第046回国会 本会議 第17号
昭和三十九年三月二十六日(木曜日)
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 議事日程 第十六号
  昭和三十九年三月二十六日
    午後二時開議
 第一 地方自治法第百五十六条第六項の規定に
  基づき、海運局の支局の出張所の設置に関し
  承認を求めるの件
 第二 不動産登記法の一部を改正する法律案(
  内閣提出、参議院送付)
 第三 道路整備緊急措置法等の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
 第四 義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
 第五 日本開発銀行法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 外務委員長の選挙
 赤澤国務大臣のライシャワー大使の傷害事件に
  ついての発言及び質疑
 外国為替及び外国貿易管理法及び外資に関する
  法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参
  議院送付)の趣旨説明及び質疑
 日程第一 地方自治法第百五十六条第六項の規
  定に基づき、海運局の支局の出張所の設置に
  関し承認を求めるの件
 日程第二 不動産登記法の一部を改正する法律
  案(内閣提出、参議院送付)
 日程第三 道路整備緊急措置法等の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 日程第四 義務教育諸学校施設費国庫負担法の
  一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 日本開発銀行法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
   午後二時二十分開議
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
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 外務委員長の選挙
○議長(船田中君) 外務委員長赤澤正道君は、昨二十五日辞任いたされました。
 よって、この際、外務委員長の選挙を行ないます。
○小沢辰男君 外務委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
○議長(船田中君) 小沢辰男君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、外務委員長に臼井唯一君を指名いたします。(拍手)
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 赤澤国務大臣のライシャワー大使の傷害事件についての発言
○議長(船田中君) 赤澤国務大臣から、ライシャワー大使の傷害事件について発言を求められております。これを許します。国務大臣赤澤正道君。
  〔国務大臣赤澤正道君登壇〕
○国務大臣(赤澤正道君) ライシャワー駐日アメリカ大使刺傷事件につきまして御報告申し上げます。
 本月二十四日正午ごろ、ライシャワー駐日アメリカ大使が、大使館内において、精神異常の疑いのある少年に刺されるという不祥事が起こりましたことは、まことに遺憾のきわみでありまして、ライシャワー大使をはじめアメリカの国民の皆さんに深くおわびを申し上げる次第でございます。
 大使の傷は、手術の経過も順調であるとのことでありますが、一日も早く全快されるようお祈り申し上げる次第でございます。
 私たちは、今後重ねてこのような不祥事件が起こることのないよう、新たなる決意をもちまして、さらに治安の万全を期する所存であります。
 今回の事件につきましては、目下鋭意捜査中でありますが、以下、ただいままでに判明いたしましたところを御報告申し上げます。
 まず最初に、この事件の概況を申し上げます。
 本事件は、三月二十四日十二時五分ごろ、アメリカ大使館ロビー入り口において、静岡県沼津市に居住する塩谷功和という十九歳の少年が切り出しナイフを使用してライシャワー大使の右大腿部を刺したという事件であります。
 犯行の動機は、本人の供述によりますと、最近、近視が多くなったり、強制的に海水浴をさせられたり、男女共学を強制されたりすることについて自分はこれを直す方法を知っておるが、世間は取り上げてくれない、このため、ライシャワー大使を傷つけるようなことをすれば、新聞やラジオに取り上げられるし、世界各国にも知られるようなことになると考えたというのであります。
 被疑者は、本年二月二十四日、二十五日、二十六日にも連日上京いたしまして大使館におもむいておるのでありますが、それは大使館の所在を確かめ、またその様子を知るためであったと言っております。二月二十四日には大使に面会する方法を尋ね、翌日大使館の受付係に近視の矯正に関する嘆願書を手渡しております。翌一月二十六日には、大使館からの連絡に基づいて警戒中の警察官に発見され、約三時間取り調べを受けておるのであります。
 その後上京しなかった被疑者は、いよいよ四月には成年になる、未成年のうちならば罪を犯してもは軽いであろうし、新聞、ラジオに載る効果も大きいと考え、犯行を決意したと申し述べております。そこで、三月二十三日に切り出しナイフを買い求め、さらに約一貫目の石を拾ってきたと申し述べております。この石を用意したのは、大使館のへいを乗り越えるときに落とし穴があるかいなかを確かめるためであったと申しております。また、犯行の期日は、暦を見て、三月二十四日が吉日であるのでこの日の昼にきめたと申し述べております。
 事件当日の状況でございますが、被疑者の供述によりますと、三月二十四日朝、例の石をふろしきで包んで、切り出しナイフを持って六時五十三分沼津駅発の列車で上京、新橋で下車、地下鉄で虎ノ門に至り、大使館に行き、石を構内に投げ落とし、穴のないことを確かめたと言っております。その後、被疑者は、大蔵省印刷局のあたりで時のたつのを待って、正午ごろへいを乗り越えて大使館構内に入り、本館ロビー入り口を入ったところで、かねてテレビなどで顔を知っておる大使とすれ違った際に切り出しナイフをもって斜め後方から右大腿部を突き刺した、こう言っております。被疑者は、直ちにその場に居合わせた大使館員二名によって取り抑えられ、非常ベルによって急を知り大使館前警備派出所からかけつけた警察官に引き渡されたものであります。
 今日までの捜査の結果によりますと、被疑者はかつて精神分裂症の疑いで精神病院に入院したこともあり、また最近においても入院の手続をとりつつあったようでありまして、本事件は若干精神に異常のある少年による突発事故と思われるのでありますが、本人の供述に前後矛盾する点もあり、被疑者の供述の裏づけを中心に捜査をいたしております。このような次第で、特段の背後関係もないようでありますが、本事件の性質にかんがみ、さらに慎重に捜査を確め、真相の究明につとめているところであります。
 本事件の発生後、私どもといたしましては、急遽臨時に国家公安委員会を招集し、事件の内容を検討し、とりあえず、全国の警察に対して、この種事件の連鎖反応を防止するため、虞犯者、危険な精神障害者等の視察の強化及び外国公館その他の重要施設の厳重な警戒方を指示し、各都道府県警察とも警戒警備を強化しておるのでありますが、今後の警戒警備につきましてはさらに十分な検討を加え、虞犯者や危険性のある精神異常者の視察を一段と強化し、警護に関する的確な情報の収集及びこれが十分な活用をはかり、関係機関との緊密な連絡協調のもとに内外の要人などの警護を強化し、外国公館など重要施設の警戒を厳にし、捜査用の各種資器材の充実をはかる等、このたびのような不祥事件が再び発生することのないようその未然防止に努力してまいる所存であります。
 なお、関係都道府県警察官の一そう緊密な連携をはかり、警戒警備活動に支障を来たすことのないよう配慮いたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)
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 ライシャワー大使の傷害事件についての発言に対する質疑
○議長(船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。和田博雄君。
  〔和田博雄君登壇〕
○和田博雄君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま行なわれました国家公安委員長の報告に対しまして、若干の質問をいたしたいと思います。
 まず、質問に先立ちまして、日本社会党を代表いたしまして、ライシャワー米国大使に対する傷害事件につきまして、国民とともに遺憾の意を表したいと思います。(拍手)
 ただいま国家公安委員長から、この事件は精神に異常のある一少年の行なったものであること、また早川公安委員長の辞任によって責任を明らかにしたというようなことが報告されたのでありますが、私はこの報告を聞きまして、政府は、事件を起こしました少年が精神に異常があったということでほっとしたような気持ちになっている、あるいはそれでこの事件を解決したとしようとしているのではないかと不安を感じたのであります。なるほど、どの社会にもどの国にも、精神に異常のある者はいるでありましょう。しかし、いやしくも一国を代表する大使が傷つけられるというような事件は、他の国には例がないのではないかと思います。米国の世界が、ジョンソン大統領やライシャワー大使の声明によりまして冷静を保っているのは何よりであります。しかし、この事件によって日本の国際的な信用ははなはだしく傷つけられたのであります。これは事実であります。なぜ日本だけにこのような難件が起こったかについて、政治を行ないます君はえりを正して厳粛に反省をしなければならないと私は思います。(拍手)それなくして日本の国際信用を回復することはむずかしいでありましょう。公安委員長の辞任によって責任の問題は解決したというような安易な態度をとることは、責任を回避するにもひとしいものだと思います。池田首相は、政府の最高責任者として、いかにこの責任を感じ、またいかにして責任を明らかにするかを、まずお尋ねしたいと思います。(拍手)
 米国大使に対する傷害事件は、池田内閣に対して、その政治の姿勢につき、一大警告を発したものだと私は考えます。最近の日本には、異常な事故や異常な事件が多過ぎます。先般の鶴見の列車事故といい、また三池炭鉱の災害といい、連日のように事故があります。また凶悪な犯罪、大小の暴力はあとを断たないだけではなしに、むしろ増加の傾向さえあるのであります。青少年の問題も、世の親たちを悩ませている大きな問題であります。一つ一つの事故なり事件なりには、それぞれの原因あるいは背景があるでありましょう。しかしながら、これを予期しない突発的な事故であるとか、あるいは異常な性格の持ち主の行為だということだけで片づけることは、政治の責任を持つ者のとるべき態度ではありません。(拍手)池田内閣がこういう態度をとってきたからこそ、そういう安易な気持ちがいつとはなしに社会の空気となって、この背風の中で異常な事故が起こっているということに、政府は深く思いをいたすべきであります。(拍手)
 首相の自慢されている高度成長の経済政策が、政策として行き詰まり、破綻を見せているだけではなく、社会の一部に暗い谷間をつくりだし、格差の増大、貧富の懸隔の増大、社会不安を醸成し、犯罪の温床をつちかい、次第にそれが日本の風土と化しているという社会環境の背景の上に、この傷害事件が起こったという事実を池田首相はどう反省しているか、これをお尋ねしたいと思うのであります。(拍手)政治は一部少数の人たちの繁栄と栄光のためにあるのではございません。万人の幸福のために行なわるべきものであることを、あらためてこの際強調せざるを得ないことを私はむしろ残念に思うわけであります。(拍手)
 第三には、暴力の根絶に対して首相はいかなる決意を持つかであります。ライシャワー大使に損害を加えるこの事件には背後関係はなく、この少年は精神が異常であるという点がただいまの報告で強調されました。しかし、この点に私は一まつの疑念を持つものでございます。自分は目が悪い、日本の社会保障制度は不十分だ、それは米国の政策のためだというようなことを取り調べにおいて申したとか申しておりますし、大使に危害を加えた方法が足をねらうという右翼のしばしば用いる方法であったことなどから見ると、精神異常と断定するのは早計ではないでしょうか。私は、政府が精神異常者と結論を下すに至った根拠を公安委員長が本会議場において具体的に示すことによって、国民の持つ疑惑を一掃してもらいたいと思います。(拍手)どういう根拠で精神異常者であるということを断定になったかを、はっきりと知らしていただきたいと思います。精神が異常であるということで背後関係の調査をいささかでも怠ることは許されません。一点の疑いも残さぬまで徹底的に調査すべきであります。
 同時に、もっと重要なことは、政治寒自身が、右翼暴力との関係において国民からいささかの疑惑を持たれぬような、清潔にして断固たる姿勢をとることだと思いますが、暴力団あるいはその種の裏の組織を社会から一掃するために、いかなる決意を首相は持っていられるかであります。(拍手)一人一殺というような気持ちになる者がいるというこの社会の風潮は、一体どこから生まれたか、率直に反省をすべきであります。有力な政治家が暴力的な団体と結びつきがあるかのような事実がときたま報道されることは、暴力に対する心がまえが政府においてまだ十分でないことを示しているのではないでしょうか。首相は、暴力の根絶についていかなる決意を持っておられるかを明らかにしていただきたいと思います。
 問題は以上にとどまらず、その他にも多いのでありますが、対策の根本は、要するに平和と民主主義の徹底ということでございます。そして、それはいずれも憲法の精神にほかなりません。かつてメーデー事件のあとに破壊活動防止法をつくり、また、わが党の浅沼委員長が刺殺されたあとに政治的暴力行為防止法をつくろうとしたように、法律をつくりさえすれば暴力は押えられるという態度に問題があるのであります。(拍手)今回の事件を、何らかの暴力取り締まり法規を制定する口実に利用することは、本末転倒もはなはだしいものと私は思います。(拍手)現行諸法規の適用に憲法の精神を貫くことこそが肝要でございます。すべての政策や法律を通じて憲法を完全に実施することこそが社会の不安をなくし、それによってこそが暴力を根絶する道であることを肝に銘じなければなりません。
 最後に、警察の責任についてでありますが、警察には責任がないようなことを言われておりますが、私はこれはとんでもないことだと思います。犯人が精神異常者として、すでに大使館の放火犯人の容疑者として注意人物であったなら、警察はこれを厳重に監視しているべきであって、公安委員長のただいまの報告によりましても、警察はもっともっと責任をもって監視しておるべきであったと思います。責任を免れることはできないと思うが、これに対しまする総理の見解を明らかにしていただきたいと思います。
 以上をもちまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 今回のアメリカ大使ライシャワー氏に対しまする刺傷事件は、まことに遺憾千万であります。私は、アメリカ政府、国民のみならず、世界各国に対し、わが国民に対すると同様、心から遺憾の意を表したいと存ずるのであります。
 私は、私の責任といたしましては、お話にもありますごとく、かかる事件が今後再び起こらないようあらゆる面で努力して、そういう起こらないような社会情勢をつくり上げることが絶対必要であり、私の責務と考えておるのであります。(拍手)
 なお、今回の事件によりまして、すでに御承知のごとく、私よりジョンソン大統領に、まことに申しわけない、遺憾のことでございますと手紙を出しましたところ、ジョンソン大統領より、この事件によって日米間の友情と理解がそこなわれることはないと確信するという、非常にありがたいお返事をいただきました。また、アメリカの世論を見ましても、ある非常に有力な新聞は、ライシャワー大使に同情すると同時に、日本国民に同情する、それは、今回の刺傷を起こしたあの青年の気持ちは日本全国民の気持ちとかけ離れておる、日本国民はそういう気持ちを持っていない、したがって、この事件に対して日本国民がうろたえ、かつ非常に困っていることを見るから、同情するという社説を掲げております。私は、これによって何にもわれわれの責任がなくなったとは思いません。私は、アメリカ国民のこの気持ちが全世界に渡り、そして政府も国民も、政治家をはじめとして日本人全部が再びこういうことが起こらないように努力してこそ、初めてこのアメリカの同情にこたえ、国民の心配にこたえるゆえんだと考えておるのであります。
 なお、今回公安委員長の辞任を認めましたのも、本事件の重大性を考えまして、政治的に関係の深い方がおやめになることは、われわれが二度と起こさない気持ちをあらわす意味において、私は辞任を認めた次第でございます。
 今後におきましては、そういう意味におきまして、国内的にも国際的にも信用を回復するよう政府は万全の努力をいたしたいと思います。したがって、暴力取り締まりにつきましても、私は、いままでの、施策をもっと強化し、あらゆる手段をとっていきたいと考えておるのであります。
 また、警察の責任につきましては、目下事件の調査中でございまして、私は、いまの少年が精神病であるからといってわれわれの責任に軽重があるとは毛頭考えておりません。精神異常ということで免責を得ようという気持ちは全然考えていないのであります。政府は、それが精神異常者であろうと、いかなる者であろうと、こういう事態に対しましては政府全体の責任であるということをここに申し上げまして、今後こういうことのないよう全力を尽くすということで御了承願いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣赤津正道君発壇〕
○国務大臣(赤澤正道君) 和田議員のただいまのお尋ねに対しましてお答えいたします。
 精神異常者と即断するのは誤りじゃないか、根拠はあるか、こういうお尋ねでございましたが、本人の身辺を調べてみましたところ、昭和三十七年、二年ばかり前に、沼津の復康精神病院というのに入院をいたしております。診断は三カ月入院ということになっておりますけれども、何かの都合で十日入院しただけで出されておる。それからことしの二月にも、これは駿府精神病院というので診断を受けて入院をすることになっておりますが、ベッドに余裕がなかったために、そのときは入らないでしまったということでございます。
 なお、本人を今回の事件でいろいろ取り調べますと、述べることが前後矛盾しておりますし、通常の精神の物とは考えられないので、係官のほうではこれはやはり精神異常者であるという断定を下しておりますが、なお今後の調査にまたなければならぬと思います。
 それから、背後関係のことについてお尋ねでございます。われわれといたしましても、事件が事件でございますから、ずいぶんその面も調査を進めております。ただいま総理が述べられましたとおりに、非常に重大な事件でございますし、また外国のことでございますから、われわれといたしましては、特に綿密に、背後関係ありやいなやを調査しておりますが、いままでの段階では、交友関係その他を洗いまして、何も浮かんでまいっておらぬ、こういうことになっております。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
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○議長(船田中君) 吉田賢一君。
  〔吉田賢一君登壇〕
○吉田賢一君 今回のライシャワー・アメリカ大使の刺傷事件は、世界にその例乏しく、戦後わが国に起こった最も不祥な事件であります。
 ここに私は、民主社会党を代表いたしまして、アメリカ大統領とライシャワー大使及びその御家族に対し深厚なる謝罪の意を表しつつ、以下数点にわたり、内閣総理大臣及び関係各大臣の所信を伺いたいと存じます。(拍手)
 第一に、ライシャワー大使の日本国内における生命、財産、名誉は日本の政府によって完全に保護、尊重せらるべきは、政府当然の義務であり、責任であります。また、アメリカ大統領とライシャワー大使に礼を尽くして罪を謝し、ひたすらにおわびすることもまさになすべき当然のことであります。
 ところが、この刺傷事件は、他面において世界の各国民に、わが国の治安能力とその実態について重大なる不信感と不安感を与えたことはいなみがたいことであります。さらにこの事件が、わが国内にはんらんする暴力の風潮などとの関連において、観察を要する重要なる国内政治の問題であることにかんがみ、政府は、今回の刺傷事件が、ただアメリカ国民に与えた反響や日米関係への影響がどうか等に心を奪われて、大統領のいわゆる好意と理解のある友好的なあいさつや、負傷せられた大使も気にしないというのでほっとしているという。一喜一憂の態度であってはならないのであります。(拍手)この際のわが国は、むしろ世界の各国に与えたであろう日本の治安能力と実情に対する不信や不安感を一掃するために、政府みずから深い省察のもとに、厳然とした積極的態度と対策が必要ではありませんか。すなわち、何よりも政治、行政への高い倫理性の確立であります。(拍手)この高い倫理性を前提として、正しい社会秩序の維持とゆるぎない治安確保への実効ある対策の実施こそ、ライシャウー大使刺傷事件に対するアメリカを含む全世界への日本政府の責任ある答えでなければならないと思いますが、大平外務大臣、賀屋法務大臣、赤澤自治大臣等のお考えはいかがでしょうか。
 第二に、ライシャワー大使刺傷事件につき見のがしがたい重大な背景は、国内の憂うべき暴力風潮であります。
 犯罪白書は、暴力団のばっこ跳梁に多数の良民が苦しめられている事実を示しております。ライシャワー大使を刺した犯人は十九歳の少年であります。いまや少年非行の激増は、あらゆる刑法犯にも及び、次第に悪質化し、さらに集団化し、また低年齢層に激増して、まことに戦慄を覚えしめ、全国の母親の最大の関心事であり、また最も深刻なる悩みでもあります。この数は、少年一千人のうち七十一人が非行少年化しており、これらに対して国の行なう義務教育も、家庭も、また行政的にも社会的にも、いまだ有効適切なる抜本的施策のないのが実態であり、実情であります。右教育行政に関して灘尾文部大臣に所信を伺いたい。
 さらに、この刺傷事件の犯人は精神異常者との政府の報告であるが、現在わが国に何人のいかなる精神異常者がいるかについて、政府はいまだ正確なる実態把握に至っていない。おそるべき事実であります。また、この野放しのごとき状態で数は増大し、悪質、集団化し、その被害は拡大していく少年非行等の風潮こそ、日本の将来をゆさぶる重大な社会問題であり、また政治の貧困のもたらすおそるべき事実といわねばなりません。(拍手)かかる暴力や政治貧困の社会的背景こそ、今回の不祥事件の観察に欠くことのできない要件であります。この際、一つには、かかる国際事件の再発を防ぎ、少年非行の多岐にわたる非行の原因を探求し、これが絶滅を期する根本対策樹立のため、従来の機関を吸収し、広く国民の協力を得て、有力かつ権威ある少年非行等問題の審議機関をすみやかに内閣に設置し、あわせて当該行政機関も統一することが必要であると考えるが、池田総理の所信はいかがでございましょうか。
 第三に、さらにライシャワー大使事件の重大なる背景は何か。それは政治道義が地に落ちていることであります。
 申すまでもなく、国会は国権最高の府であり、全国民の代表が国政万般を掌理するところであります。この国会は正常化を叫ばれて久しいにかかわらず、依然として議会の民主化ならず、あるいは数をたのんで他党の言論を抑圧し、またこれに抵抗して議場は混乱、暴力化するなど、数の暴力、肉体の暴力と、いずれも五十歩百歩で、これは議会否認に通じ、また一種の権力主義、独裁思想にも発展する危険があるのであります。民主政治の殿堂としてあらまほしい国会がこの姿では、いかにして信を国民につなぎ得ましょうか。国民の信頼なくして民主政治は断じて実現し得ないこと自明の理であります。
 かくのごとく国会がかかる暴力容認の傾向の強いその原因は何か、国会も政府も思いをここにいたして、新たに国会のモラルを確立することであります。国会は言論の府であり、正しい秩序と正義を守り、政治の折り目を正し、国民の信頼にこたえる機関であらねばなりません。このあるべき国会の高い倫理性が欠け、政治道徳地に落ちたところに、社会には暴力が満ち、ライシャワー大使刺傷事件が起こっているということに、お互い静かに反復熟考すべきではないでしょうか。池田総理大臣の所見をお伺いしたいのであります。(拍手)
 最後に、私は、ライシャワー大使刺傷事件の責任を論じて政府の所信を伺いたい。
 場所は首都の中心、ホテルオークラ前の道路の白へいをアメリカ大使館内へ乗り越えての犯行であります。冒頭に述べたごとく、大使の生命、財産、名誉は接受国日本政府の保護の責務に属することは総理も認めておられる。交通ひんぱんな普通の道路からの侵入犯人を不可抗力呼ばわりするようなことは断じて許されない。この行政的責任はいかがでしょうか。赤澤自治大臣にお伺いしたい。また、早川崇君が自治大臣、国家公安委員長の責めを負って辞職したことは事重大であります。明らかに行政上の責任のあったことを証明するものでありましょう。
 次に、内閣の責任について総理大臣に御所見を伺いたい。
 憲法第六十六条は、内閣の行政権行使は国会に対する連帯責任の旨規定してあります。(拍手)これは旧憲法にない規定であって、旧憲法は国務大臣の個別単独責任制であったのを、現行憲法では行政権は合議体の内閣の権限に属し、かつ、その責任は内閣の連帯責任である旨を明記いたしましたところに、旧憲法の単独責任制と著しく異なるところがありますること、御承知のとおりであります。そこで、昨日早川君が自治大臣辞職の弁として、記者会見で、原因のいかんは問わず、内外に与えた影響にかんがみ、政治責任を明らかにし、私は国務大臣として一切の責任を負い辞表を提出した旨の談話を発表しております。警備担当の大臣が警備行政の重大責任を負うて辞職せられた以上、右憲法規定の趣旨により、また憲法第九十九条は国務大臣に憲法尊重と擁護の義務を明記しておりますのにかんがみ、池田内閣は早川崇前自治大臣とともに一蓮托生、連帯責任を負って辞職すべき筋合いではないでしょうか。(拍手)この際、政治の折り目を正し、筋を通し、高いモラルを要請さるることいまほど切実なるはないとき、池田総理は、勇断をもって憲法の精神を生かし、一つには国会と行政府の権威と威信を高め、かつ国民の信頼を厚うし、他はもって範を全国民に示して、民主政治の確立と平和と独立と繁栄の日本の建設に貢献せられてはいかがでしょうか。池田総理大臣の御所信を伺いたい。
 私の質問は以上をもって終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 この事件に対しまする認識は、あなたと全く同感でございます。したがいまして、先ほど私がお答えしたところでご了承願います。今後再びかかる事件の起こらないよう、全力をあげることをここではっきり申し上げておきます。
 なお、青少年対策につきましては、政府は青少年問題協議会を内閣に設けておりましたが、事の重要性にかんがみ、御審議を願っておりますごとく、来年度からは青少年局を設けまして、非行問題のみならず、あらゆる点からこの問題を処理していきたいと考えております。
 また、お話の精神病者対策、これは事件の発生を防止するために必要な、いわゆる虞犯者、精神異常者等々、こういう暴力その他に関係の深いと思われるものにつきましての調査、対策等は、今後十分講じていく考えでおるのであります。
 なお、国会の民主化、正常化につきましての御意見は、これまた全く同じでございます。あらゆる問題が国会のあり方によって非常な影響があるということを私は痛感しておりますので、今後におきましてもいままで以上に政治の姿を正し、そうして国会の正常化に全力をあげていきたいと出与えております。
 また、今回の事件に対しまして、早川前公安委員長がおやめになりましたことは、政治的重要な事件でございまして、政府が非常な責任を感じているということをあらわすために辞任を努めたことは、先ほど申し上げておるしおりでございます。これは、あなたのお話のように、問題は内閣全体に責任があります。だからといって、こういう問題があったときに内閣がすぐ交代するかということは、必ずしも出てこない。これは最も関係の深い閣僚ががおやめになるか、あるいはまた、事と次第によっては内閣全体がやめる場合も考えられます。ただ、この事案につきましては、私は、こういうことで内閣が直ちにかわるということがほんとうの民主主義か、また、これが国民全体が望むところであるかということにつきまして、十分考慮したところでございます。もちろん、今後の様子によりまして、内閣全体がかわったほうがいいんだという民意ならば、何も恋々として残ることは考えません。私は、そういうけじめは憲法の規定から当然くることであると考えておるのであります。この点はあなたと意見が違うことを遺憾といたします。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、今回の不幸な事件についての米国大統領はじめ米国朝野の理解と同情はございまするが、われわれはみじんもこれに甘えるところがあってはならないと存じております。お話のように、政治と行政の倫理性と規律を高めまして、これによりまして、わが国の治安能力のみならず、わが国の国際信用全体の回復と向上にこたえるところがなければならないと存じております。(拍手)
  〔国務大臣賀屋興宣君登壇〕
○国務大臣(賀屋興宣君) お答えを申し上げます。
 今回の事件はまことに遺憾しごくなことでございます。私も、内閣の一員といたしまして、また治安関係の閣僚の一人としまして、政治的責任を感じておるものでございます。総理大臣からもお話がありましたように、今後かかることが再び出来しないように、全力をあげまして対策を講ずることが重大な任務と考えておるところでございます。
 ただいま、対策はどうか、あるいは少年非行に対する対策等のお話でございますが、法務省の所管の問題といたしましては、まず、捜査が検察当局に移りまして以後は、犯人の保全と申しますか、これに特に注意を払い、なお、事件の真相、精神状態、したがって、法律的責任の問題、背後関係等、徹底的に捜査をいたす考え方でございます。
 また、一般に今後の対策といたしましては、立法面、また行政面におきまして、収容施設内のいわゆる教化でありますとか、検察陣のこの種問題に対しまする捜査的方針と申しますか、また出獄者の保護観察、相当これには非行少年等の関係も多いのでございまして、そういう問題に対しまして十分なる改善を加えてまいりたい。また、裁判、少年審判等、少年に対しまする刑事政策の実行の問題としましては、今後も、その責任能力の年齢でありますとか、いろいろ研究をしてまいり、ことに、お話のような変質者あるいは精神障害のある君に対しましては、これは単純な法律的問題以外に、科学的に、病理的に、この方面に対しまして、精神鑑別と申しますか、力を尽くしていきたい。あらゆる方法によりまして、再びかかる不祥事が起こらないように全力を尽くす所存でございます。(拍手)
  〔国務大臣灘尾弘吉君登壇〕
○国務大臣(灘尾弘吉君) このたびのまことに不幸な事件が十九歳の少年によって引き起こされましたことは、ただに遺憾と申し上げるだけでなく、文教をあずかる者といたしまして、心からその責任を痛感いたしております。国民の間に、人命の尊重、暴力排除というようなことが強く叫ばれておりますやさきにおいて、かような事件が発生いたしましたことは、返す返すも残念でございます。
 青少年の教育にあたりましては、人間尊重の精神に満ち、秩序を守り、事の毒悪を判断し得る若者を育成することが基本的な要務であると考えまして、学校教育、社会教育を通じて、知育、体育、それとともに徳育の充実につとめ、豊かな人間性の涵養をはかることをわれわれは努力いたしておる次第であります。さらに一そうの努力を傾注してまいりたいと存じます。
 しかし、このような努力が真に成果をあげますためには、ただに学校における教育者の努力にととまらず、家庭における適切な指導、職場や社会における指導者や同僚の協力、言いかえますれば、国民すべてが共同して健全な社会環境を整えるようにしなければならない、かように考えるものであります。
 文部省としましては、関係の向きと密接な連絡協調のもとに、その任務の達成に努力いたしたいと考えておる次第でございますが、暴力団のばっこ跳梁するような社会、不良な文化財がはんらんしておるような社会、不健全なる営業がはびこっておるような社会、このような状態のもとにおきまして教育の効果をあげるということは、きわめて困難であります。私は、その意味におきまして、われわれの与えられた任務につきまして最善の努力をいたしますと同時に、世の中のいわゆるおとなの責任を全うしていただきたいものと心から念願をいたしております。(拍手)
  〔国務大臣赤澤正道君登壇〕
○国務大臣(赤澤正道君) お答えいたします。
 これほどの大不祥事件が起きておるのに、警察に責任がないというのはおかしいのではないかという意味に私は拝聴いたしましたが、警戒警備の全責任は、もちろん、警察にあるのは当然でございまして、今回の事件につきましては特に責任を痛感しておるわけでございます。ただ、行政処分という観点からの責任の有無につきましては、今日までのところ、事前情報、警備派出所勤務員の勤務状況、また、投石の際の検索、本件被疑者が警察の視察線内に入っていなかったなど、諸般の点から検討いたしましたが、特別の責任を追及するほどの欠陥はなかった模様でございます。しかし、なお捜査の進展に伴いましてこれらの点についても十分調査いたしたいと考えております。(拍手)
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
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 外国為替及び外国貿易管理法及び外資に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)の趣旨説明
○議長(船田中君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出、参議院送付、外国為替及び外国貿易管理法及び外資に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。大蔵大臣田中角榮君。
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 外国為替及び外国貿易管理法及び外資に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 わが国は、世界経済の趨勢に即応し、国際分業を通じて経済活動の効率を高め、わが国経済の一そうの繁栄をもたらすため、解放経済体制への移行を進めており、その一環として、来たる四月一日に国際通貨基金協定第八条に規定する義務を受諾することとして着々諸般の準備を進めておるのでありますが、これに伴い、外国為替、外国貿易その他の対外経済取引に関する法制を整備することが必要となっておるのであります。
 次に、今回提案いたしました法律案の概要を御説明申し上げます。
 まず第一は、外国為替及び外国貿易管理法の一部改正であります。
 現行の外国為替及び外国貿易管理法においては、貿易及び貿易外取引を通じ、外貨資金の使用はすべて外国為替予算の範囲内で許されるものと規定しておるのであります。ところで、わが国が国際通貨基金八条国へ移行するためには、輸入代金の支払いのような経常的国際取引のための支払いに対する為替制限を撤廃しておくことが必要となりますので、外国為替予算制度を廃止することとし、このため所要の改正を行なうことといたしておるのであります。
 また、外国為替予算制度の廃止に伴いまして、外国為替予算の作成を主たる任務としております閣僚審議会はその存在理由がなくなりますので、これを廃止することといたしました。
 さらに、現行の輸入貿易の管理は、外国為替予算を前提として行なわれておりますが、外国為替予算制度の廃止に伴いまして、今後の輸入貿易の管理は、為替制限によらない方法でこれを行ない得るように所要の改正を行なうことといたしたのであります。
 第二は、外資に関する法律の一部改正であります。
 その第一は、外国為替予算制度の廃止に伴う規定の整理でありまして、外資に関する法律に基づいて対外送金が認められるものの支払い予定額を外国為替予算に計上する制度を廃止することといたしたのであります。
 その第二は、届け出のみによる株式または持ち分取得制度の廃止であります。これは、従来、外資に関する法律では、外国投資家の株式取得には原則として主務大臣の認可を要することとし、例外として、新株の取得であって、果実または元本の回収金の送金を希望しないものについては外国為替及び外国貿易管理法の許可を要することとしておったのでありますが、今後は、適用法律を一にするため、送金希望のない新株取得についても、原則として、外資に関する法律の認可を要することとするよう改正しようとするものであります。
 その第三は、契約期間または対価の支払い期間が一年をこえる技術援助契約の締結並びに受益証券、社債及び貸し付け金債権の取得に関する規制の一元化であります。
 従来、これらの外資につきましても、その対価、果実または元本の回収金の対外送金を希望する場合にのみ外資に関する法律の認可を要することとし、それ以外の場合は外国為替及び外国貿易管理法の規制を受けることとしておりましたが、適用法律を一にし、制度を簡素化するため、今後は、送金希望の有無にかかわらず、原則として外資に関する法律の認可を要することとするよう改正しようとするものであります。
 その第四は、外国為替公認銀行への事務の一部委任であります。
 これは、従来、主務大臣の事務の一部を日本銀行に委任し得ることとなっておりましたのを、国際経済取引の自由化を促進し、外資導入関係事務処理の円滑化をはかるため、さらに外国為替公認銀行にも委任し得るよう改正しようとするものであります。
 以上、外国為替及び外国貿易管理法及び外資に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨につきまして御説明申し上げた次第であります。(拍手)
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 外国為替及び外国貿易管理法及び
  外資に関する法律の一部を改正
  する法律案(内閣提出、参議院
  送付)の趣旨説明に対する質疑
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。武藤山治君。
  〔武藤山治君登壇〕
○武藤山治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました外国為替及び外国貿易管理法及び外資に関する法律の一部を改正する法律案に関連して、質疑をいたしたいと存じます。四月一日にIMF八条国に移行するために外貨割り当て制を廃止することを骨子とする法改正でありますので、質疑は多岐にわたりまするから、聞きこぼしのないよう、明確な御答弁を願いたいと存じます。
 まず最初に、総理大臣に、五点についてお尋ねをいたします。
 本日、経済閣僚懇談会を開いて、国際収支改善対策を検討したようでありますが、短期的措置は、すでに、公定歩合の引き上げ、輸入担保率引き上げなどで、どうやら措置をいたしておるようであります。もちろん、この措置は、国民大衆に不安を与え、迷惑をかけるという、私どもの立場から言うならば、急激な経済政策の変更を意味するのでありますが、とにかくさらに抜本的対策をどうするかという問題が今回大きな問題になると思うのであります。おそらく政府はその妙薬を持っておらないのではないかと考えますが、本日の懇談会の結論は一体何か。昨年十二月所得倍増計画の中間報告では、超高度経済成長のおかげで、生産設備は近代化され、国際競争力を十分持つことになり、この結果、わが国の経済成長を押えつけていた国際収支の、天井は高くなったと、所得倍増政策を自画自賛いたしております。政府がつくった公表の文章であります。天井が高くなったと発表した翌月から逆調幅が拡大されたのであります。ろうばいした政府は、IMF出資金ゴールド・トランシュを準備高に加え、見せかけの外貨準備で国民を欺き、さらに三億五百万ドルをIMFから借り入れせざるを得ないありさまであります。しかるに、池田総理は一昨日の本会議で、小松議員に答え、外貨準備は予期以上だと、満足、楽観の姿勢を見せたのであります。これは総理の単なる主観か、それとも事実の推移がそれほど楽観できる状態なのか、総理が必要以上に語気強く楽観論をぶてば、国民は安心をし、国産品愛用運動にも耳をかさないし、業界も実力以上に背伸びをする結果になるでありましょう。その国民の心理の総和が経済に与える影響は大きいのであります。総理、人間の心理を忘れてはならないのであります。一国の経済は数字だけでは動かないのであります。バラ色のムードに包んだ所得倍増論をぶち続けることは、現段階では国家、国民経済に害こそあれ、益するところは皆無であると私は断ずるのであります。(拍手)対外準備が外貨流出傾向に耐えられるかどうかという問題も重要でありますが、それ以上に国際収支の大幅変動を招くような政府の経済運営の方法に問題があるのであります。本日の閣僚懇談会も、この事態の重大なことを認識したから開かれたのではないか。今日の事態を招いた責任を痛感し、事実を率直に国民に訴え、反省を国民に示すことが、民主政治家のとるべき態度ではないかと私は思うのであります。(拍手)総理大臣の心境をお尋ねいたします。
 第二に、外貨準備高の問題であります。いよいよ四月一日からIMF八条国となり、開放体制になるのでありますが、わが国の外貨準備高は貧弱で、少な過ぎるのではないか。三月末十八億ドルと大蔵大臣は発表し、さらにIMFからの借り入れゴールド・トランシュ一億八千万ドルを加えると二十億ドル見込めるから、外貨繰りの面では心配ないと国民を安心させようといたしております。しかし、正味十七億弱しかないのであります。試みに、八条国移行時における各国の外貨準備高を見ますと、ドイツは七十一億一千九百万ドル、イギリスは三十二億四千五百万ドル、イタリアですら二十九億七千二百万ドルの外資準備を持って八条国に移行したのであります。これらの国と比較して、いかにわが国の準備高が少ないか、これでも国際収支の天井が高くなったといえましょうか。楽観は禁物ではありますまいか。首相は、外貨最低限度額は幾らでいいのかという根拠はむずかしいと国会で答弁をいたしております。市中銀行筋では、外貨準備高の最低限度額を計算するのに、月間輸入額の三倍と、異常危険準備二億から三億ドル、景気変動準備金三億から四億ドル、合わせて約二十億ドル前後が最高限度額だと説明いたしております。総理の率いる政府では、わが国の外貨準備の最低限度額は幾らくらいを目標としておりますか、明らかにせられたいのであります。
 第三に、IMF八条国に移行し、わが国の円が、ドル、ポンド、マルクなどの主要交換可能通貨の仲間入りをし、基本的には同格になるわけでございますから、現在のごとく国内の物価騰貴が続きますならば、円の信用は低下するではありませんか。国際通貨としての円の価値を高めるためには、貨幣価値の安定が緊要だと思うのであります。日本円の信用低下を防ぐためにも対策は重要であります。当面いかなる対策の用意があるか。物価の面と通貨の面から、それぞれの具体的な総理の見解をお尋ねいたしたい。
 第四の問題は、円の交換性回復に伴い、一ドル当たりの為替レートが三けたにもなっている円の呼称単位を、そのままでよいかという問題であります。通貨価値を守ろうという心理的効果をねらい、国民の自信、外国人の日本円に対する信用向上のためにも、呼称単位の切り下げ、すなわちデノミネーションが必要だとの見解もあるが、総理の考えはいかがでありますか。
 第五は、英国、フランスは、中国政府に対し、アルゼンチンからの小麦輸入代金を年利四%で融資したと、今月二十三日の新聞は報じております。この弾力的イギリス、フランスの態度と、自主性なき池田内閣の態度を比較するとき、との広大な市場に対するわが国の立ちおくれを痛感せざるを得ません。日本の将来を案ぜずにはいられないのであります。(拍手)さらに、米商務省は、十九日、外国の企業がアメリカの技術方式を買ってつくっている商品の中共向け輸出統制を四月一日以降緩和すると発表しました。すなわち、アメリカは、自国の機械を海外に売りつけるため、自国の利益を増大するために、間接輸出を認めようというのでありましょう。わが国の岡崎嘉平太氏は、過般、今後の日中貿易の目標は政府間通商協定の締結であり、LT貿易がその基礎となるように持っていきたいと語っております。池田総理が中国との政府間協定に踏み切るならば、日中貿易は本年度の一億六千万ドルをはるかにこえるでありましょう。日本の貿易構造の改善にもなるでありましょう。総理の決意、所見のほどをお聞かせ願いたいのであります。
 さらに、五月までにココム制限の緩和が行なわれると報道されております。日本はココムから脱退し、南北問題に取り組むこと、東西のかけ橋になることが、現時点における歴史の要請と考えるが、総理の見解はいかがでありますか。
 次に、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 日本の対外債権債務のアンバランスという問題が、経済の正常発展を阻害しているのではないかという問題であります。十二月末の対外資産を見ますと、合計四十九億七千八百万ドル、債務は七十四億六千万ドルとなっております。差し引きわが国は、対外資産関係におきましては二十四億八千万ドルの借金の国であります。負債額が債権を上回る国であります。わが国の対外債権債務がかくもアンバランスであり、しかも、外貨準備運用のうち、アメリカ市中銀行への定期預金七億ドルは、経済的信用の担保ともいうべきものでありましょう。金はわずか二億八千九百万ドルであります。外貨総準備のうち安心して使用できる絶対額は、二十億をはるかに下回る状態であります。しかるに、総理は、過般、本会議場を通じて、外貨準備は予期以上であると言って楽観いたしております。
 第一は、わが国の対外債務が二十四億八千二百万ドルも債権額をオーバーしている姿を健全と思うか。かかる姿を解消するために、どんな施策を実行したらよいと考えるか。
 第二点、八条国移行後は、この負債、債権のアンバランスがさらに増大をすると思うが、見通しはどうか。
 第三は、外国からの債権を増大して国際収支の均衡をはかる安易な対策は改めなければならない。いつごろにどういう条件が整えば改められるのか。
 第四に、今回の赤字大規模化現象を循環的パターンの再現と見るか、それとも構造的欠陥からくるもので、かなり長期間かような状態が続くと判断をいたしておるか、大蔵大臣の明快なる御答弁を要求いたします。
 次に、外務大臣に四点ばかりお尋ねいたします。
 輸入貿易管理令に基づき通産大臣が自由物資を数量割り当て物資に移行させて輸入を制限することができれば、貿易収支悪化を防げると参議院で答弁したようであるが、これには、ガット規約第十九条による特認が必要であると考えるが、特認を受ける考えがあるのかないのか。あるとするならば、受けられると思うのかどうか、見通しのほどを聞きたい。
 第二は、国連貿易開発会議でありますが、政府は、国連貿易開発会議をどのように評価しておるのか。
 第三に、日本として、この会議に臨むにあたり、何か具体的プランを提示するのかしないのか。
 第四に、プレビッシュ国連貿易開発会議事務局長の報告に対し、日本政府の統一的見解を示してほしい。もはや古典的な自由貿易の理念によって、またガットのワク内で、低開発地域の直面している問題は解決されないと思うのであります。世界百二十一九国が世界貿易の前進について討議をする今回のこの世界会議、すなわち、南北問題、世界の富の偏在の問題が、初めて体系的、組織的に検討されることは、国際的協力体制の再編成への胎動が始まったことを意味するものであります。いまこそ、わが国は、この会議に積極的に協力し、中正、公平な低開発国協力に努力すべきだと考える。この機会に、アメリカ追従をやめ、自主独立の経済外交を樹立すべきだと思うが、外務大臣の見解をただしたい。(拍手)
 次に、通産大臣にお尋ねいたします。
 現在の非自由化品目は百八十二品目となり、九二%の自由化をしたわけでありますが、最終的にあと何%程度自由化するのか。
 第二に、その最終目標はいつごろを設定しておるのか。
 第三は、非自由化品目中三十七品目の自由化義務免除以外の品目百四十五品目があるが、業種別に分類すると、どんな種類がウエートを占めているのか。先進国の非自由化品目は、フランス百九、西ドイツ六十五、イタリア六十四、米国四十三となっておりますが、これらの国と比較して、日本の百四十五品目はいまだ多いように感ぜられるが、どの程度の品目になるか、最終的目標をお聞かせ願いたい。
 さらに、通産省は、輸入に対し、数量ベースに基づく輸入見積もり計画を策定するようだが、この計画で輸入をチェックできるのかどうか。
 第五に、ガット規約第十九条に触れないのか。触れるとすれば、アメリカの業者団体が綿製品の規制をしているがごとく、業者組合を拡大強化する以外に道がないのか。
 第六に、近時、外国資本のわが国への進出は目に余るものがあります。合弁会社、外資会社、外資導入会社は、昭和三十七年度末百七十社、三十八年度中に六十ないし七十社増加いたしております。これらの外資系の流入は、中小企業を圧迫し、民族資本が形成されず、実権は外国に握られ、外資が競争の手段に使われ、競争激化の弊害を生んでおります。解放体制に入ると、一そう外国資本が入り、民族資本は圧迫されると思う。通産大臣は何か名案を持っておるのか。なお、外資流入で対外債務が一そう増大し、日本経済の自主性がそこなわれる心配はないかどうか。
 この点を通産大臣にお尋ねいたします。
 最後に、企画庁長官に見解をお尋ねいたします。
 外貨予算の廃止によって、これから自由物資の輸入は急増するであろうが、現段階における企画庁の見通しではどの程度輸入が増加する見通しであるか。
 第二に、政府の経済見通しは、企画庁が担当して作成いたしております。貿易収支、経常収支は全く見通しを誤まった。食い違った原因を明らかにせられたい。
 第三は、見通しを立てた責任者として責任をとるか、どんな反省を企画庁長官はいたしておるか。
 第四に、国連貿易開発会議に三月三十日に出発するようでありますが、企画庁長官は日本政府の意思をどのようにこの会議に反映しようとしておるのか、政府できまったものを明らかにしていただきたいのであります。
 以上、私は日本社会党を代表しての質問を終わる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 各般にわたっての御質問でございますが、私への質問につきましてお答え申し上げます。
 今朝、経済閣僚懇談会を開きました。また、党の幹部からも御出席願いまして、今後の国際収支の改善方策につきましていろいろ議論をしたのであります。これは、所得倍増計画に自信がなくなったとか、そういう問題でない。自信がありますから、これをうまくやっていくための会議であるのであります。私の心境はそのとおりでございまして、私は、国民とともに、世界に例のない所得倍増計画を実現すべくあらゆる努力をし、あらゆる知恵をしぼっていきたいと考えておるのであります。
 次に、外貨準備はいかほどか、これはもう何年といろいろ議論をされておりますが、常に私は言っております。多いに越したことはない、しかし、少ないからといって取り越し苦労をする必要はない、こういうことでございます。日本はカヵ月分ぐらいありますが、イギリスは連邦全部で三カ月しか持っておりません。イギリスより多いということは確かであります。もちろん、ドイツやフランスほどにはございませんが、まあ大体いまのところでいいんじゃないか。そうして、IMFのスタンドバイというものとゴールド・トランシュというものを別々にお考えになっておるようでございますが、ゴールド・トランシュというのは三億五百万ドルの内ワクでございます。日本のいわゆるIMFの持ち分は、二億五千万、ドルがスタンドバイでございますが、御承知のとおり、数年前にイギリス等に五千五百万ドル貸しておりますから、これを入れて一億八千万ドルのゴールド・トランシュがあるのであります。このゴールド・トランシュを外貨準備に入れるか入れぬかということは、前は問題がございましたが、先般のIMFの理事会におきましては、こういうゴールド・トランシュは外貨準備に入れるべきだということが多数説でございます。したがいまして、日本としては、ゴールド・トランシュは入れることにいたしております。最近イタリアも入れるでござやましょうが、これはIMFの考え方でございまして、日本の外貨に不安があるというのでは決してございません。どうぞ御安心を願いたい。(「国際収支に不安があるじゃないか」と呼ぶ者あり)国際収支の不安によって公定歩合を上げたのじゃない。日本の経済全体が安定して成長するようにやったのであります。そうして、これはこういう経済安定のためのとるべき措置であるのであります。したがいまして、取り越し苦労なんかはおやりにならぬほうがよくて、その苦労の努力を前向きにやっていくのがわれわれの政策であるのであります。
 それからデノミネーションでございますが、これは私はやる考えはございません。はっきり申し上げておきます。
 次に、中共との貿易でございますが、ココムを脱退することはいたしません。それは、日本が世界経済に入り込んでいって、ますます経済の膨張をはかるゆえんでございますので、ココムを脱退する気持ちはございません。
  ただ、中共貿易につきましては、私は、先年来努力いたしておりますから、幾何級数的とは申しませんが、四年前は四千万ドルが、おととしは八千万ドル、いまは一億三千万ドル、こうなっておるのでございまして、あなたのおっしゃるフランスやイギリスよりも貿易額に対する中共貿易の割合は上でございますから、どうぞ、この状態を私は続けていきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。
 第一点は、わが国の対外債権債務の問題でございますが、御承知のとおり、国の対外資産、負債の残高につきましては、種々の影響がありますので、いずれの国でもこれを公表しておらないわけでございます。わが国の場合も同様でありますので、御質問のような状態にはないということだけは明確に申し上げられると思うわけでございます。対外債権債務につきまして、従来からその内容の健全性を維持すべく努力をいたしていることは、御承知のとおりでございます。
 なお、この三月の期末外貨も、いま総理大臣からお述べになりましたように、ゴールド・トランシュの一億八千万ドルを含めて、二十億ドルに近い外貨保有で年を越すわけでありますから、対外債権債務及び外貨の事情等につき・ましても不安はないことは、御承知のとおりでございます。
 第二点は、八条国移行後、四月一日以後、この大きな負債の絶対額は増大すると思うというようなお考えでございますが、この問題は、今後の国際収支の動向にかかっているわけでありまして、八条国に移行したがゆえに困難が生ずるという問題ではないわけでございます。もちろん、政府としましては、国際収支の改善のために各般の施策を行なう予定でございます。
 第三点は、外資導入及び国際収支の見通し及び対策についてでございますが、外資の導入につきましては、良質、長期、日本経済の発展のために益する外資はこれを取り入れていくという基本方針を進めてまいるつもりでございます。しかし、どこまでも外資の導入だけということではなく、国内的にも自己資本比率を上げるように資本の蓄積に努力しながら、国際収支の長期的安定に資するように改善を進めてまいりたいと考えます。
 それから、外貨準備の適正水準について総理がお答えになりましたが、これは総理の御答弁のとおりであります。ただ、念のために六十三年の九月末の各国の準備高で申し上げますと、ドイツは六カ月分であります。フランスも六カ月分であります。イタリアは七カ月分、イギリスは三カ月分、カナダは五カ月分、日本は四カ月分、こういうことで御了解いただきたいと思います。
 それから、最後に、IMFのスタンドバイ借り入れば、非常に国際収支に不安があるからということでございすすが、これは国民にも全世界にも通ずる御発言でありますので、はっきり申し上げておきます。
 IMFから三億五百万ドルのスタンドバイを行ないましたのは、外貨準備が不安であるということで行なったのではないのであります。四月一日を期して八条国に移行する歴史的な事態に対処しまして、外貨の第二線準備を厚くして国際経済の波動に対処する、当然かくあるべき立場に立っておる日本としてかかる措置をとったのでありまして、借金をすることはいかぬのだ、こういう考え方でいつもお話しになりますが、IMF等は、こういうことをするためにこの機関があるのでありますから、どうぞその事情も十分お考えの上、御理解いただきたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 自由化されておる特定物資の輸入が急増いたしまして、国内の関連産業に損害を与えるおそれのある場合に、ガット十九条の御指摘の規定が適用になるわけでございますが、この場合にはガットの特恵を得る必要はないと考えております。ただ、かかる制限を行なう場合には、その物資のおもな対日輸入国と事前に協議を行なわなければならないことになっております。
 それから第二の、国連貿易開発会議でございますが、これは御指摘のように、国連で初めての大規模の政治的色彩を持ちました会議でございまして、そういう評価を私どもといたしましても根底において持っております。ただ、今度の会議ですべての低開発国の貿易拡大の問題が解決の軌道に乗るかと申しますと、そう簡単なものでないことは、武藤さんも御無知のとおりだと思うのでございまして、今度の会議では、精一ぱいこういった貿易拡大問題を前進的に解決する一つの方向づけというようなものが期待されるのではないかと考えております。
 それから、わが国の態度といたしましては、低開発圏貿易の比重が非常に重い国でございますし、またアジアに位しておる関係もございまして、前向きで、かつ弾力的な態度で対処いたしたいと考えております。
 プレビッシュの提案に対するわが国の見解でございますが、これは数点ございますが、一次産品の価格の引き上げ、商品協定の拡充、輸入ターゲットの提示等、一次産品の価格安定等につきましての提案がございますが、わが国といたしましては、先進国全体も含めまして、一次産品の需要の増大によりまして、低開発圏の一次産品の輸出のシェアが多くなるように、できるだけ配慮していく心がまえでまいりたいと思っております。ただ、商品協定等につきましても、全面的にこれを採用するわけにはまいりませんけれども、品目によりましては取り上げるにやぶさかでないと考えております。
 第二の特恵制度でございますが、わが国の産業の実態から申しまして、成長産業を非常にたくさんかかえておるわが国といたしましては、無条件にこの提案に賛成ではございません。品目を限りまして、わが国の産業の構造との関連におきまして、考慮し得るものは考慮してまいりたいと考えております。
 それから、補償融資の提案に対しましては、直ちにこういう提案に賛成するつもりはございません。
 それから最後に、古典貿易主義に対する御批判でございますが、私どもは、ただいままでガット等がなし遂げてきた成果、その実績というものは、それ相当に評価し、それを活用しながら低開発圏の貿易拡大にこれを利用してまいるということもあわせて考えながら、国連貿易開発会議の今後の発展に応分の寄与をなしてまいりたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) お答えいたします。
 自由化の計画についての御質問でございますが、お説のとおり、ただいままだ百八十二品目残っておりますが、英国、フランスその他がいまだ自由化しておらない品目は、ただいま御説明のあったとおりであります。しかし、日本に対して差別待遇をいたしておる品目が相当ございますから、日本がこの程度の自由化をいたしておれば、これで十分とは申しませんが、決して恥ずかしいものではないと思っております。しかし、今後も自由化の計画を進めてまいるわけでございますが、石炭とか硫黄とか、あるいは農産物の一部等は、非常に自由化が困難であろうと思います。また、重油等は石炭に与える影響がございますから、慎重にやらなければなりません。しかし、軽油類はすみやかに自由化してはどうかと考えております。
 なお、輸入見積もり計画をつくるのはガット十九条に反しはしないかということでございますが、輸入見積もり計画をつくるということは、日本の輸出入の実態を把握しながら、日本の経済の運行を正常な姿でやっていきたいというのが目的でございまして、私たちは、ガットの十九条は、ただいま外務大臣も申し上げましたとおり、緊急輸入制限の規約でございますから、この輸入見積もり計画をつくったからといって、これがガットの十九条に違反するとは考えておりません。
 次に、中小企業と民族資本に対する影響を御心配でございますが、私たちは、優良な外資はこれを導入することはけっこうだと思っておるのでございます。したがって、今後も、優良でない、すなわち、悪影響があるようなものは、外為法、外資法によってチェックをいたしたいと考えております。なお、これはOECDに加盟した場合においても、その外資が国民経済に悪影響がなければこれはけっこうである、やってもよろしいということになっておりますから、この法律の運行を妨げるものではございません。
 次に、対外債務が増大して困るではないかというお話でございますが、これは私は、優良なものが入ってきて、そうして日本の産業が充実するというか、りっぱに育っていくのならば、これでかえって輸出がふえますから、決して御心配のようなことはないのではないかと考えておる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 自由化物資の輸入増についてお尋ねでございましたが、バナナとかコーヒーとか、いわゆる嗜好品で、三十九年度で大体二億五千万ドルばかり、三十八年度に比べて一割ぐらいの増を見ております。それから、その他の身の回り品等のいわゆる消費財でございますが、これは初年度でございますから、二割五分ぐらいの増加があるかもしれない、三億三千万ドルほど見ております。
 それから、輸入が予想以上に高かったことにつきましては、やはり国内の生産活動がなかなか落ちるべくして落ちないということ、及び、世界各国を昨年見舞いました異常気候、わが国の長雨等が原因だと思います。
 国連の貿易会議に臨みます態度につきましては、先ほど外務大臣からお答えを申し上げましたので、省略させていただきます。(拍手)
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第一 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の出張所の設置に関し承認を求めるの件
○議長(船田中君) 日程第一、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の出張所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。運輸委員長川野芳滿君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔川野芳滿君登壇〕
○川野芳滿君 ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の出張所の設置に関し承認を求めるの件について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本件は、北海道苫小牧港に北海海運局室蘭支局苫小牧出張所を、岡山県水島港に中国海運局玉野支局水島出張所を、それぞれ設置するため、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づいて国会の承認を求めようとするものでございます。
 苫小牧港及び水島港は、いずれも、臨海工業地帯の建設に伴い、相当数の荷役量及び入出港船舶があり、新たに海運関係業者が進出しつつありますので、これらの港における海運行政の円滑かつ適正な運営を確保するため、両港にそれぞれ出張所を設けようとするものであります。
 本件は、三月二日本委員会に付託され、翌三日政府より提案理由の説明を聴取し、同月二十四日、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり承認すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第二 不動産登記法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
○議長(船田中君) 日程第二、不動産登記法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。法務委員長濱野清吾君。
    ―――――――――――――
   〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔濱野清吾君登壇〕
○濱野清吾君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、不動産登記事務の適正迅速な処理をはかるため、担保権の登記事項を整理し、共同担保についてはすべて共同担保目録を設けることとするとともに、不動産合併の場合の登記における所有権の登記を簡明にする等、不動産の登記手続を合理化したのであります。
 さて、当委員会におきましては、本案が三月十三日付託されて以来、慎重な審議を行ない、二十四日質疑を終了いたしました。別に討論がありませんので、直ちに採決に付しましたところ、本案は全会一致をもって政府原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 右、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 道路整備緊急措置法等
  の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
○議長(船田中君) 日程第三、道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。建設委員長丹羽喬四郎君。
    ―――――――――――――
   〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔丹羽喬四郎君登壇〕
○丹羽喬四郎君 ただいま議題となりました道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における交通需要の急激なる増加にかんがみ、道路を緊急に整備して経済基盤の強化に寄与するため、新たに昭和三十九年度を初年度とする道路整備五カ年計画を定める等、道路の整備に関し必要な措置を講じようとするものでありまして、そのおもな内容は次のとおりであります。
 第一に、建設大臣は、新たに昭和三十九年度を初年度とする道路整備五カ年計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないものとすること、第二に、昭和三十九年度以降五カ年間における地方公共団体に対する道路の改築で土地区画整理卒業にかかるものに関する国の負担金の割合または補助金の率については、土地区画整理法の規定にかかわらず、三分の二の範囲内で政令で特別の定めをすることができるものとすること、第三に、建設大臣は、昭和三十九年度以降の毎五カ年を各一期として、積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないものとすること等であります。
 本案は、去る二月十八日本委員会に付託され、同月十九日提案理由の説明を聴取、自来、参考人より意見の聴取を行なう等、慎重に審査いたしたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。かくて、三月二十四日、討論を省略して直ちに採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定した次第であります。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 日程第四 義務教育諸学校施設費
  国庫負担法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
○議長(船田中君) 日程第四、義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。文教委員会理事上村千一郎君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔上村千一郎君登壇〕
○上村千一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審議の経過とその結果を御報告申し上げます。
 本案の要旨は、一、公立の小学校または中学校の校舎の新築または増築に要する経費について、現在国庫負担を行なう場合の条件としている普通教室の不足による不正常授業の解消を、特別教室をも含む教室の不足の解消と改めること、二、公立の小学校における屋内運動場の新築または増築に要する経費について、新たに国がその一部を負担することとし、その負担割合は三分の一とすること、三、公立の小学校または中学校を適正な規模にするため、統合したことに伴って必要となった屋内運動場の新築または増築に要する経費について、新たに国がその一部を負担することとし、その負担割合は二分の一とすること、四、公立の小学校または中学校の校舎の工事費の算定方法を、現行の児童、または生徒の数を基準とする方法から、当該学校の学級数を基準とする方法に改めること、五、集団的な住宅の建設に伴う教室の不足を解消するための校舎の新築または増築に要する工事費を算定する場合の当該学校の学級数は、当該新築または増築を行なう年度の翌年度の四月一日または文部大臣の定める日の見込み数とすることができることとすること、六、屋内運動場にかかる工事費を算定する場合において、特別の理由があるときは、新たに児童または生徒一人当たりの基準坪数に児童または生徒の数を乗じて得た坪数に政令で定める必要な坪数を加えることができることとすること、七、この法律は、昭和三十九年四月一日から施行することであります。
 本案は、去る二月二十一日当委員会に付託となり、同日灘尾文部大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。以来、慎重に審議を行ないましたが、その詳細につきましては会議録によって御承知を願います。
 かくて、三月二十五日に至り、質疑を終了し、討論の通告がないため、直ちに採決に入り、本案は全会一致をもって原案のとおり可決いたしました。
 次いで、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して三木喜夫君より、本案に対し、政府は義務教育の重要性と地方財政の実情にかんがみ、公立義務教育諸学校の施設整備に必要な経費は、小学校、中学校の別なく二分の一を国が負担するよう措置すること、及び校地の購入に要する経費について十分な起債措置を講ずべきである旨の附帯決議案が提出され、採決の結果、本附帯決議案は全会一致をもって原案のとおり可決いたしました。これについて文部大臣から、その趣旨を尊重し、今後とも十分努力いたしたい旨の発言がありました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 日程第五日本開発銀行法の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
○議長(船田中君) 日程第五、日本開発銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長山中貞則君。
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  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔山中貞則君登壇〕
○山中貞則君 ただいま議題となりました日本開発銀行法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 日本開発銀行は、長期設備資金の融通によりわが国経済の再建及び産業の開発に寄与することを目的として設置されたものでありますが、同行の業務活動を一そう円滑にするため、次のような改正を行なおうとするものであります。
 第一は、同行の業務として土地造成資金の貸し付け業務を追加することであります。近年、地域開発がますます重要性を加えてまいりましたが、現行の日本開発銀行法では、自己の事業の用に供する土地の取得については融資を行なうことができることとなっている反面、譲渡を目的とする土地の造成については融資できないこととなっております。そこで、本案は、経済の再建及び産業の開発に寄与する事業の用に供する土地にあっては、譲渡を目的とする土地の造成についても融資の道を開こうとするものであります。
 第二は、理事及び参与の増員であります。同行の業務は、当初の基幹産業に対する融資のみならず、地域開発融資等、逐年多様化するとともに、その融資残高は、昨年十二月末において八千二百五十九億円の巨額に達しておりますので、同行の業務の円滑な運営をはかるため、理事の定員七名を八名に、参与の定員五名を六名に、それぞれ一名増加しようとするものであります。
 本案については、開発銀行の業務の内容、貸し付けの状況、貸し倒れ準備金の積み立て及び取りくずし、改正案の内容と趣旨、人事等各般にわたり慎重に審議いたしました。
 その結果、昨二十五日、藤井委員より質疑終局の動議が提出されましたので、多数をもってこれを可決いたしましたところ、社会党委員は全員退場されました。今日まで円満な運営を続けてまいりました当委員会として、事前に十分話し合ったとはいえ、まことに遺憾な結果になりましたことを非常に残念に思いますが、反面、本改正法は四月一日の施行を予定しており、年度内成立を期し得ない場合、行政専務に多大の支障を来たすばかりでなく、地域経済開発等にも悪影響をもたらすおそれもあり、参議院送付をこれ以上おくらせることは事実上許されない案件でありますため、委員長としては、やむなく直ちに討論に入りましたところ、岩動委員は自由民主党を代表して、また、竹本委員は民主社会党を代表して、それぞれ賛成の意見を述べられました。次いで、採決いたしましたところ、本案は起立総員をもって原案のとおり可決となりました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
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○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時八分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        法 務 大 臣 賀屋 興宣君
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
        通商産業大臣  福田  一君
        運 輸 大 臣 綾部健太郎君
        国 務 大 臣 赤澤 正道君
        国 務 大 臣 宮澤 喜一君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 林  修三君
        警察庁警備局長 後藤田正晴君
        建設政務次官  鴨田 宗一君
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