第048回国会 科学技術振興対策特別委員会 第13号
昭和四十年四月七日(水曜日)
    午後一時三十三分開議
 出席委員
   委員長 岡  良一君
   理事 菅野和太郎君 理事 佐々木義武君
   理事 福井  勇君 理事 前田 正男君
   理事 田中 武夫君 理事 原   茂君
   理事 三木 喜夫君
      秋田 大助君    木村 剛輔君
     小宮山重四郎君    藤尾 正行君
      石野 久男君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 愛知 揆一君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       纐纈 彌三君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   小林 貞雄君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局長)   村田  浩君
        外務事務官
        (条約局長)  藤崎 萬里君
        運 輸 技 官
        (船舶局長)  芥川 輝孝君
        海上保安庁次長 有田  毅君
 委員外の出席者
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局次長)  中川理一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第
 一一五号)
     ――――◇―――――
○岡委員長 これより会議を開きます。
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。田中武夫君。
○田中(武)委員 原子炉の規制に関する法律の改正案を審議するにあたりまして、まず、一九六〇年の海上における人命の安全のための国際条約、原子力船運航者の責任に関する条約、この両条約につきまして、若干の質問をいたしたいと思います。
 実は二時からはわが社会党の両院議員総会がありますので、二時までにやれる範囲をいたしまして、あとは留保することを、前もって委員長にお断わりいたしておきます。
 そこでまず、一九六〇年の海上における人命の安全のための国際条約第八章についてお伺いいたします。第八章の第一規則、ここでいう原子力船とはどういうものか、まずこの定義をお伺いいたします。
○村田政府委員 ここで申します原子力船とは、原子力を動力として船舶に設置します、それによりまして推進される船舶、こういうことでございます。
○田中(武)委員 原子力を動力とするものだけなんですか。いまそうおっしゃったね。
○村田政府委員 原子力を推進力としまして、それによって運航する、このような船舶でございます。
○田中(武)委員 そういたしますと、これのあとからですが、一九六二年海事法外交会議できめたというか、原子力船運航者の責任に関する条約の第一条第一項の「原子力船」とは、解釈上食い違いが出てきませんか。
○村田政府委員 この海上人命安全条約のほうでは原子力船の定義はございませんけれども、その趣旨は、ただいま私申し上げたとおりだと了解しております。
 そして、この一九六二年の海事法外交会議で出ました条約案による「「原子力船」とは、原子動力設備を有するすべての船舶をいう、」という趣旨も同様のことと考えております。
○田中(武)委員 原子力をもって推進力とするというのですね。それと原子動力設備とはイコールですか。
○村田政府委員 技術的に正確に申しますと相違はございます。原子動力設備と申しますのは、推進力以外で、かりに船舶の上に原子力設備が置かれてあるものも、そういう意味ではここに申します原子力船と相なるわけであります。
○田中(武)委員 したがって、少し概念的に言えば、一九六二年のほうがちょっと広いのじゃないですか。
 そこで、一九六〇年にこれができた。そのときにはこちらのほうの一九六二年のやつはまだですね。そこで、この一九六〇年の条約があって、六二年にこれをした場合に、その解釈はこの一九六二年に従うのですか。国際公法上新しい条約と古い条約とが競合する場合における効力はどうです。
○村田政府委員 国際法上のたてまえから申しますと、ただいま田中先生の申されたことだと思います。
 しかしながら、今回私どもが規制法の一部を改正します趣旨は、この六〇年の海上人命安全条約、これの発効に伴いまして、それを受けてやるわけでございますので、私先ほど申しましたような趣旨でこの第一規則を了解しておる、こういうことでございます。
○田中(武)委員 この一九六〇年の条約は批准しておるのですね。それで、一九六二年のほうはまだ批准していないのでしょう。したがって、一九六〇年のこの条約に従って国内法上の定義を定める、そういうことなんですね。
 そうすると、かりに一九六二年のほうを批准した場合、その解釈は変わりますか。国内法であるならば、新法は旧法に優先する、新法のほうが解釈を定めるわけですね。この場合、一方は批准しておる、一方はまだ批准していない、こういうことで、批准していないから批准しておるところの解釈に従うのだ、こういうことならわからぬことはないのです。それならば、一九六二年の条約を批准した場合は解釈が変わるのですか。
○村田政府委員 法律論としては、まさに先生のおっしゃるとおりだと思います。
 それで、一九六二年のこのブラッセル条約といわれますものは、批准もされておりませんし、現在のところまだ署名もされておりません。そういう状況でございまして、いまのところいつ批准されるか、したがって国際的にいつ発効されるかという見通しは立っておらないわけでございますので、現段階では、この六〇年の海上人命安全条約というものを受けてこちらの国内法のほうも整備したい、こういう意味でございます。
○田中(武)委員 一応この段階においてはいまの答弁を了承します。しかし、批准した場合どうなるかわからぬということであるが、批准した場合この解釈は変わると見るのが適当なのかどうかということは、国内法ならはっきりしておるわけですね。国際法でいくならば、どちらが優先するかということは、一般論として――条約局長見えていますか。――それでは、これ以上条約のことを聞いても無理かと思いますから、科学技術庁にはその程度にしておきましょう。
 そこで、次に、やはりこの第一規則の中での問題ですが、「軍艦を除く」というのは、当然これは国際慣習上というか、そういうことだと思うのです。
 この軍艦を除くということは、この前原子力潜水艦の寄港の問題に対してもいろいろ論議いたしました。軍艦を除くというのは、なぜ除くのですか。
○村田政府委員 この第八章で特に、「軍艦以外のすべての原子力船に適用する。」ということが第一規則に載っておりますが、この海上人命安全条約それ自身、つまり第一章から第八章まですべてを含めまして軍艦を除いておる、こういう条約でございますので、したがいまして原子力船の場合も軍艦は除かれる、こういうことでございます。
○田中(武)委員 いや、そうではなくて、除くのは何ゆえか。おそらくあなたは国際慣行上だと、こう言うと思うのです。だから、なぜ除いたかと聞いておるのです。なぜ除かれるべきかと聞いておるのです。
○村田政府委員 その趣旨は、先生御指摘のとおり、軍艦の国際法上の特殊な地位から、その技術資料の呈示あるいは立ち入り検査というようなことが不可能でありますので、この海上人命安全条約は第一章から第七章までに一般船舶としての安全上の技術的な基準が詳細にわたって定められておりまして、それを確認することが批准国として必要な措置とされております。そういった点から見て軍艦が除かれておる、こういうように了解しております。
○田中(武)委員 それでいいのだけれども、私の言っておるのは、当然除くのだということで除いておるのだということだけれども、なぜ当然除かなければいけないのかということを聞いておるのです。なぜ当然除かれるべきかということを聞いておるのです。
○愛知国務大臣 これは、ただいま原子力局長からお答えいたしましたように、この種の条約の扱い方等についてあるいはその他の国際慣習上、軍艦は除くということになっているものと私は理解いたしております。
○田中(武)委員 現段階においてはわかるのです。私が言っておるのは、なぜ当然除くということがきめられておるのかということです。
○愛知国務大臣 これはお答えにならぬかもしれませんが、原子力を推進力に使う艦船の問題というよりも、軍艦というものあるいは普通の船舶というものの扱いの違いからきているものであるかと思いますが、条約上の取り扱いその他については、条約局の専門家がいま見えましたから、条約局長から・・。
○田中(武)委員 前に当委員会で、原子力潜水艦寄港の問題について、軍艦なるがゆえに手が出せないということが言われております。これは何かというと、国際慣行上だ、こういうことです。ここでもやはり頭から軍艦は除く、こうなっておる。これは除くのが当然だから除いた。なぜ当然除かなければいけないか。この種条約に軍艦を除外せねばならないのはなぜか。基本的な問題です。
○藤崎政府委員 この海上人命安全条約のそもそもの趣旨が、乗員とか船客の生命の安全を確保するということにあるわけでございます。そういう条約の根本趣旨からいいまして軍艦は除外されたもの、かように了解いたしております。
○田中(武)委員 変なお答えですね。何でその趣旨からいって軍艦を除かなければいけないのですか。
 それよりか、この種条約には軍艦を除外するということが国際慣行じゃないんですか。そう答弁できませんか。いまのではどうも答弁にならぬですね。なぜ頭から軍艦を除くということを原則としておるかということです。
○藤崎政府委員 この種条約とおっしゃる意味の「この種」というのはどういうことか存じませんが、一般的に軍艦と商船は公海上における地位とかいろいろな関係で別の扱いになっている、これは仰せのとおりでございます。
 この場合に、しかし特別に除外した理由はどうかとおっしゃれば、さっき申し上げたように答えるのが適当かと思ったわけでございます。
○田中(武)委員 いや、このように一般的に軍艦を一般船舶と区別する理由はどこにあるのかということです。
○藤崎政府委員 この条約に関する限りは先ほど申し上げたとおりであり、それから一般国際法上は、軍艦というものが昔から特別の国際法上の地位を慰められておるからである、かように考えております。
○田中(武)委員 昔から国際法上の地位を認められておるという、その昔というのはいつごろです。
○藤崎政府委員 大体十七世紀、グロチウス以来と申し上げてよろしいかと思います。
○田中(武)委員 そのころから除かれておる理由は何かということです。
○藤崎政府委員 軍艦というものはやはり平時におきましても国家の威厳をあらわすもの、あるいは領土の一部である、そういうふうに昔から観念の上でされておりました。したがいまして、どこの国からも、かりに港に入っても不当に、強制的に乗艦などはできないというような取り扱いになっておるわけであります。いわば大使館というようなものと観念としては同じかと思います。
○田中(武)委員 領土の一部で主権が及んでおるんでしょう。そう言えばいいんでしょう。そのために国際慣行上そういう取り扱いを受けてきておる、こういうことでしょう。
 そこで、それなら、国際慣行としてそれが国際公法の法源になるまでにはどの程度の国際慣行が必要なんですか。
○藤崎政府委員 領土の一部というのは、たとえて申し上げましたのでございまして、領土そのものじゃないから、その点はちょっとたとえとしてこれを御了承いただきたいと思います。
 それから、国際慣習ができるのにどれくらい年月がかかるかという仰せでございますが、これは一律には申せないのでございまして、もしある慣習が、どこの国からも異存がなくてみんな従うようであったら、非常に短日月の間にできるかもしれません。どこかの国が、相当数の国がそれに異存があって従わない場合には、相当長い間たってもできないということもあるわけでございまして、一律に年月だけで割り切るわけにはまいらないのでございます。
○田中(武)委員 私は年月を言っていない。慣行が法源になるためにはどの程度の、何といいますか、積み重ねというか、いわゆる慣習法の成立にはどういう条件が必要か、国際公法上慣習法の成立にはどの程度の条件が必要か、こういうことです。
○藤崎政府委員 これはごく抽象的にお答えするほかないのでございまして、年月の上から言っても、その慣習をこれは法なりとどれくらいの数の国が受諾すればよろしいか、それが単なる慣習じゃなく法であるとみんながそれを感ずる程度とか、いろいろな要素が入ってくるわけでございまして、一般的に大多数の国が相当の期間にわたって、これは国際法上の規則なりと受け取るようになれば国際慣習法ができた、ごく抽象的にそういうふうにお答えするほかないと思います。
○田中(武)委員 そうしますと、ここでいう軍艦は、一九六二年のこれは批准も何もしていないやつなんですが、第一条の十一項、ここでいう軍艦と同じ意味に解してよろしいですか。
○藤崎政府委員 これで正しいように思いますけれども、これはこの条約のために設けられた定義でございまして、ここに書いてあるからといって普遍的に妥当するということにはならないわけでございます。
○田中(武)委員 そうすると、一九六〇年の条約における軍艦の定義を言ってください。
○藤崎政府委員 一九六〇年の条約には定義がないというふうに了解しております。
○田中(武)委員 条約の定義がなくても、概念として定義がなければこれは運用できぬでしょう。そういう定義がなくて軍艦というものが明確にならないままに調印をし、批准したのですか。
○藤崎政府委員 条約に用いているすべてのことばについて定義を設けなくてはならないということはないわけでございまして、大体その概念の内容についてその条約の目的上特別の疑問の余地がないような場合には、定義を設けないということがむしろ普通なわけでございます。
○田中(武)委員 だから、そういう意味においてここの第八章第一規則の軍艦の定義といいますか、軍艦とはどんなものか説明してください。あなたの言われたような意味における・・。
○藤崎政府委員 さっきの国家の海軍に属し何とかというので別に差しつかえがないと思いますが、ここでこう書いてあるからといってこっちに適用があるという意味じゃなくて、大体そこに書いてあることが正しいからこの場合にもそういうふうに考えてよろしいだろうということは言えると思います。
○田中(武)委員 あなたが見える前にちょっと議論したのですが、これの一九六〇年のほうが先にできた、これは一九六二年だ。こちらは批准している、こちらは批准していない。これはこの条約の意味が競合した。こっちはまだ批准していないのですが、これを批准した場合に新しい条約が定義を定めるのですか。
○藤崎政府委員 そういうわけにはまいらないと思います。二つの条約に別に直接の結びつきがなければ、当然ほかの条約の用語にまで影響することはないわけでございますが、その定義のしかたが、一般的に見ましてほかの条約にも妥当するような定義のしかたになっておればそれに準拠して差しつかえない、というふうになると思います。
○田中(武)委員 だから、先ほど来あなたが言われている意味における第一規則の軍艦の定義――定義ということばはどうかと思いますが、解釈といいますか、軍艦はどういうものなのか、これをひとつ言ってください。
 先ほど来あなたが言っておったような、これはこれとして独立しておるのだ。それならば、この条約それ自体軍艦の定義を定めていない。それならこの軍艦は解釈上範囲を定める必要があるわけです。だからその解釈を聞かしてくれ、こういうことです。
○藤崎政府委員 どういう点を問題にしていらっしゃるのかよく私にはわかりませんが、艦船であって、商船とかなんとかそういうものじゃなくて、海上で軍事行動に従事するように装備されておる。そういう目的に従ってつくられておるものが常識的に言えば軍艦ということになるだろうと思います。
○田中(武)委員 そうしますと、日本の防衛庁が原子力を推進力とする船舶を持った、これは軍艦と言えますか。
○藤崎政府委員 私は、そっちのほうは担当でございませんので有権的な解釈を申し上げるわけにはいきませんが、原子力を推進力に利用するかどうかで軍艦になるかどうかの区別は生じないだろうと思います。
○田中(武)委員 そうすると、かりに防衛庁が将来原子力を推進力とする船舶を持った場合、直ちにそれでは軍艦と言えないとすれば、どの程度の装備をしたら軍艦と言えますか。
 ということより先に、防衛庁は軍艦を持つことができるかどうか。
○藤崎政府委員 それは憲法とか自衛隊法の関係でございまして、私の所管でございませんので、答弁はその点は差し控えさしていただきますが、最初におっしゃった点、装備とかということと推進力に原子力を使っておることというのは別の観念でございまして、私が装備と申し上げたのはそういう推進力とかというようなことじゃなくて、軍事行動をとるための設備を申したわけでございます。
○田中(武)委員 あなたが来る前に、原子力船とは何か、それに対して、原子力をもって推進力とする船舶だ、こういうことなんです。
 そこで、原子力を推進力とする船舶を自衛隊が持った場合には軍艦と言えるのかどうか、これは一がいには言えない。それならどの程度の装備を持ったときが普通の一般船舶と軍艦との境界というか、境はどこなんです。
○藤崎政府委員 先ほども申し上げましたように、自衛隊の持っておる艦艇が軍艦であるかどうかということは私の所管の範囲外でございますから、その点はかんべんしていただきたいと思いますが、その判断の標準には推進力として原子力を使っているかどうかということは関係がないであろうということを申し上げておるわけでございます。
○田中(武)委員 それじゃ関係外だということですが、そうすると防衛庁に来てもらわないといけないと思うのです。
 自衛隊の持っている船舶が日本の領海から外に出た場合、この条約ならこの条約に対して軍艦の扱いを受けるのかどうか。そこで問題を起こしたというときには外務省はどういう態度をもって当該国と交渉にあたるのか。いわゆるこの条約の上に立っての適用を受ける船舶であるということでやるのか、あるいはこの条約によって除外されておるという観点に立って折衝されるか。
○藤崎政府委員 いままだ現にそういうものを自衛隊が持っておらないわけで、仮定の問題だろうと思います。
○田中(武)委員 海上自衛隊が領海外に出た場合に問題がありますよ。この条約の適用を受けるのか受けないのか。
○藤崎政府委員 この条約とおっしゃるのは、どの条約ですか。
○田中(武)委員 一九六〇年の条約。
 ちょうど二時になりましたので、よく勉強していただきまして、来たる十四日にあらためて質問をいたします。
○岡委員長 福井勇君。
○福井委員 きょうは私膨大な資料を用意しておったところが、まだ未到着のためにこの次に譲ります。原子力委員長、大臣もせっかくいらっしゃるので、膨大な資料を用意してお尋ねしいたと思いましたが、社会党の諸君もおらないところで質問をしてもまことに残念なので、簡単に村田原子力局長にお尋ねしたいことがあります。
 いま原子力船の進行状況について、国内の状況はよく私把握しておるつもりでありまするから、海外の進み方、各国が着手してどのくらい進んでおるか、並びに計画しておるかということを、そこに持っておる資料の程度、あるいはあなたの現在つかんでおられる状況について、国々の別に説明してください。
○村田政府委員 海外における原子力船の開発状況でございますが、御承知のとおり、現在すでに就航いたしております原子力船を持っておりますのはアメリカとソ連の二カ国でございます。
 アメリカにおきましては、原子力貨客船としましてサバンナ号が、一九五八年の五月に起工しまして、一九六二年の五月に完成いたしております。六三年から米国沿岸の航海を行ない、昨一九六四年にはヨーロッパ訪問を数回にわたって行なって今日に至っております。このサバンナ号は、全長百八十一メートル、全幅二十七メートル、深さ十五メートル、排水量二万二千トン、総トン数一万六千トンばかりの貨客船でございまして、これには熱出力で約七十メガワット、七万キロワットの加圧水型の原子炉一基を積載いたしております。これによりまして軸馬力二万馬力、速力は最高で二十一ノットといわれております。
 それから、ソ連における原子力船としましては、原子力砕氷船レーニン号が一九五九年十二月に完成いたしまして、翌六〇年の末、六一年の初めから北氷洋における砕氷活動を行なっておる、このように伝えられております。詳しい運航状況につきましてはわかりませんが、毎年結氷期におきまして、普通の砕氷船の数倍にわたる能力を発揮して、非常に大きな北氷洋における運航の確保に役割りを果たしておる、このように伝えられております。このレーニン号は、全長百三十四メートル、全幅二十七メートル、深さ十六メートル、排水量は一万六千トンでございまして、砕氷能力としては厚さ二・四メートルの氷の中を二ノットの速力で前進できる、このような非常に強力な砕氷能力を持っております。この原子力船には熱出力で九万キロワットの同じく加圧水型の原子炉を三基一つの船に積んでおります。したがいまして、その軸馬力は四万四千馬力、非常に強力な軸馬力を持っております。通常の海洋における最高速力は十八ノットと称されております。
 以上二隻が現在世界的に見てすでに就航いたしております原子力船でございますが、これに続いて建造計画を具体的に進められておりますものは、西ドイツの鉱石運搬船といいますか、オアキャリアの貨物船の一種でございますが、オットー・ハーン号と名前をつけられておりますものが一隻、それからわが国の海洋観測船が一隻あるわけでございます。
 西ドイツのオットー・ハーン号につきましては、すでに昨年初めに船体のほうは一応進水いたしまして、艤装待ちの形になっておりますが、完成いたしましたときの排水量は二万九千トン程度になるということでございます。搭載いたします動力設備としましては、現在アメリカ側と西ドイツのメーカーとでいろいろ技術提携の話を進めておりまして、最近の情報によりますとバブコック・アンド・ウィルコックス社が開発しましたCNSGと称せられる加圧水型の改良型の原子炉を積むことになろう、こういうことでございます。原子炉の完成並びに船としての完成は、大体現在の計画では一九六七年ないし八年といわれております。昭和四十二、三年でございます。
 わが国の場合は御承知のとおりでございますので、省略いたします。
 これらの建造計画は、一応できておりますもののほかは、政府あるいは民間におきまして原子力船建造の計画についての話は幾つか出ております。たとえばイギリスにおきましても相当前からたびたびこの種の話が出ておりまして、原子力タンカーの酒造計画なども一時発表されたことがございますし、そのほかイタリア、フランス、あるいはスウェーデン、デンマーク、ベルギーなどでも原子力船についての研究は行なっておる、こういう情報を得ております。しかし、これらはいずれも具体的な建造計画の設定というところまではまいりませんで今日に至っておる、これが現状でございます。
○福井委員 本日はこの程度をもって、次会に譲りたいと思います。
○岡委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明八日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
   午後二時十分散会