第048回国会 運輸委員会 第24号
昭和四十年四月十五日(木曜日)
    午前十時五十八分開議
 出席委員
   委員長 長谷川 峻君
   理事 大西 正男君 理事 關谷 勝利君
   理事 田邉 國男君 理事 久保 三郎君
   理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君
      浦野 幸男君    小渕 恵三君
      川野 芳滿君    佐々木義武君
      壽原 正一君    田澤 吉郎君
      小川 三男君    勝澤 芳雄君
      島上善五郎君    泊谷 裕夫君
      野間千代三君    内海  清君
      竹谷源太郎君
 出席政府委員
        検     事
        (入国管理局次
        長)      中村 正夫君
        外務事務官
        (アメリカ局
        長)      安川  壯君
        運輸事務官
        (海運局長)  若狭 得治君
        運輸事務官
        (船員局長)  亀山 信郎君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (経済局東西通
        商課長)    伊藤 博教君
        外務事務官
        (移住局旅券課
        長)      人見鉄三郎君
        参  考  人
        (日越貿易会理
        事長)     中原 光信君
        参  考  人
        (日本船主協会
        理事長)    米田富士雄君
        参  考  人
        (全日本海員組
        合副組合長)  和田 春生君
    ―――――――――――――
四月十五日
 委員本島百合子君辞任につき、その補欠として
 内海清君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 海運に関する件
     ――――◇―――――
○長谷川委員長 これより会議を開きます。
 海運に関する件について調査を進めます。
 本日御出席の参考人は、日越貿易会理事長中原光信君、日本船主協会理事長米田富士雄君、全日本海員組合副組合長和田春生君、以上三名の方々であります。
 本日は、日本船舶のベトナム海域における運航の安全等について各参考人より意見を聴取することといたします。
 この際、一言、委員会を代表いたしまして、委員長よりごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には御多忙中にもかかわらず御出席をいただきまして、ありがとうございました。それぞれの立場から忌憚のない御意見を拝聴することができれば幸いと存じます。
 なお、御意見の開陳時間はお一人十五分程度にお願いいたしたいと思います。
 それでは、中原参考人からお願いをいたします。中原参考人。
○中原参考人 本日は公聴会を開いていただきまして、たいへんありがとうございました。
 私、きょうはベトナム水域における日本船の航行の安全確保という問題について説明をするようにということでございますので、主として、ベトナム民主共和国に対する航行船舶の安全ということが主要な問題になると思いますので、その背景にありますわが国とベトナム民主共和国との貿易の現状につきまして、また現在問題になっております配船の問題について、事情を御説明申し上げたいと思います。
 初めに、わが国とベトナム民主共和国との貿易は、一九五四年のジュネーブ協定の締結によって、フランス軍がベトナムから撤退をいたしましたあと、日本の業界がベトナムの各貿易機関と貿易の交渉について始められたわけでございます。実際に相互の取引が開始されましたのは一九五六年から始まっております。当時といたしましては、ベトナムヘの渡航ということにつきましても、正式の旅券の交付がむずかしいというような情勢がございまして、また相互の輸出入のライセンス問題もなかなか正式にはむずかしいということで、第三国のスイッチという形式でやっておりました困難な時代でございます。
 当時は、主要な取引の品目は、有名なホンゲーの無煙炭の輸入がおもでございます。日本からは主として、繊維、化成品、肥料等の輸出がおもでございます。逐次日本からの輸入品もふえてまいっておりますわけです。
 一九五八年の十二月に、ベトナムに対する渡航という問題も、正式の旅券が交付されるようになりまして、また同年の六月には輸出入品目について正式なライセンスをいただけるというような、いよいよ貿易も正式に軌道に乗ってきたという年でございます。特に一九六一年になりまして、日本の銀行五行、三井、三菱、第一、三和、住友銀行、これがベトナム民主共和国の国家銀行と正式に決済上のコルレスを結びまして、決済の面におきましても非常に円滑に行なわれるというようになってまいりました。
 その後、日越相互の取引品目、取引額は逐次拡大してまいりまして、一九六一年には輸入のホンゲー炭が七十二万トン、輸出が肥料、鋼材、化成品、繊維等を合わせまして総合計五百三十六万ポンドという統計に上っております。こういうことでやっと貿易の方式上も正式に軌道に乗ってまいりましたわけでございますけれども、その後取引が横ばいしておるという状態が一、二年続いております。
 この問題の背景にありますのは、特に昨年予定いたしておりましたベトナムからの三回目の貿易技術関係者の渡航ということが政治上の配慮でペンディングになったままになっておるという状態がございますし、また当時ベトナムのほうから引き合いがまいっておりました十万トンの肥料の輸出につきましても、最終的には輸出ができないままになっておる事情がございます。
 このような中で、一昨年の八月に、ベトナムの国際貿易促進委員会と私ども日越貿易会との間に貿易決済に関する議定書というのが取りかわされまして、引き続いて昨年九月に、この議定書を具体化するという目的で取引の拡大についての相互の書簡が交換されたわけでございます。この書簡の内容と申しますのは、一九六五年度でありますから、ことしの取引額を昨年の取引の二倍にするという構想で具体的な品目を約束されたわけでございます。同時に、ホンゲーの無煙炭については、対日向けに大幅な値下げが行なわれました。
 そのようなことから、ベトナムからの輸入につきましては、本年度はホンゲーの無煙炭が約七十万トン、その他銑鉄の十万トン、またクローム、すず、燐灰石というように鉱産物の輸入、また、ウルシその他の農産物の輸入が予定いたされております。
 一方、日本からの輸出につきましては、繊維、鋼材、化成品、機械、農機具、中でも二、三年来技術的な交渉を続けておりましたホンゲー炭鉱の選炭・積み込みプラントの輸出交渉がなされておりますし、また紡績プラント等約十種類のプラントの輸出商談が具体的なものになってきております。
 こういうぐあいに見ますと、輸入品目が約四十種類、日本からの輸出品目が約百種類というのが現状でございます。
 本日は品目についてのこまかい説明は省かしていただきますが、現在船舶の航行が中断しておるというような現状で、その重要性と緊急性ということを御理解いただくために、ホンゲーの無煙炭の日本の需要について御説明させていただきたいと思います。
 ホンゲーの無煙炭といいますのは、この図上で、あの一番上に書いてありますキャンファ、ホンゲーという二港がホンゲー無煙炭の積み出し港になっておりまして、山元はそれから二キロの地点でございます。世界で最も良質な無煙炭であり、また価格も非常に安い、距離的にも有利であるというようなことから、ホンゲーの無煙炭は日本の各産業に約五十年、半世紀にわたって輸入されております。近年逐次日本の産業の発展とともに輸入数量がふえてまいりまして、一九六一年には七十二万トン、ことしはまた七十万トンの輸入契約がなされております。
 このおもな需要でございますが、一つは石灰窒素、カーバイド、これはこの産業の関係の大手十八社のメーカーがお使いになっておられまして、製品は主として石灰窒素肥料、市販用のカーバイド、それから有機合成、塩化ビニールというようなものができております。またもう一つの産業は、石灰用の焼成ということでありまして、全国約五十社のメーカーが原料として使用いたしております。もう一つはガス業界でございます。これは工業用や家庭用の主要な大手ガス会社五社が使用いたしております。そのほかに練炭、豆炭に使用いたしております。これは練炭、豆炭関係の製造工場約二百社が使用されておりまして、主として家庭用の燃料、暖房厨房用に使用されておるほかに、国鉄用のピッチ練炭に使用されております。その他の産業は、鉄鋼、非鉄、食品、化学というような産業に使用されております。そういうことで、日本の輸入炭素材総量の六五%を占めておるという、他に代替者のない非常に重要な原料になっております。
 そういう中で、最近のアメリカ北爆が強化されておるという中で、北ベトナムヘの船舶の航行ということが問題になってまいりました。現状年々約百五十ぱいの日本船が、先ほど申し上げました品目の輸出と輸入に携わっております。主として行っております港はハイフォンでございますが、ハノイから約八十キロの海岸にありますが、唯一のベトナムの国際港でございます。それから石炭の積み取りは、ホンゲイ港とキャンファ港、この三港が主要な港になります。日本船も含めて、諸外国の外国船が、現状年間約五百五十隻入港いたしております。この中で一番多いのは、約二百隻の英国船ということでございます。アメリカ軍のベトナム民主共和国に対する爆撃が強化されております中で、日本船が中止せざるのやむなき事情に至っておりますけれども、特に先ほど申し上げましたような、長い間築き上げてまいりました両国の経済関係、また輸出、輸入ともに非常に重要な市場になっております。
 こういうことから日本船の同地域の航行の安全につきまして、特に運輸省、外務省、通産省のほうに業界からたびたびこの安全の確保のための陳情をいたしております。特に三月の二十五日以降、日越貿易会の海運部会といたしましては、同地域の航行の安全について具体的な措置をいただきたいということで陳情いたしております。その後各業界からも、何とかして現状の貿易を安全に維持するように措置をとっていただきたいということで、貿易会といたしましても、また日本船主協会さんのほうからも、陳情が出ておるということが現状でございます。
 四月の初旬以降、日本船の配船が非常に危険だということでとまっておりますが、実は今年度のベトナムに対する相互の取引の契約ということは、年間契約ですでに契約されておりまして、これが船がとまることによって、品物が入ってこない、出ないということになりますと、相手国に対する契約の不履行から多大の損害を生ずるのでないかということを業界としては最も懸念いたしております。特に日本のメーカーとコンシューマーに対する輸出品、輸入品の不履行によって生ずる損害ということは多額なものが予想されるわけでございます。私どもといたしましては、現地の情勢を十分慎重に収集いたしますために、現在ハノイに貿易交渉のために滞在いたしております日本商社の派遣員から事情を聞いておりますが、その電報によりますと、現在英国、フランス、西ドイツ、ベルギー、ノルウェー、ソ連、中国、キュ一バ等の船は支障なく入港しており、今後の入港予定についても変更は見受けられないということで、なるべく早く日本船が就航することを希望しておるというような電報が入っております。そのような中で、現在日本の船会社さんのほうで数隻の外船をチャーターして、現状を間に合わしておるというのが事情でございます。
 こういうことでございますので、要は、日本の船舶が安心して航行できるように、またこの正常な取引が維持発展されるように、何らかの措置を政府のほうでとっていただけたら一番いいのでないか、そういうぐあいに思うわけでございます。先般の四月二日の日の外務委員会におきましても、外務省の見解では、アメリカ軍が日本船を攻撃するということは考えられないというような回答をされておられますけれども、この問題については、何らか具体的な措置をとっていただいて、私ども業者が安心して貿易が続行されるようにということを希望いたすわけでございます。特に、この問題の一番重要な問題は、アメリカの北爆が現状続いておるということでございます。このようなことをやめてもらうという要請をすることは、これは一つの問題でございますけれども、業者が安心して貿易ができるということと、海運業者や船員の方が安心して配船ができますように、何らか政府のほうで具体的な措置を講じていただきたいということが私どもの願いでございます。これはたとえばでございますけれども、アメリカまたは南ベトナム政府に対する日本船舶の航行の安全についての確認であるとか、あるいは必要な通告、通知、記号、標識の問題であるとか、あるいは保険の再保証の問題等専門的にはいろいろな問題があるのでないかと思います。そのような具体的な措置によって、相互の通商貿易関係が維持確保されるということについて、政府のほうで自主的に具体的な効力のある措置をとっていただくようお願いいたすわけであります。
 以上でございます。
○長谷川委員長 次に、米田参考人にお願いをいたします。
○米田参考人 船主協会の理事長の米田でございます。
 私は主といたしまして、北ベトナム方面に対する配船が停止されるような事態になりました経緯につきまして申し上げまして、あわせて今後どうしたらいいかというふうなことについて、私たちの希望をお願いいたしまして、ひとつ御対策をぜひ立てていただきたいというふうな見地から申し上げたいと思います。
 ただいま中原さんからのお話しのように、北ベトナム方面に対して、外船を含んで約六百隻前後の船が行っておる。その中は、大体英国船が二百隻、それから日本船が百五十隻、その他ノルウェーあるいはフランス等の船というふうなことになっております。
 日本の場合を抽出いたしますと、船会社といたしましては、関西汽船とかジャパンライン、山下、新日本、新和海運それから第一中央その他大体十九社くらいの会社がこの方面に対しての配船を行なっておるわけでありまして、それの扱います荷物はただいまのお話にありましたように、ホンゲー炭が主力でございます。輸出といたしましては繊維その他の雑貨等を向こうに持っていくというふうな形でございます。
 ホンゲー炭につきましては、四十年度に大体六、七十万トンくらいの輸入計画で、それに対する配船を約百隻以上考えておるわけであります。ところが、この輸送の内容、形態を見ますと、大体ガス、コークス向けの約四万トンくらいは長期契約のもとで輸送をしているというふうな形でありますが、その他のものは大体スポット配船とでも申しますか、そのときそのときの一つの運送契約というふうなもので配船しているというふうな形でございます。これは一つの不定期船のやり方としては、大体こういうものにつきましては、そういう形態がとられるのが主であるわけであります。
 ところが最近アメリカ・南ベトナムの北越に対する進撃と申しますか、そういうものが非常に激しくなりまして、ついにはなはだ残念でございますが、四月一日以降北越のほうに対する配船を停止するようなことになったのでありますが、その理由に大体二つあるかと存じます。その一つはいわゆる商売的というふうなことでありますか、そういう一つの採算面から出ておるもの、それからもう一つは乗り組み員の人命尊重というふうな点から出た問題というふうに分けられるかと思います。
 そこでまず採算面というふうな点から申しますと、こちらの方面に対する保険料が非常に上がってまいったわけであります。私のところで調べましたものを見ますと、大体百円につきまして昨年の八月が非常に高くて十二銭五厘くらいの保険料であったのが、十月が五銭になり、十一月が六銭二厘というふうなことで、本年に入りまして一月の半ばごろには六銭二厘五毛でありましたのが、二月に入ってまた十二銭になり、さらに進撃が激しくなりました三月の末あたりになりますと、二十五銭にまで上がってまいったのでございまして、現在の状態からいたしますと、この二十五銭でとどまっておるのかどうか、またこれだけの保険をかけて採算面でうまくいくのかどうかというふうな、今度は船会社のほうの面もございます。そこで一体こういう保険が高くなるということは、申し上げるまでもなくその地域が非常な危険な状態にさらされているということを保険料の数字である程度あらわしているというふうにも考えられるものでございます。と同時に、日本の保険というのは外国の船会社の保険の場合と違いまして、こういう戦争保険的なものについて、再保険の道が開かれておりません。外国のものは、イギリスにしてもアメリカにしても、その他の国のものについては、こういう場合におけるいわゆる再保険の道がある。その場合においては大体政府のほうでそれを引き受けるというふうな形ができておりますが、日本の場合においてはそれができておりませんので、こういうふうな上がった分については全部それを上積みの保険料として支払っていかなければならないというふうな形になります。そこで、たとえば五千トン・クラスの船をひとつ見ましても、その価格を幾らに見ますか。いい船で四億あるいは三億というふうなところで見ましても、大体一航海一月くらいでありますが、それで百万円から七十五万円、百万円前後の負担がここに一航海で出てくるというふうなことで、なかなか採算面でも苦しくなっていっているというふうな状態でございます。
 そこへちょうどこういうふうな危険を反映してと申しますか、海員組合のほうから乗り組み員の人命擁護というふうなことからして、船主のほうに対してこの方面に就航する船の乗り組み員については危険防止について万全の措置をとってもらいたいということと、それからその危険に対する手当をひとつ考えていただきたいということ、それからもしそういう場合のその爆撃等によって損傷を受けた場合には、それに対しての補償を考えていただきたい。こういうふうなことの要請がございました。この点についてはあとで和田さんからその経緯等についてお話があるかと思っておりますが、私たちといたしましても、人命の尊重の立場から無理にそちらのほうへ行けというふうな形もとれませんし、ことにそういう面から出られれば、これはひとつ何とかまず危険防止のことについて十分考える。それからそういう場合、起こった場合の手当、それから補償ということについても十分考えなくてはならないということで、これに対しては一応の、たとえば船が被爆を受けた場合にはその乗り組み員に対して二万円の手当を出す。それから船の近所が被爆された場合においては、その危険に対して一万円の手当を出そう、それからあと災害補償については十分考えるというようなことで、お互いの間に申し合わせを確認いたしました。それが三月の四日ごろに大体この確認ができまして、それで参ったわけであります。
 ところがだんだん北ベトナムのほうの状態が険悪化してきました。そこでさらに今度は海員組合のほうの意向等も受けまして、これらに対する一つの危険手当というものについて、もう一ぺんよく考えてもらいたい。
 それから、あちらに参ります船員については、乗船を強制することなしに、本人の意思による。その乗船を自由意思にまかすべきである。それからさらにこの線でございますが、一番危険だと思われます北緯十七度から海南島南端を結んだ以北の線については、配船を停止したらどうかということがありまして、これは人命尊重の立場からいいますと、むしろ組合から要請されたからわれわれがやるということよりは、そういう乗り組み員の意向を十分くみ取って、われわれとしても自発的にそういうふうな措置を一応とって、しばらく様子を見るよりしようがないということからして、四月一日から配船を停止したわけでございます。
 この影響は、いま中原さんからお話がありましたように、日本の産業界、それから日本とベトナムとの貿易の関係その他に、非常な影響をもたらすことは当然でございまして、私たちもその影響については何とかしてこれを避けるようにということ。ついては、さらに一応はこういう措置はとりましたが、これについてすみやかにひとつ再開ができる方法を講じなければいけないというふうなこと、それがためには、私たちといたしましては、三月の二十九日でありましたか、運輸大臣あてに、ぜひこの方面の航行安全を確保していただきたいというふうなお願いはいたしておりますが、ただそういうお願いだけでとどまらない。貿易方面、それから海員組合の方面等と連絡を密にして、よく話し合って、どういう方法がとれるか、とったらいいかということについてひとつ話し合ってみたいということと同時に、それを裏づける方法といたしまして、政府のほうでもぜひ日本の船の航行安全についての具体的な一つの対策を立てていただきたいということを特にお願いいたしたいのであります。これは外交問題等にも触れますので、私たちのお願いがどういう形で実現できるか、非常に困難な面があるのかもしれませんが、たとえば先ほどの中原さんのお話のように、日本の船の標識というものを非常にはっきりしてそしてそれに対しては爆撃をするほうの側からいえば、十分にそれを認識して、それを避ける措置が十分にとられるというふうなこと。また組合のほうに対しても、こういう一つの措置がとられれば、いままでのような不安がある程度解消されることになるので、ぜひこの方面にも出かけていくことについて話し合いができるようにというふうな考えも持っております。
 それから保険の問題は、これはいわゆる政府への再保険というのは、なかなか簡単にはいきませんが、やはり今後の日本の海運がこういういろいろな事態に遭遇する場合に、そういうものが外国にあって日本にないというふうなことから、非常に不利益をこうむる。それをすみやかにひとつ解決する方法を考えていただきたいというふうなことをお願いいたしたいと存じまして、私たちもできるだけ早くこちらの方面に対する航海が再開されることを念願いたしておりまして、それに対して先生方の御援助を心からお願い申し上げる次第であります。
○長谷川委員長 次に、和田参考人にお願いいたします。
○和田参考人 全日本海員組合の和田でございます。
 これからお話申し上げる内容を理解していただくために、海員組合の立場について最初に申し上げておきたいと思います。
 海員組合は、御承知のように、日本においては他の一般の労働組合と違いまして、会社別の労働組合ではなく、船員が個人で直接加盟をいたしておりますわが国唯一の横断的組織であります。したがいまして、海員組合は単なる労働組合という立場のみではなく、船員の職業団体としての責任も背負うという立場に立っておりますし、組合員につきましては、全体としても、また個人個人についても代表する立場にあるわけであります。そういう立場で今回のベトナム方面におきまする諸般の問題について対処をしてきております。さらに私たちは世界のいかなる地域であろうとも、航行は自由に行なわるべきであるという立場に立っておりますから、相手の国の政治形態の差異や立場の違いによって、船舶運航を云々するということはなく、いずこの港、いずこの地域にでも自由に航行するということを、一貫した主張として持っております。もちろんその場合には乗り組んでいる船員の安全確保ということが大前提であることは申すまでもございません。
 そういうような基本的な立場におきまして対処をしてまいりました問題は、整理をすると三つに分かれるわけであります。一つは先ほど来議論になりました北ベトナム方面に対する就航の問題であります。一つは南ベトナム方面に対しまする一般商船の就航と、これの輸送する品物、たとえば危険品輸送等に関する問題であります。もう一つは最近新聞紙上をにぎわしておりますLST、つまり米軍に雇用され、米軍の輸送に従事している船の乗り組み員の問題であります。この三つに整理をいたしまして、それぞれについて私どもの立場と処置してきたこと、並びに意見を申し上げたいと思います。
 北ベトナムの就航について、最近におきまして一番最初に問題になりましたのは、新聞にも出ました第三日邦丸の事件であります。この第三日邦丸は岡田海運の所有船でありまして、日正汽船が用船をいたしまして、さらに日正汽船はこの第三日邦丸を中国租船公司、中共の船舶を扱う機関に再用船をさせたわけであります。御承知かと思いますが、共産圏、特に中共の場合には、一般の自由諸国と違いまして、通信はかなりきびしい規制がございまして、われわれが刻々に船の動静をつかむということは困難でありまして、この船についてもどういうことをしているのかということ一が、実はわからなかったわけでありますけれども、いろいろな苦労をいたしまして、たまたま同じ港に停泊をした他の船に、第三日邦丸の船内委員長が詳しい手紙を託しまして、海員組合に送ってまいりました。その手紙によって何をしようとしているかという事実が判明をいたしました。それによりますと、中共の命令によりまして、ガソリンを塔載をしてベトナム方面に輸送をするということで、はなはだ危険で、不安でしかたがないけれども、この問題については乗り組み員は困っている。海員組合が何とか措置をとってもらいたいという訴えであったわけであります。
 一般には弾薬は軍需品、危険品であり、ガソリンは危険品であるけれども、普通の商品のように思っておられる人が多いわけであります。けれども、戦争事故に直面した場合には、ガソリンの塔載をしている場合に万一被弾等いたしますと、弾薬を塔載しているよりもはるかに悲惨な結果になることは、私どもも戦争中の経験を通じて知っているわけでありますから、万一の災害に対する船員の不安が高まるのは当然であります。
 そこで直ちに船主に交渉いたしまして、この再用船を破棄をして、本船を日本に帰せという交渉をしたわけでありますけれども、船主は言を左右にして、なかなか帰そうとしなかったわけであります。組合はどうしても船主がやらないというならば、最後の手段として航海中直接本船に無線で指令をして本船の行く先を変更させるという強硬措置をとらざるを得ない。したがって、そういうことになる前に船主の責任で危険回避の措置をとれということを要求をいたしましたけれども、船主はそういう組合の要求に基づきまして中共側と交渉したのでありますが、中共側はその交渉を受け付けない。そういう形でこの船はガソリンを積んで北ベトナムに参りました。その結果、私たちの危惧したことが実現をいたしました。ハイフォンの近くの郊外のソングリーの港に入港しているときに北爆にあいまして、これを迎え撃つ高射砲の地上砲火等もありまして、特に船長と司厨長は食料の問題で上陸中爆撃によって防空壕に避難をするという事件が起きたわけであります。幸いにして本船は無傷でございましたけれども、全く危機一髪の危険な状態に直面をいたしました。そういう経過がございましたので、この船がハイフォンから出航いたしまして、公海、十分地理的な条件を考えて安全度を判断をされたところで船に電報を打ちまして、一方的に契約を破棄して日本に帰らせた次第でございます。
 私どもは、金もうけになるのならば何をしてもいいということではないと思っております。特に一般の商船に乗る乗り組み員は、そういう戦争危険をおかすということを前提にしていないわけでありまして、平和な状態で平和な輸送に従事をするということを前提にしているわけでありますから、それをくずすようなことは絶対に許せないという立場をとっております。その後さらにバクロン島の爆撃等いろいろな事件がございまして、北ベトナム一帯が非常に危険な状態になってまいりましたので、先ほど米田さんからお話がございましたように、船主協会に申し入れまして、十七度線と海南島の南端部を結ぶトンキン湾に対する配船を中止するように要請いたしました。幸いにして船主側でもこの要請を入れて、組合が就航拒否をする等の措置をとるに至らずして、船主側の判断において就航を中止されるようになりました丁第一中央汽船の用船しております上海丸以下七隻の船がいままでのところ具体的な予定を立てていたところを就航を中止をするという形になりました。
 この点につきまして、先ほどちょっとお話を伺っておりますと、日本船が就航しなくなったので、貿易に打撃を受けて契約不履行で損害を受けるかもわからない、われわれの調査によると、英国、フランス、西ドイツ等の船が行っておるのであるからというような御説明がございましたが、私たちは日本人船員を代表するものとして、日本人の自主的な立場において安全を判判をいたします。したがって、日本船が行かなくて外国船が行っているからというのであれば、御商売をするならばそれらの外国船を御自由に御利用なさればよろしいのでありまして、私たちがそのことに関して何らの責任を感ずるものではありません。私たちは組合員の安全に対してのみ責任を感じておる次第であります。
 次に、南ベトナム方面に関する、これは主として米軍ということになろうと思いますが、軍需品を一般商船が輸送するという場合についてであります。この事件が一つ起きましたのは泰通海運の無難丸という船であります。これはやはり日正汽船に用船をされておりまして、そういう軍需品を輸送するという予定ではなく、一般の商船の扱いで用船契約を結んでおりました。ところがこれまた木船から海員組合に電報による連絡がございまして、沖繩からアメリカ軍の弾薬七百トン等の軍需危険品を輸送してベトナム方面に航海をするということである、これは非常に危険を感ずるので困る、船主にそのことを言ったところ、船主は、海員組合はこれを了解をしているから輸送をしていけということを乗り組み員に言ってきたが、どうもそういうことは疑問である、そういう連絡がございまして、沖繩に入港して海員組合の沖繩支部から電話で本部に連絡がございました。船主が海員組合が了解をしたというのは全くうそでございまして、海員組合の本部はそのようなことを了解した事実はございません。ところがそういう一方的な措置で進められたために、沖繩の那覇の港においてアメリカ軍からは弾薬を積めということを強制というとおかしいのでありますが、強硬に命令をしてきたわけであります。これに対してどうするかということになる。本部は直ちに沖繩支部に指令を出しまして、電源を切って荷役の機械をとめてもいいから積み荷を拒否をしろという指示をいたしました。その結果積み荷をしないならば、岸壁から離れてもらいたいという形で岸壁から離れたわけでありますけれども、われわれはいかに運賃によって金もうけといえども、そういうことを了解をしていない。本船の乗り組み員にうそまでついて弾薬を運んで戦争地域に持っていくということは許しがたいことである。したがって断じてそういうことは認められない立場を貫きまして、この輸送は破棄をさせまして、弾薬を積まずに出ていったわけであります。これもまた一般商船の乗り組み員の安全、こういうことの見地からとった立場でありまして、われわれの基本的な方針に立っておる次第でございます。今後もこの種の類似問題が出てまいりました場合には、ケース・バイ・ケースで、先ほど申し上げましたような基本的立場に立って措置をしていくつもりでございます。
 最後に、問題はいわゆるMSTSが運航しておりますLSTについてであります。この点につきましても、多少委員長の制限されました十五分の時間をこえるかと思いますけれども、長い経緯がありまして、過去の経緯を御理解願えないと、現在生じている事態について十分な理解ができませんので、若干さかのぼって申し上げてみたいと思います。
 終戦直後アメリカ政府からLSTが日本政府に貸与されまして、これは日本船員の手で動かされまして、主として海外におる軍人あるいは邦人の引き揚げ輸送に従事をいたしておりました。しかし、これがだんだん終了をいたしまして、さらにこのLSTの運航については船舶運営会、商船管理委員会、米船運航株式会社というようないわゆる日本の機関によって運航をされてきたわけでございます。しかし、その後そういう任務も一切終わりまして、もっぱらアメリカ軍の輸送に従事するという、こういうことになってまいりまして、米船運航会社における運航をとりやめて、当時残っておりましたLST十七隻についてはアメリカのMSTS――海上輸送司令部でありますが、これが直接管理をして運航をするということが昭和三十七年の一月に発表された次第でございます。これに対しまして従来日本の船主機関の手によって運航されておりました海員組合は労働協約を結び、船員の労働条件をきめておったわけでありますが、アメリカ軍の直接雇用に切りかわりますと、すべての点で変わってくるわけであります。そこで、これらの船員の組合員の利益を守るために海員組合は次の措置を要求をいたしました。一つは全然立場が変わるわけであるから、おりたいという者は下船の自由を認めて契約を解除して、これらは日本の船主に雇用をせしめる、そうしてなおそういう機会を与えられたにもかかわらず、引き続いて従来の仕事、LSTに乗っていたいという者については、海員組合が団体交渉をして労働条件をきめる。この場合の労働条件は、日本の船主機関が運用するのと違うから、外国船に労務提供をしている労働条件を基準にいたしまして特殊性を加味をして決定をする、こういうことであります。
 ついででございますが、海員組合の組合員は、日本船だけではなく、外国の船主の船舶に対しましても船員が乗り組んでおります。これは組合がそういう外国船主と団体交渉を行なって団体協約を締結をいたしてやっておるわけでありますが、それらは大体現在のところ二十五隻、船員数にいたしまして約五百名が外国船主に雇用されておりまして、この労働条件につきましては日本の国内とは違いますから、英国の船員の労働条件の一〇%以上割り増しをした金額で協定をいたしておりまして、船長の月額六百十ドル、最低が月額百四十ドルというスタンダード・レートを組合できめまして、これに満たない場合には船員を提供しないという立場でやってきているわけであります。今回米軍の場合におきましても、いわば外国船主に雇用されることになるわけでありますから、そういう日本の労働条件とは違った国際的なレートというものを基礎にしてやっていきたいという形で折衝をいたしてまいりました。ところがこの間アメリカはいろいろと理由を立てまして、海員組合との交渉に応じようとしない。また日本の政府機関もこれについて何ら積極的なあっせんをしない。そういう形で一向に事態が進展をしませんので、最終的に海員組合は全部ストライキをやると同時に、船員を総下船させるという態度を決定をいたしまして、通告をいたしました。その結果、局面が打開をされまして、組合と交渉をいたしまして、これらの乗り組み員の労働条件その他について妥結をいたしまして、そしていろいろな細目を取りきめたわけであります。これは三十七年の六月のことでございますから、すでにいまから約三年前であります。以来これらのLSTに乗り組んでいる船員の労働条件につきましては海員組合が交渉をいたしまして、二回ほど改定をしてまいりました。
 ところがこれと関連してベトナムの問題が起きてきて、LSTが現地に就航をして戦争危険に直面するという問題がつけ加わってきたわけであります。もともとLSTは、先ほど申し上げましたような経緯で切りかわったときから、アメリカ軍が直接に管理運用して、アメリカの軍事輸送に従事するということが前提になっているわけでありまして、このLSTになお継続して残って船を運航するという立場をとった組合員船員の諸君は、そのことを承知の上でこの契約に参加をしているという立場でございまして、これはアメリカから強制されたものでもなければ、組合から強制されたものでもなく、やめたい者はやめて日本船に帰るという立場を与えられた上での選択に立っているわけであります。しかし組合は、いかなるところに働こうとも、船員の労働条件については責任があるわけでありますから、そして残った諸君の安全の確保と労働条件については最大限の努力をしてまいりました。
 なおこの間、日本船主が使っている場合には船員手帳を身分証明の材料として各船員が持っておるわけでありますけれども、外国船に船員を提供する場合にはパスポートに切りかわるのが従来からの慣行でありまして、先ほど申し上げました二十五隻、約五百名の外国船主に雇用されている海員組合員については、すべてパスポートが発給されているわけであります。船員法に基づく船員手帳は日本船の船員に適用されるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたような経緯で切りかわったため、暫定的にLSTの船員については船員手帳を従来のままかりに使うという便法が講ぜられておったわけであります。ところがたまたま南ベトナムにおきまして、このLSTのうちの一隻の乗り組み員が夜間外出禁止地域に外出禁止時間に上陸をして、南ベトナムの軍人からベトコンと間違われて射殺をされるという事件が発生をいたしまして、これがマスコミにも報道されて問題になったわけであります。これについては海員組合は、乗船中の事故であるから職務上の死亡として十分な補償をせよということをアメリカ軍に対して要求をいたしておりますが、軍側は外出禁止令のしかれている地域に外出禁止の時間内に上陸をして射殺されたのであるからそうはいかぬというような形で、まだ最終的に決着をいたしておりませんけれども、再々にわたる組合からの申し出によって、何らかの補償をするという方向で検討をする、こういう態度をとっておりますけれども、まだこれは解決をいたしておりません。そういうような問題が出てきておりますので、組合といたしましては、安全確保ということに最重点を置きまして、アメリカ軍当局と交渉をしてまいりました。もちろん軍の命令によって軍需品を輸送するということは任務かもしれないが、そういう戦争地域に就航するということ自体が直接の任務という形には理解されないのであるから、何よりも安全確保を第一にしなければならぬということを申し入れまして、再三にわたる折衝の結果、本年の二月でございますけれども、十分ではございませんが、基礎的な安全確保について米軍当局と組合の間で了解に達しております。
 その内容についてかいつまんで申し上げますけれども、まず日本人船員の安全確保については、万全を期することにして、このための予算は制限しない、LSTを危険な港には寄港をさせないようにして、人命安全を第一として、輸送は第二とするように配慮する、キノン港は危険地帯であるので、昼間のみ入港させるが、夜間は公海へ避航させる、安全確保に関する般長の権限を関係者に再確認させるための措置をとる、船長の判断資料として行く先港の治案情報を提供させるようにアメリカ軍側は指示をする、船長が危険と判断したときには出港は拒否できる、そういうようなことがやりやすいような措置をとる、危険物の積載または取りやめ、積み荷の制限については、アメリカのコースト・ガードの安全基準による内容を守るようにする、メコン川のデルタ地帯への配船は危険であるので取りやめることを検討する、大体以上のような内容につきまして合意に達しているわけであります。もちろんこれではまだまだ不十分でございまして、組合はさらに安全について折衝をいたしておりますが、同時に万一のことがあった場合の措置について、船舶が至近弾を受ける場合にはびっくり手当と申しますか、そういう手当を一人につき五十ドル、直接攻撃の対象の場合になったときは一人について七十五ドルを、いわゆるアタック・ボーナスとして支給をさせる、これを協定いたしておりますけれども、これは昨年の八月からすでに協定をして実施している内容でございまして、最近問題が起きてからきめたわけではございません。
 大体そういうようなことできておりましたところ、最近さらにこのLSTのうちの一隻が爆弾をしかけられまして、爆発するという事件が起こりました。その際船員の一人が逃げ出そうとするときに手をはさまれまして、指を三本ほどけがをしたという事件があったわけであります。これが台湾の新聞等に非常に誇大に報道されまして、爆撃で死傷を受けたような印象を与えるような記事が出たそうでございまして、その現物は見ておりませんが、この時限爆弾をしかけられまして、爆破をいたしまして、舷側とスクリューを少しやられたわけでありますけれども、この際指を三本、直接爆弾によってけがしたわけではございませんが、けがをした乗り組み員につきましては、組合が米軍と交渉をいたしまして、傷害補償として百四十万円を日本金に換算して支給をさせているわけでございます。
 なおこの報道が非常に誇大に一部台湾等で報道されましたために、びっくりして二名の船員が逃げ出しまして、台湾で下船をして強制送還をさせるという事件が起こりまして、これについても、やはり戦争危険に関連しているのであるから、米軍のほうとしては何らかの懲戒に当たるのではないかというような意向もあるようですが、一応本人がいやでやめたのだから自発的退職にして扱えという形でありますが、組合としてはできるだけこれらの組合の身分を保障すると同時に、自分たちの判断が間違いであったという形で、もし本人たちが再乗船を希望するならば、再乗船をさせるという措置をとってもいいのではないかということで話し合いをしておりますが、これはまだ結論に達しておりません。
 さらにこういう事件が起きましたために、組合としては危険手当の支給と安全確保に対するさらに一段の完全な措置を要求いたしまして、現在折衝中でありますけれども、さらに組合の判断をしてどうしてもこれらのことについて組合としては責任を持てないという事態が発生をいたしてまいりますならば、これらの乗り組み員について組合としてはもはやこれ以上責任を持てない事態になるから引き揚げる、そういうような措置をとらなければならない事態がくるかもわからないと思っております。しかし、現在のところは本船の乗り組み員側のほうからも、そこまでのことではなくて、危険がだんだんふえてきておるので、いわゆる安全の保障と危険手当、そういう危険に対する保障、そういうことを米軍に要求して交渉してもらいたいという要請が来ておりまして、その立場に立って交渉をしているわけでありますけれども、何ぶんにも米軍相手でございますから、日本船主と交渉するように、すみやかに運ばないという点では遺憾な点がございます。その点では船に乗っている組合員の諸君もいろいろと不安を強く感じている面があるんではないかと思います。
 さらに最後の問題といたしまして、このような状態になってきて、LST乗り組み員の交代と、さらに船舶を増加するための要員募集の問題が起きてまいりました。これについてアメリカ軍当局から協力をしてもらいたいという要請がございましたけれども、積極的に船員を提供するという意味における協力は私どもはお断わりをいたしております。といいますのは、いま言ったような非常にむずかしい事態に来ているわけでありまして、今後ともこの職場について海員組合が安全その他に責任を持ち得るかどうかという問題についてはいろいろ問題のあるところでございますので、われわれとしては応募する組合員については十分そういう実情を説明をする、それでもなおかつ行くということになれば、これは拒否することはできないわけでございますから、それらの諸君の安全確保についてできるだけの措置をとってやりたいと思っておりますが、そういう状態にあるぞということだけは十分応募する組合員には徹底をするという基本的な立場をとっております。協力といいましても、船員の場合に、一般的に募集をするということについて、一々海員組合が組合員を差し出しているわけではございません。これは雇用主の責任においって雇っているわけでありますが、この場合の、われわれは協力をしないというのは、組合員に、いい職場だから行きなさいと言って進んですすめるようなそういう協力はできません。これは現実においてできないわけであります。しかし、アメリカ軍と契約を結んで雇用されるというものについて、われわれは、それはやめろとか拒否をするという妨害はいたしません、こういう立場をとっているわけであります。
 なお、ここで問題になりますのは、海員組合以外の一般から船員を募集する場合でありますけれども、これについて私どもはこういう考え方を持っております。先ほども申し上げましたように、職業団体としての責任を確立する立場から、船員としての素質の向上と規律の保持ということについては特に厳重な立場をとっておりまして、これに反するような場合には組合から除名をされているわけでありまして、私どもは現在海員組合の組合員以外の、組合員でない者の中に、いわばまともといいますか、正常な船員ももちろん若干はおりましょうけれども、過去の船員経歴を持っておってなおかつ組合員でないという者は、海員組合員に比べて質が劣るということをはっきり申し上げて差しつかえないと思いまするし、全く新しい未経験の者が乗ってくるということは、船という職場において、限られた一部の職種以外ははなはだ危険であると考えております。同時に海員組合は、規約によりまして、組合に加入する者についてのきびしい条件を設けておりまして、かつて船員であったが失業している者、これは組合員になりますと、失業いたしましても組合員の資格は失わないのであります。ところが、そうではなくて、船員であったけれども、組合員でもなく失業している者、あるいは組合をかつて脱退したことがある者、あるいは全く経験のない者がこれから新たに船員となろうとする者というものについては、資格審査をしなければ組合に加入をさせない、こういう立場をとっているわけであります。したがって、一般から広く募集してLSTの乗り組み員になったからといって、これらの諸君を海員組合に無条件に受け入れるという立場はとりません。そういう資格審査によって日本船員として適格であるという判断をされた者については、組合員として私たちはできるだけのことをやりたいと考えております。それにもかかわらずなお外部に出て行く、日本の政府がパスポートを発給をするという場合には、これはあげて日本政府の責任でございまして、われわれ海員組合の関知せざるところでございますが、私たちは組合員に限ってはあくまで組合員とともに責任を分かっていきたい、そうして安全航行に対してできるだけの努力をしていきたいという立場を貫いていくものでございます。
 以上のような実情を適正に判断をされまして、今日の問題について、民間の団体である海員組合では手の及ばない問題でございます。われわれは考え得るベストを尽くしたつもりでございますけれども、なおかつ不十分でございますから、国会、政府等におきまして十分の措置をとられんことを希望いたしまして、私の公述を終わりたいと思います。
○長谷川委員長 ありがとうございました。
 これにて各参考人の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○長谷川委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、これを許します。關谷勝利君。
○關谷委員 いま御三方のいろいろな御意見を伺いまして非常に参考になったのでありますが、その間で、多少私たちがもう少し教えていただきたいことや、あるいは政府に対して……。
 外務省からきょう見えておりますか。
○長谷川委員長 来ております。外務省から旅券課長が来ております。
○關谷委員 外務省へお尋ねをいたしたいことは、先ほどから航行の安全確保ということについて三人の方からいろいろ強い御要望があったのでありますが、この航行の安全確保ということについて、外務省はどのような手を打っているのか、まずこれを伺いたいと思います。――外務省はどなたが見えておりますか。旅券課長、それから東西通商課長が見えていることになっているが、両方ともこれはわかりませんか。――課長の二人はどこに来ている。いないのか。
  〔「局長ぐらい呼べ」と呼び、その他発言する者あり〕
○長谷川委員長 その間に呼びますから……。
○關谷委員 それでは外務省の関係の質問はあとに回します。
 海運局長にお尋ねをいたしますが、この海運の責任者として、この航行安全ということについて、もちろん外務省から通じてだと思いますので、直接外務省にお尋ねしようと思ったのでありますが、この地域の航行の安全ということについてどういうような方策をとられているのか。私この間の四月二日でありましたかの外務委員会で、社会党の西村関一君ですか、だれかに対します質疑応答を読んでおりましたところが、その際に、海運局の次長が答弁をしておられますのも、それから外務省の答弁も、ともにこの海域においては危険はないということをはっきりと答弁をいたしているようでありますが、いま和田副組合長のお話を聞きますと、ずいぶんいろいろ危険なような状態があるようでありますが、危険がないというので何の手も打っていないのか、あるいは危険がありとして、そうしてもし万一危険のあるような場合にはどういうふうにしてもらいたいということについての何らかの手を打っているのか、この点を伺っておきたいと思います。
○若狭政府委員 ベトナム方面における戦闘状態がだんだん拡大してまいりますので、先ほどからベトナムの貿易会あるいは船主協会からいろいろお話がございまして、われわれのほうにもその配船の安全確保について運輸省としても措置していただきたいという御要望、御陳情があったわけでございます。もちろん外国船は先ほどからお話のございましたように、今日でも従来と変わりなく就航いたしておるわけでございます。したがいまして、われわれはやはり危険のあることは事実でございましょうけれども、そういう危険があった場合にどうするかということにつきましては、運輸省の問題というよりはむしろ外務省において措置をしていただくということで、運輸次官から外務次官あてに、三月十七日付でございますけれども、この安全確保のために適切な措置をとっていただきたいということをお願いいたしておるわけでございます。
 なお、昭和二十年に航海の制限に関する省令がございまして、非常に危険であるというふうに認定された場合には、日本船の航海を制限することができるようになっておるわけでございますが、これは外国の場合でございますので、そういうような危険があるかどうかという問題は外務省において御認定いただきまして、われわれのほうへ通達していただくという状態であれば、運輸省といたしましては航海の制限をするという考えでおるわけでございますけれども、今日の状態ではそういう状態でないというふうにわれわれは外務省からは承っておるわけでございます。
○關谷委員 そうしますと航行の安全であるかいなかという判断は一に外務省に期待する、こういうことになって、運輸省では一切そういうふうなことには関知しないのだ、その外務省の判断に基づいて、その場合に消極的に配船を制限する、これ以外は運輸省のする仕事ではない、こういうことになるわけですか。
○若狭政府委員 官庁間の権限の規定からまいりますとそういう実態でございます。ただわれわれとしては、日本船の安全ということをはかるのはわれわれの当然の任務でございますので、実際の運航の状況その他については詳細な調査をいたしております。ただ今後の推移等につきましては、もちろん外務省の御判断というものを聞きました上で措置してまいりたいと考えておるわけでございますけれども、先ほどから申しましたように、外国の船舶も平穏無事に航海しておるわけでございますので、特に現在のところ外務省として特別の措置をしておいでにならないという状態ではないかと考えるわけでございます。ただ、われわれとしてはそういう危険があるのじゃないだろうかというような心配がございますし、また先ほどから参考人の方々からいろいろ事実の報告もあったわけでございます。そういう点について今後どういうふうに措置すべきかということにつきましては、外務省の現地における判断、それから米軍との折衝というような問題が出てくるわけでございますので、運輸次官から外務次官あてに必要な安全措置を講じていただくということをお願いいたしておるわけでございます。
○關谷委員 外務省がおりませんので、一番大事なことが聞けないわけでありますが、それではこれは和田参考人に、外国の船がどのような状態であるかということを、もし何かあなた方が調査しておられる資料でそういうことがあれば教えていただきたいと思うのです。わからなければ、あなたにそこまでお尋ねするのは無理だと思いますが、五百五十隻の船がそこで航行をしておった、日本船が百五十隻、それから外国船が四百隻、その四百隻は依然として安全裏に航行が続けられておる、こういうことでありますが、先ほど承りますと、日本船はかなりの危険な目にあっておるということであります。また危険をかもし出すような輸送を迫られたことがあってそれを拒否した、こういうことでありますが、外国船は安全に、しかも何ら以前の状態と変わりなしに航行ができておるのかどうか。外国船の状態まであなたにお尋ねするのは無理かもわかりませんが、もしおわかりであったら、ひとつ教えていただきたい。
○和田参考人 外国船がどれくらい就航しているかという隻数については、つまびらかにいたしておりません。日本船につきましては、先ほど申し上げましたように、はっきりしている就航を取りやめた船は七隻でございまして、これは船名については全部わかっております。外国船が特別戦争危険による事故を起こした話も、あるのかないのか、つまびらかにいたしておりません。日本船も 一般の商船が直接事故を起こした事例はございません。事故を起こしたのは、現在までLST関係であります。ただし先ほど申し上げましたように日邦丸の場合には、ハイフォンの港に入っているときに空襲に直面して、船長外一名の乗り組み員が陸上で空襲にあって防空壕に退避をするというような、直接身に迫る危険があった、こういうことは、船からの報告によって、日時とかすべて明らかになっております。
○關谷委員 これは海運局長にお尋ねしなければなりませんが、この区域は現在のところは配船を拒否しておる状態でありますのでその心配はありませんけれども、もしそこへ航行させるということになると、そのように危険のおそれがある場合、その区域へ入った場合に万一事故があった場合の保険関係は、国の再保険とか何とかいうことはできておるのかどうか、外国と比較して日本の保険はどのような状態になっておるのか、この点をちょっと説明していただきたい。
○若狭政府委員 御承知のように戦争中は戦争保険に対する国営の再保険があったわけでございますが、今日はそれがなくなっておりまして、現実に保険料の高くなったものについては船主の負担というかっこうになっておるわけでございます。ただ、今日のような状態が非常に長く続くというようなことが考えられる場合には国としても何らかの措置をやはりとらざるを得ないだろうと考えております。
○關谷委員 簡単に何らかの措置をとらなければならぬと考えておるという御答弁でありまするが、こういうことは、こんな事態が起きておる場合には私は急を要することであろうと思います。具体的に早急にその案を立てていただきたい。
 もう一つは、外国との違いがどうであるのか、外国もそういう再保険というようなことがあるのかないのか。外国のことといいましても、海運局としては外国の例くらいは知っておらなければならぬはずだと思いますが、これがどんなふうになっておりますか。
○若狭政府委員 詳細には手元に資料がございませんけれども、現実にはベトナム方面に就航しておる外国船の保険料がそういう危険に応じて上がっておるという事実はないようでございます。したがって、何らかのそういう戦争危険に対するものも含んだ保険が行なわれておるのではないかというふうに推察されておるわけでございます。
○關谷委員 これは次の機会でいいですから、外国の保険がどうなっておるか、再保険の関係等がどうなっておるかということを調べて資料として出していただきたいと思います。
 先ほど米田さんからお話のありました配船を拒否しておる理由が、一つ採算面、一つは人命の尊重という点、この二つになっておりますので、人命尊重の立場から配船をしておらないのだったらこれは心配は要らぬようなものでありますが、もしこれが航行の安全を確保するような方向に努力をして、その結果多少でも現状より安全になって出ていこうという場合に、船主が採算面からこれを断るというようなことがあった場合に困りますので、その際に非常に重要な要素になりまするから、外国が保険料を上げないでやっておるのは、平生から何か方法を講じておるのでなければ、そういうふうなことにはならないと思いますので、どのような方式をとって、そうして戦時の場合に危険な区域へ入る場合にでも保険料が高くならない、保険料のために採算割れのすることのないようになっておるのだというふうなことを、ひとつよくわかるような調査をしていただきたいと思います。
 次に、LSTの関係でありますが、組合のほうへ入っておられる方は、いろいろ組合を通じてやっておられるのだと思いますが、この間の新聞を私が見ましたのに、その中に、LSTが船員募集をやったところが、押すな押すなで、五百五十人からの希望者があった、こういうようなことになっております。こういうような人に対しては、海員組合からその事情等をよく説明して、こういうような条件なんだが、これでも行くのかというようなことをよくそれらの応募者に対しては説明をするようなことをしておるのかどうか、これは和田さんのほうから答えてください。
○和田参考人 海員組合員に対しましては、すべてそういう措置をとっております。支部に指令を済ましておりますけれども、職安を通じて組合員でない者が政府の機関の手で募集されるということについては、一々こちらはタッチをしかねますから、これらの者についてすべてそういう措置が漏れなくとられているというわけではございません。
○關谷委員 そこはちょっと、私が和田さんにお願いすることが無理なのかもわかりませんが、そういう事情を知らないで、職安へすぐ飛び込んで申し込んでいるというような者にも、そういうような事情だけは知らしてやるくらいな親切味を持ってもらいますと、組合へまだ入ってない者もみんな入るのではないかというような気もしますが、そこらあたりは少し情けのかけようが足らないような気がしますが、そんな気はしませんか。
○和田参考人 組合員以外は一切知らないというわけではなくて、できるだけそういう情報をキャッチしたり、私たちは知ることができればやることはもちろんでありますけれども、組合を通じてやろうということに対して、組合は安全確保の面でいろいろな条件をつけ、あるいはそういう点について、就職をする者にも十分徹底をさせるというような措置をとっておるものですから、最近の傾向を見てみますと、きのうの国会における日本政府の答弁等を通じてみましても、海員組合を避けて素通りでいくかのごとき傾向が出てまいっておりますので、そういうものについてまで責任は持てませんという意味で申し上げたわけでございまして、私どもはできるだけ事実を知らして、正確な認識の上に立って判断をしてもらうことを心から希望しているわけでございまして、關谷先生のそういう御意見については全く同感でございます。
○關谷委員 それでは、組合員でない者にも、なるべくそういうことのわかる機会を与えてやるように、無理な注文のようでもありますが、ひとつこういう機会でありますのでお願いを申し上げたいと思います。
 それからこのホンゲー炭の輸送で、これは先ほど米田理事長のお話によりますと、七十万トンのうちで四万トンほどのものは長期の運搬契約をしておる、あとがスポット配船ということになっておる、こういうことでありましたが、その長期の契約をしたものあたりが、やはり責任を果たす上において向こうへ行かなければならぬということになって、その際船員と協議をして、船員が、これは差しつかえないから行こうじゃないかということになった場合には、組合としてはどういうふうな処置をとられるのですか。やはりこれは一律に全部できめておるのだから、おまえたちが船主との間でいろいろ協議をして、相談をして行くということは、それはだめなんだ、こういうふうになるのですか。それとも納得のいく条件で行くということなら、それは差しつかえない、こういうことになるのですかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
○和田参考人 一般論といたしまして、絶対安全で、何らの危険もなければ就航するという立場もありますけれども、あらゆる面について絶対安全ということはないわけで、多少のリスクは平時においても伴うわけでありまして、そういう危険の度合いに応じて手当を要求するなり保障の措置を講じつつ、それもある程度了解の上で就航するという立場もあるわけであります。ところが現在の北ベトナム、トンキン湾方面につきましては、アメリカ軍の北爆が熾烈になっておりますし、これを迎え討つ北側の戦闘意欲も旺盛なようでございまして、ますますその戦火は激しくなるというような状況のもとで、一般的にここに日本船の就航ということはきわめて危険である、したがって、手当を要求して行くということよりも、とりあえずこの場合には就航を禁止するという措置をとって、現在様子を見ているわけであります。今後様子いかんによりましては、まあこれならば就航しても差しつかえなかろう、船の乗り組み員のほうからも、行ってもいい、そういう機運があるという形になりましたならば、なお残る多少の危険につきましては、手当、保障その他の問題、安全確保の措置について、われわれとしては十分の措置をとった上で配船を認めるということもあり得るわけでありまして、永久に配船を拒否するという立場ではございません。
 このことに関連して、多少先ほど言い残した点を申し上げたいと思うのでありますけれども、先ほど来の御質問に対して、政府側からはっきりした答弁がないのでありますが、船舶の安全航行並びに乗り組み員の人命の安全ということについて、私どもは日本政府の立場というものははなはだ無責任であると考えているわけであります。したがって、先ほど来報告いたしましたように、安全確保についてはわれわれ組合がほとんど全責任で処置をしてきているという状態ですが、われわれの力では限界があるわけでありまして、単に組合の判断のみでは処置できない面がある。したがって、これは政府も船主側も一体になってそういう点を十分した上で、組合に、これなら安心ではないか、こういうことだからいいではないかという条件の提出があれば、われわれとしても再検討する余地は十分にあるというふうに考えておるわけであります。
○關谷委員 いずれまた外務省に対しましては質問する機会を残しておきますが、外務省が早急に安全を確保する具体的な措置をとることを要望いたしまするのと、安全確保の見通しが大体ついた場合に、この区域へ航行する場合に船主の採算のとれるような保険の措置というふうなことを早急にとることを海運局長並びに外務省に要望いたしまして、私の質問を一応打ち切ります。
○長谷川委員長 久保三郎君。
○久保委員 委員長に一言前もって申し上げますが、当委員会でいまもお話が出ましたが、外務省から責任を持って答弁できる者が来ておらないようでありますね。きょうの問題は南北ベトナムとの海運あるいは船員の問題でありますから、当然のごとく航行安全というものが中心課題になります。その答弁のできる人が来ないでは、議事進行はできないと思うのです。何かいま非公式に聞くと、アジア局長なりアメリカ局長は会議をやっていて来ぬ。局長が来なければ、外務大臣を呼んでもらいたい。
 そこで、来るまで私も参考人の皆さんにお伺いするのでありますが、先ほど北ベトナムの問題で、和田参考人から、船員の安全が第一だ、そのとおりであります。もしも日本の船の配船ができないとするならば、外国船のチャーターをしたらいかがか、これは当然な話であります。そこで外国船のチャーターをすることについて、船主協会の米田さん、日越貿易会の中原さんに、どういう御見解を持っておられるか。これがまだとめてから幾らにもなりませんようですから、この程度ならあとでまた取り返しもつこうということで様子を見られていると思うのでありますが、かなり最近のベトナム情勢は逆睹しがたいものがありますね。いつ果てるとも知れない。ジョンソン声明のごときも、北からは絶対に受け付けないというようなことでありますから、今日の時点では長期に続くもの、こういう前提に立ってものごとを考えねばいかぬ。いかがでしょう。
○米田参考人 海運業者といたしますれば、もし日本船の就航が不可能ということになった場合に、外国船を用船してその輸送に当たらせるということも、これは一つの方法でございます。したがいまして、その方面に対する努力といいますか、これもある程度やっております。ただ、それに合うような船がいま非常に少ないのであります。外国船に期待してやったらどうかというようなことではもう間に合わないということと、それから、私どもといたしましては、やはりこういう日本との関係の貿易には、日本船によってやるということがあくまでも主流でありまして、外国船によってやることが主流になるということはおかしいのであります。したがいまして、この方面に対してはぜひ日本船が使えるようになることがまず第一であります。その間は、やむを得ないものは外国船でひとつやっていきたいと思います。
○中原参考人 ただいま御質問のございました点ですが、私の考え方といたしましても、危険な区域に配船するということは、まず第一に人命の尊重ということが基本的な問題になります。先ほど金もうけであれば人命の問題はというおことばがございましたけれども、これは、何を申しましても、人命の尊重ということがいかなる場合でも基本的な問題であるということは間違いのないことでございます。平和な環境において相互に経済を繁栄さすための貿易の発展ということは、これはもう基本的な問題であると同時に、人命の問題とは切り離せない問題と私は思います。
 ただいま外船の問題がございましたが、現状において英国船あるいはソ連の船舶等を手当てをして、現実には二、三隻の英国船が日本の船会社のチャーターのもとに参っております。いま米田さんからお話がございましたように、日本の貿易、日本の取引は、日本の船によって運ばれることが一番望ましいことでございます。外船をチャーターすることによってむだな外貨が外国に流れていくという一つの問題がございます。
 何はともあれ、それらの問題を総合いたしますと、何とかして安心できる環境のもとに航行ができるという措置を、何か具体的に政府のほうでとっていただきたいというのが私どもの希望でございます。
○久保委員 なるほどおっしゃるとおりでありまして、その問題が解決されればもう問題ないと思います。海員組合のほうも、航行の安全が確保されれば通常のリスクはもちろんありますから、その程度は、条件といっては語弊があるが、いろいろな条件で満たしていこう、こういうお考えのようであります。
 当面の責任者である外務省が来ませんが、先ほどの運輸省海員局長の御答弁は声が小さくてよくわからぬ。それで、特に北ベトナムの通商に対しての航行安全、これに対して具体的にどうなってどうやっているのか、もっと声を大きくして答弁してほしいと思います。
○若狭政府委員 先ほど御説明いたしましたように、外務省に対して北ベトナムの航行の安全について適当な措置をとっていただきたいということを申し入れておるというのが現状でございます。
○久保委員 申し入れて、返事がきたのですか。いつ申し入れたのですか。三月でしょう。今月はもう四月です。いまの三人の参考人からのお話で、差し迫った問題になっているわけです。申し入れしたというのは、さっき何か運輸次官からの通牒か何かをやったという、これは形の上なんです。われわれは、どうやってどうなっているのか、これを聞きたいのですよ。
○若狭政府委員 三月の十七日にそう申し入れをいたしておりますけれども、いまだ返事をいただいておりません。この点につきまして、いろいろ外務省の御意見も伺っておるわけでございますけれども、現実に配船を中止しなければならないというような危険があるかどうかについては問題がある。それから、配船の安全を保障するという措置をとるということについて、具体的なやり方については、外務省としてもいろいろ御検討いただいたわけでございますけれども、外交手段を通じての適当な措置について、外務省内でもいろいろ見解が分かれているようでございますし、現実の認識の点において、そういうような特別の措置をとる必要はないというような考え方をお持ちになっておるのではないかというように、われわれとしては感じておるわけでございます。
○久保委員 危険であるかどうかはわからぬというのだが、船に乗っている者が危険だと言っているのに、乗っておりもしない者が危険であるかどうかわからぬというのは、そんな話は大体おかしいじゃないですか。どうなんです。現実に危険だから船がとまっているのですよ。だから、危険であるかどうかということは、乗っている人自身が判断するのであって、遠く離れたところにいる者が実際上新聞やテレビだけで判断できるはずがない。だから、そういう点の認識がまず第一に私は欠けていると思う。どうですか。
○若狭政府委員 外務省としては、現地の大使の意見を十分取り入れて判断をしておいでになるというふうに考えております。
○久保委員 現地の大使といっても、北には大使はいませんよ。十七度線から北には大使はいないのですよ。いるのは日本の商社の出先の諸君だけなんです。いいですか。これは間違いでしょう。もし大使というならば、南ベトナムの駐在の大使、これがどうしてわかりますか。
 それからもう一つは、危険だというのだから、そういう外交交渉で――日本の船は戦争には関係のない物資を積んでいるのですね。だから、これに対しては爆撃をしないように、誤爆もないようにという要求は、これは当然できると思うのですね。この要求先は当然アメリカ政府であり、南ベトナム政府でないですか。これもやっていないということでしょうかな。外務省来ましたか。――アメリカ局長、いまあなたに聞きたいと思っていることは、北ベトナムに日本の船が、御案内のとおり、いままで輸出入の貿易のために航行しているわけです。これは一般物資ですね。そこで現在は、危険であるからというので、大体日本の船員が乗っている船は航行をやめているのです。ところが、この北ベトナムとの貿易は、先ほど参考人からも話がありましたが、軌道に乗りつつある。しかも、これは相互的なものばかりじゃなくて、日本自体の重要な原材料であるホンゲー炭を主体としたものを持ってこなければ、日本の産業にも支障がある、そういう事態です。しかもいま海運局長からお話を聞くと、外務省の中でも意見の相違がある、なお危険であるかどうかというのにも疑問がある、だからおかしいのじゃないかという話をいましたところです。お宅のほうでは、運輸省から通牒か連絡があったと思うのでありますが、その通牒なり連絡を受け取って、外交的にいかなる航行安全の措置をとられたか、その点をお尋ねしたい。
○安川政府委員 北ベトナムの日本船の運航停止につきましては、運輸省からもお話がございました。そこで、外務省といたしましては、基本的の考え方といたしまして――これは危険であるか危険でないかという判断の問題でございますけれども、御承知のように、アメリカ軍あるいは南ベトナム軍の北越攻撃というものは、目標は、軍事的な性格を持ったものに限られております。これはいわゆる戦争の場合の無差別爆撃でないことは明らかでございまして、この点はアメリカ政府がしばしば言明しておりますばかりでなく、実際も目標は軍事的な性格を持ったものに限られていると私は承知しております。特に最近ジョンソン大統領が発表いたしました声明を読みましても、北爆はやるけれども、これは北ベトナムの人民が築き上げたものを荒廃させるというような意思はない、あくまで自制をもってやるということをはっきり申しております。そういう状況におきまして、まず、北越には、日本ばかりでなく他の第三国の船舶も多数航行しております。そこでこれらの商業航行に従事する船舶を米軍なり南ベトナム軍が目標にして攻撃するということはとうてい考えられないわけでございます。この意味におきまして、外交措置と申しましても、爆撃をするなといいましても、これは爆撃をしないのは初めからわかっておるわけでございまして、その意味において、アメリカ側に何らかの措置をするということはむしろ意味がない。日本船を目標にして爆撃をするということはあり得ないことは自明でございますので、その意味におきましては、外交的措置をとるといってもとる余地はないのじゃないかというふうに考えております。ただ船会社のほうで自発的に航行しないとおっしゃるものを政府から、安全だから無理に行けということもまたできないということが、政府の――政府と申しますか、外務省の立場でございます。
○久保委員 アメリカ局長の答弁は詭弁の代表的な答弁だと思うのです。というのは、あなたは、アメリカに交渉しても、アメリカは、日本の、商業的な国を目標にして爆撃はしていないんだ、当然のことなんです。だからそういうのは意味がない。それからもう一つは、日本の船が就航しないというのを、安全だから行けというようなことは言えない、それはあたりまえですよ。あなたの権限じゃないですよ。船を動かすのは船員と船会社が動かすといえば動かすんだ。だけれども、危険だから万全の措置をとってくれ、だから外務省、日本政府はかくかくの措置をとったからということで通告すればいい。その通告によって船主と船員は判断して、船を乗り出すかどうかきめるんですよ。ところがあなたの言うことは全く詭弁じゃないかと私は思う。だから私は、なるほどアメリカを信用しましょう。日本の船をわざわざ目標にして爆撃するばかはありません。けれども、先ほどの和田参考人からの話のように、その港へ入れば当然のごとく――港は向こうの北越の港なんです。これはアメリカから見れば敵かもしれない。そうなれば爆撃もする、あるいは船を目がけなくてもその近所にやる。だから日本の船がいる場合は、これにいわゆる間違うことがないようにという通告は当然できるじゃないですか。しかもたとえば――これは海運局長も考えなければならぬ。船に日本船であるということの標識を、どこから見てもわかるようなかっこうにするとか、こういうことを手配しながら万全の措置をとって、いわゆる日本の船に損害を与えないように頼むということは何らふしぎはないのですよ。私はそう思うのですが、あなたの考えとだいぶ違うのですが、どうですか。
○安川政府委員 通告をすること自体は別にそうむずかしいことではないと思います。ただそれに対してアメリカ側が何か特別な安全措置をとらせるということになると、問題はおのずから別になるのじゃないかと思います。通告を、これこれで日本船が航行しておるから安全を確保してほしいということ自体は、私は必ずしもそうむずかしい問題じゃないと思います。それは先生のおっしゃるとおりだと思いますが、それに対して、かくかくの措置をとるから安全だということをアメリカ側に確認させることがはたして可能かどうか、しかもアメリカ側は日本船を目標にしてないのでございますから、そこまでの保障をアメリカ側に求めることが可能かどうかということは、私は必ずしも確信ございません。
○久保委員 あなたはつまらない理屈を言うようだな。あなたに聞いているのは、通告するといったら返事がくることなんですよ。通告しっぱなしでいいなんて話どこ行ったってありませんよ。そんなことならひまをかけて質問してませんよ、実際。日本としてはこういう措置をこの船にはとる、だから全軍に向かって注意をしてほしいと言うのは当然じゃないですか。ただ、こういうふうにしますがよろしく、そういう申し入れというのはないですよ。それに対してアメリカは――なるほどやってみなければわからんですよ、やってみなければ。やってみないうちに、前から、そんなことをやってもむだだという判断はあなたの判断です。われわれはそういう判断はしてないですよ。どうなんですか。もちろん満足な回答がくるかこないかわかりませんから、きてから判断する、それが当然じゃないですか、いかがでしょう。
○安川政府委員 ただいま私が従来とっておりました外務省の立場を申し上げましたが、そういう御意見でございますのでそういう御意見は十分考慮いたしまして、さらに外務省として検討さしていただきたいと思います。
○久保委員 それではそれでいいでしょう。してもらうということだから、検討して早くやってほしいと思うのです。
 それから先ほど關谷委員からもお話がありましたが、運海局長の再保険の話です。これはそのうち何とかするじゃなくて、早急に検討して、そういう再保険の道を講ぜられるものなら講ずるというふうに断言してほしい。参考人の方々だって国会にわざわざ時間をかけて来て、さっぱりわからぬということじゃ困るじゃないですか、どうですか。
○若狭政府委員 外務省の情勢判断の問題もございますけれども、こういう状態が相当長引いて保険費の負担ということのために日本船の就航ができないというような状態が考えられるわけであります。こういう状態が長く続くとすればそういうことが考えられるわけでございますので、われわれのほうでも早急に検討さしていただきたいと考えております。
○久保委員 そこで中原参考人にお尋ねしますけれども、不幸な事態として今後こういう事態がずっと続くということになりますれば、やや軌道に乗ってきたこの国との貿易はどういうかっこうになるという予想をしておりますか。
○中原参考人 これは、私どもが一番心配しておりますのは、先ほど来いろいろ航行の安全について具体的な措置をとっていただくようお願いしておるわけでございますけれども、基本的にはどのようなことがこういう問題の原因になっておるかということにつきましては、もうこれは当然アメリカの現在行なっておりますベトナム民主共和国に対する攻撃というものが原因になっております。そういう中で、せっかく十数年という期間、困難な情勢の中で日本の業界の要員が向こうへ渡航いたしまして重要な貿易の道を開拓してまいっておるわけですけれども、このようなことによって貿易が中断するということは非常に困るという情勢でございます。これは外交問題に関することでございますから、アメリカの政府に対してどういうような要望という問題は非常にむずかしい問題になってくると思いますけれども、何ぶんにも平和的な環境において貿易が発展していくように、政府のほうでも極力いろいろな外交方面の手を打っていただきたいということが私ども業者の心からの願いでございます。
○關谷委員 関連。――先ほどの外務省の御答弁、日本の外務省の出先あたりもまことに働かぬものの代表的なものだということを聞いておりますし、日本の外務省が、頭のいいのが理屈ばかりこねくり回して一つも動かぬということを聞いておりましたが、実際私はいまの御答弁を聞いて、なるほどなという気がいたします。いま現地へ行っておる船員の方から危険だというていろいろの報告が来ておって、それに基づいていまその区域へは配船を拒否しておるような状態になっておる、この事実は外務省も知っておるはずであります。配船を拒否しておる、そのような事態があるのに、ただ安全なんだというようなことで、そのままほうっておくというのは、私は外務省のとるべき策ではないと思う。このような状態になっておるのだから、この事態を何とか解決をしなければならない。それについては、アメリカのほうに対して、日本が北ベトナムへ行くのも軍需物資あたりは厳重に積まないのだから、一般物資の貿易のための輸送のためにやっておるのだから、それに対しては安全を保障してもらいたいということを申し入れた場合に、向こうが、それなら日本の船は舷にはっきり日の丸でも大きく明白にわかるようにやっておけとか、あるいは甲板へ大きく日の丸をやっておけ、そういうようなものに対しては絶対安全を保障するのだというくらいな回答が来るはずであります。これをやってこうするのだからということを外務省が言って、はっきりと確信を持って運輸省へそれを通達し、運輸省から海員組合へその通知がいった場合には、必ず海員組合としてもそれぞれ相談して情勢判断をいたします。外務省のやったその誠意の度に応じては、海員組合のほうもわかるはずであります。それをとらないでおいて、そうして安全なんだから何もそういうふうなことは外交交渉の種にならないと言いますが、それならあなたは、これから先あそこへ出入りをする日本の船が絶対安全で、アメリカの空襲を受けないという保障ができることで言い切れますか。言い切れないというのなら、これだけの措置はとるべきであります。いま日本の船はそこへ配船を禁止をいたしておるような状態、これを解くために運輸省あたりはあなた方のすることに基づいて判断をしてやろうとしておる。一方が危険であると考えておるのに、私は危険ではないのだ、こういうふうなことを言う、何もするすべがない、まことに無為無策な外務省であるといわなければなりません。この状態を解消するというようなことは、あなたが、外務省は知らぬのだ、かってに海員組合や船主がそんなことをやっているのだ、私の知ったことじゃないと言えますか、御答弁を願います。
○安川政府委員 外務省といたしましても、有効な措置があれば喜んでそういう措置をとるのにやぶさかでないのでございますが、ただいまの御意見もございますので、さらに有効な措置を見つけるように努力いたしたいと思います。
○久保委員 安川アメリカ局長にもう一言言っておきますが、とにかく具体的に検討するとおっしゃいましたから、一応きょうの段階はいいとしても、じんぜん日を送ったのでは重大な影響があるということはいまのお話でわかると思う。わかりましょう。だから、少なくとももう一ぺんこの委員会で取り上げますから、取り上げる時期は大体委員長に判断してもらいますが、その時期までにはもう少し明確な答弁がほしい、これは要望しておきます。
 そこで、時間もありませんから先へ行きますが、一つの例だけ申し上げましょう。ついこの間でありますが、ことしの一月、私は南北ベトナムをちょうど回ってまいりました。特にベトナムではハイフォン、それからホンゲイ炭の積み出し港、ホンゲイ炭坑、こういうものも見てまいりました。去年の八月のトンキン湾空襲のときには、ハロン、これはホンゲイ炭の積み込みをするところですが、ここが空襲を受けまして、四機は撃墜したそうでありますが、当時そういう事件もあるのです。だから、いまはどこへ来るかわからぬ、おそらくホンゲイ炭坑をねらってくるでしょう。そういうことになると問題があるのです。これはいつ来るかわからぬです、日本の政府のアメリカ局長に通報して、そうして行くのじゃないのですから。そういうこともよく考えて、具体的にいま申し上げたようなことを措置してほしい、こう思います。
 次にLSTの問題で旅券課長にお尋ねするのでありますが、先ほど和田参考人からのお話で、LSTそのものの性格がだいぶ変わってきた、しかも戦争になりましてさらに性格が変わってきたということですね。いうならば思想の問題は別にして、船員の安全ということを海員組合は当然のごとく考えておられると思う。それは全くそのとおりです。と同時に、それ以上に今度は政治的に考えなければならぬのは、旅券法では、御承知のように旅券を発給するかどうかの判断が一つあります。その判断では、第十三条の第一項第五号というのがございます。これは発給の制限でありまして、これには「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行なう虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」に対しては発給はしない、こういうことになっておるわけです。そこで、このLSTは完全に軍需物資を米軍のために輸送するわけです。戦争が激化しない場合、あるいは平時における軍需物資ならば問題はないと思う。ところが、今日の状況からいくと、先ほど申し上げたように、いつ果てるとも知らないようなどろ沼戦争になっておる、激化をするわけです。アメリカ局長がおっしゃったように、ジョンソン声明があったけれども、これはものにならぬということも今日の状況では判断できるわけです。もちろんわれわれは一刻も早くこれが回復されることを強く願望しているわけですが、しかしそう簡単にはいかない。激化した場合には、これは日本国の船員が乗っている、そうなると、交戦国の相手側に対して、日本国に対して、いわゆる敵としての位置づけをする。そうなった場合に、いま旅券法にいうところの、著しく日本国の利益あるいは公安を害するということが出てきはしないか、こう心配をする。いまはという判断でございますが、いまか、これから先かは、それぞれの判断で違うと思うのであります。そういうことができてきた場合、いまはまだ――もちろん声明や何かでは、北のほうはそういう行為に対してやはり位置づけをしつつあります。これを現実行為として、実際の行為として位置づけした場合にはたいへんだと思います。いま発給しようとする旅券は、そういうことを予想しながら発給する考えでありますからどうですか。
○人見説明員 お答えいたします。
 旅券法の十三条に、一般旅券の発給制限の条項がございます。LSTは外国の船でございますから、旅券を発給することになりますが、その際に十三条の各項に該当しない限りは、国民の権利でございますから旅券は出さなければならないことになるわけであります。
 さて、ただいまの十三条一項五号の問題、これはLSTの問題に限定して考えますと、現段階では十三条一項五号に該当しない。つまりLSTに乗り組むためにベトナム方面に各個人が一人一人応募いたしまして出かけていくということ自身は、日本国の利益ないしは公安を直接かつ著しく害するおそれのある者であるというふうに認めがたい。それで近日中に旅券を出すということに相なっておるわけであります。
 しかしながら、ただいま御質問がございましたように、将来におきましてさらに事態が進展しましたような場合にどうであるかという御質問でありますけれども、その場合には、これはやはり法律に従いまして出しました旅券を返納を命ずるというふうなことがあるいは起こるかもしれません。これは仮定の問題でございます。
 それから、ただいま返納と申しましたが、これは同じ旅券法の十九条一項四号に返納の事由をあげております中に、日本国民の生命、身体、財産を保護するために、その渡航をとりやめる必要があると外務大臣が判断しました場合には、一ぺん出しております旅券を返納を命じることができるという規定がございます。この問題も、現段階におきましては、南ベトナムに行くLSTに乗っております船員の方々に、返納を命ずるということは考えておりません。しかしこれも将来の問題としましては、私どもはやはり法律に従って仕事をいたします関係上、日本政府としましては、どのような場合にはどうであるかというようなことにつきましては、私どもも将来の問題としては考えております。これは外務大臣の判断の問題でございます。
○久保委員 そうしますと、いまは安全であるということで発給するわけでありますか。
○人見説明員 絶対安全ということはこれはだれにも保証できないと存じますが、しかしながら、一方におきまして、旅券の発給を拒否するという事態にいま至っているかどうかということにつきましては、そういうことはないというふうに考えておるわけであります。
○久保委員 いま私がお尋ねしたのは発給制限についてでありますが、あなたはたまたま返納の問題に言及されました。返納が予想されても発給するということがあるわけですか。これはうらはらの関係じゃないですか。そうじゃなくて、危険があるかもしらぬけれども、発給は制限の中に入ってないから発給するという理屈になりますか。そういうことでしょうか。
 それからもう一つ、ベトコンと称せられる民族解放戦線というのは、おもに兵隊じゃないですね。私どもはそういうふうに見てきました。どこにベトコンというのはいるのかわからぬ。いうならば南ベトナムにいる人間が全部ベトコンかもわからぬ。いつ何どきやられるかもしれない。これは爆弾三勇士じゃないが、時限爆弾をかかえて突入してくるのでありますから、これはちょっとわからぬですよ。そういう状況を十分御判断をいただいているわけでありますか。私は、決して南だからどうの北だからどうこうということじゃなくて、一たんそういうものを発行した場合に、日本国政府としては、国民の生命、財産というか、そういうものに、いわゆる責任が出ることが当然じゃないか。それはもちろんLSTの船員の雇用主であるところのアメリカ政府、あるいはアメリカ軍、こういうものは、先ほど和田参考人からお話があったとおりの団体協約、それに基づいて保障はとれると思うのです。それは別だと思うのですね。それについてどうお考えでしょうか。
○安川政府委員 このLST船舶の安全に関します判断の問題になりますので、私からお答えさしていただきます。
 LSTの日本人船員の安全につきましては、政府としましても、従来から非常に重要な関心を払っておりまして、一つはこの情勢をどう判断するかという問題と、もう一つは直接雇用主でありますアメリカ側に対して、この安全の確保について従来しばしば申し入れておるわけであります。
 第一の安全かどうかという判断でございますけれども、これにつきましては常時わがほうの大使館から現地の事情を報告させております。最近まいりました報告によりますと、一般の船の航行の状況につきましては、ベトナム各港に出入する、日本ばかりではございません、各国の外国の船舶も含めまして、一般の船舶に関する限り何ら異常はない、その安全は一〇〇%保障されておる。むしろ航行の数は最近ふえておるというようなことでございます。ただLSTとなりますと、これは米国の軍用船で公用船でございますから、一般の船舶と同一に律するわけにいかないことはもちろんでございますけれども、現地の報告、判断によりますと、LSTの出入いたします港の警備と申しますか、これは非常に厳重をきわめておって、先般事故が発生いたしましたけれども、非常に警戒が厳重で、大規模なテロというようなものが現在の段階においては起こる可能性はまずない、したがって、現状においては第一次的に安全確保の責任を負っておりますアメリカ側に対して、さらに安全の確保を期することによって、旅券をとめるというほどの危険が切迫しているものとは思われないという判断でございます。他方アメリカ側に対しましては、しばしばこの安全の確保について強く申し入れておりますが、向こうももちろんこの日本人の生命の安全については、万全の措置を講ずるということを言明しております。
 それで、しからばどういう具体的な対策をとっておるかということにつきましても詳しく説明を受けておりますけれども、内容が軍事機密に属する部分もございますので、ここで一つ一つ御説明するわけにまいりませんけれども、これは先般横浜の米軍の輸送司令官でございますか、新聞記者会見で若干話しておりました。それを引用させていただきますと、いろいろなことを言っておりますけれども、たとえば船長が危険と判断すれば、陸上の司令官から荷揚げを命令されてもこの命令に服さなくてもいいんだというようなことも申しております。そういうことで、現状におきましては米車が安全対策の万全の措置をとるということによりまして、旅券を出すことを拒否しなければならないような情勢にあるとは判断してないわけでございます。
○久保委員 いまの答弁は少し問題があるようでありますが、たくさん質問の方もありますので先に進みます。
 船員局長はおいででありますか、――先ほど和田参考人からは、組合員である者についてはやはり十分な配慮をとられておるようでありますが、最近新聞で見ますと、何というか、船員にあらざる船員というか、そういう者でしょうね。これは新聞だけでもわかりませんけれども、そういうものが一獲千金というか、そういうことで応募する者が多いということであります。そういうものを、日本国の安保条約における地位協定に基づいて、その募集の担当をされるわけでありましょうが、その条約からいけば当然担当することになるかもしれませんが、その場合、それでは労働条件を含めて身の安全というか、そういうものについて十分米側との間に取りきめができて、これなら心配がないということでおやりになっているわけでしょう。当然そういう答弁で、心配ないということでありましょうが、ただ心配ないだけでは困るので、具体的にどういう取りきめになっているか、たとえば負傷したり疾病にあった場合には、外国の港でおりますが、その場合に、あとの生計なり医療なり、そういうものまで十分な保障があるのかどうか。どうでしょう。
○亀山政府委員 米軍に雇われております日本人船員の労働条件については、先ほど和田参考人から御説明がありましたように、労働組合と米軍との間の協議に基づいて決定されておりますが、ただいま御指摘の病気になったとき、外国で入院しなければならないとき、そういうものの医療費についての雇用主の負担並びに送還の負担等についてはすべて規定をされております。
○久保委員 それでは、その詳細についてはあとから資料で委員会に出してほしい、どういう条件になっているのか、こまかく。
 それからもう一言、これは私の意見でありますが、船員職業安定法に基づいた募集をされておるわけでありますが、先ほど旅券課長にも言ったように、事態がこれ以上緊迫すると、いまは相手側であるところのあれからは単なる声明程度で抗議を受けているくらいでありますが、実行行為としてやってくるようなことが予想される。そういうことを前提にしてやはり雇用を促進しますか。
 それからもう一つお尋ねしたいのは、船員である者が転換する率というか、そういう者は非常に多いのですか。現に船員の免状というか、船員手張を持っている人がそういうLSTに乗り組みを希望するというのはたいへん多いのですか、どうなんです。
○亀山政府委員 まず最初の御質問でございますが、現在のところ、佐世保の支局に対してMSTSから、三百八十名の人を雇用したいという、そして給料の表をつけた紙が米軍から出されております。なお佐世保の支局におきましては、当方の指示に基づきまして、いかなる船に乗って、いかなる地域に行くのか、その他の労働条件等を詳細に聞いた上で、求職者があれば紹介する、こういうたてまえをとっております。現在までのところ、その求職希望者がわがほうの職業安定所にはあらわれておりませんで、直接MSTSの事務所のほうに多数出かけておるというふうな情報を聞いております。
 それから身の安全の問題につきましては、先ほど来外務省当局からお話がございましたが、将来非常な危険があるということが外務当局のほうで判断されます場合には、私どもはその求人の申し込みなりを職業安定法に基づいて拒否することができます。その際に、それによって職業紹介はいたさないというふうになると思います。しかし、現在の状況を求職を希望する船員に知らしめて、その自発的意思によって行く者までとめることはできないというふうに考えております。
 なお旅券の発給の前提といたしまして、当該労働条件がはたして適当であるかどうかということについて私どものほうで判断をいたしまして、労働条件について、賃金、労働時間等が一般の日本船員に比べてはなはだしく低いとか、不当であるとかいうことがない旨を証明して、それに基づいて、それを一つの材料にして、外務省のほうで旅券を発給する、こういうふうな手続になっております。
 それから、現在船に乗り組んでおる人から就職希望者が多いかどうかということでございますが、いま申し上げましたように、安定所の窓口には求職者が参っておりませんのではっきりしたことはつかめませんけれども、現地からの情報によりますと、免状を持った有資格者が必要なわけでございます。これは応募者の中に非常に少ない。漁船に乗った者、あるいは内航船に乗っておった者、あるいは佐世保付近の基地の労務者といったような全然経験のない人がどうも数が多くて、LSTの必要としておる中での有資格者、船長とか機関長とかいう免状を持った方の応募は少ないというふうな情報を聞いております。
○長谷川委員長 肥田君。
○肥田委員 私も時間がだいぶたっておりますから簡単に質問いたしますが、これは皮肉な質問のように受け取られるかもしれませんが、真意はそういうことではありませんので、そういうふうに受け取れたら、これは皮肉ではないということで御了解いただきたい。
 先ほどのお話と質疑の経過から見まして、商船についてはそれほど不安感はない、こういうふうなとり方をしました。そこで、現在七隻の就航を停止しておる。このことについてはいろいろな問題があるでしょうけれども、これは何かアメリカの意思を尊重して、率先をして就航を停止しておるというふうな印象を与えないこともないような気がするのです。その点について和田さんと米田さんにお伺いをしたいと思います。
 それからこれは和田さんのほうの関係で、このLST乗員として何名くらいの者が契約を結んでおるのか。
 それから船員局長でもよろしいが、その他の一般職安を通じてなにした者について、どういう数字になっておるのか。先日いわゆる公募したLST乗員のその内訳についてお答えをいただきたいと思います。
 それからもう一点は、実はこのLST乗員の募集に殺到した問題については相当各方面で反響を呼んでいます。すでに憲法問題にまで触れてきておる。そういう面について、私には私の考え方がありますが、端的に言うと、こういう行為そのものが実はアメリカの戦争行為に協力するという状態に受け取られる面が多い。たとえば、先般の応募者に対する街頭録音を聞いていると、みずから進んでベトナム戦争を早期に解決するためにわれわれはLSTに乗り込むのだというふうな意見もあった。それからあなた方が行くことは戦争行為に直接つながることを知っているのか、それと日本の憲法との関係を知っておるのかという質問に対しては、憲法というようなむずかしいものは知らない、こういうごく素朴な返事もあった。いろいろな者がその中には含まれておる。しかしそういう中からうかがえることは、一つの傾向として何か義勇兵的な印象を受ける。また私が先ほどからの外務省の答弁、それから運輸省関係のあなた方の言っておることを聞いておると、やはりそういう印象を受ける。何か安保協定というものを中心にして、協力せざるを得ないような誤った責任感を感じておるのじゃないか、こうういふうに考えるわけです。これらは安川さん、あなたからお答えをいただきたいのですが、LSTの乗員というものは安保条約に基づいてあっせんするのだと外務大臣がはっきり言っておる。ところがLSTそのものは一体どういうものかというと、いわゆる上陸用舟艇――戦争行為をやっておる。その戦争行為をやっておるLSTに乗り込むこの人々は、実際には非戦闘員であるけれども、これは性格的には準戦闘要員としての性格を持つと相手方には見られるものなんです。だからそういう者に対して旅券を発行するということは、いろいろ理屈あるいは法規に基づいての説明をされておったけれども、そういうものではなくして、ただ安保条約に基づくところの責任を果たすために旅券を発行して、そしてその船に乗り込ますという合法的な手段として扱っているにすぎない、こういうふうなことだと私は思っておるのです。それは説明をどうされても、そのうらはらというものは、そういうものなんです。そういうことから日本の政府そのものが何かこの戦争に対して知らず知らずの間に足を踏み入れておる、こういうことになる。ですからこの点の解釈というものは、あなたらのほうでは一体どういうふうに思っているのか。
 この三点についてお答えをいただきたいと思います。
○長谷川委員長 それぞれひとつ簡単に御答弁願います。
○和田参考人 第一の点については、邪推をしないようにしてくれということでありますから、ことばどおりに受け取ってお答えをいたしたいと思います。アメリカの意向に迎合するために率先やったのではないかというような解釈がどこから生まれてくるのか、私は全くふしぎなのであります。従来ベトナムで紛争が起きておっても、本組合といたしましては、北ベトナムに就航することに何らの制限をつけず、船員も自由に航行をいたしておったわけであります。たまたま第三日邦丸に対しまして、日本の船主が用船をしておれば、どういうふうに配船するかということは、日本の船主がきめるわけです。海員組合もこれをチェックすることができるわけですけれども、日本の船主が用船した船を中共の船舶取り扱い機関に再用船させ、そこが配船をしているわけですから、どうなっているのかさっぱりわからなかった。わかったところが、ガソリンを積んでハイフォンに行けというほとんど強制的に近い命令で送らせられた。行ったところが空襲に直面いたしまして、本船は幸いに被弾をしなかったわけであります。詳細な報告がきておりますけれども、連絡のために上陸した船長外一名の乗り組み員は爆撃にあいまして、防空壕に退避をすることになった。こういうことが出てくると、日本船が直接の攻撃の目標になるかならないかは別として、きわめて危険であります。さらにそれに加えてバクロン島の爆撃と空中戦が行なわれておるという報道が来ているわけでありますから、北ベトナム一帯についてははなはだ危険である。乗り組み員のほうからもそういう強い要請が来ているわけでありますから、組合としては北ベトナムの就航をとりあえず中止をして、先ほども申し上げましたように、安全確保その他について見通しが立てば、われわれは世界のあらゆる地域に航行するということについて何ら否定するものではございません。したがって、これを就航させるということはけっこうなことでございますし、必要な措置があれば協定をいたしたい、かように考えておるわけであります。
 同時に、日本の船主が用船をして、あるいは日本の船主がオペレートしているのであるならば、われわれはチェックできますけれども、再用船、サブチャーターになりますと、チェックのしようがございませんので、この点も船主には強く申し入れまして、サブチャーターによってそちらに就航することは、積み荷ないし航行について安全を確保しようと思っても措置がとれないから、今回の中共のように幾らこっちが言っても、向こうがおれのほうはそうきめておるのだから行けという形でやられては、はなはだ困るのでありまして、サブチャーターによって向こうに就航するということは取りやめるべきである、こういう態度をとっているわけであります。同時にこれは南につきましても、先ほど申し上げましたように、平和な時代において平和な商品を輸送することを任務としておる一般商船が弾薬を輸送するというようなことは、たとえアメリカであろうともいけないという形で、本組合は積み荷を拒否するという実力行使を推令して、これを食いとめ、この契約は破棄されておるわけでありまして、私たちは船員の安全ということを第一義に考えております。
 次にLSTの乗り組み員でありますが、現在組合員として切りかえのときから引き続き配乗されておる者は、十七隻のLSTに対しまして八百三十五名の乗り組み員であります。それ以外の組合員というものは現在ございませんし、組合員以外の者についての乗船というものは、最近の報道によって直接募集ということであるいは今後起きてくるかもわかりません。しかし、先ほど来申されておりますように、全く経験のないような船員がやってくる。船の運航についてはかなりの経験と技術を要するわけでありますから、そういう混乗状態が発生いたしまして、組合員である船員の安全について別な面で問題が出てくれば、組合はそういう立場から判断をして措置をせざるを得ないという事態が発生するかもわからないということを申し上げておきたいと思います。
○亀山政府委員 今回佐世保のMSTSから三百八十人の大量の求人申し込みがありましたが、これについては佐世保の船員職業安定所の紹介で成立したものがいまだに一件もございません。先ほど申し上げましたように、安定所を通らずに直接MSTSに求職者が行っておるという状況を情報によって承知しておるわけでございます。
○米田参考人 ただいまのお尋ねに対して簡単に申し上げます。
 北ベトナムに対する配船を停止することはやむを得ないということは、先ほどから申し上げておりますような保険料の問題からする採算の点、これが片一方にありまして、片一方からいうと、乗り組み員の人命尊重、この二つのことから出ております。純粋に営業的な立場でやっておりまして、それ以外には何にもございません。
 それからさっき和田さんから言われた第三日邦丸ですか、この点については実は私はよく知りませんので、お答えするなにはありませんが、しかし、深い魂胆でやっているといううわさは聞いておりません。
○安川政府委員 ただいまの御質問の、今回のLSTの就職のあっせんその他は安保条約に基づくものであるということは、昨日外務大臣が外務委員会でなされました答弁がもとになっておると思いますが、もちろん広い意味で安保条約に基づくものであることは間違いないのでありますが、もっと厳密に純法律的に申しますと、これは安保条約の条文そのものに載っておるのではないのでありまして、御承知の安保条約に基づいて日米間で取りきめられました在日米軍の地位に関する協定というのがございます。その第十二条の四項に「現地の労務に対する合衆国軍隊及び第十五条に定める諸機関の需要は、日本国の当局の援助を得て充足される。」という規定がございます。法律的に申しますと、その規定に基づいておるわけでございます。この規定の本来の趣旨は、「日本国の当局の援助を得て充足される。」というこの原則は、御承知のように、米軍に使用されます日本人の労務者は、大部分がいわゆる間接雇用と申しまして、日本政府が雇用しまして米軍が使用するというたてまえをとっております。このことを実は意味しておるのでございますけれども、ただいま問題になっておりますLSTの労務者の場合は、この間接雇用の原則からはずれまして、米軍が直接の雇用主になっておるわけでございます。この場合にも、雇用主は米軍でございますけれども、その雇用の手続におきましては、ここにありますとおり、「日本国の当局の援助」という意味におきまして、運輸省関係の職業安定所で職業のあっせんをしておるわけでございます。このことは、米軍が直接雇用するよりも、そこを通ずることのほうが労務者の保護と申しますか、労働条件その他の適正を確保するという意味ににおきましてもむしろ望ましいという見地から、この規定に基づいてそういう手続をとっているわけでございます。
○久保委員 ちょっと関連して。――いまアメリカ局長が引用したものはおかしいのですよ。安保条約というのは何だということです。その前提からはずれているじゃないですか。アメリカ軍が行動する。しかも日本の関係はありませんね。われわれは安保は精神的に反対です。否定します。しかし、それは現実にあるから是認したとしても、そこからちょっとはずれるのじゃないですか、どうですか。
○安川政府委員 その点は、日本政府としてははずれてないという解釈でございます。政治論は別といたしまして、条約論といたしまして、安保条約はいま手元に持っておりませんけれども、安保条約の第六条に、米軍は日本国の安全、それから極東における平和、安全を維持するために施設を使用することができるということになっております。
○久保委員 極東の範囲は……。
○安川政府委員 極東の範囲は、昨日も大臣から答弁がありましたように、日本国政府の統一見解はフィリピン以北というものになっておりますけれども、その周辺地域における事態が、そのフィリピン以北にも影響を及ぼす場合には必ずしもその範囲内にとどまらないということは、安保条約の国会の論議のときに政府が統一見解としてお示ししたとおりでございます。それに基づいているわけでございます。
○肥田委員 ちょっと締めくくりをします。
 先ほど和田さんの言われたこと、これはいままでの経過報告の中で、さっきの口述でわかっておるのです。ただ一点、私がそういうふうに申し上げたことは、前者の安全と、それからもちろん船主には船主の責任がありますから、採算性と安全性というものがある。そういうことからおのずから配船というものがきまってくる、これはそのとおりだと思うのです。ただ、人命の安全というものを第一の目標に航海の任務についておる海員の人々が、現実には、今度はこうしてLSTに乗り組む人まで、いろいろな条件をつけながらもあっせんをしなければならぬような状態になってきた。このことについては前後にやはり矛盾を感じるのです。これはやはり大きな問題ですから、将来のあの地域におけるところの航行の安全性、それからこうした人々に対する絶対の安全を約束さす大きな問題については、これは外務省その他も相手にして実施しなければならぬと思うのです。本日のところは外務大臣もおりませんし、先ほどから質疑をしておる中でも、まことにわれわれとしてふに落ちぬ面がたくさんありますから、あらためてやりたいと思います。そういう意味でお伺いしたわけですから、誤解のないようにお願いいたします。
○長谷川委員長 次に、泊谷裕夫君。
○泊谷委員 海運局長にお尋ねしますが、きょう三人の参考人のうち、二人までは標識の掲示などで船舶の運航を確保してくれ、こういう訴えをしておるわけですが、危険物船舶運送及び貯蔵規則の十六条には危険物の取り扱い制限がありますが、日本国内における標識の掲示さえやらないで、ほかの国にその条件を出すということなどは、およそ耳をかしていただけないと思うのです。なぜ国内における危険品の貯蔵、運送、積み込み、これについてきめられておる標識をさせようとされないのか、この点を明らかにしていただきたい。
○若狭政府委員 危険物の運送につきましては、いま御指摘の運送規則、船舶安全法によって制定されておりまして、それによって国内において当然運送いたしておるわけであります。国外におきましても同様でございます。
 先ほどから問題になりました日本船に明確な標識をつけるべきではないかという御意見でございますけれども、これは検討に値する問題ではないかと私は考えるわけでございますが、問題は外務省から、現地の情勢その他をお考えの上でそういう措置を講じたほうがよろしいであろうという、米軍との話ができる前提がございますれば、われわれとしても当然考えるべき問題であると考えております。
○泊谷委員 海運局長、こういうことですよ。うちの規則できまっておるものは、本来危険品は沖合いで赤旗を立てて積み込まなければならぬものです。直接ストレートに岸壁につけて、標識もなしに取り扱いをさして、航海に出ていって、標識をつけないでも爆撃しないでくれということは片手おちだ。まず国内における日本の船舶といわず、すべて公海の自由を持っている船舶には、その国のきめられた標識はきちんとする。これから整理すべきだ。それをきちっとやってください。これについてのお答えをいただきたい。
○若狭政府委員 それは現在でも実施いたしておると思いますけれども、不十分なものがありますれば、さっそく検討さしていただきたいと思います。
○泊谷委員 不十分なものがあるから取り上げているのでありまして、この点特に注文をつけておきます。
 次に、海員組合の皆さんにあれだけ苦悩さしている日正海運の問題について、海上運送法二十四条に報告の徴収の義務があるのです。二十三条の五では免許の条件、さらに十六条を見ますと船舶安全法または船舶職員法の関係でありますけれども、事業の停止または許可の取り消し、この条項があるのです。日正海運に対する運輸省のとった態度を明らかにしてください。
○若狭政府委員 外国に船舶を期間用船いたす場合には、これは別に制限いたしておらないわけであります。貸し渡す場合、つまり人間を乗せないで貸し渡す場合、あるいは譲渡する場合、売り渡す場合、これは運輸大臣の許可を要するということになっております。したがいまして、いま御指摘の会社に対して運輸省としては特別の措置はとっておりません。
○泊谷委員 LSTの話をいましているのではないのですよ。日本国側のオーナー、オペレーターの関係において問題を提起しているのでありまして、それさえすっきりした返事をしないということ自体から問題が出てくるのでありますが、海員組合の和田さんのほうから話がありまして、そこで問題のあるアメリカ軍の強制送還、その中で電源を切ってまで抵抗してその船員の身の保全につとめているというのに、船員を最も保護しなければならぬ海運局として業者に何らの措置をとらぬというのはどういうことですか。
○亀山政府委員 ただいま日正海運の乗り組み員の行動につきまして、船主をなぜ取り締まらないかということでございますが、私どもは船員法に定められたいろいろな規定に違反をした事実があれば、これは船員労務官が所要の措置をとるのでありますが、現在のところ船員法に違反したという事実を聞いておりませんので、船員法に基づく処分はいたしておりません。
○泊谷委員 聞いていませんということ自体がおかしい。報告の義務があるのですから。これは次回に掘り下げてやらしてもらうことにいたしましょう。
 次の問題に移りますけれども、先ほどからLSTが問題になっていますが、俗称C1、C2、C3という貸物船の輸送がありますね。これは旅券を出していますか、船員手帳でやっていますか。
○亀山政府委員 C1、C2、C3という船は私は存じませんが、一般的に外国船に日本人が乗り組んでいる場合には、旅券を持って出入国をいたしております。日本船の場合には日本人は船員手帳で出入をいたしております。
○泊谷委員 戦標船としてアメリカの貨物船の大型のを使っておりまして、一隻四十名乗せているのが三隻ありましょう。これは御承知ないですか。
○亀山政府委員 調達庁が船員を雇用して提供しているものかと思いますが、それらは船員法の適用がありますので、船員手帳保有の義務をつけております。
○泊谷委員 最初からすらっと、船員手帳を持たしているなら持たしていると返事してもらえばいいのですよ。この船員手帳を持った者がLSTと扱いが違うのはどういうわけなんですか。
○亀山政府委員 船員法上、船員法の適用のある船舶は日本船及び省令によって詳細きめておりますが、政府が船員の配乗を行なっておる船舶というものがございます。いま御指摘の調達庁が船員を雇用して乗せております船は船員法の適用がございますので、船員手帳を義務として保有させております。それからLSTは船員法の適用のない外国の船舶でございますので、これには義務として船員手帳を保有をいたざせていないのでございます。
○泊谷委員 船員法の施行規則の一部を改正して、日本政府が乗り組み員の配乗を行なうという一項を挿入して、これを船員手帳でやっているということはわかっております。同じ輸送内容で同じ業種に携わる者が、片や旅券、片や船員手帳ということは、何としても働くほうから見ればわからぬことであります。その点あなたのほうでどう整理をされるのか、こういうことを聞いているのです。
○亀山政府委員 ただいま申し上げましたように、LSTは日本船舶にございませんし、また政府が配乗を行なっておる船舶でございませんので、一般の外国船と同様の取り扱いをするということで、ただいま申し上げましたように、船員手帳の関係が異なる取り扱いになっておるのでございます。
○泊谷委員 C1に乗っておる船員手帳を持っておる者は国内法の保護を一切受けますね。
○亀山政府委員 船員法による保護を受けております。
○泊谷委員 次の質問は外務省とそれから運輸省、それから和田さんにお尋ねをしますが、和田さんはさっき困難な中に折衝をしまして八つほどの協定を結ばれたという中で、船長の権限について危険を感じた場合の船長の拒否権というものがまだ正式になっていないような節回しをされたと聞きました。外務省、運輸省のほうでは間違いないという説明をしておるのですが、これはいかがなものですか、お尋ねをしたい。
 あわせて外務省とその際運輸省につけ加えてほしいのですが、アメリカとの関係においてそれがはっきりされておるとするならば、危険物船舶運送及び貯蔵規則の十七条、船長の危険物処理に対する権限、それから船員法二十七条のこれまた危険を感じた場合の船長の権限行使、これについて確立されておるかどうかということは、わずか四日ほど前の新聞を見ますと、LST六一三号船長本田一彦さんが米軍に、南ベトナムに着くまで弾薬を積まない、危険地区へ行かない、これらの条件を出したけれども、米側の了解を求められなかった、こういうふうに新聞は報じておりますが、この点を明らかにしてもらいたい。
○和田参考人 先ほど私が申し上げましたのは、海員組合のこれを担当しておる機関がMSTS当局、米軍側と折衝をした過程におきまして明らかにされた内容を確認した内容でありますが、おっしゃるとおり、船長が危険と判断したときに拒否ができやすいような措置をとるというところまでいっておりますけれども、船長の判断によってすべて決定をするというところまでいっているわけではございません。われわれとしては米軍がLSTを運航する際に、日本人船員がこの場合には米軍の輸送に従事するということを承知の上で乗っている組合員でありますから、そういう前提なしに一般商船に乗っている乗り組み員と立場は違いますけれども、なおかつそういう危険なことを避けるようにしなければならぬし、危険に対して十分対応できる措置をとらなければならぬという立場で終始折衝をしてまいっております。このほかにも具体的には、監視員の乗船とか、その他こまかいことにつきましても御質問があれば申し上げますが、いろいろ米軍との間で確認をしている事項はございます。
 ただし、ここではっきり申し上げておきたいのは、先ほど外務省当局は確かであるということをおっしゃいましたけれども、こういう折衝の過程で日本政府から助言ないしは援助を受けた記憶は全くございません。これは海員組合として米軍とそういう点を直接話し合って、船員の立場に立って確認をしてきたことでございまして、政府との間で確認されたことをわれわれが確かめたということではございませんので、その辺は政府のほうから御答弁を願いたいと思います。
○泊谷委員 二人の御答弁の前に、外務省とそれから運輸省のほうに特に注文をつけたいのですが、いまの問題はたったいま先輩の久保委員から尋ねて、国内法の適用のくだりのところで答弁があったのですが、二月十六日の運輸大臣の予算委員会における答弁も、船員手帳を出す場合、旅券を出す場合、こういうことばを使っておる。「一体同胞の身元が安定するかどうかという心配でございますが、ごもっともであります。しかし、それによって、まず船員手帳を出す場合においては労働条件、待遇その他船内における生活状態、すべての人権を尊重される条件を十分具備しなければそれを出さないことになっておりますから、」こうなっておる。船員法では、船員法の六条で、労働基準法の一部適用を受けることになります。そして、それに該当する労働基準法の五条、いわゆる強制就労ができない。また船員法では、船長が船舶の運航に危険を感じた場合には、乗り組み員さえ処分することができる、着港を変更することができる、さらには積み品を放棄する権限さえ与えられておる。こういうことがいまの和田さんの説明で明らかになってまいりましたが、肝心なポイントのことについてこういう虚偽の報告を国会がやられるということはけしからぬと思うのです。十分肝に銘じて御答弁をいただきたいと思う。
○安川政府委員 ただいま船員組合のほうから御答弁がありましたが、船長の拒否権につきましては、実は私は新聞に出ておりましたのを引用をしたわけでございまして、これはあくまで米軍と船員組合のほうでお話し合いになったことでございますから、船員組合のほうの御答弁が正しいと御了解願いたいと思います。
 ただ、私どもが米軍と話し合いましたことは、船長の拒否権というような問題でございませんで、いろいろなもっと広い立場からこの安全確保の問題について万全を期してもらうように再三申し入れたということを先ほど申し上げまして、それについてアメリカ側がこういう措置をとっておるという具体的な説明もございましたけれども、それはアメリカ側が軍事機密に属するから他には発表してもらいたくないという話でございましたから、ここで内容を一々御説明はできませんということを申し上げたわけです。ただその一つの例としまして、新聞に出ておりました司令官の言明を引用したわけでございますけれども、その司令官の言明の内容も正確なところは、ただいま海員組合のほうから御説明があったとおりであると思います。
○亀山政府委員 船長の危険回避の場合の権限につきましては、一般的に当然海事慣行によりまして、船長たるものが緊急のときに適切な措置をとるということは確立された慣行でございます。それにのっとりまして、ただいま御指摘のLSTの場合におきましても、その運航を管理する規則にいろいろなことが書いてございますが、それらの規定は、緊急のとき、緊急の結果起こった事態を調整したり、また人命及び身体を保護するために船長が自己の判断によって最良の、効果ある措置をとらんとする場合、その行為を妨げるものではない。いろいろな運航に関する規定があるけれども、それに優先して人命及び船舶の安全のために船長が最善と信ずる手段をとるものを妨げるものではないという管理規則を持っておることをLSTから私どもは説明を受けております。
○泊谷委員 これで最後のお尋ねにしますけれども、いまのくだりは重要でありますから、参考人でおいでになった和田さんにも気の毒でありますが、これの関係する協定の写しを提示いただきたい。運輸省がいま説明されましたものを成文されまして、外務省に至っては新聞でというようなことはもってのほかでありまして、外務省の責任において調べまして、それもあわせて次回に御提示をいただきたいと思います。
 最後にお尋ねするのは、新聞記事を扱ってこういうことをお尋ねするのは恐縮ですが、和田さんに。現状は日本の政治のかまえ方は、こういうことです。新聞記事でありますから別としまして、あなたも海員組合の責任者で相当長くやっておられますから、間接雇用であれ直接雇用であれ、それに携わった者に対する責任というものが相当重かろうと思います。そういう立場で船員の保護という立場から、この三月の初め弾丸を積んで南ベトナムに行ったLST六一三号の記事が載っているのです。あなたの組合員だと思うのですけれども、荒木晴行さんという人がこういうことを語って記事になっています。「午後八時ごろ、ぱっと周囲が明るくなったと思ったら『バンバン』と左岸前方から銃砲弾が飛んできた。なん発ものえい光弾で真昼のように明るくなった。警備のため四人乗り込んでいた米軍MPが『伏せろ』とどなる。MPが小銃で応戦した。」その次を省略して、「ベトコンは、LSTに日本人が乗り組んでいるのを知り、わざと当たらないようにしたのではないか。威圧感を与えるためのいやがらせだと思った。すぐ近くにも武装をした南ベトナムの護衛艦がいたのにさっぱり応戦しない。逆にごうごうと照明をつけて敵の目標を作っている始末で、ベトコンの味方みたいなものだった。おそらくベトコンと通じていたのではないだろうか。護衛艦の南ベトナム兵は『配置につけ』といわれても、配置についたまま甲板で眠ってしまっていた。」あなたのところの組合員だと思うのですが、こういうふうに語っているのですね。そうしますと、ただ、北爆をするから、攻撃目標が北にあるからということでなしに、南北を問わずに、ここにおける和田さんの直系であります組合員が身の危険を感ずるということについては、見さかいなしに出てきておるのではないか。連続一週間の間に三べんも弾丸であけられた船の記事が載っているのです。こういう中において輸送に海員組合に所属する仲間を従事させるということについて、この際そういう現状認識の上に立って考える必要があるのではないかと私は思う。本来これは政治が解決すべき問題でしょう。それを解決できないので、国会に籍を置く者が組合のあなたに尋ねることは非常に心苦しいのでありますけれども、何はともあれ、人の命は一番大切にしなければならぬと思いますので、お答えできるならばひとつ御意見をお聞かせ願いたい。
○和田参考人 いまの引用されました事項は、新聞記事のすべてがそのとおりであるかどうかということは別にいたしまして、そういうことが起きておりますし、現実に時限爆弾をしかけられまして、船体が損傷して、その爆弾によってではないのですけれども、その際逃げる途中指をけがして、先ほど申し上げましたように、アメリカに日本金換算約百万円の補償をさせているというような事実もございますし、あるいは昼間は普通に農業をやって夜ベトコンにかわって襲撃をしてくるという事件があるというようなこともいろいろ報告が寄せられております。ただし、やはりアメリカ軍が直接運航しているわけでありますから、一体どういう内容の品物を積んでどうなったかということについて、具体的な報告を一々聴取するということは不可能でございますので、私たちがそれらのすべてについて知悉しているわけではございません。しかし、南に従事しているといえども、LSTがかなりの危険にさらされているということは十分判断せられるところでありまして、海員組合は従来の措置に加えまして、目下さらに一般の安全保障措置と、さらに災害補償に対するより一そうの増額と乗り組み員の給与、手当に対する増額、こういう問題についても交渉しているわけであります。
 ところで、最後の御質問になりましたそういうものに日本人船員を乗り組ましておることはどうかと思わないか、われわれとしてもでき得べくんばそういうことはやりたくないと思っております。できれば組合員が全部安全なところで気持ちよく働けることを期待もしているわけであります。しかしながら、御承知のようにこういうものはかね合いがございまして、ほとんど戦争ではなくても、他の仕事においても十中七、八危険があると予測をされる仕事の場合にでも、本人が手当その他の収入というものの引きかえにある程度リスクをかけて、そういう危険作業と承知しつつ従事するという場合もあるわけでありまして、これはわれわれの人間社会における現実であると思います。したがって、私たちはいいところで安全だから行けということは言っておりません。こういう事情についてはそれぞれ行く者について十分説明しておるわけです。それでもなおかつ行く、こういう船員がおる場合にわれわれのなし得ることは、許された条件の中で最大限に努力して、その安全の確保、万一があった場合の補償の措置をとるということが組合として組合員に対する責任であろうと思います。もしそれをおまえさんはいけない、やめろと言った場合に、それではおれが食っていくことについて組合は補償してくれるかと言われたときに、われわれは補償をする手段を持っておればやめなさいと言います。しかしこれもかね合いの問題ですから、もっと危険の度合がひどくなってきて、LSTの乗り組み員からも、われわれはもうやめて帰りたい、下船したい、日本の船に乗りたい、そういう希望が出てまいりましたならば、海員組合は総引き揚げをいたしまして、海員組合の責任においてできるだけの配慮をもって日本の船に配乗をするという決意をしなければならぬという場合が来るかもわかりません。そういう場合が来ればそういう措置をとりたいと思いますが、ここにも、最も最近に現地のLSTの数隻から要求書がきておりますけれども、これは引き揚げて帰るという要求書でなくて、人命と安全についてもう一段の措置をとってもらいたい、労働条件について改善をしてもらいたい、あるいは交代要員や就航期間を制限してもらいたいという具体的な要求が船内大会の決議といたしまして来ておるわけでございまして、まだ乗り組み員からはこういう危険なものをやめて帰りたいというので、組合がそれに基づいて組合の責任で独自に行動すべき段階になっていないわけであります。
 しかし問題は、先ほど質問者の方もおしゃいましたように、われわれの民間の団体ではなし得る限度があります。私は、もし国会において決議し、日本の政府がこういう危険な業務に従事することはよろしくないからやめるべし、そしてその就職については、日本政府の責任においてこういう措置をするという措置があったら、それでもなおかつ乗って行きなさいという気持ちは毛頭ございません。そういうことについては私どもは全面的に協力して船員の安全を確保したいと考えておりますけれども、政府、国会においてすらその措置がとられていないときに、われわれが行くなということを船員に言うことは絶対にできないということをはっきり申し上げておきたいと思います。
○長谷川委員長 野間君。
○野間委員 LSTの問題ですが、最近のLSTは軍需物資を積んでおることと、それからたとえば四月九日あるいは四月十三日に出航したLSTは武装しておるというふうにいわれております。この武装しているLSTに日本の人間を乗せる、それをしかもMSTSに募集させて乗せている。つまり日本の国民をアメリカの戦略に提供する、そういう問題については政府はどういう態度か、これだけ説明を願います。
○安川政府委員 その問題は昨日も外務委員会で御質問が出まして、武装をしておるというお話がございましたので、私は武装をしておることは考えられないということを申し上げたのでございますけれども確かにしておるということでございましたので、私は調べると御答弁申し上げましたが、しかしここに組合の方もおられますけれども、これは船長以下全部日本人でありまして、あくまでも非戦闘員でございますから、かりにかっこうは大砲が積んであるようになっておるかもしれませんけれども、船員の方がそれを操作して戦闘に加わるというようなことは、私はどう考えても考えられないことでございます。
○長谷川委員長 内海君。
○内海(清)委員 時間がありませんので、いろいろお尋ねしたいと思いますが、簡単に特にきょうお出まし願った参考人の方々に対して一、二お尋ねして、政府に対するものはまたの機会にいたしたいと思うのであります。
 一つ和田参考人にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、先ほど来の公述の中で、邦船の北ベトナムの就航の問題について大体の御説明を伺ったわけでございます。これは日本船が中共側にチャーターされまして、北ベトナムにいろいろな物資を運んでおる。なお、その他それ以外の船も今日まで相当北ベトナムに就航しておったのではないかということで、それらにつきましても、危険が増大するに従ってすでに七隻は就航を拒否した、あるいは配船を現在では中止する状況にある、こういうふうなお話でございましたし、なおこれに対します海員組合の態度につきましても一応の御説明があったようなんでありますけれども、きわめて簡単でよろしゅうございますが、ただいままで伺いましたもの以外でいままでどういう状況であったか、あるいは現状はどうか。さらに組合といたしましてこれに対します態度というふうな点につきまして、ございましたら、まずお伺いいたしたいと思います。
○和田参考人 向こうで起きている事態につきましては、先ほど来一、二御説明申し上げたとおりでございますけれども、この地域にむしろ就航をするというようなことを考えた場合に、どんな条件が必要であろうかということについてお答えをいたしたほうが、御質問に的確な答えになるのじゃないかと考えるわけであります。
 それは、先ほど来日本船であることを明確に表示をする、これは誤認によるところの被害を避けるという意味で非常に必要な措置であろうかと考えます。同時に、危険な就航であるというふうに判断したときには、その危険をいつでも回避できるというこちら側の自由な立場を確保しておくことが必要であります。ところが先ほど日邦丸の例でも申し上げましたように、中共あるいは他の国でありましても、サブチャーターになりますと、こちらがチェックすることができないために、知らないうちにやられてしまう。拒否するときにはすでにおそくなるということになりますから、そういうところに就航するときには、サブチャーター等は禁止して、直接日本の船主が判断によって就航ができる、それを海員組合もチェックすることができるということが必要であろうかと思います。同時に、危険品については、平時はそれほど危険でなくても、戦争事故にあいますと、爆弾よりも強烈な危険に転化するという品物もあるわけであります。たとえばガソリン等はそうでございますから、万一の被弾等を予想されるようなところにそういう危険なものは輸送しないというような約款なり方法が講ぜられるということが必要だろうと思います。
 それから、先ほど来船舶に対する再保険のことばかり話に出ておりますけれども、船には乗り組み員が乗って動かしておるわけでありますから、乗り組み員の安全保障はもとより、十分な手を打っても万一の災害が起きた場合に、これを十分補償するだけの措置というものがなければ、片手落ちだろうと思います。そういうようなことがある程度確認をされまして、なおかつそれでも絶対安全かと言われれば、それは言えないかもわかりませんが、そうなれば、ここまでやったならば行ってもよかろうという判断によって、それはベトナムであろうとどの地域であろうと就航しても差しつかえないわけでありますが、いまのところ、先ほど来外務、運輸両省の答弁あるいは船主側の説明等によってもわかりますように、それらについてはほとんど未知数でございまして、組合側を満足させるような措置がとられていないというところから、われわれはなお危険であるというふうに総合的に判断しているというのが立場でございます。
○内海(清)委員 いろいろここで議論をする時間がございませんから、たいへん失礼でございますけれども、聞きっぱなしの形になります。
 そこで次にお伺いしたいと思いますのは、中原参考人でございますが、これは貿易上いろいろな支障が起きておることは先ほどお話があったとおりでございます。ところがわが国の商社というものが、北のベトナムにも相当出向いておるわけです。この商社のほうから今日貿易について日本船が配船できない、そのためにいろいろな危険な状態についてあなたのほうにどういうふうな御連絡があったか。さらにまたそういうふうなことについては、貿易は通産省の関係があるかもしれません、あるいは運輸省の関係も船の関係からいえば出てくるわけでございますけれども、それらについてどういう処置をとられるか。
 なおこの船の運航につきましては、米田参考人に、それらについていままで特に運輸省関係、運輸省はさらに外務省に折衝してその処置をとらなければなりませんが、今日までどういうふうな御連絡なり御折衝があったか、こういう点についてお伺いいたしたいと思います。
○中原参考人 ただいま御質問のあった点でございますが、一つは先ほど御報告いたしましたように、百五十隻の船が運んでおります大部分は、これはベトナムからの石炭それから銑鉄、すず、クローム、農産物、日本からは繊維、鋼材、化成品というような品目でございます。それで現在ハノイに六名の日本の商社の方がいまおられますが、先ほど私報告もいたしましたが、現状においてハノイの情勢は危険ではない。また諸外国の船も入っておるというような連絡が入っております。しかしながら、これは現地におけるそのような判断でございますけれども、私どもといたしましては情勢を慎重に判断をして、危険であるか、その度合いはどうかということは常に一番重要な問題と見ております。そういうことで、この日本船が三月の末以降中止されておるという現状で、基本的には先ほど来から皆さまの意見に出ておりますところの、政府のほうとして何らか具体的な安全な措置をとっていただきたいということで、三月二十五日の日に日越貿易会の海運部会といたしましては、運輸省と外務省と通産省に北ベトナムの水域につきましての航行の安全の保障と、貿易の安全な維持と確保についての陳情、要請を提出いたしております。また四月一日の日に重ねて貿易会の緊急役員会の決定に基づきまして、各業界の意見を反映いたしまして、貿易会の名目で重ねて三省のほうに陳情を出しております。また三月二十九日には、日本船主協会のほうからも運輸省のほうに陳情が出ておりますし、そのようなことで、私どもといたしましては三月の中旬以降三回にわたって、政府のほうに具体的な措置を要望いたしております。
○長谷川委員長 この際参考人の方々に、委員会を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は長時間にわたり貴重な御意見を承り、まことにありがとうございました。ここに厚く御礼申し上げます。
 本日はこの程度にとどめ、次会は明十六日午前十時より理事会、午前十時半より委員会を開会することとし、散会いたします。
   午後二時八分散会