第046回国会 本会議 第32号
昭和三十九年五月二十九日(金曜日)
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 議事日程 第三十一号
  昭和三十九年五月二十九日
   午後二時開議
 第一 アジア経済研究所法の一部を改正する法
  律案(内閣提出、参議院送付)
 第二 電子工業振興臨時措置法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出、参議院送付)
 第三 漁業災害補償法案(内閣提出)
 第四 肥料価格安定等臨時措置法案(内閣提
  出)
 第五 土地収用法等の一部を改正する法律案(
  内閣提出)
 第六 日本国とアメリカ合衆国との間の領事条
  約の締結について承認を求めるの件(参議院
  送付)
 第七 学校教育法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 第八 鉱山保安法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 第九 道路交通法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、参議院送付)
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○本日の会議に付した案件
 米価審議会委員任命につき国会法第三十九条但
  書の規定により議決を求めるの件
 中央更生保護審査会委員任命につき同意を求め
  るの件
 国立教育会館法案(内閣提出、参議院回付)
 地価安定施策の強化に関する決議案(正示啓次
  郎君外二十九名提出)
 日程第一 アジア経済研究所法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第二 電子工業振興臨時措置法の一部を改
  正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第三 漁業災害補償法案(内閣提出)
 日程第四 肥料価格安定等臨時措置法案(内閣
  提出)
 日程第五 土地収用法等の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 日程第六 日本国とアメリカ合衆国との間の領
  事条約の締結について承認を求めるの件(参
  議院送付)
 日程第七 学校教育法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第八 鉱山保安法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第九 道路交通法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、参議院送付)
 自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実
  施に伴う関税法等の特例に関する法律案(内
  閣提出、参議院送付)
   午後二時十二分開議
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 米価審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 内閣から、米価審議会委員に本院議員淡谷悠藏君、同舘林三喜男君、同根本龍太郎君、同湯山勇君、参議院議員白井勇君、同森八三一君を任命するため、国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり決するに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
     ――――◇―――――
 中央更生保護審査会委員任命につき同意を求めるの件
○議長(船田中君) 次に、中央更正保護審査会委員に藤野庄蔵君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 国立教育会館法案(内閣提出、参議院回付)
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 参議院から、内閣提出、国立教育会館法案が回付されております。この際、議事日程に追加して右回付案を議題とするに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 国立教育会館法案の参議院回付案を議題といたします。
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○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
 地価安定施策の強化に関する決議
  案(正示啓次郎君外二十九名提出)
     (委員会審査省略要求案件)
○小沢辰男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、正示啓次郎君外二十九名提出、地価安定施策の強化に関する決議案は、提出者の要求のとおり委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(船田中君) 小沢辰男君の動議に御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 地価安定施策の強化に関する決議案を議題といたします。
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地価安定施策の強化に関する決議案
右の議案を提出する。
昭和三十九年五月二十六日
提出者
正示啓次郎 丹羽喬四郎
逢澤 寛 天野 光晴
稲村左近四郎 大倉 三郎
加藤 高蔵 木部 佳昭
木村 武雄 瀬戸山三男
中村 梅吉 服部 安司
廣瀬 正雄 福永 一臣
堀内 一雄 堀川 恭平
松澤 雄蔵 山本 幸雄
渡辺 栄一 岡本 隆一
兒玉 末男 山中日露史
伊谷 正吉 金丸 徳重
久保田鶴松 西宮 弘
原 茂 山崎 始男
吉田 賢一 玉置 一徳
賛成者
相川 勝六外三百九十一名
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地価安定施策の強化に関する決議
  本院は、最近における地価の高騰が、国民の住生活を脅かし、公共事業等の施行を著しく困難にし、国民生活の安定と経済の健全な成長に重大な障害を及ぼしている現状にかんがみ、ここに、深い憂慮を表明する。
  よつて本院は、政府が、地価の高騰を抑制するための強力な措置として、農地との調整を考慮した土地利用計画を策定し、あわせて地価の公示制度を確立し、土地の有効利用を促進するため、たとえば空閑地税等の税制その他の制度を設ける等積極的な諸施策を検討して、すみやかに地価の安定を図ることを強く要望する。
右決議する。
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 提出者の趣旨弁明を許します。正示啓次郎君。
   〔正示啓次郎君登壇〕
○正示啓次郎君 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党共同提案にかかる地価安定施策の強化に関する決議案につきまして、提案者を代表して趣旨の御説明を申し上げます。
 まず、決議案の案文を朗読いたします。
   地価安定施策の強化に関する決議案
  本院は、最近における地価の高騰が、国民の住生活を脅かし、公共事業等の施行を著しく困難にし、国民生活の安定と経済の健全な成長に重大な障害を及ぼしている現状にかんがみ、ここに、深い憂慮を表明する。
  よつて本院は、政府が、地価の高騰を抑制するための強力な措置として、農地との調整を考慮した土地利用計画を策定し、あわせて地価の公示制度を確立し、土地の有効利用を促進するため、たとえば空閑地税等の税制その他の制度を設ける等積極的な諸施策を検討して、すみやかに地価の安定を図ることを強く要望する。
 右決議する。
以上であります。
 御承知のとおり、最近における地価特に宅地価格の高騰は、まことに著しいものがあり、これを宅地について見るならば、昭和三十年四月から三十八年九月までの間に約六倍の上昇を示しております。特に人口の都市集中の激化に伴い、住宅用地の需要が急激に増大して需給の著しい不均衡を来たし、地価は高騰の一途をたどりまして、昭和三十九年三月には、市街地価格は戦前に対して実に千七百倍といわれるに至っております。このような地価、特に宅地価格の高騰は、一般的には宅地の取得難と宅地をめぐる環境の悪化をもたらしておりますが、とりわけ次の諸点において著しい影響があらわれております。
 すなわち、まず第一に、地価の高騰に伴いまして、各年度の予算上にも明らかなとおり、公共事業費のうちで用地取得のための用地補償費等の占むる割合が年を追って増大しておりますとともに、いわゆるごね得等を誘発して、公共事業の円滑な遂行を著しく阻害しております。
 第二に、地価の騰貴は、なかんずく市街地における宅地の取得を困難にして、国民の住生活を脅かしているばかりでなく、市街地周辺に無秩序な宅地化現象を繰り広げ、居住環境の悪化、通勤、通学難等を招くとともに、健全な市街地発展の支障となっております。
 第三に、地価の高騰により、新しい工場立地に際して、用地費の増大が漸次顕著となり、それはやがて生産コストの増高を招くばかりでなく、適地における立地をも困難にし、いわゆる開放体制下のわが国民経済の国際競争力にも、少なからぬ影響を及ぼすものと憂慮されるのであります。
 第四に、地価の持続的騰貴傾向は、適正な利用目的を伴わない投機的ないしは思惑的な土地取引を誘発し、地価の騰貴に一そうの拍車をかけ、土地の適正かつ合理的な利用を妨げております。
 このように最近における地価の高騰は、国民生活の安定と経済の健全な成長に重大な支障を及ぼしており、各方面から深甚なる関心が寄せられている状態であります。
 政府も、これらの事態を重大視しておられることは申すまでもないのでありまして、すでに宅地債券等の新構想を実施したほか、政府施策住宅に対する宅地造成の拡大、地方起債ワクの増加等を行なう一方、法制の上におきましても、人口集中の著しい市街地周辺の住宅市街地の開発と、宅地の大規模供給をはかるため、新住宅市街地開発法を制定し、また、適正な地価の形成と円滑な流通及び宅地価格の安定をはかるため、不動産の鑑定評価に関する法律の制定等を行なったのであります。さらに、公共事業に必要な用地の取得を一そう迅速かつ適正に処理するための措置として、土地収用法の一部改正法律案を本国会に提出いたしまして、ただいま本院で審議中であり、政府のとられる諸施策の成果もまた必ずや期して待つべきものがあると確信いたすものであります。
 しかしながら、地価問題の特殊性と困難性とに深く思いをいたし、特に政府の住宅建設十カ年計画の円滑な施行を確保するためにも、また、広く国土開発諸施策の適正な策定と遂行をはかるためにも、今後さらに強力な総合的地価安定施策の実施を切に要望せざるを得ないのであります。
 しかして、右施策の具体的内容はきわめて広範かつ多岐にわたるものであると存じますが、要は、地価高騰の根本的原因が、最近における急速な経済の発展に伴う生活水準の向上と、人口の都市地域への過度集中とによる地域的な宅地需給の不均衡にあることを洞察するならば、右施策の要諦もまた、第一に、宅地及び工業用地の需要面における緩和対策及び分散対策、第二に、宅地及び工業用地の供給面における土地の合理的利用、用地造成、交通利便の増進等による供給増加対策、並びに第三に、宅地その他用地の取引または流通秩序の確立等を骨子とすべきものであると思われるのであります。
 特に、国土の均衡ある開発、発展をはかるため、農地との調整を考慮した土地利用計画を策定して、用地の供給を促進するとともに、合理的な地価を一般に周知させて、地価の安定に資するための地価公示制度を確立すべきであると考えるのであります。
 さらに土地の有効利用を一段と促進して、投機的または思惑的な買い占めや売り惜しみを防止するために、たとえば各方面に種々議論のある空閑地税等につきましても、前記の土地利相計画とともに、さらに十分検討を行なう等、税制上または金融その他の面においても、真剣に配慮すべきであると存ずるのであります。
 以上が本決議案提出の趣旨でございます。何とぞ各位の御賛成をお願い申し上げます。(拍手)
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○議長(船田中君) 討論の通告があります。順次これを許します。山中日露史君。
   〔山中日露史君登壇〕
○山中日露史君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました地価安定施策の強化に関する決議案に賛成の意見を表明せんとするものであります。
 ここ十年来における地価の高騰はまことに著しく、昭和三十一年を基準といたしますと、昨年における六大都市の地価は約八・四倍、工業用地は約十二倍もの値上がりを見ております。しこうして、この間における経済企画庁の卸売り物価指数は約九・五%でありますから、まさに驚くべき異常な暴騰といわなければならないのであります。
 いまここに、一軒の住宅を建設するにどれだけの金がかかるかといいますと、一例をあげますと、この五年間に民間の土地会社が全国に造成いたしました宅地は約七百万坪でありますが、現在都心から四十分以内の範囲で土地を探すとなりますと、一坪十万円以下ではまず手に入らないと申してよろしいのであります。かりに一坪十万円といたしましても、六十坪買うといたしますと、これが六百万円、その上に一坪八万円で二十坪の家を建てますと、これが百六十万円、合計七百六十万円かかるのであります。この金額を借り入れて、毎月一万円ずつ返済すると六十年以上かかり、金利を入れると、死んでも返せないという驚くべき数字が出てくるのであります。
 この地下の高騰が公営住宅の建設をいかに阻害しているかを見ますと、たとえば三十八年度の公営住宅に対する国の補助金は、前年に比べて二二%の増加でありますが、建設戸数は前年に比べてわずか二%足らずであります。これは住宅の質の向上にも幾らか原因がありますけれども、ほとんどは用地費の値上がりに食われているのが現状であります。これがため、地方都市におきましては、用地費の自己負担にたえかねて割り当てを返上するところさえ出ているというありさまであります。公共事業は、用地の買収が終われば工事の八割はまず完成したも同然だといわれておるのであります。
 道路事業について見ますと、国及び地方を合わせまして、二十九年度の五百九十億円から三十九年度の六千七十二億円にと、十倍の成長ぶりを示しておるのでありまして、特に三十五年度以降は年々約一千億円ずつふえております。この道路事業費のうち、約五割から七割は土地買収関係費でありまして、たとえば東京都のオリンピック道路の場合に見ましても、四十三万平方メートルの買収費が百九十四億円、また、四千二百六十二件の補償費が二百十五億円、合わせて四百九億円となり、道路築造費五百五十四億円の実に七三%に達しておるのであります。しかも、この地価の高騰は、宅地の入手、公共事業の円満な施行を阻止しているばかりでなく、最近におきましては、都市近郊周辺において、耕さぬ農民、未利用地の指摘を免れるための擬装植樹、不在地主の続出を見ていることはきわめて顕著な事実であります。これはゆゆしき問題といわなければなりません。
 かくのごとく地価の高騰は、単に庶民から持ち家の夢を奪ったばかりでなく、国土建設のガンとなり、国土の均衡ある発展をねらいとする新産都市の建設にも暗い影を投げているのであります。大蔵省が昨年、公共事業費を増額しても、地価の値上がりに食われて、地価抑制策が講ぜられない限りにおいては、新規計画を認めるわけにはいかない、と言っているのは、財政当局としては当然で、むしろおそきに過ぎたといわざるを得ないのであります。実際問題として、公共事業費の予算を二割や三割ふやしましても、事業はせいぜい前年並みしかできないのが現状であります。
 昨年の八月二十七日の閣議におきまして、池田総理は、土地は国民全体のために利用されなければならぬという立場から、もっと妥当な価格で迅速に収用できるよう具体的な案を検討すべきであるということを発言いたしておりまして、その結果、現在土地収用法等の改正案が本院において審議されておるのでありますが、しかし、現在のごとき状態では、値上がり待ちと投機はあとを断つととはできないのであります。
 公共事業の大半を主管する建設省が、地価抑制対策として、先買い権、収用権を含む新住宅市街地開発法を制定いたし、あるいはまた不動産鑑定士制度を設けて、とにかく努力をいたしておりますことは、われわれも認めるにやぶさかではないのでございますけれども、これでは実効を期待することは困難でございます。土地の供給をふやそうと努力すればするほど地価の値上がりは依然として続くのであります。すなわち、公共投資は公共投資を招き、地価は地価を呼ぶというのが現状であります。
 このような現状を打破するための措置としては、本決議案にうたわれております土地利用計画の樹立こそが、最も焦眉の急務といわなければならないのであります。御承知のごとく、いまの池田内閣には土地利用計画というものがないのであります。私は、少なくとも、いまより五年前池田内閣が高度経済成長政策の実現をはかるにあたって、もし政府の確固たる土地利用計画が樹立していたならば、今日見られるような地価の高騰、混乱は見られなかったと思うのであります。(拍手)
 今日の地価の高騰を招いたおもなる原因は、民間企業が設備投資に狂奔した結果でありますことは、常々指摘されているところでありますが、少なくとも政府は、これに対する規制はなし得たはずでありまして、政府がつとに土地利用計画を確立して、土地の用途を定めて、それ以外の利用を許さないということにすれば、思惑買いや投機等の入り込む余地はないのであります。土地の必要に迫られてからどろなわ式に都市の周辺をうろつき回るのではなく、直接的かつ簡明な土地利用計画をすみやかに樹立すべきであります。
 現在の地価の構成は、時価主義によっておるのでありますが、時価そのものは、主として経済的価値に投機等の反社会的な要素を含んでおるのでありまして、きわめて不合理なものであります。それゆえにこそ、さきに地価の適正な価格形成への要望といたしまして、不動産鑑定士法の制定を見たのでありますが、単なる鑑定士制度の存在のみでは、国民の多くが適正な価格を知ることが困難であります。どうしても複数の鑑定士による鑑定評価に基づく公示制度を早急に実現し、広く国民に正当な地価というものを理解せしめ、認識せしむる必要があると思うのであります。
 さらにまた、地価の高騰は、国や地方公共団体の予算、あるいは建設事業に対する出費をふやし、このために、国民の大部分は重い税負担とインフレの二重苦にさいなまれておる状態であります。したがいまして、本決議案にあるごとく、この際、強力な税制上の措置によって、土地の有効利用を促進することが必要であります。すなわち、宅地に対する思惑や投機が宅地の供給を阻害しておる、不当に地価をつり上げておる、こういう現状を改めるためには、空閑地税を設けることによって、宅地に対する仮需要を押え、値上がり待ちの宅地の解放を促進すべきであると思うのであります。また、公共事業の施行に伴う地価の上昇が、土地所有者に不労所縁あるいは不当な利得を与えておるということも顕著な事実であります。したがって、税の公平の原則からいっても、また、安く土地を収用された人との均衡の上からいっても、土地増価税を設けることについても検討する必要があると思うのであります。もし、これをなさずして放置するときにおきましては、あたかも、あの旧地主補償のような問題が、同じように公共用地収用の場合においても生ずることを私もどは非常におそれておるのであります。
 さて、私は、本決議案が多くの諸君の賛同を得て本院に提案されましたこと、これは一体何を意味するのかといえば、これこそ池田内閣の高度成長政策、所得倍増計画が、物価の値上がり、特に地価の高騰の面において大きく失敗し、破綻を来たしたことを物語る以外の何ものでもないと思うのであります。(拍手)ここにおいて、私は、政府に猛省を促す意味におきまして、土地に対する基本的な考え方、また、土地行政はいかにあるべきかということについて、一言申し上げてみたいと思うのであります。
 申すまでもなく、土地は生産されるものではなく、国土の一部として、国家を前提として、その所有が認められておるのであります。したがって、国家なくしては私有財産の保護も私権の存在もあり得ないのであります。近代国家の歴史は、封建的な土地所有から脱皮への歴史であり、そうしてそこには、絶対的な所有から相対的かつ社会的、経済的な所有へと移行しつつあるのであります。土地は、所有することに価値があるのではなくて、利用するところに価値があるのであります。社会主義国家が土地を国有としていることは当然でありますが、資本主義国家におきましても、私有を許すというのは、そのほうが土地の利用効率がよいと考えるからであります。したがって、利用せざる土地所有権はその保護の対象から大きく後退せしめなければならぬということは、けだし当然と思うのであります。土地をみずから利用せず、また他人にも利用せしめず、ひたすら地価の値上がりを見込んで、投機的な売買その他の行為によって巨利をはかろうとするがごときことは、諸外国には多く例を見ないところでありまして、わが国特有の悪風習といわなければなりません。(拍手)
 かつて、マッカーサーが、日本国憲法草案として、土地について三カ条にわたって言っておりますが、財産権の内容は、公共の福祉に合致し、土地及び天然資源に対する究極的な財産権は、国民の総代表としての国に存し、財産の所有は義務を課すと言ったことを私どもは記憶いたしておりますが、このことはきわめて重大な意義があると思うのであります。現行のわが国の憲法におきましても、二十九条に「財産權は、これを侵してはならない。財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。私有財産は、正常な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」と規定しております。すなわち、本条が意味するものは、一項におきまして保障されるところの財産権は必ずしも絶対的なものとなさず、ゆえに、それは各個人の利益に対し、社会全体の利益を顧慮したものでありまして、相対的、団体主義的な立場に立つものと認められておるのであります。
 かかる見地から土地行政を考えますならば、本決議案の内容以前の問題として、土地所有権は国家を前提として成り立ち、しかもそれは当然、公共性、公益性に従うものでありますから、これらの明白な概念を基礎として、十分に検討されたところの土地基本法の制定が最も必要であると私どもは確信いたしておるのであります。端的に申し上げまするならば、いかなる開発法案も、土地の問題を避けて通ることはできないのであります。もはや今日の段階においては、土地基本法の制定なくしては、国土の開発はもちろん、地価安定の実効を期待することは絶対にできないのであります。
 以上申し上げまして、政府が土地の高度利用にあたって、憶することなく、しかも、今日の地価の高騰と混乱を招いた責任者としてのその責任を十分に自覚し、すみやかに地価安定をはかるための強力なる政策を実行することを要求いたしまして、本決議案に賛成の意を表する次第であります。何とぞ皆さまの御賛同を願います。(拍手)
○議長(船田中君) 吉田賢一君。
   〔吉田賢一君登壇〕
○吉田賢一君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま提案せられました地価安定施策の強化に関する決議案に賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 私は、最近における地価の高騰、特に大都市における宅地価格の高騰が、いかに国民の往生活に脅威を与え、また、幾多の公共事業の障害となっているかを、まず、例をあげて御説明してみたいと思います。
 ここに、東京二十三区の区内で、たとえば五十坪の敷地を購入しまして、十六坪の木造住宅を住宅金融公庫からの借り入れによって建設するといたしますと、建物については、公庫の標準建設費は坪当たり五万四千二百十五円でありまして、この金額の七割五分を貸しますから、実際には坪当たり四万六百六十一円となります。十六坪で計が六十五万五百七十六円となります。また、土地につきましては、土地の標準価格は坪当たり一万七百四十三円でございまして、この金額の七割五分といいますと、八千五十七円となります。これに五十坪をかけますと、四十万二千八百五十円となりまして、双方の合計で百五万三千四百二十六円となります。
 ところで、実際に要しまする経費はどうなりましょうか。民間の木造住宅の建設費は坪当たりざっと七万円が普通であります。十六坪で百十二万円となり、それに土地は、都心から通勤可能な距離におきまして宅地をさがすとなりますと、なかなか坪当たり十万円以下では見当たらぬというのが常識になっております。かりにこの常識に従いまして十万円とすれば、五十坪で五百万円となり、百十二万円を加算すると、計六百十二万円の金額を必要とします。五十坪の敷地を購入して十六坪の木造住宅を建てるに六百十二万円を要し、とれに対して住宅金融公庫からの借り入れは百五万二千円だということになります。現在のこの宅地価格の高騰がいかに異常なものであり、また、それが民間の住宅建設にいかに障害となっているかを申し上げた次第でございます。
 次に、この地価の高騰が、道路事業、都市改造事業等に阻害をなしております一例を申し上げてみたい。
 大阪の丼池といえば、大阪の誇りの商業センターでありますが、いまそこに長さ一千メートル、幅八十メートルの道路を貫通させる計画が進行しつつあります。ところが、この道路建設費がけたはずれに大きく、大阪市の試算によりますと約二百五十億円で、その大半は土地の買収費と補償費であります。千メートルが二百五十億円ということは、一メートル二千五百万円ということでありまして、おそらくこれは世界一高価な道路となるであろうと思われます。しかも、この二百五十億円は大阪市の試算であります。事業実施にあたりましては、二百五十億円が三百五十億円になる可能性も十分考えられるのであります。
 ところで、政府は常に予算編成の柱として公共投資をあげております。その筆頭が道路事業でありまして、三十九年度から四兆一千億円の新道路五カ年計画が発足しておりますが、問題は地価の値上がりであります。大蔵省の調査によりますと、市街地の街路建設の場合、総事業費のうち用地買収費の占める比率は、三十四年度において四四・六%、三十六年度には五七・二%に上昇しております。東京に限って見ますれば、三十四年度には四四・二%が、三十六年度には六六・四%にはね上がっております。また、建設省の答弁によりますと、都心の最近の街路事業のごときは、用地費の占める割合は、総事業費の八〇%を上回っておるとのことであります。これでは事業費の予算がふえましても、その大部分が地価の値上がりに食われ、事業量それ自体はあまり伸びないという矛盾が深刻化しているわけでありまして、地価の高騰が国の財政をゆがめ、これをむしばんでいることまことにはなはだしいといわねばなりません。(拍手)
 このように、地価の高騰は、公共事業の円滑な遂行を阻害しているばかりでなく、市街地における国民の住生活を脅かし、また、わが国の産業界におきましては、工場立地の際には用地費の増大は生産コストの増加を来たし、物価値上がりの因となり、あるいはまた、経済上国際競争力にも重大な影響を及ばします。しかも、地価の続騰的なこの高騰傾向は、あるいは投機的な、あるいは思惑的な土地取引を誘発しますること顕著であります。土地の合理的な利用を妨げることまたはなはだしいといわねばなりません。
 元来、土地の所有権は私有財産として保護されるとともに、その公共性の重要さも認識されねばなりますまい。私は、この際、政府が根本的に土地利用の計画を樹立されることを強く望むものであります。そのため、土地政策の基本を確立いたしまして、全国的視野に立って検討し、たとえば農地あるいは宅地、工場地等、調整した土地利用計画を広範に確立いたしますることは、困難な作業ではありますけれども、きわめて緊要な国策と申さねばなりません。(拍手)現在のように、住宅公団がたとえば安い土地を見つけまして、たんぼや荒れ地の中に団地をつくり、団地と駅とを結ぶどろんこのような道はなかなかに改修されないといった問題も、これでなくなりましょう。あるいはまた、適正にして合理的な宅地の供給も容易になされ、また、公共事業の円滑迅速な遂行もせられまして、広く国土の均衡ある開発と発展をはかる上からも、ぜひ必要なことであります。また、合理的な地価を一般に周知徹底せしむる意味におきまして、あるいは地価公示の制度を策定すべきでありましょう。さすれば、かの宅地の入手にあたり、悪らつな業者から法外な値段をふっかけられるような被害も免れることができましょう。
 次に申し上げたいことは、国、公共団体の公共事業費の用地費は、これは国民全部の血税でありますこと。国民負担の公平の原則からいいましても、一部の被買収者が巨額な土地売り渡し代金を得るというようなことは許さるるのでしょうか。さらに、これらの代金が、土地を中心とする不動産投機へ、あるいは思惑買いへ運転さるるということも多いといわれております。このような場合、この不労、不当の所得を国に吸い上げるという措置を講じまして、たとえばいわゆるところの土地増価税あるいはまた空閑地税の創設等につきましても、十分なる検討をなしまして、その実効をはかるべき時期がきておるものであろうと信ずるのであります。
 以上申し上げまして、私は、本決議案を政府が十分に尊重せられて、すみやかに地価の安定をはかり、国民生活上、経済の健全なる発展に努力せられることを強く要望いたしまして、本決議案に賛成の意を表するものであります。(拍手)
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。
 この際、建設大臣から発言を求められております。これを許します。建設大臣河野一郎君。
   〔国務大臣河野一郎君登壇〕
○国務大臣(河野一郎君) ただいま御決議になりました地価対策につきましては、政府といたしましても、これまでだんだん意を用いて努力をいたしてまいったのでございますが、お話のとおり、なお意に満たぬ点が多々ありますることは、私も同感でございます。したがいまして、御決議の趣旨を体しまして、今後ますます強力に施策をすることをお誓いいたしまして、所見をお述べいたした次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 アジア経済研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第二 電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
○議長(船田中君) 日程第一、アジア経済研究所法の一部を改正する法律案、日程第二、電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
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 アジア経済研究所法の一部を改正する法律案
 電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案
   〔本号(その二)に掲載〕
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。商工委員長二階堂進君。
    ―――――――――――――
   〔報告書は本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔二階堂進君登壇〕
○二階堂進君 ただいま議題となりましたアジア経済研究所法の一部を改正する法律案外一件につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果の概要を御報告いたします。
 まず、アジア経済研究所法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 特殊法人アジア経済研究所は、昭和三十五年に発足し、アジア諸地域の経済の基礎的かつ総合的な調査研究及び資料の収集を行なってまいりましたが、その業務量は当初に比べ倍増しており、さらに今後一そうの拡大充実が要請されております。
 本改正案は、かかる実情に対処し、同研究所の調査研究体制を強化し、その業務の円滑な遂行をはかるため、現在「二人以内」とされている理事を「三人以内」に改めようとするものであります。
 本案は、去る三月十三日参議院より送付され、同日当委員会に付託、十七日に通商産業大臣より提案理由の説明を聴取し、五月十五日、十九日、二十日に参考人及び政府当局に質疑を行ない、二十日に質疑を終了し、二十六日に至り、採決を行ないましたところ、多数をもって可決すべきものと決した次第であります。
 次に、電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 現行法は、電子工業の振興によって、産業の技術の向上及び設備の近代化をはかる目的のもとに昭和三十三年に制定され、本法施行後、わが国の電子工業は目ざましい発展を遂げてまいりました。しかしながら、欧米先進諸国に比較いたしますと、特に産業用の電子機器について、技術水準及び生産性の両面においてなお遜色がありますので、今後も引き続き本法の措置を強力に実施して、研究開発及び生産合理化の促進を急速にはかる必要があると考えられるのであります。
 本改正案は、この理由によりまして、法律の有効期間をさらに約七年延長し、昭和四十六年三月末まで存続させようとするものであります。
 本案は、三月二十五日参議院より送付され、同日当委員会に付託、同月二十七日通商産業大臣より提案理由の説明を聴取し、五月二十日より質疑に入り、二十二日に参考人の意見を聞く等、審議を重ねましたが、二十六日に至り、質疑を終了いたしましたので、引き続き採決を行ないましたところ、多数をもって可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 漁業災害補償法案(内閣提出)
 日程第四 肥料価格安定等臨時措置法案(内閣提出)
○議長(船田中君) 日程第三、漁業災害補償法案、日程第四、肥料価格安定等臨時措置法案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
 漁業災害補償法案
 肥料価格安定等臨時措置法案
   〔本号(その二)に掲載〕
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事坂田英一君。
    ―――――――――――――
   〔報告書は本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔坂田英一君登壇〕
○坂田英一君 ただいま議題となりました両案について、委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、内閣提出、漁業災害補償法案について申し上げます。
 本案は、中小漁業者がその営む漁業につき不慮の事故等によって受けることのある損失を補てんするため、漁業災害補償制度を樹立し、中小漁業者の漁業経営の安定等に資そうとするものでありまして、そのおもなる内容は、第一に、都道府県単位に漁業共済事業を行なう漁業共済組合を、また、全国単位に再共済事業を行なう漁業共済組合連合会を設置すること、第二に、漁業共済組合の行なう事業は、漁獲共済、養殖共済及び漁具共済の三種類となし、漁業共済組合連合会の行なう再共済事業は、漁業共済組合と中小漁業者との間に共済契約が成立したときは、自動的に再共済契約が成立し、共済責任を再共済する事業とすること、第三に、漁業共済の純掛金及び漁業共済団体の事業費の一部を国が補助すること、第四に、共済金及び再共済金の支払いを円滑にするため、政府、都道府県及び漁業共済団体が出資する漁業共済基金を設置すること、第五に、政府は、今後における中小漁業者の漁業事情の推移と漁業共済実施の状況に応じ、本漁業災害補償制度の共済掛金率、共済責任の負担区分等に関し検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること等を骨子とするものであります。
 本案は、二月二十九日提出され、委員会におきまして、四月十日政府から提案理由の説明を聴取した後、角屋堅次郎君外十一名提出の漁業災害補償法案とともに一括議題に供し、四月二十四日から五月二十七日まで審議を行ない、その間、小委員会を設置し審査を重ね、さらにまた、参考人から意見を聴取する等、慎重審議の末、五月二十六日、一切の質疑を終了し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三党共同提案により、政府は、漁業共済団体の共済責任を保険する事業を政府事業としてすみやかに実施することを目途として検討すべきこと等、数点について修正を加え、本案は多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に関し、政府は、両三年中に政府の保険事業を実現すること等、八項目にわたる附帯決議を付することに決したことを申し添えます。
 次に、内閣提出、肥料価格安定等臨時措置法案について申し上げます。
 本案は、いわゆる現行肥料二法が八月一日失効することに対処し、農業及び肥料工業の健全な発展に資するため、肥料の取引を適正かつ円滑にするために必要な措置を講じ、あわせて肥料の輸出体制を整備することによって、農業の重要な生産資材である肥料価格の安定と輸出の調整をはかろうとして提出されたものでありまして、そのおもなる内容は、第一に、内需確保措置については、肥料の輸出は、通商産業大臣の承認制とし、肥料の需給見通しに基づいて承認を行なうものとし、その際、農林大臣の同意を要するものとしていること、第二に、国内価格の安定については、肥料の生産業者と販売業者とが自主的に価格取りきめを締結できるものとし、そのための共同行為については独禁法の適用を除外するとともに、この取りきめの内容をあらかじめ届け出させ、不適当と認めるときはこれを変更せしめ、または締結を禁止すること、さらに、価格取りきめの促進のため必要な資料を交付し、必要な勧奨または助言を行なうものとする。また、取りきめが成立しがたい場合においては調停を行なうものとしていること、第三に、肥料の輸出については、日本硫安輸出株式会社の一手輸出体制を引き続きとるものとしていること、第四に、肥料の生産業者及び販売業者からの報告の徴収及び立ち入り検査を行なうことができるものとしていること、第五に、この法律は五年以内に廃止するものとしていること等を骨子としておるのであります。
 農林水産委員会におきましては、四月十日提案理由の説明を聴取し、四月十四日以降数回にわたり質疑を行ない、その間、全国農協中央会その他の参考人から意見聴取を行なうとともに、農林水産、商工委員会連合審査会を行なう等、慎重な審議を行ない、五月二十七日、一切の質疑を終了し、日本社会党及び日本共産党から反対の討論が行なわれた後、直ちに採決に付しましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、自由民主党、民主社会党共同提案により、政府は、農業生産の発展を旨として肥料工業の合理化を促進し、国内肥料の供給を増大し、その価格を低減するよう、適切な措置を講ずべき旨の附帯決議を付することに決しました。
 最後に、本案の審議の過程において、日本社会党から、臨時肥料需給安定法を二年間延長する改正法案を委員会提出の法律案とすべき旨の動議がなされましたが、これは少数をもって否決されたことを、この際特に付言いたしておきます。
 以上、報告を終わります。(拍手)
○議長(船田中君) 両案中、日程第四につき討論の通告があります。これを許します。湯山勇君。
   〔湯山勇君登壇〕
○湯山勇君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました肥料価格安定等臨時措置法案に反対の討論をいたします。
 現行肥料二法は、昭和二十九年に制定されて以来、農家に対して必要な量の肥料を低廉に供給する役目を果たし、今日までにおきましても、なお順次肥料価格が下がる等、それなりに一応の使命を果たしてまいったのでございます。ところが、この数年前から、政府・自民党の間に、肥料工業者側の要請によりまして、この肥料二法を廃止する、こういう動きが出てまいりました。このような動きに対しまして、現行肥料二法を廃止するということは、農民に対して必要な量を適切な時期に供給する体制をくずすものであり、また、肥料の価格を引き上げる意図を持った反農民的なものである、こういうことの理由をもって、この反対運動が猛烈に盛り上がってまいりました。ついに、それによって今日までこの肥料二法を守り抜いてまいったのであります。
 ところが、いよいよ本年の七月三十一日をもって現行肥料二法は期限が切れることになりました。政府・与党は、これに便乗して、いまだ現行法による肥料審議会があるにもかかわらず、それにはかることを避けて、肥料懇談会という御用諮問機関を設け、現行肥料二法を骨抜きにし、農民の立場を後退させ、メーカーの立場を大幅に強化するこの法律を提案してまいったのであります。
 農民の生産物に対しましては、流通の合理化あるいは価格の安定をはかる、こういう名のもとに生鮮食料品の値下げ対策を講じまして、野菜の値下がり、あるいは昨年、一昨年と生産者乳価の引き下げ、あるいはまたバナナの自由化、あるいは最近は黒いうわさのあるレモンの自由化、こういう流通価格対策によって生産農民を圧迫してまいったのであります。ところが、生産農民のための流通価格対策であるこの肥料二法は、いまこれを廃止しようとしておるのであります。これは明らかに政府のとっている態度は矛盾をしております。不公平であります。そして反農民的であります。この意味において、私どもは断じてこれに反対をする次第であります。(拍手)
 以下、簡単にその理由を、項目をあげて申し上げます。
 この法律は、従来の輸出カルテルに加えて、需要者と協定するというベールをかけてはおりますけれども、公然と価格カルテルを認めているのであります。これは明らかに独禁法の骨抜きであります。たとえば、生産費について見ますと、生産者側のいう生産費は最高九百三十五円八十銭、一俵についてでありますが、最低は七百三円九十二銭と、二百三十円の開きがあります。強いメーカー側は、どうしても生産費の高いほうについていく。これは今日までの乳価やその他のことを通しても明らかであります。つまり、カルテルの強化、このことは肥料価格の値上げに通じている。こういう意味から、私どもは賛成のできない点であります。
 さらに、現行肥料二法は、内需優先の原則を貫いております。ところが、今回の新しい法律によっては、内需の確保を輸出の調整によってはかっていく、こういう間接的な態度をとっております。したがって、従来とられていた生産指示、調整保管の指示、こういう内需対策は、今回の法律からは消えております。この審議にあたって、もし、これで内需が足りなくなったらどうするか、災害等の場合はどうなるのか、労働争議等の場合はどうなるのか、こういう質問が繰り返されました。しかしながら、これについて、労働争議等の場合は、一社一社そう全部が一緒にやることはないだろうから、やらないところから、やるところの地域へ回すのだ、こういう、まことに妙な答弁がなされております。肥料生産がコストが合わなくなって、操短をやっていくというようなのは一社、三社の問題でなくて、全体にわたる問題でございます。労働運動等に対するそのような認識でもって内需を確保するというのでは、とうてい私どもは安心ができないのであります。
 次に申し上げたい点は、政府は、肥料生産者に対して、今日までに、あるいは体質改善の資金、あるいは輸出赤字の処理等の名目をもって、約三百億円をこえる優遇減税、財政措置を講じております。しかも、その三百億円の効果がどれだけあらわれているか、どれだけ今後あらわれてくるか、そういうことを、いま見きわめることをしないで、これを廃止して、新しい法律に切りかえていこう、こういうことでございます。今日までやったことの結果がどうなってもいい、ともかくも、これからはこれでやるのだ、こういうことでございますから、これでは三百億円に対するメーカーの食い逃げを認めるのではないか、こういう批判が出るのもまたやむを得ないことではないかと思うのであります。(拍手)
 その四番目は、輸出の赤字転嫁の問題でございます。今日までもいろいろ問題になってまいりました。特に、今日におきましては、硫安は総生産の四割を輸出に向けております。しかし、今日の生産の状態では、国内価格と輸出価格との間にはどうしても開きがある。どうしても輸出赤字が出ることは必至でございまして、私どもは、一俵について七、八ドル出るのではないか、これに対して政府の側は、今後の合理化その他によって四ドル程度になる、こういうことを申しております。いずれにしても、輸出赤字の出ることには変わりはございません。その輸出赤字が、新法によりまして農民に転嫁される危険が多分にあるわけでございます。もっと言えば、農民に転嫁される可能性がさらに増大してまいった。これが新法の性格でございます。これについて、委員会における与党の質問の中には、輸出赤字は当然農民もその半ば程度は持つべきである、こういうことを質問しておる方もあったのでございますが、政府は、そこまでは肯定いたしませんでした。しかしながら、政府は、コストの引き下げのために合理化をやっていく、その合理化によってコストダウンした部分を輸出赤字に向ける、こういうことを申しておるのであります。コストの引き下げということは、当然消費者価格の引き下げに向けられなければならないにもかかわらず、それを輸出の赤字に回すというのであれば、結局、これは結果的には輸出赤字を農民に振り向ける、これと同じことであると思うのでございます。(拍手)
 次に申し上げたい点は、今回、従来とっておったマル公をやめて、価格の決定にあたっては、肥料の生産者と消費者側の代表が話し合いによってきめる、こういうことにしておるのでございます。一体、はたして、今日強い立場、弱い立場にある両者が対等に話し合えるという保証がどこにあるでしょうか。現に生産費についても、従来のバルクライン方式によれば七百四十三円九銭、総平均方式によれば七百七十八円六十二銭、それぞれ方式の立て方、ものさしのとり方によって生産費も違っております。ところが、そのどの方式をとるかについて何ら指示がしてございません。もし、不当な価格になった場合には、政府は立ち入り検査をする、指導、助言を行なう、最終的には、政府自身が調停を行なう、こういうたてまえにはなっておりますけれども、この調停には強制権がありません。もし、メーカー側が言うことを聞かない場合には、何ら打つ手がない。これが実情でございます。あるいは、ここが本法のねらいであるかもしれないと思うのでございます。
 いずれにいたしましても、以上のような観点から、わが党は、あくまでも現行の肥料二法をさらに二年程度延長する、これを主張してまいりました。しかし、残念ながら、ただいまの委員長報告にありますとおり、これはいれるところとなりませんでした。しかしながら、真に農民を思い、農業を憂えるならば、今回出されたような空文の新法をこそ廃止して、現行法を継続することが私は正しい態度であると思います。このことを、この際さらに強く訴えまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、日程第三につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
 次に、日程第四につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 土地収用法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(船田中君) 日程第五、土地収用法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 土地収用法等の一部を改正する法律案
   〔本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。建設委員長丹羽喬四郎君。
    ―――――――――――――
   〔報告書は本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔丹羽喬四郎君登壇〕
○丹羽喬四郎君 ただいま議題となりました土地収用法等の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における公共事業量の著しい増大に伴う用地取得難を打開するため、収用委員会の機構、収用対象の範囲、収用手続等を整備し、公共事業を円滑かつ迅速に施行することを目的といたしますもので、主たる内容は次のとおりであります。
 第一に、海面の埋め立て等に伴う漁業権等の収用等を認めるものとしたことであります。
 第二に、特別措置法に規定されている簡易な手続を収用法に取り入れるものとしたことであります。
 第三に、政令で定める都道府県においては、収用委員会に常勤の委員及び専任の職員を置くことができるものとしたほか、委員及び予備委員は議会の議員等を兼ねることができないものとしたことであります。
 第四に、収用委員会の審理の促進をはかるため、土地所有者等の氏名を確認できない場合、及び権利の存否について争いがある場合における審理手続を明確化したことであります。
 第五に、特別措置法に列記されている事業と同程度の緊急性、公共性のある事業で、政令で定めるものを、特定公共事業としたことであります。
 第六に、特定公共事業にかかる収用委員会の緊急裁決は二カ月以内にしなければならないものとし、当該期間内に緊急裁決がなされないときは、建設大臣が代行裁決することができる道を開いたことであります。
 第七に、都市計画事業にかかる土地等の収用等については、主務大臣の裁定を経ることなく、すべて収用委員会の裁決によるものとしたことであります。
 本案は、去る四月三日本委員会に付託され、その間、参考人から意見を聴取する等、慎重に審査したのでありますが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
 かくて、五月二十七日、本案に対する質疑を終了し、討論に付しましたところ、自由民主党及び民主社会党から賛成、日本社会党から反対の討論があり、次いで、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対しまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党共同提案になる附帯決議を付することに決したのでありますが、これらの内容につきましては会議録において御承知願いたいと思います。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第六 日本国とアメリカ合衆
  国との間の領事条約の締結につ
  いて承認を求めるの件(参議院
  送付)
○議長(船田中君) 日程第六、日本国とアメリカ合衆国との間の領事条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
    ―――――――――――――
 日本国とアメリカ合衆国との間の領
 事条約の締結について承認を求める
 の件
   〔本号(その二)に掲載〕
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。外務委員長臼井莊一君。
    ―――――――――――――
   〔報告書は本号(その二)に掲載〕
   〔臼井莊一君登壇〕
○臼井莊一君 ただいま議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の領事条約の締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 政府は、米国との間に領事に関する事項を規定する領事条約を締結するため、かねてから交渉を行なっておりましたが、最終的に妥結を見ましたので、昨年三月二十二日本条約の署名を行なったのであります。
 本条約は、領事館の設置、領事官の任命及び職務範囲、認可状の交付、領事財産及び領事官または領事館職員の特権免除等を規定しております。
 本件は、参議院において承認され、二月二十六日本委員会に付託されましたので政府から提案理由の説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。
 かくて、五月二十七日、質疑を終了し、討論を行ないましたところ、日本社会党を代表して穗積七郎委員より反対の意見が述べられました。次いで、採決を行ないましたところ、多数をもって承認すべきものと議決いたしました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 討論の通告があります。これを許します。穗積七郎君。
   〔穗積七郎君登壇〕
○穗積七郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました日米間における領事条約に反対の態度を明らかにいたしたいと思います。(拍手)簡潔にその理由を明らかにいたします。
 御承知のとおり、領事とは、国際通念によりまして、両国間の経済、文化の交流に関する職務または在外自国民の身分関係に関する法律手続、自国民並びに受け入れ国に入港いたします自国船舶に対する権利の擁護を職務とするということは明瞭でございます。したがいまして、領事は外交官とはこれを区別いたしまして、軽く取り扱ってその特権は外交官よりはなはだしく制限されていたのでございます。したがって、今日まで諸国間におきましては、ほとんど領事条約という明文の条約は持たずいたしまして、一般的国際法または国際慣行によりまして、これを相互間の良識によって処理をいたしておったのでございます。ところが、最近各国間の国際交流がはなはだしくなりましたので、領事の職務権限を明文をもって条約化しまして、これを規定することの必要は、これを認めざるを得ません。したがいまして、われわれは、日米間におきましても領事条約を締結するそのことについては反対をしないのみならず、積極的にこれを促進したい考えであります。
 この場合に注意しなければならないことは、領事の一般的な通念より逸脱いたしましたそれ以上の権限を新たに付与すべきものではありません。ところが、政府は、このたびの日米条約交渉にあたりまして、アメリカ側の一方的要求を至るところで易々諾々として許容いたしまして、領事の職務を逸脱すると思われる非常に屈辱的にして危険な権限をアメリカ領事官に付与いたしておるのであります。これがわれわれが反対をする最大の理由でございます。
 列挙いたしまして、私はその問題の所在を明らかにいたします。
 まず第一に、第十七条におきまして、日本政府は、在日アメリカ領事館に対し、アメリカの国民的な義務に従って身体検査を行なう、すなわち、これには徴兵検査の業務もこの中に含まれるのでございます。このようないままでの国際的な領事官の権限としては予想だにしなかった新たなる権限を付与いたしておるのでございます。政府は、日本に駐留するおよそ一万五千のアメリカ国民の行政事務上の便宜を与えるために、ただ軽く便宜規定としてこれを認めたと言っておりますが、決してそういうものではないのであります。特にわが国には平和憲法のもとにおける条約の制限がなければならない。その立場に立って見ますならば、このような忌まわしい軍事的政策に協力をする危険きわまる新たなる権限をアメリカ領事官に与えることに対しましては、われわれは絶対にこれを認めるわけにはいかぬのでございます。(拍手)このことは単に平和憲法を持っておるわが国のみならず、いままでの国際条約上全く慣例を見ざるところでございます。最近、アメリカとイギリス、アメリカとアイルランド、アメリカとソビエトの間において締結されましたこれら二国間の領事条約においては、この十七条のような屈辱的にして危険な徴兵検査を認めるというような条項はどこにも発見することができないのでございます。(拍手)ただ一つ、私ども調査いたしたところによりますと、昭和十二年の十一月五日、旧満州国と日本国との間で締結されました日浦条約第十六条に、日本国が満州国においてあらゆる軍事的な行政措置をとることができるという一項がありまして、これが外国におきまして自国の徴兵検査を行なうことができる唯一の条約例になっておるのでございます。今日、日米間において新たに締結されましたこの条約の第十七条を見ますと、かつて日本と満州国とが軍事的に結ばれ、しかも、かの国を従属視してまいりましたその関係が、今日のアメリカと日本との間にこの条約規定によって具体的に証明されておるのでございます。(拍手)これがわれわれがどうしても賛成することのできない理由の第一点でございます。
 第二の理由は、第二十六条におきまして――実は第十五条から第二十三条にわたって、おのおのの領事官に与えておる権限の列挙事項がございます。ところが第二十六条第一項におきまして、この列挙的な領事官に対する権限にプラスいたしまして、ほとんど無制限に近い自由をアメリカ領事官に与える規定が挿入されておるのでございます。すなわち、接受国の法令に抵触しない職務、もう一つは国際法もしくは国際慣行に適合しておる行為、これは列挙した権限以外に領事官には当然の権限として持つ職権であるということが明記されておる。ここまではいいのです。ところが、その次にこういうことが挿入されておる。「又は」で切りまして、「又は」でありますから、国際法並びに国際慣行の中で日本国が承認を与えたものではないのです。それ以外のもので日本政府が異議の申し入れをしないものについては、一切の行為をアメリカ領事官が日本国内においてとることができるという規定になっておる。これに付随いたしまして第三条第三項におきましては、――領事というものは、いずれの国においてもそうですが、管轄区域というものが設定されておる。ところが第三条第三項におきましては、日本政府から異議の申し立てのない限り、管轄区域外においても自由な行動がとれると、底抜けの規定が挿入されておるのであります。これをながめてみますと、このことは、最近問題になっておりますアメリカ領事官の外国における軍事的スパイ行為、あるいはまた個人あるいは団体に対する政治工作、あるいはCIAの手先となって行なう危険な調査、扇動行為ができるようになる危険があるのであります。これはわれわれが一方的に推測するのではなくて、われわれがもうすでに手にしておる具体的な資料によりましても、現在すでに駐留いたしておりますアメリカ領事官が、日本の労働組合に対して積極的な分裂工作をとったり、あるいは財界、あるいは保守党の人、あるいは革新政党、平和団体の個人の行動に尾行をいたしまして、スパイ的な調査活動をしたり、あるいはまた外交路線に関するいろいろな扇動行為をいたしておる事実があがっておるのです。委員会の審議におきまして政府はこの事実を否定することができなかったのでございます。したがいまして、アジアにおける最近の朝鮮、あるいはラオス、ベトナムにおける情勢をながめますと、わが国に対する核兵器の持ち込みとともに、いろいろなこういう誤った政治工作や、あるいはスパイ行為が許容されることになるのであります。これがわれわれが賛成のできない第二の理由であります。
 最後に、本条約と不可分の関係にあります議定書であります。議定書第一項におきましては、サンフランシスコ条約の第三条によってその管轄権が日本政府に復帰してない領土地域、すなわち沖繩、小笠原であります。これらの地域に対してはこの条約は適用されないと除外例が認められておる、そうなりますと、特に沖繩における九十万日本人民の外交上の擁護さるべき権利規定は一体どうなりましょうか。今日、那覇には日本政府の機関である南方連絡事務所が置かれております。したがって、この規定の中に、復帰するまでは南方連絡事務所をして日本人民に対する領事官が行なうべき法律的外交的な保護職務を行なわしめると明記すべきであるにかかわらず、この交渉の経過におきましても、アメリカの一方的な要求によってこれをこのまま易々諾々として認めたのでありますから、したがって、その明記がない限り、沖繩における九十万の日本人民は、当然外国におきましてすら認めらるべき領事による外交上のいろいろな保護規定を、日本政府によって一方的に放棄せしめられた結果になるのであります。
 私は、以上おもなる三点を指摘し、このような屈辱的にして一方的にしてしかも危険なる条約の条項内容についてわれわれは賛成することができないので、この立場をもって、本条約全体に対しまして反対の態度を表明する次第でございます。(拍手)
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第七 学校教育法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
○議長(船田中君) 日程第七、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 学校教育法の一部を改正する法律案
   〔本号(その二)に掲載〕
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。文教委員長久野忠治君。
    ―――――――――――――
   〔報告書は本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔久野忠治君登壇〕
○久野忠治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審議の経過とその結果を御報告申し上げます。
 本案は、従来暫定的な制度とされていた短期大学を恒久的な制度に改めようとするものでありまして、その要点は、現在附則に置かれている短期大学に関する暫定規定を削除し、本則の大学の章において、短期大学の目的、性格を明確に規定するほか、所要の規定を整備することであります。
 本案は、去る三月二十八日当委員会に付託となり、四月一日政府より提案理由の説明を聴取し、以来、慎重に審議を行ないましたが、その詳細につきましては会議録によって御承知を願います。
 かくて、五月二十七日、本案に対する質疑を終了し、討論の通告がないため、直ちに採決に入りましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決されました。
 次いで、上村千一郎君外七名より、本案に対し、「短期大学は、恒久的制度として将来一層内容の充実を図るとともに、その施設、設備についても整備するよう努力すること。」との自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党共同提案にかかる附帯決議案が提出され、採決の結果、本決議案は異議なく原案のとおり可決されました。これについて文部大臣から、十分検討して努力したい旨の発言がありました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第八 鉱山保安法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(船田中君) 日程第八、鉱山保安法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 鉱山保安法の一部を改正する法律案
   〔本号(その二)に掲載〕
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○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。石炭対策特別委員会理事有田喜一君。
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   〔報告書は本号(その二)に掲載〕
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   〔有田喜一君登壇〕
○有田喜一君 ただいま議題となりました鉱山保安法の一部を改正する法律案について、石炭対策特別委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 本案は、最近における鉱山災害、特に三池炭鉱等、石炭鉱山における重大災害の発生にかんがみ、鉱山災害の防止の万全を期そうとするものであります。
 そのおもな内容は、第一に、新たに保安統括者の制度を設け、保安統括者には鉱山において鉱業の実施を統括管理する者をもって充てること、第二に、新たに保安技術管理者及び副保安技術管理者の制度を設け、保安技術管理者は保安統括者を補佐して保安に関する技術的事項を管理し、副保安技術管理者は保安技術管理者を補佐すること、第三に、新たに保安監督員補佐員の制度を設け、一人は、その鉱山の鉱山労働者の中から、その鉱山の鉱山労働者の過半数の推薦により選任し、保安監督員を補佐すること、第四に、これに伴い、従来の保安管理者及び副保安管理者の制度を廃止すること等であります。
 本案は、去る四月十六日本委員会に付託され、四月二十日福田通商産業大臣より提案理由の説明を聴取した後、参考人の意見を聞く等、慎重審議を行ない、五月十四日、質疑を終了、同月二十八日、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、鉱山保安法制全般の再検討、鉱山保安施設に対する財政措置の拡充、保安監督行政の強化等を内容とする附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
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○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 日程第九 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
○議長(船田中君) 日程第九、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
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 道路交通法の一部を改正する法律案
   〔本号(その二)に掲載〕
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員長森田重次郎君。
   〔報告書は本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔森田重次郎君登壇〕
○森田重次郎君 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案の要旨は、第一に、道路交通に関する条約への加入に伴い、車両等の交通方法に関する規制を同条約に定める方式に適合するよう改めるとともに、国際運転免許証及び国外運転免許証に関する制度について規定すること、第二に、最近の交通事情にかんがみ、車両等の交通方法に関する規定を改め、また、運転免許制度の合理化をはかるため規定を整備すること、第三に、交通事故の場合の事後措置義務違反、酒酔い運転の禁止違反等に対する罰則を強化すること等であります。
 本案は、参議院先議のため、当委員会に予備付託され、四月二十二日本付託となり、同二十三日赤澤国務大臣より提案理由の説明を聴取し、自来、キープレフトの原則の採用、総合的な道路交通行政の推進、罰則の強化、交通事犯の行政罰手続への一部移行、雇用者の管理責任、交通安全施設の整備とそのための財政措置等をめぐり、熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知いただきたいと存じます。
 昨二十八日、質疑を終了し、別に討論の通告もなく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案に対して、自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党共同提案により、総合的な道路交通行政を強力に推進するとともに、キープレフトの原則の採用及び罰則の強化について適正な法の運用を期すること等を内容とする附帯決議案が提出されましたが、これまた全会一致をもって可決いたしました。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
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○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
○小沢辰男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、参議院送付、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(船田中君) 小沢辰男君の動議に御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案を議題といたします。
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 自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案
   〔本号(その二)に掲載〕
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○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長山中貞則君。
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   〔報告書は会議録追録に掲載〕
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   〔山中貞則君登壇〕
○山中貞則君 ただいま議題となりました自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 すでに御承知のとおり、別途今国会におきまして、その締結につき承認が与えられました自家用自動車の一時輸入に関する通関条約は、特定の保証団体の発給する一時輸入書類の担保のもとに、国際旅行者の一時的に持ち込む自家用自動車またはその修理用部分品について、それが再輸出されることを条件として、関税及び物品税等の輸入税を徴収せず、かつ、輸入制限を適用することなく輸入を認めること等をその内容としているのでありますが、この法律案は、同条約の実施のため、特に法律の規定を要する事項について所要の立法措置を講じようとするものであります。
 そのおもなる内容を申し上げますと、
 まず第一に、この一時輸入制度により関税及び物品税の免除を受けて自家用自動車等を輸入しようとする者は、その手続として、保証団体の認証済み証明書を一時輸入書類に添えて税関に提出しなければならないことにいたしております。
 第二に、第一の手続により輸入された自動車等が、一時輸入書類の有効期間内に再輸出されない場合のほか、譲渡または用途外使用等、本制度の条件に適合しなくなった場合には、その輸入者、譲渡者、譲り受け人または保証団体から直ちに関税及び物品税を徴収することにいたしております。
 なお、この場合におきましても、それが事故により著しく損傷したために再輸出されなくなった場合、もしくはそれを滅却することにつき税関長の承認を受けた場合については、徴収すべき国税及び物品税を軽減または免除できることにいたしております。
 第三に、一時輸入書類を発給する保証団体となるためには、大蔵大臣の認可を要することにするほか、業務報告の徴取及び立ち入り検査等の規定を設け、保証団体の業務について所要の監督を行なうことにいたしております。
 第四に、通関条約の非加盟国からの一瞬輸入自動車等についても、わが国の保証団体と同一の国際団体に加盟している当該国の保証団体が発給した保証書類を有する場合には、国際旅行の発展に資する見地から、必要に応じ、この一時輸入制度の便益を及ぼすことができることにいたしております。
 本案は、さきに参議院を通過して本院に送付されたものでありますが、慎重審議の後、本二十九日、質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時四十四分散会
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 出席国務大臣
        文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
        農 林 大 臣 赤城 宗徳君
        通商産業大臣  福田  一君
        建 設 大 臣 河野 一郎君
        国 務 大 臣 赤澤 正道君
 出席政府委員
        法務政務次官  天埜 良吉君
        外務政務次官  毛利 松平君
        大蔵政務次官  纐纈 彌三君
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