第047回国会 地方行政委員会 第5号
昭和三十九年十二月三日(木曜日)
   午前十時二十七分開議
 出席委員
   委員長 森田重次郎君
   理事 亀山 孝一君 理事 田川 誠一君
   理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君
   理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君
   理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君
      大石 八治君    大西 正男君
      亀岡 高夫君    久保田円次君
      武市 恭信君    登坂重次郎君
      村山 達雄君    森下 元晴君
      山崎  巖君    和爾俊二郎君
      秋山 徳雄君    阪上安太郎君
      重盛 寿治君    千葉 七郎君
      華山 親義君    細谷 治嘉君
      門司  亮君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 吉武 恵市君
 出席政府委員
        警察庁長官   江口 俊男君
        警  視  監
        (警察庁警備局
        長)      後藤田正晴君
        自治政務次官  高橋 禎一君
        自治事務官
        (行政局長)  佐久間 彊君
        自治事務官
        (財政局長)  柴田  護君
 委員外の出席者
        警  視  長
        (警察庁警備局
        警備第二課長) 後藤 信義君
        自治事務官
        (行政局給与課
        長)      胡子 英幸君
        自治事務官
        (財政局財政課
        長)      岡田 純夫君
        自治事務官
        (財政局交付税
        課長)     石川 一郎君
        専  門  員 越村安太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 小委員会における参考人出頭要求に関する件
 昭和三十九年度分の地方交付税の特例等に関す
 る法律案(内閣提出第五号)
 警察に関する件(横須賀市における原子力潜水
 艦寄港反対デモの際の警察官の職務執行に関す
 る問題)
     ――――◇―――――
○森田委員長 これより会議を開きます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
 地方公営企業に関する調査小委員会において、地方公営企業について調査を進めるため、明四日金曜日、参考人として大阪市交通局長今岡鶴吉君、全日本水道労働組合書記次長小倉悟君、地方公営企業制度調査会会長北野重雄君、日本都市交通労働組合連合会中央副執行委員長鈴木冨司君、東京都水道局長扇田彦一君、以上五名の方の出席を求め意見を聴取したい旨小委員長から申し出がありました。
 つきましては、同小委員会に出席を求め、その意見を聴取するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
○森田委員長 次に、昭和三十九年度分の地方交付税の特例等に関する法律案を議題とし、質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので順次これを許します。秋山徳雄君。
○秋山委員 本日は、大臣がまだ出席がありませんので、大臣に関する質疑は後刻に譲りまして、それまでの間において確かめておきたいことがございますので、まずその時点において質問をさしていただきたいと思います。
 今度、給与改定の問題が大きく唱えられまして、まず人事院勧告に伴いまして、それに伴ったところの地方公務員の給与ベースの改定が行なわれたのでありまして、それに見合っての特例法がいま上程されているわけでございます。そこで、私ども考えてみますと、給与をきめるときの基本的な考え方、これは地方公務員法の二十四条にかなり多くの項目をあげてそれぞれうたってあるはずでありますが、これらの点につきましては、大臣が見えてから、大臣にお尋ねを申し上げたいと思いますが、基本的な考えと結びついて考えられることの中にたくさんの事柄があるわけであります。たとえば市町村の職員――市町村といっても市の職員、町村の職員、これらについてかなりの本俸における差異があるわけです。同時に国家公務員、府県職員と、いま申し上げました町村職員との格差、こうしたものももちろんあると思います。あわせてまたそれに付帯したところの各種の手当が考えられなければなりませんし、同時にまた春と夏、暮れの期末手当の問題などもあわせて考える必要があるのではないかと思います。
 そこで、まずお尋ね申し上げたい問題の中に、自治省におきましては、先般来かなり長い期間にわたって町村の人たちに対しましての手当の方法、こうしたものについて、いろいろな指導がなされておると聞いておりますが、まずその事情についてお尋ね申し上げたいわけであります。というのは、いま申し上げましたように、町村職員というものは国家公務員と比べますとかなり大きな格差があるわけでございます。いつもいろいろな場において討論や話し合いがなされる場合もありますが、それについて考えてみますと、多くの場合財政という問題が大きく浮かんでまいりまして、それに伴って頭打ちをしていく、こうしたことが間々行なわれておるのが通例のようであります。今度の場合におきましても、何かいろいろの場に出ることばの中に、国家公務員と地方公務員との格差、これも低いほうの場合にはあまり論議の種にならないようでありますが、おもに取り上げられるところの多くの問題は、地方公務員のほうが国家公務員よりもかなり給与体制がいいのではないか、こういうことのようであります。そのために自治省といたしましては、各機会を通じていろいろの立場からこれらを是正しなければいけない。いわゆる国家公務員よりも地方公務員のほうが給与ベースが高いということはけしからぬことだというふうな指導が行なわれているようでありますが、その半面いま申し上げましたように、町村の場合には、国家公務員やあるいは府県職員、市の職員、こうした人たちと比べると、かなり大きな格差があるわけですが、これらを処理するために自治省の指導方針として一体町村職員の給料を国家公務員並みに上げていくにはどういう努力を払っておるか、そういうことをお尋ね申し上げたいと思います。
 もう一つは、それとあわせて考えなければならないことの一つに、これに見合っての各種の手当がございますが、超過勤務手当を支給するにあたりまして予算がないからということを裏づけにして、超勤手当というものを出し惜しをしている。こういうところがたくさんあるわけであります。これらはどういう形において行なわれるかといいますと、御存じのように府県には人事委員会がありますし、市には公平委員会というものがあるし、あるいはまた労働基準監督署の監督も受けなければならないということになるでありましょう。しかしながら、町村にはそうしたものがありません。したがって任命権者である町長なり村長がその代役をつとめるということですから、自分の思ったとおりにどんどんやって、何か問題が起こったといたしましても、これはその人たちがその立場において解決しなければならない、こういうようなことが行なわれるわけですけれども、これらについて自治省の指導方針はどういうところに置いてあるか、それについてお答えをいただきたいと思います。
○佐久間政府委員 お尋ねの点は町村職員の給与が非常に低いではないか、それに対して自治省としてはどういうような改善の指導をしてきたかということでございます。町村職員の給与が、府県あるいは市の職員と比べまして、さらにまた国家公務員と比べまして低いところが相当あるということは、私どもも事実と存じております。自治省といたしましては、地方公務員全体につきまして国家公務員に準じて給与が改善されるという一般的な方針をとって従来措置してまいったわけでございますが、特に町村職員の給与の低いところが多いという事実にかんがみまして、昭和三十五年の二月でしたか、町村職員の給与の改善につきまして通達を出しまして、町村職員の給与についても国家公務員に準じて改善がなされるように指導をしてほしいということを都道府県知事あてに依頼をいたしたのであります。もちろん町村によりまして職員の構成も違いますし、また財政状況等も違うわけでありますから、非常に低いところを一挙に国家公務員ベースに近づけるということはできないところもあろうかと思いますが、計画を立てて徐々に国家公務員べースに改善をするというように指導してほしいということをこの通達の中で述べたわけでございます。なおまた、市町村職員の給与に関する条例、規則等が、当時不備なところもございましたので、この通達の中でそれらの条例、規則も整備をするようにということを申したわけでございます。その後徐々に改善されてきておると思いますが、なお現在まだ相当低いところがあるようでございます。そこで、私どもといたしましては、特に給与のべースの低いところ、あるいは初任給などが著しく国家公務員と均衡を失した低い初任給をきめておるというようなところにつきましては、さらに積極的に改善をするように指導をいたしております。その具体的な方法といたしましては、本年の当初におきまして自治労のほうから、調査をされた資料が提出されましたので、その資料を私どもも検討をいたし、また必要によって県を通じて調査をいたし、事実そのとおりの事例が相当あったわけでありますが、その点につきましては県のほうからしかるべく指導をするように、さらにまた非常に極端なものにつきましては、直接私どものほうから改善をするように通知もいたしまして指導をしてまいったわけでございます。今後もそのような考え方で市町村職員の給与の改善につきましては努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
○秋山委員 いま御答弁いただいたのですが、その中で条例や規則の制定の問題にも触れていたわけですけれども、これは当然のことだと思います。私が聞いている範囲では、これはおそらく自治省の調査だと思いますけれども、昭和三十八年ごろの調査によりますと、すでに規則や条例ができておるところが千八百十一町村であって、未制定のところが千七十八町村もある、こういうふうに聞いておるわけです。この数字に間違いがあるかどうか、御確認をいただきたいと思います。
○佐久間政府委員 ただいま手元に資料がございませんので、正確には御答弁申し上げかねますが、ただいま先生のおあげになりました数字は、ちょっと私承知をいたしておりません。それで、給与その他の勤務条件に関する条例、規則は、御承知のように、地方公務員法に基づきまして、非常に多くの種類があるわけでございます。それらの中には、それに該当する状況のない町村においては制定してないものもあると思いますが、私どもはそれらの必要なものについては全部整備をするように指導してまいっております。最近調べましたところでは、一番基本になります給与条例は、全国市町村を通じまして、全部制定されておるという報告を受けております。そのほかの、それに関連をいたしましたいろいろな規則がございますが、それらの中には、あるいはまだ整備されてないところも若干あるのではないかと思っておりますが、それらの点については、引き続き整備するように指導をしてまいるつもりでおります。
○秋山委員 いまの答弁によると、条例は全部でき上がっておるということですが、私が調べたところによると、まだまだこれが全部とは言い切れない面があると思いますし、規則においては、いま申し上げましたように、制定されたところとされないところと相半ばしている程度ではないか、こういうふうに了承ができるわけですけれども、先ほどの答弁の中にもありますように、昭和三十五年の二月の通達に基づいて、今日まで相当の年月を経ているわけです。それにもかかわらず、こんなような状態であったのでは、何か監督の足りない点があるのではないかという心持ちがしてならないわけですが、これは一片の答弁や何かでなくして、あるいはまた県の地方課を通ずるなら通ずるでけっこうだと思いますけれども、これらをもっと督励をしていただいて、より以上早くこれらの問題が解決できるように努力をしてほしいと思います。
 なおまたもう一つの問題でございますが、先ほどもお話ししましたように、国家公務員と地方公務員との給与の体系の問題ですけれども、これらについても、大体において、府県の場合には本俸額で二万七千二百十三円くらいじゃないかと思うし、五大府県になると、三万百十六円程度であり、それが普通一般都市になりますと、二万四千五百二十九円くらいであって、町村職員になりますと、ぐっと落ちて、一万八千九百六十五円くらいであろうかと思うわけであります。それに対しまして、国家公務員の場合には、三十八年の四月現在の人事院で調べたものによりましても、二万六千九百八十円、こういうことになってまいりますと、この町村職員との格差というものが非常に大きなものになるわけです。これらについてどういう指導方針をとっておられるのか、またそれに対する交付税の処置や何か、あるいは財政計画の上に対しての人件費の取り扱い方法、こうしたものについてお示しをいただければ幸いだと思います。
○佐久間政府委員 先ほどの条例、規則の整備につきまして、なおつけ加えさしていただきたいと思いますが、これはおっしゃられるまでもなく、完全に整備をさせるべきものだと思いますし、御指摘のような、なお若干未整備の点があるように思いましたので、本年の七月に重ねて私の名前で通達を出しまして、これらの条例、規則を整備するようにということを指導いたしたわけでございます。その状況につきましては、通達の出しっぱなしじゃなくて、適当な時期に報告を徴して確認をいたし、さらに未整備のものがございますれば、督励をいたすようにしてまいりたいと存じます。
 それから府県、国、市町村の給与の数字をおあげになりましたが、財政に関する分につきましては財政局長から御答弁していただきますが、私どものほうで、国家公務員との比較につきましては、単なる全体の算術平均と申しますか、そういうものではなくて、学歴、勤続年限の同じなものにつきまして、高いか低いかという比較をいたさなければならないわけでございます。そこでそういう調査になりこすると、相当大がかりな調査になりまするので、実はこれまでのところ、四、五年に一度はそういう調査をやっておりまして、昨年の七月一日現在でこの調査をいたしました。これは地方公務員の全職員を対象といたしまして、いまの学歴、勤続年数別にそれぞれ資料をとったものでございまして、現在統計局に依頼をして集計中でございますが、もうそう遠からぬうちに結果が出ると思いますので、それが出ましたならば、ただいま御指摘になりましたような点は、それをもとにいたしまして検討をいたしてまいりたいと思います。
○柴田政府委員 財政の部分についてお答え申し上げますが、財政計画上の単価をちょっといま手元に資料を持っておりませんので、後ほど御報告申し上げたいと思いますが、財政計画を組みます場合の計算の基礎は、昭和三十年に地方公務員全体について悉皆調査をいたしました。そのときに学歴、経験年数別の職員数が出ております。そこで、学歴、経験年数別のそれぞれの職員について、当時の国家公務員の俸給を当てはめまして計算をした額を基礎にいたしまして、その後の給与改定等、それぞれの改定のあります際に、それぞれそれを基礎にして計算したものを充てております。それを大体の基礎にして地方交付税の単価をきめるわけでございますが、この単価はお手元にお配りいたしております資料の中にありますように、府県と市町村と分かちまして、部長級、課長級、それから一般吏員を甲、乙、丙、上、中、下、吏員になって間もない人、中堅吏員、古い吏員と、大体三階級に分けまして平均の給与単価をきめております。その給与単価は、府県でいいますならば、現行では部長級が本俸で七万六千五百円、課長級で五万三千五百円、市町村にまいりますと、同じく部長級で七万四千七百円、課長級で四万九千九百円、これが現在の交付税の単価でありまして、これを今度国家公務員について行なわれます俸給表の改定に準じて改定をいたしました場合に幾らになるかという単価をきめて、交付税の計算をいたしておるわけであります。改定されました額は、九月から給与の改定がされるということで、これを年間に引き延ばして計算いたしますと、府県の部長級で八万二千九百円になり、課長級で五万七千四百円、市町村でいいますと、同じく部長級が八万八百円、課長級が五万三千六百円、こういう形になって、以下順次、甲吏員、乙吏員、丙吏員、それから雇用人は甲雇用人、乙雇用人、甲雇用人というのはやや古い人、乙雇用人というのは新しい人という形で、それぞれの単価を改定いたしておるわけであります。この改定された単価を用いまして基準財政需要額全体の再計算をする、こういうことになっております。
○秋山委員 今回の国会の会期の関係もあって、あまり時間がありませんので、できるだけ簡潔にもの申したいと思いますが、得てして考えたいことは、国家公務員と地方公務員との格差の問題と、あわせて職域の関係の違い、こうしたものを考えてまいりますと、現状においては市町村よりも――市町村ということばはつながってしまいますが、市や府県と町村と比べてまいりますと、大体において通念的に考えましても、町村職員のほうが勤続年数はえてして長くなりがちであります。しかるにもかかわらず、いま申し上げましたように、国家公務員との格差は非常に大きいのであって、しかもいつも国家公務員よりも地域の関係やその他でかなり高額になっているのではないかということが議論の対象にもなるし、あわせて自治省の重点的な施策の上にあらわれてくる面におきましても、同様に国家公務員よりも地方公務員の給与のほうがよろしいんだということの概念的な考え方に立って、ものを処理し、監督指導していくというふうな気持ちがしてならないわけであります。いま佐久間行政局長の答弁の中にもありましたように、条令はほとんどできたというものの、細部的な、たとえば初任給の問題であるとか、あるいはまた昇格や昇給に対する規定のしかた、こうしたものについてはまだまだ制定が非常におくれているという現況であるはずであります。これらについてもっと親切に、これらの人たちがよりいい給与になって、安心をしてりっぱに職務が全うできるように指導すべきではないかと思うわけであります。そういうことについて特別の御配慮をいただかねばならぬのじゃないだろうかと思います。
 引き続いてお尋ねしたいことは、先ほどもちょっとお話し申し上げましたように、超過勤務手当ということになりますと、これはほとんどの町村で、まだまだ支給をされないところがあったり、あるいは支給をしているんだという報告がありましたといたしましても、それは選挙の場合の超勤であるとか、特定のものに限られておって、一般の職務の状況に伴って行なわれてまいりますところの超過勤務に対する手当はなかなか支給をされない。たまたま支給をされているところであっても、予算の関係で全額支給ができないということで、頭打ちがされておるのが各府県や市町村を通じてあまねく言えることだろうと思うわけであります。これらについてどういう指導をなさっておるのか。そしてまた先ほどのお話のように、財政的に考え、あるいは交付税の対象額として考える場合に、どの程度の超勤を見ておるのか、これらについてもお答えをいただきたいと思います。
○佐久間政府委員 正確には私どももつかんでおりませんが、一部の町村につきましては超勤をやってないというところもあるかとも思いますが、しかし一般的に言いますと、超勤の支給ということは行なわれておるものと考えておるわけでございます。超勤は、もちろん超過勤務の命令が出まして、それに基づいて超過勤務をいたしました実績に応じて支給をされるべきものでございまして、予算的にも超勤を基準財政需要の中に織り込んであるわけであります。予算に計上されておるわけでありますから、予算の範囲内において超過勤務の命令をし、その実績に応じて支給をする、こういうのが超勤でございますし、かようなふうに指導をいたしておるわけでございます。
○柴田政府委員 財政措置をいたします場合は、超過勤務手当は基本給の六%という計算で、一般には財政計画上の単位費用をはじきます場合も当然そういう計算をいたしております。ただ警察につきましては九%、刑事警察は一二%、こういう計算をいたしております。
○秋山委員 ここで答弁を聞いておると、なるほどと思うような御答弁でございますが、実態から考えていくと、なかなかそううまいあんばいにいってないわけです。たとえば国の場合を考えてみましても、財政を握っている大蔵省の権力というものは非常に強い。また府県にいっても、町村にいっても、やはり財政を持っている部課というものが非常に強さを持っているわけなんであって、たとえば予算編成なんかがあって、かなり長い超過勤務の時間がとれたということになりましても、これらについては頭打ちをしないけれども、その他の部課においてはかなり多くの頭打ちがなされているわけであります。ごくひどいところになれば、職務に見合っての給料なんだから、時間外勤務をやるということは、昼間なまけておって夜仕事をするのじゃないか、だからそういう者には与えないのだということを声を大にして言っておる町村長などもあるわけであります。これらは最も不都合なことであって、超過勤務手当の問題は労働基準の関係からいってみずからの権利である。それをいま言ったことを理由としてなかなか全額支給をしない、こういった例が各府県あるいは市町村に非常に多くなっているわけであって、財政規模を考えるときにも、六%というと聞こえは非常によろしいように聞こえますけれども、そのうちの大半がどういうものに使われるかということになりますと、予算編成でありますとか、決算調整でありますとか、あるいは議会関係に従事している人とか、こうしたものに多くの超過勤務の財源がとられてしまって、他の課にはなかなかそれが及んでいかない、こういうことが実態のようであります。それらを是正するには、やはりあなた方がかなり熱心にこの問題に取り組みながら指導をしていかなければ解決がつかない問題ではないか、かようにも考えるわけであります。したがって、そういうことを考えましたときに、年々歳々特に市町村の場合にはその仕事はふえていく。国の仕事もふえるといいながら、国の仕事というものは、計数を整理したり、あるいは計画を立てたり、あるいはまたこれらを軌道に乗せていく。これだけの単なる任務にすぎないかもしれないけれども、市町村の実態ということになりますと、そういうことにはなりません。先般私が本委員会で申し上げましたように、たとえば横須賀、佐世保のようなところへ原子力潜水艦が入ってくる場合を想定いたしますと、国の施設を市町村が押しつけられてやった事例がある。私が現地に行って見てまいりますと、どこにその施設をやってあるかということになりますと、これらの一例をあげましても、ベースの中へ小屋をつくったところ、ポイントをつくったところ、こうしたところは、今度はアメリカの支配権だけでは通りが悪くなってしまったので、最近においては新しくその部分だけを日米共同使用という形に変えております。それから有線で持ってまいりまして、先般私がこの委員会では市役所かどこかにと言いましたけれども、これは市役所ではなくて消防署の中にこの機械を据えてあります。行って現物を見ますと、ちょうど私たちが心電図にかかったときのように、ちりちり記録がなされております。これらは常時見ておらぬかもわからぬけれども、かなり見ておらなければならない。そしてまた許容量がふえた場合にはブザーが鳴るということになりますと、これをやはり科学技術庁に通報しなければならない、こういう問題が逐次ふやされてまいります。これは市町村が好むと好まざるとにかかわらず、国から押しつけられる仕事であります。国から押しつけられる仕事が逐次ふえておりますし、同時にまた住民と直結したサービス機関ですから、事務、事業というものはどんどんふえてまいるはずであります。にもかかわらず長い間の伝統として、超勤手当は六%で押えている。こういうことはもうここで考え直す必要があるのではないかと私は思うわけですけれども、それらについて行政指導面で今後どういうふうな行き方をされていくのか。そしてまた財政的な裏づけをして、これを幾分ずつでも上げていく用意があるのか、これらについてもお尋ねを申し上げたいと思います。
○佐久間政府委員 財政的に見て、ただいま財政局長からお答え申し上げましたものが妥当かどうかという御議論もあろうかと思いますが、従来からの経験に基づきまして大体この程度で実態に即して妥当するであろうということからきめられておるものだと思うのでございます。むろんこれは一つの基準でありますから、個々の団体におきまして実際の勤務の実態を見まして、さらにこれに応じて評価しておる団体もあるわけでございますし、それは個々の団体の財政指導にゆだねるべきものじゃなかろうか。ただ全体といたしまして町村の実際の仕事、勤務の実態から見まして足らないというようなことでございますれば、私ども行政指導をしておる者の立場からも財政指導をしておる方々にお願いをしたいと思いますが、現状におきましては大体こういう基準で各団体がそれぞれ実情に応じて運用をされておるというふうに判断をいたしておるわけでございます。
○柴田政府委員 先ほど答弁を保留いたしました財政計画上の基本俸単価の問題をちょっと御説明申し上げます。
 財政計画上は交付団体でございますけれども、三十九年度の当初計画では県の本俸単価が三万七百五十六円、市町村が二万七千三百九十三円でございます。これが先ほど御説明申し上げました計算基礎に基づきまして、今日まで来ておるわけであります。したがって、今回給与改定になりますと、この単価が直っていくわけであります。
 それから超過勤務手当でございますが、六%という数字は国家公務員の場合、国の予算の組み方に平仄を合わしてきておりまして、従来からその態度を変えておりません。ただ、実際問題で県の場合――市町村の場合には、御指摘のような事情もあろかうと思いますが、県の場合におきますと大体六%程度で組んで――ところによってはもっと押えるところもございますが、それは一応六%で組んで、その中で各部局の実態を見ながら予算配当をしておるというのが実態でございます。御指摘のように、財政部局が強いから、財政部局が取ってしまうというようなことも、全然ないとは言い切れぬ面がありはせぬかという感じはいたしますけれども、国の場合でも、超過勤務を命じた者については超過勤務手当を払う。同時に、逆にまた超過勤務を命ずる場合には、予算を越えて命じてはいかぬという両方からの縛りがあるわけであります。地方におきましても、やはり両方からの縛り方をしておるわけでございますが、それが勤務の実態から見ていいか悪いかというような問題は、御指摘のようにあろうかと思いますけれども、同時にまた、勤務のしかたにも問題があるかもしれない。双方、両々相まって、妥当かどうかという問題はさらに検討すべき問題だろうと私どもも考えております。ただ、現状におきましては特にこれによって不都合だというような声はあまり聞いておりません。
○秋山委員 なるほどあなたのおっしゃるように不都合があるという声はなかなかあなたの手元までは上がってこないでしょう。特に市町村の人たちがあなたの前に行けば、もう平身低頭していつもお願い事ばかりなんですから、そういう声は出ないと思います。また市町村で、それじゃ財政措置を六%見てあるのだからといって、予算上に六%を計上しておるところがあるかということになりますと、おそらくないと思います。決算を調べてもらえばよくわかると思いますが、そんなわけにはいかないと思います。少ないところであれば全然ないところもあるし、平均して考えたところで大体三%から四%が標準のようであります。そういうことでありますと、せっかく国のほうで親心で六%程度を財政措置の問題として考えられておるのだということになっても、実際にはそれが行なわれないということになりますと、これは権利義務の問題もからんでくる問題じゃないかと思っております。いろんな問題が生じてこないとも限りません。こういうことを考えたときに、もっとこういう問題については、よりよき指導を重ねてもらうべきではないかと思いますので、そういうことに努力をしていただきたいと思いますし、先ほど簡単にものを申しましたけれども、市町村の実態というものは、毎日々々仕事がふえてまいっております。したがって、勤務の状態から見てまいりまして、かなり平常勤務と比べて無理が増してくるんじゃないかという心持ちもいたしてまいります。したがって、国家公務員の場合は六%であるが、地方公務員の場合はそれでいい場合もあるし、よくない場合もあるはずであります。したがってそこらは自治省そのものがめんどうを見てやらなければならないところなんですから、自治省の人たちがそういうところにまで気を配っていただいて、国家公務員の場合にはこうだろうが市町村の実態はこうなんだということを、大蔵折衝の場合にも強く申していただいて、これが少しずつでも上昇していくように努力をしてもらわなければならないことだろうと思います。
 もう一つ聞きたいことは、同じようなものでございますが、最近二、三年前から行なわれておるようでありますが、何と言いますか、管理者手当と俗に言われております。これは管理職員に支給すべきものだと思いますが、管理職というものの定義がはっきりしておらない面がたくさんあるだろうと思うのです。これらについて、自治省ではっきりと、管理職とはどういう人たちをさすのか。これには財政措置の問題としては、こういうものにこういう程度の管理職手当を支給するのだということがなければならないはずだと思いますが、それらについてお示しをいただきたいと思います。
○佐久間政府委員 管理職手当が国家公務員の場合に設けられましてから、地方公共団体におきましてもこれを参考として支給する事例がだんだん多くなってきてまいっております。で、どういうものを管理職と考えるかということにつきましては、従来地方公務員法におきましても必ずしも明確な規定があったわけではございませんし、私どもといたしましても格別の指導はいたしておりません。御承知のようにILO八十七号条約の批准に関連します地方公務員法の改正にあたりまして、従来提案してまいりました改正案の中におきましては、管理職の範囲を明確にするように規定がなされておるわけでございまするので、この改正が成立をいたしました暁におきましては、その法の趣旨に従いまして、管理職というものの範囲をより明確にしなければならぬものと思いまするし、私どももそのように指導をしてまいりたいと考えております。ただ、この管理職手当は、それでは管理職と言われるもの全部に対して支給するかどうかということにつきましては、これはまたおのずから別個の問題かと思うのでございまして、それは地方公共団体における支給の実態も考えまして、さらに検討をしてまいりたいと存じます。
○秋山委員 管理職の定義というものが、どこを見てもあまりはっきりしておらないことは事実だと思います。しかし、どこかでこれを指示していかなければ、いつまでたってもはっきりしないわけです。あるところによっては課長までが管理職と言われるところもあるでしょうし、あるところは部長までというところもあるでしょうし、また場合によっては係長クラスまでが管理職だという人もあります。そうしたことでは、何か的がないのであって、管理職と言われれば、管理職手当規定ができておるので、それが何%かは別として、もらわなければならないという感じが出てくるというのは理の当然だろうと思います。それらについて、もう制定されてからかなりの年月がたっているわけですけれども、いまだにそれがはっきりしないということでは困ると思うし、やはりこれらはあなた方が中心となって、最小限度、この程度までは管理職に置くべきじゃないかというふうな目途が置かれていいのではないかと思うのですが、それらについてひとつもう一度お答えをいただきたい。
○佐久間政府委員 先ほど申し上げましたように、いま、従来は必ずしも御指摘のように管理職の範囲が法令の上で明確にはなっておりませんし、私どもも明確な指導はいたしておりませんでしたが、ILO八十七号条約の批准に関連をいたしまする地方公務員法の一部改正が成立をいたしますれば、その法律に基づいて管理職の範囲が明確にされることになるわけでございまするから、その際管理職の範囲については、また国会でいろいろ御審議もいただくわけでありますが、それによって定まりましたところに従って、私どもといたしましては、今度はひとつ明確な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
○秋山委員 ただいまの管理職手当の問題について、財政措置はどうなっておりますか。
○柴田政府委員 財政計画並びに交付税の計算、両方を通じまして、部長以上を一八%、それから教職員については、校長と教頭について管理職手当をやっております。あとは全部超過勤務手当の計算でやっております。
○秋山委員 いまのは聞きそこなったのですけれども、部長と、学校では校長と教頭ということですね。――そうすると、各府県によって違うかもしれませんけれども、府県などの場合には、課長クラスまでがほとんど管理職というふうになっておるわけであります。それに対して見合う財源として部長までだということになりますと、やはり県としては持ち出しを多くしなければならぬということになってまいります。それでは全体的に考えて、府県の場合に平均として何名くらいを予測しておるのか、市の場合には何名くらいを予定して立てておるのか、それから町村の場合にはどの程度までで、およそ何名くらいになるのか、この標準があろうかと思いますけれども、財政計画の上から見て知っておりましたならば、御答弁をいただきたい。
○柴田政府委員 部長以上でございますから、府県の場合につきましては自治法に示されております部局、これに大体相応するものが見られておる。それから市町村につきましては、先ほど申し上げましたように大体単位費用の計算等は課長以下で計算いたしておりますので、大体普通の場合は入っておりません。ただ大きな市、五大市等になってまいりますと、種別補正、各種の補正係数等で多少入っておりますけれども、そう額はたいしたことではございません。したがって、実際問題といたしましては、特殊のものが管理職手当ということに見られておりますが、大体は財政措置としては超過勤務手当等で措置されている、こういうふうにお考えになってけっこうだと思います。ただ、管理職手当で見るのがいいのか、あるいは超過勤務手当で見るのがいいのかということになりますと、実際問題といたしまして、財政的にはどちらがオーバーするかわからない。これは実際に財政運営をしてみますとそういうことになります。財源が満たるとか満たらぬという問題は、それからは直接的には出てこないというふうに考えます。
○秋山委員 いい悪いは別といたしましても、せっかく管理職規程というものができて、管理職員には管理職手当を支給している事例があるわけですから、それと超勤とをごっちゃにして、どちらがいいか悪いかということは、私はおかしいと思う。やはり管理職手当は管理職手当として考える。超過勤務は超過勤務として考えねばならぬことだろうと思うわけですけれども、これらが最近は区別がなくなってしまっているということでないかと思うわけであります。やはりそれは明確にして、財政措置をしていくべきじゃないかと思うわけですが、都市でありましても、十万都市、あるいは二十万都市、三十万都市、いろいろありましょう。その中で、少なくとも三十万都市以上になっている場合には、ところによっても違うけれども、課長以上を管理職といっている場合もあります。それらに対して、管理職手当の金額を、財政措置をしないということになりますと、これも何か一方的な手落ちのような心持ちがしてなりませんけれども、そこらにやはり自治省としての親切味が欠けているのではないか、国の国家公務員が管理職規程ができたんだから、市町村もそれに右へならえをすべきだというふうなことで終わってしまっては、これは問題だろうと思う。そこらの点をやはり行政当局とよく話し合って、そうしてこの程度まではこうすべきではないかという基本的な考え方をつくって、それに見合った財政措置をすべきではないか、こう考えますが、その点いかがですか。
○柴田政府委員 原則的にお話しのとおりだと私は考えます。ただ実際問題として、管理職をどう見るかという問題は、なかなかむずかしい問題がございますので、今日までその点についての態度と申しますか、考え方というものは明確になっていなかった。これはお前たちは何をしておったんだと言われればそのとおりかもしれませんけれども、少なくとも管理職の範囲が明確でない。そこで明確でないものを措置するということもいかがかと思われますので、超過勤務手当という形で見ておる。はっきりしたものだけを管理職手当として特別扱いをしていきたいというのが現状でございます。将来問題として検討いたしたいと思います。
○秋山委員 時間もだいぶ過ぎましたので、大臣の来る時間が近づいてまいりましたので、ある程度で打ち切らなければならぬと思います。
  〔委員長退席、亀山委員長代理着席〕
 そこで今度の給与べース改定によりますところの財源措置に対しましても、いまいろいろお話を聞かしていただいたのでありますが、それらに対しての見合い財源はどの程度含まれておりますか、それもひとつお答え願いたいと思います。
○柴田政府委員 今回の給与改定に要しまする財源計算といたしましては、給与改定そのものに要する財源を五百六十八億円、五百六十八億円という計算は、これは先ほど申し上げましたように、本俸の改定、これに伴う諸手当の改定、これを全部含んでおります。それから寒冷地手当がすでに法律は成立しておりますが、改定になりましたので、これに伴うものが十億、それから共済組合の負担率が改定になっておりますが、これも法律はすでに通っておりますが、これの事後措置として六億、それから管理職手当等についての改定が行なわれました。これらをひっくるめまして十六億、合計で六百億、この内訳は交付団体分が四百五十億、不交付団体が百五十億、こういう計算になります。この四百五十億円に対しまして地方税の増収を六十一億、それから既定経費の節減を八十億、そうして差し引き三百九億円というものを措置を必要とする財源と考えておるのでありますが、この三百九億円のうちで既定の地方交付税の自然増を百五十九億円と押えまして、残り百五十億円がどうしても捻出できませんので、これは地方交付税交付金特別会計において借り入れをして、それによって百五十九億円を合算をして、交付税といたしまして地方団体に配る、こういうしかたをとったわけでございます。
○秋山委員 政務次官が参りましたので、私は大臣と同じような心持ちで御質問を申し上げたいと思いますので、時間があれば大臣のおいでになるのを待ってもけっこうでありますけれども、大臣と同じような心持ちで私が質疑を行ないますので、そのお気持ちでお答えをいただければ幸いだと思います。
 いま事務当局者といろいろ質疑を重ねてまいったんですが、これらについては後刻両局長からお話を承って善処していただければ幸いと思います。
 その中で、特に町村の場合に重点を置いて質疑を行なったわけですけれども、参考までに申し上げておきますと、超勤手当の支給が全然ないところ、またはそれに近いもの、こうしたものが私どもの手元に参っている調査によりますと、かなり多くあるわけであります。これらについていち早く是正をしてもらわなければならないところだと思いますので、あとでこれはお見せしてもけっこうですから、こうしたものについても行政局長から実情に合ったような、しかも強力な御指導をいただきたいと思います。
 それから、今度は大臣のつもりで質問申し上げたいと思いますが、いまいろいろ議論されている中で、給与体系のあり方の基本的な考え方をここで伺っておきたいと思います。
 地方公務員の給与をきめます際にいろいろ問題になりますものは、地方公務員法の二十四条にかなり多くの項目をあげていろいろうたってあるのであります。その中で一番多く取り上げられているのは何かということになります。これはいままでの通例からいって、国家公務員に準じていくんだということばが非常に強く反映をされがちであります。ところが、それでは国家公務員の給与体系というものが是か非かということにも思いをいたさなければなりません。同時にまた、予算編成の通念的な考え方、こういうものもこういう機会を通じて考えていくべきことだろうと思います。昔の人たちの予算編成方針からいけば、給与に関する問題は、まず優先的にこれを取り扱っていかねばならない。これはやはり平常の業務を行なっていくための一番重点であるはずであります。そのために現員現給俸をつくって、それをまず第一の条件として取り上げて、それに引き続いて定期昇給の分を上げていかなければなりません。これが昔の考え方であったはずであります。
 ところが最近においては、定期昇給ももちろん考えなければならぬし、毎年毎年人事院勧告がなされまして、その勧告に基づいての財政措置が行なわれなければならない理屈になっております。ところがいつの場合でも、人事院勧告がえてしておろそかになりがちであります。これらの点が、なかなか納得をしろと言われても納得し得ない原因ではないかと思います。最後のことばには大蔵折衝において云々、あるいは財政規模の上に立ってお金がないから、ないそではふれないじゃないかという結論になりがちであります。ところが、数年間の歴史の上に立って考えたときに、人事院勧告というものは、ほとんどもう毎年といっても過言でないほどに勧告がなされております。したがって、予算編成的な考え方からいたしましても、当然それに予測すべきものは予算の上に組んでおかなければならない問題じゃないかと思う。これは考え方によっては定期昇給と同じような考え方の上に立って、まず予算確保をしなければならないことではなかろうかと思いますが、それらについていままでそういうお考えの上に立って予算要求をし、予算編成を行なったのかどうか、その点についてお尋ねを申し上げたいと思います。
○高橋(禎)政府委員 秋山委員の御質問に対してお答えをいたします。
 ただいまお話のございましたように、国家公務員の給与につきましては、人事院が法律に定めてありますような事項について、科学的に調査をいたしまして結論が出てまいるわけであります。その勧告は、どこまでも尊重していく、こういう態度でなければならぬことは申し上げるまでもございません。
 そこで地方公務員の給与につきましては、御指摘の地方公務員法第二十四条の規定いたしておるところでございまして、これまたその精神にのっとって地方公務員の給与の問題を考えてまいらなければならないのでございまして、従来も地方公務員の給与につきましては、国家公務員の給与に準じて措置する、こういう態度でまいったことは御承知のとおりであります。ただ財源等の問題につきまして、その措置にいろいろ困難な事情もあったかと存じますが、将来はお話のございましたような趣旨で、この地方公務員法第二十四条第三項が指摘しておりますような精神をどこまでも守っていくという態度で、その財源確保その他財政上の措置をいたしてまいりたい、そういう考えでございます。
○秋山委員 なるほど公務員という名は、その部面だけは一つでありましょう。なおまた、国家公務員の給与体系というものが、では完全なものであるかどうかということになりますと、これにも私は疑義を起こさないわけにはまいりません。最近ちまたで言われることは、生活水準が非常に高くなったということが言われております。ところが、実際において生活水準が高くなったのかどうかということを考えてみますと、なかなかこれを全面的に受け入れるわけにはいかないのであります。ちょうど私は横須賀で育ってまいりましたので、横須賀の昔の事例を取り上げて恐縮とは思いますけれども、たまたま隅谷三喜男さんの書物をちょっと読んだことがあります。この書物を読んでみますと、私が生まれる二十数年前のことでございます。明確にいえば明治十六年ごろの話であります。この時代にはどうなっておったかというと、まだ日本の国では、一定の場所に一つの集団として、厳格な、いまのことばでいえば金属労働者とでもいうのでしょうか、そうしたものはあまりなかったのであります。そこで横須賀海軍工廠にそういうものができまして、それから十数年たった明治十六年の給与体系というものを考えてみなければならないのでありますが、そのときの状態はどういうことになっておったかということであります。そのときの記録によりますと、明治十六年ごろの給与は、幼年工といって非常に若い世代の人たちでありますが、その人たちが一日働けば、日給として三十銭の支給を受けた。その当時は、いまの時代とは全く違って、所得税法などはありませんから、したがって勤労者には一銭の税金もかかっておりません。そのときの物価の状態はどうかというと、日本人の通念として、やはり物価の標準は小売米価に依存しなければなりません。したがって、その当時のお米の代金は一体幾らであったかということになりますと、一升六銭弱であります。そうすると、幼年工といえども一日働けば三十銭ですから、五升の米が買えたわけであります。そして一般の普通の職工さん、いわゆる中間職工とでもいいましょうか、その方が日給で五十銭いただいておりますから、お米に換算すると一日働いて八升三合のお米が買えることになる。それからごく高い人の給与になりますと、これはもっと上がって九十銭いただくことになりますから、一日にすると一斗五升のお米が買えたわけであります。当時はいまのようなむずかしい労働基準法なんかがありませんから、したがって、大体日曜日の休みもありません。ですから、一カ月働けば二十八日ぐらいは働いたわけであります。そういうことを考えてみますと、現在のお米の値段が一体どのくらいするのかということになりますと、いまはほとんどがキロ計算ですからキロに換算しなければならないかもわかりませんが、わかりよく一升のお米ということになりますと、大体私たちが購入する価格は一升が百四十円から百五十円が相場であるわけです。なるほど国の統制によりますと配給米が支給されることになっておりますけれども、実際配給されるものは幾らかということになりますと、月のうちの半分もないわけであります。ですから、したがってやみ米も合わさなければなりませんから、どうしても百四十円から百五十円という勘定になるわけであります。それから考えますと、幼年工で三十銭もらった人が五升のお米を買える。いまの金額で考えてみれば一日働いて七百円ないし七百五十円という計算になるわけであります。これを二十八日ないし三十日働いたということになりますと、これはもう二万円内外ということになるわけであります。二万円内外の給料をもらった人が、一銭も税金を取られません。何もないのですから、そのまままるまる手取りになる勘定であります。そういうことになってまいりますと、いまの給与体系は、安いなといわないわけにはまいらないのであります。それを補うために、現在の生活状態はどうなっているかということを考えてまいりますと、昔は一軒のうちで、俗に言うおやじさん一人が働けば、それで一家五人でも六人でも  いまと違って子供はたくさんあるはずですから――食べていかれたはずでありますけれども、現在ではそうでなくて、家族総ぐるみで働いていかなければ追っつかない。だんなさんも働かなければならない、奥さんも働かなければならない、子供さんもそれぞれの姿で働いている。だからこそどうやら生活ができて、着るものも着ていかれる、こういう現在の実態ではなかろうかと思います。
 そういうことから計算を進めてまいりますと、いまの国家公務員の給与そのものにも私は大きな疑問が持てるのではないかと思うわけであります。それにもかかわらず、国家公務員がこうだから地方公務員もそれに右へならえをしなければならぬということではないかと思いますが、たまたま人事院勧告の基礎がどこにあるかということになりますと、やはり産業構造の中における賃金の問題ということが取り上げられなければならない問題だろうと思います。その場合、それでは日本の労働賃金が高いのか安いのかということにも考え及んでまいらなければならないと思いますが、これらを考えてみますと、総評白書に書いてあるように、付加価値の中におかれる人件費というものが、どれだけのパーセンテージを示すかということになってまいりますと、御存じのように、日本の場合にはまだまだ低いということが私は言えると思うわけであります。これから見てまいりましても、日本の場合には労務者の置かれている地位というものは、わずかに三九%にしかすぎないわけでありますけれども、アメリカの場合を考えてみますと、これが五六%に位をしておる、カナダであっても五〇%であって、スエーデンなんかになりますと、すでにこれが五八%をこえるような地位に置かれているわけであります。ところが、日本の労使の関係からまいりますと、どういうことがいわれておるかということになりますと、これはいま申し上げましたように三九%から四〇%あればもう上等なんだという考え方のようであります。その大きなワクの中で議論がされておる労務賃金でございますので、したがって、公務員に響いてくる比率というものも、大体同じようなものが出てくるのじやないかと思うわけです。こういうことを考えていったときに、すべての賃金にこれがいえることではないかと思いますけれども、そういうことを考慮したときに、やはり神奈川県は神奈川県のように、大阪府は大阪府のように、あるいはその地域の物価とにらみ合わせて考えなければならぬ。だから地方公務員法二十四条には生活費も考慮しなければならないということがうたってあるのではないかと思うわけであります。したがって自治大臣は、あなたの配下とはいわないけれども、あなたの関係の中には大きな都市から、大きな府県から、小さくは村に至るまであなたが指導し、あなたが国家財政の中で、強くふんばって、これらの人の待遇改善につとめていただかなければならない大きな任務と目途があるのではないかという心持ちがするわけであります。それらのことについて考えたときに、今度のベース改定に伴っての財源の問題につきましても、大蔵折衝において、あるいは閣内においても、あなたが非常に努力なさったことは私はわからないとは申しません。大きな力となったことも私は了承できると思います。だからといってこれに満足すべきものではないのじゃないか、こういうことも考えないわけにはまいりません。したがって、あなたがしょっておる大きな任務を全うするために、より以上の御尽力をいただかねばならないのではないかと思うわけであります。
 あとは私の担当でなくて、細谷さんから続いて質疑があると思いますけれども、今度の財源処置を見ましても、まだまだ割り切れないものがあるのですが、端的にいえば、今度の特例法というものが、何か交付税の先食いをしていくのだということが法の中で示されているわけです。これから先五年間において三十億円ずつ返していくということは、とりもなおさず先食いであります。そういうことは法律の上にうたうべきものではないのじゃないか。これは閣議の中で申し合わせ程度にしておいて、そしてあとは事務の配分の中において、あるいはまた給与の体系の中において、できるものは行なっていくのもけっこうでありましょうし、法律の上で規定づけて先食いをやっていくのだということは、今後悪例を残すのじゃないか、そういうことを想像して、大臣が一体いかなるお考えの上に立って――大蔵省なりあるいは閣議の中でいろいろ御議論があったと思いますが、あなたのおっしゃれる範囲内において、御答弁とあわせて考え方をお聞かせいただけば幸いだと思います。
○吉武国務大臣 ただいま地方公務員の生活の状況から、将来の地方財政の上におけるこれらの給与改善についてどういうふうに考えるかというお尋ねでございました。お説のように、今日地方公務員、特に交付団体に属する府県または市町村における公務員の生活の状況、給与の状況は、必ずしもいいとは私は思いません。生活もかなり窮迫といいますか、お困りではないかという感じはいたします。しかし、このことは日本の国全体の問題でございまして、農村におきましても公務員のみならず、生活の状態というものはまだまだもっと向上し水準を上げるべきものだ、私はこう思っております。
 そこで、今度の財政処置に関することでございますが、そのほうから先にお話を申し上げますと、今度の公務員のベースアップ、七・九%アップでございますか、これに伴いまして私どもは地方公務員もこれに準じて上げる。財政的には国も窮屈でございますが、地方財政はもっと窮屈でございます。しかしながら、窮屈だからといって、国の公務員と地方の公務員とを差別して給与改善をはかるということは、これは従来もそういうことをいたしておりませんし、法もまた準ずるということにしておりますし、私どもその点は同じに取り扱うべきであるという終始一貫した態度をとってきたわけでございます。
 そこで、どれくらい要るかといって計算をしてみますると、地方公共団体全体として六百億の金が、九月一日から実施いたしまして、かかるわけでございます。これを勧告のように五月一日から実施いたしますると、千七十二億――もっとかかるかもしれません。私ども最初計算をいたしましたところでは千七十二億、ベースアップだけでかかるのであります。いまの状態で、十月一日ということよりも、政府としては少しでも誠意を示そうということで、国も地方も同じに一カ月繰り上げまして、九月一日にして六百億かかるわけであります。
 そこで、これをどうして財源を捻出するかということは、実は私としては非常な悩みの種でございまして、八月終わり以来非常に苦心をいたしました。国の自然増収が私はもっと伸びると思っていたわけであります。従来、いままでのべースアップは、国の自然増収が伸びましたために、これで吸収ができたわけであります。ところが、ことしは御承知のように国の税金が伸び悩みになっておりまして、その点がはっきりしない。そこでおくれたのでもありますが、これが十一月の初めになりましてようやくわかりかけてまいりまして、そこで国のほうとしましては、大体三税の伸びは五百五十億余り、正確な数字はまたあとでお調べして申し上げてもいいのですが、大体五百五十億余り、それに関税その他を含めますれば六百億くらいの財源はございましたけれども、御承知のように地方交付税の財源は三税だけでございますから、その三税だけの五百五十億の二八・九%となりますと、これが約百五十九億ということがようやく判明をしてまいりまして、予期よりは非常に少なかったわけであります。
 そこで、国も財源がございませんので、節約しようということで、これは八月の終わりから閣議でも取り上げまして、人員は不補充にしよう。整理というものはできぬから、少なくとも新規採用を押える、また欠員は不補充にしようということで、節約をし、また旅費、物件費もできるだけ節約をしようということで、この節約が、地方庁で約三十億でございます。それでもなお出ませんので、国は公共事業の繰り延べをいたしまして、それで財源の処置をはかりまして、国が公共事業の繰り延べをいたしますと、地方の質担がそれだけ繰り延べになるわけでございますから、これが五十億になりまして、両方合わせますと八十億が節約費で出たということになります。
  〔亀山委員長代理退席、渡海委員長代理着席〕
 その次は地方税であります。固定資産税やらそれからいまの住民税がどれくらい伸びるかというので、これもまだ少し伸びるだろうと思っておりますと、はからずも法人税が非常に減ってまいりました。国の法人税が非常に減ってまいりましたために、地方税の伸びも非常に少のうございまして、私どもこれが二十九億と見込んだわけでございます。そうしますると、差し引きずるとどれだけ不足するかというと、百八十二億不足いたしまして、徹宵、夜明けまでがんばって、何とかこれをがんばろうというのが一つでございます。
 それでこの結論のほうを申し上げますと、大蔵省のほうは、百億に縮まらないか、国も思い切って節約をしたことだから、地方も思い切ってひとつ節約をして、百億くらいに縮まらぬかということが最後までの論争でございます。私は地方は、もう半ば過ぎている、仕事の終わっているところもある、またある程度見込んで補正をしているところもあるから、無理をすると赤字になる、赤字になると結局払えない。しかし払わずには済まぬので、借金をするということになるとあとへ問題を残すことになるのだから、そう無理はできませんよということで、だんだん財源を詰めていきますと、自然増収は六十一億くらいあることは大体判明いたしました。私のほうは、法人税が非常に少なくなると思って、大事をとって二十九億といたしましたが、だんだん折衝してみますると、六十億、六十一億程度はあるということが、見込みが立ちましたから、それだけは考えましょう。そうしますると百五十億不足ということになりますので、これはどうしても必要だ。大蔵省としては、百億が無理としても、せいぜい百二十億くらいにとどまらぬかということを夜明けまで言ったのでありますけれども、先ほど申しましたように、無理をしても結局赤字になってしまったのでは意味がないのだから、これはひとつぜひ百五十億を認めてくれろということで、百五十億に決定したのが一つでございます。
 それからもう一つは、いまお話しになりましたように、今日の地方団体の財政状態は非常に苦しいことは私も認めております。これは終始一貫して変わらないところでございます。したがって、今度のべースアップは、途中半ばのことでもあるから、ひとつ元利補給をしてくれないかということを終始主張したわけであります。これは国に財源が非常に多いときならば、それは気の毒だからひとつ見てやろうかという気持ちも起こるかもしれませんけれども、国自身も非常に窮屈なときであります。元来を申しますと、地方と国とはそれぞれ財源措置が別になっておるたてまえでございます。これは私が申し上げぬでも皆さん御承知であります。したがって、国の人件費はじめ国の費用は国の財政で持つ、地方の給与や地方の仕事の負担は地方財政で持つ、足りぬところはいわゆる地方交付税というものによって補って、それが地方財政の中に入ってまかなっていくというたてまえでございまするから、たてまえからいいますれば、給与ベースが上がったからといって、上がった分は国が持てということは、率直にいって無理であります。ですから、大蔵大臣が言うように、国は国がやるから地方は地方で持ってくれということは、私は筋としては間違っていないと思っております。ただ御指摘になりましたように、地方財政が苦しいから無理かもしらぬけれども、苦しいというたてまえをひとつ考えて、府県まで全部ということは無理かもしらぬから、せめて市町村の財政の苦しいことをひとつ考えて、その分だけでも元利補給はできないかということでがんばって夜明けになったわけでございます。これは打ち明け話を申し上げてはなはだ恐縮でございますけれども、しかし大蔵当局といたしましては、先ほど申しましたように、まあたてまえというわけじゃありませんけれども、地方で足りない足りないというたんびに元利補給をするということをいったのでは、これは地方財政というもののたてまえからいってとうていいかぬじゃないかということで、それをとうとう譲りまして、しかし利子だけはひとつまかなってくれろ、こういうことにしたわけであります。
 そこで次に、それでは百五十億で利子だけは国が持つ、持つ場合にこれを一つ一つの起債でやる、起債でやるということになりますると、これは各市町村が借金をすることになるわけでございますから、それで私はそれはいかぬということで、これを交付税特別会計に政府の責任で預金部資金から借り入れます。これは法律上はできません。できませんから、今回提案をして法律の改正をして、そうして政府の責任で特別会計に借り入れる、それでこれを五年間に返す、利子は国が持ってやる、こういうたてまえにした。
 そこで、先生御指摘のように、それは地方交付税の先食いじゃないかとおっしゃいますが、それはそういうことになるのでありましょう。ですから、これは返還せねばなりませんが、御承知のように、地方交付税は現在、ことしの地方交付税の総額が六千三百億程度でございますが、来年は自然増収が伸びない伸びないといっても、私は七千億くらいになるのじゃないかと思います。
  〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕
ですから、七千億の中で三十億くらいの金は、まあ返すに返されぬこともないだろうという感じがいたしております。しかし、ほかの問題として、私は、給与自体として今日きめられている地方交付税の問題を取り上げようということは無理かと思いますけれども、だんだんほかの問題と関連いたしまして、地方財政というものは苦しい現状でございまするから、そういう問題とあわせ考えまするならば、この国と地方との税金の配分の問題というものは、将来これは問題になってくるのじゃないだろうか、かように存じておるわけでございます。
 一応経過を申し上げまして、ひとつ御了承賜わりたいと思います。
○秋山委員 大臣が徹夜をしてまで交渉なさったことについては、私は大いに敬意を表します。ただ、大臣がお見えになる前に、いろいろ事務当局の人に質疑を行なったわけですけれども、かなり小さな問題がたくさんあるわけでございます。たとえば超過勤務の手当を払わないとか、あるいは頭打ちをしておったりしているところもあります。まだまだその他のこともたくさんあるわけですけれども、それらについての財源措置もまだまだ不足があると思います。同時にまた公共事業などについて、国でやるものに対しての出費の問題もありましょう。これに対する単価の計算の違いというものが、かなり大きなウエートになってくると思います。これらをいつか解消しないと、地方財政はますます苦しくなってくる、こういう考え方も出てくるわけであります。特に私は、人件費の問題でもう一つ考えてもらいたいことは、まだ各府県やあるいはまた各市町村において臨時職員というものがたくさんあります。これが定数化されるに従って、これも増強しなければならないのではないかと思います。これらをあわせ考えたときに、まだまだ大臣に多くのお骨折りをいただかなければなかなか解決ができない。せっかく今度の場合、利子補給の問題やら、あるいは特別会計を設置して使っていただく問題やら、これらの努力をしていただいたことについては、私は、りっぱなお仕事であって、今後もぜひそうした心持ちを続けていただきたいことと思いますけれども、後ほどまた事務当局からいろいろきょうの質疑の結果も聞いていただきまして、それらについても一段の御尽力を願いたいと思いますので、それらを要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○森田委員長 午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。
   午前十一時五十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時四十三分開議
○藤田義委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
○細谷委員 質問に入ります前に、人事院勧告に基づく地方財源の問題が非常な大きな政治的な問題になったのでございますけれども、自治大臣はじめ非常な御尽力をいただいて、十分ではありませんけれども、新聞の批判によりますと、大蔵大臣の主張を曲げたのはこの点だけだ、こういうふうに書いてございましたように、たいへんな努力をいただいたことについて、まず、お礼を申し上げておきたいと思います。
 ところで、質問に入ります前に、この人事院勧告の実施時期ということが、ずいぶん、休会中から問題になっておったのでありままが、最終的には九月実施ということになりました。ところで、私がお尋ねいたしたい点は、経過を見てみますと、これに要する財源として十月三十日の自治省が発表した数字によりますと、二百五十八億円という金が絶対必要なんだ、こういうふうに大蔵等に対しても要求され、主張をされておったわけです。ところが、十一月の十七日になりますと、地方公務員の給与引き上げに伴う財源措置として、最終的には百八十二億円でよろしいんだ、こういう数字を自治省が発表されました。あとでその具体的な個々の内容についても質問をいたしたいのでありますけれども、大蔵省との折衝という交渉上の配慮があったにいたしましても、あまりにも数字の変動が激しかったんではないか。こういうことによって、ある意味では、心配しておる自治体としては、ずいぶん不安定な、一体どの数字が正しいのか、こういう点で非常に迷う、動揺する、こういう原因になっておるんではないかと思うのです。どうして二百五十億円が百八十二億円になって、そして、先ほど大臣の秋山委員に対する答弁によりますと、百五十億あればよろしいんだ、こういうことで最終的に手を打ったわけでございますけれども、端的に言いますと、ぎりぎり譲れない数字というのは、三回にわたって動いております。これについて少し、どうしてそうなったのか、どういう見込みでそうなったのか、この辺について具体的にひとつ御説明を願いたい。
○柴田政府委員 二百五十八億円が足らぬということを申しましたときの計算の基礎は、給与改定そのものに要します金は、交付団体で四百二十四億というのは変わっておりません。それから、共済負担率の改定五億、寒冷地手当が九億、それから、管理職手当等の改定、これが十四億、これは一億違います。それから、交付税の自然増収を百四十億と踏んでおります。それから、節約は三十億、これは地方団体の単独で行ないます節約分だけ、当時、公共事業費の節減に伴います地方負担の減は出ておりません。それから、税収入は二十三億円という計算をいたしております。
 その後百八十二億円にこれが変わりましたときの計算は、支出分四百五十一億円というのは、管理職手当の計算が一月からに変わったわけです。管理職手当の引き上げは私どもは九月からと考えておったわけでございますが、これが一月からやるということに変わった。その関係で一億減。それから、交付税の自然増収百四十億円というのが、これが大蔵省の計数が固まってまいりましたのでふえてまいりまして、百五十九億円になった。それから、節約のうちで、公共事業費等国の予算の節減に伴います減が新たに五十億立った。そこで節約三十億というのが八十億になった。それから税が二十三億円といっておりましたのが再算定いたしまして二十九億円、こういうことになりまして、百八十二億円が要求金額という線が出たわけでございます。その後の交渉の結果、争いになりましたのは二十九億円という税収入が妥当かどうか。四百五十億円という計数については大蔵当局とは争いがございません。それから交付税額も争いがございません。節約八十億円も争いがございません。税収入の二十九億円というのが問題になりまして、もっとあるのないのという議論を果てしなく繰り返した。それが最後の大臣折衝の最終まで税の問題が中心になってもめ抜いた、こういう経緯でございます。計数的に申し上げますと、最初給与改定に要する経費、四百二十四億円、交付団体分で四百二十四億円という金額、不交付団体まで入れてまいりますと五百六十八億円という計数は終始変わっておりません。変わってまいりましたのが交付税の自然増収と節約額と税収入、この三つの点がいろいろ変わってきた。これはいつも交渉をいたしますときにはある程度不確定分子を持ちながら交渉するのですから、地方団体の事情をあまり御存じない方は、おっしゃるような考えを持たれる方もあるかもしれませんけれども、これは予算を何べんもやっておる人間は、たいていの見当はつくのでありまして、そうこれによってびっくりぎょうてんすることはなかったのじゃないかと私ども考えております。
○細谷委員 いま財政局長からお答えになったような内容で数字が変わってきておるということは、私もいまあげられた数字のとおりであるということが確認できます。
 ところで必要経費四百五十億というのが最終的な数字でありますけれども、四百五十一億という数字が出ておったので、これは変わっておらぬというのはそのとおりであります。ところが私が問題にしておりますのは、対大蔵との折衝上の技術上の問題もあったということは理解できますけれども、一番大きな問題点、関心を寄せておる点は、地方税の増収見込み額という問題と既定経費の節減可能額というのが、ずいぶん大きな差があるということであります。交付税の伸びは百四十億が百五十億、これは大同小異と見てよろしいと思いますけれども、地方の自主財源である地方税の見込みと、既定経費の節減というところに、非常に大きな数字の差が起こってきておるという点を問題にしておる。この点についての、いかにも大蔵折衝といってもここが違ってきておるのですから、この辺に問題があると思うのですが、いかがですか。
○柴田政府委員 お話しのとおり、毎年給与改定を年度途中でいたします場合には、この点が問題になるわけでございます。それは特に不交付団体等につきましては、その問題が明確に出てくるものでございますが、税の自然増収と申しましても、財政計画ベースの税の自然増収というのは当初の計画に対しますれば、相当額の自然増収はある。これはいつの場合だってあるのでありますが、同じように経費にとりましても、財政計画の外に置かれた経費もあるわけであります。財政計画の外に置かれた経費というものが、財政計画の外に置かれた自然増収によってカバーされてきている。その結果が決算において、当委員会におきましても毎年指摘されますような決算額と財政計画との数字の不一致となって出てくるわけであります。そこで年度途中にその自然増収をどう見るか、財政計画上の自然増収をどのように考えるかということにつきましては、地方団体の実情というものをやはり考えていただかなければならない。すでに計画上では新たな自然増収がございますけれども、地方団体ではすでに予算化して執行いたしております。その辺のところの配慮をいたしまして税収入の自然増収を考えていかなければならぬ。この認識が大蔵当局と私どものところで非常に違ってくる。これは毎年毎年繰り返すことでありますけれども、その辺のところが違っておる。最終的には、大臣同士の折衝の段階では、大蔵大臣もその点は御理解いただいたのであります。したがって、まあこの点につきましての争いは、現実問題としては消えている、こういうように御理解いただきたいと思うのでございます。
 節約の問題は、三十億という地方団体の節約額というものは、実際問題としてどの程度節約できるかということを、地方の実情等も考え、もうすでに予算が第三・四半期に入っておるということを考えまして、できるだけの節約というものを踏んだ場合に、私どもといたしましては公共団体では三十億が限度だというように踏んだわけであります。この点につきましても大蔵当局とは争いがございません。
 五十億の節約につきましては、これはいろいろ問題があったわけでありますが、公共事業費なりあるいは補助事業なりというものの繰り延べに伴うものでございます。私どもが非常に心配いたしましたのは、この事業費の繰り延べなり補助事業の繰り延べということによって、ところによっては仕越し工事ということが起こってこないだろうか。言いかえれば国は補助金を切りますけれども、地方としてはしかけた仕事を片づけなければならぬ。その場合にそれが仕越し工事になってしまったのでは、結果は赤字を出したのと同じになるだろうと考える。それを非常に憂慮いたしまして、節約そのものは反対ではないけれども、それが地方に仕越し工事にならないように十分配慮してもらいたいということを、節約の問題が閣議決定されました直後、私どもといたしましては大蔵省なり関係各省に省議をもって申し出ております。関係各省でも特に公共事業を担当しております部局によりましては、現地の各地方公共団体の工事の進捗状況とも打ち合わせながら節約額をきめてくれたのでございます。したがって、一部には心配される向きが出てこないかと思っておりますけれども、大体公共事業の大きなものにつきましては、この節約額というものは、現地の工事進捗状況とにらみ合わせて打ち出したものでございますので、まずまず心配なかろうというように思うのでございます。したがって、そういう配慮のもとに行なわれました繰り延べ額なりあるいは補助の縮減なりというものにつきましては、それが可能な限りにおきましては計画上も可能な節約として現われてこざるを得ない。そういうような経緯でございます。したがって、節約額の争いになりましたのは、この三十億が多いか少ないかという問題でございましたが、最初よりいろいろ異論がございましたが、最終的には三十億の問題も落ちつきましたし、五十億の問題につきましてはこれは国の補助予算の縮減に伴うものでございますので、それが実行可能なものであると考えられます限り、これは財政計画上計上せざるを得ない。これもまた落ちつくべきところに落ちついておるというようにわれわれは考える次第でございます。
○細谷委員 地方税の増収見込みにつきましてはあとでさらにもう少し突っ込んだ御質問を申し上げますが、既定経費の節約という問題に関連して地方では仕越しが起こっておる、こういうこと。とにかく交付団体分が八十億、先ほどの大臣の御答弁によりますと大体において補助事業が五十億程度、それから単独的なものが二十九億程度というおことばでありますが、不交付団体が百一億、合わせますと百八十一億という既定経費の節減というのが地方団体全体を通じて行なわれておるわけなんですね。私は県の具体的な実例を、どういう措置をしたかということをある程度知っておるのですけれども、日本水道新聞というのにこういうことが書いてある。「ほとんどの事業がすでに執行されているだけに大きく、」国の三%節減というのが響いておるのだ、こういうように書いてございます。下水道の問題あるいはこの終末処理場の問題工業用水道の問題、こういう問題でも「あわてる地方公共団体、各事業とも一律に」ということなんですけれども、一律ということではなくてもほとんど年度末が近づいておりますから完了しております。ですから、まだやってない仕事を仕越しという形でやっておりますから、混乱ということばは少し過ぎておると思いますけれども、やはり来年度の財政計画をかなり大きく、百八十一億分拘束したという事実は、これは厳然としてあると思うのです。ずいぶん末端のほうでは、混乱とは申しませんけれども、困ったという事実がございます。そういう仕越しというものが、それでなくてもさなきだに硬直している地方財政というものを、来年度にわたってさらに硬直化を促進さしておるというのが今度の財源措置の中に具体的に出てきているのじゃないか、こう思うのです。こういう問題についてどういうふうな対策を講じようとされておるのか、これもひとつお尋ねしたい。
○柴田政府委員 すでにしかけた工事でございますので、でき得べくんばかような措置はそう積極的に進んでとるべきものじゃないだろうと私ども本来は思うのでございますけれども、国も給与改定財源を捻出いたしますのに非常に苦慮いたしてきたわけであります。したがって、その結果、この給与改定財源を捻出いたします一つの手段として、やむを得ずこういう事業費の節減その他事務費の節減というものをはかってきたわけでございます。したがって、地方団体といたしましても可能なる限りその方針につきましてはやはり協力すべきだというように本来考えるのであります。ただ、先ほど来お答え申し上げておりますように、実際問題として工事が仕上がっておるのに補助金だけ切られましてもこれはおっしゃるように困ってしまうわけでありますので、そこは私どもは非常に気を使ったつもりであります。何べんも関係各省には念を押しておりますし、大蔵当局にも念を押しておるわけでございます。単に一例でございますけれども、県によりましては事業主管省から電話がかかってきて、節減ができるかできぬかという押し問答のあげく、その節減は取りやめて、これを直轄事業に振りかえたというような事例もございます。今回は相当各省も気を使ってくれて、妙な仕越し工事が残らぬようにという配慮のもとにこの節減がなされておる。ただ末端になりますと、細谷委員御指摘のような事態が起こりはせぬかということを私はいまだに心配しておりますけれども、少なくとも従来のような切りっぱなしごめんということではございませんで、今回は非常に末端のことを気にしながら節減額をきめていったというのが実情でございます。
○細谷委員 仕越しということはやはり地方財政を硬直させるわけでありますから、そういう悪影響があとあとに残らないようにひとつ十全の対策を立てていただきたいと思います。
 ところで、地方税の増収見込み額の問題でございますけれども、今度の特例法案を見ますと、何のことはないのですね。百五十九億国税三税からの伸びが交付税として回ってまいります。その六%の九億というのは異例の措置で、本来ならば普通交付税で措置すべき寒冷地手当を特交で処置しよう、そういうことでしょう。問題があると思うのです。その残りの百五十億とそれから借金の百五十億、合わせまして三百億、今度不交付団体の必要額というのは三百六十一億でございますから、差し引いた六十一億というものが地方税の自然増収だと数字を合わしておりますね。六十一億というのは基準財政収入額に見ているわけですから、地方税に直しますと七割か八割でありますから、計算上は八十億以上の増収ということになると思うのです。二十九億か三十億くらいしか伸びないというのが三倍も不交付団体の中で自然増収が伸びたというのはあまりにも大きな激変です。三十億というのは私は何べんも聞いた。大臣からも聞きました。最終的には税としては六十一億だ、基準財政収入額の見込みで三百六十一億引く三百億ですからちょうど六十一億、これだけが基準財政収入額として地方税の伸びに相当するのだ、こういう数字を出してきた、数字を合わせたのにすぎないのじゃないか。合わせたのじゃないというならば三十億程度、三十億程度といって大蔵折衝して最終的には八十億、三倍くらいに自然増収を見込んだというのは一体どういうことか。大蔵との努力は私は高く評価しますけれども、こういう数字を出したことについては地方団体にとっては非常に困った問題だと思うのです。数字を合わしただけじゃないですか。あるいは大蔵に三十億、三十億と言ったから、それどころではないのだということで大蔵から攻撃を受けるすきを自治省は持っていたのじゃないか、こう私は思うのですが、この辺はいかがですか。大臣からもお答えをいただきたい。
○柴田政府委員 税収入をどう見るかということは、先ほどからも申し上げましたように、年度の途中で財源振りかえ可能額としての税収額をどう見るかという問題であります。税収を自然増そのものからいいますならば、地方財政計画の当初計画に対します税収入というものはそれはもっとあるかもしれません。これは年度末になってみなければわかりませんが、少なくとも財政計画に計画外に置かれた経費というものがある限りにおきましては、税におきましても計画外に置かれた税収入があるはずであります。したがって、当初計画に比較いたしますればそれはもっとあるかもしれません。問題は、その自然増収の中で、財源振りかえとして考えられる税収入をいかほど見積もるかという問題であろうと思います。私どもは年度の経過、地方予算の進行状況から考えて、最初たしか六十億ということを大臣がおっしゃったと思いますが、六十億程度というふうに考えておったのであります。ただそれが、法人関係の租税が減ってまいるということがだんだん明確になってまいりましたので、二十九億くらいに落ちてしまうという計算でその部分だけの減を立てまして減らしたのであります。その後いろいろ情勢を見、三十八年度の税の決算等を見まして再検討いたしました結果、この程度のものならば、まずまず地方団体としてもそう無理な財源振りかえを強制するものでないという判断に立ちましたので、六十一億という形を出したのであります。したがって結果的には、その部分については水かけ論になるわけでございますけれども、計数を合わせたのじゃないかといわれればそれも一つの見方かと思います。思いますけれども、問題の分かれますところは、税の自然増収というもののうちで幾ばくを財源振りかえ可能なもの、つまり幾ら財源として地方団体に振りかえを求めることができる税収入として組むか、こういう計算であろうかと思うのであります。したがって、そこのところはそういうような経緯で六十一億という数字になった、こういうことでありまして、別段これについて作為を加えたといったようなことは全然ございません。
○細谷委員 私はある県の資料をいただいたのですけれども、その県のベース改定の所要額というのが約十九億なんです。そのうち義務教育関係の国庫負担を除きますと、純県費が十四億要るのです。その財源見込みというものをどういうふうに立てているかというと、税の自然増収を五億と見ている。公共事業、単独事業の節約額一億と見ておりますね。必要額十四億のうち六億円は、税の自然増収というものとそれから経費節減で見よう、あとはとても財源がない、こういう計画のようなんです。私は、この数字を見ますと、大蔵省がおっしゃるように、自治省が三十億だ三十億だと粘って、二百五十八億から百八十二億、百八十二億から百五十億と三段階に――清水寺から飛びおりたほどではありませんけれども、大蔵省の折衝もあまり戦術的なことを考えて、腹のない、向こうに攻撃の弱点を持って交渉したところに問題があるのであって、むしろずばりと、そこまで譲歩するならば、私はおそらく六、七十億、あるいは六十一億という見込みをしておりますけれども、それをきちんと握って、これが最後なんだ、三べんも数字は変えないで、大蔵との折衝の過程において、最後の数字というのが若干の後退をするということはあり得たにしても、三段階の譲歩は、そういう見通しをきちんと立てていかれたならばやらないで済んだのではないか、こう私は思うのです。おそらく、大臣も財政局長も三十億、三十億と言っておりまして、いや法人税の伸びが意外に悪いんだ、こういうことを言っておりましたけれども、相当的確なものを持っておったのじゃないか、こういうふうに私は思うのです。これは三十億、三十億と言ったのが、大蔵との折衝で実質は八十億か九十億になんなんとする税収をのまざるを得なかったところに、自治省の計画なり見通しについてやはり反省すべき点があった、こういうふうに私は思うのですが、いかがですか。
○吉武国務大臣 細谷先生の御質問の点は、私非常に御心配になっての数字だと思いまして、私も実はこの問題については真剣に取っ組んだわけでございます。それで、折衝の経過を午前中簡単に申し上げましたが、まだ御不審の点があるかもしれませんけれども、地方税の自然増収をどう見るかというのは、私ども当初から六十億に見ていたわけです。ところが決算が出なければわからぬというので、一応の自然増を幾らに見るか、先ほど財政局長が言ったように百四十億に見ておったわけですが、これがだんだんわかってきて百五十九億ということ、これは大蔵省と私のほうの見解は一致しております。それから地方税は、途中で皆さんもお気づきだったでしょうが、九月ごろに決算が出てこない出てこないと言って、六人委員会を開いた最初のときの大蔵大臣の発言は、法人税が非常に悪い、思ったより、百五十億も逆に自然増じゃない、減収になる見込みだということで、それはたいへんじゃないかということで、もしそうすると、当初われわれが見込んだ六十億というのは相当きつく見たつもりだけれども甘かったな。それではたいへんな狂いがくるというので、非常に警戒をして二十九億というものを出したわけです。それで私どもは、大臣折衝の半ばまでは−もちろんいいかげんで私ども引き下がるつもりはありません。そんなことで夜明けまでがんばるということはあり得ないわけで、がんばることは、筋が通らなければ、夜明けじゃない、昼でも晩でもがんばります。やっているうちに六十億というものは見込みがついたわけです。自然増の六十億というのは、かたく見ても六十億はあるという感じがいたしましたので、私はそれならよろしいということで、この差額三十一億というものを差し引いた百五十億になったわけであります。それで大蔵大臣も、先ほど細谷先生がおっしゃったように、地方の財政というものは理屈どおりではない。理屈どおりではもっとになるかもしれません。なるかもしれないけれども、地方団体としては相当食っているのもあるだろう。そうすると、理屈では幾らという数字が出ても、実際に困ってもいかぬということで、まあ六十億にかたく踏んで見ておるわけです。ですから私どもも、その大蔵大臣の思いやりといってはどうですか、理解がありますので、よくわかった、それじゃ六十億ということで、その差額三十億というものを差し引いた百五十億にしたわけでありますから、これはよけいやれば幾らでもいいじゃないかというわけにはいかないので、やはり足りぬものは足りぬ。しかし必要でないものをそう取りさえずればいいというわけにも――地方だって日本の国の中の財政ですから……。
 そこでもう一つの点は、私ども用心をして、先ほど局長が言いましたように総額四百五十億――大蔵省は四百五十億を実は初めから認めておりません。これは給与ベース自体が人事院の要求に基づくというと、先ほど申しました、当初われわれが組んだ四百二十四億なんです。人事院勧告どおりの給与ベースの増というのは四百二十四億です。しかし先ほど財政局長が言ったように、その人事院の勧告の中に入っていないで支給せんならぬものが、共済組合の負担金であるとか、あるいは寒冷地手当の問題であるとか、あるいは管理職の問題というのが出てくるのだから、これは大ざっぱに言えば地方の中でまかなってもらってもいいじゃないかという気もしていたけれども、しかしそれじゃせっかくわれわれが努力してやっても、実際仕事ができないようでは困るということでこれも見込みまして、四百五十億にしたわけであります。だからこの点は大蔵大臣は最後まで認めたわけではないのですけれども、総額は私が百五十億がんばったものですから、ついに百五十億できまったわけであります。ですからそれはある団体によって、実は何もかもみなやっちゃって、うんと金を使いました、ありませんというのはあるかもしれませんが、それまでのめんどうはなかなか見られないので、普通の必要な基準財政需要に含んで、当然必要なものは必要として見なければいかぬということで、この百五十億は妥協しておりた数字ではない、もっともなものは私ども率直におりなければいかぬですからおりて百五十億ですから、細谷先生の御心配の点は私も心配してやっておることで、これはもう無理やりに、大蔵大臣が言うことをきかぬから、しょうがないおりたという数字ではございませんから、ここはひとつ御信用願いたいと思います。
○細谷委員 大臣の努力を信用しているから私は申し上げているのであって、一番最初四百二十九億、いま四百二十四億とおっしゃった。私ども聞いておるのは四百二十九億とこの委員会で聞いた、その四百二十九億というのが、そのほかのものを加えると二百五十八億になるのだ、こういう数字は聞いたので、二百五十八億と私どもは了承しておる。突如として十七日に百八十二億が最終なんだ、そしていまお聞きしますと、いや百五十億というのでやれるのだ。それはやはり節減額のほかに税の伸びというのを当初から六十億程度見込んでおった、大体見込まれたのだ、それの確信がついたのだ、こういうことでありますから、それはまあいいわけですけれども、その辺の経過からいきますと、四百二十九億から二百五十八億の経過はわかりますけれども、それからの三段階の経緯については、やはりもっと素っ裸になって大蔵省と折衝すれば、端的に言うと、私は大臣と局長なり課長との間の意思の疏通が、資料が十分出ておらなくて、大臣が六十億をつかんだのは、あるいは徹夜のまっ最中のころかもしれません。その辺にこの数字というものは、やはりつかんでいきますと、いろいろな問題点もあるようでございますから、私は特にこの点を御指摘申し上げておるわけなんです。
 そこで、私はたいへん気になることなんですが、大臣も時間がないようでありますから、大臣のおる際にお伺いするのですけれども、最近自治省は、大臣就任後、とにかく地方の自主財源を与えてやらなければいかぬ、全国平均四割だ、これでは地方自治の拡充をはかることはできないだろうというので、全国平均自主財源を五〇%にしよう、そのために二千八百億、府県と市町村に国からの税を与えてやろうじゃないかというりっぱな構想を発表なさいました。数日前は、来年度以降の地方財政というものはもっともっと硬直する、どうにもならない、端的にいいますと、地方財政計画をつくることができないようなところに追い込まれるのであるから、ひとつ地方交付税を一・一%引き上げて、覚えやすいように三〇・〇%にしようという発表を大々的にされたのです。私は、ここまで自主財源の問題、地方交付税の問題で大臣就任後次々とそういうことを発表されたのについては敬意を表している。十分だとは申し上げません。熱意に敬意を表している。ところが私は、今度の経過を見まして、二五五十八億が百八十二億になり、百八十二億が百五十億でいいんだということになりますと、どうもやはりほんとうの腹をもって――二千八百億という財源を地方に与えよう、自主財源の強化をはかろう、交付税率をひとつ上げようという自治省の腹というのは、ただ新聞の活字にしたのに近いような腹をお持ちではないかということが憂慮されます。心配でたまりません。信用したいのでありますが、その辺になりますとどうも心細い感がいたすので、大臣、時間もないようでありますから、この点についてはっきりと、発表したことについては、これはさっきの税の見込みが三十億が九十億になったのは大体わかっておったのだけれども、戦略、戦術上やったというのじゃなくて、正真正銘これはこうやらなければいかぬのだという大臣の御決意を、この時期に、この点についてひとつはっきりしていただきたい。清水寺から飛びおりるのはやめてもらいたい、こう思っております。ひとつ所信をお尋ねしておきたい。
○吉武国務大臣 たいへん御激励のおことばをいただいて非常に感謝をいたしたいのでありますが、地方交付税率を三〇%に引き上げるという構想を発表した事実はございません。私は新聞では、ある新聞に載っているのを見ましたけれども、まだそういう構想は持っていないのであります。
 それからなお二千八百億自主財源を求めて、五〇%ぐらいにしたいということでございましたが、これも発表したことはまずないのじゃないかと思いますが、その数字の出た根拠は、補助金を整理して、その補助金を地方の財源として回すようにしたらというときの数字にたしか二千八百億というような数字を私もちらっと見たようなことはございます。しかしこれは発表しておるはずもございませんし、新聞に出たということであれば、どっかから新聞のほうでかぎつけられてやられたかもしれませんが、私ども、まだそういう案は持っていないわけであります。
 まあそれは別といたしまして、細谷先生のおっしゃるように、地方財政はだんだんと苦しくなる。私も事実苦しくなると思っております。でありまするから、先般も本会議で申し上げましたように、今回のベースアップで交付税率を上げるか上げないかとおっしゃいますと、ベースアップで交付税率を上げるということは私としてもちょっとこれは言えない。大蔵大臣はもちろん承知しないでありましょうし、私としてもこれは言えないことであります。ただしかしその問題を別といたしまして――別といっても含まれてくるでありましょう。これは事実来年度平年度にして千二百億くらいの増になるのですから、財政の窮乏の中の一端にはなると思いますけれども、それだけで交付税率の改定をするということは、これは私なかなかできることではないのでありますけれども、いろいろの点において今日地方財政というものは窮迫してくる。すなわち単価がだんだんと上がってきて、国からもらうだけでは済まなくなる、あるいは国の事業のしりぬぐいをやるのでなかなか負担し切れなくなるというような問題がだんだんございまして、地域の格差もひどくなる状況でございますから、これら全体を見て、何らかの地方財源というものについて考えなければならぬじゃないかということは、私は実は非常に心配もし、検討もしておるわけでございます。これが交付税率ということによって解決をするという方法をとるのも一つでございましょうし、あるいはまたその中のものを政府が負担をするということでも、地方財政の負担というものがつられて軽くなるわけでありますし、いろいろあると思うのです。また、地方財政が苦しいから何でもかんでも国におんぶをして、もらえばいいというような安易なことも私は考えておりませんで、地方財政の上で合理化すべきものは合理化するし、それから考えるべきものは考えていく、その中の一つとして、細谷先生が御指摘になったような問題も一つの問題点ではあろうかと思いますが、その点はひとつ御了察をいただきたいと思います。
○細谷委員 いまこういう公式の席上では大臣の決意というものが簡単率直に表明されないのをたいへん遺憾に思うのですけれども、大蔵大臣との話でも、これはあとでもう少し突っ込んで申し上げたいのですが、百五十億の問題についてはこのままで引っ込むという大臣の決意でないだろうと私はそんたくしております。大蔵大臣との約束で、もうこの問題については百五十億はこんりんざい何も言えぬのだ――もうこの問題については何も言わぬという大臣のお気持ちでないだろうと思いますけれども、きょうのところはそういうことでおっしゃっていると私は理解しておるのですけれどもね。いまのおことばで、地方団体が何でもかんでも国に食い下がっておるのだという見解を私はとっておりません。そうなっているのは、そうせざるを得ぬのは、やはり今日の地方財政というものが、地方税はたったのわずか三割、国は七割とっておって、使うほうは地方が六割使って国は四割しか使っておらぬ、こういう財政の収入比率と財政の支出の比率が逆転しているところに、何でもやはり国に持っていくような感を与えなければいかぬ。これが地方自治をむしばんでいる原因なんですが、こういう実態を忘れて議論しては私はやはりいけないと思うのです。
 そこで私は、大臣、税の問題、自主財源をやろうということは補助金を整理しょうということなんです。やはり補助金は整理すべきものはしよう。そのかわり地方は自主財源を強化してやって、そして地方自治体として国と地方との有機的な連関のもとにひとつ政治を推進していこう、こういうことなんですから、税務局長さんは、おそらく二千八百億というものを自信を持って発表している。新聞を見ますと、大蔵はそれじゃ格差が広がるぞ、いや自治省は格差は広がらないようになっているの、だという二とを言っておりますよ。局長が大臣にこんな大切なことを言わないのはけしからぬ。税制調査会にもその資料は出ているのですよ。大蔵とやり合っているのです。交付税の問題についても、一・一%上げるというのは、財政局長が大臣に言っておらぬはずはないと思う。日本経済新聞の一面に大きく出ているのですから。これは大臣少しとぼけていると思うのですけれどもね。とにかく私は、大臣が聞いておらないのならひとつ局長を叱咤して、そういう重大な問題が発表されている以上はひとつ事前に、発表の前におれに聞かせろ、そうして大々的にやって、腰を据えて自治省一体となって地方のいまの財政中央集権的なあり方をやめていこう、こういう決意でやってもらわなければならぬ。それに気がかりなのは、さっき大臣は聞いておらぬ、――二百五十八億から一転して百五十億になったというそういうあれが気がかりなものですから、特にこの問題についてはたいへんけっこうなことでありますから、ひとつ大臣に大いにやっていただきたいという気持ちで私ども旗を振って応援したいと思いますから大臣の御決意を聞いているのです。もう時間がないようでありますからもう一言――自治省はそんなことはないはずです。責任を持って発表されておるはずですから、御存じのないならひとつお聞き願って、大いにがんばっていただきたいと思うのですが、簡単でよろしいですから、その辺の御決意のほどをひとつ聞きたい。
○吉武国務大臣 まことに地方財政の実態に即した御意見でございまして、非常に私敬意を表する次第でございますが、二千八百億の自主財源の件は私も頭の中にちらっと残っておるところを見ますと、あるいは税制調査会あたりで税務局長が資料を提供したかあるいは話したかもしれません。ませんが、これはまだ私の手を通ったわけでもございませんし、ただそれを決定したわけじゃございませんし、もし整理をするとすればこういうふうになるぞという資料でございます。これも一つの考え方の中にあることは事実でございます。それが一つでございます。
 それからもう一つは、ある新聞に交付税率を引き上げるということを財政局長がしゃべったかどうか、これはあとで私は聞きますけれども、私はまだ財政局長から承っておりません。ただ先ほど来申しましたように、私は今日の地方財政の実態をもう少し現実を見たい、これは私の偽らざるものでございます。実態を見ていく、そうして合理化すべきものは合理化するし、実際これだけの仕事をやっていぞ――私はもう非常にたくさんの仕事をやっていると思うのです。みんなが考えている以上に、今日この経済成長に伴って国がいろいろな仕事を、社会保障にしましても、各種の社会保障がどんどんと行なわれてきている。その実施は町村末端がやりまして、それではそれに見合う経費を見ているかというと、なかなか十分に見られていない。結局それが財政にふくれ上がっていく。それからまたいろいろな社会開発的な仕事というものも、今日経済が成長すればいなかはそのままほっとけというわけにはいかない。ですからこれもだんだんと進んでいく、これはけっこうなことだと私は思うわけでありますが、それがどういうふうな実態になっているかというものを見た上で、そうして国とそれから地方の財政というものを勘案をして、そこにもし解決すべきものがあるならば、私は断固としてがんばるつもりでございます。ですから、いまただここで、この間徹夜でやったけれども、結局そこを引き下がって、あとはどうも少しうやむやじゃないかとおっしゃいますけれども、経済の実態を見まして改善すべきものがあれば、私は地方財政のために微力ではございまするけれども戦う所存でございますから、どうぞ御了承をいただきたいと思いす。
○細谷委員 それでは財政局長さん、今度の三百六十一億ベースで計算されました基準財政需要額の増は交付団体において三百六十一億、不交付団体において百二十一億、合計四百八十二億でございます。このベースで平年度化いたしますと、需要額の増は幾らになるお見込みですか。
○柴田政府委員 正確に申し上げますと、昇給による増減がございますので、若干平年度化した場合に数字が変わってまいります。これだけを引き伸ばしますと、八百六、七十億になろうかと思います。
○細谷委員 再算定いたしますと、いま平年度化の場合、八百六十億ないし八百七十億、こういうお答えでございます。そういたしますと、お尋ねしたいことは、三十九年度は六千数百億の税の自然増があったのですね。来年度は四千五百億くらいだろう、こういうふうに言われておる。新聞で書いてあることでありますから、新聞のことは知っちゃおらぬということになれば別であります。まあ、これは大蔵がそういうふうに言っておりますし、税制調査会等でもそういう数字が出ておるようでありますから、そうなりますと、この再算定だけで八百六十億ないし八百七十億ということになりますと、来年の交付税の伸びだけでは消化できないということになります。五千億の自然増があったにしても、三、五、十五、二八・九でありますから、ことし六千億で八百何十億程度の交付税の伸びしかないわけですから、来年度の交付税の伸びでこれは消化できませんが、どういうことになるでしょう。
○柴田政府委員 基準財政需要額に見合うものは基準財政収入額があるわけでございまして、基準財政収入額は地方の税収入でありますが、交付税の自然増収もございますし、また地方税の自然増収もあるわけでございます。かれこれを考えて計算していかなければならぬのでございますが、しかしながら、少なくとも現状ベースを基礎にして考えていく限りにおきましては、いま申しましたように、明年度の地方財政計画の姿というものは非常に苦しいものになるのじゃないか、こういう感じをしております。
○細谷委員 おっしゃるとおりだろうと思うのです。八百六十億ないし八百七十億基準財政需要額が来年度伸びるということ。今度の場合、四百五十億のうち三百億程度は交付税で計算して、そうして経費の節減なりその他で百五十億円しぼり出すということですね。三分の一は自前、三分の二は交付税で見たという形になります。八百六十億円というのが来年度ありますと、三分の二というと六百億円程度はこの自然増だけで食われてしまう。税の伸びからいきますと、おそらく交付税の伸びは七、八百億円程度しかない。交付税の伸びは全部これで食われてしまう。税をどんどんつぎ込まなければいかぬ。税の伸びをつぎ込まなければいかぬということは、ことし以上に地方財政は硬直したということは自明だと思うのです。この数字だけでも、ごく簡単な大ざっぱなものでありますけれども、そういうことがはっきり言えると思うのです。そういうことが見え透いておるのに、そこでさっき大臣に言ったか言わぬか知りませんけれども、もう交付税は上げなければどうにもならぬのだという財政局長としての結論を出されたかと思うのですけれども、百五十億円というやつは、今度の特例法案ではその上に来年度から五カ年にわたって三十億円ずつ返すというのですね。きわめてみみっちい話で、これもまた五年先のことまで、三十億円ずつ返しますということが特例法案の中に用心深く入っておって、先ほど秋山委員からの質問にもありましたけれども、私は石橋をたたいて渡るにもほどがあるという感じをずいぶん強くしたわけですけれども、これはおそらく財政局長さんから言わせれば、大蔵省に対する証文だ、こういうふうにお考えになっているかもしれません。そういう財政事情の中にあって今日百五十億というのは、その程度しか話はいっておらぬわけでありますけれども、私はたいへん遺憾に思っておるのですが、こういう問題を判断して、もっとふやしてもらわなければいかぬのに、毎年度三十億円ずつ減っていくということでありますから、容易ならぬことであります。これについてひとつ財政局長の財政計画に対処する決意のほどを承っておきたいと思います。
○柴田政府委員 私が大臣に言ったとか言わぬとかいうお話でございますが、大臣には明年の財政は苦しくなりますという話はしてあります。しかし交付税率をどうこうということは私は申し上げておりません。ただ新聞社の方々がいろいろ見えて、いろいろにおいをかいでいかれる、その結果、そういうことを新聞社の方々に申し上げた覚えはございませんけれども、そういうぐあいに判断をされたかもしれません。それはこちらが返事をしなくても、イエスかノーかという場合に、ノーであっても笑っている場合もありますし、イエスの場合も笑っている場合もあります。その場合にいろいろ相手のとりようでプラスになったりマイナスになったりするわけでありますが、そういうことを推測記事でお書きになったんだろうと思います。しかしその背景には、地方財政計画の明年度の状況が苦しいということは認識してあるわけでありまして、私どももその認識そのものは新聞に書かれておりますような背景としての認識は持っております。しかし交付税率、交付税額をどうするかという問題につきましては、明年の地方財政の姿というものをやはり頭に置いて考えませんと、最終的な結論は出てこないのじゃないか、特に国庫財政も例年に比べまして決して楽な状態ではございません。国、地方を通じて一体どのようなかっこうで税制改正を行なうのか、あるいはどういうかっこうで経費というものを考えていくのかということを相関的に考えてみまして、その中で地方財政のあるべき姿はどうだ、こういうことで考えて初めて結論が出てくるのじゃなかろうかというように実は思うのでございます。したがって交付税率の問題は、国家財政、地方財政を通じての国と地方との税源配分の問題でございますので、そういう観点からこの問題を扱っていきたい。したがって、私どもは現在の交付税率でいいとは思っておりません。検討はいたしますけれども、結論は出ておりません。
 それから、今回の給与改定に伴います借り入れ金の問題で、すぐ税率の問題に響かすかどうかという問題でございますけれども、このこと自身について考えますれば、ことしの問題を、百五十億円借金したんだ、それをみみっちいとおっしゃいましたけれども、現在の地方財政の姿から見ますならば、恒年毎年の自然増収の中で、無理なく吸収し得る範囲において返済をしていくというのが常識だと思うのであります。そこで五年間で毎年三十億ずつくらい、このくらいなら住民税の減税補てんではございませんけれども、まず無理なくいけるのじゃなかろうか、こういう判断をしたわけでございます。しかもこれは五年限りで消える問題でございますから、直ちにこのこと自身を税率の問題に結びつけるということには飛躍がございます。したがって税率の問題の再検討ということになってまいりますと、やはり国と地方との間税源配分がいまの形で適正かどうかということから議論を導き出していかなければならないのじゃないか、こういうように考えておりまして、そういう意味合いで検討をいたしております。そういうことを申し上げたいと思います。
○細谷委員 竹と木をついだような理屈でありますけれども、問題は地方財政、一つなんです。そういう点でひとつ、病人になっておる、結核の二期、三期に近いような状態になっておりますから、特段の御尽力を願いたいと思うのです。
 お尋ねしたい次の点は、不交付団体には需要額で百二十一億の伸び、実際の所要額は百五十億と見積もられております。今日年度末になってまいりますと、交付団体とか不交付団体といっても自治省の財政計画を忠実に守っておる限りにおいては、百五十億なんという金の余りはないと思うのですよ。これは何にも考えてやっておらぬのでありますか。需要額の増で交付税の出入りはたいしたことはないと思うのですが、この百五十億については何でもかんでも自前でやれ、何ら手当てをしてやるというお考えはないのですか。
○柴田政府委員 交付税の配分を通じまして必要な財源を付与していくというたてまえに立っております限りにおいては、再算定の結果、なおかつ不交付団体になってまいりますればいたし方がないと考えております。
○細谷委員 そうしますと、このいただいた資料では、不交付団体には回っていきませんぞ、地方交付税の増というのはゼロだ、こう書いてありますけれども、交付税法の算定によってプラス、マイナスされて、遺憾ながら転落団体に対しては交付税を裏づけしてやるということになるわけですけれども、その他の処置はないということなんですね。
○柴田政府委員 給与改定財源の計算に関します限り、お話のとおりでございます。しかしお話がございましたからお答え申し上げますが、例年特別交付税を配ります場合には、不交付団体といえどもその財政状態を考えて特別交付税を配っております。それは交付税の本質からいいますならば、超過財源がございますれば不交付団体については超過財源を差し引きしていくのが筋であります。その結果、特別交付税もいかないということになる団体もあるわけでございます。しかしその団体の事情によりましては、超過財源の問題もさることながら、特別交付税を配っている団体もあるわけであります。確かに御指摘のように、今回の年度途中の給与改定で、不交付団体におきましては予算の組みかえというたいへんな作業がくるわけであります。そのためにまた地方団体といたしましては、年度途中の給与改定はやめてほしいということをたびたび言っておるわけでございます。私どももそういう趣旨を何べんか政府の中で言ったことはございますが、しかし実際問題といたしまして給与改定が行なわれるということになりました以上は、それは何とか処置していかなければならぬということになるわけでございますので、その団体の財政状態、運営状態等を総合的に見てまいりまして、その上でもって起債、地方債の配分なりあるいは特別交付税の配分なり、そのようないろいろな手段をもって、非常に苦しくなる団体については必要ならば措置をする、しかしそれは給与改定に対する措置ではない、財政運営全体を通じての措置として考えていく、こういう配慮はいたすつもりでございます。
○細谷委員 少しくどいようでありますけれども、いま局長のお答えで、財政運営等を勘案して、給与そのものについての財源措置ということではないけれども、起債なりあるいは特別交付税等で配慮をしていきたい、こういうことのように理解できるわけですけれども、具体的に一つお尋ねしたいのです。非常に大きな超過財源を持っているところは別といたしまして、不交付団体といってもピンからキリまであります。すれすれ団体もあります。ボーダーラインのところもあります。そうなってまいりますと、交付税等でつかむのではなくて、ルール等にある程度のせる御意思があるのかないのか、それをちょっとお聞きしておきたいと思います。
○柴田政府委員 この問題を特別交付税のルール計算にのせる気持ちはございません。
○細谷委員 ルールにはのせないということでございますけれども、不交付団体といえどもたいへんな財政負担でございますから、局長のおっしゃるように財政運営、財政の実態というものを把握していただいてひとつ御配慮をいただかなければならぬのじゃないか、こう思います。
  〔藤田(義)委員長代理退席、渡海委員長代理着席〕
 最後に、私は、ひとつ交付税の算定の問題に関連いたしまして、具体的にお聞きいたしたいと思う点があります。
 まずお尋ねいたしたい点は、府県なり指定市の道路財源として、道路譲与税と軽油引取税というのがございます。これは地方交付税法十四条に基づいて基準財政収入額に算入され、基準財政需要額に計算されまして、交付税の計算の重要な基礎になっておるのであります。
 そこで、お尋ねいたしたい点は、全国的にこの道路譲与税と軽油引取税の基準財政収入額と需要額は三十九年度にどういうふうになっているのか、お尋ねします。
○石川説明員 計数のことでございますので私からお答えいたします。
 軽油引取税が四百三十一億でございます。それから道路譲与税が四百十四億になっております。それから道路橋梁関係の基準財政需要額、これは千二百十億でございますが、なおこのほかに、これは道路橋梁関係だけでございまして、その他の諸費あるいはその他の土木費の中で包括的に算入している部分がございます。
○細谷委員 その他の土木費は幾ら……。
○石川説明員 全国の県の単独事業に対する道路の充当状況から積算いたしますと、約九百数十億程度の全額が考えられております。
○細谷委員 その他の土木費に九百数十億も入っていますか。おかしいんじゃないですか。
○石川説明員 その他の土木費とその他の諸費の中に包括的に算入をいたしております。
○細谷委員 その他の土木費の基準財政需要額のうち道路関係経費にかかる額が包括的に算入されているのかわかりませんけれども、大体においてその他の土木費の中で道路関係費が半分と見ますと、私が調べたところでは二百五十億程度入っておるのではないか、こういうのですが、いま九百億とおっしゃったですね。ずいぶん数字が違うんですよ。合わせてその他の土木費というのは五百億くらいしかないはずです。間違いじゃないですか。
○石川説明員 その他の土木費のほかに、その他の諸費の中に道路関係のあれが入っておるわけでございます。それを全部合わせますと九百数十億になる、こういうふうに申し上げたわけであります。
○細谷委員 それでは全体としてお尋ねいたしますが、今年度の交付税の計算の中に、基準財政需要額は八百四十五億という数字でございますからよろしいのですけれども、基準財政需要額の総額は、何もかも突っ込みで幾らになっておりますか。
○石川説明員 道府県分では、これは不交付団体も入れまして八千百六十億でございます。それから市町村分では五千三百四十六億、合計で一兆三千五百七億という程度の数字になっております。
○細谷委員 道路関係の事業費が一兆なんてありますか
○石川説明員 道路関係は、先ほど申し上げましたように、道路橋梁関係では県分で千二百十億でございます。そのほかにその他の土木費とその他の諸費の中に道路関係のものが包括的に算入されておる。それが約九百数十億、こういうふうに申し上げておるわけであります。
○細谷委員 その間の数字がどうもけた違いやなんかもあってわかりませんから、きちんとした道路橋梁費その他の土木費、諸費、その中において府県と市町村でどういうふうな道路関係の割り振りが行なわれ、どういう基準財政需要額が見積もられておるかという資料をひとつお願いしたいと思います。
 そこで、お尋ねいたしたいのでありますが、基準財政収入額に見積もられた道路関係のいわゆる自主財源というものは、交付税法上他のほうに使ってよろしゅうございますか。
○柴田政府委員 道路目的財源につきましては、交付税法上ではございませんで、税法上道路関係の財源に使うべしというふうになっておるのであります。
○細谷委員 おっしゃるように、道路譲与税法第六条で、道路譲与税は道路以外に使ってはならぬと書いてございます。軽油引取税のほうは地方税法の第七百条に道路以外に使ってはならないと書いてございます。ところが道路に関する自主財源の基準財政収入額が需要額を上回っておった場合にはどうなりますか。一般財源扱いしたことになるでしょう、普通税扱いにしたことになるでしょう。結果としては道路以外に使ったということになりませんか。御見解をお尋ねします。
○柴田政府委員 そのとおりだと思います。
○細谷委員 そういう実例があるのですよ。これは法律違反ですよ。私は、ある県のあれを調べてみたのです。全国的に言いますと、基準財政収入額をはっきりと需要額が上回っておりますから、問題はないのでありますけれども、一つ一つの自治体を見てみますと、ある県においては基準財政収入額が三十九年度において二十七億八千万円、基準財政需要額が二十一億八、千万円、差し引き五億九千九百万円基準財政収入額が上回っております。上回っておるということは、何のことはありません、収入額のほうへ加えます、需要額のほうへ加えます差し引いた差額が交付税の対象になってまいりますから、道路以外の財源に扱いを食っておるということになって、道路譲与税法六条違反――違反なんということばは使いたくないのですけれども、そういうふうになってくると思うのですよ。問題があるのですが、いかがですか。
○石川説明員 ただいまお話があった数字をよく検討してからでないと、最終的な結論が出ないと思いますけれども、おそらくいま先生のおっしゃった数字の中には、たとえば都市計画事業でありますとか、街路事業に関する需要が、計算の中に入っておらないのではないかというふうに考えられます。
 なお、道路関係、橋梁関係の基準財政需要額のほかに、先ほど来申し上げておりますように、これは交付税の計算技術上その他の土木費あるいはその他の諸費の中に道路関係の単独事業を包括して一定割合を入れる、こういう仕組みになっておりまして、それらを合計していただいて、その上でいまお話のあった基準財政収入を増加しているかいないか、こういうことになるのではなかろうかというように考えております。
○細谷委員 私は私なりに数字をつかんで申し上げておるわけです。おっしゃるようなそういうものを入れての話を申し上げているのです。問題は、この県の場合は、それでは二十一億八千万円しか基準財政需要額を見積もっておらぬのだから、その程度しか使っておらぬのじゃないかといいますと、軽油引取税としての収入、九九・九%くらいの実績をあげておる譲与税総額、そういうものを突っ込んでも足らぬで、なお一般財源をつぎ込んで事業をしているのですよ。包括的に計算なさいますから、道路と、密度補正とかいろいろ補正の問題があって、それはむずかしいので、たまたま全国的には矛盾がありませんけれども、個々の団体においては、こういう矛盾が私は生まれたものと思うのです。しかし、これはやはりこの税なり譲与税は、他の目的に使うことができないわけですから、普通税扱いを食っているのですから、これはたいへんな問題です。具体的にいいますと、三十八年度は二千八百七十万円、たいした金額ではありませんでした。三十九年度になりますると、五億九千九百万円という数字が一般財源扱いを食っているのです。法律違反とかなんとかあまり言いたくありません。交付税の計算上包括的に計算したので、密度補正等でそういうものが出てきたのだと思いますが、これはたいへんなことなんですよ。よく調べて、これはやはり法律違反を犯すような結果になりますから、交付税法の密度補正が、一般的なものに対する特別なものが厳然として出てきているのですから、何らかの対処を具体的にしていただかなければいけないと思うのですが、ひとつ局長さんいかがですか。
○柴田政府委員 道路に関しまする基準財政需要額の計算では、いわゆる土木費の中に道路費と橋梁費、その他土木それからその他諸費、非常に複雑になっておりますが、これは投資的経費を算入いたします場合に、新しく道路をつくる築道関係の経費、こういったようなものについての入れ方が、面積だ、延長だということだけでは十分ではございませんので、やむを得ずその他土木費とか、その他諸費の中に包括算入しておるわけでございます。これが御理解を非常にむずかしくておる原因かとも思いますけれども、したがってその結果、それぞれのものを含めて譲与税なり軽油引取税の全収入というものと、実際がどうなっておるか、これを計算をしてみなければ、結果的には御指摘のような事実があるのかないのかということがはっきりしてまいりません。しかしお話を伺ってまいりますと、どこの県かよく存じませんが、道路費の基準財政需要額の算定にあるいは問題点があるのかもしれません。そういうような問題点がありますれば、その点は何も改めるにやぶさかではございません。十分検討をいたして善処いたしたいと思います。しかし、御指摘のような事実があるかどうかということは、先ほど来交付税課長が申し上げておりますように、算入されております経費を総合いたしまして再検討してみませんと、結論が出てきません。おことばを返すようでありますけれども、一がいに先生がおっしゃるような結論になるかどうかはこの際御返答申し上げかねるのではないか。しかし、話を伺っておりますと、少し基準財政需要額の算定について、そういう問題を離れて別に問題があるのではないかという感じがいたしますので、十分に検討させていただきたいと思います。
○細谷委員 最後に私は申し上げたいのは、これはやはり道路譲与税の税の性格、軽油引取税の税の性格、こういうものからいきまして、全国的にはよろしいのですけれども、かりそめにも一つの団体で基準財政収入額というものは基準財政需要額を上回るということは許されない。最低限基準財政需要額というものは収入額とイコールでなければならぬ。幾らでも道路をやりたいのです。現にそれよりもよけい一般財源を投げ出しているわけですから、少なくとも収入額が需要額を上回るなんということは、これはたいへんなことです。ですから少なくとも需要額と収入額とイコールか、常に需要額は上回っておりませんと法律上の問題になってくると思うのです。その辺とくと具体的に御調査いただいて、これは包括計算から出てきたものにしても具体的にそうなっているので、交付税法の計算の誤りということになりますから、具体的に法律違反にならないようにひとつ措置をしていただかなければならぬと思います。必要があれば私のほうで資料を出してもよろしいのですが、私の資料は色がついているとお思いになれば、あとでどこの県かを申し上げますから、十分に御調査いただきたいと思います。
 質問を終わります。
○渡海委員長代理 安井君。
○安井委員 きょうあと三時半から警察の問題の質問に入りますので、それまでの間二、三の点についてお尋ねをいたしたいと思います。残った問題はあすの朝から続けることにお許しをいただきたいと思います。
 これは調査室からいただいた資料ですが、調査室でつくっても自治省でつくられた数字が基礎になっているのだと思いますから、それでお答えを願いたいわけでありますが、まず第一番目に、財源所要額について六百億円総額において必要だという御算定であります。この六百億円の内訳は、給与改定、寒冷地手当の改定、共済負担率の改定、管理職手当の改定というふうになっておりますが、特別職の分、都道府県の管理職あるいは議員とか、こういったような人たちの分はどういうふうな算定になっておりますか。
○柴田政府委員 この表の財源所要額の中に、管理職手当等の改定十六億がございますが、この十六億の中で一億と十五億、つまり一億が管理職手当の改定分、それから十五億が特別職等の改定の経費であります。これは特別職並びに議員をみんな突っ込んで一般公務員の改定率を乗じて得た額でございます。財源的にはその程度のものを付与する、こういう態度でございます。
○安井委員 交付団体と不交付団体に分けたらどうなりますか。
○柴田政府委員 道府県分につきましては、交付分が二億、不交付分はコンマ以下で出てきません。それから市町村が、交付団体が十億、不交付団体が三億で十三億、こういうことでございます。
○安井委員 寒冷地手当の改定は、当然制度改正の分と、それから今度の改定による伸びと、両方が含まれていると思うのですが、寒冷地手当は、これは特別交付税で措置する、そういうお考えですか。
○柴田政府委員 寒冷地手当の計算の基礎は、御指摘のとおりでございますが、これは本来ならば普通交付税で計算すべきものでございます。ただ、実際問題といたしまして、普通交付税で計算いたしますと、事務が非常におくれまして時間がかかるのであります。そこで特別交付税の計算にいたしますと、寒冷地手当の改定にかかります分だけを抜き出して計算するわけでございますから、スピードアップされる。早く給与改定財源を地方団体に知らしめる必要がございますので、便宜そういう措置をとりたい。たまたま係数もほぼ同じでございますので、そういう措置をとることにいたしたのでございます。
○安井委員 それはいままでの交付税法上の扱いとは違うし、ことしそういうふうなことをおやりになって、来年はどうされるのか、そういうふうなところも疑問になるわけでありますが、やはり便宜的な措置もほどほどで、ことしだけ特にそういうふうにされるというのは何か理解できないのですが、どうですか。
○柴田政府委員 来年からまたこれは普通交付税の中に入ってしまうわけであります。ことしだけ例外的措置をとりたいと思いましたのは、たまたま係数も同じでございますのと、そうすることによって各県別の給与改定財源所要額というのが早くわかるのであります。早く所要財源を地方団体に知らしてやりませんと、概算交付にも差しつかえますし、地方団体といたしましても、給与改定をする際に困るであろうと思いまして、便宜そういう措置をとっていきたい。全く異例の措置でございますけれども、そういう措置をとることによって、かえって給与改定事務がスムーズにいくならば、それでいいのじゃないか、こういう考え方でございます。
○安井委員 私はそれはどうも便宜的な考え方で、今度の給与改定の一つの最後のしわ寄せをそういうところでつじつまだけを合わせられた、そういうふうな措置のように考えられてならないわけです。そういうことになりますと、ことしの場合は、この法律の改正の中にあらわれております数字の中には、寒冷地手当の改定分は入っていないわけでしょう。そういうような特例法という形でこれがずっと将来まで続くものではないということはわかりますけれども、やはりことしだけは便宜つじつまをこんなところで合わせたのだということでは、将来もまた何か問題があったらそんなことでごまかすのではないか、そういうふうな心配が出てまいります。それからもう一つは、ことしのような年も、たとえば二十号台風だとか冷害、災害だとか、石炭のほうもたいへん苦境にあるわけです。こういうふうな特交に対する需要というのは、決して、私は少なくないと思います。むしろふえているのではないかと思うのです。そういうような際に、当然そういうふうな特別な事態に対して配らるべきものが、本来ならば経常的な処理で行わるべき寒冷地手当のほうに向けられてしまって、つまり特交需要の頭を削るというふうな形になる点もまた問題だと私は思うのです。そういう点も考慮されましたかどうか。
○柴田政府委員 ごまかすつもりはさらさらございませんで、寒冷地手当の改定というものは、これは補正係数で扱うわけでございます。したがって単位費用の改定には入ってまいりません。普通交付税の中で始末をすることも不可能ではございませんけれども、そういたしますと、給与改定に伴います交付税の計算の事務がおくれます。それは結局、今日この状態において、地方団体にかえって不便を与えるのではないか。そこで、その補正係数の改定の分だけを抜き出して、別途計算をすれば事務が早まるわけでございますので、早く所要財源がわかるようにそういうような措置をとりたいというのが本音でございます。
 それから特別交付税との関連でございますけれども、お話のように特別交付税といたしましては、本年度は新潟の地震だとか、あるいは島根の災害、北海道の冷害、いろいろその関係の需要がふえておることは事実でございます。しかしながら、このふえました九億円の特別交付税というものの計算の基礎は、こういった財源の所要額に見合って出てきたものでございますので、本来ならば給与改定、共済負担金、寒冷地手当、その他のものを普通交付税でやって、そうしてそのでこぼこ調整を九億でやるというのが本来の筋でございまして、その分をほかのほうに食ってしまったのでは、今回の財源措置の意味をなさない。そういうことから考えますと増加いたしますが、九億分というものをこれからの財源所要額の中を分けて寒冷地手当のほうに持っていって、ほかのものを普通交付税で一〇〇%見ていくという、こういう態度をとりましても、別段特別交付税の領域を侵すものではなかろう、こんなふうに考えるのでございます。
○安井委員 やはりどうも便宜主義といいますか、そんなふうな気がするのですが、そこでもう一つ、今度の改定に対する財源措置で重要な点は、国庫負担の節約に伴う地方負担の減とか一般行政経費の節約とか、そういうようなことで既定経費の節減から金を浮かそうというふうな考え方があるわけでありますが、そのうち初めの部分ですね、国庫補助負担の節約というのは一体何を節約するのか、どういうふうな部面の節約を行なうのか。そしてまたその額は元金は国の段階においてどれくらいなのか、その点をちょっと伺います。それからもう一つ続けて、一般行政経費のほうも、一体地方公共団体の何を負担軽減の対象としてお考えになっておるのか、その点です。
○柴田政府委員 普通補助事業及び公共事業の節約額の対象になりました国費の総額は百十九億円であります。それに対しまする地方費の減が七十六億円となっております。この中身は、公共事業費でございますとかあるいは各種補助事業でございます。若干分けて申し上げますと、小中高等学校の設備整備費、学校関係でありますが、国費が七億四千万、地方費が十一億七千万、農業構造改善が国費が四億、地方費が三億三千万、それから農業基盤整備が国費が二十一億、地方費が五億三千万、治山関係が二億八千万で地方費が一億四千万、造林が一億四千五百万に対して地方費が一億、林道が一億四千七百万に対して地方費が一億一千六百万、漁港が二億三千六百万に対して地方費の節減が一億五千九百万、それから厚生省関係の生活環境施設の関係が、国費が四億六千万、地方費が九億二千万、港湾が十億、地方費が三億、建設省関係では、治水関係が十九億四千七百万、地方費の減が十一億七千六百万、道路が十一億二千五百万、地方費が四億六千四百万、下水が国費が二億四千万、地方費が六億、住宅が国費が八億一千万、地方費が五億六千万、その他もろもろの普通補助金が二十一億、地方費の減が九億八千万、こういうことでございます。また御指摘のございました単独の節約節減額、交付団体で三十億の分でございますが、これは財政計画上の旅費、物件費、これを節減の対象にいたしまして、三%の節減をいたしております。
○安井委員 国庫支出百十九億の節約ということで七十六億ですか、浮かそうというわけですが、これは未着工で現在まできている分ということだろうと思うのです。そうでなければすでにやってしまったものについては節約のしょうがないわけです。そういうことになりますと、事業が非常に進んでいるところについては節約の余地がない、事業がおくれているところだけが節約せなければいけない。そういうことにしなければ百十九億の節約にならないわけです。つまり節約というと何か全国一律の、一斉に公平に行なわれるというふうに考えられますけれども、現実にはそうでなしに、地域地域のアンバランスというものは相当あるのじゃないかということが一つあります。
 それから、それに伴いまして、その一方において節約ということが行なわれて、それだけ支出が減ってくれば地方交付税の算定基礎も当然変わってくるのではないかと思うのです。そういう作業が行なわれているかどうか。
 それからまた節約すべき原資のないというところも、節約の余地がないというところもあるのではないかと思うわけです。つまり仕事はみんなやってしまって、それはほかのところはできるかもしれぬが、私のところはできませんと、あるいはこういうところもあるのじゃないかと思います。そういうところになりましたら、この節約をも財源として給与改定をやれという、それがそうはいかないということになってまいります。
 いま三つばかりのことを申し上げてみたわけでございますが、これらについてのお考えはどうでしょうか。
○柴田政府委員 交付税のこの御提案申し上げております法案の中の単位費用の中では、節減額はそれぞれ織り込み済みでございます。ただ実際問題といたしまして、安井委員の御心配のような事例が起こり得る心配が非常に考えられましたので、先ほどもお答え申し上げたのでございますが、私どもはこの公共事業費の節約問題が起こりましたときに、それによって地方に無理な節約をしいて赤字を強制する結果になっては困るだろう。そこで節約することは別段異議はないけれども、そういう実態に合った節約をしてほしい。すでに工事が終わっているのに補助金だけを切るといったようなむちゃなことはやめてほしい、こういうことを口をすっぱくしまして、御当局なりあるいは各省なりにそれぞれ話をしましてお願いをいたしました。関係各省におきましても、大蔵省におきましても、今回は非常に気を使ってくれておりまして、節減額の内容をきめますにつきましては、それぞれの県庁と連絡をいたしております。そしてすでに工事が終わっておったところについては、節約を予定しておったところをほかのところに振りかえたり、いろいろ配慮をしてくれたことははっきりいたしております。したがって御心配がありますように、従来往々にしてこういう場合には赤字を出さすような結果になる場合があったのでございますが、今回の場合においては従来のような心配は大部分は解消しておるというふうに思うのでございます。ただ末端におきましては、あるいは御心配のような事態が起こるかもしれません。これは保証の限りではありませんが、私どもといたしましては、そういうことのないように十分の手を尽くしたつもりでございます。その部分も節約の中に織り込んで、交付税の中の単位費用の中にはある程度織り込んでおりますが、その織り込み方は事業の場所的な問題によって違ってまいるので、事業費補正等においてある程度のものを織り込みますけれども、織り込み得ないものが出てくるかもしれません。その辺の調整は実態をよく調べまして特別交付税の配分なり、それらを通じまして調整をしていかなければならぬように思っておりますけれども、必要な措置は大体この改定単位費用でとっておるつもりでございますし、また実行上も従来のような心配する事態というものはまず起こらぬのではないかというように考えているわけでございます。
○安井委員 いま、いろいろ配慮はしながら案は立てたつもりだ、こういうようなことでありますが、しかし現実的には、たとえば漁港にしても全国二億一千万円の事業、これが、やめれば地方が一億五千九百万円節減されるというわけですけれども、これはおそらく全国でせいぜい二億ぐらいの額ですから、こういうようなのはどこかほんの特定のところだけだろうと思うのです。だから偶然にこの仕事に当たっておるところは節約はできますけれども、しかしそうでないところはできない、そういうようなアンバランスが県単位の場合にはわりあい少ないかもしれないが、市町村単位になりましたら相当出てくるのではないか、そういうことです。最後の、どうにも措置しがたいものは特交でというふうに言われるわけでありますが、きめこまかに特交段階でそういうようなものを救い上げるという具体的な措置のやり方をお持ちですか。
○柴田政府委員 結局これらについては公共事業費になるわけでございますので、まだ公共事業費の地方債の配当等も調整する余地は残しておりますし、特別交付税の場合でも非常に致命的な事態が起こってくるということになりますれば、やはり必要な調整は行なっていかなければならないだろうというように私は考えております。
○安井委員 それから一般行政費の節約のほうも旅費の三%を削る、そういう一律的なお考えが、地方の県やあるいは市町村の端々にまでうまくずっとしみ通っていけるものかどうかという点に疑問がありますけれども、その点、どうですか。
○柴田政府委員 旅費の三%、物件費の三%程度のものは有無を言わさずに節約してもらわなければならぬ、またそれくらいのものは、このときに至っても不可能でないと考えておりますし、またそういう趣旨で徹底さしておるつもりでございます。
○安井委員 不交付団体のほうも、交付税の今度の特例措置は全くないわけでありますが、地方税の増収も初めは二十九億ぐらいしかないというふうにいわれていたのが、あとになって急にふくれてきたり、何かいろいろ自治省の内部的な操作もあったと思いますが、不交付団体の財源措置は心配ありませんか。
○柴田政府委員 先ほど細谷先生の御質問でございましたかにもお答えしたと思いますが、すなわち不交付団体にとりましては、年度中途において大きな給与改定が行なわれるということは、実は財政的には非常に困る事態であります。しかしながら給与改定そのものにつきましては、交付税を通じて財源を付与するというたてまえになっております以上は、その結果再算定をいたしまして、なおかつ不交付団体になる団体はこれはいかんともいたしがたい。それはそれで財源配分の均衡化の原則から申し上げますならば、自前で財源の振りかえをやってもらわなければいかぬということになるわけであります。しかしながら、それぞれの団体につきましては、特殊事情等もあるわけであります。しかし財政運営を一生懸命にやって、なおかつ不交付団体になりどうにもしようがないという団体もないとは言えないのであります。それらの問題は、給与改定とこれに対する財源付与という立場から考えまして特別の措置を講ずるつもりはございませんが、財政運営全体を通じて、その団体の財政事情によって非常に苦しいところがございますれば、別途起債なり特別交付税の財政的措置を活用いたしまして必要な措置は講じていきたい、かように考えておる次第でございます。
     ――――◇―――――
○渡海委員長代理 次に、警察に関する件について調査を進めます。特に、横須賀市における原子力潜水艦寄港反対デモの際の警察官の職務執行に関する問題について調査を進めます。
 この際、事件の概要について政府当局から説明を求めます。後藤田警備局長。
○後藤田政府委員 十一月七日の横須賀の事件の概要について御説明申し上げます。
 原子力潜水艦寄港阻止十一月七日東日本集会が、同日の午後二時十五分から午後十時までの間、横須賀市臨海公園で、都内をはじめ東日本各県から社会党、労組、学生、民主団体など延べ約一万七千余名の参加によりまして、昼夜二回にわたって集会が開かれ、市内のデモが行なわれたのでございます。
 この際のデモにつきまして、反日共系の学生の団体及び社青同の一部の者――これ以外の参加者は、主催者の統制に服して比較的整然たるデモが行なわれたのでございます。ところがこの際、早稲田大学、法政大学、東京大学をはじめとします東日本の反日共系の学生の団体及び社青同の約千名が、初めから不法越軌事犯を敢行するという意図のもとに、主催者の統制に服さないで独自行動をとりまして、昼夜二回にわたって激しい違法行為が繰り返されたのでございます。特に横須賀市木町所在のアメリカ海軍基地正門前におきまして、再三にわたる警告を無視して、渦巻き、蛇行、すわり込み、投石、基地及び警察部隊に対する突っ込みなど、きわめて過激な違法行為が繰り返されたのであります。
  〔渡海委員長代理退席、中島(茂)委員長代理着席〕
その際、規制に当たりました制服警察部隊に隊伍を組んで突入する、かつ投石をするといったような、全く法秩序を無視した戦闘行動が行なわれたのでございます。
 当日、神奈川県警察では、横須賀警察署に現地の警備本部を置きまして、県下の警察官千六百四十三名を動員いたしまして、デモ路線の主要地点に分散配置をして、横須賀警察署長の指揮のもとに警備に当たっのであります。特にアメリカ海軍の基地正門前に部隊配置の重点を置いて警備に当たったのであります。この間基地前におきまして、昼夜二回にわたってデモ隊の先頭に立ってジグザグ、渦巻き行動を扇動したり、あるいは投石等によって警察官に暴行を加え、その公務の執行を妨害いたしました学生等三十一名、事後検挙一名、合計三十二名を公務執行妨害罪、公安条例違反、道交法違反等で検挙いたしたのであります。なお、この際投石等によって警察官は九十五名負傷、また学生は八十九名が全治十日以内の負傷をするというような、まことに遺憾な事態が発生をいたしておるのでございます。
 以上が当日のデモの概況でございます。
○中島(茂)委員長代理 質疑の通告がありますので順次これを許します。安井君。
○安井委員 この事件について若干お尋ねをしたいわけでありますが、私も現地に行っていたわけではありませんし、ただいまの御報告やら、あるいはまた当時の新聞やテレビやそういう中からの印象でありますが、全体的な警察の警備のあり方等について考えてみるには少し時間が少な過ぎますので、私はアメリカ海軍の正門前における警察側の学生や社青同に対する措置を中心にして伺ってまいりたいと思います。
 このときの情勢は、一番私ども印象に残っておりますのは、デモに参加した学生等に対して警察官が警棒を振り上げてなぐりつけておる、そういうような事態が強く印象づけられておるわけです。全体の警備行動の中にそういう事態もあったわけですね。
○後藤田政府委員 当日の事態の中におきまして、デモ隊の投石、突っ込み、あるいはプラカード、旗ざお等を持っての突っ込み、こういった事態があり、また警察官が渦巻きの中に巻き込まれて危険状態におちいる、あるいはパイプさくにはさまれてしまって危険状態におちいるというようなことが起きております。そういう際に警察官として、おっしゃるように警棒を振り上げて使用しておるという事実は数回ございます。
○安井委員 その点でありますが、警察側としては、警棒の使用については、いろいろな規定をもって運用に慎重を期せられておると思うわけでありますが、当日における警棒を武器として使用される、そういうような方法については遺憾がなかったというふうにお考えですか、どうですか。
○後藤田政府委員 おっしゃいますように、私も実はアメリカから帰ってきましてこの事件の報告を聞いたのでございます。その際にテレビ等の話も聞きました。そこで、これはやはり事態の真相をよく調査しなければならぬ、こういうことで、私自身実は横須賀に、帰ってきてからではございましたが、参って調査をいたしたのでございます。その結論から申しますと、私は警棒の使用によって相手方が負傷するといったような事態は、警備実施の際においても、私は望ましい姿であるとは考えておりません。しかしながら、現実の状況を見てみますと、警察官自身鎖骨をやられる、あるいは鼻柱を折られてしまう、あるいは上くちびるを破裂をして、そうして歯がすっ飛んでしまうといったような、相当ひどい負傷者が出ております。私はこういった実態を見まして、これだけのひどい混乱の状態になった際に、なおかつ警察官に警棒を使用するなと言うのは、私自身としては、実はそれだけの元気が出ない、これは率直な気持ちでございました。しかしながら、そういった感傷的なことに流れてもなりませんので、私自身としては十分現地について調査をいたしましたが、結論的にいいますならば、望ましいことではないけれども、しかしながらああいった事態における警察官の警棒使用としては、これはやはり必要限度の範囲内にあったんだ、こう私自身その認定をいたしたのでございます。
○安井委員 その事実問題の前に、警棒の使用の限界といいますか、警棒は普通の場合は、これは武器ではないと思うのですが、武器として使用し得る場合、警職法その他で規定があるわけでありますが、しかもまた使用する場合におけるいろいろな制限規定もあると思いますが、その概要について、ちょっといまお話し願いたいと思います。
○後藤田政府委員 仰せのとおり、警察官の警棒の使用、拳銃の使用等につきましては、われわれとしましても平素から十分教育訓練はいたしておるのでございますが、その根拠となっておりますのは、警察官けん銃警棒等使用および取扱い規範、これは昭和三十七年に改正になって、現在それによってやっておるのでございますが、まず警棒の使用につきましては、「警察官は、犯人の逮捕または逃亡の防止、自己または他人に対する防護、公務執行に対する抵抗の抑止、犯罪の制止その他の職務を遂行するにあたっては、その事態に応じ警棒等を有効に使用するよう努めなければならない。」こう書いてございますが、これが警棒の通常使用の場合でございます。したがって、せんだっての横須賀事件においても、多くの場合の警棒使用はこれに該当すると思います。ところが、いま一つ武器にかわるものとしての警棒使用でございます。それは正当防衛あるいは緊急避難あるいは凶悪な罪の犯人逮捕の際、こういった際に、必要と認めるときには、武器にかわる使用ができる、こうなっておるのでございます。そうしてその凶悪な罪とは何ぞやということになりますと、警職法の七条に武器の使用の規定がございます。「その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。但し、」云々こうあるわけですが、その際に、この規定の中に凶悪な罪というのがあるのですが、つまり「死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁こにあたる凶悪な罪を現に犯し、」したがってここでは長期三年以上の罪に当たる場合に、すべてそれが凶悪とは言えないわけです。三年以上に当たる罪であって凶悪な者、こうなっているわけですが、この凶悪ということについては法律は何ら触れていない。これをやはり解釈上はっきりして、そうして部内にも周知徹底をさせる必要がある、こういうことで警察官けん銃警棒等使用および取扱い規範の中で「凶悪な罪」とは何である、こういうことを書いてあるのでございます。これは凶悪な罪の場合。ところが正当防衛とか緊急避難になりますと、これはおのずから別個の問題になるわけでございます。
 なおまた部隊によって行動する場合の警棒の使用でございますが、これにつきましては、「多衆犯罪の鎮圧等のため、警察官が部隊組織により行動する場合において、けん銃または警棒を使用するときは、その場の部隊指揮官の命令によらなければならない。ただし、状況が急迫で命令を受けるいとまのないときは、この限りでない。」したがって、部隊活動の場合は部隊の指揮官が命令をするのをたてまえとして、緊急の場合には自己みずからの判断によって使用する。
 また武器にかわる使用、つまり凶悪な罪があるとか、自己防衛、緊急避難といったような場合には、これは個人個人の警察官の判断で使用する、こういうたてまえになっているのでございます。
○安井委員 きょう大臣はどうなっておりますか。
○中島(茂)委員長代理 間もなく見えるそうですから……。
○安井委員 じゃ続けます。
 警棒の使用につきましては、いま警備局長の言われましたようないろいろな制約あるいはまた原則があるし、また全体的に大きくかぶさっているのは警察比例の原則といいますか、そういうような大前提が先にあるわけです。そういうふうな中から、今回の、いま問題になっておりますこの事件における警棒使用が、合理的なものであったかどうかという点になるわけでありますが、警察側が警棒を今回の場合は使用することを決意したのは、警察官個々の判断ですか、部隊長の指揮によってですか。
○後藤田政府委員 その点につきましては、多くの場合には、これは先ほど申しましたように、通常使用として部隊指揮官の命令によっておるようでございます。しかしながら、当日の現場が御承知のとおりでございますので、そういう際においてはそれぞれの個々の警察官の判断の使用、こういう二通りの場合があるようであります。
○安井委員 それは一般的な場合じゃなしにあの当日ふるわれた警棒には指揮官の指揮によってのものと、それから警察官個々の判断によってのものと二通りあったということですか。
○後藤田政府委員 そのとおりでございます。
○安井委員 事件の全体的な経過の中で、警棒の武器としての使用が始まったのはどの時点からですか。
○後藤田政府委員 私どもの調査によりますと、まずこれは武器の使用として認めざるを得ない、こういうのは、第一回はデモ隊が正門付近の警察部隊に突入をしてまいりました十六時十八分ごろ、これは最初西側警備部隊に突っ込んできたわけですが、これを道路中心まで圧縮規制をしたわけです。ところがそのときほとんど同時に、もう一つの強力な他のデモ隊が基地正門付近の警察部隊に突入をしてきております。この際に警備中の隊部が阻止線のパイプにはさまれてしまって、ここで危険状態におちいっております。こういった際の危険を脱出するというために警棒が使われておりますが、この際は武器の使用に該当するのではなかろうか、こう考えております。
 いま一つは、十六時二十七分ごろに再び正門中央に突入をしてまいっておりますが、この際に、そのデモ隊を道路の向こう側に規制をしたのですが、規制を終了した部隊は、御承知の通行がひんぱんなところでございますので、もとの配置場所に引き返すわけです。そのときに規制部隊員がデモ隊につかまって、巻き込まれて、正門反対側の路地、つまり、現場をあるいは御承知かもしれませんが、基地の東側の、道路をはさんだ向かい側にどぶ板通り三差路というのがございます。この道路に引き込まれたわけでございます。その現認報告を受けました小隊長が、その警察官の救出に当たるということで、当該小隊が突っ込んでいっております。この際の使用は私は武器の使用であろう、こう考えております。
 それからもう一回は、これは夜の第二回目のデモの際でございますが、十九時十九分ごろでございます。これは、デモ隊が正門東側に突入をしてきたのですが、その際は、まずやり方として、どぶ板通り方面から部隊目がけて、あらかじめ準備をしておった石及びあの付近に建築現場がございますが、そこから持ってまいりましたコンクリートブロック、これの投石の雨を降らせております。そうして警備部隊の隊形をくずして、そして旗、こん棒、プラカードをたてにして突っ込んできた。こういう事態が起きておりますが、この際、これを防ぐという意味で警棒使用をいたしておりますが、これはやはり私は、武器の使用と認められる事態ではなかろうか。
 私自身は、大体そういったことがあの当日における武器の使用であった、こういうふうに考えております。
○安井委員 部隊指揮官の指示でやったのは、いまの御説明のうちのどれどれですか。
○後藤田政府委員 説明員から答えをさせます。
○後藤説明員 局長から申し上げましたように、当日昼の第一回目に、すでにたいへんひどい勢いで警備部隊のほうに突っかかってまいったわけでございます。そのときに大隊長は警棒を抜けということを言っております。この段階ですでに警棒は手にしておるわけでございます。あとの、警棒で押すほうの事態につきましては、これは先ほど局長が申し上げましたように、武器ではありませんで、用具としての使用の方法で、これは阻止線から道路の中央あるいは反対側の方向まで押していくという、その規制のためにこれをかまえて押していっております。これは指揮官の命令によっております。それから武器としての使用のほうは、これは指揮官が武器として使えということよりは、局長がおっしゃいましたように、これは個人の判断でやった部分が大部分であると考えられております。ただどぶ板小路に引き込まれました警察官を救出する場合、あるいはパイプさくにはさまれて警備部隊のほうが非常にあぶなくなってきた状態においては、これは指揮官の命令で、これを排除するために警棒を使用せよということでやっておるのでございます。
○安井委員 警棒の用具としての使用と武器としての使用と、その操法ですね。たとえば肩から上げてはいけないとか、そういうのがあるでしょう。それはどういうところでけじめがつくわけですか。
○後藤田政府委員 昭和三十七年の改正までの警棒使用規程では、通常使用の場合上に振り上げてはいかぬという規定は置いてございましたが、三十七年以後それは現在ございません。したがって振り上げるか振り上げないかということは特別な制約をいたしておりません。ただ問題は、武器としての使用と通常使用とどう違うかということですが、通常使用というのは要するに手の一部であるという使い方、端的にいえば、そういうことになる使い方でございます。したがって、警告制止をする場合に、警棒をかまえて分断をやる、こういう際に使うことがございます。ただし、そういった際に、当然かまえて分断するわけですから、多少のかすり傷その他は出るかもしれません。しかし、そういった際は別として、そうでなしに、あらかじめ警棒でやれば相手を負傷させるかもしれぬということが明瞭に予測せられるというような場合の使用は、これは武器の使用として規制をする、こういうたてまえになって、そこが違うわけでございます。そういった際に明瞭に相手が負傷するかもしれぬ、しかしながらなおかつ使わなければならぬ、こういうことですから、普通であればこれは当然にけがをさしたほうが悪い、こういうことになるのですが、そういった際に、法律にございますように、違法性が阻却される。したがって、違法性が阻却せられることになるわけですから、それだけに武器としての使用は、正当防衛であるとか緊急避難であるとか、あるいは凶悪犯の逮捕であるといったような制約があるんだ、こういうことでございます。
○安井委員 武器としての使用についてはどんなふうに使ってもいい、そういうことですね。
○後藤田政府委員 特別に私どもの法律上あるいは公安委員会の規則でこういった点でそういう制約を特に置いてはおりません。しかしながら、拳銃といえ何といえ、ともかくもそういうものは、やはり目的を達成するのに合理的に必要な範囲内であるということは、これはもう当然のことでございますので、行き過ぎはいけない、私はこういうふうに考えております。
○安井委員 警棒の操法ですが、それについてはいま三十七年から変わったとかいうふうなあれですね、これはどういうふうな形で制定されているわけですか。
○後藤田政府委員 国家公安委員会規則できめております。その根拠規定は警察法第五条ということになっております。
○安井委員 つまり、いまおっしゃったのは、拳銃、警棒何とかいう規則ですね。それ以外に現実に、警棒についてはこういうふうな使用方法をすべきだという指導方針か何かはないのですか。あれだけで、それ以外の細則的なものはないのですか。
○後藤田政府委員 この規定を受けて、県には何かそういうものがあるということをいま聞きましたが、私自身はこの規定以外は承知をいたしておりません。
○安井委員 先ほど来のお話を承っておりますと、どうも警備の態勢で警察側がこっちへうろうろ、あっちへうろうろしていて、指揮系統が何か十分でないのじゃないか、指揮掌握が十分でないのじゃないかというような気がするのですが、警備が手薄だったのですか、どうでしょうか、その点はいかがですか。
○後藤田政府委員 おっしゃるようにこの警備実施と申しますか、この種の大衆のデモ等の際のやり方というものは、私ども率直に言ってなかなか百点満点というものはとれません。相手の出方というものもありますし、またそれだけに、しかしながら、平素の教育なり訓練なりというものを十分にやって、でき得る限りの合理的なといいますか、適正な取り締まりをやるということでずいぶん訓練はいたしておるつもりでございます。当日の状況は、これは神奈川県としては、事前の情報等は、非常に危険である、とても主催者の方の統制には服さない、反日共系全学連は服さぬということで、基地内へ突入をして、基地の中で集会を持つのだ、あるいは事前の独自集会をやって作戦を練るというふうな、こういった情報等もあったのでございまして、まず警察力としては相当な程度を出しておったのではなかろうか。ただし、何分にも現場がああいう状況でございますし、非常に交通ひんぱんなところで、やはり道路の中央は車等を通すというわけで、とめるわけにもいかぬものですから、そういうたてまえでやっておる。したがって現場が非常に狭いというようなこともあるわけです。そこで神奈川県の警察としては、できる限りパイプその他のそういった器材を使って、それで防いで警察官の配置を有効にしよう、こういうことでやったことは事実でございます。しかしながら、私はその後現場に行ってみまして、あの現場で千六百四十三名の配置――部隊配置が臨海公園の出口から西側、正門までに大体一個大隊、正門に二個大隊、小川町のロータリーに一個大隊、解散地に一個大隊、こういう配置でございまするので、私は警察力としては事前情報と比べて、まずまずこの程度ではなかろうか、こういうふうに判断をしたのでございます。
○安井委員 私は警棒の使用は、警棒を武器として使用するという事態は、これはもう異常な事態で、警察なら相手にどんな危害を加えても、一応違法性は阻却されるわけですから、そういうふうな立場にあるだけに、かってな使用というのは戒めていくべきだし、合理的な使用というふうな形でなければいけない。というのは、先ほど来のお話の中で明らかであるわけですが、先ほど来のお話の中で見取れることは、もうあっちのほうでまたなぐり合いになって、また今度はしばらくたってまたなぐり合いになって、そしてまたしばらくたってまたなぐり合い、そういうふうな形で、全体的に指揮官がきっちりとした指揮掌握というふうなことがなかったのではないかというふうな印象を受けるわけです。というのは、警棒の使用についても指揮官は先ほど来のお話では何にも言っていなかったわけですね。やはり警棒の使用なんていうものは、指揮者がちゃんと全体的な情勢を見て、そういう中から処置をすべきであると思っておりますが、今度の場合には、指揮者が一言も声を発していないで、それぞれの分断された中で警察官がかってに警棒を使用している、いままでお話を伺っておりますと、こういうふうなことのようです。私は、その点がたいへん問題ではないかと思うわけであります。やはり警棒の武器としての使用、そういうふうな事態に対する対処というふうなものは、その現場できっちりとした指揮掌握のもとにあって、指揮官の判断で行動が起こさるべきではないかと思うのでありますが、そういうふうな事態ではなしに、指揮者は何も知らないで、かってにあっちこっちで警棒が振り回されたという事態は、どういうふうに理解すればいいのですか。
○後藤田政府委員 おっしゃるように、非常な異常な状態下におけるああいった事態であったと思いますが、私どもは、警棒使用は、先ほどちょっと先生おっしゃいましたように、やはり警察官だから何してもいいのだ、こういうような考え方は実は毛頭持っておりません。またそうあっては絶対いけないことである、こういうふうに考えております。これはあくまでも比例の原則というものが前提であるべきである、こういうふうに考えておりますが、当日の指揮が混乱しておったではないか、こういうことでございますが、当日の指揮は、私は指揮者自身に当たりましたが、非常に混乱をした現場であって、決して百点満点とは言いませんけれども、あの現場における措置として、警備の第一線の部隊長としてはまずやるべきことはやっておるのではなかろうか、こう私自身は判断をしたのでございます。したがって、武器の使用についてもてんでんばらばらではないか、こういうことでございますが、武器にかわる使用ということになりますと、これはやはり正当防衛であるとか、緊急避難であるとか、凶悪犯の逮捕であるとかいったような、まさにその現場に臨んで緊急急迫した事態になるわけでございます。したがって、そういった際に一々部隊指揮官が命令をするということは、これは私は事実問題として不可能ではなかろうか、こう考えます。通常使用につきましては、これは先ほどお答えいたしましたように、部隊の指揮官の命令によって原則的に行なわれておる、こういう事態でございますので、けが人を多数出したということは、これは私は決していいことだとは考えておりません、反省を要する、こう思いますけれども、しかしながら当日の状態がそれなるがゆえに混乱してしまって、はなはだもって警察の措置として不適当である、こういうことには私自身はならぬのじゃないか、こう考えております。
○安井委員 その現場指揮者は、この場合は横須賀署長だというふうにお聞きをしたわけでありますが、この場合の実力行使に対して事前にどんな指導をしておりましたか。
○後藤田政府委員 現場の指揮官が横須賀署長だという御理解でございますが、それはさようではございません。現地の指揮官が横須賀署長ということでございまして、正門前の部隊指揮官はまた別個の人でございます。小沢警視でございます。その点はあらかじめ申し上げておきたいと思います。
 当日の警備本部長の訓示といいますか、警備の方針といいますか、そういうことをお答えいたしたいと思いますが、十一月四日に中隊長督下の独立隊長以上を集めまして実地踏査をいたしております。その際の警備本部長の訓示の要旨は、情報性から判断をして基地の侵入を極度に警戒をしなければならぬということで、基地の侵入は絶対に阻止をする、学生を中心とする先鋭デモは、基地正門からの侵入を企図しているが、これは絶対に阻止をする、こういうことが弟一点。第二番目は、今回の警備にあたっては、警察は法に基づいて適正な職務執行を行なうこと。第三番目は、九月の二十七日の警備実施の際に、相手方の投石などによって警察官が五十四名の負傷者を出しておりますが、そこで今回の警備実施にあたっては、受傷事故の防止につとめること、同時に行動はあくまでも冷静であれ、こういうことを申し渡しております。それから第四番目は、悪質違法な行為に対しては、早期敏速徹底した処理を行なえ。それから第五番目は、大規模な部隊編成のため、各署混成部隊であるから、部隊相互、隊員相互間の連携を密にして任務遂行に当たれ、なお警棒の使用については、警棒の適正使用に留意をしろ、こういうことを申しております。なおこの訓示趣旨の徹底方でございますが、当日、つまり十一月七日に現地の警備本部長――横須賀警察署長でございます――及び県警本部の警備課長、これが各部隊の集合場所に出向いて、訓示の趣旨徹底をはかっております。また各級幹部は、待機中の警察官に、警備本部長のこの訓示の趣旨を具体的に説明をして趣旨の徹底を行なう、こういうことをやっております。
○安井委員 先ほど、相互にどれくらいの負傷者が出たか、それから、検挙されたのはどれくらいで、いまどういうふうな処置になっておるか、それをまだ聞き忘れておりましたので、途中ですが、伺っておきます。
○後藤田政府委員 説明員からお答えいたします。
○後藤説明員 まず最初に、けがの状況でございますが、これは先ほど局長から概略申し上げましたように、警察官側の負傷は九十五名でございます。それから、デモ隊側の負傷は八十九名でございます。そのうち逮捕されました者の負傷者が五名でございます。それで、あとは事件後、逮捕されました者の処理状況でございますが、第一回、つまり昼間の部のデモの際には、現行犯逮捕いたしました者三十名でございます。それから、夜間のデモのときに一名でございます。したがいまして、当日、十一月七日は、三十一名の現行犯逮捕をいたしたわけでございますが、これらは公務執行妨害、公安条例、道交法の違反容疑でございましたが、これら全員三十一名を横浜地検の横須賀支部に十一月の九日に送致をいたしました。横須賀支部では、十一月の十日に六名を釈放いたしまして、他の二十五名につきまして勾留請求をいたしました。そのうち二十一名が勾留の決定になりまして、四名が却下になりました。そして十一月の十九日に、勾留中の被疑者のうち、公務執行妨害罪、傷害罪で一名、公安条例、道交法違反で九名、計十名が起訴されております。したがいまして十一名のうち家裁送りが三名でございまして、それ以外の者は処分保留のまま釈放になっております。それから自後に逮捕されました者が一名ございますが、これは同様に公務執行妨害、公安条例、道交法違反容疑でございますが、同様に横須賀支部に送致をいたしまして、ただいま勾留中でございます。
○安井委員 警察側九十五名の負傷、デモ側八十九名の負傷といいますが、デモ隊の負傷は警察でお調べになったわけですが、これはどういうふうにしてですか。うちに帰っちゃったのなんかだいぶいると思うのですが、そんなのはどういうふうにしてお調べになったか、その基礎を伺いたい。
○後藤田政府委員 これは当日はたいへんに現場の状況が混乱しておりましたので、警察のほうでも直ちにというわけにはまいりませんでしたが、それでも事態が終わりましてから、付近の病院につきましてその状況を調査したのでございます。その結果、横須賀の共済病院で手当てをした者、それからあの現場の近くにセントジョセフ病院がございますが、ここで手当てをしたれ及び入院した者が五名ございましたが、これらの状況がわかったわけでございます。そのほか、逮捕いたしました者のうち、共済病院で手当てをいたしました者が三名、アメリカ軍の基地の病院で手当てを受けました者が二名でございましたので、そういう状況で、近所の病院につきまして手当てをしました状況から、ただいま申し上げましたような八十九名という数字を、一応警察のほうで把握しておるという数字で申し上げたのでございます。したがいまして、先生がおっしゃるように、近所の医者にかからないでそのまま帰った者もあるいはないとは申せない、こう考えております。
○安井委員 その負傷の程度、これは私も現場に行ったわけでもないし、詳しく調べたわけじゃないのですが、当日その場にいた人やら、その他いろいろ話を聞いてみますと、警察側の九十五名の負傷者は、これは公傷ですからきっちりした形で出てくると思うのですが、デモ隊のほうは、持っていったって別に保険料をもらえるわけじゃありませんし、扶助料をくれるわけじゃありませんし、これはおそらくわからないのが多くて、この八十九名に入ってないのではないかと思われる人は、これと同数、あるいはそれ以上いるのではないか、私どもはそういうふうに考えます。いままでのいろいろな情勢から判断しても、そんなような気がするわけです。けが人の数が比例しているかしていないかということで私は言うのじゃないのですが、ここで特に申し上げたいのは、テレビなんかでも、学生が逃げようとしている、頭を手でかかえて逃げようとしている、追っかけていって頭からなぐりつける、そういうような事態もあったのじゃないかと思うのですがね、その点どうでしょうか。
○後藤田政府委員 私もそれは、先ほど言いましたように、帰ってきてから聞きました。そこで現地で調査しましたが、そういう事態も確かにあったようです。ただ問題は、その現場の瞬間的な写真でそういうようになっているのじゃなかろうか、というのは、激しい突っ込みですね。プラカードなり旗ざおなり、これをたてにかまえて突っ込んでくる。その前に、準備しておった石を投げつけてくる。こういうようなところで当方が反撃に転ずる。そうすると、正面におる人は警察官に制圧せられるわけですから、そこでそういう状態になる。ところがそのうしろにおる連中は、まだ当方にやはり突っ込んできておるわけですね。そういったところの瞬間的な写真でございますので、やはりこれはその当時の現場の全体の状況から判断をしないといけないのじゃないか、こういうふうに考えております。
○安井委員 私は当日の情勢はしっかり自分の目で見たわけじゃありませんけれども、逃げる者までなぐるというような行動は、これは先ほど警備局長も、目的達成に合理的な使用というふうに言われた、あるいはまた当日の中隊長の訓示の中でも、警棒の適正使用と言った。私はそういったようなところにまで、いまのような逃げる者までも追っかけていってなぐりつけてけがをさせる、そういうような行動は、そういうような適正使用に当てはまるものとは考えられないわけであります。当日における警棒使用が、全部が全部適正なものではなかったとはお認めになりませんか。
○後藤田政府委員 逃げる者まで打っておる、こういうことでございますが、その点は、ただいま申しましたように、逃げると申しましても、混乱のさなかでございまして、正面におる者は逃げようがないわけです。要するに警察官に制圧をせられつつしゃがんでしまう、こういうことはあったろうかと思いますが、警察官がその際警棒を振り上げておる、こういうように言うのですが、それは先ほど言いましたように、あとからあとからとデモ隊の群衆が突っ込んできているわけです。そういった際でございまするので、私はその際の警察官の警棒使用というものも、これは私はやむを得ないのじゃないか。したがって具体的に全部が全部おまえは調べたのか、こうおっしゃられると、それは私はその自信はございませんけれども、当日の状況全般から見て、あの警棒使用というものは、私は必要な限度内でやむを得ない使用であった、こういうふうに思うのでございます。
○安井委員 先ほどのお話の中に、隊長のいろんな訓示に冷静に処理せよというふうなのがあったそうです。どうでしょうか。興奮をしないで冷静な態度で最後まで終始してたんでしょうか。私は逃げる者まで、頭かかえて逃げていく、そういう学生まで追っかけていってなぐりつける、そういうような行動は、これはやはり警察官自身が人間ですから、そういうような中で、興奮をして、反射的な行動に出てしまう、こういうふうなことが裏にあったのではないか、事実としてあったのではないか、そういうふうに思うわけであります。ですから、一番初めにいろいろな訓示はされたそうだが、しかし当日における指揮は、警棒をどうやって使用せよというふうなことは、指揮者自身の命令によって出たのではなしに、各警察官自身の判断によって行なわれたということ、そういうような点からも、全体的な指揮掌握が十分でなかったもので指揮系統が乱れていた、そういうふうな問題で、一種の孤立感といいますか、そういうような中から、警察官がむやみに警棒を振り回す、そして学生の逃げる者まで追っかけていってたたきつけている、こういうような形におちいったのではないかと思います。どうでしょうか。興奮しないで、冷静に処理したというような御判断はできますか。
○後藤田政府委員 私はこういった際の警察官のあり方として、いつも冷静でなければならない、また当日もそういう訓示をしておる、こう申し上げたのでございますが、さて、しからば、あの現場で若い警察官が興奮しなかったか、こうおっしゃられますと、私はやはり警察官といえども相当にエキサイトした場面があった、これは私はさように考えます。
○安井委員 こういうふうな事態に対して、国家公安委員長にお尋ねをしておきたいと思うわけでありますが、何といいましても事件の原因をつくったのは原子力潜水艦の寄港という、そういうふうな重大な政治事件が背景にあるわけです。そういうような事態がなくならなければ、この種のデモやそういったような事件はあとを断つわけにはいかないと私は思います。表現の自由というものを一応与えられている以上、そういうふうなことになって、そういうふうな中で興奮をした学生たちは、全体的な正々たる、憲法に基づくところの例の表現の自由といいますか、そういうような行動に反したような行動におちいらないとも限らないと思います。そういうような事態が将来とも起こるのではないかという予想に立って、やはり今度の横須賀での事件は一つの重大な反省点であろうと私は思います。どうでしょうか。警察の警備のやり方なりその他について、あの事件を契機として反省すべき点はなかったか、いかがでしょうか。
○吉武国務大臣 原子力潜水艦の寄港の問題に端を発しておるというお話でございますが、それは原子力潜水艦が寄港する。それを反対をしようということで起こったことでございましょう。したがって、この問題さえなければ起こらぬじゃないかという御意図かも存じませんが、政府としては原子力潜水艦の寄港というものの危険性を十分考慮し、調査をし、その上でだいじょうぶだということで決定をして入れたわけでございます。したがって、国民の中にその寄港に反対をするという政治活動の起こることは、私はこれは禁止するつもりはございません。ですから大衆の正当なる行動として行なわれますものを抑圧するなどとは考えていないのであります。しかしながら、その大衆の政治活動が秩序を乱る、そうして公共の安全を害するということになりますれば、警察官としてはこれを維持する責任がございまするので、これはほうっておくわけにはいかないのであります。でありまするから、私は政治活動というものは、これはとにかく保障されていることであり、自由であり、けっこうですけれども、それを行なうには、やはり正しいルートを通じておやりになるということでないと、反対であれば何でもかんでもやるんだ、ぜがひでもとめるんだということになっては、私はこれは秩序が保たれないと思うのであります。現に今度の原子力潜水艦の寄港に反対されるいわゆる組合員といいますか、中には秩序を守ってやっていられる方も相当あったように見受けられるのであります。これは横須賀ばかりじゃない。佐世保においてもあったのであります。ところが一部の、中にはとにかく秩序を乱って、道路で渦巻き行進もやる、あるいは蛇行進もやる、そうして石も投げる、けがもさせる、こういうふうな行動がございますと、これは原子力潜水艦の寄港を阻止するんだからやむを得ないんだというふうにして放置するわけにはいかないと思うのであります。警察官の行動については、先ほど警備局長からも話しましたように、注意に注意を払って、そうして興奮しないように、冷静な態度で秩序を守るようにしていきたいという私は念願でございます。注意もしたこともございます。今後といえどもその方針でいきたいと私は思います。でありまするから、大衆のこの政治活動のやり方も、秩序を守った行動で行なっていくように何とかしてもらいたいというのが、私の率直な意見でございます。
○後藤田政府委員 私からちょっと補足させていただきたいと思います。
 反省の点はないのか、こういうお話でございましたが、先ほど申し上げましたように、警備実施というものは、百点を目ざして百点がとれる性質のものでは決してない。しかしそれなるがゆえにこそ、われわれは毎日毎日訓練を重ね、教育をして、できるだけりっぱな、適正な取り締まりをやりたい、こういう意味においては、今後とも私どもは一そうの努力を重ねなければならぬ。ことに今回の事件は、私は先ほど来、必要やむを得なかったのだ、こう申し上げておりまするけれども、とにもかくにも彼我双方二百名近くも負傷者を出しておるということは、はなはだ残念なことだと思います。したがってこういう点は、将来とも何とか方法はないのか、こういうことを研究をいたしたい、こう思います。現に昨日も六大府県の公安部長を集めて会議をやったのでございますが、その席でも何とか学生というものをもう少し秩序のワクの中に入れる方法はないのだろうかということが、現地の公安部長から意見として出ております。一番必要なことは、学生といいましても、いわゆるトロッキト系の学生集団でございます。この学生たちは、最近はデモに参加はするんだけれども、そのデモの責任者、指導者というものの統制に全然服さない。したがって、私は、デモをやられる際には、何とかこれを責任者なり指導者のワクの中に入れる方法を考えていただきたい。それがためにデモをやる場合には、事前に責任者なり指導者の方と当該警戒に当たる警察側とで十分な打ち合わせが願えぬだろうか、これが第一点。
 第二番目は、昨日の会議でも意見が出たのですが、大学側に、教育機関としてやるべき手がないだろうか、こういう意見が出ました。しかしながら、これは実は私どもも望ましい。したがって文部省その他にもお話はしなければならぬと思っておりまするけれども、とうてい私のいまの見通しでは、これらの学生には遺憾ながらきき目があるまい。それでは家庭はどうか、こういう問題でございますが、今回の事件でも、検挙後ある被疑者の母親が横須賀警察へ参っております。その際に、実は私の家庭は中央官庁の局長をやっておるのです。そこで名前が出るのがはなはだ困ると言うて、せがれはおたくから出してもらうとまた全学連とやらへ行っちまう。したがって、いつまでもあなたのところに置いておいてくれというような、何というかほんとうに気の毒な状況がございます。したがって、現在の反日共系の学生を、何らかの秩序の中に入れるということは、非常にむずかしい。しかしながら、少なくともデモをやられる際の、事前の警察との打ち合わせ、あるいはまた見込みは少ないかもしれぬけれども、これはやはり家庭なり大学当局なり、こういうところも相ともに力を合わせて、何とか正常な軌道に乗せなければならぬ、こういうふうに考えておるのでございますが、私どもとしてもまた反省し、そのやるべき手は幾らもあろうと思いまするが、そういう点も私ども今後とも十分研究をして努力をいたしたい、こう考えております。
○安井委員 時間ですからこれでやめますが、学生のデモをとどめる道は、名案はただ一つだけしかないのですよ。やはり原子力潜水艦の寄港というふうな、デモを誘発するような政治をやめることです。これが一番名案です。それさえあれば学生はパチンコや何かだけで終わるわけです。そういう根底的な問題があるということだけを申し上げたいことが一つ。
 それから、警棒の安易使用を戒めるという問題については、全体的な問題の中から、警備局長が適正使用の一そうの努力というふうな表現でなすったのですが、ぜひそういうことで願いたいと思うのです。いままでの判例をちょっと調べてみましても、警察の集団に対する制止行為に過失があって負傷を負わせたと認められた例の京都の荒神橋事件、京都地方裁判所の判例にありますね。それからまた警察がピケラインを排除するため、警棒操法に違反して、警棒を使用して傷害を加えたと裁判所によって認定されたわけですが、相模工場のピケ事件、これは横浜の地方裁判所の判例です。それからまたデモ隊員の逮捕に従事中の警察官が、過失によりピストルを発射し、負傷させたと認定された例の吹田事件、これは大阪の地方裁判所の判例です。それからごく最近では、安保教授団に対する警察の排除行為を、警察の暴力によるものとして東京都に慰謝料二百三十七万円の支払いを要求したものに対する判決、慰謝料を払えというふうな形で東京地方裁判所の民事部でことしの六月十九日に一応出ているわけです。そういうふうに、これはみんなケースは違いますし、それぞれの背景も違っているかもしれませんけれども、判例の中にもたびたび取り上げられているくらい問題が常に起きるわけですから、今後の指導という面にぜひ十分な関心を払って御処理を願うように願っておきたいと思います。
○佐野委員 ただいまの安井委員の質問に関連いたしますが、一言だけお尋ねし、公安委員長の所信を伺っておきたいと思うのです。
 と申し上げますのも、警察官の職務執行に関しまして、権利の乱用のおそれがあってはたいへんだ、そういう危険性もある、こういうので、警察法、警察官職務執行法あるいは警備細則あるいはまた拳銃警棒等使用取扱規程等には、常に乱用を戒めて、基本人権尊重に当たらねばならない、こういう倫理規定を置いておるわけです。しかし実際問題となってまいりますと、警察官の行き過ぎによる警棒あるいはピストルの使用、こういうことが問題となっておるわけです。それで警察官には当然として公務執行に対する保障あるいはまた違法性の阻却、いろいろな権限が付与されておるわけです。しかしながらそういう結果として、国民の基本人権が侵害される行き過ぎがある、こういう場合にこれを救済する、こういうことがほとんど不可能な状態にあるのが現在の法体系じゃないか。その意味で、いろいろ警察内部の諸規定を読ましていただいておるわけですけれども、そういう訓示規定は非常にたくさんあるわけです。ところが実際にそういう行き過ぎなり、ただいま安井委員が指摘しておりますように、いろいろな判例が出ておりますし、先船の東京地裁における判決にいたしましても、学者に対する行き過ぎ、機動隊等の権限のこれも行き過ぎ、あるいはまた今度の横須賀事件にいたしましても、私、各大学の学生新聞を取り寄せて読んでみておるのですけれども、これは警察の行き過ぎに対する非難に満ちておるといってもいいのじゃないか。またこれに対して法学者たちが、一斉に最近の警察官の行き過ぎという、こういう件を取り上げておると思うのです。そういう意味から公安委員長、どうですか。もっと警察官の行き過ぎに対する法的な規制、こういうものを内部でおつくりになる考え方はないですか。その点をひとつお伺いしておきたいと思うのです。
  〔中島(茂)委員長代理退席、渡海委員長代理
  着席〕
○吉武国務大臣 御指摘の、警察官の行き過ぎのないようにということは、これはもう当然のことでありますし、私どもいままでも注意をし、今後といえども重ねて、注意をしていかなければならぬと思います。しかし、私ども最近のああしたデモその他に対する警察官の取り扱いを見ますると、そういうデモはけしからぬぞということで、そうしてこれを行き過ぎてどうしようという態度とは私は思いません。やはり最近の警察官はそこは十分心得ながらやっておると思います。それからまた一般の大衆的なデモその他につきましても、一般の方々の行動は、私は相当秩序のある行動をとっておられるように思うのであります。ただ、先ほども言いましたように、一部の人々の中には、それをことさらに秩序を乱って行動の行き過ぎのなにがあると私は思います。率直に言ってあると思います。ですから、そういうものも警察官は目をつぶってほっておいていいんじゃないかというふうになったのでは、これは公共の安全、そして公の秩序を守るという警察の任務を怠ることである。ですから、行き過ぎは厳に私は慎まなければならぬと思います。警棒の使用もこれは慎重でなければならぬことは当然であります。しかしながら、そういったいままでの行動、傍若無人に渦巻きをやる、蛇行進もやる、そして石をどんどん投げてけがをさせる、こういうことを目の前に見て、しかも警察官は行き過ぎがあってはならぬからといってこれを放置するということは、私は許されない。ですから、私どもも警察官の行動に十分の注意を払うつもりでございます。と同時に、こうした行き過ぎた大衆デモの行動というものを、先ほど警備局長が申しましたように、何とか正規な方法というものに持っていく方法はないか。これは私は皆さま方の世論の力によってそういうことに導いていきたい。私どもも警察官の行動については、十分心得ていきます。そういう点を一つ御了察いただきたいと思います。
○佐野委員 最後に希望なんですけれども、私は横須賀事件における警察官の正当な行使その他という点に対して、あえて触れておるわけではなくて、行政法の立場から見て、行政権限に関する法律は山ほどある。警察官の職務執行に対しても特に強い規定を置いているわけであります。しかしながら、そうした行政権限によって基本人権が侵害される、その乱用によって引き起こされている事態に対して救済する法律は、ほとんど整備されていないわけであります。そういう意味において、私は国務大臣としても、行政権の内容についてもう少しそういう意味からもひとつ御検討願いたいということと、警察官の場合に、特にピストル、警棒など武器の使用につきましては、戦前の場合にはもっと強い規定を置いておったと思うのです。戦後においては、三十七年に特にいろいろな規定が改められて、しかも非常に訓示規定になってしまっておる。それだけに警察官の権限の行使というものも大きな責任を伴っておると思うのです。そこにおいて乱用という問題が起こった場合に、これを内部において処断をする、基本的人権を守る、こういう均衡ある行政法でなくちゃならぬと思うのですが、片方だけはぐんぐん整備されていっている。片方においてはほとんど放置されて、諸外国の行政法と比較すると全く立ちおくれてしまっているというのが現状じゃないかと思う。ですから、倫理的な、あるいは訓示的な規定を置くことも大切でしょう。しかし、それを実質的に救済するそういう法的な措置が、行政法の一面として整備されていかなくちゃならぬのじゃないか。こういう意味も含めて十分御検討願いたいということを申し添えて、関連でありますので終わります。
○渡海委員長代理 秋山徳雄君。
○秋山委員 私は実はこの問題にはあまり触れたくなかったのですが、答弁を聞いておりますと、何か皆さんのほうでもっともらしい理屈をつけて、正当化しようということにきゅうきゅうとしておるのがひしひしと感じられるわけであります。ここで黙って聞いておっても、何か心の中でほんとに腹立たしさが増してくるという心持ちで一ぱいであります。それはなぜかというと、さっきの局長の説明によると、写真は瞬間的なものだから、これはわからないのだというふうな答弁をしてみたりしておるようであります。ところが、私は土地の人間の一人として、いままでのいろいろの警備状況もよく見ております。ところが、安っぽいことばで言えば、いわゆる町内のお祭りであるとか、あるいは市のお祭りであるとか、そういうときになると、これはもう完全に交通を遮断して堂々とやらしております。おみこしさんなんかになれば、おみこしさんはジクザグ行動を一ぱいやっておるわけです。しかし事デモということになりますと、初めから色めがねをもってあなた方は見ておる。そのためにいつもベースの前には武装警官が一ぱいいるわけです。ところが九月の集会のときには私どもも警察へ足を運び、連絡を非常に密にしてやってまいりました。ところがたまたま不祥事が起こったということであります。そうなりますと、どういう結果があらわれたかということになりますと、横須賀の警察署の人たちは、県警本部から大きな目をむいてしかり飛ばされておる。おまえたちは労働組合の人間や社会党の人間とあまりなあなあ過ぎるじゃないか、何の心の用意も、また心の用意だけでなくて、すべての警備の面においてもたるみ過ぎているではないかということで、一々指摘をしながら、おしかりをこうむっております。それで、じゃあメーデーのときにどういう警備体制をとるか、あるいは他のデモ隊が出るときにどういうことが横賀須で行なれるか、こういうこともあわせ考えなければならぬかと思います。いつもメーデーや何かのときになりますと、あるいは何かのデモが行なわれるときになりますと、海軍ベースはあそこの門を閉ざします。そうして上陸は一人もさせません。これがいままでの通念であります。したがって、問題の起こった十一月の初旬のときにおきましても、同じように上陸は禁止をされております。にもかかわらず、いつの場合でも武装警官が一ぱいあそこにはびこっておって、何かあったらやるぞというふうな心がまえであります。特に九月の場合に非常なおしかりを受けておりますので、今度はということで、警棒は必ずベルトを締めてそこに突っ込んでおるはずでありますが、それも今度は行なわなかった。警棒はむき出しで手に持たしております。寄らばなぐるぞではなくて、追っかけてでもなぐるぞという心がまえであります。ですから、私もここに写真もずいぶん用意しております。横須賀のあの地形をよく知っている人ならば、この写真を見れば一目瞭然たるものがあります。それにもかかわらず、何か自分たちの保身術かのように、りっぱらしく理由をつけたり理論づけたりして御答弁なさることに私は非常な不満を持っております。もっと警察をになっておる皆さん方は、悪ければ悪い、悪いこともありましたなら、ありました、そういうことを率直に話していただいて、私たちはそのために犯罪人を出したりあるいは刑罰をしょわしたり、そういうことが望みではありません。将来の警察の態度について考慮を願いたい、こういうことでないかと思うわけであります。証拠写真なら私はここに一ぱいありますよ。あなた方がどれほど横須賀の地に明るいかわかりませんけれども、こういう写真を見れば、明らかに歩道まで警官が警棒を持って乗り上げているではないか。そういう答弁を私は聞きたくない。
 きょうは約束の時間で、もう終わらなければなりませんが、私はいままでの質疑を聞いておっても、あまりにも一方的な、あまりにも理由づけた答弁のみをしておるので私は実はあまり快しとしません。次の機会にこの問題については十分にあなた方といろいろの角度から質疑を重ねたいと思います。いままでの質疑で終わってしまったのでは、何かそれによってもう事終われり、そしてもう済んだのだというふうに観念的に印象づけられるのは私は残念でありますので、これからのことはあとで次に時間を十分いただいて皆さん方と質疑をかわしたいと思いますので、この一言だけ加えておきたいと思います。
○渡海委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十分散会