第046回国会 本会議 第5号
昭和三十九年一月二十四日(金曜日)
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 議事日程 第四号
  昭和三十九年一月二十四日
   午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
           (前会の続)
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○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
           (前会の続)
   午後二時三十六分開議
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
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 国務大臣の演説に対する質疑
           (前会の続)
○議長(船田中君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。一平岡忠次郎君。
  〔平岡忠次郎君登壇〕
○平岡忠次郎君 私は、二十一日に行なわれた池田総理の施政方針演説、並びに大平外務大臣、田中大蔵大臣による外交、財政演説に関し、日本社会党を代表して、総理以下関係閣僚に対し質問をいたさんとするものであります。(拍手)
 質問の第一は、政府の格差解消へのかまえは何かという点であります。
 三年半前に、池田内閣は登場早々に所得倍増を掲げ、いわゆる経済成長政策をとってまいりました。対外的には、主としてアメリカからの外資借り入れ、対内的には、日本銀行からの通貨増発及び財政投融資を通ずる国民の零細資金の動員によってつくられた資金を、大企業の設備投資に傾斜的に集中することによって、その政策を進めてまいったのであります。その結果、生み出されたものは、まず第一に、格差の拡大であります。池田内閣の施政をこのままに放置せんか、経済的に、独占資本と被支配階層たる国民一般とに両断される危険なしとしないのであります。あえて言うならば、日本経済は、五百社余りの巨大資本によって壟断せられ、国民はこの一握りの集団によって死命を制せられておるといっても過言ではないのであります。
 質問に入る前に、まず巨大資本の独占の実態について解明しておく必要を認めます。三十六年度末で、金融機関を除く法人企業数は五十八万ございます。そのうち資本金十億円以上の巨大企業は五百五十九社でありまして、全体の〇・一%にも達しないのでありますが、法人企業全体の資本金の五九%、総資産の四七%、純利益の四四%を占めております。〇・一%の企業群が、自余の九九・九%の弱小企業群をしり目に国民経済の優に半ばを掌握しております。まことに驚異に値するおそるべき実態であります。(拍手)日本の全産業の構成とすれば、このほかに、農業、漁業、個人零細企業、官業等がありますが、それらを全部ひっくるめても、依然として独占企業の支配率が半ばを聾断していることにさしたる変わりはございません。なぜならば、右にあげた諸産業のうちの最も大きいと見られる農業の実態をとらえてみても、いわゆる三ちゃん農業として気息えんえん、今日現在、農業従業者は、全産業従業者の二七%の比率に落ち込んでおり、収益率も低い低生産性部門であるからであります。
 この格差は一体何によって生じたか。明らかに租税の二重構造がその一つの理由であります。税制調査会の昭和三十五年十二月の報告書によると、日本のカルテル、すなわち工業、紡績、化学繊維、製紙、肥料、製鉄、電気産業、貿易商社、電力、都市銀行の十大カルテルの法人税の実効税率は、二四・七%にすぎず、税法で定められた一般の法人税率三八%と比べ、著しい格差を示しているのであります。格差の原因は、巨大企業に傾斜して行なわれる租税特別措置によるものであります。田中蔵相は、開放経済に立ち向かう現時点から見れば、最も必要なものは資本蓄積減税であり、消費に向かう公算の大きい所得税の大幅減税は、景気抑制の見地からも考えものだと称して、所得減税をむざんにも六百五十億円に大圧縮し、自然増収の六千八百億円の十分の一にも満たぬ顕微鏡的数字で税制調査会をいたくおこらせ、他方、三百数十億円を企業減税に振り向けて、依然として巨大企業本位の格差拡大に余念がないのであります。このため、租税特別措置による免税は三十九年度で年間二千億円、地方税のはね返り分を加えますと約三千二百億円となり、しかも、そのうちの九〇%以上が、すなわち三千億円に達せんとする巨額が、巨大企業群並びに関係高額所得者層への一カ年間の傾斜減税額であります。総理は、この租税の二重構造をいかに評価しておられるか、御所見のほどをお示し願いたいのでございます。(拍手)国民は、戦後十八年の間、常に、輸出の振興のため、資本蓄積のためという美名のもとに、瞞着されてきました。いまや国民は、自民党政府と財界とのヤミ結託の魂胆を見抜いております。もはやお茶を濁すていの御答弁では済まぬ性質のものでありますから、この際、しかと総理から、租税の二重構造を早急に廃止すべき旨の御意思の表明を賜わりたいと存じます。
 格差のよって来たる第二の要因は、金融の二重構造でございます。わが国廃業の最近の自己資本の比率は、二七%以下に落ち込んでおります。よって企業の運営は、かかって銀行等の他人資本に依存しており、この銀行の背後に、通貨増発の伏魔殿の日本銀行が、自主、中立性を政府に奪われつつ控えておりますことを注目すべきでありましょう。三十七年十二月末現在で、銀行の数は八十七行、そのうち、巨大資本と巨大預金を有するのが、十二のいわゆる都市銀行であります。銀行運営の資金は預金者の金、足らざるは日銀を通ずる国家の金、すなわち通貨の増発、信用インフレであります。都市銀行十二行の預金高は、三十七年度末で、全国銀行総預金高の五八%を占め、また日銀オーバーローンは、九九%までが都市銀行向けであります。十二行に独占されたこの巨大な資金が、系列の巨大企業に次から次へとつぎ込まれているのであります。かくのごとく独占企業は、金融の上から見ても、隔絶した優越の地位に立っております。自民党政府の指導が、そのうしろだてであることはもちろんであります。(拍手)国民大衆は、それだけに泣かされておるということになりましょう。
 右のごとく、税制及び金融の二面における自民党政府の経済政策は、格差拡大の自動装置をしつらえているのであります。したがって、この自動装置を基礎にしての高度成長政策は、従来にも増して、一そう格差を拡大したことは理の当然であります。今回、予算編成に中小企業、農業の近代化革新がうたわれ、前年度予算、財政投融資に比して、スズメの涙ほどの前進が見られたとしても、それはコップの中の水
 の分量を上げたほどのことであって、格差拡大の自動装置を根本的に変えなければ、近代化革新はから念仏に終わると私どもは思っておりますが、政府があえて笛太鼓で近代化革新をうたい上げている御心底のほどを、この際総理からお答え願いたいと存じます。
 まことに、税制調査会の累次の答申は政府によって無視され、日銀の中立性は政府によって侵され、独禁法の保護者、公正取引委員会も、政府の封じ込めにあって有効には働いておりません。中小企業、農民、労働者等一般大策は、巨大な独占に対する自己の防衛と不満を、何に向かって訴えたらよろしいのでありましょうか。池田内閣の政治姿勢は、弱肉強食のレッセフェールの論理を最も強引に貫いてまいりました。高度成長政策の美名のもとに、税制と金融にそれぞれ二重構造を構築して、格差拡大に寄与して余すところがなかったのであります。日本の八倍の富を有し、底辺の生活水準のずっと高い米国ですら、ジョンソン大統領は、その年頭教書で、格差解消のため貧困への挑戦を誓っているではありませんか。いま国民の渇仰するところの政治は、経済成長を演出する政治屋ではなくて、国民に固有の主権を経済平等にまで進展させるために心を砕く哲人的指導であります。成長あって生活なしといわれている池田首相は、従来の麦めし精神を国民にさらに押しつけ、今後ともあなたの指導理念とされていくつもりであるかどうか。(拍手)それとも、財政、金融、租税など、その施策全般について、労働者、農民、中小企業者等国民大衆の立場を基盤として、格差解消に向かって政策の基本を一新するというのかどうか。格差に対処すべき総理の御所信を承りたいのであります。(拍手)
 次に、高度成長政策の悲しむべき落とし子、物価高の問題につき、総理の見解をただしたいと存じます。
 まず、私どもは、現在見るがごとき異常な消費者物価の高騰は、政府の国民に対する罪悪だとお感じになるべきなのに、一向にその御様子もなく、卸売り物価さえ横ばいならとの一点ばりであるのがふしぎでなりません。ただいまではその卸売り物価すら怪しくなってまいりました。よし、卸売り物価が横ばいだとしても、卸売り物価で食っている国民がいるわけではないのですから、そのすりかえはやめていただきたいと思います。(拍手)
 総理、あなたの治政下の三カ年、消費者物価は連続して六%以上、すなわち二割以上の高騰となっています。そのため大衆の家計のやりくりもたいへんでありますし、貯金をしても損をするだけであります。いま、国民の預貯金は国全体で合計約二十兆円ですが、三年間で二〇%の物価騰貴ですから、総理、あなたによって減らされた額は四兆円ということになります。(拍手)かりに銀行強盗が百万円を盗んだとしたら、犯人は三年の監獄行きは確実であります。とすれば、国民から四兆円もの大金を奪い取った池田総理は、実に千二百万年の刑に値するということになります。(拍手)総理はこれを罪悪とお考えにならなければ、どうかしております。物価高以上に所得をふやした、あるいは、卸売り物価は横ばいだから、おれは無罪だというお答えは、独占企業へのあなたの言い分ではあっても、低所得のもと、消費者物価で暮らす一般国民の赤字家計簿への申し開きにはならないのであります。(拍手)消費者物価抑制は、わが国の国際収支是正に連なるべき課題としても、また、大策の消費生活にとっても重大問題でありまして、政府も寄り寄り、公共料金値上げ一年ストップ等、身ぶりよろしく御腐心の様子でありますが、ここでは、私は、政府がともすればほおかぶりをきめ込もうとしている管理価格と間接税の引き下げの二点にしぼって、政府の所信をお伺いすることにします。
 まず、総理にお尋ねすることは、総礎も施政方針演説で、消極的には御承認しておられる様子ですが、独占価格、いわゆる管理価格の引き下げ指導は、政府に課せられた国民経済的任務ではないかということであります。先刻来私がるる申し上げたとおり、資本、資産を壟断し、純益の半ばを壟断し、金融と減税の恩恵を専有し、かてて加えて、中小企業に大打撃を与えるほど労働力を集中し、かつ、外国からの新技術をも独占している巨大企業の卸売り物価を横ばいにさせておくこと自体が誤りであります。(拍手)独占企業の多くは、生産性河上にもかかわらず、カルテルを陰に陽につくって、価格引き下げを拒んでおります。向上で上げた利益を私的に独占し、消費者物価の引き下げに寄与しないのは、独占企業の繁栄の実態が政府の不当にして不正な庇護に基因するだけに、社会公共に対する不作為の犯罪と申さなければなりません。(拍手)政府は、よろしく国民生活を守る側に立って、物価高騰を封じるため、独占価格、管理価格を突きくずして、物価の大幅引き下げを全般的に、かつ、強力に推進すべきであります。総理に、現下の物価高騰を悪なりとし、政府と独占企業の共同責任なりとする御反省があるならば、物価引き下げの方策として、独占価格、管理価格の引き下げを大きく取り上げなければならないと思うのでありますが、総理の御所見を承りたいのであります。(拍手)
 引き続いて、通産大臣から、板ガラス、珪素鋼板、アルミにとどまらず、引き下げ勧奨の対象として他にいかなる商品を考えているか、具体的にお示しを願いたい。
 また、渡邊公正取引委員長からも、いかなる企業がその対象に取り上げらるべきか、取り上げ方の基準等につき、所信のほど御開陳を願いたい。さらに、公取委員長からは、政府が特定産業振興臨時措置法案等を出しましてカルテル価格を設定するがごときは妥当かどうかについても、御所見をつまびらかにされたいと存じます。
 次に、間接税の徹底的引き下げについてであります。砂糖消費税について見れば、従来キロ当たり小売り百四十円前後であったものが、現在百九十円前後に大暴騰し、主婦と台所を苦しめていますが、関税、消費税の二本立てで政府がキロ当たり六十五円という重税を課しながら、去る特別国会では、消費税でわずか五円減税ということでお茶を濁しました。某氏の表現に従えば、腹が減ったからめしをくれという国民に対し、杯にめしを入れて出してきたという不誠実ぶりであります。(拍手)この考え方を改め、さらに、近く砂糖の重課を思い切って大削減するつもりはないかどうか。たばこについても、小売り価格中六八%が税金というこの軍税を、この際大幅に引き下げ、大衆の家計を軽くするとともに、物価引きて下げのムードを政府みずからの手でつくり出していくかまえがあるかどうか。砂糖、たばこは、政府にその決意さえあるなら、すぐにもできる物価引き下げの対象であります。大蔵大臣から具体的に御答弁を願いたいと存じます。
 次に、池田内閣の経済成長政策の第三のひずみとして、国際収支逆調の展望は、国民経済にとって、本年度その打開を求めらるべき重大関心事項であります。
 もともと、三十八年度の国際収支は、経常収支の大幅赤字を主たる原因として、総合収支においてもなお赤字となることは免れず、三十九年度も輸入素材の高価格水準はなお続くと見られ、一方、在庫率が低いだけに、輸入の増加ばやまないでありましょう。その上、借り入れ金利子、ロイアルティー、運賃支払い等、貿易外収支の赤字幅の拡大や、長期資本の流入増加がドル防衛の強化から期待できないだけに、よし、輸出の好調が続くとしても、総合収支均衡に危機が存するのであります。従来、経常収支の赤字が構造的にあったが、外貨借り入れで埋め合わせ、かろうじて総合収支でぼろを出さずに済んでおったものが、ドル防衛政策の大波を食らって、国際収支の危機の実態がはっきりと洗い出されてきたわけであります。
 金ドル準備は、十二月末ですでに十九億ドルの大台を割りました。このテンポはきわめて早かるべく、年度末三月には十六億ドル台も割りかねない勢いであります。田中蔵相は、IMFからのゴールド・トランシェ一億八千万ドルのうしろだてもあるから、だいじょうぶだなどと申されているが、大切なのは、つじつま合わせの総合収支ではない、経常収支黒字なりと政府が国会答弁ができ得るような心がまえを持っているかどうかであります。
 私の質問は、危機打開のための借金主義という短見的テクニックではなくて、経常収支の立て直しについて政府はいかなる方針と展望をお持ちなのか、総理並びに大蔵大臣から御答弁をいただきたいのであります。(拍手)
 さらに、政府は、経常収支において、物価についてと同様、この二両年中に黒字を出すということを国民に向かって約束することができるかどうか、大蔵大臣並びに宮澤経済企画庁長官から御答弁願いたく存じます。
 次に、国際経済の中に日本の占むるべき位置とその使命を誤りなく見定めることは、わが国の経済外交を推し進めていく上に重要不可欠であります。そこで、この際、私は、OECD加盟に関する政府の外交方針につき二、三ただしておきたいと存じます。
 まず、OECDへの加盟は、政府はこれを取りやめるべきではないかという点であります。加盟による経済的メリットは、御承知のごとく、単に各国の情報収集くらいのことであって、きわめて微少であります。四月のIMF八条国への移行と、引き続いてのケネディ・ラウンドの関税一括引き下げすら、日本経済にとって重圧となるのに、OECD加盟となっては、資本取引の自由化までしいられることとなり、日本経済はこの開放経済ラッシュに耐え得ないのではないかと心配されておるのであります。合理化の進むところ、しわ寄せが国民大衆の上にかかり、その生活が根底からゆすぶられるという意味においてであります。具体的問題としても、海運規制の大幅譲歩のごときは、再建途上の日本海運への一大痛棒となって、今後の国際収支への影響甚大との声が強いのであります。しかしながら、それにも増して、この加盟がもたらすであろう政治的危惧は、アジア外交の基本問題と微妙にからみ合うのであります。私は、ここでは、経済的功罪論ではなしに、政治的功罪いかんの観点から政府の所信をただしたいと存ずるのであります。
 御承知のごとく、OECDの掲げる目標の一つは、先進諸国による低開発地域の開発の援助であります。私ども日本社会党は、開発の援助の国際的協力には十分の熱意を持っており、進んでこれをやるべきだと考えております。ただし、開発援助のあり方について、戦後の特徴は、戦前のごとく、植民地をかまえて搾取のためにこれを開発するという、いわゆる帝国主義的植民地方式は、国際通念としてもはや存在せぬということであります。開発援助はひものつかないものでなければならないということから、たとえば、国連経済社会理事会のごときグローバルな機関の決定によってこれを行なうべきであることが至当と考えられているのであります。しかるに、OECDは国際的派閥機関とも申すべきであって、ここにいう国際機関ではない、加盟国の数わずかに二十にすぎず、しかも、前身はマーシャル・プランを受け継いだOEECであり、NATOの別働隊として、反共的性格の強いグループであります。日本が加盟の場合、軍事同盟NATOと日米安保体制とを土台とするこのOECDは、自余の諸国家、特に大多数のAA諸国とは対決する結果となるのであります。と申すのは、実際にOECD加盟の先進国が旧来の植民地主義を完全に払拭したという保証は、残念ながらないからであります。これではひものつかない低開発国援助がアジアにおいて生まれるわけがありません。OECDは東西対立の緩和を促進しないばかりか、南北の対立をもさらに激化する危険を内包するといわざるを得ないのであります。
 総理は、昨年秋アジア訪問のおり、インドネシアとマレーシアの紛争について調停に立とうとされたが、調停に入る以前に敬遠された経験をお持ちであります。解決持ち越しの今回の東京会談も、単なるお座敷提供に終わったように見受けられるのであります。英国と気脈を通ずる米国と同調してスカルノを説得するというかまえが、とりもなおさずOECDの立場でありますから、池田首相のこの立場からの居中調停は成功の公算皆無と言えましょう。単純にアジア民族という親近感だけに訴えてみても、それはむだというものであります。OECDのネオ・コロニアリズムに対決するかまえがなければ、アジアの一国としてのわが国の役割りは果たし得ないでありましょう。新興アジア諸国にとっては死活の問題、総理にとっては単なる名声の問題、この両者の重みを取り違えるほど、スカルノはじめアジアの諸国民は甘くはないのであります。(拍手)口先だけでなく、総理のアジア外交に処する基本的な考え方をここにあらためてお聞きいたす次第であります。
 去る十八日の記者会見で、ことばでは、総理は確かにアジアの立場に立つと言明されましたが、総理のアジア外交の基本が一体どっちを向いておるのか、依然として国民には判じかねるのであります。西欧かアジアか、マレーシア問題は、その二者択一を具体的に総理に迫っております。OECD加盟は、将来アジア諸国の経済開発に日本の寄与する道をふさぐおそれこそあれ、道を開くものでないことは明らかであります。OECD加盟につき御再考の余地はないものかどうか、総理並びに外務大臣から承りたいのであります。
 最後に、私は、日本政府が外交政策の基本を閉鎖的なOECDに求めるべきではなく、むしろ、包括的普遍的な国際連合にこれを求めるべしとの建設的見地に立って質問をいたしますから、政府の腹蔵ない御答弁を願いたいと存じます。
 もともと、政府の外交の基本に、国連を中心とする世界政策がうたわれております。私は政府のこの方針が忠実に実行されることを心から願うものであります。幸いに、国連経済社会理事会の肝いりで低開発諸国の念願がかない、総理、外務大臣のお述べのごとく、今春以降三カ月余にわたって、国連貿易開発会議がジュネーブにおいて、国連の加盟国及び非加盟国をも含めて、約百二十カ国の代表によって開かれます。この会議では、低開発国の経済発展、貿易の拡大と援助について、そのとるべき政策など政治的合意に達することが予定されております。国際的派閥、しかも、軍事同盟とうらはらのOECDへの加盟よりも、経済外交のオーソドックスの路線として、かかる国際会議の成功のためにこそ力をいたすべきであります。国連外交を推進し、低開発国援助資金は国連へ出し、そしてその使途は国連機関にまかせること、これが本筋であります。自民党の、政治資金は国民協会へのキャッチフレーズは、そのまま、OECDはおやめになって、国際連合へということに通じましょう。(拍手)この観点から、日本が国連外交に重点を移す足場として、エカフェの東京招致を考えるべきではないかというのが、私どもの提案的質問であります。よって、エカフェ事務局の東京への移転をこの国際会議に提案すべしとの私どもの意見に耳を傾け、これを考慮する御意思があるか、御見解のほどをお示し願いたいのであります。
 平和日本が低開発国に援助できる正しい立場は何かといえば、繰り返して申し上げますが、OECDへの加盟ではなくて、国連を通じての協力であるべきであります。東京がアジアにおけるデカダン的国際都市ということではなしに、アジア友邦の畏敬に値する経済活動のメッカとなるような外交措置こそ望ましいものであると確信いたすものであります。(拍手)
 以上の各点につきまして、総理並びに大平外相、宮澤経済企画庁長官の御答弁をわずらわしたく存じます。
 以上をもちまして、日本社会党を代表しての私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の第一点の、租税二重構造、あるいは金融二重構造につきましてお答え申し上げます。
 およそ、租税の原則には、公平平等の原則あるいは社会政策的原則、あるいはまた、経済原則、徴収簡易の原則等、財政法上いろいろ原則がございます。したがいまして、公平の原則はもちろん守らなければなりませんが、その上に立って、日本のごとく経済の高度成長の場合におきましては、産業基盤強化のために、経済的原則にのっとって、いわゆる租税掛買法を設けることは、当然のことでございます。しかし、また、これはいつまでもこれに非常な重点を置くべきでないことはもちろんでございまして、われわれは、産業基盤の強化と同時に、この租税特別措置法はだんだんこれを少なくしていっておることは、御承知のとおりであります。また、片一方におきましては、公平の原則と、中小企業対策に対しましては租税上いろいろな手段をとっておることは、すでに御承知のとおりでございます。特に私は、来年度の減税におきましては、昭和三十七年あるいは三十八年におきましては、中小企業には百五、六十億円の減税しか行なわなかったのを、三十九年度には六百億円をこえる減税を計画しておることをごらんくだされば、われわれがいかに中小企業に対して租税政策においても心を砕いているかということがおわかりと思います。
 次に、金融の二重構造の問題につきましてのお話でございますが、最近十一、二の都市銀行の伸びよりも、いわゆる中小企業を相手にした相互銀行、信用金庫の伸びが非常に著しいことは、中小企業金融が発達したことを証明するものでございます。私は、日本の金融の実態をよくお考え願いたい。十一、二の銀行が独占的と言われますが、わが国におきましては、都市銀行の十一、二がいいか悪いかということが今後の問題になると思うのであります。もっと集中すべきてではないかという議論があるのでございまして、平岡さんとはだいぶ変わった方向にいっているという実態をごらん願いたいと思うのであります。
 なお、卸売り物価の点でございまするが、卸売り物価が横ばいであるということは、他の先進国と比べて日本の非常な強みでございます。また、管理価格とかなんとか下がっていないとおっしゃいますが、卸売り物価におきまして相当大企業の製品は下がっておるのでございますよ。大企業以外のものが上がっている関係で横ばいをやっておるのであります。外国におきましては、卸売り物価が過去十年間で五、六%上がっておるという事実をごらんくだされば、日本のこの卸売り物価は非常な安定であるということがおわかりであろうと思います。また、生産増強によりまして思ったほど下がらないということにつきまして、労賃が急激に上がったということもお考え願いたいと思うのであります。(拍手)
 次に、国際収支の問題でございまするが、われわれは、貿易収支では赤字を出さぬようにしなければならない、貿易収支では赤字を出さぬで黒字を出すようにやっていきたいと努力いたしております。しかし、貿易外の収支が、船舶その他の関係、運賃その他の関係等々で赤字であることは、まことに遺憾でございます。したがいまして、施政演説でも申し上げたごとく、船腹の増強、観光事業の推進をはかって、このますますふえんとする貿易外収支の赤字を埋めようとしておるのであります。
 これは私への質問ではございませんが、ただいまのところ、貿易収支並びに貿易外収支、いわゆる経常収支において、ここ一、三無の間に黒字を出すということはなかなか至難でございます。私は、一、二年のうちにはできませんが、四、五年のうちにはやらなければならぬと考えておるのであります。
 次に、OECDの問題でございますが、OECDは先進国の派閥機構だとか、あるいはNATOのかわりであるとおっしゃることは、OECDの実体を御存じないことと思います。OECDというものは、やはり日本がlMF八条国になり、関税一括引き下げに協力し、しかも有力な発言を持とうとすれば、OECDに入らなければ日本の立場は苦しくなる。IMF、OECDの機構、いまの世界における状態をお考え願いたい。しかもまた、非常に誤った考え方は、OECDが南北問題を解決するにじゃまになると言われることにおいては、いかに認識が不足かということに私は驚くのでございます。こういう意味におきまして、日本がOECDに入ることは、日本のみならず、世界のため、ことにAA諸国、低開発国に対しましてその開発に協力しようとする日本の熱意をもっともっと広く世界に示し、世界を引っぱって、南北問題解決への一番の道であると私は考えておるのであります。(拍手)
 なお、東南アジア紛争で、私がこの紛争の仲介に入ったときに、スカルノやマカパガルから敬遠されたということに至っては、ますますおかしいのでございます。スカルノやマカパガルは、それはうそであると、いまに否定するでございましょう。どうも日本は、日本の外交をよりよくしようとせずに、事もないうそを言いながら引っぱろうとすることは、わが国の外交にとらざるところであることをはっきり申し上げておきます。
 また、物価が二割上がって、私が刑罰を受けなければならないというたとえは、ちょうど所得がそれの倍以上も上がっておるということをお忘れになったことばであるということを申し上げておきます。(拍手)
 なお最後に、エカフェの事務所を日本に持ってこようということの考え方は、東南アジアのためになるかどうかをよくお考え願ったら、お答えしなくてもわかることかと思います。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 税制、金融、国際収支の問題に対しては、ただいま総則大臣からお等えがございましたので、管理物価を引き下げるか、間接税、特に砂糖及びたばこの引き下げを断行する意思はないかという御質問に対してお答えを申し上げます。
 御承知のとおり、間接税は昭和三十七年に大幅な減税をいたしました結果、おおむねその税負担は妥当な水準にあるものと認められるのであります。その意味におきまして、現在減税の緊急性がないものとして、来年度の間接税の減税は行なわなかったわけであります。
 それから砂糖の問題でありますが、国際価格が上がったり、税負担の問題等がありましたので、去る十二月に砂糖消費税の減税を行なったわけであります。平年度約七十億になると思いますが、これらの減税を行なったのでありまして、現在消費税体系の中でほぼ妥当な水準にあるものと考えております。
 たばこにつきましては、いつもお話に出るのでありますが、御承知のとおり、葉たばこの収納価格は年々引き上げられておるにもかかわらず、たばこの小売り価格は昭和三十一年から据え置かれておるのであります。その意味から言いますと、たばこは値下げになっておるのでありますから、現在の状態においてたばこの価格を引き下げようという考えはありません。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 総理の答弁を一、二点補足させていただきます。
 貿易外のいわゆる経常収支で、この一、二年の間に黒字が出ることが可能かというお尋ねでございますが、一、二年ではそれは私は困難であると思います。その第一の理由は、やほりわが国の貿易量が毎年一割二、三分ずつ伸びておるわけでございますが、現有船舶及び積み取り比率から申しますと、伸びた分だけのものをわが国の船が積み取るというわけにまいりません。したがいまして、貿易量がふえるだけやはり海運収支の赤字は大きくなる。IMF方式で、今年度で四億二千万ドルぐらいの赤字になると思います。したがいまして、大型の専用船だけでもやはり三百万トン近くのものをこの三、四年の間につくりますこと、それから積み取り比率を、ただいま五〇%前後でございますが、それをさらに三、四割上げなければならないのではないか、かなりの時間がかかるわけでございますが、そのほうに施策をしてまいらなければならないと思います。
 それから、そのほかの要素といたしまして、御指摘のように、導入外資の配当送金、ロイアルティー等がございますが、これらはわが国の輸出力になっておるはずのものでございますので、その分だけはやはり輸出の黒字が出て、その送金分をカバーする、こういう姿になっていくべきものと考えておりまして、幸いにして輸出は一割二分くらい伸びておりますので、多少の時間をかしましたら、そこのバランスはとれると思います。しかし、一、二年でとおっしゃいますことは、無理であろうというふうに考えるわけでございます。
 それからOECDでございますが、これは御承知のように、たとえばスウェーデンでございますとか、オーストリアでありますとか、スイスでございますとか、現在のOECDのメンバーの中でNATOに対してはかなり批判的な国が相当あるわけでございますから、おっしゃいましたようなことはないように思います。むしろ昔の植民地との親近感を持っておる国が相当OECDの中にございますから、植民地主義というのではなくて、低開発国援助その他の問題を一結に相談をしていくいい場所であると思いますし、ことに今年は、延べ払いの問題でありますとか、あるいは国際流動性の問題でありますとか、そういう相談事をいたしますのに国際経済が大切な時期にきておりますので、ただ情報の収集でなく、わが国の立場をあらかじめ各国と調整して、一つのものにつくり上げるという場としてはきわめて大切であり、有意義であるというふうに実感をいたしております。(拍手)
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 私は、平岡さんの御議論には、半分賛成するところがありますし、半分反対でございます。なぜかといいますと、大企業はすべて悪いというたてまえで立論をされておるようでありますが、私は、平等ということ、また、自由ということの観点から見ると、そういうたてまえで律していったのでは、社会生活はできていかないと思う。大体、大企業でも、その自分の企業の社会性を認識して、社会に奉仕するという気持ちでやっておるならば、これはむしろ尊重すべきであります。むしろ、小さい企業であっても、その社会性を認識しないでやっておったら、これは軽べつすべきであります。私は、こういう観点からものを見ていっていただかなければならないと思うのであります。(拍手)
 そこで、そういうことでございますが、あなたが言われたように、大企業のうちにでも、そういうようないわゆる社会性を認識しないものがあったといたしますならば、われわれとして、政治的にこれを規制していくというか、指導をしていくことは、これは当然でございます。しかしながら、大企業がやはり資本あるいはまた借り入れ金等をもって仕事をしております以上は、いわゆる価格を決定する場合において、この資本に対する、何といいますか、利子の支払いであるとか、あるいはその他のいわゆる対価を払うということを十分考えてやらなければ、仕事はできない、こういうことは十分考えていかなければなりませんが、しかし、その大企業が生産性を上げておるのに、その生産性を上げておるものを全部資本のほうへ持っていくというようなやり方をしておれば、これは社会性を認識しない企業といわなければなりませんから、これは押えていかなければならない。こういう意味で私たちは通産行政をやっていくべきであって、大企業であるとか小企業であるとかいう観点でもってそういうような指導をしていくというわけにはまいらない、差別をつけるわけにはまいりません。
 そこで、いま具体的に、板ガラスとか珪素鋼板、アルミのほかにどういうことがあるかということでございましたが、私たちは、すべての事業についていま言ったような観点から行政指導をいたすつもりであります。そういうような、いわゆる反社会性的なことをやっておれば、私たちとしては、たとえば自由化をやるとか、輸入量を拡大するとか、関税率の引き下げをやるとか、あるいはまた、新規な企業を興させるようにするとか、いろいろなことを考えてやっていくのでございます。いまお話がありました板ガラス等につきましても、平岡さんなどがそういうことをお考えになり、また公正取引委員会等もそういうことを考え、われわれも、いろいろそういうごもっともな御意見には賛成をしてやっていかなければならないと思って指導をいたしておりまして、板ガラスについては、御案内のように、二十日から六%これが値下げされる、一部のものでございますが、六%値下げを見るようになったというわけでございますので、これからも、あなたの御意見も尊重しながら、しかし、私たちは、独自の、あなたとはちょっと違った、大企業とか小企業とかいうような観点ではない、いわゆる企業全般に対してその社会性を認識させるという立場で行政指導をやってまいりたいと考えておるところであります。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) OECDに対する御批判に対しましては、総理並びに宮澤国務大臣から御答弁がございました。ただ一点だけつけ加えさしていただきたいのは、最近OECDの機能はだんだん進化してまいりまして、ひとり経済の問題ばかりでなく、科学政策、観光政策、その他いろいろ機能が伸びておるということと、それからわが国はAAグループのメンバーでございますが、AAのメンバーであるという地位においてOECDのメンバーであるということが、AAのためであると私は考えております。
 それからさらに、平岡さんは、OECD加盟によって非常に苦しい立場に立つ、できたら回避したいというお気持ちがあらわれておりましたが、退いて繁栄の楽園があれば私どもも同調いたしますけれども、しかし、困難ではございますが、未来へ向かって波を切り開いていかなければ、日本の未来はないと思うのでございまして、そういう意味で、せっかく御理解をいただきたいと思うものでございます。
 それから、エカフェの事務局の問題でございますが、先ほど総理から御答弁がございましたが、あれは一九四七年以来、タイ国がたいへん御協力いただきまして、ただいままで非常に順便に経営されておりますので、これを東京に移すというようなことを日本が提案するということは、いささか友誼にもとるものと思います。しかし、平岡さんがおっしゃるように、日本がアジアの立場におきまして、国連の事務的な機構が東京になくていいというわけのものではないと思うのでございまして、私どもは、東京の立場におきまして、国連の機構を日本に導入するということにつきましては、あなたのねらいに対して共感を覚えるものです。(拍手)
  〔政府委員渡邊喜久造君登壇〕
○政府委員(渡邊喜久造君) お答えいたします。
 公正取引委員会としましては、いわゆる管理価格につきましては、価格の硬直しているもの、その品目を全部いまあげておりますが、しかし、同時に、それと並行しながら、特に企業の数が少なく、しかも、生産性が相当向上してコストが低下していると思われるのに価格があまり下がっていない、こういうものを特に対象としまして、現在その調査に当たっております。なお、その他のものにつきましても、今後さらにその調査を続けていくつもりであります。
 次に、特振法の関係でございますが、公正取引委員会としましては、法案作成の段階で、許容するカルテルの範囲を、合理化のための共同行為に限定し、かつ、その範囲を必要最小限度にとどめております。また、これらのカルテルが価格に不当な影響を与えることのないよう、十分関係各省と調整いたしまして、この法案が成立したとした場合におきまして、公正取引委員会としましては、共同行為の認可にあたりましては、一般消費者、関連事業者等の利益を十分考慮して、それらの利益が不当に害されることのないよう厳格に措置してまいるつもりであります。
 以上、お答えいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 横山利秋君。
  〔横山利秋君登壇〕
○横山利秋君 私は、日本社会党を代表して、中小企業、農業、労働の三部面について、主として当面焦眉の急務の問題を焦点として、社会党の考えを明らかにしつつ、池田内閣の所信をただしたいと考えておるものであります。(拍手)
 まず、中小企業問題であります。
 開放経済のあらしには吹かれる、大企業の圧迫には悩まされる、金融引き締めは始まっておる、加うるに人手不足、労働者はなかなか就職してくれない、物価が上がれば賃金は上げなければならぬ、技術革新で新製品の対策が必要だ、流通革命はどんどん発展をする、まさに中小企業の土台石をゆるがすような悪条件が重なりつつあるのであります。この事態を反省をされたのか、池田内閣は、鳴りもの入りでいわゆる革新政策を呼号されました。しかし、いま国会に提出された中小企業関係予算は、増加したといっても、総予算からいえば、何とわずかに〇・五%にしかすぎません。農林予算も不満なものではありますが、それでもまだ七%であります。これで中小企業に革新的政策だなどとは、口が裂けても言えるものではないと私は考えておるのであります。(拍手)財政投融資は一二%、政府はめんどうを見られたおつもりでありましょう。しかし、中小企業は、深刻になりつつある金融引き締めに非常な不安をみんな抱いています。公定歩合の引き上げがもはや必至であると各方面が見ていますが、もしそうなれば、ますます窓口規制と相まって、資金難と金利高の両面から中小企業にしわ寄せがくるでありましょう。すみやかな引き上げを主張する日銀と、政策転換の非難をおそれる政府との問に、意見の相違があるようであります。申すまでもなく、公定歩合は日本銀行の問題であり、政府の容喙するところではありません。しかし、政府の経済政策破綻の必然的結果としての引き上げであり、中小企業には、心理的にもかつ実際にも大きな影響のくることは必然であります。政府は、陰に日本銀行を牽制し、みずからの責任をたなに上げようとしているのでありますが、迫る公定歩合の引き上げと、中小企業に与える影響及びその対策について、大蔵大臣はいかに処置されるつもりであるか、明らかにしていただきたいのであります。
 今日、政府の行なう中小企業金融の実態はそのしりが抜けているということを、専門家である総理や大蔵大臣が御存じないはずはありますまい。全金融機関の中で、中小企業向け貸し出しは、政府関係三公庫を合計いたしましても、三十七年七月で九%、三十八年七月には八・五%に下がっているのです。本年わずか、二割くらい貸し出し規模をふやしたところで、また、手形割引を新たに設置したところで、従来の例からいうならば、全くこれは、焼け石に水ということができます。すでに窓口規制をしておりますが、市中銀行は、これをいいことにして、コストのかかる中小企業のワクを少なくして、大企業向けに集中融資をするであろうことは、三十二年の不況の例をまつまでもなく、必ずやると見なければなりません。現に、全国銀行の中小企業向け貸し出し実績は、三十七年七月で総貸し出し高の二九%だったのが、昨年七月には二六%に下がっているのであります。われわれが、歴年、声を大にして、銀行法の改正をしろ、そして市中銀行の中小企業向け融資比率をきめて、官民にわたる、資金全体の流れの中から資金を確保せよという声を、いつまで大臣は放置していくつもりです。どんな理由があろうと、しょせん、銀行に気がねをしたり、大企業のことを考える池田内閣の実体を如実に物語っているものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)中小企業を泣かせています歩積み、両建ての禁止をわれわれが提起してから、いく久しいものがあります。たとえば五百万円借りて、三百万円はすぐに定期にとられて、そして毎月積み金が締めて二百万円近くになっている。結局幾ら借りておるのか、極端に言えば、一文も借りていないのに、元金五百万円の利子をいつまでも銀行に納める。中小企業の苦しさに便乗するこういうけしからぬやり方が、金融引き締めを契機として、もっと重くなってくるであろう。昨年末ようやく大蔵省が重いしりを上げたのですが、いささかも実効があがっていないではないか。金融機関にサボタージュをさせる原因が池田内閣や与党内にあるのか。歩積み、両建てを征伐するというなら、けじめをはっきりしたらどうでありますか。
 大蔵大臣に伺います。あなたは、たいした案でもないのに、二、三年たたなければ実現できないような相銀方式とか全銀方式という自粛措置に満足して、責任を果たしたとお考えでありますか。この案を了承した理由をこの際承りたい。
 公取委員長に伺います。あなたは、この方式だけでは満足しないとされているそうですが、その理由をはっきり承りたいのであります。
 下請代金の支払い遅延と単価の切り下げが開放経済と技術革新の本年の重大な問題の一つであります。親企業からは単価を下げよ、合理化して生み出すか、それができなければ取引は中止だと問答無用ともいうべき高圧的な一律下請単価の引き下げを押しつけられ、下請は無念の涙をのんだだけで、公取へ行くにはあとのたたりがこわい、団結して対抗するには組織が弱い、労働者の賃金は上げなければならぬ、近代化するには、政府資金は娘一人に婿八人、なかなか借りられぬ。通産大臣は、この現状についてどうお考えでありますか。法の所期する、自由にしてかつ公正な関係は、親企業と下請の間には断じてないのであります。この際、下請単価の適正化と支払い促進に画期的な措置をとる必要を認めませんか。下請を守るために下請関係法をつくり、かつ公取の機能を強めてこれを守るべきである。また、国会の附帯決議事項となっている紛争処理機関について、政府は団体組織法の一部改正でごまかそうとしていますが、こんなことで解決するものではありません。この際、通産大臣は、下請企業を守る方途を明らかにすべきであります。
 また、地方公正取引委員会が、深刻なこの問題について、何ら見るべき成果をあげていない理由は何であるか、公取委員長に明らかにしていただきたいのであります。
 これらは二、三の刻下の問題をあげたにすぎません。私の言わんとするところは、池田内閣の中小企業対策は、中小企業の中で中以上の企業に焦点を当てているにすぎません。また、団地や商店街を三十幾つおつくりになるそうでありますが、これとても、農業構造改善事業と同じように、返上論や計画の遅延が一ぱいあります。これは結局、点をつかまえているにすぎないのであります。総合的な中小企業対策、特に零細企業対策に至っては、結局は商工会の職員のベースアップをするだけじゃありませんか。皆無といってもいいのであります。それは、経済政策の中心が、国際、国内場裏で外国資本と日本独占資本との競争にいかに日本資本を勝たせるかに目が向けられ、そのための大資本の合併や近代化がはかられ、中小企業対策もしょせんそれに奉仕するだけであって、中小企業者のための中小企業対策でないからでありましょう。(拍手)
 社会党は、この際、あらしの中の中小企業のために、簡潔に次の八項目の提案をします。われわれは、この提案が今日の自由主義経済の中でも可能なことであり、米国をはじめ各国にも例があり、かつまた、中央会をはじめ各種中小企業団体の賛同のもとに、中小企業を長期にわたって発展させるのはこの大道であると確信し、この際、具体的ではありますが、総理の答えをいただきたいと思うのであります。
 第一には、中小企業省を設置して、総合的な中小企業政策を樹立、推進することであり、第二には、銀行法を改正して、先ほど申したとおり、官民金融機翼を通ずる中小企業向け金融を全体的立場で把握し、確保することであり、第三には、国、県、市、公団、公庫の発注を中小企業に確保するために、米国の実例を参考にして、官公需の一定パーセントを中小企業に振り向けること、並びに大企業の中小企業分野に対する不当な進出を防止するために、産業分野を定めること、第四には、五人未満の労働者を雇用する中小企業にも、社会保険を強制適用するほか、最低賃金、厚生福祉の充実と、予算の確保をはかり、労働者が中小企業に安んじて働く体制をつくることであり、第五には、零細企業のために、法人税率を所得税率のように刻みをもっと多くする、そして減税をする、事業税を撤廃する、固定資産税の増税を取りやめる、税務行政の民主化をはかって、その焦点を大企業のほうへ向けることであります。第六には、紛争処理機関を設け、公取を強化し、中小企業とその団体がみずからの主張を公正かつ自由な競争裏に明らかにできるようにすること、第七には、基本法に基づく関連法規を直ちにすベて国会に提出すること、第八には、高度成長経済政策こそが、中小企業に打撃を与えている真の原因であることを反省し、政策を転換して、計画経済のもとに二軍構造の解消を目標にして、中小企業の安定と発展をはかること、以上の諸点の実現こそ輿に中小企業者の努力とくふうを生かし、期待にこたえる革新的政策であるのでありますが、心新たにして、不安におののく中小企業のために、誠意をもってわれわれの提案にこたえられんことを要望したいのであります。(拍手)
 次は農業問題でございます。
 四年前制定されました農業基本法は、農業従事者の自由な意思と創意くふうを尊重しつつ、農業の近代化と合理化をはかって、農業従事者が他の国民各階層と均衡する健康で文化的な生活を営むことができるようにすること、それを目標にして発足しました。そして農業構造改善事業がその中心的施策となっています。しかし、国民所得に占める農業所得は逐年低下しています。たとえば、昭和二十五年度が二〇%、三十年度でも一九%でありましたが、三十七年度は一〇%ではありませんか。これは政府が昨年十二月発表した農業及び農家の社会勘定によっても明らかなところであります。しかも、池田内閣の高度成長政策は、農村から若い労働力と中年労働力を引き出し、農業に従事していますのは老人と婦人となり、日本農業は著しく老衰化しているのであります。加えて貿易の自由化が促進され、海外の安い農畜産物の輸入が急速にふえて、三十年度に二千八百六十億円だったものが、三十七年度になりますと、三千六百三十六億円の増加です。
 以上指摘した諸問題が重なり合って、全国の農民は、農業に未来をつなぐ希望を失い、混迷をしつつあるのであります。高度経済成長のために農業にひずみが生じたので積極的にこれもまた革命、革新的措置をやると言明せられた内閣が、国会に提出いたしました明年度の総予算に占める農林予算は七%、食管繰り入れを引きますとわずか七%で、これでは戦後最低の農林予算ではありませんか。この予算からは、停滞し混迷していく日本農業を未来のあるものに発展させることは期待できないと私は信ずるのであります。
 日本社会党は、さきに農業基本法を国会に提案し、さらに最近農業憲章を発表し、農政の方向を貿易の自由化から農畜産物を除き、思い切った国土の利用、生産構造の改善、価格の補償を行ない、農民を人間として尊重し、そのために資本と物資を十分に供給することを訴えてまいりましたが、われわれの提案を含めて、池田総理に、この際、今日までの農政の基調を真に農民の人権を尊重する立場に置きかえて農政の転換をすべきであると思うが、基本的なお考えを承りたいのであります。
 農林大臣には具体的に四つの質問をします。
 第一に、食糧その他の生活資源を安定した価格で十分に供給することは、日本経済と国の独立の土台でありますが、その主要食糧を他国にたよるやり方は、国の基本を誤るものと私は考えます。昨年十一月二十九日の経済審議会農林漁業小委員会の報告によりますと、いま池田内閣の進めています農産物の貿易自由化が完全に実施されれば、食糧自給度は三十六年には八四%であったのが七二−七八%に低下するといっています。その結果、農産物生産額が二千百億ないし四千七百億も少なくなれば、農民の生活に及ぼす打撃はきわめて大きいのみならず、ひいては農産物の輸入増加によって、国際収支の赤字に一そうの拍車をかけるでありましょう。社会党は、米麦とあわせて牛乳、果実、食肉、蔬菜などの消費をふやし、国民に西欧水準のカロリーと栄養を保障するために、国内産農産物の需要と供給の長期計画を立て、農協を通じて生産と出荷の計画化を行ないたいと考えています。そのためには、重要農畜産物を貿易自由化から除外して保護していかなければなりません。農林大臣は、自由化から重要農畜産物を除外して、最大限食糧自給体制を確立する意志があるかどうか、この際、明らかに所信を承りたいと存じます。(拍手)
 第二には、政府は農業の構造改善事業を実施して、二町五反の自立農家をつくることを目標にしています。この農業構造改善は、全国どこに行きましても、農民の不平、不満に満ち満ちています。政府が思ったように進んでないことは、すでに御存じのとおりでありましょう。かつて池田総理の宏池会が鳴りもの入りで指定し、全国的に農村三家として宣伝されました成田市豊住地区の構造改善地区が、昨年十二月、四十五町歩を残して農民から返上されましたように、まことにこれは深刻な問題であります。要するに、それは価格の補償のない農畜産物に膨大な借り入れ金をして生産をしてみましても、責任の所在が明らかでないのでありますから、肝心の償還計画が成り立たないのであります。社会党では、真の構造改善を進めるためには、積極的に農業共同化を考え、基盤整備を全額国庫の補助で融資額をふやし、金利は三分五厘以下、償還は五年据え置き、三十五年返済、そして国の責任で農機具センターをつくり、農産物の価格の補償をすることがなければならないと考えています。農林大臣は、現在の農業構造改善事業を再検討して、農民の自立性を尊重しつつ、国の責任を明らかにして、農民が安心して取り組めるように抜本的に手直しをすべきだと思うが、いかがでありますか。(拍手)
 第三に、政府はいわゆる選択的拡大と称して、これからの農業は酪農、畜産、果樹だとして奨励しています。最近の飼料の値上げを行なう一方、アメリカの脱脂粉乳を八万五千トン輸入、乳価が二回にわたり値下げ、これは全国の酪農民の激しい怒りを呼び起こしています。バナナ、干しブドウの輸入は果樹農家の不安の対象です。国の責任で生産を奨励しながら、輸入で生産農家に不利益を与えて平然としているということは、無責任もはなはだしいといわなければなりません。(拍手)政府はこれらの諸問題を放置しておく気であるかどうか、農林大臣にお伺いしたいのであります。
 第四、政府は農業に対し革命的措置をとるといって、今度新たに補助金を整理し、融資に重点を置く道を開きました。しかし、借り入れのための有力な担保物件、主として農地を持たない零細農家には、この制度資金は借りられないのではありませんか。したがって、政府のこの融資対策は零細農すなわち貧農はほうりっぱなし、しょせん切り捨てに通ずるではありませんか。政府は零細農に対する対策を放棄しているのではないか、零細農に対する所信を明らかにしてもらいたいのであります。
 最後は、労働問題であります。
 労働者もまたことしは暗い一年だと思っています。産業の合併、企業の倒産、物価の値上がり、米軍の一部撤退からの首切り、産業事故の続出など、働く人々は、生活と職業の不安から生命に至るまで、経済政策のあおりを受けるであろうことを感じ、職場や家庭に根強い焦燥感が渦巻いています。物価を上げたのは労働者ではありません。企業の倒産を中小企業の責任に帰すべきでもありません。事故の続出は合理化にきゅうきゅうとして人間を大切にしないことに根本原因があります。労働者とその組織が、これらの不安を打開するために、団結して戦うことは、法に許されたことであり、むしろ、法以前の自衛措置とも言い得るでありましょう。今日の状態が続く限り、ことしの春闘は、総評、同盟会議、新産別、中立単産を含め、なみなみならぬ事態に立ち至るであろうと予想されるに至っておるのであります。
 総理に伺いたいのであります。あなたは、労働者には革新的政策というおことばを使いません。それは労働者にはしわ寄せがいかないとお考えでありますか。それとも、しわ寄せがいくけれども、自力で打開しろとおっしゃっているのでありましょうか。あるいはまた、しわ寄せがいってもしかたがないとお考えなのでありますか。自由民主党の大会はいわゆる労働憲章案をたな上げにされました。私は、形ばかりの進歩性すら許さないこの結果にその本質をあらためて認識するのでありますが、労働大臣もまた昨年秋の日経連の大会で、不当な賃金アップを押えていく対策が必要だと述べ、暮れになると賃金政策についての見解を発表され、間接的な言い方ではありますけれども、明らかに賃金の上昇を押えるべきだと発言をされたと私は考えます。今日、池田内閣のとりつつある政策は、アメリカのドル防衛政策には協力する、国内においては賃金の上昇を押え、安い商品を維持し、国際競争力をつけて、海外輸出を強化するという昔ながらのソシアル・ダンピングの原則と少しも違わないと私は考えるのであります。(拍手)もし、そうでないとおっしゃるなら、また、生産性が、あるいは経済力がヨーロッパ並みだとおっしゃるなら、賃金だけがヨーロッパの半分だと主張する労働者の声に、この際、真剣に耳を傾けるべきではありませんか。(拍手)物価の値上がりに悩む労働者、首切りの不安におののく家族のために、日本経済の発展を誇示される総理から、以上の点について、労働政策の基本的な考えをこの際承りたいのであります。
 私は、次に、社会の底辺に呻吟する膨大な低所得者のために、総理と各閣僚の注意を促したいのであります。昭和三十七年就業基本調査、統計局のでありますが、年収十八万円未満の雇用労働者は、何と八百八十六万に達しております。年十八万以下ならば、月の固定収入は約一万二千円以下であります。当時の生活保護世帯の月支給額が一万二千円くらいですから、実際働いていながら、生活保護世帯以下の収入であります。その後金額が若干は上がっているとはいえ、物価も上がっているのですから、いまなお八百万の人々が人間を認めないような賃金で働いているのであります。
  〔議長退席、副議長着席〕
 昨年八月、最低賃金審議会は答申を出しまして、現状の最低賃金が産業別、地域別に不均衡が多く、金額も安く、締結後の改定がないために実効も薄い、業者間協定が多くて、労働者の意向が反映されない等々の矛盾を認め、現状を改善するとともに、四十一年以降、根本的検討をすると発表いたしましたが、その後の産業の激動と物価の高騰は、それまで放置することを許さない状態にあります。現在三百三十円以下の協定はほぼその五分の三、すなわち月に八千円以下の賃金であります。これではまさに本法は物価高と求人難の今日、その機能を麻痺している、失っているといっても過言ではありません。
 労働大臣に伺いますが、本法の改正をはかるとともに、雇用の現状とこの制度の全き運営を期するために、すみやかに全国一律の最低賃金制定の作業を始めるべきだと考えますが、あなたの率直な所見を伺いたいのであります。
 次は、ILO条約です。八十七号条約批准のために、日本の政治、日本の労働の各界が費やした時間、努力、経費はことばに尽くし得ないものがあります。しかも、問題はとっくに煮詰まって、まさに判断だけの問題、約束を履行するかどうか、信義だけの問題となっています。しかも、いまや池田総理の決断と統制力にかかっているといっても過言ではないのであります。(拍手)
 総理にあらためてお伺いします。倉石忠雄という人は、いやしくも自由民主党の機関であるlLO世話人会の代表ではございませんか。総評の責任者と文書の交換が行なわれ、書記長・幹事長会談が行なわれ、あなたとも連絡があるはずである、この事実について、いつまでもあなたは責任をとらぬつもりでありますか。もし、総理であり、また総裁であるあなたが責任を持つ人であるならば、直ちに、これに基づく修正案を本国会に提出すべきことは当然なことではありませんか。(拍手)そうでないならば、政府・与党が倉石氏を通じて、労働者と野党第一党の社会党に重大な背信行為をしたことになるではありませんか。一部の与党内の反対者に迷って、先ほども話が出ましたが、OECD加入を前にして、国際信義を無視して、労働者を愚弄し、いささかたりとも野党に責任を転嫁するようなことは、断じて許し得ないととであると私は信ずるのであります。(拍手)本日はあいまいな答弁をなさるべき段階ではありませんよ。この際、総理から、八十七号条約と倉石・岩井会談の結果について、イエスかノーか、明白な答弁を要求したいのであります。また、ILOは近く日本に調査団を派遣する模様でありますが、日本政府はこれをすなおに受け入れる用意がございますか、あわせて見解を伺いたいのであります。
 次は、失業と雇用の問題であります。本年は、駐留軍労務者、炭鉱労働者の離職をはじめ、産業の激動、幾十万の出かせぎの増加、求人難、中高年齢層の就職を含め、雇用の問題は実に国の重大な問題して、根本的な検討をしなければなりません。職業紹介の機能は麻痺状態ではないか、地方自治体のなわ張り争いがあるではないか、中小企業の求人が全く困難かつ複雑ではないか等々問題は山積し、労働行政は深刻かつ激増する雇用問題をうしろから追いかけてつじつまを合わせているのが現状といわなければならぬのであります。私は、産業政策が雇用政策に関係なく行なわれ、完全雇用の基本政策がなく、労働者の移動の受け入れ態勢不十分、広域職業紹介は名ばかりで、行政事務は旧態依然たる点を強く指摘いたします。労働大臣から、明年度における失業見込みとあわせて、以上の点について、確信のある対策を明らかにされるよう求める次第であります。(拍手)
 防衛庁長官と通産大臣に伺いますが、米軍の戦略変更によって多くの駐留軍労務者が失業の脅威にさらされています。われわれは、過ぐる国会に、駐留軍労務者の雇用安定法案を取り上げ、労働者に安定した職業への再就職を保障するとともに、この間の雇用と生活の安定をはかることを提案しておるのでありますが、法律による雇用主である政府はどうお考えでありますか。今後予想される失業者数とその対策を、基地の縮小による地域産業対策とともに伺いたいのであります。
 最後に、私は、産業と交通に激増しつつある事故と、労働安全の問題について聞きたいのであります。
 一般的に、合理化や近代化は産業における災害を減少するものと考えられてまいりました。しかし、今日のそれが生産第一主義であり、もっと端的にいえば利潤第一義でありますがゆえに、災害は技術革新とともに質的な変化と重大災害となってあらわれてまいったのであります。企業には社会的責任と人命尊重を強く指導しなければなりませんけれども、指導に当たる政府みずからが生産と利潤を第一義とするような高度成長経済政策の修正を決意することがまず必要なのであります。しかしいま、私は、災害防止の国民的世論を背景として、端的に次の諸点を主管大臣にただしたいと思います。
 運輸大臣、明年度国鉄予算中における保安対策費は、国民的要求にこたえられない予算と断ぜざるを得ません。あなたはこれで国鉄事故の防止に今後の政治責任を負うつもりであるか、明言されたいのであります。
 労働大臣、今日の基準監督署の機構と人員は、数々の事例を引用するまでもなく、全く機動力がなく基準法のPR機関にしかすぎないのであります・あなたはこれをもって全国の企業の安全衛生を法の示すところに行なわしめる確信をお持ちであるか。
 厚生大臣、激増する交通事故の中で、現場において適切な手術措置のよろしきを得たならば、三十八年度、三十七万人に及ぶ死傷者の中で、死亡者の三分の二は救い得たであろうことは識者の一致した見解であります。あなたはこの点について、すみやかに事故現場における救急体制の整備をなさる考えがあるかどうか。
 また当面緊急の問題として、封建的なインターン制度の改革に対する政府の怠慢を不満として、学生の願書提出ボイコットが発展しておりますが、インターンの身分と最低生活保障の確立措置を善処されるかどうか。
 通産大臣、労働災害対策の一元化と拡充は、三池、国鉄を境として天の声、地の声、人の声になっています。あなたはこの際各国の例にならい、鉱山保安行政を本来の専門家である労働省に移される決意をすべきであると思うがどうか。(拍手)
 以上、私はきわめて簡潔ではありますが、政治の谷間にあって職場や店やたんぼで働く人々の苦しみと要望を、われわれの主張とともに明らかにいたしました。総理以下各関係閣僚は、国会を通じて、働く国民諸君に誠意ある回答をせられるよう希望いたしまして、質問を終わる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 私への御質問は、中小企業の根本的解決の提案として八つの項目をおあげになったようでございます。それにつきまして重要な点をお答えいたします。
 まず、中小企業省を設けてはどうかということでございます。私は、行政官庁はやはり業種別に縦割りで行政を行なうべきだと思います。通商産業行政のうちで、企業規模の大小によって行政官庁を変えるということは、私は、その産業のために、大であろうが、中小であろうが、とらないのであります。したがいまして、中小企業省を設置する考えは持っておりません。
 次に、銀行法の改正につきまして、私は、一般銀行法はいまや運用の適正が大事だと思います。したがって、直ちに銀行法を改正するという気持ちはございません。
 また、中小企業向けのいわゆる官庁用品の発注につきましては、関係各省緊密なる連絡をとりまして、中小企業向けの発注が多くなるよう努力していきたいと思います。
 また、従業員五人未満の社会保険の問題でございます。これは強制加入はただいまのところむずかしいと思います。任意的、包括的加入を勧奨していきたいと考えております。
 また、法人税の引き下げは、お話のとおり大賛成でございまして、明年度も画期的にやっておるのであります。
 公取関係の強化は、すでに御承知のとおり、最近、物価問題その他につきまして、公取の活動を強化いたしておるのであります。
 なお、最後の、高度経済成長をやめて計画経済に移らないか、これは私は移るわけにはまいりません。既定方針が国民の支持を受けておると私は確信いたしておるのであります。
 次に、労働問題につきましていろいろお話がございましたが、私は、いろいろな格差のうちで、まず第一、労働の賃金格差が一番早く是正されつつあることを思うのであります。三、四年前に比べますと、最低賃金なんかの問題が非常に早く解決したことは御承知のとおりでございます。しこうして、今回の高度成長が、私は労働者にひどくしわ寄せしたとは考えておりません。労働者の賃金は、中小企業、農業の方々よりもずっと以前から非常によくなっておる。しかし、これで満足してはおりません。あくまで、労働賃金は適正な、いわゆる労使の間できめるべきものでございます。しかし、私はあえて申し上げたいことは、その会社の労使関係でなしに、日本経済全体の歩み、ことに農業、中小企業、公務員その他労働争議のできない方々の賃金も考え、そして日本経済の円満な発展を助長するような方法でやっていっていただきたいと考えておるのであります。
 なお、ILO問題につきまして、倉石なんとか会談というものがあったやに聞いておりまするが、内容はつまびらかにしておりません。私は、いろんな問題を加えて、今国会で十分御審議を願いたいと考えておるのであります。(拍手)
   〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
○国務大臣(赤城宗徳君) 私に対する御質問にお答えいたします。
 第一は、自由化に伴っての対策をどうするかということでございますが、お話のとおりに考えております。自由化は進めなくちゃなりませんし、ただいまのところ、農産物も九二%ぐらいになっておりますけれども、その中でも、米とか麦とか酪農品、あるいはでん粉、こういうものにつきましては、やはり輸入制限を相当続けていかなくちゃならぬ種目だと思います。でありまするから、この自由化をするといたしましても、これは相当おくれざるを得ないし、そうしてまた、いまのお話のように、自給体制をくずすのか、こういうことでございますが、決して自給体制はくずしませんで、国内で生産を一そう進めていく、こういうことに考えております。
 農業構造改善問題でございますが、返上、返上、こういうことですが、これは再々申し上げますように、国内の他産業との格差の是正からいいましても、あるいはいまの国際的な自由化からいいましても、農業の体質改善でございまして、これは好むと好まざるとにかかわらず、みずからがやるべき問題だと思います。政府といたしましては、そういう問題に対しまして助成措置を講じ、ほんとうに体質改善をして力強い農村を建設していきたい、こういう態度で進んでおりますので、構造改善事業等におきまして、欠陥あるいは不備な点等があります面は、逐次これを直すようにいたしております。たとえば、一町村内になお構造改善地区を設けるとか、あるいは今度のように融資単独の費用を増すとか、いろいろな面で是正しながら進めております。
 第三に、畜産関係でございますが、牛乳等をいじめて脱脂粉乳の輸入を続けておるではないか、こういうことでございますけれども、御承知のように、いままでは、なま牛乳の学校給食は、余剰牛乳というような考え方でやっておったのでございますけれども、ことしからはなま牛乳を主として、脱脂粉乳の輸入はだんだん減らしていく、こういう態度に切りかえて進めておるわけでございます。何にいたしましても、消費をふやし、そうして畜産を進めていく。また、えさの問題がございますが、これは需給安定法をなお一そう活用いたしまして、適切にやっていきたいと思います。
 第四は、農民が非常に外へ出ていってしまう、いろいろな面で零細農民の切り捨てを行なうのではないか、こういうことでございますけれども、これは出るという人に対しましては、やはり雇用関係を十分考えていかなくちゃならぬと思いまするし、また、残る者につきましては、先ほど申し上げましたような構造改善その他価格政策全般の農業政策をもちまして、少ない労働力でもやっていけるという力強い農村を建設していかなくちゃならぬ、こういうことで、せっかく努力をいたしておる次第でございますが、いろいろお話の点等は、なお一そう私も頭に入れ、注意して進めていきたいと思っております。(拍手)
  〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) 最初にお触れになりました、中小企業の労務対策として、労働者五人未満の事業場に対し、失業保険、労働者災害補償保険の適用の問題でございますが、これにつきましては、政府といたしましては、昭和四十一年度実施を目途として準備を進めておるところでございます。
 次に、賃金につきましては、総理大臣から答弁申し上げたとおりでございますので、重複を避けたいと存じまするが、私といたしましては、今後とも、経済の成長を達成する過程におきまして、それと見合って賃金の改善をはかっていくべきだと考えております。
 次に、全国一律最低賃金制の点でございまするが、これにつきましては、御承知のとおり、わが国産業、労働の現状から見て、賛否の両論があるわけでございます。そこで、昨年八月、中央最低賃金審議会におきましては、現行法に定める各決定方式を活用し、できるだけ広範囲にわたって有効な最低賃金を決定し、その結果を見た上で、三年後に制度の再検討を行なうことが実際的な方法であろう、こういう趣旨で答申が行なわれ、この答申につきましては、労使間の話し合いの結果によって行なわれたものでもございまするので、政府といたしましては、この趣旨を十分に尊重いたしまして、最低賃金制の実効ある拡充につとめてまいりたいと思っております。
 次に、明年度の失業の問題についての御質問でございまするが、最近までの雇用、失業情勢は、ここ数年にわたる経済の成長を反映いたしまして、全般的には好調に推移し、雇用者の増加、完全失業者の減少が見られておるのでございます。昭和三十九年度におきましても、経済は堅調に推移することと見られまするので、雇用、失業情勢もその基調に特段の変化はなく、全般的に見ますると、大体本年と同様、年平均四十万人程度の失業者数を示すのではなかろうか、かように見ておる次第でございます。
 それから最後に、労働基準監督の問題でございまするが、特に労働災害の防止につきまして、従来から労働基準行政の最重要事項といたしまして、災害防止のため、体制の整備と監督指導を強力に進めてまいっておるのでございますが、来年度予算におきましても、人的に、予算的に大幅な増加を予定いたしております。なお、最近における技術革新等に対しまして、職員の資質の向上をはかりまするため、研修につきましても努力をいたしたいと存じます。
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) お答えいたします。
 親企業と下請企業との関係についてのことでございますが、これは法律もございますが、なかなかこれが法律どおり実施されておらないという面もございますので、公正取引委員会と連絡をとりまして、なおその法律の実施を遺憾ないように処理いたしてまいりたいと思っております。
 また、中小企業とその他の事業との紛争処理問題でございますが、これにつきましては、中小企業政策審議会でただいまいろいろ調査をいたしておりますので、その結果を待って対処いたしたいと考えております。
 次に、駐留軍失業者の問題でございますが、これは主として労働省の雇用対策の問題が中心になるかと思いますが、その地域に適当な産業があるといたしますならば、そこにそういうような産業を誘致することに努力をいたしたいと考えておるところであります。
 なお、鉱山保安の問題につきまして、これを労働省に移していってはどうかということでございますが、石炭産業は、御案内のように、これは生産と保安が一体化しておるものでございまして、これを分離して考えることは困難でございます。私たちといたしましては、やはり労働省と緊密な連絡をとりながらこの行政を推進してまいりたい。今度の三池鉱山の善後処置の問題につきましても、労働省と緊密に連絡をとって処置をしてまいりまして、大体遺憾なきを期し得たと考えておるのでありますが、今後とも御趣旨を体して処理をいたしてまいりたいと思うのであります。(拍手)
  〔国務大臣小林武治君登壇〕
○国務大臣(小林武治君) 中小企業者の社会保険の問題でありますが、これは総理からお答えになったのでありますが、できるだけ任意包括加入というこういう制度で積極的に進めておりまして、現に十数万人の者がすでに健康保険に加入しておる。しかし、なお数十万人の未加入者がありますので、私ども前向きの姿勢で、これらの方々もできるだけすみやかに健康保険に加入できるような方途をとりたい、かように考えております。
 なお、中小企業者に対する福祉施設の大事なことは申すまでもありません。私ども厚生省といたしましては、厚生年金等の還元融資によって、ここ二、三年来中小企業者の共同給食施設あるいは共同住宅あるいは保育所等、これらの点につきましても、またさらに、従業者の福祉会館、こういうようなものにつきましても、全国的にできるだけひとつ進めてまいりたい、これもすでに実行をある程度いたしておることを申し上げておきます。
 次に、交通事故の救急対策の問題でありますが、これはお話のとおりでありまして、死傷、死亡の多くは頭部の傷害による、こういうことで、救急対策がうまくいけば相当数の者が救済できるということは事実でありますので私どもの省におきましても、昨年、救急医療対策協議会というものをつくりまして、いろいろの対策を検討し、近く全国的に厚生省が責任を持って救急医療施設の指定もいたす、そしてこの施設を周知させる、こういうことをすると同時に、なお、来年度におきましては、これらの救急施設における医師の救急医療に対する講習をいたす、こういうことで予算の計上もいたされていることを御了承願いたいと存じます。お話の向きの、さらに私ども、大郷市の大きな外科病院等には脳外科の普及等もいたさせたい、こういうことで、いまそれらの措置を講じておる、こういうふうに御了承願いたいと存じます。
 なお、インターンの問題でありますが、これはお話のように、多少なおざりにしておったきらいがあるのでありまして、私ども、来年度の予算におきましては、国立病院には百名程度の宿舎の準備をいたすことになったのでありますし、また、インターンを受け入れる医療施設に対する補助金も増額いたしたのでありますが、むろん不十分でありまして、今後、インターンが病院等の業務に相当寄与しておる、こういう点からいたしましても、身分や待遇等につきましても前向きの姿勢で解決しなければならぬ、かように考えておることを御了承願います。(拍手)
  〔国務大臣綾部健太郎君登壇〕
○国務大臣(綾部健太郎君) お答えいたします。
 国鉄の運行は、安全、迅速、正確を旨としてやっておるのでございますが、近時、事故の起こりますことは、私の最も遺憾とするところでございます。本年におきましては、保安対策に重点を置きまして、力を入れまして、五カ年計画のたしか六百七十四億円のうち、三十九年度の予算において二百七億円を計上いたしまして、万遺憾なきを期しておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 横山さんにお答えいたします。
 中小企業対策につきましては、一般会計の予算百六十五億円だけをごらんになってのお話のようでありますが、中小企業対策に対しては、政府も最も重要な問題として考え、一般会計、財政投融資、税制、金融等を通じて万般の施策を行なっておるわけであります。
 それから、先ほど八つの御提案の中で、総理大臣からお答えになった分もございますが、一応簡単に申し上げます。
 その第一番目は、昨年末より日銀が金融調整段階に入っておりますが、この間において、中小企業の努力や、また、近代化や合理化というような面について悪影響を及ぼさないように、特に金融に対しては万全の処置をとれということでございますが、政府もそのように考え、開放経済体制に向かいながら、これからようやく設備の合理化、近代化をやらなければならない中小企業の熱意が阻害せられるようなことがあってはならないということで、金融に対しては遺憾なきを期してまいる考えであります。
 公定歩合の問題に対して御質問がございましたが、公定歩合は、御承知のとおり、日銀の金融調節の権限処置でありますが、現在までは、公定歩合の問題に対して日銀が考えておるような状態は承知をしておりません。
 第二の問題は、銀行法の改正をして、市中金融機関の資金のうち三〇%程度だという含みだと思いますが、中小企業に貸し付けるように法定をしてはどうかという従来からの御主張でございますが、御承知のとおり、金融の正常化は、できるだけ統制の方向ではなく、自主的な方向に進めておりますので、法定をしなくとも、政府関係機関の資金量をふやすということや、あわせて市中金融機関の中小企業向けの資金量の確保をはかりながら、貸し出し条件等を優遇していくことによって解決するほうが、より適策だと考えておるわけであります。
 第三の、歩積み、両建ての問題につきましては、これは毎回御質問がございますが、まず、できるだけ自主的に解消をはからせなければならぬと考えております。自主的をいつまでもと考えておるのではなく、行政措置を強力に推し進めながら、歩積み、両建ての解消をはかってまいりたいと思います。しかし、そのような状態においてこれが解消できない場合どうするかという、たたみ込んだ御質問でございますが、もちろん、独禁法等によっての処置をするということになると考えておるわけであります。
 それから、零細の企業に対する法人税率の刻みをふやしてはどうか、それから事業税の撤廃、固定資産税の増大取りやめというような、税に対する問題がございますが、御承知のとおり、ことはし、中小企業の二百万円――従来年二百万円以下の所得には軽減税率を適用しておったのを、三百万円に引き上げておりますし、また、法人税は個人所得税の前取りだという観念でおりますので、これ以上細分化をする考えはございません。
 それから、事業税は、御承知のとおり、応益負担の原則によって都道府県に納めておる税金でありますし、都道府県の税収の二分の一以上がこの事業税によっておるという事実から考えましても、廃止は不可能だと考えております。
 それから、固定資産税の問題については、自治大臣がお答えをいたしておりますとおり、評価がえによって大きく増大しないように万般の措置をとる予定であります。(拍手)
  〔国務大臣福田篤泰君登壇〕
○国務大臣(福田篤泰君) 駐留軍関係の労働問題につきましてお答え申し上げます。
 最近の米軍の一部移動によりまして削減計画が進められておりますが、まだ最終的に結論は出ておりません。ただ、今日予想せられるものは、大体削減される人員は約六千名、空軍関係二千五百名といわれておりますが、実際問題としては、欠員の関係あるいは自己任意退職者の関係もございまして、実数は相当下回るのじゃないかという見通しであります。
 なお、これらに関連いたしましては、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づきまして、協議会を中心にいたしまして、関係官庁と寄り寄り協議いたしまして万全の策をとりたいと考えております。防衛庁といたしましても、施設内の訓練強化あるいは特別給付金の増額、各般の処置を進めておる最中であります。
 なお、雇用安定法につきましては、先般社会党で議員提出されまして、御趣旨は十分私ども了解できますので、その線に沿って、主務官庁は労働省でありますが、側面的に、いわば前向きの形で努力を傾けてまいる考えであります。(拍手)
  〔政府委員渡邊喜久造君登壇〕
○政府委員(渡邊喜久造君) お答えいたします。
 第一の御質問は、下請代金に関する問題でありますが、下請代金の支払いの遅延につきましては、絶えず調査を続けて、遅延の著しいものにつきましては改善の勧告を行なうなど、いろいろ措置を講じておりますが、一般的に見まして、依然その改善の実があがっていないということはまことに遺憾であります。今後の措置といたしましては、さらに監督を強化するとともに、いろいろそのよって来たるゆえんが複雑なものがあると思いますので、この原因を究明しまして、総合的な対策の樹立に資するように措置してまいりたいと思っております。
 第二の、歩積み、両建ての問題についての御質問でございますが、いわゆる相銀方式というのは、いわばマクロ的に交錯する行き方で、一つの行き方であるとは思いますが、これだけで不当な歩積み、両建ての解消ができるということは考えられません。したがいまして、公取としましては、単に債務者預金の割合を減らすということだけでなく、個々の取引について、不当な歩積み、両建てをなくするよう強く自粛を要求しておる次第でありますが、その実があがらない場合には、別途必要な独禁法上の措置をとるつもりで目下準備を進めております。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(田中伊三次君) 春日一幸君。
  〔春日一幸君登壇〕
○春日一幸君 私は、民社党を代表し、本昭和三十九年度にわが国が解決を迫られておる特に重要なる内外の諸問題について、ここに池田総理並びに関係閣僚の決意とその所信をたださんとするものであります。(拍手)
 質問の第一は、国会の正常化についてであります。
 ここに、国会の正常なる運営は、民主政治の基本をなすものであるにもかかわらず、今日までこれが国会の課題として持ち越されておることはきわめて遺憾なことであります。したがいまして、各党は誠意を尽くして、ことしこそはこの長年の課題を解決しなければなりません。およそ、民主主義を標擁する限り、議会政治は護持されなければならず、議会政治を護持せんとするならば、議会の運営は各党が連帯一貫の責任をもって協力すべきであることは論をまたないところであります。(拍手)もしそれ、イデオロギーや政策を対立の理由として国会が分極化し、その統一性と法秩序が保たれないならば、国会の機能はたちまち麻痺し、それが累積すれば、やがて民主政治の基盤を危うくするに至るであろうことは明らかであります。
 総理は、この問題について、さきには寛容と忍耐をもって対処すると言い、去る十八日の記者会見では、審議を尽くして、そのあとは多数決の原理に従うべきであると述べられました。しかしながら、総理が表明されたその心がまえは、国会運営の現実の上にはどのようにあらわれておるでありましょうか。すなわち、総理の言う寛容と忍耐とは、言うなれば、それは反対意見を反対党にしゃべらせて、これにほどよく相返答を打っているだけのことであり、また、多数決の原理とは、文句があったら数でこいという、むしろ挑戦的なものでありまして、それは形式だけはいんぎんで、その実体ははなはだ無礼なものであります。(拍手)現に、総選挙直後の特別国会における院の構成にあたっても、自民党はその国会役員をことごとく独占し、かねがね国会正常化のためになされた役員の比例配分を含む三党間の公約は完全にじゅうりんされました。かくて国会の正常化は、いまだその端緒をもつかんではおりません。実に多数党の多数横暴は、少数党の実力行使とともに、それは民主政治の根源を破壊するものでありますから、断固として排撃されなければなりません。(拍手)
 池田総理は、ここに、多数党の総裁として、また、内閣の首班として、国会の正常なる運営を確立するために、いまこそ異常の決意をもって対処せらるべきときであると思うが、総理の決意、総裁としての所信のほどを明らかにいたされたいと存じます。(拍手)
 次は、憲法改正問題について伺います。
 過去八年の歳月を費やした憲法調査会の審議は、いよいよ大詰めの段階に入り、来たる六月末までには最終報告書が国会と政府に提出されるといわれております。しかしながら、この憲法調査会なるものは、当初から改憲の意図を持って設けられたものであり、しかも、調査会には、社会、民社両党の国会議員はもとより、改憲に反対の有力なる憲法学者や行政法学者が参加しなかったために、これは、もともと国民各界、各層の有力意見を漏れなく反映せしめ得ない仕組みの、いわば半身不随、半身気ままな中風症状の機関であります。したがって、その報告書には、おそらく改憲論が前面に押し出されてくるものと一般に予測されておりますが、かかる報告は、実質的に何ら格別の権威を有するものではありません。ここに、改憲論の焦点は、おそらく憲法第九条の戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認の規定の改正にありと思うが、いまや世界は五十メガトンの原水爆時代にあり、その大勢は、冷戦時代から平和共存時代へと平和への歩みを進め、現に、部分的核実験停止から全面的軍縮への発展のきざしを示し、さらに安全保障の世界機構の確立が叫ばれておりますとき、わが国憲法第九条こそは、まことに今後世界各国の歩むべき進路を示す神の啓示とも称すべきものであります。歴代の自民党政府のねらいは、憲法調査会の報告を活用して国民の中に改憲のムードをつくり上げ、いわゆる国民の名を僣称して憲法改悪の野菜を果たさんとするものであって、現に、池田総理みずからも、しばしばその種の言動をなされておるのでありますが、ここに、総理は、わが国現行憲法をどのように認識されておるのであるか。総理は去る十八日の記者会見でも、憲法改正問題は国民の決するところに従うなどと申されておりますが、それは法制上当然のこととはいえ、一国の総理の言として、それではあまりに冷淡かつ無責任な言いのがれとしか申されません。(拍手)総理は、現行憲法はこれを改正する必要があると考えておられるか、はたまた、現行憲法はこれを護持しなければならないと考えておられるか、この際、憲法改正問題に対する総理の所信を明確にいたされたいと存じます。(拍手)
 次は、経済政策の基本について伺います。
 池田内閣の過去三カ年有余にわたる経済政策は、いまや国際収支の重大なる危機を招き、また、消費者物価を異常に高騰せしめ、さらにまた、随所に格差と不均衡を激化して、これが収拾はきわめて困難なものとなってまいりました。すなわち、池田内閣の大企業本位の経済政策の結果、むぞうさに工場とビルは乱立したが、国民の生活とその環境はまるで乱雑をきわめたものといっても過言ではありません。現に、手狭な住居と、異様なほどのテレビジョンの普及、電気洗濯機や電気冷蔵庫など、消費財の高級化と上下水道の欠除や断水、自動車のはんらんと道路の狭隘、その他交通は地獄の様相を呈し、その生活環境は騒音と振動にゆさぶられ、その上、空気の汚染、水質汚濁の中に取り囲まれて、いまや国民生活は、企業資本と社会資本のちぐはぐの中でもみくちゃにされておるのであります。(拍手)
 また、青少年犯罪の激増、交通事故の続発、社会面の悪質犯罪の多発など、これまた、経済と生活のアンバランスが外部にそのうみをふき出したものにほかなりません。池田総理は、総計と平均の数字を手品師のごとくにひらめかして、それによってその高度成長理論の正当性を説明されてまいりましたが、数字や公式がいかがであれ、わが国経済の実勢と国民生活の実相はただいま申し上げたとおりでありまして、現に、全国のスラム街には五十万の絶望者がうごめき、百六十五万人が生活保護を受け、一千万人の低所得者は極貧の生活にあえいでおるのであります。第四十五特別国会において、参議院予算委員会における田畑金光君の質問に答えられて、総理は、高度成長政策はすでに転換済みであるなどと申されておりますが、だとすればなおさらのこと、あの高度成長、所得倍増の政策スローガンの魔性の力がいまなおわが国経済の中に強烈なる悪作用を加えている現状にかんがみ、そののろいを払拭するためにも、事あらためて、総理より池田内閣の現行経済政策の基本とその政策転換のいきさつを国民が理解し、納得できるよう、ここに国民の前に明らかにされたいと思います。(拍手)
 次は、国際収支の対策について伺います。
 本年度経済政策の至上命令は、国際収支の改善と消費者物価を安定せしめることにあります。ここに、わが国の国際収支は、三十五年度以降三十七年度までに約十億ドルの経常収支の赤字を、約十六億ドルの資本収支の黒字でカバーし、もって本日ようやくにして十八億ドル台の外貨準備高をささえておるのであります。かくて、わが国の対外長期債務だけでもすでに二十六億ドル、すなわち、八千三百六十億円の巨額に達しました。なお、わが国の外貨の適正準備高は、その貿易壁から見て十八億ドル程度とされておりますが、これは来年三月には十四、五億ドルに低下することが案ぜられております。いまや、外貨準備に対する警戒信号が掲げられたものと見るべきであります。なるほど、IMF等からの借り入れによる当面のびほう策はあり得るではありましょうけれども、もしそれ、かかる情勢の推移にゆだねんか、やがて対外信用を失墜して、それが国民経済の破壊に至ることをわれらは厳に警戒せなければなりません。わが国は、近くOECDへの加盟とIMF八条国への移行、しこうして関税一括引き下げ問題と対決せなければならず、これは、もはやあと戻りすることのできない、のっぴきならぬ事情にあります。総理は、かかる憂うべき国際収支の現状を何と見るか。しこうして、その危機を回避して、この国際収支を改善するためにいかなる具体策を持っておるのであるか、この際、池田内閣の国際収支改善のための具体策を、総理並びに関係閣僚よりお示しを願いたいのであります。
 次は、消費者物価対策について飼います。
 消費者物価の値上がりの根本の原因は、池田内閣の高度成長政策にあることは、もはや討論終結の事柄であります。ここに、消費者物価対策としては、即効的な短期対策と総合的施策による長期対策とがありましょうが、病膏肓に入った現在、これを早急に解決することはなかなか容易なことではありません。しかしながら、政府は、譜面の措置として、少なくとも公共料金の値上げをストップすると同時に、間接税の軽減、管理価格の引き下げ、地価の抑制のごときは直ちに実施すべきであると思うのであります。特に、大企業の管理価格については、技術革新と設備投資の結果、生産性は飛躍的に上昇しているのでありますから、これは直ちに引き下げを強制すべきであります。池田総理は、従来しばしば卸売り物価の横ばいを程々として述べられておるが、これは当然下がるべきものが下げられていないのであるから、総理はこれを非難すベき筋合いのものであって、これを称賛の口調で語るということは、決して公正なる態度とは申されません。(拍手)また、俗に消費者は王様なりといわれておりますが、ここに、消費者の立場を守る施策はいまだ何一つ備えられず、よって、この王様は、いまのところ文字どおり裸の主様であります。わが党は、これらの諸点を重視して、このほど本院に対し消費者基本法案を提出し、もって国が一般消費者を保護する政策の基本を確立せんとするものでありますが、総理の所見はいかがでありますか。あわせて、物価安定に対する政府の対策について、これまた総理並びに関係閣僚より、この際それを具体的に御明示願いたいのであります。(拍手)
 次は、血税のむだづかいについて質問をいたします。
 ここに、会計検査院の三十七年度の決算報告に徴すれば、不当事項として指摘された件数は六百五十一件、金額は二十四億八千七百万円にのぼり、国民は、この予算執行の動脈に対し憤激を禁じ得ないものがあると思うのであります。しかも、この不当事項の件数と金額は、会計検査院が抜き取り検査をした結果の指摘にとどまり、これはしょせん氷山の一角であって、その全貌はけだし膨大なものがあろうと思われるのであります。また、不当事項の内容を見るに、それは補助金の不当支出、工事の不良施工、出来高不足、物件の高値買い入れ、不要物品の調達等、職員の不正行為は枚挙にいとまなく、わけて、国鉄が東海道新幹線の並行線である近江鉄道に対し、ずうずうしくも景色損傷料として一億円を支払うなど、まことにこれは言語に絶する悪質無頼の所業と申さなければなりません。総理は、これら血税のむだづかいに対しいかなる責任を感じておられるか。あいまいな言辞をもって責任を糊塗せず、すべからく、この際、抜本的に血税のむだづかいを根絶する厳格なる方途を講じ、吏道精神の刷新とその粛正を期すべきであると思うが、これに対する総理の決意とその方針をお述べ願いたいのであります。
 次は、農業、中小企業の近代化政策について質問をいたします。
 池田内閣の高度成長政策の結果、農業人口は激減し、しかも、その残存農業人口は老齢化、女子化、しこうして専業農家は減少いたしまして、兼業農家が増大して、農業の生産性は依然として低いところをさまよっておるのであります。これに対し政府の明年度予算は、食管会計への繰り入れ額を除きますれば前年度比一六・七%の伸びにすぎず、これでは所得倍増計画の第二ラウンドなどというほどの意義を持たないものであります。また、中小企業も農業とおおむね同様でございまして、ここでは賃金が上昇する反面、大企業との生産性の格差は拡大し、その経営は次第にその困難の度合いを加えておるのであります。現に、昨年秋以来、中小企業の手形、不渡りと倒産は一段と増勢を強めております。今後、金融引き締め政策の強化とともに、大企業の現金支払いの低下、手形期限の長期化、取引条件の悪化が加わり、これに銀行の選別融資が強化されますならば、ここに政府関係金融三機関の資金量に若干の増加があるにしても、中小企業の資金繰りはますます悪化することは自明の帰結であります。これが二、三月中小企業危機説の叫ばれておるゆえんであります。
 過ぐる秋の総選挙において、総理は、今後の政策の重点を中小企業と農業の振興に置きかえると、ことさらに言明いたされました。しかるところ、明年度の中小企業対策費に見るに、その額はわずかに百六十五億円で、その総予算に占める割合は実に一%の半分、〇・五%でしかありません。政府系荘機関に対する財政投融資も二〇%の増加にしかすぎず、こんなことで、池田総理は、中小企業の近代化やその革新が達成できるとお考えでありましょうか。また、この際特に重視すべきことは、ただいま横山君からも述べられました全国銀行の中小企業に対する貸し出しシェアの問題であります。これはかつて総貸し出し額の三〇%を上回っておりましたものが、年々この率が下降して、三十八年七月現在ではこれが二六・九%に低下しておることであります。まことに歴代の自民党政府は、中小企業について語るところのみ多くして、そのなすところ実なく、ために、その企業と関係従業員は常に困難にさらされておるのであります。政府が真に中小企業の安定と振興をはからんとするのであるならば、まずもってその政策原資を大幅に増大するとともに、この際、少なくとも中小企業に対する資金確保に関する特別措置、あるいはまた自己資本を蓄積させるための中小企業の租税に対する特別措置、このような中小企業基本法の精神を生かす一連の法案の早期制定をはかるべきであると思うが、池田総理の御所見はいかがでありますか。あわせて農林、通産両大臣よりも、この際誠意ある御答弁を願いたいのであります。
 次は、若干重複をいたしまするが、歩積み、両建ての規制について質問をいたします。
 この問題は、独禁法に違反する行為としてしばしば国会で論じられながら、いまだに何らその解決を見ていないことは、きわめて遺憾であります。聞くところによれば、歩積み、両建ての自粛措置として、相互銀行では債務者預金が総預金の三〇%をこえる場合には、その超過分の三〇%を二年間で減らすこととし、また、全国銀行では債務者預金の二〇%ないし二五%を占めておる拘束性預金の比率を、二〇%だけ二年間で減らすことに努力することとして、これについて、監督官庁たる大蔵省はこれを了承して、その自粛措置と称するものを監視する方針であると伝えられております。もしそれ、これが事実であるといたしまするならば、これによって不当な歩積み、両建ては一掃されるどころか、少なくとも、総預金の三〇%までの債務者預金及び債務者貯金の一六%までの拘束性預金が合法化されることとなって、これは逆に歩積み、両建ての制度化、温存策とも称すべきものになるのであります。金を借りたい者から逆に金をせしめ取って、それに利ざやを取って貸し与えるなどという、このようなもぎどうな銀行経営のあり方を大蔵省が了承したとするならば、それは、あたかも警察庁がどろぼうに警察権の一部を与えるに似たものであって、かくのごときは正気のさたではありませんぞ。この間の経緯を大蔵大臣より明確に御説明を願いたい。
 また、総理は、本問題についてしばしぱ言明されたところに従いまして、これは中小企業の資金コストの軽減をはかりますためにも、また、高度の公共的性格とその使命をになう金融機関から、一切の不義と邪悪を払拭するためにも、この際、不当な歩積み、両建てに対しては、すみやかに独禁法に基づいて特殊指定を断行し、かかる法令違反行為は断固として法に照らして処罰すべきであると思うが、総理の御決意をお伺いいたしたいのであります。(拍手)
 次は、ILO八十七号条約の批准について伺います。
 ILO八十七号条約の批准承認問題は、岸内閣当落国会に提出されて以来、すでに四年越しの懸案であり、ILO理事会の対日批准勧告も十五回に及び、いまや究極の段階を迎えていると思うのであります。ここにILO八十七号条約の批准には、関係国内法の改正がこれにからんでくるが、これはあくまでも国際的な水準における団結権の保障と労働者の保護を確保するという見地に立って措置すべきものであります。したがって、政府は、これら内外の情勢をおもんみるならば、この際は、国会に対し条約批准承認案件及びこれと直接関連する公労法、地公労法改正案、これだけの審議を求めるにとどむべきであって、国家公務員法、地方公務員法の便乗的改悪を策するがごときは、厳にこれを慎むべきであると思うが、これに対する総理の御所見と、あわせて労働大臣の御方針をお示し願いたいのであります。(拍手)
 次は、外交政策の基本について質問いたします。
 外交は、すべからく国民の利益に立脚した自主独立の外交でなければなりません。今日までの政府の外交に見るに、それは対米追随外交に終始し、かたわら各国の鼻息をうかがって狐疑逡巡、そこには何らき然たるところが見受けられません。さきごろ、 ニューヨーク・タイムズが、「新しい日本」という特集の中で、日本の国際政治の発言ぶりを批評して、ほとんどささやくように発言するか、でなければ何もしない、そうしてもし発言すれば世界の外務省があくびする云々と書いておるそうであります。かかる国辱的批評を池田総理はいかに感受されたか。いまや世界は東西関係、南北問題を軸に、各国が新秩序の形成を模索しつつ、それぞれ旺盛なる外交活動を展開しておるとき、わが国がこれらの屈辱的批評を粉砕するためにも、この際面目を一新して、強力なる自主独立の外交を展開し、もってこの躍動する国際政局に立ち向こうべきでありましょう。総理の御見解はいかがでありますか。この際、池田内閣の外交の基本をあらためて明確にいたされたいと存じます。
 次は、日米関係の改善について伺います。
 ここに、日米関係は、いずれの点よりするも、つり合いのとれた関係ではありません。しかしながら、一国の外交は、あくまでも主権の平等、内政の不干渉、この原則を堅持して、その上で友好と協力関係を確立すべきであって、いたずらな卑屈感をまとって追随することは、むしろ相手方の軽べつを招くだけであります。沖縄の施政権返還交渉はどのように進められておりますか。また、来たる二十七、八両日、東京で開かれる第三回日米貿易経済合同委員会において、わが国が主張する案件は何々か。当然、日米間貿易じりの改善、利子平衡税の問題、対共産圏貿易の拡大等、政府は確固たる信念をもってこれに臨むこととは思うが、この際、当面する日米間の諸懸案について、総理並びに外務大臣より、交渉の経過と今後の見通し、この御説明が願いたいのであります。
 次は、日中関係の打開について質問いたします。
 中共は成立以来早くも十五年を経過し、現実に中国大陸を統治し、今日厳然たる国家として存在しておることは、何人も拒み得ない事実であります。かくて、フランスをはじめEEC諸国、その他従来台湾政府を承認していたチュニジア等、中共政府の承認を指向するその政治的接近は、ようやくにして活発なる動きを始めてまいりました。中共の隣国であり、かつ、アジアの指導国を自負する日本が、この趨勢を傍観していては、いよいよニューヨーク・タイムズの言う外交無能力者のそしりを免れません。もとより、中共の誤れる戦争肯定論や、その核武装には断じて反対するものではありますが、それはそれ、これはこれと区別して、わが国は、これらの現実を直視して、中共の国連加盟を積極的に支持するとともに、中共貿易を一そう拡大して、日中関係の正常化の方途を進めるべきであると思うが、この際、総理並びに外務大臣の御見解とその方針を明らかにいたされたいと存じます。
 また、中共の国連加盟と関連して重要なことは、台湾問題であります。かつて日本が第二次世界大戦に破れたとき、蒋介石総統は、暴にもって報ゆるに徳をもってなすとして、当時の中国国民の敵がい心を静め、在華同胞の生命と安全を保護し、さらに、日華平和条約において賠償請求権を放棄するなど、わが国に示されたる数々の寛容と善意に対しては、われら日本国民は心根に銘記してこれを忘却いたしません。(拍手)しかしながら、冷厳なる審美は事実としてこれを認め、外交は常に完ぺきを期せなければなりません。ここに、フランスのドゴール大統領は中共を中国の代表と認めつつも、台湾問題については中共の介入を認めないという、いわば一つの中国と台湾なる方式を貫こうとしておりまするが、これはまことに示唆と含蓄に富んだものであります。総理は、最近の中共に対する国際関係の趨勢を踏んまえて、中華民国に対しいかなる具体策をお持ちであるか、あわせてこれを御明示願いたいのであります。(拍手)
 次は、日韓国交の正常化について質問いたします。
 本問題は終戦後二十年になんなんとする今日、いまだ両国が正式の国交を開かず、互いに不信と反目を続けておることは両国民の不幸であり、アジアはもとより、世界の平和と安全にとっても大いなる障害となっておることは重視せなければなりません。しかしながら、一九五一年に始められた日韓交渉は、すでに第六次に及び、その間幾多の紆余曲折をたどって、このごろようやくその大詰めの段階に入ったと見受けられることは喜ぶべきことであります。わが党は、本問題については、朝鮮が南北に分裂している現状においても、さしあたり韓国との閥に、案の公正なる解決を条件としてその国交を正常化することを支持するものであります。そこで、この日韓国交正常化に対する政府の方針とその交渉の進捗状況は現在どのようなものでありますか。いわゆる請求権問題、漁業問題、竹島領土問題及び李ライン問題等、その後の交渉の推移と今後の見通しなど、この際総理並びに外務大臣より、できるだけ具体的に御説明を願いたいのであります。
 以上、内政、外交を通ずる諸問題について質問いたしましたが、最後に、私は総理に対し、いささか苦言を呈して御反省を促したいと存じます。
 総理の治績はここに三年有半、その功罪は、よって立つ見方により相異なって、その評価はまちまちであります。しかしながら、それらの論者が、ただ一つ共通して指摘されますことは、池田総理は画期的なことや歴史的なことは何一つおやりにならない人物であるという、このことであります。(拍手)私は総理がむやみに事をかまえられることを期待するものではありません。しかしながら、総理は国民の運命を預かる最高の責任者にあられます。大事を避けて平穏になずむは俗吏が保身のかまえであって、一国の宰相の道は、おのずからその逆にあります。時に臨んでは、みずからを滅却して断をなし、一日先見の明をもって国政の進路に国民の理想を掲げられるべきでありましょう。
 また、総理は、組閣以来幾つかの政策、スローガンや名言を吐かれました。いわく、所得倍増政策、いわく、人つくり、国づくり、いわく、経済のことは池田にまかしておけなど、総理は、これらのスローガンや言明が、いつしかちまたのだじゃれや、漫才や、落語のせりふになって流行しておること、これを御承知であられましょうか。史記の中に、桃李もの言わざれども下おのずから径をなすとあります。政治の生命は、スローガンにあらずして思想に、ことばにあらずして哲学にありと信じます。(拍手)国民の師表の位置に立たれる総理は、ときにはみずからの言動の行くえをも確かめられるべきでありましょう。願わくは、内外国政に問題山積のおりから、総理は、圧力や抵抗を念頭に置かず、真乎の気魄をもって、その大事を決せられますように、ここに一段の猛省を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の第一点の国会正常化の問題でございますが、お話のとおり、民主政治を完全に、りっぱにやっていくのには、まず第一、国会が正常化しなければなりません。私は、組閣以来、国会の運営につきまして論議を尽くし、そうして最後は民主主義の原則である多数決による、この考えでいっております。最近におきまして、すなわち、前の特別国会、また今国会におきましても非常に効果があらわれつつあることを私は喜んでおるのであります。今後もこれで進んでいきたいと考えております。
 次に、職法嗣題でございますが、国家の基本法でございまするから、私は、憲法調査会の答申があり、これを国民にお考え願いまして、その動向によってきめるべきだと考えておるのであります。これはたびたび申し上げておるとおりであります。
 また、経済政策につきまして、これが転換したとかなんとかいう話がございましたが、私は参議院におきましても、高度経済成長政策を変えたとは言っておりません。高度経済成長のひずみを是正し、補強していっておると言っておるのであります。決して私の念願である高度経済成長、安定成長は、私は変える気持ちは持っておりません。
 また、次の国際収支の問題でございまするが、これは大蔵大臣から私に答えてくれという話でございますから、かわって答えます。
 大体、昭和三十八年度のこの三月までの国際収支は、当初の予定よりも一億程度の違いと思います。それはなぜかと申しますると、昨年の八月ごろから予想以上の生産の伸び、そうしてまた、実質的には麦の不作、砂糖の値上がり、あるいは船運賃の上昇、そうして全体的に世界物価の強含みということによるのでございます。したがいまして、私は、予想以上に輸出が伸びてきておりますが、八月ごろからの生産の増強によりまして、予定よりも一億ぐらい赤字がふえるのではないかと思います。しこうして、昭和三十九年度におきましては、大体貿易額は輸出入とんとんと申しますか、大体いける、あるいはそれ以上輸出が伸びるかもわかりません。しかし、貿易外収支におきましては、先ほど来申しておりますように、生産増強によりまして赤字がふえるかと思います。かてて加えて、まだ結論は出ておりませんが、利子平衡税の関係での外資導入が、昭和三十八年度の当初のごとくにはいかないと見込まなければなりません。私は、このためにヨーロッパにおける資金の調達を考え、また、世界銀行の約束、あるいはまた、米国における短期資金の――短期と申しますのは、利子平衡税のかからない三年以内のものであります、こういうものによりまして、できるだけいい外資を入れることによりまして、来年度、三十九年度におきましても、そうあなたのおっしゃるように、来年度末が十三、四億になろうというようなことはございません。私は、決して楽観はしておりませんが、国民の努力により輸出を伸ばし、不用不急物資の輸入の自制をやり、貯蓄の増強に進むならば、大体そうあなたの心配されるようなことは起こりますまい。また、起こしてはいかないのであります。私は、そういう方向に向かって極力努力いたしたいと思っております。
 また、物価の引き下げにつきまして、関税の引き下げあるいは間接税の引き下げという議論がございまするが、財政の状況から申しましで、いま直ちに関税あるいは間接国税の引き下げは、しばらく見たいと思います。それよりも本質的な方法で、すなわち、農業、中小企業あるいはサービス業の生産性の向上あるいは総生産の拡大、流通機構の整備等によりまして、物価の引き下げをはかることが正しい道だと考えておるのであります。
 次に、官庁の綱紀粛正につきましてのお話でございます。毎度こういうおしかりを受けましてまことに恐縮でございまするが、私は、常にいわゆる不正の起こらないように綱紀の維持につとめておるのでございます。まだ十分ではございませんが、お話のとおり、今後も十分全力をあげて綱紀の粛正に努力いたしたいと考えておるのであります。
 なお、中小企業、農業についての対策が不十分だ、とおっしゃいますが、農業あるいは中小企業対策を、例年のそれに比べてお考えいただければ、私は相当やっておるとおほめをいただくくらいに考えておるのでございます。
 なお、農業あるいは中小企業に対しまして、いまの農業基本法、中小企業基本法よりも別な角度から、特に法案を出すという考え方はございません。
 また、歩積み、両建て預金につきましては、私はもう十年来の主張でございますが、微力、なかなかいきません。しかし最近におきまして、この声がだいぶん強くなりまして、大蔵大臣も決意しておられるようでありますし、また、公取委員長もこの点につきまして、重大関心をもって着々この解決に進んでおられるようであります。いましばらくお待ちを願いたい。また、私はこの歩積み、両建ての廃止につきましては、今後、以前以上に力を入れていくことをここにお誓い申し上げます。
 なお、ILO関係法案につきましては、私はILO条約並びに国内関係法、いわゆる国家公務員法、地方公務員法の改正も含めて御審議を願っておるのであります。御了承を願いたいと思います。
 なお、国連その他世界の外交関係におきましての日本の地位は、最近とみに上がってきたことを皆さま方と喜びたいと思います。これは一部の外国の新聞にとらわれず、世界全体の空気を公平にごらんになりましたならば、いまの日本が三、四年前のそれよりもよほど地位が高くなったことは、国連の場においてのみならず、世界各方面に定評のあることであることを、皆さんとともに喜びたいと思います。
 なお、外交問題につきましては、外務大臣に譲りますが、中共の態度について、それはそれ、これはこれというお話でございましたが、われわれはあなたのおっしゃいました中華民国の過去にわれわれに示された好意並びに中華民国との厳然たる友好関係を保ちつつ、世界の情勢によって判断しようとしておるのであります。たとえば、フランスがそういうふうにいたしたからといいまして、その結果はまだ出ておりません。また、フランスの態度につきまして、隣の友好関係にあるスパーク外務大臣は、私に、並びに昨夜のテレビでどういうことを言ったかということは、国民は知っておるのであります。ことにわれわれのごとく、ほんとうに昔からの特別の関係があり、戦後においても特別の関係を持っている日本といたしましては、中華民国の立場を考え、また東南アジア各国の意向も見、そして十六回総会以来の世界各国のあの表決を考えながら今後の動向を十分注意していかなければならぬ。フランスの態度があるからといって、重大関係を持っておる日本がバスにおくれてはたいへんだというふうなことを考えたら、とんでもないことに相なることを私はここに申し上げておきます。(拍手)
 なお、日韓問題につきましてのあなたの態度は、私の態度と全く同じであることをここに喜びたいと考えるのであります。
 最後に、私への御注意はほんとにありがとうございました。私は事をかまえてはおりません。しかし、日本の国のためになること、国民が何を望んでおられるということにつきましては、日夜心を砕いて万事を解決しようとしておるのであります。その気持ちはたびたびの施政演説、ことに一昨々日の私の所信表明でお考えいただけばおわかりいただけると思います。しかし御忠告まことにありがとうございます。厚くお礼申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 答弁を補足いたします。
 沖縄政策でございますが、御承知のように、歴代の政府は、沖縄の施政権返還を施政権者たるアメリカに終始要求してきておりますが、これに対する先方の反応は、東アに緊張と脅威が続く限り、沖縄を保持したいということでございます。ただしかしながら、わが国に潜在主権があることはもとよりこれを認めておりますし、わが国に対しまして、沖縄がいつか返るであろうことを想定いたしまして、そのときの困難を少なくするために、沖縄住民の福祉、経済の向上に日米協力して当たろうというのが、一昨年の三月のケネディ声明でございまして、ただいまそういうラインに沿いまして、日米間に協議委員会並びに技術委員会をつくるということに大体話がととのってまいったわけでございます。
 それから日米貿易経済委員会でございますが、これは日米両国の経済の見通し、国際収支の見通し、それから日米間の貿易経済関係の諸問題、特に貿易を拡大する上から、あるいは国際収支の改善の上から問題点を討議いたしたいと思っております。
 国際経済問題といたしましては、関税一括引き下げの問題、東西貿易の問題、ドル防衛の問題等が論議されると思います。ただいま日米間には深刻な経済問題はございません。ダンピングあるいはエスケープ・クローズにかかるような案件はございませんが、一、二将来心配になる問題も、懸念される問題もございますので、そういった問題につきましてはとくと討議を進めてみたいと思っております。
 中国問題につきましては、総理から御答弁がありましたとおりでございます。
 日韓交渉の現状でございますが、これはただいま御承知のように、漁業交渉が全局を支配する問題と、なっておりまして、漁業交渉につきましては先方もこれに熱意を示している気配をいま示しておりますので、近く実のある御相談ができるのではないかと私どもも期待いたしております。(拍手)
  〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) ILO八十七号条約関係国内法の範囲でございますが、先ほど総理からも申し上げましたとおり、私もわが国公務員制度運用の実情から見まして、国家公務員法並びに地方公務員法改正を含めることが適当であると考えて、今回の提案をいたしておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
○国務大屋(赤城宗徳君) お話のように、最近農村の就業者が老齢化、女性化していることはそのとおりでございます。その対策につきましては、根本的にはやはり構造改善を中心とした基盤の整備とか、あるいはまた、土地基盤の整備とか機械化を強力に推進するのが基本的だと思いますが、また後継者づくりといいますか、若年層がとどまるように教育あるいは従来の伝習教育等を農業の近代化の方向に示していく、こういう方向に速めていきたいと思います。あるいはまた、ことし設けました改良資金等におきまして、後継者が独立して自分の農業形態をやっていけるような制度等も開きまして、総合的に農業にとどまり得るような農業対策を講じていきたい、こう考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(田中伊三次君) 川上貫一君。
  〔川上貫一君登壇〕
○川上貫一君 私は、日本共産党を代表して、池田総理大臣その他関係大臣に一、二の質問をいたします。
 まず第一に、沖縄の問題であります。
 今日アメリカは沖縄を占領しております。それだけではありません。今後永久に占領する態度を明らかにしております。これはどういう条約に基づくものであるか。サンフランシスコ条約でも、また安保条約においても、沖縄に対するアメリカの永久占領の権利を認めた条項はありません。また、政府はアジアの緊張が続く限り、占領が継続されるかのような答弁をされたことがあります。ほんとうにそうでありまするか。もしそうだとするならば、それはどういう条約に基づくものであるか。われわれはそのような条約を批准した覚えがありません。総理大臣の御答弁をお願いします。
 第二は、沖縄におけるアメリカの無法な戦争基地の問題であります。
 池田総理、大平外務大臣は、施政方針演説の中で、世界の緊張緩和を唱えられております。アメリカとの協力は、異なる体制の国との対立を目的とするものではない、また挑発を意味するものでもない、これはまことにけっこうです。ところが、アメリカは最近沖縄に第一特殊部隊という、こういうものを配置しました。この部隊は、今日南ベトナムに出動して、民族弾圧の先兵になっております。またアメリカは、沖縄にメースB中距離誘導弾の基地をつくりました。これは中国の奥地までをねらうところの全面核戦争の目的以外の何ものでもありません。これらのことが緊張緩和でありますか。反対に、明らかな対立の激化であり、挑発そのものであると私は断言してはばかりません。(拍手)さらに、アメリカは、沖縄に向けて太平洋大空輸作戦、すなわち緊急発進と称する演習を計画しております。あなた方はこれさえも、緊張緩和の事業であるとおっしゃるのでありますか。
 一体、池田内閣は、何から何までアメリカに追従しておる。自主もなければ、独立の心もないと思う。だからこそ、一貫して人民を欺き、国民を愚弄し続けておると私は思います。物価の問題一つをごらんなさい。すでに五回にわたって、物価安定のから約束を繰り返し、国民を欺いて、てんとして恥ずるところを知りません。また、アメリカの原子力潜水艦については、わが党は前々の国会から繰り返して、これが核武装をしておるととを指摘しました。しかるに、政府は、核武装はしておらぬ。きのうの本会議のここでも池田総理大臣は、サブロックは研究中だと答弁なさった。それなら、去る十二月四日、アメリカ国防省は、サブロックは完成しており、すべての潜水艦はそれを装備しておると公表しておる。これはどうなるのですか。
 事ここに至っても、なおかつ政府は国民をおだましになるつもりでありますか。およそ民主政治というものは、人民を欺くものではありません。人民を信頼し、人民の力にたよることでなければ民主政治はできません。しかるに、池田総理大臣以下池田内閣は、露ほどもこの態度がないと私は考えます。そういう態度でありますから、池田総理はケネディとの約束だと言われて、沖縄の自治権の拡大とか、経済援助の増大などを吹聴されましたが、これがうその皮であるという証拠は、現にアメリカは、琉球政府が決定した減税法や給与の引き上げさえ一方的に拒否しておる。自治権の拡大などは総理大臣、つめのあかほどもありません。それどころではありません。人民の貴重な生命さえ保障されてはおりません。最近沖縄で小学生が米兵に殺されました。そのときアメリカはどういう態度に出ましたか。沖縄人民を殺したくらいなことでわが兵を罰するごときは、アメリカの士気にかかわると公言したではありませんか。この傲慢無礼なアメリカに対して、池田総理大臣はどういう態度をとられましたか。どういう処置をとられましたか。申すまでもなく、今日人口百数十万のパナマ、ここの人民はアメリカ帝国主義の横暴に反対し、大統領を先頭にして断固として立ち上がっております。池田総理は、世界の大国だとか、三本の柱だとか、国民に向かっては大書壮語をされますが、その心根たるやパナマ人民の糟糠をなめるにも足りないといわれてもしかたがありますまい。
 そこで私は具体的に承りたい。政府は、沖縄におけるアメリカの戦争基地をいつまで野放しにされるつもりでありますか。また沖縄人民をいつまでも見殺しにしておく量見でありますか。池田総理大臣のはっきりとした所信をお伺いいたしたい。
 以上、私が特に沖縄について質問をいたしましたのは、ほかに理由があります。それは国際情勢の変化であります。その一つはアメリカのアジアにおける後退であります。アメリカの有力な評論家ウォルター・リップマンさえこう言うておる。もしわれわれが賢明であれば、もはや極東におけるアメリカの唯我独尊ぶりは持ちこたえることができないのだということを認めるべきだ。これはただ一評論家のことばではありません。世界人民のひとしく認めるところです。
 もう一つの問題は、中国の国際的地位の発展であり、国際情勢が大きな転換を迎えておるということであります。それに反対をし、うろたえ返っておるのはアメリカと池田内閣くらいなものでありましょう。しかし情勢の発展はアメリカと池田内閣の思惑くらいに遠慮しません。来年とはいわず、ことしの国連総会においてさえどんな事態が生まれると池田総理はお考えになっておりますか。現に、おととい、フランスの情報相はこう言うておる。フランスの今回の処置は、一部の国を除き、世界の大多数の国が支持しておる。これはフランスの発表です。前途はすでに明瞭です。そのときに中国封じ込めの役割りをになう沖縄はどういうことになりますか。いわんやいまに及んでも、なおかつ中国を敵視し、ひたすらにアメリカに追従し、沖縄の無法な戦争基地の拡大を歓迎しておるような日本政府が、どういう立場にそのときおちいるであろうかということを考えたことがありますか。池田内閣にしてほんとうに祖国の独立とアジアの平和を念願するならば、こういう考えが一片でもあるならば、いまこそ断固たる考えを固めるべきです。それは沖縄の返還、軍事基地の撤去、アメリカ軍の撤退、中国との国交回復、日台条約の破棄に断固踏み切る考えが総理にあるかどうか。これを総理がやられてこそ、日本はほんとうにアジアの日本になるのです。独立と人民の生活の安定向上の上に、民族の誇りを発揚する第一歩を踏み出すことができるのです。これが日本政府のとる道です。私は、池田総理以下各閣僚諸公にその片りんでもあるかどうか、あらためてここでお伺いをしたい。
 第三点は、内政問題です。
 政府は、今日あなた方の政治に対して反対する人民、特に労働者を弾圧するためにILO条約の批准に事寄せて、いわゆる国内法の改悪を企図しております。これはただ労働法規の一部を改正するというようななまやさしい問題ではありません。その根底に横たわるものは、日本の労働法を根こそぎ踏みにじり、労働者弾圧法をもってこれにかえる魂胆であることは明瞭であります。そもそも労働法というものは、労働者の基本権を擁護し、保障する法律であります。絶対に弾圧法であってはならない。しかるに、今回政府が企てておるところのこのものは、今日すでに形骸だけにはなっておりますけれども、それでも形だけでも残されておる現在の労働法、この労働法を根こそぎじゅうりんし、あわよくば世界の民主勢力を瞞着して、ソシアル・ダンピングの国際的非難をそらそうとする意図を持っておるのであります。さらに、新たにその上に人事局まで設けて、公務員労働者をどうするか、戦前のような帝国主義的、軍国主義的官僚機構の中に縛りつけようとするものであると私は断言してはばかりません。これこそ対米従属のもとで、軍国主義日本をつくり上げようとする池田内閣の反動政策そのものであります。それゆえに、これはひとり官公労働者だけの問題ではありません。憲法によって保障されている労働者階級の民主的権利、民主的自由の問題であります。そういう内容を持っておりますから、労働者と一切の人民は、政府案はもちろんのこと、妥協やら、取引やら、わけもわからぬような倉石私案というようなものは絶対に容認できません。もし政府にしてそうでないと言われるのであれば、ILO八十七号条約の批准と国内法の改悪を何ゆえに結びつけなければならぬのか。両者は断じて関係がありません。ましてや、ILO条約の批准と人事局の設置などは、縁もゆかりもないものであります。
 そこで、私は総理大臣、その他関係大臣に申し上げたい。ILO八十七号条約は、即時、無条件に批准すべきであります。そうして、公労法四条三項、地公労法五条三項を、きれいさっぱりと廃棄したらよろしい。その他、一切の国内法改悪の企図は、何が何であろうとも、きれいさっぱりとおやめにならなければならないと思います。それでこそ、ILO条約というものの批准は、その恩義を初めて全うするのであります。池田総理大臣並びに関係各大臣の所信をお承りしたい。
 最後に、政府は中国政府から全面核兵器廃棄のための世界首脳会議の提案を受けておりますかどうか。受けておるならばそれをなぜ発表しませんか。さらに、それに対して政府はいかなる態度を持っておりますか。この詳細をここで明らかにしてもらいたい。この中国の提案は、核兵器の全面禁止と廃棄のための最も正しい提案であります。世界人民の要求と希望に合致しております。これはその他のいいくらいた提案とは違います。池田総理大臣はこれに対するどういう考えを持っておられるか、ここに承りたい。
 これで私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 沖縄は平和条約に基づいて米国の施政権下にあるのであります。いかなることをしておりますか、米軍の機密に属することは明確に答えるわけにはまいりません。
 また中共に対しまして、リップマン氏の言論を引用になったようでございますが、あなたのお考えとウォルター・リップマンの考え方は、私の知るところでは違っておるように思います。私はまだただいま中共を直ちに承認するという考えは持っておりません。
 また、労働関係法案の提出は、ただいま国会に御審議を願うべく提出しておるのであります。あなたの意見とは全く私は違っております。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 充実した防衛力と正当な訓練が今日の緊張緩和の基調になっているという見解を私どもは持っておりまして、川上先生と若干所見を異にいたします。
 それから、サブロックはまだ実用段階に入っていないことは、たびたび本院を通じて申し上げておるわけでございまして、御了解をいただきたいと思います。
 それから、北京政府から会議招集の勧誘を受けたかということでございますが、御案内のように、わが政府とは外交関係を持っておりませんので、招集を受けるはずはございませんが、ただ外務省の郵便箱に、どこからかわかりませんけれども、一片の紙片が入っておりましたことは、物理的にありましたことは事実でございます。(拍手)
  〔国務大臣福田篤泰君登壇〕
○国務大臣(福田篤泰君) 沖縄における米軍の存在並びに訓練がアジアの戦争を挑発しているではないかというお尋ねでありますが、われわれは、沖縄における米軍の存在はアジアにおける平和を維持するための抑制力であると判断いたしております。
 なお、サブロックの開発云々の問題でありますが、これは昨年十一月の国防省の発表をよくごらんになりますれば、いま外務大臣の答えたとおりでございます。(拍手)
○副議長(田中伊三次君) これにて、国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(田中伊三次君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時三十七分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        法 務 大 臣 賀屋 興宣君
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
        厚 生 大 臣 小林 武治君
        農 林 大 臣 赤城 宗徳君
        通商産業大臣  福田  一君
        運 輸 大 臣 綾部健太郎君
        郵 政 大 臣 古池 信三君
        労 働 大 臣 大橋 武夫君
        建 設 大 臣 河野 一郎君
        自 治 大 臣 早川  崇君
        国 務 大 臣 佐藤 榮作君
        国 務 大 臣 福田 篤泰君
        国 務 大 臣 宮澤 喜一君
        国 務 大 臣 山村新治郎君
 出席政府委員
        内閣官房長官  黒金 泰美君
        内閣法制局長官 林  修三君
         内閣法制次長 高辻 正巳君
        総理府総務長官 野田 武夫君
          公正取引委
          員会委員長 渡邊喜久造君