第048回国会 予算委員会第三分科会 第2号
昭和四十年二月二十三日(火曜日)
   午前十時九分開議
 出席分科員
   主査 相川 勝六君
      青木  正君    荒木萬壽夫君
      井村 重雄君    古井 喜實君
      大原  亨君    加藤 清二君
      河野  正君    安井 吉典君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 神田  博君
 出席政府委員
        人事院事務官
        (職員局長)  大塚 基弘君
        公正取引委員会
        委員長     渡邊喜久造君
        厚生事務官
        (大臣官房長) 梅本 純正君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局
        長)      若松 栄一君
        厚 生 技 官
        (環境衛生局
        長)      舘林 宣夫君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  尾崎 嘉篤君
        厚生事務官
        (薬務局長)  熊崎 正夫君
        厚生事務官
        保 険 局 長 小山進次郎君
 分科員外の出席者
        大蔵事務官
        (主計官)   船後 正道君
        自治事務官
        (財政局交付税
        課長)     石川 一郎君
    ―――――――――――――
二月二十三日
 分科員高田富之君委員辞任につき、その補欠と
 して河野正君が委員長の指名で分科員に選任さ
 れた。
同日
 分科員河野正君委員辞任につき、その補欠とし
 て安井吉典君が委員長の指名で分科員に選任さ
 れた。
同日
 分科員安井吉典君委員辞任につき、その補欠と
 して高田富之君が委員長の指名で分科員に選任
 された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十年度一般会計予算中厚生省所管
 昭和四十年度特別会計予算中厚生省所管
     ――――◇―――――
○相川主査 これより会議を開きます。
 昭和四十年度一般会計予算及び昭和四十年度特別会計予算中、厚生省所管を議題といたします。
 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度、兼務員もしくは交代して分科員となられた方は三十分程度にとどめることになっておりますので、右御協力を願います。
 なお政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は的確に要領よく簡潔に行なわれますよう特に御注意申し上げます。
 それでは、厚生省所管について質疑を行ないます。河野正君。
○河野(正)分科員 時間の制約もございますので、簡明にお尋ねをいたします。お答えのほうもひとつ簡明率直にお答えをいただきたいと思います。
 そこできょうは、いま非常に大きな社会問題となっております流感対策をめぐります諸問題について、しぼってお尋ねを申し上げたいと思います。
 すでに御承知のように、この流感は大体まあ二年周期ということで大流行を来たしておりますのが今日までの現況でございます。したがって、本年がその流行期に際会をいたしておるわけでございまして、そのようなことから、この関東地方におきましても、東京都、栃木、茨城、神奈川というような地域におきまして非常にしょうけつをきわめておるわけでございます。東京都の状況だけを見てまいりましても、この一月以来の学校閉鎖のごときは六百九十三校、閉鎖いたしました学級数というものは三千七十四学級、こういうようなおびただしい流行を来たしておるのでございます。しかも流行いたしてまいっておりまするこの時期というものは、一つには進学期を控えている非常に重大な時期でもございますし、いま一つは、就職期等を控えまして、これまた学童あるいは学生の将来の運命を決定するというような非常に重大な時期でもございます。ところが今日までの状況を見てまいりますると、どうも流行が起こってまいりますとあわてて対策を立てる、こういうような状態で推移してまいった。今日までの現況を見てまいりましても、やはり二年周期でまいるわけですから、したがって、この流感対策に対しましては抜本的な対策を立てる必要があろうということで、私は先般の本会議で質問した経緯もございます。これらの流感に対しまする抜本対策をすみやかに確立する必要があると思いまするが、これらの点についてどのようにお考えでございまするか、大臣の所見をまずもってお尋ね申し上げておきたいと思います。
○神田国務大臣 お答えいたします。
 季節の変わり目でございまして、かぜがはやっておることはお述べになりましたとおりでございまして、私どもといたしましても非常に心痛いたしております。何といたしましても流行性がございますから、これは予防接種が一番かぜの蔓延を防ぐ道だと考えておりまして、そのような対策を立てまして、できるだけひとつ最小限度に食いとめたい、こういう計画を出しております。詳細なことは公衆衛生局長から簡単に説明させたいと思います。
○河野(正)分科員 時間がありませんから深く追及することを避けたいと思いますが、いま大臣がお答えになったような予防接種という問題も、重要な一つの予防対策であります。しかしその予防接種と申し上げましても、これはいろんな型の流感、インフルエンザがやってくるわけです。そこで同一の、たとえばことしはA2型ということでございますが、同一の型の流感が毎年毎年流行してくるというようなことでございますると、比較的予防注射の場合も準備の立て方が容易でございまするけれども、しかし、どういう型の流感が流行してくるかわからぬという点もあるわけですから、私はそういうような予防注射の問題もさることでございますけれども、疫学的な研究体制というものを確立をして、ことしはどうだ、あるいは来年はどうだ、そういうふうな一つの見通しに立って対策を立てるということがきわめて重要ではなかろうか、こういうことを考えておるわけであります。したがって、一つには予防注射に対しまする体制を確立するということが重要でございますが、いま一つにはやはり疫学的な研究調査、それに基づきまする対策というものが、非常に重要な意義を持つというふうに考えております。したがって、私は今後の対策としては、やはりいま申し上げまするような予防注射と同時に、疫学的な調査研究、それに基づきまする対策というものを強力にひとつお進めをいただきたい、かように考えるわけでございますが、それらの点についての御所見を承りたいと思います。
○神田国務大臣 いま河野委員のお述べになりましたことはまことに適切なことでございまして、もとより厚生省といたしましてもその方面につきましてできるだけ準備をやってはおります。しかし、いまお述べもございましたように、そのつどかぜの質も変わっておるようなものでございまして、十分今後とも留意いたしまして一般におこたえできるようにいたしたい、こういう考えでございます。
○河野(正)分科員 そこで、それらの予防対策と関連をして、いま一つ大きな社会問題となっておりまする問題の中に、いわゆるかぜのアンプル薬の問題がございます。この問題は人命というきわめて重要な問題をかかえておりますので、われわれとしても重要な問題として取り上げなければならぬ使命があろうかと考えております。そういう意味で、きょう若干厚生省に対しまする所見と今後の対策等についてお尋ねを申し上げておきたいと思いますが、いま問題となっておりまするアンプル入りのかぜ薬によりますところの薬禍事故、これはこの十一日、千葉県で発生いたしましたのを契機として、千葉、静岡、富山、こういうような地域におきましてとうとい犠牲者を出すに至っておるわけでございます。しかも、新薬ブームという波に乗って、この薬禍事故が一そう続発するというふうな状況にございます。ところが今日までの現況を見てまいりますると、私は必ずしも厚生省のおとりになりました処置が適切だったということについては、私どももそうでございますが、国民も必ずしも納得しておらぬと思うのでございます。そこでひとつ大臣から、このアンプルかぜ薬をめぐりまする薬禍事故についての御所見をまずもってお伺いをいたしておきたい、かように考えます。
○神田国務大臣 今月の十一日から二十日までの間に、いまお述べになりましたようなアンプル入りかぜ薬の事故が静岡、千葉等に出まして、貴重な生命を奪われたことはまことに遺憾でございまして、われわれといたしまして非常な責任を感じております。
 そこで、この対策でございますが、当面の対策といたしましては、事故発生の原因をひとつ徹底的に究明いたしてまいりたい。すなわち、服用いたしました同一番号の製品を目下試験を実施している最中であります。この結論がまだ出てまいりませんが、これは間近に結論はわかると思います。これを急いでおります。同時に、そういう事故ができまして、とうとい生命が失われたわけでございますから、この製造元につきまして、製造また薬品の販売、そういうことをとめたい、こういう考えをもちまして関係業者を招致いたしましたところ、その業者から自主的に、直ちに製造、販売、もちろん出荷も停止いたしまして、そして原因の究明に本格的に入りたいというような申し出がございまして、これを了といたしまして、そういうふうにやっております。同時にまた、これはなかなか大きな問題でございますし、学問的の基礎も必要でございますので、学識経験者の御参集を願いまして、アンプル入り感冒薬につきまして懇談会を開催いたしまして、いろいろ御意見を承っております。その御意見を承った結果、やはりこれはそういうようなことはまだ実験中でございますから結論は出ませんが、非常に慎重を要するんじゃないか、こういうようなことでございまして、われわれといたしましては、そういう死亡原因に該当した会社に限らず、アンプル入りの製薬をしておる広範囲な会社等に対しまして、あるいは製薬団体一般を招致いたしまして、当分の間ひとつ協力してもらいたい、自粛していただきたい、そしてすぐ原因の究明をいたしまして、その結果によって指導したい、こういうようなことで、いま慎重に、しかも迅速に、鋭意調査をいたしておるような現状でございます。
○河野(正)分科員 いま大臣から慎重に、迅速にというようなお話がございましたが、この薬禍事故というものは、この場合はかぜ薬が中心ではございますけれども、この数年間薬禍事故は年ごとに増加をする傾向にあったわけでございます。たとえば昭和三十四年から昨年末までの間の集計によりましても、化粧薬、殺鼠剤あるいはまたぜんそく薬、それから例の睡眠薬でございますサリドマイド、こういうような事故が百十五件、うち五十四名が死亡するという事例があったわけでございます。もちろんその中でもかぜ薬の事故が最も多くあるわけでございまして、四十件、二十七名の死亡者を出しておるわけでございます。特にかぜ薬の場合は非常に高い死亡率を来たしておる。これがかぜ薬の場合の特色でございます。ところが先ほど申し上げましたように、新薬ブームで新薬の製品というものがどんどん伸びてまいります。したがって国民の消費というものがだんだん伸びてくる、そういうことになりますと、どうしても薬禍事故に遭遇する機会が非常に多くなるということを意味すると私は思うわけでございます。ところが、今度のかぜ薬の場合は非常にてんやわんやの大騒ぎになりましたけれども、いま申し上げましたように、薬禍事故というものは今度のかぜ薬で始まったのではなくて、化粧薬によったり殺鼠剤によったり、あるいはぜんそくの薬あるいは睡眠薬、こういうものによって薬禍事故というものがしばしば発生しておったわけです。ところが、いままでそれに対する具体的な対策が講ぜられてない。そうして今度のかぜ薬でてんやわんやの大あわてです。これは厚生省の薬禍事故に対します取り組み方、対策というものに非常に大きな欠陥があったのではないか、手落ちがあったのではないか、こういう意味で、今度の薬禍事故についての厚生省の責任は非常に重い、こういうふうに指摘せざるを得ぬと思うのです。こういう点に対しましてどういうように責任を感じておられますか、率直にひとつお聞かせをいただきたい。
○神田国務大臣 いまお述べになりましたように、三十年からここ数年来たくさんの薬の事故が発生をしていることは統計のとおりと思っております。これらにつきましては、そのつど厚生省といたしましてはそれぞれの手を打ってまいってきたわけでございますが、いまお話のございましたように、振り返ってそれがほんとうに万全であったかどうかということになりますと、いま御注意も受けたように、私ども決して十分ではないと考えております。今回の事故につきましても、過去にさかのぼりましてそういうような対策等を立てたわけでございますが、少し甘いというとことばがはなはだ申しわけないのでございますが、ゆるかったのではないか。非常に責任を感じております。今回もそういうようなわけでございまして、できるだけひとつ詳細な調査を迅速にいたしまして、今後そういうような事故の発生を未然に防いでまいりたい、こういう考えでございます。このたびの問題につきましても、非常に大きな責任を感じております。何といたしましても薬の種類がふえ、また量が伸びる、それから宣伝が少し強過ぎて、服用する注意が十分じゃなかったんじゃないだろうかというような等々のことも考えられますので、今後におきましてはできるだけひとつ最善の努力をいたしまして、このような事故の再発を防いでまいりたい、こういう考えでございます。
○河野(正)分科員 いま大臣のお答えを承ってまいりますと、できるだけ打つべき手は打った、こういうお答えであったわけですが、率直に申しまして、大臣もそういう方面ではいわばしろうとというきらいもあるので、私は多少認識の欠けている点もあろうと思うのです。そこで、私は事務当局に対します反省を促す意味で、あえて一例だけ取り上げて、大臣の今後の強力な心がまえをつくっていただくことを希望するわけです。
 どういうことかと申しますと、薬禍事故が起こってまいりました際にいつも言われることは、特異体質、アレルギー体質、こういうことでしばしば薬禍事故の責任がすりかえられた、こういう傾向が非常に強かったと思うのです。何かありますと、それはアレルギー体質であった、特異体質であった、だからやむを得なかったというような印象を与えるような発言があったと思うのです。それならば私はそれでいいと思うのですが、それならば政府はアレルギー対策に対してどういう具体的処置をしたか。薬禍事故が起こるということはアレルギー体質、異常体質に基づくのだ、こうおっしゃるわけですけれども、そうだとするならば、アレルギー体質なり異常体質に対する対策はどういう対策をお進めになったか、この点私は非常に重大だと思うのです。なるほど全国にも、神奈川、東京、姫路、松山、別府、三重、こういう六つの国立病院にアレルギー・センターというものが併設をされております。併設されておりますけれども、国立病院のアレルギー・センターに対します運営費というものはわずか二万円程度だ、こういうことを承りますと、薬禍事故が起こるとそれはアレルギー体質だ、異常体質だ、こう言いながら、それならばそういう体質に対します対策が立てられておるかというと、いま申しますようにたった二万円の金を与えてこれで何とかしろ、これではたして政府がほんとうに薬禍事故やアレルギー対策に真剣に取り組んでおるのかどうか、私は率直に申し上げて疑問を持たざるを得ないし、また国民もこの点については納得するわけにはいかぬと思うのです。アメリカあたりでは、たとえばペニシリンをやるとか、あるいは抗生物質をやる、そういう場合にはアレルギー体質であるかどうか、異常体質であるかどうかということを試験薬で試験をして、その上で使用する、こういう未然に薬禍事故を防ぐ処置が行なわれておるわけです。日本の場合は、そういう研究が非常におくれておる、おくれておるならば、そのおくれておる研究を取り返さなければならぬのに、それがいま国立のアレルギー・センターに対しましてもわずか二万円程度の運営費を与えておる、こういうことでは私はいつまでたっても薬禍事故というものは防止することはできないと思うのです。こういう専門的なことは大臣は十分御承知なかったと思いますけれども、このように事務当局で、薬禍事故に対しまして、アレルギーあるいは異常体質問題、そういう問題に対しまして、非常にサボっておる。それが私は今日のようなとうとい人命を奪うような不幸な事態が起こってきた一番大きな原因ではなかろうか、こういうことを考えますると、私は、やはり厚生省の責任、政府の責任というものはきわめて大きい、こういうふうに指摘せざるを得ないと思うのです。そこで、これらの具体的な対策に対して欠けておる点があるわけですから、熱意がない点があるわけですから、こういう特異体質あるいはまたアレルギー対策に対しまする今後の政府の姿勢というものについても、ひとつ率直に御所見を承っておきたいと思います。
○神田国務大臣 いま河野委員お述べになりました点、アレルギー対策に対する政府の心がまえがなっていないと申しますか、非常に努力が軽少だということでございます。これは実は私もまことに申しわけないのでございますが、もうおっしゃるとおりで、ただ気がつかないでおった、これはもう率直におわびいたします。私といたしまして、こういうことを詳細に承知した以上は、今後十分ひとつアレルギー対策に対する措置を強力に進めてまいりたい、こう思っております。医務局長がおりますから、詳細なことを医務局長に少し答弁させてみたいと思います。
○尾崎政府委員 薬品によりますいろいろな過敏症、アレルギーの問題につきまして、先生も御承知のように、たとえばペニシリン等におきましては、ペニシリンショックを予防するために、その使用前に患者にごく少量を皮膚反応を試みてみるとかいうような必要な措置は講ずるようにしておりますが、今回のアンプル入りのかぜ薬等を患者さんが御自身で買われて飲まれて、異変が起こったというふうな問題につきまして、まことにわれわれのほうの研究がそこまで手が及んでおりませんで、いまから一そう勉強しなければいかぬと思います。
 先生のいまお話しのアレルギーセンターの問題でございますが、これは大学等に少し先んじた形で、国立病院で各地にいまつくっておるところでございますが、各病院におきましては、つくりました際に設備費も、ちょっと金高は覚えておりませんが、与えて、研究設備を拡充させ、また医師、看護婦もそれだけの定数をふやし、そうして各病院病院におきまして、ぜんそくだとかそういうふうな特殊な、病院において注目をいたします疾患を対象といたしまして、国立病院といたしましての研究施設でございますから、患者を見ながら臨床的な研究を進めていくというふうなことをやっております。たとえば相模原のアレルギーセンター等におきましては、ぜんそくと花粉とかハウスダストというふうな問題でかなりの成果をあげておりますが、さらにほかの病院のアレルギーセンターに対しましても、われわれできるだけ、事態の重要性にかんがみまして、研究の督促、督励をはかっていきたい、こう思っております。
 いま先生のお話しになりました二万円というのは、そういうふうな一般の診療形態としてやります病院運営にプラスアルファといたしましての費用である、こういうふうに思いますので、われわれのほうももう少しこの仕事の拡充に努力をしていきたい、こう思うわけであります。
○河野(正)分科員 いろいろの釈明がございましたけれども、現実にアレルギーセンターをつくっていただいたけれども、これは設備と人だけでは解決する問題ではないわけです。やっぱり研究するための経費を流さなければ、たとえ設備があって医師がおって看護婦がおったからといって今後の研究がだんだん成果を結んでいくということではない。ですから、やるならとことんまでやるだけの経費を落として、予算を流して、そしてとうとい人命が救済されるような成果をあげることが望ましいし、また目的もそこになければならぬと思うわけです。そういう意味で、私はいま大臣にも御指摘申し上げましたように、非常に不満の意を表明せざるを得ないような対策でございますから、ひとつこの際大臣も認識を改めていただいて、このアレルギー問題あるいは異常体質問題に対してしっかり四つに取り組む体制というものを確立していただきたい、かように考えます。
 それから、先ほど、学者グループ等を厚生省が招かれて、今度の薬禍事故の原因がどこにあるかというふうな検討なり研究をいろいろされようということでございますけれども、私は今日までの経緯を見てまいりまして感じますことは、やはり厚生省の打たれる手というものがどうもその場しのぎの対策に終わってきたというふうな感じを非常に強く持つわけです。今度のかぜ薬だけでなくて、先ほど申し上げまするように、睡眠薬の問題もございますし、あるいはぜんそく薬の問題もございますし、あるいは殺鼠剤、化粧剤、いろいろ今日まで薬禍事故というものが起こってきたわけですから、そういうようなその場しのぎの対策でなくて、やはりこの際抜本的な対策を立てる必要がある、こういうように考えるわけでございます。
 そういうことに関連して一、二お尋ねを申し上げてまいりたいと思いますが、それは、厚生省は今日まで、薬禍事故が起こってまいりましたたびに、今度もそうでございますけれども、製薬メーカーに対しましては、原因がわかるまで販売を停止してもらいたい、それからまた薬事審議会で基準を再検討する、こういったような対策が今日まで行なわれてまいったわけでございます。もちろん今度の場合も、九名の学者グループを招集して、そしてどうも配合基準に非常に大きな問題があったのではなかろうかというふうなお尋ねをしておるようでございます。たとえば同じ劇薬の分量でも、錠剤の場合と粉剤の場合とそれから今度のドリンク剤の場合は、それぞれ人体に対します吸収される能力が違うわけですから、そういうことでどうもこのような事故が起こったのでなかろうか、こういうことでございますけれども、私はそういうことで薬事審議会に再検討させられるということ自身に非常に大きな問題があると思う。薬事審議会では、劇薬であるけれども、この程度ならだいじょうぶだろうということで答申をして、厚生省で認可され、そうして今度またそれを再検討するということになりますと、一体薬事審議会の権威というものはあるのかないのか。一ぺん薬事審議会でお調べになって、そこで結論が出たものに対して厚生大臣が認可された、ところがこれをもう一ぺん再検討させるということになりますと、ほんとうに薬事審議会の権威というものはあるのかないのか。私は薬事審議会の存在そのものに対しても非常に疑問を持たざるを得ない。そういうことになりますと、いま申し上げまするように、これは薬事審議会そのものに対しまする抜本的な改正というものが必要になってきやせぬかというふうに思うわけでありますが、薬事審議会に対します御所見をひとつ率直にお聞かせをいただきたと思う。
○神田国務大臣 いまお述べになりましたこと、これは非常に重大なことでございまして、厚生省といたしまして、権威ある薬事審議会の議に付しまして市販を許可しているわけでございまして、今度のような事件が起きてまいりまして再検討するということになりますと、再検討しておるいわゆる試験の結果を待たないと、一がいには言えないんじゃないかと思います。しかしいずれにいたしましても犠牲者の出たことは事実でございますから、犠牲者が出たという事実にかんがみまして、なおひとつ十分な検討を加えたいということでございまして、薬事審議会をいまどうこうということまでは考えていないというのが実情でございます。
○河野(正)分科員 私が持ちます疑問は二つございます。一つはいま申し上げますように、一ぺん薬事審議会に対して、どうでしょうか、そしてお答えをいただいて認可をされた。そしてもう一ぺんこれはぐあいが悪いということで諮問されることについては、薬事審議会の存在そのものに対して問題が一つある。もう一つは、もし配合基準の再検討の結果、改正されたということになりましても、それなら旧基準が悪かった、そこで今度配合基準というものを改正するんだ、こうなりますと、旧基準のために犠牲をこうむった国民の被害、旧基準に基づきまする責任、それは一体どうなるのか。私はこういう二つの疑問があると思うのです。ですから、第一は、一ぺんお尋ねになって、ああそうですか、それならよろしいということで認可した。それをどうもぐあいが悪いんだということでもう一度諮問をされる。そういうことが薬事審議会の存在についての非常に大きな疑問点でございますし、もう一つは、もし再検討の結果、旧基準は少し行き過ぎだった、量が多過ぎた、それだから配合基準を新しい基準に改正するんだということになりました場合には、古いほうの基準によって起こってくる責任というものは一体だれがとるのか、この問題点があると思うのです。これらの点について、いかがですか。
○神田国務大臣 いまのお尋ね、まことにごもっともことでございますが、先ほど来お答え申し上げておりますように、薬の調合が許可した基準どおりにいっているかどうかという問題ございますので、いまそれらをせっかく試験分析している最中でございまして、配合どおりのものであるかどうか、あるいは配合どおりになっていないかどうかというようなことが、これは検査の結果を待たないと申し上げかねるわけでございます。配合どおりであった場合どうか、なかった場合どうかというような問題も出てまいりますので、それを待たないとちょっと御返事申し上げるのはどうか、こう思っております。
○河野(正)分科員 非常に業者に気がねをされているというところに問題があると思うのです。
 もう一つ私が不満に感じましたことは、今度のような薬禍事故が起こってきた、十一日に起こったわけですけれども、なかなか業者の氏名というものが明らかにされないですね。御承知のようにこのかぜ薬だけでも二百社近い企業がかぜ薬を出しているわけです。種類も四百種類ある。そこで私は業者に対しまする配慮というものが非常に強かったと思うのですが、そのためにどこの薬か、たとえば大正製薬か、あるいはエスエス製薬、どこの薬が悪かったんだという点に対する発表が非常におくれておるわけですね。結局、こういうような業者に対しまする配慮のために、国民に対します不安というものが残されること。こういうことは国民としても非常に納得できぬ点だったと思うのです。事故が起こったならば、すみやかに、厚生省も率直に発表して、事故が再び起こらぬような措置が当然行なわれるべきだったと思うのです。それをやらないから、どこの薬かわからぬものだから、また患者が買って飲む。そこで重なって薬禍事故が起こってくる。こういう事態もあったと思うのです。これはあとでちょっと触れたいと思いますけれども、薬剤の監視、取り締まり、これは行政官庁でも指摘をしておるのですが、同じ業者の事故が重なっておる場合が非常に多いというのです。一つの業者が一ぺん起こした事故ならいいけれども、それが何べんも繰り返して事故を起こしておる。そういう事実というものがあったということを、行政管理庁も厚生省に対して昨年の十二月五日に勧告しておる。業者に対しまする配慮でなくて、国民の生命を守ることが大事ですから、すみやかに事態というものを発表する、そしてそういうあやまちを繰り返さぬ、こういう毅然たる態度というものがほしかったと思う。そういう点では、私は多分に今度の場合欠けておった点があろうと思います。そういう業者に対します配慮ばかりに終始をして、そのためにとうとい国民の生命が奪われることについては、われわれも納得するわけにまいりませんので、そこでそれこそ迅速に国民に真相を明らかにする、こういうたてまえをとってほしいと思うのですが、その点いかがですか。
○神田国務大臣 いまのお尋ねになりましたことは全く同感でございまして、そういった考えのもとで実は指導しておるつもりでございます。そこで、何か業者に遠慮があったんじゃないかというようなお尋ねもございましたが、人命尊重が第一でございます。そういう見地に立ちまして、かぜをなおそうと思って薬を飲んで生命を失うということは、とんでもないことでございますから、私どもは一にも生命を守る、二にも生命を守る、そういう考えのもとに製造販売をひとつ取りやめさせる、こういうような処置をとったわけでございます。手ぬるかったというお叱りもございましたが、今後も十分気をつけまして、考え方はおっしゃるとおりでございますから、十分ひとつ厳重に留意してまいりたい、こう思っております。
○相川主査 河野君に申し上げます。持ち時間をはるかに経過いたしましたから、簡潔に結論をお急ぎ願います。河野(正)分科員 そこでいまの点に関連をして、厚生省の今後の反省を求めたいと思うのですが、医薬品、化粧品については、薬事法でいろいろ規制が行なわれるわけです。そこでそういう規制について監視、監督するために、厚生省及び都道府県におきましては、薬事監視員が配置をされておる。そこで薬事法に基づいて設立されております施設につきましては、それぞれ立ち入り検査等が行なわれるわけですが、昭和三十七年に厚生白書が出ておりますから、私あえて三十七年の事例を取り上げるわけですけれども、これを見ますと、いま申し上げますような立ち入り検査によって、五万三千九百三十五件の違反が三十七年に発見されておるわけです。行政管理庁が指摘をいたしましたように、取り締まりというものが非常にルーズになっておるから、依然として三十七年一年だけでも、五万三千九百三十五件というような違反事故が出てまいっておると思うのです。こういうように取り締まりが非常にルーズである。三十九年十二月五日の行政管理庁の勧告でも、厚生省は不良業者の処分が手ぬるい、こういうような勧告をいたしております。私は今日のような薬禍事故の起こってくる根というものが、やはりその辺にあったのではなかろうかということを考えるわけです。これは行政管理庁から去年の十二月五日に厚生省に対して、不良業者の処分が手ぬるい、少し業者に甘いのだということを指摘しておったわけです。したがって、毎年毎年立ち入り検査をやっておるけれども、一年間に五万三千九百の違反者がある。こういうような、違反者が五万も六万も出てくるというようなかっこうだから、薬事事故というものが今日のように出てくる。しかも行政管理庁も、不良業者がたくさんおるけれども、それに対する行政処分というものが手ぬるいのだ、こういう勧告をやっておる。そこで、どうも今度出てまいりました不幸な薬禍事故というものは、このような厚生省の行政指導の欠陥というものに端を発しておるのではなかろうかということを私どもは感ずるわけです。したがって、これらの点について、今後厚生省はどのような処置をされますか。これは行政管理庁の勧告があるわけですから、率直にひとつお聞かせをいただきたい。
○神田国務大臣 お答えいたします。
 大体二十七万くらいの件数があるようでございますが、そのうち年々二十万件くらい検査をいたしております。それから、三十七年に約五万四千近くの検査の結果不良があったことは、いまお述べになったとおりでございます。そこで、私どもといたしましても、これは非常に事故が多い、もっと、いまお述べもございましたように、徹底的に検査をいたしまして、そして正常化せねばいかぬ、こういう考えでございます。今度の事件につきましても考えられるのでございますが、なお一そう整備いたしまして、ひとつ事件の皆無を期して、厳重な検査をして、そしてあやまちのないようにいたしたい、こういう所存でございます。
○相川主査 河野君、結論をお急ぎください。
○河野(正)分科員 この医薬品の広告については、御承知のように、虚偽または誇大にわたらぬようという法の規制があるわけです。これはもう御承知のとおりです。医薬品の広告をする場合には、虚偽の広告をやったりあるいは誇大な宣伝文句を入れてはいかぬということなんです。ところが最近は、テレビが非常に普及するあるいはマスコミが非常に発展をする、そういうことで、これらを媒体として広告というものが飛躍的に伸びる傾向にございます。そこで私は先ほど申し上げましたように、三十九年十二月五日の行政管理庁の勧告の中でも、もう少し厚生省は誇大広告の規制を行なう必要があるのだ、こういう勧告をいたしておる事例があるわけです。
 そこで、今度は誇大広告というのは、今日大体薬剤の生産量というものが四千億、厚生白書の三十七年によりましても、大体その中のいわゆる広告費というものは八・六%、こういわれている。いまおそらく、マスコミが発達してまいりましたから、一〇%を越しておるのではないかと思うのです。もちろんそういうような広告費を使うことは、薬の値段というものが国民にはね返ってきますね。コストにはね返ってくる。それが一つの問題です。それからもう一つ、やはり誇大な広告をされますると、どうしても薬に対しまする国民の認識というものを誤らせる結果が出てくると思うのです。そこで、行政管理庁も勧告をいたしておりまするように、この際、広告の適正基準というものを大幅に改正をする必要があるのではないか。しかも、いま申し上げましたように、膨大なる宣伝費を使う。年々歳々膨大な宣伝費を使う。もう今日ではおそらく四百億から五百億の宣伝費が使われておるのではないかと思う。その大部分はテレビだと思うのです。それは、適正な広告であれば問題ないわけですけれども、いま申し上げますように、非常に誇大な宣伝をやるということですから、私はやはり早急にこの広告基準の大幅な改正が当然必要になってくると思うのですが、この点についてはいかがでございますか、ひとつ率直にお聞かせをいただきたいと思います。
○神田国務大臣 いまお尋ねのございました製薬会社が非常に広告宣伝費を使っておる。これらについてはいろいろ批判のあることは、いまお述べになったとおりに私も承知いたしております。厚生省といたしましても、これらの点に留意いたしまして、昨年の八月十日から広告の適正基準を改めまして、実は強力に指導をやっておる次第でございます。
 なおまた、いまのようなお尋ねもございますし、それからいろいろ世論もございますから、なおその上にひとつ検討を加える、こういうようなことをしてみたいと思っております。
○河野(正)分科員 昨年の八月改正されたということでございますけれども、依然として今日そういう現況にあるわけですね。ですから、それでは足らぬということなんです。しかも行政管理庁は、昨年の十二月五日に勧告しておるわけですよ。ですから、八月改正したからそれでいいのだということには相ならぬと思うのです。しかも、その後誇大な宣伝が行なわれるから、今日のような薬禍事故というものが起こってきておるわけですし、続発しておるわけですから、やはりこれは大幅な改正もなさる必要が私はあると思います。そこで、この点についてはあらためて率直にひとつ御所見を承りたいということが一つ。
 それからもう一つは、これは健康保険法の改正が行なわれるか行なわれないかわかりませんけれども、もし行なわれるということになりますれば、薬価というものに対する一部負担という制度が出てくるわけです。そういうことになりますと、私は、一般国民が売薬によっていくという傾向というものがますます強くなると思うのです。いままでは、被保険者の場合は無料ですから、これはお医者にかかるけれども、今度どうせ医者から取られるのなら、もう売薬にたよっていこうというようなことで、私はこの健康保険法の改正が行なわれますと、受診率が低下すると同時に、一般の国民が売薬にたよっていく傾向というものが非常に強くなっていく、そういう一つの見通しがございます。これは法律が成立するかどうかわかりませんけれども、仮定の事実でございますけれども、私は、国民がどんどん売薬にたよっていくということは、薬禍事故に際会する機会がふえていくということでございますので、やはり薬剤費の患者一部負担という制度は、そういうところでも問題が出てくるということをあらかじめ大臣に御指摘を申し上げておきたいと思います。
 そこでいま申し上げましたように、広告の適正基準の改正の問題と、それから今後法律を改正されますと、薬禍事故に遭遇する機会というものが多くなりますという私の指摘に対しまするお答え、この二つのお答えをひとつ率直にお答えいただきたい、かように考えます。
○神田国務大臣 行政管理庁の勧告は、大体昨年の五月の資料に基づいた勧告でございまして、私ども八月に改正いたしましたので、だいぶ違っておると思いますが、しかしいまもお話しございましたように、その改正で決して十分であるというふうには考えておりません。いまもお話にございましたように、私自身もそう思っておりますから、なお十分検討を加えまして、そうして誇大広告、過大広告というものをひとつなくしたい、こう考えております。
 それから、売薬の将来のあり方の問題でございますが、かぜ薬等におきましては、これは特に劇薬が入っております。またその他劇薬を用いておるのも多うございますから、これは私はいろいろな方法によりまして、お医者さんや薬剤師の力と御相談して薬を入手するような導き方をしたい、こういうふうに強く考えております。
○相川主査 次に大原亨君。
 大原君にお願いいたしますが、十二時までひとつ……。
○大原分科員 私は、いま河野さんから質問がございましたが、別の角度からひとつ当面のかぜ薬の問題を中心といたしまして、薬務行政全般、医療保険の中における薬務行政がでたらめであるがために、どんなに国民が被害を受けているかという事実、これに基づいて私は質問をいたしますから、はっきりとお答えをいただきたいと思うのです。
 この問題につきましては、私は昨年二月でありましたか、社会労働委員会におきまして、前の小林厚生大臣に質問をいたしたのであります。私は議事録を持っております。そのときに小林厚生大臣の御答弁よりもさらに率直な御意見を表明されておったわけです。しかるところ、事故はどんどん出るし、神田厚生大臣になりましてからというものも、医療保険の問題に追い回されて、まるでこのほうは全く努力の跡が見えない、そういうことではないかというふうに私は思うのであります。厚生大臣は、前の小林厚生大臣のそういう事務引き継ぎを受けましたか。どういう点において、国会で約束されたことをあなたは実行するという、そういう決意で引き継ぎをされたのですか。そういう点につきまして、私は概括的に最初にひとつお答えをいただきたいと思います。
○神田国務大臣 いま大原分科員のお尋ねでございまますが、前大臣から包括的、一般的、できるだけ具体的な事務引き継ぎを受けております。
○大原分科員 それでは抽象的な質疑応答ではだめですから、具体的に申し上げるのですが、今回のいわゆるアンプル入りのカゼ薬の事故は、どこの会社の製品から起きたのですか。
○神田国務大臣 これはもう新聞にも出ておりますから御承知かと思いますが、大正製薬とエスエス製薬、この二社から出ております。
○大原分科員 いま河野分科員の質問に対しましては、化学的な試験をして、ほんとうに有毒であるかどうか、弊害があるかどうか、こういう点について究明するというふうなお話ですけれども、しかし問題ははっきりいたしておるのではないですか。つまりこの劇薬を含むところのアンプルが大量に使用されれば、これは人体に被害がある、特にアレルギー体質に対しては決定的な被害がある、こういうことははっきり結論が出ておるのじゃないですか。厚生省のほうはその結論を延ばしているのじゃないですか。その点、いかがですか。
○熊崎政府委員 先ほど大臣から御答弁がありましたように、かぜ薬、感冒薬の処方につきましては、これは配合基準の内規がございまして、この内規に従って限度をきめて、それで、製造承認をいたしておるわけでございます。中身には劇薬であるアミノピリンあるいはスルピリン等は入ってございますが、それぞれの入っておる中身につきましては劇薬の許容の限度以下でございまして、その点につきましては、劇薬を飲んで害があるということはなっておらないのでございます。
○大原分科員 劇薬の限度をきめて、一本なら一本についての許可をしておるけれども、これを他の薬と併用すれば、これは害があるということははっきりしておるのでしょう。いかがですか。
○熊崎政府委員 薬の普及にあたりまして、ほとんどの薬について、その中身がある程度国民に何らかの意味での害があるといった場合には、普及にあたっての効能書きに、こういう点を注意して飲んでくださいということを、はっきりと表示させるように指導いたしておりまして、その用法、容量に従って飲んでいただくということで、発売を許可いたしているわけでございますので、その用法と違った飲み方をした場合に、副作用が出るということはあり得るわけでございます。
○大原分科員 しかしそれはあなたは、そういう薬を買うて飲んだ国民が責任をとれということですか。
○熊崎政府委員 その点は、責任の問題ということになりますと、いろいろ問題はあると思いますけれども、ただ家庭薬として飲用される場合には、もし副作用があるにしても、その副作用が非常に少ないものでなければならないというたてまえでもって、薬の製造許可承認を与えているわけでございまして、たまたま御指摘のような事故があるという場合におきましては、実はいろいろな条件が重なってくるわけでございまして、今度の場合にも、直接的に関連がどこにあるかということにつきましては、いろいろと学者の方々にも御意見があるわけでございます。しかし何ぶんにも副作用があった場合には、ごく小量の副作用でなければならないということが、製造許可にあたっての私どもの根本方針でございます。
○大原分科員 あなたは私と同じように専門家でない。私は専門家の意見を聞きながら質問をしているだけれども、副作用があることを認めておいて薬品として許可するのですか。副作用があることを前提として認めておいて、しかも医者の診断も並行しないで、こういう薬が使用されるということを許可しているのですか。重大な問題ですよ。
○熊崎政府委員 すべての薬につきまして、これは大衆薬であると治療薬であるとにかかわらず、薬の効能、効果につきましては、非常に著効のあるもの、効能が非常に大きいものにつきましては、副作用が伴うのが原則であるというふうに、臨床医家並びに薬理学者の方々も言っておるわけでございまして、副作用があるから薬が許可できないということになりますれば、現在の薬というのはほとんど製造されることは困難になってくるわけでございます。
  〔主査退席、井村主査代理着席〕
 やはり副作用があるということは、常に薬の製造許可にあたって考えなければならない重大な問題だと思います。
○大原分科員 アメリカを含めて、外国では、こういう副作用がある薬について、新聞その他を通じての広告宣伝については、マイナスの面とプラスの面、そういう副作用を含めて医者向けの啓蒙宣伝はやっているけれども、一般大衆向けのこういう宣伝はやっていない。日本の薬務行政はそこにでたらめがある。そこに危険な問題点がある。この点いかがですか。
○熊崎政府委員 先生御指摘の点も私ども十分わかります。したがいまして薬の広告宣伝につきましては、効能、効果だけを、きき目だけをうたうのではなしに、必ず副作用があるという、マイナス面的な点も十分含めて広告宣伝しなければならないということを、特に私ども注意して指導いたしておりますが、なかなかその指導が十分行き渡っておりませんし、その点は昨年根本的に変えました広告適正基準におきましても、副作用の点は特に注意して広告するようにということを、私どもとしては指導方針に強くうたっておるわけでございます。
○大原分科員 それを一つも実行していないじゃないですか。私は一つだけ実行してあるのを見た。きのう新聞に十大メーカーかどこかが、非常に良心的な啓蒙的な広告記事を出していた。これは一面に出しておったけれども、これだけだ。ぼくは去年以来ずっと気をつけて見ているけれども、これだけだ。副作用というような問題については、広告について国のほうの監督は全然できていないのだ。そういう結果が、こういうふうな副作用、アレルギー体質に対するとんでもない命取りになるような、そういう現象を起こしている一つの原因である。その点は、あなたのほうの薬務行政はなっておらぬじゃないですか。いかがですか。
○熊崎政府委員 御指摘の点も、私どもの十分な指導が行なわれていないということは、万やむを得ないいろいろな事情があるにしても、率直に認めるには私どもやぶさかではございません。ただ全然やっていないという御指摘でございますが、これはメーカーによってそれぞれ立場はございまして、積極的にやっているメーカーも中にはあるわけでございまして、先生はあるいはお目にとめておられないかもしれませんが、こういう点は副作用の点をよく承知した上で広告をしておるというふうな、良心的なメーカーもおるわけでございます。
 それから広告適正基準の運用の問題でございまが、実は従来の広告適正基準につきましては、必ずしもその点は明確ではございませんでした。しかし昨年大改正をいたしました広告適正基準には、その点を明確にいたしております。実は広告適正基準の大改正といったものは、相当なこれは指導期間を必要とするわけでございます。つまりメーカー側の自粛も促し、しかも個々の問題についても、このようなケースの場合はこういうふうな違反になりますぞということも、徹底をしなければなりませんので、私どもとしましては大体ことしの一月ぐらいまでをめどといたしまして、広告適正基準の指導期間として、各都道府県の薬事監視員並びに全部のメーカーの担当者等に、数回にわたってブロック別あるいは県別に、指導啓発のための指導期間を設けたわけでございます。したがいましてここ二月ないし三月から厳重に広告適正基準のあの趣旨に基づいて、取り締まるということを申し渡してありますので、先生方、いままでやっていないというふうにおっしゃっておられましたけれども、これからはあの基準どおりに、私どもとしては厳重な指導監督をやってまいりたいということをお約束申し上げたいと思います。
○大原分科員 私はもう一つ根本に問題があると思うのです。つまり厚生大臣は、新薬の製造販売についての許可の権限を薬事法に基づいて持っておるわけですが、その前に薬事審議会と称する専門機関に諮問をするということになっておるわけでしょう。しかしその薬事審議会が全く形式的な、いわゆる医薬品メーカーに系列化しておるわけだ。そこに問題がある。(「おじいちゃんばっかりだ」と呼ぶ者あり)いまお話があったように、おじいちゃんばっかりで、形式で一年間に四回しかやっていない。専門的な機関があったところで、一ヵ月のうちに五、六人が二回ぐらいやっているだけだ。しかもこれは調べてみると、一年間に二万円ぐらいしか手当をやっておらぬから、片手間にやっておって、全然これに身が入っていない。むしろ薬業メーカーのいわゆる系列下に入っている。そこに問題がある。特に新薬の製造許可を得る際に、医薬品のメーカーのデータだけで許可を申請するというふうな、そういうでたらめな国がどこにありますか。医薬品メーカーがつくったデータだけで、形式上書類審査で薬品を審査するというふうな国が、世界のどこにありますか。そんな国は世界にありませんよ。
○熊崎政府委員 おことばを返すようで恐縮でございますが、薬事審議会の年数回というのは、先生の審議会の分はおそらく常任部会等のことを申し上げておられるのではないかと思いますが、薬事審議会の中にはそれぞれの薬の種類によりまして、十幾つかの特別部会がございまして、その特別部会に大体新薬等はかかってくるわけでございます。新薬につきましては特に新薬特別部会という部会がございまして、しかもその特別部会にかかる前に、特にそういう製薬メーカーの方々とあまり関係がないと思われる若手の学者を集めました調査会で、十分な審議をいたすわけでございます。特に新薬につきましては、最近は非常に基準がきびしくなりまして、動物試験、しかも胎児試験等の、業界から見れば非常に過酷だという非難をいただいておるような過酷な試験を要求いたしておりまして、最近の新薬の発見、薬事審議会にかかる率というものは、年々非常に少なくなっておるわけでございます。年間多くても、二、三十件という程度が、新薬特別部会にかかるわけでございます。
 それからメーカー側の資料に基づいたもので許可をしておる、こういうことでございますが、これは調査会あるいは新薬特別部会の段階におきまして、メーカー側の持ってきた資料を、これでは不適当だということで、学者の先生方に集まっていただいて、さらに書類を突き返して、このようなデータをさらにつける必要があるということで、数回データの入れかえをやらせまして、それで十分なデータのそろったところで調査会の議論に付し、その結果によって特別部会並びに最後は常任部会というふうな手続をとっておるわけでございます。
○大原分科員 ただ問題は、そこだけではないのです。こういうことにあるわけです。つまりアメリカの例をとってみると、いろいろ研究してみると、科学的な比較法によってデータをつくらせる。これは一つ規制しておるわけです。科学的な比較法、二つの患者のグループを設けて、基礎的な薬を使った実験以外に類似薬を並べて使って、そして結果としてどういう新薬の薬効があるか、こういうふうな科学的な比較法をもとにして、厳密に政府と医師会の二つの関門を通るようにしている。もう一つ問題は、日本においては、メーカーがつくった資料であるから、メーカーがいろいろな学者との関係で、研究費が足りない――あとで文部省その他で聞きたいと思っておったが、研究費が足りないから、結局医薬品メーカーから研究費をもらって、調査費をもらって、そしてメーカーのほうでかってにこれをつくり上げている、つくりかえているという、そういう事実を私は聞いておる。つまり公文書ではないのだ。それぞれ権威のある機関が、責任を持って研究をした結果に基づく資料ではなくして、メーカーがつくった資料である。そういうふうなものを書類審査で、少々突き返すというような形式上のことをやったところで、これは権威のある薬事審議はできない、そういうふうに私は思うのですが、いかがですか。
○熊崎政府委員 実は新薬の製造許可承認が出るまでの段階におきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、わが国としてはここ二、三年来非常にシビアな条件をつけております。一つの例は、ある外国のほうから、日本の新薬製造許可にあたってのデータが少し過酷ではないか。といいますのは、外国で行なわれました臨床データあるいは動物試験データ等は、日本を除いた欧米先進国におきましては、他の国のデータは全部共通的なデータとしてこれを認める。ところがわが国だけが、日本で行なわれた臨床データであり、日本で行なわれた動物試験データでなければ、製薬許可申請をさせないというのは、非常に過酷ではないか。もう少しその辺は緩和したらどうかということをいわれている向きもございます。先生、あるいは御承知かもしれない。したがいまして私どもといたしましては、事新薬につきましては、相当シビアな条件でやらせるように指導しておるつもりでございまして、ただメーカーが作成する場合に、メーカー側にこういう資料をつくってくれなければ困るぞということを、こちらのほうが指導いたしているわけでございまして、それが公文書とかなんとかいうことではなしに、やはり許可申請というのは、民間業者からの申請でございますので、その申請されたデータに基づきまして、国の公的の機関で十分審査を重ねた上で許可するというたてまえは、あくまでもくずしておらないわけでございます。
 それから先生御指摘のように、あるいは偽薬を使う、プラセボ方式をやるとか、あるいはダブルブラインドといいまして、きく薬ときかない薬を二重にわたって審査するというふうなことも必要ではないかということも、私ども十分承知をいたしております。現在業界のほうには、業界の中に医薬品につきましての安全性対策委員会というものを私が薬務局長になりましてからつくらせまして、そこでダブルブラインド方式あるいはプラセボ方式につきまして十分検討するということで、現在検討中でございます。ただこのダブルブラインドやプラセボ方式をとるということにつきましては、学者の方々には、絶対にとらなければならぬということをおっしゃられる方と、もしそのような厳重な理想的な方式をやるとすれば、一つの薬につきまして男女性別、あるいは年齢別、全部につきましてやるとなれば、これは数十年もかかる。そういうことはとても現在の薬学の進歩に追いつけないようなことになるのではないかということで、批判をしていられる先生方もおられますので、その点はなかなかいろいろと問題がある点だろうということを申し上げたいと思います。
○大原分科員 現在大体五万ぐらい新薬として登録しておって、二万ぐらいが実際は出回っておるそうだけれども、ばく大な薬が出回っておることになるわけです。そこで私はひとつ例を指摘して申し上げたいのだが、慶応大学病院の薬局長の西垣博士が、ある座談会において、日本の書類審査によるデータの出し方というものは、非常に非良心的である、どういう点が非良心的かというと、専門家が出した資料のうちで、会社のほうに都合の悪い、いわゆる副作用やマイナス面、そういうのを記録しておるのを、かってにメーカーが変えておる、そういうことを座談会の記事に名前を出して言っておる。それに類する資料はたくさんあるが、そういうことはおかしい。そして厚生省に工作をして、政治的な圧力をかけている。特定の会社を言っているわけじゃないが、悪貨が良貨を駆逐しているのがいまの薬業界の実情なんです。一つは厚生行政の責任です。だからそういうふうにメーカーがつくったデータというものが、良心的な医者の研究結果というものをひん曲げて、メーカーの資料によって厚生省に工作をして、書類だけを整えればこれが通っていくというふうな、そういう仕組みというものがありますか。そういうことは絶対にないです。私はしろうとですけれども、座談会の記事を見ましたけれども、これについては賛成する人がたくさんある。そのとおりだと言っている。そういう点は抜本的に改正しなければならぬ。薬事審議会のデータのとり方、研究機関の報告のさせ方、そして研究機関に対する研究助成を含めて、そういう問題については根本的に検討すべき問題があるのではないか。大臣、いかがですか。
○神田国務大臣 いま大原委員からお述べになりましたことは、これがもし事実だといたしますと、非常に重大なことだと私思います。私も直接いま耳にしたわけでございますから、そういう疑いのないようなりっぱな厚生行政を打ち立ててまいりたい、こう思っております。そういうことがあるというふうには考えられないのでございますが、いま初めて耳にしたようなわけでございます。権威のある人の話だということでございますから、これは十分参考になる例と考えます。ひとつ十分留意いたしまして、慎重にそういう弊のないような検討をいたしたい、かように考えております。
○大原分科員 もう一つ問題があるわけです。つまり確かに良心的な医薬品メーカーがあるわけだけれども、しかし悪貨が良貨を駆逐して、基本的な研究をしたもののパテントをすぐ取る。そして新薬として許可をして、薬価基準で保険薬として採用されれば、薬業メーカーに不景気なしで、これが実情です。一つの筋を言えば、この宣伝のおかげで医療費が増大したのを保険財政がかぶって、保険料の引き上げとなって薬価の負担となっておる。そういうことはあり得べきことじゃないわけです。そのことの根本的な検討をしないで、医療保険の問題、医療行政、薬務行政の問題について、一つの方向を軽率に出すことはできないということが一つであります。
  〔井村主査代理退席、主査着席〕
 そこで私はさらにもう一つ別の角度から申し上げるのですが、アンプル入り、ビン詰めのそういう速効性のある薬を、しかも副作用のある薬を、薬として許可することに問題があるのではないか。私は専門家から聞いたのですが、これは与党の方々で、名前を言わないが、ガラスの中へ劇薬が長く入っておると、ガラス自体が変質するのだ。ましてやドリンク用その他は、ジュ−スやハチみつなどが入っております。それが長期間保存をされると、やはり中が変わってくる。こういう問題については、厚生省も若干指摘をしておるようだが、そういう危険なものを許可するということは、全く国民の生命とか健康を考えないような無謀な措置ではないか、いかがですか。
○熊崎政府委員 アンプル入りの製造許可にあたりましては、ガラスのアンプルの中に入った場合に、経時変化がどのようになるか。たとえばガラスの容器の中でそれが半年、一年たった場合に、ガラスのアルカリ性のものがどのように吸収されるかという点は、十分研究された上でこれは許可をされておるわけでございまして、その辺は私どもとしては手落ちなく指導してやっておるつもりでございますけれども、こういう点も私どもとしては考えなければならないというふうに、反省いたしておるわけでございます。いわばアンプル入りのものが現在非常に大量に出回っておる状況、剤形として、つまり製剤の形として錠剤、それにアンプルというふうに並べた場合に、やはりアンプル入りの剤形の効果というものは相当あったわけでございます。といいますのは、製剤技術の進歩という点から、たとえば飲みにくい薬を子供でも手軽に飲めるようにしたという、アンプル入りの剤形の効果というものは、他面ではあるわけでございます。しかしそれのマイナス面の効果といったものにつきまして、私どもとしては先ほど大臣がおっしゃられましたように、いろいろと今後検討しなければならない点があるということで、学者の方々を集めて剤形の効果につきましても、なお未知の分野を開拓して、研究を続けるという態度を持っておるわけでございまして、御指摘のように、私どもはこれが絶対的のものだというふうには考えておるわけではございません。
○大原分科員 大臣、こういうことであります。つまりマイナス面の効果があるものでも、マイナス面の作用のあるということがわかっておっても、許可しておるわけだ。そういうように疑わしきは許さずというのが薬の原則ですよ。化学薬品というものは、毒でなかったら薬なんだ、薬でなかったら毒になってしまう場合がある。作用として毒になる毒と薬は紙一重です。ましてや劇薬の場合において、副作用があるということを承知しながら、野放しで街頭販売するというような、ラーメンやクラッカーの菓子と同じような宣伝のしかたをしておるというような、そういうばかげた先進国がどこにある。あなたは高文か何かの論文を書くように、プラスはこうで、マイナスはこう、こういう意見もあります、こういうことで逃げようとしておる。そんなばかげたことはない。事人命にかかわるような薬務行政において、副作用があるようなことがはっきりしておるものについては、ましてやアレルギー質対策ができていないようなものについて、それを自由に販売されるというようなことについて、しかも変質するというふうなものについてやるというふうなことは、許すことはできない。そういうものを許可をしていることに問題があるのではないか。厚生大臣、いかがですか。
○神田国務大臣 御指摘のとおりこれは非常に大きな問題でございまして、私も非常に苦慮しておる際でございます。とりあえず先ほど来お答え申し上げておるように、製造回収を命じまして、店頭からこれは全部回収してしまう。しこうしてまた他の薬品につきましては、医師、薬剤師の十分な御指示をひとつ仰ぐようにしてもらう、こういう厳重な注意をしている最中でございます。
○大原分科員 たとえばきょうの朝日新聞の論説にも、これははっきり書いてあるようだけれども、アンプル入りのカゼ薬の成分を、粉末で医者から買えば一、二円のものだ。原価が一、二円だ。それが包装代その他の宣伝費等で一、二円のものが、百二十円とか、百五十円で売られている。強力パブロンというものは、二百円台で売っているものもある。そんなでたらめなことが許されますか。プラス面があるからというようなことで、マイナス面がある、非常に危険度の強いもので、しかも医師を通じてやれば非常に合理的に処理できる問題を、こういうでたらめなことでやることがありますか。こういうものは直ちに禁止すべきだと私は思う。製造停止すべきものだ。遅滞なくやるべきものだ。これは河野委員が指摘されたように、いままでこの問題は、アンプル入りのかぜ薬ではしばしば事故を起こしたのだ。これについては直ちに停止すべきものだ。いかがですか。
○神田国務大臣 結果におきましては、いま大原委員がお述べになったような処置に出ておるわけでございます。しかし先ほど来申し上げましたように、分析等もいまいたしておる最中でございまして、これを非常に急ぎまして、正確な分析を待ちまして処置をしたい、こう考えております。
○大原分科員 この試験はいつできるのですか。
○神田国務大臣 今月一ぱいには大体完了すると思います。
○大原分科員 予算が通るときに何を言っているのだ。こんなでたらめなことがありますか。はっきりわかっているじゃないか。マイナス面があることがわかっているじゃないか。アレルギー体質に対して大きな影響があるということはわかっているのだ。これはだれもが言っている。そんな問題について試験でございますの、何でございますのということがありますか。そんなことをやっているから、悪質メーカーに遠慮しているのだろう。そういうことは違う。ちゃんとやりなさい。いかがですか。はっきりわかっているじゃないですか。
○神田国務大臣 決してメーカーに遠慮していません。私はこのとおりの性格ですから、やるべきものはどんどんやるという方針でやっております。結果は同じでございまして、やはり官庁の仕事でございますから、正確な分析もいたしまして、そしてきちんとした処置をとる、こういうことでございまして、大原さんがいまお述べになったお気持ちは十分わかっております。重々承知して、またわれわれみんなの態度もそういうことになっておりますから、その点は同じではないかと思っておりますが、やはりいろいろ成分を再調査してみないとこれはいかぬのではないか。感じだけでやるというようなわけにもまいらぬと思います。新薬を許可した場合には、いろいろなデータを基礎にしてやっておるのでございますから、撤収作戦もやはりデータに基づいてやる。しかしそれまでには日にちが若干かかりますから、その中間措置として製造から販売まで全部ストップしてやる、こういうことで御了承願いたいと思います。
○大原分科員 あなたは自由的に措置をさせた、こういうことを言うのだけれども、それで一応済んだようなことを言われるわけだけれども、しかしこういうことを許可している薬務行政自体、厚生大臣自体というものに問題があると私は思うのです。そうであるならば、次から次へと事故を起こして人が死んでも――またきょうの新聞によると事故が起きているのですよ。その後だってやはり起きているのです。きわめて不徹底な措置ですよ。薬務局長に聞きたいのだが、取り締まり法規はどういうふうになっているのですか。
○熊崎政府委員 薬事法の五十六条に、販売、製造等の禁止という条項がございまして、販売、製造等を禁止する場合の列挙事項があるわけでございます。列挙事項の中には、それぞれ不純なものとかあるいは異物が混入しているとかいうふうに、明らかに不適格品と認められるものについて、製造、販売の禁止措置をとるということでございまして、薬局法に定められておらないものにつきましては、承認の内容と異なっているものにつきまして、つまり製造承認の内容と異なっているものにつきまして、製造、販売等の禁止ができるということでございますので、現在問題になっておりますアンプル入りの感冒薬につきましては、その承認の内容と異なっておれば、これは製造、販売等の禁止ができる、こういうことに相なるわけでございます。
○大原分科員 おかしいことを言うね。あなたは、その承認の基準の問題について、承認をした内容については、それがどんなに日本の薬事審議会を経由していても、薬務行政に問題があるかという点を、まだたくさん資料はあるけれども、私は指摘をしたわけですよ。そこでその内容自体について沿うたものであるならば、それに違反をしていなければ、これはそういう処置ができない、こういうことだったら、その試験の結果が出ても、こういうプラス面もあるのだから、これは自粛の措置に待つのだ。こういういいかげんなことを、言いのがれをする結果になるのではないか。河野委員の質問と関連するのだけれども、言いのがれになるのではないか。そこで新しい観点から、厚生省の予防研究所や国立病院や国立大学や大きな権威のある病院にぴしっとやったならば、その結果に基づいて、いままでの方針がどんどん変えられるように、これは厚生大臣の責任なんだから、それで薬事審議会全体の運営を変えていくように再検討するような、そういう方法をとるべきなんですよ。そうしなかったならば、あなたは巧妙に秀才の作文みたいなことをやっているけれども、ずるずると責任をのがれようとする考え方としか考えられない。厚生大臣、いかがですか。
○神田国務大臣 いま大原委員のおっしゃることは、私ども十分理解しております。私もそういう考えを持っておりまして、今回のアンプルかぜ薬の事故につきましては、製造並びに出荷をひとつとめようということを、省議できめたわけでございます。ちょうどそのときに製造メーカーが参りまして、責任を持って自主的にそれと同じ効果をあげるというようなことでございまして、そこでその責任においてやれということを、こちらのほうで命令を出そうと思っておったところですので、やりなさい。また十分分析いたしまして、その結果また新しい命令を出そう、こういうようなことでございまして、薬の考え方としては、私は大原委員と考えは同じに持っております。厚生大臣といたしましても、これは人命にかかわることでございますから、十分精密に検査することも必要でございますが、ときには大胆な手も打たなくてはならぬという考えを持っております。
○井村分科員 関連でひとつ。いま大原委員の質問に対して、答弁はきわめて合理的な答弁をされております。私は別に当局を責めようという考えはないのでありますけれども、この問題は根本的に考えないと、大きな間違いを起こすわけであります。たとえばアミノピリン、スルピリン等のこういうものは、これは少なくとも医師においては水溶液として使うものではございません。おおむね粉末として使うものであります。根本的にこういうものを水溶液にして市販しなければならぬ必要性がどこにあるのかという、この根本問題に頭を突っ込んでもらわなければならぬ。もう一つはこれをアンプルにして、まるで縁日におけるジュースか何かのような商品化するというような、民衆に非常に使用上の安易感を与える、何かしらのお好み飲み薬のような考え方を与えるという、非常に悪い結果がある。こういうところでなぜこういうものが、一体全体日本の国民の保健上必要であるのか。つくって売ればもうかる。売るところに害はないであろうけれども、それほどまでにしなければならない理由が現在あるのかないのかという価値判断をやって、これを製造禁止とか販売禁止をやってもわらないと、容量が許容量の半分だとか、普通一日〇・五使うものは〇・二にしか一アンプルにないから、間違って二本飲んでも中毒しないであろう。これは致死量に達しないから許可したのだ。こういう考え方は私は間違っておると思う。こういうものを商品化して、まるで縁日で売るように、われわれ酒飲みがグロンサンを飲むような考え方で、へたすれば料理屋のところで、あなたはおかぜらしいからこれお飲みなさい、こういう考え方は私は間違っておると思う。今日まで富山県、奈良県では相当の粉末売薬を出しておりますが、われわれは今日中毒死ということをあまり聞いた例はございません。これは粉末あるいは錠剤なるがゆえであります。こういうものを許可すると、これはおそらく富山県、奈良県等でもどんどんアンプル剤をつくると、被害が非常に大きくなります。こういうものを商品化して、そしてマスコミに乗せて宣伝をして、いま言うような原価わずか二円か三円、こういうものを百円、二百円に売る。いま厚生大臣は、健康保険の医薬薬代の半額負担というものに非常に苦しんでおられるが、おそらく一般大衆薬、無効無害、ときによれば有害になる薬品のために、国民全体は私は三千億以上の金を浪費しておると思うのです。全部これは宣伝のベースに乗ってやっておるのだから、そういう致死量がないとか、遠隔試験をやったとか、あるいは動物試験をやったとか、そういう理屈を言わないで、こういうものを大衆商品化する必要性は日本にないのだという原則に立って、私はこれは製造禁止すべきだ、どうかそれだけ私は強く与党議員の立場としてお願い申し上げておきます。
○神田国務大臣 専門の井村委員からのいまの非常な御教示のある点承りまして、私も十分教えられたと思っております。十分ひとつ留意いたしまして検討を加えまして、すみやかな結論を出したい、こう思っております。
○大原分科員 これは一メーカーの問題じゃないのです。一メーカーのことを言っているのじゃないのです。一船的な薬務行政の問題ですから、もう一回私は言いますよ。薬務局長の御答弁で私が承認できないのは、いままで新薬として承認をする、許可をする、その内容に沿うたものであるかどうかということを検査をして、それに沿うたものであれば、少々の副作用があっても許すのだというような、そういういままでの誤りを糊塗して、それを繰り返すようなそういうことはいけない。新しい観点から、権威のある観点から問題がわかったのだから、いま井村分科員が指摘されたように、そういう点をはっきり私、確認をした上で、これに対する製造禁止の措置をとるべきである。それを自主的な措置に待つというようなそういうびほう的なことをやるから、どうも何をやっているのかわらない。問題が起きて、死んだらそういうことをやるのだ。非常にでたらめな印象を与えてしまうのです。そういう点は自主的にどうしようが、こういう薬はいけないのだ、こういう点がはっきりすれば禁止すべきだ、これはいまの法律に従って禁止すべきだ、こういうふうに考えますが、いかがですか。
○神田国務大臣 先ほど来大原分科員からお述べになり、またいまもお述べになりましたことは、非常に貴重な御意見でございまして、私ども大いにこれは参考になると申しましょうか、留意しなければならぬ問題だと思っております。せっかくいま検討を加えておる際でございます。すみやかに結論を出したい、こう考えております。御了承願います。
○大原分科員 しつこいようですが、私が申し上げた点、井村分科員からお話しになった点、こういう点は、アレルギー対策もさることながら、これと一緒に、たとえば卵とか牛乳を飲んで下痢をするような者でも、そういう敏感な者でもこれはあぶないのだというふうな、そういう示唆が出ておるわけですから、疑わしきは許さず、人命にかかわることについては安全を踏むのだ。アメリカのような自由主義の国だって、たばこは肺ガンのおそれがあるといえば、たばこにデンジャーという広告をつけて、デンジャーと赤い字をつける。こういうことを連邦取引委員会で、公取だろうけれども、問題になっている。ですから私は健康とか生命とかいうふうな問題をもう少し作文ではなしに、形式ではなしに、きちっとすべきである。こういう趣旨に沿うて、厚生大臣は今後措置をするかどうか、こういう点についてもう一回はっきり、参考にそれでは検討するというようなことではなしに、ひとつ決意をはっきり言ってもらいたい。
○神田国務大臣 先ほど来お答え申し上げましたように、せっかくいま学識経験者を頼みまして、検討を加えている際でございます。そう長い時間かからぬと思います。また実際に実物ももう回収するという段階でございますから、これらの問題、いまお述べになったこと、私も同感でございます。そのように考えております。そういう意味で学識経験者の結論も出ます。試験または分析の結果も出るはずでございます。そこでひとつ措置をいたしたい、こう考えております。
○大原分科員 これはいまの点は強く――これをいままでやっておらぬというのがおかしいのです。ずっと何回も中毒死をしている人も出てきておる。問題が出てきておるのです。問題はたくさんあるわけです。河野分科員も指摘したとおりです。だからそれをいままでじんぜんとほうっておいて、しかも自主的な措置を待つというようなことでは、一時間的な停止というようなことで、形を変えてまた出す。そういうふうなことは許されないですよ。人命に関する問題について、そういうあいまいさをなくさなければ、私は悪循環を断つことはできないと思う。
 時間も相当迫ってまいりましたが、私はもう一う一つ薬価基準の問題について申し上げたいと思うのです。この水溶性のアンプル入りのいまのかぜ薬について、粉末や錠剤であれば二円か三円くらいの結論のものが、これが百円、百二十円、二百円で売られている。こういうふうな薬九層倍でなしに十層倍、百層倍、そういう話があるわけですが、私はこれは東大の医学部の桜井博士や京都の高田博士などの論文を拝見いたしまして知ったのですが、いま非常に使われておるビタミンB1の問題ですけれども、この原価といえば一キログラムがA価格、つまり言われているABCDで、Dがメーカーから卸屋、Cもメーカーから卸屋、Bが卸屋から医者、小売り、Aが小売り価格、こういうことでしょうけれども、しかしメーカーからメーカーへ渡っていく原価もある。原価の資料によるとビタミンB1、活性ビタミン、いろいろなことを宣伝されておる。ビタミンB1の原価一キログラム七千円で、必要量の一ミリグラム七銭、七千円じゃないですよ。七銭ですよ。一年間必要量を飲んだとしても二百円余りで足りる。ただのように飲んでいる。それが薬九層倍ではなしに百層倍だ。そういうことを医療体系の中で合理的に処理をしていけは――もちろん必要な薬についてはどんどん出すべきであるけれども、私は技術を尊重した形態ができると思う。昨年も私は国会で議論をしたときも、いわゆるビタミン剤と――時間がないから端折って言うが、ビタミン剤と肝臓薬が非常に最近ふえている。肝臓薬がはんらんしていることは、これは日本は世界有数ですね。アンプルの基礎資料だって、五、六円くらいで原価はあるわけです。だからそういうことを含めて、医薬品のコストの問題については、包装代や宣伝費等を含めて、もっと国民の医療の立場に立ったそういう規制をすべきではないか、薬務行政全体においてそういうことを考えるべきではないか、私はそういうふうに考えますが、この点についていかがですか。
○神田国務大臣 いまの例をあげて大原分科員のおっしゃられる点については、私もよくそういうふうに考えております。
○大原分科員 私の意見、賛成ですか。
○神田国務大臣 賛成です。
○大原分科員 それではどういう対策がありますか。
○熊崎政府委員 現在の薬価基準の登載価格がいわゆるB価、先生御指摘のB価によって実勢価格を主体にしてやっておるわけでございまして、実勢価格の中身の検討が必要であるというふうに私どもは理解いたしておりますが、この実勢価格の中身をどのように検討するかということにつきましては、いろいろ問題がございますので、将来今後とも慎重に検討してまいりたいと思います。
○大原分科員 B価格によって取引きされているその実勢価格のデータ、ありますか。
○熊崎政府委員 これは薬価基準改定の際に、登載品目のB価の申請を出させるわけでございますので、全部のそれぞれのB価の価格は私どもでは入手いたしておるわけでございます。
○大原分科員 これは資料として私の手元のほうへ、可能な限りの資料を出してもらいたい。よろしいですか。
○熊崎政府委員 代表的なものでないと、たとえば五千品目全部ということになりますと膨大なものになりますので、代表的なもので、先生御指摘のものについては至急出すことは可能だと思います。
○大原分科員 それでいま私は新薬の製造、販売の許可、それから検定薬としての採用、薬価基準に登録する問題、マル公をきめる問題、そういう問題等をめぐって質問を進めておるわけであります。この問題はずっとデータをあげて私が質問いたしますと、これだけでも相当の時間がかかるわけですけれども、いまのようなメーカー自体の中にも問題があるわけであります。良心的なメーカーの諸君は、自分がせっかく一生懸命になって開発した新薬等にいたしましても、簡単にちょっと何かくっつけて、そして新しい薬として持っていかれる。そしてこれを宣伝すれば、包装や宣伝で患者や国民の目をかすめてもうかる、こういう仕組みはおかしいのじゃないか、こういう議論があるわけであります。私は特定のメーカー云々というということをいま言う意思はございませんけれども、良心的なそういうメーカーのパテントを、技術を保護する、こういうたてまえの上に立ちながら、そしてこれがほんとうに国民の医療にむだなく貢献できるような、そういう保険薬の採用、薬価基準のきめ方、そういう問題について私は根本的に再検討すべきではないか、こういうふうに問題を提起いたしたいと思いますが、いかがですか。
○熊崎政府委員 薬価基準の登載方法その他の問題につきましては、私どもと保険局当局と両方に関連する問題でございまして、先生御指摘のような点は、私どもも常日ごろ頭を悩ましている問題でございます。新薬許可にあたって、類似品のものが次から次へと出てくる、これをどのようにして防止するかというような問題は、これは根本の問題でございまして、先生御指摘のとおり、私どもとして現在の形は決して望ましい形とは思っておりません。しかしこれはいわば日本の特許法に関係する問題でございまして、日本の薬につきましては、製品特許という形ではなしに、製造特許という形をとっておりまして、これを製品特許に切りかえるかどうかということにつきましては、業界のほうでも真剣に検討いたしておるわけでございます。その辺も十分先生の御意見も参酌しながら、私どもも今後の問題として真剣に検討してまいりたいと思います。
○大原分科員 それからそのコストの問題に関連して、広告費とか包装代の問題ですけれども、一般の薬については、全くしろうとの大衆向けに売らんかなの包装をして、それに金をかけて、街頭販売でスーパーマーケットの目玉商品になったりするわけだ。そうしていまのように商品化して、そしてラーメンや前田のクラッカーと同じような宣伝のしかたをやっているところがおかしい。全くおかしい。そして保険薬薬価基準に登載されれば、利潤が保証されるという仕組みが、厚生省の厚生行政に対する疑惑を生んでいる。だからそういう点を根本的に粛正すべきである。私はこういう点を第一に指摘すると一緒に、朝日新聞の論説にも書いておるけれども、昭和三十八年六月に調べたところが、一ヵ月の朝夕刊の広告、これはテレビ以外の朝夕刊広告百八十七件中、八七%の百六十二件が、大衆向けの薬の広告であった。医家向けの広告というのは非常に少ないということであります。つまりそういう販売形態というものが問題です。そこで私は広告の規制その他については、内容的な規制が一つあると思う。そうして内容的な規制を良心的にするならば、これは普通の商品と同じような、そういう宣伝のしかたをとらなくてもよろしいと私は思う。一般大衆向けの宣伝をほかの商品と同じようにやって、プラス面だけを誇大広告するというようなことはいけない。そこでそういう広告の取り締まりについては、一体どういう法的な根拠でだれがやっているのか、これをひとつはっきりしていただきたい。
○熊崎政府委員 御指摘のように、薬の広告ということで先生がお取り上げになりましたのは、大衆薬が実は主体でございまして、医家向けの薬につきましては、広告はほとんどやっておらないというのが実情でございます。私どもとしては広告取り締まりにつきましては随時、広告適正基準に違反したようなものにつきましては、そのつどメーカーの責任者を呼んで処分をいたしておりますが、広告適正基準の大改正をやりました以降、さらにその趣旨を徹底するように、今後先生のお話の線に従って、強硬にやってまいりたいと思っております。実際に広告取り締まりに当たっておりますのは、これは各都道府県並びに保健所に配置されております薬事監視員が、広告取り締まりの現場の第一線でやっているわけであります。
○大原分科員 この取り締まりの方式ですけれども、ちょっと注意をする、あるいはちょっと始末書を出す、大体その程度のものでしょう。
○熊崎政府委員 大体御指摘のとおりでございますが、ただ私どもとしましては、それが数回にわたって非常に悪質のものであるといった場合に、従来は行政処分の対象にはいたしておりませんが、今後は私どもは行政処分の対象にするという強い態度で臨むことを、業界のほうには伝えてございます。
○大原分科員 誇大広告、印象広告を薬においてやることは罪悪である、これは国民の命や保健を無視するものである。そういういまのような態勢とへっびり腰ではできない。そこで今後は行政処分の対象にするというふうにはっきりとお話しになっておるけれども、行政処分の内容と罰則は何ですか。
○熊崎政府委員 行政処分につきましては、これは営業の停止等がございますし、それから虚偽誇大の広告の場合には、二年以下の懲役もしくは十万円以下の罰金、こういうことになっております。
○大原分科員 それで薬については、あなたのいままでの答弁であいまいな点があるわけだ。プラス、マイナス、いろいろのことを言うて、こういう意見もあります、こういう意見もあります。大臣、私は薬については疑わしきは許さず、こういう方針で臨んでもらいたい、このことが一つ、いかがですか。
○神田国務大臣 いまの疑わしきは許さずというのは、私も全く同感でございます。
○大原分科員 薬務局の監視課の監視員と地方の保健所の監視員がこれを監視するという、同じ厚生大臣が医薬品の、つまり良心的なメーカーを育成するという、通産省的な役目を持っておる側面があるわけです。これは産業ですから、良心的なものは認めていけばよろしい。良心的なそういう宣伝審定するものではない。しかし問題は――医薬品については、アメリカの制度を見ると、連邦の取引委員会、公取がやっているわけです。イギリスその他においては野放しになっておるけれども、薬に対する考え方が、教育その他宣伝、啓蒙を通じて、非常に徹底しておるわけです。だから薬事法によって薬務局が取り締まるというふうなことは、これはネコにするめを番させるのと同じことではないですか。そういうことは、公取委員長はいま見えましたけれども、公取委員長、よろしいですか。第三者機関が別の角度から、専門家がいなかったら専門家を設けて、そうして医薬の問題、広告その他の問題を――いままで議論いたしましたように、政府が認めている非常に大きな問題がある。それが依然として――これから行政処分の対象にするというけれども、取り締まりができきない。薬務局長も大臣もそういうふうな両刀使いというようなかっこうになっておって、実際上これを見ていると、あちらこちらのだんなさまだ。そこで公取が薬事法によって取り締まりができないことは、私は法文上ないと思う。取り締まりはダブっていると思う。公取もこの点については日常、そういう誇大宣伝や印象広告等については、十分な監視の目を光らすべきではないか、こういう点についていかがですか。
○渡邊(喜)政府委員 御存じのように私のほうの不当表示の法律には、一応誇大広告についての取り締まりの規定があります。それからお話のように薬事法について、それをより詳細に書いたような取り締まりの規定があります。それで従来私のほうと厚生省との間の話し合いとしましては、事柄自身がかなり専門的なことにも属しますので、したがいまして一応薬事法に基づく――これはいわば特別法、私のほうは一般法と考えていいと思います。特別法の関係については、厚生省のほうにおいて一応第一義的な責任を持っていただきまして、そうしてこれが取り締まりに当たっていただく。したがいまして、たとえばそれの取り締まり関係の人員の配置などにおきましても、そういうような配慮のもとに現在の姿が出ているわけであります。ただ御批判のように現在の厚生省のそうした取り締まりが、必ずしも十分いってないということになりますると、これは政府全体としてお考え願わなければならぬ問題ではないかというふうに私は思っております。厚生省の本来の仕事がどこにあるか、私は取り締まりという面に相当重点が置かれてあるべきであって、いわば厚生省自身が製薬会社とつうつうであるといったような事態の姿勢をまずお直しになる、もしありとすれば。ということが中心の問題ではないかというふうに思っております。しかしそれができないということになれば、また別の考え方が当然あるべきと思いますが、私のほうはきわめて限られた人数におきまして、薬のこともやらなければならぬ、土地のこともやらなければならぬ、いろいろ守備範囲が広いのでございます。したがってあえて責任をのがれるつもりではございませんが、現在の行政においてどういうふうな職務分担をしてやっていくことがより効果的であり、同時に行政としてより経済的であるか、こういう面をとくと考えてこの問題はきめるべきでないか、かように考えております。
○大原分科員 時間がきましたから結論を急ぐわけですが、大臣は、医薬品においては疑わしきは許可せず、こういう原則については賛成である、あるいは薬務局長は誇大広告、印象広告、プラスの面だけを商品的に宣伝をする、そういう広告については行政処分も辞せず、こういうお話でございました。しかし公取委員長は、厚生省自体がそういう国民の医療を守るという観点に立つべきであって、その姿勢が問題となるであろうし、それでできないということになれば、制度上の問題もあわせて考えるべきである、こういう御意見であります。これは私はさらに具体的な問題を提起いたしまして、突っ込んで議論をいたしたい。ただしきょうは時間も参りましたので、そういう皆さんの御答弁の限界を踏まえながら、将来私は国会といたしましても十分この厚生省の行動等を監視をいたしたい。私がつけ加える点は、公取委員会も、この問題は、薬事法に規定をされて厚生大臣の権限の中にあるけれども、監督、監視の権限はあるけれども、しかし公取としても常にこの点については留意をして、十分な対策を立ててもらいたいという点を要望をいたしたいのであります。したがって全体としてこれから総医療費の問題や、あるいは保険財政の問題に発展をしていくべき問題であります。しかしこれは時間の関係でできません。できませんけれども、私はほんとうの意味で医者の技術を尊重するという行政が必要であります。いまの状態は言うならば、誇大に言うわけではないけれども、薬業メーカーのための薬務行政であり、医者もそれでちりちりしておるし、患者のほうも不必要な薬をどんどん乱費しておるという結果になっておる。保険財政自体が一つの大きな岐路に立っておって、予防すべき、健康を守るべき医療行政というものが、売薬的な医療になっている、あるいは売薬が一つの大きな中心を占めているというふうなことはこれは主客転倒である。そうしてそういう現状を姿勢をただすことなしに、薬価基準の改定等で――私どもは全体の姿勢を直すことを議じて規制できる面はあると思うが、保険法の改正では薬価の本人負担の二千円というふうな、そういうところへ保険局長は理屈をつけていろいろとやろうと画策しておる。こういうことは行政のあり方ではない。十割保険を八割保険に後退させる、そうして負担を過重にしていくということは許さるべきことではない。したがって私はまだこの国会中、いろいろな機会を通じて、予算委員会等を通じてこれらの問題についてさらに事実が進展いたしますと、いろいろな問題が出てまいりまするので徹底的に私は究明をしなければならぬと思っておるのであります。したがって私は薬価基準の問題を含めて薬の価格、コストというものについて、国民のほんとうに必要な医療を中心として規制すべき問題であって、この対策を応急対策、恒久対策とあわせてやるべきだ。こういう点について薬務行政の姿勢を正す問題と一緒に、厚生大臣のこれらの問題に対する一つの決意をひとつ明らかにしてもらいたい。
○神田国務大臣 いま大原委員がいろいろ最後にお述べになりましたことは、厚生省といたしましても非常に示唆に富んだ、またわれわれもそういう考えのもとでやっておるのでございますので、十分留意してひとつ進めてまいりたい、こう考えております。
○相川主査 次に安井吉典君。安井君にお願いしますが、大体あなたの持ち時間は零時四十分くらいまでにひとつお願いいたします。
○安井分科員 私はこの機会にローカルな問題でありますが、北海道の北端の礼文島という島に起きております風土病でありますが、これで現在も二十一人の患者が呻吟し、最近の段階でも二十一人、同じ数の人たちが死んでいます。この問題についての政府の取り組みが十分でないような印象を受けるわけであます。私も現地を見てまいりましたが、そういうような印象を受けるものでございますので、この機会にこれについての政府の対策を伺っておきたい、かように考えるわけであります。
 政府のほうの御理解と私のほうの見方とはそう変わりがないと思いますので、私どもが理解している限りにおいての現在の情勢をざっと申し上げますと、この礼文島というのは北海道の最北端の稚内から北西約五十キロの海上の島で、南北二十二キロ、東西五キロ、周囲七十キロ、人口は約九千というふうな島であります。ここの風土病のエヒノコックス症といわれているのは多房性肝包虫症ということでございますが、黄だん症状を呈して、むしろ黒くなって、そうして肝臓が猛烈に肥大をして最後に死に至る、こういうふうな疫病のようであります。昔からこれがあったわけではなしに、最近の事態としてあらわれてきているというところに問題があるわけで、漁民が主体でありますけれども、おそらくこれまで沢の水を飲料水に使っていたというふうなことから、寄生虫がからだの中に入って肝臓に寄生してこういうふうな事態を起こす、こういうことになっているのではないかと思いますが、その根源はベニギツネで、この島に大正十三年にキツネを飼って、それで基本財産の造成をしようというふうな見地から、中部千島から入れてきた。その中部千島のキツネはさらにカムチャッカのコマンドル群島のキツネを持ってきたというふうなことで、コマンドル群島等にあるエヒノコックス症が順々にこの島にまで導かれてきているのではないかというふうに今日まで言われているわけであります。ところが、現在の状態からいいますと、この島に医師はごくわずかしかいません。小さな財政力の弱い礼文町が、この問題をかかえて非常に苦しんでいる、こういうふうな事態であります。これに対しまして厚生省として今日までどういうふうなお取り組みをなすってこられたか、まずそれから伺いたいと思います。
○神田国務大臣 いま安井委員からお尋ねのございました北海道礼文島の寄生虫による島民の罹病、まことにお気の毒な状況にありますことは、もうお述べになった事情のとおりでございまして、厚生省といたしましても非常に憂慮しておる次第でございます。この病源を突きとめて、そういう病気の再発できないような方法を十分考えたい、こういうことでございますが、詳細なことはひとつ公衆衛生局長から答弁させたいと思いますから、よろしく。
○若松政府委員 ただいま詳細御説明がありましたようなエヒノコックス症につきましては、これは礼文島というきわめて局地に限定されました疾患でございますために、国全般の施策としてこれを取り上げるということはいたしておりません。もっぱら北海道の個別的な問題として対処するという形をとっておりまして、これに対して北海道が必要であれば研究陣、調査陣等には援助をしようという態度をとっております。しかし北海道には北海道の地方衛生研究所に中村豊先生というきわめて有能な所長がおられまして、北海道大学と共同いたしまして綿密な調査研究をされ、またその対策も発見され、着々実効を上げておりますので、厚生省自体としてはこれは側面的に精神的な協力をするという程度にいたして現在に及んでおります。
○安井分科員 技術的にあるいは財政的にいままでどういうことをなすってこられたか、それを伺っておるわけです。
○若松政府委員 国としては、現在特別にこのような施策をやる予算その他もございませんので、もっぱら北海道庁が責任を負ってやっておりまして、北海道庁はこの調査研究のためにここ十数年来三百数十万円の資金を投じておりますし、三十九年度においても研究費を五十四万円ほど計上いたして実施いたしております。
○安井分科員 この種の風土病は全国的に他にないというわけでは決してありません、この島に旅行する人もあるのだし、それからまた風土病だからその地域だけのローカルな対策だけでいいという筋合いのものでもないのではないかと私は思うのです。罹患者の数がすごく多ければ重大問題だし、少なければたいしたことはないんだという考え方自体に私は問題があろうと思うのです。やはり国の中の限られた地方の問題かもしらぬが、それに対して国全体の保健衛生上の責任を持つ立場から、ただ道庁や北大がやっているから見ているんだ、こういう体制では、私はどうも今日までの厚生省のあり方というものはおかしいのではないか、そういうふうに思うわけであります。現地の声は、今日、その伝染経路というものはわかっているけれども、しかしそれに対する確実な治療対策というものがまだないじゃないか、そういうような問題に対して、北大も一生懸命やっていることは確かだろうが、十分な財政の裏づけもないわけだから、国が直接に専門機関を現地に派遣する、あるいはまたそこで常駐をするとか、人間の命がどんどんむしばまれていくという事態に対してもっと積極的な対策を講ずべきだ、こういうふうな希望が強いわけであります。これに対して、地域的な特殊な疾病に対して、特別な指定をして手厚い対策を講ずる、こういう道はないのですか。
○若松政府委員 局地的な疾病、あるいは風土病といわれる種類の病気は、日本にも多々ございます。最近出ました「日本の奇病」という本をここへ持ってきておりますが、こういうところに載っておりますように、フィラリア、エヒノコックス、トキソプラズマ、ツツガ虫、ぽっくり病、黒血病、脈なし病、痛い痛い病、でん粉病というようないろいろな局地的な疾病がございまして、青森県とか島根県とかいうところでは、それぞれその地域の問題としてこれを処理する方針をとっておりますので、厚生省といたしまして、いままでこういう局地的な問題に対して積極的な参加はいたしておりません。ただ水俣病の場合だけは、これは非常に重大な突発的な惨事でございましたために、しかもこれは一回だけのことで、持続的な問題ではございませんので、水俣病については政府の援助もございましたけれども、その他の地方病については特別な援助をいたしたことはございません。ただ、礼文島のように小さい村で、このためにいろいろな施設、設備をし、あるいは予防の設備もしなければいかぬということで、財政負担もあるというようなことがありますので、それらについては特別交付金等の手当てを考えて財政的な援助はいたしております。
○安井分科員 パルミチン酸チモールエステルを治療に使う問題についても、まだはっきりした結論が出ていないようでありますが、現に使われていますね。それから補体結合反応の問題もあるようですね。これに対する抗原培養等に必要な費用も十分になくて、治療に対する不安もあるようです。現地の医師自身もこれでいいのかという不安をやはりお持ちのようであります。国立予防衛生研究所でこういうふうな風土病的なものはどういうふうに扱うのか、あるいはまたこういうふうないろいろ研究中の段階のものに対して国が助成をするるとか、そういう道は開いて差しつかえはないのではないかと私は思うです。どうですか。
○若松政府委員 治療の問題につきましては、従来経過的に処理する以外になかったのでございますが、それがただいまお話のありましたパルミチン酸チモールの療法が出まして、少し明るさが出てきたという状況でございます。これに対して国立予防衛生研究所等がどういう態度をとるかということでございますが、病原虫の発見、あるいはその中間宿主の決定、あるいはただいまお話のありました補体結合反応等の研究、すべてこれは現地の研究所、大学が非常に熱意を持って実施し、開発したことでございまして、そういう意味では現地の研究機関、現地の大学がその唯一の専門家でございまして、予防衛生研究所には現在のところそれに匹敵するだけの能力はございません。したがいまして残念ながら直接的な指導援助ということができない状態でございます。にもかかわらずそのように現地では非常にいい研究をいたしまして着々成果をあげております。なお私ども現地からの情報をいろいろ聞いておりますと、最近はこの患者の新しい発生というものはほとんどない。現在現地の調査員等が常時調査いたしまして、中間宿主の検査あるいは仔虫の検査等をやっておりまして、水にも、最近はネコあるいはネズミ等の動物にも、保有の状態がほとんどなくなってきた。そういう状態で、この流行はいまや終息の段階に近いのではないかというのが、現地の御意見のようでございます。
○安井分科員 終息の段階だから私は大事だと思うのですね。このままでぶん投げておけば、またそれこそ広まらないとは限らないわけですよ。そういうふうな御理解があればあるだけに、この段階できちっとした処置がなされなければならないと思うのです。現地ではいまのチモールエステル・パルミチン酸の注射費用なんかも実はたいへんなんですよ。御承知かと思いますけれども、昔はこの辺はニシンがとれていたわけで、豊かでした。しかしいまは、ニシンはそれこそカムチャッカや向こうのほうに行ってしまって、全くいないわけです。ですから漁村は疲弊している。地方財政もしたがって同様な傾向の中にあるわけです。そういう中で苦労して金を出して処置をしているというのが実態のようであります。ですからそういう注射の費用なんというものは、結核なんかの場合もそういう措置があるわけでありますけれども、全額公費で負担してあげるというふうな仕組みにまで持っていかなければならない。いま非常にいい終息というふうな方向に向いているという、そういう理解があればあるだけに、いまきちっとした形をおとりになることが大切ではないか、私はそう思うわけです。いままで厚生省は何にもやっていないのでしょう。どうでしょう、これからの段階でもいいですから、その治療についての決定的なものを生み出すための北海道におけるいろいろな研究機関に対して、最後までがんばれという財政的援助をしてあげる。さらにまた自治体の段階でも、そういうような治療に最後の馬力をかけているところに裏づけの財政の援助をしてあげる、こういうようなことが人間尊重ということばを裏づけるただ一つの政治の道ではないかと私は思うのです。大臣、どうです。
○神田国務大臣 いまの安井さんの御意見ですが、私も実はつい最近までこういう奇病を知らぬでおりまして、「日本の奇病」という十七ばかりあげている本がありまして、これを読んで実は非常に同情といいましょうか、関心を高めています。ことに漁業中心の礼文島が漁場としての価値が薄らいでいることも、おっしゃるとおりの事情も承知しております。しかも終息時にひとつ追い打ちをかけようということは私は全く同感でございます。そこで考えますことは、これから予算化しようということも、審議している最中ではございますけれども、実際問題としてはむずかしいことでございますが、私どもといたしまして、厚生省で多少なりとも予算のやりくりをいたしまして、十分ということは無理と思いますが、ひとついまのほんとうのお気持ち――私も、これは全くこの機会にこそやって効果があるのじゃないか、こう考えますので、厚生省の中の予算からひとつ生み出して御協力したい、こういうふうに考えます。
○安井分科員 大臣のいまの御発言で、とにかくことしは予算を組みかえするというわけにはいかぬけれども、厚生省内の予算で何とかしょうというお気持ちをはっきり伺うことができたわけでありますが、そのお気持ちを、気は心だというのじゃなしに、現地の道や関係市町村の希望もあると思いますので、それと十分お打ち合わせの上で御処置願いたいと思います。
 そこで、中間宿主の動物類の徹底的な撲滅対策、これも非常に重大な問題で、野犬やキツネの屠殺に対して現地も非常に力を入れてやっているようです。一頭つかまえたら千円というふうなお金を町の中から出して、それを出すようになりましてから、キツネがたくさんつかまって、予算が足らなくて補正しなければいけない、そういうような事態になっておるようです。あるいはまた、どうにもしようがなくなって、旭川の自衛隊を頼んで、そこで演習をやってもらったという経過もあるようです。しかし自衛隊にやらせますと、これは別にそれのお礼はする必要はないかもしれませんけれども、宿泊料とかそういうものを全部地元で見なければならない、こういうような事態がございまして、なかなかそうしょっちゅうもやってもらえない。こういうような状態があるようであります。
 この中間宿主の動物類の徹底的な撲滅というためには、関係の礼文町が金を出してやるよりほかないと思うのですが、こういうような問題に対して、きちっとした裏づけをやはり自治省のほうでもやっていただかなければならぬと思うわけです。そういうふうな財政措置の問題も伺っておきたいと思うのでありますが、どうでしょう。
○石川説明員 お答えいたします。
 特殊の風土病その他につきましては、普通交付税で措置することは普遍的でございますので、普通交付税で措置することはできないと思うのですが、その実態に応じて特別交付税で所要の措置を講じたいと思います。
○安井分科員 いままでも特交での対策は若干講ぜられているようでありますが、何か厚生省指定の特殊地域病として指定があれば、必要な予算は全部特交で処置する、こういうような例が何かあるのですか、仕組みがあるのですか。
○石川説明員 風土病の最も大きいのは日本住血吸虫病であると思いますが、こういうようなものについては補助がきまっておりますので、それぞれ所要経費が明確に出てまいります。こういうものを中心にして特別交付税で措置をしてまいっておるわけでございます。
○安井分科員 私が申し上げているのは――いまのような特殊な住血病とエヒノコックスとの扱いが違うわけですか、おっしゃる意味は。
○石川説明員 風土病の特別ないろいろな実態によりまして、経費が違ってまいると思いますが、その経費を参酌しながら、特別交付税で措置していきたい。ただ住血吸虫病の場合は、補助金額等が明確になっておりますので、比較的機械的に入れられやすいということでございます。
○安井分科員 これは厚生省のほうになりますが、住血吸虫病のほうは、きちっとした助成措置があるわけですか。
 それと、そういうものは、どういうものがそういう扱いになって、そういう扱いにならないものはどういうものか。その区分をちょっと教えていただきたい。
○若松政府委員 日本住血吸虫病の撲滅につきましては、法律がございまして、法律の規定によって補助が行なわれております。したがって、ただいま自治省から申し上げましたが、事業計画がきまっておりまして、計画量がきまり、市町村の支出が幾らときまっておりますので、それに見合って交付税の措置が行なわれております。
 この住血吸虫病はエヒノコックスとどう違うかということでございますが、エヒノコックスは、ただいま申しましたように、北海道の礼文島の局地のものであり、北海道庁が責任を持ってやってしかるべきものだという考えでやってまいりました。日本住血吸虫病は相当多数の県にまたがっておりますし、またかなりな地域にあります。また、これがほっておけば、まだまだ広がり、非常に大きな被害を起こす可能性がございまいますので、その被害の大きさ、地域の広さ、各県にまたがるということから、法律の規定がございまして、高率の補助をいたしております。
○安井分科員 それではいまのところ扱いは違うという点はわかりました。しかし、特別交付税の配分の場合に、この礼文町なり北海道なりという地帯が、現実にどれくらいの出費をしているのかという点を十分把握して、特に支出しておる額よりもよけい金を出しなさいと私は申し上げておるわけではないので、その実態を十分把握した上の措置を講ずべきである、そういう意味で私は申し上げておるわけでありますが、どうですか。
○石川説明員 風土病その他につきましては、関係市町村の意向をぜひ聞きまして、実態に応じて処置いたしたいと思います。
○安井分科員 環境衛生局長もおいでいただいておるわけですが、この伝播経路はやはり飲料水にあるわけですね。そういうことで今日までの段階でも、この地区の簡易水道の普及には地元も非常に熱心だし、それに対して厚生省も処置をされてきたということを聞いておるわけでありますが、いまのところはまだまだ全道的に普及しているという段階ではないようであります。特に現地に行ってわかりますことは、沢々に住宅がずいぶんばらまかれているわけです。そういうようなことで、この水道普及という問題はこれからも問題を残していると思うわけでありますが、これらの問題についての御見解をひとつ伺いたいと思います。
○舘林(宣)政府委員 お尋ねのございました簡易水道の普及につきましては、従来から努力をしてまいっておりまして、今日では多くの府県においてだいぶ充実してまいっておりますが、なお北海道、東北等はこれから充実をしなければならない地区でございまして、またこれらの地区については、漸次単価を上げなければ実施がむずかしいというようなことで、私どものほうとしても実際に事業のできるように予算の配慮をし、また将来計画も立てて進んでおります。
 また、ただいまお話のございました沢々にあるようなごく小型の施設は、飲料水供給施設として補助率を四割高めまして、普及をはかっておる次第でございます。これも従来発達してなかった地域に特に重点を注いで進めておる次第でございます。今後とも努力を続けていきたいと思うものでございます。
○安井分科員 こういう地域について現在は離島ですから四〇%の離島の補助があるようですね。しかし残りは起債や町費というようなことで、施設費は猛烈に大きくなっていて、とても地元の受益者負担というものに持っていくのには力が住民にはなさ過ぎるし、財政も非常につらい、こういうような実態があるようであります。こういうような特殊な地域に対しては、補助率を引き上げていくとかなんとかというふうな措置は講ぜられないものかと思うわけでありますが、どうでしょうか。いまの場合は、これから先この病気を広げさせることを押えるただ一つの道は、飲料水の問題を解決することです。それ以外にないわけですよ、予防注射もあるわけじゃないのですから。それが一番大事な問題になってきているわけです。特殊な補助率をこういうような場合には設定していくとか、何か考え方があっていいと思うのですが、どうでしょう。
○舘林(宣)政府委員 一般の簡易水道の補助金の従来のたてまえから申しますと、離島とか特別な地域に特殊の高率の補助をするというたてまえはいたしておりませんけれども、これらの地域は離島振興法等が適用されれば、その面で財政的に別の配慮がなし得ると思います。
○安井分科員 離島振興法の……。
○舘林(宣)政府委員 離島振興法にかかります場合には、水道事業については五割の補助が出るというふうに記憶いたしております。
○安井分科員 四割じゃないですか。
○舘林(宣)政府委員 ちょっとさだかでありませんが、通常の簡易水道の二割五分よりはだいぶ大幅な補助金が出るわけであります。
○安井分科員 たしか四割のはずです。ですが、それでもなかなかたいへんなわけです。だから、その上に私は、こういうふうな地域に対して特別な措置ができないものかと考えるわけです。日本住血吸虫病などについても、これは法律があるからと言われればそれまでだと思うのですけれども、まだまだこういうふうな特別な措置の考え方の余地があるのではないか、そう思うのですが、いまのことについて何かありましたら……。
○舘林(宣)政府委員 礼文島の簡易水道につきましては明年度をもって完了の予定でございまして、これには離島振興法で四割の補助金が出ております。
 お尋ねの件の範囲では以上のようでございますが、その他の地区につきましても、今後とも努力してまいりたい、こういうふうに考えます。
○安井分科員 明年度完成というのはあれでしょう、仕事がまだ残る可能性もあると思うのですが、どうでしょう。その場合はどうされますか。
○舘林(宣)政府委員 なお、実態に応じまして、必要があれば適当な措置を講じたいと思いますが、いまのところ一応明年度完成というふうに私どもは存じております。
○安井分科員 いまそういうお答えでありますけれども、明年度全体的な集団的な地域は終わるかもしれないが、しかし沢、沢に残っている小規模な集団については、私は、どうも仕事が残ってしまうのではないかというふうな気がするわけです。だから、各個の水源確保事業だとか、そのための水脈調査だとか、私はいろいろやる方法が幾らでもある気がするわけです。
 いま大臣、あとの御予定があるそうですから、この問題はもう少しあとに最後的なお答えをいただく時期を延ばしたいと思いますが、大臣、いずれにいたしましても、港湾や漁港の開発も非常に大事です。しかし開発というのはすべて人間のための開発でなくてはならぬと思うわけです。医療費値上げの問題でずいぶん大臣苦労されていますけれども、しかし人間のための政治というのが、ヒューマニズムというのが政治の本来の方向でなくてはならぬと私は思うわけです。北海道のごく一つの地域の離島の問題かもしれないけれども、ここに住んでいる人たちのしあわせが確保できるようなそういう方向にぜひ御尽力を願わなくてはならないと思うわけであります。なお、人事院に対して、業務上の疾病の問題についてこれから続いてお尋ねをしたいわけでありますけれども、ひとつ厚生大臣から最後に、その点についてはっきりした御見解を承っておきたいと思います。
○神田国務大臣 いまの安井委員のお述べになりましたことは私も全く同感でございまして、そういう考え方で政治の姿勢をとっているつもりでございます。ことに、礼文島の問題につきましては、一番大事な産業である漁業が衰微している、いつこれが回復するかわからぬというようなことでございまして、非常な実は同情をいたしておりまして、他にかわる産業がないかというようなことも考えているわけでございます。せんだっても町長さんですか、議長さんその他おいでになりまして、国立公園の指定がおくれているからこれをひとつ早く処置してもらいたいというような陳情も聞きまして、その際もいろいろ承ったのでございます。実は、それまで病気のほうも、私、はなはだ恐縮なんでございますが、これほどひどいものだということは承知しなかったのでございますが、また、きょうは安井委員からいろいろお聞きいたしまして、先ほどお答え申し上げたように、ひとつやりくりしても期待に沿いたいというようなことは申し上げております。国立公園のほうもなかなかむずかしい点もあるようでございますが、担当の局長等にひとつできるだけ早く処置して新しい産業として育成したらどうだろうか、こういうふうなことも述べているようなわけでございます。水道の問題も、いま環境衛生局長からの話によりますと、大体整備されるようなことを言っておりますが、それは計画が整備されても、残りがないのかどうか、こういう点もまた詰めてお話もございましたので、ひとつ十分、僻陬の地であるだけなお一そう私ども政治のあり方としては留意してまいりたい、こういう考えでございます。
○安井分科員 いまの大臣の御答弁で一応姿勢としては私も了承いたします。たいへん景色のいいところで、桃岩という岩のところは高山植物なんか地上百メートルくらいのところで群れているわけです。隣の利尻島には、利尻富士なんというりっぱな二千メートル近くの富士山のような山がそびえていて、なかなかいい地域であります。そういうために固定公園の問題も出ているし、それはぜひそれで御処理願いたいが、この問題はこの問題として、御熱意を持ってお当たりを願いたいと思います。大臣けっこうです。
 それでは、最後に、人事院のほうですが、実はこの病気にかかって国家公務員の人が一人死んでいるわけですよ。この人の場合には、もとこの人がこの島に住んでいたというふうな経過があるわけでありますが、これから先にほかの地域から、本人の意思にかかわりなく赴任をして罹患をしたというふうな場合も出てきやしないかということを私はおそれるわけです。潜伏期間が大体十年から二十年近くあるわけですね。それだけに、とんでもない時期に発病して、重大な段階にいく、こういうようなおそれもあるわけです。そういうような場合は業務上の疾病というふうな扱いにならないのか、これはもう労災法の場合にも当然問題になってくると思いますけれども、国家公務員の場合にどうなのかという点をひとつ伺っておきたいと思います。人事院では現地調査も行なわれたというふうな経過もあるように聞くわけでございますが、お答えをいただきたいと思います。
○大塚政府委員 昨年の夏でしたが、開発庁から業務上の疾病と認定するかどうかということにつきまして、お話のありましたエヒノコックス症でなくなられた職員に関する協議がございました。私どもこの病気が、先ほどからもお話が出ておりますように、礼文島という特殊な地域の病気でして、中央にいてあまり実態がわかりませんので、担当の課長が現地に参りまして調査をいたしました。当の昨年の初めになくなられました開発庁の職員に関しましては、現地で採用され、たまたま職員になられる前にすでに罹病して、ある程度の症状が出ておられる、そういう病歴が判明しておりますので、これは公務上の疾病としては扱いにくいというふうな判断をいたしました。
 しかしお話のありました今後の問題につきましては、潜伏期間が非常に長い、それから感染径路があまり明白でない、医学上はあまりはっきりしておらないというような、いろいろな問題がございますが、少なくとも開発庁に対しまして私どもが通知をしました考え方といたしましては、礼文町の地域内に、開発庁の職員で勤務したことのある者がエヒノコックス症に感染し発病した場合には、その人が職員になる前にすでに感染しているというようなことが立証されない限りは、当分の間人事院のわれわれのほうへ御協議をいただいた上で業務上の疾病として扱うということで御通知しております。
○安井分科員 これは労災法の場合も当然問題が出てくると思うのですが、一つのケースとして国家公務員の場合を取り上げていまお話を伺ったわけであります。そういたしますと、島に生まれた人といいますか、島で相当期間長く住んでいた人はそうは見られないけれども、いろいろな条件の判断の中から島で感染したということが明らかであった場合には、潜伏期間は相当長いわけでありますけれども、そういう時点にあっても業務上の疾病とみなして処置する、こういうことですね。
○大塚政府委員 お話のとおりであります。
○安井分科員 それでは一応人事院の御見解を伺うことができたわけでありますが、これは島で生れた人の場合は、おまえさんは島で生れたんだから業務上じゃない、外から行った人はまあしかたがない、こういうふうな扱いは、同じ国家公務員なら国家公務員、地方公務員なら地方公務員という資格であるだけにずいぶん問題があると思うのです。現にいま二十一人病気でいる人の中に、役場の職員の人が一人います。そういう事態にもだんだん波及してくる可能性もあると思いますけれども、きょうはもう時間もありませんので、きょうのところ人事院のただいまの御説明で了承をしておきます。
 いずれにいたしましてもこの問題は、たとえばここの小学校の校長先生がこういうように言っています。この人はここで生まれた人でありますが、「私はもともとエヒノコックスにかかる人は、運の悪い人だと考えていました。ところが長男が三十二歳でエヒノコックスで死亡したとき、運不運だけで考えられない気持ちになったのです。私は礼文島で生まれ、この地に育ち、五十八歳の今日まで三十六年間の教育者としての道をこの地で過ごしてきたのですが、私の教え子の中でわが子を入れて八人の人たちをエヒノコックスで死なせております。そしてその人たちは全部三十二、三歳で死亡しました。エヒノコックスの潜伏期が二十年といわれると、この人たちが羅患したのは十二、三歳のころと考えられます。」子供たちが遊んでて、のどがかわいて沢水を飲んで、そういうようなところから羅患して悲惨な状態になったということを思うと、「私の子供が死んだとき、私は政治に対する憤りのために、どんな場所へでも出て私の気持ちを訴えて、この対策の怠慢を責めるという正義感に燃えていました。」そういうような言い方をしています。いずれにしても若い人たちが死んでいくわけですね。そういう事態がございますので、ぜひこの問題に対しては――厚生大臣はいま立ち去られましたけれども、厚生省としても十分に今後の対策に慎重に熱意を持って当たっていただきたいし、それからまたきょうは人事院だけへのお尋ねでありますけれども、これは当然地方公務員の場合も、あるいはその他の労災法の場合にも援用されるような御措置ではないかと私は思うのでありますが、そういうような問題もあわせて今後の御検討を願っておきます。
 終わります。
○相川主査 午前中の質疑はこの程度にとどめ、この際暫時休憩いたします。
   午後零時五十七分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕