第046回国会 本会議 第25号
昭和三十九年四月二十三日(木曜日)
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 議事日程 第二十四号
  昭和三十九年四月二十三日
    午後二時開議
 第一 特別委員会設置の件
 第二 郵政省設置法の一部を改正する法律案(
  内閣提出、参議院回付)
 第三 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法
  律案(内閣提出、参議院回付)
 第四 輸出保険法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 第五 関税協力理事会を設立する条約の締結に
  ついて承認を求めるの件
 第六 遺言の方式に関する法律の抵触に関する
  条約の締結について承認を求めるの件(参議
  院送付)
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○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 東北開発審議会委員の選挙
 海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員の選挙
 日程第一 特別委員会設置の件
 日程第二 郵政省設置法の一部を改正する法律
  案(内閣提出、参議院回付)
 日程第三 農林漁業金融公庫法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出、参議院回付)
 日程第四 輸出保険法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第五 関税協力理事会を設立する条約の締
  結について承認を求めるの件
 日程第六 遺言の方式に関する法律の抵触に関
  する条約の締結について承認を求めるの件(
  参議院送付)
 中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正
  する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後二時二十五分開議
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
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 議員請暇の件
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 議員川崎秀二君から、海外旅行のため、四月二十九日から五月十五日まで十七日間請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 東北開発審議会委員の選挙
 海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員の選挙
○議長(船田中君) 東北開発審議会委員、海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員がいずれも一名ずつ欠員になっておりますので、この際、その選挙を行ないます。
○小沢辰男君 東北開発審議会委員の選挙、及び海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
○議長(船田中君) 小沢辰男君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
 議長は、東北開発審議会委員に天野光晴君を、海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員に小沢辰男君を、それぞれ指名いたします。
     ――――◇―――――
 日程第一 特別委員会設置の件
○議長(船田中君) 日程第一、特別委員会設置の件につきおはかりいたします。
 結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案等関連法律案を審査するため、委員三十人よりなる国際労働条約第八十七号等特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、そのとおり決しました。
 ただいま議決せられました特別委員会の委員は追って指名いたします。
     ――――◇―――――
 日程第二 郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
○議長(船田中君) 日程第二、郵政省設置法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
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○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第三 農林漁業金融公庫法の
  一部を改正する法律案(内閣提
  出、参議院回付)
○議長(船田中君) 日程第三、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
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○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。上って、参議院の修正に同意するに決しました。
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 日程第四 輸出保険法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
○議長(船田中君) 日程第四、輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
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○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。商工委員長二階堂進君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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  〔二階堂進君登壇〕
○二階堂進君 ただいま議題となりました輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 本案は、わが国の経済が急速に開放体制に移行しつつある情勢のもとにおいて、輸出振興策の一環としての輸出保険の果たすべき役割りは、今後一そう重要となりますので、この制度をさらに拡充し、もってわが国輸出の振興をはかろうとするものであります。
 その内容は、普通輸出保険、増加費用保険の範囲を拡大すること、及び普通輸出保険により担保される船積み前信用危険の範囲を拡大することであります。
 本案は、去る三月二十四日当委員会に付託され、二十五日福田通商産業大臣より提案理由の説明を聴取し、四月二十一日より質疑に入り、慎重に審議いたしましたが、その内容は会議録に譲ります。
 四月二十二日、質疑を終了し、引き続き採決いたしましたところ、多数をもって、原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 関税協力理事会を設立する条約の締結について承認を求めるの件
 日程第六 遺言の方式に関する法律の抵触に関する条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
○議長(船田中君) 日程第五、関税協力理事会を設立する条約の締結について承認を求めるの件、日程第六、遺言の方式に関する法律の抵触に関する条約の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたしま正す。
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○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。外務委員長臼井莊一君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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  〔臼井莊一君登壇〕
○臼井莊一君 ただいま議題となりました二案件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、関税協力理事会を設立する条約について申し上げます。
 本条約は、関税の賦課、徴収等関税に関する技術的側面を国際的に統一し、通関手続を簡素化するため、国際協力理事会を設立することを目的として一九五〇年十二月に欧州関税同盟研究団加盟国により採択されたもので、一九五二年十一月に発効いたしております。
 政府は、一九五三年以来この理事会にオブザーバーを出席させ、密接な接触を保ってまいりましたが、今回この条約に正式に加入することといたしたのであります。
 本条約は、理事会の構成員、任務、権限、国際連合等の機関との協力を規定し、附属書において理事会、構成員の代表者、職員及び専門家の特権、免除及び便宜供与等について規定いたしております。
 次に、遺言の方式に関する条約について申し上げます。
 本条約は、一九六〇年に開催されたヘーグ国際私法会議の第九回会議において採択された条約案をもととして一九六一年に作成され、一九六四年に発効しているものでありまして、わが国は同年一月三十日に署名いたしております。
 本条約は、遺言の方式に関する国際私法が国により異なることから亀ずる不合理を除くため、各国に共通の規則を定め、遺言者がこの条約の定める方式に従って行なった遺言は、どの関係国においても有効と認められることを合意したものでありまして、行為地法、本国法、住所地法、常居所地法、不動産についてはその所在地法のいずれかに従って行なった遺言は、方式上有効であること等を規定しております。
 関税協力理事会を設立する条約は三月二日本委員会に付託され、遺言の方式に関する条約は、参議院において承認され、三月十三日本委員会に付託されましたので、政府から提案理由の説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。
 かくて、四月二十二日、質疑を終了し、討論を省略して採決を行ないましたところ、いずれも全会一致をもってそれぞれ承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(船田中君) これより採決に入ります。
 まず、日程第五につき採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
 次に、日程第六につき採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
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 中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(船田中君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出、中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。通商産業大臣福田一君。
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) 中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、中小企業基本法はその第十九条におきまして、国は中小企業者以外の者の事業活動による中小企業者の利益の不当な侵害を防止し、中小企業の事業活動の機会の適正な確保をはかるため、紛争処理のための機構の整備等必要な施策を講ずるものと規定しております。大企業と中小企業との事業活動の調整に関しましては、現在すでに百貨店法、小売商業調整特別措置法などがありまして、おのおのその機能を果たしているのでありますが、今後貿易の自由化や技術革新の進展に伴って、ますます増大することが予想される大企業の進出に対処して、必要な事業活動の調整を行なって中小企業の事業活動の機会の適正な確保をはかるためには、既存の法制のみでは決して十分であるとはいいがたいのが実情であります。
 このため、政府におきましては、中小企業政策審議会の意見も徴してこの問題について検討を重ねてきたのでありますが、その結果、次の措置をとることが必要であるとの結論に達したのであります。
 すなわち、大企業の進出によって多数の中小企業に重大な悪影響を与えるおそれのある場合においては、中小企業者が経営の合理化等必要な体質改善を行なうまでの間、緊急避難的に大企業の進出について一定の調整を行なう、調整は中小企業を代表する団体がその大企業と自主的に交渉することによって行なうこととし、政府はこの交渉について必要なあっせんまたは調停を行なうというのがその内容であります。中小企業に関する団体といたしましては、各種の組合制度があるわけでありますが、これらの中でその業種に属する中小企業者を代表する団体として考えられますのは商工組合であります。かように考えまして、さきに申し上げた措置を法制化するため、商工組合の根拠法律であります中小企業団体の組織に関する法律を改正するこの法律案をここに提出することとした次第であります。
 次に、本改正案の内容につきまして、その概略を申し上げます。
 第一は、一定の要件を備えた商工組合は、その商工組合の資格事業としている業種に大企業が進出することが中小企業の経営の安定に重大な悪影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、その大企業と専業活動を調整するために必要な契約を締結することができることとしたことであります。この法律案ではこの契約のことを特殊契約と呼んでおります。
 この特殊契約は主務大臣の認可制といたしまして、その認可に際してその契約がその事態に対処するための必要最小限のものであるかいなか、消費者等の利益を不当に害するものではないかなどを審査することとしております。なお、認可を受けた特殊契約は私的独占禁止法の適用除外とすることとなっております。
 第二は、交渉が円満に行なわれるよう契約の相手方たる大企業に交渉の応諾義務を課するとともに、当事者から申し立てのあった場合には、主務大臣は、中小企業調停審議会の意見を聞いて、あっせんまたは調停を行なうこととしたことであります。
 第三は、中小企業調停審議会に専門委員を置くとともに、関係行政機関に対し資料の提出等その協力を求めることができるようにいたしまして、紛争処理機構としての審議会の整備強化をはかったことであります。
 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
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 中小企業団体の組織に関する法律
  の一部を改正する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。桜井茂尚君。
  〔桜井茂尚君登壇〕
○桜井茂尚君 私は、日本社会党を代表し、ただいま趣旨説明のありました中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案について、総理大臣をはじめ関係各大臣に御質問いたします。
 近年、従来中小企業の営んでいた事業の分野に対する大企業の進出は口に余るものがあります。中小企業が長年営々辛苦して製品を改良し、マーケットを拡大し、事業の発展もその緒につき、これからという段になって、いままで何らの努力もしなかった大企業が、待っていましたとばかりにこの分野に進出してまいりまして、逆に中小企業者を追い出してしまうという事態が数多く見られるようになりました。例をあげるならば、紡績会社がワイシャツやクリーニングつきシートの製造に乗り出したり、水産会社が陸へ上がったり、大メーカーが石油ストーブ、魔法びん、トイレットペーパー、これらの生産を始めたりしております。さらにまた、既存の中小企業に資本や役員を投入して、実質上の支配権を確立したり、代理店、特約店を事実上乗っ取ったり、悪らつなものも数多く見られます。
 そこで、まず第一に、基本的な政治の姿勢の問題について、池田総理大臣にお伺いいたします。
 池田内閣は、中小企業に対し何ら見るべき政策も実施せず、準備体制もないままに、彼らをいわゆる開放経済体制の中に突入させました。そしていま中小企業者は大量に破産、倒産へと追いやられております。しかも事態の発展は急を告げております。しかるに、これに対する政府の施策はのろのろと当面をびほう策で糊塗しているのであって、口だけで革命的中小企業対策を行なうと称しているにすぎません。この結果、大企業と中小企業との格差は縮まるどころか、ますます拡大する一方であります。この事実は、政府みずから中小企業白書で認めているところではありませんか。そして、アフターケアをやるんだといって、あくまで生産政策にこだわる結果、中小企業三百五十三万事業所中、五十五万の工業、しかもそのうち上層の約七千に対する助成策を打ち出し、さらにその中でも、ますます上層部へと力を注いでおります。したがって、下層の鉱工業や百八十三万を数える同業、七十八万に達するサービス業には、これといった施策のないことは、この間からの商工委員会の審議の過程でも明らかになりました。また、三百五十三万事業所中、金融の対象にもならず、減税の利益も受けない、企業とはいえない零細業者に対しては、まさに政府の施策はゼロにひとしいのであります。これらの人々は、商工政策からも社会保障政策からも見放されて、政治の谷間に黙々と悲しい生存を続けている現状であることも確認されました。
 したがって、この事実に対し、池田総理はどのように考えているのか、所信のほどを明らかにしていただきたいのであります。
 第二に、このような姿勢の池田内閣によって、いまここに中小企業団体の組織に関する法律の改正案が提出されているわけであります。そして、この法律案は緊急避難立法であり、中小企業者の一部が幸いにして生き延びる見通しがつき、また一方だめになった者が事業をやめて転業するまでのつなぎの臨時的便法にすぎず、本格的に中小企業を保護育成するものではありません。しかもこれは、以下申し述べますとおりのざる法であって、何ら実効が期待できないのであります。
 ところで、わが党は、大企業の進出に脅かされている中小企業者に対して、中小企業としての専業分野を確保し、彼らが希望を持って経営に当たり、発展のし得るようにかねがね主張してきたのであります。しかるに、昭和三十七年、自民党の前尾幹事長は、公開の席上で、中企小業の事業分野を確保することは憲法違反であると言明いたしております。だが、衆議院の法制局は、わが党の主張どおり、憲法違反ではないと結論を下しております。政府の見解はどうか、総理大臣にお伺いいたします。
 第三に、改正法案によると、中小企業者を代表して商工組合が、進出しようとする大企業と交渉を行ない、契約を締結することができるとなっております。しかし、中小企業者は団結しても力が弱く、弱体な商工組合もたくさんあります。この商工組合の自主的な交渉にまかせるとき、商工組合の判断力、交渉力では、大企業からの圧力や巧妙な手段によってごまかされるおそれが多分にあるのであります。
 そこで、このようにしてインチキ協定が締結された場合、救済措置はどうなっているのか、自分たちが自主的にきめたのだから政府は知らないというのか、通産大臣の御答弁をお願いいたします。
 また、商工組合が交渉の申し出をしたとき、大企業側に応諾義務はあっても、時間の引き延ばしはできるのであります。さらに、交渉を始めても、契約締結に引き延ばし戦術をとることもできる。あっせん、調停を申請しても、これまた時間的制約がありません。そして、調停案をつくってその受諾を勧告しても、大企業側が従わなかった場合、罰則もありません。これまた、通産大臣にお伺いいたしますが、勧告に従わなかった場合、あなたは勧告を有効に守らせる案がおありでしたら提示を願いたいと思います。
 さらに、現行法の中でも、中小企業団体組織法、中小企業等協同組合法等において、引取については団体交渉権が認められております。だが、相手方が応じなくても罰則はなく、現実的な拘束力はありません。小売商業特別措置法でも、紛争を都道府県知事があっせんまたは調停することになっております。
 そこで、通産大臣にお伺いいたしますが、この種の紛争に対し、中央段階であっせんまたは調停、さらには勧告をした事例があったらお教え願いたい。また、自治大臣にお伺いいたしますが、地方であっせん、調停に成功した事例がありますか。社会党知事の福岡県において、ただ一件成功しておることは知っておりますが、他の府県で、どこで何件成功したかお教え願いたい。(拍手)
 また、勧告を出しても、大企業側が従わない場合、これに金融をつけないよう、大蔵大臣が行政指導を行なえば、一番効果があるはずであります。こうしなければ実効があがらないと思うが、こういうことについて、大蔵大臣と通産大臣は話し合ったことがありますか、大蔵大臣の見解をお伺いいたします。
 第四に、中小企業基本法に対する附帯決議として、「紛争処理のための機構の整備については、公正且つ実行力のある機構を設けるよう考慮すること。」となっており、改正案によると、「中小企業調停審議会に専門委員を置く。」となっております。しかし、どの程度の人員を配置し、どの程度の予算を用意しているか、三十九年度の予算項目には載っていないが、どの項目の予算を使い、額は幾ら予定しているのか、大蔵大臣に御答弁をお願いいたします。
 さらにまた、従来法律をつくっては、都道府県にこれが実施方を委任しており、しかも予算をほとんどつけず、都道府県の手弁当になっている例が非常に多いのであります。ところで、今回は都道府県中小企業調停審議会の専門委員の人員数をどの程度予定し、予算は幾ら計上しているのか、自治大臣に御答弁を願います。
 そして、あっせんまたは調停を公正かつ実行力あるものにするためには、通産省所管の調停審議会程度のものではなく、より強力な第三者的な機関、調停委員会というようなものを内閣に直属さすべきではないかと思いますが、総理大臣の見解をお伺いいたします。
 第五に、政府は、大資本によるスーパーへの進出を、刺激剤として歓迎しているような様子であります。だが、政府が、ほんとうに中小企業者の寄り合いスーパーマーケットや、寄り合い百貨店を育成する気であるならば、大資本などを利用せずに、これが保護育成に本格的に取り組む政策を実施すべきではないかと思います。刺激剤としてやらせるのは、大企業擁護のための言いのがれと思うが、通産大臣の所見をお伺いいたします。
 最後に、この改正案では、大企業者の身がわり進出は全然防止できません。したがって、社会党は、この法律案のようなざる法ではなく、真に中小企業者を保護育成するため、中小企業者に適切な専業分野を確保して、その経営の基礎を安定させるために、次のような趣旨の中小企業者の事業分野の確保に関する法律案を提出いたしております。
 すなわち、第一に、中小企業による専業形態が適切であり、これに大企業が進出する場合、中小企業者を著しく圧迫すると認められるとき、これを中小企業の興業分野として確保するため、適切な業種を政令で指定すること、第二に、指定事業を営む者は、すべてこれを届け出させ、大企業が指定業種の分野に新たに進出し、拡張することを制限し、これに違反する者には罰則をもって臨むこと、第三に、大企業がみずから行なわなくとも、資本的または人的関係において支配力を持つ中小企業者をして行なわしめる場合も、同様に規制の対象として、主務大臣が大企業者に対し、その違反行為を排除するための命令を出し、または予想される脱法行為も未然に防止するようにしております。
 この社会党案のようなもの、これでなければ、実際に効果のある法律として中小企業を守ることはできないと思う。(拍手)総理は、政府提案の法案を撤回して、社会党案に賛成するつもりはないか、お伺いいたします。
 総理並びに関係各大臣の誠意ある御答弁を期待いたしまして、質問を終わりといたします。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 政府の中小企業に対しての対策はゼロであるというお話でございますが、今回の予算をごらんくださいましてもおわかりいただけるごとく、一般会計の予算では前年に比べて四割ふえている。百六十六億円、こういう四割もふえたようなことがいままでにございましたか。また財政投融資におきましても、二割六分という画期的な増加をしているのであります。また税制面におきましても、従来の中小企業の減税はおおむね百数十億円でございましたが、今年度はその四倍をこえる六百億円の減税ではございませんか。いまだかつてこういうことをやったことはない。私は、革新的中小企業対策をやるという公約は完全に守られて、中小企業の方々も大体了解していただいていると思っておるのであります。(拍手)
 次に、営業の自由といいますか、職業選択の自由は、憲法第二十二条で認められております非常な重要な原則でございます。しかし、職業選択の自由につきましても、公共の福祉のためにはある程度の制限はいたさなければならぬこともおわかりと思います。その制限のしかたでございますが、広い範囲にわたって、各業種にわたって、法律で他の者がその職業に入ることを禁止するということは、これは相当問題があると思います。われわれは、あくまで、自由主義、民主主義の職業選択の自由を確保しながら、公共の福祉のためにある程度の制限をすることは考えますけれども、広く網をかけて制限するということは、私は、問題があると思うのであります。憲法の精神を守ろうとするあなたは十分御研究を願いたい。こういうものは、そうこの場合にこうやったほうが便利がいいからというので、基本原則を、憲法を犯すような危険はやるべきではないと思います。
 なお、事業活動の調教正を内閣でやったらいい、内閣でやるべきではないか、こういうお話でございますが、これは行政の実態に沿いません。各産業部門を取り扱っておる各行政庁が、その専業分野において検討し、行なうべきでございまして、内閣でやるということは、いまの内閣制度、帝業の実態に沿わないやり方だと考えます。(拍手)
  〔国務大臣福田一君登壇〕
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 調停が不当なものであった場合にどうするか、また、調停案ができても実行されないではないかという御質問だと思うのでありますが、調停をやりますやり方をごらんくださってもわかりますように、これには公平な第三者等が入っていろいろと審議をしてやられるのでございまして、しかも、これが大企業の言い分だけを聞いてものごとを決するというようなことは、私は、いまの社会の姿ではとうていできないことだと思っております。私は、そういうような不当なことが行なわれないように、通商産業省としては、やはりある程度の行政指導をやっていかなければならないと考えております。
 また、事実、調停ができても実行されなければいけないじゃないか、こういうことでありますが、調停案ができれば、必要があれば、審議会の意見を聞きまして、これに、こういうわけだからこういう調停ができた、これはこういう理由であるということを公表するということをいたしますれば、これはなかなかそう簡単にそれを破るということはできるものではございません。私たちはそういう意味でこの法律は効果をあげ得ると考えております。
 なお、三十四年来この審議会がどれくらい開かれたかということでございますが、これは御説明がありましたとおり、非常に少ない。調停の申し立てがないわけでございまして、非常にいままでは少なかったことは事実であります。そういうような場合に、今度は調停ができたような場合に、もしこれに反した場合には、財政資金をつけないとか、何らかの措置をしなければだめだが、そういうことをしたことがあるかということでありますが、いままでのところ、そのような措置をしなければならない事例はなかったわけでありますが、将来において、先ほど申し上げたように、調停ができて、不当にこれを行なわないというような場合においては、政府としても行政指導の面で考えていかなければならないと思っておるわけでございます。
 それから、スーパーの進出について御質問がございましたが、これにつきましては、産業合理化審議会の流通部会で中間報告をいたしたわけでございますが、これはさしあたり法的な措置を講ずる必要はないが、今後必要があるかどうか、また別途の審議会で大いに研究をすべきである、こういう意味のことでございまして、われわれとしては今後もこの調査を続けてまいる所存でございます。
 なお、社会党案の可否につきましては、ただいま総理大臣から御答弁がございましたので、これは略さしていただきたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 中央中小企業調停審議会の予算の件でございます。御承知のとおり、専門委員を置きまして、具体的案件の調査、検討、資料の収集等をはかりますために必要な経費を計しいたしております。三十九年度の予算は百八十五万五千円でございます。(拍手)
  〔国務大臣赤澤正道君登壇〕
○国務大臣(赤澤正道君) お答えいたします。
 先ほど、あっせん、調停の全国の実例はどうなっておるかということの私に対してのお尋ねでございましたが、これは通産省の所管でございますので、ただいまの通産大臣の答弁で御了承いただきたいと思います。
 なおまた、専門委員を手弁当で働かすのではないかという御心配のようでございましたが、専門委員に要しまする経費については、一般行政経費として扱うつもりでございます。個々の交付税上の措置につきましては、都道府県ごとにどんな事態がどの程度起こるのか、また経費がどのくらい要るか、ちょっといまの時点で予測が困難でもありますので、今後の実情をよく見きわめた上で考慮いたしたいと考えております。(拍手)
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
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○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        通商産業大臣  福田  一君
        郵 政 大 臣 古池 信三君
        自 治 大 臣 赤澤 正道君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 林  修三君
        外務政務次官  毛利 松平君
        農林政務次官  丹羽 兵助君
        中小企業庁長官 中野 正一君
     ――――◇―――――