第046回国会 本会議 第29号
昭和三十九年五月十二日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十八号
  昭和三十九年五月十二日
    午後二時開議
 第一 国民金融公庫法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 第二 繊維工業設備等臨時措置法案(内閣提
  出)
 第三 食料品総合小売市場管理会法案(内閣提
  出)
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○本日の会議に付した案件
 漁港審議会委員任命につき同意を求めるの件
 東北、北関東等の凍霜害に関する緊急質問(亀
  岡高夫君提出)
 東北、北関東等の凍霜害に関する緊急質問(吉
  村吉雄君提出)
 日程第一 国民金融公庫法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
 日程第二 繊維工業設備等臨時措置法案(内閣
  提出)
 日程第三 食料品総合小売市場管理会法案(内
  閣提出)
   午後二時十九分開議
○副議長(田中伊三次君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 漁港審議会委員任命につき同意を求めるの件
○副議長(田中伊三次君) おはかりいたします。
 内閣から、漁港審議会委員に井出正孝君、黒田静夫君、林眞治君、向瀬黄玉郎君、秋山皐二郎君、西上重弌君、鈴木覺君、高橋重博君、小林小一郎君を任命いたしたいので、本院の一意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中伊三次君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えることに決しました。
     ――――◇―――――
 東北、北関東等の凍霜害に関する緊急質問(亀岡高夫君提出)
○小沢辰男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、亀岡高夫君提出、東北、北関東等の凍霜害に関する緊急質問、及び吉村吉雄君提出、東北、北関東等の凍霜害に関する緊急質問を順次許可せられんことを望みます。
○副議長(田中伊三次君) 小沢辰男君の動議に御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中伊三次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 まず、亀岡高夫君提出、東北、北関東等の凍霜害に関する緊急質問を許可いたします。亀岡高夫君。
  〔亀岡高夫君登壇〕
○亀岡高夫君 私は、自由民主党を代表いたしまして、去る四月二十九日未明、東北、北関東を襲いました未曾有の大凍霜害対策について、政府の所信をたださんとするものであります。(拍手)
 まず、今次の気象異変に基づく大凍霜害に被災せられました農家の方々に対し、衷心より御見舞いを申し上げますとともに、意気消沈することなく、雄々しく立ち上がって、農業生産及び空活の正常な姿に帰られることの一日も早からんことを祈念いたす次第でございます。(拍手)
 今次の大凍霜害は、去る四月二十八日午後十時ごろから急速に気温が下降し、翌二十九日朝六時ごろまで、実に七時間にわたって零下四ないし六度という、かつてない低温の連続によってその被害激甚をきわめたのであります。被災農家は、この中におきまして、被害を最少限に食いとめんものと、あるいは重油を燃やしたり、あるいはむしろでおおいをかけたりする等、不眠不休、涙ぐましい必死の努力を傾けたのでありますが、その効果も及ばず、農作物、特に桑、桃、リンゴ、ナシ、桜桃、栗、クルミ等は全滅的な被害をこうむったのであります。その被害面積は、東北六県だけでも四万八千ヘクタールの多きに及び、その被害総額は百億円に達する惨状でありまして、特に被害の激甚をきわめました福島、山形、宮城等、東北、北関東の被害農家は、ぼう然自失の状態であるのであります。池田総理大臣が常に農村は民族の帯しろと言っておられた、その農村は、いまやまっ黒にやけた桑園、一粒の実もつけていない果樹園を前にして、ただ政府のあたたかい万全の施策を熱望しているのが現状でございます。
 今次大凍霜害の悲報に接しまするや、わが党は、政府と緊密な連携のもと、直らに調査団を派遣し、その実態を把握するとともに、政府に対してすみやかなる対策の推進を要請してまいったのであります。政府も今回の被害の激甚なるを率直に認めて、去る八日の閣議で天災融資法の発動を決定し、対策の万全を期する決意を示された点につきましては、心から敬意を表する次第でございます。(拍手)しかし、具体的な施策はこれからでありまして、池田総理以下、被害農民の心を心として、その対策の実施に万遺憾なきを期せられるよう強く要望するものであります。(拍手)
 私が質問せんとする第一点は、農業災害に対する政府の考え方と基本的態度についてであります。
 昭和三十六年、農業基本法を制定したわが池田内閣は、逐次基本法の目標とする農業生産性とその所得を向上して、他産業従事者の所得と均衡せしめる施策を進めつつあることは、われわれも強くこれを支援するものであり、政府のなみなみならぬ努力に対し、敬意を表するものであります。
 農業は、本来、天候、自然条件を生産の要素としている産業であり、農業生産は、太陽エネルギーと空気、土壌の中からの養分を原料として有機物の生産を行なう重要産業であります。農業そのものにおいては、自然条件は、単なるお天気がいいとか、お天気が悪いという都会人のあいさつの中で語られる感覚ではとうてい推測できないものを持っておるのであります。この農業生産の基本原則は、宇宙旅行が話題にのぼる今日の進歩した科学技術をもってしても、稲の葉っぱ一枚すら、自然の力をかりずにはつくることはできないのであります。農業基本法は、このような農業生産の制約を、自然的制約として指摘し、国は、この自然的制約を補正するとしているのであります。また、その第十条におきましては、政府は、災害によって農業の再生産が阻害されることを防止し、あわせて農業所得の安定をはかるため、災害による所得の損失の補てんを合理的にする等必要な施策を講ずるものとする、と規定いたしております。災害対策についての政府の責任は、まことに重大であると申さなければなりません。特に、凍霜害は、他の災害と異なりまして、音もなく忍び寄り、農作物の一年間分の収穫に徹底的打撃をもたらすのでありまして、建物や施設等を破壊しないために、外見上被害が目立たないのが特徴であります。総理は、このような凍霜害によって、年間収入のすべてを失った果樹農家、春蚕の掃き立て不能に追い込まれた養蚕農家等の方々に対し、生活の不安を解消し、再生産への意欲をふるい立たせるため、いかなる基本的態度と決意で対処しようとしておられるか、その所信をお伺いしたいのであります。と同時に、過去においても、凍霜害によって、農家はしばしば泣かされてきたのでありますが、この防除対策は全く確立されていない現状であります。今回の災害を契機といたしまして、ヘリコプターの利用による煙幕、スプリンクラーによる散水、重油燃焼法等々の研究によって、凍霜害防除の抜本的対策の確立をはかる必要一があると考える次第でございますが、総理の所信をお伺いしたい次第でございます。
 今次災害にいう早く天災融資法の発動をしたことは、感謝するところでありますが、被害の実態調査の結果は、当然激甚災害法の適用を行なうべきと考えられるが、総理の御所見と農林大臣の所信をお伺いする次第であります。
 さらに、天災融資法による現行融資ワクの限度は十五万円、償還期限は五年となっておりますが、果樹農家等は、年間収入の一銭もない今次の災害においては、十五万円では、生活費にも満たず、ましてや来年の再生産投資をもなし得ない実情にあり、しかも、凍霜害後三年間くらいは生産が低下するともいわれているので、十五万円の限度ワクを三十万円に引き上げ、償還期限を七年ないし十年に延長する考えがおありかどうか、農林大臣並びに大蔵大臣にお伺いいたしたい。
 また、災害に際して自作農創設維持資金の果たす役割り、これまた重大でありますが、現在八反歩以上の農家に限って融資することとなっております。八反歩以下の農家にも本制度の融資の道を講ずべきであると思いますが、農林大臣の所見を承りたいのであります。
 また、今次災害に対し、農業災害補償法に基づいて、農業共済金の仮払い及び国の再保険金の概算払いの措置を講ずべきであるとともに、この際、特に災害のひどかった蚕繭共済の国の再保険概算払いの限度を、共済金支払い見込み額の二分の一となっている現行制度を、水稲共済同様三分の二まで概算払いができるよう、省令改正をすべきであると考えますが、農林大臣の御所見をお伺いいたしたい次第でございます。また、あわせて概算払いの時期についてもお伺いしたい次第でございます。
 さらに、果樹共済制度が必要なることは、果樹農家にも強く認識が行き渡ってまいりました。したがって、果樹共済制度を確立する件について、農林大臣の御所見をお伺いしたい次第でございます。
 くだものについては、来年しか収入の道がございません。養蚕農家については、夏秋蚕に生産をあげるために、災害後の肥培管理が大切なことは言を待たないところでありますが、このため農業改良普及員、農協の営農指導員、蚕糸関係技術員、共済関係の職員の災害時における涙ぐましい活動による適切な指導が肝要であります。しかも、これらの指導経費等を負担する農業者は、災害によってその負担力が著しく低下している実情であるので、これら経費の一部を国から補助することが望ましいと考えますが、農林大臣並びに大蔵大臣の御所見を承りたいのであります。
 さらに、農薬、肥料等は、樹勢を回復し、病虫害を防除するため、平常時以上に必要とされておりますので、農業再生産の確保と農家経済の不安を解消するためにも、農薬、肥料等の助成措置を講ずべきであると考えますが、農林大臣並びに大蔵大臣の御所信を承りたいのでございます。
 さらに、被害農家経済の不安を除く方策として、昨年長雨対策で実施いたしました米の予約奨励金の早期支払いを行なうべきであると考えますが、農林大臣の御所見をお伺いいたしたい。
 今次災害に際し、きわめて遺憾に思いますことは、気象通報が適切に行なわれなかったこと、特にわが福島市における一例でありますが、福島の気象台のまわりに近年大きな建物、住宅等が密集いたしましたために、気象台の観測気温が、農業地帯の気温よりも三ないし四度も高かったのであります。このことが農家の行なう防霜対策を誤らせ、ひいては被害を大ならしめた次第でございます。これは農業気象観測上、きわめて重大なことと思われるのでありますが、農業気象観測を適切ならしめるため、気象台の移転あるいは農業気象観測についての新方策の確立等を行なうべきと考えますが、運輸大臣の所見を承りたいのであります。
 また、今次災害に伴い、農業を取り巻く関連産業の打撃も甚大であります。農産物加工業、農業資材販売業等の中小企業者の打撃も甚大でありますが、これらに対する特別融資等の対策について、通産大臣の所見を承りたいのであります。
 以上のような農業災害を中心とする収入額の減少は、当然その納税力の上にも影響することとなりますので、被害農家、農業団体はもちろん、関連する事業者の収入減に伴う国税、地方税の減免税の措置及び今次災害の損失について、次年度に繰り越し控除すべきであると考えますが、大蔵、自治両大臣の御答弁をお願いしたいのであります。
 さらに、災害地の地方自治体は、税収の減少、出費の増大によって、その財政は極度に窮迫することが心配されるのでありますが、一般交付税の繰り上げ交付、特別交付税の増額等の措置をとるべきであると考えますが、自治大臣の所見をお伺いいたしたいのであります。
 また、今次災害によって、果樹農家は一年の収入を失い、養蚕農家もまた大きな収入減を余儀なくされ、生活上の不安を強く訴えている実情にかんがみまして、被害地に救農土木事業を起こして、現金収入の道を講ずべきであると考えますが、農林大臣の所見を承りたいのであります。
 最後に、政府は、今次大凍霜害が農業基本法制定以来初めてのものであり、しかも、かつてない大災害、農業のみがこうむる天然災害であることを深く認識せられまして、農業基本法の趣旨にのっとり、災害対策の万全を期して、被災農家に対し希望を持って再生産に挺身し得るよう措置されんことを要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 今回の東北地方を中心といたしました凍霜害により、被害を受けられた農家の方々に対し、私も同様、衷心からお見舞いを申し上げる次第でございます。(拍手)
 政府におきましては、いち早く現地調査を行ないまして、本月八日天災融資法の発動を決定いたしたのでございます。したがいまして、営農資金はもちろん、転落防止のための自作農維持資金等の支給につきまして、万全をいたす考えでございます。
 なお、お話のありました救農土木事業につきましても、現地の被害の状況によりまして、政府もとくと考えたいと思っております。
 何ぶんにも、風水害等の災害とは異なりまして、こういう天然自然的の条件による被害は、まことに目に見えないようでございますが、かなり深刻であるということを知っております。したがいまして、今後は科学技術の進歩を取り入れまして、こういう方面におきましても、事前に一いまいろいろな気象台の関係で不行き届きの点があったようでありますが、今後はそういうことのないように、あらゆる科学技術を導入いたしまして、未然に防止するよう万全の対策を講じたいと存じます。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 第一は、今回の凍霜害につきまする農業所得に対する減免措置の問題でございます。御承知のとおり、減免につきましてはこれらの措置を適切に行なうという考え方に立っておるわけでございます。損失につきましては、農業所得の計算上控除が認められておりますし、また、当該年度で全部が片づかない場合には、三カ年間にわたりまして後年度もこの控除を認めるという考え方をとっておるおかげでございます。
 なお、地方税につきましても、条例の定めるところによりまして減免措置を行なうという考え方でございます。
 第二点は、天災融資法の融資限度の十五万円では少ない、これを三十万円ぐらいに引き上げられ、ないかということでございますが、現在の段階では調査中でありまして、つまびらかにしておらないわけでありまして、激甚災害法を適用するかどうかという問題は未定でございます。これらの問題は、被覆の実態が判明いたしましたら検討をいたしたいというふうに考えております。
 第三点は、肥料、農薬の補助金についてでございますが、御承知のとおり、肥料とか農薬に対する補助金は、一戸当たりの交付金が非常に零細でございます。しかもこの問題につきましては、会計検査院からしばしば指摘せられておるのでございまして、昭和三十四年以降はこの種の問題に対しては補助金を出しておらないということでございますので、経営資金の融資というようなことで片づくのか、しかし、調査の結果を待たなければわかりませんので、調査結果を見た上十分に検討してまいりたい、このように考えております。(拍手)
  〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
○国務大臣(赤城宗徳君) 第一点、天災融資法につきましては発動すべく先ほどの閣議でもきめたのでございますが、調査を待ってできるだけ早く発動いたしたいと思います。
 第二に、そのワクが十五万町であるのを三十万円にしたらどうか、あるいは期間を七年ないし十年にしたらどうか、いま大蔵大臣から話がありましたが、これは法律改正を要するのでございますが、このたびの災害は激甚災害の指定ということに相なろうかと考えられます。それを適用した場合には、ワク等も五十万円等になりまするし、期間も延長になりますので、そういう線でいきたい、こういうふうに考えています。
 八反歩以下の農家に対しましては、自作農資金を貸さないというようなことではないか、こういうことでございますが、そういうことはございません。これは知事等が貸し付けを認定する場合に、農業として精進するかどうかというような判定資料でございまするので、決して八反歩以下の農家に貸し付けをしないということはございませんから、その点を御了承願いたいと思います。
 蚕繭に対する被害でございますが、それに対しまして共済の概算払いの限度は、被害限度が九割以上のものについて支払うべき保険金の見込み額の範囲として、その額が再保険金支払い見込み額の二分の一をこえるときはその範囲内、こうなっていますが、一般の農業災害のようにこれを三分の二まで引き上げる考えがあるかどうかということでございます。実態を見きわめた土、そういう措置を講じたいと考えます。
 果樹、くだものについての共済についてどういうふうに考えるかということでございますが、御承知のようにいま試験調査をしております。四十一年ごろになりますならば、この結果に基づいて本格的の共済が開始されるという見通しを持っております。目下試験調査中でございます。
 農薬、肥料の助成等につきましては、大蔵大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。
 また、米の予約奨励金をどうするか、これは災害のときに大体先に払うようないままでの例でもございます。調査の結果、その線に沿うようにしたいと考えております。
 救農土木事業を起こすかということにつきましては、総理から御答弁がありましたように、被害の実態を見きわめてその方向に進めていきたい、こう考えております。(拍手)
  〔国務大臣赤澤正道君登壇〕
○国務大臣(赤澤正道君) ただいま大蔵大臣から地方税法にまでたいへん御親切な答弁があったわけでございますが、そのとおりでございまして、こういうひどい災害の際には、地方税法及び各団体の条例の定めるところによりまして、税の減免また徴収猶予などの措置をとることとしております。国民健康保険税などにつきましても、同様でございます。
 また、さらにこの際、本年度の特別交付税を増額配付する意思はないかという御質疑でございましたが、言うまでもなく、被害額をよく調査したり、財政の状況を勘案いたしまして、措置いたしたいと考えます。なお、普通交付税を繰り上げ配布する意思はないかということにつきましては、これまた御承知のとおりに、第一回は四月上旬、第二回は六月上旬にそれぞれ繰り上げ、一部を交付しておるわけでございます。これにつきましても、財政の実態をよく調査いたしました上で、善処いたしたいと考えます。(拍手)
  〔国務大臣綾部健太郎君登壇〕
○国務大臣(綾部健太郎君) 気象観測について、今次の凍霜害に関しまして遺憾の点があったのではないかという御質疑でございましたが、私どもといたしまして、気象庁といたしましては最善を尽くしたつもりでございます。ただ御質問のうち、福島観測所のことにつきましてお話がございましたが、学問的に申し上げましてあの気象観測所がどうこうということではないと私どもは見ております。しかし、今後観測通報それから県当局、農業従事者等の利用君側との連携につきましては、さらに一そうひとつ注意いたしまして、十分考慮しまして、農業気象状況の改善に努力いたして、一そうその気象観測を拡充いたしてまいりたいと考えております。(拍手)
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 東北、北関東等の凍霜害に関する
  緊急質問(吉村吉雄君提出)
○副議長(田中伊三次君) 次に、吉村吉雄君提出、東北、北関東等の凍霜害に関する緊急質問を許可いたします。吉村吉雄君。
  〔吉村吉雄君登壇〕
○吉村吉雄君 私は、日本社会党を代表し、去る四月二十九日早朝、福島県を中心として、山形、宮城など、東北各県及び関東北部、長野県等を襲った未曾有の凍霜害に関し、その対策について総理大臣並びに関係大臣の所信をたださんとするものであります。(拍手)
 この際、私は、多忙をきわめておるこの時期に、あまりにも大きな災害をこうむった農家の方々に御同情を申し上げまするとともに、心からお見舞いを申し上げる次第であります。(拍手)
 さて、このたびの霜害は、その規模の広範囲なこと、低温継続時間が非常に長かったことなど、故老もその例を知らずというほどの深刻なものであり、したがって、その被害額は、すでに判明した農作物の直接損害だけでも、福島県の五十一億を筆頭として、山形県約二十六億、宮城県十億、総額実に百億に達するものであり、間接的な損害を含めますると実にばく大な損害となることを、まず初めに申し上げなければなりません。さらに、政府の選択的拡大、成長作目のかけ声にこたえて、借金をして投入をして多額の資金、一家総出動の労力を投じて丹精して育てたリンゴ、ナシなどの果樹類が一夜の霜のために、その収穫は全くの皆無となり、リンゴ畑の中でぼう然自失たる農民の姿、あるいはきのうまでは生き生きとした桑の新葉がまつ黒くやけてしまって、どうするすべもなく、丹精込めた桑の木を切り取らねばならぬ痛々しい農民の姿、まさにそれは正視することのできぬ悲惨なものであることをも申し添えなければなりません。
 言うまでもありませんが、わが国の災害対策の基本をなすものは、災害対策基本法であります。しかしてその第三条には「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有する」と明記されております。私は、災害のすべてを政治災害、すなわち、政災などと言うつもりはありません。しかし、災害に対する予防措置が不十分であったり、あるいは事後対策が不十分であるために、国民の生活に不安を与えることありとするならば、たとえ原因は天災であっても、その影響は政災といわなければならないと思うのであります。(拍手)
 そこで、私は、まず池田総理にお値いいたします。
 その第一点は、現在わが国の災害対策は、災害対策基本法を中心として、災害救助法、天災融資法、激甚地災害特別財政援助法等々、幾つかの法律が施行されております。これらの法律に一貫して流れている特徴は、災害が出産施設、公共施設、あるいは建造物などに及んだ場合に対する対策に重点が置かれており、災害によって国民がこうむった経済損失、すなわち、所得の減少についての補てん対策はほとんど見るべきものがない。いわば、国民生活の面から見れば、きわめて消極的な対策といわざるを得ないのであります。私は、一歩を進めて、受災者の所得減少分について国がこれをめんどうをみて、その生活の安定をはかるという積極的な姿勢こそ、ほんとうの災害対策と思うのでありますけれども、総理の見解はいかがでありますか、お尋ねをいたしたいと思うのであります。
 第二点は、災害対策基本法によりますると、総理を会長とする中央防災会議を置き、防災全般について対策を樹立することになっております。この中には、今次霜害の原因となりましたところの異常な自然現象についても、もちろんその事前予防のための科学的研究も含まれております。中央防災会議の会長としての総理は、この種の研究と予防措置について、具体的にどのような指示を与え、どのような対策を今日まで進めてこられたのか、お伺いしたいのであります。
 第三点は、災害発生後の復旧あるいは援護措置の権限の問題についてであります。災害の事後対策は迅速を要することは言うまでもありません。しかるに、現実はどうか、災害発生のつど、関係の知事あるいは市町村長が、天災融資法の適用や激甚地災害援助法の適用などの陳情のために政府に日参しなければならない始末であります。そのため急を要する援護対策がおくれ、必要以上に災害を拡大し、人心に不安と動揺を与えているのであります。したがって、災害対策の迅速を期するため、この際一定の基準を定め、関係都道府県の長の権限で必要な救援策をとり得るようにすべきだと思うのでありますけれども、総理の見解を承りたいと思います。
 次に、大蔵大臣並びに農林大臣にお尋ねをいたします。
 第一点は、現在、農産物等の災害に対しては、農業災害補償法による農業共済制度と、農家の経営資金融資の二本立てとなっておりますが、どちらかといいますると、融資に重点がかかっていることはいなめない事実であります。今日農家経営を圧迫している原因は幾つかあります。その重要な原因の一つに、多額の借金があることは御存じのとおりであります。借金で苦しんでいる農家が災害にあい、生活のしょうがない。心ならずも、また借金をしなければならない。これでは、被災農家はとうていやっていける道理はないのであります。したがって、農産物災害に対する対策は、決して融資ではないはずであります。その根本的な対策は、災害による収穫損失を補てんするものでなくてはなりません。政府の所見はどうでありますか、お尋ねをいたします。
 第二に、いま申し上げましたような根本的な対策が確立されるまでの次善の対策は、被害農作物、たとえば、桑に対する樹勢回復とか、あるいは果樹に対しては病虫害予防、または作付の転換その他について、国として財政的な裏づけを含めた助成措置を講ずべきであり、その次の策として融資を考慮すべきはずであります。しかも、その融資は、低利長期のものでなくてはなりません。今次霜害激甚地域に対して、早急に激甚地災害特別助成援助法の適用を急ぐのほか、自作農維持創設資金の特別ワクを設定し、交付すべきであると思うのであります。
 また、農業共済の再保険の概算払い等を早急に行なう必要があると考えられます。さらにまた、受災農家がすでに受けているところの融資金に対しましては、この際、少なくとも三カ年程度その償還期間を延長する、そういう措置を必要とすると思うのでありますけれども、政府にその意思ありやいなや。
 以上三点は、いずれも財政措置を必要といたしまするので、大蔵大臣及び所管の農林大臣の答弁をお願いしたいと思います。
 第四番目に、果樹類の共済適用についてでありますが、農業共済に果樹も含めてもらいたい、そういう声は果樹経営農民の強い要望であり、昭和三十四年九月十一日の農林水産委員会及び昨年七月四日の災害対策特別委員会でも、その早急実現の趣旨が附帯決議されておるのであります。もし、この附帯決議が実施されていたとするならば、今次災害においても、該当の果樹経営農家はどれほど助かったであろうと思いますると、政府の怠慢を責めざるを符ないのであります。(拍手)農林大臣は、この点、一体どう説明をし、今後どのように考えられるのか、明瞭にしていただきたいと思うのであります。
 次に、自治大臣にお尋ねいたしますけれども、今回の災害は、直接に農家の収入が激減するばかりではなくして、関連するところの、たとえば、果樹地帯におきましては、果樹を原料とするかん詰め工場の休業、あるいはまた繭の減収は、当然に製糸工場の操業短縮、あるいは休業にまで波及し、したがって、そこで働いている人々は職場を失い、その結果として、所在の商工業者は売れ行き不振を招くなどの連鎖反応は、地域住民の生活にきわめて広範かつ深刻な影響をもたらすものでありまして、やがて、それは農家はもちろんのこと、関係住民の担税能力の減少となって、当該市町村の財政圧迫となってはね返り、それでなくてさえ、被災農家の保護のため、各種の助成措置によって財政支出を余儀なくされている市町村財政は、容易ならざる事態となることは明らかであります。このような実情にある関係市町村に対して、自治省としては特別交付税の交付等の措置をとるべきと思うのでありますけれども、自治大臣の考えはどうか、承りたいと思うのであります。
 以上、私は、今次凍霜害について、政府の緊急対策の早急確立を要望するとともに、災害対策の根本的なあり方について、政府がもっと受災者個人の収入減少に対し、これを実質的に補てんし、その化活に不安なからしめるような対策を樹立すべきであることを強く主張いたします。
 総理は、かつて、農業、中小企業に革新的な政策をとるということを雷明いたしました。もし、その言明が事実だとするならば、今次災害に苦しむ農家の方々に対し、それこそ思い切った保護助成措置をとらなければならないはずであります。それが、もし従来のごとく、単に金を貸すだけの対策に終わるとするならば、電新的農政という看板ははずすべきでありましょう。この際、受災農家救援のための革新的な災害対策の確立、それに基づいた関係閣僚の答弁を強く期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 災害による所得減少等の経済的損失に対する対策としては、すでに御承知のごとく、農作物に対しましては、米、麦、繭等の共済制度がございますし、いまお話にもありました果実に対しましても、今後これを施行すべく、ただいま検討中であるのであります。
 なお、農作物の減収対策のみならず、災害によりまする農家の営農資金につきましては、ひどい場合には天災融資法を発動いたしまして、先ほど答えたような措置をとることに万全を尽くしておるのであります。
 なお、こういう金を貸すだけでなしに、租税につきましても減免の措置を講ずることにいたしております。
 しこうして、災害対策といたしましては、中央防災会議におきまして、まず第一に、災害防除、予防につきましてあらゆる措置を講じ、もし災害が起こった場合におきましては、迅速適確な救急対策を講ずることにいたしておるのであります。しこうして、中央防災会議におきましては、防災基本計画を立て、あるいは防災事業計画、地域的防災計画をも立てまして、国、地方、あるいは公共団体その他の公的機関と有機的な連絡をとるよう、前もって措置を講じておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 農業共済組合の共済金の仮払いに必要な資金につきましては、農業共済組合連合会の保険金の仮払いを早急に実施できるように指示いたしますとともに、国の再保険金の仮払いにつきましても、請求があり次第、遅滞なく実施できるように準備を進めておる次第でございます。
 第二は、激甚災害法の適用についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、目下のところ問題がありますが、なお、被害の実態の判明を待って検討をしてまいりたいという考えでございます。
 第三に、自作農維持資金につきましては、従来の基準に従いまして災害特別ワクを設定いたしまして、融資を行なっていく方針でございます。(拍手)
  〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
○国務大臣(赤城宗徳君) お答えいたします。
 ただいま大蔵大臣から答弁がありましたように、共済金の概算払い等につきましては、国の再保険につきましても、共済金の概算払いにいたしましても、至急措置ができるように進めたいと思います。
 自作農の資金につきましては、天災融資法が発動されますならば、そのワクを拡大いたしまして、これも十分融資できるようにいたしたいと思います。
 激甚地災害法の災害の適用につきましては、ただいま天災融資法の適用につきましての調査資料を至急集めておりますので、その結果に基づついて――私はたぶん激甚地災害法の適用ということになるかと考えておりますけれども、そういう方向において調査を至忠進めておりますので、その調査を待って措置したいと思います。
 果樹類を農業共済に入れたらどうか、これにつきましては、先ほども御答弁いたしましたように、御承知のとおり試験調査をしております。三十八、三十九、四十年の三カ年の試験調査の結果によりますけれども、前向きで考えておりますので、四十一年からはこれを共済に入れるというようなことに相なろうかと思いますが、これも調査の結果によりますけれども、前向きで調査をいたしておる、こういう実情でございます。(拍手)
  〔国務大臣赤津正道君登壇〕
○国務大臣(赤澤正道君) 先ほど亀岡議員にお答えいたしましたとおりでございまして、住民税は、お気の毒でもありますので、できるだけ徴収猶予するとか、あるいは減免するとかいう方向で指導しなければならぬと考えております。
 なお、特別に特別交付税の配分をする意思があるかということでございますが、これまた同じく財政状況を調査し、また被害額も調べまして、前向きに善処しなければならぬと考えております。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 国民金融公庫法の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
○副議長(田中伊三次君) 日程第一、国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
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○副議長(田中伊三次君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長山中貞則君。
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  〔報告書は本号末尾に掲載〕
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  〔山中貞則君登壇〕
○山中貞則君 ただいま議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、国民金融公庫の業務の適切な運営に資するため、その資本金二百億円を、二十億円増額して二百二十億円にしようとするものであります。
 なお、本案に関連して、農地被買収者で、銀行その他一般の金融機関から生業資金の融通を受けることを困難とする者に対し、二十億円の貸し付けを行なうことにしておりますが、本案と同一内容の法案が、去る昭和三十七年の第四十一回国会及び三十八年の第四十三回国会において、いずれも衆議院を通過いたしましたが、参議院で継続審査あるいは審査未了となった経緯がございます。
 本案につきましては、慎重に審議が続けられ、特に二十億円の出資については、三十七年度の補正予算において繰り越し明許費とすることが議決されましたが、本案が三十八年度内に成立しなかったために支出不能となりました結果、現在の時点においては、予算の裏づけのない法律案ということになり、したがって、本法成立後の財源措置につき論議が行なわれ、ことに、もしかりに予備費を充当する場合における憲法、財政法上の解釈をめぐって田中大蔵大臣、林法制局長官との間に質疑がかわされました。結局、田中大蔵大臣の、法律が成立したあかつきに適当な財源措置をとりたい旨の答弁をもって質疑を終結いたしました。
 かくて、本案は、去る五月七日、質疑を終了し、討論を行ないましたところ、只松委員は日本社会党を代表して反対の意見を、渡辺委員は自由民主党を代表して賛成の意見を、また、竹本委員は民主社会党を代表して反対の意見をそれぞれ述べられました。次いで、採決いたしましたところ、多数をもって本案は原案のとおり可決となりました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(田中伊三次君) 討論の通告があります。これを許します。只松祐治君。
  〔只松祐治君登壇〕
○只松祐治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案に反対の討論を行ない、そのきわめて不当な実体を国民に訴えたいと思います。(拍手)
 まず第一に反対する理由は、この改正案が全く時代に逆行するものであるからでございます。すなわち、本案は、国民金融公庫に二十億もの国民の血税を増資し、その貴重な資金を旧地主にのみ生業資金として貸し付けを行なおうとするものでありますが、政府・与党が、常に、すでに戦後ではないと、戦争の痛手を払拭することにつとめているように、戦後二十年を経まして、旧地主を取り巻く社会環境、経済基盤も当時とは全く変わってきております。また戦争の被害者はひとり地主のみではありません。当時の全国民が何らかの被害を受けておるのであります。しかし、その補償は、戦死者、引き揚げ者などの一局部に、しかも不公平にしか行なわれておりません。太平洋戦争の犠牲者に対し、真にその償いを行なおうとするならば、一家の支柱をなくした戦死者、その遺族などにもつと、位階などで差別することなく、しかも化活にお困りの方から、まず公平に行なうとともに、たとえば引き揚げ者、戦災者、強制立ちのきを命ぜられた者、土地を取り上げられた者、企業合併をさせられた者、旧預貯金者、学徒動員者、徴用者、さらに婚期を逸した婦人など、すべての戦争犠牲者に対して行わるべきであります。また、生活困窮者として取り扱うならば、それは断然に先進資本主義諸国の中でも最も立ちおくれた社会保障制度を整備し、充実する中で善処、解決すべきでありましょう。しかし、それは政府みずからの調査結果でも明らかなように、旧地主は、一般国民諸君や買い受け世帯に比して生活困窮者は少なく、たとえば住民税を見ても、買い受け世帯は中の下以下四六・九%、それに対し旧地主はわずかに二八・九%にしかすぎません。これらの調査は、旧地主の救済よりも、むしろ買い受け人、すなわち、旧小作人や一般国民の救済、社会保障制度の拡充、これらの緊要性を教えるものであります。言いかえれば、旧地主のみに対して特典を与える本案の不必要性を最も端的に示すものであれます。
 第二に、本法案は憲法及び財政法第二十四条違反の疑いがあるということであります。すなわち、本法案は、本院で三たびに及んで審議を行なうものであり、すでに本法律案に伴う二十億円の予算は存在せず、したがって、政府は予備費より流用すると答弁しているのでありますが、憲法第八十七条、財政法第二十四条にいうところの予備費の支出は、天災地変など、突発的事件の発生に伴う、すなわち「予見し難い予算の不足に充てるため、」と明記してあります。本案のごとく、多くの国民が強く反対し、本年もまた当然に審議が困難であり、審議がおくれるか、未了となること、すなわち、三月三十一日までに未成立に終わることは明々白々に予見されたことでありまして、これを予見しがたい費用に充てる、すなわち、予備費より流用することは明らかに憲法、財政法に違反するものであります。(拍手)政府は、本法案の提出に見合う予算は当然に補正予算に組むべきであります。一時の便法やメンツのためにいたずらに法を拡大解釈したり悪用することは厳に慎むべきであります。池田内閣は一時的なものでありますが、政治は、国会は永久に続くものであることを銘記すべきでありましょう。(拍手)
 第三に、本法案のごとく、旧地主の農地解放に伴う解放農地の補償及び報償の問題は、法律的にはすでに明確になっておることであります。すなわち、去る昭和二十八年十二月二十五日、最高裁判所は、憲法第二十九条三項の財産権について、正当な補償がなされたことを認めるにとどまらず、当時の経済状態の中において合理的に算出された報償をもなされたと判決を下しております。さらに、昭和二十九年二月十二日、昭和三十五年十二月二十一日と、東京地方裁判所において、買収価格のきわめて正当であることを支持した難渋がなされております。政府は、自分に都合のよいときには合法性を強く求め、また、しばしば最高蔵の判決を引き合いに出して労働者を抑圧しながら、今度は全く逆に、この最高裁の判決に一顧も与えず、一部地主の圧力に屈して、政治的にのみ本則題を処理しようとすることは、国民の全く納得しがたいところであります。われわれは、立法府の権威のためにも、すでに最高裁で最終決定を見た、本法案のごとく解放農地に関連する法案の提出に強く反対するものであります。(拍手)
 第四の理由は、国民は法のもとに平等であり、したがって、法律は国民に公平であらねばなりません。しかるに、本法案は、国民金融公庫の一般の貸し出しは年九分であるにもかかわらず、何ら特別の災害などでもないのに、地主にだけ年六分五厘という低利で貸し出そうとするものでありますが、これは国民金融公庫法の目的に大きくもとるだけでなく、また、金融体系を混乱におとしいれるものであります。御存じのように、いま中小企業者は、池田内閣の高度経済成長政策の失敗に伴うしわ寄せを受けて苦闘のさ中にあり、倒産する者が続出しております。しかるに、これら倒れ行く中小企業者、零細企業者にはほとんど見るべき施策も行なわず、国民金融公庫からの貸し付けも年九分で行ない、旧地主にのみ二十億円の特別ワクを設け、しかも、六分五厘で貸すということは、まさに政治を利害取引の場と化するものでありまして、われわれは、政治のかかる堕落、不純に強い警告を発せざるを得ません。(拍手)いま、急がなければならない施策は、政府の調査が示すとおり、いまだ特権的立場にある旧地主に対してではなく、七百万人に及ぶ低所御者、生活困窮者、零細農民、中小企業者に対してであります。政府のきびしい反省を求めてやみません。
 第五に反対する理由は、政府及び自民党は、旧地主に対して農地報償制度を新たに設け、一千億円にも及ぶ膨大な農地報償金を、十年償還、無利子の交付公債として交付しようとして着々とその準備を進めていますが、この報償制度がいかに誤ったものであるか、あえて論ずるまでもありません。それはそれとして、二十億円の特別融資、六分五厘の低金利という二重の旧地主に対する優遇措置に加え、かかる報償法案が本国会に提出されることになれば、旧地主に三重、四重の恩恵を与えるばかりでなく、本法案と同工案件に対して重複措置をも講ずる結果を招来することとなります。このことは、またわが党がかねて本案反対の理由の一つとして、担保融資に連なる危険があることを指摘していたことが全く的中することでもあり、これは地主連盟に力を与え、日本民主化の大きな基盤をなした農地改革の成果を逆転させるおそるべき結果になります。戦後二十年、ようやく基礎づくりを終えて民主国家となった日本の前途を暗くするものであり、まことに憂うべき事態と申し上げなければなりません。
 最後に反対いたします現出は、本法案は、以上述べた諸点や国会における三年来の討論でも明らかなように、何らの科学的資料、理論的根拠もなく、旧地主の心情といううたい文句を使い、全国農地解放者同盟など、ごく一部の旧地主芝結びついた自民党及び特権官僚のメンツと利害のみにとらわれた戦後最悪の立法の一つであることであります。(拍手)また、かかる不急不要の法案を強行しようとすることは、資本主義政治の悪弊である弱肉強食、強い者のための政治がいまなお依然として行なわれていることを立証するものでありまして、まことに残念なことであります。政治はわが国の基本的前進方向とともに、まず弱い者、困っている者のために行なわれることを求めてやまない。わが社会党は、かかる法案には党をあげて断固として反対せざるを得ません。
 ここに、日本社会党を代表して、政府の猛省を促し、本案の廃案を期待いたしまして、反対の討論を終わります。(拍手)
○副議長(田中伊三次君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(田中伊三次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 日程第二 繊維工業設備等臨時措置法案(内閣提出)
○副議長(田中伊三次君) 日程第二、繊維工業設備等臨時措置法案を議題といたします。
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○副議長(田中伊三次君) 委員長の報告を求めます。商工委員長二階堂進君。
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  〔報告書は本号末尾に掲載〕
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  〔二階堂進君登壇〕
○二階堂進君 ただいま議題となりました繊維工業設備等臨時措置法案について、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
 御承知のとおり、わが国経済は開放体制へ移行し、また、繊維産業においては、合成繊維の発達に伴う複合繊維の急増、労働需給の変化、さらには、諸外国のわが国繊維品に対する輸入制限、新興諸国の発展に伴う国際競争力の激化等、わが国繊維産業を取り巻く内外の情勢はますます変化しております。このような現状から、わが国繊維産業を今後とも輸出産業として確立していくためには、企業の自由な創意の発揮と自由競争原理の基盤を造成する必要があります。
 本案は、繊維工業の合理化をはかり、あわせて繊維製品の輸出振興に寄与することを目的としておりますが、その内容の第一は、精紡機及び幅出機について登録制をとり、その設置を制限すること、第二は、精紡機等の過剰設備の廃棄を促進するため、共同行為により格納し、新増設等には格納精紡機の廃棄を条件として認めること、第三は、精紡機の登録区分と純糸の紡出の制限等を大幅に緩和すること、第四は、主務大臣は、生産業者に対し、輸出向け繊維製品の出荷数量その他に関し改善勧告をなし得ること、第五は、通商産業省に諮問機関として繊維工業審議会を置くこと、第六は、本案は四年間の限時法で、過創設備の廃棄は三年間に行なうこと、以上であります。
 本案は、去る四月九日商工委員会に付託され、翌十日福田通商産業大臣より提案理由の説明を聴取し、四月二十四日より審議に入り、五月六日には参考人を招致して意見を聴取する等、慎重に審議を行ないましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 五月八日の委員会において、質疑を終了し、引き続き採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、繊維製品の正常な輸出の発展を確保するとともに、対日差別待遇及び輸入制限の撤廃等をはかるため、経済外交を強力に推進すること、繊維工業の合理化を促進するために、金融、税制上の措置を講ずること、中小企業者に対して、過剰精紡機の使用停止等について、特に配慮するとともに、政府関係金融機関の融資に関し、積極的なあっせん等を行なうこと、繊維難業における最低賃金制の確立をはかること、繊維工業審議会の構成については、労働者及び消費者の意見を反映するよう配慮すること等を内容とする自由民主党、日本社会党及び民主社会党三党共同提案による附帯決議を付することにいたしました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
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○副議長(田中伊三次君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(田中伊三次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 日程第三 食料品総合小売市場管理会法案(内閣提出)
○副議長(田中伊三次君) 日程第三、食料品総合小売市場管理会法案を議題といたします。
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○副議長(田中伊三次君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員長高見三郎君。
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  〔報告書は本号末尾に掲載〕
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  〔高見三郎君登壇〕
○高見三郎君 ただいま議題となりました食料品総合小売市場管理会法案につきまして、農林水産委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 最近における労賃、資材価格の上昇等による小売りマージンの増大が、野菜、果実、魚介等生鮮食料品の消費者価格上昇の一因となっていることにかんがみまして、小売り段階における流通経費の節減による価格形成の合理化を促進するため、小売業者が協同して、できる限り単一の経営体を組織し、大量仕入れ、セルフサービス等、近代的、合理的な経営方式を採用した公設スーパーマーケットを国及び地方公共団体の助成により設置いたし、これの適正な管理及び運営をはかることを目的といたしまして本案が提出ざれたのであります。
 その概要は次のとおりであります。
 第一点は、国及び地方公共団体の出資により、特殊法人の食料品総合小売市場管理会を設置することであります。
 第二点は、管理会には農林大臣が任命する委員十人以内で組織する運営審議会を設置することであります。
 第三点は、管理会の業務内容についてでありまして、管理会は大都市及び周辺地域内において食料品総合小売市場を設置し、管理を行なうとともに、当該市場内の小売り業者に対し、食料品の種類、品質、価格、これらの購入、保管及び販売についての指導を行なうこと、並びに食料品の購入のあっせんを行なうことを本来の業務としているのであります。
 以上が本案の提案理由並びにその概要であります。
 本案は、二月二十五日提案理由の説明を聴取し、五月六日から五月八日まで三回にわたり質疑を行ない、五月八日、質疑を終了し、討論を省略して採決いたしましたところ、賛成多数をもって本案は原案どおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案には、生産者価格安定制度の拡充強化、流通機構の整備改善等の趣旨の附帯決議を付されたことをつけ加えて申し上げておきます。
 以上、御報告を終わります。(拍手)
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○副議長(田中伊三次君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(田中伊三次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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○副議長(田中伊三次君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時三十四分散会
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 出席国務大臣
   内閣総理大臣   池田 勇人君
   大 蔵 大 臣  田中 角榮君
   農 林 大 臣  赤城 宗徳君
   通商産業大臣   福田  一君
   運 輸 大 臣  綾部健太郎君
   自 治 大 臣  赤澤 正道君
 出席政府委員
     内閣法制局
     第一部長   吉國 一郎君
     気象庁長官  畠山 久尚君