第046回国会 本会議 第8号
昭和三十九年二月十八日(火曜日)
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 議事日程 第七号
  昭和三十九年二月十八日
   午後二時開議
 第一 地方税法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
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○本日の会議に付した案件
 人事官任命につき同意を求めるの件
 土地調整委員会委員任命につき同意を求めるの
  件
 運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件
 日程第一 地方税法の一部を改正する法律案(
  内閣提出)
 道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明及び質疑
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明及び質疑
 赤城農林大臣の農業基本法に基づく昭和三十八
  年度年次報告及び昭和三十九年度農業施策に
  ついての発言及び質疑
   午後二時十一分開議
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
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 人事官任命につき同意を求めるの件
 土地調整委員会委員任命につき同意を求めるの件
 運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 内閣から、人事官に佐藤達夫君、土地調整委員会委員に岡部得三君、運輸審議会委員に吾孫子豊君を任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えるに決しました。
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 日程第一 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(船田中君) 日程第一、地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
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○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事中島茂喜君。
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  〔報告書は本号末尾に掲載〕
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  〔中島茂喜君登壇〕
○中島茂喜君 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、昭和三十九年度分の固定資産税及び都市計画税から、新固定資産評価基準による評価を基礎として課税が行なわれることに伴い、昭和三十九年に限り、同税の課税の円滑化及び事務手続の慎重を期するため、固定資産課税台帳の縦覧期間、固定資産税及び都市計画税の第一期分の納期等を、それぞれ一カ月ずつ延長する特例措置を講じようとするものであります。
 本案は、一旦二十日当委員会に付託され、翌三十一日早川自治大臣より提案理由の説明を聴取し、自来、本案についてはもちろん、新固定資産評価基準の内容等につきましても、慎重に審議を行ないましたが、その詳細な内容につきましては、会議録によって御承知を願いたいと思います。
 二月十四日、質疑を終了し、討論に付しましたところ、久保田委員は自由民主党を代表して賛成、安井委員は日本社会党及び民主社会党を代表して反対の意見を述べられ、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(船田中君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出、道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。建設大臣河野一郎君。
  〔国務大臣河野一郎君登壇〕
○国務大臣(河野一郎君) 道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 政府におきましては、現行の道路整備緊急措置法に基づきまして、昭和三十六年度を初年度とする道路整備五カ年計画を策定し、これにより道路整備事業を推進し、今日まで相当の実績をあげてまいりましたことは御承知のとおりであります。
 しかしながら、最近の目ざましい経済の成長に伴いまして、道路輸送需要は計画策定当時の予想をはるかに上回って著しく増大しつつあり、現行計画によりましては、とうていその需要に応ずることができないことが明らかになってまいりました。また、現行の計画策定後の新情勢、たとえば全国総合開発計画、新産業都市建設計画等の樹立に即応いたしまして、産業開発のための道路整備を強力に促進することが必要となってまいったのであります。
 ここにおいて、政府といたしましては、以上の情勢に対処するため現行の道路整備五カ年計画を改定拡充し、昭和三十九年度を初年度とする新たな道路整備五カ年計画を樹立し、道路の改良と近代化を促進し、輸送の隘路を打開するとともに、先行的道路投資を行ない、産業経済の基盤の強化をはかることといたしたのであります。
 このような観点から、計画策定の根拠法である道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の要旨を申し上げます。
 改正の第一点といたしましては、ただいま申し上げましたとおり、現在実施中の道路整備五カ年計画を改定して、新たに昭和三十九年度を初年度とする新道路整備五カ年計画を策定することといたしたことであります。
 第二点といたしましては、道路の改築で土地区画整理事業にかかるものの費用につきましては、従来、土地区画整理法に定めるところにより、国がその費用の二分の一を負担しまたは補助してきたのでありますが、昭和三十九年度以降五カ年間におきましては、国がその費用の三分の二を負担しまたは補助することができる旨の特例を設けることといたしたことであります。
 第三点といたしましては、道路整備計画の一環として実施しております積雪寒冷特別地域の道路交通確保に関する計画につきまして、新通路整備五カ年計画と計画期間の調整をはかるため、昭和三十九年度以降の毎五カ年を各一期とする積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画を策定することといたしたことであります。
 その他これに関連いたしまして関係規定の整備を行なうことといたしました。
 以上が、この法律案の要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。(拍手)
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 道路整備緊急措置法等の一部を改
  正する法律案(内閣提出)の趣旨
  説明に対する質疑
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。兒玉末男君。
  〔兒玉末男君登壇〕
○兒玉末男君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案に対しまして、池田総理並びに河野、田中、早川の各大臣に質問を行なわんとするものであります。
 本法律案は昭和三十九年度を初年度とする新道路整備五カ年計画に関連するものであります。その大綱はただいま説明もございましたが、主要拠点都市を相互に結ぶ幹線自動車道路網の整備、地域格差の是正、大都市の交通混雑の緩和、道路交通の安全対策、その他雪害事業拡大強化等がその重点に置かれておるのであります。この法律によって新道路五カ年計画が実施されるわけでございますけれども、この計画遂行にあたりまして、経済発展におくれる傾向にあった道路施設の拡充がなされるかどうか、多くの問題点を持っているのであります。
 まず第一に、政府は昨年八月二十八日、五兆円の予算規模による道路整備計画を発表いたしました。これによりますと、欧米先進国と比肩する道路整備が行なわれ、経済発展と同一歩調をとれる形に持っていくとのことでございましたが、昭和三十九年度予算編成にあたりまして、これが最終的に四兆一千億円に削減されておるという事実であります。この結果、建設省原案である五兆円計画とその間に大きな格差を生じ、当初計画を修正せざるを得ない状態に至っております。現在までの道路整備計画は、その計画遂行の過程において経済政策のあおりにより四回にわたる計画の変更を行なったこともありまして、長期の展望を持つ道路整備計画とはいえない面を露呈いたしてきましたが、すでに初年度におきまして計画変更を行なう状態で、はたして所期の目的を達成することができるかどうかを危ぶむものであります。
 池田総理は、あなたの経済政策を推し進める中において、道路行政がおくれている事実に対し、どのように対処される所存か、また、今次計画が予定どおりに遂行される自信をお持ちかどうか、まず第一にお伺いしたいのであります。
 次に、新計画を現行五カ年計画に比較いたしますと、事業別に見まして、一般道路事業費は一兆三千億円を二兆二千億円に、その倍率は一・六九倍、有料道路事業費は四千五百億円を一兆一千億円にして二・三二倍、地方単独事業は三千五百億円を八千億円にして二・四三倍となっております。ここで問題となりますのは、地域格差の解消という本法律案の柱ともなるべき重要項目と本計画が全く相反しているという点であります。
 本来ならば一般道路事業費を大幅にふやし、地方単独事業を削減して、国の責任において道路の整備を行なうべきであるにもかかわらず、さきに申し上げました事業費の倍率が示すとおりに、一般道路事業費は一・六九倍、地方単独事業費は二・四三倍と全く逆の方向を示しており、税制改革等によりまして逼迫している地方自治体の財政をことさらに圧迫するものと考えます。これでは財政負担上の格差をますます拡大する以外の何ものでもありません。それに加えまして、当初の五兆円案と、九千億を削減されました四兆一千億円の本計画を見ます場合に、一般事業費は八千億減額され、逆に地方単独事業費を一千四百億増額しているという点でございます。
 この計画の持っております諸要素は、大衆と地方自治体に大きな圧迫を加え、地域格差をますます増大するものであります。池田総理並びに河野建設大臣、早川自治大臣は、このような計画で本法案の精神を生かし、これを実現できるという確信を持たれているかどうか、また、地方自治体がこれらの負担を十分に消化して、本計画に歩調を合わせることができるという自信をお持ちになっているかどうか、自治大臣の明確なる答弁を求める次第であります。さらには、一般事業費を大幅に増額するよう計画変更を行なう意思はないのかどうか、建設大臣の所信を承りたい。
 次に、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 本法案の趣旨を実現するための新五カ年計画の財源措置についてでありますが、三十九年度分の予算額三千億のうち、一般財源はわずかに四百五十億であります。その他は揮発油税一〇%、軽油引取税二〇%、地方道路税一〇%の引き上げによって得たものをこれに充当することになっておりますが、これらの税率の引き上げは、自動車運賃その他諸物価の値上げとも結びつき、利用者のみならず、一般国民大衆にまでその影響を与えることは必定であります。さきの施政方針演説でも明らかにされましたが、池田内閣の物価対策は、一年先にどうかなるというきわめてあいまいもことしたものであり、具体的な方策はなかったかに記憶いたしておりますが、このような物価の値上がりと結びつく計画を中止することこそ真の物価抑制策であろうかと存じます。
 大蔵大臣は、国民生活に影響の大きい揮発油税、軽油引取税、地方道路税等の税率引き上げを取りやめ、一般財源を大幅に増加して、本計画を遂行する意思はないかどうか、お尋ねをいたします。また、建設大臣は、本計画の立案にあたりまして、財源措置についてはどのような努力をなされましたか、あわせてお尋ねをいたします。
 次に、建設大原にお尋ねしたい。
 第一点としては、道路法との関連についてお伺いいたします。新五カ年計画の遂行にあたって、本法案の改正とあわせて道路法を同時改正しなければ、計画の遂行に重大な支障があると思いますが、道路法改正との関連はいかにお考えでありますか。
 第二点としましては、国土総合開発法との関連についてお伺いいたします。現在までの公共投資を見ましても、太平洋ベルト地帯の大都市にこれが集中しておりますし、道路整備につきましても、ガソリン税等にその財源の大半を求めている関係上、自動車利用度の濃密な大都市に一方的に集中し、大都市偏重という形が出るのは避けられないのではないかと存じます。また、三十九年度予算に見られますように、地方道に対する財政措置がきわめて少額であり、都市と地方の差はますます拡大の方向にあります。このような状態では、国土総合開発法の精神が全く死文化するのではないかというふうに考えるわけであります。
 その次に、豪雪地帯対策についてはどのような具体策を持っておるのか。なおまた安全対策として、車両制限令、踏切改良の促進が織り込まれておりますが、五カ年間で完全に遂行される見通しで、運輸省との間においてどのように調整がなされているか。
 次に、各公団等の公団債の公募による財源確保については、大蔵省との関係においては順調に話し合いが進んでいるのかどうか。また、その消化状況はどのようになっているか、お伺いしたいのであります。
 次に、高速縦貫自動車道並びにオリンピック道路の問題についてお尋ねをいたします。高速縦貫自動車道は、日本の経済の伸展、輸送需要、地域構造の変革等を考慮した全国的な高速縦貫自動車道路の幹線網を形成するように建設されなければなりません。しかるに、現在の高速縦貫自動車道路の建設については、地域構造変革という主目的がともすればなおざりにされ、輸送時間の短縮だけに重点が置かれるような計画があるやに聞き及んでおります。大臣は高速縦貫自動車道路について、当初の目的を達成する方向を目ざすべきだと考えますが、その所信を承りたい。
 オリンピック道路に関しましても、昼夜兼行の急ピッチの工事が進められており、時間の制約を受ける作業であるだけに、当事者は計画遂行に相当の努力をされているやに聞いておるのでありますが、時間の制約を重視するあまり、夜間作業等の量が増大し、単価の高騰を招来しまして、その執行上、特にこの道路作業に従事する労働者に相当過酷な労働条件が付加されておるように聞いておるのでありますが、この計画遂行にいかなる確信をお持ちであるか、お伺いしたいのであります。
 以上、冬項目につきまして問題点をただしてまいりましたが、日本には、特に地方道においては、道路予定線はありましても道路はないといわれ、また、農村地帯等の地方道も、トラクター、耕うん機の利用が増加して、相当通行に困難を来たし、また、一般都市道路のひどいことは、これまたお話になりません。舗装もなく、人の歩く歩道の設備すらほとんどない実情でありまして、人間不在の道路計画と酷評されるゆえんもここにあるかと思うのであります。
 大蔵大臣並びに建設大臣は、財源の点におきましても、西欧諸国の例に比べてなお増徴の余地があるとの前提に立っておられるようでありますが、物価抑制政策として、フランスは昨年十月二十八日、イタリアは十一月一日、それぞれ軽油税等の減税をいたしている事実を十分学ぶべきではないか。道路は、産業、経済、文化の大動脈であり、その恩恵を受けるのは、現存及び将来にわたる国民全体であります。このような、国民生活にきわめて重大な影響のある道路費の八三%を、ガソリン税等、自動車の負担とするような目的税の誤れる行き過ぎを是正し、一般財源とのアンバランスを是正されることをここに強く要望いたしまして、私の党を代表しての質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 産業、経済、文化の発展に伴いまして、道路の整備の必要は、年とともにその重大さを増してくるのであります。当初、政府といたしましては、一兆円予算の計画を組みました。そして、その後倍加いたしまして、お話のとおり、二兆一千億円の道路整備計画を立てたのでございますが、これでも間に合いませんので、今回、四兆一千億の五カ年計画を立てたのであります。しこうして、お話のように、建設省といたしましては、五兆円程度の計画を立てておられたようでありますが、何ぶんにも、相当の財源を要します。また、いろいろな問題を含んでおりますから、十分検討した結果、今回、四兆一千億円の計画といたしたのであります。したがいまして、あらゆる問題を検討しておりますので、この実施につきましては、十分な自信を持っておることを、ここにあらためて申し上げておきます。
 その他につきましては関係大臣よりお答えいたさせます。(拍手)
  〔国務大臣河野一郎君登壇〕
○国務大臣(河野一郎君) 地方に負担を過重にするきらいはないかという御意見のようでございました。御承知のように、近時、特に地方各府県におかれましては、道路整備に非常な大きな意欲を持っておいでになりまして、建設省で考えておりまする道路整備計画ではまだ不十分で、幾らでも消化するからたくさん計画を立てなさいと言うておられるのが実情と私は考えます。そういう意味におきまして、自治大臣、大蔵大臣とも地方の財源につきましても十分お打ち合わせをいたしまして、この四兆一千億の五カ年間における施行の範囲をきめたのでございまして、決して御趣旨のような点はないと考えております。
 次に、道路法の改正をやるかという御意見でございました。私も、お話のように今日道路に関する事業がこれだけ大幅に増大いたし、さらにまた、道路に対する産業上の使命も非常に大きくなっております。したがいまして、従来の道路法をそのままで、将来の増大してまいり、また新しい使命を付託せなければならない道路について、同じ法律でやってまいるということが必ずしも適当でない場合が現に生まれております。たとえば、非常に富裕の府県と財源の少ない府県、また、自治のために道路に非常に情熱を持っておいでになる知事さんと、そうでない知事さんとございます。こういう場合におきまして、必ずしも道路の一貫性を期待することが困難でございます。ところが、御承知のとおりに北海道から鹿児島まで長距離のトラック輸送がますますひんぱんになってまいりまする今日、道路はあくまでも全国的に一貫したものでなければならない。同じ一級国道、二級国道といいましても、県によって幅が違うというようなことでは、安心して輸送を託することができないというようなこともございますので、この機会にできるだけ道路法の改正をやりたいと考えて、せっかく準備をいたしておるところでございます。
 第三番目に、大都市中心になりはしないかということでございますが、終戦後だんだん十八年間の実績を見てまいりますと、道路事業に各府県の使っておりまする予算、もしくはまた中央の建設省の予算の配分が適切であるかどうかについて検討を要する点が実はあります。これが今日前年度に対して本年度の予算がどのくらいふえたか、その増加率で府県の道路に対しても予算の分配をおおむねいたしておりまする関係から、だんだん格差が大きくなってまいる傾向がございます。そこで、都市偏重というような御意見もありまするので、実は今年から各府県の人口、面積、県の予算等々を要因として、新たに各府県の道路予算をどの程度にするがよかろうかということを、府県とも打ち合わせした上で、新しい基盤にのっとってやってまいりたいということにいたしておりますので、決して都市中心にやろうと考えておりません。
 次に、高速道路についてでございますが、これは新五カ年計画の四兆一千億をもっていたしましては、東京−大阪間の道路を完成いたしますのと、中央道の東京−吉田間を完遂するということのほかには、あまりどことどこができ上がるというほどの予算がありません。したがって、なるべく早い機会に、国の財政の許す範囲におきまして、この五カ年計画をできるだけ早く改定して、当初意図いたしました五兆円予算もしくはそれ以上の予算に改定してやっていきたいということをこいねがっておる次第でございます。
 第六番目に、オリンピックを目ざして道路をやっておるが、これには期限が非常に限られておるために、無理がかかっておるのじゃないか。夜間作業その他において無理がかかる結果、働く人に非常に過重な労務をしいているのではないか、その他工事を施行する人たちが、予算関係においても異常な負担をするようなことになりはせぬかというような趣旨の御質問でございましたが、これらの点につきましては、十分注意をいたしまして、そうして結果においてそういう事態が起こりました際には、東京都を通じて予算等において別途処置をするということにいたして、御心配のようなことの起こらぬように鋭意努力をいたしておる次第でございます。お答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 新道路五カ年計画の発足に際して、ガソリン税の引き上げ等特別財源の整備を行なったけれども、それについては三十九年度一般会計歳出四百五十億では少ない、こういうような趣旨であったと思います。一十九年度の道路整備事業費は二千七日六十五億でありまして、うち一般財源を四百五十億円歳出に組んでおるわけであります。三十八年度の一般会計の歳出は三百六十億でありますので、対前年度比二五%アップになっておるわけであります。特定財源であるガソリン税は一〇%の増徴後、対前年の伸び率は二三%でありますので、この増税後の特別財源の伸び率以上に一般会計の支出を行なっておるわけであります。
 道路整備につきましては、欧米各国も道路整備を急いでおるわけでありますが、おおむね自動車の関係収入及びガソリン税を主要財源としてまかなっておることば、御案内のとおりでありまして、日本のごとく一般財源を多量に投下しておる例はないのであります。しかし、先ほどから申し述べられましたように、道路整備の緊急性を考えまして、各一般財源の投下をはかっておるのでありまして、事情から申し上げて、ガソリン税の引き上げも道路整備の緊急性から見てやむを得ざる措置だと御理解賜わりたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣早川崇君登壇〕
○国務大臣(早川崇君) 自治体の負担能力いかんという問題でございますが、御承知のように、すでに三十七年、八年度においても、単独の道路事業は約一千億円になっております。来年度は地方の自主財源が約二千三百億円増加いたします。交付税も約八百億円をこえる増加をいたすわけでありまして、六千六百億円から八千億円に計画が増加されたといたしましても、地方自治体の意欲と財源の増加にかんがみまして、消化することも私は可能であると考えております。(拍手)
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
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 租税特別措置法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(船田中君) 次に、内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。大蔵大臣田中角榮君。
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨につきまして、御説明を申し上げます。
 政府は、昭和三十九年度税制改正の一環として、さきに提出いたしました所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案等の改正諸法案に引き続き、企業の国際競争力の強化及び自己資本の充実、資本市場の育成並びに科学技術の振興等の措置を講ずる必要がありますので、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容について、その大要を御説明申し上げたいと存じます。
 第一は、輸出所得の特別控除制度は、今年三月末にその適用期限到来と同時に廃止するわけでありますが、国際収支の安定、改善をはかることが緊要でありますので、この際企業の国際競争力の強化等に資するため、次の措置を講ずることといたしたのであります。
 その一は、輸出割り増し償却制度について、その適用期限を三年間延長するとともに、普通償却範囲額に輸出割合を乗じた額の八〇%相当額を割り増し償却の範囲額とすることとなし、制度の拡充と簡素、合理化をはかることであります。
 その二は、技術輸出所得控除制度につき、その適用期限を五カ年間延長するとともに、取引基準にかかる控除割合を海外への技術提供による収入金額の五〇%から七〇%に引き上げ、さらにその適用対象に対外支払い手段を対価とするコンサルティング業務の収入及び輸出貨物の運送その他対外支払い手段を対価とする運送業務の収入を含め、この場合の取引基準にかかる控除割合をそれぞれ収入金額の二〇%または三%とすることであります。
 その三は、海外市場の開拓に必要な特別な支出に備えるため、昭和三十九年四月一日から五カ年間、商社については輸出取引額の〇・五%、製造業者については一・五%相当額の損金算入を認める海外市場開拓準備金制度を創設することであります。
 なお、この準備金にかえ、中小企業が共同して行なう市場調査費用等に充てるため、特定の商工組合についても、中小企業海外市場開拓準備金制度を創設することといたしておるのであります。
 その四は、新開発地域に対する投資を促進するため、昭和三十九年四月一日から五カ年の間に行なわれる新開発地域に対する特定の投資について、その取得価額の二分の一相当額以下の金額の損金算入を認める海外投資損失準備金制度を創設することであります。
 第二は、企業の資本充実に資する見地から、支払い配当に対する法人税率を二八%から二六%に引き下げるとともに、年所得三百万円以下の部分に対応する支払い配当及び特別法人の支払い配当に対する法人税率もこれに準じ、それぞれ引き下げることといたしております。
 なお、配当受け取り株主の益金不算入割合及び配当控除割合は、現行どをり据え置くことといたしておるのであります。
 第三は、資本市場の育成に資するため、新たに次の措置を講ずることといたしております。
 その一は、証券投資信託の収益分配金について、昭和四十年三月三十一日までに支払われるものに対し五%の税率による源泉分離課税方式を採用することであります。
 その二は、証券取引において生ずる事故についての証券業者の補償責任の明確化をはかる措置の一環として、昭和三十九年四月一日から五年の間、株式数を基準として一定割合で計算した金額の損金算入を認める証券取引責任準備金制度を創設することであります。
 第四は、科学技術の振興に資するため、従来から設けられている試験研究用機械設備等の特別償却制度を統合して、昭和三十九年四月一日から三年の間に取得した開発研究機械等については、初年度において取得価額の九五%相当額を償却できることとするほか、鉱工業技術研究組合に対する支出金の特別償却制度について、その償却割合を初年度七〇%、自後二年間にそれぞれ一五%とする現行制度を、初年度一〇〇%とする制度に改め、さらに重要国産技術の開発に資するため、国産一号機の取得につき、初年度三分の一の特別償却制度を創設することとしております。
 第五は、以上述べたもののほか、特別償却制度について次のような措置を講ずることといたしておるのであります。
 その一は、住宅建設の促進に資するため、現行の新築貸し家住宅の翻り増し償却制度について、その適用期限を昭和四十二年三月三十一日まで延長するとともに、昭和三十九年四月一日から三年の間に新築したものについては、その割り増し率を現行に比し、それぞれ十割ずつ増加することといたしておるのであります。
 その二は、工業用水法に規定する井戸から工業用水道への強制転換施設につき、初年度三分の一の特別償却制度を創設することであります。
 その三は、現行の重要産業用合理化機械の特別償却制度につき、その償却割合を初年度三分の一から四分の一に縮減することであります。
 第六は、海運業再建整備に伴う措置の一環として、船舶の減価償却に関し、運輸大臣の承認を受けた整備計画の実施中は、船舶についての償却不足額の打ち切りを行なわないこととするほか、その整備計画に基づく合併等に際しては、償却不足額の引き継ぎを認めることといたしております。
 第七は、協同組合に対する課税の特例といたしまして、農業協同組合、漁業協同組合、専業協同組合、事業協同小組合及び商工組合等のうち、一定の要件に該当するものに対しましては、留保金が出資の四分の一に達するまでは、昭和三十九年四月一日から五年の間に終了する各事業年度における留保所得の二分の一について、法人税を課さないこととする制度を創設することとしております。
 第八は、医療法人に対する課税の特例として、医療法人のうち、その産業が公益の増進に著しく寄与し、かつ公的な運営がなされるものとして大蔵大臣の承認するものについては、その所得に対する法人税率を、現行年二百万円超三八%、年二百万円以下三三%から一律に二八%に軽減することといたしておるのであります。
 第九は、法人の交際費の損金不算入制度の改正であります。すなわち、この制度の適用期限をさらに三年間延長するとともに、最近における交際費支出の状況にかんがみ、その控除額を、現行の年三百万円と資本金額等の千分の一との合計額から、年四百万円と資本金額等の千分の二・五との合計額に引き上げるとともに、損金不算入割合を二〇%から三〇%に引き上げることといたしております。
 第十は、贈与税の課税の特例でありますが、農業を経営する個人が推定相続人に農地を贈与して、その農業経営を行なわせる場合には、一定の条件のもとに贈与税の納期限の延長を認めるとともに、その後相続があったときには、その農地を相続財産に含めて相続税を課することとし、贈与税との調整をはかることといたしておるのであります。
 最後は、昭和三十八年度末に期限が到来する特別措置のうち特定のものについての期限の延長であります。すなわち、航空機の通行税の軽減措置については一年、増資登記に対する登録税の軽減措置等については三年と、それぞれその適用期限を延長することといたしております。
 以上、この法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。堀昌雄君。
  〔堀昌雄君登壇〕
○堀昌雄君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理大臣以下関係大臣に質問をいたします。
 最初に、われわれの考え方を申し上げます。
 大体、租税が国会において法定されることになっておりますのは、租税が国民生活にきわめて重大な影響を持っておるからにほかなりません。その租税が公平に行なわれるのであれば、国民の義務として国民がこれに応ずるのは当然でありますけれども、公平が乱されるとするならば、その額のいかんにかかわらず、国民にとっては大きな負担となることは明らかであります。(拍手)かつて戦時中に、乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂うという問題がございました。これらの原則は、私は今日の租税の上にもさらに強く要求されなければならない問題であると考えるのであります。
 そこで、この租税特別措置法なるものは、この負担の公平を阻害をするために設けられておる法律でございます。この問題については、税制調査会はその中間答申において、「租税特別措置は、負担公平原則や租税の中立性を阻害し、総合累進税率構造を弱め、納税モラルに悪影響を及ぼすなど多くのデメリットがあるから縮減すべきである。かかるデメリットにもかかわらず認められるためには、まず、税制以外の措置で有効な手段がないかどうかを検討し、他に適当な方法が見出し得ない場合に限られるべきである。さらにこの場合にも、少なくとも、(1)直接の政策目的の合理性、(2)政策手段としての有効性、(3)付随して生ずるデメリットとの得失の判定などのテストを厳格に経た上でなければならない。」このように、政府みずからが設けておる税制調査会は答申をいたしておるのであります。
 ところが、最近の租税特別措置の経過を見てみますと、昭和三十六年度にはその減収額は一千四百九十五億円、三十七年度は一千六百九十五億円、三十八年度は千九百九十八億円、本年度は二千九十八億円と、年をふるに従ってますます増額をしておるのであります。
 さらに、われわれが非常に重大な関心を持っておりますのは、税制調査会の答申との関係であります。昨年度におきましても、税制調査会が答申をいたしましたものの中で、政府がそれを削りましたのは、所得税に関する基礎控除、配偶者控除、扶養者控除でございました。そうして、税制調査会の答申になかった利子分離課税の特例を設けるの暴挙を昨年は行なっております。本年は、それではいかがでありましょうか。税制調査会の答申を再び削りましたのは、給与所得の控除として、平年度九十三億円をさらに現在の税制の上に足して減税することを税制調査会は答申をいたしておりましたけれども、この九十三億円は削って、税制調査会の答申にない十三件にのぼる租税特別措置法を政府が一方的に提案をしておるのが現在の姿であります。(拍手)われわれは、このように最初に申し上げた租税公平の原則を踏みにじるとするならば、少なくとも税制調査会というこの機構を経て答申されたもののみに限るのが当然であろうかと考えるのでありますが、にもかかわらず、自分たちが設けておるところのこの税制調査会すらも無視して、国民にこのような不公平な取り扱いをするということは、われわれは国民の代表として断じて許すことはできないのでございます。(拍手)
 そこで、総理大臣にお伺いをいたします。
 本年度は証券の投資信託について分離課税の制度が設けられることになりました。昨年の大蔵委員会において、総理大臣の出席を得て私がお尋ねをいたしましたときに、利子の分離課税については当分はやむを得ないけれども、配当所得の分離課税については行なう意思がない旨を明らかにされました。そこで、実は今回の証券投資信託の分離という問題が本年度出てまいっておりますので、やがてはまたもや配当所得の分離の問題が生じてくるのではないかというおそれをわれわれは持っております。昨年度、新聞紙上で見るところによりますと、大蔵大臣としては配当の分離課税が適当であるというような発言をされておったようにわれわれは見ておりましたが、過ぐる予算委員会においては、そのような発言をしたことはないと言って、一体どちらを向いての発言かわかりませんが、否定をされております。そこで、私は総理大臣及び大蔵大臣にお伺いをいたしますが、今後配当所得の分離課税は行なわないという昨年の御答弁を確認していただけるかどうか、この一点をお伺いをいたします。
 第二点は、この問題が起きておりますのは、利子に対する分離課税というものが著しく権衡を害しておるというのが証券界の考え方であります。そこで、私は、四十年三月に切れる利子分離課税、及び今回提案になりました投資信託の分離課税等、これらの分離課税をやめて総合課税にする意思があるかないか、この点をお伺いをいたします。
 第三点は、ただいま私が前段で申し上げました税制調査会の答申にないようないろいろな租税特別措置法を国会に提案するということは、みずからつくられた税制調査会をないがしろにするものであると考えますが、今後このようなことをなお行なう意思があるか、今後はこういうことはやめるのかどうか、その点を明らかにしていただきたいと思うのであります。
 その次に、大蔵大臣にお伺いをいたしますけれども、この中に医療法人に対する法人税率の軽減の問題が提案されております。ところが、本日国会に配付になりました租税特別措置の減収案には減収額が書かれておりません。この医療法人に対する税率について一体幾らの減収を考えておるのか、この法律はきわめて不公平を招くものであって、現在一般の病院と医療法人の病院との間にすでに税の上に大きな開きがあるにかかわらず、その医療法人の中にさらに二八%の特別の部類をつくるということは、医療の税制上に大きな混乱を招くと思うのであるが、その点についてはどう考えるのかをお伺いをいたします。
 最後に、通産大臣にお伺いをいたします。輸出所得控除が、今回はその他の諸法律の形で改められておりますけれども、一体これらの措置で輸出があなた方の予想するように伸びるというふうに考えておるのかどうか、その点についてはっきりとお答えをいただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答えをいたします。
 税制に関しまして、特に租税特別措置法に対しましての御意見を承りました。おことばのうちにひとしからざるを憂うる、これは租税の公平原則でございます。私はひとしからざるを憂えますから、租税はあくまで公平でなければなりません。しかし、あなた方は乏しきを憂えずとおっしゃるが、私は乏しきを憂える。(拍手)だから公平であると同時に経済を発展さして国民全部の所得をふやすことも考えなければならぬ、これがいわゆる財政法上の原則でございます。租税の公平の原則と経済政策的原則は財政法上にはっきり明記しておりまするから、私はこういう考えで、乏しきを憂える、それで経済的の租税措置をとる。ひとしからざるを憂う、それで租税の公平原則をやっておるのであります。(拍手)
 次に、配当所得の分離課税につきましての御質問でございますが、配当所得の分離課税ということがいろいろの意味に使われております。もしそれが投資信託の配当についてであれば、これは分離課税をいたします。一般の株式の配当につきましては、いろいろ賛成論がございましたが、私は断固としてこれはやめました。また今後もやらないつもりであります。しこうして、分離課税とは別に徴税上の観点から、一定額の分は総合しないという考え方は今後も検討していきたいと思います。今回ある程度実行いたしました。これが私の配当に対する投資信託も入れての根本的考えでございます。御納得いくと思いますが、これははっきり申し上げておきます。なお、預金利子の分離課税をやめて、いわゆる総合課税にするということは当分のうちいたしません。これは経済発展のために必要な措置と私は考えております。
 次に、税制調査会の答申にないことを政府がやるとおっしゃるが、私は、税制調査会に意見を聞くだけで、税制調査会の言うとおりにいたしません。私の所信によって皆さん方の賛成を得て、国のためになることをやるのでございます。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 根本的には総理大臣からお答えになりましたから、私に対する御質問の一点だけ申し上げます。
 医療法人に対する特別措置に対しては減収計算が出ておらないが、一体どういうことなのか、こういう御質問でございますが、公共性が強く、かつ公的に運営されておる医療法人として、大蔵大臣の承認を受けたものにこれからこういう特別措置を与えよう、こういうことで制度の道を開いたのでありますから、事実上三十九年度には減収はほとんど立たない、このように見ておるわけであります。(拍手)
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 輸出振興の重要性にかんがみまして、大蔵大臣からも御説明がありましたが、耐用年数の短縮をはかるほか、海外市場開拓準備金制度等五つの項目を今度実施することになりました。これによる減税額は大体二百五十四億円と推定しておりまして、所得控除によりますところの二百三十四億円をカバーし得るものと考えております。したがいまして、今年度は大体五十五億ドルの輸出をいたしておりますが、来年度われわれが考えておりまする六十二億ドルは十分達成できる予定でございます。(拍手)
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 赤城農林大臣の農業基本法に基づく昭和三十八年度年次報告及び昭和三十九年度農業施策についての発言
○議長(船田中君) 赤城農林大臣から、農業基本法に基づく昭和三十八年度年次報告及び昭和三十九年度農業施策について発言を求められております。これを許します。農林大臣赤城宗徳君。
  〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
○国務大臣(赤城宗徳君) 先般国会に提出いたしました昭和三十八年度農業の動向に関する年次報告及び昭和三十九年度に講じようとする農業施策について、その概要を御説明いたします。
 申すまでもなく、これらの報告及び文書は、それぞれ農業基本法第六条及び第七条に基づいて政府が毎年国会に提出いたすものの三十八年度分であります。
 まず、昭和三十八年度農業の動向に関する年次報告について御説明いたします。
 この年次報告は、「第一部 農業の動向」と、「第二部 農業に関して講じた施策」に分かれております。「第一部 農業の動向」におきましては、農業基本法の趣旨に沿い、他産業と比較した農業の生産性及び他産業従事者と比較した農業従事者の生活水準の動向に焦点を置き、これに関連する農業の動向を三十七年度を中心として、できる限り最近にまで及んで明らかにしております。
 その概要を申し述べますと、三十七年度のわが国経済は、景気調整の影響により成長率は鈍化しましたが、個人消費支出は引き続き旺盛で、農業世帯員の他産業部門への就職も依然多数にのぼりました。このため、農業就業者は前年度に比べて三%減少し、三十七年度平均で千二百六十四万人となっております。農業生産は、近年選択的拡大の方向に沿って増加しておりますが、三十七年におきましては、米の増産及び畜産物の生産の著しい増大等によって、前年に比べ三%程度の増加となっております。これは、農業就業人口の減少にもかかわらず、農業技術の進歩や農業投資の増加があったこと等によると考えられます。
 また、農産物価格は、需要の著しい伸びによって強調を示し、前年度に比べて一〇%程度の上昇となっております。とのような農産物価格の上昇は、近年の経済の高度成長に伴う農産物需要の増大と質的な高度化があまり急激に行なわれたため、生産がこれに十分対応できない面が見られ、とのため需給の不均衡が生じたことに主としてよると考えられますが、農家の自己労働評価の高まり、その他コストの上昇をも反映していると思います。また、特に生鮮食料品等の消費者価格の値上がりは、流通経路の不備や流通経費の増大によるところも大きいのであります。
 以上のような農業生産の増加と農産物価格の上昇によって、農業所得は前年度に比べ相当の増加となりました。また、農外所得も引き続き増大いたしましたので、農家所得の伸びは大きかったのであります。それとともに、農業の生産性及び農業従事者の生活水準も相当の向上を示しました。
 農業と他産業との生産性を、従来どおり従事者一人当たり実質国民所得で比較いたしますと、農業の製造業に対する比較生産性は、三十六年度において二五%でありましたが、三十七年度においては二八%程度となりました。また、製造業を含む非農業に対する比較生産性は、同じく二七%程度から二九%となり、生産性の格差が若干縮小いたしたのであります。
 農業従事者の家計費を他産業従事者のそれと比較いたしますと、全国農家の世帯員一人当たり家計費は、全国勤労者世帯のそれに対して、三十六年度において七六%程度でありましたが、三十七年度においては七七%程度と、わずかながら改善されたのであります。
 このような農業と他産業との生産性の格差の縮小は、三十七年度において、景気調整の影響により他産業部門における生産の伸びが大幅に鈍化したことや、農産物の相対価格が上昇したことによるところが大きいと考えられます。
 したがいまして、農業と他産業との生産性の格差が拡大してきた近年の傾向が改まり、今後引き続いて生産性及び生活水準の格差が縮小するとは即断できないのであります。
 次に、農業経営の動向について見ますと、依然として青少年層が中心になって農家人口が流出しており、農家の兼業化も引き続き増加しております。このため、農業従事者に占める老人や女性の比率が高くなって、労働力の質が一般に低下し、また、農業後継者の確保も次第に困難となっております。
 また、農業就業人口の減少は、現在のところ農家戸数の減少と必ずしも結びついておりません。兼業を主とする農家の増加が大きく、農地の流動化がなお十分でないこともあって、農業就業人口は減少しても経営耕地規模拡大の動きがそれほど顕著になったとは申せない状況であります。
 しかし、農家戸数がわずかではありますが減少する中で、一町五反以上層の農家が近年着実に増加し、また、畜産、果樹等の成長部門を中心にして、農業経営を積極的に高度化し、相当の農業所得を待ている自立経営的農家が次第にその数を増加してまいりましたことは、注目されるところであります。
 今後わが国農業をめぐる国際経済情勢は次第にきびしさを加えてくることと考えられます。また、経済成長に伴い、農業就業人口が一そう減少することも予想されます。
 このような農業の動向にかんがみ、政府といたしましては、農業基本法に即して、農業近代化施策を総合的に実施し、農業の生産性及び農業従事者の生活水準を向上させつつ農業の発展をはかるとともに、自立経営を育成するよう一そうの努力をいたすことが重要であると考えるのであります。
 以上が第一部の概要であります。
 次に、「第二部 農業に関して講じた施策」について申し上げます。
 これは、第一部と同様、三十七年度を中心として、できるだけ最近にまで及んで、政府が農業に関して講じた施策を、農業基本法第二条に掲げる施策の全般にわたり、農業の動向との関連及び施策の実績等にも言及して記述したものであります。
 最後に、「昭和三十九年度において講じようとする農業施策」について、その概要を申し述べます。
 この文書は、年次報告にかかる農業の動向を考慮して、三十九年度において政府が講じようとする農業施策を明らかにしたものであります。
 最近における農業の動向はただいま御説明したとおりでありますが、このような動向に対処いたしまして、農業の近代化を促進することは、わが国経済の均衡のとれた発展をはかる上できわめて重要な課題であります。政府といたしましては、農業基本法の定めるところに従い、同法の定める施策を着実に具体化することを基本的な態度として農業施策を講ずることとしているのであります。
 三十九年度において講じようとする農業施策の重点といたしましては、
 まず第一に、農業生産基盤の整備を強力に推進してまいることといたしております。すなわち、農業機械化促進のための大区画圃場整備、農業生産の選択的拡大に即応した飼料自給基盤強化のための草地造成等をはじめ、土地及び水の有効利用をはかるためのかんがい排水施設整備、農用地開発等土地改良事業の積極的推進をはかることとしております。
 第二に、農業構造改善事業を拡充強化することとしております。すなわち、農業構造改善事業を一段と積極的、かつ、円滑に推進するため、融資、単独事業費の増額等助成措置の拡充強化をはかるとともに、すでに事業実施中の市町村においても、事業実施地区以外の地区で農家の熱意がある等条件の整備されている場合は、その地区で事業を実施することができるよう措置する等、地域の実情に応じて事業を弾力的に行なうこととしております。
 第三に、農産物の価格安定及び流通改善を積極的に推進してまいることとしております。すなわち、農業所得の増大と国民生活の安定をはかるため、米麦等の価格政策について適正な運営をはかるとともに、畜産物、果実、野菜等需要の伸びの大きい農産物の生産の安定的増大をはかるための施策を強化することとし、これとあわせて農産物の流通の改善による流通経費の節減と価格の安定をはかってまいることとしております。特に生鮮食料品の流通改善対策といたしまして、生鮮食料品流通のかなめともいうべき中央卸売市場につきまして、引き続き施設の整備、取引方法の改善及び取引機構の合理化につとめることとしております。また、生鮮食料品の小売り価格の合理的形成に資するため、新たに東京都に食料品総合小売り市場を設置することとしております。
 第四に、農業金融の改善拡充をはかるとともに、農業改良資金制度を拡充することとしております。農業近代化のために必要となる長期低利資金を確保するため、農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金等を大幅に充実いたしますとともに、公庫資金につきましては、融資条件の改善、簡素化をはかることとしております。また、無利子の貸し付けを行なう農業改良資金制度につきましても、農業後継者の育成資金及び農家生活改善資金を新たに加え、これに伴って、貸し付けワクを大幅に拡充することとしております。
 なお、この文書においては、以上の基本方針のもとに、三十九年度において講じようとする諸施策について、農林省所管事項にとどまらず、各省所管事項を含め、農業に関する施策全般にわたって記述しております。
 以上、年次報告及び三十九年度農業施策について、その概要を御説明した次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 農業基本法に基づく昭和三十八年度年次報告及び昭和三十九年度農業施策についての発言に対する質疑
○議長(船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。芳賀貢君。
  〔芳賀貢君登壇〕
○芳賀貢君 私は、日本社会党を代表して、ただいま赤城農林大臣より説明のありました昭和三十八年度の農業年次報告及び三十九年度における農業施策に関して、総理大臣はじめ関係大臣に貿問を行なわんとするものであります。
 今回の年次報告は、農業基本法が制定されてから第三回目の報告であります。すなわち、農業の動向については、国民経済の現状、国際環境の変化等、内外の経済情勢と日本農業の立場を説き、現状分析についても、統計の資料等を有効に用いて解明につとめられたのでありますが、三十八年度に講じた施策の報告については、事務的説明の域を脱せず、現状分析と政策実行との関係において、政府が講じた施策の成果と欠陥について的確な自己批判が行なわれていないこと、さらに、三十九年度に講ずべき施策についても、これから立ち向かう日本農業の進路について、基本的な姿勢が明らかにされていないことは、はなはだ遺憾とするところであります。(拍手)
 質問の第一は、農業の生産性と農業従事者の所得格差の是正についてであります。
 年次報告においても、農業と他産業との間において、生産性の格差、所得の格差、生活水準の格差が依然として是正されない点が強調されております。すなわち、三十七年度の産業別実質国民所得によれば、農業従事者一人当たりの所得は約十一万円であり、非農業従事者は、三・五倍の三十八万円となっております。したがって、農業の他産業に対する比較生産性は二九%となり、所得倍増計画の基準年次の比較生産性が三一%であるのに対して、一段と低下しておるのであります。これでは、農業基本法に明示した政府の施策が、倍増計画を背景に三年を経過した今日、何らの成果をあげていないことになります、今日欧米の先進国において、農業と他産業の生産性の比較をした場合において、三〇%以下という極端な事例を見ることはできないのであります。一体、政府としては、と他産業の格差の是正について真剣に取り組んでとられたのでありましょうか。高度成長政策の所産として、農業と農民を日の当たらない経済の谷間に追い落とすことは、農業基本法の精神に照らしても断じて許されない事態であります。この際、政府が講じた施策の欠陥と見通しの誤りについて解明を願いたいのであります。同時に、三十九年度において、農業と他産業の生産性及び所得格差の是正について、いかなる具体的施策を講ずるのであるか、総理及び関係大臣から納得のいく説明を願いたいのであります。
 質問の第二は、兼業農家の激増と自立農家の育成についてであります。
 政府の所程倍増計画によれば、経営規模の拡大をはかり、二町五反以上の自立経営農家を百万戸育成する目標であるが、今回の年次報告は、自立農家百万戸の育成は、兼業化の進行にはばまれて、架空の目標になったと詠嘆しているのであります。農業就業人口は現在千二百六十万台となり、令就業人口の三八%に低下したが、農業人口の他産業への大量な流出にもかかわらず、農家戸数は減少せず、ほとんどが兼業農家に移行しておる現状であります。すなわち、全国五百八十六万農家のうち、専業農家は二五%の百四十八万戸で、兼業農家は七五%の四百三十八万戸であり、しかも農外収入を主体とする三ちゃん農業が、全農家の四三%の二百四十万戸を数えるに至ったのであります。その結果、農業従事者の年齢別構成は、四十歳から六十五歳までが五五%を占めており、男女別の構成では、男子の四六%に対し、女子は五四%の割合であります。これをアメリカ及びイギリスにおける男女比較をとってみますと、男子九〇%、女子一〇%の就業の割合、さらにまた、イタリア及びフランスの男子七〇%、女子三〇%の就業割合に比較して、いかにわが国農業の就業構造が老齢化、婦女子化しておるか、近代化に逆行する三ちゃん農業の実態が明らかであります。池田総理は、かつて農業基本法審議の際に、所得倍増計画によって農業人口を他産業に流出させ、小農階層の脱農を促進し、脱農者の農地の再配分によって二町五反以上の自立農家を百万戸育成すると言明されたのであるが、三ちゃん農業に対する総理の御認識について承りたいのであります。さらに、池田内閣の高度成長政策が生んだ奇型児である兼業農家の激増に対し、政府は自立農家育成の立場からどのように対処されるのか、この際、総理はじめ関係大臣から施策の方向を明確にされたいのであります。
 質問の第三は、日本農業の発展をになう後継者の確保についてであります。
 すなわち、三十八年三月の中学校卒業者の二百四十八万人から、高校進学者を除いた七十四万人の就業者のうち、農業に就業した者は、九%の六万四千人であります。さらに、高等学校卒業者では、九十七万八千人のうち、農業に就業した者は、二・七%の二万六千人であり、男子の二万人に対し、女子の農業就業者が全国でわずか六千人にすぎないことは、社会的にも注目すべき点であります。いかに兼業農家が激増したとはいえ、五百八十万の経営体に対して、新鋭な後継者が毎年九万人程度では、まさに日本農業の危機ともいうべきであります。総理は、昨年十二月十一日本院において、赤路友藏議員の質問に答え、私は、所得倍増計画を立てたときから、農業従事者が四割くらい減ることを予測しておったと言明されたのであるが、農家の後継者が激減し、農業の発展をになう青年が農村から姿を消すことを期待し、拱手傍観しておられたのか、総理の心境を承りたいのであります。(拍手)農家にあと取りがない、農家に嫁さんが来ない、このような現象は、近代国家としてのまさに悲劇であります。
 さらに、総理は、農業は民族の苗しろであると述べておるが、民族の苗しろは池田農政によってまさに枯死寸前の状態であります。(拍手)この際、政府は完全雇用と最低賃金制度の確立をはかり、産業分野における就業人口の適正配置を行ない、農業についても、後継者の確保と、近代化のにない手となる人材の養成について重厚な施策を講ずべきと思うが、総理はじめ関係大臣から責任ある答弁を願いたいのであります。
 質問の第四は、貿易自由化に対処する保護政策の方向についてであります。
 わが国の貿易自由化率はすでに九二%に引き上げられ、農畜産物についても、昨年八月の粗糖の自由化により、米麦等の国家管理品目を除いて九二%が自由化され、わが国農業は不可避的に自由化のあらしに立ち向かうことになったわけであります。三十七年度の農業総生産額は、三十一−三十三年の平均を基準に、実質一四%の伸びを示したが、同じ期間に農畜産物の輸入は六六%もふえ、いまやわが国は世界的に農産物輸入国としての比重を高めているのであります。三十八年度においても、小麦、大豆、砂糖、トウモロコシ等の輸入量は大幅に増加し、特に家畜飼料については、畜産農業の拡大に伴い、国内需要の六〇%の四百六十万トンが動物用食料として輸入される見込みであります。
 これに関連して指摘したいのでありますが、政府は、三十八年度にアメリカのCCCから余剰農産物として動物用食料の脱脂粉乳八万五千トンを日本学校給食会に輸入させ、これを全国の小学校、中学校に配給し、粉ミルクと称して給食させているのであります。アメリカではアニマル・フッドとして、すなわち動物用食料として製造された脱脂粉乳が、そのまま両国政府の税関を通過して、日本では人間の子供の学校給食に用いられている事実について、総理の御見解を明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 政府は、貿易の自由化が世界の大勢であると称してこれに没頭しているが、諸外国においては、それぞれ自国の農業発展のために重厚な保護政策を講じて自由化に備えているのであります。たとえば、EECの共通農業政策にしても、自国の利益のために農業政策の基本理念が貫かれていることを知るべきであります。池田内閣の高度成長政策を推進する経済学者の中には、国際的に生産性の低い農業を保護するよりも、農業人口を他廃業に移動させて、米麦をはじめ、畜産物についても自由化で輸入すべきであると極論する向きもあるが、この際、政府の農商物自由化に対する基本的な態度と、講ずべき保護政策について、総理の所信を明らかにされたいのであります。
 質問の第五は、昭和三十九年度に講ずべき農業施策について、政府の所信をただしたいと思います。
 第一に、生産対策については、政府は生産と需給に関する長期の農業基本計画を立て、国民経済の要請にこたえて、自給度の向上を目ざし、生産拡大の施策を講ずるとともに、国内農業を圧迫する要因を排除し、農畜産物の輸入は、農業基本法第十三条の趣旨に基づき、自由化を廃して、国の管理のもとに規制すべきであります。特に、畜産の振興に関しては、価格支持制度を強化し、生産と消費の安定的拡大と、国産牛乳による学校給食の全面実施をはかり、飼料対策としては、飼料の価格及び需給の安定と草地造成事業の実施のため、すみやかに立法措置を講ずべきであります。また、甘味資源の生産振興については、無謀な粗糖の自由化を取りやめ、甘味資源の生産振興とあわせて、砂糖類の需給及び価格の管理についても抜本的な制度の実施が必要であります。
 第二の構造対策については、現在政府の進めている構造改善裏業の程度では、農業近代化の実効をあげることは不可能であります。この際、構造改善事業の実施に関する立法措置を講じ、事業規模を拡大して、補助率を八〇%以上に引き上げ、融資については、年利三分以内で長期の政府資金を充当すべきであります。農地の流動化を進めて経営規模を拡大し、自立農家を育成する道が後継者の不足と兼業農家の激増によってはばまれている今日、政府は、この際、農業経営の共同化の促進に積極的な施策を講じ、宿命的な三ちゃん農業からの脱却をはかるべきであります。
 第三の価格及び所得対策については、現行の食管制度を堅持するとともに、米、麦以外の重要農産物や牛乳、畜肉等の価格支持については、生産費・所得補償方式を適用することとし、所得の向上と農業の生産力の拡大発展をはかるべきであります。
 第四の農業金融制度の改善については、政府においても金融体系を整備し、金利水準を四段階に是正する意向のようでありますが、たとえば欧米諸国の農業金融制度を見ましても、利率は三分以内で、据え置きは五年程度、償還年限は三十五年ないし五十年が標準的なものであります。この機会に、農業金融制度に革命的な改正を加え、国の財政措置とあわせて低利長期の資金を確保し、農業の近代化促進の役割りを果たすべきであります。
 最後に、第五は、以上の施策を実施するために、農業基本法第四条に規定する政府の講ずる財政措置についてであります。
 政府が国会に提出した三十九年度の一般会計予算は三兆二千五百五十四億円で、そのうち、農林関係予算は三千三百六十億円であり、食管会計の繰り入れ千二十六億円を差し引くと二千三百三十五億円となり、総予算に対してわずか七%の配分であります。池田総理が唱える革命的農政を進めるためには、社会保障的性格の食管繰り入れ分を除いて、総予算の一割以上の三千三百億円程度は当然確保すべきであります。また、財政投融資計画につきましても、一兆三千四百億円のうち、農林関係の配分は、七%の九百三十億円にすぎません。財政投融資の原資が、郵便貯金、簡易保険、国民年金等、国民大衆の蓄積に依存している実情にかんがみ、総額の一五%の二千億円程度は当然農業発展のために確保する措置が必要であります。
 以上、五項目にわたる重要施策の実施について政府の所信を明らかにされたいのであります。
 私は、つとめて重点的に三十八年度の年次報告及び三十九年度の農業施策について質問をいたしたのでありますが、総理大臣からは農政の基本的な問題について、農林、大蔵、文部、労働各大臣からはそれぞれ具体的な事項について責任ある答弁を求めて、私の質問を終わるものであります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 農政の各般についての御質問でございますが、私は特に基本的な問題につきましてお答えし、あとは各関係閣僚に答弁さすことにいたします。
 第一点の農業の生産性でございますが、御承知のとおり、農業は社会的、経済的、自然的、いろいろな要素でその生産性の向上は他の産業よりもなかなかむずかしいのでございます。ことに倍増計画の当初にあたりましては、他の第二次、第三次、農業以外の産業は非常な伸び方をいたしましたので、農業自身も相当伸びておるのでございますが、他のほうが伸び過ぎましたので、格差の減少が十分見られなかったことは遺憾でございます。しかし、農業はそれ自体長い目で根気よくやっていかなければならぬという特性を持っておるのであります。したがいまして、十年計画でこれをよくしようとしておるのでございます。それには何と申しましても、農業基盤の強化と構造改善が必要でございます。そしてそういうことをやってくれば、御質問の第二の兼業農家といわゆる専業農家の関係が出てくるのであります。アメリカとかあるいはイギリス・フランスのように、ずっと以前から農業改革あるいは産業の発達のできたところは、いわゆる兼業農家は少のうございますが、ドイツ、日本のごとく、戦後農業以外の産業が急速に発展した国柄におきましては、どうしても専業農家と兼業農家との関係が起こってくるのであります。私は、方向といたしましては自立農家を育成して、ほんとうのいわゆる民族の苗しろを形成すると同時に、経過的には兼業農家の存在もこれは認めなければいかぬ。これはドイツ、日本同様な立場でおると思うのであります。したがいまして、自立農家の急速な発展、すなわち農業が企業としてりっぱに立ち行く農業に育てると同時に、経過的には兼業農家も見ていかなければならぬと私は考えておるのであります。
 次に、農業の後継者についての問題でございますが、やはりりっぱな企業として農業が成り立つという前提のもとにおいては、後継者の獲得もできるのであります。農業後継者の獲得は、自立農業、りっぱな企業としての農業を育成することが先決であり、また、それには質的にいわゆる後継者の教育その他の施設を十分はかり、いわゆる養成につきまして無利子の資金を貸すとか、あるいは学校をふやすとか、実習試験場をたくさん設けるとか、こういう後継者の質的教育と、自立経営のできる農業を立てていくことが基本であると考えるのであります。
 その他の具体的問題につきましては関係大臣よりお答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
○国務大臣(赤城宗徳君) 総理からお答え申し上げました以外のことにつきまして申し上げます。
 農産物の輸入国に日本もなってきた、その輸入に対して農業対策をどうするか。自由化はもう必至の問題でございますけれども、農産物はまだ国際的競争力が日本の場合には特に弱いのでございます。そういう意味でございますから、こういう自由化をする場合におきましては、再々申し上げておりますとおり、関税率の調整とかあるいは国内の農業がやっていけるような体制を整えつつ自由化をしていく、こういう方針でございます。この中で脱脂粉乳の問題があるようでございますが、脱脂粉乳の関係につきましても、いままでは余剰の脱脂粉乳を学校給食に使っておったような傾向でございます。しかし私どもは、ことしからはそのさか立ちをやめさして、なま牛乳を主として、脱脂粉乳で補っていく、これは一度にやるわけにもまいりませんから、逐次これをかえていく、こういう方向を持っております。
 価格の安定問題でございますが、これは米、麦あるいはなたね、大豆、あるいは畜産物、繭糸、たいてい一応は価格安定の法律といいますか、措置はあるのでございますけれども、これが十分でないということは私どもも考えております。こういう面を強化していかなければならないと思いますが、その中で御指摘のように、畜産物等において価格安定をしておるのでございますけれども、足らない、十分でない、そういう意味で、あるいはてん菜その他においていわゆる生産費・所得補償方式でやっていけないか、こういうお尋ねでございます。これは生産費・所得補償方式をとるということになりますならば、全体的に統制経済になりますし、工業生産物も生産費・所得補償方式でやっていくということになりかねないことでございますが、それは別といたしましても、農産物は他産業と比較いたしまして競争力も弱いのでございますから、農産物についてどうか、こういうことでございますが、米のようにいま大体生産体制が確立されたといいますか、整備されたといいますか、そういうものには私はことしもそれでいきたいと思いますが、てん菜その他一般農産物に生産費・所得補償方式でいくということについては、これは相当検討した上でなければやり得ないと、こう考えております。現在の価格安定方式を強化して価格安定をしていきたいと考えます。
 金融の面でございますが、農業金融を長期低利でやれ、ごもっともでございます。そういう意味で私ども本年度は長期低利の資金にすべく努力いたしまして、三分五厘の金融が去年の二・四倍で四百四十五億、全体の農業金融の公庫ワクの中の約四〇%以上を占めております。平均金利が五分ということでございますから、相当画期的な改革でございます。この償還期限も、たくさんあったのを整理いたしまして、これも長くいたしました。本年度におきましては、これは金融面におきましては非常に画期的なことをやったと私どもも思っております。これが十分に利用されるということになりますならば、いろいろ農業の面におきまして困っていた面も相当打開されていく、こう思います。
 それから食管制度をそれに関連してどうするのかというようなお尋ねもあったと思います。食管制度は、いま現在ありますような制度が、生産者にとりましてもあるいは消費者にとりましてもいいことだ、こういうふうに思っておりますので、この制度を継続していきたい、こう考えております。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 金融問題につきましては農林大臣からお答えがありましたので、財政に限って御答弁を申し上げます。
 昭和三十九年度の農林関係予算三千五百六十億、昭和三十八年度の二千五百三十一億に比べて三三%のアップになっておるわけであります。しかも昭和三十九年度の財投計画につきましては九百三十八億円を計上いたしておりますが、三十八年対比二九・六%のアップになっておるのでありまして、財投二〇・八%アップに比べると重点的に配慮いたしておるわけであります。なお、これにより農林漁業公庫の新規貸し付けワクは千七十億円と、三十八年度に比べて二三%も拡大しておるわけであります。政府は将来とも財政、金融、税制等を通じまして、農業基本法の精神に沿って、財政上も大いに配慮してまいります。(拍手)
  〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) 政府の雇用政策は従来から完全雇用の達成を目標といたしまして、各産業の均衡のとれた発展と就業構造の近代化ということを推進してきたのでありまして、ことさら農業人口を減少させようとする考えは毛頭あるわけではございません。ただ近年経済の急速な発展に伴い、若年層を中心とする農業労働力の流出が急激に進んでいる傾向が事実としてあらわれておりますので、政府といたしましては、農業の近代化のために必要な基幹労働力の確保については十分留意しつつ、農村から流出する労働力を安定職場に定着をはかり、かつその労働条件の改善を心がけておる次第であります。
  〔国務大臣灘尾弘吉君登壇〕
○国務大臣(灘尾弘吉君) 農業の近代化をになうべき後継者につきましては、先ほど総理からお答えになりましたのであります。その趣旨に従いまして、文部省といたしましても、農業教育の体質改善に努力をいたしておるところであります。
 農業近代化に対応するためには、農業自営者には相当高い資質を必要といたしますので、高等学校における農業教育の近代化を積極的に進めまして、また特に、自営者養成のための新しい農業高校の奨励をはかるとともに、大学におきましても、農業教育の改善に鋭意努力いたしているところでございます。(拍手)
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
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○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時五十一分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
        農 林 大 臣 赤城 宗徳君
        通商産業大臣  福田  一君
        労 働 大 臣 大橋 武夫君
        建 設 大 臣 河野 一郎君
        自 治 大 臣 早川  崇君
 出席政府委員
        内閣官房長官  黒金 泰美君
        内閣法制局長官 林  修三君
        総理府総務長官 野田 武夫君
        運輸政務次官  田邉 國男君