第048回国会 社会労働委員会 第1号
本国会召集日(昭和三十九年十二月二十一日)(
月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
の通りである。
   委員長 田口長治郎君
   理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
   理事 亀山 孝一君 理事 澁谷 直藏君
   理事 田中 正巳君 理事 河野  正君
   理事 小林  進君 理事 長谷川 保君
      大橋 武夫君    熊谷 義雄君
      倉石 忠雄君    藏内 修治君
     小宮山重四郎君    齋藤 邦吉君
      坂村 吉正君    竹内 黎一君
      地崎宇三郎君    中野 四郎君
      西岡 武夫君    橋本龍太郎君
      藤本 孝雄君    松山千惠子君
      粟山  秀君   山口喜久一郎君
      山村新治郎君    亘  四郎君
      伊藤よし子君    大原  亨君
      小川 三男君    高田 富之君
      滝井 義高君    八木 一男君
      八木  昇君    山口シヅエ君
      山田 耻目君    吉村 吉雄君
      本島百合子君    吉川 兼光君
      谷口善太郎君
    ―――――――――――――
昭和四十年一月二十日(水曜日)
    午前十一時三分開議
 出席委員
   委員長 田口長治郎君
   理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
   理事 齋藤 邦吉君 理事 田中 正巳君
   理事 河野  正君 理事 長谷川 保君
      大橋 武夫君   小宮山重四郎君
      竹内 黎一君    地崎宇三郎君
      中野 四郎君    西岡 武夫君
      橋本龍太郎君    藤本 孝雄君
      松山千惠子君    粟山  秀君
      淡谷 悠藏君    伊藤よし子君
      滝井 義高君    八木 一男君
      八木  昇君    山口シヅエ君
      山田 耻目君    吉村 吉雄君
      本島百合子君    吉川 兼光君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 神田  博君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (大臣官房長) 梅本 純正君
        厚生事務官
        (保険局長)  小山進次郎君
        社会保険庁長官 大山  正君
        厚生事務官
        (社会保険庁医
        療保険部長)  坂元貞一郎君
 委員外の出席者
        専  門  員 安中 忠雄君
    ―――――――――――――
一月十二日
 委員小川三男君、大原亨君及び高田富之君辞任
 につき、その補欠として多賀谷真稔君、淡谷悠
 藏君及び松平忠久君が議長の指名で委員に選任
 された。
同月二十日
 理事亀山孝一君同日理事辞任につき、その補欠
 として齋藤邦吉君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
十二月二十一日
 船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第三号)
 公害対策基本法案(吉川兼光君外一名提出、第
 四十七回国会衆法第八号)
 は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 厚生関係の基本施策に関する件(医療費に関す
 る問題)
     ――――◇―――――
○田口委員長 これより会議を開きます。
 この際、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。一、厚生関係及び労働関係の基本施策に関する事項二、社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する事項三、労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項以上各事項についてその実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面よりの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田口委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
     ――――◇―――――
○田口委員長 この際、おはかりいたします。
 理事亀山孝一君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田口委員長 御異議なしと認め、同君の理事辞任を許可するに決しました。
 つきましては、理事に欠員を生じましたのでその補欠選任を行ないたいと存じますが、補欠選任につきましては、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田口委員長 御異議なしと認め、斉藤邦吉君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
○田口委員長 それでは厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。小沢辰男君。
○小沢(辰)委員 本日の社会労働委員会開催の契機から見まして、現在非常に大きな政治問題と見られます中央医療協の問題、当然医療費の緊急是正の問題が本日の主要な議題だと思いますので、この点につきまして、年末年始の関係もありまして、国会においては国民のいろいろな疑惑なりあるいは国民の知りたいと思うことをひとつ委員会で取り上げまして、明らかにしていくわれわれとしての義務もあろうか、こういうことで委員会を急遽与野党いろいろ御相談の上でお開きになったとと思うのでございますが、私は与党を代表しまして、今日までに至る経過につきましていろいろ明瞭にいたしたい点がございますので、若干大臣に御質問を申し上げたいと思います。
 医療協の問題は、御承知のとおり一昨年の暮れからの問題でございます。一昨年の暮れに、前厚生大臣が、医療費の緊急是正をやらなければいかぬというのでこの緊急是正について中央医療協の意見を問われたわけでございます。その際に中央医療協の意見がまとまるならば、大臣としては与党と相談の上予算を編成しまして、昭和三十九年当初から緊急是正をしなければいかぬのだ、こういうお考えでおやりになったと思うのですが、中央医療協そのものの答申を得られないままに緊急是正が非常に延びてまいりました。三十九年になりましてからいろいろ御努力をされまして、中央医療協の御審議をわずらわし、答申を得て、緊急是正でございますからできるだけ早く是正をやらなければいかぬということで、この点については国民も、それからわれわれ政治家の中でも与野党、緊急是正を必要とするということについては一致しておったと思うのです。ただその内容につきまして、中央医療協という法律上の機関があるので、この医療協の答申を待たなければいけない。こういうことから中央医療協の答申が出るのを待っておられたと思うのでございますが、それが昨年、大臣御就任の前に答申が出まして、結論から言いますと、ようやくこの四十年の一月九日の告示によって解決をした、こういうことでございますが、しかもその告示たるや大臣が職権告示をした、こういうようなことで、法律上、健康保険法に基づきまして中央医療協議会の議を経ましてから厚生大臣が診療報酬の額を算定しなければいけないというのに、職権告示というのは明らかに法律違反ではなかろうかというような疑惑を国民は持っておるわけでございます。健康保険法の規定によって中央医療協に諮問しなければいけない、その答申を待って大臣が四十三条ノ九の第二項の規定によって算定をしていく、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、国民から見ますと、職権告示というような形をとったからこそ一体それは適法なのかどうか、あるいはああいうような、年末の新聞を見ますと医療協は空中分解だというような記事も出たりいたしまして、その後いろいろな努力でまた再開されたようでございますが、しかるにもかかわらず職権告示をしなければいけない−私どもは、大臣が職権告示をしなければいけないというような事態は極力避けなければいかぬと思うのでございますが、結果的にそういうふうになりましたことについては、国民は非常に疑惑を持っておると思う。また一部、御承知の支払い側の委員が中心となりまして、医療協そのものからもう手を引く。承りますと、公益委員も、大臣の辞任を見ないうちは協力しないというような声明をしておられるようでございます。
 そこで、私、まず順序立てて御質問申し上げていきたいのでございますが、小山さんに私、法律上の解釈をまず最初に承っておきたい。
 健康保険法では、この四十三条ノ九というところに「前項ノ療養に要スル費用ノ額ハ厚生大臣ノ定ムル所二依リ之ヲ算定スルモノトス」、 これを受けまして、この中央医療協の関係では、四十三条ですかに、この第二項の規定による定めをなさんとするときは諮問しなさい、こういうふうになっております。米価審議会とかあるいは耕作審議会とか、いろいろなことがありまして、ここには関係者が集まり、米価をきめたり、たばこ耕作者の手数料をきめたり、いろいろしております。あれと少し規定のしかたが違うのであります。そこで、最初の御諮問はおととしの暮れでございますが、諮問は、緊急是正の要ありやいなやというような諮問をされておる。私は、これは不要な手続ではなかったかと思うのです。まず厚生省がいろいろ算定をされまして、算定をした具体的な案を中央医療協にかければいいのであって、そういうような緊急是正の要があるかどうかという判断は、医療費がここに合理化されてない、あるいはこういうふうに直さなければいかぬ、あるいは物価なり経済事情なりによって厚生大臣がこうしなければいかぬと思ったら、その案を具体的におつくりになって、その定めをする前にそれを中央医療協議会におかけになればいいことで、何か一年間えらいすったもんだして、逆にむだ足を踏んだような気がするわけです。そういう意味では、一体法律上どういうふうにこれを解釈しているのか、まずその大綱について諮問をし、さらに答申を得て具体案を作成してやらなければいかぬというようなことが法律上の義務なのか、その辺のところをひとつ最初に承っておきます。
○小山政府委員 これは、ただいま仰せのとおり、今回の緊急是正問題の特殊事情から諮問を二回にわたって行ない、二回にわたって答申を求めるということが必要になったわけでございます。
 それで、ただいま先生仰せのとおり、医療費問題の今回の起こりは、普通一昨年の十二月からといわれておりますが、さらに正確に申し上げれば、十二月ではなくて九月の初めに、当時の中央医療協の医療担当側委員八名の全部の要求に基づきまして、再診料十点の設定ということを中央医療協議会でひとつ議論してほしい、こういう要求が出まして、それをどういうふうに処理するかということから始まったわけでございまして、諮問という形で出ましたのは一昨年の十二月でございますが、問題の実質的な発端は一昨年の九月であったわけであります。この間の事情をよく知っていただきませんと、今回の措置について、あたかも問題が昨年の四月十八日の答申から初めて始まったように考え、あるいはさかのぼって考える人もせいぜいのところ一昨年の十二月からだという感覚でお考えになるわけでございますが、実際はそうじゃなくて、もう一昨年の九月から出ておった問題です。ぎりぎりの場における決着をつける時期が今回のときであった、こういうことでございます。
 そこで、先生お尋ねの問題について申し上げますと、要求が再診十点の設定ということで起きてまいりまして、これを当時会長であった有沢先生が、いきなり中医協の場に正式に持ち込むと非常に険悪な情勢になるから、まあひとつ事前にウォーミングアップをして、ある程度関係者の間でこなし合った上で正規の場に持ち込むということにしようじゃないかというので、九月、十月、十一月一ぱいを使ってその調整をしたわけであります。その結果、再診十点をつくることがいいかどうかという問題も含めて、この際緊急是正問題をどう取り扱うことが適当かという諮問を厚生大臣としてしてほしい、その諮問を受けて中央医療協議会としてはそれを議論するか、こういう経緯でああいう形の諮問が出たわけであります。もしああいう形の諮問が出ました結果、これはもう全く事柄の性質を明らかにするという意味だけで申し上げるのでありますが、再診十点の設定が適当であるという答申が、もし四月の時点あるいはそれ以外の時点に出ておったとすれば、もうそれでこの問題について中央医療協議会に再び諮問をして、最後の締めくくりをするという必要はなかったわけであります。ところが、答申はそういう非常に明確な答申ではなくて、一つの方針を示した答申であったわけであります。現にそのことが、同じ答申の理解のしかたについてかくも違った考え方が出てくるのかと思われるくらいに、違いが現実の問題として、不幸なことでありましたが、出てきたわけであります。そういうことでありますから、これを実施に移す場合において、どうしてももう一回ぎりぎりの形において中央医療協に諮問をして、その審議を求めて答申をしてもらう必要があった、こういうことでございまして、あの場合の特殊事情、また答申の出方のあの場合における内容というようなものから二段の諮問が必要になり、特に先生が焦点を置いてお尋ねになっておる法律との関係からいえば、今回の諮問というものが法律上どうしてもしなければならぬ諮問であり、前回の諮問は、いわばそういうものを導き出していった一つのもとになったものだ、こういう関係にあったわけでございます。
○小沢(辰)委員 ここで明瞭になりましたことは、法律上は、今回といいますか、昨年の暮れに具体案をおかけになった、これが法律上成規の手続であるが、一昨年以来、医療協議会の関係者全体のいろいろな希望なりそういうものがあって、緊急是正についての全体の方針なり、そういうものの諮問の形をとって答申を求めるような結果になったんだ。とすれば、医療協議会の公益委員を含めまして、関係者全体がそうした再診料の要求といいますか、再診料に対するいろいろな議論の中で、緊急是正全体の諮問をしてくれという医療協議会の御希望等もあって、厚生省がああいうような形で進めてこられたというふうに解釈できる、そういう経過であったということがはっきりしたわけでございます。
 そこで、今度答申が出ましてから今日までいろいろな経過があったわけでございますが、おくれたのは、大臣更迭の事情もありましょうし、その後経済的な物価、生活水準のいろいろな変動等もございますので、今度の諮問がいろいろな形で変わってき、幅も変わって山山されたことについては、これは当然だと思うのですが、私はやっぱり、国民の経済的に一番大きな影響を来たす問題でございますから、医療協議会の関係者が集まってみんなで納得をしたものなら了承をするけれども、どうもそういうような姿ではない。しろうとが多いものですからさっぱりその点がわからないで、ただ職権告示で、大臣は何でもしゃにむに職権で告示して医療費を上げたのだ、こういう印象を非常に強く持っているわけであります。私どもとしては、これはもう二年半以上前から、いま局長のおっしゃったように、いろいろな経過があってやらなければいかぬことが、むしろ一年も一年半もおくれたというふうにさえ思っているわけでございますが、その点をはっきりしていただくために、医療協の経過について、特に昨年の暮れから今年のいわゆる職権告示といわれるような時点までの経過をひとつここで率直に御説明を願いたい、国民に明らかにしていただきたいと思うわけでございます。なおその御答弁に関連して、ひとつ質問を申し上げてみたいと思います。
○神田国務大臣 小沢委員の御質問でございますが、医療費の緊急是正については、昨年四月に行なわれました中医協の答申に基づく具体案として、四月以降の事情の変更をも考慮に入れた上、十二月二十二日に、九・五%の引き上げに伴う診療報酬の改正案と改正に伴う余裕分三%を技術料に振りかえる、こういうことを中医協に諮問いたしたのであります。そこで中医協は、十二月の二十二日より二十九日の早朝まで、六日間にわたって多大の時間をさいて審議を続けられました。ところが支払い側は、四月答申当時の事情のもとで考えられていた八%の案の実施を審議し、自後継続して審議すべしとの態度を固執しました。診療側は諮問案に消極的ながら賛成の意向を示して、双方とも譲る気配を示さなかった。審議の進展を期待し得ない状態に立ち至りまして、公益委員としては、これ以上審議を続行しても中医協の答申を早急に出し得る見込みはないとの判断のもとに一応会議を閉じるということにいたしまして、自分たちではなかなか手に負えぬからということで辞意を表明されたわけであります。厚生大臣としましては、諮問案の緊急実施の必要性を重視する一方、中医協が事実上活動停止の状態に立ち至ることを回避すべく、さらに努力することが必要であると考えまして、十二月の三十日に支払い側を、次いで一月五日に公益委員及び診療側を招致して、審議を継続することにして協力を求めたわけでございます。したがいまして、暮れにいまお尋ねのような職権告示するということは、毛頭考えておらなかったことは御了承願えると思います。公益委員としては、当局及び医療側委員が弾力的態度で審議に臨み、かつ中医協を関係者が尊重するということであるなら、引き続き公益委員としての事態の収拾につとめたいという意向のもとで、支払い側及び診療側の協議会に臨む態度の打診につとめ、さらに厚生大臣に対し、今後とも中医協の場を尊重して事を処理する方針を確認した上、一月七日正式に留任の決意を明らかにし、翌八日より協議会を再開することになったのであります。一月八日再開された協議会には、緊急是正の一月一日実施を強く主張する診療側の出席が危ぶまれたのでありますが、結局は診療側も出席したので、公益側は医療側に弾力的態度をとることを要望の上、同日及び九日の二日間主として懇談会の場を通じて意見の調整に努力したわけであります。しかし、緊急是正の実施時期と関係する今後の審議の進め方については、医療側の意見は年末の対立状態からほとんど歩み寄りを示すところがなく、公益側は早急に中医協としての意見をまとめることは困難と判断された。公益側の意見を提示した後、次善の策として総会を開き、各個の意見を総会の場で明らかにして答申をすることを提案したのでありますが、支払い側はこれに出席することを拒否したので、やむなく九日深更に至り、この段階における公益側の意見を厚生大臣あてに報告してまいったのであります。
 この公益側の報告は、諮問案における点数の配分に若干の修正を加えた上、引き上げ幅九・五%の緊急是正を一月一日にさかのぼって実施すべきであるというものであったわけであります。厚生大臣としては、右の公益委員の報告を受け、中医協の答申がいれられなかったことを深く遺憾とするが、緊急是正の実施がもはや遷延を許さないものと考えて、公益側の意見に基づいて直ちに医療費の緊急是正の告示の手続をとったわけであります。
 支払い側は、一月九日に公益側委員のとった措置及び厚生大臣の措置に強く反発し、これを究明する要があるとして十二日に中医協を再開すべきことを会長に要請し、その要請に応じて開かれた同日の会議において、みずからの側の主張を述べるとともに、公益委員側及び当局のとった措置を批判して、最終的には支払い側七名の中医協委員の辞任を申し出て退場する、こういうような事態になったわけでございます。
○小沢(辰)委員 大臣の答弁はいかにも事務的な答弁で、私のお伺いしたのはそういう点ではなくて、年末に、大臣は御承知のとおり、大臣の御要望によって政府では補正予算というものを組んで一月一日に緊急是正をやるのだ、長年の問題について、一応医療担当者も非常に不満のようだけれども、九・五以上はとうてい引き上げるべきではないというお考えのもとに政府側では補正予算をお組みになって、一日実施ということを予定して補正予算も国会の審議を通って、これは国会でも成立しまして、またその審議の過程においてそういうようないろいろ質疑の場もあったはずなんです。そうしますと、なぜ年末でこの一日にきちんと間に合うように告示をおやりにならないで、さらに一月まで延ばされたか、延ばされた点の理由をもう少しよく国民に説明をすれば、これは関係者は納得してくれるものだと思うのです。いかにも九日の日に職権告示をやって、何だか自分たちの言うことを聞かない、医療協がちっともまとまらないのに、大臣は医療費の値上げをかってにやったのだというような印象を国民に与えておる点が、政府・与党としてははなはだ遺憾にたえないところなんです。しかもそういう事態に中医協そのものを追い込んでしまったということについては、これは関係主管大臣として、われわれももう少し善処をしてもらいたいと思う。いわば与党としても大臣に若干おしかりを申し上げなければならない点ではありますけれども、しかし、やはり私は国民全体の点から見れば、なぜそうなったかということについての問題、しかも年末でやればやるというように新聞にも出ておったわけなんですけれども、それが一月まで延びた、どういうような努力をされたか、その結果公益委員がどういうような態度でやられたか、その点を明確にすることが一番大事だと思うので御質問申し上げておるわけなんですが、もう一度ひとつお願いいたします。
○神田国務大臣 ただいま中医協の審議の実態を明らかにしたい、こう思って申し上げたわけでございますけれども、いまの小沢委員の一月一日になぜすぐやらなかったか、こういう御意見でございます。これは、私も去る臨時国会にしばしばお答えいたしておりますように、一月一日を目途としてひとつ緊急是正をいたしたい、こういう考え方でございました。国会におきましても、公益委員の決定を十五日で終了いたしております。そこで最も近い日に審議会を開きたい、こういうことで御相談いたしたのでございますが、最初のことでもございまするし、全員の都合のいい日がというようなことになりまして二十二日、こういうことになったわけでございます。そういうわけでございまして、二十二日から六日間もやりまして、しかもその間徹夜も二日くらい続けております。延べ時間にいたしますと非常な長時間になっております。そこで、それは一日に間に合わせたい、しかも円満に実施したい、こういうことで会議をお願いいたしたわけでございますが、先ほども述べましたように、診療側については、自分たちの考えは再診料にあるんだ、再診料にあるんだが、しかしこの困難な、われわれの経営の至難なときに再会しているので、いまはひとつそのことは言わないで、政府案に対して消極的ながら賛成をする。ということは、言いかえれば困っているから一口も早く実施したい、こういう態度でございました。支払い側は、八%ならば四月の答申どおりであるからよろしいが、一・五と分離したらどうだという強い御要望でございました。私どもといたしましては、先ほど来小山政府委員が答弁しておるような事情で、一昨年の九月からの資料に基づいて、そしてそれが四月に答申を得たというような事情でございまして、その後の資料に基づいて、そうしてこの十二月の段階にやるということになると、経済界の変動その他によって自動的に計算された数字が九・五になるんだから、これは分けられないんだ、ぜひひとつそのことを御勘案願いたい、こういうことでございました。その間、財政上の裏づけの議論等にも発展いたしまして、なかなか収拾がつかなくなりました。そこで公益委員も、これでは自分たちは年内にまとめるということがむずかしい、政府の要望にも沿いかねるから、自分たちの力では何ともできない、こういうことで御辞退するというような場面があったわけでございます。
 そこで、私といたしましては、審議はお願いしたのでございますが、結論を得られなかったわけであります。正規の結論が得られなかったわけでございますが、支払い側が御承知のように退場されておりますから協議会も開けない、また、公益委員もまとめるわけにはいかない、同時に自分たちの意見もこの際差し控えたいというようなことでございまして、公益委員の御意見もございません。診療側だけ消極的な態度で、困っているんだからひとつ一月一日に実施してくれ、こういうことでございまして、これをそのまま職権告示するということは、私は、公益委員の意見も明らかにされておらない際に職権告示する、ずいぶん病院側、診療側が困っている事態は承知いたしておりますが、そういうことは妥当でない。それからまた、医療費というものは、どうしてもこれだけでなく、中医協にいろいろと相談しなければならぬ問題があります。また、将来においてもこの中医協は残していかなければならぬ大事な機関でありますから、やはり私は中医協を再開して、多少おくれてもそういうようなことでひとつお願いしたほうがよろしいんじゃないか、こういう考えをもって、支払い側とも三十日にそういう意見が一致いたしましたものですから、正月は四日まで休みでございまして、五日に公益委員の都合がいいということで公益委員においで願って御懇談申し上げて、ひとつお願いいたしたい。それから、一月一日、また九・五ということを申し上げておるが、これはあくまでもわれわれの諮問案であり、公益委員は独自のお立場でひとつおまとめ願いたい。われわれは幅を持って――政府はどうだというお尋ねであれば、九・五%、一月一日実施ということをお答えいたしますが、しかしおまとめにはいろいろ御事情もあるだろうし、公益委員としてのいろいろ御検討の結果のお考えもあるでありましょうから、それはひとつとらわれないでおやりになっていただきたい、こういうことを申し上げまして、了承の上で審議していただいた、こういう段階でございます。だから、一月一日はあくまでやりたいのでございますが、いまのように年内にはこの答申を得ることができなかった。公益委員の意見を聞くこともできなかった。そこで、一月になりましてそういうことが明らかにされた。この点については、診療側がなかなか渋っておりました。しかし、とにかく中医協を立てていきたいというようなことで御相談願ったわけでございますが、結論を申しますと、先ほど申し上げたように、やはり両者の食いつき方が足らなかった。そこで公益委員が独自の意見をお出しになられて、そういう報告を受けた以上は、私といたしましては尊重するということをしばしば繰り返しており、またそういう信念に変わりないのでございますから、それをとらざるを得ない、こういうことでございます。
 いろいろ紛議のあったことは、私の不徳のいたすところでございます。まことに恐縮でございますが、以上が大体の経過でございます。
○小沢(辰)委員 そうすると、十二月の時点では支払い側の方々の大臣に対する要望もあって、大臣も、できることなら中医協全体の審議をさらにいろいろ願って、そして何らかの意味で中医協の答申を得てからやるべきだ、こういう考えで、主として支払い側の御意見を尊重して年を越した、こういうふうに理解していいのですか。
○神田国務大臣 それはそのとおりでありますが、同時に、私と中医協を尊重してやろうという意見が完全に一致した。それからまた、支払い側にも幅を持ってもらいたい。支払い側からもまた厚生省に幅を持ってもらいたい。両者ともその意見が一致した、こういうことでございます。
○小沢(辰)委員 そこで、年末の時点はよくわかりました。むしろ関係者の意見を尊重されて、大臣が中医協の意見をできるだけ尊重し、まとまった答申を得てやりたいと思うから、一月一日の実施にあるいは間に合わぬかもしれぬけれども、こだわらないで、年改まってから中医協の再開をやるように努力をされた。これは国民として、私は、非常に了解といいますか、大臣の態度には賛意を表する点だと思います。ただ、しからば私がお伺いしたいのは、今度は、その年改まって、せっかく五日に懇談会から中央医療協を再開されまして、なぜ、支払い側のああいうような意見にもかかわらず、九日に大臣がやらざるを得なかったかという点に、もう少し問題を解明していく必要があるのじゃないか。
 私どもが新聞なりその他でいろいろ聞いておるところによると、これは正確かどうかわかりませんけれども、十二日ごろといいますか、九日の職権告示でございますから、それから二、三日余裕を持ってくれれば何とかまとめていくから、もう少し待ってくれぬかというようなこともあったように聞いているのですが、それを、何といいますか、待たないでというか、結論的には待たないで九日にそういうような措置をおとりになったことの経過を明らかにしたいと思うのですが、その点はどうですか。
○神田国務大臣 中医協をまとめていただきたい、また、まとめようということについての原則的な了解は、先ほど来申し上げたとおりであります。その方針によって中立委員が、あっせんと申しましょうか、いろいろ懇談会に切りかえまして懇談をされたようでございます。記録の時間を申し上げても、延べ八十七時間くらいやっておることを見ましても、いかに公益委員が努力されているかわかると思います。また、各委員も協力したと考えておりますが、しかし、たまたまそのぎりぎりのところにまいりましてそういう話のやりとりがあったことも、私は公益委員から報告を受けております。そのあとで報告を受けたのでございますが、こういうように私は了解して九日にとらざるを得なかったということは、公益委員が年末六日間、それから年が明けてから六日間でございますか、しかも九十時間に近い程度の努力をなさいまして、そしてその努力の結果公益委員が一致して考えられたことは、そういういろいろの話もあるが、いままで自分たちがこうやってあっせんしてきた段階から推測すると、これは裏づけと申しましょうか、そこで話がまとまるという見通しが持ち得ない。そこで緊急是正のやむを得ない事情というものを自分たちも十分了承できた。これは待っても同じような結果になるということならば、われわれは、われわれとして負託された責任をやはり明らかにする必要がある、こういうことで自分たちの意見を、正規の総会ができませんから報告書に書いて出したい、こういうことでございます。そこで私といたしましては、そういう報告を受けた以上は、待ってもそういうことになってしまったんでは理由のない待ち方になります。そこで、やむを得ず公益委員の報告をそのまま採用せざるを得なかった。ということは、公益委員の報告を取捨することも一つの考え方かもしれませんが、私といたしましては、中医協を尊重していく、全会一致を要望したい、その次には多数決の意見だ、それもとることができなければ、公益委員の意見にやはり従うべき以外に道はない。何といっても支払い側と診療側というものは意見が対立しておりまして、これをつけるということがなかなか容易なことでないことは、各位もよく御了承のとおりであります。長い歴史から見ましても、そういう幾多の例を経てきております。そこで公益委員のお考え方、この報告をやはりそのまま実施に移すということが一番虚心たんかいなことでないか、行政としてもそれが一番やむを得ないことではないか、こういう信念のもとで行なった、こういうことでございます。
○小沢(辰)委員 そうすると、二、三日待っても、公益委員が会長を中心にして御相談になった結果とうていまとまりっこない、また緊急是正の必要性は、どうしても公益委員としてもやむを得ないと認める、そこで会として公益委員側が一致して大臣にこうすべきだという答申を出された、こういう経過になってくると理解いたしますが、私は、この問題は大臣のおっしゃるように利害関係者が集まって、なかなかこれは一致点を見出せないようなことはもう過去の例――。今度の緊急是正についても二年もやっておるわけですから……。
 そこで、公益委員の性格でございますけれども、これはたしか国会で厚生省の考え方をむしろ修正いたしまして、社会党、野党の民社党も含めまして、公益委員の任命については国会承認人事にした。したがって、私ども自民党のみならず、社会党、民社党全部が一致をして、この人たちならば公正な判断ができるであろうということで、今回の公益委員の方々は選任をされているわけです。しかも最近有沢会長が御辞任なされ、あるいは他の委員の二人の方も御辞任なさいまして、新たなる補欠選任をおやりになる経過について、議運の当事者として私その経過を承知しておりますが、特にわが党は、この人選について、さして党の立場から注文をつけておらぬのでございます。むしろ社会党さんや野党の御意見を十分いれて、そしてこの公益委員の選任をスムーズにやりたいという立場から、議運におきましても、党の執行部においてもそういう態度で終始まいりまして、したがって今度の新しい委員の選任につきましては、率直に言いますと、野党さんの意見というものによって、むしろそれを尊重して、国会で政府の任命の人事の承認をしたという経過があるわけであります。したがいまして、国民のすべてを代表する与党、野党が信頼を置いて、この公益委員の方々にひとつぜひ中医協の場において取りまとめを願おう、こういう立場で国民の――共産党はたしか賛成をしなかったようにも思いますので、その点、はっきり私あのときの事情はわかりませんが、少なくとも野党の第一党である社会党さん、民社党さんの御意見をむしろ非常に尊重しまして、自民党は何らの文句をつけないで実は公益委員の選定というものを行なったわけであります。この公益委員の方々が一致して……(発言する者あり)ちょっと委員長、静粛に……。非常に耳の痛い議論だろうと思いますけれども、この点はひとつよく知っていただかなければいかぬ点で、この公益委員の一致した見解というものが出まして、この見解に従って大臣がおやりになったということは、これは国民としても十分よくひとつ承知をしてもらわなければいかぬことなんです。私どもも、中央医療協というものが今日の姿になるということは、はなはだ遺憾だと思う。また大臣の努力がもし足らないような点が――いまわが党としても、詳細に経過をさらにいろいろな関係者から聞いて検討しなければいかぬと思っておりますが、今日のような姿になったということについては、これはやはり大臣に、さらに一そうひとつこのあと始末についても努力してもらわなければいかぬと思うのです。大臣のとった措置が全部百点満点だとは私は思わない。こういうような事態にならぬように、主管大臣としては、私は関係者にあらゆる努力をされるべきだったと思いますけれども、しかし事この緊急是正の問題については、いまのいろいろな議論で明らかになりましたように、一昨年の九月から、医療担当者のみならず、支払い側委員も公益側の委員も、全部の一致した考えでひとつ緊急是正についての諮問を出しなさい、それじゃひとつそのやり方についてどうしたらいいかということを厚生大臣は諮問いたしましょう、そういうことでいろいろやりまして、これが延びた結果、昨年の四月か五月ころですか、答申が出た。当然その答申に基づいて、厚生省は緊急是正をやらなければいかぬわけです。ところがそれが、いろいろな政治的な問題等、他の要素で大臣の更迭があり、延びてきた。こういうことですから、これは一日も早く緊急是正をして、病院等、特に非常に窮迫状態にあるところを解決をしていかなければならぬのは当然だと思う。
 そこで、私、最後にお伺いしたい点は、支払い側の委員の方々も、この点については大体御了解をされて審議を進めてこられたと思うのです、緊急是正が必要だ、だから早くやらなければいかぬという点については。ただ、支払い側の委員の方々と大臣の考えが違いましたのは、答申案では八%と言っておったじゃないか、それを九・五に引き上げするとは何事だ、こういう点だと思う。したがって八%の諮問を出すならばいいけれども、九・五の諮問を出すのは別にそこに何か理由があるだろう、理由があるならば分けて出せ。私、今度の中央医療協議会を傍聴していたわけじゃないのですが、新聞等を見まして、何かこれだけに論争点がしぼられておったように思うわけでございます。そこで大臣なり局長に、もし詳しいものがあれば局長から、この国会の場を通じて、国民になぜ一体八%が九・五%になったのか、それが妥当であるという点を説明してもらいたい。新聞をいろいろ見ますと、何かえらく大臣も答弁がしどろもどろであったとか、いや、その点のあれがちっとも明快でないとか、何か答弁がしょっちゅう食い違ってけしからぬというようなことをわれわれは見るわけです。ところが、この点をみんなわからないで、ただどうだこうだと言ったってしょうがないので、やはり国会の場ですから、これは正確な考え方をひとつここで述べて、国民に理解を求めるという態度をとるのが私は正しいと思うのです。そこで、八%と九・五のこれが一番大きな論争点であったわけです。緊急是正をするということは当然だとみんな言っておるわけです。それを九・五にしたのはけしからぬ、これを分けて出せ、こういうことなんですから、なぜ八%が九・五になったのだ。しかし、私どもは、その前にまず疑問に思うことは、答申案をこの国会でもお配り願いまして、われわれも拝見いたしております。あの答申案を見ますと数、字は入っていない。八%とか一割とか、あるいは一割五分とか五%とか、何らの数字が入っていないのに、どうして一体中央医療協議会で、厚生省なり、いろいろな質疑応答の経過で、八%だと思っておったのに九・五とはけしからぬじゃないかという議論が出るのか、この辺のところも国民は全然わからぬ。われわれもわからぬわけです。だから、この八%が緊急是正についての医療協の正式答申なのかどうかという点をまず最初に明らかにしていただいて、そしてこれがあとで九・五の論争がなぜ起こったか、こういう点についてはっきりしていただければ、これで大体氷解してくるのではないかと思うので、この点をひとつ答弁願いたい。
○小山政府委員 まず結論のほうから申し上げますと、あの答申がありましたあの、時点において、答申の趣旨を貫くという考え方で計算をすれば、おおむね八%前後であった、しかしこれも、あの当時この席上でもいろいろただしていただきましたように、元来それは計算をしてみなければわからないことであるし、出てくる数値についてもある程度の動きはあり得るのだ、したがって、有沢会長も公の席でおおむね八%程度、多くても一〇%をこえることはないでしょう、こういうふうに言っておられますということを御紹介申し上げたわけでございます。それから、現在の時点であの考え方に基づいて計算をすればおおむね九・五%になる、こういうことになっておるわけであります。ただいまもお話がありましたけれども、その事情を明らかにする意味で、根拠を明らかにして御説明を申し上げたいと思います。
 この引き上げの幅の問題について、四月十八日の答申はこういうふうに表現をしているのであります。「前回の改定以後」――これは三十六年の医療費改定のことを言っておるわけであります。三十六年の「改定以後における著しい人件費、物件費の上昇に伴う病院、診療所の経営上の困難を一応解決し、かつ、一般の所得水準、生活水準の向上に見合い、医療担当者にそれにふさわしい所得の向上を可能にする程度において、」と、つまり引き上げの程度というのはこの程度の引き上げをしなさい、そうしてその次に、引き上げのやり方としては、いままでのように一律の点数改正とか、あるいは単価の改正という方法ではなくて、次に掲げるような項目を調整することによってその目的を達しなさい。そうして、あげました項目が入院料、それから初診料、往診料等の診察料、歯科については補てつ、インレー、充てん、薬剤については調剤技術料、これだけをあげたわけであります。ところで程度の問題について、それではここに言っているように、医療機関の経営上の困難を一応解決し、かつ、ほかの人が受けていると同じ程度――ほかの人というのは、ほかの人がその職種に相応して受けているのにふさわしい程度の所得の向上というものを受けられる程度はどういうものかということについては、医療協議会に当局が支払い側の要請に基づいて出しました、そういうものの算定の基礎的考え方というのが出されたわけでありますが、その算定の基礎的考え方によって計算をするよりもよい方法はいまの場合ないであろう。ただ、あの算定の基礎的考え方には非常にきびしいほうの案と、それからややゆとりのある案と二つ並べてあるけれども、自分たちが考えるところでは、きびしいほうの案は明らかに無理だ、これはどうしても成り立たぬ。それから、ややゆとりのあるほうの案によって計算をしたものをもとにして考えなさい。それは大急ぎで当たらしてみたところが、おおむね八%前後だということであった。基礎に使っておる数値というのは、これは非常にはっきりしておったのであります。当時、基礎に使った数値は全部中央医療協議会に提出をしてございます。また当委員会にもお求めによりまして差し上げてございます。これはもう一般に使われている基礎の数値でございます。ただ、それを当てはめてやった結果どうなるかということについては、これはなかなかむずかしい問題があるので、あの段階において、数字というものについて知識を持っておればおるほど軽々しく言えない、そういう気持ちが当時の有沢さんにも寺尾さんにも非常に強くあったわけであります。それでその点は非常に慎重にされて、おおむね八%前後と思うけれども、しかし動きはあり得るだろう、きっぱり八%と言われては困る、まあ多くも一〇%をこえることはないでしょう、こういうことになったわけであります。これがあの当時のこの答申の適用の結果であったわけであります。ところが、あの当時考えておりましたのは十月一日にはおそくも実施する、こういうことであったわけでありますが、いろいろな事情からいたしましてことしの一月一日ということになったわけでありますが、この間に幾つかの案、算定の基礎的考え方を当てはめていく場合の与件に変動ができたのであります。一つは米価の引き上げであります。これが上がることになった。とすれば、当然、たとえば入院料等のもとになる数値というものは変わってくるはずなので、病院にどれだけの収入を得させなければならぬのかというものは変わらなければならない、こういう事情が一つ出てまいったわけであります。それからもう一つの事情といたしまして、算定の基礎的考え方が出されましたのは三月の下旬当時でありましたけれども、五月の中旬ごろになって、固定資産の償却に関する大蔵省令が変更になったのであります。このことが知られたのはそれから少したってでありますが、その結果医療機械等については従来の償却期間がかなり短縮をされる、こういうことになったわけであります。これもやはり算定の基礎的考え方における与件の一つの動きになるわけであります。それもある程度考慮しなければならぬ。この二つまではきわめて明瞭なもので、おそらく詰めて議論した場合に、どなたにも異論が出ない筋合いものなんであります。もう一つ問題が出てまいって、その点が十分掘り下げられなかったのでありますが、あの四月十八日の答申の際は、三月の下旬ごろのことでございますけれども、当時の情勢におきまして看護婦が非常に不足をしてきており、特に病院は非常にはなはだしい。それでは、やはり病院については四十八時間から四十四時間に移っていくということが現に起こりつつあるのだから、それを可能にするような医療費でなくてはならぬというので、病院の引き上げ率の基礎の中にはそれを入れておったのであります。診療所のほうについては、まあこれはひとつがまんしてもらうということであったわけでありますが、その後におけるいろいろの看護婦の状況等から見まして、この問題について病院と診療所をしかく区別するということはやはり無理がある、公平に見る必要があるということで、それも加える。この三つを加えて考えますと、四月当時に算定をされたものが今日九・五%になったかと思います。
 それから、よく支払い側の一部の人に非常な誤解があるのでありますが、それを入れて公務員のベースアップをなぜ入れないのだというようなことを言われる方があるのであります。これは、中医協の本筋から見ますとおよそ問題にならぬことなのでありまして、四月の時点においてすでに民間ベースを基礎にしておりますから、入っているのであります。そういうことで、これは問題にならぬのであります。
 以上でございます。
○小沢(辰)委員 そうしますと、大体中医協の、今度の支払い側の脱退を契機にしまして、いろいろ混乱をしているという現状についてはどうもわからない。緊急是正は一致してやらなければいかぬという答申が出ている。しかも、その答申の責任を持たれた有沢会長の答申についての説明を聞きましても八%前後であり、まあ一〇%をこえることはないだろう。しかも、厚生省の告示の内容を見ますと、診療所の甲表をとっているところは八%以下になっておる。七・三%、七・三三%。それから乙表のものは若干上がっておりますが、八・九四。平均しますと、大体八・九ぐらいになっておる。病院は、いま言った米の値上がりなりあるいは看護婦さんの問題なり、そういうような要素を入れて約一割になっておる。そうすると、大体有沢さんの考え方どおりの行き方で点数改正の告示を行なっておられるわけですね。その基礎になっている答申というものは、これは支払い側も全部賛成をして、むしろ医療担当者のほうが非常な不満であって、二号側の意見というものを付記するような結末であの答申が生まれておる。しかも、大臣は、年末に強制告示というような態度をとらないで、できるだけ中央、医療協の答申を待ってやろうということで、さらに年が明けていろいろ努力された。そうしてわれわれ国会が与野党あげて信任を申し上げたその公益委員が、全部一致して大臣に、事ここに至ってはこういうふうにしなければいかぬぞという意見書を出しておる。それに基づいて大臣がやられた。そうすると、一体どこに問題があってこの混乱が起こっているかということについて、非常な疑問を持つわけです。われわれが考えますと、もう全く問題がない。そこになぜ今日のような事態になっているかという点でございます。
 そこで、私は最後に、一体なぜ今度の医療協が、しかく明快な点について、われわれ全く公平に考えてみましても今度の措置はまことにやむを得ない措置だというふうに思われるのですが、しかもなおかつ支払い側委員がそういう態度に出られておることについて、非常に私は疑問に思うわけです。私どもも、実は健康保険の問題について、ことにこの診療報酬の問題については、関係者ができるだけ合意の上で、筋を通してやってもらおうという立場で今日まで、少なくとも政党の立場からすると、いろいろ意見があってもこれをできるだけこらえまして、党の立場からする意見というものをできるだけ出さないようにしながら、大臣の中央医療協議会との関係におけるいわば行政上の筋を通したやり方について、気長に実は今日まで見守ってきたわけです。いま承りますと、どうも幅の問題についても、またやり方の最後の公益委員の一致した答申等に基づく大臣の告示についても、一つも無理がないように思うのですが、なぜ今日のような事態になったのか。この点について、われわれ政治家として重大な関、心を持ちますので、大臣はどういうような考え方、感じ方を持っておられるか。
 なお、本委員会の始まる前には、さらに大臣として各関係者の説得を進めておられるようでございますが、この点についてひとつ所見があれば最後に承って、私の質問を終わりたいと思います。
○神田国務大臣 お答えいたします。
 いま小沢委員の御質疑によって明らかにされたとおりでございます。にもかかわらず、支払い委員のほうから、いろいろと伝えられているような御非難があるということ、これは御承知のとおりでございます。私は就任以来どちらにも片寄らず、むしろ行政官庁としては、両方に喜んでいただくようなことはとうていできないので、両方から非難は浴びても正しい公益委員の御判断の御指示を仰ぎたい、こういう念願であったわけであります。最初に診療側から非難を浴びたことは御承知のとおりでございます。支払い側につきましても、就任以来、中医協が開催される前に、九月ごろですか、しばしばお目にもかかりました。また、よく真意を伝えました。その後もおいで願って、懇談したいという場を求めたわけであります。最初お目にかかっておりましたが、あとになりまして、まあ八%ならいいだろう、九・五%というもの、八%を上回るものがあると自分たちは同意できないということを強く御主張になっておられました。その気持ちはわからぬではございませんが、先ほど来保険局長も明らかにされておるように、計算してまいりますと自動的にそういう数字が出るわけでございます。
 そこで、そういうことをよく御説明申し上げまして御了解を得たいということでございましたが、その説得力が足らなかったことについてはまことに遺憾に思っております。今後ともひとつ十分気をつけてまいりたい、こういう考え方でございます。
○田口委員長 河野正君。
○河野(正)委員 今日非常に大きな問題になっておりまする医療費の問題は、一つは、国民の健康を守るという意味で一つの大きな問題点でございます。もう一つは、国民経済に及ぼしまする影響というものが非常に大きいわけですから、そういう意味でも私はきわめて重大な問題だろうかと考えております。ところが、今日までの経緯を振り返ってまいりますると、私は三つの大きな問題を残してまいっておるというふうに考えております。ある意味におきましては三つの非常に大きな責任が出てまいっておるわけでありますが、その一つは、今度の問題は医療費の緊急是正という点から端を発しておるわけでございます。その緊急是正という問題で提起されながら、この問題の解決につきましては、一年有半という非常に長い時間を経過した。この点は、やはり一つの大きな問題点だろうかと考えております。もう一つは、この緊急是正を解決する過程の中で、最終的には、職権告示をめぐる問題で中央医療協議会が非常に混乱をした、そこに一つの問題点がございます。それからもう一つは、やはりこの緊急是正を解決する手段として、財政上の問題が出てまいっております。これはいまいろいろ言われております中には、薬剤費の一部負担であるとか、あるいは保険料率の引き上げであるとか、そういう問題が出てまいっておるわけでございますが、そういう医療費問題が非常に重大であると同時に、結果的には三つの問題点を残してまいったというところに、私は今日世間でいろいろ騒いでおります一番大きな原因があろうかと考えております。
 そこで、いまからそれぞれそれらの点についてお尋ねを申し上げてまいりたいと思うのでございますが、最初に取り上げてまいりましたこの医療費の緊急是正という問題が、一年有半もかからなければ解決しなかった。もちろん緊急是正でございますから、したがってその前提としては、やはり医療費の抜本的な解決方法ということが考えられなければならない。医療費の抜本的な解決策ということが考えられなければならぬその前提として、緊急是正という問題が提起をされておるわけでございます。ところが、この抜本的な医療費の改定の前提でございまする緊急是正が、一年有半もかからなければ解決しない。そういうようなことで、今後の医療費問題の抜本的解決というものが可能であるのかないのか、私はこの点はきわめて重大な問題だと思うのです。そのようなことを考えてまいりますと、なるほど一方的でございますけれども、職権告示という形で一応始末はついたようなかっこうでございますが、しかしながら国民の側、あるいはまた、医療担当者の側からながめてまいりましても、このような解決策というものがほんとうに将来に対する光明を与えたかどうか、私は今度の結果をながめてまいりますと、やはり国民の側からも、一体国民医療という問題が将来どうなるのかというような一つの不安をかもし出すだろうかと思うし、それからまた医療担当者側も、このようなかっこうで、はたして将来医療費の抜本的解決というものが考えられるのかどうか、そういう意味で私は非常に大きな不安なり疑惑というものを非常に大きく持ってまいっておるというふうに考えております。そういうことになりますと、今度の緊急是正というものが、一応あのようなかっこうで始末をつけられたようなかっこうはいたしておりまするけれども、私は国民の側あるいはまた医療担当者の側からながめてまいりましても、今後医療問題というものがどういう方向で推移するのか、そういう意味におきましてお先まっ暗だというのが、私は率直な気持ちではなかろうかと考えております。
 そこで、まず第一に厚生大臣にお尋ねを申し上げておきたいと思いまする点は、今度の改定という問題が緊急是正であったということ、その緊急是正というものが、いま私が御指摘申し上げましたように、一年有半もかからなければ解決しなかった。私は、これは緊急是正ということばから考えてまいりますと、全くナンセンスだと思うのです。こういう点について厚生大臣が一体どういうふうにお考えになっておりますのか、ひとつまずもってお尋ねを申し上げたい、かように思います。
○神田国務大臣 いま河野さんのお尋ねがございました緊急是正が、非常に時期がずれておる、しかもその解決のしかたが、将来の根本的な医療費改定にむしろ災いを残すのではないか、暗いものを与えておるのではないか、この点につきましては、私も実は非常に昨年の暮れ以来考えたことでございます。何とかして中医協を円満に、これは緊急是正のおくれたことも、臨時国会で申し述べたとおり、いろいろやむを得ない事情と申しますか、予算の裏づけがなかったり、あるいは公益委員のほうの欠員の補充がうまくいかなかったというようなこともございまして、これは言いわけになりますが、いろいろな事情がございましておくれてまいったわけでございまして、まことに遺憾であるということは前国会にも重々申し上げたとおりでございます。そこで前臨時国会で公益委員の方もお願いできたし、予算もちょうだいをいたしたことでございますから、中医協の十分な御納得を得て、円満な実施をいたしたい、こういう念願で働いてまいったわけでございます。ですから、中医協におきましても、これはあくまで緊急是正であって、この次にはひとつ医療費の根本の問題についても考えなければならぬ、開会のごあいさつについても、そういった意味のことも申し上げておりまます。
 そういうような事情がございまして、何とか円満にひとつ御了解をいただく、こういうことでございましたが、先ほど来いろいろ事情を申し上げておるようなことで、なかなかうまくいかなかった。そこで、それじゃうまくいく見通しがあるかどうかというせっぱ詰まった段階に入ったわけでございます。公益委員も昨年、今年と、短い期間に十二日もおやりになり、その間、去年は二日、今年は一日と三日間徹夜をやりました。記録した時間も八十何時間と言っておりますから、記録外の時間も入れると、おそらく百時間以上になるのではないかと思います。この種の委員会で、長時間にわたり、しかも非常な費用をかけてやったということは、希有なことだといわれております。そこでもなかなか見通しがつかない。しかも一方においては、すでに病院等におきましては昨年の暮れにベースアップされておる、あるいはまた診療所におきましても、いろいろ金銭関係の貸借も進んでおって、それが重なってきておる。これが
 一月一日を当てにされておるというような事情もございまして、この辺の事情も公益委員が実情をよくわかっていただいたのだと思います。
 それで、私といたしましては、いま述べたようなもろもろのことにつきまして悩んだ次第でございますが、しかし、ただ悩んで解決をおくらせるということだけでは責任をとるわけにはまいりませんので、熟慮した結果、またいろいろ省議もたびたび開きまして、そうして踏み切ったと申しますか、一応これは緊急是正だからひとつやりましょう、非常におくれた緊急是正だからやらせていただいて、そのあとの次善策はまたひとつよく御相談しようじゃないか、こういうほんとうに、何と言いますか、私といたしましては非常に深刻な気持ちで考えさせられたわけでございます。事情を申しますと、そういうことでございます。職権告示はもうやらないということを、やる面前まではそういう態度で私はまいったのでございますが、公益委員の方々が同意見で、これはもう見込みはございません、そこで私どもの意見をひとつ具申をして、大臣に善処をしてもらうんだ、こういうことになりますと、どうしてもこの段階としては職権告示をして解決するということはやむを得ない事情であったということで、御了承願いたいと思います。
○河野(正)委員 大臣が非常に深刻な心境で、いろいろとこの解決に配慮されたということをいま承ったわけでございますが、新聞でもいろいろいわれておりますが、たとえば今度の大臣の配慮というものは、全く厚生大臣の勇み足だ。このことを私どもはいろいろ考えてまいりますると、何とかすみやかに解決をしたい、そういう気持ちが、結果的には昨年の暮れにおきましては公益委員が辞任を申し出るというような結果になったろうし、また今年に入りましては、支払い側が七名こぞって辞任を申し出る、こういう結果になったのではなかろうかということを実は考えるわけでございます。そこで、これは緊急是正ですから、すみやかに解決しなきゃならぬことは当然のことだと思うのです。しかし、すみやかに解決しなきゃならぬと申しても、やはり中央医療協議会の議を経て解決するのがたてまえでございますから、この中央医療協議会のそれぞれの委員各位が辞任をされる、あるいはまた、中央医療協議会の意向というものを尊重しないとかいうことは、これはあり得ないわけでございますして、そういう意味では、大臣が率直に言われたと思うけれども、すみやかに解決する、深刻な気持ちだった、こういうことであっても、やはり中央医療協の意思なり意向というものを尊重するたてまえというものは、くずすことはできないのは当然だと思う。しかも、先ほど申し上げますように、緊急是正という問題は、将来医療費問題の抜本的な解決をはかっていく、そういうことが根底にあるわけです。にもかかわりませず、緊急是正でこのようなかっこうで始末されて、はたして国民の医療を根本的に守っていくような抜本的な解決というものが可能であるのかどうか、私ども、その意味では非常に大きな杞憂というものを持たざるを得ないと思うんです。そこで、やはり緊急是正という問題と医療費問題の抜本的な解決策というものは、これはうらはらの問題である。私は、今度のような状態で推移して、いずれ医療費問題の抜本的な解決をはからなければならぬと思うけれども、そういう解決の方策の見通しというものを大臣は今日お持ちであるのかどうか。私は、この緊急是正という問題をなしくずしに解決されても、抜本的解決ということが根本の問題でございますから、その問題の解決なくして緊急是正の解決はあり得ぬと思うのです。そういう意味で、このような解決のもとで医療費の抜本的解決というものについて、確信があるのかどうか、私どもはそれらの点について心配を持っておりますので、その点、ひとつ率直にお聞かせ願いたいと思います。
○神田国務大臣 いまの御心配の点も、私もまことに同感でございまして、私も非常に心配いたしております。しかし、私はこういう考えを持っております。支払い側、診療側というのは切っても切れない仲でございますから、いろいろ対立はあります。あるいは最後まで対立が解けぬかもしれません、しかし、さればといって、それじゃ因果関係を断つというわけにはいかない間柄だろうと思っております。たとえ話もどうかと思いますが、夫婦関係のように別れてしまうわけにはいかないわけでございます。他にまたこれにかわるものというものもないわけでございますから、私は、そういうような観点に立ちますれば、おのずからやはり道が通ずるんじゃないか。これは決して甘い考えで申し上げているわけではございません。対立するということは、お互いに衷情を披瀝し合うということですから、私は、いまここで中医協の辞任を申し出られた七名の方にもきょうは実は先ほどもお会いしまして留任を懇請して、中医協というものはこれだけの問題をやるのではない、これは緊急是正なんで、腹を割ってみれば九・五%の一・五%の争いなんですよ。九・五%の争いじゃないんです。八%なら、さかのぼって一日でけっこうだということは、支払い側のほうも口をすっぱくして言っておるわけです。もっと一年後も、もう少し討議させればいいということでございますが、きょうもそういうことを言っております。しかし、公益委員側からあのような報告が出てまいりますと、大臣としてはやはりこれを握っているわけにいかない。これは決して公益委員に責任を転嫁するというような、そういうひきょうな気持ちを持って申し上げておるわけじゃないのでございます。この中医協で審議していくのは会長、副会長のお仕事でございまして、会長、副会長は公益委員の側から出ておりまして、公益委員四人が一体として会議の運行の責任をとっておられるのでございまして、それらの方々が、御意見一致してこの段階においては緊急是正はやむを得ない、意見の対立はやむを得ない、何といいますかくっつかない、そこで緊急是正だから大臣おやりになるのはやむを得ないということ、それから、自分たちも責任を感じているから今度は自分たちはやめません、この中医協にとどまって中医協のお仕事をやっていきましょう、こういう強い意思表示もあったわけでございます。そうなりますと、これは、やはり先ほど来申し上げておるように、大臣としてもこれを握って、そうしてやっていくというわけにはいかないじゃないか。だから、次の段階は次の段階としてひとつ考えていこう。決してその日幕らしをしているわけじゃございません。きょうもおいでいただいたのでございままが、おいでいただきましても支払い側がうんと言ったかといえば、そうじゃありません。やはり態度をお変えにならずに、こういうことになった責任は明確にしてもらいたいというような強い表示をされております。しかし、これはやはりお互いに誤解もあるようでございます。それらの点もきょう一部話し合ったわけでございますが、よく話しますれば、ともに憂い、ともに通ずるものがあると考えております。そういう意味でひとつ十分誠意を持ってお話しし合い、これはあとは知らないんだというようなわけにはまいらないじゃないか、保険者、被保険者としてやっぱり大きな責任と負担があるわけでございますから、十分ひとつお話しし合ってまいりたい。誠心誠意再建に努力いたしまして、そうしてまた根本的なこと、それからまたいろいろなことがございます。そういう意味でひとつ懇談を続けていきたい、こう考えております。
○小山政府委員 ただいま大臣が申し上げたことを若干補足さしていただきたいと思います。
 今後恒久的な問題を解決していく場合に一番大切なことは、中医協という場を尊重して、医療側、支払い側、それから公益委員、これはほんとうにそこで問題を解決する、こういう気持ちになって話し合っていくということが非常に大切であるわけでございます。率直に申し上げますと、従来の経緯から見て、支払い側の人々には問題を中医協で解決するという気持ちが非常に強いのでございます。今日に至るまでこれは貫かれておるわけでございます。今日辞表を提出されておりますのも、これは中医協の場を尊重するがゆえにやっておられる。そういうお気持ちでやっておられるわけであります。従来の経緯から申し上げますと、そういう気持ちなりあるいは行動というものの上において、やや医療側のほうに考えてもらわなければならぬ傾向があったということは、これは申しにくいことでございますけれども、率直に言って事実なのであります。ところが、医療側の人々は、昨年以来の経緯を通じまして、やはり問題は中医協で十分論議をし、中医協で解決しなくちゃいかぬのだ、中医協は問題解決の単なるステップであって、ほかのところで解決できるんだというふうに考えたんじゃいかぬのだという反省を今日深刻にしておられるのであります。そういうふうな考え方に立って今度の医療協議会に臨まれたわけであります。医療側の人々にこういう気持ちが強く出てまいりますといたしますならば、目前の事態ははなはだ不幸なことでありますけれども、この事態の解決を誤らないでいきますならば、必ずやこれは中医協の場において双方とくと話し合って問題を解決するところへ行ける、私はそういう意味合いにおいて、条件はむしろはるかによくなってきた、かように、これは中医協の場によって、会長にいろいろお話をお聞きしておってそういうことを痛感しております。
○河野(正)委員 医療担当者側が、将来とも中医協の場で問題の解決をしていかなきゃならぬという考え方は当然だと思うのです。ただ、いまの厚生大臣のお答えを承ってまいりますと、今度の争いというものが、八%に一・五上積みしたその一・五%の争いだ、こういうふうなお答えを承ったのでございますけれども、しかしながら、支払い者側委員の共同声明を見てまいりますと、この九日の中央医療協議会の開催というものが一方的に招集された、しかも支払い者側が参加しないまま、公益委員とそれから医療担当者側とで報告書を作成さして、それをよりどころにして職権告示を行なった、そういう厚生大臣に対します一つの不信感と申しますか、一・五の争いじゃなくて、そういう厚生大臣に対します不信感、これが私は今日の支払い者側の一番大きな問題点であるように理解をいたすわけでございます。一・五の争いでございますならば、これは時間をかけて説得される余地もございましょうし、単に一・五の問題でございますからいろいろ方策もあろうかと思いますし、また解決の見通しも非常に濃いと思いますけれども、しかし、私どもが仄聞するところによりますと、いま申し上げますように、厚生大臣に対します支払い者側委員の不信感、これが非常に強く出てまいっておるように理解をいたすわけでございます。そういたしますと、中央医療協議会の場を通じて今後の医療費の諸問題というものを解決していきたい、これが各委員の念願だと思うわけでございまけすれども、そういう不信感に基づいて今後中央医療協議会が開会されないということになるといたしますならば、たとえば今後緊急是正というものがなしくずしで解決されたといたしましても、抜本的な医療費問題の解決というものはなかなか困難である、そういう意味で今度のなしくずしの解決というものが非常に大きな問題を残しておるというふうに私どもは理解をいたしておるわけであります。そこで、やはり単に一・五の問題というような理解でいいのかどうか、私はむしろ、それよりも本質的に大きな問題がその背景にあるというふうに理解せざるを得ぬと思うのでありますが、その辺について厚生大臣はどのように御理解いたしておられますか。この点は将来の問題について非常に重大な問題でございますから、ひとつ率直に御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○神田国務大臣 いまの河野さんのお尋ね、まことにごもっともでございます。ただ、いまも申し上げましたように、支払い側と三十日――昨年の暮れですね、三十日にお会いしまして、私はお互いに意思の疎通したものがあったと思っております。それは中医協をひとつ尊重していく、公益委員に幅を持たせよう、こういうことであります。私もそのとおり公益委員にお願いしまして、公益委員もまたそれを承知して運営に当たられたわけであります。一月から、中医協の運営は会長、副会長のおやりになる仕事で、私が出てこいと言われなければ、私から出てまいりましょうという場でございませんので、私は、厚生省でいつも待機しておったわけでございます。そういうところに非常な誤解があるのじゃなかろうかと思うのです。きょうも懇談したのでございますが、二、三、やはり誤解が私は大きなものじゃなかろうかと思っております。誤解は日がたてば解けると思います。いま興奮しているときに、誤解を解けと言ってもなかなか押しつけて解くわけにまいりませんが、どうも公益委員とぐるになって、初めから予断してやったのじゃないかというように受け取られているところに誤解があるのじゃないか。私は三十日に支払い側委員にお話ししたときにも、幅を持ちましょう、それから公益委員に、五日でございますか、留任を正式に勧告してお願いした際にも、おまかせいたしますよ、幅も期日もおまかせいたします。こういうことをはっきり申し上げた。そのときに、私は名将だとは思わないが、名将言行録を読んでみると、その中に退却するということばがある。名将は、参謀が五十里退却しようと言ったときには、百里退却する心構えで陣を建て直すという。私はどうも誤解されているようだ。私は原案に固執しているといわれているが、そうじゃないという意味で、これはたとえが当たっているかどうか知りませんが、そういう気持ちであります。こだわりませんからまとめていただきたい、こういうことを言っております。同時にまた、五日の日に医師会側においでいただいて、中医協に出ていただかなければ困りますよ――診療側としては、暮れからすぐ職権告示をしてくれという強い要請でございます。それに対しまして、私は職権告示をする意思はありません、公益委員にもそういうことを確約して御留任願っております。これはほんとうの緊急是正なんだ、あとで本格是正もあるんだ、困っておられるという事情をよく納得していただくならば、道は明らかになってくるんだ、だから、私にいま職権告示なんということは筋違いだ、中医協が開かれているじゃないか、中医協の場で、ひとつ公益委員にもよくわかっていただき、支払い側にもよくわかっていただく、お互いの憎しみでこれを続けていくわけにはいかないのだ、正々堂々とおやりになっていいことなんだ、だから職権告示なんということは第一考えていませんよということを、私はかたく申し上げた。ずいぶん中医協に参加することにこだわっておりました。しかし、私の決意がはっきりわかったせいだと私は思います。ひとつ相談しまして、中医協に出るか出ないかお返事いたしますということが出ることになったということは、先ほどちょっと報告の中にもありましたように、出ることを非常に大事をとったのでございますが、私は職権告示をいたしません、中医協の場で解決いたしましょう、こういうことでやったのでございます。
 それなのになぜ職権告示したかということになりますと、私は最後に公益委員の報告を聞いたわけでございますから、その場におりませんでしたが、これは事情は小山君からよく御了解願うように説明してもらいますが、公益委員が一致した御意見として、もうこれ以上両方を説いてもむだです、公益委員のわれわれの立場を明らかにして、そうしてこれをおやりになること以外にありませんよ、こういうことでございます。そうなりますと、大臣としてもそこで初めて幹部と相談しまして、この場で、一体どうするか、これでもっと続けるか、ここで告示をするかという二つのうち一つしか選ばなければならぬことになっておる。ところが会長も副会長も、また他の公益委員も、これ以上手を尽くしてもむだです、緊急是正でございますからやむを得ないでしょう、こう言われますと、私どもの立場としてやはり踏み切らざるを得なかった。これは九日の晩の話でございますが、そういう深い事情があったわけでございます。私は非常に深刻な気持ちでやったわけでございます。こういうことでひとつ御了承願いたいと思います。
 なお、八日、九日等におきます委員会、懇談会の場の模様等については、政府委員から詳細お話しさせたいと思いますから、よろしくお願いいたします。
○小山政府委員 河野先生がお聞きになりたいことに関係のないことを長々と申し上げては恐縮なんで、簡単に申し上げますと、九日の夜公益委員が一番悩んだ点は、もし九日の夜を越すという場合にはどういう状況になるだろうか、こういうことであったわけであります。表には出ておりませんけれども、診療側としては、もう一日も待てません――これは、ことばにあらわれるあらわれないは別として、非常に強い、はっきりした情勢でございました。おそらく公益委員としては、そういう場の情勢として見通しのないままに九日を過ぎるということになると、診療側が今度は出てこないということは、十分議事の運営について責任を持つ者としては頭に置いて考えなくちゃならぬ、こういうような情勢にあると判断していたようであります。それにもかかわらず公益委員としては、何とかひとつ話をまとめたい。そこで、先ほどお話に出た十二日というものについては、公益委員のあのときの気持というものは、十二日に延ばすことによってそこで必ず結論を出す、もしこういうことであるならば十二日に延ばすほうにケリをつけたいという気持ちがかなり強かったようであります。ところが不幸にして、十二日にやってみてもそれはわからぬ、こういうことになりましたので、公益委員としては、これでは一体いつになったらケリをつけることができるかわからぬ。八%の分についてケリをつけるということは、これはできる。これは支払い側としては一月一日でもよろしい、現在でもよろしい、こう言っているんだからケリをつけることができる。かりに一・五を切り離してみても、その解決がどうしてもつけられない。自分たちがそれに賛成だという考えであるならば、かりに診療側がそれに反対をして、その結果今度は好ましくない事態が出てくるとしたら、それは自分たちとして、そういうふうな考えでいくという態度をとるべきであろう。しかし、どうも自分たちも、この場合八と一・五に分けるということは適当でないと思うし、また、いつになったら結論が出るかという見通しのつかないままに延ばすということは、何としても今日の段階ではできかねる丁公益委員としては、会長は特にこういう気持ちがあったわけであります。昨年の六日間にわたる審議の際に、会長並びに会の運営に責任を持った人々に対して診療側から非常に強い攻撃があったのです。議事の運営がなっていないじゃないか。しゃべらせるだけしゃべらせておいて――これは言っておることばをそのまま伝えるわけでありますが、直接議事に関係ないことを言っておってもそのままにしておいている。これについては非常に強い攻撃があったわけです。それに対して会長としては、それはわかる、わかるけれども、しかし同時に、直接諮問されている事項の中身に入っていなくとも、そのバックグラウンドになっているような事柄、あるいはそれに関連しているような事柄について支払い側がただすということも、これはある程度考えなくちゃいかぬことじゃないか、したがって、自分としては、あえて質問の時間を制限するとかそれを押えるということをしなかったんだ、こういうようなことで終始してこられたわけであります。したがって、会長が議事の運営についてそういうふうにきちっきちっと運んでくれない、いつになったら――賛成でもいい、反対でもいい、とにかくいつになったら切りがつくという議事をしてくれるんだ、こういうことについての不満というものは、これも実態を知っていただくために申し上げるのでありますが、診療側には非常に強かったのであります。そういう事情のもとに八日に再開しましたときに、きょうとあすの二日間で何とか結論をつけるように努力したいと思います。こういうことを会長は冒頭に宣言をして、それは了解をされてスタートをしたわけでございます。そういうような事情であったので、会長は九日の夜の段階においては、どうしてもこれはここで何らかの意味においてわれわれが勇気を持って結論を明らかにしなくちゃいかぬ、こういうことでああいう処置をとられたわけであります。ただ会長は、もうこれ以上聞いてもむだだからという、そういうことばは使われませんでした。いろいろ手を尽くしたけれどもどうにももうなりませんでした、しかし意見はもう十分出尽くしております。こういうような言い方でございました。そしてそれぞれの意見は口頭で言れたわけであります。
○河野(正)委員 大臣の答えを承っておりますと、職権告示はできるだけ避けてまいりたい、こういうお答えであったようでございます。大臣の真意がそうであるとするならば、私はやはり、九日の総会を一方的に招集して、支払い側の欠席のまま報告書を作成されるということは必ずしも適切な方策ではなかったというふうに考えます。やはり十二日の日にあらためて招集をして、そこで結論が出る出ないは別としても、最良策としては、できるだけ支払い側の納得のいく処置をとって、そうしてやむを得なければそういう処置に出る。昔から急がば回れということわざがございますが、結果的には、拙速をとうとばれると申しますか、九日ぎりぎり一ぱいまでには何とかしなければならぬという処置が、今度の医療費問題の解決をはばむ非常に大きな原因をつくったのではなかろうか。その点が、新聞紙上では、どうし厚生大臣の勇み足であったというような表現にもなってまいっているというような考え方でございますけれども、そういう意味では、私はやはり支払い者側に対します説得というような点でなお欠けておった点があったのではなかろうか、そういう感じを強く持たざるを得ないと思うのです。
 そこで、先ほど来、支払い者側委員とお会いになったということでございますし、その際支払い者側委員は、今度の問題に対する責任を明らかにしてもらいたいというような発言もあったように承っておりますが、どういうふうな意味の責任を明らかにせよというような意向であったのか、この際率直にお聞かせ願いたい。
○神田国務大臣 この職権告示をできるだけ避けておったというよりも、もう職権告示はしないという腹がまえでおったのです。そのことは、私は診療側にも要請があったときに拒否しております。それからまた公益委員にも、皆さんの会議の継続している間はいたしません、会議は日を切りません、幅も日にちも私はおまかせいたします。会議をおやりになっている間はもういたしません、私もさっぱりした気持ちでお願いしておりますから、どうかひとつそういうことでやってください、こういうことでありました。しかし、会議が終わって、会議の終わりの結末についてもいろいろ議論はありますが、ああいった公益委員の判断が出てきますと、そこでやはり行政上の処置をとるということは、どなたが大臣をおやりになっても当然やったと思う。ただ、ここで申し上げる必要もないかもしれませんが、やはりこういう問題が起きる場合には、誤解等やら手順等やらいろいろそごいたしまして、ちょうど九日の晩に大臣に出てくるようにということでございまして、私は実は都道府県会館あたりに伺ったわけであります。ちょうど支払い者側がいま帰ったというところへ私は伺ったのです。十一時過ぎでございましたが、そのときには公益委員の医療側との懇談会がございまして、この懇談会には私どもとして入るわけにはまいりませんから、別室で待っておったのであります。別室で待っておったときに、公益委員の結論をお待ちになった報告があったわけでございます。だから、そういう、何といいますか、さっきも私は支払い者側にこの話をしたのでありますが、ここで言うても返らないことだが、帰る前に一ぺん大臣に会ってくれたほうがよかったのじゃないか――どうも私が言うと、私も欠席裁判を受けたようなふうに考えたというようなやりとりもあったわけでございます。どうも誤解があったのではないかと私は思いますが、あげてまかしておったわけであります。それはあとの報告の際に聞いたわけでございますが、報告の際には、先ほど申し上げたように、十二日まで待ってくれと言われたけれども、十二日まで待っても先の見通しがつかぬ。そこで、公益委員はこのような御報告をいたしますという最終決定版をちょうだいしたわけですね。その最終決定版をちょうだいして、私がこれを公益委員にもう一ぺん再考してくれと言うわけにはまいらぬと思うのです。だから、そういうことが一こまあったわけでございます。しかも公益委員にいたしますれば、十二日間も、しかもその間、年末年始を通じて徹夜も三日ぐらいしている、延べ八十七時間ぐらいやっている。これは記録した時間でございますから、記録しない時間を考えれば百時間ぐらいになるのではないかと私は思いますが、そういうように慎重審議した結果支払い側が入場を拒んだ、こういうことでございます。会議を開くに至りませんからそこで懇談会にした、こういうことであります。会議には小山君が始終出ておりまして、小山君からの報告はちょうだいいたしておりました。小山君その他関係者が行っておりますが、そう時々刻々、細大漏らさず私、聞いているわけではないのでございまして、厚生大臣の他の仕事もございますから役所では待機いたしておったのでございますが、私はそういう気持ちであったものですから、あげて公益委員に運営をおまかせ願った、これは当然のことだったと思うのでございます。審議会にかけて、大臣がとやかく条件をつけるわけにはいかぬ。大臣が出てきて、一体厚生省の考え方はどうだといえば、諮問案でありますから出したとおりにお願いしたい、しかしこれは御審議を願っておるのでございますから、皆さま方の御意見もあるでございましょうが、ひとつ公に聞かれれば、諮問案にできるだけ近い御答申をお願いしたい、やはりこう頼まざるを得ない。しかし、その中身はいま申し上げたような事情であります。ですから、私は公益委員にも御迷惑をかけたと思っておりますが、支払い側にもどうも少し重大な誤解があるのではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。なかなか一ぺんや二へんでとうてい、ああそうかと言うようなことでもなろかうと思います。信義というものは長くつき会っているうちに私は通ずるものがある、こう考えております。きょうの会合の結果は、厚生大臣はじめ厚生省の幹部というのはどうも自分たちは信用できない、こういう御意見のようでございました。いま申し上げたような例を一つ申し上げてもどうも私は誤解があるんじゃないか。それから大臣が行政上の職権をやるということは、大臣としての当然の仕事だと思うのでございます。いろいろ迷っても、やはりきめなければならぬ時期が熟してくればきめなければならぬ、こういうことじゃなかろうかと思っております。これは私、独断でやったわけではなく、やはり省議を開いてみんなの意見を聞いて、この場合はどう、この場合はどうというようなことをしてやったわけでございます。しかし、それについてもいろいろ問題になっていることは事実でございますから、この問題自体につきましては、私も反省すべき点は十分反省いたしまして、そして厚生行政が一日もゆるがせにならないような配慮をしてまいりたい、こう考えております。
○河野(正)委員 いろいろいま大臣の御所見を承ったのでございますけれども、ややもいたしますと、大臣の認識が少し甘過ぎるのではなかろうかというような感じも持たざるを得ないと思うのです。と申し上げますのは、大臣はしきりと支払い者側の誤解というような意味のお答えがあるわけでございますけれども、しかし、きょうの支払い者側との会談の中でも出ておりますように、大臣に対します不信感、特に九日の総会に支払い者側が欠席をした。しかも十二日まで待ってほしいというふうな支払い者側の要望もあったようでございますが、私は、十二日にまとまるまとまらぬは別としても、この十二日まで待ってほしいというような支払い者側のほうの要望があったならば、やはりそれを尊重して十二日まで結論を待つべきではなかったか。これは医療者側の方が、一日もゆるがせにできないというようなことを言っておるようでございます。それはそのとおりでございましょう。しかし、今度の緊急是正で拙速をたっとんだといたしましても、今後の医療費問題の抜本的解決というものが、今度の混乱を契機として思うように中央医療協議会が開催されぬということになるといたしますならば、私は何のために職権告示をあわててやったか、これは全く意味がなくなると思うのです。緊急是正という問題は、医療費問題の抜本的解決を前提としての緊急是正でございますから、緊急是正をなしくずしにやってみても、将来医療費問題の抜本的解決をはかれぬということになるならば、今度の緊急是正というものの意味が非常に薄くなっていくと思うのです。そういう意味から考えてまいりますと、先ほど申し上げましたように、急がば回れということばがございますように、一日、二日おくれても、将来中央医療協議会で円満に話し合いができるこの話し合いの場というものは、私はやはり守っていくべきだったろうと思う。ところが、まことに残念でございますけれども、この話し合いの場というものが崩壊をしたということは、やはり今後の医療費問題の解決に非常に大きな禍根を残したと思うのです。そういう意味で、大臣のほうは誤解ということばでございますが、誤解ならば、これは話し合いがたび重なると誤解も解けていくと思うけれども、しかし、どうも支払い者側委員のほうの声明にもありましたように、この大臣に対する不信感というものは非常に強い。この誤解と不信感という問題は本質的に非常に違うので、そういう意味で支払い者側に不信感を抱かせたということは、将来の医療費問題に非常に大きな禍根を残した、そういう意味で私は、今度の緊急是正の解決のしかたというものは、非常に大きな責任があるというふうに指摘せざるを得ないと思うのです。でございますが、きょうの支払い者側委員との懇談では、責任を明らかにしてもらいたいというような非常に強い態度をとったというふうなお答えを願ったわけでございますが、この支払い者側との間のみぞが解けぬ限りは、今後の医療費問題、特に当面、例の薬価基準の引き上げ等々をめぐります三%の配分の問題等ももうすでに横たわっておりまして、解決しなければならぬ問題が横たわっております。そういう問題もございますし、今後の医療費問題に対しますもろもろの問題がたくさんあるわけでございますが、当面そういう問題にも逢着するわけです。そういう意味で、この支払い者側委員との間の問題をすみやかに解決せしめ得る確信をお待ちでございますかどうか、この辺を、将来に対する重大な問題でございますから、率直にひとつお聞かせをいただきたい。
○神田国務大臣 いまの前段の十二日まで待て、待てないというようなことは、私との関係にあったのではなくして、公益委員との関係になっていたことでございまして、それはあわせて、私は公益委員の会長報告の際にことばで聞いたわけでございます。私が直接聞いたわけではないのでございます。これはそういう意味だとは思いますけれども、念のために申し上げておきたいと思います。私のところに十二日まで待てということでありましたならば、その会議の前の場へ私呼ばれて、私が参りまして、そういう話でありますなら、その当時の情勢として私みずからの判断もまたあるいはあったかもしれません。しかし私が伺いましたのは、支払い委員が、私が都道府県会館に入るときにもうお帰りになって、ちょうどすれ違いになったという事実、それから入ったときには、公益委員と支払い側とが速記をつけた懇談会の最中でございまして、余人を入れなかったわけでありまして、その報告を聞いた。その報告には公益委員の最終結論がついてまいりまして、私どもは、いま河野さんのおっしゃったようなことも考えましたが、この際はやはり見通しがつかぬという公益委員の判断をとることが――公益委員が会長として、副会長として会議をずっと司会しておやりになってまいったのでございますから、会議の運行というものは公益委員の判断をそのまますなおにとるということでないと、またいろいろ将来公益委員の――これは全会一致の答申がベターであります。それから多数決でありましょう。それから単独答申ということがあり、また答申ができなくて報告にかえるという場合があると思います。今度の場合は報告でもって答申にかえているわけでございますが、いずれの場合にいたしましても、やはり公益委員の、いわゆる会長の答申された意見、会長の判断というものをわれわれがそのままとっていくということが、中医協をやはり信用するということになるのじゃなかろうか。いろいろ御相談した結果、これはやはりこのままのんだほうがいい、こういう結論になったわけでございます。それでいろいろ波紋といいますか、混乱があるかもしれぬが、その混乱については全力をあげて御相談にも応じ、そして善処もしたい、こういうことでございます。
 それから、いま最後の、こういった問題について責任を持って混乱を収拾できるか、こういうお話でございますが、これは権力でやる仕事ではございません。私もいろいろ誤解を受けておりますので、こういうことも氷解しなければならぬし、それから私が中医協を通じまして非常な熱意を持って医療行政に当たっているというこの姿を、私はやはりぶっつけてそして御了解願いたい、こういう気持ちでございます。まだ相手の心持ちが十分安らかでない際に、私は自信がありますという横着な答弁になるおそれもありますから慎みますが、誠心誠意やってまいりますればおのずからやはり通ずるものがある、こう考えております。十分ひとつ努力いたしまして御期待に沿いたいと思っております。
○河野(正)委員 あとの委員の質問もございますからいろいろ申し上げませんけれども、いま一つ、今度の医療費問題をめぐって重大な点がございます。この点は国民の皆さま方も非常に重大な関心を持っておるのでございますが、ここの医療費問題が、一応いろいろ問題は残しましたけれども、なしくずしで職権告示が行なわれた。それと同時に新しく起こってまいっておりまする問題は、この医療費の引き上げに伴って将来、患者の薬剤費の一部負担あるいは保険料を引き上げるという問題、こういう問題予算折衝の中で厚生大臣が大蔵大臣に確約された。ある意味においては厚生大臣がそういう苦境に追い込まれたということかもわかりませんけれども、いずれにしてもそういうことを厚生大臣が大蔵大臣に確約された。この点は、医療保障というものが大きく後退をするわけですから、そういう意味で私は非常に重大な問題だと思うのです。そこで、そういう点を明確に大蔵大臣に予算折衝の中で確約されたのかどうか。これは、新聞紙上でも党におきましても明らかにされたことでございますけれども、この点は国民にとりましても非常に重大な問題だと思うのです。そういう意味で、この際この点も国会の席上でひとつ明らかにしていただきたい、かように考えます。
○神田国務大臣 いまの保険財政の赤字の問題でございますが、保険財政が一昨年ころから相当の赤字の様相を帯びてまいりまして、ことに三十九年度から大幅な赤字に変わってまいっております。
  〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕
そこへもってまいりまして今度の緊急是正でございますから、それだけ上積みされるわけでございます。この赤字問題の解消につきまして、政府管掌、それから日雇いとか船員、また国民保険とか分かれておりますが、国民保険のほうは、来年度以降は事務費の増額とか、それから今度の緊急是正によって今年度三月――来年度三月でございますか、半年くらい見ようというような予算措置をしておりますが、いま主として問題になっております薬価負担の問題は、政府管掌の保険とそれから日雇い、船員、こういうことになりました。この問題は、厚生省の中にもいろいろ議論がございまして、日本の医療制度のあり方として、ことに保険制度で、ただでかかれるというのがベターでございますけれども、特にこういった赤字の際、若干の薬価を負担していただくことが適正医療になるのじゃなかろうか。薬価の頭打ちも考えて、あるいはまた困窮者についての問題も、もちろん無料にしていく、医療のあり方として無料にこしたことはないのだが、財政にも限りがある。御承知のように非常な赤字だということと、今年度あたり、政府予算が前年度に比べて一二・四%の伸びでございましたが、厚生省の予算は二〇・八%の伸びでございます。そういう際でも、やはり幾らか患者負担というものがあったほうが、患者側から発言権といいますか、いろいろ治療についての知識というものも深まるわけでございます。また、いろいろそういう点がございますから、そういうような点にもやはり触れたほうがいいのじゃないか。これは厚生省が長年研究しておった問題のようでございます。その点については小山政府委員からまた詳しく答弁させたいと思いますが、そういう議があったところ、たまたま大蔵省のほうでもこの問題を研究しておりまして、こういう保険財政の非常に悪化した際にやりにくいことだが、そういう考え方をひとつやってみたらどうだろうかというようなことで、両省一致して一つの案を得たのが結論でございます。これはきょう詳しくということでございますれば、保険庁からも予算面については御説明をさせたいと思いますが、ただ困るから薬価負担というだけの考えでなく、いろいろな学問的根拠といいますか、社会保障のあり方としてやりたいというような事務的なベースもございまして、そういう考えのあったことがそういうふうになった、こういうことでございます。ただ、この問題は、いま河野さんからお話しがございましたように、私どもの与党の中にも非常に反対が多うございまして、多うございますどころではございません、与党の社会部会はあげてそういうことはまかりならぬということをはっきり意思表示しておるようなわけでございまして、これを、そういうようないろいろ長所を持っておるからというようなことでやれるかどうか、こう言われますと、第一、与党自体がもうあげて反対しておる。それからまた、いま河野さんがお述べになりましたように、河野さんの党も御反対なすっておることもよく承知しております。また支払い者側も診療側も、あげて反対をしておるようでございます。しかし、正直なことを申し上げておるわけでございますが、長年そういう考えておりましたことを、この際こういう非常時なものでございますから一応取り入れてみて、そしてあり方というものを再検討してみたらどうだ、まだまだ日本の社会保障、医療保障の至らぬ点があるのだから、そういう面をも深く考えて、医療保障の将来のあり方として一応議題として、できるならということで大蔵省からも強い意見がございましたし、私どもの事務的考え方もやはり相当の根拠があるようでございます。私も聞きまして、これはどうも政治家としてはなかなかたいへんなことだが、しかし、いろいろ聞いてみるとなかなか理屈もあるようだ……(発言する者あり)みんなおしかりを受けておりますが、そういうことで、いずれまたこれは他の機会になると思います。
  〔発言する者多し〕
○田中(正)委員長代理 御静粛に願います。
○河野(正)委員 一部負担させることが適正医療の一つの方策だというふうなお答えであったのでございますけれども、しかしながら、今度の緊急是正だけでもたとえば初診料が上がりますし、入院料が上がりますし、それから子供の治療費等も上がっております。したがって、今度の緊急是正だけでも国民に対しましてはかなり負担が増加をいたしておるわけでございます。にもかかわりませず、さらに一方においては薬剤費の半分を負担させるとかいうことになりますと、今日でも、たとえば国立病院に入院いたしましても差額徴収をするとか、そういうことで非常に国民に対しまして貧富の差によって治療が左右されるというようなことで、国民に非常に大きな不満を抱かしておりますのが今日の医療の実態でございます。にもかかわりませず、いまのような薬剤費の半分までも国民に背負わせるということになりますと、国民の医療に対しまする負担が非常に大きくなってまいることは必然でございます。と同時に、政府は、一方においては社会開発であるとかあるいは社会保障の充実であるとか、こういうから宣伝をやっておられる。ところが実態は、いま申し上げますように、非常に大きな後退をしようといたしておるわけであります。そこで要は、そういうことをこの予算折衝の中で確約されたとかされぬとかいうお話を承っておるわけでございますが、それでは今度の国会の中で法改正を提案されます御意図があるのかないのか、ここが非常に重大な点であります。そういう所信をひとつ率直にお聞かせ願いたいと思います。
○神田国務大臣 厚生省としてはそういう考え方でおります。
○河野(正)委員 法改正を提案されまする御意図があるわけですか。――そういたしますと、先ほど自民党の諸君の中からも、これは検討中だというお話もございますし、大臣もいろいろ与党内にも問題があるというお話がありましたけれども、政府が提案されれば与党の諸君は当然それを守らなければならない義務がある、これは責任政治ですから。ですから、そういう事態になりますと、これは当然社会保障の非常に大きな後退であると同時に、社会保障の崩壊を意味すると私は思うのです。この点、私は非常に重大だと思うのです。厚生大臣は笑って聞いておられますけれども、国民の側から見ますと、笑って聞くような話ではないのです、非常に深刻な問題ですから。これはいまの国民生活の実態そのものが非常に困難な中で、疾病になりますとより一そう生活というものが困窮するわけです。ですから、大臣は笑って聞いておられますけれども、国民の側から見ますと、これは笑って聞くようななまやさしい問題ではない。非常に深刻な問題でございます。でございますから、私は今度の緊急是正の問題は、いろいろ緊急是正という問題を通じて医療行政を混乱させるという一つの不手ぎわを残されたという問題と、もう一つの大きな問題は、社会保障を大きく後退させる、医療保障というものを崩壊する一つの芽をつくられた、そういう意味で私は非常に大きな責任があると思うのです。私は、そういう意味で今度の医療費問題というものは、大臣にとっては非常に大きな禍根を残されたと思うのです。ことに医療費問題の解決についてはいろいろ反省すべき点もある、それについては反省しなければならぬとはおっしゃっておるが、にもかかわらず医療保障の後退については法改正をやるというようなお答えでは、私ども納得するわけにはまいらぬと思うのです。一方では反省するとおっしゃっておる。ところが、反省するならば、医療費問題を通じて社会保障の後退というような問題が起こってきているわけですから、当然その点については反省されなければならぬ筋合いの問題です。ところが一方では反省するとおっしゃっていながら、一方では医療費問題を通じて社会保障が後退するような方策をとられようとする。この責任というものは、私はどうも、大臣答弁というものは相矛盾しておると思う、つじつまが合わぬと思う。この点は、反省するとおっしゃっておるけれども、私は反省というようにどうも受け取れぬと思うのですが、いかがでございますか、ひとつ率直に御意見を承りたい。
○神田国務大臣 お答えいたします。
 医療費問題は、先ほど来申し上げたように十分反省して善処したいと考えております。これはひとつ御承願いたいと思います。
 いまの薬価負担の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、政府部内ではきまりましたが、党のほうではきまっておらぬのであります。これは政党内閣といたしまして党が先議いたしますから、党のほうで十分ひとつ御相談願うということになっております。私どもといたしましては、そういういろいろな事情がございましてそういうことになっておりますが、それから私どもの社会部会では反対である、こういうことが明瞭になっております。皆さんのお手元へ差し上げる前には、党の機関をそれぞれ経て提案することになる慣例になっておりますから、そういうことになるかどうか、私といたしましてはちょっとお答えしかねますが、出すか出さぬか、こう言われますと、準備いたしておる、こういう意味で申し上げるわけでございます。
○河野(正)委員 この健保法の改正、特に薬剤費の一部負担、保険料の引き上げ等の問題については、国民の経済、国民の生活に非常に重大な問題をもたらすわけです。そこで私は、この問題を軽々に取り扱われますと、国会で非常に混乱を呼び起こすということは必然だと思うのです。でございますから、たとえば政府部内でそういう御決定をなさっても、国会と十分相談されぬことには非常に混乱を呼び起こすということは、御承知にならなければならぬと思うのです。でございますので、健保法の改正等については、今後十分国会と御相談なさる必要があろうと思うのです。そういう心づもりがあるのかないのか、明確なお答えを願いたいと思います。
○神田国務大臣 いまの御質問の趣旨は当然のことだと考えております。十分尊重したいと思っております。(「出まかせを言うな」と呼ぶ者あり)いや、出まかせではありません。
○田中(正)委員長代理 御静粛に願います。
 滝井君。
○滝井委員 一昨年以来非常にもめておりました医療費の問題が、こういう形で解決されようとしておることを非常に残念に思うものでございます。なぜならば、われわれは、三十八年の六月に機能を停止しておった医療協議会を発足させることにずいぶん努力をしたわけです。ところがそれを、厚生省のやり方がまずいためにまた再び空中分解のうき目を見たということは、非常に残念に思うわけです。
 そこで、まず第一にお尋ねをいたしたいのは、けさ十時から支払い側にお会いになったということをさいぜんから申し述べておるわけですが、そのお会いになった結論は、事態を収拾する方向にうまく向いておるのか、それとも依然として大臣と支払い側との会談というものは難航をして、当面見通しがつかないのか、これをまず明らかにしておいていただきたいと思います。
○神田国務大臣 いまの段階では変化がないということだと思います。留任を懇請して、いろいろ誤解もあるようですし、中医協の御使命も御承知のようなことでございますので、ぜひ思いとどまって、なお一そう御支持と御協力を願いたい、こういうことを懇請したわけでございます。大臣、厚生当局含めた誠意というものをどうも明らかにするわけにはいかなかった、こういうお話でございます。今後も十分ひとつ誠意を持って続けたい、こういう心境でございます。
○滝井委員 現状は変化がないということでございます。そうしますと、一月の十二日に退場した姿がそのまま継続をしておる、こういう理解をする以外にないわけです。
 そこで、実は今度の医療費の問題を解決するにあたって大臣のとった態度は、サルとカニのたとえで言うならば、握りめしを取るかカキの種を取るか、こういう問題だった。そこで大臣は、あわてて握りめしを取ったわけです。そして、長期展望に立ってじっくりと日本の社会保障を解決する道を閉ざしたわけです。ここですよ、問題は。問題はここにあるのです。大臣は、なるほど当面九・五%を解決しなければならない。これが時点というものは、前小林大臣の言ではないけれども、少なくともどんなにおそくたって去年の十月までに解決する段階だったわけでしょう。その当時においては、まだ政府管掌の健康保険なり国民健康保険、日雇い労働者健康保険等の社会保険財政は、幾ぶん赤字であるということはわかっておりましたけれども、いまほど燃え盛るような、こういう赤字になろうとは多くの人々は知らなかったわけです。何人かの人は知っておりました。
  〔田中(正)委員長代理退席、小沢(辰)委員長代理着席〕
厚生省は、むしろその赤字財政をひた隠しに隠しておった傾向さえあるくらいです。それは、大蔵省の主計官もそう言っておった。私たちがこれを知ったのは最近だ、聞いてびっくりした、主計官がこう言っている。したがって、その時点で解決をして、そして長期の展望に立った処置をしなければならなかったわけでしょう。ところが、その時の流れを忘れ、客観情勢の社会保険財政の大きな変化を忘れ、池田高度経済成長政策のために農業、中小企業、勤労者に偉大なひずみが出てきていることを忘れて、目前の握りめしだけを取ってしまった。ここですよ、問題は。客観的な分析が不足しておったわけです。この点は、これは大臣の政治責任はのがれません。八%を九・五%にしたとかなんとかいうことは、さいぜんをあなたも言ったように、これほど大きな問題にはならない問題なんですよ。これは支払い側に聞いてごらんなさい。それは、ことしの四月十八日の答申を出すときに、療養担当者でさえ並列答申でがまんをした。退場しなかったのだ。だからわれわれも、一・五%だけでそう退場するというほどの決心は持っていなかったのだ。佐藤さんの内閣が寛容と調和を主張しているのだから、十二日くらいまでは持ってくれるだろう、こういう気持ちだった。ところが、握りめしを取ること急にして、カキの種を忘れておった。ここですよ。
 そこで、お尋ねをしたいのは、握りめしをお取りになったのだから、一体、九日に告示をしなければならない客観的な情勢があったのかどうかということです。いいですか、大臣は、さいぜん、公益委員はこれはもうぎりぎりでだめだ、こうおっしゃった、これはわかります。これはあなたの諮問機関が言ったのですから、それはいいですよ。それでいいと思うのです。ところが、今度は、その諮問を実施するのはだれが実施するかというと、あなたが実施するわけです。だから、そこで政治的な判断を下して、客観的な情勢の変化を見て政治的な判断をきちっとやるのはあなたなんです。何も公益委員が報告書を出したからといって、それに右へならえをしなければならないというのは政治家の義務じゃない。政治家は、もっと高度な立場に立ってやるのが政治家です。それを、公益委員の出したところをうのみにするところに問題がある。ここですよ、私が言いたいのは。だから、これは政党政治なんです。官僚政治じゃない。諮問機関の政治じゃない。そうでしょう、ここですよ。何か法律的に見て、九日に、夜おそくなって、しかも未明にまでなって職権告示をしなければ、驚天動地の大変化が日本の政治に起こるような客観情勢が一体あったのかどうかということです。どうしても九日にやらなければならぬという客観情勢が何かありましたか、それをまず説明してください。
○神田国務大臣 いまの滝井さんのお尋ねでございますが、さかのぼってする客観的な重大な事情があるか、こういうことでございます。御承知のように、一月一日からやりたいということはもう前々から申し上げておりました。しかし私は、中医協の答申がおくれるならやむを得ないと思っておりました。しかし中医協が一月一日にさかのぼってやるということでありますならば、これを私は拒否することは自分の考えに不忠実だ、こう考えております。そこでそのまま答申を採用した、こういうことでございます。
○滝井委員 中央医療協議会が一月一日に実施するというなら、それでいいのです。中医協が言ったわけではない。公益委員が報告書を出したわけでしょう。これは正規の答申ではないわけです。ここなんですよ。こういう問題が政治的に転嫁されてきているわけです。したがって、政治的に問題が転嫁をしたら、政治家が政治的な判断をするのは当然でしょう。この政治的な判断をしてないところにこういう問題があったわけです。私たちは、支払い側の意見も聞いてみた。療養担当者側の意見もそれとなく聞いてみました。そこで、療養担当者側は、今度は黙っておりますね。いきり立っているのは支払い側です。さいぜん小山さんがいみじくも言ったように、いままで、医療協議会が混乱したのは、療養担当者側の強い主張でいつも問題を巻き起こしておった、支払い側が言うことはなかったのだということを言っておった。今度は支払い側が言っておるのだ、こういうことでしょう。そうすると、いままで言わなかった人が言うのですから、何かそれは底流に根本的な理由がなければならぬわけです。だから、そこは政治的な判断をしてやるべきだと思う、その判断を、私に言わせれば誤っているわけです、客観的に見ておって。私は、外から見ておりましてわからなかったわけですよ。公益委員がやめると言ったらまたいつの間にか帰ってきたりして、わからなかった。いま聞いてみたら、一月一日の実施時期についても、九・五%の引き上げの幅についても、弾力を持った態度をもって一任をしますと言ったから帰ってきた、こういうことでしょう。そこで、あなたが御一任をされて、そうして公益が来たら、今度は逆にあなたは公益を説得したらどうです。これが私は政治だと思うのです。だから、さいぜん、これは異例の措置として、どうも大臣の勇み足じゃなかったのかという意見も与党みずからが言うことになるのです。一切の責任をみなあなたにかぶせている。これは与党もひきょうだと思う。あなたにまかせてやらせておいて、今度やけどするようになったら、大事なときにはみんな逃げてしまって、あなただけの責任にする。こういう政治は政党政治ではない。だから、大臣がきめたからには、佐藤総理が責任を持ってくれなければならぬ。与党が責任を持ってくれなければならぬ。それをいまやらぬ。みんな逃げて、官房長官その他の談話を見ても、あれはどうも神田さんの勇み足じゃないか、こう言っている。そういう冷酷な政治が日本の政党政治として行なわれているのが気に食わない。
 そこで、私たちは、しかし窓口としてあなたを責めざるを得ない。だから、まず第一に、あなたがそういう寛容と調和の政治をやろうとする場合に、その寛容と調和をやり得なかったという、客観的な大きな情勢の変化に認識を欠いておったということについては、もし神田博厚生大臣が男であるならば責任をとらなければならぬ。これは当然です。この責任をあなたは一体どうしますか。
○神田国務大臣 いま滝井さんのお尋ねでございますが、一月一日にさかのぼる客観的な理由が納得できない、こういうことでございましたが、御承知のように、一月一日から実施したいということは、もう臨時国会以来ずっと天下に公表しておったところでございます。そこで、これを妨げる大きな事情があればこれは別でございますが、そのためにみな医療機関等は収支のもくろみを立てて実施をしておるわけであります。それを、公益委員がさかのぼるなと言うならば私はすなおに聞きます。しかし、公益委員に一切まかして、しかも私は幅を持っておまかせしたのですから、その幅を持っておまかせしたのを、医療上の混乱も避けたい、病院経営の支障も避けたい、こういう立場に立って公益委員が点考えになったことを、担当大臣として私がのむことは当然だと思います。
 それから、いまの責任を感じないかということでございますが、これはいろいろ考えようもあるかと思いますけれども、私は、自分の考え方を十分練りまして処置したと、こう考えておりますので、先ほど来からお答えしているように、自分の責任においてひとつ円満におさめてまいりたい、こういう努力を誠心誠意を払っていきたい、これがやはり私の責任だ、こう考えております。
○滝井委員 あなたが公益委員の辞意をひるがえさせるために、実施の時期についても引き上げの幅についても弾力を持って公益委員に一任したわけです。したがって、私は、実はここにもまた一つ問題がある。たとえば、たまたま今度九・五%が実施されたからいいようなものだけれども、もしこれが幅を変えて、八%を実施したとか一〇%を実施したということになったら、あなたは国会にうそを言ったことになる。今度の手続上の問題でどこに一番大きな欠陥があるかというと、国会の予算は九・五%とお出しになっておる。九・五%を補正予算でお出しになって、そして十二月の十八日には臨時国会は閉会してしまっておるわけです。医療費の問題は、国権の最高機関で九・五%と意思決定しておる。決定したものを、今度は逆に医療協議会にかけて九・五%でなくてもいいという幅を持たす権限はないわけです、こういう点についても矛盾したことをおやりになっておるわけです。だから、一体諮問機関に対して諮問する場合は、国会が議決をする前にやるのが諮問機関の役割りでしょう、あなたの行政の諮問機関なんですから。それを国権の最高機関が議決してしまって、そしてそのあとからあなたが言う公益委員がおやめになるのは困る、これは弾力をもって自由におやりなさいということは国会無視です。だから、今度あなたがやったことはもろ刃の剣です。九・五%を実施していないなら国会無視だし、九・五%そのままやると医療協議会の答申を尊重しなかった、こういう形になっているのです。私は、こういう補佐のしかたは、小山保険局長も責任がないとは言わせません。あるのです。こういう国会無視の行き方がそもそも問題なんです、あなたも政治家だから。こういうもろ刃の状態で今度の手続というものは誤っておる。だから、こういうものをもしおやりになるならば、少なくともこれは大車輪で国会中にやって、そして予算の通る前に諮問してケリをつける問題なんです。それもおやりになっていないわけでしょう。そして国会が終って一月になってようやくケリをつける、こういう手続上の問題も非常に大きな誤りをおかしている。国会で議決したこととは実際は違っているのです。三%の問題なんかでも、あなたは実際三%やりますと答弁している。これもおやりになっておらぬ。ここにも責任があるわけです。国権の最高機関でそういうことを言って予算を通しておきながら、医療協議会の諮問機関でそれが実施できなかったという責任は免れないのです。こういう、今度はもろ刃の剣の状態でものごとが処理されている。これはやり方が非常にまずいのです。こういうところにもう一つあなたは責任があるわけです。
 そこで私は、そういう大局的な責任論のほかに、まずこの事態になって、いま支払い側は一体どういうことを言っておるかということです。支払い側の言っていることを考えてみる必要がある。まず第一に、支払い側は、あなたとそれから四人の公益委員というものの責任を追及してやめてもらいます。こう言っている。これが実現せぬ限りにおいては、厚生行政には協力できませんということを一つ言っていますね。それから医療費の支払いで、支払い側の審査を強化するということを言っています。これは基金でやることになる。これを何か公の席上で、現在乱診乱療が非常に行なわれている、水増し請求が行なわれているということも言っている。それならば、そういうことを公益が言うならば、審査を強化しなければならぬ、これは当然のことです、そう言っている。それから四十年度に実施の社会保険関係法の、これは財政対策が中心になる、健康保険その他が  これは厚生年金もあります。こういう審議に協力しない。これは諮問機関にかけなければ――社会保険審議会なり社会保障制度審議会にかけなければならぬことになるわけですね。それから、すぐ二月一日実施すると言った薬価基準の五十九号諮問が停滞してしまっているわけでしょう。それから、一月一日実施の行政無効の訴訟を起こすと言っている。こういうことを支払い側は掲げて言っているわけです。こういうことを支払い側は本気でいまやっていますよ。本気です。そうしますと、一体今後あなたは厚生行政をどう打開されていくのですか。厚生行政をどう打開するかというその方途ができないとすれば、これはいさぎよく退陣する以外にないのです。だからいまのようなことをどういうことで――医療はもう毎日始まっているのです。職権告示でやったために、一月一日からさかのぼって請求しますよ。そして十四日から窓口では徴収が始まっているのです。それらの、いま言った三つ、四つの支払い側が強硬措置をとった場合には、この反応はどこにあらわれてくるかというと、患者と療養担当者に反応が出てくるわけです。そうすると、そこからも吹き上がりが出てくるわけです。そこからも強い反対が出てくる。そうすると日本の医療は収拾すべからざる混乱におちいる。目前にある一つの握りめしを食うために、カキの種を見捨てたために、偉大なる大混乱が起こってくるということです。したがって、きょうあなたがここにその収拾策というものを明白にし得ない限りにおいては、思い切ってあなたは退陣したほうがいいのです。友人として私は率直に言うわけです。一厚生大臣のポストが大事か、もっと長期の展望に立った、日本の九千七百万の国気の医療問題を今後順当に土俵に乗せて、せっかく潤滑に運営されようとしておった医療協議会を将来の展望に立って運営するのが大事か、こういう問題になってくるのです。もはや政治論の小さい末梢的な問題はどうでもいいのです。この大きな日本の医療保険のいまの行き詰まりの中で、私はあとで質問しますが、いまの行き詰まりの中で長期の展望に立ってやるならば、この際神田さんがいさぎよく身を引いて、あとにだれかがなって収拾せよ、こういうことでなければ、事態は客観的にうまくいく情勢ではございません。私の認識ではそういう事態になっています。それを何か、九・五%をどうしだこうしたという小手先だけでこの問題を解決しようとしたらたいへんです。こういう大きな政治論が一つあるのです。こういう点についてまずあなたの見解を一いまのように向こうは具体的に出してきているわけですから、どう打開するのか。すでに中央医療協議会の委員の引き揚げが始まっていますよ。そうすると、保険医の指定取り消しができなくなるのですよ。実際は進行しているのです。だからじんぜん日を送るわけにはまいらぬわけです。すでに十二日に辞表を提出した状態が続くならば、ますますこの火は拡大します。それで、まずこの点を政治的判断で一体どうするかということです。
○神田国務大臣 これはいま滝井さんのお考えもあろうと思いますが、私はもっと前向きで責任をとっていこう、こう考えております。
○滝井委員 前向きで責任をとるというのは、それじゃ具体的にどういうことですか。私も私なりの建設的な意見も言います。責任も追及しますが、私は私なりの建設的な意見をいずれ言うていくつもりですが、あなたが前向きでこの事態をどういうぐあいに、どういう糸口を持って解決していこうとするのかということです。国会は二十一日、あしたから始まるわけでしょう。始まれば政府は予算を出さなければならぬ。ぐずぐずしておって、予算も出ないようなことでは話にならぬわけです。事態はどんどん燃え盛っているのですから、火事を早くとめなければならぬ。その一つの方法は、あなたが辞意を表明するのが一番早い方法であるということが一つ言われておるわけです。これは相手方の支払い側が言っておるわけですから、その事態をとらずに前向きで解決したいというならば、前向きの解決法はあなたとしては何か。私は私なりの意見を持っておるからあとで質問の形で述べますが、あなたは一体前向きの解決法は何かということです。
○神田国務大臣 前向きといって、私が先ほど来会議場でお述べ申し上げておるように、誠心誠意相手方に呼びかけて、そしてよく懇談する。またいろいろ御支援、御協力も得て、そして厚生行政の進展するようにひとつ考えていきたい、こういうことでございます。
○滝井委員 誠心誠意ということばだけでは、事態はどうにもならないですよ、これは精神訓話ではないのですからね。道徳教育ではだめなんです、それはほんとうにやはり財政的な、物質的な裏づけがなければ……。これは大臣御存じのとおり、昭和三十九年度の総医療費は九千三百億でしょう。来年は一兆をこえるということを小山さんは言っているわけでしょう。そうしますと、この前の予算委員会での私の質問で明白になったように、ことしだけでもすでに政府管掌の健康保険は二百二十億の赤字になって、積み立て金を全部食いつぶしてしまって、一月から三月までの支払いの金がないでしょう。ありますか。それをまず聞きましょう。
○大山(正)政府委員 本年度の支払い未済として残りますのが約二百億でございますが、これは翌年度に回しまして直ちに支払うことにいたしますが、それ以外につきましては三月までご支払いができる、かように考えております。
○滝井委員 二百億支払い未済と言うけれども、一月から三月までに金がありますかと言うんです。それは政府の余裕金かなんか借りて払うんじゃないですか。
○大山(正)政府委員 借り入れ金あるいは国庫余裕金の繰りかえ使用ということと保険料の収入と、合わせまして支払うことが可能でございます。
○滝井委員 そうしますと、借り入れ金、余裕金はどのくらい借りることになりますか。
○大山(正)政府委員 約二百と億考えております。
○滝井委員 そうしますと、保険料はその間にどのくらい集まるのですか。
○大山(正)政府委員 一月の保険料収入見込みが――これは正確ではございませんで後ほど数字は変わるかもしれませんが、一月が百九十億、二月が百五十億、三月が百六十八億、四月に入りまして百七十五億ほど入る予定でございます。
○滝井委員 そういう保険料も使って、なお二百億の借り入れ金をしなければならぬ。こういうことでしょう。そうすると、その二百億の金は四十年度のものを食うことになるわけです。先食いしなければならぬことになる。いわば三十九年の三月三十一日までにそれだけの支払いをやらなければ二百億というものは未納になるわけですし、医療費は未払いになるわけですから、したがって、その借り入れ金で四十年度の収入から食わなければならぬことになるわけでしょう。
○大山(正)政府委員 三月までの支払い未済になります二百億につきましては、四十年度予算に借り入れ金を計上いたしまして、四月に直ちに借り入れまして払う、そういう予定にいたしております。
○滝井委員 しかしそれは、将来は四十年度の保険料で払わなければならぬことになるわけでしょう。
○大山(正)政府委員 四十年度中は借り入れ金でその分はまかなう、将来国庫補助あるいは保険料でまかなう、四十一年度以降において何らかの措置を要する、かように考えております。
○滝井委員 だから二百億というのは、結局国庫補助か保険料でまかなう以外にない、こういうことなんです。そうすると、この前の質問で明らかになったように、四十年は政府管掌だけで八百四十億の赤字が出るわけでしょう。
○大山(正)政府委員 先般の臨時国会におきまして、滝井議員の御質問に応じまして、当時予算打折衝段階におきます厚生省としての見積もりを申し上げまして、八百四十億という一応の推定を申し上げたのでございますが、その後、実は最近の医療費の伸びが若干落ちております点等を考慮いたしまして推計の基礎を変えました結果、目下のところでは、来年度は、いまの制度のままでまいりました場合に約六百六十億の赤字見込みという推定をいたしております。ただし、医療費の伸びにつきましてはなお予断を許さない点もございますが、保険給付費の一割に相当する予備費を計上いたしましてその間の調節をはかる、かような考え方をいたしております。
○滝井委員 なかなか厚生省は都合のいいことをしょっちゅう言う。予算を取るときは八百四十億の赤字になると言って、予算がちょっぴりしか取れなかったら、今度は二百億もしぼませて六百六十億の赤字だと言う。よろしいです、六百六十億の赤字、けっこうです。そうしますと、あとで各保険の全部の資料を出してください。そんなことを言うなら全部違ってくる。そうしますと、六百六十億で、ことしはあなた方は政府管掌三十億しかもらってない。五億が三十億になっただけでしょう。そうすると、六百三十億というのは被保険者が保険料で出すか一部負担で出すか以外に方法がない、こういう形になってきているわけでしょう。こういうやり方が一体通るかということです。これはいまは政府管掌を出したが、日雇い労働者でも同じでしょう。国民健康保険でも同じでしょう。あなた方が御存じのとおり、いまこの政府管掌健康保険の被保険者の標準報酬は二万一、二千でしょう。国税庁なり厚生省の栄養研究所が調査した国民の最低生計費というものは、夫婦と子供三人の五人世帯で幾ら見ておりますか。もう時間があれだから私言いますが、栄養研究所は五十四万三千円でしょう。国税庁だって、ことしは五十四万四千円までは標準五人世帯ならば非課税にしたでしょう。そうすると、ボーナスも何も入れて、この政府管掌の勤労者の諸君は、三十万そこそこしか所得はないんですよ。農家だって同じです。国民健康保険の農家で八割までは所得三十万円以下ですよ。日雇い労働者の賃金はことしは五百一円九十銭、そうして四十年度の予算でこれは約六十円程度ふやしただけでしょう。五百六十一円七十銭、そのくらいです。そうすると、ここからあなた方が、もし政府管掌だけで六百三十億もの金を巻き上げるなんということになったらたいへんなことですよ。もし薬価の二分の一を負担させるとすればどういうことになるかというと、被保険者の総医療費は六千億でしょう。六千億のうち薬代が一割八分から二割入っていますよ。そうすると千億取るのです。千億の金を、いまの総所得が三十万かそこらしかない労働者から取り上げられますか。その五百一円九十銭が五百六十一円七十銭になった日雇い労働者のおやじさん、おばさんから取り上げられますか。これはそれだけではない。総報酬制なんということを与党は検討しているらしいが、こんなものは絶対通らぬですよ。われわれはからだを張ってでも反対です。国が社会保障、社会保障と言っておって、わずかに三十一億しか国庫負担を出さぬ。しかも千百万の中小企業の労働者で、池田さんの高度成長政策で一番ひずみを受けて倒産のあらしの中にある人たちからばく大な金を取り上げるとするならば、佐藤さんの人間尊重の政治、歩行者優先の政治というものは全く大うそうです。池田さんはより大うそつきということになる。もしあなたがのこのこ行って、田中さんと一筆取りかわしてそれをやらなければならぬというのならば、それだけでもあなたは不信任です。今度の医療費問題がもめたというのは、目前の握りめしをとることに急にして、こういう日本の社会保険における保険財政もみな赤字、そして被保険者大衆、政府管掌なりあるいは日雇い労働者なり国民健康保険の大衆も三十万円以下の低所得階層がほとんどである、医療機関も看護婦、医師が不足をして赤字、みな赤字になっているところで、政府だけがのほほんと金を負担せぬで、社会保険だという名目のもとにやっていこうとするところにこういう問題が出てくる。この推計では単に八%を一・五%引き上げたという、こういう小さな問題を、こんなに支払い側はあわてて復を立てているわけではないのです。ここをあなた方が見つけなければいかぬ。もしあなたが前向きに解決しようとするならば、幸いにことしは予備費が五百億ある。去年よりか二百億予備費が多い。去年は三百億だった。まずこの五百億の予備費の中から、三百億くらいは政府管掌健康保険に取ってくる。もしこれを出さなければ神田は辞職だ、佐藤さんにいまから行って談判してごらんなさい。それがあなたにできるなら、私たちは不信任をしません。ただあなたが、それもできないで前向き前向きと言って、そうして、客観的な情勢の判断を誤り、予算においてはわずか三十億くらいしか政府管掌に入れられない、国民健康保険の料率を引き上げることも国の補助の料率を引き上げることもしないということで、いまのよう・なベースのままでいくのならば、われわれは、今後の国会においては、もう一番先にあなたを個人的には泣いて馬謖を切る形になる。しかしこれはやむを得ないです。日本の社会保障の前進、九千七百万の国民のためにはやむを得ない。私たちは、だからこの二点であなたを信任することはできないのです。一千億の金を日本の医療機関で取るといって一体取りきれますか。いまそういう形をもしあなたが出すならば、今度はおそらく十万の保険医もむしろ旗を立ててほんとうに来る。総評も行く。そうすると、参議院選挙を前に控えて自由民主党はお手上げです。これは火を見るよりも明らかです。私はこれは予見しておきます。そのかわり社会党は大勝利ですよ。したがって、もうここであなたがやはり腹をきめるときが来た。佐藤さんに言って三百億を取り切るか、それともいまのままでいくか、それなら一挙にわれわれは全日本の大衆とともにあなたを不信任だ。だからもうこれは手続を誤り、客観的政治情勢を誤って、そしていま予算は取ることができなかった。いま小山君も笑っておるけれども、小山君なり保険庁の腹は、神田さんがばかに早く大蔵大臣と判を押してきたものだ、われわれは、彼らの、心臓やら肝臓に書いてあることが見えるようです。そうして全部そのしわがその二人にかかってくるのです。ですから、これは私はこれ以上言いませんが、あなたがそれだけの決意がなければ、われわれはきょうこれをもって――まだ私のあとの質問者が、みんな結局同じようなことを言うのですよ。こういう全部がまつ赤に燃えている、労働者もそうなんだ、医療機関もそうなんだ、保険経済もそういうときに、わずかに三十億でのほほんと帰ってきて、そして九・五%に血道を上げるというようなことは問題の本質を見失っている。あなたは木を見て森を見ていないのですよ。だから足を踏みはずしている。あなたと同じような立場にある日経連自身でさえ、もうこれは神田さんにはついていけぬと言っている。こういう政治の微妙なところを政治家というものが大所高所から判断することは、あなたの大先輩である大野伴睦先生もそれをあなたに教えておったはずです。こういう大局を見誤っているところに今度の失敗がある。だからこの際、男らしく辞表を出すか、それとも佐藤さんに直接会って、そうして予備費から三百億出す、足らぬ分は政府から出す、これを言えばこの問題は一挙に解決します。社会党のあなたに対する不信感はこれでぬぐい去って、五月以降は留任運動を起こしてもいい。その二つのどっちか、きめなければだめですよ。どっちを選びますか。辞表を出すか、それとも佐藤さんのところに行ってもう三百億ぐらい予備費から出す、こういう腹をきめるか、どっちです。こういう大局論しかこの事態の解決はないのですよ。職権告示を撤回するとかなんとか、そういうことはできる状態ではない、客観的に事態は進んでいるのだから。だからもうちょっとスケールの大きいところで事態を解決するというところにあなたがいかない限り、この問題は膠着してしまって、ますますこじれます。病膏肓です、もはや名医が来たってだめですよ。病が膏肓に入ったら死ぬばかりです。だからこの二つのどちらを選ぶか。
○神田国務大臣 滝井先生からなかなか御診断をちょうだいしたようでございますが、私の一身上のことは、私よく考えてみたいと思います。何といいますか、いろいろ厚生省には問題がございまして、御配慮願っておることはもう私も感謝しておりますが、諸般のこと、いろいろひとつ考えてまいりたいと思っています。
○滝井委員 政治家というのは然諾をはっきりしなければいかぬですよ。まさかあなたが、大臣の地位に恋々としておるとは思いません。私は少しユーモアを交えて言いましたけれども、われわれはほんとうに真剣なんです。これがこのままいけば、日本の医療がたいへんなことになることはだれが見ても明らかですよ。それはちっとやそっとの金で解決できる問題じゃない。だから相当大幅な国庫負担をやる、事業主の保険料も相当上げなければいかぬですよ。労働君の保険料を上げる客観情勢はないのです。五、五の折半を六、四とか七、三という、こういう形に持っていかなければならないのですよ。そしてむだな金の使われているところを――いかに日本の医療の前進をはかるか、私も案を持っておりますが、時間がないからあらためてやりますけれども、一切のむだな経費を排除して、そうして国と事業主がある程度出して、日本の医療保障を守っていくという形、日本の大衆は低賃金でそんなものは出せる状態にない。それをもし取り上げるならばたいへんなことです。これはあなたが言いにくいならば、ペンディングしてやめます。問題は、あなたがやめるか、佐藤さんのところに行って、まだきまっていないそうですか、相当な国庫負担を取ってくるか、その二つのどちらかをあなたがきめさえすれば事態は解決すると私たちは見ております。それをやるならば、私たちは責任を持って解決に当たります。そうして十分今夜ゆっくりお休みになって考えて、ひとつ腹をきめていただきたい。私は、その二つのどちらかですから……。
○小沢(辰)委員長代理 八木一男君。
○八木(一)委員 神田厚生大臣に御質問を申し上げたいと思います。いま同僚の滝井委員から御指摘になったと同様のことを申しますが、滝井さんだけではなしに、社会党の全委員がそういう考え方を持っている。全国民の大半がそういう考え方を持っているということを肝に銘じて、しっかり聞いていただきたいと思う。今度の混乱の問題については、滝井さんや河野さんからかなり質問があって、答弁がありました。こまかい点は省略をして、あと八木昇さんや吉村さんが質問されますから、私は短時間にいたしますが、ずばり問題を申し上げたいと思います。
 今後の問題は、私の考えでは二つの問題がある。一つは、神田さんが職権告示という考え方を持って、中医協にそういう考え方で直接間接の圧力を加えておった。それが一つ。もう一つは、田中大蔵大臣との話で社会保障が全面後退になるようなことを安易に承知をした。その二つであろうと思います。
 それで職権告示の問題でありますが、中医協の問題は、昔から、ここにおられる方が全部知っておるように非常に医療費の問題はむずかしくて、それを軌道に乗せるために四者構成の中医協を三者構成にした。公益委員が八人のところが四人になって非常な問題がありましたけれども、各般の努力でようやっと軌道に乗りかけておったところを、神田さんの軽率なやり方でその軌道を破壊している。この医療費の決定のルールが破壊をされたならば、どちらにしても、被保険者側にしてもあるいは診療側にしても、その問題が破壊されてスムーズなお互いの納得ずくでの今後の問題の決定がおくれるということになれば、あらゆる団体が非常に迷惑をし、全国民が心配をすることになります。その軌道を破壊したのはあなたの職権告示――しないと言いましたけれども、十二月二十九日職権告示の内諾を得たということが報道されておる。報道だけだといっても、実際はそうであるということは私どもが知っている。そういうふうな軽率な行動から出てくる。軽率ということばは非常に強烈なことばではありませんが、その軽率な行動によってあとの事態が非常に重大な問題になったということを考えたならば、前向きで対処するというような考え方ではなしに、そのような失敗をしたことを深く反省して、失敗について全部明らかにして直ちに辞表を提出――幾らも社会保障を担当する人はいます。自民党の中に人は相当いるはずだ。ここにもたくさんいる。直ちにあなたがやめて、ほかの各方面であなたよりは信頼の得られる人が、この問題に対処するということが一番肝心であろうと思う。政治家は、自分がやるよりは人がやったほうがいい、自分がいてはだめだと思うときには、いさぎよく自分の失敗したことを反省して天下に公表し、そうしてやめるのが政治家のほんとうの道であろうと思う。その点について、あなたの御意見をはっきり伺わしていただきたい。
○神田国務大臣 八木さんのお尋ねは、中医協に圧力を加えた、そうして職権告示をしたというような意味に受け取れたのでございますが、これはもう先ほど来たびたび申し上げておるとおり、私は中医協には圧力を加えた覚えはございません。中医協を尊重いたしまして、中医協の答申をひとつ待ってやりたい、そういうことでございまして、終始一貫その考えは変えておりません。私の不徳でそういうようなお感じを持たれたことについては、まことにこれは私申しわけないことでございますが、この点はひとつそうでなかったことを御了承願いたいと思います。
 それから、私の一身上のことにつきましていろいろ御趣旨と申しますか、サゼスチョンがあったようでございますが、これは私が考えることでございまして、八木さんからそういう忠告があった、こういうふうに了承いたしておきます。
○八木(一)委員 私は直接間接と申し上げた、そのことを率直に胸に、ほんとうに正直に受けとめていただきたい。十二月二十九日に職権で告示をすることについて、総理大臣の内諾を得たというような報道がある。そういうことが間接な圧力になる。一方において神田さんが急いで医療費を決定したいということは、わからないわけではない。急ぐなら中医協を早く成立させて、早く審議を始めて、じっくりと各方面の議論ができるような体制をなぜとらなかったか。それがおくれたことはあなたの責任である。中医協としては、とにかく時間をじっくりとかけて各方面の意見をまとめる努力をすることについて、あなたのほうから中医協にそういう要請をすべきだ。間接に、延びてもかまわないとおっしゃったようだけれども、そんなような消極的なことではなしに、何としても中医協で意見をまとめてほしいという積極的な働きかけがなければならない。こういう重大な結果のときに、行ってみたら支払い者側は帰られた、そんなぼやぼやしたことでこの重大な問題が解決をしますか。直接間接にあなたは軽率に考えで、ほんとうに各方面が審議を尽くして最後にまとまった意見が出るという努力をしてもらう、そういう決心があなたにはなかった。しかも途中で職権告示の内諾を得る。そういうことだったら、重大な影響があることはあたりまえなんです。そういうことについて、経過を御説明になって弁解するようなことは一切なさらぬで、あなたが悪かった、軽率であった、そういうことをほんとうに反省しなさい。ほんとうに反省をして、反省の実をあげていただかなければならない。そこで、あなたが直ちにその責任を感じて誠意を示して誤りを天下に明らかにして、辞表を出されるべきであると思うけれども、その前に、それだけでは国民に対する責任は済まないと思う。やめる際に――田中大蔵大臣との話であのような貧弱な予算しか取れなかった、しかも薬価の一部負担あるいは保険料の値上げ、そのようなものを約束して帰ってきた。巷間伝えるところによれば、大蔵大臣との折衝のあとで笑い顔で出てこられた。柔和な人だからいつも笑っていてもいいけれども、ほんとうに真剣に厚生省側の主張をしたならば、人間としてならば笑い顔なんか出るはずがない。厚生省のちっぽけな要求予算でも、それの三分の一、四分の一くらいに健康保険関係はけずられておる。それを安易に受け取ってきた。社会党が年末にあなたに会ったときにどう申しましたか。こんな貧弱な案ではだめだ、これをもっと増して要求しなければならないということを強く申し上げたわけであります。これをびた一文でも、一銭一厘でもへずられるならば、あなたは辞表をふところにして、それならやめるという覚悟で大蔵大臣に当たれということを言いました。あなたは、それについてはそういう努力をする、一生懸命努力をすると言ったじゃありませんか。何ですか、要求に対して、健康保険は百億のあんなちっぽけな要求を三十億円に削られた。そんなことでのめのめ厚生大臣をしておられますか。大体、一番初めから、大蔵省が厚生省の予算を並べて、本年度は新規要求を前年度の三割増しにしてくれと言ったときに、そういった状態であなたが承知をされたとき、私どもはあなたに忠告しました。厚生行政とか、そのようないま取っ組んで前向きにしなければならない問題について、ほかの防衛庁とか、大体制度が完備しておるところと同じように初めからワクをはめられるようなことではいかぬ、そう申しました。そうしたらあなたは、それについては残念だったけれども、ほんとうの予算のときには絶対がんばりますと言ったじゃありませんか。何ですか、この結果は。しかもこのときに、普通のベースでなしに社会保険は赤字が出ておる。社会保障を伸ばさなければならないほかに、その赤字に対処しなければならないという二重、三重の重大なときに、そのような厚生省の態度ではどうなる。医療費の値上げによって、たとえば健康保険関係では家族はそれだけ負担が増すわけであります。そして今度、あなた方のやろうとすることで保険料が大幅に上がるわけであります。また患者になったときに、薬代を半額持っていかなければ見てもらえないということになる。そういうことは、ほんとうに社会保障の後退であります。与党の自民党の諸君も反対だと言っておられる。事務局ベースできまったからということであなたは簡単に下がって、どういう気持ちで承知をされたのですか。その点について明らかにしていただきたいと思います。
○神田国務大臣 八木さんのお尋ねでございますが、いろいろ予算編成当時教えていただいて、激励をちょうだいしたことはそのとおりでございます。また私も、微力でございますが、できるだけ努力をいたしたつもりでございます。御承知のように、先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、国の予算は一二・四%しかふえなかったが、その中でも厚生省の予算は二〇・八がふえた。それからまた、いまの健康保険の問題につきましても、私はできるだけの努力をいたしたわけでございます。しかし結果は、なかなか一年で、ことしの四十年度では成果をあげることができなかったわけであります。長い目で見ると、これは何といいますか、先のことまで言って申しわけないのでございますが、いいことだけが続くというわけにはまいらぬことがあると思います。屈して伸びる場合もあると思います。そういうことを言ってはまたおしかりを受けるかもしれませんが、私としては真剣にできるだけ努力をさせていただいた、こういうことでございます。しかし結果は、いま八木さんがお述べになられましたように、できばえがいいとは私も考えておりません。全く恐縮いたしております。決して笑い顔で喜んでおるようなわけではございません。どうも私の顔は親づくりでございまして、話をしていますとどうも誤解を受けるようなことがございます。腹の中を見せてあげたいくらいですけれども、これは真剣に考えております。どうかそういう意味で私の真意だけは十分御了承願いたいと思います。努力いたしたのでございますが、なかなか思うようにいかなかった。しかし厚生行政もことしで終わりじゃないのですから、年々ひとつ伸ばしていきたい、こういうことであります。
 それからいまの薬価負担の問題も、これはやはりなかなか――政府間の事情もございまして、いろいろな事情がございます。しかし与党がみんな反対でございまして、これはおそらく、私からそういうことを申し上げることは差し控えますが、御想像はついているだろうとは思います。いろいろそういう点については、大蔵省にはただすべきことはただし、相談すべきことは相談して苦慮いたしております。そういうところでひとつ御了承願いたいと思います。八木(一)委員 薬価の半額負担ということは、しまいに薬価の全額負担ということに通ずるのですよ。それはまた薬価だけではなしに、診察料の患者負担にも通ずる。社会保険、保会保障をなくそうという思想に通ずるのですよ。事務局のどんなへなくそな連中が、乱診乱療だとかなんとかいってそういうことを言うかもしれませんが、いい薬をたくさん使うということは、総体的に見て、日本の国民の受ける医療が前進をしたということになる。千人に一人くらい、一万人に一人くらい、薬を飲むのが好きなやつが飲みたい飲みたいと言う。それに便乗した人が飲ませるということが、たとえば十万人に一人くらいあろうとも、残りの九千九百九十九人とか九万九千九百九十九人はそうではない。国民や診療担当者を信頼した形で政治はやらなければいけない。役人の一部には、国民をみな悪者に見て、社会保険を悪用して飲まなくてもいい薬を飲む、また飲ませなくてもいい薬を飲ませる、注射をするということで費用がふえるということを言っている人があるけれども、そうではない。苦い薬をだれもほんとうは好んで飲みたくない、痛い注射を好んでしてもらいたくはない。また診療担当者のほうも、きかないのにそれを飲ませようとは考えていない、きかない薬を注射しようとは考えていない。十万人に一人くらい何かふまじめな人があるとしても、国民を善人として、診療担当者を善人として行政をしなければならない。それを過剰診療がある、そういうようなつまらない、ごくわずかにあるかもしれないけれども、そういうことで他のすべての善良な国民や診療担当者が困るような、迷惑をこうむるようなそういう方向をとることは、医療保障というものが何たるものかということを全然理解してない証拠だ。野党は絶対的に反対、そして各団体も反対、与党の人も反対だと言っておる。そういう情勢がわからなかったのですか。さんざんそういうことについては委員会の論議があった。あなたはそのとき居眠りをして聞いていたんですか。厚生省の事務局も、ほんとうにそのことをやろうと思って、時間を延ばして審議をしたわけではないでしょう。あなたが田中君と会ったときに、それを言われて、けろりと承知してきた。あらゆる関係者が真剣にそういう問題について考えているときに、大蔵大臣との交渉で、三十分か一時間か二時間の交渉で、けろりとそういう社会保障の根本的なものをひん曲げるような方向を承知するようなものには、社会保障を理解する力が一つもないと言っても過言ではないと思う。そんな人が、厚生大臣に便々とすわっていることができることはないはずだ。保険料の値上げ、本人負担のほうの医療費の値上げ、みんなが受ける保険医療が上げられる、そして患者の一部負担が入る、三重に攻めてくるじゃありませんか。診療担当者が、物価の値上がりやいろいろな点である程度の適正な診療報酬が必要であるということは、私どももわかっております。しかし、そういう問題に対処するには、医療保障を前進するために国の負担を投入するということは、だれしもが考えることだ。ましてや厚生大臣はまっ先に考えなければならない。そこで、厚生省側の貧弱な要求、猛烈に貧弱な要求、それを何分の一に削減をされて、よくものめのめ笑って出てきて、そんなことで厚生行政を担当できますか。いま、ひとつ反省をして直ちに辞表を出す。辞表を出すのも、ただ単に辞表を出すのではなしに、職権告示のようなことを考えて中医協のせっかくできたものを破壊して、これから医療報酬の決定の軌道がなくなった、各方面が非常に迷惑をする、国民が非常に心配をすることのその責任を痛感するとともに、それを明らかにするとともに、あなたのやり方によって社会保障が大きく後退をする、その責任をとらなければならない。ですから、やめるときにはただやめるのではない。私の失敗によって社会保障が大きく後退する、これは国民のためにどうしても私は責任を保てない、佐藤総理大臣、予算案を組みかえる、予備費を出す、それだけのものを投入してこの問題に対処してくれ、それを迫って佐藤総理大臣がそれを聞かないならば、社会保障に対する総理大臣の無認識を徹底的に攻撃追及をして、そこで辞表をたたきつけて国民に対する責任をとるべきであると思う。そのくらいの決意でいままでの失敗は取り返さなければ、厚生大臣になられたあなたとして、国民に対する責任が保てないのではないかと思う。それについてほんとうの国民に対する決心を披瀝していただきたいと思います。
○神田国務大臣 八木さんの非常に激烈な御注意でございますが、私は厚生省の予算が思ったほど取れませんことはまことに残念に思っています。しかしことしは、御承知のように前年度予算の三割増、こう言っておるのを、その三割増を要求して約七割取ったわけです。だからそう落第しているとは思っていないのです。しかし、私の気持ちは、これは少なくて困っている。努力したが少ない。しかし全体として一二%しかふえてないわけでございますから、それが二〇・八取ったので、決していいとは私は申し上げておりません、これはもっともっと取るべきものだ、ことに私は総所得に対してももっと上げてみたい、こういういろいろ考えを持っております。皆さんからも非常な御好意ある激励もちょうだいしておりますから、そういうことも背景として戦ったつもりです。しかし、財政当局は財政当局としての立場もございますから、厚生省はそう言ってもとにかく前年度の三〇%増の予算要求です、そうしてその三〇%が四割しか増加しておりません、一二・七%でございますから。それをうちがとにかく二〇・八取った、だから七割近く取ったじゃないか、だからそう一年で福祉国家になるわけじゃないからひとつがまんしてくれ、こういうようなことで、むしろ泣き落とされたというか、まあ押えられたわけでございます。しかし、これをいろいろの面で見ますと、特に健康保険なんか少ないということは、御承知のとおりでございます。非常に苦慮しております。いろいろ打開策もまた御相談願わなくちゃならぬと思っておりますが、いろいろ考えております。たいへん激励をちょうだいしたり、おしかりを受けたりしておりますが、私は私なりにまじめに取り組んできた、こういうことだけはひとつ御了承願いたいと思います。
○八木(一)委員 三割の要求をして七割取ったと言われるけれども、前年度の要求よりもことしの要求のほうが少ないのですよ、これだけ予算が拡大して。それから、自民党の方も政府の役人もみな入った社会保障制度審議会の答申勧告で、昭和四十五年には、少なくとも国庫支出が一兆二千五百億にしなければならぬ、それは、昭和三十六年の物価から上がっていれば、その金額は物価にスライドしなければならないということで出ている。これは自民党の方も政府側も入って、それが最低の最低であるということで出ているのです。ですから、その点では、その三割の要求なんということは、徹底的にそこでがんばらなければいけない。ほかの省は三割でとまっても、厚生省は二十割の要求をするのだというくらいがんばらなければいけない。そこでまずあなたは降参をした。その次に、その三割の要求も、びた一文でも削られたら責任をとる、降参はできない、承知はできないという態度に出なければならない。それが普通の場合の話だ。しかも、社会保険がこれだけ赤字になる、社会保障の中で、いますぐみなが病気を見てもらわなければならない、一番関心の深い、一番切実なこの医療保障の問題です。これだけ赤字が出ている、しかも医療担当者のほうは、もっとある程度上げてもらわなければ医療の質は保たれないと言っている、そういうときに、これを解決するには、ほんとうに異常な決心で政府が国庫支出しなければならない時期だけと思う。そういう重大なる問題がある。そこで、あなたはちょろっと厚生省の予算すら三割削減をされている。そんなことで厚生行政を持てるものじゃないですよ。ですから、そこで対処するには、大蔵大臣のときに徹底的にけんかすることです。内閣が査定をしようとしたら、そこで天下にその経緯を表明して辞表をたたきつける、それが社会保障を伸ばす。あなたが便々と一年か二年厚生大臣になるよりも、そういうような内閣全体の社会保障、医療保障に対する無理解に対して、あなたがその声明をしてやめることが、何百倍かの効果があるわけです。
  〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕
あなたは、社会保障や厚生行政を前進させる決意を持って厚生大臣になったのだろうと思う。ところが、いまそうじゃない結果になっている。それを取り返して国民の信頼にこたえるためには、その経緯を声明して、総理大臣に強く当たって、総理大臣が無理解であったら総理大臣を攻撃をして、その経緯を全部簡明明白に公表して辞表をたたきつける。自民党を除名されようとも、議員を除名されようとも、それをやることが国民に対する政治家としての責任であろうと思う。そのくらいの強い決心を持って考えて対処をしなければならないと思います。それについて政治家としての神田博氏のはっきりとした考え方を伺わせていただきたいと思います。
○神田国務大臣 いまの八木さんのいろいろ激励を込めた御親切な御発言は、よく私も身にしみております。おことばのとおり、私も努力いたしたつもりでございますが、結果はあのようになったわけでございます。こうした社労委員会のこの声がやがて大きくなりまして、社会保障というものが大幅に前進していく、こういうことになろうかと思います。またそれを念願いたしております。とにかく今年度は先ほども滝井さんからもお話しがございましたが、予備費ででもひとつ取ってこいという御注意でございます。また、いろいろのやり方があろうかと思います。ことに私は、健康保険の赤字財政等につきましては、いろいろ審議の段階で、これはもっともっと突っ込んだいろいろの方案がまた伺えるのじゃないかと思っております。私も私なりの考えがないわけではございませんけれども、私一人で予算をきめるわけでもございませんし、方針をきめるわけでもございませんから、いずれそういうような時期を得まして、そして御意見のあるところを取り入れまして御審議願ってやってまいりたい、こう考えております。
○八木(一)委員 他の同僚の質問がありますから、あと二、三分にいたします。
 いまの答弁は、全面的に満足できません。あなたを激励しているのではない。あなたが責任をとっていただきたい。責任をとることが、厚生行政、社会保障行政を前進させる道に通ずると思う。予備費といっても、予算が自民党の中できまったときに、それをひっくり返すには、非常な事態をつくらなければひっくり返りません。厚生大臣がいままでの失敗、国民に対する責任を明らかにして、いままで間違っていたのだ、これを直さなければ国民に対して申しわけないということで総理大臣に徹底的に追及をする、大蔵大臣となぐり合いのごとき状態まで徹底的に抗争する、それくらいの勢いがあって、そしてこれらがいれられなかったならば、総理大臣、大蔵大臣の責任を追及し、明らかにして、あなたが辞表を提出する、そして自民党を除名される、そこまでいかなければあなたの失敗は回復できない。それくらいの決心でやることによって、あなたの失敗は半分くらいは回復する、国民に対する責任がとれる。そのような強い決心で働かなければ、今後徹底的にあなたの追及をすることをはっきりいたしておきたいと思います。厚生行政の厚生省のちゃらんぽらんの法律については、断固としてこれを粉砕する、あなたがやめるまで徹底的に追及をする。あなたがほんとうに政治家としての責任をとらなければ、佐藤総理大臣にこの責任が移っていく、自民党全体に移っていく、あなたは国民を裏切り、同志を裏切ることになる。強い決心を求めます。
○田口委員長 吉村吉雄君。
○吉村委員 たいへん先輩の各委員から、こちらで質問をしようと思う幾つかのことが出ておりますので、重複を避けてしかも制限された時間でありますから、断片的になるかと思いますけれども、今後の医療行政の問題等の解決のためにも若干質問しておきたいと思います。
 一つは、先ほど滝井委員の質問の中で、本日支払い者側委員と厚生大臣が会見をした、その結果、さらに支払い者側委員に対しては翻意を促すというような努力を続けていきたい、そういう趣旨の答弁がありましたが、この会見は公開でやったのかどうか、それから、聞くところによりますと、きょうの会見で、支払い者側各委員は、今後厚生大臣からの会見要請があってもそれには応じないという態度を明らかにしたというふうに聞いておりますけれども、それは事実なのかどうか、この二つをまず初めに伺っておきたいと思います。
○神田国務大臣 会見の場所は私の大臣室でございまして、私のほうの担当次官、局長、官房長等でございまして、おいでいただいた方は七人の支払い側の方で、二名ほどは代理の方がお見えになりました。大臣室でございますから公開の席上ではない、その余の者はいない。
 それから第二点の、お会いした結果は、先ほど来お答え申し上げておりますとおり、いろいろお話しはいたしました。しかし結論から申し上げますと、文書を置いていかれまして、厚生大臣及び厚生当局はどうも信用できない、こういう事態のままでは今後相いれられないということを言っておられました。私は、そういうことを言わぬで、ひとつきょうは最初のことだから、なおお会いになる機会を得て御懇談をしたい、こういうことを申し上げたのであります。それが会見のぐあいであります。
○吉村委員 それに対しまして支払い者側の委員は、もう会見を要請されても会見しない、こういう態度を表明したと聞きますけれども、それは事実かどうかということです。
○神田国務大臣 おいでになったうちの一人の方が、そういうことをおっしゃっておりました。
○吉村委員 一人の人というのは、これは代表して言っているものだと思うので、私がそのことを初めに聞きますのは、先ほど来の大臣の本問題に対する今後の解決の方向、その心がまえというものがきわめて楽観的に過ぎる、こういうふうに心配をいたしますので、実は冒頭にそのことを確認したわけです。いまのお話によりましても、一人の人がと、こういうお話でございますが、他の方々も同じような共同声明を出して、同じような行動をとっている中でそういう態度表明があるということは、全体の意思として受け取って、事態の深刻さというものを認識して解決に当たる、そういう熱意がなければならないのじゃないかというふうに私はまず冒頭に注意をしておきたいと思うのです。
 それから、時間がありませんから、その次にお伺いしたいのは、今回のこの医療協がいわば機能を発揮することができないような、空中分解的な状態になったということの根本的な原因というものは、先ほども河野委員から指摘されましたけれども、双方にやはり不信感というものがある。こういうところに根本的な問題があるだろうと思うのです。特にその中で私が指摘を申し上げたいのは、厚生省当局、厚生大臣のほうで、どちらかといいますと医療側に片寄ったような態度で、この医療協の運営あるいはすべての問題に対処しておったのではないか、こういうふうに総体的に考えられる節がある。たとえば四月の十八口に、緊急是正に対するところの答申案というものが出た。これは御存じのように、支払い者側と公益側が意見一致して、そして診療側が意見書を添えて提示したという内容になっているはずです。このことにつきましては、先ほど来の答弁を要約しますと、八%という考え方に厚生省も受け取っておるもののごとくです。なぜならば、それは八%であるけれども、その後の経済的その他の諸条件というものを考え合わせれば一・五%自然的に、自動的に上積みしなければならないのだという保険局長の答弁からも、第一次の答申というものは八%という考え方に立って受け取っておるというふうに理解をせざるを得ない。この答申に対しては、四月の十八日に答申になって以降、いろいろの事情があったにせよ、相当そのままになっておって、その具体的な実施の段階になってこういうふうな状態になったわけですけれども、その間に厚生大臣が言われましたのは、たとえば八%プラスアルファを考慮しなければならない、あるいは政治的な配慮を加えなければならない。伝えられたところによりますると、それが一二%ぐらい必要である、こういうふうなことで大蔵省との折衝も行なわれたのが大体新聞紙上で公になっておる。こういう実情から見て、どちらかといいますと、八%というものについてはこれでは少ないという考え方を持って、厚生省、厚生大臣がそういう考え方で対処をしてきたのではないか、そして今度の報告書は、答申でなく報告書でありますけれども、それは公益側委員と、それから医療側委員とが意見一致して出されたところの報告書であって、答申ではない、こういうものに対しては、あなた方のほうではこれを尊重する、こういう立場で、しかもきわめて性急に職権告示という方向に踏み切ってきた、このようなことをずっと経緯的に考えてまいりますと、支払い者側とそれから医療担当者側との間に立って、どちらのほうに片寄ったふうに厚生省が措置をしてきたかということを考えてみますると、どうも厚生省が、医療担当のほうに片寄ったような見方でこの問題に対処してきたというふうに見ざるを得ない。ここに支払い者側の不信の根本的な原因があると私は思うんです。御存じのように、支払い者側を構成するものは、それは多くは勤労者である。あるいはまた一般の低所得階層、こういう方々の間に大きな問題になっているのでありますが、考えてもみていただきたいのは、たとえば勤労者の場合の公務員ベースのあり方等を考えてみても、これは人事院勧告が出た場合に、政府のとっておる措置というものは、人事院勧告なりその他の仲裁裁定等についてもこれを下回るような態度で終始をしてきておる。ところが今度のような場合になると、むしろそれよりも、答申案よりも上回ったような態度で終始をする。これでは支払い者側を構成する多くの勤労者の人たちが、どうも政府の態度というものが一方的ではないかというふうに見るのは当然の見方というふうになると思うのです。このように考えてまいりますと、私は、今度の厚生大臣がとった措置というものはどうしても一方的になっている、こういうふうに見えてしかたがないわけですけれども、その点についての大臣の見解は一体どうですか。
○神田国務大臣 そういうことも耳にいたすのでございますが、いまお述べになったことですね、医者寄りではないか、診療側寄りではないかというようなことを言われるのでございますが、この経緯を申し上げますと長くなりますから、結論的に申し上げますが、私はここまで至ります間に、これはもう診療側から並行答申だ。例の八%――八%とは書いてありませんが、二〇・五という数字がございますね。並行答申だ、診療側は再診料十点を要求している。そして再診料十点を解決せよ。十点とは言わない、減点してもいいからひとつ解決せよという非常な要請を受けております。またいろいろな機会にいろいろな方々から非常な強い要請を受けておりますが、これは今度の九・五%の中に盛られた内容をごらんになれば、御承知のとおりゼロ回答しているわけですね。だから診療側がそんなにいい案だというふうに私は考えておりません。診療側と一緒になっておったら、それはいまの再診料でも向こうの言うとおりにやっていたらそういう批評も受けるかもしれませんが、筋を通しておりまして、そういうことをしておらない。ところがそういうことを言われるので、私は実はふしぎなんです。ずいぶん診療側からいろいろと要請されたのに一向聞いてくれぬという非難攻撃を聞いておりますが、今度この告示後そうでないようなことも聞かれるのでありまして、私も実はそうかなという、そういううわさもあるかな、考え方もあるかなというような考えをしてみたりしてきたわけでございますが、そういう考えがないことは事実でございます。厚生大臣になりましてこの問題と取っ組むことになりましてからも、これは診療側から喜ばれたり、支払い側から喜ばれたりする案であってはいけない。両方から非難されて、その非難が同じような非難される程度であって、そこで厚生大臣の判断が正しいということになると思う。いずれにしてもこれは中医協にまかせて、そして公益委員に御判断を願う。そのことが一番正しい、こういうふうに考えておるのでございます。ですから、中医協を開いたときに、あれほど反対しておった診療側があまり発言されなかった。消極的に賛成したということを聞きまして、公益委員とも話したのでございます。また局長等とも話したのでございますが、それほど医療側が困っておったのじゃなかろうか、もうこの案を見せられて、初診料というものにこだわるだけの時間的余裕というか、そういう余裕がなかったのじゃなかろうか、まあともかく、ひとつもうどうしても一月一日には解決してもらいたいのだ、そういうことが目標になっておったのではなかろうか、こういうようなことを語り合ったことがございます。決して診療側にウエートを置いたとか支払い側を軽く見たとか、そういった考えはございません。両方とも平等に見まして、私は、両方からいろいろなことを言われる、こう思って、そういう心境で取っ組んだ次第でございます。
○吉村委員 それから今度の問題は経済成長に伴うところの緊急是正という、そういう諮問のしかたでございますから、若干事務的なことに関連するのですけれども、大ざっぱな数字でいいのですけれども、国民所得の伸びというものと総医療費の伸びというものと、それから医師の総数、数の経緯というものがどういう関係になっておるか。それから外国のこれとの比較、先進諸国二、三でいいと思うのですが、それとの比較、それからいま一つは、勤労者の給与所得に対して医師の所得というものがどういうふうになって、外国との比較は一体どういうふうになっておるか。
○小山政府委員 後ほど手元にあります資料全部を差し上げますが、いまお尋ねの点についてだけ申し上げますと、国民所得の伸びと医療費の総額の伸びというものは、昭和三十二、三年ごろから三、四年の間は、国民所得の伸びのほうがやや大きくて、医療費の伸びのほうがそれに及ばないという程度の状況でございます。それからその後二、三年というのは、両者がほぼ同じ程度、最近の二年あるいは三年程度になると、国民所得の伸びよりも医療費の伸びが大きくなっている、こういう状況でございます。たとえば国民所得の伸びが一二、三%あるいは一四、五%というのに対して、医療費の伸びのほうが一六、七%というふうに、かなり速度を速くして伸びておる、こうふうような状況でございます。
 それから勤労者の所得の伸びでございますが、これは昭和二十三年を基本にいたしまして、昭和三十六年が四九八、三十七年度が五五一、三十八年度が六一二、この程度の状況でございます。これに対しまして個人立の診療所の院長――一口に言うと開業医でございます。これらの人々の実収入というのは、同じく昭和二十三年を一〇〇と押さえまして、二十五年は一五三、三十三年が四一五、それから三十六年が六六〇――これは勤労者のいま申し上げた給与所得と比べ、厳密なものではございません、計算上の基礎として、少なくとも平均してこの程度の収入を得ているはずだということをもとにしての計算でございまして、これにはまた、医療担当者の側ではそんなに収入はないというような異論がございますけれども、ごく大観して申し上げまして、収入をあげる状態というのが非常に違ってきていると思います。一般勤労者の場合は、どちらかというと稼働の条件は逐次よくなってきつつ、しかも所得はふえておる。それから勤労時間も長くなるよりは、どちらかというと短くなる傾向にある、こういう状況でございますが、開業医のほうは、それと逆に働かなければならない時間が確実に延びる、これはいろいろな条件から推測できます。しかし実際に得ている収入のほうからいえば、決して少ないとは言えない。それよりは、伸び足から見ましても、やや高い程度で伸びておるというふうに言えるだろうと思います。
 それから外国との関係でございますが、これはごく大ざっぱに申し上げまして、大体、外国でも医師の所得というのは、一般の非熟練労働者の給与所得の四倍前後というのが多いようでございます。それで、いま申し上げました資料の基礎になっているので当たってみますと、日本の場合でもおおむねそれに近い。改定前の状態は四倍をやや下がっておって、改定後のものになりますと、つまり一月一日からかりに九・五が全部平均して上がった、こういうふうにして計算をしますと四倍をややこえる、こういうような状況になっております。
○吉村委員 それからいま一つお伺いしたいのですけれども、日本では医師の所得に対しては課税上の特例が設けられています。税制調査会の答申によりますと、毎年毎年問題になっておる。これは廃止すべきであるという答申が出されております。七二%ですか、必要経費として差し引く、こういう特例措置があるわけですけれども、外国にこういう例はありますか。
○小山政府委員 私は、あまりそういうことを詳しくありませんので、いまここで申し上げる知識を持ち合わせておりません。
○吉村委員 そのほか、いま一つ、日本の場合には、国民の健康を保持するためにということで、医療金融公庫法によって医療機関に対するところの融資の措置が公の費用から講じられておる。こういう制度があって、その資金も逐年増大をしつつあるわけですけれども、こういう措置は外国ではとられていますか。
○小山政府委員 これもここでどこどこというふうに申し上げる正確な知識を持ち合わせておりませんけれども、このほうは確かに外国にもあるはずでございます。
○吉村委員 幾つかのことをいまお尋ねしましたのは、先ほど大臣の答弁の中で、現在の医療機関が医療経営にあたって非常に困難を感じておる、こういうことを考えれば、私のとっておる措置は決して医療側に片寄った措置ではない、こういう趣旨の答弁がございましたしかし先ほどの大臣の答弁の中にも、今回の措置も中央医療協の意思というものを尊重してやったんだ、こういうような話がありましたけれども、同じ国の審議機関であるところの税制調査会のほうからは、逐年こういったものが出されている。これまた国民の医療というものを保持するために、健康を守っていくために国が必要と認めてやっている措置ということについて、私は反対するものではないのです。しかし、全体の医療担当側とそれから支払い者側、こういう立場から問題をながめるとするならば、たとえば収入、所得の面についても外国並みになっておる。そういう状態の中でさらに税制上の特例措置もある。そういう中で、今度は答申あるいは報告書が出た場合に、答申については支払い者側の意見と公益側の意見が一致して、八%というものは無視された――と言っては、あなた方はそうではないと言うのでありましょうけれども、いろいろの政治的配慮とか言い方を変えて、最終的には今度のようになったわけでしょうけれども、支払い者側が反対する問題については、これは公益側の意思を尊重するんだというようなことでこういうような措置をとる。これは支払い者側としては、あまりにも国のとっておる措置というものが医療機関に対して優遇し過ぎているのではないか、そういうような目で見られても私はやむを得ないと思うのです。こういうところに実は根深い不信感というものがある。したがって私は、こういったものについてはこういうものらしくきちっと整理をする、そういう立場でやっていかないと本質的な解決にならないだろうというふうに思うのです。
 いま一つは、これも時間があればもっと詳細に数字をあげてお尋ねしたいと思うのでありますけれども、現在のこの医療費についての混乱の直接的な原因というものは一・五%にあると私は思います。しかし根本的な問題は、逐年増大していくところの医療費を、だれがどういうふうに負担をするのかというところにあるのだと思うのです。外国に比べてみまして、医療費を公費で負担する割合というものは、日本の場合には非常に少ない、こういうところに問題があるのではないか。先ほど滝井委員の質問の中にも、したがってこれを抜本的に解決するためには、やはり公費負担といいものを強く打ち出していく以外には方法がないだろう、四十年度の予備費の中から、三百億なら三百億というものを取るならばという話がありましたけれども、この総医療費の負担をだれがするのかという点について非常に問題がある。しかも今日の状態の中では、先ほど来も指摘をされておりますように、もっと医療費を患者、国民が負担し得る余裕というものはない、ここに問題がありますから、したがって支払い者側としては、八%ならば泣いてのむ――のんだのだと私は思うのです。その上に今度は一・五%を出すわけですから、あなた方は一・五%はたいした問題ではないというふうに考えるかもしれぬけれども、支払い者側の立場に立てば、八%というものをのむにも非常に大きな努力があったはずです。その上に、あなた方は、今度は職権の形で一・五%というものを出す。したがって、もしそういうような経済条件の変動とかその他の条件の変動というものがあるとするならば、八%は八%で区切ってこれを実施して、あとあなた方で一・五%がもっと積み重ねなければならぬという条件があるとするならば、当然それは中央医療協に諮問をしてやる、諮問をすべきである、分割審議すべきであるという支払い者側の意見というものは、妥当性を持っておると思うのです。ですから、この医療費の問題については、根本的には、先ほど申し上げたような医療機関に対する国の措置と、それからどちらかと言うと支払い者側に対する国の措置というものが相対的に見て差がある、こういうところに不信感がある。そこへ持ってきて、厚生省が支払い者側の立場というものを軽視するようなことで今度のような措置をとってきますから、おそらくこれは根本的になかなか解決しないことになっていくのではないか。こういうようなところに大きな原因があるというふうに思うのでありますけれども、大臣は一体どう考えておりますか。
○神田国務大臣 この医療費の問題というものは非常に複雑な問題で、いまお述べになったように御承知のとおりでございます。何か一つのルールをきめまして、計算上の問題とかあるいはまだ税法上の処置というものを一体どうするかというような、いろいろ含まれた問題があろうと私は思っております。何か継ぎ足し継ぎ足しというようなことでやってきている。いつも本質的なところにいかないで、エキサイトしたところで解決しているようなことがあるようであります。そこで私は、今回は緊急措置でありますけれども、中医協のひとつ御判断にまかせようということで、そういう大きな気持ちで考えたのでございますが、結果はそういかなくなってしまったということで、まことに申しわけないことでございますが、しかし、その判断も、これはいろいろ先ほど来からも御意見がございましたように、十二日まで待ったら判断がつくのではないかという見方と、十二日になっても判断がつかない、どこまで行くかわからないということが、やはり今度の一つのめどでなかったかと思います。私も、中医協全体に関係したわけではありませんから、報告を聞いてそう判断したわけでございますが、いまになって、十二日になれば何とかなったのだという御意見と、そのとき突き詰めた話としては、そこには何ら裏づけがなかった、これではずるずるになってしまう、そうすると医療上の混乱もある、いろいろそこに不安もかかる、それで公益委員としては自分たちの案を出さざるを得なくなった。そうなった限りにおいては、私もこれを尊重しなければいけなくなったというようなことでございまして、この扱いといたしまして、そういう例を生んだということはまことに恐縮でございます。しかし、どこかで解決をしなければならぬことでございまして、やむを得なかった、こう考えております。
 それからいまの内容の問題ですね、これは小山政府委員からひとつ答弁させたいと思います。
○小山政府委員 先ほども申し上げましたように、四月十八日の答申に沿うものが今度の諮問案だという考え方で、私ども終始しているわけであります。これは現に昨年以来、ここでもたびたびいろいろ御議論をいただきましたが、私は主としてその答申を尊重していくということをずひ貫かせていただくよりしようがないのだという立場で、終始説明に当たっておった人間でございます。したがって答申を守るという点においては、少なくとも一番責任を持っておった人間であります。そういう人間として考えてみまして、あの場合の答申というものを現時点で扱うとすれば当然そうなるのだ、こういうことであったわけであります。したがって、支払い側の方々が八%と一・五%を分けて考えなくちゃいかぬという主張というものの背景は、私はよくわかります。これはおそらく先生おっしゃったように、気持を言えば、あのときだからまあ八%というものも一応しょうがないということでのんだんだ。ところが、その後思いのほか財政も苦しくなって、いまから考えると、あれさえもそう簡単に同意してはいかなかったのだということが言いたいほどの気持ちだったに違いないと思うのであります。そういう事情であるのに、やっと努力をして背後も納得をさしているのに、なおかつそれが、その上にまたぞろつけ加わるということではという御事情は、私も非常によくわかるわけであります。ただ問題の扱いとして、そういうふうに分けて答申をするとか、あるいは分けて取り扱うことがあたりまえだというようなことには、どうしてもわれわれそのとおりだということは申しかねる、こういうことだったわけであります。しかし、先ほど大臣が繰り返して申しましたように、少なくとも年が明けてことしに入ってからの中医協では、そういうふうに分けて扱うということの可能性というものは困りますというようなことは、少なくとも大臣も、また大臣の指示を受けて私どもも、一度も申し上げてはおりません。
○田口委員長 吉村さん、時間の関係上簡潔にお願いいたします。
○吉村委員 時間がないのでやむを得ないということなんですけれども、大臣のその当時の判断は、そうする以外に医療行政というものが混乱をするかもしれぬのでという気持ちであったと思うのですけれども、しかし他の一面の混乱というものを考えなかったというところに問題があるのです。いわば楽観しているということだと思うのですよ。それは、昨年の暮れにすでに支払い者側団体というのは、もしこれを強行する場合にはこういう態度をとりますよという態度の表明はなされておるわけですから、今日の事態というものは予告されておった。にもかかわらず九日の晩あるいは十日の早暁ですか、ああいうようなことをやってしまったのですから、これはもうとうていもとに戻るというわけにはいかぬ。今後に起ってくる医療行政あるいはその他の厚生行政上の多くの混乱というものについては、どうしても、これはその当時の判断というものの誤りから私はきていると思うのです。一方の態度というものを軽視している。診療側のほうの協力を得られなければ医療行政というものは混乱するというような判断に立ったことはいいかもしれぬけれども、しかしそれにあまり傾斜をすると、片方からの協力が得られないということを軽視しておったところに問題があると思うのです。ですから、冒頭に質問いたしましたように、おそらくこれは、あなた方がいま考えているように、支払い側委員を説得すれば何とかなるというようなそういうものではないと私は思う。その態度はきわめて強硬なものがある。こういうことでございますから、根本的にこれを解決するためには、先ほども言われましたけれども、私は、この増大していく医療費の負担というものについて公費をもっと多くつぎ込む、せめて外国並みにこれをやっていく、こういう態度がなかったならば根本的な解決はあり得ないのではないか、こういうふうに最後に申し上げて、時間を制限されてはなはだ残念ですけれども、質問を終わります。
○田口委員長 八木昇君。
○八木(昇)委員 最後に民社党の方が御質問になるそうでありますし、時間が来ておるようでありますが、実は私も厚生大臣には、この際徹底的に申し上げたいことがたくさんございます。個人的には非常に気の毒だと思いますけれども、事態は相当深刻だと私は思っておるのであります。時間がありませんから、二点にしぼりまして同時に質問をしたいと思います。
 一つは、どうもやはり最初から、厚生大臣は大臣になられて以後、この問題をおれが解決しなければいかぬということで気負い過ぎていたのではないかという印象を率直に持ちます。一人で力んでおられるけれども、結果は非常にまずい方向へ、まずい方向へ向かったというふうに考えざるを得ないのであります。と申しますのは、健康保険のみならず、一切の社会保険というものが、生命保険とかなんとかのように、民間の企業がやっております自由契約の問題と違うわけですね。これは結局、政府や事業主、それから雇われておる者、あるいは一般の国民健康保険の場合には国民大衆がそれぞれ費用を出し合って、最終的に国の責任で事業がやられるわけでありまして、しかもこれは強制加入ですから、個人の自由意思を許さない。そして保険給付をきめるにも、保険料率が定まるにも、いずれもこれは強制的にきまるという措置でございますから、よほど慎重に対処しなければならぬ。したがって支払い者側あるいは診療側、公益側、それぞれの関係する下部の意向というものを、ほんとうに慎重にも慎重にその気持ちを徴して、そして最終的に何とかして話し合いをまとめて措置をするというのが当然のことなんですね。でありますがゆえに、健康保険法の中にもあえて一項を設けて、こういう保険料率の問題あるいは診療報酬の問題等については、厚生大臣はちゃんと審議会の諮問を受けなければならぬということを義務づけているわけですね。それだけのことを考えるならば、いかにも今回の厚生大臣のやってこられた経過というのはまずい。そこで問題は、九・五%の医療費を上げるべきであるかどうかということも、確かにこれは数字のパーセントに問題がないわけじゃありません。しかし、支払い者側といえども、それの数字そのものを全面否定しているわけじゃない。ほんとうに誠意を持ってうまく対処せられるなら話し合いはついたはずです。
 そこで、特に支払い側が問題にしておる二つの点があるわけでありますが、一つは、九・五%というアップの数字そのものよりは、むしろ大体病院側のほうがよけい赤字で苦しんでいるじゃないか、開業医、すなわち診療所のほうの赤字で苦しんでおる苦しみ方より、病院のほうがよけい苦しんでいるじゃないか。しかも厚生省そのものが三年前に医療費を改定する際にどういうことを主張したかというと、病院の赤字率は一一・七%であるが、診療所、すなわち開業医の赤字は六・三%であって、病院側の赤字、苦しさというものは開業医の苦しさの二倍なんだ。そこでそういう考え方を、去年の四月公益委員が例の八%の答申をする際もそういう考え方を基本に置いて、そうして答申がなされておる。答申の精神は、そういうように病院側がよけい苦しいんだという精神のものであったということは、これはお認めになると思うのです。そこで四月の答申は、すなわちかりに八%のアップをする場合に病院は一〇%前後くらい大体アップをすべきであろうし、それから個人開業医の場合は五ないし六%くらいアップをすべきであろう、明確にそう答申をしたというわけじゃないけれども、そういう精神であったわけです。であるとするならば、そういう点について厚生省として支払い側を納得せしめ得るようなもっと行き届いた対処のしかたがあったはずだ。これが今日不満の表明の中の一つの大きなポイントをなしているということについて厚生大臣の責任は重大だ、これが一つであります。
 それからもう一つは、これはいろいろ議論があることは私は認めますけれども、いまこの厚生省の薬価基準は、実際に医者の人たちが薬を手に入れるときの値段より相当高い。したがってその差の分で医者がもうけている。実際には安く薬を手に入れておりながら健康保険の薬価基準は高い値段についているから、その差の分まで医者がもうかっておる。それは不正な所得である。これははっきり不正な所得です。意識的に不正じゃないけれども、これは厚生省のほうに責任がある、実態に合わないままにしているから。ともかくそれは正しくない所得である。その分が総医療費の中で三%にも当たる。これを技術料に今度、厚生大臣は一挙に振り向けられたけれども、そこにやはり一つの問題がある。なるほどその三%の問題というのを、これを医者側に回そうという考え方そのものを、私、全面否定はしません。けれども、今度一挙にそれをやるということについて、これはもう少し十分審議をすべき余地があった。薬の値段の問題は、単に薬価基準対医者が実際手に入れておる値段との差の問題があるだけではなくて、実際市販の薬の値段そのものにもこれはもっと合理化して、何とかできないかという問題まで含まれているわけです。ですから、現在では薬なんというようなものはばく大な宣伝費等が使われておりまして、薬の値段そのものについて問題があるから、こういう点については支払い者側が直ちに納得しないのは私は当然だと思う。これらについて、もっとじっくり討議をし、腹を打ち割ってみるだけのゆとりを示さなかったのがふしぎでならない。しかしながら、実際今度は一挙にとにかくやっているわけです。(「まだやってない」と呼ぶ者あり)やってないと言うけれども、事実上そういう形になっています。そこで、その点についての大臣のお考えをもう一つ。
 それからもう一つ聞きます。もう時間が来ているようでございますから急ぎますが、もう一つは、先ほどの滝井さんの質問に関連をいたしますが、政府管掌健保、日雇い健保、それから船員保険ですね、こういうものそれぞれで四十年度末には大かた一千億近くの赤字になるだろうと思います。三十九年度末の赤字を合計しますと、その正確な数字等もここではっきりしてもらいたかったのですが、時間がありませんからそれはもう伺いませんが、それから国民健康保険につきましても、これはたいへんばく大な赤字が出るだろうと思います。かりに保険料を大幅に上げることをしなかったとすれば、これはばく大な赤字が出る。しかも国の予算で組みました分は、今度の九・五%アップした分の補助についてはわずかに十億しか組んでいないとするならば、これもばく大な赤字になるだろう。それから民間の健康保険組合の場合も非常な財政難におちいるであろうということが考えられる。そういうようなことを考えますと、結局は、九・五%の引き上げをあくまでも厚生大臣が推し進めていこうとされるならば、少なくとも政府管掌保険に関する分に関して、健康保険法改正案というものをどうしても今度の国会に出さなければならぬでしょう。そうしていまの標準報酬、これは全報酬制度、それから患者に薬代の半額を負担させるということをやらなければ、この赤字はどうにもこうにもなりません。そうしますと、その法案を今度の国会で出したいという先ほどの厚生大臣のお答えだとするならば、その法案を出す前には当然社会保険審議会におはかりになるでしょうな。その社会保険審議会は、支払い者側は一切総引き揚げだという。そうしますと、その審議会は成り立たない。その場合には、厚生大臣は独断でその案をこの委員会におはかりになるつもりですか。一体それでもってこの国会を乗り切れるとお考えになっておるのですか。これはもう全国民の医療に関する重大な問題ですから、そういうことではとうてい通らないと私は思うのですが、その辺の責任についてどう考えておられるか。実はもっとたくさん聞きたいことを用意しておりましたが、時間が参りましたから、二点お答えを願いたい。
○神田国務大臣 病院と開業医、診療所とのいわゆる点数の問題については、これは小山君から答弁させたいと思います。技術的な問題がございます。また報告によって改定をしておりますから、そのほうがよろしかろうと思います。
 薬価基準の改定の問題ですが、これは実は初め二%くらいというようなことで計算いたしましたところが、三%までいくというような経過を経ております。これは有沢委員長の報告にもありましたとおり、医師は薬価基準の改定のおくれたことが生活をささえた一部になっております。ですからこれを技術料に振りかえてよいという要望があったわけでございまして、その趣旨に沿うたわけであります。これは大蔵省のほうもわりあいに難くせなく答申どおりやっていい、既得権を保護しよう、こういうことでございます。
 将来の問題は、これは別だというふうに私は考えております。今回の医療費の改定はおくれていますから、その分はすなおに認めて将来の例としない、こういうことになっております。これは今度の中医協に実はそこまで進めた分が入っておりませんので、そこが残ることになります。これは職権告示には入っておりませんから、答申のあった分だけをひとつやっていく、こういうことであります。
 それからいま健保、日雇い等千億円の赤字の問題で、おっしゃるとおり非常に苦慮いたしております。むろん提案するにはそれぞれの審議会にかけなければならぬことは当然でございます。それらも全部考慮のうちに入れて最善を尽くしたい、こういう考えでございます。
 また数字のことは政府委員から申し上げます。
○小山政府委員 病院と診療所の引き上げ率の問題でございますが、確かに先生仰せのとおり、支払い側の人々はふしぎなくらいに、八%というときには病院が一〇ないし一二%程度、診療所が五ないし六%であった、こういうふうにほんとうに信じておるようでありますが、これは非常な誤解でございます。八%のときに算定をされました引き上げを要する率というのは、これは平均いたしますと七・八%になるのでありますが、病院が八・六%・診療所が七%、こういうことでございますから、そういう計算の基礎になるものと全然無関係に病院の引き上げ率がどうであるとか、診療所の引き上げ率がどうであるというような話が出るはずはないのであります。何かこれは御自分たちが考えておられたことを相手になった公益委員がたまたま聞いておったというので、そういうふうに誤認されたという事情でもあったのかと思います。少なくとも当時の公益委員だれもそのようなことは言っておりません。また言うべき事情にないわけでございます。
 それから今回の九・五の場合の引き上げを要する率として計算をされましたのは、病院が九・九、それから診療所が九・一でございます。この引き上げを要する率に対しまして、諮問案として出ましたものの結果出てくる率は、病院が九・七、診療所が九・三、つまり病院が引き上げを要する率に比べるとやや低く、診療所はやや高くと、こうなっているわけであります。これを公益委員の方々は、引き上げを要する率との関係から見てこれを改めるのがよろしいというので、初診料と初診時基本診療料をそれぞれ一点ずつ減じて入院料のほうに加える、こういうことになったわけでございます。その結果でき上がりました点数表の引き上げ率は、病院で一〇%強、それから診療所で八・九%強、このほうが九・九と九・一により近い、こういうようなことで、この点はおおむね支払い側の言わんとするところは貫かれているのであります。
 なお、よけいなことでありますが、このもう一つ前に、昨年の暮れの作業で、かりに八%であるとしたらどうなるかということについて、支払い側の人々が十時間かかりましていろいろ検討をした結果、積極的に八%の場合の点数表はこうであるべきだという提案をされたのがあるのであります。それは先ほど私どもが申し上げた病院八・六、診療所七・〇というものをもとにして平均を八・一に押えて、われわれがそういう場合の点数表はおよそこういうふうになるでしょうといって出しましたものの入院料の部分に一点ずつ加えて、その結果が平均が七・八でなくて八・一におさまった、こういう経緯があるわけであります。つまり八%分については、いわばもう修正案というものがはっきり案の形で提案された、こういうような事情があるわけであります。
○八木(昇)委員 これで終わりますが、ただ大臣に念を押しておきたいのです。この健康保険法の改正案を出そうとされる場合に、社会保険審議会というものが成立できるかどうかさえわからないし、相当これは非常の事態が起こる。それで今度の国会中に何らかの事態収拾ができなかった場合、大臣は責任をおとりになる覚悟があるかどうかということを聞いているわけです。
○神田国務大臣 私は、先ほど来お答え申し上げておりますように、最善の方法を講じて、ひとつ前向きで御相談していきたい、こういう考えでございます。
○八木(昇)委員 一応これで終わっておきます。
○田口委員長 吉川兼光君。
○吉川(兼)委員 まず、委員会の運営について一言委員長に申し上げますが、きょうの理事会の打ち合わせでは、大臣の時間が三時までしか都合つかないというので、質問は各党合わせて大体四人ぐらいという自民党理事の発言があり、そのように取りきめたと思いますが、実際の質問者は七名にのぼり、たいへん時間を食って、私がいま質問に立ったときには三時を十分も過ぎておりますが、きょうの私は大臣に質問するのが目的で、他の政府委員に聞いてもしようのないことでありますから、あとしばらく大臣にここにいてもらわねばなりません。こういう委員会の運営では、理事会の申し合わせば無価値であり、第一、われわれ少数党委員は発言の機会はなくなるということになるのであります。将来はひとつ、理事等の申し合わせば十分尊重して委員会を運営してもらいたいと思います。念のため特に委員長に申し上げておきます。
○田口委員長 承知しました。
○吉川(兼)委員 私がお伺いしたいと思いまする事柄は、すでに大ぜいの委員の御質問の中に大体尽くされておりまするし、大臣の時間もないので、私はきわめてかいつまんで御質問申し上げますが、滝井委員その他からも指摘されましたように、現段階における情勢では支払い側委員の辞意――それは単に中医協だけでなく、厚生行政全般にわたり各種審議会からも委員を引き揚げるということは、これはもう既定の事実と言っていいくらい確実性があると思うのでありますが、そういうような情勢をここに招きましたのは、あらためて言うまでもなく神田厚生大臣の今回とりましたところの医療費値上げの処置の間違いに直接の原因があると思うのであります。
 いまも八木委員から、社会保険審議会の招集すらむずかしい、おそらく審議会の構成はできないだろうというお話がありましたが、まさにそのとおりでありまして、そういうような情勢に事態を追い込んでおいて、あなたはこれからどういうくふうと方法をもって厚生行政を御担当なさろうというのか。まさか戦争前の官僚独善時代のように、厚生省だけの独断でものごとを進めようというわけではないでしょう。つまり、このままでは厚生省の行政は一歩も進められない。麻痺することは議論の余地はないと思うのでありますが、そこで私は、やはりこの際厚生大臣として一番いい処置としては、冒頭からこういうことを申し上げるのもどうかと思いますけれども、あなたがいさぎよく辞任されて、厚生大臣の措置が誤りであることを率直に国民の前に明確にすることが民主政治のあり方である、こう考えるのであります。大臣はみずからの辞意に対してどういうお考えをお持ちでありますか。先刻来他の委員の質問に対する御答弁は伺いましたが、必ずしもはっきりしていませんので、もう少しはっきりしたところを伺いたいと思います。
○神田国務大臣 いまの吉川委員のお尋ねでございますが、これは先ほど来お答えしたとおりでございます。
○吉川(兼)委員 今度の九・五%アップの問題でございますが、これはもう私はこの時間に立ち至ってそれをこまかく繰り返して論じておる必要はないと思いますが、大体神田厚生大臣の今回のやり口を見ていますと、大臣はそもそも事態を甘く見くびっていたのではないでしょうか。私などは、神田厚生大臣は国会のベテランであって、過去に何回か厚生大臣を歴任され、いわば厚生行政に相当練達の人であると見ているのでございますが、それだけに大臣御自身も、おれは厚生行政には通暁している、いっぱしの見識者だというお考えがあるのかもしれませんが、そういう人がえてして間違いを起こすもので、おそらく油断といいますか、ものを簡単に見くびったのが原因だろうと思います。でなければ、ふだん慎重な大臣にしてはまことに珍しいポカであります。私はそういうふうにいわば好意的に見ておるのでありますが、言うまでもなく小林前厚生大臣の時代、一昨年の十二月でありますか、医療費の緊急是正についての諮問が中医協に発せられ、四月に答申が出た。答申文書の上には八%という数字ははっきり出てはいないけれども、だれが計算してもそれは八%程度の答申になるのでありますが、その答申が出るまでには十数回中医協が審議に審議を重ねておるのでありますが、それをあなたはまるで問題にせずして一挙に九・五%引き上げられた。もっとも中医協の会議の席上で、改正案の説明の際に、あなたは新たに客観条件を考慮した場合この程度のものが必要であるというふうに判断をしたと述べてはいますが、これは判断だからあなたの御自由でありますけれども、こういうふうに中医協の委員たちで半年もかかりまして、十数回の専門的な協議が行なわれた末にやっと出した結論を、きわめて簡単にあなたの御判断で変えられてしまった。その数字が妥当であるかどうかという議論を私はここでしょうというのではない。それを試みるには、資料を提示し、かなりの時間をいただかねばなりませんが、それはいまは無理なことです。いまお尋ねしますのは、このたびの改正についてのあなたの軽率な処置、思い上がった態度そのものについての御反省と責任についてであります。これほどのむずかしい重大な問題をあなたは自分一個の御判断でいとも簡単に数字を訂正されたのである。しかもあなたが中医協に臨みます態度は全然なっていません。いかにここであなたがどう御説明なさいましょうとも、もしこの案が承認されなければ、最後は職権告示をやるというどうかつ的な態度を明らかに示すものであった。衣の下のよろいをちらつかせたものでありました。それはもう関係者の間には十分に認識される態度で、あなたは終始この態度を持続されたのであります。現に昨年の十二月二十九日には、佐藤総理大臣にこの問題を報告し、職権告示の了解を取りつけ、さらに与党の三役に了承を求めているのです。そのとき、三木幹事長あたりから、職権告示についてはいま少し慎重にやってくれという要望があったやに各報道機関は報じているのでありますが、あなたのそういう行き方が、問題をますますこじらせてきたといわなければなりません。世間ではあなたの勇み足といっておりますが、勇み足などと笑って済ますには、事はあまりに重大な影響を全国民に及ぼすものであります。したがって、繰り返してお伺いいたしますけれども、あなたがこのような重大な失政をやっておいて、しかも何ら責任を感ぜず、今後厚生大臣に居すわっておられたのでは、佐藤内閣のキャッチフレーズでありますところの社会開発が泣きますよ。社会開発について最も重要な面を担当しなければならぬ厚生行政は後退するしかありませんよ。これはここで私がただ一人しゃべっておるのではなく、私どもも背後にある大きな労組の組織をはじめ良識ある国民の世論を代表して、私はこう申し上げているのであります。ところで、すでに問題は非常な勢いで国民生活の中に燃え広がっておるのでございますが、それにもかかわらず、あなたはなおかつほおかぶりをして通せるとでも思っていられるのかどうか、もう一度その点をお伺いしたい。
○神田国務大臣 前段の八%を九・五%にしたということは、先ほど来から私並びに政府委員からるる御説明のとおりでございます。一昨年の九月の資料によって、答申が予期以上におくれて四月に答申になった。そこでその間また前大臣が数カ月これを告示できなかったというようなあとを引き受けて、私が担当したことも御承知のとおりでございます。そうした中で計算をいたしますと、自動的に九・五%になる、そういうことで、私のほうといたしましては、せっかく改正するものなら実情に沿ったものにすべきだ、こういうことでございます。ことにやはり診療側も片一方のにない手でございますから、片一方のにない手が納得しないことをやることも、これは片手落ちになります。両方私は納得していただきたい。それにはまじめな数字を出したい、こういうことでおはかり願ったわけであります。それらの点につきまして、いろいろ審議をお願いした。公益委員の任命も臨時国会の会期の都合、いろいろまた人選の都合等もございまして、十二月の十五日に完了したわけでございます。この間二十二日に開いたわけでございますが、その日になりましたことは、みんなの御都合のいい日ということで開いたわけであります。二十二日から暮れに六日間、お正月になって六日間、しかも時間が先ほど来たびたび申し上げておりますように八十七時間もやっておりまして、おそらくいままでの例から申しましても、こういう日数と長時間かけて御審議を願った例はない、こう言われております。ですから、審議は軽率であったとは私は思っておりません。
 それから、これもたびたびお答え申しておるのでありますが、私は職権告示はいたしませんよ、中医協の意見を尊重します。円満にお願いいたします。こういうことで、先ほど滝井先生からも御注意を受けたわけでございますが、一月一日にもこだわりません、また九・五%にもこだわりません、公益委員でひとつまとめてください、こういうあけすけのお話もして、最後にはノータッチでお願いした。それが公益委員としてはそういう責任をお感じになっておやりになったわけでありますが、どうしてもまとまらない。診療側のほうは、自分たちは再診料の十点が要求でございますが、これは一つも盛られていない。診療側についてはゼロ回答じゃないか。しかし自分たちのほうももう非常に困っておる、限度に達しておる、そこで一日も早いほうがいい、こういうことで消極的な御賛成でありまして、心から賛成したわけでもない。背に腹はかえられないということだったと私は思います。診療側もそういう態度であり、支払い側が八%ならばさかのぼって一日でもいいのだ。あとの一・五は分離せよというような御議論もありまして、先ほど小山政府委員からお話がありましたが、公益委員の馬場先生でございますかの質問等に対して、十分な納得するだけのお答えがなかったということも聞いております。そういうわけでございまして、九月でございましたか、十一日まで待とうというようなことをおっしゃたらしいのでございますが、十二日まで待ってもらいたいというので、それでは十二日まで待ったならばひとつ確約というか、十二日にはいくという保証、裏づけができますかというような議論になりまして、それはそのときになってみなければわからぬというようなことで、そうするともうじりじりめどがなくなってしまう、こういうことなんです。一方また医療担当者のほうも、いろいろな財政措置もしております。手形も発行しておりましょうし、金融その他の点もございましょう、いろいろのことがございまして、もう待ち切れぬというようなことでございました。ことに十二、十三日でございますか、全国大会を開いて、何かこれはデマだかほんとうだか知りませんが、保険医辞退というようなことも予想されるというようなことも入っておったようでございます。そういうことは私は委員会におまかせしたものでございますから、公益委員の方々の、両方の側に立って見た、いわゆる公益側としての御意見を出していただける。議会で選んでいただいたのでありますから、みな満場一致で出ていただいたりっぱな方でございますから、そこでどうなさるか、とにかく私といたしましては、御期待しておったわけでございます。
 その結果が、公益委員から、こういうわけで支払い側は委員会に最後に出席しなかった。そこで出席していただけなかったから協議会を開いて速記をつけて経過を明らかにした。その結果公益委員はこういうふうに考えるといういわゆる報告をちょうだいいたしたわけであります。そうなりますと中医協にお願いします。中医協の答申どおりやりますよということは、やはり私は支払い側も診療側もこれは利害相対立しておりますから、合わないことのあることは場合によってあることであります。合わないから合うまで待つことも一つの手と思いますが、それをあんせんしていただく公益委員の方々が、もうこれ以上自分たちとしてはあきらめた、見込みがない、そこで自分たちの考え方はこうだ、こういう報告書を一ついただきますれば、私はやはりそれを忠実に行政に移していくことが厚生大臣の仕事ではないかと思います。そのあとに起きたいろいろのことは、やはりそれを直視してひとつ誠心誠意解決していく、これが私は仕事だと思います。そういう心境で取り扱ったのでありまして、ほかに他意はないわけでございます。
○吉川(兼)委員 私は中医協の審議の内容をいまこまかに尋ねているのではありません。また中医協の審議がずさんであったというのではありません。そんなことは全然言っておらないのです。あとで速記を見てもらえばわかりますが、私はこのたびは医療費改定に対する厚生大臣のなってない態度をいわば非難しておるのでございます。中医協の委員会が八十数時間、あるいは百時間も費やして連続して審議に当たられたことも、先刻他の委員への御答弁で伺いました。私は中医協委員各位の労は多とするにやぶさかでございませんが、しかしながら、ただ時間を長くかけたからといいまして済む問題とそうでない問題とがあるわけであります。この問題は、そもそも最列のボタンの一つをかけ違えております。そのボタンをかけ違えたのはほかならぬ神田厚生大臣その人と思いますが、したがって幾ら時間をかけても事は進展しなかったのであると思います。大臣は先刻から公益委員のことばかりおっしゃいますけれども、公益委員にいたしましても、前の四人の公益委員が何のためにあなたの引き続いての御委嘱を辞退されたのか、そのことをお考えになったことがありますか。前の委員は任期満了であったわけでありますが、政府からの就任の内交渉に対して、会長の有沢さんをはじめ他の三委員がはっきり留任をお断わりした、それから新しい公益委員が御委嘱によって登場してきたのでございますが、その公益委員に対しましても、支払い側の委員からは相当の批判が出ておるようであります。審議の過程ばかりではなく、結果についてある種の問題が投げられておるようであります。
 それから、私は実はこの質問におきましては診療側とか、支払い側とか、一方に片寄った感覚で御質問をしておるのではありません。と言いますのは、いわゆる診療側におきましても、あなたのこのたびの無軌道なやり方については、将来の国民医療に及ぼす悪影響を憂慮し、やがては診療側も被害をこうむる面が出てくるとして必ずしも喜んでいない事実を私は承知しているからであります。大体政府は支払い側と診療側をいたずらに対立させる立場に置き、政府はその仲介者ででもあるかのような態度を従来とってきたこと自体がけしからぬと思います。問題は、あくまで政府自体で責任を持って当らねばならない国民医療の問題なのです。私はもっと大きい立場からこれを論じているつもりであります。ただいわゆる支払い側の大部分を代表いたしておりますところの勤労階級に、この方面の被害がしわ寄せせられているのは動かしがたいことなので、私はそこに質問のウエートを置いております。しかしそれは診療側との対立ばかりをいうのではないのです。あなたは簡単に考えておられるかもしれませんが、私はこの問題の波及するところとして、これからの厚生行政は相当に混迷を免れないと思います。その混迷いかんによりましては、社会保障全般について思いもかけない障害が生まれてこないとも限りません。つまり全国民的な問題に発展するといいますか、いな、すでに発展しておると言っていいのかもしれませんが、そういう差し迫った事態にあると考えますがゆえに民社党を代表して緊急に質問に立っておるわけであります。この問題を大きな観点から申し上げますならば、社会保険の中におきましても最も大きな医療制度全体の問題でございます。われわれはこの制度自体と基本的に取り組まなければならない段階に来ておると思います。当面の問題もありますが、根本的な、基本的なそういう問題も、いまやゆるがせにできない時期に到達していると思うのであります。これらについては大臣にもいろいろ御腹案がおありのようですが、いま八木委員も触れていたように、どんな名案があっても、肝心の社会保険審議会から支払い側の委員が総引き揚げになったら、政府の法案の諮問そのものが不可能におちいるでありましょうことは、近い将来には、抜本的な改革をやらなければならぬ重大な課題をかかえているのであります。それはわれわれ民社党がかねて主張しているところでございますし、われわれなりにその案を持っているのであります。国民の医療はこれを国の責任においてやらなければならないことが根本であります。それにもかかわらず国の制度の不備欠陥から生じてまいりましたいろいろなしわ寄せ、さらに池田内閣の高度経済成長政策から生まれたひずみ等があるわけでありますが、政府及び与党においては、その場その場のごまかしに終始して、何ら抜本的に取り組んでいない。支払い側と診療側をかみ合わせることによって問題点を国民の視野からそらそうとしているかにわれわれには見られます。あなたのこのたびの処置など、その最も悪質なものの一つと私は見ています。あなたは、先刻来誠心誠意とか前向きの姿勢とかおっしゃられて、話してみればわかるといった御答弁でございますし、本日も支払い側委員の説得を誠みたようですが、私は失礼ながら先ほどからの御答弁を聞いていて、あなたの感覚では問題は解決しない、こういうふうに感じまするがゆえに、この点について何かあなた自身としてはもっと具体的に抜本的な政策、本来の姿である国の負担をもっと増大して、国民はもちろん支払い側、診療側、すべてのものが納得できるような解決をもたらす見通しを持っておられるかどうか、それらの点についてお伺いしておきたいと思います。
○神田国務大臣 この医療行政を中医協の座でひとつ解決していくということになると、やはり中医協を尊重する――中医協を尊重するということは先ほど来申し上げておるように、診療側、支払い側の尊重はもちろんでございまするが、これはやっぱりなかなかまとまらぬということで、そのために公益委員が入っておるのでございますから、最後は公益委員の御判断を取り上げるということが私は一番妥当だと思うのでございます。取り上げて――両委員側から推薦された公益委員がそうむちゃな答申をするわけはないのでございます。報告をするわけはないのでございます。その報告をとったことがいかぬということは、これは考え方の問題でございまして、これは、それでは報告が来てもいつまでも握っていればいいかどうかという問題になります。やはり尊重するというたてまえであればこれはやはり尊重して、別に起こるいろいろな問題はそれからひとつ誠心誠意解決していく、こういうことが私はやっぱりルールかと思います。私はルールを犯していないつもりであります。まあいろいろ困難が出ようとしておりますることはおっしゃったとおりでございますから、それらの点は誠心誠意ひとつよく御相談をしてまいりたい、こういうことなんです。
 それから将来どうかという問題は、これはまあ将来の問題でございますが、しかし私は私なりに、これはよく十分議を尽くして御相談しておる、こういうふうに考えております。
○吉川(兼)委員 私は公益委員を尊重するななどと言っておるわけではありません。たまたま公益委員が出した意見というのが、あなたの諮問している要旨とほとんど同じである――多少配分などについての条件はついているようですが。だからあなたは鬼の首でも取ったように公益委員を振りかざしていますが、万一にも公益委員の意見が前の公益委員の意見と一緒であったら、あなたはそれをかえんじないでしょう。公益委員の意見がもちろん大事でありますことは、私もそう思います。したがって、私は公益委員をここで批判するようなことは考えておりませんけれども、ただこのたび新たに公益委員になられた方々は途中で一ぺん辞表を出したのじゃなかったかと思います。それがあなたの説得で辞表を撤回された。それから大いに作業に精を出されて、結果はあなたとほぼ同じ結論を出してきた。辞表をたたきつけたあなたに説得されて、急にあなたに同調する態度になってきておるのでありまして、それらの点につきまして、世間の一部に説をなす者があらわれ、いろいろ議論をしておるようでありますが、私は国会の委員会の席で、そうした説をなす人々の議論をそのまま是認して質問しておるのではございません。しかしあなたのように、公益委員公益委員と振り回されたのでは、私として、この程度のことはここで申しておかねばならないと思うのです。まあ途中でおやめになると言ってみたり、それから辞意をひるがえしてみたり、それから急に公益委員だけの意見を出してみたり、それらの点につきましていろいろ憶測する議論が出ておりますのは、私はその経過から見てこれはやむを得ないものではないかと思うのでございますが、とにかくそれらのことは別として、事態がここまできました上は、先刻も滝井委員から、大臣は辞職をなさるかあるいは大幅に予備費の中から予算を取ってこられるかときわめて現実的な御質問がございましたのに、これにもあなたが明確な御答弁をしておられない。しかも私が取り上げているのは、政府そのものの態度であります。それはただ単に一厚生大臣であるあなたの進退だけでありませず、これがいままで申し上げてきましたように、いまの日本の社会保険の中で最も重要な国民医療の問題であり、しかもこれが三十七年以来皆保険になりまして、もう自由診療というものはないのでございまするから、こういう際における厚生行政のあり方といたしましては、もっと実情に即し、国民感情にも沿うようなものでなければならない。いままでは、ただ大臣を何回かやられて、大臣としてのいわば顔のある政治家、たとえばあなたのような人が大蔵省に行って予算を取ってくる、その予算の取り方から見て決しておれは落第とは思わなかったとあなた自身が先刻言っておられまたが、この問題の本質はそういうところにあるのではない。それとは性質の違う、異質なものであると私は思います。また予算のことを言いますならば、国保に起因する地方財政へのしわ寄せという問題がいまやたいへんなものになっています。あなたがスズメの涙ほどの補正予算を取ってきたからといって、落第でなかったなどとふんぞり返っておるようなそんな安易な医療保険の財政事情ではございません。したがって、私は、それを根本的に解決するような方途を、少なくともあなたの時代に糸口ぐらい開かなくちゃならぬのじゃないかと思う。その肝心の糸口を開く役割りを、あなたみずからが放棄したのが、このたびのあなたの軽率と言っては言い過ぎで恐縮ですが、医療費アップに対する方法の失敗と思います。事態がこうまでこじれてしまった上は、ここはあなたはかぶとを脱いであっさり退陣し、責任を明らかにすべきであると私は考えています。
 本日はもっと数学的に、条項的に聞きたいと思って、多少の用意もしてきたのですが、もっぱら政治論のほうに発展してしまいました。つまり、私は政治的な感覚において、あなたは一ぺん出直すべきじゃないかということを申し上げておきます。答弁を伺いましても、おそらく同じでございましょうから、別に伺わなくてもよろしゅうございまます。きょうはこの辺にとどめておきます。
○田口委員長 本日はこの程度にとどめ、散会いたします。
   午後三時四十二分散会