第048回国会 運輸委員会 第33号
昭和四十年五月二十六日(水曜日)
    午後一時十三分開議
 出席委員
   委員長 長谷川 峻君
   理事 進藤 一馬君 理事 關谷 勝利君
   理事 田邉 國男君 理事 久保 三郎君
   理事 矢尾喜三郎君
      有田 喜一君    浦野 幸男君
      小渕 恵三君    川野 芳滿君
      壽原 正一君    増田甲子七君
      泊谷 裕夫君    野間千代三君
      山口丈太郎君    内海  清君
      竹谷源太郎君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 松浦周太郎君
 出席政府委員
        通商産業事務官
        (鉱山局長)  大慈彌嘉久君
        運輸事務官
        (大臣官房長) 堀  武夫君
        運輸事務官
        (海運局長)  若狹 得治君
        消防庁次長   川合  武君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (銀行局保険第
        二課長)    田辺 博通君
        運輸事務官
        (海運局参事
        官)      高林 康一君
        運 輸 技 官
        (港湾局技術参
        事官)     栗栖 義明君
        海上保安官
        (警備救難部
        長)      猪口 猛夫君
        専  門  員 小西 真一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 海上保安、海運及び港湾に関する件(室蘭港に
 おけるタンカーの火災事故に関する問題)
     ――――◇―――――
○長谷川委員長 これより会議を開きます。
 海上保安、海運及び港湾に関する件について調査を進めます。
 室蘭港におけるタンカーの火災事故に関する問題について、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。松浦運輸大臣。
○松浦国務大臣 去る五月二十三日午前七時十七分、室蘭日石岸壁におけるヘイムバード号火災事件に対しましては、海難審査委員会において原因結果の決定を見なければわかりませんけれども、いずれにいたしましても、こういう大きな船が大損害をいたしまして、ほとんど積載量の二万六千キロリッターというような多量の油を燃焼し、船は使いものにならないような現況になりましたことは、まことに遺憾のきわみでございます。
 同時に、この船の所有者のノルウェーはわが国と同様に海運国でありまして、海運国としては世界でも有数の国の一つであります。特にわが国から船舶を輸出いたします国といたしましては、指折りの中に入っておる国でありまして、その国が日本の港においてかかる災害を受けましたということに対しましては、まことにどうもお気の毒にたえません。
 災害が起こりますと同時に、北海道知事は横浜から急行いたしましたノルウェーの総領事にお悔やみを申し上げると同時に、本日は、大使がおりませんので、一等書記官しかおりませんから、われわれのほうの林参事官をつかわしまして、同様遺憾の意を表し、お見舞いを申し上げました次第でございます。
 災害の起こったこと及び災害の内容に対しましては、担当の局長から御説明をいたしたいと存じます。まことに残念に存じますと同時に、遺憾のきわみでありまして、今後こういうことの起こらないように、十分に技術の問題、あるいは港湾のしゅんせつ、あるいはブイの問題その他曳航すべき曳航船の問題、水先案内人の問題等に対しましては、それぞれの部において十分に検討いたしまして、再びこういうことの起こらないように、省内において十分注意をいたさせるつもりでございます。
 以上、まことに簡単でございますが、御報告いたします。
○猪口説明員 ヘイムバード号の火災事件につきまして、御報告申し上げます。お手元に資料を配付させていただいておりますので、それに基づきまして、御報告申し上げます。
 昭和四十年五月二十三日午前七時十七分、室蘭港水先人岩井良作が乗船して、ノルウェー船ヘイムバード号、三万五千三百五十五トン、三十八名乗り組み、原油二万六千七百七十一キロリッター積載を同港日石埠頭に接岸中、同船の右舷前部が桟橋に接触し、外板に亀裂を生じ、原油が海上に流出しました。
 同船は、原油流出防止の措置を講じながら接岸作業を続行いたしましたが、同日午前七時三十五分ごろ、後部もやい取り作業中の網取り船港隆丸七トン、二名乗り組み、ディーゼル機関つきの船でございますが、その付近から流出油に引火し、一瞬のうちに「へ号」一番船倉が爆発しました。直ちに離岸すべく機関後進中、船底が浅瀬に乗り上げ、航行不能となりました。
 火災は各船倉に延焼し、二十四、二十五の両日は激烈をきわめ、海面に流失いたしました油も各所で炎を上げたのでございます。
 これに対しまして、関係者は不眠不休の活動により、海面における燃焼油の消火等、極力その被害拡大防止につとめました。一方火勢は次第に衰えてきまして、二十六日午前十時現在、一、二舞船倉の火炎は減少し、中央部は依然黒煙を噴出してはおりますが、火炎は小さくなり、船橋、船尾部はほとんど燃え尽くした模様で、発炎量は少なくなっている次第でございます。さらに原油の流出もとまり、海面における油の燃焼も現在消滅しております。
 これに対しまして、巡視船艇等六隻と化学消防車五台及び航空機三機により消火を実施しており、また日石埠頭前面海域に石油拡散防止せきを設置いたしまして、流出油による延焼の防止に当たっております。
 この火炎で、「へ号」の乗り組み員中死亡三名、行くえ不明五名、重傷三名、軽傷七名を出し、また港隆丸は炎上沈没し、乗り組み員二名は行くえ不明となっております。
 被害額は、船体、積み荷ともで二十二億円程度の見込みでございます。
 原因につきましては、目下調査中でございますが、「へ号」水先人の供述によりますれば、同人の旋回圏、惰力等の操船要素の判断不十分のため性橋に接触し、このためその破口から原油が海上に流出して、もやい取りに従事していた港隆丸の火気、またはその他の火気により引火に至ったものと見られております。
 海上保安庁のとりました措置は、事件発生後、室蘭海上保安部長は二十三日午前七時三十三分「へ号」から接触及び原油流出の情報を入手し、その直後火炎が発生したので、直ちに巡視艇三隻に化学消火剤を積載し、現場に急行させ、消火作業及び流出油の拡散防止に当たらせました。
 また、第一管区海上保安本部長は、その後航空機一機、巡視船二隻を現地に応援派遣させました。
 室蘭港長は、二十三日午前八時、船舶の室蘭港への入港及び火災現場付近への立ち入りを禁止するとともに、在港船十八隻を防波堤外に退避させております。
 これに先立って二十三日午前九時、日本石油室蘭製油所内に室蘭タンカー火災対策本部、(本部長は室蘭市長、本部員は室蘭海上保安部ほか関係機関でございます。)が設けられ、米軍関係機関の協力を得て消火及び被害の拡大防止につとめております。
 二十四日午後六時十五分、流出油拡散防止のため、別図のとおりの油防止せきを設けました。
 室蘭港長は、二十六日午前八時から、日石、北日本、本輪西の各埠頭並びに危険物、木材及び沖荷役船を除き、入港制限を解除いたしました。このため約三十八隻の船舶が順次入港中で、港湾活動は再開されるに至りました。
 以上、御報告申し上げます。
○長谷川委員長 この際壽原委員より発言を求められておりますので、これを許します。壽原正一君。
○壽原委員 昨日私はちょうど北海道へ参っておりましたので、このヘイムバード号の火災の現場に参らしていただき、現地の調査をしてまいりました。この御報告をいたしたいと存じます。
 まず現地は、室蘭市民はまことに平静を保っておりまして、ある新聞紙上では「不安におののく」というような状態ではございましたが、昨日の状態では全く平静を保っておるように見受けられました。
 なおこれに関係しておる海上保安庁第一管区、その他室蘭市あるいは関係消防署、近隣町村の消防車等を全部集めまして、現在風の方向によっては陸上にあるタンクに引火の憂いも考えられる、こういうことで、もっぱらタンクに水をかけておるような状態でございました。
 そこで、これらの人方の話を総合するに、今回のあれは、ただ水先案内というようなミスではなく、ほんとうにこれからこういう大型船の接岸に対しては、十分な科学的な根拠を持ってやらなければならないということを痛感した次第でございます。
 その他、こういう海上災害に際しましては、現地の働いておる各員一回で、大型双胴式強力化学消防艇の建設が望まれておるということを強く要望されてまいりました。その点は私もその必要性を十分認識してまいり、委員長におかれても、大臣におかれましても、来年度の予算にはぜひともそういう科学的な設備を、少なくとも特定重要港湾のあるところには配置すべきものと私も痛感いたした次第でございます。
 昨日、私が十二時にちょうど室蘭へ着きまして参りましたときが最高の火勢でございまして、あと全部が爆発済みだというように報告を受けたのでございますが、けさ方また小爆発があったやに承っております。これは現在、各タンクとも全部ほとんどからにはなっておりますが、ガスが熱気のために充満いたしまして、その爆発が小爆発となってあらわれたのではないかという地元の推測でございます。また今後いかような状態になっておるかは、まだ船内を確かめるわけにいきませんので、なお予断を許されないということで、目下作業に当たっておる各員は必死の努力を続けてこの消火につとめており、万全を期して市民の不安を除去するべくつとめておる姿はまことに敬意に値いするものと私は観察してまいりました。
 以上、かいつまんで簡単に御報告申し上げましたが、ただいま海上保安庁からの報告のとおり、なかなか大きな船でございまして、このあと始末あるいはその他の問題についても、地元は大いに努力を重ねるということで報告を受けてまいりましたことを一言つけ加えておきたいと存じます。
 以上、御報告を終わります。
○長谷川委員長 御苦労さんでした。
    ―――――――――――――
○長谷川委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。關谷勝利君。
○關谷委員 非常に大きな事故を起こしましたことは、まことに遺憾にたえません。その原因を究明をいたしまするためには、一つには港の施設がこのように大きな船を入れるのに適当なようにできておるのかどうかということが第一点。一つには、水先案内人がこの港に十分経験を持っておって、間違いのないように案内ができるような人間であったのかどうか。一つには、この港の中においてこれだけの大きな船は――どこの港でもそうでありますが、タグボートを利用しなければ係船は不可能であります。そういうタグボートの施設等が十分であったのかどうか。この三点を究明いたしましたならば、おのずから原因がはっきりしてくると私は思いますので、この三点につきまして簡単にお尋ねを申し上げてみたいと思います。
 まず第一番目に港湾局にお尋ねをしたいのでありまするが、この室蘭の港はこのような三万五千三百五十五トン、これはグロストンでありますので、デッドウエートで申しまするとおそらく五万五千トンになると思いまするが、このように大きな船が入るのを予想してつくった港であるのかどうか、この点をまず伺ってみたいと思います。
○栗栖説明員 お答え申し上げます。ただいま御質問がございましたように、室蘭の港は非常に古くからできておる港でございまして、最近日石と申しますか、石油だけでなくて、鉄鉱石も大きな船が入ってまいっております。したがいまして、運輸省にございます港湾審議会にも諮問いたしまして、こういう船が入るのにはどうしたらいいかということで御諮問申し上げまして、その結果現在のような計画にしておりますが、なおこれだけでは十分じゃなかろうということで、現在さらに沖のほうに大きな防波堤を計画いたしまして、築造に手をつけてございます。ただ、いまの時点で申し上げますと、いまあります防波堤からすぐ岸壁が近いという点で、いろいろと現地の方々、関係の方々とも御相談申し上げて、いまの航路と泊地面積を決定いたしまして、これでよかろうということで進めております。
○關谷委員 いまの御説明を聞いておりますと、従来あった港の中で、比較的荷役のしやすいように改修を加えておるというようなお話のようでありますが、昔からありましたこの室蘭の港、私は十分承知をいたしませんが、昔のものをいま手入れをしたくらいで、それでこのように大きな船を入れるというところに大きな無理があったというふうに私は考えるものであります。いま港湾審議会でありますか、港湾協会でありますか、諮問をして、その答申を得て沖へ大きな防波堤をつくっておる、こういうことでありましょうが、私がこの図面を見ましただけでも、この北防波堤のすぐ内側に原油の桟橋があるようであります。船を入れまして急に左旋回をしなければ、これへ着けることができないというようなことになっておりますと、旋回をいたします余裕が相当これになければなりません。しかも旋回をいたしますためには程度の速力を出さなかったならばかじはききません。そうしてかじをきかすための速度を出しておりますと、この狭いところではぶち当たらないというのが――その船の操作によって着けるというのでありましたならば、私はどのような上手な船長がおっても、とうていこれはできないのではなかろうかというふうな気持ちがいたします。先ほど参事官からお話のありましたのは外へ防波堤をつくってということでありますが、北防波堤の外へ大きなものをつくって、そして現在の北防波堤の外ヘドルフィンでもつくって、そこからパイプを引いて貯油所のほうへ入れるという方法をとらなければ、これから先、こんな大きな船をここへ入れること自体が間違っておるのではないか。港の大きな計画ができ上がるまでは、このような大きな船を入れることはこれは中止せしむべきだ、このように考えますが、これは海運局長、どういうようなお考えでしょうか。
○若狹政府委員 この点については、本船の事故の第一の原因が、引き船をどうして使わなかったかというところにあるのではないかというように一般にいわれておりますけれども、今日までも相当多数の大型船がこの港へ入っておるわけでございます。具体的に申しますと、あとで水先人のお話がございましたらそのときに申し上げようかと思っておりましたけれども、二万トン以上の船舶だけでも外国船は昭和三十九年四月から昭和四十年三月までの間にこの港へ約百三十三隻入っております。そういうような状態でありますし、その中には四万トン以上、あるいは三万トン以上という船が当然入っておるわけでありますが、そういうものはほとんど事故なしに入ってきておりまして、こういう事故になりましたのは今回が最初であります。そういう点からいきまして、やはり運航につきまして十分注意さえすれば、この港は十分事故なしに運航できるというふうにわれわれとしては考えているわけであります。
○關谷委員 二万トン以上のものが百三十三隻ということでありますが、この二万トンといいますのはおそらくデッドウエートでないかと思いますが、五万トンに余る船ということになりますと、その操作の面で大きく違いますが、この港にはそれだけ大きな船がいままでたびたび入港しておるということなら、タグボートの完全なものが相当用意してなければならぬと思いますが、タグボートはこの港にありますか。
○栗栖説明員 現在室蘭港にございますタグボートを申し上げますと、室蘭通運という会社が持っております船が三隻ございます。これは比較的馬力が小さいものでございまして、三百五十から三百七十馬力程度、それから川井タグボートという会社が持っておりますタグボートも同様三百五十馬力程度のものでございます。それから別に富士製鉄が九百五十馬力と八百五十馬力の馬力の大きな船を二はい持っております。従来は、富士製鉄に大きな船が入りますので、この二隻の船で大きな船の操船をやっておるということでございます。
○關谷委員 この日には、このヘイムバード号が入りました際に、タグボートはどれを使っておりますか。
○猪口説明員 海上保安庁で水先人を取り調べました際の水先人の供述の範囲内で申し上げますと、当日は富士鉄の「あさかぜ」だと思いますが、九百五十馬力だと思いますが、それをパイロットは後部に準備していたようでございます。パイロットの心積もりと申しますか、胸算と申しますか、運航計画と申しますか、それは埠頭の近くに参りましたならば、タグボートを使って着けるつもりでうしろに準備していたようでございますが、それを使うに至らないでぶつかったというのが実情のようでございます。
○關谷委員 富士製鉄の九百五十馬力のものを使うようにしておったが使わなかった。どれだけいいものがあっても使わなければどうにもなりませんが、しかしそれだけ大きな船が入るのにわずか九百五十馬力や八百五十馬力のものではどうにもならないと思いますし、ことにタグボート一隻でこれだけの船を引っぱれといったって引っぱれるものではありません。船首と船尾の両方にタグボートをつければようやく着けられるであろうが、私も松山の港に大きいのが入るのでよく見ておりますけれども、大きいのが入りますと、防波堤内に着けます際に船首と船尾に一隻ずつタグボートをつけて、それで接岸をいたしておりますので事故がないようであります。ことに松山にありますタグボートは、一隻は優秀なやつで三千馬力のものを持っておるようであります。これだけ大きな船を引きますのには、この室蘭に年間を通じて百三十三隻も大きい船が入るというのなら、もう少しタグボートを、これは小さな会社にまかしておってそれでやれというのではとうていやれませんし、富士製鉄あたりで持っておるものを富士製鉄の船が入らないときだけ利用させてもらうというようなことでは、私はこの接岸の安全というようなことは保たれないのではなかろうかと思います。室蘭市がこういうふうなものを持つようにするか、相当強力な会社がタグボートの優秀なやつを持つということにしなければ、この港の中へこれだけの大きな船を入れるのは無理ではないかという気持ちがいたします。それについては政府としてはどういうように指導をせられるつもりですか。今後このまま、このようなタグボートの状態でやったならば、私はこのような大きな船がこの港へ入った場合には必ずまた事故が起きるということを予言いたします。そういう事故のないようにしますのが当局の指導でございますが、どのように指導をしようとせられますのか、伺っておきたいと思います。
○栗栖説明員 ただいまの關谷先生の御説ごもっともでございます。実は室蘭市が港湾管理者でございまして、私どもも市のほうでタグボートの整備をしたらどうだろうというようなお話をいろいろしておったわけでございますが、富士鉄のほうも二はい用意するけれども、そうしょっちゅうは使わない、必要があればいつでも貸しますということで現在に至ったわけでございまして、今回のような事故にかんがみまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、さらに強力なものが必要だと私ども考えますので、市とよく相談いたしまして、必要があれば、これは御承知のとおり港湾整備保進法という法律で起債その他の手当てもできますので、そういう方面で市のほうのお手伝いもしたいというふうに考えております。
○關谷委員 それから、先ほど港湾審議会でありますか協会でありますか、どちらかへ諮問をして、その答申を得て、沖へ防波堤をつくって港湾を整備することになって手をつけた、こういうお話でありますが、この審議会なり協会なりというところには、ほんとうに船をあやつったことのある、船を運航した実務者と申しまするか、船長その他の人が入っておりますがどうか。これは港湾のほうの建設技術の方面の人ばかりが入っておって、ほんとうに船を運航した経験のある人がないということになりますと、自然そこに港湾の欠陥が出て、利用する上に都合の悪いものができてくるのではなかろうか。今度の事故があって、私のところへある方面からも言うてきておりまするが、あのような港のつくり方である場所へつけるのなら、事故が起きるのがほんとうで、起きないのがふしぎだ、こういうような話もありましたが、ほんとうに運航の経験者が委員の中に入っておりますかどうですか。
○栗栖説明員 港湾計画をつくります場合に、まず港湾管理者が、地元で関係の海上保安部その他水先の方々、そういう船の方々とも相談して、原案をつくって持ってまいられまして、われわれ事務当局も船の関係の方の御意見は十分承っておるわけでございますが、港湾審議会におきましても、乗船者の代表、いわゆる船長さん方の代表でございますが、この方々現在三名お願いして入っていただいておりまして、船のほうの御意見を十分入れて計画を練っていただいております。
○關谷委員 この図面で見ますと、原油桟橋というようなものがあって、ここへ日石の製精所をつくっておるようでありますが、これはどうしてこの北防波堤の外へつくって、そこからパイプを敷くというようなことにでもしておらないのでしょうか。この桟橋というものは、小さい船がつくので、何か雑貨か何かの荷役をする桟橋のようにつくられておるのではないかというような気がいたします。実際の現地を見ておりませんので、はっきりしたことは言えませんが、これは原油の大きは船をつけるためにつくられた岸壁でなくして、雑貨船等がつくためにつくられた岸壁なり、桟橋というのではないのでしょうか。
○栗栖説明員 御質問は二点あると思いますが、
 一つの、北防波堤の外側に持ってまいりますと、防波堤の外でございますと波が荒れまして、特に横波を受けるというようなことで、防波堤の外では現在の状態でもむずかしかろうと考えております。
 それから、桟橋の形でございますが、御承知のとおり、石油でございますから、普通の荷役と違いまして、ポンプでパイプを通して送っていくということで、桟橋の構造は比較的簡単で済むわけでございます。したがって、普通の石油の荷役の桟橋という形はこういうタイプが多うこざいまして、長さにつきましては前後に綱取りその他やりますが、荷役につきましては、液体で、ございますから、それで十分だというように考えております。
○關谷委員 それから、この事件の海上保安庁の報告書を見ておりますと、これに書いてありますのは、原因のところに、「水先人の供述によれば、同人の旋回圏、惰力等の操船要素の判断不充分のため桟橋に接触し、このためその破口から原油が海上に流出して、」こういうふうに書いてあるのでありますが、この水先人の経験は何年ぐらいであって、どのような資格のものでありますか、この点ひとつ御説明願いたいと思います。
○若狹政府委員 岩井水先人は、昭和三十四年に室蘭港の水先人として免許を受けておるわけであります。その以前におきましては、船長を十二年八カ月経験いたしております。船長時代には無事故の表彰を受けておるという方で、ございまして、三十四年に室蘭の水先人になりまして以来何ら事故なく今日まで至っておるわけであります。
 また先ほど御説明いたしましたように、大型船が相当入っておりまして、昨年一年間にこの岩井水先人が行ないましたパイロットの状態を申し上げますと、二万トン以上の船舶を四十八隻行なっておるわけでございます。そのうち三万トン以上、本船と大体同じような三万トン及び四万トン以上というものは二十一隻、これはいずれも外国船でございますが、水先を行なっております。こういう状態で、今日まで全く無事故できておりますが、それが突然今回のような事故を起こしたということでございます。
○關谷委員 それほどの経験者であり、それほど手腕を持って、いままでに無事故できた人が今度の事故を起こしておるというのでありますが、これは「水先人の供述によれば、」と書いてありますが、水先人はそのような供述をしておりますか。
○猪口説明員 私たちがいま調査しておる段階におきまして、岩井水先人の供述によりますと、少し詳しくなりますが、先生は非常にその道のあれでございますので、詳しく申し上げますと、実は岩井水先人は日石埠頭の桟橋に船をつけたことが過去に二、三回おありのようでございまして、十分その間の事情は知っておられるようでございます。この船の操船にあたりましても、そのときの過去の経験によりまして操船が行なわれたと思われます。
 まず、港口をかわりましてからすぐデッド・スローをかけております。それからすぐ港口のまん中でハード・ポートをとりたいのだけれども、少し長いので、二十メーターばかり行き過ぎたところでハード・ポートをとっておるわけでございます。その後デッド・スローあるいはスローをかげながら、先ほど申しましたように、うしろにタグボートを準備いたしまして桟橋まで近づいた。そうしましたら、七時十七分ごろの時刻でございますが、前部の見張りから前が近いという報告がありましたので、直ちに投錨いたしましたが、そのままとめ切れずにぶつかったということでございます。
○關谷委員 この室蘭の港には、大きい船だけでも昨年一カ年間でもずいぶん入っておるようであります。何隻でありましたか、先ほど海運局長からお話があったのでございますが、水先人がここに何人おって、一平約一人がどの程度の一もちろんこれは繁忙期と閑散期とがあると思いますが、この水先人の数が少なくて無理がいっておるというようなところがあるのかないのか。これだけの人がやりそこないをするというようなことは、常識では考えられぬので、私はもしそれが事実とすれば、ここには水先人が少なくて、少し過労の点からそういうような判断を誤るような措置があったのではなかろうか。そうでなければ、これだけの人がこのような事故を起こすとは、私たちには考えられませんので、この港に何人おって、それがちょっと忙し過ぎるのかどうか。そのような点で水先人の数が適当であるのかないのか、その点をお伺いしてみたいと思います。
○若狹政府委員 室蘭港には四名の水先人が現在いるわけでございまして、これが月間大体三十四、五隻程度の水先を行なっているわけでございます。一日一隻余りでございます。もちろんこれは一日平均のことでございますので、あるいはかたまってまいる場合もあるかと思いますけれども、昭和三十二、三年ごろには一月平均五十隻余りというような状態のときがありました。最近水先人を増加いたしておりまして、大体三十四、五隻程度、そういうことになっておりますから、全体の業務量として水先人が足りないという状態ではないと考えられるわけでございます。ただ船舶のほうは時をかまわず入ってまいりますので、あるいは非常に繁忙なときがあるということは考えられるわけでございます。
○關谷委員 この日に出入りをいたしまして、水先案内をやった回数は何回でございましょうか。
○若狹政府委員 その点まではまだ調査をいたしておりません。
○關谷委員 まだ私たちこの御報告を見ただけでありますので、いずれ詳しく事情がわかってから後にまたお尋ねいたしたいと思います。一応私の質問を打ち切ります。
○長谷川委員長 久保三郎君。
○久保委員 いま關谷委員からもお尋ねがありましたが、いわゆる港の構造と船の関係、いまの港湾局の答弁では必ずしも満足でない。言うならば、現状やむを得ずこういう港にかかる船を入れているというように見られるわけなんです。この点の改善についてはもちろんこれからいろいろ検討すると思うのだが、さしあたりこれはここの室蘭港ばかりでなく、京浜あるいは阪神それぞれあると思うのです。港湾の施設と入出港するところの貨物及び船舶の大きさ、こういうものをこの際全体的に検討して応急対策を立てないと、あしたと言わず、今日また同じような事故ができないという保障はないわけなんであります。そういう点について、運輸大臣はどのように考えておりますか。一〇松浦国務大臣 先ほど申し上げましたように、今回のできごとはまことに遺憾にたえないことでありまして、この厳粛なる事実は雨降って地固まるといいますか、これをもってわが運輸業界の一つの覚せい剤にしなければならないということをまず前提条件に考えます。そこで、いまいろいろ質問応答がありましておわかりのことと存じますが、何と言ってもふところの狭い、浅い港に大きな船を入れれば、不自由になった状況になりますから、こういう結果になるのでありまして、室蘭港の現状の姿は、これは大正の初めからつくった港でありますから、十万トンなんという船が入ってくるということは予想しない時代のものであります。でありますから、今後十万トン以上の船がどんどんと入るということを前提にした今度の六千五百億の港湾改良費用というものは、いま御指摘になりましたような方向で、今度の体験によって得た経験というものを生かして、この六千五百億の金をもって国際運送上に支障のない港に順次つくりかえていくということを基本条件にしなければならないと思っております。
○久保委員 その六千五百億円、五カ年計画でやることもさりながら、私がお尋ねしておるのは、たとえば質問の中にあったように、この岸壁が、言うなら雑貨関係埠頭です。そこへ臨時と言っては語弊があるが、さしあたりということで、いわゆる日石の油を積みおろしするということになったわけです。だから、言うならば、沖取りというのかわかりませんが、そういう装置をさしあたりつけて、こういう構造の港に災害を防止する対策をつくるべきだと私は考えるが、この点について港湾局はどういうふうに検討されておるか。
○栗栖説明員 ただいま御指摘がございました日石の埠頭でありますが、これは雑貨の岸壁でございませんで、日石に入れる油を入れるための岸壁でございます。したがいまして、油を入れるためにつくった岸壁でございます。
○久保委員 それでは油を入れる岸壁として適当な岸壁でありますか。
○栗栖説明員 岸壁そのものの構造から申しますと、これで十分油の荷役はできるというふうに考えております。
○久保委員 荷役の前提である船の接岸はこれでよろしいのか。先ほどからお話があったように、左旋回して着岸させる。しかも三万五千トンという大きい船に、これは適用なんですか。
○栗栖説明員 これは泊地の広さの問題になろうかと思いますが、現地の港湾管理者のほうと相談いたしまして、日本石油に三万トンクラスの船を入れたいということで、必要な広さだけの泊地は水深を十一メートルにつくってございまして、その範囲内で船が十分入れるということでしゅんせつしてございます。
○久保委員 それでは港全対として、この岸壁が全く油の荷役に適しているというように解釈してよろしいかどうか。
○栗栖説明員 港全体から申し上げまして、これは先ほどからタグボートの問題が出ておるわけでありますが、自力で旋回するかどうかいろいろな議論がありまして、先ほど申し上げました港湾審議会のときの議論も、やはりタグボートを用意しろ、タグボートを使ってつけるならばよろしいというようなお話を承っております。
○久保委員 ただいまタグボートについての質問があったわけです。三万五千トン、重量トンで約五万トンになりますか、そういうものを繰船する場合のタグボートとして、いままでおあげになったタグボートは適当とお認めになりますか。なお港湾審議会等で話が出たときに、タグボートを用意してやるならば十分だということであったか、タグボートについての条件はなかったのか。
○栗栖説明員 タグボートの条件は別にございませんが、先ほど申し上げましたように、八百五十馬力ないし九百五十馬力――これは必ずしも非常に大きいとは申せませんが、相当程度の船を引っぱれるだけのタグボートは、実際富士鉄その他に入っている船もこれを使って入っております。ただ今回の事故にかんがみまして、あるいはこれで不足だということになりましたら、さらに大きなタグボートを用意しなければならぬのではないかというふうに考えております。
○久保委員 海上保安庁にお尋ねするが、室蘭港長は海上保安庁の所管ですね。そうしますと、いま港湾局から答弁があったようないわゆる着岸操作、それをタグボートを使ってやるならばよろしいという場合、何らの規制なく、ただそのとおりになっておるのかどうか。それともこういう大きなタンカーが入ってくる場合は、大体タグボードはこの程度のものを二はいなら二はい用意して、一たん岸壁からどの程度の距離になったならば停船して、それからタグボートによって、他力によって着岸するのだ、そういう厳重な規制はないのか。
○猪口説明員 先般改正されました港則法によりましても、事故が起きまして、海難の事故防止あるいはそのときの交通整理を行なうためには相当な規制がとれるようになっておりますが、平時の際に、強制してタグボートを何隻とるというようなことのあれは、港長にはできないと私は考えております。
 それからこの問題でありますが、このタグボートをとる、とらぬは水先人の自由意思によっておりますので、先ほど来海運局長からもお話がありましたが、相当な経験のあるお方でございまして、おそらく操船の技術につきましては室蘭港内で相当な第一人者だと私たちも見受けられる次第でございます。その方がある一つの運航計画を持たれまして、タグボートも準備し、また網取り船もすでに三隻くらい用意しておりますし、ときにはその網取り船で船首を押すとかいうことにもなっておりましたので、ただその思っておられたことと実際の操船との間に若干の食い違いがございまして、その食い違いのためにあのような事態になったのだと思われる次第でございます。
○久保委員 いまの港湾局と海上保安庁の答弁を聞くと、この事故で改善すべきものは何ものもない、こういうような結論になりそうですね。言うなれば経験の深い水先人がやっていることであって、これはほんとうの万一の誤りである、こういうふうになりそうなんだが、それではどうかと私は思うのであります。というのは、この船はいわゆる危険物を積載している、しかも大きな船であって操船はなかなか容易でない、小さい船ではないのだから。しかも一たん万が一事故が起きた場合には、言うまでもなく大きな被害が出る。単に普通の貨物船なら岸壁へ衝突して、まあ船体に故障ができたというだけで終わったかもしれないですね。ところがたまたまタンカーで油を積んでおる。そこに問題があるのですね。だから、川崎沿岸においての事故も先年ございましたが、これはケースは違うが、多少これによってそういう災害の防止対策というか、それは多少前進はしました。しかし、たまたまこの室蘭港においての事故が起きれば、それだけでは足りないという反省がなくてはならぬと思います。だから私が言いたいのは、まず港の構造について再検討をしてほしい。いままで適当であると思っていたのだが、実際は適当でないかもしれぬ。あるいは適当だと思っても万全を期するためにはやはり沖取りの必要があるかもしれぬ。だからさしあたりそういう石油コンビナートの地区においては、油の荷揚げについてはかなり岸壁から離した沖取りでやる方法も考えなければならぬ。それからもう一つは操船する場合に、接岸する場合には大体岸壁のある程度の安全距離において停船して、あとは他力によるタグボートによってこれを着岸させる、こういう規制がなくてはいけないと思います。これは当然早急にそういう方向で規制をしていく。
 それからもう一つは消防装置の問題でありますが、その前にいま私から申し上げたことについてどのように思っておられるか、そういう点を改善する必要が早急にありはしないかと思うのですが、どうですか。
○栗栖説明員 港湾のほうから申し上げますと、ただいま御指摘のとおり、いままで事故がなかったので十分だと思っておったのでありますが、今回の事故にかんがみまして、まず日石の石油埠頭の前面の泊地の広さが十分であったかどうかということを十分に検討してみたいと思います。それから先ほど閥谷先生からも御指摘がございましたタグボートの強さの問題でありますが、それも十分かどうか、この二点を早急に検討いたしたいと思います。
○猪口説明員 港内におきますタグボートの強制措置についての件でありますが、これは海上保安庁の取り締まりの立場からはまことに好ましいことでもございます。しかし、強制するということになりますと、経済的なファクターが非常に関連しますし、また強制するタグボートの質あるいは量等にも相当影響することでありますので、これは相当研究する必要があると思います。実は私たちのほうでも、そういう措置につきまして、海運局のほう、本省のほうに申し入れたいという気持ちで現在研究しておるところであります。
○久保委員 いまの保安庁の答弁で経済的な問題があるということ、なるほどそうでしょう。しかしこれはやはり一つの企業として何かをしようとする場合には、企業の責任として強制しなければならぬ。そういう立場からやらないと安全対策というか、そういう災害対策というものは成り立たないと思います。経済的に採算が合わないから危険をおかしてもやらなければいけないというような思想がみじんでもあっては、正常な産業の発達もないし、それから災害の対策というか、防災ということも全然問題にならないと思います。これはいま猪口部長が言うように、私が申し上げたような点でぜひ早急に規制する措置をとるべきだと思います。海運局長には異論があるかもしれないが、どうですか。
○若狹政府委員 室蘭港の大型タンカーの入港について、港湾審議会におきまして、船舶の入港を自力で行なうということではなしに、タグボートを使うということでやるならば入港ができるというような御議論があったということを、私実は知らなかったわけでありますが、そういうことでございましたならば、当然入港の条件としてタグボートを使うということが妥当なわけでありますので、やはりこれを強制するほうが適当ではなかったかというふうに考えておるわけでございます。
 具体的な強制のしかたにつきましては、法的にもいろいろな根拠がございますし、われわれのほうで至急検討いたしまして、結論を出したいと考えております。
○久保委員 そこで水先人の問題でありますが、根本的な問題はあとに譲るとして、さしあたり水先人の考え一つでタグボートを使うか使わないかは自由だ、こういうような答弁が先ほどあったが、そのとおりになっておると思います。しかし、この際事故が起きては、そういう自分の技量あるいは勘、そういうものに絶対の自信を持つことはけっこうだが、自信だけでいわゆるパイロットの業務をやらないように、安全第一によってその業務をやるように即刻注意を促すべきであると思いますが、運輸大臣はどう思いますか。
○松浦国務大臣 これは海難審判所で審判しないと、うっかりしたことはほんとうは言えないのですけれども、タグボートを使う選択の自由権があるといっても、タグボートを使えばそれだけ係留中の経費がかかるのですね。そうすると、船長は経済上の問題で、君の腕がそんなにあるのなら、そんなら要らぬだろうと、船長に選択権が最後にあるのですよ。それで、いま問題になるのは、船長がどう言ったかということが問題なんです。船長がタグボートは要らぬだろうと言ったとすれば、これは船長のほうに責任が重くなると私は思う。それは審判がある前ですから何とも言い切れません。だけれども、おっしゃるように自由選択権があるにいたしましても、これはあんなに狭い港で、自力で、相当速力がなければ船はかじがききませんから、あれだけの大きな船がかじの十分きくだけの速力を出しておいて、あの狭い埠頭へとめようと思うのが私はどだい無理だろうと思うのです。
 私は造船会社に関係したことがあるので多少そういうことがわかるのですが、そこで私は先ほどからのいろいろなことで考えますことは、まず室蘭の応急手当てと将来の問題と二つあると思うのです。この絵を見て、火がついてあぶない、ほかのタンクに移ると困るということをすぐ考えたものですから、ゴースターンをかけているのです。ゴースターンをかけておいて、こういう態様でかけたのじゃないと思うのです。ずっと沖へ出ようとしたものが、動き出すのがおそいものですから、風かなんかに寄せられて岸のほうに寄った。そうしたらすぐ座礁した。こんな狭いところで、もっとやるならば、十一メートルなら十一メートルをもっと広くしておくべきだと思うのです。それが経済上の問題でということでございますから、これはまず外港をつくってパイプを通って送れるようにするまでの間には、この十一メートルなら十一メートルのしゅんせつの幅を広くすることが、この港については第一問題だと思うのです。
 それからタグボートのもっと馬力の大きいやつを準備することが第二だと思います。
 それから今度は、国の仕事といたしましては、この防波堤を、いま仰せになりましたように、審議会できめたように、もっと沖へ出して、それでこのいまの防波堤と沖へ出した防波堤との間にブイを置いて、そこにタンクヘ送るパイプなども出しておくということにすれば、これは五万トンでも七万トンでも平気で荷役ができると思います。
 それから、こちらの富士製鉄のほうは五万トンぐらい横づけできるそうですから、これは十分やれる。またこれは接岸できなければ、石ですとどうにもならないというような状況でありますから、室蘭の港については、沖でとめて、それで引っぱって入ってくるというタグボートを設備することと、それからしゅんせつをもっと広くするということが先決問題であると思います。
 それから、もう一つ、これは全国的に考えなければならぬ問題は、こういうことが起こらないようにすることは当然のことでございますけれども、起こった場合における防災について、今度のすぐ火を化学消防でやろうとしても、材料が幾らもないのです。新潟の昭和石油のときでも米軍の薬品を借りていってやったというようなことでございますから、やはりこういう化学工業があるところには、それに対する反応的な消防、防災のできる薬品を、ある程度の災害を予測して、それをためておく必要がある、その設備、ポンプを用意しておく必要があるということを痛感します。これは、全体を調べてみますと、幾らもそういうものが日本の港全体にないのですよ。
 ということでございますから、それは、来年度の予算の場合に、ひとつわれわれのほうでも強く大蔵省に要求いたしまして、万全なことは、予算上の問題ですからできませんけれども、現在よりも安心してやれるような方向に予算を獲得していきたいと思っております。
○久保委員 大臣のいまの御答弁は、私からお尋ねしていることにはあまり適切にお答えがなかったのでありますが、いわゆる水先人に対して、私は、安全第一ということで注意を喚起する必要がありはしないか、こういう質問なんです。
 そこで、申し上げたいことは、なるほど海難審判の結果が出なければ、だれが悪いか、船長が断わったのかわからぬというお話であります。それはそのとおりでしょう。とおりでしょうが、よしんば船長が断わったにしても、水先人が責任を持って安全に着岸させるという責務があるとするならば、船長の権限で断わられたなら、下船すべきだ、水先は断わる、これが当然ですよ。だから、そういうことを私は聞いているのじゃないのであって、いまの職務を忠実にやるならば、安全第一に万全の措置をとって、こういう危険なものについてはやれ、これは特に注意を喚起すべきだろう、いかがですかと、こういうお尋ねをしているのです。それ以上のことはお尋ねしていない。これからです。
○松浦国務大臣 いまのちょっと勘違いしましたから……。その点は、お説のように十分注意を喚起し、今後再びそういうことの起こらないように、十分通達を発するつもりでおります。
○久保委員 次に、防災施設、いわゆる消防ですね。消防については、いま大臣からもお話がありましたが、情けないお話があったので、私もいかがかと思うのであります。
 海上保安庁に聞くけれども、こういうタンカーの荷役をする場合には、消防艇というか、そういうものの用意は、いまの場合はしておらないのですか。
○猪口説明員 室蘭港の実情について申し上げますと、実は室蘭ではそういう消防施設が不十分でございましたので、三年ほど前に、長崎から、長崎におりました引き船用の巡視艇を配属がえをいたしまして、それに消防施設を備えつけまして、八本のノズルを持たした金剛丸という約百トンの船がございます。これによりまして、普通の港内消防といいますか、それには十分こたえ得るだろうという考えでございましたが、大型タンカーにつきましては、これはどうしても手がつけられない。と申しますのは、御承知のように、大型タンカーの船の深さというのは、たとえばこの「へ号」の例をとりますと、十七メートルもございます。普通の消防艇の持っておる放水の水の長さは大体十五メートルぐらいでございますので、これは明らかに届かないということははっきりいたしておりますので、届くような化学消防艇がほしいということで、三十九年度以降大蔵省と折衝していたのでありますが、いざその予算を煮詰める段階になりますと、李ラインの問題もございますし、海難救助の問題等もございまして、一応の巡視船艇の代替建造のワクがはみ出さないように一あるいはそれ以上に取れればいいのですが、なかなか困難な状況もございまして、現在実現していないというような状況でございます。いま仰せの問題につきましては、タンカーの荷役の際に、そのつど船が行くという段階にはなっておりませんし、また、行きましても、いまのところでは届かない、役に立たないようなまことに貧弱な設備である次第でございます。
○久保委員 まことに貧弱な答弁を聞いたのでがっかりした。一般的にこういう油の荷役作業をする場合には、消防艇を配置するということにはなっているのか、いないのか、それだけ、どちらですか。
○猪口説明員 各所管の保安庁は、その点は十分心得て、原則的に配置する体制を整えておると信じております。
○久保委員 当該事故に対しては配置してなかったね。
○猪口説明員 たまたま、ちょうどこの事件につきましても、先ほど申しました金剛丸が七時三十五分、この大型船の付近を巡視警戒中でございました。
○久保委員 それは届かぬけれども、水が出る消防艇ですか。
○猪口説明員 十分水は出ますし、テレビにも活動ぶりがはっきり映っておりましたので、私たちも安心していた次第であります。
○久保委員 その消防艇か巡視艇か知らぬが、それはたまたまそこを三十五分に航行していた、三十七分に発火というのです。だから活動ができた。こういうことですね。
○猪口説明員 先ほど申し上げましたように、原則的にタンカー等の場合には、巡視警戒するという体制を整えておりますので、大型船の入航に備えて巡視警戒していたと信じている次第でございます。
○久保委員 その消防艇は、化学消防液というか、そういう装置を十分持っていますか。
○猪口説明員 十分とは申し上げられませんが、若干のものは持っていたと信じております。
○久保委員 化学的なことでよくわからぬけれども、たとえばどの程度の火災なら消せるとか、そういう限度があるんでしょう。消防庁の専門が来ているから、消防庁にお尋ねしたほうがいいと思うが、そういう限界があるんでしょう。たとえば、能力からいって、さしあたりこの程度の火災なら消せる、そういうような計算ができますね。
○川合政府委員 お尋ねの点につきまして、いろいろございますが、現在の消防艇の、たとえば大阪にありますところのものをたとえて申しましても、いわゆる初期消火には能力を十分に発揮いたしますが、あのような爆発して炎上いたしましたときには、俯瞰注水と申しますか、上からやりませんと消えないわけでございます。それに対しましては、現在、私どもの知っておりますところの消防艇では、率直に申しまして、能力が発揮できない。要するに初期消火のときに手を打たないとうまくない、こういう状況でございます。
○久保委員 それで、重ねてお伺いしますが、消防の専門家ですから、ああいう事故があった場合に、どうやれば早く消せますか。金の問題は別にして……o
○川合政府委員 お話の点に少しずれまして、恐縮でございますが、陸上でございますと、固定消火装置等の作動をいたすことによりまして、たとえば石油タンク等においては、現在の方法でもって消し得ると思います。ただ海上におきましては、ただいま申しました、ああいうような状況になりましたときには、俯瞰注水をいたさなければなりませんので、相当大規模の、海上保安庁でも御研究になっていると承っておりますが、これは私の推定でございますが、三十メートル近い、いわば陸上で言いますはしご車的なものによりまして上から消す、こういう装置を持った消防艇であるべきではないかと思います。さような完全な装備を持ちません現状におきまして、それではどうするかということにつきましては、私どもも研究して、たとえば組み立てのはしご状のものをもちまして、これを臨時に装置いたしまして、そして上から消すという応急措置をやる方法もあるのではないかとも思いますが、これは私どもの一つの考えでございまして、まだ実際のところまでには至っておりませんが、もし許されるならば、やはり完全なる俯瞰注水ができる消防艇によりまして行なうべきであろう、かように思います。
○久保委員 先ほどの保安庁のお話を聞くと、大体こういう大きいタンカーを入れるだけの防災施設はない、こういう結論になりますね。いかがですか。
○猪口説明員 現在は仰せのとおりでございます。しかし、いま消防庁次長もお話しになりましたように、高いところからハッチを目がけてつぎ込まなければなりません。しかも初期消火は三十分以内でないと消火ができないということでございますから、今後やはりやぐら式の大きなものを持たなければならないということに向けられるのじゃないかと思います。そういう消防艇は現在日本にはどこにもないということでございます。
○久保委員 そういう能力のある消防施設は日本にはどこにもない。そこへ能力を越えた船を入れるというのでありますから、いまのところ安全第一以外に方法はないのですよ。だからそういう点も考えて、先ほどの規制をしたらどうか、こういうことであります。
 そこで消防施設でありますが、海上保安庁の消防施設については、京浜運河におけるところのあのタンカー炎上事故の際にも当委員会でそれぞれ御忠告を申し上げたはずであります。ついては、今日ただいま全国的に海上保安庁の消防艇、その中の、特に化学消防艇の装備の状況はどうなっているか。これはどういうふうになっておりますか。
○猪口説明員 化学消防艇と申しますか、私たちが現在申し上げております化学消防専用艇というのは大型タンカーを目標としたものをいっているのでございますが、その他の化学消防艇というのは一般の消防施設に化学消防剤を積み込めば化学消防艇になるわけでございます。そういう意味合いにおきますと、現在私のほうの消防専用艇というのは七隻ございまして、それぞれ京浜、それから阪神、名古屋、関門に重点的に配置しております。その他のところは現在配属されております巡視船あるいは巡視艇の消防能力を活用いたしまして、備えようということでございますが、宗像丸事件以後、先ほど申しましたような化学消防艇の必要を痛感いたしまして、三十九年度以降予算要求をし、大蔵省ともいろいろ折衝してまいったのでございますが、先ほども申したような現状になっている次第でございます。
○久保委員 そこで運輸大臣にお尋ねしますが、あなたはこの事故が起きてから、これに対して閣議で発言されたと思うのでありますが、ついては、いま海上保安庁が情けないお話をるるお述べになっておられるわけです。大臣もそのとおりです。これについては強く閣議で御発言になって、これは了解事項か何かになっているのですか。こういう点はお話しになりましたか。
○松浦国務大臣 きのう閣議に報告いたしましたのは、この報告書がまだ全部できない時間でありましたから、かいつまんでこの災害の状況を報告しただけであります。しかし特別消防というものを強化しなければならぬということだけは閣僚全部そうだということになりました。しかし、その大きさとか金額が幾ら要るということはまだ言っておりません。しかし、これはだんだんとこの問題の解決が進むに従って先ほど来のいろいろな議論が数字になってあらわれてまいりますから、それがあらわれてまいりました時分にはもちろん予算の要求もいたしますが、閣僚懇談会のときに十分議にかけるつもりであります。
○久保委員 そこで災害対策基本法というのがございます。これに基づいてやはりかかる事故の防災についても、それぞれ政府の責任あるいは地方公共団体の責任というようなことでお立てになるわけであります。消防は総理府の所管かもしれませんが、それぞれの各省庁に関係がございます。
 そこで消防庁にお尋ねしたいのでありますが、これらの防災体制は何か具体的に、報告だけ見るとそれぞれ各省ばらばらで一応おやりになっておられるのでありますが、あなたも関係者の一人として、そういう会議には御参加いただいていると思うのであります。この事故に関連した防災対策、そういうものについては政府自体としてめどをつけておられるのですか、いかがでしょう。
○川合政府委員 現在まだ応急措置と申しますか、応急対策のさなかでございまして、海上保安庁のほうと私のほうとにおきまして密接な連携をとり、かつまた昨日も補充のために消火薬剤を私のほうがあっせんいたしまして、二万八千リットル空輸いたしました。これにつきましては自衛隊の協力を得ております。またその前、現実に現場におきましてもすでに自衛隊の活動を得ておりまして、さような点においての連携は十分いたしておるつもりでございます。
 ただ今後の対策につきましての問題につきましては、政府間におきまして、私の承知しておりますところにおきましては、事務的段階におきましてはまだ協議する段階に至っておりませんが、将来十分な検討をいたさなければならぬというふうにわれわれ関係者の一人といたしましてさように考えております。
○久保委員 お話を聞きまして、化学消火剤を空輸したということでありますが、空輸することはもちろんけっこうであります。決して悪いことではありませんけれども、ただ願わくば石油コンビナート、そういうところには少なくとも常時そういう消火剤、消火機器なりは備蓄してあるべきはずのものだと私どもは考えております。これは備蓄の状態はそういう石油化学工業というか、そういう企業自体を含めて十分にないという証明だと思うのです、空輸をしたのだから。これはどうなんですか。
○川合政府委員 お尋ねの点は私どもの消防が直接所管する問題でございまして、石油コンビナート等の化学工業地帯に対します消火薬剤の備蓄につきましては、現在計画を相当程度までいたしておりまして、ほぼ満足すべき状態に私どもは計画を推進いたしておると思っております。たとえば京浜臨港地帯におきましては、約百の会社が私どもの消防関係の指導のもとに共同で薬剤を備蓄いたしております。話が少し長くなって恐縮でございますが、御承知のように薬剤の寿命がわりあいと短い点に非常に備蓄に難点があるわけでございます。しかし共同の備蓄という形におきまして、コンビナートの工場ではいたしております。また薬剤の応援体制につきましても相当緻密な計画を立てております。ことに消防法を本国会におきまして改正していただきまして、十月から自衛消防を義務づけるわけでございます。その場合におきましては、従来指導面でやっておりました点を法律的にはっきりいたしまして、なかんずくただいまの薬剤の備蓄につきまして、適正の配置ということで、備蓄に遺憾ないようにいたそうと思っております。
 なお私ただいま空輸いたしましたと申しました。もとよりお話しの点を反論するわけではないわけでございますが、現在現地におきましてはまだ相当量の薬剤がございますけれども、念のために、準備的にいまの二万八千リットルを必要とするのではないかというような現地の判断で、これを用意のために補充をいたした次第でございます。
○久保委員 大体企業自体というか、あるいは消防組織自体として、こういう薬品は満足すべき状態にあるとたいへん自信を持たれて御答弁がありまして安心はしていますが、念には念を入れよでありますから、これを機会に備蓄が完全にあるのか、それともお話の中では、量はあるけれども古いものは役に立たぬということでありますから、そういう面の査察をやるべきだと思うのですが、どうでしょう。
○川合政府委員 御指摘のとおりでございます。私気負って申しましたが、実はこの点につきまして従来から万全であったというわけではございませんで、正直に申しますと、昨年の相次ぐ事故にかんがみまして急遽かような点につきまして検討を重ねまして、私どもも消防自体の化学車並びにそれに伴う備蓄及び工場間におけるところの備蓄というようなものをバランスをとりつつやっておるわけです。さらに御指摘のように十分なる査察をいたしたいと思っております。
○久保委員 そこで通産省にお尋ねを一つだけするのでありますが、石油コンビナートというか、そういうものが各所に企業として続出するわけなんです。あなたのほうは認許可権を持っているわけなんですが、そのときには消防庁の同意を得てやる、こうなっているわけです。これは消防庁にも関係があるわけでありますが、通産省としても事故防災というか、そういう施策が完全に行なわれぬ限りは認可しないという御方針でしょうね。これはどうですか。
○大慈彌政府委員 お答えいたします。精製工場の認可の場合、私のほうはこまかい内部の工場の配置とかそういうことは検討の対象外といいますか、あまりタンクの配置がどうであるとか、そういうことはいたしておりません。全体で何万バーレルの設備が適当であるかとか、当該業者がそれだけの経営的な基礎があるかとか、あるいは全体の設備が過剰になることはないか、そういう点を検討いたしまして認可をするわけでございます。その場合に、消火の問題、適正な工場配置あるいは適正な消火施設、そういうことは消防法のほうにお願いをする、こういうたてまえになっております。
○久保委員 そういうようになれば消防庁にお尋ねしますが、いま通産省のほうからお話があったような手順だと思うのですね。しかし実際にそういう手順がタイミングよく合っているのかどうか。私しろうとでよくわかりませんが、たとえば臨海工業地帯、埋め立てが始まる、埋め立てが始まる前に、おそらくはそういう前に青写真というか、会社案というか、そういうものをつくると思うのです。その段階でいわゆる意見を求められるのか、それともそれができ上がってから実際にタンクと工場の配置がきまるような、その直前で同意を求められるのか、どっちなんですか。
○川合政府委員 陸上におきますところの石油タンク等のことにつきましてのお尋ねの点は、御指摘のように事前に私どものほうの許可を必要といたします。また、でき上がりましてからも許可を必要といたします。たとえば、そのタンク間の保有距離の問題、あるいはその他の構造の問題、なお消防設備の完備しているかどうか、そういう点につきましてでございますが、お話しの点について申しますれば、事前とその後と両方を私のほうでこれを検討することにいたしております。
○久保委員 言うまでもありませんが、その場合防災対策というものに重点を置いておやりになると思うのでありますが、たとえば当該の室蘭港においても、その埠頭なり岸壁というものが適当であるのかどうか、あるいは当初認可する場合にはこれは二万トン限度の計画であった、ところが最近は三万五千トン入ってくるというような場合は、あらためて同意を求められない。いわゆる認可するときに初めて同意があって、あとのたとえばその中身の工場自体はもう大きくなりません。大きくするときにはやはり消防庁の同意が必要ですね。しかし、工場自体は当初の能力どおりで、もっと余裕がある、しかし船そのものは大きいものが入ってくるというようなときには、あなたのほうには別に関係はありませんね。
○川合政府委員 関係ございません。
○久保委員 そこで、私はいまの認許可の方法が全然悪いということを言うのではありませんが、公害というか、災害というか、そういうものがかなりひんぴんとして大きく起きるわけですね。そうなると、やはり産業進出とその防災対策、そういうものは総合的に考えてどうするかきめる必要があると思うのです。だから、これは港湾関係も必要、海上保安庁の関係も必要、あるいは港湾管理者の関係も必要、それから消防庁も必要、通産省はもちろん必要、こういうことでありまして、いまのお話を聞きますと、たとえば大きなタンカーが入ってくる場合には別にこれは条件変更にはならぬということであります。これが一つの欠陥じゃなかろうかと思うのです。だから、これから各所にあります石油コンビナート、特にそういうものあるいはそれ以外の高圧ガスとかいろいろなものがございますね、そういうもののいわゆる工場を設置するというような場合には、港湾あるいは臨海地帯全体を含めた関係機関の合議によってきめていくというふうに総合的な対策が必要だ。その中には当然のごとくその企業の負うべき防災対策というのは厳重にこれをやらせるということじゃないといかぬと思うのです。そういう点について運輸大臣は当然閣議の中で御発言いただいて、政府の対策として考えるべきだと思うのであります。いつもできた事象に追われて、消防庁が消防艇が足りないからどれだけふやそうとか、これも必要ですが、それ以上にやはり基本的な問題をこなしていくというのがこの際必要だと思うのですが、いかがでしょう。
○松浦国務大臣 お説のように、臨海工業地帯、特にこういう危険なものを取り扱うコンビナートのようなものに対する防災、消防の施設というようなものに対しましては、ばらばらな考え方で、自分の担当、自分の担当ということになって、セクショナリズムになれば何にもできないと思うのです。この問題はやっぱり総合的な一貫した考えに全閣僚が一致して解決しなければならぬと思います。昨年の新潟の昭和石油の問題もあり、その他、横浜の運河につないであるタンカーに、火だるまになったタンカーがあっちにぶつかりこっちへぶつかりして十隻もやったこともある。いろいろの例がありますから、これは特設消防というか、特殊消防というか、科学消防というか、そういうものがこの際必要であると思いますから、今度の統計がはっきり結果があらわれましたならば、関係閣僚懇談会においてこれを指摘いたしまして、ひとつ積極的に善処いたしたいと思っております。
○長谷川委員長 泊谷裕夫君。
○泊谷委員 室蘭というと私の故郷で、あの港で二十六年やっかいになったのですが、室蘭というと、大臣も御承知のとおり、消火に対してはあそ一この市民の協力度合いというものは北海道一でしょう。それだけに今回の事故というものは私自身たいへん衝撃を受けているのです。ともあれ三人の死亡を含む二十人の重軽傷を出したわけですから大きな事故ですね。不幸中の幸いといえば、本輪西埠頭にあります約十万キロの原油、精油のタンクが誘爆しなかったということが救われた気持ちなんですが、それにしても、室蘭の港では、海上保安部の「金剛」を中心にして、富士鉄でもそれから日鋼でも全部の消防車二十一台を出して不眠不休で消火に当たってくれたというのですが、その消火の実態が、ほとんど陸上の油に引火をしないようにこれに消火をするのが精一ぱいであったというふうに、ちょうど私も北海道へ行っていたので、聞いたわけなのです。こういうことで、海上に起きた事故について、全然指一本触れないというとちょっと大げさでありますが、とにかく四日間にわたって油の燃え切るまで待たなければならぬということについては、一体どうしたわけなんだろうという気持ちがあるわけです。いま先輩の久保委員から話がありましたが、いつもこういう事故が起きるとあとは必ず――今度も櫻内通産大臣が新聞記者会見で言っていますね。コンビナートに対して特別立法をしなければならぬ、こういう調子のよい話が大臣クラスから出るのです。室蘭の港では、海上保安部の皆さんも、それから市の消防も、地域の住民も避難し、そして国鉄室蘭線が不通になった中で、不眠不休でやったと思うのですけれども、一番最初に大臣にこの際に、改造もあっていろいろむずかしいのでしょうけれども、はっきりしていただきたいと思うのですが、四日市の事故があり、新潟があり、そしてまた先日のやっぱり船舶火災があって、そのつど騒がれて、そのときだけ話のつじつまを合わされるということでは困ると思うので、今回の事故を契機にして、内閣としてもこの際思い切った措置をするという気になってもらわなければいけないと思うのですが、これに対する大臣の考え方をまず明らかにしていただきたい。
○松浦国務大臣 先ほど久保さんにお答えいたしましたように、関係閣僚懇談会を開きまして、適切な処置を早急に講じたいと思っております。
○泊谷委員 そうでもしてもらわなければ、とにかく四日間寝ずにがんばっておる現地の諸君も浮かばれないと思うのです。
 そこで大臣、三光汽船の専務さんの岡庭博さんが書いた「海運の経営」という本があるのですが、これで見ますと、一九六〇年当時スーパータンカーは四万六千トン型が最適と考えられたが、しかし、一九六二年以降には六万五千トンが適船と考えられ、四万六千トン型でさえ新規建造が控えられようとしていると述べているのですね。それで、一九六一年六月末世界発注タンカーの船型表を見ますと、石油会社所有の隻数百五十三隻中四万トンから七万五千トン以上のものが百九隻で、全体の三分の二以上になっています。それから独立会社所有隻数百六十三隻中同じく四万トンから七万五千トン以上のもの、これは総重量トン数ですが、それが九十六隻、これまた二分の一以上という大きな数字を示しているのです。こういうことになってまいりますと、日本の港湾でこれらの船舶が出入できる港を一体何港ぐらいに考えておるのか。それから先ほど大臣は六千五百億と言われましたが、私の記憶では中期経済計画では港湾整備五カ年計画が五千五百億、その中でこの種防災施設、特に今回火災がありましたのですが、消火保安のために計上されておる予算というものは一体どの程度のものか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○松浦国務大臣 六千五百億の分については、五千五百億が港直接に国家が投資するものであって、あとの一千億は陸上設備、荷揚げ設備等のものであって、それは港湾管理者に貸与されるものであります。その港湾設備の貸与の中に防災関係に幾らになっているか私ちょっと調べておりませんけれども、あとで調べてお知らせしたいと思います。
○泊谷委員 それで先ほどから大臣から話がありましたタグボートの問題も、管理者が市長だからというお話が關谷委員の質問に答えて出ておりましたけれども、私はこの点がたいへん問題だと思うのです。なぜ問題かというと、これまた書物の引用でありますが、港湾整備の財源措置について「海運」という本が運輸省から出されています。これは第四百四十四号に別府房夫さんの書いたものがありますけれども、この六大港の財政状況は、昭和三十六年、岸壁、ブイ収入が六大港で二十五億四千五百万円に対して、支出は管理費二十七億八千八百万、施設整備費など百五十七億一千百万、計百八十四億九千九百万、差し引き赤が百五十九億五千四百万となっています。これを国庫負担金、受益者負担金で三十三億五千八百万を引き当てて、残った百二十五億九千六百万というものの赤字を一般財源から八十三億四千七百万、公債四十二億四千九百万でまかなっています。これがいまの港湾の実態なんです。
 なお、有斐閣の「都市問題講座」という本の中で、柴田銀次郎さんという人とその他共同研究成果として発表されたものを見ましても、神戸の港で昭和三十七年収入総額は七百二十二億です。そのうち国の収入は関税を含めて二百八十七億、全体の三九・八%です。それから船舶関係収入は二百三十八億で三三…一%、貨物関係収入が百四十七億で二〇・七%、全体の九三・三%と、この三者で占めているのです。船内荷役、港湾荷役業者とか労務者、この荷役収入は四十五億でわずか六・二%にすぎないのです。さらにみじめなのは管理者収入はたった七億です。実に一%です。この港湾収入の全体の中の一%しか収入のないところにボートその他管理者の当該市のかまえ方が悪いという言い方は・これは少し何かその先を忘れていやしないか。
 この二つの調査資料から考えても、港は一体私から言わせると、少し口が悪いのですが、これは船会社のためにか、荷主のためにつくられるかであって、こういう火災が起きたとか何かの被害だけを地域住民がかぶってしまうというしかけになっておるような気がしてならないわけです。だから港を一生懸命つくってくれるのは一体だれのためにつくってくれるのかという気さえ起こっておるのですが、この港湾整備、保安を含め地方公共団体の財政保護方針について松浦運輸大臣の最後の方針を聞かせていただきたいと思う。
 特に先ほどから論議があります化学消防艇は、一隻百二十トンないし百三十トンのものをつくろうとすれば約一億の建造費がかかるそうですね。しかもそれは特定の石油会社の利益擁護と言い切っては問題が残るかもしれませんが、これだけの財源措置をしなければならないものとするならば、その消防艇の財源の求め方は、今後産業の開発もありますから、国は当然片棒をかつがなければならぬけれども、当該石油会社もこの消防艇の建造については片棒をかついでしかるべきだ。公共団体に持たせるという以前に私はそう思うが、これに対する大臣の見解を聞かせてほしいと思う。
○松浦国務大臣 いま私は統計も何も手に持っていない。記憶で言いますから数字は言いません。しかし論理の立て方については賛成します。
 それからもう一つ御指摘になりました今後五千五百億の公共事業費を、日本の港湾全体に配分してかけるのですが、それをかけた結果十万トンの船が一体幾つの港に入れるかということを予想してみると、六大港以上にはあまり期待できないのじゃないか。しかし、新潟で新しいものをつくっております。もう一つは鹿島港を十万トン以上のものを入れようとしております。そういう新しい掘り込みのものを考えておるところはできやすいのでありますが、従来二万トン、三万トンの船で設計されたものに十万トンの船を入れるというようにすることは、それ以上しゅんせつすることは、岸壁の下のほうの基礎工事から変えていかなければならぬことになりますし、またふところが狭くて船が回らないというようなことでありますけれども、十万トン以上の船がどんどんいまできつつある。それを今度出光は十九万トンの船を認可してくれという要請をしてきております。そういうことでありますが、現在十万トン以上の船が相当日本では動いておる。しかし政府がつくっておる港は十万トン以上の船が入る港がない。大体においてタンカーでありますが、これは全部個人のブイにつないで、そこで荷揚げをしております。豊後水道を通って徳山で荷を半分に減らして千葉に持ってきておるという状況です。その他大きな船を持っておるのは大体ブイからポンプで送っております。でありますから、大きなところは自分で港をつくっておるのです。今度は政府が港をつくっていくのですから、その港の特別消防くらいのものに対する協力費くらいはやはり出さなければならぬと私は思う。管理者の、苦しい市の財源から出すということのみならず、港を利用するものにやはりその港の安全を得るために協力費を出させる必要があるということを痛感します。そういう点について今度こまかい数字があがってきますならば、閣議で相談する場合に私の考えは、そういうふうにしていきたい。利用者に協力させるということを考えております。
○泊谷委員 大臣、とにかく日本の自慢できるものは造船工業です。それでどんどん輸出をする。出光の現実に走っておるのは総重量トンの十三万トンでしょう。結局ほかの国に船を渡して日本の港に入れないというばかげた話はない。だから数は少なくても船が大型化するのにこうして改造しようが新規の港を開こうが、何とかしなければならぬものでしょう。だからそれの財源の求め方について、いま大臣の言われたことについては私はわかりましたけれども、その措置をやはりいまの政府としてはきっちりきめてもらわなければならぬ。その展望がないような気がするのです。場当たり的なような気がいたしまして、この点は今度の事故を契機にというとちょっとちぐはぐな話ですけれども、どうか根本的な政策として確立してもらいたいというのが一つです。
 それからいま話がありました、これは単に国あるいは公共団体というだけでものごとを始末することには限界があろう。したがって財源の求め方について、特に大臣の発言がありましたので、御配慮いただきたいのですが、当面の措置として先ほどからいろいろ話のやりとりがありますが、船舶の大型化に伴う少なくとも重量港湾の引き船、タグボート、これは現状問題にならないという話ですが、これは早急に重要港湾だけでも大型化しなければならぬと思うのです。その具体的な閣議に提案しようというような気持ちを聞かしていただくわけにはまいりませんか。これをひとつ明らかにしてほしい。
○松浦国務大臣 タグボートその他については、専門家の海運局長その他みんなおりますから、案を立ててもらったならば、それをひとつ主張するつもりでありますから、そのほうからひとつ答弁させていただきます。
○泊谷委員 具体的なことは事務担当者で整理してもらわなければいかぬと思いますから、それでいいと思います。特に今回の事故で、これは壽原さんの報告されたのと私とちょっと感じが違うのですけれども、地域住民が最も不安に感じたものは、せっかく米軍の好意によって化学消火剤を投入してもらった。これがCB消火液というのですね。塩化メチルと臭化メチルの混合液で、これは高熱を与えると不燃性ガスになるという理屈になっておるのだそうですが、これは残念ながら消火にはきき目がなかった。それだけか、逆にこれが人体に吸い込まれると、頭痛や目まいなどの障害を起こしまして、しかもこれは長期の頭痛やけいれん症状や視力障害、こういうものが起きるということで、持ち込まれたが、むしろこの手配のほうでてんやわんやの騒ぎになりました。それで結局話が発展しまして、港の油ばかりでなくて、飛行場の問題にしても、アメカから消火液を持ってきても、いまの油の火は消せないということに対する不安は大きかったのです。私は心配した。これは運輸省ばかりでない。通産省の関係もあると思うのですけれども、化学消防と一口に言われますけれども、市日市の場合には、石油タンクの火災の際にドライケミカルという薬でうまくいったのですね。ともあれ化学消防剤の開発といいますか、これは世界的に急がなければならぬと思うのですが、ここらあたりは閣議で取り上げて早急に手をそめてもらわなければいかぬと思うのですが、いかがでしょうか。
○川合政府委員 化学消火剤の問題は私どもの責任でございまして、私どもの消防研究所で研究をいたしておりまして、また諸外国等の状況もよく承知をいたしております。現在におきましてさっきお話の出ましたところのあわ消火剤、粉末消火剤等がございますが、消火薬剤といたしましては、現在一応の水準に至っております。ただこれを使いますときの、お察しのように海上におきましてのその方法、あれはあわでもって全部おおうわけでございまして、いわば少しでもすき間がございますとそこから火はまた生きかえって死なないわけでございます。薬剤としての性能の研究開発というものは水準に達しておりますけれども、これをおおいますその方法、手段、装備という点につきましてのまだ検討を要する点がございまして、私のほうは、消防研究所で現在空中からの消火方法を昨年度から研究いたしております。これは率直に申しまして、木造家屋に対する普通火災の研究でございまして、この秋ぐちに習志野で実験をやります予定でございます。化学火災に対しましての分ではございません。化学火災に対しまして米軍が非常に好意を持ってやってくれましたのでございますので、われわれそれに感謝をいたしますけれども、われわれの知り得る段階におきましては、現在空中から等の方法というもので世界的にまだ成功しておるというようなことを聞かないわけであります。繰り返しますが、薬剤の開発は、むしろん御指摘のように十分今後も研究いたしますが、現在はそれに対する注水の手段、装備の点について考慮いたしておるわけでございます。
○泊谷委員 消防庁のほうでせっかく検討されてCB液そのものは消火に相当の効力がある、しかしハッチまで送り込めなかったというところに今回悩みがあったということになると、この点は何らかの機会に明らかにしておいたほうがいいのじゃないか。これはこの質疑の中で適切な話ではないと思うのですが、北海道に住んでおる者は、むしろ千歳あたりの航空の貯蔵油に火が入れば、その化学消火液なり粉末を持ってきても、これは油が燃え切るまで待たなければならないのではないかという絶望感のほうが強いのではないかと私は感じました。この点はやはり住民にも不安感のないように措置しておくことが必要ではないかと思いますので、これは一言申し上げておきたいと思います。
 それで最後になりますが、大蔵省の方、見えていますね。――それで銀行局の金融年報を見ますと、海上関係の保険会社が約二十社ありまして、相当の準備金をお持ちなんです。責任準備金千七百四十四億九千万、貸し倒れ十四億、特別百二十一億、その他九十四億、利益四十九億三千万円と各準備金が計上されておるのですが、これは一番最初の千七百四十四億九千万円はわかりました、こういう事故の場合の引き当てですから。これはこういう陸上でも海上でも消火施設などに公共団体が長期の融資を求めた場合、当然利用させていただいてしかるべきだと思うのですが、実態はどうなんですか。これをひとつ聞かせていただきたいと思います。
○田辺説明員 現在損害保険会社でも消防のことに関しましては非常に積極的に協力体制をとっておりまして、いまお尋ねの点は、おそらく消防施設のための地方債という問題かと思いますが、三十九年度で申しますと、地方債としての消防債の引き受けを約十五億やっております。その前の三十八年度は十三億五千万、また四十年度におきましては十七億五千万に増額する予定にしております。
○泊谷委員 恐縮ですが、陸上と海上を分けられませんか。
○田辺説明員 別に消防施設といたしまして陸上部門、海上部門という分け方をしていないのです。
○泊谷委員 運輸大臣、これは私の感じですが、これだけお金があるのに、やはり努力していただいたそうですが、十五億、十七億というと、あまりにみみっちいような感じがするのです。この辺に保険会社の皆さんの腰の入れ方としてはあまりにも少ないような気がするのです。これも大蔵大臣との関係がありましょうし、関係者との関係もありましょうが、この増額にお骨折りいただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
○松浦国務大臣 室蘭の今度の事故のような場合の用意のために常に薬品を備えておくとすれば、一港でもそのくらいの金は要ると思うのですよ。それでとにかくコンビナートのある港全部にやるとすれば相当の資金が要ると思います。それらのことについてもどうせ予算編成の前にやる相談のことですから、十分そのことについては主張するつもりです。
○泊谷委員 これでおしまいにします。いまのお話のありました点、特に取り上げる必要はなかったと思うのですが、私の調べた範囲では、この財源は長期で大きな会社にばかり貸しつけられているのです。本来、そういうことで不慮の災害に対しての保険制度として蓄積されたものであれば、第一義的にそれに優先権を与えるというような措置をこの面からも出して、政府のかまえ全体として地域住民の協力体制をさらに強くするということが、私はこういう精神面からも出てくると考えますので、特に大臣のお骨折りをいただきたい、こういうことを要請した次第です。
 以上で終わりにいたします。
○長谷川委員長 内海清君
○内海(清)委員 かなり詳細な質問を行なわれたようでありますが、今回の室蘭港における災害は、外国の船が日本の港に来て、こういう不慮の災害を受けたという点、われわれも非常に考えなければならぬ問題であると考えるのです。ことに船長などの発言と伝えられるところによりますと、外国ではこういうものは早く消せるんだ、日本では処置なしじゃないかというふうな意味合いの発言もあるように承る。したがって、海運国をもって任じておる日本にとっては、こういうふうなことは日本の今後の発展します海運界の面から申しましても、よほど考えなければならぬ問題だというふうに思うのであります。
 そこで、今度の災害で、特に乗り組み員の方でかなりの犠牲者が出ております。なお、日本の綱とり船の港隆丸の乗り組み員に行くえ不明が二名出た。これはまことに痛ましいことでありまして、私どもは心からお見舞い申し上げたいと思います。
 そこで、今回の災害によりまして、まだはっきりせぬと思いますけれども、損害の額は大体どのぐらいな見込みであるか、まだ調査がついておらないかもしれませんが、大体わかればお知らせ願いたい。
○猪口説明員 現地の保安部で調査したところによりますと、大体二十二億から二十五億程度という報告がまいっております。
○内海(清)委員 この災害によりまして、あとの船体がどういうふうに処理されるか、どんな状態になるかということでまた損害の状況は変わってくると思いますけれども、いま損害は大体二十二億ないし二十五億であろうということであります。
 さらにこれに付随いたしまして、この船は、外国船でよくわからぬかもしれませんが、大体船齢はどの程度のものですか。――わからなければけっこうです。これはわからぬかもしれませんが、その船体の状況もこれまた災害にはかなり関係があると思うのです。
 そこで次にお尋ねいたしたいのは、室蘭港は水先法から申しますと、任意水域だと思います。しかし岩井良作という水先人が乗っておったというのであります。昨年の通常国会で水先法が改正されましたおりに、いろいろ論議したわけでありますが、今日承りますと、この水先人の方は非常な経験もあり、今日まで無事故であったということであります。昨年も論議しました中で、水先人の年齢等につきましても、かなり論議をいたしたのであります。昨年の時点でたしか平均年齢が六十・八歳程度だと思いますが、この水先人の方は年齢が幾らでございますか。
○若狹政府委員 六十三歳でございます。
○内海(清)委員 六十三歳といえば、現在のあれでいえば、それほど高齢ということでもないと思いますけれども、水先人の方がだんだん老齢化しつつあるということは御承知のとおりであります。しかし、これは年齢的にいって疲労度その他で任務が十分果たせないということもあり得るのでございますけれども、これはいずれ審判等で明らかにされることと思いますので、それに触れることは省きたいと思います。
 そこで一つお尋ねしたいと思いますことは、先ほど来いろいろお話がございましたけれども、水先人の問題につきまして、昨年の論議の前に、たしか水先法の二十二条二項に水先約款というものがある。これによって水先人の責任の問題がいろいろ論議された。そうしてその当時の運輸省のあれとして、今後きめていかなければならぬが、天体一定の限度をきめて、有限責任にすべきじゃないかということを考えるということがございました。この点についてはその後どういうぐあいになっておるか。
○高林説明員 水先約款の問題につきましては、現在パイロット協会――水先人の団体でございますけれども、日本パイロット協会におきまして、大体責任問題を中心にそれらの点について一応成案を得まして、船主団体等といま折衝中でございます。最終的な結論にはまだ達しておりませんけれども、やはりある種の責任についての何らかの取りきめをしたいという方向で両者話し合いをいま進めている段階でございます。
○内海(清)委員 これは一年たちましてまだ明らかになっておらぬのでございますけれども、その点がいままで責任の所在ということでいろいろ問題にもなってきておりますが、あいまいであります。イギリスあたりでは、この点も有限の責任としてきめられておるわけであります。したがって、そういう点はできるだけ早くきめておくことが、どの面から見ても、必要なことである、こう考えるわけです。これはいまきまっておらなければやむを得ぬのでありますが、できるだけ早くこの点はきめていただきたい。これは強く要望しておきたいと思います。
 それから防災施設の問題がいろいろ論議されましたが、これは私は多くを申しませんけれども、今回の室蘭の場合を見ましても、消防艇等もあるけれども、これはデッドウエート五万トン以上の船には間に合わないということであります。今日までの室蘭港の入港船の状態にしましても、三万トン以上の船がかなり多く入っておるようであります。したがって、災害というものはいつ起きるか予測できぬのでありますから、それに対する備えというものは当然あるべきじゃないか、こう思うのであります。この点はいま港湾の新五カ年計画が計画されておるわけでありますが、港がだんだんと変わり、大型船が出入りするようになると、こういう問題は総合的に、並行的に考えられていくべきではないか。港湾の改修というふうなことをやるならば、それのみでそういう付随的に起こることの予想されるものがとかく等閑視される。このことが常に災害などでは後手後手に回るということだと思うのであります。この点に関しましては、今後新五カ年計画も推進されることでありますので、十分ひとつ並行的に考えるべきではないか、こう思います。これはひとつ大臣のお考えをお聞きしたい。
○松浦国務大臣 さっき久保委員にお答えしましたように、応急対策といたしましては、現在の埠頭の今度の問題の起きましたところは、十一メートルの水深を保っているようでありますが、その十一メートルの水深を保っておる泊地面積というものはあまり広くはない。でありますから、ゴースタンして、陸上のタンクに危険を及ばさないようにしようとして、うしろへ退こうとした瞬間に座礁したわけであります。でありますから、もう少ししゅんせつして、この十一メートルの泊地面積をもっと広くすることが必要である。同時に、もうこれでこりたからこんなことを言う必要はないと思いますけれども、やはり災害を最小限度にとどめて安全運転をするという久保委員のお説のように、われわれは係留をいたしまして引き船で、タグボートで引いたり押したりして岸壁につけるということもぜひやらせたいと思います。
 それからこの五カ年計画の仕事といたしましては、早く外港をつくって、外でパイプのブイをつくって、パイプで送り込むようにしたいというようなふうに考えております。
○内海(清)委員 室蘭港につきましては、当然そういうふうなことを考えていかなければならないでしょうが、これは単に室蘭港だけではございません。今後五カ年計画でいろいろ改修されてまいります港湾については、そういうことも十分お考えの上進めていただきたい。
 なお、これはいま大臣からもお話がございましたが、港が整備されるよりはむしろ船が大きくなるほうが早い、こういう現状であります。したがって、今後におきまして大型船がどんどん入ってくるけれども、港湾整備というものはなかなかそれに追っつけないという面が出てくる。そういう場合にはたちまち応急の処置でもとっていかなければならぬ。これはいま大臣がお話しのように、油などでございますならば、いま係留をして、そしてそのタンクを通じて油を陸揚げするというイモドコブイなどもあるわけです。こういうふうなものなどもひとつ十分考えてやることによって、こういう災害というものはある程度防止できる、私はこういうふうに考えております。だから、ただ単に船というものは常に岸壁へつけなければなかなか荷揚げがむずかしいのだというふうな従来の考え方を改めて、十分研究してやっていただくならば、港湾の整備が少々おくれましても、大型船が入っても、これは処理できる、こういう面があると思うのであります。この点は今後ひとつ十分お考えをいただきたいと思います。
 それからこれは余分のことのようでございますけれども、今回の災害の場合、幸いにして陸上にこれが累が及ばなかったということであります。もしこれが陸上に及んでおるならば、多くのタンクがありまして、非常な大災害になったであろうということが想像できる。消防庁のお話を聞きますと、陸上ではかなりそういう化学消防も整備されておるということでありますが、今度の場合、かりにこれが陸上に及んだとして室蘭ではそれを十分防ぎ得るだけの化学消防の体制があったかどうか、これをひとつお尋ねしておきたい。
○川合政府委員 しいて断定しろということで、少し大胆に言わしていただくならば、現在の設備において陸上にもし万一移りましたときも防ぎ得たと思います。あの地帯におきます石油タンクの消火設備につきましては相当の機能を持っておるわけでございます。よく例を思い出されるのは昨年の新潟地震の例でございます。御承知のように新潟地震におきましては、あの昭和石油の石油タンクも相当な固定消火設備を持っておったのでございますが、その諸設備は地震で一挙にしてこわれて作動いたさなかったわけであります。今回はさようなことはないわけでございますから、これが作動し得るものと思っております。
 なお、緊急防御といたしましての消防力でございますが、私どもの報告にしたためましたように、現地の消防本部の化学車は一台でございますが、その他の工場自営の化学車などもございますし、相当の活動をいたし得るはずであるというふうに思うわけでございます。
○内海(清)委員 室蘭の場合、もしかりに陸上に累が及んでもこれは十分防ぎ得る能力あり、こういうことを承りまして非常に安心したわけでございますが、これはただ単に室蘭に限りませんで、特に今日石油のコンビナートのできております地域には、当然これは行なわれておると思うのであります。ところが陸上でそれが十分できて、海上におきましてそういう災害が起こればお手上げの状態だということは私ははなはだ残念に思います。ことに諸外国ではそれらがどの程度のものか私存じませんけれども、今回の船長あたりの話をわれわれ伝え聞くところによりますと、われわれ日本人としてはなはだ遺憾に思う。でありますから、海運国日本として今後この点を早急に整備していただかなければならぬ。ことにこの点につきましては大臣にもお考えいただかなければなりませんけれども、海上保安庁におきましても十分考えていただきたい。今後は少なくともタンカーあるいは専用船では五万トン以上のものが非常に多くなってくるということでございます。だから、そういう設備よりも船の大型化されることが先にいくから追いつかぬということでほっておいたのでは、これはどうにもならぬと思うのであります。これは万一に備えるのでありますから、とかくおろそかになりやすいと思う。急ぐ問題もたくさんありますからなかなか手が回りにくいと思うけれども、この面につきまして十分考えてやっておかないと、いざ災害というときには全くお手上げという形になると思うのであります。この点もひとつ強く要望しておきたいと思います。大体もうすでにいろいろ聞かれましたので、私はこの程度で本日は終わっておきたいと思いますが、たびたび繰り返しましたけれども、こういう海上におきます災害、これらにつきましてもひとつ今後格段の御配慮を願って、そしてこれに対処していただきたい、このことを強く要望して終わります。
○長谷川委員長 次会は来たる二十八日金曜日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
  午後三時三十分散会