第051回国会 建設委員会 第1号
本国会召集日(昭和四十年十二月二十日)(月曜
 日)(午前零時現在)における本委員は、次の
通りである。
   委員長 森山 欽司君
   理事 吉川 久衛君 理事 丹羽喬四郎君
   理事 廣瀬 正雄君 理事 福永 一臣君
   理事 三池  信君 理事 井谷 正吉君
   理事 岡本 隆一君 理事 西宮  弘君
      逢澤  寛君   稻村左近四郎君
      大倉 三郎君    木部 佳昭君
      木村 武雄君    佐藤 孝行君
      篠田 弘作君    砂原  格君
      田村  元君    堀内 一雄君
      湊  徹郎君    山本 幸雄君
      渡辺 栄一君    金丸 徳重君
      久保田鶴松君    實川 清之君
      中嶋 英夫君    原   茂君
      山中日露史君    稲富 稜人君
      玉置 一徳君
―――――――――――――――――――――
昭和四十年十二月二十四日(金曜日)
   午前十時三十八分開議
 出席委員
   委員長 森山 欽司君
   理事 吉川 久衛君 理事 丹羽喬四郎君
   理事 廣瀬 正雄君 理事 三池  信君
   理事 井谷 正吉君 理事 岡本 隆一君
   理事 西宮  弘君
      逢澤  寛君   稻村左近四郎君
      大倉 三郎君    奥野 誠亮君
      木部 佳昭君    砂原  格君
      田村  元君    堀内 一雄君
      湊  徹郎君    渡辺 栄一君
      秋山 徳雄君    久保田鶴松君
      森  義視君    八木 一男君
      稲富 稜人君    玉置 一徳君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 石井光次郎君
        文 部 大 臣 中村 梅吉君
        建 設 大 臣 瀬戸山三男君
 出席政府委員
        総理府総務副長
        官       細田 吉藏君
        検     事
        (刑事局長)  津田  實君
        大蔵政務次官  藤井 勝志君
        文部政務次官  中野 文門君
        文部事務官
        (文化財保護委
        員会事務局長) 村山 松雄君
        建設政務次官  谷垣 專一君
        建設事務官
        (都市局長)  竹内 藤男君
 委員外の出席者
        議     員 田中伊三次君
        大蔵事務官
        (主計官)   長岡  実君
        専  門  員 熊本 政晴君
    ―――――――――――――
十二月二十二日
 委員玉置一徳君辞任につき、その補欠として
 佐々木良作君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十四日
 委員木部佳昭君、篠田弘作君、實川清之君、中
 嶋英夫君、山中日露史君及び佐々木良作君辞任
 につき、その補欠として賀屋興宣君、奥野誠亮
 君、秋山徳雄君、八木一男君、森義視君及び玉
 置一徳君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員奥野誠亮君、賀屋興宣君、秋山徳雄君、森
 義視君、八木一男君及び玉置一徳君辞任につ
 き、その補欠として篠田弘作君、木部佳昭君、
 實川清之君、山中日露史君、中嶋英夫君及び佐々
 木良作君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十二月二十三日
 古都における歴史的風土の保存に関する特別措
 置法案(田中伊三次君外五十一名提出、衆法第
 二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 古都における歴史的風土の保存に関する特別措
 置法案(田中伊三次君外五十一名提出、衆法第
 二号)
     ――――◇―――――
○森山委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。
 建設行政の実情を調査し、その運営を適正ならしめるため、
 一、国土計画に関する事項
 二、地方計画に関する事項
 三、都市計画に関する事項
 四、河川に関する事項
 五、道路に関する事項
 六、住宅に関する事項
 七、建築に関する事項
 八、建設行政の基本施策に関する事項について、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと思います。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 なお、議長に提出する国政調査承認要求書の作成及び手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御了承願います。
     ――――◇―――――
○森山委員長 次に、昨二十三日、本委員会に付託になりました古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法案を議題といたします。
○森山委員長 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。田中伊三次君。
○田中(伊)議員 ただいま議題となりました古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表して、私よりその提案の理由及びその内容のあらましを御説明申し上げます。
 およそ一国の文化と伝統は、その国独自の歴史的背景のもとにつちかわれた民族の源流であるとともに、国民共有の世襲的な資産であります。
 肇国以来幾変遷、古い歴史と伝統を持つわが国においては、由緒ある古跡文化財等が全国に散在をしておるのでありますが、なかんずく、往時、政治文化の中心都市として、史上けんらんたる一時期を画しました京都、奈良、鎌倉などの史跡は、その明媚な風光と相まちまして、わが国固有の代表的文化を象徴するものとして、あまねく人口にのぼり、広く全国民に親しまれておりますのみならず、諸外国の人々からもまた貴重な文化観光資源として高く評価せられ、多大の興味と関心が寄せられておること御承知のとおりでございます。
 このような代表的な古都の文化伝統を愛護し、これを保全し、これらを後世永劫に伝承していくことは、私たち当代国民の共通の義務であり、責任であるとさえいわねばなりません。しかもこれは、内外文化の向上発展に寄与するばかりでなく、国民の国土愛の増進、民族意識の高揚に資するゆえんでもあると思うのであります。
 しかるに、近時、いわゆる宅地開発ブームの醸成に伴い、これらの古都においても、俗悪な娯楽、観光施設、工場等の、その環境におよそふさわしからざる宅地の造成、建造物の建設計画がみだりに進められ、それがために、古都のユニークな風趣景観が著しくそこなわれようとしておりますことはまことに遺憾であります。
 古都の美は、自然と人工の調和にあること言うまでもありませんが、この長い歴史と伝統にはぐくまれたてんめんたるふぜいが、心なき業者の利欲によってむしばまれることはまことに忍びないところでございます。
 はたせるかな、関係都市住民の間に世界的な財宝ともいうべき民族の遺産を守ろうとするほうはいたる機運がとみに高まり、それぞれ風致保存の団体を組織して熾烈な運動が展開されてまいっております。いまにしてすみやかに強力なる保全対策を講ずるにあらざれば、悔いを千載に残すこと必定であります。このことは、ひとり関係地域住民のみならず、全国民的関心事でありまして、本立法の動きがちまたに伝えらるるや、主要新聞、テレビ、ラジオはいち早くこれを取り上げ、いずれも筆をそろえて早期実現を強調する等、一般の世論はきゅう然としてこれを支持し、多大の期待と共感を博しております。
 もともと、この種古跡、旧跡、文化財、風致景観の保全につきましては、現に、文化財保護法、都市計画法、自然公園法等の諸種の法律があり、また、地域的には、近畿圏整備法、また、京都、奈良両市につきましては、単独の国際文化観光都市建設法がそれぞれ規定されておるのでございますが、惜しむらくは、関係行政機関が多岐に分かれて総合的施策に乏しく、かつまた、法規自体にも不備があり、特に財源的裏づけがないために、現実の効果がこれに伴わず、いずれも古都の当面する緊急の事態を解決する究極のきめ手とはなりにくいのであります。
 これがため、現行関連法規の整備調整につきましてすみやかに新たなる検討を必要とすると考えるのでありますが、竿頭さらに一歩を進めて、この際、別途に、これらの古都を対象とする単独の特別立法を行ない、国においても行財政上特段の施策を強化、確立することがきわめて喫緊の急務であると思量いたしまして、ここに関係議員の総意をもって本法案を提出せんとするものでありますが、本問題の重要性にかんがみ、本法公布施行後の実施状況を深く注視をいたしまして、さらに立法の趣旨の全きを期する気持ちでありますことをここに付言を申し上げます。
 次に、この法律案の内容の概要を一口御説明申し上げます。
 まず第一は、わが国往時の政治、文化の中心として歴史上重要な地位を占めております京都、奈良、鎌倉及び政令で定めるその他の市町村を「古都」と定義をいたしまして、内閣総理大臣は、その古都における歴史的風土を保存するため必要ありと認める土地の区域を「歴史的風土保存区域」として指定することができることといたしました。その指定をいたしましたときは、当該歴史的風土保存区域につきまして、行為の規制、関連施設の整備、土地の買い入れなどの事項を内容とする歴史的風土保存計画を決定しなければならないことといたしております。
 また第二には、内閣総理大臣指定の歴史的風土保存区域内においては、歴史的風土保存上、当該歴史的風土保存区域の枢要な部分を構成する地域につきましては、建設大臣は、都市計画法の定める手続によりまして、都市計画の施設として、「歴史的風土特別保存地区」を指定することができるようにいたしております。
 第三は、行為の規制についてでございます。
 内閣総理大臣指定の歴史的風土保存区域内におきましては、建築物その他の工作物の新築、改築、増築、土地の形質の変更その他歴史的風土の保存に影響を及ぼすおそれのある一定の行為をしようとする者は、政令の定めるところにより、あらかじめ府県知事にこの旨を届け出なければならないこととし、建設大臣指定の歴史的風土特別保存地区内におきましては、同様の行為は、府県知事の許可を受けなければ、してはならないということにいたしました。府県知事は、政令で定める一定の基準に適合しない行為につきましては許可を与えてはならないことといたしました。
 第四は、歴史的風土特別保存地区内における行為について許可を得ることができないために万一損失を生じた者がありました場合には、その損失の補償をいたします規定を設けましたことでございます。また、土地の買い入れをする規定を設けまして、府県は、歴史的風土特別保存地区内の土地で歴史的風土の保存上必要であると認めますものについては、当該土地の所有者から許可を得ることができないためその土地の利用に著しい支障を来たすこととなることにより当該土地を府県において買い入れてもらいたい旨の申し出があった場合においては、これを買い入れることといたしました。
 第五は、国の費用の負担及び補助についてであります。
 損失の補償及び土地の買い入れに要する費用につきましては、政令の定めるところにより、国が、その一部を負担することといたしましたほか、地方公共団体が歴史的風土保存計画に基づいて行なう歴史的風土の維持保存及び施設の整備に要する一切の費用につきましては、国は、政令の定めるところによって、当該地方公共団体に対し、その一部を補助することができることといたしました。
 第六は、地方税に不均一な課税をいたします場合に、これに伴う措置といたしまして、古都である市町村が歴史的風土特別保存地区内における家屋または土地に対する固定資産税にかかる不均一の課税をいたしました場合における地方交付税法の規定による基準財政収入額の算定につきましては、特別の措置を講ずる規定を設けることといたしました。
 最後に、歴史的風土審議会についてであります。
 総理府に、歴史的風土審議会を設置することといたし、その権限、組織等に関し、所要の規定を設けております。
 以上の措置に伴いまして、罰則その他所要の規定を設けることにいたしました。
 これが古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法案の提案の理由及びその内容のあらましでございますが、ここに一言お願いを申し上げたいと存じます。
 この法律が成立をいたしますときは、単に成立したというだけでも私たち三党全委員の案じておりますような被害の大部分は直ちに未然に防止されるとさえ思えるほどの内容を持っておるのでありますので、何とぞ一刻も早く、慎重御審議の上、すみやかに御可決をいただきますよう伏してお願いを申し上げる次第でございます。
○森山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○森山委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。奥野誠亮君。
○奥野委員 私は、この法案に関連いたしまして、三点について政府の所信をただしておきたいと考えるものでございます。
 その一つは、文部大臣にお伺いいたしておきたいと思います。古都のよさは史跡や文化財ととけ合った風土の美しさにもあると考えておるものでございます。全体としての歴史的風土がいかに維持、開発されても、個々の史跡や文化財がなおざりにされてはやはり歴史的風土そのものが生きてこないということになると考えるものでございます。そういう意味でこの法案は文化財保護行政や文部省の責任を解除するものではなく、より積極的な努力を期待しているものと言うこともできるのでございます。この法案の主管は建設省ということにしているわけでございますけれども、各省相互に関連する部分が非常に多いわけでございます。文部省におきましてはこれら各省と積極的に協力いたされまして、従来の文化財保護行政の充実にさらに御努力をわずらわさなければならない、かように考えるものでございます。この法案と文部省の態度について所信をただしておきたい、かように考えるものでございます。
○中村(梅)国務大臣 お説のとおり、文化財の保護につきましては文部省がこれを所管いたしまして従来努力をいたしてきたところでございますが、個々の貴重な文化財というものが、ただそのものの保存だけでなしに、その環境の歴史的風土保存ということと関連してまいりませんと万全を期することはできない次第でございまして、私どももこの点は深い関心を持って今日に至っておる次第でございます。先ほど田中提案者代表の御説明も承りましてまことに御趣意はごもっともであり、私どもの担当いたしておりまする文化財保護の立場からも、大いに緊密な関連を持ちまして今後とも一そう努力を重ねてまいりたい、かように存じています。
○奥野委員 その二は、建設大臣の所信をただしておきたい問題でございます。
 提案理由の説明にもありましたように、この法案が世に伝えられましてから世論の強い支持を得ている、かように確信をいたしているものでございます。しかしながら、反面、実業界からは若干危惧の念を持って見られている点もないではございません。しかしその多くはこの法案の真意が十分に理解されていないところに基づいている、かように考えておるわけでございます。この法案を制定しようとするにあたりましては、ただ単に荒れ果てたままの現状を固定的に保存しようというようなことは毛頭考えていないのでございます。むしろ積極的に環境を整備していきたいのだ、歴史的風土を保存するばかりじゃなしに保存開発していきたいのだ、こういうような考え方を持っているものでございます。そういうこともございまして第五条の保存計画には、施設の整備に関する事項を盛らなければならないということも規定いたしているわけでございます。同時にまた関係者はぜひ年内成立を期待いたしているわけでございます。年内成立を期待しているゆえんのものは、ぜひ四十一年度の国家予算に関係の金額を大幅に盛ってもらいたいものだ、かような期待をいたしているわけでございます。早急にこの法案のねらっている保存、開発を進めていきたいのだ、かような考え方を持っているものでございます。これらに関係いたしまして建設大臣の御努力をぜひわれわれ期待いたしているものでございますが、御決意のほどを承らしていただきたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 この法案のねらいといたしておりますことは、ただいま提案者のほうから御説明がありましたように、いわゆる歴史的、政治上あるいは文化上わが国の伝統として保存し、あるいは将来のそういう文化的な発展に寄与したい、こういうことでございまして、それが最近各地において破壊されるような状態があらわれて、それではいかぬという御趣旨と承っております。したがって、反面においてはまたわが国の現状をある程度改革をして、そして近代的な住みよいと申しますか、文化的な国家、国土を建設しなければならぬ、こういう点の調和がきわめてむずかしいと申しますか、問題であろうと思います。その点の調和をはかるためにいろいろこの法律には配慮が加えられておると判断をいたしますが、その中でいわゆる古都の風土を保全すべきところ、それから先ほど文部大臣からも御所見がありましたが、やはり文化財その他過去の歴史的な施設と自然の状況とあわせて初めてこの法律案の意義があるものであると思います。したがって、私どもはこの地域を指定いたしまして、ただその現状をそのまま置けばいいというふうには考えておりません。またこの法律にもその趣旨が盛られておる。これを積極的に保持するための諸施設と申しますか施策を講ずる必要があるのは当然でありまして、あるいはその景況を保存するために、防火であるとかあるいは水害の防除であるとか、あるいはその自然状況を維持するための防護策であるとか、あるいは最小限度にこれを維持管理するための道路の施設であるとか、いろいろこれは今度検討しなければならぬと思いますが、そういうふうに積極的にこれを保存して将来に残す、こういう施策を当然に講ずべきであろうと思います。
 なお、この法律にも書いてありますように、あるいは府県等においてこれをどうしても所有を移して完全に保全すべきところも出てくると思いますが、そういう際の財政措置等も講じなければいかぬ、そういう意味において、この法律が早急に成立ができますれば、それに応じて四十一年度の予算に積極的に盛り込みたい、かように考えておるわけであります。
○奥野委員 その三は、大蔵省の所見をただしておきたいことでございます。
 この法案の第十四条の第一項には、損失の補償や土地の買い入れについては、政令の定めるところによって国がその一部を負担する、こう書いておるわけでございます。この損失の補償や土地の買い入れは、民族の心のふるさととも言うべきものを維持保存するについて行為を制限をいたします。その制限に伴うものでございますだけに、どちらかといいますと国家的な目的に出ているものでございます。したがって、むしろ国が責任者になって補償したり買い入れたりするのが適当だとも考えられるわけでございます。ただ、その場合に補償の要求が無責任になっても困るというようないろいろな話があった結果、買い入れや補償の当事者を府県にいたした経緯もあるわけでございます。そういうことから考えますと、直轄事業の場合の府県の負担、こういうものが府県の残される負担として考えられるということになりますだけに、それに準じてさらに、より高率の負担を関係者としては期待をいたしておるわけでございます。直轄事業の場合の国の負担率には、四分の三のものもございましょうし、それ以外のものもございましょう。同時にまた、後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律によりましては、最高九割まで国が負担する道も開かれておるわけでございます。そういうようなことから、私たちとしては八割程度の国庫負担を期待しながらこの法案の制定に当たったものでございます。来年度の予算は、これから話し合いに入るやさきでありますので、大蔵省当局がいまこの席ではっきりした率を言われることはお困りになるのではなかろうかと思います。しかしながら、いま申し上げましたような経緯もございますので、それを基礎に負担率制定に当たっていただくようにお願いを申し上げたい、かように考えるわけでございます。同時に、十四条の二項におきまして、その他の施設整備等に関する費用につきまして、政令の定めるところによって国がその一部を補助するのだと書いているわけでございます。補助対象によりまして補助率が変わってくることもあるいはあろうかと思うのでございますが、その場合におきましても類似の補助率を上回るように御努力をお願いしたい、かように考えているものでございます。なおまた、先ほど申し上げましたように、関係者としては年内成立を期待している。それは四十一年度国庫予算に、積極的にこの部分の予算計上をはかっていただきたい、このような期待を持っているからでございます。もとより、この法案の中では、保存計画をつくるということもございますので、保存計画ができていないのに予算は盛れないとか、あるいは調査が先だとか、そのような口実を設けないで、むしろ計画と並行して整備をはかっていかなければならないのだ。この種の仕事が非常に緊急な事態に追い詰められているということをよくお考えいただきまして、建設当局とお話し合いいただきながら、積極的な、好意的な態度をもって四十一年度予算編成に当たっていただくようにお願いをいたしておきたいと考えるものでございます。これにつきましての所見を伺っておきたいと思います。
○藤井(勝)政府委員 御案内のように、ただいま大蔵大臣予算委員会に出席中でございますので、大蔵省を代表いたしまして藤井政務次官がただいまの御質疑に対して答弁さしていただきます。
 補償の問題あるいはまた地元のいろいろな施設をつくる助成の問題について御意見が出たのでありますが、このたびこの古都保存法というまことに時代の要請にこたえられたりっぱな法案が御提案されたことに対して、心から敬意を表するものでございます。ただ、いまいろいろお話がございましたように直轄事業にもいろいろ補助率に種類がございます。したがっていよいよ具体的になります場合には、もちろん所管の建設省から提案をされます案をよく検討させていただきまして、その事業の性格をよく認識をいたしまして、御趣旨の点を十二分に生かして善処いたしたい、このように考える次第でございます。
○森山委員長 岡本隆一君。
○岡本委員 最初に建設大臣にお伺いいたしますが、最初この法案を出そうという話が出てまいりましたときには、私は反対したのです。それはどういうことかといいますと、近畿圏整備法との関係があるわけであります。近畿圏整備法の中で、保全区域の指定がございます。ところがその保全区域整備については別に法律で定める、十四条でそういう法改正をいたしました。保全区域というのは、元来こういう古都の地域であるとかあるいは景勝のいい地域であるとか、そういうふうなところでみだりに現状があまりに大きく変更されては困る。いわば国民のいこいの場にしておきたい。それは精神的にも肉体的にも、両面におけるところの国民のいこいの場にしておきたい、あるいはまた文化の誇り高いものを残しておきたい、こういうふうなところから保全区域というものが出ておるわけなんです。だから、保全地域は勢い近代化を阻止されるという傾向があるわけです。その近代化を阻止される保全区域に対しては、それに対するところの何らかの代償的な措置が講ぜられるべきである。これは税制の面でもあるいはその他いろいろな施設に対する国の援助の面でも、いろいろな点でそういう代償的な措置が講じられるべきである。こういうことで保全立法をつくれということを強く要求しておるのであります。ところがいまだに建設省のほうはその保全立法を一向やろうといたしません。そしてその中で突然この話が出てまいったのであります。いわば保全区域の中の京都、奈良というような、最も強く保全を要望されるところ、そこだけを古都保存という形でもって立法化して保全区域に対するあるいは責任をのがれようとするのではないか、与党内部からこういう声が出てまいりましたときに、私どもはそれを警戒したわけなんです。だから保全区域全体にも関連する問題でございますので、私は、この古都保存法が成立いたしましても、なお近畿圏整備本部では保全区域とはいかなる地域をさすのか、またその保全区域の整備をどうするか、さらにまたその保全区域についての代償措置をどうするかというふうな点について、確固たる方針をこの機会に私はあらかじめお示しおきを願いたいと思うのでございますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 いまお話しのように、近畿圏整備法では近畿圏の地域において保全すべき地区、こういうことが指定されて、それを保全する措置を講じなければならない、かようになっておるわけでございます。したがって、私どものほうといたしましては、その保全地域をいかなる地域にするか、あるいはまたその保全の実効をどういうふうにあらわすべきか、こういうことについていろいろ検討をいたしてその法案の準備を実は進めております。ところが御承知のとおり近畿圏といいましても相当範囲でありまして、しかも近畿圏は日本の文化あるいは政治上非常に由緒のあるところ、同時にそれと相あわせて自然の景勝と申しますか、わが国においても非常にすぐれたところであります。そういうところは非常に広範囲にわたっております。こういう状況でありますから、これを強力に保全をするということが国家財政上どうあり得るか、こういう点に、率直に申し上げてきわめて困難な問題があります。これは単に保全地域として指定してある程度のことをしておくというだけでありますれば、従来の風致地区だとかあるいは自然公園地域であるとか、各種の制度がありますけれども、それ以上に出ないおそれがある、こういうことでいろいろ苦慮いたしておるときに、この法案の問題が出ておるわけであります。そこで、これはその中でも別の観点から、いわゆる政治、文化上の古い日本の伝統的な地域であって、しかもそれが自然の景勝と相まって、これはどうしても国民的な保存をしなければならない、こういう意味のねらいでこれを法律で制定をしよう、こういうことのようでありますが、そうなりますと、この法案にも出ておりますように、京都、奈良、あるいは鎌倉その他にも検討を要すべきところがあると思いますけれども、そういう点を取り上げられております。そういたしますと、その中でも、いわゆる近畿圏整備の観点からいっても、京都、奈良がきわめて重要なところでありますが、この法案からいいましても、そのところに大きな重点が置かれることは当然でありますから、そういう意味においてある程度ダブるかと思います。ダブりますが、私はやはりこの程度のしぼり方をしまして、保存するところは完全に保存する、こういう措置をこの法案でとられるということは適切な措置であろう。非常に広範囲に理想図だけはかきましても、御承知のとおりなかなか実行が伴わない、加えて行政府の怠慢というばかりでなくて、実情がさようにありますから、私はこれと、いわゆる近畿圏整備法に基づく保全地域に関する指定と必ずしも矛盾しない、かえって相重なって効果があるのじゃないか、かように考えておりますから御了承を願いたいと思います。
○岡本委員 一応、保全地域の問題についてはまた委員会であらためて議論をしようと思いますが、建設省は保全立法の問題についての検討を進めるのに、あまりにピッチがスローではないか、こういうふうに私は思いますので、この法律案が成立いたしましても、それだけで満足しないで、特に保全区域については確たる方針を早く出していただくようにお願いいたしておきたいと思います。
 その次に、先ほど奥野委員からも御質問がございましたが、この法案の第五条に、保存計画を立てるということになっております。その保存計画の中で、第二項に、その保存について「必要とされる施設」ということばが出ておりますが、これについては補助があることになっております。この補助の対象になるような事業というものはどういうものを予想しておられるか。私はやはりこういうふうな特別保存地域になってまいりますと、その中にはやはり大ぜいの人が観光にやってまいりますから、そこここに公園の施設も必要であろうと思います。また、このごろのことでございますから、駐車場をつくるということも必要になってまいります。あるいは便所、下水道の整備、それから防火施設、あるいはすでに相当木が伐採されてしまっているところは植林して緑化しなければならぬというふうな事業も含まれてくるでありましょう。また何よりも必要なのは、その地域内の道路並びにそこへ至るための関連道路の整備が非常に急がれるのではないか。たとえて言えば、これは保存地域の中には入っておりませんが、比叡山のドライブウエーにいたしましても、比叡山のドライブウエーはりっぱなものができておる。ところがそれと取り結ぶ滋賀県と京都府の府県道が整備されておらないために、交通麻痺で非常に困っておる、こういうような現状であります。したがって、その特別保存地域は非常に多くの、これは内外から、ひとり国内だけでなしに、国外からの観光客も大ぜいやってくるというふうな、日本の文化の伝統を誇るような施設があるわけでございますから、そういうふうなところについても観光のために必要な観光道路というふうなものは、これはやはり当然第五条の施設の中に含まれると私は理解しておるのでございますが、これは建設省としてはいかに今後これに対処していかれるか。さらにまた大蔵省からもその辺についてどういうふうな理解に立っておられるか、やはり両者の理解が合致しておらないと将来の方針として困りますから、その辺についてお伺いしておきたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 この法律の目的は、示されておりますように、伝統あるわが国の政治、文化の古跡と申しますかあるいはそういう風物を長く、国民的な資産と申しますか、文化財として保存いたしたい、こういうことがねらいであろうと思います。したがって、そのほかのその中にあるあるいは社寺仏閣、その他由緒ある建築物等については、あるいは文化財保護法その他の法律でこれを処理をする。問題は、それと自然の状況というものとが相かみ合って、やはり由緒あるものになっておるわけでありますから、そういう自然の状況というものを、やはり昔の伝統的な姿においてこれを保存すると申しますか、保全する、こういうことが主たるねらいであろうと思います。したがって、いまお話の中にいろいろありましたが、これを保全するための施設、たとえばお話しになりました防火的な施設、あるいは砂防、水の災害を防ぐ施設、あるいは犯されるおそれがあるときには、防護さく的な施設、こういうものが考えられるわけであります。同時に、そういう状況をやはり管理するためには、これは今後の検討でありますけれども、そういうところに道路をつけたりするということ自体がやや問題になると思いますが、それを管理するための必要最小限度の道路等は、やはりこれに入るべきものであろうと思います。その他必要があれば管理するための、何と申しますか、それにマッチした建物等はこの中に入ると思いますが、いまお話の中であるいはその地帯は観光的な地帯である、あるいはそれにつながる道路である、こういうお話もありましたが、これはもちろん必要ではありましょう。必要でありましょうが、この法律の中で必ず解決すべき事項であるかどうかということは、やや検討を要するのではないかと私は思います。そういう面はあるいは公園法であるとかあるいはその他の自然の状況を多くの人々が、内外の人々が、昔から残っておる伝統的な自然の状況を観賞する、そういう意味の施設というものは、これは他の観点と申しますか、別途の観点からこれを考慮すべきものではなかろうか。この法律自体であるいは公園法と同じような観点に立つということになりますと、非常に錯綜してまいりますので、これはやはりその状況を優美な姿において維持するという施設が、この法律にうたわれておる諸施設である、こういうふうに考えております。その他の問題はその他の法律あるいは行政の制度に応じてやるべきものである、こういうふうに解釈いたしておりますが、私のほうは立案者でありませんのでわかりませんけれども、この法律の趣旨はさように解してしかるべきであろうと思っております。
○岡本委員 そこで立案者のほうと行政担当者の間で大きな意見の食い違いがあるわけです。だから確かめておく必要があると思うのです。最初近畿圏整備法の場合でも、私がいつも申しておりますのは、保全地域については保全は要求される、昔のままに置いておけといわれる、そうすると、そこは工場とかそういうような生産施設を持ってくることができない。ところが、御承知のようにいまの地方財政法において地方財源は、事業税や償却資産税、あるいは固定資産税、そういうものが非常に大きな財源になっておるわけです。そうすると、自治体自体としましても、文化財がある、保存をしておけといって保存させられる、その付近一帯は開発をストップさせられる、そうするとそこには固定資産税あるいは償却資産税、専業税というふうな、財源を生んでくれるような施設はできない。だから地方財政は貧困になるのです。しかもそこへは大ぜいの観光客が来るために、やはりそれに伴うところの施設はしなければならないし、あるいはまた管理もしていかなければならない。こういうことになってくるから、だから保全区域は、それじゃたまらぬ。保全を要求され、近代化を阻止され、一方では観光客のためにいろいろな施設をしていかなければならない、これでは保全区域はたまらぬから、それに対するところの代償的な措置を何らか考えなさいということを、何べんも委員会の中で言っているわけなんです。だから保全区域に対するところの措置としては、保全立法というものはそういった形のものを私は要求しているわけなんです。
 そこで、保全区域の中の最も保全されるべき区域として古都保存法が出てきたのです。だから古都保存法ではそういった面におけるところの最も手厚い地方財政に対する代償措置が講じられなければならない。その地域内の道路はもちろん、それに取りつくための関連道路などは、当然これは代償措置として講じられなければいけない。これはこの法案をつくる過程で世話人会の中でずいぶん議論したのです。そういうものを含むという解釈の上においてこれはできておるのです。ところが、法案がこうして上程されてみたら、建設省は、わしはそんな話は聞いておらぬし、知らぬと言うのです。提案者にお伺いしますが、これはそういう話はついているはずなんです。そういう話を十分議論した上でこの法案の三党共同提案ということになったのです。もしそういう話が政府との間についておらぬというならば、こんな法案はできてもできなくても同じですよ。だからこれは建設大臣、たいへん恐縮でございますが、私の思い違いでございました、そういうものは含まれるのですということを、ここで言明していただかぬと困るのです。いかがですか。
○瀬戸山国務大臣 私は、この五条ですか六条ですか、この規定を正面から解釈して申し上げたわけであります。ただ、いまお話しの別の、あるいは駐車場であるとか、あるいはその地帯に大ぜい人が集まりましょうから道路であるとか、これはこの法律自体の目的ではなくて、そういうことは別途に考慮すべきものであろう、こういうふうに申し上げておるわけであります。したがって、この審議会ができまして、それから地方からのいろいろな計画が出て、どうあるべきか、ただ保存してそれをだれも見ないところにおくということでは保全の意味がないわけでありますから、伝統的な昔からの風土としてこれを保存するということは、内外の人がこれを観賞するといいますか、昔をしのぶといいますか、そしてそれを将来の日本の伝統として文化的に生かすというか、そういう意味の保存であろうと思いますから、それにしかるべき措置は別途に講ずべきものである。風土審議会あるいは地方のいわゆる関係府県等との協議をしてきめるということになりますから、そういう計画が出るんじゃないかと思います。ただ、第五条の規定によって駐車場あるいはよそからくる道路というようなことまでここに含むということになりますと、この法律と他の法律との関連がきわめて錯綜してくるのではないかということを私は申し上げておるのでありまして、そこまで何もやってはいかぬということを申し上げておるわけじゃありませんから、その点はひとつ御理解を願いたいと思います。
○岡本委員 それは話が違うのです。これは近畿圏整備法の中で保全地域に対する代償措置としての話から出てきているものでありまして、大体この古都保存法案におけるところの特別保存区域、こういうところに指定された人は、大きな私権の侵害を受けるのです。自分の思うように土地を使えないのです。侵害を受けた場合に買ってやろうという話もあります。しかしながら、とにかくそこには建物を建てることも自由にはできないし、もちろん工場なんか建てることはできない、こういうことになってくる。だからその地域の人たちにとっては、かりに自分の土地を持っておる、資本もある、そこで、たとえば電気器具でも何でもいろいろな産業を起こすために自分の土地に工場を建てたい、そうして自分で商売をやっていきたい、事業をやっていきたい、そう思ってもできない、そういうような制限を受けるのです。だから、所有者もそういうふうな制限を受ければ、付近の住民も、近くに工場ができれば、自分の家から通うこともできる、ところが、その地域についてはそういう生産設備はできないから、遠いところへ電車に乗って通わなければならない。付近住民はこういうふうないろいろな面におけるところの大きな影響を受けるのです。だからそういう影響を受けるところの地域に対しては、やはり固定資産税を減免するとか、その措置はとられておりますが、それだけでなしに、せめてその地域の道路その他の公共的な施設に対する国の補助でも、少し高率なものにしなければならない、してもらいたい、するべきである、これが私たちの意見で、そういう意見に基づいてこの「施設」ということばが入ってきたのです。これはもともと最初話が出てまいりましたときには、この「施設」という字句は入っておらなかったのです。それをこの「施設」というものを入れたということは、そういう意味において入れたのであって、これは提案者の一人の奥野君が一番よく御存じです。そういう経緯を知っておられたら、与党内部でもってそういう意見の調整が行なわれてこそ、三党共同提案になってきていると思うのです。だから三党共同提案になるところの一番大きな柱は、この施設を入れるか入れないかということで、この施設の内容をどう解釈するかということが三党共同提案になる大きなかなめであったわけです。そこでこんな重大な意見の食い違いが出てきたということになると、この法案の年内成立はちょっとしんどいですよ。だからここはいまからでもいいから意見の調整をしてください。そうして私はちょっと目をこすっておりましたが、この第二項の「歴史的風土保存凶域内においてその歴史的風土の保存に関連して必要とされる施設の整備に関する事項」という、この「歴史的風土保存区域内において」という字ですね、これは建設大臣が言われるような解釈なんです。しかしながら、この法案をまとめる過程においては、こんな「保存区域内において」というような字句にとらわれないで代償措置がとられるべきだということを私たちは主張して、その話し合いが一応できてこの法案が日の目を見ている。だから、これはいずれまた適当な機会に修正するつもりですが、きょうは修正動議なんか出していたのでは年内成立があやぶまれますから、あえて私は修正の動議は出しませんが、しかし、これはいずれおりを見て法案改正の動議を出そうと思います。しかし、とにかくいまのような重要な問題についての意見の食い違いがあっては困りますし、また、建設大臣がそういう意向でありましたら、大蔵省はこれは得たりとそれについてきまずから、やはり建設大臣からそんな――大体この法案ができる最初の精神ですね。なるほど保存するということも必要です。保全することも必要です。しかし、保全に伴うところの代償措置を講ずべし、これがこの法案の中を流れる大きな精神の一つなんです。保全だけする、こんなものじゃないのです。保全するのは国民的立場においてするのです。保全されるものは迷惑しごくです。毎日見ている景色ですから、そんなに特別きれいだなと思わない。しかし、それをそっとそのまま置いてくれ、それは日本じゅうの人のものだ、世界じゅうの人のものだ、こういうことで保全させられるのです。迷惑しごくなんです。その迷惑を受ける者にはやはり何らかの代償措置があるべきだ、それはやはりその地域の施設を、これはほんとうはまるがかえで全部国の責任においてやるべきであるというのが、私たちの考え方なんです。しかしながら、それじゃ話がつかぬから、せめて八割でしんぼうしてくれ、こういうことで、話し合いの中では八割ということになっているわけです。これはこの機会に藤井さんにお尋ねいたしますが、さっききわめてあいまいもことした御答弁でした。どのようにもとれる御答弁でした。しかしながら、八割ということで話がついているわけだから、その点を、その御解釈で間違いありませんよということを、この機会に言明していただきたいと思うのです。大臣とそれから大蔵政務次官と両方から重ねて御答弁をお願いいたします。
○瀬戸山国務大臣 重ねて申し上げるようで恐縮でありますが、この法律自体から見ますと、いまおっしゃったとおり保全地域内において施設云々とありますから、そのほかの施設までこれでまかなうということを言えと言われるのはちょっと無理じゃないか。しかし、計画をされるときには、いまおっしゃったような趣旨が盛られると思いますから、また盛られるべきだと思います。そういう意味でひとつ今後の計画を立てて、その地域の人の御迷惑にならぬようにすべきであろうと思いますが、この法律の正面からいきまして、ほかの施設もこれでやりますとは私のほうでちょっと申し上げかねますので、計画を立てるときにそういういまおっしゃったようなことは盛り込んでいくべきであろう、こういうことであります。
○藤井(勝)政府委員 補助率の問題は政令事項でございますので、御意見としては承りますが、後刻具体的には所管省とよく相談の上決定さしていただきたい、このようにお願いいたします。
○田中(伊)議員 岡本委員にちょっと一口お答えを兼ねて御報告をしておきます。
 御承知のように、この法律が成立をいたしますと、内閣に審議会ができる。そこで審議会の手によって歴史的風土地区の保存区域が指定されることは御承知のとおり。保存区域が指定されて、そのうち主要なものについては、区域の中に地区が局部的に指定される。それが指定されますと、それだけではなくて、その地区にいかにして関連事項を実現するかということについて、保存計画が設定されなければならぬ。してもいいし、せぬでもいいというのではなしに、しなければならぬというように義務づけられておる。そのつくらなければならぬ計画の中に、岡本先生仰せになる施設というものが、第五条の二項の第二号というものの中に規定されておる。これは、その関連上必要と思われる施設は、してもせぬでもいいのではない。必ず計画の中に計画化されなければならぬ。計画化されました場合は、各大臣は、やりますとかやりませんとか言う自由はない。やらねばならぬ。法律に基づいて内閣が計画を立案して、その計画に盛られたものをやるとかやらないとか言う自由は大臣にはない。さようでございますかといってやってもらうのが、この法律でございます。そのように御承知をいただけば、計画をつくりますときに、先生の仰せになるような関連上必要ありと認める施設については、防火施設についても道路についてもその他の施設についても、盛り込んで計画をつくる。つくればそれが実現されなければならぬ。こういうことでありまして、政府・与党は徹底して政府の事務当局には説明ができておる。それから、各大臣がそのとおりでございますと言おうが言うまいが、この法律によって計画ができた以上は、この計画を実施することは政府の責任でございます。それがこの法律でございますから、これは御心配は要らない。ただその計画をつくりますときに、仰せのような程度のところまで計画が入り込んで道路をやるかどうかということには、幾らか大臣の仰せのように問題はあろうかと存じますが、そういうふうに連絡は密にできておるということを、どうかひとつ御了承願いたいと思います。
○岡本委員 田中先生のお話、非常にふろしきが大き過ぎるような感じがしますが、しかしそれをあまり吟味しておりますと、どうしてもきょう成立さすわけにいかないようになるような心配をいたしますので、ひとつそのふろしきを私は信用いたします。穴はあいてないことを信用いたします。だから、あとあと政府部内、与党内部で先生のいまおっしゃった御趣旨が完全に生きるように、今後もう一度重ねての御努力をお願いしていただくことを条件にして、この問題についての質疑は終わります。
 次に、罰則の問題でございます。これは先ほど提案者からも御説明がありましたが、この法律ができただけで相当大きな効果がある。これはやはりこの法律ができたら罰則が伴う、またかってにむちゃな開発をやっても原状回復命令が出るし、またそれに違反すれば、地方公共機関のほうでかわりに代執行をやってつぶしてしまうこともできるということになっておるわけです。だから、無理にやってもできないようになっておるというところに、強い規制力を持っておる、こういうふうなお考えでございまして、いわばそれについては罰則がどのように適用されるかということが、非常に重要な問題であるわけなんです。ところが、この罰則の項を見ますと、第二十条で、とにかくかってな開発をやって、それに原状回復命令が出た、しかもそれに応じない場合に、それでも「一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」こういうことになっておるのです。懲役だったら、これはだれでもかなわぬと思うのです。けれども十万円ぐらいの罰金なら、何億という資本を投じてどんどん開発する人間には全然こたえないのです。牛にハエがとまったようなものです。だから、これは一体どういうことなのか。私は、これについては、少なくもこの罰金は一千万の単位にすべきである、こういうことをこの法案作成の過程においてずいぶん主張したのです。これは、食うに困って盗んだとかいうふうなことと違って、あらかじめ大きな利益を得ることを目的にうんと金をかけて、しかも自然の風致を破壊するというふうな、いわば経済事犯だから、うんと罰金をとらぬことには意味をなさぬ。だから、一年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金というふうにせよということを強く主張したのです。ところが、法務省のほうで、それはあかん、そんなものはできぬ、そんなことはほかの法律のどこにも書いてないのに、これだけそんなわけにはいかぬ、こういうふうなことなんでございますが、それはどういう理由なのか。私は、法務大臣から、法務省が一千万円にすることを拒否された理由を承りたい。
○石井国務大臣 お答えいたします。
 私は、まず、この法案ができることをたいへん喜んでおる一員でございまして、かつこの法案がこの規定のとおりにりっぱに行なわれると申しますか、遂行されて、そして古都が保存されることが一番大事なことだと思うておるわけでございます。私は、罰則が適用されるというようなことがあってはならないと実は思うておる一員でございます。第八条の第一項に、指定された特別地区内においてこれこれの仕事をする場合には、知事の許可をあらかじめ受けなくちゃならぬということが書いてございます。これを厳重にやっていけば、私は、私のほうの問題が、十万円が五万円であろうと一万円であろうと、罰則はなくてもいいわけだと思います。そういうことをやらなければ、千万円が二千万円、一億円であっても、もう京都は二度と帰ってこないし、奈良も二度と帰ってこないものだと考えております。これは根本の考えであります。
 さて、この私のほうから出した罰則の問題でございますが、そう言いながらも、間違っていろいろその法を犯す者があるかもわかりません。そのためには罰則を設けておく。おまえたちはこういう罰をされるぞということを示しておく必要があるだろう。それでその罪状によりまして、非常に軽微なものから非常に悪質なものまであると思います。それにはやはり懲役のような重いものから罰金まである。軽いものには軽い罰金で済ましてやる、情状気の毒だけれども、罰はしなければならないという場合には、小さい罰金で済ましてやるというようなことで考えております。それから、罪状の重い者には、もう金の問題では私は済まされないだろうと思います。そういうような場合には懲役を課するのもやむを得ぬというような場合も起こってくるだろう、こういうふうに思うておるわけでございます。それでこの懲役を一年以下、罰金を十万円以下といたしましたのは、大体これに近いようなものを比例にとらないで、これは大事なものだから罰金にするなら千万円ぐらいとか、二千万円にしたらという意見もございますが、自然公園法というようなものにこれに近い罰則がございまして、それに見合いまして、これらが適当であろうということで課したのでございます。私は、罰則はこういう形として、形を整える上につくったものであるということにおいて、御了解を願いたいと思います。
○岡本委員 こういう経済事犯の場合は、罰金で済むなら、そんなのは覚悟でやるんです。いま大臣は、罪状の悪質な者は体刑で臨むのだ、罪状の軽い者は罰金で済ますのだというふうなお答えでございますが、それでは、ここにある「一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」という「又は」というのは、どう理解したらいいでしょうか。この「一年以下の懲役」ということと「十万円以下の罰金」ということとは、大体等価な量のはかり方ではなく、重い者は一年以下の懲役に処するが、軽い者は十万円以下の罰金にするんだというような理解のしかたでいいですか、他の法律もみなそういう理解のしかたでいいですか、それとも、「又は」というのは、ある程度等価のものというふうに考えられておるのか、その辺のところを承りたい。
○津田政府委員 ただいまのお尋ねの点につきましては、この懲役刑と罰金刑との「又は」というのは、選択刑というふうになっております。そういたしますと、罰金十万円をもってまかない得ないような罪責の者につきましては、懲役を選択するということになります。でありますから、罰金十万円の上に懲役一ヵ月というものがついてくる、端的に申せばそういう形になるわけであります。したがいまして、罰金の額を上げますと、罰金十万円なら十万円に見合うものは罰金で済まされるという議論になって、結果的にはかえって軽くなるわけです。本件は、十万円をもってまかない得ないような罪責の者につきましては直ちに懲役の選択ということになる意味においては、それよりも比較的には重いということになるわけでございます。
○岡本委員 そういたしますと、罰金の払えぬ者は刑務所に入らねばならぬのですね。罰金が払えなくて刑務所に入るのは、一日何ぼで計算するのですか。
○津田政府委員 これは裁判官の判断によってきめられるわけでございます。刑務所に入ると申しましても、これはいわゆる換刑処分、労役場留置ということで、いわゆる刑務所に入ったということではございません。労役場に留置して労役をしたことによって罰金を償うという意味でございますので、それは性質は違うわけでございます。
○岡本委員 それはどのように計算されるのですか。たとえば十万円の罰金になったら、罰金を払えぬから刑務所に入りますね。こういう者には一体一日どのくらいに計算するんですか。
○津田政府委員 罰金を完納することができないときには、一日以上二年以下の期間労役場に留置することができるということが刑法できめられておるわけでございます。したがいまして、これは判決の際に、かりに罰金十万円の判決に対しまして何日労役場へ留置するかということは、裁判官がきめるわけでございますが、大体におきましては、その者の通常一日の経済能力といいますか、そういうものを標準にしてきめておるわけでありまして、かりに五百円といたしますれば十万円で二百日ということになりますし、あるいは千円と見れば百日ということになるわけであります。それは裁判官が当該具体的事件に即し、当該具体的被告人の状況を判断してきめることになっております。
○岡本委員 それはおかしいじゃないですか。そうすると、その人の経済能力が、たとえば一日一万円かせぐ人だったら、十万円の罰金は十日で済む、一日五百円しかかせげぬ人だったら、二百日入らなければならぬ。貧乏人が長いこと入らなければならぬで、金のある者はわずかな日数で済む、こういうふうなことはおかしいじゃないですか。これは金のあるやつは悪いことをしても、罰金になっても、ちょっと中へ入ってきたら済む、それで金のない者は長いこと入れ、これは逆じゃないですか。金のある者でもない者でも、少なくも同じ日数であるべきにもかかわらず、そんなものはその者の経済能力に応じてその日数をきめるなんというきめ方は、これは全く人権を無視したものだと思いますが、いかがですか。これは法務大臣、いかがですか。これは法務大臣から聞かなければあかん。そんな人権無視したばかな法律はないですよ。
○津田政府委員 一応の法律の趣旨を御説明いたします。
 法律の趣旨といたしましては、ただいま申し上げましたのは、その人の特殊事情に基づきまして特段の収入があるということは全然考慮されておりません。通常の人につきまして、かりに今日失対事業に出れば幾ら出るかというような問題を中心にして、若干その人の能力、その人の経済状況を加味して考えるというのが、現在裁判所における運用の実態でございます。しかしながらこれは全く裁判官がきめることなんでございまして、二年以下の範囲におきましては何日でもきめられるわけであります。しかし大体の標準としてはそういうことを考えて留置をしておるというのが現状でございます。
○瀬戸山国務大臣 刑のことではないのでありますが、刑は、一年以下の懲役と定めてあることはたいへんな刑であると思います。しかし、それよりも私は、この法律の趣旨とするところは、やはりかけがえがない、将来に向かってかけがえのないところであるから、こういう法律を制定してこれを保存しよう、これがねらいであろうと思います。したがってその手段、方法は、御承知のとおりに許可する条件をつける、それに違反した者は原状回復をする。代執行までして原状回復して、現状を保存するということが、一番のねらいであって、こわされてしまっても刑を課したからいいんだ、あるいは罰金でしたからいいんだという種類のものとは非常に違うように思いますので、そこに力点を置いて、先ほど法務大臣が言われましたように、管轄いたしております府県知事がそれを保存するという精神を生かすということだけに重点がかかっているのじゃないかと思いますので、刑の問題は、これはよけいなことでありますけれども、第二次的な問題ではないかと思っておりますので、そのほうがいいんじゃないかと思います。
○岡本委員 大臣の仰せはよくわかります。しかしながら、私はこの問題をきょう持ち出しましたのは、前の河川法のときに、ダムの操作規定を守らなかった場合に五万円以下の罰金で済むとか、あるいは河川法で管理者の許可なしに河川の区域をいろいろいじくった者が一年以下の懲役または十万円以下の罰金というようなことでは、これは洪水という重大な、下流の住民の生命及び財産に重大な影響を及ぼすようなことをやった者があまりに量刑が軽過ぎるじゃないかということで、このときに私は現在の罰則の体系というものが非常に矛盾に満ちておるということを指摘したのです。そのときにも私の意見がいれられなかったから、きょう法務大臣に来ていただいて、私はそのときの問題点を含めて、河川法の改正のとき、河川のたとえばダムの操作規定を、でたらめの操作をやったために下流に大きな洪水を起こした、そのために下流民に死者ができたり、あるいは家を押し流されたというふうなことが起こった場合、それについての量刑を、やはりこれはその犯した事犯に対してそれ相当の罰則というものがなければならぬ。人を殺した場合と傷つけた場合とでは違うのですから、だから河川について大きな犯罪を犯した場合には、もっと重い処罰というものが、放火と同じような処罰があってもいい。私はこういうふうに思うから、きょうも、この法務省の大体の考え方というものの中に、私は時代と少しずれたものがあるのではないか、こういうふうに思うから、きょう法務大臣にお越し願ってこういうことをお尋ねするのでございますが、先ほどの御答弁で重いものは懲役刑でいくのだ、軽いものは罰金で済ますのだから、罰金の金額が多くなればそれだけ罰せられる量刑がかえって軽くなるという御説明で、私は了解いたします。了解いたしますが、それだけになるべくこういうふうな経済的な悪質なことをやる事犯については、やはり重く罰するようにしなければならぬ。しかしながら、これは法務大臣の権限の中にはないわけですね。裁判官をどうするという、重く罰しようというようなことを法務大臣からおっしゃるはずはないと思うのです。しかしながら、どんどん起訴はしていただかなくてはならない。これは必ずそういうような事犯に対しては仮借なく起訴をする。その次には、これは求刑は検察庁の範囲内の仕事ですから、できるだけ重い求刑をしていただく、こういうふうな形でもって、やはりこういう事犯に対しては峻厳な態度で臨むという道を開いていただくようにお願いいたしておきたいと思います。
 以上をもって私の質問を終わります。
○森山委員長 八木君。
○八木(一)委員 この法案の提案者の一人といたしましてつくづく考えますときに、いまこの法案をわれわれが出さなければならない状態になっている、そういうことについて非常に残念に思うわけでございます。このようなことをいま考えて、いまこういうことを禁止しなければならないという状態でなしに、もっと早く国なり地方行政団体がこういうことに対処して、国民が心配をしないよう、民族的な大切な遺産であり、世界的な財宝であるべきものがみすみすと破壊される状態をいままでつくらないでほしかったというふうに考えるわけでございますが、それにつけましても、この提案をして、この法律が可決、制定をされましても、その実察の事務に当たる政府なり地方行政団体が、ほんとうにいままでこういう問題をほうっておいた責任を深く自覚をせられまして、この法律の精神をほんとうにやり抜くという気持ちを固めていただかなければ、これは死んだ法律になろうと思うのです。その点について、政府関係のすべての方に御答弁をいただきたいと思いますが、特に国務大臣であり、関係の深い建設大臣からひとつお伺いしていきたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 いまお話のとおりに、実態からいいますと、いまごろ、しかも議員の皆さんの良識によってこういう法律ができるというのは、われわれ行政府その他が今日までのあり方について不適当ではなかったか、おかしいではないか、こういうお話は全くそうだと思います。ただ、かような問題は、御承知のとおりにこれは、こればかりではございません、戦後の風潮というものがしからしめておると思います、各般にわたって社会公共と申しますか、地域社会その他社会公共にわたるものがないがしろにされる、これは戦後の風潮であります。私は率直に申し上げますが、民主主義社会においてそれが全部がうまいぐあいにいくということが、私は民主主義社会だと思いますけれども、戦後は民主主義を唱えながら、実態はそれと逆行する事態が起こっておる。こういう風潮の中で法律を制定する、あるいは行政をするということは、やはりその風潮というものに流れるわけではありませんけれども、必ずしも一般の考え方というものをないがしろにするわけにはいかない。今日ようやくそういう風潮というものが反省の期に入っておると思います。これはまさにその大きな一つのあらわれではないか、われわれの先祖伝来の築かれた伝統的美、あるいは文化というものをこの際われわれは見失いはしないかという風潮が、今日わが国内に起こってきております。ちょうどそれとマッチしておるんではないか、あえて行政府の今日までの措置が適切であったということは言いません。そういう、要するに時代がいま転換期に入っておって、そうしてこういう反省期に入って、措置をとりたい、こういう時期にきておると思います。そういう時期に、国会の皆さんが適切な措置をされるということでありますから、私どもはこの皆さんの御意図に対して、先ほど法務大臣も中村文部大臣も言われましたように、非常に賛成の意を表しておるのはさような次第でありますから、この執行にあたりましては、いまお話しのとおりに、この目的を達するために十全な措置をとりたい、かように考えておるわけであります。
○八木(一)委員 建設大臣のお話ですね、八分通り理解をいたしますが、それではいかぬと思うのです。気持ちをもっと固めていただきたい。世の中がああいう状態になって、いま落ちついて、そういうわれわれの民族の遺産である世界的財宝を守ろうという精神だ、そういう非常に適切な法律だ、しっかりやりたい、そこまで八十点くらいですが、あと二十点足りない。というのは、こういうものは、どういう状態であろうと、それにまかしておいてつぶしてしまえば、あとに復元ができないわけです。ですから、いままでそういうときに世の中が歴史的風土を破壊されるのをそのままにほうっておくような風潮であっても、そこで、政府というものは――そういうものはそこで破壊されてしまったら復元はできない、民族の遺産はなくなる、世界的財宝はなくなるという観点を持って、そういうところでも権力を持って、そのような責任を持っている政府がこれを食いとめることをまつ先にやられなければならない。そういう点で、いま建設大臣だけの御意見を伺ったわけですけれども、政府としてのいろいろな責任を持っておられる方々の決心が十二分ではないと思います。これから十二分の決心を固めていただきたいと思います。この法律が制定されても、なかなかこのような空気が万全ではないと思う。もうけるために歴史的風土を破壊することをいろいろ画策をして、平気でもうけるためにいろいろなことをやる連中が世の中に横行しておる。それはほんとうに性根を固めていただかないとたいへんなことになろうと思う。そういう点で決心を固め直していただきたい。
 実は、この法律について、私どもも立案に参画をさしていただきました。私どもは、先ほど同僚の岡本さんが言われましたように、たとえば罰則の問題で、基本的にはこれは罰金では防げない。全部懲役刑でなければ、そういうような民族の遺産を忘れて自己の利益だけを追う連中によって破壊をされるという観点を持っております。依然として、この罰則については非常に弱い感じを持っております。
 それからもう一つ。いろいろの古都の指定をするときにあたって、その指定の区域について、ほんとうにこの法律の目的に従った運営がされるかどうかということについても非常な疑問があります。私ども疑問はございましたけれども、一方にはいまどんどんとそういうところが破壊されておる。非常に急速にやられなければならない。いろいろの法理論その他の調整が要るというような事情も私どもも知っておりますので、とにかく早くやらなければならないという同僚間の相談、そのような大乗的な見地にも賛成をいたしまして、この提案者の一人にさしていただいておるわけであります。しかし、安全なものであるとは考えておりません。私ども居住をいたしております奈良市において、そのようなことを心配する人たちの団体が、もっと完全なものにしたいというような、非常な熱心な、まじめな運動をいたしております。そういうような人たちの請願の文書、要請の文書も、各委員もまた関係の大臣においてもお沈みになったと思いますが、そういうことについて私どもはぜひ完ぺきを期したい。田中さんの提案理由にありましたように、これがほんとうにうまくいけばいいけれども、うまくいかなければ、さらにわれわれは立法的その他のことについてこれを前進させなければならないという決心を持っておるわけです。ところで、このことをもし政府の関係の各省、各機関がほんとうに決心を固め直していただいてやられたならば、この法律でも直ちにそのような目的が達成できると思う。そういう点で、ひとつ内閣全体の決心を固めていただきたいと思います。建設大臣は特に御関係が深いので、いま善意でおっしゃったことでありますけれども、国民的な要望を再度かみ直していただいて、決心をさらに強く固め直していただきたいと思います。
 また、法務大臣がおいでになりますが、この問題は直接でないかもしれませんけれども、国務大臣として、全般的な責任に当たられる、私どもの先輩の大政治家であられますから、閣議で指導されて、そういう点についてやっていただきたいと思う。特に所管事項については、岡本委員から御質問がありましたけれども、いろいろ私どもはまだその点について心配を持っております。ですから、裁判官が決定する問題でございますけれども、これについて問題を進める法務省、この法務省の方針に従っていろいろ進められる検事、そういう検事の人たちがほんとうにこの精神を熟知して、熱意を持って当たられるならば、こういう問題がこの条文でもさらに強く規制がされて、そういう間違った、一部の人の利益のために大切なものが破壊されることを防げる道になろうと思います。そういう点は法務大臣の大事な指導事項であろうと思います。いま申し上げたことについて、建設大臣なりまた法務大臣なり、国務大臣としての御答弁をひとつ伺いたいと存じます。
○石井国務大臣 御説もっともでございまして、私ども、この法案が一日も早く成立して、そして一日も早く、古都におきますいまの状態から少しでも悪くならないように、よく保存されるように期待するものでございます。
 私の関係する問題でございますが、さっき申しましたように、罰するような状態になることが一番いやなことでございます。罰しないような状態にしてもらいたいのでございます。かりに罰し得るような状態になったならば、これを罰して、世の中の人に知らしめて、そういうことはしてはならぬぞということを知らしめなければ何にもならないことは申すまでもない。ところが、何か事件が起こったといたしまして、検察官が進んでそれを調べるというのは、これはなかなか困難であります。この管理に当たる人たちが、こういう問題があったということで検察庁のほうに連絡をしていただきますれば、私どものほうは直ちにこれを取り上げまして、それを処理しよう。そしてそれを世の中にも知らしめて、そういうことがあればこういう問題だぞということで、またとそういう問題の起こらないように、間違ってもそういうことをしてはならぬぞということの見せしめにすることも必要だろうと思います。この法案が通りましたら、そういう方面と率直に連絡をとりまして万全を期したいと思います。
○八木(一)委員 実は私も、国民のだれかが罪を犯して処罰されることを希望するものではございません。そういうことのないように望みたいのですが、この問題に関する限り、非常にあつかましい、法律を犯してももうけてやろうという連中がいますから、これはひとつ罰することによって、それでほかの人がそのあやまちをおかさない、それから民族の遺産が守られるということについて、非常な熱意を持って、強い態度を持って法務省は臨んでいただきたいと思う。
 それから建設大臣に………。先ほど申し上げたことについて建設大臣は十分熱意を持っておられるわけでございますけれども、御答弁のことばが私が納得するまでには十分でなかったと思うのですが、ことばの表現がなくても、私より以上な熱意を持っておられると思いますので、もう一つ明らかに、私の申し上げたような意味で熱意を込めてやっていただくと御答弁をお願いいたしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 私は、従来の経験からいたしますと、この種の法律はりっぱな処方せんができましても、あまりきき目がないというのが多いわけであります。しかしそういうことがあってはなりませんので、十分注意をいたしまして、この法律の趣旨を生かしていきたい、かように考えております。
○八木(一)委員 この問題の一つの大切なこととして、審議会が設置されるわけです。審議会の定員が二十名になっておりますが、ここで審議会がほんとうにうまく動くかどうかというのは、その中の人員の構成のいかんにかかっているところが多いと思うのです。そこで学識経験者というものが当然審議会の大きな構成になるわけでございますが、ほんとうにこういうことに熱意を持っている方をたくさん入れて、審議をしていただく必要があろうかと思います。実際に学識経験者というものを審議会でいつも持っておりますと、非常に学識というものが先になって、経験というものがあとにされる傾向がございます。ですからそれでなしに、今度はこのような大切なものを保存するために、熱意を持っていままでに熱心な努力をし、運動をされているような方、あるいはまた三地域に関係の深い、それを熟知しておられる方、そういう方々にたくさん入っていただいて、ほんとうにこれが生きたものにならなければならないと思うのです。その数を圧倒的に多くすべきだと思う。これに内閣総理大臣あるいはまた総務長官に伺いたいわけでございますが、こういう時期で時間的に無理でございますから、ぜひその趣旨について実現をはかるように、副長官からお答えを願いたい。
○細田政府委員 この法律におきます審議会の使命は非常に重いものがあると存じます。保存区域の指定にいたしましても、あるいは保存計画の設定にいたしましても、いずれも審議会に諮問をいたしまして、その意見によりまして総理大臣がきめるということになっておりますので、ただいま御質疑の中にございましたように、文字どおりこの問題と真剣に取り組む。また学識経験、こういった両方面でほんとうに役に立つ方に委員になっていただかなければ、法律の使命達成ができないと信じておる次第でございまして、ただいまの点につきましては、十分に私どものほうで尊重いたしまして、人選に当たりたい、かように考えておりますし、また運用につきましても、十分に配慮いたしたいと思っております。
○八木(一)委員 そのことは法律の条文では内閣、具体的には総理府が権限を持っていることになっているからそう申し上げました。実際的な問題としてはこの問題を熱心に推進をした三党の提案者、また各地域のことをよく知っているそういう人たちにどういう方がいいだろうかということを聞かれて、それで委員の選定に当たっていただきたい。これは簡単に、そのとおりにしますということをすぐ答えていただきたいと思います。
○細田政府委員 十分御相談をいたしたいと思っております。
○八木(一)委員 これで、最後の質問で終わります。
 ところで、先ほど建設大臣に申し上げましたが、この中で、政府に熱心に取っ組んでいただくことをお願いをいたしました。御承知をいただきました。ここで政令事項とか、その他いろいろなものがございます。そういうものについて、しっかりやっていただきたいわけでございますが、事、金に関する問題があります。金に関する問題がございますから、これは非常に金について、何か支出を惜しまれて、それでこの問題を半身不随にするおそれがあるわけです。その点で、たとえば地域を狭くしておけば金を少なくしか出さないで済むとか、あるいはまた中の整備計画を不十分にしておけば金を少なくしか出さなくて済むとか、たとえば岡本さんがおっしゃったように、それによっていろんな損害をこうむるものに対する対象を少なくしておけば金を出さなくて済むとかというような考え方がこんりんざい少しもあってはならないので、そういう点について、金の点でこういうものにブレーキをかけるような考え方を一切しないということでこの問題を進めていただきたい、その点について建設大臣と大蔵政務次官から前向きの御答弁をいただいて質問を終わりたいと思いますが、不十分であったら続けさせていただきたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 たびたび申し上げておりますように、かけがえのない民族的な財産というか、資産を維持しようということでありますからいいかげんなことではできない、かように決心をしております。
○藤井(勝)政府委員 冒頭でも申し上げましたごとく、この法案が皆さん方の手で議会へはかられ、御審議になっておることに対して心から敬意を表しておる次第であります。したがいまして、法の精神を十二分に尊重いたしましてその事業の性格を十二分に認識して万全を期したい、このように考えておる次第であります。
○森山委員長 玉置一徳君。
○玉置委員 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法案が関係者の皆さんの非常な御努力と国会の皆さんの御協力、御援助で、この年末多忙な中をどうやら成立を見るような運びに至りましたことを心から御礼を申し上げたいと思います。
 そこで、この法案の審議に関連いたしまして一、二聞いておきたいことがあるわけであります。
 御承知のとおり、第二条の「歴史的風土」でございますが、この規定に関連いたしまして、都市計画法の施行令の第十三条及び十四条、いわゆる風致地区の指定地区と全く同じであると思います。そこで風致地区に指定したところをそのうちのある重要部門を特別の保存地区として指定するようなあんばいにこれはできておるんだ、こう思うのですが、当事者にいたしますと、両方ともこれは許可が要るのかどうか、それからその指定の地区の関係はどうなっておるのか、それからこの法案の遣いはどこが特色か、こういう点につきまして、いずれお世話をいただきます行政官庁から明らかにしておいていただきたい、こう思うのです。
○竹内政府委員 この法律の第十条に、「都市計画法の規定の適用を妨げるものではない。」という規定がございますので明らかなように、都市計画法に基づきます風致地区と、それからこの法律の地区とは両方ダブってかかる形になると思います。したがいまして、許可はそれぞれ要るという形になりますが、運用にあたりましては比較的簡便にできるようなことを考える必要があろうかと思います。
○玉置委員 もう一つ当局にお伺いしておきたいのですが、そうしますと、風致地区の指定の場所とこれの指定の場所とどういうような関係があるか。大きさ、あるいは指定の特殊性。
○竹内政府委員 いま地元のほうで考えておられる考え方によりますと、大体風致地区がかかっておりますようなところの中へ特にこの法律の保存地区あるいはさらにその枢要部分の特別地区というようなものをかけていきたい、つまり風致地区のほうが非常に広くて、その中に保存地区、特別地区、こういう形を考えておられるようでございます。
○玉置委員 風致地区では何か足りなくて保存地区に指定してもらうとどういう恩典があるのか、それをはっきりしてもらいたい。
○竹内政府委員 そもそもこの法律ができましたのは、風致地区では現在のところ、一般的に、絶対的に、たとえて申しますと、建物を建てさせないというようなことは、現在の運用上、各県の規則でその規則をきめておりますけれども、一般的に何か禁止するということができませんので、この法律が出てきたのではないか、こういうふうに考えております。
○玉置委員 土地の買い入れもしくは原状回復――原状回復は同じてありますが、土地の買い入れあるいは罰則、そういう点についてはっきりしてもらいたい。
○竹内政府委員 買い入れの規定は現在のところ風致地区にはございません。それから補償の規定もございません。したがいまして、非常に強い規制をかけると同時に、今回は買い入れ、補償の規定を置いたというのが特色であろうかと思います。それから罰則の点は風致地区規則、これは県できめておりますけれども、たとえば神奈川県の規則で申し上げますと過料でございます。この法律では、ここに書いてあるとおり過料でございます。
○玉置委員 私がわざわざ聞きますのは、この法令の第三条二項に、「一般国民は、この法律の趣旨を理解し、いやしくもこの法律の目的に反することのないように努めるとともに、」となっておりますように、この法令の趣旨を思い切ってみんなにわかるような方途を講じていただきたい、こういうことを念願するがために、まずここで小手調べに、どのくらい御存じかと思って聞いたわけであります。同じことを、文部省の文化財保護法の名勝史跡とどういうような関係があるかを村山さんからひとつ伺いたい。
○村山政府委員 文化財保護法によりまして、史跡または名勝を指定しておりますが、これは史実あるいは学術上の観点からきわめて厳密に地域を測定いたしまして、重要なる地域としては、小区域を限って指定しております。したがいまして、この法律による保存区域あるいは保存地区がどの程度の範囲になるかは運用してみないとわからないわけでありますが、予想といたしましては、保存区域あるいは地区のほうが広くて、その中に文化財保護法による指定史跡あるいは名勝が存在するというようなことになろうかと思います。
○玉置委員 そこで建設大臣に質疑をしてお願いをしておきたいのは、この風致地区でございますが、奈良県その他からも非常に御要望がございますとおりに、もう少し風致地区自体にも何らかの保存地区と同じような罰則なり規制なり強制力を持たせていくことが好ましいのじゃないか、これができたから風致地区というのはそのままでいいのだというお考えじゃなしに、ひとつ風致地区その他につきましてもそういう方向に向かってこれから御検討を加えていただくことが、この立法の趣旨に合致すると思うのでありますが、御所見を承っておきたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 お説のとおりでありまして、従来は――従来といっても新憲法以前でありますけれども、風致地区といいますと、その地域あるいは外来の人々が非常に尊重するという気風があったものであります。したがって、先ほど文部大臣が言われましたように、罰則でこういうようなものを守るというのは、実は下の下でありますが、最近はなかなかそういう状態でございませんので、そういう意味においてこの問題は検討をして実効のあるものにしなければならない、かように考えておるわけでございます。
○玉置委員 この問題が起こってまいりました一つの起因になっておりますのは、京都タワーの問題も問題になっておったと思うのです。そういうことが世論を喚起した一つの理由だと思いますが、ああいう市街地におきます風致、外国から参りますと京都や奈良という古都を見て感心をしておる人ばかりでありますから、山や川というような風物だけではなくて、市街地の美観というもの、美観地区を指定しましたものは、その内容をいずれも条例に譲っておると思いますが、これもまたもう少し前向きに御検討をし直していただく時期にまいっておるのではないか。こういう立法ができました際に、ひとつさらに御検討を加えていただくような意思があるかどうかお伺いしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 それも先ほど風致地区で申し上げましたと同じような事情でありまして、都市計画法その他、いま再検討いたしておるところであります。建築基準法、都市計画法、これは多くは都市計画の問題でありますが、検討いたしておるところでありますが善処していきたいと思います。
○玉置委員 費用の国からの助成でありますが、あるいは損害賠償もしくは土地の買い入れ、こういうような、その態様によりまして補助率も若干変わるかもわかりませんし、あるいは金額によって変わることもあり得ると思いますが、私が特に大蔵政務次官の藤井さんにお願いをしておきたいことは、ここにございます第二条の「京都市、奈良市、鎌倉市及び政令で定めるその他の市町村」と書いておりますが、その他の市町村というのはおそらく非常に関係の深いまわりの町村をいうのだろうと思いますが、その場合にどうしてもそういう土地の買い入れをしなければいかぬという場合に、同じ補助率の八割なら八割といたしましても、二割は財政需要額の非常に小さい町村には大きな負担になります。そういうような意味で、財政基準も考慮してかなり大幅なことができるようにしておいていただかなければ困るところができるのではないだろうか、こういうように思いますので、特に大蔵政務次官からも御所見を承っておきたいと思います。
○藤井(勝)政府委員 御趣旨の点はよく了解いたしたわけでありますが、第十一条でございますか、主体は府県ということに相なるのではなかろうかというように思うわけでございまして、したがって、直接負担の当事者が市町村になるかどうか、この施行の責任の直接の当事者は、府県ということに法律は読めるのではないかと思いますので、たとえ府県の場合でも、あるいはまた市町村の関係になる場合でも、事情が特別な事情があれば、検討をしなければならない、このように思います。ただし、この法律に基づいてのいろいろな負担割合、補助率の問題ということだけでなくて、また別途自治省あたりの関係がございましょうが、そういうところとも具体的な問題についてはよく相談の上、御趣旨の点を生かしていきたい、このように考えます。
○玉置委員 最後に、この法律が多くの国民の御要望に沿いまして、民族の資産を守るために、このそうそうの間に成立を見ようとしておるわけでありますが、何しろ関係法規が非常にたくさんございます。あるいはまだまだ十分じゃない点も多多あると思いますが、先ほど来、都市計画法の風致地区、美観地区、その他について御要望も申し上げましたとおり、この法律の趣旨に沿いまして、各種の法令の整備をはかっていく、やってみていろいろな不ぐあいがありあるいは足らないところができると思いますが、関係の当該の委員会の御審議を得られまして、ますます充実した法律となるよう整備に邁進していただくことを心からお願いするわけであります。奥野さんからも御要望がございましたとおり、ひとつ十分な予算措置をお願いすることといたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○森山委員長 他に質疑の通告もございませんので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
 本案は、議員の発議にかかる予算を伴う法律案でありますので、この際、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において意見があれば、これを許します。
○瀬戸山国務大臣 内閣を代表いたしまして政府の考え方を申しておきます。
 先ほど来答弁の中で申し上げましたように、日本の現状におきましてかような法律をつくり措置をとることは、きわめて時宜に適したものであると考えておりますので、政府といたしましても、先ほど来申し上げておりまするように万全の対策をとりたい、かように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○森山委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、これより直ちに本案を採決いたします。
 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○森山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
 おはかりいたします。ただいま可決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
  〔報告書は附録に掲載〕
○森山委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十二分散会