第047回国会 決算委員会 第2号
昭和三十九年十二月十五日(火曜日)
   午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 堀川 恭平君
   理事 壽原 正一君 理事 竹山祐太郎君
   理事 中村 幸八君 理事 勝澤 芳雄君
   理事 山田 長司君
      金子 岩三君    根本龍太郎君
      原 健三郎君    湊  徹郎君
      田中織之進君    森本  靖君
      吉田 賢一君
 出席政府委員
        外務政務次官  永田 亮一君
        外務事務官
        (大臣官房長) 高野 藤吉君
        外務事務官
        (経済協力局
        長)      西山  昭君
        文部政務次官  押谷 富三君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (経済協力局外
        務参事官)   片上 一郎君
        外務事務官
        (移住局総務課
        長)      中根 正己君
        大蔵事務官
        (主 計 官) 吉瀬 維哉君
        会計検査院事務
        官
        (第一局長)  保川  遜君
        会計検査院事務
        官
        (第二局長)  樺山 糾夫君
        最高裁判所事務
        総長      関根 小郷君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局総務局
        長)      寺田 治郎君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局経理局
        長)      岩野  徹君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局刑事局
        長)      矢崎 憲正君
        専  門  員 茨木 純一君
    ―――――――――――――
十一月二十八日
 委員森本靖君辞任につき、その補欠として石田
 宥全君が議長の指名で委員に選任された。
同月三十日
 委員田中織之進君辞任につき、その補欠として
 五島虎雄君が議長の指名で委員に選任された。
十二月五日
 委員五島虎雄君辞任につき、その補欠として田
 中織之進君が議長の指名で委員に選任された。
同月七日
 委員湊徹郎君、石田肴全君及び田中織之進君辞
 任につき、その補欠として稻葉修君、森本靖君
 及び堂森芳夫君が議長の指名で委員に選任され
 た。
同日
 委員稻葉修君及び堂森芳夫君辞任につき、その
 補欠として湊徹郎君及び田中織之進君が議長の
 指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 昭和三十七年度一般会計歳入歳出決算
 昭和三十七年度特別会計歳入歳出決算
 昭和三十七年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和三十七年度政府関係機関決算書
 昭和三十七年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和三十七年度国有財産無償貸付状況総計算書
 昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書
 (裁判所所管、外務省所管)
     ――――◇―――――
○堀川委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求に関する件につきましておはかりいたします。
 衆議院規則第九十四条の規定により、本会期中、当委員会といたしましては、先国会同様、決算の適正を期するため
 一、歳入歳出の実況に関する事項
 二、国有財産の増減及び現況に関する事項
 三、政府関係機関の経理に関する事項
 四、公団等国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する事項
 五、国または公社が直接または間接に補助金、奨励金、助成金、等を交付し、または貸付金損失補償等の財政援助を与えているものの会計に関する事項
以上の各項につきまして、議長に対し国政調査承認の要求をいたしたいと存じまするが、これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀川委員長 御異議なしと認めます。よってさように決定いたしました。
     ――――◇―――――
○堀川委員長 昭和三十七年度決算外三件を一括して議題といたします。
 本日は裁判所所管及び外務省所管について審査を行ないます。
 この際おはかりいたします。裁判所所管決算の審査に関し、国会法第七十二条の規定による最高裁判所長官の指定する代理者から出席説明の要求かありました場合は、その承認に関する決定につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたします。
 まず、裁判所所管決算の概要について説明を求めます。最高裁判所関根事務総長。
○関根最高裁判所長官代理者 昭和三十七年度の裁判所の決算の概要について御説明申し上げます。昭和三十七年度裁判所所管の歳出予算額は百八十六億三千六百二十万五千円でございましたが、右予算決定後、さらに十億六千二百三十八万七千円増加いたしまして、合計百九十六億九千八百五十九万二千円が昭和三十七年度歳出予算の現額でございます。右増加額十億六千二百三十八万七千円の内訳は、予算補正追加韻としまして四億四千七百二十七万円、大蔵省所管から移しかえを受けました金額二億九千三百三十五万九千円、昭和三十六年度から繰り越しました金額二億六千八百七万九千円、予備費使用額五千三百六十七万九千円でございます。
 昭和三十七年度裁判所所管の支出済み歳出額は、百九十一億二千百七十七万六百二十七円でございまして、これを右歳出予算現額に比べますと五億七千六百八十二万一千三百七十三円減少しております。
 この減少額のうち、翌年度に繰り越しました金額は、四億九千百六十二万七千円でございまして、全く不用となりました金額は、八千五百十九万四千三百七十三円でございます。
 この不用額の内訳は、裁判所職員の俸給手当等の人件費七千六百九十六万六千二百二十円と、その他の経費八百二十二万八千百五十三円とでございます。
 昭和三十七年度裁判所主管の歳入予算額は、九千五百八十万七千円でございまして、昭和三十七年度の収納済み歳入額は一億二千七百十万五千八百二円でございます。
 この収納済み歳入額を右の歳入予算額に比べますと、差し引き三千百二十九万八千八百二円の増加となっております。
 この増加額は、保釈保証金の没取金等の増加及び保管金の期満後収入の収納がおもなものでございます。
 以上が昭和三十七年度裁判所の歳出及び歳入決算の概要でございます。
○堀川委員長 続いて、会計検査院当局より検査の概要について御説明を求めます。樺山第二局長。
○樺山会計検査院説明員 昭和三十七年度の裁判所所管の決算につきまして検査をいたしました結果、特に不当と認めた事項はございません。
○堀川委員長 これにて説明聴取を終わります。
    ―――――――――――――
○堀川委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。勝澤委員。
○勝澤委員 裁判官の定員と現在員、それから欠員の状況、これについての、欠員のある原因、対策、こういうものがどう行なわれておりますか、その点について御質問いたします。
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまお導ねのございました裁判官の定員、現在員、欠員等でございますが、まず定員は全部で二千四百七十五人でございます。これはさらに内訳を申し上げますと、最高裁の長官あるいは判事あるいは高裁長官、これらの方が二十三人、それから判事千二百十、判事補五百二十七、簡易裁判所判事七百十五ということでございます。これに対しまして九月四日現在におきます現在員が二千四百十四でございまして、欠員は合計で六十一でございます。この欠員の内訳は判事が三十五、判事補十、簡易裁判所判事十六ということでございます。かような欠員の生じております根本的な原因は、司法修習生から判事補になってきます数が必ずしも十分でないという点が一つあるわけでございます。それからなおそれに関連いたしまして、現在の制度では結局四月に修習生から判事補になりましても、その後年間に定年で退官される方あるいはその他の理由で退官される方がございますと、その補充というものがなかなかむずかしいわけでございます。修習生の卒業時期は毎年四月でございますから、中間時期では修習生からは補充できないわけでございます。したがいましてこれを補充するということになりますと、勢い、たとえば検事からきていただく、あるいは弁護士からきていただくということになるわけでございますが、これは御承知のとおり、検察官なり弁護士から裁判官におかわりいただくということは、現状ではなかなかむずかしいことでございますので、その年間に生じました欠員をそのつど埋めてまいるということがなかなかむずかしい、こういうことが大体一般的な状況でございます。
○勝澤委員 その現状をどういうふうにしたら欠員が補充できるのですか、あるいはどこにその隘路といいますか、どういうふうにしたらいいかという点についていかがですか。
○寺田最高裁判所長官代理者 裁判官の欠員というものは、御承知のとおりこれは現在だけの問題ではございませんでして、やや慢性的といってはことばが妥当でないかもしれませんが、かなり以前からの問題でございます。そういう点、で私どもとしても真剣にその対策に取り組んでおるわけでございますが、御承知のとおり内閣に設けられました臨時司法制度調査会というものが、いろいろ動機はあったと思いますが、そもそもその一つのきっかけは、こういう裁判官の欠員をどうするかということも一つの動機としてできたように承知いたしております。そうしてこの内閣に置かれました臨時司法制度調査会が本年の八月末でもって意見を答申いたしました。これは内閣に答申されましてなお国会のほうにも御通知があったように承知いたしておりますが、最高裁判所のほうにも御連絡いただいておるわけでございます。しかしこれは非常に大局的な見地から答申が出されておりますので、即効薬的になるかどうかは疑問でございますけれども、この調査会の意見に盛られておりますところを逐次実現してまいれば、これはその裁判官の必要な数を確保するということも十分可能になるのではないか、かように考えておるわけでございます。
○勝澤委員 そこで慢性的にこういう状態になっているということで臨時司法制度調査会から案が出てきたということですが、結局いま直ちに問題になるわけですね。先ほどの話を聞いてみますと、四月に入れるそのときにはいいけれども、あとやめた人の補充ができない――この四月に入る者を予算運用か何かの面でやはり全体的に一ぱいになるという法はないのですか。このままやはりいつまでも補充しないで臨時司法制度調査会の案を待っておったら、やはりこのこと自体がおくれているわけですから、そういう点は何か法はないのですか。
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまの御指摘まことにごもっともでございまして、私どもとしてもその点を真剣に検討いたしておるわけでございます。一般的にそもそも四月に必ずしも十分に定員が充足されないという問題は、たとえば判事補の初任給が低いために十分きてもらえないとか、あるいは執務環境がよくないために裁判所に魅力を感じない、こういうところが主たる原因と考えられるわけでございまして、臨時司法制度調査会の意見にもございますように、判事補の初任の報酬を引き上げる、こういう意見が出ておるようなわけでございます。また執務環境を改善するという意見も出ておるわけでございます。そのうちの初任の報酬を引き上げるという点につきましては、法務委員会で御討議いただきまして、本会議でも御審議いただいたというふうに承知いたしております報酬の改正案でその点が織り込まれております。そういうことにより修習生が判事補を志願するということがやや多くなるのではないかと考えるわけでございます。なお執務環境の改善につきましては、現在大蔵省と折衝いたしております昭和四十年度予算要求の中にその点を大幅に盛り込みまして、これはぜひ実現したいということで、いま大蔵省当局と折衝しておるわけでございます。そういうことが実現いたしますと、若い人たちが判事補に対して魅力を持っていままでよりよけいにきていただけるという現象が出てまいるのではないかと考えるわけでございます。ただそういたしましても、おな先ほどちょっと御指摘のございました、年間に生じた欠員をどう埋めるかという問題は残るわけでございます。その点につきましては、一つは、臨時司法制度調査会でも、いま少し新聞等にも出ておりますが、司法協議会というものが問題になっております。これは裁判所と法務省と検察庁、それから弁護士会等でいろいろ司法全般のことについて話し合うという趣旨のものと考えられておるわけでございまして、その中には、たとえば法曹の交流という問題もうたわれておるわけでございます。そういう機会に、いままでいわば最高裁判所の事務当局と弁護士会の当局とで折衝いたしておりましたのを、もう少し制度的と申しますか、協議会の席で話し合うことによって弁護士のほうからなお従来以上に来ていただくという端緒が開けるのではないかというのが、われわれの一つの希望でございます。それからさらに、やや関連いたしまして、これは制度論でございますが、現在裁判官は誕生日が参りますと定年で退官するということになっておりますので、あるいはそういうものをもう少し、三月末とかいうまとめた時期にするということになれば、これでそのつど欠員がふえていくということの弊害を除くことができるわけでございます。ただこの点は、いろいろ憲法の規定等との関係もございますので、非常にむずかしい研究問題と考えておるわけでございまして、今後検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。
○勝澤委員 最近事件というものが増加しているように思うのです。それにつれて裁判がおくれているということは、これは人権問題からいきましてもやはりゆゆしき問題だと思うのです。そういう点からいきまして、せめて皆さんが少ないながらも認められた定員というものについてはやはり埋めていく、そして少しでも負担を軽くしながら裁判を促進していくことは当然のことだと思うのです。そういう点で御努力をされているようでありますが、一そう努力をされるように特に要望して、この問題を終わっておきます。
 それから次に、国選弁護人の報酬はいまどんなふうになっておるか、その点についてお尋ねいたします。
○矢崎最高裁判所長官代理者 国選弁護人の報酬につきましては、三十八年度について御説明申し上げますと、三十八年度は支出額が三億七百六十七万二千五百五十二円に相なっておりまして、これに対しまして最初の予算額が一億九千四百六十八万一千円でございましたが、支出額のほうが多うございましたので、予備費のほうから認められた千七百九十七万四千円をこれに加えて支弁したというような状況でございます。本年度の予算の要求といたしましては、単価を中心に御説明申し上げますと、最高裁判所の事件につきましては一件につき一万五百円、高等裁判所の事件につきましては一万円、それから地方裁判所の事件につきましては九千三百円、家庭裁判所の事件につきましては八千五百円、簡易裁判所の事件につきましては六千五百円というような予算の増額要求をいたしておるわけでございます。
○勝澤委員 いまのは予算の要求ですね。
○矢崎最高裁判所長官代理者 はい、そうでございます。
○勝澤委員 それで最近の年度でいいのですが、国選弁護人を選任したのは――総件数と国選弁護人の割合はどんなふうになっていますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 まず地方裁判所を中心に申し上げますと、昭和三十七年度におきましては、一審の地方裁判所における終局人員が五万五千七百七十九人でございましたが、そのうちで国選弁護人のついた被告人数が四八・四%と相なっております。三十八年度におきましては、五万三千八百五十九人でございまして、それにつきまして国選弁護人のついた被告人数が四六・七%それから簡易裁判所につきましては、昭和三十七年度におきましては終局人員が四万二千八百七十三人でございまして、このうち国選弁護人のついた被告人が五七%、それから昭和三十八年度につきましては、やはり簡裁でございますが、終局人数が四万一千七百七十八人ございまして、そのうちで国選弁護人のついた被告人のパーセンテージが五二・四%、こういうような数字に相なっております。
○勝澤委員 それで国選弁護人を選任した法廷には大体何回くらい出るのですか。そしてその報酬というのは何かの根拠があるのでしょうが、その報酬と、それから普通の弁護士の報酬、こういうものとの比較をしていただきたい。
○矢崎最高裁判所長官代理者 それでは、どのように国選弁護人が選任されまして、そして国選弁護人がどういうふうな訴訟活動をいたしまして、どういうように報酬が支給されるか、その報酬の大体の沿革について、一応御説明申し上げたいと思います。
 まず国選弁護人はその裁判所所在地の弁護士の中から選任されることに相なっております。その選任の具体的な方法につきましては、昭和二十三年に最高裁の事務当局と日本弁護士連合会との間の話し合いによりまして、弁護士会に一任するということに原則が相なっております。それをさらに詳しく、たとえば東京の場合について申し上げてみますと、東京の実情といたしましては、事件が合議部とそれから単独の裁判官のところにそれぞれ配点になってくるわけでございます。その事件が各部に係属いたしますと、各部のほうから被告人に弁護人の選任について照会をいたすわけでございます。そして被告人から国選弁護人を選任してほしいという依頼がございました場合には、裁判所のほうで国選弁護人の選任依頼書を作成いたしまして、裁判所の中の訟廷課の事件係に各部各係の裁判官のものを全部集めまして、それを一括いたしまして弁護士会の事務局に送付するわけでございます。そういたしますと、御承知のように東京には弁護士会が三つござますので、弁護士会の事務局では、三つの弁護士会にそれぞれそれを割り振るわけでございます。そういたしますと、割り振られた事務局では、国選弁護人の名簿に基づきまして、それぞれその名簿の中から弁護士を選びまして、そしてこれを事件係に通知してくるわけでございます。そういたしますと、事件係から各裁判官、各合議部にそれが回ってまいりまして、それによって各合議部、それから単独の裁判官は国選弁護人の選任の決定をいたしまして、そしてそれによって国選弁護人の活動が始まるということに相なるわけでございます。
 それでは国選弁護人がどういうような活動をいたすかと申しますと、指定された弁護士はまず弁護士会館に出頭いたしまして、国選弁護人の受任の手続をいたします。それと同時に、裁判所の刑事部に参りまして、やはり同様に国選弁護人の受任の手続をいたします。そしてそれから、検察庁に参りまして、記録の閲覧の願いを出すわけでございます。そして、それからはやり方がいろいろございますけれども、原則といたしまして弁護人はその刑事記録を検察庁で閲覧いたしまして、その閲覧した上で、身柄を拘束されております被告人につきまして、巣鴨の拘置所に面会に参りまして、そして被告人の言い分を十分聞いてやる。それからその後に今度は被告人の家族に面会いたしまして、家族からいろいろ事情を聞いてやる。そして公判の準備を整えるわけでございます。そしてその上で公判に立ち合いまして、場合によっては証人を公判に連れてくるというようなことをいたしまして、そして公判の審理を完結するというのが、一応の筋道に相なっておるわけでございます。
 それでは、この御質疑のありました国選弁護人に対する報酬がどうなっておるかと申しますと、まず昭和二十四年には、ここで例をとって申し上げるのでございますが、第一審の地方裁判所と簡易裁判所が国選弁護人が一番多うございますので、それを一応例にとって申し上げることにいたしたいのでございますが、最初の昭和二十四年では、地方裁判所の国選弁護人に対する報酬が一応基準が二千五百円、これが裁判所で予算が認められた金額でございます。これに対しまして、弁護士会では五千円以上という報酬基準を定めております。それから簡易裁判所の事件につきましては、こちらの最高裁判所の事務当局では、二千五百円という線を出しておりまして、予算も認められたのでございますが、弁護士会では三千円以上という線を出していたわけでございます。ところで、これが昭和二十七年に相なりまして、最高裁のほうでもできるだけ弁護士会の報酬基準に近づけたいという努力のもとに、同年度におきましては、大体の基準が四千円という基準が認められることに相なりました。そして、簡易裁判所につきましては弁護士会の三千円以上という、三千円と同額の三千円という基準が、応最高裁の事務当局でも立てることができたわけでございます。ところがその後昭和三十年に相なりまして、弁護士会のほうで報酬基準を地方裁判所については一万円以上、それから簡易裁判所については五千円以上ということに定められました。したがいまして、ただいま申し上げました二十七年度の最高裁のほうで定めた報酬の基準とはだいぶ隔たりが生じたわけでございます。そこでこちらのほうでもいろいろと努力いたしまして、昭和三十八年四月にはやっと地方裁判所が六千二百円、簡易裁判所が四千五百円という基準を一応立てることができたわけでございます。しかしその後一年後の昭和三十九年四月に至りまして、日本弁護士会連合会では、一応の報酬基準を地方裁判所の事件につきましては二万円以上、それから簡易裁判所の事件については一万円以上と定められまして、これにつきましても、最高裁のほうでも、事務当局として予算額の増に努力いたしたのではございますけれども、一応三十九年四月には単価が地方裁判所の事件については六千八百円、簡易裁判所の事件については四千九百円という一応の基準と相なっておるわけでございます。ここに一応の基準と申しますのは、三回法廷にお出になって、そして実質的な証拠調べ、弁論に立ち会われた場合の基準を、ただいま申し上げているわけでございます。そこで、直ちに現在日本弁護士会連合会がお立てになった基準に近づけていくことはまことに困難でございますので、来年度の予算の要求といたしましては、先ほど申し上げましたように、地方裁判所につきましてはただいまの六千八百円を九千三百円、簡易裁判所の四千九百円を六千五百円に引き上げて、順次、三年計画を立てまして、四十二年度には地方裁判所が一万六千円、簡易裁判所が一万円というように相なるように努力いたしたいという方針を立てているわけでございます。
 で、なかなか問題がございますのが、国選弁護人と申しますのがやはり一応公益的な性格も備えておりますし、それから、そこで出された報酬額というのが一応被告人に負担せしめるということが原則でございます。また、物価基準の上昇率等の関係もございまして、いろいろと問題がございますので、ただいまのところ、方針を御説明を申し上げたようなところで行なうことといたしております。
○勝澤委員 いずれ、いまの問題は別の機会にまた御質問することといたしまして、次に刑事補償金についてお尋ねいたしますが、いま刑事補償金はどういうようになっておりますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいまの刑事補償金は、一日につきまして四百円以上千円以下ということに相なっております。
○勝澤委員 その四百円以上千円以下はどういうふうな根拠と種別があるのですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 根拠でございますが、その刑事訴訟法の定める金額を考えるにつきましては、まず賃金と物価とそれから刑事訴訟における証人日当の三つを勘案して定められておるのでございまして、これはもとより立案庁の説明するところを、私どももその説明を聞いておることに相なるわけでございますが、この三つを平均いたしますと、かいつまんで結論だけ申し上げますと、昭和二十五年当時、これが二百円以上四百円というのが刑事補償金額の一日の基準でございましたが、昭和二十五年当時と比較いたしますと、最近における賃金、物価の水準、これが二倍程度の上昇を示している、それからそれに対応いたしまして、証人の日当の最高額が現在千円であるということ、この三つを総合いたしまして、四百円以上千円以下ということに相なったという説明を受けておるわけでございます。
○勝澤委員 これは私は専門家でないのでよくわかりませんが、どういう場合にどういう形で支給されるのですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 一応大ざっぱに申し上げますと、一番多いのは無罪でございます。身柄を勾留されて、そして審理を受けて、それが無罪と相なりました場合に、その勾留されている日にちの日数に応じまして、そしてその被告人に対して一日幾らを補償するかということを裁判官が定めまして、その一日の基準額に勾留されている日数を乗じまして、その総額を補償するということに相なっておるわけでございます。
○勝澤委員 これもまた別の機会に質問することにいたしまして、この程度で私は終わっておきます。
○堀川委員長 それでは、吉田委員。
○吉田(賢)委員 裁判官の定員不足の問題でございますが、裁判所で発表しております裁判官一人当たりの事件扱い数が、戦前と比べると断然激増しておるような状況にあります。これによりますと、昭和九年から十三年まで、それと昭和三十五年の比較をしておるようでありますが、高等裁判所におきましては、九年から十三年までは民刑事の一人当たり負担件数は五十三件。ところが三十五年になると百十一件になっておる。二倍以上であります。また既済の件数は同年度前者の場合五十七件、後者三十五年の場合は百五件、約これも倍。未済の件数は、前者、九年から十三年までが四十八件に、三十五年は八十九件、約倍。大体高裁の持ち事件が倍と見ていいようであります。地方裁判所の場合におきましては、新件が九年から十三年までは六十三件、三十五年が百四十四件、二倍以上。既済の件数が九年から十三年までは六十四件、三十五年が百四十七件、これも二倍以上。未済の件数は九年から十三年が三十八件、三十五年百十一件、断然多いという状況でございます。そういたしますと、これは裁判官といたしまして、やはり人間でございますから能力にも限度がございますし、早い話が、このような事件を持つのだということになりますと、戦前が適当量か戦後が適当量かということは若干疑問があるかとは思いますが、他の面から見る一人当たりの年間の適正処理件数というものについて見ましても、これもやはりはるかにいまの処理件数、受け持ち件数、未済件数などは上回っておる状況でございます。こういう数字だけを見ましても、これはたいへんな仕事だということになりますが、そういう感じが、裁判官の仕事というものはえらい負担の仕事だということが、希望者が少なくなっている一つの原因でないかと思いますが、その点いかがです。
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまお尋ねいただきました点、まことにごもっともでございまして、先ほど来お話のございました件数の統計、これは私どものほうで調べておりますところ、まさしくいまお話しのあったとおりでございます。また実感といたしましても、戦前と戦後とで裁判官の負担がやや重いような感じを持っておる、これも事実でございます。ただこの際ちょっとこの数字についての御説明が必要ではないかと考えるわけでございますが、それは、戦前と戦後では必ずしもすべての手続その他が同様であるというわけでもないわけでございます。むろん一方では、たとえば戦前にございませんでした労働事件であるとか、あるいは行政事件であるとかいうような非常にむずかしい事件が入ってまいりまして、同じく一件といっても、戦前よりははるかに戦後のほうが手間がかかる、負担が重くなるという要素のあることも事実でございます。しかしながら、また他の一面におきましては、たとえば地方裁判所においては戦前はすべて合議で取り扱うことになっておったわけでございますが、戦後は単独で取り扱うことができる、むしろ単独を原則ということにしておるわけでございます。そういうことになりますと、やはりそこで合議をやるよりは単独でやったほうが能率的にいくということは確かでございます。また高等裁判所の関係につきましても、これはたとえば刑事のほうでは戦前は覆審制であったのが、戦後はいわゆる事後審制であるというような関係もあるわけでございます。そういうようにいろいろ手続が変わっておるわけでございまして、その中にはやや負担を加重するような要素もございますけれども、負担をいわば軽減と申しますか、合理的に処理できる面もあるわけでございます。そうして私どもとしては絶えず裁判官の増員等をはかりまして負担の軽減をはかりますとともに、あわせて手続面におきましてもできる限り合理化していきたいということでくふうをしておるわけでございまして、たとえばこれはすでに承知いただいておるかと存じますけれども、大都会では手形部というようなものをつくりまして、手形事件は全部そこでやる、あるいは東京、大阪等では交通事件の処理部をつくりまして、そこでやる、こういうことになりますと、特定の裁判官がいろいろな事件をやる場合に比べまして、同じ負担が重くてもいわばそれほど感ぜずして処理できるという面があるわけでございます。先ほど御指摘いただきました統計の中で、審理数が倍になっておるばかりではなしに、既済も倍近くなっておるという面があるわけでございますが、これは決してその事件を粗漏に扱って、あるいは裁判官が不当に忙しく無理な仕事をして処理したというよりは、やはりそういういろいろ手続の合理化というような面で能率があがっているという面もあるわけでございます。しかしながら、またそういう意味におきまして、先ほどちょっと触れました臨時司法制度調査会でも、裁判官の増員をはかると同時に、また手続の合理化をはかれという意見が出ておるわけでありまして、今後ともそういうことを十分考えて努力してまいりたい、一般的にはかように考えておるわけでございます。
○吉田(賢)委員 そこでやはり問題は、増員をはかれということはどうも常識らしく、またこのような適正処理の件数に倍以上の事件を事実上受け持っておるというような現状は、これはやはり負担過重でございますから、軽減するということは裁判官を大切にするという意味から見てもまた当然のことでございます。だから、やはりいかにして増員すべきかということに問題はかかってくるだろうと、こう思うのでございます。そこで、これはもっと私はあらゆる意味において近代化する必要があるのじゃないか、こう思うのです。こう言うと、非常に優秀な頭脳の、豊富な経験の持ち主ばかりでありますから、近代化なんと言われて失礼だとおっしゃるかもしれませんけれども、しかしたとえば臨時司法制度調査会でも指摘しておりますが、事務の能率をあげるために、もっと物的施設が充実せなければいくまいじゃないかという指摘もあるようであります。裁判所によりますと、速記官がほしい。ある事件について速記官がほしいというようなときにも、速記官の不足のために裁判の期日をきめかねるという事例もしばしば見受けるのであります。こういうことは、速記が最善のものであるかどうかは別であります。けれども、いずれにしましても、こつこつと指先で書くのが大半であるというのではおよそ近代的じゃないのでありまして、速記が膨大な記録になるからというような半面だけでは、これは速記を軽視する理由にはなりません。そういうような点にしましても、あるいはまた複写機にいたしましても、複写機がどの程度そろっているかどうかわかりません。こういうことなんかも、いかにも旧態依然の感じがせぬでもありません。そこへ建物が昔の代官所の建物をそのまま使っておる。代官所の建物をそのまま使って、むずかしい顔をして、そして近代化しておらぬというのでは、これはやはりはつらつとした若人なり青春の布望に燃えておるような人が入るところじゃないような感じも与えるのじゃないだろうかということさえ思います。したがいまして、この物的施設というものはあらゆる角度から最高の最新の断然新しいものを取り入れるというだけの御用意がなければいくまいじゃないか、そうすることによってそれが弊害のある面は、これはためていけばいいのですから、この点については四十年度の予算要求はどうなっているか知りませんけれども、三十七年度の決算の状況を通じて見ましても何にも見出すことができません。でありますので、どのように一体この点についてお考えになり、どういう新機軸を出すことにしておられるのだろうか。私は、やはり調査会などが答申しましたそういう点は、ずばっと時弊を突いておるものとして卒直に受け入れて、全国的に斬新な風を充実さしていかなければならぬと思うのですが、その点はどうです。
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいま吉田委員から御指摘いただきました点、まことに適切な御意見で私どもも全く同感でございます。臨時司法制度調査会でも同様な意見が出ておりました。われわれも裁判所の施設、機構を近代的なものにするために努力してまいりたいと考えておりまして、来年度予算におきましてもこの点は予算要求の最重点事項として――まあこれはまだそれにいたしましても一挙に近代化するということはむずかしゅうございますけれども、最重点事項として現在強力に大蔵省と折衝しておるわけでございまして、国会からも御支援いただくことをお願いする次第でございます。
○吉田(賢)委員 最重点事項はよろしゅうございますが、しからば来年度予算要求において全国的にこれを一挙に満たそうというところまでいくのでありますか、あるいは何カ年計画でということになるのですか、もし何カ年計画ならば、その何年か後にはまた変わってしまいます。技術進歩の激しい時代でありますので、ぐずぐずしておりましたら、普通の企業会社のあらゆる事務なんかと比べまして、旧態依然、昔の姿というものがいつまでも続くんじゃないかと思いますが、その点はいかがです。
○岩野最高裁判所長官代理者 御指摘の点でございますが、結局庁舎及び設備、内部の設備の問題になってまいります。庁舎のほうは長年の努力で相当程度建物を新営してまいりました。庁舎の内部の設備、それから事務器具等に関しましても、これもその時勢に応じました最新のものをできるだけ備えるための努力をしてまいったわけでございます。四十年度の予算要求といたしましては、一応全国の庁舎の整備も約十年計画、それからその庁舎の中身が整備できますのも、約十年をもって整備いたしたいという考えで予算要求をいたしておるわけでございます。もちろん器具、備品等につきましては、当然そのものがどんな新しい器具を入れましても、いずれ更新すべき時期がまいりますので、更新の時期に至りましたときには、そのときの最も新しいもの、進歩したもの、こういうもので整備していく方針でございます。
○吉田(賢)委員 十年計画というものは、最近日本の行政上の各般の施策ではちょっとないと思います。たとえば二十数兆円の膨大な予算を組んで日本の道路網を完成しようというのは、やはり大体五年計画でございます。住宅政策が非常に強調せられて、これも五年計画であります。一切が五年です。世界的に各国が競って国の計画を立てるのも五年計画であります。十年計画というようなものはちょっと時代感覚がどうかと思います。まことにこれは失礼なことでございますけれども、十年後にはもう世の中は変わってしまいます。でありますから、裁判所はやはり武士は食わねど高ようじ、そういうような気持ちが潜在しちゃいかぬと思います。やはり物心全面に充実することによって、時代即応の、特に民主憲法下における裁判のほんとうの機能を十全に発揮し得る、こう思うのであります。でありますから、それはできることならば切り上げて五年計画に改めて、日本じゅうの裁判所が代官所の代用品を昔のものを使っているということは、そんなことは早くやめて――ないんじゃない、財政力はあるのでありますから、遠慮なしに要求して変えちまうということにしなければ、中身は依然としてであります。十一月三十日はまだストーブを使っちゃいかぬ時期であるからというので、がたがたふるえておるある準寒冷地帯の裁判所も実はあるわけなんであります。まことに規則定規といいますか、弾力的な扱いのないこと、はなはだしいと申さねばなりません。そこで、それはぜひひとつ要望いたしておきます。
 それから裁判官充実の問題ですが、弁護士から裁判官になる場合、日本弁護士連合会に積極的に手をお伸ばしになって、すみやかに国家公務員の共済制度――その者が弁護士から裁判官になったときに、弁護士の一定の開業期間が通算、積算されていくというようなことへつないでいかねばなるまいかと思うのです。こういうことにつきましても、口では裁判所は弁護士会と一体になって、日本の裁判制度を運用するということを言っておられるようでありますけれども、そういう重要な一つのネックがそのまま捨てられてある。これは弁護士会のほうも怠慢かもしれぬが、やはり国家公務員の共済制度があるわけですから、この共済制度をつないでいくというような措置を裁判所から手を差し伸べられて――私、けさも日弁連のほうにもそんなことを電話で話したような次第でありますから、これはまことに釈迦に説法的なことで失礼かもしれませんけれども、やはりこんなことは弁護士から大量に裁判官になるというような機運をつくるために――裁判官の年金制度は、弁護士から入る場合には、全然適用しておらぬというのが現状であります。そういうことでは、弁護士から裁判官にからだをまかしてしまうというような気魄で裁判官になる人が少なくなるのも当然と思いますので、この関門は切り開いていかなければなるまいと思うのです。さっそく事務総長のほうからでも日弁連のほうに御交渉になって、ともに提携して、来年の一月からでも弁護士連合会のほうでもさっそく共済制度を確立させて、裁判官になったときのつなぎですね、この通算の関係を整備するということが絶対に必要だと思うのです。その点について、目をつぶっていくなら弁護士会から裁判官を補充することはとてもできません。ことに、いまの国選弁護士の報酬のごときは、事実は弁護士会のほうできめておるあの報酬から見たら、三分の一でありますから、そのようなので、記録代も出ておらぬ。特別に出せと言えば出すじゃないかというけれども、事実は出ておりません。そういう実情でありまするから、万事弁護士から入っていく者は大きなネックになって、どうも弁護士会はあまり入る機運が起こってまいりません。いかがでございましょう
○岩野最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の点は臨時司法制度調査会等でも十分論議された問題でございますが、私どもといたしましてもその点を鋭意研究は続けてまいったわけでございます。ただ、ただいまの国家公務員共済組合制度では、年金の関係で申し上げますと、国が本来の負担部分と、それから公務員の拠出する負担金に見合うだけの金額を支払っているわけでございますこれを出しまして、それを連合会で運営等をいたしております。そのために弁護士から裁判官になられました場合には、その国の本来の負担部分と、本人、組合員の支出に見合う分との、この分だけを特にその時期に増額するということが非常に問題点として浮かび上がってまいる。したがって、弁護士会におきまして、国の負担部分についての部分を同時にお払い込みになるかどうかということが問題点となりまして、国家公務員でない間の期間の積み立て金、これについて国家がどの程度援助するかということが、結局基本問題点に落ちつくものと考えております。ただいまも鋭意研究いたしておりまして、御要望ある限りにおきましては、その資料等は、研究なさっております弁護士会の方々にはお話し申し上げている現状でございます。
○吉田(賢)委員 それから住宅の問題であります。裁判官が赴任しても家がない。いまごろ家がなしに裁判官が新しく赴任していくというのでは、第一、相当年配になると子供たちの教育をどうするかということが当然つきまとっていきます。そういう点もかなり一つの大きな隘路になるんじゃないかと思います。裁判官になりたいけれども、住宅もない、こういうことではいかぬと思うのです それならば、さほどに重大な負担になるかというとそうでもない。そうでもありませんので、思い切って、裁判官には住宅を一戸持たすということにしなければ――いま国におきましても一世帯一住宅ということをスローガンにしております。でありますから、裁判所においても、さがし歩いて部屋借りするというようなあわれな姿を一掃してしまうように、そのために、全部住宅を持たしてはどうかと思うのです。住宅政策は、裁判官増員のために喫緊の要ではないかと思うのですが、その点について、どうなさるんですか。
○岩野最高裁判所長官代理者 ただいま、ごく概数で申し上げますと、裁判官は非常に古い建物に住んでいる、明治時代の日本家屋に住んでいる裁判官もありますし、御指摘のように、若い裁判官のためには宿舎が欠けておるという現況、御指摘のとおりでございます。今、年度の予算要求におきましては、宿舎の不足分の増築と朽廃したものの改築分といたしまして約十五億円あれば完了する、それを整備することができる予定でございますので、したがって、おしかりを受けますか知りませんが、これを三年計画といたしまして、毎年五億ずつの宿舎費の要求をいたしているわけでございます。それでほぼ予定の数は確保できますし、改築等も完了する予定でございます。
○吉田(賢)委員 住宅と物的施設両方の問題につながることでありますけれども、裁判官が宅調というやつをよくやります。家にふろしきに一ぱい書類を持って帰っておやりになっておる。これまた前近代的な姿でございまして、このほうがいいかもしれません。なんとなれば、家でほんとうに伸び伸びとして調べるといいかもしれませんけれども、やはり裁判官も人間ですから、家庭へ帰れば家庭の雰囲気に浸って家庭人らしい時間があったほうが、私は姿は正しいと思うのです。でありまするから、そういうようなことも裁判所へ行っても事務が一ぱい――仕事は昭和九年から十三年までの倍かかえておる。うちへ帰っても宅調ということでくくられておる。四六時中、年がら年じゅう、三百六十五日、一ぱい事務をかかえ込んでおるのが裁判官の実情ではないか。これは魅力がありません。みんなレジャーを楽しむ時代になっておるときに、宅調というこんな昔の旧態依然の頭で裁判をいたしましたら、近代感覚が欠けておりますので、生きた裁判ができません。やはり法律をほじくったような裁判になってしまって裁判所を信頼しません。でありますので、そのことは裁判所の中にちゃんとした研究調査室ぐらい設けて、うちへ帰らぬでもそこで調べなさって、朝から晩まで一つのいすに食らいついているというのでは意味がありますまいから、別室へ行って伸び伸びと調査研究するというようなことでもやって、もっとそういうことでもしなければどうにもなるまいじゃないか。若い奥さんなんか、それは憂うつになってしまうと思うのです。またしても、また記録調べてござるというのではどうにもならぬですよ。ですから、それは解放しなければいけません。解放するためには、裁判所の中に、そういう施設を完備なさって、どこの裁判所でも明朗濶達な、明るい、ほんとうに、それこそ花の一つもいけてあるような、そういうようなところがあって、うちへ帰れば、どてらを着て、赤ちゃんとたわむれる時間があったほうがよろしいのでございます。そうしたら、ほんとうに伸び伸びと、それができて、それこそ魅力のある裁判官となって、裁判所の増員問題は解決すると思うのです。だから、その点、うちで調べるほうが落ちついていいという人もあるらしいけれども、ともかく裁判所の中に、そういう設備をこの際即刻おやりになってはどうか。まだなら、いまからでもおそくはないので、四十年度の予算を要求なさったらどうかと思うのです。まだ最終決定に至っておらぬはずでありますから、この点総長どんなふうですか。
○関根最高裁判所長官代理者 吉田委員のお話、まことにごもっともで、全く一致するかのごとく、来年度の予算に私どものほうも宅調廃止という線を打ち出しまして、裁判の執務環境を整備するという一番重点の事項として要求いたしております。まことにありがたいお話で、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
○吉田(賢)委員 その点、非常に明るい御答弁をいただきまして愉快です。それから刑事補償の問題で一点伺っておきたいのです。実は刑事補償は裁判の結果、無罪になった者が対象になるようでございますけれども、一体、いまの憲法の基本的人権の重要時代に入っておりまして、そのときに、捜査の段階で、とうてい罪になる証拠はないというような場合に、たとえ十日でも勾留せられたということは、これはどういうものか。知られ損や何か疑いがあって、顔の目のかっこうが悪かったので、疑いを受けたのだろう、知られ損だというのでは、これは基本的人権を守るゆえんではないと思う。でありまするから、捜査の段階におきましても、明らかに当判から証拠がないということが明白であったならば、これはやはり補償の対象に取り上げるべきでないかと思うのですが、その点はいかがでございましょう。
○矢崎最高裁判所長官代理者 これは実は裁判所のほうにはあまり関係は、直接はないのでございますけれども、このような規程が制定されております。それは被疑者補償規程と申しまして、昭和三十二年四月十二日に法務省訓令第一号が出ておりまして、抑留または拘禁の日数に応じて、一日四百円以下の割合により検察官が決定しただけの補償金を交付して補償するということに相なったのでございますが、これが三十九年四月一日以降最高額が千円ということに引き上げられまして、刑事補償に準じたような取り扱いがなされておるということでございます。
○吉田(賢)委員 それなら、その点は、実施いたしました数額、人間の数、件数はどのくらいですか。最近の概数でよろしゅうございます。
○矢崎最高裁判所長官代理者 これは実は裁判所にはあまりわからないことでございまして、法務省のほうで、もっぱら捜査の面を担当しておりますので、そちらのほうに統計があるのではないかと思います。
○吉田(賢)委員 そうすると、その予算は、裁判所の予算には入らぬのですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 はい、さようでございます。
○吉田(賢)委員 それから、いまの国選で一点だけ伺っておきたいのですが、国選弁護の場合に、何か三割、三分の一ですか、三五%ですか、引き上げるということに、来年からはそうなるように聞いておるのでございます。現在の、つまりこの四月、現行の四千九百円とか何がしの三割五分引き上げを来年から行なうというふうにも聞くのでありまするが、それは実現するのでありますかどうか。
 それからもう一つは、実情から見ますと、国選弁護の場合に旅費なんかとっておる場合は少ないように思います。それは伝票一つで計算、支払いができるように簡単にはいっておらぬためにやらぬのでしょうか。それはどういうことになるのでございましょうか。この二点だけ伺っておきます。
○岩野最高裁判所長官代理者 予算要求といたしましては、約三五%アップの予算要求をいたしておりますし、これをことし一年では弁護士会御要望の金額にはとてもまいりかねますけれども、相当の報酬額までに引き上げる努力は今後も鋭意継続いたす考えでございます。
 国選弁護の支払いの手続でございますが、これは一般の会計法規上の支出手続をどうしても踏まざるを得ませんので、その点ではそう簡単には処理しにくい、ただ職員を督励いたしまして、なるべく早期に支出できるようには常々注意して指導しているわけでございます。あまり現金支払関係を簡単にいたしますと、どうしても不正事件ということもございますし、会計法規は、その観点から善良な職員を相手にしましても、いわば悪人扱いのようなふうに規定をこまかくして縛り上げております。そういう意味でごく簡単な現金支出方法というのはなかなか困難かと思います。
○吉田(賢)委員 これで終わります。終わりますが、実はやはりその点もこれは物的施設の不備から来たしておるのだと思うのです。何も伝票でどうというのは一つの例にあげたにすぎませんが、会計の事務といえども、ずっと事務が敏捷に機械化していくということになりましたら、必ずしもいまのような手数、時間等がかからずに私は簡単にいけると思うのです。銀行事務なんかをひとつ十分御検討になりまして――現金の出納が、簡単にしたら違反、不正が起こりやせぬかというようなことは、これはまたとんでもないことでございまして、いかにして簡単化するかということのほうが、これがむしろ要望されておる点でありますので、私は、やはりその辺が、手続が煩瑣だ。めんどうだということが、そういう計算が放置される一つの原因になっていやしないだろうか、たとえば日当とか旅費とか、ああいうものにおいてもどうもそういうふうになるのじゃないか、こう思われますので、事務を会計の方面から先べんをつけて、一そう簡易化するために機械化、能率化するということに鋭意御努力になってはいかがかと思います。
○岩野最高裁判所長官代理者 御指摘の御趣旨に従って十分研究も続けますし、職員の執務について十分監督、督励を尽くしたいと思います。
    ―――――――――――――
○堀川委員長 それでは、次に外務省所管について質疑に入ります。
 それでは質疑の通告がありますので、順次これを許すことにいたします。勝澤委員。
○勝澤委員 私はこの間、夏に初めてヨーロッパのほうを一回りしてまいりまして感じたのですが、各地に行ってみますと在外公館がみんな借りておるということを聞いて驚いたわけであります。予算を見てみますと在外公館の借料の予算が、三十九年度でも七億五千万円も払っている。あるいは四十年度の予算要求でも八億四千万も実は借地、借家料を払っておるということで、驚いたわけであります。これについて三十四年度から七カ年計画をもってこの施設を日本のものにしよう、こういうことで進めているようでありますが、この方針については、外務省の考え方について大蔵省のほうもこれに一致をされてこの方向に進んでおるのですか。まずその点を最初にお尋ねしておきたい。
○永田政府委員 ただいま御指摘がございましたとおりで、在外公館の約八割が現在借家でございます。自分のものは二割しかない。そうしてその借料も御指摘のあったとおり、年額七億円をこえるという状態でございまして、こういう既設の建物を借りておりますると、公館としても非常に不便でございますし、また年々借りかえのみに十数館もふえてくるという状態になっておりますので、どうしてもわが国の公館としてふさわしいようなものを獲得する必要があるわけで、外務省におきましては、三十四年に初め七カ年計画を決定いたしましてこれを推進いたしておったのでありまするが、予算の関係で計画どおりにまいりませんでした。新たにこのたび十五カ年計画を立案いたしたのは御指摘のとおりでございます。そうしてこの十五カ年計画は、三つに分けまして、第一次の計画は中南米及びアフリカ地域、第二次の計画は中近東及びアジア地域、第三次の計画はオーストラリア、ヨーロッパ及び北米ということに大体分けてやっていくつもりでございます。もちろん緊急を要するものでありますとか、アジア地域の未整備の地域とかヨーロッパなどにも早くやらなければならぬ事情のものもございまして、こういうものは織り込んでやっておるわけでございます。
 なお、御指摘のありました大蔵省との関係でございますが、外務省は、逐次外務省の現在の公館の実情を説明をいたしまして、大体において大蔵省のほうも納得をしていただいておると考えて去ります。
○勝澤委員 三十四年に七カ年計画をつくって、そうして今度はまた四十年度から十五カ年計画に変更するわけでありますから、結局最初から考えてみると二十年の計画になるわけであります。先ほどの十五カ年計画でという話を聞いてみますと、この借料を払っていく計算をしてみると、やはりもう少しテンポを早めなければ損じゃないかろうか、こう私は思うのです。七カ年計画がなぜあまり芳しくなかったかという点を推察してみると、大蔵省との話があまりうまくいってないのではなかったかと思うのですが、大蔵省の主計官もいらっしゃるようですが、この十五カ年計画、この程度のものでいいのですか。これはやはりせっかく金を使うのですから、もっと早めなければならぬのではないか。借りたほうがいいか、買ったほうがいいかということは十分わかるわけでありますから、金を有効に使うには、もう少しやはり外務省でいっている三十四年から七カ年計画をやって、また来年度から十五カ年計画で二十年もかかるということでなくて、もっと短縮する、こういうことについてはいかがでしょうか。
○吉瀬政府委員 お答えいたします。
 先生のいまおっしゃいましたとおり、在外公館の整備、これは非常に急がれているわけでございます。外務省のほうで立てております計画にある程度従いまして、特に東南アジア等酷熱瘴癘の地などを中心にいたしまして、鋭意予算の充実につとめてきたところでございます。いまの御質問でございますと、もっとテンポを早めろという御質問でございますが、私ども、予算の編成にあたりまして、重点的な場所を中心にいたしまして、できるだけその内容の改善につとめていきたい。ただ、これを何カ年にするかとか、どのくらいのテンポにするかということは、これはまたいずれ予算編成の過程におきましていろいろ外務省と議論をしていくところでございます。いまのところ何カ年計画にするという結論は遺憾ながらまだ出ていないという実情でございます。
○勝澤委員 国有化の方向については一致しておるのですか。
○吉瀬政府委員 そのとおりでございます。
○勝澤委員 そうすれば、やっぱり採算をとって借りたほうがいいか、買ったほうがいいかという方向はきまっているわけですから、結局テンポを早めたほうが得だということになると思うのです。いま、外務省のほうは十五カ年計画、こうなっておるのですけれども、それでは最悪の場合でも、十五カ年程度でこのものは完成しなければならない、こういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。
○吉瀬政府委員 何年と――いまのところむしろ具体的に個別にあたりまして在外公館の施設費の充実にあたりたい。それで、十何カ年計画、いろいろその内容について検討しておるわけでございますが、私どもといたしましては、ほぼ外務省の線にある程度乗りまして、しかも具体的な個別の都市の事情を勘案いたしましてきめていきたい、こう思っておるわけでございまして、いまのところ、繰り返すようでございますが、何年間ということに至っていないわけでございます。
○勝澤委員 私、ことし初めて行っただけで、見てきて実は驚いたわけでありますけれども、これは日本が一等国だとかなんとか言っておりますけれども、よそへ行けば借家住まいをしておる。しかもあっちへ行け、こっちへ行けで、毎年家賃が上がる、まことに情けない状態だと知ったわけであります。聞いてみると三十四年からやっている七カ年計画だ。しかしその計画の実績を見たときに、まことにおそまつな状態だ。帰ってきてこういう話をしましたら、与党の中でも、おれも前からそれを言っているんだが、外務省がなかなかやらないんだ。外務省に聞いてみると、大蔵省が予算をやらない。しかし決算委員会全体で国の金の使い方から考えてみると、これはやはり当然いろいろやり繰りをしても日本のものにして進めることが当然だと思うのです。そういう点で意見が一致しておるようでありますから、ぜひひとつ在外公館のいろいろな施設については、日本の実情にあった形で、促進していただきたい、私はこう思います。そこで次に外地の勤務の人たちの待遇の問題です。国々によって給与が一律的ですと、また実情がいろいろと違うようであります。インフレのはげしい国もありますし、あるいは落ちついている国もあります。あるいはまた宿舎の問題を取り上げてみましても、これもわれわれが想像以上の高い家賃で入らざるを得ない。また、お互いによその国の人たちを呼んだり呼ばれたりしているというような話を聞いたわけです。こうやってみると、今度はそれでは外地にどれくらいおるだろうかと調べた数学を見てみますと、結局外務省なんかでは八百十六人のうち四年以上が百四十一名だ。二年未満が三百七十四人、四年未満が三百一名だ。外務省以外からいっているところを見てみますと、二年未満が九十五人、四年未満が四十六人、四年以上はたった一人しかいないということで、結局外務省以外の各省からいく人はやはり腰かけ的にしか行っていないわけであります。これはやはり考えてみると、給与の問題、あるいは宿舎の問題、環境、いろいろあると思うのです。こういうものについても、やはり考えてみると一年や二年で、あるいは三年で向こうへいって何ができるだろうかと実は思うわけです。その国にいっているあるいは大使なりあるいは外交官を見てみましても、その国のことばを知っている人というのも、なかなかことばによってはほんの一人か二人しかいないというところもあるのでありますから、やはりほんとうに日本が親密な外交をその、国、その国とやっていこうとするには、もう少し長期化せねばならぬのじゃないだろうかと思う。そういう点で私はこの外地勤務者の待遇の問題、こういうものについてもう少し新しい角度から検討しなければならぬじゃないだろうか、こう思うのですが、そういう点についてのお考えはいかがですか。
○高野政府委員 御指摘のとおり在外公館員は外務省からいった人よりも他省からの人が短いということもございます。しかし、これは待遇が悪いということでなくて、各省庁における人事管理といいますか、人事の見地からやはり異動させるというわけで、外務省としては外へつとめるのが本務でございますから、ほかの省よりも若干長くなる。ほかの省はやはり国内のいろいろ人事方針に従って多少外務省より短くなる。私はこれは待遇が悪いということでなくて、もっと人事管理の面からきているだろうと思います。御指摘の世界各国で――在勤俸は三十七年に改正されましたが、インフレがありましたり、ないしはその町が非常に急に発展しまして、家が足りない、いろいろひずみが出ておりますが、これも外務省といたしましては毎年データをとりまして、そのひずみを直すために三年ないし四年の期間をもちまして在勤俸の改正をいたしたい。その他場所によりましては舘員宿舎を国家の予算で建てたりして、できるだけのそういう在勤俸の補足的な待遇改善をいたしたいと考えている次第であります。
○勝澤委員 それから、大使と大使の相互連絡といいますか、最近臨時行政調査会の中でも経済外交という立場からもう少し総合的な運営を、という話が出ておりましたけれども、二年もあるいは三年も日本に帰ったことがないというような大使がおるわけですね。やはりこの一線で働いておる人たちについて機会を見てせめて一年に一回くらい日本にきて、日本の実情を知ってもらって、また向こうで働く、こういうことにしなければいかぬのじゃないだろうかと思うのです。ですから、だれでしたか、日本に帰ってきて、国会へ呼ばれてどうも感覚がおかしいのではないかという話が出ましたけれども、それはその人がおかしいのではなくて、やはり外務省の運用がいけないのじゃないだろうかと思うのです。向こうで集めるよりも、やはり日本に連れてきて、一年たてば日本は全面的に変わっているわけですから、それを見せて、日本の立場日本の考え方、環境というものを教えて、またその国にいって働いてもらう、こういうことをできるだけ多くの機会につくらなければならぬじゃないだろうかと思うのです。ある一つの例ですけれども、南米から大使の異動でヨーロッパへいくのに、そのままいっちゃって、ですから、その国がかわっただけで、日本にはもう四年も五年も帰ったことがないという話を聞きましたけれども、やはりこういうのはまずいのぢゃないだろうかと思うのです。やはりある期間がきたら大使級の会議もやるのでしょうから、そういうのはなるべく日本にきてやってもらって、そして国内の模様をもう一回知ってもらってまた出ていく、せめてこういうことをしなければいかぬと思うのです。聞いてみると、これも旅費の関係だ。まことに情けないことだと思うのですが、やはり仕事を効果的にやっていくというたてまえからいけば、そういう問題についてはもう少し考えなければならぬじゃないだろうか。せっかくやっているわけですから、その第一線におる人が日本の国のことはあまりよく知らない。日本からいったお客さんばかりに話を聞いている、こういうことでは少しなまぬるいのじゃないだろうかと思うのです。そういう点についてもう少し日本の国とそれから外地にいっているそういう責任ある地位にある人たちの交流といいますか、意見交換といいますか、こういうもの、あるいは転勤、任地がかわるような場合は、やはり新しいものの見方というものを、日本に少しでも帰してやって――よその国の話を聞きますと、半月なり一カ月なり本国へ帰ってはまた出るというような話を聞くのですけれども、日本なんかは何か員数だけ合わしていて、気がまえなり心がまえ、そういうものについての点が少し足りぬじゃないかと思うのです。そういう点についても、いまちょうど予算時期でありますから、やはり十分新しい立場から考えていただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
○高野政府委員 御指摘のとおり、日本は経済的にも非常に急速度に進歩しておりまして、海外に二年も三年もおりますと、ちょっと日本の実情に沿わない感覚を持ってくるという場合がありますので、御承知のとおり、アジア関係の公館長につきましては毎年東京でやっております。それから現在アフリカ公館長、いま公館長会議をやっておりますが、これはまあいろいろな関係で二年に一回ということになっております。それから中近東公館長、これはことしの春やりました。これも二年に一回で、あと欧州とアメリカにつきましては、御指摘のとおり、こちらから大臣、次官ないしは担当局長が参りまして公館長会議をやっておりまして、まあ旅費その他の関係で日本ではやっておりませんが、しかしその公館長も、全部でございませんが、事務打ち合わせのため二年に一回ないしは一年に一回帰る機会がございます。しかし、御指摘のとおり、でき得れば東京でヨーロッパ、アメリカないしは中南米の公館長会議をやりたいと考えておる次第で、来年度は中南米公館長会議を東京でやりたい。アメリカとヨーロッパはわりあい旅行客もおりますし、事務打ち合わせのためにわりにひんぱんに帰れるようでありますが、これもできれば東京でやりたい、今後そういうふうに進めていきたいと考えておる次第であります。
○勝澤委員 私は必要な予算というものはやはりどんどん使えばいいと思うのです。必要でないところは削ればいいわけです。外務省で削らなければならぬところがほかにあるわわけですから、そういうところはどんどん削って、必要なところはどんどんふやしていく。必要なところだけはやはりやっていかなければいかぬと思うのです。臨時行政調査会の中でもそういう点がいわれているわけです。それからまた、いまの政府のやり方を見ていると、何でも一律にやればいいというのです。たとえば人をふやさなければならぬところもふやさぬ。減らさなければならぬところも減らさぬ。定員不充足というわけのわからぬことをいっておりますけれども、これでは行政の運用がうまくいかないわけです。必要なところはふやす、必要でないところはどんどん切る。やはりこのことができなければ何の価値もないわけです。いま言ったようなことは、これは当然のことなんです。二年も日本の国を見ない大使が向こうにおったって、何をやっていいかわからぬわけですから、いつも日本の国情をよく知りながら相手と交渉していく、話をしていくということについてはやはり遠慮なくやっていただきたいと思うのです。
 それからもう一つの問題は、私これは深刻な問題として考えたのですけれども、やはり各省から行っている人たちが腰かけ的だ。せいぜい二年か三年で帰ってくる。外務省もそういう点もあるでしょうけれども、一番やはり問題になっているのは子弟の教育の問題です。特に、女のお子さんを持っている方はまだいいですけれども、男の子を持っている方は、やはり中学にいく子供たちを持っていますと、次の高校、大学、一人一人の話を聞いてみると実に深刻な問題なんです。これは在外公館で働く者だけでなくて、外地に働いている商社の方みな同じだと思うのです。しかし、こういう点は日本が国策として外地にどんどん人を出すたてまえからいって、やはりその子弟を国外でも人数によっては教育するなりあるいは国内に安心して置いて行ける、こういう施設というものをやはり民間を含めて考えなければならぬ時期にいまきているのじゃないだろうかと思うのです。これから外地に働く人たちがたくさんあるわけでありますから、御夫婦で行く、子供さんが残る、その子供さんの教育というものをやはり安心して、信用の置けるところにまかしておいて行ける、こういうことでなければ、結局早く帰してくれ、早く帰してくれといって、仕事をするよりも何とかコネをつけて本省に帰ってくることを専門に考えてしまうわけですから、こういう点から外務省なりあるいは文部省なり、やはり何か新しい立場からお考えをいただきたいと思うのですが、文部政務次官、いかがでしょうか。
○押谷政府委員 海外勤務者の子弟教育という問題は、勝澤委員御発言のごとく大切なことであり、しかも非常に重要な問題として緊急を要することと存じておるのでございます。従来海外に進出をしている商社の二十六社によりまして海外勤務者子女教育対策懇談会というものを持ちまして、その二十六社のほかに個人のこれに関係を持っている人たち、外務省、文部省ともに加わりまして、毎月二回ぐらい懇談会を持ちまして、これが対策にいろいろ研究をし調査を遂げ、立案をしてまいったのであります。その結果、ただいまのところでは、バンコック、ラングーン、ニューデリー等におきまする日本人の子女教育の施設につきまして、外務省のやっていらっしゃる施設に協力をいたしまして、国立の付属学校から教官を一名ずつ送っている程度でありまして、最近の日本の経済伸張の状況から見て外地に勤務をいたされる商社の人々、通信関係の人々、もちろん外務省のお役人、公務員の方々の子女教育は、一そう数も増してまいります。またそれに対する教育の関係で配慮をすべき分野もふえてまいりましたので、ただいまの来年度予算編成等においては、海外勤務者の子女教育は重点問題として取り上げておりまして、予算措置その他につきましても相当大幅に考慮をいたしております。詳しい関係は政府委員よりお答えをいたしますが、文部省といたしましての基本方針としては、そういう重点的な取り上げ方をいたしておることをお答えしておきます。
○高野政府委員 文部政務次官の御説明に補足さしていただきたいと思うのですが、お話がありましたように、海外において日本人がいろいろ活動をしておりまして、子弟教育というものは非常に大きな問題である。外務省は前々から学校なり、学校ができないところは現地でいろいろ講師を雇って、大使館が若干補助しておるというようないろいろな手を使いましていままでやっておりますが、本年の予算は一千六百万でございますが、来年度はこれを画期的にふやしまして、予算要求といたしましてはその十倍の一億七千万を要求いたしまして、いままでは主としてアジア地域でございましたが、ヨーロッパ、アメリカ、中南米にもこの施設を逐次拡充していきたいと考えております。
○勝澤委員 一人一人の問題でありまして、外地に働いてやっている人たちの話をほんとうに考えてみますと、たいへん子弟の教育というのは重要な問題であります。これは私よりも外務省の皆さんのほうがよく知っておると思うのです。ですから、そういう実情についてどういう対策がいいだろうかという点についても、現地における対策もあるでしょう。あるいはまた日本における対策もあるでしょう、そういう点もぜひひとつ十分研究をされて、やはりこれから大事な経済外交ということでどしどし有為な人たちにやとってもらわなければならぬわけでございますから、そういう人たちがやはり後顧の憂いがなくて働きができるようにという点についてはひとつ十分にお考えを願いたい。まあお考えになっておるようでありますけれども、ひとつ一そうの要望をして質問を終わります。
○堀川委員長 それでは山田委員。
○山田(長)委員 戦争以前と戦争後の在外公館の人員の配置はどんなふうになっておるか、まずお伺いいたします。
○高野政府委員 戦争前、大体昭和十三年を基準にいたしまして、本省定員が千二百五十五名、在外公館の定員が千十六名、計二千二百七十一名、戦後は本年度を基準にいたしまして、本省定員は千五百六十一名、それから在外は戦前よりちょっと減りまして、九百八十五名でございまして、合計二千五百四十六名、現在定員がございます。したがいまして戦前と比べますと、在外定員が少なくなっておるという関係になっております。
○山田(長)委員 海外に出ている外務省以外の省の職員が外地に行きますと、上位の位置になって、たくさん仕事をしておられる、あるいは一等書記官だとかあるいは参事だとかという要職におられると思いますが、外務省と他省との関係、どういう人事の話し合いが行なわれておって行っておられますか。それから外交目的と人員構成について、ちょっとこれはわれわれしろうとにしますと理解できぬものがあるのですけれども、ちょっと承っておきたい。
○高野政府委員 いま御説明申し上げました現在の在外定員の九百八十五名のうち、他省関係の方は主として経済官庁の方が大多数でございますが、合計百四十二名になっておりまして、通産省が一番多く四十五名、大蔵が三十一名、農林省が十六名、運輸省が八名、あと各省が四、五名ずつございます。そこでこの定員はどういう基準できまるかと申しますと、在外公館のそこの現状で、貿易ないしは金融関係ないしは農業関係がそこで重要だという国におきましては、各省庁から外務省に毎年要求がございまして、それを外務省のほうで現地の意見及び本省から見た考えをまとめてこれをしぼりまして、予算要求のおりに大蔵省に提出をして、協議の上それを決定する次第でございます。
○山田(長)委員 ただいま勝澤委員からも質問がありましたが、どうも私ふに落ちない点があるのは、現地に行って伺うと、ほかの省の方々が現地に行っていろいろお働きになることが二年未満ぐらいで交代になっているわけです。それらの人たちが帰ってから、はたしてそれでは外務省関係の仕事に携わっておられるのかというふうに見ますと、必ずしもそうではない。そういう点で、どうもせっかく外地に行って見習ってきて、それが帰ってきて別な仕事で海外生活と離れた仕事に携わってしまうということになると、何かもったいないような気がするのです。そういう点で、これは貿易振興のために必要であるとかあるいは大蔵省出身者で予算の面を担当してもらうというようなことであれば、帰ってきてからもなおかつそれらの職に携わっているということになれば、むだのないことになるのじゃないかという印象を持つわけです。この点はどうなんですか。
○高野政府委員 御指摘のとおり各省の人は、外務省より若干早く帰る方もおられますが、しかし四年ぐらいおられる方もおりまして、必ずしも各省だから腰かけで行くというふうには私ども考えておりません。
 それから各省の方が東京に帰りまして、元の省に帰られる。これは各省それぞれの人事管理の面でいろいろ人員の配置をされておるようでございますが、しかし通産省でいえば、やはり通商局に帰られる方が多い。したがって、外地の知識を生かして、また東京で仕事をされる。それから大蔵省におきましても、為替局とか主計局で、やはり外地の知識を生かして東京でまた働いてもらう。各省それぞれ独自の人事方針がありますので、人事の都合で全部が全部外交関係とか渉外関係ということにはなっておらないようであります。しかしいろいろな仕事をやる上におきましても、海外において国際感覚を養い、及びことばを習熟するということは、それなりに一つの力になり、貢献をしているのではないかと私は思います。
○山田(長)委員 高野さんには、二、三年前に南ベトナムを訪問したときに、いろいろ事情を教えていただいたり、あるいは外務省の関係の仕事に関して教えていただいて感謝申し上げているわけですが、当時実は南ベトナムでなくてタイへ行ったときに、タイにいる商社の人たちは、長い人は三十年から四十年あそこにおるという人に私は出っくわしました。これらの人たちが日本の第一線に立って仕事をされていて、現地の人になり切るくらい手腕を奮って、貿易商社の仕事をされていることを知って、これはなかなか老練な士が外地におられるのだという印象を私は持って帰ったんですけけれども、外務省のほかの省の人たちは帰られてくると全く関係のないところにお帰りになっている人もおるようで、何となしにもったいない気がするのです。
 そこで私は伺いたいのですが、在外公館の経済活動とか政治活動、こういう部門について、各国おのおの立場も異なるでしょうけれども、一体現地では情報収集あるいは経済実情調査等にはどのくらいの経費が使われておるのか、一応伺っておきたいと思います。
○高野政府委員 第一の御質問でございますが、民間の商社関係の方が一つの国に非常に長くいて、その土地の人情、風俗並びに人的なコネクションで非常に効果をあげているというお話でございますが、外務省といたしましても、特殊語学と申しますか、タイ語ですとかベトナム語、アラビア語、いろいろなことばの国には、やはりその現地に五年くらいおりまして、また本省に帰って同じ国に帰るという点で、表面には出ませんけれども、そういう人がおるわけでございます。そのほか現地、補助員と申しますか、日本人で長らくそこに住みついておる人が、官務補助員、現地補助員式に、表面には出ない人ですが、在外公館の活動に非常に後援をしておるという面もございます。
 それから第二の御質問で、情報収集にどれだけ金を使っているかということでございますが、これは公館を開いているということは、現地において相手の国と交渉する以外に、やはり現地のいろいろな情報をとるということ。費目といたしましては、交際費とか在勤俸、それ自身があれでございます。それから電信料、すべて在外公館に使っている経費が情報収集及び相手との交渉費といえるわけでございまして、情報収集費に具体的に幾らかということは、ちょっとせつ然と区別できない。在外公館の費用すべて交渉と情報収集と両方含まっております。そういうふうにお考えいただきたいと思います。
○山田(長)委員 外務省の実情で、外国の場合は、かなり長い歳月、勤務年限によって、自分の国へ帰して本国事情というものを勉強さしておるようであります。日本の場合、そういう点、さっきも勝澤君が質問しておりましたが、休暇についてはどんな規定があって、そして在外公館の人たちに日本の政治経済の実情というものを知らしてまた現地へ送り出すということになっておるのですか。
○高野政府委員 在外公館員は、本省の一般公務員と同じように、一年に二十日の休暇がありまして、仕事の繁閑に応じて適時やっております。それ以外に、日本に帰すために賜暇帰朝と申しますか、一時帰朝のあれとして、瘴癘の地では二年に一回、それから普通そうでもない、わりに生活状態のいいところは四年に一回ということになっておりますが、これは現地の事務の繁閑及び予算の関係上、必ずしもそういうふうにやれない。本年度は二十四名くらい、アジアとかアフリカから帰しておりますが、来年度はできるだけ帰すように、予算要求といたしましては、百名、本年度約二千万でございますが、来年度は、予算要求は八千万、四倍にふやして、できるだけこれの実現をはかりたいと考えております。
○山田(長)委員 日本の国会議員で、右も左もわからず外地へ行かれて、大使館や領事館でお世話になって民情視察やら、あるいは経済政治上の視察などをして帰ってくるわけでありますが、常時行っているわけじゃありませんけれども、かなりの数が各国の大使館、領事館に毎年行ってお世話になっておると思うのでございますが、毎年毎年どのくらいの人たちが行ってお世話になっておるのですか。
○高野政府委員 外務省の調査によりますと、旅券の発行数が年間約九万でございます。そのうち全部の方が在外公館に顔を出されたり、いろいろお話を承ったり、ないしはいろいろ交渉ごとにお助けするわけではございませんが、われわれの調べによりますと、九万二千件のうち、大体その半数以上、約五万六千人くらい、在外公館のいろいろな関係でお世話申し上げたり御説明申し上げたりしているような次第でございます。
○山田(長)委員 東南アジアに向けて、日本の、低開発国としての手はいろいろな角度で打たれておると思うのですが、当然日本の立場といたしましては、でき得る限りそれらの国以外の低開発国に手を打たれる必要があると思われるわけですが、特にアフリカについて、私はかなり手が打たれていいのじゃないかという印象を持ってきたわけです。それで現地でいろいろ話を伺ってみますると、来年度、五月からキャラバン隊を出して、そうして東アフリカ地域を回られるという話を聞きました。それで帰って調べてみますると、三十九年度の予算の中に日本貿易振興会のアフリカ市場巡回展示広報事業補助金として九千六百万円が計上されていることを知りました。そこでこの貿易振興のためにキャラバン隊を派遣されることはまことにけっこうでありますが、東ヨーロッパの地域を見て私は痛切に感じたのですが、日本の電気製品などは、各社から出ていてまるで無統制な状態に商品の単価がついている。それから、もちろんこれは写真機などというものは、かなり差があることはやむを得ないといたしましても、何かこの面について外務省がもっと力を入れて輸出の振興をやるべきじゃないかという点が一つと、それから今度のこのキャラバン隊には、私は、できれば当然医療班をつけて、医療の日本のすぐれた世界を知らせる必要があるんじゃないかという印象を持って帰ってきたわけです。この点、今度の巡回、製品を知らせて歩く広報宣伝活動には、ただそういう面だけの、商品を持って回るだけのことを外務省当局としては指導しておられるのか、もしそれだとするならば、ぜひ医療班等もつけて、民情を視察かたがた貧困な疾病者に対するサービス等も試みたならば、私はより一そうアフリカの人たちと親しみを増してくるんじゃないかという印象を持ちました。この点について御参考までに伺っておきます。
○高野政府委員 貿易の伸長につきましては、外務省はもちろん通産省、大蔵省、農林省、各省が各立場によってきめのこまかいいろいろな施策をしておるわけでございまして、いま御指摘のアフリカの巡回ということは、これはジェトロが主管してやっておる次第でございます。それから東欧諸国につきましては、これは国家貿易でございまして、なかなか貿易が伸長するのはむずかしい面もございますが、御承知のように、最近外務省といたしましては、東欧貿易使節団が小坂団長以下参りまして、その市場調査をしている次第でございます。それから医療巡回使節でございますが、これは現在のところまで東南アジアを主といたしましてインドネシア、ビルマ、タイ、シンガポール等を回っております。それからアフリカにつきましては、現在ナイジェリアに、大使館員として医者を外務省として置きまして、これが巡回して二月に一回ぐらい各公館を回りまして、館員並びに在留法人の健康診断をやって、その結果健康が非常に悪い人は一時帰朝さして、東京でまた入院をさせる、そういう措置をとっておる次第であります。
○山田(長)委員 今度角度を変えまして、別な問題でひとつ伺いますが、政府は力を入れて、外国、主としてブラジルに移民を出しておるようでありますけれども、このブラジル国のリオグランデ・ドノールティシュ・トールス郡プナウ植民地の黒崎享という人から実は手紙が参りました。行くときに十二町歩の土地がもらえるはずであったが、行ってみたところが、実際は砂地で使用にならないような場所で、それで五町歩であった、こういういいかげんなところへよこされて、どうしても日本へ帰りたい、こう言ってきておるわけです。国の援助を必要とする帰国者に関する、国援法という、略していう法律ですが、帰国者に関する規定がありますが、こういう規定を現地の人たちはおそらく知らずにいて、島流しにあったような状態で一家六人がいままさに死なんとしておるというようなことを言ってきておるわけですけれども、この外地における、そういう国が奨励して外地へ移民させて、それが責任を持たれない状態にあるというのは、一体どこに原因があるのでしょうか。
○高野政府委員 御指摘のように日本人が外国に参りまして、何らかの事情で、現地で困って生活ができないという場合に、日本に帰国させるために旅費を支給する。それに関して「国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律」という、いま御指摘の国援法でございますが、これに従いまして、外務省といたしましては、移民関係の人に予算額といたしまして、本年度は五百万旅費が組んでございます。それから移民の関係じゃなくて一般の旅行者ですか、邦人として困った方、これにも別途予算が四百万円ばかりついておりまして、本年度の実情といたしまして、移民関係の方が十一件、三百十六万円使っておりますし、一般関係の人は十九件、件数は多いんですが、近隣諸国から帰ってくるということで、百七十万使っております。御指摘の移民の方が現地で困っておられる場合に、領事館ないし大使館がそれを知れば、本人の希望があれば、この法律に従って、しかも予算の裏づけがございますから帰国旅費を出すことができるわけでございます。しかし、何らかの事情で、その本人が困っているということは領事館なり大使館が知らぬか、ないしは本人がお困りでもまだもう少し最後までがん張ってもう一発更生したいというお気持ちで大使館なり領事館に申し出てないかどちらかと思いますが、現実に日本に帰りたいということが在外公館でわかれば、この法律を適用いたしまして帰国旅費は出すことになっている次第でございます。
○山田(長)委員 外国からの手紙の文面によるもので明確でないけれども、外務省当局としても知っているだろうと思うのでちょっと伺いたいんですが、何か向こうにある海外移住事業団に支部長の大谷晃という人の所属する場所に疑惑を招くような不正事件があって、それでこれを米国の為替レートによってやみ取引で一応この疑惑を、不正な金の使用を解決つけようという、こういう事件があるようですが、何か外務省当局でこのことで知っていることがありましたら明らかにしてください。
○高野政府委員 いま移住局の課長が来ておりますが、課長もそういう事案は承知しておらないということでございます。
○山田(長)委員 いずれこれは現地の人から新聞にも出ておったというので語られてきておりますから、外務省当局にごらんに入れることにいたしましょう。
 これで質問を終わります。
○高野政府委員 その事件と申しますか、事案がはっきりいたしますれば、外務省といたしましての適切な処置をとりたいと思っております。
○堀川委員長 吉田委員。
○吉田(賢)委員 一、二伺います。
 経済協力局長に伺いたいんですが、経済外交の時代に入っておりまして、あなたのほうの任務が最もクローズアップされてきておるらしいんですが、そこで例の海外技術協力事業団というのがございますね。これはかなり広範な目的の事業を計画しているらしいんでありますけれども、工業技術を習得さすために低開発国から人を入れるというような設備は、国内ではどこに持っておるんですか。
○片上説明員 国内の研修施設としましては、従来は名古屋、内原、三崎と、この三カ所がございまして、この秋に二百名ばかりの収容並びに語学等の研修設備を持ちましたりっぱな研修施設が東京に完成しましたので、現在この四カ所でまとめて収容いたしております。もちろんこれだけでは収容余力が来る人間から比べましてまだ足りませんので、そのほかの施設を借りて使っておるものもございますが、大部分はこの四カ所に収容いたしております。
○吉田(賢)委員 それじゃ問題をもっと広げまして、いま工業だけを御答弁願いたいと思ったのですが、鉱業とかあるいは特に農業その他漁業合わせまして総人員何名くらいになるのか、内訳はどのくらいになるのか、これを数字だけでよろしいから簡単にひとつ。
○片上説明員 前年度から継続して滞日しておる者もございますが、三十八年度について申し上げますと、非常に短期の者、あるいはある程度、六カ月の長きにわたる者を含めまして、三十八年度で八百五十六名の研修員を入れております。
 三十八年度についての内訳がちょっと手元にないのでございますが、概数でございますが、農水産関係、これは農業、林業、畜産、水産全部合わせまして約二百五十名、それから建設、これは土木、建築、地震等を含めまして総数が百名足らずでございます。それから重工業が四十名、それからマイニングのほうの鉱業、軽工業、化学工業を合わせまして約六十名、それから公益事業、電力、ガス、水道等を合わせまして二十四名、それから運輸、この中には陸運、港湾、海運、観光等が入りますが、それが五十三名、それから郵政、これは郵便業務、電気通信、放送、テレビがこの中に入りますが八十五名、それから厚生関係、医療、保健衛生、福祉事業を含めまして三十五名、そのほか行政、これは経済計画あるいは労働監督者の訓練、行政一般というものを含めまして百十五名、その他という数字になっております。
○吉田(賢)委員 これは広範な対象になりまして最も必要なことであろうと思うのでありますが、国分けにしますと、これも大別でよろしいのでございますがどうなるのですか。
○片上説明員 国別でこまかい数字がいまちょっとわからないのでございますが、一応計画が地域別に分かれておりますので、地域別で置きかえさしていただきます。コロンボ計画、これは大体アジア地域が中心でございますが三百五十、それから中近東、アフリカ六十、それから中南米が四十、それからその他のものは、実は計画が原子力計画であるとか日米合同計画であるとかということで、地域別ではない区分けになっておりますが、御参考までに申し上げますと、原子力計画が一八名、その他アジア地域が二十二名、これは台湾が中心でございます。それから日米合同計画が百八十名、国連の諸計画が六十二名、向こうの政府の要請によって、向こうの政府が経費を原則として持つという計画がございますが、これが九十四名という数字になっております。
○吉田(賢)委員 そこで、これは主として技術協力だから、技術に重点を置こうというのはもっともなことでありますが、産業の開発ないしは広く経済開発という観点に立ちますると、特に終局においては、日本国内の要請といたしましては貿易の振興ということに大きく比重がつながっていくと思うのであります。そういたしますと、貿易関係、産業の開発ですね、現地の需給関係、経済事情調査との関連、こういうことを、通産省は通産省なりにおやりになる、外務省は外務省なりにおやりになるけれども、むしろ臨時行政調査会なども答申を出してその片りんも出しておりまするごとくに、そのような角度から外務省が統括してやるということが、経済外交を大きく推進する意味においていまの時世に最も適するものでないかと思うのであります。そういうふうな総合的な調整を、外務省はリーダーシップをとるというふうに持っていってはいかがかとこう思うのですが、いかがですか。
○片上説明員 経済協力分野に限って申し上げますと、現状では、経済協力業務自身が御承知のとおり、在外公館を通じ、相手国政府との関係が常時あるわけでございます。したがって、関係省と――現在経済企画庁、それから大蔵省、通産省その他農林省を含めて、技術協力になりますと十三省庁にわたる関係がございます。外務省といたしましては、対外的な窓口という角度から、あらゆる事業あるいは計画について各省と、実質的には外務省が中心になって協議し計画を立てて、実施してまいっております。やはりこのラインがありませんと、どうしても対外的に事業がばらばらになってしまうということは、相手国サイドにとっても好ましいことじゃございませんし、私たちも、輸出振興にしろ、あるいはほんとうの意味の協力にしろ、その実効をあげるためにも必要だという考え方で、従来、いま申し上げたようなラインでやってまいっております。
○吉田(賢)委員 その問題もっと展開したいので、掘り下げてしますことは別の機会にいたしましょう。
 そこで、さっきの事業団に戻りまして、事業団の場合にも、技術協力の事業はこれは非常に重要な、むしろひとつの先駆的な役割を果たすものと思うのですが、いま事業団の事務所があちらこちらに散在するという形式をとっておらぬのですか。これはどうなんですか。
○片上説明員 御質問の趣旨は在外のことだと伺いましたが、在外については、現在駐在員が一名バンコクに配置されております。実際の業務は、事務所という形ではございませんが、大使館との関係を円滑にするために、大使館の中で実際には執務しておる。これだけで、現状においては在外派遣員の総数一名のみでございます。
○吉田(賢)委員 この海外技術協力事業団は、事業団自身といたしまして相当広範な目的を持って事業を試み、計画し、推進していく責任も持っておると思うのですが、これは外務省の在外公館におきまして、それぞれの任務から事業団の行なうべき資料も提供せられることもあろうし、具体的にこういったものはつかむ方法もあろうと思いますけれども、事業団自体といたしまして、世界の各地にそれぞれと事務所とか派遣員がおって、その地方の必要諸問題を掌握する。その技術習得のために国内に八百数十名も、あちらこちらから志望者を集めて、一体何を習得して、どのようにこれが行なわれておるか、どのような成果が上がったか、また、どのように必要な要請にこたえ得る面があるであろうか。あるいは協力でありますから、商業ベース以外の多くの重要な任務も持っておりますので、そのようなことに貢献し得る実績もあるだろうか、このようなことも全部検討していくのでないと、ただいたずらにといいますと語弊がありますけれども、研修所で技術を教えて、そうして羽ができて飛んでいくということに終わってしまうのではないだろうか。といたしますと、非常にその辺が手薄ではないか。やはり外国にそれぞれ駐在する者が相当あって、情報もこちらへ報告せられ、また八百五十名の研修生のその後の実績、成果というものも明らかになっていくということが必要でないだろうか、そういうことをしなければ、私は首尾完結していかないと思うのです。もっとも、私自身が事業団の現地調査などやっておりませんので、ほんの机上の意見かもわかりません。わかりませんけれども、やはり事物の道理といたしましてそうあるべきじゃないかと思うのですが、その点どうですか。
○片上説明員 いまのお話ごもっともでございまして、事業団並びに外務省といたしましても、従来の事業団をとにかくここまで一応整備して持ってくるという時代が大体終わったというのが現状でございます。したがって、今後の仕事の進め方といたしましては、実際どれだけの効果が上がっておるか、あるいはやり方がよかったか、その結果がほんとうに、研修生がその国に帰って、生きているかということを十分調べて今後の計画に資していくということでなければならないという考えに立っております。そのために事業団といたしましても、一種の同窓会と申しますか、その刻々の動静を把握して、それにいろいろな新しい資料を追加して送ってやるという計画を現在考えておるわけであります。
 それから、技術協力の出先での事業につきましては、在外公館にそれぞれ担当官というのが一応配置されておりまして、これが派遣された専門家あるいは帰国した研修生の動向をつかんでいくという仕事をやっておるわけであります。ただ、何ぶん仕事がこまかい特殊な面もございますから、とりあえず、先ほど申し上げましたようにバンコクには一名事業団自身の駐在員を派遣しておる。来年度におきましては、バンコクにさらに一名増員すると同時に、ニューデリー及びインドネシア、ジャカルタに新規に駐在員を派遣したい。その駐在員が中心になって、いま先生からお話のございましたような現地事務を積極的にやっていくということを考えております。
 それからさらに外務省自身の調査経費、あるいは事業団の額はいまだ少のうございますが、調査費も幾分計上いたしまして、相互で連絡しながら、場合によっては一緒になって、地域別に毎年調査団を送って、現地の実情を効果の測定という角度で検討いたしております。
○吉田(賢)委員 この問題は非常に重要なことで、バンコクに一人おるということでは私どもは心細く思うので、そういう画期的と申すと何ですが、私ども個人的には、この種の仕事が必要であることは、終戦当時からやかましく言った一人なんですが、私なりのことを言って失礼ですけれども、二十数年前にシナ、満州、朝鮮あたりから青年を集めまして、そうしてこちらで教育してあちらへやって、あちらでまた調査してその成果をはかっておったというようなこともやっておったのですが、そういうこともかんがみまして、やはり首尾一貫して次第に拡大していって、この重要性がずっと根をおろしていって、日本の将来に、たとえばアジア地域、近東、アフリカから中南米に至りますまでずっと根をおろしていくということに発展するためには、どうしても――一年一年調査団を派遣するのも大事ですけれども、やはりこういう四つの大きな地域からざっと八百、千人近い者が来ておるんですから、それは一人じゃなしに数名、複数の駐在員がおりまして、あらゆる動向、あらゆる情勢を報告するというぐらいに規模を持っていきませんと、とても成果があがってきまいと私は思うのです。ことに日本だけではありますまい。アメリカにしましても、どこにしましても、低開発国に対するあらゆる協力が猛烈にされつつあるような現状であることにかんがみまして、経済外交の大きな観点からいたしまして、日本の一つの役割りじゃないだろうか。これにはバンコクの事務所にぽつねんと一人おるというような現状を見まして、どうもその規模が思いやられるというふうに思いますので、これは希望ですけれども、それもひとつ積極的に予算を組んで、そして調査に行くということよりも、どんどんと向こうから情報が毎週送られてくるぐらいに活発にやらないと、とてもいくまい。そうして足りないものは何か、もっと求めるものは何か、次第に新規にしなければならぬものは何か、こういうふうにこれは相当広範囲にわたっておりまするが、ことに要請されるべきは、厚生関係が三十五名ということであります。これは御承知と思いますけれども、低開発国における厚生諸問題というものはもっと大きく取り上げることが効果があるわけでありますから、これが相当比重を占めるということになることは、私は、まことに結果的に望ましいことと思います。これは外務省全体として希望しまするので、政務次官からひとつ大臣にもお話しになって、その点ひとつ予算要求をうんとして、そうして在外の駐在員をもっと拡充して、積極的にそのほうから情報をこっちへもたらして、そうして内地の改善、進展、拡大をしていくという方向へ、施策の根源をむしろ外に置きたい、こういうふうに思われますので、その辺は十分御協議があってしかるべきだと思うのです。ひとつ政務次官からその点についての御発言を求めて私の質問を終わります。
○永田政府委員 ただいま吉田議員から貴重な御意見を拝聴いたしまして、外務省のこれからの行き方につきまして御示唆をいただきまして、まことにありがとうございました。大臣にもよく相談をいたしまして、御期待に沿うようにがんばりたいと思います。
○堀川委員長 次会は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三分散会