第048回国会 本会議 第10号
昭和四十年二月二十三日(火曜日)
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 議事日程 第八号
  昭和四十年二月二十三日
    午後二時開議
 第一 外務大臣椎名悦三郎君不信任決議案(山
  本幸一君外四名提出)
         (委員会審査省略要求案件)
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○本日の会議に付した案件
 人事官任命につき同意を求めるの件
 日程第一 外務大臣椎名悦三郎君不信任決議案
 (山本幸一君外四名提出)
 櫻内通商産業大臣の夕張炭鉱爆発事故について
 の発言
 吉武自治大臣の昭和四十年度地方財政計画につ
 いての発言及び質疑
 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)及び地方税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)の趣旨説明
   午後二時八分開議
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(船田中君) 御報告いたすことがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員前田房之助君は、去る十八日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において去る二十日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
  〔総員起立〕
 衆議院は多年憲政のために尽力し特に院議をも
 つてその功労を表彰された従三位勲一等前田房
 之助君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげ
 ます
     ――――◇―――――
 人事官任命につき同意を求めるの件
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 内閣から、人事官に島田巽君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 外務大臣椎名悦三郎君不信任決議
  案(山本幸一君外四名提出)
         (委員会審査省略要求案件)
○議長(船田中君) 日程第一は、提出者より委員会の審査省略の申し出があります。右申し出のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、外務大臣椎名悦三郎君不信任決議案を議題といたします。
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    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 提出者の趣旨弁明を許します。赤松勇君。
  〔赤松勇君登壇〕
○赤松勇君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました椎名外務大臣不信任決議案の趣旨説明を行なわんとするものであります。(拍手)
 まず、案文を朗読いたします。
    外務大臣椎名悦三郎君不信任決議案
  本院は、外務大臣椎名悦三郎君を信任せず。
   右決議する。
  〔拍手〕
 以下、その理由を申し上げます。
 一、外務大臣椎名悦三郎君は、国会の開会中、しかも東南アジアに重大な危機が進行しているとき、国民の大多数の反対を押し切って、あえて訪韓し、日韓基本条約の仮調印まで行なったのである。これは、佐藤内閣の外交の基本姿勢の誤りを示すとともに、日韓会談そのものについてもこれまでの懸案一括解決の言明を明らかに裏切るものである。さらに、条約の事前審議に関する憲法第七十三条の規定の精神に違反するものである。
 一、外務大臣椎名悦三郎君は、これまでの国会審議を通じて明らかなように、外交上の定見に欠けるばかりでなく、国会におけるその答弁態度は全く無責任、無能、ふまじめきわまるものである。(拍手)
 一、現在の日韓会談は、南北両朝鮮の統一を阻害し、実質上のアジア軍事同盟の結成となり、日本独占資本の経済侵出をもたらすなど、かえって日朝両民族の真の友好を妨げるものである。現に日朝それぞれの国民の間に強い反対の事実があるにもかかわらず、両政府はこの危険な計画の実現のため、一方で大衆運動の弾圧をはかるとともに、他方で日本政府はかつて反対運動の先頭に立った韓国学生を国費を使って招待し、懐柔をはかるなど、種々な策謀を試みている事実も明らかとなった。
 一、日本外交の基本は、日本及びアジアの平和と繁栄を実現することにある。しかるに外務大臣椎名悦三郎君の外交政策は、就任以来、ことごとくこれに逆行している。中国の国連代表権を否定し、吉田書簡に見られるように、日中の国交回復、経済交流を阻害し、日韓会談を促進し、原子力潜水艦の寄港を許し、アメリカの危険な東南アジア政策に公然と協力するなど、日本とアジアの平和に重大な障害を与えている。
 これが、本決議案を提出する理由であります。
 まず、私は、佐藤内閣が発足してわずか数カ月を出ずして、ここに外務大臣椎名悦三郎君に対する不信任の決議案を提出し、政府の外交政策を糾弾せざるを得ないという、きわめて重大な情勢に今日立ち至っていることを心から憂え、かつ、遺憾とするものであります。
 もともと、かの悪名高い指揮権発動によって、造船疑獄の断罪を免れ、その政治生命をからくも取りとめた佐藤首相のもと、これまた古今まれに見る大がかりな買収選挙を行なって、かろうじて司直の追及を免れた椎名外務大臣に、日本外交の将来をゆだねることについて、国民は多大の疑惑と不信の念を抱き続けておるのであります。(拍手)
 しかしながら、椎名悦三郎君が就任後、口を開けば平和外交、自主外交、アジア外交を強調し続けてきたので、その過去にとらわれることなく、虚心たんかいにその言に信頼を寄せ、池田前内閣の外交上の手詰まりを椎名外務大臣が少しでも前向きに打開していくことをわれわれはひそかに期待して、現実の外交の経緯を今日まで見守ってまいったのであります。
 ところが、外交の実際は一体どうであったか。その言に反して、対米追従、戦争につながる外交を日一日と国民の目をごまかしながら積み重ねていっているのであります。池田前内閣すら、国民世論の反対をおそれて、ついに踏み切れなかったアメリカ原子力潜水艦の寄港を許し、いままた、日韓会談の妥結を急いでいるのであります。
 中国問題にしても、前向き姿勢を継承するかのような発言を繰り返しながら、現実には日中関係の調整はおろか、池田前内閣の敷いた日中貿易拡大のレールさえも、取りはずそうとしているのであります。また、国際連合においては、アメリカが中華人民共和国の加盟を排除するために、苦肉の策として採用した重要事項指定方式を世界各国に向かってちょうちん持ちして歩く姿は、まさに卑屈な物ごいに似た対米追従外交以外の何ものでもございません。(拍手)恩に報ゆるという私情から、今日もなお台湾政府に義理立てて、国の将来を誤ることは断じて許し得ないことであります。(拍手)
 われわれは、終戦の混乱期に在華同胞に示された厚情は、七億の中国人民全部に対し感謝すべきであって、これを蒋介石一人の恩義に断じて帰すべきではないと考えておるのであります。(拍手)
 さらにまた、今日最も険悪な情勢にある南ベトナムに対して、すでに南ベトナム人民の信頼と支持を完全に喪失してしまったアメリカのかいらい政権へ、物質的な援助という名目でみずから危険な結びつきを強化し、ベトナム人民の血をさらに多く流させようとしておるのであります。もはや民心は政府を離れ、戦いにうみ、ひたすら平和を望むベトナムの実情を無視して、ゆえなく戦いを続けさせようと必死になっておるアメリカの政策に協力する佐藤内閣の政策は、強く国民の名において糾弾されなければならないと考えるのであります。(拍手)
 さらに、日本の完全独立にとって最も重要な沖繩、小笠原諸島の返還についても、日本への即時復帰という本質的な問題を避けて、いたずらにアメリカ軍による軍事占領の意義のみを評価し、施政権返還の大義を沖縄住民の福祉向上という名目にすりかえようと企図しているのであります。貧しくとも祖国のふところへという沖繩同胞の血の願いを冷ややかに傍観する政府の態度は、断じて容認できません。
 これら、椎名外務大臣が現実にとり来たり、今後推進せんとする外交を総括すれば、そこに一片の対米自主外交も、あるいは真のアジア平和外交も見出すことができないのであります。むしろ、日本がアメリカの核基地と化し、南ベトナムの戦乱にずるずると巻き込まれていく危険さえ感ずるのであります。
 御承知のごとく、アメリカと同じ陣営にあるフランスは、すでにアメリカの政治的、経済的桎梏から脱却して、そして経済的にも、また政治的にも、自立基盤を強化しながら、東西両陣営の軍事対立の間に立って、国際平和への指導権の確立に努力しつつあります。これは、単にヨーロッパにおいてだけでなく、中国、インドシナをめぐるアジアの政治情勢にも、次第に大きな影響力を与えようとしておるのであります。
 しかるに、アジアの日本を自負する政府の外交は、今日の危険なアジア政局に対して、その無力、無能ぶりを遺憾なく露呈し、何一つアジア平和への積極的な指導権を発揮し得ない状態に置かれておるのであります。いな、むしろ逆にアメリカのしり馬に乗って、すでに人民の支持と信頼を喪失している台湾、南ベトナム、韓国の政府との提携を深め、それぞれ中国、北ベトナム、北朝鮮を無益に刺激して、緊張激化と戦争への火つけ役の役割りを果たそうとしつつあるのであります。
 このように見てまいりますると、一体椎名外務大臣は、日本の将来、日本の外交のあり方について、いかなる定見を持っておるのか、はなはだ疑問に思うのであります。さらに、言行不一致、みずからの言動にいささかの責任をも感じない椎名外務大臣の態度は、もはやその任能力を越え、外務大臣の重責にたえない何よりの証拠だといわざるを得ないのであります。(拍手)
 次に、われわれが外務大臣椎名悦三郎君に対する不信仕決議案を提案する他のおもな理由は、当面の日韓会談に関してであります。
 十数年の長きにわたった日韓会談がいままで妥結しなかった最も大きな原因は、日朝両国民が常に協力に反対して戦ってきたからであります。国民の強力な反対は、韓国においてはしばしば政変をもたらすまでに発展し、交渉中断のやむなき状態をたびたび引き起こしたのは、疑いのない事実であります。
 日韓会談妥結に反対するこのような国民の意思は、今日いささかも変わっておりません。これは今後の事態がさらに一そう明瞭にしていくでありましょう。その主たる理由は、現在の日韓会談は、全朝鮮民族の共通の悲願である南北朝鮮の統一をはるか後方に追いやり、そして、南北両朝鮮がきびしく対峙する中で、疲弊した韓国経済を日本の独占資本が再び支配することを何よりもおそれているからであります。朝鮮の併合を栄光の帝国主義としてこれをみずから是認する椎名外務大臣、さらに二十年間朝鮮を保持していたらもっとよくなったであろうと外務省記者団に真意を披瀝した高杉首席代表らによって進められている日韓交渉の目的が、いまや何であるかは、言わずとも明らかであります。私たちは、栄光ある帝国主義の再来を、日本国民のためにも、アジアの平和のためにも、断固として反対せざるを得ないのであります。(拍手)
 日韓会談の妥結が南北朝鮮の分裂状態を固定化し、その対立を激化させることは、何と言おうと必至のことであります。現に、日本政府は、朝鮮民主主義人民共和国に対し、韓国と比べて、貿易の面においても、また、政治の面においても、極端な差別政策を行なっているのであります。さらに、親きょだいの訪問や墓参りすらこれを許そうとせず、まさに政府は人道の道理をも忘れてしまったのかと私は疑うものであります。日本が真に善隣友好の見地から朝鮮を考えるならば、常に全朝鮮の将来を見通し、三十五年間にわたる植民地支配を償う意味で、朝鮮人民全体の幸福と願望に沿うものでなければならないのであります。このようにして初めて、わが国の反省は朝鮮のすべての人たちによって納得されるでありましょう。椎名外務大臣は、最も近隣の朝鮮に対してさえ、朝鮮民主主義人民共和国を含む全朝鮮との将来の関係を何ら見通し得ない、まさに近視眼的外交に終始しておるといわざるを得ないのであります。沖繩の人たちの祖国復帰への心情は、南北朝鮮の人たちの統一への心情と相通ずるのであります。私は、朝鮮人民の幸福は、韓国との国交などでなく、まず何よりも統一を第一義として、それに沿うような努力をすることこそが、隣国朝鮮の最も望むところであり、それがわが国の反省の何よりのよきあかしではないかと思うのであります。(拍手)
 われわれは、この無定見な日韓会談の背後に、アメリカの危険な動向をも見のがすわけにはまいりません。すなわち、行き詰まった南ベトナムの戦線では、アメリカの要求によって韓国軍が派兵され、アジア人にはアジア人をもって戦わせるアメリカの軍事方針が、実行に移されているのであります。それと同様な事態が、日韓会談妥結を契機に、日本の自衛隊にも及ぶこと必至であります。さきに暴露された自衛隊の三矢研究は、はしなくもこのことを国民の前に明らかにしたのであります。まさにこれはアメリカを中心とするアジア軍事同盟を前提にした作戦計画にほかならないものであり、反対者に対しては強権を発動してこれを弾圧し、ひたすら日韓交渉妥結に急ぐのは、真に日朝両国民の友好善隣が目的でなく、危険な軍事目的がその背後に隠されていることに、注目せざるを得ません。(拍手)
 善隣友好を名としながら、裏では着々戦争準備が行なわれ、日本、アメリカ、韓国、台湾、それに南ベトナムとの軍事提携を深めつつある現下の重大なる現実を、われわれは声を大にして国民に訴え、この際警鐘を乱打するものであります。椎名外務大臣がもしこの戦争準備計画を知らないで日韓会談の妥結を急ぐとすれば、みずからの無知、無能ぶりを露呈したものであり、明らかに外務大臣は失格であり、もし知りつつ会談妥結を急ぐのであれば、この戦争政策には、われわれは断固として鼓を鳴らして糾弾しなければなりません。
 私どもは、かように日本の平和にとってきわめて重大な関係を持つ日韓会談が、国民の大多数の反対を押し切って強行されるのを、黙視することはできません。すでに基本条約の仮調印の段階にありながら、事前に国会で審議はおろか、報告すら行なわず、しかも不信任案の提出中にもかかわらず、椎名外務大臣が訪韓をして、仮調印まで強行するに至っては、国会無視もはなはだしく、みずから議会民主主義をじゅうりんしたものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)さらに、これは、条約の事前審議を明記する憲法第七十三条の精神にも違反する行為であり、椎名外務大臣の非民主的暴挙を、この際、国民とともに徹底的に追及せんとするものであります。
 さきの予算委員会で明らかにされたように、椎名外務大臣は、朝鮮人民の日韓会談反対運動をおそれて、かつて反対運動の先頭に立った韓国学生を国費をもって招待するなど、こそくな懐柔政策を試みておりますが、なおかつ、韓国での学生デモを防ぐことができず、緊迫した民衆のデモとなま卵や投石の歓迎を先日受けておるのであります。人民と人民との真の友好と理解を基礎としたものでない限り、かりにこそくな手段を弄して会談妥結を強行したとしても、それは両国の真の恒久的な親善友好に何ら寄与するものではないことを、特に外務大臣は銘記すべきであると思うのであります。(拍手)
 最後に、この際、政府がこれまでの逆コースを目ざす外交政策を一てきして、日韓会談を直ちに中止し、日中関係の改善、打開に努力し、沖繩、小笠原諸島の返還を求め、アジアから一切の紛争を追放するために、真に自主、独立、中立、平和の外交を積極的に展開することを強く要求してやまないものであります。
 以上、外務大臣椎名悦三郎君不信任決議案の趣旨を説明し、諸君の御賛同をお願いする次第であります。(拍手)
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○議長(船田中君) 討論の通告があります。順次これを許します。福田篤泰君。
  〔福田篤泰君登壇〕
○福田篤泰君 私は、ただいま議題となりました椎名外務大臣不信任決議案に対し、自由民主党を代表いたしまして反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 ただいま社会党代表赤松勇君は、椎名外務大臣不信任案提出の趣旨弁明を行なわれたのでありますが、その述べられたところは、全く牽強付会もはなはだしきものでありまして、はたして何のための不信任案であるか、理解に苦しむところであります。(拍手)
 不信任のおもなる理由として日韓問題を取り上げられておりますが、申すまでもなく韓国は、他のいずれの外国よりも、わが国にとって最も結びつきの深い国であります。地理的、歴史的、はたまた文化的にも、すでに千三百年以前から緊密なる関係があったことは御承知のとおりであります。この両国がその国交を正常化することは、あるべき本然の姿に戻ることでありまして、韓国は、すでに国際的にも世界の七十の国から承認をせられ、国際連合にもオブザーバーとして出席いたしておるのであります。今回の基本条約の仮調印についても、わが国の世論を代表する各有力新聞は、一昨日の二月二十一日、その社説におきまして、たとえば、一段階を画した日韓関係等の見出しをもちまして、みな賛同の意を表しておるのであります。(拍手)しかも、これによって韓国が安定し、民生が向上すれば、日本、ひいてはアジア全体の安定と繁栄にも大きな役割りを果たすことと相なり、その意義はきわめて大きなものがあります。(拍手)
 しかるに、社会党の諸君は、この当然行なわねばならない日韓交渉に対し、依然として強く反対されておりますが、その根拠は薄弱かつ多くの矛盾を含んでおるものと申さねばなりません。すなわち、その反対の理由として、第一に、韓国と国交を正常化すれば、朝鮮の分裂は永久化され、統一は阻害されると主張されておるのでありますが、しかし、南北統一を妨害しておる真の原因は一体何でありましょうか。御承知のごとく、一九五四年、すなわち十年前の国連におきまして、第九回総会が開催せられ、その節、国連の監視のもとで全朝鮮の自由選挙を行ない、これによって単一政府をつくらんとするいわゆる国連方式なるものが打ち出されたのであります。これに対し、韓国は直ちに賛成いたしましたが、北鮮側は、人口の比例を認めず、かつ監視委員会の全会一致制度を強く主張いたしまして、いまなおこの国連方式に反対いたしておるのであります。換言すれば、南北統一は、北鮮が国連方式に賛成しさえすれば実現できるのであります。(拍手)したがって、日韓正常化は統一を妨害するという社会党の主張は、全く事実を無視した議論であります。(拍手)
 これに関連して、私は社会党の諸君にお尋ねいたしたい。諸君のいかなる主張、いかなる宣伝ももとより自由であるが、北鮮が一九六一年七月、中共及びソ連と結んだ軍事同盟は、はたして南北統一の妨害になっておらないと、自信を持って断言できるでありましょうか。(拍手)この一連の軍事同盟が締結された際行なわれました演説の中で、フルシチョフ、周恩来及び金日成の諸氏は、日本、アメリカ及び韓国をもって仮想敵国となし、明らかに敵視いたしておるのであります。このことが今日統一を妨害しておる大きな原因の一つであることは明々白々であります。(拍手)さらに極言いたしますならば、彼らのいう統一とは共産国家建設を意味する以外何ものでもないと申しても過言ではないのであります。(拍手)
 私は、第二次世界大戦が生んだ今日の世界の悲劇の一つは、同一民族の領土が分割され、お互いに血をもって争っておる現象であろうと存じます。ドイツ、ベトナム、または朝鮮の分割は、その民族の悲劇であるばかりでなく、世界の平和への脅威、戦争の原因でもあります。われわれは、全力をあげて、一日も早く国連を中心としてこれら諸民族の自主的統一の実現に向かって邁進しなければならないと存じます。しかし、この問題の解決は、常に純粋に平和を愛する動機と信念のもとに努力すべきでありまして、関係各国の世界政策の道具または手段として利用してはならないと存ずるのであります。
 次に、日韓交渉をもってNEATO、すなわち北東アジア軍事同盟に結びつけ、これをつくるための前提なりとの議論もありますが、この種の議論は、ことさらに事実を歪曲した妄想にすぎないのであります。(拍手)すなわち、いわゆる十年交渉といわれました日韓交渉の過程において、いまだかつて軍事協力問題は取り上げられたこともなく、将来もまた考えておらないことは御承知のとおりであります。しかるに、NEATO軍事同盟がいまにも結成されるがごとき説を繰り返し繰り返し述べておりますることは、見ようによりましては、共産圏の軍事同盟組織と武力強化とを正当化せんとするための宣伝とも考えられるのであります。(拍手)しかも、わが国は、現行憲法に違反してまで国際的に広範なる軍事同盟に加わる義務もなければ、またその考えも持っておらぬのであります。さらに、韓国においては軍事力による統一の構想は薄らぎ、今日ではスローガンとして先建後統なる目標を掲げ、まず国内の建設に全力をあげ、しかる後に統一に進まんとする傾向にある現実も十分認識する必要があると存じます。
 次に、社会党は、今回の仮調印をもって政府は懸案一括解決の言明にそむくものであるといっておりますが、これは国際法を無視し、国会の審議権をみずから否定し、国民を欺く議論と申さねばなりません。すなわち、仮調印はあくまで外交交渉過程の中における手続にすぎないのでありまして、国民が重大なる関心を持つ漁業問題、竹島問題等はもちろんこれを次々に解決し、しかる後にこれらの諸協定をすべて一括して国会の承認を求め、同時に効力を発生せしめんとするのがいわゆる一括方式であります。(拍手)この基本方針は今後も堅持することは当然であります。
 以上申し上げましたとおり、日韓問題に対する社会党の見解なるものはいかに偏見と欺瞞に満ちておるかは、これで明々白々であろうと存ずるのであります。(拍手)願わくは、一国の運命を左右する外交政策を論ずるにあたりましては、野党の諸君も党利党略を離れ、国家的見地に立つ心がまえを持っていただきたいものであります。(拍子)
 これに関連し、本年一月韓国を訪問された社会党の長谷川保君は、一月十五日、ソウルにおける日本記者団との会見におきまして、きわめて率直に「韓国の実情を初めて見て、社会党の日韓会談反対闘争に修正を加えねばならないと感じた。」(拍手)「南北統一を実現するためには、むしろ韓国の経済的、産業的復興が先決である。わが党は北朝鮮にばかり目を注いで、いままで韓国についてはあまり知らなかった云々」と述べられておるのであります。(拍手)社会党にも正論の士ありというべきであります。(拍手)
 さらに、ベトナム問題に対しましても、社会党の主張は、あたかもひたすら米国の失敗を祈るような印象を与えておりますが、わが党は、一日も早く内戦が終結し、平和と統一を求めるベトナム大衆の熱望が実現されることを心から念願いたしており、政府もこの基本的方針をしばしば国会において声明をいたしておるのであります。現に、政府は相次ぐ戦禍に脳むベトナム国民の窮状を救うべく医療団を派遣いたしておりますが、このような人道的考慮に基づく救援措置を目して、どうしてベトナム内戦を激化するものであると強弁されるのでありますか。
 また、沖繩、小笠原問題も、施政権の返還はわが党の一貫せる方針でありまして、この線に沿って一歩一歩現実的なアジアの諸情勢の中で真剣に鋭意努力してまいっておるのであります。何ら責任のない野党の立場とはおのずから異なることは当然であります。(拍手)
 さらに、椎名外務大臣が国会開会中、かつ東南アジアの危機のさなかに訪韓したことを非難する向きもありますが、一国の外交最高責任者が機を見て東奔西走し、みずから現地に乗り込んで必要なる外交折衝を行なうことは、今日世界の外交の常道であります。日韓交渉早期妥結の重要性を認識して訪韓した外務大臣の熱意と見識とは、高く賞賛されこそすれ、これを非難するがごときは、当を得ざるもはなはだしきものといわねばなりません。(拍手)
 椎名外務大臣は、就任以来、わが国外交の基本方針にのっとり、外交施策を強力に展開してまいっておりまして、国連総会への出席、佐藤総理訪米への同行、日英定期協議出席等、全く席のあたたまるひまもないほどの活躍ぶりを示しておるのでありまして、われわれはその努力に対し、深甚なる敬意を表するものであります。(拍手)
 最後に、わが国外交を目しまして、米国追従の外交なりとし、米国がその背後にあって圧力をかけているとの、まことに恥ずべき無定見なる説をなす者がいまだに残っております。しかしながら、われわれは、誇りを持つべきわが国が、外国の指図によって動くというがごときは、みずからその愛すべき祖国の自主性と尊厳とを傷つけるものなりと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)いな、むしろ、日韓交渉反対を、原子力潜水艦寄港阻止とともに、総評と左翼勢力を中心とする政治運動に織り込み、政府の外交政策をいたずらに非難攻撃せんとするがごときは、まさに共産諸国家の宣伝と謀略に乗ぜられつつありとの良識ある国民の批判に対し、社会党は、謙虚に反省の要ありと信ずるものであります。
 以上、椎名外務大臣不信任決議案に対する反対の所見を申し上げ、諸君の御賛同をお願いするものであります。(拍手)
○議長(船田中君) 石野久男君。
  〔石野久男君登壇〕
○石野久男君 私は、ただいま上程されました椎名外務大臣不信任案に、日本社会党を代表して賛成の討論をいたさんとするものであります。(拍手)
 ただいま福田議員は、椎名外務大臣の信任を支持するために、こじつけた意見を述べられました。民族を裏切り、軍閥の上に乗っかった朴政権、それと取引をしておるところの佐藤内閣、その佐藤内閣がいま日韓会談を進めるにあたって、北の朝鮮の問題に触れて、福田議員は、社会党に尋ねると言いました。社会党は、六一年七月の中国と朝鮮との軍事同盟をどういうふうに考えているかということであります。韓国はアメリカとの間に、すでにそれ以前から軍事同盟を持っておるということを福田さんは知らないでおる。(拍手)そうして、彼は、虚構の事実の上に立って、いたずらに非難しようとしておるのであります。
 私は、これから椎名外務大臣を不信任する理由を申し上げます。
 賛成する第一の理由は、椎名外相は、平和外交の識見がないということであります。特に、アジア外交における基本的理念が大東亜共栄圏の夢を依然として追っておる亡国の政治屋であるということであります。
 今日、日本の外交は、中国、朝鮮を中心としたアジア平和外交の確立なくしては、経済的にも、政治的にも、百年の計を誤ることはだれでも知っていることであります。(拍手)しかるに、椎名外相は、その著書「童話と政治」で、「台湾を経営し、朝鮮を合邦し、満州に五族協和の天地をつくったことが帝国主義といわれるなら、それは光栄の帝国主義である。」わずか二年前に、このことを彼が通産大臣のときに書いておるのであります。(拍手)彼は予算委員会において、そのことは、すでにもう改めたと言いました。そしてまた、彼は、共同声明の中においても、それを改めたと言っております。しかし、彼は依然として中国封じ込めの政策に確信を持っております。その政策は改めようとはしていないのであります。彼はまた、三十六年間にわたる日本の朝鮮支配に反省せず、朝鮮人民の南北統一を少しも考えようとしていないのであります。むしろ、平和統一を決定的に阻害する日韓会談基本条約の仮調印をしたのであります。椎名外相の、光栄の帝国主義の考え方を全く改めたという答弁はうそであります。アメリカの中国封じ込め政策に積極的に協力し、北進滅共統一の朴政権とかたく手を握って、椎名外相の行なうその政策の中の、いずれに光栄の帝国主義の思想が消えているということが言えるのでありますか。いずこに過去を反省し、朝鮮国民に示しておるということが言えるのでありましょうか、椎名外交は、依然として忘れることのできない光栄の帝国主義、大東亜共栄圏の夢を追い、平和外交の基調を持っていないという事実を示しておるのであります。(拍手)
 第二の理由は、彼が行なった日韓基本条約の仮調印は、秘密外交の最たるものであるということであります。
 憲法をじゅうりんし、国会を無視し、侮辱することこれに過ぎるものはないといわなければなりません。椎名外相は、本院において日韓会談の一括解決を確認し、基本条約の仮調印を行なわないということを明確にし、また、羽田を立つ際にも重ねてそのことを声明した。しかし、わずか三時間の後、金浦飛行場におり立つや、胸を張って、仮調印する意思のあることを公式に声明したのであります。何たる国会を侮辱することでありますか。われわれは、このような椎名外相の政治姿勢を問題にしなければなりません。彼は、台閣に列して、身を外務大臣の要職に置き、その政治責任をはたして何人に対してとろうとしておるのでありましょうか。彼の眼中には、アメリカと朴かいらい政権があって、祖国と日本人がないのであります。(拍手)われわれは、かくのごとき外務大臣に国政をゆだねることはできないのであります。
 条約第三条は、韓国政府を規定するにあたって、かつて池田政府が再三再四にわたって確認した三十八度線の南にある限定政権であるという事実をぼやかし、朝鮮民主主義共和国の実在を故意に抹消しようとしているのであります。その表現は、朴政権の北進滅共統一を支持する戦争政策に加担していることを意味し、きわめて危険であります。のみならず、国会に対する政府答弁をほごにする、悪質にしてきわめて反動的な、民主国会を冒涜する非立憲的政治態度であるといわなければなりません。(拍手)憲法第七十三条第二項、第三項、外交関係の報告、条約事項の事前の国会承認を意識的に踏みにじっていることとあわせて、憲法をじゅうりんし、国民と国会を欺いて、秘密外交を強行する椎名外相を、憲法を守り、民主国会の尊厳と日本の平和を守るために、断固として糾弾せざるを得ないのであります。(拍手)
 第三の理由は、日韓会談早期妥結の必要性は、もっぱらアメリカ側にあって、椎名外相は、あやつり人形が演ずるサル芝居に似て、その外交に自主性を欠いているということであります。
 昨年六月、韓国の学生デモで日韓会談が中断するや、間もなく在日、在韓米国大公使が第七次会談再開のためにきわめて活発に裏工作を行なったことは、諸君御承知のところであります。在日エマーソン公使の動きは特に目ざましく、七次会談再開後、本月二日、彼は在日韓国代表部をたずね、日本国外務省に足を運び、日韓早期妥結を強要しているのであります。また、椎名外相訪韓と時期を合わせて、米国務省のメンデンホール担当地域局長ら三名の高官がソウルにおもむき、その側面援助を行なっておるのであります。韓国の各新聞は、このことを三角交渉だとして激しく非難しているのであります。さらにまた、二月十八日、米国防長官マクナマラが、下院の軍事委員会に提出した国防年次報告書には、本筋とは全く関係のない日韓交渉に重大な関心が払われているのであります。さきに問題になりました三矢研究における日韓会談早期妥結が条件となっていることと符節を合わして、軍事的要請が日韓会談に各方面から期待されていることを見のがすわけにはまいらぬのであります。(拍手)アメリカは日韓会談を重視しております。そして積極的に働きかけているのであります。アメリカはベトナム戦線後退のやむなき状態を早くから知っております。アメリカは極東における米国の軍事基地として、大陸最後のよりどころを南朝鮮にかけております。その南朝鮮を死守する肩がわりに日本が期待され、椎名外務大臣は、その糸のたぐられるままにあやつられているのであります。見よ、われわれの周囲には、南朝鮮の人民と手をつながずして、軍事政権朴正煕と手をつながなければならぬ一片の条件だにあるでありましょうか。自主性なき椎名外相を不信任するゆえんのもの、ここにあるのであります。
 福田氏は、わが党の、日韓会談が東北アジア軍事同盟であるということは妄想だということを言いました。しかし、東北アジア軍事同盟機構を結成することを終局目標にしている日韓会談は、まさに福田氏の言うこととは違うのでありまして、反共軍事同盟の輝ける旗手たらんとしている椎名外相は、この日韓会談の早期妥結のために真剣な努力をしておるが、われわれは、そのことを絶対に信任することはできない。
 アメリカの国務省極東担当官は、仮調印は日韓両国のみならず、広く自由主義諸国全体の利益につながると声明し、韓国はすでに米国の要請を受けて、南ベトナム戦線に派兵しているが、米国は、今後、日韓が協力して、中共や北朝鮮など、共産勢力の進出に対して有効な防壁として、極東における安保体制の強化に役立つことを願っていると語っているのであります。基本条約仮調印は、米国のかくのごとき軍事要請にこたえて調印されたものであります。
 椎名外相は、第一次外相会談の間、李東元外相と単独会見を行なった際に、李外相から次の四つの提案を受けているのであります。
 その一、東南アジア外相会談に対する日本の支援、二、第二回AA会議をはじめとする国際会議における日本の協調、三、韓国の労働と技術の対日輸出、四、東南アジア防衛条約を補完する集団安全保障体制の樹立、これらの提案に対して椎名外務大臣は、対中共、対北朝鮮政策の変化に対応して十分事前協議をすることに同意したと、二月十九日付朝鮮日報が報じておるのであります。このことはきわめて重大であります。第一項は、東南アジア反共八カ国外相会議に同調することであります。第四項は、まさに東北アジア軍事同盟、NEATO体制の確立に参画することを意味するのであります。(拍手)われわれの憂えていたことが具体的になってきておる。東北アジア軍事同盟への事前協議と協力を日韓会談は包み隠しているのであり、椎名外相は国会と国民を偽っているのであります。その馬脚は露出し、朝鮮海峡を渡った報道が、われわれに警鐘を乱打しておるのであります。憲法の平和条項は、日韓会談によって、椎名外相の強引な仮調印によって具体的に改悪されようとしているのであります。
 かつては満州国官吏として、戦時中は動員局長として歩んだ、古い帝国主義的郷愁にかられて行なう椎名外相の朝鮮に対する軍国主義的行動と破廉恥な政治活動は、祖国の平和憲法の崇高な精神を踏みにじって、再び戦争への道を歩もうとしている。われわれは、椎名外相を直ちに罷免しなければならぬ理由をここに見出すのであります。(拍手)
 第五の理由は、仮調印に成功した椎名外相も、韓国民衆の実情を正しく把握していないということであります。
 ソウルに飛んだ四日間、椎名外相は、韓国の実情が戒厳令にもまさる異常警戒、乙号体制化に置かれていたことを承知のはずであります。金浦飛行場におり立った外相は、朝鮮人民の血で染め抜かれた赤じゅうたんを踏み、儀仗兵を従えて閲兵した。外国の元首並み待遇を受けたそうである。しかし、外相は、宿舎から政府や青瓦台に出向くのにも、車の両側は常に数百名の警官に護衛されなければならなかったということをNHKは報じているではありませんか。異常警戒のもと、集会もデモも禁止せられていたにもかかわらず、南山公園には約十万の群集が、光化門から世宗路に及んで充満し、集会が不許可になるや、独自の力で市庁舎前に四千名の会合が行なわれ、その先頭に民政党の総裁尹フ善氏が立ち、日韓会談に反対し、椎名訪韓反対を叫び続けていたことを承知のはずであります。また、冬期休暇で十分強力に結集のできない学生たちが九項目の要求を提出し、その中には、高杉発言の取り消しはもちろん、椎名外相の、光栄の帝国主義論文に対して、匍匐再拝せよと大書して要求していることを承知のはずであります。祖国を愛する韓国の民衆は、椎名外務大臣を、古い帝国主義的亡霊と見ても、友好善隣の平和使節とは見ていなかったのであります。(拍手)二十二日に民政党の大会が終わり、二十五日から対日屈辱外交反対委員会が全国的に地方遊説に入ります。二月十八日の六・三同志会――これは学生の集会です。その伊藤博文の亡霊を葬る集会とともに、三月から四月の間、数多くの革命記念事業が行なわれるのであります。新学期とともに学生の活動は活発化し、加うるに、絶糧農家の苦悩は、経済的底流が昨年以上に悪化している実情と結合して、日韓会談反対の声が、またせきを切った大河のごとくに国民大衆の側から出てくるであろうことは必定であります。(拍手)
 韓国の全野党、学生、農漁民の中に、朴政権に対する不信と日韓会談に対する反対の勢力はますます強くなります。南北平和統一を最大の願いとし、米軍と日本帝国主義の再来をきびしく警戒している韓国の実情を無視して日韓会談妥結のムードをつくることは、どだい無理なのであります。椎名外相は、韓国の朴かいらい政権との間に仮調印を行なったけれども、韓国の民衆の中に親善ムードをつくり出すことには失敗したのであります。日韓会談は、五月妥結どころか、五月崩壊の悲劇に立ち至るでありましょう。われわれは、かくのごとく日韓会談推進に立ち働いた椎名外相に対して、一日もその座につくことを許しません。
 最後に、われわれ社会党は、南北朝鮮の平和的統一の達成が、真にアジアの平和に寄与し、その上に立った日本と朝鮮の国交正常化が、アジアの危機を脱する最大の契機になることを再び強調して、外務大臣椎名悦三郎君不信任案に対する賛成の討論にかえます。(拍手)
○議長(船田中君) 山下榮二君。
  〔山下榮二君登壇〕
○山下榮二君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました外務大臣椎名悦三郎君の不信任決議案に対し、賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 まず冒頭に、われわれが本決議案に賛成する基本的立場は、椎名外相をこれ以上留任せしめることは、第一に、大多数の国民が希求する日韓関係の合理的解決を妨げると思うからであります。第二に、わが国が当面する外交の前途に重大なる障害を与えるおそれが甚大であると思われるからであります。(拍手)したがって、わが党が椎名外相をその職から退けなければならないとする理由は、日韓会談そのものに反対する立場にある社会党の決議案とは、その趣旨と内容においておのずから異なるものであることをあらかじめ明らかにしておきたいと存ずるのであります。
 わが党の日韓問題についての基本的立場は、李ライン問題をはじめ、漁業問題、竹島問題等、わが国民の権益を守るためにぜひとも解決しなければならない諸案件が山積している現状にかんがみまして、韓国との間に会談を進め、懸案の一括解決と国交回復をはかることは、わが国外交上の当然の使命であると考えるからでございます。(拍手)これは今後もわが党の不変の方針であります。
 しかし、このようなわれわれの立場からしても、今回の椎名外務大臣によって突如として行なわれました基本条約の仮調印は、あまりにも国会と国民を軽視した暴挙であると断じ、われわれの容認し得るところではございません。(拍手)特に今回の椎名外相のとった態度は、一括解決というこれまでの政府の基本原則を全く放棄したものというべきであります。すなわち、季ライン等漁業問題、領土問題、在日朝鮮人の法的地位問題等、国民の利害に重大な関係を持つ諸問題のことごとくが目下未解決の状態にあることは、周知の事実でございます。しかるに、これを放棄して、日韓基本条約についてのみ拙速に調印したことは、これまで政府がたびたび公約してきた一括解決の方針に反するものであり、とうていわれわれの納得でき得ないところでございます。(拍手)
 日韓交渉に対するこれまでの政府の態度を顧みると、日本側の負担分である請求権問題を先に合意したり、あるいはこのたびのように、西日本漁民がかたずをのんで注視する肝心の漁業問題の具体的な解決はこれを放置して、基本条約の調印を急ぐ等、あまりにも韓国ペースに引き回されて、わが国の自主的な利益の確保について十分な努力がなされていないことは、きわめて遺憾であると申さなければなりません。(拍手)特にわが国の立場から見て、日韓問題の焦点は、多年にわたる両民族の意思の疎隔状態を解消して、全く平等な立場で近隣する両国の共存共栄をはかることにあると思うのであります。この見地に立って、わが国民が最大の関心を持つ漁業交渉については、漁船立ち入り区域あるいは出漁船または対韓漁業協力資金等において両国の主張に大きな開きを生じ、その早期妥結の見通しが定まらない状態の中で、いたずらに基本条約の仮調印が急がれたことは、本末転倒の拙速外交以外の何ものでもないと申さなければならぬのであります。(拍手)
 さらにまた、われわれが黙視できない問題は、韓国の管轄区域の範囲が基本条約であいまいにされたことであります。すなわち、基本条約では、「韓国政府は朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される」とあるのみで、その具体的な管轄区域についての明確な規定が一言半句も挿入されずに終わったことは、将来に重大な禍根を残すものであり、わが党としては絶対黙視できないところでございます。すなわち、将来北鮮との関係において、対日請求権問題や在日朝鮮人問題等、重要な問題が再度蒸し返される原因を基本条約それ自体がつくり出していることは、きわめて重大であると申さなければなりません。(拍手)北鮮との関係を十分考慮しつつ日韓交渉を進めよという国民やわが党の主張を全く無視したものというべきでございます。
 同時に、われわれが見過ごしてならないことは、椎名外務大臣訪韓の目的が日韓基本条約の仮調印にあったにもかかわらず、出発前の国会審議においてその意図と内容を国民の前に何ら明らかにせず、秘密裏に事を運んできたやり方でございます。(拍手)このことは、日韓関係の正常化と善隣外交を心から願う国民多数の純粋な心情を踏みにじることはなはだしいといわなければならぬのでございます。外交の衝に当たる立場の公僕として、とうてい許しがたいといわなければなりません。この点、かつて大野・金鍾泌ラインによる裏取引が、日韓両国において利権、疑獄等の疑惑を招き、かえって会談の促進を妨げた過去の苦い経験をいささかも反省していないといわなければならぬのであります。(拍手)
 わが国外交の当面の使命は、激動する世界、とりわけアジアの政治経済情勢の中にあって、わが国の安全と利益をはかりつつ、アジア諸国民の正しい要求に積極的に耳を傾け、アジア地域の平和と繁栄のための具体的方策をわが国が率先して提示し、勇気をもってその実践に当たることこそがきわめて重要であると考えるのであります。(拍手)
 しかるに、椎名外務大臣がとってきた外交政策並びに国会審議における態度は、今回の基本条約の仮調印の強行のみならず、先般の対韓二千万ドル援助の強行、国連からの中共締め出しを意図する重要事項指定方式、または対中共プラント輸出にからむ吉田書簡問題等、あらゆる重要案件について、ふまじめにして優柔不断であり、わが国を代表して外交の衝に当たる資格を完全に喪失していると断じてもはばからないと思うのであります。(拍手)
 わが党は、昨年来の米英ソ三国の首班の交代や中共の核実験、ベトナム情勢の緊迫化等、激動しつつあるきびしい国際情勢の中にあって、このような外務大臣がこれ以上その地位にとどまることは、国家的に見て大きな損失であると判断するものであります。
 以上が、本決議案に賛成するわが党の基本的態度であります。
 私は、ここに最後に、佐藤総理大臣が、一切の行きがかりにとらわれず、大局的見地からこのような外相をすみやかに更迭して、佐藤内閣の正しい外交方針を打ち出されることこそがきわめて重要であると考える次第でございまして、かような決意を固められることを特に要望いたしまして、私の賛成討論を終わる次第でございます。(拍手)
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
○議長(船田中君) 氏名点呼を命じます。
  〔参事氏名を点呼〕
  〔各員投票〕
○議長(船田中君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開鎖。――開鎖。
  〔議場開鎖〕
○議長(船田中君) 投票を計算いたさせます。
  〔参事投票を計算〕
○議長(船田中君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔事務総長報告〕
 投票総数 三百九十六
  可とする者(白票)       百四十八
  〔拍手〕
  否とする者(青票)      二百四十八
  〔拍手〕
○議長(船田中君) 右の結果、外務大臣椎名悦三郎君不信任決議案は否決されました。(拍手)
    ―――――――――――――
 山本幸一君外四名提出外務大臣椎名悦三郎君不
 信任決議案を可とする議員の氏名
      赤路 友藏君    赤松  勇君
     茜ケ久保重光君    秋山 徳雄君
      足鹿  覺君    有馬 輝武君
      淡谷 悠藏君    安宅 常彦君
      井岡 大治君    井谷 正吉君
      井手 以誠君    伊藤よし子君
      石田 宥全君    石野 久男君
      石橋 政嗣君    板川 正吾君
      稻村 隆一君    卜部 政巳君
      小川 三男君    大出  俊君
      大柴 滋夫君    大原  亨君
      大村 邦夫君    岡  良一君
      岡田 春夫君    岡本 隆一君
      落合 寛茂君    加賀田 進君
      加藤 清二君    片島  港君
      勝澤 芳雄君    角屋堅次郎君
      金丸 徳重君    川俣 清音君
      河野  正君    久保 三郎君
      久保田鶴松君    栗原 俊夫君
      黒田 寿男君    小林  進君
      小松  幹君    兒玉 末男君
      五島 虎雄君    河野  密君
      佐々木更三君    佐藤觀次郎君
      桜井 茂尚君    沢田 政治君
      重盛 寿治君    實川 清之君
      島上善五郎君    島口重次郎君
      下平 正一君    東海林 稔君
      鈴木茂三郎君    田口 誠治君
      田中織之進君    田中 武夫君
      田原 春次君    多賀谷真稔君
      高田 富之君    高橋 重信君
      滝井 義高君    楯 兼次郎君
      只松 祐治君    戸叶 里子君
      堂森 芳夫君    泊谷 裕夫君
      中井徳次郎君    中澤 一茂君
      中嶋 英夫君    中村 重光君
      中村 高一君    永井勝次郎君
      楢崎弥之助君    成田 知巳君
      二宮 武夫君    西宮  弘君
      西村 関一君    野口 忠夫君
      野原  覺君    野間千代三君
      芳賀  貢君    長谷川正三君
      畑   和君    華山 親義君
      原   茂君    原   彪君
      肥田 次郎君    平岡忠次郎君
      平林  剛君    藤田 高敏君
      帆足  計君    穗積 七郎君
      細迫 兼光君    細谷 治嘉君
      堀  昌雄君    前田榮之助君
      松井 政吉君    松井  誠君
      松浦 定義君    松平 忠久君
      松本 七郎君    三木 喜夫君
      武藤 山治君    村山 喜一君
      森  義視君    森本  靖君
      八木 一男君    八木  昇君
      矢尾喜三郎君    安井 吉典君
      柳田 秀一君    山内  広君
      山口丈太郎君    山崎 始男君
      山田 長司君    山田 耻目君
      山花 秀雄君    山本 幸一君
      湯山  勇君    横路 節雄君
      吉村 吉雄君    和田 博雄君
      麻生 良方君    伊藤卯四郎君
      今澄  勇君    受田 新吉君
      内海  清君    春日 一幸君
      小平  忠君    佐々木良作君
      鈴木  一君    竹本 孫一君
      竹谷源太郎君    玉置 一徳君
      中村 時雄君    永末 英一君
      西尾 末廣君    西村 榮一君
      門司  亮君    本島百合子君
      山下 榮二君    吉田 賢一君
      川上 貫一君    谷口善太郎君
      林  百郎君    志賀 義雄君
 否とする議員の氏名
      相川 勝六君    逢澤  寛君
      愛知 揆一君    青木 正君
      赤城 宗徳君    赤澤 正道君
      秋田 大助君    天野 公義君
      天野 光晴君    綾部健太郎君
      荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君
      有田 喜一君    安藤  覺君
      井出一太郎君    井原 岸高君
      井村 重雄君    伊東 隆治君
      伊能繁次郎君    岩動 道行君
      池田 清志君    池田正之輔君
      石井光次郎君    石田 博英君
      一萬田尚登君    稻葉  修君
     稻村左近四郎君    今松 治郎君
      宇野 宗佑君    上村千一郎君
      植木庚子郎君    臼井 莊一君
      内田 常雄君    浦野 幸男君
      江崎 真澄君    小川 半次君
      小川 平二君    小沢 辰男君
      小澤佐重喜君    小渕 恵三君
      大石 八治君    大石 武一君
      大泉 寛三君    大久保武雄君
      大倉 三郎君    大竹 太郎君
      大坪 保雄君    大西 正男君
      大野  明君    大橋 武夫君
      大平 正芳君    奥野 誠亮君
      押谷 富三君    加藤 精三君
      加藤 高藏君    加藤常太郎君
      賀屋 興宣君    鍛冶 良作君
      海部 俊樹君    金子 一平君
      金子 岩三君    金丸  信君
      上林山榮吉君    神田  博君
      亀岡 高夫君    亀山 孝一君
      鴨田 宗一君    唐澤 俊樹君
      仮谷 忠男君    川崎 秀二君
      川島正次郎君    川野 芳滿君
      木部 佳昭君    木村 剛輔君
      木村武千代君    木村 俊夫君
      菊池 義郎君    吉川 久衛君
      清瀬 一郎君    久野 忠治君
      久保田円次君    草野一郎平君
      鯨岡 兵輔君    熊谷 義雄君
      倉成  正君    藏内 修治君
      黒金 泰美君    小泉 純也君
      小枝 一雄君    小金 義照君
      小坂善太郎君    小島 徹三君
      小平 久雄君   小宮山重四郎君
      小山 長規君    小山 省二君
      纐纈 彌三君    佐伯 宗義君
      佐々木秀世君    佐々木義武君
      佐藤 榮作君    佐藤 孝行君
      佐藤洋之助君    齋藤 邦吉君
      坂田 道太君    坂村 吉正君
      櫻内 義雄君    四宮 久吉君
      始関 伊平君    椎熊 三郎君
      重政 誠之君    篠田 弘作君
      澁谷 直藏君    島村 一郎君
      正示啓次郎君    周東 英雄君
      鈴木 善幸君    砂田 重民君
      砂原  格君    瀬戸山三男君
      關谷 勝利君    園田  直君
      田川 誠一君    田口長治郎君
      田中伊三次君    田中 榮一君
      田中 角榮君    田中 彰治君
      田中 龍夫君    田中 正巳君
      田中 六助君    田邉 國男君
      田村 良平君    高瀬  博君
      高橋清一郎君    高橋 禎一君
      高橋  等君    高見 三郎君
      竹下  登君    竹山祐太郎君
      武市 恭信君    舘林三喜男君
      谷垣 專一君    谷川 和穗君
      千葉 三郎君    地崎宇三郎君
      塚田  徹君    塚原 俊郎君
      辻  寛一君    綱島 正興君
      坪川 信三君    渡海元三郎君
      登坂重次郎君    徳安 實藏君
      床次 徳二君    内藤  隆君
      中垣 國男君    中川 一郎君
      中島 茂喜君    中曽根康弘君
      中野 四郎君    中村 梅吉君
      中村 幸八君    中村 寅太君
      中村庸一郎君    中山 榮一君
      永田 亮一君    永山 忠則君
      灘尾 弘吉君    南條 徳男君
      二階堂 進君    丹羽喬四郎君
      丹羽 兵助君    西岡 武夫君
      西村 英一君    西村 直己君
      根本龍太郎君    野田 卯一君
      野田 武夫君    野原 正勝君
      野見山清造君    野呂 恭一君
      馬場 元治    橋本登美三郎君
      橋本龍太郎君    長谷川四郎君
      長谷川 峻君    八田 貞義君
      服部 安司君    濱田 幸雄君
      濱地 文平君    濱野 清吾君
      早川  崇君    原 健三郎君
      原田  憲君    福井  勇君
      福田 繁芳君    福田 篤泰君
      福田  一君    福永 一臣君
      福永 健司君    藤井 勝志君
      藤枝 泉介君    藤尾 正行君
      藤田 義光君    藤本 孝雄君
      藤山愛一郎君    古井 喜實君
      古川 丈吉君    保科善四郎君
      坊  秀男君    星島 二郎君
      細田 吉藏君    堀内 一雄君
      堀川 恭平君    本名  武君
      前田 正男君    増田甲子七君
      松浦周太郎君    松澤 雄藏君
      松田 鐡蔵君    松野 頼三君
      松村 謙三君    松山千惠子君
      三池  信君    三木 武夫君
      三原 朝雄君    水田三喜男君
      村上  勇君    村山 達雄君
      毛利 松平君    粟山  秀君
      森   清君    森下 國雄君
     山口喜久一郎君    山崎  巖君
      山田 彌一君    山手 滿男君
      山中 貞則君    山村新治郎君
      山本 勝市君    山本 幸雄君
      吉田 重延君    和爾俊二郎君
     早稻田右エ門君    渡辺 栄一君
      渡辺美智雄君    亘  四郎君
     ――――◇―――――
 櫻内通商産業大臣の夕張炭鉱爆発事故につい
  ての発言
○議長(船田中君) 櫻内通商産業大臣から、夕張炭鉱爆発事故について発言を求められております。これを許します。通商産業大臣櫻内義雄君。
  〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
○国務大臣(櫻内義雄君) このたび夕張炭鉱に起こった災害により、多数の犠牲者の発生を見たことは、はなはだ遺憾にたえないところでありまして、申し上げることばもない次第であります。
 災害の概況について申し上げますと、昨二月二十二日午後六時三十分ごろ、北海道炭礦汽船株式会社経営の夕張炭鉱一鉱丁未坑において、ガス爆発によるものと思われる爆発事故が発生し、当日二番方として作業に従事していた鉱山労務者百七十二名中六十九名が坑内に閉じ込められたのであります。
 災害発生と同時に救護隊を招集し、これら六十九名の救出作業につとめたところ、二十三日午前十時現在、死亡二十名、負傷者九名、計二十九名を収容し、残り四十名については現在救出作業を実施中でございます。
 災害発生と同時に、現地監督署及び札幌鉱山保安監督局より監督官数名を現地に急行させるとともに、今早朝、本省鉱山保安局より局長外一名を現地に急派し、罹災者の救出、災害状況の把握及びこれが対策の樹立等に当たらせておりますが、今後の対策につきましては、現地に、総務副長官を本部長とし、総理府をはじめ関係各省の職員によって構成される災害対策本部を設置し、早急に適切な対策を講ずるよう閣議の決定を見た次第であります。
 不幸にして本災害の犠牲者となられた方々に対し深い哀悼の意を表するとともに、今後再びかかる災害の発生しないよう徹底的に原因を究明し、十分な対策を講じてまいる所存であります。
 右、御報告いたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 吉武自治大臣の昭和四十年度地方財政計画に
  ついての発言
○議長(船田中君) 吉武自治大臣から、昭和四十年度地方財政計画について発言を求められております。これを許します。自治大臣吉武恵市君。
  〔国務大臣吉武恵市君登壇〕
○国務大臣(吉武恵市君) このたび昭和四十年度の地方財政計画を策定いたしましたが、この機会に、これを中心として、明年度の地方財政の見通し及び地方財政に関する政府施策の概要について申し述べたいと存じます。
 最近における地方財政は、歳入の伸びの鈍化と義務的経費の増高とにより、その運営に困難の度を加えてきており、政府といたしましても、その健全化の促進については格段の努力をいたしているところであります。
 昭和四十年度の地方財政は、安定成長の段階に入った経済の現況をも反映し、地方税、地方交付税等の歳入において従来見られましたような大幅な伸長を期待することが困難である反面、給与関係経費等の義務的経費、社会保障費等の住民の福祉に直結する経費はますます増大する傾向にありまするため、その健全性を堅持して、負荷せられた任務を遂行するためには、かなりきびしい局面を迎えるものと思われます。
 したがいまして、主として一般会計を対象とする地方財政計画の策定に際しましては、これらの客観情勢を念頭に置き、国の予算と同一の基調に立って、極力地方財源を確保し、財政の健全化と行政水準の向上をはかるとともに、新産業都市の建設等の事業等に対する国の援助措置の確立等をはかることにより、社会開発の推進に資することを基本方針といたしました。
 すなわち、明年度におきましては地方交付税率を〇・六%引き上げ、新たに石油ガス譲与税を創設する等、地方一般財源の充実強化をはかるとともに、新産業都市の建設等の事業に対する国の財政援助措置を確立し、また、前年度に引き続き地方交付税を財政力の貧弱な地方団体に傾斜的に配分することにより、地域開発の促進と地域格差の是正をはかることといたしております。また、住宅、上下水道等、生活基盤施設の整備、過密化した大都市の再開発及び地方公営企業の健全化等を促進するため、地方債資金を増額いたしております。
 以上の施策を重点として、昭和四十年度の地方財政計画を策定いたしました結果、その総額は三兆六千百二十一億円となり、国の一般会計予算三兆六千五百八十一億円にほぼ匹敵する規模となっております。その前年度に対する増加額は四千七百四十億円、増加率は一五・一%でありまして、増加額、増加率とも国の一般会計予算のそれを上回っており、地方財政の占める比重の相対的な上昇を如実に示しております。しかし、総体の規模の伸びは、昭和三十九年度の場合の増加率一九・二%よりは低下しており、全体として引き締め基調というべきものと存じます。
 歳入面では、前年度に比べた場合、一般財源の伸びがやや鈍化しておりますが、財源充実のための各種の措置がとられました結果、地方税で二千四十五億円、地方譲与税で七十六億円、地方交付税で七百八十一億円、国庫支出金で千三百十六億円、地方債で三百二十六億円、その他で百九十六億円の増をそれぞれ見込むことといたしました。
 歳出面では、給与関係費の増が千八百四十七億円、社会保障関係費、農業構造改善対策費、中小企業対策費等、国の施策に伴う経費の増が六百十六億円、公債償還費の増が百九十二億円等、弾力性の少ない経費の増加が比較的に大きく、したがって、投資的経費の増加率が相対的に若干低下してはおりますが、なお公共事業費において八百九十八億円、地方単独事業費において六百八十四億円の増を確保し、さらに、地方単独の一般行政費において三百六十億円、維持補修費において百十億円を増額いたしております。
 昭和四十年度の地方財政計画の概要は、以上のとおりでありまして、政府といたしましては、地方団体が歳入の確保につとめ、経費の重点化、効率化を行ない、その健全化を促進しつつ、住民福祉の向上をはかるための地方独自の施策の遂行を可能ならしめるよう、でき得る限りの措置を講じているのであります。
 なお、公営企業会計及び国民健康保険会計におきましても、その健全化を推進するため、可及的に必要な措置を講ずることといたしております。
 もとより、明年度の地方財政は、その歳入の伸びの鈍化から、ここ数年間に比べますと、かなり慎重な運営を必要とすると考えられますが、地方団体関係者の一段の努力を期待いたしまするとともに、政府といたしましても、その指導に遺憾なきを期し、地方財政の健全化について、格段の努力をいたしてまいる所存でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 昭和四十年度地方財政計画についての発言に
  対する質疑
○議長(船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。田川誠一君。
  〔田川誠一君登壇〕
○田川誠一君 私は、自由民主党を代表して、ただいま説明のありました昭和四十年度地方財政計画につきまして、政府の所信をただそうとするものであります。
 佐藤総理大臣は、先日の所信説明におきまして、社会開発を積極的に推進することを政策の基本とすると述べられました。そして、これを実現するため、総理は、来年度の予算では、特に住宅とか生活環境施設の整備、地域開発の推進など、国民の福祉に結びつく諸政策を実施すると強調せられました。これらの諸施策は、そのほとんどが、地方住民の身近にあって行政を行なっている都道府県や市町村がその実施の任に当たっているのでありまして、地方公共団体こそが、総理の言われる社会開発のにない手であると申さなければなりません。
 しかしながら、地方公共団体は、これらの施策を推進するに足る財政の余裕がはたしてございますでしょうか。
 いま説明された四十年度地方財政計画によりますと、歳入歳出とも三兆六千百二十一億円でありまして、全体の財政規模は、ほぼ国の予算に匹敵しております。一応健全均衡財政のたてまえをとってはおり、三十九年度に比べますと、全体の伸び率は一五・一%で、前年度の一九・二%に比べますと、圧縮されております。政府の苦心のほどがうかがわれるのであります。しかしながら、その歳入の構成は、地方税が一兆四千九百億円、地方譲与税及び地方交付税が七千六百六十億円、国庫支出金九千九百十億円、地方債千六百三十億円、その他一千九百七十三億円となっておりまして、地方税収入は全体の四一%にすぎないのであります。しかもこれは計画でありまして、決算ではこの割合はさらに減って、三五%ぐらいになるのが通例であります。これでは地方自治体の自主財源としてはあまりにも少なく、今度の地方財政計画では地方財政の硬直した姿がはっきりとうかがえるのであります。
 このような地方財政の傾向は、最近の景気調整によって税収入が伸び脳んでおります反面、給与費、公共事業費などの歳出が大幅にふえてきているためでありまして、このために投資的経費の伸びが非常に少なく、国の補助や負担金を伴わない自治体の単独事業、つまり、地域住民の日常生活に密着した切実な要求にこたえるための事業が極度に押えられる結果となっておるのであります。
 もともと、地方財政は弾力性に乏しいのであります。三十八年度の国と地方公共団体の租税収入の状態を見ましても、租税の総額のうち、国は国税として七〇%、地方公共団体は地方税として三〇%を徴収しておりますが、その最終的な支出の姿はどうかと申しますならば、国が三七%、地方公共団体が六三%という逆比例となっておりまして、地方歳入に占める地方税の割合がいかに低いかということが如実に示されております。
 そこで、地方自治体は、その足らないところを国からの交付税や補助金や地方債などに仰いでいるありさまでありますから、財政全体が硬直状態となり、勢い地方財政の国に対する依存度は深くなり、国に従属する傾向が一そう強くなってくることは自然の理といわなければなりません。地方自治の確立がわが国の国政伸展の基礎をなすものであり、民主主義の基本であることは申すまでもないことでありますけれども、地方自治をささえる財政がこのように地方自治の名にふさわしくない弱さを露呈しておりますことは、まことに残念なことであります。
 佐藤総理は、現在の地方財政の悪化の傾向を一体どのように見ておられるか。また、総理は、社会開発を重要施策の一つに取り上げておりますけれども、社会開発の具体的施策、たとえば住宅などを国の予算との関連において明らかにされたいのであります。
 さらに、地方自治とは、地方公共団体の責任において、地方の特色を生かして効率的に行政が行なわれることでありますが、財政に余裕のないいまの自治体は、ただ補助事業の実施機関としての役割りを果たすのにやっとという現状であります。この状態を根本的に打開していくためには、第九次地方制度調査会及び先般の臨時行政調査会の答申にございますように、行政事務の再配分と財源の再配分をぜひとも実行に移す必要があると考えますが、佐藤総理及び行政管理庁長官はこれについてどのようにお考えになっておられるか、お聞きしたいのであります。
 次に、地方財政の悪化のおもな原因は、給与費や社会保障費など義務的経費の増加と公共投資の増大による支出の伸びがひどくなってきていることであります。そのうちでも給与関係費の影響は非常に大きなものがあります。今度の地方財政計画を見ましても、来年度の給与関係費は一兆三千億円に達し、本年度に比べまして一六・五%も伸びております。地方税収入の見込み額の一兆四千九百億円に近い額でありまして、まことに不健全な様相を呈しております。この人件費は年々ふえ、これが住民に直結している行政費や投資的経費を犠牲にし、地方財政に重圧を加えていることは否定できません。もちろん、地方公務員と民間給与などとの間に不当な差があってよいものではありませんが、地方公共団体の中には、国家公務員の給与に準ずるというたてまえを無視して、財政力をも考慮しないで、国家公務員を上回るような期末手当などを出している自治体があることは、まことに遺憾であります。この問題は、将来地方財政のガンともなり得ることでありまして、地方公務員の給与のあり方、人事管理について、今日の段階においてこそ十分に検討を加えることが必要と思いますが、自治大臣のこれに対する所見をお伺いいたします。
 このほか、地方財政の窮乏を招いている要因の一つに、公営企業の赤字と地方財政の超過負担の問題があります。
 公営企業は、交通、水道などほとんど赤字経営でありまして、その累積された赤字は三百七十六億円にものぼっております。その原因として、公共料金がストップされたということもございましょうが、ともかくあまりにも不健全な姿でありまして、この際、地方公営企業のあり方等を根本的に再検討することはもちろん、徹底的な経営の合理化と能率の向上をはかるべきであります。と同時に、政府も、適正な料金の決定や財政援助、起債の増額などの処置を真剣に考えるべきであります。
 また、国がその行政を遂行する上におきまして、地方公共団体に財政負担を転嫁し、このために地方財政が大きな圧迫を受けていることは、すでにこれまでしばしば指摘されてきたことであります。現在、地方の事務の約七割は国からの委任でありまして、国はこれに伴う経費を国庫補助という形で交付しております。ところが、国による負担は、実情とはおよそかけ離れた単価によって一方的にきめられており、実際に行政を行なう末端の自治体は、常に超過負担によって苦しめられているというのが偽らざる現状であります。
 超過負担は、建設、教育、国民健康保険、その他あらゆる事業にわたっております。一例をあげますと、昭和三十八年度決算で申しますと、補助職員の超過負担が百四十億円、補助事業費の超過負担が五百三十億円、さらに、本来全額を国で負担すべき国民健康保険会計等の負担まで合わせますと、その総額は実に約八百六十二億円という巨額にのぼっております。さらに具体的例をあげますならば、保健所職員給与費の補助単価のうち、東京都の医師の場合、一人当たり補助金年額六十一万円のところ、実際に医師に支給される一人平均の年額は百十七万円でありまして、その差額約六十万円に近く、医師が二百人おりますから、これだけでも一億二千万円の超過負担ということになるのであります。一体このようなことが許されてよいのでございましょうか。国庫補助事業について、地方財政法は「地方公共団体が当該国の支出金に係る事務を行なうために必要で且つ充分な金額を基礎として、これを算定しなければならない。」と定められております。にもかかわらず、現実に必要額をはるかに下回っているのであります。このことは、単価のきめ方自体にも問題があることはもちろんでありますが、また、補助対象が実態に即応してとらえられていないところにも原因があるのでありまして、このために、国と地方公共団体の負担の割合が、基本額のきめ方いかんでどのようにも変わるという、非常にあいまいな形になっているのであります。
 超過負担を少しでもなくしていくために、実情に沿った単価補正をやらない限り、地方財政の健全化はとても望めないと考えますが、総理大臣、大蔵大臣、自治大臣のお考えをお聞きいたします。
 さらに、自治大臣にお尋ねいたしますが、地方財政を健全な姿に立ち戻らしていくには、地方公共団体みずからが、財政秩序を確定し、地方行政の姿勢を正していく決意が必要であると私は考えます。みずからの経済力を考えないで、分不相応な開発を行なったり、人気取りだけの給与の大幅引き上げを行なうとか、ぜいたくな経費を計上しながら財政の窮乏を訴えている自治体もあるようであります。自治大臣は、地方財政の健全化をはかるために、地方公共団体に対して、財政秩序を確立するよう強い指導を行なうべきであると思いますが、これに対する自治大臣の所信をお伺いいたします。
 最後に、政府に対して強く訴えておきたいことがございます。
 最近、観光や開発に名をかりた大資本が地方都市に押しかけて、日本古来の史跡や名勝、美しい自然や文化が遠慮会釈なく破壊されようとしている傾向が目立っていることは、憂慮にたえないところであります。近代化という美名に隠れて、京都や奈良、鎌倉などの由緒ある史跡が、無計画な宅地造成やレジャー施設によって低俗化されるなど、その一例であります。このことは、戦後の物質中心の風潮に対して社会一般が無感覚になっているということにもよりますけれども、自主財源に乏しい現在の地方財政の実情にありましては、地方自治体が歴史ある都市や美しい自然を保全していきたいと思いましても、そこまで手が回らないというところに大きな原因があるのであります。史跡や都市の自然美を守ることは、過去に対する郷愁などというものではありません。古く築かれた力強い美しいものが目の前にあってこそ、民族の自覚、新しい生命の創造が生れてくる根源となるのであります。(拍手)
 政府は、遠い将来を考えて、国の文化のため、由緒ある史跡や美しい自然が破壊されることのないような政策を打ち立てるとともに、これに対する実効ある財政的な裏づけを考慮されるよう、文部省、建設省、自治省の各省に特に要望して、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 住宅対策につきまして、ことにこの住宅対策は、地方開発、かような意味も持ちますので、たいへん地方の負担が重くなる、かようなお話でございますが、私ども、社会開発の立場から、ただいまの住宅対策を強力に推進してまいりたいと思っております。ことに低所得層に対しましては、地方公共団体と協力いたしまして、低家賃住宅の戸数を大幅に増加する、かような処置をとっております。これにつきましては、もちろん、建設単価の適正化あるいは起債の充実等をはかりまして、本事業の円滑なる遂行をいたしたい、かように考えます。
 次に、地方財政は、お説のとおり、今日たいへん苦しい状態に置かれておると思います。行政、財政制度のあり方につきましては、さきに臨時行政調査会から答申も出ておりますので、その答申によりまして、政府は行政改革本部というものを設けてこれを推進いたしておりますが、これにおきまして十分検討いたしまして、行財政制度の今後のあり方、これを十分研究してまいりたいと思います。
 また、公営事業につきましては、ただいま赤字でみんな悩んでおりますが、これまた地方公営企業制度調査会というものがございまして、その中間答申を得ております。この中間答申におきましては、料金の適正化と経営の合理化を指摘しておりますので、今後とも、経営の合理化の徹底、料金の適正化等を通じまして、公営企業の赤字解消に努力してまいりたいと思います。
 また、御指摘になりましたいわゆる超過負担の問題、これは結局国庫補助等の単価の適正化という問題であると思いますので、これは十分検討いたしたいと思います。すでに補助金等合理化審議会等の答申もございますから、この答申とあわせて、その適正化に努力してまいるつもりであります。(拍手)
  〔国務大臣吉武恵市君登壇〕
○国務大臣(吉武恵市君) お答えをいたします。
 地方財政はたいへん苦しくなってきておることは、御指摘のとおりでございます。しかしながら、その中におきましても、社会開発につきましては相当の考慮を払って、地方債等におきましては相当これを見ておるわけでございます。前年度に比べまして二五%増を見ておるわけでございまして、これらによって遂行していきたいと存じております。
 なお、地方財政の立て直しと同時に、行政事務の再配分をやったらということでございますが、これはただいま総理からお答えになったところでございます。
 なお、地方財政を苦しくしておる一つの原因に、人件費が非常にかさんできておるじゃないかというお話でございますが、そのとおりでございます。三兆六千百二十一億円のうち、給与費が一兆二千七百七十三億でございます。しかし、これは地方の今日行なわれておりまする教育、警察その他の職員の給与でございまして、これらも、田川先生の御指摘のように、国家公務員より上回るということはいかがかと存じまして、できるだけこれらの合理化をはかっていきたいと存じております。
 なお、超過負担の点でございますが、これはただいま総理からもお答えになった点でございまして、できるだけこれらにつきましても大蔵当局と折衝を重ねていくつもりでございます。
 なお、地方財政の健全化に対し、地方自治体の姿勢を正していく必要がありはしないかという御指摘でございますが、これは私ども、地方の知事会議あるいは市町村長会議等におきまして、これらの点は特に強調しておるところでございます。
 なお、史跡、名勝地等がこわされていくが、これに対してどういうふうな措置を講ずるかというお尋ねでございますが、文化財保護事業につきましては、特別交付税等におきまして見ていく所存でございます。(拍手)
  〔国務大臣小山長規君登壇〕
○国務大臣(小山長規君) 自然の景観を保護する方法といたしましては、御承知のように、風致地区の指定という方法がありまして、建築の制限ができることとなっておるわけであります。これに対しては、このことを実行するためには、地方の条例でやるものでありますけれども、地方条例のために財源的な裏づけがないといううらみがあります。今後私どもといたしましては、景勝地等の維持で必要なものについては、これを公園化するとか、あるいは緑地にするとか、あらゆる面で財源の確保につとめ、景勝地の保全に尽くしたい考えであります。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
○国務大臣(愛知揆一君) 由緒ある史跡、名勝等が、最近のいろいろな状況で損傷される事例が往往ありますことは、御指摘のとおり、文部省といたしましてもたいへん遺憾に考えておるわけでございます。ただいま関係大臣から答弁のありましたほか、文化財保護委員会を中心といたしまして、必要に応じて民間所有のものを国によって買収する、地方公共団体へ補助をする、環境整備を強化するというような点につきまして財政措置を講じつつあるわけでございまして、四十年度におきましても、たとえば平城宮跡の買収整備費四億円をはじめといたしまして、地方公共団体への買い上げ費の補助、調査費、これは三十九年度に比して大幅に増額をいたしておりますし、環境整備費の補助金を新規に計上することといたしました。しかし、まだまだ十分でございませんので、御趣旨を体しまして今後十分の措置を講じてまいりたいと存じます。(拍手)
  〔国務大臣増原恵吉君登壇〕
○国務大臣(増原恵吉君) お答えをいたします。
 御指摘のように、臨時行政調査会では、現地性、総合性、経済性などの原則によって、行政事務を国から地方へ再配分をする、実施事務などを大幅に地方公共団体に委任するとともに、これに見合う財源措置を行なうべきことを勧告いたしまして、そのために別に中央、地方を交えた調査諮問機関の設置をも提案しておるわけでございます。政府としては、行政改革本部を設けまして、他の重要項目とともに目下鋭意検討を急いでおりまして、なるべくすみやかに具体案を得たいと考えておるわけでございます。
 なお、現在、御承知のように、地方制度調査会におきましても、部会を設けて、行政事務の配分及び財源措置について検討中でございますので、調査会及び自治省とも連絡をとりまして、結論を急ぎたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 佐野憲治君。
  〔佐野憲治君登壇〕
○佐野憲治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま説明になりました地方財政計画につきまして、佐藤総理並びに関係大臣に質問をしたいと存ずるのであります。(拍手)
 まず第一にお尋ねしたいことは、地方財政計画の意義と役割りについてであります。
 地方財政計画が本会議におきまして所管大臣から説明がありましたことは、自治省設置以来初めてのことでありまして、私は、いま直面いたしておりますところの地方財政の危機の現状を考えますときに、大臣が本会議において説明するということは、まことに時宜を得た措置だと考える次第でございます。しかしながら、この地方財政計画に当然交付税法第七条による関係書類が資料として添付されねばならないにもかかわらず、今日いまだその資料が提出されていないのであります。この点につきまして、事務当局は、あと一カ月もその整備に時間がかかるということを申しておるのでありますが、少なくとも現在、すでに衆議院においては予算委員会におきまして総括質問並びに一般質問が終了いたしまして、きのうから分科会に入っておるわけであります。地方議会におきましても、地方団体はすでに予算編成を終えまして、議会の招集をいたしているときに、ようやく地方財政計画が、法に基づく計画としてではなくて、その概略として本日この本会議に報告されましたということは、まことに遺憾きわまりないことだと考えるのであります。(拍手)
 そもそも、地方財政計画の作成を内閣の義務として、これを国会に提出するとともに、一般に公表しなければならないと規定いたしておりますが、総理は一体この規定に対しましてどのような理解をしておられるのか、この点につきまして率直なる御見解をお聞きいたしたいと考えるのであります。
 四十年度の地方財政の規模は、歳入歳出とも三兆六千百二十一億円、国家財政は三兆六千五百八十億円、ほぼ匹敵する規模となっております。田中大蔵大臣は、十二月二十八日の閣議終了後におきまして、新聞記者の会見において、国家財政は心配することはない、しかしながら、地方財政の膨張していくことが心配である、かように述懐しておられるのでありますが、むしろ問題は、最近の地方財政の膨張について見てまいりましても、昭和三十一年から三十三年を一〇〇といたしますならば、国の膨張は一九五%、地方財政の膨張は二一四%となっておるのであります。
  〔議長退席、副議長着席〕
と同時に、この間における国、地方を通ずる純計の構成比を見てまいりましても、たとえば昭和三十七年度におきまして、国は三二・四%、地方団体は六七・六%という構成を示しております。と同時に、国民所得に対する割合を見てまいりましても、国の経費は八・六%、地方団体の経費は一八%となっております。租税総額の面から考えてみましても、先ほど田川議員から申し上げましたので省略させていただきますが、地方税の総額のうち七割を国が徴収して、その半分をみずからが使い、あとの半分を地方団体に回すという仕組みになっておるわけであります。でありますから、財源におきましても、あるいはまた内容におきましても、国家財政と地方財政とは密接不可分の関係にあることは言うをまたないのでありますが、国の予算が地方財政に関連いたしまして、国民の日常生活の上におきまして具体的にどのような影響を及ぼすものであるか、このことを明らかにするための国会審議におきまして、あるいはまた、地方団体の財政運営の指針としての役割りを果たすのが地方財政計画であるといたしますならば、政府は、国会に国家予算案を提案すると同時に、地方交付税法第七条に基づく地方財政計画、これらに関係する資料を国会に提出することが当然の義務であると考えるのでありますが、総理はこの点に対しましてどのようにお考えになっておるか、その所信をお承りしたいのであります。
 第二に、地方財政計画の内容とその問題点について、であります。
 地方財政の収支が特に悪化しておることは、先般発表されましたところの昭和三十八年度決算の中にも明らかに示されておるところであります。昭和三十八年度の普通会計における実質収支の赤字は二百七十二億円、これに公営企業会計の累積赤字は三百七十六億円、国民健康保険の赤字は百三十二億円になっておりまして、これらを数えますと約八百億円の赤字となり、赤字団体の数も今日四百九十二を数えるという状態になっておるのであります。四十六国会におきまして、昭和三十七年度の決算を中心といたしまして地方財政の現況報告がありましたときに、やはりこの地方財政の赤字が問題の対象となっておったのでありますが、当時の池田総理並びに赤澤自治大臣は、昭和三十七年度の赤字は一時的な単年度の赤字であって持続性を持つものではなく、財政運営の方法によってこの赤字をなくすることができるんだ、こういうぐあいに自信を持って説明をいたしておられたわけでありますが、いま申し上げますごとく、三十八年度におきましてこのような赤字が一そう激化してまいっておるのであります。おそらく昭和三十九年度から四十年度にかけまして、一そう財政が悪化するであろうと考えますときに、私は、この機会に、吉武自治大臣から、昭和三十九年度における決算の見込みは一体どうなっておるか、この点に対する説明を承りたいと思うのであります。深刻化する地方財政の赤字問題は、一時的な現象ではなく、かつはまた、財政運営の領域内において解決されるという単純な問題ではなくて、その病根は地方行財政の中に深く根を張っておるのであります。かかる現状認識の上に立つ七、私は若干の質疑を続けたいと思うのであります。
 その第一は、財政の赤字を克服するために、その原因を正しく解決しなければならないという点であります。地方財政の悪化は高度経済成長政策の過程で生まれたものであり、経済成長のひずみの一つであることは明らかであります。地方財政悪化の原因が政府の高度経済成長政策にある以上、これが解決のために国が適切なる施策を講ずることが必要であると思うのでありますが、総理の見解をお尋ねいたしておきたいと思うのであります。
 第二の点は、産業基盤偏重の行政投資の膨張が地方財政膨張をもたらし、地方自治体の行なうべき重要な施策である民生行政や生活基盤強化のための行政が逆に圧縮されているというのが、今日の現況ではなかろうかと考えるのであります。四十年度地方財政計画によれば、歳出の増加額は四千七百四十億円になっております。このうち投資的経費の分は三四・一%、しかも、一般財源の増加額は三千四百二十四億円でありますが、このうち投資的経費の占める割合は、やはり三四%になっておるのであります。しかるに、生活保護、中小企業対策等の社会保障関係の一般行政費は、歳出増の二〇・三%、一般財源増は一六%にすぎないのであります。投資的経費が一兆三千百十三億円になっておりますが、その内訳を見てまいりましても、六割近くが産業基盤整備費に向けられることになっておりまして、公営住宅五百九十七億円、文教施設五百十九億円、厚生施設二百四十七億円など、地域住民のための生活環境改善関係の公共施設は合計一千三百六十三億円で、投資経費の一〇%にも当たらないという、全く貧弱な予算となっておるのであります。これでは一体どうして社会開発の推進ができるか、自治大臣の所見をお尋ねいたしたいのであります。(拍手)
 第三の点は、歳入の鈍化と税負担の増大についてでありますが、この点につきましては、後ほど同僚の華山議員が地方交付税並びに地方税の質疑の中において明らかにいたすこととなっておりますので、私は省略さしていただきます。
 第四の点としては、地域経済力の不均等激化による財政の危機についてでありますが、特に大都市及び中都市の財政は危機に直面いたしておるわけであります。三十八年度の決算によりましても、大都市、中都市における赤字が激増いたしてまいっております。このことは言うまでもなく、高度経済成長政策の結果として、大都市に資本が過度に集中し、それに伴って人口の集中が激化したために引き起こされたところの問題ではありますが、地方財政計画の上では、これらの大都市に対するところの新たなる財政需要に対しまして、どのような見込みを持って措置をなしておられるかをお尋ねいたしたいと思うのであります。その反面に、地域開発政策、すなわち地方自治体の工場誘致政策の推進が地方財政を混乱に追い込み、先行投資のためのやみ起債――たとえば倉敷あるいは四日市等に見られるように、やみ起債が行なわれておるわけであります。特に新産業都市区域内におきましては、六十四の市、二百三の町村におきまして、その六割までも単年度におきまして赤字を出しております。明年度から本格的に行なわれますところの新産業都市、あるいはまた特別工業開発地区に対する仕事が始まるといたしますならば、より一そうこの財政の悪化が予想されるのでありますが、これらの赤字防止に対しまして、自治大臣は確信を持ってこれに対処することができるかどうか。また、やみ起債は一体現在どのような状態になっているか。これらの点につきましても、詳細に御説明願いたいと思うのであります。
 政府は、道路、治山治水、港湾、環境衛生等、それらの長期政策を策定するにあたりまして、いろいろの問題点を残しておるのでありますが、私は、これらに関連いたしまして、第五の点といたしまして、国と地方財政の関係についてお尋ねいたしたいと思います。
 国が長期計画を樹立いたします場合に、たとえば道路整備五カ年計画の場合におきましても、その計画の対象が国の直轄事業並びに補助事業、地方単独事業をもこれに含めておるわけでありますが、この計画の樹立にあたりまして、政府は、地方団体の協力関係を保証する規定をほとんどこの法律から除いてしまっております。ただ単に、主管大臣が計画が決定後に知事に通知すべきであるという規定を置いておるにすぎないのでありますが、このような地方自治を無視する措置をとるのは一体いかなる理由に基づくものであるかということを建設大臣にお尋ねしたいのであります。
 なお、道路、治山治水五カ年計画の策定の場合におきまして、国の一般財源による事業費を削減いたしまして、地方単独事業を拡大することによってつじつまを合わせておるというやり方が行なわれておるのでありますが、結果といたしまして、地方財政計画の中におきますところの普通建設単独事業費を見てまいりますと、長期計画に基づくところの単独事業、すなわち道路におきましては千四百億円、治山治水におきましては百四十六億円、港湾におきまして百億円、生活環境整備に百六十六億円、このように計上されておりますので、五カ年計画によりまして、当然地方が行なわなくてはならないという経費は単独事業費の三九%も占めておるのであります。ですから、地方自治体が自主的に住民のために行なわんとするところの単独事業の比率は低下いたしてしまい、地方自治体は自主性を全く失い、国の下請機関化しつつあるということさえも言われるのでありまして、これらの点に対しまして、一体どのように考えられるかをお聞きいたしておきたいのであります。
 次に、国庫支出金についてでありますが、国庫支出金は九千九百十億円、歳入の二七・四%を占めております。国庫負担補助金事業費は一兆二千二百六十八億円で、歳出の三三・七%を占めております。しかも、補助金件数は、本年度の九百八件から昭和四十年度は一千件近くにふえております。中身を見てまいりましても、一割程度は整理されておりますけれども、新しく二割も新設されるという措置がなされておるのでありますが、これはどういうわけであるかという点につきましても、大蔵大臣からお伺いしておきたいと思うのであります。
 なお、三十八年度における補助対象、あるいは基準、あるいは単価による超過負担八百六十三億円につきまして、田川議員から詳細に述べられておりますので省略いたしますが、これらのことを考えてまいりましても、地方経費の三三%を占め、かつまた、一千件に及ぶところの補助が、それぞれ国の施策をもって地方にその実施を要求いたしておるのであります。この点につきまして、特に地方制度調査会、並びに地方税制調査会、あるいはまた臨時行政調査会等におきましてもいろいろの答申がなされておりますが、これらの答申を一体どのように措置いたしておるかという点につきまして、もう少し関係大臣から詳しく御説明を願いたいと同時に、超過負担の原因となっておりますところの単価の問題その他につきまして、四十年度における地方財政計画の中で、どのような改善が行なわれたか。これらの点につきましても御報告を願いたいと思うのであります。(拍手)
 なお、地方債の一般会計における現在高は、昭和三十九年度におきまして九千二百九十三億円に達しております。しかも、昭和四十年度におけるところの償還は一千三百三十四億円になっておるのでありますが、特別会計を含めますと一体起債残高は幾らになっておるか、この点を自治大臣にお聞きしたいのであります。しかも、国におきましては、一般会計におきまして公債を発行することを禁じられておるわけでありますけれども、地方におきましては、いま申し上げましたように、一般会計におきまして一千六百億円、特別会計をまぜますならば、四千九百四十八億円という膨大な借金をかかえるという計画になっておるのでありますが、これらの起債に対しますところの償還計画は一体どうなっておるか、これに対する措置等につきましても、この機会に明らかにしていただきたいのであります。特に水道事業等におきましては、独立採算制がとられておる関係上、しかも、現在、累積赤字が増高いたしており、また起債の償還が拡大されてまいっておる、そういう中におきまして、東京、大阪その他の都市におきまして、水道料金の値上げが発表になっておるわけでありますが、これらの点につきましても、一体累積赤字はどうするのか、水道に対するところの起債償還に対しまして一体いかなる措置を現にとられておるか、この点につきましても、現在政府のとられておる措置に対しまして、この機会に説明をいただきたいのであります。
 最後に、給与費についてであります。給与費の増高は、給与改定、ベースアップ等による経費が大部分を占めております。本年度におきましては、国の特別会計から給与改定に要する費用百五十億円を前借りいたしておるわけであります。当然昭和四十年度におきましても、ベース改定が人事院勧告によって行なわれることと考えるのでありますが、これらに対する財源は地方財政計画の中に見込まれておるのかどうか。並びに、地方財政に対しまして最終的な責任を負っておる政府は、これらの財源をどのように見積もり、あるいはまた準備をいたしておるか、この点につきましてもお伺いいたしたいのであります。
 以上、私は、地方財政計画に対する若干の点に対する質問をいたしたわけでありますけれども、繰り返して申し上げますように、地方財政の危機は深刻の度を加えておるのでありまして、これらの危機の原因を正しく理解し、この解決のために国が適切なる施策をとらなかったならば、ますます地方財政の危機は激化すると同時に、地方におけるところの格差の拡大、地方財政の悪化、行政の危機深刻なるものが惹起することを憂うるのであります。この点を警告いたしまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 地方財政計画は、御承知のように、本来は、地方交付税法第七条に基づいて、地方公共団体の歳入歳出総額の見込みを提出するのでございますが、これは例年三月になります。この時期につきましては、ややおそいではないかという御非難がございますが、つとめて早目に出したいと思いましても、なかなか間に合わない点がありまして、例年三月になっておるようであります。したがいまして、この地方財政計画のおもなものだけでも予算審議と並行して御審議を願うことがこの際は必要ではないかということで、いつもかような意味合いで本計画の御審議をいただいておるのであります。したがいまして、いずれ急いで、交付税法に基づく計画は追っかけて出すことになっておりますから、御承知願いたいのであります。
 地方財政と国の財政とはもちろん密接不可分の関係にありますし、今日までも、国の予算を審議する際に十分地方財政の需要につきましては審議をいたしておるのでありまして、十分検討を加え、そうしてその計画ができ上がるのであります。したがいまして、私は、国と地方との協力が全体の予算編成のポイントだということを申し上げておきます。
 また、地方財政につきましての赤字、これはいろいろ原因があるようでございますから、この原因に対しての対策を立てなければならないのでございますが、先ほど田川君の質問にも答えたような点がございまして、基本的に行財政制度のあり方についても検討を加えたいと思います。現状におきましていかに処理するかということは、自治大臣から説明をお聞き取りいただきたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 国と地方財政の健全化につきましては、国も地方も十分前向きで検討していかなければならないことは論をまちません。また、国と地方との財政の関連性につきましても、密接不可分のものでございます。
 ただ、ここで申し上げておきたいことは、いままでは高度成長が続きましたので、地方財政計画と相当大きな遠いのある決算が行なわれました。三十七年等は、地方財政計画と七千億、八千億の差もあったわけでございますが、これからは安定成長期に入りますので、自然増収を大きく見積もることができないわけであります。その意味におきまして、地方財政計画も国の計画とあわせ、十分健全化に向かっていかなければならぬと思います。
 ただ、地方財政の健全化ということを考えますときに、国があらゆることを措置すればいいということを端的に言われる方がございますが、しかし、三兆六千五百八十億円の国の予算の中で、実際に交付税として七千数百億が地方に交付されております。同時に国の支出金が約一兆円近くあります。でありますから、三兆六千五百億円という国の予算の中から一兆七千五百億を差し引くと、国のほんとうの予算は一兆九千億、こういうことになるわけであります。また、三兆六千百二十億円のうちから、国に納付する金額は約五百億であります。ですから、現在の状態においてすでに地方財政は国の約倍であります。ですから、この事実を十分踏んまえながら、国も地方財政も密接な関連を持ちながら健全化に努力していかなければならないことは言うをまたないのであります。
 なお、先ほど、第二点として、約千件にわたる補助金等の件数を申されましたが、補助金等合理化審議会の答申を尊重いたしまして、三十八年九百十六件であったものが、三十九年に八百五十七件、四十年度、ただいま御審議をいただいております予算では七百八十三件、三十九年に比べまして七十四件の合理化を行なっておるわけであります。(拍手)
  〔国務大臣吉武恵市君登壇〕
○国務大臣(吉武恵市君) 地方財政計画と同時に、交付税法第七条による法律案を出さないかということは、先ほど総理大臣からお答えのあったとおりでございます。
 なお、地方財政と国の財政との関係は、ただいま大蔵大臣から御答弁のあったとおりでございます。
 なお、地方財政がだんだんと膨張をしてきておるじゃないかというお話でございましたが、これは、本年度は前年度に比べて一五・一%でございますが、前年度は一九・二%、つまり、前年までは自然増収が非常に多かったために、自然にこの地方財政が膨張してきたわけでございます。しかし、これからはなかなかそうはまいりません。そこで、先ほど申しましたように、地方財政も今後は国と同じように健全均衡財政でいかなければならない、こういうことを地方にも強く指示しておるところでございます。
 なお、三十九年度の決算はどういうふうになっておるかというお尋ねでございましたが、三十九年度の地方財政の収支計算は目下進行中でございまして、いまのところ明確になっておりません。しかし、先ほど申しましたように、自然増収がだんだんと減ってきておるときでございますから、幾ぶん悪化の傾向があると思われます。
 次に、地方財政の内容において、社会開発的な事業が十分に織り込まれぬではないかというお話でございました。この点は、先ほど申しましたように、自然増収がだんだん小さくなっておりますので十分なことはできませんけれども、その中におきましても、起債その他の面におきまして、地方財政計画の中に遺憾なく織り込んでおるつもりでございます。
 なお、大都市における財政がだんだん悪くなっておるが、これに対してどういうふうな処置を考えるか、地方債も相当大規模になっているが、どうかというお尋ねでございます。そのとおりでございますが、大都市における再開発に要する事業につきましては、今度の予算におきましても相当の起債のワクを認めまして、これによって処理をしていくつもりでございます。
 それから起債の残高でございますが、現在の起債の額は一般会計が約八千億、公営企業債が約八千億程度になっております。水道事業のみの現在高は約三千億でございます。
 なお、このように公営企業の起債がだんだんと大きくなっておるが、その償還計画はどういうふうにしておるかというお話でございますが、これは公営企業が独立採算制のたてまえをとっており、その中でこれをまかなっていくというたてまえをとっておりますので、先ほど申し上げました地方財政計画の中には織り込んでおりません。しかしながら、だんだんとその償還利子等のために赤字になっておりますることは御指摘のとおりでございまして、現在すでに三百七十二億という赤字が出ておるわけであります。したがいまして、政府といたしましては、昨年の七月、地方公営企業制度調査会を設けまして、これによってその対策を慎重に調査、検討していただいております。昨年の十一月の中間答申におきましては、その第一が、料金をあまり押えてはいけない、適切なる時期に、適当に是正しなければならぬという点が一点であります。その次に、事業の合理化をやはり同時にやらなければならないという点が第二であります。第三の点は、いま赤字になっておる一つの原因には、地方債というものが相当大きく、これがいわゆる民間の公募によって短期の高利の起債をやっておるので、それをどうするかというためには、政府資金で比較的安い利子の融資を世話していくべきだという答申が出ております。そこで、四十年度予算におきましても、地方債におきましては政府資金を従来よりも増しまして.これで幾ぶんとも緩和をはかる、同町に、目下大蔵大臣と、政府資金におきましては従来よりも償還年限を長くしようということで、目下折衝中でございます。(拍手)
  〔国務大臣小山長規君登壇〕
○国務大臣(小山長規君) 建設省で河川や道路や下水道などの五カ年計画をつくる際に、地方を無視しておることはないか、あるいは地方の単独事業をふやして地方財政を圧迫していはしないかというお話でございますが、私どもが長期計画を立てますときには、十分に地方の意見を聞きまして、そして地方財政に対する影響を政府部内において十分配慮の上この五カ年計画を決定するのであります。こういうことで、今後そのようなおそれはないものと考えます。
 また、地方単独事業の決定にあたりましても、過去の実績の推移を十分考慮し、また交付税、起債等の見通しにつきましても、各省と十分打ち合せの上で決定をいたしておりますから、地方を圧迫するようなことはございませんことを申し上げておきます。(拍手)
  〔国務大臣増原恵吉君登壇〕
○国務大臣(増原恵吉君) 補助金等に関する臨時行政調査会の答申の扱いについてお尋ねがあったのでございます。ただいま大蔵大臣からお答えのありましたように、補助金等につきましては、補助金等合理化審議会で答申がございました。これに基づいて大蔵省において措置されつつあるわけでございます。臨時行政調査会の答申は、この補助金等合理化審議会の答申の線をまず尊重、是認いたしたたてまえで、補助金の合理化なり簡素化なり、あるいは効率化なり基準化なり等について答申いたしてあるわけでございます。これは政府としては、行政改革本部で一応受けとめまして、ここで目下検討を続けておるわけでございます。大蔵省及び関係各省と調整をいたし、また、一面は行政管理庁で補助金等についての監査を行ないまして、これに基づく事項等を組み合わせまして、すみやかに結論を得るように目下努力中でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(田中伊三次君) 門司亮君。
  〔門司亮君登壇〕
○門司亮君 私は、ただいま自治大臣から説明がございました昭和四十年度の地方財政計画に対しまして、主として総理大臣に所信を伺いたいと思うのでございます。同時に、同僚各位からかなり詳細に質問が行なわれておりますので、できるだけ重複しないように簡単に申し上げたいと思うのでございます。(拍手)
 第一に聞いておきたいと思いますことは、国の予算と地方財政計画のいわゆる構成の比率の問題でございます。
 国の四十年度予算は、その予算の総支出額の九四・四%が税金と印紙代と専売納付金によってまかなわれております。全くの健全財政を誇示されておることは、大臣の説明のとおりでございますが、これを地方財政に見てみますると、遺憾ながら税収によってまかなわれる分は四一%でございます。これに譲与税あるいは交付税を加えてまいりましても六二%にしかならない。これに借金を加えて、その他のものでかろうじて今日の地方財政が数字のつじつまを合わせてきておるということでございます。一体、総理大臣は、国だけが健全財政であれば、地方はどうでもよろしいというお考えであるのかどうか。国も健全財政なら、地方もひとつ健全財政にしていただきたい。ことに、私この際最も遺憾に考えておりますことは、国は公債を発行しないという強い態度をとっておられますが、遺憾ながら、地方の自治体では、国内債ではございません、外国債を今日募集しておる団体があることは、御存じのとおりでございます。これは一体どういう意味なのか、この点をひとつ明確に聞いておきませんと、国の財政健全政策というのが、どうもわれわれには納得がいかないからでございます。
 外国債をいま持っておりますのは、大阪市が三十九年までに四カ年で一億マルク、約九十億になる金でございますが、これが大阪市の埋め立ての事業に使われるということで、ドイツにおいて募集されておるのでございます。もう一つは、東京が二千万ドル、すなわち七十二億が港湾施設のために、これはユーロダラーと申しておりまする、いわゆるアメリカ以外にある欧州のドルをこれに引き当てておるのでありますが、ここで募集されておる。さらに五千万ドル、百八十億が東京の水道の建設のために募集されておる事実を、私は、田中大蔵大臣も知らないとは仰せられないと思います。
 こういうことで、国のほうはいかにも健全財政を誇示されておりますが、地方財政になってまいりますと、外国債までも地方に押しつけようとするものの考え方に対して、私は、どうしても納得がいかない。もっとも、その面につきましては、実は理由がないわけではない。国内債は、御承知のように、政府資金を借りましても六分五厘である。公営企業の公庫の金を借りますと七分三厘である。ところが、このマルク債は、大体利回りは六分七厘になっておる。ユーロダラーは六分一厘になっておる。これはずいぶん妙な話でありまして、外国に行って金を借りたほうが利息が安いから、外国に行って金を借りようというのだ。これもしかし、私は、日本の外貨の保持の関係から申し上げますると、いかがかと存ずる。どうかこの辺について、ひとつ総理大臣並びに田中大蔵大臣から明確な御答弁を願っておきたいと思うのでございます。
 次に私が聞いておきたいと思いますことは、本年度の地方財政計画に対しまする問題でございます。
 御承知のように、この地方財政計画では、税収の伸びを一五・五%と見込まれております。これは昨年度、いわゆる三十八年度対三十九年度と全く同じ比率でございます。ところが、国の本年度の財政比率はどういうことになっておるのかというと、これは皆さん御存じかと思いますが、三十九年度当初予算に対しましては一二・七%しか伸びておらない。補正をこれに加えてまいりますと、昨年度比一〇・三%しか税収の伸びを国のほうは見ておらない。ところが、地方のほうは一五・五%を見るというのですから、ここに私はかなり大きな無理があるのではないかと考えられる。大体国のほうがいいところはみんなとっておるのですから、地方のほうは、この不景気で何ら税収が集まらないのだ。にもかかわらず、こういう、まるきり水増しというと自治大臣おこるかもしれませんが、大体水増しに近いようなことがここに計画されておる。
 その次に問題になってまいりますのは、四十年度の地方財政のつじつまを合わせるために、起債が非常にふえておるということであります。二五%もふやしておる。これに対して、先ほど自治大臣は、地方財政が困難しているから起債をふやしましたといって自慢されておりますが、起債は借金でございますから、ただ国からもらったわけではないのでありまして、そう自慢されるほどのものではないと私は考える。こういう問題を含んでおる。
 同時に、今度は、これを歳出の面で見てまいりますと、昨年度は単独事業費が、この地方財政計画の中で一九・二%あったはずでありますが、ことしはこれが一五%に削られておる。大体四・一五%だけ地方の単独事業というものが圧縮されておる。この二つを並べてみると、この四十年度の地方財政計画ぐらい不安定な、不健全なものはないと申し上げても差しつかえないのではないかと私は考える。この点について、一体自治大臣は確信があって健全財政だと言えるかどうかということを、この機会にお聞かせを願っておきたいと思うのでございます。
 それから、さらにもう一つの問題は、たびたび問題になっておりまする、いわゆる地方債の問題でございます。
 地方債の総額は、先ほどもお話のございましたように、大体九千二百億円余といわれておりますが、今年度の地方の公債費は、実に税収の八・九三%で、これが外部借金の支払いのために充てられておる。地方財政計画三兆六千幾らの中の約三・六%が公債費に充てられるということが数字的にははっきり出ておる。そこで、この問題をもう一つ突き進んで考えてみますると、結局本年度地方財政計画の歳入におきまして公債の占めております割合は大体五%でございます。歳入において五%占めておいて、そうして歳出の面において総予算の三・六%がここに支払われるということになってまいりますと、ことしの二五%ふやしたという公債は、借金を支払うために借金をさせたというだけであって、私はたいした効果はないと考える。こういう点について一体どういうふうにお考えになっておるのか、その点をこの際明確にしておいていただきたいと思うのでございます。
 その他の問題につきましては、大体先ほどからいろいろ御議論がございましたので、私は省略をいたしたいと存ずるのでございます。しかし、こういう問題についてほんとうに地方財政を健全化しようといたしますには、少なくとも自主財源をこれに与えなければならない、われわれは最初からちゃんと交付税は三〇%にしていただきたいということを年々歳々申し上げておる。ところが、一向これが三〇%にならないで、今年も〇・六%というような、実にはんぱな数字がここに計上されておる。私は、今日地方財政が破綻に瀕しておる、死に瀕しようといたしておりますときに、ほんとうに佐藤内閣総理大臣が地方開発を行なわれるといたしますならば、地方の単独事業、あるいは地方のことしの予算の中で二七%のウエートを占めております国の補助金に相対抗することのできるだけの財源をここに与えてもらいたい。それには地方交付税を三〇%に伸ばすと同時に、多少言い過ぎかもしれませんが、少なくとも今日の専売納付金の全額、地方住民の消費するたばこの益金は、そのまま地方にこれを渡すという形をとって、そうして地方財政の健全化をはかっていくという方向がどうして出されないかということを、私はこの機会にお伺いしておきたいと思うのでございます。
 次に問題になってまいりますのは、御承知のように、公営企業に対しまする今日の問題でございます。
 公営企業につきましては、先ほどいろいろ議論されておりますが、どうも少し大臣の数字が違っておるようであります。私が訂正するのもいかがかと思いますが、大臣のお話になっております公営企業の赤字の数字は、いわゆる法適用事業団体の三百七十五億六千八百万円だと思います。しかし、これだけではございませんで、地方には法の適用を受けない小さな市町村の公営企業があるわけであります。これの赤字を累積いたしてまいりますと、結局赤字の総額は五百六億六千六百万円になるというのが、大体私は正しい数字ではないかと考えるのでございます。こういうふうに考えてまいりますと、今日の地方の公営企業は、水道事業においては三六%、電車あるいはバス、いわゆる交通機関あるいは病院等におきましては、その六六%が実は赤字会計になっておるということである。もちろん、これに御承知のように国民健康保険を入れてまいりますると、かなり大きな赤字が出てくるはずであります。
 私どもは、これらに対していかに対処していくかということが非常に大きな問題である。これは公共料金の値上げとともにわれわれは考えなければならない問題だと考えておるが、この問題については、私は、少なくとも今日の地方公営企業に対しては、一つの提案といたしまして、今日都道府県あるいは市町村が、郊外へ郊外へとその発展を見ておりまする関係から、財政投資、いわゆる先行投資といわれておりまするものが非常にたくさんな数字になってあらわれてまいっておるのであります。そこで、この新しくできてまいりましたたくさんの先行投資と旧来のものとは、いまほとんどどんぶり勘定のような形で計算されておりまするところに、今日の公営企業の非常に大きな問題がありはしないか。したがって、これを切り離して、従来公営企業として十分に独立採算のとれるところはそのまま置いておいて、そうして、どうしても採算のとれない、不経済にでき上がっております、新しく伸びようとするところの地域に対しまする公営企業については、これを特別会計にして、ここに利子補給を行なっていくということにすれば、今日の公共料金の値上げをしなくても済むのじゃないかと私どもには考えられる。私は、何もこの公営企業だけに利子補給をしろということではないのであって、建設省が持っておりまする住宅金融公庫の補給金あるいは日本住宅公団の補給金というのは、大体利子補給が二・四%行なわれておることは御承知のとおりであります。また、運輸省の持っておりまする市中金融機関の外航船舶建造融資利子補給は三・一%行なっておる。同時に、日本開発銀行が持っておりまする外航船舶建造融資利子補給にいたしましても二・五%の利子補給が行なわれておるのであります。私どもは、これらのものが不要のものとは申し上げませんが、いずれにいたしましても、個人の財産であるかあるいは株式会社であるという、営利会社であることに間違いはございません。営利会社のこういう事業について、いかに国家経済に関係があるからといって、こういう利子補給をいたしておりまする今日の状態においては、少なくとも地方の公営企業に対しましては)私は、国が補給金を出すということはたいして不都合じゃないということが考えられるからでございます。こういう御意思があるかどうかということ。
 もう一つの問題は、今日の日本の公営企業に対しまする金利は非常に高いのであります、一番安いので六分三厘から六分五厘、もう少し高いのは八分をこえておるのであります。しかも、償還期間は大体十八年になっておる。こういうことでは、ほんとうの公営企業というものは満足に育たない。これを米国、カナダあるいはイギリス等のこの種の問題と比較をいたしてまいりますると、大体三国のこの種の公営企業に対する利子は三分五厘が平均の数字である。しかも、償還年限は四十年から五十年になっておるということである。こういう形において初めて公営企業は育っていく。私は、公共料金の値上げを今日押えていくということが政府の目下の急務であると考えるが、総理大臣はこの点についてどういうお考えをお持ちになっておるか、お聞きしたいと思うのでございます。
 最後にお聞きしたいと思いますことは、いろいろ議論はございますが、問題になりますのは、国と地方との会計年度の関係がきわめて地方財政を不健全にしている一つの事実でございます。国も地方も三月三十一日で締め切って、四月一日から発足するという形になっておりますから、結局、三月三十一日にならなければ、国のほんとうの数字の交付税もきまらなければ、補助金の額もきまらない。したがって、これが地方に分配されるのは、早くて七月から九月になっておる。東北、北海道のように、十一月から来年の三月一ぱいはほとんど土建事業ができないというようなところでは、少なくとも半年は遊んでいなければならないというような実情であって、全く今日の地方財政を非常に苦しめておる。同時に、現在各都道府県や市町村が予算の審議をいたしておりまするが、補助金がきまっておらない、交付税がはっきりきまっておらないために、組む予算はすべて骨格予算であって、地方公共団体が実際に行なってまいります予算は、全部更正予算、補正予算によってこれが審議されるという、きわめて不健全きわまる地方財政になっておるということは御承知のとおりであります。これは私どもぜひ是正しなければならない、そうして、予算の効率的使用と行政運営の円滑化をはかっていこうとするには、私は、少なくとも国の会計年度を暦年にして、地方自治体の会計年度をいまの三月三十一日で締め切って四月一日に発足する、こういう形にすることが、国と地方との財政の円滑化と同時に、地方財政が行政の面においてほんとうに混乱しない、十分にその効果を発揮することができるということを、私は確信を持って申し上げたいのでございますが、この点について、総理大臣あるいは大蔵大臣から、私のこの提案に対してどういうお考えをお持ちになっておるか、お聞かせを願いたいと思うのでございます。
 以上をもって私は四十年度の地方財政計画案に対する質問を終わりたいと存じます。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 国も健全財政、また地方も健全財政であること、これが望ましいことは私が申し上げるまでもございません。
 ただいま、地方債が出ておるとか、あるいは外国債も出しておる、こういうことで、地方は借金政策だ、ここに健全財政はないではないか、こういうような御指摘でございますが、御承知のように、今日、起債を許しておりますものは、特別な場合に限りまして、その地方団体自身が十分の負担力がない、そうしてそれが長期の事業である、こういう点に限って起債を許しておるわけであります。また、起債を許します場合に、外国債の場合でも、国内資金の事情や、あるいは外債市場の状況、同時にまた、起債事業の性格等を十分勘案してやっておりますので、これをもって健全財政でない、こうきめてしまうことはやや行き過ぎでないだろうか、かように私は思います。
 先ほど御指摘になりましたあるいは大阪、東京、これらのところで、一時にその資金を獲得することは困難だが、同時に、その事業自身が長期にわたるものである、そうして、その意味においては長期にわたって市民自身が負担する、かような意味においての起債、かように私は理解いたしておりまして、適当な処置ではないかと思います。
 また、公営企業についての今日の赤字、これにつきましては、先ほど来お答えいたしたのでありますが、その金額が五百六億になっておる、たいへんな金額でございます。したがいまして、事業という以上、その事業自身が採算に乗ることが望ましい。かような意味で経営の合理化をはかるし、同時にまた、料金等の改定もやむを得ない措置として、その適正化をはかっていくことの処置がとられる。いずれにいたしましても、地方公営企業制度調査会というものがございます。今日までは、その中間報告によってわれわれは処置しておるのでありますが、いずれ今秋には本格的な答申が出てくる、かような状態でございますから、その答申を待ちまして、しかる上で処置したい、かように考えます。(拍手)
  〔国務大臣吉武恵市君登壇〕
○国務大臣(吉武恵市君) お答えいたします。
 地方税が一五・八%で無理をしてないかというお話でございますが、これは相当検討をいたしまして、確実に収入できるものという前提で組んでおります。
 なお、地方債が二五%に、非常に大きく伸びているじゃないかというお話でございますが、そのとおりでございます。それは地方における住民の福祉のため、社会開発のためにも必要でありますので、この点を広げまして、二五%にした次第でございます。
 なお、単独事業が減ってはいないかというお話でございますが、これは先ほど申しましたように、地方財政が健全均衡財政になりましたために、従来のような大幅な自然増収が望めませんので、勢い圧縮されたのはやむを得ないところでございます。
 なお、自主財源を与えたらどうかというお話でございますが、これは私どももできるだけ自主財源を考えたいのではございまするけれども、目下のところでは、いい自主財源というものもまだ見つからないのでございます。
 なお、公営企業の赤字につきましては、先ほど私は三百七十二億と申しましたが、これは御指摘のとおり法適用の公営企業だけでございまして、法適用を受けない他の企業が約百三十億余りございまするので、合計いたしますると五百億程度になる次第でございます。
 なお、この際、先ほど佐野さんからの御質問中、新産都市に対する財政措置についての御質問がございましたが、これはいままでの新産都市の中に多少行き過ぎた先行投資等がありまして、困っているところもございますが、これは再建団体等の処置によってめんどうを見ていくつもりでございます。
 なお、もう一つの点は、給与ベース、四十年度における人事院勧告等があった場合に、その給与ベースをどうするか、財源をどうするかというお話でございますが、実は、これはいまのところではどのようになるかわかりませんので、そのときになって考えていきたいと考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 先ほど総理大臣からおおむねお答えいたしましたが、地方財政の健全化ということは、国も地方も同じ考え方で健全化をはかっております。ただ、先ほど御指摘になりました数字を少し詳しく申し上げますと、税収の割合は地方財政で四一%でございますが、交付税と譲与税を合わせますと、一般財源は六二%になります。あとは全部起債のような感じが出ておったようでございますが、国庫支出金が二七%ございます。雑収入が七%ございまして、地方債は五%でございますので、国家財政と比べてアンバランスであるということは言えないわけでございまして、地方財政も健全な姿であると考えておるのであります。
 それから、地方債の問題についても総理大臣がお述べになりましたが、国も地方も、地方債以外の歳入をもってまかなうことを原則にいたしておりますが、国と違いまして、地方公共団体は規模が非常に小さいので、将来にわたって償還を必要とするというような事業を行なう場合、地方債によるということは、その性質上やむを得ないと思います。しかし、これが健全性を阻害するものでないということは、その性質上明らかでございます。
 外債につきましては、総理大臣からお答えがありましたから、これは省きます。
 それから、たばこの専売納付金を地方へ交付せよということでございますが、御承知のとおり、たばこの財源は、電気ガス税の代替財源としても相当使ってまいりましたし、国の財政の事情を見ますと、いまこれを地方に交付する、移しかえをするという考えはございません。
 なお、公営企業に対して利子補給を行なうか、もしくは金利を下げるようにということでございますが、現在の資金運用部資金のコストの状況を考えますと、公営企業に対する金利を引き下げるというような状態ではないのであります。
 最後に、地方と国との会計年度の問題についての御質問がございましたが、しかし、国と地方とはどうしても年度が一つでなければならないという考え方でございます。ただ、行政制度調査会等の答申もございますが、国を暦年度にするという考え方につきましては、私は、個人的に、こういう問題は、その方向で検討を必要とするという考えでございます。(拍手)
○副議長(田中伊三次君) これにて質疑は終了いたしました。
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 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)及び地方税法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)の趣旨説明
○副議長(田中伊三次君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出、地方交付税法の一部を改正する法律案、及び地方税法の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。自治大臣吉武恵市君。
  〔国務大臣吉武恵市君登壇〕
○国務大臣(吉武恵市君) 地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 地方交付税の算定につきましては、逐年その合理化をはかってまいったのでありますが、明年度におきましては、道路整備事業をはじめとする公共事業費の増大、生活保護その他の社会保障制度の拡充、給与改定の平年度化、その他制度の改正等により、地方団体の財政需要が増加いたしますので、地方財政の現況にかんがみ、国税三税に対する地方交付税の率を〇・六%引き上げて二九・五%に改め、地方交付税の総額の増額をはかるとともに、これら増加経費に対応する財源を関係地方団体に付与するため、単位費用の改定等普通交付税の配分の合理化をはかるための所要の改正を行なおうとするものであります。
 以上が、地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 次に、地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 地方税につきましては、最近の数次にわたる改正により、住民負担の軽減合理化をはかってまいったのでありますが、ことに、本年度におきましては、市町村民税、電気ガス税等について大幅な税制の改正を行なったのでありまして、このうち、市町村民税所得割りの負担の不均衡是正につきましては、明年度においても本年度に引き続き実施されることになっているのであります。他方、明年度の地方財政の状況を見ますると、国庫予算の増加に伴う公共施設の充実、社会保障の拡充等のだめの負担の増加、地方公務員の給与改定に伴う給与費の増加等によりまして、予期される地方税及び地方交付税の自然増収をもってしても、これをまかなうことに十分でない現況にありまして、別途、地方交付税率の引き上げを提案いたしているような次第であります。したがいまして、明年度の地方税制の改正にあたりましては、ただいま述べましたような実情を考慮いたしまして、個人事業税の事業主控除額の引き上げ、電気ガス税の免税点の引き上げ等、主として中小所得者の負担の軽減をはかり、あわせて自動車税及び軽自動車税の負担の合理化をはかることを中心として、所要の改正を行なうこととしたのであります。
 以下順を追って、地方税制の改正の概要について御説明申し上げます。
 第一は、道府県民税及び市町村民税についてであります。道府県民税及び市町村民税におきましては、明年度に行なわれる法人税の税率引き下げに伴う法人税割りの減収を回避するため、道府県民税法人税割りの標準税率を百分の五・五に、市町村民税法人税割りの標準税率を百分の八・四に、それぞれ改定いたすことといたしました。
 第二は、事業税についてであります。事業税におきましては、個人事業者の負担の軽減をはかるため、個人事業税の事業主控除額を二十四万円に引き上げました。
 第三は、自動車税についてであります。近年自動車台数の増加は著しく、これに伴って、道路の新設改良等直接道路に関する経費のほか、交通取り締まり等自動車の増加に原因する行政経費が著しく増加していることなど、現行の自動車税率が定められた後における諸事情を勘案し、また、その反面、国民の生計費等に与える影響をも考慮し、営業用小型自動車、観光貸し切り用バス以外のバス及びトラックを除きまして、その他の自動車につき今般自動車税の税率を五〇%引き上げることにいたしました。なお、これと同じ趣旨により、四輪以上の乗用軽自動車につきまして、軽自動車税の税率を同じ割合で引き上げることといたしております。
 第四は、電気ガス税についてであります。電気ガス税につきましては、零細負担の軽減合理化をはかるため、免税点を電気については月額四百円、ガスについては月額五百円に引き上げることといたしました。
 以上のほか、所得税法及び法人税法の全文改正に伴う関係規定の整備その他税制の合理化のための規定の整備を行なっております。
 以上、地方税制の改正につきまして概要を御説明申し上げましたが、これに伴う明年度の地方税の増減収額は、国税改正による影響分を含めまして、総額では、初年度八十億円の増、平年度五十億円の増となるのであります。なお、別途本年度の改正により明年度に実質減税となるものとして、初年度二百六十億円の減、平年度二百八十億円の減がありまするので、これを通算いたしますと、明年度における実質的な住民負担といたしましては、初年度百八十億円、平年度二百三十億円の減税が行なわれることとなるのであります。
 以上が、地方税法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
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○海部俊樹君 ただいまの趣旨説明に対する質疑は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
○副議長(田中伊三次君) 海部俊樹君の動議に御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中伊三次君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時二十二分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        外 務 大 臣 椎名悦三郎君
        大 蔵 大 臣 田中 角榮君
        文 部 大 臣 愛知 揆一君
        厚 生 大 臣 神田  博君
        農 林 大 臣 赤城 宗徳君
        通商産業大臣  櫻内 義雄君
        運 輸 大 臣 松浦周太郎君
        建 設 大 臣 小山 長規君
        自 治 大 臣 吉武 恵市君
        国 務 大 臣 増原 恵吉君
 出席政府委員
        内閣法制局第三
        部長      荒井  勇君
        自治省財政局長 柴田  護君
        自治省税務局長 細郷 道一君
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