第049回国会 運輸委員会 第5号
昭和四十年八月十九日(木曜日)
   午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 長谷川 峻君
   理事 關谷 勝利君 理事 壽原 正一君
   理事 田澤 吉郎君 理事 田邉 國男君
   理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君
   理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君
      木村 俊夫君    竹内 黎一君
      中野 四郎君    西村 英一君
      小川 三男君    角屋堅次郎君
      泊谷 裕夫君    野間千代三君
      内海  清君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 中村 寅太君
 委員外の出席者
        専  門  員 小西 真一君
    ―――――――――――――
八月十九日
 委員浦野幸男君、小渕恵三君及び勝澤芳雄君辞
 任につき、その補欠として竹内黎一君、中野四
 郎君及び角谷堅次郎君が議長の指名で委員に選
 任された。
同日
 委員竹内黎一君、中野四郎君及び角谷堅次郎君
 辞任につき、その補欠として浦野幸男君、小渕
 恵三君及び勝澤芳雄君が議長の指名で委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 航空に関する件(日米航空路線に関する問題)
     ――――◇―――――
○長谷川委員長 これより会議を開きます。
 航空に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
○久保委員 日米航空協定の改定交渉についてお尋ねするわけでありますが、聞くところによりますというと、今回の交渉は去る十日から引き続きやっておられるようでありますが、明日をもって一応中断するというふうに新聞等は伝えているのですが、そのとおりであるかどうか。いかがでしょう。
○中村(寅)国務大臣 中断するというようなことはまだきまっておりません。
○久保委員 中断することはきまっておらないということでありますが、それはそのとおりだと思うのであります。ついては、仮定の問題でお尋ねするのはたいへん恐縮なんでありますが、今日の段階で、日本側が主張するような形で最終的に解決するめど、見通しはあるのかどうか。いかがでしょう。
○中村(寅)国務大臣 日本の要求する線で解決したいと努力中でございます。
○久保委員 そこで、日本の要求する基本的な態度でありますが、本委員会を通して再々今日まで政府側との質疑応答を重ねて明確になっておると思うのでありますが、この際、再確認の意味で、われわれの交渉すべき態度というか、われわれが政府側に要求し、アメリカと交渉をしてもらう基本的な態度について、一言念のために申し上げて確認を求めたいのであります。
 国会の決議は、言うまでもなくニューヨーク・ビヨンド、これを日本側としてアメリカに要求することが、今日の不平等航空協定の改定の最大の主眼であるということになっていると思うのであります。しかし、これは一つの表現でありまして、いま申し上げたニューヨーク及びその以遠権を日本側がアメリカから獲得すれば、それで十分不平等は解消されるというものでは実はないのであります。これは言うならば、不平等協定を象徴した表現としていわゆるニューヨーク並びにそのビヨンドということでありますので、そういうことを基本的にわれわれ自身は考えている、こういうことでありますが、政府側においてはどのように考えていままで交渉しているのか、その点、念のためにお尋ねしたい。と申し上げますのは、今日アメリカとの航空協定は、御承知のように、いま申し上げたような首都間相互乗り入れ、これを欠いていることも御承知のとおりでありますが、さらには、それ以上にいろいろな点で実は相互平等性を欠いている、かようにわれわれは思うのであります。言うならば今回の協定改定というのは、極端なことでありますが、白紙に返してのこれは改定交渉でなければならぬ。もちろん現実には白紙に返しての交渉ではございませんが、そういう精神で臨んでもらいたい、かようにわれわれは考えているのであります。
 ところがいままで新聞報道等を総合いたしますのに、政府側の交渉態度というのは、何かアメリカのギブ・アンド・テーク、単なる取引的な交渉のペースでもって進められているようでありますが、これはわれわれとしては心外の至りであります。だから、この際はっきり運輸大臣からお答え願いたいのは、われわれの精神というのはニューヨーク及びその以遠乗り入れ、これは単なる象徴であって、これを含めて現行の日米航空協定は不平等である。だからこの改定交渉が今回の交渉の本筋であって、アメリカが言うところの現協定の解釈事項を確認するようなもの、そういうものは今回の交渉の対象ではない、かようにわれわれは考えているのだが、そのとおり了解してやっているかどうか、いかがでしょうか。
○中村(寅)国務大臣 今回の日米航空協定の改定の基本的な態度といたしましては、不平等を是正するということが基本でありまして、その一つの大きな要素として東京−ニューヨーク以遠、欧州を通って日本に帰ってくる路線を獲得したいということ、これが基本でございます。ただ、不平等を是正するという基本的態度はいま申し上げるような態度でございますが、現在の協定というものがあることだけは事実でございまして、これは破棄しておりませんので、やはり現在の協定というものが基本になるということは、これはいたし方ないことであります。それから確認事項等はこの際問題にすべきじゃないと仰せられる質問、御意見も、私ももっともであると思いますが、しかし向こうが確認してくれということを言うてきておることに取り組むことが、また日本のために有利になるという線もないではないようでございますから、そういうものをすべて考え合わせまして交渉を進めておるわけでございます。
○久保委員 いまの御答弁だというと、一つには確認を求めてきている事柄自体についても、それに応ずることが何か有利に展開するようなお話でありますが、私は、よしんばそれが大臣がおっしゃるように有利に展開するものであっても、それはとるべきではない、かように考えております。なぜならば、今回の交渉は不平等協定の改定、不平等を解消するというところにわがほうの基本的態度があるのでありますから、そういうものにかかずらってやること自体が卑屈である。いわゆる交渉の態度としても卑屈であると私は思うのであります。そういう意味からいっても、そういう確認事項の取引、といっては語弊があるが、交渉に乗って、そしてこちらの不平等と主張するものを多少でも了解させる、通していくというような取引ということは、私は基本的に賛成しかねます。いわゆる目的のためならば手段を選ばずという態度であって、決して日本国民の立場じゃありません。国会で決議したゆえのものは、いうならば不平等という精神的なものから具体的なものに突き進んだ結論でありまして、その点も十分お考えいただきたいと思います。私は、単にニューヨーク及びニューヨーク・ビヨンドが通ればそれで不平等解消だ――アメリカは不平等の解消だと思っていない。とするならば、これは絶対精神的にいって不平等解消には私はならぬと思う。だからまず第一に、いまの協定は不平等であるという認識を米側に持たせることが先決なんであります。それがなければ、いかなる有利な条件があろうとも私は完全でないと思うのです。そういう意味からいって、今回の交渉は、先ほど来申し上げたように、いうならば不平等協定の解消、その交渉であって、単なる協定改定の交渉ではない、こういうふうにわれわれは了解しております。
 そこで一つお尋ねしたいのです。これも確認になりますが、あなたも不平等だとおっしゃいましたが、不平等とは具体的にいかなる点をおさしになっておられますか。今日の日米航空協定が不平等であるという大臣の御指摘は、いかなる点をもって不平等と御指摘なされますか、いかがでしょう。
○中村(寅)国務大臣 それは、皆さんが不平等だ不平等だと言っておりますが、不平等の線は必ずしも一致しておるとは私は、個人的な主観もあると思いますので、考えられません。私は、日本が得ておる権益とアメリカが得ておる権益との間に差がある、日本のほうが不利である、向こうのほうが有利な線を持っておる、有利な権益を持っておるということがやはり不平等の根拠である、かように考えます。その不平等性を是正したいという考え方に立っておるわけであります。
○久保委員 大臣、不平等の解釈を聞いておるのではなく、不平等とおっしゃいますが、それじゃ現実にある協定の中で不平等とはいかなる点が不平等であるか、お示しいただきたい。たとえば、いままでの質疑応答の中で、一番はっきりしておる不平等は、わがほうはアメリカのニューヨークに乗り入れができないし、ニューヨーク以遠権も持っていない。これが不平等である。わがほうに対してはアメリカは東京並びに東京ビヨンドを持っておる。これは不平等であるというのが一つ共通点としてわかっておる。それ以外に不平等な点が何かございますかと聞いたほうが具体的でしょう。何かございますか。
○中村(寅)国務大臣 具体的な問題は、いまちょうど交渉の最中でございまして、私の見解を申し上げることはこの段階では遠慮させていただきたいと思います。
○久保委員 いや、それは交渉の問題じゃないんじゃないでしょうか。たいへんふしぎなことをお聞きするわけでありますが、わがほうが不平等であるからこの交渉を開始したのであると思うのですが、そうじゃないですか。
○中村(寅)国務大臣 不平等であるから、不平等を是正したいということでこの交渉を開始したものでございます。
○久保委員 そうならば、不平等とはどの点かを主張したのでしょう。だからその主張した点をお尋ねしておる。一つは、およそわかっているからさっきああして申し上げた、この委員会の席でもやりとりがあった、国会の決議にもあったとおりの、いわゆるわがほうがアメリカの首都に乗り入れができない、あるいは以遠権を持っていないということが不平等であるということは、具体的にわかっておる。そのほかに何か不平等という点はおありかどうかをお尋ねしているのです。いかがですか。
○中村(寅)国務大臣 アメリカが持っております権益と日本が持っておる権益との間に差があるということでございます。
○久保委員 アメリカの持っている権益と日本の持っている権益と差があること、これが不平等だ。どうも大臣、具体的じゃないですな。たとえば、そのおことばも実際はちょっとおかしいですよ。別に交渉には支障は来たさぬでしょう。それでは、不平等だという主張は、先ほど来何回も申し上げた日本の航空事業がニューヨークに乗り入れができないということだけが不平等だという主張をいまでもしているのですか。それ以外はないということなんですか。
○中村(寅)国務大臣 ニューヨーク以遠欧州回りを一つくれということは、これは日本の主張の中の一つでございます。
○久保委員 そのとおりだと思うのです。だからお尋ねしているのです。不平等の中の一つであるが、あとの幾つかはどれとどれなんでしょうとお尋ねしておるのです。これは別段交渉に支障を来たさぬと私は思うのでありますが、どうでしょう。
○中村(寅)国務大臣 現在交渉の途中でございまして、申し上げることを遠慮したいと思いますので、御了解願いたいと思います。
○久保委員 これは交渉に支障がないと思うのですがね。それから、いかなる主張をなされているのか、向こうの言い分についてどう解釈するかは、きょうお聞きしません。それは交渉の過程の問題でありますから、国会の立場からも交渉が円滑にいくことを望んでおるのですから、向こうが言い出してきたものについて政府側はどう解釈し、どういうふうに持っていくかは、これは別にきょうお尋ねしません。ということは、これは外交的な問題でありますからお尋ねしないのですよ。
 しかし、わがほうの主張としてどういう主張をなさっているかということ、どういう点が不平等であるかについて主張されているのか、それを聞くのは別に交渉に支障はないと私は思うのです。それが支障があるとするならば、日本のニューヨーク並びにニューヨーク・ビヨンドの主張をしていますということも、ここで言うのはおかしいですよ。交渉に支障を来たします。しかし、時間もありませんし、言いにくいことかもしれませんからこの辺にしますが、しかし私は、単なるやりとりだけでこの問題を過ごすつもりはありません。というのは、いま申し上げたように、単にニューヨーク並びにニューヨーク以遠権を持てば不平等は解消されるのだというような考えで交渉されているとするならば、日米航空協定の不平等性の真の認識はないというふうに私は思うのであります。そう思ってよろしいかどうか。いかがですか。
○中村(寅)国務大臣 私は、日米航空協定の現在の姿の不平等性を是正するのは、ただニューヨーク以遠権をとっただけで不平等が解消するとは考えておりません。
○久保委員 わかりました。そのとおりだと思います。
 そこで、その一つの点、いま主張されているニューヨーク並びにニューヨーク以遠権というのは、具体的にどういうふうに向こうに主張していますか。たとえばこういうふうに主張していますか。日本はアメリカのニューヨーク及びニューヨーク以遠ロンドン、そしてヨーロッパのある地点というふうにこちらの申し入れをしているのでしょうか。
○中村(寅)国務大臣 東京−ニューヨーク−欧州−東京に帰る世界一周路線で、ニューヨーク以遠という形で要求しておるのは、これはあまりに周知の事実でございますから、そのとおりであります。私はただそれだけでなく、ニューヨーク以遠を獲得しても、日本の航空企業が将来ともに営業の安全あるいは発展を続け得る態勢でニューヨーク以遠権というものを獲得したい、こういう見解に立っております。
○久保委員 ちょっとお話がよく理解されないのでありますが、私どもの解釈では、いわゆるアメリカに許しているものは東京及び東京以遠であります。そうでありますから、わがほうの主張も当然、その平等性を主張するならば、ニューヨーク及びニューヨーク以遠ということに相なろうかと思うのであります。それを裏返しにすれば、今日の航空協定はそういう問題についても不平等性がある、不平等であるということをお忘れにならないでいただきたい、かように思う。
 さらにもう一つは、この航空協定を結ぶときには、御案内のとおり平和条約十三条によりまして、既得権の尊重というものが多分に入っている。しかも平和条約十三条によりますれば、これは四年間で期限切れであります。もうすでに平和条約の義理は果たしたのです。だからこの際私ども気持ちとして申し上げたいのは、現行協定はこの際破棄する、これは期限はないのでありますから、当然ある時期には、この日米航空協定自身にも書いてあるとおり、別な一般的な各国間における二国間の協定が結ばれた際には、それが大体において標準化された場合には、本協定も全部変えるというようなことも宣言しているのでありますから、そういう意味からいきましても、両方相兼ねて、この際日米両国のためにも現行の協定は破棄して、筆硯を改めて、日米間の航空協定は結び直すというのが、今日の時点では一番正しいし、また、アメリカにはアメリカの事情もあるだろうしするから、そういうことを判断するならば、政治的にも私は、航空協定を破棄してあらためて結び直すという交渉をやったほうが両国のためになる、もちろん日本の国会が決議した趣旨にも沿うであろう、こういうふうに私は考えるのだが、これはどういうふうに考えますか。
○中村(寅)国務大臣 第一段階のニューヨーク以遠と東京以遠とは、同等の線で要求しておるわけでごさます。
 それから、破棄してやったほうがいいじゃないかというお考えのようでありますが、そういう考え方もあると思いますけれども、政府がとっていますのは、いまの不平等を是正していくという方向で進めておるわけでございます。
○久保委員 それでは、これで終わりにしますが、私が最後に申し上げておきたいのは、いま申し上げたとおり、現行協定の改定となれば、いわゆるアメリカの立つ立場と日本の立つ立場とがおのずから違うということは、この十日からの交渉過程を仄聞して、私はしみじみ思わざるを得ないのであります。だからこの際繰り返し申し上げますが、もはや日米間の航空協定は破棄するにしかず、そうして、筆硯をあらためて両国対等の立場で交渉し、その力の積み上げによって友好的な新しい協定をつくることが、両国民のためにも、両国間の友好のためにも、両国航空事業の発展のためにも一番正しい、私はかように思うし、東京がこれからの国際航空の三大ポイントの一として成長過程にあるとするならばなおさら、われわれは自分たちのインタレストを安くは売らないということをこの際はっきりするべきだと思うのです。
 以上申し上げて私の質問を終わります。
○長谷川委員長 田邉國男君。
○田邉委員 本日の委員会が開かれましたのは、日米航空協定がいよいよ最終段階に来た、そこで国民の総意がこの航空協定の結末がいかようになるかということに重大関心を持っておりますので、その国民の総意をここに反映をして、大臣に重大な決意をもってこの航空協定の交渉の最終段階にひとつ有終の美をおさめていただきたいという声が、本日の委員会となったわけでございます。大臣を補佐する人たちの、本日の重大な委員会に対しましての扱いが、われわれ委員にとりましてまことに不満足な感じがするわけでございます。この委員会は本日、日米航空協定の問題一点にしぼってやっておるわけでございまして、その点大臣も十分ひとつ御認識を持っていただいて、今後の委員会につきましては十分の配慮と御用意をお願いしたいと思います。
 ただいま久保委員から核心に触れた御質問がございましたが、私も二、三大臣の所信を伺いたいと思います。
 第一に、この日米航空協定の交渉につきまして、大臣は、いわゆる基本的態度というものはどういう心がまえで臨んでおられるか、その点を伺いたいと思います。
○中村(寅)国務大臣 私は日米航空協定の不平等性を是正して、そうして日本の多年の要望である東京−ニューヨーク以遠、東京に帰る世界一周の線を獲得したいという考え方に立っております。
○田邉委員 それでは今回新聞紙上で公表されておられます米国の要求項目十三項目にわたるこの要求は、不平等の是正というこの交渉についてむしろ拡大をしておる感がするわけでございますが、この点につきまして、この十三項目の要求に対して、これが不平等であるというお考えでございますか、その点を伺っておきます。
○中村(寅)国務大臣 私はアメリカが要求してきておりますいろいろの要求を全部認めるという気持ちは持っておりません。
○田邉 それでは一部承認をなさって、そうして一部は承認をしない、そういう形がいわゆる不平等の是正になるというお考えでございますか。
○中村(寅)国務大臣 私は、一部認めるとか一部認めないとかいうことでなくて、やはり交渉でございますから、こっちの要求も相当強いことを要求しておりますので、向こうの要求は全部全然認めないんだ、こっちの要求だけを全部認めろ、こういう形ではやはり交渉にはならない、それで、日本の不平等性を是正するのに支障のないようなことでございましたならば、私は多少のものは認めなければならぬことはあり得る、いまの段階ではまだそこまでは考えておりませんけれども、結論を出す場合には、やはりそれはあり得ると考えなければならぬのじゃないか。しかし、不平等の点を是正するという基本線をゆるがすとか、くずすというような考えは毛頭持っておりません。
○田邉 私どもこの委員会におきましては、現在アメリカが要求いたしております十数項目の要求事項というものは、不平等をさらに拡大するものだという考え方に立っておるわけでございまして、国会の決議、委員会の決議におきましても、このニューヨーク・ビヨンド世界一周は一つの象徴として表現しているわけでございまして、この日米航空協定のできた当時の時点というものを考えましたときに、すでに不平等であることは明確な事実でございます。そこでわれわれの国会の決議、また委員会の決議は、これを是正しようということでございます。ですから、私が大臣にお願いをしたいことは、まことに言いにくいことでございますが、今回の交渉を円満にまとめよう、そして日本側の要望が大部分通っていけばこの交渉は非常に成功だ。しかも大臣が現職のときに、この実も花も取るような交渉をもしおやりになるという考え方が心の一部にありましたら、これは私は重大な問題が起きると思います。と申しますのは、やはりまとめようとするときには、何らかの妥協をしなければならない。そこで私は大臣に、まことに失礼な言い方でございますが、やはり破棄をする決意でこれに対処しなければ、この不平等の是正というものは絶対にできない。そういう意味で、この交渉につきましてひとつ大臣は、自分が悪い子になるのだ、こういうつもりで交渉をしていただきたいのでございますが、その点いかがでございますか。
○中村(寅)国務大臣 私はこの交渉をまとめることをもって自分の花にしようなんて毛頭考えておりません。日本の航空協定の不平等性を是正するということが基本であります。不平等性を改正するという基本に立って交渉を進めているのでありまして、初めから破棄してというような、そういうことは、これは交渉の進むにつれて起こってくる現象でございまして、政府として交渉する場合に、初めから破棄を前提として交渉というようなことは、これはあり得ないことと思います。交渉を続けておる過程において、あるいは破棄せなければならぬというような場合も起こり得るということも、これはあり得ると思いますが、交渉に立つ前提としては、やはり不平等性を是正して交渉をまとめる、こういう態度で臨まなければならぬと私は考えておる次第でございます。
○田邉 大臣の決意はまことに決然たるものがおありになるので、私はその点非常に安心をしたわけでございますが、どうも交渉の衝に当たっておられる政府代表の外務省及び運輸省の代表が、どうも弱腰である、こういう感じがいたします。しかも、伝えられるところによりますと、何か破棄をすることによって日本が重大な損失を得るのではないか、たとえば、もし破棄された場合には、アメリカの航空会社は何も東京を通らなくてもいいのだ、グアム島を通って、そして香港を通じていけばいいのだ、そういうことになった場合には日本は重大な損害をこうむるのだと言わぬばかりの言辞が、新聞にちらほら流れておる。この現実を見ましたときに、私は日本の交渉代表というものは少し軟弱ではないか、その点について、大臣の意思を十分くんでの交渉をやっておらないような感じがするわけでございます。では一体東京がどういう地位にあるかということになれば、いまさら申し上げるまでもございません。世界の重大な三大空港の要するに要点、世界の十字路といわれておる日本をはずして、何でアメリカの航空事業がいわゆる東南アジアへ来る路線として東京をはずし得るか。私ははずせたら喜んではずしてもらいたい。それだけの決意を持って、日本の代表団がき然たる決意を持ってやることにつきまして、ひとつ大臣が十分自分の配下の交渉団に大臣の決意を植え込んでいただきたい。この点が私ども非常に不安になる点でございます。
 以上いろいろお願いを申し上げましたけれども、要は、国会の決議に従うあの重大な決意をもってこの交渉に臨んでいただきたいことを心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
○長谷川委員長 矢尾喜三郎君。
○矢尾委員 二、三この際お伺いしたいと思います。
 再三にわたりまして質問をいたしましたので、重複を避けたいと思いますが、この際お伺いしたい第一点は、最初私が質問をいたしましたときに運輸大臣は、時間をかけて、急がず妥結に持っていきたいという御答弁をされたのでございます。少なくとも八月一ぱいぐらいの時間をかけてという御答弁がございました。その後新聞その他の情報を見ておりますと、今度交渉に参っておりますスノードン代表一行は、二十一日の午前羽田から飛んでフィリピンに、やはりフィリピンとアメリカの航空協定の交渉に参るということでございます。これに対しまして、それは事実であるか事実でないかということを、まずお伺いしたいと思うのでございます。
○中村(寅)国務大臣 私は正式に向こうからその話を承っておりませんが、大体において事実のようでございます。
○矢尾委員 そういたしますと、新聞によりますと、今日までの交渉の過程におきましては、日本の主張とアメリカの主張とが相対立していて少しも進展しておらないというような情勢が報ぜられておるのでございますが、もしもいま運輸大臣が申されましたように、明後日フィリピンのほうに出発いたしますと、大臣の最初の予定は達成せられないことに相なる。じっくりと話をするという時間的な余裕もございませんので、もしもこのままの状態が続いていきまするならば、一体この話し合いというものはどういうような状態に置かれるのでありましょうか。その点につきましてお伺いいたしたいと思います。
○中村(寅)国務大臣 向こうは二十一日から向こうに行くらしいということでございますので、私はきょうあすのうちにできるだけ日本の要求を向こうに突きつけまして――全部行ってしまうわけではございません。主席代表なんかは残るようでございます。そういうことでございますから、どうせ日本から出しております要求というものを、いま来ておる人だけでオーケーとは言い得ないと思います。一週間行くのか十日行くのか、そこはまだはっきりしておりませんけれども、その間には向こうも上層の段階に相談をしなければならぬというようなことが相当ある。きょうあすに大体詰められるだけ詰めまして、そうして一週間か十日の間に、残ったあとの話し合いは続けていきたいと思っております。さらにアメリカ政府に請訓をしなければならぬようなものは請訓させていく。そういうことで運ばせていきたい。向こうと正式に打ち合わせたわけではございませんが、そういう方向に持っていきたい、かように考えております。
○矢尾委員 ただいまの御答弁によりますと、フィリピンに向こうが行っても、残るべき者は残ってやはり事務的折衝というものをいろいろ重ねていくのであるからという御答弁でございますが、きょうあすの間に日本側からいろいろの条件が出されるということが新聞紙上において報道されておるのでございます。二、三日前に、ちょっと日を忘れましたが、運輸大臣の談話としてこういうようなことが報じられております。「1米側の東京以遠乗入れ無制限化2米側の複数企業の太平洋路線運航など、現行協定の解釈上、米側に譲歩せざるをえないものは思い切って譲る考えである。しかし1日本の国際航空の今後の採算安定を確保しうること2ロサンゼルス−南米路線のような将来有望な路線は残すこと、などの方針を強く打ち出す考えである。」こういうことを運輸大臣が語っておられる。これは朝日か毎日か読売か、ちょっと書くのを忘れたのですが、そのうちの新聞の切り抜きでありますが、運輸大臣の談話として出ておるのであります。たぶんきょうあすのうちにこういうような案を日本側から出されるというような御用意があるのでありましょうが、これは交渉の内容でございますから、運輸大臣がここで言うことはできないとおっしゃれば、それでしまいでございますけれども、すでに運輸大臣の談話としてもう二、三日前から新聞に報道されておるのでございますから、この問題につきまして、運輸大臣の、この新聞紙上に報道されておるところの真偽、あるいはまたこの意図等について、許されるならばひとつ御答弁を願いたいと思うのでございます。
○中村(寅)国務大臣 私はどの新聞かは存じませんけれども、私はいままでアメリカの条件をのむということばを使ったことは一回もございません。わがほうの要求を通すということは、これも具体的にはあまり言ったことはないのであります。おそらく私と話しておるうちに向こうがそういうふうに感じたのかもしれません。私はアメリカのいろいろ出ておる条件について、いままで一回といえども、どういう条件はのむというようなことは申し上げたことはございません。
 それから第二段の、日本からの要求を出す用意があるのかというようなお話でありますが二、三日前から日本の要求を次々と出させておりまして、向こうがこれに対して答えをまだ簡単に出し切るというような段階じゃないようでございますから、おそらくこれは向こうに請訓しなければ回答し得ないような問題であると思いますから、内容はしばらく差し控えさしていただきたいと思います。
○矢尾委員 いまの答弁によりますと、この記事というのも正式に発表されたものではなくして、談話の中から総合して報道されたものであるというようなお考えでございますので、これ以上この問題については追及したいとは思いませんけれども、きょうあすの間に何らかの形において出されるということにつきましては、どういうようなおつもりを持っておられますか、いまお聞かせ願いたいと思います。
○中村(寅)国務大臣 日本の航空協定の不平等性を基本的に是正するという姿勢の上に立った要求でございます。それと同時に、向こうの要求に対しても、日本として承服し得ないものは次々に疑問を出すつもりでございます。交渉がどういう形で進んでいくかは、きょうあすは向こうもおりますので、その間にそういう一つの区切りをつくるくらいの決心でいまやらしておるわけでございます。
○矢尾委員 きょうあすのうちにいろいろの問題が具体的にも論議されると思いますが、現在の交渉段階におきましては、妥結するということは非常に困難であり、また、今日アメリカの代表として来訪しておりますが、これらの人々に対しまして全権を一任されておるのではなくして、アメリカの意向を日本に伝えてきているものであると私は考えますので、日本の提示された要求をそのままのむとはとうてい思われません。本国の訓令を仰ぐとか、あるいは本国に持ち帰ってこの会議を再開するとか、そういうような方法がとられるということの公算が多いように思います。
 私はそのようなことを想定いたしまして、運輸大臣に強く要望をしたいと思いますことは、そういうような場合、もしも今度の交渉においては成立はせない、だから時間をおいて次の近い機会に、あるいは日本において、あるいはアメリカにおいて交渉を再開されるというような場合が起こりまして、そして別れられるというような場合において、強く日本側の要求、国会の決議というものを向こうに伝えていただきまして、アメリカが現在要求しておるような問題、日本が要求しておるような主張、これをいれられないような態勢においては、何回交渉を開いてもそれはむだであるということを日本側の意見として強く主張していただいて別れていただきたいと思うのでございます。大臣も昨晩の夕刊を読まれたと思いますが、ライシャワー大使がアメリカにおきまして新聞記者会見において発言されておることばの中に、こういうことが書いてありました。アメリカ人はあまりにも日本を知らな過ぎる、だからアメリカは、日本がどのような状態であるか、日本人がどういうような考えを持っておるかということをアメリカ人に深く理解をせしめるような方途をとらなければならないということを、日本に四年余り在任されておりますライシャワー大使が、アメリカにおいて申されておるのでございます。
 私はこういうことを考えますと、この航空協定の破棄ということにつきましては、先般も申し上げましたように、破棄するということは国交断絶をするとかなんとかいう問題ではなくして、航空協定におけるところの一方的破棄ということは、国際航空上におけるところの、これは常識であります。宣戦を布告するとかなんとかいう重大な問題ではなくして、スタートに戻る、この不平等な立場を一歩退いて、そしてスタートに戻って、平等な立場から出発するということが目的でございます。私はそういうような意味におきまして、アメリカの国民といえども、この条項というものを、今日つくられておるところの日米航空協定の内容というものをつぶさに知りますならば、その不平等性というものに対して必ずや私は日本の立場を理解するものであると考えております。その証拠には、われわれ運輸委員会の四名が向こうに渡りまして、二十数名の人に会いました。そして国会の決議なり日本の事情なり、すべてを英文にしたためまして話し合いをいたしました。一人として――政府関係の者を除きまして、国会の上院、下院ともに、これらの航空関係の人、あるいは下院の議長あるいは野党与党の幹事長等にも出会いました。これらのすべての人々がこの不平等な条項というものを認識してくれておるのであります。そういうところを見ますと、この航空協定に対してアメリカ政府が強い意思を表明しておるということは――アメリカの国会議員ですら、われわれが行って初めてその不平等性というものを認識した、わかった、こう言っておるのでございます。いわんやアメリカの国民がそういうような内容を知るはずはございません。それに引きかえまして、アメリカの政府はなぜこのような不平等の上になお不平等の格差を大にしていこうというようなことに力を入れていこうとしておるかと申しますと、御承知のとおり、アメリカの八つの大きな航空会社の代表がホテルオークラの八階か九階に陣取りまして、そうしてアメリカ政府代表に対して強い圧力をかけておるというこの現実です。こういうような現実を見ますときにおいて、私は、今日ここに来ておられるところの代表というものが、公正妥当な線において妥結をするということは考え得られないと思うのでございます。もしもこれらの人々が正義感の上に立って、そうして公正な妥結をしたという場合においては、その人々がアメリカに帰った上において、これらの航空関係の人々の圧力というものが大きくそれらの人々の上にかかってくるというようなことを考えますならば、私は決して公正妥当な交渉というものはでき得ないと考えておるのでございます。そういう意味におきまして私は最後に――日本の各新聞もいろいろ社説におきましても、論説におきましても書いておりまするが、その一節の最後にこういうことが書いてございます。「今度の交渉でしんぼう強く時間をかけて妥協点を見出すのは必要だが、当面の利害にとらわれて安易な妥協をしてはかえって禍根を残すことになる。政府は不平等是正のために協定破棄も辞せぬという国会の決議を忘れてはならない。」こういう方針において各新聞社の社説、論説というものは結論を結んでおるのでございます。むろんアメリカのこういうような民間の航空会社の大きな圧力というものをになってきておる代表団とは、公正な妥結というものは私はとうてい望めないと思うのでございますが、どうかそういうようなことも十分お考えくださいまして、安易な妥結をして、そうして将来に禍根を残す、現在の不平等、いま久保君が質問をいたしましたどこが不平等か、大臣は具体的にお答えにはなりませんでしたけれども、全部不平等です。ここに出ておりますこの条約を見ましても、全部が不平等です。だからどれが不平等だということは一々答えられないのです。できたときから今日までの間におけるところの協定というものが、全部不平等である。それを今度このアメリカが提示したものをのむということになれば、この不平等の格差というものをなお大きな格差に持っていく以外には何ものもない。日本の航空界の将来を守り、そうして日本の立場というものを強く守っていくためには、破棄を好んでする必要はありませんけれども、破棄というものは決してそんな、いわゆる今日までの大臣のおっしゃいますような、アメリカと日本との親善関係を破棄するものではありません。少なくとも航空協定におけるところの破棄というものは、いわゆるスタートに戻って公平な立場において、占領されたときにおいてつくった協定を平等な立場においてつくり直そうという立場でございますから、日本側において提示されます内容につきましても、少なくとも将来の問題等を十分御考慮なされまして、そうして交渉をされまして、日本の立場を強く向こうに響くようにしていただきたい。ライシャワー大使が言っておりますように、いままで無関心でありましたのが、破棄ということになりますと、アメリカの新聞も一斉に取り上げます。そうすると、日本航空協定というものを日本がおこって破棄した、どういうものだ、これはアメリカの国民といえども関心を持ってくる、そうしてこれではというような考えも起こさないとも限らないのでございます。私はそういうような意味におきまして、この交渉におきましては、大臣も就任されまして日の浅いときにこういうような大任を受けられたということに対しましては、まことに私は責任の重いことであると存じますが、日本の立場というもの、国会の決議というもの、国権の最高機関が決定いたしました決議でございますから、これは何ものもくつがえすことのできないところの決議でございますから、どうか尊重していただきまして今後の交渉に当たっていただきますことを最後に要望いたしまして、私の質問を終わる次第でございます。
○長谷川委員長 内海清君。
○内海(清)委員 今回の日米航空協定の改定につきましては、当委員会におきましても、今日まで数次にわたりまして大臣の決意のほどをお伺いし、さらに国会の決議に沿いましての交渉を強力に進めていただきたい、こういうことが繰り返されたわけでございます。しかも大臣におきましても、国会の決議に沿って今回の交渉を成功させたい、こういうふうな御決意も伺ったわけであります。しかしながら、十日に始まりまして今日までの交渉の状況を見ますと、もちろんこれは新聞報道が主でございますけれども、とかく国民の期待に反するような報道が多い、あるいは国民の不安を呼ぶようなものが多い。これははなはだ遺憾に存ずるわけであります。
 日米航空協定につきましては、すでに長い間の交渉でございます。したがって、先ごろ大臣もアメリカにおいでて、日米経済閣僚会議でこの交渉をされ、この十日から日本で正式交渉が持たれるということで、国民がひとしく大きな期待を持っております。この時であります。いまさらいろいろこまかいことは申し上げる必要もないと思いますが、先ほど来伺いますと、基本的な態度におきましても従来と何ら変らないような御答弁でございます。この問題につきまして一番重要な点は、まずもってこの不平等の是正である。それはいろいろ交渉でありますから、相手があることでありますから、向こうの要求もさることながら、まず不平等を是正する、その後においていわゆるキブ・アンド・テークという問題は生まれるべきものであると思うのであります。しかし今日までの状況を見ますと、アメリカ側においては、はたしてこれが不平等であるかどうかという、その認識があるかどうか。先ほど来の各委員のお話を承りましても、ことに委員長を団長とする議員団の方がアメリカに行かれまして、それぞれ議会方面その他に説明されたことによれば、すべての人がこの日米航空協定の不平等というものは認めたということである。しかるに今回の政府間の交渉によって、これが遅々として進まない。これはどこに原因があるか、私どもはなはだ不可解に思うわけです。日本側のこれに対する態度が弱いのであるか、あるいは説明が不十分であるか、あるいはそれともいまお話のありましたようなアメリカの航空会社の圧力というものが大きいのであるか、それらの点を私は非常に不可解に思うわけであります。もし許されるならば、一番の障害は何であるか、これらの点をひとつお伺い申し上げたいと思うのですが、交渉の途中であるいは困難かもしれませんが、許されるならば、ひとつこの点をお伺いいたしたい。
○中村(寅)国務大臣 交渉の進まない一番大きな原因といいますのは、不平等であるという根拠に立って日本が要求しております条件を、やはりアメリカ側がのみ得ないということが一つであります。それからもう一つは、アメリカは日本が要求しておる東京−ニューヨーク以遠の世界一周路線というものを非常に大きく評価して、これだけのものをやるんだからこっちにもこれだけのものをくれ、こういう態度に立ってきておる線を日本が了承し得ないこと、この二つの点であります。
○内海(清)委員 交渉が進まない点は、いま大臣の言われました、アメリカ側としては日本の不平等と称するものを理解しないということであります。いま一つは、アメリカが要求する東京以遠の乗り入れに対して日本が承認を与えない、こういう二つだということでありますが、先ほど来申しましたように、日米の今日の航空協定の不平等性というものは、アメリカの、政府は別かもしれませんが、いわゆる議会方面その他の航空関係の方々がすべて認めたということで、それから考えますと、われわれは今回のアメリカ政府の態度は、ことさらにこの不平等というものを認めない態度に出ておるというふうにしか考えられないのであります。これに対しては政府も国会の決議に沿う十分なる決意をもって臨んでいただかなければとうてい打開できないだろう。もしそれをアメリカが認めないとするならば、これは国会の決議にありますような、最終的には協定の破棄もやむを得ない、この強い態度であくまでも臨まなければ交渉の打開はできぬ、私はこう考えるのであります。この決議案の趣旨説明におきましても、御承知のように、現在の協定においてはわが国から向こうに与えるものは一つもないはずであります。まずもって不平等を改定して、その後において、両国の利益のために、交渉によりまして与えるものは与え、取るものは取るという交渉が行なわれるかもしれません。しかし、これは第二段の問題ではないかと思う。あくまでも不平等を是正して、しかる後にそれが行なわれるべきであると私たちは考えるのでありますが、その点に対しまする大臣のお考えはいかがでありますか。
○中村(寅)国務大臣 私は、アメリカも日本との航空協定の内容に不平等性が全然ないとは考えておらぬと思うのです。それはアメリカが日本の要求の一つである東京−ニューヨーク以遠権を認めようという一つの考え方に立ったということは、やはり日本が言っておる不平等性というものにも一つの正しい主張がある、こう理解しての上に立っておるのではないか、かように考えるのでああります。そういうことだと思います。しかし、日本の航空協定に対する不平等性を是正するという国会の決議を尊重しての私の態度というものは、最初から今日まで全然変わりございません。アメリカ側の態度がどう変わりましょうとも、私の交渉に臨む態度には寸分の違いもございませんので、所信を最後まで通すという、あらゆる力をささげて目的を達成しよう、こう考えているわけであります。
○内海(清)委員 大臣の御決意のほどはまことに心強く感じるわけでありますけれども、この不平等の一番大きいものはやはり首都の乗り入れ、あるいはニューヨーク以遠権の問題だと思いますが、これはすべて二国間の航空協定において、他の国々におきましてはそれぞれ解決できておると思うのであります。しかるに今日まで日米航空協定においてただ一つ残されておる問題、これはいかなる点から考えてみましても不平等と言わざるを得ない。ところが、アメリカは、それをもし認めるならば、さっきありましたような十三項目にわたる要求を突きつけて、これと引きかえにせなければということであります。これは先ほど来同僚委員諸君からお話しがございましたように、これを認めることはむしろ不平等性の拡大ではないか、こうまで言われておるのであります。しかし、大臣はこれに対しては、全部認める考えはない、こういう発言でございましたが、これを認める前に、国会決議の趣旨に沿って不平等性をまず直す、このことが国民のひとしく要望している点であり、国会決議の趣旨だと思うのであります。そういうふうなことから考えまして、私どもはこの大臣の決意を最後まで堅持していただきたい。この際まずもって不平等性を是正する。この決意を貫いて、その後において両国間における交渉で、お互いの利益のために交渉する場合には、あるいはそれぞれ譲り合う点もございましょうが、今回の交渉においては、そういうことはまず基本としては考える要はないのではないか、こういうふうに感じるわけであります。特に十日に始まりまして以来のいろいろ新聞報道などを見ますと、とかく国民の期待に反するような、あるいは国民の不安を増大するような報道が多いわけであります。この際、特に政府のこの交渉に対しまする強い決意を御披瀝いただくと同時に、交渉に当たりましては確固たる信念を持って交渉していただいて、長年の国民の熱望がここに実現しますように要望申し上げたいと思うのであります。
 なお、アメリカにおきましてはフィリピンとの交渉その他もございまして、あるいは今後十分なる交渉ができぬのではないかというふうな点も心配するわけであります。これらにつきましても、日本の決意のほどを十分伝えていただいて、この際、あくまでも交渉を精力的に継続して、不平等の是正のために御努力願いたい、こう思うのであります。なおかつ、わが国とソ連との航空協定も準備されつつあるときであります。この交渉は、今後のわが国の各国との交渉にも大きく影響する問題であります。わが国の将来の航空行政にとっては、きわめて重大な時期と考えるのであります。重ねて政府の確固たる決意と、そうして、あくまでもねばり強い交渉を進めていただきたい、これを要望いたしたいと思います。
○長谷川委員長 肥田次郎君。
○肥田委員 私は簡単に大臣にお伺いしたいことがあるのですが、それは、もう交渉の残されている日にちはあと明日一日、こういうことになっておりまして、新聞にもいろいろなことが書かれております。この書かれておる内容はそれぞれ関係者から得た情報だと思うのですが、先ほどどなたかの質問にもあったように、今日の段階においてさしてこの交渉の障害になるとは思われないのですが、なお、大臣のほうで交渉経過について話はできないとおっしゃるのか、少しぐらいは話してもいいということがあるのか、その点だけひとつ念のためお伺い申し上げたいと思います。
○中村(寅)国務大臣 私は最後の大詰めの段階で交渉いたしておる段階でもありますので、具体的な問題については差し控えさしていただきたいと思います。
○肥田委員 それでは、新聞のほうで出されておるところの問題点について確認をいたしたいのですが、先ほどからすべての人が言っておられるように、このたびのわがほうの改定交渉というのは不平等の是正である。だから、問題点は一つにしぼられておるのですね、不平等の是正というのは、ニューヨーク以遠を認めさすということ、したがって、これには代償は必要ないのだ、こういう考え方は一致した考え方なんです。そこへもってきてアメリカが出してきた代償要求というものが、十三項目であった。しかも、その十三項目にさらにつけ加えて問題が出てきておる、こういうことになると思うのです。本日の新聞には、問題点を四点にしぼって、アメリカはこれを代償として日本に要求しようとしておるといわれておる。その一つは東京以遠の無制限の確認。もちろん日本経由の航空会社の追加、三社以上になるということも含まれておるのであります。それから、大阪乗り入れとその以遠の問題。それから、米国の貨物飛行機の世界一周航路の日本乗り入れ。それから大圏コースの独占。それから、日本から、この上に奪うところのものは、ロス経由の南米線とシアトル線、こういうことになっておるわけです。ここで一番問題になるのは、東京以遠の無制限というようなことを確認をしなければならないような状態を、一体今後どう処理されていくのか。それから、大圏コースの独占というような重要な問題を、一体どう処理されようとするのか。それから、南米線というきわめて将来性のある路線を廃棄、向こうに返してもいいというような、日本はこれをもう見捨ててもいいというような考え方が実際にあるのかどうか。これはいずれも重要な経済価値のある問題点であり、路線だと思うのです。こういうものに対して、政府のほうでどういうような理解を持っておられるのか。われわれはこれは容易ならぬ問題だと思っておるのです。
 要するにアメリカは、このたびの日本の不平等是正という要求に端を廃して、この際将来の問題点を一切ここで解決しておこう。したがって、大圏コースのほうも独占しよう、南米線は日本にはもうやらない、取り返そう、貨物飛行機は日本に乗り入れる、あらゆる問題を出してきて、そうしていままであいまいな文章をこの際明確にして、将来の航空問題をすべてアメリカの有利な条件のもとに締結をしてしまおう、こういうきわめて緻密な配慮のもとに今度の航空協定というものの交渉が行なわれておる、こうわれわれは考えるのです。したがって、こういう重要な問題に対して、ほんとうに日本の政府はどれだけの決意を持っておるのか、われわれはきわめて不安を感ずるのです。ですから、アメリカが最後にしぼった四点、その四点は実は十三項目にも、もっとにも通ずるものなんですから、この基本的な問題であるところの四点に対して、あなたのほうでどういう態度をもって臨まれようとするのか、これは絶対許すべき路線ではない、こういうように考えておられるのか、これはやはりまだ話の過程だから言えないというのか、その点の考え方を、私は交渉に大した影響はないと思うので、大臣のほうからはっきり聞かしてもらいたいと思う。
○中村(寅)国務大臣 アメリカのほうから四つにしぼって交渉しようというようなことは、こっちには何にも正式には来ておりません。そういうことは私は関知しないところであります。
○肥田委員 話に出ておらないのでしたら、なお私は差しつかえないと思うのですが、例のわれわれがこれから大きな問題だと考えるところのいわゆる大圏コースをアメリカが独占しようというような意図、ですから、もし今度の協定が成立した暁に、日本にニューヨーク以遠を当然に認めるとするならば、どことどこということを指定をしてこれを認めるんだ、こういうことを言っておるのですね。大圏コースには日本の飛行機は通らせない、これはアメリカの将来の独占コースだ、こういう考え方を持っておるようなんですが、これはどういうふうに処理されますか。
○中村(寅)国務大臣 交渉の過程において向こうが何を言っておるかというようなことは、それは向こうのかってでございまして、私のほうはそういうものを全然認めて、それを了承したようなことはございません。日本だって、交渉の過程ではかってなことを言っておるのでありまして、これは言っておるだけで、向こうが認めたというわけではございません。私は、向こうがいろいろかってなことを言っておるのは、それは向こうの交渉の立場上言っておるだけで、そういうようなことを全然了承したといういまの段階ではございません。
○肥田委員 アメリカがかってなことを言っておるということは、これはことばのあやでしょうからわかりますがね、日本もアメリカに対してはかってなことを言っておるというようなことは、これはちょっとことばのあやとしても、われわれが国会で受ける報告としてはどうかと思うのです。われわれは正当な、妥当な、主張すべきことを主張しておる、こういうことなので、日本がかってなことを言っておる、アメリカはそうとるかもしれませんが、われわれのほうはそういう意味じゃない、そういうことでしょうね。
○中村(寅)国務大臣 私のことばが足りなかったかもしれませんけれども、向こうは、日本がかってなことを言っていると、こう言っておるということでございます。
○肥田委員 では、交渉の話に出ておらないということですから、さらにお伺いしますが、大圏コースというのは、このごろまた使われるようになりましたが、実は大正から昭和の初期にかけては、これは航空路上の重要なコースとしてよく話題にのぼったのです。これは時間的にも――時間的にということはもちろん経済的なんですが、時間的にも経済的にもきわめて有利なコース、このコースをアメリカが独占しようという考え方が非常に強いということをわれわれは聞いておる。ですから、もしアメリカにそういう意図があるとすれば、アメリカが大圏コースを独占しようというようなことには決して応じてはならない、こう思うのですが、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
○中村(寅)国務大臣 肥田委員の質問は重大な具体性を持っておりますので、その問題については、この段階で私の見解を述べることは遠慮さしていただきたいと思います。私は、アメリカにすべてのことをかってに独占させて、それを認めようという意思はございません。
○肥田委員 それでは、そのほかにも、先ほど申し上げましたところの南米コース、あるいは世界一周貨物機の日本乗り入れ、私はこれらも同じような重要な問題点だと思いますから、大臣もそのとおりの考え方で対処されるということを信じて、これの質問はこれで終わります。
 最後に私はもう一度、くどいようですが大臣にお伺いしておきたいのです。
 われわれが言うところの不平等是正というものは、これは国会で長谷川委員長の趣旨の説明にもあったように、代償というものは考えていない。代償というものは必要ない、こう考えておる。このことははっきり私は理解をしてもらわなければ困ると思います。ですから、世界一周のニューヨーク以遠権を認めるか、もしそれが不可能ならば、この協定はいままでのいろいろな経過があるから廃棄をせなければ、この交渉を不平等是正の方向に向けることはできないだろう、こういうことになっているのです。ですから、廃棄をすることと不平等是正というものは、これは実はもう一体のものなんです。不平等を是正するということで、何かほかにお添えものをもらって不平等が累積されるということは、これは目的を達したことにはなりません。もしこの不平等是正ということが不可能だとするならば、これは大臣、廃棄をして何ら国会の意思にそむくことにはならないのです。この点はそういうふうにお考えになっておるでしょうが、念のためにひとつお伺いしておきたい。
○中村(寅)国務大臣 私は交渉の当の責任者として、廃棄というようなことは、かけ引きに使おうとは思いません。最後の段階にこういう廃棄というような処置は断行すべきことであって、責任のない人でございましたなら廃棄せよとかいろいろかってに言われてもいいと思いますけれども、責任ある私としては、廃棄ということばはしょっちゅう使うべきことばではなくて、最後の段階で断行すべき処置であると考えておりますので、いまの段階で廃棄するとかせぬとかということは申し上げかねますので、御了承願いたいと思います。
○肥田委員 私はその大臣の考え方は、それはいいと思います。
 そこで私は、最後のだめ押しということで大臣に申し上げておきますが、失礼な言い分になりますけれでも、要するに目的は二つ与えられておるのです。ですから、そのいずれをとられても大臣の行動は決して誤っていないということになります。廃棄をせざるを得ない状態になったとしても、これは国会の意思にそむくものではない。それから、もし不平等是正ということでニューヨーク以遠というものを認めて、それに対する代償を不当に与えたとするならば、これは大臣、国会の決議の意思にそむく結果になるだろうと私は思います。この問題はきわめて重要な問題であります。大臣の先ほどおっしゃった決意の中に、われわれもくみ取ることは多分にございます。ですから、このことがわれわれが考えたとおりの結果になりますように、ほんとうに、われわれは念願をしてやまないのです、もしそのことが、われわれが考えておることと反対の結果が出るとするならば、それは失礼な言い分ですけれども、大臣の信頼性に対してきわめて大きな問題が生じてくる、こういうふうに考えておりますから、どうかひとつ重大な決意をもって、きょうあすに迫っておる交渉ですから、成功さしていただきたい、このことをお願いをしておきます。
○長谷川委員長 泊谷裕夫君。
○泊谷委員 大詰めですから、二点だけ大臣にお尋ねいたします。
 アメリカ側が東京以遠に乗り入れておるので、私のほうはニューヨーク以遠の乗り入れ権を要求した。フィリピンは東京経由の条件をアメリカ政府が認めなかったために、航空協定を破棄した。そしてこの交渉が二十一日以降行なわれる、こういう事態の中で、私どもは、アメリカ側の飛行機が東京以遠に乗り入れているのですから、ニューヨーク以遠に乗り入れるということは当然の要求であるということは大臣も御承知と思うのですけれども、新聞を通じて知る限り、国会の意思に忠実に交渉が進んでおるかというと、必ずしもそうではない。むしろ相手側から出された条件を防ぐのに大わらわだということは、一体どうしたことなのかということであります。この相手方の出された条件を防ぐために、私どもの切り札としてどう考えておるのか。先ほど大臣は、航空協定破棄は軽々しく口にすべきものでなくて、決断の時期に用いるものだという意味を語られましたが、しかりとするならば、もし今回の交渉でニューヨーク以遠の問題以外のものがネックになって交渉がデッドロックに乗り上げた場合には、航空協定破棄以前の問題として、アメリカ側の東京以遠権を切るということが当然、フィリピンの実情に照らしても考えられると思うのですが、どう対処されようとするのか。私としてはこの時点に立っては、航空協定破棄の切り札しかないと思うのでありますが、大臣の具体的な見解をお聞かせいただきたいと思います。
○中村(寅)国務大臣 私は、いまの段階では、航空協定を破棄しなければ日本の主張が通らないとはまだ考えておりません。
○泊谷委員 そのことはニューヨーク以遠権の問題その他を分離して、これがまとまらない場合アメリカ側の東京以遠権を切る用意があるのだというふうに理解してよいかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
○中村(寅)国務大臣 交渉の具体的な問題についてはこの際申し上げることを遠慮さしていただきたいと思います。
○泊谷委員 交渉の具体的な問題でなくて、一般論として、当然二国間交渉はお互いの首都乗り入れということで、相手側の首都通過を認めるならば、こちらでもその条件を満たす。それが満たされなければ、同じ条件にしてもらうということが一般論として認められると思うのですが、いかがですか。
○中村(寅)国務大臣 私は具体的な問題については、この際意見を述べることは差し控えたいと思います。
○泊谷委員 これで最後にいたしますが、大臣、私なぜ執拗に食い下がるかというと、昨年もこの委員会で日米航空協定については長時間審議し、当時の運輸大臣松浦さんは、中村さんと違いまして、おそらく飾り文句なしに、航空協定を断固破棄してもこの不平等を改定すると力説をされておったのであります。だがそれがだんだん時間がたつに従って、どうしたことか、その航空協定破棄ということばそのものを使うのにさえ気を配ってくるような事態に至ったのであります。私は今度中村運輸大臣にかわられまして当初の当委員会における答弁と、きょうの時点における中村運輸大臣の答弁とが、どうも松浦運輸大臣に似ておるような印象が持たれてしかたがない。端的に私の感じですから申し上げておきたいと思うのですが、前運輸大臣がどういう動きによってそういう質的な変化を来たしたかは私はよく存じませんけれども、よもや運輸大臣中村さんとしては、前大臣のような轍を二度と踏むことはないと思うのでありますが、この点はっきりとこの席上で約束をしていただきたいと思いますが、いかがなものですか。
○中村(寅)国務大臣 私はいま、アメリカと日米航空協定の改定の交渉をしております当面の責任者として立っておりますので、具体的な問題についてはお答えを差し控えさしていただきます。
○泊谷委員 具体的な問題じゃないのです。かまえ方です。当初言っておるのと、大詰めにきた場合と、いろいろと話のしかたが変わってくる。端的に言うと、松浦さんは断固航空協定を破棄してもこの不平等は改定すると強く力説されておったのです。だが、大詰めにきますと、だれから指導されるのか、注意をされるのか、急にその態度が豹変してしまった。中村さんに限ってはそういうことはありませんでしょう。最悪の事態を打開するために、そのためには、この運輸委員会できめました航空協定破棄の切り札を使ってでも、この不平等は改定せしめるんだという気魄を現時点でもお持ちだということを明らかにしてほしいということをお願いしているのです。
○中村(寅)国務大臣 私は、先ほども申し上げましたように、今度の問題に対する私の腹がまえというものは、最初もいまも全然変わりはございません。
○長谷川委員長 小川三男君。
○小川(三)委員 大臣、お疲れでしょうから簡単にいたしますが、日本政府ではいまもって発表しておりませんが、アメリカとの間の輸送力増強に関する合意議事録を発表してもらうことはできませんか。
○中村(寅)国務大臣 それは政府委員が来ておりませんので、私からどうこうということは、私詳しいことはよく知りませんから差し控えたいと思います。
○長谷川委員長 ちょっと小川君、私のほうから御説明しますが、きょうは政府委員は交渉で外務省の諸君とみな会っておるのです。ですから理事会では航空局長以下そういう関係者は特に遠慮と言うとおかしいが、そういうことの便宜をはかってもらっておりますから、御了承願います。
○小川(三)委員 最後に、アメリカ側がアメリカの軍需航空輸送と民間航空輸送との混用を要求しておるということがいわれておるのですが、これは交渉過程ですから御発表できないと思いますが、この軍需輸送と民間航空輸送との混用が、これは非常に重大な問題で将来に大きな影響を与えると思うので、この点については私は断固として拒否してもらいたいということを申し上げまして終わります。
○長谷川委員長 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時十一分散会