第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第23号
昭和四十一年六月二日(木曜日)
    午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 原   茂君
   理事 菅野和太郎君 理事 中曾根康弘君
   理事 西村 英一君 理事 石野 久男君
   理事 岡  良一君 理事 田中 武夫君
      秋田 大助君    大泉 寛三君
     小宮山重四郎君    有馬 輝武君
      河野  正君    内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 上原 正吉君
 出席政府委員
        防衛庁参事官
        (防衛局長)  島田  豊君
        防衛施設庁長官 小幡 久男君
        科学技術政務次
        官       田川 誠一君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   小林 貞雄君
        総理府技官
        (科学技術庁研
        究調整局長)  高橋 正春君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局長)   村田  浩君
        法務事務官
        (入国管理局
        長)      八木 正男君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       武田 榮一君
        原子力委員会委
        員       西村 熊雄君
        大蔵事務官
        (主計官)   小田村四郎君
        建 設 技 官
        (道路局地方道
        課長)     伊藤 直行君
        参  考  人
        (日本原子力研
        究所理事長)  丹羽 周夫君
    ―――――――――――――
六月二日
 委員米内山義一郎君辞任につき、その補欠とし
 て有馬輝武君が議長の指名で委員に選任され
 た。
同日
 委員有馬輝武君辞任につき、その補欠として米
 内山義一郎君が議長の指名で委員に選任され
 た。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興対策に関する件(宇宙開発及び原
 子力行政に関する問題等)
     ――――◇―――――
○原委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 まず最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
 原子力行政に関する問題調査のため、本日、日本原子力研究所理事長丹羽周夫君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
     ――――◇―――――
○原委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
○岡委員 小幡防衛施設庁長官にお尋ねをいたしますが、水戸射爆場の返還問題は、その後どういう経過をたどっておりますか。
○小幡政府委員 水戸射爆場の移転問題につきましては、従来もたびたび地元からも御要望がございますし、また科学技術委員会等でもいろいろ御意見も伺っておりまして、その後、小泉前長官が向こうに申し入れをして以来へ松野大臣になりましてからも、直接トップ会談もやりましていろいろと折衝しておりますので、米側におきましても従来よりはさらに熱心な検討をしておるというふうに信じております。結論は別といたしまして、私は、そう遠くない時期に何らかの回答があるものと期待しております。
○岡委員 そういう御答弁ではこれはまことに納得いたしがたいので、もっと具体的にひとつお聞かせを願いたい。これは、単に地元あるいは茨城県の県議会等の決議であるばかりでなく、本委員会の決議でもある。そういうことから、前の小泉防衛庁長官を委員会にお招きをした場合にも、私はできるだけ責任を持って高次な政治的折衝でこの問題の解決に当たりたい、こういうふうな言明もあるわけです。いまお話を聞くとまことに取りとめのない話なんだが、具体的にどのように進んでおるのか、もっと具体的な御答弁をひとつお願いしたい。
○小幡政府委員 お話にもありましたように、小泉前大臣が向こうの司令官に直接申し入れられまして、その後、そのあとを受けまして、具体的にわれわれも事務的に特定の候補地をしぼりまして、それにつきましていろいろ一案、二案、三案というふうに――つまり、移転いたします際には、移転先の地形とかあるいは気象等によりまして適応条件がいろいろ違うあけでございますが、そういう条件をいろいろ日本側で検討いたしまして、こういう条件でこういうところへは移れないだろうかというふうな見地から、一案、二案、三案というふうにいろいろ案を添えまして米側と折衝しておりますが、先ほど申しましたとおり、松野大臣も直接折衝に当たられた経緯もありまして、最近特に熱心に検討しておるということはわれわれ確信しております。したがいまして、回答もそう遠からざる期間に参るのではないかというふうに考えております。
○岡委員 二年越しの問題がまだそういう御答弁の段階では、私どもは納得いたしかねるということを申し上げておる。もうすでにあそこにはプルトニウム研究室も落成しておる。再処理工場もつくろうという計画もすでに設計化する段階にとりかかっておる。こういうものができるときに、誤投下の危険があるような射爆場が隣接してあるなどということは、世界じゅうどこをたずねてもあり得ないことだ。だから、私どもは党の立場からは、返還を要求しておるのであるが、他の委員会にまかすといたしまして、どこか他に候補地が具体的にありますか。新聞紙などによれば、若干その候補地等も伝えられておるようであるが、何か他に候補地が一応あって、その条件がどういう条件であるかというような具体的なことをお示しいただかなければ、われわれ委員会の決議というものが全く無視されたままに三年間放置されておるということになる。どうなんです。
○小幡政府委員 われわれとしましては、具体的な候補地を提示して検討しておりますが、先生も御承知のように、具体的な候補地の名前が正式に出ますと、いろいろできるものができなくなるという立場から、やはり候補地につきましては、一番慎重な態度をもって臨むのが適当ではないかというふうに考えておりますので、どこをどう考えておるかという公式な言明は、ここでは差し控えさしていただきたいと思います。
○岡委員 そうすると、一応腹づもりとしては候補地は考えられておる。しかし、いまここでそれを明確に言うと、またあと何かと政治的な問題というか、いろいろな問題も起こり得るので、その言明をすることはこの際遠慮さしてほしい、そういうことですか。それでは新聞で新島云々という話がありますが、これも候補地になっておりますか。
○小幡政府委員 候補地の一つであることは間違いございません。
○岡委員 これは上原長官にも重大な責任のある問題だと私は思います。というのは、さっきも申しましたように、すでにプルトニウムの研究室もできておる。やがては再処理工場もできる。ここでは放射能的には一番危険なプルトニウムそのものを扱う。これに隣接をして射爆場があり、かつてしばしば誤投下もあった。コンテナも何もほとんどないかもしれないようなものなんですから、非常に危険であるわけです。そういう意味で、これは単に防衛庁長官だけにまかさないで、ひとつ国務大臣として、また、原子力委員長として、科学技術庁長官として、上原大臣もこれには責任を持って早く移転先を見出して善処する、急速にその実現につとめるという責任があろうと私は思う。この点ひとつ上原さんの御所信をあわせて伺っておきたい。
○上原国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、私といたしましても、再処理工場を建設しなければならない、こういう責任がございますから、射爆場の問題は一刻も早く解決が見られなければならない、かように考えまして、努力は続けておりますけれども、なかなか進捗いたしておりませんことは防衛施設庁長官の言うとおりでございます。
○岡委員 防衛局長は来ておられますか。――それでは射爆場の返還の問題の解決については、防衛庁長官としても、原子力委員長としても、これは政府全体として、ぜひとも責任を持って、できるだけすみやかなる機会に解決してもらいたい。これは決して私だけの希望ではない。委員会がすでに決議をしておる事項であって、三年間それがたな上げになっておるということは、政府としても私はきわめて怠慢であろうと思うので、ぜひひとつこの解決の促進について強く私は要望しておきたいと思います。
○石野委員 ちょっと大臣に関連してお尋ねします。
 ただいまの御答弁のうちに、射爆場返還の問題は、再処理工場を設置しなければならないから返還してもらうというような御答弁がございましたが、科学技術庁としては、あそこに再処理工場を設置するということを、もう既定の事実としてきめておるのですか、どうですか。この点だけひとつ……。
○上原国務大臣 まだきめてはおりません。射爆場返還問題もございますし、ほかに適当な場所があれば、いざこざなしに設置ができるということであれば、そのほうがけっこうでございます。まだきめてはおりません。有力な候補地であることは確かでございます。
○石野委員 重ねてお尋ねしますが、再処理工場の施設をどこに置くかということはまだきまっていないというふうに私は聞いておりますし、あそこに置くことについては地元にもいろいろ問題があるわけです。しかし、きょうはここでは大臣がいまきまってないと言うのですから、私は質問を後日いたすことにいたします。
 問題は射爆場返還の問題でただいま岡同僚から質問がありました。地元としても、この問題は一日も早く解決してもらいたいということで、すでに何べんも、知事をはじめとして、当局に対しても陳情はしておるわけです。現在の事情では、近い将来に何かの方法が見つかるだろうという長官のお話でございましたが、これは防衛局長でも答弁できるのかな。
○島田(豊)政府委員 これは施設庁の関係でございますので……。
○石野委員 それでは防衛局長に、これは施設庁の関係でしょうけれども、私はひとつ希望だけ申し上げておきたいと思います。
 近い将来に何かのいい返事があるだろうという先ほどの長官の御答弁でございましたが、この問題は、近い将来、近い将来で、もう何年か過ぎてきてしまったわけです。私たちは、二回にわたる科学技術振興対策特別委員会の決議もあることでございますから、いい返事が出ないようであれば、自民党の皆さんとも話し合いの上で、国会での決議にしたいという希望を持っております。現地ではそれを強く要望しておるわけです。先月でございましたが、知事をはじめとして県では県民大会をやりました。県民大会のその決議に基づいて、知事をはじめとする県会議員、それから地元の返還運動をやっておる全員が上京しまして、各関係のところにそれぞれその旨を陳情しているわけであります。これは総理大臣にもそういうふうに地元の意向が入っているはずであります。ですから、いつまでも近いうち、近いうちというようなことでは、これはもうがまんができませんから、ぜひひとつ最も近い時期に結論が出るようにしていただきたい、このことを防衛庁長官にひとつ局長からそういうふうに伝えるように私から希望しておきます。
○島田(豊)政府委員 私この問題につきまして、具体的なことを承知しておりませんが、最近好転のきざしが見えておるというような話も聞いておりますし、ただいまの御趣旨の点は十分長官にお伝えいたします。
○岡委員 防衛局長も多忙だということで、ほんの若干の時間をさいて、これは私は教えていただきたい。
 昨日の外務委員会に出席しておりますと、原子力潜水艦の問題がいろいろ論じられておるわけであります。外交的な立場からは私はいまこの委員会でこの問題を取り上げようとは思いませんが、いわば原子力を推進機関としておらない潜水艦、いわば古い形の潜水艦と、原子力を推進機関とした潜水艦との軍事的な機能といいますか、一体どの程度の差があるものなんでしょうか。
○島田(豊)政府委員 米国では潜水艦を在来型の潜水艦、それから通常の原子力潜水艦、それからポラリス搭載の原子力潜水艦、こういうふうに分けておりますが、通常の原子力潜水艦、いわゆるポラリスを搭載しておりません通常の原子力潜水艦にも、いろいろなタイプがございます。
 御承知のとおりに、スケート・タイプあるいはスキップジャック・タイプ、このスキップジャック・タイプの一つが、先般入港してまいりましたスヌーク号でございますけれども、それ以外に新しいタイプとしまして、スレッシャー・タイプがございます。スレッシャー・タイプは、これはサブロックを搭載いたしまして、これは核弾頭を持っておるというふうにいわれておるわけでございますが、それ以外にポラリスを搭載しておりますところのポラリス潜水艦というものがございます。したがいまして、原子力潜水艦の中に、そういうふうに通常の原子力潜水艦とポラリスを搭載しております原子力潜水艦と二つのタイプがございます。それ以外に、いわゆる原子力を推進機関としませんいわゆるディーゼルを機関としておりますところの在来型の潜水艦、こういうものがあるわけでございます。
 それで、ポラリス潜水艦につきましては、これは非常な長射程のポラリスを装備いたしておりまして、ポラリスにもA1からA3までのタイプがございますが、最近は逐次A1をA3に改装しておりますので、非常に長射程になっております。これはおそらく太平洋側から発射いたしますれば、極東ソ連の全部、あるいは中共の大部分をカバーできるほどの大きな威力を持っておるわけでございまして、これはもっぱら戦略的な攻撃兵器として使われておるというふうに考えるわけでございます。また、通常の原子力潜水艦の中におきましても、サブロックを搭載いたします潜水艦、これは相手方のミサイルを搭載しておりますところの潜水艦に対する攻撃兵器といわれておるわけでございますし、それ以外の原子力潜水艦は、これは相手方の潜水艦を含みますところの艦艇を攻撃する、こういうタイプでございます。したがいまして、サブロック搭載以外の通常の原子力潜水艦と在来型のディーゼルエンジンの潜水艦との差異というものは、推進を原子力にしておるかどうかということが違うだけでございまして、その任務としては相手の艦艇を攻撃をする、こういう戦術的な任務を持っておる、こういうものであります。
○岡委員 よく通常型、通常型と言うのだが、通常型潜水艦というのは、アメリカにもそういう用語があるのですか。何か私どもが見る限りでは、攻撃用潜水艦というワク内に大体ノーチラス号も含めて入っておる。艦の形の上から通常型といったふうな名前も出てくるというような分類のしかたのように聞いておるのだが、その点どうなんですか。
○島田(豊)政府委員 こまかく用語によって分類いたしますと、通常の原子力潜水艦、これはアタックタイプといっておりますので、これをわが国の場合に翻訳いたしますと、攻撃潜水艦、こういうことになるわけであります。
 それから、ポラリス搭載の潜水艦につきましては、フリートバリスティックミサイルサブマリンということばを使っておるわけでございまして、その点において、用語におきまして二通りの使い分けをしておるということでございます。
○岡委員 要するに、たとえばノーチラス号にしても魚雷発射管は持っておるわけですね。だから、核弾頭をつけたものを使わないとしても、これはやはり護衛であり、護衛即攻撃でありという意味において、軍事的な意味では、やはり攻撃用潜水艦と呼ぶのが妥当なんじゃないでしょうか。
○島田(豊)政府委員 先ほど申しましたように、サブロックを搭載しておりますものも、それから通常の魚雷を搭載しておりますものも、いずれも米国においてはアタックタイプということばを使っております。攻撃タイプということでございまして、これは通常の魚雷を発射いたします場合におきまして、これは防御用でもあるし、それから相手方の艦艇に対する攻撃用でもあるというふうに考えております。
○岡委員 要するに、アタックタイプ、攻撃型であるわけなんですね、通常型といえども、事実上その使命は。
 そこで、いま私がお聞きしたがったことは、そのアメリカの原子力潜水艦の分類じゃなくて、いわゆる在来のディーゼルエンジンを使っておる潜水艦との機能的な差異ですね、たとえば在来型の潜水艦はもぐって最大限にディーゼルエンジンを働かした場合のスピードは大体どれだけ出るか。また、最近のアメリカの原子力潜水艦は、ポラリスを除いてけっこうですが、ポラリスを除いたものでスキップジャック型なりスレッシャー型で、どれくらいのスピードを出せるのですか。
○島田(豊)政府委員 ただいまの原子力潜水艦と在来型の潜水艦との性能の比較でございますが、在来型の潜水艦につきましても各種の潜水艦がございまして、これは逐次改造されておるわけでございますが、たとえば比較的新しいバーベル。タイプの在来型潜水艦におきましては、速力は水上が十五ノット、水中で二十五ノット、それからタング型を改良しました改タング型、これは水上が十七ノット、水中が二十五ノットということになっております。
 原子力潜水艦につきましては、通常の原子力潜水艦、つまりポラリスを搭載しておりません通常の原子力潜水艦につきましては、これも各型によって違っておりますが、スレッシャー・タイプの原子力潜水艦につきましては、水上におきまして二十ノット、水中におきまして三十五ノット、したがいまして、原子力潜水艦の場合には、在来型の潜水艦に比べまして、かなり水中、水上とも優速になっておるということでございます。
○岡委員 それから、潜水艦とすれば、たとえば音響その他のものを察知してその所在を確かめるとか、いろいろな装置がきっとあると思うのですが、やはり空からも哨戒機が出て見つけることもある。一体そういう場合における空から哨戒機で発見される限度というのは、水中どの程度のものなんですか。どの程度沈めば空からなかなか発見しにくいということになるのでしょうか。
○島田(豊)政府委員 在来型の潜水艦は、水中深度が約百八十メートルぐらいだと思います。原子力潜水艦は、これは船殼も大きくなっておりますし、そういう関係で大体二百メートル以上潜水できるというふうにいわれておりますが、そり程度まで潜水いたしますと、上空からの視認によりますところの場合の確認は、おそらく非常にむずかしいというふうに考えられます。したがいまして、航空機から潜水艦を探索いたします場合は、アメリカにおきましても、ソノブイ方式といいますけれども、そういう探知機器を使用いたしまして、その場所を確認する、こういう手段をとるわけでございます。
○岡委員 一九五九年のリッコーパー将軍なんかの出られたアメリカの上院と下院の合同原子力委員会のヒヤリングを見ましても、そういう点は非常に強調されております。
 それから水中潜航しての持続時間は、何でも北極洋の底をくぐって、ヨーロッパの北へひょっこり姿をあらわすなんということが、物語では出ておるのです。そういう記録も見ておりますが、潜航時間は、化石燃料を用いる潜水艦に比べて、大体どの程度のものなのですか。むしろ潜航が多いというような、いわば潜水艦として潜水するのが任務であり、潜水することが多いんだというようなことも聞きますが、大体どの程度の潜水時間か。たとえばディーゼルエンジンで八十メートルの深さに沈んで、最高のスピードを出したときに何時間もつものか。あるいはまた、原子力潜水艦が三百メートルなりあるいは二百メートルもぐって、どれだけのスピードを出せるのか、そして幾日間あるいは何カ月沈んでおられるのか。現在のアメリカの潜水艦のそれはどういう事情のものなのでしょうか。
○島田(豊)政府委員 原子力潜水艦につきましては、これは原子力を動力といたしておりますので、非常に長期間にわたりまして無補給で潜水しておることができるわけでございます。これにつきましての確実なる資料はございません。先ほど申しましたような水中深度等におきましても、これは非常に機密の事項でございますので、正確なことはわからないのでございますが、いろいろな資料を総合いたしますと、先ほど申しましたように、原子力潜水艦の場合、水中で三十五ノット程度、優速のものは出るわけでございますが、そのスピードをもちまして約六万海里以上というふうにいわれるわけでございます。これはもちろん世界一周は優にできる距離であります。それから在来型の潜水艦につきましては、これは水上を十ノット程度で走りまして、その途中で潜水をする、水中を航行するという場合におきまして、約一万四千海里、ものによりましては一万二千海里というものもございますけれども、水上を十ノットで走りまして、これが水中と水上とでどういうふうな時間的な比率になりますか、ちょっとこの資料だけではわかりませんけれども、そういう航行をいたしまして、一万数千海里航行できる、こういうことになるわけでございまして、潜水艦というのは、元来自分の姿を秘匿いたして、その隠密性を特色といたしておりますので、水中にはかなりもぐるわけでございますけれども、ディーゼルエンジンの場合には、もちろん水中における時間というのはきわめて少ない。しかも非常にハイスピードを出そうといたしますと、水中にもぐっている時間はきわめて限定せられるわけでございます。したがいまして、途中において水上航走なりあるいはスノーケル航走をやるわけでございますが、アメリカの潜水艦につきましてのその辺の具体的なこまかいデータにつきましては、私ども十分調査いたしておりません。
○岡委員 あなたのほうにも潜水艦はあるのでしょう。
○島田(豊)政府委員 ございます。
○岡委員 あなたのほうの潜水艦は、潜航して、最大のスピードを出して、どれだけ潜航持続時間がありますか。
○島田(豊)政府委員 これはあまり正確な数字はちょっと申し上げられませんが、タイプによりましていろいろ違いますけれども、水中で十九ノット程度出る船がございますが、これが水中で十九ノットを出した場合には、航続時間というものはきわめて短いものでございます。
○岡委員 そういうことで、結局普通の潜水艦ならば八十メートル程度で、上から哨戒機で発見ができるが、原子力潜水艦は、二百メートル以下にも沈むことができるから、その所在を秘匿できるといういわば有利性を持っておる。しかも在来のものは二十五ノットせいぜいであるが三十五ノット、スレッシャー型は四十ノットのものも最近つくるというふうな情も聞いておりますが、いずれにいたしましても、機動性が非常にある。ポラリスを抜きにして、通常型、攻撃型の原子力潜水艦がですよ。同時に潜航持続時間が非常に長いということ。これは原子力を推進機関に用いたために生じた非常に大きな軍事的利点だと私どもは常識的に考えるのですが、そうではないのですか。
○島田(豊)政府委員 潜水艦の特色からいたしまして、航続距離が非常に長いということ、それから水中深度がかなり深くまでもぐれるということ、それからスピードが早くなるということが、だんだん潜水艦が近代化していく場合の傾向であろうと思います。そういう三つの観点からいたしまして、スレッシャー・タイプの原子力潜水艦――スレッシャー・タイプに限りませんけれども、一般に原子力潜水艦というものはスピードも早くなっておりますし、深くもぐれます。また非常に航続距離が長い、こういうことが大きな特色であろうというふうに考えます。
○岡委員 そこで上原長官にお尋ねするんですが、核兵器とは一体どういうものですか。
○上原国務大臣 私のほうは兵器には一切手を出さないことにいたしておりますので、その知識はございませんので、しっかりした答はできかねますので、お許しをいただきたいと思います。
○岡委員 手を出す出さないは別として、核兵器とは一体どういうものか、あなたはどう理解されるかということをお聞きしているのです。
○上原国務大臣 核が分裂する、あるいは核が融合する、その際に発生するエネルギーを兵器として利用する、こういうものではないかと思います。
○岡委員 核分裂ないし核融合の際に発生するエネルギーを軍事的に用いる、それが核兵器である。そうしますと、いま防衛局長が説明をしておられるように、原子力による――おそらくこれは核分裂エネルギーが用いられることによって軍事的能力が非常に増大をしている原子力潜水艦というものは核兵器ではないんですか。
○上原国務大臣 どうもそうなると、私にはお答えができません。御勘弁願います。
○岡委員 いや問題は、核兵器――核分裂なり核融合から発生するエネルギーが一挙に破壊力を発揮するといういわゆる原爆、水爆というものもそうであるが、これは核兵器であることには間違いない。しかしいま防衛局長が説明したように、旧来の潜水艦には期待して得ない機動性を持ち、あるいはまた隠密性を持ち、特に潜水艦としての生命的な潜水しての持続距離が非常に長いということ、こういうものは、核分裂によるエネルギーが爆弾として一挙に炸裂をして破壊力を発揮するのじゃなく、徐々にこのエネルギーというものが利用されて、そうして原子力潜水艦というものができ上がっている。この原子力潜水艦そのものは核兵器じゃない。そこのところに原子力委員会の考えのあいまいさが私はあると思う。この前も私は皆さんの統一見解を求めたときにその点について若干御質問申し上げましたが、いま防衛局長から聞けば、明らかに核分裂によるエネルギーというものが利用されることによって非常に軍事的に有利な原子力潜水艦というものができておるわけですね。そうすれば、原子力潜水艦というものは原爆や水爆のように一挙に融合あるいは分裂によるエネルギーを使わないが、徐々にこれを使うことによって非常に軍事的に有利なものになっておる。してみれば、原子力潜水艦そのものはもうすでに核兵器じゃないですか、科学的な立場から言えば。どうでしょう。
○上原国務大臣 どうも私にはよくわかりません。原子力委員会も原子力船をつくろうと思っております。御承知のように努力をしておりますが、なかなか進捗いたしませんけれども、つくろうといたしております。そこで、核分裂によるエネルギーを船の推進力に使おうというのでございますが、軍艦になれば、軍艦そのものが兵器でしょうから、それに付随するもの全部が兵器かもわかりませんけれども、核分裂によるエネルギーを利用することが核の兵器であることになるかどうか、どうもこんとんとしてよくわかりません。
○岡委員 しかし、これは私は非常にきめ手だと思うわけですね。きめ手と申しますか、非常に疑問に思っておる。きのうも実は外務委員会に出席をしておりましたが、椎名外務大臣はそう言っておる。いや原子力を推進機関にかえただけのものである、こういうふうに言っている。原子力の軍事利用ではない。しかし、それはおかしいと思う。これは一ぺん防衛局長に来てもらって、いわゆるディーゼルエンジンで動いている旧来の潜水艦と原子力を使う潜水艦とはどの程度の違いがあるのか、専門的な立場からお教えを願おうと思ってきょうはわざわざお出ましを願ったわけです。そうして御説明を聞くと、いまあなた方もお聞きのとおりです。スピードにおいても違う、潜水の深度においても違う、航続時間においても違う、もう潜水艦としては画期的な軍事的な性能を持つものが原子力潜水艦です。そうしてみれば、原子力の分裂エネルギーというものが原爆のように一挙に破壊力に使われないけれども、徐々にそれが使われることによって、人間のコントロールによってそれだけ優秀な軍事的ないわば兵器が出現しておる、そのものが原子力潜水艦というものである。したがって原子力潜水艦はそのものずばり核兵器そのものじゃないか。田川君、首をかしげているが、あなた意見がありますか。
○田川政府委員 私はいま岡先生の言われた潜水艦、動力を核で動かす潜水艦は核兵器でないと思っております。核兵器というのは、直接核爆発のエネルギーを人畜の殺傷に用いるというが核兵器であって、たまたまその潜水艦というものの動力に核を利用して動かしているということでありますから、これは利用しているわけで、決してそれそのものが核兵器ということは言えない、こういうふうに解釈をしております。
○岡委員 田川次官もこの間から横須賀でだいぶお忙しかったようですからたいへん恐縮だけれども、しかしあなたの説明はぼくは少しこじつけだと思うんですね。問題は、原子力が軍事的に利用されている、そこまではいい。それが原子力潜水艦だ。しかも推進機関として利用された結果として、その原子力潜水艦なるものの性能が格段に向上し、格段に軍事的な優位性を持つことができるということになれば、これはやはり一挙に人命を殺傷するか――間接的にやはり人命を殺傷する兵器なんだから、原子力潜水艦というものは、兵器としての性能が原子力を利用することによって格段に向上したということになれば、やはり広い意味においては原子力潜水艦は核兵器そのものだ、私はそう言いたい。そうじゃないんでしょうか、次官。
○田川政府委員 核を軍事的に利用しているということは言えると思います。言えると思いますけれども、それを利用しているから核兵器であるということは言えないのではないか、こういうように思います。
○岡委員 利用して、結果が兵器たる潜水艦の軍事的機能が非常に画期的にすぐれたものになっているということになれば、それはすなわち原子力潜水艦というものは、非常に進歩した核兵器そのものではないか、私はこう言いたい。利用はしておるが、在来型の潜水艦と何も変わらない機能であるならばそれでいいでしょう。そうじゃない。深く沈める、したがって空からも見つけられがたい、非常に長く沈んでおることができる、そしてまた、スピードも早い、こういう条件は、これはもう潜水艦というものがその使命を果たすための一番大事な条件だろうと思う。これは原子力を利用することによって格段な進歩が確保されたということになれば、原子力潜水艦というものはすなわちそのものずばり核兵器ということだ。それが常識的な解釈じゃないでしょうか。
○田川政府委員 いま岡先生が言われたような解釈のしかたも成り立つと思うのですけれども、核というものが平和的に利用されてない段階でありましたならばそういうことも相当有力な意見とみなされると思いますけれども、現在は核の平和利用ということも相当行きわたっておるわけであります。ですから、それがすぐ何といいますか核兵器だというふうには私どもは解釈できないと思います。
○岡委員 核が平和利用として非常に普及されておるということは、もちろん普及されなければならないし、されておることも事実である。しかし潜水艦というものは兵器である。兵器でしょう、潜水艦というものは。
○田川政府委員 そうです。
○岡委員 兵器に原子力が利用されて、その兵器の性能が画期的に向上しておるというならば、それは原子力を推進機関に用いることによってもう非常に軍事的な役割りを果たしておる、そうでしょう。そうであれば、原子力潜水艦というものは核兵器そのものじゃありませんか。
○田川政府委員 いま私が兵器というふうに申し上げましたけれども、兵器じゃございません。ちょっと私の考え違いでございます。
○岡委員 潜水艦は兵器じゃないとおっしゃるのですね。
○田川政府委員 潜水艦は運搬手段です。兵器を運搬する手段です。
○岡委員 それは田川さん、皆さん、おととしの予算委員会の記録を見てください。たしかおととしだった。池田さんに聞いたのです。潜水艦は兵器か、そうしたら潜水艦は兵器だと言っておる。防衛局長、潜水艦は兵器でしょう。
○島田(豊)政府委員 兵器をどういうふうに定義するかという問題でございますが、先ほど来の御質問のような、原子力を推進機関とする潜水艦は核兵器である、こういうふうにお話しになります趣旨におきまして、潜水艦というのは兵器ではございません。潜水艦に核装備をいたしておりました場合にも、これは核の運搬手段として考えるわけでございまして、核を持っておる潜水艦を直ちに核兵器である、こういう解釈は私たちは成り立たないというふうに考えております。
○岡委員 あとに後続の有馬大先生がおられるので、どういうことであまりあげ足とりみたいな問答をしたくないのですが、はっきりしていただこう。ちょっとぼくは詭弁だと思うのです。防衛局長がさっき言われていたように、通常型、在来型の潜水艦ならば潜航しての最大スピードが二十五ノットである。ところが原子力潜水艦では三十五ノットだ。さらにスレッシャー型なんかは四十ノットという説もある。それからもぐれる深さも、在来型は八十メートル、ところがスレッシャー型は三百メートルもぐる予定でつくられて、事故を起こしたようですが、いずれにしても二百メートルから三百メートル、だから上から見分けることができない。潜水艦の持つ非常に重要な、所在を秘匿し得るという条件が、原子力を用いることによって初めて実現されておる。しかも航続時間が、いまはっきり言えないとおっしゃいましたが、私どもの聞くところによれば、潜航しての最大スピードで走った場合には、普通は数時間である、ところが原子力潜水艦は三十五ノットなり四十ノット出して、むしろ海の中のほうが勢いよく進んで、しかもそれが一万六千キロも走り得るのだということになると、潜水艦としての軍事的使命というか機能というものが、原子力を用いることによって格段の進歩をしておるわけです。そうなれば、そのようにせしめた原子力、それを推進機関に用いた原子力潜水艦というものはそのものずばり核兵器じゃないんですか、核兵器を運搬するものじゃなくて、運搬をしない通常型攻撃用の原子力潜水艦でも、それだけの機能を持っているといえば、それはそのものずばり核兵器じゃないんですか、運搬しようがしまいが。そこまで軍事的機能があれば。これは科学技術庁長官としてひとつゆっくりお考えを願わなければならない。こういうことでああでもない、こうでもないと言われても――ということは、あなた方のそういう解釈でいくと、日本の自衛隊も原子力潜水艦を持ってもいいということになってしまうのですよ。また、そういうことを自衛隊の一部の人がどこかで漏らしたということも私は新聞で見ている。あなた方の論理でいけば日本の自衛隊も原子力潜水艦を持ってもいいなどということになる。まあいいでしょう、とこで水かけ問答を幾らやっても切りがないから、ひとつもう一度衆知を集めて原子力委員会の見解を次の機会にお示しを願いたいと思う。
○田川政府委員 動力として潜水艦に核を利用してやるということは、これは兵器にならないと思うのです。ですから、いま岡委員が言われました、将来日本の潜水艦に原子力潜水艦ができるという場合に、原子力というものがもっともっと一般的に通常に利用されるようになれば、これは日本の潜水艦におきましても動力に原子力を利用するということもでき得ると思います。
○岡委員 しかし、それはおかしいと思う。そうなるとまた言いたくないことも言わなければならぬことになるのだが、原子力基本法の第二条にどう書いてあるか。田川さんとこんなけんかずくな話はしたくないのだけれども、原子力基本法第二条には、わが国における原子力の研究、利用、開発は、平和の目的に限るとある。であるから、兵器に利用はできないはずだ。そうじゃないのですか、どうなんです。ひとつ委員長の責任ある答弁を願いたい。
○上原国務大臣 研究、開発そのものは、どこまでも平和を目的とするものでなければならない、かように考えております。そこで原子力委員会といたしまして原子力船の開発、建造を決定いたしましたゆえんのものは、原子力のよって生ずるエネルギーを船舶の推進力に利用するということは、平和を目的とした研究、開発であり得る、もちろんそれが現に軍艦に使われておりますから、兵器あるいは軍事目的には利用できないものだという考えではございませんけれども、わが国において行ないます原子力の利用、開発、ことに船舶の推進力に応用いたしますものは、これは平和目的で十分あり得る、そして原子力委員会がやります本のは、平和を目的とした研究、開発をやるのだ、こういう考え方と覚悟とで進んでおるわけでございます。
○岡委員 いま長官の言われたことは、私は実は十分わかりませんでした。とにかく原子力船開発事業団を本委員会は与野党一致で議決しました。そのときは、原子力潜水艦の問題をめぐって佐世保方面においては世論が非常に沸騰しておったときなんです。しかし原子力の平和利用という立場において、また、これを推進するというわが党の方針において、平和目的のための商船をつくるということにおいてはこれは断じて賛成すべきであるというので、いろいろな意見があったが、私は率先して党内を説得してあの事業団を成立せしめた。しかし、いまあなたからのお話を聞くと、行く行くは原子力潜水艦の推進機関に日本も原子力を使うかもしれないというふうに受け取れるが、あなたは日本が原子力潜水艦をつくり得る時期が来たらつくるのであるという考えを持っておられるのであるかどうか、まず第一点として、この点をひとつ伺いたい。
○上原国務大臣 科学技術庁の設置目的並びに予算に付随する責任というものは、兵器、軍事目的に使われることが絶対に許されない。こういうことなのでございますから、科学技術庁の研究、開発並びに原子力委員会の検討、研究は平和目的に限ると限定されておりますから、平和目的以外のものは少しも顧みない、こういうことなのでございまして、原子力船の建造も、平和目的のために原子力によって動く船をつくるということなのでございます。皆さま方が原子力船の建造に賛意を表されたゆえんのものも、遠からず船の動力はことごとく原子力によるものになるのではないか、こういうお考えからではないかと思うのでございまして、私どもも実はそう考えておるわけなのでございます。どこから考えても、原子力による開発が非常に進んでまいりますれば、補給の困難な長い海上を走ります船の動力としては原子力が最も有効ではないかと思う次第でございまして、そのことのために皆さま方もこれに賛意を表され、また科学技術庁といたしましても、原子力委員会といたしましても、船の動力に利用できる原子力の開発に熱心に努力を重ねておるわけでございます。これを軍事の目的に利用しようなどという考えは毛頭ございませんことは言うまでもないことだと思いますし、予算の上でも法律の上でも許されていないことなのでございますから、どうかこの点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
○岡委員 原子力基本法というのは、私からいまさら言うまでもなく、十年ほど前に与野党一致で十分に検討し、議員提出法案として国会が満場一致採択した。この法律は科学技術庁だけを別に規制するものじゃない。日本における原子力政策のあり方の基本を示しておる。その中においては原子力の研究、開発と利用は平和の目的に限ると書いてある。ところで、池田総理は三年前に潜水艦は兵器だと言っておる。であるから、日本は原子力基本法が健全である限り、原子力潜水艦をつくるなどという、兵器のために利用することは許されないはずだ。そうでしょう。そこをはっきりしてください。
○上原国務大臣 おっしゃるとおりでございます。原子力潜水艦は軍艦でございますから兵器でございます。わが日本がそういうものの研究、開発やそれに利用される研究をすべきものではないと考えております。
○岡委員 じゃ、あと有馬さんの御質疑もありますから、先ほど来私が申し上げました、要するに原子力を推進機関に使用することによって潜水艦の軍事的機能が非常に画期的に向上した、してみれば、やはり原子力を推進機関に使っておる原子力潜水艦は核兵器そのものと言える、そのものである、私はそう思うのであるが、それに対してそうでないというお考えがおありのようであるけれども、しかし御答弁はどうも不分明であるし、村田君のような聡明なる局長が何か言いたげにしておるので、ひとつ君を中心に、作文でもいいからもう一ぺん原子力委員会としての統一見解をお示しを願いたい。それであらためて機会を得てお答えいただきたい。
     ――――◇―――――
○原委員長 次に、宇宙開発に関する問題等について質疑の通告がありますので、これを許します。有馬輝武君。
○有馬委員 最初に長官にお伺いいたしたいと存じますが、その前に内之浦並びに種子島の衛星基地について御視察いただきまして、相当な成果をおさめられたことについて心から敬意を表する次第であります。わずかな日程でありましたので、事前の準備はありましたでしょうけれども、長官としても最終的にいろいろな構想を固めるについての資料その他についても不十分な点がありましたでしょうし、また私たちのほうでもまだ若干疑問の点が残っておりますので、この衛星基地の問題に関連いたしまして、二、三の点を本日はお伺いをいたしたいと存じます。
 なお、私、本委員会には初めてでございまして、全くこの間の事情に暗いものでありますから、先ほども委員会開催前に、最も非科学的な有馬がきょうはこの委員会で質問するのかといって同僚からひやかされたのでありますが、ひやかしじゃなくて実態がそうでありまして、きわめて幼稚な質問もあろうかと思いますが、その点についてはひとつ委員各位のお許しをいただきたいと思うのであります。
 最初にお伺いをいたしたいと存じますことは、この視察の結果、種子島の衛星基地について閣議にはかられるということでありましたが、その結果についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
○上原国務大臣 帰ってまいりました翌日に閣議がございまして、その閣議に視察の結果、模様を報告いたしまして、宇宙開発の基地と申しますのもまだ疑義があるのでございますが、ロケットの試験打ち上げのための場所を種子島にきめるということは了解を得た次第であります。
○有馬委員 それではその了解を得られたということに基づきまして、いま申し上げますようにきわめて初歩的な点についてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、これは局長のほうからでけっこうであります。
 宇宙開発審議会の三十七年五月十一日の諮問第一号に対する答申並びに諮問第三号の「宇宙開発における重点開発目標とこれを達成するための具体方策いかん」ということに対する三十九年二月三日の答申をめぐりましてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、科学技術庁で考えておられる通信衛星あるいは気象衛星を実用化する時期、そのめどをいつごろに置いておられるのか、まずお聞かせをいただきたいと思うのであります。
○高橋(正)政府委員 お答え申し上げます。
 先ほどお話のございました宇宙開発審議会の答申の中で、人工衛星の開発、製作と、それからこの衛星を打ち上げますためのロケット能力の涵養という事項につきましての開発目標の達成が科学技術庁に課された目標でございます。
 現時点におきましては、科学技術庁といたしましては、昭和四十五年度に実用人工衛星の重量百五十キログラム程度のものを千キロメートルの円軌道に乗せるという基本的な考えを持っておりますが、どのような種類の実用人工衛星を打ち上げますかということにつきましては、昭和四十二年度中に各方面の御要望、特に御存じのとおり宇宙開発につきましては国際的な観点もございますし、あるいは各省庁の業務上の必要性というようなものもございますので、それらを勘案いたしまして四十二年度中に決定をいたすということに相なっております。
 それまでは衛星の基礎的な、共通的な事項の開発と、これを打ち上げますところの大型のロケットにつきましては、四段ロケットを考えておりますが、その一、二段の固体の部分につきましては、従来東大が開発を進めておられますミューロケットの改良と申しますか、これらを引き続いて行ないまして、私どもといたしましては三段目の液体ロケットの開発と四段目の固体ロケットの開発か考えて、四十五年度中には先ほど申しましたような四十二年度中に決定いたしますミッションの実用衛星を打ち上げるべく努力をいたしております。
 なお、射場関係につきましては、とりあえず本年度も新島の従来の射場を用いまして液体燃料ロケット関係の打ち上げの実験その他諸衛星関係の実験を行なうことに相なっておりましたが、これが諸般の事情から御承知のとおり変更になりまして、新たに本年度さしあたり種子島を使うことになりましたので、その間の件につきましてはさらに今後検討いたしたいと思っております。
 なお長期計画自体は、昨年度から宇宙開発審議会の御審議をわずらわしておりますけれども、まだ全般的な長期計画につきましてのお示しがございませんが、これも私どもといたしましては来年度の予算時期を控えまして、できるだけ宇宙開発審議会におきまして長期的な計画の御決定をわずらわしたい、このように考えております。
○有馬委員 次にお伺いいたしたいのは予算関係でありますけれども、衛星の研究開発に対しまして、私たちの聞いておりますところでは、アメリカはすでに四年前年間の予算を四千数百億円、六三年には七千億円以上も使っているような状況でありますが、本年度の科学技術庁のこの関係の予算の合計を拝見いたしますと、八億足らずというような状況であります。この点について、長官は鹿児島県に行かれた際に四百億くらいの規模の予算をというようなことも漏らしておられたようでありますが、四十五年度までの技術庁で考えておられる予算の年度計画といいますか、これは年々ふえていくだろうと思うのでありますけれども、どのような構想を持っておられるか、これは長期計画を立てておられますので、大体の構想をお聞かせいただいて、それに対する大蔵省の見解をあわせお聞かせいただきたいと思うのであります。
○高橋(正)政府委員 先ほどちょっと付言いたしましたように、種子島の射場を使用いたしますという事態が今年の四月中ごろ以降に発生いたしました事情でございますので、たいへん申しわけない次第でございますけれども、従来考えておりました私どもの長期計画というものにつきましては、これを改変せざるを得ないと思っております。昨年の宇宙開発審議会におきますところの御審議の際に、一応各省庁の将来五カ年間にわたりますところの予算を資料といたしまして提出いたしました際には、科学技術庁のきわめて概算的なものでございますが、二百五十億程度のものをたしかはじいたと思っておりますけれども、新たに種子島につきまして今後宇宙基地といたしまして開発いたすことになりますと、さらに必要な予算額というものは従来よりも当然ふえるのではないか。内之浦にいたしましても三十七年度から四十年度までに二十三、四億の費用がかかっておりますので、従来考えておりますよりは、これは上回るものと考えておりますが、早急に従来の長期計画を変更いたしまして宇宙開発審議会のほうにおはかり申し上げる、こういういま段階になっております。
○小田村説明員 将来どの程度の予算を要するかということにつきましては、まだ大蔵省として検討の段階に至っておりません。いずれにいたしましても長期計画についての方針を宇宙開発審議会で現在審議しておられるわけでありますが、今後どういうようなテンポで、どういう目標に向かって進んでいくかというある程度の指針が宇宙開発審議会等におきまして示されませんと、私どもとしてもなかなか取りかかりにくいわけでございます。ただ、大蔵省といたしましても、宇宙開発の重要性については十分認識しておるつもりでございまして、できるだけその研究開発を推進してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○有馬委員 まあ大蔵省としてはおっしゃるとおりだろうと思うのでありますが、参考までにお伺いをしておきたいと思いますのは、今年度のこの予算が七億九千五百九十七万五千円にきまっておるようでありますが、予算要求はどの程度されたのか、これを参考までにお聞かせをいただきたいと思うのであります。大蔵省ではとにかく各省の予算要求に斧鉞を加えることが大蔵省の仕事と心得ておられるので、いまおっしゃったようなおいしいことをおっしゃっても、いざという段になると、それこそ斧鉞を加えられるのは必至であります。ですから、どの程度の斧鉞で終わるのかどうか、これを将来の参考に供したいと存じますので、この際お聞かせおきをいただきたいと思います。
○高橋(正)政府委員 実は資料を持ってまいっておりませんので、私のメモ書きでございますので、多少数字にあやまちがあると申しわけございませんけれども、当初要求を申し上げましたのは、推進本部に関しまして必要な経費といたしまして七億三千六百万程度だったというように記憶いたしております。
○有馬委員 逆にふえたわけですか。
○高橋(正)政府委員 推進本部の予算は四億五千六百万でございまして……。
○有馬委員 いや、私が聞いておりますのは、科学技術庁として、航空宇宙技術研究所の予算も含めた七億九千五百九十七万五千円、このトータルでお伺いしておるわけです。
○高橋(正)政府委員 そうでございますか、失礼いたしました。
 ただいま申し上げましたのは、宇宙開発推進本部にかかわるものでございます。
 失礼いたしました。要求額は四十一年度本部関係が七億三千六百万、航空宇宙技術研究所のロケット関係が三億三千四百万、十億七千万ほどの要求であったと思いますが、これはメモでございますので多少数値が違うかもわかりません。
○有馬委員 これを見ますと、十億七千万に対して七億九千万でありますから、いま主計官がおっしゃったこと、まあよその各省庁に比べまして相当重く見ておられるようで非常に喜ばしいことだと存じますが、長官がこの計画に四百億くらいを見ておられますので、ひとつそれを念頭に置いて、いまの姿勢を大蔵省くずさないようにこの際要望をいたしておきたいと存じます。これは上原長官に応援するみたいで、ちょっとへんちくりんな形ですけれども、ぜひこれは本委員会の使命といたしましても推進してまいらなければなりませんので、記憶にとどめておいていただきたいと思います。
 次にお伺いいたしたいと思いますが、欧州宇宙開発機構なり、あるいは欧州宇宙研究機構、ELDO、ESROに対するわが国の寄与といいますか関係、並びに参加国の実態、それから開発実績等についておわかりの程度でけっこうでありまするからお聞かせおきを願いたいと存じます。
○高橋(正)政府委員 宇宙開発に関しましては、先生の御指摘のとおり国際協力ということが非常に大きな要素を占めておりますことは、申し上げるまでもないと思います。わが国におきましては、従来、御承知のとおりシンコム衛星によりますところのオリンピックのテレビの中継を初めといたしまして、通信衛星関係並びにアメリカのアンナという測地衛星を用いまして、国土地理院あるいは海上保安庁水路部等が離島の測地というようなことを行なっております。さらにコムサットに関しましては、日本も国際電電が暫定委員会の中に入っておりまして、通信衛星に関しましての技術の開発の一翼をになっておるわけでございますが、そのほか、日本といたしましては、世界気象機関あるいは国際電気通信連合というような機構にもそれぞれが加盟をいたしておりまして、気象衛星でございますとか、あるいは通信衛星でございますとか、あるいは航行衛星等の分野におきましての国際協力を積極的に行なっておりますのが現状でございます。
○有馬委員 二つの機構のELDO並びにESROに対しては、具体的にはどのような形で参加しておるのですか。
○高橋(正)政府委員 ELDO及びESROにつきましては、これはそれぞれ欧州におきますところの――アメリカ等も一部入っておりますけれども、研究機構あるいは開発機構でございますので、日本といたしましては、直接にはこれらの機構につきましては、加盟協力ということはいたしておりません。
 なお、先ほどの説明で落としたのでございますけれども、科学的な観測のために国際科学連合の傘下に入りまして、東京大学が、静かなる太陽の時期におけるところの観測その他におきまして、学術的な研究に協力いたしておるという事実はございます。
○有馬委員 それから、国際学術連合会議あるいは宇宙空間平和利用委員会等に対しても、いま言われているような東京大学の学術的な協力、そういう範囲にとどまっておるのかどうか、これもあわせてお聞かせおきをいただきたいと思います。
○高橋(正)政府委員 現時点におきまして私の承知いたしております範囲では、先生お示しのとおり、学術的、あるいは先ほど申しましたような気象関係、あるいは通信連合関係につきましては、これは宇宙開発の実用的な利用と申しますか、そういう面でございますけれども、それぞれ純粋科学の面並びに実用衛星の平和目的の利用のための協力であると思っております。
○有馬委員 次に、現在まで内之浦の観測ロケットによりまして研究開発された分野といいますか、それはどのようなもので、どのように活用されておるか、概要でけっこうでありますから、お聞かせいただきたいと思います。
○高橋(正)政府委員 御承知のとおり、東大は四十二年度に科学衛星を打ち上げまして、高層におきますところのいろいろな科学的の観測を行なうということに相なっております。昭和三十年のペンシルを最初といたしまして、わが国におきますところの独自な立場からロケットの開発をお進めになりまして、カッパー、ラムダと進んで、ミューの段階に入っておるわけでございます。現時点におきましては、先ほど申しましたところの四十二年におきますところの四段ロケットの打ち上げのためのロケットの開発に主力を置かれておるようでございまして、たとえば四十年度におきましても、第一段のロケットでございますところのミューの一〇のエンジンの地上燃焼試験等も行ないまして、さらに観測用のロケット十六基、それから科学衛星用のロケット十五基の打ち上げを行なっておるのであります。これらのロケットは、それぞれ科学的な観測を行ないますと同時に、四十二年度の科学衛星の打ち上げのためのロケットの能力の開発ということをあわせて行なっておるわけでございまして、先ほど申し上げましたような第一段ロケットあるいは第三段ロケット等の地上燃焼試験によりましての今後の改良、あるいは誘導制御をいたしますためのいろいろなスピンの安定でございますとか、あるいはそれに用いますところの補助ロケットの機能の改良でございますとか、あるいは姿勢制御用のL4Sの改良でございますとか、こういうような点を進めてまいりまして、一方、四十二年度に打ち上げますところの衛星自体につきましても、本年度からその開発に着手をされているということに相なっております。
 以上であります。
○有馬委員 現在使っておりますロケットなりあるいは計測器等については、その製造はすべて国内で行なわれておるのですか。ここら辺についてお聞かせをいただきたいと思います。テレメーターなり、レーダーの電子機器なりあるいは観測計器なり、制御装置なり、そういったものすべて国内で生産されておるのかどうか。
○高橋(正)政府委員 特に東大の従来の衛星並びにロケットの開発というものにつきましては、国産と申しますか、国内的な技術の集結と申しますか、これによりまして発展をさせるということが大きな眼目になっておるわけでございます。もちろん今後東大の科学衛星――これは文部省からお答えをいただいたほうがいいと思いますが、こういうものをいたします場合には、いわゆる追跡ステーション等を国外に設置する必要がありますので、その時点におきましては、外国の協力を得るという必要性も生ずるかと思いますけれども、現時点におきましては、追跡その他は全部国の独自の力におきまして開発し、運営していくということに相なっております。
○有馬委員 何か内閣委員会の運営で国対副委員長が見えられて、もうやめてくれぬかということを言っておられるようでありますので、ひとつ問題点だけをしぼりまして簡単にお尋ねをいたしますので、よろしくお取り計らいをいただきたいと思います。
 局長に続けてお尋ねいたしますが、現在ミューの最大の重量のもの、それから高度等最大のものはどの程度になっておるのか、これが一つであります。
 次に、種子島の場合に、それぞれ飛しょう体用のテスト・スタンドなり、発射台なり、追跡レーダーなり、あるいはテレメーターなり、そういった各施設と内之浦との関連はどうなるのか。また、これらを両方合わせて、一つの基地といってはおかしいという長官のおことばでありましたけれども、一体のものとして運営していかれるのか、いわゆる内之浦と競合する分野はないかどうか、ここら辺についてもあわせお聞かせをいただきたい。
 それから観測資料の解読センターというものについてもやはり種子島に設置される予定なのか、ここら辺についてお聞かせをいただきたいと思います。
○高橋(正)政府委員 最初に、東大との関連でございますが一義的には、先ほど申しましたとおり新島の使用が不可能になり、しかも長期的な開発をいたします上におきまして一年のブランクができますことは困っておりますので、とりあえず種子島を選定いたしたわけでございますが、今後宇宙開発を引き続いて長期的にやっていきます場合におきましては、当然内之浦との関係が問題になるわけでございますが、お知りおきのとおり、内之浦はああいうような山地をくずしまして台地をつくりまして――そもそも内之浦で東大が開発をお進めになります際の大前提は三号答申にございますように観測ロケットをお打ち上げになるという御構想で御出発なさったわけでございます。したがいましてこれに用いますロケットにいたしましても、径が一・四メートルのものを一応限定としてお考えになりましたので、したがいまして、あそこの射場というものは今後長期計画を御承認いただきまして、さらに打ち上げいただきます場合の大きな径を考えました場合には、内之浦は使用できなくなるということでございます。しかしながら、もちろん御指摘のとおりできるだけ二重投資を避けまして追跡施設の問題でございますとか、その他テレメーターの受信等につきましては、これは内之浦の現施設との間におきましてできるだけ競合を避けますとともに、互いの打ち上げにつきまして両者が共同いたしましてミュー追跡なり計算ということについて相協力するという考えは当然持っておるわけでございます。
 なお一般的なものでございますが、当庁の開発計画その他につきましても、東大のほうから技術的にいろいろ御支援をいただいておりますので、今後の種子島の開発につきましても当然東大側との関係は十分に考慮をして進めていきたいと考えております。
○有馬委員 最後に長官にお伺いしたいと存じますが、このたびの御視察で技術庁としての構想を実現するためには港湾なりあるいは道路なりあるいは電力なり、こういった問題がすぐ問題になってくると存じますが、これをどのように見てこられたか、これが一点。これは空港その他についても同様でありますが……。
 それからやはり新島との関連で新島がああいった経緯をたどってまいりましただけに、いわゆる宇宙開発の基本原則でうたわれております平和の目的に限るというような点についてもやはり相当の疑問が残っておると思うのであります。この基本的な立場について長官のほうからお聞かせをいただきたいと思うのであります。二点であります。
 道路、港湾あるいは空港、電力、こういった問題について視察の結果どのように見てこられたかということが一点。それから平和目的の問題、この二点であります。
○上原国務大臣 種子島にこのロケットの打ち上げの場所を定めました以上、宇宙開発に役に立つだけのロケットを開発しなければなるまいと思うのでございます。ただロケットを上げてみるというだけでは話になりませんので、実用衛星を打ち上げる、こういう目的を掲げておりますから、実用になる衛星を打ち上げなければならぬ。それを四十五年にやろうというのでございますから、相当のスピードでそれに必要な施設を整えてまいらなければなるまいと思っておりますので、道路、港湾、電力その他できる限りすみやかに必要なだけの整備をいたしたいと考えております。電力はいまございますけれども、不足でございましょうから、火力発電で自家発電をやるか、そういう方法をとらなければなるまいと考えております。道路、港湾等はどれだけのものが必要になるか、まだ計算ができてまいりません。それからどれほどのスピードで開発を遂げるかということは閣議の了解を得なければなるまいと思っております。それに従って目標を立てて、なるべくすみやかに整備してまいらなければならぬ、かように考えております。
 それから平和目的に限るということは、法律の上でも予算の上でも厳重に規制されておりますので、ほかのことに手を出す余裕もございませんし、手を出すつもりもございません。どこまでも平和利用のための人工衛星を打ち上げる、こういう目的で努力を重ねてまいるつもりでございます。したがいまして、軍事目的がこの作業の中に混入するということは絶対避ける、こういう考え方でございます。
○有馬委員 建設省にお伺いしたいと思いますが、今度の視察にあなた方はついていかれましたか。それから道路その他についてはどのような見解を持っておられるか。いま長官からは、今後の計画に従って必要なものを整備していくという立場からの御答弁でありましたけれども、建設省としての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○伊藤説明員 今回の視察には道路局からは御一緒しませんでした。
 それから第二点の、道路をどういうふうにするつもりであるかということに関しましては、必要な道路の要目、いろいろこういうものを十分打ち合わせしまして間に合うようにやっていきたい、こう考えております。大体あの辺の状況ではまだ不十分な点が多々あると思っております。
○有馬委員 先ほども申し上げましたように何か国対のほうのあれがあるようでありますので、詳しくお伺いしたい点が残っておりますが、本日はこの程度にとどめさしていただきたいと思います。質問を終わります。
○原委員長 岡良一君。
○岡委員 ごく簡単にお尋ねをしたいと思いますから、お答えもイエスかノーかでけっこうです。
 長官にお尋ねをいたしますが、長官が所信表明で科学技術における国際協力を推進するということをうたわれた。この科学技術の国際協力というのは、その国の政治体制等を問わない、これを越えた国際協力という意味に私は理解しておるのですが、そうでございますか。
○上原国務大臣 その国々の政治形態を問うことなく科学技術の交流ができればと念願いたしておりますけれども、それは、そういかないかもしれません。現にいかない場合もあるようでございますが、このことはほとんど外務省の管轄でございますので、私どものほうでは勢い国交が正常に行なわれておる国、しかもわが国との科学技術交流を望んでおる国、こういうことに相なるのはいたしかたないと思っております。しかし、広く科学技術の交流をいたしたいという念願は捨てておりません。
○岡委員 問題は、科学技術政策の元締めである科学技術庁長官としては、この所信表明における国際協力の推進ということは、東、西、南、北などという、そうした各国の政治体制その他にとらわれない、世界的規模における国際交流の推進である、こう理解をしていいか。あなた個人の、国務大臣としての所信をお伺いしたい。
○上原国務大臣 おっしゃるように考えております。
○岡委員 入国管理局の方が来ておられますが、たとえば日本のプラントを買う。そのプラントの運転に習熟したいために、その買い付け先の相手国から技術者が来るというようなことについては、出入国管理令のたてまえからこれを拒否し得る理由はございますか。
○八木政府委員 私どものほうのたてまえを申しますと、日本と国交のない国の国民は原則として日本に入国を許さないというたてまえでございます。したがいまして、北朝鮮の場合も問題になっておりますが、こういうような国の技術者であろうと、あるいは純然たる学者であろうとを問わず、日本に入国を許すというのは、その者の入国を許すことが日本国にとって利益であるということがある場合において、例外的に許可をするというのがわれわれの立場でございます。
○岡委員 たとえば相手国が百億ドルの仮契約を結んだ。これは日本の経済にとっては利益である。しかしそのプラントを輸入してみたところで、それをどう動かすかということについての技術の習熟を日本で得たいということがあれば、これはその場合、たとえ国交がなくてもこれを許可した先例がありますか。あるいはまた、北朝鮮の場合は出入国管理局の立場からはどう考えますか。
○八木政府委員 ただいま申しましたのは一般論でございまして、たとえば現実に中共との間の例をとりますと、この間ではいろいろプラント輸出のようなものもございます。それに基づいて技術習得のための研修生の日本への入国はたくさんございます。私ども毎日のようにそういう書類を、申請を見て許可を出しております。したがって、ただいま申しました原則論として、国交のない外国人の入国は例外的に認めるということでありますけれども、現実には個々の同じような国の間でも取り扱いは非常に違っております。したがってこれは政治的な配慮によって違うものだろうと心得ますが、中共のような場合は、非常に貿易の量も多いし、それに基づく技術研修員の入国もたくさんあるわけであります。それから、それ以外のものになりますと、いま問題になっております北朝鮮でございますが、これは現在問題になっておりますのは研修ではございませんで、日本からのプラント輸出の商談、その商談の契約締結のために、日本の問題になっておるプラントの製造工場などを技術家が、契約をする以上技術的な見地からそれを見て、安心してそこで調印をするという段階の入国の問題でございます。これはその技術者の入国を認めることが国の利益になるかどうかという高い政治的な段階での検討が行なわれているわけでありまして、単に輸出が行なわれるから日本国の利益になるというだけでは割り切れない。たとえば日本国の利益と申しますと、一番大きな利益としてよく問題になりますのは外交上の利益でありまして、そのプラント輸出を認め、それに関連して技術者の入国を許すかどうかということは、日本国の外交上の利益であるかどうかということが一つの大きなファクターになる。そういう場合にはある現在の時点においてそれを許すかどうかということについては、高度の政治的な判断によってきまる問題でありまして、事務としてはその決定によって問題を処理するというだけでございます。
○岡委員 それでは外交上の利益が出入国を許可する場合における最大な基準というか、ものさしというか、判断の最大の資料であるといわれる外交上の利益とは具体的にどういうことですか。
○八木政府委員 常に外交上の利益が一番大事だというわけではございません。場合によっては治安、公安というようなことも問題になるかと思いますが、現在問題になっております北朝鮮のプラント輸出の問題については、韓国側から強い反対の表明がありまして、そのために、これは外交上の考慮ということが直接の理由になっているわけでございます。
○岡委員 いま上原長官は、科学技術の――私はプラント輸出も科学技術の国際協力の重要な一環だと考えておった。それについて出入国の管理担当者のほうから韓国側の云々という問題があった。これは日本の科学政策の上からも重要な問題だと思う。こういうことが新聞に載っている。韓国の大使が、「五月十六日、石川島播磨重工に電話で「呉造船と北朝鮮の取引きを中止されたい」と申し入れた。」次に、「同月二十日、金大使は土光東芝社長を韓国大使館に招き、呉造船の取引き中止を申し入れた。」「同日、金大使は三井物産を訪れ、東邦レーヨンに対してベスロンの取引き中止を申し入れ「中止しなければ韓国と取引き中のベスロンについては打ち切る」と圧力をかけた。」また、「同日、金大使は東京銀行の原頭取を大使館に招き、東工物産と北朝鮮の間で商談を進めているプラント取引きを中止するよう「原氏から東工物産に働きかけてほしい」と依頼した。」こういう新聞記事がある。私は、いま長官が、真の国際協力というものは世界的規模において進めていかるべきものであるということでおっしゃいましたが、しかしながら、国境を越えて、また国際的協力の上に発展すべき当然な科学技術、またそのための重要なきずなとなるプラントの輸出の問題が、このような外国人の圧力によってゆがめられるということは、日本の科学技術政策上、私は実にたえられない侮辱だと思う。そういう点で、こういう事実があったかどうか、この点科学技術庁としてもぜひ関係省と連絡して確かめてもらいたい。その結果によってぼくはまたあらためて御質問を申し上げることにして、きょうはせっかく丹羽理事長に御多用の中を御出席をいただきましたが、私は質問を打ち切りたいと思います。
○原委員長 本日は丹羽参考人にはたいへん長い時間お待たせして申しわけありませんでした。後日に譲らしていただきまして、御意見の御開陳をお願いしたいと存じます。
 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる六月九日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開く予定で、これにて散会いたします。
   午後零時十七分散会