第048回国会 外務委員会 第9号
昭和四十年三月二十六日(金曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 安藤  覺君
   理事 椎熊 三郎君 理事 高瀬  傳君
   理事 野田 武夫君 理事 福田 篤泰君
   理事 毛利 松平君 理事 戸叶 里子君
   理事 帆足  計君 理事 穗積 七郎君
      池田正之輔君    菊池 義郎君
      鯨岡 兵輔君    佐伯 宗義君
      園田  直君    竹内 黎一君
      野見山清造君    濱野 清吾君
      増田甲子七君    三原 朝雄君
      森下 國雄君    石野 久男君
      黒田 寿男君    河野  密君
      中村 重光君    楢崎弥之助君
      野原  覺君    松本 七郎君
      佐々木良作君    永末 英一君
      川上 貫一君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        外 務 大 臣 椎名悦三郎君
        農 林 大 臣 赤城 宗徳君
        通商産業大臣  櫻内 義雄君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
        外務政務次官  永田 亮一君
        外務事務官
        (アジア局長) 後宮 虎郎君
        外務事務官
        (アメリカ局
        長)      安川  壯君
        外務事務官
        (経済局長)  中山 賀博君
        外務事務官
        (条約局長)  藤崎 萬里君
        水産庁長官   松岡  亮君
        水産庁次長   和田 正明君
        通商産業事務官
        (通商局次長) 今村  昇君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (大臣官房外務
        参事官)    西堀 正弘君
        外務事務官
        (アジア局北東
        アジア課長)  黒田 端夫君
        専  門  員 豊田  薫君
    ―――――――――――――
三月二十五日
 委員竹内黎一君辞任につき、その補欠として一
 萬田尚登君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員一萬田尚登君辞任につき、その補欠として
 竹内黎一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
 委員勝間田清一君、小松幹君、西村関一君、松
 本七郎君及び永末英一君辞任につき、その補欠
 として石野久男君、中村重光君、野原覺君、楢
 崎弥之助君及び佐々木良作君が議長の指名で委
 員に選任された。
同日
 委員石野久男君、中村重光君、楢崎弥之助君、
 野原覺君及び佐々木良作君辞任につき、その補
 欠として勝間田清一君、小松幹君、松本七郎君、
 西村関一君及び永末英一君が議長の指名で委員
 に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際情勢に関する件(日韓問題)
     ――――◇―――――
○安藤委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。
 黒田寿男君。
○黒田委員 きょうは私は日韓会談の問題につきまして総理に御質問申し上げたいと思います。
 しかし、その前に、佐藤内閣のアジア政策一般につきまして重要な二、三の問題を取り出しまして、それについて一般論的に御質問申し上げたいと思います。私が総理の御意見を承ります前に、一応私のいままで政府に対する批判として持っております考え方を申し上げて、御理解を賜わりたい、こうやりたいと思います。
 佐藤総理は組閣される前から中国問題につきましては非常に積極的な態度をとっておいでになったと思います。ところが、実際には、御承知のように、現内閣の対中国政策は行き詰まっております。これには非常に深い原因があると思うのであります。単に現内閣の責任の問題だけではない。ひるがえって見ますと、わが国の保守党政府が吉田内閣のときに対中国政策におきまして非常に大きな誤りをおかしたのであります。そのときの誤りが改められないままで歴代の保守党政府に引き継がれてまいりました上に、ここで日韓会談というようなものを強行されようという、そういう態度の中でまた新たな誤りをおかそうとしておる。そういうように私は危惧しております。ベトナム問題につきましても同様である、こう考えます。中国政策における大きな誤りと申しますのは、これは言うまでもございませんが、具体的に申しますならば、中国との平和条約において相手方をサンフランシスコ条約のあとで自由に選択ができたときに、中華人民共和国政府を相手として選ぶべきであったとわれわれは考えておりました。それをしないで、台湾の蒋介石政権を選んだ。そういうところに大きな誤りがあったと私どもは見ております。ここにすべての対中国政策が現在まで前向きに進まない根本的な原因があった、こういうように私どもは見ております。佐藤内閣になりましても、遺憾ながらこの吉田政策を改めることができておりません。今日なおこの政策に拘束されておりまして、最近も吉田書簡というような亡霊につきまとわれておるというような始末で、これでは中国問題を前向きに解決するということはとうていできない、私どもはそう考えます。そのためにいま佐藤内閣は苦悩しておるんだ、こういうように私どもは見ておる。吉田政策を、すなわち台湾に対する関係を断ち切るというところまで決断しなければ、中国政策が前向きになるということは言えない、少なくともその決意をきめてかかるというところまで最小限度いきませんと、中国政策が前向きの方向をとることができないと私どもは考えております。中国政策につきましてはいろいろと申し上げたいことがございますが、ただいま申し上げたものが根本問題であると思いますので、大様のところでけっこうでございますが、総理の御見解をまず承っておきたい。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま基本的な問題についてのお尋ねでございますが、私は、内閣をつくりましていつも申しておりますことは、自由を守り、平和に徹する、そして自主的に外交を展開する、こういうお話をしておるわけであります。このことばは、平和を守り、平和に徹するということでありますだけに、誤解はないことだと思いますが、いずれにしても、敵はつくらない、こういう立場で進めていきたい。ただ、それぞれの関係において、いままで条約を結んで、そして国交の正常化をはかり、友好関係を続けていっておる国もあるし、そういう条約なしで、政経分離で接触をしよう、そういう態度をとっておる。そういうところから、私自身のやっておることには別に矛盾もなければ、あるいは消極的だとか、あるいは曲げたとか、非難を受ける筋は私はないように思っておる。ただいま、中共に対して前向きだと思ったが、内閣をとったらどうもやっていることは前向きでないとか、あるいはまた、その考え方の底に、どうしても中国問題を片づけると言いながらも国民政府との関係を断たない限りそれは前進ができないのだ、これは御意見としてはそういうことは言えると思いますが、しかし、少なくとも今日の状況のもとにおいては、私どもがいままでの条約関係を変更したり、またそれに新しくつけ加えたりする段階じゃない。そういう立場でございますから、いまのような煮え切らない態度だと一部の方からは言われるような状況に置かれておる。しかし、これが別に、一部で言われるような、積極的に反して消極的だとか、あるいは考え方を曲げているとか、あるいは私どもの国際的な地位、そういう意味で国際信用を裏切る、こういうようなことはない、かように私は思っておるのです。ただいまお尋ねの点にあるいは答えたことになったかならないか、よくわかりませんが、私は、私どものこの外交の態度としてとっておるその内閣の政策を十分御理解をいただいた上で、それについての御批判を願いたい、かように思いますから、ただいま申し上げておりますことは、簡単に言えば、私は、自由を守り、平和に徹する、そして自主的外交を展開する。しかも、その平和に徹するという考え方においては、過去の条約関係は一応そのまま持続さし、そこに国際的信用、信頼もあるんだろうから、国際的信頼はそういう意味で裏切らないような態度で進んでいく、そうして、新しい事態に対しては、いわゆる国際常識ができあがる、そういう段階になってきたら、私は勇気を持って進んでいく。これはもういままでの質疑でしばしば繰り返したところでありますが、そういう態度でありたい、かように思っております。
○黒田委員 ただいまの御意見に対しましては、私もいろいろと申し上げたいと思うことが多々ございますけれども、現在では、まあいまの程度以上には御説明になれないのだ、そう思いますので、きょうは中国問題が中心でございませんから、中国問題はこの程度にとどめておきます。
 それから、中国問題ともその他の問題とも関連があるのでございますけれども、吉田政策の誤りは、いま申しました中国問題における平和条約の相手の選択の誤りということだけではありません。日米安保条約によりましてこの日本をアリメカの軍事基地にしました。アメリカは、日本を軍事基地にして、中国と台湾との分割、朝鮮の南北の分割、こういう分割政策を軍事力をもって強行した。軍事的に分割に介入した。そうして、それらの民族の統一を妨げ、独立を妨げ、平和を乱しておるというのが現状だと考えます。日本自身もこの安保条約によってアメリカの政策に利用せられております。日本みずからも沖繩や小笠原を引き離されておるのであります。こういう分割政策が行なわれておる。中国封じ込めについてはもとよりでございますが、最近、アメリカの南ベトナムに対する軍事介入についても、日本本土と沖繩の基地が利用されておるのでございます。日米安保条約は、日本の安全を保障するというたてまえで条約が締結されたのでございますけれども、現実には、アメリカの戦争政策に利用せられて、日本を戦争の危機に巻き込むものである。これはわれわれの従来の主張でございましたが、いまやこの見方が現実の情勢から見て正しかった、こういう見方が正しいことを現実の事実が証明をしておる、私はこういうように考える。だから、大きなあやまちであるこのアメリカとの危険な関係を解消するということが、アジアにおける日本政府のすべての外交政策を真に総理の言われましたような自由な外交にし、平和な外交にし、敵をつくらない外交にすると思う。この日米安保条約に縛られておっては、それが逆になる。私はこれが現状だと思う。だから、これも清算すべき大きな一つの問題である。これについて総理の御意見を聞かせていただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 サンフランシスコ条約の後に選んだ相手方が間違った、これは社会党の皆さんはそうおっしゃるかもわからない。私どもは、それは間違ったと思わないのです。だから、これは立っておる考え方の相違ですから、認識の相違ですから、これはやむを得ない。ここがもし同一であったら、おそらく保守党も社会党も同じ基盤に立って議論ができるのだと思いますけれども、根本的にそこは認識が違っておる。したがって、次の問題になってきて、安全保障条約を日本が自主的な立場で取りきめた。これも、いまのような考え方から見ると、アメリカに追随して、アメリカの言いなりになって日本が安保条約を結んだ、こういう言い方になるわけなんですが、そうではなくて、私どもがみずからの決意によって、この国の安全を確保するために日米安保条約は必要だ、かような決定になったわけであります。どうも考え方が、ここが皆さんと私どもとが食い違っておる。これはまた議論をしてみても始まらない。だから、いまの状況のもとにおいて、私どもはアメリカに追随しているか、絶対に追随していない、自主的にきめたんだ、こういうことを申し上げて、それを御理解いただけなければどうもしかたがない、かように私は思いますが、ただいまの基本的な問題が、この点ではよほど社会党と私どもの考え方が食い違っているのですから、それはどうもしかたがない、かように私は思います。安全保障条約を今日まで徹底して反対し、そうして承認なさらない社会党の方と、当初からこれを承認してきた私ども、これは根本的に違いますから、この問題で議論しても、それは同一の結論を得るということはむずかしいだろう、かように私は思います。
○黒田委員 総理は、この重要な問題について、見解の相違だ、こうおっしゃいました。もとより非常に大きな見解の相違です。しかし、問題が、その見解の相違を討論会で正否をきめるというようなものであれば、私どもはこの問題をあまり深刻な問題とは考えません。しかし、単に見解の相違というだけの問題ではなくて、この条約の存在によって現実にわが国を取り巻く客観情勢が、私が先ほど言いましたように、わが国を安全な地位に置くよりか、むしろ戦争の危機の中に突き落とそうとしておる。この事実があるから、私どもは、政府との見解の相違を議論の上で正否を決するというだけでなくて、事実によって主張が正しかったかどうかを証明する、そういう意味で、われわれの考えは間違いない、アメリカとの危険な関係は解消すべきであるというのが、われわれの考えです。しかし、これはこの程度にしておきまして、次に移ります。
 いま総理のおっしゃいましたように、佐藤内閣として、アメリカとの危険な関係を改めようとはされません。ところが、最近になって新たな、大きな、別な、誤りが佐藤内閣によっておかされようとしておる。それは、言うまでもなく、いま政府が推進しております日韓会談の問題でありますし、また、ベトナム問題に対する政府の対処のしかたであります。今日私は、質問時間がきわめて制限されておりますので、問題を日韓会談の問題にしぼり、しかもそれも問題を大局的なものだけにしぼって質問したいと思います。
 まず第一に、私どもの考え方を申し上げてみましょう。朝鮮との国交の正常化ということは、これは申すまでもなく日本として当然に行なうべきものであります。それは、三十六年の長きにわたりまして朝鮮を植民地として支配し搾取しましたわが国の過去の帝国主義を清算するという意味でも、朝鮮との国交正常化ということは必要である。しかし、その場合どういう態度をもって臨むかということが最も大切である。われわれは、朝鮮民族の南北統一運動を支持する、こういう立場に立たなければなりません。これは、現在どんなに困難に見えても、あくまでこの統一運動を支持するという立場にかたく立脚する必要がある。そして、朝鮮民族が主権国家として独立をかちとるために、われわれはそういう運動に協力すべきであるという立場をとるべきであります。そして、その独立した朝鮮と平等互恵の関係で平和に共存するという、そういう方針のもとで朝鮮との国交回復をはかるべきだ、これが私どもの根本的な方針であります。朝鮮との国交正常化ということにつきましては、私ども社会党の掲げておりますこの方針が唯一の正しい方針である、このように考えるのであります。ところが、アメリカの世界政策、アジア政策を見ますと、まさにわれわれの考えておるこの方針と相反するものでありまして、その中国政策を見ましても、朝鮮政策を見ましても、また最近のベトナム政策を見ましても、いずれも、軍事力をもって内政に干渉している。先ほど申しましたように、軍事力の介入によって民族の分割を強行する、そして民族内部の対立を激化させる、そして統一を妨害し、ひいては民族内部の対立を国際間の緊張激化に発展させるというような政策を故意にアメリカはつくり出しておると私は思います。これを私どもはアメリカ帝国主義の戦争政策と言うのです。これがアメリカ帝国主義の民族独立運動に対する抑圧政策であると私どもは申すのでありますが、それが中国問題におきましても朝鮮問題におきましてもあらわれておりますし、最近はベトナム問題におきまして最も著しくあらわれておる。そうして、日本の保守党の従来の対外政策、外交政策、ことにアジアにおける外交政策は、先ほど申しましたように、ことごとくアメリカのこの誤ったアジア政策に追随しておりまして、自主も何もありません。総理のおっしゃるような自主性は現実にはない。そして、アメリカがおかしておると同じ誤りをともにおかしてもまいりましたし、現在もおかしておる。それが現状であると思う。中国問題につきましては、先ほど簡単に質問をいたしましたので、きょうはこれ以上入りません。この際、朝鮮あるいは対ベトナム問題につきまして私はあとから具体的な質問をいたそうと思いますが、その前に、当面わが国の直面しておりますこういう重要なアジア諸国に対する外交問題につきまして、佐藤政策の基本となるものを一般論として承っておきたいと思います。いままでのお話の中にもう出たというようなものがございましたら、それは承らなくてもけっこうです。
○佐藤内閣総理大臣 いままでも出したつもりでございますが、ただ、黒田さんのいろいろの御意見を聞いていると、いままでのいわゆる自由を守り平和に徹する、しかもその考え方を自主的に展開していくというだけでは不十分なようで、私どもが新しい憲法のもとにおいて防衛的、いわゆる攻撃的な兵力は持たない、武力は持たない、この点ははっきりさしておきたいのです。日米安保条約、これもただいま申し上げるような攻撃的のものではない。これは日本の性格から来ておるのである。アメリカの帝国主義がどうあろうと、これは日本の性格ははっきりしている。ただいま、アメリカをしいて帝国主義者と、かような意味で黒田さんは定義づけられましたが、私はその説に賛成ではございませんけれども、これはアメリカのことでございますから、議論をそちらへ持っていく必要はないと思う。ただ、安全保障条約はアメリカのその考え方で進んでおるものではない。日本に関する安全保障条約は、どこまでも日本の安全確保のために、積極性を持ったものではない、攻撃的なものではない、この点を誤解のないように願いたい。
 それで、社会党は、ただいま非常に危険な状態だと、かように言われますが、この安全保障条約ができたときも、社会党は、もっと早く戦争に日本は引き込まれる、かように言われたと思いますが、今日までも戦争には引き込まれておりませんし、また、日本が今日この態度をとっておる限りにおいては、他から攻められない限り、みずからが戦いの行為に入るようなことは絶対にない。これは私は確信しておるし、また、国民の前にはっきりそのことが言えるのであります。だから日本自身が戦いにみずからが入るというような考え方は毛頭ございませんから、その点は誤解のないように願いたい。この点は非常に大事な点だと思うから、私はつけ加えておきます。したがって、安全保障条約、これは日本の防衛的なその立場においての考え方だけだ、それより以上のものではない、ここは誤解のないように願いたい。
 そこで、ただいま日韓交渉を日本が進めている。これについては黒田さんは黒田さんなりの理由で日韓の国交を正常化することは賛成だと言われるが、私はただいま言われるような意味合いから申すのではなくて、隣同士仲よくするということは、これはもう自然のことなんだ、ここでしいて理屈を言う必要はないのだ、だから、これはもう、理屈を言えば、過去歴史的にもまた文化的にもあるいはいろいろな関係ございましょうけれども、そういうことを言うよりも、隣同士が仲よくする、これがもう一番わかりいいことだ。だから、そういう意味で、今日の交渉が進むこと、これを非常に喜んでおりますが、その際に、皆さんが言われる――まあ社会党の方が言われるように、南北が統一して、その上で話をしたらいいじゃないか、今日の状況のもとにおいてやることはその時期を得ておらない、こういう御意見でございますが、私は必ずしもそうは思わないので、ただいま申し上げるように、隣同士が仲よくするということと、また、今日大韓民国というのはどういう地位にあるのか、国際的地位はどういうようになっておるのか、これは国連においていわゆる国連方式というものが考えられ、そうして、国連においては、大韓民国、これが国際社会においては多数の国がこれを承認しておる、そういう形において、また将来もその統一については国連方式を考えておる今日において、私は、大韓民国と話を進めていくことは、別にいわゆる南北統一をはばむものだとか、こういうことにはならない、かように思うのでありまして、ただいま、立論は違っておりますが結論としての同一な点、まあそれも私どもの理由を明らかにして、そうして結論は御賛成のようですが、そういうように考えます。ただ、いま申すように、南北が統一ができてない現状、これはまことに民族としては不幸だ、かように思いますから、これはしばしば申し上げておるように、南北が統一されて同一国家になること、単一国家になる、これは心から望みますが、それがいわゆる国連方式というもので片づくか片づかないか。これは私どもが支持しておる。その立場においてこの問題を見ておる。したがって、ややその点も社会党の皆さんとは考え方が違っておる、かように思います。
○黒田委員 総理の御見解に対しまして一々反駁したいと思うことを申し上げておりますと時間が足りませんので、申しません。しかし、一つ二つだけ申し上げておきます。
 私は、佐藤内閣は口で言うことと実際とは違うと申し上げましたが、これは私だけでなくて、いまや世間の定評になりつつあるようであります。いま最もそのよき例があらわれました。隣同士は仲よくしなければならぬとおっしゃるなら、中国大陸となぜ仲よくされないのですか。総理の仲よくするというのは、アメリカとの話し合いのもとで一方の勢力とは仲よくするけれども、アメリカが排斥しておる勢力とは相変らず対立を続けていく、これが現実じゃないですか。だから、隣なら仲よくするという理論は実践されていませんよ。これだけ申し上げておきます。これははっきりしておる、言うことと実際との違いが。それから、日米安全保障条約があったから日本の平和が守れたのだ、こうおっしゃる。そうじゃない。アメリカが相手として挑発をかけるその国が、かたく平和政策を守ってアメリカの戦争政策の挑発に乗らない。この力が今日まで平和を維持した力である。これは現在の南ベトナムにおけるアメリカのあの残虐な攻撃とそれに対する中国やソ連のいままでじっと忍んできておりましたその態度を見ただけでもわかると思う。日本の平和を維持したのは世界の平和勢力の力です。何も安保条約があったから平和が維持されたとは私どもは考えません。これもこれだけ簡単に申し上げておきまして、次に進みます。
 日韓会談の問題についての私どもの主張は、先ほど申しましたように一貫しております。ただ、それを最近の新しいできごとと結びつけて、私はきょう二、三御質問申し上げてみたいと思います。今日、日韓問題について論ずるにあたりまして、政府が交渉の相手としております韓国政府のベトナム問題に対する態度を無視して日韓会談の問題を論ずることはできない、そういう深い関係が両者の間にある、われわれはそう考えております。ベトナム問題における朴政権の態度と日韓問題とは無関係ではない、私どもはこういうように考えております。そこで、質問いたしますが、これは報ぜられるところでありますから、お認めになるかどうかわかりませんが、総理は、ことしの
 一月にアメリカを訪問されましたときに、むろんジョンソン大統領と会談をなさいました。その会談のときに総理は、ジョンソン大統領に対して、韓国の朴政権が南ベトナムに軍隊を派遣することを支持する旨を表明されたということが伝わっております。これは、ことしの一月十九日に韓国の国会におきまして、外務委員会と国防委員会との連合委員会が開かれましたときに、その連合委員会の席上で李東元外務部長官がこういう話をして、自分らのベトナム派兵についてはいわゆる自由諸国も賛成してくれておるのだと言い、その一例として佐藤総理の話を出したのだそうであります。こういうことがあったかどうか、一応念のために聞いておきます。
○佐藤内閣総理大臣 全然ありませんですが、当時はベトナム問題がいまのように熾烈になっておらぬときですね。ただいま言われるような問題、韓国の問題を第一ワシントンで話をしておりませんが、ましてや、ただいまのような突っ込んだ話は出ておりません。時間的に見てもそういうことのないことは御了承をいただけるのではないかと思います。
○黒田委員 そこで、総理にお尋ねしますが、朴政権はアメリカの要請に応じまして現実に二千人の軍隊を南ベトナムに派遣しております。これは事実であります。さらに、伝えるところによりますと、二個師団を増加派遣しようという考えを朴政権下の総理大臣が持っておるというようなことも報ぜられております。それはともかくといたしまして、現実にすでに二千人の軍隊を南ベトナムに派遣しておる。総理は朴政権を相手にいま日韓会談を進めておられるのでありますから、そこで、朴政権の性格を明らかにすることは非常に重要なことである。派兵問題はベトナムだけに関する問題であるかのように思われますが、単にベトナムだけの問題ではない、そう考えていま御質問申し上げておるのであります。これは現実に起こっておることでありますから、否定することはできない。朴政権がこういう南ベトナムへの二千人の軍隊の派遣というようなことをやった。これは一体正当な行為であるとお考えになりますかどうですか。交渉の相手方がやることですから、やはり総理大臣として一定の御見解は持たれておってしかるべきだと私は思います。人ごとではない。これを御質問申し上げます。
○佐藤内閣総理大臣 どうも外国の事柄を一国の責任のある地位にある総理がとやかく言うのはいかがでしょうか。私は、慎んでおりたい、かように思います。
○黒田委員 私はそれは一つの逃げ手の方法だと思います。私は無責任だと思います。それが南米のどこかの国のことなら別問題でありますが、日本がこれからかたく手を握ろうとする当の相手の政権の性格は、私どもは十分に知っておかなければならない。日本の総理大臣はそれを知っておられなければならない。しかもこれは国際的に非常に重要な問題であります、朴政権の行動は。これに対し政府はしかるべき批判を持ち、しかもこれを率直に表明さるべきであると思います。しかし、いま総理は逃げられました。私はこれ以上は申しません。
  〔発言する者多し〕
○安藤委員長 御静粛に願います。
○黒田委員 そこで、多少私の意見をつけ加えてみましょう。朴政権は一体どんな国際法上ないし条約上の根拠があって南ベトナム政府援助のために派兵したのであるかということが問題であると思う。何もないのです。これは韓国人自身の中でも有力な人々がそう言っておる。ただアメリカ政府との利害の関係上、アメリカ政府の絶対命令に従ったという以外に何の理由もないのです。こういうことが平気で行なわれている。こういうことを平気でやっておるのが日韓会談における相手の政権であるということをわれわれは考えなければならない一われわれ日本人としてこのことを気にしなくてもいいのでしょうか。私は心配する。そのことをよく知っておかなければならない。一体派兵によってもたらされるものは何でありましょうか。ベトナムの内政に干渉する、そういう方法によってあの悲惨なベトナムの悲劇をさらに助長させる。アメリカのいま行なっております南北ベトナムに対する残虐な戦争政策に追随して、アジア人である韓国の青年を同じアジア人であるベトナム人と戦わせよう、こういうことを朴政権は平気でやるのです。こういうやりかたによって、平和をかちとるためではなくて、逆に緊張激化に力をかしておるというのが朴政権のやり方じゃありませんか。アメリカの北ベトナム連続爆撃と毒ガスの使用によりまして、いまベトナムの情勢は国際的な紛争に向かってまさに一触即発の状態にあるということは御承知のとおりと思います。これは私ども非常に心配しておる。万一のことがあったならば、南ベトナムヘの派兵によって韓国は直ちにそういう国際紛争に巻き込まれる。その責任ある勢力の一部として朴政権は責任を問われるべきものです。その際、わが国が日韓会談を通じて韓国との結びつきを強化しておるならば、わが国も直ちにこういう重大な危機に巻き込まれる。(「そんなことない」と呼ぶ者あり)そういうことを考えない日本の政治家がありましょうか。そういう人に限って、この前の戦争のときに賛成した連中です。いまのような状態のもとで、戦争の心配はないんだというような、そういうことを、政治家として、保守、革新にかかわらず、軽卒に言えるでありましょうか。私どもは心配しておる。そういう心配を引き起こすようなことを朴政権はやっておる。このようなことをやる朴政権は危険な軍事的冒険者ではありませんか。彼と手を結んだら一体何をやられるかわからぬ。そういう相手です。総理は、このような冒険的な軍事政権と手を握って、わが国の安全にそれが役に立つ、わが国の平和に役に立つとお思いになりますか。逆に、こういうものと手を握るということは日本に危険をもたらすだけである、私どもはそう考える。こういう意味で、朴政権と手を握ろうとされる佐藤内閣はまたも大きな誤りをおかそうとしているのだ。それを私どもは指摘せざるを得ない。これはどうです。
○佐藤内閣総理大臣 私は、議論がいかように発展しようとも、憲法のあることを忘れてはおりません。だから、黒田さんまさかお忘れになったわけでもないだろうが、そういうような、日本が戦争に引き込まれるとか、そういうのはよほどどうかしていらしゃるのじゃないですか。また、私は、ベトナム問題につきまして、戦火の拡大しないようにということをしばしば申し上げております。また、そういう意味で私どもが努力できるならばということを申し上げ、また、国際平静に帰するようにいたしたい。これはもちろん、この国会においてその態度を声明しておるということが、これはあらゆる面に対しまして私どもの動かない態度でありますから、そういう意味においてこれは明らかだ。また、ただいま言われることは、何だか日本の性格、それがいつの間にか他に変わっているような、そういうようにとられるように思います。そういう点、御承知のことだとは思いますが、議論の進め方からそうなったのだろうとは思いますけれども、私どもは平和憲法を守る、そのもとにおいてまた平和に徹する、そのもとにおいて戦争にみずから入るというようなことは絶対にない、かように申し上げておきます。
○黒田委員 それでは、相手の韓国の危険な政策についてもう少し申し上げてみましょう。
 いま申しましたように、南ベトナムに派兵を決定し、かつこれを実行しておる、さらに将来これを増強しようとしておるということは申しました。最近その政治的動向といたしまして、朴政権はアジアにおいて反共同盟を結成しようということに熱中しております。朴政権のこういう動きの背後にむろんアメリカがあるということは言うまでもない。いまアメリカは絶望的な残虚性をもって戦争政策を遂行しておりますが、そういう行動に出れば出るほどアメリカのアジアにおける勢力は後退する。後退しつつある。アメリカは孤立しつつある。少なくともヨーロッパでは、多少気のきいた国でアメリカの現在のような政策に賛成しておる国がありますか。賛成しておるというのは、国民党政府であり、韓国の朴政権であり、あるいは、あとから申しますが、日本も多少の援助をアメリカの要請に従うて南ベトナムに対してしております。そこで、アメリカは、気のきいた国はもう自分の行動に賛成するものがない、ますます孤立する状態になってきておる、そこで、韓国とか、あるいは蒋介石政権とか、日本の、具体的に言えば佐藤内閣とかというような勢力を糾合して、はっきり申しますが、反共国家間の同盟なり団結というようなものをつくろうとしておるのであります。こういうアメリカの意図にそのまま動かされて行動しておるのが朴政権である。こういう韓国政府とわが国が今度密接な関係を樹立しようというのでありますけれども、アメリカの指導するアジアの反共軍事体制に、すなわち朴政権の企てているそういう同盟に日本も参加していくということになれば、ますますアジアの反共軍事体制に日本も深く引き込まれることになるのでありまして、これは火を見るよりも明らかであります。アメリカはこういう意図をもって日韓会談を進めてきた。佐藤総理は、自分は自主的にやっておるのだということをおっしゃいますけれども、世間が見て、日韓会談の推進力として両国の背後にアメリカの大きな力が動いていないと考えるような者は一人もありません。みんなそう考えておる。アメリカ自身がこういう意図をもってそういう反共同盟をアジアにおいてつくろう。それに朴政権が一生懸命に狂奔しておる。そういうものの中に、日韓会談が妥結するということになると、わが国も引きずり込まれてしまうことになる。必ずそういうことになる。だから、こういう危険を避けなければならない。こういう考へ方におきまして、私ども社会党は、こういうものに巻き込まれないようにという意味におきまして、日韓会談の妥結に反対をしております。これについてのお考えを一応聞いておきましょう。
○佐藤内閣総理大臣 韓国と仲よくしたら日本は反共同盟のほうへいくだろう、そういうことを非常に御心配のようです。また、アメリカと仲よくすれば共産主義の国とは一切つき合わぬだろう、こういうように御心配のようですが、御承知のように、日本はソ連とも仲よくつき合っておりますし、また、このソ連との関係を変更するような考えは、ただいま毛頭持っておりません。また、条約はございませんが、条約はなくても、中共とは政経分離の形において交渉を持つ、接触を持つ、こういうことを言っている。これは条約はございませんけれども、そういう形でございます。ただいま韓国と日韓交渉ができたからといって、この関係は私のほうで乱らないということを、はっきり申し上げておきます。
○黒田委員 私はただいまの総理の御弁解を容易に信ずることはできません。
 そこで、一つ実例をあげてみたいと思う。それは次のような事実があったのです。先般椎名外務大臣が韓国を訪問されましたときに、四月ごろに韓国のソウルで東南アジア、西太平洋のいわゆる反共の八カ国の外務大臣会議を開くという意図を韓国は持っておる、これに対し椎名外務大臣は参加する意思を表明せられた、こういうふうに伝わっておるのであります。こういうことが、私どもが先ほど申しましたような方向へ日本の政府が引き込まれていく、これもまた一つの過程になる、そういう懸念を持っております。一体こういうことを、きょうは外務大臣は出席しておいでになりませんが、しかし、これはおそらく椎名外務大臣のことでありますから言われたろうと思います。そのくらいのことは言う人です。椎名大臣の言としてふしぎには思いません。こういうような、朴政権の意図する反共同盟に賛成するというようにとられることを外務大臣が表明せられておる。これは、外務大臣は出席しておられませんが、総理大臣はどういうようにお考えになりますか。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまの点がまだ非常に不明確なようなお尋ねでございますが、椎名外務大臣は、参議院の予算委員会においてその点についてはっきり答えております。さような会議に出席する考えは毛頭ないということをはっきり申しております。だから、これはもう、参議院ではございますが、衆議院の皆様も韓国問題に非常に熱心だから御存じのはずかと思っていたのですが、ただいまのようなお尋ねがありますので、私が重ねてはっきり申し上げておきます。
○黒田委員 私が尋ねておるのは総理大臣にです。椎名外務大臣はこういうことを言われたが、一体総理大臣としてこういうことに賛成されるのかどうかということを聞いたのです。だから、かりに椎名外務大臣が行こうと言われても、おそらく総理は、そういうことをやっちゃいけない、こういうように言っておとめになるだろうと思いますが、その総理の御意見を私はきょう聞きたかった。はっきり言ってください。
○佐藤内閣総理大臣 総理大臣と外務大臣と考えが二途に出ておりません。だから、外務大臣が申しますように、その会議に参加する考えはない、かように申しております。総理もそのとおり考えております。
○安藤委員長 黒田さんに申し上げますが、あなたのあと石野さんもお控えになっておるし、穂積さんも関連質問ということで、あとお約束の時間は十分しかございませんから、ひとつ御簡潔にお願いします。
○黒田委員 ちょっとまだ私の質問は三つばかり残っておる。多少総理のお時間を延ばしていただけませんか。
○安藤委員長 このあと石炭対策のほうへおいでになるので、いま石炭対策の委員長から約束を守ってくれという督促が厳重にまいっておりますので……。
○黒田委員 私の質問が少し残ると思いますが、もう一つだけ簡単に御質問します。
 これは先ほど触れましたが、私どもの日韓会談に対する対処のしかたを、もう少し申し上げてみたいと思います。先ほど申し上げましたように、むろん朝鮮自身との国交回復は当然やらなければならぬことです。しかし、これも原則として全朝鮮民族を代表する政府との間でやるべきだ。しかしながら、現実は二つ政権がある。これを私ども認めないわけにはいかない。そこで、問題は、いますぐ先ほども申しましたように統一ができないにしても、われわれ日本人としての態度は、その対立を緩和させる、統一へ進む方向で努力する、そういう態度でなければならないので、分裂を深めるような政策を断じてとってはならぬ。そこが私どもと政府の考え方と申しましょうか、行き方の非常な違いだ。私は先ほどから会談には相手があることですから、その相手の朴政権の性格を追及しているのですが、御承知のように、朴政権は、その出現の事情から見ましても、彼は南北分裂の元凶ではありませんか。せっかく学生が多少の思想の自由なり行動の自由を得て統一運動を始めようとしたときに、軍事クーデターを起こし、統一論者というだけで多くの言論人を死刑に処した。そういう人物です。こういうものを相手にして南の政権とだけ密接な関係に入れば、どんなに弁解しても、朝鮮民族の分割の状態を恒久化することになる。そういう悪影響が出てくるのです。国内の緊張緩和の方向へではなくて、むしろ両者の対立を激化させる。今度は日本が朴政権のそういうやり方に力を添えることになる。そういうことになってくると、ますます将来北のほうの側の政府との交渉というものが非常にやりにくくなる。そういう状態がいま起ころうとしておる。かつて台湾政権を承認して、それがいま対中国政策の非常に大きなデッドロックになっておると私は思いますけれども、いまのような朴政権を相手に、南北分断論者、武力をもってする統一運動弾圧政権のもとにあるその政府とここで日韓会談を結ぶということになれば、私が申しましたような、われわれが正しいと思う朝鮮政策とは全く逆な傾向が出てくる。それを佐藤内閣はやろうとしておる、そう私どもは考えないわけにいかないのです。一体政府は、ちょっと聞いておきますが、韓国に二つの政権があるということはお認めだろうと思います。これは前の委員会で穂積君が基本条約第三条の問題につきまして執拗に、現在の大韓民国政府なるものの支配と管轄の範囲について追及しました。基本条約第三条は、しろうとが見ますと、大韓民国政府が朝鮮半島の唯一の合法政府だ、途中の文章を抜くとそのように見られますけれども、その間に入っておる国連総会の決議、この文章を読めば、世間に誤解させてきておりますような、朝鮮半島全体の支配権と管理権を持つ大韓民国政府があるというのではないということ、それが第三条にあらわれていると思います。そういう意味で、合法的と見るものと、まだ日本が承認していないものということ、これは別問題でございますけれども、現実に二つの政権があるということはお認めになるのだろう。そうすれば、一体北のほうの政府との国交正常化ということについてどのようにお考えになっておるかということを承っておきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 この基本条約案についてそこまで議論が進まれたならばよくおわかりだと思いますが、私ども、ただいま大韓民国と交渉いたしておりますが、大韓民国の施政権が及んでないところ、これは考えておりません。及んでいる範囲において話を進めておる、かように御了承いただきたいと思います。
○黒田委員 たとえば請求権の問題というようなものは、これは本来全体の朝鮮を相手に考えるべき性格の問題なんです。漁業問題というのは、これは韓国相手だけでよろしい。これは私ども本来の日韓基本条約の問題じゃないと思う。しかし、たとえば請求権の問題というのは南北を通じての問題ですから、いまかりに南半分とだけその問題を解決したとしても、北については残るわけだ。これは非常にむずかしい問題で、どういう計算をするかということも非常にむずかしい問題ですけれども、とにかく未解決の部分が残るわけですね。だから、どうしても日本としては北を相手にしなければ朝鮮との国交正常化というものは全うされないということになります。そこをどうやっていこうとされるか、その点をもう少しはっきりと聞かしておいてもらいたい。ただ別に政権があるということを認めるというだけでなくて、具体的に正常化の方法を聞きたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 北の問題が残ることは、これはもう私どもそういうように思っておりますが、南北統一の点については、いわゆる国連方式なるものがございます。私どもは国連方式なるものに賛成しておる。ただいまの大韓民国もそのいわゆる国連方式なるものを支持しておる。北はそれを支持していない。こういう違いがありますから、そこで、いろいろの生ずるであろう事態についての取り扱い等についていろいろな議論が出てくる。これはどうもやむを得ない状況のように思います。しかし、私は、いま大韓民国と進めることが、ただいま申し上げるように、国連方式というその立場において、民族の統一をはかって、そして単一国家の誕生を心から願っておる、こういうことには変わりはないのでございますから、その点に誤解のないように願っておきたい。いわゆる大韓民国と話をしたことは南北統一をはばむものだ、こうきめつけられないように願いたいのです。これは政府の立場ですから御賛成はいただけないかもわかりませんが、私どもは心からそれを希望しておるということをつけ加えておきます。
○黒田委員 将来は北とも……。
○佐藤内閣総理大臣 将来は、ただいま申し上げるように、国連方式というものがございますから、それで南北統一をはばむという考え方ではない、単一民族になることを心から願っておる、こういうことを申し上げたわけです。
○黒田委員 実はまだ三矢問題に関連して追求したいと思っておりましたし、その他いま一問あるのですが、時間がありませんので、きょうはこれで終わります。
○安藤委員長 石野久男君。
 石野さん、もう時間が一ぱいになりましたので、ほんの二、三分でひとつお願いいたします。重ねて穂積さんからも関連質問を求められておるのですから。
○石野委員 いま総理は、国連方式でいろいろな南北の問題を考えるというお話がありました。そういう考え方で基本条約ができておる、こう言うのですが、それでしたら、先ほど黒田先生からもお聞きしております。今度の日韓会談で取りきめられる、たとえば基本条約の仮調印にしましても、請求権の問題にしても、法的地位の問題にしましても、そういうような問題が、もし南北の統一という問題が出たときにはどういうような位置づけを持つものであるかということが一つ。
 それから、もう一つ、もっとはっきりしておきたいことは、今度の基本条約の仮調印の第三条にありますところの国連決議一九五(III)の、「ような」という、この「ような」という意味は、従来池田内閣のもとで限定政権だということをはっきり言ってきておることを何かぼやかすようなふうに聞こえるのですが、そうでなく、これははっきりと、池田内閣時分からしばしば言われておる、韓国は三十八度線の南の限定政権であるということをやはり意味しておるものというふうに理解していいのかどうか、この点はひとつはっきりさしておいていただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまのお尋ねは、条約局長からはっきり御説明させます。(石野委員「いや、これは総理から」と呼ぶ)私はその条約局長の理論をあとではっきり裏書きしますから。
○藤崎政府委員 懸案一括解決の条約・協定類は、すべて現在の大韓民国政府の施政が北方に及ばないことを前提としつつ条文は作成する心組みでございます。したがいまして、その間に、将来南北統一が起こりましても、問題が生ずる余地がないようにいたす所存でございます。
 次に、基本条約第三条に、日本文で「ような」と書いてあることについて、若干あいまいにぼかそうとしているんじゃないかというような御質疑でございましたが、そういう趣旨じゃございませんで、あそこの国連決議に示されているとおりのという趣旨を、要綱ではああいう口語的な表現でいたしただけでございまして、国連決議そのままを受け継いでおると御了解いただいてけっこうでございます。
○石野委員 国連決議そのままということになれば、もう明らかに、池田内閣当時にはっきりと国会で確認しております限定政権である、こういうようにわれわれは理解します。総理、それでよろしいですね。
○藤崎政府委員 限定政権ということばは、国際法上の用語でも何でもございませんので、各人がかってに意味をつけて使えることばだと思いますから、そういうふうにきめつけて言うと誤解を生ずるおそれがありますので、国連決議に示されているとおりのということで、それだけで十分ではないかと考えます。
○石野委員 この点は非常に大事なので、従来しばしば池田内閣のときにはこの限定政権ということばを使われておるわけです。ですから、私は総理にはっきり聞くわけだから、そのことはやはり明確にしていただきたい。同じ自民党の内閣であり、佐藤内閣の前内閣である池田内閣の当時に言われていることが今日の段階であやふやになってしまったのでは日韓会談がおかしくなる。はっきりひとつ総理にお聞きしたい。
○佐藤内閣総理大臣 私は池田内閣のあとを継いでおりますが、ただいまのような御議論がいろいろあるから、今回の基本条約、イニシアルをとったのではっきりしておる、これで明確に書いたはずです。先ほど来私が申し上げておりますように、三十八度線を越して北には施政権は及んでおらない、これが現在の状況でございます。だから、これはもうその点がはっきりしておりますから、今回はもう過去のような議論はないのじゃないか、かように私は思います。
○石野委員 いろいろ同じようなことですから、私は従来国会で政府が答弁している限定政権だというふうにとります。そのような考え方をとりますと、四八年十二月十二日の一九五(III)というこの決議は、その後五〇年十月七日に受け継がれてきておる。一そうしてその後また六三年十二月十三日にも受け継がれてきておるわけです。そういうことを意味して第三条の「ような」ということが出ておるもの、こういうふうに理解してよろしいのですね。
○藤崎政府委員 「ような」ということばとその決議が再確認されていることとは直接関係がございません。しかし、再確認されていることとも事実でございますし、「ような」と、ああいうふうに要綱で訳したことも不正確ではないと考えております。
○石野委員 そうすると、総理、お聞きしますが、先ほどから総理は、国連方式によって、特に佐藤内閣の外交政策というのは自由と平和を求めるところの信念に立っておる、こういうことを言っておるわけです。われわれの理解するところでは、五〇年十月七日の国連決議において――この決議は、御承知のように、マッカーサーが三十八度線を越えて北へ出ていく、国連旗を持って進んでいくことを認めている決議なんです。その(a)項で、「全朝鮮にわたって、安定した状態を確保するためにすべての適当な措置をとること。」を勧告されている決議なんです。これに基づいていわゆる国連軍は国連の旗を持って戦争を拡大していきました。こういう状態の中でいまのこの決議が行なわれているということと。もう一つは、いまの朝鮮は休戦の状態になっていることも事実でございます。現実に国連軍は北の朝鮮との間に交戦状態にありて、今日休戦状態になっている、こういう状態であることも事実であります。そのことを十分認識の上でこの基本条約の第三条というものは書かれておるものと理解してよろしいですね。
○藤崎政府委員 一九五〇年の総会の決議に四八年の決議が再確認されているというのは御指摘のとおりでございますが、それによって一九四八年の決議の内容が影響を受けるわけではないのでございまして、一九六三年に再確認されているのは一九四八年の決議そのものが再確認されておるわけでございます。
○石野委員 時間が非常にないから、まだこの問題はありますけれども……。
 総理にお尋ねしますが、いまの朴政権というのは軍事クーデターのもとにできた政権です。この政権は憲法を改正しました。しかし、この憲法の改正は、クーデターが行なわれたときの公約、いわゆる六条項というものを受けておることを総理はお認めでございますね。
○佐藤内閣総理大臣 何ですか、六条項というのは。
○石野委員 クーデターが行なわれたときには、張都映を先頭として六つの公約を行なっております。そこで、そのことが憲法改正の中に引き継がれてきておるわけです。その第一の条項は、反共を国是の第一義としということになっております。第四項は、民族的宿願である国土統一のために共産主義と対決するということが書かれておるわけです。こういう形でいま韓国がやはりできておるわけです。そのことを前提として、いま政府は日韓会談を進めておる。このことの意味は、結局北進滅共統一ということなんです。ですから、先ほど政府が言っておる朝鮮の統一という問題については、朴政権は北に進んで北の共産主義を滅ぼして、そして統一するということが公約の中に書かれておるわけです。これはやはり是認する形でこの日韓会談は進められておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○佐藤内閣総理大臣 私は、日本の考え方は、先ほども申し上げましたように、相手が共産主義でありましても、ソ連とも仲よくしておるし、また、条約がないけれども中共ともこれで政経分離で接近をしておる。こういうように、その国のあまり主義主張にはとらわれておらない。どこまでも平和に徹していくというその立場ならつき合う。また、ただいま申し上げますように、私どもはどこまでも自由を守る。これは日本国民に対して言うことなんです。日本国民に自由は守りますよということなんです。日本国民の自由は守り、そして平和に徹する、こういうことでございますので、私は、相手の国がどうであろうと――どうであろうというのは行き過ぎでございますが、この相手の国の性格、それはあまりせんさくする筋のものじゃないように思うのでございます。そういう意味で私は隣国との友好関係を続けていく、こういう態度であることを御了承いただきたいと思います。
○安藤委員長 石野さんに申し上げますけれども、時間が超過しておりますから、その一問だけで……。
○石野委員 それじゃ一問。総理にまとめて聞きますから、ひとつメモしておいてください。
 基本条約の第四項は、これは国連憲章の原則を指針とするということで、これは尊重するということを言っておるわけです。国連憲章を尊重するということは、当然のこととして相手国の主義主張はどうであろうと平和に徹するということを言っておられますが、日韓会談を進めていけば、韓国との間に日本は当然やはり友好関係を進めていき、その韓国に起きておることに対して日本は積極的に協力するという体制をとるもの、こういうふうに私は理解するわけです。その点で、特にベトナムに対する問題は、先ほど黒田委員からもいろいろとお尋ねしておりまするように、きわめて重大であります。この日韓会談をわれわれが論ずる場合に、日本の佐藤総理が、いま韓国がベトナム戦線で積極的な協力体制を持っておるということ、このことを無視することは非常に危険だと思うのでございます。私はその点では佐藤総理に真剣にひとつ考えてもらいたいと思います。それから、総理もすでに御承知のように、マクナマラ国防長官は、ことしの二月十八日、米下院軍事委員会においていろいろな報告をしておりますが、その報告のときに、ベトナム戦線についてはこのように言っておる。他の友好諸国に対して援助の規模を拡大するよう励ますべきである、この戦いにいかに大きなものがかけられているかを考えるとき、私は米国のとるべき道はこれ以外にないということ、こういうふうに言っております。こういう段階が、御承知のように、昨年の六月二日の、いわゆるホノルル会議におけるところの段階的東南アジア戦略ということになってきておる。これが現実に北への爆撃になり、やはりガス使用ということにもなっておるわけです。それに対して韓国はすでに二千名の派兵をしております。しかも、その二千名は、アメリカのLST艦によって行なわれておるわけです。このLST艦には日本人が乗り込んで、船長以下みな日本人が乗り込んでおります。こういう形の中で、政府は支持する支持しないにかかわらず、この作戦は完全に日本と韓国とベトナムとの共同作戦になっております。ただいま日本に来ております李東元氏は、アメリカで二個師団の増派ということを記者会見で明確に言っておるわけです。したがって、この二個師団の増派ということになってくれば、当然また日本はこれに関係を持たざるを得なくなるのです。いまや十七度線は三十八度線と緊密に関係しておるわけです。そういうときに、(「独善だ」と呼者ぶあり)独善でも何でもない。これは事実ですから、こういう事実の中で、日本は日韓会談を進め、韓国は北進滅共統一ということを言っております。そうなってまいりますれば、この統一の問題はとてもできるものじゃございませんし、また、それどころか、日本はやはりベトナム戦線の中に巻き込まれていくことも言うまでもありません。私は、もし佐藤総理にして平和に徹し自由に徹するならば、こういう危険なところにいまなぜ好きこのんで進んでいくのか、こういうことを私は尋ねたい。
 韓国ではすでに反対の勢力が盛り上がっております。積極的に日韓会談をやめるべきだということをユン・ポソン氏を先頭にして積極的に盛り上がっておる。それから、もう一つは、在日朝鮮人の中で、従来、北の朝鮮を支持しておる諸君は、これは日韓会談の反対を積極的にやっておりました。しかし、民団側の諸君は、これに対する反対の姿勢をあまり積極的に示していなかったと思うのです。しかし、本年に入りましてから、特に今月の九日、十日、十一日というものは、李東元氏が日本に来たときに、在日大韓民団の学生青年諸君は、大挙して李東元に対していろいろな要求をしており、また日韓会談反対の意思表示をしておるわけでございます。そういうことを総理は知ってか知らないでか、こういう中で日韓会談を急激に進めるということは、上部段階におけるところの話し合いは進めるけれども、いわゆる下部におけるところの朝鮮人民と日本の人民の反対を無視してやることでありまして、百年の計を誤る。私は、総理に、そういう問題についてもっともっと真剣に日本の将来というものを考えてもらいたい、ということが一つ。
 もう一つお聞きします。
○安藤委員長 石野さん、簡潔に願います。いかにも時間が経過し過ぎます。
○石野委員 もう一つ、朝鮮の統一問題について……。
○安藤委員長 各委員会はみな無理をして回しておるのですから、お願いします。
○石野委員 もう二分間。統一の問題につきまして、私はさきに池田総理にも尋ねたことがありました。統一の問題について、朝鮮が南北に分かれておることについては、大東亜戦争の結果としてこういうことになったわけです。この大東亜戦争に朝鮮はみずから進んで参加したんじゃありません。三十六年間の日本の支配のもとにこういうような結果になりました。池田総理はこのとき、ドイツにもそういう形は残っておるんじゃないか、こう言いました。しかし、ドイツは御承知のように戦争の当事国です。しかし、朝鮮は戦争の当事国じゃございません。日本が戦争に突入し、その隷属下にあるという形の中で南北に、いわゆるソ連が入り、南からはアメリカが入ったわけです。日本がほんとうに三十六年間の統治に対する反省を持つならば、この統一の問題については、積極的に道義的責任感においてこれを見るべきである一そうでなければ、統一の問題についての日本人としての朝鮮に対する考え方は明確に出ないんだ、こういうように私は思うんだが、総理はその問題についてどのようにお考えになり、朝鮮の統一問題をどのように考えておられるか。この点を最後にお聞きしておきます。
○佐藤内閣総理大臣 いろいろお尋ねがございますが、ただいま石野さんは、日本がベトナム戦争に共同作戦をしておるときめつけられるが、これは私は、日本人としてお互いにそういうことを言われないほうが国家のためにいいと思う。また、日本人である私どもは共同作戦はしておらない、これだけははっきりしておりますから、ただいまのようにきめつけられないことが望ましいのです。これは私はひとつお願いをしておきます。
 それから、もう一つ、朝鮮と仲よくする、大韓民国と交渉が妥結するということは、大韓民国に積極的に協力するんだ、こういうようにきめつけられますが、協力する面もありましょうし、協力しない面もあるだろう。その協力するという事柄が北進滅共という政策に協力するんだ、かように非常に簡単な単純な結論を出されたが、私は、それは必ずしも、ただいま申し上げるように、そういう事柄があっても、そういう点にはたして協力するかしないか、これから後の問題だ、日本の性格を十分見きわめて、そういうようにやっていっていただきたいのであります。
 したがいまして、ただいま二点についてお答えいたしましたが、さらに第三点、在日韓国人の今日の国内におけるいろいろの運動についていろいろな議論がある、こういうことでございますが、ただいま韓国との間で話ができて、在日韓国人の法的地位等がきまれば、またこういうものに扱い方がきまってまいりますけれども、ただいまの状況は、日本の国内の治安を非常に乱さない限り、ただいまのような状況で韓国人自身、外国人がどういう行動をとっておるか、またその団体がどういう指揮をしておるか、そういうところまでは私どもは入らない、これはどうもしかたがないように思います。(「検挙しているじゃないか」と呼ぶ者あり)それはもちろん、ただいま申し上げるように、治安に直接関係すれば、幾ら外国人であってもそれはほうっておくわけにはいかない。それは当然のことだ、かように思います。
 また、ただいま南北の統一問題についての御議論がございますが、私は、先ほど来もう統一問題についての私の所見は申し上げましたので、これは重ねて申し上げませんが、これは大東亜戦争の結果生じたものではないか、こういう前総理のお話であった、これは私も同じような考え方を持ちます。大東亜戦争の終結が今日までできていないものがある。ドイツにおいてしかり、韓国においてしかり、ベトナムにおいてしかり、さらにまた日本の北方領土においてしかり、こういうことが言われるように思っております。私は、こういう事態が二十年たった今日いまなお残っておることは非常に遺憾千万だという考え方でおります。
○安藤委員長 楢崎弥之助君。
○楢崎委員 日韓漁業の問題について農林大臣にお伺いしたいと思います。
 まず、明日交渉の大綱についてイニシアルが行なわれるという報道が流れておりますが、そういうことなのか、そしてまた、イニシアルをなさる場合の大綱の内容はどういう点を盛られるのか、それをお伺いいたします。
○赤城国務大臣 明日イニシアルをする予定ではございます。そういう予定で事務的に詰めをしておりますが、なかなか詰めがうまくいかぬような点もございます。できるかできないかはまだわかりませんが、予定は明日イニシアルをする予定でございます。
 イニシアルするところの内容、これは、将来漁業協定に盛るべきもの、あるいはまた話し合いによって合意議事録というような形でそれへ盛るべきもの、こういうように分けて事務当局が整理していると思います。その内容はどういうことかということでございます。私どもといたしましては、この協定が李ラインの撤廃を前提としておることと、日本の漁業実績を確保するということをねらいとして漁業交渉を進めてきたのでありますから、そういう点におきまして、第一は、朝鮮半島における専管水域、十二海里の幅の専管水域を直線基線あるいは低潮線からはかってどういうふうにこれをするかということ。それから、その外側に帯状の規制区域を設けます。共同規制区域におきましては両国とも平等公平な立場で魚をとるということに相なるはずでございまするから、そういう意味におきまして、その中における日本の出漁隻数等をきめていくというはずでございます。それから、同時に、取り締まり及び裁判管轄のようなものが、いま行なわれているように一方的に韓国側で行なわれるということは、これは国際法の違反でもございまするし、私どもが認めておらない李ライン内におきましてそういうことをしておるのでございますから、共同規制区域内におきましても、あるいはその外の公海、すなわち専管水域外における取り締まり及び裁判管轄権は旗国主義によって行なうということがイニシアルされると思います。漁業協力資金の問題は、私のほうでは、民間資金という範疇の中での問題でございまするから、これは協定の中には将来入るべきものではないというふうに考えておりますので、あるいは合意議事録の中に入れるか、あるいは合意議事録にも入れないか、共同声明にでも盛るかというような点になっております。
○楢崎委員 そうしますと、明日大綱についてイニシアルをするというその大綱の内容は、李ラインの解消の問題、それから専管水域、直線基線、あるいは共同規制の隻数の問題、あるいは取り締まりの方法等がおもな内容であって、漁業協力関係は漁業協定の中には盛らないだろう、大体そういうお話でございます。
 そこで、まず李ラインの問題については、農林大臣はたびたび、この漁業交渉が成立すれば李ラインは解消する、しかもこの解消については記録にとどめたいということを国会で言明をされておるわけですが、この記録と称するのは、つまり李ライン解消の確認の方法ですが、その記録というのは協定の中なのかあるいは付属文書でか、あるいは合意議事録なのか、どういう文書で記録的にとどめられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
○赤城国務大臣 御承知のように、私のほうでは認めてないものでございまするし、国際法上も不法不当なものでございます。そういう意味におきまして、私のほうでは、もうないもの、こういう前提でございますが、事実上はそういうものがある、こういうことでございますので、この点につきましては、ないものを協定に書くということもおかしいと思います。それから付属文書にもこれはおかしいと思います。そういう意味におきまして、私は、合意議事録の中にそれを確認していきたい、こう考えております。
○楢崎委員 それでは、李ライン解消の問題については合意議事録の中で明確に記録にとどめたいというお話でございますが、私どもは、この李ラインの解消の問題については、従来とも韓国がわが国の態度いかんにかかわらず一方的に国際法を無視してやってまいったわけですから、念には念を入れておかないとだめだと思うわけです。そこで、私は心配をいたしますのは、元来李ラインというのは、最初は大陸だなに対する管轄権の問題、それから魚族資源の問題という性格でありましたが、その後この二つの性格はだんだん変わってまいりました。漁業独占ラインあるいは国防ラインという二つの性格に変わってきた。したがって、漁業のラインとしての李ラインの性格は今度の漁業交渉によって消えるかもしれないが、もう一つの性格の国防ラインあるいは平和ラインとしての性格は韓国としては残るのではなかろうか、これを非常に心配をしておるわけであります。したがって、念には念を入れるために、韓国側でのこの李ラインの国内法であります魚族資源保護法、これがあくまでも生きるということであっては非常にぐあいが悪いわけです。そこで、国際法のほうが国内法より優先するという農林大臣のお考えですが、それでもなお、この合意議事録に基づいて、韓国側のこの魚族資源保護法の内容について、韓国に対し、内政干渉ではないけれども、関連があるからこの点は十分考慮して合意議事録に合わせるように韓国の国内法を整備してもらうように、やはり交渉の過程で確認をしておく必要があるのではなかろうか。この点はどのようにお考えでございますか。
  〔委員長退席、野田(武)委員長代理着席〕
○赤城国務大臣 交渉の過程においてはそういう話をしておりますけれども、これをやめてもらいたいと言っていますが、やめろ、あるいはまたやめる約束ということまで立ち入るのは、これは国際間でどうかと私は考えております。
○楢崎委員 だから心配をするのです。一九五二年以来再三口上書をもってこちらから抗議をやっても、なお韓国としては拿捕をやめなかった。したがって、この問題には念には念を入れておかぬと、また問題が起こります。先ほど言いましたように、李ラインは漁業のラインとしての性格のほかにもう一つ平和ラインという性格があるのですから、今度の漁業交渉で漁業ラインとしての性格は消えるかもしれないが、しかし、平和ラインとしての性格は残るのではなかろうかという危惧があるわけですから、この点は、当然そうなるというわが国だけの確認ではなしに、向こうの国内法もひとつ十分整備してもらいたいという確認がなくては、私は、今後とも問題が残るのではなかろうか、こういうふうに思うわけです。したがって、合意議事録でその李ライン解消の問題を言われるときには、特にその点も念を押しておく必要があろう、これは絶対に必要なことであろう、このように考えるわけです。
○赤城国務大臣 これは、交渉におきまして、向こうが法律を廃止するとかなんとかということは、これは言い切れないと思います。また、日本でも同じだろうと思います。向こうの国会にはかってそうしてやらなければならない問題が、出先だけでそれは言えないと思います。でありますが、いまの御心配のような点もありまするから、国際法は国内法に優先していくということ、それから、先ほど申し上げましたような、事実上の問題としては専管水域だけに裁判権や取り締まり権を行使するのでありますから、そのほかにおきましては行使ができない、こういうことをはっきりさせます。そのほかに逮捕、抑留等はさせない、こういうことでございまするから、それ以上は、これは信義を重んずるよりほかありません。それを違反するようでありますれば、これはこういうものはできないことです。お互いにやらないことです。そういうふうに思います。
○楢崎委員 そこで、私は、韓国側の国内法が生きている以上は、魚族ラインとしてのいろんな規制はこの協定によって韓国側も紳士的にやるかもしれないが、国防問題として、あるいはスパイ問題ともからんで平和ラインとしての性格が残るということであれば、韓国はそういう点に準拠してあるいは臨検等が行なわれるのではなかろうか。漁業問題とは別個の立場で、平和ラインとして、国防問題として韓国はそういうラインを残す、私はこのように心配するわけです。漁業問題としてはこれで解決するかもしれない。したがって、私は、その点について十分からまして確認を得る必要があると思う。再度大臣のお考えを伺いたい。
○赤城国務大臣 逮捕とか抑留をしないという約束がそれまでも含むと思います。しかし、国防上とか何とかいうことで逮捕とか抑留とかするようなことは国際法違反です。これは新たな問題として国際的に問題になる問題だと思います。
○楢崎委員 しからば、もしそういう事態が起こったならば、このような協定は根底から権威を失う。もしそのような事態が起こるならば、一体この協定はどのようになりますか。御破算にするようなお考ですか。
○赤城国務大臣 そういう事態もあり得るかと思います。お互いの協定に違反していろんなことをやるということになれば、またそのときにあらためて考えなければならぬ問題もあろうかと思いますが、協定ができましたらば、お互いに協定を順守すると申しますか、守っていくことが両国の良心的な態度だと思います。
○楢崎委員 それでは、この韓国側の魚族資源保護法のこの問題は、やはり十分話の中に入れてやっていただきたい、私はこのように思うわけです。
 次に、基線の問題でございますが、私は、今度の基線の取り上げ方は、まず国際海洋法的に見まして非常に今後問題を残す、このように思うわけです。そこで、一つ一つ問題を提起してお伺いをしたいわけですが、今度一番問題になりました済州島を頂点とするあの三角形の水域の問題、これは一体国際法的にはどのような性格を持つ水域なのでしょうか。どのように説明なさるおつもりですか。
○赤城国務大臣 国際的に申し上げれば、韓国の半島の出先の南と済州島の間、これは専管水域。韓国側の向こうの島のほうは直線基線に基づいて十二海里をとった線、済州島のほうは低潮線を基点として十二海里の線を引いた線、それと両方合わさりますから、これは私のほうでは専管水域。向こうでは、御承知のように、初めは、内水としようと思いまして、済州島を含んで直線基線を引く。直線基線で内水ということになると、その先に十二海里の専管水域ができるわけであります。でありますから、それは私のほうではとるべき措置ではないということで、国際の先例にしたがいまして、済州島の回りを十二海里とって、向こうの島のところを十二海里とって、これの合わさったものでございますから、この間は専管水域。ただ、いま御指摘のように、そういうふうな専管水域を両方からとっていきましたが、その間に東と西側に三角形の入り組みがございます。その入り組みにつきまして、中に入っておりますので、両国の漁業上の紛争を避けようということで、ここは国際法的には内水とか専管水域とかいうはっきりしたものではございませんが、私のほうも向こうもそう考えていますが、専管水域的なもの――線が十二海里の外にありますから、国際法上の専管水域ではございません。しかし、入り組んでおりますので、その入り組みにおきまして、両方の漁業者などの紛争を避けるために、これを直線である程度結んで漁業専管水域並みに扱う。これは協定上の扱いでございます。
○楢崎委員 そうしますと、いま、くぼみを直した是正の水域は禁漁水域で、それは専管水域並みの扱いをするというお話でございますが、この措置はいつまで続くのですか。
○赤城国務大臣 ここは、当分の間、しばらくの間というような取りきめにしようかと思っております。いずれ専管水域の基線を引くかどうかということをそのところにおきまして韓国側が宣言することがあろうかと思います。永久ということではなくて当分の間、そういうふうにする、こういう話し合いをしているわけであります。
○楢崎委員 当分の間とはどのくらいの間ですか。
○赤城国務大臣 これは、私は、協定ができまして、そう両方の漁業者の紛争などが起こらないというような平和的な形になりますならば、あるいはそういう線を引かなくてもいいのじゃないか、入り組んでおってもいいのじゃないかというようなことがありますから、漁業協定の履行の経過によりましてきめるべきものだと思います。でございますから、もちろんこの協定を何年にするかというようなこともまだきめておりません。ほかとの協定などはたいてい十年ということになっていますが、その協定の範囲内において、この実行の経過を見まして、それから向こうの国内情勢にもよろうと思いますが、しかし、期限はその協定の期限の範囲内においてしばらくの間、こういうことだと思います。
○楢崎委員 たいへん私はあいまいであると思うのです。そうすると、ただいまの説明では、済州島と半島内部の間の海域については、基線問題は、はっきり言って全然片づいてないわけですか。
○赤城国務大臣 基線問題は話し合いはついているのです、専管水域としての線はずっとあるのですから。ついてないところは、その入り組みの三角のところであります。
○楢崎委員 そうしますと、この禁漁水域の処理については、当分の間だけれども、その当分の間というのはいまから先この協定がどのように行なわれていくかというその見合いによって考える、こうおっしゃいますけれども、私はこれではたいへん問題を残すと思うのです。そうしますと、いまのお答えでは、この協定の期限をどのくらいにするかというのは全然試案はないでございますか。協定の期限について大臣が考えている、日本側が考えている大体の期間というものはどういうものなのですか。
○赤城国務大臣 これはよくまだ詰めてありませんが、私、七年か十年か、ほかの例は十年でございますけれども、そういうようなことで詰めていきたいと思います。
○野田(武)委員長代理 関連質問の要求がございます。これを許します。野原君。
○野原(覺)委員 いま楢崎委員が農林大臣に質問をして、農林大臣の御答弁を承っておるのですが、私ここで非常に大きな疑問を感じてきたのです。楢崎委員は最初李ラインの撤廃についてお尋ねをしました。これに対して農林大臣は、李ラインの撤廃については合意議事録に記載をされます、こういうお答えがあったわけです。そこで、私が疑問に思いますのは、合意議事録というものは、日韓漁業協定の合意議事録であろうと思う。あるいは日韓会談の一括解決にしても、いずれにしても今度の交渉妥結に伴って作成される合意議事録ではないかと思うのです。そうなってまいりますと、合意議事録には有効期限が当然あるわけです。永久にこの合意議事録が生きていくということはあり得ない。こうなってまいると、李ラインの撤廃というものは、漁業協定が妥結をしてその有効期間が五年であるのか十年であるのか三年であるのか知りませんが、その期間だけの李ラインの撤廃は韓国も保障するけれども、その期間が過ぎたならばまたもとに戻る、この疑問が、これは国民のだれにもあろうと思うのです。これはどうなっておりますか。永久に李ラインの撤廃を韓国は応諾しておるのですか。この点は明確に御答弁願いたい。
○赤城国務大臣 李ラインというものは、国際法上も認められていないし、日本側から見ても、ないものでございます。ないものでございますが、事実上そういうものが存在しておるということでございますから、私どものほうで事実を抹殺すればいい。だから、これは条約の期限が来たらまた復活する、そういうばかげたことはございません。永久にもうこれはなくなるのがあまりまえで、ないものなのですから、その事実をないということにしておくのですから、あとで復活するのは別でございますが、しかし、これは決して期限が過ぎたら復活すべきものだというような約束ではないのはもう御承知だと思いますが、そういうつもりでございます。
○野原(覺)委員 そういたしますると、あなたがどう解釈しようとも――あなた方は、李ラインは国際法違反だと言う。私どももそう思ってきた。日本の主張はそうであった。ところが、実際は、李ラインにおける侵犯漁船は拿捕され、船員は抑留されてきておるのです。この問題は、昭和二十二年以来ずっと今日まで約二十年、この韓国の海賊行為が繰り返されてきておる。国際法違反が繰り返されてきておるのです。そこで問題が起こっておるわけです。そこで、お尋ねします。これは国際法違反だからこんなものに期限つきなんかあり得ない、理論の上ではそうでしょう、しかし、実際は、その期限が切れたら韓国がまた、もとの李ラインは有効だ、そこから入ってくる漁船は拿捕する、これはあり得ないとは言えませんよ、今日までやってきた韓国のことから言って。そこで、この問題はやはり漁業交渉の上で私は明確にしてもらわなければならぬと思う。当然されておると思う。あなた方はこの疑問に対して韓国に打診をされたはずだ。これに対して韓国は、これは国際法違反でございますから、合意議事録には書きます。この書いたことは期限つきのものではございません、永久に撤廃されるものでありますという答弁がございましたか、これをお聞きしておきたい。
○赤城国務大臣 これは、国際法上ないものが事実上あるから、それをなくするということで、逮捕とか抑留とか拿捕とか、こういう――ことは公海上においてしないという約束ですから、もとに戻って――これは国際的な秩序にもとるのですから、当然その秩序は国際的にもまた韓国としても順守するということに私は相なると思います。
○野原(覺)委員 あなたは、ごまかしたらいけませんよ。大事な問題ですよ。国際法違反を認めた上で合意議事録に記載されるわけですか。韓国は明確に、李ラインは国際法違反だという、これを認めたのですか。認めて記載されるのですか。これを聞いておきたい。
○赤城国務大臣 だから、拿捕、監禁、抑留をしないということは、国際法に違反しないということを認めることです。
○野原(覺)委員 そうじゃない。国際法違反であった、従来の拿捕、監禁、抑留は国際法違反でございましたと、こう認めたわけですね。これははっきり言ってください。あなたは日本の農林大臣だよ。あなたは韓国の農林大臣じゃないのだ。日本の立場に立ってお答え願いたい。これは国際法違反だということを車農林部長官が認めたんですね。これは大事な点です。
○赤城国務大臣 認めておるから、私の要求に応じて、公海において拿捕、監禁、抑留はしない、こういうことを約束するわけです。
○野原(覺)委員 これではっきりしました。国際法違反であるということを韓国は認めた。だとすれば、私はあとで、時間がかかりますから、きょうは外務大臣に質問に立ちます。車農林部長官が重大な発言をしているのです。けさの朝日新聞に載っておるのです。それは、李ライン侵犯拿捕の補償の日本側の要求に対してあなたはどう思うかという記者の問いに対して、車農林部長官は憤然として色をなして、そういう補償を要求する日本はけしからぬ、そういうことを日本が言うならば、おれの沿岸から魚をとっていったこの補償をおれは要求するのだといきまいている。あなたの答弁と重大な食い違いだ。しかし、この外務委員会において、公開の場において明確に日本の農林大臣は、韓国の車農林部長官がはっきり国際法違反だと認めた、これを言明されたのですから、私は車の意見よりも赤城農林大臣の答弁を信用したいと思います。
  これで私は一応終わります。
○赤城国務大臣 車大臣が認めたと、はっきり認めたと向こうで言ったということを私は申し上げているわけではありません。公海におきましては、拿捕あるいは抑留、監禁等をしないと、こういう約束をしたのには、いままでのものは国際法違反であったということでなければなるまい、こういうことです。
○野原(覺)委員 こうなってまいりますと、私は関連質問を簡単にやめられない。あなたは、国際法違反であることを認めたと言った。ところが、事の反響の大きくなるのをおそれて、今度は明らかに食言ですよ。食言ですよ、これは。あなたは二枚舌を使ってもらいたくないのですよ。とんでもないことですよ。あなたは、それじゃ、国際法違反であることを認めたかどうかは、あなたの一方的な解釈でそう言っておるわけですか。韓国は国際法違反であることは認めてないのですか。これは速記を調べますよ。だから、この問題は農林大臣の重大な食言。これは後ほど速記を調べた上で外務大臣に質問いたしますから、あなたはそのとき来てもらいたい。これは重大な問題です。あなたは日本の農林大臣じゃないですよ、そういう答弁をするようでは。
○赤城国務大臣 私は、日本人の立場で、日本の農林大臣として真実を申し上げているわけであります。ですから、食言でも何でもございません。向こうが公海において拿捕とか監禁とか抑留とか、こういうことをしない、こういう約束ですから、だから、いままでしていたことは、これは国際法の違反であるという裏づけになると思うと、当然そうでなければ、公海において拿捕、監禁、抑留などをしないという約束はできないのでありますから、私はそういうふうに申し上げたわけであります。
○野田(武)委員長代理 まだやりますか。野原君、簡単にやってください。
○野原(覺)委員 簡単にやりますよ。変わった答弁をやるから私は質問するのです。拿捕しないという約束、この約束は韓国は永久に守るということですか。この点は大事ですよ。あなたは、国際法違反だ、こう言っているのだ。拿捕しないというこの約束は韓国としては永久に守るということを言いましたか、いかがです。
○赤城国務大臣 私は、当然守る、公海においては拿捕、監禁、抑留等はしないということは、もう永久といいますか、当然だと思います。
○野原(覺)委員 当然守らなければならない国際法を今日まで守っていなかったのです。だからして、今度の約束でも、これは合意議事録に書いておる漁業協定の有効期間だけだ。何年かたてば必ずもとに戻る。日本はとんでもない目にあいます。これは、あなたが日本の立場で、日本の国民の利益の立場で交渉していない証拠です。どこかの国からそそのかされてやっておるのでしょう。この問題は重大ですから、後刻外務大臣の質問の際はぜひあなたは御出席願いたい。関連ですから、一応これで終わっておきます。
○楢崎委員 ただいまの禁漁水域の問題に返ります。適当な期間で再びこの問題を取り上げるということでございますが、取り上げたときに、これを国際海洋法の精神に合うようにこういう禁漁区というものはもうやめるというようなことになれば、協定はそのときにまた変わるわけですね。――それでは、いま済州島と半島南部の間の基線問題は片づいたとおっしゃいますが、私はこの点で日本側は非常な例外をつくったと思うのです。御承知のとおり、領海及び接続水域に関する条約、これはまだ成立しておりませんが、しかし、これでは原則は低潮線なんですね。そして直線基線というのは例外なんです。そこで、直線基線を引く場合にはどういうことが言われておるかというと、これは第四条でございますが、沿岸線が深く出入しており、もしくは切り込んでおり、または沿岸に沿って至近の水域内に島の外辺がある場合。この至近というのは大臣はどのようにお考えですか。
○赤城国務大臣 至近というのは、至って近いところ、こういうことで、図面の上から、実地の上からその島をはかってみるわけです。ですから、いまの話は、入り組みの場合は、例外というか、別の問題でございます。直線基線を引くということで、韓国の東側と南側へ両方話し合ってずっと直線基線を引いたわけです。いまのお話のように湾入しているようなところもありますし、島嶼が相当複雑にたくさんあるというところもございますから、
  〔野田(武)委員長代理退席、委員長着席〕
至近の距離におきまして、もうあなたは御承知のはずなんですが、韓国の東側と南側には直線基線でやった。これは低潮線の例外でございます。そういうわけで、あそこに直線基線を引いて、それから外十二海里を専管水域をとった。それから、済州島は原則に戻って低潮線から十二海里をとった。だから、これが二つ結びついて東西に三角の入り組みができた。そこはお互いの話の上で線を引いたというので、これは直線基線を引いたということではございません。−話し合いの線を引いて専管水域内並みに扱おうじゃないかということにいたすわけでございますから、この線は直線基線とは別なのは万々御承知で質問していると思うのですが、まあそういうことでございます。
○楢崎委員 至近、至って近いというのは、そういうあいまいなことじゃないです。冗談言ったらいかぬです。望遠鏡で見なければわからぬようなところは至近じゃないですよ。当然肉眼で人家なんかが見えるところが至近ですよ。そうすると、半島の南部のあの直線基線の引き方は間違いです。そこで、まず間違いをおかしておりながら、そしてしかもなおくぼみのところでまた禁漁水域を設ける、二重に国際法を非常に逸脱した妥協をここにしていると私は思うのです。このような基線の引き方は、われわれは認められません。これは至近の距離じゃない。まずそれが第一点です。
 それから、機会あるごとに申しておりましたアウターゾーンの入り会い権の問題はどうなったのですか。つまり、領海の外の、十二海里マイナス領海のアウターゾーンの入り会い権の問題はどうなっているのですか。
○赤城国務大臣 御承知のように、領海はその国で宣言するわけでございます。三海里にするか、六海里にするかという点につきまして、まだ韓国側の態度がきまりませんので、したがいまして、俗に言えばアウターシックス、六海里とすればアウターシックスというものに対しての幅がきまっておりません。しかし、外側における入漁権といいますか、入り会い権というものは、当然権利は留保していることになるわけでございます。
○楢崎委員 そうすると、いま行なわれておる漁業交渉では、これは全然問題になっていないのですか。この問題を出しているのですか。
○赤城国務大臣 出してはおりますが、領海の幅を向こうの国できめませんから、アウターシックスになるか、アウター九つになるか、そういう点がまだきまっておりません。
○楢崎委員 そうすると、領海の幅がきまれば入り会い権があるという了解のもとに話を進めているのですか。領海がきまれば当然そのアウターゾーンは入り会い権があるという了解で確認して進めておるのですか。
○赤城国務大臣 当然領海がきまればそういうふうになるという話で進めております。
○楢崎委員 確認しておきますが、韓国側もそれを了承しておりますか。領海がきまったら入り会い権はあるということを韓国側も了解していますか。いまの話では了解し合っていると言っているのですから。
○赤城国務大臣 権利はあるというふうに私どもは言っております。しかし、十二海里全体を専管水域として見ていく、こういうことでありますので、その点は確認していません。
○楢崎委員 それは重大なミスではないですか。その点も私は国際法の無視だと言うのです。たとえば一九五九年のイギリス・デンマークの暫定漁業協定でも、十年間を限ってアウターゾーンに入り会い権を認めておる。あるいは一九六〇年のイギリスとノルウェーの漁業条約でも、十年間入り会い権を認めております。当然これは入り会い権を問題にしなければいかぬ。昨年の井手委員の質問に対しても、あなたはやると言っているでしょう。私のその後の質問でも、あなたはそれを約束しているのです。どうなっていますか。
○赤城国務大臣 私どもも、権利はある、それから、まだそれを留保していますけれども、向こうが領海をきめてきませんから、十二海里全体を専管水域ということで、その話は詰めません。
○楢崎委員 だから、ごまかしがあるのです。これは全然権利を放棄しているじゃないですか。領海がきまらぬから入り会い権がまだ論議されない、そういう話ではいかぬですよ。領海がきまれば入り会い権は当然あるのだ。韓国も認めるべきです。ただ、その入り会い権の水域の幅については、アウターゾーンについてはいまから話し合いをするというならまだ話はわかりますよ。しかし、領海がきまらぬから入り会い権の問題は向こう側と全然話ができないなんて、あなた、そういう交渉がありますか。それは重大な国際法の無視です。国際慣行の無視ですよ。
○赤城国務大臣 話し合いはこういうわけです。権利は認めておりますが、十二海里の中へは日本の漁船は入らないことにしよう、こういう話で進めております。
○楢崎委員 それはおかしいじゃないですか。あなた、いままでの質問で、当然権利がある、それで交渉をすると言っておりながら、じゃもうそれは権利を放棄したのですか。入らないことにしたというのは権利の放棄じゃありませんか。入り会い権の放棄じゃありませんか。そんなことで納得できないです。そんなでたらめな交渉がありますか。いまそういうことを言ってもらっては困るです。井手委員の質問以来ずっと私どもはこの問題を取り上げている。それで、これは向こうでやりますとあなたはいままで答弁してきたじゃないですか。それは納得できないです。
○戸叶委員 議事進行。委員長、ただいまお聞き及びのように、在来の政府が答弁しておりましたこととは非常に大きな食い違いがございます。これは日本の国にとっての大きな利益に関係することでございますので、こういうふうないいかげんな形で漁業協定が締結されていくということになりますと、非常に大きな問題を残すことになりますから、この問題につきましては、特に、在来の答弁と非常に食い違っているその点をどういうふうにしているかということを、はっきりと統一見解を出していただきたい、それを要望いたします。
○安藤委員長 赤城農林大臣。
  〔「委員長だ、委員長だ」と呼び、その他発言する者あり〕
○安藤委員長 発言を求めているから、それから始末します。
○赤城国務大臣 アウターシックスになりますか、あるいはナインになりますか、このアウターゾーンにつきましては、向こうの領海の宣言がございません。幾らにするという宣言がございませんので、私のほうでは再々アウターゾーンに対する権利は留保するということは向こうに話をしております。しかしながら、今回は、そこへは入らないで、公海のほうで共同規制をする、あるいはそういうことの話し合いを進めてきましたので、今回はそこへ入らない。しかし、領海等がきまった場合にあらためて話をつける、こういうことにして、今回は入らないということに話はしております。
○楢崎委員 ただいまの農林大臣の答弁は、われわれ絶対に承服できません。そうすると、完全に入り会い権を放棄したのですか。今回とはどういうことです。
○戸叶委員 いま私議事進行で委員長に要望いたしましたのですが、それに対して農林大臣から答弁がありましたが、私が要望した内容とは全然違っております。そこで、私が委員長にお願いしたいのは、先ほど来申しておりますように、統一見解をはっきりさしていただきたい、このことを要望いたします。それから、つけ加えますけれども、私は、前に大平外務大臣が韓国の領海は三海里であるということを答弁されているように思います。この問題もあわせて午後明確にしていただきたい。これを委員長に要望したいと思います。
○安藤委員長 ただいま戸叶君から議事進行の発言をされまして、政府の御答弁に前回の御答弁と食い違いがあるやに理解するから、それを研究して統一見解を出してほしいという御要望でございますが、後刻御相談の上その見解を明らかにしていただく、こうお願いいたします。
○赤城国務大臣 私の答弁に補足をいたさせます。少し足らない点がありますから……。
  〔発言する者あり〕
○安藤委員長 待ってください。それは取り上げないというのではございませんから。水産庁次長が発言を求めておりますから、許します。
  〔楢崎委員「政府委員ではだめだ」と呼ぶ〕
○安藤委員長 ちょっと待ってください。あなたはさっき質問されてきているのですから、それに対する答弁になりますから。
 水産庁次長。
○和田(正)政府委員 ただいまの問題についての経過を私から御説明申し上げます。
 従前、韓国の領海は三海里であったということをお答えをいたしたことも事実でございます。それから、入会権の問題につきましては、そういう国際先例もあるので努力をしたいということを政府側としてお答えをしてきたことも事実でございます。ただ、アウターシックスの入り会いの問題は、権利とか、あるいは権利の放棄とかいうふうにおっしゃっておられますけれども、国際的な各種の漁業協定ではそういう先例があったということでありまして、別にそれが国際法上の権利であるとかいうことではないのではないかというふうに私は考えております。
 そこで、今回の日韓間の漁業協定につきましては、いろいろと従来の先例を参考にして話し合いをしてまいりましたけれども、諸般の問題もあり、入り会いの問題につきましては今回は主張をしないということで話し合いをした、こういう経過でございます。
○楢崎委員 在来の政府の方針の重大な変更です。これは私どもは認められない。大体、この漁業協定の交渉について、本来基本的な問題から順次きめていくべきです。たとえば、基線の引き方は、低潮線なら低潮線、あるいは直線基線、それをきめて、今度はその外に領海がどのくらい、それでその外にアウターゾーンがどれだけというようなきめ方をするのが順序ですよ。それを、あなた方は、根本問題を一番最後に残して、一番外側からきめていっておる。そういう交渉の進め方はわれわれは納得できないのです。こういうことで明日あなた方は仮調印するとしたら、大問題です。こういう態度で調印されることは、私ども絶対反対せざるを得ないわけです。これは後刻総理大臣でも呼んで明確にしないと、こういうことでは、あなたは国際的な権利の放棄ではないのではなかろうかと思われるというようなあいまいな答弁ですけれども、これは国民の利益の放棄ですよ。絶対にいまの点は私は認められない。池田総理もこの点は確認しておるのですよ。これは政府の重大な方針の変更だと思う。これは国の方針の重大な変更ですから、委員長、最高責任者である総理が出席して、この問題について見解を述べてもらいたいと思う。委員長、どうです。従来の池田総理はじめ、大平外相なり、あるいは赤城農林大臣自身が言ってきたことを、ここで変更されたのですかち、だから私は最高責任者である総理の御出席をお願いして見解を聞きた。委員長、お取り計らいを……。
○安藤委員長 ちょっと申し上げます。先ほど戸叶里子委員の御発言で、従来の答弁とただいまの答弁との食い違いがあるということで、政府の統一見解を示していただきたい、こういう御要求でございますから、しかりとするならば、後刻、過去の速記録なり何なりによって調べていただいて、そしてその統一された見解あるいは政府の見解を出していただく、こういうことにいたしていただきたいと思います。
  〔「休憩、休憩」と呼ぶ者あり〕
○安藤委員長 それでは、暫時休憩いたします。
   午後零時四十六分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時五十六分開議
○安藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます
 質疑を続行いたします。
 農林大臣より発言を求められておりますので、これを許します。農林大臣。
○赤城国務大臣 従来の私の発言中明確を欠きあるいは誤解を招いたような点があろうかと思います。そこで、いまから統一見解といいますか、それを申し上げておきたいと思います。
 韓国の領海が何海里であるかについては必ずしも明確ではありませんが、三海里説をとっているように思われる旨の答弁をしたことはあります。また、漁業水域のアウターシックスに出漁し得るよう努力したい旨の日本政府の方針を述べたことは事実であります。漁業水域は漁業に関し沿岸国の一方的な管轄権を行使し得る水域でありその水域のアウターシックスへ出漁し得ることを認める漁業協定の先例はあるのでありますが、それは、出漁の実績があり、かつ沿岸国がその実績を認めて入漁を承諾した場合に出漁し得ることとなるという性格のものであります。今次の日韓交渉においては、このような国際先例を参考として、日本の出漁実績があることを強調し、アウターシックスヘの出漁を承諾するよう交渉してまいりましたが、韓国側は深くこれに反対いたしました。日本といたしましては、今次の交渉にあたり、李ラインの実質的撤廃と従来の操業実績の確保を主眼としてまいり、この二点についてほぼ日本側の主張を通すことができましたので、大局的立場から、アウターシックス出漁の点につきましては韓国側の主張を認めることとした次第でございます。
○安藤委員長 楢崎君。
○楢崎委員 ただいま統一見解が表明されたわけですが、午前中の質疑でも申し上げましたように、従来政府は、アウターゾーンについての入り会い権はある、そうしてそれに基づいて交渉してくるという態度を絶えず表明いたしました。それがそのように権利放棄をするようにいつ変わったのです。また、そういう検討は、そう放棄するということをきめたのは閣議なんですか。どこできめられたのですか。そういう従来の重大な方針を、国民の利益あるいは実際に直接漁民の利益と重大な関係がある、いわば漁民の権利を放棄するようなそういう重大な決定をいつきめられたのですか。どういう機関できめられたのですか。はっきりしていただきたい。
○赤城国務大臣 漁業専管水域内におけるアウターシックスの問題、これは入り会い権ではないという解釈でございます。権利ではない。しかし、そういう先例できめておるということを私も承知しておりますので、そういう点を主張いたしました。しかし、漁業の問題につきましては私に権限をまかされておりましたので、いま申し上げましたように主張いたしましたが、残念ながらその主張は通りません。大局的見地から李承晩ラインの実質的な撤廃と漁業実績を確保する、こういう点で向こうを説得し得ましたので、この点は私のほうの主張が通らなかった。権限は私にまかされておりましたので、現在までのところにおきましては、私のまかされた権限において譲歩をした、こういうことでございます。
○楢崎委員 いまの入り会い権を放棄するということが明確になった漁業会談の交渉の時期はいつですか。そして、それは佐藤総理も了解しておることですか。
○赤城国務大臣 これは、ずっと十数回にわたりまして交渉を続けてきたのでございますから、その中の第何回目ということを私ははっきりと記憶しておりません。記憶しておりませんが、数回そういう主張をして話し合いをしてきたわけでございます。
 それで、これは佐藤総理が了解しておるかどうかという問題でございますが、この問題につきましては、経過をけさほど閣議で報告しておきました。その点におきまして、専管水基の中のアウターシックスという問題の入り会いということにつきましては、私は触れておきませんでした。専管水域十二海里ということだけお話ししておきましたから、その点は、主張が通らなかった、こう了承しておるものと思います。
○楢崎委員 非常に明確を欠いておりますね。ただいまの御答弁では、この専管水域十二海里の問題をけさの閣議で報告をした、しかし入り会いの問題については明確に言っていないという。いまの御答弁はそうですね。それでは佐藤総理もまだその点は御存じでないということですか。いままで、池田総理を含めて、この入り会いの問題はずっと政府としてとり続けておった方針なんでしょう。それを放棄するのだから、これは重大な国の方針の変更なんですよ。それについて現在の最高責任者である佐藤総理が御存じないということはどういうことなんですか。そういうことで明日、そういう重大な国の政策の変更について仮調印されますか。それでよく仮調印されますね。それでは絶対に納得できませんですよ。総理も御存じないという、そういう無責任なことで、この漁業交渉を進められたら困る。どう思われますか。何でもまかされておるから、総理になんか相談せずに、あなたの一存で何でもかんでも言えという見解で進められておるのですか。明日イニシアルされるのですか。
○赤城国務大臣 総理に対しましては何回もこの交渉中にそのつどいろいろ打ち合わせをしております。きょうも最終的に経過を報告してあります。その報告の中に、そういうアウターシックスに入ることになったということを私は言いませんから、アウターシックスの中に入ることは認められなかった、こういうふうに総理も了承をしておるものと思っております。
○楢崎委員 了承しておるもの、では困りますよ。それはわかりませんよ。総理だって、あなたが言わないことはすべて否定的に考えられるとは限らぬではないですか。それはだめですよ。そんなことではだめです。そういうことではこの交渉を進めてもらうわけにはいかないですよ。いまの農林大臣の御答弁では、おそらく知っておるものと思うというようなあいまいな推測でございますから、これでは困るから、委員長のお取り計らいでひとつ総理を呼んでいただいて、明確な総理の御答弁をお願いしたいと思います。
○赤城国務大臣 漁業の交渉につきましては、すべての権限を私にまかされておるのでありまして、まかされておりますから、私はその結果を報告して、その結果の報告に了承を得たわけであります。了承を得ておりますから、私の交渉態度につきましては総理は何事も言わない。そのまま認めたと思っております。それで、これは私と総理との間の問題でございます。内閣の問題でございます。内閣の問題で了承したかしないかということは、私は、了承した、こういうふうに全体的に見て考えておるのでございます。
○楢崎委員 そんなことじゃないですよ。あなたと総理の問題なんという、そんなばかな話がありますか。この入り会いの権利を失うことでどれだけ漁民が不利益をこうむりますか。そんなばかな話がありますか。重ねて委員長に御要望いたします。総理に来ていただいてこの点に対する明確な御答弁をお願いしないと、あと質問が続けられないです。なぜならば、この専管十二海里という方針をとったのは、今度の日韓会談が初めてでしょう。そうして、これはずっと以後の国際漁業でもあなた方はその態度をとられるのですよ。ニュジーランドのタイ漁の問題だってすぐ押し寄せてくる問題ですよ。だから、一番最初の専管十二海里という方針を国際的に日本政府が初めて出して、具体的にその条約を結ぶのだから、この際専管水域に関するいろいろな問題は明確にしておかないと、たな上げしたりした問題があるならば、私はほかの国際漁業の交渉のときに大きな影響があると思います。だから、この際私は明確にしてもらいたい。
○赤城国務大臣 各国との交渉につきましては、それぞれ国際慣例とか先例ということを尊重して交渉すべきものと思います。この点につきましても、これは権利ではなくて先例である、こういうことでございます。そこで、交渉につきましては、その相手方によっていろいろ違います。たとえば、日米加の関係におきましては、洋上において書類を検査するとか、そういうことを共同委員会が権限を持っておればできるわけであります。しかし、向こうはやはり、そういう例があるから、韓国なども停船等をすることができないかというような要望がありました。しかし、韓国は特殊だ、日米加のような国と違って、いままで李承晩ラインということで拿捕などをしておった国だから、そういう国で洋上において停船などをするというようなことは、これは李ラインの復活と同じことだから、そういうことは認めることができない、こういうふうに、国際慣例あるいはほかの条約であることでも、韓国につきましては特別にそれにならわない点も出てくるわけであります。こういうふうな特殊な国でございますので、交渉につきましても、李ラインの撤廃とか漁業の実績を確保するということが相当な苦労といいますか問題があったのを、そういう点を了承させたような事情もありますので、これは権利ではなくて先例でありますから、その先例は韓国に対しましてはこれを用いないで譲歩する、こういうことに決定した、こういう事情でございます。
○楢崎委員 そういうことを言ったって、絶対だめです。私は昨年も赤城農林大臣に質問したのですよ。このアウターゾーンの入り会いの問題は、いままでの一九六〇年のあのジュネーブの国際海洋法会議で出された問題でございますが、それ以降各国が、午前中も私言いましたけれども、イギリスとデンマークの漁業協定でも、あるいはノルウェーとの漁業条約でも、アウターシックスについての十年間の入り会いを認めているのです。だから、入り会いの場合は過去の実績ということが問題になるから、いま行なわれている日韓漁業交渉では、李ラインがあるために、あの不当な李ラインがあるために、その中に入ることができなかった、したがって、実績がないというようなことを韓国から言われるとたいへんだから、その点はどうだとあなたに言ったではないですか。そうすると、あなたは、それは、李ラインは不当だから、李ラインから入られなかったので、実績がないというようなことは許せません、実績は当然あるものとして入り会いの問題を持ち出しますとあなたが答弁したんですよ。それにいまのような態度では私は困ると思うのです。絶対だめですよ。総理を呼んでください。
○赤城国務大臣 ですから、先ほども申し上げましたように、日韓の漁業の交渉につきましては、諸外国にもアウターシックスに出漁し得るところの先例はあるのでありますがと、こう申したのであります。それは、出漁の実績があり、かつ沿岸国がその実績を認めて入漁を承諾した場合に出漁し得ることとなる、こういう性格のものである。でありますので、今次の日韓交渉におきましても、前に私が御答弁申し上げましたように、国際先例を参考といたしまして、日本の出漁実績がある、これを強調しまして、アウターシックスヘの出漁を承諾するよう交渉してまいった−前に御答弁申し上げましたように努力をいたしましたが、韓国側はこれに強く反対をいたしてきたわけであります。そこで、日本といたしましては、今次の交渉にあたりまして、李ラインの実質的撤廃とか従来の操業実績の確保を主眼としてまいりまして、この二点においてほぼ日本側の主張を通すことができましたので、大局的立場からアウターシックス出漁の点につきましては韓国側の主張に譲った、こういう経過を申し上げるわけであります。
○楢崎委員 農林大臣は日本の漁民の利益の上に立って交渉してこられたと思うのです。この入り会いを放棄したということは、関係漁民に重大な利害があるということはお認めになるでしょう。そうすると、いままで入り会いを認めさせるという方針でこられておって、それを変えられたことについて、幾らあなたが一任されておるといっても、重大な国の方針の変更であるし、関係漁民の利害とも関係のある点だから、当然その点は特に佐藤総理に私は了解を求めるべきだと思います。
 それで、委員長に重ねてお願いいたします。ああいうあいまいな、総理もそう思うというような推測の御答弁では困りますから、御本人を呼んでいただいて、御本人の口から御見解を承りたいと思います。
○赤城国務大臣 これは、再々申し上げておるように、先例でありまして、権利ではございません。交渉でありまするから、交渉の過程におきましては、それを認めさせる場合もあるし、認めない場合もあるのであります。総理に対しましては全体的の結果を報告したのですから、総理が了承したと思うというよりも、当然総理も了承しているはずでございます。
○楢崎委員 総理はあなたがおっしゃったことを了承したかもしれない、言わないことまで何で了承するとわかりますか。そんなばかな話がありますか、あなた。明日仮調印するというのに、そういうあいまいなことで、総理大臣はつんぼさじきに置いておって、もし佐藤総理がそれでいいというなら、今度は佐藤総理の責任問題です。絶対納得できません。それは総理を呼んでもらわないと……。
○赤城国務大臣 全体を総括して報告したのでございますから、その報告の中に当然含まれているわけであります。
○楢崎委員 いまの入り会いの問題をあなたは直接触れてないと言ったではありませんか。いまのあなたは触れてないと言ったでしょう。だから、言われた点だけは総理は知っておるかもしれないが、触れていない点までもどうして総理が知りますか。――ちょっと待ってください。ずいぶん懸案事項もあるんですよ。ほかにもたくさん問題を残した点もあるんだ。だから、残した問題点についても、あなたがおっしゃらないでも当然残る問題はあろうし、だから、その辺は重大な問題を一々言って確認を求められないと、あなた、国の政策として向こうと協定を結ぼうというのに、そういうあいまいな態度では私は無責任だと思う。絶対だめですよ。
○赤城国務大臣 そこに入ることにしておらぬということを特に私は言いました。そういうことでございますから、これはアウターシックスと言いませんけれども、十二海里そのもの全部を漁業専管水域として認めたつもりだ、こういうことを言ったわけであります。しかし、実際にいま事務的にいろいろ整理しているのですから、その整理の上でこれからまだ話をする余地はあるのでございます。まだ最終的にイニシアルをしたわけでも何でもございません。私はこれからでもまだ話すべきものがあるなら話を進めてまいります。
○戸叶委員 議事進行。いまの入り会い権の問題は、農林大臣も御承知のように、この室であるいはほかの室で幾たびも政府みずからが入り合い権があるということを発表して、国民も納得をしているのです。そういうふうな重大な国の権利に影響のあるようなことを、農林大臣がいかに今度の交渉で全権をまかされてあるとはいいながら、かってに、向こうが認めないからしかたがないということで引き下がってしまって、そして条約をつくって仮調印をするということは、これは私はとても許すことのできないことだと思う。これだけの重大な問題、これは幾たびか国民に約束されたことですから、もしそういうことを変更されるならば、それを納得する前に、事前に総理に相談をするなり、あるいはまた国会でそのことを話し合うなり、何かをしなければ、私は、その責任というものはのがれることができないと思うのです。そういう意味で、やはりこの問題が解決しないうちにいろいろな問題は進めるべきではない。ことに、いま農林大臣の答弁を伺っておりますと、まだ別にイニシアルをしたものでもなくて、まだこれからこまかいことをいろいろやらなくちゃならないと言われる。そうだとするならば、よけい事前に私はこの問題は話し合っておくべきだと思うのです。この問題でもしもどうしても日本の主張が通らないというならば、やはり、どうして通らなくて、どうなっているかということをもっと詳しく発表するなり、あるいは総理からの意見を聞くなりしなければ、私たちはとても進められないと思うのです。
 一そこで、委員長にお願いしたいことは、総理にきょうあすのうちの五分でも十分でもいいですから出ていただいて、この問題について総理がどういうふうに理解をしているか、いままで約束をしていたことではあるけれども、どういうふうに理解をしているかということを、やはりこの委員会にいらしてここで発表していただきたい。これを私は要望いたしますけれども、委員長の御所見を伺いたいと思います。
○安藤委員長 戸叶さんにお答えいたします。
 ただいまのお話は、この会議散会後理事会において御相談願うことにいたします。
○楢崎委員 明日イニシアルをすると言っているのですよ。それを、この委員会が済んで理事会を開いてさあどうしましょうかというようなことではだめですよ。交渉中ではないですよ。この点は放棄をしたと言ったでしょう。いまの点は、入り会い権を放棄したと言ったのだから、きまっているのだ。だめですよ。
○安藤委員長 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○安藤委員長 速記を始めて。
○楢崎委員 ただいまの理事懇談会で、明日の漁業交渉大綱についての仮調印の前に総理が当委員会に出席をされて御答弁いただくということになったそうですから、私は、その点は明日に譲りまして、先に進みたいと思います。
 それでは、専管十二海里ということを今度初めて日本政府としては具体的な協定でとられるわけですが、今後ずっとその線で国際漁業に対処されるわけですか。
○赤城国務大臣 それぞれの国で専管水域を設けたいという話がありまするならば、それに応ずるつもりでございます。
○楢崎委員 それで、私は、この点についても、いまのアウターゾーンの入り会いの問題についても、国際先例と違う非常に譲歩をした考え方を持っておるし、あるいはまた専管水域の問題でも、済州島の東西については非常に妥協し、これは禁漁水域といっても専管水域と言われましたから、十二海里をオーバーする態度を今度日韓でとられた。全く、今後の国際漁業の交渉について非常に影響のある問題について、非常にあいまいな、日本としては不利な条件で日韓漁業交渉を進められておるという点について、私どもは納得できないわけです。
 そこで、問題を残しながら先に進みますけれども、共同規制は、最終的にはいろいろ日本側を規制する案が出てまとまったと思いますけれども、韓国側も同等の隻数なり量なり、同等の規制でいかれるわけですか。それはどうなんですか。
○和田(正)政府委員 規制水域内におきます規制措置は、共同規制水域でございますから、両国にそれぞれ同じものが適用されるという原則で処理をいたしてまいります。
○楢崎委員 そこで、私は、いまの入り会いの問題に対する関係漁民等の問題は、補償の点がありますからあとに回しますが、共同規制以外の、四つの漁法以外の零細漁民の一本釣りの点について自主規制をするという問題はどうなっておるか。
○和田(正)政府委員 沿岸の零細漁民につきましては、千七百隻の範囲で日本側で自主規制をするということで話し合いをいたしております。これは、御承知のように、非常に零細な各種雑多な漁業でございますから、それが日本側の岸寄りよりはむしろ韓国側の岸寄りに近い規制区域に入ることにつきまして、漁業秩序を維持するという観点から、日本側で自主的に、無差別に無秩序に行かないように調整をとりたい、そういう考えで処理をするつもりでおります。
○楢崎委員 共同規制の内容も過去の実績を下回らないようにということでございますが、過去の実績よりも下回っておるではありませんか。元来ここで共同規制を受けておる四つの漁法の大部分は許可漁業なんですね。許可漁業だから、大臣許可なり、あるいは県知事の認可なり許可なりで、漁族の保存と乱獲の防止というような観点から、当然韓国との競合も考えながら隻数をあらかじめきめられておるはずです。それをさらに今度の交渉で下げられる。それから、零細漁民については、当該自主規制の水域は二千隻近い実績が私はあったろうと思いますが、それも千七百といういまの御答弁です。そうすると、先ほどの入り会いの放棄の問題とも関連をして、関係漁民でずいぶん打撃を受けられる部分が出てくると思うのです。国の責任で進められておる漁業交渉の結果「国の責任で妥協される、そのために不利益を受ける関係漁民に対してはどのような考えを政府としては持っておられますか。いま入り会い権放棄あるいは自主規制で削減される零細漁民許可漁業でもそうです。どう考えておられますか。
○和田(正)政府委員 先ほど来大臣が御答弁申し上げておりますように、過去における操業実績の確保ということは、この交渉における一つの主眼目であったわけであります。共同規制水域の中に入ります隻数、以西底びき、以東底びき、それからまき網を含めまして、すでにきまりをした隻数はほぼ従前の実績数でございますから、過去の実績を削減するような状態にはなっておらないと思います。それから、今後隻数を調整いたします一つのめどとして合意をいたしました十五万トンの漁獲量、それに一割のアローアンスをつけました十六万五千トンというものも、私どもの承知をしております限りは、これらの漁業の過去における平均的実績の数字がほぼ要求どおり認められたものというふうに考えております。それから、沿岸漁業につきましては、先ほど申しましたように、千七百隻程度に漁業秩序を維持しますために自主的に調整いたしますが、これらは、御承知のように、在籍船数のすべてが連日出漁しているわけではございませんので、ある程度のものは休むとかいうようなことで、三百六十五日毎日動いているわけではございませんから、千七百隻程度のもので漁場秩序を守れば、いままで出ておった沿岸漁業者が出られなくなるというような状態はないのではないかというふうに考えておりますので、当面関係の漁業者に対して特別の損失とか、そういうことではなくて、ほぼ過去における操業の実態が確保し得るものだと考えております。
○楢崎委員 それでは、三十八年の八月一日から施行されております沿岸漁業等振興法の第三条に、国は「水産資源の適正な利用、水産動植物の増殖、漁場の効用の低下及び喪失の防止等によって、水産資源の維持増大を図ること。」、この漁場の効用の低下あるいは喪失というこの事項に該当しないのですか、いまあなた方の進めていらっしゃる共同規制なりあるいは自主規制は。どうですか、大臣ひとつ答えてください。
○和田(正)政府委員 ただいまお尋ねの沿岸漁業等振興法の該当の規定は、当時立法に私も携わりましたわけでございますが、規定を入れました趣旨は、沿岸の漁場等におきまして埋め立てとかあるいは汚水とかいうことで漁場が喪失をしたり、その効用を失ったりする、主として水質汚濁とか埋め立てとかいう問題に対処するという趣旨で入れました規定であったように理解をいたしております。
○楢崎委員 それは私も当時農林委員でしたから知っております。しかし、いまあなた方が行なっている交渉の内容は、漁場の効用の低下あるいは喪失と思いませんかと聞いているのです。大臣答えてください。
○赤城国務大臣 この地域における実績をおおむね確保していますから、漁場の喪失、こういうようなことには考えておりません。
○楢崎委員 そんなばかなことないでしょう。それは自由にやるのと変わらないというわけですか。なぜそれでは共同規制の必要があります。隻数でいろいろがんばられたそうだが、それなら自主規制の問題だってフリーにしておっていいじゃないか。いままでとは変わらない漁場の効用の低下もない、喪失もないと思われるんだったら、自主規制の必要はないではありませんか。これに効用の低下あるいは喪失が若干含まれるということでいま問題になっておるんでしょう、いろいろ。それぞれの国の沿岸漁民の利益も考えなくちゃいけないということでやられておるんでしょう。苦労されている。効用が低下しないように、漁場が喪失されないように、そういうことで交渉しているんでしょう。おかしいではありませんか。
○和田(正)政府委員 先ほどお答えをいたしましたように、その規定の趣旨は私どもが先ほど申し上げましたように理解をしておるわけでございますが、今回の交渉の過程の中で、たとえば共同規制水域を設けて、網目ですとか光力ですとか漁獲量ですとかを規制をいたしましたのは、資源保護という立場でそういう合意を見たわけでございますから、むしろ効用の喪失ではなくて効用を今後とも持続的に維持していきたいというたてまえで処理をしたものだというふうに私どもは理解をい
 たします。
○楢崎委員 それだったら、許可漁業というのは元来そういうことじゃないですか。そういう点を考えていろいろ農林大臣が許可を与えていらっしゃるのです。元来がそうでしょう。だから、そういう条件を考えてここに一つの結論を出したその隻数なりそういうものをまた変更されるんだ。事情がいろいろ違うではありませんか。
○和田(正)政府委員 今回規制水域の中に入ることに両国で合意を見ました隻数に見合って、従前の許可を取り消すとかそういうことを考えておるわけではございません。それは、たとえば以西の底びきに例をとりますれば、東経百二十八度三十分から西の東シナ海及び黄海が全面的に以西底びきの操業海域として与えてあるわけでございますが、それぞれの船が、たとえば漁労長の好みなり技術に応じてそれぞれその広い海域のいろいろな場所で操業をしておるわけです。そしてまた、季節によりましては中共側の沿岸のほうにも参りますし、あの半島の沿岸のほうで漁業をするということもあるわけで、今回きまりました二百七十隻が規制水域の中で専業的に漁業をしておるという状態ではございません。ですから、現在以西の底びきでは約七百隻の許可がございますが、そのうちからかわり合って二百七十隻程度のものが規制区域の中に入れれば、それが過去における日本の以西底びきの操業実態を示しておる、こういう実情でそういう隻数をきめたのでございまして、別に許可隻数を変更するとか、そういう手続が心要な状態にはなっておらないというふうに考えております。
○楢崎委員 それでは、確認をしたいのですが、入り会いの放棄あるいは許可漁業はさることながら「自主規制をしなければならない関係零細漁民に対しては国は別に何も考えておられない、そういう方針でいかれるわけですか。
○和田(正)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、千七百隻という範囲で自主規制をするということで考えておりまするけれども、沿岸漁業は非常に雑多な漁業でございまして、いままででも三百六十五日出漁しておったわけではないわけでございます。ですから、現在在籍をいたします隻数が毎日出るという心要は、現状においてもないし、将来においてもないであろう。ですから、そのうちの一定の割合は、家事の都合があったり、あるいは天候が不良であるとか、船を修理するとかいうようなことで、常に休んでおるわけでございますから、千七百隻程度の出漁によって秩序の維持ができれば、いままでの沿岸漁業者が実態をそこなうようなことはなしにやっていけるはずであるというふうに考えておるわけでございます。
○野原(覺)委員 関連して。共同規制水域に対する日本漁船の出漁の隻数及び漁獲のトン数ですね、この点につきましては、これは、当初の要求と、それから二十四日に妥結した大網、私は新聞発表で知りましたが、これははるかに相違がある。この点についての農林大臣の御説明を願いたい。大臣、相違点を説明しなさい。
○和田(正)政府委員 日本側が当初出した数字ときまった数字と開きがあるというようなことを言っておられましたけれども、私どもは、最終的にきまりました数字以外のことをどういうところからお聞き及びか存じませんけれども、ただいま申して上げておりますように、最終的にきまりました以西二百七十隻、以東百十五隻、まき網百二十統、沿岸漁船千七百隻という数字が実態に合うものと考えて交渉を進めてまいりましたわけでございます。
○野原(覺)委員 日本側の当初の要求は、以西底びきでは、これは何十トンですか、三百七十隻、以東底びきは百九十隻、まき網は百五十統、六十トン以上のサバ釣りは十五隻、それから、自主規制としてのサバの一本釣りを含むものが、これは零細漁船でございますが、千九百隻、この要求を出しておったじゃありませんか。この事実はないですか。この要求を出しておったじゃないか。いかがです。
○和田(正)政府委員 ただいまお読み上げの数字はどういうところから御入手なさいましたのかよく存じませんが、私どもとしては、先ほど私が御答弁申し上げました数字が日本の操業実態に合う数字ということで、その線を確保することで努力をしてまいりました、こういうことでございます。
○野原(覺)委員 どういうところからあげた数字か存じませんがと言いますけれども、私の申したこの要求は出しておりませんか。これは農林大臣にお伺いしますが、妥結した数字は、以西底びきで二百七十、以東底びきが百十五、まき網が百二十統、それから六十トン以上のサバ釣りが十五隻、それから零細漁船としてのサバ一本釣りを含む自主規制のものが千七百隻、これが妥結の数字ですね。これが妥結の数字、間違いありませんか。農林大臣、いかがです。
○赤城国務大臣 間違いありません。そのとおりでございます。それで、先ほどから和田次長からも話がありましたが、この数字を提示して、向こうで、以東底びきを減らしてくれとか、まき網を減らしてくれとか、何かかにか言いました。出した切りでこれを押し通したのです。
○野原(覺)委員 そういたしますと、妥結したこの数字が要求の数字でございましたか。いいかげんなことを言っちゃいかぬですよ。あなた方は秘密裏に交渉したので、こういう数字を国会でも発表していなかったからというのでお逃げになるかしれませんけれども、妥結の数字が要求だ、要求の一〇〇%が妥結の数字になったのだ、こういういいかげんなことは困りますよ。私はいろいろな方面から入手している。以西底びきは三百七十要求をして二百七十で妥結したのです。これは百隻のマイナスなんです。それから、以東底びきは百九十の要求を出したけれどもいれられないから百十五、七十五隻譲歩したのですよ。それから、まき網は百五十統が百二十統、三十統だ。一統が六、七隻というから、これも二百隻くらいな隻数になるでしょう。あなたは、自分の要求したのが全部妥結した、こう言いますけれども、事実違うのですよ。これはいかがですか。
○赤城国務大臣 あなたは見てきたようなことを言いますけれども、私が交渉に当たったのですから、私はそれを提示して、その提示を一回も譲らぬ。向こうでいろいろ言うておりましたが、そのとおりで十数日これはやってきたのです。
○戸叶委員 一点念のために関連質問をしたいのですが、共同規制区域で規制を受けるのは、先ほどの御答弁ですと、両国がそれぞれ同じものが適用される、こういうことを答弁されております。そうだといたしますと、いまここで野原委員が言われたように、これだけこれだけというふうに規制を受ける、それと同じように韓国も規制されるのかどうか。たとえば、十五万トンとか、あるいはどういうふうな底びきの船が入れるとか、あかりはどうだということが日本に対して規制されている。それと同じような規制を韓国も受けるのかどうか、この点を念のために伺っておきたい。
○和田(正)政府委員 ただいま御質問の点は、そのとおりに御了解をいただいて差しつかえがないと思います。ただ、船の隻数につきましては、御承知のように、日本の漁船に比べて韓国の漁船が著しく装備あるいは漁獲の能力が劣っておりますので、その点を考慮したことを考えてほしいということを韓国側は申しておりますので、その点は、協定の表現上何らかのくふうができるかどうかということは、現在文書整理の段階で検討いたしております。
○戸叶委員 いまの御答弁を伺いましても、これまで政府がすべて平等の規制を受けるのだということをおっしゃっておられましても、例外は必ずあるのですね。韓国がこう言ったからそれを日本は考慮いたします、考慮した上でその点を向こうに考えてやらなければいけない。国民はどうして日本の国がそんなに韓国にいろいろなことを譲らなければならないかということを不思議に思っているのですよ。しかも、表面は平等の規制だ平等の規制だといいながら、一番大事なところでもって韓国の言いなりになっている。こういうふうな漁業交渉というものは、私どもは決して平等じゃないと思うのです。この点を考えていただきたいと思うのです。私は関連ですからそれ以上申しませんけれども、これじゃ平等だということはおっしゃれないということだけは申し上げたいと思います。
○赤城国務大臣 公平平等にやってきたわけでございますが、御批判は幾らかあろうかと思います。しかし、はっきり半分に割って公平平等、そういうわけには交渉ですからまいらぬ点があると思います。私から見ますれば向こうのほうがよほど折れたのじゃないかと思っていますけれども、これは見方によります。
○楢崎委員 私が同等ですかと聞いたとき、どうしてあなたは例外を言わないんだ。戸叶委員が聞いたから言うのですか。同じことを私は聞いた。だから、これからも例外があったら言ってくださいよ。私は佐藤総理のように農林大臣の言わぬことまで推測し切れない。例外は言ってください。
 そういうことがありますから、それでは私はもう一ぺんさかのぼって聞きますよ。あの禁漁水域の措置の問題は、さっきもあいまいでしたけれども、大体どのぐらいという暫定期間があるはずです。そのくらいのめどを持つべきです。こういう国際的に認められないような禁漁水域というものを野放しにやるなんということはなってないですよ。三カ月とか半月とか、見てみるという大体のめどがあるはずです。めどを言ってください。
○和田(正)政府委員 先ほど農林大臣がお答えを申し上げましたとおり、暫定的に当分の間というふうに考えております。
○楢崎委員 その当分の間を、もう少しあなた方のめどを言ってくださいと言っているのです。めどぐらいあるでしょう。こういう暫定的な措置に対してですよ。国際的に認められないような措置をしておるのですから「暫定に違いないから、大体どのくらいのめどをあなた方は持っているのですかと聞いている。めどがないのですか。(「そんなことを言う必要はない」と呼ぶ者あり)あなたに聞いておるんじゃないよ、何だ。
○安藤委員長 御静粛に願います。――御静粛に願います。
○和田(正)政府委員 午前中赤城大臣がお答えを申し上げましたとおり、漁業協定の有効範囲内において暫定的に当分の間というふうに考えております。
○楢崎委員 重ねてお伺いしておきますが、協定の期間はいつごろきまるのですか。あした仮調印されるのですが、大体協定の有効期間をどのくらいにするということもきめずにあした仮調印なさるのですか。
  〔「大臣、大臣」と呼び、その他発言する者あり〕
○安藤委員長 お静かに願います。
○和田(正)政府委員 各種の条約の有効期間等はいろいろ先例もございますので、今後正式に調印をいたしますときに条文の全文整理をいたすわけでございます。もしあしたイニシアルができるといたしますれば、農相会談において大筋の妥結を見た要綱についてイニシアルするわけでございます。
○楢崎委員 そうしますと、この協定の有効期間についてのめどもないのですか。(「あるんだけれどもいまの段階じゃ言えないんだよ」と呼ぶ者あり)言えないのなら言えない、ないならないと言ってください。あるけれども言えないのか。
○和田(正)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、各種のこの種の条約・協定等の先例に従って処理をしたいというふうに考えております。
○楢崎委員 だめですよ、そういう答弁じゃ。大体どのくらいのめどというのはあるはずです。じゃ、あなた方が考えていらっしゃる、例にしようと思っている国際的な先例のあれはどのくらいですか。――まだ質問をしているんだよ。のこのこ出てきなさんなよ、あなた。
○安藤委員長 あわてないで、あわてないで。
○楢崎委員 大体先例も調べてやると言うから、あなた方が例としてとりたいのはどのくらいの先例なんですか。大臣、ひとつお願いします。
○赤城国務大臣 ソ連との間は十年だと思います。日米加も十年だと思います。中共との民間協定は、二年か三年かと思いますが、はっきり覚えておりません。そういう先例でございます。
○楢崎委員 そうすると、先例から言うと、あなたたちが参考として考えていらっしゃるものは十年程度ということになりますね。
○和田(正)政府委員 先ほどお答え申しましたように、たとえあしたイニシアルをいたすにいたしましても、農相会談で合意を見た範囲のことの要綱のイニシアルをするわけでございます。この会談で有効期間を何年にするかというようなことを具体的に話し合ったわけではございませんが、今後正式に協定として調印するまでの間に条文の整理をいたすわけでございますが、その段階では、ただいま大臣からお答えを申しましたような先例に準じて考えたい、こういう状態だということでございます。
○楢崎委員 そうすると、先例ということになると、いま大臣がおっしゃった先例からいくと、大体十年程度、そういうふうに考えておられるわけですね、大臣。
○赤城国務大臣 これは漁業協定をつくり上げるまでに検討することに相なると思いますが、大体これは先例に従うということに相なろうかと私は考えております。
○楢崎委員 やや明確になったわけですが、そうすると、大体十年程度ということを考えておられる。そこで、この禁漁水域のたな上げを私が問題にするのは、やはりそこに入れないために影響を受ける漁民がおるのでしょう。だから、これがどのくらいたな上げされるかということは、みんな関心を持っておると思うのです。そこで、政府としては大体どのくらいのめどでこれをたな上げするということぐらいはお持ちになっておかぬと、日本国民に対する親切なやり方ではないです。大体どうなんですか。一年以内ぐらいなんですか、どうでしょう。それは全然案がないのでしょうか。あるけれども言えないのでしょうか。あるいは、さっきのように、この条約の有効期間がきまるときにはそのたな上げの期間もきまるということなんでしょうか。
○赤城国務大臣 相手方のあることでございますので、何年ということはちょっと申し上げかねます。たとえば日ソの漁業交渉におきましてもオホーツク海などが禁漁地区になりました。これはなかなか期限を切ってというわけにはまいりませんので、いま相手方の意向を確かめないで何年ということを申し上げる段階ではございません。
○楢崎委員 それでは、木調印をなさるときにはいまのたな上げ期間はきまるのですか。それとも本調印してもその問題はずっとあとに残るというわけですか。どのくらいたな上げをするという問題は、木調印のときには大体たな上げ期間もきまるというわけですか。その点はどうですか。
○赤城国務大臣 これはこれからの交渉の経過によるものと思います。
○楢崎委員 全然将来に対する見通しもなしに、非常に不利な譲歩を重ねて、問題をあとにあとに一残しながら、明日仮調印を急がれるというのは、そういう交渉のしかたは私どもは絶対承服できないですよ。
 それじゃ、拿捕された漁船の損害の問題ですが、これは最初は政府の態度は漁業交渉で解決をするという大平さんの答弁でした。ところが、その後請求権問題とからませてこれを解決するという方向に変わってきた。そこで、この拿捕漁船のいろんな損害賠償の内容がありますけれども、この損害賠償については請求権問題が解決するときに解決するかどうか。そしてまた、その解決のしかたは、たとえば、まだ置籍船や置水船の問題も残っておるが、あるいは文化財の問題も残っておるけれども、まさかそういうものと見合いにおいて相殺して消すというようなことはないでしょうね。どうです。
○和田(正)政府委員 拿捕漁船の損害賠償の問題は、昨年韓国側の当時の農林部長官でございました元さんが見えまして、以後今回もその問題については赤城大臣から発言をいたしてあるわけでございますが、今回その発言に対して取り扱いをどうするかということを日韓会談の首席代表会談において協議をいたしました結果、日韓会談は御承知のように一括解決というたてまえをとっておりますので、そのことと、漁業の本質的なと申しますか、先ほど来大臣が御答弁申し上げましたような内容の漁業協定と必ずしもからませないでも、全体の問題が解決する段階には何らかの解決方法を見出す、そういう考え方で、別に請求権とからますとかからまさないということではなくて、従前から拿捕の事件が起こりましたたびに外交ルートを通して損害賠償の請求権を留保してまいりました立場でございますから、今度の日韓会談という外交交渉の全体の場を通じて最終的に一括解決の精神で解決をしたい、そういう考え方で臨んでおるわけでございます。
○楢崎委員 では、ただいまの日本政府の方針としては、たとえば置籍船や置水船なんかと引きかえにきめるようなことはしなくて、これはプロパーであくまでも留保しながら問題の解決に当たるということですね。
○赤城国務大臣 これは、日韓の首席のほうで一括解決の際にそれを解決すると、こういうことでございまするので、その中においてどういうふうな扱いをするかは、私のほうはいまのところ関知しておまりせん。
○楢崎委員 それでは、この点はただ一点だけ確認をしておきますが、あなた方はこの拿捕漁船の損害賠償について一括解決をなさると言うが、それで韓国との解決はつくかもしれいが、損害を受けた日本の漁民と日本政府との関係、それは残りますね。これは日本国内の問題としては損害賠償でなくて損失補償になります。この損失補償の問題は残りますね、大臣。
○赤城国務大臣 それは韓国との間の一括解決を見て考えるべきことだと思います。
○楢崎委員 いや、一括解決は、それは韓国との関係でしょう。この問題は、国の利害というよりも、損害を受けた漁民の利益を代表して国がかわりに交渉をやっているだけだ。だから、韓国との国との解決はできるかもしれないが、問題はあくまでも損害を受けた漁民の問題だから、漁民と日本政府との関係は残るではないか。損失補償の問題は残るではないか。(「そんなことはいまから言うことはないよ」と呼ぶ者あり)冗談じゃないですよ。これは残りますよ。それがわからぬなんという答弁じゃ困る。それは当然残ります。どうです。
○赤城国務大臣 その問題は当然残ると思うのです。だから、残るから、一括解決のあと、その残った問題をどういうふうにするかということをまた考える、こういうことです。
○楢崎委員 その点は当然残るし、どのような方法であなた方が韓国と妥結をしようと、これは問題は残るという点さえ私は明確にしておけばいい。
 それでは、外務大臣もお見えになりましたから、私は最後にお伺いしておきますが、専管水域に入るか入らないか、共同規制水域での裁判権なり取り締まり方法は御答弁いただきましたが、専管水域の侵犯のような問題が起こったときにはどうなりますか。これは韓国側が一方的にやるのですか。大臣、大臣。
  〔発言する者あり〕
○安藤委員長 お静かに願います。
○和田(正)政府委員 十二海里の専管水域の中は、国際的には漁業に関しては一方的な管轄権が行使し得る範囲でございますから、侵犯をしたというようなことが不幸にして起こりました場合には、その取り締まり及び裁判管轄権は沿岸国に属するというふうに考えざるを得ないと思います。
○楢崎委員 そうすると、専管水域では不幸な事態が――なるだけそういう事態は起こらぬにこしたことはないけれども、専管水域線ではやはり拿捕問題なんか今後も起こる、侵犯が起こる、そういうことになりますね。
○和田(正)政府委員 従前、日本側としては、不法不当な李ラインというものがあって、あの漁場における漁業の秩序が正当に守られていなかったという立場で交渉してまいりましたわけでございますから、今後正式に協定ができれば、あの海域におきます操業の秩序というものは国際的に確立をするというふうになるわけでございまして、したがって、日本の漁業者としても当然十二海里を侵して中へ入っていくというようなことは自粛をしてもらうことになると思いますし、また、そうしなければ、国際的な信義と申しますか、秩序というものは保てないのではないかと思いますので、そういうことはないことを期待をいたしますけれども、万が一そういうことが不幸にして起これば、それは、先ほど申しましたように、専管水域の中であれば、漁業に関する一方的管轄権は沿岸国にあるわけでございますから、それの取り締まりなり裁判管轄権なりは沿岸国にあるというふうに申し上げざるを得ないと思います。
○楢崎委員 そうしますと、共同規制水域における取り締まりあるいは裁判管轄権は旗国主義、専管水域では沿岸国主義だ。そうすると、専管水域線付近ではやはり間違いも起こりましょうから、いままでみたいな不幸な拿捕事件みたいなものが起こる可能性は十分あるということですね。そういうことですね。
○和田(正)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、国際協定ができてその秩序が守られていくということは、国際信義の面からも、漁業秩序を維持する面からも必要でございますから、そういうことは起こっては困るわけでございますが、万が一そういう人があったとすれば、先ほどから申し上げておりますように、漁業については一方的管轄権が沿岸国にあるわけでございますから、それは向こうの取り締まりあるいは裁判を受けることはやむを得ないのではないかというふうに考えます。
○楢崎委員 そうしますと、十二海里というのはフィッシングゾーンですけれども、内容的には領海と変わらないでしょう。どうですか、その点は。取り締まり権なり裁判管轄権が沿岸国にあるとするならば、全然同じではありませんか。領海が十二海里になったと一緒ではないか。しかも、その唯一の顕著な例であった入り会いの権利をあなた方は放棄するのだから、全然領海と一緒ではないか。十二海里の領海を認めたことと一緒になる。あなた、そんな交渉がありますか。
○和田(正)政府委員 先ほどからお答えを申しておりますように、十二海里の漁業専管水域は、漁業に関して沿岸国の一方的管轄権があるというだけのことでありますから、領海というのとは法律的性質として違うと思います。
○楢崎委員 実質的には同じではないかと言っているのですよ。そうでしょう。あらわれてくる現象は全部一緒ではありませんか。入り会いはないでしょうが。だから、日韓会談については、いまの進め方は、十二海里の領海を認めたと一緒になる。そんなばかな話がありますか。外務大臣と農林大臣、最後にお二人、ひとついまの点についてお答えをいただきたい。
○椎名国務大臣 条約局長をして答弁いたさせます。
○藤崎政府委員 漁業に関して沿岸国の一方的管轄権を認めるということでございまして、そのことをさして実質的には領海と同じだとおっしゃるのかと思いますけれども、法律上は領海を認めたわけではないわけでございます。
○楢崎委員 私は法律的に言っているのではない。実質的に内容から見ても、実際問題として十二海里のフィッシングゾーンが完全に領海になった。実質的に違うところがありますか。説明してください、違いを、もしあったら。
○藤崎政府委員 今後とも交渉の問題になりますが、漁業専管水域を認めても両方の領海に関する立場にこれは影響を及ぼさないものということを明確に合意するつもりでございまして、領海と実質的には同じということは考えておりません。
○楢崎委員 入り会い権はあなた方は放棄しておるのだから、いくらフィッシングゾーンといっても、内容的には完全に領海と一緒ではないですか。
○藤崎政府委員 領海という国際法上の観念は、漁業のためにのみ設けられておるのではございません。だから、漁業について実質的に領海と同じ取り扱いになるかと言われれば、そのとおりでございます。
○楢崎委員 それでは、漁業以外の違いの点を言ってください。
○藤崎政府委員 漁業以外の点につきましては、航行とか、沿岸の警備とか、衛生規則とか、追跡権とか、いろいろなことがあるわけでございまして、防疫の関係もございます。疫病を防止する、そういう諸般のことは、全部今度の専管水域を認めたことによって何らの影響を受けるわけでないわけでございます。
○楢崎委員 いまあなたがおっしゃったようなことは、これは実際問題としては大した問題ではないのです。これは、内容的には、日本の国民の利益から考えるならば、全くもうこれは領海扱いなんです。これはもう、一番最初の質問の冒頭からいろいろ問題を提起しましたが、どの問題をとっても、あなた方は国際法へ先例を無視し、入り会い権を放棄しているのだ。先例に違反しているのだ。完全にこれは領海と同じ取り扱いである。われわれはこういうことで明日のイニシアルを承認するわけにいかない。だから、イニシアルの前に総理大臣に来ていただいてお伺いしますけれども、農林大臣、最後にいまの点についての御見解をお伺いしておきたいと思います。
○赤城国務大臣 条約局長の言うとおりでございますが、領海ですと、これを侵せば領海侵犯というような問題がいろいろでございます。しかし、漁業の問題は、その専管水域内で協定に違反するようなことがなければ、これは協定違反ということにならぬ、こう思います。
○安藤委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 時間がないようですから、二、三点だけ伺いたいと思います。
 私はいまの質問を受けて伺いたいのですが、いまの専管水域十二海里というのは、これは国際法上の領海ではないけれども、漁業に関しては領海と同じものであるという答弁があったわけです。そこで、私がお伺いしたいのは、一体わが国の漁船がどの水域を侵犯したときに領海侵犯となるか、これを伺っておきたと思います。
○藤崎政府委員 韓国のほうでは前に日本の巡視船が二海里半のところまで入ったというようなことで何か抗議したことがございます。そういうことから三海里説をとっているのかなという推定をいたしたことがあるわけでございますが、従来大韓民国政府は、対外的に公に、自分のところは領海は何海里であるという立場をとっているということを明らかにいたしたことはございません。したがいまして、明確なことは申し上げられませんが、いままでのケースとしては、三海里以内に入ったときにそういうことを申しております。
○戸叶委員 そうしますと、いまの御答弁から言いますと、日本の漁船が三海里以内に入らなければ領海侵犯にならない、拿捕することができないと理解していいわけですか。
○藤崎政府委員 漁船となってきますと、十二海里以内に入りますと、向こうの漁業に関する専管水域を侵すことになりますから、領海侵犯というのとは違いますけれども、その漁業専管水域を侵犯したことになるわけでございます。
○戸叶委員 そうすると、結果的には領海と同じことになるわけですね。十二海里までは日本の船が入ってはいけないということになるのですから、結局、領海そのものではないけれども、領海と同じだと理解していいわけですね。
○藤崎政府委員 漁業に関しては実質的に同じになるということを先ほど申し上げたとおりでございます。
○戸叶委員 私はこれ以上多く追及しませんけれども、ただ、日本の場合にはそういうことが言えますけれども、ほかの国の場合にはそういうことが言えませんね。ほかの国が入っていく場合には、領海の三海里までは入ってもいいということになるわけですね。
○藤崎政府委員 漁船が物理的にただ入っただけでどうかということはちょっと問題がございますので、ほんとうは漁業しなければ入ってもいいということもあるわけでございますが、非常に嫌疑をかけられるということはあると思います。それから、第三国はこの条約に服しませんから、入ることは自由なわけでございますが、しかし、実際にはほかにこの水域に漁業上関心を持っておる国がございませんので、日韓間で協定いたしたわけでございます。しかし、将来の問題としまして、かりに第三国がここで盛んに漁業をやるということになりました場合には、その国をこの協定に加えるように努力する、そしてこの水域の魚族資源の保護をはかる、こういうようにやるほかないわけでございます。
○戸叶委員 私は、今回は日韓会談の問題ですから、そちらのほうのことはどうでもいいのですけれども、いま念のために伺ったわけです。
 そこで、私どもが考えられますのは、領海ということになるといろいろの問題が出てくる、こうおっしゃるのですけれども、いま私たちが一番心配しているのは、十二海里の中まで漁船が入っていけば、これは向こうから不当なものであるといってなじられるわけです。そして、先ほどから言われておりますように、十二海里の中というものは、結局領海と同じなんですね。領海と言ってしまえばほかにいろいろな問題が出てくる、こういうことを私ども認めますけれども、いまのさしあたっての問題は漁船が関係している問題だと思うのです、日韓の漁業では。だとするならば、漁業に関しては、やはり韓国の領海は十二海里である、こういうことを考えざるを得ない。それではほかの条約と考え合わせていろいろな問題が今後において出てくるのじゃないかと私は思います。この問題は、私はあとで時間を見て追及したいと思うのです。
 それから、もう一つ確かめておきたいことは、この禁漁線という新しい字が今度出てまいりました。それで、この禁漁線というのは、直線基線でもない。基線でもないようです、政府の御答弁では。だといたしますと、この直線基線というものは、領海及び接続水域に関する条約、こういうものによってきめられるわけです。ところが、この禁漁線というものは一体どういう法的な裏づけがあってこういう線が出てきたものでしょうか。この禁漁線とそれから直線基線との違いは何であるかを伺っておきたいと思います。
○赤城国務大臣 直線基線は、いまのように、国際条約の先例に従って、湾が入り組んでおるとか、その近くに島がたくさんあるとかいう場合には、島を貫いて、その線から十二海里を専管水域とする、その基線が直線基線でございます。でございますから、島の多いほうは直線基線で囲みます。それから、済州島のほうは原則の低潮線で十二海里を囲む。その両方から囲んできた間にくぼみが出てきますから、そのくぼみに入らないことにしよう。禁漁線、そういう線ではない。そういうのは国際的にもないと思います。両国の協定でそこには入らない、こういう話し合いの地域だと思います。だから、たとえば、日ソの漁業でもって、オホーツク海、こういうところへ入らない、こういうことを両方できめれば、これは入らないということに相なると思います。そういう協定の地域。だから、禁漁線というのが新聞に出ておりますけれども、そういうものであるかどうか、私もよくわかりませんが、協定上入らない一部分の地域、こういうことでございます。
○戸叶委員 私も、禁漁線というように新聞で見たものですから、これは一体どういうことなんだろうというふうに不審に思ったわけです。そうすると、禁漁線ではなくて禁漁区域、魚をとってはいけない区域となる。そうすれば、魚をとってはいけない区域というものは協定によってできるのであって、これはどの条約とかなんとかいうような根拠はなしに、そのつど話し合いによってつくるものだ、こういうものですか。
○赤城国務大臣 そのつどそのつどというのはどうかと思いますけれども、今度の場合においては、そこへ魚をとりに入らない、俗に言えば、そういう話し合いの地域でございます。
○戸叶委員 私は、この点が、この領海及び接続水域に関する条約から照らし合わせてみまして、いろいろな問題が残っておると思います。ただ、その問題を提示しておりますと一時間以上になりますから、いまの定義のことだけ伺っておいて、あとでその問題は伺いたいと思うのです。
 それから、もう一点伺いたいことは、漁業協力資金の問題でございますが、政府のほうでは韓国の言われるように九千万ドルの漁業協力資金を民間のベースで融資するということをおきめになったようでございますけれども、この利子が五分五厘で、そして零細漁民に対しては特別に利子を考慮する、こういうふうに報道されておりますけれども、大体零細漁民というものをどの程度におきめになっていらしゃるか、そして、九千万ドルのうちのどのくらいの金額を零細漁民にお渡しになろうとしておるか、この点も伺いたいと思います。
○赤城国務大臣 これは民間の供与でございますので、どれくらいの利子にするかということもきめてありません。しかし、大体ほかの例から見れば、五分七厘五毛、これを最高としまして、それ以下ということに相なっておるようでございます。漁民とかなんとか言いますが、そのうちで利息の安いものがありますならば安いものを世話していこう、こういうことでございますので、まだその率等にはっきりしたきまったものはございません。これは民間でやることでございますから……。
○戸叶委員 九千万ドルの中の大体どのくらいのワクをお考えになっていらっしゃいますか。
○赤城国務大臣 これは民間の供与でございますから、実際に当たってみないとわかりませんが、当分以下だと思います。半分以下などは低利のものをあっせんしてやらなければならぬかと、こう考えております。
○戸叶委員 だれでも安い利息のほうを借りたいのが人の心理ですから、半分以下とおっしゃって、それがずっとワクが広げられるのじゃないかという一つの心配と、もう一つは、この返済の責任なり保証なりというものはどういうふうになっておりましょうか。返さないという場合もあると思いますが、それはどういうふうになさるか、伺っておきたいと思います。
○赤城国務大臣 これは民間供与でございますので、その裏づけ等は政府がやるということはありません。民間の自由にやるということであります。
○戸叶委員 それでは、民間にまかせっぱなしで、どういうふうになろうとも知らない、こういうふうなことに考えておいてよろしゅうございますか。
 私、ほかに質問がありますけれども、きょうは外務大臣の御都合が悪いようですからこれで打ち切りまして、明日いたしますけれども、いまのことを答弁していただきたいと思います。
○赤城国務大臣 これは固まっておりません。とにかく、大平・金メモによりまするならば、三億、二億、一億ドル以上の民間供与、この中に含まれるということで、その具体的なこまかい点等につきましては別に深く話し合っておりません。
○戸叶委員 ちょっと、それは重大なことですから、もう一つ伺いますが、そうしますと、その三億、二億、一億ドル以上、そういうふうな請求権の問題が審議されるときにははっきりとするというわけですか。そういうこともうやむやにしたままにどんどん進められていくということですか。
○赤城国務大臣 その一億ドル以上の中に含まれておる、こういうことを御説明申し上げたのでございます。それに含まれておりまするから、これは民間ベースできめることでありますので、私どもで責任を持ってどうこうという金額ではございません。
○野原(覺)委員 関連して。私は主として外務大臣と農林大臣にお尋ねをしたいと思うのです。
 まず外務大臣にお尋ねしたいことは、日韓会談の今後のめどであります。きのう、二十五日の朝日の夕刊によりますと、総理が自民党の一年生議員の朝めし会においでになられて次のような話をされたという記事が出ております。「日韓会談の法的地位問題については順調にいけば椎名・李会談で解決するだろう。」、ということは、いま李東元外務部長官が参っておられますし、いまの時点で解決するだろう、つまり、李東元外務部長官が二十七日に日本を離れられるようでございますから、二十七日にできるだけ解決したい、そして、日韓会談の批准は会談がまとまれば次の通常国会を待たず臨時国会ですることになるだろう、こういうことを述べておるのであります。同時に、最近の新聞でございますが、どの新聞を拝見いたしましても、五月中に条約、協定、合意議事録、これは正式調印のできる見込みをつくり上げる、そうして、当初は朴大統領がアメリカをたずねて日本に帰ってこられる五月二十日、これをめどにするということであったが、これではいけない、五月上旬にも正式調印をしとげたい、こういうことがどの新聞にも報道されております。そこで、政府としても、事は国会に関することでございますから、私どもにも、政府の日韓会談をまとめ上げるめどについて隠さないではっきり御説明を願いたい。一体いつごろを目標に政府は考えておるのだということを、国民の前に国会を通じて明らかにしていただきたいと思うのであります。
○椎名国務大臣 これは、一緒に旅行するというようなものではなく、お互いが向かい合ってかけ合いをやるのでございますから、いつごろというようなスケジュールを組むべきものではないし、また、組んでみたところで、そのとおりなるものでもない。それを五月正式調印なんということは、日本の政府からは出たはずはございませんけれども、韓国側のほうでどうもそういう希望を流したように私は推察しておるのでございます。とにかく、両方の意思が合致をいたしまして、そうして大綱についてイニシアルをいたしましても、それをさらにこまかく条文化していくのにまたいろいろ疑問も起こってまいりましょうし、その間において両国の間にまたこまかい折衝が行なわれるということも多分に予想されるのでございますから、これはスケジュールを設けるというのが大体無理な話なんです。かように考えます。
○野原(覺)委員 それでは、もっと具体的に私は尋ねたいと思うのです。いま李東元外務部長官が来られて、あなたが宮中で一緒にお話をされてこられたと思うのですが、日韓漁業協定は、季東元外務部長官が二十七日に日本を離れられる、それまでにイニシアル、仮調印をしとげたい、こういう考えではございませんか。いかがですか。
○椎名国務大臣 できれば早いほうがいいのでありまして、早くやれるのをわざわざおそくする必要はない。向こうのほうとしてはそういう希望を述べておられます。いままだ懸案が全部解決したわけではございませんので、せっかくまた夜なべ仕事でやらなくちゃならないというふうに思っております。
○野原(覺)委員 二十七日といえば、これは、外務大臣、あしたなんです。あしたのことですね。しかも、二十四日に漁業協定の大綱が妥結しておる。いま楢崎委員が質問いたしまして明らかになったのですが、大体問題のある点は残して、合意に達した事項だけでもイニシアルをとるのだ、こういうことを先ほど農林大臣と和田水産庁の次長が答弁をしておるのです。ですから、あなた何もお隠しになる必要はない。あすのことであります。一国の外交を預かっておる外務大臣でございますから、漁業交渉は農林大臣におまかせになっていましょうとも、事外交の問題でございますから、あなたが関知しないはずはない。明日は仮調印の方針でしょう。いかがですか。
○椎名国務大臣 またいろいろな疑問が出ておるようでございます。いま農林大臣とその問題について打ち合わせをしようかと思ったのでありますが、時間がなくてついにその機会を得ませんでした。どういう点で両者の間に行き違いがございますのか、そういうようでございます。せっかくその問題について討議して終局に達するかどうか、それは私はまだここで申し上げる確信が持てないのであります。
○野原(覺)委員 国民は、数日前に新聞の朝刊夕刊が二十七日に漁業協定は仮調印と毎日のごとく報道しておりましたから、あすは仮調印されるものと考えておる。ところが、いま私の質問に対して、あなたは、どうもこれは単にいいかげんな答弁というよりも、なるほど、疑問が出ておるのでひょっとしたら、李東元が日本におる間、二十七日中に仮調印することは困難であるかのような御答弁であります。疑問というのは何ですか。
○椎名国務大臣 折衝中のことでございますから、私がたとえ存じておりましても申し上げるわけにはいかない場合もあります。
  〔「宮廷外交」と呼び、その他発言する者あり〕
○安藤委員長 お静かに願います。
○椎名国務大臣 私は、ただ、両者の間にどうも行き違いが出て、お互い解釈上の違いが出て、どうもしっくりいかない部分が新たに生じてまいったということだけをちょっと小耳にはさんで、ここへかけつけたような次第でございます。
○野原(覺)委員 折衝中のことだから言えないということであります。宮廷外交とか秘密外交というような声がうしろから飛んでおりますが、私は、国会でもうすでに相当漁業問題について話をしておることでもございますから、このような国会では大いに話したらいいと思うのです。あなた方は日韓会談に自信を持って臨んでおるのでしょう。自信を持って日韓会談を妥結しようと思えば、国民にあなた方の自信のほどを積極的に述べて、そして国民の審判を待ったらいいわけなんです。私どもが急所を突いてお尋ねいたしますと、交渉中であるから言えないと言う。外交は秘密事項があるんだというような声が向こうのほうから先ほど出ておりました。私はこの点はどう考えても納得できない。何かうしろ暗さがある。国民の前に明らかにすることができないものが何かどこかにあるような印象を国民が受けるのです。もしそうでなかったら、おっしゃってください。いかがですか。
○椎名国務大臣 私は、いま申し上げたように、どの点で意見の相違が出てきたのか、実は存じませんので、
  〔発言する者多し〕
○安藤委員長 お静かに願います。
○椎名国務大臣 その点をよく確かめて、しかる後に、私ももし発表していいものならもちろん発表いたします。しかし、かけ合いの最中に、手のうちを全部公開してトランプのゲームなんていうものはできるものじゃない。外交もそれと同じであります。全部手のうちを見せて、そしてかけ合うなんていうことはできるものではない。それは言えることと言えないこととあるのです。これは、外交に限らず、すべてのかけ合い事にはそういうことがある。どうぞ御了承願います。
○野原(覺)委員 その点は私はこれから具体的にお尋ねをしてまいりますから、これはぜひお答えを願いたいと思う。なるほど外務大臣としては言えない点があるかもしれません。しかし、あなたの場合にはそうじゃない。あなたは言えることも言わないのです。これは、かつてあなたが基本関係の仮調印で韓国をたずねるときに、その前日に予算委員会で戸叶委員が質問をしたのです。あなたは基本関係の条約の仮調印に行くのじゃありませんか、こう言ったら、私は重要な親善のためです、こう言って、ついにあなたは本音をお吐きにならなかった。ところが、あなたが韓国に行かれてからの行動というものは、飛行機が韓国の飛行場に着くやいなや、終始一貫仮調印のための行動であります。私はこの点非常に不愉快な感じを実は持っておる。なぜ一体国会ではっきり言えないのか。私は言えない点を言えと言うのじゃない。あしたは仮調印ではございませんか、こう言っていることを、なぜ日本の国民に隠さなければならないのか。私はこの点で非常な不満を覚えるのであります。
 そこで、具体的に尋ねましょう。まず第一に私がお尋ねをいたしたいことは、先ほど相当長時間にわたって農林大臣に楢崎委員が質問いたしました漁業協定に関連した問題です。あなたは一国の外務大臣ですから、農林大臣のやっていることだから私は知らないとは言わせない。農林大臣がやっていようと、法務大臣が法的地位をやろうと、一切外務大臣の責任に帰着すべきものであると私は思いますからお尋ねをしてまいりますが、漁業協定が、大綱の妥結はあったようですが、妥結をする、つまり調印される、こういうときが来たならば、一体李ラインというものはどうなるのか。これは新聞はいろいろ書いておる。実質的に撤廃されると書いた新聞もある。また、先ほど赤城農林大臣がそのような御答弁をされました。李ラインというものは国際法違反だといって、日本の外務大臣は、歴代、二十二年以来、ときには韓国に抗議をし、国民はときに大いに憤激してきた問題です。御承知のとおり。この李ラインは漁業協定が妥結した結果どういうことになると外務大臣はお考えでありますか。
○椎名国務大臣 たびたびお答え申し上げましたが、この漁業会談がわれわれの満足すべきものとして妥結された場合には、李ラインというものは消えてなくなる、消えてしまう、こういうふうに考えております。
○野原(覺)委員 そうすると、満足すべきものとして妥結された場合には消えてなくなる。ところが、妥結されなければ残るわけですか。
○椎名国務大臣 われわれは初めから、李ラインというようなものをかってに公海自由の原則に反して一線を区画して、この中は沿岸国一方の管轄権である、これを侵すものは拿捕する、こういうようなことは、これは国際法違反であり、国際慣例から見てもきわめて不適当なものである、こういうふうに考えておるのでありまして、これを中心にして不祥な事実が相次いで生起しているということをまずなくすためにも、両国の間に国交を正常化いたしまして、そして専管水域であるとかあるいは共同規制区域であるとかというようなものをつくり、いわゆる海上の秩序を定めて、そしてかようなおかしなものが消えてなくなるということを期待しつつ、この会談を継続しておるような状況でございます。
○野原(覺)委員 漁業協一足が妥結されれば消えてなくなるという、そのことの保証、それはいつどの場所で韓国が発言してきましたか。妥結されれば消えてなくなりますということを、だれがいつどこで、どういう場所で保証しておりますか。
○椎名国務大臣 少し表現が適当でなかったかもしれませんが、そういうようなことを想定して、わがほうの漁船を無法に拿捕するというような事実が再び起こってこない、こういう言い方のほうがもっと正確だと思います。
○野原(覺)委員 私が疑問に思うのは、私が疑問に思う点を次にお尋ねしたいのですが、その前に私の質問にお答え願いたい。妥結されれば消えてなくなります、これはだれがいつどこで韓国側があなたに言ったか。これをはっきり言ってください。これは重大ですよ。国際法違反です。そんなことを言えないようなことじゃ困りますよ。
○椎名国務大臣 国交正常化をして、そして漁業会談というものが成立いたしまして、この協定を両方で誠実な気持ちをもってこれを守るということによって、従来のような不祥事件が起こらない、かように確信をいたしております。
○野原(覺)委員 それは韓国側のだれがあなたに言ったんですか。あなたが確信をいたしておりますと思っているだけじゃ困る。これははっきりしておきたいのですよ。くどいようですけれども、この点は私どもはっきりしておきたい。だれがいつどこで発言をして、あなたがその確信を得たのか、あなたの確信を得た根拠を私どもに示してもらわなければ困る。
○椎名国務大臣 李ラインというもうはもうすでに存在する余地がなくなるのです、この漁業条約が本格的にきまりますれば。でありますから、漁業条約ができても李ラインというものが、何のために、どういう理由で、どういう根拠で、どんな形で存続するのか、私はむしろこれに対して疑問を持つ方に伺ってみたいような気がいたします。
○野原(覺)委員 あなたは私の質問に答えてください。あなたは李ラインというものは漁業問題が妥結すれば消えてなくなるのだとしょっちゅう答弁している。参議院の予算委員会でもそういう答弁をし、今日までそういう答弁を私どもに続けてこられたわけです。あなたがそういう確信をお持ちになる根拠を聞いているのです。根拠を尋ねておるのです。何を根拠にしてあなたは、妥結したら消えてなくなる、そういう受け取りをされるのですか。それを言ってください。
○椎名国務大臣 日韓会談の妥結によって、李ラインというものを想定して日本の漁船が李ラインを侵犯するという考え方がすでに消えてしまうのです。新しい海上の秩序が日韓間にここに建設されるのでありますから、李ラインというものは消えてなくなる。
○野原(覺)委員 だから、消えてなくなるということを韓国側があなたに言明をされたのでしょう。いかがですか。
○椎名国務大臣 結局、日韓会談の妥結に応ずるということが、とりもなおさず李ラインの撤廃、李ラインというものを想定して無法な拿捕行為をしないという表明になるのでありますから、この会談が円満に妥結することによって李ラインというものは消滅する、かように考えております。
○野原(覺)委員 だから、あなたが考えるだけではいなけい。これは妥結したら消滅するのだということは、あなたが、そう考えるところの根拠になるものを言ってくださいと言っておるのです。言えないのですか。それはなぜ言えないのですか。妥結したら消えてなくなりますよ、韓国の責任者が言ったでしょう。そんなことを言ったのはだれですか。おっしゃってください。国民としては関心が深いです。
○椎名国務大臣 こういう自明な理屈は、朝になって太陽が東から上がれば夜じゃなくなるというのとこれは同じなんです。
○野原(覺)委員 私は、あなたが答弁しなければ、同じことを何べんでも繰り返して尋ねます。あなた方が、妥結したら消えてなくなる、こう言っておる。政府はそういう答弁をしておる。消えてなくなるのだという根拠を言ってくれと言っておる。なぜ私がそういう質問をしつこく繰り返してするかといえば、韓国が日本との漁業問題が妥結しても李ラインは残すと言っておるじゃありませんか。李ラインは残るのだ残るのだと言っておるじゃありませんか、新聞報道で。だから私は聞いておるのです。だれがいつあなたにそういう確信を与えたのか、述べてください。
○椎名国務大臣 李ラインを残すという前提で両国の当事者が会談を進めておるわけではでありません。少なくとも責任ある韓国の当局においては、この問題はもう問題にならなくなっておる。新しい李ライン、新しい資源ライン、新しい国防ラインなんという、そういう一方的な管轄権を設定するということは、もういかなる理由においても、いかなる形においてもこれは絶対に認めない、かような前提のもとに会談を進めておるものでありますから、何かそれは横町のほうからそういう流説が流れるかもしれませんけれども、そういうものには耳をかす必要はございません。
○野原(覺)委員 そういたしますと、韓国の責任ある当局は、李ラインというものはいかなる形でもってでも残さないということをあなたのほうに言明をしておる、このように受け取ってよろしゅうございますね。
○椎名国務大臣 専管水域から外のいわゆる共同水域あるいはさらに公海、これらの点において、沿岸国の一方が他方の漁船を拿捕するというようなことは一切やらない、旗国主義でいく、こういうことになっております。
○野原(覺)委員 漁業問題が妥結すれば、日本は韓国と友好国家になるという段階において旗国主義がとられるのであって、李ラインというのは依然として残る。李ラインは完全に撤廃するのですか。李ラインというものは残るでしょう。いかがですか。季ラインというものは残るでしょう。
○椎名国務大臣 李ラインというものは残り得ないのです。その間に隻数のお互いの制約を設けたり、その他の共同規制をやるわけでありますが、それに違反しておるかしておらないかという臨検すらも旗国主義でいく、こういうことになりますから、李ラインのごときものはもう存在の余地がなくなる。これほど明瞭なことはないのです。
○野原(覺)委員 友好国家の日本に対しては、李ラインの点は、専管水域外は旗国主義をとる。取り締まり、裁判管轄権というものは旗国にある。李ラインはそういう意味では事実上の解消になるかもしれない。ただし、これは日本が友好国家ということが前提だ。韓国が依然として李ラインというものを残すんだと言っている。これはほんとうに李ラインというものはなくなるのですか。私はそのことを望んでおるのです。しかし、私は若干疑問があるからお尋ねをしておりますが、李ラインというものがほんとうになくなるのですか。友好国家である日本に対してのみ旗国主義がとられるのであって、韓国は依然として李ラインというものはやはり残しておく、そういうことになるのじゃございませんか。いかがですか。
○椎名国務大臣 日韓の両国の間においては、さようなことは絶対に起こり得ない。しかし、日本に対してはそういうことはしないが、日本以外の第三国に対してそういうことをやったらどうか。おそらく、そういうようなことはほとんど仮定することすらもむしろ非常におかしいぐらいで、そういうことはあり得ないと私は考えております。
○野原(覺)委員 あり得ないことが今日まで続けてこられておるのですよ、あり得ないことが。あなたのあり得ないという簡単なことばで解決できるならば、何も今日まで日本は李ライン問題で苦しんでこなかったはずだ。あなたがあり得ないと言われることが、あり得てきておる。
 じゃお尋ねします。李ラインの侵犯によって日本の漁船を拿捕したのは、法的には魚族資源法。魚族資源法というものを韓国は撤廃しますか。この点はいかがですか。魚族資源法というものは依然として残るんじゃありませんか。あなたは、季ラインが撤廃されるというならば、この点は確かめなければならぬ、あなたがそういう信念を持っておるならば。これはどうなっておる。
○椎名国務大臣 専管水域外の海域については、魚族資源保護の立場から、お互いに平等の立場において漁獲量、それから漁船の隻数というものに規制を加えて、それを守っていこうではないかというような線でいま会談が進められつつあるのでございますから、その点は問題はないと思います。
○野原(覺)委員 いや、魚族資源保護法というものは残るわけでしょう。魚族資源保護法によって拿捕されたのです。抑留されたのです。李ライン侵犯の拿捕、抑留というものは、外務大臣、魚族資源保護法ですよ。だから、決してスパイ罪には問われていない。軍法会議には回っていないんだ。日本の漁船は魚族資源保護法によって拿捕されてきたんだ。だから、魚族資源保護法というものが撤廃されるならば、私は李ラインというものはあるいはあなたが言うように完全に撤廃されたと考えられるわけですけれども、この点はいかがですかと聞いておる。
○椎名国務大臣 韓国の国内法において、たとえあなたのいま言われるような法律が形式上残っておるにいたしましても、すべての条約は国内法に優先するという原則がございまして、お互いに一国だけで自分の海域と同じように取り扱うということでなしに、これはもう公海であり、しかも日韓両国民の漁業の地域である、そういう意味から平等の立場においてお互いに規制をしよう、こういう条約をいまこれから設定をしようとしておるのでありますから、それが通れば国内法は自然に効力を失うわけでございます。
○野原(覺)委員 じゃお尋ねしますが、漁業協定が妥結すれば事実上解消になる、このことは、日本に関しては、あるいは取り締まりとか裁判管轄権が旗国主義でいきますから、ある程度これは私は認められないことはないと思う、この点は。そうなりますと、ただ私がここで気にかかるのは、この漁業協定というものは、先ほど楢崎委員が農林大臣にお尋ねしておりましたが、何年かの有効期間があるわけですね。そうすると、その有効期間がなくなる、有効期間が満期になる、満期になればまた改定とくる、改定が成立しない、こういうことになると、依然として李ラインというものは残っておると声明しておる韓国では、またもとに戻されるのではないか、もとに戻るんではないか。ところが、いや、それは野原、おまえの杞憂だ、そんなことは断じてない、永久に今度の漁業協定の妥結によって李ラインがもとに戻ることは断じてない、こうあなたは言い切れるかどうか。いかがですか。
○椎名国務大臣 いやしくも一国と一国との間に条約を結ぶ以上は、あくまで相手を信頼して条約関係を設定するのでございまして、いままでは、御承知のとおり、両国の間に非常に大きな変動が起こって、その変動の中においてきわめて奇形な現象が起こっておった。それが李ラインである。今度は、国交を正常化いたしまして、そうして、国際法、国際慣例に従って両国間の海洋の秩序を新しく設定する、こういうことになるのでありますから、その点はあくまで相互の間に信頼感を持ってこの問題に対処すべきである、私はかように考えております。
○野原(覺)委員 国際間のことを個人のような信頼感ということで簡単に片づけるわけにはいきませんよ、外務大臣。もしあなたがそれで片づけるならば、条約は要りませんよ。交渉は要りませんよ。腹と腹でいったらよいじゃありませんか。そういかないからこそ、いま日韓交渉が非常に問題が次から次と出て、十何年も難航してきたじゃありませんか。信頼でいきたいということは私もわかる。しかし、そのとおりいかないのが国際間のことなんです。
 じゃ、私はお尋ねしますが、漁業協定の期限が満期になって、そうして再改定が実現をしない、そういう事態が起こっても、韓国は二度と再び国際法違反、李ラインの主張をして国際法違反はいたさない、そういう確信を持つあなたの根拠を、その保証というか、根拠を御説明願いたい。
○椎名国務大臣 ものごとはただ権利だ義務だと言って済むものではない。やはり、人間の社会がうまくいくのは、相互の間の良識と信頼関係がある。国際間においても私は同じだと思う。いままでは非常に一種の異常な変動の時期であった。それをようやく反省して、お互いの共存共栄のために、これは離れておったんじゃだめだ、あくまで、一日も早く国交を正常化して、そうして協力して、その共存共栄の道に進まなければならぬ、こういう転換をして、ここに新しい時代を歩もうとしておるのでございますから、十年たって、どうもばかを見た、こんなことじゃやっぱりだめだから、またもとへ返って、戦国時代のような切った張ったの時代に返ろうというようなことは、賢明なる韓国民はそんなことは思うはずがない。これはどこまでもこの条約関係を維持育成しようというふうに考えるにきまっているのですから、私はそう考えておる。
○安藤委員長 野原君にちょっと申し上げますが、お約束の時間が来ておりますから、この一問でお締め願いたい。
○野原(覺)委員 私は非常に大事な点がありますから、委員長、もう少しお願いしたいと思う。これはあした仮調印するかもしれぬということですから、これは委員長に特にお願いしたい。できるだけ協力いたします。
 答弁が一つも核心に触れないのです。外務大臣が何とおっしゃろうとも、金大使をはじめ韓国の責任者は李ラインは残すと言っておるのです。日本に関しては、友好国家になるから、これは漁業協定ができれば事実上の解消になる。ただし、漁業協定が条件になっているわけなんです。私はこの点をあなたに尋ねるけれども、一つもこれは明確にあなたの御答弁がなされないわけなんです。良識と信頼でいくというけれども、良識と信頼でいきたいのです。お互い個人の関係はこれでいきたい。今日まで良識と信頼でいけなかったじゃありませんか。だからここで日韓会談をやっているわけなんですね。良識と信頼でいくならば、何の条約が要る、何の合意議事録が要る、何の協定が要りますか。国と国の間はいろいろな利害がふくそうして、それでいけないから、やはり私どもは外交折衝によって条約を締結し、そうしてその条約を国会が批准をして、お互いにきっちりしたものにしていくんでしょう。この点について何らあなたは明確な御答弁を私にされていないのであります。
 そこで、私はこの問題は明日に譲ります。私は実はかなりこの問題の用意をしてきたわけですが、時間的に明日に回せということでございますから、明日に譲りたいと思いますが、ここで一問だけそれではお尋ねをいたしておきます。竹島の問題です。一問ということでございますから、私は固めてお尋ねしますから、お答え願いたい。
 竹島の問題は一括解決の既定方針にいささかも変更があるかないか、これが一つ。それから、どのような竹島問題の解決の方法を考えておるか。このことは、予算分科会で私あなたにお尋ねをしましたときに、国際司法裁判所に提訴をする、その日本の提訴に対して応訴することという小坂元外相、大平前外相の方針よりも、もう一つあなたはワクを広げて、その他の方法も考えられるのではないかという御答弁をされたのであります。もしその他の方法が考えられるとすれば、その方法とは何か。この点についてお尋ねしておきたいと思う。
○椎名国務大臣 一括解決の方針は依然として捨てておりません。さしあたり、われわれは国際司法裁判所に提訴し、向こうが応訴する、その方法をとることによってこの問題がはっきりと解決のめどがつくわけであります。その他の方法といいましても、まだこれは具体的にははっきりと確信を持って申せませんが、その他の方法がないときめてしまうわけにもいかない。私は、くふう次第によっては、その他の方法が容易に見つかるのではないか、かように考えておりますので、必ずしも、この司法裁判所一つ、これだけが方法、こうきめてかかるのはどうか、かように考えております。
○野原(覺)委員 これで終わりますが、竹島の問題は、単なる無人島だからといって放てきできない国の領土問題であります。この問題についてその他の方法もあるやに言われたから、だから、その他の方法とは何ぞやということを私は次にお尋ねをし、同時に、今日竹島がどのような現実に置かれておるのか、そのことが一括解決の中でどのように処置されなければならないか、この問題も次にお尋ねしていきたいと思います。しかしながら、きょうは委員長からたっての要請でございますから、まことに中途はんぱでありますけれども、一応これで終わっておきます。
○安藤委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は明二十七日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、これにて、散会いたします。
   午後六時二分散会