考えられることがあるであろうと思いまするので、大綱だけでよろしゅうございまするが、かように暴力団がばっこする一番の原因がどこにあるとお思いになるか。それでここにあるとするならば、これをどうして除去し、せん滅させるというお考えがあるか。さらにまた、ことにわれわれの憂いといたしまするのは、青少年がこれに加盟するという事実であります。これはたいへんどうも将来を考えてみますと、おそるべき結果になると思いまするので、これらの者もどうしてかようなものに加盟するのであろうか、その、原因がわかれば、かような手段によってこれを絶滅しなければならぬというお考えがあろうか、こう思いますので、それらの大綱でよろしゅうございますが、お考えの真の目的をひとつお示しをしていただきたい。
○池田国務大臣 犯罪の原因がいろいろあると思います。やはり戦後における社会不安あるいは教育の根本の欠除等々、いろいろな点があると思うのであります。ことに経済事犯がわりに少ない、財産事犯が非常に少なくなって、暴力が多くなったということは、これはやはり経済的原因ということのウエートはわりあいに少なくて、心がまえの問題とも言えると思います。ことに青少年の凶悪犯罪が多くなったということは、やはり学校教育の問題だと思います。したがいまして、学校教育に道徳教育を入れ、また家庭、社会教育をわれわれが声を大にして叫んでおるのはこの意味でございまして、根本のいわゆる青少年の教育、道徳心の高揚、公徳心の発揚に向かって邁進すると同時に、もし一たん犯罪を起こしたならば、二度と起こさないような相当のいわゆる刑罰を科することが、私は犯罪防止に必要なゆえんだと考えるものであります。
○鍛冶委員 先ほど来横山委員の質問並びに先日来の質問を聞いておりますると、野党の諸君が一番やかましく言われるのは、大衆運動をこの法律によって弾圧した――私は、過去においてさような事実はあり得べからざること、またなかったと思いまするが、弾圧したと断定せられるのでありまして、これはいままでの経過から考えて、さような事実はございましょうか。これは総理からひとつ天下に声明していただきたいと思います。
○池田国務大臣 私は、法務当局から聞きましたところ、また自分の経験から申しまして、現行法が正当な大衆運動を弾圧した例はないと聞いております。自分もまたそう信じております。ただ、大衆運動に名をかりた常軌を逸した犯罪、暴力行為、これは取り締まるべきでございまして、軌を越えたいわゆる犯罪行為に対しましては、これは当然なことでございます。大衆運動の弾圧とは性質が違うと私考えております。
  〔発言する者あり〕
○濱野委員長 静粛に願います。
○鍛冶委員 どうもこの間からの質問を聞いておりますると、憲法に認められた労働運動に対して本法を適用した、これは弾圧だ、これが一番の主張の根本のようです。なるほど労働運動は憲法で認められたか知らぬが、労働運動の中に、いま総理がおっしゃったように、本法に当てはまるようなことがあれば、これはほうっておくわけにはいかない、それを犯罪だからといって摘発することと、大衆運動を弾圧することは根本的に相違があると思いますが、総理としていかがですか。
○池田国務大臣 そのとおりでございまして、合法的な大衆運動は国民の基本的人権でございますから、これに弾圧を加えることは憲法違反でございます。しかし、合法的な大衆運動を越えて犯罪を犯した場合におきましては、法治国としては当然法を適用することは、これは憲法の命ずるところであります。私はあなたの考えと同じであります。
○鍛冶委員 忙しい総理で、時間がないようですから私はこれで終わります。
○横山委員 先ほど閣議決定の、犯罪の温床となる不良生活環境の改善、犯罪を誘発するおそれのある場所をなくするための必要な措置、この点について触れておきましたが、公安委員長はじめ警察庁長官にいろいろな問題についてお伺いをいたしたいのであります。
 まず第一に、政府の資料を見ますると、ピストルの出回りというものがあまりにも多過ぎるという感じがいたします。三十五年には三百八十九、三十六年には三百七十一、三十七年には三百三十三、三十八年には二百八十六、若干減っておるようでありますけれども、この点についてその後の情勢を見ますと、本来暴力団ないしは右翼が持っているべき理由がないものが、いつまでたってもあとを断たないのは一体どういうわけであろうか。三十八年の広島の暴力団が検挙された状況を見ますと、日本製八、米国製九、英国製二、ドイツ製七、ベルギー製四、スペイン製四、その他八、まさに世界各国からピストルが常々と日本へ入ってきておるような気がいたします。何か情報によりますと、中古品は五万から十万出せばすぐに入手ができる、新品なら三十万円出せばいつでも入手できる。こういうように右翼なりあるいは暴力団の仲間ではいわれておりますが、一体この種ピストルというものがどうしてかくも出回っているのか、その原因は一体どこにあるか、伺いたいのであります。
○赤澤国務大臣 ピストルの出回りについては、私はまだ詳しい知識を持っておりません。当局が参っておりますので、かわって説明いたさせます。
○日原政府委員 ピストルにつきましては、一部暴力団が密造しておるものがございます。それから密輸入しておるものもございます。すべてピストルの入手経路については追及いたしておりますが、判然としないものもございまするけれども、一応私どもの把握しておる限度ではその二種類になると思います。
○横山委員 あなたはことさらにもう一つの理由を避けてお見えになるようでありますが、米軍の横流しが顕著であるという原因があるそうであります。米軍については麻薬の密輸の問題が出ております。十二月二十七日の朝日新聞によりますと、昨年じゅうのアヘン密輸の総量をこえるアヘンが米空車のチャーター機によって発見をされた。ところが、日米間の犯人引き渡し協定によりますと、凶悪犯じゃないからこちらから要求ができないという話がありましたが、これはさておくとして、米軍からのピストル、米空軍なり米軍を経由するアヘン、日本における暴力団、日本における右翼、それらの問題について米軍が関与を直接に間接的にいたしておる事件が少なからずあると思うのでありますが、それらにお気づきでないのか、また米軍に対して何らかの申し入れなり何なりをしていないのか、どうでございますか。
○日原政府委員 ピストルにつきまして、最近も一部ございましたが、確かにお話のとおり米軍からの横流しになりましたものがございます。検挙をいたした事例もございます。なお、申し入れにつきましては、申し入れをいたしております。
○横山委員 それで米軍に対してどうしたのですか。どういうふうに米軍に申し入れて、結果が得られたのですか。
○日原政府委員 これはもともと米軍の品物を買い集めて、いろいろな経路をたどって暴力団に流れてきたものでございますが、それに対しまして、以後かようなことについて十分な注意をするように申し入れいたしたわけでございます。
○横山委員 それで、米軍はそれに対してどういう措置をしましたか。
○日原政府委員 日本の犯罪にかかるものにつきましては、それぞれ関係者を共犯で起訴をいたしております。向こうのほうの犯罪者につきましては、向こうで裁判をするようになっております。
○横山委員 私の言うのは、個々の問題でなくて、そういうようなケースが非常に多いから、米軍に厳重に申し入れて、かかることのないように向こうで適正な指貫をさせるべきだというのが私の質問の要旨なんだが、その点についてはお答えがないのはどういうわけですか。
○日原政府委員 私どもの考えでは、米軍としてもそういう行為を認容しておるはずはないのでありますから、したがって、当然それらの行為について十分な注意をされておると思うのでございますが、たまたま最近にそういう犯罪が起きてきたものですから申し入れをいたしたわけでございます。
○横山委員 日本におけるピストルの密造は、どういうかっこうで行なわれていますか。
○日原政府委員 いろいろな形態がございます。暴力団自身の手によって密造をいたしておるものもございまするし、ほかのほうからそれを手に入れておる場合もございます。密造の方法につきましてもその事件のつど異なっておるように考えられます。
○横山委員 この件については、あなたの答弁はきわめてあやふやであいまいですが、私どもは、もしも銃砲刀剣類の犯罪をこの法律の焦点とするならば、その銃砲刀剣のうちの銃砲、つまりピストルの出どころ、その型式、密造の状態、米軍に対する抗議、要求、それらの手配というものはきちっとなされておると思ったのでありますが、いまの御答弁ではきわめてあいまいな話であります。大臣はどういうふうにお考えですか。
○江口(俊)政府委員 刑事局長はピストルの製造とか販売とかというほうに直接タッチしてないものですから、詳しい数字を申し上げかねたと思いまするけれども、私も実は何件つかまえて、それが日本製が幾らで、アメリカ製が幾らということの書類をいま持っておりませんけれども、少なくともピストルを押収して、それが米軍から流れたという場合は、その個々のケースについてそのつど交渉をいたしております。そしてこちらのほうで処罰できるものはこちらでし、処罰できないものは軍のほうでやるというようなことで、ちっともアメリカだからどうこうというような関係はございません。ただ、その数字が私何件やったかというようなことを記憶しておりませんので、あいまいに聞こえるかもしれませんが、やり方としてはあいまいな点はございません。ただ私たちも非常に残念に思いまするのは、われわれのピストルに対する感覚とアメリカ人のピストルに対する感覚と非常に違うのです。だから、自分が横流ししなくても、よくとられるという事例がある。車の中なんかに、ちょっとかぎをかけて置くというような事例があるのです。日本人だったら、昔からのしきたりで非常に厳格に自分のものならするわけですけれども、アメリカの場合のピストルの考え方というのは、その点は私たち自身も多少どうかと思うくらいの点もございますので、流れてくる数量もかなりあることは事実でございます。しかし、そのつど処置はやっております。
○横山委員 まことに、熊襲を討つよりも新羅を討てということばのように、こういう法律案をお出しになるからには、ピストルに対する調査、それから密造の状態、横流しの状態、それに対する根本的な追及、こういうことが当然なされての話だと思うのでありますが、きわめてあいまいな話でありますが、これはきわめて私は遺憾の意を表しておきます。
 その次に、先ほどちょっと話をいたしましたが、深夜喫茶を廃止するという意見が公安委員会にも出まして、参議院を通過したわけでありますが、私どもの党から、やるならば徹底的にやらなければいかぬという意味で修正案を出しましたが、これを否決いたしました。ものの考えとして、こういう犯罪の温床となる不良生活環境を退治するというならば、あいまいなことをやらないで、また別な角度で温存するようなやり方をやらないで、やるならば、きっぱりした態度を示さなければならぬのに、政府がそれに対して、社会党の修正案はむしろある意味では協力する案でありますが、それを拒否されたというのはどういうわけでありますか。
○赤澤国務大臣 最近青少年が特定の場所に出入いたしまして、悪にしみるというこの実態は、言うまでもなく嘆かわしいことであって、一日も早くこういう道をふさがなければならぬと考えております。今回風俗営業取締法の一部を改正いたした中に、ただいま御指摘のように、深夜喫茶を禁止する道を開いたわけでございますが、先般のおことばにありましたように、では今日のボーリング場はどうするのか、ヌードスタジオはどうか。全く御心配は私どもも同じくしておるわけでございますが、先ほども他の委員会でいろいろ私は質問を受けてまいりました。ボーリング場の場合は、夜中にそういうところでボーリングをやって飲み食いする必要はないのですが、大体ボーリング自体がスポーツかどうかなどという議論も行なわれておる。スポーツであれ何であれ、それが悪の温床になっておりますからには、何らかの方法でそれを封じなければなりませんが、それにはただボーリングを全部禁止するという前に、やはりそういった飲食する場所があるから、たとえばそういう場所における食堂の場合は禁止するとか、喫茶はどうするとかという問題が先行するのではないか。まだ適切な方法につきましてわれわれも検討しておる最中でございまして、これで風俗営業の取り締まりは終わったと考えておるわけでもありません。ヌードスタジオの問題につきまして、先般の委員会でもたいへん議論がありましたが、ヌードスタジオということになると、なかなか議論がむずかしくなってまいります。ただ女性が裸になったから急にどうこうというわけにもまいりません。それがわいせつにわたった場合には、これは刑法の対象になるわけでございます。ただいまの状態ですぐ風俗営業として一般的にこれをどう扱うかということになりますと、まだ若干残念ながら研究の余地もあるとか、あるいはそれが一歩進んで売春行為になりました場合には、売春禁止法などもあるわけでございまして、私どもといたしましても、若干雑然としておる感じは受けております。ですから、先ほどの委員会でも申しましたけれども、これはやはり全国の青少年を守るという意味において、こういったものを根っこから考え直していかなければならぬ、急いでやらなければならぬというふうには考えております。
○横山委員 他の業界とのつり合いがあるから一時はこうしておかなければならぬという考え方のようであります。私は、大臣のおっしゃるように、もしも他の業界もやらなければいかぬものであるならば、いまつり合いをはかる必要はないではないかと逆に言いたいのであります。一つの法律を改正するということはなみなみならぬことなのであります。また、他の問題との均衡上、またそれをつり上げるということが業界に対しましても自粛を徹底的にさせるゆえんではないかと思う。
 もう一つ逆にお伺いをいたしますが、たとえば深夜映画興行の問題があります。東京都内では、聞くところによりますと、都衛生局は午前零時まではしかたがないと言っているけれども、これはほとんど青少年あるいはぐれん隊で、普通の生活をなさっておられる方が深夜映画興行に入られるということはない。ところが都内ではもう四十くらいの映画館が深夜映画興行をやっており、土曜、日曜は午前三時または徹夜でやっておるとこの間新聞に掲載をされておりました。本来興行法は十時ではありませんか。十時の興行法が何でそんな深夜営業をかってに許しておるわけでありますか。
○赤澤国務大臣 ただいまの御質問は厚生省のようでございますけれども、興行場法に関係のあることでございますが、実は先ほどの委員会で私御質問を聞きながら痛切に感じましたことは、たとえばボーリング場でも、これは一体所管が文部省になるのか、厚生省になるのか、私らも実はもう少し明確にしなければいかぬなと感じておる問題もあるわけでございまして、ことばは過ぎましたかもしれませんけれども、この問題は閣僚懇談会に一ぺんはかって、そしてどこの所管であるかということを明白にしなければならぬなということを考えてお答えしたわけでございます。厚生省の方が見えておらぬようでございまするけれども、そういった問題をすべてこういった機関で何か取り締まられるような形というものを早急につくりたい、かように考えておる次第であります。
○横山委員 だからこそ私が先ほどから言っている。閣議で決定をされて、こういうようなことに対して必要な措置をとると言っているけれども、だれが一体この責任者だ、総合推進責任者はと聞いている。総理大臣だと答える。総理大臣は一体この閣議の決定を一々チェックをしてやる人であるかというと、そんなことはないでしょう。それならその次の閣議決定の責任者はだれか、こう言ってもお答えがない。そうしていま大臣のおっしゃるように、それは厚生省だからおれの所管ではない。公安委員長は、とにかく深夜喫茶はおれのほうでやるけれども、深夜喫茶以外は自分の所管外であるが、この閣議決定の立場、暴力団ないしは右翼に対する立場からいうと発言権があるようだから、まあまあおれの所管だけはやっておく。こういうことだから、閣議決定は何らの推進役がないし、実行がされてないじゃないかと私どもは強く言っている。その点についてどうお考えになりますか。
○赤澤国務大臣 御質問を聞いていると、まるで無責任なように聞こえますけれども、決してそういうことではないのであります。さっき総理大臣が最終的に責任を負うと申しましたが、しかし、先ほど議論になっておりますいろいろなこういう警察関係で取り締まりをしなければならね諸問題につきましては、私が当面の責任者でございます。それから法律がばらばらになっておりますから、それぞれ所管の各官庁で責任を持ってやっております。ただ一つボーリング場の所管ということにつきまして、私も知識が不案内でございましたために、先ほど他の委員会の答弁で窮したわけでございます。私、実際ボーリング場を見たこともないし、また、閣僚懇談会にかけるといったって、いまの閣僚の人がボーリングをやったかどうか、どういうことをしてやるものか、あれは技術が要るかどうかというようなことがさっぱりわからぬわけでございます。しかし、世評によればあそこが悪の温床になっている、青少年に非常な害悪を流しておるということは承知いたしておりますので、そういう意味で、いずれにいたしましても、この問題を再度取り上げて検討いたしたいということを申したわけでございます。
○横山委員 先ほど総理もたしか言われたと思うのでありますが、温床をなくすることが重要な問題だ。もちろん温床というものは、一とこをなくすればまた横へ寄るということがありますけれども、いずれにしても、この際悪の温床を徹底的に芟除しなければ、刑罰だけをふやしたって何にもならぬのだ。これは鍛冶さんだって先ほどもおっしゃったとおりであります。それらの問題を閣議でも抽象的にきめっぱなしで、だれが担当やらよくわからぬとか、あなたは深夜喫茶は行ったけれども、ほかのことはわからぬとか、こういうようなことでは困る。そういうことでは、ピストルの問題だってそうでありますけれども、ほんとうに政府が本腰を入れて根本原因を追及しておるかどうか、まことに疑わしいものだ、こう私は言いたいのであります。
 この際もう一つ別な問題に移りまして、刑事警察の状況について二、三伺いたいのでありますが、最近政府ないしは政党の要人にボデーガードがついております。あのボデーガードというものは、どういう保障がなされておるのでありますか。つまり、その人の身がわりになって危険を防止するというのに、そのボデーガード自身の、警察官の身体の保障は何らされない。その人の身がわりになる、ないしは危害を防止するというために、常にその人はそのねらわれた人よりもよけいに危険な目にみずから飛び込んでいくという状況にあるわけでございますが、これは私はそれだけちぎって言うならば、一つの人権問題でもありはしないかと非常に同情をするわけであります。このボデーガードに対して、おまえボデーガードになれという、それだけの指揮命令でございましょうか、その点はどうなっておりますか。
○江口(俊)政府委員 ボデーガードというのは、ただいまお話しのようにたいへん苦労を要し、しかもまた技術も要する気の毒な職種でありますが、多かれ少なかれ警察の仕事というものは、そういう面がほかにもございます。したがいまして、ボデーガードにつきましても、ボデーガードに対するそう十分な手当てじゃありませんが、ちょうどほかの刑事なら刑事が特別のむずかしい捜査に従事する場合につけるような手当てというものは若干ずつはついております。しかし、特に最近ボデーガードの諸君にとって朗報と言ってはなんですが、あたりまえのことでありますけれども、旅費の規則等を改めまして、いままでおかしかったといえばおかしかったわけでありますが、ボデーガードの対象になる方が飛行機で行かれれば自分も飛行機で行く、それはあたりまえで、それに乗らなければボデーガードできませんから。しかし、そういう規定も実はなかった。それからおそらく一流のホテルに泊まられる方が多いと思うのですが、そういう場合でも、それに相応する手当てというものがなかったものですから、これはことしの四月から、そのことについては実情に照らしてやっていくというような――もちろん十分じゃございません、いろいろ御同情していただく余地はまだたくさん残っておりますが、できる限りのことはわれわれとしても手当てをいたしております。
○横山委員 私の伺っておりますのは、そういう日常の生活の問題でなくして、そのボデーガードの人間そのものに対する――常にみずから飛び込んで自分で危険を防止をする、ないしは場合によっては見がわりにならなければならぬという、そういうことは人権問題ではなかろうか。その危険に対する保障と言いますか、それらについて――私は大体ボデーガードというものの存在それ自身を否認したいわけでありますけれども、いまの右翼やいまの暴力団のような状況からいいますと、必要と考えざるを得ないから、その意味においてボデーガードの生活的なことよりも、その人権的な問題、その生命の保障についてはどういうふうにお考えになっておるのか、こう言って聞いているわけです。
○江口(俊)政府委員 ボデーガードが特に生命の危険にさらされているということについては、御指摘のとおりですが、警察官全体について、程度の差はございますけれども、自分があぶないからといって取り組まなくてもいいという仕事はほかの職種でも一つもございません。だから、現在までのところそういう実例はございませんが、万が一ボーデーガード等がそういうことのために受傷をするというようなことがございますれば、それについては十分な手当てをするように規定ができております。
○横山委員 総理府総務長官をあまり待たしても悪いと思いますから、ちょっとあなたの分だけ先へお伺いをいたしたいのでありますが、何か聞くところによれば、昨年マスコミの諸君を集めて、暴力だとかあるいはいろいろな右翼の問題とか、そういうようなことがマスコミの扱いいかんによっては、非常に助長をするような印象を与えるから、これを自粛をさせるという話があったように伺っております。この点について私どもも、あなたもおそらくそうだと思うのでありますが、政府の権力によってこれらを規制するということは、もちろん避けなければなりません。しかし、マスコミすべてを通じて、暴力団あるいは右翼の行動、それらに対して国民の抑制ないしは拒絶をする心理を養わせるように――ギャングもののテレビだとかなんとかが夜おそくまで行なわれて、愚にもつかぬ映画が夜の一時半や二時まで普通の家庭において上映をされているということは、全く私は好ましいことではないと思いますが、それらについてマスコミを集めて話をされたということでありますが、どういうような方法で、どういうような効果をあげておるか、伺いたいのであります。
○野田(武)政府委員 ただいま横山さんの御質問のとおり、青少年の不良化と申しますか、また犯罪が非常に多くなっておりますが、この原因は幾つかあると思っております。その一つの中に、いま御指摘のマスコミの影響というものがありまして、私どもはこれを非常に重要視いたしております。これも御意見のとおり、これらにつきましては、まず法の規制をして、いわゆる言論の圧迫というようなことでなくて、私どもの考えましたやり方といたしましては、マスコミに携わっておる方々は当然常識を持っておられるりっぱな方々が多いと思いますから、これらの方々の常識に訴えて、大事な日本の青少年の育成について愛情を持ってこの問題に当たっていただきたい、こういう考え方でもって昨年十月にマスコミと青少年に関する懇談会というものを設けました。その際各方面、もちろん言論界からもおいで願いますし、それから出版界、テレビ、ラジオ、各方面のマスコミの関係者の方においで願いまして、十月から十二月まで懇談会を開きまして、幾多の事例を示しまして、ぜひこれらについてマスコミの関係者の方の――極端に申しますと、その中に不良出版物が非常に多かったものでございますから、その方々はひとつ反省をしていただきたい。また、それらについていろいろの御意見がありますが、理屈は別として、まずもって青少年に対する愛情を持ってこの問題に当たっていただきたいというようなことで、実は約三カ月間、みなたいへんお忙しい方でございましたが、この懇談会を開きまして、その結果、この懇談会は大体予期どおりといいますか、完全なものではございませんが、相当の効果をあげたと思っております。
 それは特に出版の小売り業界とか、放送業界等で自主規制の実をあげておられますが、時間の関係で事例を申し上げるということは、ここにございますけれども、もし必要でございますれば、申しますが、たとえば出版界では、小売り商組合が各方面にみずから不良出版物は販売しないという申し合わせをやりまして、この問題は大体解決に近くなっておりまして、不良出版物が一掃される段階まで入ってきております。またラジオ、テレビなんかの番組編成、これらにつきましても、こちらから申しますと自粛でございますが、その当事者のほうでは番組編成の方針を変えるというようなことで、このマスコミ懇談会の結果といたしましては、非常に御協力願っておりますが、私は、まだまだ相当これらの問題は心配がございますから、当時マスコミ懇談会においでになる方々が、自主規制をやるからもう懇談会をやめてはどうかというおことばがございましたが、この目的が完全に達成されるということは、これはざっくばらんに申しますと、なかなかむずかしいことでございますが、やはりある程度この目的が達成されるまではこの懇談会を持ち続けたいというので、いまでも懇談会は存続いたしております。
 いろいろお尋ねがございますと例を引きましてお答えいたしますが、いま御質問の懇談会の成果というものは、前申しましたように、万全は期しておりませんが、相当の効果があった、こう思っております。
○横山委員 重ねて私どもの気持ちを申し上げておきますけれども、放送法なりあるいは各法の規定がありますが、言論、出版等の自由というものを権力をもって抑制しないという立場において、自主的な抑制をさせて、そしてこの悪の温床といいますか、そういうマスコミの中における、自然に右翼や暴力が台頭したり、青少年の気持ちの中にそういう気持ちを起こさしめることのないように万全の努力を願いたいと思います。時間がございませんから、総理府総務長官にはけっこうでございます。
 公安調査庁にお伺いいたしますが、私どもが民主政治の上で最も嫌悪いたしておりますのは、いわゆる右翼のテロであります。公安調査庁は、私どもの推察するところによりますと、何かあなたのほうの仕事がいわゆる左のほうに焦点が注がれて、最も人間の生命、民主政治を毒するおそれのある右翼に対する調査が不十分なような気がしてなりません。今日、日本における右翼がどういう状況になっておるか、その人数はどのくらいであるか、いかなる団体が存在しておるか、最近の行動はどんな状況にあるかについて、少し克明に承りたい。
○齋藤(三)政府委員 お答え申し上げます。
 公安調査庁といたしましては、破壊活動防止法によりまして、右といわず左といわず、いやしくも調査すべき必要のあるものについては公平に調査を実施いたしておるつもりでございます。ただ右翼と言いましても、あるいは十数万とかいうようなことを申される方もありますが、範囲がばく然といたしておりまして、どこまでが右翼かということは、そのことばを使う人によって違うように私どもは感じております。私どもといたしましては、破壊活動防止法によって調査すべき右翼という観点から考えておりまして、反共的な信念、立場を強く持ちまして、その立場から、情勢いかんによっては暴力主義的な破壊活動に出るおそれのある団体、これを私どもは破防法によって調査すべき右翼団体である、かように考えて調査を進めておる次第でございます。
 かような観点から 公安調査庁といたしましては、今日まで六つの団体を対象団体と指定しております。その名前は申し上げてもよろしゅうございますが、護国団、これも昨年の一月護国団が二つに分裂いたしまして、石井一昌という人がやっておる少数派でございます。これはたしか団員が七、八十名であったと思いますが、これが護国団の名称をそのまま継いでおったのでありますが、いろんな内部的なあつれき、内部的な感情問題その他から、昨年の一月、小崎金蔵それから佐郷屋嘉昭という人を盟主とする大日本護国団というものに二つに分かれて、これがたしか五、六百人の勢力であると存じます。さらにその大日本護国団が昨年の秋――どうも護国団という名前がいろんな事件を起こしておもしろくないというような点もあったのでございましょう、日本同盟というふうに改称いたしました。その際に、護国団という名称に非常な愛着を持っておる関西の護国団の本部、まあ支部でありますが、これがどうしても日本同盟には加わらぬと言いまして、関西護国団という名前で分かれまして、厳格に申しますと、現在では三つの団体に分かれております。そのうちの関西護国団の本部の尼崎支部の者が、昨年の十一月十三日、大阪府の十三小学校において御承知のような事件を起こした次第でございます。それが護国団関係でございます。
 さらにその次には、順序はございませんが、大日本愛国党がございます。それから治安確立同志会、これは九州の福岡県の川筋の人たちが入っておる。高津大太郎という人が盟主といいますか、党首といいますか、それになって、団員が七、八十名から百名くらいのものでございます。それから日本青年連盟、これはもとの殉国青年隊でございまして、東京にございますが、団員が四百数十名ということに相なっております。これはあまり活動をいたしておりませんで、もっぱら陣容の整備強化ということをやっておりまするが、なかなかしんはしっかりした人たちが入っておるのではないかというふうに見受けられます。それから全アジア反共青年連盟、これは一たん大日本愛国党から脱党いたしました中堂利夫、吉村法俊、山口二矢という三人が結成した団体でございまして、三十五年の十月十二日浅沼委員長を刺殺した事件を起こしまして調査をいたしたのでございますが、現在これはほとんど有名無実、山口は死亡し、その他の二人も他の団体に入って活動しておるというふうな状況に相なっております。それから昨年の七月十五日に平塚で放火事件を起こしました憂国同志会。これら六つの団体、詳しく言えば九つになるかもしれませんが、これを調査対象団体として指定しております。その構成員の大体の数は千六、七百人くらいに相なっておるかと思います。
 これらはいずれも今後の情勢のいかんによっては暴力主義的な破壊活動に出るおそれ、その疑いがあるということで調査はいたしておりまするが、その他これに準ずるものとして、正式の調査というのではございませんが、その動向を注視、監視しておる団体が二十数個ございます。その構成員の数は大体一万六、七千人というふうににらんでおります。
 なお、そのほかにも最近のいろいろな事件を見ますると、われわれの視線外の、しかも若い世故に通じない者がとんでもない事故を起こしておりまするので、さらにアンテナを広くしてさような情報がとれたらとるというふうな努力をして、極力不祥事件の勃発を未然に防止したい、かように存じております。
 それが大体形式的な問題でございまするが、実質的な問題で御報告申し上げておきますのは、右翼の一部に、先ほど横山委員からお話のございましたように、最近昭和維新の断行というようなことを叫び主張する者があらわれております。これは右翼団体の大体の考え方として、昭和三十四、五年の安保条約反対闘争というもの以来引き続く一連の統一行動というものを見て、これはやはり国際共産主義の策謀に基づくものであって、将来非常に憂慮すべき事態が差し迫っておるというふうな焦燥感、危機感を抱いて反共的な運動を進めております。と同時に、かような情勢を招来したのは保守党による政治のあり方が不徹底で不十分だからこういうことになったのであって、これを正しい姿に変えなければならぬ、こういうふうな観察をいたしております。さような観点から、明治維新百年目に当たる昭和四十三年、あるいは安保条約改定の年に当たりまする昭和四十五年ごろを期して国家革新の運動を起こさなければならぬというふうな主張をいたしておる者がございます。現在まで調査いたしておりますのは、まだ将来のこともありましょうが、具体的な計画というものはなく、ただもっぱら自分たちの陣容を整備強化するというような段階にあるように存じております。今後その面については極力注意いたしたい、かように存じておる次第でございます。
○横山委員 そのいまの六団体、それに準ずる二十数団体、それらの資金活動はどういうふうに行なわれておりますか。これは表に上がっておる正式な規正法の問題もあるし、あるいはあなた方がひそかに調査されておる裏の資金の問題もあるだろうし、その資金活動の状況についてお伺いいたしたい。
○齋藤(三)政府委員 なかなか資金関係は、組織的な団体というよりも個人的なつながりで、全部の団体がまあ盟主の言うとおりに経営されるというような関係もありまして、非常に困難な団体もございます。大日本愛国党のごとく赤尾敏に聞かなければほとんどわからぬというふうな団体もあるようでございます。しかしながら、総じて右翼団体の資金源として私どもの調査の結果から観察されますのは、入会金、会費簿が第一のものでございます。これはいろいろな団体の規約にございますが、ほとんど励行されておらないようでございます。その次には、たいていの団体が機関雑誌、機関紙を出しておりまして、それを各方面に配布しておる。そうして、その購読料という名義をもって金をもらう。あるいは広告を出して、その広告主から金をもらうというような方法がございます。これは、まあ広告料というものと寄付金をあわせて出すというような向きもあるようでございまして、これがある程度の収入源になっておるように存じます。それから、その次には農業とか、印刷業とか、あるいは興行等を経営する団体もございます。しかしながら、これは金額としてはたいした金額にはならない。そうして最後には、やはり寄付金、賛助金というものが一番多い。それによって団体の経理が成り立っておるというふうに観察しております。
 なお、御参考までに申し上げておきますが、大日本愛国党、護国団等は、政治資金規正法によって資金の届け出を二、三年前まではいたしておりまして、それらを見ますと、大体三百人ないし五百人ぐらいの団員を擁しておるようでございますが、月の経費は大体三十万から五十万というふうな限度で、その限度を若干上回るのが実際ではないかというふうに私どもは観察いたしております。
○横山委員 あなたのおっしゃる三十万から五十万ということは、あなたのおそらく御想像のように、単なる届け出数字であって、実際の数字というものは、そういうものではないであろうということを私も判断されるわけでありますが、この六団体及び二十数団体ないしはそれらの右翼団体全部を含めてずばりと聞きますが、国会議員から村会議員に至るまでの公職者が何かの形で関与しているところがございますか。
○齋藤(三)政府委員 これは大体資金規正法によって届けておりますのは、団体の責任者なり幹部の者が数名で方々に行ってカンパをしてもらって、それを自分の名前で団に寄付したという形をとっておりまして、さような公職者からという事例は……
○横山委員 運営活動の中に参加している者があるか。
○齋藤(三)政府委員 的確な事例は存じておりません。
○横山委員 最近、暴力団のほうですね、あなたのほうの直接いわゆる右翼の政治団体ではなく、暴力団が政治結社を名のり、そしてその政治に参画していくほうが運営上非常に便利であるというような傾向が見え、そして何か放流及び政治家に接触をして、ひもをつけておいたほうが有利である、こういう観測が暴力団の中にも出てまいりましたし、右翼の方面にも、表面はきわめて合法的、あるいは運営をおとなしくして、そして政治及び政党、政治家に密接な関係を持つという傾向が出ておりますことは、あなたも御存じだと思いますが、その傾向についてあなたの見解を承りたい。
○齋藤(三)政府委員 最近の右翼団体の傾向として、確かにそういう傾向があるように存じております。その最も著しい例は、昨年の十二月の二十一日、静岡県の熱海のつるやホテルにおいて、関東にあります七つの大きな団体が、関東会という団体を結成し、反共的な綱領、宣言を掲げております。また、その七つの団体が、十二月の二十一日の十日ほど前に、政党の方々に書面を出しておる。また先般の四月十七日の統一ストの際にも、そのうちの団体の四つほどが若干の動きをいたしております。これらにつきましては、私ども十分調査をいたしたい、今後も注意を怠らぬようにしてまいりたい、かように存じております。
○横山委員 その会合の中に元代議士が出席をしておることは御存じでございますか。
○齋藤(三)政府委員 寡聞にして存じておりません。
○横山委員 あなたがいまおっしゃった十二月二十一日の熱海の会合には元代議士が出席をし、そして討議に参画をし、御存じの兒玉譽士夫、また関根建設の社長等も含めて、自由民主党に申し入れをいたしておるわけであります。私が先ほど大臣にも強く言ったのでありますが、総裁改選を契機とする右翼ないしは暴力団の最近の傾向が、政党、政治家に関係をつけて、そしてその中から発言権を増大し、そして暴力の基本的な立場ということは少し伏せておいて、事ある場合には行くぞというような傾向がほの見える。ちょっと平穏のように見えるけれども、最近きわめてそういう傾向が強いように思うのでありますが、あなたの率直な情勢判断をお伺いをいたしたい。
○齋藤(三)政府委員 いろんな情勢からさような想像をなしておられる方はずいぶん聞きますが、私どもの調査の関係で、さような傾向が現在あるとか、将来そういう危険があるとかいうようなことは、調査の結果からは出てまいっておりません。
○横山委員 あなたも私もそこの場へ出ているわけじゃないですから、そんな克明な事実について知るはずはないけれども、いまの話によりますと、あなたよりは私のほうが事実をわりあいによく知っておるようなんです。私どもは、この最近の右翼及び暴力団の傾向というものからみて、先ほども総理に言ったように、政党及び政治家というものが、右翼ないし暴力団と、たとえそれが暴力をまだ用いていなくても、身辺を清潔にするために絶縁をすべきだ、疑いのあることはしてはならぬ、もしもそれを許したならば、そこから入ってきて、失礼な話でありますが、私どもの方へは入ってくるようなことはございませんけれども、与党のほうにはそういう傾向なり温床というものができるのだ。これはあなたに言ったってしかたがない話でありますから、あなたはそういうような傾向についてお感じにならないのか、率直にあなたに見解を求めておるのでありますから、ひとつ自由な御判断でけっこうでありますが、最近の右翼の傾向と政治、それについて見解を求めます。
○齋藤(三)政府委員 事務官僚として申し上げることではないと思います。しかし、ただいまのお話は十分承りまして、今後の調査上十分そういう点も注意いたしたい、かように存じます。
○横山委員 公安委員長に戻ってお伺いをいたしたいと思いますが、最近おくら入りというものが非常に多い。それは警察庁及び警視総監にお答えいただいてもけっこうでありますが、にせ札とか吉展ちゃんとか、あるいは草加次郎とか、重要な犯罪というものが非常に迷宮入りがふえておる。国民の中には、これらの迷宮入りの事件に対する警察の布陣と、それから大衆運動に対する即応態勢と比較をしてみて、刑事警察に欠くるところがあるのではないか、もっと、識者の意見を聞きますと、いわゆる職人的刑事とサラリーマン刑事との断層が起こっておるのではないか、こういう意見も聞かれるわけであります。警視庁でもそうでありますけれども、この暴力団と大衆団体に対する人員配置につきまして、大衆団体に対する人員配置は非常に多いけれども、しかしながら、右翼ないしは暴力団に対する人員配置というのはきわめて少ない、こういう意見が聞かれるわけであります。
 まず第一にお伺いしたいのは、警視庁からお伺いしてもよろしいのでありますが、刑事警察と大衆運動に対する人員の配置はどういうぐあいにいまなっておりますか。
○赤澤国務大臣 数字につきましては事務当局が申し上げると思いますが、ああいう吉展ちゃん事件その他非常に世間の関心を引いておる事件が数個迷宮入りしておるということは、まことに残念な事実であると思います。しかし、犯罪全般の検挙率を私調べてみましたが、やはりこれは世界のトップレベルと申しますか、西ドイツあたりと肩を並べる段階にありまして、全体としては悪くないと思いますが、ああいう事件が結局未解決で残っておることは残念でございますので、これにつきましては鋭意またいろいろな角度から捜査を続けさしておるわけでございます。
 次に、いま一点の、こういう右、左のいろいろな警護あるいは取り締まりなどの場合に、右のほうにあまり人を使わないで、左のほうばかり人をたくさん配置しておるように見えるがということでございますけれども、先ほど例のボデーガードの話をなさいました。これも何か総理大臣や、それから政治的にいえば党の実力者なんかにたくさんついておるかのごとき印象を与えるようなお話がございましたけれども、実際は、いろいろな情報を警察としては中正な立場からとりまして、危害が及びそうだと判断される方、特に共産党の方々、またあなたの党でもいろいろ妙な情報が流れてくる方々には、相当に優秀なボデーガードがついておることは御承知のとおりでございます。ただ、右翼の取り締まりと左翼と申されますが、左翼の場合は三人、五人でいろいろな行動を起こされるのではなくて、たとえばデモ行進その他につきましても、何せ何百、何千の方がおいでになるのに、五人、八人の警察官では何ともいたし方がないので、多少警察官がたくさん配置されて、何か大衆が迷惑するようなことがかりに起こった場合には多少動くかもしれませんけれども、しかし本質的に右、左ということで区別をしておることは毛頭ございません。それにつきまして、数字的なことは当局から御説明をいたします。
○江口(俊)政府委員 警備警察について、刑事に比して人数が多い、あるいは逆に言いますと、刑事警察の人員が警備に比して少ないというような御議論でございますが、警備警察の状況というのは、ただいま大臣からも御答弁になりましたように、右、左、区別なくやっておりまする専従者というのは全国で二万ぐらいございまするが、よく目につきますときにたくさん出てまいりますのは、これはデモとか何とかがあります際は、ほかの外勤警察官とか、待機しておる警察官等をたくさん集めてお目にかけるものですから、非常にたくさんそのほうに向いておるように見えますけれども、そのこと自身をやっておるのは二万弱でございます。そのうち機動隊というのが五千人ばかりございます。それから刑事警察官は三が名ほどおります。そのことで成績が上がっている上がっていないということにつきましては、私たちも決して十分な成績が上がっているとは思いませんが、これは人数の足らぬ点もありましょう。また、やり方がまずいという点ももちろんございます。また、装備も悪いというようなことで、刑事警察の強化につきましては、昨年来着々検討を重ね、ことしからは増員等についても特段の配意をいただいておるというような状況でございます。
○横山委員 古い資料ではありますが、安保のときに猪俣委員の質問に答えて、たとえば公安調査庁においては千三百人のうち百三十人、一割が右翼であって、あとは全部左翼の調査に回っておる。また、警視総監は、警視庁公安一課百七十八人が左翼担当で、公安二課三係三十四人が右翼担当である。こういう数字を並べて、猪俣委員の主張に対して池田総理大臣から、暴力についてはいま少し考える必要があるから、その数字についてはさらに十分検討をする、こういう御答弁がされておるわけであります。この数字が今日どういうふうに変わっておりますか、それぞれ御両所から伺いたい。
○齋藤(三)政府委員 昭和三十五年当時千三百人のうち一割程度、百三十人程度が右翼専従の調査官ということになっておったそうでございます。その後、国会でのいろいろな御注意もございまして、極力その方面に、全体のワクが広がらなくてもそちらに回せるものは回すというような方針をとりまして、その後若干の増員もございましたが、その際にも特に右翼方面に重点を置きまして、現在は千五百十名の調査官のうち二百九十四名、約二〇%にちょっと足らない数字だったと思いまするが、これが右翼専従の調査官でございます。なお、今国会において、昨年の七月以来右翼による大きな不祥事件が三つ起きておりまして、今後においてもまた調査上力を入れなければならぬ点も多いと思いますので、二百人の増員をお願いしておりまするが、そのうち四割、八十名はさらに右翼のほうにそれを向けたい、かように存じておりまして、その方面について国会並びに政府の御方針にできるだけ忠実にいたしておるつもりでございます。
○江口(俊)政府委員 この前警視総監がお答えをしたという数字をいま聞きましたが、私、そのこの前の数字を存じませんけれども、その後のことを考えてみますと、その後警視庁では右翼専用の公安三課というものをつくりまして、これが現在六、七十おるかと思いまするし、さらに先ほどから市が出ましたように、純粋の右翼というものじゃなくて、いわゆる暴力団等が右翼を標榜して事故を起こす場合も多いのでありますが、これは普通の刑事事件として扱っていくという方針のもとに、特に衆力団係ということで捜査四課というものも増強したような次第でございまするから、いわゆるそのときに申し上げました左翼と右翼の比率というものは、おそらく――左翼はもちろんふえておりませんが、右翼関係の係は、両方合わせれば二倍ないし三倍以上になっているものと私、想像いたします。
○横山委員 どちらが二倍ですか。
○江口(俊)政府委員 この前の数字、あなたのおっしゃったことを私ちょっと確認できませんけれども、その後の警視庁のやり方を私存じておりまするから、ここでその的確な数字は申し上げられませんが、右翼係という特殊な課と、それから暴力団等で、右翼は名のりますけれどもそちらのほうは右翼として扱わない、右翼という意味でなしに単なる普通の刑事事件として扱うけれども、そういう暴力団を専門にやらせる課という捜査四課というものをその後つくりましたから、その二つを合わせたのがそのときに言った右翼の係、こういうふうに考えますと、そのときにあげた数のおそらく三倍以上になっておるだろうと私考えます。
○横山委員 私どもが主張していますのは、直接人を殺傷する、そういうことを主目的と言ってもいいほど目的にしている暴力団と、もう一つは、間接的にそれによって、政府の答弁を聞いて引用しましても、派生的に起こる紛争による問題、それと同時点に並べて考えることが根本的に間違いであると言っておるのです。いまのお話を聞いても、多少右翼関係に人はふえたように見えますけれども、公安調査庁なり、あるいは警視庁なり警察庁の重点がどうしてもこのいわゆる左に置かれておる。左のほうは労働運動を含めて憲法に保障された団体及び行動である。百歩譲って、それから派生的に起こる事犯があっても、基本的には憲法に保障されておる。ところが片一方は、そういうようなことでなくして、直接テロを行ない、直接暴力を行なうということが基本的な目的になっておる。その二つを同じ時点にとらえて同じように議論をしようとしたり、あるいは人員配置においても、保障されたほうに人を多く配置したり、あるいは重点を向けることが私どもにおいては間違いである、また気に入らぬ、あなたのほうの政治的意図がうかがわれる、こういうふうに言っておるわけであります。したがって、公安委員長にお伺いしますけれども、私どもの意はよくわかると思うのであります。もっと刑事警察なり暴力団なりあるいは右翼に対する人員配置を集中すべきではないか。公安とか警備のところにたくさんの警察官を集中することによって刺激をふやすよりも、刑事警察に配置をすることを国民が望んでおるのではないか。もちろん、人員をふやすにこしたことはないけれども、それができない場合においては、今日の国民的要請にこたえて刑事警察のほうに重点を移すべきではないか、こう考えるのでありますが、どうお考えですか。
○赤澤国務大臣 私、先般国家公安委員長になったばかりでございますが、驚いたことには、公安委員会の議論というものは、右翼だとか暴力を取り締まるのにどういう方法があるのか、ことしはオリンピックの年だから外国に対してだって恥をかきたくない、そのことでもう明け暮れしておりまして、あなたが御指摘になるような労働運動をどうのこうのということは一回も話に出たことはないですよ。その点は、私はうそをついておりませんから、御了解をお願いいたしたい。私どもといたしましては、むしろ警察官の諸君に、いまの御指摘のような何か労働運動に介入したようなにおいがすると、また国会で問題になるというので縮み上がってしまっておるのではないかという感じを実は受けるわけでございます。いまの暴力のことが先ほどからだんだん問題になっておりますのは、暴力の処罰法が議題になっておりますから当然のことで、暴力暴力とさっきから何十ぺんもお話に出ておりますが、大体私は暴力というものはどんな暴力でもいかぬと思うんですよ。世評では、耳に飛び込んでくるのでも多数暴力から少数暴力、右翼の暴力から左翼の暴力、しまいには家庭の暴力とか言論の暴力と、私はいろいろあると思う。しかし、そういうことはさておいて、いま提案いたしております法律は、何の暴力であれ、鉄砲や刀を持ってなんという暴力は取り締まらなければならぬということについては日本全国民異存はないと私は思うわけでございます。しかも先ほど申しましたように、暴力というものをどうして取り締まるかということについては、実は私なりに肝胆を砕いておるつもりでございます。先ほど総務長官も申しましたが、やはりこういう日本の恥辱みたいな状態を外人の目にさらけ出したくないという気持ちもありますし、どうして封じるか、それにはやはり資金源を断つとかいろいろな策を練って実行に移しつつあるが、実際は歯がゆいくらい実績がなかなかあがらない。ほんとうのことを申しますと、ばくちのことがさつき出ましたが、こういうことをする諸君の数が減らないのです。ところが実際は、賭博も現場があがればすぐ一網打尽にやっている。ですから、右翼ということでなくて、暴力団ということでは、いままでにない実績が実はあがっておりますが、ただ、親分衆になかなか手がつかぬというのは、実態を調べてみますと、とっつかまえてもこの人たちはがんとして口を割らないわけなんです。ですから上に波及をしないわけなんです。こうじゃないかという想像はつきますけれども、実際は手がつかぬという状態でもあるわけなんです。しかしいずれにしても、こういうことがなぜ起こってくるか、ことに青少年が悪にしみるということですけれども、これは貧乏なるがゆえにばく徒になるとは限らないわけです。金持ちのどら息子だってけっこうこういうところに流れ込んでいってしまうということはたいへん残念だと思うけれども、先ほど総理も人づくりの問題に触れたと思うわけでございますが、これは単に取り締まりだけで解決するものじゃないと思いますので、各面から検討いたしまして、こういうものは一日も早く根絶しなければならぬということは考えております。しかし、先ほどから御議論になっております。何か警察は左翼ばかり取り締まるじゃないかというように聞こえぬでもありませんけれども、いまの警察の状態は、むしろそういう批判を受けることに縮み上がっているという実態であることを私は申し上げるわけでございます。
○横山委員 少しそれは赤津さんオーバーですよ。あなた庶民的な方だから、そう言っても私は聞きのがしますけれども、もしかりにあなたがおっしゃるように、公安委員会では大衆運動なんてこれっぽっちも言わないで、いわゆる常習的な暴力ばかり言っているとするならば、むしろ私はけっこうな御意見だと思う。そのけっこうな御意見のように刑事警察を充実したらどうかというのが、私の意見なんです。ですから、あなたの言うように定員をふやしたいけれどもなかなかそうはうまくいかぬということであるならば、百歩譲って、警備だとか公安のほうを削っても国民的要請にこたえるために刑事警察を充実すべきじゃないか、こう言っておるわけであります。どうですか。
○赤澤国務大臣 警察官全員は十五万人おることは私聞いておりますが、実際いまの日本のすみずみまで社会秩序を維持し、また刑事警察を十分に活用いたしますためには私は十分であるとは考えないわけです。それは新聞も伝えておりますとおりに、警察官も民衆に親しまれようとして涙ぐましい努力もしておるわけです。いま交番に行けばまるで所番地のガイドみたいに中が一ぱいになっている。とても巡回警らする時間がないくらい追い詰められてやっていることも実態は御承知になっていると思う。いま夕方ともなれば女子供が外へ出るのが危険だという世相は全く私は残念だと思います。思いますが、やはり、警察官の諸君には気の毒でも巡回警らというものを強化してもらって、犯罪が起こってからあとでさがすということでなくして、起こる犯罪というものを未然に防ぐ、それに体当たりして防いでもらわなければならぬわけでございます。そういうことからいえば、全く人員がこれでも足りないと思うけれども、ふやすということになるとなかなか問題がある。大体嘆いておりますことは、言わずもがなですけれども、いままでケと名のつく法案は通ったためしがない、また予算だってケとついたらなかなか通らぬ。ここまで憎まなくても、全国の警察官の諸君というものも、やはり人からとやかく言われながらでも、一生懸念でやっているわけでございますので、どうかそういう立場も十分認めてやってくださいますようにお願いいたします。
○横山委員 そうおっしゃるならば、私ももう一つそれに関連して、聞きたいのですが、それにもかかわりませず、この間閣議で戸別調査をやれ、あれは河野さんの発言ですか、何かそれで非常に閣議の話題になった。あれは法律で戦後やらないということになっておるものを、あなたのほうでは何とかして、脱法的というか、失礼な言い方ですが、法律でできないということになっている戸口調査をこれから大々的にやろうという雰囲気が見えるのでありますが、これは非常に私は注意しなければならぬ問題だと思う。いまのあなたの話を聞いても、それとは別に、とてもそんなことはできないという結論になると思うのですが、とてもそんなことはできない状況の中で、全国の外勤警察官に戸別調査をやらして、また戦争前のように帳面を持っておまわりがやってきて、お宅はどういうんですかと言ってじろっとうちの中を見回して、そうして次から次へとあらゆる質問をしていくというようなことが現実に行なわれるとしたならば、これはゆゆしい問題だと思うのです。どうもあなたは野党のそういう攻撃をかわせるように、それでもって閣議の中における戸別調査をやれという要請にこたえられるように、間隙を縫って何かたくらんでいらっしゃるように思うのだが、その点は一体どういうふうになっていますか。
○赤澤国務大臣 横山委員も御承知のとおりに、私は善人ですから、何も私のほうから戦前のような戸口調査を断じてやろうなんて言いもいたしません。しかし、今日の世相を考えますと全く私は嘆かわしいと思うのです。ですから新聞面でもごらんになりましたとおりに、巡回連絡を強化するということを言っておりました。決して戸口調査をやる考えではございませんので、その点は御了解をお願いいたします。
○横山委員 それならちょっと新聞を引用しますけれども「話術や家庭訪問の方法など、各戸を回っての巡回連絡の具体的技術について指導、講習をひんぱんにする。」と、きわめてうまい言い回しでありますが、結局、戸別訪問をやれ、ただし、そのときに話術を勉強しろ。こんにちは、お宅のところだれかいますか、なんて大きな声で言わないで、こんにちは、お宅は何人いらっしゃいますか、同じことじゃありませんか。そういう話術を研究さしたり、巡回連絡の具体的技術をいかに指導するといっても、結局は戸別訪問をやるんじゃないですか。どうなんですか、戸別訪問をやるのかやらないのかという点。
○江口(俊)政府委員 戸別訪問になるか、あるいは団地等におきましてはまとめてどこかで知るという方法もありましょうが、いわゆる戸口調査はやりません。ただ、巡回連絡というのは現在においてもやることになっております。(横山委員「何ですか、その巡回連絡というのは。」と呼ぶ)それは、昔の戸口調査であればよくわかったのですが、いまは戸口調査をやらないけれども、交番に来られて、何の何がしのところはどう行くんだなんて聞かれても、いや、そんなのはわからないというわけにいかぬから、現在のは、紙をお渡しして、任意にですよ、家族のお名前をお書きください、それから何かがなくなったときに手がかりになるから、これは書いてもらってないのが多いのですが、貴重品等も、参考になるようなことがあれば書いておいてくださいというので、紙を置いてきて、そしてそれを回収し、七割か八割というのはまあ大体わかるわけです。しかし、これももちろん強制もできませんし、また先ほど来お話があるように、なかなかほかのことで手をとられるものですから、規定にある巡回連絡というのも、あまり最近は規定どおり行なわれていないという実情にあることは事実でございます。どうしてこういう問題が起こったかというと、この間ライシャワーさんの刺傷事件が起こりました際に、塩谷という男が沼津の市内の自分のいるところにおるのかおらぬのかということをまず問い合わしたときに、なかなかわかりかねたということや、ああいう何べんも病院に入ったり、あるいは何べんも家出をしたりしておるような者は、何とかしてできれば警察で知っておくほうがいい。これもしかし、任意に知れる限りにおいて知れというような趣旨のものでございますから、何も知らずにやみくもに出たとこばったりでやれということじゃないということだけを心がけているという考えだけでございます。
○横山委員 くどいようでありますが、私が心配いたしますのは、任意だといったところで、結局、あなた方は印刷物が各戸に配布されるようなしかけを考えるのでしょう。これは町内会から回すか、あるいは各戸に回すか、そして書き入れてないところは、おまわりさんが行って、任意ではあるけれども、おたくはどういう状況でしょうかということをやらせるのでしょう。巡回連絡と言ったところで、結局は全部資料が手に入らなければ、あなたの言う効果があがらないのでしょう。そうすると、結局、いろいろなことを言っても、戸別訪問をすることになるのではないかというのが私どもの心配であります。戸別訪問はやらないというふうに断定をされた。なぜ戸別訪問をやれないか、それはやってならないことになっているからやれないのだ。しかし、いまは戸別訪問ではないやり方で戸別訪問と同じような実績をあげたいのでしょうが、それはきわめて危険なやり方だと私は言うのであります。どうなんですか、そこのところがけじめがつきませんよ。
○江口(俊)政府委員 横山先生のところに行っているかどうか、私、存じませんが、いまの規定でも、一ぺんは紙を持っていって、横山家には何人いらっしゃって、貴金属はどういうものがありますかというのを御任意に書いていただければ、ありがとうございましたと言って持って帰ることになっているのです。だから、これを戸別訪問と言うかどうかは別として、戸別に行く場合もありましょうし、まとめて行く場合もございましょうが、できるだけ実情がわかるようにしたいというのが私たちの念願でございます。
○横山委員 私のところにはまだ来てない。私の家内の兄貴がおまわりさんで、警察のことはよくわかっているのです。警察官の不満もよくわかっているのです。そう私の家内の兄貴のことまで言っちまうといかぬけれども、だから、警察官としては、一般の警察官の気持ちとしては、いまでもなおかつ忙しいのに、これから戸別訪問をやらされるのだ。いろいろなことを言ったところで、結局は戸別訪問になる。これは重労働だ、労働者としてですよ。私は末端警察官をよく知っているのです。人間的な話をすると、言うんですよ。一週とにかく六十時間以上だ。私らの勤務は、超過勤務手当は、予算が大体つかみ金でくる。これを割り当てするのだ。そんな法律も規定もありやせぬ。大体割り当てして、やろうがやるまいが、大体これくらいもらうだけだ。そうして独身の諸君なんかは、まあ一人二畳くらいのところに泊まっているのだ、こういう不満を漏らしておるわけですよ。あなたよりも私のほうが末端警察官の事情についてよく知っているくらいかもしれませんよ。それはもちろん人間的な、働く者として、私は警察官の苦労というものをいろいろ聞いてはいますよ。そういう人たちが言っていることは、これからまた外勤の者は、上のほうから言われたで戸別訪問せんならぬわい、これじゃとてもたまらぬな、こう言っているわけです。そういう人たちの気持ちもさることながら、われわれのほうから言うと、いろいろなことを言っても、戸口調査をするということは、その昔やってはいかぬということになって、いまもやらないとおっしゃるように、やってはいけないという立場に立っておるわけです。それを、戸口調査はやらないけれども、それと同じような実効をあげるということには無理がある。そういうようなことはおやめになったほうがよろしいのだというのが私のいろんな角度からの主張なんです。
 大臣、おわかりになりますか。一ぺん御感想を伺いたいのです。
○江口(俊)政府委員 大臣のお答えになります前に、私から実情をお話し申し上げないといけないと思います。
 外勤の警察官が非常に忙しいということは私も重々知っております。だから、この外勤における巡回連絡を励行――強化と言うよりは、いま規定がありますから、その励行と言ったほうがいいかもしれませんが、するかどうかについては、つい三、四日前の管区局長会議でもいろいろ論議したわけです。しかし、その前提として――やることはいい。やることは必要だからいいが、前提として、ただいまおっしゃったように、外勤の時間等は非常に多くの時間をほかのことにとられておるということで、これはやはりやらせるにはやらせるだけの手当てをして、外勤にこれを励行させるならさせなければいかぬということで、引き揚げ勤務とか、あるいは学校に行っておる間あけておくとか、すべてのしわ寄せが外勤にいっておるのが現状だものですから、それはこの際慎ませようというのが第一点。それから、やはり将来は外勤の増員ということも十分考えなければ人口の増加というものと比例しないという点もございまして、忙しいことは重々わかっておりますけれども、これは必要だということもまた重々わかっていただきたい、こう思う次第であります。
 あとは大臣から。大臣はそのときに御臨席にならなかったので、一応いきさつを申し上げます。
○赤澤国務大臣 戸口調査のことが問題になりますのは、戦前は、おそらく思想的に申しますと、極左の考え方なんかは非合法ということになっておりましたので、思想面、また注意人物の動向などもあるいは調査しておったのではないかと思うのです。戦後は、まあ自由過剰と言われるくらい、こういうのがとかく調査の対象になるなんていうことはあり得ないわけなんです。そのことは私、先ほどるる申し述べたとおりでございます。ただかりに、じゃあ暴力団がひそんでおるか、ひそんでおらないか、そんなことも調べずにおいて無関心であってもいいじゃないかということは甘えないわけですから、私が戸口調査はいたしませんと言うことは、かつてのような、そういった意味の戸口調査はいたしませんということでありまして、やはりそこには精神異常者もおれば、また地域にはいろんな人もおるし、それから暴力事犯あるいはその他の犯罪というものを根底から防ぎますためには、警察官としてはいろいろそういった面でも頭を働かせなければいかぬ、その受け持ち区域については、いろんなそういう知識を持たなければならぬということは当然であると考えますので、かつてのような戸口調査は絶対にいたしません。こういうことを私は申し上げた次第であります。
○横山委員 それではいま一ぺんはっきり言ってください。かつてのような戸口調査はしない。しかしながら、どういうことをやるのですか。かつての戸口調査のようなことはしない。戸口調査というのは、ぐるぐる一軒一軒回って、どんな乱暴なことを言おうが、やさしいことを言おうが、家庭の状況を全部調べる。そうして警察宜として――私も小さいとき受けたことがありますけれども、いろんなこまかいこと、給料は幾らですかとか、おつとめはどこですか、そういうことまで聞いたのですから。そういう給料までは聞かないにしても、それじゃここにいうところの各戸を回っての巡回連絡というのはどういうことをするのですか。それをはっきりひとつ。
○江口(俊)政府委員 巡回連絡というのは現在でもあるわけです。新しく始めるわけではございません。現在でもあるその制度を、もう少しひまをつくって励行しなさいというのが今度の話なんです。
○横山委員 それは少し遁辞だと私は思いますよ。現在でもある巡回調査は、それじゃ戦前の戸別調査と同じであると言いたいのですか。戦前の戸別調査と現在の巡回戸別調査とは何が違うか、はっきりしないですが、どうなんですか。
○江口(俊)政府委員 ことばが違うように心がまえも違うわけであります。
○横山委員 それじゃ、あなた答弁になりませんよ。みんなが承知しませんよ。心がまえが違うといっても、目的が一緒、ないしはやらんとすることも一緒。それだったら、乱暴な口をきくか、やさしい口をきくかということだけじゃありませんか。結局、戦前と戦後と同じということになってしまうじゃありませんか。おこらずに、もう少し区別をはっきりしてください。
○江口(俊)政府委員 戦前の場合におきましては、おっしゃるように任意とはいっても、ある程度相手にいやがられるほど強要――ということばは言わぬだったかどうかは別として、全部漏れなく知るような戸別訪問をやった。今度の巡回連絡というのは、あくまでも管内の事情を自分たちも知りたい、それからまた相手の方も、警察に自分のところを知っておいてもらったほうがいいという面について御協力を願う限りにおいてその材料を収集するということでございますから、現に何べんかやりました実績でも、八割ぐらいの実情というか、調査票というものはあるわけです。これを、あんまり古いから、年に何回やるかきまっていますから、事情の許す限り時間をつくってそれをおやりなさいというのが今回のものであります。新しくこの制度を始めるわけじゃありません。
○横山委員 どうも要領を得ないのですが、それじゃ逆に聞きましけれども、戦前の戸別調査はやってはならない理由はどういう理由であるとお考えになっているのですか。
○江口(俊)政府委員 私は戦前の警察に関係いたしませんが、想像いたしまするのに、相手の意思を強制して相手の状態を知ろうとしたことにあるのではないかと思います。
○横山委員 戦前でも、相手の意思に反してということではなかったはずです。要するに警察の権力を背景にして、言わなければやはりいかぬのかしらんというような人間の心を言うならば利用してやったのですよ。そのこと自身がいけないことだと考えなければなりません。戦前だって、うちへやってきて、おいこらおまえのところは何人おる、そんなことばは言いませんよ。けれども、警察の権力を背景にして各戸を回って、やさしいことばで言おうが、何であろうが、戸別に一家の事情を調査するということはよろしくない。これが芦別調査をやらなくなった理由なんです。いまあなたのおっしゃっておるところを聞きますと、その心がまえの相違だ、ないしは任意だ、こうおっしゃるけれども、戦前でも任意じゃないか。戦前でも、うちへ来て、おいこら、おまえのところは何人だ、といった、そういう警察官はあまりはなかったですよ。だから、あなたの意見は、けじめがはっきりしないですよ。大臣、私の言わんとするところはおわかりですね。だからあなたも、そういうような野党なり国民の反撃と、警察として情報を知りたいという間を縫って、どうも苦労されておるように見えるけれども、詰めていけば、いけませんということになると言うのです。だから、これはきわめて疑義の多い問題だから、おやめになったらどうかと私どもは言っておるわけです。
○赤澤国務大臣 どうも考え方が私とはピントが合わぬようですが、どこの家庭でも人にのぞかれたくない秘密というものは持っておるのです。ですから、たとえば二号さんのうちだったとします。こんなものは人に知られたくない。そうしたら、結局そういう戸口調査はいたしませんけれども、警察官に要らぬおせっかいをやってもらいたくないことは、はっきりさしておけばいいわけで、それを踏み込んでまでは、もちろん調査する権限はありませんから、戸口調査はいたしませんと申しておるわけです。中には、はっきりしておくために、うちの状態をよく知っておいてくれ、どろぼうが入るかもしれぬし、戸締まりのぐあいはどうか、これでよいかということも、簡単にまた話される方もあるかもしれません。いろいろだと思う。ただ、横山委員が御心配になるような戦前のああいう状態の再現というものは全然考えておりませんということを私は申し上げる次第でございます。
○松澤委員 委員長、これにて質疑を終了……
 (発言する者多く、聴取不能)
○濱野委員長 松澤君の動議に賛成の方の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○濱野委員長 起立多数。よって、原案並びに修正案に対して質疑は終了いたしました。
 暫時休憩いたします。
   午後七時六分休憩
     ――――◇―――――
   午後九時一分開議
○濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案及び本案に対する竹谷源太郎君提出の修正案を一括して議題といたします。
 これより原案及び修正案を一括して討論に付します。坂本泰良君。
○坂本委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま討論に付されました暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案並びに民社党提出の修正案に対しまして、討論をいたしたいと存じます。
 まず、結論を申し上げますと、原案並びに民社党修正案ともに反対であります。以下、その趣旨を申し述べますが、第一に序論を簡単に申し上げ、第二に本法案の政治的意図、第三に本法案の内容、第四に民社党修正案に対する反論、最後に社会党の暴力団対策について一言いたしたいと存じます。
 本改正案は、戦時特に労働運動、社会運動に乱用され、国民大衆よりその廃止を叫ばれている現暴力法に対するきわめて重大な改正でありますから、社会党は本委員会における質問において、単に今回の改正案に対する法律解釈論や、その運用の問題点を指摘するにとどまらないのであります。これは、いわゆる治安立法ともいうべきたいへんなものでありまして、独占資本による現保守政権が、暴力団退治の美名のもとに国民をあざむき、被支配層の、働く国民の労働運動、大衆運動を制圧し、資本家奉仕の大衆収奪に利用せんとするものでありまするから、かかる反動立法は今後とも絶対に許すことができない、この不動のかまえを明確に打ち出すために、本法案に取り組んだのであります。しかるに法務大臣並びに政府は、絶対に労働運動、大衆運動には適用しないと、陳弁これつとめられ、衣の下によろいをちらつかせながら、われわれ社会党委員各位の追撃を避けてまいったのであります。そうして、ここにまだわれわれはその質疑を残しておるのでありまして、遺憾千万な次第でありまするが、ここにその討論に移ったわけであります。
 そこで第二に、本法案の政治的意図でありまするが、昭和三十二年でしたか、自民党の治安対策特別委員会は、民主社会党をいざない、自民、民社共同提案としていわゆる政防法を本院に提出したのであります。わが党は、この法案は国民の基本的人権に関するものであり、労働連動、大衆運動の弾圧法であるので、断固反対いたしまして、同年六月二日の衆議院法務委員会は非常な混乱をいたしまして、議事は速記もできない状態のもとに可決されたのであります。そうような経過を経て参議院に送付されたのでありますが、参議院では審議未了となったのであります。そこで自民党においては、大衆収奪、労働運動、大衆運動の弾圧法としてこれを正面から打ち出せば、強力なる反対にあう、社会党はもちろん、国民大衆の抵抗は大きいのでありますから、これを回避するために本暴力法の改正を考えたのであります。そして国民の前には暴力団退治という美名のもとに本改正案を打ち出して、第四十三国会に提出したのであります。御存じのように、この法案につきましては衆議院法務委員会において審議未了となりました。ところが政府は、なおさらに、次の四十四国会に全く同文の改正案を提出しまして、これまた審議未了になったのであります。昨年の臨時国会、解散後の総選挙を経まして、この国会に三度目の提出をいたしたのであります。二回も審議未了になったものをそのまま提出いたしまして、これは暴力団撲滅のための法律であるということで、前二回と同様の方針でその説明をいたしまして審議に入ったのであります。そこでわれわれは、もしも昭和三十四年以来暴力団の撲滅に対してほんとうに政府が真剣に立ち向かいましたならば、このような暴力団の絶滅については相当の成果をあげていなければならないと思うのであります。さらに昭和三十六年二月二十一日には暴力犯罪防止対策要綱というのが発表されまして、この内容については委員会において相当の論議がかわされたのでありまするが、もしもこの暴力犯罪防止対策要綱に基づいて政府がその先頭に立って暴力団の絶滅に当たりましたならば、いわゆるチンピラその他の暴力団に対して非常な迷惑をこうむっておりますところの国民は、この政府の対策に協力し、支援いたしまして、そうして官民一体となってその防止に尽くしましたならば、現在においては、その成果があがっていなければならない。ところが、その成果があがらずに、政府提出の資料によりましても、三十四年以来だんだん暴力団はふえまして、昭和三十八年におきましては五千百三十団体、十七万余人がおるのだ。そのうちの六万人を検挙しておる。検挙者も年々ふえておる。そこで、検挙をしながらどうして暴力団の絶滅ができなかったかと申しますと、これは真に現行刑法のもとにおいて、この法律に対して官民こぞって良心的に全力を尽くして、そして法の適用を正しくいたしましたならば、その成果はあがっておるはずであります。暴力団取り締まりに熱意のないこと、さらにまた大きい原因は、本委員会でもわれわれの同僚委員からたびたび指摘されましたように、暴力団の根源を絶つことができない。いなむしろ、その根源を絶つどころか、暴力団の親分に対してはいろいろな関係を持っておる、また資金源を供給しておる、そういうような疑いもあったのであります。
 先ほど横山委員の質問に対しまして、三十八年の七月二十八日に大野副総裁が出席した問題は、読売夕刊、各紙並びに地方紙に一斉に出ておりますが、神戸のやくざ団体の本多会の二代目の会長襲名披露祝賀会に大野副総裁が出席されておる。地元代議士中井一夫氏の懇請もだしがたく出席されておる。このように政党の副総裁ともあろう方がやくざ団体の披露祝賀会に出席するということは、総理大臣もそれが暴力団かどうかはわからないといろいろ申しておられましたが、一事が万事でありまして、こういうような関係を持つところに暴力団の根源を断つことができない。いなむしろ、昨年の総選挙のごときは、この暴力団を選挙運動に利用し、その支援を求めて当選をする、こういうような状態である。さらに地方議会の議員におきましては、いわゆる暴力団といわれるような人が議席を持つ。そうして地方議会を掌握する。こういうような状態であっては、いかに法的組織を完璧にいたしましても、これは法定刑を重くして罰するという威嚇だけではとうていこれを撲滅するようなことはできないのであります。この根源を断たないから、暴力団を取り締まるという法律案を三回も出しながら、その間に少しもこの暴力団の減るどころか、ふえるというようなこの現状であるというのは、これはいかに陳弁いたされても、あるいは百分の一程度のものはチンピラ暴力団に対するところの威嚇的社会防衛のためにはなりましょう。しかしながら、法を改正し、法定刑を重くしても、とうていこの暴力団の絶滅はできないのであります。
 そのような関係にあるこの暴力法に対して、三回も執拗にここに提出されるのはどこに政治的の意図があるか、これはまさしくわれわれ社会党がここに絶叫いたしまするように、この法律は大衆運動、労働運動に対する弾圧の労働刑法としての役割りを果たすために、ここに法律を通過さして、そうしてできた法律はひとり歩きをして、現暴力法と同時に、なおその上にこの暴力法によって大衆運動、労働運動の弾圧にこれを利用するというよりほかに何ものもないと言わざるを得ないのであります。
 そこで本法案の内容につきましては、これは委員会においてわが党各委員の質問に対していろいろと明らかにされ、その欠陥も十分指摘されたのであります。その一つを申し上げますと、第一条ノ二の「銃砲又ハ刀剣類ヲ用ヒテ人ノ身体ヲ傷害シタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役」と、法定刑の最下限が引き上げられたのであります。そうして罰金がなくなっております。ここで一番問題になりますのは「銃砲又ハ刀剣類」で、この類については、いわゆる銃砲刀剣類等所持取締法の第二条の解釈をそのまま持ってきたのである。こういうふうに言われるけれども、このように刑法の体系に大きく影響するような法律をつくる場合は、その条文の中にやはりその定義を記載すべきである。これはわれわれ法律家が言う条文のていさいからも定義すべきである。これを定義しないところに、この「銃砲又ハ刀剣類」、その類が拡張解釈されまして、ついには労働運動におけるところのプラカード、旗等もこういうのに拡張解釈して入れられはしないか、入れられる疑惑が十分にここにあるのであります。先ほど横山委員が指摘されましたように、かつて参議院の木村篤太郎氏は、マッチのあの小さい一本でも凶器である、こういうことも権力を乱用し、そうしてその解釈を拡張する場合には、常識をもって判断できないような拡張解釈がそこに出てくるわけであります。このような点からいたしましても、この第一条ノ二の法律は、われわれが主張するところの労働運動、大衆運動の制圧の法律として乱用されるのではないか、この疑いが十分に存するのであります。
 さらに、第一条ノ三の、常習として傷害、暴行、脅迫、器物損壊年等を犯した場合は、これまた特別刑法といたしまして、一年以上十年以下の懲役に処して、その法定刑の最下限を引き上げておるのであります。御存じのように労働運動、いわゆるストライキ等の場合の犯罪については、いわゆる争議関係の犯罪には傷害罪が一番多いのでございます。したがって、これを暴力法の常習規定といたしましてこの中に入れることは、それだけ労働運動に関する常習処罰の度を高めることを意味するのでありまして、これは労働争議、大衆運動に拡大されるおそれが十分あるのであります。参考人も申しましたように、団体交渉の際に、特に大きい声をしただけでも脅迫になる。大きい声をして鼓膜に振動をしたならば暴行である。傷害と申しましても、単なるかすり傷でも傷害である。こういうような関係からいたしまして、これは暴力団に対するところの適用法律でなくて、労働運動、大衆運動に拡大適用すると断言しても間違いないと思うのであります。ことに昨日の松井委員の質問に際しまして、銃砲刀剣類による犯堤の法定刑の最下限を引き上げる立法の趣旨は、判決でいわゆる宣告が怪いのでこれを引き上げるのである。これが唯一の理由になっていたのです。しかし実際は、昭和三十八年の東京地方裁判所の判決によりますと、この銃砲刀剣類によるところの犯罪では一年以上の判決が七割五分で、大部分であって、たった六件だけが一年以下の刑である。二割五分にも該当しないわけでありますから、この銃砲刀剣類によってなお殺人、殺人未遂という現行刑法を考えますときに、何も銃砲刀剣類による犯罪として法定刑を引き上げる根拠は乏しいのではないか、かように存ずるのであります。
 その他いろいろありまするが、本法律案の内容は、いま一言いたしました点だけからいたしましても、もちろんチンピラの暴力団の取り締まりに対しては、その威嚇的あるいは法律の運用に当たっての幾らかの使命はあるのでありますが、しかしその大部分は、暴力団撲滅という美名のもとに現在の支配権力を維持するために、被支配階級の労働運動、大衆運動を制圧するために、現在これを制圧するところの法律が、先ほども申しましたように警職法、政防法ができることが困難であるという、その前提として、そのかえの法律として、この暴力法の改正にかかっておる。こういうものがその陰にひそんでおるということをわれわれは指摘し、確信して、これを主張することができると思うのであります。
 なおたくさんありまするが、このように社会党は、この法律改正案に対して反対をいたすものであります。
 さらにこの民社党の修正案でございますが、このような修正をいたしましても、われわれ社会党としては、現暴力法並びに改正案に対して、根本的な反動立法、治安立法として反対をいたしておるのであります。この修正案を見ますると、破防法の第三条に規定してあるのとほぼ同じであるようでありまするが、破防法に対しては、このような訓示規定がなくても、破防法自体がその構成要件が厳格であり、大衆運動等に乱用できないようになっているのでありまするから、この法律ができました現在においても、この法律の乱用ということが免れておるのであります。かりにこの改正案に対して修正案があったといたしましても、これはその基本法が乱用のできるような法律でありますから、このような修正をいたしまして一カ条を加えたところで、それはもあの用には立たないと存ずるのであります。かような意味におきまして、民社党の修正案に対しても反対をするものであります。
 かようにわれわれは、いわゆる政府が暴力団撲滅の法律として出した本法案に対して反対をする。
 暴力団の撲滅に対して社会党は不誠意ではないか、熱意がないではないか、こういうことを言われるのでありまするが、われわれは、現在の暴力団は、現行刑法をもって官民一体となり、行政措置によってその取り締まりを遂行し、その現行刑法をフルに適用いたしますならば、何もこの法律をつくって改正してやる必要はないというたてまえをとっておるのであります。したがいまして、われわれはこの暴力団の対策に対しては熱意を持っておるのであります。先日暴力対策要綱を発表いたしたのでありまするが、すなわち、この暴力団の撲滅に対しては、社会党も政府も与党も一体となりまして、ここに行政措置の円満なる遂行を期して、そうして現行刑法をその撲滅のために運用する。こうやらなければならない。したがいまして、チンピラのお礼参り等のためにこの法律の法定刑の最下限を上昇しまして、そうして権利保釈ができないようにする、こういうことを言われるのでありまするが、常習者とか、あるいは保釈になって、その本人が被害者とかあるいは近親者に対して被告を加える場合は、刑事訴訟法において権利保釈の場合にこれを除外してあるのであります。何もこの法律の最下限を上げまして、そうして権利保釈の点をこの法律でやる必要はないのであります。いなむしろ、これは労働運動等においてこの法律を拡張乱用いたしまして、そうしてたとえばストライキの場合においては、その組合の指導者をこの法律の容疑者として逮捕して、さらに起訴するときに権利保釈をしないということになりますると、ストライキはついに――その組合の活動家、その主力となって働く人がこの法律の乱用によってぶち込まれるということになれば、自然とそのストライキは労働者側に不利になる。こういう結果になるのでありまして、こういう点からいたしましても、労働組合、大衆連動の弾圧法であると言わざるを得ないのであります。こういうようにわれわれは、この現行刑法のもとにおいて行政措置を官民一体となって完璧を期して、暴力団対策に邁進しなければならない、かように考えておるのであります。さような意味におきまして、本暴力法は、政府の言われる暴力団退治のための法律ではなくして、それはいわゆる表面のことばであり、その衣の下は大衆運動、労働運動を弾圧するところの法律である。これを指摘いたしまして、この法律案並びに民社党の修正案に断固反対の趣旨を明らかにするものであります。(拍手)
○濱野委員長 小島徹三君。
○小島委員 私は、自由民主党を代表して、竹谷源太郎君提出の修正案に反対し、政府原案に賛成いたすものであります。
 暴力に対する憎しみ、暴力を憎む感覚は、元来日本人には多少あいまいな点があると考えられるのであります。目的さえ正しければ手段として暴力も当然許される、いな、許されるというより、むしろ正当化し、ときには美化さえされんとする傾きすらあるのではないかと思うのであります。かたき討ちという名前、仁侠道という名前、さらには労働運動、大衆運動等という美名のもとに、ときには暴力的行為すら許されるのではないかというような錯覚があると思われるのであります。このような法の支配に対する認識が薄いということは、民主主義国家としての発展に大きな障害であることは言うまでもありません。しかし、このような法の支配の認識の強化ということは、単なる一片の法律の改正などで容易に解決できるものでなく、政治の姿勢を正すとか、経済政策、社会政策等の点について十分なる考慮を払わない限り、根本的の解決はないということは事実でありますが、今日町に横行する暴力をとりあえずなくすることが緊急の要務であると考えられ、ここに本改正法案が提出された理由があると思うのであります。
 この改正により、暴力団を中心とする町の暴力を直接取り締まりを強化することができるとともに、暴力というものは社会秩序維持の上には許さるべきものではない、法の秩序こそわれわれの生活にとっては絶対のものであることを一般に認識せしむる役を果たすものと私は考えて賛成するものであります。
 次に、竹谷君の修正案につきましては、その言わんとするところの意図はわかるのでありまするけれども、刑事法の中にかかる訓示的一条を挿入することは異常であるのみならず、現わずもがなのことであると考えられまするがゆえに、これに反対するのであります。(拍手)
○濱野委員長 竹谷源太郎君。
○竹谷委員 私は民主社会党を代表いたしまして、暴力行為等処罰法改正法案に対する不肖竹谷源太郎提出の修正案に賛成し、政府原案に反対の意を表明するものであります。
 わが党は、最近の悪質な常習的組織暴力の激増にかんがみ、この際、これが取り締まり強化のための立法措置を講じ、もってこれら組織暴力から一般市民の権益を保護し、社会秩序の維持に万全を尽くすべきことの必要性は、これは認めるものであります。政府案は、かかる現状に対処するため、特に銃砲刀剣類を用いた悪質な傷害や常習暴力犯界に対し、刑罰の強化をはかるとともに、お礼参り等の悪弊を除去するため、権利保釈の適用の除外並びに裁判の迅速化のための単独裁判官の審理等を規定しており、その目的が組織的暴力団の取り締まり強化に置かれておることは、きわめて明白であります。わが党は、その意味で政府案の趣旨そのものには賛成であるが、目下誤解もしくは誤解とはいえ反対論が宣伝せられ、これにより一部国民の間に疑惑が起こっている点も考慮すべきであり、なお特に現在の警察、検察行政の民主化が必ずしも徹底されていないことを十分考慮すべきであると考えるものであります。
 暴力行為処罰法第一条第一項は、団体もしくは多衆の威力を示し、または凶器を示し、もしくは数人共同して暴行、脅迫、器物損壊の罪を犯したる者は三年以下の懲役または五百円以下の罰金に処すと書いてあるのであります。そこで暴力団がなぐり込みに出かける、総会屋が株主総会で集団で威力を示す、あるいは不良少年団がいなかから東京に出てきた修学旅行の生徒や学生をつかまえてこれを取り巻くといった行動とともに、労働組合が会社当局と団体交渉を行なう、あるいはデモ行進をして会社に乗り込むといった行動も、これらはともに暴力行為等処罰法第一条第一項の団体または多衆の威力を示す行動となるのであります。憲法で保障された労働組合の団結権、団体交渉権、団体行動権並びに集会結社の自由権、これらに基づく行為も、不法な暴力団等の行動も、十ぱ一からげに一応本法の対象となるのであります。また常習という点につきましては、その人が習癖として反復これをたびたび実行するという定義は判例で確立されているから、こういう理由で政府は組合活動家が常習と認められるようなことはするはずがない、そういうことは考えられないと言っております。しかしながら、組合活動家が組合運動の中で暴力をやるという習癖があると認定されますならば、この法律の適用が起こってくるおそれが十分にあるのであります。その行動が正当か正当ではないかということで、判断が必要となってまいる次第であります。すなわち、このようなわけ合いから、この法律は両刃の剣となるおそれが多分にあるのでございます。しかしながら、だからといって私は、正当な組合運動に乱用されるおそれがあるからといって、この種法律を撤廃すべしという意見は、暴力犯罪のばっこ跳梁を許すものであって、賛成はできません。しからば暴力団等の社会を乱す憎むべき暴力行為を徹底的に芟除しつつ、そうして一方において正当なる組合の労働運動、大衆行動を守り、これを保障するのにはどうしたらよいかということになると思うのであります。
 それには不法邪悪な暴力団を一掃し、しかも国民の自由と権利を完全に保障し、これを侵害しない法律をつくる責任があると考えるものであります。そのためにはわが党提出の乱用防止の修正案を取り入れ、この法律を破邪顕正、邪悪を破り、正しきをあらわすところのりっぱな正しい剣として鍛え上げる責任があると考えるのであります。よって、乱用防止のわが党修正条項を一項挿入し、そうして本法に対する国民の一部の疑惑を一掃するとともに、第一線の取り締まりに当たる警察、検察の過誤なき執行の指針を示すことがきわめて必要にしてかつ有用なことであると確信をするものであります。
 わが党は、以上の理由によりまして民社党の修正案に賛成し、政府提出法案に反対するものであります。
○濱野委員長 志賀義雄君。
○志賀(義)委員 私は、本改正案に反対であり、現行法そのものを廃止すべきであると強く主張するものです。
 そもそも現行法は、戦前の軍国主義的天皇制が支配した旧憲法体系下の旧刑法の特別法として立法されたもので、新憲法のもとでの刑法体系とは全く異質のものでありまして、当然廃止されなければならないものであります。しかるに、これを廃止するどころか、さらに改悪しようとしておるのでありますが、これまでの審議の過程で明らかになりましたように、改正案の内容は、新しい犯罪類型規定をつくって現行刑法体系を乱し、またきわめてあいまいな規定を数多く含んだものであります、たとえば傷害の未遂罪でありますが、傷害の未遂罪という犯罪類型規定は、現行の刑法の中にはないものであり、政府がいま進めておる刑法改正準備草案にさえないものであります。政府の答弁は、このことを白々しくごまかしています。したがって、本案は現行刑法体系のもとでは容認することのできないものであります。しかも質疑を通じて、この傷害未遂罪の新設が、現に労働運動に乱用されておる本法第一条を一そう広範な民主運動弾圧の武器として活用される危険性をつくり出すことが明らかになったのであります。本改正案には、その他認定範囲のあいまいな常習性の規定、裁判の構成に関する裁判所法の一部改正や、権利保釈をなくするなど、きわめて問題の多い法案であります。
 本改正案については、労働者階級や民主主義法律家がすべて反対しておりますし、法制審議会の刑事法部会の専門家の多数が政府案に反対したのであります。この法案を、政府自民党は審議の初めから強引な成立を企図し、今日に至っては一方的に質疑を打ち切ったのであります。この法案が成立しても、暴力団の絶滅は現在の裁判所、検察庁、警察をもってしてはできません。かえって暴力団は巧妙に形を変えながら増大することは火を見るよりも明らかであります。しかもこの法案の成立を池田内閣があせる理由は、アメリカに従属しながら、開放経済体制で過酷な搾取と収奪を強化するために弾圧政策に利用しょうとしているからであり、特に戦後未曽有の規模で続出している中小企業の倒産、経営困難や、大経営の合理化の推進などに対する人民の反抗を抑圧しようとするものだからであります。また、日韓会談の強行に対する戦いの高まりに対する弾圧体制の強化とも深く結びついております。この法律並びに改正案は明らかに弾圧立法であります。
 暴力団犯罪をみずから取り締まるためと政府は提案理由で説明していますが、それなら、なぜはっきり暴力団への適用を明記しないのか。現行刑法でも、これを正しく運用するならば暴力団は十分に取り締まることができるのであります。このことを無視して政府がこの提案理由によって無理押しをしようとするのは、今日までの審議の過程で全く明らかになりましたように、根拠のないものであると言わなければなりません。したがって、私は民社党の修正案をつけ加えても、この悪法案の本質は変わらないものと考えます。これに賛成することはできません。政府は、暴力団をほんとうに取り締まるつもりならば、まず第一に、政府及び与党が、みずから暴力団、右翼団体との一切の関係をきっぱり断つことを内外に宣言すべきであります。警察が資本家、暴力団とぐるになるのをやめるべきであります。政府にはこの熱意も誠意も全くないのであります。
 以上、私は民主的大衆運動の弾圧法案である本法の改正案に反対するとともに、これを粉砕するために断固今後とも戦うことを表明して、私の発言を終わります。
○濱野委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、竹谷源太郎君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○濱野委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○濱野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)
 おはかりいたします。ただいま可決せられました法律案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  〔報告書は附録に掲載〕
○濱野委員長 本日はこれにて散会いたします。
   午後九時四十六分散会