第051回国会 決算委員会 第11号
昭和四十一年三月二十二日(火曜日)
   午前十時五十二分開議
 出席委員
   委員長 吉川 久衛君
   理事 押谷 富三君 理事 白浜 仁吉君
   理事 壽原 正一君 理事 田中 彰治君
   理事 堀川 恭平君 理事 勝澤 芳雄君
   理事 山田 長司君
      福永 健司君    神近 市子君
      栗原 俊夫君    華山 親義君
      吉田 賢一君
 出席政府委員
        法務政務次官  山本 利壽君
        検     事
        (大臣官房経理
        部長)     勝尾 鐐三君
        検     事
        (民事局長)  新谷 正夫君
        検     事
        (刑事局長)  津田  實君
        検     事
        (矯正局長)  布施  健君
        検     事
        (保護局長)  本位田 昇君
 委員外の出席者
        会計検査院事務
        官
        (第二局長)  樺山 糾夫君
        最高裁判所事務
        総長      岸  盛一君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局総務局
        長)      寺田 治郎君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局経理局総
        務課長)    石川 義夫君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局家庭局
        長)      細江 秀雄君
        専  門  員 池田 孝道君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算
 昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算
 昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和三十九年度政府関係機関決算書
 昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和三十九年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (法務省所管、裁判所所管)
    ―――――――――――――
○吉川委員長 これより会議を開きます。
 昭和三十九年度決算外二件一括して議題といたします。
 本日は、法務省所管決算及び裁判所所管決算について、審査を行ないます。
 まず、当局から、順次その概要説明を求めます。山本法務政務次官。
○山本(利)政府委員 昭和三十九年度法務省所管一般会計歳入歳出決算の大要を御説明申し上げます。
 一、法務省主管の歳入につきましては、予算額百九十四億一千九百九十一万二千円に対しまして、収納済み額二百三十九億八千八百二十五万四千円であり、差し引き四十五億六千八百三十四万二千円の増加となっております。収納済み額の増加のおもなものは、罰金・科料の四十三億七千二百四十六万円、刑務作業収入の二億二千百十二万八千円であります。
 二、次に、法務省所管の歳出につきましては、当初予算額四百九十四億一千二百九十万四千円に、前年度からの繰り越し額一億七千五百六十八万八千二百円、大蔵省所管からの予算移しかえ増加額一億七千三百二十四万七千円、予備費使用額二億五千三百四十六万円、給与改善等に伴う補正予算額十五億二千八百三十三万二千円を加えました予算現額五百十五億四千三百六十三万一千二百円に対しまして、支出済み額は五百九億二千六百十一万八百四十八円であり、その差額は六億一千七百五十二万三百五十二円となっております。この差額のうち、翌年度に繰り越した額は三億七千三百八十万三千百八十四円であり、不用額は二億四千三百七十一万七千百六十八円であります。
 支出額のうちおもなものは、外国人登録事務処理経費として一億三千三百三万四千円、登記及び土地・家屋台帳事務等処理経費として七億七千八百九十七万一千円、検察事務処理経費として六億一千五百四十六万六千円、矯正施設における被収容者の収容、就労経費として五十七億七千六百四十四万九千円、補導援護経費として七億百八十一万三千円、出入国関係に伴う被退去強制者の収容、送還等の経費として七千六百八十八万六千円、公安調査庁における破壊活動防止のための調査経費として八億三千百六十九万一千円、施設費として四十一億八千八百十二万一千円となっております。
 不用額となったおもな経費は、人件費及び刑務所等被収容者の食糧費であります。
 詳細につきましては、お手元に提出しております「昭和三十九年度決算について」に記述してありますので、御了承願いたいと存じます。
 以上をもって、法務省所管の昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算について説明申し上げました。よろしく御審議を賜わりますよう、お願い申し上げます。
○吉川委員長 岸最高裁判所事務総長。
○岸最高裁判所長官代理者 昭和三十九年度の裁判所の決算の概要について御説明申し上げます。
 一 昭和三十九年度裁判所所管の歳出予算額は二百三十九億五千九百七十四万二千円でございましたが、右予算決定後、さらに十二億九千四百八十九万三千円増加いたしまして、合計二百五十一億五千四百六十三万五千円が、昭和三十九年度歳出予算の現額でございます。
 右増加額十二億九千四百八十九万三千円の内訳は、予算補正追加額として九億三千百二十四万六千円、大蔵省所管から移しかえを受けました金額二億九千七十八万千円、昭和三十八年度から繰り越しました金額六千七百八万六千円、予備費使用額五百七十八万円でございます。
 昭和三十九年度裁判所所管の支出済み歳出額は、二百五十億四千九百五十万二千百五十一円でございまして、これを右歳出予算現額に比べますと、二億五百十三万二千八百四十九円減少しております。
 この減少額のうち、翌年度に繰り越しました全額は、二千四百十七万三千円でございまして、全く不用となりました金額は、一億八千九十五万九千八百四十九円でございます。
 この不用額の内訳は、一億一千九百九十一万千九十九円と、その他の経費六千百四万八千七百五十円とでございます。
 昭和三十九年度裁判所主管の歳入予算額は、一億一千九百十四万円でございまして、昭和三十九年度の収納済み歳入額は、一億五千八百十三万四千三百三十二円でございます。
 この収納済み歳入額を、右の歳入予算額に比べますと、差し引き三千八百九十九万四千三百三十二円の増加となっております。この増加額は、保釈保証金の没取金等の増加、及び民事訴訟費用弁償金、不用物品の売り払い代、保管金の期満後収入等の収納がおもなものでございます。
 以上が、昭和三十九年度裁判所の歳出及び歳入決算の概要でございます。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○吉川委員長 次に会計検査院当局より、以上の各決算について、検査の概要説明を求めます。樺山会計検査院第二局長。
○樺山会計検査院説明員 昭和三十九年度の法務省所管及び裁判所所管の決算につきまして検査いたしました結果、いずれも特に不当と認めた事項はございません。
○吉川委員長 これにて説明聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
○吉川委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。
○勝澤委員 裁判所と法務省ですから、少しごっちゃになるかもしれませんが、ひとつ、そちらで適当にお答え願いたいと思います。
 最初に、裁判所のほうですが、財政法の十六条、十七条、十八条によりまして、会計検査院なりあるいは衆議院、参議院、裁判所というものは、二重予算制度になっているわけであります。このあなたのほうからお出しいただきました予算の概算要求額と予算額の比較をいたしますと、予算の要求について、相当部分、大蔵省の査定の段階というのでしょうか、減額されているように思うのですが、財政法との関係で、どういう取り扱いになっておりますか。
○岸最高裁判所長官代理者 仰せのとおり、裁判所は財政法の十七条から十九条の規定によりまして、いわいる二重予算の提出権が認められております。したがいまして、そのような提出権が認められました趣旨は、内閣の外にあって独立しております裁判所が、十分にその機能を発揮するために、やはり予算上の独立的な地位を与えよう、そういう配慮からの規定であると思います。したがいまして、内閣が決定いたしました予算額が裁判所の満足できないよう場合には、当然この権限を行使する責務があると存じます。ところで、本年、度の場合でございますが、なるほど仰せのごとく、当初の予算概算要求額よりは減らされましたが、当初の予算額は、いろいろ折衝いたしました結果、結局、裁判所のほうもこの程度で十分満足できる、そういうことになりましたので、大蔵省当局との間の了解が十分つきました結果、あえてこの二重予算の提出ということはいたさなかった次第でございます。しかし、これはわれわれが予算の要求をいたしますときには、常にこの権限を念頭に置いてやっておるのでありまして、必要な事態に当面いたしますれば、やはりこの権限は行使しなければならない、このように考えております。
○勝澤委員 あなたのほうの概算要求と、実際に決定した予算額との差額を見てみますと、相当かけ隔てのある予算になっていると思うのです。たとえば四十一年度を見てみますと、人件費は二十六億に対して十四億、それから営繕費は六十五億について三十億という形で、特に裁判所関係の営繕についてはとかくの批判があるし、これでいいだろうかという点が問題になっているわけでありまして、そういう点からも、裁判の促進化ということがいわれているような実情からいいましても、財政法のこの二重予算制度というものは、あまり重要視されておらないじゃないだろうか、軽視されておるじゃないだろうか。裁判所の自主性というものが保たれているかどうかということに実は疑問があるわけであります。この二重予算制度につきましては、先般会計検査院にも聞きました。あるいは国会図書館などでは、こういう制度があるということすらあまり知らないようなふうに伺いました。衆議院におきましても、参議院におきましても、あまりこの制度というものが適用されていない。適用されていないのが悪いと、私は言っているのではないのでありまして、ほかの省並みに扱われている、こういうふうに見えてしかたがないのであります。やはりわざわざこの財政法に特例を設けているわけでありますから、これは強腰で行ない、もしそれを大蔵省が査定段階で聞かないとするならば、やはり二重予算を国会に出して、そして国会の審議を仰ぐ。こういうやはり、何といいますか、場も、せめて十年に一回あってもいいのではないかと思うのです。そうでなければ、自主性というものは保たれないように、今日の裁判所と大蔵省の予算折衝の段階で、見えるわけであります。もう一度、その点をお答え願いたいと思います。
○岸最高裁判所長官代理者 仰せのとおり、当初予算要求額は下回りましたけれども、これは先ほど申し上げましたように、折衝に折衝を重ねました結果、そこに落ちつきまして、裁判所も納得いたしたわけでございます。そういう次第で、今回は二重予算提出権の発動という事態には立ち至らなかったのでございますが、裁判所は決してこの権限のあることを忘れておるのではなくて、先ほども申しましたごとく、予算要求のたびごとに常に念頭に置いております。そしてこれまでも、この制度が認められましてから今日まで、約三回にわたりまして、この点が問題になったことがございます。
 その一つは、昭和二十五年度の補正予算の場合でございます。裁判官の給与改善に必要な経費で、裁判所のほうが一億一千二百万九千円要求いたしました。これに対しまして、大蔵省の査定額が八千四百四十六万五千円でございましたので、この減額された分につきまして、十一月二十三日に、裁判所案どおり予定経費補正要求書を作成するように努力したことがございます。同月二十六日、財政法の第十九条の手続をとりましたが、これが最終まで至る前に、大蔵省のほうの理解を得て、これが妥結されました、こういう例がございます。
 次は昭和二十七年度の予算の場合でございますが、営繕に必要な経費につきまして、大蔵省から、裁判所の要求額九億一千二百三十七万七千円に対しまして、査定額が六億六千六百二十万でございました。したがいまして、この差額の減額通知を受けました際に、二十七年の一月二十一日に裁判所の当初案で予定経費要求書を作成いたしまして、同月二十一日、やはり財政法十九条の手続をとったことがございます。この場合は、大蔵省は、財政法十九条の規定どおり、予算書を作成されました。しかしその後話し合いがつきまして、将来の見通しがつきましたので、二月二十一日に、一応裁判所として、大蔵省査定額に同意するということになったわけでございます。
 次が、昭和三十五年度の補正予算の場合でございましたが、裁判官報酬の改定につきまして、裁判所の要求がいれられず、三十五年の十二月三日、大蔵省原案で閣議決定がなされたのでありますが、その際に、裁判所部内では財政法十九条の手続をとる準備をいたしましたが、その直後話し合いがつきまして、大蔵省は裁判所の要求をいれてくださった。そういうわけで、今日まで現実にこの十九条を発動したことはございませんけれども、裁判所といたしましては、年来、予算要求のたびごとに、常にこの権限のことを念頭に入れてやっております。
○勝澤委員 次に、刑事局長にお尋ねいたします。
 最近、世間を騒がした吹原産業事件、あるいは森脇将光あるいは大橋富重、一連の事件が起きまして、おおむね取り調べは終わったようでありまして、公判にいまなっているようでありますが、この三つの事件、どういうふうになっているか、概略御説明願いたいと思います。
○津田政府委員 ただいまお尋ねの件は、ちょっといま手元に資料を持っておりませんが、ただいま仰せのとおり、三件とも公判請求をいたしておりまして、吹原については保釈になっており、森脇については拘留中である。大橋についても同様であります。そういう状態で、公判の進行状況につきましては、ただいまちょっと手元に資料を持っておりませんが、御必要であれば、すぐに取り寄せて御説明をいたします。
○勝澤委員 それでは、この三つの事件につきまして、本委員会に提出できる資料がありましたら――たとえば起訴状の写し等ですね。こういうものがありましたら、御提出願いたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
○津田政府委員 公訴事実の要旨並びに公判事実の関係は、資料として御提出することができます。
○勝澤委員 それでは、その問題は御提出がありましてから、また御質問をいたすことにいたします。
 次に、東京拘置所の移転計画でございますが、その後の計画はどういうふうに進行しておりますか。
○勝尾政府委員 東京拘置所の移転につきましては、昨年八月当委員会で御質疑があったわけでございます。御承知のように、東京拘置所の移転につきましては、昭和三十三年の三月に、閣議了解事項として決定されたものでございまして、その後鋭意、首都圏整備委員会並びに東京都を相手といたしまして、移転の実施について折衝を重ねてきたわけでございます。昨年の八月、四十一年度の予算を要求する段階になりまして、さらに東京都並びに首都圏整備委員会と折衝を重ねてまいりましたところ、十一月の中ごろ、正確に申し上げますと、十一月十五日に、東京都のほうから、東京都の財政事情からして、他に緊急案件が山積しているので、東京都が移転の相手方として事業を遂行することは不可能である、なお法務省のほうといたしましては、かりに東京都がだめであった場合、公社といったものでやれないかということにつきましても、東京都といたしましては、公社を設立してやるといたしましても、やはり東京都の出資等の必要があって、これもまた財政上困難であるという回答に接したわけでございます。
 なお、その間におきまして、正確に申し上げますと、いずれもこれは東京都を介しまして私のほうにアプローチをしてまいったわけでございますが、昭和三十九年の七月でございますが、東京拘置所の移転について、財界の有志が相集まって、建築交換の方式でこの事業をやりたいという申請が、東京都を介して法務省のほうに申達があったわけでございます。これに対しまして、法務省といたしましては、東京拘置所の財源が相当の額にのぼることと、それから移転のみならず、そのあと地の利用計画につきまして、公共的な利用をぜひしてもらいたいという要望が非常に強くございますので、東京都に対しましては、どこまでも東京都を相手としてやりたいという折衝を続けていたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、十一月十五日の段階に至りまして、東京都としてはこれをやれないという回答に接しましたので、それまで東京都を介しておりました、財界人の移転申請に対しまして検討を進めました結果、そのあと地の利用について、都市計画事業を遂行するということを条件として、これを受け入れるならば、都としても、民間の機関にやらせることは差しつかえない、こういう意見を申達してまいったわけでございます。
 その結果、財界有志の方々と、東京都を介しましていろいろ折衝を重ねまして、財界のいわゆる一流の方々が、財界をあげて都市の再開発、都市計画事業の一環としてこれを遂行する、なおあと地の利用計画については、都市計画事業を責任をもって遂行するという回答に接しましたので、その段階におきまして、財界有志の方々を相手にいたしまして、この移転事業を推進をしたい、こういう決意を、法務省のほうとして、したわけでございます。
 その後、東京都を介しまして鋭意折衝を続けました結果、東京都におきましては、都市計画法にのっとりまして、池袋付近の再開発ということで、都市計画事業を決定する、その事業を民間のほうで責任を持って遂行するということになりましたので、予算の最終段階におきまして、財界の方々が新都市開発センターという株式会社をつくってこれに応ずるということに同意を得ましたので、予算上は、新都市開発センターという財界の方々の協力体制のもとにできる会社を相手にして、この移転を進めている現状でございます。
○勝澤委員 このあと地の評価がきまっていないようでありますけれども、多摩刑務所の新設なり小菅刑務所の改修に要する費用というものは、国庫債務限度額で三十一億八千万円認められているようでありますが、これは評価との関係はどういうことになるのですか。
○勝尾政府委員 新都市開発センターという会社を相手にするにいたしましても、また都を相手にするにいたしましても、法務省のほうといたしましては、一応の評価額というものをつかむ必要がございますので、昨年の秋に、法務省といたしまして、法務局あるいは国税庁あるいは関東財務局等の意見もしんしゃくいたしまして、一応の評価額を出しておるのでございます。
○勝澤委員 まだ実際の評価がきまっていないのにこういうふうに片方で実施していくということについては、問題ないのですか。
○勝尾政府委員 その点につきましては、最終の評価額は、移転に関する契約時に、関東財務局、大蔵省の国有財産局が責任を持ってきめることにいたしております。ただ予算を請求する際に限度額というものをつかんでおく必要がありますので、そういう意味におきまして、法務省といたしましても、概算評価をしているわけでございます。
○勝澤委員 概算評価をどれくらいにされているのですか。それは発表できるのですか。
○勝尾政府委員 東京拘置所の宿舎地帯が二千三百坪、それから庁舎等の地帯が一万九千三十五坪でございます。この一万九千三十五坪につきましては六十四億九千九十三万五千円、それから二千三百坪につきましては四億四百八十万円、これが概算評価額でございます。
○勝澤委員 坪単価は幾らになりますか。
○勝尾政府委員 一万九千三十五坪につきましては、三十四万一千円でございます。それから、二千三百坪のほうにつきましては、十七万六千円でございます。
○勝澤委員 そうして、東京拘置所移転の新設される総経費は幾らの予算なんですか。
○勝尾政府委員 御承知のように、東京拘置所を小菅に移しまして、小菅刑務所を東京拘置所に改修する、小菅刑務所を青梅のほうに移転する、こういろ二段がまえでございますが、小菅刑務所を東京拘置所に改修する経費が十億七千二百三十五万円、小菅刑務所を多摩に移転するその新刑務所につきましては、二十一億一千三十七万三千円という概算になっております。
○勝澤委員 拘置所のあと地の問題で、民間の新都市開発センターが設立されているようでありますが、いままで、民間会社とこういうやり方をしたというのは初めてだと思うのですけれども、この新都市開発センターというものと、東京都あるいは法務省ですか、この関係は、十分な監督なり、そういうものができるようなことになっているのですか。そういう点どうでしょう。
○勝尾政府委員 まず法律上は、あと地の利用につきまして、都市計画法に縛られることになるわけでございます。すなわち都市計画法によって、東京都都市計画審議会が決定したあと地利用をしなければならない。その東京都都市計画審議会については、東京都知事並びに民間あるいは東京都の議員の方々で構成されている審議会でございますので、法律上あと地の利用について一定の制約がある。その都市計画事業を推進するについては、東京都都市計画審議会が監督をしていくということになるわけでございます。
 なお、小菅刑務所を東京拘置所に改築をする、あるいは多摩に新刑務所をつくるにつきましては、事業そのものはこれは新都市開発センターがつくるわけでございますが、つくられた建物が完成したあかつきには、法務省としては、これを買い受けることになるわけでございます。その際には、会計検査院等の検査を得る必要がございます。したがいまして、事業そのものは新都市開発センターが小菅の改修あるいは新刑務所をつくるわけでございますが、当初からその設計並びに施工につきましては、法務省と協議をしてこれを行なうということを、契約上はっきりさせて、事業を推進していく予定にしております。
○勝澤委員 東京都がやらずに、新都市開発センター株式会社が行なうという点について、なぜ東京都ができないのだという点について、もう少し理解されるような御説明を賜わりたいと思のですが、そのことは、このメンバーを見てみましても、みな財界の有力者ばかりでありますけれども、東京都が中心になってなぜできないのかという点について、やはり少し疑問が残るわけであります。こういう点、いかがですか。
○勝尾政府委員 御承知のように、法務省といたしまして、いままで五つの刑務所の移転をやっておりますが、これはいずれも自治体を相手にしているわけでございます。私のほうも、自治体を相手にすることが最も相当であるという意見で一貫しているわけでございますが、刑務所の移転、新営につきましては、おおむね五カ年の長年月を要するわけでございます。しかもその移転先の土地の購入、あるいは建物の新築といった場合に相当額の資金を、いわゆる自治体としては寝かすことになるわけでございます。しかもあと地の利用については、公共的な事業でこれを制約するという面がありまして、自治体としては、財政的に非常に決意を要するように、従来の私の経験から看取しておるところでございます。したがいまして、東京拘置所の移転の問題につきまして、昭和三十三年の三月の閣議了解以降、首都圏整備委員会あるいは都と折衝している過程において、当初から、東京都がこれを引き受けるということについては、必ずしも明確な意思表示がなかったわけでございます。やはり移転関係だけで六十億の金が要ります。さらにあと地の利用につきまして数百億の金が要るということになりますと、東京都のほうとしては、とても財政的に引き受けることができないということを、昨年の十一月に文書をもって回答してまいりましたので、やむを得ず、民間の会社に切りかえた、これは全く都のほうの財政的な事情からであると、私のほうでは考えております。ただしそのあと地の利用につきまして、十分東京都のほうとして何らかの形でこれを監督していくと申しますか、関与していく道を開きたいということを、私のほうからも希望をいたしまして、その結果、間接的ではありますが一都市計画法と東京都都市計画審議会というものを通して、都のほうがこれに事実上関与していく道を開いて、結論を出したような次第でございます。
○勝澤委員 今度は、裁判所の関係になりますか、法務省のほうですか、よくわかりませんが、少年補導の関係でありますが、裁判所では、送致を受けた非行少年のうち、環境を整備してやれば十分更生できると見込まれる少年については、審判開始から最終処分決定までの間に養護施設あるいは更生保護会その他の民間施設に補導を委託して、試験観察を行なっておるわけであります。しかし、これら施設の数は必ずしも十分ではなく、しかもその委託費はきわめて乏しいものでありまして、民間篤志家の寄付等がなければ運営できないような状態でありますし、非行少年の大多数は、悪い社会環境に染まった結果による非行であって、その更生にはもっと国家的な援助が必要であるということがいわれておりますが、この少年補導の委託の実情という点はどういうふうになっておりますか。
○細江最高裁判所長官代理者 ただいまお尋の点でございますが、家庭裁判所におきまして行なっております試験観察の問題であると理解しておりますが、ただいま仰せのごとく、家庭裁判所は、送られてまいりました少年の環境調査、あるいは資質調査をいたしまして、その結果最終決定をいたすわけでございますが、その最終決定をいたすにまだ資料が足らない、あるいはもう少し少年の行動観察をした上で適正な処分をきめたい、こういう場合に、いわゆる少年法二十五条に定めましたところの試験観察の制度を利用いたしまして、少年を調査官の観察に付する、あるいは少年の補導を委託するということによって、その間の少年の行動あるいはその間の少年の資質その他の観察をいたしまして、適正な処分をはかるために、補導委託の制度を利用しておるわけでございます。この補導委託先といたしましては、大体補導委託につきましては、身柄つきの補導委託、あるいは在宅の補導委託という方法もございますが、ただいまお尋ねの点は身柄つきの補導委託の点だと思いますが、この身柄つきの補導委託につきましては、いわゆるただいま仰せの養護施設あるいは更生保護会あるいは民間の施設あるいはその他の個人、団体等に身柄を委託いたしまして、少年の境境を変え、そしてその間における少年の行動を観察し、あるいは悪い環境から切り離して少年を補導するという役割りを果たしておるわけでございます。この施設の数につきましては、ただいま少ないのじゃないかという仰せでございましたが、私どもが利用しておりますところの施設は、先ほど来申し上げましたように、養護施設あるいは更生保護会でございますが、これらはやはり厚生省あるいは法務省の所管の施設でありますので、利用するにはやはり限度がございます。したがって家庭裁判所といたしましては、民間の施設などを利用して委託をしておるわけでございます。
○勝澤委員 その試験観察のための補導委託で、そういう施設というものの基準、あるいはそういう人の資格あるいはそれを監督する官庁、こういう点はどういうふうになっておりますか。
○細江最高裁判所長官代理者 養護施設につきましては、厚生省で基準をきめられておりますし、更生保護会につきましては、やはり法務省のほうでおきめになっております。ところが、私どもの利用しておりますところの民間の施設につきましては、一定の基準というものは、最高裁判所としてはきめておらないわけでございます。私どもは、少年の補導のためには、あらゆる社会施設を活用するわけでございますが、その補導委託先の開拓は、首席調査官の職務ということになっておりまして、首席調査官が補導委託先を開拓いたしまして、その開拓先について、施設の規模あるいは人員、職員の数、そういうものを勘案いたしまして、その施設の収容能力はどれくらいあるかということについて、現地の家裁の所長がきめるわけでございます。
○勝澤委員 この補導委託費の内容について、ちょっと御説明願いたいのですが、どういう内容になっておりますか。
○細江最高裁判所長官代理者 補導委託の内容は、事務費と事業費でございます。事務費といたしましては、委託先の職員の給与、旅費等を含むところの職員に要する経費並びに備品費、文具費等を含む事務執行に伴う経費、これらを事務費と申しております。そのほかに事業費がございまして、事業費は、まかない費と炊事諸費と光熱費、被服費、寝具費あるいは日用品、教養費、保健衛生費等を含んでおるわけでございます。
○勝澤委員 金額をちょっと説明してください。
○細江最高裁判所長官代理者 昭和三十九年度は、事業費が、一人の少年に対して一日百八十三円、事務費が一人当たり一日百十一円でございます。これが昭和四十年度は増額になりまして、事務費が一人当たり一日百十五円、事業費が同じく一人当たり一日二百五円ということになっております。四十一年度予算におきましては、この事務費、事業費とも一大体九・一四%の増額をしていただくようにお願いしておるわけでございます。
○勝澤委員 そうすると、少年を一人預かると一日百八十三円ですか、それが一カ月どれだけになるのですか。
○細江最高裁判所長官代理者 昭和三十九年度におきましては、事務費が、先ほど申し上げましたように、一日百五十一円、事業費が百八十三円、合計二百九十四円、これが昭和三十九年度の一人当たりの一日の経費でございます。昭和四十年度は、それを合計いたしますと三百十円五十四銭、これが一人当たりの一日の経費でございます。
○勝澤委員 その一人当たりの経費というのは、その内訳はどういうふうになりますか。食事なりその内訳ですね。それはどういう計算になりますか。
○細江最高裁判所長官代理者 その細目の基準はございませんので、先ほど申しました事業費というのは、大体食費とか、寝具代、そういうものを含んだものでございまして、これが昭和三十九年度は百八十三円、それから昭和四十年度は二百五円、こういうことになっております。それは大体食費が主たるものでございまして、その食費のうちで、主食が幾ら、あるいは副食が幾らというふうにはきめておらないわけでございます。と申しますのは、私どもは先ほど申しました養護施設あるいは更生保護会等に預けるわけでございますが、大体更生保護会の基準に合わせまして、私どもも同じ金額で預けておるという実情でございます。
○勝澤委員 この更生保護会に対する経理の状態を見てみますと、国からの委託費あるいは補助金がその収入の半分で、あとは寄付金等にたよっておる状態で、犯罪者のアフターケアとも言うべき重要な問題が、民間の好意にたより過ぎているのではないだろうか、こういう点がうかがわれるわけでありますが、こういう点から、昨年の八月に、全国更生保護会連盟からも、予算処置についての要求が出されているようでありますが、こういう点は、どういうふうになっておりますか。
○本位田政府委員 ただいまお話がございましたように、現在の更生保護会の運営の実情を申しますと、かなり苦しい姿になっていると思います。もともと更生保護会が、なぜこういう民間の団体でいることを期待しておるかと申しますと、これは犯罪を犯しまして刑を受ける、あるいは刑事の手続によって処分をきめられる、その段階では国の権力によって縛られた形になっておるわけであります。これを社会の中に出して、そして社会の中でその更生をはかっていくという考え方に立ちますと、たとえば国営で更生保護会の仕事をするということは必ずしも適当でない、そこにある程度民間性というものを入れまして、民間の協力の中で、社会の中の更生をはかっていくということになっておるわけでございます。更生保護会に対する国の手当の関係につきましては、発足以来ずいぶん努力もしてまいったのでありますけれども、現況におきましては、まだ十分とは申せないのが実情でございます。
 予算額を申し上げますと、更生保護会に保護観察所から委託いたしますと、食事つき宿泊委託をした場合に、昭和四十年におきましては、その食事つき宿泊委託費が単価百九十一円二十銭であったわけでございます。そのほかに委託事務費がございまして、これが単価百二円でございます。その合計が、結局、一人を委託いたしました食事つき宿泊の場合の手当になるわけでございます。しかしながら、これだけではもちろんまかなってまいれません。施設自体が損耗いたしますし、そういうことの補助は、若干でございますが、国から助成されておるわけでございます。
○勝澤委員 終わります。
○吉川委員長 山田長司君。
○山田(長)委員 裁判所の執務の環境整備について伺いたいと思います。
 さきに臨時司法制度調査会の指摘にもあったのでありますが、裁判所の物的設備の現状は、まことに劣悪な環境にあるのではないか。庁舎については、すでに耐用年数を過ぎている、こういうものが一八%もあり、これらはすでに使用に耐えなくなってきやしないか。東京地裁などで、裁判官一人に一つの机すらなく、裁判所で執務しながら、執務上非常に支障を来たしている事態があるというふうに漏れ聞いておるわけでありますが、そんな事態にあるのかないのか、執務の環境整備の状態等について承りたいと思うわけです。
○石川最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のありましたように、裁判所の庁舎は、われわれ一同努力いたしまして、予算を獲得し新営につとめてまいっておりますが、まだ現段階では、必ずしも十分でございません。御指摘のように、東京地方裁判所の民事部、東京、大阪等の高地裁等におきましては、裁判官が、月、水、金の開廷と火、木、土の開廷とがかわり合って登庁して、同じ部屋、同じ机を交代で使用しておるというふうな状況がございます。しかしながら、この事態は一日も早く改善されなければならないというふうに考えておりますが、やはり裁判所の庁舎は、場所はどこであってもよいというわけにもまいりませんので、現在のそれぞれ、東京で言いますれば霞ケ関の現高地裁の所在地、大阪で言いますれば堂島地区のあの一帯に改築をいたさなければならないわけでございますので、そういう関係がございまして、すぐに来年建て直すというふうなことも困難でございます。計画を立てまして、手順よく順繰りに建てていきたいというふうに考えております。裁判所庁舎の全体から申しますと、現在の営繕費、特に新営費でございますが、現在の新営費の予算が、総予算の伸びに相応じて、今後かりに伸びていったといたしますと、現在の改築を要する庁舎を、今後十年間あれば全部を改築することができようかというふうに考えております。
○山田(長)委員 ただいまの御答弁のようなことで、裁判の遅延の原因になりはしないかということを危倶するのです。それと同時に、きのうの机ときょうの机とまたあしたその机を使うというようなことで仕事をするとするならば、それによって執務意欲の減退になりはしないかということを考慮するのでありますが、そういう点、今後の新営計画をどんなふうにお考えになられておるのか、具体的に御説明願いたいと思います。
○石川最高裁判所長官代理者 ただいまの、二人の裁判官がかわり合って登庁してくるというようなことで、仕事が阻害されないかという御質問でございますが、これは裁判所の仕事といいますものが、法廷における審理、その他の法廷外の執務、二通りの要素からなっておりまして、そういうことから、法廷外における執務は、自宅等へ記録を持ち帰り、あるいは法律図書等自宅に整えまして仕事をするというふうなことが、従来必ずしもできないことでないというふうに考えられておったので、そういうふうな一種の慣習というものができ上がっておったわけでございます。しかしながら、これが近代的な執務のやり方でないということが、臨時司法制度調査会の意見で指摘されて、裁判所としては、これをそのとおり受け入れまして、この解消に現在全努力を傾注いたしておるわけでございます。昨年は、庁費の面で、裁判官室の執務条件をよくするために、裁判官研究庁費という庁費を要求いたしまして、これが認められたわけでございますが、四十一年度予算におきましては、庁費だけでは裁判官の執務条件が改善されないという点から、狭隘な裁判所を増築する、特に大都市におきまして、狭隘な裁判所を増築し、執務上の隘路を打開するという目的のために、裁判官の執務体制確立のための施設整備費というものを要求いたしまして、大阪地裁の増築、東京地家裁の八王子支部の増築、名古屋簡裁の増築、それから東京高等裁判所の増築、この四つの個所において、予算が大蔵省の認めるところとなりまして、国会の御審議を仰いでおるところでございます。
○山田(長)委員 裁判所所管歳出予算概算要求の予算額の比較表を見ますると、営繕費が、昭和三十八年度においても、三十九年度においても、四十年度においても、四十一年度においても、概算要求額の半分ないし半分以下、こういう予算しか取れずにおるようでありますが、これは裁判所関係者の意欲が足りなくてこういう事態になっているのかどうか、私わかりませんけれども、もしこの営繕工事のやり方等に予算額を削られたとするならば、国庫債務負担行為などを活用して、これが早急な精力的な進み方というものはできないものなんですか。この内容、事情をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
○石川最高裁判所長官代理者 裁判所の営繕費が、概算要求の金額に対し、国会に提出いたします予定経費要求額がはなはだしく少ないという点でございますが、これは営繕費の特質と申しますか、坪当たりの建設単価というふうなものが、要求側の裁判所と大蔵省側で、当初の段階では相当の意見の相違がございます。こちらといたしましては、坪当たりをできる限り多額を獲得いたしたい。大蔵省側としましては、それほどにしなくてもというようなことで、相当な相違があるわけでございます。もっともこれは裁判所がかってにやるわけでもございませんので、建設省方面とも連絡をとりながら、要求単価というふうなものを一応設定いたしまして、それで要求に入るわけでございます。しかしながら、その後の関係者一同の折衝、話し合いによりまして、最終的にそういうものがきまりますと、それだけで要求額に相当大きな変動を生ずるわけでございます。裁判所の営繕費は、私ども全力をあげてやっておりますが、建築単価というふうな問題について、裁判所だけ絶対に他の官庁とは関係ないというふうなごとも必ずしも言えませんので、結果的には、こういうふうな状況になっておるわけでございます。
 次に、国庫債務負担行為の点でございますが、裁判所は、庁舎の新営のために国庫債務負担行為という制度を利用したという実績は、過去においてはございません。しかしながら、最近そういう官庁の建物の新営に、国庫債務負担行為を利用するということが、他官庁でも行なわれ始めているようでございますので、裁判所も今後の問題としては、特にたとえば高地裁の合同庁舎というようなものは、相当大きな規模のものになりますので、単年度の予算で建てるというようなことは初めから問題になりませんので、国庫債務負担行為という制度を利用して、工事をよりスムーズに進められないものかどうか、ただいま、その点について検討いたしておる途中でございます。
○山田(長)委員 裁判官の欠員の問題について伺います。
 当委員会で、毎年裁判所の問題を扱いますときに、いつも裁判官の欠員の現状が問題になるわけでありますが、現在、裁判官の欠員の状態はどんなふうなことになっておりますか。
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいま山田委員からお尋ねがございました、裁判官の欠員の点でございますが、ちょっと古くて恐縮でございますが、今年の二月一日現在の欠員は、裁判官全体としては約七十名であります。その内訳を申し上げますと、判事が三十三名、判事補が二十九名、簡裁判事が七名、正確に申し上げますと合計六十九名の欠員が、二月一日現在で、あるということになります。
○山田(長)委員 御提出願った資料によりますと、司法修習生からの採用人員は四十年度で五十七名あったわけでありますが、欠員を補充するにははるかに不足のような感じを持ちますが、司法修習生の修了後の行き先は、各年度どんなふうになっておりますか。
○寺田最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、裁判官の定員は、現在、判事それから判事補、簡裁判事、こういう三本立てになっておりますので、それぞれの欠員を充足するに人を得なければならない、かような関係になるわけでございます。いま御指摘になりました修習生から採用する分は、結局判事補の欠員の補充ということになるわけでございまして、その面では、実は私どももそれほどには従来も苦慮をしていないわけでございます。むしろ判事補から十年たちまして判事になる、そこのところが非常に欠員が多く、また充員が困難である、かような実情であったわけであります。ただ、たまたま本年度においては、判事補から判事になります者がかなりの多数にのぼっておりまして、衆議院のほうではすでに御審議いただきました裁判所の定員法の改正で、判事の増員を認めていただいておる、かようなことになっておるわけであります。山田委員からいまお尋ねのございました修習生の行き先の問題でありますが、これは修習生そのものの数が、三十八年、三十九年、四十年と逐次ふえてまいっておるわけでございますが、四十年度におきましては、大体四百四十人ばかりの修了者がございまして、そのうち七十名程度が裁判官、五十名程度が検察官、残りが弁護士、あるいは若干は大学等においでになる方もありますが、大体そういうような状況になっておるわけでございます。
○山田(長)委員 裁判官の一人当たりの負担件数というものは、地方裁判所で、三十九年度の民事関係が八十五件、刑事関係か大体八十二件くらいあるようですけれども、こんな状態で、裁判官の不足があったりして進行しないでおることによって、一番迷惑がかかるのは、やはり国民になるわけです。
 そこで、私はちょっと伺いたいのは、実は新潟に起こった事件のことです。塚田十一郎さんの選挙違反の問題であります。私は党の綱紀粛正委員長という肩書きで、どうしてもこの事件は一日も早く明らかにしてもらわなければならぬと思いまして、新潟へも参りました。それで、中元に名をかりまして、二十万円の金が四十数名の県会議員にばらまかれておる。これは意思を明らかにした前かあとか、なんということが中心問題になっているようでありますけれども、旧来にない事例として、二十万の金をばらまいている事件が――これはもうわれわれが調査に新潟へ行ってから、約半年以上の歳月が流れているのであります。もしこんな事件が、中元に名をかりて出しさえすれば違反にならぬというようなことであるならば、私はゆゆしい問題になると思うのです。そこで、一体その後の経過はどんなふうになっているのか。これはおそらく刑事局長の範疇になるかもしれませんが、この機会に明らかにしておいていただきたいと思うのです。
○津田政府委員 新潟の塚田知事に関する事件につきましては、すでに捜査をいたしまして、今月初めごろ、大体におきまして、東京の高等検察庁において協議をいたしたわけであります。その結果、なお捜査を要するものがありまして、それによって現在捜査検討をいたしておるわけでありますが、遠からず、この事件については結論が出るものというように考えております。このことは、しばしば国会におきましても申し上げておるところでございます。必要な捜査は必ずこれを遂げまして、その事実を明らかにいたしたいというふうに考えて、せっかく努力をいたしておるところでございます。
○山田(長)委員 検察当局が証拠固め等でなかなか手間どるであろうということは、まあしろうとのわれわれとしても判断をするのでありますが、一体半年以上の歳月がかかって、これは人が足りなくて資料の収集が困難なのか、あるいはまたそれ以外の新たな事実があって結論が出ずにおるのか、この点不明確なので、差しつかえない範囲で、この機会に言っていただきたい。
○津田政府委員 新潟の検察庁におきましては、現在何名の検察官がおりますか、私も手元に資料がございませんで、つまびらかにいたしませんが、新潟の検察庁等で人手不足であるというふうには、私どもは考えておりません。しかしながら、事件そのものの内容と申しますものが非常に複雑でありまして、それに要する捜査に手数がかかっておるというふうに、私どもは見ておる次第でございます。御承知のように、かような事件につきましては、なかなかいろいろな解明を要する問題が多数出てまいりますのが通常でありますので、そういう意味において捜査に手がかかる。やはり時を追って進んでいくということになりますわけで、相当な時間を要しておるわけでございます。
○山田(長)委員 新潟の事件は、中元に名をかりた選挙違反でありまして、まことにこのことの結論が、もし不起訴にでもなるような事態があるとするならば、これこそ私は、これからの選挙にゆゆしい問題を投げかけてくるだろうと思うのです。これは当局が現在取り調べ中でありますことなので、これに意見を差しはさむわけではありませんが、ただ、いま裁判官及び検察官等の人員不足の問題等が決算の議題になっておりますので、こいうことのために遅延しておるものであるかどうかということを危惧いたしましたので、お伺いしたわけなんですが、一体、結論が出るのはいつごろの予定ですか。
○津田政府委員 ここで、いつの日時におきまして捜査完了いたしまして処分をいたしますかということは、ちょっと申し上げかねるわけでございますし、私自身もいま承知いたしておりません。しかしながら諸般のいままでの報告等によりまして、そう遠からざる機会において、処分がなされることは確実でございます。
○田中(彰)委員 ちょっと関連して。どうも、私は塚田関係と、いろいろなことがございますので、こういうことは質問申し上げたくないのですけれども、山田君からもそういう話があり、予算委員会等でも問題になっておる。その他いろいろございますから、われわれが耳に入れた、はっきりした点ですね、うわさでなく。これを申し上げますと、新潟の検察庁では、とにかく二十万円以上六、七十万円までの金を全部の県会議員にくれてやったことは事実である、そのほかにも各団体の長には相当の金が回っておる、こういうことも調べてある。それから一番大事な責任者の、選挙に幾らかかったという計算書を出す人、これは全部検挙されて、当人たちは白状していますが、これは一に五をかけたくらいのものならば別ですけれども、これは全部うその、公文書の偽造で、てんで問題にならぬうそである。業者からも相当の汚職めいたものも出ておるけれども、これもいままではやっていいか悪いかわからぬから、一つくらいなことで、どっちかでいこうというようなことになって、一生懸命調べているんだが、東京の最高検へ持ってくると、おまえたちの調査はこれではよくない、こうやって調べろ、ああやって調べろと言って、その調査をあいまいにさせるように、弾圧を上から加えている。これはもう絶対に、新潟の検察庁の人が言うのでなく、刑事局長も御存じのとおり、検察庁も、われわれが当今聞いたのですが、なかなか派閥で割れておる。しかもこれは、死にましたけれども、岸本派の者たちが、あの選挙に、全くいまの検察庁の主権を握っている人たちにいじめられて、そうしてあそこまでいったけれども、法治国だから、検察庁に公職があろうがなかろうがしかたがないじゃないかといって、あきらめて、熱いお湯の中へ入ってこたえておる者がある。そういう者たちから見ると、いまの検察庁のやり方というものは全く上のほうはわからない。裏で、下で一生懸命やっても、いろいろなことをやられるのだ、こういうことを言っているのですね。また実態を、私たちも選挙をやっていますから調べますと、選挙に十人なら十人で働くと、委員長も御存じですが、これは公定ではできないことは知っています、わかっていますから、十人なら十人で働くと、おまえたちの人夫賃として、十人に、これを分けろ、と言ってやる。それを全部で分けて、そして二百円なら二百円ずつ分けて、その分けてしまったうちから、たとえば百円なりでも、五十円なりでも出して、疲れたから一ぱい飲もうじゃないかといって飲んだやつはひっかかっていません。言いわけが立っています。ところがまとめてもらった中から、疲れたから一ぱい飲もじゃないかといって、もらった中で一ぱい飲んで、残ったのを分けた者はみんな起訴されている。これは日本全国に六十何件あります。そういうようなものから見ると、ちょっとビラをよけい配ったとか、ちょっと戸別訪問したとか、そういうものがみんな起訴されて、三年、五年の刑に服しているのに、一方は、私が申し上げるまでもなく、おそらく新潟の検察庁では、こんな複雑怪奇な、こんないいかげんな事件はないといって驚いておるのだけれども東京へ持ってくると、ここで押えられる。そこで、若い検事たちは、そこらへ投書したり、あるいは手紙を出したりしているのを見ると、やはり二つに割れておるのだ。どうも現在の検察庁の首脳部というものは、昔の特高かどろ警に変わって、憎いことを言うやつは、何かないか、もし事件がないなら脱税でもないか、何もないかといって、徹頭徹尾やる。そして、自分たちのよいものには、たいていなことはみんなもらしている。この評判だけは、刑事局長、あんたがぱらりと、刑事局長という姿を隠してお聞きになれば東京地検でもどこでも、みんな言うわけです。刑事局長、これはたいへんな問題なんです。そこで新潟県のこれも、知事がやめたら、不起訴処分にしておさめようじゃないかというので、もはやすでに首脳部できまっておるのだ。これは動かすことのできない事実だ。これはどの程度からどう行って、どこでどうなったということまで、検事局の中から漏れてきています。検事局の中から……。やはり検事局にも正義の若い検事がおります。世界に日本が誇るものは、日本の裁判制度がいいということ。その次は検事局だけでも公平無私なりっぱなものだということで、人が信用しているわけです。われわれがきょうここで発言すると、あなたがまた上に行って言われる。今度何か田中にないかといって、またあしたから事務官的なものを出して調べられる。そういうことがないとあなたは言うなら、私はこの前証人を連れてきた。検事局に呼ばれて、田中の野郎うるさくてしょうがないから、何かないか調べてくれといって頼まれた上席の検事が二、三人おることは、証明していいです。ここにたくさんおいでになりますから。まあ昔のどろ警か特高みたい、憲兵隊……。新潟の事件では、ほとんど下の、まあ検事正は別ですが、調べている検事は泣いていると思う。一生懸命になって調べて、ここへ来ると、ああでもない、こうでもない。公判でもし無罪になったらどうする。公判で無罪になって、ほんとうに責任を負うなら、昭和電工事件だって、その他でも無罪になったものは、十調べたら四九%無罪になっていますよ。この責任はだれが負うのですか。それをこの新潟の事件に対してだけ、もし公判で無罪になったらどうするのだ。ウィスキー密輸入一つにおいたって、それからバーの許可の不正においたって、農地転用の違反においたって、公文書の偽造においたって、業者との汚職においたって、二十万から六十万までです。われわれも二十四、五万もらっておりますが、これを二十五人にくれると、たいへんな金になる。知事は十六万ちょっとの給料ですから、自分の四年ぶりの給料を中元にくれましたなんかで済むものではございません。党でも、何かこれを党から贈ったことにしてごまかそうといって、あなた方に相談したが、これはちょっとぐあいが悪かった。みんなこういう相談に検察庁の首脳部が乗っている。党から金をやったということにすれば済むのではないか。これはだめだ。しかし今度はこれがいいということになりますと、選挙になると、中元で、もけっこう、葬式の香典でもけっこう、歳暮でもけっこう、自分のとった給料の四年ぶりまではやっても違反にならぬということになる。四年ぶりまでは、配っても違反にならぬ。任期中に世話になったというなら、国会議員にも任期がございます。解散から解散まで任期中です。だから、いやあ、任期中に世話になったといってはがきを出してもいけない。あとで取るからといってはがき出しても違反になる。今度任期中に世話になったからといって、わが党の、自分の党の幹部が、おまえにも二十万やる、それでもいいなら選挙は金さえあればできるはずです。これも私は重大な問題だと思う。それも、いままでたとえ五万円でも十万円でも現金くれたのならいいけれども、いままで四年間に、品物の三千円か四千円の物しかくれていない。今度のときに初めて二十万以上くれた。それも吉浦候補が立候補になってからくれたのか、その前にくれたのか、私はそんなことは――おっしゃるまでもなく、私も選挙違反にひっかかっています。半年前にやったことは、塩引き一本配ったことまで全部ひっかかっています。半年前に親類や友だちのところに行って、帰ってきたからよろしく頼むよと言って、塩引きのこんなもの一本くれたのが全部ひっかかっています。それが二十万から六十万まで。まだ、上のほうでもって干渉なさらなければ、各婦人団体、各団体に出した金は大きなものです。けれども上のほうで干渉をして調べさせたい。これは常識ある刑事局長、法律に通じられるあなたがお考えになったって、私はおかしいと思う。不起訴なんかもそのとおりです。この前、鹿島建設のごとき、起訴猶予になっておるのですから……。それからあと二、三月たたぬうちにこの事件が起きておる。何も吉浦が立候補する前にくれたとか、後にくれたとか、そんなこと問題でない。もう私は知事に立候補しますと言明して、党でもちゃんとそれを確認して、党へ来てあいさつして、それでもやっておることは間違いないのです。そこは全部わかっておる。だから半年くらい前にやったことが事件になるかならぬのに、そのきわへ来て、七月の末にくれた、八月の一日か二日ころくれた、それが吉浦が党で立候補することがわかってからくれたのか、じゃわからぬということになれば、それは中元で済むのですか。あるいは任期中にお世話になって、四年生の、議員の任期は四年ですが、一年生議員もおれば二年生議員もおるから、お世話になった一年生は幾ら、二年生は幾らと、差額をつけていくのですか。一番下が二十万、それから六十万、七十万、八十万までくらいいっております。そのほかにも、県会議員の上の議員、そこへも何百万といっています。それを全部こっちへ相談に来る。みんなこれを押えてしまう。もしこういうことが実際に行なわれているといたしますれば、私は日本にも重大な問題が起きてくると思います。インドネシアのスカルノ大統領が日本に来て、とにかく非常に人気があった。当時の総理の岸さんからみんな、たいへんなことで大騒ぎしたときに、あの国の国民が困まっておる、大統領がああいうことをやるなら長く続かないよと言って、私が笑って、みんなから攻撃されましたが、現在そこへ行っています。新潟をもしこのままで不起訴なんかにされれば、東京都の都知事選には、あれがいい材料の一つとなって、東京都の都知事選で負けます。これがもし負けたとしたらどうなるでしょう。その他あらゆる選挙にこれが私は材料になると思う。私は疑っておるのではありません。いま、山田君が、帰ろうとしたら待てなんというから、私は申し上げるのです。確かにそういう評判です。そういう検察庁の内部からもいろいろな手紙が出て、いろいろな者がそれをつかんで、いざとなれば立ち上がるという者が相当、国会の自由民主党の中にも――社会党諸君の中にはもちろんでしょう。公明党の中にも、あるいはその他の評論家とか、そういう者の中にも、現職検事から、そういうものを訴える現状の、内容をもらって持っておる者があるということを御推察なさって、この処分だけは、無罪になろうが、不起訴になろうが、われわれの関係したことじゃありませんが、変な事件が勃発しないように、ひとつ公正に考えてやっていただきたいと私は思います。ある人など――これは言っていいか悪いかわかりません。大阪の柳川という検事長にですが、言ったか言わぬかわかりません、君、大阪へ行くのかというと、おれは大阪に用事があって行くのだ、おれ柳川に言ってやるぞ、君、一体、新潟、あれなんだ、君ら精出してやれと言ってやるよ。そんなことまでわれわれの耳に入るのですが、これは刑事局長は国会にも出られたり、あるいは法務委員会にも出られたり、いろいろなさっておられるのですから、おわかりになっておるだろうと思うのです。これがもし変な取り扱いになれば、私が社会党の諸君からほんとに聞いているところによると、これは法務委員会なんかで問題にいたしません、各委員会を停止して、国会の運営を停止して、これを社会に訴えるという社会党の方針がきまっています。こんなことになったら、私は、たいへんな、山谷や大阪の労働者街で起きたような、ああいう問題だって、もっと大きなものが起きるのではないか、こう考えておりますので参考に申し上げるのです。実はこれは申し上げたくない。私は帰ろうとしたけれども、そこまで言われますから、われわれのほんとうの知った声、これを申し上げるのです。森脇事件でもそうなんです。あそこまでいかないであの事件が済まされなければならない内部との関係があった。若い検事さんをそこらじゅうから頼んであれをやったために、下から突き上げられて、隠すことができなくなった。できないならあくまでも下が突き上げて徹底的にやることによってあすこまでできた、というのが森脇事件の評価だというので、これも評判にしています。
 どうか、国見の一番信頼しているものは裁判所と検事局ですから、ひとつ、かたきの子でも、たとえわが子でも、事件に対しての取調べは公正にやりてもらいたい。これを私はお願いいたしまして、私の知っている範囲をいま申し上げたわけです。どうぞひとつよろしくお願いいたします。刑事局長はどういうお考えでありますか。
○津田政府委員 ただいまるるお話がございましたが、私はこの事件の捜査につきましてはいろいろ問題点があることを承知いたしておりますので、検察庁がその究明をしておるということは、私は疑っておりません。また本件の捜査につきましても、もちろんこれは最高検察庁まで協議を求めることになっておると思いますが、それに対しましては、もちろんその事件の内容の真実の発見に努力をいたして、適正な処分をきめるはずでございます。御承知のように、事件につきましては、起訴をいたしますれば、その内容は裁判によって明らかになりますし、また不起訴の場合は、それぞれ検察審査会等の手続があるわけでございます。したがいまして、検察庁が独自に独善的な処分をいたすということは、私は考えておりません。その意味におきまして、今後とも、私どもといたしましても、十分公正にあらゆる事件を処理するように努力いたしたいと思いますが、この件につきましても、もちろんそのような方針で努力いたしたいというふうに私は考えておる次第でございます。
○山田(長)委員 最近の経済不況から、手形の事件とかあるいは借地借家の民事の問題とか、いろいろあるのですが、そういう問題も聞きたいのですが、根本問題は何か人が足りないのじゃないか、私は頭の中にそういう印象が非常に強いので、自分が調べてきている問題をここで伺いたいと思います。
 それはこういう事件です。もう三年間にわたりまして、実は私の調べていた近江絹糸の事件、丹波秀伯の政治献金の問題です。六千八百万円という政治献金だけは金額が認められております。ところが、いつの間にかそれがうやむやになったので、特別背任か横領かという問題で、実は大阪に行きまして、これを調べました。結局それが不起訴になってしまった。そこで検察審査会に、私は私の名前で、綱紀粛正委員長という名前で訴えました。ところが検察審査会なるものが、残念なことに――こういうものの判断をするのだと思ったら、それが、婦人や法律知識などまるっきりない人ばかり集まって、半年半年にそれが交代になるというようなことで、調べたのか調べないのかちっともわからないで、これも不許可になってしまった。私は検察審査会制度の根本改革をいま心の中で考えております。法律知識のない人を集めて、それを半年なら半年目に改選されて、おまけに日当が六、七百円、出られる大工さんや床屋さんも、それぐらいの日当で行って、むずかしい法律の話など聞いて、肩をこらして帰ったのでは仕事の支障を来たすというので、欠席がちになるということで、せっかく設けた検察審査会制度なるものがほんとうに活用されていないのではないかという印象を、私は強く持った一人です。
 そこで、六千八百万円のこの事件は、政治献金として認められている事件なんですが、認められていながら、名前をとうとう出さなかった。それで、いまもう名前を出しても、死んでしまったから差しつかえない段階まで、今日では来ているのですけれども、とうとう三年もかかって調べた事件がさっぱり進展せずにしまって終わったのですが、かなり真剣に裁判所では調べたものと思うのです。思うけれども、六千八百万円の政治献金だけは認められたのですから、六千八百万円の内訳だけは何としても世に出したい。これは刑事局長も、私が法務委員会で質問したことがあるので、大体知っていると思うのですが、今日の段階になっては、もう名前をあげてもいいと思うのですけれども、どうですか、名前はまだあげませんか。
○津田政府委員 近江絹糸関係の事件につきましては、しばしば御質問を受けたわけでございます。あの事件につきましては、ただいま若干の事件が大阪地検に係属しておるかと思いますが、御質問のありました近江絹糸の事件と申しますか、この事件につきましては、不起訴処分がなされておりまして、それにつきまして、検察審査会に現在係属しておるというふうに私は記憶いたしております。そこで、その事件に政治献金ありゃいなやということのお尋ねであると思うのでありますが、この事件につきましては、前回法務委員会で申し上げましたとおり、政治献金があるかないか、あるいはそのいかなる費目があるかということについては、こまかいことを申し上げることを差し控えたいと申しておるのでありますが、その点は現在も変わっておりません。しかしながら、丹波秀伯につきましての横領その他の事実につきまして、近江絹糸の金の使途については克明に取り調べをいたしました結果、丹波秀伯が個人のために出したものはなく、すべて近江絹糸、会社のために行なったものであるという結論になりましたので、不起訴処分になったわけであります。しかしながら、その費目の個々の内訳について一々申し上げますことは、将来の検察権の運営に大きな支障を来たすおそれがありますので、この点は差し控えささていただきたいということを前に申し上げたのでありますが、現在その立場は変わっておりません。
○山田(長)委員 私の質問はこれで終わりますが、いろいろ検察事務の問題についての、庁舎の改善の問題とか、あるいは裁判官の不足の問題とか、常日ごろ自分でぶつかっている問題の中から勘案して、ただいままで質問申し上げたわけであります。そこで最後に伺っておきますことは、最近の不況から、手形の問題、それから借家の問題等が非常に多いようでありますが、これらの点はどうも裁判官にオーバーワークの感じを常に私は持つのでありますけれども、実際問題として、日時をもっと早くできないものなのかどうかを伺っておきます。
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまお尋ねのございましたのは、主として民事事件の訴訟の遅延の問題であろうかと存ずるのでありますが、お話のありましたとおり、手形事件等は相当ふえてまいりておることは確かでございます。ただこの点につきましては、先般国会で御審議いただきました民事訴訟法の改正で、手形訴訟という新しい制度ができまして、これによりますと、かなりスピーディーに処理できるというような面が出てまいったわけでございます。その面では、裁判官のいわゆる負担というものをそれほど重くしないで、事件の迅速な処理をはかる。そして、しかしこれに対してはいろいろまた不服申し立て等の方法があるわけでございますが、そういうようなひとつの技術的なくふうによりまして、ある程度の訴訟の促進がはかられておるわけでございまして、なお借地借家関係の事件につきましても、これは私ども伺っておるところでは、法制審議会等でもいろいろ御検討になり、あるいは近くその関係の法案が出ることになるようにも伺っておるわけでございます。この辺は法務省でおやりになっておることでございますので、私ども内容の詳細を必ずしも存じておるわけではございませんが、私どもとしても、そういういろいろな手続的なくふうをこらしまして、そして裁判官の負担を軽減しながら、しかも適正な処理について誤りなきを期する、そのような方向の施策が実現することを希望しておる次第でございます。同時にまた、裁判官の増員あるいは書記官の増員等につきましても絶えず努力もし、また国会でも非常に好意ある御配慮をいただいておるわけでございまして、本年度、裁判官を含めまして、裁判所職員全体で八十五人の増員を認めていだだきました。その数は必ずしも大きいものとは言えないかもしれませんけれども、現在の政府、内閣でおとりになっております定員抑制措置の状況のもとにおける増員としては、私どもとしては非常に感謝をしておるところでございまして、その定員の関係の法案も、先般衆議院を通していただいたわけでございますが、そういう増員的措置と手続的ないろいろな改正と、両々相まちまして、逐次訴訟の促進をはかりつつあるというのが現状でございます。しかしながら、まだまだ満足すべき状態には達しておりませんので、内部的にいろいろ運用も検討いたしますとともに、また手続法の改正なりあるいは増員等、広い施策によって、今後これを打開してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○吉川委員長 吉田賢一君。
○吉田(賢)委員 私は、少し方面を変えまして、法務省並びに最高裁に対して、非行少年問題を少し伺ってみたいと思います。
 まず法務省当局に伺うのでありますけれども、あなたのほうの刑事局といたしまして、青少年課を設け、また各般の施設が矯正局管下にもあるわけでありますし、いろいろな角度から、きわめて重大視される非行少年問題について、相当施策は実行せられておると思っております。そこで、現状といたしましては、御承知のとおりに、次第に憂うべき傾向が顕著になっております。たとえば、白書によりましても、報告書によりましても、中央青少年問題協議会等の報告書等も参照しましても、どこから見ましても、非行少年の問題は相当強力な施策を抜本的に立てなければならぬ段階に来たように感じます。これにつきまして、百花繚乱のような施策が幾らたくさんにできましても、根本をつくという点、核心をはずれるということになりますと、やはり効果があがってこぬのじゃないか。各省庁の予算を見ても、膨大な数額にのぼっておることは御承知のとおりであります。年々これが行使されております。そういう際でありますので、あなたのほうの法務省としまして、どのような態度でこれに対処していかれるのだろうかということを、私は伺ってみたいと思います。第一に伺いたいのは、それならば、いまの青少年問題の特質として指摘する一番重要な問題は何であるかということを、ひとつ端的にお述べ願いたいと思います。
○津田政府委員 現在の青少年非行問題につきましての、政府部内の総括的な問題の検討並びに施策につきましては、ただいま御指摘の中央青少年問題協議会におきまして検討いたしまして、昨年答申がなされたわけであります。この青少年非行問題そのものに対する施策は、あらゆる政府の施策を動員する必要があることは当然でございまして、法務省関係といたしましては、全くその一部面を担当しているのにすぎないと言えるわけであります。したがいまして、全般的な問題につきましては、中央青少年問題協議会の答申に盛られた内容がもちろん問題点であることは当然でございますが、現在法務省におきまして考えておる点は、少年の再非行防止ということが主眼点でございます。そのためにいかなることをなすべきか、こういうことなのであります。再非行防止、さらに進んでは少年に対する犯罪防止、防犯ということがもちろん必要でありますが、これはいずれを問わず必要であるということは当然言えるのでありますけれども、やはり扱いとしては、第一に再非行防止である。したがって、少年に対する防犯ということは、これは法務省ばかりではございません。これは警察も第一線として担当するわけでございます。そういう意味で、現在施策を考えておるわけでございます。そこで、当面法務省におきまして考えておる施策といたしましては、第一には、少年非行の温床となるような社会悪を除去するために、一方においてまた、少年に悪影響を及ぼす暴力的犯罪の厳重な取り締まりを推進いたすとともに、他方において、少年非行を助長、誘発せしめる不良文化財等の取り締まりを強化し、あわせて関係者の自粛措置の促進をはかるということが第一、それから第二には、非行を犯した少年につきましては、検察庁における事件処理をより適正にすると同時に、少年鑑別所の機構を整備いたしまして、資質の鑑別の徹底を期する、少年院における教化活動、職業訓練を充実いたし、保護観察機能を拡充強化するなどによりまして、非行少年の処遇体制の改善をはかりまして、その改善、更生と、再犯の防止につとめたい、こういうことでございます。第三は、非行少年のうち精神障害者の占める比率が相当高いことにかんがみまして、これらの精神障害者に対する処遇につき特別の配慮を加えまして、その治療保護等の措置の充実をはかる、それから第四に、少年法制に再検討を加えまして、非行少年の処理、処遇に関する各関係機関の権限と責任を明確にすること、並びに補導、検挙、審判、矯正保護を通じまして、一貫性のある総合的、刑事政策的施策を確立する、この大体四つを考えまして、当面は努力いたしておるわけでございます。
 そこで、少年法制のうち、現行少年法の問題につきましては……。
○吉田(賢)委員 少年法の問題はあとで……。
 だんだん御指摘になった対策の要綱もよくわかるのでありまするが、ずいぶんと対策は何年来立てられて、そして実施されてきたにもかかわらず、最近の傾向は、国民は非常に憂えておる。でありまするので、私は、やはり根本をつくということについて、少し問答をしてみなければいかぬと思います。統計によりますと、次第に年齢が低下してきたということは、これは顕著な事実であります。あなたのほうの出しておる犯罪白書にも、青少年白書にも、最高裁の統計あたりにも、全部そのような傾向は指摘されております。そこで、低年齢層が次第に非行を増加するというのは一体どういうわけか、これはどういうふうにつかんでおられるか。
○津田政府委員 少年非行の低年齢層化という問題につきましては、ただいま御指摘のように、そういう傾向は当然見られておるわけであります。低年齢層化と申しますのは、主として犯罪の面から考えますと、十四、十五歳の者が多くなっておるということでございます。これに対しましてはいろいろ見方があると私は思いますが、従来私どもが指摘いたしておりますのは、低年齢層化の傾向というものは、これの原因は、やはり学校と家庭にあるというふうに私どもは考えておるわけです。したがいまして、家庭における非行少年対策、つまり少年の非行におちいらないような対策、それから学校におきます少年の非行におちいらないような対策、というものを考えていただくのが一番端的であるということを、私どもは、政府部内の協議会においても、主張いたしておるわけでございます。
 そこで、そういう意味におきまする問題は、どういうふうになるかということになるのでありまするけれども、やはり家庭の問題といたしましては、最近、国民運動の推進ということを、政府で本年度の目標としていたしておるわけでありますが、これはやはり家庭に訴えて、自分の家庭内はもちろんでありますけれども、他人の家庭に対しても、やはりそういう面に注意を向けてあげるというような、国民こぞっての運動をするということによって、対策を考えていく。それから学校の点につきましては、やはり教師のこの面に対する自覚を促すという必要があるわけでございまして、やはり校外の補導ということを先生によく考えてもらわなければいかぬというふうに、私どもは考えておる次第であります。
○吉田(賢)委員 実は、この問題は刑事局長だけの担当事務ではございませんで、法務省といたしましては、法務大臣に相当伺わねばならぬと思ったのでありまするが、やむを得ませんので、また別の機会に、ぜひ大臣にも直接所信を伺いたいと思っております。
 いまの家庭に重大な原因がある、したがって家庭対策が重要である、この点を何年来指摘してこられておりますが、一向改まらない、家族主義の崩壊、あるいはまた、家庭における人の関係が不安定に置かれておる、いろいろ指摘されておるのだけれども、一向直らない。学校教育といっても、学校教育は、日本は世界で一番の初等教育、中等教育の普及した国であります。それをどうするといったところが、それぞれ文部大臣が対策を立ててやっておるが、しかし結果的には、非行少年は数としては減らない、もっとも数の実質は、それは交通事件が多いのだ、凶悪犯必ずしもふえておらぬという説明もつきますけれども、しかしいずれにしましても漸増の傾向にあることはいなむわけにはまいりません。そうすると他人を説得するという、つまり家庭をよくせいということを、国の行政の施策としてするという前に、何か忘れた、抜けたことがあるのじゃないかという点を、ひとつ行政官としてお考えにならぬかということです。もっともこれは私どもにも責任があるのです。憲法上行政を監督すべき国会自身にも責任があります。だから、お前よくなれ、それは顔がゆがんでおるのだ、目鼻が曲がっておるのだと言う前に、やはり自分自身に反省が必要でないかということを、実は私痛切に思うのです。といいますのは、たとえば臨時行政調査会におきまして、膨大な答申が出ております。法務省におきましても、これに対して私用資料要求をいたしまして、その答申の結果はいろいろと意見が出ております。しかし全体の空気は、行政官庁はこの答申の実現を欲しない。なぜかというと、改められるということは、自分の職務のなわ張りを奪われる危険もあるということもあるのではないだろうか。ともかく、いずれにしても、改めようということはやぶさかだということが一般の風潮なんです。その風潮の中におる行政の手では、なかなか容易でないということを私は申し上げたいんですね。だからそこに一つの穴、欠陥があるのじゃないだろうか。行政自身の姿勢をしゃんとするならば、私は家庭に向かっても、百の説法よりも、一つの事実で効果があがってくる。たとえば三十九年度の会計検査院の決算報告書を見ても、不当事項を指摘されること六百六十四件、膨大な不当事項があがっておる。しかし、不当事項の結論的な処置はどうしたかということになりますと、杳として行くえ不明ということが多い。ことに人間的処罰の面なんかについては、公務員に対しては寛容であります、ということが考えられる。そういうところをおもんみると、やはり行政の手だけでは、なかなかいきにくいのではないかということを、率直に反省する必要があるのじゃないだろうか。行政の手の届かない面が重大な原因でないか、そういうふうに私は感じるのでございますね。ですから、これは法務省の御答弁というよりも、非行少年対策、非行少年の原因をなくすということについて、行政の手はなかなか行き届きにくい重大なものがあるという点を指摘したいんですが、どうお考えになりましょうかね。――次官は帰っちゃったですか。
○吉川委員長 いますぐ戻ります。
○吉田(賢)委員 聞いてなかったから、いいです。じゃそっちから……。
○津田政府委員 ただいまのお説、まことにごもっともでございまして、中央青少年問題協議会の答申を受けて、政府は何をなすべきかということについては、いろいろ政府部内で論議をされたわけであります。しかしながら、一番やるべきことは、ここに掲げられて、行政の責任としてまずやるべきことは、必ず徹底して行なうということが必要である、こういうことは、もう当然の前提として考えられたわけであります。しかしながら行政につきましては、御承知のとおり、中央青少年問題協議会の答申に掲げられておる内容を実現するためには、きわめて多額の国費を要するわけでありまして、それを一挙に実施するということはとうてい困難であるという立場から、これについてさらに重点をしぼって、必要なものからどんどん実施していく、こういうことが必要であるということは当然確認されたわけでございます。また一方、行政の手をもってできない家庭内のこと、あるいは学校の先生の気持ちそのものからくる生徒に対する補導というようなものについては、それぞれの家庭あるいは教師の自覚を促す必要があるのではないか、物的あるいは行政的にできないことがあるのではないか、それについては、それを革正する必要があるという意味において、国民運動を推進しよう、こういうことになって、両々相まってこの施策を進めていくのが最も適当である、というような結論に大体なったように、私は理解しておるわけであります。
○吉田(賢)委員 それから、低年齢の学生生徒ですが、ことに中学生が断然ふえてまいりました。中学生がふえてきたということは、実に憂慮すべき傾向でございます。これも、それなら文部省にまかせたらいいじゃないかということになってしまうのかもしれませんけれども、ここにまた根本は同じ問題があるわけです。
 それからもう一つは、最近は中流家庭の少年の犯罪もしくは非行が断然ふえてきた。従来は貧困即犯罪の原因といわれたけれども、必ずしもいまはそうではない。もっとも欠損家庭であるとか、あるいは崩壊家庭なんかも非行少年が多いというのは事実でありますけれども、しかし、いずれにしても、中流家庭というものからだんだんと非行少年がふえてくるということは、これは経済の成長をうたっておるだけでは済まされぬことではないか、こういうふうに思うのです。こういうことについても、それはそれ、これはこれというのじゃなしに、直接ぶつかって取り組んでいくということが必要ではないだろうか、なぜ一体中流家庭に多いのだろうか、こういうふうに底の底まで診断を遂げて、具体的対策を立てるというような慎重性とか総合性とか科学性というものが、青少年問題、非行少年問題に、日本では足りないのじゃないか、そんなことがどうも考えられるのです。ですから、千百の対策がありますけれども、減らないということは何といっても敗北ですよ、それは。だから、大きな声で、これは成果があがったりとは言えないわけです。だから国会に対しましては、今年も総理府以下何ぼですか、五百四十億円ですか使っていくのですが、たいへんなことでございますので、成果があがったというような報告を、行政当局がせなければいかぬ。一々だんだんと悪質なのがふえていくじやないかということを指摘されたのじゃ、何のためにお金を使っているのかということに実はなるわけでありまして、この点は、一体なぜそんなに中流家庭がふえていくのだろうかということも、これも刑事局長は専門家ですから、刑事局長はどういうふうに法務省として考えておられるか、端的にお伺いしたいと思います。
○津田政府委員 統計によりますと、極貧家庭よりも中流家庭の非行少年がふえておるということは、ただいま御指摘のとおりであります。そこで、この原因は何かということについては、非常にむずかしい問題だと私は思うのでございまして、定説というようなものは、私はないと思います。けれども、先ほど申し上げました家庭の問題ということがここにもやはりあらわれてきておるのじゃないかということは、当然言われるわけであります。そこで、世の中が複雑になりますし、あるいは生活程度が上がるということになってまいりまして、さて、それじゃどうなるかということで、こういうことが起ってくるのではないか。そうなると、これは家庭の問題ということと、それを裏返せば、比較的金銭が自由になる子供が不良環境におちいりやすいというような、社会的な施設と申しますか、そういうようなものがあるということの点が考えられると思うのであります。しかしながら、これはどういうふうなことがほんとうの定説であるかということは、実は私自身もよくわからないのであります。先ほど申し上げましたが、社会環境を浄化するということは、社会的には必要であるし、家庭は家庭として、そういう面の自覚を持って子供に接することが必要である、そういうことになるのではないかというふうに私は考えておる次第でございます。
○吉田(賢)委員 これは、私自身も十分な研究をした結果じゃないのでありまして、いろいろな方に実際について聞いたり、また事件を通して見ることでありますけれども、やはり法務省は法務省の立場といたしまして、私はもっと科学性を活用するということに出なければいかぬと思うのです。たとえば中流家庭でなぜ多いのかということになりますと、一つは中流家庭は金が出るのです。金を出すということは一つの魅力になるのです。第一、これは、中流家庭から出ましたら、言うならば組長になれるのです。五人、七人引っぱっていけるのです。そこで、そいつを引き出してきたなら、またそれの上になりよるのです。非行少年の一つのグループに、そんな風潮も実はあるわけなんです。でありますので、この点は、中流家庭がなぜ多いのかという点につきましても、たとえば知能検査、脳波なんかを検査なさるような、鑑別所制度のような、ああいう科学性を活用するのと同じように、原因を徹底的に追及するということを、もっと科学的にやってはどうか、どうもそう思われる。この点は、法務省は、警察と相伴いまして、青少年課も持っておるし、それからまた裁判所の前後の行政処理等についても、重大な行政当局でありますので、これは徹底的に、法務省の立場において、科学的に原因の探求をしていくということに、今年は踏み切ってもらいたい。それは佐藤総理の施政演説を聞いても、いろいろな面の演説を聞いても、人間尊重はあるのだけれども、やはり科学性が足りないというふうに、どうも思われるのです。ですから、青少年対策、非行少年対策といたしまして、法務省は抜本的にこれに取り組んでいくというために、深い科学性を用いて、その原因の探求をする、本年はその年だ、そういうふうに踏み切っていくといようなことを、省議として腹をきめてもらいたいと思うのですが、それはひとつ大臣にかわるという意味で、政務次官から答弁を伺っておきたい。
○山本(利)政府委員 ただいま吉田委員から、いろいろ御質問、あるいは御意見の開陳がございましたが、まことにそのとおりでございまして、非行青少年に対する対策の問題は、わが国としても、民族としても、これはたいへんに重大なことでございまして、しかもその対策を立てていくのには、科学的な検討ということが必要だということも、まことにごもっともな御意見でございますので、法務省といたしましても、今後本腰を入れて、十分この方面に対しての努力をいたしたい、かように考えます。
○吉田(賢)委員 なお刑事局長にも申し上げて、かつ、ぜひ決意を求めたいと思うのでありますが、家庭対策といたしましては、原因が究極家庭にあるといたします、もしくは家庭が最も重要視すべき原因の所在だとかりにいたしました場合に、家庭問題ということになると、憲法の人権のことにもなりましょうし、家族制度のことにもなりましょうし、もしくは民主主義という思想問題にもなりましょうが、ともかく家庭問題ということになれば、その家庭対策というものに、膨大な一貫した重大対策が立てられなければならない、私はこう思います。あるいは宗教心の涵養もせねばならぬと言われもいたしておりますが、この点につきましては、私は私なりに、やはり家庭問題を重視しておりまするので、あなたのほうの課で、究極どこを重点にするかということの結論をほんとうに得られたら、それに向かって、他省とも横の連絡をとりながら、ひとつ家庭等に対する対策を立てるように協力してはどうか。先般総理府の決算の際、新たに本年度、青少年局設置の予算もしくは法律案が提案されておりますので、一つの進歩と見ておりますが、いろいろなものをストップをしておるときに、唯一の局ですから、これは相当思い切った行き方なんです。しかし内容は貧弱ですよ。けれども、総合調整について重要な役割りを持つということは宣言しておりますから、そういう意味におきまして、家庭が、ほんとうにねらう重大なものだということになりましたら、私はやはり、法務省といたしまして、家庭中心にねらって、ねらい撃ちに、どう取り組んでいくかということを、法務省は法務省なりに、ひとつ考えてもらいたいと思うのです。これはひとつ希望申し上げておきます。あとは、少年院の関係がありますから、進めて、答弁は要りません。
 そこで、主として法務省の関係に聞きますが、矯正局長見えておりますね。――法務省といたしまして、非行少年の矯正のために少年院を設置いたしておりますし、また少年院は、これは非行少年の施策といたしまして、かなり重大な役割りを持っておると思いますので、一体、この少年院につきまして、少年院はいろいろと区別せられて、初等、中等、特別あるいは医療ですか、四つに区別しておるようでありまするが、私は、何か知らぬけれども、血が通っておらない、魂が入っておらぬ、役人がお役目でやっていなさるような感じがしてならぬのです。少し酷評ですけれども、お許し願いたい。わが子が一人でも非行に迷って、非行少年のとりこになってしまったというときに、親は狂乱するばかりに心痛するものです。しかしやはり役人は、極端に言うなら、職務上やっておられるということになりますと、どうも魂が入らない。先般――私は先年売春防止法ができますときに、婦人の補導のときに、さて補導する人に人を得なければそれは無意味だ、ということを発言したことがあるのです。どうもやはり少年院なんかを見まして、少年院が規則ずくめで、職務的にやっておるような感じがするのですが、そういう面について、少年院の運営上に欠陥ありというような御認識はないでしょうか、どうでしょうか。
○布施政府委員 先ほど来御指摘もあったようでございますが、私ども、少年院に入ってまいりました少年につきましては、刑事局長からもお答えいたしましたように、再非行の防止ということを頭に置いて、行政をやっておるわけでごいます。それにつきまして最も大事なことは、先ほど来御指摘のとおり、やはり科学的に分類して、個別処遇を徹底していくという問題と、いま仰せになりました、やはり親身になって世話をするということであろうと存じております。その第二の、親身になって世話をするという点につきましては、先般、法務大臣が少年院をごらんになりましたときにも、お漏らしになった感想でございまして、私ども大臣のその意を受けまして、今後親身になって世話をするという方向で、できるだけの努力をしてまいりたい、かように存じております。
○吉田(賢)委員 各少年院は、それぞれの目的が若干違っておるからでありますが、たとえば中等の少年院の場合について見ましても、一体、矯正ということは、ほんとうは何が目的なんであろうか。矯正するといいましても、再犯を防止する、矯正する原因がはっきりと違っておるときには、矯正のしかたもまた違ってくるのじゃないか。非常に性格的に弱い者が多数にある、弱い者は、自分では進んで犯罪を犯すようなつもりはなかったけれども、つい引き込まれた、ついはたにおった、心なくもそれに巻き込まれたという例もありましょう。あるいは知能の発達が十分でないということも、重大な原因でないだろうか。つまりそれにあえて抵抗して、非行におちいらないだけの判断力、道徳的な自制力というものが自分に備わっていないということが、大多数のものでないであろうか。そうしますと、それを矯正するといいましても、ゆがんだ竹をまっすぐにするというものでは、私はないと思うのです。つまりその適応性を本人にちゃんと持たして、自信を持って世渡りし得るような、そういうことにすることがほんとうの矯正じゃないだろうか。大体、私ども法律を読んでみましたり文書を読んでみまして、矯正ということばも、これはもう変えてもらわねばいかぬのじゃないだろうか。矯正とか教護とか、旧法時代、旧憲法時代のこういうような考え方でなしに、もっと進歩した内容のことばに、字句も変えなければいかぬのじゃないだろうかというふうに思います。何かゆがんでおるものをまっすぐにするのだ、ゆがんでおるものをまっすぐにするというのも一つのあれはありましょうけれども、そうではなしに、世の中の悪い刺激がきつ過ぎる。きつい刺激に対して抵抗し得ない弱さがある。弱いのだ。弱いのを強くする。強くするということは、何も正しくするという意味ではないのですよ。だから、強くするということは、同時に、生きていく資格を与えていく。生きていく資格を与えるということになると、これは職業補導ということになるのかもしれませんが、職業補導なら職業補導でも、それならほんとうに少年院は職業補導をやっておるのかということになるのですよ。それなら職業補導するだけの教官が、実質的な資格を持っておるのかどうだろうか。法務省は、一体そこまで考えておるのだろうかどうだろうか、ということになると思います。職業補導するというなら、何の職業補導をしておるのか。何の職業補導をしておるかということになりますと、あるいは農地で百姓をやらしておる。百姓をやらすのかといったら、別に百姓をやらすつもりはない。一体、十六歳の少年が、一年少年院におって、百姓することができるか、そんなことはナンセンスです。そんななまやさしい百姓というのは、日本にはありません。大工をする、ちょっぴり大工の機械を据えて、少しばかりやらそうとしておりますけれども、別にそれで大工ができるわけではないということになるので、一体矯正の目的というものは、再犯の防止ということは、具体的に何をつかもうとするのかということについて、どうもしゃんとした背骨がないのじゃないだろうか。その点、あなたは科学性とおっしゃったが、鑑別所の科学性はわかります。鑑別所の科学性はわかるけれども、そういうような意味ではなしに、実質的な、いまの世の中で、少年として生きていける、成年になり得る資格を与えるというところまで配慮することが、ほんとうの少年院の目的ではないだろうか。いま、あなたら御承知でないかもしれませんが、一般の社会では、少年院に入るということはおそろしいことになっておりますよ。少年院出てきたといったら、えらいことです。少年院におったのか、何かしらん極悪なところに押し込まれておった人が出てきたのか、というのが世の中の理解です。それほどの印象を受けるときですから、この矯正について、根本的な、ほんとうに資格、資質を付与するということの対策があるのだろうかどうだろうか。これは非常に足りないと私は見ておりますので、その点は率直に、欠陥は欠陥として、言うてもらいたいのです。あなたらのほうで満足しておるのではないということは、私はわかりますので、率直に申していただきたい。ただしこれには財政が要るんだとか、人間が要るんだとか、施設が要るんだとか、物心全面に足りなさ過ぎるとか、率直に全部出してもらいたい。出すことなくして何ぼ問答したって、少年の非行は減りはしません。そういう趣旨でお尋ねしているのです。
○布施政府委員 ただいまの御質問、いかような教育をすればよいのかという点、たいへんむずかしい問題だと存じます。御指摘のように、入ってくる者の中には、知能指数の非常に低い者もおるという点もございます。また、いずれも学校教育等で落後した者もおるわけでございまして、これをどのように教育していくかということは、たいへんむずかしい問題でございます。しかし私は、やはり矯正の施設内における教育、これは何といっても、自信をつけさすということであろうと存じております。その自信をつけさすために、劣等感をなくしてやる。そこで年少少年、年長少年等によって、その対策も違ってこようかと存じます。したがいまして、少年院におきましては、初等少年院――ここでは少年院の在院者全体について申し上げますと、義務教育未終了者が二五%というような数字でございますが、それをさらに初等少年院にしぼりますと、初等少年院では、そのパーセンテージがさらに大きくなるというようなことでございます。したがいまして、初等少年院につきましては、とにかく義務教育は終了したんだという自信をつけさせてやることも、一つの重要手段ではないかと考えておるのでございまして、昭和三十六年以来、八つの初等少年院を、教課教育専門施設というように指定いたしまして、義務教育未終了者はなるべくそこに集めて、義務教育に専念さす。と同時に、今度は中等あるいは特別少年院になりますと、年齢もかなり上になりますし、これは社会へ出て、身に仕事を持っておることが大切なことであろうと思うのでございます。したがいまして、中等あるいは特別少年院におきましては、職業補導ということを中心に矯正教育をやっておる実情でございます。三十六年から、多摩少年院をはじめ全国で九つの少年院を、職業教育専門施設というように指定いたしまして、そこに職業教育に必要な機械整備費をつぎ込みまして、充実していく、というような方向で進めておるわけでございます。なお、医療少年院につきましては、ここに入ってくる者は、身体的な欠陥あるいは精神的な障害があるわけでございますので、それらを治癒するということを中心にやっておるのでございます。
 教える者があるかという御質問もございましたが、少年院で現在教員の免許資格を持っております者は、四百七十四名でございます。あと教えるほうで問題は、むしろ職業補導のほうでございますが、これにつきましても、中央の研修とか、いろいろそのような指導できるような資格を得るための研修を受けさせるなどの手段によりまして、その増員をはかる、実質的な増員をはかる、という方向で努力いたしておるわけでございます。ただいま四十一年度予算を御審議願っておるわけでございますが、これが成立いたしますと、大体ただいま申し上げました職業補導についての九カ庁、これは職業訓練法にのっとった機械等の整備ができる見込みでございます。このようにして充実してまいります一面、またそれ以外の庁につきましては、やはり今後の問題として、内容充実が必要であると考えておるのでございます。ここでは、高度の職業訓練に適さない、しかし職業に関する基本的な知識あるいは技能を身につけさせることによって、出てから、出院後に自分で職業を選択する能力ができる、そういう能力を養うというようなことを目標にいたしまして、一般の施設につきましても、今後充実をしてまいりたい、かように存じておる次第でございます。施設の点につきましても、年々充実してまいりまして、ただいまは六十二庁でございますが、新しい施設もかなりできております。今後とも、来年度の予算でもお願いしてございまして、多摩少年院、これは全面改築中でございますが、それの継続、宇都宮、これは新設でございます。静岡、関東医療、宮川、多摩などの改築、豊ケ岡、湖南、置賜といったようなところの改築等を進めていくことができる見込みでございます。
○吉田(賢)委員 いまの職業補導の件ですが、全般的に科学性が欠除しておるということは、こういう点からも考えてみたいと思うのです。たとえば乳牛を飼って、酪農みたいなようなことをやっておるのも見たことがあります。しかし天気のよいときに、日曜であるから、牛を、牧草を食うところに放牧しないということをやっている。ところが、酪農の専門化に言わせれば、言い天気のときに牛が牛舎に寝かされて、日曜だからおつき合いしなくてはならぬというようなことでは、乳は出ません。これはこまかい点ですよ。こまかい点だが、職業補導ということ全体につきまして、やはり専門家的な、絶えず清新な科学性を与えていくということにしなければ、外へ出て役に立たぬということを、実はおそれるのであります。だから少年院とか拘置所なんかにおいて、少々ものを習っても全然ろくなものではない、というような評価になりはしないかということをおそれるのであります。多摩が模範的な職業補導をやっておるか知りません。知りませんけれども、全国多数の少年院につきまして、私はこういう点、再点検をする必要があろうと思う。早急に再点検をする必要があるんじゃないかと思います。そこでもう一点は、私はこれもやはり科学性が大事だと思うのです。知能程度が低くても、何か人間には長所があるものです。全然ゼロという者はまあ少ない。それならば、はさみも使いようで切れると同じように、やはりその者の持っておる一番いい天分を伸ばしてやるという、特殊なくふうがまた必要ではないだろうか、こういうことも実は考えるのでございます。ただし、そういうことについては、そういう学校の教員の資格があるから、何でもかんでもやれるのだというわけにもいきませんので、ここは行政の総合的な指導、中央からそういうことの適当な配慮がこまかく行きわたらないといくまいじゃないか。言いかえると、職業補導というものは、実社会で役に立つようにしておやりなさいということです。そうしていたしましたら、初めて、少年に自信を取り戻すことができますので、その点について欠陥があるのではないだろうか。逐次おやりになるという方向にあることは私も存じますので、一段と、その点につきましては、強力に施策を推進をしてもらいたい。それで、職業が適当にありますということになると、一々身分をあかさなくとも、少年院にお世話になっておりましたと言わなくても、りっぱに同僚と競争し得る力を養えますので、この点は特に親のような気持ちになって、私は、職業を身につけるようにしてほしい、こう思うのでございます。たいていの場合は、私は、道はいろいろとあって、可能だろう、こう見ておりますので、それはぜひひとつ御希望申し上げておきたいと思うのであります。
 それから、いま一つの点ですが、やはりでき得るなら、こういう一つの社会福祉施設的なものは、全部公の力によってやるべきであろうと私は思いますが、しかし、現状におきましては、そうはいきませんので、民間の篤志家なんかによりまして、いろいろな施設ができておりますが、これは法務省からもらった資料、たまたま私の懇意な人が経営しておりましたのが見つかりましたのでありまするが、明石の錦江寮の件です。あそこなんかでも、八畳の部屋に、段々のベッドを置いて、十人少年を寝かしております。六畳の部屋にまた六人を寝かしております。寮長さん夫妻は、長年の間、この道を巡礼のような気持ちになって、それをお世話してやっております。おとうさんと言われ、おかあさんと言われて、やっておりますが、ともかく八畳の部屋に十人寝まして、ほかの設備もあって、というような、それが民間の一事例なんです。こういうようなことを思いますと、やはり民間の篤志家の福祉法人が最善のものであると、私は思いませんけれども、社会的欠陥を補うというような意味におきまして、いまは貴重な存在でありますので、やはりこういうものにつきましても、経営ができるような配慮は、どうしても必要でないだろうか。いたずらに財界人の浄財を求めるというようなことになりましては、またいろいろな弊害が生ずるのでないか、こう思いますので、何も、それはたまたまの一例にすぎませんので、全国的にそういった施設に対しましては、私は、この点も必要でないか、こう思いますが、これはひとつ法務省全体のことですから、次官から……。
○山本(利)政府委員 吉田委員から開陳されました御意見のとおり、こういう特殊な非行少年を更生させるというためには、ほんとうに親心を持って当たらなければならないと思うわけでございまして、その救済の一機関として、更生保護会等にお願いしておる部面もございますが、そういうような施設をつくっておられます方は、ほんとうにこういう子供たちあるいは刑余の君たちを更生させたいという、ほんとうの、単なるサラリーマンとしてではなしに、人類愛に燃えてのことでございますから、そういう方々の御協力を得るということはほんとうにありがたいことであり、それに対しては政府は十分に報いなければならぬと思うのでございます。こういう問題は国全体に関係することでございますから、単なる財界人の浄財により、お恵みによって処理すべき問題ではないと私も考えます。でございますから、政府といたしましても、今後また予算を組みます際には、こういう点についても十分配慮いたしまして、そうして国会の皆さん方の御協力をお願いをいたしまして、漸次改善していきたい、かように考えます。
○吉田(賢)委員 少年法の問題について少し伺ってみたいと、こう思うのでございますが、法務省におきましては、先年井野法相時代から、改正の意向があるようであります。特に昨年十一月でありましたか、法務大臣が、改正の方向へ、何か意向を部下に指示された、というふうにも伺いますし、さらに本年の二月の少年係の検事の全国会同におきましては、すでに明らかに少年法改正の方向に向かって意向が統一され、さらに相当具体的な骨子まで公表されておるらしいのでありまするが、法務省は、現行少年法を改正する意図があるのかないのか。そしてそれは一あるとするならば、どの程度作業が進んでおるのか、何を大体の改正の骨子にしているのか、この点について簡単に述べていただきたいと思います。
○津田政府委員 現行少年法は、施行後十数年を経過いたしまして、その間、家庭裁判所の調査、審判内容が相当充実してきたことは事実でございます。しかしながら、現行少年法の改正を要請する声も相当上がっておるのでありまして、現行少年法制、少年法そのものが、まず改善の余地が相当あるのではないかという意見がかなり行なわれておるわけであります。法務省におきましても、この問題は多年検討してまいりましたが、やはり現行法制には相当の改善を加える必要がある、というふうに考えておるわけでございます。
 そこで、どのように改正すべきかということにつきましては、いろいろ構想を持っておりますが、これに対しましては、現在、少年法をいかに改正すれば、いかに非行少年が減少せしめられるか、あるいは、再非行を防止できるかというような点の、実証的な検討と申しますか、あるいは、それを証拠立てるということはきわめて困難なことでございまして、また、それに対する資料も決して十分ではございません。しかしながら、なおかつ、現行少年法に対して改正を要する声は相当あるわけであります。そこで、私どもといたしましては、少年法の改正につきまして、いろいろな外国法制等も参酌いたしまして、複数の構想を考えておるわけでありまして、現在その構想の取りまとめにかかっておるわけであります。そこで、この複数の構想をまとめました上は、世に発表いたしまして、有識者はもとより、一般国民の方々、各関係機関にこれを示しまして、これに対する御意見を十分伺って、それによって最終的な構想をまとめたいというふうに考えておる次第であります。ただいまのところ、法務大臣がすでに国会において言明いたしておりますとおり、複数の案のどれでなければならぬというふうに、かたい考えを持っておるわけではございません。一般国民の方々の十分の御意見を聞き、納得のできる案に取りまとめまして、成案といたしたいというふうに考えている次第でございます。
○吉田(賢)委員 いま伝わるところによりますと、法務省案としては、一つは、現行少年法の年齢が二十歳以下になっておりますが、これを低下して十八歳にしようとか、こういう意向があるのですか。
○津田政府委員 現在の少年年齢は、ただいま御指摘の二十歳になっておりますが、この年齢をいかにすべきかということも、かなり重要な問題の要素でございます。したがいまして、これを低下させるということも一つの案でございます。同時に、少年というものと成年というのと、二十歳で一線を画するということがはたして適当かどうかという問題がございます。そういう問題につきましては、別に成年層というものを考えるのが適当ではないかという意見もございます。それらを参酌いたしまして、複数の案を考えておるという次第でございまして、どれでなければならぬ、またどの案にすべきだ、というふうに考えておるわけじゃございません。
○吉田(賢)委員 少年の年齢を、二十歳を下げるという問題は、相当重要な根本問題があるんじゃないかと思うのです。たとえば十八歳ということになって、十八歳以上は成年犯として野放しになっていくということになってしまうのじゃないか。少年ならば、それぞれと相当長期の保護ないしは監督の方法もありますけれども、それが野放しになるんじゃないだろうか。そうなると、日本のいまの少年犯罪の原因の深掘りということが一そう重要になってまいります。いまの少年の非行の実態が、身体とか、あるいは知能とか、そういった社会性におきまして、適応性が欠けておるという面が相当大きいんじゃないかと思われます。そうならば、一つの病的な治療をするというような傾向のほうが適切ではないだろうか。こんなことは釈迦に説法で、申すまでもないことでありますけれども、少年法の沿革なんかをいろいろ見てみましても、やはりその方向が強い。これはやはり、一つの処罰主義というものが基本になった考え方に転換するんじゃないか、という批判も実は出ておるようであります。この少年法の年齢低下の問題について、すでに最高裁においては相当まとまっておるように思うのですが、これをここで両方論議してもらうのは、私自身も気が進まないのですけれども、しかし大事なことでありまするから、国会に対して、つまり国政論議の重要な資料として、率直に意見は聞かしておいてもらいたいと思います。最高裁は、少年法の年齢を低下すべしということについて、どういうような意向が強いのでしょうか。それはまた、何によるのでありましょうか。
○細江最高裁判所長官代理者 少年法の年齢を引き下げるかどうかという問題についてでございますが、まだ法務省のほうで、少年法改正の基本的な構想を発表しておられない段階におきまして、私どもといたしましても、最高裁判所として、年齢引き下げはいけないとか、あるいはいいんだという問題は、まだ確定しておりません。
○吉田(賢)委員 確定しておるかどうか聞くんじゃなしに、すでに公表された文書もあるのですから、意向を資料として言ってもらいたい、こういう意味なんです。あなたができなければ、事務総長に、私お伺いします。
○細江最高裁判所長官代理者 ただいまの問題でございますが、私ども家庭局のほうで作成いたしました、少年非行の趨勢に関する資料を公表いたしました。その資料の中に、年齢引き下げ問題について触れております。従来、年齢引き下げの問題は、すでに少年法が施行されまして、施行当時は二年間は十八歳に年齢は制限されておりましたが、昭和二十六年に年齢制限が撤廃されて以来、年齢引き下げ論が世間で相当議論されておりましたので、裁判所のほうといたしましても、しばしば実務家の会同等におきまして、それが問題になりまして、その問題になった点を取りまとめて、資料として発表したわけでございます。
○吉田(賢)委員 どうも食い足りないのでありまするが、これは家庭裁判所の権限の縮小になるのでしょう。裁判所といたしましても、相当重要も課題であろうと私は思います。もし十八歳をこえた者は成年なりとするならば、家庭裁判所の権限ではなくなってきます。だから、あなたのほうといたしましては、きわめて重大な課題でありまするので、これは最終的にはどのように決定を見ましょうとも、まだ法律案が出ていないんですから、だから、それはわからぬことは事実でありますけれども、すでに部内の意見として、相当交換されておることは事実なんです。だから引き下げることについての所見を述べてしかるべきだと思うのだが、事務総長、この問題はどうなんですか。
○岸最高裁判所長官代理者 少年非行の問題にきまして、少年法を改正する意思があるかどうかという点については、最高裁判所といたしましても、従来十分の関心を持っておるわけでございます。ただ、これまでの論議と申しますものは、法務省の事務当局と、最高裁判所の家庭局との間の事務折衝の段階における論議でございまして、現在のところ、最高裁判所として、公の意見としてどうあるべきかということは、まだ決定を留保いたしておるわけでございます。したがいまして、この際、一つ一つの問題について、裁判所としてどう考えておるかということをお答えすることは、私は適当でないと存じます。ただ、申し上げておきますことは、お手元にあると思いますが、家庭局のつくりました「最近の少年非行とその対策について」という資料がございます。家庭裁判所には、少年非行に関するすべての資料が集まっておりまして、それの問題点をつかまえて、その解明をいたしておるわけでございます。それは一つの見方として、家庭局としてはこのように考えておるという、統計の解説になるわけでございますが、それが直ちに現在の最高裁判所の意見と申すわけにはまいらない、そういう事情がございますので、これから法務省のほうで、幾つかの案を用意されて、お示しになるということでございます。また、裁判所といたしましても、家庭局の資料が広く世間に読まれておりますので、広く世の批判を受けながら、これから示される法務省案に対して、いろいろ検討をしておる、こういう段階でございます。
○吉田(賢)委員 私は、何も裁判官が裁判をするというような、そういう意思表示をここで求めておるのでも何でもないのでありまして、裁判所行政上の問題として、意見の表示を求めておるのです。だから、それはまとまった最高裁判所の意見であるとかないとかいうのじゃなしに、事実として、意見が交換されておるのですから、また出されておるのですから、それをお述べになったってちっともかまわないと思います。批判をお互いにして、やはり国会でこの種の問題を討議する上におきましても、根本は、どうすれば非行少年をなくせるかという、各方面の意見を参酌しながら、われわれはわれわれなりに判断をし、意見も立てたいと思うので、そういう資料に御意見を求めるのでありますから、最高裁の意見として述べるわけにはいかぬ、家庭局がかってにやっておるのだから、というような印象を受けるのでは、これは実は問答無用になってしまうのです。そんなことは要らざる形式主義です。要らざる官僚主義です。国会というものはそんなものじゃないのでありますから、まだ、法律案といったところで、法律案も出ないのですし、よしんば法律案が出たところが、法律じゃないのですから――しかし、すでに公表されて論議されて、しばしば意見も交換して、検察官といったところが、行政官として一つの意見を出したのでしょうから、それぞれと、いろんな機会に、いろんな行政的意見を交換されておるのだから、率直にお述べになっていいのじゃないかと思うのです。だから、そこらは御遠慮なしに、もし最高裁の意見でないとするならば、他の御意見でもいいし、家庭局長がかってに、そんなことを、法務省と行き来して、何か出したのだから知らぬというような印象を受ける答弁は、どうもふに落ちない、食い足りません、適当じゃないと思います。やはりここは、法務省にしましても、率直に刑事局長は意見を述べておられるのですから、お述べ願いたいのです。簡単でよろしゅうございますから……。
○岸最高裁判所長官代理者 先ほど、法務省の刑事局長の御答弁を伺っておりましても、法務省のほうで、法務省案として、そのようにきまったという趣旨には受け取れなかったわけであります。つまり、刑事局長の御答弁を伺っておりましても、法務省案として、年齢引き下げを決定しておるというふうに断言されたとは、私は受け取れなかったのでございますが、ここで申し上げることは、裁判じゃなくて行政上のことだからと、その御趣旨はよくわかりますが、行政上の意見というものも、裁判所は、事務当局がかってに申し述べることは差し控えなければならぬということになっておるわけでございます。ただ、あの資料は家庭局がかってにつくっておる、われわれは知らぬ、そういう趣旨のものでは決してございません。家庭局が、これまで法務省の事務当局とも折衝し、また少年係の裁判官の会同、検察官の会同などがありまして、その際論議されたその資料を取りまとめたもので、決して無責任なものではないわけでございます。年齢の問題につきましても、先ほど吉田委員からも御指摘があったと思いますが、家庭局は、年長少年よりもむしろ十四、五歳の中学生のクラス、十四、五歳のところに問題が多いのだ、そういうことを、あの資料では指摘いたしておるということを申し上げておきます。
○吉田(賢)委員 時間もございませんので、簡単に要約して伺います。
 法務省におきましては、例の検察官会同にも、そういう意見が大体出たらしいのでありますが、家裁ではなしに、検察官の手で先に選別していくか、つまり保護するかあるいはどうするかということを、先議しようという御意向らしきものを聞くのだが、そうかどうか。それから一歩進んで、西ドイツのごとくに、青年裁判所をつくったらどうか、こういう御意向もあるやに聞くのですが、この二点は、私ども見ると、少年の年齢を引き下げるとか、あるいは検察官が先議するとか、あるいは青年裁判所の構想というものは、一貫した体系のものに、どうも考えられがちですね。言いかえると、検察主義といいますか処罰主義といいますか、そういうものを中心にしていくということで、やはり保護とか、あるいは少年は矯正し得るんだとか、保護を加えなければならぬのだというような、つまり刑事事件的に公訴するというのは第二にして、第一にはどうしても保護処分にすべきが、非行少年対策としての少年法のあるべき姿である、こういうふうな考え方が、抜本的に変わっていくのじゃないかというふうにも考えられるのです。ともすると、そういうふうにも思われるのですが、この点については、そのような趣旨が、年齢低下の問題と同様に、改正案の方向としてあるのだろうかという点、つまり検察官先議の問題と、青年裁判所をつくるという問題が二点、
 それからいま私が言ったような、そういう批判もあるが、はたしてそれはどうなんだろうかということについて、法務省並びに家庭局長でよろしゅうございますから、両方から御答弁願いたい。
○津田政府委員 検察官先議の問題、あるいは青年裁判所を設置すべきであるという問題、いずれも今回の少年法改正の検討問題の対象になっておます。したがいまして将来における構想の中に、その内容が含まれるかもしれないということは、当然現在でも考えられるわけであります。しかしながら、現在の家庭裁判所の処分に対してはいろいろ批判がございます。その批判につきましてこたえるためには、やはりそういうものも考えてみなければなりませんし、また場合によっては採用しなければならないということがあると、私は思うのです。ことに検察官先議をいたしますと、すぐに刑罰主義になる、少年は保護主義でなければならない、こういうことがよくいわれるわけでありますが、保護主義にしろ刑罰主義にしろ、いずれにいたしましても、当該少年の再非行防止、一般の非行に落ちることの防止に役立つものでなければならぬと思います。現在でも、現在の少年保護のもとにおいてすら、検察庁に逆送されて刑罰を受ける少年数は、相当数にのぼっておるわけであります。やはり刑罰主義、保護主義というふうにうまく割り切れる性質のものではない、両者をいろいろ組み合わせて、先ほど申しました目的に奉仕することが必要であると思うのであります。そういう意味におきまして、いま私どもの考えをまとめておるわけでございまして、検察官先議の案が出たからすぐに、刑罰主義に移ったのだというふうにお考え願うことは、私は問題に対する真相を得たことではないというふうに考える次第でございます。
○細江最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましても、少年の再非行防止ということに対して非常な関心を持っておりまして、送られてきました少年に対して、環境面の調査、あるいは資質面の調査をいたしまして、再非行防止のために正しい処遇を迅速に行なうということをモットーにいたしまして、職員一同努力してまいっております。ところが、過去十数年の少年審判制度にかんがみまして、現在の少年法はやはり改正すべき点があるのではないかということで、いろいろと、私どもの間、あるいは第一線の実務家の間に、少年法改正の議論がなされてきたわけであります。先ほどお尋ねの年齢引き下げの問題にいたしましても、また検察官先議の問題にいたしましても、議論の対象になってまいったわけであります。ところが、現在までのいろいろ提出されました資料によりますと、検察官先議あるいは年齢を引き下げることによって、現在世間で問題になっておりますところの少年非行が少なくなるかどうかというきめ手が、一体それでつかめるのかという点において、私どもは非常に疑問を持つわけであります。私どもといたしましても、少年再非行化防止という確信があるということになりますれば、年齢引き下げ、あるいは検察官先議についても、十分検討する余地があると思うわけでございますけれども、ただいままであらわれたところの、たとえば少年係裁判官の会同あるいは検察官の会同等であらわれた資料等を検討いたしましても、いまの段階におきましては、年齢引き下げ、あるいは検察官先議の必要性というものが、それほど強くあるというふうには感じないわけでございまして、ただそれらの議論が従来から相当戦わされておるというところから、資料として、一応識者の御批判を仰ぎたいという趣旨で、先ほど御指摘の一例を発表したわけでございます。
○吉川委員長 本日は、これにて散会いたします。
   午後一時五十一分散会