第051回国会 科学技術振興対策特別委員会宇宙開発に関する小委員会 第1号
本小委員会は昭和四十一年二月十日(木曜日)委員
会において、設置することに決した。
二月十日
 本小委員は委員会において、次の通り選任され
 た。
      愛知 揆一君    菅野和太郎君
      木村 剛輔君    纐纈 彌三君
      中曽根康弘君    西村 英一君
      前田 正男君    石野 久男君
      岡  良一君    田中 武夫君
      原   茂君    山内  広君
      内海  清君
二月十日
 中曽根康弘君が委員会において、小委員長に選
 任された。
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昭和四十一年二月二十四日(木曜日)
   午前十時十三分開議
 出席小委員
   小委員長 中曽根康弘君
      菅野和太郎君    木村 剛輔君
      西村 英一君    前田 正男君
      石野 久男君    岡  良一君
      田中 武夫君    原   茂君
      山内  広君    内海  清君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       田川 誠一君
        総理府技官
        (科学技術庁研
        究調整局長)  高橋 正春君
 小委員外の出席者
        総理府技官
        (宇宙開発推進
        本部長)    高木  昇君
        参  考  人
        (東京大学教
        授)      糸川 英夫君
        参  考  人
        (経済団体連合
        会宇宙平和利用
        特別委員会委員
        長)      大屋  敦君
        参  考  人
        (東京大学名誉
        教授)     兼重寛九郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 宇宙開発に関する件
     ――――◇―――――
○中曽根小委員長 それではこれより宇宙開発に関する小委員会を開会いたします。
 宇宙開発に関する件について調査を進めます。
 世界の宇宙開発の驚異的発展はまことに目ざましいものがあります。米ソ両国はもちろんのこと、欧州宇宙ロケット開発機構も独自の開発体制に基づいて急ピッチで進展をいたしております。わが国においても、いま本格的に宇宙開発を推進しなければ、宇宙空間の科学的観測と実用衛星の開発という点において、世界の趨勢に回復しがたいおくれをとるということで、去る昭和三十九年に宇宙開発体制を一本化し、総合的、効率的な開発を行なうべく、科学技術庁に宇宙開発推進本部を設置いたしましたことは御承知のとおりであります。
 宇宙開発は、それがどのような形で進められようとも、膨大な国家投資が必要であり、したがって、国家としての長期にわたる計画に基づいた効率的な開発体制がとられなければ、膨大な開発費が浪費されるのみでなく、諸外国との発展の格差がますます拡大し、取り返しのつかないおくれをとることは明白であります。そこで本日は、わが国の宇宙開発体制の実態を知る意味において、宇宙開発推進本部の実用人工衛星計画、東京大学宇宙航空研究所の科学衛星計画、また、宇宙開発審議会の宇宙開発長期計画及び宇宙開発体制の一体化等に関する問題について、関係当局並びに参考人より説明及び意見を聴取いたしたいと存じます。
 本日は、参考人として、東京大学教授糸川英夫君、経済団体連合会宇宙平和利用特別委員会委員長大屋敦君、東京大学名誉教授兼重寛九郎君、以上三名の方に御出席を願っております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は御多用のところ本小委員会に御出席くださいまして、どうもありがとうございます。どうかそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べくださるようにお願いいたします。なお、時間の都合もございますので、参考人の御意見の開陳はお一人約十分程度にお願いすることとし、後刻小委員からの質疑の際十分お答えくださるようにお願いいたします。
 それできょうの趣旨は、東京大学側の考え方として糸川さん、それから財界関係といたしまして大屋さん、それから宇宙開発審議会としての立場から兼重さん、それから科学技術庁と大学を統合している推進本部という意味で高木さん、こういうおのおのの立場からお話を承りたいと思います。
 そこで最初に、糸川参考人からお願いいたしたいと思います。糸川さんには、東京大学側の計画及び考え方のほかに、近く東京大学が上げるロケットが、人工衛星になる可能性があるとかいわれておりますが、その点についても御説明を願いたいと思います。それではどうぞ。
○糸川参考人 東京大学の宇宙航空研究所を中心といたしました日本全国の宇宙科学者、宇宙技術者を総合的に集めたグループが計画しております計画は、大きく分けまして二つございまして、一つは在来続けてまいりましたロケットによる宇宙観測ということでございます。その点につきましては、昨年まで高度一千百キロメートルまでの各種の調査をいたしましたが、今年度はその高度を上げまして、この三月上旬には二千二百キロメートル前後、つまり昨年よりも高度を約二倍に上げて、その範囲での宇宙観測計画を行なうことを考えておりますし、それから新年度予算でも、さらに同種のロケットを使いまして二千キロメートルまでの各種の観測を実施いたします。もちろん、それより低いところは、一番低いところは気象庁と連合で、協力のもとに、百キロメートル以下の気象観測まで含んでおりますけれども、とにかく百キロメートルから二千キロメートルの範囲の調査を考えております。
 もう一つはもう少し高いところ、つまりバンアレンの発見いたしましたバンアレン放射能ベルトと申します、その低いほう、あるいは高いほうの計画も立てておりまして、このためにミューロケットという、ラムダロケットよりもう一つ大きなロケットの計画を進めております。こちらのほうは高さにいたしまして一万キロメートル以上上がりますので、いまのバンアレン放射能帯の、ラムダロケットが下側を、ミューロケットはかなりまん中のほうまで行かれる。つまり地球の近傍で、地球の半径と同じ高さの外側くらいまで、かなり広範囲に調査ができようという計画であります。
 新聞紙上でたびたび伝えられます、いま委員長がおっしゃいましたラムダ4型によります科学衛星計画の可能性の問題でございますが、いま人工衛星を上げるとか上げないとか、あるいはどういう計画で上げるかということは、最終的にまだきまっておりません段階でございますので、今日、日本で人工衛星を上げることが技術的に可能であるかどうかということを検討する段階にございます。いずれにせよ、日本が科学衛星あるいは将来いろいろな人工衛星を上げるときに、どういう技術が必要であって、その技術の開発の可能性、あるいは信頼性といったようなことの資料を得るという目的で、昨年カッパー10型というのを打ち上げまして、姿勢制御系のテストをいたしましたが、今度ラムダの四段式を使いまして、その全体の総合的なテストを計画しております。これは人工衛星に必要な技術の各ステップの研究、信頼性の研究、並びに可能性の研究でございますので、
 ロケットとしましては、最終速度が軌道速度すれすれ、あるいは軌道速度に達するくらいのロケットを使用いたしますために、実験段階中に全部のシステムが偶然にうまく働けば最終段階では人工衛星となる可能性がございます。しかし、人工衛星そのものを打ち上げるということがこの実験の趣意ではございませんので、その真の意図につきましては、ただいま御説明申し上げたとおりでございます。
 以上が東京大学が現在持っております計画のあらましでございます。
○中曽根小委員長 それでは、次に、大屋参考人にお願いいたします。
○大屋参考人 かぜをひいておりますので、声がかれてお聞き苦しいと思いますが、お許し願いたいと思います。
 宇宙開発というものが、俗にいう工業化されるのはまだだいぶ先のことと思うのでありますけれども、準備をある程度始めなければいけないということで、経団連と申します経済人の連合体みたいなものがございますが、そこで平和利用の特別委員会というものを設けまして、私がいま委員長になっておるのでございます。同時に、私は、内閣の宇宙審議会の総合部会長というのを引き受けておるのでありまして、私のような経済人が何ゆえに宇宙開発というような問題に関与しておるかといいますと、これはやはり国の産業に直結する仕事になっていくものでございますから、むしろ学問のほうでは第三者的な立場でありますけれども、経済団体としては、あまりそれがばらばらになるということは能率が非常に悪いものですから、何とかしてそういうように相関連するところを結び合わせておく必要があるというような関係で、私がお引き受けしておるのであります。
 そこで、東大のいわゆる生技研というところでやっておられたようでありますが、いま東大には宇宙航空研究所もできておりますし、また、事実、その実際上の試験というものはほとんど独自の立場で、独壇場として宇宙開発をやっておられたのでありまして、糸川さんも高木さんも、みんなそのメンバーであるのでありますから、機構という問題を考えるのは早過ぎるので、やはりやりたいところ、並びにやる能力のあるところにどんどんやってもらうほうがいいのじゃないかというような議論もあるのでありますけれども、いまお話ししましたように、これがだんだん工業化していくということになりますと、どういう機構でこれを推進していくほうがいいかというふうなことを、いまのうちから考えたほうがいいということで、審議会のほうでも、昨年でありましたか、あまり遠くない将来に人工衛星を打ち上げることを目的にして、一元機構というものをいまのうちから考えておく、こういうような、抽象的ではございますけれども、観念的に聞こえますけれども、宇宙審議会で毒そろいう結論を出しておりますので、それをどういうふうなステップをとって進んでいったらいいかというようなことを、いま、宇宙審議会の内部でも相談をしておるのであります。
 私もそれに関係しております一人として、その経過を申し上げますが、いまお話ししましたように、宇宙開発という問題は、今日でも世界の航空技術というものに相当深い関係を持っておりますし、将来ますますそういう傾向が増していきますので、審議会の委員には、各方面の学者ばかりではなしに、製造工業に関係しておる者も全部網羅いたしまして、それでいま相談を進めておる最中であります。そのときの結論は、一つのものにして進めるということがいいか悪いかということが根本の議論であったのでありますけれども、やはりそれぞれに適当なところでそれぞれの研究を進めていくということは、これはもう当然のことでありますけれども、それを、必要が起こったらいつでも一元機構にまとめることができるとか、あるいは一元機構にまとめるときの準備のために、それの分担をするというふうな意味で各自が研究を進めるというやり方がいいということになりまして、その一元機構をそれじゃいつごろやったらいいかということがいまの段階では非常にきめにくいのであります。審議会のほうではまだ結論には達しておりませんけれども、大体昭和四十二年ぐらいに一元機構を発足させたらどうか、それまではまだみな各自が研究を進めておきまして、大体二年ぐらい先には一本のものになる、こういう前提のもとに研究を進めたらいいじゃないかということになっておりますので、昭和四十二年というのを目標にするといいましても、何も特に研究して、その時期を指定したわけではないのであります。
 それでは、どういう人工衛星を打ち上げたらいいかと申しますと、一応の目標はコマーシャルの人工衛星、いまアメリカ等で上げております実用衛星を上げるのがやはりいい。実用衛星を上げるのも、上げるばかりではなしに、いまちょっとお話がありましたけれども、それを追跡するとか、コントロールすることにも相当の技術が必要でありますので、そういうものをひっくるめていよいよ実用衛星というものは完成するのでありますから、その段階までにはできるだけ広い範囲の知識を網羅する必要があるということに、いま、してあるのでございます。ただ、いまお話ししましたように、日本の人工衛星の研究というものは、あるいは宇宙開発の研究は、東大が率先して、長い経験を持っておられる、また、やる研究家も東大のみに専門の人が集中しておる、こういう現状を無視することはできませんので、やはり各自の研究は今日のように進めておきまして、そうして昭和四十二年あたりにはそれを一元機構にまとめるということを頭の中で考えつつ推進していったらいいではないかということにいまなっておるのであります。
 そこで、これから先は多少私の個人の考えも入っているかもしれませんけれども、昭和四十二年にやるといいますのも、いまお話ししましたように、やや観念的な理由でありますので、別段に四十二年でなければいかぬということはないのであります。しかしながら、おのおのの研究機関があまりすべてのことを自分でやるのだという考えで進めていきますと、二重投資、三重投資というものが起こります。また、知識人の配分の点からいきましても非常に不合理になるものでありますから、かりに四十二年に一元機構になるということの前提だけはお互いによくつかんでおく必要があるということが一つであります。
 それでは、どういう衛星をこの機構において打ち上げるかと申しますと、一応は実用衛星ではあるけれども、非常な簡素な、たとえば一応の目的はやはりスペースの観測をするというようなきわめて簡単な目的を持って、まずコマーシャルの人工衛星を地球の外部に回すということだけを目的にしていこう、こういうのであります。ただ、東大のほうで場合によったらこれからのラムダの研究を試験的の人工衛星にからめましょうというふうなことをいま考えておられる方がおるようでありますけれども、これは何ら差しつかえないことであって、要するに何年か先の一元機構にその知識をみな持ち寄っていただくということを前提にして各自が研究を進めていただきたい、こういうような考えを持っておるのであります。なお詳しいことは御質問がありましたらお答えいたします。
○中曽根小委員長 どうもありがとうございました。
 それでは次に、高木宇宙開発推進本部長さんにお願いします。
○高木説明員 昨年、宇宙開発推進本部長を併任いたしましてから、いろいろと企画したことをざっと申し上げまして、科学技術庁の立てました四十五年度に実用衛星計画を実施する、それと東大の研究との関連を若干述べさしていただきたいと思います。
 併任になりましてから直ちに東大の教授を、各専門の教授五人をお願いをいたしまして、それから科学技術庁の中には本部と航空宇宙技術研究所がございますので、そのほうからも五人お願いいたしまして、それで技術委員会をつくりまして、四十年度のいろいろな実施予算についていろいろと御検討いただきました。担任者をきめまして、委託交付金を行なうにつきましても責任を持っていただく、分担してそれぞれの御専門に目を通していただきまして、さらにその研究の進みぐあいもチェックしていただくようにいたしましたので、私は有効に交付金が使われたと思っております。その交付の対象も、東大ではそういう交付をいたしませんが、たとえば東大でこういう研究を進めていってほしい、将来の人工衛星を考えると、たとえば電源のようなものをいまから進めておいてほしい、そういう希望を申し入れまして、科学技術庁でそれのほうを採用して進めてもらっておるのも何点かございます。そういうふうに小さいところからずっと協力態勢を進めてまいりました。
 それから小型ロケットを昨年は十基未満上げましたが、これについても私たち十分タッチいたしまして、東大の小型ロケットとの重複も避けましたし、そのうちの一つのSBというのは、将来の気象ロケットを目標にして本部のほうで長い間やっておりましたが、たまたま東大のほうでもそれと同種のものがございます。東大のほうは、たとえば外側のチェンバーは金属でございますし、本部のほうは強化プラスチックでやっておりまして、はからずもそのどっちがいいかというコンクールみたいになったわけでありますが、どちらも一応所要の目的を果たしまして、来年度からは気象庁が独自の立場でそのどちらを採用するかになるかと思いますけれども、気象庁がそれを年間十二基打ち上げて気象観測をやる。最初の実用ロケットが、両方でデベロップしたものが気象庁に移ったと言ってよろしいのではないかと思います。
 一方、液体燃料ロケットのほうも、これは学術会議もサポートしておりまして、液体燃料のロケットをやはり続けていったほうがいい、そういうバックアップもございまして、その研究も進めておりますが、このほうは予定のスケジュールからは少しおくれておりますが、何とか行きたいと思っております。
 さて、四十五年度に実用衛星計画というものを昨年立てましたが、それについても、東大と科学技術庁と合同の技術委員会を本部に持ちまして六回やりまして、大体一段目、二段目固体、三段目液体、四段目固体、東大のほうは四段全部固体でございますが、こういうものを進めておく必要があると考えてやりました。その一段目、二段目の固体につきましては、東大のミューロケットの技術をすぐそのまま入れる。しかし、いろいろ計算してみますと、ミューロケットは科学衛星を百キログラムぐらいのものは、現時点では五百キロの高度に上げられるけれども、実用衛星ですと百五十キログラムを少なくとも千キロメートルの高度に上げなくてはならぬ、こういう使用者側の要望からどうしてもミューロケットを大きくしなくちゃいけない。このことは、宇宙開発審議会にも技術部会がございましてたびたび議論いたしました。
 私たちは、できるだけミューの技術を本部に早く移して、それをちょっとふくらましたところで何とか実用衛星を考えておりましたが、宇宙開発審議会の技術部会では、もっと大きなプロジェクトにしたらどうだ、ミューよりももっと大きなもので、将来の予想を考えて十分な実用衛星を上げられるようにしたらどうだ、こういうふうな御意見もございましたが、直ちにそれを取り入れても、何とか四十五年の計画には間に合うと考えております。
 と申しますのは、ミューロケットの地上の開発というのは昨年もう済んでしまいまして、本年度にミューロケットを二基上げたいと考えております。東大のほうの計画を申しますと、今年度中にミューの一段目を上げ、その次にはミューを二段つなぎしたものを上げる、それから四十二年度にミューの三段つなぎ、それからミューの四段つなぎ、それから科学衛星、こういう段階になるわけでございますが、一番大事なエンジンのところは昨年二回やりまして成功したもので、実はそのエンジンを設計する技術者、技術者というか、教授、助教授――糸川さんもそのうちの一人でございますが、もう手があいてしまったわけで、東大としてはミュー以上はやりません、ミューより大きいものは開発しませんということは宇宙開発審議会でも私たびたび申し上げまして、ミューより大きいものがどうしても実用衛星に必要だということがわかっておりますので、これは本部で開発していただく。で、ミューの開発のエンジンのところだけ一これからは羽をつけたり飛ばしたりというのは何回もやらなくてはいけませんが、エンジンのほうの教授、助教授の方は手があきましたので、私はことしさっそく本部のほうにそういう委員会をつくっていただいて、当初は一・六メートルのものを設計するつもりでございますが、それよりもう少し広げたらどうなるどうなるという机上計算を、設計をことしは早々に始めていただきたいと思っております。
 この五カ年計画では、その第一段、第二段というところのものは四十二年度から地上試験を行ないまして、そうして取りまとめて、できれば四十三年度に飛しょうしたいといっておりまして、四十一年度にはミューの成果を待った上で、それを大きくしていったものをつくる計画にしておりますので、予算請求は四十一年度はいたしませんでした。昨年の予算請求の段階ではしなかったわけでございますが、ミューが順調に進みましたので、予算はなくともさっそく本年度四十一年度、大型のものを本部を中心にして、もちろん東大のほうもお手伝いいたしますけれども、全国的に、そういう大きなものをつくることが意義があるかどうか、また、実用衛星を上げるとすれば、どうしてもミューより大きいものが必要だということが私たちわかっておりますので、何がしかの研究を早々に開始させていただきたいと思っておりすす。そうしますと、五カ年計画にめどがつくわけであります。あと三段目、四段目、上のほうにたりますと、なるべく軽い胴体が必要でございまして、東大は重点を非常に張力の強いはがねのほうに向けて進めておりますが、本部のほうは昔から強化プラスチックの胴体をやっております。そのほうは先ほどの気象ロケットとしては完成しましたので、今度大きな直径のものを重点的に本部のほうで開拓してほしいということで、もっともこれは今年度強化プラスチックの大型ロケットの地上試験の予算がお願いしていただけましたものですから、これをやっていただく。東大にも、昨年から私、申請して文部省の強化プラスチックの研究班をつくっておりまして、基礎研究をやっておりますので、その班と本部とで一緒になって今年度の計画を効率よくやれるように同じく委員会をつくって進めていくつもりでございます。
 液体燃料のもう一つのロケットにつきましては、これは東大のほうに専門家もあまりおりませんが、幸い航空技術研究所のほうに若干おりますので、航空技術研究所と本部とが一体になりまして、推力三・五トンの液体燃料の打ち上げを四十一年度にはやりたいと思います。そういうふうなわけで、本部のほうでは、東大でやれない非常に大きなものをこれからやる。しかも、重点的に問題をしぼりまして、ただいまのMより大きいものの固体燃料、それから液体燃料の三・五トンクラスをデベロップする、それから特殊な胴体、FRP、強化プラスチックとか、こんなふうに進めてまいるつもりでございます。
 それから実用衛星の使命と申しますか、どういう実用衛星をやったらいいかということは、宇宙開発審議会でもまだ議論がやられているところでございまして、なかなかこれだというふうにきめることはいかない状況でございます。世界情勢が一年一年動いておりますので、低高度の通信衛星は日本でもやれるなと思っているうちに、ただいまはもう静止衛星の時代に三年たったら変わってしまった。私たち四十五年度までに実用衛星を上げようとしたときに、どうしたらそのときの世界情勢におくれないものがつかめるかという点で、いま急に使命をきめるよりは一年一年ゆっくり考えてきめたほうがよろしいかと思います。しかし、そのときにどの程度の実用衛星、つまり重さ、高さ、それを推定いたしまして、それに間に合うような大型ロケットを本部のほうでお世話する必要があると思いますので、いまその辺も十分考えて、ロケットの完成に少なくとも一二年かかりますので、三年たったときに、もしそれが役に立たなかったら、これはたいへんなことになりますので、ひとつ慎重に実用衛星の使命については時間をおかしいただきまして、その間にどれかには必ず役に立つ大型ロケットを本部の力で開発してもらうというふうに、現在両方、東大とも科学技術庁とも話し合いまして了解がついた点でございますので、この点を御報告させていただきたいと思います。
 それから人工衛星のたまの部分の研究につきましては、これは科学衛星というものが東大のほうでデベロップしておりますと、それは全く同じく応用できますので、どういう実用衛星が出ましても、その経験が即本部のほうでそれにつけ加えて大型にするとか電力を増すとかというところで解決できると思いますので、この点も時間的につながるばかりでなく、計画がダブっているとは私は全然考えないのでございます。時間的に先行して少しでも基礎的な部分は解決して、その上から応用して拡大するというものを全部科学技術庁か、その他のほうでやっていただこう、こう思っております。
 これは人工衛星問題で申しますと、わずかロケットとたまだけの問題でございますが、人工衛星になりますと世界を回りますので、世界にどういう電波  日本の上げた人工衛星を電波で追跡して、あるいはカメラでとらえていくネットワークが必要でございます。
 それからデータをとるためのステーションも国外の協力あるいは自己で設置することも必要になるかと思いますが、こういうものはやはり早くきめなければいけませんが、また、国外にも関係があるものでございますので、そういうものをどういうふうな機構で進めていくか、そのほうの下準備ができて初めて人工衛星を上げることが意義があることになりますので、あわせてそういう点、また、データセンターとか大きな計算機センターも必要でございますし、国外との連絡通信線をどういうふうにつくるかということも必要でございますし、あるいは外交関係の折衝ということも必要でございます。とりあえずわれわれが築いたこういうシステムが必要であるということを宇宙開発審議会に申し上げまして、だんだんとそういう点を固めていただくようにしております。私一年、ようやく併任したばかりで十分努力ができなかったかもわかりませんですが、私なりに一生懸命に人間の融和と申しますか、有能な人材をどうやってつなぎ合わせて、そうしてこの東大で少しでも進んだことを早くどうやって移せるかということをいま一生懸命やっております。その点をちょっと御報告させていただきます。
○中曽根小委員長 どうもありがとうございました。
 それでは兼重参考人にお願いいたします。
○兼重参考人 宇宙開発審議会は委員の任期が二年ずつになっておりますが、最近の、現在の委員になりましてから最初の総会は、昨年の六月二十九日に開かれました。そのときに、審議方針や部会の構成をきめましてから、昨年十二月三日にその次の総会を開いております。その間は、総合部会が数回、技術部会が数回開かれまして、そこに提出されました問題を審議したのでございますが、その審議いたしましたことは、当時すでに大蔵省のほうに各関係の省庁から提出されておりました概算要求についての意見を求められております。ところが技術部会でその問題を検討いたしますときに、日本ではどういう長期計画をもって進むのかということがわからない、あるいはきまっていないと、その問題について意見を言うことはむずかしいということがございまして、各省庁から宇宙開発長期計画案というのを提出してもらったのでございますが、これは各関係の省庁がそれぞれ自分のところで考えられた計画でございますから、それの全部がそのまま生きるのがしかるべきであるとも言えないものかと思うのでございます。それで技術部会では、そういうことについてもう少し長期的な問題を議論したいという希望がございましたけれども、当面要請されておりますことは、初めに申しました四十一年度にすでに概算要求として提出してありますものについての意見でございましたので、その技術部会の委員あるいは専門委員という人のそういう要望はいずれあとでするようにするからというふうに申しまして結論を出してもらったわけでございますけれども、その結論は、あとのことはいまはっきりきまっておるわけではないが、とにかく段階的にいま要求されておることはいずれも必要なものと思う、こういう意味の意見を出したわけでございます。しかし、これは特別に諮問を受けたわけではございませんから、それの答申ということではありません。しかし、宇宙開発審議会は答申を受けなければ何も一声えないわけではございませんので、意見としてきめましたけれども、それを特に内閣総理大臣のところへ提出するという手続はとっておらないのであります。そういうことで昨年の半年を過ぎたのでございますが、一昨年もやや似たようなことがございまして、ちょうど一年前そのような状況であったものでございますから、引き続いて専門委員である人などは、そういうふうなことの前にぜひ長期的な観点からの検討をしたいという希望が強うございまして、私は技術部会の主査も兼ねておりますので、その御希望にできるだけ沿うように努力をする約束をいたしたのでございます。ところが、十二月の三日にその意見を総会できめたのでございますが、今年は特に一月の半ば過ぎまでは政府予算の決定で担当の各省庁ともたいへん多忙でございましたので、それが過ぎましたあとでは、なるべく早く長期の計画というようなものについて審議会で検討したいということも事務局のほうに申してございますが、いろいろ事情があるようでございます。特に何か予算関係で、開く費用にもずいぶん苦心しておるようでございますから、私も現在までに開かないことにいらいらしてはおりますけれども、十二月三日以降活動いたしておらないのでございます。先ほど来、他の三人の方がお話しになりましたようなことは、宇宙開発審議会の総会あるいはそれぞれの関係の部会で伺っておりますから、そういうふうなことを何も知らないでやっておるわけではございませんけれども、そういうようなことを審議会がそれで認めたとか認めないとか、そういうようなことをはっきりはさせておりませんが、特に高木さんが、東大の宇宙航空研究所の所長で、科学技術庁の宇宙開発推進本部長と両方兼ねていろいろ苦心をしておいでになりますことは、十分認識をした上で検討は進めたつもりでございます。
 ただ、このほかに、表にあらわれておりませんけれども、宇宙開発審議会が日本の宇宙開発を進めるのに、小さなことではありますけれどもお役に立ったかと思いますことは、実は東大のほうで今度試験をされますのに、百三十六メガの試験用の電波の割り当てを申請されておったのでございますけれども、そのお話がなかなか進行しませんでした。それで進行しない理由の一つに、こういうものをどこに割り当てるということは郵政当局としては非常に重要な問題でありますから、将来の見通しを立てた上でしたい、こういうことでございました。そこで、将来の見通しを短期間に立てるということは困難でございますから、とにかく今度の割り当ては東大で計画されております追跡用の方式の検討、これでいいか悪いかということの見当をつけるための試験だけに使う、そういうために臨時の割り当てのようなことをする。それが割り当てを受けた実績を将来にわたって主張するようなことで、将来この問題が決して禍根にならないようにということを宇宙開発審議会の皆さんによく認識していただきまして、宇宙開発審議会の議事録の中にそういうことを載せました上で、その臨時の割り当てはしてもらったのでございます。そういうようなやり方をこれから将来の本格的なものについてもやるということは大事なことであろうと思っておりますが、まだ将来の問題については、宇宙開発審議会のほうで検討する段階に入っておりません。
 私は現状を多少申し上げまして、あとまた御質問を受けましたときに、私のできる限りのお答えを申し上げることにいたしたいと思います。
○中曽根小委員長 どうもありがとうございました。
 それでは質疑の通告がありますので、それを許します。田中武夫君。
○田中(武)小委員 私は、まず糸川先生にお伺いいたしたいと思うのですが、それはきょう先世が参考人として言われましたことに直接関係があるかどうかわかりませんけれども、実は昨年の八月五日の当委員会で、先生が中心になって開発せられたのだと思うのですが、カッパー8型ロケットが、プリンスでつくられて伊藤忠の手でインドネシアへ輸出せられたという問題を論議したことがあるのです。そのときにいろいろ議論になりましたのは、第一点が、カッパー8型は改良することによって武器になるのかならないのか。それから、大学等で開発をせられた技術が商品として輸出せられるに至った経過といいますか、いきさつはどうなのか。それから、そのインドネシアヘの輸出にあたっては、インドネシアの国家機関との間に契約ができたのかどうか。そこでマレーシアからの抗議等がありまして、若干外交上の問題を考慮しなければならないのじゃないか、こういった点が実は論議せられたわけなんです。ちょうどそのときに糸川先生は現地のほうへ行っておられたように思っております。そこでひとつ先生から、この委員会でといいますか、これは小委員会ですが、本委員会のほうで議論になりましたので、一番お詳しいと思いますので、その点についてまず御説明を伺いたいと思います。
○糸川参考人 あとでいろいろきょうの趣旨に関連してお聞き願いたいこともございますので、できるだけ簡単にお答えさせていただきたいと思います。
 まず第一の御質疑の、武器になるかならないかでございますが、カッパー8型は武器になることが技術的に全く不可能でございます。それは何も誘導装置がついておりませんし、また、誘導装置をつけるとすれば、全部新しく設計し直して、新しくつくったぼうがはるかに経済的なんであります。つまり古い家が一軒ありまして、そのうちを改造してビルディングにしようというようなものでございまして、それはもう家をつぶして新しくそこで建てるほうがずっと早いし、経済的であるということで、これは全然技術的に不可能でございます。
 それから、輸出の経緯でございますが、日本はコスパーという国際宇宙研究連絡機構に入っておりまして、日本学術会議がそのメンバーでありますが、日本の宇宙研究、いままでやりましたカッパーロケット、ラムダロケットの研究は、全部コスパーのメンバーとしてやっております。そのコスパーの中でIQSY特別委員会という太陽の静かな年の観測のための特別委員会ができまして、その中にまた日本がメンバーとして加わりましたし、また、私自身もそのメンバーの一人でございますが、そのIQSYの委員会のまたサブコミッティで後進国を援助するための委員会といったようなものができまして、太陽の静かな観測年の機会に、できるだけ多くの後進国にこの計画に参加してもらおうじゃないか、それを指導しようじゃないかという委員会ができましたわけでございます。その委員会の決議に二つございまして、一つは静かな太陽の観測年は昨年で終わりましたのですが、時期が非常に差し迫っているので、後進国が自分でロケットを開発しても間に合わないだろう、ですから、先進国、つまりソ連、アメリカ、フランス、日本、主としてこの四カ国でございますが、そういうすでに宇宙観測用のロケットを持っている国は、できるだけ後進国に対して供与もしくはそれを売り渡しいたしまして、IQSYにできるだけ多くの国が参加できるようにしようじゃないかというリコメンデーションが一つございます。もう一つは、IQSYに間に合わせるために発射場を後進国各国が自力で、自分の費用で、できるだけ早く設置しろということ。飛行機と同じでございまして、ロケットはわりと簡単に手に入りますけれども、発射する発射場が、土地の問題もございますし、建設の問題もございますので、非常に時間がかかるのでございます。飛行場問題というのは飛行機より先にきますので、その発射場建設計画については、よその国の援助は受けないで、自力で、各国が自分の費用で開発しよう、しかしロケット購入計画につきましては、国連から何がしかの金が出まして、その費用で購入しましたもの、あるいは贈与されましたもの、それからお金を出して、コマーシャルベースで買いますもの、この三つに分かれますけれども、とにかく方法のいかんを問わず、それに協力せよということでございます。
 二番目の、商品になりました経緯は、その三番目のケースに相当いたしまして、インドはフランスとアメリカからロケットの供与を受けました。パキスタンはアメリカとフランスからロケットを購入いたしました。これはコマーシャルベースで購入いたしました。いずれも政府が開発した宇宙観測用ロケットでございますが、コマーシャルベースで購入いたしました。それからインドネシアは、最初は無償供与を受けたかったのでございましょうけれども、こちら側の準備が全然できておりませんし、そういうルートもございませんし、また、日本はいままで無償供与で、政府間でほかの政府に観測ロケットを供与した前例がございません。いろいろ御相談もしましたのですけれども、むずかしかろうというところで、三番目の、コマーシャルベースで売り渡すというルートをとったわけでございます。しかし、その背後にはいまのようなコスパーのリコメンデーションがございまして、したがって、向こうから参りましたリクエスト、要求は、インドネシアのコスパー委員会でございますコスパリンという委員会がございます、これはコスパー・インドネシアをつづめましてできましたコスパリンという、ちょうど日本でいうと原子力委員会に相当する政府機関でございます。所属はミニストリー・オブ・ナショナルリサーチ、科学省に所属しておりまして、科学省大臣がコスパリンの委員長を兼ねております。そのコスパリンを通しまして、コスパーでコーディネートしたIQSYのために使うロケットであるということを明確にした上でオファーがあったわけでございます。
 それから、三番目の問題もそうでございます。ちょうどそのとき、私がインドネシアへ行っておりましたのは、先ほど申しました、後進国が発射場を自力で建設しようという要求のための技術指導員がコスパーで選挙されまして、私がそれに当選いたしまして、IQSYのためにつくるロケット発射場の技術的なガイダンス役を引き受けたわけでございます。そのためにいままで参りました国は、ユーゴスラビア、それから、インド、パキスタン、インドネシア、三国でございます。その前にアルゼンチンにも参りましたが、これはその委員に就任する前でございます。正式にそのガイダンスをやります責任者として参りました国はそれらの国で、いずれも同じような指導で、ロケット発射場をつくるには、最初にミニマムどれくらいな要求面積でありますとか、安全性でありますとか、そういうものが要求されるかということの指導に参りましたわけでございます。
 この概要と申しますか、もっと詳しいものは、国連が、テクニカル・マニュアル・ロケット・レーンジ、つまりロケット発射場に関する技術的なハンドブックという名前で、国連の予算で刊行する計画を立てておりまして、いまそれぞれの執筆者に書いてもらって、三月中ぐらいに脱稿いたしまして、四月の末には国連からこれが本になって出るわけでございます。
 以上です。
○田中(武)小委員 コスパーというのは国際的な公的機関なんでしょう。国連の中にある公的機関でしょう。
○糸川参考人 これは公的機関かどうか、ICSUという、インターナショナル・カウンシル・オブ・サイエンティフィック・ユニオンズという学術団体がございまして、その中のまた特別委員会でございます。しかし、ICSU、インターナショナル・カウンシル・オブ・サイエンティフィック・ユニオンズというのは国連とは関係ございません。つまり各国の研究者を横に集めた学術連合団体ということで、これが政府ベースでできておる団体かどうかは多少議論があるようでございます。そうではないと思います。
○田中(武)小委員 インドネシアのコスパリンですか、これは政府機関だとおっしゃいましたですね。
○糸川参考人 そうでございます。
○田中(武)小委員 そういう政府機関からカッパー8型を輸入したいといいますか、ほしいということは、一体どこへ言ってきたのでしょう。そして三十八年に6型をユーゴへ出しておりますね。これはいわゆる商業ベースでなく……。
○糸川参考人 商業ベースです。全然変わりません。全く同じ三井物産がやりました。売り渡し主は三井物産でございます。
○田中(武)小委員 それじゃ三十八年の6型も、三井物産の手で商業ベースで、貿易として出たわけなんですね。
○糸川参考人 さようでございます。
○田中(武)小委員 このコスパリンから8型に対しての申し入れが一体どこへなされて、そして東大で開発したカッパー8型がメーカーであるプリンスによって製作をせられたいきさつ、それを今度は伊藤忠の手で商業ベースでコスパリンとの間に契約をつくったと思うのですが、そういうようないきさつ――と申しますのは、われわれが疑問に思うのは、東大が、まあ大学ですから国の費用等で開発せられたものが、一メーカーで生産せられ、商品となったところのいきさつ、それがまた商社の手で輸出せられたといういきさつについて、われわれはまだ釈然とせぬものが実はあるわけなんです。その点についてもう少し詳しく御説明を願いたいと思います。
○糸川参考人 大学でやっております研究は、全部研究報告が公開されておりますので、どのメーカーでもその資料を使いまして、ロケットを製作することができます。したがって、プリンス自動車のみならず、どこのメーカーでも東京大学の報告によりまして、われわれが開発、完成いたしましたロケットを製作することができます。また、それを、通産省が許可を与えれば、国外に輸出することができると思います。
○田中(武)小委員 そのときにちょうど先生が現地へ行っておられたので、いろいろと憶測というか、ありまして、先生はいまこういうことで行っておったのだということを言われましたが、どうもプリンスかあるいは伊藤忠等の技術顧問とかいうようなことで向こうへ行って、カッパー8型の発射装置の設備といいますか、あるいはそういうことに関連する技術の指導ということで行っておられるのじゃないか、したがって、東大の先生が――これは決して一メーカーの顧問になることを禁じてはいないと思いますが、それにはそれだけの手続等が必要だろうと思うのですが、そういうことで、どうも先生が何かメーカーの技術顧問のようなかっこうで向こうへ行っておられるのじゃないかというような憶測もあったのです。いまのお話ではそうでなかったのですが、そういう点、あるいは東大が開発したものは一般に公開する、公開するならば、だれがそれをまねしてもいいのだ、こういうことですが、しかし大学で開発したものでも特許というものはとれると思うのですね。そうでなければ、大学の開発は、なるほど学術の研究ということで必要であるけれども、それはどこかのためにやったということに結果的にはなりはしないのか。やはり国の費用で国の機関でやったのならば、必要なものは、たとえば東大、あるいはそれを発明なり発見せられた個人の特許としておいて、それを各メーカーが使うならば、ある程度のロイアルティーはとってもいいのじゃないか。そういうようなことも考えますが、その辺の事情についてはいかがでございましたでしょうか。
○糸川参考人 最初のメーカーのコンサルタントで行ったのではないかという憶測は、全然違っておりまして、私はいままで海外にたびたび出ますけれども、全部相手国政府からの正式の招待状と相手国政府から贈られました飛行機の切符で行っております。インドネシアに参りましたのは、ガルーダの一等の切符をインドネシア大使館から贈られてまいりました。日本人のエンジニアもたくさん参りましたけれども、全然別グループでございます。泊っているところも別でございます。たとえば、ジャカルタから現地までの交通は、メーカーの人は自分で自動車に乗っていきますが、私は向こうから飛行機が出まして、専用機で全部行き来しておりますし、コスパーの指導員として取り扱われておりますので、費用の出どころ、取り扱いは全然別個でございます。いま申し上げたとおりでございます。
 それからパテントが取れるかどうかということでございますが、いままで私どもの研究がペンシルロケット以来十一年間続いておりますが、東京大学として特許を取ったものは一件もございません。そういう政府機関が特許を取りますと、その研究者に対してどれだけの報償をするかという、御承知のたいへんめんどうな問題がございまして、各政府機関とも同じだと思うのですが、東京大学でもいろいろルールは教授会でディスカスされますけれども、あまりはっきりとした結論は出ておりませんので、一件も特許はございません。
 それからロイアルティーを取れるかどうかということにつきましては、宇宙開発の研究の公開件と国際協力の精神から、できるだけそういうものは取らないで、オープンにして、技術資料を出し合おうじゃないかということが精神になっておりますので、これ台各国ともお取りになっていないと思いますし、われわれのほうも取った実績もございませんし、いまのところ取ることも考えておりません。
○田中(武)小委員 東大とかその他の大学等で、これは先生に聞くのがいいのか、あるいは兼重参考人あたりに聞くのがいいのかわかりませんが、研究したり開発したもので、特許を取っておるものもあると思うのです。その特許を取ると取らないとの基準といいますか、そういうものをひとつ――これは高木先生でもいいと思うのですが、大学あるいは研究所自体に一つの基準でもあるのかどうか。そうでなければやはり何だか割り切れぬものが残ると思うのです。
 それからメーカーがつくって、この場合はプリンスがつくって伊藤忠が輸出した、その商品としての価額、これなんかの決定は、これはもちろん先生は関係していないのだから知らない、こういうことだろうが、やはりいろいろなことについて御相談なんかを受けるのじゃないかと思うのですが、そういうことがあったのか、なかったのか、あるいはそういう大学あたりで開発したものをどこかのメーカーが利用して商品に仕立てていく、その商品の価額というようなものはどうしてきまっていくのか。これは実際要った費用にプラスアルファということできまるのか、そこに開発費に相当するような、言うならば特許料に当たるようなものが入っておるのじゃないか、こういうようなことも考えられるのですが、そういうふうな点について、価額の決定、あるいは現実に輸出いたしましたカッパー8型の金額等、先生がお考えになって高いとか安いとか、いろいろな点があろうと思いますが、価額の決定と、それから、これは糸川先生あるいはほかの参考人の先生でもけっこうです。大学等が開発したものに対して特許を取る、取らないの何か基準があるのかないのか、そういうふうな点をひとつお伺いいたします。
○糸川参考人 価格のことは一応調査いたしまして存じておりますが、しかし正確に全部のことは存じませんのでございます。それは何か商行為の何とかというものがございまして、全部こまかいことは言ってくれないわけなんですけれども、研究開発費に相当するものは、インドネシアに出しましたものは十基でありまして、その一基、一基に対して観測項目がきまっております。たとえば一号機と二号機は宇宙線の観測機、三号機と四号機は気温と風の観測機、五号機、六号機は電離層観測機というふうに、十号機まで全部観測機としての要求がきまっておりまして、つまりそれ以外の観測項目は観測できないロケットに設計されております。これはインドネシアのコスパーが要求いたしまして、それぞれの観測項目をきめましたので、それに対してプリンス自動車は、それにマッチした設計をするために特別な設計図面をかいております。つまり東京大学でつくりましたカッパーロケットというものも一基ずつ全部違うのでございますが、インドネシアへ出しました一号機から十号機までも全部違いますので、要求に応じまして一枚ずつ図面をかきましたし、ものによりましてはそのために新しい地上実験もやったと思います。そういう費用は含まれておると思います。しかし、それ以外のものは含まれていないと思うのでございます。
○高木説明員 私からはちょっと……。あまり適当でございませんですが、特許は、たとえば宇宙研では規定がまだございません。大学全体がそうだろうと思うのですが、職務発明というのですか、任務発明というのでしょうか、その辺の区分が、大学の先生の場合に非常に不分明なものでございます。しかし、ある先生によっては、総長が権利保有者になる特許を出す人もございますし、個人でお取りになる方もございます。それに対する報償制度は文部省のほうではきまっていないのではないかと思います。私の研究所では、まだそういった特許規定はございません。御専門の方からひとつお願いしたいと思います。
○田中(武)小委員 大学のことについては、科学技術庁だけではできないと思うのですが、科学技術庁関係の研究所等も相当たくさんあろうと思うのですが、そういう公的研究機関で開発したり、あるいは発見したというものに対して、特許等を取る基準というものを考えておられるかどうか。あるいは、あるとするならば、今後その上に立ってやっていこう、あるいは、ないとするならば、今後そういうものをつくる必要があろうと思うのですが、どうなんですか。それから大学等については、文部省との関係もあろうと思うのですが、それについて調整局長はどう考えておられるか。
○高橋(正)政府委員 当庁につきまして職務発明規程というものは現在ございませんので、振興局におきましてただいま検討中でございます。ただ当庁関係の本部につきましては、契約をいたします際に、これは特許になっておりませんものも含めまして、委託研究の成果の利用につきまして甲である本部長の指示に従うこと、前項の規定によりまして利用または処分によりまして乙――メーカーのほうが収益を受けた場合には、その全部または一部に相当する金額を国に納付させることができるということになっております。
○田中(武)小委員 もう一問だけですが、そういう点については、昨年の八月五日の質問のときもいろいろ論議せられたと思いますが、やはりはっきりした基準をつくっておくほうがいいのではないか、そのように思いますので、これは要望しておきましょう。
 それからちょうど八月五日のこの問題を論議いたしましたときに、高木先生に来ていただいておったわけなんですが、いま議事録を見ますと、高木先生はカッパー8型は大体実費で一基一千万円前後だろうと思う、こういうように言っておられます。実際それを開発された糸川先生、一体実費はどのくらいかかるのだろう。それに対して輸出金額は、これは高いとか安いとか言っておるのではないのですが、百七十一万四千百二十ドルですか、そういう契約になっておるようであります。輸出するのに――私は輸出品が高いとか安いとか言っておるのではないのですが、そういたしますと、中へ入ったメーカーなりあるいは商社があまりにも弔うけ過ぎておるのではないか、もしそうだとするならば、それは当然開発した国の機関へ還元せられるべきものではなかろうか、こう思うので、そういうことを申し上げておるのですが、高木先生は大体一基一千万円ぐらいだろう、こう言っておられますが、どのぐらいだろうか。それで実費と、いま申した百七十一万四千ドル幾らと比べると、相当な金額、これは当然開発をした機関あるいはそれを研究せられた人等に還元せられるべきものが不当にメーカーとか商社に入っておるのじゃないか、こういうような感じを受けておりますので、こういう点についてお伺いをして、質問を終わります。
○糸川参考人 お答え申し上げます。カッパー8型一基の大体の実費は一千万円でございまして、インドネシアに輸出された場合には、輸送費それから保険の費用その他をひっくるめまして大体一千五百万円になっておると思います。したがいまして、実費は一億五千万円でございます。残り三億五千万円はことごとく地上設備でございます。非常に大きいのは栗田工業がつくりました浄水装置とレーダー装置一基、テレメーター装置一基、それに高速度カメラでございます。御承知おき願いたいと思いますが、ユーゴスラビアの場合も同様でありますが、費用の大多数は地上実験用費用でございまして、ロケット自体の費用というのはたいへん安いものでございます。われわれの費用といたしましても、鹿児島に建設いたします実験場の費用が非常にかかりまして、ロケットの費用というのはその数分の一でございます。五億円、六億円の総経費の中で、三、四億が地上設備、レーダー、テレメーター、それから高速度カメラ、それから浄水装置でございます。一億五千万円が約十基のロケットの費用でございます。費用は、全般的にいいましてかなりきついのではないかという印象を受けました。つまり向こうへ行きましてからミスオペレーションで、故障で相当の部品の交換その他いろいろ出ましたので、地上設備のほうの約三、四億はきつかったのではないかというのが全く私の個人的な印象でございます。
○田中(武)小委員 そうしますと、この契約金額の百七十一万四千百二十ドルというのは、発射設備からすべてを含んでおる、こういうことですね。
○糸川参考人 さようでございます。
○田中(武)小委員 そうしますと、われわれが考えているようには、メーカーとか商社があまりもうけていないというのが先生の御意見ですね。
○糸川参考人 さようでございます。
○中曽根小委員長 原茂君。
○原(茂)委員 実は時間がないものですから、先生方に一括して五つばかりお伺いをしたいと思いますが、先にずらりと申し上げますので、ひとつ順次お答え願います。
 最初に、各国とも宇宙開発に相当真剣な態度で取り組んでいるわけです。日本もおくればせながら、いま、ようようその段階にきたわけですが、よくわかりませんから教えていただきたいのですが、各国ばらばらに宇宙開発だというので、この種の衛星その他をどんどん打ち上げるが、空中の交通整理といいますか、何か国際間にこういうものを打ち上げるときの話し合いなり、あるいはお互いに事前に知らせ合うなりというようなことをする義務といいますか、何かそういうものがあるのかないのか。日本は日本でかってなときに自由にいかなる種類のものでもどんどん打ち上げてよろしいのか。端的にお答えいただけばいいのですが、それをひとつお教えいただきたい。
 二つ目に、いまの日本の中心的な開発を行なっておられる先生方が、いままでの経験で何か防衛庁またはそれに関係する機関との間にこの種の技術の交流を行なったことがあるかどうか。逆に言うならば、交流ということばは、こちらから出すばかりではなく、あちらからサゼスチョンを受けたものがあるのか、あるいは指導を受けたものがあるのかということも含めまして、その種の交流というものが一体なされたことがあるのかどうか、現にされているのか、今後その種のことが計画されているのかどうかということを自発的に、いわゆる公開の原則に従って、間接にであれば、いわゆる防衛庁に関係するこの種の会社なり機関なりを通じての交流が行なわれているかもしれないとお考えの節があるなら、それも同時にお聞かせ願いたい。おそらく義務的にその種のものはないだろうと思いますけれども、あればもちろんお聞かせ願いたいのですが、ないと思う前提であってもお伺いしておきますが、それも直接、間接の問題を含めてこの種の技術交流が行なわれているのか、これから行なわれる予定であるのかどうかということを二つ目にお伺いしたい。
 それから三つ目には、先ほど大屋先生でしたか、何かコマーシャルの人工衛星というおことばをお使いになったように思いますが、私は少しぼんやりしておったのですが、もしそういうことばをお使いになったのなら、それはどういうことを意味するのか、ちょっと関連がわかりませんでしたので、お伺いしたい。
 それから四つ目に東大が現に行なってまいりました今日までの打ち上げの燃料に関してですが、固体燃料が中心だというふうにお伺いしたのですが、なぜ一体固体というものにきめて、ずっと固体燃料を中心にお考えになるのか。いわゆる燃料資源の問題から、あるいは経済性の問題からということが一つ。二つ目には、やはり固体、液体ともに研究の段階においては十分に現実に行なってみなければ、日本が独特の立場で検討しなければ優劣は判断できないのではなかろうか。ただ、外国における例を見ただけでわかるという前提にお立ちになったのかどうか。もし固体だけをお使いになるのなら、なぜなのかということをお伺いしたい。
 それから最後に五番目に、これはいま田中委員の質問したことにちょっと関連するのですが、確かに東大等が直接には特許権を申請もしないし、取っていない。おそらくこの種の機関はそういうようなことを考えたり、やっていないだろうという、他の機関に対してもお話があったのですが、国家に関連ある他の機関からはやはり特許の申請が行なわれて、特許が取られ、しかも、その研究に当たった者に何がしかの特許料というものが当然支払われてくるような道がついておりますし、現に行なわれているのです。東大のみがやっていないというのなら、それでいいのですが、ほかにはまだそういう機関で現に行なっているところがあるということです。これは私の意見ですが、もし東大が現にこの種のものをやっていないし、申請もしないし、先生方に対してその特許料というものが入る道を講じていないという場合に、憶測でございますが、先生方のいわゆるグループが集まりました外郭団体のようなものが一つあって、それが技術何とか協会であろうが、何か先生方の独特の勉強の場として、学校というものとは関連のない場所で何か一つのグループをつくられ、研究団体なりあるいは何の団体でもいいのですが、そういうところに、やはり先ほど田中委員が疑念として持たれたような指導料とか顧問料とか、特許料という形にはならないでしょうが、何かの形でそういう学校とは直接関係のない、いわゆる技術者の研究グループ、何とか協会というようなものがあって、そこに原稿料というか、何かの形で多少は返ってくるというようなことを通じて、国家から出る研究費ではとても少ないものを、その種の形で先生個人が無理な努力を――無理ということばは当たってはいないかもしれませんが、そういうようなことを通じて何か研究に必要な力がもう少しほしいという、力を補っておるというようなことが何かの形で行なわれているのではないだろうか。大蔵省がきつく制限するいまのような予算のワクの中で十分だとはおっしゃらないはずです。しかし、研究をする先生方の立場からいうと、予算がないからここであきらめるんだというわけにいかない、それだけの情熱もあるだろうし、それがなければやはり国家的な開発というものが進むはずはないというふうに思うのですが、そういうようなことが間接に行なわれて、それが何か研究のいわゆる推進役をしているという部分があるのじゃないだろうかというふうに一応考えるのですが、そんなものはない。全然そういうことなしに、国が与えてくれる予算のワク内でもう十分やっているし、予算が全然なければ、他からのその種のものは、いかに合法的、あるいは当然の形であろうとも受けていないし、期待もしないということなのかどうかということ。以上五つ、関係する先生方、どなたでもけっこうですから、できるだけ簡潔にお答えいただきたいと思います。
○大屋参考人 いま私がコマーシャルということばを使ったことについての御質問でありますが、コマーシャルというのは実用という意味に使っておるのでございます。ちょうど原子力発電所でもコマーシャルのプラントというのは実用に供せられておる、その意味でございます。
○高木説明員 一の問題は、各国が人工衛星を上げるときに事前予告は要るか、しないかという点だと思いますが、国連の中に平和利用の委員会がございまして、平和的な人工衛星は、いついっかに上げるということを一応事前に通告することになっております。これは日本もその委員会でサインしておりますので、日本がもしこれから人工衛星を上げるときには事前に通告する義務がございます。ただし、国によっては、軍用の人工衛星は全然通告いたしませんし、私、確かかどうか知りませんが、ソ連は全然通告しないという話を聞いております。そういたしますと、国連で受けてから、先ほど出ましたコスパーというところへ回りまして、コスパーから日本は、いついっかに人工衛星を上げますということを知らされます。こういうことで、ただ、これは通告だけで、やってはいけないとか、そういう交通整理的なことは国連ではまだできないようでございます。
 第二点は、防衛庁と交流があるかということでございますが、これは東京大学を中心としております学者どものことで、御承知のことかと存じすすが、全然そういう意図もなければ、また、燃料の違いとかいろいろなことで、すぐに軍用になるとも私たち思いませんでございますが、この点は私、所長として全然そういうことはやっておらない、考えてもおりませんということを申し上げかいと思います。
 あと一番最後の特許のことでちょっと……。東大では取らないというと、ちょっと語弊がございまして、私の研究所の中でも、個人的に特許を取っておる人もおりますし、東大総長の名前で申請しておる人もございまして、その辺は所で統制しておりません。各教授の方の御意見できまります。これは報償制度もきまっておりませんので、このことは訂正させていただきたいと思います。東大でも、ほかの工学部とか、あるいは医学部ではどういうふうにしておるか、私よく存じませんが、工学部でもいろいろなシステムがあるようでございます。
○糸川参考人 これは時間がたいへん長くかかりますが、簡単にいたします。
 宇宙計画というのは、先ほど兼重先生のお話がございましたように、長期計画のもとに行なうべきものでございまして、つまり固体燃料がいいということは、千九百何年から何年までは固体燃料がいい。千九百何年から何年まではまた別の燃料――非常に近い将来原子力に置きかわるわけでございますが、時間の軸の上に乗せて判断していただかないと、その場その場の選択がいいかどうかということは言えないと思います。私たちの選択いたしましたのは一九五五年でございます。これは大体一九七〇年までの十五年間は固体がいいだろうという判断に基づいて採用いたしました。一つの論拠は、当時、液体燃料ロケットは、フォン・ブラウンがつくりましたVUの資料が各国に流れまして、外国が非常に進歩した技術を持っておりましたが、固体燃料については各国とも処女地でございまして、日本がかけ出しで入りまして同じように顔を並べてやれるだろう、つまり各国におくれをとらないでスタートできるだろうというのが一つの理由でございました。現にいま十一年たってみますと、液体燃料の面ではたいへんおくれましたが、固体燃料の面ではAクラスのところに入っているので、そのときのデシジョンの決定が一応いま正しいのではないかと思いますが、これは七〇年くらいまでだと思います。
○中曽根小委員長 岡良一君。
○岡小委員 委員長は宇宙開発についてのいろいろの論議を非常に希望しておられるようですが、田中さんから若干糸川先生に対していろいろお話が出ましたので、一言お尋ねしておきます。
 コスパリンに輸出された十基のロケットは全部打ち上げられましたか。まずその点を伺いたい。
○糸川参考人 これは一基打ち上げるごとにコスパーに報告書を出すことになっております。これは全部の国の義務でございます。現在まで報告が出ておりますのは三基でございます。私の研究室にきております報告も三基でございます。うち二基が気温と風の観測、三基目が宇宙線と電離層の観測、あと七基は、いまインドネシアのジャワ島の南一帯が雨季でございまして、ことしの夏ごろにならないと雨季があけないので、雨季あけを待っての発射計画があるようでございます。
○岡小委員 その打ち上げ計画があなたのほうへすでにそのように報告されているわけでございますか。
○糸川参考人 まいっております。もし必要ならば写しをつくってお送り申し上げたいと思います。報告書もございますし、将来計画もあります。
○岡小委員 実はこういうことをお尋ねいたしましたのは、最近、中共の核運搬手段の開発は案外早いだろう、おそらく一九六七、八年にはそれが実現するだろうということを、アメリカの相当な責任ある地位の者が言っておるわけであります。フランスが中共を承認いたしましたときに、その直後にエレクトロニクスを中心とする非常に精密な科学技術協力協定を結んだと伝えられております。したがって、おそらく運輸手段に関する自動制御あるいは遠隔操縦等についての技術はそこから発展するだろうと思います。
 そこでこの十基輸出したものが三基しか使われていない、残りの七基がもし他国に流れてその核兵器の運搬手段の資料として利用された場合はまことに遺憾千万といわなければならない。現在国際世論が核軍縮に大きな注目を払っているとき、核兵器につながる機器の輸出等については政府としても周到なる配慮を必要とするので、この際政府としての一段の善処を促したい。
 いささかわき道に入りましたが、本筋に戻りまして、ちょうど一昨年だったかと思います。大屋参考人に御出席いただきまして、そのときに私どもは強く、できるだけ早く宇宙開発体制というものを一元化していただきたい。なぜならば、それは大きな画期的な国民的行事であり、日本の科学の達成点を示す歴史的なモニュメントではないか。であるから、ぜひ一元的な体制というもので総力を結集し、最も効率的にこの計画を達成するような機構というものをまず考えてもらいたいということを強く私は要求いたしました。そのことについては宇宙開発審議会における総合部会長として大屋さんも種々御努力になったと思いますが、いまお話を聞きますと、これは昭和四十二年ごろになろうというようなことでございます。私は、長期計画と並行してやはりこの体制の一元化というものは進められなければならないと思いますが、その点について大屋さんとしては少しのんびりし過ぎているのではないかと私は思うのです。あなたも率直にものを言われる方だが、ひとつ率直にそのあなたの苦衷のほどをお打ち明け願いたい。
○大屋参考人 一元化の問題は、先ほどお話し申し上げましたとおり、宇宙開発審議会の公の答申にもそれをうたっておるわけでございます。ただ、いつかということがたいへん問題になるので、私は、個人の資格で、この間の総合部会のときに、ある案を提出しました。その提出しました案は、これから予算等の関係がありますから、四十二年にひとつそういう一元機構をつくりまして、その手でもって実用衛星の打ち上げの準備そのほか一本にまとめてやろうじゃないか、こういう案を提出したのであります。これは私個人の案として提出してみんなの批判を仰いだのでありますが、大筋では賛成しますけれども、個々の問題になりますと、せっかくここまでやったのだから、もう少し自分たちの力でやりたいということと、それからもう一つは、そういう一元機構にそれだけのエキスパートを急に集めることができないから、そういうことにするのだということを目標にして、時期については少し考えさせてもらいたいということで、いま小委員会というものを設けてやっておるのであります。この問題については、この前もおしかりを受けたのであって、宇宙審議会はなぜああぐずぐずしているのだ、こういうのでありましたが、また一方においては、大学というものが今日まで独壇場の形で推進というものを進めてきておる立場も多少考える必要がありますし、私は、その時期についてはもう少し考えさせていただきたいということを申し上げたのはそういうためでありますが、趣旨はお話のとおりでありますから、できるだけその方向に努力をするようにつとめることにいたします。
○岡小委員 兼重さんにお伺いいたしますが、この第三次答申は一元化という方向を一応打ち出しておるようでございまして、これは一歩前進とも私は考えておりまするが、この間の会長としての御心境を承りたい。
○兼重参考人 私もとにかく何かの機構ができることは必要であると思いますし、そのできることを望んでおりますけれども、どういうことをする機構をまずつくって、それから進んでいくかということについては、よくみんなの了解を得てから進みませんと、ただ機械的に一元機構ができても働かないのではないかと思います。いま私がこういう公の席で申しますと幾らか差しさわりがあるかと思いますけれども、それはたとえば気象観測ロケット、気象用のロケットでございますね、それについては現在一元化されていると私は思うのでございます。その三号答申の線から申しましても、そういうふうになっておると思うのでございますが、せんだって、いま大屋さんがお話しになりました一元機構の問題のときに、気象庁の長官から、自分たちは困っておるから、ぜひ一元機構というものを早くつくってほしいという発言がございました。私はその会のメンバーではございませんから黙っておりましたけれども、現在でも気象用のロケットに関する限りは一元化されているのに、なぜそういうことが出るのか。それからまた、先ほど糸川さんからもそういうことを、これからも何かやるような話がございました。それは結局、気象ロケットについて、気象庁から科学技術庁のほうに注文が出ますと、科学技術庁で開発した気象ロケットを使うということがくっついてくるのじゃないかと思うのでございます。むしろそうではなく、一元化された機構で、日本じゅうはもとより、広く世界じゅうに、その注文に最も合うロケットをさがして注文に応じるようなふうにできますと、注文者はいつでもそこにいけばいいことになりますが、そこが、開発を同時にやっておりますと、人情とか、あるいは機構的にもそこで開発したものよりもほかがやったものがいいということになるのはおかしいことでございますから、いまのようなふうになることはきわめて自然な結果じゃないか。したがって、その一元機構というものはどういうことをやり、どういうことをやるべからざるかというようなことをよく考えました上できめませんと、形の上ではできても、実際はそう動かないようなことが起こることを私は心配しております。私自身はいつも石橋をたたいても結局渡らない男だといわれるくらい心配ばかりする男でございますから、私がそう心配するほどではないのでございましょう、実際に動いていいのでございましょうけれども、まあそういう点も考える必要がある。そういう意味で、一元化がどういう内容を持っておるかということによりますけれども、いま御希望のようなふうにはなかなか動いておりませんことは私も感じております。そういう意味では、そういうことをもっと検討する機会、時間はたくさん持ったほうがいいと思っております。
○岡小委員 単に、人工衛星を打ち上げるということが、日本の科学の発展途上における歴史的な記念碑的な行事であるというだけではなく、私は、一元的な体制で解決をしろということを、宇宙開発という科学そのものが要求していると思うのです。それがまた近代科学の本質だと私は思うのです。そういう意味で、高木さんが東大の宇宙航空研究所長を兼ねられ、推進本部長を兼ねられるということは、私はともかく一歩前進だと思う。しかし、これは高木教授としてもイバラの冠をいただかれたということを私は申し上げたことがあると思うのですが、その後一体どのようにあなたのこの一元化への方向が進められておるか、兼重さんからも事情をお聞きいたしましたが、あなたの立場からの苦衷のほどをひとつお聞かせ願いたい。
○高木説明員 一元化機構というのは、いま体制小委員会でいろいろ論じておりますが、何を一元化するか、つまり日本の宇宙開発の計画を一元化するのを一元化というのか、あるいは一カ所だけでロケットをつくるのを一元化というのか、ロケットの実験場は幾つもあってはいけない、一つだけでやるのを一元化というのか。たとえば実用衛星ともなりますと、最終使用者が、たとえば気象ロケットですと気象庁、あるいは航海衛星ですと運輸省、通信衛星ですと電電公社とか、あるいは放送衛星ですと放送局、こういう場合にそれぞれにユーザーとしてのいろいろ専門家もおりますので、そういう設計はやはり自分のところで一番指導権を握ってやる、こうなったときに、たまだけはどこかで一括してやるのか、あるいは各省が持ち寄ってやるのか、こういうことを各省の方にお集まりいただいて議論しておりますのですが、なかなかきまりません。私としては、まず第一着手にやらなければならないことは、各省庁、大学も含めて、出てくる企画をどうやって一元化、というと語弊がありますが、全部集めてそれを調整していく、これ自体は宇宙開発審議会あるいは技術部会の仕事でございますが、私、もう一歩今年度は踏み出してやりたいと思っておりますのは、とりあえず科学技術庁の中に、これは本部についてもどこについてもけっこうでございますが、そういう盛り上がり、ほんとうにやりたいという人ばかりを、いわゆる長でなく、たとえば放送衛星なら放送衛星でNHKのこういう人が非常に推進力を持っている、そういう方ばかり、若い実行力ある人を集めて、一つの懇談会か技術委員会か、あるいは推進委員会みたいなものをつくりまして、そこで各省庁から出たものを全部集めまして、それをタイムの時限に乗せて、重点はどうだというようなことをやって、宇宙開発の一元化、科学までも含めての一元化というようなことをぜひ私の力で、できるかどうかやってみたいと思います。その上で、それを、もしもここの機関がやったらいい、あるいはそこには優秀な技術者が大ぜいいるからやったほうがいいというのでしたら、さしあたってはそれを分担しないと、そこの人をもぎ取ってくるということができるかどうかということを考えております。
 まず、企画の一元化をやり、その次が機関はどういうふうに分担するか、集合するかということを考えてみたいと思います。たとえば電波追跡人工衛星を日本では上げるとしますと、電波追跡については基礎研究その他は郵政省の電波研究所が非常に進んでおるのでございますが、ここにお頼みすれば一番早くできるとも私は思うのですが、これを国家的に見てどういうふうにそういう機関をつくったらいいか、それは将来できる一元化機構の中に、たとえば電波トラッキングをやるのを入れるのか、それのセンターというのは大きな計算機を持っておりますが、そのセンターはどっちにつけるのかというようなことも、できるだけ摩擦のないように私は考えておるのでございます。私としては、まず第一には、その企画の一元化をひとつ高い次元でここしばらくまとめさしていただきたい、こう思っております。お答えになったかどうかわかりませんが……。
○岡小委員 大屋さんにお尋ねしますが、いま兼重先生、また高木先生からいろいろ経緯、また一元的な機構というものの性格についても若干の御意見がございました。私自身、やはりこの一元的機構というものは実施機関であって、また、そうあらねばならぬ、こう考えております。大屋さんはどうお考えでしょうか。
○大屋参考人 いまお話のあるとおり、もう細部に至るまで何でもかんでも一元機構で実行するというような一元機構というのは、これはあり得ない話でありますから、どこの大筋を一元機構でやるかというのをきめるのが先決問題だというふうな意見もあるのですが、私は、一元機構をつくらないで、それの準備の議論を戦わしておったら何年たってもできない。だから、一元機構というものをまずこしらえて進めるべきだということで、おそくとも四十二年にはそういう機構をつくる。その機構はいまの政府の方針では、特殊法人はいかぬとか、いろいろそういう制約がありますけれども、何か特例としてそういう科学技術庁からも独立しておるような、内閣に直属しておるような一つの特殊法人というものをつくって――これもむずかしいのですけれども、エキスパートは大学なり何なり現に仕事をしている人が兼務でそこへ入ってくるというようなことでとにかく出発しなければ、うっかりすると何年もずるずるとこのままになってしまうおそれがあるから、ずるずるになってしまうということは、日本の宇宙開発が今日のままではいかぬということを私は確信しておる。なぜいかぬかといいますと、大学はなるほど非常な実績を持っておられますけれども、大学ではぶち破れない壁がたくさん各省に関係してあるわけでありますから、そういう意味からも一元化という旗じるしだけは早くあげたほうがいいということをいまでも考えております。しかし、運用ができなければ何にもなりませんから、その運用を円滑にやるためには多少の事前の打ち合わせというものは入り用だと思いますので、いまその面で小委員会を設けまして研究してもらっておる段階であります。
○岡小委員 そこで、いま、実施機関であるかどうかということについて大屋さんのお話を承りましたが、私、宇宙開発審議会の各部会の記録を若干読ませていただいておるのでございますが、高木先生に率直な点をちょっとお伺いをいたします。
 私もやはりこれは単なる企画機関というようなものじゃなくて、行く行くは実施機関というふうな方向をたどらなければ、本ものの、真剣な宇宙開発はできないのじゃないかと思う。その理由は、一つはやはり何といっても巨大な国家の資金を要求する仕事であり、同時に、マンパワー、また施設等において立ちおくれたわが国が急速にこの開発を推進しようとすれば、やはり一本のものでなければならない。
 ただ、この際、誤解のないように私お願いしたいのですが、よく一元的機構と申しますと、何か上から統制された非常に目的意識な、そして学者の研究の自由を束縛するようなものをつくるのではないかというような誤解があっては困ると私は思う。だから、宇宙開発、人工衛星の打ち上げ、こういう大きな目標を掲げたら、おそらくそれにはたくさんのプロジェクトが出てくるわけです。大プロジェクトの下にいわば中プロジェクトも出るでしょう。それは推進力の問題も、冶金工学の問題もありましょう。月物理学の問題もありましょうし、本体そのものも、中身についても、いろいろな目的によってそれぞれ出てくるでしょう。それだけじゃなくて、それが今度は自動制御をやり、遠隔操作もやるということになれば、おそらく何千の回路を持った人工頭脳を持たなければならない。これは高度のエレクトロニクスの発展が必要である。あるいはそれが電気によって動く、あるいは太陽電池というようなものが必要になってくれば、これはやはり新しい発電工学の一つの革命的な進歩というものがそこに出てくるわけです。そろいう大きな展望の上に立って、最初から一つの一元的な体制で進めていくというのが宇宙開発の体制の基本的な姿ではないか。そういう意味で、この宇宙開発機構というものは、やはり一元化されたものが実施機関でなければならないということ、私は強くそう主張したい。
 それから、この際高木さんに聞いておきますが、先生は東大では一・四メートル径以上のロケットはつくらないというようなことを申しておられたと思いますが、今日もやはりそのような御見解でございますか。
○高木説明員 先般のお話、私たいへん同感でございまして、東京大学では一・四メートルというのがミューロケットなんでございます。ミューロケットは科学用の観測として外側の放射能帯まで届くものですから、そこで一応それ以上大きいものはつくらない、これはもうはっきり東大も了承してございます。私ばかりの個人意見ではございません。先ほど申し上げたのは、それ以上大きいのが、ミューでは実用衛星は上がる力がここしばらくはないので、それ以上大きいものをひとつそれの延長として早く本部で着手していただきたい、こういうことを申し上げたわけでございます。それで東京大学でも人数が無際限ではございませんで、宇宙科学者、宇宙工学者について、教授、助教授が百人とか百何十人、その手下が数人ずつあるとしても、五、六百人がやっておることで、もうミューロケットあたりでも手一ぱいでございます。今後はミューより大きいものについて、各省庁なり会社の人を動員してどんどん進めていくべきだと考えております。
 その実施機関についてはどういうふうにできたらいいのか。多分にいま既成のいろいろな優秀な人をかき集めるものでなかったら意味がない。応用範囲が電子工学から材料から非常に広いものですから、そういうところの人をとにかく抱きかかえられるような機構というものが、日本で国立研でできるかどうかということについて、私も非常に憶病なものですから、とりあえずそういう推進の企画の委員会に、メーカーの優秀な人に何とか出てもらって、そうしてその電子機器でも何でもどんどん進めてもらって、そのうちに何かいいものができないか。一年ばかり官庁にあれいたしまして、官庁間の相談というものはなかなか時間がかかるもので、思うようにいかないことが私よくわかっておりますので、まず企画から始めて、御趣旨の実施機関というものになるべく早くどういうふうにしたらいけるかを教えていただきたいと思います。
○岡小委員 それから、先ほど兼重さんからのお話でございましたが、一応臨時の電波の割り当てを受ける、こういうお話でございましたが、言うまでもなく人工衛星はたこじゃないのだから、打ち上げるだけが能ではない。やはりあとを厳重にトレースをしながら、観測なら観測のデータを集めなければならぬ。いまたとえば東大で一応打ち上げられたあるいは打ち上げるという場合、電波の臨時の割り当てだけじゃなしに、これは国内に済むでしょうが、国外的にもやはりトレースステーション等が必要だと思うが、そういうものはやはり設定されるお気持ちでございましょうか。
○高木説明員 まず電波の割り当てでございますが、人工衛星は世界の上を飛びますので、ジュネーブにある電波の周波数割り当ての中央局に事前に通告して、そして幾らの周波数を使いますということの通告が必要でございます。その上で、日本としては、これは東大がやるとかなんとかということでは決してございませんで、もし人工衛星計画をやるとすると、国内に二カ所、それから国外にできるだけ少ない数ですが、電波の追跡局が必要になると思います。あとは、ほかの国の追跡ステーションにその追跡を依頼するかということになるのではないかと思いますが、これは東大がやるとかなんとかということじゃなくて、国として――実施機関でございますね、実施機関としてそういう電波追跡局というものが国の内外に最小限は必要になるかと思うのでございます。それはたとえばアメリカでいえば、NASAが電波追跡局というのは全部自分で世界何十カ所かを持っております。ちょうどアメリカと日本がほぼ地球の裏側と、こうあるものですから、アメリカの上げた人工衛星に都合のいいように全部配置されておりまして、日本から打ち上げたときにアメリカですぐ受けとめてくれるというわけにはまいりません。しかし、何がしかの電波追跡ステーションというものを、さしあたっては一元化機構の中に入れるか入れないかという問題がございます。
○岡小委員 私が聞いているのは、将来一元化機構ができたときにそれが追跡機構、トレースステーションをおそらく国外にも必要とするのではなかろうか。そのためのいろいろな外交的な折衝も今度は起こるだろうということは当然考えておかなければならぬことだが、それ以前に東大の科学衛星ということがしばしばいわれておるので、これについてやはり追跡ステーションというものを国外にも設けられる必要があるのではないか、そういう御意思があるかどうか、この点をお聞きいたします。
○高木説明員 科学衛星に対する電波追跡ステーションを、東大は持つ気持ちは全然ございません。国でやっていただきたいと思います。これはもう東大の範囲外でございます。
○岡小委員 私は、よく新聞やあるいは週刊雑誌やその他で、何か日本のそれぞれの機関が封建的なセクショナリズムで、人工衛星を急いで競合しておるということが、いささかひやかしぎみに出ておるということについては、私自身非常に責任を感ぜざるを得ないと思いますので、お聞きをしたわけです。それでまあ話はよくわかりました。
 そうしますと、兼重さん、あなたの御発言に私はふに落ちないようなことが出てくるわけです。たとえば十一月一日の技術部会の議事録を見ますと、大蔵省の代表との間にいろいろお話し合いがあるが、そこで結局、結論として兼重さんは、人工衛星の製作は東大のワク内に含まれる、こういうふうにあなたは技術部会の意見というものを発表になって、「基礎的段階的な技術開発であり、」云々ということになり、そのことに触れて、一体「基礎的段階的とはどういうことか、四十一年度の人工衛星計画はすべて基礎的段階的なのか。」という質問から始まって、結局、「科学衛星の試作も基礎的なのか。」そうしたら兼重さんは、他の委員もあわせて同様な趣旨の質問をされたのに対して、「それも含まれる。」ということを言っておられるのですね。そうすると、これは本部じゃなくて、この表現では東大が科学衛星を打ち上げるということに解釈できるですね。そうかと思うと、また他の部会では、あなたはまた全然逆のことを言っておられる。含まれないということを言っておられることもある。そういうふうに、あなたのお考えがひらりひらりと変わっておる。たとえばこういうことを言っておる。八月十九日の宇宙開発審議会技術部会では、「某委員が先程おっしゃった三号答申の線に沿うということでは科学衛星をよろしいとは云えないわけである。」――大学でやること。こういうふうに言っておる。だからやると言ったりやらないと言ったり、あなたの意見が――私が引用いたしましたのは日付をもって引用いたしましたから、またよくお読み返し願って後刻御答弁いただいてもいいが、これに関する限りはどうも宇宙開発審議会の会長の態度というものが、筋が通らないと私は思う。御発言がいろいろ、そのとき、そのときによって動いておる。こういうたよりないことでは、機構の一元化どころじゃない。日本の宇宙開発という、国民が大きく期待を持っているこの大事業に対して、一体真剣に取り組む姿勢であるかどうかということに、私は疑問を持たざるを得ない。
 私はいま若干の資料を読み上げましたが、これについてはもう一ぺんよく御記憶をたどり、またお読み返しを願って、近い機会に御答弁いただいてもけっこうです。
○兼重参考人 その議事録は次の機会に読みまして、適当でないところは修正を申し出て直すことになっておりますが、私自身それを十分にしておりませんけれども、最初に御引用になりましたときの議論は、今度東大の科学衛星というのを宇宙開発審議会としてはまだ認めておりませんのでございますから、そういうのに衛星の試作というのが四十一年度の概算要求に出ているけれども、それをどう考えるかという質問に対しまして、そのやるやらぬは別問題として、衛星の試作、研究というようなことは大学がやることにしておって差しつかえないではないか、そういう意味で含まれると答えたつもりでございますが、その議事録の含まれるというところはそのままで、前の問題が衛星の製作というところになっておりますと、そこにちょっと間違いがあったように思いますけれども、そこまでよく読んで訂正を申し出をしておかなかったことは私の手落ちでございます。それで、あとでお読みになりましたように、三号答申の線からいえば、東大の科学衛星の打ち上げということをここで認めるわけにはいかないと申しておりますことは、私の終始変わらない考え方でございます。
 そこで、一年前と思いますけれども、昨年岡先生から、学術会議で開きました、あるいは開こうとするときでございましたか、シンポジウムのことについて御質問がございました。私はあのときはまだ東大がそういうものを上げる計画であるということを言うのではなくて、そういうことを希望しておる、それについては広く学者、専門家の意見を聞きたいというのであるから、その意見を聞くことを私がとめることは適当でないと思う、そういう御返事をしたつもりでございます。
 ところがその段階を過ぎまして、今度たとえば科学衛星計画を東大がやるのだということを宇宙開発審議会がきめるということになりますと、これは前の三号答申のときから時間もたち、情勢が変わったから、それの再検討をしてそのように変えるとか何か手続をしないといけないと思っております。しかし、いまこの昨年の十二月三日の技術部会の意見というのにもございますように、また先ほど来問題になっております追跡のことがございますので、ここでは、技術部会でございますから、技術的にも問題があるというだけにしてございますが、実は技術的だけではないわけでございます。そういう問題があるので検討をしたい、そういうふうに申しておるわけで、その検討はいま実は科学技術庁と東大と郵政省と、その三者の間で寄り寄り下打ち合わせをしておられまして、そのどの段階で宇宙開発審議会のほうに連絡があるかわかりませんけれども、そういうのを待っておるわけでございます。
 議事録をよく読んでそのとおりに訂正しておかなかったことは私の手落ちでございますが、私自身そんなにふらふらしておるつもりはございません。ただ、私のとっております方針が適当であるかないかということにはいろいろ御批判があってけっこうでございます。ふらふらしておるように見えた議事録を自分で直しませんでおったことだけはおわび申し上げます。読み直してみないでも、私自身記憶しております。
○岡小委員 いろいろ問題もございますが、私はこれで質問をやめておきたいと思いますけれども、御存じのように、今度の国会に科学技術基本法が提出される予定になっております。あの法案の重点は、長期計画を政府が認めた場合に、予算的にも政府を拘束し得るというような傾きになっておる。これがいよいよ発効いたしますと、もう早く長期計画をつくっておかなければならない。そして、また、そのための受け入れ態勢としての機構をつくっておかなければならない。こういう事情もありますので、どうかこの点を十分御配慮いただいて、やはり国会のあり方と歩みをそろえた形で――何も私は大学がつくるなとか、科学技術庁がつくれというようなことを言うのではないけれども、筋を通しながら、国会の歩みと合わせながら、一日も早く皆さんの目標が達成できるように、ひとつ御奮闘願いたい。このことを最後に強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○中曽根小委員長 糸川参考人、何か御発言ありますか。
○糸川参考人 田中先生から御指摘がありまして、先ほどの数字でまだ八千万円前後ですか、端数が出るけれども、あと落ちている項目があればということでございますが、先ほど申しましたロケット自体の地上設備のほかの大きな費用は、両国のエンジニアの渡航費と滞在費でございます。向こうから参りますのと、こちらから参りますのがそれぞれ数十名、それから輸送費と梱包費。それからあと大きなものがペイロードといっておりますが、搭載用の機器でございます。それのキャリブレーターと較正装置が約八千万円から九千万円。
 それから、高木先生のお答えで趣旨は尽きておると思いますが、ちょっとお許しを願えれば、これは大学の人間ということではなくて、システムエンジニアリングの専門家としての意見をお聞きいただきたいと思います。
 東京大学が一・四メートル以上のロケットのプランができないのは、第一に人員の点で、大学は教授、助教授の定員制できまっておりますために、それ以上プロジェクトが大型になりましても、人間的に不可能であります。二番目に、予算としまして現在年間三十億円内外をいただいておりますが、東京大学全体の予算のスケールから考えてそれをはみ出すわけにはいかない。したがって、五十億円になることはあっても百億円をこすことはないと思っておりますが、そういう点で予算的に制限を受けております。第三番目に活動する範囲といたしまして、ほかの官庁にお願いしたり連絡したり、外国の機関に頼んだりすることができませんので、そういう三点から大体プロジェクトの大きさを推定いたしますと、ミュー計画まででとまりまして、それ以上のものは扱うことができないと考えます。したがってミュー計画以上のアドバンスト・プロジェクト、それよりも大型のプロジェクトは、宇宙開発推進本部でやるよりほか、日本としてはないと思います。
 そこで将来計画でございますが、きょう高木先生から一つのイグザンプルの御開陳がございましたが、それを考えていただくときに、今後、七つ、八つの事項について特に御留意願いたいと思うのです。
 第一は政府機関、つまりガバメント・エージェンシーでございます。二番目はプロジェクト・コーディネーション、つまり計画、立案する機関でございます。三番目は計画評価、あるいはアメリカでシステム分析といっておりますが、計画を評価するグループあるいは機関でございます。四番目が決定、デシジョン・メーキングをする機関でございます。五番目がプロジェクト・エクシキューション、つまり計画を実行する機関で、六番目がポスト・プロジェクト、つまり計画のあと始末、終戦処理をやる機関でございます。この六ステップは、どんな宇宙計画にも、どこの国でも必ずそれぞれに非常に大きな組織と人員と機関を擁しているグループでありまして、この一つでも落としたならば、全体のシステムが動かないのではないか。ことに三番目のプロジェクト評価、計画評価は、日本ではほとんど現在機関がございませんので、ここが非常にウイークポイントであろうと思うのであります。
 その環境条件としまして、二つぜひとも考えなければならないことがあって、一つが未来予測でございます。宇宙計画は、たとえばわれわれのペンシルロケットみたいなものにしても十五年のプロジェクトになります。これより大型のプロジェクトになりますと、アポロ計画は三十年のプロジェクトであります。二十年、三十年という時間が過ぎますと、社会機構全体が変わりますので、宇宙計画をやるためには未来予測が切っても切れない関係にございます。フランスは一九八五年研究グループを政府の中につくりましてレポートを先般出しましたし、アメリカはデルフィメソッドというのを開発いたしまして未来予測を五十年先までやっておりますし、日本では中曽根先生が昔、中曽根グループをつくられて、二十一世紀への階段というレポートをお出しになった。つまりあれに相当する二十年から三十年先の世の中がどう変わるかという未来予測が裏づけとしてございませんと、長期計画ができないかと思います。日本でどこかでそれをやるグループなりオペレーションが必要だと思います。
 もう一つは、時間的な広がりでなくて空間的な広がりで、国際協力ということでございます。これは先進国との協力と後進国との協力と両方考えて、いまの三つのステップについてのそれぞれのシステムを考えていただく必要があると思います。
○中曽根小委員長 私からちょっと、いままでの話でまとめて質問させていただきたいと思いますが、東大ではミューまでだということですが、一体ミューはいつころまでにその仕事は終わるのか。何基上げて、そしてそれはいつごろまでに終わる見通しですか、それが一点。それが終わったあと東大の宇宙航空研究所はどういう仕事をおやりになるのか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
○高木説明員 ミューの第一段階が終わりますのは、四十二年度中に一応ミューの原型ができまして、これの改良は続けていきたい希望を持っておるわけであります。たとえばラムダも、一回目はラムダ3型の一号機はまず千キロメートル、それからだんだんと二号機、三号機と上がってまいります。最近は二千キロというふうに上がるわけでございますので、ミュー以上の直径のものはいたしませんが、ミューの性能向上は一基々々続けていきたい、こう考えております。四十五年くらいまでミューの改良が続いていくと思います。
 それでいまの予測でございますが、五百キロメートルの高度で百キロくらいの人工衛星を上げられる段階が、五百キロメートルの高度で二百キログラムとか三百キログラムに重量が増せるであろう、こういう見通しでございます。
 それからこれは大型のロケットだけについての考えでございますが、宇宙科学のほうの観測は、カッパー、ラムダを今年度約二十基つけていただきましたが、四季を通じて、夜昼通じての観測をずっと続けていくと思います。これは毎回いろいろ斬新なアイデアの観測機が乗って古いのは落ちていくのでございますが、現在数十人の宇宙科学者がこの仕事を続けております。
 あとロケットとは別に、大気球を来年から上げることになるのでございますが、大気球による観測というものも四十二年度以降は続ける予定でございます。それに許されれば、その科学衛星というものを年間一基くらいまぜることによって、カッパー、ラムダ二十基の観測と、それが縦断的な観測とすれば、横断的な観測で科学衛星の結果とつなぎ合わせたい、こういう希望――これはわれわれの中の希望でございまして、実現とは別問題でございますが、希望でございます。
○中曽根小委員長 ミューは全部鹿児島の発射場で打てるのですか。
○高木説明員 鹿児島の実験場は、御承知のように山谷で非常に手狭でございますが、ミューだけはようやく何とか打てそうだ。ミューより大きいのはあそこでは非常に困難じゃないか、こう考えております。
○中曽根小委員長 ミューより大きいのをかりに本土で上げるとすれば、どこが適当なんですか。
○高木説明員 非常に場所はむずかしゅうございますが、宮崎県の都井あたりはどうかと私考えたのですが、もうすでに手狭のようでございます。下北半島あるいは襟裳岬、この辺がまだまだ平なところが得られる可能性があり、土木費その他が非常に安く済むのではないか、こう考えております。土地の問題は調査いたしましたけれども、なかなかデリケートなもので、いま二カ所くらいが候補で私は考えております。
○中曽根小委員長 ありがとうございました。
 参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本件調査のためたいへん参考になりました。小委員会を代表しまして厚く御礼を申し上げます。
 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十七分散会