第048回国会 法務委員会 第18号
昭和四十年四月二日(金曜日)
   午前十時四十八分開議
 出席委員
   委員長 加藤精三君
   理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君
   理事 小島 徹三君 理事 坂本 泰良君
   理事 細迫 兼光君 理事 横山 利秋君
      唐澤 俊樹君    四宮 久吉君
      中垣 國男君    森下 元晴君
      赤松  勇君    神近 市子君
      平林  剛君    山田 長司君
      志賀 義雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 高橋  等君
 出席政府委員
        法務政務次官  大坪 保雄君
        検    事
        (刑事局長)  津田  實君
 委員外の出席者
        検    事
        (民事局第一課
        長)      川島 一郎君
        大蔵事務官
        (国有財産局国
        有財産第一課
        長)      塚本孝次郎君
        専  門  員 高橋 勝好君
    ―――――――――――――
三月三十一日
 委員神近市子君及び長谷川正三君辞任につき、
 その補欠として勝間田清一君及び千葉七郎君が
 議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員千葉七郎君辞任につき、その補欠として長
 谷川正三君が議長の指名で委員に選任された。
四月一日
 委員小金義照君及び長谷川正三君辞任につき、
 その補欠として木村武千代君及び松原喜之次君
 が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員松原喜之次君辞任につき、その補欠として
 平林剛君が議長の指名で委員に選任された。
同月二日
 委員井伊誠一君、勝間田清一君及び山本幸一君
 辞任につき、その補欠として神近市子君、山田
 長司君及び重盛寿治君が議長の指名で委員に選
 任された。
同日
 委員重盛寿治君及び山田長司君辞任につき、そ
 の補欠として山本幸一君及び井伊誠一君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 理事小金義照君同月一日委員辞任につき、その
 補欠として草野一郎平君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
三月三十一日
 刑法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇
 二号)
 は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 法務行政及び検察行政に関する件
     ――――◇―――――
○加藤委員長 これより会議を開きます。
 まず理事の補欠選任の件についておはかりいたします。
 理事小金義照君が委員を辞任されましたので、理事が一名欠員となっております。この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じ ますが、これは先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、草野一郎平君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
○加藤委員長 次に法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂本泰良君。
○坂本委員 本日は御病気の大臣の御出席を願ったわけですが、私の質問は社会党の綱紀粛正委員会で取り上げました近江絹糸の案件でございますが、これをなぜわれわれが重要視しておるかといいますのは、近江絹糸の元社長であります丹波秀伯氏が、一億二千万円のうち六千五百万円についての使途が弁明ができない、それがゆえにこれは政治献金をしたんだ、こういうことを述べておる。その点に関しまして、政治献金といえば、これは与党、野党を問わず、政治家の潔癖の問題、また国民の代表として国政に参与するにつきましては、巷間政治献金の問題が叫ばれておりますが、そのようなことは、やはり議員としてこれをはっきりしておかなければならない。ないことを言われることについては徹底的に究明いたしまして、そしてその議員の立場を明らかにいたしまして、選挙によって選出された議員は堂々と国民の代表としてその負託にこたえねばならない。そういうのに、営利会社の社長が、弁解が立たずに政治献金をしたというのであってはこれは相ならぬというので、大阪地方検察庁の前井嶋検事正時代から現検事正にわたりまして、この点についての捜査を公正にやって追求をしてもらいたいというので、われわれ綱紀粛正委員といたしましても、数名が井嶋検事正室に出まして、次席検事、特捜部長、係の主任検事の方々にお会いしまして、いろいろと捜査の進行状態等も承りました。その途中で検事正がかわりまして、その検事正の更迭についても、前賀屋法務大臣に対して、この重要な問題を捜査をしておるから、転勤等のうわさもあるけれども、ぜひひとつそういうことのないようにして捜査を続けてもらいたいというので、当法務委員会でも要望をしたわけですが、途中でかわっております。そして現在の検事正になりましたわけですが、現在の田辺検事正になられましてから、やはりわれわれは上申書を持って検事正室に出まして、その部屋に次席検事、かわられました特捜部長、主任検事もおいでを願いまして、そして東京に近江絹糸の姉妹会社がある、ここがこの仮払いで出しておる金の場所でもあるようだから、ひとつ東京に行って捜査をしてもらいたい、これは前井嶋検事正のときから申しましたけれども、費用云々等の問題がありまして、そういうことなら費用の点は予算もふやすことにわれわれとしても協力をするし、また大阪地検においてはそういうような費用についてそう困ることもないだろう、そういうふうに申していたわけですが、今度の検事正になりましてから、東京にも派遣して捜査を進め、調べます、こういうことで、われわれもそれを信頼していたわけであります。
 ところが、昨年の十月二十八日、当時はオリンピックで、新聞などマスコミはオリンピック一辺倒になっておりまして、その際をねらったと言っては語弊があるかもわかりませんが、不起訴処分に付しまして、新聞記事には小さく出たにすぎないわけなんです。そこで不起訴につきまして、法務省にお願いしましてその理由を聞いたわけなんです。ところが、その不起訴は非常に抽象的なものでありまして、「第一の業務上横領については、丹波等が右告発状記載程度の全員を同会社資金中より引き出したことは認められた。しかして、その使途について捜査を尽したところ、その使途は多方面にわたっているが、丹波個人の利益のため」云々というので不起訴処分としたということになっているわけです。それで前回、「その使途は多方面にわたっているが、丹波個人の利益のため費消したと認め得るものがなく、」こういう抽象的な理由でございますから、それでは私たち納得ができない。その六千五百万の使途について裏づけができたというならば、どういう点でどういう金額に裏づけができたから不起訴になったのかという点を聞きましたところ、刑事局長は、捜査の秘密ということでこれを拒否して説明せられなかった。
 そこで、私たちが本日大臣に御出席を願いましたのは、われわれは捜査の秘密ということに隠れて事実をこの国政調査の際に言わないということは不都合である。これは国政調査権の侵害である。特定の名前をあげることができなかったならばA、B、Cでもいいし、金額はこれによってAの者に渡っているけれども、それはどういう裏づけがついたということでもいいから、それを報告してもらいたいということで尋ねましたけれども、一切ノーコメントであったわけなんです。私はこういうことではいけないと思った。これだけ問題になった事件について、ただ個人の利益のために費消されたものでなかったということだけでは納得できない。司法権と申しましても、検察権はこれは行政権である。司法権の独立とはいうものの、これだけ問題になっているものの国政調査に対しては、その内容を言わなければならない。そこに初めて検察庁の公正と信頼が出てくるものだと考えておるわけですが、大臣の所見を承りたい。
○高橋(等)国務大臣 先般山田長司委員から、国会の国政調査と検察権との関係に関する質問主意書が政府に出されました。公式閣議決定を経て答弁書を差し上げたはずでございます。その答弁書の中に、ただいま御指摘のような国政調査権と検察権との関係につきましては詳しく政府の意見を申し述べておるわけでございます。それをもう一度ここで念のために読み上げさせていただきます。
  検察権は行政権の一部であるから、検察行政事務についてはもとより、検察事務についても、国政調査の対象となることは、質問のとおりであり、指摘にかかる犯罪の捜査及び起訴、不起訴の決定が検察事務に属することは、いうまでもない。
  しかしながら、検察権は司法権と特殊緊密な関係にあり、準司法的な性格を持つものである。三権分立を原則とする現行法のもとにおいて、司法権の独立を確保すべきことは、いうまでもないが、司法が公正に行なわれるためには、まずもつて、その前提をなす検察権が適正公平に行使されることが強く要請せられる。しこうして、検察権を適正に行使するためには、その秘密は、厳重に保持せられる必要がある。検察官は、いかなる犯罪についても、捜査をし、刑事について公訴を行ない、裁判所に法の正当な適用を請求することをもつて最も重要な職務の一つとしている。そして、犯罪を捜査するため、必要とするあらゆる取調べをすることが許されており、場合によっては、令状を得て被疑者あるいは被疑者以外の物又は住居について捜索をし、証拠物の差押をするなどの強制処分を行なうことができる。かような強い権限に基づいて犯罪の捜査を遂行するのであるから、人の秘密にわたる事項に触れるのはもとより、取調べの内容についても、秘匿を要すべきものがあるとともに、他面、捜査の遂行上、捜査の方針、技術、方法など秘密とすべき事項の含まれることも当然といわなければならない。すなわち、検察が具体的事件の捜査の内容を秘匿しなければならないのは、他人の名誉を保護せんとするにとどまらず、最も大切なことは、捜査の内容自体を秘匿しなければ、その職務の遂行そのものに支障をきたし、現在及び将来にわたる検察の運営に重大な障害をもたらすおそれがあるからである。したがつて、検察権を適正に行使し、司法の公正な運営を確保するためには、刑事訴訟法上にもその旨の規定がおかれているように、捜査の秘密は、厳重に保持せられる必要があるのである。
  議院が国政調査権に基づいて、公益上必要ありとして調査を行なう場合において、政府がこれに協力すべきことは当然であるが、右に述べたような観点から、捜査の内容等の秘密であって現在及び将来の検察運営に重大な支障をきたすおそれのある事項については、国の重大な利益に悪影響を及ぼすおそれのあるものとして、これを明らかにしないこともやむを得なところと考えるのであり、このような意味において国政調査権に一定の限界の存することは、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第五条の規定に徴しても明らかである。
 その他いろいろと御質問に対して答弁をいたしておるのでございますが、そうした趣旨に従いまして、刑事局長から、捜査の秘密に属することであるからお答え申し上げるわけにいかないという答弁が出ておるわけでございます。
○坂本委員 この考え方は大きなるあやまちを犯しておると思います。まず第一に、検察権は準司法的な性格――準司法的な性格というのは公訴を提起するこの点だけに限られておる。少なくとも三権分立の憲法の思想におきまして、立法は国会、司法は裁判所、行政は内閣、この検察権の行使というのは明らかに行政権に属するわけであります。ただ司法権の独立というのは、裁判所の独立であり、裁判官の独立であるのであります。準司法の性格を持っておるから、この司法権と同じに考えなければならぬというのは大きな間違いであると思います。三権分立したのは、往々にして検察権は時の政府並びに内閣に左右されまして、そうしてやってはならないことをやる、やらなければならないことをやらない、これを立法の最高機関として国会は国政調査権を発動してやる。司法は裁判所が行なう、司法権の独立とは全然違うのであります。したがいまして、検察権が公訴を提起しましても、裁判所はその行政権に支配されることなく、公正、正義に基づくところの裁判をやる。そのために裁判官の地位を保障する。これが司法権の独立であるのであります。検察権があだかもこの司法権の独立と同じような考えを持っておるところに大きな誤りがあり、検察ファッショといわれるゆえんがそこにあると思うのであります。もちろん、われわれは捜査について秘密を守るということは、そうしなければならないと思う。しかしながら、その秘密も、国政調査の上において、間違った捜査をしておる、あるいはやらなければならないのをやらずにおる、やったことも不起訴処分にしてその理由を明らかにしないということは、これは断じて許されないと思うのであります。それをあえてやるところに検察ファッショといわれるゆえんがあるのであります。本件のごとき、まさにそれであると思うのであります。政治献金の問題を、営利会社の社長が六千数百万円やっておるという、それを捜査して――あとから聞きたいと思いますが、相当重要な捜査を進めておる。その結論も言わずに、ただ捜査の秘密ということで、国会の国政調査権に答えない、明らかにしないということは、これは断じて許されないと思う。もちろん個人の名誉等がありましたならば、私が最初申しましたように、それを匿名にするとかあるいはA、B、Cということにして、ほんとうに時の政府に惑わされることなく、公正妥当な捜査をしたということを、ここ立法府の国会において証明する。これは検察権の義務である。それをせないというところに問題があるわけです。
 いま閣議決定で読まれましたあとのことなんかは、これは刑事訴訟手続上の問題であって、国会の行政調査権に関する問題じゃない。最初に準司法的な性格を持つというところに大きな誤りがあると思う。だから、この政治献金の問題については一切裏づけができた、それなら政治献金をした裏づけができたかできないか、ほかのことに流用しておるかどうか、その点は明らかにすべきである。こういうふうに考えますが、大臣の所見はいかがですか。
○高橋(等)国務大臣 御意見は承りましたが、政府としての見解はいま申し上げましたとおりでございます。
○坂本委員 準司法的な性格というのはどういう性格を考えておるのですか、大臣。――大臣でなければだめだ。閣議決定をしたのを読んだだけでは大臣はでくの坊じゃないですか。
○津田政府委員 準司法的性格と申しますのは、検察権の行使というものは、司法権の行使に対しまして一定の請求をしたり、あるいは司法権の行使に協力をいたしたりするわけであります。したがいまして、検察権そのものが準司法的性格を有しておるということは、検察官の身分の保障というようなものとか、検察官の職務の行使の内容とか、いろいろなものにあらわれておるわけでありまして、そういうことを抽象的に準司法的というふうに理解してここに述べられておるものと私は考えます。
○坂本委員 そういうような解釈であったなら、不起訴処分にしたその捜査の内容について――これがほかの破廉恥罪その他の問題ならそれでよろしいのですが、いやしくも国権の最高機関を構成しておる国会議員に関連する問題である。政治献金というのは重要な問題である。自民党の四十名、五十名の議員はおれの言うなりになる、かってに使える、こういうようなことも放言しておるといわれるのでありますが、これはわれわれ国会議員の名誉と地位に重大な関係を持つものである。だから、いま刑事局長が説明されましたようなことであれば、司法権に協力するものである、だから、起訴をしないということ、不起訴処分にしたということは裁判を求めないということになる。求めないということになれば、それはどういう理由で求めないかということは明らかにしなければならない。それと捜査の秘密ということは全然別個の問題である。準司法的な問題であるということにくっつけて、そうしてそれを言わないということは、検察権の乱用である。刑事訴訟法上においても、秘密を保ってやれということになっておるわけです。しかしながら、こういう重要な場合は、その秘密を守るということを前提にしておいて、もっと内容を明らかにすべきである、こういうふうに考えますが、大臣、いかがです。
○高橋(等)国務大臣 ただいまお答えしましたところの全般的のところをひとつおくみ取り願いたいと思います。
○坂本委員 それでは一つ具体的問題でお聞きしますが、大阪地検の吉川検事、これは特捜部の検事ですが、この方が昨年の八月ごろと思いますけれども上京して、本件の捜査に来られた。その際に河野国務大臣を調べられたということを聞いておりますが、それを調べられたかどうか。それは捜査の秘密じゃないでしょう。
○高橋(等)国務大臣 せっかくのお尋ねですが、捜査の秘密に属しますから申し上げるわけにはいきません。
○坂本委員 どういう意味で地検の吉川検事が上京して、そして調べたか調べないかということを言わないのか。どういう点が捜査の秘密なんです。その理由を明らかにしてもらいたい。
○津田政府委員 当該検察官がいかなる時期においていかなる者を取り調べをいたしましたかということについて明らかにすることができないことは、先ほど来のこの趣旨に従って明らかであろうと思うのであります。かりに何者かをいつ取り調べたということであれば、それが関係者であるということもわかりますし、したがいまして、その人に対していかなる理由によって取り調べを始めたかということもわかるわけであります。本件は、もうすでに不起訴処分に付されておる事項につきましては人の秘密に該当することも多々出てくるわけでございますので、その点は明らかにいたしかねるということでございます。
○坂本委員 このことは大阪の弁護士あるいは大阪地検、関係の新聞記者なんかはみんな知っておるわけなんです。それをあえて捜査の秘密、個人の名誉に関する――そういうことは全然ないと思うのですが、大臣、その点あなた責任者ですが、いかがです。
○高橋(等)国務大臣 ただいま刑事局長がお答えしたとおりの理由で申し上げるわけにはまいりません。
○坂本委員 一億二千万円の使途について告発状によりますと、約七千万円前後については、これは近江絹糸でその支出の処理に困ったから、新日本新聞社から広告料金をもらったということでやってくれというので、この近江絹糸の重役と新日本新聞社の経理部長との間に第一期、第二期、第三期と分けて、第一期の三十三年から三十四年の五月三十一日まで、これは決算期ですが、この第一期には五千二百七十万五千七百四十五円出したことにして領収書を出した。それから三十四年六月一日から三十五年の五月三十一日までの第二期は千八百七十五万三千四百四十一円、印刷費その他に使ったということで出したのだというその領収書の控えもつけてやっておる。それから第三期には、三十五年六月一日から三十六年五月三十一日まで千六百万円、計数が多少違っておるかもわかりませんが、これだけこの新聞社の印刷費、広告料その他に出したということで、一枚の領収書でなくて数十回にわたって出したという計算書と、それから領収書の控えですか、これがついておる。これは当時の主任検事である竿山検事が調べておると思うのであります。会社では、丹波秀伯はその支出を帳簿上合わせるために領収書をつけたのじゃないか、こういう疑いが十分ある。この点の捜査についてはどうなっておりますか、承りたいと思います。
○津田政府委員 先般の当委員会におきまして御質疑がございました関係になると思うのでありますが、先般も申し上げましたとおり、告発事実に該当する、近江絹糸株式会社の資金から約一億二千万円のものを丹波秀伯らが引き出したことは認められるわけであります。したがいまして、その使途が問題になるわけでありますが、その使途につきましては個別に十分捜査を遂げております。したがいまして、ただいま御指摘のような事実があるかどうかということでございますが、捜査は遂げておりますし、内容も明らかになっておりますが、その符合する事実があるかどうかというような点については申し上げかねる次第であります。
○坂本委員 そういう領収書までとっておる会社を、竿山主任検事が関係者を呼んで調べておる事実はあるわけなんです。その点について調べた結果も言えない。それでは検察権は何でもできるということになるのじゃないですか。調べて、犯罪があっても、不起訴にすれば、それは捜査の秘密だから言えないというのでおっ放すことができる。従来も、われわれの聞くところによると、政治家の収賄とか政治献金の問題については、いろいろ国会でも調査権で問題になっておるわけです。それは武鉄事件でもそうでしょう。だから、そういうことを検察側は明らかにして、そうして起訴をするとか、しないとかをきめる。起訴しない場合は、こういう裏づけがあるから起訴をしなかったのだということを明らかにするところに大臣が言うたところの公正な点があるのでしょう。それをせずにやるところに非常に国民の疑惑を招き、検察ファッショといわれるゆえんだと思う。だから、そういう点ぐらいは、そういう領収書が出ていたけれども別に支出していた、丹波個人のために費消したのではない、そういうことを国政調査権で明瞭にしてもらって初めて検察権の公正が保たれる、捜査の秘密が保たれる、私はそう思うわけです。秘密の乱用であり、こういうことを許しておいたら、検察は何でもやっていい。そうして自分の運動をした者とか、あるいは政治的圧力でもかければ不起訴にして、その内容は捜査の秘密だから言えないという。そこに大きな問題が出てくるわけです。少なくとも民主政治においては、旧憲法と違って三権分立がはっきりした以上は、われわれ国会議員も、あるいは裁判所も、断じて行政権に左右されてはならないわけです。そういう意味でもう少し説明はできぬですか、どうですか。
○高橋(等)国務大臣 国会議員の身分でありましょうと、一般人でありましょうと、非違がありますれば、これを捜査して、犯罪の事実があればこれを起訴する等の処分をとるということは、私の在任中にもしばしば行なっておるところでございます。決して国会議員なるがゆえに云々するというような考え方で対処しておるわけではございません。
 後段のお話の点は先ほど申し上げたとおりでございます。
○山田(長)委員 大臣はそういうふうにこの結論が出たということだけのことでいま話をされておるのでありますが、実は私は党の綱紀粛正という立場においてこの調査の衝に当たった責任ある立場なのであります。これで井嶋検事正にも卜部特捜部長にも竿山担当検事にも会ったわけですが、その数回にわたる会見で質問をしました結論として、一億二千万の使途不明の金が出たことが明らかになり、さらに五千八百万の政治献金というものが明確になったわけです。それで明確になった以上は、この使途について明らかにしてもらいたいということから、実は当委員会へ参りまして刑事局長からも答弁を得たわけでありますが、どうもその答弁の内容が明確さを欠いております。そういう関係で実は国会の国政調査権に関する質問状を過日、事項書きにあげまして七項目の質問状を発したわけであります。その質問状を発してみますると、まことに時の権力者には都合のいいことしか書いてないのです。これでは、第三点に、司法が公正に行なわれるためにということで検察権が適正公平に行使されることが強く要請されるというような文章がありまするけれども、理由なき不起訴ということはどう考えても考えられないことです。担任の検事も、五千八百万の金というものは明らかにこれは政治献金だと本人も言っていると言うのです。過日、会社のためにこれが使われたというような意味で刑事局長が答弁をされたことがございますが、会社のためにされたといったって、一般の社会における会社のためにした場合における贈収賄事件というものはたくさんにあるわけなのであって、このことが政治献金をされたということで、特捜部長及び担任の竿山検事からは言われてあるのでありまして、われわれは会社のためにということの使途とはいまだに考えていないのです。これは明らかに政治献金であるということが明確になっておるわけです。そうなってきました以上、これが理由がない不起訴処分ということでは、これで公正、適正を欠いているとお思いにならぬかどうかなのです。大臣はこれが公平なる処置のしかたとお考えになるのですか。
○高橋(等)国務大臣 捜査に当たりまして、刑事局長が御答弁申し上げましたように告発の疑惑がなくなったわけでございます。したがって不起訴処分にいたしたわけでございますから、決して検察庁が何もやらないでかってにやっておるというわけではないのでございます。
○山田(長)委員 これがやはり公正な結論を出した理由としてわれわれの納得しないところです。理由なき不起訴なんてことが一体今日まで検察当局においてなされておるか、許されるものじゃないですよ。どういう内容でそれならば不起訴処分にしたのです、内容をこの機会に明らかにしなければいかぬです。承知できないですよ。
  〔発言する者あり〕
○加藤委員長 坂本委員に申し上げます。他の委員の発言中不規則発言をお慎みを願います。
○津田政府委員 検察庁におきまして理由のない不起訴処分をいたしておるわけではありません。前回も申し上げましたように、先ほど申し上げました全員の使途について捜査をいたしましたところ、その使途は多方面にわたっておるのでありまするけれども、丹波個人の利益のために費消したと認め得るものがなく、また丹波自身も会社のために使用いたしたと極力弁解いたしておりますし、これをくつがえすに足る証拠はございません。したがいまして、容疑につきましては結局犯罪の嫌疑不十分ということで不起訴処分にいたしたわけでございます。しかしながら、その不起訴処分の内容についてここに申し上げますることは、結局その当該事件の取り調べを受けた者がいかなる陳述をし、またいかなる取り調べを受けたということが判明いたしてくるわけです。そういたしますると、検察権の運用につきましては一般の方々の十分な御協力を得る必要があります。一般の方々は検察庁の取り調べに対して、みずから言いたくないことも言われる場合があって、協力されておるわけです。したがいまして、その協力に対してさような事実を明らかにしてしまうということは、将来一般の方々の検察権の行使について協力を得られないということになるわけです。そういうことは検察権の将来の運用に悪影響を及ぼす意味におきまして明らかにいたしかねる、かように申し上げておるわけでございまして、国政調査権につきましては十分御協力を申し上げたいわけでありますが、その限度はこの限度であるということを御了解願いたいと思います。
○山田(長)委員 この事件は、どうしても明らかにしなければならないとわれわれは考えて質問をいたしておりまするのは、前の法務大臣であった賀屋さんがこの席に見えまして、その席で、たまたま検事正も特捜部長も検事もかわるという風評もあるけれども、これについて、この事件の終わるまでは動かさずにおいてもらいたいと要望いたしたことがあります。ところが、その当時賀屋さんは、そういうことはないという答えだった。さっきも坂本委員がこのことについて触れましたけれども、しかるに、それが言われて一月足らずのうちに担任の検事がかわり、次々とかわった。一体そんなばかばかしいことが常識的に考えられるかと思ってさらに質問しましたところが、これは定期異動だという。定期異動だというならば、ここで質問をしたときに当時わからなければならなかったはずなんです。それでさらにどのくらいの歳月――集まっている調書から判断して、取り調べが終わるのかということの質問を、当時参りまして引き継ぎの田辺検事正にしましたならば、かなり部厚いものになっておるから三、四カ月かかるかもしれぬ、そういう話であった。そういうことから判断をいたしますと、去年の十一月の不起訴処分というものは、その書類の全体に目を通さずして不起訴処分にしたという、これは明らかに政治的な圧力によったものとしか考えられないのです。そうなればこれは司法の公正なる処理のしかたとは考えられない。これはかつての指揮権発動と同じような内容を持っているものとわれわれは考えるのです。ところが、そうは言わないのです。そうは言わないというところに問題がある。そう言わないで、いまのように五千八百万の政治献金が明らかになっていながら、金額が明らかになっていながらこれを明らかにしないで、理由のない不起訴処分にしている。これは日本の検察権の名誉のためにも、やはりこれらのことの結論を出すべき筋合いのものです。しかも先ほど坂本君が言われましたように、東京へ調べに来ておられる検事もあるわけです。吉川という検事がおられるわけです。この吉川検事がこのラインを調べた内容もわれわれはわかっておるのです。しかるに、いまだにしらを切っているというのは一体どういうわけなんだ。これは何と考えても圧力に屈したものとしか考えられないのです。われわれが調べた範囲でも、これが明確な事実というものが出てきておるのです。だから、これが理由なき不起訴処分ということで処理されてしまうということになりますと、これは日本の検察当局の威信にかかわると思うから声を大にして言うのです。どっちが一体公平な立場でものを言っているかということを判断してもらいたい。これはやはり公正なる検察権の明確さをこの機会に打ち出さないと、日本の検察当局というものはだんだん威信をなくしてしまうと私は思うのです。これは名誉に関するというような簡単なことで片づけてしまわないで、これが理由を明確にして、われわれもっと納得のいくような形がなぜ出せないのですか。われわれ何もむやみやたらにこのことを追及しようとしていない。検察当局の威信のために私は言っているのです。どうか明確にしてもらいたい。
○津田政府委員 ただいまの御質問の中にございました検事正あるいは検察官の異動の件でございますが、これはまさしく定期異動ないし井嶋検事正につきましては検事長に栄転をしたわけでございますので、この事件に影響を及ぼすために異動を行なったというようなことは絶対にありません。したがいまして、検察当局といたしましては、この事件につきましては十分の捜査を遂げておりますし、また検察官がかわりました後におきましては、むしろ前よりも増して多数の取り調べをいたしておりますし、各地に出張取り調べもいたしておるわけであります。したがいまして、検察官がかわりまして、前の取り調べを全然調査せずしてこの事件を不起訴にしたというようなことは全くありません。ただ、内容につきましてこの席で明らかにするかどうかということにつきましては、先ほど申し上げましたような理由によりまして明らかにすることは差し控えたい、こういうことでございます。
○山田(長)委員 それはわれわれが井嶋検事正がかわられたあとも、なお大阪に調査に行っているときに、この事件が相当長引く、数カ月後でなければ結論が出ないということがいわれておるにかかわらず、どういう速度でその調査をし直すことができて、十月の不起訴の内容が出たのですか。
○津田政府委員 この事件につきましては、御承知のとおり昭和三十七年十月に告発になっておると思います。したがいまして、すでに相当の年月を経過いたしております。しかしながら、事件の内容そのものは非常に複雑でありまして、問題は近江絹絲株式会社の個々の支出が対象になるわけであります。したがいまして、調査に年月を要したのはやむを得ないわけでありますが、できる限り早く結論を出すべきである、ことに当委員会におきまして御調査になっていることでもありまするので、という意味におきまして捜査の迅速をはかるということは当然のことであります。その意味におきまして昨年の十月でございますか、約二年を経過して結論を出したということでありまして、特段に急いだということではなく、また特段におくらせたということでももちろんございません。
○山田(長)委員 格段に急いだのではないと言われるが、実は四月の転勤のときにこの竿山検事に会っております。竿山検事は当初調べた限りにおきましては、昭和三十八年でありますが、われわれが会いましたときには非常な意欲を持って、しかもここで竹内刑事局長は、経理に明るい担任の検事を選んでありますから、このことは明確になりますということを言っておった。それで私は非常に期待を持ってこの竿山検事に当時会いました。ところが、竿山検事は三回、四回会っているうちにだんだん意欲を失っている印象を私は持った。どうして意欲を失ったのかということについては、私はいまだに理解されずにいますが、当時の卜部特捜部長も最初は非常な張り切り方だった。それがいつの間にか意欲を失ってきてしまった。どうして意欲を失ったのか私には理解できないけれども、それが日がたってみて、しかもこれは当時のかわった田辺検事正に言わせると、相当の歳月がかかると言っておりたのが、今度担任の検事がかわってみて、かわった検事に会ってみますと、こんな部厚いものですといって、あった書類を指さして、われわれに見せたことがあるのです。それが十一月になりましてから急遽片づいてしまった。目を通すだけでも相当の歳月がかかると私は思って見たのです。なぜかというと、当時大阪には選挙違反がありまして、その選挙違反事件をその間にはさんだために、とてもこの書類を見ることはできないという事情を訴えたのです。なかなか見られないという事情を訴えたのです。それが簡単に、去年の秋になりますと、結論が出てしまった。これは何と考えても――しかも理由なき不起訴なんですから、明らかにしてもらわなければならぬ。五千八百万というのはだれのところに渡っているのか、明確さがないままに、金額が明らかになうておるのですから、これは政治家の名誉のために私は惜しむのです。これは一検察当局者のために私は申し上げるのじゃないのです。そういうことが明朗にならずにやみからやみに葬られてしまうということはまことに遺憾です。そういう点で、理由のない不起訴ということについて、もう一ぺん、どうしてその理由を付さずにこれを不起訴にしているのです、その内容を明らかにしてください。起訴しない内容というのをもう一ぺん明らかにしてください。
○津田政府委員 理由のなき不起訴という御質問でありますが、不起訴につきましてはもちろん理由をつけて――検察庁におきましては上級検察庁もございますので、理由なき不起訴は許しておりません。したがいまして理由はつけております。でありまするが、その内容にわたってここで申し上げることは差し控えたい、こういうことであります。
○坂本委員 時間がありませんからもう一問だけ……。
 昨年の二月二十九日に山田綱紀粛正委員長以下六名か七名だったと思いますが、大阪に参りまして、井嶋検事正に面会し、検事正室に次席検事と卜部特捜部長がおいでになりまして、そのときの大阪地検の話では、一億二千万円について、六千二百万については一応の弁解は丹波はしておる、しかし五千八百万については、これは労働関係に二千万円、言論関係、政治献金に三千八百万円、こうなっておるから、この点を東京までも行ってひとつ捜査をする、こういうことでありました。そこでこの三千八百万円の中に、前回申しましたように、池田首相に一千万円か九百五十万がいっておるという疑いがある、その点はどうしたかと言ったら、わからぬと言って答えない。河野氏に二千万円いっているといううわさがある。三千八百万は政治献金というなら、そういうところでそういううわさがあるけれども、それは実際いっていないんじゃないか、調べたけれどもいっていないならいっていないということを、これは捜査の秘密でも何でもないと思う。こういう点は明らかにしなければならない。その点を、大臣どうです。そういう点もあなた言わぬというのですか。そしてあなた言うなら、刑事局長でもいいから、次回の法務委員会でひとつ明らかにしてもらいたい。
○高橋(等)国務大臣 先ほど来たびたび申し上げましたように、本件につきましては捜査の秘密上申し上げるわけにはまいりません。
○坂本委員 大臣は捜査の秘密と―――――――
○加藤委員長 速記停止。
  〔速記中止〕
○加藤委員長 速記開始。
○坂本委員 だから、こういう点は、これを明らかにしなければ、これは与党野党を問わず、今後の政治家としての生命の問題でもあると思うのです。ですから、いまできなければ私は留保します。時間がたちましたから次回に留保しますが、こういう点は検事正室でここまで言われておるわけです。そういうことについて、どういう捜査をした結果こうなったくらい言わなければ、これを捜査の秘密という隠れみのによって、そういうことも言わないというところに、この不起訴が巷間言われるように不明朗であり、どこからか圧力を大臣は受けているのじゃないかということもあると思うのです。私の質問はこの次まで留保します。
○加藤委員長 坂本委員に申し上げますが、坂本委員の御質問は御意見として……(坂本委員「意見じゃないよ」と呼ぶ)ではどういう御質問ですか。
○坂本委員 意見じゃないよ。こうですよ、委員長、よく聞いておってくださいよ。
 二月二十九日に大阪の地検の検事正室で、向こうからわれわれに言われた、労働関係に二千万、言論関係、政治献金等に三千八百万円、これを明らかにしなければならぬ、捜査の秘密ということで言わないということはできない、こう思うのですが、いかがですか。
○高橋(等)国務大臣 検事がどういうことを申し上げましたか、それは私の関知するところではございませんが、先ほど来刑事局長から申しておりますように、あらゆる点について捜査をした結果、これは不起訴処分が適当なりとして不起訴にいたしておるわけでございます。その内容につきましては、せっかくではございますが申し上げるわけにはまいらないということを繰り返して申し上げておるようなわけでございます。
○坂本委員 時間も参りましたが、この国政調査権と、いわゆる行政の検察権の捜査の秘密ということとうんと違うと思うのです。もう少し法務当局は反省して考えてきてもらいたいと思うのです。
 あとは留保いたしまして次回に譲ります。
○加藤委員長 山田長司君、いまの問題は一応切り上げて横山委員の質問に移ってください。
○山田(長)委員 私の質問しました質問要旨の中の三番目に対して、国の重大な利益に悪影響を及ぼすおそれのあるものは明らかにしないこともあるというふうな意味のことも書いてありますが、政治献金をして、その金額までわかっていて、これを明らかにしないということは、これは国の重大な利益に悪影響を及ぼすというどこに属するのですか。
○津田政府委員 この意味は、将来の検察運営に重大なる支障を来たすということが国の重大な利益に悪影響を及ぼす、こういう意味でございます。
○山田(長)委員 五千八百万という金額がわかっていて、その政治献金を受けた人の名前を発表することが何で国の重大な利益に悪影響を及ぼすという結論になるのか、その解釈が私にはわからない。こういうことを明確にすることが何で国の重大な利益に悪影響を及ぼすのですか。私は、こういうことを次々と明らかにすることが国の将来にいい影響を及ぼすと思っている。
○高橋(等)国務大臣 先ほど来刑事局長から、検察の秘密を守りますことが現在及び将来の検察運営において非常に大切なことだということを申し上げておるのでございます。そうした意味において、いまこうした問題をここで御答弁申し上げることが検察の将来について非常な悪影響がある。一般の協力を得ることがむずかしくなりますので、そういう意味で国の利益に反する、こういう御回答を申し上げておるわけであります。
○山田(長)委員 私は大臣の答弁も理解ができません。これは私が質問を発しまして、その答弁が内閣総理大臣でありますから、ぜひ内閣総理大臣に御出席を願ってこのことを明らかにしてもらいたいと思うのです。どうぞお取り計らい願います。
○加藤委員長 委員長から申し上げますが、お申し出に関しましては理事会の席上十分協議いたしまして取り計らうことにいたします。
 横山利秋君。
○横山委員 先般大蔵委員会におきまして問題の中心になりましたあぜ道と申しますか、その問題について御質問したいのですが、時間がございませんから、同僚委員にも聞いていただくために大蔵委員会の議事録の一部をまず抜粋いたしまして、それから問題の中心にすぐに入りたいと思います。
 「登記所に備えられている土地台帳の付図に二線引きの実線で示されている無地番の土地、その多くは、一般に農地の間に存在するいわゆる二線引き畦畔で、これが一体民有地であるのか、それとも国有地であるのか。この問題は、その後各方面に異常な反響を呼んでおるのであります。」「しかし、最近のように、地域開発が進んで、工場の農村進出に伴って、農地の転売個所があると、初めて政府の国有地論にぶつかってあわてるわけであります。神奈川県でも、東名高速道路の建設もこの問題の究明が優先されませんと、その進展は阻害をされましょうし、いろいろと各方面の情報を調べますと、これは単に農地の転売による所有権の帰趨だけではなく、政府が指導している農業改善事業の中で、耕地整理が進んで、農業経営者が地目変更の登記をするときに、あらためて民有か国有かの解釈論で一もめするというぐあいに、新しい問題を提起しているわけであります。」「先回の大蔵委員会で質疑を通じて明らかになりましたことは、東海地方では「はざま」、関東地方では青地、東北地方では土手しろなどと呼ばれる国有畦畔は、政府が神奈川、千葉、静岡の三県の登記所において土地台帳の付図を調査した結果、神奈川県で百九十万坪、千葉県で二十七万坪、静岡県で百四十万坪存在すると推定されたということ、栃木県や新潟県あるいは福島県、東北を含めますともっとふえると思うのであります。第二に、政府は、これらの土地は明治六年の太政官布告百二十号によって国有地であるとの見解であること、その見解に基づいて昭和三十五年八月二十一日、東京法務局民事行政部長、同じく三十五年八月二十五日関東財務局長名で、二線引き畦畔地についてはその地主が自己所有の畦畔地として公図抹消の申請をしても受け付けないとの通牒を発しておるということがおおよそ明らかになったわけであります。大体そうだと思うのですが、間違いございませんね。」という同僚委員の質問に対して江守政府委員は、「そのとおりでございます。」時間の省略のために一部を抜粋いたしましたが、こういう経過であります。
 そこで本日法務省並びに大蔵省においで願いましたのは、この質疑の以後、政府委員と同僚委員との質疑応答によりまして、私の理解をいたしますところでは、江守政府委員は、青地のすべてが国有地であるとは言わない、土地台帳に民有となっているなら土地台帳を尊重してそのとおりに考える、青地で農道のように公共的に使用されているなら国有地だと考える、それ以外に土地台帳に何ら記載されていないなら国のものだと考える、しかし民法の取得時効の要件が完全なら所有権を主張しない等々の大蔵省側の説明をされたところであります。
 大蔵省、私の要約したことは大体間違いございませんか。
○塚本説明員 そのとおりでございます。
○横山委員 そこで法務省にお伺いをいたしたいのは、法務省は登記について大蔵省が三十五年の八月二十五日、関東財務局長名で二線引き畦畔地については地主が公図抹消の申請をしても受け付けないでくれという牽制をされました。この牽制をいたします前に、記録によりますと、江守政府委員の答弁によりますと、三多摩地区を中心にして六十九件、三千百三十二坪については処理がしてあるわけですね。この通牒が出る以前に処理したものと、通牒が出てからの法務省の取り扱いについていかなる違いを生じたか。法務省はこの大蔵省の通牒によって行政態度を変えたのかどうかということを法務省からお尋ねしたい。
○川島説明員 仰せのように、昭和三十五年の八月二十五日に、関東財務局長から東京法務局長に対しまして、二線引きの畦畔地につきましては、国有財産の管理上、当該土地が国有地でないことの権限ある官庁の証明によって明らかにされている場合に限って国有地でないものとしての取り扱いをしてもいいようにという話がございまして、その趣旨を東京法務局の民事行政部長が八月三十一日付で登記所に通達いたしております。私、それ以前の登記所の取り扱いが全般的にどうなったかはっきりいたさないのでございますが、おそらく登記所の取り扱いといたしましては、従来から台帳上の土地が誤って記載されていたという場合には、関係者の証明書、承諾書というようなものを徴しまして、その誤りを訂正することにいたしておったのでございます。この問題の二線引き畦畔地と申しますのは、台帳上その所属がはっきりしていなかったような形式になっておりますので、周囲の土地所有者の承諾書と、それから関係の地区町村長の証明書があれば、この者の所有だということで訂正をしてきたものと思われます。その場合に、当該土地が国有地であったといたしましても、市町村長などの証明がございますれば、これは一応国有地ではないという判断のもとに登記所は訂正の処理をしていたものと思うのでございますが、国の財産を管理しております財務局のほうにおいて、どうもその市町村の証明がおそらく財務局のほうへの御相談なしに行なわれたというような関係で、登記所の取り扱いが国有財産の管理に多少支障があるというところから、こういう御依頼があってこういう通達がなされたものと考えております。
○横山委員 大臣が御都合があるそうですから、問題の核心に十分に触れないままにあなたに御質問することになりそうですけれども、大体いまお聞きになったように、この畦畔いわゆるあぜ道、たんぼのまん中にあるあぜ道がいま全国でもたいへんな土地数になるわけです。それをいまお話しのように、三十五年の八月までは農地の所有者が、これは私のものであるということを主張し、周囲の者の承諾書、それから市町村の証明書、それらがあれば法務局において調査の結果それは認められておったわけです。なぜそういう問題が起こるかというと、最近のように農業改善事業や、あるいは国の国道、東名道路といえどもそうですが、国土の開発、あるいは工場の進出等によって、にわかにその問題が大きくなってきたわけです。そして法務局としては自己の判断、裁量に基づいてやっておったわけです。ところが三十五年八月に大蔵省から疑わしきものは国有地なり、要するにそういうことです。大蔵省としても、このあぜ道が自分のものだ、国有地だというふうに考えている証拠があるわけではないけれども、疑わしきものはあぜ道は国有地である。したがって、その問題について法務省がかってなと、大蔵省はそういう言い方なんです。そういうことをしてもらっては困るというものを出し、法務省は何となくそれにもたれてしまって、それによってやっておるということがきわめて農家の権益を阻害する、われわれとしてはこう考えて大蔵委員会及び本委員会で取り上げることになったわけです。したがって、これから私並びに同僚委員が質問してまいりますことは、全日本の農家にとっては重大問題なんです。大臣に私が言いたい一番根本的な問題は、法務省としては法務省としての立場があるはずだ。疑わしきものは国有地なり、所属の不明確なものは国有地である、まずそう言って、文句があったならば裁判で争って勝って持ってこいと言わんばかりの態度についてはきわめて遺憾である。大臣お聞きになっていらっしゃるならば、この問題についての御感想をひとつ。
○高橋(等)国務大臣 農地の問題につきましていろいろな沿革がございます。しかも非常に長い間の問題で時効取得等によって民有地になったものもありますが、いわゆる青地のすべてが国有地であることは法律上断定はできません。ケース・バイ・ケースによって国有か民有かを認定する以外にないのでありますから、いま御指摘のような点につきましては、事務当局のほうで大蔵省と十分連絡をさせまして、後刻御答弁をさすということで御了承願いたいと思います。
○横山委員 赤松さんがちょっと五分間ばかり御質問をして大臣帰ってもらうということでありますから、私、お帰りの前に一言だけ言っておきますが、私どもがきょう質疑をします要点は、大蔵省と密接な連絡、それはいいのです。いいのですが、大蔵省の通達にそのまま依存して、三多摩地方におけるいままで処理していた方式をお変えになった。大臣の在任中ではございませんが、お変えになって、法務省は自主性のないことをしたと私は思う。御協議はいいけれども、法務省は法務省としての立場があるのだから、全国の農家の立場、権益というものをきちんと守ってやるという立場がないといけません。その点は十分御勘案願って、後刻十分に質疑応答をいたしますが、その立場を十分お忘れないように願います。
○加藤委員長 赤松勇君。
○赤松委員 法務大臣にお尋ねするのですが、弁護権の及ぶ範囲さらに捜査権の及ぶ範囲、その限界はどうであるか。この民主憲法の精神から申しまして、ウエートは当然弁護権の尊重に置かれなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。その点について検察庁のとっておる行動について幾つか疑問があるわけであります。これは重大な弁護権の侵害である。特に平沢貞通が死刑囚として仙台の刑務所におる。このいわゆる偽証と称する事件に関連して弁護人が家宅捜索を受け、身体検査を受け、そして特別抗告に必要な補充書を作成することができない。それは証拠品としてすべて押収された。そういう場合に一体人権はどうして守られるのですか。もし補充書ができない、簡単な抗告理由書の一片で最高裁が却下をした場合、死刑が執行される、はたして人権が守られますか。しかも、この件に関しましては、世間で非常に重大な問題として扱われておる。これは単に帝銀事件のみならず、広く国民の人権を守るという観点から、今日弁護士の諸般の活動について。その活動を阻害する、もしくは著しく規制する、制限する、そういうような行為に対しまして、私は断固抗議すると同時に、この問題については徹底的に本委員会で追及せんとするものであります。しかし、本日は法務大臣都合があるようでありますから、次の機会に譲りまして、この点についての法務当局の見解も統一して発表していただきたい。ことに日本弁護士連合会は非常にこの問題を重要視して、直ちにこの問題を取り上げて、そして検察庁に対して抗議をしておることは御承知のとおりであります。弁護士会としましては、ひとり磯部弁護士あるいは鈴木弁護士の問題ではない、全弁護士間にわたる、しかも人権侵害という重大な問題だということで決意を固めて立ち上がっております。今日法曹界と検察当局とがこの問題について意見を異にし、相対立をするというような不幸な事態を招来いたしますと、これは日本の検察行政あるいは裁判制度に重大な影響をもたらすという観点から、私は特に法務大臣に今度のこの事件に関しまして注意を喚起しておきたいと思います。
 次に、先般前代議士であり、前法務委員であります猪俣浩三弁護士が、あなたに対して死刑執行停止の嘆願書をお出しになった。私は猪俣弁護士からその嘆願書をいただいたのでありますが、ただいま横山委員が質問中でございますから、私、この点につきまして一点だけ質問をしておきたいと思います。
   死刑執行停止の嘆願書
 一、帝銀事件の犯人とされている平沢貞通に対する強盗殺人等被告事件は、確定してからすでに約一〇年になろうとしています。その間、いろいろな立場の人々から種々の意見や証言や或いは又証拠が出され、右事件の真相につき、引いては右裁判そのものについてさまざまな疑問が提起されて来ました。そして昭和三七年七月一〇日には、「平沢貞通を救う会」が発足し著名な政治家や文化人を始め多数の国民がその趣旨に賛同し、右事件の真相の究明に努力を傾けている事は衆知のことであります。
 二、「平沢貞通を救う会」の事務局長森川哲郎、事務員山本晃重朗、元事務員柳寿美恵等は、約一年間にわたるたゆまぬ努力によつて、野村晴通、泉田賢一、石橋進等を探し出したのであります。右三名は、平沢が事件直後所有していた金銭の出所を証明できる証人であります。金の出所のあいまいさが平沢を有罰と認定させた重要な状況証拠の一つであると推定される右事件では、右三名の発見は重大な事実であります。そこで平沢貞通は、昭和三七年東京高等裁判所に再審の申立をした。右事件は昭和三七年す第七号、八号、一〇号事件として東京高等裁判所第六刑事部(裁判長 兼平判事)に係属したのであります。
 三、右裁判所は、森川哲郎、山本晁重朗、柳寿美恵、野村晴通、泉田賢一、石橋進等及び平沢貞通を証人として尋問しましたが、結局昭和四〇年三月十一日再審請求は理由がないとして棄却決定をしました。その理由は、要約すれば昭和二二年一〇月頃平沢が自作の絵画十五、六点を代金十五万円で野村に売却したという平沢と野村の証言は虚偽で信用できないという事であります。そして更に救う会の職員である森川、山木、柳等が右事実を予め平沢に伝達して野村の証言と一致させたものであるといつています。
 四、ところが右再審請求棄却決定の告知後間もなく右野村、石橋を始め、森川山木、そして柳までが右裁判所において共謀して偽証文は偽証教唆したという嫌疑で逮捕され目下勾留されて取調べ中であります。そして近日中に刑事訴追を受けることは明らかであります。平沢貞通を救う為に献身して来た人々が、いまや一転して自ら訴追を受ける立場になって了つたのであります。森川、山本、柳、或いは石橋、野村等が果して共謀して偽証或いは偽証教唆をしたか否かという事が今後問題とされるわけであります。そうしますと、先ず第一に、平沢が野村に絵を売つて十五万円を受取つたか否か、即ちそれは客観的事実であるか虚偽であるかという事が問題になり、第二に、平沢はそのことを真実であると信じていたか否か、及び第三に右関係人と平沢との間に虚偽の事実をあたかも真実の如く証言しようという共謀があつたか否かという三点が最も重要な争点となる筈でありますそして、右三点については、平沢貞通は最も重要且最良の証人であることは明らかであります。
 五、ところが、平沢貞通は死刑囚であります。本件によつて死刑の執行は近いのではないかという新聞の論調も認められる位であります。そして平沢の死刑の執行を停止する法律上の手段はない現状であります。然しながら今、若し平沢の死刑が執行されますと、右に述べた森川、山本、柳、野村、石橋等にかかる偽証、偽証教唆被疑事件について、右被疑者等は、最も重要且最良の証人を失う事になります。かくては公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明かにすることを目的とする刑事訴訟法の目的に違背するばかりか、「刑事被告人はすべての証人に対して審問する機会を充分与えられ……る権利を有する」という憲法三七条、及び「何人も法律の定める事項によらなければ、その生命、若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない」という憲法三一条の趣旨に反することになります。よつて、平沢貞通の死刑の執行を当分の間停止される様嘆願致します。
    昭和四〇年三月 日
        被疑者 森川哲郎 山本晁重朗
           右弁護人 猪俣 浩三
           同    藤木 時義
           同    高橋 利明
  法務大臣
    高橋 等殿
 こういう嘆願書をお受け取りになりましたかどうか。受け取っておられるとすれば、この猪俣浩三弁護士の嘆願書に対してどのような見解を持っていらっしゃるか、この際明らかにしていただきたいと思います。
○高橋(等)国務大臣 去る三月二十五日に、猪俣浩三氏外三名から、ただいまお述べになりました趣旨の嘆願書を受理いたしました。私も詳しく拝見をいたしました。しかし、この場所でお答えできますことは、特定の死刑の確定者に関します具体的な死刑の執行についてあらかじめ意見を述べるということは、これは事柄の性質上差し控えざるを得ないのでありまして、その点は御了承願っておきたいと思います。
○赤松委員 いま法務大臣の御答弁がございました。私、そのあなたの気持ちはよくわかるわけであります。ここでお願いしたいことは、一つは法律上の見地から、いま一つは人道主義の立場から、どうぞこの事件の真相がさらに明らかになるように御配慮をお願いしたい。
 もう一点法務大臣にお願いしておきたいことは、この種の事件に関して、かくも絵を何万円で売ったかという若干の食い違いについて直ちに偽証ということで、善意の――これは松川などの筋金入りの諸君の組織ではございません。善意でもって集まった小市民のつどいです。それに対して偽証だというので直ちにこれを検挙するというようなことは、今後証人がこのためにおびえて積極的に裁判にあるいは検察行政に協力することができなくなる、そういう傾向を生むことを私は非常に心配しておるわけであります。
 それから第二の点でございますけれども、いわゆるがんくつ王吉田石松の事件以来、再審の請求がほうはいとして生まれてきた。また、本委員会におきましても再審制度小委員会を設けて再審制度の活用並びに改正についていろいろ論議をしようとしている。現に神近委員もその具体案を提案されようとしている。そういう中で再審の請求の全体の空気に水をぶっかけるような、そういうような政治的配慮でこの事件が取り扱われておるのではないか、こういう疑惑が世間に漂っておるのであります。こういう点につきましても、どうぞ憲法の精神を踏まえていただきまして、そうして現行の裁判所の威信を守り、かつ公正な検察行政が発動されるように、くれぐれもひとつ法務大臣はいわゆる党人の立場から十分意を尽くしていただきたいということをお願いする次第であります。
 なお、委員長に対しましては、私は、いわゆる保険契約の問題あるいはその他の問題、なお先ほど申し上げました弁護権の問題、それから捜査権の問題など質問をする、それを留保いたしまして、ぜひ次の機会に質問をしたいと思いますので、よろしくお取り計らいを願いたいと思います。
 以上をもって終わります。
○横山委員 中断をいたしましたけれども、先ほどの私の質問の要旨は、財務局長が三十五年八月二十五日に通達を出す以前、六十九件、三千百三十二坪の土地が法務局によって処理された。つまり農家のものになった。それ以後、法務局として大蔵省の横やりによってその処置のしかたを変えたかという点が中心であります。
 いま手元にあります資料によりますと、大蔵省は法務局が処置をいたしたものについてすら、権利関係を証する資料等調査の上、当該相手方と話し合いにより円満に解決するよう努力しておるという話でありますから、法務局が処置したものにすらいちゃもんをつけておるということでありますが、法務局として、まず第一にこの六十九件、三千百三十二坪の処置について間違いがない、この問題についての責任を負っておりますか。
○川島説明員 三十五年の八月の通達の前後で取り扱いが違ってきたのではないかという点は、まさにそういう面があるわけでございます。と申しますのは、登記所といたしましては、備えつけの地図に間違いがあります場合には、関係人から明らかに間違いである、所有者から間違いであるから直してもらいたいという申し出がございました場合には、すべての関係人が異議がないという場合には、間違いであるとしてそれを申し出どおりに訂正する処置をとっておるわけでございます。それで、三十五年の八月以前におきましては、関係の土地の所有者の承諾とか、あるいはさらに市区町村長の証明などがございます場合には、それを間違いと認めて訂正をしておったわけでございますが、国の財産を管理しております財務局のほうから、この土地は国有地である、そういう申し出がありましたものですから、そういうふうになりますと、国のほうの承諾も得なければ間違いだとして直すわけにいかないということになってきたわけでありまして、その面では取り扱いが変わってきたということはいえるわけでございますが、根本におきまして、関係の者の全部の承諾があれば直す、関係の者の全部の承諾が得られない場合には直さないという方針は変わっていないわけでございます。
 そこで、それでは三十五年八月以前に処理してしまった訂正をもとへ戻すかどうかという問題があるわけでございますが、これは一々間違いであったかどうかということをすでに処理した事件について直すことはまた問題がございますので、これにつきましては、さらに関係者の申し出を待って、その上で事実をよく調べた上で処理するということにしていくわけでございます。
○横山委員 きわめて不見識な話じゃありませんか。私は二つの問題があると思う。第一は、あなた方が三十五年八月以前にやったことについて、その当時については関係者が異存がなかった、だれも異議の申し立てがなかった。だから、その処理をしたことについて自分たちが責任を持たなければいけない。そうでしょう。全部の整理がついてしまってから、後刻になって国が異議を申し立てたということについては、き然として自分たちの処理について責任を持ってもらわなければいかぬ。
 それから第二番目に、あなた方も、大蔵省が言ってきた、大蔵省がこの土地については間違いなく国のものであるという立証をして持ってきたのであるか、大蔵省の言い分にあなた方が審査をして妥当なものがありと判断をしたのかどうか。大蔵省は、疑わしきものは国有地であるからという一般的、包括的な意見でございましょう。それをただその意見があったからこれからはそうはいかないということについてもおかしいし、前にさかのぼって、みずからのとった処置についてもう一ぺん念査するということはますます失態を暴露するものではないか。だから御両者に聞きたいのだけれども、まず大蔵省もそうでありますが、三十五年八月以前にさかのぼってあくまで国は争うというまことに不手ぎわなことをするつもりであるか、法務省としては自分のとった問題について責任を負わないのであるか、それをお二人から伺いたい。
○塚本説明員 先般局長から平林委員の御質問に対しましてお答えいたしましたとおり、三十五年の通達が出ます前に国有地で民有地に登記変更されたものがあるわけでございますが、これらのものにつきましては、個々の案件に従いまして、これが具体的に国有地なりや民有地なりやということを確かめて、その上で国有のものであるならばもとに戻すように話をする、こういう方向で事務を進めてまいってきておるわけであります。
 それからただいま疑わしきは国有地であるというふうに御発言になったわけでありますが、先般の大蔵委員会でうちの局長が御説明申し上げましたように、いわゆる従来の土地制度の沿革から考えまして、二線引きとか青地とかというものに直接は関係なく、土地台帳に載っていない、無番地である、こういうものは国有地なんだということを申し上げておるわけでございまして、したがいまして、そういうようなものにつきまして誤ってその登記が変更されるということはあってはならないということを法務局のほうにお願いをいたしたわけでございます。
○川島説明員 青地が国有地か民有地かという点につきましては、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、個々の土地についてそれぞれケース・バイ・ケースによってきめていくほかはないわけでございます。そこで、登記所のほうの土地台帳なりあるいは不動産登記の事務処理の面におきましては、法律の規定に従いまして、これを訂正する場合には、訂正に必要な証明書類がそろった場合にだけするということになっておりますので、登記所といたしましては、これだけの書類があれば、地図が間違っていると認められる場合にその訂正をするという取り扱いをしているわけでございまして、この方針はずっと当初から変わっていないわけでございます。三十五年の八月以前には、国の、財務局のほうの証明がない土地についても訂正の取り扱いをしたものが若干あるようでございますけれども、これも一応処理が済みました後は、はたしてそれが国有地なのか民有地なのかということは、ケース・バイ・ケースによってきめるべき問題でございますから、直ちにそれをもとに戻すというのではなくして、国有地であるということがはっきりすれば、これはもとへ戻すけれども、しかしそれがはっきりしない限りは、いままでの訂正の処置をそのままにしておくというほかはないわけでございます。
○平林委員 ちょっと関連。いま横山委員がお尋ねになっております二線引きの畦畔地についてあなたのほうがお出しになった通牒、これによって末端の登記所の機構において、これを申請するもの、受け付けないものということで、いろいろな利害が起きてきているわけです。これは理由なき理由によって国民の権利というものを侵害しておる。大蔵省もけしからぬけれども、法務局もまことに自主性がないものだ、こういう点を指摘しなければならぬと思うのであります。しかし、法務局は二線引き畦畔というものが一体どういうものであるかということの概念をつかんであの指示を出したのですか。二線引き畦畔というものはどういうものであるかということの認識がなくて窓口に通牒を出しますと、いたずらに混乱が起きるだけであります。
 この畦畔ということばは、これは古い話になりますけれども、明治九年の五月、内務省の議定によって地所名称区分細目というものがきめられているわけです。この文書によりますと、「畦畔ト称スルモノハ田畑ノ界ニアルモノナリ」と書いてある。ですからこの意味から申しますと、二線引き畦畔というのは、そういうことばは明治九年の五月、内務省が議定した地所名称区分細目にも出てこないことばである。全く新語なんであります。それをあなたのほうは、大蔵省の言い分に従って今後受け付けない、こういう態度をとっておるわけでありまして、大体概念をどうつかんでいるかということが問題だと思うのであります。田畑の境にあるもの、その畦畔がたとい無地番であっても、農民のものであるということは間違いがないのです。大蔵省が何と言おうともこれは農民のものなんです。ですから、そういう意味からいいまして、二線引き畦畔というものをどういう概念でつかんであなた方は現場の処理をなさっておるのか、この点がちょっと聞きたいのです。
○川島説明員 土地台帳の取り扱いにおきましては、二線引き畦畔ということばは特に使っておりません。それで三十五年の八月に出しました東京法務局のほうの通達におきましても、そういうことばを使いませんで「土地台帳付属地図上地番未設定の土地」というふうに言っております。これは土地台帳の付属地図の中に地番の書き込みのない土地のことを言っております。特に二線引き畦畔であるかどうかということによって取り扱いを区別するという趣旨ではないわけでございます。
○平林委員 確かにあなたの通牒はそういう言い方をしておるから、大蔵省よりは少し事情がわかっておるのではないかと思いますが、もう一つ申し上げておきます。
 大体今日二線引き畦畔が公図上残っておることが間違いなんです。土地台帳の付図に二線引き畦畔あるいは二線引き畦畔と見られるような図表が残っておること自体が間違いなんです。ですから、本来は土地台帳の付図から抹消していくのが正しいやり方なんです。ですから今日農民、つまり国民がそういう申請をしたならば、歴史的沿革からいいまして公図の訂正を認める。そうしてそれを所有権に繰り入れていくという措置をとるのがあたりまえなんです。なぜあたりまえかという歴史を少し申し上げておきますから研究をしておいてもらいたい。
 明治十七年に地租条例が発せられました。そしてこの明治十七年の地租条例は、地租増徴をはかるために畦畔や芝地を本地に繰り入れて課税の対象にしたのであります。このときのいろいろな通達が出されておりますけれども、これに基づいて本来は土地台帳付図の二線引き畦畔というようなもの、いま政府が言っておるそういうものは公図から本来抹消して本地に繰り入れて課税の対象にしなければならぬ。時の政府は当時、明治二十七、八年の戦役の戦費を調達する意味、あるいはいろいろな経費を増徴する意味で、従来は無税地であった畦畔についても本地に繰り入れて課税対象にしていった歴史があるわけであります。ですから本来は土地台帳に残っておることがむしろ間違いなんです。残っておることが今日いろいろな意味で混乱が起きてきておるわけです。ですから、そういう意味では神奈川県に行ってごらんさい。たとえば横浜の登記所のごときは全部その趣旨が徹底しておりますから、ここでいういわゆる青色だとか薄墨色でやっておるものについては全部紙を張って訂正をしておる。お上の趣旨が徹底した地域においてはこの処置が行なわれておる。ところが、その趣旨が徹底しておらないところは行なわれておらないのです。ですから無地番というけれども、これは無地番があたりまえなんです。畦畔というものは田畑に付随するものでございますから無地番があたりまえなんです。こういう歴史があるわけでございまして、あなた方がいままでとっていた市町村長の証明だとか、あるいは土地の隣の所有者の承諾があって、その申請があれば公図を抹消していくという措置はむしろ当然だったのです。あなたのほうが明治時代の歴史的沿革を承知してやっておられた。それをちょっかい出したのが大蔵省なんです。ですからあなた方は自信を持っておやりになっていいのだし、そうしたことについて下部に間違いがないように徹底をするのが国民の権利を守るために必要な任務なんですから、そういうことでやってもらわなければなりませんが、いかがでしょう。
○川島説明員 先ほどから申し上げておりますように、土地台帳の付属地図が間違っておるという場合におきましては、その所有者の申告によりまして訂正しているわけでございます。ただ土地台帳を所管しております登記所におきましては、みずからこの土地の所有者がだれであるということを審査する権限がないわけでございまして、それはもっぱら書類の上できめていく、判断をして、そして訂正するかどうかをきめているわけでございます。したがいまして、これだけのものが異議がなければ訂正してもいいという段階において初めて訂正をするわけでございます。いまの二線引き畦畔の問題につきましても、そういう立場から従来は処理しておったわけでございますが、それは国有地――国のほうでも異議がないという考えで登記所はおそらくそういう処理をしておったものと思うのであります。ところが、実際に国有地を管理しているところのほうから、それには異議があるんだという申し出がありまして、それはやはり制度といたしましては、関係人全部の異議がないという場合に初めて訂正をするという形になっておりますから、登記所といたしましては、異議がある以上はその処置をすることができない、こういうことになるわけでございます。したがって、もしその所有者がどうしても訂正をしたいというのであれば、これは国に対してそのことを申し出て、国有地ではないという証明をもらうなり、国がどうしてもそれを承諾しないという場合には訴えを起こして、裁判によって自分の所有地であるということを証明してから、その証明書、判決とか国の証明書とか、そういうものを登記所へ提出することによって訂正の手続をとっていただくほかはない、こういうことになっておるわけでございます。
○横山委員 問題がたくさんあるのですから、はっきりしてください。ぼくが問題を提起しておるのは、三十五年八月以前の問題についてまずはっきりしてくれと言っている。あなたは多少私のほうへ寄って、まあ一ぺんきめたものだから格別のことがなければそのままにしたいということですね。あなた御了承になった。大蔵省、だらしがないですよ、あなた。あとになって……。ですから、この間の大蔵委員会の江守さんのお話でも、まあ済んだことはこれはこれ、将来についてはこうしたいというふうに、雰囲気としては私、承ったんです。また、本来どうあるべきかについても大いに議論があるんだけれども、済んだことの三千百三十二坪についてまでとことんまでほじくり返して争うという愚はやめなさい、こう言っているんですが、これはいいですね。
○塚本説明員 大蔵省としましては、その案件につきましては国有地だと現在も考えております。したがいまして、個々の案件について当事者とよくお話し合いをいたしまして問題を解決したい、こういうふうに考えております。
○横山委員 個々の人と話したいといったところで、個々の人が承知するはずない。国はあくまで裁判で争ってでも取るというつもりですか。
○塚本説明員 その土地が、いろいろ公図であるとか、または土地台帳であるとか、登記簿であるとか、いろんな点を総合すれば、国有地であるか民有地であるか、現在の基準でははっきりするとわれわれは考えております。したがいまして、われわれが考えまして、国有地であるというものを先方がどうしてもこれは民有地であるというふうに考えるならば、その段階においては訴訟にならざるを得ないような場合もあると考えております。
○横山委員 政治的判断をしろ、こう言っているんです。この間の江守さんの答弁でも、このようなことがいろいろ国民に非常に迷惑をかけても悪いから、この際総括的な一つの簡便な手段でも設けることが望ましいという答弁をしておるのに、あなたは一課長として答弁せざるを得ないからそういうことにならざるを得ぬのかもしれませんけれども、過去の済んだものについては、この問題については、済んだものとして判断をせざるを得ない、こういうふうに考えるのが当然じゃないか。あくまでも、どうしても争うというのですか。
○塚本説明員 私、おもに登記の変更がありました地方の公図を見たわけでございますが、その公図によりますと、二線引きになっております。色は青でございませんが、色が塗ってあります。その土地につきましても、民有のものもあり、また国有地のものもあるというふうに、二線引きの青地といいますか、台帳に色が塗ってあるところすべてが国有地ではないようでございます。ただ問題になっている案件が具体的にどこであるかということは、私は時間がなくて聞かなかったのでございますが、もしかりに国が思い違いをいたしておりまして、二線引きの畦畔地がすべて国有地である、こういうふうに考えて報告があるとすれば、その中には民有地に属するものもあろうかと思います。それは個々に具体的に当たってみなければ、ここで御答弁をするわけにまいりませんので、一般的に申し上げますと、先般来局長が御答弁申し上げておりますような、いわゆる国有地というものにつきましては、あくまでも国が所有権を主張しなければならない立場にあるのだということを申し上げているわけでございます。
○平林委員 ちょっと関連。
 この二線引き畦畔と政府の称するものが国有であるか民有であるかということは、いずれ委員会において結論をつけます。あなたがどうせ負けるにきまっているのだ。私はそれはもう明確に結論をつけていくつもりです。しかし、きょうは法務委員会だから、その問題は大蔵委員会でいずれ引き継いでやりましょう。
 しかし、私はいま横山委員の質問を通じてあなた方の態度が非常に官僚的であるということを申し上げておきます。なぜかというと、たとえばこの二線引き畦畔の公図を抹消して、そうして自分の所有権に繰り入れようとする国民が政府にたずねて行きますと、まずのっけに三十五年の通牒を出して、無地番の土地はすべて国有地である、こういうのですね。そこで、いや、そういうわけではない、いろいろ歴史的に調べてみると、これは民有だし、自分のものだ、こう主張すると、原則的には国有地である、こういう言い方に変わってくるのですね。初めは国有地であると、こう言う。次にこの問題を追及すると、それは原則として国有地であるというふうに豹変をする。さらに具体的な証拠その他を突きつけると、なるほど私有かもしれないけれども、こちらは私有であるということは認められない、だからもしそういう主張があるならば、裁判所に行って民事訴訟を起こしなさい。こういう三段論法できて、国民の権利はことごとくそれで退けて抹殺しているのですね。ところが、いま横山委員質問の点は、三多摩地域における調布、三鷹あるいは八王子等に見られる問題です。登記所においては、成規の登記の取り扱いに基づいて、それを公図を抹消して所有権を認めてしまう。認めるのが当然ですからあたりまえだし、第一公図が間違いだ。公図に書いてあることで所有権が移るなんということはあり得ないですよ。土地台帳の付図に書いてあるから、だからこうだというようなことで所有権が移るということはあり得ない、公図に残っていることが間違いなんですから。そこをもう少し勉強しなさいよ。しかるに、それでもなおかつ、公図を抹消して土地の所有権が自分のものに移った、それに対してはいま話し合いをしている、こう言う。国民が申し出るときには最終的に裁判で争いなさい、しかし今日三多摩地域で決定して登記済みのものについては政府が話し合いをしている、越権じゃないですか。あなた方がもし自分の権利を国として主張するなら、民事訴訟でも何でも起こして争いなさいよ。国民のほうには民事訴訟を起こさせる、政府のほうは話し合いをやる、どういう話し合いをしているのですか。払い下げ申請をしろという話し合いをしているのですか、そういうことはおかしいじゃないか。私は非常に官僚特権主義的な考え方があると思う。誤りの上塗りですよ、そんなことはおやめなさい。
○塚本説明員 話し合いというのは、できるだけ円満に問題を解決したほうが民主的ではないかということから話し合いするわけでございます。いきなり国から訴訟を起こしてやるということは妥当ではないという判断で、まずともかく話し合いをいたしまして、どうしてもまとまりがつかない場合は裁判を仰ぐというよりほかに方法がないだろうということでお話を申し上げたわけでございます。
 それから平林委員の御発言の中に、何か初めは国有地だとがんばり、原則になり、それからあいまいになっていくというお話でございますが、私も平林委員からの御質問がありまして、相当大きな問題だと思いまして、各地の公図を見たのでございますが、公図によりますと、色はまことに千差万別でございます。しかも畦畔につきまして一線で表示されておるところもある、二線で表示されておるところもある。それから二線で表示されまして、青く塗ったり、赤く塗ったり、そういう土地であっても地番が付されておるところもあります。千差万別でございますので、二線引き畦畔というものが原則として国有であるということもいえないということは、これは先般のうちの局長の答弁でも認めておるところでございます。したがいまして、個々の土地につきましてそれが国有なりや民有なりやということは、具体的に判断をしないとわからない問題ではないかと思います。したがいまして、二線引き畦畔が国有地であるというふうにも大蔵省は全然考えておりませんし、先般の局長の御答弁のように、無地番である、それから土地台帳にも載っていないというような点、いろいろ要件を勘案して、その土地の所有関係を明確にするよりほか方法がないのではないかと思います。だから外畦畔、内畦畔とかいうような問題につきましては、これはいわゆる土地台帳上記載をされておるわけであります。公簿の上においても表示されておるわけでございますので、それは民有地でございますということを御答弁を申し上げたような次第でございまして、決してただ横車で、何でもかんでも国のものだというふうに考えておるわけではないのであります。現にまた三多摩地区につきましては、国のほうが実態調査によって国有地であるというふうに観念しておったところが、公図が抹消されておる、そのような案件になっておるわけでございますから、それ以外のところも若干あるのではないかとわれわれは考えております。しかし、それは今後の実態調査に待たなければはっきりしないわけでございますから、その辺につきましては判明次第いろいろ措置を講じていきたいというふうに考えております。
 これは非常にむずかしい問題でございまして、一がいに二線引き畦畔がどうの、青地がどうの、土手しろがどうのということは言えないのじゃないか、そういうような性質の土地だというふうに、私短い間の勉強でございますが、そういうふうに観念をいたしております。個々のケースごとに国有地なりや民有地なりやというようなことを判定していくのが一番妥当ではないかというふうに考えておるようなわけでございます。
○平林委員 私、きょうは法務委員会で、法務局の人もいるし、あなたにもお話ししておきます。第一、所有権というものは、土地についてでもそうですけれども、土地台帳の付図にどういうふうに図示されているかだけで所有権を云々されては困るということです。それは間違いないんです。大蔵省の言い分はそればかりなんです。ですから、これは明治十七年の地租条列をひとつ研究しなさい。いいですね、課長。そうすれば、今日土地台帳にいう付図に記載され、いわゆる二線引き畦畔の形で掲載されているものは本来抹消すべきものであった。ただ当時の農民はその必要をあまり感じなかったものですから、そういうことを申請もしなかった。あとで気がついて申請した人もあります。ありますが、痛痒を感じなかった。ふだん田と畑との間にある境界線にしかすぎないのですから、一々そんなことをしなかった。また当時税務署もこれを徹底をしなかったので、現在付図に残っておるだけにすぎないのです。それをあなたは国有であるとかいうようなことを言っておるのは無謀きわまりないものである。あなたはいまここで私に対して、いや二線引き畦畔というのは民有のものもあるのだ、民有のものが多いかもしれぬというような趣旨のお答えをしました。しかし、あなた方が出しておる通牒はそうじゃないでしょう。大蔵省で出しているのは「二線引(無番地)の畦畔について」という通牒ですよ。そうしてこれは国有である、国有畦畔である、こういうふうに書いてあるじゃないですか。だから、いまあなたがここで答弁されたこと、あるいは大蔵委員会で局長が私に答えたことがある程度そのとおりであるならば、この通牒は撤回をして新しい見解を通知しなければならぬのですよ。それをやらない以上は、政府は態度を改めたとは言わせません。私は、それをやらない限り、この問題の解決はつかない、こういうことを言っておるわけでありまして、これは大蔵委員会でもすぐもう一度やりますから、私が指摘した根拠法規をよく調べておいてください。法務局は末端に対して従来とってきた態度を変える必要はないのですから、その趣旨がよく徹底をして無用の混乱が起こらないように注意をすべきだと思うのであります。あなたのほうも直接窓口ですから、そこで国民の権利が無用に侵害されないような指導、徹底をはかってもらいたい。いずれ大蔵省の話も続けますから、あなたのほうは事前にそういうことをやっておいたほうがよろしいと思いまして、これだけ意見として申し上げておきます。
○横山委員 法務省に聞きますが、三十五年から土地台帳その他の一元化を十年計画でやっておる。それはどういう方法で、またどういうようなものの考え方で具体的にやっておるのか。済んだところは、そうすると、この問題は、どういうことになるのか、それを少し詳しく説明してください。
○川島説明員 三十五年に土地台帳と家屋台帳の一元化という法律改正をいたしまして、それに基づいて土地台帳を不動産登記制度に統合するということをいたしておるわけでございますが、これは従来土地に関する制度が二本立てになっておりまして、土地台帳のほうは土地に関する現在のいろいろな状況を登録しておる、それに対して登記簿のほうは土地に関する権利関係を登録しておるというふうに、帳簿が二重になっておりましたので、これを一つの帳簿にいたしまして、手続の簡略をはかろうということにしたものでございます。これを統合いたしましたのはそういう趣旨でございますから、土地台帳のいままでのやり方がそのまま不動産登記のほうに入ってきたわけでございます。原則として土地台帳に相当するものはなくなったということではなくして、ただ統合されたというだけのことで、やり方は台帳の場合も登記の場合も変わりはないわけであります。
○横山委員 この問題に影響ないですか。
○川島説明員 ございません。
○横山委員 その次に時効の問題ですが、大蔵省の話によりますと、民法の取得時効の要件が完全なら所有権を主張しないということなんですが、この時効についてあくまで大蔵省は裁判で明確にならなければいやだ、こういう立場ですか。市町村長その他の時効発効の要件の証明があれば考えるというところですか。
○塚本説明員 取得時効につきましては、大蔵省所管の普通財産でありますそういう国有地につきまして、いわゆる取得時効の問題が起こるわけでございますが、それにつきましては、従来は訴訟によって決着をつけるという態度できておるわけでございます。ただ、非常に明らかに取得時効が成立しておるものまでも一々訴訟によらなければならないかというような問題はあろうかと思います。ただ、これは従来の手続の重大な変更になりますので、慎重な検討を要するところでございます。その点の問題につきましては目下検討をいたしております。したがいまして、この問題の答えはもうしばらく検討の時間をいただきませんと、お答えができないような状況でございます。
○横山委員 法務省としては、この問題についてはどうお考えです。私はもう長年の、明治以来の問題であるから、そんなに売買の変動があったということは例が少ないと思いますね。ですから市町村長が、何のだれがしは何年以来、親子代々ずっとこの農地をやっておるという証明があれば、他に争いはそんなにないと私は思うんです。その点は法務省はどうなんです。
○川島説明員 かりに国有地である青地あるいは二線引き畦畔地について、田畑の所有者がそこを取得時効に必要な期間占有したということになりますと、それは取得時効が完成して所有権を取得することになるわけであります。この場合におきましても、取得時効が完成したかどうかという点について、時効中断とかいろんな問題が出てくるわけでございます。したがいまして、時効取得ということはもちろんあると思いますけれども、登記上の取り扱いといたしましては、やはり現在、この付図訂正をするについてだれも異議がないということを条件として訂正を認める、こういう方針は続けなければならないと思っております。
○横山委員 だれも異議がないといっても、それを国は、大蔵省のほうは、先ほどお聞きになったような見解なんですね。だからあくまでも裁判によって確定をしなければならぬとは言わない、こういうわけですね。これが、そこの農地が非常に売買されておって変遷がはなはだしいというなら別だけれども、そんなに農地というものは変遷があるものではないから、その意味においては、この時効の問題については、裁判を待たなくても市町村長の証明なりあるいは周囲の人の承諾さえあれば判断が容易ではないか、こう言っているのですよ。
○塚本説明員 先ほど御説明申し上げました点に若干誤解があってはいけないと思いますので、念のために申し上げておきますが、訴訟で争うかどうかという問題は、ただ、たとえば具体的に申し上げますと、この土地をある私人が二十年間、自分は所有意思を持って使っておるのだ、だからこれは取得時効は成立しておるのだから私のものだということを国へ言ってまいります。その場合に国が、いやそれはおかしいじゃないかといって訴訟で争うか争わないかの問題でございまして、国に黙って、ともかく登記所のほうに持っていって登記の変更をすることを、訴訟という手続をとらないということが、それを認めるということにはならない。したがいまして、国は、あくまでもそれが取得時効が成立しておる、したがって向こうのものだということを国として認めて登記所のほうに、いや、それならそれは時効は成立しているから国のものではございません、こういうことになるわけです。国に黙って登記所がそれを受け付けるということにはならないのであって、そうしますと、非常に問題が起こるというふうに考えております。
○横山委員 登記所としては――これは自分のものだ、こう信じておるわけですね。信じておるからやる。もちろんあなたの言うように、お百姓が、自分のものでないかもしらぬがという場合も、それはないでもないと思う。けれども、自分のものだと信じているときに、役所へ行って、おれのものだと証明してくれというようなことは、これもおかしな話で、そういう場合に、あなたのほうで出された通牒のようなものがあると、役所の常として時間がかかり、責任を負わないためにアリバイをつくる。ああそうですがといって二つ返事でする役所は、残念ながらわが国のお役人にはないわけですよ。だからあなたの言っているのは、ていさいはいいようだけれども、結局はお百姓のためにならぬやり方だと私は考える。ですから、もしそういう気持ちがあって、時効中断のことについては善意を持って処置をさせるということならば、平林委員の言うようにその通牒ではだめなんです。その通牒について、時効中断については善意を持って、まあよほどのことでなければこれは配意をすべきであるということでもあればともかく、そういうものがなくして、原則として疑わしいものはこれは国有地であるという立場に立てば、それはあたら解決を延引するだけではないか、その点についてはどう思いますか。
○塚本説明員 ただいま申し上げましたのは、たとえば私がお百姓であるといたします。その土地を耕作をいたしておりまして二十年間たちました。そこで何かの拍子で、それがどうも自分のものになっていないということがわかるから登記所に行くわけでございます。自分のものになっておれば登記所に行くはずはないわけであります。登記所に行く、登記所のほうは、これはいろいろ見て国有地であるということになりますと、国のほうに対してこれはどうだということを聞いてまいるわけであります。いや国のものではありませんという返事があれば、登記所のほうはおそらく変更いたしまして登記をするだろう。その場合に、国のものであるかないかということをその裁判によって争うということなのか、または非常に明白に取得時効が成立しておると判断をした場合においては、元来は国のものであるけれども、もう取得時効は成立しておるからそれは国有という所有権を放棄するということが妥当であるかどうかを、裁判によらずに判断するような手続を進めるような方法はないであろうかということを申し上げたわけでございます。(横山委員「それはこちらが聞いているのだ」と呼ぶ)そういう手続は可能かどうかを目下検討をいたしておるということでございます。
○横山委員 そこで、その最後のところが大事なので、この間も、江守氏の速記をそのまま読みますと「これは私どもといたしましても、こういった小さい土地をたくさん持っておりまして、そのために国民の方に非常に迷惑をかける、あるいは新たな土地を造成したり工場をつくったりするのに非常に手間がかかるというのも私どもとしても非常に困るので、何とか早くやりたい、できれば国有地をぽっとやってしまう方法はないかということを、これは私自身の考えでありますが、そういうことさえ考えておるのでございまして、前向きに処理できるように検討をしてまいりたいと思っております。」ここのところは私は江守さんとしてはなかなかいい考えだと思うんです。いまたんぼのあぜ道を、どうしてもこれを国有地でなければ困る、百姓から取り上げなければ困るという積極的な理由が国にあるわけではないですね。あなた方も一歩譲って国の立場になれば、明白な国有地だと信ずる場合に、明白に国有地であるという積極的な証拠がある場合に黙っておるわけにはいくまいというのが、まあ国としてもさこそという感じがするわけです。しかしながら、それをどうしても国のものとしてあくまで百姓と争わなければ、国の政策上その他からいってどうしてもいけないという積極的理由が私はむしろ皆無ではないかと思うのです。だから江守さんの言うように、できれば国有地をぽっとやってしまう方法はないかと考えておるくらいであります、こういうことになっている。したがって、私はその意味からいえば、何も三多摩の六十九件、三千百三十二坪をいまになって、処理が済んだあとになって、ああこう言うような愚はやめたらどうかというのが第一。第二番目には、そこに出ておるような通牒が、非常に混迷を来たし、国の立場が無理に出ている、だからその通牒については改正をする必要がある。第三番目に、江守さんの言うような、根本的なものの考え方を変えたらどうか。それに必要な措置をしたらどうか、こういうことを言っておるわけです。最後の問題についてはいまも検討中だと言っておるが、大体どういうふうに今後検討を進めようとしておるのか、この点を伺いたい。
○塚本説明員 これは御質問のお答えにならないかもしれませんが、現在この問題で、先般の平林委員の冒頭にありますように、宅地造成であるとか、工場団地をつくる場合であるとか、こういう場合に相当問題があるわけでございます。たとえて申し上げますと、団地をつくる。その場合に民間の宅地業老がまわりの民有地を買う。買っていよいよ合筆しようとすると、その中に無番地の国有地がある。それがあるために合筆ができない。合筆ができないために今度はその払い下げを大蔵省に言ってまいるわけです。それがまた公共財産である場合には、都道府県に言ってくることになるわけでございますが、都道府県はそういうものは公共用財産として持っておる価値はございませんので、用途廃止をいたしまして、普通財産にして大蔵大臣に引き継ぐわけでございます。引き継いで大蔵大臣がそれを普通財産として売却するということになるわけです。ところが、都道府県がそれを大蔵大臣に引き継ぐ場合において、従来大蔵省は、実測をして境界査定をはっきりいたしまして持ってきなさい、ということにいたしておるわけであります。ところが、宅地造成というのは、これは非常に悪い例かもしれませんが、そういうことをやる前にわあっと平らにしてしまいますので、それが前に道であったのかみぞであったのか全然わからないわけです。あとからこれを実測をしろといっても、実行上非常に困難だということがございまして、都道府県から大蔵省に引き継がれる期間というのは、相当長期間かかっておる。それから大蔵省に引き継がれましても、それをまた実測をして売るということになりますと、相当の時間がかかるわけであります。そうすると、その間にどんどん土地は値上がりをする。宅地造成がされますと、まわりが開発をされますので、地価が上がってまいります。そうすると買うほうは、その当時買っておけば安い値段で買えたものを、現在買うことになりますと相当高くなる。こういう損害を受けることになるわけであります。これが現在この問題について具体的にわれわれ聞く問題でございます。
 まず第一に、この問題を片づけなければいけないということで、まず測量、評価という点につきまして、思い切った簡素化をしよう。内容はまだできておりませんので申し上げかねますが、従来の国有財産行政としては、ほんとうに清水の舞台から飛びおりるというくらいの気持ちで簡素化をいたしております。その通牒はほぼでき上がっておりますので、近日中に出ることになると思います。したがって、この問題はこれで片づくかと思いますが、あとの、先ほど申し上げました取得時効の簡素化の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、非常に重要な変更でございますので、現在それが可能なものであるかどうか、それからいつごろできるかどうかという点につきましては、ちょっとここでは御答弁申し上げかねるような段階でございます。
○平林委員 関連。いま最後に横山委員が質問した第三点の問題、近く通牒を出すという点について、その前に、今国会で問題を提起いたしました二線引き畦畔は国有であるか、民有であるかという理論的な解明をして、少なくとも私から文句を言われないような通牒にしてもらいたい。
 それからもう一つは、これを将来処理するにあたりましても、たとえば払い下げの措置を簡便にするということの通牒、あるいはそういう手続措置であるならば、問題は解明されていないわけであります。私は本質的に畦畔は民有地であるという主張に立つものですから、その理論がしっかりした根拠に立っていない限り、単に安易な解決として、払い下げというようなことでやってはならぬ、こういうことを私はくぎをさしておきたいと思うのであります。
 たとえば神奈川県にしても、栃木県にしても、茨城県にしても、新潟にしても、福島にしてもあります。これは明らかに国有の道路である、あるいは河川である、それに付随するところのいわゆる青地までを民有地であると主張しているのじゃないのです。道路とか河川とか水路とか、公共用の水路に付随している畦畔などについては争いません。しかし、あなた方が通牒を発しておるところの二線引き畦畔、つまり畦畔とは田、畑の境とするものであると規定をされておる。この畦畔、これは民有地である。国有とみなされ、あるいはこれを公共用とみなされる道路に付随しているものは議論のらち外です。しかし田や畑は民有地です。それに付随している畦畔、これは民有地だということは常識だと思うのです。それをこの常識に反するようなことを政府がやっておるわけですから、登記所のほうも、それで受け付けないでおるわけです。国民の権益は侵害されておるわけです。私は、この問題の処理はそこに本質的なメスをふるって、そうして歴史的に見ても正しい判断に基づいて処理する手続、通牒を発するならけっこうですが、そうでない限り私は黙っていませんから、くぎをさしておきます。
○横山委員 私も、法務省の答弁を伺わなくてもいいのだが、あわせて法務省に言っておきたいのだが、どうもこの問題についての法務省の態度があいまいだという感じがするのです。あなた方はそんなことはないと言うかもしれませんけれども、大体三多摩地域の取り扱いからいってもそうでありますし、いささか法務省として、もう少し御検討を深めて、そうしてき然たる立場で国民の権益を守るべきは守るということにならなければ、大蔵省が言ってきたから大蔵省の言うとおり、やり方まで変えてしまうというのは権威がなさ過ぎる。私も強くその点を法務省側に希望しておきます。お二人とも御意見がありましたら――なければこれで終わります。
○加藤委員長 本日の質疑はこの程度にとどめますが、先ほどの坂本委員と法務大臣との質疑応答の中に、もし不穏当なる言辞があれば、後刻速記録を取り調べの上、委員長において善処することといたします。
 次会は来たる六日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
   午後一時十八分散会