第048回国会 地方行政委員会 第7号
昭和四十年二月十八日(木曜日)
   午前十一時二分開議
 出席委員
   委員長 中馬 辰猪君
   理事 亀山 孝一君 理事 田川 誠一君
   理事 中島 茂喜君 理事 藤田 義光君
   理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君
   理事 安井 吉典君
      奥野 誠亮君    久保田円次君
      武市 恭信君    村山 達雄君
      森田重次郎君    山崎  巖君
      和爾俊二郎君    秋山 徳雄君
      井岡 大治君    阪上安太郎君
      重盛 寿治君    只松 祐治君
      華山 親義君    細谷 治嘉君
      門司  亮君    吉田 賢一君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 吉武 恵市君
 出席政府委員
        自治事務官
        (大臣官房長) 松島 五郎君
        自治事務官
        (行政局長)  佐久間 彊君
        自治事務官
        (財政局長)  柴田  護君
 委員外の出席者
        専  門  員 越村安太郎君
    ―――――――――――――
二月十八日
 委員阪上安太郎君辞任につき、その補欠として
 只松祐治君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員只松祐治君辞任につき、その補欠として阪
 上安太郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方行政連絡会議法案(第四十六回国会内閣提
 出第一六一号、参議院送付)
 地方自治に関する件(地方公務員の服務及び懲
 戒に関する問題)
     ――――◇―――――
○中馬委員長 これより会議を開きます。
 地方行政連絡会議法案を議題とし、質疑を行ないます。質疑の通告がありますのでこれを許します。門司亮君。
○門司委員 この地方行政連絡会議法の内容は、条文についてはあとで聞きたいと思いますから、概括的に最初に聞いておきたいと思いますことは、この法案の目的自身が、この法案だけを読んだのではわからぬということであります。だから、ほんとうにこの法案のねらいは、大臣の説明書の中にありますように、単に連絡会議だけであるのか、あるいは、そこできめられたものは尊重せられなければならない、こう書いてあるが、事業計画までここで行なうのか、行政上の連絡だけなのかということであります。私は、そういうことを聞きますのは、広域行政、広域行政と言っているが、広域行政は単なる横の連絡だけではないと私は思う。それだけでは片づかぬ。広域行政を行なおうとすれば、産業あるいは道路というようなすべてのもの、いわゆる金のかかるものも協議し決定しなければ、ほんとうの広域行政というものは成り立たぬと思う。その辺はどうなんですか。きめられたものだけを、どういうふうに施行するがいいかということを協議するものですか、それとも、そういうことを企画、立案する連絡会議ですか。この法案の大臣の説明書だけではちっともわからぬ。それはどっちがほんとうなんですか。
○松島政府委員 この連絡会議におきましては、きめられたものの実施だけをやるのか、あるいは、計画そのものもきめるような性質のものかというお話でございますが、このいろいろな計画によってきめられましたものを実施いたしていきます場合にも、いろいろな問題が出てまいりますので、そういった問題については、実施段階において、いろいろ協議をしていかなければならない問題も多かろうと思います。そういうものも当然この議題になろうかと考えております。また、計画を定めます場合にも、その計画を定めるにあたっては、いろいろな問題がございますので、計画をここできめるというわけではございませんけれども、計画をきめるにあたって、あらかじめ調整しておかなければならぬ問題というものについて、いろいろ相談し合うということはあり得ると考えております。
○門司委員 いまの答弁はきわめてあいまいなんです。私が聞いておるのは、そういうことでなくて、あらかじめきめておくというものではない。私は、なぜそういうことを聞くかといいますと、議会の関係があります。こういう民治とは私は申し上げませんが、公選された知事、あるいは市長と、政府の命令で動いておりまする地方出先機関というものは、性格は全然違うのであります。片一方は命令を受けたものであって、その仕事をすればいいのである。ある程度本省に具申することもあるかもしれない。しかしそれが予算化し実行する計画はほかで立てられる。知事はそうはまいりません。市長はそうはいかない。ここで協議されたことは、あらかじめこういうものをこしらえようということで協議されたものは、この条文の中には、尊重しなければならないということで拘束しておる。議会がノーと言ったらどうなるのです。議会と連絡会議における市長の権限はどこで調整されておりますか。この法律ではどこも調整されておらない。一体どうなるのですか。
○松島政府委員 議会は、それぞれ議決権を持って団体の最終意思決定を行なう機関でございます。したがいまして、かりにここでいろいろ、こうしようああしようということになりまして、それに基づいて知事が提案をいたしたといたしましても、それは当然に議会を拘束するものではもちろんございません。議会は議会の立場で公正な判断をし、妥当な結論を出すべきものであると考えているのでございます。ただ、実際の運用の面にあたりましては、やはりそういった問題に関連をいたしますものは、あらかじめ議会の意向を確かめるとか、そういったことで会議に臨んでものを処理していくというようなことになろうかと思いますが、いま申し上げましたように、法律的に申しますならば、どこまでも議会は議会として独立の存在でございまして、この会議がかりにどうきめようとそれによって拘束されるものではないと考えます。
○門司委員 そうだとすると、この法案は全く用をなさない、実行面においてはほとんど半身不随と言ったほうがよろしい。ただ、計画されておる、既設のものについて、お互いが連絡協調していくだけならそれはいいかもしれない。しかしそれすらも、これは多いところは九つぐらいの関連した自治体の長が加わるわけですから、おのおののお家の都合でそう簡単にいかないかもしれない。まして新しく計画しようとするようなものがもしいまの自治省の答弁のようなことであるならば、やみの世界を助長するようなものである。議会が決定しない以前に決定されるであろうということをあらかじめきめて、知事がここに出ていくというような不都合なことは、今日の自治法では許されますまい。私は、あくまでもこの法律の内容は、その点に触れていないので、きわめて危険な法律だと考える。だから、いまの答弁だけで、これをこの国会で通すということは、私は非常に危険だと思う。もしこの法案をこの国会で通したいというなら、その辺の調整をもう少しはっきりしてもらいたい。そうして議会との摩擦は何にもないのだという形を出してもらわぬと、法律はできた、ここで協議された、それが議会の中に持ち込まれて否決されるか否決されないかということになってくる段階におけるいろいろな混乱というものは、私は避けられないと思う。地方行政の運営の中で議会の混乱ぐらい地方自治体に迷惑なものはないのであります。これはもう自治行政の根本の問題である。全く自治行政を忘れたこういう官僚のたくさん集まるところ、しかもこの構成を見てごらんなさい。どっちが多いです。知事の頭数が多いのか向こうさんの頭数が多いのか。単なる出先の機関、営林署の署長というのは一体どれだけの権限をゆだねられておるのか。あるいは、建設省の局長はどれだけ権限をゆだねられておるか。幅の狭い官僚の集まりで議論されるところに、一方には議会という民主的な機関を通じてのみ動かなければならない知事が、実際の具体案をこしらえるなんということはとんでもないことです。そうしてそれが地方に押しつけられるということになれば、全く議会軽視というよりも地方自治行政を無視した行き方にならざるを得ないので、いまの答弁だけで、私どもはこれをさようでございますかと言うわけにはまいりません。一体そういう場合が起こったときに、ほんとうにどこで調整されるのですか。そういう場合が起こったときに、ここには尊重しなければならないと書いてあるけれども、もう一つは、これはすべてが合意されなければ――この条文の説明書を読んでみますると、一つの関係者でもそれにノーだと言えば、そのことはできないように大体なっておるように思われる。そうなってくると、一つの自治体の長が、あるいは議会が反対したことのために、その会議できめられたことは全部だめになってしまうというきわめて不見識なものだ。なぜ一体こういうものが必要なのです。従前の知事は官僚であった、そうしてすべてが官治行政のもとに行なわれておったときには、そういうことがあるいはいいかもしれない、知事が原案執行権を持っておる場合にはこれでもいいかもしれない。しかしいまの知事に原案執行権はないでしょう。必ず議会の協賛を経なければならぬ。その場合に、議会を無視して長が出かけていって、かってな事業計画を立てて帰ってきて、こういうふうにきめてきたから、それで納得してもらいたいというようなことがかりそめにもあるとしたら、これはとんでもない自治の破壊です。事前に相談していこうとすれば、なお悪いです。だから私はこの点をもう少しはっきりしてもらわぬと、問題としてはやりにくいのじゃないか。
 この法案を、ここまで言えば少し言い過ぎかもしれませんが、私は、これに似たような法案が戦時中ありましたので、一応戦時中の官報、戦時中の勅令その他をずっと読んでみますると、全く同じようなことが書いてあるところがたくさんあるのです。今度は法案になっておりますから、名前は多少違っておりますが、御承知のように昭和十八年にできておった戦時立法の中に、勅令第五百四十八号というのがあるのです。これは最初の戦時立法から多少離れたものでありますが、地方行政協議会令というのがある。こういうものをずっと読んでごらんなさい。ほとんど同じようなものがこの中に出てきていると私は思う。ことによく似ているのは、この中にあります――私ははっきり条文を読んでおきたいと思いますが、一つは、問題になりますのは地域の区分の問題、ほとんど同じでしょう。これに新しく指定市が加わっているということが、違っておるといえば多少違っておるといえるかもしれない。そのほか条文の中にも同じようなことがかなり私どもの見た目では考えられる。だから自治省が、さっきから聞いておりますように、そういう地方の会議との関係を何ら考慮しないで、こういう法案をこしらえたというものの考え方の根底には、かつての戦時立法と同じような考え方がありはしないか。戦時立法と多少違いますのは、協議して、それがととのわなければいけない、あるいはととのったものについては、これは尊重して責任を持たなければならないという多少の自主性が持たしてあるだけでありまして、あとはほとんどこの条文とは変わりがない。一番似ておるようなところは、たとえば戦時立法でありました、これは昭和十八年にできたときよりももっと古い昭和十五年の五月二十日に出ておる内務省の訓令にも地方連絡協議会規程というものがあって、同じような区割りがしてある、そうして第四条にはどう書いてあるかというと、「地方連絡協議会ノ会議ハ必要二応ジテ之ヲ開クベシ地方連絡協議会必要アリト認ムルトキハ他ノ庁府県又ハ其ノ他ノ地方官庁ヲシテ其ノ会議二参加セシムルコトヲ妨ゲズ」こういうふうに書いてある。その他の国の出先機関をその中へ入れてもよろしいという全く同じ意味のことがはっきり書いてある。そのほかの条文をこれから質問の中で私はだんだん明らかにしていきたいと思いますが、こういう形でもしこの法案が考えられておるとすると非常に大きな問題を来たすのではないか。そしてこの戦時立法の親法案といわれておるのは、勅令第百三十三号であります。いわゆる戦時行政職権特例という勅令に基づいてそういう連絡協議会ができたということは、いずれもこの当時国会を通ったものではございません、勅令でやっているのでありまするから、ごくわずかな官僚がやった仕事だと思いますけれども、こういうものが昭和十五年にすでにできて、そうして戦争遂行中に、こういう九つのブロックに分けた行政連絡会議というものができてきておる。その当時は、先ほどから申し上げておりますように知事が官選であって、しかも行政が官治行政といわれておるほどはっきりしたものでありましたから、こういう運営が容易に行なわれたかもしれない。しかし今日の社会でそういうことが考えられようとはわれわれは思わない。したがって、先ほどから申し上げておりますような地方の議会との関連性を全然見ていないというのは、私は非常に問題だと思うと同時に、先ほどの答弁では、議決されたもの、いわゆる話し合いのできたものは、当該議会でもそれを尊重してもらいたいというような答弁があったのでありまするが、ここの場合は尊重するというような答弁で事が足りると思うが、実際の議会になってまいりまするならば、議決権をある程度侵害して、そうして地方の自治体の自主性を圧迫するものである、これを私は現地についてははっきり言えると思う。したがって、この法律ではそういうことは全然ないのだという保証が法律全体の中にどこかにございますか。私は先ほどから申し上げておりますその保証のない限りは、こういう法律を通したらそれはえらいことになって、自治行政の混乱を導くことになりはしないかと考えるのですが、どうなのですか。絶対にそういう危険はございません、どんなことを協議しても、一つの当該自治体がノーと言えば全部御破算だということをここではっきり確約ができますか。それから事業計画というようなものをここで立てない、立てるものは、各都道府県で議決されたものはここに持ち込むことはできますが、それ以外のものはここでやらないのだという取りつけができますか。私は一歩を譲り百歩を譲っても、少なくとも地方議会でこういう計画を持っており、こういう計画ができているのだ、こういう計画を遂行するためには各都道府県がどういうふうに協力してくれるか、どういうふうに官庁が協力してくれるかというように、具体的に議会との摩擦のない形でこれを行なうのだ、こういうことに善意に解釈すれば私はそうだと思う。またそういう答弁を私はされるだろうと思う。しかし、その保証がこの法律の中にどこかにございますか。
○松島政府委員 ただいま戦時中にできました地方行政協議会なりあるいは地方総監府なりと、その組織等において全く同じものではないかという御指摘が第一点にございました。形の上では御指摘のとおりブロックの分け方などもほぼ似た形をとっておることは事実でございます。しかしながらその目的といたしますところは、先生も御承知のとおり、戦時中の地方行政協議会なり地方総監府というものは、戦時目的を達成いたしますために、いわば中央集権的に仕事を進めていこうという体制のもとに生まれたものでございまして、それゆえにたとえば地方行政協議会令の第七条には「会長」−会長は知事がなることになっておりますが、「会長ハ内閣総理大臣ノ監督ノ下二於テ会務ヲ総理ス」というようなことばもあるわけでございます。しかしながら、ただいま提案をいたしておりますこの地方行政連絡会議は全くそれとは異なりまして、どこまでも地方公共団体である府県、指定都市が主体となって会議を構成し、それに国の出先機関を加えて、具体的な問題について打ち合わせ、協議をしていこう、こういうものでございます。先ほど御指摘のように、戦時中のものはどこまでも官が主体となるというのに対して、この連絡会議は、どこまでも地方公共団体である府県、指定都市が主体になる、こういう点においては、非常に大きな違いがあるのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。
 それから会議における決定事項についてそれぞれの議会との関係でございますが、御指摘のとおり、会議できまった事項が議会を拘束するということになりますと、これは地方自治の問題からも非常に大きな問題があろうと考えます。しかしながら、何度も御説明申し上げておりますように、それぞれの団体が問題を持ち合って、これをどうして円滑に進めていこうか、こういう相談をしていくわけでございます。そういう相談をいたしますためには、府県知事であろうと、指定都市の市長であろうと、一体その問題を自分の団体の中ではどうしたならばうまくおさめていけるかということを常に念頭に置きながら、問題を持ち合って処理していくわけでございますから、そこできまったこと、あるいはそこでこうしようじゃないかということが、議会に持ち帰って否決をされてしまうというようなものの進め方は私はあり得ないのではないか。そういう問題になるおそれがあれば、これは何も会議でどうしてもものをまとめなければならぬというふうになっておるわけでもございませんし、それはそれなりの主張を続けていって相手方を納得させていくということも可能であろうと考えるのでございます。そういう意味で、この連絡会議が地方公共団体の議会を拘束し、地方公共団体の自治をそこなうというものでは絶対にないというふうに確信をいたしておるものでございます。
○門司委員 只松君が参りましたので、これだけで一時私の質問を中止させていただきたいと思いますが、いまの御答弁は全く法案とはかけ離れた御答弁だと思うのであります。そうだとすれば、地方の連絡会議自身の持ち方を尊重しなければならないというようなことでなくして、いわゆる民治行政といわれておる今日の自治体と、国の出先機関との間における広域行政に対する調和をとっていこうとすることだけであるならば、私はむしろこういう対等の立場に立った会議の持ち方というものはおかしいと思う。それならば地方の各自治体が、そういう団体の構成だけを見てそこに協力を要請するということだけにとどめておったほうが、法律のていさいとしてはよろしいのではないか、また実質的にそうならざるを得ないのではないか。たとえば神奈川県なら神奈川県が、関東地方における問題を一つひっさげていって、関東地方の関係のある各都道府県知事あるいは関係のある官庁と一応話を進めていくというようなことが、ある程度法律の裏づけをされて会議が行なわれていくというようなことのほうがやりいいのではないか。こういうふうにちゃんとポストもきめてしまう、そしてこれを尊重しなければならないというような拘束をするというようなことは、私は全く行き過ぎではないかと思う。むしろいまの答弁のようなことなら、都道府県あるいは指定市側に実際のすべての主導権が握られて、そしてこの具体的なものに基づいてその実行調整のために各自治体の長なりあるいは出先の機関の協力を求めることができるというような考え方でかりにあるとするならば、そういう法律のていさいにこれを直していったらどうか、こんなにずっと名前をたくさん書かないで。それのほうがむしろ私は安全ではないかということが考えられる。同時に、こんな九つのブロックに分けるようなことも必要がなくなるのじゃないか。九つのブロックに分けて協議をしようとするところに――これもまた私聞こうと思いますが、何で九つに分けたかということには問題があると思うのです。広域行政は九ブロックにだけまたがっているわけじゃない。隣にまたがっているかもしれない。この法律の字句を見てごらんなさい。九つが日本の広域行政の中で独立しているものではない。お隣の県とのほうがよほど近いものがあるのじゃないか。ここに、青森県と新潟県が一つになっている。しかし新潟県は、青森県よりほかの県に接触しているところが多い。青森県とはあまり接触していません。だから、こういう法案をこしらえるなら、先ほど言いましたように、自分の関係のある官庁、関係のある都道府県知事との間にいつでも協議のできるような法案に直しておいたほうが実際は効果的であり具体的になりはしないか。そうすることになれば、いまお話のありましたように、ある程度議会なら議会が一応の意向をまとめたものが少なくとも持ち出されて、いざこざは起らぬのじゃないかと思う。ブロック別に分けてどれだけ協議したって、青森県と新潟県が一体同じような問題をどう協議するか。ちょうどいま都道府県の合併の問題も検討されております。いろいろ地方行政に対しては、基本的な問題の検討がいまされておる段階でありますときに、こういうブロック会議というものがほんとうに必要なのかどうかということです。県の自主性にまかせようとするならば、こういうブロックに分けないで、さっき申しましたようなきわめてフリーな立場で協議会ができるというような法案をこしらえておいたほうが、より効果的であり、より実際的だというふうに考えられますが、それはどうお考えになりますか。
○松島政府委員 区域をどのように分けましても、その境目の隣と隣との間には、それぞれ隣接しております以上はいろいろな問題があることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、先生のおっしゃるように、こういう一つのブロック別に分けずに、そういう問題のあるところが任意に結合して、弾力的に運営をすることができるようにしたほうがいいのじゃないかというお説、まことにごもっともでございます。ただ、この会議は、そういう形で運営をいたしますと、とかく国の出先機関などが、特に協力態勢が、あるところはあったり、あるところはなかったりということで、薄くなるのじゃないか、むしろこの際はひとつ区域を――その区域にはいろいろ御指摘のような問題はあろうかと思いますが、従来から分けられております区域を基礎にいたしまして、組織的に会議をするという体制を整えることによって共通の問題を討議し合う場をまず設定するということが必要ではないか、土俵をきめずにやることも一つのやり方ではあろうと思いますが、あるいは土俵をきめずにといいますか、そのつど土俵をきめてやるというのも一つの方法ではありましょうけれども、つくられた土俵において常に顔を合わせ協議をするというような体制をつくることも、またものごとを円滑にしていくゆえんではないか、かように考えたわけでございまして、そういう観点から九つの区域に分けて、その区域において具体的な問題を取り上げて協議をしていこう、これがこの連絡会議でございます。
○門司委員 これだけで終わりますが、ついでですからこの問題だけ一つ伺います。
 いまの御答弁ははなはだ奇怪でありまして、それならもう少し国の出先機関と現存しておる地域開発その他との関係を整理してもらいたい。いまここで初めのほうに書いてある新潟県の問題を持ち出しましたが、新潟県は三つのブロックに関係しております。東北開発に関する限りは東北に関係しておりますし、その他の問題は関東に関係しておる、北陸に関係しておる。新潟県はそういうことになっておる。その他そういう県は二、三あるはずだと私は思う。そうすると、その上にまたこういうものをつくって、この会議はこっちじゃないか、この相談はここでするのだ、この相談はこっちでやるのだ、何が何だかわけがわからぬですよ。もしいまのような御答弁なら、国の出先機関をこの九つできちんと合わせて置きなさい。そうすればそういう問題は起こらぬと思う。同時に、道路計画は、産業に最も関係のある道路は、こういうブロックだけで解決のできるものではない。お互いにその隣の県とその隣の県が共同して、これがずっと進められて日本全体が総合されてくるのであって、ブロックだけで相談していいものでは決してないと私は思う。だから、私は、戦時中のブロック会議と同じと考える。戦時中は国の統制のもとに一切を行なわなければならない。特にそれで問題になるのは軍管区がこのとおりだった。軍の管区と地方の行政管区と一つにするということが、軍事目的のためには非常にやりよかったに違いない。私は、それは考えられる。しかし、いまはもう軍の管区などはありはしませんから、考える余地もないし、必要もない。行政だけの面を考えれば、もう少しゆとりのある法律をこしらえることがよかったのじゃないかと考えるが、いまのような御答弁には私は賛成するわけにはいかない。
 もう一つ、念のために御答弁願っておきたいのは、国の出先機関に対しては自治省はどう考えているか。いま申し上げましたように、一つの県が三つも四つもの各ブロックに分かれて協議をすることになっている。それでまた、これをこしらえてよろしいかどうか。行政の複雑さというようなものをどう簡素化しようとするのか。行政を簡素化しなければならないということは、これはもうわれわれがいま言うのもおかしいくらいにはっきりしいる。にもかかわらず、また行政を二重に混乱させようとする政府の意図が、私にはわからぬのです。したがって、先ほどの御答弁のようなことでお考えになっているなら、国の出先機関の整理統合がまず先に行なわれるべきである。
 そうして、これから先私は聞かなければならぬが、その背後にあるものは、こういうことによってどれだけ産業、経済が発展していって地方格差がなくなるかどうか。国全体の政治の上から見ていくときに、東北は東北だけで集まってみたところで、一体どれだけの産業開発が行なわれ、関西は関西だけで都合のいいことがきめられる、あるいは四国は四国だけで都合のいいことがきめられるというようなことでよろしいのかどうかということは、政府はどう考えておりますか。
○松島政府委員 このような区域を基礎にするならば、それにあわせて出先機関というようなものをどう考えるべきかということについて、自治省の見解はどうかというお尋ねでございます。
 国の出先機関の問題につきましては、基本的には私ども毎度申し上げておりますように、できるだけ国の権限を地方団体に移すことによって、国の出先機関というものを整理できるものは整理していくというたてまえをとるべきだという考え方を基本的に持っております。しかしながら実際問題として、それがなかなか実現できないという状態にありますことは、まことに遺憾ではございますけれども、御承知のとおりでございます。
 次に、ある出先機関を前提にいたしまして、その出先機関の管轄区域をどう考えるべきかということにつきましては、これは臨時行政調査会などでも、あまりにも国の出先機関の管轄区域がまちまちであり過ぎるというような御指摘もあったように記憶しておりますし、私どももそのように考えておるわけでございます。ただ国の出先機関を、それじゃ全部同じ区域にまとめることができるかどうかということになりますと、それぞれ行政目的も多少とも違っておりますので、一律に同じ区域にまとめるということは困難かと考えますけれども、さしたる支障のないものにつきましては、今後私どももできるだけ同じような区域になって、住民があちらへ行ったりこちらへ行ったりすることがないようにしていくべきものと考えておるわけでありまして、その方向で努力をいたしてまいりたいと考えております。
 それから東北なりあるいは四国なりというような形でまとまって、そこで地域開発というものを考えただけで、日本の地方格差是正なりあるいは地域開発なりというものがうまくいくのかどうかというお尋ねでございますが、御指摘のとおり、だんだん経済の交流というものは広い範囲になって行なわれておりまして、したがいまして、人の移動というものも広い範囲に行なわれるようになっておりますので、そのブロックだけで問題が解決するとは私どもも考えておりません。しかしながら、今日までの状況を見ますと、そのブロック単位までも問題の討議のしかたが十分にされていなかったのじゃないか。広い範囲で国全体で考えるということももちろん必要でございますけれども、やはり近い地域において共通の問題を共通に考えていくということも必要ではないかというふうに考えているわけでございます。
     ――――◇―――――
○中馬委員長 では、地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。
 地方公務員の懲戒処分に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。只松祐治君。
○只松委員 いま委員長のほうからお話がありました地方公務員の懲戒問題についてお聞きしたいと思います。
 まず最初に、法律、条例、規則、規程あるいは訓令、いろいろ行政を行なう上において定めがございます。どれが重い、どれが軽い、これを論ずることはなかなか容易でありませんが、おのずから法律が一番勢力があり、末端の訓令というものが弱くなっていくということは常識のしからしめるところだと思います。自治省のほうにおいて、こういう地方行政を行なう上においていろいろなものがあるが、どれが一番重い、あるいはどれが拘束力が弱いというふうにお考えでございますか、まず所信をお聞きしたい。
○佐久間政府委員 法律、条例、規則、訓令のどれが重いかというお尋ねでございますが、一がいには申すことができないかと思います。むろん法体系で申しますると、法律が一番上位にあるものでございますが、条例、規則につきましては、これもそれぞれ所管の事項がございまして、あるものにつきましては条例で必ず規定しなければいかぬ、ある事項につきましては規則で規定せねばいかぬというような、権限の分配と申しますか、そういうものもあるわけでございます。それからまた、訓令でございますが、これは行政機関がそれぞれ法律あるいは条例、規則によりまして、所掌しておるその責任の範囲内におきまして出すものでございまするので、その意味におきましては、法律、条例、規則よりも下位にあるということも申せようかと思います。しかし、そのそれぞれの効力、拘束力という点につきましては、それぞれ適法な根拠に基づいて出されたものは、相手方に対しましては同様な拘束力を持つものと考えております。
○只松委員 法律が一番拘束力、規制力がある、したがって、順次これが弱くなっていって、訓令が一番拘束力か弱いということは、法律施行者としては常識的だとお考えになりませんか。したがって、当然にこれに伴う違反事項、法律違反の場合は、相当いろいろな面から重い罰則というものが適用されておりますね。ところが順次条例、規則、規程、訓令というようになってきますと、必ずしもそういう重い罰則というものはなくなり、順次軽くなってきている、罰則規定等から見てもそういうことが言えるのじゃないですか。
○佐久間政府委員 一国の法律体系の上からいたしますと、法律が一番上位にあって、条例、規則はその下にある、さらにまた訓令ということになりますと、さらにその下にあるということも言えようかと思いますが、それはたとえば条例の場合に、法律に違反した条例は効力がないという意味におきまして、条例より法律のほうが上位であるということが言えるわけでございます。その法令の適用を受ける相手方から申しますと、法律の規定であろうと条例、規則でありましょうと、さらにまた訓令でありましょうと、それぞれ適法な権限のもとに出されましたものでございますれば、同様にこれを順守しなければならないというわけでございまして、その間、上下厚薄の別はないというふうに考えます。
○只松委員 法律論争をするのが主体ではございませんから、そう突っ込んでしませんが、しかし、法律違反の罰則と、条例や、まあ条例にもいろいろございますが、あるいは規則や規程、こういうものに違反してくると順次罰則規定が軽くなって、たとえば過料なり、あるいは非常な重いものでもわずかなものというような形になっていくのは、これは少し法律を学んだ者はおのずから知っておるところだと思うのです。あとの論議になるから、非常に予防線を張って、同じである、特に被対象者の場合には同じ拘束力を持つというようなことを非常に強弁しておるようだけれども、その解釈は多少牽強付会に過ぎやしませんか。やはり憲法なり法律なり、そういうものから順次強い規制力を持つ。したがって、それに違反した者は強い罰則を受ける。下の末端に行けば軽い罰則になる。こういうことは、法体系の罰則事項をずっと見ていきましてもそういうことだと思いますが、そういうふうに解釈になりませんか。
○佐久間政府委員 その罰則の点になりますると、御指摘のように法律違反に付せられておる罰則と、条例違反に付せられております罰則を比べてみますると、条例に付せられておる罰則のほうが軽い、これは事実でございます。その意味におきまして、重い、軽いということを仰せられるならば、それはそのとおりだと思います。ただ、いずれにいたしましても、その義務として命ぜられております法令の条項を受けます相手方にとりまして、それを順守する上におきまして、法律に定められている義務であるからこれは厳格に守らなければいかぬ、条例に定められてある事項であるからこれはまあそれほど厳格に考えなくてもいいというような、順守する義務の側からいたしますと、その間に上下厚薄ということはないものと考えます。
○只松委員 続いてお尋ねしますが、そこの中で訓令とは一体どういうものであるか、ひとつ自治省の御見解を承りたい。
○佐久間政府委員 訓令は、行政機関が、その機関の部下の職員に対して、職務上必要な定めをいたしますものでございます。
○只松委員 職務命令というのは、通常訓令から出されるわけですが、そのほかに職務命令というのはどういう形で出されるか。あるいはさらに厳密には、職務命令とはどういうことですか、お聞きしたい。
○佐久間政府委員 職務命令は、職員がその職務を遂行していくにあたりまして、順守すべき事項を命令されたものかと思います。その場合に訓令というものと職務命令との関係でございますが、訓令は、いわば職務上順守すべき事項につきまして、一般的な定めとして出されておるものでございまして、それに基づきまして個々の具体的な職務の執行につきまして出される命令が、職務命令というふうに考えております。
○只松委員 そこで、問題に入ってお尋ねをいたしますが、いま全国にたくさんの地方公務員がおいでになります。この地方公務員は大体何%くらい名札を着用しておるか、わかればさらに、国家公務員で名札を着用しておるところがあり、しておればその国家公務員の何%くらいが名札を着用しておるか、ひとつお教えをいただきたいと思います。
○佐久間政府委員 その点につきましては、私ども調査をいたしたことがございませんので、何%くらい着用しておるか承知いたしておりません。
○只松委員 自治省のほうでそういうことを調査したところはございませんか。全然ございませんか。
○佐久間政府委員 自治省といたしまして調査をいたしたことはございません。
○只松委員 それでは、名札問題、名札を佩用するしないでいろいろ問題が起こっております。たとえば福山市とか八王子市とか釜石市とか、私がお尋ねをいたします蕨市とか、いろいろ問題が起こっておりますが、そういうふうに名札の徳用をめぐってたくさん問題が起こっておる、こういうことを御存じですか。
○佐久間政府委員 承知いたしております。
○只松委員 そういうところはどういうふうになっており、どういうふうな紛争あるいはどういうふうな処分がなされたか、そういうことも御存じでございますか。知っておればひとつお教えをいただきたい。
○佐久間政府委員 御指摘の蕨市の件につきましては、新聞にも出ておりましたし、私どもも事情を市の当局者から聴取をいたしましたので、概要を承知いたしておりますが、そのほかの団体につきまして、名札佩用の問題でトラブルがありましたことにつきまして、私ども承知をいたしておりますものはございません。
○只松委員 それでは、「地方公務員月報」の本年の一月号に、自治省のほうで職員の名札佩用についてということで問い合わせて、通達が出ておりますが、これは御存じですか。それから、これは自治省としての統一見解ですか、どこかの一機関の人がこういう答弁をされたのですか、お尋ねをしておきたい。
○佐久間政府委員 御指摘のものは昭和三十九年十月一日付で自治省の公務員課長から埼玉県の総務部長あてに、照会に対しまして回答をいたしております。したがいまして、これは自治省としての公式の見解でございます。
○只松委員 蕨の問題は多少御存じのようでございますが、ほかのいまお尋ねしました福山とか八王子市とか釜石とか、そのあたりでも、名札の着用をめぐって、あるいは県等でも徳島県庁その他で問題が起こっておるわけですね。自治省と各地方行政団体というのはおのずから性格を異にしておりますけれども、こういうことを全然知らないで、たまたま蕨だけこうやって新聞に出ておったから知っていますというようなことでは、私はきわめて職務怠慢、とまでは申しませんけれども、もう少しやっぱりそういう地方行政の――しかも職員がこの場合四名も首になっておるわけですが、こういう重要な問題についてはひとつ自治省のほうも調査をしておいていただきたい、これはきょうだけで片づく問題でもないでしょうから。本来私は大蔵委員で、地方行政委員ではございませんが、しかし関連がございますので、また来ていろいろ御質問をし、勉強さしていただきたいと思います。この場合はあなたが若干御存じのように、訓令から出た職務命令、それに違反しておる。こういうことで委員長、副委員長、書記長、書記次長という組合の幹部の方が四名ばっさりと首を切られたわけです。しかもこの事件の内容というのは、確かに前からいろいろ懸案の事項ではあったわけでございますけれども、去年の十二月の七日に訓令が出まして、九日に着用令が出て、本年の二月一日にはばっさりと首になった。こういうことで、まことに順序よく、きわめてあざやかと申しますか、こういうわずかな、自治省のほうでも名札をどの程度着用しているかわからない。あるいは名札佩用でいろいろもめておる。しかし、こういうことは蕨以外に知らない。こういういわばささやかな小さい事件で、首切りが行なわれておるわけです。大臣が十一時半においでになるということですが、なかなかおいでになりませんので、あまりここで全部聞いてしまうと大臣の答弁がなくなって、私の予定しておった質問とだいぶ違ってくるわけでございますので、ほんとうは大臣に対してこういうことをどういうふうに考えておるかということを、この辺から突っ込んでお聞きしたいわけでございますが、まずこういう事件をあなたのほうでどういうふうにお考えになっておるか、御感想からお聞きしてまいりたいと思います。
○佐久間政府委員 名札の着用につきましては、そういうことをすることの可否につきましては、またいろいろ論議のあるところかと存じますが、地方公共団体の長が、住民の利便なりあるいは行政事務管の管理執行の能率というようないろいろな点から考えましてこれを採用するということは、これは当然そういうこともあってしかるべきことかと思うのであります。問題は、その処分のことでございますが、これも長が訓令を出し、さらに私どもが聞いたところによりますると、この訓令が守られまするように相当努力もいたし、職務上の命令も出しておるようでございまして、それに対しまして違反をいたしたということで長が懲戒処分を行なったということでございまするから、法律的に申しまするというと判段何ら問題はなかろうかと思っておるわけでございます。ただ、自治省でどう考えるかという、感想はどうかということでございますが、私どもといたしましては、一般的に地方公共団体における労使の関係が、円滑に正常な形で運んでいくことが望ましいという考えをいたしておることは申すまでもございません。
○只松委員 大臣がお見えになりませんから、少し横道にそれて聞いてみたいと思いますが、この名札というのは自治省がさっき言われたように、あまり知らないということですが、どういうふうにお考えになりますか。名札を着用することがそれほど市民にサービスになる、あるいは何か名札を着用しないとこんなに市民が不便を感ずる、こういうふうに、名札についてどういう見解を自治省はお持ちですか。
○佐久間政府委員 まあ名札着用がどれだけ市民にプラスになるかという御質問でございますが、これも私ども先ほど申しましたようにいろいろ調査をいたしておるわけでもございませんが、最近各市町村で名札を着用しておるところもかなりあるようでございまするし、私ども断片的に聞いておりますところでは、市民の方のほうからも好感を持たれておる場合が多いようでございまするし、また市役所の中で、職務の執行上からも好結果をもたらしておるということもあるように聞いております。しかし、これは私どもが正確にこの名札の着用の問題につきまして調査をいたしたり、あるいは検討いたしたわけではございません。ほんのまあ断片的に聞いたところだけでございます。
○只松委員 さっきから全国的にどの程度やっておるか、あるいはそのために紛争しておるのは幾らあるか知らないということでございますが、あなたのほうはきわめて無関心でいいかもしらないが、特に蕨の当該者にとっては無心なことではないのです。しかもあなたのほうとしては、自治省から正式な見解を出されたのです。それで蕨市当局側に言わせると、自治省がこういう見解をとったから首にしたというのです。何か蕨だけが突然変異的に起こっちゃって、そこだけで問題が何かがたがたしておる。しかもそれで首になっておるということがあるわけですから、あまりとぼけないで、もう少し、知らないなら、ほんとうに知らないならしかたがないですが、知っておるだろうと思うのです。
 そこでさらにお聞きしますが、こういう蕨のように訓令を出して名札の着用をさせておる市町村あるいは県というのは、幾つあるか、ひとつお答えをいただきたい。
○佐久間政府委員 その点も先ほど申しましたように、私ども調査をいたしておりませんのでお答えいたしかねます。
○只松委員 いま訓令を出したところも知らないということですが、じゃ訓令をこういうことで出す値打ちといいますか、こういうことで訓令を出さなければならない、こういうふうにお思いですか。
○佐久間政府委員 名札着用を職員にやらせます場合には、これは職員全体に対しまして明示させる必要を考えますというと、訓令というような形で一般的な定めをいたしておくことが適当な措置であると考えます。
○只松委員 大臣にお尋ねをいたします。先ほどから若干の法律論議と、それから当面しております埼玉県の蕨市というのがあるのですが、この蕨市で名札をつけるつけないで委員長など四名が首になった事件があるものですから、自治省側の見解を若干いまお尋ねしておったのです。
 そこで、大臣よく御承知のように、憲法、法律、条例、規則、規程あるいは訓令、いろいろございます。その中のいわゆる訓令に基づいて職務命令が出されて、職務命令に基づいて市職幹部の人が名札をつける、つけないという争いになったということで首を切られた。私が言っているのは憲法なり法律なり、こういうものは強い拘束力、規制力があるわけですし、したがってそれに違反した場合には重い罰が加えられる。しかし条例とか規則、規程、訓令とか、順次こういうものは軽くなっていくわけですから、したがってこれに違反した場合でも罰則というものは軽くなる、こういうことだと思うのです。ところが訓令から出た職務命令に違反したということで首になっておるわけなんですが、この首というのは労働者にとりましては死刑なんですね。それで、処分のしかたにも減給だ、戒告だ、訓告だ、停職だ、いろいろあるわけですが、この訓令から出た職務命令に違反したということだけで、働くものとしては死刑の首になっておるわけです。私はまだ死刑のことばまで使って自治省の見解はただしておらないわけですが、憲法なり法律に違反すれば相当の刑を科せられるわけですけれども、こういう規則や規程や訓令等に違反したということでばっさばっさと死刑になったのでは、国民はたまらないわけなんです。したがって、こういうことが妥当であるかどうかということを、いろいろお聞きしておるわけです。
 そこで、大臣に重ねてお尋ねしておきたいと思いますが、こういう法律よりも規程や訓令というものに違反したほうが、違反したほうがというより、そういうもののほうが拘束力が少ない。したがって違反したものは罰を加えられても当然に軽いものだ、こういうふうに理解するのが正しい解釈だと思いますが、大臣もそういうふうにお考えになりますか。
○吉武国務大臣 私、この詳しい話を承っておりませんからどうかと思いますけれども、いま承ったところによりますと、蕨市で職員に名札をつけるようにという職務命令が出て、それに従わないからということで処分が出た、こういうことのようであります。それで問題は、そういうふうな職務命令はどんなことでも出し、またどんなことに違反しても、どんな処分をしてもいいかというかね合いの問題だと私は思うわけですね。それで、まあこういう一つの職場でありますから、職場の規律というような点からいろいろなことがあろうと思います。それは、職場の規律上必要なものはできるだけみんなで守っていくということが私は望ましいと思っておるわけでありますが、それを、違反したからすぐ解職というか、職を奪うというような、処分の程度の問題がどうかということだと思うわけです。しかし、いまこの名札の問題の処分の程度はどの程度までがよくってどの程度までが悪いかとか、そういう内容の職務命令がいいかどうかという点は、これはもうちょっと冷静に考えてみてからでないと、私いまここでどうだということは言いにくいですけれども、まあ職場のことですから、職場の規律上ある程度の必要なことはやはりそれは管理者の命に従ってやっていくということでないと、どんなことがあったっておれら聞かないのだということでは困ると思います。それから、もし従わないという場合でも、従わなかったからすぐ処分するということも私どうかという気がする。まあ話し合いとか注意をするとかという段階というものがあっていいんじゃないかと思います。要するにそういう処分についてはそれぞれの救済の規定もあるし、また判断の機関もあるようでありますから、そういう問題については、そういうところでまた判断されるであろうと思いますが、私は抽象的なことばではございますけれども、職場においては一定の規律というものは保っていくべきものであるということ、それからその規律が守れないからといって、いきなりすぐそういう解職その他等の処分が出されるのは――注意その他の段階があってもいいんじゃないかという感じがいたしますことを申し上げておきます。
○只松委員 労働行政をおやりになっておったからなかなか常識的な答弁で、一般的にはそういうふうに言ってもいいと思いますが、この場合は、先ほどからお話ししておりますように十二月七日の日に訓令が出て、九日の日に着用令が出て、二月一日にもう首切りになっておるんですね。その間に暮れや正月がずっとあるわけですから、実質上多少の話し合いが行なわれていたにしても、一ヵ月足らずでぱたっとやられて、ぱたっと首になっているんですよ。これは前から二、三年来多少はもめておったようでございます。しかし、これは前執行部と現在の首切られた執行部というのはまた相当違うので、たとえば性格も違っておるわけなんですね。現在の執行部になって、しかも訓令を出されてからの日時は、いま言ったようなことで経過してきておるわけです。物事は、平面的な解釈と、こういう時間的その他立体的な判断と、かね合わして解釈していかなければならぬわけです。時間的にもそういう問題があるということは、労務行政をやられた吉武さんのほうから見れば、これは何とめちゃなことをしたんだろう。さらに私的なことを言いますと、いま市長は脳軟化症で病院に入院しっぱなしでずっと寝ているのです。それで市長がほとんど市の業務をやっておらない。たまたまこの首切りの辞令を出すときだけ出てきてやったということで、悪口を言う人は、ちいと頭がおかしいのだと言っているような市長がこういうことをやっておるわけです。そういう諸般の情勢を頭に入れてひとつお考えいただくと、これがいかに無理であるか、めちゃをやったか、あるいは陰謀的なものであるかということがよくわかってくるわけなんですが、しかしそういうことはさておいて、この出した基礎になったのは、自治省の公務員課長が出した職員の名札個用の可否についてということに対する答弁から向こうはやった、こういうことをよりどころにしておるわけなんです。ところがいろいろ聞いてみると、これは確かに公務員課長の名前で通達は出したけれども、さらば全国の地方公務員がどれだけこういうものを徳用しておるか、あるいは福山市や八王子市や釜石市やいろいろなところで争いが起こっておるけれども、そういうことは知らぬ存ぜぬ、こういうことなんですね。全国の佩用の状況も知らない、あるいは紛争になっておることも知らないで、たまたま蕨市から問い合わせたらすぐすぱっと答えを出した、その答えに基づいて蕨市はすぐすかさず処分をやった、こういうことでは、私は先ほどから黙ってまだ反論はしないで聞いておるのですが、なかなか片手落ちだ。これは単に蕨市だけの処分ではなくて、自治省のやり方としてはたいへんに片手落ちだ、こういうふうに私は思っておるわけです。こういう点についてひとつ大臣のほうで、いまはっきり行政当局が答弁をされたのでは、悪いとはなかなか言いにくいと思いますが、私はたいへんな、実情を知らないで、しかも全国の佩用状況その他も知らない。それから、いまお聞きしますと、とにかく名札を佩用することがどれだけ市民のサービスになるか、あるいはしないということがどれだけ市民サービスの妨害になるか、これは国家公務員の各級機関はどれだけ名札をつけておるかつけていないか、そういうことが全部常識的に判断してくれば出てくる一つの結論であるわけです。ひとつそこらに対する大臣のお考えをあらためて聞いておきたいと思います。
○吉武国務大臣 自治体でどういうふうな取り扱いをされているかという実態を見る必要もあろうかと思いますが、一般に市民の方が市役所等に来られて、仕事をされるときに、いろいろお尋ねもすればまたお願いもするし、何かやっているときに、いまの方はどなただったかなということを知って帰るということは。また再度来るときに、この前どなたさんにお会いしてこうでしたからということも、私自身実は税務署に行ったりあるいは市役所へ行ったりして名前をわざわざお尋ねして帰るようなこともあることですから、名前の札を下げるということはどうかなという気もしますけれども、まあそう厳格に考えないで、サービスのつもりでならば私はつけたほうが、一般の民衆からみればいいじゃないかという気がするわけであります。しかし、それをいま私どもが全国の各地方団体に、ぜひそれをやれよというほど言うべきかどうかということには、まだもうちょっと慎重にいろいろの御意見も聞いてみにゃならぬと思うのですが、要はそこのいわゆる執行部の方々の判断で、こういうふうにしたがよくはないかということでおやりになることであれば、私はそれをどうしても反対だぞと、こう特にいがみ合うことでなしに、まあできれば話し合いの上でつけて実行されることがいいんじゃないかというような気がするわけであります。本省のほうからどういう指令を出したかどうか、まだ私聞いておりませんけれども、まあ銀行に行きましても、役所あたりに行きましても、私ども民衆の側から見れば名札でちょっとわかって、どなただなということを示されるのは差しつかえないじゃないかという気がするわけでございます。
○只松委員 それも常識としては確かにそういうことだろうと思います。しかしそんなによければ、たとえば私が行っても、自治省の課長さんなり会っても、名札がついているほうがいいわけです。これはみんなつけたほうがいいと思うのですよ。しかしこれは本省に行こうがどこへ行こうが、さっき聞いてみますと、全国の都道府県、どれだけついているか自治省さえも知らないというくらい、あるいはそういうことで問題が起きているところさえ知らないというくらい関心が薄いわけなんですよ。だから、確かに市民なり一般国民としては、ぼくらが行って、あの人はだれだったかなと思って、名札があったほうがいいということもありますよ。しかしつけるほうにしてみれば、一々自分の名前をつけられたのじゃ、何か顔を覚えられるような形になって気まずさというのがあるらしいのですね。したがって、そこいらで結局全国の国家公務員、地方公務員というのは名札が全部ついていないと思うのですよ。だから私たちのそういう考えというか、便利さと、それから着用する側の立場と、いろいろあるわけですから、それをどこで――ここに名札をつけなくても、たとえば机に置く。徳島県では何か机に置くということで話がついた、こういうふうに聞いておるわけです。したがって、名前を知らせる方法にもいろいろな方法があるのですよ。胸にしないからけしからぬというようなことで頭ごなしというのも私はどうかと思うのです。それから、それだけが絶対の市民サービスかというと、必ずしもそうとも思われない。それをつけないから、いま言うように暮れから正月まで一ヵ月足らずの間に、大して話し合いもしないでばっさりと首をやっちゃうというのも――しかも首切られた人は、私の非常に親しい人でもあるし、非常に温厚な人なんですよ。それが非常に過激な人が団交、団交ということでやっていったなら、これはわからないことはありませんけれども、むしろ非常に温厚な組合指導者ですね、その人を四人ばさりこうやったということです。国会ですから、蕨の市会じゃございませんから、そういうこまかいことはいろいろ私は論議しようとは思っておりませんけれども、そういう諸般の情勢というものを自治省のほうでも、こういう一片の通達を出したために末端ではこういうことを起こしておるわけですから、ひとつよく調べていただきたいと思います。私は知事にもそのことをよく調べるように、実はきのうも会いましてそのことを申し入れております。自治省のほうでも本来は責任がないということか知りませんが、こうやって出されたということから、蕨市側としては自治省の見解に基づいてしました、こう言って一方的に逃げるわけですから、全然関係がないということではございませんから、自治省でよく実情を調査していただきたいと思います。
○吉武国務大臣 ごもっともだと思います。私もそういう気もせぬでもないところもあるかと思いますので、問題はすぐきめてすぐ厳罰ということでなしに、先ほど言ったように、まあいいことは皆さんと話し合ってできるだけやるようにするし、そこはやり方だと私は思います。したがいまして、いま私のほうの自治省から、一律に必ずこれをやらなければいかぬというほどには考えておりません。まあ、話し合いがついて、そういうことが行なわれればけっこうなことでもあるかという程度のものであります。
 なお、この問題は慎重に地方の実情等をも見まして取り扱いをいたしたいと思います。
○安井委員 関連して。これは行政局長、いまここまで来ている段階で、あとの始末はどういうふうになるわけですか。懲戒という手続があったのですね。あったその段階において……。
○佐久間政府委員 これにつきまして、処分を受けました職員のほうからは、不利益処分に関する不服申し立てをする。さらにまた訴訟もできるということになっておりまするので、そういう方法によって救済を求めるということになろうかと思います。
○安井委員 そこで私、大臣に申し上げたいわけでありますが名札をつけるということは、ある意味においてはそれは効果があると思います。それはやはり私らは大臣を存じ上げていますけれども、会った人はテレビに出ていたおじさんということで、だれか知らぬ。吉武という名札をつけておいていただいたほうが都合がいいだろう。局長から課長、皆さんいらっしゃるのですけれども、委員部の諸君や速記の皆さんも、あるいは国会議員もつけていたほうが居眠りなんかできないし、都合がいいかしれません。そういうことがあろうかと思いますけれども、何といいますか、一般心理といいますか、何かそんなようなものが働いて、おそらく大臣は、それではきょう帰って、自治省で訓令を出してみんなにつけさせようというお考えにはならないのじゃないかと思います。そういう意味で、人情といいますか、一般心理といいますか、そういうようなものが一方に働いているということと、それから住民サービスの一環としてつけたほうがいいじゃないかというような考え方との二つの対立があると思うのですが、そこへ訓令という形で押しつけていく。それで名札をつけなかった、ばさり首だ。これじゃ私はどうも大臣のおっしゃるように常識的に世の中は通らないような気がするわけですね。それは確かに訓令という形で、地方公共団体の機関の定める規程の一種でしょう、訓令というのは。それに違反した場合には懲戒という手続が地方公務員法の第二十九条にあるわけです。しかしこの懲戒の内容にしても、戒告と減給、停職、それから免職と、少なくも法律規定だけでも四つあるわけです。これについてこの市の条例の規定があるのだろうと思うのですけれども、それは何か役所の金を使い込んだとか、そういうような問題もあるでしょう。あるいはまた重大な書類を書き違えて市に損をかけたとか、そういうような問題もあるでしょう。そういうようないろいろなケースがあるものだから、戒告、減給、停職、免職、おそらく法律はこういう四つの懲戒の方法についてのニュアンスを置いたと思うのです。だからそういうようなちょっと外から見た場合には常識はずれといったような、そういうような気がするわけです。これはいろいろな経過があったのでしょうね、そういうようなことだろうと思うのですけれども、いまお聞きした限りにおいてはそんなような気がするわけです。
 そこで、私はいま行政局長の御答弁では、あとはこれはもうきっちりした手続が行なわれたのだから、法的な手続でまたあと処理していくということになりますと、不服審査の要求ですよ。そういうことになりますと、公平委員会がまた審査する。私はそういう手続が法律上残されているということは、これはわかりますけれども、しかし、私はこういうようなケースの場合は、蕨といえば東京からそう遠いわけでもないのだし、もう少しこの段階において自治省のほうは、これは正式な手続をとらなくたって、市の側がこの処分はもう一度考え直すというふうなことになれば、これは問題は別な方向に行く可能性があるわけですが、こうなったらあとは公平委員会に提訴をして、そこで処理しなければいけない、それでだめならまた訴訟だ、こういうような道があるのはこれはわかっていますけれども、そこへ行かないで何らか方法はないのでしょうか。自治省から県のほうに言ってやる、県のほうで間に立ってもう少し処理の方法を考えるとか、そういうような方法はないのでしょうか、その点ひとつ大臣の先ほどの御答弁では、まあたいへんものわかりのいいようなお話を私は伺ったわけでありますが、そこまでやはりお考えになる必要があると思うのですが、どうでしょう。
○吉武国務大臣 自治体の中のことでありますから、そのいろいろな事情もあるし、いろいろな結果で出てくるだろうと思います。それを私ども本省がまたそにに入って何か裁判をするようなかっこうで出かけるということは私はいかがかと思います。著しく法を曲げて行なわれたとかどうとかということは、これは自治省といたしましても指導上それは留意する必要があろうかと思いますけれども、そういうふうな内部のそのほうの関係は、内部でできるだけ解決をしていただく。そしてそれが内部で解決ができなければそれぞれのまた機関もあることですから、そういうところではかっていくということでないと、私ども別にそれにタッチするのがいやだというわけじゃありませんけれども、全国の数多くの自治体の中にはいろいろな問題が起こってくるでありましょうし、ちょっと私いますぐこれについてどうしようという考えはございません。
 それから、問題はやはり一つの職場でありますから、その職場における問題はすべてが円満というわけにもいかぬかもしれませんけれども、平素からやはり理事者側と職員との間にはひとつ意思の疎通、信頼関係の樹立、そういうことで円滑にやっていくということに努力すべきである、かように存じております。
○安井委員 いま大臣が最後に言われたそのとおりです。そういうふうにひとつやはり自治省のほうも御指導願わなければいかぬと思うのです。そこで自治省が直接行かなくても知事のほうに言ってやって、これは県で何とかならぬか、それくらいやはり自治大臣ちょっと知事のほうへ話をしていただいて――何もかも、全国の三千五百あるところの市町村の問題まで自治省が解決しろと私は言っているわけじゃないのです。知事のほうだって、私は知事のほうでどういうふうにいままで処理しているのかわかりませんけれどもどうですか、もう少し知事だって責任があると思うのです。総括的な指導権といいますか、そういうようなものがあるわけです。財政上の問題については抜き打ち的に県庁から行って検査したりするのですから、同じようなケースではないでしょうか。
○吉武国務大臣 せっかくのお話ではございますけれども、自治体というものは自治体としてやっておることでありますから、監督官庁といいますか、指導官庁だからといって私ども一々そういう問題を取り上げて、ああせい、こうせいということはできるだけ差し控えていきたいと思います。
 それから、いま自治省が抜き打ち的に出かけて行って、監査をしてどうこうということですが、そういうことも私どもはできるだけ差し控えておるつもりでございます。
○只松委員 法務行政をやられた吉武さんですからよく御存じになっておると思いますが、首切りというのは、これは労働者にとって最大の極刑なわけですね。特にこういうふうになれば、退職金も何も出ないわけですからね。だからよほどでなければない。たとえば、自治省関係で小金井市で五割休暇が十回もやられて、そのときに委員長が一人、まだ争われておるわけです。それから綾部市で十割のすわり込みをやったときに委員長が一人というようなことで、自治省関係にも多少そういうものはありますけれども、名札をつけたことは、さっき言われたように、いいか悪いかお互い見解の相違がある。こういうふうな問題、これは私だけではなく、だれだって常識的にそういう判断をする。こういう問題で大臣も、前奏曲は多少ありますが、正式に訓令が出て、正式の団交になってから一回そこで四人ばっさり首になる、こういうことはあまりにもひどい、職権乱用とまで大臣は言わないかもしらぬけれども、とにかくこれはいささか穏当を欠く、こういうことくらいは当然お考えになると思うのですよ。この経緯についてのお考えはどうですか。
○吉武国務大臣 私も事情をよく知りませんから、いまただそれだけをとらえて判断するということはどうかと思います。しかし問題は、やはりそれぞれの公平委員会等によってそれを判断する機関もあることでありますし、そういうところで取り上げて解決をするというほうがいいんじゃないか、かように私は存じております。内容は私はよく存じませんので、いまここでいいと言え、悪いと言え、こうおっしゃってもちょっと申し上げにくい。まあ自治省というものは、できるだけ自治体の中のいろいろな紛争に一々頭を突っ込んで、右へ行こう左へ行こうというわけにいかぬ、またしないほうがいい、かように思います。
○只松委員 だから、蕨市の具体的問題については内容という面にわたると思います。しかし先ほどから繰り返して言っておりますように、長く労働行政を担当された吉武自治大臣として、この自治省管内におけるいままでのいろいろな紛争、そういうものをいろいろ照らし合わせてみて、こういう態様そのものに問題がある。私はここは蕨の市会でないからこまかくは申しませんけれども、蕨市に例をとると、たとえば市条例の中でバッジをつけるということが、いままでつけたことがないんですね。これは例条というのは訓令以上に拘束力を持つわけですよ。ところがこれをつけないで、この問題が起こって、急遽バッジを配付いたしましてつけさせた。こういうことをしているんですよ。みんなが違反しているんですよ。それじゃ全職員首を切ったらいい。条例を励行しなかった市長も、助役も、何も、全部首にすることがいいんですよ。この名札の問題が起こってから、これはたいへんだというので、急遽バッジを配付した、そういうこともあるわけですが、こういういろいろな問題を総合して、私は特に蕨の問題を突っ込んでとは言っておりませんけれども、常識的に、このくらいで何人もばっさばっさと首になったのでは、それでは労働者は黙ってはおれない。不安でたまらない。これは明らかに職権の乱用だと思うのですが、そこまで答弁していただかなくともけっこうですが、ちっとは穏当を欠くくらいのことは、労勧行政をされた吉武さんならばおのずからことばが出ると思うのですが、いかがですか。
○吉武国務大臣 先ほど来申し上げますように、蕨市のその問題については、一般論を言うわけにまいりません。具体的の問題でございますから、その具体的の事情というものをよく見ませんと私は判断はしにくい。したがって、それについてはそれぞれの救済規定といいますか、判断機能というものがあるわけでありますから、それによって判断をされていく、そうされるべきものと私は存じます。
○井岡委員 最初の大臣の話を聞いていると、一方では常識論を言い、一方では逃げを打っている。この点は私は非常にひきょうだと思う。こういう問題が起こってあなたのところへたずねてきたら、訓令を出しなさいと指示をしている。そこから問題が起こった。そうしてその訓令に基づいてやったところが本人はやらなかった。そこでばっさりいった。こういう意味なんであります。こんなばかげたことがありますか。それでもって救済規定がある。そのほうに回しなさい、――なぜ訓令を出したのですか、その点明らかにしてもらいたい。
○吉武国務大臣 名札をつけるかつけないかということについての問い合わせにつきましては、本省のほうで、それはつけるということでおやりになるならそれでもけっこうだと言うことは、私は差しつかえないと存じます。それに違反した者は首を切りなさいという指示をしたことは、私はなかろうと思います。でありますから、そういう処分をしたということであれば、その処分の救済は救済の規定があるから、それによってなさったらどうですかということを申し上げているわけで、決してひきょうでも何でもない。私は当然のことを申し上げておる。その判断の基準は常識によってなされるでありましょう。
○井岡委員 名札をつけなさい、――そのときにはつけないんです、話をしてもどうしてもつけないんです、とこう言ってきているわけです。それなら訓令を出しなさい、こう言っているわけです。そこで訓令を出したわけなんです。そこで首を切ったわけです。したがって、私はその点について、なぜ大臣が言われるように、なお話し合いをしなさい、そういうことを言わないのですか。問題は、できるだけそういうことでトラブルが起こらないようにすることが、指導行政をあずかっておる自治省のたてまえじゃないですか。先ほど大臣は、つけたほうがみんなによくわかって親切でいい――同時に反面自治行政をやっていく、あるいは市行政をやっていく場合、非常にいやなことを言わなければならない職場の人もあろうと思うのです。たとえば都市計画を行なおうとして立ちのきをしてもらわなければいけない、立ちのきをしてもらう際に、本人は百万円もらいたい、しかしながら、いろいろの査定から考えて十五万円しか出せない、こういう場合があると思うのです。その場合、いろんなことを言って交渉をする。どうしても話のつかない場合は強制立ちのきをやらす。その場合に、名前をつけておったならばその人は非常に非情な人だということにもなりかねないわけなんです。そういう点等を考えれば、私はつける、つけないということについては、一方においてはいい面もあるかわりに、一方においては非常に苦しい面があろうと思うのです。ですから責任者のところに名前をつけて、そうしてその人たちに話をして、その責任者が責任を持ってやる、こういう形が私は望ましいと思う。そういう点を考えてみると、大臣の言われたことは常識的ではあると同時に、一方において指導というものに若干思いやりがなかったのじゃないか、こういう気がしてならないのです。この点お伺いいたします。
○佐久間政府委員 自治省から出しました文書回答につきましてのお尋ねでございまするので、私からお答え申し上げたいと思いますが、自治省には、蕨の市長から法律的な見解を照会してまいったのでございます。この名札佩用について、「これを法的に行なうことができるかどうか、その可否を御教授いただきたくお願いいたします。なお当市には職員服務規程はありますが、その内容には名札に関しての規定は何らありません。」こういう法律上の見解を聞いてきましたので、それに対しまして自治省の公務員課長から、「職務の遂行上必要があると認められる限り名札の佩用について職務命令を発することができるものと解する。」これは法律上できるというのです。「なお職員全体に対するものであるから訓令等で一般的に定めておくことが必要である。」こういう回答をいたしたわけでございまして、私どもは蕨市にどのような紛争があって、それに対してどういうふうにしたらいいか、こういうふうな判断ではございませんで、全く法律上の見解に対する見解を回答したということでございます。
○井岡委員 大臣、いまお聞きになられたとおりです。法律的な見解を明らかにしたのだ、こう言っておいでになりますけれども、名札の佩用の可否について服務命令等が出せる、あなた方のほうはその問題から尋ねてきたんだということが明らかにわかっているはずなんです。そうなんでしょう。お伺いします。
○佐久間政府委員 この照会を受けました当時におきましては、蕨市におきまして名札佩用につきましてどのようなトラブルがあったといかうことについては、私どものほうは承知をしておりませんでした。
○井岡委員 その問題にトラブルがあったというのではなくて、佩用の可否について尋ねてくるということは、トラブルがあるということをあなた方はお考えになっておいでなんでしょう。これも私たちは知りませんでした、こうおっしゃるのですか。
○佐久間政府委員 徳用そのことの可否を尋ねてこられたのではなくて、これを法的に行なうことができるかどうかということについてのお尋ねでございましたので、法的にはこれは可能であり、しかもそれをやる場合は職員全体に対するものであるから訓令という定め方をすることが適当である、こういうことを回答しただけでございます。
○井岡委員 もう一ぺんしまいのところを読んでいただきます。
○佐久間政府委員 「これを法的に行なうことができるかどうか、その可否を御教授いただきたくお願いいたします。なお当市には職員服務規程はありますが、その内容には名札に関しての規定は何らありません。」ということに対する答えは、「職務の遂行上必要があると認められる限り名札の徳用について職務命令を発することができるものと解する。なお、職員全体に対するものであるから訓令等で一般的に定めておくことが必要である。」こういう回答であります。
○井岡委員 やはり問題があるということをお考えなんです。考えなければ、一番後段の訓令等を発することができる、そこまではいかないはずです。前段のほうならば、私は知らなかったということを了承いたします。けれども、職員一般のことであるから訓令を発することができるということまでくれば、明らかにトラブルがあったということを前提に出されておる、こういうように私たちは理解せざるを得ません。したがって、私はあえてその蕨市に対してあなた方が干渉するなどとは言いませんが、少なくともここから出た問題である限りにおいて、公の問題でやられることが一番望ましいけれども、私はそうでなくとも、人間的に、しょっちゅうあなた方のところに来るわけですから、もういいかげんにしておけよ、少し行き過ぎと違うか、このくらいのアドバイスというものがあってしかるべきだと考えるのですが、この点はどうですか。
○佐久間政府委員 事前にいろいろ法律上の解釈あるいは適用につきまして、自治省のほうに相談に来られるところもございます。来られました場合におきましては、私どもの担当者からいろいろ参考になるようなアドバイスもときによってはいたしております。本件につきましては、先ほど申し上げました法律上の見解についての照会がありましただけで、その後は、この処分がなされましたことが新聞に出まして、初めて知ったわけでありまして、その間におきまして、私どものほうに何も御相談もございませんでしたので、私どもも承知いたさなかったわけでございます。
○井岡委員 私は承知したとかしないとかということでなくて、大臣がおっしゃったように、あるいはあなたも言っておられるように、公平委員会のほうに提訴すればいいじゃないかというそれだけじゃなくて、生きた行政という立場から、少し行き過ぎのように思うからもう少し何とか話し合ったらどうだ、こういうアドバイスをされる意思があるのかないのか、こう聞いておるだけです。ですから、知ったとか知らないとかいう問題を私は言っておるのじゃないのです。この点明らかにしてもらいたい。
○佐久間政府委員 事前に御相談に見えまして、いろいろお尋ねのございました場合には、先ほども申しましたように、参考になると思われることを必要によっていろいろアドバイスをいたすこともいたしております。そういう場合には私どももできるだけ親切に扱っておるわけでございますが、処分がなされました事後におきましては、法定の救済手続があるわけでございますから、先ほど大臣もお述べになっておりましたように、その段階におきましてこちらが差し出がましくいろいろやりますことは、また弊害もあるわけでございますし、法の定めました手続をかえって妨害するようなことにもなるわけでございますので、事後の現在におきまして私どものほうからアドバイスをするということについては、先ほど大臣のお述べになりましたように私どもも考えておるわけでございます。
○只松委員 私は長年労働行政をやられている吉武さんですから、あまり法律的なことを言わないで、こういうむちゃなことは妥当でない、こういうふうに思っておられると思って大まかな質問だけしてきた。入ってこられたときは、さすがに吉武さんらしく常識的な御答弁があったわけですが、横からちょこちょこと事務当局のサゼスチョンがあるとだんだん答えが変わってきて、最後は形式論一点張りの答弁に変わっていったわけです。
 そこで吉武さん、そういう官僚のささえということは必要かと思いますが、あなたがやられてきた労務行政からいってもこれは妥当でないわけです。だから私はここでこまかい論争はしなかったのですが、いまちょっと出しましたように、形式論だけということなら一つだけ吉武さんにお尋ねしておきたいと思いますが、これは訓令で出されたのですね。ところがさっき、蕨市役所なりのバッジを着用せよということは大体条例なり服務規程で出ている。服務規程は訓令の上位に立つというのが大体常識的な解釈ですね。したがって、服務規程にあるのが、条例にあるのが、バッジを着用しないということになりますと、名札を着用しなかったために市役所の組合の責任的な立場に立つ四人が首になるならば、当然にこのバッジを着用させなかった助役その他のそういう責任者も全員首にならなければならぬ。少なくとも上位に立つ案件を、故意にかあるいは過失にしろ今日までさぼってしなかったのは当然処分の対象になる、こういうことになると思いますが、大臣のお考えはいかがですか。
○吉武国務大臣 私が先ほど来申し上げておることは一貫して、決してことばを左右にしておるつもはございません。ですから執行者のほうが名札をつけたい、そのためにいまの職務命令を出すことは差しつかえがあるかどうかということについて、事務当局のほうで、それはおやりになるならばいいでしょうということはやったのです。したがって、それに違反した人を処分するということは執行部がなさることで、その執行部のなさった処分は、首を切ったことは当然であってよろしいということは、私は一度も言っておりません。そのそれぞれの処置については、それぞれの救済の機関もあることだから、そこで御判断を願ったらどうですかということを言っておるわけであります。
 いまお尋ねになりました点は、バッジの点でございます。名札の点で処分をしたのだから、バッジの点も同じように処分をすべきではないか、あるいは上位だからもっと厳罰にすべきじゃないかということはおっしゃいませんけれども、それはただ形式的に御議論になるだけのことで、そういうことはすべて常識で判断すべきものだと私は思います。したがいましてこういう処分について、それが過重であったかなかったか、穏当であったかなかったかということのために、そういう公平委員会なり人事委員会というものがあるのでありますから、自治体のいろいろな問題を、自治省が裁判所のように一々判断するということは避けて、自治体のそういう機関ですべきであろうということを申し上げているのであります。皆さんのおっしゃる点は、皆さんの御見解があるでありましょう。私はいまその処分を、全面的にそれでよろしいということを言ったわけじゃない。ですから、それは公平委員会なり人事委員会でひとつ皆さん方がおっしゃって、皆さん方なりあるいはその処分を受けられた方がやられて、そこで初めて常識的な判断が出てくるでありましょう。でありますからその点はひとつ誤解のないように……。
○只松委員 その限りにおいては大臣、そのとおりだと思うのです。しかしぼくは大臣の答弁のあげ足をとるわけじゃありませんが、法律論としては私がバッジの問題を出したら、それは形式論に過ぎやしないかとおっしゃった。それはそれでいい。自治省が法律解釈をして出したことからここに労働問題が発生してきているのです。労働行政がここに起こってきているわけです。
 そこで問題は、ほんとうは法律論議と労働問題題と分けて論議しないとちゃんぽんの論議になってきて、なかなか明確な線が出てこないわけです。ところが、ずっといまちゃんぽんに論議してきていますから、法律論議としては自治省の答弁はそれでいいと私は思います。そこに端を発して労働行政が出てきている。その点に関しては、法律解釈の限りにおいては、自治省としては一つの見解を下しているわけです。これは出した以上は正しい、それで誤りはない、こうおっしゃっている。それから労働行政が出てきている。しかし労働行政はおれのほうは知らない。そこになってくると市役所の問題である、自治省は一々あずかり知るところではない、こう逃げを打っておられる。あなたのほうは逃げじゃないとおっしゃるけれども、しかし政治ですから生きておるわけです。ぼくら大蔵委員会でいろいろ論議をしていますけれども、大蔵省のきめたことを、銀行や証券会社が全部――そんなことは知らない、証券会社がやったんだ、いや銀行がやったんだなんていえば、政治というものはないですよ。まして自治省と都道府県、市町村というのは一体関係にあるわけです。そこの何階かのビルの中に突然として役人だけがいるというのが自治省じゃないわけです。地方行政のそういう末端機構と連関して自治省というものはある。しかも言うように、あなたたちが法律解釈をしたところに端を発している。あなたちが市役所や県庁におつとめになってみればよくわかるように何かある場合に、県庁がこういう解釈をした、自治省がこういう解釈をして指導した、こうやって、にしきの御旗で通る。そういうところから端を発してきている。
 そこで私は法律論議はあまりしないで、主として労働問題のほうからお尋ねしていったわけです。法律論議なら法律論議をしたって一つの論議はあるのです。しかしぼくは、ここでそれをしようとしないで、長年労働行政をやられた吉武さんですから、ある程度の答えが出るだろう。ある程度の答えが出れば、それなりに先ほどから言われているように、できるだけ円満に地方行政がいくように、事を争えという自治大臣は一人もいないと思いますけれども、そういうふうにおっしゃるから、そういう方向に持っていこうと思って論議をし、また事を進めているわけです。だからそういう意味で、法律論の面からだけの解釈で逃げを打たないで、労働行政としてこういう問題が出てきておる。しかも現実に四人というものは首切られておるわけですが、これをもとに戻すということなりのサゼスチョンをしろということを私は一言も言っていない。ただこういうのを一般的に解釈して、さっきから言うように、蕨市なり浦和市なりがかってにおやりなさいということではなくて、自治省の態度として労働行政のこういう面に対して多少なりとも見解の表明といいますか、これは法律論一点ばりからいえば、確かに公平委員会の訟訴で争えばいいのです。こんなことは知っているし、そんなことなら、ここに持ってきやしません。そういうことでなくて、これを円満におさめていきたい、こういう観点に立つならば、自治省側が、一〇〇%の原因があるとは言わないけれども、法律解釈を示したことに端を発してこういう労働問題が起こってきているわけですから、そこらはひとつ親心のあるところを示したらどうですか、こういうことを言っているのですが、大臣の所見を簡単に……。
○吉武国務大臣 労働問題であるなしは別といたしまして、そういう処分が行なわれた、その処分が不当ではないかという趣旨の御質問だと思うわけです。ですからそういう処分については――それはわかりませんよ、不当だとおっしゃったわけじゃございませんけれども、私は不当であるという御趣旨で御質問になっているのじゃないかと思って申し上げるのですけれども、そのために公平委員会というものがあって、そういう処分が不当である場合は、それを救済するためのわざわざそういう機関があるわけですから、いま本省が出かけていって、それの決定のないのにどうだこうだということは、えれは差し控えるほうがいいと思う。むしろそういうところによって救済をされていくことが望ましくはないかということを私は申し上げているわけであります。労働組合だって、不当労働行為があればそれぞれちゃんと訴える機関があってやっておられるのですから、それをそういう機関を経ないで、ほかのほうで一々ああだこうだということはむしろ混乱することであって、正しい判断で正しく行なわれていくことが私は望ましいと思っております。
○重盛委員 関連して。私が只松君の質問とあなたの答弁を聞いておると、長い間労働行政に携わってきた大臣の答弁ではなくて、おれはいま自治省を所管する自治大臣の立場としてもの申すぞという態度が見える。労働問題で公平委員会にかけて処理するぐらいのことは、只松委員でもわれわれでもみんな知っているのですよ。しかしそうすることより先に、あなた方の意見や国としての基本方針というものはどこにあるか、一体労働者と自治体のあり方がこういう姿で行なわれていいのか悪いのか、ここにやっぱり問題がある。
 その前に、私はちょっと佐久間さんに聞きたいのだが、こういう行政指導をしているというお話がさっき出て、聞くと、十二月から二月一日まで一ヵ月半ぐらいの間にこういう処分が出た。この間に行政命令は出した、服務命令も出したけれども聞かないからどうしたらいいか、あるいはこういう処分をしたいと思うがどうかというような問い合わせが一ぺんでもあったかないか。あった、ない、それだけでいい。
○佐久間政府委員 ございません。
○重盛委員 そうだとすると、これは自治省の出した回答なるものをどういうふうに解釈したか、向こうが、これによって首を切っていいのだという解釈をしたのか。先ほど安井委員の言うように、首というのは最後だ。その前に戒告とか懲戒あるいは停職それから減俸、いろいろなものがある。そうして最後に首です。だから、言いかえればこういう程度のものなら、労働行政に少しでも携わった者ならば、これは訓戒ぐらいでまずやって、それでも聞かなかったなら、たとえば停職をやってみよう、停職で聞かない、やむを得ぬから首にしようという段階があっていいはずです。ところが、いきなり首にしたというところに問題があるのであって、なるほどそういう事態になったならば公平委員会にかけてやればいいではないかという。私は全国全部のものを指導しなさいとは言わない。しかし特別のケースとして起こってきた問題に対しては、自治省としての、あるいは自治大臣としての見解を――自治大臣はどうお考えになっているかしらぬけれども、地方公務員はみんなあなたの子供と同じです。自治大臣のもとに働いている地方公務員でありますから、それが全く地方公共事業に役立たない姿であったとするならば、あるいはかなり強硬な態度をとることもけっこうです。しかしその紛争のために蕨市であろうがどこであろうが、そういうところの仕事の能率があがらぬという状態ができたとするならば、それは考えてやらなければならぬケースになってくると思う。いわんやいま言うような短期間に首にされたということになるならば、これは公平委員会にかける前にいま一ぺん相談をしてみたらどうだと、公式には言えないかもしれぬが、そのくらいの考え方を持ち、そのくらいの温情を持った政治をやらなければならぬであろう。法律的にできているからいいじゃないかとあなたが言われるなら、あなたは公平委員会というものの実態を知っていますか。きわめて小さなところでありますからあるいは自治省でも知らぬかもしれぬが、茨城県に明野町という町がある。そこでやはりこういうような問題で何年か前に首を切った。公平委員会にかけて、公平委員会は全く不当だという判断を下して復職すべしだとした。その後この公平委員会は解散してしまっていまはないのです。そういうところすらもある。それをよく調べてみてください。そういう現状の中で、ただ公平委員会に持っていきなさいということだけでは私は政治ではないと思う。同時にもう一歩進めて言うならば、労働対策を十分におやりになった自治大臣であり、しかも幸か不幸か自治省管轄の中に起こったことを、この法律だけでよいと考えるかどうか、ここに問題があるということなんです。従来そういう慣行でやってきたとしても、こういう問題が起こったときには単なる公平委員会だけではいかぬのじゃないか。もうちょっと働く者の立場を守り、自治体に協力させるためにはどうあるべきかという一歩前進した立場に立ってのお考えが述べられるべきじゃないか。また只松委員としても、さだめし自治大臣にそういう意見を出してもらえるのじゃないかということで、きょうの質問になったのではなかろうか。何度も繰り返すように、こういう問題が出て一ヵ月半か二ヵ月たたないうちに、いきなり首にしてしまう、こういうなことは形式論や事務的な御答弁だけで解決づけるということではなくて、いま一歩自治大臣としての――最初事態を調べておらぬということが言われておる。したがって、これはきわめて近いうちに十分調査をして、自治大臣として自治省の立場から善処できるものは善処するようにということを申し上げておきたい。一応御意見を伺っておきたいと思います。
○吉武国務大臣 先ほど申しましたように、私は決して突っぱねてものを言っているつもりじゃないのであります。そういう紛争というものは起こるでありましょう。そのためにそれぞれの機関も設けて、これを公正に取り扱うようにできているのですから、いま処分をする前の問題でしたらこれはどうとかいうことはあるでしょうけれども、もう処分をした、その処分をどうするかという問題は、公平委員会というものがそれがために行なわれているのに、それを抜きにして自治省がかってにああだこうだということは、私はできれば差し控えたほうがいいと思うのです。公平委員会といっても人間の集まりのやることですから、その処置についてあるいは間違いもあるかもしれぬ。間違いがなくても判断の相違があるかもしれません。茨城県の例をいまおとりになりましたように、そういうことがだんだんとただされていくことになって、合理的な機関によって合理的に解決をしていくということが行なわれていくのじゃないか、私はさように思います。
○重盛委員 そういうことは、ぼくらもみんな知っているのですよ。只松君も知っている。だけれども、そういうひどい問題が起きたときに、そこでどんどん形だけ突っ込んでいって形だけの解決がついても、それこそ解決のついてしまったあとでは全くどうにもならぬわけです。これはまだ公平委員会に提訴というのはやっておらぬそうです。そういう段階のときにめんどうを見るべきじゃないか。何度も言うようにあなたに方法論をお聞きしているのではなくして、こういう事態が起きておるのが正しいとお考えになるか、極端に言ったらそういうことになる。そういうものの尋ね方は私はしたくない。したくないが、公務員が訓令に従わなかったということで、一ヵ月半かそこいらでその事前の何らの通告もなしに、いきなり首を切るというようなことが、自治大臣、よいとお考えになりますか、やむを得なかったとお考えになりますか。それとも事情はわからぬが、ずいぶんひどいこともあるものだというふうにお考えになりますか。その点を明確にしておいていただきたい。
○吉武国務大臣 具体的な問題は、私は詳しく存じませんから、ここでは申し上げられません。ただ一定の職場において、管理者というものが職場規律のために出し、それに違反した者について、適当な処分が行なわれるということは、やむを得ないと思います。その処分が過当であったかなかったということは、それはその事情によって判断しなければならぬ問題だと思います。だから私は先ほど来、こういう問題は常識的に判断をされるべきものであろう、こういうことを言っているわけであります。
○重盛委員 決して私は大臣と論争しようとは思いません。あなたは労働大臣もやり、長い間こういう事情を知っておったと思うけれども、井岡君の言うように、誠意がない。そういうことで機械的なことを言ったり聞いたりするんなら、わざわざ委員会に持ち出して、この地方行政委員会でやりません。あなたは事情を調査していないと言うが、私も全部を把握しているわけではありませんから、この問題については、私は発言を保留しておきます。保留しておいて、あなたと別な角度から議論をいたします。少なくとも地方行政をつかさどる大臣としては、先ほど来何度も言うように、地方行政の一番末端で働いておる労働者がどういう境遇に置かれているかくらいのことはお調べになるべきだ。どういう事実でこういうことが生まれてきたかぐらいのことは至急お調べにならなければいかぬ。それは地方行政の根本的な問題だと思うのです。予算、その次が人、これは当然根本的に取り上げていかなければならぬ問題であるのに、こういう問題が出て、しかも国会の地方行政委員会でまでお互いにひとつ所信を明確にして、できるならば手を差し伸べてもあげようじゃないかという親切を持つのが、政治のあり方だと考えます。形式的に、私の分野じゃない、事務的にやりなさいということをお聞きするくらいなら、私は何もあなたにお聞きしなくてもいい。たいへん失礼だけれども、そのくらいのことは私も知っておる。法律はみな国会でつくったのです。その法律があるためにもし誤った事態が生まれたとするならば、それを防ぐための法律をつくるなり、あるいは法律の改廃は当然できると思うのです。公平委員会がいいとか悪いとかいうことじゃございません。それをやらなければならぬ最高の権威を持ち、最高の立場にある自治大臣が、それはできた事態だから事務的に処理をしなさいということであるならば、そこには政治の妙味も何もない。何度も繰り返すように、法律が悪ければ法律を直していく。しかも時々刻々と変わっていく社会情勢の中で、従来つくった法律が万全を期しておるなんということは、それは国会議員としても、自治大臣としても言い過ぎだと思うのです。現実の面に即した法律をどんどんつくっていくぐらいの考え方がなければいかぬし、何かの機会がなければそういうものは改まってこない。何かの機会に遭遇して、その何かの機会とはこのようなものをいう、訓令か何か知らないけれども、そういうものを出して――この名前札をつけるのはいい悪いなんということは、先ほど只松委員からも井岡委員からも言われたように、私は決していいとは思わない。地方公務員は全部札をつけなさいということは、むしろ人権じゅうりんです。同時に、市民や都民、村民にサービスするときに、ほんとうにサービスになるときもあるが、先ほどから井岡君が言われるような例もある。あるいは税務執達吏に名礼をつけていけといったって、だれがつけていきますか。それはつけていかなくていいと言うにきまっております。そのときそのときの便宜的な答弁や便宜的な解釈で、この問題は解決はつかぬ。少なくとも首を切られるということは、労働者にとって非常に重大なことですからね。その前にとるべき手段をとってこの結果になったのか。その前の順序も踏んでもらって、反省の余地も与えて――それまでに与えたかもしらぬけれども、何といってもこの問題が出て一ヵ月か一ヵ月半で首に持っていくということは、暴挙といわざるを得ません。そういうものがどこで起こっても、これは自治省の知らざることだということはあり得ない。そこらはひとつ、大臣もそうでありますが、行政局長としても十分検討しておいてもらいたい。次回に質問します。
○門司委員 ちょっと関連して聞いておきますが、事件が起こって一ヵ月とか一ヵ月半とか繰り返し言われておりますが、この種の事件はどうなっておるのですか。市の条例ですか、訓令ですか、それとも規則ですか、どれですか。どれに該当したから首を切ったのですか。
○佐久間政府委員 こういうものを個用しろということは訓令できめております。しかし、処分の理由として蕨市で申しておりますのは、地方公務員法二十九条の第一項第一号違反ということであります。
○門司委員 私もそうだと思うのです。いまお話のあった二十九条の後段には明らかに、首を切る場合には条例によらなければならないということが書いてあるはずであります。単なる思いつきや考え方で首を切られてはかなわぬ。条例によってやるはずです。蕨の市長の訓令事項によるものならば、むろん訓令でありますから、議会の議決を経ていないと考える。それと、法律の二十九条で、条例で首を切ることを定めていなければならないと書いてあることとの関連はどうなりますか。少なくとも人一人の処分をしようとする場合の基本的の要件としては、法律違反よりもむしろ条例に定められたものについての違反行為であるということならば、これは議会の協賛を一応経ておりますから公のものになっておりますし、審議がされておるからまあ考えられる。それを受けたのが、結局二十九条の、首切りは条例によらなければならないと書いてあるところだ。私は法律はこう解釈すべきだと考えておる。市長の思いつきで、規則に、まごまごすると訓令に違反したから首切りに該当するということが作意的に行なわれると、とんでもないことが起きますよ。この辺の解釈はどうなんです。期間が長ければ、あるいは議会にかけてもう少し審議がされておった、あるいは議会でも討論が行なわれておったという経緯があると思いますけれども、一ヵ月か一ヵ月半ではその経緯が何にもないと思うのです。単なる市長さんの思いつき、というとおこられるかもしれませんが、名札をつけれらどうだろうというような考え方で、名札をつけることを一応市の規則だか訓令によってきめた。おそらくこれは規則でしょう。それが首切りの材料になるということになると、これはちょっとゆゆしい問題を起こしやしないかと思われる。と同時に、法律の趣旨と少し変わった関係が出てくるような感じがするのですが、その点自治省はどうお考えになりますか。
○佐久間政府委員 先生のおっしゃっておられますのは、二十九条第二項で、職員の懲戒の手続及び効果は、条例で定めなければならない、こう書いてございますので、これは懲戒の手続を条例できめるわけでございまして、ちゃんとこの条例によっております。それから第一項のほうで、左の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分としてこれこれの処分をすることができるとしてございます。そこで懲戒事由でございますが、その事由といたしましては、この法律あるいは条例、規則もしくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合、あるいは二号で、職務上の義務に違反したり、職務を怠った場合というように書いてございます。それで蕨市の場合におきましては、この一号で、この法律に違反した場合ということで、この法律の条項といたしましては、地方公務員法の三十二条、「職員は、その職務を遂行するに当って、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」こういう規定でございます。この三十二条の職務命令に違反をしたということを事由といたしまして処罰をいたしたものでございます。
○門司委員 私はそのとおりだと思うのです。それからこの懲戒の問題は、二十九条以外にもう一つあるわけですね。分限と懲戒というものは二十何条かもう一項書いてあります。この法律は、そういう懲戒、分限等については二重に書き、さらに三十二条との関連性において行なわれるものは、先ほどから申し上げておりますように、われわれの解釈としては、少なくとも職員の首を切るという業務命令その他については、その根拠というものは、やはり条例で定めた根拠というようなものが考えられなければならないのではないかということです。これはどういうことかといいますと、さらにもう一つ地方公務員法の中に書いてあるのは、首切ってよろしいというところに、実はその職域がなくなった場合とか、あるいは予算が非常に減らされたとかということが書いてあります。この場合は、少なくとも議会の議決を経て職場をなくする、あるいは予算がきめられるのであります。しかし、その場合においても、単に予算が減ったから、ことしの予算が三割減ったから、三割首切るんだということはできないはずであります。これは法律の解釈上、単にそういうばく然としたもので、自分の市の予算が三割減ったから、職員を三割首切ってもいいというようなべらぼうなことは、私はないはずだと思います。しかし、法律はそういうふうに、首を切る場合には三つに分けて実は書いてあるわけであります。したがって、そのことはどういうことかといいますと、結局はやはり、たとえば業務命令を出す根拠としては、条例で定められたようなものについてのみ私は規定すべきであって、思いつきのもので――思いつきというとはなはだ失礼かもしれませんが、思いつきにひとしいようなことで、本人の行ないによってということばを使い、これまた行き過ぎかもしれませんが、亭主の好きな赤烏帽子というようなこともありますし、そういう形で出された細則、規則というものは首切りに値するものであるかどうかということは、少し問題があると思います。少なくとも、首切りに値するようなものは、全国一律に行なわれておる。いわゆる三十二条に規定した範囲におけるといいますか、少なくとも地方公務員法という法律に定めた範囲における問題であるならば、私はまだ首切りに値すると正当に考えるわけです。したがって、法律の根拠も持っておらない、議会に議決もされておらない、したがって、条例にもなっておらないものが、単なる市長の、そういう指図ということばはどうかと思いますが、細則で首を切られるということについては、私はわからない。
 それから、念のために聞いておきたいと思いますが、その細則、あるいはこの規則は、議会あるいは市会にでも報告されたことがあったかどうか、この点は確かめられておりますか。それはいずれ大臣の意見をかりれば、そんなことは公平委員会で議論すればいいことだということになろうかと思いますけれども、少なくとも行政をあずかる自治省としてはそういう心がまえがなければ、単に首切られたから全部そっちのほうでやるのだという機械的なことでは自治省の役目はないと思う。したがって、自治省のその辺の見解はどうか。
○佐久間政府委員 この訓令を定めますにあたりまして議会の意見を聞いたかどうかは存じませんが、私ども聞きましたところでは、この名札佩用につきましては、市議会から再度要望が市長にあったということを聞いております。
○只松委員 大臣、最後に、さっきから形式答弁といわれておこっておられますが、どうも形だけの答弁が多いわけです。まだ公平委員会に出すかどうか、そういうことばでいろいろ検討しておる、公平委員会に持ち込む、そういうことをすぱすぱっときめて、そういう形になっていないのですよ。そういうことだから、さっきからいろいろ質問したり、意見を述べているわけです。
 そこで結論だけ形式的にいえば、裁判にいく、裁判にいけばすぐわかる、九九%か一〇〇%勝つんですよ。そういうことを言っておるのではなくて、大臣も自治体のできるだけ平和な、あるいは秩序ある――ということを言っておりますから、そういうことで私たちはいろいろ発言をしてきているわけです。自治省側においてもよくこの問題を調査して、もう一ぺん私たちもここに出てきてやりますから、自治省側の意のあるところは意のあるところで、伝え方にもいろいろあるわけですから、ひとつよくそういう趣旨に基づいて善処されるよう要望いたしまして、私の発言を終わりたいと思います。
○中馬委員長 この際、吉田委員から発言を求められておりますのでこれを許します。
○吉田(賢)委員 資料を要求しておきたい。
 四日市市、倉敷市、並びにその他新産都市といたしましていろいろの事情があればそれも願いたいと思いますが、この二つの市につきまして、最近の日刑新聞は非常に経済開発に伴って経済が悪化しておる状況を伝えておる。これは全体の地方財政計画と新産都市並びに工業地域の開発との関連において重要だと思いますので、この二つの市を中心に類似の市があればあわせて財政の実態をきょう調べられる範囲でよろしいですから、早急に資料として提出を願いたい。
○中馬委員長 本日はこれにて散会し、次会は公報をもってお知らせいたします。
   午後一時十六分散会